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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046110
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】卵用トレイのラック搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20220315BHJP
【FI】
B65G1/00 501Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151989
(22)【出願日】2020-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000126414
【氏名又は名称】株式会社アイピー
(71)【出願人】
【識別番号】320007538
【氏名又は名称】株式会社NDK
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】特許業務法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細井 保行
(72)【発明者】
【氏名】吉井 章
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA01
3F022DD01
3F022EE01
3F022FF21
3F022JJ19
3F022KK15
3F022MM52
3F022NN01
3F022PP06
3F022QQ12
(57)【要約】
【課題】卵が載置されたトレイをラックのトレイ棚に効率よく搬送する。
【解決手段】ラック搬送装置は、セット領域18を有する供給コンベア部1と、供給コンベア部1から移送されるトレイ9をラック8のトレイ棚81に移送する昇降移送部2と、制御部6とを備えている。昇降移送部2は、供給コンベア部1から移送されるトレイ9をトレイ受取位置TRで受け取り、受け取ったトレイ9をトレイ送出位置TSでトレイ搬入口82に送り出す昇降コンベア部3と、昇降コンベア部3で送り出されたトレイ9を押し出してトレイ棚81に移送する押出機構4と、昇降コンベア部3及び押出機構4をトレイ受取位置TRからトレイ送出位置TSまで移動させる昇降機構5とを備える。制御部6は、昇降コンベア部3がトレイ送出位置TSでトレイ9をトレイ搬入口82に送り出す駆動状態で、押出機構4がトレイ9を後方から押してトレイ棚81に押し込むように制御している。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向に複数段のトレイ棚を備えて、各段毎にトレイ搬入口を開口させたラックの各トレイ棚に、卵を載置したトレイを搬入するためのラック搬送装置であって、
移送対象のトレイをセットするためのセット領域を有する供給コンベア部と、
前記供給コンベア部の排出側に配置されて、前記供給コンベア部から移送されるトレイを上下方向に移動して、排出側にセットされるラックの搬入対象となるトレイ棚に移送する昇降移送部と、
前記供給コンベア部と前記昇降移送部の動作を制御する制御部と、
を備えており、
前記昇降移送部は、
前記供給コンベア部から移送されるトレイをトレイ受取位置で受け取ると共に、受け取ったトレイをトレイ送出位置においてトレイ搬入口に送り出すための昇降コンベア部と、
前記昇降コンベア部でトレイ搬入口に送り出されたトレイを押し出してトレイ棚に移送するための押出機構と、
前記昇降コンベア部及び前記押出機構が配置された基台と、
前記基台を上下方向に移動させて、前記昇降コンベア部に移送されたトレイをトレイ受取位置からトレイ送出位置まで移動させるための昇降機構と、
を備えており、
前記制御部は、前記昇降コンベア部がトレイ送出位置でトレイをトレイ搬入口に送り出す駆動状態で、前記押出機構がトレイを後方から押してトレイ棚に押し込むように制御することを特徴とする卵用トレイのラック搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載される卵用トレイのラック搬送装置であって、
前記押出機構が、
トレイをトレイ搬入口に向かって押し出すプッシャーと、
前記プッシャーを前後方向に往復運動させる往復運動機構と、
を備えており、
前記往復運動機構が、
前後方向に配置されて、前記プッシャーが固定されたネジ棒と、
前記基台に回転自在に配置されて、前記ネジ棒が挿通されたナット部材と、
前記ナット部材を回転させる回転機構と、
前記プッシャーに連結されて、前記プッシャーを前後方向に平行移動させるガイド機構と、
を備えており、
前記回転機構で回転される前記ナット部材が、前記ネジ棒を前進又は後退させて前記プッシャーを往復運動させることを特徴とする卵用トレイのラック搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載される卵用トレイのラック搬送装置であって、
前記往復運動機構が、前記プッシャーを後退させた状態で、前記ネジ棒を平面視において前記供給コンベア部の領域内に突出させており、
前記供給コンベア部が、前記ネジ棒を上下方向に通過させる通過隙間を備えることを特徴とする卵用トレイのラック搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載される卵用トレイのラック搬送装置であって、
前記ガイド機構が、
前記ネジ棒と平行な姿勢で該ネジ棒に対して上下方向に離間して配置されて、前記プッシャーに固定されたガイドロッドと、
前記基台に固定されると共に、前記ガイドロッドが挿通されて、前記ガイドロッドの前進又は後退を許容するスライドブッシュと、
を備えており、
前記往復運動機構が、前記プッシャーを後退させた状態で、前記ガイドロッドを、平面視において前記供給コンベア部の領域内に突出させており、
前記供給コンベア部が、前記ガイドロッドを前記通過隙間に通過させることを特徴とする卵用トレイのラック搬送装置。
【請求項5】
請求項1に記載される卵用トレイのラック搬送装置であって、
前記押出機構が、
トレイをトレイ搬入口に向かって押し出すプッシャーと、
前記プッシャーを前後方向に往復運動させる往復運動機構と、
を備えており、
前記往復運動機構が、
前後方向に配置されて、前記基台に回転自在に配置されたネジ棒と、
前記プッシャーに連結されて、前記ネジ棒が挿通されたナット部材と、
前記ネジ棒を回転させる回転機構と、
前記プッシャーに連結されて、前記プッシャーを前後方向に平行移動させるガイド機構と、
を備えており、
前記回転機構で回転される前記ネジ棒が、前記ナット部材を前進又は後退させて前記プッシャーを往復運動させることを特徴とする卵用トレイのラック搬送装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載される卵用トレイのラック搬送装置であって、
前記回転機構が、サーボモータを備えており、
前記制御部が、前記サーボモータの回転を制御して、前記プッシャーが往復運動するストロークと、前記プッシャーがトレイを押し出す押出速度をコントロールするようにしてなる卵用トレイのラック搬送装置。
【請求項7】
請求項6に記載の卵用トレイのラック搬送装置であって、
前記押出機構は、前記往復運動機構が前記プッシャーを往復運動させるストローク量を、移送対象のトレイの後端がトレイ搬入口まで到達するように、トレイを押し込むことが可能な量としてなることを特徴とする卵用トレイのラック搬送装置。
【請求項8】
請求項2から7のいずれか一項に記載される卵用トレイのラック搬送装置であって、
前記押出機構が、前記昇降コンベア部の上方に配置されて、前記押出機構と前記昇降コンベア部との間には、前記昇降コンベア部で移送されるトレイを通過させる移送スペースを設けており、
前記プッシャーは、
トレイの後端を押圧する押圧部と、
前記押圧部を上下方向に移動させて、前記移送スペース内に移動させる上下機構と、
を備えており、
前記制御部は、前記昇降コンベア部にトレイが供給され、あるいは、トレイを載せた前記昇降コンベア部が上下に移動される状態では、前記上下機構が前記押圧部を上昇させて、前記移送スペースを開放し、前記昇降コンベア部がトレイをトレイ搬入口に移送する駆動状態では、前記上下機構が前記押圧部をトレイの後方に降下させて、前記押圧部でトレイをトレイ搬入口に向かって押し出すように前記押出機構を制御することを特徴とする卵用トレイのラック搬送装置。
【請求項9】
請求項8に記載される卵用トレイのラック搬送装置であって、
前記昇降コンベア部が、前記押圧部の降下位置をトレイが通過したことを検出する通過センサーを備えており、
前記制御部が、前記通過センサーからトレイ通過信号が入力されたことを検出して、前記上下機構を駆動して前記押圧部を前記移送スペース内に降下させるように制御することを特徴とする卵用トレイのラック搬送装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の卵用トレイのラック搬送装置であって、
前記供給コンベア部は、
前記セット領域を供給側の端部に備えて、前記セット領域にセットされたトレイを排出側に移送するセットコンベア部と、
前記セットコンベア部の排出側であって、前記昇降移送部の供給側に配置されて、前記セットコンベア部から移送されるトレイを、前記昇降コンベア部に供給する待機コンベア部と、
を備え、
前記制御部は、前記昇降コンベア部がトレイ受取位置に停止した状態で、前記待機コンベア部から前記昇降コンベア部にトレイを移送するように制御し、前記昇降コンベア部がトレイ受取位置から離れた状態では、前記待機コンベア部のトレイ待機位置でトレイを待機させるように制御することを特徴とする卵用トレイのラック搬送装置。
【請求項11】
請求項10に記載の卵用トレイのラック搬送装置であって、
前記セットコンベア部、前記待機コンベア部、及び前記昇降コンベア部は、
移送されるトレイの両側部に対向して配設されて、上面に配置されるトレイを移送する無縁軌道状のコンベアベルトと、
前記コンベアベルトを駆動する駆動輪と、
前記駆動輪を回転駆動させる回転駆動機構と、
前記コンベアベルトに沿って配設されて、トレイの移送方向を特定する移送ガイド部と、
を備えると共に、
前記セットコンベア部、前記待機コンベア部、及び前記昇降コンベア部が、平面視において直線上に配置されて、トレイの移送軌跡が一直線状となるようにしており、
前記制御部は、前記セットコンベア部から前記待機コンベア部にトレイを移送する際に、前記セットコンベア部のコンベアベルトと前記待機コンベア部のコンベアベルトを駆動し、前記待機コンベア部から前記昇降コンベア部にトレイを移送する際に、前記待機コンベア部のコンベアベルトと前記昇降コンベア部のコンベアベルトを駆動するように制御することを特徴とする卵用トレイのラック搬送装置。
【請求項12】
請求項11に記載の卵用トレイのラック搬送装置であって、
前記セットコンベア部は、
排出側の端部に、前記待機コンベア部に供給するトレイを一時的に待機させることが可能な調整領域を備えると共に、
前記調整領域の排出側であって、平面視においてトレイの移送軌跡上に配置されて、トレイの進行を停止する可動式の第2ストッパと、
前記調整領域におけるトレイの有無を検出する第2センサーと、
を備えており、
前記待機コンベア部は、
トレイ待機位置の排出側であって、平面視においてトレイの移送軌跡上に配置されて、トレイの進行を停止する可動式の待機ストッパと、
トレイ待機位置におけるトレイの有無を検出する待機センサーと、
を備えており、
前記制御部は、前記第2センサーからの信号で、前記調整領域にトレイが未セット状態であることを検出し、あるいは、前記待機センサーからの信号で、トレイ待機位置においてトレイが待機状態にあることを検出すると、前記第2ストッパをオン状態に保持して、前記調整領域から前記待機コンベア部へのトレイの移送を保留し、前記第2センサーからの信号で、前記調整領域にトレイがセットされたことを検出すると共に、前記待機センサーからの信号で、トレイ待機位置からトレイが排出されたことを検出すると、前記第2ストッパを解除すると共に、前記セットコンベア部のコンベアベルトと前記待機コンベア部のコンベアベルトを駆動して、前記調整領域から前記待機コンベア部にトレイを移送するように制御することを特徴とする卵用トレイのラック搬送装置。
【請求項13】
請求項12に記載の卵用トレイのラック搬送装置であって、さらに、
前記セットコンベア部は、
前記セット領域の排出側であって、平面視においてトレイの移送軌跡上に配置されて、トレイの進行を停止する可動式の第1ストッパと、
前記セット領域におけるトレイの有無を検出する第1センサーと、
前記セット領域において、トレイをセットするユーザーの手の有無を検知する安全センサーと、
を備えており、
前記制御部は、前記第1センサーからの信号で、前記セット領域にトレイが未セット状態であることを検出し、あるいは、前記第2センサーからの信号で、前記調整領域においてトレイが待機状態にあることを検出し、あるいはまた、前記安全センサーからの信号で、前記セット領域内にユーザーの手があることを検出すると、前記第1ストッパをオン状態に保持して、前記セット領域から前記調整領域へのトレイの移送を保留し、前記第1センサーからの信号で、前記セット領域にトレイがセットされたことを検出すると共に、前記第2センサーからの信号で、前記調整領域からトレイが排出されたことを検出し、かつ、前記安全センサーからの信号で、前記セット領域からユーザーの手が離れたこと検出すると、前記第1ストッパを解除すると共に、前記セットコンベア部のコンベアベルトを駆動して、前記セット領域から前記調整領域にトレイを移送するように制御することを特徴とする特徴とする卵用トレイのラック搬送装置。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか一項に記載の卵用トレイのラック搬送装置であって、
移送対象のトレイとして、
平面視における外形が矩形状であって、複数の卵を縦横に並べて収納する複数の収納部を形成してなるトレイ本体と、
トレイ本体の四隅部に上下に突出して設けた連結ボスと、
を備え、連結ボスを介して上下に積層可能に構成してなるトレイを搬送するようにしてなり、
前記セットコンベア部及び前記待機コンベア部は、前記移送ガイド部を、移送されるトレイの両側面に沿って形成されたガイド壁とすると共に、移送されるトレイの両側部に対向して配置された前記コンベアベルト同士の間隔を、トレイの両側部において下方に突出する左右の連結ボスの間隔と等しくしており、前記ガイド壁でトレイの移送方向を特定しながら、トレイの下方に突出する連結ボスを前記コンベアベルトに載せてトレイを移送することを特徴とする卵用トレイのラック搬送装置。
【請求項15】
請求項11から13のいずれか一項に記載の卵用トレイのラック搬送装置であって、
移送対象のトレイとして、
平面視における外形が矩形状であって、複数の卵を縦横に並べて収納する複数の収納部を形成してなるトレイ本体と、
トレイ本体の四隅部に上下に突出して設けた連結ボスと、
を備え、連結ボスを介して上下に積層可能に構成してなるトレイを搬送するようにしてなり、
前記昇降コンベア部は、前記移送ガイド部を、トレイの両側部において下方に突出する左右の連結ボスの外側面同士または内側面同士に沿ってトレイの移送方向に延長されたガイド壁とすると共に、移送されるトレイの両側部に対向して配置された前記コンベアベルト同士の間隔を、トレイ本体の両側部の下面を支持可能な間隔としており、前記ガイド壁でトレイの移送方向を特定しながら、トレイ本体の下面を前記コンベアベルトで支持して、トレイを移送することを特徴とする卵用トレイのラック搬送装置。
【請求項16】
請求項11から15のいずれか一項に記載の卵用トレイのラック搬送装置であって、
前記セットコンベア部及び前記待機コンベア部は、前記コンベアベルトをブロックチェーンとし、
前記ブロックチェーンを駆動する前記駆動輪を、スプロケットとしてなる卵用トレイのラック搬送装置。
【請求項17】
請求項11から16のいずれか一項に記載の卵用トレイのラック搬送装置であって、
前記昇降コンベア部は、前記コンベアベルトをプラスチック製又はゴム製の丸ベルトとし、
前記丸ベルトを駆動する前記駆動輪を、プーリとしてなる卵用トレイのラック搬送装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の卵用トレイのラック搬送装置であって、
トレイの搬入対象となるラックを、複数段のトレイ棚を傾斜させて、トレイに載置された卵を転卵可能な傾斜機構を有するラックとしており、
前記昇降移送部の排出側に、ラックを配置するためのラック配置領域を設けており、
前記ラック配置領域に、
ラックを前記昇降移送部に対して定位置に固定するラック固定機構と、
ラックのトレイ棚の傾斜を阻止する転卵ロック機構とを備えることを特徴とする卵用トレイのラック搬送装置。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の卵用トレイのラック搬送装置であって、
