(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046368
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】まな板シ―トおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A47J 47/00 20060101AFI20220315BHJP
【FI】
A47J47/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020152381
(22)【出願日】2020-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】301052227
【氏名又は名称】小林 芳人
(72)【発明者】
【氏名】小林 芳人
【テーマコード(参考)】
4B066
【Fターム(参考)】
4B066CC11
4B066CC22
(57)【要約】
【課題】
柔軟性薄板素材で形成された略矩形のまな板シートであって、該まな板シートを略U字形に湾曲させて、カット後の食材等を他の容器に移す際に、該まな板シートを略U字形の湾曲状態として片手で安定して把持できるまな板シートを提供する。
【解決手段】
まな板シート1の対向する2辺の略対称位置に少なくとも1対の切り欠き2が設けられており、それぞれの該切り欠き2に紐状体をはめ込み連結係止したときに紐状体の脱離を防止するための脱離防止手段4が設けられているため、まな板シート1を略U字形の湾曲状態として片手で安定して把持できる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性薄板素材で形成された略矩形のまな板シートであって、該まな板シートは該まな板シートの対向する2辺の中点を結ぶ中心線を対称軸とする略線対称位置に少なくとも1対の切り欠きが設けられており、該切り欠きの内部には該切り欠きに紐状体がはめ込み係止されたときに該紐状体の脱離を防止するための脱離防止手段が設けられていることを特徴とするまな板シート。
【請求項2】
該切り欠きは略矩形のまな板シートの二つの長辺の一方の端部から所定距離中央寄りの位置に設けられており、該脱離防止手段はそれぞれの該切り欠きの内部の端部側側部、天井部、および底部の少なくとも一つに設けられた凹部分を含むことを特徴とする請求項1に記載のまな板シート。
【請求項3】
該脱離防止手段は該凹部分の入口側に設けられたくびれ部分あるいはその先端が端部側を向く突起部分を含むことを特徴とする請求項1ないし2に記載のまな板シート。
【請求項4】
該凹部分は10度以下の先端角を有する略V字形切り欠き状部位を更に含むことを特徴とする請求項1ないし3に記載のまな板シート。
【請求項5】
略矩形の該まな板シートの該切り欠きを有する辺に近接する少なくとも一つの辺が該切り欠きを有する2辺の中点を結ぶ中心線を対称軸とする略線対称形状を成し、その辺の端部よりも中央部が突出した中央突出部を有していることを特徴とする請求項1ないし4に記載のまな板シート。
【請求項6】
請求項1ないし5に記載のまな板シート上で食材等をカットした後、少なくとも1対の該切り欠きに輪状の該紐状体をはめ込み係止して、該まな板シートを曲げ変形させて略U字形として該まな板シート上のカットされた食材等をこぼさないように他の容器に入れ込むまな板シートの使用方法。
【請求項7】
該紐状体は輪ゴムであることを特徴とする請求項6に記載のまな板シートの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材等をカットするためのまな板シートに関する。
【背景技術】
【0002】
食材等をカットするためのまな板であって、柔軟性薄板素材で形成された略矩形のまな板シートが提案されている(特許文献1、2)。これらのまな板シート上で調理作業者は食材等をカット後に該まな板シートの二つの長辺を手指で挟んで力を加えることにより、該まな板シートを略U字形に湾曲させる。この湾曲状態で鍋などの他の容器の上方位置に該まな板シートを移動させ、その位置で該まな板シートを斜めに傾けることにより(特許文献2)、カットされた食材等をこぼさないでしかも迅速に該他の容器に入れ込むことが出来る(
