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  • 特開-ラベル及び容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046067
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】ラベル及び容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/36 20060101AFI20220315BHJP
【FI】
B65D25/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151917
(22)【出願日】2020-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】播摩 英伸
(72)【発明者】
【氏名】槌井 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 啓太
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA10
3E062AB14
3E062BB06
3E062BB10
3E062DA02
3E062JA04
3E062JA08
3E062JB04
3E062JC03
3E062JD04
(57)【要約】
【課題】薄くて断熱性に優れたラベル及び該ラベルが貼着された容器を提供する。
【解決手段】基材上に、加熱によって発泡する未発泡粒子を含有する未発泡樹脂層5及びラミネート層6を備え、ラミネート層6は、未発泡樹脂層5を覆うと共に、その外縁が、未発泡樹脂層5の外縁よりも拡張されて形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、加熱によって発泡する未発泡粒子を含有する未発泡樹脂層及びラミネート層を備えるラベルであって、
前記ラミネート層は、前記未発泡樹脂層を覆うと共に、その外縁が、前記未発泡樹脂層の外縁よりも拡張されて形成されている、
ことを特徴とするラベル。
【請求項2】
前記未発泡樹脂層の前記外縁は、直線が交差する角部が形成されないように、曲線部分を有する、
請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記未発泡樹脂層の前記外縁は、一方向に沿って延びる対向する二辺を有し、前記二辺の各一端同士及び各他端同士が、円弧状の前記曲線部分によってそれぞれ連結されている、
請求項2に記載のラベル。
【請求項4】
前記ラミネート層は、前記未発泡樹脂層側の面に形成された粘着剤層によって、前記基材及び該基材上の前記未発泡樹脂層を覆った状態で被貼着物に貼着されるものであり、
前記ラミネート層は、加熱によって発泡した前記未発泡粒子を、前記ラミネート層の外縁を超えて外側へ広がらないように保持する、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項5】
前記ラミネート層の外縁は、前記未発泡樹脂層の外縁よりも3mm以上拡張されて形成されている、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項6】
前記請求項1ないし5のいずれか一項に記載のラベルが貼着されている、
ことを特徴とする容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル及びそのラベルが貼着された容器に関し、更に詳しくは、断熱性に優れたラベル及びそのラベルが貼着された容器に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア等では、顧客に冷蔵又は冷凍保存されたドリア、グラタン等の食品を、電子レンジで温めて提供する場合が多い。
【0003】
この場合、加熱された食品の熱によって容器自体も100℃程度の高温になって、電子レンジから容器を素手で取り出せなくなることがある。このため、例えば、特許文献1には、容器の外周面に断熱性を有するタックラベルを貼着し、タックラベルの部分を持って取り出せるようにすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-117629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のタックラベルは、ラベル基材が発泡樹脂によって構成されているので、上記のように100℃程度の高温の容器を、タックラベル部分を持って取り出せるような十分な断熱性を得るためには、ラベル基材の厚みを厚くする必要があり、タックラベル自体の厚みが厚くなる。
【0006】
しかし、厚いタックラベルは、ロール状に形成した場合に巻き径が大きくなり、嵩張って取り扱いづらいという難点がある。
