(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046166
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】飛沫拡散防止ドレープ
(51)【国際特許分類】
A61G 10/00 20060101AFI20220315BHJP
A61B 46/20 20160101ALI20220315BHJP
【FI】
A61G10/00 Z
A61B46/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020152081
(22)【出願日】2020-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】501083643
【氏名又は名称】学校法人慈恵大学
(71)【出願人】
【識別番号】594204446
【氏名又は名称】第一医科株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】森 恵莉
(72)【発明者】
【氏名】鴻 信義
(72)【発明者】
【氏名】小島 博己
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 太輔
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341KK05
(57)【要約】
【課題】医療従事者による診察、検査等の施術時において、被施術者の鼻、口から噴出する粘液、唾液等の飛沫の拡散を抑制して施術環境を清浄に保つとともに、施術時の作業に支障を来さない飛沫拡散防止ドレープを提供する。
【解決手段】被施術者の鼻腔または口腔から放出される飛沫の拡散を防止する飛沫拡散防止ドレープは、被施術者の頭頂部から肩部までを包被し、頭頂部側に封止部と肩部側に袋開口部を備えた袋状部材と、袋状部材に形成され、被施術者の鼻腔または口腔に器具を挿入するための挿入口部とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施術者の鼻腔または口腔から放出される飛沫の拡散を防止する飛沫拡散防止ドレープであって、
前記飛沫拡散防止ドレープは、
前記被施術者の頭頂部から肩部までを包被し、前記頭頂部側に封止部と前記肩部側に袋開口部を備えた袋状部材と、
前記袋状部材に形成され、前記被施術者の鼻腔または口腔に器具を挿入するための挿入口部と、を備えている
ことを特徴とする飛沫拡散防止ドレープ。
【請求項2】
前記袋状部材は、前記被施術者の頭頂部から胸部までを包被し、前記腹部側に前記袋開口部が備えられる請求項1に記載の飛沫拡散防止ドレープ。
【請求項3】
前記袋状部材の前記袋開口部側から前記封止部側に延びるスリット部が形成されている請求項1または2に記載の飛沫拡散防止ドレープ。
【請求項4】
前記袋状部材は樹脂フィルムから形成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の飛沫拡散防止ドレープ。
【請求項5】
前記挿入口部は、前記袋状部材の予め開口された開口部に、樹脂シートに1本以上の切込部を備えた片部材を貼着して形成される請求項1ないし4のいずれか1項に記載の飛沫拡散防止ドレープ。
【請求項6】
前記挿入口部は、前記袋状部材に樹脂シートの片部材を貼着し、前記片部材に対して1本以上の切込部を設けて形成される請求項1ないし4のいずれか1項に記載の飛沫拡散防止ドレープ。
【請求項7】
前記袋状部材の内面部を前記被施術者の顔面部から離隔する離隔部材が、前記被施術者の前頭部に装着される請求項1ないし6のいずれか1項に記載の飛沫拡散防止ドレープ。
【請求項8】
前記離隔部材と前記袋状部材との位置合わせのための位置合わせ部が前記袋状部材に設けられている請求項7に記載の飛沫拡散防止ドレープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飛沫拡散防止ドレープに関し、特に被施術者の鼻腔または口腔から放出される飛沫の拡散を防止する飛沫拡散防止ドレープに関する。
