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特開2022-46036コミュニケーションシステム及びロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046036
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】コミュニケーションシステム及びロボット
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20220315BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20220315BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
H04M11/00 301
H04N7/18 Z
H04M1/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151865
(22)【出願日】2020-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】520168055
【氏名又は名称】avatarin株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】深堀 昂
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 ケビン
【テーマコード(参考)】
5C054
5K127
5K201
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054DA07
5C054HA25
5K127AA36
5K127BA08
5K127CA10
5K127CA27
5K127CB16
5K127GB02
5K127GB22
5K127GB74
5K127GD07
5K127HA02
5K201BA01
5K201BC02
5K201BC29
5K201CA06
5K201CB09
5K201DC05
5K201EA05
5K201ED08
5K201EF01
5K201EF03
5K201EF09
5K201EF10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】テレプレゼンスロボットの遠隔操作者と現地のユーザの双方にとって利用し易いコミュニケーションシステムを提供する。
【解決手段】コミュニケーションシステム100は、固定されていないロボット20と、ロボット20と通信可能なコンピュータ10と、を備える。ロボット20は、カメラと、コンピュータ10による遠隔操作が可能な駆動部と、当該ロボット20に対する指示を入力する第1の入力部と、コンピュータ10との間で通信接続が確立されていないときに、第1の入力部に入力された指示に応じて、コンピュータ10に向けて呼び出し通知を送信する呼び出し部と、を有する。コンピュータ10は、ロボット20に対する指令を入力する第2の入力部と、カメラで撮影された画像を表示すると共に、ロボット20から呼び出し通知を受信した場合に、該通知を受信した旨を表示する表示部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定されていないロボットと、前記ロボットと通信可能なコンピュータとを備えるコミュニケーションシステムであって、
前記ロボットは、
カメラと、
前記コンピュータによる遠隔操作が可能な駆動部と、
当該ロボットに対する指示を入力する第1の入力部と、
前記コンピュータとの間で通信接続が確立されていないときに、前記第1の入力部に入力された指示に応じて、前記コンピュータに向けて呼び出し通知を送信する呼び出し部と、を有し、
前記コンピュータは、
前記ロボットに対する指令を入力する第2の入力部と、
前記カメラで撮影された画像を表示すると共に、前記ロボットから前記呼び出し通知を受信した場合に、該通知を受信した旨を表示する表示部と、を有する、
コミュニケーションシステム。
【請求項2】
前記コンピュータは、前記呼び出し通知を受信した旨が前記表示部に表示された場合、前記第2の入力部への入力に応じて、前記ロボットとの間で、通話のための通信接続を確立させる、請求項1に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項3】
前記ロボットは、当該ロボットと通信可能な少なくとも1つのコンピュータを表す情報を記憶する記憶部をさらに有し、
前記呼び出し部は、前記少なくとも1つのコンピュータを表す情報のうち、前記第1の入力部への入力に応じて選択された情報に対応するコンピュータに、前記呼び出し通知を送信する、
請求項1又は2に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項4】
