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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046393
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】ティーバッグクリップ
(51)【国際特許分類】
   A47G 21/00 20060101AFI20220315BHJP
   A47G 19/22 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
A47G21/00 F
A47G19/22 R
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020166370
(22)【出願日】2020-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】519192142
【氏名又は名称】金丸 博美
(71)【出願人】
【識別番号】519192153
【氏名又は名称】玉川 智子
(72)【発明者】
【氏名】玉川 智子
(72)【発明者】
【氏名】金丸 博美
【テーマコード(参考)】
3B001
3B115
【Fターム(参考)】
3B001AA02
3B001BB04
3B001CC32
3B115AA25
3B115BA27
3B115DA09
3B115DB07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】茶類をティーバッグを用いて抽出する際に、そのティーバッグに結合している糸及びその外端のタグが、注ぎ込まれる湯によってカップ内に引き込まれるのを防止する。
【解決手段】茶類用のカップcの上縁c1に取り付けるための挟持取付部1と、その挟持取付部1の上部に基部3を介して構成した係止スリット部2とからなり、全体を弾力性を有するプラスチック素材で一体に構成したものである。挟持取付部1は、カップcの上縁c1を弾力的に挟持保持する対向する二つの挟持片1a,1bからなる。係止スリット部2は、前後及び上方に開口し、ティーバッグbの吊り下げ用の糸thをその間に挿入した場合にタグtaの通過を許さない間隔のスリット2sを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップの上縁を弾力的に挟持することでこれに取り付けることができる挟持取付部と、該挟持取付部の上部に形成した前後及び上方に開口するスリットを備えた係止スリット部であって、少なくとも下部がティーバッグの吊り下げ用の糸をその間に挿入した場合にタグの通過を許さない間隔に形成されているスリットを備えた係止スリット部と、で構成したティーバッグクリップ。
【請求項2】
前記挟持取付部を、カップの上縁を弾力的に挟持保持する、対向する二つの挟持片で構成した請求項1のティーバッグクリップ。
【請求項3】
前記係止スリット部のスリットを、前記糸の導入をスムーズに行うべく、上部の開口部にその最上部が最も広く下方に向かって徐々に狭まる案内導入部を構成した請求項1又は2のティーバッグクリップ。
【請求項4】
前記挟持取付部でカップの上縁を挟持保持した状態で、前記係止スリット部のスリットを、その前後の開口が該カップの内外方向を向くように構成した請求項1、2又は3のティーバッグクリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紅茶、緑茶又はハーブティーなどの茶類をティーバッグを用いて抽出する際に、そのティーバッグに結合している吊り下げ用の糸及びその外端のタグ(摘まみ片)が、注ぎ込まれる湯によってカップ内に引き込まれるのを防止するために使用するティーバッグクリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
紅茶、緑茶又はハーブティーは、それらの茶葉を適当なサイズの通液性の袋体に封入し、その外面の一部につり下げ用の糸を結合し、その糸の外端に摘まみ片であるタグを結合した形態で提供される場合がある。これらは、商品としては、通常包装用の袋に封入されて提供される。なお、前記通液性の袋体をティーバッグと称している。