【0007】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、加熱前は薄く、加熱後は優れた断熱性を示すラベル及びそれが貼着された容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0009】
(1)本発明に係るラベルは、基材上に、加熱によって発泡する未発泡粒子を含有する未発泡樹脂層及びラミネート層を備えるラベルであって、
前記ラミネート層は、前記未発泡樹脂層を覆うと共に、その外縁が、前記未発泡樹脂層の外縁よりも拡張されて形成されている。
【0010】
本発明に係るラベルによると、基材上に、発泡前の未発泡樹脂層を備えているので、既に発泡している厚い発泡層を備えるラベルに比べて、当該ラベルの厚さを薄くすることができる。
【0011】
また、未発泡樹脂層は、該未発泡樹脂層に比べて外縁が拡張して形成されているラミネート層によって覆われているので、当該ラベルを、容器等の被貼着物に貼着して被貼着物を加熱した場合に、未発泡樹脂層の発泡した粒子を、ラミネート層によって、保持することができ、発泡した粒子が脱落するのを防止することができる。
【0012】
このようにラミネート層によって、加熱後の発泡した粒子を保持して、脱落するのを防止できるので、発泡後の粒子の脱落を考慮する必要が無い。これによって、未発泡樹脂層の未発泡粒子の含有量を十分高めることができる一方、未発泡樹脂層に含まれる、未発泡粒子の発泡を抑制するバインダーの含有量を低くすることができるので、加熱によって、未発泡樹脂層を、高発泡で厚みの厚い断熱層とすることができ、所望の断熱性を得ることができる。
【0013】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記未発泡樹脂層の前記外縁は、直線が交差する角部が形成されないように、曲線部分を有する。
【0014】
未発泡樹脂層の外縁に、直線が交差する角部が存在すると、加熱によって未発泡粒子が発泡した際に、交差する二つの直線のいずれか一方の直線及びその延長線に沿って、未発泡樹脂層を覆っているラミネート層の一部が浮き上がって、ラミネート層の外側に連通するトンネル状の通路が形成されてしまい、発泡した粒子が、前記通路を介してラミネート層の外側に漏れ出てしまう虞がある。
【0015】
この実施態様によると、未発泡樹脂層の外縁は、直線が交差する角部が形成されないように、曲線部分を有するので、加熱によって未発泡粒子が発泡した際に、未発泡樹脂層を覆うラミネート層には、その外側に連通するトンネル状の通路が形成されることがなく、発泡した粒子を確実に保持することができる。
【0016】
(3)本発明の他の実施態様では、前記未発泡樹脂層の前記外縁は、一方向に沿って延びる対向する二辺を有し、前記二辺の各一端同士及び各他端同士が、円弧状の前記曲線部分によってそれぞれ連結されている。
【0017】
この実施態様によると、未発泡樹脂層の外縁は、一方向に延びる対向する二辺の両端部を、円弧状の曲線部分でそれぞれ連結して形成されているので、直線が交差する角部のない単純な形状にすることができる。
【0018】
(4)本発明の一実施態様では、前記ラミネート層は、前記未発泡樹脂層側の面に形成された粘着剤層によって、前記基材及び該基材上の前記未発泡樹脂層を覆った状態で被貼着物に貼着されるものであり、前記ラミネート層は、加熱によって発泡した前記未発泡粒子を、前記ラミネート層の外縁を超えて外側へ広がらないように保持する。
【0019】
この実施態様によると、ラミネート層は、未発泡樹脂層側の面に形成された粘着剤層によって、基材及び該基材上の未発泡樹脂層を覆った状態で被貼着物に貼着され、未発泡樹脂層の未発泡粒子が加熱によって発泡した際に、その発泡した粒子を、ラミネート層の外縁を超えて外側へ広がらないように保持するので、発泡した粒子が当該ラベル外へ広がって被貼着物に付着するといったことがない。
【0020】
(5)本発明の他の実施態様では、前記ラミネート層の外縁は、前記未発泡樹脂層の外縁よりも3mm以上拡張されて形成されている。
【0021】
この実施態様によると、ラミネート層の外縁は、未発泡樹脂層の外縁に比べて3mm以上拡張して形成されているので、未発泡樹脂層の未発泡粒子が加熱によって発泡して、未発泡樹脂層の厚みが増加しても、その厚みの増加に伴って、未発泡樹脂層を覆うラミネート層が、その外縁まで剥離してしまうようなことはなく、発泡後の粒子を確実に保持することができる。
【0022】
(6)本発明に係る容器は、上記(1)ないし(5)のいずれかのラベルが貼着されている。
【0023】
本発明に係る容器によると、容器に収納されている食品等を電子レンジ等で温めたときに、容器の温度が高温になっても、断熱性に優れた当該ラベルの部分を持って電子レンジ等から容易に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、加熱前は薄いラベルでありながら、加熱されたときには、所望の断熱性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は本発明の一実施形態に係るラベルが貼着された容器の斜視図である。
