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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046365
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】二次電池システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220315BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20220315BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20220315BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20220315BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20220315BHJP
   H01M 10/6571 20140101ALI20220315BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220315BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
H02J7/00 K
H02J7/02 F
H01M10/615
H01M10/633
H01M10/651
H01M10/6571
H01M10/44 P
H01M10/48 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020152377
(22)【出願日】2020-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】前 伸一
(72)【発明者】
【氏名】家岡 昇一
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H031
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA05
5G503BB01
5G503BB02
5G503CA10
5G503CB11
5G503DA04
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA09
5H030AS06
5H030AS08
5H030AS18
5H030BB21
5H030FF22
5H031AA09
5H031CC09
5H031HH06
5H031KK03
(57)【要約】
【課題】複数の二次電池を直列接続または並列接続させる二次電池システムにおいて、複数の二次電池の温度を上昇させる昇温機器にかかる電圧を抑える。
【解決手段】二次電池B1~B3を充電する場合で、かつ、二次電池B1~B3の温度が閾値Tth以上である場合、二次電池B1~B3が互いに直列接続されるように接続回路の動作を制御するとともに二次電池B1~B3と昇温機器Tとの間に接続される昇温スイッチS4を遮断させ、二次電池B1~B3を充電する場合で、かつ、二次電池B1~B3の温度が閾値Tthより小さい場合、二次電池B1~B3が互いに並列接続されるように接続回路の動作を制御するとともに昇温スイッチS4を導通させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次電池と、
前記複数の二次電池を互いに直列接続または並列接続させる接続回路と、
前記複数の二次電池の温度を検出する検出部と、
前記複数の二次電池の温度を上昇させる昇温機器と、
前記複数の二次電池と前記昇温機器との間に接続される昇温スイッチと、
前記接続回路及び前記昇温スイッチの動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記複数の二次電池を放電させる場合、前記複数の二次電池が互いに並列接続されるように前記接続回路の動作を制御するとともに前記昇温スイッチを遮断させ、
前記複数の二次電池を充電する場合で、かつ、前記複数の二次電池の温度が閾値以上である場合、前記複数の二次電池が互いに直列接続されるように前記接続回路の動作を制御するとともに前記昇温スイッチを遮断させ、
前記複数の二次電池を充電する場合で、かつ、前記複数の二次電池の温度が前記閾値より小さい場合、前記複数の二次電池が互いに並列接続されるように前記接続回路の動作を制御するとともに前記昇温スイッチを導通させる
ことを特徴とする二次電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の二次電池システムであって、
