(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046461
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】免疫療法のためのFLT3指向CAR細胞
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20220315BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20220315BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20220315BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20220315BHJP
C07K 14/725 20060101ALI20220315BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220315BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20220315BHJP
C12N 15/861 20060101ALI20220315BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20220315BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20220315BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220315BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220315BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220315BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220315BHJP
C12N 5/0781 20100101ALI20220315BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20220315BHJP
C12N 5/0784 20100101ALI20220315BHJP
C12N 5/0789 20100101ALI20220315BHJP
C12N 15/57 20060101ALI20220315BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20220315BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220315BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220315BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20220315BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20220315BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20220315BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20220315BHJP
C12N 5/09 20100101ALN20220315BHJP
C12N 7/01 20060101ALN20220315BHJP
【FI】
C12N15/13
C12N15/12 ZNA
C12N15/62 Z
C07K19/00
C07K14/725
C12N15/63 Z
C12N15/11 Z
C12N15/861 Z
C12N15/867 Z
C12N15/864 100Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N5/0781
C12N5/0783
C12N5/0784
C12N5/0789
C12N15/57
C07K16/30
A61P35/00
A61P35/02
A61P7/00
A61K35/12
A61K35/17 Z
A61P37/04
C12N5/09
C12N7/01
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189789
(22)【出願日】2021-11-24
(62)【分割の表示】P 2018534523の分割
【原出願日】2016-09-23
(31)【優先権主張番号】62/222,695
(32)【優先日】2015-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】518096526
【氏名又は名称】サイトイミューン セラピューティクス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CytoImmune Therapeutics, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユイ、チエンホア
(72)【発明者】
【氏名】カリジューリ、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ディヴァイン、スティーヴン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】AMLの処置のためにAML腫瘍関連抗原を標的とするための新規なCARを提供する。
【解決手段】(a)FLT3抗体の抗原結合ドメインと、(b)ヒンジドメインと、(c)膜貫通ドメインと、(d)細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。前記CARは、(a)FLT3抗体の抗原結合ドメインと、(b)ヒンジドメインと、(c)CD28膜貫通ドメインと、(d)CD28共刺激シグナル伝達領域、4-1BB共刺激シグナル伝達領域、ICOS共刺激シグナル伝達領域およびOX40共刺激領域から選択される1つまたは複数の共刺激領域と、(e)CD3ゼータシグナル伝達ドメインとを含んでよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)FLT3抗体の抗原結合ドメインと、(b)ヒンジドメインと、(c)膜貫通ドメインと、(d)細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項2】
(a)FLT3抗体の抗原結合ドメインと、(b)ヒンジドメインと、(c)CD28膜貫通ドメインと、(d)CD28共刺激シグナル伝達領域、4-1BB共刺激シグナル伝達領域、ICOS共刺激シグナル伝達領域およびOX40共刺激領域から選択される1つまたは複数の共刺激領域と、(e)CD3ゼータシグナル伝達ドメインとを含む、請求項1に記載のキメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項3】
前記FLT3抗体の前記抗原結合ドメインが、FLT3重鎖可変領域とFLT3軽鎖可変領域とを含む、請求項1または2に記載のCAR。
【請求項4】
前記FLT3重鎖可変領域と前記FLT3軽鎖可変領域の間に位置するリンカーポリペプチドをさらに含む、請求項3に記載のCAR。
【請求項5】
前記FLT3重鎖可変領域が、配列番号21~配列番号23、配列番号29~配列番号31、またはその同等物のいずれか1つによってコードされるアミノ酸配列を含む、請求項4に記載のCAR。
【請求項6】
前記FLT3軽鎖可変領域は、CDR領域が、配列番号24~配列番号26、配列番号32~配列番号34、またはその同等物のいずれか1つによってコードされるアミノ酸配列を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項7】
前記リンカーポリペプチドが、配列(GGGGS)n(式中、nは1~6の整数である)を含むポリペプチドを含む、請求項4~6のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項8】
当該CARに結合する検出可能なマーカーまたは精製マーカーをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項9】
同等物が、当該CARに対して少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドまたは、当該CARをコードするポリヌクレオチドの相補体に高ストリンジェンシーの条件のもとでハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含み、高ストリンジェンシーの条件が、約55℃~約68℃のインキュベーション温度、約1×SSC~約0.1×SSCの緩衝液濃度、約55%~約75%のホルムアミド濃度、および、約1×SSC、0.1×SSCまたは脱イオン水の洗浄液を含む、請求項5~8のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載されるCARをコードする単離された核酸配列またはその相補体、あるいはそれらのそれぞれの同等物であって、同等物は、少なくとも80%の配列同一性を前記ポリヌクレオチドまたはその相補体に対して、あるいは、前記CARをコードする前記単離された核酸の前記ポリヌクレオチドまたは前記相補体に高ストリンジェンシーの条件のもとでハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドに対して有し、この場合、高ストリンジェンシーの条件が、約55℃~約68℃のインキュベーション温度、約1×SSC~約0.1×SSCの緩衝液濃度、約55%~約75%のホルムアミド濃度、および、約1×SSC、0.1×SSCまたは脱イオン水の洗浄液を含む、核酸配列またはその相補体、あるいはそれらのそれぞれの同等物。
【請求項11】
前記FLT3抗体の前記抗原結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの上流に位置する、プロモーターをコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、請求項10に記載の単離された核酸。
【請求項12】
前記プロモーターをコードする前記ポリヌクレオチド配列が、CMVプロモーター、MNDプロモーターまたはEF1アルファプロモーターから選択される、請求項11に記載の単離された核酸。
【請求項13】
前記FLT3抗体の前記抗原結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの上流または下流に位置する、iCaspをコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の単離された核酸。
【請求項14】
前記iCaspをコードする前記ポリヌクレオチド配列が配列番号40である、請求項13に記載の単離された核酸。
【請求項15】
前記FLT3抗体の前記抗原結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの上流に位置する、2Aペプチド(T2A)をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、請求項10~14のいずれか一項に記載の単離された核酸。
【請求項16】
前記2Aペプチドをコードする前記ポリヌクレオチド配列が配列番号41である、請求項15に記載の単離された核酸。
【請求項17】
前記FLT3抗体の前記抗原結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの上流に位置する、シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、請求項10~16のいずれか一項に記載の単離された核酸。
【請求項18】
前記シグナルペプチドをコードする前記ポリヌクレオチド配列が、配列番号42、配列番号43および配列番号44から選択される、請求項17に記載の単離された核酸。
【請求項19】
請求項10~18のいずれか一項に記載される単離された核酸配列を含むベクターまたはmRNA。
【請求項20】
プラスミドである、請求項19に記載のベクターまたはmRNA。
【請求項21】
レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターおよびアデノ関連ウイルスベクターの群から選択されるウイルスベクターである、請求項19に記載のベクターまたはmRNA。
【請求項22】
請求項1~9のいずれか一項に記載されるCAR、および/または請求項10~18のいずれか一項に記載される単離された核酸、および/または請求項19~21のいずれか一項に記載されるベクターまたはmRNAを含む単離された細胞。
【請求項23】
前記単離された核酸に結合される検出可能な標識をコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項22に記載の単離された細胞。
【請求項24】
原核生物細胞または真核生物細胞である、請求項22~23のいずれか一項に記載の単離された細胞。
【請求項25】
真核生物細胞である、請求項22~24のいずれか一項に記載の単離された細胞。
【請求項26】
前記真核生物細胞が、動物細胞、哺乳動物細胞、ウシ細胞、ネコ細胞、イヌ細胞、ネズミ細胞、ウマ細胞またはヒト細胞から選択される、請求項25に記載の単離物。
【請求項27】
前記真核生物細胞が、T細胞、B細胞、NK細胞、樹状細胞または骨髄細胞である、請求項25に記載の単離された細胞。
【請求項28】
請求項1~9のいずれか一項に記載されるCAR、および/または請求項10~18のいずれか一項に記載される単離された核酸、および/または請求項19~21のいずれか一項に記載されるベクターまたはmRNA、および/または請求項22~27のいずれか一項に記載される単離された細胞を含む組成物。
【請求項29】
FLT3抗原を発現する細胞に結合した請求項1~9のいずれか一項に記載されるCARを含む単離された細胞を含む単離された複合体。
【請求項30】
単離された細胞に対して、請求項10~18のいずれか一項に記載される単離された核酸配列、および/または請求項19~21のいずれか一項に記載されるベクターまたはmRNAにより形質導入を行うことを含む、FLT3 CARを発現する細胞を作製する方法。
【請求項31】
請求項22~27のいずれか一項に記載される単離された細胞の効果的な量を対象に投与することを含む、FLT3を発現するガンの処置をその必要性のある対象において行う方法。
【請求項32】
前記単離された細胞が、処置される前記対象に対して自己である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ガンが、血液および/または骨髄を冒すガンである、請求項31~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記ガンが急性骨髄性白血病である、請求項31~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記対象がヒト患者である、請求項31~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
請求項22~27のいずれか一項に記載される単離された細胞が、請求項13および14のいずれか一項に記載される単離された核酸を含み、前記iCasp発現ポリヌクレオチドの発現を誘導することをさらに含む、請求項31~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
患者から単離される腫瘍サンプルを効果的な量の抗FLT3抗体と接触させ、前記腫瘍サンプルに結合したいくらかの抗体の存在を検出することを含み、前記腫瘍サンプルに結合した抗体の存在により、前記患者は、前記FLT3 CAR治療に応答する可能性が高いことが示され、また、前記腫瘍サンプルに結合した抗体の非存在により、前記患者は、前記FLT3 CAR治療に応答する可能性がないことが示される、患者が、FLT3 CAR治療に応答する可能性が高いか、または、FLT3 CAR治療に応答する可能性がないかを明らかにするための方法。
【請求項38】
効果的な量の前記FLT3 CAR発現細胞を、前記FLT3 CAR治療に応答する可能性が高いと明らかにされる前記患者に投与することをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
本明細書中に開示されるような組成物と、必要な場合には使用のための説明書とを含むキット。
【請求項40】
FLT3抗原結合ドメインと、必要な場合には使用のための説明書とをさらに含む、請求項39に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本出願は、米国仮特許出願第62/222,695号(2015年9月23日出願)に対しての米国特許法第119条(e)による優先権を主張する(その内容は本明細書により、その全体が参照により組み込まれる)。
【0002】
本開示は一般にはヒトの免疫学の分野に関連し、具体的にはヒトの免疫療法の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景の下記議論は、本発明に対する技術を助けるために単に提供されるにすぎない。
【0004】
2016年には合衆国中において、60,140人の白血病の新規症例者(すべての新規ガン症例者の3.5%)が存在するであろうし、予想では、24,400人(すべてのガン死亡者の4.1%)がこの疾患で死亡するであろう。白血病は、白血球を含めて多くのタイプの細胞から生じる初期の血液形成細胞の広範囲のガンである。したがって、白血病は多くのカテゴリーを含む:例えば、急性または慢性、骨髄性またはリンパ性(2016)。タイプが異なる白血病は処置および見通しが異なる。化学療法および同種血液学的幹細胞移植(HSCT)がこれまで白血病に関して首尾よく適用されている。しかしながら、HSCTは、免疫拒絶、感染および移植片対宿主病(GVHD)に起因すると考えられる移植関連の罹患率および死亡率によって制限される。Kenderian他(2016)、Biol Blood Marrow Transplant、pii:S1083-8791(16)30328-7、ePub(doi:10.1016/j.bbmt.2016.09.002)。化学療法ではまた、難治性ガンが引き起こされることになる。したがって、新規かつ効果的な治療法を開発することが急務である。
【0005】
急性骨髄性白血病(AML)は、造血幹細胞(HSC)または系譜特異的な始原体細胞のどちらかに由来する不均一なクローン性障害である。合衆国では2013年において、14,590人がAMLと診断され、10,370人がAMLで死亡したことが推定された。Siegel他(2013)、CA Cancer J Clin、63(1):11~30を参照のこと。AMLの発生率が年齢とともに増大しており、高齢患者(65歳以上)における5年生存率が10%未満である。Dores他(2012)、Blood、119(1):34~43を参照のこと。この疾患の分子的複雑さおよび遺伝子的複雑さが広く理解されているにもかかわらず、同種造血幹細胞移植(HSCT)のみがAML患者の臨床結果における著しい改善をもたらしている。しかしながら、高齢者患者はHSCTについて適格とならない場合があり、また、この取り組みにもまた、著しい罹患率および死亡率をもたらし得る様々な合併症(例えば、移植片対宿主病(GVHD)など)が伴う。そのうえ、FLT3の遺伝子内縦列重複(ITD)変異を有する患者は、とりわけ有害な予後および高い再発確率を有する。したがって、AMLを処置するための様々な新規な取り組みは、未だ対処されていない治療的必要性を表している。
【0006】
近年では、細胞療法における著しい改善が、様々な血液学的悪性腫瘍において認められている。様々な血液学的悪性腫瘍を処置するための1つの興味深い新しい取り組みでは、腫瘍関連抗原を直接に標的とするキメラ抗原受容体(CAR)による免疫細胞の遺伝子改変が伴う。CAR T細胞は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)および慢性リンパ球性白血病(CLL)においてCD19を標的とすることについて、臨床において成功していることが明らかにされている。例えば、Porter他(2011)、NJEM、365
(8):725~733;Grupp他(2013)、NJEM、368(16):1509~1518;Brentjens他(2013)、Sci Transl Med、5(177):177ra38;および、Papapetrou他(2011)、Nature Biotechnol、29(1):73~78を参照のこと。しかしながら、CD19-の血液学的悪性腫瘍(例えば、多発性骨髄腫(MM)およびAMLなど)を処置するためのCAR免疫細胞によって標的化され得る腫瘍関連の表面抗原を同定することは、非常に困難であることが判明している。
【0007】
白血病に対するキメラ抗原受容体(CAR)T細胞の様々な報告は、化学的処置およびHSCTの後における再発および難治性を伴う疾患の解明に役立っている。CARが、モノクローナル抗体から得られる単鎖可変フラグメント(scFv)を免疫細胞の受容体からの細胞内ドメインに組み込むことによって開発されている。CAR操作されたT細胞では、腫瘍表面に現れた抗原を認識する活性を獲得し、かつ、この遺伝子改変されたT細胞が共刺激分子および免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)の協同作用によって活性化されたならば、特定の悪性腫瘍を死滅させるために、接ぎ木のようにモノクローナル抗体の特異性に、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の特異的な抗腫瘍活性が接がれている。Grada他(2013)、Molecular Therapy Nucleic Acids、2:e105。しかしながら、CAR T細胞による白血病患者の処置では、サイトカインストームが生じる可能性がある。Morgan他(2010)、Mol Ther、18:843~851;Porter他(2011)、NJEM、365:725~733。CAR T細胞と比較して、CARナチュラルキラー(NK)細胞の方が、サイトカインストーム、腫瘍崩壊症候群を、移植片対宿主病(GVHD)と同様に患者での同種状況において誘発する危険性が低い場合がある。これは、CAR NK細胞はクローン増殖を欠いているからである。Han他(2015)、Scientific Reports、5:11483;Uherek他(2002)、Blood、100:1265~1273。CAR NK細胞を首尾よく適用するための重要な課題が、標的とするための適切な細胞表面抗原を見出すことである。FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)は、白血病における、とりわけ急性骨髄性白血病(AML)における高発現の表面タンパク質であり、それに反して、その変異は、白血病の発症の期間中に受容体のリガンド非依存的な活性化および下流側のシグナル伝達経路の活性化を引き起こすので、通常は低いレベルで維持されている。Lagunas-Rangel他(2016)、Hematol Oncol、ePub(doi:10.1002/hon.2330)。
【0008】
AML細胞はCD19の表面発現を有していないので、CD19-CARをAMLの処置のために使用することができない。CD33、CD44v6、LeYおよびCD123が、AML処置のためのCAR T細胞によって標的化されるためのAML関連抗原であることが提案されている。例えば、Dinndorf他(1986)、Blood、67
(4):1048~1053;Griffin他(1984)、Leuk Res、8(4):521~534;Casucci他(2013)、Blood、122(20):3461~3472;Peinert他(2010)、Gene Therapy、17
(5):678~686を参照のこと。しかしながら、これらのマーカーは、正常な細胞
(例えば、造血幹細胞/始原体細胞、骨髄細胞および他の成熟細胞など)の表面に広範囲に発現しているため、前臨床研究または臨床研究では、それらは、腫瘍を根絶するために効果的でないこと、または、正常な細胞が破壊されるために非常に毒性であることのどちらかであることが示された。例えば、Hernandez-Caselles他(2006)、J.Leukocyte Biol.、79(1):46~58;Ritchie他(2013)、Molecular Therapy、21(11):2122~2129;Gill他(2014)、Blood、123(15):2343~2354を参照のこと。特に、CD33(SIGLEC-3)がAML患者の85%~90%の白血病性芽球で発現される。例えば、Dinndorf他(1986)およびGriffin他
(1984)を参照のこと。しかしながら、CD33がT細胞およびNK細胞のサブセットで発現され、骨髄細胞および長期間正常なHSCで広範囲に発現される。Hernandez-Caselles他(2006)を参照のこと。
【0009】
CD44v6(これはHSCには存在しない)もまた、CAR T細胞によって標的とされている。しかしながら、CD44v6は、活性化T細胞、単球およびケラチノサイトで発現しており、CD44v6の注入は単球減少症をもたらしている。Casucci他
(2013)を参照のこと。LeYもまた、AML処置のためのCAR T細胞によって標的とされたが、臨床データは有望な結果を示さなかった。例えば、Peinert他(2010)およびRitchie他(2013)を参照のこと。近年、いくつかのグループからの前臨床研究では、CD123-CAR T細胞により、AMLが効果的に根絶され、しかし、これらのCAR T細胞もまた骨髄機能除去を引き起こすことが明らかにされた。また、近年の臨床データは、CD123が、正常なHSC、様々な成熟した免疫細胞、および、それどころか内皮細胞によって発現されるという事実のためであるかもしれないが、CD123-CAR T細胞が非常に毒性であることを示していた。例えば、Gill他(2014);Tettamanti他、Oncoimmunol、3:e28835(2014);Pizzitola他(2014)、Leukemia、28(8):1596~1605;Mardiros他(2013)、Blood、122(18):3138~3148;Tettamanti他(2013)、British Journal of Haematol、161(3):389~401;Ehninger他(2014)、Blood Cancer Journal、4:e218;Gilliet他(2004)、Archives of Dermatol、140(12):1490~1495を参照のこと。
【0010】
これらの研究は、AMLにおいてCAR免疫細胞によって安全に標的化されるべき理想的な腫瘍抗原が未だ特定されていないことを示唆している。AML腫瘍関連抗原をAMLの処置のために標的とするための新規なCAR取り組みは、患者の生存を高め、かつ、AMLの再発を防止する可能性を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の様々な局面が、(a)FLT3抗体の抗原結合ドメインと、(b)ヒンジドメインと、(c)膜貫通ドメインと、(d)細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)に関連する。本開示のさらなる様々な局面が、(a)FLT3抗体の抗原結合ドメインと、(b)ヒンジドメインと、(c)CD28膜貫通ドメインと、(d)CD28共刺激シグナル伝達領域、4-1BB共刺激シグナル伝達領域、ICOS共刺激シグナル伝達領域およびOX40共刺激領域から選択される1つまたは複数の共刺激領域と、(e)CD3ゼータシグナル伝達ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)に関連する。
【0012】
ある特定の実施形態において、FLT3抗体の抗原結合ドメインはFLT3重鎖可変領域とFLT3軽鎖可変領域を含み、または代替では、FLT3重鎖可変領域とFLT3軽鎖可変領域から本質的に構成され、または、FLT3重鎖可変領域およびFLT3軽鎖可変領域をさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、FLT3重鎖可変領域は、配列番号21~配列番号23、配列番号29~配列番号31、またはそれらのそれぞれの同等物のいずれか1つを含むCDR領域を含み、あるいは代替では、該CDR領域から本質的になり、あるいは、該CDR領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、FLT3重鎖可変領域は、配列番号19、配列番号27、またはそれらのそれぞれの同等物のいずれか1つによってコードされるアミノ酸配列を含み、あるいは代替では、該アミノ酸配列から本質的に構成され、あるいは、該アミノ酸配列をさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、FLT3軽鎖可変領域は、配列番号24~配列番号26、配列番号32~配列番号34、またはそれらのそれぞれの同等物のいずれか1つを含むCDR領域を含む。いくつかの実施形態において、FLT3軽鎖可変領域は、配列番号20、配列番号28、またはそれらのそれぞれの同等物のいずれか1つによってコードされるアミノ酸配列を含み、あるいは代替では、該アミノ酸配列から本質的に構成され、あるいは、該アミノ酸配列をさらに含む。
【0015】
ある特定の実施形態において、上記CARは、上記FLT3重鎖可変領域と上記FLT3軽鎖可変領域との間に位置するリンカーポリペプチドをさらに含み、またはさらに代替では、該リンカーポリペプチドから構成される。ある特定の実施形態において、上記リンカーはグリシン-セリンリンカーである。さらなる実施形態において、上記リンカーポリペプチドは、グリシンおよびセリンからなる配列(例えば、(GGGGS)n、これはまた(G4S)nとして示され、ただし、nは1~6の整数であり、例えば、1、2、3、4、5または6である)を含み、代替では、該配列から本質的に構成され、または、該配列をさらに含む。
【0016】
ある特定の実施形態において、上記CARは、当該CARに結合する検出可能なマーカーまたは精製マーカーをさらに含み、あるいはさらに代替では、該検出可能なマーカーまたは該精製マーカーから構成される。
【0017】
本開示のさらなる様々な局面が、上記で記載されるようなCARをコードする単離された核酸配列またはその相補体、またはそれらのそれぞれの同等物に関連する。
【0018】
ある特定の実施形態において、上記単離された核酸配列は、上記FLT3抗体の上記FLT3抗原結合ドメインの上記抗原結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの上流に位置するポリヌクレオチドプロモーター配列をさらに含み、さらにまたは該ポリヌクレオチドプロモーター配列から本質的に構成され、さらにあるいは、該ポリヌクレオチドプロモーター配列から構成される。
【0019】
ある特定の実施形態において、上記単離された核酸配列は、上記FLT3抗体の上記FLT3抗原結合ドメインの上記抗原結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの上流または下流に位置する、誘導性カスパーゼ(「iCasp」)または他の「自殺遺伝子」をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含み、さらにまたは、該ポリヌクレオチド配列から本質的に構成され、さらにあるいは、該ポリヌクレオチド配列から構成される。
【0020】
ある特定の実施形態において、上記単離された核酸配列は、上記FLT3抗体の上記FLT3抗原結合ドメインの上記抗原結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの上流または下流に位置する、2Aペプチド(T2A)をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含み、さらにまたは該ポリヌクレオチド配列から本質的に構成され、さらにあるいは、該ポリヌクレオチド配列から構成される。
【0021】
ある特定の実施形態において、上記単離された核酸配列は、上記FLT3抗体の上記FLT3抗原結合ドメインの上記抗原結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの上流に位置する、シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列をさらに含み、さらにまたは、該ポリヌクレオチド配列から本質的に構成され、さらにあるいは、該ポリヌクレオチド配列から構成される。
【0022】
ある特定の局面において、上記単離された核酸は、当該単離された核酸に機能的に結合される、抗生物質耐性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含み、または代替では、該ポリヌクレオチドから本質的に構成され、または、該ポリヌクレオチドをさらに含む。
【0023】
本開示の様々な局面が、上記で記載される単離された核酸の1つまたは複数を含むベクターに関連する。ある特定の実施形態において、上記ベクターは、プラスミド、または、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターおよびアデノ関連ウイルスベクターの群から選択されるウイルスベクターである。上記単離された核酸、および、上記単離された核酸を含む前記ベクターは、本明細書中に記載されるようなCARを調製するために有用である。
【0024】
本開示のさらなる様々な局面が、上記で記載された構成物(すなわち、FLT3 CAR、CARをコードする単離された核酸もしくはその相補体、または上記単離された核酸を含有するベクター)の1つまたは複数を含む単離された細胞、あるいは代替では、上記で記載された構成物の1つまたは複数から本質的になる単離された細胞、あるいは、さらには、上記で記載された構成物の1つまたは複数から構成される単離された細胞、に関連する。ある特定の実施形態において、上記単離された細胞は原核生物細胞(例えば、細菌細胞(例えば、大腸菌)など)または真核生物細胞である場合がある。いくつかの実施形態において、上記単離された真核生物細胞は、動物細胞、哺乳動物細胞、ウシ細胞、ネコ細胞、イヌ細胞、ネズミ細胞、ウマ細胞またはヒト細胞から選択される。さらなる実施形態において、上記単離された細胞は免疫細胞である。さらにさらなる実施形態において、上記単離された免疫細胞は、T細胞、B細胞、NK細胞、樹状細胞、骨髄細胞、または、任意の他の免疫細胞である。
【0025】
本開示の様々な局面が、上記で記載された構成物の1つまたは複数(例えば、CAR、単離された核酸、細胞またはベクター)およびキャリアを含む組成物、あるいは代替では、上記で記載された構成物(例えば、CAR、単離された核酸、細胞またはベクター)の1つまたは複数およびキャリアから本質的になる組成物、あるいは、さらには、上記で記載された構成物の1つまたは複数およびキャリアから構成される組成物に関連する。
【0026】
本開示の様々な局面が、CAR、または、FLT3もしくはそのフラグメントに結合している上記CARを含む細胞、ならびに/あるいは、FLT3関連抗原を発現する細胞を含む単離された複合体に関連する。1つの局面において、上記抗原結合ドメインが上記細胞の表面に発現する。別の局面において、上記FLT3関連抗原がガン/腫瘍において発現する。ガンの限定されない一例が急性骨髄性白血病である。1つの局面において、上記FLT3 CARを含有する、または発現する上記細胞は、免疫細胞である。さらなる局面において、上記FLT3 CARを含有する、または発現する上記免疫細胞は、NK細胞、B細胞、T細胞、樹状細胞、骨髄細胞、または、任意の他の免疫細胞である。いくつかの実施形態において、上記細胞は遺伝子改変または他の改変を受ける場合がある。例えば、T細胞は、患者のための同種T細胞としての使用のために改変されるT細胞受容体(TCR)を含む場合がある。
【0027】
本開示のいくつかの局面が、FLT3 CARを発現する細胞を作製する方法であって、単離された細胞に対して、本明細書中に記載されるようなCARをコードする核酸配列により形質導入を行うことを含む方法、または代替では、単離された細胞に対して、本明細書中に記載されるようなCARをコードする核酸配列により形質導入を行うことから本質的になる方法、さらにあるいは、単離された細胞に対して、本明細書中に記載されるようなCARをコードする核酸配列により形質導入を行うことからなる方法に関連する。