前記ロボットは、前記第1の入力部への入力に応じてインターネットに接続し、当該ロボットに接続可能なコンピュータに関する情報を検索し、
前記呼び出し部は、検索された前記情報のうち前記第1の入力部への入力に応じて選択された情報に対応するコンピュータに、前記呼び出し通知を送信する、
請求項1又は2に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項5】
前記第1の入力部は、音声の入力を受け付ける音声入力部であり、
前記ロボットは、前記第1の入力部に入力された音声を認識してテキストに変換する音声認識部をさらに有し、
前記呼び出し部は、前記第1の入力部に特定のテキストを含む音声が入力された場合に、前記少なくとも1つのコンピュータのうち予め設定されたコンピュータに前記呼び出し通知を送信する、
請求項1又は2に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項6】
前記コンピュータは、前記呼び出し通知を受信した旨が前記表示部に表示された場合、前記第2の入力部への入力に応じて、応答通知を前記ロボットに送信した後、前記ロボットとの間で、通話のための通信接続を確立させ、
前記ロボットは、前記コンピュータから受信した前記応答通知に応じたメッセージをユーザに提示する、請求項1から5のいずれか一項に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項7】
移動型又は装着型のロボットであって、
コンピュータによる遠隔操作が可能な駆動部と、
当該ロボットに対する指示を入力する入力部と、
前記コンピュータとの間で通信接続が確立されていないときに、前記入力部への入力に応じて、前記コンピュータに向けて呼び出し通知を送信する呼び出し部と、
を有するロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コミュニケーションシステム及びロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを用いたテレビ会議システムが普及し、顔を見ながら話すだけでなく、遠隔地にいるユーザがカメラの向きや位置を操作することができるテレプレゼンスロボットが使用されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、遠隔操作者に対して撮影画像を提供するカメラと、撮影画像内の少なくとも一部を遠隔操作者から隠蔽するマスク処理を実行し、かつ、マスク処理を用途に応じて切り替えるマスク処理部と、を備えるカメラ付き移動体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-062308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のテレプレゼンスロボットは、遠隔操作者が遠隔操作用端末を用いてテレプレゼンスロボットとの通信接続を確立させることにより使用が開始されるものであり、遠隔操作者側からの操作が起点となっている。しかしながら、テレプレゼンスロボットが配置されている場所にいるユーザ(以下、現地のユーザともいう)の側からも、テレプレゼンスロボットを介して遠隔操作者にコンタクトを取りたい場合がある。それにもかかわらず、現地のユーザは、遠隔操作者からコンタクトを取ってくれるのを待つしかない。このように、現状では、遠隔操作者と現地のユーザとの間のコミュニケーションの開始は、遠隔操作者が一方的に主導するものとなっていた。
【0006】
そこで、本発明は、ロボットの操作者と現地のユーザの双方にとって、より利便性の高いコミュニケーションを可能にすることに関する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るコミュニケーションシステムは、固定されていないロボットと、前記ロボットと通信可能なコンピュータとを備えるコミュニケーションシステムであって、前記ロボットは、カメラと、前記コンピュータによる遠隔操作が可能な駆動部と、当該ロボットに対する指示を入力する第1の入力部と、前記コンピュータとの間で通信接続が確立されていないときに、前記第1の入力部に入力された指示に応じて、前記コンピュータに向けて呼び出し通知を送信する呼び出し部と、を有し、前記コンピュータは、前記ロボットに対する指令を入力する第2の入力部と、前記カメラで撮影された画像を表示すると共に、前記ロボットから前記呼び出し通知を受信した場合に、該通知を受信した旨を表示する表示部と、を有する。
【0008】
この態様によれば、現地のユーザによる第1の入力部への入力に応じてロボットからコンピュータに呼び出し通知を送信することで、ロボットの遠隔操作者に、コンピュータからロボットへの接続を促すことができる。従って、遠隔操作者と現地のユーザの双方にとって利用し易いコミュニケーションシステムを実現することが可能となる。
【0009】