前記供給コンベア部及び前記昇降移送部が、トレイの移送方向に複数列に区画された搬送レーンを形成しており、
前記制御部が、各搬送レーンの前記セット領域にセットされたトレイを、搬入対象となるトレイ棚まで同時に搬送するように、前記供給コンベア部及び前記昇降移送部を制御することを特徴とする卵用トレイのラック搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵が載置されたトレイをラックに設けたトレイ棚に搬送する卵用トレイのラック搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有精卵である種卵は、孵卵器(孵卵室)に搬入されて所定の温度環境に管理することにより孵化されている。多数の種卵を孵卵器(孵卵室)に効率よく搬入するために、種卵をセットした多数のトレイを、複数のトレイ棚を備えるラックにセットした状態で孵卵器(孵卵室)に移動させて孵化させている。このラックは、一度に多数の種卵を孵化させるために、多数のトレイを多段、多列にセットする構造としている。多数のトレイをラックにセットするために、従来は、種卵を載せたトレイを、手動でラックのトレイ棚に移し替えていた。
【0003】
種卵が載置されたトレイは丁寧に扱うことが要求され、例えば、トレイ棚に急いでセットするために素早く移動させようとすると、トレイ同士に衝撃を与えてしまい、トレイに載置された種卵に悪影響を与える虞があった。また、多数のトレイを多段にセットするので、ラックの下部や上部にトレイをセットする場合に、手間がかかる問題点があった。例えば、ラックの下部であって低い位置にトレイをセットする際には、屈む必要があって重労働となり、ラックの上部であって、高い位置にトレイをセットする場合には、身長が低い作業従事者には、安全にセットできない問題点があった。
【0004】
また、多数の段を設けたラックの所定の段に所定数のトレイを正確にセットするためには、トレイ棚毎のセット数の管理表とラックとを確認しながらセットする必要があるため、短時間で正確にセットするのは極めて難しかった。このため、多数のトレイを、短時間で正確に、しかもトレイに載置された種卵を損傷することなくセットできる装置が切望されていた。
【0005】
しかしながら、孵卵器の業界においては、このようなトレイの搬送の自動化を行う装置は存在しなかった。特に、卵を収納したトレイは、衝撃によって卵が破損し商品価値が低下するため、通常の運搬装置では十分な対応ができなかった。また卵を保護するため、移送速度を遅くすると、タクトタイムが低下するため生産性が悪くなる。近年の消費者指向の高まりにより、より低価格な商品が求められているため、製造コスト削減のためタクトタイムの圧縮も求められているが、卵の保護とタクトタイムの圧縮は相反する特性のため、両立させることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平11-509505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来のこのような背景事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一は、卵を破損させることなく、卵が載置されたトレイをラックのトレイ棚に効率よく搬送可能な卵用トレイのラック搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
本発明の第1の側面に係る卵用トレイのラック搬送装置は、高さ方向に複数段のトレイ棚を設けて、対向面にトレイ搬入口を開口させたラックの各トレイ棚に、卵を載置したトレイを搬入するためのラック搬送装置であって、移送対象のトレイをセットするためのセット領域を有する供給コンベア部と、供給コンベア部の排出側に配置されて、供給コンベア部から移送されるトレイを上下方向に移動して、排出側にセットされるラックの搬入対象となるトレイ棚に移送する昇降移送部と、供給コンベア部と昇降移送部の動作を制御する制御部とを備えている。昇降移送部は、供給コンベア部から移送されるトレイをトレイ受取位置で受け取ると共に、受け取ったトレイをトレイ送出位置においてトレイ搬入口に送り出すための昇降コンベア部と、昇降コンベア部でトレイ搬入口に送り出されたトレイを押し出してトレイ棚に移送するための押出機構と、昇降コンベア部及び押出機構が配置された基台と、基台を上下方向に移動させて、昇降コンベア部に移送されたトレイをトレイ受取位置からトレイ送出位置まで移動させるための昇降機構とを備えている。制御部は、昇降コンベア部がトレイ送出位置でトレイをトレイ搬入口に送り出す駆動状態で、押出機構がトレイを後方から押してトレイ棚に押し込むように制御している。
【0009】
上記構成によると、供給コンベア部から供給されるトレイを、トレイ受取位置において昇降コンベア部が受け取り、昇降機構でトレイ送出位置まで移送すると共に、トレイ送出位置において昇降コンベア部と押出機構によりトレイ搬入口からトレイ棚に移送するので、多数のトレイを効率よくラックのトレイ棚に移送させることができる。とくに、昇降コンベア部によるトレイの移送と押出機構によるトレイの押し出し動作を制御部でもって連係させることで、トレイを速やかに、かつ連続的にトレイ搬入口からトレイ棚に押し込むことができ、多数のトレイを、タクトタイムを短縮しながら効率よくラックに搬送することが可能となる。
【0010】
とくに、押出機構は、昇降コンベア部で送り出されたトレイを後方から押してトレイ棚に押し込むが、このように、トレイを後方から押し出す構造によると、卵が載置されたトレイの高さ方向における重心位置の近傍を後方から押圧することで、卵に与える負荷を低減しながら、トレイを安定してトレイ棚に向かって押し出しできる。このように、昇降コンベア部の駆動による移送と、押出機構が押し出すことによる移送とを組み合わせることで、トレイに載置された卵を保護しながら、トレイを速やかに昇降コンベア部からトレイ棚に移送できる。
【0011】
本発明の第2の側面に係るラック搬送装置は、押出機構が、トレイをトレイ搬入口に向かって押し出すプッシャーと、プッシャーを前後方向に往復運動させる往復運動機構とを備えている。往復運動機構は、前後方向に配置されて、プッシャーが固定されたネジ棒と、基台に回転自在に配置されて、ネジ棒が挿通されたナット部材と、ナット部材を回転させる回転機構と、プッシャーに連結されて、プッシャーを前後方向に平行移動させるガイド機構とを備えており、回転機構で回転されるナット部材が、ネジ棒を前進又は後退させてプッシャーを往復運動させる。
【0012】
本明細書において、前後方向とは、ラックに移送されるトレイの移送方向を意味し、左右方向とは、トレイの移送方向に対して直交する水平方向であって、複数列のトレー棚を有するラックの正面視における横幅方向を意味している。
【0013】
上記構成によると、トレイを押し出すプッシャーを前後方向に往復運動させる往復運動機構が、前後方向に配置したネジ棒を挿通したナット部材を回転機構で回転させて、ネジ棒を前進又は後退させてプッシャーを往復運動させるので、プッシャーがトレイを押し出す動作を安定させて、トレイに載置された卵を保護しながら、トレイを速やかに昇降コンベア部からトレイ棚に移送できる。とくに、回転するナット部材でネジ棒を前進させてプッシャーでトレイを押し出すので、トレイを押し出す力を大きくできることに加えて、トレイを押し出す始動時や、押圧時におけるプッシャーの前進動作を滑らかにして、プッシャーで押圧されるトレイに衝撃が加えられるのを低減してトレイに載置された卵を有効に保護できる。例えば、往復運動機構として、ロッドを伸縮させるシリンダ等を使用する場合では、ロッドを押し出す際の押出速度や押出力を細かく調整できず、始動時の衝撃がトレイに加わることで卵が損傷される虞がある。これに対して、回転するナット部材でネジ棒を前進させる構造では、ネジ棒が前進する速度や力を回転機構の回転数で制御でき、トレイに載置された卵を保護しながら、トレイを安定して押し出すことができる。
【0014】
本発明の第3の側面に係るラック搬送装置は、往復運動機構が、プッシャーを後退させた状態で、ネジ棒を、平面視において供給コンベア部の領域内に突出させており、供給コンベア部が、ネジ棒を上下方向に通過させる通過隙間を備えている。
【0015】
上記構成によると、往復運動機構がプッシャーを後退させた状態で、供給コンベア部側に突出するネジ棒を上下方向に通過させる通過隙間を供給コンベア部に設けているので、往復運動機構がプッシャーを後退させた状態においても、供給コンベア部側に突出するネジ棒が供給コンベア部に干渉することなく、押出機構を配置した基台を上下方向に移動させてラックの最下段のトレイ棚から最上段のトレイ棚までトレイを移動できる。このように、供給コンベア部側にネジ棒を突出させる構造の往復運動機構は、ネジ棒の長さを長く設計することが可能となるので、昇降コンベア部からトレイを押し出す際におけるプッシャーの押し出し量を大きくすることができ、トレイを確実にラックのトレイ棚まで押し込むことができる。
【0016】
本発明の第4の側面に係るラック搬送装置は、ガイド機構が、ネジ棒と平行な姿勢でネジ棒に対して上下方向に離間して配置されて、プッシャーに固定されたガイドロッドと、基台に固定されると共に、ガイドロッドが挿通されて、ガイドロッドの前進又は後退を許容するスライドブッシュとを備えており、往復運動機構が、プッシャーを後退させた状態で、ガイドロッドを、平面視において供給コンベア部の領域内に突出させており、供給コンベア部が、ガイドロッドを通過隙間に通過させるようにしている。
【0017】
上記構成によると、プッシャーを平行移動させるガイド機構を、ネジ棒と平行な姿勢でネジ棒の上下に離間して配置したガイドロッドと、ガイドロッドの前進又は後退を許容するように基台に固定されたスライドブッシュとで構成すると共に、往復運動機構がプッシャーを後退させた状態で、供給コンベア部側に突出するガイドロッドを供給コンベア部の通過隙間に通過させるので、往復運動機構がプッシャーを後退させた状態においても、供給コンベア部側に突出するガイドロッドが供給コンベア部に干渉することなく、押出機構を配置した基台を上下方向に移動させてラックの最下段のトレイ棚から最上段のトレイ棚までトレイを移動できる。とくに、ネジ棒とガイドロッドを上下に配置することで、供給コンベア部に設けた1列の通過隙間に対してネジ棒とガイドロッドの両方をスムーズに通過させることができる。
【0018】
本発明の第5の側面に係るラック搬送装置は、記押出機構が、トレイをトレイ搬入口に向かって押し出すプッシャーと、プッシャーを前後方向に往復運動させる往復運動機構とを備えている。往復運動機構は、前後方向に配置されて、基台に回転自在に配置されたネジ棒と、プッシャーに連結されて、ネジ棒が挿通されたナット部材と、ネジ棒を回転させる回転機構と、プッシャーに連結されて、プッシャーを前後方向に平行移動させるガイド機構とを備えており、回転機構で回転されるネジ棒をが、ナット部材を前進又は後退させてプッシャーを往復運動させる。
【0019】
上記構成によると、トレイを押し出すプッシャーを前後方向に往復運動させる往復運動機構が、前後方向に配置したネジ棒を回転機構で回転させて、ネジ棒を挿通したナット部材を前進又は後退させてプッシャーを往復運動させるので、プッシャーがトレイを押し出す動作を安定させて、トレイに載置された卵を保護しながら、トレイを速やかに昇降コンベア部からトレイ棚に移送できる。とくに、回転するネジ棒でナット部材を前進させてプッシャーでトレイを押し出すので、トレイを押し出す力を大きくできることに加えて、トレイを押し出す始動時や、押圧時におけるプッシャーの前進動作を滑らかにして、プッシャーで押圧されるトレイに衝撃が加えられるのを低減してトレイに載置された卵を有効に保護できる。このように、回転するネジ棒でナット部材を前進させる構造では、ナット部材が前進する速度や力を制御でき、トレイに載置された卵を保護しながら、トレイを安定して押し出すことができる。
【0020】
また、以上の構成によると、前後に配置したネジ棒に沿ってナット部材を前進又は後退させてプッシャーを往復運動させるので、基台に連結されるネジ棒の全長を昇降移送部の前後に突出しない長さとすることで、供給側の供給コンベア部や排出側のラックに干渉することなく、基台をスムーズに上下移動できる。
【0021】
本発明の第6の側面に係るラック搬送装置は、回転機構が、サーボモータを備えており、制御部が、サーボモータの回転を制御して、プッシャーが往復運動するストロークと、プッシャーがトレイを押し出す押出速度をコントロールしている。
【0022】
上記構成によると、制御部がサーボモータの回転を制御することでナット部材又はネジ棒の回転数を制御して、ネジ棒又はナット部材の前進や後退を制御するので、プッシャーが往復運動するストロークや、プッシャーがトレイを押し出す押出速度を最適な状態に調整して、トレイに載置された卵を保護しながら、トレイを安全かつ正確にラックの定位置に移送できる。
【0023】
本発明の第7の側面に係るラック搬送装置は、押出機構の往復運動機構がプッシャーを往復運動させるストローク量を、移送対象のトレイの後端がトレイ搬入口まで到達するように、トレイを押し込むことが可能な量としている。
【0024】
上記構成により、ラックのトレイ棚に移送されるトレイを、確実にトレイ搬入口まで押し込んでラック内に搬入できる。とくに、奥行き方向に複数のトレイを挿入可能としたラックに対しては、ラック内に既に搬入されたトレイの手前から、次のトレイを押し込むことで、先のトレイをトレイ棚の奥側に移動させて、手前から順次トレイを継ぎ足すように搬入することが可能となる。
【0025】
本発明の第8の側面に係るラック搬送装置は、押出機構を昇降コンベア部の上方に配置して、押出機構と昇降コンベア部との間には、昇降コンベア部で移送されるトレイを通過させる移送スペースを設けている。プッシャーは、トレイの後端を押圧する押圧部と、押圧部を上下方向に移動させて、移送スペース内に移動させる上下機構とを備えており、制御部は、昇降コンベア部にトレイが供給され、あるいは、トレイを載せた昇降コンベア部が上下に移動される状態では、上下機構が押圧部を上昇させて、移送スペースを開放し、昇降コンベア部がトレイをトレイ搬入口に移送する駆動状態では、上下機構が押圧部をトレイの後方に降下させて、押圧部でトレイをトレイ搬入口に向かって押し出すように押出機構を制御する。
【0026】
上記構成によると、押出機構を昇降コンベア部の上方に配置して、押出機構と昇降コンベア部との間に形成された移送スペースにトレイを通過させる構造とするので、押出機構が供給コンベア部やラックに干渉するのを抑制しながら省スペースに配置できる。また、押出機構がトレイを押し出す際には、トレイの後端を押圧する押圧部を上下機構で移送スペース内に移動させて、押圧部でトレイをトレイ搬入口に向かって押し出すので、プッシャーの押圧部が移送スペースを通過するトレイと干渉するのを確実に防止しながら、押圧部を移送スペース内に移動させてトレイを後方から確実に押し出しできる。
【0027】
本発明の第9の側面に係るラック搬送装置は、昇降コンベア部が、押圧部の降下位置をトレイが通過したことを検出する通過センサーを備えており、制御部が、通過センサーからトレイ通過信号が入力されたことを検出して、上下機構を駆動して押圧部を移送スペース内に降下させるように制御する。
【0028】
上記構成によると、押圧部の降下位置をトレイが通過したことを検出する通過センサーを備え、通過センサーからトレイ通過信号が入力されたことを検出して、上下機構を駆動して押圧部を移送スペース内に降下させるので、昇降コンベア部を移送されるトレイに押圧部が接触する事態を確実に回避して、トレイに載置された卵を保護しながら、トレイを安全に移送できる。
【0029】
本発明の第10の側面に係るラック搬送装置は、供給コンベア部が、セット領域を供給側の端部に備えて、セット領域にセットされたトレイを排出側に移送するセットコンベア部と、セットコンベア部の排出側であって、昇降移送部の供給側に配置されて、セットコンベア部から移送されるトレイを、昇降コンベア部に供給する待機コンベア部とを備えている。制御部は、昇降コンベア部がトレイ受取位置に停止した状態で、待機コンベア部から昇降コンベア部にトレイを移送するように制御し、昇降コンベア部がトレイ受取位置から離れた状態では、待機コンベア部のトレイ待機位置でトレイを待機させるように制御する。
【0030】
