(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046391
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】雨受けシート
(51)【国際特許分類】
E03B 3/03 20060101AFI20220315BHJP
A01G 25/00 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
E03B3/03 A
A01G25/00 601D
A01G25/00 601Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020166364
(22)【出願日】2020-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】520381986
【氏名又は名称】下井 英幸
(72)【発明者】
【氏名】下井 英幸
(57)【要約】 (修正有)
【課題】畑作に不可欠な水を畑で直に人力をかけずに調達できる雨受けシートを提供する。
【解決手段】四辺形のシート1の上流側は集雨面積を大きくするため広げ、対の両辺に乳2を、他の辺の一端の中央下流側に堰3を取り付け、堰3の下部に塵芥防止のフィルターを施した貫通孔を開け、孔に集めた雨を貯水器具に注ぐための脱着可能なホース6を接続した雨受けシート。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨を集めるのは防水性と折りたたみが可能な柔軟性を備えた素材で成る四辺形のシートで、集めた雨はシートの一端に設けた堰で塞き止め、堰に接続してあるホースによって貯水器具に注ぐことを特徴とする雨受けシート。
【請求項2】
前記シートの堰と対の辺を除いた2辺の端に、それぞれ適宜のサイズの乳を取り付け、その乳にさおを通して支えにしっかり固定することを特徴とする請求項1記載の雨受けシート。
【請求項3】
前記シートに設けた堰の下部に塵芥防止のフィルターを有した貫通孔を開け、その孔に接続するホースはシート設置場所の条件により、貯水器具までの距離によって延長や短縮が自在なことを特徴とする請求項1または請求項2記載の雨受けシート。
【請求項4】
前記シートを設置するには、乳に通したさおを支えに固定するが、設置の条件によってシートの幅や長さが調節された場合、支えの位置もそれに合わせて変更できることを特徴とする請求項2または請求項3記載の雨受けシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一端にホースを有する四辺形のシートで雨を集め、貯水器具に注ぐことに関わり、特に畑に設置することで、人力をかけず畑作に不可欠な水を高率的に調達することに関する。
【背景技術】
【0002】
畑作において播種や苗の活着、その後の育成から収穫まで水が不可欠である。しかし開墾時代から今日まで継がれている畑地には車道をはじめ導水設備はほとんど整っていない。このため畑に天水桶等を置いて雨を受け賄っているものの必要量にはほど遠く、不足分は近くの谷や用水等から相当の人力と時間をかけて調達しているのが現実である。
【0003】
重労働で手抜きができない水の調達作業に拍車をかけているのが近年頻発している空梅雨や地球規模で進んでいる温暖化である。一方農業後継者不足で高齢化が進んでおり、両者相まって減反から最悪の耕作断念を招き耕地の荒廃が進んでいる。この現象は条件の悪い山畑から平地へと広がってきている。この現象で懸念されるのは、近い将来の食料自給率の低下、ひいては経済活動の停滞等に深刻な影を落とすことである。
【0004】
雨受けシートに関連する公知技術は、畑作等にも応用可能としているものの、主眼は野外キャンプ場での使用や建造物の水漏れ対策などに置かれ、加えて短期間の設置向けであり、畑作に期待されるより多くの雨を高率よく集め、風害と長期設置に耐え、さらに設置条件に即応できるなどの機能を十分に有しているわけではない。
【0005】
実用新案登録第3148967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のとおり、畑作の現状から将来に関わる諸課題の根源は水の調達が人力を拠り所にしていることにある。本発明はこの点に鑑みて、人手を煩わすことなく畑で直に安全に調達し、溜めた雨は必要に応じていつでも使えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための雨受けシートは、その発明に当たり第一に雨をより高率的に集める、第二に設置場所等の条件に即応できる、第三に風害に強く長期の設置に耐えること、以上の三要件を満たす構造であることを念頭においた。
【0008】
上記の目的を達成するために発明した雨受けシートは、貴重な雨を高率的に集め貯水器具に注いで溜めておくものである。雨を集めるのは四辺形のシートで、対となる辺の両端に適宜のサイズの乳を取り付け、残った辺の一端の中央に所定のサイズの堰を取り付ける。堰の下部に塵芥防止のフィルターを有した貫通孔を開け、その孔に脱着可能なホースを接続し、集まった雨は貯水器具に注がれるという仕組みである。
【0009】
上記雨受けシートを設置するには、乳にさおを通して支えに固定するが、その際集雨面積を大きくするため堰を下流側に、上流側は幅広く固定するのがポイントである。雨受けシートは防水に優れ折りたたみができる素材であり、設置場所の条件によって縦横の幅や長さ、地上からの高さを任意に固定できる。こうした多くの特徴を備えられたのは、特にシートに設けた乳の機能に負うところが大きい。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明をしたとおり本発明によれば、雨を高率的に集め、シート設置場所の諸条件に即応でき、風害や長期設置に耐えられるという所期の要件を満たし、溜めた雨は必要なときいつでも使えることが可能となる。これにより従来水の調達に費やした多大な労力と時間を畑作に向けることができることとなり、特に高齢者の身体的負担が軽減され、懸念される畑作の減反や耕作断念問題解消、将来の食料自給率低下の防止、経済活動の停滞回避等につながるなど極めて有効である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明の実施の形態につき、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の外観斜視図、
図2は同発明の堰部分の縦断面図である。
【0013】
図1に示すとおり雨受けシート1の対の両端に適宜のサイズの乳2を設け、他の辺の一端の中央に所定のサイズの堰3を取り付ける。その堰の下部には
図2に示すとおり落葉等の塵芥防止フィルター4を有する貫通孔5を開ける。孔には長短自在に脱着可能なホース6を接続し、集めた雨を貯水器具へ注ぐという構成である。なお、ホースと防塵フィルターは堰に設けた取付け座9に固定される。
【0014】
上記雨受けシートを設置するには、乳にさお7を通して支え8に固定する。その際集雨面積を大きくするため、下流側となる堰を要に、上流側は幅広く固定する。
【0015】
上記雨受けシートは防水性に優れ、かつ折りたたみが可能な素材から成っており、設置場所の広狭、その他諸々の条件に合わせ縦横の幅から長さ、地上からの高さ等を調節して固定できる特徴を備えている。
【0016】
なお、実施例では本発明である四辺形のシートによって説明しているが、四辺形に限らず例えば三角形から円形に至るまで多種多様な形の漏斗状の雨受けなど広く応用可能であり、手法もほぼ同じである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】 本発明の雨受けシートを広げて固定した外観斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
1 雨受けシート
2 乳
3 堰
4 塵芥防止フィルター
5 貫通孔
6 ホース
7 さお
8 支え
9 取付け座