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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046451
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】拡大可能な口腔カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20220315BHJP
   A61M 29/00 20060101ALI20220315BHJP
   A61B 17/22 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
A61M25/00 540
A61M29/00
A61B17/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021146725
(22)【出願日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】17/017,276
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515248931
【氏名又は名称】ニューラヴィ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】カール・キーティング
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・ケリー
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160EE21
4C160MM36
4C267AA03
4C267BB10
4C267BB12
4C267BB15
4C267BB38
4C267BB63
4C267CC09
4C267EE03
4C267GG32
4C267GG34
(57)【要約】
【課題】カテーテルシステムを提供すること。
【解決手段】展開された状態に作動可能であり、カテーテル本体と、カテーテルの管腔内に少なくとも部分的に位置付けられた拡張器と、を含む、カテーテルシステム。拡張器の遠位端は、カテーテル本体の遠位先端部に解放可能に接続され得る。拡張器は、展開された状態において、遠位先端部を拡大及び反転させ、漏斗形状を形成するように後退可能であってもよい。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開された状態に作動可能なカテーテルシステムであって、
管腔を備えるカテーテル本体と、
前記管腔内に少なくとも部分的に位置付けられた拡張器と、を備え、前記拡張器の遠位端が、前記カテーテル本体の遠位先端部に解放可能に接続され、前記拡張器が、前記展開された状態において、前記遠位先端部を拡大及び反転させ、漏斗形状を形成するように後退可能である、カテーテルシステム。
【請求項2】
前記遠位先端部が、
近位セグメントと、
前記近位セグメントから延在し、実質的に可撓性である遠位セグメントと、を備え、前記遠位セグメントの近位端が、前記近位セグメントから延在し、前記遠位セグメントの遠位端に隣接し、かつ/又は前記遠位端に接続されたプルリングを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
潰れた状態の前記遠位セグメントの中点が、前記カテーテル本体の遠位の前記展開された状態の前記漏斗形状の最遠位の非侵襲性端に遷移する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記遠位セグメントが、潰れた状態では、実質的に管状であり、前記展開された状態では、前記漏斗形状を含み、エアクッションが前記漏斗形状によって前記遠位端と前記プルリングとの間に形成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記遠位セグメントが、近位編組部分と遠位渦巻き状部分とに分割されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記拡張器が、
近位セグメントと、
前記近位セグメントよりも大きい直径を備える、前記近位セグメントより遠位の遠位セグメントと、を備え、前記遠位セグメントが、前記遠位セグメントから半径方向外向きに延在し、前記プルリングと接触して、前記遠位セグメントの前記近位端と整列するか、又は前記近位端に隣接するまで、前記プルリングを近位に並進させるように構成されている接触要素を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記接触要素が、前記カテーテル本体の前記遠位先端部の前記遠位端との締まり嵌めを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記拡張器の前記遠位セグメントが、前記接触要素において最大直径を備え、前記接触要素から、前記遠位セグメントの前記遠位端78まで減少する、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記拡張器の前記遠位セグメントが、前記接触要素において最大直径を備え、前記接触要素から、前記近位セグメントと前記遠位セグメントとの間の接合部73までテーパ状である、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記拡張器の前記近位セグメントが、高度に可撓性であるか、又は実質的に、前記拡張器の前記遠位セグメントよりも可撓性である、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記より剛性の遠位セグメントの遠位に延在する実質的に可撓性のセグメントを更に備え、前記実質的に可撓性のセグメントが、短い鼻部である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記拡張器の前記近位セグメントが、伸長を打ち消すための繊維強化システムを備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項13】
前記遠位先端部の前記近位端及び前記プルリングが、前記展開された状態で一緒にロックされる、請求項2に記載のシステム。
【請求項14】
前記遠位先端部の前記近位端及び前記プルリングが各々、一緒にスナップロックされるように構成された嵌合面を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項15】
前記遠位先端部が、反転して前記漏斗形状を形成する前に、最初に実質的に円錐の形状に拡大するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項16】
前記遠位先端部が、近位部分、中間部分、及び遠位部分を含む、編組部を備え、前記編組部は、螺旋状の構成で近位部分から遠位部分まで延在するフィラメントを含み、前記遠位部分が、前記近位部分を半径方向外向きに押すのに十分な半径方向の力を含む一方で、非侵襲的な様式で様々な血管サイズに適応するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年9月11日出願の米国特許仮出願第62/898,864号の利益を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、一般的には、血管内の医療処置中に血管から急性閉塞を除去するための装置及び方法に関する。より具体的には、本開示は、血塊の吸引に使用される拡大可能なカテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
血塊回収カテーテル及び装置は、多くの場合、患者が急性虚血性脳卒中(AIS)、心筋梗塞(MI)、及び肺塞栓症(PE)などの状態に罹患している場合に、血管内介入のための機械的血栓除去に使用される。標的血管が挿入部位に対して小径で、距離があり、ひどく入り組んでいる際、神経血管床などの遠隔領域にアクセスすることは、従来の技術では困難である。
【0004】
血塊自体は、血管の形状を採る単純な管状構造から、一度に多数の血管にまたがり得る長いストランド状の配置にまで及ぶ、多数の複雑な形態及び一貫性を採ることにより、処置を複雑化し得る。血塊が古いか新しいか(age of a clot)もまた、その伸展性に影響を及ぼし得、より古い血塊が、新鮮な血塊よりも圧縮性が低い傾向にある。フィブリンに富む血塊はまた、効果的に把持されるのではなく、機械的血栓除去装置の外側表面に沿って、血塊を回転させ得る粘着性の性質を有することにおける課題も提示する。軟質の血塊領域と堅固な血塊領域との組み合わせはまた、遠位塞栓につながる断片化を伴って、吸引中に分離し得、これは、現在利用可能な装置で到達することができない血管内で生じ得る。加えて、脆弱血管を損傷することなく、血塊を血管壁に接着する結合部を破壊することは、著しく困難な課題である。
【0005】
従来の血塊回収カテーテル、特に神経血管内で動作するためのカテーテルは、多数の欠点に悩まされ得る。最初に、カテーテル自体の直径は、患者に著しい不快感を引き起こすのを避けるのに十分に小さくなければならない。カテーテルはまた、経路に沿って滑らかな前進を提供するために軸方向の剛性も有しながら、脈管構造をナビゲートし、かつ高歪みに耐えるために十分に可撓性でなければならない。標的部位に達すると、本体から回収される典型的な物体は、カテーテル先端部よりも実質的により大きいサイズであり得、先端部に物体を回収することがより困難になる。例えば、フィブリンに富む血塊は、多くの場合、従来の固定口カテーテルの先端部内に詰まってしまう可能性があるため、抽出することが困難であり得る。この詰まりは、血塊のより軟質の部分を堅固な領域から剪断させて、遠位の塞栓をもたらす場合がある。
【0006】
小径かつ固定された先端部サイズはまた、処置中に血液及び血栓材料を除去するのに必要な吸引を誘導する際に、より効率性に劣り得る。吸引は、機械的血栓除去装置又は他の方法を使用することによって生じるいかなる断片化も、少なくとも静止して保持され得、その結果、断片が遠位血管を移動及び閉塞することができないように、十分に強力でなければならない。しかしながら、従来の固定口カテーテルで吸引するとき、吸引流のかなりの部分は、血塊が存在しないカテーテルの先端部の近位の血管流体から来ることになる。これは、吸引効率を著しく低下させ、血栓除去の成功率を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
開示される設計は、上記の欠陥に対処する改善された吸引回収カテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の設計の目的は、上述の必要性を満たすシステム、装置、及び方法を提供することである。設計は、血塊の流れの制限、吸引効率、及び容易な回収のための、拡大可能な血塊に面する口部を有する一方、薄い輪郭で、標準のシース又は外側カテーテルでの送達用に十分な可撓性がある潰れた状態も有する、拡大可能なカテーテルを特徴とする。カテーテルは、既存の設計よりも強化された送達性が組み込まれ、閉塞性血塊に到達するために脈管構造の蛇行した面積をナビゲートすることが可能な、調整された可変剛性の本体セクションを有することもできる。
【0009】