前記制御部は、前記複数の二次電池のうちの一部の二次電池を充電する場合、前記一部の二次電池が互いに直列接続されるように前記接続回路の動作を制御するとともに前記昇温スイッチを遮断させる
ことを特徴とする二次電池システム。
【請求項3】
請求項1に記載の二次電池システムであって、
前記制御部は、前記複数の二次電池を充電する場合で、かつ、前記複数の二次電池の温度が前記閾値より小さい場合、前記複数の二次電池を充電するための電力と前記昇温機器に消費される電力との合計電力を充電器から当該二次電池システムに供給させる
ことを特徴とする二次電池システム。
【請求項4】
請求項1に記載の二次電池システムであって、
前記制御部は、前記複数の二次電池を充電する場合で、かつ、前記複数の二次電池の温度が前記閾値より小さい場合、前記複数の二次電池の温度の上昇に応じて、充電器から当該二次電池システムに供給される電力を増加させる
ことを特徴とする二次電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の二次電池を直列接続または並列接続させる二次電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池システムとして、複数の二次電池を充電させる場合、複数の二次電池を互いに直列接続させ、複数の二次電池を放電させる場合、複数の二次電池を互いに並列接続させるものがある。関連する技術として、特許文献1がある。
【0003】
ところで、図3に示すように、二次電池の温度が低くなるほど、二次電池に流すことが可能な電流の上限値(許容充電電流)が低下する特性をもつ二次電池がある。
【0004】
そのため、上記二次電池システムでは、そのような特性をもつ各二次電池から供給される電力を消費して各二次電池の温度を上昇させる昇温機器を備える場合、各二次電池の充電時に昇温機器に比較的大きな電圧がかかるため、定格電圧が大きい高価な昇温機器を用意する必要があり、製造コストが増大するという懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-154720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一側面に係る目的は、複数の二次電池を直列接続または並列接続させる二次電池システムにおいて、各二次電池の温度を上昇させる昇温機器にかかる電圧を抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一つの形態である二次電池システムは、複数の二次電池と、複数の二次電池を互いに直列接続または並列接続させる接続回路と、前記複数の二次電池の温度を検出する検出部と、前記複数の二次電池の温度を上昇させる昇温機器と、前記複数の二次電池と前記昇温機器との間に接続される昇温スイッチと、前記接続回路及び前記昇温スイッチの動作を制御する制御部とを備える。
【0008】
前記制御部は、前記複数の二次電池を放電させる場合、前記複数の二次電池が互いに並列接続されるように前記接続回路の動作を制御するとともに前記昇温スイッチを遮断させ、前記複数の二次電池を充電する場合で、かつ、前記複数の二次電池の温度が閾値以上である場合、前記複数の二次電池が互いに直列接続されるように前記接続回路の動作を制御するとともに前記昇温スイッチを遮断させ、前記複数の二次電池を充電する場合で、かつ、前記複数の二次電池の温度が前記閾値より小さい場合、前記複数の二次電池が互いに並列接続されるように前記接続回路の動作を制御するとともに前記昇温スイッチを導通させる。
【0009】
これにより、複数の二次電池の充電時に複数の二次電池と昇温機器とが接続されても昇温機器にかかる電圧を抑えることができる。
【0010】
また、前記制御部は、前記複数の二次電池のうちの一部の二次電池を充電する場合、前記一部の二次電池が互いに直列接続されるように前記接続回路の動作を制御するとともに前記昇温スイッチを遮断させるように構成してもよい。
【0011】
これにより、一部の二次電池の充電時において昇温機器に電圧がかからないようにすることができる。
【0012】
また、前記制御部は、前記複数の二次電池を充電する場合で、かつ、前記複数の二次電池の温度が前記閾値より小さい場合、前記複数の二次電池を充電するための電力と前記昇温機器に消費される電力との合計電力を充電器から当該二次電池システムに供給させるように構成してもよい。
【0013】
これにより、各二次電池を充電するための電力の一部が昇温機器により消費されることを抑えることができるため、充電時間の増加を抑えることができる。
【0014】
