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特開2022-46074電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法、臨床試験における情報取得方法、電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046074
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法、臨床試験における情報取得方法、電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/20 20180101AFI20220315BHJP
【FI】
G16H10/20
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151928
(22)【出願日】2020-09-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】520350535
【氏名又は名称】合同会社beyondS
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 翼
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】通信コストの増大を抑制しつつ、効率的に臨床試験等を進めることができる電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法。
【解決手段】医療機関サーバが、無効化されているSIMを搭載する所定の通信デバイスを使用予定である被験者に関する被験者情報をEDCシステムに通信するとともに、SIMの利用開始登録に関する情報を、管理サーバに通信するプロセスと、管理サーバが、利用開始登録に関する情報を受信し、SIMの有効化申請に関する通信を、通信会社システムに対して行うプロセスと、通信会社システムが、有効化申請に関する通信を受信し、SIMを有効化するプロセスと、通信デバイスが、被験者が入力した患者報告アウトカム等を、EDCシステムに通信するプロセスと、EDCシステムが、患者報告アウトカム等を受信し、被験者情報に関連づけて記憶するプロセスと、を有する電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関サーバが、無効化されているSIMを搭載する所定の通信デバイスを使用予定である被験者に関する被験者情報をEDCシステムに通信するプロセスと、
前記医療機関サーバまたは申請者サーバが、前記SIMの利用開始登録に関する情報を、管理サーバに通信するプロセスと、
前記EDCシステムが、前記被験者情報を受信および記憶するプロセスと、
前記管理サーバが、前記利用開始登録に関する情報を受信し、前記SIMの有効化申請に関する通信を、通信会社システムに対して行うプロセスと、
前記通信会社システムが、前記有効化申請に関する通信を受信し、前記SIMを有効化するプロセスと、
前記通信デバイスが、前記被験者が入力するかまたは前記被験者から取得した患者報告アウトカムおよび服薬記録の少なくとも一方を、前記通信会社システムが前記SIMを有効化した後に前記EDCシステムに通信するプロセスと、
前記EDCシステムが、前記患者報告アウトカムおよび前記服薬記録の少なくとも一方を受信し、前記被験者情報に関連づけて前記患者報告アウトカムおよび前記服薬記録の少なくとも一方を記憶するプロセスと、を有する電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法。
【請求項2】
前記EDCシステムが、前記管理サーバを兼ねることを特徴とする請求項1に記載の電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法。
【請求項3】
前記EDCシステムが、記憶する前記被験者情報、前記患者報告アウトカムおよび前記服薬記録の少なくとも一部を、前記医療機関サーバに対して通信するプロセスをさらに有する請求項1または請求項2に記載の電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法。
【請求項4】
前記EDCシステムが、記憶する前記被験者情報、前記患者報告アウトカムおよび前記服薬記録の少なくとも一部を、所定の監視サーバに対して通信するプロセスをさらに有する請求項1から請求項3までのいずれかに記載の電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法。
【請求項5】
前記通信会社システムが、前記SIMを無効化するプロセスをさらに有する請求項1から請求項4までのいずれかに記載の電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法を用いる臨床試験における情報取得方法であって、
前記医療機関サーバが、前記被験者の症例データを前記EDCシステムに通信するプロセスと、
前記EDCシステムが、前記医療機関サーバからの前記症例データを受信し、前記被験者情報に関連づけて前記症例データを記憶するプロセスと、をさらに有する臨床試験における情報取得方法。
【請求項7】
被験者に関する被験者情報と、患者報告アウトカムおよび服薬記録の少なくとも一方とを受信および記憶するEDCシステムと、
