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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046113
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
   F04D 25/16 20060101AFI20220315BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20220315BHJP
   F04D 29/42 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
F04D25/16
F04D25/08 302E
F04D29/42 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151993
(22)【出願日】2020-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000105659
【氏名又は名称】日本電産コパル電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飛内 康宏
(72)【発明者】
【氏名】中田 佑希
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB47
3H130AB62
3H130AB66
3H130AB70
3H130AC30
3H130BA95A
3H130BA97A
3H130CA01
3H130CA21
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130EA01A
3H130EB01A
3H130EB02A
(57)【要約】

【課題】 部品点数の増加を抑えて吐出圧力の増大が可能であり、しかも組み立てが容易な送風機を提供する。
【解決手段】 第1ケース11は、隔壁11e、11fにより仕切られた複数の凹部11b、11c、11dと、複数の凹部の1つに設けられた吸気口11aを有する。第2ケース12は、第1ケースにより覆われ、複数の凹部により形成される空間を連続的に繋ぐ複数の副吸気口12a、12b、12cと、少なくとも1つの副排気口12f、12gと、排気口12hとを有し、複数の副吸気口に対応して配置された複数の遠心ファン14a、14b、14cが配置される。第3ケース13は、第2ケースにより覆われ、複数の遠心ファンを駆動する複数のモータ15a、15b、15cを収容する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁により仕切られた複数の第1凹部と、前記複数の第1凹部の1つに設けられた吸気口を有する第1ケースと、
前記第1ケースにより覆われ、前記複数の第1凹部により形成される空間を連続的に繋いで流路を形成する複数の副吸気口と、少なくとも1つの副排気口と、排気口とを有し、前記複数の副吸気口と、前記少なくとも1つの副排気口と、前記排気口に対応して複数の遠心ファンが配置される第2ケースと、
前記第2ケースにより覆われ、前記複数の遠心ファンを駆動する複数のモータが収容される第3ケースと、
を具備することを特徴とする送風機。
【請求項2】
前記少なくとも1つの副排気口の開口面積は、前記排気口の開口面積と異なることを特徴とする請求項1記載の送風機。
【請求項3】
前記少なくとも1つの副排気口の開口面積は、前記排気口の開口面積より大きいことを特徴とする請求項2記載の送風機。
【請求項4】
前記少なくとも1つの副排気口は、2つ以上であり、各副排気口の開口面積は、異なることを特徴とする請求項3記載の送風機。
【請求項5】
前記第1ケースと前記第2ケースの接合面は、平面であることを特徴とする請求項1記載の送風機。
【請求項6】
前記第1ケースと前記第2ケースの接合面は、平面であり、前記第2ケースと前記第3ケースの接合面は、平面であることを特徴とする請求項1記載の送風機。
【請求項7】
前記第2ケースの裏面は、平坦であり、前記複数の遠心ファンを駆動する複数のモータは、前記第2ケースの裏面に取り付けられることを特徴とする請求項1記載の送風機。
【請求項8】
前記第2ケースは、前記複数の副吸気口の間で、前記複数の第1凹部のうち、前記吸気口を有する第1凹部以外の第1凹部に対応して配置され、内側面に前記少なくとも1つの副排気口が配置された第2凹部をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の送風機。
【請求項9】