図2図2図1のラベルの平面図である。
図3図3はラベルの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係るラベルが貼着された容器の斜視図である。
【0028】
この実施形態の容器1は、内部にドリアやグラタン等の食品を収納するものであって、上部が開口した容器本体2と、この容器本体2の開口を塞ぐ蓋3とを備えている。
【0029】
この実施形態の容器1は、調理された食品が収納包装されて、食品工場から出荷され、コンビニエンスストアなどの店舗で販売される。この店舗において、電子レンジで温められて顧客に提供される。
【0030】
店舗で食品を電子レンジで加熱する際に、例えば、ドリアやグラタンなどの食品の場合には、容器1の表面温度が、100℃程度の高温になる。したがって、加熱後の容器1を電子レンジから素手で取り出すのは困難である。
【0031】
このため、この容器1には、本発明の一実施形態に係るラベル4が、容器本体2の外周面の略全面に亘って貼着されており、加熱後の容器1を、ラベル4の部分を持って電子レンジから素手で取り出すことができる。
【0032】
この実施形態のラベル4は、後述の基材上に、未発泡樹脂層5が形成され、この未発泡樹脂層5よりも平面サイズが大きいラミネート層6が、未発泡樹脂層5を覆うように容器本体2に貼着されている。
【0033】
図2は、容器本体2に、貼着する前のラベル4の平面図であり、図3は、ラベル4の構成を示す概略断面図である。
【0034】
この実施形態のラベル4は、図3に示されるように、基材7上に、加熱によって発泡する未発泡粒子を含有する未発泡樹脂層5、第1粘着剤層8、及び、ラミネート層6が、この順で積層形成されている。
【0035】
基材7の裏面には、第2粘着剤層9を介して剥離紙10が設けられている。
【0036】
基材7、未発泡樹脂層5、第2粘着剤層9は、平面サイズが同じであり、図2では、最も上層の未発泡樹脂層5が、透明のラミネート層6及び第1粘着剤層8を介して視認されている状態が示されている。
【0037】
ラミネート層6、第1粘着剤層8、及び、剥離紙10は、平面サイズが同じであって、未発泡樹脂層5等に比べて、図2に示されるように、一回り大きくなっている。すなわち、ラミネート層6は、未発泡樹脂層5を完全に覆うと共に、その外縁が、未発泡樹脂層5の外縁よりも拡張されて形成されている。このラミネート層6には、図示していないが、商品の価格、消費期限等の商品情報やイラストなどを印刷することができる。
【0038】
このラベル4は、剥離紙10を剥がして、基材7及び未発泡樹脂層5が、第2粘着剤層9によって、容器本体2の外周面に貼着されると共に、基材7及び未発泡樹脂層5よりも平面サイズが大きいラミネート層6が、基材7及び未発泡樹脂層5を覆うように、第1粘着剤層8によって容器本体2の外周面に貼着される。この実施形態では、1枚のラベル4によって、容器本体2の外周面の略全周を覆っているが、ラベル4の長さを短くして、複数枚のラベルによって、容器本体2の外周面の略全周を覆うようにしてもよく、あるいは、全周に限らず、所要の部分のみを覆うようにしてもよい。
【0039】
この実施形態のラベル4は、当該ラベル4が貼着された容器1が、電子レンジで加熱されて、未発泡樹脂層5の未発泡粒子が発泡するまでは、未発泡樹脂層5の厚みは薄い。したがって、例えば、上記特許文献1のように、既に発泡している発泡樹脂層を有するラベルに比べて、当該ラベル4は薄いラベルとなっている。
【0040】
例えば、ドリアやグラタンなどの食品を収納した容器1を、電子レンジ等で温めて顧客に提供する場合、上記のように、加熱された食品の熱によって容器1自体も100℃程度の高温となる。
【0041】
このため、容器1に貼着されるラベル4には、100℃程度の高温の容器1を、ラベル4の部分を素手で持って電子レンジ等から取り出せるような高い断熱性が要求される。
【0042】
かかる高い断熱性を実現するためには、未発泡樹脂層5を、高発泡とし、発泡後の未発泡樹脂層5の厚みを厚くする必要がある。
【0043】
そのためには、未発泡樹脂層5に含まれる未発泡粒子の含有量を高めると共に、加熱による未発泡粒子の発泡を妨げないように、未発泡樹脂層5に含まれるバインダーの含有量を低くする必要がある。
【0044】
しかしながら、未発泡樹脂層5に含まれる未発泡粒子の含有量を高める一方、バインダーの含有量を低くすると、電子レンジで加熱した際に、発泡した粒子を、基材7に保持することができず、指で触れた途端に基材7から脱落する場合がある。すなわち、電子レンジで加熱したラベルに触れると、発泡した粒子、この実施形態では、白色の発泡粒子が、基材からから脱落して、容器や指に付着する場合がある。