また、前記制御部は、前記複数の二次電池を充電する場合で、かつ、前記複数の二次電池の温度が前記閾値より小さい場合、前記複数の二次電池の温度の上昇に応じて、充電器から当該二次電池システムに供給される電力を増加させるように構成してもよい。
【0015】
これにより、各二次電池の温度の上昇に応じて、充電器から二次電池システムに供給される電力を増加させない場合に比べて、各二次電池に流れる電流を増加させることができるため、充電時間の短縮化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の二次電池を直列接続または並列接続させる二次電池システムの製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態の二次電池システムの一例を示す図である。
図2】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
図3】二次電池の温度と許容充電電流との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
【0019】
図1は、実施形態の二次電池システムの一例を示す図である。
【0020】
図1に示す二次電池システム1は、産業車両(例えば、フォークリフト)や電気自動車などの車両Veに搭載され、車両Veの外部に設けられる充電器Chから電力が供給されるとともに走行用モータなどの負荷Loに電力を供給する。
【0021】
また、二次電池システム1は、二次電池B1~B3と、負荷側スイッチSLと、正極側充電端子Tipと、負極側充電端子Tinと、正極側放電端子Topと、負極側放電端子Tonと、正極側スイッチS11~S13と、負極側スイッチS21~S23と、直列接続用スイッチS31、S32と、検出部St1~St3と、昇温機器Tと、昇温スイッチS4と、制御部2とを備える。
【0022】
なお、正極側充電端子Tipと、負極側充電端子Tinと、正極側放電端子Topと、負極側放電端子Tonと、正極側スイッチS11~S13と、負極側スイッチS21~S23と、直列接続用スイッチS31、S32とを備えて接続回路を構成する。
【0023】
また、二次電池B1~B3を特に区別しない場合、単に、二次電池Bとする。また、正極側スイッチS11~S13を特に区別しない場合、単に、正極側スイッチS1とする。また、負極側スイッチS21~S23を特に区別しない場合、単に、負極側スイッチS2とする。また、直列接続用スイッチS31、S32を特に区別しない場合、単に、直列接続用スイッチS3とする。また、検出部St1~St3を特に区別しない場合、単に、検出部Stとする。
【0024】
また、二次電池B、正極側スイッチS1、負極側スイッチS2、及び検出部Stのそれぞれの数は3つに限定されない。また、直列接続用スイッチS3の数は2つに限定されない。例えば、二次電池Bの数を2つとする場合、二次電池システム1は、正極側スイッチS11、S12と、負極側スイッチS21、S22と、検出部St1、St2と、直列接続用スイッチS31とを備える。このように構成する場合、負極側充電端子Tinは、二次電池B2の負極端子に接続されるとともに負極側スイッチS22の一方端子に接続されるものとする。
【0025】
二次電池Bは、リチウムイオン電池またはニッケル水素電池などの1つ以上の充放電可能な電池(モジュール)により構成される。
【0026】
負荷側スイッチSL、正極側スイッチS1、負極側スイッチS2、直列接続用スイッチS3、及び昇温スイッチS4は、それぞれ、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体スイッチまたは機械式スイッチ(電磁式リレー)により構成される。
【0027】
すなわち、正極側スイッチS11の一方端が二次電池B1の正極端子及び正極側充電端子Tipに接続され、正極側スイッチS11の他方端が負荷側スイッチSL及び正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に接続されている。また、正極側スイッチS12の一方端が二次電池B2の正極端子及び直列接続用スイッチS31の一方端子に接続され、正極側スイッチS12の他方端が負荷側スイッチSL及び正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に接続されている。また、正極側スイッチS13の一方端が二次電池B3の正極端子及び直列接続用スイッチS32の一方端子に接続され、正極側スイッチS13の他方端が負荷側スイッチSL及び正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に接続されている。
【0028】