図10)。市販されている多くの柔軟性薄板素材で形成された略矩形のまな板シートは短辺が21cm以上である。そのため、該まな板シートを略U字形に湾曲させようとするときに、親指と中指を最大限に拡げても対向する二つの長辺を同時に掴んで略U字形に湾曲させることは困難である。従って該まな板シートの対向する二つの長辺を同時に掴んで略U字形に湾曲させるためには両手を使う必要がある。その場合、略U字形に湾曲させた該まな板シートの上面にあるカットした食材を鍋等の他の容器に入れるためには、該他の容器の上方位置において該まな板シートを傾けて、カットした食材が該まな板シートの上面を滑り落ちるか転がり落ちるようにしてカットした食材を鍋等の他の容器に入れるようにする。その際に、該食材等が水分を多く含む場合など、該まな板シートの上面に該食材等が粘着し、該まな板シートを傾けてもカットした食材等の一部が該まな板シートの上面に粘着したままで、滑り落ちることも転がり落ちることもしないという事象が起り得る。そうした状況において、近くに協力者がいない場合、該調理作業者は該他の容器の上方位置において該まな板シートを傾けた状態で上下に揺すって該まな板シートに粘着している食材等を該まな板シートから引き剥がして他の容器に入れるようにしようとする動作をする。この該まな板シートの揺すり動作は付加的で煩雑であり、また、その揺すり動作が過剰であると、該まな板シートに粘着していた食材等を本来の目的の該他の容器に入れ込めず、該他の容器の外部に散乱させてしまうという不都合な事象が起り得る。特に、該他の容器の入口開口が狭い場合には、該不都合な事象が起り易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-013294
【特許文献2】特開2003-210341
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、柔軟性薄板素材で形成された略矩形のまな板シートにおいて、該まな板シート上で食材等をカット後に、食材等が載置された該まな板シートを略U字形の湾曲状態として片手で安定して保持できるまな板シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る本発明は、柔軟性薄板素材で形成された略矩形のまな板シートであって、該まな板シートは該まな板シートの対向する2辺の略対称位置に少なくとも1対の切り欠きが設けられており、該切り欠きの内部には該切り欠きに紐状体がはめ込み係止されたときに該紐状体の脱離を防止するための脱離防止手段が設けられていることを特徴とするまな板シートである。
上記構成によれば、柔軟性薄板素材で形成された略矩形のまな板シートにおいて、該まな板シート上で食材等をカット後に、食材等が載置された該まな板シートを略U字形の湾曲状態として片手で安定して把持できるため、カットされた食材等をこぼさないで確実にしかも迅速に鍋などの他の容器に入れ込むことが出来る。
【0006】
請求項2に係る本発明は、該切り欠きは略矩形のまな板シートの二つの長辺の一方の端部から所定距離中央寄りの位置に設けられており、該脱離防止手段はそれぞれの該切り欠きの内部の端部側側部、天井部、および底部の少なくとも一つに設けられた凹部分を含むことを特徴とする請求項1に記載のまな板シートである。
本発明のまな板シートでは、該切り欠きに紐状体がはめ込み係止されたときの略U字形の湾曲状態において、該まな板シートの弾性により略U字形の湾曲状態から本来の平面形状態に戻ろうとする力により該紐状体に引張り力が作用する。
該切り欠きは略矩形のまな板シートの長辺の一方の端部から所定距離中央寄りの位置に設けられている。そのため、該切り欠きに紐状体がはめ込み係止されたときの略U字形の湾曲状態において該まな板シートの略U字形形状は一方の端部で狭く、他方の端部で広くなる。この略U字形の湾曲状態の該まな板シートの上方視野図を想定すると、一方側に向けて先細り形状となる。この先細りU字形状は該まな板シート上に載置されたカット済の食材等をより狭い開口の他の容器に入れることを容易にする。
該紐状体に作用する引張り力と該まな板シートの先細りU字形状との効果により、多少なりと弾性を有する該紐状体には横にずれていくような力が作用する。このずれていく方向は該切り欠きの内部の端部側側部、天井部、底部のいずれかを含む方向が主なずれ方向となる。これらの方向に凹部分を設けることで該紐状体のはめ込み係止状態を安定して保持することが可能となる。
【0007】
