(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046056
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】眼科手術システム、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61F 9/008 20060101AFI20220315BHJP
A61B 34/00 20160101ALI20220315BHJP
【FI】
A61F9/008 130
A61B34/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151902
(22)【出願日】2020-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】大月 知之
(57)【要約】
【課題】手術室内のスペースの効率的な活用および/またはコスト削減を可能とする眼科手術システム、制御方法、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る眼科手術システムは、1又は複数の第1のモジュールと、第2のモジュールとを具備する。前記第1のモジュールは、患者眼の施術に用いられる機能を有する。前記第2のモジュールは、前記第1のモジュールが接続され、前記第1のモジュールに関する構成情報を取得して前記構成情報に応じた制御信号を出力する。これにより、手術室内のスペースの効率的な活用やコスト削減が可能となる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者眼の施術に用いられる機能を有する1又は複数の第1のモジュールと、
前記第1のモジュールが接続され、前記第1のモジュールに関する構成情報を取得して前記構成情報に応じた制御信号を出力する第2のモジュールと
を具備する眼科手術システム。
【請求項2】
請求項1に記載の眼科手術システムであって、
前記第2のモジュールは、前記構成情報に応じて、前記第1のモジュールから供給される前記施術に関する情報を制御する
眼科手術システム。
【請求項3】
請求項2に記載の眼科手術システムであって、
前記施術に関する情報は、前記患者眼の撮像画像であり、
前記第2のモジュールは、前記撮像画像に画像処理を実行する画像処理部を有し、
前記画像処理部は、前記構成情報に応じて、前記画像処理を変更する
眼科手術システム。
【請求項4】
請求項1に記載の眼科手術システムであって、
前記第1のモジュールは、観察装置、又はレーザ装置の少なくとも一方を含む
眼科手術システム。
【請求項5】
請求項4に記載の眼科手術システムであって、
前記第2のモジュールは、前記観察装置又は前記レーザ装置のどちらかが接続される場合に、前記構成情報に応じて、前記観察装置及び前記レーザ装置の有する観察光学系を制御する制御信号を出力する
眼科手術システム。
【請求項6】
請求項5に記載の眼科手術システムであって、
前記観察光学系は、リファレンスミラー又はスキャンミラーの少なくとも一方を含み、
前記制御信号は、前記リファレンスミラーの光源からの距離を変化させる信号、又は前記スキャンミラーの振り角を変化させる信号の少なくとも一方を含む
眼科手術システム。
【請求項7】
請求項4に記載の眼科手術システムであって、
前記第2のモジュールは、前記撮像画像に画像処理を実行する画像処理部を有し、
前記画像処理部は、前記観察装置又は前記レーザ装置のどちらかが接続される場合に、前記構成情報に応じて、前記患者眼の撮像画像を単眼表示用処理又は複眼表示用処理に変更する画像処理、又は前記撮像画像の色処理を変更する画像処理の少なくとも一方を実行する
眼科手術システム。
【請求項8】
請求項4に記載の眼科手術システムであって、
前記第1のモジュールは、前記観察装置であり、
前記第2のモジュールは、前記観察装置の位置又は前記観察装置の撮像条件の少なくとも一方を制御する制御信号を出力する
眼科手術システム。
【請求項9】
請求項4に記載の眼科手術システムであって、
前記第1のモジュールは、前記レーザ装置であり、
前記第2のモジュールは、少なくとも前記患者眼に照射されるレーザ光の位置を制御する制御信号を出力する
眼科手術システム。
【請求項10】
請求項4に記載の眼科手術システムであって、
前記観察装置は、光学コヒーレンストモグラフィ(OCT:Optical Coherence Tomography)光学系を有する
眼科手術システム。
【請求項11】
請求項4に記載の眼科手術システムであって、
前記レーザ装置は、光学コヒーレンストモグラフィ(OCT:Optical Coherence Tomography)光学系を有する
眼科手術システム。
【請求項12】
請求項4に記載の眼科手術システムであって、
前記レーザ装置は、フェムト秒レーザを出射可能である
眼科手術システム。
【請求項13】
請求項1に記載の眼科手術システムであって、
前記制御信号は、前記患者眼に対して行われる前記施術に関する行動情報を含む
眼科手術システム。
【請求項14】
請求項1に記載の眼科手術システムであって、さらに、
前記第1のモジュールを駆動させる駆動機構を具備する
眼科手術システム。
【請求項15】
請求項14に記載の眼科手術システムであって、
前記第2のモジュールは、前記制御信号を前記駆動機構に出力する
眼科手術システム。
【請求項16】
請求項14に記載の眼科手術システムであって、
前記駆動機構は、前記施術に用いられる術具を保持し、
前記第2のモジュールは、前記患者眼の撮像画像に基づいて、前記術具と前記患者眼との距離を検出する検出部を有する
眼科手術システム。
【請求項17】
請求項14に記載の眼科手術システムであって、
前記第2のモジュールは、前記施術の手順に応じて、前記駆動機構を制御する制御信号を出力する
眼科手術システム。
【請求項18】
患者眼の施術に用いられる機能を有する1又は複数の第1のモジュールに関する構成情報を取得し、
前記構成情報に応じた制御信号を出力する
ことをコンピュータシステムが実行する制御方法。
【請求項19】
患者眼の施術に用いられる機能を有する1又は複数の第1のモジュールに関する構成情報を取得するステップと、
前記構成要素に応じた制御信号を出力するステップと
をコンピュータシステムに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、眼科手術等に適用可能な眼科手術システム、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
白内障手術等の眼科に関する手術において、手術用顕微鏡装置や超音波手術装置が用いられており、それぞれについて、術者にとっての利便性向上や手術の効率を上げる工夫が提案されている(特許文献1および2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2018/055888号公報
【特許文献2】特開2005-013425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、手術に用いる医療機器を複数用意すると、各機器が手術室内のスペースを占有することになる。また、病院経営の観点では各機器を購入するコストが必要となる。ゆえに、手術室内のスペースの効率的な活用やコスト削減に繋がるような技術が求められている。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、手術室内のスペースの効率的な活用および/またはコスト削減を可能とする眼科手術システム、制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る眼科手術システムは、1又は複数の第1のモジュールと、第2のモジュールとを具備する。
前記第1のモジュールは、患者眼の施術に用いられる機能を有する。