前記複数のモータのそれぞれは、底部を貫通する孔を有することを特徴とする請求項1記載の送風機。
【請求項10】
前記第3ケースは、前記複数のモータを仕切る少なくとも1つの隔壁を有し、前記第2ケースは、表面から裏面に貫通する孔を有することを特徴とする請求項1記載の送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、遠心ファンを用いた送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心ファンを用いた送風機において、吐出圧力を増大させる方法としては、遠心ファンの回転数を増加させたり、ファンの直径を拡大したり、ファンの個数を増加することが考えられる。ファンの回転数の増加やファンの直径を拡大する場合、モータの軸受けやモータ自体の性能を向上させる必要がある。そこで、複数の既存の送風機を直列接続することが考えられている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-091240号公報
【特許文献2】特許第6109823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の送風機を直列接続する場合、各送風機の排気口と吸気口とを接続するために継手を必要とする。この場合、送風機の形状に従って専用の継手を用意する必要がある。このため、部品点数が増加するとともに、継手を用いて複数の送風機を接続するための工数を必要とする。
【0005】
本発明の実施形態は、部品点数の増加を抑えて吐出圧力の増大が可能であり、しかも組み立てが容易な送風機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の送風機は、隔壁により仕切られた複数の第1凹部と、前記複数の第1凹部の1つに設けられた吸気口を有する第1ケースと、前記第1ケースにより覆われ、前記複数の第1凹部により形成される空間を連続的に繋いで流路を形成する複数の副吸気口と、少なくとも1つの副排気口と、排気口とを有し、前記複数の副吸気口と、前記少なくとも1つの副排気口と、前記排気口に対応して複数の遠心ファンが配置される第2ケースと、前記第2ケースにより覆われ、前記複数の遠心ファンを駆動する複数のモータが収容される第3ケースと、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る送風機を示す斜視図。
図2図1のII-II線に沿った断面図。
図3図1の一部を除いて示す斜視図。
図4図3の一部を除いて示す斜視図。
図5】第1変形例を示すものであり、図1のV-V線に沿った断面図。
図6】第2変形例を示すものであり、図1のII-II線に沿った断面図。
図7】第2変形例を示すものであり、図1のV-V線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。図面において、同一部分又は同一機能を有する部分には、同一符号を付している。
【0009】
本実施形態は、例えば3つの遠心ファン(以下、フレードと称す)を用いた送風機について説明する。しかし、ブレードの数は、3つに限らず、2つ又は4つ以上であってもよい。
【0010】
図1図2に示すように、送風機10は、ハウジングとしての第1ケース11、第2ケース12、第3ケース13を具備している。第3ケース13は第2ケース12によって覆われ、第2ケース12は、第1ケース11によって覆われる。吸気口11aは、第1ケース11の上面で長手方向の一端部に配置され、排気口12hは、第2ケース12の長手方向の他端部で、第2ケース12の側面に配置されている。
【0011】
第1ケース11と第2ケース12との接合面は、平面であり、第2ケース12と第3ケース13の接合面も、平面である。このため、第1ケース11と第2ケース12との境界面、及び第2ケース12と第3ケース13との境界面において、密閉が可能であり、空気漏れを低減することができる。
【0012】
図2に示すように、第1ケース11の裏面には、例えば第1空間11b、第2空間11c、第3空間11d(複数の第1凹部)が設けられている。第1空間11bと第2空間11cとの間は、隔壁11eにより仕切られ、第2空間11cと第3空間11dとの間は、隔壁11fにより仕切られている。換言すると、第1ケース11は、その裏面に、2つの隔壁11e、11fにより仕切られた3つの第1凹部を有している。吸気口11aは、第1空間11bに連通され、排気口12hは、後述するように、第3空間11dに連通される。
【0013】