上記構成によると、供給コンベア部をセットコンベア部と待機コンベア部とで構成すると共に、昇降コンベア部がトレイ受取位置に停止した状態で、待機コンベア部から昇降コンベア部にトレイを移送し、昇降コンベア部がトレイ受取位置から離れた状態では、待機コンベア部に次のトレイを移送した状態で待機させるので、昇降コンベア部がトレイ受取位置に到着したタイミングで、待ち時間なく待機コンベア部から昇降コンベア部にトレイを供給でき、多数のトレイを搬送する際のタクトタイムを短くできる。昇降移送部は、昇降コンベア部を上下に移動することでトレイをトレイ受取位置からトレイ送出位置に移動させるので、搬入対象となるトレイ搬入口のトレイ送出位置まで移動した昇降コンベア部がトレイ受取位置に復帰するまでの間に待機コンベア部に次のトレイを移送して待機させることで、供給コンベア部から昇降移送部へトレイを移送する際の待ち時間をゼロにして、多数のトレイを搬送する際のタクトタイムを最短にできる。また、供給コンベア部をセットコンベア部と待機コンベア部に分けることで、待機コンベア部が昇降コンベア部の到着を待つ待機状態においても、セットコンベア部側で、次に待機コンベア部に移送するトレイの供給準備を進めることで、待機コンベア部へのトレイの移送を効率よく行うことができる。
【0031】
本発明の第11の側面に係るラック搬送装置は、セットコンベア部、待機コンベア部、及び昇降コンベア部が、移送されるトレイの両側部に対向して配設されて、上面に配置されるトレイを移送する無縁軌道状のコンベアベルトと、コンベアベルトを駆動する駆動輪と、駆動輪を回転駆動させる回転駆動機構と、コンベアベルトに沿って配設されて、トレイの移送方向を特定する移送ガイド部と備えている。セットコンベア部、待機コンベア部、及び昇降コンベア部は、平面視において直線上に配置されて、トレイの移送軌跡を一直線状としている。制御部は、セットコンベア部から待機コンベア部にトレイを移送する際に、セットコンベア部のコンベアベルトと待機コンベア部のコンベアベルトを駆動し、待機コンベア部から昇降コンベア部にトレイを移送する際に、待機コンベア部のコンベアベルトと昇降コンベア部のコンベアベルトを駆動するように制御する。
【0032】
上記構成によると、トレイの移送軌跡が平面視において一直線状となるように、セットコンベア部、待機コンベア部、及び昇降コンベア部を直線上に配置することで、セットコンベア部から待機コンベア部に、また待機コンベア部から昇降コンベア部に、トレイをスムーズに移送できる。さらに、セットコンベア部から待機コンベア部にトレイを移送する際には、セットコンベア部と待機コンベア部の両方のコンベアベルトを駆動して移送し、待機コンベア部から昇降コンベア部にトレイを移送する際には、待機コンベア部と昇降コンベア部の両方のコンベアベルトを駆動して移送することで、トレイに載置された卵に加わる振動等の障害を低減しながら、トレイを安全かつ確実に移送できる。
【0033】
本発明の第12の側面に係るラック搬送装置は、セットコンベア部は、排出側の端部に、待機コンベア部に供給するトレイを一時的に待機させることが可能な調整領域を備えると共に、調整領域の排出側であって、平面視においてトレイの移送軌跡上に配置されて、トレイの進行を停止する可動式の第2ストッパと、調整領域におけるトレイの有無を検出する第2センサーとを備えている。待機コンベア部は、トレイ待機位置の排出側であって、平面視においてトレイの移送軌跡上に配置されて、トレイの進行を停止する可動式の待機ストッパと、トレイ待機位置におけるトレイの有無を検出する待機センサーとを備えている。制御部は、第2センサーからの信号で、調整領域にトレイが未セット状態であることを検出し、あるいは、待機センサーからの信号で、トレイ待機位置においてトレイが待機状態にあることを検出すると、第2ストッパをオン状態に保持して、調整領域から待機コンベア部へのトレイの移送を保留し、第2センサーからの信号で、調整領域にトレイがセットされたことを検出すると共に、待機センサーからの信号で、トレイ待機位置からトレイが排出されたことを検出すると、第2ストッパを解除すると共に、セットコンベア部のコンベアベルトと前記待機コンベア部のコンベアベルトを駆動して、調整領域から待機コンベア部にトレイを移送するように制御する。
【0034】
上記構成によると、セットコンベア部の排出側の端部に、トレイを一時的に待機させることが可能な調整領域を設けて、待機コンベア部にトレイがある状態では、調整領域から待機コンベア部へのトレイの移送を保留し、トレイを調整領域で一時的に待機させて、待機コンベア上でトレイ同士が干渉するのを防止し、待機コンベア部にトレイがない状態では、調整領域から待機コンベア部へのトレイの移送を許容することで、調整領域から待機コンベア部に能率よく、かつ安全にトレイを移送できる。このように、セットコンベア部から待機コンベア部に能率よく次々とトレイを移送することで、待機コンベア部において、昇降コンベア部に供給するトレイが常に待機状態となるようにトレイを供給することが可能となり、待機コンベア部から昇降コンベア部に待ち時間なくトレイを供給でき、多数のトレイを搬送する際のタクトタイムを最短にできる。
【0035】
本発明の第13の側面に係るラック搬送装置は、さらに、セットコンベア部が、セット領域の排出側であって、平面視においてトレイの移送軌跡上に配置されて、トレイの進行を停止する可動式の第1ストッパと、セット領域におけるトレイの有無を検出する第1センサーと、セット領域において、トレイをセットするユーザーの手の有無を検知する安全センサーとを備えている。制御部は、第1センサーからの信号で、セット領域にトレイが未セット状態であることを検出し、あるいは、第2センサーからの信号で、調整領域においてトレイが待機状態にあることを検出し、あるいはまた、安全センサーからの信号で、セット領域内にユーザーの手があることを検出すると、第1ストッパをオン状態に保持して、セット領域から調整領域へのトレイの移送を保留し、第1センサーからの信号で、セット領域にトレイがセットされたことを検出すると共に、第2センサーからの信号で、調整領域からトレイが排出されたことを検出し、かつ、安全センサーからの信号で、セット領域からユーザーの手が離れたこと検出すると、第1ストッパを解除すると共に、セットコンベア部のコンベアベルトを駆動して、セット領域から調整領域にトレイを移送するように制御する。
【0036】
上記構成によると、セットコンベア部の調整領域にトレイがある状態では、セット領域から調整領域へのトレイの移送を保留し、トレイをセット領域で待機させて、セットコンベア部上でトレイ同士が干渉するのを防止し、調整領域にトレイがない状態であって、かつ、セット領域からユーザーの手が離れたことを検出すると、セット領域から調整領域へのトレイの移送するので、調整領域から待機コンベア部に能率よく、かつ安全にトレイを移送できる。このように、セットコンベア部から待機コンベア部に能率よく次々とトレイを移送することで、待機コンベア部において、昇降コンベア部に供給するトレイが常に待機状態となるようにトレイを供給することが可能となり、待機コンベア部から昇降コンベア部に待ち時間なくトレイを供給でき、多数のトレイを搬送する際のタクトタイムを最短にできる。
【0037】
本発明の第14の側面に係るラック搬送装置は、移送対象のトレイとして、平面視における外形が矩形状であって、複数の卵を縦横に並べて収納する複数の収納部を形成してなるトレイ本体と、トレイ本体の四隅部に上下に突出して設けた連結ボスとを備えて、連結ボスを介して上下に積層可能に構成してなるトレイを搬送する。セットコンベア部及び待機コンベア部は、移送ガイド部を、移送されるトレイの両側面に沿って形成されたガイド壁とすると共に、移送されるトレイの両側部に対向して配置されたコンベアベルト同士の間隔を、トレイの両側部において下方に突出する左右の連結ボスの間隔と等しくしており、ガイド壁でトレイの移送方向を特定しながら、トレイの下方に突出する連結ボスをコンベアベルトに載せてトレイを移送する。
【0038】
上記構成によると、平面視矩形状のトレイの両側面に沿って設けたガイド壁でトレイの移送方向を特定しながら、トレイ本体の四隅部から下に突出する連結ボスをコンベアベルトに載せてトレイを移送するので、コンベアベルトで移送されるトレイをガイド壁に沿って正確に移送できる。とくに、移送ガイド部をトレイの両側面に沿って設けたガイド壁とするので、セット領域において、トレイをセットする際に、トレイの両側面とガイド壁とを視認しながら、簡単かつ確実に位置決めしながらセットできる。また、下方に突出する連結ボスをコンベアベルトに載せて移送するので、トレイとコンベアベルトとの接触抵抗を小さくして、トレイのセット時において、トレイとコンベアベルトとの相対的な位置ずれを簡単に修正できる。
【0039】
本発明の第15の側面に係るラック搬送装置は、移送対象のトレイとして、平面視における外形が矩形状であって、複数の卵を縦横に並べて収納する複数の収納部を形成してなるトレイ本体と、トレイ本体の四隅部に上下に突出して設けた連結ボスとを備えて、連結ボスを介して上下に積層可能に構成してなるトレイを搬送する。昇降コンベア部は、移送ガイド部を、トレイの両側部において下方に突出する左右の連結ボスの外側面同士または内側面同士に沿ってトレイの移送方向に延長されたガイド壁とすると共に、移送されるトレイの両側部に対向して配置されたコンベアベルト同士の間隔を、トレイ本体の両側部の下面を支持可能な間隔としており、ガイド壁でトレイの移送方向を特定しながら、トレイ本体の下面をコンベアベルトで支持して、トレイを移送する。
【0040】
上記構成によると、トレイの両側部から下方に突出する左右の連結ボスに沿って設けたガイド壁でトレイの移送方向を特定しながら、トレイ本体の下面をコンベアベルトで支持する状態でトレイを移送するので、トレイをコンベアベルトで安定して支持しながらガイド壁に沿って正確に移送できる。とくに、平面視矩形状のトレイ本体の両側の下面をコンベアベルトで支持するので、トレイをガタつかせることなくより安定して支持できる。このことは、卵が載置されたトレイを載せた状態で、昇降機構によって上下動される昇降コンベアにとって、衝撃等で割れやすい卵を保護する点からも重要であり、多数の卵が載置されたトレイを安全に上下に移動しながら確実に移送できる。
【0041】
本発明の第16の側面に係るラック搬送装置は、セットコンベア部及び待機コンベア部が、コンベアベルトをブロックチェーンとし、ブロックチェーンを駆動する駆動輪を、スプロケットとしている。
【0042】
上記構成によると、セットコンベア部及び待機コンベア部のコンベアベルトをブロックチェーンとするので、コンベアベルトの摩耗や損傷を抑制して長寿命にでき、ランニングコストを低減できる。また、コンベアベルトの全長を長く設計する際にも、経時的な伸縮を低減して長期間にわたって安定して使用できる。
【0043】
本発明の第17の側面に係るラック搬送装置は、昇降コンベア部が、コンベアベルトをプラスチック製又はゴム製の丸ベルトとし、丸ベルトを駆動する駆動輪を、プーリとしている。
【0044】
上記構成によると、昇降コンベア部のコンベアベルトをプラスチック製又はゴム製の丸ベルトとするので、コンベアベルトとの接触抵抗を大きくしてコンベアベルトでトレイを移送する際のスリップを低減しながら確実に移送できる。また、昇降コンベア部が昇降機構で上下動する際においても、トレイの横すべりを抑制して安定して移動できる。
【0045】
本発明の第18の側面に係るラック搬送装置は、トレイの搬入対象となるラックを、複数段のトレイ棚を傾斜させて、トレイに載置された卵を転卵可能な傾斜機構を有するラックとしており、昇降移送部の排出側に、ラックを配置するためのラック配置領域を設けて、ラック配置領域に、ラックを昇降移送部に対して定位置に固定するラック固定機構と、ラックのトレイ棚の傾斜を阻止する転卵ロック機構とを備えている。
【0046】
上記構成によると、ラック配置領域に配置されるラックを、ラック固定機構を介して、昇降移送部に対して定位置に固定しながら、転卵ロック機構でトレイ棚の傾斜を阻止するので、ラックの各トレイ棚に対してトレイを搬入する際に、トレイ棚が位置ずれしたり傾動するのを確実に防止して、卵が載置されたトレイを安全にトレイ棚に搬入できる。
【0047】
本発明の第19の側面に係るラック搬送装置は、供給コンベア部及び昇降移送部が、トレイの移送方向に複数列に区画された搬送レーンを形成しており、制御部が、各搬送レーンのセット領域にセットされたトレイを、搬入対象となるトレイ棚まで同時に搬送するように、供給コンベア部及び昇降移送部を制御する。
【0048】
上記構成によると、供給コンベア部及び昇降コンベア部を、トレイの移送方向に設けた複数列の搬送レーンで区画することで、複数列のトレイ棚を有するラックに対して、複数列の搬送レーンを使用して、各搬送レーンにセットされたトレイを同時に移送することで短時間で効率よく、しかも正確にラックの各トレイ棚にトレイを搬入できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明の一実施形態に係るラック搬送装置を側面側から見た垂直断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るラック搬送装置の平面図である。
図3】卵を載置するトレイの一例を示す斜視図である。
図4図3に示すトレイの垂直断面図である。
図5】トレイを搬入するラックの一例を示す正面図である。
図6図5に示すラックのトレイ棚を示す拡大正面図である。
図7図1に示すラック搬送装置の供給コンベア部と昇降コンベア部を示す水平断面図である。
図8図1に示すラック搬送装置の供給コンベア部と昇降コンベア部を示す概略構成図である。
図9図1に示すラック搬送装置の昇降移送部の正面図である。
図10図2に示すラック搬送装置の昇降移送部のX-X線断面図である。
図11】セットコンベア部の拡大断面図である。
図12】昇降コンベア部の拡大断面図である。
図13】昇降コンベア部と押出機構がトレイをトレイ棚に移送する工程を示す工程図である。
図14】押出機構の他の一例を示す図であって、トレイをトレイ棚に移送する工程を示す工程図である。
図15】本発明の一実施形態に係るラック搬送装置がラックにトレイを搬送する工程を示すフローチャーである。
図16】本発明の一実施形態に係るラック搬送装置がラックにトレイを搬送する工程を示すフローチャーである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに限定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0051】
本発明の実施形態に係る卵用トレイのラック搬送装置は、卵を載置した複数のトレイをラックに搬入する搬送装置である。とくに、ラックとして、好ましくは、有精卵である種卵を複数個載置したトレイを、多段多列に収納可能なラックが使用される。このラックは、複数のトレイ棚にトレイがセットされた状態で孵卵器(孵卵室)に搬入されて、各トレイに収納された種卵を孵化させるために使用される。ただ、本発明のラック搬送装置は、搬送するトレイに載置する卵を種卵には限定せず、また、トレイを搬入するラックを孵卵器(孵卵室)に搬入するためのラックに限定しない。
【0052】
[実施形態1]
本発明の一実施形態に係る卵用トレイのラック搬送装置を図1図2に示す。図1はラック搬送装置を側面から見た断面図を、図2はラック搬送装置の平面図をそれぞれ示している。これらの図に示す卵用トレイのラック搬送装置100は、ユーザーによって移送対象のトレイ9がセットされる供給コンベア部1と、供給コンベア部1から移送されるトレイ9を上下方向に移動して、排出側にセットされるラック8の搬入対象となるトレイ棚81に移送する昇降移送部2とを備えている。このラック搬送装置100は、高さ方向に複数段のトレイ棚81を備えて、各段毎にトレイ搬入口82を開口させたラック8を昇降移送部2の排出側の定位置に固定した状態で、ユーザーによって供給コンベア部1のセット領域18に供給されるトレイ9を、供給コンベア部1と昇降移送部2とを介して搬入対象となるトレイ棚81に搬入する。本発明のラック搬送装置100は、トレイ9に載せる卵の種類やトレイ9の形状、ラック8の構造や用途を限定するものではないが、移送対象となるトレイ9や、トレイ9の搬入対象となるラック8を以下の構造とすることができる。
【0053】
(トレイ9)
ラック搬送装置100は、移送対象のトレイ9として、所定の形状に成形されたトレイ9を使用することができる。ラック搬送装置100で移送するトレイ9の一例を図3図4に示す。図3及び図4のトレイ9は、複数の卵を縦横に並べて収納する複数の収納部94を形成してなるトレイ本体90と、トレイ本体90の四隅部に上下に突出して設けた連結ボス97とを備えている。この構造のトレイ9は、複数に区画された収納部94に卵を収納した状態で、トレイ本体90から上下に突出する連結ボス97を介して、複数のトレイ9を上下に積層可能としている。
【0054】
トレイ本体90は、平面視における全体の外形を矩形状とする形状にプラスチックで成形されている。トレイ本体90は、矩形状の水平プレート部91の外周に沿って外周壁92を設けると共に、外周壁92の内側領域であって水平プレート部91の上面に、格子状に交差する複数の区画壁93を設けて、縦横に分割された複数の収納部94に区画している。各々の収納部94は、セットされる卵を安定して保持するために、卵の下端部を表出させる貫通穴95を水平プレート部91に開口すると共に、卵の周囲を保持するための保持壁96を四方に設けている。保持壁96は、区画壁93や外周壁92から上方に突出して、卵の外周面を支持するように一体成形されている。収納部94に収納される卵は、下端部が貫通穴95に案内されて位置決めされると共に、四方に配置された保持壁96により、外側にこぼれないように保持される。