【0028】
さらなる局面において、上記方法はさらに、上記CARを発現する上記細胞を選択し、単離することを含む。さらなる局面において、上記細胞は、真核生物細胞、例えば、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞(例えば、免疫細胞など)であり、免疫細胞の限定されない例には、NK細胞、B細胞、T細胞、樹状細胞、骨髄細胞、または、任意の他の免疫細胞が含まれる。上記細胞には、本明細書中に記載されるようなウイルスベクターを使用して、または代替では、Riet他(2013)、Meth.Mol.Biol.、969:187~201(論文名:“Nonviral RNA transfection to transiently modify T cell with chimeric antigen receptors for adoptive therapy”)に記載される技術を使用して形質導入を行うことができる。
【0029】
ある特定の実施形態において、FLT3 CARを発現する細胞を作製する上記方法は、FLT3 CARを発現する細胞の集団を活性化し、拡大することをさらに含み、または代替では、FLT3 CARを発現する細胞の集団を活性化し、拡大することから本質的になり、さらにあるいは、FLT3 CARを発現する細胞の集団を活性化し、拡大することからなる。本開示のある特定の局面が、FLT3 CARを含む細胞の単離された活性化集団、または代替では、FLT3 CARから本質的になる細胞の単離された活性化集団、またはそれにもかかわらず、さらには、FLT3 CARからなる細胞の単離された活性化集団に関連する。ある特定の実施形態において、上記細胞は免疫細胞である。さらなる実施形態において、上記免疫細胞は、NK細胞、B細胞、T細胞、樹状細胞、骨髄細胞、または、任意の他の免疫細胞の1つまたは複数である。
【0030】
本開示の様々な局面が、上記腫瘍/ガンを、上記で開示される単離された細胞または組成物の効果的な量と接触させることによってFLT3を発現する腫瘍/ガンの成長を抑制する方法に関連する。上記接触させることはインビトロまたはインビボにおいてであることが可能である。上記接触させることがインビトロにおいてであるとき、上記方法は、患者の腫瘍/ガンに対する患者に合わせた個別化治療を試験するために、または、様々な併用療法についてアッセイするために使用することができる。上記接触させることがインビボにおいてであるとき、上記方法は、上記腫瘍/ガンの上記成長の抑制をその必要性のある対象において、また、効果的な量の上記細胞を受ける患者において達成するために有用である。ある特定の実施形態において、標的化される上記腫瘍/ガンは、血液および/または骨髄を冒すガンである。ある特定の実施形態において、上記単離された細胞は、処置される対象に対して自己である。別の局面において、上記方法は、効果的な量の細胞減少療法(例えば、化学療法、放射線療法および/または腫瘍溶解性ウイルス療法など)を対象に施すことをさらに含み、あるいは、効果的な量の細胞減少療法を対象に施すことから本質的になり、さらにあるいは、効果的な量の細胞減少療法を対象に施すことからなる。さらなる局面において、上記方法はさらに、上記対象に投与されるべき細胞を単離する工程、上記細胞に対して、本明細書中に記載されるようなCARをコードする効果的な量の単離された核酸により形質導入を行う工程、上記細胞を培養して、必要な場合には拡大され、また、活性化されるCARコード細胞の集団を得る工程、および、その後、上記細胞を上記患者に投与する工程を含む。
【0031】
本明細書中にまた、上記で記された構成物の1つまたは複数と、本明細書中に開示されるような方法におけるそれらの使用のための説明書とを含むキットが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】限定されない例示的なCARベクター構築物の概略図である。
【0033】
【
図2A-F】
図2A~
図2Fは、細胞表面のFLT3発現についての急性骨髄性白血病細胞株のフローサイトメトリー分析を示す。すべてのグラフについて、x軸は、FLT3に対するコンジュゲート化抗体の蛍光強度に基づくFLT3の表面発現を表し、y軸は細胞数を表す。
図2A~
図2Dは、高まったFLT3表面発現について陽性であり、一方で、
図2E~
図2Fは、アイソタイプコントロールよりも大きいFLT3発現を示さない。
【0034】
【
図3】AML MOLM-13細胞の溶解についての標準的な4時間クロム放出アッセイの結果を示す。空ベクターコントロールと、CD19 CAR T細胞とは、AML細胞の溶解をもたらさなかった。その一方で、FLT3-1(CAR1)およびFLT3(CAR2)を用いて作製されるFLT3 CAR T細胞は、AML細胞の根絶を劇的に強化するようである。
【0035】
【
図4】
図4A~
図4Cは、FLT3 CARを発現するT細胞の作製を示す。(
図4A)FLT3 CARレンチウイルス構築物の概略図。iCasp9、誘導性カスパーゼ9;T2A、自己切断性2A遺伝子;SP、シグナルペプチド;VH、可変H鎖;L、リンカー;VL、可変L鎖。MyC、MyC遺伝子配列;ヒンジ、ヒンジ鎖;CD28、CD3ζ、共刺激ドメイン。(
図4B)初代T細胞、初代T-EV細胞、初代T-FLT3細胞を、ビオチン標識されたヤギ抗マウスFab特異的またはIgGコントロールにより染色した後でフローサイトメトリーによって分析した。(
図4C)抗CD3ζによる免疫ブロッティングは、初代T細胞、および、FLT3-CAR構築物または空ベクター構築物のどちらかにより形質導入された初代T細胞(初代T-FLT3;EV)の表面におけるキメラなFLT3 scFvの発現を示した。
【0036】
【
図5】
図5A~
図5Cは、FLT3
+白血病細胞が認識されることにより、コントロールT細胞からの応答よりも強い、FLT3-CAR T細胞からの応答が誘発されることを示す。(
図5A)細胞を抗FLT3によって染色した後での白血病細胞株の表面におけるFLT3発現のフローサイトメトリー分析。(
図5B)間接的ELISAアッセイでは、初代T細胞、FLT3-CAR構築物または空ベクター構築物のどちらかにより形質導入された初代T細胞(T-FLT3;T-EV)の、MOLM-13、EOL-1またはU937の存在下または非存在下でのIFN-γ分泌が分析される。(
図5C)リアルタイムPCRは、MOLM-13およびU937の存在下における、初代T、初代T-EVおよび初代T-FLT3のIFN-γ放出を示す。コントロールは、標的細胞と共培養されていないことを意味する。
【0037】
【
図6】
図6A~
図6Bは、FLT3-CAR T細胞が患者の初代ヒト白血病細胞の根絶を高めることを明らかにする。(
図6A)間接的ELISAアッセイでは、初代T細胞、FLT3-CAR構築物または空ベクター構築物のどちらかにより形質導入された初代T細胞(T-FLT3;T-EV)のIFN-γ分泌およびIL-2分泌が、患者および正常コントロールから単離されるPBMC(末梢血単核細胞)との共培養の後で分析される。T-FLT3により、強い応答がFLT3+の患者の白血病細胞の存在下で誘発される。(
図6B)総RNAをT細胞と標的PBMCとの共培養から抽出し、逆転写した後、Q-PCRを、患者および正常者からのPBMCの存在下における初代T、初代T-EVおよび初代T-FLT3のIFN-γ放出を示すために行った。コントロールは、標的PBMCと共培養されていないことを意味する。
【0038】
【
図7】
図7A~
図7Bは、FLT3-CAR T細胞がインビボ成長の白血病を抑制し、白血病を有するマウスの生存を延長することを明らかにする。(
図7A)白血病を有するマウスの腹側および背側のバイオルミネセンス画像化。NSGマウスに、ルシフェラーゼ発現の白血病細胞を尾静脈注射により接種した(0日目)。接種後9日目および16日目に、マウスに、空ベクター形質導入のT細胞(模擬T細胞、PCDHベクター)、FLT3-CAR形質導入の初代T細胞(T-FLT3、CAR)、またはPBSを1回、尾静脈注入した。(
図7B)T-FLT3-CAR細胞により処置される白血病保有マウスは、カプラン・マイヤー生存曲線(n=5、各群について)によって明らかにされるように、初代T細胞または初代T-PCDHにより処置されるマウスと比較して、有意に増大した全体的生存を示した(
**p<0.01)。
【0039】
【
図8】
図8A~
図8Cは、FLT3-CARの作製と、CAR形質導入NK細胞におけるその発現の試験とを示す。(
図8A)FLT3 CARレンチウイルス構築物の概略図:iCasp9、誘導性カスパーゼ9;T2A、自己切断性2A遺伝子;SP、シグナルペプチド;VH、可変H鎖;L、リンカー;VL、可変L鎖。MyC、MyC遺伝子配列;ヒンジ、ヒンジ鎖; CD28、CD3ζ、共刺激ドメイン。(
図8B)NK-92、および、FLT3-CAR構築物または空ベクター構築物のどちらかにより形質導入されたNK-92細胞(NK-92-FLT3-CAR;EV)の表面におけるキメラなFLT3 scFvの発現。(
図8C)NK-92細胞、NK-92-EV細胞、NK-92-FLT3細胞を、ビオチン標識されたヤギ抗マウスFab特異的またはIgGコントロールにより染色した後でフローサイトメトリーによって分析した。
【0040】
【
図9】
図9A~
図9Dは、FLT3-CAR-NK-92細胞がFLT3
+の白血病細胞株を認識し、その死滅を促進させることを示す。(
図9A)白血病細胞株の表面におけるFLT3発現のフローサイトメトリー分析。(
図9B)クロム-51放出アッセイを使用する、MOLM-13細胞、EOL-1細胞またはU937細胞に対する空ベクター(EV)形質導入NK-92細胞またはFLT3-CAR形質導入NK-92細胞の細胞傷害性活性。(
図9C)ELISAアッセイでは、NK-92細胞、FLT3-CAR構築物または空ベクター構築物のどちらかにより形質導入されたNK-92細胞(NK-92-FLT3-CAR;EV)の、MOLM-13、EOL-1またはU937の存在下または非存在下でのIFN-γ分泌が分析される。(
図9D)Q-PCRにより、MOLM-13、U937およびコントロールの存在下におけるNK-92、NK92-EVおよびNK92-FLT3のIFN-γ放出が示される。
【0041】
【
図10】
図10A~
図10Cは、FLT3-CAR-NK-92細胞により、患者の初代ヒト白血病細胞の死滅が増強されることを示す。(
図10A)クロム-51放出アッセイを使用する、患者の白血病細胞に対する空ベクター(EV)形質導入NK-92細胞またはFLT3-CAR形質導入NK-92細胞の細胞傷害性活性。(
図10B)ELISAアッセイでは、NK-92細胞、FLT3-CAR構築物または空ベクター構築物のどちらかにより形質導入されたNK-92細胞(NK-92-FLT3-CAR;EV)のIFN-γ分泌が、患者の白血病細胞または正常コントロールのPBMCにおいて分析される。(
図10C)Q-PCRにより、患者の白血病細胞およびコントロールの存在下におけるNK-92、NK92-EVおよびNK92-FLT3のIFN-γ放出が示される。
【0042】
【
図11】
図11A~
図11Bは、FLT3-CARが形質導入される初代NKが、患者の白血病細胞株および腫瘍細胞を死滅させることを効果的に増強し得ることを明らかにする。(
図11A)初代NK-FLT3 CAR細胞はFLT3
+の白血病細胞株MOLM13をインビトロにおいて死滅させる。(
図11B)初代NK-FLT3 CAR細胞は患者の腫瘍細胞を死滅させる。
【0043】
【
図12】
図12A~
図12Dは、AP1903(薬物)がiCasp9によるNK92-FLT3のアポトーシスを効果的に誘発し得ることを示す。(
図12A)iCasp9がNK-92-FLT3形質導入の細胞において発現する。(
図12B)AP1903処置により、NK-92-FLT3の細胞死が48時間の誘導の後で誘発される。(
図12C)フローサイトメトリーによるアネキシンV分析はAP1903処置後におけるNK92-FLT3の有意なアポトーシスを示す。(
図12D)免疫ブロッティングアッセイにより、AP1903(薬物)処置後におけるNK-92-FLT3の切断されたカスパーゼ-3の増大が示される。
【0044】
【
図13】NK-92-FLT3-CAR細胞がインビボ成長の白血病を抑制し、白血病を有するマウスの生存を延長することを明らかにする。白血病を有するマウスの脳のバイオルミネセンス画像化。NSGマウスに、ルシフェラーゼ発現の白血病細胞を尾静脈注射により接種した(0日目)。接種後7日目に、マウスに、空ベクター形質導入NK-92細胞(NK-92-EV)、FLT3-CAR形質導入NK-92細胞(NK-92-FLT3)またはNK-92細胞を1回、尾静脈注入した。
【0045】
【
図14】患者から単離されるAML細胞の表面におけるFLT3発現のフローサイトメトリー分析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本開示は、記載される様々な特定の局面には限定されず、そのようなものとして、当然のことながら、変化し得ることが理解されなければならない。本明細書中で使用される用語は、特定の局面のみを記載するという目的のためのものであり、また、本開示の範囲は添付の請求項によってのみ限定されることになるので、限定的であるように意図されないこともまた理解されなければならない。
【0047】
別途定義される場合を除き、本明細書中で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本技術が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と類似する、または同等である方法および材料はどのようなものも、本発明の技術の実施または試験において使用することができるにもかかわらず、好ましい方法、デバイスおよび材料が次に記載される。本明細書中に引用されるすべての技術刊行物および特許公報はその全体が参照によって本明細書中に組み込まれる 本明細書中のいかなるものも、本発明の技術は、先行発明によってそのような開示に先行するための資格がないことを認めるものとして解釈してはならない。
【0048】
本開示の実施では、特に明記しない限り、組織培養、免疫学、分子生物学、微生物学、細胞生物学および組換えDNAの、当該技術分野の技能の範囲内にある従来の技術が用いられるであろう。例えば、下記を参照のこと:GreenおよびSambrook編(2012)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第4版;双書、Ausubel他編(2015)、Current Protocols in Molecular Biology;双書、Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.、N.Y.);MacPherson他(2015)、PCR 1:A Practical Approach
(IRL Press、Oxford University Press);MacPherson他(1995)、PCR 2:A Practical Approach;McPherson他(2006)、PCR:The Basics(Garland
Science);HarlowおよびLane編(1999)、Antibodies,A Laboratory Manual;Greenfield編(2014)、Antibodies,A Laboratory Manual;Freshney(2010)、Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique、第6版;Gait編(1984)、Oligonucleotide Synthesis;米国特許第4,683,195号;HamesおよびHiggins編(1984)、Nucleic Acid Hybridization;Anderson(1999)、Nucleic Acid Hybridization;Herdewijn編(2005)、Oligonucleotide
Synthesis:Methods and Applications;HamesおよびHiggins編(1984)、Transcription and Translation;BuzdinおよびLukyanov編(2007)、Nucleic Acids Hybridization:Modern Applications;Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press(1986));Grandi編(2007)、In Vitro Transcription and Translation Protocols、第2版;Guisan編(2006)、Immobilization of Enzymes and Cells;Perbal(1988)、A Practical Guide to Molecular Cloning、第2版;MillerおよびCalos編(1987)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(Cold Spring Harbor Laboratory);Makrides編(2003)、Gene Transfer and Expression in Mammalian Cells;MayerおよびWalker編(1987)、Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology(Academic Press、London);LundbladおよびMacdonald編(2010)、Handbook of Biochemistry and Molecular Biology、第4版;ならびに、Herzenberg他編(1996)、Weir’s Handbook of
Experimental Immunology、第5版。
【0049】
範囲を含めて、すべての数値表示(例えば、pH、温度、時間、濃度および分子量)は、必要に応じて1.0または0.1の変化幅によって、あるいは代替では、+/-15%の変動によって、または代替では10%の変動によって、または代替では5%の変動によって、または代替では2%の変動によって増減する概数である。常に明記されているとは限らないが、すべての数値表示の前には用語「約」が先行することが理解されなければならない。常に明記されているとは限らないが、本明細書中に記載される様々な試薬は単に例示にすぎないこと、および、そのような試薬の同等物がこの技術分野では知られていることもまた、理解されなければならない。
【0050】
本発明の技術が、ポリペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチドまたは抗体に関連するときには、そのようなものの同等物または生物学的同等物が本発明の技術の範囲内において意図されることが、明示的な列挙を伴うことなく、また、別途意図される場合を除いて推測されるものとする。
[定義]
【0051】
本明細書および請求項において使用される場合、“a”、“an”および“the”の単数形態は、文脈がそうでないことを明確に示す場合を除き、複数の参照物を包含する。例えば、用語“a cell”(細胞)は、その混合物を含めて、複数の細胞を包含する。
【0052】
本明細書中で使用される場合、用語「動物」は、生きている多細胞の脊椎動物生物、すなわち、例えば、哺乳動物および鳥類を含むカテゴリーを示す。用語「哺乳動物」には、ヒトと、ヒト以外の哺乳動物との両方が含まれる。
【0053】
用語「対象」、用語「宿主」、用語「個体」および用語「患者」は、ヒト対象および獣医学対象を示すために、例えば、ヒト、動物、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ヒツジ、マウス、ウマおよびウシを示すために本明細書中では交換可能に使用される通りである。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【0054】
本明細書中で使用される場合、用語「抗体」は、例として、また、限定されないが、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、それらの組合せ、ならびに、脊椎動物においてどのようなものであっても、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、ヤギ、ウサギおよびマウスなど)において免疫応答の期間中に産生される類似する分子、同様にまた、非哺乳動物種において産生されるもの(例えば、サメ免疫グロブリンなど)を含めて様々な免疫グロブリンまたは様々な免疫グロブリン様分子を総称して示す。具体的に別途記される場合を除き、用語「抗体」には、目的とする分子(または目的とする非常に類似した分子の一群)に対して特異的に結合し、他の分子に対する結合が実質的に除外されるほどである無傷の免疫グロブリンおよび「抗体フラグメント」または「抗原結合フラグメント」(例えば、生物学的サンプルにおける他の分子についての結合定数よりも少なくとも103M-1大きい、少なくとも104M-1大きい、または少なくとも105M-1大きい、目的とする当該分子についての結合定数を有する抗体および抗体フラグメント)が含まれる。用語「抗体」にはまた、遺伝子操作された様々な形態、例えば、キメラ抗体(例えば、ネズミまたはヒト化された非霊長類抗体)、ヘテロコンジュゲート抗体(例えば、二重特異性抗体など)などが含まれる。下記もまた参照のこと:Pierce Catalog
and Handbook,1994-1995(Pierce Chemical Co.、Rockford、Ill.);Owen他、Kuby Immunology、第7版、W.H.Freeman & Co.、2013;Murphy、Janeway’s Immunobiology、第8版、Garland Science、2014;Male他、Immunology(Roitt)、第8版、Saunders、2012;Parham、The Immune System、第4版、Garland Science、2014。
【0055】
本明細書中で使用される場合、用語「モノクローナル抗体」は、Bリンパ球の単一クローンによって、または、ただ1種の抗体の軽鎖遺伝子および重鎖遺伝子がトランスフェクションされている細胞によって産生される抗体を示す。モノクローナル抗体が、当業者に知られている様々な方法によって、例えば、ハイブリッド抗体を形成する細胞をミエローマ細胞の免疫脾臓細胞との融合から作製することによって作製される。モノクローナル抗体には、ヒト化モノクローナル抗体が含まれる。
【0056】
抗体構造に関して、免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によって相互に連結される重
(H)鎖および軽(L)鎖を有する。ラムダ(λ)およびカッパ(κ)の2つのタイプの軽鎖が存在する。抗体分子の機能的活性を決定する下記の5つの主要な重鎖クラス(またはイソタイプ)が存在する:IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgE。それぞれの重鎖および軽鎖が定常領域および可変領域を含有する(これらの領域はまた「ドメイン」として知られている)。組合せで、重鎖可変領域および軽鎖可変領域が抗原と特異的に結合する。軽鎖可変領域および重鎖可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域によって中断される「フレームワーク」領域を含有する。フレームワーク領域およびCDRの範囲が定義されている(Kabat他、Sequences of Proteins of Immunological Interest(米国保健福祉省、1991年)を参照のこと。これは本明細書により参照によって組み込まれる)。Kabatデータベースは現在、オンラインで管理されている。様々な異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は種内では比較的保存されている。抗体のフレームワーク領域(すなわち、構成している軽鎖および重鎖の組み合わされたフレームワーク領域)は主にβ-シートの立体配座を取っており、一方、CDRは、β-シート構造をつなぐループ、また、場合によってはβ-シート構造の一部を形成するループを形成する。したがって、フレームワーク領域は、CDRを鎖間の非共有結合相互作用によって正しい配向で配置することを規定する足場を形成するように作用する。
【0057】
CDRは、抗原のエピトープに結合することに主として関わっている。それぞれの鎖のCDRが典型的には、N末端から順に番号が付けられて、CDR1、CDR2およびCDR3として示され、それぞれの鎖のCDRはまた、典型的には、特定のCDRが位置する鎖によって特定される(重鎖領域はCDHRと呼ばれ、軽鎖領域はCDLRと呼ばれる)。したがって、CDHR3は、該CDHR3が見出される抗体の重鎖の可変ドメインに由来するCDR3であり、これに対して、CDLR1は、該CDLR1が見出される抗体の軽鎖の可変ドメインに由来するCDR1である。FLT3抗体は、FLT3関連抗原に対して特有である特異的なVH領域およびVL領域の配列、したがって、特異的なCDR配列を有するであろう。特異性が異なる抗体(すなわち、異なる結合部位を異なる抗原について有する抗体)は、異なるCDRを有する。抗体毎に変化するのがCDRであるにもかかわらず、CDR内の限られた数のアミノ酸位置のみが抗原結合に直接に関与する。CDR内のこれらの位置が特異性決定残基(SDR)と呼ばれる。
【0058】
本明細書中で使用される場合、用語「抗原」は、特異的な体液性免疫または細胞性免疫の産物(例えば、抗体分子またはT細胞受容体など)による特異的な結合が生じ得る化合物、組成物または物質を示す。抗原は、例えば、ハプテン、単純な中間代謝産物、糖(例えば、オリゴ糖)、脂質およびホルモン、同様にまた、巨大分子、例えば、複合糖質(例えば、多糖類)、リン脂質およびタンパク質などを含めて、どのようなタイプの分子であっても可能である。抗原の一般的なカテゴリーには、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、原虫抗原および他の寄生虫抗原、腫瘍抗原、自己免疫疾患、アレルギーおよび移植片拒絶に関与する抗原、毒素、ならびに他の種々雑多な抗原が含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
本明細書中で使用される場合、用語「抗原結合ドメイン」は、抗原標的に特異的に結合することができるタンパク質ドメインまたはポリペプチドドメインをどのようなものであっても示す。
【0060】
本明細書中で使用される場合、用語「自己」は細胞に関しては、単離され、同じ対象(レシピエントまたは宿主)に注入して戻される細胞を示す。「同種」は、非自己の細胞を示す。
【0061】
本明細書中で使用される場合、用語「B細胞」は、適応免疫系の体液性免疫における1つのタイプのリンパ球を示す。B細胞は主として、抗原相互作用による活性化の後において抗体を作製するように、抗原提示細胞として働くように、サイトカインを放出するように、また、メモリーB細胞を発達させるように機能する。B細胞は、細胞表面におけるB細胞受容体の存在によって他のリンパ球(例えば、T細胞など)から区別される。B細胞は、単離されるか、または、市販の供給元から得られるかのどちらの場合であってもよい。市販されているB細胞株の限定されない例には、AHH-1(ATCC(登録商標)CRL-8146(商標))、BC-1(ATCC(登録商標)CRL-2230(商標))、BC-2(ATCC(登録商標)CRL-2231(商標))、BC-3(ATCC
(登録商標)CRL-2277(商標))、CA46(ATCC(登録商標)CRL-1648(商標))、DG-75[D.G.-75](ATCC(登録商標)CRL-2625(商標))、DS-1(ATCC(登録商標)CRL-11102(商標))、EB-3[EB3](ATCC(登録商標)CCL-85(商標))、Z-138(ATCC
#CRL-3001)、DB(ATCC CRL-2289)、Toledo(ATCC CRL-2631)、Pfiffer(ATCC CRL-2632)、SR(ATCC CRL-2262)、JM-1(ATCC CRL-10421)、NFS-5 C-1(ATCC CRL-1693);NFS-70 C10(ATCC CRL-1694)、NFS-25 C-3(ATCC CRL-1695)およびSUP-B15
(ATCC CRL-1929)が含まれる。さらなる例には、未分化リンパ腫および大細胞リンパ腫に由来する細胞株(例えば、DEL、DL-40、FE-PD、JB6、Karpas 299、Ki-JK、Mac-2A Ply1、SR-786、SU-DHL-1、SU-DHL-2、SU-DHL-4、SU-DHL-5、SU-DHL-6、SU-DHL-7、SU-DHL-8、SU-DHL-9、SU-DHL-10およびSU-DHL-16、DOHH-2、NU-DHL-1、U-937、Granda 519、USC-DHL-1、RL)、ホジキンリンパ腫に由来する細胞株(例えば、DEV、HD-70、HDLM-2、HD-MyZ、HKB-1、KM-H2、L428、L540、L1236、SBH-1、SUP-HD1、SU/RH-HD-1)が含まれるが、これらに限定されない。そのような市販の細胞株についての限定されない例示的な供給元には、American Type Culture Collection、すなわち、ATCC(www.atcc.org/)、および、German Collection of Microorganisms and Cell Cultures(https://www.dsmz.de/)が含まれる。
【0062】
本明細書中で使用される場合、「ガン」は、異常な制御されない複製を明らかにする細胞が対象に存在することによって特徴づけられる疾患状態である。いくつかの実施形態において、ガンは白血病である。ある特定の実施形態において、ガンは急性骨髄性白血病である。本明細書中で使用される場合、「白血病」は、未成熟な白血球の異常な増加によって特徴づけられる血液または骨髄のガンである。急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia、AML)(これはまた、急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia)または急性骨髄芽球性白血病として示される)の特異的な状態が、骨髄に蓄積し、正常な血液細胞の産生を妨げる異常な骨髄細胞の急速な成長によって特徴づけられる骨髄系起源の血液細胞のガンである。
【0063】
用語「キメラ抗原受容体」(CAR)は、本明細書中で使用される場合、抗原に結合することが可能である細胞外ドメインと、該細胞外ドメインが由来するポリペプチドとは異なるポリペプチドに由来する膜貫通ドメインと、少なくとも1つの細胞内ドメインとを含む融合タンパク質を示す。「キメラ抗原受容体(CAR)」はときには、「キメラ受容体」、「T-body」または「キメラ免疫受容体(CIR)」と呼ばれる。「抗原に結合することが可能である細胞外ドメイン」は、ある特定の抗原に結合することができるオリゴペプチドまたはポリペプチドをどのようなものであっても意味する。「細胞内ドメイン」または「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、細胞における生物学的プロセスの活性化または阻害を生じさせるためにシグナルを伝達するドメインとして機能することが知られているオリゴペプチドまたはポリペプチドをどのようなものであっても意味する。ある特定の実施形態において、細胞内ドメインは、一次シグナル伝達ドメインに加えて、1つまたは複数の共刺激シグナル伝達ドメインを含む場合があり、代替では、一次シグナル伝達ドメインに加えて、1つまたは複数の共刺激シグナル伝達ドメインから本質的になる場合があり、あるいはそれにもかかわらず、一次シグナル伝達ドメインに加えて、1つまたは複数の共刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む場合がある。「膜貫通ドメイン」は、細胞膜にまたがることが知られており、かつ、細胞外ドメインと、シグナル伝達ドメインとを連結するために機能することができるオリゴペプチドまたはポリペプチドをどのようなものであっても意味する。キメラ抗原受容体は必要な場合には、細胞外ドメインと、膜貫通ドメインとの間のリンカーとして働く「ヒンジドメイン」を含む場合がある。それぞれのドメインの構成成分をコードする限定されない例示的なポリヌクレオチド配列が本明細書中に開示される。例えば、
ヒンジドメイン:IgG1重鎖ヒンジ配列、配列番号1:
CTCGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCG
膜貫通ドメイン:CD28膜貫通領域、配列番号2:
TTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTG
細胞内ドメイン:4-1BB共刺激シグナル伝達領域、配列番号3:
AAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTG
細胞内ドメイン:CD28共刺激シグナル伝達領域、配列番号4:
AGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCC
細胞内ドメイン:CD3ゼータシグナル伝達領域、配列番号5:
AGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCTAA
【0064】
それぞれの例示的なドメイン構成成分のさらなる実施形態には、類似した生物学的機能を有する他のタンパク質で、上記で開示された核酸配列によってコードされるタンパク質との少なくとも70%のアミノ酸配列同一性、または代替では少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を共有する他のタンパク質が含まれる。さらに、そのようなドメインの限定されない様々な例が本明細書中に提供される。
【0065】
本明細書中で使用される場合、用語「CD8αヒンジドメイン」は、この名称に関連する特定のタンパク質フラグメント、および、類似した生物学的機能を有する任意の他の分子で、本明細書中に示されるようなCD8αヒンジドメイン配列との少なくとも70%のアミノ酸配列同一性、または代替では少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を共有する他の分子を示す。ヒト、マウスおよび他の種についてのCD8αヒンジドメインの例示的配列が、Pinto,R.D.他(2006)、Vet.Immunol.Immunopathol.、110:169~177において提供される。CD8αヒンジドメインに関連する配列が、Pinto,R.D.他(2006)、Vet.Immunol.Immunopathol.、110:169~177において提供される。そのような配列の限定されない例には、下記の配列が含まれる:
ヒトCD8アルファヒンジドメイン、配列番号6:
PAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIY
マウスCD8アルファヒンジドメイン、配列番号7:
KVNSTTTKPVLRTPSPVHPTGTSQPQRPEDCRPRGSVKGTGLDFACDIY
ネコCD8アルファヒンジドメイン、配列番号8:
PVKPTTTPAPRPPTQAPITTSQRVSLRPGTCQPSAGSTVEASGLDLSCDIY
【0066】
本明細書中で使用される場合、用語「CD8α膜貫通ドメイン」は、この名称に関連する特定のタンパク質フラグメント、および、どのような分子であっても、類似した生物学的機能を有する他の分子で、本明細書中に示されるようなCD8α膜貫通ドメイン配列との少なくとも70%のアミノ酸配列同一性、または代替では少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を共有する他の分子を示す。ヒトT細胞表面糖タンパク質CD8アルファ鎖(GenBankアクセション番号:NP_001759.3)のアミノ酸位置183~203、またはマウスT細胞表面糖タンパク質CD8アルファ鎖(GenBankアクセション番号:NP_001074579.1)のアミノ酸位置197~217、およびラットT細胞表面糖タンパク質CD8アルファ鎖(GenBank登録番号:NP_113726.1)のアミノ酸配列190~210に関連するフラグメント配列により、CD8α膜貫通ドメインのさらなる例示的配列が提供される。列挙されたアクセッション番号のそれぞれに関連する配列が下記のように提供される:
ヒトCD8アルファ膜貫通ドメイン、配列番号9:
IYIWAPLAGTCGVLLLSLVIT
