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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046493
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】噴霧乾燥のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 1/18 20060101AFI20220315BHJP
   B05B 7/16 20060101ALI20220315BHJP
   B05B 7/08 20060101ALI20220315BHJP
   B05B 5/025 20060101ALI20220315BHJP
   B01J 2/04 20060101ALI20220315BHJP
   B01D 46/24 20060101ALI20220315BHJP
   B01D 46/04 20060101ALI20220315BHJP
   F26B 3/12 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
B01D1/18
B05B7/16
B05B7/08
B05B5/025 A
B01J2/04
B01D46/24 Z
B01D46/04 104
F26B3/12
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021197938
(22)【出願日】2021-12-06
(62)【分割の表示】P 2021062747の分割
【原出願日】2016-11-03
(31)【優先権主張番号】62/250,318
(32)【優先日】2015-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595170502
【氏名又は名称】スプレイング システムズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】アッカーマン, トーマス イー.
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ, クリストファー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ブライト, アダム シー.
(72)【発明者】
【氏名】ハフマン, デイヴィッド シー.
(72)【発明者】
【氏名】コクシス, スコット ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ロスコス, クリストファー イー.
(72)【発明者】
【氏名】セイント ピーター, グレン アール.
(72)【発明者】
【氏名】スミス, ブライアン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】スズクザップ, ジョセフ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ゼニン, ミッシェル アール.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より効率的で汎用性のある動作用に構成されたスプレードライヤシステムを提供する。
【解決手段】液体を乾燥させて粉体にするための静電スプレードライヤが、乾燥チャンバ12を形成する細長い本体と、乾燥チャンバ12の一方の端部におけるスプレーノズル組立体16と、反対側の端部におけるフィルタ要素ハウジング19及び粉体収集チャンバとを含む。非構造性非金属ライナ100が、内部乾燥ゾーンを形成するように、内壁表面に離間して細長い本体内に配置される。示される細長い本体は、複数のモジュールを含むモジュール式構成を有し、少なくとも1つは、特定の噴霧用途のために乾燥チャンバの長さを変えるために選択的に取り外し及び交換可能である。ライナもまた、乾燥チャンバの変更された長さのライナ又は特定の使用のための異なる直径を有するライナと交換可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を乾燥させて粉体にするための流動床式噴霧乾燥システムであって、
直立姿勢に支持される細長い本体と、
前記細長い本体内に乾燥チャンバを形成するために前記細長い本体の互いに反対側の上端部及び下端部にある上端部閉鎖機構及び下端部閉鎖機構と、
前記上端部閉鎖機構内および前記下端部閉鎖機構内の一方に支持されるスプレーノズル組立体と、を備え、
前記スプレーノズル組立体が、液体供給部に接続するための液体入口を有するノズル本体と、下流端部にあり、乾燥される液体を前記乾燥チャンバに導くための放出スプレーチップ組立体と、電源に接続され、前記スプレーノズル組立体を通って前記乾燥チャンバに入る液体を帯電させるための電極と、を含み、
前記下端部閉鎖機構が、前記乾燥チャンバ内で乾燥された粉体を収集するための粉体収集チャンバを含み、
前記乾燥チャンバが、前記乾燥チャンバに導かれた液体を乾燥させて粉体にするために前記乾燥チャンバに乾燥ガスを導入するための乾燥ガス入口を有し、
前記乾燥チャンバが、前記乾燥チャンバの上端部に隣接する排出ガス出口を有し、
前記上端部閉鎖機構が、前記排出ガス出口と連通する複数の円筒形フィルタ要素を有し、前記円筒形フィルタ要素が、前記フィルタ要素及び前記排出ガス出口を通って前記乾燥チャンバから出る乾燥ガスから乾燥ガス中の粉体を濾過し、
前記円筒形フィルタ要素がそれぞれ、下端部で閉鎖され、前記排出ガス出口と連通する反対側の開放軸方向上端部を有し、それにより、前記乾燥チャンバから出る乾燥ガスが、ガス中の粉体を抑制する前記フィルタ要素の円筒側面を通過し、乾燥ガスが、前記フィルタ要素の前記円筒側面を通って前記開放軸方向上端部から前記排出ガス出口に進むようになっている、噴霧乾燥システム。
【請求項2】
前記複数の円筒形フィルタ要素が、前記排出ガス出口と連通する排出プレナムの少なくとも一部を形成する、前記上端部閉鎖機構内の横断プレートから支持される、請求項1に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項3】
前記フィルタ要素がそれぞれ、上端部にある前記開放軸方向上端部が前記排出プレナムと連通するように、前記横断プレートから垂下して支持され、それにより、乾燥ガスが、前記フィルタ要素の円筒側面を通って、前記フィルタ要素の前記開放軸方向上端部から前記排出プレナム内に出るようになっている、請求項2に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項4】
前記乾燥チャンバに乾燥ガスを再導入するために前記排出ガス出口と前記乾燥ガス入口との間に接続される再循環導管を含む、請求項1に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項5】
前記再循環導管が、前記排出ガス出口から前記乾燥ガス入口にガスを再循環させるときに、乾燥ガスを最初にコンデンサを通して、次にヒータを通して導く、請求項4に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項6】
前記粉体収集チャンバに粉体を導くために前記粉体収集チャンバと前記細長い本体の間に配置される円錐形収集コーンを含む、請求項1に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項7】
前記ノズル本体が、加圧ガス供給部に接続され、前記放出スプレーチップ組立体から放出される帯電した液体を霧化するための加圧霧化空気を前記ノズル本体を通して導くための霧化ガス入口を有する、請求項1に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項8】
前記フィルタ要素がそれぞれ、前記円筒形フィルタ要素の円筒形外面における粉体の蓄積を除去するために加圧ガスパルスを前記円筒形フィルタ要素の内部に導くように周期的に動作可能である対応する逆流ガスパルス導流装置を有する、請求項1に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項9】
