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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046227
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】薬剤保管装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20220315BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020152162
(22)【出願日】2020-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薗田 將人
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047JJ07
4C047JJ08
4C047JJ15
4C047JJ25
4C047JJ26
4C047JJ31
(57)【要約】
【課題】短時間で在庫確認ができる薬剤保管装置を提供する。
【解決手段】薬剤保管装置は、薬剤を収容する複数の薬剤容器と、薬剤容器内に存在する薬剤の数量を変化させるための位置へ薬剤容器を搬送する搬送部とを備えている。計測部40は、搬送部に設けられ、薬剤容器の重量を計測する。制御部70は、計測部40の計測結果に基づいて、薬剤容器内に存在する薬剤の数量を判定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収容する複数の薬剤容器と、
前記薬剤容器内に存在する薬剤の数量を変化させるための位置へ前記薬剤容器を搬送する搬送部と、
前記搬送部に設けられ、前記薬剤容器の重量を計測する計測部と、
前記計測部の計測結果に基づいて、前記薬剤容器内に存在する薬剤の数量を判定する判定部と、を備える、薬剤保管装置。
【請求項2】
複数の前記薬剤容器が配置される容器配置部をさらに備え、
前記搬送部は、
前記薬剤容器を支持する支持台と、
前記薬剤容器を前記容器配置部と前記支持台との間で移動させる容器移動部とを有し、
前記計測部は、前記支持台に設けられ、
前記容器移動部が前記薬剤容器を前記計測部に載置する、請求項1に記載の薬剤保管装置。
【請求項3】
前記容器配置部に、複数の前記薬剤容器が上下方向および左右方向に並んで配置され、
前記容器移動部は、前記薬剤容器を前後方向に移動させる、請求項2に記載の薬剤保管装置。
【請求項4】
前記搬送部は、前記支持台を移動させる支持台移動部をさらに有し、
前記支持台移動部は、前記容器移動部による前記容器配置部からの前記前後方向の移動によって前記薬剤容器が前記計測部に載置されるように、前記容器配置部に対する前記支持台の位置決めを行なう、請求項3に記載の薬剤保管装置。
【請求項5】
前記支持台移動部による前記支持台の移動によって、前記薬剤容器が、前記薬剤容器内に存在する薬剤の数量を変化させるための位置へ移動する、請求項4に記載の薬剤保管装置。
【請求項6】
前記薬剤容器は、前記薬剤容器に収容される薬剤を識別するための情報を含む識別部を有し、
前記支持台に設けられ、前記識別部から前記情報を読み取る読取部をさらに備える、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の薬剤保管装置。
【請求項7】
前記薬剤容器は、複数の包装薬剤を収容可能であり、
前記判定部は、前記薬剤容器に収容される前記包装薬剤の1個あたりの重量を示す薬剤重量情報と、前記薬剤容器の空の状態での重量を示す容器重量情報と、前記計測部の計測結果とに基づいて、前記薬剤容器内に存在する前記包装薬剤の個数を判定する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の薬剤保管装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤保管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開2016/047487号(特許文献1)には、薬剤払出装置が記載されている。この薬剤払出装置は、PTPシートを収容する薬剤収容カセットが複数個配置されるカセット棚と、薬剤収容カセットをカセット棚から取り出す動作および薬剤収容カセットをカセット棚へ戻す動作を実行するカセット搬送部と、薬剤収容カセットからPTPシートを取り出す払出操作部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2016/047487号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献に記載の装置は、複数の薬剤収容カセットを備え、各薬剤収容カセットに複数枚のPTPシートが収容されているので、各々の薬剤収容カセットに収容されているPTPシートの数量を確認する在庫確認に時間がかかる。