無効状態と有効状態を切り換え可能なSIMを搭載しており、前記被験者が前記患者報告アウトカムおよび前記服薬記録の少なくとも一方を入力または前記被験者から前記患者報告アウトカムおよび前記服薬記録の少なくとも一方を取得可能であって、前記SIMが有効化された後に前記EDCシステムに前記患者報告アウトカムおよび前記服薬記録の少なくとも一方を通信する通信デバイスと、
前記SIMの有効化申請に関する通信を受信し、前記SIMを有効化する通信会社システムと、
利用開始登録に関する情報を受信し、前記有効化申請に関する通信を、前記通信会社システムに対して行う管理サーバと、
前記通信デバイスを使用する前記被験者に関する被験者情報を前記EDCシステムに通信する医療機関サーバと、
前記SIMの前記利用開始登録に関する情報を、前記管理サーバに通信する申請者サーバと、
を有する電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム。
【請求項8】
前記EDCシステムが、前記管理サーバを兼ねることを特徴とする請求項7に記載の電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム。
【請求項9】
前記医療機関サーバが、前記申請者サーバを兼ねることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子的患者報告アウトカムや服薬記録等を取得する電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法、臨床試験における情報取得方法、電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
新薬や、新しい治療方法などの開発プロセスにおいて、医薬品および治療方法の効果や安全性を確認することなどを目的として、各種の臨床試験や治験などが行われる。近年、通信網の整備や医療機器の高度情報機器化などを背景として、臨床試験や治験などに関する文章や画像などの資料は、電子データとして管理される傾向にある。また、臨床試験や治験においては、製薬会社や医療施設・医療系研究機関だけでなく、CRO(Contract Research Organization (医薬品開発業務受託機関))などが関与し、臨床試験や治験などに関する電子データ化された資料の管理が行われている(特許文献1等参照)。
【0003】
また、近年、新薬や、新しい治療方法などの開発プロセスにおいて、PRO(Patient Reported Outcome (患者報告アウトカム))や服薬記録を含む患者日誌などの重要性が注目されている。すなわち、製薬会社等の開発サイドだけでなく、医薬品等を最終的に使用し、その対価を支払う患者の視点を、医薬品等の開発プロセスに導入することにより、臨床試験の信頼性を高めるとともに、高品質な情報を収集することが期待されている。また、スマートフォンなどの通信デバイスを用いて電子的にPROを取得する(ePRO(電子的患者報告アウトカム))技術を用いることにより、被験者が入院患者ではなく在宅の患者である場合にも、質の高いPROを取得することが期待されている。さらにはウェアラブルデバイスやIoT機器から取得されたデータもPROとして注目されている。
【0004】
なお、スマートフォンなどの通信デバイスを用いて電子的にPROを取得する場合、患者個人が所有する通信デバイスではなく、CROなどが準備する特定の通信デバイスを用いることが好ましい。入力および通信する機器の違いが、取得されたPROのバリデーションに影響を与える可能性があるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-126637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電子的にPROを取得する通信デバイスを準備する場合、医療提供施設や医療系研究機関(以後、総称して「医療機関」と称する)に多数の通信デバイスを準備しておく必要が生じるため、通信コストの増大および通信インフラの無駄遣いの問題が生じる。一方、医療機関に準備する通信デバイスの数を制限すると、臨床試験に要する期間の長期化などの問題が生じる。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、通信コストの増大を抑制しつつ、効率的に臨床試験等を進めることができる電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法等に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法は、
医療機関サーバが、無効化されているSIMを搭載する所定の通信デバイスを使用予定である被験者に関する被験者情報をEDCシステムに通信するプロセスと、
前記医療機関サーバまたは申請者サーバが、前記SIMの利用開始登録に関する情報を、管理サーバに通信するプロセスと、
前記EDCシステムが、前記被験者情報を受信および記憶するプロセスと、
前記管理サーバが、前記利用開始登録に関する情報を受信し、前記SIMの有効化申請に関する通信を、通信会社システムに対して行うプロセスと、
前記通信会社システムが、前記有効化申請に関する通信を受信し、前記SIMを有効化するプロセスと、
前記通信デバイスが、前記被験者が入力するかまたは前記被験者から取得した患者報告アウトカムおよび服薬記録の少なくとも一方を、前記通信会社システムが前記SIMを有効化した後に前記EDCシステムに通信するプロセスと、
前記EDCシステムが、前記患者報告アウトカムおよび前記服薬記録の少なくとも一方を受信し、前記被験者情報に関連づけて前記患者報告アウトカムおよび前記服薬記録の少なくとも一方を記憶するプロセスと、を有する。