【背景技術】
【0002】
臨床の現場において、診察、検査に際して、被施術者の鼻腔内に鼻鏡、鼻用の内視鏡等が挿入されたり、口腔内に舌圧子、口腔鏡を含めた歯科用器具、口からの内視鏡等が挿入されたりする。この場合、鼻腔内または口腔内に診察、検査の器具が接触して生じる刺激により、被施術者は咳き込んだりくしゃみをしたりする場合がある。この時、肺、気管支の表面に存在するウイルス、細菌が粘液、唾液等を通じて口、鼻から放出される。特に、咳、くしゃみは放出時の流速が増して遠くまで粘液、唾液等が飛沫(エアロゾル)として拡散する。
【0003】
このことから、被施術者の周囲で処置をする医師、看護師、臨床検査技師等の医療従事者は被施術者から生じる飛沫に曝露される。また、拡散した飛沫による施術室内の汚染も看過できない。医療従事者は、飛散する飛沫を予防するため、フェイスシールド、ゴーグル、マスク、手袋、キャップ(帽子)、ガウン等の防護具を装着し、ほぼ全身を覆い施術に臨んでいる。列記の防護具は、施術の度に交換する種類も多く資材の廃棄が多い。また、医療従事者は現在着ている防護具を脱いで新たな防護具を装着するため、時間と労力を多く割くことになり、時間あたりの施術の効率も低下する。
【0004】
そこで、天井から透明フィルムを吊り下げて形成される間仕切りが存在する(特許文献1参照)。しかしながら、天井から透明フィルムを吊り下げるのみの間仕切りの構成では、医療従事者にしてみれば、透明フィルム自体が検査、施術の障害となる。また、透明フィルムは平板ないし湾曲形状であり、遮蔽性に乏しく、被施術者の咳、くしゃみにより放出される粘液、唾液等の飛沫拡散の防止には有効とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明者は、鋭意検討を重ねた結果、被施術者毎に個別に被覆することにより、診察、検査等の被施術者に起因する飛沫の拡散防止効果を高め、かつ、被覆状態であっても医療従事者の作業に支障を来さず、しかも、安価に構成することのできる臨床向けの部材を完成させるに至った。
【0007】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、医療従事者による診察、検査等の施術時において、被施術者の鼻、口から噴出する粘液、唾液等の飛沫の拡散を抑制して施術環境を清浄に保つとともに、施術時の作業に支障を来さない飛沫拡散防止ドレープを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、実施形態は、被施術者の鼻腔または口腔から放出される飛沫の拡散を防止する飛沫拡散防止ドレープであって、当該飛沫拡散防止ドレープは、被施術者の頭頂部から肩部までを包被し、頭頂部側に封止部と肩部側に袋開口部を備えた袋状部材と、袋状部材に形成され、被施術者の鼻腔または口腔に器具を挿入するための挿入口部とを備えていることを特徴とする。
【0009】
さらに、袋状部材には、被施術者の頭頂部から胸部までを包被し、腹部側に袋開口部が備えられてもよい。
【0010】
さらに、袋状部材の袋開口部側から封止部側に延びるスリット部が形成されてもよい。
【0011】
さらに、袋状部材は樹脂フィルムから形成されてもよい。
【0012】
さらに、挿入口部は、袋状部材の予め開口された開口部に、樹脂シートに1本以上の切込部を備えた片部材を貼着して形成されてもよい。
【0013】
さらに、挿入口部は、袋状部材に樹脂シートの片部材を貼着し、片部材に対して1本以上の切込部を設けて形成されてもよい。
【0014】
さらに、袋状部材の内面部を被施術者の顔面部から離隔する離隔部材が、被施術者の前頭部に装着されてもよい。
【0015】