【0005】
本開示では、短時間で在庫確認ができる薬剤保管装置が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従うと、薬剤保管装置が提案される。薬剤保管装置は、薬剤を収容する複数の薬剤容器と、薬剤容器内に存在する薬剤の数量を変化させるための位置へ薬剤容器を搬送する搬送部と、搬送部に設けられ、薬剤容器の重量を計測する計測部と、計測部の計測結果に基づいて、薬剤容器内に存在する薬剤の数量を判定する判定部と、を備えている。
【0007】
上記の薬剤保管装置は、複数の薬剤容器が配置される容器配置部をさらに備え、搬送部は、薬剤容器を支持する支持台と、薬剤容器を容器配置部と支持台との間で移動させる容器移動部とを有し、計測部は支持台に設けられ、容器移動部が薬剤容器を計測部に載置してもよい。
【0008】
上記の薬剤保管装置において、容器配置部に、複数の薬剤容器が上下方向および左右方向に並んで配置され、容器移動部は、薬剤容器を前後方向に移動させてもよい。
【0009】
上記の薬剤保管装置において、搬送部は、支持台を移動させる支持台移動部をさらに有し、支持台移動部は、容器移動部による容器配置部からの前後方向の移動によって薬剤容器が計測部に載置されるように、容器配置部に対する支持台の位置決めを行なってもよい。
【0010】
上記の薬剤保管装置において、支持台移動部による支持台の移動によって、薬剤容器が、薬剤容器内に存在する薬剤の数量を変化させるための位置へ移動してもよい。
【0011】
上記の薬剤保管装置において、薬剤容器は、薬剤容器に収容される薬剤を識別するための情報を含む識別部を有し、薬剤保管装置は、支持台に設けられ、識別部から情報を読み取る読取部をさらに備えてもよい。
【0012】
上記の薬剤保管装置において、薬剤容器は、複数の包装薬剤を収容可能であり、判定部は、薬剤容器に収容される包装薬剤の1個あたりの重量を示す薬剤重量情報と、薬剤容器の空の状態での重量を示す容器重量情報と、計測部の計測結果とに基づいて、薬剤容器内に存在する包装薬剤の個数を判定してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係る薬剤保管装置によれば、短時間で在庫確認をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る薬剤保管装置の模式的な正面図である。
図2】搬送部の模式的な側面図である。
図3】薬剤保管装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図4】搬送部による薬剤容器の搬送の一例を示す第1の図である。
図5】搬送部による薬剤容器の搬送の一例を示す第2の図である。
図6】搬送部による薬剤容器の搬送の一例を示す第3の図である。
図7】搬送部による薬剤容器の搬送の一例を示す第4の図である。
図8】薬剤保管装置による在庫確認処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて実施形態について説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0016】
図1は、実施形態に係る薬剤保管装置1の模式的な正面図である。実施形態に係る薬剤保管装置1は、多数の薬剤を保管する。実施形態では、薬剤は、薬剤シートであり、具体的にはPTP(Press Through Package)シートである。薬剤シートの他の例としては、SP(Strip Package)シートなどが挙げられる。
【0017】
図1に示されるように、薬剤保管装置1は、複数の薬剤容器10を備えている。図1では、上下方向に薬剤容器10が5列並び、左右方向に薬剤容器10が4列並び、薬剤保管装置1内に設けられる薬剤容器10の個数は20個である。実際の薬剤保管装置1においては、薬剤容器10の個数はもっと多くてもよい。薬剤容器10の個数は、100個程度であってもよく、200個程度または300個程度であってもよく、さらに多くてもよい。
【0018】