前記逆流ガスパルス導流装置がそれぞれ、前記円筒形フィルタ要素の前記開放軸方向上端部の上方を中心とする放出端部を有するガス導流管を含み、各ガスパルス導流装置の前記ガス導流管が、対応する加圧制御バルブに接続される上流端部を有する、請求項8に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項10】
前記円筒形フィルタ要素がそれぞれ、対応する逆流ガスパルスフィルタ洗浄装置を有し、前記逆流ガスパルスフィルタ洗浄装置が、前記円筒形フィルタ要素の外面に蓄積した粉体を取り除くために前記円筒形フィルタ要素内に加圧ガスを導くための、加圧ガス供給部に接続される選択的に動作可能な逆流ガスパルスノズルと、前記円筒形フィルタ要素を通り、前記排出ガス出口と連通する前記開放軸方向上端部を軸方向に通る乾燥ガスの流れを可能にする開放位置と、前記収集チャンバ内から前記排出ガス出口への乾燥ガスの流れを妨げかつ防止する閉鎖位置との間で移動するように取り付けられるプランジャと、を有し、前記逆流ガスパルスノズルを通して加圧ガスが導かれると、前記プランジャが、前記開放位置から前記閉鎖位置に移動可能となり、前記逆流ガスパルスノズルからの加圧ガスが、前記排出チャンバへの前記乾燥ガスの流れを伴わずに、前記円筒形フィルタ要素内に導かれ、前記円筒形フィルタ要素の前記円筒側面を通って外に導かれることが可能になる、請求項1に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項11】
前記逆流ガスパルスノズルがそれぞれ、加圧ガスを通して導く中空構成を有し、前記逆流ガスパルスノズルが、排出プレナム内に配置される第1の部分と、前記円筒形フィルタ要素内に配置され、実質的に前記円筒形フィルタ要素の長さにわたって延びる第2の部分と、を含み、前記プランジャが、前記逆流ガスパルスノズルの前記第1の部分に沿って移動するように支持される、請求項10に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項12】
前記逆流ガスパルスノズルのそれぞれの第1の部分が、前記プランジャを前記閉鎖位置に移動させるために前記逆流ガスパルスノズルから前記プランジャのシリンダ内への加圧ガスの連通を可能にするための複数の孔を伴って形成され、前記ノズルの第2の部分が、前記バルブプランジャが前記第2の位置にあるときに前記逆流ガスパルスノズルから前記円筒形フィルタ要素内への、また前記円筒側面の外側への加圧空気の流れを可能にするために前記第1の部分の前記孔よりも小さな複数の孔を伴って形成される、請求項11に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項13】
前記細長い本体内に内部乾燥ゾーンを形成するために、前記細長い本体の内壁面から離間して前記細長い本体内に配置されるライナを含む、請求項1に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項14】
液体を乾燥させて粉体にするための流動床式噴霧乾燥システムであって、
直立姿勢に支持される細長い本体と、
前記細長い本体内に乾燥チャンバを形成するために前記細長い本体の互いに反対側の上端部及び下端部にある上端部閉鎖機構及び下端部閉鎖機構と、
前記上端部閉鎖機構内および前記下端部閉鎖機構内の一方に支持されるスプレーノズル組立体と、を備え、
前記スプレーノズル組立体が、液体供給部に接続するための液体入口を有するノズル本体と、下流端部にあり、乾燥される液体を前記乾燥チャンバに導くための放出スプレーチップ組立体と、を含み、
前記下端部閉鎖機構が、前記乾燥ゾーン内で乾燥された粉体を収集するための粉体収集チャンバを含み、
前記乾燥チャンバが、前記乾燥チャンバに導かれた液体を乾燥させて粉体にするために前記乾燥チャンバに乾燥ガスを導入するための乾燥ガス入口を有し、
前記乾燥チャンバが、前記乾燥チャンバの上端部に隣接する排出ガス出口を有し、
前記上端部閉鎖機構が、前記排出ガス出口と連通する複数の円筒形フィルタ要素を有し、前記円筒形フィルタ要素が、前記フィルタ要素及び前記排出ガス出口を通って前記乾燥チャンバから出る乾燥ガスから乾燥ガス中の粉体を濾過し、
前記円筒形フィルタ要素がそれぞれ、下端部で閉鎖され、前記排出ガス出口と連通する反対側の開放軸方向上端部を有し、それにより、前記乾燥チャンバから出る乾燥ガスが、ガス中の粉体を抑制する前記フィルタ要素の円筒側面を通過し、乾燥ガスが、前記フィルタ要素の前記円筒側面を通って前記開放軸方向上端部から前記排出ガス出口に進むようになっており、
前記排出ガス出口と前記乾燥ガス入口の間に、前記乾燥チャンバに乾燥ガスを再導入するための再循環導管が接続され、前記再循環導管が、前記排出ガス出口から前記乾燥ガス入口にガスを再循環させるときに、乾燥ガスを最初にコンデンサを通して、次にヒータを通して導く、噴霧乾燥システム。
【請求項15】
流動床式スクリーン分離器が、前記粉体収集チャンバと前記細長い本体の間に配置される、請求項14に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項16】
前記複数の円筒形フィルタ要素が、前記排出ガス出口と連通する排出プレナムの少なくとも一部を形成する、前記上端部閉鎖機構内の横断プレートから支持される、請求項14に記載の噴霧乾燥システム。
【請求項17】
前記フィルタ要素がそれぞれ、上端部にある前記開放軸方向上端部が前記排出プレナムと連通するように、前記横断プレートから垂下して支持され、それにより、乾燥ガスが、前記フィルタ要素の円筒側面を通って、前記フィルタ要素の前記開放軸方向上端部から前記排出プレナム内に出るようになっている、請求項16に記載の噴霧乾燥システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本特許出願は、引用により組み入れられる、2015年11月3日出願の米国特許出願第62/250,318号の利益を主張する。
【0002】
[0002] 本発明は、一般に、スプレードライヤに関し、より具体的には、液体を噴霧乾燥させて乾燥粉体形態にするための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 噴霧乾燥は、液体スラリを乾燥チャンバ内に噴霧し、乾燥チャンバ内に加熱空気を導入し、液体を乾燥させて粉体にする、周知の広く使用されているプロセスである。スラリは、一般的に、水などの液体、食品、風味(flavor)、若しくは医薬品などの成分、及び担体を含む。乾燥プロセスの間、液体は取り去られ、成分は、担体内にカプセル封入された粉体の形態で残る。噴霧乾燥はまた、種々の食品、添加物及び化学物質のような、カプセル封入を必要としない粉体の生成にも用いられる。
【0004】
[0004] 粉体乾燥システムは、一般に、構造が比較的大規模であり、何階もの高さに達し得る乾燥タワーを有する。実質的な設備投資は、機器自体だけではなく、使用される施設が、こうした機器を収容するのに十分なサイズ及び設計のものでなければならない。乾燥媒体の加熱要件も費用がかかるものであり得る。
【0005】
[0005] より迅速な乾燥を容易にする帯電した粒子を生成するために静電スプレーノズルを使用することが望ましいが、こうしたスプレードライヤシステムの大部分が鋼構造であるため、特に誤って接地した場合、静電帯電した液体が、電気制御装置の動作を妨げ、動作を中断し得るような方法で、システムの構成要素を帯電させ、帯電していない液体の放出をもたらし、液体が仕様に従って乾燥されないことがある。
【0006】
[0006] 帯電した液体からシステムをよりよく絶縁するために、非金属材料で作られた静電スプレードライヤの乾燥チャンバを形成することが知られているが、粒子が乾燥チャンバの壁に付着して蓄積し、時間のかかる洗浄を必要とすることがあり、それによりシステムの使用が中断される。さらに、乾燥チャンバ内の加熱空気の雰囲気内の非常に微細な乾燥粉体が、不注意によるスパーク、又は静電スプレーノズル若しくはシステムの他の構成要素の故障により危険な爆発条件を生じさせることがある。
【0007】