さらに、離隔部材と袋状部材との位置合わせのための位置合わせ部が袋状部材に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の飛沫拡散防止ドレープによると、被施術者の頭頂部から肩部までを包被し、頭頂部側に封止部と肩部側に袋開口部を備えた袋状部材と、袋状部材に形成され、被施術者の鼻腔または口腔に器具を挿入するための挿入口部とを備えているため、医療従事者による診察、検査等の施術時において、被施術者の鼻、口から噴出する粘液、唾液等の飛沫の拡散を抑制して施術環境を清浄に保つとともに、施術時の作業に支障を来さない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態の飛沫拡散防止ドレープの使用状態を示す全体斜視図である。
【
図2】
図1の飛沫拡散防止ドレープの全体平面図である。
【
図3】他の形態の飛沫拡散防止ドレープの全体平面図である。
【
図4】挿入口部の(A)形成時の第1模式図及び(B)形成時の第2模式図である。
【
図5】他の形態の挿入口部の(A)形成時の第1模式図、(B)形成時の第2模式図、及び(C)形成時の第3模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施形態の飛沫拡散防止ドレープは、臨床の現場において、被施術者(患者)のひとりひとりに頭から被せられる袋状のドレープである。被施術者の鼻腔内への鼻鏡、鼻用の内視鏡等の挿入、または、口腔内への舌圧子、口腔鏡を含めた歯科用器具、口からの内視鏡等の挿入の際、各種の器具が被施術者の鼻腔内、口腔内、咽頭、食道等に接触すると、接触時の刺激により咳、くしゃみが誘発される。そして、被施術者の唾液、粘液等が被施術者の鼻腔または口腔から飛沫(エアロゾル)として室内に拡散する。そこで、袋状のドレープを用いて被施術者の頭部から肩部、胸部まで覆うことにより、当該被施術者から放出する飛沫を極力袋状のドレープ内に留めようとするものである。以降、
図1等を用い、実施形態の飛沫拡散防止ドレープについて詳述する。
【0019】
図1は飛沫拡散防止ドレープ1を含む側面斜視図である。診察、検査等の施術時、飛沫拡散防止ドレープ1は、被施術者Pの頭頂部P1から肩部P2までを包被する袋状部材10のより形成される。袋状部材10の頭頂部P1には当該袋状部材10の封止部11が位置し、反対側となる肩部P2には袋開口部12が形成される。なお、袋状部材10のみのままでは、医療従事者は袋開口部12から袋状部材10の内部へ器具を入れて被施術者Pに対して診察、検査等の施術をしなければならず煩雑であり、飛沫拡散防止の効果が発揮されない。
【0020】
そこで、袋状部材10には挿入口部15が備えられる。挿入口部15は被施術者Pの鼻P6(鼻腔)または口P7(口腔)の内部に前出の各種の器具を挿入するための入り口となる。挿入口部15が袋状部材10に備えられているため、医療従事者は袋状部材10の袋開口部12をまくり上げる必要は無く、袋状部材10の内部の遮蔽性は確保される。
図1では、器具の一例として鼻用の内視鏡Bが示されている。符号30は後の
図6にて説明する離隔部材である。
【0021】
図2の全体平面図は飛沫拡散防止ドレープ1の本体となる袋状部材10の全体を示す。袋状部材10は、被施術者から放出される飛沫拡散を防止する目的のため、ディスポーザブル(使い捨て)であることが好ましい。そこで、袋状部材10は公知のポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂フィルムにより形成される。また、飛沫拡散防止ドレープ1内の視認性確保の観点から、袋状部材10は透明ないし半透明の樹脂フィルムから選択される。樹脂フィルムは安価であり、調達は容易である。樹脂フィルム製の袋状部材10の成形は適宜であり、例えば、ポリエチレンの樹脂原料はインフレーション成形によりフィルムに加工された後、所定の長さに裁断され、片方がヒートシールにより封着されて封止部11が形成される。他に、三方シール等の公知のフィルムの製袋方法が採用される。
【0022】
図2から理解されるように、袋状部材10の袋開口部12側から封止部11に延びるスリット部13が形成されている。スリット部13が袋状部材10に備えられているため、