【0055】
図3及び図4に示すトレイ9は、上下に積層されるトレイ9同士を所定の間隔で離して連結するための連結ボス97をトレイ本体90の四隅部に設けている。図に示す連結ボス97は、水平プレート部91から上方に突出する上部連結ボス97Aと、水平プレート部91から下方に突出する下部連結ボス97Bとで構成している。上部連結ボス97Aと下部連結ボス97Bは、区画壁93の交点に位置して、上下の対向する位置に一体成形されている。上部連結ボス97Aは、円柱状であって、各収納部94に収納される卵の上端よりも上方に突出する高さを有している。下部連結ボス97Bは、円柱状であって、収納部94に収納されて、貫通穴95から下方に突出する卵の下端よりも下方に突出する高さとしている。さらに、連結ボス97は、下部連結ボス97Bの下端面に嵌合凹部97bを形成しており、上部連結ボス97Aの上端面には、嵌合凹部97bに嵌入される嵌合凸部97aを形成している。
【0056】
以上の構造のトレイ9は、各収納部94に卵を収納した状態で互いに積層状態に連結できる構造としている。上下に積層されるトレイ9は、下方に配置されるトレイ9の上部連結ボス97Aの嵌合凸部97aが、上方に配置されるトレイ9の下部連結ボス97Bの嵌合凹部97bに案内される状態で互いに積層される。この構造のトレイ9は、各収納部94に収納した卵の下端が、下方に積層されるトレイ9の卵や床面に接触することなく、また、各収納部94に収納した卵の上端が、上方に積層されるトレイ9の卵やトレイ本体90に接触することなく安定して保持される。
【0057】
図3に示すトレイ9は、平面視における外形を正方形状としている。図3のトレイ9は、外周壁92の内側に、5×5枚の区画壁93を縦横に設けて、6×6個の収納部94を形成しており、最大で36個の卵を収納できる構造としている。このように、外形を正方形状とするトレイ9は、前後左右の方向性なくセットしながら移送できる特長がある。ただ、トレイ9は、平面視における外形を長方形状とすることできる。また、平面視矩形状のトレイ9は、四隅部として、最も外側に形成された区画壁93同士の交点に連結ボス97を設けている。この構造のトレイ9は、四隅部に形成される連結ボス97により、上下に積層されるトレイ9同士を安定して支持できる構造としている。
【0058】
(ラック8)
ラック8は、高さ方向に複数段のトレイ棚81を備えると共に、各段毎に、トレイ9をトレイ棚81に挿入するためのトレイ搬入口82を開口している。図1図2、及び図5に示すラック8は、直方体形状の外観に枠組みされた本体枠80と、この本体枠80の下面の四隅部のに設置されたキャスター88とを備えている。本体枠80は、種卵が載置された多数のトレイ9を多段多列に収納するトレイ棚81を内部に設けている。卵を載置したトレイ9は、搬入対象となるトレイ棚81に搬送されて定位置に配置される。
【0059】
各トレイ棚81は、図2図5、及び図6に示すように、前後方向に離間して配置された支持フレーム83と、前後の支持フレーム83を連結するガイドフレーム84とで構成している。支持フレーム83は、左右に延長された直線部83Aの両端部を上方に湾曲して立上部83Bを設けている。ガイドフレーム84は、断面視L字状としており、支持フレーム83の直線部83Aの両端部に、互いに平行な姿勢で固定されている。断面視をL字状とするガイドフレーム84は、直線部83Aに固定される水平部84Aに対して垂直な姿勢で起立する垂直部84Bをトレイ9の下部連結ボス97Bを位置決めするガイドとしている。したがって、一対のガイドフレーム84は、対向する垂直部84Bが、トレイ9の下面から突出する左右に離れた下部連結ボス97Bの左右の外側面に沿って前後方向に延長される姿勢となるように支持フレーム83に固定している。ただ、一対のガイドフレーム84は、トレイ9の下方に突出する左右の下部連結ボス97Bの内側面に沿って配置することもできる。また、垂直部94Bの高さは、下部連結ボス97Bの突出量よりも高くしており、左右のガイドフレーム84の垂直部84Bの上端縁でトレイ9の水平プレート部91を支持しながら摺動できるようにしている。この構造のトレイ棚81は、一対のガイドフレーム84の間にトレイ9の下部連結ボス97Bを案内しながら、ガイドフレーム84の上端縁に沿ってトレイ9の下面を摺動させて、トレイ棚81にトレイ9を挿入できるようにしている。
【0060】
さらに、ラック8は、複数段のトレイ棚81を傾斜させて、トレイ9に載置された卵を転卵させる傾斜機構85を備えている。この傾斜機構85は、卵の内部で黄身が殻に付着しないようにするために、トレイ9を傾けるための機能である。図5に示すラック8は、上下に配置される複数段のトレイ棚81の両端を左右の上下ロッド86で連結すると共に、一方の上下ロッド86に対して他方の上下ロッド86を上下に移動させることで、上下に配列された複数のトレイ棚81を同時に傾斜できる構造としている。各トレイ棚81の支持フレーム83と上下ロッド86との連結部分は、ピン等の回動自在な連結具87を介して連結されており、左右いずれかの上下ロッド86を上下に移動させることで上下に配置された全ての支持フレーム83を傾動できるようにしている。
【0061】
さらに、ラック8は、下面の四隅部に設置されたキャスター88を備えており、このキャスター88により床の上を走行させて移動可能としている。卵が載置されたトレイ9がセットされたラック8は、その後、孵卵器(孵卵室)に移動されて、所定の温度環境のもとで卵が孵化される。
【0062】
図1図2、及び図5に示すラック8は、上下15段にトレイ棚81を設けると共に、各段において、左右に3列にトレイ棚81を設けて、全体で15段3列にトレイ棚81を設けている。さらに、各トレイ9は前後方向に4個のトレイ9を収納可能な奥行きとしており、1基のラック8で、最大180個のトレイ9を収納できる構造としている。ただ、ラック8に設けるトレイ棚81の数は、種々に変更することができる。例えば、上下の段数や、左右に設ける列数、前後の奥行きは、孵卵器(孵卵室)の容積に応じて最適となるように設計される。
以下、15段3列のトレイ棚81を有するラック8にトレイ9を搬送するラック搬送装置100であって、トレイ9に種卵を載置し、種卵が載置されたトレイ9をラック8のトレイ棚81に搬送するラック搬送装置100について詳述する。
【0063】
(ラック搬送装置100)
図1図2、及び図7図10に示すラック搬送装置100は、移送対象のトレイ9をセットするセット領域18を有する供給コンベア部1と、供給コンベア部1の排出側に配置されて、供給コンベア部1から移送されるトレイ9を上下方向に移動して、排出側にセットされるラック8の搬入対象となるトレイ棚81に移送する昇降移送部2と、供給コンベア部1と昇降移送部2の動作を制御する制御部6とを備えている。昇降移送部2は、供給コンベア部1から移送されるトレイ9をトレイ受取位置TRで受け取ると共に、受け取ったトレイ9をトレイ送出位置TSにおいてトレイ搬入口82に送り出す昇降コンベア部3と、昇降コンベア部3でトレイ搬入口82に送り出されたトレイ9を押し出してトレイ棚81に移送する押出機構4と、昇降コンベア部3及び押出機構4が配置された基台50と、基台50を上下方向に移動させて、昇降コンベア部3に移送されたトレイ9をトレイ受取位置TRからトレイ送出位置TSまで移動させる昇降機構5とを備えている。制御部6は、昇降コンベア部3がトレイ送出位置TSでトレイ9をトレイ搬入口82に送り出す駆動状態で、押出機構4がトレイ9を後方から押してトレイ棚81に押し込むように制御している。
【0064】
ラック搬送装置100は、図7の拡大水平断面図、及び図8の概略構成図に示すように、供給コンベア部1及び昇降移送部2が、トレイ9の移送方向に複数列に区画された搬送レーン7を形成しており、制御部6が、各搬送レーン7のセット領域18にセットされたトレイ9を、搬入対象となるトレイ棚81まで同時に搬送するように、供給コンベア部1及び昇降移送部2を制御している。図7に示すラック搬送装置100は、第1レーン7A、第2レーン7B、及び第3レーン7Cからなる3列の搬送レーン7を備えている。このように3列の搬送レーン7を備えるラック搬送装置100は、一度に最大で3個のトレイ9を同時に搬送できるので、1回の搬送工程でラック8の任意の段における3列のトレイ棚81に対して同時にトレイ9を搬入できる。ただ、ラック搬送装置100は、必ずしも3列の搬送レーン7を全て使用して、毎回3個のトレイ9を搬送する必要はなく、ラック8への搬入予定に基づいて、1~3個のトレイ9を選択的に搬送することができる。
【0065】
また、ラック搬送装置100は、搬送レーン7の数を3列に特定するものではなく、搬送レーンを1列とすることも、2列とすることも、あるいは4列以上とすることもできる。例えば、ラック搬送装置100は、ラック8が左右方向に有するトレイ棚81の列数に応じて搬送レーン7の数を変更することができる。ここでは、3列のトレイ棚81を有するラック8に対して、3列の搬送レーン7を有するラック搬送装置100でトレイ9を搬送する例を示している。
【0066】
以下、ラック搬送装置100を構成する供給コンベア部1及び昇降移送部2がトレイ9を搬送する構造について、単一の搬送レーン7について詳述する。したがって、複数列の搬送レーン7を備えるラック搬送装置100においては、各搬送レーン7における構成を左右に複数列に配置することにより実現される。
【0067】
(供給コンベア部1)
供給コンベア部1は、図7及び図8に示すように、昇降移送部2の供給側に配置されおり、ユーザーによってセット領域18にセットされるトレイ9を、昇降移送部2に移送して供給する。供給コンベア部1は、セット領域18を供給側の端部に備えて、セット領域18にセットされたトレイ9を排出側に移送するセットコンベア部10と、セットコンベア部10の排出側であって、昇降移送部2の供給側に配置されて、セットコンベア部10から移送されるトレイ9を、昇降コンベア部3に供給する待機コンベア部20とを備えている。図7のラック搬送装置100は、セットコンベア部10、待機コンベア部20、及び昇降コンベア部3を、平面視において直線上に配置して、各搬送レーン7におけるトレイ9の移送軌跡が一直線状となるようにしている。
【0068】
(セットコンベア部10)
図7図8、及び図11に示すセットコンベア部10は、移送されるトレイ9の両側部に対向して配設されて、上面に配置されるトレイ9を移送する無縁軌道状のコンベアベルト11と、コンベアベルト11が掛けられると共に、コンベアベルト11を駆動する駆動輪12と、駆動輪12を回転駆動させる回転駆動機構13と、コンベアベルト11に沿って配設されて、トレイ9の移送方向を特定する移送ガイド部15とを備えている。
【0069】
(コンベアベルト11、駆動輪12)
セットコンベア部10は、コンベアベルト11をブロックチェーン11Aとし、ブロックチェーン11Aを駆動する駆動輪12を、スプロケット12Aとしている。ブロックチェーン11Aは、多数のプラスチック製ブロックを金属製の連結ピンを介して直線状に連結している。連結ピンは、互いに隣接するブロック同士を回動自在に連結している。複数のブロックを直線状に連結してなるチェーンは、両端を連結して全体を無限軌道状として、所定の長さとなるように構成している。ブロックチェーン11Aであるコンベアベルト11は、連結するブロックの個数を調整してコンベアベルト11の長さを調節できる特長がある。また、耐久性に優れると共に、損傷した場合には、損傷部分のみを交換して簡単にメンテナンスできる。
【0070】
(チェーンガイド14)
さらに、図8図11に示すセットコンベア部10は、前後に配置されたスプロケット12Aに掛けられて、細長いトラック形状に配置されるコンベアベルト11の上側の直線部を下方から支持するチェーンガイド14を備えている。図に示すチェーンガイド14は、前後のスプロケット12Aの間に配置されており、上面側を凹部形状としてブロックチェーン11Aを凹部の内側に案内して支持できるようにしている。
【0071】
(回転駆動機構13)
回転駆動機構13は、図11に示すように、駆動モータ13Aと、この駆動モータ13Aの回転を駆動輪12に伝達する駆動伝達機構13Bとを備えている。駆動モータ13Aには、サーボモータを使用することができる。この回転駆動機構13は、制御部6でサーボモータの回転を制御することで、コンベアベルト11の駆動状態を細かく制御できる。ただ、セットコンベア部10の駆動モータ13Aには、サーボモータに変わって回転のON・OFFのみを制御可能なモータも使用できる。駆動伝達機構13Bは、駆動モータ13Aの回転を駆動輪12に伝達するための機構であって、駆動モータ13Aの回転軸に固定された駆動プーリ13aと、スプロケット12Aの駆動軸13dに固定された従動プーリ13bと、駆動プーリ13aと従動プーリ13bに掛けられたタイミングベルト13cとを備えている。回転駆動機構13は、駆動モータ13Aの回転を、駆動プーリ13a、タイミングベルト13c、従動プーリ13b、及び駆動軸13dを介してスプロケット12Aに伝達し、回転するスプロケット12Aを介してブロックチェーン11Aを駆動する。
【0072】
(移送ガイド部15)
移送ガイド部15は、移送されるトレイ9の両側に沿って配置されたガイド壁15Aとしている。図11の移送ガイド部15は、対向するガイド壁15Aの間隔(G1)をトレイ9の幅(w)とほぼ等しくし、正確にはやや大きくして、トレイ9をガイド壁15Aの内側面に沿ってスムーズに移送できるようにしている。図7に示す移送ガイド部15は、セットコンベア部10のセット領域18から待機コンベア部20の排出側の端部まで延長されており、セットコンベア部10及び待機コンベア部20で移送されるトレイ9を、セット領域18から待機コンベア部20の排出側まで案内できるようにしている。さらに、図7に示す移送ガイド部15は、各搬送レーン7の両側に設けた一対のガイド壁15Aの供給側の端部を平面視においてハの字状に折曲しており、セット領域18において搬送レーン7毎に形成されたセット位置18A、18B、18Cにトレイ9を案内しやすくしている。
【0073】
以上のセットコンベア部10は、図11に示すように、移送されるトレイ9の両側部に対向して配置されるコンベアベルト11同士の間隔(D1)を、トレイ9の両側部において下方に突出する左右の連結ボス97(下部連結ボス97B)の間隔(d1)と等しくしており、トレイ9の下方に突出する連結ボス97をコンベアベルト11に載せてトレイ9を移送する構造としている。ここで、コンベアベルト11同士の間隔(D1)は、トレイ9の両側部に対向して配置されるコンベアベルト11同士の中心間距離を意味しており、連結ボス97同士の間隔(d1)は、トレイ9の両側部の下方に突出する左右の連結ボス97の中心間距離を意味している。この構造のセットコンベア部10は、移送されるトレイ9の両側面に沿って形成されたガイド壁15Aでトレイ9の移送方向を特定しながら、コンベアベルト11でトレイ9を移送する。ただ、コンベアベルト11同士の間隔(D1)は、左右のコンベアベルト11の上面に左右の連結ボス97を載置して移送できる範囲内であれば、連結ボス97同士の間隔(d1)よりも広くし、あるいは狭くしてもよい。
【0074】
(セット領域18)
セットコンベア部10は、供給側の端部に、卵が載置されたトレイ9をセットするセット領域18を備えている。セット領域18は、ユーザーによりトレイ9がセットされる領域であって、セットコンベア部10の各レーン7の端部に設定されたトレイ9のセット位置18A、18B、18Cを含んでいる。さらに、セットコンベア部10は、セット領域18の排出側であって、平面視においてトレイ9の移送軌跡上に配置されて、トレイ9の進行を停止する可動式の第1ストッパ71と、セット領域18におけるトレイ9の有無を検出する第1センサー75と、セット領域18において、トレイ9をセットするユーザーの手の有無を検知する安全センサー16とを備えている。
【0075】
(第1ストッパ71)
第1ストッパ71は、コンベアベルト11で移送されるトレイ9の前方にストッパ壁を突出させて、トレイ9を停止させる停止ストッパ70としている。図11に示す停止ストッパ70は、トレイ9の前端面に当接してトレイ9の移送を停止するストッパ壁70Aと、トレイ9の移送軌跡の下方に配置されて、ストッパ壁70Aを上下に往復運動させるシリンダ部70Bと、ストッパ壁70Aを水平な姿勢で上下に平行移動させるガイド部70Cとを備えている。シリンダ部70Bは、エアーシリンダで、ロッドを上下方向に伸縮できるように垂直姿勢で配置されている。ガイド部70Cは、上下方向に配置されたガイドロッドと、このガイドロッドを上下方向にスライドできるように挿通してなるスライドブッシュとを備えている。図11の停止ストッパ70は、シリンダ部70Bの両側に一対のガイド部70Cを備えており、シリンダ部70Bとガイド部70Cとを一体的に連結している。さらに、停止ストッパ70は、シリンダ部70Bのロッドの先端とガイドロッドの上端を、左右方向に延長された連結プレート70Dで連結している。連結プレート70Dは、金属製の細長い平板で、上面にストッパ壁70Aを左右方向に延在する姿勢で固定している。
