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  • 特開-改善された抗菌性能を有する無色材料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046491
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】改善された抗菌性能を有する無色材料
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20220315BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20220315BHJP
   C03C 4/00 20060101ALI20220315BHJP
   C03C 14/00 20060101ALI20220315BHJP
   C03C 3/097 20060101ALI20220315BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/61
C03C4/00
C03C14/00
C03C3/097
A61L9/01 B
A61L9/01 K
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197630
(22)【出願日】2021-12-06
(62)【分割の表示】P 2018539414の分割
【原出願日】2017-01-26
(31)【優先権主張番号】62/288,735
(32)【優先日】2016-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ジョイディープ ラヒリ
(72)【発明者】
【氏名】フロランス クリスティーヌ モニーク ヴェリエ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】健康上の利益をもたらすのに十分な効能を含む、改善された抗微生物効果を示す無色材料を提供する。
【解決手段】本開示の態様は、担体、銅含有粒子、及び第四級アンモニウムを含む無色材料に関する。1つ以上の実施形態では、材料は、CIE L*a*b*系において、約91~約100の範囲のL*値、及び約7未満のC*値を示し、ここで、C*は、√(a*2+b*2)に等しい。幾つかの実施形態では、材料は、EPA Test Method for Efficacy of Copper Alloy as a Sanitizer試験条件下、黄色ブドウ球菌の濃度において、3より大きい対数減少を示す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体、
銅含有粒子、及び
第四級アンモニウム
を含む材料であって、
前記材料が、CIE L*a*b*系において、91~100の範囲のL*値、及び7未満のC*値を示し、ここで、C*は、√(a*2+b*2)に等しく、
前記材料が、EPA Test Method for Efficacy of Copper Alloy as a Sanitizer試験条件下で、黄色ブドウ球菌の濃度において3より大きい対数減少を示す、
材料。
【請求項2】
前記銅含有粒子が、銅含有ガラス又は酸化銅(I)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記銅含有粒子が、担体1ガロンあたり50g以下の量で存在することを特徴とする、請求項1又は2に記載の材料。
【請求項4】
前記第四級アンモニウムが、5質量%以下の量で存在することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の材料。
【請求項5】
前記担体が、ポリマー、モノマー、結合剤、又は溶媒を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の材料。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2016年1月29日出願の米国仮特許出願第62/288,735号の米国法典第35編特許法119条に基づく優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、改善された抗菌性能を有する無色材料に関し、より詳細には、第四級アンモニウム及び銅含有ガラス粒子を含む塗料に関する。
【背景技術】
【0003】
酸化銅(I)及び金属銅は、さまざまな材料に抗菌添加剤として用いられている;しかしながら、銅は、非常に濃い色をしており、白色又は無色材料が望ましい場合には、用いることができない可能性がある。色調を調整するために着色剤を添加してもよいが、抑えた色調をもたらすか、若しくは、クリーム色又は非白色をもたらすことが多い。さらには、着色剤及び他の添加剤は、材料の抗菌活性を低下させる可能性がある。
【0004】
第四級アンモニウムもまた、塗料などの材料に抗菌添加剤として用いられている。低濃度の第四級アンモニウム(例えば、約0.5%程度)を有する塗料は、色調に影響を与えることなく、抗微生物効果を示している;しかしながら、このような塗料は、病院環境での汚染された表面に一般に見られる最も頑丈な細菌の1つであり、病院内感染(「HAI」)の原因となる非常によく知られている細菌である、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対しては、十分な抗微生物効果を示さない。特に、このような塗料は、健康上の利益にとって十分ではない、対数減少が3未満の抗微生物効果を示す。本明細書で用いられる場合、語句「健康上の利益」には、アメリカ合衆国環境保護庁のTest Method for Efficacy of Copper Alloy as a Sanitizer試験条件を含めたほとんどの政府規制基準下において、公衆衛生上の利益の主張を可能にするのに十分な抗微生物効果を示す材料が含まれる。アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)の基準は、そのTest Method for Efficacy of Copper Alloy as a Sanitizer下で、黄色ブドウ球菌の3を超える対数減少を要求している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、健康上の利益をもたらすのに十分な効能を含む、改善された抗微生物効果を示す無色材料が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、担体、銅含有粒子、及び第四級アンモニウムを含む無色材料に関する。1つ以上の実施形態において、材料は、CIE L*a*b*系において、約91~約100の範囲のL*値、及び約7未満のC*値を示し、ここで、C*は、√(a*2+b*2)に等しい。幾つかの実施形態では、材料は、EPA Test Method for Efficacy of Copper Alloy as a Sanitizer試験(「EPA試験」)条件下、黄色ブドウ球菌の濃度において、3より大きい対数減少を示す。
【0007】
銅含有粒子は、銅含有ガラス、酸化銅(I)、又はそれらの組合せを含む。幾つかの実施形態では、銅含有粒子は、実質的に銅含有ガラスからなる。材料中の銅含有粒子の量は、担体1ガロン(約3.785リットル)あたり約50g以下(例えば、担体1ガロンあたり約4g~担体1ガロンあたり約50gの範囲)でありうる。1つ以上の実施形態では、第四級アンモニウムは、約5質量%以下、又は約0.5質量%以下の量で材料中に存在する。本明細書で用いられる場合、「第四級アンモニウム」とは、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、セトリモニウム、セトリミド、塩化ドファニウム(dofanium chloride)、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、臭化ドミフェン、塩化セタルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ミリスタルコニウム(myristalkonium chloride)、及び他の市販の第四級アンモニウム化合物など、さまざまな第四級アンモニウム化合物として存在しうる、第四級アンモニウムカチオンの塩のことを指す。
【0008】
1つ以上の実施形態で用いられる担体は、ポリマー、モノマー、結合剤、又は溶媒を含みうる。幾つかの事例では、担体は塗料である。
【0009】
本開示の第2の態様は、複数の銅イオンを含む塗料に関する。1つ以上の実施形態の塗料は、EPA試験下で、黄色ブドウ球菌の濃度において99%以上の低下を示す。幾つかの事例では、塗料は、CIE L*a*b*系において、約90~約100の範囲のL*値、及び約9未満のC*値を示し、ここで、C*は、√(a*2+b*2)に等しい。
【0010】
さらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載され、一部には、その記載から当業者に容易に明らかになり、あるいは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲,並びに添付の図面を含む本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識されよう。
【0011】
前述の概要及び後述する詳細な説明はいずれも、単なる例示であり、特許請求の範囲の性質及び特徴を理解するための概観及び枠組みを提供することが意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、さらなる理解をもたらすために含まれ、本明細書に取り込まれてその一部を構成する。図面は、1つ以上の実施形態を例証しており、その説明とともに、さまざまな実施形態の原理及び動作を説明する役割を担う。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の抗微生物効果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0013】
これより、さまざまな実施形態について詳細に言及する。本開示の第1の態様は、白色又は無色の外観、及び健康上の利益の要求を満たす抗菌活性を示す、無色材料に関する。特に、該材料は、EPA試験下での黄色ブドウ球菌への曝露から2時間以内に99.9%超の死滅率(又は3以上の対数減少)を示す。
【0014】
本明細書で用いられる場合、用語「抗菌」とは、細菌、ウイルス及び/又は菌類を含む微生物を死滅させるか、又はその増殖を抑制するであろう材料又は材料表面を意味する。本明細書で用いられる用語は、材料又は材料表面が、このような種属内の微生物のすべての種を死滅させるか、又はその増殖を抑制することを意味するのではなく、このような種属に由来する微生物の1つ以上の種を死滅させるか、又はその増殖を抑制することを意味する。