【0009】
本発明に係る電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法では、医療機関で通信デバイスを保管しているときはSIMを無効化しておき、被験者が臨床試験を開始するタイミングでSIMを有効化し、通信デバイスとEDCシステムとの通信を可能にする。したがって、このような患者報告アウトカム・患者日誌取得方法によれば、通信コストの増大を抑制しつつ、効率的に患者報告アウトカム等を取得して、臨床試験等を進めることが可能である。また、医療機関では、通信費を気にすることなく、台数に十分な余裕をもたせて通信デバイスを準備しておくことができるため、効率的に臨床試験を進めることができる。さらに、このような電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法によれば、管理サーバ経由でSIMの有効化申請がされるため、CROなどの臨床試験を管理する機関により、被験者の通信デバイスの状態を確実に把握することができる。
【0010】
また、たとえば、本発明に係る電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法では、前記EDCシステムが、前記管理サーバを兼ねていてもよい。
【0011】
EDCシステムが管理サーバを兼ねている場合は、EDCシステムによりSIMのコントロールと、患者報告アウトカム等の保管とを、包括的に行うことができる。また、EDCシステムと管理サーバが分かれていると、たとえば、CROはEDCシステムを管理し、CROとは別の機関が、通信デバイスのSIMの有効化・無効化を管理するような場合に、サーバの管理が容易となる。
【0012】
また、たとえば、本発明に係る電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法では、前記EDCシステムが、記憶する前記被験者情報、前記患者報告アウトカムおよび前記服薬記録の少なくとも一部を、前記医療機関サーバに対して通信するプロセスをさらに有してもよい。
【0013】
このような電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法では、たとえば、医療機関は、被験者に来院してもらったり、被験者に電話連絡したりしなくても、臨床試験中において、患者報告アウトカムの内容を確認し、被験者の様子を知ることができる。
【0014】
また、たとえば、本発明に係る電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法では、前記EDCシステムが、記憶する前記被験者情報、前記患者報告アウトカムおよび前記服薬記録の少なくとも一部を、所定の監視サーバに対して通信するプロセスをさらに有してもよい。
【0015】
このような電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法では、CROなどの監視サーバがEDCシステムと通信することにより、通信デバイスからEDCシステムに対して適切に患者報告アウトカムが通信されているかをチェックするなど、進行中の臨床試験の状態を、CROなどが容易にチェックすることができる。
【0016】
また、たとえば、本発明に係る電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法では、前記通信会社システムが、前記SIMを無効化するプロセスをさらに有してもよい。
【0017】
通信デバイスのSIMは、臨床試験が終了したタイミングで、通信会社システムにより無効化されることが好ましい。たとえば、通信会社システムは、SIMの有効化から所定の期間を経過した時点でSIMを無効化してもよく、管理サーバからのSIMの無効化申請に係る通信を受けてSIMを無効化してもよい。
【0018】
また、たとえば、本発明に係る臨床試験における情報取得方法では、上述したいずれかの電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法を用いる臨床試験における情報取得方法と、
前記医療機関サーバが、前記被験者の症例データを前記EDCシステムに通信するプロセスと、
前記EDCシステムが、前記医療機関サーバからの前記症例データを受信し、前記被験者情報に関連づけて前記症例データを記憶するプロセスと、をさらに有する。
【0019】
本発明に係る臨床試験における情報取得方法では、EDCシステムが、医療機関サーバからの症例データを受信し、被験者情報に関連づけて症例データを記憶することにより、信頼性の高い臨床試験データを形成する。
【0020】
また、本発明に係る電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システムは、
被験者に関する被験者情報と、患者報告アウトカムおよび服薬記録の少なくとも一方とを受信および記憶するEDCシステムと、
無効状態と有効状態を切り換え可能なSIMを搭載しており、被験者が前記患者報告アウトカムおよび前記服薬記録の少なくとも一方を入力または前記被験者から前記患者報告アウトカムおよび前記服薬記録の少なくとも一方を取得可能であって、前記SIMが有効化された後に前記EDCシステムに前記患者報告アウトカムおよび前記服薬記録の少なくとも一方を通信する通信デバイスと、
前記SIMの有効化申請に関する通信を受信し、前記SIMを有効化する通信会社システムと、
利用開始登録に関する情報を受信し、前記有効化申請に関する通信を、前記通信会社システムに対して行う管理サーバと、