【0003】
このようなティーバッグを用いた茶類の抽出は、湯を注いだ後にカップ中にティーバッグを入れ、糸の上端のタグを摘まんで上下に動かし、ティーバッグを湯中で揺らすようなやり方で行われる場合もあるが、多くの場合は、カップ中にティーバッグを入れ、タグをカップの縁から外部に垂らした上で、カップ中に湯を注ぐというようなやり方で行われている。
【0004】
そしてティーバッグをこのように用いた場合は、注がれた湯によってティーバッグに種々な動きが生じ、その動きにともなって、該ティーバッグに結合している糸及びその外端のタグがカップ中に引き込まれるようなことがしばしば生じている。こうして外端のタグ及び吊り糸の外部に出ていた部分が湯中に沈んで、飲用である茶類が非衛生的な状態となるという問題を生じている。
【0005】
特許文献1~3は、以上のような問題を解消すべく、ティーバッグに改良を加えた物の提案例であり、特許文献4は関連はするが他の目的の例であり、さらに特許文献5は、ティーバッグそのものの改良例及びティーバッグの使用時にそのタグ等がカップ中に引き込まれるのを防止する係止具の提案例である。
【0006】
特許文献1は、バッグ本体3と、これに内端が結合する糸5と、該糸5の外端に結合するタグ7とからなる抽出バッグであり、タグ7の側部には、バッグ本体3から分離する際に凹部13が生じることになっている。そこで、この抽出バッグを用いて、茶類の抽出をする際には、同文献中の図3に示されているように、バッグ本体3をカップ中に入れ、タグ7の凹部13を該カップの上縁に嵌合させた上で、湯を注ぐと、バッグ本体3に若干強い動きが生じてもタグ7がカップ中に引き込まれる虞がない、とされている。
【0007】
以上のように、特許文献1の抽出バッグは、タグ7の側部に生じる凹部13でカップCの上縁に嵌合係止しようとするものであるが、カップCの形状態様は実際には様々であり、タグ7の凹部13をあらゆるカップCに対応するものにするのは極めて困難である。詳しくは該凹部13の形状をあらゆる場合に対応するものにするのは困難であるが、さらにタグ7は小さな物であるため、凹部13をサイズ的に対応するものにするのも困難である。そのため、対応できない場合が多くなり、結果として、カップC中にお湯を注いだ際に、バッグ本体3にかかる力により糸5が引かれ、タグ7はカップCの上縁から外れカップ中に落下してしまうという、目的にそぐわない結果が生じてしまうと思われる。また抽出バッグ類には、この文献の技術を採用しないものも当然に存在すると思われるが、そういうものについては、考慮外となっている。
【0008】
特許文献2は、バッグ本体1と、タッグ糸2と、カップ懸架用の切れ込み7を有するタッグ紙3とからなる嗜好性飲料抽出用バッグである。そこで、この嗜好性飲料抽出用バッグを用いて、茶類の抽出をする際には、同文献中の図5に示されているように、バッグ本体1をカップ中に入れ、タッグ紙3の本体側と切れ込み7で形成された舌片とで該カップの上縁を挟持させた上で湯を注ぐと、バッグ本体1に若干強い動きが生じてもタッグ紙3がカップ中に引き込まれるような虞がない、とされている。
【0009】
特許文献2の嗜好性飲料抽出用バッグは、以上の通りであるが、タッグ紙3は小さな物であるため、その本体側と切れ込み7で形成された舌片とによる隙間をカップの上縁を挟持できるだけのサイズに構成するのは容易ではないと思われる。そのためタッグ紙3をカップの上縁に係止できるようにするのは、簡単なことではないと思われる。また嗜好性飲料抽出用バッグ類には、言うまでもなく、この文献の技術を採用しないものもに存在し、そういうものについては、考慮外となっている。
【0010】
特許文献3は、ティーバッグ40と、これに一端を結合した紐30と、該紐30の他端に結合したタグ20とからなる紙タグ付きティーバッグであり、該タグ20は、その一部に粘着部211を備えたものである。そこで、この紙付きティーバッグを用いて、茶類の抽出をする際には、同文献中の図3及び図4に示されているように、ティーバッグ40をカップ10中に入れ、タグ20を、その粘着部211を利用して該カップ10の外面の一部に粘着接合した上で湯を注ぐと、ティーバッグ40に若干強い力が加わってこれが動こうとしてもタグ20がカップ中に引き込まれるような虞がない、とされている。またカップ10の外面のいずれの部位にタグ20を接合固定するかにより、カップ10中に入れたティーバッグ40の高さを、たとえば、中間位置に浮かせたり、底部まで沈めたり、自由に設定することができるともされている。