いくつかの実施例では、展開された状態に作動可能なカテーテルシステムが開示される。本システムは、管腔を有するカテーテル本体を含み得る。拡張器は、少なくとも部分的に管腔内に位置付けられてもよく、拡張器の遠位端は、カテーテル本体の遠位先端部に接続されている。拡張器は、展開された状態において、遠位先端部を拡大及び反転させ、漏斗形状を形成するように後退可能であってもよい。
【0010】
いくつかの実施例では、遠位先端部は、近位セグメントと、近位セグメントから延在し、実質的に可撓性である遠位セグメントと、を含み得る。遠位セグメントの近位端は、近位セグメントから延在することができ、遠位セグメントの遠位端に隣接し、かつ/又は遠位端に接続されたプルリングを含み得る。
【0011】
いくつかの実施例では、潰れた状態の遠位セグメントの中点は、カテーテル本体の遠位の展開された状態の漏斗形状の最遠位の非侵襲性端に遷移する。
【0012】
いくつかの実施例では、潰れた状態の遠位セグメントは、実質的に管状であり得、展開された状態では、漏斗形状を含み得る。エアクッションは、遠位端とプルリングとの間の漏斗形状によって形成され得る。
【0013】
いくつかの実施例では、遠位セグメントは、近位編組部分と遠位渦巻き状部分とに分割され得る。
【0014】
いくつかの実施例では、拡張器は、近位セグメントと、近位セグメントよりも大きい直径を含み得る、近位セグメントより遠位の遠位セグメントと、を含むことができ、遠位セグメントは、拡張器の遠位セグメントから半径方向外向きに延在し、プルリングと接触して、拡張器の遠位セグメントの近位端と整列するか、又は近位端に隣接するまでプルリングを近位に並進させるように構成されている、接触要素を含み得る。
【0015】
いくつかの実施例では、接触要素は、カテーテル本体の遠位先端部の遠位端との締まり嵌めを含み得る。
【0016】
いくつかの実施例では、拡張器の遠位セグメントは、接触要素において最大直径を含むことができ、接触要素から、遠位セグメントの遠位端まで減少する。
【0017】
いくつかの実施例では、拡張器の遠位セグメントは、接触要素において最大直径を含むことができ、接触要素から、拡張器の近位セグメントと遠位セグメントとの間の接合部までテーパ状になる。
【0018】
いくつかの実施例では、拡張器の近位セグメントは、高度に可撓性であるか、又は実質的に、拡張器の遠位セグメントよりもより可撓性である。
【0019】
いくつかの実施例では、より剛性の遠位セグメントの遠位に延在する実質的に可撓性のセグメントを含むことができ、実質的に可撓性のセグメントは、短い鼻部である。
【0020】
いくつかの実施例では、拡張器の近位セグメントは、伸長を打ち消すための繊維強化システムを含み得る。
【0021】
いくつかの実施例では、拡張器は、近位セグメントと、近位セグメントより遠位の遠位セグメントと、を含み得る。拡張器の遠位セグメントは、近位セグメントよりも大きい最大直径を含み得る。拡張器の遠位セグメントは、遠位セグメントから半径方向外向きに延在し、プルリングと接触して、遠位セグメントの近位端と整列するか、又は近位端に隣接するまで、プルリングを近位に並進させるように構成されている、遠位接触要素を含み得る。拡張器の近位接触要素は、遠位接触要素から近位に離間配置され、遠位セグメントから半径方向外向きに延在し、プルリングと接触してプルリングを近位に並進させるように構成されてもよく、近位接触要素は、遠位接触要素よりも小さい直径を含み得る。プルリングは、接触要素の間に接続され得る。
【0022】
いくつかの実施例では、プルリングは、接触要素の間に位置付けられた間隙内に位置付けられ得る。
【0023】
いくつかの実施例では、接触要素は、展開された状態の漏斗形状にあるとき、遠位先端部の遠位端との締まり嵌めを含み得る。
【0024】
いくつかの実施例では、接触要素のうちの少なくとも1つは、展開された状態の漏斗形状に遠位先端部を磁気によって後退させるように動作可能な磁気コネクタを含む。
【0025】
いくつかの実施例では、拡張器の近位セグメント及び/又は遠位セグメントは、実質的に薄くなった壁を含み得る。
【0026】
いくつかの実施例では、近位セグメントは、張力下での伸長を防止するように構成された紐状のフィラメントを含み得る。
【0027】
いくつかの実施例では、遠位先端部の近位セグメントは、遠位セグメントよりも剛性であり得る。
【0028】
いくつかの実施例では、遠位セグメントは、近位セグメントよりも剛性であり得る。
【0029】
いくつかの実施例では、遠位セグメントは、展開前に実質的に管状の形状に留まるための抵抗性を含み得る。
【0030】
いくつかの実施例では、遠位先端部の近位セグメント及び/又は遠位セグメントは、編組構造を含み得る。
【0031】
いくつかの実施例では、遠位先端部の近位セグメント及び/又は遠位セグメントは、記憶合金を含み得る。
【0032】
いくつかの実施例では、遠位先端部の遠位セグメントは、潰れた状態では、実質的に管状であってもよく、展開された状態では、漏斗形状を含み得、エアクッションが漏斗形状によって遠位端とプルリングとの間に形成される。
【0033】
いくつかの実施例では、拡張器は、近位セグメントと、近位セグメントより遠位の遠位セグメントと、を含み得る。遠位セグメントは、遠位セグメントから半径方向外向きに延在し、プルリングと接触して、遠位先端部の遠位セグメントの近位端と整列するか、又は近位端に隣接するまで、プルリングを近位に並進させるように構成されている、遠位接触要素を含み得る。プルリングは、磁気コネクタを含み得る。遠位先端部の近位端は、プルリングを引き寄せ、それによって、遠位先端部を後退させて漏斗形状にするように磁気化されて構成されている。
【0034】
いくつかの実施例では、遠位先端部の近位端及びプルリングは、展開された状態で一緒にロックされ、一緒にロックされた対応する磁石を含むが、これらに限定されない。
【0035】
いくつかの実施例では、遠位先端部の近位端及びプルリングは各々、平面状の嵌合面を含む。
【0036】
いくつかの実施例では、遠位先端部の近位端及びプルリングは各々、隆起部及び/又はインターロック凹部で輪郭付けられた嵌合面を含む。
【0037】
いくつかの実施例では、遠位先端部の近位端及びプルリングは各々、テーパロックの相互作用のためにテーパ状にされた嵌合面を含む。
【0038】
いくつかの実施例では、遠位先端部の近位端及びプルリングは各々、一緒にスナップロックされるように構成された嵌合面を含む。
【0039】
いくつかの実施例では、プルリングは、展開された状態でプルリングとカテーテル本体との間に当接部が形成されるように、カテーテル本体と同様の直径を含む。遠位先端部は、プルリングの内径から遠位に、そしてプルリングの外径の周りに延在して、カテーテル本体の上を近位に延在し得る。
【0040】
いくつかの実施例では、遠位先端部は、近位セグメントと、近位セグメントから延在する遠位セグメントと、を含み得る。遠位先端部の遠位セグメントは、実質的に可撓性であり得、遠位先端部の外側表面上に位置付けられた近位端を含み得る。遠位先端部の遠位セグメントは、それに隣接して、又はそれのすぐ遠位にプルリングを含み得る。遠位先端部は、プルリングとカテーテル本体の遠位面との間で相互作用するように構成され得る。
【0041】
いくつかの実施例では、遠位先端部の遠位セグメントの近位端は、プルリングの外部にあってもよい。
【0042】
いくつかの実施例では、遠位先端部は、カテーテル本体と一体であってもよい。遠位先端部は、近位セグメントと、近位セグメントから延在する遠位セグメントと、を含み得る。遠位セグメントは、実質的に可撓性であってもよく、漏斗形状に構成されたときに、内部のプルリングと実質的に整列する近位端を含み得る。
【0043】
いくつかの実施例では、拡張器は、実質的に管状の近位セグメントと、近位セグメントより遠位の遠位セグメントと、を含み得る。拡張器の遠位セグメントは、近位セグメントよりも大きい直径を含み得る。拡張器の遠位セグメントは、遠位セグメントから半径方向外向きに延在し、プルリングと接触して、遠位先端部の近位セグメントの遠位端と整列するか、又は遠位端に隣接するまで、プルリングを近位に並進させるように構成されている、接触要素を含み得る。
【0044】
いくつかの実施例では、接触要素は、外向きに角度が付けられたラッチであってもよい。
【0045】
いくつかの実施例では、接触要素は、直交する外向きのラッチであってもよい。
【0046】
いくつかの実施例では、接触要素は、遠位セグメントの近位端の遠位にあってもよい。
【0047】
いくつかの実施例では、潰れた状態の遠位先端部の遠位セグメントの中点は、カテーテルの遠位の展開された状態の漏斗形状の最遠位の花弁先端部に遷移する。
【0048】
いくつかの実施例では、潰れた状態の遠位先端部の遠位セグメントの中点は、カテーテルの遠位の展開された状態の漏斗形状の最遠位の花のような花弁先端部に遷移する。
【0049】
いくつかの実施例では、拡張器は、近位セグメントと、近位セグメントより遠位の遠位セグメントと、を含み得る。遠位セグメントは、遠位セグメントから半径方向外向きに延在し、プルリングと接触して、遠位先端部の近位端と整列するか、又は近位端に隣接するまで、プルリングを近位に並進させるように構成されている、遠位接触要素を含み得る。
【0050】
いくつかの実施例では、拡張器は、遠位接触要素から近位にテーパ状になる近位接触要素を含み得る。近位接触要素は、遠位接触要素よりも小さい直径を含み得る。いくつかの実施例では、遠位接触要素は、外向きに延在するリング状の部材であってもよい。いくつかの実施例では、遠位接触要素は、半円形の形状を含み得る。いくつかの実施例では、遠位接触要素は、プルリングに接続され得る。
【0051】
いくつかの実施例では、潰れた状態の遠位セグメントの中点は、カテーテルの遠位の展開された状態の漏斗形状の最遠位の花弁先端部に遷移する。
【0052】
いくつかの実施例では、潰れた状態の遠位セグメントの中点は、カテーテルの遠位の展開された状態の漏斗形状の最遠位の花のような花弁先端部に遷移する。
【0053】
いくつかの実施例では、拡張器は、近位セグメントと、近位セグメントより遠位の遠位セグメントと、を含み得る。遠位セグメントは、近位セグメントよりも大きい最大直径を含むことができ、近位セグメントよりも大きい直径を含むことができる。遠位接触要素は、遠位セグメントから近位セグメントへの遷移を含み、プルリングと接触してプルリングを近位に並進させることにより、プルリングとの締まり嵌めを生じさせて、遠位先端部を漏斗形状に拡大させる力を伝達するように構成され得る。
【0054】
いくつかの実施例では、遠位先端部は、反転して漏斗形状を形成する前に、最初に実質的に円錐の形状に拡大するように構成されている。
【0055】
いくつかの実施例では、拡張器の近位セグメントは、高度に可撓性であり、薄い壁を含む。
【0056】
いくつかの実施例では、拡張器の近位セグメントは、高度に可撓性であり、近位セグメントが張力下で伸展することを防止する長手方向の紐状の繊維を含む。
【0057】
いくつかの実施例では、反転した漏斗形状が形成されたら、拡張器とプルリングとの間の干渉力は、プルリングを近位に移動させることができない。
【0058】
いくつかの実施例では、拡張器先端部は、プルリングを押し分けて進むことができる。
【0059】
いくつかの実施例では、拡張器先端部は、カテーテルを通って簡単に後退する。
【0060】