請求項3に係る本発明は、該脱離防止手段は該凹部分の入口側に設けられたくびれ部分あるいはその先端が端部側を向く突起部分を含むことを特徴とする請求項1ないし2に記載のまな板シートである。
該紐状体に作用する横ずれ力の方向が、前記の想定方向と異なる方向が想起された場合においても、該凹部分の入口側に設けられたくびれ部分あるいはその先端が端部側を向く突起部分の効果により、該切り欠きへの紐状体のはめ込み係止状態が維持可能となる。
【0008】
請求項4に係る本発明は、該凹部分は10度以下の先端角を有する略V字形切り欠き状部位を更に含むことを特徴とする請求項1ないし3に記載のまな板シートである。
該紐状体が略V字形切り欠き状部位に喰い込んだ場合、楔と同じように両者間の摩擦力により、該紐状体の該凹部分からの離脱が防止される。
この略V字形切り欠き状部位の先端部の方向は、該紐状体の想定ずれ方向である該切り欠きの内部の端部側側部、天井部、あるいは底部に向かう方向であることが望ましい。
【0009】
請求項5に係る本発明は、略矩形の該まな板シートの該切り欠きを有する辺に近接する少なくとも一つの辺が該切り欠きを有する2辺の中点を結ぶ中心線を対称軸とする略線対称形状を成し、その辺の端部よりも中央部が突出した中央突出部を有していることを特徴とする請求項1ないし4に記載のまな板シートである。
中央突出部の創設により、より狭い開口部の容器へのカット済み食材等の注入が容易となる。
【0010】
請求項6に係る本発明は、請求項1ないし5に記載のまな板シート上で食材等をカットした後、少なくとも1対の該切り欠きに輪状の該紐状体をはめ込み係止して、該まな板シートの端部を曲げ変形させて略U字形として該まな板シート上のカットされた食材等をこぼさないように他の容器に移すまな板シートの使用方法である。
該調理作業者は、該まな板シート上で食材をカットした後、その状態で該まな板シートを略U字型に湾曲させた状態で1対の切り欠きに紐状体を係止させる。その際に、該切り欠きのある2辺の距離が10cm程度となるようなU字形状を維持できるように該紐状体の長さを予め調整しておく。該まな板シートの該切り欠きを有する対向する2辺の直線距離を10cm程度に短くすることが出来れば、片手の親指と中指等で該2辺を同時に掴むことが出来て、片手だけで該まな板シートを略U字形に湾曲させた状態で把持することが可能になり、カット済みの食材を載置させたまま該まな板シートを略U字形に湾曲させた状態で該他の容器の上方位置に片手だけで移動させることが可能となる。そして、該まな板シートを傾けてその上面に載置された食材を該他の容器に入れ込むことが出来る。その状態で、該まな板シートの上面に粘着したままで、滑り落ちることも転がり落ちることもしない食材については、もう一方の手に持ったヘラ等で該まな板シートの上面に粘着した食材をこそぎ落として該他の容器に確実に安全に入れ込むことが出来る。
【0011】
請求項7に係る本発明は、該紐状体は輪ゴムであることを特徴とする請求項6に記載のまな板シートの使用方法である。
該紐状体として輪ゴムを採用することにより、安価で入手容易な紐状体で該まな板シートを略U字形の湾曲状態を安定して保持できるため、カットされた食材等をこぼさないで確実にしかも迅速に鍋などの容器に入れることが出来る。
【発明の効果】
【0012】
柔軟性薄板素材で形成された略矩形のまな板シートにおいて、該まな板シート上で食材等をカット後に、食材等が載置された該まな板シートの対向する2辺に設けられた切り欠きに所定長さの紐状体を係止することで食材等が載置された該まな板シートを略U字形の湾曲状態として片手だけで安定して把持できるため、カットされた食材等が該まな板シートに粘着していたとしてもそれらを確実にしかも容易に鍋などの他の容器に入れ込むことが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1~9を参照して、実施形態について説明する。
図1に本発明によるまな板シート1の基本構造の例を説明する。
柔軟性薄板素材で形成された略矩形のまな板シート1の二つの長辺5の一方の端部から所定距離中央寄りの対称位置に1対の切り欠き2が設けられている。
【0014】
図2に切り欠き2近傍の拡大図を示す。切り欠き2の内部の端部側側部6には脱離防止手段4としての凹部分8が設けられている。該凹部分8近傍に係止された紐状体3は該凹部分8にはめ込まれるように係止されるので、切り欠き2からの脱離が防止される。
【0015】