【0015】
本明細書で用いられる場合、用語「対数減少」とは、-log(C/C)を意味し、ここで、Ca=抗菌表面のコロニー形成単位(CFU)数であり、C=抗菌表面ではない対照表面のコロニー形成単位(CFU)である。一例として、3の対数減少は、微生物の約99.9%の死滅に等しく、5の対数減少=微生物の99.999%の死滅である。
【0016】
1つ以上の実施形態において、無色材料は、担体、銅含有粒子、及び第四級アンモニウムを含む。1つ以上の実施形態では、材料の無色性は、CIE L*a*b*表色系の下で特徴付けすることができる。1つ以上の実施形態では、材料は、約88~約100(例えば、約90~約100、約91~約100、約92~約100、約93~約100、約94~約100、約88~約98、約88~約96、約88~約95、又は約88~約94)の範囲のL*値を示す。1つ以上の実施形態では、材料は、約10未満のC*値を示し、ここで、C*は、√(a*2+b*2)に等しい。1つ以上の実施形態の材料が示すC*値は、約9未満、約8未満、約7未満、約6未満、約5未満又は約4未満でありうる。幾つかの事例では、C*値は、約3又は2未満でさえありうる。幾つかの実施形態では、材料が示すa*値は、約-1~約2の範囲内でありうる。幾つかの実施形態では、材料が示すb*値は、約0~約8の範囲内でありうる。本明細書に記載されるL*、a*、及びb*値は、A光源(タングステンフィラメント照明を表す)、B光源(昼光シミュレーション光源を表す)、C光源(昼光シミュレーション光源を表す)、D光源(自然昼光を表す)、及びF光源(さまざまなタイプの蛍光照明を表す)を含む、CIEによって決定された基準光源を使用して垂直入射で測定される。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるL*、a*、及びb*値は、F2光源のCIE D65下で測定される。
【0017】
幾つかの実施形態では、材料は、表面に該材料を層として施した後に、本明細書に記載されるL*、a*、及びb*値を示す。特定の実施形態では、結果的に得られる層は、本明細書に記載されるL*、a*、及びb*値を示す。このような実施形態では、材料は、二酸化チタンを含んでよく、表面に材料を施した後(例えば、層の形成の約2分後、層の形成の5分後、又は層の形成の約10分後以上)に、本明細書に記載されるL*、a*、及びb*値を示す。幾つかの実施形態では、層は、時間が経つにつれて、より白く又はより無色になる。幾つかの事例では、本明細書に記載されるL*、a*、及びb*値は、層の形成後、約20分後、30分後、45分後、60分後に示される。L*、a*、及びb*値は、空気中で乾燥後に、後処理(例えば、紫外線への曝露等)せずに、示される。
【0018】
1つ以上の実施形態では、材料は、組み合わせた直後に、より白い又はより無色の外観を示す。例えば、幾つかの実施形態では、1週間以上保管された材料は(表面には施さずに)、白色及び無色を呈した。
【0019】
1つ以上の実施形態では、材料は、EPA試験下で、黄色ブドウ球菌の濃度において、3より大きい対数減少を示す。
【0020】
1つ以上の実施形態では、材料は、ウイルスを評価するための修正されたJIS Z 2801(2000)試験条件(以後、「ウイルスに関する修正されたJIS Z 2801」)下、マウスノロウイルス(Murine Norovirus)の濃度において2以上の対数減少(例えば、4以上の対数減少、又は5以上の対数減少)を示しうる。ウイルスに関する修正されたJIS Z 2801(2000)試験は、本明細書でより詳細に説明される。
【0021】
幾つかの実施形態では、材料は、1ヶ月以上の期間又は3ヶ月以上の期間、本明細書に記載される対数減少を示しうる(すなわち、EPA試験下で、細菌に関する修正されたJIS Z 2801試験及び/又はウイルスに関する修正されたJIS Z 2801試験)。1ヶ月の期間又は3ヶ月の期間は、表面に層として材料を施した時又はその後に開始されうる。このような実施形態では、該層は、本明細書に記載される対数減少を示す。
【0022】
銅含有粒子は、銅含有ガラス、酸化銅(I)、又はそれらの組合せを含みうる。幾つかの事例では、銅含有粒子は、銅含有ガラスのみ又は酸化銅(I)のみを含む。
【0023】
銅含有ガラスの1つ以上の実施形態は、あるCu種を含む。1つ以上の代替的な実施形態では、Cu種は、Cu1+、Cu、及び/又はCu2+を含みうる。Cu種の合計は、約10質量%以上でありうる。しかしながら、以下により詳細に論じられるように、Cu2+の量は、銅含有ガラスがCu2+を実質的に含まないように、最小限に抑えられる、又は低減される。Cu1+イオンは、銅含有ガラスの表面及び/又はバルクの上又は内に存在しうる。幾つかの実施形態では、Cu1+イオンは、銅含有ガラスのガラスネットワーク及び/又はガラスマトリクス中に存在する。Cu1+イオンがガラスネットワーク中に存在する場合、Cu1+イオンは、ガラスネットワーク中の原子に原子的に結合される。Cu1+イオンがガラスマトリクス中に存在する場合、Cu1+イオンは、ガラスマトリクス中に分散されたCu1+結晶の形態で存在しうる。幾つかの実施形態では、Cu1+結晶は、クプライト(CuO)を含む。このような実施形態では、Cu1+結晶が存在する場合、材料は、銅含有ガラスセラミックと称することができ、これは、1つ以上の結晶相をガラス中に導入及び/又は生成する従来のセラミック化プロセスに供されても供されなくてもよい、結晶を有する特定の種類のガラスを指すことが意図されている。Cu1+イオンが非結晶形態で存在する場合、材料は、銅含有ガラスと称することができる。幾つかの実施形態では、Cu1+結晶及び結晶に関連していないCu1+イオンのいずれも、本明細書に記載される銅含有ガラス中に存在する。
【0024】
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)バイオフィルムに対するCu2+及び第四級アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化セタルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ミリスタルコニウム、及び、カナダ国オンタリオ州トロント所在のPharmax Ltd.社から市販されるPolycide(登録商標)など)の抗微生物効果は、当技術分野において実証されている。このような開示では、Cu2+を第四級アンモニウム化合物に添加することによって、単一の薬剤で処理(すなわち、Cu2+又は第四級アンモニウム化合物を別々に使用)したものと比較して、バイオフィルムの最小殺菌濃度の128倍の低下が生じた。このような研究では、Cu2+及び第四級アンモニウム化合物は、水溶液中では相互作用しないことが実証されており、各薬剤が、独立した生化学的経路を介して微生物毒性を発揮することが示唆される。加えて、Cu2+及び第四級アンモニウム化合物は、いずれも単独で、及び組み合わせて、通常のバイオフィルムの増殖にとって重要な酵素である硝酸レダクターゼの活性を低下させた。本明細書に記載される実施形態では、銅含有ガラス粒子は、Cu1+状態のCuイオンを送達し、これは、その後、急速にCu2+へと変換される。理論に縛られはしないが、Cu1+をCu2+へと変換する自然酸化は、反応性酸素種も生成し、Cu2+と第四級アンモニウム化合物との既知の組合せを超えて、抗微生物効果をさらに増強すると考えられる。
【0025】
したがって、銅含有ガラス及び第四級アンモニウムの実施形態と材料(特に塗料)との組合せは、単一の添加剤効果ではなく、相乗効果を有する。このことは、下記実施例によって実証される。
【0026】
1つ以上の実施形態において、銅含有ガラスは、モルパーセントで、約30~約70の範囲のSiO、約0~約20の範囲のAl、約10~約50の範囲の銅含有酸化物、約0~約15の範囲のCaO、約0~約15の範囲のMgO、約0~約25の範囲のP、約0~約25の範囲のB、約0~約20の範囲のKO、約0~約5の範囲のZnO、約0~約20の範囲のNaO、及び/又は、約0~約5の範囲のFeを含みうる、ガラス組成物から形成されうる。このような実施形態では、銅含有酸化物の量は、Alの量よりも多い。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、ある含量のROを含んでよく、ここで、Rは、K、Na、Li、Rb、Cs及びそれらの組合せを含みうる。
【0027】
本明細書に記載されるガラス組成物の実施形態では、SiOは、主なガラス形成酸化物としての役割を果たす。ガラス組成物中に存在するSiOの量は、その使用又は用途(例えば、タッチアプリケーション、物品収納等)に適した必要な化学的耐久性を示すガラスを提供するのに十分であるべきである。SiOの上限値は、本明細書に記載されるガラス組成物の溶融温度を制御するように選択されうる。例えば、過剰のSiOは、200ポアズにおける溶融温度を、清澄気泡などの欠陥が出現しうる、又は、加工中及び結果的に得られるガラス内に生成されうる高い温度へと推進しうる。さらには、ほとんどの酸化物と比較して、SiOは、結果的に得られるガラスのイオン交換プロセスによって生成される圧縮応力を低減する。言い換えれば、過剰のSiOを有するガラス組成物から形成されたガラスは、過剰のSiOを有しないガラス組成物から形成されたガラスと同程度にはイオン交換可能ではない可能性がある。追加的に又は代替的に、1つ以上の実施形態に従うガラス組成物中に存在するSiOは、結果的に得られるガラスの塑性変形前の破断特性を増加させる可能性がある。本明細書に記載されるガラス組成物から形成されたガラス中のSiOの増加により、ガラスの圧入破壊閾値も増加する可能性がある。
【0028】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、SiOを、モルパーセントで、約30~約70、約30~約69、約30~約68、約30~約67、約30~約66、約30~約65、約30~約64、約30~約63、約30~約62、約30~約61、約30~約60、約40~約70、約45~約70、約46~約70、約48~約70、約50~約70、約41~約69、約42~約68、約43~約67、約44~約66、約45~約65、約46~約64、約47~約63、約48~約62、約49~約61、約50~約60の範囲、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。