いくつかの実施例では、拡張器先端部は、近位セグメントと、近位セグメントから延在する遠位セグメントと、を含み得る。遠位セグメントは、実質的に可撓性であってもよく、少なくとも遠位セグメントの近位端で、少なくとも部分的に近位セグメントの周りに位置付けられ得る。遠位先端部は、漏斗形状を形成するときにテーパ部が一緒にロックされるように、近位セグメントの内部テーパ部と一致する外部テーパ部を含むことができるプルリングを含み得る。
【0061】
いくつかの実施例では、編組部は、遠位先端部の中点で円周方向に延在して、丸みを帯びた反転継目を画定するのを助ける。
【0062】
いくつかの実施例では、編組部は、遠位先端部の近位端から遠位端まで延在し、それによって、丸みを帯びた反転継目を提供する。
【0063】
いくつかの実施例では、編組部は、フィラメントが近位部分に戻って延在するように逆戻りして、ループ状の編組パターンを形成するように、近位部分から中間部分まで延在するフィラメントのサブセットを含み、残りのフィラメントは、渦巻き状部分がループ状のフィラメントのサブセットの遠位に形成されるように、近位端から遠位端まで延在する。
【0064】
いくつかの実施例では、編組部は、螺旋状の構成で近位部分から遠位部分まで延在するフィラメントを含む。
【0065】
いくつかの実施例では、編組部は、中間部分に又はその周りに反転ヒンジを含む。
【0066】
いくつかの実施例では、近位部分は、比較的剛性であってもよい。中間部分は比較的可撓性であってもよく、遠位部分は可撓性の螺旋体を含み得る。
【0067】
いくつかの実施例では、遠位先端部は、近位部分、中間部分、及び遠位部分を備える、編組部を含むことができ、遠位部分は、非侵襲的な様式で様々な血管サイズに適応するように構成されている一方で、近位部分を半径方向外向きに押すのに十分な半径方向の力を含む。
【0068】
いくつかの実施例では、血管内で拡大式カテーテルを反転させる方法が開示される。本方法は、カテーテルを標的部位まで前進させることと、拡張器によって、少なくとも部分的にカテーテルの管腔内にカテーテルの遠位先端部を後退させることにより、遠位先端部を漏斗形状に拡大及び反転させることと、を含み得る。
【0069】
いくつかの実施例では、本方法は、漏斗形状により、血管内の流れを制限することを含み得る。
【0070】
いくつかの実施例では、本方法は、拡張器をカテーテルから抜去することと、カテーテルを通して吸引して、血栓を漏斗形状の口部内へと刺激することと、捕捉した血栓と共に、カテーテルを患者から抜去することと、を含み得る。
【0071】
いくつかの実施例では、本方法は、機械的血栓除去装置を用いて閉塞性血栓を捕捉することと、血栓除去装置をカテーテルの漏斗形状内に抜去することと、を含み得る。
【0072】
いくつかの実施例では、拡張器を必要としない場合がある。かかるアプローチでは、潰れた先端部は、血塊にコルク栓をすることができ、吸引力は、遠位端を近位に引っ張って先端部を反転させ、吸引中に反転した漏斗形状を作り出すことができる。
【0073】
本開示の他の態様及び特徴は、以下の詳細な説明を添付の図と併せて考察することで、当業者には明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
本開示の上記及び更なる態様は、添付の図面の以下の説明と併せて更に考察され、様々な図面において、同様の数字は、同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本開示の原理を例示することが重視されている。図は、限定としてではなく単なる例示として、本発明の装置の1つ又は2つ以上の実装形態を描写している。当業者は、ユーザの要望により良く合うように、複数の図面から要素を着想して組み合わせ得ることが期待される。
図1A】本開示の拡張器を有する第1の構成の拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図1B図1Aの拡張器を有する別の構成の拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図1C図1Aの拡張器を有する別の構成の拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図2A】本開示の態様による、標的の場所に展開された、図1A図1Cの拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図2B】本開示の態様による、標的の場所に展開された、図1A図1Cの拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図2C】本開示の態様による、標的の場所に展開された、図1A図1Cの拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図2D】本開示の態様による、標的の場所に展開された、図1A図1Cの拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図3A】本開示の拡張器を有する第1の構成の拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図3B図3Aの拡張器を有する別の構成の拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図4A】本開示の拡張器を有する第1の構成の拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図4B図4Aの拡張器を有する別の構成の拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図5A】本開示の拡張器を有する展開された構成の拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図5B】本開示の拡張器を有する展開された構成の拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図5C】本開示の拡張器を有する展開された構成の拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図6A】本開示の拡張器を有する展開された構成の拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図6B】本開示の拡張器を有する展開された構成の拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図6C】本開示の拡張器を有する展開された構成の拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図7A】本開示の態様に従って展開されている、図6Bの拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図7B】本開示の態様に従って展開されている、図6Bの拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図7C】本開示の態様に従って展開されている、図6Bの拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図8A】本開示の態様に従って展開されている、拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図8B】本開示の態様に従って展開されている、図8Aの拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図8C】本開示の態様に従って展開されている、図8A及び図8Bの拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図9A】本開示の拡張器を有する展開された構成の拡大式カテーテルの拡大式先端部を描いている。
図9B】拡張器が除去された状態の、図9Aの展開された構成の拡大式先端部を描写している。
図10A】本開示の態様による、第1の構成の拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図10B】本開示の態様による、展開された構成の図10Aの拡大式先端部のクローズアップ図である。
図11A】本開示の拡張器を有する第1の構成の拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図11B図11Aの拡張器を有する別の構成の拡大式カテーテルの拡大式先端部を描写している。
図12A】本開示による、1つの構成における拡大式カテーテルの拡大式先端部の側面図を描写している。
図12B】本開示による、別の構成における図12Aの拡大式先端部の背面図を描写している。
図12C】本開示による、図12Bの拡大式先端部の側面図を描写している。
図12D】本開示による、図12Bの拡大式先端部の正面図を描写している。
図13】本開示による、1つの構成における拡大式カテーテルの拡大式先端部の側面図を描写している。
図14A】本開示による、1つの構成における拡大式カテーテルの拡大式先端部の側面図を描写している。
図14B】本開示による、別の構成における図14Aの拡大式先端部の背面図を描写している。
図14C】本開示による、図14Bの拡大式先端部の側面図を描写している。
図14D】本開示による、図14Bの拡大式先端部の正面図を描写している。
図15A】本開示による、1つの構成における拡大式カテーテルの拡大式先端部の側面図を描写している。
図15B】本開示による、図15Aの拡大式先端部のクローズアップ図を描写している。
図15C】本開示による、図15Aの拡大式先端部のクローズアップ図を描写している。
図16A】本開示による、図15Aの拡大式先端部のクローズアップ図を描写している。
図16B】本開示による、図15Aの拡大式先端部のクローズアップ図を描写している。
図16C】本開示による、図15Aの拡大式先端部のクローズアップ図を描写している。
図16D】本開示による、図15Aの拡大式先端部のクローズアップ図を描写している。
図16E】本開示による、図15Aの拡大式先端部のクローズアップ図を描写している。
図16F】本開示による、図15Aの拡大式先端部のクローズアップ図を描写している。
図17】本開示の態様によるシステムを使用するための方法を概説するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
本開示の解決策の目的は、大きな遠位に面する口部を有する局所的な流れの制限/抑止、及び脈管構造の蛇行した面積をナビゲートして閉塞性血塊に到達することができる、調整された高度に可撓性の本体セクションの両方を提供することが可能な、反転可能な拡大式カテーテルである。流動制限及び大型の先端部付き設計は、実質的により大きい吸引効率を提供する。かかる利点はまた、脳卒中の介入処置の場合において特に有益であり得、神経血管床内の血管は、特に小さく、かつ回路的であり、その結果、調整された軸方向及び曲げ剛性プロファイルは、もつれ及び結合を阻止することができる。カテーテルはまた、比較的低プロファイルのアクセスシース及び外側カテーテルと適合可能であり得、そのため(大腿部アクセスの場合)患者の鼠径部における穿刺創を容易かつ確実に閉鎖することができる。カテーテルはまた、内部及び/又は外部低摩擦ライナ、並びに支持構造体の周囲に配設された外側ポリマージャケット又は膜を特徴とすることができる。
【0076】