【0011】
特許文献3の嗜好性飲料抽出用バッグは、以上の通りであり、述べられている効果を得ることはできると思われるが、一回限りの使用のためにタグ20に粘着部を構成するのはコスト的に問題があると思われる。また、特許文献1に関して述べたと同様に、抽出バッグ類には、この文献の技術を採用しないものも当然に存在し、そういうものについては、本件でも考慮外となっている。
【0012】
特許文献4は、特許文献1~3とは異なり、ティーバッグを再使用するために容器から引き上げておくときに、ティーバッグの濾袋の滴で周囲を汚すことを防止するために使用する蓋付き容器であり、具体的には、容器本体と、当該容器本体の上部に被せる蓋体であって、その周縁部から内方に向けて貫通する挿通溝及びその内端に接続するこれと直交する屈曲溝を形成した蓋体とで構成した蓋付き容器である。
【0013】
この蓋付き容器は、その容器内にティーバッグ10の濾袋12を入れ、蓋体2を該容器本体1に被せる際に、ティーバッグ10の吊り下げ用の糸11を前記挿通溝4に通しておけば、前記タッグ14が該挿通溝4の両側に係止して、該タッグ14等が容器本体1中に落下してしまう恐れはない。しかしこの後に湯を容器本体1中に注ぐことはできない。湯は、蓋体2で容器本体1を閉じる前に注いでおくべきものである。湯を注いだ際にタッグ14等が湯中に落下するのを防止するためには用いることができない。前記のように本来目的が異なるものである。
【0014】
特許文献5は、特許文献1~3と同様のティーバッグと、茶類の抽出のためにティーバッグをカップ中に入れる際にその吊り下げ用の糸の上部側及びタグをカップ外面側に係止するのに使用する係止具とをその内容とする。
【0015】
前者は、濾袋6と、これに一端を結合した吊り下げ用の糸8と、該糸8の他端に結合したタグ7とからなり、そのタグ7に、粘着テープ部22と、これを剥離可能に被覆する剥離紙23とで構成した両面テープ21を接合固定したティーバッグである。
【0016】
また後者は二つあり、その一は、飲用の容器へ取り付けるための粘着部を有する取付部と、該取付部に設けたティーバッグの糸又はタグを係止するための係止部とを備えた係止具であり、その二は、飲用の容器の周壁上部を弾性的にくわえ込み係止する周壁支持部材を有する取付部と、該取付部に設けたティーバッグの糸又はタグを係止するための係止部とを備えた係止具である。
【0017】
前記その一の係止具の取付部11は、具体的には、この特許文献5中の図1図6に示されているように、飲用の容器の外周に取り付けうる部分円環状の部材に構成され、その内面に粘着部10を配したものであり、また係止部12は、同図に示されているように、該取付部11の外面側に横向きに配された部材で、これと取付部11の外面との間にティーバッグ5の糸8を通し、タグ7を該係止部12に引っかけるか、該係止部12に糸8を巻き付けて係止するように使用すべく構成したものである。取付部11は長く構成し、複数の係止部12をその外面に配する場合もある。
【0018】
前記その二の係止具の取付部11は、同文献中の図7及び図8に示されているように、容器1の開口端部19をくわえ込むことを可能とすべく、側面視で逆U字形に構成した端部支持部材25に構成したものであり、また係止部12は、外方に延ばした上でその外端から垂下させた構成のものである。
【0019】
特許文献5のティーバッグ及びティーバッグの係止具は、それぞれ以上のとおりのものであり、まずティーバッグについて検討する。
【0020】
このティーバッグを用いて、茶類の抽出をする際には、同文献中の図10及び図11に示されているように、ティーバッグ5を容器1中に入れ、タグ7を、その粘着テープ部22を利用して該容器1の外面の一部に粘着接合した上で湯を注ぐものである。そうすると、ティーバッグ5に注がれた湯による力が加わって該ティーバッグが動こうとすることになるが、タグ7は粘着テープ部22により容器1の前記外面の一部に仮固定状態になっており、その動きは阻止される。そのため該タグ7及び吊り下げ用の糸8の外部に出ていた部分が容器1中に引き込まれるような問題が生じないのはその通りであると思われる。