【0029】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、Alを、モルパーセントで、約0~約20、約0~約19、約0~約18、約0~約17、約0~約16、約0~約15、約0~約14、約0~約13、約0~約12、約0~約11、約0~約10、約0~約9、約0~約8、約0~約7、約0~約6、約0~約5、約0~約4、約0~約3、約0~約2、約0~約1、約0.1~約1、約0.2~約1、約0.3~約1、約0.4~約1、約0.5~約1、約0~約0.5、約0~約0.4、約0~約0.3、約0~約0.2、約0~約0.1の範囲、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、Alを実質的に含まない。本明細書で用いられる場合、ガラス組成物及び/又は結果的に得られるガラスの成分に関して、語句「実質的に含まない」とは、その成分が、最初のバッチ化又はその後の後処理(例えば、イオン交換プロセス)の間に、ガラス組成物に積極的に又は意図的に添加されないが、不純物として存在する可能性があることを意味する。例えば、ガラス組成物は、成分が約0.01モル%未満の量で存在する場合、その成分を実質的に含まないと称されうる。
【0030】
Alの量は、ガラス形成酸化物としての役割を果たすように、及び/又は、溶融ガラス組成物の粘度を制御するように調整されうる。理論に縛られはしないが、ガラス組成物中のアルカリ酸化物(RO)の濃度がAlの濃度に等しいか又はそれより大きい場合、アルミニウムイオンは、アルカリイオンを伴う四面体配位で見いだされ、チャージバランサとして機能すると考えられる。この四面体配位は、このようなガラス組成物から形成されたガラスのさまざまな後処理(例えば、イオン交換プロセス)を大幅に増進する。二価カチオン酸化物(RO)はまた、四面体アルミニウムをさまざまな程度に荷電平衡化することもできる。カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、及びバリウムなどの元素は2つのアルカリイオンと同等に挙動するが、マグネシウムイオンの高い電界強度は、四面体配位のアルミニウムを十分には荷電平衡化させず、5配位及び6配位アルミニウムの形成につながる。概して、Alは、アルカリイオンの比較的速い拡散を可能にするとともに、それが強力なネットワーク骨格(すなわち、高歪点)を可能にすることから、イオン交換可能なガラス組成物及び強化ガラスにおいて重要な役割を果たすことができる。しかしながら、Alの濃度が高すぎるときには、ガラス組成物は、より低い液相線粘度を示す可能性があり、よって、Al濃度は、合理的範囲内に制御されうる。さらには、以下により詳細に論じられるように、過剰のAlは、所望のCu1+イオンではなく、Cu2+イオンの形成を促進することが分かっている。
【0031】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、銅含有酸化物を、モルパーセントで、約10~約50、約10~約49、約10~約48、約10~約47、約10~約46、約10~約45、約10~約44、約10~約43、約10~約42、約10~約41、約10~約40、約10~約39、約10~約38、約10~約37、約10~約36、約10~約35、約10~約34、約10~約33、約10~約32、約10~約31、約10~約30、約10~約29、約10~約28、約10~約27、約10~約26、約10~約25、約10~約24、約10~約23、約10~約22、約10~約21、約10~約20、約11~約50、約12~約50、約13~約50、約14~約50、約15~約50、約16~約50、約17~約50、約18~約50、約19~約50、約20~約50、約10~約30、約11~約29、約12~約28、約13~約27、約14~約26、約15~約25、約16~約24、約17~約23、約18~約22、約19~約21の範囲、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。1つ以上の特定の実施形態では、銅含有酸化物は、約20モルパーセント、約25モルパーセント、約30モルパーセント又は約35モルパーセントの量でガラス組成物中に存在しうる。銅含有酸化物は、CuO、CuO及び/又はそれらの組合せを含みうる。
【0032】
ガラス組成物中の銅含有酸化物は、結果的に得られるガラス中に存在するCu1+イオンを形成する。銅は、ガラス組成物中、及び/又はガラス組成物を含むガラス中に、Cu、Cu1+、及びCu2+を含むさまざまな形態で存在しうる。Cu又はCu1+の形態の銅は、抗菌活性を提供する。しかしながら、抗菌性の銅のこれらの状態を形成及び維持することは困難であり、しばしば、既知のガラス組成物中において、所望のCu又はCu1+イオンの代わりにCu2+イオンが形成される。
【0033】
1つ以上の実施形態では、銅含有酸化物の量は、ガラス組成物中のAlの量より多い。理論に縛られはしないが、ガラス組成物中のほぼ同量の銅含有酸化物とAlとが、クプライト(CuO)の代わりにテノライト(CuO)の形成をもたらすと考えられる。テノライトの存在は、Cu2+を選好してCu1+の量を低下させ、したがって、抗菌活性の低下をもたらす。さらには、銅含有酸化物の量が、Alの量にほぼ等しい場合、アルミニウムは、4配位であることを選好し、ガラス組成物中の銅及び結果的に得られるガラスは、荷電が平衡化されたまま保たれるように、Cu2+形態のまま維持される。銅含有酸化物の量がAlの量を超える場合には、銅の少なくとも一部は、Cu2+状態の代わりに、自由にCu1+状態のまま維持され、したがって、Cu1+イオンの存在は増加すると考えられる。
【0034】
1つ以上の実施形態のガラス組成物は、Pを、モルパーセントで、約0~約25、約0~約22、約0~約20、約0~約18、約0~約16、約0~約15、約0~約14、約0~約13、約0~約12、約0~約11、約0~約10、約0~約9、約0~約8、約0~約7、約0~約6、約0~約5、約0~約4、約0~約3、約0~約2、約0~約1、約0.1~約1、約0.2~約1、約0.3~約1、約0.4~約1、約0.5~約1、約0~約0.5、約0~約0.4、約0~約0.3、約0~約0.2、約0~約0.1の範囲、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、約10モルパーセント又は約5モルパーセントのPを含み、あるいは、代替的に、実質的にPを含まなくてもよい。
【0035】
1つ以上の実施形態において、Pは、ガラス内により少ない耐久性相又は分解性相の少なくとも一部を形成する。ガラスの分解性相と抗菌活性との間の関係は、本明細書において、より詳細に論じられる。1つ以上の実施形態において、Pの量は、形成の間にガラス組成物及び/又はガラスの結晶化を制御するように調整されうる。例えば、Pの量が約5モル%以下、又はさらには10モル%以下に制限される場合、結晶化は最小限に抑えられるか、又は均一になるように制御されうる。しかしながら、幾つかの実施形態では、ガラス組成物及び/又はガラスの結晶化の量又は均一性は、懸念事項ではない場合があり、よって、ガラス組成物に用いられるPの量は、10モル%を超える場合がある。
【0036】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物中のPの量は、より少ない耐久性相又は分解性相をガラス中に形成するというPの傾向にもかかわらず、ガラスの所望の耐損傷性に基づいて調整することができる。理論に縛られはしないが、Pは、SiOと比較して溶融粘度を低下させることができる。幾つかの事例では、Pは、ジルコンブレイクダウン粘度(すなわち、ジルコンが分解してZrOを形成する粘度)を抑えるのに役立つと考えられ、これに関してはSiOよりも効果的でありうる。ガラスがイオン交換プロセスによって化学的に強化される場合、Pは、拡散性を改善することができ、時にはネットワーク形成剤として特徴付けられる他の構成要素(例えば、SiO及び/又はB)と比較して、イオン交換時間を短縮することができる。
【0037】
1つ以上の実施形態のガラス組成物は、Bを、モルパーセントで、約0~約25、約0~約22、約0~約20、約0~約18、約0~約16、約0~約15、約0~約14、約0~約13、約0~約12、約0~約11、約0~約10、約0~約9、約0~約8、約0~約7、約0~約6、約0~約5、約0~約4、約0~約3、約0~約2、約0~約1、約0.1~約1、約0.2~約1、約0.3~約1、約0.4~約1、約0.5~約1、約0~約0.5、約0~約0.4、約0~約0.3、約0~約0.2、約0~約0.1の範囲、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、例えば、約10モルパーセント又は約5モルパーセントでありうるうる、非ゼロ量のBを含む。幾つかの実施形態のガラス組成物は、Bを実質的に含まなくてもよい。
【0038】
1つ以上の実施形態では、Bは、ガラス組成物から形成されるガラス中に、より少ない耐久性相又は分解性相を形成する。ガラスの分解性相と抗菌活性との関係は、本明細書において、より詳細に論じられる。理論に縛られはしないが、ガラス組成物中にBを含めることにより、より少ない耐久性相又は分解性相をガラス中に形成するBの傾向にもかかわらず、このようなガラス組成物を組み込むガラスに耐損傷性が付与されると考えられる。1つ以上の実施形態のガラス組成物は、1つ以上のアルカリ酸化物(RO)(例えば、LiO、NaO、KO、RbO及び/又はCsO)を含む。幾つかの実施形態では、アルカリ酸化物は、このようなガラス組成物の溶融温度及び/又は液相線温度を改変する。1つ以上の実施形態において、アルカリ酸化物の量は、低い溶融温度及び/又は低い液相線温度を示すガラス組成物を提供するように調整されうる。理論に縛られはしないが、アルカリ酸化物の添加により、熱膨張係数(CTE)が増加、及び/又は、このようなガラス組成物を含む銅含有ガラスの化学的耐久性が低下しうる。幾つかの事例では、これらの属性は、アルカリ酸化物の添加によって劇的に変化させることができる。
【0039】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示される銅含有ガラスは、イオン交換プロセスによって化学的に強化されてよく、ここで、例えば、銅含有ガラス由来のより小さいアルカリイオンを、より大きいアルカリイオンを含む溶融塩浴由来のより大きいアルカリイオンで交換するなど、より大きいアルカリイオン(例えば、K)とのイオン交換を促進するために、少量のアルカリ酸化物(LiO及びNaOなど)の存在が必要とされる。一般に、3つのタイプのイオン交換が行われうる。このようなイオン交換の1つには、NaをLiで交換することが含まれ、これは、結果的に、深い層の深さを生じるが、低い圧縮応力をもたらす。別のこのようなイオン交換には、KをLiで交換することが含まれ、これは、結果的に、小さい層の深さを生じるが、比較的大きい圧縮応力をもたらす。第3のこのようなイオン交換には、KをNaで交換することが含まれ、これは、結果的に、中間の層の深さ及び圧縮応力をもたらす。圧縮応力は銅含有ガラスの外へと交換されるアルカリイオンの数に比例するため、このようなガラス組成物を含む銅含有ガラスに大きい圧縮応力を生成するためには、ガラス組成物中に、十分に高濃度の小さいアルカリ酸化物が必要でありうる。