マウスCD8アルファ膜貫通ドメイン、配列番号10:
IWAPLAGICVALLLSLIITLI
ラットCD8アルファ膜貫通ドメイン、配列番号11:
IWAPLAGICAVLLLSLVITLI
【0067】
本明細書中で使用される場合、用語「4-1BB共刺激シグナル伝達領域」は、この名称に関連する特定のタンパク質フラグメント、および、どのような分子であっても、類似した生物学的機能を有する他の分子で、本明細書中に示されるような4-1BB共刺激シグナル伝達領域配列との少なくとも70%のアミノ酸配列同一性、または代替では少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を共有する他の分子を示す。4-1BB共刺激シグナル伝達領域の限定されない例示的配列が米国特許出願公開第20130266551号A1(米国特許出願第13/826,258号として出願されたもの)において提供されており、例えば、下記に提供される例示的配列、および配列番号3によってコードされる配列などである:
4-1BB共刺激シグナル伝達領域、配列番号12:
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL
【0068】
本明細書中で使用される場合、用語「ICOS共刺激シグナル伝達領域」は、この名称に関連する特定のタンパク質フラグメント、および、どのような分子であっても、類似した生物学的機能を有する他の分子で、本明細書中に示されるようなICOS共刺激シグナル伝達領域配列との少なくとも70%のアミノ酸配列同一性、または代替では少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を共有する他の分子を示す。ICOS共刺激シグナル伝達領域の限定されない例示的配列が米国特許出願公開第2015/0017141号A1において提供されており、例示的なポリヌクレオチド配列が下記に提供される:
ICOS共刺激シグナル伝達領域、配列番号13:
ACAAAAAAGA AGTATTCATC CAGTGTGCAC GACCCTAACG GTGAATACAT GTTCATGAGA GCAGTGAACA CAGCCAAAAA ATCCAGACTC ACAGATGTGA CCCTA
【0069】
本明細書中で使用される場合、用語「OX40共刺激シグナル伝達領域」は、この名称に関連する特定のタンパク質フラグメント、および、どのような分子であっても、類似した生物学的機能を有する他の分子で、本明細書中に示されるようなOX40共刺激シグナル伝達領域配列との少なくとも70%のアミノ酸配列同一性、または代替では少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、または代替では90%の配列同一性、または代替では少なくとも95%の配列同一性を共有する他の分子を示す。OX40共刺激シグナル伝達領域の限定されない例示的配列が米国特許出願公開第2012/20148552号A1に開示されており、OX40共刺激シグナル伝達領域の限定されない例示的配列には、下記に提供される例示的配列が含まれる。
OX40共刺激シグナル伝達領域、配列番号14:
AGGGACCAG AGGCTGCCCC CCGATGCCCA CAAGCCCCCT GGGGGAGGCA GTTTCCGGAC CCCCATCCAA GAGGAGCAGG CCGACGCCCA CTCCACCCTG GCCAAGATC
【0070】
本明細書中で使用される場合、用語「CD28膜貫通ドメイン」は、この名称に関連する特定のタンパク質フラグメント、および、どのような分子であっても、類似した生物学的機能を有する他の分子で、本明細書中に示されるようなCD28膜貫通ドメイン配列との少なくとも70%のアミノ酸配列同一性、または代替では少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、少なくとも90%の配列同一性、または代替では少なくとも95%の配列同一性を共有する他の分子を示す。GenBankアクセション番号XM_006712862.2および同XM_009444056.1に関連するフラグメント配列により、CD28膜貫通ドメインのさらなる限定されない例示的配列が提供される。列挙されたアクセッション番号のそれぞれに関連する配列が下記のように提供される:配列番号2によってコードされる配列。
【0071】
本明細書中で使用される場合、用語「CD28共刺激シグナル伝達領域」は、この名称に関連する特定のタンパク質フラグメント、および、どのような分子であっても、類似した生物学的機能を有する他の分子で、本明細書中に示されるCD28共刺激シグナル伝達領域との少なくとも70%のアミノ酸配列同一性、または代替では少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、または代替では90%の配列同一性、または代替では少なくとも95%の配列同一性を共有する他の分子を示す。CD28共刺激シグナル伝達ドメインの例示的配列が、米国特許第5,686,281号;Geiger,T.L.他(2001)、Blood、98:2364~2371;Hombach,A.他(2001)、J Immunol、167:6123~6131;Maher,J.他(2002)、Nat
Biotechnol、20:70~75;Haynes,N.M.他(2002)、J Immunol、169:5780~5786(2002);Haynes,N.M.他(2002)、Blood、100:3155~3163において提供されている。限定されない例には、下記の残基114~残基220、および配列番号4によってコードされる配列が含まれる:
CD28配列:MLRLLLALNL FPSIQVTGNK ILVKQSPMLV AYDNAVNLSC KYSYNLFSRE FRASLHKGLDSAVEVCVVYG NYSQQLQVYS KTGFNCDGKL GNESVTFYLQ NLYVNQTDIY FCKIEVMYPPPYLDNEKSNG TIIHVKGKHL CPSPLFPGPS KPFWVLVVVG GVLACYSLLVTVAFIIFWVR SKRSRLLHSD YMNMTPRRPG PTRKHYQPYA PPRDFAAYRS(配列番号15)、およびその同等物。
【0072】
本明細書中で使用される場合、用語「CD3ゼータシグナル伝達ドメイン」は、この名称に関連する特定のタンパク質フラグメント、および、どのような分子であっても、類似した生物学的機能を有する他の分子で、本明細書中に示されるようなCD3ゼータシグナル伝達ドメイン配列との少なくとも70%のアミノ酸配列同一性、または代替では少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、または代替では少なくとも90%の配列同一性、または代替では少なくとも95%の配列同一性を共有する他の分子を示す。CD3ゼータシグナル伝達ドメインの限定されない例示的配列が、米国特許出願第13/826,258号において提供されており、例えば、下記の配列である:
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号16)、および配列番号5によってコードされる配列。
【0073】
「組成物」は典型的には、活性な物質(例えば、化合物または組成物)と、不活性体(例えば、検出可能な物質または標識)または活性体にかかわらず、天然に存在するキャリアまたは天然に存在しないキャリア(例えば、アジュバント、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒、防腐剤またはアジュバントなど)との組合せ物を意図し、医薬的に許容され得るキャリアを含む。キャリアにはまた、医薬用の賦形剤および添加剤、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、ならびに炭水化物(例えば、糖類(単糖類、二糖類、三糖類、四糖類およびオリゴ糖類を含む);誘導体化糖類(例えば、アルジトール、アルドン酸およびエステル化糖類など);ならびに、多糖類または糖ポリマー)が含まれ、これらは、単独での場合、あるいは、重量比または体積比で1%~99.99%での組合せでの場合を含んで、単独で、または組合せで存在することができる。例示的なタンパク質賦形剤には、血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)など)、組換えヒトアルブミン(rHA)、ゼラチンおよびカゼインなどが含まれる。緩衝化能においてもまた機能し得る代表的なアミノ酸/抗体成分には、アラニン、アルギニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニンおよびアスパルテームなどが含まれる。炭水化物賦形剤もまた、本技術の範囲内において意図され、その例には、単糖類(例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノースおよびソルボースなど)、二糖類(例えば、ラクトース、スクロース、トレハロースおよびセロビオースなど)、多糖類(例えば、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストランおよびデンプンなど)、ならびに、アルジトール(例えば、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール ソルビトール(グルシトール)およびミオイノシトールなど)が含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
本明細書中で使用される場合、用語「含む」(comprising)は、組成物および方法が、列挙された要素を含み、しかし、他の要素を除外しないことを意味するように意図される。「から本質的に構成される」/「から本質的になる」(consisting essentially of)は、組成物および方法を定義するために使用されるときには、意図された使用のための組合せにとって何らかの本質的に意味のある他の要素を除外することを意味するものとする。例えば、本明細書中で定義されるような要素から本質的になる組成物は、単離・精製方法に由来する微量混入物、および、医薬的に許容され得るキャリア(例えば、リン酸塩緩衝化生理的食塩水および防腐剤など)を除外しないであろう。「からなる」/「から構成される」(consisting of)は、微量要素を超える他の成分、および、本明細書中に開示される組成物を投与するための実質的な方法工程を除外することを意味するものとする。これらの移行用語のそれぞれによって定義される様々な局面が本開示の範囲の範囲内である。
【0075】
用語「コンセンサス配列」は、本明細書中で使用される場合、一連の多数の配列をアラインメントすることによって決定され、かつ、多数の配列の各対応位置におけるアミノ酸または塩基の優勢な選択を表す理想化された配列を規定するアミノ酸または核酸配列を示す。一連の多数の配列の当該配列に依存して、この一連の多数の配列についてのコンセンサス配列は、配列のそれぞれと、0個、1個、少数個またはそれ以上の置換によって異なり得る。また、一連の多数の配列の当該配列に依存して、2つ以上のコンセンサス配列がこの一連の多数の配列について決定される場合がある。コンセンサス配列を得ることは、徹底した数学的分析に従っている。様々なソフトウエアプログラムを、コンセンサス配列を決定するために使用することができる。
【0076】
本明細書中で使用される場合、「細胞減少療法」には、化学療法、寒冷療法および放射線療法が含まれるが、これらに限定されない。細胞増殖を低下させるように作用する様々な薬剤がこの技術分野では知られており、広範囲に使用されている。ガン細胞が分裂しているときにだけガン細胞を死滅させる化学療法薬物は、細胞周期特異的と呼ばれている。これらの薬物には、トポイソメラーゼ阻害剤および代謝拮抗剤を含めて、S期において作用する薬剤が含まれる。
【0077】
トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼ酵素(トポイソメラーゼIおよびトポイソメラーゼII)の作用を妨げる薬物である。化学療法の過程の期間中に、トポイソメラーゼ酵素は、複製のために必要なDNAの構造の操作を抑制し、したがって、細胞周期特異的である。トポイソメラーゼI阻害剤の例には、で列挙されるカンプトテカンアナログ、イリノテカンおよびトポテカンが含まれる。トポイソメラーゼII阻害剤の例には、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシドおよびテニポシドが含まれる。
【0078】
代謝拮抗剤は通常的には、染色体複製に関与するプロセスを多くの場合には妨害する、正常な代謝基質のアナログである。代謝拮抗剤は細胞を細胞周期における非常に特異的な段階で攻撃する。代謝拮抗剤には、葉酸アンタゴニスト(例えば、メトトレキサート)、ピリミジンアンタゴニスト(例えば、5-フルオロウラシル、ホクスウリジン(foxuridine)、シタラビン、カペシタビンおよびゲムシタビン)、プリンアンタゴニスト(例えば、6-メルカプトプリンおよび6-チオグアニン)、アデノシンデアミナーゼ阻害剤(例えば、クラドリビン、フルダラビン、ネララビンおよびペントスタチン)などが含まれる。
【0079】
植物アルカロイドは、ある特定のタイプの植物に由来する。ビンカアルカロイドがニチニチソウ(Catharanthus rosea)から作製される。タキサンがタイヘイヨウイチイ(イチイ属)の樹皮から作製される。ビンカアルカロイドおよびタキサンはまた、抗微小管剤として知られている。ポドフィロトキシンはポドフィルムに由来する。カンプトテカンアナログはカンレンボク(Camptotheca acuminata)に由来する。ポドフィロトキシンおよびカンプトテカンアナログはまた、トポイソメラーゼ阻害剤として分類される。植物アルカロイドは一般に、細胞周期特異的である。
【0080】
これらの薬剤の例には、ビンカアルカロイド、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびビノレルビン;タキサン、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル;ポドフィロトキシン、例えば、エトポシドおよびテニソピド;ならびに、カンプトテカンアナログ、例えば、イリノテカンおよびトポテカンが含まれる。
【0081】
寒冷療法には、温度を低下させることを伴う様々な治療法(例えば、低体温療法)が含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
放射線療法には、この技術分野では知られているように、放射線(例えば、電離放射線、UV放射線)への暴露が含まれるが、これに限定されない。例示的な線量には、少なくとも約2Gyから約10Gy以下までの範囲での電離放射線の照射線量、および/または、少なくとも約5J/m2から約50J/m2以下までの範囲での紫外線の照射線量(通常の場合には約10J/m2)が含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
本明細書中で使用される場合、用語「検出可能なマーカー」は、検出可能なシグナルを直接的または間接的に生じさせることが可能である少なくとも1つのマーカーを示す。このマーカーの非網羅的な列挙には、検出可能なシグナルを、例えば、比色法、蛍光、発光による検出可能なシグナルを生じさせる酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼなど)、発色団(例えば、蛍光性、発光性の色素)、電子顕微鏡法によって、またはその電気的性質(例えば、電気伝導率、アンペロメトリー、ボルタンメトリー、インピーダンス)によって検出される電子密度を有する基、検出可能な基で、例えば、当該分子が、その物理的性質および/または化学的性質における検出可能な改変を誘導するための十分なサイズであり、そのような検出が光学的方法(例えば、回折、表面プラズモン共鳴、表面変化、接触角変化など)または物理的方法(例えば、原子間力分光法、トンネル効果など)によって達成され得る検出可能な基、あるいは、放射性分子(例えば、32P、35Sまたは125Iなど)が含まれる。1つの局面において、検出可能なマーカーには、自然蛍光性のポリヌクレオチドは含まれない。
【0084】
「効果的な量」または「有効量」は、哺乳動物対象または他の対象を処置するために投与されたとき、疾患のためのそのような処置を達成するために十分である薬剤の量または2つ以上の薬剤の組合せ量を示す。「効果的な量」は、薬剤(1つまたは複数)、疾患およびその重篤度、ならびに、処置されるべき対象の年齢、体重などに依存して変化するであろう。
【0085】
用語「コードする」は、核酸配列に対して適用される場合、その生来的状態において、または、当業者には広く知られている方法によって操作されたとき、ポリペプチドおよび/またはそのフラグメントのためのmRNAを生じさせるように転写および/または翻訳が行われ得るならば、ポリペプチドを「コードする」と言われるポリヌクレオチドを示す。アンチセンス鎖はそのような核酸の相補体であり、コード配列をそのような核酸から推定することができる。
【0086】
本明細書中で使用されるように、用語「エンハンサー」は、本明細書中で使用される場合、核酸配列の転写を、発現させられることになる当該核酸配列に関してその位置および配向にかかわりなく増大させる、改善する、または向上させる配列エレメントを表す。エンハンサーにより、ただ1つのプロモーターからの転写、または同時に2つ以上のプロモーターからの転写が増強される場合がある。転写を改善するこの機能性が保持される、または実質的に保持される限り(例えば、野生型活性、すなわち、全長配列の活性の少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%が保持される限り)、野生型エンハンサー配列の短縮型変化体、変異型変化体または他の改変された変化体はどのような変化体であってもまた、上記定義の範囲内である。
【0087】
1つの局面において、抗体の「同等物」または「生物学的同等物」の用語は、ELISAまたは他の好適な方法によって測定されるように、そのエピトープタンパク質またはそのフラグメントと選択的に結合する当該抗体の能力を意味する。生物学的に同等な抗体には、参照抗体と同じエピトープに結合するそのような抗体、ペプチド、抗体フラグメント、抗体変化体、抗体誘導体および抗体模倣物が含まれるが、これらに限定されない。
【0088】
本開示が、ポリペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチドまたは抗体に関連するときには、そのようなものの同等物または生物学的同等物が本開示の範囲内において意図されることが、明示的な列挙を伴うことなく、また、別途意図される場合を除いて推測されるものとする。本明細書中で使用される場合、用語「その生物学的同等物」は、参照のタンパク質、抗体、ポリペプチドまたは核酸を参照するときには「その同等物」と同義であるように意図され、所望の構造または機能性を依然として維持しながら最小限の相同性を有するものを意図する。本明細書中に具体的に記載される場合を除き、本明細書中で言及されるポリヌクレオチド、ポリペプチドまたはタンパク質はどれもまた、それらの同等物を包含することが意図される。例えば、同等物は、少なくとも約70%の相同性もしくは同一性、または少なくとも80%の相同性もしくは同一性、また、代替において、あるいは、少なくとも約85%、または代替では少なくとも約90%、または代替では少なくとも約95%、または代替では98%のパーセント相同性もしくはパーセント同一性を有し、かつ、参照のタンパク質、ポリペプチドまたは核酸と実質的に同等の生物学的活性を示す。代替において、ポリヌクレオチドを参照するときには、その同等物は、ストリンジェントな条件のもとで参照ポリヌクレオチドまたはその相補体にハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドである。
【0089】
ある特定の割合(例えば、80%、85%、90%または95%)の「配列同一性」を別の配列に対して有するポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド領域(あるいはポリペプチドまたはポリペプチド領域)は、アラインメトされたとき、その割合の塩基(またはアミノ酸)が、2つの配列を比較する際において同じであることを意味する。アラインメントおよびパーセント相同性またはパーセント配列同一性は、この技術分野において知られている様々なソフトウエアプログラムを使用して、例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel他編、1987)、増補30、セクション7.7.18、表7.7.1に記載されるソフトウエアプログラムを使用して求めることができる。好ましくは、設定省略時の既定値パラメーターがアラインメントのために使用される。好ましいアライメントプログラムがBLASTであり、設定省略時の既定値パラメーターが使用される。具体的には、好ましいプログラムがBLASTNおよびBLASTPであり、下記の設定省略時の既定値パラメーターが使用される:Genetic code=standard;filter=none;strand=both;cutoff=60;expect=10;Matrix=BLOSUM62;Descriptions=50 sequences;sort by=HIGH SCORE;Databases=non-redundant,GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS translations+SwissProtein+SPupdate+PIR。これらのプログラムの詳細を下記のインターネットアドレスにおいて見出すことができる:ncbi.nlm.nih.gov/cgi-bin/BLAST。
【0090】
本明細書中で使用される場合、用語「発現」は、ポリヌクレオチドがmRNAに転写されるプロセス、および/または、転写されたmRNAが続いて、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質に翻訳されるプロセスを示す。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来するならば、発現は、真核生物細胞におけるmRNAのスプライシングを含む場合がある。遺伝子の発現レベルが、細胞サンプルまたは組織サンプルにおけるmRNAまたはタンパク質の量を測定することによって求められる場合がある。1つの局面において、1つのサンプルからの遺伝子の発現レベルが、コントロールサンプルまたは参照サンプルからのその遺伝子の発現レベルと直接に比較される場合がある。別の局面において、1つのサンプルからの遺伝子の発現レベルが、化合物を投与した後の同じサンプルからのその遺伝子の発現レベルと直接に比較される場合がある。
【0091】
用語「FKBP」、すなわち、FK506結合タンパク質は、プロリルイソメラーゼ活性を有し、かつ、機能において様々なシクロフィリンに関連づけられるタンパク質の一群を示す。様々なFKBPが、酵母からヒトまでの多くの真核生物において特定されており、これらは、プロリン残基を含有するタンパク質のためのタンパク質折り畳みシャペロンとして機能する。シクロフィリンと一緒に、FKBPはイムノフィリンファミリーに属する。限定されない例示的なFKBPの1つがヒトFKBP12である(これはまたFKBP1Aとして示される)(UniProt Ref.No.P62942)。FKBPのさらなる限定されない例には、GenBankアクセション番号AH002818、同BC119732.1、同NM_001199786.1および同NM_054014.3によって提供されるものが含まれる。
【0092】
表現「第一選択の」または表現「第二選択の」または表現「第三選択の」は、患者が受ける処置の順序を示す。第一選択の治療計画は、最初に施される処置であり、これに対して、第二選択の治療または第三選択の治療は、第一選択の治療の後で、または、第二選択の治療の後でそれぞれ施される。国立ガン研究所は第一選択の治療を「疾患または状態のための最初の処置」と定義する。ガン患者において、一次処置は、手術、化学療法、放射線療法、またはこれらの治療法の組合せとすることができる。第一選択の治療はまた、当業者には「一次治療および一次処置」として示される。www.cancer.govでの国立ガン研究所のウエブサイトを参照のこと(前回閲覧:2008年5月1日)。典型的には、患者には、それに続いての化学療法計画が施される。これは、当該患者が、第一選択の治療に対する好ましい臨床応答もしくは亜臨床応答を示さなかったか、または、第一選択の治療が中断されているからである。
【0093】
本明細書中で使用される場合、用語「FLT3」は、この名前に関連する受容体型チロシン-プロテインキナーゼFLT3、その代替名のいずれか(Fms関連チロシンキナーゼ、幹細胞チロシンキナーゼ、Fms様チロシンキナーゼ、FLサイトカイン受容体、CD135抗原、EC2.7.10.1、CD135、FLK-2、STK1、FLK2、増殖因子受容体チロシンキナーゼIII型、受容体型チロシン-プロテインキナーゼFLT3、胎児肝臓キナーゼ2、胎児肝臓キナーゼ-2、EC2.7.10、FLT-3、STK-1)、またはUniProtアクセション番号P36888、ならびに、どのような分子であっても、類似した生物学的機能を有する他の分子で、FLT3およびそのどのような変異体またはイソ型との少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性、または代替では少なくとも95%の配列同一性を共有する他の分子を示す。FLT3の限定されない例には、下記のものが含まれる:
ヒトFLT3イソ型1、配列番号17:
MPALARDGGQLPLLVVFSAMIFGTITNQDLPVIKCVLINHKNNDSSVGKSSSYPMVSESPEDLGCALRPQSSGTVYEAAAVEVDVSASITLQVLVDAPGNISCLWVFKHSSLNCQPHFDLQNRGVVSMVILKMTETQAGEYLLFIQSEATNYTILFTVSIRNTLLYTLRRPYFRKMENQDALVCISESVPEPIVEWVLCDSQGESCKEESPAVVKKEEKVLHELFGTDIRCCARNELGRECTRLFTIDLNQTPQTTLPQLFLKVGEPLWIRCKAVHVNHGFGLTWELENKALEEGNYFEMSTYSTNRTMIRILFAFVSSVARNDTGYYTCSSSKHPSQSALVTIVEKGFINATNSSEDYEIDQYEEFCFSVRFKAYPQIRCTWTFSRKSFPCEQKGLDNGYSISKFCNHKHQPGEYIFHAENDDAQFTKMFTLNIRRKPQVLAEASASQASCFSDGYPLPSWTWKKCSDKSPNCTEEITEGVWNRKANRKVFGQWVSSSTLNMSEAIKGFLVKCCAYNSLGTSCETILLNSPGPFPFIQDNISFYATIGVCLLFIVVLTLLICHKYKKQFRYESQLQMVQVTGSSDNEYFYVDFREYEYDLKWEFPRENLEFGKVLGSGAFGKVMNATAYGISKTGVSIQVAVKMLKEKADSSEREALMSELKMMTQLGSHENIVNLLGACTLSGPIYLIFEYCCYGDLLNYLRSKREKFHRTWTEIFKEHNFSFYPTFQSHPNSSMPGSREVQIHPDSDQISGLHGNSFHSEDEIEYENQKRLEEEEDLNVLTFEDLLCFAYQVAKGMEFLEFKSCVHRDLAARNVLVTHGKVVKICDFGLARDIMSDSNYVVRGNARLPVKWMAPESLFEGIYTIKSDVWSYGILLWEIFSLGVNPYPGIPVDANFYKLIQNGFKMDQPFYATEEIYIIMQSCWAFDSRKRPSFPNLTSFLGCQLADAEEAMYQNVDGRVSECPHTYQNRRPFSREMDLGLLSPQAQVEDS
ヒトFLT3イソ型2、配列番号18:
MPALARDGGQLPLLVVFSAMIFGTITNQDLPVIKCVLINHKNNDSSVGKSSSYPMVSESPEDLGCALRPQSSGTVYEAAAVEVDVSASITLQVLVDAPGNISCLWVFKHSSLNCQPHFDLQNRGVVSMVILKMTETQAGEYLLFIQSEATNYTILFTVSIRNTLLYTLRRPYFRKMENQDALVCISESVPEPIVEWVLCDSQGESCKEESPAVVKKEEKVLHELFGTDIRCCARNELGRECTRLFTIDLNQTPQTTLPQLFLKVGEPLWIRCKAVHVNHGFGLTWELENKALEEGNYFEMSTYSTNRTMIRILFAFVSSVARNDTGYYTCSSSKHPSQSALVTIVEKGFINATNSSEDYEIDQYEEFCFSVRFKAYPQIRCTWTFSRKSFPCEQKGLDNGYSISKFCNHKHQPGEYIFHAENDDAQFTKMFTLNIRRKPQVLAEASASQASCFSDGYPLPSWTWKKCSDKSPNCTEEITEGVWNRKANRKVFGQWVSSSTLNMSEAIKGFLVKCCAYNSLGTSCETILLNSPGPFPFIQDNISFYATIGVCLLFIVVLTLLICHKYKKQFRYESQLQMVQVTGSSDNEYFYVDFREYEYDLKWEFPRENLEFGKVLGSGAFGKVMNATAYGISKTGVSIQVAVKMLKEKADSSEREALMSELKMMTQLGSHENIVNLLGACTLSGPIYLIFEYCCYGDLLNYLRSKREKFHRTWTEIFKEHNFSFYPTFQSHPNSSMPGSREVQIHPDSDQISGLHGNSFHSEDEIEYENQKRLEEEEDLNVLTFEDLLCFAYQVAKGMEFLEFKSARLPVKWMAPESLFEGIYTIKSDVWSYGILLWEIFSLGVNPYPGIPVDANFYKLIQNGFKMDQPFYATEEIYIIMQSCWAFDSRKRPSFPNLTSFLGCQLADAEEAMYQNVDGRVSECPHTYQNRRPFSREMDLGLLSPQAQVEDS
【0094】
本明細書中で使用される場合、用語FLT3-1は、本明細書中下記に開示される重鎖ポリヌクレオチド配列および軽鎖ポリヌクレオチド配列においてコードされるCDRのいずれか1つとの、好ましくは下記に開示されるCDR3領域の少なくとも1つとの、最も好ましくは下記に開示されるCDR3領域の両方との少なくとも70%のアミノ酸配列同一性、または代替では少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を共有するCDRを有するアミノ酸配列を含む抗体を示す。上記CDR領域のアミノ酸配列もまた、本明細書中下記に開示される。
FLT3-1重鎖可変領域配列、配列番号19:
CAGGTCCAACTGCAGCAGCCTGGGGCTGAGCTTGTGAAGCCTGGGGCTTCATTGAAGCTGTCCTGCAAGTCTTCCGGGTACACCTTCACCAGCTACTGGATGCACTGGGTGAGGCAGAGGCCTGGACATGGCCTTGAGTGGATCGGAGAGATTGATCCTTCTGACAGTTATAAAGACTACAATCAGAAGTTCAAGGACAAGGCCACATTGACTGTGGACAGATCCTCCAACACAGCCTACATGCACCTCAGCAGCCTGACATCTGATGACTCTGCGGTCTATTATTGTGCAAGAGCGATTACGACGACCCCCTTTGACTTCTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCA
FLT3-1軽鎖可変領域配列、配列番号20:
GATATTGTGCTAACTCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGACTCCAGGAGATAGCGTCAGTCTTTCCTGCAGGGCCAGCCAGAGTATTAGCAACAACCTACACTGGTATCAACAAAAATCACATGAGTCTCCAAGGCTTCTCATCAAGTATGCTTCCCAGTCCATCTCTGGGATCCCCTCCAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGACAGATTTCACTCTCAGTATCAACAGTGTGGAGACTGAAGATTTTGGAGTGTATTTCTGTCAACAGAGTAACACCTGGCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAACGG
FLT3-1のCDHR1、配列番号21:
SYWMH
FLT3-1のCDHR2、配列番号22:
EIDPSDSYKDYNQKFKD
FLT3-1のCDHR3、配列番号23:
AITTTPFDF
FLT3-1のCDLR1、配列番号24:
RASQSISNNLH
FLT3-1のCDLR2、配列番号25:
YASQSIS
FLT3-1のCDLR3、配列番号26:
QQSNTWPYT
【0095】
本明細書中で使用される場合、用語FLT3-2は、本明細書中下記に開示される重鎖ポリヌクレオチド配列および軽鎖ポリヌクレオチド配列においてコードされるCDRのいずれか1つとの、好ましくは下記に開示されるCDR3領域の少なくとも1つとの、最も好ましくは下記に開示されるCDR3領域の両方との少なくとも70%のアミノ酸配列同一性、または代替では少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を共有するCDRを有するアミノ酸配列を含む抗体を示す。上記CDR領域のアミノ酸配列もまた、本明細書中下記に開示される。
FLT3-2重鎖可変領域配列、配列番号27:
CAGGTGCAGCTGAAGCAGTCAGGACCTGGCCTAGTGCAGCCCTCACAGAGCCTGTCCATCACCTGCACAGTCTCTGGTTTCTCATTAACTAACTATGGTTTACACTGGGTTCGCCAGTCTCCAGGAAAGGGCCTGGAGTGGCTGGGAGTGATATGGAGTGGTGGAAGCACAGACTATAATGCAGCTTTCATATCCAGACTGAGCATCAGCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTTAAAATGAACAGTCTGCAGGCTGATGACACAGCCATATACTACTGTGCCAGAAAAGGAGGGATCTACTATGCTAACCATTACTATGCTATGGACTACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCA
FLT3-2軽鎖可変領域配列、配列番号28:
GACATTGTGATGACACAGTCTCCATCCTCCCTGAGTGTGTCAGCAGGAGAGAAGGTCACTATGAGCTGCAAGTCCAGTCAGAGTCTGTTAAACAGTGGAAATCAAAAGAACTATATGGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGCAGCCTCCTAAACTGTTGATCTACGGGGCATCCACTAGGGAATCTGGGGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGAACCGATTTCACTCTTACCATCAGCAGTGTGCAGGCTGAAGACCTGGCAGTTTATTACTGTCAGAATGATCATAGTTATCCGCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAACGG
FLT3-2のCDHR1、配列番号29:
NYGLH
FLT3-2のCDHR2、配列番号30:
VIWSGGSTDYNAAFIS
FLT3-2のCDHR3、配列番号31:
GGIYYANHYYAMDY
FLT3-2のCDLR1、配列番号32:
KSSQSLLNSGNQKNYM
FLT3-2のCDLR2、配列番号33:
GASTRES
FLT3-2のCDLR3、配列番号34:
QNDHSYPLT
【0096】