[0007] こうしたスプレードライヤシステムはまた、異なる形態の液体スラリを噴霧乾燥するようにも動作可能でなければならない。例えば風味付け(flavoring)産業において、1つの工程(run)においてシトラス風味の材料を用いてシステムを動作させる一方で、次の動作においてコーヒー風味の材料を使用する必要があることがある。乾燥チャンバの壁に付着する残りの風味材料が、後に処理される製品の味を汚染することがある。もちろん、医薬品の分野においては、医薬品の連続する工程が交差汚染されないことは必須である。
【0008】
[0008] さらに、既存のスプレードライヤシステムは、容易な汎用性に欠ける。大規模な乾燥システム全体の利用を必要としない、より小さいロットの乾燥用製品を実行することが望ましいこともある。さらに、特定の用途のために材料をシステム内に噴霧及び乾燥する方法を変更することが望ましいことがある。さらに他の処理において、使用する液体により迅速に溶解するなど、最終的な使用をより容易にするために、乾燥中、微細粒子が凝集することが望ましいことがある。しかしながら、既存のスプレーは、処理要件におけるこうした変化に適合させるための容易な変更には適していない。
【0009】
[0009] スプレードライヤはさらに、非常に微細な粒子を生成する傾向があり、この微細な粒子は、ドライヤシステムを出ていく乾燥ガスにおいて空中に残ることがあり、それを、システムを出ていくガスからフィルタリングする必要がある。こうした微細な粒子状物質は、フィルタをすぐに詰まらせ、ドライヤの効率的な動作を妨げ、フィルタの頻繁な洗浄を必要とし得る。既存のスプレードライヤはまた、一般に、空中の粒子状物質を除去するために、複雑なサイクロン分離及びフィルタ構成も利用してきた。こうした機器は高価であり、費用のかさむ保守及び洗浄を必要とする。
【発明の概要】
【0010】
[0010] 本発明の目的は、より効率的で汎用性のある動作用に構成されたスプレードライヤシステムを提供することである。
【0011】
[0011] 別の目的は、サイズが比較的小さく、動作がより確実な、上で特徴付けられたような静電スプレードライヤシステムを提供することである。
【0012】
[0012] さらに別の目的は、高さが比較的低く、かつ、特別な組立て又は上限要件なしで場所に取り付け、動作させることができる静電スプレードライヤシステムを提供することである。
【0013】
[0013] 更なる目的は、交差汚染なしに異なる製品ロットを噴霧乾燥するのに有効な上記のタイプの静電スプレードライヤシステムを提供することである。
【0014】
[0014] 更に別の目的は、特定の乾燥用途のためにサイズ及び処理技術の両方を容易に変更可能な上記の種類の静電スプレードライヤシステムを提供することである。
【0015】
[0015] 更なる目的は、微細粒子を凝集させて後の使用をより容易にする形態にすることを可能にする方法で粉体を乾燥するように動作可能な静電スプレードライヤシステムを提供することである。
【0016】
[0016] 更に別の目的は、より低い加熱要件で、従って、より経済的に有効に動作することができる静電スプレードライヤシステムを提供することである。関連した目的は、温度感受性化合物を有効に乾燥するように動作可能なこうしたタイプのスプレードライヤシステムを提供することである。
【0017】
[0017] 別の目的は、異なる容量の乾燥要件のためにモジュールを選択的に用いることができ、スプレードライヤシステムの動作を停止することなく、修理、保守及びモジュール交換を行うのに適している、モジュール式静電スプレードライヤシステムを提供することである。
【0018】
[0018] 更に別の目的は、微細粉体及びシステムの乾燥チャンバ内の加熱雰囲気による電気的故障及び危険な爆発が生じにくい、上記のタイプの静電スプレードライヤシステムを提供することである。関連した目的は、システムの可能な電気的故障を監視し制御するのに有効な、こうしたスプレードライヤシステムに対する制御を提供することである。
【0019】
[0019] 別の目的は、ドライヤを出る乾燥ガスから空中の粒子状物質をより有効かつ効率的に除去するためのフィルタシステムを有し、そして保守要件がより少ない、こうしたタイプのスプレードライヤシステムを提供することである。
【0020】
[0020] 更なる目的は、乾燥ガスフィルタシステムが、フィルタ上への粒子状物質の蓄積を自動的かつより有効に除去するための手段を含む、上記に特徴付けられたスプレードライヤシステムを提供することである。
【0021】
[0021] 更なる目的は、構成が比較的簡単であり、経済的な製造に適している、こうした静電スプレードライヤシステムを提供することである。
【0022】
[0022] 本発明の他の目的及び利点は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
[0023]
図1】示されるスプレードライヤシステムの粉体処理タワーの側面図である。
図2図1に示される粉体処理タワーの垂直断面である。
図3】示される粉体処理タワーの分解斜視図である。
図3A】示される粉体処理タワーと共に使用可能な、組み立てられていない可撓性不透過性ライナの平面図である。
図3B図3Aに示されるものに類似するが、透過性フィルタ材料で作成された、ライナの代替的な実施形態の平面図である。
図3C】示される粉体処理タワーと共に使用可能な、この場合は一部分が不透過性材料で作成され、一部分が透過性材料で作成されたライナの別の代替的な実施形態の平面図である。
図3D】示される粉体処理タワーと共に使用可能な、この場合は不透過性非導電性の硬質材料で作成されたライナの別の代替的な実施形態の平面図である。
図4】静電スプレーノズルが内部の中央に支持される、示される粉体処理タワーの上部キャップ又は蓋の拡大上面図である。
図5図4に示される上部キャップ及びスプレーノズル組立体の側面図である。
図6】示される静電スプレーノズル組立体の拡大垂直断面である。
図7】示される静電スプレーノズル組立体のヘッドを支持するノズルの拡大部分断面である。
図8】示される静電スプレーノズル組立体の放出端部の拡大部分断面である。
図8A】より粘性の液体の噴射を容易にように放出スプレーチップが変更された、スプレーノズル組立体を示す、図8に類似した部分断面である。
図9図8の線9-9で取られた、示される静電スプレーノズル組立体の横断面である。
図10】示される粉体処理タワーの粉体収集コーン及びフィルタ要素ハウジングの拡大部分断面である。
図10A図10に示される粉体収集コーン及びフィルタ要素ハウジングの分解斜視である。
図11】示される粉体処理タワーと共に用いられるフィルタ要素ハウジングの代替的な実施形態の部分断面における側面図である。
図11A】非稼働状態における逆流(reverse)ガスパルスフィルタ洗浄装置を示す、図11に示されるフィルタハウジングのフィルタの1つの拡大部分断面である。
図11B】稼働状態における逆流ガスパルス空気フィルタ洗浄装置を示す、図11Aに類似した拡大部分断面である。
図12】フィルタ要素ハウジング及び粉体収集チャンバの代替的な実施形態の側面図である。
図12A図12に示されるフィルタ要素ハウジング及び粉体収集チャンバの上面図である。
図12B図12に示されるフィルタ要素ハウジング及び粉体収集チャンバの拡大部分切り欠き図である。
図12C図12に示されるフィルタ要素ハウジング及び関連した上流空気導流プレナムの分解斜視である。
図13】関連した上部ライナ・隔離リング組立体を用いて上部カバーを乾燥チャンバに固定するための締結構成を示す部分断面である。
図13A図12に類似するが、関連した底部ライナ・隔離リング組立体を用いて乾燥チャンバを粉体収集コーンに固定するための締結構成を示す部分断面である。
図14】示されるファスナの1つの拡大部分図である。
図15】示されるスプレードライヤシステムの概略である。
図15A】溶融した流れストリームを噴霧冷却して固化粒子にするように動作可能なスプレードライヤの代替的な実施形態の概略である。
図16】示される噴霧乾燥システムのための流体供給ポンプ及びその関連した駆動モータを示す部分断面である。
図16A】外側非導電性ハウジング内に支持される示される流体供給ポンプの垂直断面である。
図17】示される絶縁ライナ及びその隔離リング支持組立体の拡大上面図である。
図18図17に類似するが、より小さい直径の絶縁ライナを支持する隔離リング組立体を示す拡大上面図である。
図19】複数の静電スプレーノズル組立体を支持する示される粉体処理タワーの上部キャップの拡大側面図である。