【0076】
停止ストッパ70である第1ストッパ71は、シリンダ部70Bが制御部6に制御されて、ストッパ壁70Aを上下に往復運動させる。第1ストッパ71は、シリンダ部70Bがロッドを伸長させる状態では、連結プレート70Dが水平姿勢で上昇して、セット領域18の排出側にストッパ壁70Aを突出させる。第1ストッパ71は、セット領域18の排出側に突出するストッパ壁70Aをトレイ9の前端面に当接させて、トレイ9の移送を停止する。また、ユーザーがトレイ9をセット位置18Aにセットする際には、突出するストッパ壁70Aを位置決め部材に兼用することで、セットされるトレイ9の前端面をストッパ壁70Aに当接させてトレイ9をセット位置18Aに正しく配置できる。さらに、第1ストッパ71は、シリンダ部70Bがロッドを収縮させる状態では、連結プレート70Dが水平姿勢で降下して、ストッパ壁70Aがトレイ9の移送軌跡の下方に収納される。この状態で、コンベアベルト11が駆動されてトレイ9が移送される。
【0077】
(第1センサー75)
第1センサー75は、セット領域18におけるトレイ9の有無を検出するセンサーで、例えば、光電センサーが使用できる。第1センサー75は、各搬送レーン7のセット位置18A、18B、18Cの下方に配置されており、上方に向かって光を照射して各セット位置18A、18B、18Cにトレイ9がセットされているかどうかを検出して、トレイ9のセット状態を示す信号を制御部6に出力する。各第1センサー75は、例えば、セット位置18A、18B、18Cにトレイがセットされたことを検出するとセット完了信号を出力する。
【0078】
ここで、制御部6は、各第1センサー75から入力されるセット信号及び未セット信号でセット領域におけるトレイ9のセット状態を判定する、制御部6は、いずれかのセット位置18A、18B、18Cにトレイが正しくセットされていない状態では、トレイ9が未セット状態であると判定する。制御部6は、前述のパイロットランプ17で表示されたセット位置18A、18B、18Cにトレイが正しくセットされた状態で、トレイ9がセット完了であると判定する。
【0079】
(安全センサー16)
安全センサー16は、セット領域18の上方に位置して前後方向に延長して配置されたスクリーンセンサーで、セット領域18内で作業するユーザーの手を感知して制御部6に信号を伝送する。図7図8に示す安全センサー16は、セットコンベア部10の左右に水平姿勢で配置された一対のセンサーユニットを備えており、各センサーユニットは、前後に離間して複数の光電センサーを備えている。この安全センサー16は、照射部から照射される光を対向する受光部で受光することで、左右のセンサー間における障害物の有無を検知する構造としている。この安全センサー16は、セット領域18内で作業するユーザーの手を感知すると作業中を示す信号を制御部6に出力する。
【0080】
(調整領域19)
さらに、セットコンベア部10は、排出側の端部に、待機コンベア部20に供給するトレイ9を一時的に待機させることが可能な調整領域19を備えている。セットコンベア部10のセット領域18に供給されたトレイ9は、待機コンベア部20に移送されるが、待機コンベア部20に前回移送されたトレイ9が残存する状態では、セットコンベア部10から待機コンベア部20へのトレイ9の移送を停止する必要がある。調整領域19は、セットコンベア部10から待機コンベア部20に移送されるトレイ9を一時的に待機させるための領域であって、待機コンベア部20にトレイ9がある状態では、調整領域19から待機コンベア部20へのトレイ9の移送を保留して、トレイ9を調整領域19で一時的に待機させて、待機コンベア部20上でトレイ9同士が干渉するのを防止する。待機コンベア部20にトレイ9がない状態では、調整領域19から待機コンベア部20へのトレイ9の移送を許容することで、調整領域19から待機コンベア部20に能率よく、かつ安全にトレイ9を移送できる。
【0081】
調整領域19は、移送されるトレイ9を一時的に待機可能な領域であって、セットコンベア部10の各レーン7の端部に設定されたトレイ9の調整位置19A、19B、19Cを含んでいる。さらに、セットコンベア部10は、調整領域19の排出側であって、平面視においてトレイ9の移送軌跡上に配置されて、トレイ9の進行を停止する可動式の第2ストッパ72と、調整領域19におけるトレイ9の有無を検出する第2センサー76とを備えている。
【0082】
(第2ストッパ72)
第2ストッパ72は、コンベアベルト11で移送されるトレイ9の前方にストッパ壁70Aを突出させて、トレイ9を停止させる停止ストッパ70であって、前述の第1ストッパ71と同じ構造の停止ストッパ70が使用できる。第2ストッパ72は、シリンダ部70Bが制御部6に制御されて、ストッパ壁70Aを上下に往復運動させる。第2ストッパ72は、シリンダ部70Bがロッドを伸長させる状態では、調整領域19の排出側にストッパ壁70Aを突出させる。第2ストッパ72は、調整領域19の排出側に突出するストッパ壁70Aをトレイ9の前端面に当接させて、トレイ9の移送を停止する。さらに、第2ストッパ72は、シリンダ部70Bがロッドを収縮させる状態では、ストッパ壁70Aがトレイ9の移送軌跡の下方に収納される。この状態で、コンベアベルト11が駆動されてトレイ9が移送される。
【0083】
(第2センサー76)
第2センサー76は、調整領域19におけるトレイ9の有無を検出するセンサーで、例えば、光電センサーが使用できる。第2センサー76は、各搬送レーン7の調整位置19A、19B、19Cの下方に配置されており、上方に向かって光を照射して各調整位置19A、19B、19Cにトレイ9がセットされているかどうかを検出して、トレイ9のセット状態を示す信号を制御部6に出力する。各第2センサー76は、例えば、調整位置19A、19B、19Cにトレイがセットされたことを検出するとセット完了信号を出力する。
【0084】
以上のセットコンベア部10は、セット領域18から調整領域19にトレイ9を移送する際には、制御部6が第1ストッパ71を解除すると共に、コンベアベルト11を駆動する。また、第2ストッパ72をオン状態とすることで、コンベアベルト11で移送されるトレイ9が調整領域19で停止される。
【0085】
(待機コンベア部20)
待機コンベア部20は、セットコンベア部10の排出側であって、昇降移送部2の供給側に配置されて、昇降コンベア部3に供給するトレイ9を一時待機させるために設けている。昇降移送部2は、図1に示すように、昇降コンベア部3を上下に移動することでトレイ9をトレイ受取位置TRからトレイ送出位置TSに移動させるので、搬入対象となるトレイ搬入口82の上下位置によって、上下に移動する昇降コンベア部3がトレイ受取位置TRとトレイ送出位置TSとを往復する移動時間が異なる。したがって、待機コンベア部20は、トレイ受取位置TRとトレイ送出位置TSとを往復する移動時間が最短となる時間よりも短い時間内に、セットコンベア部10からトレイ9が供給されることが好ましい。このことを実現するために、供給コンベア部1をセットコンベア部10と待機コンベア部20とで構成し、昇降コンベア部3に供給するトレイ9を待機コンベア部20に速やかに移送して、待機コンベア部20で待機させるようにしている。これにより、待機コンベア部20における待ち時間を極減して、タクトタイムを短くできる。
【0086】
待機コンベア部20は、移送されるトレイ9の両側部に対向して配設されて、上面に配置されるトレイ9を移送する無縁軌道状のコンベアベルト21と、コンベアベルト21を駆動する駆動輪12と、駆動輪12を回転駆動させる回転駆動機構13と、コンベアベルト21に沿って配設されて、トレイ9の移送方向を特定する移送ガイド部15とを備えている。ここで、待機コンベア部20を構成するコンベアベルト21、駆動輪12、回転駆動機構13、及びチェーンガイド14を前述のセットコンベア部10と同じ構成とすることができる。例えば、コンベアベルト21を、ブロックチェーン21Aとして、駆動輪12をスプロケット12Aとすることができる。したがって、これらの部材の詳細な説明は省略する。なお、セットコンベア部10は、供給側にセット領域18を、排出側に調整領域19を備えて、コンベアベルト11上に最大で2個のトレイ9を載置できる全長を有するのに対し、待機コンベア部20では、コンベアベルト21上に1個のトレイ9を載置できる長さを有する点で異なっている。
【0087】
さらに、待機コンベア部20は、移送ガイド部15を、移送されるトレイ9の両側面に沿って形成されたガイド壁15Aとしている。待機コンベア部20の移送ガイド部15は、セットコンベア部10の移送ガイド部15から延長されており、セットコンベア部10から待機コンベア部20に移送されるトレイ9の両側をガイドする構造としている。さらに、待機コンベア部20は、移送されるトレイ9の両側部に対向して配置されるコンベアベルト21同士の間隔(D2)を、トレイ9の両側部において下方に突出する左右の連結ボス97(下部連結ボス97B)の間隔(d1)と等しくしている。これにより、待機コンベア部20も、ガイド壁15Aでトレイ9の移送方向を特定しながら、トレイ9の下方に突出する連結ボス97をコンベアベルト21に載せてトレイ9を移送するようにしている。ただ、コンベアベルト21同士の間隔(D2)も、左右のコンベアベルト21の上面に左右の連結ボス97を載置して移送できる範囲内であれば、連結ボス97同士の間隔(d1)よりも広くし、あるいは狭くしてもよい。
【0088】
以上の供給コンベア部1は、セットコンベア部10から待機コンベア部20にトレイ9を移送する際には、セットコンベア部10のコンベアベルト11と待機コンベア部20のコンベアベルト21を駆動し、セットコンベア部10のコンベアベルト11から待機コンベア部20のコンベアベルト21に橋渡し状態でトレイ9を移送するようにしている。図7及び図8に示す供給コンベア部1は、セットコンベア部10と待機コンベア部20の間に、移送されるトレイ9の下面を支持する支持ローラー26を配置している。支持ローラー26は、その上面が、移送されるトレイ9の水平プレート部91の下面と同レベルとなるように配置している。これによりにセットコンベア部10から待機コンベア部20に移送されるトレイ9を橋渡し部分でガタつかせることなく水平姿勢のまま安定して移送できるようにしている。
【0089】
待機コンベア部20は、上面をトレイ待機位置29として、トレイ9を一時待機できる領域を設けている。さらに、待機コンベア部20は、トレイ待機位置29の排出側であって、平面視においてトレイ9の移送軌跡上に配置されて、トレイ9の進行を停止する可動式の待機ストッパ73と、トレイ待機位置29におけるトレイ9の有無を検出する待機センサー77とを備えている。
【0090】
(待機ストッパ73)
待機ストッパ73は、コンベアベルト21で移送されるトレイ9の前方にストッパ壁70Aを突出させて、トレイ9を停止させる停止ストッパ70であって、前述の第1ストッパ71と同じ構造の停止ストッパ70が使用できる。待機ストッパ73は、シリンダ部70Bが制御部6に制御されて、ストッパ壁70Aを上下に往復運動させる。待機ストッパ73は、シリンダ部70Bがロッドを伸長させる状態では、トレイ待機位置29の排出側にストッパ壁70Aを突出させる。第2ストッパ72は、トレイ待機位置29の排出側に突出するストッパ壁70Aをトレイ9の前端面に当接させて、トレイ9の移送を停止する。さらに、待機ストッパ73は、シリンダ部70Bがロッドを収縮させる状態では、ストッパ壁70Aがトレイ9の移送軌跡の下方に収納される。この状態で、コンベアベルト211が駆動されてトレイ9が移送される。
【0091】
(待機センサー77)
待機センサー77は、トレイ待機位置29におけるトレイ9の有無を検出するセンサーで、例えば、光電センサーが使用できる。待機センサー77は、各搬送レーン7のトレイ待機位置29の下方に配置されており、上方に向かって光を照射して各トレイ待機位置29にトレイ9がセットされているかどうかを検出して、トレイ9のセット状態を示す信号を制御部6に出力する。各待機センサー77は、例えば、トレイ待機位置29にトレイがセットされたことを検出するとセット完了信号を出力する。
【0092】
以上の待機コンベア部20は、制御部6に制御されて、待機コンベア部20から昇降コンベア部3への移送が制御される。待機コンベア部20は、昇降コンベア部3がトレイ受取位置TRに停止した状態で、昇降コンベア部3にトレイ9を移送し、昇降コンベア部3がトレイ受取位置TRから離れた状態では、トレイ待機位置29でトレイ9を待機させる。待機コンベア部20から昇降コンベア部3にトレイ9を移送する際には、待機コンベア部20のコンベアベルト21と昇降コンベア部3のコンベアベルト31の両方を駆動することで、トレイ9をスムーズに移送できる。
【0093】
(昇降コンベア部3)
図7図10、及び図12に示す昇降コンベア部3は、移送されるトレイ9の両側部に対向して配設されて、上面に配置されるトレイ9を移送する無縁軌道状のコンベアベルト31と、コンベアベルト31が掛けられると共に、コンベアベルト31を駆動する駆動輪32と、駆動輪32を回転駆動させる回転駆動機構33と、コンベアベルト31に沿って配設されて、トレイ9の移送方向を特定する移送ガイド部35とを備えている。昇降コンベア部3は、基台50の上に配置されており、昇降機構5で上下方向に移動されて、トレイ受取位置TRからトレイ送出位置TSまで移動する。昇降コンベア部3は、トレイ受取位置TRにおいて待機コンベア部20から移送されるトレイ9を受け取り、トレイ送出位置TSまで移送して、ラック8のトレイ棚81に供給する。
【0094】
(コンベアベルト31、駆動輪32)
昇降コンベア部3は、図12に示すように、トレイ9の両側部に対向して配設されたコンベアベルト31同士の間隔(D3)を、トレイ本体90の両側部の下面を支持可能な間隔としており、一対のコンベアベルト31の上にトレイ9を載せて、駆動されるコンベアベルト31で移送するようにしている。昇降コンベア部3は、コンベアベルト31を丸ベルト31Aとし、丸ベルト31Aを駆動する駆動輪32をプーリ32Aとしている。丸ベルト31Aであるコンベアベルト31は、例えば、ポリウレタン等のプラスチック製とし、あるいはゴム製とすることができる。このように、プラスチック製あるいはゴム製の丸ベルト31Aは、上面に載置されるトレイ9との摩擦抵抗を大きくして、駆動状態ではトレイ9を確実に移送できると共に、昇降コンベア部3が上下に移動する状態では、トレイ9の横すべりを抑制して安定して保持できる。ただ、コンベアベルト31は、必ずしも丸ベルト31Aとする必要はなく、平ベルトや角ベルトとしてもよい。
【0095】
(サブプーリ34)
さらに、図8に示す昇降コンベア部3は、前後に配置されたプーリ32Aに掛けられて、細長いトラック形状に配置されるコンベアベルト31の上側の直線部を下方から支持するサブプーリ34を備えている。図8に示すサブプーリ34は、前後のプーリ32Aの間に複数配置されており、丸ベルト31Aを溝に案内して支持できるようにしている。
【0096】
(回転駆動機構33)
回転駆動機構33は、図10及び図12に示すように、駆動モータ33Aと、この駆動モータ33Aの回転を駆動輪32に伝達する駆動伝達機構33Bとを備えている。駆動モータ33Aには、その回転数を制御可能なモータ、例えばサーボモータが使用できる。この回転駆動機構33は、制御部6でサーボモータの回転を制御することで、コンベアベルト31の駆動状態を細かく制御できる。駆動伝達機構33Bは、駆動モータ33Aの回転を駆動輪32に伝達するための機構であって、駆動モータ33Aの回転軸に固定された駆動プーリ33aと、プーリ32Aの駆動軸33dに固定された従動プーリ33bと、駆動プーリ33aと従動プーリ33bに掛けられたタイミングベルト33cとを備えている。回転駆動機構33は、駆動モータ33Aの回転を、駆動プーリ33a、タイミングベルト33c、従動プーリ33b、及び駆動軸33dを介してプーリ32Aに伝達し、回転するプーリ32Aを介してコンベアベルト31を駆動する。図7図9、及び図10に示す昇降コンベア部3は、3列の搬送レーン7を形成するために、3つのコンベアユニット30を平行に並べており、各コンベアユニット30の駆動輪32を、同期して回転駆動できるように連結シャフト33eを介して連結している。
【0097】
(移送ガイド部35)
移送ガイド部35は、移送されるトレイ9の両側部において下方に突出する左右の連結ボス97(下部連結ボス97B)の外側面に沿ってトレイ9の移送方向に延長されたガイド壁35Aとしている。図12の移送ガイド部35は、対向するガイド壁35Aの間隔(G3)を、トレイ9の両側部において下方に突出する左右の連結ボス97同士の外側面の間隔(d3)とほぼ等しくし、正確にはやや大きくして、連結ボス97をガイド壁35Aの内側面に沿ってスムーズに移送できるようにしている。また、ガイド壁35Aは、上端がトレイ9に接触しない高さとして、トレイ9をスムーズに移送できるようにしている。ただ、対向するガイド壁35Aは、トレイ9の下方に突出する左右の連結ボス97B同士の内側面に沿って配置することもできる。この場合、対向するガイド壁35Aの間隔(G3)は、トレイ9の両側部において下方に突出する左右の連結ボス97同士の内側面の間隔(d2)よりもやや小さくする。