これらの改善は、閉塞を除去し、処置時間を短縮するために、カテーテル及び他の装置の複雑な領域への安全かつより迅速なアクセスにつなげることができる。これらの説明は、多くの場合、機械的血栓除去治療に関連しているが、本システム及び方法は、他の処置及び他の身体通路にも同様に適合させることができる。
【0077】
血管系内の様々な血管にアクセスすることは、それらが冠状動脈、肺、又は脳であるかどうかに関わらず、周知の手順工程及び多数の従来の市販のアクセサリ製品の使用を伴う。血管造影材料、回転止血弁、及びガイドワイヤなどのこれらの製品は、検査機関及び医療処置において広く使用されている。これらの製品が、以下の説明において本開示のシステム及び方法と共に使用される場合、それらの機能及び正確な構成は、詳細には記載されない。
【0078】
図1A図1Cの図を参照すると、閉塞性血塊C(図2A図2Dに示される)を患者の血管BVから除去するためのカテーテルシステム100が例示されている。システム100は、従来の構造の吸引カテーテルであり得るか、又は迅速交換(rapid-exchange、RX)タイプの特徴を有し得、それらの多くは、血塊回収処置の速度及び効率を大幅に増加させ得る。特に、図2A図2Dは、本開示の態様による、標的血管BVに展開されたカテーテル100のカテーテル本体50を例示している。システム100は、図1Cに示される展開された状態に作動可能であり得る。拡張器70は、カテーテル本体50の管腔47内に少なくとも部分的に位置付けられ得る。拡張器70の遠位端78は、カテーテル本体50の遠位先端部51に接続され得る。拡張器70は、展開された状態において、遠位先端部51を反転させ、漏斗形状を形成するように後退可能であってもよく、示されるように、システムは、図1Aの最初の細長い状態から図1Cの展開された状態まで1つ又は2つ以上の距離Dだけ近位に移動する。図1Cは展開された状態を示しているが、拡張器70は、先端部51のカテーテル本体を通じて可能な流量を最大化し、かつまたマイクロカテーテル及びステント回収器の通過を可能にするために、吸引の前に完全に除去されることになる。拡張器70はまた、漏斗の起動及び拡張器70の除去中にステント回収器が血塊を横切って被覆され得ないように、遠位に突出するマイクロカテーテル部分を含み得る。
【0079】
M1においておよそ2mmのカテーテル本体のODの場合、潰れたODと展開された漏斗ODとの比率は、およそ2.5mm~4.0mmの範囲であると企図される。頚動脈Tでは、比率は、4.0mm~6.0mmの範囲であると企図される。比率が5.0~8.0mmの範囲であると企図される場合、比率は、ICA血管留置のために実現可能である。比率が2.5~5.0mmの範囲であると企図される場合、比率は、標的M1及び頚動脈Tの場所に想定される。
【0080】
いくつかの実施例では、潰れたODと漏斗ODとの比率は、潰れたときの対応するカテーテル先端部の長さに依存する。好ましくは、先端部の潰れた長さは、およそ2.5mm~5.0mmの拡大したODの場合、3mm~8mmの範囲(例えば、図中の距離D)であり得る。更に、いくつかの実施例では、比率は、直径の関数であってもよく、編組部は、編組角度に設定され、編組角度である。
【0081】
システム100は、頚動脈(3.2~5.2mm)、中大脳動脈(1.6~3.5mm)の水平M1セグメント、及び/又は内頚動脈(Internal Carotid Artery、ICA、2.7~7.5mm)などの広範囲の標的血管直径まで拡大するように構成され得る。次いで、カテーテルシステム100がM1セグメントからICA(又は、近位に増加する血管内径を有する別の経路)へと後退される場合、漏斗形状になった時点で先端部50の半径方向の力により、血管サイズの範囲にわたって血管をシールし続けることができる。更に、標的血管直径の範囲が可能な先端部50は、血管の近位及び分枝部の遠位の血管より広い断面積を有し得る血管分岐部でシールすることもできる。好ましくは、先端部51は、脈管構造を通して漏斗状のカテーテル先端部を前進させる必要がないように、治療の場所で展開された漏斗形状に反転する。
【0082】
カテーテルシステム100の理想的な公称直径は、標的血塊の場所及び/又は中を通してカテーテルシステム100が送達される任意の他のカテーテルの直径に依存する。M1の場所の血管直径が一般的に約3mmである、脳血管床の頭蓋内血管内の血塊の回収のために、適用可能なシステムは、0.065インチ~0.080インチの内径を有する外側カテーテルと、0.055インチ~0.070インチの内径を有するRX血塊回収カテーテルと、を有し得る。展開時、先端部50の最大直径は、最小2.5mm(但し、場合によっては、最大8mm)であってもよく、これにより、先端部50が血管の壁に対してシールされ、血管自体と同じ大きさの漏斗状の遠位口部を提供する。場合によっては、先端部51は、分岐部及び/又は近位血管の場所に対抗するのに十分な大きさの開口部を提供することもできる。このシールは、開示されるRXシステムの最大化された近位管腔との組み合わせで、従来のカテーテルと比べて、血塊の面における吸引力及び外側カテーテルのより大きい内径を利用する設計で流量を増加させるという利点を提供する。
【0083】
いくつかの実施例では、遠位先端部51は、近位セグメント55と、近位セグメント55から延在する遠位セグメント52と、を含み得る。セグメント52は、実質的に可撓性であってもよく、遠位セグメント52の近位端53は、近位セグメント55から延在し、遠位セグメント52の遠位端58に隣接し、かつ/又は遠位端58に接続されたプルリング54を含み得る。プルリング54は、この実施例では、遠位セグメント52の内側の遠位端の近位面54上に位置付けられ得る。この点において、セグメント52は、プルリング54の下に取り付けられた拡大可能なシースであってもよい。
【0084】
図1Aのような潰れた状態の遠位セグメント52の中点は、拡張器70が、遠位端58に接続されている間に近位に距離Dだけ移動すると、カテーテル本体50の遠位の、図1Cのような展開された状態の漏斗形状の最遠位の非侵襲性端に遷移し得る。潰れた状態の遠位セグメント52は、実質的に管状(図1A)であってもよいが、距離D(図1B図1C)だけ近位に移動した後の展開された状態では、セグメント52は漏斗形状を含み得る。
【0085】
いくつかの実施例では、反転した遠位セグメント52によって形成される漏斗形状は、遠位端58とプルリング54との間に形成されたエアクッション60を含み得る。漏斗形状のいくつかの実施例では、リング54は、管腔47の内側に位置付けられて、それらの間で圧縮ロックを形成し、それによって、セグメント52を拡大した漏斗形状に固定することができる。圧縮ロックは、リング54を、内径がリング54の外径よりわずかに小さくてもよい内腔47内に嵌合させることによって締まり嵌めとして画定することができる。
【0086】
いくつかの実施例では、遠位セグメント52は、近位編組部分と遠位渦巻き状の編組部分とに分割され得る。エラストマ膜を、織り合わせても、上にコーティングしても、編組部若しくは反転フレーム構造の上に延在させてもよい。例えば、弾性膜は、先端部51の下にある編組支柱フレームワークの外形に追従し得る。弾性膜は、先端部51の長さ方向に少なくとも部分的に延びていてもよい。他の実施例では、先端部51は、市販の親水性コーティング(例えば、Surmodics、Harland、Biocoat、Covalon)などの潤滑性材料で更にコーティングされてもよいし、又は低摩擦材料若しくは充填剤を含んでもよい。膜はまた、反転構造の支柱が膜の下で自由に移動することができるように、反転支持構造上に浮遊し得る。いくつかの実施例では、膜は、反転支持構造をカプセル化する。
【0087】
いくつかの実施例では、拡張器70は、近位セグメント76と、その遠位に延在する遠位セグメント77と、を含み得る。セグメント77は、近位セグメント76よりも大きい直径を含むことができ、半径方向外向きに延在し、プルリング54と接触して、遠位セグメント52の近位端53と整列するか、又は近位端53に隣接するまで、プルリング54を1つ又は2つ以上の距離Dだけ近位に並進させる、接触要素71を含み得る。この実施例では、接触要素71は、セグメント52の遠位端58との締まり嵌めを形成する接触面を作り出す、急な角度の外向きの遷移部であり得る。
【0088】
いくつかの実施例では、拡張器70は、中に管腔を有する固体及び/又は中空であり得る。拡張器70は、近位セグメント76において実質的に細長(例えば、管状)の内側管腔75と、遠位端78が近位セグメント76よりも大きい直径を有する遠位セグメント77に対して半径方向外向きのテーパ部と、を含み得る。このテーパ部は、セグメント76とセグメント77と間の遷移部又は接合部73で開始し得る。拡張器70は、先端部51の近位で高度に可撓性であり得る。拡張器70は、その構造の一部として1つ又は2つ以上の繊維を含むことができ、これらの繊維は、拡張器70の伸長を打ち消すための強化用に構成されている。いくつかの実施例では、セグメント76は、高度な可撓性であっても、実質的に遠位セグメント77よりも高い可撓性であってもよい。遠位セグメント77は、いくつかの実施例では、蛇行した脈管構造の周りで歪むのに十分な可撓性を依然として有することができる。リング54に力を伝達するのに必要な任意の剛性部分は、先端部51の横方向の可撓性を維持するために可能な限り短く保つことができる。
【0089】
1つの実施例では、システム100は、図2A図2Dに示されるように、血塊を捕捉するために吸引源を使用することができる。特に、図2A図2Dは、展開され、次いで、好ましくは、図2Dのように、拡張器70が完全に除去された状態で、血塊Cを吸引する、システム100を示している。示されて説明されるように、拡張器70を使用する主な利点は、示されるような漏斗形状にあるときに、カテーテル50の全断面積を使用して、カテーテル本体50を通る血塊Cの流速及び血塊Cに対する力を最大化することができるように、先端部の反転後に拡張器70を除去することができることである。図2A図2Dにも示されるように、拡大した先端部51によって形成された漏斗形状が血管BVの壁にシールされてもよいし、又は(例えば、拡張器70を近位又は遠位に移動させることによって)シール(複数可)を選択的に起動させてもよい。
【0090】
先端部51は、拡大すると、効率的な吸引のための大きな非侵襲性の口部を含み得る。先端部51は、それを標的の場所へと前進させるのを補助するための耐よじれ特性を含み得る。したがって、本明細書で論じられるように、横方向の可撓性を維持するが、圧縮時の拡大又はよじれを回避するように、複数の構成を有し得るか、又は複数の材料から製作され得る。図2A図2Dに示される先端部51の大きな遠位の口部は、先端部に堅いフィブリンに富む血塊が詰まること、及び/又は血塊のより軟らかい部分が切り取られることによって妨害され得る、従来の固定式口部の設計よりも改善された性能を提供することができる。縮小する漏斗形状への進入時の血塊のプログレッシブ圧縮により、開示される反転可能な拡大式先端部51の管状セクション内に血塊が詰まってしまう可能性は低い。
【0091】