図20図19に示される上部キャップの上面図である。
図21】乾燥のために噴霧液体の上向き方向に対して乾燥チャンバの底部に隣接して静電スプレーノズルを支持するように修正された、示される粉体処理タワーの垂直断面である。
図22図21に示される静電スプレーノズル組立体の下部取り付け支持部の側面線図である。
図23図22に示される静電スプレーノズル組立体及び下部取り付け支持部の上面図である。
図24図22及び図23に示されるスプレーノズル底部取り付け支持部のための指示ロッドの1つの拡大セクションである。
図25】例証的な粉体乾燥システムについての代替的な剛性を示すチャートである。
図25A】フレッシュ窒素ガスがシステムのガス再循環ラインに導入されるスプレードライヤシステムの代替的な実施形態の概略である。
図25B】再循環乾燥ガスストリームから粒子状物質をフィルタリングするためにサイクロン分離器/フィルタバッグ組立体を用いる、スプレードライヤシステムの別の代替的な実施形態の概略である。
図25C図25Bに類似した、サイクロン分離器内で分離された乾燥微細粒子が乾燥チャンバに再導入される、代替的な実施形態である。
図25D】再循環乾燥ガスから粒子状物質をフィルタリングするための複数の流動床フィルタを有するスプレードライヤシステムの別の代替的な実施形態である。
図26】本開示による、静電スプレードライヤシステムで用いられる電圧発生装置障害回復方法を動作させる方法についてのフローチャートである。
図27】本開示による静電スプレードライヤシステムで用いられる静電スプレーノズルにおけるパルス幅を変調させる方法についてのフローチャートである。
図28】複数の粉体処理タワーを有するモジュール式スプレードライヤシステムの上面図線図である。
図29図28に示されるモジュール式スプレードライヤシステムの前部平面図である。
図30図28に類似するが、付加的な粉体処理タワーを有する、モジュール式スプレードライヤシステムの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0071] 本発明は、種々の修正及び代替的な構成を受け入れることができるが、本発明の特定の例示的な実施形態が図面に示され、詳細に後述される。しかしながら、本発明を開示される特定の形態に限定することを意図するものではなく、反対に、本発明の趣旨及び範囲内に含まれる全ての修正、代案、構成及び均等物を網羅することを意図することを理解されたい。
【0025】
[0072] ここでより詳細に図面を参照すると、直立した円筒形構造の形態の乾燥チャンバ12を含む処理タワー11と、加熱空気入口15及び液体スプレーノズル組立体16を有する乾燥チャンバ12用のカバー又は蓋14の形態の上部閉鎖機構及び乾燥チャンバ12の底部に支持される粉体収集コーン18の形態の底部閉鎖機構と、粉体収集コーン18が延び、加熱空気排出出口20を有するフィルタ要素ハウジング19と、底部粉体収集チャンバ21とを含む、本発明による例示的な噴霧乾燥システム10が示される。乾燥チャンバ12、収集コーン18、フィルタ要素ハウジング19及び粉体収集チャンバ21は全て、ステンレス鋼で作成されることが好ましい。上部カバー14は、プラスチック又は他の非導電性材料で作成されることが好ましく、この場合は、スプレーノズル組立体16を中央に支持する。示される加熱空気入口15は、加熱空気を乾燥チャンバ12内に旋回接線方向に導くように向けられる。フレーム24は、処理タワー11を直立状態に支持する。
【0026】
[0073] 本実施形態の重要な態様によれば、図6図9に最も良く示されるように、スプレーノズル組立体16は、静電帯電した粒子の噴霧をドライヤチャンバ12内に導き、液体スラリを迅速かつ効率的に乾燥させて所望の粉体形態にするための、加圧空気アシスト静電スプレーノズル組立体である。示されるスプレーノズル組立体16は、国際出願第PCT/US2014/056728号に開示されるタイプのものとすることができ、ノズル支持ヘッド31と、ヘッド31から下流に延びる細長いノズルバレル又は本体32と、細長いノズル本体32の下流端部の放出スプレーチップ組立体34とを含む。ヘッド31は、この場合は、プラスチック又は他の非導電性材料で作成され、液体供給部と連通する供給ライン131に接続するための液体入口取付具38を受け、これと連通する半径方向液体入口通路36を有するように形成される。供給液体は、乾燥させて、水などの溶媒と、風味、食品、医薬品等などの所望の成分と、担体とを有する液体スラリを含む粉体形態にすることができ、当技術分野において周知のように、乾燥させて粉体形態にする際、所望の成分が担体内にカプセル封入される、種々のスラリ又は同様の液体のいずれかとすることができることが理解されるであろう。担体を含まない液体又は乾燥した製品のカプセル封入を必要としない液体を含む、他の形態のスラリを用いることもできる。
【0027】
[0074] ノズル支持ヘッド31は、この場合は、適切な加圧ガス供給部に接続された空気入口取付具40を受け、これと連通する液体入口通路36の下流に半径方向の加圧空気霧化(atomizing)入口通路39を有するように形成される。ヘッド31はまた、高電圧源に接続され、かつ、ヘッド31内に軸方向に支持され、液体入口通路36の下流に延びる電極48と電気接触するように通路41内に延びる端部44aを有する高電圧ケーブル44を固定するための取付具42を受ける、液体入口通路36の上流の半径方向通路41も有する。
【0028】
[0075] 液体がヘッド31を通るのを可能にするために、電極48は、液体入口通路36と連通し、電極48を通って下流に延びる内部軸方向通路49を有するように形成される。電極48は、液体入口通路36と内部軸方向通路49との間を連通する複数の半径方向通路50を有するように形成される。示される電極48は、封止Oリング52が間に挿置された状態でヘッド31の座ぐり内に嵌合する下流外方に延びる半径方向ハブ51を有する。
【0029】
[0076] 細長い本体32は、ヘッド31のねじ付きボア内にねじ係合される上流端部55aを有する、プラスチック又は他の適切な非導電性材料で作成された外側円筒形本体部材55の形態であり、封止Oリング56が円筒形本体部材55とヘッド31との間に挿置される。ステンレス鋼又は他の導電性金属で作成された液体供給管58が、外側円筒形本体部材55を通って軸方向に延び、軸方向電極液体通路49と放出スプレーチップ組立体34との間で液体連通するための液体流路59と、液体供給管58と外側円筒形本体部材55との間の環状霧化空気通路60を形成する。外側円筒形本体部材55のねじ付き入口端部55aの上に突出する液体供給管58の上流端部は、導電態様で電極ハブ51内の下向きに開放する円筒形ボア65に嵌合する。高電圧ケーブル44により充電される電極48に関して、入口通路36への液体供給は、液体が細長いノズル本体32の全長に沿って電極通路49及び液体供給管58を通って進む際に帯電されることが分かるであろう。加圧ガスは、この場合、液体供給管58の上流端部の周りに半径方向空気入口通路39を通り、次に液体供給管58と外側円筒形本体部材55との間の環状空気通路60内に伝わる。
【0030】
[0077] 液体供給管58は、電極48と電気接触するように配置され、ヘッド31から細長いノズル本体部材32を通って放出スプレーチップ組立体34へ、その通路全体にわたって液体を効率的に帯電させる。そのため、放出スプレーチップ組立体34は、封止Oリング72が間に挿置された状態で、液体供給管58の下流端部に対して取り囲む関係の上流円筒形セクション71を有するスプレーチップ70を含む。スプレーチップ70は、内方にテーパするすなわち円錐形の中間セクション74と、スプレーチップ70の円筒形流路75及び液体放出オリフィス78を形成する下流円筒形ノーズセクション76とを含む。明らかになるように、スプレーチップ70は、この場合、複数の空気通路77を形成する上流円筒形セクション71の外方に延びるセグメント化した半径方向保持フランジ78を有する。
【0031】
