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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046076
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】要介護者の移動装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/14 20060101AFI20220315BHJP
   A61G 5/10 20060101ALI20220315BHJP
   A61G 7/10 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
A61G5/14
A61G5/10 704
A61G7/10
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151935
(22)【出願日】2020-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】511144583
【氏名又は名称】松浦 豊
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 豊
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040AA08
4C040EE04
4C040HH02
4C040JJ04
4C040JJ09
(57)【要約】
【課題】要介護者が自ら操作して、ベッドの上からトイレへ移動するための要介護者の移動装置を提供する。
【解決手段】要介護者18が自ら操作して、ベッド10の上からトイレ25へ移動するための要介護者の移動装置11であって、要介護者の移動装置は、床面に設置する台座12と、台座に設けられる転がり軸受装置13と、転がり軸受装置に設けられる回転自在な支柱14と、支柱に設けられる動滑車装置15と、支柱から所要長さ延設され動滑車装置の操作部16を備える支持アーム17と、支柱アームの端部側に備えられる要介護者が座るための座席用籠部19と、座席用籠部に座った要介護者が自ら伝って支持アームを回転させて移動するための手摺り部27とから構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
要介護者が自ら操作して、ベッドの上からトイレへ移動するための要介護者の移動装置であって、
該要介護者の移動装置は、
床面に設置する台座と、
該台座に設けられる転がり軸受装置と、
該転がり軸受装置に設けられる回転自在な支柱と、
該支柱に設けられる動滑車装置と、
前記支柱から所要長さ延設され前記動滑車装置の操作部を備える支持アームと、
該支柱アームの端部側に備えられる要介護者が座るための座席用籠部と、
前記座席用籠部に座った要介護者が自ら伝って前記支持アームを回転させて移動するための手摺り部と、から少なくとも構成されること
を特徴とする要介護者の移動装置。
【請求項2】
前記動滑車装置に備わるワイヤーは、前記支柱及び前記支持アームの内部を通って前記座席用籠部に連結していること
を特徴とする請求項1に記載の要介護者の移動装置。
【請求項3】
前記手摺り部は、部屋の天井から垂下した構造であること
を特徴とする請求項1に記載の要介護者の移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者等の要介護者が自ら操作して、ベッドの上からトイレへ移動するための要介護者の移動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、要介護者の移動装置としては、次のような構成のリフト装置が知られている。このリフト装置は、床面に設置する支柱と、支柱の上部に設けられて回動可能な取付ベースと、取付ベースに設けられる第1アーム及び第2アームと、第2アームに内蔵されるロープを上下動させるモーターと、ロープの先端に垂下するハンガー及びスリングシートと、モーターを作動させるためのスイッチ類とから構成される(特許文献1参照)。
【0003】
このような構成のリフト装置を使用して要介護者に排便をさせる場合は、まず、介助者が要介護者をベッドの上でスリングシートに包んでベッドの上に座らせ、そして、ハンガーにスリングシートを取り付けてから、要介護者の足がベッドから離れるまでロープを上昇させる。
【0004】
次に、ベッドの脇に寄せた車椅子に要介護者を移動させて降ろし、車椅子をトイレの近くまで移動し、要介護者からスリングシートを取り去り、車椅子から要介護者を降ろして下着を脱がせ、便器の上に座らせて排便をさせる。
排便後には、要介護者に下着を履かせて、車椅子に乗せてスリングシートで包み、ベッドの脇に移動して、リフト装置で要介護者をベッドに戻す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-273652号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来例のリフト装置においては、要介護者が自ら操作して、ベッドの上からトイレへ移動することは全くできない。つまり、要介護者がトイレに行くたびに介助者がスリングシートで体を包んだり、ハンガーに取り付ける等の様々な作業を行う必要があり、その結果、作業が煩雑で手間が掛かるという問題点を有している。
【0007】