薬剤容器10は、PTPシート12を収容する。一つの薬剤容器10には、一種類のPTPシート12が収容される。一つの薬剤容器10には、複数枚のPTPシート12が収容される。複数の薬剤容器10に、同じ種類のPTPシート12が収容されていてもよい。
【0019】
各PTPシート12は、薬剤容器10に、整列状態で収容される。各PTPシート12は、倒伏状態で、上下方向に積み重ねられる。各PTPシート12におけるポケットがある面は、上または下を向いている。各PTPシート12におけるポケットがある面は、積み重ねられた順に交互に上または下を向いている。
【0020】
薬剤容器10に対するPTPシート12の収容形態は、特に限定されない。各PTPシート12におけるポケットがある面は、すべて上を向いていてもよく、または、すべて下を向いていてもよい。各PTPシート12におけるポケットがある面は、無作為に上または下を向いていてもよい。各PTPシート12は、起立状態で、水平方向に並べられてもよい。各PTPシート12は、薬剤容器10に、非整列状態で収容されてもよい。
【0021】
薬剤容器10には、薬剤容器10に収容される薬剤を識別するための識別部14が設けられる。識別部14は、たとえば、RFID(Radio Frequency Identification)タグによって実現される。RFIDタグには、薬剤容器10に収容される薬剤を識別するための識別情報が記憶されている。
【0022】
識別情報としては、薬剤を識別する薬剤識別情報が挙げられる。識別情報は、薬剤容器を識別する容器識別情報であってもよく、この場合、後述の記憶部74に、容器識別情報と薬剤識別情報との対応関係が予め記憶される。識別部14は、特に限定されない。識別部14は、バーコードなどの一次元コードであってもよく、二次元コードであってもよい。
【0023】
図1に示すように、薬剤保管装置1は、筐体2と、容器配置部20と、搬送部30と、をさらに備える。
【0024】
筐体2は、容器配置部20および搬送部30を収納する。容器配置部20は、筐体2の奥側に配置される。搬送部30は、筐体2の手前側に配置される。筐体2内における容器配置部20および搬送部30の配置形態は、特に限定されない。容器配置部20が筐体2の手前側に配置され、搬送部30が筐体2の奥側に配置されてもよい。容器配置部20が筐体2の奥側および筐体2の手前側にそれぞれ配置され、これらの容器配置部20の間に、搬送部30が配置されてもよい。
【0025】
容器配置部20には、複数の薬剤容器10が配置される。各薬剤容器10は、上下方向および左右方向に並ぶ。各薬剤容器10は、容器配置部20に対して、前後方向(図1においては紙面垂直方向)に出し入れ可能である。
【0026】
搬送部30は、薬剤容器10を、容器配置部20と所定位置60との間で搬送する。所定位置60は、容器配置部20の外部の位置として規定されている。所定位置60は、筐体2の下部に配置される。筐体2内における所定位置60の配置形態は、特に限定されない。
【0027】
所定位置60は、たとえば、薬剤容器10から薬剤を取り出すための薬剤取出位置である。薬剤取出位置には、薬剤容器10が配置される。薬剤取出位置に配置された薬剤容器10から、薬剤が取り出される。薬剤容器10から薬剤を取り出すのは、薬剤取出装置であってもよい。薬剤取出装置は、薬剤容器10から薬剤を取り出すための装置である。薬剤取出装置は、薬剤取出部として薬剤保管装置1に備えられてもよく、または、薬剤保管装置1とは別に設けられてもよい。薬剤容器10から薬剤を取り出すのは、薬剤保管装置1の操作者であってもよい。
【0028】
所定位置60は、薬剤取出位置に限られず、薬剤容器10を薬剤保管装置1の外部へ受け渡すための容器受渡位置であってもよい。容器受渡位置には、薬剤容器10が配置される。この容器受渡位置を経由して、薬剤容器10が薬剤保管装置1の外部へ受け渡される。薬剤容器10は、薬剤保管装置1と他の装置との間で、受け渡されてもよい。他の装置としては、たとえば、前述のような薬剤取出装置が挙げられる。薬剤容器10は、薬剤保管装置1と、薬剤保管装置1を操作する操作者との間で、受け渡されてもよい。
【0029】
所定位置60は、薬剤容器10に薬剤を供給するための薬剤供給位置であってもよい。薬剤供給位置には、薬剤容器10が配置される。薬剤供給位置に配置された薬剤容器10に、薬剤が供給される。薬剤容器10に薬剤を供給するのは、薬剤供給装置であってもよい。薬剤供給装置は、薬剤容器10に薬剤を供給するための装置である。薬剤供給装置は、薬剤供給部として薬剤保管装置1に備えられてもよく、または、薬剤保管装置1とは別に設けられてもよい。薬剤容器10に薬剤を供給するのは、薬剤保管装置1の操作者であってもよい。