図2図3に示すように、第2ケース12の上面には、長手方向に沿って第1副吸気口12a、第2副吸気口12b、第3副吸気口12cが配置されている。第1副吸気口12aと第2副吸気口12bとの間には、第1溝部12dが長手方向と交差する方向に配置され、第2副吸気口12bと第3副吸気口12cとの間には、第1溝部12dと同様の形状の第2溝部12eが長手方向と交差する方向に配置されている。第1溝部12dと第2溝部12eの形状は、上記に限定されるものではなく、第1副排気口12fから第2副吸気口12b、第2副排気口12eから第3副吸気口12cに空気が滑らかに導入される形状であればよい。第1溝部12dの内側面には、第1副排気口12fが設けられ、第2溝部12eの内側面には、第2副排気口12gが設けられている。
【0014】
第1副排気口12fと第2副排気口12gの各開口面積は、排気口12hの開口面積より大きい。したがって、排気口12hから排出される空気の吐出圧力を高めることができる。
【0015】
第1副排気口12fの開口面積は、第2副排気口12gの開口面積と例えば等しい。しかし、これらの開口面積は必ずしも等しい必要はなく、例えば第2副排気口12gの開口面積は、第1副排気口12fの開口面積より大きくてもよい。
【0016】
排気口12h、第1副排気口12f、及び第2副排気口12gの各開口面積は、後述する複数のモータの回転数の条件や、排気口12h、第1副排気口12f、及び第2副排気口12gの圧力流量条件に応じて、個別に変えてもよい。これにより、それぞれの条件の下で、第1副排気口12f、及び第2副排気口12gの圧力損失を抑えることができる。
【0017】
図2に示すように、第1副吸気口12aは、第1ケース11の第1空間11bに対応して配置されている。第1副排気口12fと第1溝部12d及び第2副吸気口12bは、第1ケース11の第2空間11cに対応して配置されている。第2副排気口12gと第2溝部12e及び第3副吸気口12cは、第1ケース11の第3空間11dに対応して配置されている。
【0018】
第2ケース12の裏面には、第4空間12i、第5空間12j、第6空間12k(第2凹部)が設けられている。第4空間12iと第5空間12jは、第1溝部12dによって仕切られ、第5空間12jと第6空間12kは、第2溝部12eによって仕切られている。換言すると、第2ケース12の裏面に設けられた3つの第2凹部は、第2ケース12の上面に設けられた2つの溝部により仕切られている。
【0019】
第1副吸気口12aと第1副排気口12fは、第4空間12iを介して連通され、第2副吸気口12bと第2副排気口12gは、第5空間12jを介して連通され、第3副吸気口12cと排気口12hは、第6空間12kを介して連通されている。
【0020】
第1ケース11と第2ケース12とを結合することより、第2ケース12の第1副吸気口12a、第4空間12i、第1副排気口12f、第2副吸気口12b、第5空間12j、第2副排気口12g、及び第3副吸気口12c、第6空間12kは、第1ケース11の第1空間11b、第2空間11c、及び第3空間11dにより連結される。したがって、第1ケース11と第2ケース12とにより、吸気口11aと排気口12hとを繋ぐ流路が形成される。
【0021】
第2ケース12の第4空間12iの内部には、第1ブレード14aが配置され、第5空間12jの内部には、第2ブレード14bが配置され、第6空間12kの内部には、第3ブレード14cが配置される。第1乃至第3ブレード14a、14b、14cは、例えば同一の形状のブレードである。
【0022】
図2図4に示すように、第3ケース13の内部には、第1ブレード14aを駆動する第1モータ15a、第2ブレード14bを駆動する第2モータ15b、及び第3ブレード14cを駆動する第3モータ15cが配置される。第1乃至第3モータ15a、15b、15cは、例えば同一形状、及び同一出力のモータである。しかし、モータ及びブレードは、それぞれ異なっていてもよく、この場合、第1ケース11と第2ケース12の空間などの形状を変えればよい。
【0023】
第1乃至第3モータ15a、15b、15cのそれぞれは、例えばベースプレート17a、トップケース17b、及びベースプレート17aとトップケース17bとの間に配置された中間ケース17cを具備し、トップケース17bは、周囲にフランジ17dを有している。第1乃至第3モータ15a、15b、15cのそれぞれは、フランジ17dが複数のねじ18により第2ケース12の裏面に取り付けられる。このため、第2ケース12の裏面は、第1乃至第3モータ15a、15b、15cにより封止され、第1ケース11及び第2ケース12の気密性が保持される。
【0024】