【0045】
この実施形態では、未発泡樹脂層5に含まれる未発泡粒子の含有量を高めると共に、バインダーの含有量を低くして、加熱によって、未発泡粒子を十分に発泡させ、発泡後の未発泡樹脂層5の厚みを厚くして所望の断熱効果を得るようにしている。その一方、未発泡樹脂層5に比べて平面サイズが大きいラミネート層6によって、未発泡樹脂層5を覆うように容器1に貼着し、加熱によって発泡した粒子を保持し、発泡した粒子が脱落するのを防止している。
【0046】
上記のように、ラミネート層6の外縁は、未発泡樹脂層5の外縁に比べて拡張形成されているが、加熱によって発泡した粒子が、脱落するのを確実に防止するには、図2に示されるラミネート層6の外縁と未発泡樹脂層5の外縁との差Dは、3mm以上であるのが好ましい。すなわち、ラミネート層6の外縁は、未発泡樹脂層5の外縁に比べて3mm以上広いのが好ましい。
【0047】
この差Dが、3mm未満であると、加熱によって、未発泡樹脂層5の未発泡粒子が発泡して未発泡樹脂層5の厚みが増し、それに伴って、ラミネート層6が盛り上がって、その外縁まで剥離してしまい、発泡した粒子を保持できない虞がある。
【0048】
このため、この実施形態では、加熱によって、未発泡粒子が発泡して未発泡樹脂層5の厚みが増した際に、ラミネート層6が盛り上がって剥離しないように、前記差Dを、3mmとしている。
【0049】
この実施形態では、未発泡樹脂層5の外縁は、平面視で一方向(図2の左右方向)に沿って延びる対向する二辺5a,5bを有し、この二辺5a,5bの各一端5a1,5b1同士及び各他端5a2,5b2同士が、円弧状の曲線部分5c,5dによってそれぞれ連結されている。
【0050】
このように未発泡樹脂層5の外縁は、直線状の二辺5a,5bの各終端5a1,5b1;5a2,5b2同士を曲線部分5c,5dによって連結するので、未発泡樹脂層5の周縁部に、直線が交差する角部が形成されない。
【0051】
未発泡樹脂層5が、例えば、矩形であって、直線状の二辺が直交する角部を有する場合には、加熱によって発泡した際に、いずれか一方の辺及びその延長線に沿ってラミネート層6の一部が浮き上がってトンネル状の通路が、ラミネート層6の外縁まで形成される場合がある。この場合、加熱によって発泡した粒子が、この通路を通ってラミネート層6の外側へ漏れ出てしまう。
【0052】
この実施形態では、未発泡樹脂層5の外縁は、直線が交差する角部が形成されないように、円弧状の曲線部分5c,5dを有するので、加熱によって未発泡樹脂層5の未発泡粒子が発泡した際に、ラミネート層6に、その外側まで連通するトンネル状の通路が形成されるのを防止することができる。
【0053】
この実施形態のラベル4の基材7は、特に限定されず、紙材や樹脂フィルム等を用いることができる。紙材としては、例えば、上質紙、中質紙、コート紙、ホイル紙、グラシン紙などが挙げられる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、生分解性フィルム等のフィルムが挙げられる。
【0054】
未発泡樹脂層5は、加熱によって発泡する未発泡粒子を含有している。
【0055】
ラミネート層6を構成するラミネートフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)のフィルムなどが挙げられる。
【0056】
第1,第2粘着剤層8,9は、アクリル系、ゴム系、ウレタン系等の公知の粘着剤によって形成することができる。
【0057】
上記のように、未発泡樹脂層5に含まれる未発泡粒子の含有量を高めると共に、バインダーの含有量を低くすることによって、断熱性を高めることができる一方、未発泡樹脂層5に粒子を保持するのが難しくなる。
【0058】
そこで、未発泡樹脂層5の未発泡粒子とバインダーとの配合重量の割合によって、発泡後の断熱効果、及び、発泡の前後における粒子を保持する強度等がどのように変化するかについて、実験を行った。下記に詳述する6種の異なる条件のそれぞれにおいて、ラミネート層6を有するサンプルおよびラミネート層6を有しないサンプルの対をつくり、それぞれNo.1~6とした。この実験では、断熱効果については、ラミネート層6を有するサンプルを用い、発泡の前後における粒子を保持する強度、すなわち、塗工層の強度については、ラミネート層6を有しないサンプルを用いてそれぞれ行った。
【0059】
下記の表1は、その実験結果を示している。
【0060】
【表1】
この表1では、No.1~6までの6対のサンプルについての結果を示している。各サンプルNo.1~6では、基材7として上質紙を使用し、中空率が85%~95%の未発泡粒子を使用した。発泡前の粒子径は、No.1~6の全てのサンプルでいずれも2μmであり、発泡後の粒子径は、No.1~5のサンプルで20μmであり、No.6のサンプルで10μmであった。すなわち、発泡倍率は、No.1~5のサンプルで10倍、No.6のサンプルで5倍であった。