【0030】
所定位置60は、薬剤容器10内の薬剤の取り出しのための位置であってもよい。所定位置60は、薬剤容器10内に存在する薬剤の数量を変化させるための位置であってもよい。
【0031】
図2は、搬送部30の模式的な側面図である。図2に示すように、搬送部30は、支持台32と、支持台移動部34と、容器移動部36と、を備える。
【0032】
支持台32は、薬剤容器10を支持する。支持台32には、計測部40および読取部50が設けられる。
【0033】
計測部40は、たとえば、ロードセルに代表される電子天秤によって実現される。計測部40は、薬剤容器10の重量を計測する計測部本体42と、薬剤容器10が載置される載置台44とを有している。計測部本体42は、載置台44の下方に設けられ、載置台44に載置された薬剤容器10の重量を計測する。計測部40は、特に限定されない。
【0034】
読取部50は、薬剤容器10に設けられている識別部14を読み取る。読取部50は、たとえば、RFIDリーダライタによって実現される。RFIDリーダライタは、薬剤容器10に収容される薬剤を識別するための識別情報を、識別部14を構成するRFIDタグから読み取る。
【0035】
読取部50は、特に限定されない。たとえば、識別部14がバーコードであれば、読取部50はバーコードリーダである。その他、識別部14が磁石を有し読取部50が磁気センサを有していてもよい。読取部50が発光素子および受光素子を有し識別部14が反射板を有していてもよい。読取部50がマイクロスイッチを有し識別部14がマイクロスイッチをオンする突起を有していてもよい。識別部14が磁気記録媒体を有し読取部50が磁気読取ヘッドを有していてもよい。
【0036】
読取部50は、載置台44に設けられている。読取部50は、容器移動部36による薬剤容器10の移動方向(図2中の両矢印方向)における載置台44の中央部分に配置されている。読取部50は、支持台32に設けられていてもよい。
【0037】
支持台移動部34は、支持台32を移動させる。支持台移動部34は、支持台32を、上下方向および左右方向に移動させる。支持台移動部34は、支持台32を、容器配置部20の手前に移動させる。支持台移動部34は、支持台32を、所定位置60の手前に移動させる。支持台移動部34による支持台32の移動によって、支持台32に支持された薬剤容器10が移動する。支持台移動部34が支持台32を所定位置60の手前に移動させることで、支持台32に支持された薬剤容器10が、容器配置部20の外部へ移動する。
【0038】
容器移動部36は、薬剤容器10を、容器配置部20と支持台32との間、および支持台32と所定位置60との間で移動させる。容器移動部36は、支持台32に設けられる。容器移動部36は、薬剤容器10を容器配置部20から引き出し、かつ、薬剤容器10を容器配置部20に押し入れる。容器移動部36は、薬剤容器10を前後方向に移動させる。容器移動部36は、載置台44に薬剤容器10を載置する。
【0039】
容器移動部36は、薬剤容器10を保持する保持部38を備える。容器移動部36は、保持部38によって薬剤容器10を保持した状態で、薬剤容器10を移動させる。保持部38は、薬剤容器10に設けられた被引掛部に引っ掛かる引掛部である。保持部38は、薬剤容器10に設けられた磁性部に磁力結合する電磁石であってもよい。
【0040】
図3は、薬剤保管装置1の電気的な構成を示すブロック図である。図3に示すように、薬剤保管装置1は、操作部72と、記憶部74と、制御部70と、をさらに備える。
【0041】
操作部72は、薬剤保管装置1を操作する操作者によって操作される。操作者によって操作部72が操作されることで、薬剤保管装置1を用いてPTPシート12を保管するために必要な情報が、制御部70に入力される。薬剤保管装置1を用いてPTPシート12を保管するために必要な情報としては、処方箋に基づく処方箋情報および種々の設定情報が挙げられる。これらの情報は、外部のコンピュータから制御部70に入力されてもよい。
【0042】
記憶部74は、薬剤保管装置1の各種の動作を実行するためのプログラムを記憶するとともに、必要な情報を記憶する。記憶部74は、薬剤保管装置1を用いてPTPシート12を保管するために必要な情報を記憶する。記憶部74は、薬剤容器10内に残存しているPTPシート12の枚数を記憶する。記憶部74は、薬剤容器10に収容されているPTPシート12の1枚あたりの重量を示す薬剤重量情報と、薬剤容器10の空の状態での重量を示す容器重量情報と、を記憶する。