また、負極側スイッチS21の一方端が二次電池B1の負極端子及び直列接続用スイッチS31の他方端子に接続され、負極側スイッチS21の他方端が負極側放電端子Tonを介して負荷Loの負極端子に接続されている。また、負極側スイッチS22の一方端が二次電池B2の負極端子及び直列接続用スイッチS32の他方端子に接続され、負極側スイッチS22の他方端が負極側放電端子Tonを介して負荷Loの負極端子に接続されている。また、負極側スイッチS23の一方端が二次電池B3の負極端子及び負極側充電端子Tinに接続され、負極側スイッチS23の他方端が負極側放電端子Tonを介して負荷Loの負極端子に接続されている。
【0029】
なお、負荷側スイッチSLは、負極側放電端子Ton側に接続されていてもよい。
【0030】
また、直列接続用スイッチS3は、ダイオードにより構成されてもよい。すなわち、直列接続用スイッチS31のカソード端子が二次電池B2の正極端子及び正極側スイッチS12の一方端子に接続され、直列接続用スイッチS31のアノード端子が二次電池B1の負極端子及び負極側スイッチS21の一方端子に接続される。また、直列接続用スイッチS32のカソード端子が二次電池B3の正極端子及び正極側スイッチS13の一方端子に接続され、直列接続用スイッチS32のアノード端子が二次電池B2の負極端子及び負極側スイッチS22の一方端子に接続される。
【0031】
検出部Stは、サーミスタなどにより構成され、二次電池B1~B3の温度を検出する。すなわち、検出部St1は、二次電池B1の温度を検出し、その検出結果を制御部2に送り、検出部St2は、二次電池B2の温度を検出し、その検出結果を制御部2に送り、検出部St3は、二次電池B3の温度を検出し、その検出結果を制御部2に送る。例えば、制御部2は、検出部St1~St3から送られてくる温度の平均値を、二次電池B1~B3の温度とする。または、制御部2は、検出部St1~St3から送られてくる温度のうちの最大値を、二次電池B1~B3の温度とする。
【0032】
昇温機器Tは、ヒーターなどにより構成され、二次電池B1~B3から供給される電力を抵抗成分が消費することで二次電池B1~B3を温めて二次電池B1~B3の温度を上昇させる。すなわち、昇温機器Tの一方端子が昇温スイッチS4及び正極側スイッチS11~S13を介して二次電池B1~B3の正極端子に接続され、昇温機器Tの他方端子が負極側スイッチS21~S23を介して二次電池B1~B3の負極端子に接続されている。なお、昇温スイッチS4は、昇温機器Tの他方端子と負極側スイッチS23との間に接続されていてもよい。
【0033】
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)またはプログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device))などにより構成され、二次電池B1~B3の放電時や充電時において、負荷側スイッチSL、正極側スイッチS11~S13、負極側スイッチS21~S23、直列接続用スイッチS31、S32、及び昇温スイッチS4の動作を制御する。
【0034】
<二次電池B1~B3の放電時>
制御部2は、二次電池B1~B3を放電させる場合(充電器Chの正極端子及び負極端子が正極側充電端子Tip及び負極側充電端子Tinに接続されていない場合)、正極側スイッチS11~S13、負極側スイッチS21~S23、及び負荷側スイッチSLを導通させるとともに直列接続用スイッチS31、S32及び昇温スイッチS4を遮断させることにより二次電池B1~B3を互いに並列接続させる。これにより、二次電池B1~B3が互いに並列接続された状態において、二次電池システム1から負荷Loに電力を供給することが可能な状態にすることができる。そして、この状態において、二次電池システム1から負荷Loに電力が供給されると、負荷Loの負極端子から負極側放電端子Ton、負極側スイッチS21、二次電池B1、正極側スイッチS11、負荷側スイッチSL、及び正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に電流が流れる。また、負荷Loの負極端子から負極側放電端子Ton、負極側スイッチS22、二次電池B2、正極側スイッチS12、負荷側スイッチSL、及び正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に電流が流れる。また、負荷Loの負極端子から負極側放電端子Ton、負極側スイッチS23、二次電池B3、正極側スイッチS13、負荷側スイッチSL、及び正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に電流が流れる。これにより、二次電池B1~B3が互いに並列接続された状態において、二次電池B1~B3から負荷Loへ電力を供給することができるため、二次電池B1~B3が互いに直列接続された状態において、二次電池B1~B3から負荷Loへ電力が供給される場合に比べて、負荷Loにかかる電圧を抑えることができる。