前記通信デバイスを使用する前記被験者に関する被験者情報を前記EDCシステムに通信するとともに、前記SIMの前記利用開始登録に関する情報を、前記管理サーバに通信する医療機関サーバと、を有する。
また、たとえば、前記EDCシステムが、前記管理サーバを兼ねていてもよい。
また、たとえば、前記医療機関サーバが、前記申請者サーバを兼ねてもよい。
【0021】
このような電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システムによれば、通信コストの増大を抑制しつつ、効率的に臨床試験等を進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法をおよび臨床試験における情報取得方法を表す概念図である。
図2図2は、図1に示す電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法を実現する電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システムのハードウェア構成を表す概念図である。
図3図3は、変形例に係る電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法をおよび臨床試験における情報取得方法を表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法をおよび臨床試験における情報取得方法を表す概念図である。また、図2は、図1に示す電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法を実現する電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム10のハードウェア構成を表す概念図である。以下、図1および図2を用いて、実施形態に係る電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法および電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム10について説明する。
【0024】
図1に示すように、電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム10は、医療機関サーバ20と、通信デバイス30と、EDC総合システム40と、通信会社システム70と、監視サーバ80等を有する。EDC総合システム40は、図2に示すように、後述するEDCシステム50と管理サーバ60とを有するシステムであるが、電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム10の構成としてはこれに限定されない。図2に示す電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム110のように、EDCシステム50と管理サーバ60とは、それぞれが独立したサーバであってもよく、また、EDCシステム50が、管理サーバ60を兼ねていてもよい。
【0025】
図1に示す医療機関サーバ20は、病院などの医療機関92が管理するサーバである。医療機関サーバ20は、医療機関92等に設置されており、医師、看護師、CRC(Clinical Research Coordinator)などが入力を行う。図2に示すように、医療機関サーバ20は、演算部21、通信部22、記憶部23、入力部24、表示部25等を有する。
【0026】
演算部21は、マイクロプロセッサ等を有し、医療機関サーバ20における各種の演算処理を行う。通信部22は、モデム等を有し、インターネット等のネットワーク環境への接続を実現し、他のサーバやシステム等との通信を実現する。記憶部23は、ハードディスクやフラッシュメモリ等を有し、入力部24から入力され、通信部22で受信し、演算部21で演算した各種の情報を記憶する。
【0027】
入力部24は、キーボード、マウス等を有し、表示部25等とともに医療機関サーバ20のユーザーインターフェースを構成する。表示部25は、液晶ディスプレイ等の表示装置を有し、演算部21からの制御を受けて、画像情報や文字情報等を表示する。
【0028】
図1に示す電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法において、医療機関92では、被験者に貸与する通信デバイス30を、CRO(Contract Research Organization)93等から送付され、保管する。医療機関92に保管される間、後述するように、通信デバイス30のSIM36(図2参照)は、無効化されている。
【0029】
医療機関92では、臨床試験の対象となる被験者91が決定すると、保管している通信デバイス30を被験者91に貸与し、通信デバイス30を介して患者報告アウトカム(Patient Reported Outcome,PRO)37の入力を行うように求める。また、医療機関92では、医療機関サーバ20に対して、被験者91の情報である被験者情報26を入力して参加者登録情報を行うとともに、SIM36の利用開始登録に関する情報27を入力する。
【0030】
図1に示すように、医療機関サーバ20は、臨床試験に参加して通信デバイス30を使用する被験者91に関する被験者情報26を、EDC総合システム40(特にEDCシステム50(図2参照))に対して通信する。これとともに、医療機関サーバ20は、SIM36の利用開始登録に関する情報27を、EDC総合システム40(特に管理サーバ60(図2参照))に対して通信する。