【0043】
薬剤容器10の空の状態での重量は、予め、計測部40によって計測され、記憶部74に記憶されてもよい。薬剤容器10の空の状態での重量を計測する処理は、薬剤保管装置1の出荷段階または設置段階において、すべての薬剤容器10に対して行ってもよい。薬剤容器10の空の状態での重量を計測する処理は、薬剤保管装置1の出荷段階または設置段階に限らず、薬剤容器10の追加または交換の際に行ってもよい。薬剤容器10の空の状態での重量は、計測部40に限らず、計測部40とは別の計測装置によって計測されてもよい。
【0044】
制御部70は、記憶部74に記憶されているプログラム、および、薬剤保管装置1を用いてPTPシート12を保管するために必要な情報に基づいて、薬剤保管装置1の全体の動作を制御する。
【0045】
制御部70には、計測部40の計測結果が入力される。制御部70には、読取部50の読取結果が入力される。
【0046】
制御部70は、薬剤保管装置1を用いてPTPシート12を保管するための各種の処理を実行する。制御部70は、処方箋情報に基づいて、薬剤容器10を、容器配置部20と所定位置60との間で搬送するように、搬送部30を制御する。
【0047】
制御部70は、在庫確認処理を実行する。制御部70は、在庫確認処理のとき、薬剤容器10を、容器配置部20と支持台32との間で移動させるように、搬送部30を制御する。制御部70は、在庫確認処理のとき、判定部として機能し、計測部40の計測結果に基づいて、薬剤容器10内に存在するPTPシート12の枚数を判定する。
【0048】
図4図7は、搬送部30による薬剤容器10の搬送の一例を示す図である。図4は、支持台32が、対象となる薬剤容器10の前に移動された状態を示す図である。図5は、保持部38が、対象となる薬剤容器10を保持した状態を示す図である。図6は、対象となる薬剤容器10が、容器配置部20から支持台32に移動された状態を示す図である。図7は、保持部38が、対象となる薬剤容器10から離れた状態を示す図である。
【0049】
制御部70は、次のように、容器配置部20から計測部40への薬剤容器10の搬送を実行する。
【0050】
まず、制御部70は、支持台移動部34を駆動することで、図4に示すように、支持台32を、対象となる薬剤容器10の前に移動させる。本実施形態では、容器移動部36が、対象となる薬剤容器10を容器配置部20から引き出すと、そのまま、対象となる薬剤容器10が載置台44に載置されるように、支持台移動部34が支持台32を位置決めする。支持台移動部34は、容器移動部36による容器配置部20からの前後方向の移動によって薬剤容器10が計測部40に載置されるように、容器配置部20に対する支持台32の位置決めを行なう。
【0051】
容器配置部20と載置台44との両方に、レールなど、薬剤容器10の移動のためのガイドが設けられてもよい。容器配置部20のレールと載置台44のレールとが一直線上に並ぶように、容器配置部20に対して支持台32を位置合わせしてもよい。
【0052】
このとき、保持部38は、対象となる薬剤容器10から退避している。支持台32の移動が、容器配置部20および薬剤容器10と保持部38との干渉で妨げられることがない。
【0053】
次に、制御部70は、容器移動部36を駆動することで、図5に示すように、対象となる薬剤容器10に保持部38を近づける。こうして、保持部38によって、対象となる薬剤容器10が保持される。
【0054】
次に、制御部70は、容器移動部36を駆動することで、図6に示すように、対象となる薬剤容器10を、容器配置部20から引き出し、支持台32に移動させる。このとき、容器移動部36は、対象となる薬剤容器10を、計測部40に載置する。詳しくは、容器移動部36は、対象となる薬剤容器10を、計測部40に設けられた載置台44に載置する。
【0055】
次に、制御部70は、容器移動部36を駆動することで、図7に示すように、対象となる薬剤容器10から、保持部38を離す。
【0056】
このようにして、搬送部30による、より詳細には容器移動部36による、容器配置部20から計測部40への薬剤容器10の搬送が行なわれる。
【0057】
図8は、薬剤保管装置1による在庫確認処理の流れを示すフローチャートである。制御部70は、対象となる薬剤容器10に対する在庫確認処理、すなわち、薬剤容器10内に存在する薬剤の数量を確認する処理を、次のように実行する。
【0058】