先端部51の支柱は、先端部が外側カテーテル内で潰れた構成に制約され、その構成で送達される場合、又は漏斗形状に反転するために拡大中に、弾性限度を超えないように、十分な弾性歪み能力を有するニチノール又は別の形状記憶材料から形成することができる。支柱は、所定の場所での反転を促進するためにのみヒートセット式に拡大させることができ、上記拡大面積は、外側膜の被覆によって抑制される。この点において能動的に反転させると、フレームが、次いで、フレームの半径方向の力を増加させることにより、膜を外向きに押す。別の場合では、フレームワークは、ワイヤが互いに独立して自由に移動することになるため、ワイヤから構築することができ、ステンレス鋼合金のような非超弾性材料を用いることが可能となる。超弾性又は形状記憶材料を使用してワイヤで構築された先端部51のフレームワークを想定することもでき、かかる装置は、改善されたトルク特性及び耐久特性を提供することが理解される。別の場合では、先端部51のフレームワークは、レーザー切断することができるか、又はセル若しくはベンドを含めることによって歪みに適応する非超弾性又は形状記憶材料製のワイヤで形成することができ、送達用の潰れた状態から血塊回収用の拡大状態まで移動するのにより低い歪み度が必要とされる。例えば、フレームワークは、歪み要件を低減するために、追加のセル、より長いセル支柱、及び/又はより低いセル角度を含み得る。
【0092】
図3A及び図3Bは、拡張器270を含む図3Aに示される第1の構成から始まる別の反転可能な拡大式先端部251、次いで、拡張器270を含まない図3Bの先端部251の漏斗形状の展開された構成のクローズアップ図を描いている。示されていないが、拡張器270は、必要な場合又は必要とされる場合、図3Bに含まれ得る。本開示をとおして論じられる同様の参照番号の例は、同一の又は機能的に同様な要素を示すことが理解される。これにより、拡張器270は、近位セグメント276、及び近位セグメント276の遠位の遠位端278で終端する遠位セグメント277を有する、内側管腔275を含み得る。拡張器270は、遠位セグメント277から半径方向外向きに延在する遠位接触要素271を含み得る。要素271は、プルリング254と接触して、遠位セグメント252の近位端258と整列するか、又は近位端258に隣接するまで、プルリング254を並進させるように構成され得る。拡張器270はまた、セグメント252の遠位端258と締まり嵌めを形成する接触面を形成するための急な角度の外向きの遷移部(例えば、ここでは、拡張器270の外側表面と実質的に直交する要素271)を含み得る。拡張器270はまた、遠位接触要素271から近位に離間配置され、同様に遠位セグメント277から半径方向外向きに延在する、近位接触要素273を有し得る。いくつかの実施例では、プルリング254が位置付けられ得るか、又は別様に接続され得る溝を要素271と要素273との間に画定することができる。この点において、要素271と要素213との間の空間又は溝の対向面は、平面状であっても、別様にリング254の形状に適合していてもよい。いくつかの実施例では、要素271は、端部258に対して付勢するか、又は別様に結合することができ、要素273は、リング254に対して付勢するか、又は別様に結合することができる。いくつかの実施例では、要素273は、要素271よりも小さい直径を含み得るか、又はその逆であってもよい。要素271から遠位端278まで、拡張器270は、より小さい直径へとテーパ状になっていてもよい。
【0093】
システム100と同様に、展開された状態の漏斗形状にあるとき、遠位先端部251の遠位端258の間のカテーテル本体250内に締まり嵌めを提供することができる。いくつかの実施例では、接触要素271、273のうちの少なくとも1つは、展開された状態の漏斗形状に遠位先端部251を磁気によって後退させるように動作可能な磁気コネクタを含み得る。そのようにすることで、内部の磁気結合により、展開された状態の反転した漏斗形状への先端部271の作動を容易にすることができる。セグメント276及び/又はセグメント277は、実質的に薄くなった壁を含み得る。好ましくは、セグメント276からセグメント277まで、拡張器は、最適な可撓性のために、先端部の近位に比較的薄い壁を含むことができる。
【0094】
セグメント276は、いくつかの実施例では、張力下での伸長を防止するように構成された紐状のフィラメントを含み得る。先端部251に関して、その近位セグメント255は、遠位セグメント252よりも剛性であり得る。しかしながら、この実施例は、そのように限定されるものではなく、代わりに、セグメント252が近位セグメント255よりも剛性であってもよい。いくつかの実施例では、セグメント252は、図3Aのように、展開前に実質的に管状の形状に留まるための抵抗又は偏りを含み得る。近位セグメント255及び/又は遠位セグメント252はまた、セグメント152、155と同様の編組構造を含み得る。例えば、セグメント252、255は、記憶合金を含む支柱のフレームワークから構築することができる。セグメント52と同様に、セグメント252もまた、近位編組部分と遠位渦巻き状の編組部分とに分割され、1つ又は2つ以上のエラストマコーティング(複数可)又は膜(複数可)を含み得る。この実施例の編組部分及び渦巻き状部分は、例えば、反時計回りの編組ワイヤの両端部の中点で時計回りの編組ワイヤの端部を仕上げ、それにより、反時計回りの編組ワイヤがこの点を越えて渦巻き状を形成することによって、作り出すことができる。いくつかの実施例では、これは、編組部の端部間の場所で、円周方向の平面上の標準的な編組部の時計回りのワイヤを切断することによって達成され得る。別の実施例では、より密度の高い近位の編組部が遠位の渦巻き状部分と対になるように、時計回りの編組部をループ状にして近位に延在させることができる。
【0095】
図4A及び図4Bは、拡張器370を含む図4Aに示される第1の構成から始まるカテーテル350の別の反転可能な拡大式先端部351、次いで、先端部351を漏斗形状に反転させるために拡張器370を後退させた後の図4Bの漏斗形状の展開された構成のクローズアップ図を描写している。この場合、先端部351の近位セグメント355は、対応するリング354と結合することができる磁気要素を含み得る遠位端353を含むことができ、次にこれを磁気化することができる。示されるように、リング354は、端部353と磁気的に結合するように構成することができ、そのため、先端部351は、図4Bに示される反転した漏斗形状を維持することができる。いくつかの実施例では、リング354及び/又は端部353は、一方が他方に引き寄せられるように、鉄を含む金属から作製され得る。代替的に、両方の特徴が磁気性であり、それにより、一方のS極と他方のN極とが引き付け合って、鉄を含む金属が使用された場合よりも強い引き付け合いを形成する。更に別の実施形態では、拡張器370は、反転した漏斗形状に先端部351を反転させるのに十分な力を提供するために、プルリング354と引き付け合う磁気特徴部を含み得る。
【0096】
いくつかの実施例では、拡張器370は、内側管腔575、近位セグメント376の遠位の遠位端278で終端する遠位セグメント377を含むことができ、各々は同様の直径を含む。拡張器370の接触要素371は、拡張器のノッチ、又は側溝、又は溝、又は凹部の遠位端であり得る一方、接触要素372は、同じノッチ、又は側溝、又は溝、又は凹部の近位端であり得る。いくつかの実施例では、要素371は、(例えば、リング354を1つ又は2つ以上の鉄を含む材料から構築することによって)リング354を把持し、拡張器370の後退中にリング354を近位に引っ張るように磁気性であってもよい。端部358に結合することができるリング354は、それぞれ上記ノッチ、若しくは側溝、若しくは溝、若しくは凹部、及び/又はそれらの周りに間に位置付けられ得る。配置されると、遠位セグメント377は、遠位セグメント352の近位端358と整列するか、又は近位端358に隣接するまで、プルリング354を近位に並進させ、それによって、セグメント352を反転させて、図4Bの非侵襲性の漏斗形状を形成する。いくつかの実施例では、遠位先端部351の近位端353及びプルリング354は、それらの間の対応する磁気結合によって、展開された状態で一緒にロックされ得る。遠位先端部351の近位端353及びプルリング354は各々、隆起部及び/又はインターロック凹部で輪郭付けられた平面状の嵌合面又は嵌合面を含み得る。例えば、嵌合面は、インターロック型テーパロックの相互作用のためにテーパ状にすることができる。他の実施例では、嵌合面は、一緒にスナップロックするように構成され得る。
【0097】
図5Aは、拡張器470を有するカテーテル450の別の反転可能な拡大式先端部451を描いている。先端部451は、近位セグメント455と、近位セグメント455から延在し、実質的に可撓性である、遠位セグメント452と、を含み得る。遠位セグメント452の近位端453は、遠位先端部451の外側表面上に位置付けられ得る。先に記載される先端部と同様に、プルリング454は、セグメント455に隣接していても、セグメント455のすぐ遠位にあってもよく、そのため、リング454を使用して、セグメント452を引っ張り、図5Aの漏斗形状に反転させることができる。いくつかの実施例では、遠位セグメント452の近位端453は、プルリング454の外部にあってもよい。この点において、示されるように、リング454と近位端453とを整列させて、近位端453をカテーテル450のODに取り付け、取り付けられた膜構造をプルリングの遠位面に位置付ける。次に、この取り付けにより、膜は、反転したときに、滑らかに遠位にテーパ状になる。
【0098】
図5Bは、本開示の拡張器570を有するカテーテル550の別の反転可能な拡大式先端部551を描写している。示されるように、遠位先端部551は、セグメント552と一体であるセグメント555を含むカテーテル本体550と一体であり得る。この実施例の拡張器570はまた、接触要素573において又はその周りで最大直径を含むことができ、これはここでは、リング554の内部に配置され、要素573から遠位にテーパ状になる要素と締まり嵌めを形成するように構成された外向きの膨隆部又はリング状の突出部であってもよい。示されるように、リング554はカテーテル本体550の下に嵌められ、膜構造の近位面はカテーテル本体550の遠位面と一直線であるか、又はそれと一体であり、膜構造はプルリング554の下に取り付けられる。次に、この取り付けにより、膜は、反転したときに、滑らかに遠位にテーパ状になる。
【0099】
図5Cは、拡張器670を有する展開された構成のカテーテル650の別の反転可能な拡大式先端部651を描写している。示されるように、拡張器670は、近位セグメント676よりも大きい直径を有する、近位セグメント676より遠位の遠位セグメント677を含み得る。直径の変化は、楕円形又は別様に曲線した形状を形成するように漸進的であり得る。遠位セグメント677は、遠位セグメント677から半径方向外向きに延在し、プルリング654と接触して、近位セグメント655の遠位端と整列するか、又は遠位端に隣接するまで、プルリング654を近位に並進させるように構成されている、接触要素671を含み得る。見て分かるように、要素671は、外向きに角度が付けられたラッチであってもよい。例えば、示されるように、要素671は、拡張器670の外側表面との間に鋭角を形成するように、遠位に角度が付けられていてもよい。示されるように、次にこのラッチは、セグメント652の遠位端が漏斗形状においてラッチから係合解除されることを防止することができる。
【0100】