【0031】
また、医療機関サーバ20は、臨床試験を開始したのち、医師等が入力した被験者91の症例データ28を、EDCシステム50に通信する。なお、SIM36の利用開始登録に関する情報27は、医療機関サーバ20ではなく、被験者91等が管理する申請者サーバに入力され、申請者サーバから管理サーバ60(図2参照))に対して通信されてもよい。申請者サーバとしては、たとえば、被験者個人のスマートフォンや、パソコンなどが挙げられる。また、通信デバイス30が、申請者サーバとなる場合もある。この場合、通信デバイス30のSIM36は無効化されているため、wifi等の他の通信方法で、SIM36の利用開始登録に関する情報27の通信が行われる。
【0032】
図1に示すEDC総合システム40は、図2に示すように、EDCシステム50と管理サーバ60とを有する。EDC(Electronic Data Capture)システム50は、インターネットを使って、電子的に臨床データを収集し、記憶する。図2に示すように、EDCシステム50は、演算部51と、通信部52と、記憶部53等を有する。
【0033】
EDCシステム50の演算部51、通信部52、記憶部53の具体的な構成としては、特に限定されないが、たとえば、医療機関サーバ20の演算部21、通信部22、記憶部23と同様の構成とすることができる。
【0034】
図2に示すように、EDCシステム50は、医療機関92において被験者91が決定した際、被験者91の情報である被験者情報26を医療機関サーバ20から受信および記憶し、被験者91の臨床試験への参加者登録を完了する。また、EDCシステム50は、臨床試験の間、医療機関サーバ20からの被験者91の症例データ28を受信し、これを被験者情報26に関連づけて、記憶部53に記憶する。さらに、EDCシステム50は、SIM36が有効化された後の通信デバイス30から患者報告アウトカム37や服薬記録38を受信し、これを被験者情報26に関連づけて、記憶部53に記憶する。
【0035】
図1に示すように、臨床試験の間、医療機関92やCRO93は、EDCシステム50と通信して、症例データ28や患者報告アウトカム37等の監視を行うことができる。すなわち、図2に示すように、EDCシステム50は、記憶部53が記憶する被験者情報26、患者報告アウトカム37、服薬記録38および症例データ28の少なくとも一部を、医療機関サーバ20に対して通信することができる。また、図2に示すように、EDCシステム50は、記憶部53が記憶する被験者情報26、患者報告アウトカム37、服薬記録38および症例データ28の少なくとも一部を、CRO93が管理する監視サーバ80に対して通信することができる。
【0036】
図1および図2に示すEDC総合システム40における管理サーバ60は、通信デバイス30に備えられるSIM36を有効化する際に行われる一連の通信の、少なくとも一部を行う。図2に示すように、管理サーバ60は、演算部61、通信部62および記憶部63を有する。管理サーバ60の演算部61、通信部62、記憶部63の具体的な構成としては、特に限定されないが、たとえば、医療機関サーバ20の演算部21、通信部22、記憶部23と同様の構成とすることができる。
【0037】
管理サーバ60は、医療機関サーバ20から、通信デバイス30に備えられるSIM36の利用開始登録に関する情報27を受信する。さらに、利用開始登録に関する情報27を受信した管理サーバ60は、SIM36の有効化申請に関する通信64を、通信会社システム70に対して行う。管理サーバ60は、通信会社94等が提供するAPI(Application Programming Interface)を利用することなどにより、医療機関サーバ20からSIM36の利用開始登録に関する情報27を受信した際、自動的または簡単な入力操作により、通信会社システム70に対してSIM36の有効化申請に関する通信64を行うことができる。
【0038】
管理サーバ60は、必要に応じて、受診した利用開始登録に関する情報27および送信した有効化申請に関する通信64に係るSIM36の情報を、記憶部63に記憶することができる。これにより、管理サーバ60は、臨床試験のために準備された複数のSIM36について、有効であるものと無効であるものとを管理することができる。なお、図2では、EDCシステム50と管理サーバ60とは別個の演算部等を有するシステムおよびサーバとして記載されているが、EDCシステム50と管理サーバ60とが同一の演算部等によって実現されるなど、EDCシステム50と管理サーバ60とが一体となっていてもよい。
【0039】
図1に示す通信会社94は、通信デバイス30や、通信デバイス30で用いられるSIM36などを販売または提供するとともに、通信デバイス30がSIM36を用いて(たとえば電話通信網を用いて)、インターネット等に接続する接続環境を提供する。
【0040】
図2に示すように、通信会社94の管理する通信会社システム70は、演算部71、通信部72および記憶部73等を有する。通信会社システム70の演算部71、通信部72、記憶部73の具体的な構成としては、特に限定されないが、たとえば、医療機関サーバ20の演算部21、通信部22、記憶部23と同様の構成とすることができる。
【0041】
図1および図2に示すように、通信会社システム70は、EDC総合システム40の管理サーバ60から、通信デバイス30に備えられるSIM36の有効化申請に関する通信64を受信する。通信会社システム70は、受診した有効化申請に対応するSIM36を有効化し、これにより、通信デバイス30は、SIM36を用いてインターネット等に接続することが可能となる。