【0040】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、KOを、約0~約20、約0~約18、約0~約16、約0~約15、約0~約14、約0~約13、約0~約12、約0~約11、約0~約10、約0~約9、約0~約8、約0~約7、約0~約6、約0~約5、約0~約4、約0~約3、約0~約2、約0~約1、約0.1~約1、約0.2~約1、約0.3~約1、約0.4~約1、約0.5~約1、約0~約0.5、約0~約0.4、約0~約0.3、約0~約0.2、約0~約0.1の範囲、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、非ゼロ量のKOを含み、あるいは、代替的に、ガラス組成物は、本明細書で定められるように、KOを実質的に含まなくてもよい。イオン交換の促進に加えて、該当する場合には、1つ以上の実施形態において、KOは、ガラス組成物から形成されたガラス中に、より少ない耐久性相又は分解性相を形成することもできる。ガラスの分解性相と抗菌活性との関係は、本明細書においてより詳細に論じられる。
【0041】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、NaOを、約0~約20、約0~約18、約0~約16、約0~約15、約0~約14、約0~約13、約0~約12、約0~約11、約0~約10、約0~約9、約0~約8、約0~約7、約0~約6、約0~約5、約0~約4、約0~約3、約0~約2、約0~約1、約0.1~約1、約0.2~約1、約0.3~約1、約0.4~約1、約0.5~約1、約0~約0.5、約0~約0.4、約0~約0.3、約0~約0.2、約0~約0.1の範囲、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、非ゼロ量のNaOを含み、あるいは、代替的に、ガラス組成物は、本明細書で定められるように、NaOを実質的に含まなくてもよい。
【0042】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、アルカリ土類酸化物及び/又はZnOなどの1つ以上の二価カチオン酸化物を含みうる。このような二価カチオン酸化物は、ガラス組成物の溶融挙動を改善するために含まれうる。イオン交換性能に関しては、二価カチオンの存在は、アルカリの移動度を低下させるように作用する可能性があり、したがって、より大きい二価カチオン酸化物が用いられる場合には、イオン交換性能に負の影響を与える可能性がある。さらには、より小さい二価カチオン酸化物は、概して、より大きい二価カチオン酸化物よりも、イオン交換されたガラス内に圧縮応力を発達させるのに役立つ。したがって、MgO及びZnOなどの二価カチオン酸化物は、アルカリの拡散性への悪影響を最小限に抑えつつ、応力緩和の改善に関して利点を提供することができる。
【0043】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、CaOを、モルパーセントで、約0~約15、約0~約14、約0~約13、約0~約12、約0~約11、約0~約10、約0~約9、約0~約8、約0~約7、約0~約6、約0~約5、約0~約4、約0~約3、約0~約2、約0~約1、約0.1~約1、約0.2~約1、約0.3~約1、約0.4~約1、約0.5~約1、約0~約0.5、約0~約0.4、約0~約0.3、約0~約0.2、約0~約0.1の範囲、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、CaOを実質的に含まない。
【0044】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、MgOを、モルパーセントで、約0~約15、約0~約14、約0~約13、約0~約12、約0~約11、約0~約10、約0~約9、約0~約8、約0~約7、約0~約6、約0~約5、約0~約4、約0~約3、約0~約2、約0~約1、約0.1~約1、約0.2~約1、約0.3~約1、約0.4~約1、約0.5~約1、約0~約0.5、約0~約0.4、約0~約0.3、約0~約0.2、約0~約0.1の範囲、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、MgOを実質的に含まない。
【0045】
1つ以上の実施形態のガラス組成物は、ZnOを、モルパーセントで、約0~約5、約0~約4、約0~約3、約0~約2、約0~約1、約0.1~約1、約0.2~約1、約0.3~約1、約0.4~約1、約0.5~約1、約0~約0.5、約0~約0.4、約0~約0.3、約0~約0.2、約0~約0.1の範囲、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲の量で含みうる。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、ZnOを実質的に含まない。
【0046】
1つ以上の実施形態のガラス組成物は、モルパーセントで、約0~約5、約0~約4、約0~約3、約0~約2、約0~約1、約0.1~約1、約0.2~約1、約0.3~約1、約0.4~約1、約0.5~約1、約0~約0.5、約0~約0.4、約0~約0.3、約0~約0.2、約0~約0.1の範囲、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲のFeを含みうる。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、Feを実質的に含まない。
【0047】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、1つ以上の着色剤を含みうる。このような着色剤の例としては、NiO、TiO、Fe、Cr、Co及び他の知られている着色剤が挙げられる。幾つかの実施形態では、1つ以上の着色剤は、最大約10モル%の範囲の量で存在しうる。幾つかの事例では、1つ以上の着色剤は、約0.01モル%~約10モル%、約1モル%~約10モル%、約2モル%~約10モル%、約5モル%~約10モル%、約0.01モル%~約8モル%、又は約0.01モル%~約5モル%の範囲の量で存在しうる。
【0048】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、1つ以上の核形成剤を含みうる。例示的な核形成剤には、TiO、ZrO及び他の当技術分野で知られている核形成剤が含まれる。ガラス組成物は、1つ以上の異なる核形成剤を含みうる。ガラス組成物の核形成剤含量は、約0.01モル%~約1モル%の範囲内にありうる。幾つかの事例では、核形成剤含量は、約0.01モル%~約0.9モル%、約0.01モル%~約0.8モル%、約0.01モル%~約0.7モル%、約0.01モル%~約0.6モル%、約0.01モル%~約0.5モル%、約0.05モル%~約1モル%、約0.1モル%~約1モル%、約0.2モル%~約1モル%、約0.3モル%~約1モル%、又は約0.4モル%~約1モル%の範囲内、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲内にありうる。
【0049】
ガラス組成物から形成される銅含有ガラスは、複数のCu1+イオンを含みうる。幾つかの実施形態では、このようなCu1+イオンは、ガラスネットワークの一部を形成し、ガラス改質剤として特徴付けることができる。理論に縛られはしないが、Cu1+イオンがガラスネットワークの一部である場合には、典型的なガラス形成プロセスの間に、溶融ガラスの冷却ステップがあまりにも急速に起こるために、銅含有酸化物(例えば、CuO及び/又はCuO)を結晶化できないと考えられる。よって、Cu1+は、非晶質状態のまま維持され、ガラスネットワークの一部となる。幾つかの事例では、Cu1+イオンの総量は、それらが結晶相中にあるかガラスマトリクス中にあるかにかかわらず、最大で40モル%、最大で50モル%、又は最大で60モル%など、さらに高くなりうる。
【0050】
1つ以上の実施形態において、本明細書に開示されるガラス組成物から形成される銅含有ガラスは、Cu1+結晶としてガラスマトリクス中に分散されたCu1+イオンを含む。1つ以上の実施形態では、Cu1+結晶は、クプライトの形態で存在しうる。銅含有ガラス中に存在するクプライトは、ガラスマトリクス又はガラス相とは異なる層を形成しうる。他の実施形態では、クプライトは、1つ以上のガラス相(例えば、本明細書に記載される耐久性相)の一部を形成するか、あるいは、該1つ以上のガラス相に関連していてもよい。Cu1+結晶は、約5マイクロメートル(μm)以下、4マイクロメートル(μm)以下、3マイクロメートル(μm)以下、2マイクロメートル(μm)以下、約1.9マイクロメートル(μm)以下、約1.8マイクロメートル(μm)以下、約1.7マイクロメートル(μm)以下、約1.6マイクロメートル(μm)以下、約1.5マイクロメートル(μm)以下、約1.4マイクロメートル(μm)以下、約1.3マイクロメートル(μm)以下、約1.2マイクロメートル(μm)以下、約1.1マイクロメートル以下、1マイクロメートル以下、約0.9マイクロメートル(μm)以下、約0.8マイクロメートル(μm)以下、約0.7マイクロメートル(μm)以下、約0.6マイクロメートル(μm)以下、約0.5マイクロメートル(μm)以下、約0.4マイクロメートル(μm)以下、約0.3マイクロメートル(μm)以下、約0.2マイクロメートル(μm)以下、約0.1マイクロメートル(μm)以下、約0.05マイクロメートル(μm)以下、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲の平均主寸法を有しうる。本明細書で用いられる場合、及び、語句「平均主寸法」に関して、語句「平均」とは、平均値を指し、語句「主寸法」とは、SEMで測定した粒子の最大寸法である。幾つかの実施形態では、クプライト相は、少なくとも約10質量%、少なくとも約15質量%、少なくとも約20質量%、少なくとも約25質量%、並びに、銅含有ガラスのそれらの間のすべての範囲及び部分範囲の量で銅含有ガラス中に存在しうる。
【0051】
幾つかの実施形態では、銅含有ガラスは、約70質量%以上のCu1+及び約30質量%以下のCu2+を含みうる。Cu2+イオンは、テノライトの形態で及び/又はさらにはガラス中に存在しうる(すなわち、結晶相としてではない)。
【0052】