[0078] 液体がスプレーチップ70を通って導かれるときに液体を引き続き静電帯電させながら、液体を供給管58からスプレーチップ70内に流すために、導電性ピンユニット80が、供給管58の下流端部に対して導電接触するようにスプレーチップ70内に支持される。ピンユニット80は、この場合、スプレーチップ70の円錐形中間セクション74内に支持される下流円錐形壁セクション82を有するように形成された上流円筒形ハブセクション81を含む。円筒形ハブセクション81は、液体供給管58と円筒形スプレーチップ通路セクション75との間を連通する周方向に離間した複数の半径方向液体流路83(図8)を有するように形成される。導電性ピンユニット80は、スプレーチップ70内に着座されたとき、液体供給管58の下流端部と当接するように物理的に支持することが分かる。
【0032】
[0079] スプレーチップから放出する液体に電荷を集中させるために、ピンユニット80は、スプレーチップ通路75に対して同心状の態様で支持される下向きに延びる中央電極ピン84を有し、液体放出オリフィス78が電極ピン84の周りに環状に配置される。電極ピン84は、環状スプレーチップ放出オリフィス78を超えて、約1/4インチから1/2インチまでの間のようなある距離を延びる、徐々にテーパする先の尖った端部を有する。液体がスプレーチップ70を出るときに、突出する電極ピン84の周りの液体の接触の増大は、放出する液体への電荷の集中をさらに高め、液体粒子の絶縁破壊及び分散を高める。
【0033】
[0080] 代替的に、図8Aに示されるように、より粘性の液体を噴霧するとき、放出スプレーチップ組立体34は、上述のものに類似するが、下向きに延びる中央電極ピン84を有さないハブセクション81を有することができる。この構成は、スプレーチップを通るより粘性の液体をより自由に通過させる一方で、放出する液体への帯電が液体の絶縁破壊をさらに高め、こうした粘性液体をより効率的に乾燥させる。
【0034】
[0081] 放出スプレーチップ組立体34は、スプレーチップ70の周りに配置された空気又はガスキャップ90をさらに含み、この空気又はガスキャップ90は、スプレーチップ70の周りに環状霧化空気通路91を形成し、スプレーチップ70、ピンユニット80及び液体供給管58を互いに組み立てられた導電関係に保持する。この例では、空気キャップ90は、スプレーチップ70の下流端部の周りに円錐形の加圧空気流路セクション91aを形成し、この円錐形加圧空気流路セクション91aは、スプレーチップ保持フランジ78内の周方向に離間した空気通路77を介して、液体供給管58と外側円筒形本体部材55との間の環状空気通路60と連通し、スプレーチップノーズ76の周りの環状放出オリフィス93を通る加圧空気又はガス放出ストリーム、及び、噴射チップ液体放出オリフィス78から放出する液体を導く。スプレーノズルの内部構成要素を組み立てられた関係に保持するために、空気キャップ90は、外側円筒形部材55の下流外側ねじ付き端部の周りにねじ係合する上流円筒形端部95を有する。空気キャップ90は、スプレーチップ70を支持するため、従って、ピンユニット80及び液体供給管58を上流の電極48と導電態様で支持するように、スプレーチップ70のセグメント化した半径方向フランジ78を受け、これを支持する座ぐり96を有する。
【0035】
[0082] スプレーノズル組立体16は、静電帯電した液体粒子の噴霧を乾燥チャンバ12内に放出するように動作可能である。実際に、示される静電スプレーノズル組立体16は、直径が70ミクロンのオーダーのような、極めて微細な液体粒子の液滴を生成するように動作可能であることが分かっている。明らかになるように、乾燥チャンバ内に導入されるこうした微細な液体噴霧粒子及び加熱乾燥ガスの絶縁破壊及び反発性質のために、加熱空気入口15及び空気アシストスプレーノズル組立体16の両方から、液体粒子は迅速かつ効率的な乾燥を受けて微細粒子の形態にされる。示される静電スプレーノズル組立体16は、本発明に関連して特定の有用性を有することが分かっているが、周知のタイプの油圧式静電回転スプレーノズル及び高容量低圧静電スプレーノズルを含む、他の静電スプレーノズル及びシステムも使用できることが理解されるであろう。
【0036】
[0083] 本実施形態のさらに重要な特徴に従うと、乾燥チャンバ12は、スプレーノズル組立体16からの静電帯電した液体噴霧粒子が放出される乾燥チャンバ12の内壁表面12aに同心状に離間して配置された内部の非金属絶縁ライナ100を有する。図2に示されるように、ライナは、乾燥チャンバ12の外壁表面12aに対して、好ましくは少なくとも2インチ(約5cm)の絶縁空気間隔101を与えるように、乾燥チャンバ12の内径d’より少ない直径dを有するが、他の寸法を用いることもできる。この実施形態において、ライナ100は、好ましくは不透過性の可撓性プラスチック材料100a(図3及び図3A)で作成された非構造性のものである。代替的に、明らかになるように、ライナ100は、硬質不透過性非導電性材料100c(図3D)、透過性フィルタ材料100b(図3B)、又は部分的に不透過性材料100aかつ部分的に透過性フィルタ材料100b(図3C)で作成されてもよい。
【0037】
[0084] 本実施形態の別の態様によると、処理タワー11は、乾燥チャンバ12の外壁に対して電気的に絶縁するように環状ライナ100の組み立て及び取り付けを容易にするクイックディスコネクト(quick disconnect)組み立て構成を有する。このため、環状絶縁ライナ100は、それぞれの上部及び下部隔離リング組立体104(図1図3図13図13A図14及び図17)により両端で支持される。この場合の各リング組立体104は、ライナ100の端部が取り付けられる内部円筒形隔離リング105と、隔離リング105に対して外方に延長した半径方向に固定された複数の周方向に離間した非導電性、ポリプロピレン又は他のプラスチックの隔離スタッド106とを含む。示される実施形態において、ライナ100の上端部は、上部リング組立体104の隔離リング105の上部に折り重ねられ、ライナ100及び隔離リング105(図13)の折り重ね端部の上に配置された環状のU字構成ゴムガスケット108によりそこに取り付けられる。ライナ100の下端部は、下部リング組立体104の隔離リング105の底部の周りに同じように向けられ、類似のゴムガスケット108(図13)によりそこに固定される。類似のゴムガスケット108はまた、ライナ100を隔離リング105の露出した縁部による損傷から保護するために、リング組立体104の円筒形隔離リング105の両端内に支持される。
【0038】
[0085] 各隔離リング組立体104を乾燥チャンバ12内に固定するために、それぞれの取り付けリング110が、例えば溶接によって、乾燥チャンバ12の外側に取り付けられる。ステンレス鋼の取り付けねじ111は、絶縁隔離スタッド106にねじ係合するように、取り付けリング110及び乾燥チャンバ12の外壁内の位置合わせされた穴を通って延びる。ゴムOリング112は、この例では、乾燥チャンバ12の内壁を封止するように、各隔離スタッド106の端部の周りに提供され、ネオプレン接続封止座金114が、各保持ねじ111のヘッドの周りに配置される。
【0039】
[0086] 乾燥チャンバ12の上部カバー14を、上部隔離リング組立体104に対して封止するように乾燥チャンバ12上の適所に固定するために、隔離スタッド106の中間の周方向に離間した位置において、離間した解放可能なラッチ組立体121の環状アレイ120(図1及び図2)が、取り付けリング110(図13図14)に固定される。ラッチ組立体121は、カバー14の上部周縁部の上に配置可能であり、上部カバー14を、隔離リング105の上縁部の周りのU形状ガスケット108及び円筒形乾燥チャンバ12の上縁部の周りの類似した大きい直径の環状U形状ガスケット126に対して保持するために、ラッチ位置へのラッチアーム124の下向きのピボット運動が生じたときにロック位置に引き込まれる、上向きに延びるドローフック122を有する周知のタイプのものとすることができる。ラッチ組立体121は、必要時に上部カバー14の取り外しを可能にするように、ラッチフック124を逆ピボット運動して、ドローフック122を上向き及び外方に動かすことにより容易にラッチ解除することができる。ラッチ組立体121の同様の環状アレイ120aが、乾燥チャンバ12の底部に隣接して取り付けリング110の周りに提供され、この場合、ドローフック124は、収集コーン18の外方に延びるフランジ129に対して上に重なるように下方に配置され、ゴムガスケット108、126に対して封止する関係の収集コーン18のフランジ129を、隔離リング105の底縁部及び乾燥チャンバ12の円筒形底縁部(図13A)の周りに保持する。特定の用途において、ライナ100、Oリング及び他の封止ガスケット108、126は、FDA準拠材料で作成されても又はされなくてもよいことが理解されるであろう。