本明細書中で使用される場合、「相同性」または「同一(的)」、パーセント「同一性」またはパーセント「類似性」は、2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈で使用されるときには、同一である2つ以上の配列または部分配列、あるいは、同一であるヌクレオチドまたはアミノ酸残基の指定された割合を有する、例えば、少なくとも60%の同一性、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の同一性を指定された領域(例えば、本明細書中に記載される抗体をコードするヌクレオチド配列、または本明細書中に記載される抗体のアミノ酸配列)にわたって有する2つ以上の配列または部分配列を示す。相同性は、比較のためにアラインメントされ得るぞれぞれの配列における位置を比較することによって求めることができる。比較されている配列における位置が、同じ塩基またはアミノ酸によって占められるとき、当該分子はその位置において相同的である。配列間における相同性の程度は、これらの当該配列によって共有される一致している位置または相同的位置の数の関数である。アラインメントおよびパーセント相同性またはパーセント配列同一性は、この技術分野において知られている様々なソフトウエアプログラムを使用して、例えば、Current Protocols in
Molecular Biology(Ausubel他編、1987)、増補30、セクション7.7.18、表7.7.1に記載されるソフトウエアプログラムを使用して求めることができる。好ましくは、設定省略時の既定値パラメーターがアラインメントのために使用される。好ましいアライメントプログラムがBLASTであり、設定省略時の既定値パラメーターが使用される。具体的には、好ましいプログラムがBLASTNおよびBLASTPであり、下記の設定省略時の既定値パラメーターが使用される:Genetic code=standard;filter=none;strand=both;cutoff=60;expect=10;Matrix=BLOSUM62;Descriptions=50 sequences;sort by=HIGH SCORE;Databases=non-redundant,GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS translations+SwissProtein+SPupdate+PIR。これらのプログラムの詳細を下記のインターネットアドレスにおいて見出すことができる:ncbi.nlm.nih.gov/cgi-bin/BLAST。「相同性」または「同一(的)」、パーセント「同一性」またはパーセント「類似性」の用語はまた、試験配列の相補体を示しており、または、試験配列の相補体に対して適用することができる。これらの用語にはまた、欠失および/または付加を有する配列、同様にまた、置換を有する配列が含まれる。本明細書中に記載されるように、好ましいアルゴリズムでは、ギャップなどが生じ得る。好ましくは、同一性が、長さが少なくとも約25個のアミノ酸またはヌクレオチドである領域にわたって、あるいはより好ましくは、長さが少なくとも50個~100個のアミノ酸またはヌクレオチドである領域にわたって存在する。「無関係な」または「非相同的な」配列は、本明細書中に開示される配列の1つとの40%未満の同一性、または代替では25%未満の同一性を共有する。
【0097】
「ハイブリダイゼーション」は、1つまたは複数のポリヌクレオチドが反応して、ヌクレオチド残基の塩基の間での水素結合を介して安定化される複合体を形成する反応を示す。水素結合が、ワトソン・クリック塩基対形成、フーグスティーン(Hoogstein)結合によって、または、どのような様式であれ、他の配列特異的な様式で生じる場合がある。複合体は、二重鎖構造を形成する2つの鎖、多鎖複合体を形成する3つ以上の鎖、自身にハイブリダイゼーションする一本鎖、または、どのような組合せであれ、これらの組合せを含む場合がある。ハイブリダイゼーション反応が、より広範囲にわたるプロセスにおける一工程を構成する場合がある(例えば、PCR反応の開始、またはリボザイムによるポリヌクレオチドの酵素的切断など)。
【0098】
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例には、下記の条件が含まれる:約25℃~約37℃のインキュベーション温度、約6×SSC~約10×SSCのハイブリダイゼーション緩衝液濃度、約0%~約25%のホルムアミド濃度、および、約4×SSC~約8×SSCの洗浄液。中程度のハイブリダイゼーション条件の例には、下記の条件が含まれる:約40℃~約50℃のインキュベーション温度、約9×SSC~約2×SSCの緩衝液濃度、約30%~約50%のホルムアミド濃度、および、約5×SSC~約2×SSCの洗浄液。高ストリンジェンシーの条件の例には、下記の条件が含まれる:約55℃~約68℃のインキュベーション温度、約1×SSC~約0.1×SSCの緩衝液濃度、約55%~約75%のホルムアミド濃度、および、約1×SSC、0.1×SSCまたは脱イオン水の洗浄液。一般に、ハイブリダイゼーションのインキュベーション時間が、1回、2回またはそれ以上の洗浄工程を伴って5分~24時間であり、洗浄のインキュベーション時間が、約1分、2分または15分である。SSCは、0.15MのNaClおよび15mMのクエン酸塩の緩衝液である。他の緩衝液系を使用するSSCの同等物が用いられ得ることが理解される。
【0099】
用語「単離された(される)」は、本明細書中で使用される場合、分子または生物学的物質または細胞物質が他の物質を実質的に含んでいないことを示す。1つの局面において、用語「単離された(される)」は、天然の供給源に存在する他のDNAまたはRNA、あるいはタンパク質またはポリペプチド、あるいは細胞または細胞オルガネラ、あるいは組織または器官からそれぞれ分離される核酸(例えば、DNAまたはRNAなど)、あるいはタンパク質またはポリペプチド(例えば、抗体またはその誘導体)、あるいは細胞または細胞オルガネラ、あるいは組織または器官を示す。用語「単離された(される)」はまた、組換えDNA技術によって作製されたときには細胞物質、ウイルス物質または培養培地を実質的に含んでいない核酸またはペプチドを示し、あるいは、化学合成されたときには化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含んでいない核酸またはペプチドを示す。そのうえ、「単離された核酸」は、天然にはフラグメントとして存在せず、天然の状態では見出されないであろう核酸フラグメントを含むことが意図される。用語「単離された
(される)」はまた、他の細胞タンパク質から単離されているポリペプチドを示すために本明細書中では使用され、精製ポリペプチドおよび組換えポリペプチドの両方を包含することが意図される。用語「単離された(される)」はまた、他の細胞または組織から単離されている細胞または組織を示すために本明細書中では使用され、培養された細胞または組織および操作された細胞または組織の両方を包含することが意図される。
【0100】
本明細書中で使用される場合、用語「単離された細胞」は一般には、組織の他の細胞から実質的に分離されている細胞を示す。
【0101】
「免疫細胞」には、例えば、骨髄において産生される造血幹細胞(HSC)に由来する白血球(white blood cells(leukocytes))、リンパ球(T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞)、および骨髄由来細胞(好中球、好酸球、好塩基球、単球、マクロファージ、樹状細胞)が含まれる。
【0102】
本明細書中で使用される場合、用語「リンカー配列」は、1回から10回まで、または代替では約8回まで、または代替では約6回まで、または代替では約5回、または4回、または代替では3回、または代替では2回繰り返され得る1個~10個のアミノ酸、または代替では8個のアミノ酸、または代替では6個のアミノ酸、または代替では5個のアミノ酸を含む任意のアミノ酸配列に関連する。例えば、リンカーは、3回繰り返されるペンタペプチドからなる15個までのアミノ酸残基を含む場合がある。1つの局面において、リンカー配列は、一文字配列表記ではGGGGSとして表されるgly-gly-gly-gly-ser-の3コピーを含む(グリシン4セリン)3の柔軟なポリペプチドリンカーである。
【0103】
「ガン組織タイプに対応する正常な細胞」は、当該ガン組織と同じ組織タイプに由来する正常な細胞を示す。限定されない一例が、患者から得られる正常な白血球である。
【0104】
本明細書中で使用される場合、用語「NK細胞」は、ナチュラルキラー細胞としてもまた知られており、骨髄に起源を有し、非常に重要な役割を自然免疫系において果たすリンパ球の一タイプを示す。NK細胞は、抗体および主要組織適合抗原複合体が細胞表面に存在していない場合でさえ、ウイルス感染細胞、腫瘍細胞または他のストレス細胞に対する迅速な免疫応答をもたらす。NK細胞は、単離されるか、または、市販の供給元から得られるかのどちらの場合であってもよい。市販のNK細胞株の限定されない例には、NK-92(ATCC(登録商標)CRL-2407(商標))、NK-92MI(ATCC(登録商標)CRL-2408(商標))の系統が含まれる。さらなる例には、NK系統のHANK1、KHYG-1、NKL、NK-YS、NOI-90およびYTが含まれるが、これらに限定されない。そのような市販の細胞株についての限定されない例示的な供給元には、American Type Culture Collection、すなわち、ATCC(http://www.atcc.org/)、および、German Collection of Microorganisms and Cell Cultures(https://www.dsmz.de/)が含まれる。
【0105】
調節ポリヌクレオチドに関して本明細書中で使用される場合、用語「機能的に結合された(される)」は、当該調節ポリヌクレオチドと、特定のタンパク質が当該調節ポリヌクレオチドに結合するときには連結されているポリヌクレオチドが転写されるように当該調節ポリヌクレオチドが連結されるポリヌクレオチド配列との間における結合を示す。
【0106】
本明細書中で使用される場合、細胞、組織または器官に関しての用語「過剰発現する」により、タンパク質が、コントロール細胞、コントロール問題(issue)または器官において産生される量よりも多い量に発現させられる。過剰発現されるタンパク質は、宿主細胞に対して内因性または宿主細胞に対して外因性である場合がある。
【0107】
用語「ポリヌクレオチド」および用語「オリゴヌクレオチド」は交換可能に使用され、ヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドまたはそれらのアナログのいずれか)のポリマー形態をどのような長さのものであっても示す。ポリヌクレオチドは、どのような三次元構造であっても有することができ、既知または不明にかかわらず、何らかの機能を果たす場合がある。下記は、ポリヌクレオチドの限定されない例である:遺伝子または遺伝子フラグメント(例えば、プローブ、プライマー、ESTタグまたはSAGEタグ)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA、リボソームRNA、RNAi、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐型ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブおよび核酸プライマー。ポリヌクレオチドは様々な修飾ヌクレオチド(例えば、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログなど)を含むことができる。存在するならば、ヌクレオチド構造に対する改変をポリヌクレオチドの組立て前または組立て後において施すことができる。ヌクレオチドの配列は非ヌクレオチド成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドはさらに、例えば、標識化成分との結合などによって重合後に修飾することができる。この用語はまた、二本鎖分子および一本鎖分子の両方を示す。別途明記される場合または別途要求される場合を除き、ポリヌクレオチドであるこの技術の局面はどのような局面であっても、二本鎖形態と、二本鎖形態を構成することが知られている、または予測される2つの相補的な一本鎖形態のそれぞれとをともに包含する。
【0108】
本明細書中で使用される場合、用語「核酸配列」および用語「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチド(リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのどちらか)のポリマー形態をどのような長さのものであっても示すために交換可能に使用される。したがって、この用語には、一本鎖、二本鎖または多鎖のDNAまたはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッド、あるいは、プリン塩基およびピリミジン塩基、または他の天然型ヌクレオチド塩基、化学修飾された、もしくは生化学修飾された非天然型ヌクレオチド塩基もしくは誘導体化ヌクレオチド塩基を含むポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0109】
用語「プロモーター」は、本明細書中で使用される場合、コード配列(例えば、遺伝子など)の発現を調節する配列をどのようなものであっても示す。プロモーターは、例えば、構成的、誘導性、抑制的または組織特異的である場合がある。「プロモーター」は、転写の開始および速度が制御されるポリヌクレオチド配列の領域である制御配列である。プロモーターは、調節タンパク質および調節分子(例えば、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子など)が結合し得る遺伝子エレメントを含有する場合がある。
【0110】
用語「タンパク質」、用語「ペプチド」および用語「ポリペプチド」は、2つ以上のサブユニットアミノ酸、アミノ酸アナログまたはペプチド模倣体の化合物を示すために交換可能に、また、それらの最も広い意味で使用される。これらのサブユニットはペプチド結合によって連結される場合がある。別の局面において、サブユニットが、他の結合によって、例えば、エステル、エーテルなどによって連結される場合がある。タンパク質またはペプチドは、少なくとも2個のアミノ酸を含有しなければならず、また、どのような制限も、タンパク質またはペプチドの配列を構成し得るアミノ酸の最大数に関しては設けられない。本明細書中で使用される場合、用語「アミノ酸」は、グリシン、ならびに、D型およびL型の両方の光学異性体、アミノ酸アナログ、ならびにペプチド模倣体を含めて、天然型アミノ酸および/または非天然型アミノ酸もしくは合成アミノ酸のいずれかを示す。
【0111】
本明細書中で使用される場合、用語「精製された(される)」は、絶対的な純度を要求しておらず、むしろ、この用語は、相対的な用語として意図される。したがって、例えば、精製された核酸、ペプチド、タンパク質、生物学的複合体または他の活性化合物は、様々なタンパク質または他の混入物から全体的または部分的に単離されているものである。一般には、本開示の範囲内における使用のための実質的に精製されたペプチド、タンパク質、生物学的複合体または他の活性化合物は、治療的投与のための完全な医薬配合物における医薬用のキャリア、賦形剤、緩衝剤、吸収強化剤、安定剤、防腐剤、アジュバントまたは他の共成分との、当該ペプチド、タンパク質、生物学的複合体または他の活性化合物の混合または配合に先立つ調製物に存在するすべての巨大分子種の80%超を構成する。より典型的には、ペプチド、タンパク質、生物学的複合体または他の活性化合物は、他の配合成分と混合する前の精製された調製物に存在するすべての巨大分子種の90%超を表すように精製され、多くの場合には、そのような巨大分子種の95%超を表すように精製される。他の場合において、精製された調製物は本質的に均一である場合があり、ただし、この場合、他の巨大分子種は従来の技術によって検出できない。
【0112】
本明細書中で使用される場合、用語「精製マーカー」は、精製または特定のために有用である少なくとも1つのマーカーを示す。このマーカーの非網羅的な列挙には、His、lacZ、GST、マルトース結合タンパク質、NusA、BCCP、c-myc、CaM、FLAG、GFP、YFP、cherry、チオレドキシン、ポリ(NANP)、V5、Snap、HA、キチン結合タンパク質、Softag1、Softag3、StrepまたはSタンパク質が含まれる。好適な直接的または間接的な蛍光マーカーは、FLAG、GFP、YFP、RFP、dTomato、cherry、Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7、DNP、AMCA、ビオチン、ジゴキシゲニン、Tamra、テキサスレッド、ローダミン、様々なAlexaフルオル、FITC、TRITC、あるいは、どのようなものであれ、他の蛍光色素またはハプテンを含む。
【0113】
本明細書中で使用される場合、用語「組換えタンパク質」は、組換えDNA技術によって産生されるポリペプチドを示し、ただし、この場合、一般には、ポリペプチドをコードするDNAが、好適な発現ベクターに挿入され、この発現ベクターは結果として、宿主細胞を形質転換して異種タンパク質を産生させるために使用される。
【0114】
本明細書中で使用される場合、用語「シグナルペプチド」は、例えば、ある特定の細胞オルガネラ(例えば、小胞体など)および/または細胞表面への、細胞内におけるタンパク質の輸送および局在化を導くペプチド配列を示す。シグナルペプチドの限定されない例が本明細書中に開示されており、例えば、下記の核酸配列によってコードされるペプチドである:
【0115】
本明細書中で使用される場合、用語「特異的(な)結合」は、結合親和性が少なくとも10-6Mである抗体と抗原との間での接触を意味する。ある特定の局面において、抗体は、少なくとも約10-7Mの親和性により、好ましくは10-8M、10-9M、10-10M、10-11Mまたは10-12Mの親和性により結合する。
【0116】
「固形腫瘍」は、通常の場合には嚢胞または液体領域を含有しない異常な塊の組織である。固形腫瘍は、良性または悪性、転移性または非転移性であり得る。様々な異なるタイプの固形腫瘍が、固形腫瘍を形成する細胞のタイプにちなんで命名される。固形腫瘍の例には、肉腫、ガン腫およびリンパ腫が含まれる。
【0117】
本明細書中で使用される場合、用語「自殺遺伝子」は、細胞アポトーシスを誘導することが可能である遺伝子であり、限定されない例には、HSV-TK(単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ)、シトシンデアミナーゼ、ニトロレダクターゼ、カルボキシルエステラーゼ、シトクロームP450もしくはPNP(プリンヌクレオシドホスホリラーゼ)、短縮型EGFR、または誘導性カスパーゼ(「iCasp」)が含まれる。自殺遺伝子は様々な経路に沿って機能する場合があり、場合により、誘導剤(例えば、小分子など)によって誘導され得る場合がある。例えば、iCasp自殺遺伝子は、誘導剤に結合するために最適化されているタンパク質に機能的に連結されるカスパーゼタンパク質の一部を含む;誘導剤を、自殺遺伝子を含む細胞に導入することにより、カスパーゼの活性化およびそれに続く上記細胞のアポトーシスがもたらされる。
【0118】
本明細書中で使用される場合、用語「T2A」および用語「2Aペプチド」は、任意の2Aペプチドまたはそのフラグメント、任意の2A様ペプチドまたはそのフラグメント、あるいは、必要不可欠なアミノ酸を、コンセンサスなポリペプチドモチーフD-V/I-E-X-N-P-G-P(配列番号35)(式中、Xは、自己切断性であると一般に考えられる任意のアミノ酸を示す)を含有する(起源のウイルスに依存して20アミノ酸程度の長さでの)比較的短いペプチド配列において含む人工ペプチドを示すために交換可能に使用される。
【0119】
本明細書中で使用される場合、用語「T細胞」は、胸腺において成熟するリンパ球の一タイプを示す。T細胞は重要な役割を細胞媒介性免疫において果たしており、細胞表面におけるT細胞受容体の存在によって他のリンパ球(例えば、B細胞など)から区別される。T細胞は、単離されるか、または、市販の供給元から得られるかのどちらの場合であってもよい。「T細胞」には、Tヘルパー細胞(CD4+細胞)、細胞傷害性T細胞(CD8+細胞)、ナチュラルキラーT細胞、T調節細胞(Treg)およびガンマ・デルタT細胞を含めて、CD3を発現するすべてのタイプの免疫細胞が含まれる。「細胞傷害性細胞」には、CD8+T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞および好中球が含まれ、そのような細胞は細胞傷害性応答を媒介することが可能である。市販のT細胞株の限定されない例には、BCL2(AAA)Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2902(商標))、BCL2(S70A)Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2900
(商標))、BCL2(S87A)Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2901(商標))、BCL2 Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2899(商標))、Neo Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2898(商標))、TALL-104細胞傷害性ヒトT細胞株(ATCC #CRL-11386)の系統が含まれる。さらなる例には、成熟T細胞株、例えば、Deglis、EBT-8、HPB-MLp-W、HUT78、HUT102、Karpas384、Ki225、My-La、Se-Ax、SKW-3、SMZ-1およびT34;未成熟T細胞株、例えば、ALL-SIL、Be13、CCRF-CEM、CML-T1、DND-41、DU.528、EU-9、HD-Mar、HPB-ALL、H-SB2、HT-1、JK-T1、Jurkat、Karpas45、KE-37、KOPT-K1、K-T1、L-KAW、Loucy、MAT、MOLT-1、MOLT3、MOLT-4、MOLT13、MOLT-16、MT-1、MT-ALL、P12/Ichikawa、Peer、PER0117、PER-255、PF-382、PFI-285、RPMI-8402、ST-4、SUP-T1~SUP-T14、TALL-1、TALL-101、TALL-103/2、TALL-104、TALL-105、TALL-106、TALL-107、TALL-197、TK-6、TLBR-1、TLBR-2、TLBR-3およびTLBR-4、CCRF-HSB-2(CCL-120.1)、J.RT3-T3.5(ATCC TIB-153)、J45.01(ATCC CRL-1990)、J.CaM1.6(ATCC CRL-2063)、RS4;11(ATCC CRL-1873)、CCRF-CEM(ATCC CRM-CCL-119);ならびに、皮膚T細胞リンパ腫系統、例えば、HuT78(ATCC CRM-TIB-161)、MJ[G11](ATCC CRL-8294)、HuT102(ATCC TIB-162)が含まれるが、これらに限定されない。REH、NALL-1、KM-3、L92-221(これらに限定されない)を含めてヌル白血病細胞株が、他の白血病およびリンパ腫に由来する細胞株(例えば、K562赤白血病、THP-1単球性骨髄腫、U937リンパ腫、HEL赤白血病、HL60白血病、HMC-1白血病、KG-1白血病、U266骨髄腫など)が免疫細胞の別の市販供給元であるように、免疫細胞の別の市販供給元である。そのような市販の細胞株についての限定されない例示的な供給元には、American Type Culture Collection、すなわち、ATCC(http://www.atcc.org/)、および、German Collection of Microorganisms and Cell Cultures(https://www.dsmz.de/)が含まれる。
【0120】
用語「形質導入する」または用語「形質導入」は、キメラ抗原受容体細胞の作製に適用される場合、外来ヌクレオチド配列が細胞内に導入されるプロセスを示す。いくつかの実施形態において、この形質導入はベクターを介して行われる。
【0121】
本明細書中で使用される場合、対象において疾患を「処置する」、または、対象における疾患の「処置」は、(1)症状または疾患が、素因を有する対象、または当該疾患の症状を未だ呈していない対象において生じることを防止すること、(2)当該疾患を阻害すること、またはその発達を停止させること;あるいは(3)当該疾患もしくは当該疾患の症状を改善すること、または当該疾患もしくは当該疾患の症状の退行を生じさせることを示す。この技術分野では理解されているように、「処置」は、臨床結果を含めて、有益な結果または所望の結果を得るための取り組みである。本発明の技術の目的のために、有益な結果または所望の結果には、1つまたは複数の症状の緩和または改善、(疾患を含む)状態の範囲の縮小、(疾患を含む)状態の安定化した状況(すなわち、悪化しない状況)、(疾患を含む)状態の遅延または緩速化、(疾患を含む)状態の進行、改善または軽減、状況および寛解(部分的または全体的であろうと)の1つまたは複数が、検出可能または検出不能にかかわらず含まれるが、これらに限定されない。開示された組成物および方法を含有する処置は、第一選択の治療、第二選択の治療、第三選択の治療、第四選択の治療、第五選択の治療とすることができ、単独の治療法として、または他の適切な治療法との組合せで使用されるように意図される。
【0122】
本明細書中で使用される場合、用語「ベクター」は、プラスミド、ウイルス、コスミド、ファージ、BAC、YACなど(これらに限定されない)を含めて、異なる宿主の間における移入のために設計される核酸構築物を示す。いくつかの実施形態において、プラスミドベクターが、市販のベクターから調製される場合がある。他の実施形態において、ウイルスベクターが、この技術分野において知られている様々な技術に従って、バキュロウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、AAVなどから作製される場合がある。1つの実施形態において、ウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。
【0123】
上記で列挙されたGenBankアクセション番号、UniProt参照番号および参考文献のそれぞれに関連する配列が、参照によって本明細書中に組み込まれる。
(略語のリスト)
AML:急性骨髄性白血病
CAR:キメラ抗原受容体
iCasp:誘導されたカスパーゼ
【0124】
[開示を実施するための態様]
今までに例のない結果が、遺伝子操作されたキメラ抗原受容体(CAR)T細胞による自己処置を使用してB細胞リンパ腫および白血病において近年に得られたことから(Maude,S.L.他(2014)、New Engl.J.Med.、371:1507~1517;Porter,D.L.他(2011)、New Engl.J.Med.、365:725~733)、数多くの研究所が、卵巣ガン、前立腺ガンおよび膵臓腫瘍を含めて様々な固形腫瘍に対してこの取り組み法を適用し始めている。CAR改変されたT細胞は、モノクローナル抗体のHLA非依存的な標的化特異性を、活性化T細胞の細胞溶解活性、増殖およびホーミング特性と組み合わせており、しかし、チェックポイント抑制には応答しない。抗原を発現する標的を直接に死傷させることができるために、CAR
T細胞は、抗原陽性のどのような細胞または組織に対してであっても非常に毒性であり、そのため、高度に腫瘍特異的な抗体を用いてCARを構築することが求められている。今日に至るまで、ヒト固形腫瘍に対するCAR改変されたT細胞が、α-葉酸受容体、メソテリン、およびMUC-CD、PSMA、ならびに他の標的に対して構築されており、しかし、ほとんどが、正常な組織における抗原のいくらかの標的外発現を有する。これらの構築物はその同じ並外れた結果を患者において示しておらず、このことから、固形腫瘍に対して使用することができるCAR T細胞構築物の新しい標的および方法を特定するためのさらなる研究が必要であることが強調される。
【0125】
したがって、本開示は、FLT3に対して特異的である結合ドメイン(これはいくつかの局面ではFLT3抗体の抗原結合ドメインである)を含むキメラ抗原受容体(CAR)、ならびに、その使用および作製に関連する方法および組成物を提供する。
[キメラ抗原受容体およびその使用]
[I. 成分]
【0126】
本開示は、FLT3に結合するキメラ抗原受容体(CAR)であって、細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内ドメインとを含む細胞活性化部分を含む、または該細胞活性化部分から本質的になる、または該細胞活性化部分からなるCARを提供する。細胞外ドメインは、他の場合には抗原結合ドメインとして示される標的特異的な結合性エレメントを含む。細胞内ドメインまたは細胞質ドメインは、共刺激シグナル伝達領域と、ゼータ鎖部分とを含む。CARは場合によりさらに、300アミノ酸までのスペーサードメイン、好ましくは10アミノ酸~100アミノ酸のスペーサードメイン、より好ましくは25アミノ酸~50アミノ酸のスペーサードメインを含む場合がある。
【0127】
スペーサードメイン。CARは場合によりさらに、300アミノ酸までのスペーサードメイン、好ましくは10アミノ酸~100アミノ酸のスペーサードメイン、より好ましくは25アミノ酸~50アミノ酸のスペーサードメインを含む場合がある。例えば、スペーサーは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個または50個のアミノ酸である場合がある。スペーサードメインは、例えば、ヒトFcドメイン、CH3ドメイン、または、任意の免疫グロブリン(例えば、IgA、IgD、IgE、IgGまたはIgMなど)のヒンジ領域の一部、あるいはそれらの変化体を含む場合がある。例えば、いくつかの実施形態は、S228P、L235Eおよび/またはN297Qの変異(これらはKabat番号表記に従う)を伴う、または伴わないIgG4ヒンジを含む場合がある。さらなるスペーサーには、CD4、CD8およびCD28のヒンジ領域が含まれるが、これらに限定されない。
【0128】
<抗原結合ドメイン>
ある特定の局面において、本開示は、FLT3に対して特異的である抗原結合ドメインを含む、または代替では該抗原結合ドメインから本質的に構成される、さらにあるいは、該抗原結合ドメインから構成されるCARを提供する。
【0129】
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、FLT3抗体、またはFLT3と結合する抗体の抗原結合ドメインを含み、あるいは代替では該抗原結合ドメインから本質的になり、あるいはそれにもかかわらず、該抗原結合ドメインからなる。この抗原と特異的に結合する様々なモノクローナル抗体が、例えば、Becton Dickinson
Biosciences、および、他の商業的供給元、例えば、www.biocompare.com/Search-Antibodies/?search=FLT3&said=0において列挙される供給元から市販されている。
【0130】
1つの局面において、抗原結合ドメインはFLT3抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。限定されない実施形態において、FLT3抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域は当該FLT3抗体の抗原結合ドメインを含み、または代替では該抗原結合ドメインから本質的に構成され、さらにまたは、該抗原結合ドメインから構成される。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは標的特異的抗体(すなわち、抗FLT3抗体)のフラグメント(例えば、scFv)を含み、または該フラグメント(例えば、scFv)からなり、または該フラグメント(例えば、scFv)から本質的に構成される。scFv領域は、短いリンカーペプチドによりつながれる免疫グロブリンの重鎖の可変領域(VH)および軽鎖の可変領域(VL)を含むことができる。リンカーペプチドは1個~50個のアミノ酸である場合があり、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個または50個のアミノ酸である場合がある。いくつかの実施形態において、リンカーはグリシンに富んでおり、だが、リンカーまたは、セリンまたはトレオニンを含有する場合がある。
【0131】
いくつかの実施形態において、重鎖可変領域は、下記の配列番号19に開示されるポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド:
CAGGTCCAACTGCAGCAGCCTGGGGCTGAGCTTGTGAAGCCTGGGGCTTCATTGAAGCTGTCCTGCAAGTCTTCCGGGTACACCTTCACCAGCTACTGGATGCACTGGGTGAGGCAGAGGCCTGGACATGGCCTTGAGTGGATCGGAGAGATTGATCCTTCTGACAGTTATAAAGACTACAATCAGAAGTTCAAGGACAAGGCCACATTGACTGTGGACAGATCCTCCAACACAGCCTACATGCACCTCAGCAGCCTGACATCTGATGACTCTGCGGTCTATTATTGTGCAAGAGCGATTACGACGACCCCCTTTGACTTCTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCA
またはその抗原結合フラグメントまたはそれらのそれぞれの同等物を含み、あるいは代替では該ポリペプチドまたはその抗原結合フラグメントまたはそれらのそれぞれの同等物から本質的に構成され、さらにあるいは、該ポリペプチドまたはその抗原結合フラグメントまたはそれらのそれぞれの同等物から構成される。
【0132】
いくつかの実施形態において、重鎖可変領域は、下記の配列番号27に開示されるポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド:
CAGGTGCAGCTGAAGCAGTCAGGACCTGGCCTAGTGCAGCCCTCACAGAGCCTGTCCATCACCTGCACAGTCTCTGGTTTCTCATTAACTAACTATGGTTTACACTGGGTTCGCCAGTCTCCAGGAAAGGGCCTGGAGTGGCTGGGAGTGATATGGAGTGGTGGAAGCACAGACTATAATGCAGCTTTCATATCCAGACTGAGCATCAGCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTTAAAATGAACAGTCTGCAGGCTGATGACACAGCCATATACTACTGTGCCAGAAAAGGAGGGATCTACTATGCTAACCATTACTATGCTATGGACTACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCA
またはその抗原結合フラグメントまたはそれらのそれぞれの同等物を含み、あるいは代替では該ポリペプチドまたはその抗原結合フラグメントまたはそれらのそれぞれの同等物から本質的になり、あるいはそれにもかかわらず、さらには該ポリペプチドまたはその抗原結合フラグメントまたはそれらのそれぞれの同等物からなる。
【0133】
いくつかの実施形態において、重鎖可変領域は、SYWMH(配列番号21)、NYGLH(配列番号29)またはそれらのそれぞれの同等物で始まり、その後にはカルボキシ末端におけるさらなる50個のアミノ酸、または代替では約40個のアミノ酸、または代替では約30個のアミノ酸、または代替では約20個のアミノ酸、または代替では約10個のアミノ酸、または代替では約5個のアミノ酸、または代替では約4個のアミノ酸もしくは3個のアミノ酸もしくは2個のアミノ酸もしくは1個のアミノ酸が続くアミノ酸配列を含むCDRH1配列、あるいは代替では該アミノ酸配列から本質的に構成されるCDRH1配列、さらにあるいは、該アミノ酸配列から構成されるCDRH1配列を含む。
【0134】
いくつかの実施形態において、重鎖可変領域は、EIDPSDSYKDYNQKFKD
(配列番号22)、VIWSGGSTDYNAAFIS(配列番号30)またはそれらのそれぞれの同等物で始まり、その後にはカルボキシ末端におけるさらなる50個のアミノ酸、または代替では約40個のアミノ酸、または代替では約30個のアミノ酸、または代替では約20個のアミノ酸、または代替では約10個のアミノ酸、または代替では約5個のアミノ酸、または代替では約4個のアミノ酸もしくは3個のアミノ酸もしくは2個のアミノ酸もしくは1個のアミノ酸が続くアミノ酸配列を含むCDRH2配列、あるいは代替では該アミノ酸配列から本質的に構成されるCDRH2配列、さらにあるいは、該アミノ酸配列から構成されるCDRH2配列を含む。
【0135】