前記第2のモジュールは、前記第1のモジュールが接続され、前記第1のモジュールに関する構成情報を取得して前記構成情報に応じた制御信号を出力する。
【0007】
この眼科手術システムでは、患者眼の施術に用いられる機能を有する1または複数の第1のモジュールと、第1のモジュールが接続され、第1のモジュールに関する構成情報を取得して当該構成情報に応じた制御信号を出力する第2のモジュールとが具備される。これにより、手術室内のスペースの効率的な活用やコスト削減が可能となる。
【0008】
本技術の一形態に係る制御方法は、コンピュータシステムが実行する制御方法であって、患者眼の施術に用いられる機能を有する1又は複数の第1のモジュールに関する構成情報を取得することを含む。
前記構成情報に応じた制御信号を出力される。
【0009】
本技術の一形態に係るプログラムは、コンピュータシステムに以下のステップを実行させる。
患者眼の施術に用いられる機能を有する1又は複数の第1のモジュールに関する構成情報を取得するステップ。
前記構成要素に応じた制御信号を出力するステップ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】眼科手術システムの構成例を模式的に示す図である。
【
図3】眼科手術システムの構成例を示すブロック図である。
【
図5】眼科手術システムの他の構成例を示すブロック図である。
【
図7】眼科手術システムの他の構成例を示すブロック図である。
【
図9】眼科手術システムの他の構成例を示すブロック図である。
【
図10】眼科手術システムの構成例を模式的に示す図である。
【
図11】制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0012】
[眼科手術システムの構成]
図1は、本技術に係る眼科手術システムの構成例を模式的に示す図である。
【0013】
眼科手術システム100は、眼科手術に用いられる医療機器を制御するシステムである。
図1に示すように、眼科手術システム100は、フロントエンドモジュール1と、バックエンドモジュール2とを有する。
図1では、眼科手術システム100は、フロントエンドモジュール1及びバックエンドモジュール2は、有線又は無線を介して、通信可能に接続されている。各デバイス間の接続形態は限定されず、例えばWiFi等の無線LAN通信や、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を利用することが可能である。
【0014】
フロントエンドモジュール1は、患者眼の施術に用いられる機能を有する1又は複数のモジュールである。例えば、本実施形態では、フロントエンドモジュール1は、医療機器A、医療機器B、又は医療機器C等のモジュールが該当する。
【0015】
バックエンドモジュール2は、フロントエンドモジュール1が接続され、フロントエンドモジュール1に関する構成情報を取得して、該構成情報に応じた制御信号を出力する。例えば、本実施形態では、バックエンドモジュール2は、制御装置10が該当する。
また本実施形態では、バックエンドモジュール2は、複数のエンジンを有し、接続されるフロントエンドモジュール1に対応するエンジンが用いられる。例えば、フロントエンドモジュール1がOCT(Optical Coherence Tomography)を有する場合、バックエンドモジュール2内のOCTエンジンが用いられる。また例えば、フロントエンドモジュール1がレーザ鏡筒を有する場合は、レーザエンジンが用いられる。また例えば、フロントエンドモジュール1がマニピュレータモジュールを有する場合、マニピュレータ制御エンジンが用いられる。
【0016】
また眼科手術システム100では、バックエンドモジュール2に対してフロントエンドモジュール1のいくつかのモジュールから必要に応じて接続され、その接続によって構成情報が取得されフロントエンドモジュール1が制御される。例えば、患者眼の施術の内容に応じて、必要なモジュールがバックエンドモジュール2に対して接続される。
【0017】
また眼科手術システム100では、接続されるフロントエンドモジュール1によって、バックエンドモジュール2の制御が変わる。例えば、バックエンドモジュール2は、後述する顕微鏡装置20及び後述するレーザ装置30に共通する機能であるOCTの制御を、顕微鏡装置20又はレーザ装置30の構成情報に応じて異なる制御信号を出力する。
具体的には、顕微鏡装置20の場合、患者眼と鏡筒の距離は20cm程度離れており、レーザ装置30では患者眼と鏡筒がドッキングされている。すなわち、顕微鏡装置20が接続される場合では、OCT光源から患者眼までの距離が遠くなるためにOCT光源からリファレンスミラーまでの距離を相対的に大きくし、患者眼とスキャンミラーとの距離が遠いため、OCTスキャンの角度が相対的に小さくなる。これは他のOCTを有するモジュールでも同様であり、OCTの作動距離に応じてリファレンスミラーの位置やスキャンミラーを傾ける範囲が変わることから、バックエンドモジュール2は、接続されたモジュールに応じて制御信号を出力することになる。
【0018】
ここで眼科手術システム100の基本的な動作例を示す。
バックエンドモジュール2は、フロントエンドモジュール1として医療機器の構成情報を取得する。
バックエンドモジュール2は、取得された構成情報に基づいて、フロントエンドモジュール1の構成要素を判定する。
バックエンドモジュール2は、判定された構成要素に応じた制御信号を出力する。
フロントエンドモジュール1は、出力された制御信号に基づいて、有する機能を制御する。
【0019】
すなわち、眼科手術システム100は、複数のモジュールから構成される一体のシステムであり、バックエンドモジュール2に接続される医療機器をモジュール化して各医療機器で共通する機能を集約し、制御を行うことが可能である。
これにより、患者眼の施術に用いられるフロントエンドモジュール1の全てを揃える必要が無く、必要なモジュールだけを揃えて使用することが可能となる。すなわち、眼科手術システム100は、バックエンドモジュール2を流用することが可能であり、必要に応じてフロントエンドモジュール1を交換することが可能である。
またバックエンドモジュール2も、フロントエンドモジュール1に対応したエンジンを有する装置を後から追加する、又はソフトウェアを更新する等の機能更新が可能となる。
【0020】
例えば、医療機器は、患者眼を撮影及び観察可能な観察装置(顕微鏡等)、患者眼にレーザを照射するレーザ装置等が含まれる。また例えば、医療機器は、多関節アームや関節にアクチュエータを有するロボットアーム、術具等の位置や向き等を制御可能なマニピュレータ等も含まれる。なお、施術は、手術及び観察を含む。
本実施形態では、制御装置10に後述する顕微鏡装置20(
図2参照)、レーザ装置30(
図4参照)、手術装置50(
図6参照)、及び手術装置70(
図8参照)が医療機器として接続される。例えば、各フロントエンドモジュール1(医療機器)がバックエンドモジュール2である制御装置10に接続するための共通のインタフェースを有してもよい。すなわち、ベースとなるバックエンドモジュール2に対して各フロントエンドモジュール1が着脱されることで、眼科手術システム100が様々な用途に用いられる。
【0021】
制御装置10は、医療機器に関する構成情報を取得して、該構成情報に応じた制御信号を出力する。
構成情報とは、医療機器の構成要素を示す情報である。例えば、顕微鏡装置20の構成要素は、患者眼を観察するための顕微鏡部等が挙げられる。また例えば、レーザ装置30の構成要素は、患者眼にレーザを射出する出射部等が挙げられる。
また構成情報は、医療機器の有する構成要素により実施可能な機能を含む。例えば、顕微鏡部の最大拡大倍率、出射部の出射可能な範囲等が挙げられる。
もちろん構成情報はこれに限定されず、用いられる医療機器の種類や用途に応じて様々な情報が含まれてもよい。例えば、顕微鏡により撮像される画像の画素数等の機器のスペックが含まれてもよい。また、例えば、構成情報は構成要素を特定できるような、医療機器の識別情報であってもよい。