【0040】
[0087] 静電スプレーノズル組立体16の動作中、この場合は図15に示されるような液体保持タンク130である液体供給部から静電スプレーノズル組立体16に供給される液体は、静電スプレーノズル組立体16により、環状ライナ100によって形成される有効乾燥ゾーン127内に導かれる。液体は、液体供給保持タンク130から、好ましくは従来の方法で動作可能な液体導流ローラシステムを有する蠕動ドージングポンプであるポンプ132を介して、スプレーノズル組立体16の液体入口取付具38に接続された液体供給部又は送給ライン131を通して供給される。図16Aに示されるように、蠕動ドージングポンプ132は、この場合、プラスチックポンプハウジング137内にプラスチックの電気的に絶縁された3つのポンプローラ133を含む。液体供給部又は送給ライン131は、この場合、電気的に遮蔽された管類であり、ステンレス鋼製乾燥チャンバ12は、金属対金属の接触によりこれを固定する支持フレーム24を通じて、承認された接地ラインにより接地されることが好ましい。
【0041】
[0088] 電子コントローラ133が、種々のアクチュエータ、及び電気モータ134、ポンプ132、液体スプレーノズル組立体16、電圧を高電圧ケーブル44に提供する、高電圧発生装置等のような静電スプレードライヤシステムの電気又は電子装置に動作可能に接続され、それらの動作を制御するように動作する。単一のコントローラが示されるが、1つより多くのコントローラを含む分散型コントローラ構成を用い得ることを理解されたい。示されるように、コントローラ133は、プログラム可能論理コントローラのようにプログラムに応じて動作することができる。明確にするために、コントローラ133とシステムの種々の他の構成要素との間の種々の動作可能な接続は、図15から省略される。
【0042】
[0089] 本実施形態の更に別の態様に従うと、ポンプ132は、スプレーノズル組立体16により静電帯電した液体からモータ34への帯電を防ぐために、ポンプ132、及びポンプ132をスプレーノズル組立体16に接続する液体供給ライン131に対して電気的に絶縁するように配置された電気モータ134(図16)により動作される。そのため、駆動モータ134は、ポンプ132を電気駆動モータ134から絶縁する硬質ナイロン等で作成された非導電性駆動セグメントによってポンプヘッド駆動シャフト136に接続された出力シャフト135を有する。示される実施形態における非導電性駆動セグメント138は、約1.5インチ(約3.8cm)の直径及び約5インチ(約12.7cm)の軸方向長さを有する。電気モータ駆動シャフト135は、この場合、ねじ141により非導電性駆動セグメント138に固定された取り付けプレート139を支持する。ポンプヘッド駆動シャフト136は、同様に、非導電性駆動セグメント138の反対の端部にねじ141により固定さあれた取り付けプレート140を支持する。
【0043】
[0090] 静電電圧発生装置222は、噴霧した液体液滴を静電帯電させる電圧をもたらすために、電気ライン224を介してノズル組立体16に電気的に接続される。示される実施形態において、電気ライン224は、随意的なものであり、スプレーノズル組立体16に与えられる電圧及び電流を制御するように手動で又は自動的に調節することができる可変抵抗器要素226を含む。随意的な接地ワイヤ228も液体供給ライン131と接地232との間に電気的に接続される。接地線228は、流体内に存在する電圧を制御するように手動で又は自動的に調節することができる可変抵抗器230を含む。示される実施形態において、接地線は、システムに与えられる流体の帯電状態を制御するために、ポンプ132の前に配置される。システムは、流体の帯電状態をコントローラ133に通信するセンサをさらに含むことができるので、システムは、可変接地抵抗器230の抵抗を制御し、システム内の液体ラインから電荷をブリードオフする(bleed off)ことにより、液体の荷電状態を自動的に監視し、選択的に制御することができる。
【0044】
[0091] 駆動モータ134は、この例では、同じく適切に接地され、非導電性プラスチックモータ取り付けハウジング144内に支持される。示される液体保持タンク130は、タンク130内の液体量の監視を可能にする液量計145上に支持され、電気絶縁バリア146が、液体保持タンク130の下面と液量計145との間に提供される。蠕動ポンプ132の代わりに、プラスチック圧力ポット、並びにその電気オペレーティング・システムから電気的に絶縁することができる他のタイプのポンプ及び液体送給システムを用いることができる。
【0045】
[0092] スプレーノズル組立体16の霧化空気入口取付具18に導かれる加圧ガスは、この場合、ガス供給ライン151(図15)を介してスプレーノズル組立体16の霧化空気入口取付具18と連通するバルク窒素供給部150から生じる。制御された温度及び圧力で乾燥不活性窒素ガスがスプレーノズル組立体16に供給されるのを可能にするために、ガスヒータ152が、供給ライン151内に提供される。本実施形態と関連して窒素が霧化ガスとして説明されるが、乾燥チャンバ内の酸素レベルが、スパーク、又は静電スプレーノズル組立体若しくは乾燥システムの他の電子的に制御される要素の他の電気的故障により発火し得る乾燥チャンバ内の乾燥粉体粒子を有する燃焼雰囲気を生成するレベルより下に維持される限り他の不活性ガスを用いることができ、又は、空気と共に他のガスを用い得ることが理解されるであろう。
【0046】
[0093] 本実施形態の更に別の重要な態様に従うと、スプレーノズル組立体16に供給され、乾燥チャンバ12内に噴霧される液体の霧化が生じたときに乾燥チャンバ12に導かれる加熱した窒素霧化ガスは、乾燥チャンバ12を通って乾燥媒体として連続的に再循環される。図15をさらに参照して理解されるように、乾燥ガス入口15及びスプレーノズル組立体16の両方から乾燥チャンバ12に導入される乾燥ガスは、乾燥チャンバ12の全長を循環し、乾燥チャンバ12内に噴霧される静電帯電した液体粒子を効率的に乾燥させて粉体形態にする。乾燥粉体は、粉体収集コーン18を通って粉体収集チャンバ21内に移動し、そこで適切な手段によって、手動で又は他の自動化された手段によって除去することができる。
【0047】
[0094] 図10及び図10Aに最もよく示されるように、示される粉体収集コーン18は、上部円筒形セクション155と、内方にテーパする円錐形中間セクション156と、乾燥粉体を粉体収集チャンバ21に導くようにフィルタ要素ハウジング19を通って中央に延びる下部円筒形粉体送給セクション158とを有する。フィルタ要素ハウジング19は、この場合、粉体収集コーン18の下部セクションに対して離間して外方に取り囲むように取り付けられた垂直方向に積み重ねた一対の環状HEPAフィルタ160を有する。示される粉体収集コーン18は、フィルタ要素ハウジング19内の上部フィルタ160の上に配置された、その端部の中間の外方に延びる半径方向フランジ161を有し、環状シール162が、半径方向フランジ161とフィルタ要素ハウジング19との間に挿置される。乾燥粉体の大部分は粉体収集コーン18を通って粉体収集チャンバ19内へ下方に落下するが、微細粒子が粉体収集コーン18の底部セクションの周りに上向きに、次にフィルタハウジング19の排出ガス出口20を通って出ていく前に、微細粉体を抑制し、フィルタリングして除去するHEPAフィルタ160を通って外方に移動するにつれて、最も微細な粒子のみが乾燥ガス内に運ばれるままである。
【0048】