【0042】
また、通信会社システム70は、有効状態にあるSIM36を、無効化することができる。通信会社システム70は、たとえば、管理サーバ60からSIM36の無効化申請に関する通信を受信した場合や、有効化申請時に定められた有効化期間が経過した場合などに、SIM36を無効化する。SIM36が無効化されることにより、通信デバイス30は、SIM36を用いてインターネット等に接続することができなくなる。
【0043】
なお、図1に示す通信会社94は、SIM36を有効化している間のみ、通信デバイス30を購入したCRO93に対して通信デバイス30に関する通信費を課金し、SIM36が無効化されている期間は、通信デバイス30に関する通信費をCRO93に対して課金しないようにすることができる。また、通信会社94は、必ずしも発行したSIM36の数に対応するプロビジョニングを行う必要はなく、発行したSIM36の数より少ない数のプロビジョニングを行い、有効化の際に適宜割り当ててもよい。これにより、通信会社94は、プロビジョニングに必要なインフラストラクチャおよびコストを削減することができる。
【0044】
図1に示す通信デバイス30は、たとえば通信会社94からCRO93が購入して医療機関92に送付され、被験者91の貸与前は医療機関92に保管される。通信デバイス30は、臨床試験の被験者91に対して、被験者91の試験開始時の際に、医療機関92から貸与される。通信デバイス30としては、無効状態と有効状態を切り換え可能なSIM36を搭載しており、被験者91が患者報告アウトカム37や服薬記録38を入力できるか、または被験者91から患者報告アウトカム37や服薬記録38を取得できる通信デバイス30であれば、特に限定されない。通信デバイス30としては、たとえば被験者91が患者報告アウトカム37を入力するスマートフォンや、バイタルサイン等の被験者91の状態を取得可能なウェアラブルデバイスや、被験者91の服薬記録38や行動記録その他を取得可能なIoT機器や、ウェアラブルデバイスまたはIoT機器とスマートフォンのセットなどが挙げられる。なお、通信デバイス30から通信される服薬記録38などは、患者日誌に含まれる。
【0045】
図2に示すように、通信デバイス30は、演算部31、通信部32、記憶部33、入力部34、表示部35、SIM36等を有する。通信デバイス30の演算部31、通信部32、記憶部33の具体的な構成としては、特に限定されないが、たとえば、医療機関サーバ20の演算部21、通信部22、記憶部23と同様の構成とすることができる。通信デバイス30の入力部34および表示部35は、たとえばタッチパネルのような画面に直接触れることにより操作が行える入力・表示装置により構成されるが、これのみには限定されない。
【0046】
SIM36は、典型的にはスマートフォン等に備えられるSIMカードであるが、いわゆるeSIM(デバイスに組み込まれることのあるモジュール)、いわゆるsoftSIM若しくは仮想SIM(通信モジュールなどのデバイスのモジュール内などに記憶されることのあるソフトウェアSIMであって、任意選択で、無線でダウンロードされることのあるソフトウェアSIM)、又はいわゆるセキュアエレメントを含み得る。SIM36には、SIMカード以外のSIMを含むことができ、たとえば、UICC(ユニバーサル集積回路カード)、eUICC、iUICCなどにおいて具現化するSIMが含まれ得る。
【0047】
SIM36は、通信会社システム70から無効状態と有効状態とを切り換え可能である。特に、SIM36は、SIM36を内蔵する通信デバイス30を操作しなくても、通信会社システム70によって、無効状態から有効状態へ切り替えられることが好ましい。
【0048】
通信デバイス30は、通信会社システム70によって内蔵するSIM36が有効化された後に、電話通信網やインターネット等を介して、被験者91によって入力されるかまたは被験者91から取得された患者報告アウトカム37および服薬記録38の少なくとも一方をEDCシステム50に通信する。患者報告アウトカム37としては、特に限定されないが、被験者91の主観的指標、たとえば、治療満足度、自覚症状や身体機能の程度、健康関連の生活の質、治療の順守度に関する情報が挙げられる。また、通信デバイス30は、患者報告アウトカム37以外の情報、たとえば服薬記録38などを、EDCシステム50に通信してもよい。
【0049】
図1に示すCRO93(Contract Research Organization 医薬品開発業務受託機関)は、製薬企業96等からの依頼により、臨床試験に関わる業務を受託または支援する外部機関である。図1および図2に示す監視サーバ80は、CRO93の管理下にあり、EDC総合システム40の監視を行うことができる。
【0050】
図2に示すように、監視サーバ80は、演算部81、通信部82、記憶部83、入力部84、表示部85等を有する。監視サーバ80の演算部81、通信部82、記憶部83、入力部84、表示部85の具体的な構成としては、特に限定されないが、たとえば、医療機関サーバ20の演算部21、通信部22、記憶部23、入力部24、表示部25と同様の構成とすることができる。
【0051】
図1および図2に示すように、監視サーバ80は、EDC総合システム40のEDCシステム50に対して通信し、症例データ28や患者報告アウトカム37の監視を行うことができる。また、監視サーバ80は、EDC総合システム40の管理サーバ60に対して通信し、SIM36の有効化申請状況を確認することも可能である。これにより、CRO93は、病院に必要な数の通信デバイス30が確保されていることを確認したり、医療機関サーバ20からの利用開始登録に関する情報27および監視サーバ80による有効化申請に関する通信64が適切に行われていることを確認したりすることができる。