【0022】
すなわち、制御装置10は、医療機器の構成要素に応じた制御信号を出力することで、医療機器に搭載された機能を適切に制御することが可能である。
例えば、制御装置10は、後述する顕微鏡装置20に観察像(患者眼)の拡大倍率及び焦点距離(フォーカス)を変更する旨の制御信号を出力できる。該制御信号に従って、撮像部の駆動機構がズームレンズ及びフォーカスレンズを適宜移動させることにより、拡大倍率及びフォーカスが調整される。
また例えば、制御装置10は、後述するレーザ装置30に、レーザの射出タイミング、射出位置等を変更する旨の制御信号を出力できる。該制御信号に従って、レーザ装置30の駆動機構により出射部の位置又は出射方向が調節される。
【0023】
図2は、眼科手術システム100の例を示す模式図である。
図2では、顕微鏡装置20がフロントエンドモジュール1として機能する。また本実施形態では、顕微鏡装置20のベース部23に制御装置10が搭載される。例えば、制御装置10は、構成情報から顕微鏡装置20がOCTを有することを検出し、OCTエンジンを制御する。
【0024】
図2に示すように、顕微鏡装置20は、観察対象を拡大観察するための顕微鏡部21と、顕微鏡部21を先端で支持するアーム部22と、アーム部22の基端27を支持するベース部23とを有する。
【0025】
顕微鏡部21は、略円筒形状の筒状部24、該筒状部24の内部に設けられる撮像部(図示せず)、及びOCT部(図示せず)から構成される。顕微鏡部21は、撮像部によって電子的に撮像画像を撮像する、電子撮像式の顕微鏡部(ビデオ式の顕微鏡部)である。
【0026】
筒状部24の下端の開口面には、内部の撮像部を保護するカバーガラスが設けられる。観察対象からの光(観察光)は、該カバーガラスを通過して、筒状部24の内部の撮像部に入射する。なお、筒状部24の内部には例えばLED(Light Emitting Diode)等からなる光源が設けられてもよく、撮像時には、カバーガラスを介して、光源から患者眼に対して光が照射されてもよい。
【0027】
撮像部は、観察光を集光する光学系、及び該光学系が集光した観察光を受光する撮像素子から構成される。該光学系は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成され、その光学特性は、観察光を撮像素子の受光面上に結像するように調整されている。該撮像素子は、観察光を受光して光電変換することにより、観察光に対応した信号、すなわち観察像に対応した画像信号を生成する。該撮像素子としては、例えばBayer配列を有するカラー撮像可能なものが用いられる。該撮像素子は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ又はCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等、各種の公知の撮像素子であってよい。
【0028】
また撮像部は、その光学系のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って移動させる駆動機構を有する。該駆動機構によってズームレンズ及びフォーカスレンズが適宜移動されることにより、撮像画像の拡大倍率及び撮像時の焦点距離が調整され得る。また、撮像部には、AE(Auto Exposure)機能やAF(Auto Focus)機能等、一般的に電子撮像式の顕微鏡部に備えられ得る各種の機能が搭載されてもよい。
【0029】
OCT部は、患者眼の眼底等にOCTスキャンを適用してOCTデータを取得する。例えば、OCT部は、ガルバノミラー等によりレーザ光を操作して、患者眼の画像を取得する。またOCT部は、同じ患者眼を撮像する際、リファレンスミラー及びスキャンミラーの傾き及び位置を変更し、患者眼の任意の箇所を撮像する。
OCTデータは、干渉信号データでもよいし、干渉信号データにフーリエ変換を適用して得られた反射強度プロファイルデータでもよいし、反射強度プロファイルデータを画像化して得られた画像データでもよい。以下、OCTを用いて取得された画像をOCT画像と表記する場合がある。
OCT部は、例えば、ビームスプリッタ、センサ、リファレンスミラー、スキャンミラー、光源や各種レンズ等の任意の構成により実現される。本実施形態では、制御装置10によりリファレンスミラー又はスキャンミラーの位置及び傾きが制御される。例えば、制御装置10は、リファレンスミラーを所定の軸方向(例えばZ軸方向)に沿って位置が変わるように制御する。また例えば、制御装置10は、スキャンミラーをX軸又はY軸に傾けるように制御する。
なお、OCT部の構成は限定されない。例えば、撮像部に入射される観察光がハーフミラー等を介してOCT部に入射されてもよい。
【0030】
アーム部22は、複数の関節部25によって、互いに回動可能に連結される。例えば、
図2に示すように、各々の関節部25により、所定の方向へ延伸や、各軸26を中心に所定の範囲の回動が行われる。
また各関節部25には、モータ等の駆動機構、及び各関節部における回転角度を検出するエンコーダ等が搭載された各アクチュータが設けられる。各アクチュータの駆動が、制御装置によって適宜制御され、各アーム部の姿勢、すなわち、撮像部(鏡筒)の位置及び姿勢が制御される。またアーム部22とベース部23とを接続する基端27は、軸26を中心に回動することが可能である。
例えば、ユーザ(例えば医者)は、手を用いてアーム部22を様々な方向へ延伸又は回動させることで、顕微鏡部21を任意の位置に制御することが可能である。
なお、アーム部を構成する関節部の構造や数、配置、位置、回転軸の方向等は、所望の自由度が実現されるように適宜設計されてよい。また各関節部に回転を拘束するブレーキ等が設けられてもよい。
【0031】
図3は、眼科手術システム100の構成例を示すブロック図である。
図3では、
図2に示す顕微鏡装置20と制御装置10とが接続された場合の眼科手術システム100の例である。すなわち
図3の例は、フロントエンドモジュール1としてモジュール化された顕微鏡装置20が、バックエンドモジュール2である制御装置10に接続され、一体のシステムとして機能する眼科手術システム100の一実施形態である。また制御装置10は、顕微鏡装置20の有する撮像部及びOCT部を制御するためのエンジンとして出力部14を有する。
【0032】
制御装置10は、情報取得部11、判定部12、画像処理部13、及び出力部14を有する。
制御装置10は、例えばCPUやGPU、DSP等のプロセッサ、ROMやRAM等のメモリ、HDD等の記憶デバイス等、コンピュータの構成に必要なハードウェアを有する(
図11参照)。例えばCPUがROM等に予め記録されている本技術に係るプログラムをRAMにロードして実行することにより、本技術に係る制御方法が実行される。
例えばPC等の任意のコンピュータにより、制御装置10を実現することが可能である。もちろんFPGA、ASIC等のハードウェアが用いられてもよい。
本実施形態では、CPUが所定のプログラムを実行することで、機能ブロックとしての出力部が構成される。もちろん機能ブロックを実現するために、IC(集積回路)等の専用のハードウェアが用いられてもよい。
プログラムは、例えば種々の記録媒体を介して制御装置10にインストールされる。あるいは、インターネット等を介してプログラムのインストールが実行されてもよい。
プログラムが記録される記録媒体の種類等は限定されず、コンピュータが読み取り可能な任意の記録媒体が用いられてよい。例えば、コンピュータが読み取り可能な非一過性の任意の記憶媒体が用いられてよい。
【0033】
情報取得部11は、フロントエンドモジュール1に関する種々の情報を取得する。本実施形態では、情報取得部11は、患者眼の施術に用いられる医療機器に関する構成情報を取得する。例えば、情報取得部11は、顕微鏡装置20に紐づけられたIDを取得する。この場合、情報取得部11は、各種の医療機器に紐づけられたIDと該医療機器の構成情報とを保持するデータベース内から、取得したIDに対応する構成情報を取得する。