また、従来例のリフト装置は、モーターやスイッチ類などの電気機器を備えているので、製造コストが高いだけでなく、リフト装置を作動させるための電気代等のランニングコストが掛かるという問題点を有している。
【0008】
従って、従来例におけるリフト装置においては、要介護者が自ら操作してトイレへ移動できるようにし、介護作業を軽減することと、製造コストやランニングコストを低減させることとに解決しなければならない課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来例の課題を解決するための本発明の要旨は、要介護者が自ら操作して、ベッドの上からトイレへ移動するための要介護者の移動装置であって、該要介護者の移動装置は、床面に設置する台座と、該台座に設けられる転がり軸受装置と、該転がり軸受装置に設けられる回転自在な支柱と、該支柱に設けられる動滑車装置と、前記支柱から所要長さ延設され前記動滑車装置の操作部を備える支持アームと、該支柱アームの端部側に備えられる要介護者が座るための座席用籠部と、前記座席用籠部に座った要介護者が自ら伝って前記支持アームを回転させて移動するための手摺り部と、から少なくとも構成されることである。
【0010】
また、前記動滑車装置に備わるワイヤーは、前記支柱及び前記支持アームの内部を通って前記座席用籠部に連結していること、;
前記手摺り部は、部屋の天井から垂下した構造であること、;
を含むものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る要介護者の移動装置によれば、要介護者が自ら操作してトイレへ移動できる。つまり、従来例のように要介護者がトイレに行くたびに介助者がスリングシートで体を包んだり、ハンガーに取り付ける等の様々な作業が必要なく、介護に伴う作業量が軽減し、介護作業が容易になり、作業時間を短縮することができる。
また、従来例のようにモーターやスイッチ等の電気機器を備えないので、製造コストを低く抑えることができるだけでなく、電気代等のランニングコストが掛からないという種々の優れた効果を奏する。
【0012】
動滑車装置に備わるワイヤーは、支柱及び支持アームの内部を挿通して前記座席用籠部に連結していることによって、要介護者が自ら操作部を操作して動滑車装置を作動させ、座席用籠部を上昇又は下降させることができるという優れた効果を奏する。
【0013】
手摺り部は、部屋の天井から垂下した構造であることによって、座席用籠部に座った要介護者が自ら伝って支持アームを回転させて移動することができる。また、手摺り部の支柱が邪魔にならないという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る要介護者の移動装置を使用している状態の側面図である。
図2】要介護者がベッドの上にいる状態の側面図である。
図3】要介護者がトイレの上にいる状態の側面図である。
図4】本発明に係る要介護者の移動装置を使用している状態の平面図である。
図5】(a)(b)(c)要介護者の移動装置を使用している状態を順番に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、図1から図2において、符号11は要介護者の移動装置を示し、この要介護者の移動装置11は、床面に設置する台座12と、台座12に設けられる転がり軸受装置13と、転がり軸受装置13に設けられる回転自在な支柱14と、支柱14に設けられる動滑車装置15と、支柱14から所要長さ延設され動滑車装置15の操作部16を備える支持アーム17と、支柱アーム17の端部側に備えられる要介護者18を座らせるための座席用籠部19と、座席用籠部19に座った要介護者が自ら伝って支持アーム17を回転させて移動するための手摺り部27とから構成される。
【0016】
台座12は、例えば円形状等の適宜の形状に形成され、床面の上に安定した状態で設置される。
【0017】
転がり軸受装置13は、台座12の上部に設けられており、図示しない外輪と内輪との間に玉またはコロが介在して小さな転がり抵抗で自転する仕組みであり、その中央部に保持する支柱14を円滑に回転できる仕組みになっている。
【0018】
支柱14は、円柱状で所要長さに形成され、下部が転がり軸受装置13に保持されて回転自在に形成される。
【0019】
動滑車装置15は、支柱14の上部に設けられており、回転と共に軸が移動する滑車であって、ワイヤー15aによって上方の定滑車に吊され、定滑車の回転に伴って移動し、2分の1の力で荷重を支える仕組みである。
【0020】
また、動滑車装置15に備わるワイヤー15aは、図2に示すように、支柱14及び支持アーム17の内部を挿通して座席用籠部19に連結している。従って、操作部15を適宜に操作して動滑車装置15を作動させ、座席用籠部19を上昇又は下降させることができる仕組みになっている。
【0021】
支持アーム17は、支柱14の途中から水平方向に所要長さ延設され、端部近傍に折曲部17aが形成されて下部側に折り曲げられている。また、支持アーム17の端部には、動滑車装置15を作動させるための操作部16が設けられている。
【0022】
操作部16は、レバー16aの適宜の操作で動滑車装置15を作動させて、ワイヤー15aを引っ張り又は伸ばすことにより、座席用籠部19を上昇又は下降させる。また、オートブレーキにより作動をストップできる。
【0023】
座席用籠部19は、平面視がコ字状に形成されるガイドアーム19aと、ガイドアーム19aに設けられるガイド支柱19cとからなる。ガイドアーム19aには、上述のように、動滑車装置15に備わるワイヤー15aが連結している。