第2ケース12の裏面は、平坦であるため、第1乃至第3モータ15a、15b、15cのフランジ17dを簡単に取り付けることができ、取り付け作業が容易である。
【0025】
尚、第1乃至第3モータ15a、15b、15cは、上記構成に限定されるものではなく、変形可能であり、例えばベースプレート17aと中間ケース17cは、トップケース17bと一体に形成されてもよい。
【0026】
さらに、第2ケース12の内部には、図4に示す印刷基板16が取り付けられる。印刷基板16には、第1モータ15a、第2モータ15b、及び第3モータ15cを制御する図示せぬ制御回路が組み込まれている。
【0027】
上記のように、第2ケース12に第1乃至第3モータ15a、15b、15cが取りけられた状態において、第1ケース11が第2ケース12に取り付けられる。具体的には、図1に示すように、第1ケース11、第2ケース12を合体した状態において、第1ケース11に設けられた複数の孔11gと第2ケース12に設けられた複数の孔12lにそれぞれ図示せぬねじが第1ケース1の上面側から挿入され、第1ケース11が第2ケース12に固定される。この後、第3ケース13が第2ケース12に合体された状態において、第3ケース13に設けられた複数の孔13dに第3ケース13の底面側からそれぞれ図示せぬねじが挿入され、第3ケース13が第2ケース12に固定される。
【0028】
図2に示すように、第2ケース12に第3ケース13が取り付けられると、図4に示すように、第3ケース13内に第1乃至第3モータ15a、15b、15c及び印刷基板16の一部が収容される。
【0029】
また、図2に示すように、第1乃至第3モータ15a、15b、15cの底部、すなわち、ベースプレート17aと第3ケース13の底部との間には、僅かな隙間が設けられている。
【0030】
上記のように、第1ケース11、第2ケース12、第3ケース13を合体した状態において、第1乃至第3モータ15a、15b、15cにより第1乃至第3ブレード14a、14b、14cが駆動されると、第1ケース11の吸気口11aから導入された空気は、図3に破線の矢印で示すように、第1副吸気口12a、第1副排気口12f、第2副吸気口12b、第2副排気口12g、及び第3副吸気口12cの順に流れて排気口12hから吐出される。すなわち、第1ケース11の吸気口11aから導入された空気は、第1ケース11と第2ケース12により形成された流路を通り、排気口12hから吐出される。
【0031】
尚、上記実施形態において、第1ケース11と第2ケース12により構成される流路は、複数の副吸気口と副排気口とにより吸気口11aと排気口12hとを直列に接続している。しかし、流路の構成は、これに限定されるものではなく、吸気口11aと排気口12hとを複数の副吸気口と副排気口とにより並列に接続してもよい。この構成によれば、複数のブレードを並列接続することができ、流量を増加することが可能である。
【0032】
(実施形態の効果)
上記実施形態によれば、送風機10は、吸気口11aと排気口12hを繋ぐ流路を形成する第2ケース12及び第1ケース11と、第2ケースに取り付けられ、第2ケースに設けられた第1乃至第3ブレード14a、14b、14cを駆動する第1乃至第3モータ15a、15b、15cが収容される第3ケース13と、により構成される。このため、第1ケース11、第2ケース12、及び第3ケース13を用いて、複数のブレードを直列接続することができる。したがって、部品点数が少なく、シンプルな外形の送風機10を構成することができる。
【0033】
しかも、第1ケース11及び第2ケース12は、複数のブレードを直列に繋ぐ流路を形成し、この流路内の第1副排気口12fと第2副排気口12gの各開口面積は、排気口12hの開口面積より大きい。このため、第1ケース11の第2空間11c、第3空間11dへの送風量を増大でき、小さな開口面積を有する排気口12hから排出される空気の吐出圧力を増大させることができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、同一構成の第1乃至第3ブレード14a、14b、14c、及び第1乃至第3モータ15a、15b、15cを使用して、第1副排気口12f、第2副排気口12g、及び排気口12hの開口面積を圧力流量の条件や、モータの回転数の条件により個別に変えることも可能である。これにより、それぞれの条件において、第1副排気口12f及び第2副排気口12gでの圧力損失を抑えることが可能である。
【0035】
具体的には、第1乃至第3モータ15a、15b、15cの回転数をそれぞれR1、R2、R3とし、これら回転数の関係がR1<R2<R3である場合、第2副排気口12gの開口面積を第1副排気口12fの開口面積より大きくすることにより、各副排気口での圧力損失を抑えることが可能である。