制御部70は、操作者によって操作部72が操作されることで在庫確認指示が制御部70に入力されたときに、在庫確認処理を開始する。制御部70は、予め設定された日時が到来したときに、在庫確認処理を開始してもよい。在庫確認処理は、容器配置部20に配置されている薬剤容器10のすべてに対して順に行われる。在庫確認処理は、容器配置部20に配置されている薬剤容器10のうち、一部の薬剤容器10に対して行われてもよい。
【0059】
ステップS1において、薬剤容器10の移動が行われる。ステップS1における薬剤容器10の移動は、図4図7を参照して説明した通りの、容器配置部20から計測部40へ薬剤容器10を搬送する処理である。
【0060】
ステップS2において、薬剤容器10の重量が計測される。図7に示される、薬剤容器10が計測部40に載置された状態で、制御部70は、計測部40に薬剤容器10の重量を計測させ、計測部40の計測結果を取得する。
【0061】
ステップS3において、情報の読み取りが行われる。薬剤容器10が計測部40に載置された状態で、制御部70は、識別部14に含まれる情報を読取部50に読み取らせ、読取部50の読取結果を取得する。制御部70は、読取部50の読取結果に基づいて、対象となる薬剤容器10に収容される薬剤の種類を確認する。制御部70は、対象となる薬剤容器10を容器配置部20から引き出す前、または、対象となる薬剤容器10を容器配置部20から引き出す途中に、対象となる薬剤容器10の識別部14に含まれる情報を読取部50に読み取らせてもよい。
【0062】
ステップS4において、制御部70は、対象となる薬剤容器10に収容されるPTPシート12の1枚あたりの重量を示す薬剤重量情報と、対象となる薬剤容器10の空の状態での重量を示す容器重量情報と、を記憶部74から読み出す。
【0063】
ステップS5において、制御部70は、計測部40の計測結果から、対象となる薬剤容器10の空の状態での重量を減算して、対象となる薬剤容器10内に現時点で存在しているPTPシート12の総重量を判定する。制御部70は、対象となる薬剤容器10内に残存しているPTPシート12の総重量を、PTPシート12の1枚あたりの重量で除算することで、対象となる薬剤容器10内に現時点で存在しているPTPシート12の枚数を判定する。
【0064】
ステップS6において、制御部70は、判定したPTPシート12の枚数を、対象となる薬剤容器10内に残存しているPTPシート12の枚数として、記憶部74に記憶させる。
【0065】
ステップS7において、制御部70は、計測部40の計測結果を取得した後、容器移動部36を駆動することで、対象となる薬剤容器10を、支持台32から容器配置部20に戻す。このとき、図4図7とは逆の手順で、対象となる薬剤容器10を、支持台32から容器配置部20に戻す。
【0066】
以上説明した実施形態の薬剤保管装置1によれば、図2に示すように、計測部40が、搬送部30に設けられる。この計測部40が、薬剤容器10の重量を計測する。そのため、たとえば搬送部30とは別の場所に設けられた計量装置が薬剤容器10の重量を計測する場合に比べて、薬剤容器10の重量を計測するのに要する時間を短くすることができる。しかも、計測部40の計測結果に基づいて、制御部70が、薬剤容器10内に存在する薬剤の数量を判定する。そのため、薬剤容器10内に存在する薬剤の数量を短時間で把握できる。したがって、短時間で在庫確認ができる。特に薬剤保管装置1が多数の薬剤容器10を備える場合、時間短縮の効果が、より大きくなる。
【0067】
図2に示すように、搬送部30は、薬剤容器10を支持する支持台32と、容器配置部20と支持台32との間で薬剤容器10を移動させる容器移動部36とを有している。計測部40は、支持台32に設けられる。この計測部40に、容器移動部36が薬剤容器10を載置する。そのため、薬剤容器10を計測部40に載置するための構成を別に設ける必要がない。したがって薬剤保管装置1の構成を簡素化することができる。
【0068】
図1に示すように、容器配置部20には、複数の薬剤容器10が、上下方向および左右方向に並んで配置される。図4図7に示すように、容器移動部36は、薬剤容器10を容器配置部20から引き出し、かつ、薬剤容器10を容器配置部20に押し入れる。容器移動部36は、薬剤容器10を前後方向に移動させる。薬剤容器10は、容器配置部20における薬剤容器10の配列の方向と交差する方向に移動して、容器配置部20から引き出され、かつ容器配置部20に押し入れられる。このような構成にすることで、容器配置部20における薬剤容器10の配置密度を高くすることができる。
【0069】