[0095] 代替的に、図11図11A及び図11Bに示されるように、ハウジング19aの中間横断支持パネル163から垂直方向に垂下するように取り付けられた周方向に離間した複数の円筒形フィルタ160aを含むフィルタ要素ハウジング19aを用いることができる。収集コーン18から下部収集チャンバ内に導かれる粉体粒子が潜在するガスは、フィルタ160aを通り、横断方向支持パネル163の上のフィルタ要素ハウジング19a内の共通の排出プレナム164内にフィルタ160aを通って横断方向に流れ、出口ポート20aを通して、フィルタ160aにより空気流から制限される粒子と連通する。フィルタ160aを定期的に洗浄するため、フィルタ160aはそれぞれ、その開示が引用により本明細書に組み入れられる、本出願と同じ出願人に譲渡された米国特許第8,876,928号に開示されたタイプの、それぞれの逆流パルス空気フィルタ洗浄装置167を有する。逆流パルス空気フィルタ洗浄装置167の各々は、パルス状空気供給部に接続するための、それぞれのガス供給ライン167aを有する。
【0049】
[0096] 図11A及び図11Bに示されるような、示される逆流パルス空気フィルタ洗浄装置167はそれぞれ、窒素などの加圧ガス源に接続された圧縮ガス供給ライン167aに接続するための、環状リテーナ242により固定された排出プレナム164の上壁内にガス入口241を有する逆流パルスノズル240を含む。ノズル240は、排出プレナム164、及び実質的にフィルタ160aの長さを通って、入口241から延びる中空の内部空気通路244を形成する円筒形閉鎖底部構成を有する。ノズル240は、排出プレナム164内のセクションにおける直径が比較的大きい複数の放出孔246と、フィルタ160a内のノズル240の長さにおけるより小さいサイズの複数の空気放出孔248とを有するように形成される。
【0050】
[0097] 逆流パルスノズル240の動作中、フィルタ要素ハウジング19aから排出プレナム164へのプロセスガスの流れを遮断するために、排出ポート開口位置と閉鎖位置との間の排出プレナム164内の軸方向移動のために、環状排出ポート遮断プランジャ249が、逆流パルスノズル160aの上方に配置される。プランジャ249の移動を制御するために、底部開口プランジャシリンダ250が、排出プレナム164の上壁から垂下して封止するように取り付けられる。示されるプランジャ249は、シリンダ250の内部と摺動封止係合するように構成された外周を有する上部の比較的直径が小さい環状封止及び案内フランジ252と、パネル163内の排出ポート253と封止係合するようにシリンダ250の下部末端部の下方に配置された下部の直径がより大きいバルブヘッド254とを含む。プランジャ249は、好ましくは弾性材料で作成され、上部封止及び案内フランジ252及び下部バルブヘッド254は、下方にテーパする又はカップ形状の構成を有する。
【0051】
[0098] プランジャ249は、逆流パルスノズル240に沿った軸方向運動が制限されるように配置され、逆流パルスノズル240の外周の周りに固定されたコイルばね256により、図3に示されるような、通常の開放又は後退位置に付勢される。バルブプランジャ249がこうした位置に付勢された状態で、プロセスガスは、フィルタ要素ハウジング19aから、フィルタ160a、排出ポート253を通って、排出プレナム164内に流れる。
【0052】
[0099] 逆流パルスガス洗浄サイクルの際、圧縮ガスのパルスは、入口ライン167aから逆流パルスノズル240を通って導かれる。圧縮ガスは、ノズル160aを通って進むので、最初に大きい直径の又はプランジャ作動孔246を通って、プランジャ封止及び案内フランジ252の上方のプランジャシリンダ250内に導かれ、次に、より小さい逆流パルスノズル孔248を通って導かれる。より大きい孔249は、抵抗の少ない経路をもたらすので、ガスは、最初にプランジャシリンダ250に流入し、プランジャシリンダ250内の圧力が増大するにつれて、プランジャ249を、ばね256の付勢力に抗して下方に押し込む。最終的に、圧力は、ばね256の力を克服する点まで増大し、プランジャ249を排出ポート253に向けて下方に押し込み、排出ポート253を一時的に密封する。プランジャ249が排出ポート253を封止した後、外側プランジャシリンダ250内の圧縮ガスは、もはやプランジャ249を移動させることはできず、プランジャシリンダ250内のガス圧はある点まで増大し、次に、圧縮ガスは、より小さいノズル孔248を通って、フィルタ160aに対して押し込まれ、その外周の周りの粒子状物質の蓄積を取り除く。
【0053】
[00100] 逆流圧縮空気パルス及びフィルタ160a上に蓄積した粒子の除去に続いて、圧力は、プランジャシリンダ250内で、もはやばね256に対抗しない程度まで低減される。次に、プランジャ249は、ばね256の力の下でその後退又は静止位置に上向きに移動し、ドライヤの連続的作動のために排出ポート253を封止解除する。
【0054】
[00101] 排出ガスフィルタ要素ハウジング270及び乾燥チャンバ12の下端部上に取り付け可能な粉体収集チャンバ271のさらに別の代替的な実施形態が、図12図12Bに示される。この場合、上部粉体導流プレナム272は、細長い乾燥チャンバ12の下面に取り付け可能であり、フィルタ要素ハウジング270は、垂直に向けられた複数の円筒形フィルタ274を含み、かつ、粉体導流プレナム272の下方に配置され、粉体導流コーン275は、フィルタ要素ハウジング270の下面に接続され、粉体収集チャンバ271は、粉体導流コーン275の下面上に支持される。
【0055】
[00102] 示される粉体導流プレナム272は、乾燥チャンバ12の下面に対して封止するように取り付け可能であり、乾燥チャンバ12及び乾燥ゾーン127から乾燥ガス及び粉体を受け取るための開放上端部を有する、外側円筒形ハウジング壁289を含む。粉体導流プレナム272内に収容されるのは、その下面上に排出チャンバ282(図12B)を形成し、その上側で、乾燥ガス及び粉体を乾燥チャンバ12から円錐形排出プレナム281の外周の周りに下向き及び外方に導く、下向きに開放する円錐形に構成された排出プレナム281である。
【0056】
[00103] フィルタ要素ハウジング270は、環状シール285によって粉体導流プレナム272の底周縁部に対して封止するように取り付けられた外側円筒形ハウジング壁284と、環状シール288によって、円錐形排出プレナム281の底周縁部に対して封止するように取り付けられた内側円筒形フィルタシュラウド286とを含む。円錐形排出プレナム281及び内側円筒形フィルタシュラウド286は、複数の半径方向支持部290(図12A)によってガス導流プレナム272の外側円筒形ハウジング壁289及びフィルタ要素ハウジング270内に支持され、円錐形排出プレナム281の底部周囲の周りに連通する空気通路291と、内側円筒形フィルタシュラウド286と外側円筒形ハウジング壁284との間の環状ガス通路292とを形成するので、粉体導流プレナム272を通るガス及び粉体は、円錐形排出プレナム281により、フィルタ要素シュラウド281の周りに外方に、下にある粉体導流コーン275及び収集チャンバ271内へと導かれる。
【0057】
[00104] 円筒形フィルタ274は、この場合、下方に開放する円錐排出プレナム281の下面の下方に固定して配置された円形支持プレート295に対して垂下するように支持される。円形フィルタ支持プレート295は、この場合、円筒形シュラウド286の上部周囲に対して僅かに陥凹するように取り付けられ、排出チャンバ282の底壁を形成する。示される円筒形フィルタ274はそれぞれ、円筒形フィルタ要素296、上部円筒形カートリッジ保持プレート298、挿置された環状封止要素300、301、302を有する底部端部キャップ及び封止プレート299を含むカートリッジの形態である。フィルタカートリッジを組み立てられた関係に固定するために、上部カートリッジ保持プレート298は、Oリング封止リング308が間に挿置されたナット306により固定される底部端部キャップ299内の中央穴を通って配置可能なねじ付き下部端部スタッド305を備えた垂下するU形状支持部材304を有する。各々のフィルタカートリッジの上部保持プレート298は、中央支持プレート295内のそれぞれの円形開口部310の周りに封止するように取り付けられ、フィルタ要素296は支持プレート295の下面に対して垂下するように配置され、ホルダプレート298内の中央開口部311は、排出チャンバ282と円筒形フィルタ要素296の内部との間を連通する。フィルタ要素カートリッジは、この場合、内部シュラウド274の中央の周りに周方向に離間して配置される。
【0058】