【0035】
<二次電池B1~B3のうちの1つの二次電池Bの充電時>
例えば、制御部2は、二次電池B1を充電させるとともに二次電池B2、B3を充電させない場合、負極側スイッチS21及び負極側スイッチS23を導通させるとともに正極側スイッチS11~S13、負極側スイッチS22、直列接続用スイッチS31、S32、昇温スイッチS4、及び負荷側スイッチSLを遮断させる。この状態において、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、負極側スイッチS21、負極側スイッチS23、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れる。これにより、二次電池B1のみが充電される。また、二次電池B1~B3のうちの1つの二次電池Bを充電する場合、昇温スイッチS4を遮断させる構成であるため、昇温機器Tに電圧がかからないようにすることができる。
【0036】
<二次電池B1~B3のうちの隣り合う2つの二次電池Bの充電時>
例えば、制御部2は、二次電池B1、B2を充電させるとともに二次電池B3を充電させない場合、直列接続用スイッチS31、負極側スイッチS22、及び負極側スイッチS23を導通させるとともに正極側スイッチS11~S13、負極側スイッチS21、直列接続用スイッチS32、昇温スイッチS4、及び負荷側スイッチSLを遮断させる。これにより、二次電池B1、B2が互いに直列接続された状態において、充電器Chから二次電池システム1に電力を供給することが可能な状態にすることができる。そして、この状態において、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、直列接続用スイッチS31、二次電池B2、負極側スイッチS22、負極側スイッチS23、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れる。これにより、二次電池B1、B2のみが充電される。また、二次電池B1~B3のうちの隣り合う2つの二次電池Bを充電する場合、昇温スイッチS4を遮断させる構成であるため、昇温機器Tに電圧がかからないようにすることができる。
【0037】
<二次電池B1~B3のうちの隣り合わない2つの二次電池Bの充電時>
制御部2は、二次電池B1、B3を充電させるとともに二次電池B2を充電させない場合、直列接続用スイッチS31、正極側スイッチS12、及び正極側スイッチS13を導通させるとともに正極側スイッチS11、負極側スイッチS21~S23、直列接続用スイッチS32、昇温スイッチS4、及び負荷側スイッチSLを遮断させる。これにより、二次電池B1、B3が互いに直列接続された状態において、充電器Chから二次電池システム1に電力を供給することが可能な状態にすることができる。そして、この状態において、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、直列接続用スイッチS31、正極側スイッチS12、正極側スイッチS13、二次電池B3、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れる。これにより、二次電池B1、B3のみが充電される。また、二次電池B1~B3のうちの隣り合わない2つの二次電池Bを充電する場合、昇温スイッチS4を遮断させる構成であるため、昇温機器Tに電圧がかからないようにすることができる。すなわち、複数の二次電池Bのうちの一部の二次電池Bの充電時において昇温機器Tに電圧がかからないようにすることができる。なお、制御部2は、二次電池B1~B3のうちの一部の二次電池Bを充電する場合、一部の二次電池Bに流れる電流が許容充電電流より小さくなるように、充電電力指令値を充電器Chに送るものとする。
【0038】
<二次電池B1~B3の温度が閾値以上である場合の二次電池B1~B3の充電時>