また情報取得部11は、患者眼の撮像画像を取得する。例えば、顕微鏡装置20により撮像された患者眼の撮像画像が取得される。また例えば、OCT部により撮像されたOCT画像が取得される。
また本実施形態では、取得された構成情報が判定部12に供給される。また取得された患者眼の撮像画像及びOCT画像が画像処理部13及び出力部14に供給される。
【0034】
判定部12は、バックエンドモジュール2に接続されたフロントエンドモジュール1の構成要素を判定する。本実施形態では、判定部12は、情報取得部11により取得された、医療機器の構成情報に基づいて、医療機器の構成要素を判定する。例えば、顕微鏡装置20の有する顕微鏡部21及びアーム部22等の構成要素、顕微鏡装置20の撮像部の画角、拡大倍率等の撮像条件や、関節部25の回動範囲等のスペックが判定される。
また本実施形態では、判定部12により判定された判定結果は、画像処理部13及び出力部14に供給される。
なお、構成要素を判定する方法は限定されない。例えば、情報取得部11によりフロントエンドモジュール1を識別するためのIDが取得され、判定部12により該IDに対応した医療機器の構成要素が判定されてもよい。
【0035】
画像処理部13は、患者眼の撮影画像及びOCT画像に対して画像処理を実行する。なお本実施形態では、画像処理部13は、顕微鏡装置20と後述するレーザ装置30とで異なる画像処理を実行する。理由としては、例えば、顕微鏡装置20の患者眼の撮影画像(正面画像)はステレオ視であり、レーザ装置30の正面画像は単眼である。また顕微鏡装置20とレーザ装置30との光源の色温度が異なることが挙げられる。これ以外にも、照明用の光源の差や、患者眼にドッキングした際の撮像(レーザ装置30の撮像条件)と空気を通した撮像(顕微鏡装置20の撮像条件)との差に考慮する必要がある。
すなわち、画像処理部13は、接続されるフロントエンドモジュール1に応じて、患者眼の撮影画像の画像処理の方法を変更する。なお、画像処理の方法や種類は限定されない。また画像処理部13が、顕微鏡装置20及びレーザ装置30を含む外部の装置に搭載され、出力部14から上記の画像処理を実行させる旨の制御信号が出力されてもよい。
【0036】
出力部14は、フロントエンドモジュール1の構成要素に適した制御信号を出力する。本実施形態では、出力部14は、顕微鏡装置20の撮像制御部28及びOCT制御部29に制御信号を出力する。
顕微鏡装置20が接続される場合、出力部14は、撮像制御部28及びOCT制御部29に患者眼を撮影する旨の制御信号を出力する。例えば、ユーザがボタンを押す等の撮影を行う旨の操作を行った場合、出力部14により撮影を行う旨の制御信号が出力される。
また例えば、出力部14は、患者眼の施術の内容に応じた制御信号を出力する。この場合、出力部14は、施術に用いられる顕微鏡装置20の撮像する位置等が設定された制御パターンに従い、制御信号を出力してもよい。
また例えば、出力部14は、情報取得部11により取得された撮影画像に基づいて、制御信号を出力する。この場合、撮影画像から現在の施術の状況を把握し、病変部等を中心に撮影画像又はOCT画像を撮影する旨の制御信号を出力してもよい。
これ以外にも、様々なフロントエンドモジュール1の構成要素に応じた制御信号が出力されてもよい。
【0037】
顕微鏡装置20は、撮像制御部28及びOCT制御部29を有する。
撮像制御部28は、顕微鏡部21を制御する。例えば、撮像制御部28は、拡大倍率及び焦点距離を制御することが可能である。本実施形態では、撮像制御部28は、制御装置10の出力部14から出力される制御信号に従い、患者眼の撮像を実行する。
OCT制御部29は、OCT部を制御する。本実施形態では、制御装置10によりリファレンスミラー又はスキャンミラーの位置及び傾きを制御する旨の制御信号が出力される。例えば、リファレンスミラーはZ軸方向に沿って位置が変わるように制御される。また例えば、スキャンミラーがX軸又はY軸に傾けられるように制御される。
【0038】
なお、本実施形態において、フロントエンドモジュール1は、患者眼の施術に用いられる機能を有する1又は複数の第1のモジュールに相当する。
なお、本実施形態において、バックエンドモジュール2は、第1のモジュールが接続され、第1のモジュールに関する構成情報を取得して構成情報に応じた制御信号を出力する第2のモジュールに相当する。
なお、本実施形態において、顕微鏡装置20及び手術装置50は、観察装置に相当する。
なお、本実施形態において、アーム部22、関節部25、及びマニピュレータは、医療機器を駆動させる駆動機構として機能させてもよい。
なお、本実施形態において、画像処理部13は、撮像画像に画像処理を実行する画像処理部及び患者眼の撮像画像に基づいて、術具と患者眼との距離を検出する検出部として機能させてもよい。
【0039】
図4は、眼科手術システム100の例を示す模式図である。
図4では、レーザ装置30がフロントエンドモジュール1として機能する。また本実施形態では、レーザ装置30のベース部31に制御装置10が搭載される。例えば、制御装置10は、構成情報からレーザ装置30がOCT及び出射部33を有することを検出し、OCTエンジン及びレーザエンジンを制御する。
【0040】
レーザ装置30は、ベース部31、ベース部31に取り付けられたアーム部32、及びレーザ光を出射する出射部33を有する。
【0041】
アーム部32は、互いに回動可能に連結され、例えば、所定の方向へ延伸や、所定の範囲の回動を可能とする。本実施形態では、Z軸方向(矢印40)に延伸、及び軸41を中心に回動可能なアーム部32aや、XY平面上に回動可能なアーム部32b及びアーム部32cにより、出射部33の位置が任意に調節される。またアーム部32dにより、出射部33がXZ平面上に回動される。
これにより、出射部33から出射されるレーザ光を患者眼の任意の箇所に出射することが可能となる。
なお、アーム部を構成する関節部の構造や数、配置、位置、回転軸の方向等は、所望の自由度が実現されるように適宜設計されてよい。また各関節部に回転を拘束するブレーキ等が設けられてもよい。
【0042】
出射部33は、アーム部32dに接続され、レーザ光を出射する。本実施形態では、出射部33は、フェムト秒レーザを出射する。出射部33の構成は限定されず、レーザ光を2つの水平な走査方向に変更するためのガルバノスキャナや、励起光源、光ファイバ等の任意の構成及び配置が設けられてもよい。
また出射部33は、上記OCT部と同様のOCT部を有する。例えば、出射部33からフェムト秒レーザとは異なる患者眼を精査するためのイメージングビームが生成されて、患者眼のOCT画像が取得されてもよい。
【0043】
図5は、眼科手術システム100の他の構成例を示すブロック図である。
図5では、
図4に示すレーザ装置30と制御装置10とが接続された場合の眼科手術システム100の例である。すなわち
図5の例は、フロントエンドモジュール1としてモジュール化されたレーザ装置30が、バックエンドモジュール2である制御装置10に接続され、一体のシステムとして機能する眼科手術システム100の一実施形態である。また制御装置10は、レーザ装置30の有する出射部33及びOCT部を制御するためのエンジンとして出力部14を有する。
【0044】
図3で示した眼科手術システム100、及び
図5で示した眼科手術システム100のフロントエンドモジュール1は、共通する機能としてOCT部を有する。またバックエンドモジュール2は、OCT部を制御するエンジンを有する。すなわち、患者眼の施術に必要な機能に応じて接続されるモジュール(顕微鏡装置20及びレーザ装置30)を変えることで
図3に示す眼科手術システム100から
図5に示す眼科手術システム100に変形可能である。同様に下記に示す