【0052】
なお、上述した医療機関サーバ20、EDCシステム50、管理サーバ60、通信会社システム70、監視サーバ80の一部は、所定の物理サーバによって実現されるものであってもよく、クラウド・コンピューティングなどによる仮想サーバによって実現されるものであってもよい。また、EDC総合システム40と医療機関サーバ20、通信デバイス30および監視サーバ80等との間のインターネットを介する通信に関しては、VPN(Virtual Private Network)等を用いた秘匿性の高い通信方法を採用することも好ましい。
【0053】
以下、図1および図2に示す電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム10を用いた臨床試験における情報取得方法の一例について、説明する。
【0054】
図1に示すように、依頼者である製薬企業96から臨床試験を受託したCRO93は、まず、臨床試験の準備段階として、通信会社94からSIM36(必要に応じて通信デバイス本体)を必要数購入(またはレンタル)し(図1[A])、臨床試験の実施医療機関となる医療機関92に送付する(図1[B])。この段階では、通信デバイス30に内蔵されるSIM36(図6参照)は無効状態である。また、CRO93は、EDC総合システム40等の準備を行う。通信デバイス30におけるSIM36以外の部分である通信デバイス本体は、SIM36と同様に通信会社94から調達してもよいが、SIM36とは別途ルートで調達してもよい。
【0055】
次に、医療機関92では、臨床試験に参加する被験者91を決定し、被験者91に通信デバイス30を貸与する(図1[C])。この際、医療機関92では、被験者91に対して、通信デバイス30を使ってPROを入力するように依頼する。なお、通信デバイス30には、たとえばPRO入力用の専用アプリケーション等がインストールされており、責任医師やCRCから被験者91に対して、PRO入力方法等の説明がなされる。
【0056】
医療機関92で被験者91を決定すると、医療機関92では、医療機関サーバ20に対して被験者情報26を入力して参加者情報登録を行うとともに、SIM36の利用開始登録に関する情報27を入力する。医療機関サーバ20は、無効化されているSIM36を搭載する通信デバイス30を使用予定である被験者91に関する被験者情報26を、EDCシステム50に通信する(図1および図2[D])。また、医療機関サーバ20は、無効化されているSIM36の利用開始登録に関する情報27を、管理サーバ60に通信する(図1および図2[E])。
【0057】
次に、EDC総合システム40のEDCシステム50は、被験者情報26を受信および記憶し、被験者91の症例データ28や患者報告アウトカム37を記憶するための領域を確保し、参加者情報登録を完了する。また、EDC総合システム40の管理サーバ60は、利用開始登録に関する情報27を受信し、通信デバイス30に搭載されるSIM36の有効化申請に関する通信64を、通信会社システム70に対して行う(図1および図2[F])。
【0058】
次に、通信会社システム70は、管理サーバ60から有効化申請に関する通信64を受信し、被験者91の通信デバイス30に備えられるSIM36を有効化する(図1および図2[G])。
【0059】
次に、通信デバイス30が、被験者91が入力するかまたは被験者91から取得した患者報告アウトカム37や服薬記録38を、有効化されたSIM36を用いてEDCシステム50に通信する(図1および図2[H])。なお、被験者91は、医療機関92での説明に従って、通信デバイス30への患者報告アウトカム37や服薬記録38の入力等を行う。
【0060】
EDC総合システム40は、通信デバイス30から患者報告アウトカム37や服薬記録38を受信し、被験者情報26に関連づけて患者報告アウトカム37や服薬記録38を記憶する。臨床試験の間、医療機関92は、医療機関サーバ20とEDCシステム50との通信を介して、被験者91の症例データ28をEDCシステム50に記憶させたり、被験者91の患者報告アウトカム37や服薬記録38の内容を確認したりすることができる(図1および図2における[I])。
【0061】
また、CRO93は、臨床試験の間、監視サーバ80とEDCシステム50との通信を介して、被験者91の症例データ28や、被験者91の患者報告アウトカム37および服薬記録38の内容を確認することができる(図1および図2における[J])。なお、図1に示す医療機関92が監視するデータは、臨床試験に参加する被験者のうち、医療機関92の患者のみであるが、CRO93は、臨床試験に参加する被験者全員のデータを監視することができる。
【0062】
最後に、CRO93は、臨床試験における症例データ28や患者報告アウトカム37の内容をまとめ、被験者91などを匿名化した臨床試験結果のデータを、製薬企業96に納品する(図1における[K])。
【0063】
このような臨床試験における患者報告アウトカム37を含む情報取得方法によれば、医療機関92で通信デバイス30を保管しているときはSIM36を無効化しておき、被験者91が臨床試験を開始するタイミングでSIM36を有効化することができる。したがって、このような患者報告アウトカム・患者日誌取得方法によれば、通信コストの増大を抑制しつつ、在宅の被験者91等から効率的に患者報告アウトカム37を取得することができる。このような、患者報告アウトカム37を含む情報取得方法は、効率的かつ質の高い患者報告アウトカム37の取得を可能とすることにより、医薬品の開発効率を向上させることができる。