いくつかの実施形態において、重鎖可変領域は、AITTTPFDF(配列番号23)、GGIYYANHYYAMDY(配列番号31)またはそれらのそれぞれの同等物で始まり、その後にはカルボキシ末端におけるさらなる50個のアミノ酸、または代替では約40個のアミノ酸、または代替では約30個のアミノ酸、または代替では約20個のアミノ酸、または代替では約10個のアミノ酸、または代替では約5個のアミノ酸、または代替では約4個のアミノ酸もしくは3個のアミノ酸もしくは2個のアミノ酸もしくは1個のアミノ酸が続くアミノ酸配列を含むCDRH3配列、あるいは代替では該アミノ酸配列から本質的に構成されるCDRH3配列、さらにあるいは、該アミノ酸配列から構成されるCDRH3配列を含む。
【0136】
いくつかの実施形態において、軽鎖可変領域は、下記の配列番号20に開示されるポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド:
GATATTGTGCTAACTCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGACTCCAGGAGATAGCGTCAGTCTTTCCTGCAGGGCCAGCCAGAGTATTAGCAACAACCTACACTGGTATCAACAAAAATCACATGAGTCTCCAAGGCTTCTCATCAAGTATGCTTCCCAGTCCATCTCTGGGATCCCCTCCAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGACAGATTTCACTCTCAGTATCAACAGTGTGGAGACTGAAGATTTTGGAGTGTATTTCTGTCAACAGAGTAACACCTGGCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAACGGまたはその抗原結合フラグメントまたはそれらのそれぞれの同等物を含み、あるいは代替では該ポリペプチドまたはその抗原結合フラグメントまたはそれらのそれぞれの同等物から本質的に構成され、さらにあるいは、該ポリペプチドまたはその抗原結合フラグメントまたはそれらのそれぞれの同等物から構成される。
【0137】
いくつかの実施形態において、軽鎖可変領域は、下記の配列番号28に開示されるポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド:
GACATTGTGATGACACAGTCTCCATCCTCCCTGAGTGTGTCAGCAGGAGAGAAGGTCACTATGAGCTGCAAGTCCAGTCAGAGTCTGTTAAACAGTGGAAATCAAAAGAACTATATGGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGCAGCCTCCTAAACTGTTGATCTACGGGGCATCCACTAGGGAATCTGGGGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGAACCGATTTCACTCTTACCATCAGCAGTGTGCAGGCTGAAGACCTGGCAGTTTATTACTGTCAGAATGATCATAGTTATCCGCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAACGG
またはその抗原結合フラグメントまたはそれらのそれぞれの同等物を含み、あるいは代替では該ポリペプチドまたはその抗原結合フラグメントまたはそれらのそれぞれの同等物から本質的に構成され、さらにあるいは、該ポリペプチドまたはその抗原結合フラグメントまたはそれらのそれぞれの同等物から構成される。
【0138】
いくつかの実施形態において、軽鎖可変領域は、RASQSISNNLH(配列番号24)、KSSQSLLNSGNQKNYM(配列番号32)またはそれらのそれぞれの同等物で始まり、その後にはカルボキシ末端におけるさらなる50個のアミノ酸、または代替では約40個のアミノ酸、または代替では約30個のアミノ酸、または代替では約20個のアミノ酸、または代替では約10個のアミノ酸、または代替では約5個のアミノ酸、または代替では約4個のアミノ酸もしくは3個のアミノ酸もしくは2個のアミノ酸もしくは1個のアミノ酸が続くアミノ酸配列を含むCDRL1配列、あるいは代替では該アミノ酸配列から本質的になるCDRL1配列、あるいはそれにもかかわらず、さらには該アミノ酸配列からなるCDRL1配列を含む。
【0139】
いくつかの実施形態において、軽鎖可変領域は、YASQSIS(配列番号25)、GASTRES(配列番号33)またはそれらのそれぞれの同等物で始まり、その後にはカルボキシ末端におけるさらなる50個のアミノ酸、または代替では約40個のアミノ酸、または代替では約30個のアミノ酸、または代替では約20個のアミノ酸、または代替では約10個のアミノ酸、または代替では約5個のアミノ酸、または代替では約4個のアミノ酸もしくは3個のアミノ酸もしくは2個のアミノ酸もしくは1個のアミノ酸が続くアミノ酸配列を含むCDRL2配列、あるいは代替では該アミノ酸配列から本質的に構成されるCDRL2配列、さらにあるいは、該アミノ酸配列から構成されるCDRL2配列を含む。
【0140】
いくつかの実施形態において、軽鎖可変領域は、QQSNTWPYT(配列番号26)、QNDHSYPLT(配列番号34)またはそれらのそれぞれの同等物で始まり、その後にはカルボキシ末端におけるさらなる50個のアミノ酸、または代替では約40個のアミノ酸、または代替では約30個のアミノ酸、または代替では約20個のアミノ酸、または代替では約10個のアミノ酸、または代替では約5個のアミノ酸、または代替では約4個のアミノ酸もしくは3個のアミノ酸もしくは2個のアミノ酸もしくは1個のアミノ酸が続くアミノ酸配列を含むCDRL3配列、あるいは代替では該アミノ酸配列から本質的構成されるCDRL3配列、さらにあるいは、該アミノ酸配列から構成されるCDRL3配列を含む。
【0141】
本開示の別の局面において、FLT3抗体の抗原結合ドメインは下記特徴の1つまたは複数を含む:
(a)軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列は、開示された軽鎖配列のいずれかの軽鎖可変ドメインのCDRに対して少なくとも80%同一である1つまたは複数のCDRを含む;
(b)重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列は、開示された重鎖配列のいずれかの重鎖可変ドメインのCDRに対して少なくとも80%同一である1つまたは複数のCDRを含む;
(c)軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列は、開示された軽鎖配列のいずれかの軽鎖可変ドメインに対して少なくとも80%同一である;
(d)HC免疫グロブリン可変ドメイン配列は、開示された軽鎖配列のいずれかの重鎖可変ドメインに対して少なくとも80%同一である;かつ
(e)当該抗体は、開示された配列のいずれかが結合するエピトープと重複するエピトープと結合する。
【0142】
同等物のさらなる例には、抗原結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの相補体に高ストリンジェンシーの条件のもとでハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドによってコードされるペプチドまたはポリペプチドに対する少なくとも85%のアミノ酸同一性、または代替では少なくとも90%のアミノ酸同一性、または代替では少なくとも95%のアミノ酸同一性、または代替では少なくとも97%のアミノ酸同一性を有するペプチドが含まれ、ただし、この場合、高ストリンジェンシーの条件は、約55℃~約68℃のインキュベーション温度、約1×SSC~約0.1×SSCの緩衝液濃度、約55%~約75%のホルムアミド濃度、および、約1×SSC、0.1×SSCまたは脱イオン水の洗浄液を含む。
【0143】
例示的な抗原結合ドメインは下記ペプチドの1つまたは複数を含むことができ、1つの局面においては、示されたHCおよびLCの3つすべてのCDRを表1および表2にそれぞれ開示される特定の抗原について含む場合がある。
【表1】
【表2】
【0144】
1つの局面において、本開示は、FLT3-1に対して少なくとも80%同一である、または代替では85%同一である、または代替では90%同一である、または代替では95%同一である、または代替では97%同一である抗体の抗原結合ドメインを提供する。同等物のさらなる例には、抗原結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの相補体に高ストリンジェンシーの条件のもとでハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドが含まれ、ただし、この場合、高ストリンジェンシーの条件は、約55℃~約68℃のインキュベーション温度、約1×SSC~約0.1×SSCの緩衝液濃度、約55%~約75%のホルムアミド濃度、および、約1×SSC、0.1×SSCまたは脱イオン水の洗浄液を含む。
【0145】
本明細書中に提供される抗体のいくつかの局面において、HC可変ドメイン配列はFLT3-1の可変ドメイン配列を含み、LC可変ドメイン配列はFLT3-1の可変ドメイン配列を含む。
【0146】
1つの局面において、本開示は、FLT3-1のCDRを含む抗体の抗原結合ドメインを提供する。1つの局面において、本開示は、FLT3-1のCDRに対して、または、FLT3のCDRをコードするポリヌクレオチドの相補体に高ストリンジェンシーの条件のもとでハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに対して少なくとも85%同一である、または代替では80%同一である、または代替では85%同一である、または代替では90%同一である、または代替では95%同一である、または代替では97%同一である抗体の抗原結合ドメインを提供し、ただし、この場合、高ストリンジェンシー条件は、約55℃~約68℃のインキュベーション温度、約1×SSC~約0.1×SSCの緩衝液濃度、約55%~約75%のホルムアミド濃度、および、約1×SSC、0.1×SSCまたは脱イオン水の洗浄液を含む。
【0147】
1つの局面において、本開示は、FLT3-2に対して少なくとも80%同一である、または代替では85%同一である、または代替では90%同一である、または代替では95%同一である、または代替では97%同一である抗体の抗原結合ドメインを提供する。同等物のさらなる例には、抗原結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの相補体に高ストリンジェンシーの条件のもとでハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドが含まれ、ただし、この場合、高ストリンジェンシーの条件は、約55℃~約68℃のインキュベーション温度、約1×SSC~約0.1×SSCの緩衝液濃度、約55%~約75%のホルムアミド濃度、および、約1×SSC、0.1×SSCまたは脱イオン水の洗浄液を含む。
【0148】
本明細書中に提供される抗体のいくつかの局面において、HC可変ドメイン配列はFLT3-2の可変ドメイン配列を含み、LC可変ドメイン配列はFLT3-2の可変ドメイン配列を含む。
【0149】
1つの局面において、本開示は、FLT3-2のCDRを含む抗体の抗原結合ドメインを提供する。1つの局面において、本開示は、FLT3-2のCDRに対して、または、FLT3のCDRをコードするポリヌクレオチドの相補体に高ストリンジェンシーの条件のもとでハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに対して少なくとも85%同一である、または代替では80%同一である、または代替では85%同一である、または代替では90%同一である、または代替では95%同一である、または代替では97%同一である抗体の抗原結合ドメインを提供し、ただし、この場合、高ストリンジェンシーの条件は、約55℃~約68℃のインキュベーション温度、約1×SSC~約0.1×SSCの緩衝液濃度、約55%~約75%のホルムアミド濃度、および、約1×SSC、0.1×SSCまたは脱イオン水の洗浄液を含む。
【0150】
<膜貫通ドメイン>
膜貫通ドメインは、天然供給源から、または合成供給源からのどちらであっても得られる場合がある。供給源が天然である場合、ドメインは、どのような膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質からであってもそれらに由来する場合がある。本開示において特に有用である膜貫通領域が、CD8、CD28、CD3、CD45、CD4、CD5、CDS、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、TCRに由来する場合がある。代替において、膜貫通ドメインは合成である場合があり、そのような場合において、膜貫通ドメインは主に疎水性残基(例えば、ロイシンおよびバリンなど)を含むであろう。好ましくは、フェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンの三つ組が、合成された膜貫通ドメインの各末端において見出されるであろう。必要な場合には、長さが好ましくは2アミノ酸~10アミノ酸の間である短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカーにより、CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの間の連結が形成される場合がある。グリシン-セリンの二つ組により、特に適切なリンカーが提供される。
【0151】
<細胞質ドメイン>
CARの細胞質ドメインまたは細胞内シグナル伝達ドメインは、CARが配置された免疫細胞の従来のエフェクター機能の少なくとも1つの活性化に関わっている。細胞内シグナル伝達ドメインは、エフェクター機能シグナルを変換し、免疫細胞にその特異的機能を行わせるタンパク質の一部分を示す。短縮型部分が、エフェクター機能シグナルを変換するために十分である限り、シグナル伝達ドメイン全体またはその短縮型部分が使用される場合がある。TCRおよび共受容体の細胞質配列、同様にまた、それらの誘導体または変化体が、CARにおける使用のための細胞内シグナル伝達ドメインとして機能することができる。本開示において特に有用である細胞内シグナル伝達ドメインが、FcR、TCR、CD3、CDS、CD22、CD79a、CD79b、CD66dに由来する場合がある。いくつかの実施形態において、CARのシグナル伝達ドメインはCD3ζシグナル伝達ドメインを含むことができる。
【0152】
TCRを介して生じるシグナルは、T細胞の完全な活性化のためには単独では不十分であるので、二次的シグナルまたは共刺激シグナルもまた要求される場合がある。したがって、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3の各タンパク質の細胞内ドメイン(これらに限定されない)を含めて共刺激シグナル伝達分子の細胞内領域、または、CD83と特異的に結合するリガンドの細胞内領域もまた、CARの細胞質ドメインに含まれる場合がある。例えば、CARは、シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζシグナル伝達ドメイン)に加えて、1つ、2つまたはそれ以上の共刺激ドメインを含む場合がある。
【0153】
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体の細胞活性化部分は、CD8タンパク質、CD28タンパク質、4-1BBタンパク質、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、LFA-1、CD2、CD7、CD27、LIGHT、NKG2C、B7-H3およびCD3ゼータタンパク質からなる群から選択される1つまたは複数のタンパク質またはそのフラグメントを含むT細胞シグナル伝達ドメインであり、あるいは代替では該1つまたは複数のタンパク質またはそのフラグメントから本質的になるT細胞シグナル伝達ドメインであり、さらにあるいは、該1つまたは複数のタンパク質またはそのフラグメントからなるT細胞シグナル伝達ドメインである。
【0154】
具体的な実施形態において、CARは、FLT3抗体の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)と、ヒンジドメインと、CD28膜貫通ドメインと、共刺激シグナル伝達領域と、CD3ゼータシグナル伝達ドメインとを含み、または代替では、FLT3抗体の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)と、ヒンジドメインと、CD28膜貫通ドメインと、共刺激シグナル伝達領域と、CD3ゼータシグナル伝達ドメインとから本質的になり、さらにあるいは、FLT3抗体の抗原結合ドメイン(例えば、scFv)と、ヒンジドメインと、CD28膜貫通ドメインと、共刺激シグナル伝達領域と、CD3ゼータシグナル伝達ドメインとからなる。さらなる実施形態において、共刺激シグナル伝達領域は、CD28共刺激シグナル伝達領域および4-1BB共刺激シグナル伝達領域のどちらかまたは両方を含む。
【0155】
<スイッチ機構>
いくつかの実施形態において、CARはまた、当該CARの発現および/または活性化を制御するためのスイッチ機構を含む場合がある。例えば、CARは、細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内ドメインとを含む場合があり、または、細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内ドメインとから構成される場合があり、または、細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内ドメインとから本質的に構成される場合があり、ただし、この場合、細胞外ドメインは、標的細胞表面に発現される、または標的細胞によって発現される標的抗原とは異なる分子について特異的である標識、結合ドメインまたはタグと結合する標的特異的な結合性エレメントを含む。そのような実施形態において、CARの特異性が、標的抗原結合ドメイン(例えば、抗FLT3抗体もしくはそのフラグメント、または、FLT3およびCAR表面の標識もしくはタグと結合する二重特異性抗体)と、CAR表面の標識、結合ドメインもしくはタグによって認識される、または、CAR表面の標識、結合ドメインもしくはタグに結合するドメインとを含む第2の構築物によって、あるいは、該標的抗原結合ドメインと、該ドメインとから構成される第2の構築物によって、あるいは、該標的抗原結合ドメインと、該ドメインとから本質的に構成される第2の構築物によって提供される。例えば、国際公開WO2013/044225、同WO2016/000304、同WO2015/057834、同WO2015/057852、同WO2016/070061、米国特許第9,233,125号、米国特許出願公開第2016/0129109号を参照のこと。このようにして、CARを発現するT細胞を対象に投与することができ、しかし、このT細胞は、FLT3特異的結合ドメインを含む第2の組成物が投与されるまでは標的抗原(すなわち、FLT3)と結合することができない。
【0156】
本開示の様々なCARは同様に、それらの機能を活性化するための多量体化(例えば、米国特許出願公開第2015/0368342号、米国特許出願公開第2016/0175359号、米国特許出願公開第2015/0368360号を参照のこと)、および/または、T細胞応答を誘発するための外因性シグナル、例えば、小分子薬物(米国特許出願公開第2016/0166613号、Yung他、Science、2015)などを必要とする場合がある。
【0157】
さらに、開示されたCARは、「自殺スイッチ」(これは「自殺遺伝子」としてもまた示される)を、CAR細胞の細胞死を処置後に誘導するために含むことができ(Buddee他、PLoS One、2013)、または、標的抗原に結合した後でのCARの発現をダウンレギュレーションするために含むことができる(国際公開WO2016/011210)。限定されない例示的な自殺スイッチまたは自殺遺伝子がiCaspである。
【0158】
いくつかの実施形態において、CARはさらに、検出可能なマーカーまたは精製マーカーを含むことができる。別の局面において、本明細書中に記載されるようなCARは、組成物、例えば、診断または治療のための医薬的に許容され得るキャリアに含有される。
[II. FLT3抗体を調製するためのプロセス]
【0159】
本開示における使用のための様々な抗体を購入することができ、あるいは、この技術分野において知られている方法、および、本明細書中に簡単に記載される方法を使用して調製することができる。それらの製造および使用は広く知られており、例えば、Greenfield(2014)、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.)において開示される。抗体は、この技術分野において知られている標準的な方法を使用して作製される場合がある。抗体の例には、モノクローナル抗体、単鎖抗体、および、抗体の機能的フラグメントが含まれる(しかし、これらに限定されない)。
【0160】
抗体が、様々な宿主において、例えば、ヤギ、ウサギ、ラット、マウスおよびヒトなどにおいて産生される場合がある。これらの宿主は、免疫原特性を有する標的抗原またはそのフラグメントもしくはオリゴペプチド(例えば、C末端フラグメントFLT3または単離されたポリペプチドなど)を注入することによって免疫化される場合がある。宿主種に依存して、様々なアジュバントが、免疫学的応答を増大させるために加えられる場合があり、また、使用される場合がある。そのようなアジュバントには、フロイント、鉱物ゲル
(例えば、水酸化アルミニウムなど)、および表面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルション、キーホールリンペットヘモシアニンおよびジニトロフェノールなど)が含まれるが、これらに限定されない。ヒトにおいて使用されるアジュバントの中では、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)およびコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)が特に有用である。この本開示はまた、単離されたポリペプチドと、アジュバントとを提供する。
【0161】
ある特定の局面において、本開示の抗体はポリクローナルであり、すなわち、異なるアミノ酸配列を有する複数のタイプのFLT3抗体の混合物である。1つの局面において、ポリクローナル抗体は、異なるCDRを有する複数のタイプのFLT3抗体の混合物を含む。そのようなものとして、異なる抗体を産生する細胞の混合物が培養され、得られた培養物から精製される抗体を使用することができる(国際公開WO2004/061104を参照のこと)。
【0162】
<モノクローナル抗体産生>
FLT3関連抗原に対するモノクローナル抗体が、抗体分子を培養において連続細胞株によって産生させることを規定する技術をどのような技術であっても使用して調製される場合がある。そのような技術には、ハイブリドーマ技術(例えば、Kohler&Milstein(1975)、Nature、256:495~497を参照のこと)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(例えば、Kozbor他(1983)、Immunol.Today、4:72を参照のこと)、および、ヒトモノクローナル抗体を産生させるためのEBVハイブリドーマ技術(例えば、Cole他(1985)、MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY、Alan R.Liss,Inc.、77頁~96頁を参照のこと)が含まれるが、これらに限定されない。様々なヒトモノクローナル抗体を、本発明の技術を実施する際に利用することができ、また、ヒトハイブリドーマを使用することによって(例えば、Cote他(1983)、Proc.Natl.Acad.Sci.、80:2026~2030を参照のこと)、または、ヒトB細胞をインビトロでエプスタイン・バールウイルスにより形質転換することによって産生させることができる(例えば、Cole他(1985)、MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY、Alan R.Liss,Inc.、77頁~96頁を参照のこと)。例えば、様々な抗体の領域をコードする核酸の集団を単離することができる。様々な抗体の保存された領域をコードする配列に由来するプライマーを利用するPCRが、様々な抗体の一部分をコードする配列を集団から増幅し、その後、抗体またはそのフラグメント(例えば、可変ドメインなど)をコードするDNAを増幅された配列から再構築するために使用される。そのような増幅された配列はまた、ファージ表面または細菌表面における融合ポリペプチドの発現および呈示のために、他のタンパク質(例えば、バクテリオファージの外被または細菌の細胞表面タンパク質)をコードするDNAに融合することができる。増幅された配列はその後、その発現を行うことができ、さらに、その選択または単離を、例えば、FLT3関連抗原ポリペプチド上に存在する抗原またはエピトープについての発現させた抗体またはそのフラグメントの親和性に基づいて行うことができる。代替において、FLT3モノクローナル抗体を発現するハイブリドーマを、例えば、FLT3関連抗原もしくはそのフラグメントのアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを用いて、または代替ではFLT3関連抗原もしくはそのフラグメントのアミノ酸配列から本質的になる単離されたポリペプチドを用いて、さらにあるいは、FLT3関連抗原もしくはそのフラグメントのアミノ酸配列からなる単離されたポリペプチドを用いて、対象を免疫化し、その後、対象の脾臓に由来するハイブリドーマを、常法を使用して単離することによって調製することができる。例えば、Milstein他(GalfreおよびMilstein(1981)、Methods Enzymol、73:3~46)を参照のこと。ハイブリドーマを、標準的な方法を使用してスクリーニングすることにより、様々な特異性(すなわち、異なるエピトープについての様々な特異性)および親和性のモノクローナル抗体がもたらされるであろう。所望の特性(例えば、FLT3関連抗原結合)を有する選択されたモノクローナル抗体は、(i)ハイブリドーマによって発現されるように使用することができ、(ii)その特性を変化させるために所与の分子(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)など)に結合することができ、または、(iii)当該モノクローナル抗体をコードするcDNAを単離し、配列決定し、様々な方法で操作することができる。1つの局面において、FLT3モノクローナル抗体が、ヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物(例えば、トランスジェニックマウス)から得られるB細胞を不死化細胞に融合されて含むハイブリドーマによって産生される。ハイブリドーマ技術には、この技術分野において知られている、また、Greenfield(2014)、Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、N.Y.;Hammerling他(1981)、Monoclonal Antibodies And T-Cell
Hybridomas、563~681において教示される様々な技術が含まれる。
【0163】
<ファージディスプレイ技術>
上記のように、本開示の抗体は、組換えDNAおよびファージディスプレイの技術を適用することによって産生させることができる。例えば、FLT3抗体を、この技術分野において知られている様々なファージディスプレイ法を使用して調製することができる。ファージディスプレイ法では、機能的な抗体ドメインが、該抗体ドメインをコードするポリヌクレオチド配列を有するファージ粒子の表面に呈示される。所望の結合特性を有するファージが、抗原を用いて、典型的には固体表面またはビーズに結合させた抗原または捕捉された抗原を用いて直接に選択することによって、レパートリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒトまたはマウス)から選択される。これらの方法において使用されるファージは典型的には、fdおよびM13を含む繊維状ファージであり、この場合、Fab抗体ドメイン、Fv抗体ドメインまたはジスルフィド安定化Fv抗体ドメインが、ファージの遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのどちらかのタンパク質に組換え融合される。加えて、様々な方法を、FLT3ポリペプチドについての所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメント(例えば、ポリペプチドまたはその誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログ)の迅速かつ効果的な特定を可能にするようにFab発現ライブラリー(例えば、Huse他(1989)、Science、246:1275~1281を参照のこと)を構築するために適合化することができる。本開示の単離された抗体を作製するために使用することができるファージディスプレイ法の他の例には、下記において開示される方法が含まれる:Huston他(1988)、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、85:5879~5883;Chaudhary他(1990)、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、87:1066~1070;Brinkman他(1995)、J.Immunol.Methods、182:41~50;Ames他(1995)、J.Immunol.Methods、184:177~186;Kettleborough他(1994)、Eur.J.Immunol.、24:952~958;Persic他(1997)、Gene、187:9~18;Burton他(1994)、Advances in Immunology、57:191~280;国際出願PCT/GB91/01134;国際公開WO90/02809;国際公開WO91/10737;国際公開WO92/01047;国際公開WO92/18619;国際公開WO93/11236;国際公開WO95/15982;国際公開WO95/20401;国際公開WO96/06213;国際公開WO92/01047(Medical Research Council他);国際公開WO97/08320(Morphosys);国際公開WO92/01047(CAT/MRC);国際公開WO91/17271(Affymax);ならびに米国特許第5,698,426号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,580,717号、同第5,427,908号、同第5,750,753号、同第5,821,047号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,516,637号、同第5,780,225号、同第5,658,727号および同第5,733,743号。
【0164】
ジスルフィド結合を介して該ポリペプチドを結合することによって、バクテリオファージ粒子の表面にポリペプチドを呈示するために有用な様々な方法が、Lohningによって記載されている(米国特許第6,753,136号)。の参考文献に記載されるように、ファージ選択後、ファージ由来の抗体コード領域は、完全な抗体(ヒト抗体を含む)、または、任意の他の所望の抗原結合フラグメントを作製するために単離し、使用することができ、また、任意の所望の宿主(哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母および細菌を含む)において発現させることができる。例えば、Fabフラグメント、Fab’フラグメントおよびF(ab’)2フラグメントを組換え産生するための技術もまた、この技術分野において知られている方法を使用して、例えば、国際公開WO92/22324;Mullinax他(1992)、BioTechniques、12:864~869;Sawai他(1995)、AJRI、34:26~34;およびBetter他(1988)、Science、240:1041~1043において開示される方法などを使用して用いることができる。
【0165】
一般には、抗体または抗体フラグメントはファージ粒子またはファージミド粒子の表面に存在することになるので、ディスプレイベクターにクローン化されるハイブリッド抗体またはハイブリッド抗体フラグメントを、良好な結合活性を維持した変化体を特定するために、好適な抗原に対して選択することができる。例えば、Barbas III他(2001)、Phage Display,A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.)を参照のこと。しかしながら、他のベクター形式が、この目的のために、例えば、抗体フラグメントライブラリーを選択および/またはスクリーニングのための溶菌ファージベクター(改変されたT7システムまたはラムダZapシステム)にクローン化することなどのために使用され得るであろう。
【0166】
<抗体作製の代替方法>
抗体はまた、リンパ球集団におけるインビボ産生を誘導することによって、あるいは、組換え免疫グロブリンライブラリーまたは非常に特異的な結合試薬のパネルをスクリーニングすることによって作製される場合がある(Orlandi他
(1989)、PNAS、86:3833~3837;Winter,G.他(1991)、Nature、349:293~299)。
【0167】
あるいは、単鎖抗体を作製するための技術が使用される場合がある。単鎖抗体(scFv)は、リンカーペプチド(長さが典型的にはおよそ5アミノ酸~25アミノ酸)によりつながれる重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。scFvにおいて、重鎖および軽鎖の可変領域は、同じ抗体または異なる抗体に由来する場合がある。scFvが、組換え技術を使用して、例えば、scFvをコードするベクターを宿主生物(例えば、大腸菌など)において発現させることによって合成される場合がある。scFvをコードするDNAを、上述の抗体の重鎖または重鎖の可変領域をコードするDNA、および、その軽鎖またはその軽鎖の可変領域をコードするDNAから選択されるDNAのアミノ酸配列全体または所望のアミノ酸配列をコードする部分DNAをテンプレートとして使用する増幅を、その両末端を規定するプライマー対を使用するPCRによって行い、さらに、ポリペプチドリンカー部分をコードするDNAと、リンカーの両末端を重鎖および軽鎖にそれぞれ連結するようにするためにその両末端を規定するプライマー対とを組み合わせる増幅を行うことで得ることができる。scFvをコードするDNAを含有する発現ベクター、および、この発現ベクターによって形質転換されている宿主を、この技術分野において知られている従来の方法に従って得ることができる。
【0168】
抗原結合フラグメントもまた作製される場合がある:例えば、抗体分子のペプシン消化によって生じ得るF(ab’)2フラグメント、および、F(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生成し得るFabフラグメント。代替において、Fab発現ライブラリーが、所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ容易な特定を可能にするために構築される場合がある(Huse他、Science、256:1275~1281(1989))。
【0169】
<市販抗体>