図6~10に示す各モジュール及び眼科手術システム100も必要に応じて変形可能な一実施形態である。
なお、レーザ装置30のOCT制御部36は、上記のOCT制御部29と同様の機能を有するため説明は省略する。
【0045】
出力部14は、レーザ制御部35及びOCT制御部36に制御信号を出力する。例えば、出力部14は、レーザ制御部35に対して、フェムト秒レーザが照射される位置を制御する制御信号を出力する。具体的には、出射部33に設けられるX軸方向に回動可能なスキャニングミラー、又はY軸方向に回動可能なスキャニングミラーの各々の傾きを制御する制御信号が出力される。
また例えば、出力部14は、情報取得部11により取得された撮影画像に基づいて、制御信号を出力する。この場合、撮影画像から現在の施術の状況を把握し、適切な箇所(例えば角膜や水晶体前嚢、水晶体核の切開位置等)にレーザを出射する旨の制御信号を出力してもよい。
【0046】
レーザ装置30は、レーザ制御部35及びOCT制御部36を有する。
レーザ制御部35は、出射部33から出射されるレーザ光に関する制御を行う。例えば、レーザ制御部35は、フェムト秒レーザを出射するタイミングやフェムト秒レーザの強度等を制御する。本実施形態では、レーザ制御部35は、制御装置10の出力部14から出力される制御信号に従い、フェムト秒レーザを出力する。
【0047】
図6は、手術装置50の外観を示す模式図である。
図6では、フロントエンドモジュールである手術装置50は、顕微鏡装置20とレーザ装置30との機能を有する。
図6Aに示すように、アーム部51と、顕微鏡部52及び出射部53を有する鏡筒部54を具備する。本実施形態では、顕微鏡部52は、上記の顕微鏡装置20の有する撮像部と同様の機能を有し、患者眼の撮像画像を取得することが可能である。
【0048】
アーム部51は、各関節部55a~dを有し、互いに回動可能に連結される。例えば、各々の関節部55a~dにより、所定の方向へ延伸や、所定の範囲の回動が行われる。また各関節部55a~dは、マニピュレータにより制御される。これにより、顕微鏡部52及び出射部53を任意の位置に配置することが可能となる。
また関節部55dは、鏡筒部54が接続され、軸57を中心に回転することが可能である。すなわち、関節部55dが軸57を中心に回転することで、患者眼に相対する顕微鏡部52又は出射部53が切り替えられる。以下、患者眼に顕微鏡部52が相対している状態を顕微鏡モード、出射部53が相対している状態をレーザモードと記載する。
【0049】
図6Bは、鏡筒部54の構成を示す模式図である。
図6Bに示すように、鏡筒部54は、顕微鏡部52及び出射部53に加え、関節部55d内に光源部60を有する。
【0050】
顕微鏡部52は、観察光を集光する任意の光学系(図示せず)を有する。
出射部53は、レーザを偏向等が可能な任意の光学系(図示せず)を有する。
【0051】
光源部60は、レーザ又はOCT用ビームを出射可能なビーム部61、ビーム部61から出射されるビームを少なくとも直交する方向(X及びY軸方向)に偏向させるスキャナ系62、及びイメージセンサ63を有する。例えば、スキャナ系62は、ビームをX軸方向に走査するためのミラー、及びY軸方向に操作するためのミラーを有する。
【0052】
本実施形態では、光源部60は、関節部55dの回転駆動によらず、常にビーム部61から出射されるビームが患者眼の方向へ出射されるように回転可能である。すなわち、手術装置50が顕微鏡モード又はレーザモードに関わらず、光源部60は相対的に回転しない機構を有する。
【0053】
図7は、眼科手術システム100の他の構成例を示すブロック図である。
図7では、
図6に示す手術装置50と制御装置10とが接続され、一体のシステムとして機能する眼科手術システム100の例である。例えば、眼科手術システム100は、フロントエンドモジュール1である手術装置50にバックエンドモジュール2である制御装置10が搭載されることで制御が行われる。
なお、手術装置50の撮像制御部65、レーザ制御部66、及びOCT制御部67は、上記の撮像制御部28、レーザ制御部35、及びOCT制御部29と同様の機能を有するため説明省略する。
【0054】
情報取得部11は、手術装置50の構成情報を取得する。本実施形態では、手術装置50がアーム部51及び鏡筒部54を有することを示す構成情報が取得される。また情報取得部11は、鏡筒部54の向きや回転角等の構成要素の現在の状況を示す情報を取得する。
【0055】
判定部12は、情報取得部11により取得された鏡筒部54の現在の状況に基づいて、顕微鏡部52又は出射部53のどちらかが患者眼に向いているかを判定する。すなわち、判定部12は、顕微鏡モード又はレーザモードかを判定する。
【0056】
出力部14は、判定部12により判定された顕微鏡モード又はレーザモードに基づいて、制御信号を出力する。例えば、顕微鏡モード又はレーザモードに基づいて、OCTのスキャンの角度等が制御される制御信号が出力される。
例えば、レーザモードから顕微鏡モードへと切り替わる場合、出力部14は、患者眼にドッキングされていた出射部53が適切な位置へ配置されるようにロボットアーム制御部68に制御信号を出力する。また出力部14は、関節部55dを回転させる制御信号を出力する。また例えば、顕微鏡モードからレーザモードへと切り替わる場合、出力部14は、関節部55dを回転させる制御信号を出力する。また出力部14は、出射部53が患者眼にドッキングされるようにロボットアーム制御部68に制御信号を出力する。
【0057】
ロボットアーム制御部68は、アーム部51及び各関節部55a~dの駆動を制御する。本実施形態では、出力部14から出力される制御信号に従い、各関節部55a~dの回転角等が制御される。
【0058】
ここで、出力部14から出力される制御信号により、
図6に示す手術装置50が制御される具体例を示す。
出射部53を患者眼にドッキング(接触)させるための制御信号の出力。具体的には、出射部53と患者眼との座標が一致するように、アーム部51及び各関節部55a~dを制御するロボットアーム制御部68に制御信号が出力される。
患者眼の切開位置等にフェムト秒レーザを出射させるための制御信号の出力。例えば、レーザ制御部66に制御信号が出力され、ガルバノミラーの傾きが制御されることで、フェムト秒レーザの照射位置が変更される。
顕微鏡部52を患者眼が適切に撮像される位置へ移動させるための制御信号の出力。撮像制御部65に制御信号が出力される。
撮像部へ患者眼を撮像させるための制御信号の出力。撮像制御部65に制御信号が出力される。
これにより、患者眼に行われる施術に必要な医療機器の動作が実行される。なお施術を行うための施術に関する行動情報(手順)はユーザにより任意に設定されてもよいし、施術ごとに予め設定されてもよい。
【0059】
図8は、手術装置70の外観を示す模式図である。
図8に示すように、手術装置70は、術具72と、ロック部74と、回転駆動部80とを有する。
本実施形態では、手術装置70がフロントエンドモジュール1として制御装置10に接続される。すなわち、手術装置70に制御装置10が搭載され一体のシステムとして機能する。
【0060】
術具72は、患者眼の施術に用いられる様々な術具である。本実施形態では、術具は、メス、I/Aチップ、鉗子等の眼科手術に用いられる全般の器具である。すなわち、患者3に実施される手術に応じて、術具72は任意に変更可能である。
【0061】
ロック部74は、第1のロック部74a及び第2のロック部74bを有する。
図8に示すように、第1のロック部74a及び第2のロック部74bにより患者3の頭が保持される。
第1のロック部74aは、術具72を保持する第1の保持部75を有する。第1のロック部74aは、弧状であり、第1の保持部75を該弧状(矢印76)に移動させることが可能である。また第1の保持部75は、術具72を移動可能な機能を有する。例えば、施術の対象である患者眼に近づく又は遠のくことが可能である。なお、第1の保持部75は、矢印77方向以外にも移動又は回動が可能でもよい。