【0021】
しかし、このような一度だけの使用のために粘着テープ部22と剥離紙23とからなる両面テープ21を採用するのは、コスト的に不適当であると思われる。加えてタグ7の容器1の外面への仮固定のために、剥離紙を剥離する動作及び粘着テープ部22を容器1の外面に押し付け、これを粘着仮固定する動作の少なくとも二つの動作を必要とするのは不適当である。加えて粘着テープ部22を容器1の外面に押し付ける動作は、容器1を一方の手で掴んだ上で、他方の手で該粘着テープ部22を掴んで行う必要があると思われ、動作が単純でなくなり、一層不都合である。
【0022】
特許文献5のその一の係止具は、前記の構成であり、かつ前記のような用途のものであるが、長期にわたっての使用は困難である。この係止具は、粘着部10で飲用の容器1の外面に取付部11を粘着仮固定するものであるが、粘着部10は、たとえ、繰り返し使用が可能なものであったとしても、このような用途では、該粘着部10の表面に容易に汚れが付き、十分な粘着力を保持しがたい問題があるからである。
【0023】
また係止部12は、前記のように、前記取付部11の外面側に横向きに配された部材であり、これへのタグ5及び糸8の上部の係止は、単純な一動作で行いがたい問題もある。
【0024】
該係止部12は、その基部付近は、取付部11の外面との間に若干の隙間があるが、先端側は殆ど取付部11の外面に接触している状態であり、タグ5をこれに係止させるためには、糸8をその隙間を通過させて基部付近側に移動させなければならない。このようにするためには係止部12の弾力を利用して外側に曲げ、隙間が空いた先端側と取付部11の外面との間を通じて基部側に移動させることになる。そしてこれを行うためには、係止部12の先端側を外側に曲げるという動作と、前記糸8のタグ5の直下付近を、以上のようにしてできた隙間を通じて基部側の隙間に移動させるという二つの動作が必要となる。しかも係止部12の先端側を外方に曲げる動作は、取付部11を貼り付けた容器1を掴んだ状態でないと行いがたい可能性もある。操作が容易であるとは言いがたい。
【0025】
このように糸8のタグ5の直下付近を係止部12の基部付近の隙間に入れた場合は、その隙間が十分狭ければ、タグ5は該係止部12の隙間を構成する部位付近上部に係止することになるが、隙間が広いと、ここを通過して落下する虞があるので、この特許文献5の明細書中に記述されているように、この係止部12に糸8を巻き付ける必要もあり、さらに動作が増えて厄介なことになる。
【0026】
特許文献5のその二の係止具は、前記の構成であり、かつ前記のような用途のものであるが、これも係止部12の構成に問題がある。
【0027】
この係止具の係止部12は、側面視で逆U字形の取付部11の内側下端から横方向に延長した上でその先端から若干垂下させた構成のものであり、タグ5のこれへの係止は、糸8のタグ5の直下の部分を巻き付けて行うしかない。一回半程度は巻き付けないと外れてしまう虞があるので、単純な一動作でタグ5の係止を行うことができない。しかもこの係止具を取付部11で容器1の開口部上端にくわえ込み取り付けを行った後では、容器1内の狭い空間で糸8の巻き付け操作を行うこととなり、その操作は容易とは言えなくなる。従ってこの係止具は、係止部12に糸8を巻き付け、タグ5を係止部12に係止した上で、ティーバッグを容器1の底部に入れながら、取付部11で該容器1の開口部上端にくわえ込み取付を行うというような用法を採用せざるを得ない、と思われる。用法が使いやすいとは言えない用法に限定されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開2017-7720号公報
【特許文献2】特開平11-76065号公報
【特許文献3】登録実用新案第3208759号公報
【特許文献4】登録実用新案第3038293号公報