【0098】
移送ガイド部35は、対向するガイド壁35Aを、昇降コンベア部3の前後の先端まで延長して設けている。図8に示すガイド壁35Aは、コンベアベルト31の前後の先端よりも外側まで延長して配置している。この構造のガイド壁35Aは、待機コンベア部20からトレイ9を受け取る際には、コンベアベルト21から移送されるトレイ9の下面をいち早く支持して、待機コンベア部20から昇降コンベア部3へのトレイ9の移送の橋渡しを行うことができる。また、昇降コンベア部3からラック8のトレイ棚81へ移送する際には、コンベアベルト31から移送されるトレイ9の下面をトレイ搬入口82の直前まで支持して、昇降コンベア部3からトレイ棚81へのトレイ9の移送の橋渡しを行うことができる。
【0099】
以上の昇降コンベア部3は、トレイ受取位置TRに移動した状態で、待機コンベア部20からトレイ9を受け取るタイミングと、トレイ送出位置TSに移動した状態で、ラック8にトレイ9を送出するタイミングでコンベアベルト31が駆動される。さらに、昇降コンベア部3は、コンベアベルト31で移送されるトレイ9を、コンベアベルト31上で確実に停止させるために、排出側の端部であって、平面視においてトレイ9の移送軌跡上に配置されて、トレイ9の進行を停止する可動式の搬入ストッパ74と、昇降コンベア部3上におけるトレイ9の有無を検出する搬入センサー78とを備えている。
【0100】
(搬入ストッパ74)
搬入ストッパ74は、コンベアベルト31で移送されるトレイ9の前方にストッパ壁70Aを突出させて、トレイ9を停止させる停止ストッパ70であって、前述の第1ストッパ71と同じ構造の停止ストッパ70が使用できる。搬入ストッパ74は、シリンダ部70Bが制御部6に制御されて、ストッパ壁70Aを上下に往復運動させる。搬入ストッパ74は、シリンダ部70Bがロッドを伸長させる状態では、各コンベアユニット30の排出側の端部にストッパ壁70Aを突出させる。搬入ストッパ74は、各コンベアユニット30の排出側の端部に突出するストッパ壁70Aをトレイ9の前端面に当接させて、トレイ9の移送を停止する。さらに、搬入ストッパ74は、シリンダ部70Bがロッドを収縮させる状態では、ストッパ壁70Aがトレイ9の移送軌跡の下方に収納される。この状態で、コンベアベルト31が駆動されてトレイ9が移送される。
【0101】
(搬入センサー78)
搬入センサー78は、昇降コンベア部3の排出側の端部におけるトレイ9の有無を検出するセンサーで、例えば、光電センサーが使用できる。搬入センサー78は、昇降コンベア部3の左右に対向して配置された一対のセンサーで構成されており、各センサーは、光を照射する照射部と、照射部から照射される光を受光する受光部とからなる。この搬入センサー78は、昇降コンベア部3に移送されるトレイ9の先端部が排出側の端部まで到着したことを検知して、トレイ9のセット状態を示す信号を制御部6に出力する。
【0102】
(押出機構4)
押出機構4は、トレイ9をトレイ搬入口82に向かって押し出すプッシャー41と、プッシャー41を前後方向に往復運動させる往復運動機構40とを備えている。図8に示す昇降移送部2は、押出機構4を昇降コンベア部3の上方に配置しており、押出機構4と昇降コンベア部3との間には、昇降コンベア部3で移送されるトレイ9を通過させる移送スペース49を設けている。この構造は、平面視において、昇降コンベア部3の領域内に押出機構4の本体部分を配置することができ、昇降機構5で昇降コンベア部3と押出機構4とを上下に移動させる状態で、押出機構4の本体部分が供給コンベア部1やラック8に干渉するのを防止して省スペースに配置できる。また、往復運動機構40で押し出されるプッシャー41の移動範囲の制限を少なくして、トレイ9を確実にラック8側に押し出しできる。
【0103】
(プッシャー41)
プッシャー41は、トレイ9の後端を押圧する押圧部42と、この押圧部42を上下方向に移動させて、移送スペース49内に移動させる上下機構43とを備えている。図7に示す昇降コンベア部3は3列のコンベアユニット30を備えているので、押出機構4は、3列のコンベアユニット30に対向して3基のプッシャー41を備えている。各プッシャー41は、平面視において、各コンベアユニット30で移送されるトレイ9の移送軌跡上に位置して配置されている。各プッシャー41は、上下機構43を介して押圧部42を上下に往復運動できるようにしている。3基のプッシャー41は、垂直姿勢で左右方向に延長された固定プレート44に固定されており、この固定プレート44が往復運動機構40で前後に往復運動されることで、3基のプッシャー41を同時に前後に移動できるようにしている。
【0104】
(押圧部42)
押圧部42は、トレイ9の後端に当接して押圧する部材で、図13においては、トレイ9の後端面に対して広い面積で接触するよう左右に延長された押圧プレート42Aと、この押圧プレート42Aから後方に延長されて、上下機構43に連結される前後プレート42Bとを備えている。押圧部42は、例えば、押圧プレート42Aと前後プレート42Bとを金属板としており、押圧プレート42Aの背面の下端部に前後プレート42Bの先端を固定している。押圧部42は、前後プレート42Bを前後に長くすることで、押圧プレート42Aをラック8のトレイ棚81に向かって押し出しできるようにしている。このプッシャー41は、図13に示すように、トレイ9を押し出す際に、押圧プレート42Aを昇降移送部2から外側に突出させて、トレイ9をトレイ棚81に押し込むことができる。
【0105】
(上下機構43)
上下機構43は、図13に示すように、押圧部42を上下方向に往復運動させて、押圧部42を移送スペース49の上方と移送スペース49の内側とに移動させる。上下機構43は、昇降コンベア部3にトレイ9が供給され、あるいは、トレイ9を載せた昇降コンベア部3が上下に移動される状態では、押圧部42を上昇させて移送スペース49を開放して、移送スペース49にトレイ9が通過または停止できるようにする。また、昇降コンベア部3がトレイ9をトレイ搬入口82に移送する駆動状態では、押圧部42を移送スペース49内であって、トレイ9の後方に降下させて、トレイ9を後方から押し出しできる位置に配置する。
【0106】
上下機構43は、図10に示すように、押圧部42を上下方向に往復運動させるシリンダ部43Aと、押圧部42を水平な姿勢で上下に平行移動させるガイド部43Bとを備えている。シリンダ部43Aは、エアーシリンダで、ロッドを上下方向に伸縮できるように垂直姿勢で配置されている。ガイド部43Bは、上下方向に配置されたガイドロッドと、このガイドロッドを上下方向にスライドできるように挿通してなるスライドブッシュとを備えている。上下機構43は、図10図13に示すように、シリンダ部43Aの両側に一対のガイド部43Bを備えており、シリンダ部43Aとガイド部43Bとを一体的に連結している。さらに、上下機構43は、シリンダ部43Aのロッドの先端とガイドロッドの下端を、左右方向に延長された連結プレート43Cで連結している。連結プレート43Cは、金属製の細長い平板で、下面に押圧部42の前後プレート42Bを固定している。
【0107】
上下機構43は、シリンダ部43Aが制御部6に制御されて、押圧部42を上下に往復運動させる。上下機構43は、シリンダ部43Aがロッドを伸長させる状態では、押圧部42を水平姿勢で降下させて移送スペース49内に配置する。さらに、上下機構43は、シリンダ部43Aがロッドを収縮させる状態では、押圧部42を水平姿勢で上昇させ、移送スペース49の上方に移動させて移送スペース49を開放する。この状態で、昇降コンベア部3に供給されるトレイ9を移送スペース49に通過させる際や、昇降コンベア部3にトレイ9を載せた状態で、押圧部42がトレイ9に干渉するのを阻止できる。
【0108】
3基のプッシャー41は、押圧部42を上下機構43で降下させた状態で往復運動機構40により前進されて、トレイ9をトレイ搬入口82に向かって押し出すようにしている。押出機構4は、押圧部42を降下させる際に、昇降コンベア部3で移送されるトレイ9と押圧部42とが接触する事態を回避することが好ましい。上下機構43は、例えば、昇降コンベア部3で移送されるトレイ9が押圧部42の降下位置を通過したタイミングで押圧部42を降下させることで、押圧部42をトレイ9に接触させることなくトレイ9の後方に配置できる。このことを実現するために、図7図8に示すラック搬送装置100は、昇降コンベア部3で移送されるトレイ9が、押圧部42の降下位置を通過したことを検出する通過センサー79を備えている。
【0109】
(通過センサー79)
通過センサー79は、押圧部42の降下位置におけるトレイ9の有無を検出するセンサーで、前述の搬入センサー78と同様に光電センサーが使用できる。通過センサー79は、昇降コンベア部3の左右に対向して配置された一対のセンサーで構成されており、後退位置にある押圧部42の先端よりも前方に配置されている。一対のセンサーは、光を照射する照射部と、照射部から照射される光を受光する受光部とからなる。この通過センサー79は、昇降コンベア部3に移送されたトレイ9が、押圧部42の降下位置を通過すると、このことを検知してトレイ9の通過を示す信号を制御部6に出力する。制御部6は、通過センサー79からトレイ通過信号が入力されたことを検出して、上下機構43を駆動して押圧部42を移送スペース49内に降下させるように制御する。
【0110】
(往復運動機構40)
往復運動機構40は、前後方向に配置されて、プッシャー41が固定されたネジ棒45と、基台50に回転自在に配置されて、ネジ棒45が挿通されたナット部材46と、ナット部材46を回転させる回転機構47と、プッシャー41に連結されて、プッシャー41を前後方向に平行移動させるガイド機構48とを備えている。この往復運動機構40は、回転機構47で回転されるナット部材46が、ネジ棒45を前進又は後退させることによりプッシャー41を往復運動させる。
【0111】
(ネジ棒45、ナット部材46)
図7図9に示す往復運動機構40は、左右に2本のネジ棒45を備えており、2本のネジ棒45を互いに平行な姿勢で配置している。2本のネジ棒45は、平面視において3列のコンベアユニット30の間に位置するように配置しており、3基のプッシャー41の間に位置して先端を固定プレート44に固定している。ネジ棒45はナット部材46に挿通されており、基台50に連結されるナット部材46を介して水平姿勢に保持されている。図に示す基台50は、待機コンベア部20側の端部に、左右方向に延長された垂直プレート部50Aを備えており、この垂直プレート部50Aにナット部材46を回転自在に連結している。ナット部材46は、例えば、ベアリングを介して回転自在に連結される。2本のネジ棒45は、回転機構47で同期して回転される2つのナット部材46を介して同じ速度で前進又は後退される。
【0112】
(回転機構47)
回転機構47は、駆動モータ47Aと、駆動モータ47Aの回転をナット部材46に伝達する回転伝達機構47Bとを備えている。図8図9に示す回転機構47は、2本のネジ棒45を同期して回転させるために、各ネジ棒45が挿通された2つのナット部材46を回転伝達機構47Bを介して同期して回転させている。図に示す回転伝達機構47Bは、駆動モータ47Aの回転軸に固定された駆動プーリ47aと、ナット部材46に同軸に固定された従動プーリ47bと、駆動プーリ47aと従動プーリ47bに掛けられたタイミングベルト47cと、タイミングベルト47cのテンションを調整するテンショナー47dとを備えている。駆動モータ47Aは、その回転数を制御可能なモータであって、例えば、サーボモータが使用できる。この回転機構47は、サーボモータの回転を制御して、プッシャー41が往復運動するストロークと、プッシャー41がトレイ9を押し出す押出速度をコントロールするようにしている。
【0113】
以上の往復運動機構40は、図13に示すように、押圧部42を降下させた状態で、回転機構47の駆動モータ47Aを正転させてプッシャー41を前方に押し出す。正転する駆動モータ47Aは、回転伝達機構47Bを介してナット部材46を正転し、ナット部材46に挿通されたネジ棒45を前進させる。さらに、往復運動機構40は、前進する押圧部42がトレイ9を押し出してラック8のトレイ棚81に押し込むと、回転機構47の駆動モータ47Aを逆転させる。逆転する駆動モータ47Aは、回転伝達機構47Bを介してナット部材46を逆転し、ナット部材46に挿通されたネジ棒45を後退させる。プッシャー41は、往復運動機構40によって後退するタイミングにおいて、押圧部42を上昇位置に復帰させる。
【0114】
以上の押出機構4は、往復運動機構40がプッシャー41を往復運動させるストローク量を、移送対象のトレイ9の後端がトレイ搬入口82まで到達するように、トレイ9を押し込むことが可能な量としている。この構造は、ラック8のトレイ棚81に移送されるトレイ9を、確実にトレイ搬入口82まで押し込んでラック8内に搬入できる。とくに、図13に示すように、奥行き方向に複数のトレイ9を挿入可能としたラック8に対しては、ラック8内に既に搬入されたトレイ9の手前から、次のトレイ9を押し込むことで、先のトレイ9をトレイ棚81の奥側に移動させて、手前から順次トレイ9を継ぎ足すように搬入できる。
【0115】
(ガイド機構48)
ガイド機構48は、ネジ棒45と平行な姿勢で配置されたガイドロッド48Aと、このガイドロッド48Aが挿通されて、ガイドロッド48Aの前進又は後退を許容するスライドブッシュ48Bとを備えている。ガイドロッド48Aは、所定の外形を有する金属管で、前端を固定プレート44に固定している。ガイドロッド48Aは、ネジ棒45に対して上下方向に離間して配置されている。図7図9に示す往復運動機構40は、左右に配置された2本のネジ棒45の下方に位置して、2本のガイドロッド48Aを配置している。ガイドロッド48Aは、基台50に固定されるスライドブッシュ48Bを介して水平姿勢に保持されている。固定プレート44に固定された3基のプッシャー41は、2本のネジ棒45と2本のガイドロッド48Aを介して水平方向に往復運動できるように保持されている。上下に配置されたネジ棒45とガイドロッド48Aは、平面視において、同じ位置で重なるように配置されている。
【0116】
以上の往復運動機構40は、ネジ棒45及びガイドロッド48Aの全長を、プッシャー41を最も前進させた状態で、プッシャー41がラック8のトレイ搬入口82に接近するが、プッシャー41を昇降移送部2の領域から外側に突出させない長さとしている。これにより、プッシャー41を前進させた状態において、トレイ9を確実にトレイ棚81に押し込みながら、プッシャー41がラック8と干渉するのを防止している。このように、ネジ棒45とガイドロッド48Aを前進させる往復運動機構40は、プッシャー41を後退させた状態では、図7図8、及び図13に示すように、ネジ棒45とガイドロッド48Aが平面視において供給コンベア部1の領域内に突出する。供給コンベア部1側に突出するネジ棒45とガイドロッド48Aは、昇降機構5を介して昇降コンベア部3及び押出機構4を上下に移動する際に、供給コンベア部1との干渉を回避する必要がある。上下に移動する昇降コンベア部3及び押出機構4は、ラック8の下端部のトレイ棚81にトレイ9を移送する際に、図1の鎖線で示すように、トレイ受取位置TRよりも下側に位置するトレイ送出位置TSまで移動されるからである。
【0117】
供給コンベア部1側に突出するネジ棒45及びガイドロッド48Aが供給コンベア部1と干渉するのを回避するために、供給コンベア部1は、図7に示すように、供給コンベア部1側に突出するネジ棒45とガイドロッド48Aを上下に通過させる通過隙間25を設けている。図に示す供給コンベア部1は、セットコンベア部10と待機コンベア部20に設けた3列の搬送レーン7の間に位置して、2列の通過隙間25を設けている。これにより、平面視において昇降移送部2から供給コンベア部1に向かって突出する2列のネジ棒45及びガイドロッド48Aを、2列の通過隙間25に通過させて、上下に移動する押出機構4のネジ棒45及びガイドロッド48Aが、供給コンベア部1におけるトレイ9の搬送に支障をきたすことがないようにしている。図に示す供給コンベア部1は、互いに隣接する搬送レーン7のガイド壁15A同士の間にネジ棒45及びガイドロッド48Aが通過可能な間隔の隙間を設けて通過隙間25としている。これにより、往復運動機構40がネジ棒45及びガイドロッド48Aを供給コンベア部1側に突出させた状態においても、ネジ棒45やガイドロッド48Aを通過隙間に通過させて、昇降コンベア部3及び押出機構4を上下方向に移動させてトレイ受取位置TRよりも下方のトレイ送出位置TSまで移動できる。とくに、ネジ棒45とガイドロッド48Aを上下に配置する構造は、供給コンベア部1に設けた通過隙間25を兼用することができる。すなわち、供給コンベア部1に設けた1列の通過隙間25に対してネジ棒45とガイドロッド48Aの両方をスムーズに通過させることができる。