第2のロック部74bは、術具72を保持する第2の保持部75を有する。第2のロック部74bは、弧状であり、術具72を該弧状(矢印78)に移動させることが可能である。
【0062】
回転駆動部80は、第1のロック部74a及び第2のロック部74bと接続され、軸81を中心に回転することが可能である。また回転駆動部80は、第1のロック部74a及び第2のロック部74bを円周方向(矢印82方向)に移動させることが可能な溝83を有する。
【0063】
また手術装置70は、手術装置50と同様の機能を有する顕微鏡装置(図示せず)を備える。すなわち、該顕微鏡装置により、ロック部74により保持された患者3の患者眼の撮像画像が取得される。例えば、制御装置10により術具72、ロック部74、及び回転駆動部80の駆動を制御するマニピュレータ制御部85に制御信号が出力される。また患者眼を撮影するために、アーム部に制御信号が出力される。もちろん取得された撮像画像に対して画像処理を行うための制御信号、OCTを制御する制御信号、及び撮像部を移動させるためのロボットアームを制御する制御信号も出力される。すなわち、制御装置10の有する画像処理エンジン、OCTエンジン、ロボットアーム制御エンジン、及びマニピュレータ制御エンジンにより、各部が制御される。
【0064】
図9は、眼科手術システム100の他の構成例を示すブロック図である。
図9では、
図8に示す手術装置70と制御装置10とが接続され、一体のシステムとして機能する眼科手術システム100の例である。例えば、制御装置10は、構成情報から手術装置70が回転駆動部80を有することを検出し、マニピュレータ制御エンジンを制御する。
【0065】
図9に示すように、手術装置70は、マニピュレータ制御部85、撮像制御部86、OCT制御部87、及びロボットアーム制御部88を有する。
なお、手術装置70の撮像制御部86及びOCT制御部87は、上記の撮像制御部28及びOCT制御部29と同様の機能を有するため説明は省略する。またロボットアーム制御部88は、上記のロボットアーム制御部68と同様の機能を有するため説明は省略する。
【0066】
マニピュレータ制御部85は、術具72、ロック部74、及び回転駆動部80の駆動を制御するマニピュレータを制御する。本実施形態では、マニピュレータ制御部85は、出力部14から出力される制御信号に従い、第1のロック部74a及び第2のロック部74bの回転角、術具72の位置、及び回転駆動部80の回転角等を制御する。
【0067】
手術装置70は、出力部14の制御信号に従い、術具72を自由に制御することが可能である。例えば、術具72及びロック部74が制御されることで、患者眼の水晶体核、皮質等の吸引等が行われる。
【0068】
また
図9では、画像処理部13により患者眼の撮影画像から術具72と患者眼の各部位との距離が検出される。出力部14は、検出された距離に基づいて、術具72の位置を制御する制御信号を出力する。これにより、術具72が患者眼の適切な部位に適切な処置を実行可能である。例えば、術具72が周囲の網膜等を把握せずに動くことで網膜等を傷つけ視野欠損を生じる可能性を防ぐことができる。
【0069】
すなわち、バックエンドモジュール2に接続されるフロントエンドモジュール1の構成情報に応じて、出力部14のみならず画像処理部13の動作が変わる。
【0070】
ここで
図9における出力部14により出力される制御信号の例を以下に示す。
【0071】
例えば、出力部14により、ロボットアーム制御部88に、患者眼を撮像する際の適切な位置へ配置されるように制御信号が出力される。すなわち、フロントエンドモジュール1である顕微鏡装置に対して、制御信号が出力される。
【0072】
出力部14により、マニピュレータ制御部85に、水晶体核吸引、皮質吸引、及び眼内レンズ挿入等を行うための制御信号が出力される。すなわち、フロントエンドモジュール1である手術装置70(マニピュレータ機能)に対して、制御信号が出力される。なお、
図8の装置とは別にフェムト秒レーザ白内障手術装置を設けて、
図8の装置による手術に先立って前嚢切開、核分割、角膜切開を実行しておくようにしてもよい。
【0073】
また水晶体核吸引、皮質吸引、及び眼内レンズ挿入等の手術のステップごとにあらかじめ設定された患者眼の撮像に最適な位置に移動するよう、ロボットアーム制御部88に制御信号が出力される。
またロボットアーム制御部88に制御信号が出力される際に、出力部14により、患者眼の撮影画像及びOCT画像が取得される旨の制御信号が出力される。すなわち、情報取得部11により撮影画像及びOCT画像が取得される。
また出力部14により、取得された撮影画像及びOCT画像に対して、画像処理が実行される。
【0074】
図10は、眼科手術システム100の構成例を模式的に示す図である。
本実施形態では、眼科手術システム100は、フロントエンドモジュール1として、手術装置50、手術装置70、及びモニタ91を有する手術装置90と、バックエンドモジュール2として制御装置10とを有する。本実施形態では、手術装置90に制御装置10が搭載される。
図10では図示されないが、手術装置90は、手術装置50、手術装置70、及びモニタ91の複数のモジュールから構成される1つの装置である。すなわち、複数のモジュールから構成される手術装置90と、手術装置90に搭載される制御装置10とが一体のシステムとして眼科手術システム100を構成する。
【0075】
モニタ91は、顕微鏡部52により撮像された撮影画像又はOCT画像が表示される。例えば、画像処理部13により所定の画像処理が行われた撮影画像又はOCT画像が表示される。これ以外にも、術具72の位置を示すマーカや現在実施されている手術の概要を説明する文章等が表示されてもよい
【0076】
図10では、手術装置90は、顕微鏡部52による患者眼の撮像、出射部53によるレーザを用いた眼科手術、及び術具72による種々の手術を実施可能な医療機器である。
例えば、白内障手術を実施する場合に、白内障手術に必要な手順を実行する旨の制御信号が出力されることで、白内障手術が実施される。
【0077】
具体的には、出力部14により以下の制御信号が出力される。
出力部14により、出射部53に患者眼の、創口作成、前嚢切開、及び水晶体核分割を行うためのフェムト秒レーザを出射させる制御信号が出力される。例えば、出射部53を患者眼にドッキングさせるようにアーム部51及び各関節部55a~dを制御するロボットアーム制御部68に制御信号が出力される。またレーザ制御部66に制御信号が出力され、ガルバノミラーの傾きが制御されることで、フェムト秒レーザの照射位置が変更される。また、出射部53が適切な部位にフェムト秒レーザを出射可能な位置に配置された際に、フェムト秒レーザを出射する旨の制御信号が出力される。
出力部14により、ロボットアーム制御部68に、レーザモードから顕微鏡モードに切り替えさせる制御信号が出力される。具体的には、患者眼にドッキングされていた出射部53が適切な位置へ配置されるようにロボットアーム制御部68に制御信号が出力される。また出力部14により、関節部55dを回転させる制御信号を出力する。これにより、患者眼に顕微鏡部52が相対する。
出力部14により、マニピュレータ制御部85に、水晶体核吸引、皮質吸引、及び眼内レンズ挿入を行うための制御信号が出力される。また水晶体核吸引、皮質吸引、及び眼内レンズ挿入等の手術のステップごとに顕微鏡部52(鏡筒部54)はあらかじめ設定された撮像に最適な位置に移動するよう、ロボットアーム制御部68に制御信号が出力される。
【0078】
また上記の制御信号が出力される際に、情報取得部11により患者眼の撮影画像及びOCT画像が取得される。取得された撮影画像又はOCT画像に基づいて、フェムト秒レーザの照射される位置、レーザモードから顕微鏡モードへの切替え、皮質吸引等を行う術具72の位置が制御される制御信号が出力される。
【0079】