【特許文献5】特開2006-230646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明は、紅茶、緑茶又はハーブティーなどの茶類をティーバッグを用いて抽出する際に、そのティーバッグに結合している吊り下げ用の糸及びその外端のタグ(摘まみ片)が、注ぎ込まれる湯によってカップ内に引き込まれるのを防止するために使用するティーバッグクリップであって、そのカップへのセット動作、及び前記タグ及び糸のこれへのセット動作のそれぞれを、いずれも単純な一動作で行うことが可能なティーバッグクリップを提供すること解決の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明の1は、カップの上縁を弾力的に挟持することでこれに取り付けることができる挟持取付部と、該挟持取付部の上部に形成した前後及び上方に開口するスリットを備えた係止スリット部であって、少なくとも下部がティーバッグの吊り下げ用の糸をその間に挿入した場合にタグの通過を許さない間隔に形成されているスリットを備えた係止スリット部と、で構成したティーバッグクリップである。
【0031】
本発明の2は、本発明の1のティーバッグクリップにおいて、前記挟持取付部を、カップの上縁を弾力的に挟持保持する、対向する二つの挟持片で構成したものである。
【0032】
本発明の3は、本発明の1又は2のティーバッグクリップにおいて、前記係止スリット部のスリットを、前記糸の導入をスムーズに行うべく、上部の開口部にその最上部が最も広く下方に向かって徐々に狭まる案内導入部を構成したものとしたものである。
【0033】
本発明の4は、本発明の1、2又は3のティーバッグクリップにおいて、前記挟持取付部でカップの上縁を挟持保持した状態で、前記係止スリット部のスリットを、その前後の開口が該カップの内外方向を向くように構成したものである。
【発明の効果】
【0034】
本発明の1のティーバッグクリップによれば、茶類を抽出するのにティーバッグを用いる場合は、このティーバッグクリップをカップにセットしてそのカップにティーバッグを入れ、またはカップにティーバッグを入れた後にこのティーバッグクリップを該カップにセットし、次いで該ティーバッグを吊り下げる糸をその外端のタグの直下又は直前付近で前記係止スリット部のスリットに挿入係止させておけば、その後にカップ中に湯を注いで該ティーバッグにいずれかの方向の力が加わっても、前記タグは前記係止スリットのスリットに係止しているため、該タグ及びこれに結合している糸のその近傍の部分がカップ中に引き込まれるようなことにはならない。それ故、衛生的な問題が生じる虞はない。
【0035】
またこのティーバッグクリップは、そのカップへのセットは、前記挟持取付部の左右(横)方向の開口部の開口方向を該カップの上縁の向きに合わせ、かつ下方に開いた開口部を該カップの上縁に上下一致させた上で下降させれば、その単純な一動作により前記挟持取付部で該カップの上縁を挟持保持することでできることになる。従来例のような剥離紙を剥がした上で、カップの外側面に貼り付けるような二段階の操作は不要である。剥がした剥離紙をどこかに保管しておくような操作も当然不要である。
【0036】
さらにティーバッグの吊り下げ用の糸の係止スリット部のスリットへの係止も単にそのタグの直下(直前)の部位を、その向きを該スリットの前後方向の開口部の向きに合わせた状態で上部の開口部から挿入するという単純な一動作で行うことができる。従来技術のように、糸をいずれかの部位に巻き付けるとかというような厄介な操作は不要である。
【0037】
以上のように、ティーバッグクリップのカップの上縁への取り付け及びティーバッグクリップの係止スリット部への糸の係止のそれぞれを、いずれも単純な一動作で行うことができるわけである。
【0038】
本発明の2のティーバッグクリップによれば、カップへのこのティーバッグクリップの取り付けが、該カップの上縁を、前記挟持取付部の対向する二つの挟持片で弾力的に挟持保持するという、単純な一動作で確実に行うことができるものである。少し詳しく述べれば、前記挟持取付部の二つの挟持片の間によって形成される左右(横)方向の開口の向きをカップの対応する位置の上縁の向きに合わせ、かつ下向きの開口を該カップの上縁に上下一致させた上で、該ティーバッグクリップを下降させるという、単純な一動作で、該挟持取付部を該カップの上縁に取り付けることができる。