幾つかの実施形態では、銅含有ガラス中の質量%によるCuの総量は、約10~約30、約15~約25、約11~約30、約12~約30、約13~約30、約14~約30、約15~約30、約16~約30、約17~約30、約18~約30、約19~約30、約20~約30、約10~約29、約10~約28、約10~約27、約10~約26、約10~約25、約10~約24、約10~約23、約10~約22、約10~約21、約10~約20、約16~約24、約17~約23、約18~約22、約19~約21の範囲内、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲にありうる。1つ以上の実施形態において、銅含有ガラス中のCu1+イオンのCu総量に対する比は、約0.5以上、0.55以上、0.6以上、0.65以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、0.85以上、0.9以上、又はさらには1以上、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲である。Cuの量及びCu1+イオンのCu総量に対する比は、当技術分野で知られた誘導結合プラズマ(ICP)技術によって決定することができる。
【0053】
幾つかの実施形態では、銅含有ガラスは、Cu2+より多くのCu1+及び/又はCuを示しうる。例えば、ガラス中のCu1+、Cu2+及びCuの総量に基づいて、Cu1+及びCuのパーセンテージは合計で、約50%~約99.9%、約50%~約99%、約50%~約95%、約50%~約90%、約55%~約99.9%、約60%~約99.9%、約65%~約99.9%、約70%~約99.9%、約75%~約99.9%、約80%~約99.9%、約85%~約99.9%、約90%~約99.9%、約95%~約99.9%の範囲、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲でありうる。Cu1+、Cu2+及びCuの相対量は、当技術分野で知られたx線フォトルミネッセンス分光法(XPS)技術を使用して決定されうる。銅含有ガラスは、少なくとも第1の相及び第2の相を含む。1つ以上の実施形態において、銅含有ガラスは、2つ以上の相を含んでよく、ここで、該相は、所与の相における、浸出液との相互作用に耐える原子結合の能力に基づいて、異なっている。特に、1つ以上の実施形態の銅含有ガラスは、分解性相と称されうる第1の相及び耐久性相と称されうる第2の相を含みうる。語句「第1の相」と「分解性相」とは、交換可能に用いられうる。語句「第2の相」と「耐久性相」とは、交換可能に用いられうる。本明細書で用いられる場合、用語「耐久性」とは、浸出液との相互作用の間及びその後にインタクトなままであるという耐久性相の原子結合の傾向を指す。本明細書で用いられる場合、用語「分解性」とは、1つ以上の浸出液との相互作用の間及び後に破壊する分解性相の原子結合の傾向を指す。耐久性及び分解性は、相対的な用語であり、それを上回ると相が耐久性であり、それを下回ると相が分解性であるという明確な分解速度は存在しないが、しかしながら、耐久性相が分解性相よりも耐久性であることを意味する。
【0054】
1つ以上の実施形態において、耐久性相はSiOを含み、分解性相は、B、P及びROのうちの少なくとも1つを含む(ここで、Rは、K、Na、Li、Rb、及びCsのうちの1つ以上を含みうる)。理論に縛られはしないが、分解性相の成分(すなわち、B、P及び/又はRO)は、浸出液とより容易に相互作用し、これらの成分間の互いに対する結合、及び、銅含有ガラス中の他の成分との結合は、浸出液との相互作用の間及び後に、より容易に壊れると考えられる。浸出液は、水、酸、又は他の同様の材料を含みうる。1つ以上の実施形態では、分解性相は、1週間以上、1ヶ月以上、3ヶ月以上、又はさらには6ヶ月以上の間、分解に耐える。幾つかの実施形態では、寿命は、特定の期間にわたって抗微生物効果を維持するものとして特徴付けることができる。
【0055】
1つ以上の実施形態において、耐久性相は、分解性相の量より多い重量で存在する。幾つかの事例では、分解性相は島状部を形成し、耐久性相は、島状部を取り囲む海状部(すなわち耐久性相)を形成する。1つ以上の実施形態では、耐久性相及び分解性相の一方又は両方が、クプライトを含みうる。このような実施形態におけるクプライトは、それぞれの相又は両方の相に分散されうる。
【0056】
幾つかの実施形態では、相分離は、銅含有ガラスのさらなる加熱処理なしに起こりうる。幾つかの実施形態では、相分離は、溶融の間に生じる可能性があり、ガラス組成物が最高で約1600℃又は1650℃を含む温度にて溶融される場合に存在しうる。ガラスが冷却しても、相分離は維持される。
【0057】
銅含有ガラスは、シートとして提供されてよく、あるいは、微粒子(中空であっても中実であってもよい)、繊維質などの別の形状を有していてもよい。1つ以上の実施形態では、銅含有ガラスは、表面及び、該表面から銅含有ガラス内へと約5ナノメートル(nm)以下の深さで延在する表面部分を含む。表面部分は、複数の銅イオンを含んでよく、該複数の銅イオンの少なくとも75%が、Cu1+イオンを含む。例えば、幾つかの事例では、表面部分における複数の銅イオンの少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.9%が、Cu1+イオンを含む。幾つかの実施形態では、表面部分における複数の銅イオンの25%以下(例えば、20%以下、15%以下、12%以下、10%以下又は8%以下)が、Cu2+イオンを含む。例えば、幾つかの事例では、表面部分における複数の銅イオンの20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下又は0.01%以下が、Cu2+イオンを含む。幾つかの実施形態では、銅含有ガラス中のCu1+イオンの表面濃度は、制御される。幾つかの事例では、約4ppm以上のCu1+イオン濃度が、銅含有ガラスの表面に供給されうる。
【0058】
1つ以上の実施形態の銅含有ガラスは、EPA試験下で、黄色ブドウ球菌、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、緑膿菌(Pseudomomas aeruginosa)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、及び大腸菌のうちの少なくとも1つの濃度において、2以上の対数減少(例えば、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲)を示しうる。幾つかの事例では、銅含有ガラスは、EPA試験下で、黄色ブドウ球菌、エンテロバクター・アエロゲネス、緑膿菌細菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、及び大腸菌のうちの少なくとも1つの濃度において、少なくとも4の対数減少、5の対数減少、又はさらには6の対数減少を示す。
【0059】
1つ以上の実施形態に従う本明細書に記載されるガラスは、JIS Z 2801(2000)試験条件下で、黄色ブドウ球菌、エンテロバクター・アエロゲネス、緑膿菌細菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、及び大腸菌のうちの少なくとも1つの濃度において、4以上の対数減少(例えば、5以上の対数減少)を示しうる。本明細書に記載されるガラスの1つ以上の実施形態はまた、細菌に関する修正されたJIS Z 2801試験下で、黄色ブドウ球菌、エンテロバクター・アエロゲネス、緑膿菌細菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、及び大腸菌のうちの少なくとも1つの濃度において、4以上の対数減少(例えば、5以上の対数減少)も示す。本明細書で用いられる場合、細菌についての修正されたJIS Z 2801試験は、ガラス又は物品を摂氏約23度~摂氏約37度の温度へと約38パーセント~約42パーセントの湿度で約6時間、加熱することを含む、修正された条件を伴うJIS規格Z 2801(2000)試験下で細菌を評価することを含む。
【0060】
本明細書に記載される1つ以上の実施形態では、銅含有ガラスは、ウイルス試験に関する修正されたJIS Z 2801下で、マウスノロウイルス(Murine Norovirus)において、2以上の対数減少、3以上の対数減少、4以上の対数減少、又は5以上の対数減少を示す。ウイルスに関する修正されたJIS Z 2801(2000)試験は、次の手順を含む。試験される各材料(例えば、1つ以上の実施形態の物品又はガラス、対照材料、及び比較用のガラス又は物品)について、材料の3つの試料(個別の無菌のペトリ皿に入っている)の各々に、20μLのアリコートの試験ウイルス(抗菌活性を測定する場合)、又は、試験ウイルスを有する又は有しない5%ウシ胎児血清の有機土壌負荷を含む試験媒体(細胞毒性を測定する場合)を播種する。次に、播種物をフィルムで覆い、試験ウイルス及び/又は試験媒体がフィルム上に広がるが、フィルムの端部を越えて広がらないように該フィルムを押し下げる。曝露時間は、各試料に播種したときに開始する。播種された試料を、2時間、42%の相対湿度で室温(約20℃)に設定された制御チャンバへと移す。対照試料に関する曝露時間は以下に論じられる。2時間の曝露時間の後に、無菌鉗子を使用してフィルムを持ち上げ、2.00mLのアリコートの試験ウイルス及び/又は試験媒体を材料の各試料及び各試料を覆うのに使用するフィルムの裏側(又はフィルムが試料に曝露される側)に個別にピペットで移す。各試料の表面を滅菌プラスチックセルスクレーパーで個別にこすり取り、試験ウイルス又は試験媒体を回収する。試験ウイルス及び/又は試験媒体を回収し(10-2希釈物で)、ボルテックス型のミキサで混合し、一連の10倍希釈物を調製する。希釈物を、次に、抗菌活性及び/又は細胞毒性についてアッセイする。
【0061】
ウイルスに関する修正されたJIS Z 2801試験のための抗菌活性を試験するための対照試料(「ゼロ時間ウイルス対照」とも称される)を調製するため、3つの対照試料(個別の無菌のペトリ皿に入っている)に各々20μLのアリコートの試験ウイルスを播種する。播種の直後に、2.00mLのアリコートの試験ウイルスを各対照試料上にピペットで移す。各試料の表面を滅菌プラスチックセルスクレーパーで個別にこすり取り、試験ウイルスを回収した。試験ウイルスを回収し(10-2希釈物で)、ボルテックス型のミキサで混合し、一連の10倍希釈物を調製した。希釈物を抗菌活性についてアッセイする。
【0062】