制御部2は、二次電池B1~B3を充電させる場合(充電器Chの正極端子及び負極端子が正極側充電端子Tip及び負極側充電端子Tinに接続されている場合)で、かつ、二次電池B1~B3の温度が閾値Tth以上である場合、直列接続用スイッチS31、S32を導通させるとともに正極側スイッチS11~S13、負極側スイッチS21~S23、昇温スイッチS4、及び負荷側スイッチSLを遮断させることにより二次電池B1~B3を互いに直列接続させる。これにより、二次電池B1~B3が互いに直列接続された状態において、充電器Chから二次電池システム1に電力を供給することが可能な状態にすることができる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、直列接続用スイッチS31、二次電池B2、直列接続用スイッチS32、二次電池B3、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れる。これにより、二次電池B1~B3が充電される。また、二次電池B1~B3の温度が閾値Tth以上である場合、昇温スイッチS4を遮断させる構成であるため、昇温機器Tに電圧がかからないようにすることができる。なお、閾値Tthは、二次電池Bの許容充電電流が最も大きくなるときの二次電池B1~B3の温度とする。これにより、二次電池B1~B3の温度が閾値Tth以上である場合、二次電池B1~B3に流れる充電電流を、二次電池Bの許容充電電流の最大値まで増加させることができる。なお、閾値Tthは、直列接続時の充電器Chの出力電流を許容可能な温度の下限値を、演算によって設定してもよい。二次電池Bの許容充電電流は、二次電池Bの温度により決定されるが、充電時に要求される充電電流値よりも許容充電電流が小さくなる際の温度を閾値Tthとしてもよい。
【0039】
<二次電池B1~B3の温度が閾値より小さい場合の二次電池B1~B3の充電時>
制御部2は、二次電池B1~B3を充電させる場合で、かつ、二次電池B1~B3の温度が閾値Tthより小さい場合、正極側スイッチS11~S13、負極側スイッチS21~S23、及び昇温スイッチS4を導通させるとともに直列接続用スイッチS31、S32及び負荷側スイッチSLを遮断させることにより、二次電池B1~B3を互いに並列接続させるとともに二次電池B1~B3と昇温機器Tとを互いに接続させる。これにより、二次電池B1~B3が互いに並列接続された状態において、充電器Chから二次電池システム1に電力を供給することが可能な状態にすることができる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、負極側スイッチS21、負極側スイッチS23、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れる。また、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、正極側スイッチS11、正極側スイッチS12、二次電池B2、負極側スイッチS22、負極側スイッチS23、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れる。また、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、正極側スイッチS11、正極側スイッチS13、二次電池B3、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れる。これにより、二次電池B1~B3が充電される。また、二次電池B1の正極端子から正極側スイッチS11、昇温スイッチS4、昇温機器T、及び負極側スイッチS21を介して二次電池B1の負極端子に電流が流れる。また、二次電池B2の正極端子から正極側スイッチS12、昇温スイッチS4、昇温機器T、及び負極側スイッチS22を介して二次電池B2の負極端子に電流が流れる。また、二次電池B3の正極端子から正極側スイッチS13、昇温スイッチS4、昇温機器T、及び負極側スイッチS23を介して二次電池B3の負極端子に電流が流れる。これにより、昇温機器Tに電力が供給されて、二次電池B1~B3の温度が上昇する。また、二次電池B1~B3から昇温機器Tにそれぞれ略一定の電流を流すことができるため、二次電池B1~B3の電圧のばらつきによって二次電池B1~B3に流れる還流電流を抑制することができる。また、二次電池B1~B3の温度が閾値Tthより小さい場合、二次電池B1~B3を互いに並列接続させるとともに昇温スイッチS4を導通させることにより、互いに並列接続される二次電池B1~B3に昇温機器Tを接続させることができる。そのため、昇温機器Tにかかる電圧を、互いに並列接続される二次電池B1~B3の全体の電圧と同じ電圧にすることができる。すなわち、二次電池B1~B3に昇温機器Tを接続させるとき、昇温機器Tにかかる電圧を、互いに直列接続される二次電池B1~B3の全体の電圧より低い電圧にすることができるため、定格電圧が小さい安価な昇温機器Tを採用することができる。
【0040】
<充電器Chから二次電池システム1に供給される電力>