【0036】
しかも、同一構成の第1乃至第3ブレード14a、14b、14c、及び第1乃至第3モータ15a、15b、15cを使用しているため、上記のような異なる条件を設定する場合においても、部品を共通化できる利点を有している。
【0037】
さらに、第1ケース11を第2ケース12に取り付け、第2ケース12に第1乃至第3ブレード14a、14b、14cが取り付けられた第1乃至第3モータ15a、15b、15cと、印刷基板16を取り付けた後、第2ケース12に第3ケース13を取り付けるだけで、送風機10を完成することができる。したがって、部品点数が少なく、組み立てが容易である。
【0038】
また、流路を構成する第1ケース11と第2ケース12との接合面は、平面であり、第2ケース12と第3ケース13の接合面も、平面である。したがって、第1ケース11と第2ケース12を密閉でき、第2ケース12と第3ケース13も密閉が可能である。したがって、送風機10の周囲から空気が漏れることを確実に防止できる。
【0039】
しかも、第2ケース12の裏面は、第1乃至第3モータ15a、15b、15cのフランジ17gにより封止されているため、第1ケース11と第2ケース12の気密性を向上させることが可能である。
【0040】
(第1変形例)
図5は、本実施形態の第1変形例を示している。
【0041】
上述したように、第2ケース12の裏面は、第1乃至第3モータ15a、15b、15cのフランジ17gにより封止され、第1ケース11と第2ケース12の気密性が保持されている。このため、第1乃至第3ブレード14a、14b、14cの表面側の圧力と裏面側の圧力に差が生じ、第1乃至第3ブレード14a、14b、14cは、スラスト方向の力を受ける可能性がある。
【0042】
また、複数のブレードが直列に配置された構成の場合、排気口12hに近い部分の圧力は、排気口12hから離れた部分の圧力より高圧となる。このため、モータ毎にブレードのスラスト方向の圧力が相違する。
【0043】
第1変形例は、第1乃至第3ブレード14a、14b、14cのスラスト方向の位置を安定化させるための構成を提供する。
【0044】
図5は、第2ブレード14bと第2モータ15bの部分の断面を示している。第1ブレード14a、第3ブレード14c、第1モータ15a、及び第3モータ15cも第2ブレード14b、第2モータ15bと同様の構成である。
【0045】
第2モータ15bを構成するベースプレート17aの一部には、表面から裏面に貫通する孔17eが設けられ、中間ケース17cの内部の一部にも表面から裏面に貫通する孔17fが設けられている。孔17fは、第2モータ15bのステータとしてのコイル17iとロータ17gに設けられたマグネット17jとの間に隙間があるため、省略することも可能である。第2モータ15bのトップケース17bとロータ17gとの間には、僅かな隙間17hが存在する。
【0046】
さらに、第3ケース13の底部には、表面から裏面に貫通する孔13cが設けられており、第3ケース13の内部は、大気に開放されている。孔13cの数は、1つに限らず、複数であってもよく、例えば第1乃至第3モータ15a、15b、15cにそれぞれ対応して3個設けられていてもよい。
【0047】
このように、複数の孔17e、17f、13cを設けることにより、第1乃至第3ブレード14a、14b、14cの裏面側の圧力を低下させることができ、第1乃至第3ブレード14a、14b、14cのスラスト方向の位置を安定化することが可能である。
【0048】
さらに、排気口12hに近い部分の圧力は、排気口12hから離れた部分の圧力より高圧となるため、第1乃至第3モータ15a、15b、15cのベースプレート17aの孔17eの直径と、中間ケース17cの孔17fの直径、及び第3ケース13に設けられた複数の孔13cの直径は、それぞれ異なっていてもよい。
【0049】
具体的には、第1乃至第3モータ15a、15b、15cの回転数が等しく、第1乃至第3ブレード14a、14b、14cの形状が等しい場合、第1乃至第3モータ15a、15b、15cの孔17e、17fの直径は、例えば排気口12hに近いものほど大きく、第3ケース13の複数の孔13cの直径は、排気口12hに近いものほど大きい。
【0050】
このように、各孔の直径を排気口12hからの距離に応じて変えることにより、各ブレードのスラスト方向の位置をさらに安定に保つことが可能である。
【0051】
また、排気口12hを印刷基板16の近傍に配置することも可能であり、この場合、排気により印刷基板16を冷却することも可能である。
【0052】
(第1変形例の効果)