抗体はまた、市販の供給元から購入される場合がある。市販されているFLT3抗体の例には、下記の供給者によって製造されるFLT3抗体が含まれるが、これらに限定されない:例えば、Proteintech Group Inc.、eBioscience、Abgent、Aviva Systems Biology、Becton Dickinson(Biosciences)、Cell Signaling Technology、Fitzgerald Industries International、United States Biological、Biorbyt、Abbexa、Abgent、LifeSpan BioSciences、antibodies-online、Rockland Immunochemicals,Inc.、OriGene Technologies、GeneTex、Raybiotech,Inc.、Acris Antibodies GmbH、Sino Biological、MyBioSource.com、Bioss Inc.、St.John’s Laboratory、Source BioScicne、Abcam、ProSci,Inc.、Clinic Sciences、Novus Biologicals、Creative Diagnostics、Thermo Scientific Pierce Antibodies、PeproTech、MBL International、Miltenyi Biotec、GenWay Biotech,Inc.、LifeSpan Biosciences、Bioworld Technology、EXBIO Praha,a.s.、Novus Biologicals、BioVision、Bethyl Laboratories、Santa Crus Biotechnology Inc.、AbD Serotec、BioRad、BioLegend、Thermo Fisher Scientific、EMD Milipore、R&D Systems、Cell Sciences、Progen Biotechnik GmbH、Spring Bioscience、Atlas Antibodies、Abbiotec、Bostrebio、Nordic BioSite、および、他の一般に知られている抗体製造者。市販されているFLT3抗体の限定されない例には、供給者およびカタログ番号によって列挙される下記の市販抗体(これらに限定されない)を含めて、BV10クローンおよび4G8クローンから得られるFLT3抗体、ならびにそれらの生物学的同等物または改変体が含まれる:antibodies-online ABIN487499、antibodies-online ABIN487500、LifeSpan Biosciences LS-C179623-100、LifeSpan Biosciences LS-C179624-50、Acris Antobody AM20042AF-N、Acris Antobody AM20042FC-N、MBL International K0107-3、MBL International K0107-4、Novus Biologicals NBP1-54522-0.05mg、Novus Biologicals NBP1-54414、Santa Cruz Biotechnology,Inc.sc-21788、Becton Dickinson Biosciences 564708、Becton Dickinson Biosciences 563494。さらなる例示的な市販抗体には、市販抗体のBiocompareまたは別のデータベースにおいてヒトFLT3に対して反応性であるとして列挙されるすべての抗体が含まれ、限定されない例には、下記の供給者およびカタログ番号によって列挙される本明細書中に開示される抗体が含まれる:Proteintech Group Inc.21049-1-AP、Proteintech Group Inc.15827-1-AP、Proteintech Group Inc.15826-1-AP、eBioscience 17-1357-41、eBioscience 12-1357-41、eBioscience 14-1357-80、eBioscience 17-1357-42、eBioscience 12-1357-42、eBioscience 14-1357-82、Abgent AP7644a、Abgent AP3068a、Aviva Systems Biology OAAB17159、Aviva Systems Biology OAAF00442、Aviva Systems Biology ARP30009_T100、Aviva Systems Biology ARP30010_P050、Cell Signaling Technology 3462S、Cell Signaling Technology 3464S、Cell Signaling Technology 3474S、Cell Signaling Technology 3466S、Cell Signaling Technology 3461S、Cell Signaling Technology 3461L、Cell Signaling Technology 3463S、Cell Signaling Technology 4577S、Fitzgerald Industries International 20R-2351、Fitzgerald Industries International 70R-12259、Fitzgerald Industries International 70R-17325。
【0170】
<抗体同等物>
本開示は、上記で開示された抗体の「同等物」または「生物学的同等物」を規定しており、ただし、この場合、上記で開示された抗体のいずれかの抗原結合ドメインに対して少なくとも80%同一である、または代替では85%同一である、または代替では90%同一である、または代替では95%同一である、または代替では97%同一である抗体の抗原結合ドメインにより、当該抗原結合ドメインは、上記で開示された抗体の生物学的同等物になる。同等物のさらなる例には、上記で開示された抗体のいずれか1つの抗原結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの相補体に、高ストリンジェンシーの条件のもとでハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドが含まれ、ただし、この場合、高ストリンジェンシーの条件は、約55℃~約68℃のインキュベーション温度、約1×SSC~約0.1×SSCの緩衝液濃度、約55%~約75%のホルムアミド濃度、および、約1×SSC、0.1×SSCまたは脱イオン水の洗浄液を含む。
【0171】
<抗体修飾>
本開示の抗体は、抗原についての親和性を増大させるために多量体化される場合がある。多量体化されるべき抗体は、同じ抗原の複数のエピトープを認識する1つのタイプの抗体または複数の抗体である場合がある。抗体を多量体化する方法としては、IgG CH3ドメインを2つのscFv分子に結合すること、ストレプトアビジンに結合すること、および、ヘリックス・ターン・ヘリックスモチーフを導入することなどが例示され得る。
【0172】
本明細書中に開示される抗体組成物は、これらの抗体のいずれかと、別の作用因との間で形成されるコンジュゲート(免疫コンジュゲート)の形態である場合がある。1つの局面において、本明細書中に開示される抗体は放射性物質にコンジュゲートされる。別の局面において、本明細書中に開示される抗体は、様々なタイプの分子(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)など)に結合させることができる。
【0173】
抗体スクリーニング。様々な免疫アッセイが、所望の特異性を有する抗体を特定するためのスクリーニングのために使用される場合がある。立証された特異性を有するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のどちらかを使用する競合結合アッセイまたは免疫放射性測定アッセイのための数多くのプロトコルがこの技術分野では広く知られている。そのような免疫アッセイは典型的には、FLT3関連抗原、または、どのようなものであれ、そのフラグメントもしくはオリゴペプチドと、その特異的抗体との間での複合体形成の測定を伴う。干渉しない2つのFLT3関連抗原エピトープに対して特異的なモノクローナル抗体を利用する二部位モノクローナル型免疫アッセイが使用される場合があり、しかし、競合的結合アッセイもまた用いられる場合がある(Maddox他(1983)、J.Exp.Med.、158:1211~1216)。
【0174】
<抗体精製>
本明細書中に開示される抗体は均一にまで精製することができる。抗体の分離および精製を、タンパク質の分離および精製の従来方法を用いることによって行うことができる。
【0175】
ほんの例としてではあるが、抗体を、クロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、透析、分取用ポリアクリルアミドゲル電気泳動および等電点フォーカシング電気泳動などの使用を適切に選択し、組み合わせることによって分離および精製することができる。Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course
Manual、Daniel R.Marshak他編、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1996);Antibodies:A Laboratory Manual、Ed HarlowおよびDavid Lane、Cold Spring Harbor Laboratory(1988)。
【0176】
クロマトグラフィーの例には、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーおよび吸着クロマトグラフィーが含まれる。1つの局面において、クロマトグラフィーは、液体クロマトグラフィー(例えば、HPLCまたはFPLCなど)を使用することによって行うことができる。
【0177】
1つの局面において、プロテインAカラムまたはプロテインGカラムが親和性クロマトグラフィーにおいて使用される場合がある。他の例示的なカラムには、プロテインAカラム、Hyper D、POROS、およびSepharose F.F.(Pharmacia)などが含まれる。
[III. CARを調製するための単離された核酸およびプロセス]
【0178】
本開示の様々な局面が、FLT3 CARを含む単離された細胞、およびそのような細胞を作製する方法に関連する。細胞は原核生物細胞または真核生物細胞である。1つの局面において、細胞は、T細胞、B細胞またはNK細胞である。真核生物細胞は、どのような種であれ、好ましい種に由来することができ、例えば、動物細胞、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞、ネコ細胞またはイヌ細胞など)であることが可能である。
【0179】
具体的な実施形態において、単離された細胞は、FLT3抗体の抗原結合ドメインと、ヒンジドメインと、膜貫通ドメイン(例えば、CD28膜貫通ドメイン)と、1つまたは複数の共刺激領域、例えば、CD28共刺激シグナル伝達領域、4-1BB共刺激シグナル伝達領域、ICOS共刺激シグナル伝達領域およびOX40共刺激領域から選択される1つまたは複数の共刺激領域と、CD3ゼータシグナル伝達ドメインとを含む、あるいは代替では、FLT3抗体の抗原結合ドメインと、ヒンジドメインと、膜貫通ドメイン(例えば、CD28膜貫通ドメイン)と、1つまたは複数の共刺激領域、例えば、CD28共刺激シグナル伝達領域、4-1BB共刺激シグナル伝達領域、ICOS共刺激シグナル伝達領域およびOX40共刺激領域から選択される1つまたは複数の共刺激領域と、CD3ゼータシグナル伝達ドメインとから本質的になる、さらにあるいは、FLT3抗体の抗原結合ドメインと、ヒンジドメインと、膜貫通ドメイン(例えば、CD28膜貫通ドメイン)と、1つまたは複数の共刺激領域、例えば、CD28共刺激シグナル伝達領域、4-1BB共刺激シグナル伝達領域、ICOS共刺激シグナル伝達領域およびOX40共刺激領域から選択される1つまたは複数の共刺激領域と、CD3ゼータシグナル伝達ドメインとからなる外因性CARを含み、または代替では該外因性CARから本質的になり、またはそれにもかかわらず、さらには該外因性CARからなる。ある特定の実施形態において、単離された細胞はT細胞であり、例えば、動物T細胞、哺乳動物T細胞、ネコT細胞、イヌT細胞またはヒトT細胞である。ある特定の実施形態において、単離された細胞はNK細胞であり、例えば、動物NK細胞、哺乳動物NK細胞、ネコNK細胞、イヌNK細胞またはヒトNK細胞である。
【0180】
ある特定の実施形態において、FLT3 CARを発現する細胞を作製する様々な方法が開示され、ただし、該方法は、単離された細胞の集団に対して、FLT3 CARをコードする核酸配列により形質導入を行うことを含み、または代替では、単離された細胞の集団に対して、FLT3 CARをコードする核酸配列により形質導入を行うことから本質的になり、さらにあるいは、単離された細胞の集団に、FLT3 CARをコードする核酸配列により形質導入することからなる。いくつかの実施形態において、このことが、FLT3 CAR構築物をコードするベクターを使用することにより達成される。いくつかの実施形態において、このことが、FLT3 CAR構築物をコードするmRNAを使用することにより達成され、ただし、この場合、該mRNAは結果として、エレクトロポレーションを介して細胞に導入される場合がある。例えば、Choi他(2010)、Biomed Microdevices、12(5):855~863を参照のこと。さらなる局面において、上記核酸配列により首尾よく形質導入されている細胞の亜集団が選択される。いくつかの実施形態において、単離された細胞はT細胞(動物T細胞、哺乳動物T細胞、ネコT細胞、イヌT細胞またはヒトT細胞)であり、それにより、FLT3 CAR T細胞がもたらされる。ある特定の実施形態において、単離された細胞はNK細胞(例えば、動物NK細胞、哺乳動物NK細胞、ネコNK細胞、イヌNK細胞またはヒトNK細胞)であり、それにより、FLT3 CAR NK細胞がもたらされる。いくつかの実施形態において、単離された細胞はB細胞(動物B細胞、哺乳動物B細胞、ネコB細胞、イヌB細胞またはヒトB細胞)であり、それにより、FLT3 CAR B細胞がもたらされる。
【0181】
いくつかの実施形態において、開示されたCARを発現するT細胞はさらに、内因性TCRの発現を低下させるために、または排除するために改変される場合がある。内因性TCRの低下または排除により、標的外の影響を軽減することができ、かつ、T細胞の有効性を増大させることができる。機能的TCRの発現を安定的に欠くT細胞が、様々な取り組みを使用して作製される場合がある。T細胞はT細胞受容体全体を複合体として内在化し、選別し、分解し、この場合、半減期が休止T細胞では約10時間であり、刺激されたT細胞では3時間である(von Essen,M.他(2004)、J.Immunol.、173:384~393)。TCR複合体が適切に機能するには、TCR複合体を構成するタンパク質の適切な化学量論的比率が要求される。TCR機能においてはまた、ITAMモチーフを有する2つの機能するTCRゼータタンパク質が要求される。そのMHC-ペプチドリガンドが会合した際のTCRの活性化には、同じT細胞の表面におけるいくつかのTCRの会合が要求され、ただし、これらはすべてが、適切にシグナル伝達しなければならない。したがって、TCR複合体が、適切に会合しないタンパク質、または最適にシグナル伝達することができないタンパク質により不安定化されるならば、T細胞は、細胞応答を開始するために十分に活性化されないであろう。
【0182】
したがって、いくつかの実施形態において、TCR発現が、RNA干渉(例えば、shRNA、siRNA、miRNAなど)、CRISPR、あるいは、特異的TCR(例えば、TCR-αおよびTCR-β)および/またはCD3鎖をコードする核酸を初代T細胞において標的とする他の方法を使用して排除される場合がある。これらのタンパク質の1つまたは複数の発現を阻止することによって、T細胞はもはや、TCR複合体の重要な成分の1つまたは複数を産生しないであろうし、それにより、TCR複合体を不安定化し、かつ、機能的TCRの細胞表面発現を妨げるであろう。一部のTCR複合体が、RNA干渉が使用されるときには細胞表面に再利用され得るとしても、当該RNA(例えば、shRNA、siRNA、miRNAなど)はTCRタンパク質の新たな産生を妨げるであろうし、それにより、TCR複合体全体の分解および除去をもたらすであろうし、その結果、機能的TCRの発現が安定的に不足しているT細胞が作製されるであろう。
【0183】
阻害性RNA(例えば、shRNA、siRNA、miRNAなど)の初代T細胞における発現を、従来の発現系をどのようなものであっても使用して達成することができ、例えば、レンチウイルス発現系を使用して達成することができる。レンチウイルスは、休止している初代T細胞を標的とするために有用であるにもかかわらず、すべてのT細胞がshRNAを発現するとは限らない。これらのT細胞のうちの一部は、T細胞の機能的活性を変化させるためのTCR発現の十分な阻害を可能にするための十分な量のRNAを発現しない場合がある。したがって、適度なTCR発現から高いTCR発現をウイルス形質導入後において保持するT細胞を、例えば、細胞選別技術または細胞分離技術によって除くことができ、その結果、残存するT細胞は細胞表面のTCRまたはCD3が不足しており、このことにより、機能的なTCRまたはCD3の発現が不足しているT細胞の単離された集団の拡大を行うことができる。
【0184】
<単離された細胞の供給源>
本明細書中に開示される細胞の拡大および遺伝子改変に先立って、細胞が、対象から(例えば、自己治療を伴う実施形態において)、または市販の培養物から得られる場合がある。
【0185】
細胞を、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位由来の組織、腹水、胸水、脾臓組織および腫瘍を含めて対象における数多くの供給源から得ることができる。
【0186】
関連のある細胞を単離する様々な方法がこの技術分野では広く知られており、これらは、本発明の適用に対して容易に適合化することができる;例示的な方法が下記の実施例において記載される。本開示に関連して使用されるための単離方法には、Life Technologies Dynabeads(登録商標)システム、STEMcell Technologies EasySep(商標)、RoboSep(商標)、RosetteSep(商標)、SepMate(商標)、Miltenyi Biotec MACS(商標)細胞分離キット、および他の市販の細胞分離・単離キットが含まれるが、これらに限定されない。免疫細胞の特定の亜集団が、特有の細胞表面マーカーに対して特異的なキットにおいて利用可能なビーズまたは他の結合性作用因の使用により単離される場合がある。例えば、MACS(商標)のCD4+およびCD8+のマイクロビーズが、CD4+およびCD8+のT細胞を単離するために使用される場合がある。
【0187】
代替において、細胞が、市販の細胞培養物を介して得られる場合があり、これらには、下記の細胞が含まれるが、それらに限定されない:T細胞については、BCL2(AAA)Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2902(商標))、BCL2(S70A)Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2900(商標))、BCL2(S87A)Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2901(商標))、BCL2 Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2899(商標))、Neo Jurkat
(ATCC(登録商標)CRL-2898(商標))の各系統:B細胞については、AHH-1(ATCC(登録商標)CRL-8146(商標))、BC-1(ATCC(登録商標)CRL-2230(商標))、BC-2(ATCC(登録商標)CRL-2231
(商標))、BC-3(ATCC(登録商標)CRL-2277(商標))、CA46(ATCC(登録商標)CRL-1648(商標))、DG-75[D.G.-75](ATCC(登録商標)CRL-2625(商標))、DS-1(ATCC(登録商標)CRL-11102(商標))、EB-3[EB3](ATCC(登録商標)CCL-85(商標))、Z-138(ATCC #CRL-3001)、DB(ATCC CRL-2289)、Toledo(ATCC CRL-2631)、Pfiffer(ATCC CRL-2632)、SR(ATCC CRL-2262)、JM-1(ATCC CRL-10421)、NFS-5 C-1(ATCC CRL-1693)、NFS-70
C10(ATCC CRL-1694)、NFS-25 C-3(ATCC CRL-1695)およびSUP-B15(ATCC CRL-1929)の各系統;および、NK細胞については、NK-92(ATCC(登録商標)CRL-2407(商標))、NK-92MI(ATCC(登録商標)CRL-2408)の各系統。さらなる例には、下記の細胞が含まれるが、それらに限定されない:成熟T細胞株、例えば、Deglis、EBT-8、HPB-MLp-W、HUT78、HUT102、Karpas384、Ki225、My-La、Se-Ax、SKW-3、SMZ-1およびT34;未成熟T細胞株、例えば、ALL-SIL、Be13、CCRF-CEM、CML-T1、DND-41、DU.528、EU-9、HD-Mar、HPB-ALL、H-SB2、HT-1、JK-T1、Jurkat、Karpas45、KE-37、KOPT-K1、K-T1、L-KAW、Loucy、MAT、MOLT-1、MOLT3、MOLT-4、MOLT13、MOLT-16、MT-1、MT-ALL、P12/Ichikawa、Peer、PER0117、PER-255、PF-382、PFI-285、RPMI-8402、ST-4、SUP-T1~SUP-T14、TALL-1、TALL-101、TALL-103/2、TALL-104、TALL-105、TALL-106、TALL-107、TALL-197、TK-6、TLBR-1、TLBR-2、TLBR-3およびTLBR-4、CCRF-HSB-2(CCL-120.1)、J.RT3-T3.5(ATCC TIB-153)、J45.01(ATCC CRL-1990)、J.CaM1.6(ATCC CRL-2063)、RS4;11(ATCC CRL-1873)、CCRF-CEM(ATCC CRM-CCL-119);皮膚T細胞リンパ腫系統、例えば、HuT78(ATCC CRM-TIB-161)、MJ[G11](ATCC CRL-8294)、HuT102(ATCC TIB-162);未分化リンパ腫および大細胞リンパ腫に由来するB細胞株、例えば、DEL、DL-40、FE-PD、JB6、Karpas299、Ki-JK、Mac-2A Ply1、SR-786、SU-DHL-1、SU-DHL-2、SU-DHL-4、SU-DHL-5、SU-DHL-6、SU-DHL-7、SU-DHL-8、SU-DHL-9、SU-DHL-10およびSU-DHL-16、DOHH-2、NU-DHL-1、U-937、Granda519、USC-DHL-1、RL;ホジキンリンパ腫、例えば、DEV、HD-70、HDLM-2、HD-MyZ、HKB-1、KM-H2、L428、L540、L1236、SBH-1、SUP-HD1およびSU/RH-HD-l;NK系統、例えば、HANK1、KHYG-1、NKL、NK-YS、NOI-90およびYTなど。REH、NALL-1、KM-3、L92-221(これらに限定されない)を含めてヌル白血病細胞株が、他の白血病およびリンパ腫に由来する細胞株(例えば、K562赤白血病、THP-1単球性骨髄腫、U937リンパ腫、HEL赤白血病、HL60白血病、HMC-1白血病、KG-1白血病、U266骨髄腫など)が免疫細胞の別の市販供給元であるように、免疫細胞の別の市販供給元である。そのような市販の細胞株についての限定されない例示的な供給元には、American Type Culture Collection、すなわち、ATCC(http://www.atcc.org/)、および、German Collection of Microorganisms and Cell Cultures(https://www.dsmz.de/)が含まれる。
【0188】
<ベクター>
CAR細胞が、ベクターを使用して調製される場合がある。本開示の様々な局面が、FLT3 CARをコードする単離された核酸配列、あるいはその相補体または同等物に関連する。
【0189】
いくつかの実施形態において、単離された核酸配列は、FLT3抗体の抗原結合ドメインと、ヒンジドメインと、CD28膜貫通ドメインと、CD28共刺激シグナル伝達領域、4-1BB共刺激シグナル伝達領域、ICOS共刺激シグナル伝達領域およびOX40共刺激領域から選択される1つまたは複数の共刺激領域と、CD3ゼータシグナル伝達ドメインとを含むCARをコードし、あるいは代替では、FLT3抗体の抗原結合ドメインと、ヒンジドメインと、CD28膜貫通ドメインと、CD28共刺激シグナル伝達領域、4-1BB共刺激シグナル伝達領域、ICOS共刺激シグナル伝達領域およびOX40共刺激領域から選択される1つまたは複数の共刺激領域と、CD3ゼータシグナル伝達ドメインとから本質的になるCARをコードし、さらにあるいは、FLT3抗体の抗原結合ドメインと、ヒンジドメインと、CD28膜貫通ドメインと、CD28共刺激シグナル伝達領域、4-1BB共刺激シグナル伝達領域、ICOS共刺激シグナル伝達領域およびOX40共刺激領域から選択される1つまたは複数の共刺激領域と、CD3ゼータシグナル伝達ドメインとからなるCARをコードする。具体的な実施形態において、単離された核酸配列は、(a)FLT3抗体の抗原結合ドメインをコードする配列、その後に、(b)ヒンジドメインをコードする配列、(c)CD28膜貫通ドメインをコードする配列、その後に、(d)CD28共刺激シグナル伝達領域、4-1BB共刺激シグナル伝達領域、ICOS共刺激シグナル伝達領域およびOX40共刺激領域から選択される1つまたは複数の共刺激領域をコードする配列、その後に、(e)CD3ゼータシグナル伝達ドメインをコードする配列を含み、あるいは代替では、(a)FLT3抗体の抗原結合ドメインをコードする配列、その後に、(b)ヒンジドメインをコードする配列、(c)CD28膜貫通ドメインをコードする配列、その後に、(d)CD28共刺激シグナル伝達領域、4-1BB共刺激シグナル伝達領域、ICOS共刺激シグナル伝達領域およびOX40共刺激領域から選択される1つまたは複数の共刺激領域をコードする配列、その後に、(e)CD3ゼータシグナル伝達ドメインをコードする配列から本質的になり、さらにあるいは、(a)FLT3抗体の抗原結合ドメインをコードする配列、その後に、(b)ヒンジドメインをコードする配列、(c)CD28膜貫通ドメインをコードする配列、その後に、(d)CD28共刺激シグナル伝達領域、4-1BB共刺激シグナル伝達領域、ICOS共刺激シグナル伝達領域およびOX40共刺激領域から選択される1つまたは複数の共刺激領域をコードする配列、その後に、(e)CD3ゼータシグナル伝達ドメインをコードする配列からなる。
【0190】
ある特定の実施形態において、上記単離された核酸配列は、上記FLT3抗体の上記FLT3抗原結合ドメインの上記抗原結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの上流に位置するポリヌクレオチドプロモーター配列をさらに含み、またはさらには該ポリヌクレオチドプロモーター配列から本質的になり、またはそれにもかかわらず、さらには該ポリヌクレオチドプロモーター配列からなる。いくつかの実施形態において、このプロモーターは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列、骨髄増殖性肉腫ウイルスエンハンサー(MND)プロモーター、またはEF1アルファプロモーターである。上記プロモーターの限定されない例示的配列が本明細書中に提供される:
CMVプロモーター配列、配列番号36:
TAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTGATGCGGTTTTGGCAGTACATCAATGGGCGTGGATAGCGGTTTGACTCACGGGGATTTCCAAGTCTCCACCCCATTGACGTCAATGGGAGTTTGTTTTGGCACCAAAATCAACGGGACTTTCCAAAATGTCGTAACAACTCCGCCCCATTGACGCAAATGGGCGGTAGGCGTGTACGGTGGGAGGTCTATATAAGCAGAGCTGGTTTAGTGAACCGTCAG
CMVプロモーター配列、配列番号37:
GCAAATGGGCGGTAGGCGTGTACGGTGGGAGGTTTATATAAGCAGAGCTCGTTTAGTGAACCGTCAGATC
MNDプロモーター配列、配列番号38:
AACTAACCAATCAGTTCGCTTCTCGCTTCTGTTCGCGCGCTTCTGCTCCCCGAGCTCTATATAAGCAGAGCTCGTTTAGTGAACCGTCAGATCGCCTGGAGACGCCATCCACGCTGTTTTGACCTCCATAGAAGACACCGACTCTAGAGGATC
EF1アルファプロモーター配列、配列番号39:
AAGGATCTGCGATCGCTCCGGTGCCCGTCAGTGGGCAGAGCGCACATCGCCCACAGTCCCCGAGAAGTTGGGGGGAGGGGTCGGCAATTGAACGGGTGCCTAGAGAAGGTGGCGCGGGGTAAACTGGGAAAGTGATGTCGTGTACTGGCTCCGCCTTTTTCCCGAGGGTGGGGGAGAACCGTATATAAGTGCAGTAGTCGCCGTGAACGTTCTTTTTCGCAACGGGTTTGCCGCCAGAACACAGCTGAAGCTTCGAGGGGCTCGCATCTCTCCTTCACGCGCCCGCCGCCCTACCTGAGGCCGCCATCCACGCCGGTTGAGTCGCGTTCTGCCGCCTCCCGCCTGTGGTGCCTCCTGAACTGCGTCCGCCGTCTAGGTAAGTTTAAAGCTCAGGTCGAGACCGGGCCTTTGTCCGGCGCTCCCTTGGAGCCTACCTAGACTCAGCCGGCTCTCCACGCTTTGCCTGACCCTGCTTGCTCAACTCTACGTCTTTGTTTCGTTTTCTGTTCTGCGCCGTTACAGATCCAAGCTGTGACCGGCGCCTAC
【0191】
ある特定の実施形態において、単離された核酸配列は、FLT3抗体のFLT3抗原結合ドメインの抗原結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの上流に位置する、誘導性カスパーゼ(「iCasp」)または他の「自殺遺伝子」をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含み、あるいはさらには該ポリヌクレオチド配列から本質的になり、さらにあるいは、該ポリヌクレオチド配列からなる;上記iCasp遺伝子の限定されない例示的なポリヌクレオチド配列が本明細書中に提供される:
iCasp配列、配列番号40:
ATGGGAGTGCAGGTGGAAACCATCTCCCCAGGAGACGGGCGCACCTTCCCCAAGCGCGGCCAGACCTGCGTGGTGCACTACACCGGGATGCTTGAAGATGGAAAGAAAGTTGATTCCTCCCGGGACAGAAACAAGCCCTTTAAGTTTATGCTAGGCAAGCAGGAGGTGATCCGAGGCTGGGAAGAAGGGGTTGCCCAGATGAGTGTGGGTCAGAGAGCCAAACTGACTATATCTCCAGATTATGCCTATGGTGCCACTGGGCACCCAGGCATCATCCCACCACATGCCACTCTCGTCTTCGATGTGGAGCTTCTAAAACTGGAATCTGGCGGTGGATCCGGAGTCGACGGATTTGGTGATGTCGGTGCTCTTGAGAGTTTGAGGGGAAATGCAGATTTGGCTTACATCCTGAGCATGGAGCCCTGTGGCCACTGCCTCATTATCAACAATGTGAACTTCTGCCGTGAGTCCGGGCTCCGCACCCGCACTGGCTCCAACATCGACTGTGAGAAGTTGCGGCGTCGCTTCTCCTCGCTGCATTTCATGGTGGAGGTGAAGGGCGACCTGACTGCCAAGAAAATGGTGCTGGCTTTGCTGGAGCTGGCGCAGCAGGACCACGGTGCTCTGGACTGCTGCGTGGTGGTCATTCTCTCTCACGGCTGTCAGGCCAGCCACCTGCAGTTCCCAGGGGCTGTCTACGGCACAGATGGATGCCCTGTGTCGGTCGAGAAGATTGTGAACATCTTCAATGGGACCAGCTGCCCCAGCCTGGGAGGGAAGCCCAAGCTCTTTTTCATCCAGGCCTGTGGTGGGGAGCAGAAAGACCATGGGTTTGAGGTGGCCTCCACTTCCCCTGAAGACGAGTCCCCTGGCAGTAACCCCGAGCCAGATGCCACCCCGTTCCAGGAAGGTTTGAGGACCTTCGACCAGCTGGACGCCATATCTAGTTTGCCCACACCCAGTGACATCTTTGTGTCCTACTCTACTTTCCCAGGTTTTGTTTCCTGGAGGGACCCCAAGAGTGGCTCCTGGTACGTTGAGACCCTGGACGACATCTTTGAGCAGTGGGCTCACTCTGAAGACCTGCAGTCCCTCCTGCTTAGGGTCGCTAATGCTGTTTCGGTGAAAGGGATTTATA
【0192】
いくつかの実施形態において、iCasp遺伝子構築物は、FKBPタンパク質ドメインに機能的に連結されるカスパーゼ9の一部分を含む。上記の限定されない例示的配列において、これらのエレメントが明確に示される-下線部は、FKBPタンパク質ドメインと、カスパーゼ9タンパク質ドメインとの間におけるリンカーであり、下線部直後のGTCGACは、付加された制限部位である。カスパーゼ9は、CASP9遺伝子(GenBankアクセション番号NM001229)によってコードされており、イニシエーターカスパーゼの限定されない一例であり、ミトコンドリアのアポトーシス経路において役割を果たしている;その一部分が、上記に開示される限定されない例示的配列に存在する。上記で開示された限定されない例示的配列におけるFKBPタンパク質ドメインは、誘導剤と結合するように、具体的には二量体化の化学的誘導剤(CID)と結合するように最適化されている。上記で開示された配列において、化学的誘導剤は、AP1903、すなわち、健常な志願者において安全であることが証明されている合成薬物である。FKBPドメインと、二量体化の化学的誘導剤との両方の同等物(例えば、AP1903またはFKBPの改変形態)が、列挙された例示的な実施形態の代わりに使用され得ることが想定される。いくつかの局面において、二量体化を、どのような小分子であれ、カスパーゼ9の二量化を促進することが知られている小分子によって誘導することができる。この小分子を投与することにより、カスパーゼ9の架橋および活性化がもたらされ、このことは結果として、iCasp遺伝子を発現する細胞のアポトーシスを誘導する。
【0193】
ある特定の実施形態において、単離された核酸配列は、FLT3抗体のFLT3抗原結合ドメインの抗原結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの上流に位置する、2Aペプチド(T2A)をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含み、あるいはさらには該ポリヌクレオチド配列から本質的になり、あるいはそれにもかかわらず、さらには該ポリヌクレオチド配列からなる;上記T2Aポリヌクレオチドの限定されない例示的配列が本明細書中に提供される:
T2A配列、配列番号41:
GCCGAGGGCAGAGGAAGTCTTCTAACATGCGGTGACGTGGAGGAGAATCCCGGCCCT
【0194】
T2Aを伴う実施形態において、T2A媒介の「自己切断」により、2つの別々のタンパク質の1:1の比が生じ得る。
【0195】
ある特定の実施形態において、上記単離された核酸配列は、FLT3抗体のFLT3抗原結合ドメインの抗原結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの上流に位置する、シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列をさらに含み、あるいはさらには該ポリヌクレオチド配列から本質的になり、さらにあるいは該ポリヌクレオチド配列からなる;上記シグナルペプチドの限定されない例示的配列をコードするポリヌクレオチドが本明細書中に提供される:
シグナルペプチド配列、配列番号42:
ATGGGATGGAGCTCTATCATCCTCTTCTTGGTAGCAACAGCTACAGGTGTCCAC.