上記態様において、前記コンピュータは、前記呼び出し通知を受信した旨が前記表示部に表示された場合、前記第2の入力部への入力に応じて、前記ロボットとの間で通信接続を確立させる。この態様によれば、コンピュータは、呼び出し通知を送信したロボットと接続することができる。
【0010】
上記態様において、前記ロボットは、当該ロボットと通信可能な少なくとも1つのコンピュータを表す情報を記憶する記憶部をさらに有し、前記呼び出し部は、前記少なくとも1つのコンピュータを表す情報のうち、前記第1の入力部への入力に応じて選択された情報に対応するコンピュータに、前記呼び出し通知を送信してもよい。この態様によれば、予めロボットに情報が記憶されたコンピュータのうちから選択されたコンピュータに呼び出し通知を送信することができる。
【0011】
上記態様において、前記ロボットは、前記第1の入力部への入力に応じてインターネットに接続し、当該ロボットに接続可能なコンピュータに関する情報を検索し、前記呼び出し部は、検索された前記情報のうち前記第1の入力部への入力に応じて選択された情報に対応するコンピュータに、前記呼び出し通知を送信してもよい。この態様によれば、インターネットを介して検索されたコンピュータに呼び出し通知を送信することができる。
【0012】
上記態様において、前記第1の入力部は、音声の入力を受け付ける音声入力部であり、前記ロボットは、前記第1の入力部に入力された音声を認識してテキストに変換する音声認識部をさらに有し、前記呼び出し部は、前記第1の入力部に特定のテキストを含む音声が入力された場合に、前記少なくとも1つのコンピュータのうち予め設定されたコンピュータに前記呼び出し通知を送信してもよい。この態様によれば、ユーザの音声に応じて、予め設定されたコンピュータに呼び出し通知を送信することができる。
【0013】
本発明の他の態様に係るロボットは、移動型又は装着型のロボットであって、コンピュータによる遠隔操作が可能な駆動部と、当該ロボットに対する指示を入力する入力部と、前記コンピュータとの間で通信接続が確立されていないときに、前記入力部への入力に応じて、前記コンピュータに向けて呼び出し通知を送信する呼び出し部と、を有する。
【0014】
この態様によれば、現地のユーザによる入力部への入力に応じてロボットからコンピュータに呼び出し通知を送信することで、ロボットの遠隔操作者に、コンピュータからロボットへの接続を促すことができる。従って、遠隔操作者と現地のユーザの双方にとって利用し易いコミュニケーションシステムを実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、テレプレゼンスロボットの遠隔操作者と現地のユーザの双方にとって利用し易いコミュニケーションシステム及びロボットを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るコミュニケーションシステムの構成を示す図である。
図2】本実施形態に係るコンピュータの物理的構成を示す図である。
図3】本実施形態に係るロボットの物理的構成を示す図である。
図4】本実施形態に係るコンピュータ及びロボットによりそれぞれ実行される処理のフローチャートである。
図5】本実施形態に係るロボットに表示される画面例を示す図である。
図6】本実施形態に係るコンピュータに表示される画面例を示す図である。
図7】本実施形態に係るロボットに表示される画面の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0018】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係るコミュニケーションシステム100の構成を示す図である。コミュニケーションシステム100は、固定されていないロボット20と、ロボット20と通信可能なコンピュータ10とを備える。ここで、ロボット20とコンピュータ10が通信可能とは、無線通信又は有線通信が可能であることを含み、インターネットやLAN(Local Area Network)による通信が可能であったり、近距離無線通信が可能であったりする場合を含む。なお、本実施形態では、1台のロボット20と、1台のコンピュータ10とを例示しているが、これらの台数は任意である。つまり、1台のロボット20が複数のコンピュータ10と通信可能であってもよく、1台のコンピュータ10が複数のロボット20と通信可能であってもよい。
【0019】
遠隔操作者1は、コンピュータ10を操作することにより、コンピュータ10と通信接続されたロボット20を遠隔操作する。これにより、遠隔操作者1は、ロボット20が配置されている場所にいる他のユーザ(以下、現地のユーザともいう)2とロボット20を介して対話したり、ロボット20に所望の動作をさせたりすることができる。
【0020】
ロボット20は、カメラと、当該ロボット20に通信接続されたコンピュータによる遠隔操作が可能な駆動部と、を有する。ロボット20は、例えば汎用又は専用のテレプレゼンスロボットないしアバターロボットで構成され、車輪等の移動部を有していてよい。