【0118】
(押出機構4の他の例)
ただ、往復運動機構は以上の構造に限定せず、図14に示す構造とすることもできる。図14の往復運動機構40xは、前後方向に配置されて、基台50に回転自在に配置されたネジ棒45xと、プッシャー41xに連結されて、ネジ棒45xが挿通されたナット部材46xと、ネジ棒45xを回転させる回転機構47xと、プッシャー41xに連結されて、プッシャー41xを前後方向に平行移動させるガイド機構48xとを備えている。この往復運動機構40xは、回転機構47xで回転されるネジ棒45xが、ナット部材46xを前進又は後退させてプッシャー41xを往復運動させる。すなわち、回転機構47xでネジ棒45xを回転させることにより、ネジ棒45xに対してナット部材46xを前後方向に移動させて、プッシャー41xを往復運動させる。この場合、ガイド機構48xもガイドロッド48Axをネジ棒45xと平行な姿勢で配置し、ガイドロッド48Axが挿通されたスライドブッシュ48Bxをプッシャー41xに連結して、プッシャー41xを平行移動させることができる。この構造によると、ネジ棒45x及びガイドロッド48Axを、平面視において昇降移送部2の領域から外側に突出させることなく配置できる。
【0119】
(昇降機構5)
昇降機構5は、昇降コンベア部3と押出機構4が配置された基台50を上下方向に移動させて、昇降コンベア部3に移送されたトレイ9をトレイ受取位置TRからトレイ送出位置TSまで移動させる。図1、及び図7図10に示す昇降機構5は、基台50の左右の両端部に位置して、垂直姿勢で回転自在に配置された一対のネジ棒51と、基台50の両端部に固定されて、ネジ棒51が挿通されたナット部材52と、基台50の四隅部に位置して垂直姿勢で配置されたガイドロッド53と、基台50の四隅部に固定されて、ガイドロッド53が挿通されたスライドブッシュ54と、ネジ棒51を回転させる駆動機構55とを備えている。この昇降機構5は、左右のネジ棒51が同期して回転されると、各ネジ棒51が挿通された左右のナット部材52がネジ棒51に沿って移動して基台58を上下方向に移動させる。基台50は、四隅部に設けたガイドロッド53に沿って上下に移動することで、水平姿勢を保持した状態で上下に移動する。
【0120】
(駆動機構55)
駆動機構55は、2本のネジ棒51を同期して回転させるために、駆動モータ56と、駆動モータ56の回転をネジ棒51に伝える回転伝達機構57を備えている。図のラック搬送装置100は、駆動モータ56と回転伝達機構57を、昇降移送部2の上面に配置している。図に示す回転伝達機構57は、駆動モータ56の回転軸に固定された駆動プーリ57aと、左右のネジ棒51の上端に固定された従動プーリ57bと、左右の従動プーリ57bと駆動プーリ57aとの間に配置された左右の中間プーリ57cと、これらのプーリを連結してなる3条のタイミングベルト57dとを備えている。左右の中間プーリ57cは、左右の従動プーリ57bの間に離間して設けられており、各中間プーリ57cは、第1プーリ57cxと第2プーリ57cyからなる2つのプーリを上下二段に連結してなる輪軸としている。左右の中間プーリ57cと駆動モータ56の駆動プーリ57aは平面視において三角形の頂点の位置に配置されており、左右の中間プーリ57cの第1プーリ57cxと駆動プーリ57aに第1のタイミングベルト57dxが掛けられている。また、左側の中間プーリ57cの第2プーリ57cyと左側のネジ棒51の従動プーリ57bに第2のタイミングベルト57dyが掛けられると共に、右側の中間プーリ57cの第2プーリ57cyと右側のネジ棒51の従動プーリ57bに第3のタイミングベルト57dzが掛けられている。
【0121】
以上の回転伝達機構57は、駆動モータ56を回転させると、駆動プーリ57aに掛けられた第1のタイミングベルト57dxを介して左右の中間プーリ57cが同期して回転し、回転する各々の中間プーリ57cが第2のタイミングベルト5dy及び第3のタイミングベルト57dzを介して左右の従動プーリ57bを同期して回転させる。同期して回転する左右の従動プーリ57bは、左右のネジ棒51を同期して回転させて、基台50に固定されたナット部材52をネジ棒51に沿って上下に移動させる。このように、左右のネジ棒51を同期して回転させることで、基台50は水平姿勢を維持した状態で正確に上下に移動される。この昇降機構5は、駆動モータ56を、回転数を制御できるモータであって、例えば、サーボモータとしている。昇降機構5は、制御部6によりサーボモータの回転数が制御されて、トレイ9を受け取った昇降コンベア部3をトレイ受取位置TRから搬入対象となるトレイ搬入口82と対向するトレイ送出位置TSまで移動し、トレイ9を排出した昇降コンベア部3をトレイ送出位置TSからトレイ受取位置TRまで復帰させる。
【0122】
(ラック配置領域69)
さらに、ラック搬送装置100は、図1及び図2に示すように、昇降移送部2の排出側に、トレイ9の搬入対象となるラック8を配置するためのラック配置領域69を設けている。ラック配置領域69は、ラック8を速やかに移動させつつ、ラック8を昇降移送部2の排出側の定位置に正確に配置できるように、ラック8のキャスター88を案内する走行レール67を備えている。走行レール67は、キャスター88を案内できる溝形で、走行レール67に沿ってキャスター88を移動させてラック8を定位置にセットできるようにしている。さらに、図に示すラック搬送装置100は、ラック配置領域69の走行レール67を床面より一段高く配置しており、床面から走行レール67にラック8を移動させやすくするために、スロープ部68を設けている。
【0123】
(ラック固定機構61)
さらに、図1図2、及び図7に示すラック搬送装置100は、ラック8を昇降移送部2に対して定位置に固定するラック固定機構61を備えている。図のラック搬送装置100は、昇降移送部2の排出側の左右の両端部の上下に位置して、ラック8の本体枠80の上部と下部の2カ所をそれぞれクランプして固定するラック固定機構61を備えている。ラック固定機構61は、ラック8の本体枠80をクランプして固定するクランプ部62を備えており、シリンダ等の駆動部63によりクランプ部62を動作させてラック8を固定する構造としている。図に示す駆動部63はエアシリンダとしている。
【0124】
(転卵ロック機構64)
さらに、図1のラック搬送装置100は、ラック8のトレイ棚81の傾斜を阻止する転卵ロック機構64を備えている。前述のように、種卵を孵卵器(孵卵室)に移動して孵化させるラック8は、複数段のトレイ棚81を傾斜させて、トレイ9に載置された卵を転卵可能な傾斜機構85を備えている。ただ、ラック搬送装置100でトレイ9をトレイ棚81に搬入する際に不意に傾斜機構85が作動するとトレイ9を安全に搬入できなくなる。したがって、ラック搬送装置100は、転卵ロック機構64を備えている。転卵ロック機構64は、ラック配置領域69内であって、ラック8の下方に位置して配置されており、左右方向に延長された支持部材65を上方に向かって押し上げて、トレイ棚81が傾斜するのを防止する構造としている。図1に示す転卵ロック機構64は、支持部材65を押し上げるための駆動部としてシリンダ66を備えており、シリンダ66がロッドを収縮させることで支持部材65を上昇させてトレイ棚81を下方から支持して傾斜を阻止するようにしている。ただ、転卵ロック機構は、以上の構造には特定せず、ラック配置領域にセットされるラックのトレイ棚の傾斜を阻止できる他の全ての機構が採用できる。
【0125】
(制御部6)
制御部6は、供給コンベア部1及び昇降移送部2を制御して、供給コンベア部1のセット領域18に供給されたトレイ9を、昇降移送部2の排出側にセットされたラック8の各トレイ棚81に搬送する。図8のラック搬送装置100は、入力部60を備えており、ラック8の各トレイ棚81に搬入するトレイ9の数を入力部60を介して制御部6に入力する。図に示すラック8は、各トレイ棚81に最大で4個のトレイ9を搬入できる構造としている。したがって、入力部60は、ラック8の各トレイ棚81に搬入するトレイ9の個数を0~4の数字で入力する。制御部6は、入力部60から入力された各トレイ棚81へのトレイ9の搬入数に基づいて、セット領域18にセットされるトレイ9を、所定のトレイ棚81に搬送するように供給コンベア部1と昇降移送部2の動作をコントロールする。
【0126】
(パイロットランプ17)
さらに、ラック搬送装置100は、ユーザーがセット領域18にセットするトレイ9のセット場所を表示するパイロットランプ17をセットコンベア部10に設けている。図7に示すラック搬送装置100は、3列の搬送レーン7を備えているので、各レーン7に対応して全体で3個のパイロットランプ17を設けている。各パイロットランプ17は、対応するセット位置17A、17B、17Cの上方であって、セット領域18で作業するユーザーの正面に位置して視認しやすい位置に配置している。パイロットランプ17は、制御部6によって点灯が制御される。制御部6は、入力部60から入力されたラック8への搬入予定に基づいて、セット領域18にセットするトレイ9のセット場所のパイロットランプ17を点灯して表示する。このように、パイロットランプ17でトレイ9のセット場所を表示するラック搬送装置100は、ユーザーがトレイ9をセットする際に、トレイ9のセット場所を管理表等で確認することなく、制御部6に入力されたデータに基づいて点灯されるパイロットランプ17に従ってセットすることで、簡単かつ容易に多数のトレイ9を正しいセット位置にセットできる。
【0127】
制御部6は、以下に示すように供給コンベア部1と昇降移送部2の動作をコントロールして、セット領域18にセットされたトレイ9をラック8の各トレイ棚81に搬送する。
(1)セット領域18へトレイ9をセットするセット工程の制御
制御部6は、入力部60により入力されたデータに基づいて、セット領域18にセットされるトレイ9のセット位置をパイロットランプ17で表示する。図7に示すラック搬送装置100は、第1レーン7A、第2レーン7B、及び第3レーン7Cからなる3列の搬送レーン7を備えており、搬入対象となるトレイ棚81への搬入数に応じて、各搬送レーン7に設けたパイロットランプ17の点灯状態により、セットされるトレイ9のセット位置を表示する。このため、ユーザーは、パイロットランプ17の表示に従ってトレイ9をセット位置にセットすることで、多数のトレイ9を正しく供給できる。
【0128】
さらに、制御部6は、各搬送レーン7のセット領域18に設けた第1センサー75から入力されるトレイ9の有無を示す信号により、複数のセット領域18に正しくトレイ9がセットされたかどうかを判定することができる。トレイ9のセット位置が間違っている場合には、制御部6は、間違ったセット状態にあることを警告してもよい。
【0129】
(2)セット領域18から調整領域19へ移送する移送工程の制御
制御部6は、第1センサー75からの信号で、セット領域18にトレイ9が未セット状態であることを検出し、あるいは、第2センサー76からの信号で、調整領域19においてトレイ9が待機状態にあることを検出し、あるいはまた、安全センサー16からの信号で、セット領域18内にユーザーの手があることを検出すると、第1ストッパ71をオン状態に保持して、セット領域18から調整領域19へのトレイ9の移送を保留する。
【0130】
また、制御部6は、第1センサー75からの信号で、セット領域18にトレイ9がセットされたことを検出すると共に、第2センサー76からの信号で、調整領域19からトレイ9が排出されたことを検出し、かつ、安全センサー16からの信号で、セット領域18からユーザーの手が離れたこと検出すると、第1ストッパ71を解除すると共に、セットコンベア部10のコンベアベルト11を駆動して、セット領域18から調整領域19にトレイ9を移送するように制御する。
【0131】
さらに、制御部6は、第2センサーから76の信号で、調整領域19にトレイ9が移送されたことを検出すると、第1ストッパ71をオン状態として、セットコンベア部10のコンベアベルト11を停止する。
【0132】
(3)調整領域19から待機コンベア部20へ移送する移送工程の制御
制御部6は、第2センサー76からの信号で、調整領域19にトレイ9が未セット状態であることを検出し、あるいは、待機センサー77からの信号で、トレイ待機位置においてトレイ9が待機状態にあることを検出すると、第2ストッパをオン状態に保持して、調整領域19から待機コンベア部20へのトレイ9の移送を保留する。
【0133】
また、制御部6は、第2センサーからの信号で、調整領域19にトレイ9がセットされたことを検出すると共に、待機センサーからの信号で、トレイ待機位置29からトレイ9が排出されたことを検出すると、第2ストッパ72を解除すると共に、セットコンベア部10のコンベアベルト11と待機コンベア部20のコンベアベルト21を駆動して、調整領域19から待機コンベア部20にトレイ9を移送するように制御する。
【0134】
さらに、制御部6は、待機センサー77からの信号で、トレイ待機位置29にトレイ9が移送されたことを検出すると、第2ストッパ72をオン状態として、セットコンベア部10のコンベアベルト11と待機コンベア部20のコンベアベルト21を停止する。
【0135】
(4)待機コンベア部20から昇降コンベア部3へ移送する移送工程の制御
制御部6は、待機センサー77からの信号で、トレイ待機位置29にトレイ9が未セット状態であることを検出し、あるいは、昇降コンベア部3がトレイ受取位置TRから離れた状態であることを検出すると、待機ストッパ73をオン状態に保持して、待機コンベア部20から昇降コンベア部3へのトレイ9の移送を保留する。
【0136】
また、制御部6は、待機センサー77からの信号で、トレイ待機位置29にトレイ9がセットされたことを検出すると共に、昇降コンベア部3がトレイ受取位置TRに停止したことを検出すると、待機ストッパ73を解除すると共に、待機コンベア部20のコンベアベルト21と昇降コンベア部3のコンベアベルト31を駆動して、待機コンベア部20から昇降コンベア部3にトレイ9を移送するように制御する。このとき、昇降コンベア部3の搬入ストッパ74は、オン状態に制御されており、昇降コンベア部3に搬入されるトレイ9は、昇降コンベア部3の所定の位置で停止される。
【0137】
さらに、制御部6は、搬入センサー78からの信号で、昇降コンベア部3の定位置にトレイ9が搬入移送されたことを検出すると、待機ストッパ73をオン状態として、待機コンベア部20のコンベアベルト21と昇降コンベア部3のコンベアベルト21を停止する。
【0138】
(5)トレイ受取位置TRからトレイ送出位置TSへ移動する移動工程の制御
制御部6は、搬入センサー78からの信号で、昇降コンベア部3の定位置にトレイ9が搬入されたことを検出すると、昇降機構5を制御して、基台50をトレイ受取位置TRから搬入対象となるトレイ搬入口82のトレイ送出位置TSまで移動する。
【0139】
(6)昇降コンベア部3からラック8のトレイ棚81に移送する移送工程の制御
基台50がトレイ送出位置TSに到着すると、制御部6は、搬入ストッパ74を解除すると共に、図13(b)で示すように、昇降コンベア部3のコンベアベルト31を駆動してトレイ9をトレイ搬入口82に送り出す。コンベアベルト31で移送されるトレイ9が通過センサー79を通過すると、図13(c)で示すように、制御部6はプッシャー41の上下機構43を制御して押圧部42をトレイ9の後方に降下させる。さらに、制御部6は、図13(d)で示すように、押出機構4の往復運動機構40を制御してプッシャー41を前進させて、トレイ9を後方から押してトレイ棚81に押し込む。このとき、制御部6は、コンベアベルト31を駆動させた駆動状態で、プッシャー41を前進させて、押圧部42でトレイ9を後方から押圧してトレイ棚81に搬入する。このように、コンベアベルト31の駆動状態でトレイ9を後方から押し出すことで、トレイ9を無理なくスムーズにトレイ棚81に搬入できる。
【0140】
ここで、コンベアベルト31で移送されるトレイ9は、コンベアベルト31のみでは完全にトレイ棚81まで搬入されず、先端の一部がトレイ棚81まで案内された状態となる。とくに、トレイ棚81に前回移送されたトレイ9がある場合には、コンベアベルト31で送り出されるトレイ9の先端面がトレイ棚81にある前回搬入されたトレイ9の後端面に当接して、複数のトレイ9が一体的に連続する状態となる。この状態で、最も手前のトレイ9の後端をプッシャー41で押圧することで、これらの複数のトレイ9を一体的に押圧してトレイ棚81に搬入する。
【0141】
(7)トレイ送出位置TSからトレイ受取位置TRへ移動する移動工程の制御
押出機構4により、トレイ9がトレイ棚81に搬入されると、制御部6は、昇降コンベア部3のコンベアベルト31を停止すると共に、往復運動機構40を制御してプッシャー41を後退させる。このとき、プッシャー41の上下機構43を制御して押圧部42を上昇位置に移動させる。また、昇降コンベア部3の搬入ストッパ74をオン状態とする。