図1のように被施術者Pの頭頂部P1から被せる際の作業が容易になる。一例として、
図2の飛沫拡散防止ドレープ1の袋状部材10の大きさは、平面視において縦900mm×横900mmのほぼ正方形形状である。この大きさとすると、飛沫拡散防止ドレープ1を被施術者Pの頭頂部P1から肩部P2にかけて余裕をもって包被することができる。
【0023】
図2の例では、挿入口部15は袋状部材10の左右の中央部分かつ封止部11から500ないし600mm離れた位置に横一列に3個形成されている。挿入口部15の個数、位置は特段制約されない。ただし、被施術者の鼻と口が近接していること、一度に複数の器具、例えば、鼻鏡と内視鏡を鼻に挿入することが考慮されて、実施形態では挿入口部15は3個形成されている。
【0024】
また、封止部11と挿入口部15の間に位置合わせ部40が目印として袋状部材10の表面に付されている。実施形態の例では、位置合わせ部40は、袋状部材10の左右の中央部分かつ封止部11から200ないし400mm離れた位置に存在する。位置合わせ部40は、離隔部材30(
図1、
図6参照)に袋状部材10を固定する際の位置を合わせるための目印となる。位置合わせ部40が離隔部材30に重ねられることにより、挿入口部15は被施術者の鼻と口の近傍に位置する。結果、最短の距離により器具は被施術者の鼻または口に挿入可能となる。
【0025】
図3の全体平面図は飛沫拡散防止ドレープ1の本体となる他の例の袋状部材10aの全体を示す。袋状部材10aの材質は
図2の袋状部材10と同様である。
図3の袋状部材10aは
図2の袋状部材10と比較して縦長の長方形形状である。例えば、袋状部材10aは、縦1400mm×横1000mmの大きさである。
図3の実施形態の袋状部材10aは被施術者の頭頂部から胸部までの包被を想定している。例えば、被施術者が診察用の椅子に座ったのち、被施術者の頭部と背もたれを含めて袋状部材10aを被せる用途に好例である。
【0026】
図3の袋状部材10aにおいても、袋開口部12側から封止部11に延びるスリット部13が形成されている。また、
図2と同様に、挿入口部15は袋状部材10aの左右の中央部分かつ封止部11から500ないし600mm離れた位置に横一列に3個形成されている。そして、位置合わせ部40も袋状部材10aの左右の中央部分かつ封止部11から200ないし400mm離れた位置に存在する。
【0027】
図4の模式図は袋状部材10における挿入口部15の形成例を示す。
図4(A)では、袋状部材10に予め開口された開口部17が形成される。これとは別に樹脂シート20が用意される。そして、樹脂シートに1本以上の切込部22(図示では2本の切込部による「X」字状)が樹脂シート20に形成されて、切込部22付きの片部材21が用意される。
【0028】
片部材21は、図示のように3枚に分かれていても、1枚につながっていても良い。また、片部材21に切込部22が形成されるため、片部材21は樹脂シート20を複数枚接着(ラミネート)して厚さを厚くして強度が高められる。樹脂シート20は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリアミド(ナイロン)樹脂、ポリプロピレン等の公知の樹脂フィルムが採用される。
【0029】
図4(B)では、袋状部材10の開口部17の直上から切込部22付きの片部材21が当てられて接着される。結果、開口部17には片部材21が蓋をするように貼着される。片部材21の切込部22は常時閉じた状態である。そこで、例えば、内視鏡B等の器具が挿入されるとき、切込部22は内視鏡Bにより押し広げられる。そして、内視鏡Bを抜き去ると、再び片部材21の切込部22は常時閉じた状態に戻る。このため、挿入口部15からの飛沫の拡散は抑制される。
【0030】
図5の模式図は袋状部材10における挿入口部15の他の形成例を示す。
図5(A)では、樹脂シート20からなる片部材26が袋状部材10の挿入口部15の予定位置に貼着される。片部材26の貼着枚数は、樹脂シート20の強度、挿入口部15の大きさにより1枚としても複数枚としても良い。