【0021】
ロボット20は、通信接続されたコンピュータ10からの指令に基づいて動作する。コンピュータ10のロボット20への接続モードには、ユーザ認証が必要なプライベートモードと、ユーザ認証が不要なパブリックモードとがあってよい。プライベートモードにおけるユーザ認証は、公知の手法で行われてよく、ユーザ認証のための情報は、事前に登録されていてよい。また、パブリックモードでロボット20と接続されたコンピュータ10には、所定の範囲のアクセス権限が付与される。
【0022】
ロボット20が固定されていないとは、ロボット20が車輪等の移動部を有する移動型である場合と、人が装着でき、マニピュレータ等の駆動部を有する装着型である場合とを含む。移動型のロボットは、例えば特許文献1に示されている。移動型ロボットの移動部は、一輪、二輪又は多輪により走行するもの、キャタピラにより走行するもの、レールの上を走行するもの、飛び跳ねて移動するもの、二足歩行、四足歩行又は多足歩行するもの、スクリューにより水上又は水中を航行するもの及びプロペラ等により飛行するものを含む。装着型のロボットは、例えばMHD Yamen Saraiji, Tomoya Sasaki, Reo Matsumura, Kouta Minamizawa and Masahiko Inami, ”Fusion: full body surrogacy for collaborative communication,” Proceeding SIGGRAPH ’18 ACM SIGGRAPH 2018 Emerging Technologies Article No. 7.にて公開されている。さらに、ロボット20は、自動走行又は半自動走行可能な車両や重機であったり、ドローンや飛行機であったりを含む。また、ロボット20は、スポーツスタジアム等に設置され、レールの上を移動可能なカメラを備えたロボットを含む。また、ロボット20は、宇宙空間に打ち上げられる衛星型ロボットであって、姿勢制御やカメラの撮影方向の制御が可能なロボットを含む。
【0023】
コンピュータ10は、ロボット20に対する指令を入力する入力部と、ロボット20のカメラで撮影された画像を表示する表示部と、を有する。コンピュータ10は、例えばスマートフォンで構成されるが、パーソナルコンピュータなどの他のコンピュータ(情報処理装置)で構成されてもよい。
【0024】
図2は、本実施形態に係るコンピュータ10の物理的構成を示す図である。コンピュータ10は、演算部に相当するCPU(Central Processing Unit)10aと、記憶部に相当するRAM(Random Access Memory)10bと、記憶部に相当するROM(Read only Memory)10cと、通信部10dと、入力部10eと、表示部10fと、を有する。これらの各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。なお、本例ではコンピュータ10が一台のコンピュータで構成される場合について説明するが、コンピュータ10は、複数のコンピュータが組み合わされて実現されてもよい。また、図2で示す構成は一例であり、コンピュータ10はこれら以外の構成を有してもよいし、これらの構成のうち一部を有さなくてもよい。
【0025】
CPU10aは、RAM10b又はROM10cに記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う制御部である。CPU10aは、ロボットを介したコミュニケーションを制御するプログラム(コミュニケーションプログラム)を実行する演算部である。CPU10aは、入力部10eや通信部10dから種々のデータを受け取り、データの演算結果を表示部10fに表示したり、RAM10bに格納したりする。
【0026】
RAM10bは、記憶部のうちデータの書き換えが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。RAM10bは、CPU10aが実行するプログラム、ユーザ情報といったデータを記憶してよい。なお、これらは例示であって、RAM10bには、これら以外のデータが記憶されていてもよいし、これらの一部が記憶されていなくてもよい。
【0027】
ROM10cは、記憶部のうちデータの読み出しが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。ROM10cは、例えばコミュニケーションプログラムや、書き換えが行われないデータを記憶してよい。
【0028】
通信部10dは、コンピュータ10を他の機器に接続するインターフェースである。通信部10dは、インターネット等の通信ネットワークに接続されてよい。
【0029】
入力部10eは、ユーザからの指示や情報の入力を受け付けるものであり、例えば、キーボード及びタッチパネルを含んでよい。また、入力部10eは、音声入力のためのマイクを含んでよい。