【0064】
また、電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム10によれば、有効化されたSIMを内蔵する通信デバイスを、医療機関92に多数保管する問題を回避できるため、電話通信網に関するインフラの無駄遣いを避けることができる。また、CRO93は、通信費を気にすることなく、台数に十分な余裕をもたせて通信デバイス30を医療機関92に保管させておくことができるため、効率的に臨床試験を進めることができる。また、電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム10によれば、臨床試験に要する通信費を抑制できるため、製薬企業96は、医薬品の開発コストを抑制できる。さらに、このような電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得方法によれば、管理サーバ60経由でSIM36の有効化申請がなされるため、CRO93は、臨床試験に用いる全ての通信デバイス30の状態を、確実に把握することができる。
【0065】
上述した患者報告アウトカム37を含む情報取得方法は、新薬等の承認を得るために行われる治験において好適に用いられるだけでなく、承認済みの医薬品等の有効性確認など、治験以外の臨床試験でも好適に用いることができる。また、上述した電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム10は、本発明の一実施形態にすぎず、他の多くの実施形態や変形例が、本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。図1に示す例では、CRO93が、症例データ28および患者報告アウトカム37の収集を主導したが、これとは異なり、製薬企業96が、症例データ28および患者報告アウトカム37の収集を主導することもありえる。
【0066】
また、図3は、変形例に係る電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム110を説明した概念図である。図3に示すように、EDCシステム50と、管理サーバ60とは、相互に連携したり通信したりしない独立したサーバとして構成されていてもよい。図3に示す電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム110では、EDCシステム50のデータを監視するCRO193が通信デバイス30を調達するのではなく、CRO193とは異なる支援機関97が、図1に示すCRO93に代わって通信デバイス30を調達する。支援機関97は、管理サーバ60の監視を行うことはできるが、EDCシステム50にはアクセスしない。
【0067】
図3に示す電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム110では、通信デバイス30を調達する支援機関97がCRO93とは別機関であり、支援機関97が、患者報告アウトカムを取得するための通信デバイス30の準備のみを行う場合などに、好適に採用することができる。電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム110は、EDCシステム50と管理サーバ60とが連携しないように分離されていることを除き、図1に示す電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム10と同様であり、共通部分については、電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム10と同様の効果を奏する。
【0068】
また、図1および図3に示す電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム10、110の変形例として、管理サーバ60が、CRO93または支援会社97の下に保管される場合もあり得る。この場合、SIM36の利用開始登録に関する情報27は、CRO93または支援会社97の下にある管理サーバ60が受信し、その管理サーバ60から通信会社システム70に対して、SIM36の有効化申請に関する通信64が行われる。また、申請者サーバから通信されるSIM36の利用開始登録に関する情報27は、管理サーバ60に加えて、通信会社システム30にも送信されてもよい。また、申請者サーバから、直接通信会社システム30に対して、直接SIM36の有効化申請がされる場合もあり、その場合は、申請者サーバが、管理サーバ60を兼ねることになる。
【符号の説明】
【0069】
10…電子的患者報告アウトカム・患者日誌取得システム
20…医療機関サーバ
26…被験者情報
27…利用開始登録に関する情報
28…症例データ
30…通信デバイス
36…SIM
37…患者報告アウトカム
38…服薬記録
40…EDC総合システム
50…EDCシステム
60…管理サーバ
64…有効化申請に関する通信
70…通信会社システム
80…監視サーバ
21、31、51、61、71、81…演算部
22、32、52、62、72、82…通信部
23、33、53、63、73、83…記憶部
24、34、84…入力部
25、35、85…表示部
91…被験者
92…医療機関
93、193…CRO
94…通信会社
96…製薬企業
97…支援機関
図1
図2
図3