図5Cは、拡張器670を有する展開された構成のカテーテル650の別の反転可能な拡大式先端部651を描写している。示されるように、拡張器670は、内側管腔675、近位セグメント676よりも大きい直径を有する、近位セグメント676の遠位の遠位端678を有する遠位セグメント677、を含み得る。直径の変化は、楕円形又は別様に曲線した形状を形成するように漸進的であり得る。遠位セグメント677は、遠位セグメント677から半径方向外向きに延在し、プルリング654と接触して、近位セグメント655の遠位端と整列するか、又は遠位端に隣接するまで、プルリング654を近位に並進させるように構成されている、接触要素671を含み得る。見て分かるように、要素671は、外向きに角度が付けられたラッチであってもよい。例えば、示されるように、要素671は、拡張器670の外側表面との間に鋭角を形成するように、遠位に角度が付けられていてもよい。示されるように、次にこのラッチは、セグメント652の遠位端が漏斗形状においてラッチから係合解除されることを防止することができる。
【0101】
図5Cは、拡張器670を有する展開された構成のカテーテル650の別の反転可能な拡大式先端部651を描写している。示されるように、拡張器670は、内側管腔675、近位セグメント676よりも大きい直径を有する、近位セグメント676の遠位の遠位端678を有する遠位セグメント677、を含み得る。直径の変化は、楕円形又は別様に曲線した形状を形成するように漸進的であり得る。遠位セグメント677は、遠位セグメント677から半径方向外向きに延在し、プルリング654と接触して、近位セグメント655の遠位端と整列するか、又は遠位端に隣接するまで、プルリング654を近位に並進させるように構成されている、接触要素671を含み得る。見て分かるように、要素671は、外向きに角度が付けられたラッチであってもよい。例えば、示されるように、要素671は、拡張器670の外側表面との間に鋭角を形成するように、遠位に角度が付けられていてもよい。示されるように、次にこのラッチは、セグメント652の遠位端が漏斗形状においてラッチから係合解除されることを防止することができる。
【0102】
しかしながら、要素671はそのように限定されるものではなく、代わりに、拡張器670の外側表面に対して実質的に直交し得る。要素671はまた、セグメント652の近位端653の遠位にあってもよく、それによって、端部653は、セグメント655の外側表面上に位置付けられ得る。いくつかの実施例では、潰れた状態の遠位セグメント652の中点は、カテーテル650の遠位の展開された状態の漏斗形状の最遠位の花弁先端部に遷移する。この点において、システム600は、漏斗形状を形成する、1つの連続した花弁、又は複数の半径方向に分離した最遠位の花のような花弁先端部を含み得る。他の実施例では、システム600の漏斗形状は、図5A及び図5Bの丸みを帯びた漏斗形状よりも尖っていても、非侵襲性が低くてもよい。
【0103】
図6Aは、本開示の拡張器770を有する展開された構成のカテーテル750の別の反転可能な拡大式先端部751を描写している。示されるように、拡張器770の接触要素771は、先端部751の遠位にあり、先端部751に取り付けられ、血塊を捕捉するため、及び/又は中でステント回収器を使用するための比較的滑らかな遷移を提供する。先端部751に関して示されるように、拡張器770を配置することにより、システム700の内径は、少なくとも部分的にシステム700の内径の内側に位置付けられるセグメント752の遠位端758を考慮して低減される。有利には、プルリング754の近位面はカテーテル本体750の遠位面に当接し、膜/フレームワークはプルリング754の下に取り付けられ得る。この実施例では、近位の膜構造は、カテーテル750のODに取り付けられ、これにより、反転したときに、膜が滑らかに遠位にテーパ状になる。
【0104】
図6Bは、本開示の拡張器870を有する展開された構成のカテーテル850の別の反転可能な拡大式先端部851を描写している。示されるように、拡張器870の接触要素871は、先端部851の遠位にあり、先端部851に取り付けられている。ここでは、セグメント852の端部858は展開された漏斗形状のセグメント855と同軸であるため、セグメント855とセグメント852との間の内径は、同等でない場合、実質的に同様である。示されるように、先端部851はまた、先端部751と比較して、漏斗形状の比較的より鋭い縁部を含み得る。ここで、有利には、リング854の近位面はカテーテル本体850の遠位面に当接し、膜/フレームワークはリング854の遠位面に取り付けられる。更に、これにより、漏斗がより鋭く反転し、近位の膜構造がカテーテル750のODに取り付けられる。
【0105】
図6Cは、本開示の拡張器970を有する展開された構成のカテーテル950の別の反転可能な拡大式先端部951を描写している。示されるように、拡張器970の接触要素971は、先端部951の遠位にあり、先端部951に取り付けられている。具体的に言えば、遠位接触要素971は、遠位セグメント977から半径方向外向きに延在し、プルリング954と接触して、遠位先端部951の近位端953と整列するか、又は近位端953に隣接するまで、プルリング954を近位に並進させるように構成されている。要素971の近位端面は、セグメント952の遠位端958の遠位面上にあり得るリング954と接触するように配置され得る。ここで、リング954の近位面はカテーテル本体950の遠位面に当接し、膜/フレームワークはリング954の遠位面に取り付けられ、漏斗の比較的より鋭い反転がもたらされる。
【0106】
示されるように、端部958は、リング954と端部958との間の接触を容易にする偏った曲線を有し得る。示される漏斗形状の構成では、曲線は、遠位に戻る前に近位に延在して、リング954を付勢して要素971の近位面と結合することができる。いくつかの実施例では、要素971は、外向きに延在するリング状の部材を含むか、又はリング状の部材であってもよい。要素971はまた、半円形の形状を含み得る。
【0107】
図7A図7Cは、先端部851を例示しているが、図7Aの潰れた管状の状態から図7Cの展開された漏斗形状へと遷移する、図6Bにおいて先に説明される修正されたより鋭い漏斗形状を有する。具体的に言えば、拡張器870は、それぞれの接触要素においてリング854に結合されていることが分かる。図7Bは、第1の距離だけ後退させ、これにより、セグメント852を、中間部分が反転し始めるにつれて拡大させる、拡張器870を示している。図7Cは、セグメント855の遠位面に接触するまで拡張器870によって近位に並進されたリング854を示している。次に、セグメント852は、漏斗形状に完全に反転する。ここで、リング854は、拡大状態でリング854とセグメント855との間に当接部が形成されるように、セグメント855と同様の直径を有する。有利には、カテーテル850の近位端と遠位端との間の内径と外径とにおけるこの最小差が、その相対的に低い外側の輪郭及び大きな内径を最適化する。
【0108】
図8A図8Cは、本開示の態様による、拡張器1070と関係して反転することによって展開されている、本開示のカテーテル1050の別の拡大式の反転可能な先端部1051を例示している。特に、図8Aの潰れた管状状態から図8Cの展開された漏斗形状まで遷移する先端部1051が示されている。要素1071の近位面は、リング1054に結合されている。図8Bは、第1の距離を後退させ、これにより、セグメント1052を、中間部分が反転し始めるにつれて拡大させる、拡張器1070を示している。図8Bの状態では、セグメント1052は、反転する前に略円錐の形状を含み得る。図8Cは、セグメント1055の遠位面(例えば、ここでは、セグメント1055の内部)の近位に配置されるまで、拡張器1070によって近位に並進されたリング1054を示している。次に、セグメント1052は、図8Cに示される漏斗形状に完全に反転する。リング1054は、拡大状態でリング1054とセグメント1055の内側表面との間に当接部が形成されるように、セグメント1055の内径よりも小さい直径を有し得る。
【0109】
いくつかの実施例では、拡張器1070のセグメント1077は、図8A図8Cに示されるように、セグメント1052を拡大及び反転させるのに十分な半径方向の力を伝達するために、プルリング1054との十分な締まり嵌めを提供するように超軟質であってもよい。いくつかの実施例では、セグメント1076は、システムの剛性に著しく寄与しないように、高度に可撓性であってもよい。これを達成するために、セグメント1076は、比較的薄い壁を含むことができ、それが張力下で伸展することを防止する長手方向の紐状の繊維を含み得る。
【0110】
いくつかの実施例では、図8Cに示される反転した漏斗形状が形成されると、拡張器1070とリング1054との間の締まり嵌めは、リング1054をより近位に移動させるには不十分である場合があり、拡張器1070の先端部(例えば、セグメント1077)がリング1054を押し分けて進む。セグメント1077は、セグメント1055の管腔と小さいクリアランスを有するようにサイズ決めされているので、セグメント1077を、カテーテルシステム1000を通して簡単に後退させることができる。いくつかの実施例では、拡張器1070を再び前進させてリング1054を遠位に押し、漏斗形状の反転を解除して、図8Aの潰れた管状シースさせることができる。いくつかの実施例では、示されていないが、第1拡張器1070が存在し得る血管内で反転及び拡大されると、先端部1051を潰す目的で、第2の剛性拡張器が供給されてもよい。
【0111】
図9A及び図9Bは、カテーテル1150の別の拡大式の反転可能な先端部1151を例示している。特に、図9Aは、拡大した漏斗形状構成で拡張器1170を有する先端部1151を示している。図9Bは、同じ構成の先端部1151を示しているが、拡張器1170が先端部1151から後退及び除去されている。ここで、要素1171の遠位面は、先端部1151がリング1154を通って圧縮されるように、端部1158の近位面に結合される。次に、端部1158の内径は、リング1154に結合される。この実施例では、記載及び示されるように、端部1158をリング1154に結合することにより、先端部1151は、吸引された血塊及び/又はステント回収装置の進入のための漸進的な滑らかな曲線を形成することができる。更に、リング1154がセグメント1155の主要なカテーテル本体の内径よりも小さくサイズ決めされていることにより、プルリング1054は、それを通って拡張器1170のセグメント1177が圧縮される際に、所定の場所に楔止め又はロックされる。
【0112】
図10A及び図10Bは、本開示の態様による先端部1251を例示しており、それにより、図10Aは、管状構成で延在するときの先端部1251を示しており、図10Bは、セグメント1252を漏斗形状に拡大及び反転させるためにリング1254を後退させた先端部1251のクローズアップ図である。リング1254は、セグメント1255の遠位端に位置付けられた内部テーパ部1259と一致する外部テーパ部を含み得る。結合したテーパ部のクローズアップを示す図10Bにより明確に示されるように、対応するテーパ部を一緒に結合及び/又はロックすることができる。テーパ状面のみが図10A及び図10Bに示されているが、必要な場合又は必要とされる場合、他のインターロック面を使用することができることが企図される。
【0113】