【0030】
表示部10fは、CPU10aによる演算結果を視覚的に表示するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されてよい。表示部10fは、ロボット20のカメラ20hで撮影された画像を表示してよい。また、表示部10fは、当該コンピュータ10が受信したメール、ショートメッセージ(SMS)、テキストメッセージ等を表示してよい。
【0031】
この他、コンピュータ10は、当該コンピュータ10がメールやメッセージを受信した際に通知音を発生したり、受信したメールやメッセージを読み上げたりする音声出力部を有してよい。
【0032】
コミュニケーションプログラムは、RAM10bやROM10c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信部10dにより接続される通信ネットワークを介して提供されてもよい。コンピュータ10では、CPU10aがコミュニケーションプログラムを実行することにより、ロボット20を制御するための様々な動作が実現される。なお、これらの物理的な構成は例示であって、必ずしも独立した構成でなくてもよい。例えば、コンピュータ10は、CPU10aとRAM10bやROM10cが一体化したLSI(Large-Scale Integration)を備えていてもよい。
【0033】
図3は、本実施形態に係るロボット20の物理的構成を示す図である。ロボット20は、演算部に相当するCPU20aと、記憶部に相当するRAM20bと、記憶部に相当するROM20cと、通信部20dと、入力部20eと、表示部20fと、駆動部20gと、カメラ20hとを有する。これらの各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。なお、図3で示す構成は一例であり、ロボット20はこれら以外の構成を有してもよいし、これらの構成のうち一部を有さなくてもよい。
【0034】
CPU20aは、RAM20b又はROM20cに記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う制御部である。CPU20aは、ロボットを介したコミュニケーションを制御するプログラム(コミュニケーションプログラム)を実行する演算部である。CPU20aは、入力部20eや通信部20dから種々のデータを受け取り、データの演算結果を表示部20fに表示したり、RAM20bに格納したりする。また、CPU20aは、駆動部20gを制御し、ロボット20の動作を制御する。
【0035】
また、CPU20aは、当該ロボット20とコンピュータ10との間で通信接続が確立されていないときに、入力部20eへの入力に応じて、コンピュータ10に向けて呼び出し通知を送信する呼び出し部としての機能も有する。
【0036】
RAM20bは、記憶部のうちデータの書き換えが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。RAM20bは、CPU20aが実行するプログラムを記憶してよい。なお、これらは例示であって、RAM20bには、これら以外のデータが記憶されていてもよいし、これらの一部が記憶されていなくてもよい。
【0037】
ROM20cは、記憶部のうちデータの読み出しが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。ROM20cは、例えばコミュニケーションプログラムや、書き換えが行われないデータを記憶してよい。
【0038】
通信部20dは、ロボット20を他の機器に接続するインターフェースである。通信部20dは、インターネット等の通信ネットワークに接続されてよい。
【0039】
入力部20eは、ユーザからの指示や情報の入力を受け付けるものであり、例えば、タッチパネルを含んでよい。また、入力部20eは、音声入力のためのマイクを含んでよい。
【0040】
表示部20fは、CPU20aによる演算結果を視覚的に表示するものであり、例えば、LCDにより構成されてよい。コンピュータ10がカメラを備える場合、表示部20fは、コンピュータ10のカメラで撮影された画像を表示してもよい。
【0041】
駆動部20gは、遠隔操作可能なアクチュエータを含み、車輪等の移動部やマニピュレータ等を含む。ロボット20が移動型のロボットである場合、駆動部20gは、少なくとも車輪等の移動部を含むが、マニピュレータを含んでもよい。ロボット20が装着型である場合、駆動部20gは、少なくともマニピュレータを含む。
【0042】
カメラ20hは、静止画又は動画を撮像する撮像素子を含み、撮像した静止画又は動画を、通信部20dを介してコンピュータ10に送信する。
【0043】