シグナルペプチド配列、配列番号43:
MGWSCIILFLVATATGVHS
シグナルペプチド配列、配列番号44:
MDWIWRILFLVGAATGAHS
【0196】
いくつかの実施形態において、上記単離された核酸は、検出可能な標識、および/または、抗生物質耐性を与えるポリヌクレオチドを含む。1つの局面において、上記標識またはポリヌクレオチドは、上記単離された核酸により首尾よく形質導入された細胞を選択するために有用である。ある特定の実施形態において、この検出可能な標識は、「mycタグ」として知られている、c-myc遺伝子に由来するタンパク質タグである。上記mycタグをコードする限定されない例示的配列が本明細書中下記に開示される。
「myc」配列、配列番号45:
GAGCAGAAGCTGATCAGCGAGGAGGACCTG
【0197】
いくつかの実施形態において、上記単離された核酸配列はベクター内に含まれる。ある特定の実施形態において、ベクターはプラスミドである。他の実施形態において、ベクターはウイルスベクターである。そのようなベクターの限定されない例には、限定されないが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターおよびアデノ関連ウイルスベクターが含まれる。具体的な実施形態において、ベクターはレンチウイルスベクターである。
【0198】
例示的なベクターの調製、および、上記ベクターを使用するCAR発現細胞の作製が、下記の例において詳しく検討される。要約すると、CARまたは免疫調節分子をコードする天然の核酸または合成された核酸の発現が典型的には、CARポリペプチドまたはその一部分をコードする核酸をプロモーターに機能的に連結し、その構築物を発現ベクターに組み込むことによって達成される。同様の方法が、免疫調節分子をコードするポリヌクレオチドを含む単離された核酸配列を構築するために使用される場合がある。ベクターは、真核生物における複製および組込みのために好適であり得る。ベクターおよび/または外因性核酸を含む細胞を作製するための様々な方法がこの技術分野では広く知られている。例えば、Sambrook他(2001、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、New York)を参照のこと。
【0199】
1つの局面において、用語「ベクター」は、分裂していない細胞および/またはゆっくりと分裂している細胞に感染および形質導入し、かつ、標的細胞のゲノムに一体化する能力を保持する組換えベクターを意図する。いくつかの局面において、ベクターは野生型ウイルスに由来し、または野生型ウイルスに基づく。さらなる局面において、ベクターは野生型レンチウイルスに由来し、または野生型レンチウイルスに基づく。そのようなレンチウイルスの例には、限定されないが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)およびネコ免疫不全ウイルス(FIV)が含まれる。代替において、他のレトロウイルスがベクター骨格のための基礎として使用され得ることが意図される(例えば、マウス白血病ウイルス(MLV)など)。本開示によるウイルスベクターは、特定のウイルスの成分に限定される必要がないことは明らかであろう。ウイルスベクターは、2つ以上の異なるウイルスに由来する成分を含む場合があり、同様に、合成された成分も含む場合がある。ベクター成分は、所望の特徴(例えば、標的細胞特異性など)を得るために操作することができる。
【0200】
本開示の組換えベクターは霊長類および非霊長類に由来する。霊長類レンチウイルスの例には、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、すなわち、ヒト後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因因子、およびサル免疫不全ウイルス(SIV)が含まれる。非霊長類レンチウイルス群には、プロトタイプ型「遅発性ウイルス」のビスタ/マエデイウイルス(VMV)、同様にまた、関連したヤギ関節炎・脳炎ウイルス(CAEV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、ならびに、より近年に記載されたネコ免疫不全ウイルス(FIV)およびウシ免疫不全ウイルス(BIV)が含まれる。先行技術の様々な組換えレンチウイルスベクターがこの技術分野では知られている。例えば、米国特許第6,924,123号、同第7,056,699号、同第7,419,829号および同第7,442,551号を参照のこと(これらは参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0201】
米国特許第6,924,123号には、特定のレトロウイルス配列が標的細胞ゲノムへの組込みを容易にすることが開示される。この特許は、それぞれのレトロウイルスゲノムが、ビリオンタンパク質および酵素をコードする、gag、polおよびenvと呼ばれる遺伝子を含むことを教示する。これらの遺伝子の両側には、長い末端反復(LTR)と呼ばれる領域が隣接している。LTRは、プロウイルスの組込みと、転写とに関わっている。LTRはまた、エンハンサー-プロモーター配列として働く。別の言い方をすれば、LTRはウイルス遺伝子の発現を制御することができる。レトロウイルスRNAのカプシド形成が、ウイルスゲノムの5’末端に位置するpsi配列によって生じる。LTR自体は、U3、RおよびU5と呼ばれる3つのエレメントに分けることができる同一の配列である。U3は、RNAの3’末端に対して特有である配列に由来する。Rは、RNAの両末端において繰り返される配列に由来し、U5は、RNAの5’末端に対して特有である配列に由来する。これら3つのエレメントのサイズが、異なるレトロウイルスの間ではかなり異なり得る。ウイルスゲノムについて、ポリ(A)付加(終結)の部位が右側LTRにおけるRとU5との境界にある。U3は、細胞の転写活性化因子タンパク質に対して、また、場合によってはウイルスの転写活性化因子タンパク質に対して応答性であるプロモーター配列および複数のエンハンサー配列を含むプロウイルスの転写制御エレメントの大部分を含有する。
【0202】
構造遺伝子(gag、polおよびenv)そのものに関して、gagはウイルスの内部構造タンパク質をコードする。gagタンパク質は、成熟タンパク質のMA(マトリックス)、CA(カプシド)およびNC(ヌクレオカプシド)にタンパク質分解的にプロセシングされる。pol遺伝子は、DNAポリメラーゼ、関連RNaseHおよびインテグラーゼ(IN)(これらにより、ゲノムの複製が媒介される)を含有する逆転写酵素(RT)をコードする。
【0203】
ウイルスベクター粒子を生じさせるために、ベクターRNAゲノムが、該ゲノムをコードするDNA構築物から宿主細胞において発現させられる。ベクターゲノムによってコードされない粒子の成分が、宿主細胞において発現させられるさらなる核酸配列によってトランスで提供される(「パッケージングシステム」、これは通常の場合、gag/pol遺伝子およびenv遺伝子のどちらかまたは両方を含む)。ウイルスベクター粒子の生成のために要求される一組の配列が一過性トランスフェクションによって宿主細胞に導入される場合があり、または宿主細胞ゲノムに組み込まれる場合があり、または様々な方法で提供される場合がある。関係した様々な技術が当業者には知られている。
【0204】
本開示における使用のためのレトロウイルスベクターには、下記のものが含まれるが、それらに限定されない:Invitrogen’s pLentiシリーズ、バージョン4、バージョン6およびバージョン6.2、“ViraPower”システム、Lentigen Corp.によって製造される;pHIV-7-GFP、研究室で作製され、City of Hope Research Instituteによって使用される;“Lenti-X”レンチウイルスベクター、pLVX、Clontechによって製造される;pLKO.1-puro、Sigma-Aldrichによって製造される;pLemiR、Open Biosystemsによって製造される;および、pLV、研究室で作製され、Charite Medical School、Institute of Virology(CBF)(ベルリン、ドイツ)によって使用される)。
【0205】
外因性核酸を宿主細胞に導入するために使用される方法、または他の場合には、細胞を本開示の阻害剤にさらすために使用される方法にかかわらず、宿主細胞における組換えDNA配列の存在を確認するために、様々なアッセイが行われる場合がある。そのようなアッセイには、例えば、当業者には広く知られている「分子生物学的」アッセイ、例えば、サザンブロッティングおよびノーザンブロッティング、RT-PCRおよびPCRなど;「生化学的」アッセイ、例えば、特定のペプチドの存在の有無を、例えば、免疫学的手段によって検出する生化学的アッセイ(ELISAおよびウエスタンブロット)、または、本開示の範囲に含まれる作用因を特定するために本明細書中に記載されるアッセイによって検出する生化学的アッセイなどが含まれる。
【0206】
<パッケージングベクターおよび細胞株>
上記単離された核酸は、パッケージングベクターおよび細胞株を使用することによってレトロウイルスパッケージングシステムにパッケージングすることができる。パッケージングベクターには、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターおよびアデノ関連ウイルスベクターが含まれるが、これらに限定されない。パッケージングベクターは、細胞内への遺伝物質の送達を容易にするエレメントおよび配列を含有する。例えば、レトロウイルス構築物は、複製不能レトロウイルスベクターをパッケージングするために要求されるすべてのビリオンタンパク質をトランスでコードする複製不能レトロウイルスゲノムに由来する少なくとも1つのレトロウイルスヘルパーDNA配列を含むパッケージングベクターであり、複製不能レトロウイルスベクターをパッケージングすることができるビリオンタンパク質を、複製能を有するヘルパーウイルスの産生を伴うことなく、高力価で産生させるためのものである。レトロウイルスDNA配列は、ウイルスのウイルス5’LTRの生来型のエンハンサーおよび/またはプロモーターをコードする領域を欠いており、かつ、ヘルパーゲノムをパッケージングすることに関わるpsi機能配列と、3’LTRとの両方を欠いており、しかし、外来のポリアデニル化部位(例えば、SV40のポリアデニル化部位)と、効率的な転写を、ウイルス産生が所望される細胞タイプにおいて導く外来のエンハンサーおよび/またはプロモーターとをコードする。レトロウイルスは白血病ウイルスであり、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)またはテナガザル白血病ウイルス(GALV)などである。外来のエンハンサーおよびプロモーターは、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)の前初期(IE)エンハンサーおよび前初期(IE)プロモーター、モロニーマウス肉腫ウイルス(MMSV)のエンハンサーおよびプロモーター(U3領域)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)のU3領域、脾臓フォーカス形成ウイルス(SFFV)のU3領域、または、生来型のモロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)プロモーターに結合されるHCMV IEエンハンサーである場合がある。レトロウイルス用パッケージングベクターは、プラスミドに基づく発現ベクターによってコードされる2つのレトロウイルスヘルパーDNA配列からなる場合がある(例えば、この場合、第1のヘルパー配列が、同種指向性のMMLVまたはGALVのgagタンパク質およびpolタンパク質をコードするcDNAを含有し、第2のヘルパー配列が、envタンパク質をコードするcDNAを含有する)。宿主範囲を決定するEnv遺伝子は、異種指向性ウイルス、両種指向性ウイルス、同種指向性ウイルス、ポリトロピックウイルス(ミンクフォーカス形成ウイルス)または10A1マウス白血病ウイルスのenvタンパク質、あるいはテナガザル白血病ウイルス(GALV)のenvタンパク質、ヒト免疫不全ウイルスのenv(gp160)タンパク質、水疱性口内炎ウイルス(VSV)のGタンパク質、ヒトT細胞白血病(HTLV)I型およびII型のenv遺伝子産物、上記env遺伝子の1つまたは複数の組合せに由来するキメラなエンベロープ遺伝子、あるいは、上記env遺伝子産物の細胞質および膜貫通と、所望の標的細胞の表面における特異的な表面分子に対するモノクローナル抗体、とをコードするキメラなエンベロープ遺伝子をコードする遺伝子に由来する場合がある。
【0207】
パッケージングプロセスにおいて、パッケージングベクターおよびレトロウイルスベクターは、高力価の組換えレトロウイルス含有上清を生じさせるためにウイルスを産生することができる哺乳動物細胞(例えば、ヒト胚性腎臓細胞[例えば、293細胞(ATCC番号CRL1573、ATCC、Rockville、Md.)]など)の第1の集団に一過性に共トランスフェクションされる。本開示の別の方法において、この一過性にトランスフェクションされた第1の細胞集団はその後、標的細胞に高効率で外来遺伝子により形質導入するために哺乳動物標的細胞(例えば、ヒトリンパ球)と共培養される。本発明のさらに別の方法において、上記の一過性にトランスフェクションされた第1の細胞集団から得られる上清が、標的細胞に高効率で外来遺伝子により形質導入するために哺乳動物標的細胞(例えば、ヒトリンパ球または造血幹細胞)と一緒にインキュベーションされる。
【0208】
別の局面において、パッケージングベクターは、ウイルスを産生することができる哺乳動物細胞(例えば、ヒト胚性腎臓細胞(例えば、293細胞)など)の第1の集団において安定的に発現させられる。レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターが、選択マーカーとの共トランスフェクションまたは偽型ウイルスによる感染のどちらによってでも細胞に導入される。両方の場合において、ベクターは一体化する。代替において、ベクターをエピソーム維持プラスミドにおいて導入することができる。高力価の組換えレトロウイルス含有上清が産生される。
【0209】
<CAR細胞の活性化および拡大>
所望のCARを発現させるための細胞の遺伝子改変の前または後にかかわらず、細胞は、一般に知られている方法を使用して、例えば、下記に記載される方法などを使用して活性化および拡大することができる:米国特許第6,352,694号、同第6,534,055号、同第6,905,680号、同第6,692,964号、同第5,858,358号、同第6,887,466号、同第6,905,681号、同第7,144,575号、同第7,067,318号、同第7,172,869号、同第7,232,566号、同第7,175,843号、同第5,883,223号、同第6,905,874号、同第6,797,514号、同第6,867,041号、および参考文献、例えば、Lapateva他(2014)、Crit Rev Oncog、19(1-2):121~132;Tam他(2003)、Cytotherapy、5(3):259~272;Garcia-Marquez他(2014)、Cytotherapy、16(11):1537~1544など。エクスビボでのFLT3関連抗原による刺激により、選択されたCAR発現細胞亜集団を活性化および拡大することができる。代替において、細胞がFLT3関連抗原との相互作用によってインビボで活性化される場合がある。
【0210】
ある特定の免疫細胞の場合には、さらなる細胞集団、可溶性リガンドおよび/またはサイトカイン、あるいは刺激剤が、細胞の活性化および拡大を行うために要求される場合がある。関連した試薬はこの技術分野では広く知られており、知られている免疫学的原理に従って選択される。例えば、可溶性CD-40リガンドが、ある特定のB細胞集団の活性化および拡大において役立つ場合がある;同様に、放射線照射されたフィーダー細胞が、NK細胞の活性化および拡大のための手順において使用される場合がある。
【0211】
関連した細胞を活性化する様々な方法がこの技術分野では広く知られており、これらは本発明の適用に対して容易に適合化することができる;例示的な方法が下記の実施例において記載される。本開示に関連して使用されるための単離方法には、Life Technologies Dynabeads(登録商標)システムの活性化・拡大キット、BD Biosciences Phosflow(商標)活性化キット、Miltenyi Biotec MACS(商標)活性化/拡大キット、および関連した細胞の活性化部分に対して特異的である他の市販の細胞キットが含まれるが、これらに限定されない。免疫細胞の特定の亜集団が、そのようなキットにおいて利用可能なビーズまたは他の薬剤の使用により活性化または拡大される場合がある。例えば、α-CD3/α-CD28 Dynabeads(登録商標)が、単離されたT細胞の集団を活性化し、また拡大するために使用される場合がある。
[IV. 使用方法]
【0212】
<治療的適用>
本開示の様々な方法局面が、腫瘍/ガンを抑制することをその必要性のある対象において行うための、および/または、処置を必要としているガン患者を処置するための方法に関連する。いくつかの実施形態において、ガンは、血液および/または骨髄を冒すガンである。いくつかの実施形態において、ガンは急性骨髄性白血病である。いくつかの実施形態において、腫瘍/ガン細胞はFLT3を発現し、またはFLT3を過剰発現する。ある特定の実施形態において、これらの方法は、効果的な量の上記単離された細胞を上記対象または患者に投与することを含み、あるいは代替では、効果的な量の上記単離された細胞を上記対象または患者に投与することから本質的になり、さらにあるいは、効果的な量の上記単離された細胞を上記対象または患者に投与することからなる。さらなる実施形態において、この単離された細胞は、FLT3 CARを含む。さらにさらなる実施形態において、この単離された細胞はT細胞またはNK細胞である。いくつかの実施形態において、この単離された細胞は、処置される対象または患者に対して自己である。さらなる局面において、腫瘍/ガンはFLT3を発現し、対象は、診断によって、例えば、本明細書中に記載される診断などによって処置のために選択されている。対象は、動物、哺乳動物、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ネズミまたはヒトの患者である。
【0213】
本明細書中に開示されるようなFLT3 CAR細胞は、単独で、あるいは、希釈剤、既知の抗ガン治療剤との組合せ、および/または、他の成分(例えば、サイトカインなど)、もしくは免疫調節性である他の細胞集団との組合せで、そのどちらであっても投与される場合がある。上記細胞は、第一選択の治療、第二選択の治療、第三選択の治療またはさらなる治療として投与することができる。さらなる治療の限定されない例には、細胞減少療法(例えば、放射線療法、寒冷療法または化学療法など)、または生物学的なもの(例えば、造血幹細胞移植などの)が含まれる。いくつかの実施形態において、FLT3 CAR細胞は、これらの限定されない例示的な治療法のいずれか1つの前または後において、例えば、造血幹細胞移植の前に、あるいは放射線療法または化学療法の後で投与される場合がある。さらなる限定されない例には、他の関連した細胞タイプが含まれ、例えば、非改変の免疫細胞、1つまたは複数の免疫調節分子を発現するベクターを含む改変された免疫細胞、あるいは、本明細書中に開示される抗原とは異なる抗原に対して特異的であるCAR細胞などが含まれる。本開示のCAR細胞の場合と同様に、いくつかの実施形態において、これらの細胞は自己または同種である場合がある。適切な処置計画が、処置する医師または獣医によって決定されるであろう。
【0214】
本開示の医薬組成物は、処置すべき、または防止すべき疾患に対して適切な様式で投与され得る。投与量および投与頻度が、患者の状態、ならびに患者の疾患のタイプおよび重篤度のような要因によって決定されるであろう。だが、適切な投薬量が臨床試験によって決定され得る。1つの局面において、本開示の医薬組成物は直接の注入によって直接に投与され、あるいは、例えば、静脈内注射または静脈内注入などによって全身投与される。
【0215】
CAR発現細胞の総用量は、例えば、上記で開示された要因に依存して変化し得る。いくつかの実施形態において、用量は、1細胞~1010細胞の程度である場合がある:例えば、少なくとも10細胞、少なくとも101細胞、少なくとも102細胞、少なくとも103細胞、少なくとも104細胞、少なくとも105細胞、少なくとも106細胞、少なくとも107細胞、最大でも108細胞、最大でも109細胞、最大でも1010細胞、102細胞~1010細胞の間、103細胞~109細胞の間、104細胞~108細胞の間。いくつかの実施形態において、用量はさらに、桁に対する整数係数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9)よって制限される場合があり、それにより、下記の限定されない例に従って列挙される用量範囲がもたらされる:5×104~1×108の間。
【0216】
<自殺遺伝子>
CARをコードする単離された核酸配列の一部として自殺遺伝子を伴う実施形態において、この自殺遺伝子は、CAR発現細胞を治療終了時に終了させるために利用される場合がある。自殺遺伝子を含むCAR発現細胞を伴う様々な方法局面において、自殺遺伝子は、FLT3特異的なCAR細胞応答がもはや必要でない時点での誘導剤分子の導入により誘導される場合がある。自殺遺伝子の誘導により、CAR細胞のアポトーシスがもたらされる。したがって、誘導性自殺遺伝子を含むCAR構築物の使用により、CAR細胞適用の安全性が、誘導されたアポトーシスを介してCAR発現細胞が除かれることによって強化され得ることが意図される。誘導剤(例えば、限定されないが、小分子など)が使用される実施形態において、自殺発現を誘導するために適用される誘導剤の用量は、0.001mg/kg体重~10.0mg/kg体重の間でのどのような範囲であってもよく、または代替では0.01mg/kgから1.0mg/kgまでの範囲およびその間での範囲である場合がある。
【0217】
<診断適用>
本開示の様々な局面により、患者が、FLT3 CAR治療に応答する可能性が高いか、または、FLT3 CAR治療に応答する可能性がないかを明らかにするための例示的な方法が提供される。具体的な実施形態において、この方法は、患者から単離される生物学的サンプルを効果的な量の抗FLT3抗体と接触させ、腫瘍サンプルに結合したいくらかの抗体の存在を検出することを含む。さらなる実施形態において、腫瘍サンプルに結合した抗体の存在により、患者は、FLT3 CAR治療に応答する可能性が高いことが示され、また、腫瘍サンプルに結合した抗体の非存在により、患者は、FLT3 CAR治療に応答する可能性がないことが示される。いくつかの実施形態において、上記方法では、腫瘍またはガンに関連する診断マーカーまたは遺伝子発現プロファイルの使用が伴う。限定されない一例が、AMLについてのマーカーCD45dimSSCmediumの使用である。いくつかの実施形態において、上記方法は、FLT3 CAR治療に応答する可能性が高いことが明らかにされる患者に、効果的な量のFLT3 CAR発現細胞を投与するさらなる工程を含む。いくつかの実施形態において、患者は、FLT3を発現するガン/腫瘍を有し、かつ/または、FLT3を発現するガン/腫瘍と診断される。いくつかの実施形態において、ガン/腫瘍はAMLである。
[V. キャリア]
【0218】
本開示のさらなる局面が、キャリアと、本明細書中に開示される実施形態において記載される製造物(例えば、FLT3 CAR、FLT3 CARを含む単離された細胞、FLT3 CARおよび免疫調節分子ならびに/あるいはそのようなものをコードする核酸を含有する単離された核酸、ベクター、単離された細胞)の1つまたは複数とを含む組成物、あるいは代替では、キャリアと、本明細書中に開示される実施形態において記載される製造物(例えば、FLT3 CAR、FLT3 CARを含む単離された細胞、FLT3 CARおよび免疫調節分子ならびに/あるいはそのようなものをコードする核酸を含有する単離された核酸、ベクター、単離された細胞)の1つまたは複数とから本質的になる組成物、さらにあるいは、キャリアと、本明細書中に開示される実施形態において記載される製造物(例えば、FLT3 CAR、FLT3 CARを含む単離された細胞、FLT3 CARおよび免疫調節分子ならびに/あるいはそのようなものをコードする核酸を含有する単離された核酸、ベクター、単離された細胞)の1つまたは複数とからなる組成物に関連する。
【0219】
簡単に記載すると、1つまたは複数の薬学的または生理学的に許容され得るキャリア、希釈剤または賦形剤との組合せで、本明細書中に記載されるような特許請求されている組成物のいずれか1つ(これに限定されない)を含む本開示の医薬組成物。そのような組成物は、緩衝液(例えば、中性緩衝化生理的食塩水およびリン酸塩緩衝化生理的食塩水など)、炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトールなど)、タンパク質、ポリペプチドまたはアミノ酸(例えば、グリシンなど)、抗酸化剤、キレート化剤(例えば、EDTAまたはグルタチオンなど)、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)および防腐剤を含む場合がある。本開示の組成物は、経口投与、静脈内投与、局所投与、経腸投与および/または非経口投与のために配合される場合がある。ある特定の実施形態において、本開示の組成物は静脈内投与のために配合される。
【0220】
上記細胞または組成物の投与を、1回の服用で、または一連の処置を通して連続的もしくは断続的に行うことができる。投与の最も効果的な手段および投薬量を決定する様々な方法が当業者には知られており、これらの方法は、治療のために使用される組成物、当該治療の目的および処置される対象とともに変化するであろう。単回または多数回の投与を、処置医師によって選択される用量レベルおよび服用パターンにより行うことができる。好適な投薬配合物、および上記作用物質を投与する様々な方法がこの技術分野では知られている。さらなる局面において、本開示の細胞および組成物は他の処置との組合せで投与することができる。
【0221】
上記細胞および細胞集団が、この技術分野において知られている方法、および、例えば、PCT国際出願番号PCT/US2011/064191に記載される方法を使用して宿主に投与される。本開示の細胞または組成物のこの投与は、実験アッセイおよびスクリーニングアッセイのための、所望の疾患、障害または状態の動物モデルを作製するために行うことができる。
[VI. キット]
【0222】
本明細書中に示されるように、本開示は、FLT3 CAR細胞を作製するための方法、および、FLT3 CAR細胞を投与するための方法を提供する。1つの特定の局面において、本開示は、これらの方法を実施するためのキット、同様にまた、本開示の方法を行うための説明書、例えば、細胞および/または組織を採取すること、ならびに/あるいは、スクリーニング/形質導入/その他を行うこと、ならびに/あるいは、結果を分析することなどのための説明書を提供する。
【0223】
1つの局面において、キットは、本明細書中に開示される単離された核酸、および/または上記核酸を含むベクター、および/または単離された同種細胞(好ましくはT細胞またはNK細胞)、および/または自己細胞を患者から獲得することに関する説明書のいずれか1つを含み、あるいは代替では、本明細書中に開示される単離された核酸、および/または上記核酸を含むベクター、および/または単離された同種細胞(好ましくはT細胞またはNK細胞)、および/または自己細胞を患者から獲得することに関する説明書のいずれか1つから本質的になり、さらにあるいは、本明細書中に開示される単離された核酸、および/または上記核酸を含むベクター、および/または単離された同種細胞(好ましくはT細胞またはNK細胞)、および/または自己細胞を患者から獲得することに関する説明書のいずれか1つからなる。そのようなキットはまた、FLT3 CAR発現細胞の形質導入および/または選択および/または活性化および/または拡大のために適している培地および他の試薬(例えば、本明細書中に開示される培地および他の試薬など)を含む場合があり、あるいは代替では、FLT3 CAR発現細胞の形質導入および/または選択および/または活性化および/または拡大のために適している培地および他の試薬(例えば、本明細書中に開示される培地および他の試薬など)から本質的になる場合があり、さらにあるいは、FLT3 CAR発現細胞の形質導入および/または選択および/または活性化および/または拡大のために適している培地および他の試薬(例えば、本明細書中に開示される培地および他の試薬など)からなる場合がある。
【0224】
1つの局面において、キットは、単離されたCAR発現細胞またはその集団を含み、あるいは代替では、単離されたCAR発現細胞またはその集団から本質的になり、さらにあるいは、単離されたCAR発現細胞またはその集団からなる。いくつかの実施形態において、このキットの細胞は、その必要性のある対象への投与に先立つ活性化および/または拡大を必要とする場合がある。さらなる実施形態において、キットは、単離されたCAR発現細胞の活性化および/または拡大を行うための培地および試薬(例えば、上記の開示において包含される培地および試薬など)をさらに含む場合があり、あるいは、単離されたCAR発現細胞の活性化および/または拡大を行うための培地および試薬(例えば、上記の開示において包含される培地および試薬など)から本質的になる場合がある。いくつかの実施形態において、細胞は、FLT3 CAR治療のために使用されることになる。さらなる実施形態において、キットは、FLT3 CAR治療を必要としている患者への上記単離された細胞の投与に関する説明書を含む。
【0225】