【0061】
未発泡樹脂層5の塗工量は、No.1~4,6のサンプルが、いずれも15g/m、No.5のサンプルが8g/mであった。
【0062】
塗工後に粒子を保持する強度、すなわち、塗工層の強度については、発泡前及び発泡後で、それぞれ次のように評価した。すなわち、各サンプル対のうちラミネート層6を有さないものにつき、触っても粒子が脱落しないものを「○」、強く擦ると指に塗工層が付くものを「△」、触ると剥がれ、指に付くものを「×」とした。
【0063】
断熱効果については、次のように評価した。すなわち、各サンプル対のうちラミネート層6を有するものにつき、電子レンジで加熱後、30秒以上素手で持てるものを「○」、30秒以上素手で持てるが少し熱いものを「○△」、30秒素手で持てないものを「×」とした。
【0064】
未発泡粒子とバインダーとの配合重量の割合を、No.1のサンプルでは「2:8」とし、No.2のサンプルでは、「5:5」とし、No.3、5、6のサンプルでは、「7.5:2.5」とし、No.4のサンプルでは、「8:2」とした。
【0065】
表1に示すように、未発泡粒子に比べてバインダーの配合重量の割合が多いNo.1のサンプルでは、塗工層の強度は、発泡の前後で、いずれも「○」で良好であるが、断熱効果が、「×」であり、所望の断熱性が得られない。
【0066】
また、未発泡粒子とバインダーの配合重量の割合が等しいNo.2のサンプルでは、塗工層の強度は、発泡前は「○」、発泡後は「△」で比較的良好であるが、断熱効果が、「×」であり、所望の断熱性が得られない。
【0067】
このように未発泡粒子以上にバインダーを配合すると、塗工層の強度は良好であり、粒子が脱落して指に付くようなことはないが、加熱後に熱くて30秒素手で持つことができず、所望の断熱効果が得られない。
【0068】
これに対して、バインダーに比べて未発泡粒子の配合重量の割合が多く、発泡倍率が10倍であるNo.3~5のサンプルは、発泡後の塗工層の強度が、いずれも「×」であって、発泡後の塗工層に触ると剥がれ、基材から脱落した発泡粒子が指に付くが、断熱効果については、No.3,4のサンプルが「○」、No.5のサンプルが「○△」であり、所望の断熱性が略得られている。
【0069】
断熱効果が「○△」、すなわち、30秒以上素手で持てるが少し熱いサンプルNo.5は、塗工量が8g/mであって、No.3,4のサンプルの塗工量15g/mの約1/2であり、塗工量が少なかったために、断熱効果がやや不十分であった。
【0070】
バインダーに比べて未発泡粒子の配合重量の割合が多いNo.6のサンプルは、発泡倍率が10倍のNo.3~5のサンプルに比べて、発泡倍率が5倍と低いために、断熱効果が「×」であり、所望の断熱性が得られていない。
【0071】
このように、電子レンジで加熱後、30秒以上素手で持てるという所望の断熱性を得るためには、バインダーに比べて未発泡粒子の配合重量の割合を多くする必要がある。このようにバインダーに比べて未発泡粒子の配合重量の割合を多くすると、発泡後の塗工強度が十分に得られず、発泡後の粒子を保持するのが困難となり、発泡後のラベルに触れると、発泡した粒子が基材から脱落して、容器や指に付着してしまう。
【0072】
本実施形態では、所望の断熱性を得るために、未発泡樹脂層5に含まれる未発泡粒子の含有量を高めると共に、バインダーの含有量を低くしている。このため、発泡後の粒子を保持するのが困難となるが、未発泡樹脂層5の平面サイズよりも大きいラミネート層6によって未発泡樹脂層5を覆うようにして容器本体2に貼着しているので、発泡した粒子が、ラミネート層6によって保持され、脱落することがない。
【0073】
このように本実施形態によれば、ラベル4は、未発泡樹脂層5の未発泡粒子が加熱されて発泡するまでは、発泡樹脂層を有するラベルに比べて薄いので、ロール状にした場合の巻き径が小さく済み、嵩張らず、取扱いが容易である。
【0074】
また、未発泡樹脂層5は、発泡した未発泡粒子を保持できない程、未発泡粒子の含有量を高くすると共に、バインダーの含有量を低くしているので、発泡後に、所望の断熱性を得ることができる。
【0075】
更に、その外縁が未発泡樹脂層5の外縁よりも拡張形成されているラミネート層6を、未発泡樹脂層5を覆うように容器本体2に貼着しているので、加熱によって発泡した粒子が、ラミネート層6によって保持され、脱落するのを防止することができる。
【0076】
上記実施形態では、ラミネート層6と未発泡樹脂層5とは、相似形であったが、相似形でなくてもよい。
【0077】
ラベル4の形状は、加熱されて高温となった容器1を、ラベルの部分を持って電子レンジから取り出すことができればよく、上記に限らず、任意である。
【符号の説明】
【0078】
1 容器
2 容器本体
4 ラベル
5 未発泡樹脂層
5c,5d 曲線部分
6 ラミネート層
7 基材
図1
図2
図3