図11A及び図11Bは、拡張器1370を有する図11Aの第1の管状構成から、次いで、図11Bの拡大し反転した漏斗形状の展開された構成に向かうカテーテル1350の別の拡大式先端部1351を描写している。拡張器1370は、接触要素1371を含むことができ、接触要素1371は、拡張器1370の最大直径を含み、次いでそこから、血塊の漸進的半径方向圧縮のために、拡張器1370から連続的に遠位にテーパ状になる。ここで、図11Bに示されるように、リング1354は、セグメント1355の直径と同様の直径を含むことができ、そのため、それらの間の当接により、リング1354がセグメント1355の管腔内へと近位に移動するのを防止することができる。セグメント1352の遠位端1358は、リング1354の内径内に取り付けられ、これは、拡張器1370の要素1371と端部1358及び/又はリング1354との間の締まり嵌めを提供する。有利には、この実施例では、セグメント1355とリング1354との間の内径差は少なく、そのため、血塊がセグメント1355の管腔に進入することを少し制限することができる。
【0114】
更に、示されるようにセグメント1352を折り畳むことにより、リング1354の内径から遠位に延在し、リング1354の外径を越えて近位に戻って延在するように、セグメント1353は、拡大及び反転して、血管壁と相互作用してシールするように構成された非侵襲性の漏斗のための丸みを帯びた特徴を形成することができる。
【0115】
先端部1351が剛性であるように製造された場合、先端部1351は、大きすぎる丸みを帯びた輪郭を形成し、外側のバルーンガイド又は長いガイドシースを通じた送達のために潰れたときによじれる可能性を有するであろう。よじれはまた、先端部1351が、展開された漏斗形状構成において漸進的なテーパ部を形成することを防止し得、カテーテル管腔内での後退中に、ステント回収器のためのスナグ点を形成し得る。したがって、先端部1351を可撓性の部分と共に構成することにより、先端部1351が最初に、潰れた構成の軟らかい圧縮可能な丸みを帯びた特徴部を形成することができ、軟らかい圧縮可能な丸みを帯びた特徴部は、吸引中に血塊の圧縮を補助するため、及びカテーテル管腔内への後退中にステント回収器を潰すための妨害されない経路を提供するために、リング1354の内径を形成する遠位に延在する連続的なテーパ部を形成するように回復する。
【0116】
図12Aは、近位セグメント1447、中間セグメント1445、及び遠位セグメント1443を有する編組部を含み得る、1つの拡大式の反転可能な先端部1451の例示的な構成を描写している。中間セグメント1445は、遠位セグメント1443を有する遷移点まで近位から延在するフィラメントを含むことができ、次いで、それらは近位に戻って逆に延在して編組パターンを形成する。遠位セグメント1443は、螺旋状の構成で近位から遠位に延在するフィラメントを含むことができ、かつ/又は近位セグメント1447を半径方向外向きに押すのに十分な半径方向の力を含むことができる一方で、非侵襲性の様式で様々な血管サイズに適応するように適合可能である。螺旋状のパターンは、螺旋状のワイヤが編組パターンよりも容易に調節することができる渦巻き状のパターンを作り出すので、編組部よりも広い範囲の血管サイズ範囲を可能にすることができる。遠位セグメント1443は、セグメント1445とセグメント1443との間の遷移において、又はその周囲で円周方向に延在して、血管壁における丸みの少ない反転継目を画定するのを助けることができる。
【0117】
図12B図12Dは、本開示による、漏斗形状に拡大及び反転した後の先端部1451の図を描写している。特に、図12Cは、例示的なコーティングを有する先端部1451の側面図であり(コーティングは必ずしも必要ではないが)、一方、図12Dはセグメント1451の正面平面図であり、図12Bはセグメント1451の背面平面図である。図12Dに示されるように、セグメント1443及びその螺旋状の構成は、反転中にセグメント1443を渦巻き状に変換することができる。図12Cにおいても明らかであるように、下の破線に沿って、使用中に血管壁と相互作用し得る丸みを帯びた反転継目と比較して、より鋭い反転継目の設計の反転継目を描写している。図12Bは、編組部の一体性を形成し、セグメント1445とセグメント1443との間の遷移点に反転ヒンジを提供する、セグメント1447及び1445を示している。示されていないが、本開示に記載されるコーティング又は膜が、必要な場合又は必要とされる場合、先端部1451と共に使用され得ることが企図される。
【0118】
図13は、近位セグメント1547、中間セグメント1545、及び遠位セグメント1543を有する編組部を含むことができ、それによって、先端部1551の編組部が近位端から遠位端まで延在し得る、1つの拡大式の反転可能な先端部1551の例示的な構成を描写している。先端部1551は、使用中に血管壁と相互作用し得る、より丸みを帯びた反転継目を提供することができる。
【0119】
図14Aは、近位セグメント1647、中間セグメント1645、及び遠位セグメント1643を有する編組部を含み得る、1つの拡大式の反転可能な先端部1651の例示的な構成を描写している。セグメント1639はセグメント1647の近位にあり、部分1641は各セグメント間の遷移を表す。セグメント1647は比較的剛性であり得、セグメント1645は比較的可撓性であり得、セグメント1643は、そのフィラメントに対して螺旋状の構成を含み得る。次いで、中間部分1645は、先端部1651の反転工程中により大きな領域にわたって半径方向の力を分配するように構成され得る。中間セクションで比較的可撓性である中間セグメント1645は、とりわけ、薄い輪郭の血管の追加的制約により、反転中の構造の屈曲力をより低くすることもでき、それによって、構造及び潜在的な血管外傷によって及ぼされる半径方向の力を低減することができる。
【0120】
図14B図14Dは、本開示による、漏斗形状に拡大及び反転した後の先端部1651の図を描写している。特に、図14Cは、先端部1651の側面図であり、一方、図14Dはセグメント1651の正面平面図であり、図14Bはセグメント1651の背面平面図である。図14Dに示されるように、セグメント1543及びその螺旋状の構成は、反転中にセグメント1543を渦巻き状に変換することができる。図14Cにおいても明らかであるように、丸みを帯びた下側角部セグメント1645の反転継目は、使用中に血管壁と相互作用し得る。図14Bは、編組部の一体性を形成し、セグメント1645とセグメント1643との間の遷移点に反転ヒンジを提供する、セグメント1647及び1645を示している。反転ヒンジは、屈曲を促進するために、近位端及び遠位端よりも中心でより大きな直径を有するようにフィラメントをヒートセットすることによって適用することができ、膜は、拡大された直径を、潰れた構成の近位及び遠位セグメントと一直線である実質的に管状の形状に保持するのに十分な拡大抵抗性を有する。これは、オーバサイズの編組部を使用し、遠位及び近位の直径を、取り付け手段を介して遠位プルリング及び近位カテーテル本体にそれぞれ(例えば、リフロージャケット材料、接着剤、又は拘束リングによって)低減することによって、非形状記憶材料で行うことができる。示されていないが、本開示に記載されるコーティング又は膜が、必要な場合又は必要とされる場合、先端部1651と共に使用され得ることが企図される。
【0121】
図15A図16Fは、本開示による拡大式の反転可能な先端部1751の図を描写している。図15Aでは、先端部1751は、セグメント1755及び1752を有する編組構成を含むことができる。セグメント1752は、近位部分1751と、近位部分1759と、を含むことができ、各々は編組パターン(例えば、同じパターン又は異なるパターン)を有する。遷移部分1753は、セグメント1755とセグメント1752との間に位置付けられ得る。先端部1751のいくつかの実施例では、編組ワイヤをリング1754の周りでループ状にすることにより、反転中にリング1754を中心とした編組部の回転を可能にすることができ、これにより、遠位セグメント1752の完全な反転を容易にすることができる。図15Aは、例示目的のセクションA、B、Cに関して厳密に示されている。編組ワイヤは、AからC、CからAまでループ状にすることができることが理解される。しかしながら、セグメント1751は、そのように限定されず、編組ワイヤは、AからB、BからAまでループ状にすることもできる。他の実施例では、編組ワイヤは、AからB、BからA、AからC、CからAまでループ状にすることができる。他の実施例では、編組ワイヤは、A~Cまで、並びにこれらの様々な編組ワイヤのループ構成の任意の組み合わせにループ状にすることができる。いくつかの実施例では、先端部1751の少なくとも1つの編組ワイヤは、リング1754を所定の位置に保持するためにリング1754のすぐ近位に撚り合わされてもよい。
【0122】
図15Bに移ると、先端部1751のクローズアップが、拡大し反転した漏斗形状の構成で示されている。ここで、本開示の先行実施例の遠位先端部のように、リング1754が近位に並進したときに、セグメント1752が反転及び拡大していることを理解することができる。図15Cは、図15Bと同様の図であるが、マンドレル及び/又は拡張器が除去され、先端部1751のみが拡大し反転した漏斗形状の構成に残されている。
【0123】
図16Aは、前述したような編組ワイヤを示す、図15AのセクションAのクローズアップ図である。図16Bは、前述のように、編組密度又はPPIの変化を示す、図15AのセクションBのクローズアップ図である。図16Cは、前述のように、プルリングの周りでループ状にされた編組ワイヤを示す、図15AのセクションCのクローズアップ図である。図16Dは、リング1754と結合された例示的な拡張器1770を有する、中心線に沿った図15AのセクションCのクローズアップ断面図である。示されるように、拡張器1770は、プルリング1754を把持するための円周方向のリブを有する。図16Eは、リング1754と結合された別の例示的な拡張器1770を有する、中心線に沿った図15AのセクションCのクローズアップ断面図であり、それにより、拡張器1770は、所定の力に到達した後にリング1754を押し分けて進むように半径方向の圧縮を補助するために遠位に折り畳まれる当接特徴部を含む。図16Fは、前述のように、ループ状にされ、リング1754と結合された編組ワイヤを示す、図15AのセクションCのクローズアップ斜視図である。本実施例のフィラメントは、遠位から遠位に延在することができ、遠位端でループ状に戻ることができる。示されるように、リング1754は、ループ状の端部に貫通させることができ、それにより、反転したときにループ状のフィラメントがリング1754を中心として回転して、外向きに向かい合わせに半径方向内向きに反転し、それによって、遠位に面する漏斗を形成する。
【0124】
本明細書に開示されるカテーテルシステムのいずれかの展開中の可視性は、合金元素(パラジウム、白金、金など)を追加することによって、放射線不透過性化合物の適用によって、又はカテーテル及び装置のうちの1つ又は2つ以上の上に放射線不透過性マーカを留置することによって、補助することができる。好適な実施例は、他の装置及び埋め込み物に関連して頻繁に使用され、当該技術分野において周知である。例えば、カバー上に組み込むことができる放射線不透過性化合物を遠位先端部に組み込むことができるか、又は1つ若しくは2つ以上の放射線不透過性マーカを先端部の遠位端に、遠位端上に、及び/又は遠位端に隣接して追加することができる。加えて、編組ワイヤのうちの1つ又は2つ以上は、NiTiの外層を有する白金コア(放射線不透過性の)を含むDFTワイヤを含んでもよい。かかるマーカにより、医師は、口部が完全に反転して血管壁まで拡大したことを視覚的に確認することができるであろう。
【0125】