ウイルスに関する修正されたJIS Z 2801試験のための細胞毒性についての対照試料(「2時間対照ウイルス」とも称される)を調製するため、対照試料の1つ(個別の無菌のペトリ皿に入っている)に、試験ウイルスを有しない有機土壌負荷(5%ウシ胎児血清)を含む試験媒体の20μLのアリコートを播種する。播種物をフィルムで覆い、試験媒体がフィルム上に広がるが、フィルムの端部を越えて広がらないように、該フィルムを押しつける。曝露時間は、各試料に播種したときに開始する。対照試料を、2時間の曝露時間の間、42%の相対湿度で室温(20℃)に設定された被制御チャンバに移す。この曝露時間の後、無菌鉗子を使用してフィルムを持ち上げ、2.00mLのアリコートの試験媒体を各対照試料及びフィルムの裏側(試料に曝露される側)に個別にピペットで移す。各試料の表面を滅菌プラスチックセルスクレーパーで個別にこすり取り、試験媒体を回収した。試験媒体を回収し(10-2希釈物で)、ボルテックス型のミキサで混合し、一連の10倍希釈物を調製した。希釈物を細胞毒性についてアッセイした。
【0063】
1つ以上の実施形態の銅含有ガラスは、長期間、本明細書に記載される対数減少を示すことができる。言い換えれば、銅含有ガラスは、拡張又は延長された抗微生物効果を示すことができる。例えば、幾つかの実施形態では、銅含有ガラスは、該銅含有ガラスが形成された後又は銅含有ガラスが担体(例えば、ポリマー、モノマー、結合剤、溶媒など)と組み合わされた後、最長で1ヶ月、最長で3ヶ月、最長で6ヶ月又は最長で12ヶ月間、EPA試験、JIS Z 2801(2000)試験条件、細菌に関する修正されたJIS Z 2801試験、及び/又はウイルスに関する修正されたJIS Z 2801試験下で、本明細書に記載される対数減少を示すことができる。これらの期間は、銅含有ガラスが形成された又は担体と組み合わされた時又はその後に開始されうる。
【0064】
1つ以上の実施形態では、銅含有ガラスは、本明細書に記載される担体と組み合わせた場合に、防腐機能を示しうる。このような実施形態では、銅含有ガラスは、担体におけるさまざまな汚染物を死滅させるか又は排除し、あるいは、その増殖を低減しうる。汚染物には、菌類、細菌、ウイルス及びそれらの組合せが含まれる。
【0065】
1つ以上の実施形態では、本明細書に記載される銅含有ガラス及び/又は材料は、浸出液に曝露又は接触させると、銅イオンを浸出させる。1つ以上の実施形態では、銅含有ガラスは、水を含む浸出液に曝露すると、銅イオンのみを浸出させる。
【0066】
1つ以上の実施形態では、本明細書に記載される銅含有ガラス及び/又は物品は、調節可能な抗菌活性放出を有しうる。ガラス及び/又は材料の抗菌活性は、銅含有ガラスと水などの浸出液との接触によって生じることがあり、ここで、浸出液がCu1+イオンを銅含有ガラスから放出させる。この作用は、水溶性として説明することができ、この水溶性は、Cu+1イオンの放出を制御するように調整することができる。
【0067】
幾つかの実施形態では、Cu1+イオンがガラスネットワーク内に配置される場合、及び/又は、ガラスネットワーク内の原子と原子結合を形成する場合、水分又は湿気は、それらの結合を破壊し、放出に利用可能なCu1+イオンがガラス又はガラスセラミック表面に曝露されうる。
【0068】
1つ以上の実施形態において、銅含有ガラスは、典型的にはソーダ石灰ケイ酸塩などのガラス組成物を溶融するために用いられる低コストの溶融タンク内で形成されうる。銅含有ガラスは、当技術分野で知られた形成方法を使用してシートへと形成されうる。例えば、例となる形成方法には、フロートガラスプロセス、並びに、フュージョンドロー及びスロットドローなどのダウンドロープロセスが含まれる。
【0069】
形成後、銅含有粒子は、シートへと形成されてよく、所望の最終用途のために成形、研磨、又は他の方法で処理されうる。幾つかの事例では、銅含有ガラスは、粉末又は微粒子の形態へと粉砕されうる。他の実施形態では、微粒子銅含有ガラスは、他の材料又は担体とと組み合わせて、さまざまな最終用途のための物品とすることができる。銅含有ガラスとこのような他の材料又は担体との組合せは、射出成形、押出成形、又はコーティングに好適でありえ、あるいは、繊維へと延伸されてもよい。
【0070】
1つ以上の実施形態では、銅含有粒子は酸化銅(I)を含みうる。粒子中の酸化銅(I)の量は、最大で100%まででありうる。言い換えれば、酸化銅(I)粒子は、ガラス又はガラスネットワークを排除することができる。
【0071】
1つ以上の実施形態において、銅含有粒子は、約0.1マイクロメートル(μm)~約10マイクロメートル(μm)、約0.1マイクロメートル(μm)~約9マイクロメートル(μm)、約0.1マイクロメートル(μm)~約8マイクロメートル(μm)、約0.1マイクロメートル(μm)~約7マイクロメートル(μm)、約0.1マイクロメートル(μm)~約6マイクロメートル(μm)、約0.5マイクロメートル(μm)~約10マイクロメートル(μm)、約0.75マイクロメートル(μm)~約10マイクロメートル(μm)、約1マイクロメートル(μm)~約10マイクロメートル(μm)、約2マイクロメートル(μm)~約10マイクロメートル(μm)、約3マイクロメートル(μm)~約10マイクロメートル(μm)、約3マイクロメートル(μm)~約6マイクロメートル(μm)、約3.5マイクロメートル(μm)~約5.5マイクロメートル(μm)、約4マイクロメートル(μm)~約5マイクロメートル(μm)、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲の範囲の直径を有しうる。本明細書で用いられる場合、用語「直径」とは、粒子の最長寸法を指す。微粒子銅含有ガラスは、実質的に球状であってよく、あるいは、不規則な形状を有していてもよい。粒子は、本明細書に他に記載されるように、溶媒中に供給され、その後、担体中に分散されてもよい。
【0072】
1つ以上の実施形態において、銅含有粒子は、担体1ガロン(約3.785リットル)あたり約100g以下、担体1ガロンあたり約75g以下、又は担体1ガロンあたり約50g以下の量で存在する。
【0073】
幾つかの事例では、銅含有粒子は、約1g/ガロン~約75g/ガロン、約2g/ガロン~約75g/ガロン、約4g/ガロン~約75g/ガロン、約4g/ガロン~約75g/ガロン、約5g/ガロン~約75g/ガロン、約6g/ガロン~約75g/ガロン、約7g/ガロン~約75g/ガロン、約8g/ガロン~約75g/ガロン、約9g/ガロン~約75g/ガロン、約10g/ガロン~約75g/ガロン、約15g/ガロン~約75g/ガロン、約20g/ガロン~約75g/ガロン、約30g/ガロン~約75g/ガロン、約10g/ガロン~約60g/ガロン、約10g/ガロン~約50g/ガロン、約10g/ガロン~約40g/ガロン、約10g/ガロン~約30g/ガロン、約10g/ガロン~約20g/ガロン、約20g/ガロン~約50g/ガロン、約20g/ガロン~約40g/ガロン、約20g/ガロン~約30g/ガロン、約30g/ガロン~約50g/ガロン、約35g/ガロン~約50g/ガロン、又は約40g/ガロン~約50g/ガロンの範囲の量で存在する(すべて担体のガロンに関する)。
【0074】
幾つかの事例では、銅含有粒子は、約1g/ガロン~約50g/ガロン、約2g/ガロン~約50g/ガロン、約3g/ガロン~約50g/ガロン、約4g/ガロン~約50g/ガロン、約5g/ガロン~約50g/ガロン、約6g/ガロン~約50g/ガロン、約7g/ガロン~約50g/ガロン、約8g/ガロン~約50g/ガロン、約9g/ガロン~約50g/ガロン、約10g/ガロン~約50g/ガロン、約15g/ガロン~約50g/ガロン、約20g/ガロン~約50g/ガロン、約30g/ガロン~約50g/ガロン、約1g/ガロン~約40g/ガロン、約1g/ガロン~約30g/ガロン、約1g/ガロン~約30g/ガロン、約1g/ガロン~約20g/ガロン、約1g/ガロン~約10g/ガロン、約2g/ガロン~約50g/ガロン、約4g/ガロン~約50g/ガロン、約4g/ガロン~約40g/ガロン、約4g/ガロン~約30g/ガロン、約4g/ガロン~約20g/ガロン、又は約4g/ガロン~約10g/ガロンの範囲の量で存在する(すべて担体のガロンに関する)。
【0075】
1つ以上の実施形態において、担体は、本明細書に記載されるように、ポリマー、モノマー、結合剤、溶媒、又はそれらの組合せを含みうる。特定の実施形態では、担体は、表面(内表面又は外表面を含みうる)に施すために用いられる塗料である。
【0076】
本明細書に記載される実施形態に用いられるポリマーには、熱可塑性ポリマー、ポリオレフィン、硬化ポリマー、紫外線-又はUV-硬化ポリマー、ポリマーエマルション、溶媒系ポリマー、及びそれらの組合せが含まれうる。適切なポリマーの例としては、限定することなく:ポリスチレン(PS)、耐衝撃性PS、ポリカーボネート(PC)、ナイロン(しばしばポリアミド(PA)とも呼ばれる)、ポリ(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)(ABS)、PC-ABSブレンド、ポリブチレンテレフタラート(PBT)とPBTとのコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)とPETとのコポリマーを含む熱可塑プラスチック;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン(環状-PO)、変性ポリフェニレンオキサイド(mPPO)、ポリ塩化ビニル(PVC)を含むポリオレフィン(PO);ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を含むアクリルポリマー;熱可塑性エラストマー(TPE);熱可塑性ウレタン(TPU);ポリエーテルイミド(PEI);及びこれらのポリマーの互いのブレンドが挙げられる。適切な射出成形可能な熱硬化性ポリマーは、エポキシ、アクリル、スチレン、フェノール、メラミン、ウレタン、ポリエステル、及びシリコーン樹脂を含む。他の実施形態では、ポリマーは、溶媒中に溶解されるか、あるいは、溶媒中に別個の相として分散されてよく、ラテックスなどのポリマーエマルションを形成する(これは、合成又は天然ゴム、若しくは重合から得られるプラスチックの水エマルションであり、とりわけ、コーティング(塗料として)及び接着剤に用いられる)。ポリマーは、フッ素化シラン、若しくは他の低摩擦性又は抗摩擦性材料を含みうる。ポリマーは、耐衝撃性改良剤;難燃剤;UV抑制剤;帯電防止剤;離型剤;ガラス、金属又は炭素の繊維又は粒子(球を含む)、タルク、粘土又は雲母を含むフィラー;及び着色剤を含みうる。モノマーの具体例としては、触媒硬化性モノマー、熱硬化性モノマー、放射線硬化性モノマー及びそれらの組合せが挙げられる。
【0077】