すなわち、眼科手術システム100は、実施される手術に必要な手順を実行可能なモジュールを有することで、所定の手術を最初から最後まで行うことが可能となる。
【0080】
なお、眼科手術システム100は、ユーザにより手術の一部が実施されてもよい。例えば、患者3の白内障が難症例である場合に、手術の一部が眼科手術システム100により行われ、眼科手術システム100では手術の難度の高い手順ではユーザにより施術が行われる。
具体的には、水晶体を目の周辺組織からつっているチン小帯が切れている「チン小帯断裂」やチン小帯が弱っている「チン小帯脆弱」等の症例が挙げられる。この場合、例えば、ユーザは、Capsule Retractorを使用して、水晶体を角膜につけた術具で引っ張って水晶体の位置を安定させる手順や、水晶体嚢の中にCTR(Capsular Tension Ring)を入れて残っているチン小帯で水晶体の位置を安定させる手順等が行われる。
【0081】
なお上記のような難症例の場合、手術装置70のロック部74がユーザの手技の邪魔にならない箇所に移動させる制御信号が出力されてもよい。
【0082】
以上、本実施形態に係る眼科手術システム100は、患者眼の施術に用いられるフロントエンドモジュール1の構成要素に関する構成情報が取得される。フロントエンドモジュール1が接続されるバックエンドモジュール2は、構成情報を取得して、構成要素に応じた制御信号を出力する。これにより、医療機器の制御を効率よく実行することが可能となる。
【0083】
従来、医療分野では、様々な医療機器が製造された。製造された医療機器ごとに操作が異なったり、医療機器ごとの様々な制限があるため、それらの医療機器を使いこなすことは難しい。また新しい医療機器をその都度更新するとコストがかかる。
【0084】
そこで本技術では、各医療機器をフロントエンドモジュールとしてモジュール化し、各医療機器の共通する機能が集約される。またモジュール化された医療機器の構成情報に基づいて、医療機器の適切な機能が実行される。これにより、手術室内のスペースの効率的な活用やコスト削減が可能となる。また一台の医療機器に多くの機能を持たせることができるため効率化が図られる。また1台の医療機器のため、配線や機器の設置スペースが小さいため、手術室のスペースが確保することができる。また医療機器ごとの操作に慣れるための時間も短縮することが可能である。
また本技術は、
図10に示す眼科手術システム100のように手術を最初から最後まで行うことが可能なモジュールを一度に揃える必要はなく、例えば以下のような順番でフロントエンドモジュールを追加(買い足す)することが可能である。
自在に操作可能なアームを有し、患者眼の撮像画像や動画を撮像可能なビデオ顕微鏡(顕微鏡装置20等)。
顕微鏡とレーザ装置とロボットアームとを有する手術装置(手術装置50等)。
白内障手術に必要な各医療機器を備えた全自動白内障手術装置(眼科手術システム100等)。
すなわち本技術は、全自動白内障手術装置に至るまでのユーザのニーズに応じて買い足す形で徐々に投資が可能である。また構成要素の一部を入れ替えて機能及び性能を進化させることが可能である。
なお、追加されたフロントエンドモジュールに応じて、バックエンドモジュール内のエンジンが追加および/または更新されてもよい。
【0085】
<その他の実施形態>
本技術は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0086】
上記の実施形態では、フロントエンドモジュール1に顕微鏡装置20及び手術装置50等の顕微鏡が用いられた。これに限定されず、フロントエンドモジュール1として、任意の眼科に用いられる医療機器が用いられてもよい。例えば、フロントエンドモジュール1として、眼科用内視鏡が用いられてもよい。もちろん、眼科用内視鏡が使用される手術に必要な他の医療機器がフロントエンドモジュール1としてバックエンドモジュール2に接続されてもよい。すなわち、眼科用内視鏡は観察装置に相当する。
【0087】
上記の実施形態では、患者3の白内障が難症例だった場合に施術の一部が術者により実施され、手術装置70が術者の邪魔にならないように制御された。これ以外にも、様々な眼科手術システム100で手術装置に制御信号が出力されてもよい。例えば、
図6及び
図7に示す眼科手術システム100(手術装置70がない)場合の難症例では、術者が施術を実行している際に手術装置50の鏡筒部54が所定の位置に移動するように制御信号が出力される。その後アーム部51は術者により操作される受動的な状態となる。
【0088】
上記の実施形態では、制御装置10により、フロントエンドモジュール1の制御が実行された。これ以外にも、制御装置10により実行される施術のガイダンスがユーザに提示されてもよい。
【0089】
上記の実施形態では、情報取得部11により構成情報が取得された。これ以外にも、様々な情報が取得されてもよい。例えば、顕微鏡部21や出射部33等の術具と患者眼の位置関係を示す情報が取得されてもよい。またその位置関係に応じた制御信号が出力されてもよい。
【0090】
上記の実施形態では、
図10の手術装置50に制御装置10が搭載された。これに限定されず、制御装置10は外部に配置され、無線等で接続されていてもよい。また画像処理部13等の制御装置10のブロックが手術装置50に搭載されてもよい。
【0091】
上記の実施形態では、撮影画像に基づいて、手術を実行するための制御信号が出力された。これに限定されず、患者眼の病変部等が撮影画像又はOCT画像から認識され、該病変部から必要な施術が判定され、判定された施術に必要な手順を実行する旨の制御信号が出力されてもよい。また上記の認識及び判定が機械学習等で学習され、該学習データに基づいて、制御信号が出力されてもいい
【0092】
上記の実施形態では、手術装置50の鏡筒部54に顕微鏡部52及び出射部53が具備された。これに限定されず、鏡筒部54が顕微鏡部52又は出射部53を取り付け可能な接続部を有してもよい。例えば、接続部に顕微鏡部52が接続された場合、顕微鏡モードとなり、接続部に出射部53が接続された場合、レーザモードとなる。この場合、出力部14は、各モードに応じて、制御信号を出力する。
【0093】
上記の実施形態では、顕微鏡装置20及びレーザ装置30のOCT部等の共通要素が眼科手術システム100により共有化された。これに限定されず、様々な医療装置が制御装置10により制御されてもよい。
【0094】
図11は、制御装置10のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0095】
制御装置10は、CPU111、ROM112、RAM113、入出力インタフェース115、及びこれらを互いに接続するバス114を備える。入出力インタフェース115には、表示部116、入力部117、記憶部118、通信部119、及びドライブ部120等が接続される。
【0096】
表示部116は、例えば液晶、EL等を用いた表示デバイスである。入力部117は、例えばキーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、その他の操作装置である。入力部117がタッチパネルを含む場合、そのタッチパネルは表示部116と一体となり得る。
【0097】
記憶部118は、不揮発性の記憶デバイスであり、例えばHDD、フラッシュメモリ、その他の固体メモリである。ドライブ部120は、例えば光学記録媒体、磁気記録テープ等、リムーバブルの記録媒体121を駆動することが可能なデバイスである。
【0098】
通信部119は、LAN、WAN等に接続可能な、他のデバイスと通信するためのモデム、ルータ、その他の通信機器である。通信部119は、有線及び無線のどちらを利用して通信するものであってもよい。通信部119は、制御装置10とは別体で使用される場合が多い。
本実施形態では、通信部119により、ネットワークを介した他の装置との通信が可能となる。
【0099】