図3に切り欠き2近傍の拡大図を示す。切り欠き2の内部の天井部7には脱離防止手段4としての凹部分8が設けられている。該凹部分8近傍に係止された紐状体3は該凹部分8にはめ込まれるように係止されるので、切り欠き2からの脱離が防止される。
【0016】
図4に切り欠き2近傍の拡大図を示す。切り欠き2の内部には脱離防止手段4としての凹部分8が設けられている。該凹部分8の入口側に設けられたくびれ部分9により、該凹部分8にはめ込まれるように係止される紐状体3の切り欠き2からの脱離が防止される。
【0017】
図5に切り欠き2近傍の拡大図を示す。切り欠き2の内部には脱離防止手段4としての凹部分8が設けられている。該凹部分8の入口側に設けられた突起部分11により、該凹部分8にはめ込まれるように係止される紐状体3の切り欠き2からの脱離が防止される。
【0018】
図6に切り欠き2近傍の拡大図を示す。切り欠き2の内部には脱離防止手段4としての凹部分8が設けられている。該凹部分8に設けられた略V字形切り欠き状部位10により、該略V字形切り欠き状部位10に喰い込むように係止される紐状体3の切り欠き2からの脱離が防止される。
【0019】
図7に略矩形の該まな板シート1の該切り欠き2を有する辺に近接する少なくとも一つの辺が略対称形状を成し、その辺の端部よりも中央部が突出した中央突出部12の1例を示す。該まな板シート1を略U字形の湾曲状態とした場合、該中央突出部12近傍は先細の漏斗類似の形状となる、このため、より狭い開口部を有する容器にも該まな板シート1に載置されたカット後の食材等をこぼすことなく確実に入れることが出来る。
【0020】
図8に本発明による該まな板シート1の切り欠き2に紐状体3を該まな板シート1を取り囲むように係止し、該まな板シート1を略U字形に湾曲させた状態を示す。切り欠き2の内部に設けられた脱離防止手段4としての凹部分8あるいはおよびくびれ部分9や突起部分11の効果により該紐状体3が該切り欠き2から脱離することなく該まな板シート1の略U字形の湾曲状態を安定して維持できる。
【0021】
図9に本発明による該まな板シート1の切り欠き2に紐状体3を該まな板シート1の対向する長辺5を引き寄せるように係止し、該まな板シート1を略U字形に湾曲させた状態を示す。切り欠き2の内部に設けられた脱離防止手段4としての凹部分8あるいはおよびくびれ部分9や突起部分11の効果により該紐状体3が該切り欠き2から脱離することなく該まな板シート1の略U字形の湾曲状態を安定して維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明によるまな板シートの基本構造の説明図である。
【
図2】本発明によるまな板シートの切り欠き近傍の拡大図である。
【
図3】本発明によるまな板シートの切り欠き近傍の拡大図である。
【
図4】本発明によるまな板シートの切り欠き近傍の拡大図である。
【
図5】本発明によるまな板シートの切り欠き近傍の拡大図である。
【
図6】本発明によるまな板シートの切り欠き近傍の拡大図である。
【
図7】本発明によるまな板シートの一例の説明図である。
【
図8】本発明によるまな板シートの使用方法の説明図である。
【
図9】本発明によるまな板シートの使用方法の説明図である。
【符号の説明】
【0023】
1 まな板シート
2 切り欠き
3 紐状体
4 脱離防止手段
5 長辺
6 端部側側部
7 天井部
8 凹部分
9 くびれ部分
10 略V字形切り欠き状部位
11 突起部分
12 中央突出部
13 底部
【手続補正書】
【提出日】2020-10-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
【
図1】本発明によるまな板シートの基本構造の説明図である。
【
図2】本発明によるまな板シートの切り欠き近傍の拡大図である。
【
図3】本発明によるまな板シートの切り欠き近傍の拡大図である。
【
図4】本発明によるまな板シートの切り欠き近傍の拡大図である。
【
図5】本発明によるまな板シートの切り欠き近傍の拡大図である。
【
図6】本発明によるまな板シートの切り欠き近傍の拡大図である。
【
図7】本発明によるまな板シートの一例の説明図である。
【
図8】本発明によるまな板シートの使用方法の説明図である。
【
図9】本発明によるまな板シートの使用方法の説明図である。
【
図10】従来例によるまな板シートの使用方法の説明図である。