1つ以上の実施形態において、材料は、約5質量%以下の量で材料中に存在しうる第四級アンモニウムを含む。幾つかの実施形態では、第四級アンモニウムは、約4.5質量%以下、約4質量%以下、約3.5質量%以下、約3質量%以下、約2.5質量%以下、約2質量%以下、約1.5質量%以下、約1質量%以下、約0.9質量%以下、約0.8質量%以下、約0.7質量%以下、約0.6質量%以下、約0.5質量%以下、約0.4質量%以下、約0.3質量%以下、約0.2質量%以下、又は約0.1質量%以下の量で材料中に存在する。第四級アンモニウムの最少量は、約0.01質量%でありうる。
【0078】
加工性、機械的特性及び担体と本明細書に記載される銅-ガラス粒子(用いられうる任意のフィラー及び/又は添加剤を含む)との間の相互作用を改善するため、処理剤/助剤が、本明細書に記載される物品に含まれていてもよい。例示的な処理剤/助剤は、固体又は液体の材料を含みうる。処理剤/助剤は、さまざまな押出成形の利点を提供することができ、シリコーン系油、ワックス、及び自由流動性フルオロポリマーを含みうる。他の実施形態では、処理剤/助剤は、機械的及び熱的特性を改善するためにポリマー複合材料の処理に用いられる、例えば、オルガノシラン/シロキサンのような有機ケイ素化合物などの相溶化剤/カップリング剤を含みうる。このような相溶化剤/カップリング剤は、ガラスを表面改質するために用いることができ、(3-アクリルオキシ-プロピル)トリメトキシシラン;N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン;3-アミノプロピルトリ-エトキシシラン;3-アミノプロピルトリメトキシシラン;(3-グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン;3-メルカプト-プロピルトリメトキシシラン;3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン;及びビニルトリメトキシシランを含みうる。
【0079】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される材料は、顔料を含むフィラーを含んでいてもよく、これらは、典型的には金属をベースとした無機物であり、色調及び他の目的のために添加されてもよく、例えば、アルミニウム顔料、銅顔料、コバルト顔料、マンガン顔料、鉄顔料、チタン顔料、スズ顔料、粘土土類(clay earth)顔料(自然に形成された酸化鉄)、炭素顔料、アンチモン顔料、バリウム顔料、及び亜鉛顔料が挙げられる。
【0080】
本明細書に記載される銅含有ガラスを担体と合わせた後、本明細書に記載されるように、組合せた又は結果として得られる材料は、所望の物品へと成形されてよく、あるいは、表面に施されてもよい。材料が塗料を含む場合、該塗料は、表面に層として施されうる。本明細書に記載される材料を使用して形成されうる、このような物品の例としては、電子デバイス(例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット、動画再生装置、情報端末装置、ラップトップコンピュータ等)用の筐体、建築構造(例えば、カウンタートップ又は壁)、電化製品(例えば、調理台、冷蔵庫、及び食器洗浄機のドア等)、情報表示装置(例えば、ホワイトボード)、及び自動車部品(例えば、ダッシュボードパネル、フロントガラス、ウィンドウ部品等)が挙げられる。
【0081】
本明細書に記載される材料は、色を付与するために顔料を含みうる。したがって、このような材料で作られたコーティング又は層は、担体の色、担体の混合物、及び負荷する粒子の量に応じて、多種多様な色を呈しうる。さらには、本明細書に記載される材料及び/又はコーティングは、ASTM D4541で測定して、塗料の付着に対して悪影響を示さなかった。幾つかの事例では、材料又はコーティングの下地基板への付着は、基板の凝集強さよりも大きかった。言い換えれば、試験では、コーティングと基板との間の付着は、コーティングが基板の表面から分離する前に下地基板が故障するほど強かった。例えば、基板が木材を含む場合、コーティング又は層と基板との間の接着は、ASTM D4541で測定して、約300psi(約2068kPa)以上、400psi(約2758kPa)以上、500psi(約3447kPa)以上、600psi(約4137kPa)以上、及びそれらの間のすべての範囲-部分範囲でありうる。幾つかの事例では、材料は、コーティング又は層として基板に適用された場合に、ASTM D4400で測定して、約3以上、約5以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、又はさらには15以上の垂れ防止指数の値を示す。
【0082】
材料及び/又はコーティングは、家庭及び商業的用途での使用に十分な耐久性を示しうる。特に、材料は、コーティング又は層として基板に適用された場合に、ASTM D4213で測定して、約4以上、5以上、6以上、7以上、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲の耐スクラブ性を示す。
【0083】
1つ以上の実施形態において、材料及び/又はコーティングは、耐湿性でありうる。例えば、材料及び/又はコーティングを最高で約95%の相対湿度の環境に24時間曝露した後に、材料及び/又はコーティングは、抗菌活性の変化は示さなかった。
【0084】
材料の1つ以上の実施形態は、材料が汚染物の存在又は増殖に対して抵抗性又は防腐性を示すように、銅含有ガラス及び、銅含有ガラスをある負荷レベルで有する担体を含みうる。汚染物には、菌類、細菌、ウイルス及びそれらの組合せが含まれる。幾つかの事例では、塗料、ワニスなどの材料における汚染物の存在又は増殖は、材料に変色を生じさせる可能性があり、材料の完全性を低下させる可能性があり、材料のさまざまな特性に負の影響を与える可能性がある。最小負荷量(例えば、約5質量%以下、約4質量%以下、約3質量%以下、約2質量%以下、又は約1質量%以下)の銅含有ガラスを担体に含めることにより、汚染物を排除又は低減することができる。幾つかの事例では、担体配合物は、汚染物が排除又は低減されている場合には、ある特定の成分を含む必要はない。よって、本明細書に記載される材料の1つ以上の実施形態で用いられる担体配合物は、銅含有ガラスを含まない既知の材料の場合に、以前に可能だったよりも多くの可撓性と多様性を有しうる。
【実施例0085】
さまざまな実施形態は、以下の実施例によってさらに明らかになるであろう。
【0086】
実施例1~3
実施例1A~1G、実施例2A~2G及び実施例3A~3Gは、表1に示されるように、3つの異なる白色塗料(すなわち、塗料1、塗料2及び塗料3)を含んでいた。塗料1は、Behr Process Corporation社からBehr Premium Plus、Paint and Primer in One、Interior Semi-Gloss Enamel、Ultra Pure White 3050という商品名で供給される白色塗料であり、塗料2は、Passonno Paints社からVinyl-Tech、Interior Flat Latex、SP-1342という商品名で供給される白色塗料であり、塗料3は、PPG Paints社からPPG Olympic One Paint、Interior Semi-Gloss Enamel、Base 1という商品名で供給される白色塗料であった。
【0087】
比較例1A、1B及び1Cは、銅-ガラス粒子又は第四級アンモニウムを含んでいなかった。比較例1B、2B及び3Bは、同じ量の第四級アンモニウムのみを含んでいた(及び、銅-ガラス粒子を含んでいなかった)。実施例1C~1G、2C~2G及び3C~3Gは、実施例1B、2B及び3Bと同じ量の第四級アンモニウムを含んでおり、また、表1に示されるように、さまざまな量の銅-ガラス粒子を含んでいた。銅-ガラス粒子は、45モル%のSiO、35モル%のCuO、7.5モル%のKO、7.5モル%のB及び5モル%のPの組成を有していた。
【0088】
【表1】
【0089】
結果的に得られる塗料を混合し、すぐにプラスチック基板に施し、24時間乾燥させた。表1に示されるように、L*、a*、及びb*値を測定し、C*値を計算した。表1に示されるように、銅-ガラス粒子の添加は、塗料の知覚される色を顕著には変化させなかった。
【0090】
実施例1B~1G、2B~2G及び3B~3Gを、次に、EPA試験下で、黄色ブドウ球菌に対する抗微生物効果について試験した。比較例1B、2B及び3Bは、塗料1、2又は3(それぞれ)及び0.5%の第四級アンモニウムを含んでいたが、銅含有ガラス粒子は含んでいなかった。図1に示されるように、第四級アンモニウムのみを含む(かつ、銅-ガラス粒子は含まない)比較例1B、2B及び3Bは、黄色ブドウ球菌において3の対数減少を示さなかった。また図1に示されるように、少量の銅-ガラス粒子の添加でさえも、抗微生物効果を顕著に増加させた。特に、実施例1E~1G、2G及び3C~3Gは各々、EPA試験下で、黄色ブドウ球菌において3より大きい対数減少を示した。したがって、これらの実施例は、白色を呈するか又は無色であるとともに、健康上の利益のために黄色ブドウ球菌において必要とされる対数減少も示した。
【0091】
本開示の態様(1)は、担体、銅含有粒子、及び第四級アンモニウムを含む材料に関し、該担体は、CIE L*a*b*系において、約91~約100の範囲のL*値、及び約7未満のC*値を示し、ここで、C*は、√(a*2+b*2)に等しく、該材料は、EPA Test Method for Efficacy of Copper Alloy as a Sanitizer試験条件下で、黄色ブドウ球菌の濃度において3より大きい対数減少を示す。
【0092】
本開示の態様(2)は、銅含有粒子が銅含有ガラスを含む、態様(1)の材料に関する。
【0093】
本開示の態様(3)は、銅含有粒子が酸化銅(I)を含む、態様(1)又は態様(2)の材料に関する。
【0094】
本開示の態様(4)は、銅含有粒子が担体1ガロンあたり約50g以下の量で存在する、態様(1)から態様(3)のいずれかの材料に関する。
【0095】
本開示の態様(5)は、第四級アンモニウムが約1%以下の量で存在する、態様(1)から態様(4)のいずれかの材料に関する。
【0096】
本開示の態様(6)は、担体が、ポリマー、モノマー、結合剤、又は溶媒を含む、態様(1)から態様(5)のいずれかの材料に関する。
【0097】
本開示の態様(7)は、担体が塗料を含む、態様(1)から態様(6)のいずれかの材料に関する。
【0098】
本開示の態様(8)は、銅含有ガラスが、複数のCu1+イオンを含み、かつ、B、P及びROのうちの少なくとも1つを含む、クプライト相を含む、態様(2)から態様(7)のいずれかの材料に関する。
【0099】
本開示の態様(9)は、銅含有ガラスが、40モル%超のSiOを含むガラス相を含む、態様(1)から態様(8)のいずれかの材料に関する。
【0100】
本開示の態様(10)は、ガラス相がクプライト相より多い重量で存在する、態様(9)の材料に関する。
【0101】