コミュニケーションプログラムは、RAM20bやROM20c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信部20dにより接続される通信ネットワークを介して提供されてもよい。ロボット20では、CPU20aがコミュニケーションプログラムを実行することにより、ロボット20を制御するための様々な動作が実現される。なお、これらの物理的な構成は例示であって、必ずしも独立した構成でなくてもよい。例えば、ロボット20は、CPU20aとRAM20bやROM20cが一体化したLSIを備えていてもよい。
【0044】
図4は、本実施形態に係るコンピュータ10及びロボット20によりそれぞれ実行される処理のフローチャートである。図5は、本実施形態に係るロボット20に表示される画面例を示す図である。図6は、本実施形態に係るコンピュータ10に表示される画面例を示す図である。
【0045】
ロボット20は、コンピュータ10との通信接続が確立されていない間、コンピュータ10からの接続を待機する(S20)。
【0046】
ロボット20は、入力部20eへの入力操作を検知すると(S21:Yes)、予め登録された操作者名を表示部20fに表示する(S22)。ここで、予め登録された操作者名とは、当該ロボット20に認証情報が予め記憶された情報であり、当該ロボット20と通信(例えば、音声通話及びビデオ通話などの通話のための通信)が可能であるコンピュータを表す情報(例えばコンピュータの使用者や所有者等)である。ロボット20は、このような情報を、例えばアドレス帳のような形式で保持していてもよい。
【0047】
例えば、ロボット20は、入力部20eへのタップ操作に応じて、図5の(a)に例示するメニュー画面を表示する。そして、ロボット20は、メニュー画面のコールボタン201に対するタップ操作を検知すると、図5の(b)に例示する選択画面を表示する。選択画面には、予め登録された操作者名が表示されたアイコン202~205が表示されている。
【0048】
続いて、ロボット20は、任意の操作者が選択されたことを検知すると(S23:Yes)、選択された操作者のコンピュータ10に対し、呼び出し通知を送信する(S24)。ロボット20は、例えば、図5の(b)に示すアイコン202~205のうち、「Aさん」と表示されたアイコン202に対するタップ操作を検知すると、Aさんのコンピュータにメールやメッセージによる呼び出し通知を送信する。
【0049】
コンピュータ10は、ロボット20から呼び出し通知を受信すると(S11:Yes)、受信した呼び出し通知を表示部10fに表示する(S12)。図6に例示する通知画面には、ロボット20から呼ばれている旨を示すテキストメッセージ101が表示されている。或いは、コンピュータ10は、呼び出し通知を受信した旨を示す着信音を発生してもよいし、テキストメッセージ101を音声読み上げしてもよい。また、コンピュータ10は、呼び出し元のロボット20に接続するためのリンクを含む接続ボタン102や、接続を拒否するキャンセルボタン103を通知画面に表示してもよい。
【0050】
コンピュータ10は、入力部10eにおいてロボット20との接続の指示を検知すると(S13:Yes)、ロボット20への接続処理を実行する(S14)。例えば、コンピュータ10は、図6に示す接続ボタン102に対するタップ操作を検知すると、接続処理(例えば、ロボット20との間の通話のための通信接続)を行う。接続処理には、ログイン認証処理等が含まれてもよい。なお、コンピュータ10は、呼び出し通知を受信しない場合であっても(S11:No)、入力部10eにおいて接続の指示を検知することにより、随時ロボット20と接続することができる。
【0051】
ロボット20は、コンピュータ10から接続要求を受けると(S25:Yes)、必要に応じて認証処理等を実行し、コンピュータ10と接続する(S26)。コンピュータ10と接続されている間、ロボット20は、コンピュータ10からの指令に基づいて動作する。ロボット20の表示部20fは、コンピュータ10との通話による通信接続の間、コンピュータ10のカメラで撮影された画像を表示してもよい。
【0052】
コンピュータ10は、入力部10eにおいてロボット20との切断の指示を検知すると(S15:Yes)、ロボット20との接続を切断する(S16)。その後、処理は終了する。ロボット20は、コンピュータ10からの接続が切断されると(S27:Yes)、処理を終了する。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、ロボット20が配置されている場所にいる現地のユーザ2は、遠隔操作者1がコンピュータ10をロボット20に接続してくれるのを待つだけでなく、ロボット20を操作してコンピュータ10に呼び出し通知を送信することにより、遠隔操作者1にロボット20への接続を促すことができる。従って、遠隔操作者1と現地のユーザ2の双方にとって利用し易いコミュニケーションシステムを実現することが可能となる。
【0054】
(変形例1)