本開示のキットはまた、例えば、緩衝剤、防腐剤またはタンパク質安定化剤を含むことができる。キットはさらに、検出可能な標識を検出するために必要な成分(例えば、酵素または基質など)を含むことができる。キットはまた、アッセイし、試験サンプルと比較することができるコントロールサンプルまたは一連のコントロールサンプルを含有することができる。キットの各成分を個々の容器に納めることができ、そして、様々な容器のすべてを、当該キットを使用して行われるアッセイの結果を解釈するための説明書と一緒に1つの包装物の中に入れることができる。本開示のキットは製品書をキット容器の表面または中に含有する場合がある。製品書には、キットに含有される試薬の使用方法が記載される。
【0226】
受け入れられ得るように、これらの示唆されたキット成分は、当業者による使用のために慣例的である様式で包装される場合がある。例えば、これらの示唆されたキット成分は、溶液で、または液体分散物などとして提供される場合がある。
【0227】
下記の実施例は、本開示を実施する際の様々な場合において使用することができる手順を例示するものである。
[実施例1-FLT3 CAR発現T細胞の作製]
【0228】
FLT3 CAR発現T細胞を作製するために、FLT3 CARをコードするレンチウイルスベクターを作製した。上記CARのそれぞれを
図1における構築物に従って設計した。健常なドナーからの初代T細胞を、CD3抗体およびCD28抗体を使用して拡大し、その後、
図1の構築物による形質導入に供した。CAR発現T細胞を、FACSAria IIによって単離した。
[実施例2-FLT3 CAR発現T細胞は急性骨髄性白血病細胞をインビトロにおいて標的とする]
【0229】
FLT3特異的T細胞は原発性AML細胞を死滅させることができるかを評価するために、ペアマッチさせたCD19-CAR発現T細胞およびFLT3 CAR発現T細胞、ならびに、空ベクター形質導入のコントロールを、標準的な4時間の
51Cr放出アッセイにおいて、MOLM-13 AML細胞と共培養した。CD19-CAR発現T細胞およびコントロールの両方とは対照的に、FLT3 CAR T細胞株は、試験されたMOLM-13細胞を強く溶解した;
図3;これらの結果は、p<0.01で有意であった。
[実施例3-CAR T細胞の効力のインビボ評価]
【0230】
1×107個のAML細胞(細胞株(例えば、MOLM-13 AML)またはAML患者から採取されたもの)を、NOD SCIDガンマ(NSG)マウスに注入する。マウスを、診断方法(例えば、インビボ画像化など)を使用してAML細胞成長についてモニターする。AMLがマウスにおいて確立されると、マウスを処置群に分け、マウスに、単回で、または多数の時間間隔にわたって注入される1×106細胞~1×108細胞の間での用量のFLT3 CAR発現細胞を投与する。腫瘍抑制をモニターし、生存データを集める。
【0231】
FLT3 CAR発現細胞は、AML陽性マウスに対する治療効果を有することが見出される。
[実施例4-FLT3発現T細胞の作製]
【0232】
[材料および方法]
【0233】
<細胞培養>
すべての細胞株を、American Type Culture Collection(ATCC)から購入した。これらはDNAプロファイリングにより確認されている。
【0234】
<マウス>
6週齢~8週齢のオスのNOD-scid IL-2Rガンマヌル(NSG)マウスを、The Jackson Laboratoryから購入した。マウスを白血病について頻繁にモニターした。すべての動物研究はオハイオ州立大学動物管理使用委員会によって承認された。
【0235】
iCasp9-T2Aカセットを用いたFLT3特異的CARレンチウイルス構築物の作製:重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域のための、FLT3をコードするドメイン配列を別々に増幅し、重複PCR反応によってリンカーを使用して組換えた。VH-リンカー-VLフラグメントを、CD28-CD3z部分とインフレームで組み込んだ。その後、抗FLT3-scFv-CD28-CD3zフラグメント全体を、pCDHと称されるレンチウイルスベクターに連結して、pCDH-FLT3-CAR構築物を作製した。その後、iCasp9-T2AカセットをpCDH-FLT3-CARに組み込んで、完全なiCasp9-T2A-pCDH-FLT3-CARを組み立てた。
【0236】
<Tリンパ球へのレンチウイルス形質導入>
初代Tリンパ球を、本発明者らの以前の報告において記載されるようにヒト末梢血単核細胞(PBMC)から単離した。レンチウイルスによるトランスフェクションおよび感染のプロトコルは本発明者らの以前の報告から改変された。Chu他(2014)、Leukemia、28:917~927;Han他(2015)、Scientific Reports、5:11483。
【0237】
<フローサイトメトリー分析>
細胞表面におけるFLT3-CAR発現を検出するために、FLT3-CARが形質導入される初代T細胞を洗浄緩衝液(PBSにおける4%ウシ血清アルブミン)により洗浄し、ビオチン標識されたヤギ抗マウス(Fab)2ポリクローナル抗体またはイソタイプコントロールとしての正常ポリクローナルヤギ免疫グロブリンG(IgG)(Jackson ImmunoResearch)により染色した。その後、細胞をアロフィコシアニン(APC)コンジュゲート化ストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)およびV450とコンジュゲート化された抗CD3ζ抗体(BD Biosciences)とインキュベーションした後で、細胞をさらに、BD LSRIIフローサイトメーターで処理した。加えて、白血病細胞の表面におけるFLT3の発現もまた、腫瘍細胞をフィコエリトリン(PE)コンジュゲート化マウス抗FLT3 mAb(eBiosciences)により染色した後で、BD LSRIIフローメーターにより分析した。データ分析を、FlowJoソフトウエア(Tree Star Inc.)を使用して行った。
【0238】
<免疫ブロッティング>
免疫ブロッティングを、本発明者らの研究室における改変プロトコルに従って行った。詳しく記載すると、細胞を最初、laemmli緩衝液において溶解した。その後、溶解物をSDS-PAGEゲルによって分離し、PVDFメンブラン(Millipore)に転写した。メンブレンをマウス抗ヒトCD3ζmAb(BD Pharmingen)によりプローブし、その後、西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート化ヤギ抗マウスIgG抗体によりプローブした。抗体結合が、増強化学発光試薬(Thermo scientific Inc.)を使用することによって明らかにされた。
【0239】
<細胞傷害性アッセイ>
標準的な4時間の51Cr放出アッセイを以前の記載のように行った。Yu他、Blood、115:274~281(2010)。簡単に記載すると、標的細胞を51Crにより標識し、96ウエルのV底プレートにおいて様々なエフェクター/標的比(E/T)で、37℃で4時間、初代T細胞、または、FLT3-CARが形質導入される初代T細胞、または、模擬ベクターにより形質導入される初代T細胞と共培養した。上清を集め、液体シンチレーションカクテル(Fisher Scientific)を含有するシンチレーションバイアルに移し、51Crの放出をTopCountカウンター(Canberra Packard)で測定した。完全培地または1%のSDSにおいてインキュベーションされる標的細胞を使用して、51Crの自然放出または最大放出を求めた。特異的溶解の割合を、下記の標準的な式を使用して計算した:
100×(cpm[実験放出]-cpm[自然放出])/(cpm[最大放出]-cpm[自然放出])。
【0240】
<サイトカイン放出アッセイ>
標的細胞を96ウェルのV底プレートにおいて37℃で24時間、等しい数のエフェクター細胞と共培養した。細胞非含有の上清を集め、R&Dシステムから得られる対応するELISAキットを製造業者のプロトコルに従って使用するELISAによってIFN-ガンマおよびインターロイキン(IL)-2の分泌について評価した。
【0241】
<白血病を有するマウスのインビボ処置およびバイオルミネセンス画像化>
MOLM13細胞に対して、ホタルルシフェラーゼを発現するPinco-pGL3-luc/GFPウイルスによるレトロウイルス形質導入を行い、GFP陽性細胞を、前述の方法を使用して選別し、これにより、MOLM13-GL3細胞を得た。オスのNSGマウスに、400mLのPBSにおける8×106個のMOLM13-GL3細胞を、異種移植片同所性白血病モデルを樹立するために0日目に尾静脈を介して静脈内注入した。9日目および16日目に、マウスに、400mLのPBSにおける1.0x106個のエフェクター細胞、すなわち、FLT3-CAR形質導入のT細胞または偽(Mock)形質導入されたコントロール細胞を、尾静脈注入を介して静脈内投与した。白血病細胞を接種した5週間後に、マウスにD-ルシフェリン(150mg/kg体重;Gold Biotechnology)を腹腔内注入し、マウスをイソフルランにより麻酔し、In Vivo Imaging System(IVIS)をLiving Imageソフトウエア(PerkinElmer)とともに使用して画像化した。
【0242】
<統計学分析>
対応のないスチューデントt検定を、正規分布しているならば、2つの独立した群を連続エンドポイントについて比較するために使用した。一元配置ANOVAを、3つ以上の独立した群が比較されるときには使用した。生存データについては、カプラン・マイヤー曲線をプロットし、ログランク検定を使用して比較した。すべての検定が両側検定であった。P値を、ボンフェローニの方法を使用する多重比較のために調整した。0.05未満のP値が、統計的に有意であるとみなされる。
【0243】
結果が
図4~
図7に示される。
[実施例5-FLT3発現NK細胞の作製]
【0244】
NK細胞を、CD28-CD3ζ共刺激シグナル伝達ドメインを組み込むFLT3特異的CARを発現するように操作した。副作用を避けるために、iCasp9-T2Aカセットを、CAR改変NK細胞がガン死滅後に根絶されるようにFLT3特異的CARに組み込んだ。FLT3特異的CARにより操作されたNK細胞の抗白血病能をインビトロで、また、同所性異種移植片マウスモデルでのインビボで評価した。結果から、FLT3-CARの発現は、NK細胞を、インビトロおよびインビボの両方でのFLT3発現の白血病細胞に対する応答における特異的に増強されたサイトカイン放出および細胞傷害性に仕向けることができたこと、そして、この事象がFLT3依存的であったが明らかにされた。さらには、同所性白血病マウスモデルにおいて、FLT3指向NK細胞はマウスの生存を有意に延長させた。まとめると、本発明者らのデータは、FLT3に仕向けられたNK細胞が再発白血病に対する有望な治療法を表していることを示唆する。
【0245】
[材料および方法]
【0246】
<細胞培養>
すべての細胞株を、American Type Culture Collection(ATCC)から購入した。これらはDNAプロファイリングにより確認されている。
【0247】
<マウス>
6週齢~8週齢のオスのNOD-scid IL-2Rガンマヌル(NSG)マウスを、The Jackson Laboratoryから購入した。マウスを白血病について頻繁にモニターした。すべての動物研究はオハイオ州立大学動物管理使用委員会によって承認された。
【0248】
<iCasp9-T2Aカセットを用いたFLT3特異的CARレンチウイルス構築物の作製>
重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域のための、FLT3をコードするドメイン配列を別々に増幅し、重複PCR反応によってリンカーを使用して再結合した。VH-リンカー-VLフラグメントを、CD28-CD3z部分との読み枠を合わせて組み込んだ。その後、抗FLT3-scFv-CD28-CD3zフラグメント全体を、pCDHと称されるレンチウイルスベクターに連結して、pCDH-FLT3-CAR構築物を作製した。その後、iCasp9-T2AカセットをpCDH-FLT3-CARに組み込んで、完全なiCasp9-T2A-pCDH-FLT3-CARを組み立てた。
【0249】
<NKリンパ球へのレンチウイルス形質導入>
レンチウイルスによるトランスフェクションおよび感染のプロトコルは本発明者らの以前の報告から改変された。Chu他(2014)、Leukemia、28:917~927;Han他(2015)、Scientific Reports、5:11483。
【0250】
<フローサイトメトリー分析>
細胞表面におけるFLT3-CAR発現の検出のために、形質導入されたNK細胞を、4%のウシ血清アルブミンを含有するPBSにより洗浄し、ビオチン標識されたヤギ抗マウス(Fab)2ポリクローナル抗体またはイソタイプコントロールとしての正常ポリクローナルヤギ免疫グロブリンG(IgG)(Jackson ImmunoResearch)とインキュベーションした。その後、細胞をアロフィコシアニン(APC)コンジュゲート化ストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)およびV450にコンジュゲート化された抗CD3抗体(BD Biosciences)により染色した。白血病細胞の表面におけるFLT3の発現を明らかにするために、細胞をフィコエリトリン(PE)コンジュゲート化マウス抗FLT3 mAb(eBiosciences)により染色した。抗体染色を、BD LSRIIフローサイトメーターを用いて分析した。データ分析を、FlowJoソフトウエア(Tree Star Inc.)を使用して行った。
【0251】
<免疫ブロッティング>
細胞をlaemmli緩衝液において溶解した。溶解物をSDS-PAGEゲルによって分離し、PVDFメンブレン(Millipore)に転写した。メンブレンをマウス抗ヒトCD3ζmAb(BD Pharmingen)によりプローブし、その後、西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート化ヤギ抗マウスIgG抗体によりプローブした。抗体結合が、増強化学発光試薬(Thermo scientific Inc.)を使用することによって明らかにされた。
【0252】
<FLT3を安定的に発現するNK-92細胞の作製>
レンチウイルスによるトランスフェクションおよび感染のプロトコルは本発明者らの以前の報告から改変された。Chu他(2014)、Leukemia、28:917~927;Han他(2015)、Scientific Reports、5:11483。
【0253】
<細胞傷害性アッセイ>
標準的な4時間の51Cr放出アッセイを以前の記載のように行った。Yu他、Blood、115:274~281(2010)。簡単に記載すると、標的細胞を51Crにより標識し、96ウエルのV底プレートにおいて様々なエフェクター/標的比(E/T)で、37℃で4時間、NK細胞と共培養した。上清を集め、液体シンチレーションカクテル(Fisher Scientific)を含有するシンチレーションバイアルに移し、51Crの放出をTopCountカウンター(Canberra Packard)で測定した。完全培地または1%のSDSにおいてインキュベーションされる標的細胞を使用して、51Crの自然放出または最大放出を求めた。特異的溶解の割合を、下記の標準的な式を使用して計算した:
100×(cpm[実験放出]-cpm[自然放出])/(cpm[最大放出]-cpm[自然放出])。
【0254】
サイトカイン放出アッセイ:標的細胞を96ウエルのV底プレートにおいて37℃で24時間、等しい数のエフェクター細胞と共培養した。細胞非含有の上清を集め、R&Dシステムから得られる対応するELISAキットを製造業者のプロトコルに従って使用するELISAによってIFN-ガンマおよびインターロイキン(IL)-2の分泌について評価した。
【0255】
<白血病を有するマウスのインビボ処置およびバイオルミネセンス画像化>
MOLM13細胞に対して、ホタルルシフェラーゼを発現するPinco-pGL3-luc/GFPウイルスでレトロウイルス形質導入を行い、GFP陽性細胞を、前述の方法を使用して選別し、これにより、MOLM13-GL3細胞を得た。オスのNSGマウスに、400mLのPBSにおける8×106個のMOLM13-GL3細胞を、異種移植片同所性白血病モデルを樹立するために0日目に尾静脈を介して静脈内注入した。7日目および14日目に、マウスに、400mLのPBSにおける1.0x106個のエフェクター細胞(FLT3-CAR形質導入のNK細胞または模擬形質導入されたコントロール細胞)を、尾静脈注入を介して静脈内投与した。白血病細胞を接種した5週間後に、マウスにD-ルシフェリン(150mg/kg体重;Gold Biotechnology)を腹腔内注入し、マウスをイソフルランにより麻酔し、In Vivo Imaging System(IVIS)をLiving Imageソフトウエア(PerkinElmer)とともに使用して画像化した。
【0256】
<統計学分析>
対応のないスチューデントt検定を、正規分布しているならば、2つの独立した群を連続エンドポイントについて比較するために使用した。一元配置ANOVAを、3つ以上の独立した群が比較されるときには使用した。生存データについては、カプラン・マイヤー曲線をプロットし、ログランク検定を使用して比較した。すべての検定が両側検定であった。P値を、ボンフェローニの方法を使用する多重比較のために調整した。0.05未満のP値が、統計的に有意であると見なされる。
【0257】
[結果]
【0258】
<FLT3-CARの作製およびCAR形質導入のNK細胞におけるその発現>
PCDHレンチウイルスベクター骨格を使用して、iCasp9-T2Aカセット、シグナルペプチド(SP)、重鎖可変領域(VH)、リンカー、軽鎖可変領域(VL)、Mycタグ、ヒンジ、CD28およびCD3ζを含有する特異的なFLT3-CAR構築物(
図8A)を組み立てた。その後、NK-92細胞株に対して、上記CAR構築物およびコントロールの空ベクターにより形質導入を行った。さらには、形質導入されたNK-92細胞株をGFP(ベクターによって発現される蛍光マーカー)の発現について選別した。選別された細胞および元のNK-92細胞の抗CD3ζによる免疫ブロッティングでは、FLT3-CARが首尾よく導入され、発現することが明らかにされた。
図8Bに示されるように、キメラなFLT3-ScFv受容体が、元の細胞およびコントロールベクター形質導入の細胞の場合よりもむしろ、CAR形質導入のNK-92細胞において発現した。さらには、フロー分析では、細胞表面におけるFLT3-CARの発現が、元のNK-92細胞および形質導入されたNK-92細胞を抗マウスFab抗体により染色することによって明らかにされ(この抗体により、FLT3-CAR形質導入NK-92細胞の89.4%におけるScFvの発現が検出された)、これに対して、ScFv発現が、元NK-92細胞のおよびモック形質導入のNK-92細胞に関してはほとんど検出できないままであった(
図8C)。
【0259】
<FLT3-CAR改変のNK-92細胞はFLT3
+白血病細胞を認識し、偽形質導入のNK-92細胞よりも効率的に死滅させる>
FLT3-CAR NK-92細胞がFLT3
+白血病細胞をFLT3
-白血病細胞よりも良好に特異的に根絶するかどうかを明らかにするために、白血病細胞株のMOLM13およびEOL-1は一貫してFLT3を発現し、これに対して、FLT3の発現がU937の表面では検出できないままであることが確認された(
図9A)。その後、FLT3-CARが形質導入されるNK-92細胞が、元のNK-92細胞および模擬形質導入のNK-92細胞と比較してFLT3
+白血病細胞株のMOLM13およびEOL-1を根絶するその能力における改善を有意にもたらすことを明らかにするクロム-51放出アッセイを行った。しかしながら、白血病細胞を死滅させることにおける増強はFLT3
+依存的である。FLT3-CARが形質導入されるNK-92細胞は、FLT3
-細胞株U937を死滅させる能力における検出可能な違いを示さなかった(
図9B)。さらには、FLT3
+白血病細胞株がCAR-FLT3形質導入のNK-92によって認識されることにより、強いIFN-γ放出が、元のNK-92細胞および偽形質導入のNK-92細胞と比較して誘導された。CAR-FLT3が形質導入されるNK-92細胞によるIFN-γ放出の強い誘導が、元のNK-92細胞および偽形質導入のNK-92細胞と比較して、FLT3
-細胞株U937では生じなかった(
図9C)。同様の結果が、コントロール細胞株のU937およびFLT3
+ MOLM13と共培養されたときの、元のNK-92細胞、および、FLT3-CAR構築物または模擬物により形質導入されるNK-92細胞におけるIFN-γのmRNAレベルによって証明された(
図9C)。
【0260】
<FLT3-CAR操作のNK-92細胞はエクスビボでの原発性白血病をより効果的に根絶する>
FLT3-CARが形質導入されるNK-92細胞が、元のNK-92細胞および偽形質導入のNK-92細胞よりも強い抗腫瘍応答を誘導するかどうかを明らかにするために、患者からの白血病細胞を単離し、これらの腫瘍細胞の表面におけるFLT3の発現を確認した(
図10A)。その後、クロム51放出アッセイを、2名の患者から単離されるFLT3
+腫瘍細胞に適用した。FLT3-CAR改変のNK-92細胞は、元のNK-92細胞および模擬形質導入のNK-92細胞と比較して、FLT3の発現とともに、腫瘍細胞溶解のより強い能力を示した(
図10B)。しかしながら、FLT3-CAR NK-92細胞は、わずかに増強された細胞溶解活性を正常なコントロール者からの正常な末梢血単核細胞(PBMC)に対して示すことができただけであった(
図10B)。加えて、サイトカイン放出アッセイを、ELISAによって測定されるIFN-γの分泌を調べるために行った。細胞溶解活性に関するデータと一致して、FLT3-CAR改変のNK-92細胞は、患者由来のFLT3
+ PBMCと共培養したとき、元のNK-92細胞または模擬形質導入のNK-92細胞と比較して、より多くのIFN-γを放出した。さらには、FLT3-CAR操作のNK-92によってもたらされるサイトカイン応答における増強が、正常なコントロール者に由来するPBMCと共培養したときには消失した(
図10C)。さらなるリアルタイムPCR実験により、FLT3-CAR改変のNK-92細胞は、変異した高レベルのFLT3を有する患者から単離されるPBMCとの共培養の後では、元のNK-92細胞および偽形質導入のNK-92細胞と比較して、より多くのIFN-γをmRNAレベルにおいて産生することが確認された(
図10C)。患者の腫瘍細胞の表面に発現されるFLT3がFLT3-CAR操作のNK-92によって認識されることにより、該NK細胞の細胞溶解活性およびサイトカイン放出が高まった。
【0261】
<FLT3-CARが形質導入される初代NKはFLT3
+腫瘍細胞の認識および死滅を促進させる>
FLT3-CARを臨床に移すことができるかどうか、すなわち、FLT3-CAR形質導入の初代NK細胞が、白血病細胞株、とりわけ、FLT3
+の白血病細胞株、および、白血病患者から新たに単離される腫瘍細胞を効率よく認識し、死滅させ得るかどうかを明らかにすることを調べた。D1、D2およびD3と称される3名のドナーからの初代NKを単離した。その後、FLT3-CARを、レンチウイルストランスフェクションを使用してこれらの初代NKに導入し、組み込んだ。拡大後、これらの遺伝子改変された初代NKを使用して、クロム-51放出アッセイを行った。細胞傷害性アッセイでは、FLT3-CAR改変の初代NKが、模擬改変の初代NKと比較して、FLT3
+白血病細胞株MOLM13を5に等しいE/T比において効果的に死滅させ得ることが明らかにされた(
図11A)。FLT3-CAR形質導入された初代NKの根絶活性をより臨床的に関連した状況においてさらに検証するために、患者から新たに単離される白血病細胞に対する遺伝子改変の初代NKの細胞傷害性もまた、クロム-51放出アッセイによって測定した。FLT3-CARが形質導入されるNK-92の細胞溶解活性に関する前述のデータと一致して、細胞傷害性が、白血病の患者から新たに単離される腫瘍細胞に対する応答において、FLT3-CAR改変の初代NKでは、モック改変の初代NKの場合よりも大きな程度に生じた(
図11B)。
【0262】
[AP1903介入は、iCasp9を有するFLT3-CAR-NK92を効果的に根絶する]
CAR媒介免疫療法の欠点を克服するために、誘導性カスパーゼ9(iCasp9)(いわゆる安全スイッチ)が、不適切に活性化されたCAR細胞の除去を可能にするために遺伝子改変CARに導入される。Gargett他、Front Pharmacol、5:235(2014)を参照のこと。本実施例では、本発明者らのFLT3-CAR(
図8A)へのiCasp9もまた導入された。AP1903介入がCAR改変NK細胞のアポトーシスを誘導し得るかどうかを検証するために、本発明者は最初に、元のNK-92細胞、偽形質導入のNK-92細胞、およびFLT3-CAR形質導入のNK-92細胞におけるiCasp9の発現を調べた。リアルタイムPCRでは、iCasp9が、元のNK-92細胞および模擬形質導入のNK-92細胞よりもむしろ、CAR改変のNK-92において実際に発現することが明らかにされた(
図12A)。AP1903投与の48時間後、7-AAD染色では、AP1903介入はCAR改変NK-92細胞の死を有意に誘導することができることが示された(
図12B)。さらに、アネキシンVおよび7-ADDの二重染色、ならびにフロー分析では、48時間のAP1903介入は、元のNK-92細胞のアポトーシスよりもむしろ、CAR操作のNK-92細胞のアポトーシスを有意に誘導することが確認された(
図12D)。CAR改変のNK-92のアポトーシスがさらに、元のNK-92細胞よりもむしろ、CAR改変のNK-92における切断カスパーゼ3の発現によって証明された(
図12D)。データは、AP1903介入が、CAR改変のNK-92細胞を免疫療法の期間中に効果的に除くために使用され得ることを明らかにした。
【0263】
<FLT3-CAR操作のNK-92細胞は同所性異種移植片白血病モデルにおいて腫瘍保有マウスの白血病腫瘍成長を抑制し、腫瘍保有マウスの生存を延長する>
FLT3-CAR改変NK-92細胞の潜在的な治療的適用を、白血病が異種移植されたNSGマウスモデルにおいて評価した。白血病細胞株を、ホタルルシフェラーゼを発現するように遺伝子改変した。その後、GFPに基づく選別を行って、遺伝子改変された白血病腫瘍細胞を単離し、選別された細胞をNSGマウスに静脈内移植して、腫瘍成長を開始させた。その後、これらのマウスに、FLT3-CAR改変のNK-92細胞、偽形質導入のNK-92細胞、または元のNK-92細胞を静脈内注入した。IVISを使用するバイオルミネセンス画像化では、FLT3-CAR形質導入のNK-92細胞の注入により、全身腫瘍組織量が、元のNK-92細胞および模擬形質導入のNK-92細胞と比較して劇的に減少することが示された(
図13A)。さらには、FLT3-CAR操作のNK-92細胞の処置では、腫瘍保有マウスの生存が、元のNK-92細胞および模擬形質導入のNK-92細胞の注入と比較した場合、著しく延長された(
図13B)。
[実施例6-異なる共刺激ドメインを含むFLT3 CAR構築物の比較]
【0264】
クロム放出アッセイが、FLT3 CAR細胞の抗腫瘍効力を、CD28共刺激ドメインが使用される場合の抗腫瘍効力と比較するために、CD28共刺激ドメインを含むFLT3 CARを発現する免疫細胞と、4-1BB共刺激ドメインを含むFLT3 CARを発現する免疫細胞とを用いて行われる。
【0265】
[同等物]
別途定義される場合を除き、本明細書中で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本技術が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0266】
例示的に本明細書中に記載される本発明の技術は、どのような要素または限定であっても、本明細書中に具体的に開示されていない要素(1つまたは複数)、限定(1つまたは複数)がない場合において好適に実施され得る。したがって、例えば、用語“comprising”(含む)、用語“including”(含む)、用語“containing”(含有する)などは、包括的に、かつ制限なく読み取られなければならない。加えて、本明細書中で用いられる用語および表現は、限定の用語としてではなく、説明の用語として使用されており、そのような用語および表現の使用においては、示される特徴および記載される特徴またはそれらの一部の同等物をどのようなものであっても除外するという意図は全くなく、しかし、様々な変更が、請求項に記載される本発明の技術の範囲内で可能であることが認識される。
【0267】
したがって、本明細書において提供される材料、方法および実施例は、好ましい局面を表すものであること、例示であること、および、本発明の技術の範囲に関する限定として意図されないことが理解されなければならない。
【0268】
本発明の技術が、本明細書中に概括的に、また包括的に記載されている。包括的な開示の範囲内に含まれるより狭い種のそれぞれおよび亜属群もまた、本発明の技術の一部を形成する。このことには、削除されているものが本明細書中に具体的に記載されているか否かにかかわらず、何らかの主題を属から除く但し書きまたは否定的限定を伴う本発明の技術の包括的記載が含まれる。
【0269】
加えて、本発明の技術の様々な特徴または局面がマーカッシュ群によって記載される場合、当業者は、本発明の技術がまたそれにより、どのような要素または亜群であっても、マーカッシュ群の個々の要素または様々な要素の亜群によって記載されていることを認識するであろう。
【0270】
本明細書中で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、それぞれが個々に参照により組み込まれていたかのようであるのと同じ程度に、それらの全体が参照により明確に組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含めて本明細書が優先するものとする。
【0271】
他の局面が下記の請求項の範囲内において示される。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2021-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。