本開示の態様(11)は、クプライト相がガラス相中に分散されている、態様(9)又は態様(10)の材料に関する。
【0102】
本開示の態様(12)は、クプライト相及びガラス相の一方又は両方がCu1+を含む、態様(9)から態様(11)の材料に関する。
【0103】
本開示の態様(13)は、クプライト相が、約5マイクロメートル(μm)以下の平均主寸法を有する結晶を含む、態様(8)から態様(12)のいずれかの材料に関する。
【0104】
本開示の態様(14)は、クプライト相が分解性であり、水の存在下で浸出する、態様(8)から態様(13)のいずれかの材料に関する。
【0105】
本開示の態様(15)は、銅含有ガラスが、約5ナノメートル(nm)未満の深さを有する表面部分を含み、該表面部分が複数の銅イオンを含み、該複数の銅イオンの少なくとも75%がCu1+である、態様(2)から態様(14)のいずれかの材料に関する。
【0106】
本開示の態様(16)は、複数の銅イオンの約25%未満がCu2+である、態様(15)の材料に関する。
【0107】
本開示の態様(17)は、銅含有ガラスのクプライト相が、ガラスの少なくとも約10質量パーセントを構成する、態様(2)から態様(16)のいずれかの材料に関する。
【0108】
本開示の態様(18)は、担体、銅含有ガラス粒子、及び第四級アンモニウムを含む無色材料に関し、ここで、該材料が層として表面に施され、10分間以上乾燥された後に、該層は、CIE L*a*b*系において、約91~約100の範囲のL*値、及び約7未満のC*値を示し、ここで、C*は、√(a*2+b*2)に等しく、材料は、EPA Test Method for Efficacy of Copper Alloy as a Sanitizer試験条件下で、黄色ブドウ球菌の濃度において3より大きい対数減少を示す。
【0109】
本開示の態様(19)は、銅含有ガラス粒子が、担体1ガロンあたり約50g以下の量で存在する、態様(18)の材料に関する。
【0110】
本開示の態様(20)は、第四級アンモニウムが、約1質量%以下の量で存在する、態様(18)又は態様(19)の材料に関する。
【0111】
本開示の態様(21)は、担体が、ポリマー、モノマー、結合剤、又は溶媒を含む、態様(18)から態様(20)のいずれかの材料に関する。
【0112】
本開示の態様(22)は、担体が塗料を含む、態様(18)から態様(21)のいずれかの材料に関する。
【0113】
本開示の態様(23)は、銅含有ガラスが、複数のCu1+イオンを含み、かつ、B、P及びROのうちの少なくとも1つを含む、クプライト相を含む、態様(18)から態様(22)のいずれかの材料に関する。
【0114】
本開示の態様(24)は、銅含有ガラスが、40モル%超のSiOを含むガラス相をさらに含む、態様(23)の材料に関する。
【0115】
本開示の態様(25)は、ガラス相がクプライト相より多い重量で存在する、態様(24)の材料に関する。
【0116】
本開示の態様(26)は、クプライト相がガラス相中に分散されている、態様(24)から態様(25)のいずれかの材料に関する。
【0117】
本開示の態様(27)は、クプライト相及びガラス相のうちの一方又は両方がCu1+を含む、態様(24)から態様(26)のいずれかの材料に関する。
【0118】
本開示の態様(28)は、クプライト相が、約5マイクロメートル(μm)以下の平均主寸法を有する結晶を含む、態様(23)から態様(27)のいずれかの材料に関する。
【0119】
本開示の態様(29)は、クプライト相が分解性であり、水の存在下で浸出する、態様(23)から態様(28)のいずれかの材料に関する。
【0120】
本開示の態様(30)は、銅含有ガラス粒子の少なくとも1つが、約5ナノメートル(nm)未満の深さを有する表面部分を含み、該表面部分が複数の銅イオンを含み、該複数の銅イオンの少なくとも75%がCu1+である、態様(18)から態様(29)のいずれかの材料に関する。
【0121】
本開示の態様(31)は、複数の銅イオンの約25%未満がCu2+である、態様(30)の材料に関する。
【0122】
本開示の態様(32)は、クプライト相が、ガラスの少なくとも約10質量パーセントを構成する、態様(18)から態様(31)のいずれかの材料に関する。
【0123】
本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、さまざまな修正及び変形がなされうることは、当業者にとって明白であろう。
【0124】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0125】
実施形態1
担体、
銅含有粒子、及び
第四級アンモニウム
を含む材料であって、
前記担体が、CIE L*a*b*系において、約91~約100の範囲のL*値、及び約7未満のC*値を示し、ここで、C*は、√(a*2+b*2)に等しく、
前記材料が、EPA Test Method for Efficacy of Copper Alloy as a Sanitizer試験条件下で、黄色ブドウ球菌の濃度において3より大きい対数減少を示す、
材料。
【0126】
実施形態2
前記銅含有粒子が、銅含有ガラスを含むことを特徴とする、実施形態1に記載の材料。
【0127】
実施形態3
前記銅含有粒子が、酸化銅(I)を含むことを特徴とする、実施形態1又は2に記載の材料。
【0128】
実施形態4
前記銅含有粒子が、担体1ガロンあたり約50g以下の量で存在することを特徴とする、実施形態1~3のいずれかに記載の材料。
【0129】
実施形態5
前記第四級アンモニウムが、約5質量%以下の量で存在することを特徴とする、実施形態1~4のいずれかに記載の材料。
【0130】
実施形態6
前記担体が、ポリマー、モノマー、結合剤、又は溶媒を含むことを特徴とする、実施形態1~5のいずれかに記載の材料。
【0131】
実施形態7
前記担体が、塗料を含むことを特徴とする、実施形態1~6のいずれかに記載の材料。
【0132】
実施形態8
前記銅含有ガラスが、複数のCu1+イオンを含み、かつ、B、P及びROのうちの少なくとも1つを含む、クプライト相を含むことを特徴とする、実施形態2~7のいずれかに記載の材料。
【0133】
実施形態9
前記銅含有ガラスが、40モル%超のSiOを含むガラス相をさらに含むことを特徴とする、実施形態8に記載の材料。
【0134】
実施形態10
前記ガラス相が、前記クプライト相より多い重量で存在することを特徴とする、実施形態9に記載の材料。
【0135】
実施形態11
前記クプライト相が、前記ガラス相中に分散されていることを特徴とする、実施形態9又は10に記載の材料。
【0136】
実施形態12
前記クプライト相及び前記ガラス相のうちの一方又は両方が、Cu1+を含むことを特徴とする、実施形態9~11のいずれかに記載の材料。
【0137】
実施形態13
前記クプライト相が、約5マイクロメートル(μm)以下の平均主寸法を有する結晶を含むことを特徴とする、実施形態8~12のいずれかに記載の材料。
【0138】
実施形態14
前記クプライト相が分解性であり、水の存在下で浸出することを特徴とする、実施形態8~13のいずれかに記載の材料。
【0139】
実施形態15
前記銅含有ガラスが、約5ナノメートル(nm)未満の深さを有する表面部分を含み、該表面部分が複数の銅イオンを含み、ここで、前記複数の銅イオンの少なくとも75%がCu1+であることを特徴とする、実施形態2~14のいずれかに記載の材料。
【0140】
実施形態16
前記複数の銅イオンの約25%未満がCu2+であることを特徴とする、実施形態15に記載の材料。
【0141】
実施形態17
前記銅含有ガラスのクプライト相が、前記ガラスの少なくとも約10質量パーセントを構成することを特徴とする、実施形態2~16のいずれかに記載の材料。
【0142】
実施形態18
担体、
銅含有ガラス粒子、及び
第四級アンモニウム
を含む材料であって、
前記材料が層として表面に施され、10分間以上乾燥された後に、前記層が、CIE L*a*b*系において、約91~約100の範囲のL*値、及び約7未満のC*値を示し、ここで、C*は、√(a*2+b*2)に等しく、
前記材料が、EPA Test Method for Efficacy of Copper Alloy as a Sanitizer試験条件下で、黄色ブドウ球菌の濃度において3より大きい対数減少を示す、
材料。
【0143】
実施形態19
前記銅含有ガラス粒子が、担体1ガロンあたり約50g以下の量で存在することを特徴とする、実施形態18に記載の材料。
【0144】
実施形態20
前記第四級アンモニウムが、約5質量%以下の量で存在することを特徴とする、実施形態18又は19に記載の材料。
【0145】
実施形態21
前記担体が、ポリマー、モノマー、結合剤、又は溶媒を含むことを特徴とする、実施形態18~20のいずれかに記載の材料。
【0146】
実施形態22
前記担体が塗料を含むことを特徴とする、実施形態18~21のいずれかに記載の材料。
【0147】
実施形態23
前記銅含有ガラスが、複数のCu1+イオンを含み、かつ、B、P及びROのうちの少なくとも1つを含む、クプライト相を含むことを特徴とする、実施形態18~22のいずれかに記載の材料。
【0148】
実施形態24
前記銅含有ガラスが、40モル%超のSiOを含むガラス相をさらに含むことを特徴とする、実施形態23に記載の材料。
【0149】
実施形態25
前記ガラス相が、前記クプライト相より多い重量で存在することを特徴とする、実施形態24に記載の材料。
【0150】
実施形態26
前記クプライト相が、前記ガラス相中に分散されていることを特徴とする、実施形態24又は25に記載の材料。
【0151】
実施形態27
前記クプライト相及び前記ガラス相のうちの一方又は両方が、Cu1+を含むことを特徴とする、実施形態24~26のいずれかに記載の材料。
【0152】
実施形態28
前記クプライト相が、約5マイクロメートル(μm)以下の平均主寸法を有する結晶を含むことを特徴とする、実施形態23~27のいずれかに記載の材料。
【0153】
実施形態29
前記クプライト相が分解性であり、水の存在下で浸出することを特徴とする、実施形態23~28のいずれかに記載の材料。
【0154】
実施形態30
前記銅含有ガラス粒子の少なくとも1つが、約5ナノメートル(nm)未満の深さを有する表面部分を含み、該表面部分が複数の銅イオンを含み、ここで、前記複数の銅イオンの少なくとも75%がCu1+であることを特徴とする、実施形態18~29のいずれかに記載の材料。
【0155】
実施形態31
前記複数の銅イオンの約25%未満がCu2+であることを特徴とする、実施形態30に記載の材料。
【0156】
実施形態32
前記クプライト相が、前記ガラスの少なくとも約10質量パーセントを構成することを特徴とする、実施形態18~31のいずれかに記載の材料。
図1