本開示のカテーテルシステムに使用される吸引源は、本明細書に開示されるカテーテルシステムのいずれかの遠位先端部に向けられる手動のシリンジ、又は小変位真空ポンプ、及び吸引とすることができる。有効な吸引は、血管壁、外側カテーテルの内壁との、遠位先端部の反転した漏斗形状のシール作用によって、及び/又は流量制限器/シールの使用を介して達成され得る。しかしながら、いくつかの実施例では、吸引のみを使用する従来のカテーテルシステムのいずれかを用いて血塊を取り除くか、又は完全に回収することは不可能である。この点において、血栓除去装置は、本開示のカテーテルシステムと共に使用することができ、吸引式血塊回収カテーテルと共に供給され得るか、又は吸引式血塊回収カテーテルとは別個であり得る、多数の市販製品のいずれかであってもよいことが企図される。血栓除去装置を本開示の拡大型口腔カテーテルシステムと併用して使用することは、初回通過成功の可能性を増加させるいくつかの利益を有する。血栓除去装置は、負圧下で潰れる可能性が低くなるように、吸引中に血管の管腔を支持することができ、血栓除去装置は、別様に断片化し得る一連の剛性部分及び軟質部分を含む血塊である場合、血塊を一緒に保持するであろう。血栓除去装置はまた、ユーザが挟持しなければカテーテル先端部と血栓除去装置との間の血塊回収カテーテルの管腔に完全に進入しないであろう血塊を、ユーザが挟持することを可能にし得る。血塊回収カテーテル、血塊、及び血栓除去装置が脈管構造及び外側カテーテルを通って一体となって後退するため、挟持された血塊が血塊回収カテーテルから取り除かれる可能性は低くなる。
【0126】
図17は、フロー図であり、各々は、本開示の1つのシステムを用いて処置を実施するための方法工程を含む。方法の工程は、本明細書に説明される例示的なシステム、装置、及び/又は器具のいずれかによって、又は当業者に既知である手段によって実施され得る。
【0127】
図17に概説される方法1700を参照すると、工程1710は、本開示の任意のカテーテルを標的部位まで前進させることを含む。工程1720は、拡張器によって、カテーテルの遠位先端部を、カテーテルの管腔内に少なくとも部分的に後退させること、好ましくは拡張器を除去して、カテーテル内に後退する血塊への吸引流量及び力を最大化することにより、遠位先端部を漏斗形状に拡大及び反転させることを含む。
【0128】
方法1700のいくつかの実施例では、ユーザがどのように流量制限及び/又はシールを展開したかに応じて、拡張器を抜去することができ、次いで、カテーテルを通して吸引を適用して血塊をカテーテルの口部内へと刺激することができる。吸引のみでは血栓を取り除く、及び捕捉するには不十分である場合、又は初期の吸引及び取り除き中に血塊の更なる把持が所望される場合、機械的血栓除去血塊回収装置を有するマイクロカテーテルを標的まで前進させることができる。次いで、当該技術分野において一般的に知られている任意の方法を使用して、機械的血栓除去装置を展開して血塊を捕捉することができる。吸引は、血液の還流を防止し、血塊の緊密な把持を維持するために本工程全体で、又はユーザによって選択された間隔で継続することができる。いくつかの例では、ステント回収器を用いた血塊の吸引及び引っ張りは、初回通過成功の機会を増加させるのに最適であり得る。
【0129】
方法1700のいくつかの実施例では、捕捉された血塊及び血塊回収カテーテルを患者から抜去することができるか、又は機械的血栓除去血塊回収装置が患者から血塊と共に抜去されるときに、血塊回収カテーテルを所定の位置に残してアクセスを維持することができる。血塊が吸引源及び/又は血栓除去装置において観察され、流れが血塊回収カテーテル内で遮断されていない場合、この工程は、既知の技術を使用して、システムに低圧下で造影剤を慎重に注入して、血管が開いているかどうかを判定することを伴う場合がある。血管が開いている場合、血塊回収カテーテルを除去することができる。閉塞が残っている場合、血管が開くまで、吸引、血栓除去、又はこれらの組み合わせの追加の通過が繰り返されてもよい。
【0130】
本開示は、構成及び詳細において変化し得る、記載された実施例に必ずしも限定されない。「遠位」及び「近位」という用語は、前述の説明を通して使用され、治療する医師又はユーザに対する位置及び方向を指すことを意味する。したがって、「遠位」又は「遠位に」は、医師に対して離れた位置又は医師から離れる方向を指す。同様に、「近位」又は「近位に」は、医師に対して近い位置又は医師に向かう方向を指す。更に、文脈が明らかに既定しない限り、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、複数の指示対象を含む。
【0131】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は数値の範囲を指す「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書で述べるその意図された目的に沿って機能することを可能とする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば「約90%」は、71%~99%の値の範囲を指し得る。
【0132】
例示的な実施形態について説明する際、明確にするために、専門用語が利用されている。各用語は、当業者によって理解されるその最も広い意味を有することが企図されており、本開示の範囲及び趣旨を逸脱することなく、類似の目的を実現するために同様に作用する全ての技術的な均等物を含むことが意図される。方法の1つ又は2つ以上の工程への言及は、追加の方法工程又は明示的に識別されたそれらの工程間に介在する方法工程の存在を排除しないことも理解されたい。方法のいくつかの工程は、開示される技術の範囲から逸脱することなく、本明細書に述べられる順序とは異なる順序で実施することができる。同様に、方法工程のうちのいくつかを省略してもよいことも理解されたい。
【0133】
装置又はシステムにおける1つ又は2つ以上の構成要素への言及は、追加の構成要素又は明示的に識別されたそれらの構成要素間に介在する構成要素の存在を排除しない。明確さ及び簡潔さのために、全ての可能な組み合わせが列挙されているわけではなく、かかる修正例は、多くの場合、当業者には明らかであり、以下の特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0134】
〔実施の態様〕
(1) 展開された状態に作動可能なカテーテルシステムであって、
管腔を備えるカテーテル本体と、
前記管腔内に少なくとも部分的に位置付けられた拡張器と、を備え、前記拡張器の遠位端が、前記カテーテル本体の遠位先端部に解放可能に接続され、前記拡張器が、前記展開された状態において、前記遠位先端部を拡大及び反転させ、漏斗形状を形成するように後退可能である、カテーテルシステム。
(2) 前記遠位先端部が、
近位セグメントと、
前記近位セグメントから延在し、実質的に可撓性である遠位セグメントと、を備え、前記遠位セグメントの近位端が、前記近位セグメントから延在し、前記遠位セグメントの遠位端に隣接し、かつ/又は前記遠位端に接続されたプルリングを備える、実施態様1に記載のシステム。
(3) 潰れた状態の前記遠位セグメントの中点が、前記カテーテル本体の遠位の前記展開された状態の前記漏斗形状の最遠位の非侵襲性端に遷移する、実施態様2に記載のシステム。
(4) 前記遠位セグメントが、潰れた状態では、実質的に管状であり、前記展開された状態では、前記漏斗形状を含み、エアクッションが前記漏斗形状によって前記遠位端と前記プルリングとの間に形成される、実施態様2に記載のシステム。
(5) 前記遠位セグメントが、近位編組部分と遠位渦巻き状部分とに分割されている、実施態様2に記載のシステム。
【0135】
(6) 前記拡張器が、
近位セグメントと、
前記近位セグメントよりも大きい直径を備える、前記近位セグメントより遠位の遠位セグメントと、を備え、前記遠位セグメントが、前記遠位セグメントから半径方向外向きに延在し、前記プルリングと接触して、前記遠位セグメントの前記近位端と整列するか、又は前記近位端に隣接するまで、前記プルリングを近位に並進させるように構成されている接触要素を備える、実施態様2に記載のシステム。
(7) 前記接触要素が、前記カテーテル本体の前記遠位先端部の前記遠位端との締まり嵌めを含む、実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記拡張器の前記遠位セグメントが、前記接触要素において最大直径を備え、前記接触要素から、前記遠位セグメントの前記遠位端78まで減少する、実施態様6に記載のシステム。
(9) 前記拡張器の前記遠位セグメントが、前記接触要素において最大直径を備え、前記接触要素から、前記近位セグメントと前記遠位セグメントとの間の接合部73までテーパ状である、実施態様6に記載のシステム。
(10) 前記拡張器の前記近位セグメントが、高度に可撓性であるか、又は実質的に、前記拡張器の前記遠位セグメントよりも可撓性である、実施態様6に記載のシステム。
【0136】
(11) 前記より剛性の遠位セグメントの遠位に延在する実質的に可撓性のセグメントを更に備え、前記実質的に可撓性のセグメントが、短い鼻部である、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記拡張器の前記近位セグメントが、伸長を打ち消すための繊維強化システムを備える、実施態様6に記載のシステム。
(13) 前記遠位先端部の前記近位端及び前記プルリングが、前記展開された状態で一緒にロックされる、実施態様2に記載のシステム。
(14) 前記遠位先端部の前記近位端及び前記プルリングが各々、一緒にスナップロックされるように構成された嵌合面を備える、実施態様2に記載のシステム。
(15) 前記遠位先端部が、反転して前記漏斗形状を形成する前に、最初に実質的に円錐の形状に拡大するように構成されている、実施態様2に記載のシステム。
【0137】
(16) 前記遠位先端部が、近位部分、中間部分、及び遠位部分を含む、編組部を備え、前記編組部は、螺旋状の構成で近位部分から遠位部分まで延在するフィラメントを含み、前記遠位部分が、前記近位部分を半径方向外向きに押すのに十分な半径方向の力を含む一方で、非侵襲的な様式で様々な血管サイズに適応するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(17) 血管内で拡大式カテーテルを反転させる方法であって、
前記カテーテルを標的部位まで前進させることと、
拡張器によって、少なくとも部分的に前記カテーテルの管腔内に前記カテーテルの遠位先端部を後退させることにより、前記遠位先端部を漏斗形状に拡大及び反転させることと、を含む、方法。
(18) 前記漏斗形状により、前記血管内の流れを制限することを更に含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記拡張器を前記カテーテルから抜去することと、
前記カテーテルを通して吸引して、血栓を前記漏斗形状の口部内へと刺激することと、
捕捉した前記血栓と共に、前記カテーテルを患者から抜去することと、を更に含む、実施態様17に記載の方法。
(20) 機械的血栓除去装置を用いて閉塞性血栓を捕捉することと、
前記血栓除去装置を前記カテーテルの前記漏斗形状内に抜去することと、を更に含む、実施態様17に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図17
【外国語明細書】