【0031】
図5(B)では、袋状部材10の所定位置に樹脂シート20からなる片部材26が3枚貼着される。そして、片部材26の上方からトムソン刃Cが片部材26及び袋状部材10を貫通するように押下される。図示のトムソン刃Cは「X」字形状である。そして、
図5(C)のとおり、トムソン刃Cの形状に準じて片部材26及び袋状部材10に1本以上の切込部27(図示では2本の切込部による「X」字状)が形成される。こうして、挿入口部15が出来上がる。
【0032】
切込部27の形成に際しては、図示のトムソン刃Cの使用の他、レーザ照射による穿設加工も採用される。むろん、切込部27の形成方法は適宜である。
図4の製造手法と比較して
図5の製造方法は量産性が高く、時間あたりの製造数は多い。
【0033】
図6は離隔部材30の全体斜視図である。離隔部材30は、
図1及び後出の
図7に示すように、袋状部材10の内面部を被施術者Pの顔面部から適度に離隔するための部材である。飛沫拡散防止ドレープ1の袋状部材10を被施術者Pの頭頂部P1から被せた状態のままでは、袋状部材10の内面部が被施術者Pの顔面部、特に鼻、口に貼り付いてしまい、被施術者Pは息苦しくなるおそれがある。そこで、適度に袋状部材10を顔面部から浮かせるために離隔部材30が用いられる。離隔部材30により袋状部材10と顔面部との間に間隙が生じ、被施術者Pは息苦しさを感じにくくなる。
【0034】
実施形態の離隔部材30は、鍔部31と、その左右に延びるつる部(テンプル部)32,33から構成される。離隔部材30の鍔部31は被施術者Pの顔面部の額に当接し、つる部32,33は被施術者Pのこめかみ部分を外側から押し当てる。こうして、離隔部材30は被施術者Pの顔面部に固定される。離隔部材30の形状には特段の制約は無く、鍔のある帽子により代用しても良い。実施形態では、被施術者P毎の使い捨て、または、消毒、滅菌の便宜からポリプロピレン等の樹脂製としている。
【0035】
図7の側面図は、被施術者Pが離隔部材30を装着したときを示している。被施術者Pが離隔部材30を装着することにより、袋状部材10の内面部は被施術者Pの顔面部から離れている。しかし、図示の状態では、飛沫拡散防止ドレープ1(袋状部材10)は上下左右に動きやすい。動きを抑制するため、クリップ、洗濯ばさみ等の固定部材45により、飛沫拡散防止ドレープ1(袋状部材10)は離隔部材30の鍔部31に固定される。袋状部材10に設けられた位置合わせ部40が固定部材45を用いる際の目印となる。位置合わせ部40が袋状部材10に設けられる位置は、一般的な人の顔面における額と鼻、口の位置関係を目安に規定される。図示では、飛沫拡散防止ドレープ1(袋状部材10)は離隔部材30の鍔部31に固定され、挿入口部15の一つに鼻用の内視鏡Bが挿入されている。そして、内視鏡Bは被施術者Pの鼻P6の鼻腔内に挿入されている。むろん、挿入口部15の一つから口用の内視鏡Bが挿入され、口P7に挿入しても良い(図示省略)。
【0036】
一連の図示及び説明から理解されるように、医療従事者による被施術者への診察、検査等の施術時において、被施術者の頭部の全体が飛沫拡散防止ドレープにより包被されているため、被施術者から拡散する飛沫は飛沫拡散防止ドレープにより内に留まる。しかも、挿入口部は切込部として常時閉じられていて器具の挿入時のみ最小量広げられる。このため、施術に支障を来さず飛沫拡散の抑制は可能である。加えて、飛沫拡散防止ドレープ自体は簡易な構造であり安価に構成されているため、使用後の取り外しと廃棄も容易である。
【符号の説明】
【0037】
1 飛沫拡散防止ドレープ
10,10a 袋状部材
11 封止部
12 袋開口部
13 スリット部
15 挿入口部
17 開口部
20 樹脂シート
21,26 片部材
22,27 切込部
30 離隔部材
31 鍔部
40 位置合わせ部
45 固定部材
B 内視鏡
C トムソン刃
P 被施術者
P1 頭頂部
P2 肩部
P6 鼻
P7 口