さらに、制御部6は、昇降機構5を制御して、基台50をトレイ送出位置TSからトレイ受取位置TRまで移動する。
なお、基台をトレイ送出位置TSからトレイ受取位置TRへ移動させる工程では、昇降コンベア部3上にトレイ9はなく、空き状態となっているので、以上の複数の動作を速やかに行うことで、トレイ受取位置TRへの復帰動作を短縮して、タクトタイムを短くできる。
【0142】
以上のラック搬送装置100は、図15及び図16に示す以下の工程で、種卵が載置されたトレイ9をセット領域18からラック8の各トレイ棚81に搬送する。なお、以下に示す工程は、移送対象となるトレイ9であって、セット領域18にセットされた1つのトレイ9に着目してその搬送工程を詳述するものである。ラック搬送装置100全体としては、これらの複数の工程を同時進行で行うことで多数のトレイ9を次々と搬送してラック8に効率よく搬入する。また、ラック搬送装置100は、必ずしも全ての搬送レーン7のセット位置18A、18B、18Cにトレイ9をセットした状態で移送する必要は無く、搬入対象となるラック8のトレイ棚81に対して、所定の数のトレイ9を搬入できるように、各搬送レーン7で移送するトレイ9を制限しながら搬送する。したがって、一部の搬送レーン7でトレイ9を搬送するタイミングにおいて、他の搬送レーン7ではトレイ9を搬送することなく空の状態で駆動することもある。このような制御は、各トレイ棚81に応じて入力されたトレイ9の搬入数に応じて、制御部6によりコントロールされる。
【0143】
[ラック固定工程]
(S1、S2のステップ)
ラック8をラック配置領域69の定位置に配置する。ラック8は、複数段のトレイ棚81の搬入側であるトレイ搬入口82が、昇降移送部2の排出側と対向するように配置される。ラック8を定位置に配置した状態で、ラック固定機構61をオン状態として、ラック8を昇降移送部2の排出側に固定して位置ずれしないようにセットする。
さらに、転卵ロック機構64をオン状態として、複数のトレイ棚81が傾斜しないようにラック8の全てのトレイ棚81を水平姿勢にロックする。
【0144】
[入力工程]
(S3、S4のステップ)
入力部60を操作して、ラック8の各段のトレイ棚81に搬入するトレイ9の個数を入力する。ただ、この入力工程は、前述のラック固定工程の前工程として予め入力することもできる。入力部60でトレイ9の個数を入力後、ラック搬送装置100の起動スイッチをオン状態とする。
制御部6は、全てのストッパ(第1ストッパ71、第2ストッパ72、待機ストッパ73、搬入ストッパ74)をオン状態とする。
【0145】
[トレイセット工程]
(S5、S6のステップ)
供給コンベア部1のセット領域18にトレイ9をセットする。図7に示すラック搬送装置100は、複数列(3列)の搬送レーン7を備えており、各搬送レーン7のセット領域18にトレイ9をセットする。トレイ9は、セットする毎に常に全ての搬送レーン7のセット領域18にセットするのではなく、ユーザーが制御部6の指示にしたがって、所定のセット位置にのみトレイ9をセットする。
トレイ9がセットされるセット領域18は、制御部6で点灯制御されるパイロットランプ17により表示される。したがって、ユーザーは、パイロットランプ17が点灯するセット領域18のセット位置にのみトレイ9をセットする。このとき、セット領域18の排出側に設けた第1ストッパ71は、制御部6によりオン状態に制御されて、トレイ9の通過を阻止するオン位置にある。したがって、ユーザーは、オン位置にある第1ストッパ71にトレイ9の先端側が接近するように配置することにより、各トレイ9を各セット位置の定位置にセットする。
【0146】
(S7のステップ)
セット領域18の各セット位置にトレイ9がセットされると、各セット位置に配置された第1センサー75がこのことを検出して、制御部6にセット完了信号を送信する。制御部6は、第1センサー75から入力される信号により、各セット位置にトレイ9が正しくセットされたかどうかを判定する。パイロットランプ17で表示されたセット位置に正しくトレイ9がセットされるまでS6とS7のステップをループする。また、間違った位置にトレイ9がセットされた場合は、セットエラーの警告等をしてもよい。
【0147】
[セットコンベア部の搬送工程]
(S8、S9のステップ)
制御部6は、セット領域18の各セット位置にトレイ9が正しくセットされた状態で、調整領域19の各調整位置に配置された第2センサー76から、先に運ばれたトレイ9が残っていないことを示す未セット信号が入力され、かつ、安全センサー16からユーザーの手がセット領域18から離れたことを示す信号が入力されると、第1ストッパ71を解除すると共に、セットコンベア部10のコンベアベルト11を駆動して、セット領域18にあるトレイ9を調整領域19に搬送する。このとき、調整領域19の排出側に設けた第2ストッパ72は、制御部6によりオン状態に制御されており、トレイ9の通過を阻止するオン位置にある。
【0148】
(S10、S11のステップ)
セットコンベア部10で搬送されるトレイ9は、第2ストッパ72まで移動すると、オン状態の第2ストッパ72により搬送が阻止されて停止する。トレイ9が第2ストッパ72に到着すると、調整領域19の各調整位置に設けた第2センサー76がこのことを検出して制御部6にセット完了信号を送信する。制御部6は、第2センサー76からの信号でトレイ9が調整領域19の調整位置にセットされたことを検出すると、コンベアベルト11を停止し、第1ストッパ71をオン状態に切り換える。
【0149】
(S12、S13のステップ)
セット領域18からトレイ9が搬送されて空き状態となると、全てのトレイ9のセットが完了するまで、S5~S11のステップをループする。S5のステップに戻ると、ユーザーは、第1ストッパ71がオン位置に移動したことを確認した後、パイロットランプ17の表示にしたがって次のトレイ9をセット領域18にセットする。
全てのトレイ9のセットが完了すると、S13のステップに進んでトレイ9のセットを完了する。
【0150】
(S14のステップ)
セットコンベア部10の調整領域19に搬送されたトレイ9は、待機コンベア部20に先に移送されたトレイ9が残存する場合には、待機コンベア部20が空き状態となるまで第2ストッパ72により調整位置で待機する。セットコンベア部10の調整領域19にトレイ9が移送された状態で、待機コンベア部20に先に移送されたトレイ9がすでに排出されている場合には、調整位置で一時停止することなく、第2ストッパ72を解除して待機コンベア部20に搬送してもよい。
【0151】
[待機コンベア部搬送工程]
(S15のステップ)
調整領域19の調整位置でトレイ9が待機する状態で、待機コンベア部20の各トレイ待機位置に配置された待機センサー77から、先に運ばれたトレイ9が残っていないことを示す未セット信号が制御部6に入力されると、制御部6は、第2ストッパ72を解除すると共に、セットコンベア部10のコンベアベルト11と待機コンベア部20のコンベアベルト21を駆動して、調整領域19の調整位置にあるトレイ9を待機コンベア部20に移送する。このとき、待機コンベア部20のトレイ待機位置に設けた待機ストッパ73は、制御部6によりオン状態に制御されており、トレイ9の通過を阻止するオン位置にある。
【0152】
(S16、S17のステップ)
待機コンベア部20に搬送されたトレイ9は、待機ストッパ73まで移動すると、オン状態の待機ストッパ73により搬送が阻止されて停止する。トレイ9が待機ストッパ73に到着すると、待機コンベア部20の各トレイ待機位置に配置した待機センサー77がこのことを検出して制御部6にセット完了信号を送信する。制御部6は、待機センサー77からの信号でトレイ9が待機コンベア部20のトレイ待機位置にセットされたことを検出すると、セットコンベア部10のコンベアベルト11と待機コンベア部20のコンベアベルト21を停止し、第2ストッパ72をオン状態に切り換える。
【0153】
(S18のステップ)
待機コンベア部20のトレイ待機位置に搬送されたトレイ9は、待機コンベア部20の排出側であるトレイ受取位置TRに昇降コンベア部3が移動するまでの間、待機ストッパ73によりトレイ待機位置で待機する。
【0154】
[昇降コンベア部3搬送工程]
(S19のステップ)
待機コンベア部20のトレイ待機位置でトレイ9が待機する状態で、トレイ受取位置TRに昇降コンベア部3が到着すると、制御部6は、待機ストッパ73を解除すると共に、待機コンベア部20のコンベアベルト21と昇降コンベア部3のコンベアベルト31を駆動して、待機コンベア部20から昇降コンベア部3にトレイ9を搬送する。このとき、昇降コンベア部3の排出側に設けた搬入ストッパ74は、制御部6によりオン状態に制御されており、トレイ9の通過を阻止するオン位置にある。
【0155】
(S20、S21のステップ)
昇降コンベア部3に移送されたトレイ9は、搬入ストッパ74まで移動すると、オン状態の搬入ストッパ74により移送が阻止されて停止する。トレイ9が搬入ストッパ74に到着すると、昇降コンベア部3の排出側の端部に設けた搬入センサー78がこのことを検出して制御部6にセット完了信号を送信する。制御部6は、搬入センサー78からの信号でトレイ9が昇降コンベア部3にセットされたことを検出すると、待機コンベア部20のコンベアベルト21と昇降コンベア部3のコンベアベルト31を停止し、待機ストッパ73をオン状態とする。
【0156】
(S22のステップ)
昇降コンベア部3にトレイ9が搬送されると、制御部6は、昇降機構5を制御して、昇降コンベア部3が配置された基台50を上下方向に移動させて、昇降コンベア部3にセットされたトレイ9の搬入対象であるトレイ搬入口82と対向する位置、すなわちトレイ送出位置TSまで昇降コンベア部3を移動させる。
【0157】
[トレイ搬入工程]
(S23のステップ)
昇降コンベア部3がトレイ送出位置TSまで移動されると、制御部6は、図13(b)で示すように、搬入ストッパ74を解除すると共に、昇降コンベア部3のコンベアベルト31を駆動して、トレイ9を昇降コンベア部3からトレイ搬入口82に送出する。
昇降コンベア部3のコンベアベルト31でトレイ搬入口82に向かって送出されるトレイ9は、トレイ搬入口82からトレイ棚81に案内される。昇降コンベア部3でトレイ棚81に移送されるトレイ9は、昇降コンベア部3のみでトレイ9全体がトレイ棚81まで移送されるのではなく、トレイ9の前方が部分的にトレイ棚81に案内されるように移送される。このとき、搬入対象となるトレイ棚81に、先に搬入されたトレイ9が存在する場合には、昇降コンベア部3のコンベアベルト31で移送されるトレイ9の前端面で先のトレイ9の後端面を押圧して、先のトレイ9をラック8の内部に押し込みながら、新たに搬入されるトレイ9の前端部がトレイ棚81に押し込まれる。
【0158】
(S24~S26のステップ)
前端部がトレイ搬入口82からトレイ棚81に案内されたトレイ9は、後方から押出機構4により押圧されてトレイ棚81に押し込まれる。昇降コンベア部3のコンベアベルト31で移送されるトレイ9が昇降コンベア部3の中間部に配置された通過センサー79を通過すると、制御部6にトレイ通過信号を送信する。制御部6は、通過センサー79からのトレイ通過信号でトレイ9がプッシャー41の押圧部42の降下地点を通過したことを検出すると、押出機構4の上下機構43を制御して、図13(c)で示すように、プッシャー41の押圧部42をトレイ9の後方に降下させる。さらに、制御部6は、図13(d)で示すように、回転機構47を駆動してナット部材46を正転させてネジ棒45を前進させ、押圧部42の前端面でトレイ9の後端面を押圧して、トレイ9をラック8のトレイ棚81に向かって押し出す。プッシャー41で押し出されるトレイ9は、ラック8のトレイ棚81まで押し込まれて、ラック8の定位置に搬入される。以上のように、昇降コンベア部3によって先端側が部分的にトレイ棚81に移動されたトレイ9は、後端側からプッシャー41で押し出されることで、全体がトレイ棚81に移動される。すなわち、昇降コンベア部3がトレイ9をトレイ搬入口82に送り出す駆動状態で、押出機構4がトレイ9を後方から押してトレイ棚81に押し込むように制御部6が制御することで、速やかに、しかも安全かつ確実に昇降コンベア部3からトレイ棚81にトレイ9が移送される。
【0159】
(S27、S28のステップ)
押出機構4がトレイ9を昇降コンベア部3から押し出すと、制御部6は、昇降コンベア部3のコンベアベルト31を停止する。さらに、制御部6は、回転機構47を逆転させてナット部材46を反転させてネジ棒45を後退させ、プッシャー41を引き込むと共に、上下機構43を制御して押圧部42を上昇させる。
【0160】
(S29のステップ)
プッシャー41が所定の位置に復帰すると、制御部6は、搬入ストッパ74をオン状態に切り換えると共に、昇降機構5を制御して基台50を上下に移動させて、昇降コンベア部3をトレイ受取位置TRまで移動させる。
【0161】
(S30のステップ)
以上のようにして多数のトレイ9を順次搬送して、セット領域18にセットされる全てのトレイ9をラック8の各トレイ棚81に移送して搬入する。
全てのトレイ9をラック8に搬入すると次のステップに進んで終了する。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明は、卵が載置されたトレイをラックのトレイ棚に搬送するラック搬送装置として、とくに、孵卵器(孵卵室)に搬入されるラックに種卵を載置したトレイを搬入するラック搬送装置に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0163】
100…ラック搬送装置
1…供給コンベア部
2…昇降移送部
3…昇降コンベア部
4…押出機構
5…昇降機構
6…制御部
7…搬送レーン
7A…第1レーン
7B…第2レーン
7C…第3レーン
8…ラック
9…トレイ
10…セットコンベア部
11…コンベアベルト
11A…ブロックチェーン
12…駆動輪
12A…スプロケット
13…回転駆動機構
13A…駆動モータ
13B…駆動伝達機構
13a…駆動プーリ
13b…従動プーリ
13c…タイミングベルト
13d…駆動軸
14…チェーンガイド
15…移送ガイド部
15A…ガイド壁
16…安全センサー
17…パイロットランプ
18…セット領域
18A、18B、18C…セット位置
19…調整領域
19A、19B、19C…調整位置
20…待機コンベア部
21…コンベアベルト
21A…ブロックチェーン
25…通過隙間
26…支持ローラー
29…トレイ待機位置
30…コンベアユニット
31…コンベアベルト
31A…丸ベルト
32…駆動輪
32A…プーリ
33…回転駆動機構
33A…駆動モータ
33B…駆動伝達機構
33a…駆動プーリ
33b…従動プーリ
33c…タイミングベルト
33d…駆動軸
33e…連結シャフト
34…サブプーリ
35…移送ガイド部
35A…ガイド壁
40、40x…往復運動機構
41、41x…プッシャー
42…押圧部
42A…押圧プレート
42B…前後プレート
43…上下機構
43A…シリンダ部
43B…ガイド部
43C…連結プレート
44…固定プレート
45、45x…ネジ棒
46、46x…ナット部材
47、47x…回転機構
47A…駆動モータ
47B…回転伝達機構
47a…駆動プーリ
47b…従動プーリ
47c…タイミングベルト
47d…テンショナー
48、48x…ガイド機構
48A、48Ax…ガイドロッド
48B、48Bx…スライドブッシュ
49…移送スペース
50…基台
50A…垂直プレート部
51…ネジ棒
52…ナット部材
53…ガイドロッド
54…スライドブッシュ
55…駆動機構
56…駆動モータ
57…回転伝達機構
57a…駆動プーリ
57b…従動プーリ
57c…中間プーリ
57cx…第1プーリ
57cy…第2プーリ
57d…タイミングベルト
57dx…第1のタイミングベルト
57dy…第2のタイミングベルト
57dz…第3のタイミングベルト
60…入力部
61…ラック固定機構
62…クランプ部
63…駆動部
64…転卵ロック機構
65…支持部材
66…シリンダ
67…走行レール
68…スロープ部
69…ラック配置領域
70…停止ストッパ
70A…ストッパ壁
70B…シリンダ部
70C…ガイド部
70D…連結プレート
71…第1ストッパ
72…第2ストッパ
73…待機ストッパ
74…搬入ストッパ
75…第1センサー
76…第2センサー
77…待機センサー
78…搬入センサー
79…通過センサー
80…本体枠
81…トレイ棚
82…トレイ搬入口
83…支持フレーム
83A…直線部
83B…立上部
84…ガイドフレーム
84A…水平部
84B…垂直部
85…傾斜機構
86…上下ロッド
87…連結具
88…キャスター
90…トレイ本体
91…水平プレート部
92…外周壁
93…区画壁
94…収納部
95…貫通穴
96…保持壁
97…連結ボス
97A…上部連結ボス
97a…嵌合凸部
97B…下部連結ボス
97b…嵌合凹部
TR…トレイ受取位置
TS…トレイ送出位置
図1
図2
図3
図4
図5
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