【0024】
また、ガイドアーム19aには、脚ベルト20が取り付けられており、要介護者を安定した状態でシッカリと保持できる。
【0025】
手摺り部27は、部屋の天井から垂下した2本の手摺り用支柱27aに連設しており、図4に示すように、略半円形状に形成されている。そして、座席用籠部19に座った要介護者18が自ら手摺り部27を伝って支持アーム17を回転させて移動できる仕組みになっている。
【0026】
次に、要介護者の移動装置11を使用して要介護者18が自ら操作して、ベッド10の上からトイレ25へ移動する場合について説明する。
まず、要介護者18は、操作部16を操作して動滑車装置15を作動させ座席用籠部19を上昇させる。上昇させる長さは約50mm程度である。
そして、要介護者18が自ら手摺り部27を伝って支持アーム17を回転させ、座席用籠部19をトイレ25の上に移動して、操作部16を操作して座席用籠部19を下降し、要介護者18がトイレ25の便座部分の上に位置する。
排便を済ませた後は、操作部16を操作して座席用籠部19を上昇させ、手摺り部27を伝って支柱14を回転させて、ベッド10の上で座席用籠部19を下降させて、要介護者18が自らベッド10に戻る。
なお、図4に示すように、トイレ25の周囲には、遮蔽用のカーテン26が開閉可能に設けられており、排便時にカーテン26を閉めて遮蔽すればプライバシーが守られる。
【0027】
以上のように構成される要介護者の移動装置11は、要介護者18が自ら操作してトイレ25へ移動できる。即ち、従来例のように要介護者がトイレに行くたびに介助者がスリングシートで体を包んだり、ハンガーに取り付ける等の様々な作業が必要なく、介護に伴う作業量が減少し、介護作業が容易になり、作業時間を短縮することができる。
また、従来例のようにモーターやスイッチ等の電気機器を備えないので、製造コストを低く抑えることができるだけでなく、電気代等のランニングコストが掛からない。
【符号の説明】
【0028】
10 ベッド
11 要介護者の移動装置
12 台座
13 転がり軸受装置
14 支柱
15 動滑車装置
15aワイヤー
16 操作部
16aレバー
17 支持アーム
18 要介護者
19 座席用籠部
19aガイドアーム
19cガイド支柱
20 脚ベルト
25 トイレ
26 カーテン
27 手摺り部
27a手摺り用支柱
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
要介護者が自ら操作して、ベッドの上からトイレへ移動するための要介護者の移動装置であって、
該要介護者の移動装置は、
床面に安定した状態で設置する円形状又は適宜な形状の台座と、
該台座に設けられる転がり軸受装置と、
該転がり軸受装置に設けられ、円柱状で所要長さに形成される回転自在な支柱と、
該支柱に設けられ、ワイヤーによって座席用籠部を上昇又は下降させることができる仕組みの動滑車装置と、
前記支柱の途中から水平方向に所要長さ延設され前記動滑車装置の操作部を備える支持アームと、
該支柱アームの端部側に備えられる要介護者が座るための前記座席用籠部と、
座席用籠部に座った要介護者が自ら伝って前記支持アームを回転させて移動するための手摺り部と、から少なくとも構成され、
前記操作部は、レバーの操作で前記ワイヤーを引っ張り又は伸ばして前記動滑車装置を作動させて、前記座席用籠部を上昇又は下降させ、
前記座席用籠部は、平面視がコ字状に形成されるガイドアームと、該ガイドアームに設けられるガイド支柱とからなり、
前記手摺り部は、部屋の天井から垂下した2本の手摺り用支柱に連設し、略半円形状に形成されていること
を特徴とする要介護者の移動装置。
【請求項2】
前記動滑車装置に備わるワイヤーは、前記支柱及び前記支持アームの内部を通って前記座席用籠部に連結していること
を特徴とする請求項1に記載の要介護者の移動装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
前記従来例の課題を解決するための本発明の要旨は、要介護者が自ら操作して、ベッドの上からトイレへ移動するための要介護者の移動装置であって、該要介護者の移動装置は、床面に安定した状態で設置する円形状又は適宜な形状の台座と、該台座に設けられる転がり軸受装置と、該転がり軸受装置に設けられ、円柱状で所要長さに形成される回転自在な支柱と、該支柱に設けられ、ワイヤーによって座席用籠部を上昇又は下降させることができる仕組みの動滑車装置と、前記支柱の途中から水平方向に所要長さ延設され前記動滑車装置の操作部を備える支持アームと、該支柱アームの端部側に備えられる要介護者が座るための前記座席用籠部と、座席用籠部に座った要介護者が自ら伝って前記支持アームを回転させて移動するための手摺り部と、から少なくとも構成され、前記操作部は、レバーの操作で前記ワイヤーを引っ張り又は伸ばして前記動滑車装置を作動させて、前記座席用籠部を上昇又は下降させ、前記座席用籠部は、平面視がコ字状に形成されるガイドアームと、該ガイドアームに設けられるガイド支柱とからなり、前記手摺り部は、部屋の天井から垂下した2本の手摺り用支柱に連設し、略半円形状に形成されていることである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、前記動滑車装置に備わるワイヤーは、前記支柱及び前記支持アームの内部を通って前記座席用籠部に連結していること、;
を含むものである。