制御部2は、二次電池B1~B3のうちの一部の二次電池Bを充電する場合、充電電圧V1と充電電流I1とからなる充電電力指令値P1を充電器Chに送る。充電器Chは、充電電力指令値P1を受け取ると、充電電圧V1に対応する電圧及び充電電流I1に対応する電流を二次電池システム1に出力する。なお、充電電圧V1は、互いに直列接続される一部の二次電池Bの全体の電圧より少し高い電圧とする。また、充電電流I1は、二次電池Bの許容充電電流より小さい一定の電流とする。
【0041】
また、制御部2は、二次電池B1~B3を充電する場合で、かつ、二次電池B1~B3の温度が閾値Tth以上である場合、充電電圧V2と充電電流I2とからなる充電電力指令値P2を充電器Chに送る。充電器Chは、充電電力指令値P2を受け取ると、充電電圧V2に対応する電圧及び充電電流I2に対応する電流を二次電池システム1に出力する。なお、充電電圧V2は、互いに直列接続される二次電池B1~B3の全体の電圧より少し高い電圧とする。すなわち、充電電圧V2>充電電圧V1とする。また、充電電流I2は、二次電池Bの許容充電電流より小さい一定の電流とし、充電電流I1と同じ電流としてもよいし、異なる電流としてもよい。
【0042】
また、制御部2は、二次電池B1~B3を充電する場合で、かつ、二次電池B1~B3の温度が閾値Tthより小さい場合、充電電圧V3と充電電流I3とからなる充電電力指令値P3を充電器Chに送る。充電器Chは、充電電力指令値P3を受け取ると、充電電圧V3に対応する電圧及び充電電流I3に対応する電流を二次電池システム1に出力する。なお、充電電圧V3は、互いに並列接続される二次電池B1~B3の全体の電圧より少し高い電圧とする。すなわち、充電電圧V2>充電電圧V1>充電電圧V3とする。また、充電電流I3は、二次電池Bの許容充電電流より小さい一定の電流とし、充電電流I1または充電電流I2と同じ電流としてもよいし、異なる電流としてもよい。
【0043】
なお、制御部2は、二次電池B1~B3を充電する場合で、かつ、二次電池B1~B3の温度が閾値Tthより小さい場合、昇温機器Tに消費される電力を加味した充電電力指令値P3を充電器Chに送るように構成してもよい。すなわち、制御部2は、二次電池B1~B3を充電する場合で、かつ、二次電池B1~B3の温度が閾値Tthより小さい場合、二次電池B1~B3を充電するための電力(充電電圧V3と充電電流I3との乗算値)と昇温機器Tに消費される電力(互いに並列接続される二次電池B1~B3の全体の電圧と昇温機器Tに流れる電流との乗算値)との合計電力を充電器Chから二次電池システム1に供給させるように構成してもよい。これにより、二次電池B1~B3を充電するための電力の一部が昇温機器Tにより消費されることを抑えることができるため、充電時間の増加を抑えることができる。
【0044】
また、制御部2は、二次電池B1~B3を充電する場合で、かつ、二次電池B1~B3の温度が閾値Tthより小さい場合、二次電池B1~B3の温度の上昇に応じて、充電電力指令値P3の充電電流I3を増加させるように構成してもよい。すなわち、制御部2は、二次電池B1~B3を充電する場合で、かつ、二次電池B1~B3の温度が閾値Tthより小さい場合、二次電池B1~B3の温度の上昇に応じて、充電器Chから二次電池システム1に供給される電力を増加させるように構成してもよい。これにより、二次電池B1~B3の温度の上昇に応じて、充電器Chから二次電池システム1に供給される電力を増加させない場合に比べて、二次電池B1~B3に流れる電流を増加させることができるため、充電時間の短縮化を図ることができる。
【0045】
図2は、制御部2の動作の一例を示すフローチャートである。
【0046】
まず、制御部2は、放電開始指示または充電開始指示が入力されたか否かを繰り返し判断し(ステップS1:No、ステップS4:No)、放電開始指示が入力されると(ステップS1:Yes)、各二次電池Bを互いに並列接続させ、昇温スイッチS4を遮断させ、負荷側スイッチSLを導通させることで二次電池システム1から負荷Loに電力を供給することが可能な状態にする(ステップS2)。
【0047】
次に、制御部2は、放電終了指示が入力された否かを繰り返し判断し(ステップS3:No)、放電終了指示が入力されると(ステップS3:Yes)、負荷側スイッチSLを遮断させることにより二次電池システム1から負荷Loへの電力供給を終了する。
【0048】
また、制御部2は、各二次電池Bのうちの一部の二次電池Bを充電させる旨の充電開始指示が入力されると(ステップS1:No、ステップS4:Yes、ステップS5:Yes)、一部の二次電池Bを互いに直列接続させ、昇温スイッチS4及び負荷側スイッチSLを遮断させることで充電器Chから二次電池システム1に電力を供給することが可能な状態にする(ステップS6)。
【0049】