図4図7に示すように、容器移動部36が薬剤容器10を容器配置部20から引き出すと、そのまま薬剤容器10が計測部40に載置されるように、支持台移動部34が支持台32を位置決めする。容器移動部36による容器配置部20からの前後方向の移動によって、薬剤容器10が計測部40に載置される。したがって、薬剤容器10の重量を計測するのに要する時間を、より短くすることができる。特に薬剤保管装置1が多数の薬剤容器10を備える場合、時間短縮の効果が、より大きくなる。
【0070】
図1に示すように、支持台移動部34による支持台32の移動によって、薬剤容器10が容器配置部20の外部の所定位置60へと移動する。搬送部30が、容器配置部20から薬剤容器10を引き出す容器移動部36と、引き出された薬剤容器10を容器配置部20の外部の所定位置60へ移動する支持台移動部34との両方を有する構成とすることで、薬剤保管装置1の構成を簡素化することができる。
【0071】
図1図4図7に示すように、薬剤容器10には、薬剤容器10に収容される薬剤を識別するための識別部14が設けられる。図2図4図7に示すように、支持台32には、識別部14を読み取る読取部50が設けられる。制御部70は、読取部50が識別部14に含まれる情報を読み取った読取結果に基づいて、薬剤容器10に収容される薬剤の種類を確認することができる。
【0072】
図4図7に示すように、識別部14を、容器移動部36による薬剤容器10の移動方向における薬剤容器10の中央部分に配置し、読取部50を、容器移動部36による薬剤容器10の移動方向における載置台44の中央部分に配置してもよい。このように識別部14と読取部50とを配置することで、容器配置部20が筐体2の奥側および筐体の手前側にそれぞれ配置され、これらの容器配置部20の間に搬送部30が配置される場合に、読取部50は、筐体2の奥側から手前側に移動して載置台44に載置される薬剤容器10の識別部14と、筐体2の手前側から奥側へ移動して載置台44に載置される薬剤容器10の識別部14との両方を、確実に読み取ることができる。
【0073】
図8に示すように、制御部70は、薬剤容器10に収容される薬剤シートの1枚あたりの重量を示す薬剤重量情報と、薬剤容器10の空の状態での重量を示す容器重量情報と、計測部40の計測結果とに基づいて、薬剤容器10内に残存している薬剤シートの枚数を判定する。したがって、薬剤容器10内に残存している薬剤シートの枚数を、短時間で判定することができる。
【0074】
これまでの実施形態の説明においては、計測部40が支持台32に設けられる例について説明したが、この例に限られない。計測部40は、搬送部30に設けられればよい。計測部40は、支持台32とは別の場所に設けられてもよい。たとえば、計測部40は、容器移動部36に設けられてもよい。
【0075】
薬剤容器10に収容される薬剤は、薬剤シートに限定されない。薬剤は、他の包装薬剤であってもよい。包装薬剤とは、包装された薬剤を意味する。この場合、制御部70は、薬剤容器10に収容される包装薬剤の1個あたりの重量を示す薬剤重量情報と、薬剤容器10の空の状態での重量を示す容器重量情報と、計測部40の計測結果とに基づいて、薬剤容器10内に残存している包装薬剤の個数を判定する。包装薬剤は、チューブに収容された軟膏剤などの外用薬であってもよく、アンプルに収容された注射剤などであってもよい。
【0076】
薬剤容器10に収容される薬剤は、包装されていなくてもよい。薬剤は、たとえば包装されていない、錠剤または散剤であってもよい。この場合、薬剤容器10の空の状態での重量を示す容器重量情報と、計測部40の計測結果とに基づいて、薬剤容器10内に残存している薬剤の総重量を判定してもよい。薬剤が錠剤である場合は、薬剤容器10に収容される錠剤の1個あたりの重量を示す薬剤重量情報と、薬剤容器10の空の状態での重量を示す容器重量情報と、計測部40の計測結果とに基づいて、薬剤容器10内に残存している錠剤の個数を判定してもよい。
【0077】
以上のように実施形態について説明を行なったが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0078】
1 薬剤保管装置、2 筐体、10 薬剤容器、12 PTPシート、14 識別部、20 容器配置部、30 搬送部、32 支持台、34 支持台移動部、36 容器移動部、38 保持部、40 計測部、42 計測部本体、44 載置台、50 読取部、60 所定位置、70 制御部、72 操作部、74 記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8