【0039】
本発明の3のティーバッグクリップによれば、前記係止スリット部のスリットの上方に開く開口部に最上部が最も広く下方に向かって徐々に狭まってゆく案内導入部が構成してあるので、ティーバッグの吊り下げ用の糸を該スリットに挿入係止させる際には、該糸の長さ方向を、該スリットの前後又は表裏に開く開口部の開口方向に一致させて上方に開く開口部から下降させれば、上方に開く開口部と若干ずれていたとしても、中央方向に案内され、その挿入は、以上のような単純な一動作で、容易・確実かつスピーディに行うことができる。
【0040】
本発明の4のティーバッグクリップによれば、これをカップにセットし、ティーバッグをそのカップ中に入れた上で、その係止スリット部のスリットにそのティーバッグの吊り下げ用の糸を係止する場合に、該スリットへの糸の係止方向(該スリットの前後又は表裏の開口の開口方向)が、ティーバッグクリップをセットした位置の該カップの上縁と直交する向きになっているため、そのまま該糸をカップの内側(中央)方向に向けた状態で係止できることとなる。すなわち、カップ中に入れたティーバッグの位置する方向に向けた状態に該糸を該スリットに係止することができる。それ故、糸の係止操作が無理なくスムーズに行えることになる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】 (a)は一実施例のティーバッグクリップの正面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)の平面図。
図2】 一実施例のティーバッグクリップをカップの上縁に取り付ける直前の状態を示す説明図(カップは断面図)。
図3】 一実施例のティーバッグクリップをカップの上縁に取り付けた状態を示す説明図(カップは断面図)。
図4】 カップの上縁に取り付けた一実施例のティーバッグクリップの係止スリット部のスリットにカップ中に入れたティーバッグの吊り下げ用の糸を係止させた状態を示す説明図(カップは断面図)。
図5】 カップにセットした一実施例のティーバッグクリップの係止スリット部のスリットにティーバッグの吊り下げ用の糸を係止させた上で、そのカップ中に湯を注いでいる状態を示す説明図(カップは断面図)。
図6】 一実施例のティーバッグクリップの係止スリット部のスリットにティーバッグの吊り下げ用の糸を係止させた図であり、(a)は該糸の末端のタグが直立状態で、該タグの下部側前縁が該スリットの後側開口の下部縁以下に係止状態になっている状態を示す側面図、(b)は(a)の状態の平面図、(c)は該糸の末端のタグが水平状態で、該タグの両側前縁が該スリットの後側開口の両側縁及びその外側の部位に係止状態になっている状態を示す側面図、(d)は、(c)の状態の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、発明を実施するための形態を実施例に基づいて添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0043】
この実施例のティーバッグクリップは、図1(a)、(b)、(c)~図5に示すように、基本的に、コーヒー類や茶類用のカップcの上縁c1を挟持することでこれに取り付けるための挟持取付部1と、該挟持取付部1の上部に基部3を介してこれと一体に構成した係止スリット部2とで構成したものである。
【0044】
前記挟持取付部1及び前記係止スリット部2は、この実施例では、その間の基部3を含めて弾力性を有するプラスチック素材で、前記したように、一体に構成したものである。
【0045】
前記挟持取付部1は、図1(a)、(b)、(c)~図5に示すように、カップcの上縁c1を弾力的に挟持保持する対向する二つの挟持片1a、1bで構成する。該挟持片1a、1bは、前記し、かつ同図に示すように、それぞれ上下方向中間部の前記基部3の下端から垂下し、両挟持片1a、1bの間には挟持用の隙間を空けたものである。この挟持用の隙間は、カップcの上縁c1を挟持していない状態では、挟持対象となるカップc類のうちの最も厚さの薄い上縁c1の厚さより狭い間隔寸法になるように構成してある。この挟持用の隙間は、構成素材であるプラスチック素材の弾力により、なにものかによって阻害されない限り、以上のような狭い隙間寸法になり、カップcの上縁c1を挟持する場合は、前記弾力により、その厚さまで広がるようになっている。支障なく広がりうる隙間寸法は、挟持対象となるカップc類の最も厚い上縁c1の厚さに対応するものに設定しておくのは言うまでもない。