次に、制御部2は、充電が終了したと判断するまで充電電力指令値を充電器Chに繰り返し送り(ステップS7、ステップS8:No)、充電が終了したと判断すると(ステップS8:Yes)、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されないように充電電力指令値の充電電流をゼロにする。例えば、制御部2は、一部の二次電池Bの電圧の平均値または最大値が所定の充電電圧になると、一部の二次電池Bの充電が終了したと判断する。または、制御部2は、一部の二次電池Bの電圧の平均値または最大値が所定の充電電圧になり、かつ、一部の二次電池Bに流れる電流が所定の充電電流以下になると、一部の二次電池Bの充電が終了したと判断する。
【0050】
また、制御部2は、全ての二次電池Bを充電させる旨の充電開始指示が入力されると(ステップS1:No、ステップS4:Yes、ステップS5:No)、二次電池Bの温度を取得する(ステップS9)。
【0051】
次に、制御部2は、二次電池Bの温度が閾値Tth以上である場合(ステップS10:Yes)、全ての二次電池Bを互いに直列接続させ、昇温スイッチS4及び負荷側スイッチSLを遮断させることで充電器Chから二次電池システム1に電力を供給することが可能な状態にした後(ステップS11)、充電電力指令値を充電器Chに送る(ステップS12)。
【0052】
次に、制御部2は、全ての二次電池Bの充電が終了していないと判断すると(ステップS13:No)、ステップS9に戻り、全ての二次電池Bの充電が終了したと判断すると(ステップS13:Yes)、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されないように充電電力指令値の充電電流をゼロにする。例えば、制御部2は、全ての二次電池Bの電圧の平均値または最大値が所定の充電電圧になると、全ての二次電池Bの充電が終了したと判断する。または、制御部2は、全ての二次電池Bの電圧の平均値または最大値が所定の充電電圧になり、かつ、全ての二次電池Bに流れる電流が所定の充電電流以下になると、全ての二次電池Bの充電が終了したと判断する。
【0053】
また、制御部2は、二次電池Bの温度が閾値Tthより小さい場合(ステップS10:No)、全ての二次電池Bを互いに並列接続させるとともに負荷側スイッチSLを遮断させ(ステップS14)、互いに並列接続される全ての二次電池Bに昇温機器Tを接続させることで充電器Chから二次電池システム1に電力を供給することが可能な状態にした後(ステップS15)、充電電力指令値を充電器Chに送る(ステップS16)。
【0054】
そして、制御部2は、全ての二次電池Bの充電が終了していないと判断すると(ステップS13:No)、ステップS9に戻り、全ての二次電池Bの充電が終了したと判断すると(ステップS13:Yes)、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されないように充電電力指令値の充電電流をゼロにする。
【0055】
なお、図2に示すフローチャートにおいて、ステップS5~S8を省略してもよい。このように構成する場合、制御部2は、充電開始時が入力されると(ステップS4:Yes)、ステップS9に移行する。
【0056】
このように実施形態の二次電池システム1では、各二次電池Bを充電する場合で、かつ、二次電池B1~B3の温度が閾値Tthより小さい場合、各二次電池Bが互いに並列接続されるように接続回路の動作を制御するとともに各二次電池Bと昇温機器Tとの間に接続される昇温スイッチS4を導通させる構成である。
【0057】
これにより、昇温機器Tにかかる電圧を抑えることができるため、定格電圧が小さい安価な昇温機器Tを二次電池システム1に備えることができ、二次電池システム1の製造コストを抑えることができる。
【0058】
また、実施形態の二次電池システム1では、正極側充電端子Tipが二次電池B1の正極端子と正極側スイッチS11の一方端子との接続点に接続され、負極側充電端子Tinが二次電池B3の負極端子と負極側スイッチS23の一方端子との接続点に接続される構成である。
【0059】
これにより、隣り合わない二次電池B1、B3を互いに直列接続させて、二次電池B1、B3を充電することができる。
【0060】
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 二次電池システム
2 制御部
SC 充電器側スイッチ
SL 負荷側スイッチ
Tip 正極側充電端子
Tin 負極側充電端子
Top 正極側放電端子
Ton 負極側放電端子
S11~S13 正極側スイッチ
S21~S23 負極側スイッチ
S31、S32 直列接続用スイッチ
S4 昇温スイッチ
B1~B3 二次電池
St1~St3 検出部
T 昇温機器
Ve 車両
Lo 負荷
Ch 充電器
図1
図2
図3