上記のようなハードウェア構成を有する制御装置10による情報処理は、記憶部118またはROM112等に記憶されたソフトウェアと、制御装置10のハードウェア資源との協働により実現される。具体的には、ROM112等に記憶された、ソフトウェアを構成するプログラムをRAM113にロードして実行することにより、本技術に係る制御方法が実現される。
【0100】
プログラムは、例えば記録媒体121を介して制御装置10にインストールされる。あるいは、グローバルネットワーク等を介してプログラムが制御装置10にインストールされてもよい。その他、コンピュータ読み取り可能な非一過性の任意の記憶媒体が用いられてよい。
【0101】
通信端末に搭載されたコンピュータとネットワーク等を介して通信可能な他のコンピュータとが連動することにより本技術に係る眼科手術システム、制御方法、及びプログラムが実行され、本技術に係る制御装置10が構築されてもよい。
【0102】
すなわち本技術に係る眼科手術システム、制御方法、及びプログラムは、単体のコンピュータにより構成されたコンピュータシステムのみならず、複数のコンピュータが連動して動作するコンピュータシステムにおいても実行可能である。なお、本開示において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれもシステムである。
【0103】
コンピュータシステムによる本技術に係る眼科手術システム、制御方法、及びプログラムの実行は、例えば、構成情報の取得、制御信号の出力等が、単体のコンピュータにより実行される場合、及び各処理が異なるコンピュータにより実行される場合の両方を含む。また所定のコンピュータによる各処理の実行は、当該処理の一部又は全部を他のコンピュータに実行させその結果を取得することを含む。
【0104】
すなわち本技術に係る眼科手術システム、制御方法、及びプログラムは、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成にも適用することが可能である。
【0105】
各図面を参照して説明した情報取得部、判定部、出力部等の各構成等はあくまで一実施形態であり、本技術の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変形可能である。すなわち本技術を実施するための他の任意の構成やアルゴリズム等が採用されてよい。
【0106】
なお、本開示中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。上記の複数の効果の記載は、それらの効果が必ずしも同時に発揮されるということを意味しているのではない。条件等により、少なくとも上記した効果のいずれかが得られることを意味しており、もちろん本開示中に記載されていない効果が発揮される可能性もある。
【0107】
以上説明した各形態の特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。
【0108】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
患者眼の施術に用いられる機能を有する1又は複数の第1のモジュールと、
前記第1のモジュールが接続され、前記第1のモジュールに関する構成情報を取得して前記構成情報に応じた制御信号を出力する第2のモジュールと
を具備する眼科手術システム。
(2)(1)に記載の眼科手術システムであって、
前記第2のモジュールは、前記構成情報に応じて、前記第1のモジュールから供給される前記施術に関する情報を制御する
眼科手術システム。
(3)(2)に記載の眼科手術システムであって、
前記施術に関する情報は、前記患者眼の撮像画像であり、
前記第2のモジュールは、前記撮像画像に画像処理を実行する画像処理部を有し、
前記画像処理部は、前記構成情報に応じて、前記画像処理を変更する
眼科手術システム。
(4)(1)から(3)のうちいずれか1つに記載の眼科手術システムであって、
前記第1のモジュールは、観察装置、又はレーザ装置の少なくとも一方を含む
眼科手術システム。
(5)(4)に記載の眼科手術システムであって、
前記第2のモジュールは、前記観察装置又は前記レーザ装置のどちらかが接続される場合に、前記構成情報に応じて、前記観察装置及び前記レーザ装置の有する観察光学系を制御する制御信号を出力する
眼科手術システム。
(6)(5)に記載の眼科手術システムであって、
前記観察光学系は、リファレンスミラー又はスキャンミラーの少なくとも一方を含み、
前記制御信号は、前記リファレンスミラーの光源からの距離を変化させる信号、又は前記スキャンミラーの振り角を変化させる信号の少なくとも一方を含む
眼科手術システム。
(7)(4)に記載の眼科手術システムであって、
前記第2のモジュールは、前記撮像画像に画像処理を実行する画像処理部を有し、
前記画像処理部は、前記観察装置又は前記レーザ装置のどちらかが接続される場合に、前記構成情報に応じて、前記患者眼の撮像画像を単眼表示用処理又は複眼表示用処理に変更する画像処理、又は前記撮像画像の色処理を変更する画像処理の少なくとも一方を実行する
眼科手術システム。
(8)(4)に記載の眼科手術システムであって、
前記第1のモジュールは、前記観察装置であり、
前記第2のモジュールは、前記観察装置の位置又は前記観察装置の撮像条件の少なくとも一方を制御する制御信号を出力する
眼科手術システム。
(9)(4)に記載の眼科手術システムであって、
前記第1のモジュールは、前記レーザ装置であり、
前記第2のモジュールは、少なくとも前記患者眼に照射されるレーザ光の位置を制御する制御信号を出力する
眼科手術システム。
(10)(4)に記載の眼科手術システムであって、
前記観察装置は、光学コヒーレンストモグラフィ(OCT:Optical Coherence Tomography)光学系を有する
眼科手術システム。
(11)(4)に記載の眼科手術システムであって、
前記レーザ装置は、光学コヒーレンストモグラフィ(OCT:Optical Coherence Tomography)光学系を有する
眼科手術システム。
(12)(4)に記載の眼科手術システムであって、
前記レーザ装置は、フェムト秒レーザを出射可能である
眼科手術システム。
(13)(1)に記載の眼科手術システムであって、
前記制御信号は、前記患者眼に対して行われる前記施術に関する行動情報を含む
眼科手術システム。
(14)(1)から(13)のうちいずれか1つに記載の眼科手術システムであって、さらに、
前記第1のモジュールを駆動させる駆動機構を具備する
眼科手術システム。
(15)(14)に記載の眼科手術システムであって、
前記第2のモジュールは、前記制御信号を前記駆動機構に出力する
眼科手術システム。
(16)(14)に記載の眼科手術システムであって、
前記駆動機構は、前記施術に用いられる術具を保持し、
前記第2のモジュールは、前記患者眼の撮像画像に基づいて、前記術具と前記患者眼との距離を検出する検出部を有する
眼科手術システム。
(17)(14)に記載の眼科手術システムであって、
前記第2のモジュールは、前記施術の手順に応じて、前記駆動機構を制御する制御信号を出力する
眼科手術システム。
(18)
患者眼の施術に用いられる機能を有する1又は複数の第1のモジュールに関する構成情報を取得し、
前記構成情報に応じた制御信号を出力する
ことをコンピュータシステムが実行する制御方法。
(19)
患者眼の施術に用いられる機能を有する1又は複数の第1のモジュールに関する構成情報を取得するステップと、
前記構成要素に応じた制御信号を出力するステップと
をコンピュータシステムに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0109】
1…フロントエンドモジュール
2…バックエンドモジュール
10…制御装置
11…情報取得部
13…画像処理部
14…出力部
20…顕微鏡装置
30…レーザ装置
50…手術装置
70…手術装置
100…眼科手術システム