上記第1変形例によれば、ベースプレート17aの孔17e、及び中間ケース17cの孔17f、第2モータ15bのトップケース17bとロータ17gとの間の隙間、及び第3ケース13の孔13cにより、第3ケース13の内部及び外部と第2モータ15bの内部とが連通されている。このため、第1乃至第3ブレード14a、14b、14cが回転した状態において、第1乃至第3ブレード14a、14b、14cの表面側と裏面側の圧力をほぼ等しくすることができる。さらに、各孔17e、17f、13cの直径は、排気口12hからの距離に従って異なっている。したがって、直列に配置された第1乃至第3ブレード14a、14b、14cのスラスト方向の位置を安定に保つことが可能である。
【0053】
尚、各孔の直径を変えることに代えて、各モータの回転数を変えてもよい。すなわち、第1乃至第3モータ15a、15b、15cの孔17e、17fの直径、及び第3ケース13の複数の孔13cの直径が等しい場合、第1乃至第3モータ15a、15b、15cの回転数を変えてもよい。具体的には、第1乃至第3モータ15a、15b、15cの回転数は、排気口12hに近いものほど高くされる。
【0054】
このように、直径が等しい複数の孔17e、17f、13cを設け、第1乃至第3モータ15a、15b、15cの回転数を排気口12hからの距離に応じて変えることによっても、各ブレードのスラスト方向の位置を安定に保つことが可能である。
【0055】
(第2変形例)
上記第1変形例は、第1乃至第3モータ15a、15b、15cや第3ケース13に複数の孔を設けることにより、ブレードのスラスト方向の位置を安定化させた。
【0056】
第2変形例は、各ブレードの吸気口側と、ブレードの裏面側の圧力をほぼ等しくすることにより、ブレードのスラスト方向の位置を安定化させる。
【0057】
図6図7は、第2変形例を示している。図6に示すように、第3ケース13の内部には、第1乃至第3モータ15a、15b、15cが配置された空間を仕切るため、第1モータ15aと第2モータ15bとの間に隔壁13aが設けられ、第2モータ15bと第3モータ15cとの間に隔壁13bが設けられる。これら隔壁13a、13bは、第3ケース13の底部から延び、第2ケース12の裏面に当接されている。
【0058】
図7に示すように、第2ケース12の第2ブレード14bと対応する部分には、第2ケース12の表面から裏面に貫通する孔12lが設けられる。すなわち、孔12lは、隔壁13aと隔壁13bとにより仕切られた第3ケース13の3つの空間にそれぞれ対応して設けられている。したがって、第2ケース12の第1ブレード14a、及び第3ブレード14cと対応する部分にも第2ケース12の表面から裏面に貫通する孔12lがそれぞれ設けられる。第2変形例において、第3ケース13の複数の孔13cは、除去されている。
【0059】
第2変形例において、第2ケース12に設けられた複数の孔12lの直径、第1乃至第3モータ15a、15b、15cのベースプレート17aの孔17eの直径、中間ケース17cの孔17fの直径は、第1乃至第3モータ15a、15b、15cの回転数が等しい場合、第1変形例と同様にそれぞれ異なっていてもよい。あるいは、各孔12l、17e、17fの直径を等しくし、第1乃至第3モータ15a、15b、15cの回転数を異ならせてもよい。
【0060】
(第2変形例の効果)
上記第2変形例によれば、第2ケース12の表面側と裏面側は、孔12lにより連通され、第1乃至第3モータ15a、15b、15cの内部と第2ケース12の内部は、各ベースプレート17aの孔17e、中間ケース17cの孔17f、及びトップケース17bとロータ17gとの間の隙間により連通される。したがって、第1乃至第3ブレード14a、14b、14cの各裏面側の圧力と表面側の圧力をほぼ等しくすることができるため、第1乃至第3ブレード14a、14b、14cのスラスト方向の位置を安定に保つことが可能である。
【0061】
その他、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…送風機、11…第1ケース、12…第2ケース、13…第3ケース、11a…吸気口、12h…排気口、11b、11c、11d…第1乃至第3空間(第1凹部)、12a、12b、12c…第1乃至第3副吸気口、12f、12g…第1、第2副排気口、14a、12i、12j、12k…第4乃至第6空間(第2凹部)、14b、14c…第1乃至第3ブレード、15a、15b、15c…第1乃至第3モータ、12l、17e、17f、13c…孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7