【0046】
なお、前記二つの挟持片1a、1bの下部内側には、特に図1(b)、図2図5及び図6(a)、(c)に示すように、カップcの上縁c1の導入用の導入案内部1a1、1b1を形成しておくものとする。この導入案内部1a1、1b1は、同図に示すように、両者の隙間を下方に向かって拡大するように形成した曲面で構成したものである。それ故に、この実施例のティーバッグクリップをカップcの上縁c1に、該上縁c1を以上の挟持取付部1で挟持することで、取り付ける場合には、単にこの挟持取付部1を該上縁c1に向き及び上下の位置関係を対応させて下降させれば、前記二つの挟持片1a、1bのいずれかの側に位置関係がズレていたり、上縁c1の厚みがやや厚いものであったりしても、該上縁c1の上部のいずれかの部位が前記導入案内部1a1、1b1のいずれか又は双方に当接して、該挟持取付部1を対応する位置関係になるように移動させ、又は移動させずに、該二つの挟持片1a、1bをその弾力により適切に開口動作させ、同時に適切に挟持動作させることになる。
【0047】
前記係止スリット部2は、前記し、図1(a)、(b)、(c)~図5に示すように、前記挟持取付部1の上部に基部3を介してこれと一体に構成したものであり、該係止スリット部2のスリット2sは、前後及び上方に開口し、ティーバッグbの吊り下げ用の糸thをその間に挿入した場合にタグtaの通過を許さない間隔に形成してあるものである。
【0048】
この場合のスリット2sの前後の開口とは、図1(a)で言えば、たとえば、手前側が前であり、背後側が後であり、図1(b)で言えば、左側が前であり、右側が後であり、それらの方向に開口しているということである。前記挟持取付部1は、左右方向と下方向とに開口し、カップcの上縁c1に挟持状態となっている場合には、左右方向が該上縁c1の長さ方向と一致する向きになっている。前記係止スリット部2のスリット2sの前後方向の開口は、該挟持取付部1の左右方向の開口と交差する向きであり、それ故に、この実施例のティーバッグクリップのカップcへの取り付け状態で、該係止スリット部2のスリット2sの前後方向は、上縁c1への取付位置におけるカップcの内外方向と一致することになる。
【0049】
該係止スリット部2のスリット2sの幅は、図1(a)に示すように、この実施例では、基本的に、上部から下部まで一定であり、最上部のみ拡幅させてある。この拡幅させてある部位には、同図に示すように、最上部が最も広く下方に向かって徐々に狭まる案内導入部2aが形成してあり、それ故、先に述べた状態になっている。
【0050】
この案内導入部2aは、同図に示すように、スリット2sの隙間を上方に向かって拡幅するように形成した両側の曲面で構成したものである。これによって、ティーバッグbの吊り下げ用の糸thを該係止スリット部2のスリット2sに係止する場合には、該糸thと該係止スリット部2のスリット2sとが若干ズレていても、該糸thを下降させる際に、該糸thが該係止スリット部2の最上部の案内導入部2aに接触し、スリット2s中央部側に案内されるので、容易に適切な状態に係止されることになる。
【0051】
この実施例では、以上のように、係止スリット部2のスリット2sは、上部から下部まで基本的に一定幅であるそれに構成したが、上部が広く下部が狭いV字形に形成しても差し支えない。要するに、少なくとも下部がティーバッグbの吊り下げ用の糸thをその間に挿入した場合にタグtaの通過を許さない間隔に形成されているという条件を満足すれば、どのような形状でも採用可能である。
【0052】
またこの実施例では、挟持取付部1と係止スリット部2とを弾性のプラスチック素材で一体に形成したが、該挟持取付部1と該係止スリット部2とを別々に構成し、それらを結合して構成してもよい。たとえば、上部の係止スリット部2は、プラスチック素材でこの実施例と同様に構成し、その下部に金属製のクリップとして構成した挟持取付部1を結合する等である。