図7は、上記実施形態の変形例に係るロボット20に表示される画面例を示す図である。上記実施形態においては、ロボット20が入力部20eへの入力操作を検知した際に(S21:Yes)、予め登録された操作者名を表示部20fに表示することとしたが、認証を要することなく接続可能なコンピュータ10に関する情報を、インターネットを通じてロボット20側で検索できることとしてもよい。
【0055】
例えば、ロボット20は、入力部20eへのタップ操作に応じて、図7の(a)に例示するメニュー画面を表示する。そして、ロボット20は、メニュー画面において例えば「MARKET PLACE」と表示された選択ボタン211に対するタップ操作を検知すると、インターネットに接続して検索を行い、図7の(b)に例示するサービス選択画面を表示する。サービス選択画面には、ロボット20を介した提供が可能なサービスを示すアイコン212~215が表示されている。ロボット20を介した提供が可能なサービスとしては、例えば、医療相談サービスや英会話レッスンなどが挙げられる。或いは、掃除など特定の作業を伴うサービスであってもよい。
【0056】
ロボット20は、サービス選択画面において例えば「サービスY」と表示されたアイコン213に対するタップ操作を検知すると、図7の(c)に例示するプロバイダ選択画面を表示する。プロバイダ選択画面には、サービスYの提供業者を示すアイコン216~219が表示されている。そして、ロボット20は、プロバイダ選択画面において例えば「F社」と表示されたアイコン217に対するタップ操作を検知すると、図7の(d)に例示する確定画面を表示する。確定画面には、F社やF社が提供するサービスに関する詳細情報が示されている。
【0057】
さらに、ロボット20は、確定画面においてリクエストボタン220に対するタップ操作を検知すると、F社のコンピュータ10に向けて呼び出し通知を送信する。F社のコンピュータ10は、ロボット20からの呼び出し通知を受信すると、ロボット20に接続する処理を実行する。なお、呼び出し通知を受信したコンピュータ10が、ロボット20に接続する権限を有していない場合、所定の範囲の権限が当該コンピュータ10に自動的に付与されるようにしてもよい。
【0058】
(変形例2)
上記実施形態においては、ロボット20の表示部20fに表示された画面に対する操作に応じて、通信可能なコンピュータの中から選択されたコンピュータに呼び出し通知を送信することとしたが、ロボット20に対する音声入力に応じて呼び出し通知を送信することとしてもよい。この場合、CPU20aは、音声入力のためのマイクから入力された音声を認識してテキストに変換する音声認識部としての機能も有する。
【0059】
例えば、ロボット20は、「助けて」といった特定の音声を認識すると、緊急用として予め設定されたコンピュータ10に呼び出し通知を送信する。緊急用のコンピュータとしては、現地のユーザ2の家族が使用するコンピュータや、かかりつけ医のコンピュータ等が挙げられる。
【0060】
(変形例3)
上記の実施形態において、コンピュータ10は、呼び出し通知を受信した旨がコンピュータ10の表示部10fに表示された場合、入力部10eへの入力に応じて、ロボット20との通話のための通信の接続処理を実行した。変形例として、コンピュータ10は、呼び出し通知を受信した旨がコンピュータ10の表示部10fに表示された後、入力部10eへの入力に応じて、呼び出し通知に対する応答通知をロボット20に送信してもよい。ロボット20は、コンピュータ10から受信した応答通知に応じたメッセージを(ロボット20の前にいる)ユーザに提示することができる。応答通知に応じたメッセージは、例えば、ロボット20のスピーカから出力される音声メッセージ、又はロボット20の表示部に表示されるテキスト若しくは画像のメッセージを含む。当該メッセージは、「もう少し待って」、「今接続するよ」などを含む。コンピュータ10は、応答通知の送信の後、入力部10eへの入力に応じて、ロボット20との通話のための通信の接続処理を実行してもよい。
【0061】
以上説明した実施形態及び変形例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態及び変形例が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態及び変形例で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1…遠隔操作者、2…現地のユーザ、10…コンピュータ、20…ロボット、10a,20a…CPU、10b,20b…RAM、10c,20c…ROM、10d,20d…通信部、10e,20e…入力部、10f,20f…表示部、20g…駆動部、20b…RAM、20h…カメラ、100…コミュニケーションシステム、101…テキストメッセージ、102…接続ボタン、103…キャンセルボタン、201…コールボタン、202~205,212~219…アイコン、211…選択ボタン、220…リクエストボタン
図1
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図7