【0053】
さらにティーバッグクリップ全体をウサギ等のキャラクタで構成し、たとえば、上部の二つの耳でその間をスリット2sとする係止スリット部を構成し、下部の脚付近を挟持取付部に構成するというような態様の構成を採用することもできる。
【0054】
この実施例のティーバッグクリップは、以上に述べたように構成したものであり、それ故に、十分に所期の目的を達成することができる。
【0055】
具体的に述べると、茶類を抽出するのにティーバッグbを用いる場合は、この実施例のティーバッグクリップによれば、まずこれをカップcにセットしてそのカップcにティーバッグbを入れる。カップcへのセットは、図2に示すように、前記挟持取付部1の二つの挟持片1a、1bを該カップcの上縁c1の上方から下降させれば、図3に示すように、該挟持片1a、1bで該上縁c1を挟持する状態となり、弾力によりその挟持状態がしっかりと保持され、セットが完了することになる。前記挟持取付部1の単純な一動作でカップcの上縁c1への取り付けが完了する訳である。
【0056】
こうしてティーバッグクリップをカップcの上縁c1にセットした後は、図4に示すように、該カップc中に目的(たとえば、紅茶)のティーバッグbを入れ、次いで該ティーバッグbを吊り下げる糸thをその外端のタグtaの直下又は直前付近で前記係止スリット部2のスリット2sに挿入係止させる。これは単に該糸thの該当する部位を該係止スリット部2のスリット2sにその上部から下降させるという一動作で行うことができる。
【0057】
このとき該糸thを該係止スリット部2のスリット2sと若干ズレた位置から下降させてしまったとしても、該糸thは、前記案内導入部2aに接触し、スリット2sの中央部側に案内されることになるので、容易に適切な状態に係止されることになる。
【0058】
その後にカップc中には、図5に示すように、湯wを注ぐことになるが、これによって、前記ティーバッグbに、注がれる湯wによるいずれかの方向の力が加わっても、前記タグtaは前記係止スリット部2のスリット2sに係止しているため、該タグta及びこれに結合している糸thのその近傍の部分がカップc中に引き込まれるようなことにはならない。それ故、衛生的な問題が生じる虞はない。
【0059】
なお、前記糸thが前記係止スリット部2bのスリット2sに係止した状態で、前記タグtaは、該スリット2sの背後側に様々な態様で係止していることになる。図6(a)、(b)は、タグtaが直立状態で該スリット2sの背後側に係止している状態を示しており、この場合は、該タグtaは、その下半分の前縁が該スリット2sの下縁以下の背面の部位に係止し、湯wを注がれた場合等にティーバッグbが動いても、該糸th及びタグtaがカップc内に引き込まれる虞はない。
【0060】
また図6(c)、(d)は、タグtaが水平状態で該スリット2sの背後側に係止している状態を示しており、この場合は、該タグtaは、糸thを中心にその両側の前縁が該スリット2sの両側背面の部位に係止し、湯wを注がれた場合等にティーバッグbが動いても、該糸th及びタグtaがカップc内に引き込まれる虞はない。
【0061】
タグtaは、以上の二つ以外の種々な角度でスリット2sの背後側に係止することがあるが、いずれにしても、その前縁が該スリット2sの背後側の面のいずれかの部位に係止することになるのは、以上の説明から理解されると思われる。それ以外にタグtaの両面のいずれかがスリット2sの背面側に接するような場合もあり得るが、糸thが引かれれば、先に説明した係止の仕方になると考えられる。いずれにしても確実な係止が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のティーバッグクリップは、茶類に関する種々の用品の製造業の分野等で利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 挟持取付部
1a 挟持片
1b 挟持片
1a1 導入案内部
1b1 導入案内部
2 係止スリット部
2a 案内導入部
2s スリット
3 基部
b ティーバッグ
c カップ
c1 上縁
ta タグ
th 糸
w 湯
図1
図2
図3
図4
図5
図6