[00105] この例におけるフィルタ要素ハウジング270は、フィルタカートリッジへの容易なアクセスを可能にするように、解放可能なクランプ315又は同様のファスナにより粉体導流プレナム272に固定される。内部フィルタシュラウド286もまた、交換のためにフィルタへのアクセスを可能にするように、ピン及びスロット接続などにより、円筒形フィルタ274に対して取り囲むように解放可能に取り付けられる。
【0059】
[00106] ドライヤシステムの動作中、粉体導流プレナム272内に導かれる乾燥ガス及び粉体は、円錐形排出プレナム281の周りを環状通路291、292内へ、内側フィルタ要素シュラウド274の周りを下方に粉体方向コーン275及び収集チャンバ271内へと流され、チャンバ271内に収集されることが分かるであろう。前に示したように、ガス流内に残る乾燥粉体の大部分は、粉体収集チャンバ271内に移動するが、明らかになるように、乾燥ガスが、フィルタを通って乾燥ガス排出プレナム282内に進み、乾燥ガス排出ポート320を通って出ていき、乾燥チャンバ12へ再循環するとき、微細ガスが運ぶ粒子状物質は、環状フィルタ274により分離及び保持される。
【0060】
[00107] ドライヤシステムの使用の過程において円筒形フィルタ274から粉体の堆積を洗浄するために、円筒形フィルタ274の各々は、それぞれの逆流ガスパルス洗浄装置322を有する。このため、ガス導流プレナム272は、この場合、適切な加圧空気供給部に接続された外側環状加圧ガスマニホルドチャネル321を有する。各々の逆流空気パルス洗浄装置322は、この場合は空気導流プレナム272の外面に取り付けられた、環状加圧ガスマニホルドチャネル321とそれぞれの制御バルブ326との間に接続されたそれぞれの加圧ガス供給ライン325を有する。ガスパルス導流ライン又は管328は、制御バルブ326から空気導流プレナム272及び排出プレナム282の円錐壁を通って半径方向に延び、次に上方に配置されたガスパルス導流ライン328の終端放出端部329において下方に直角に方向転換し、フィルタカートリッジ保持プレート298の中央開口部311及び下にある円筒形フィルタ要素296に対して位置合わせされる。
【0061】
[00108] 制御バルブ326の適切な選択的な又は自動化した制御により、制御バルブ326は、ライン328からの圧縮ガスのパルスを循環フィルタ274内に軸方向に放出し、円筒形フィルタ要素296の外壁上の蓄積した粉体を取り除くように周期的に動作することができる。好ましくは、パルスガス導流ラインの放出端部329は、循環フィルタ274の上端部に対して離間して配置され、フィルタ要素296への圧縮ガスインパルスの導流を容易にする一方で、同時に排出チャンバ282からガスを吸い込み、それにより、フィルタ要素296から蓄積した粉体を取り除く逆流インパルスを容易にする。好ましくは、空気管328の放出端部329は、円筒形フィルタ要素の上端部からある距離だけ離間されるので、フィルタカートリッジに達すると、図12Bに330として示される拡大する空気流は、カートリッジ保持プレート298内の中央開口部311の直径に実質的に対応する外周を有する。例示的な実施形態において、空気導流管328は、約1インチの直径を有し、放出端部329は、保持プレート298から約2.5インチの距離に離間される。
【0062】
[00109] 粉体収集チャンバ271は、この場合、乾燥粉体を収集チャンバ271に導くことを可能にする垂直方向又は開放位置と、粉体が除去されるときに乾燥粉体の収集チャンバ271への通過を阻止する水平方向閉鎖位置との間で回転可能に移動するように、適正な作動装置341によって動作可能な収集チャンバ271の上端部に取り付けられた円形バタフライバルブ340(粉体収集チャンバ271内に分離した方法で図12Bに示される)を有する。代替的に、粉体収集チャンバ271は、粉体を、開放底端部から可動コンベヤに直接付着させ得ることが理解されるであろう。
【0063】
[00110] フィルタ要素ハウジング19aから出ていく乾燥ガスの再循環及び再利用を可能にするために、フィルタハウジング19の排出出口20が再循環ライン165に接続され、再循環ライン165は次に、コンデンサ166、ブロワ168、及び乾燥ガスヒータ169(図15)を通って、加熱チャンバ12の上部カバー14の加熱ガス入口ポート15に接続される。コンデンサ170は、それぞれの冷水供給部及び戻りライン171を有する冷水冷却凝縮コイル170aによって排出ガス流ストリームから、あらゆる水蒸気を取り除く。コンデンサ170からの凝縮液は、収集容器174又はドレインに導かれる。次に、乾燥窒素ガスは、ガスヒータ169を通ってブロワ168により導かれ、ガスヒータ169は、コンデンサ170内で冷却した後、乾燥ガスを、特定の粉体乾燥操作のための所定の加熱温度に再加熱し、元の加熱ガス入口ポート15へ、そして加熱チャンバ12内に向け直す。ブロア168とヒータ169との間の再循環ライン165に接続された排出制御バルブ175は、静電スプレーノズル組立体16からシステム内に導入される過剰な窒素ガスを適切な排出配管176に排出するのを可能にする。制御バルブ175からの排出流は、静電スプレーノズル組立体16により乾燥チャンバ12内に導入される過剰な窒素ガスに合致させるように設定することができる。特定の乾燥作業のため又は揮発性物質の蒸発及び排出を制御するため、排出流制御バルブ175及びブロワ168の選択的制御により、乾燥チャンバ12内の真空又は圧力レベルを選択的に制御できることが理解されるであろう。示される実施形態においては、冷水コンデンサ170が示されるが、他のタイプのコンデンサ、又は再循環ガス流ストリームから水分を除去するための手段を使用できることが理解されるであろう。
【0064】
[00111] 静電スプレーノズル組立体16及び乾燥ガス入口ポート15の両方からの、可撓性ライナ100により形成される有効乾燥ゾーン127内に導入される乾燥ガスは、静電スプレーノズル組立体16により乾燥チャンバ12内に噴霧される液体粒子の乾燥を容易にする、乾燥不活性ガス、すなわち示される実施形態においては窒素であることが理解されるであろう。上述のような不活性乾燥ガスの再循環はまた、乾燥ガスから酸素をパージし、静電スプレーノズル組立体16又はシステムの他の構成要素からの意図しないスパークの場合、乾燥チャンバ内での粉体の危険な爆発の可能性を防止する。
【0065】
[00112] 噴霧乾燥システム10を通る不活性乾燥ガスの再循環は、さらに、著しく低い作動温度で、そしてそれに対応して著しくコスト削減で、噴霧乾燥システム10の非常にエネルギー効率の良い動作を可能にすることが分かっている。既述のように、噴霧されるエマルジョンは、一般的に、例えば、水(溶媒)、デンプン(担体)及び風味油(コア)のような3つの成分からできている。その場合、噴霧乾燥の目的は、油の周りにデンプンを形成し、乾燥ガスで全ての水を取る去ることである。デンプンは、油の周りの保護層として残り、油が酸化するのを防ぐ。この望ましい結果は、霧化の前及び霧化の間、エマルジョンが負に帯電されるとき、より容易に達成されることが分かっている。
【0066】
[00113] 動作理論は十分に理解されていないが、噴霧されたエマルジョンの3つの成分の各々は、異なる電気特性を有する。水は、導電性が最も大きいグループであり、最も多くの電子を引き付けやすく、次はデンプンであり、最後に油は、最も抵抗性が大きく電子をほとんど引き付けない。反対電荷は引き付け合い、同じ電荷は反発するということが分かっており、全て最も多くの同じ電荷を有する水分子は、互いに対して反発力が最も大きい。この力は、水分子を液滴の外面に導き、そこで水分子は乾燥ガスに対して最大の表面積を有し、それにより乾燥プロセスが増強される。より小さい電荷をもつ油分子は、液滴の中心に残る。このプロセスは、より迅速な乾燥、又はより低温の熱源を用いた乾燥、並びにより均一なコーティングに役立つと考えられる。摂氏90度の温度の入口乾燥ガス温度で動作される本噴霧乾燥システムにより生成される噴霧乾燥粉体の試験では、この粉体が、摂氏190度で動作可能な従来の噴霧乾燥プロセスで乾燥されたものに匹敵することが分かった。さらに、幾つかの例において、本噴霧乾燥システムは、乾燥ガスを加熱せずに有効に動作することができる。
【0067】
[00114] カプセル封入効率、すなわち乾燥粉体のコーティングの均一性もまた、より高温の噴霧乾燥において達成されたものと等しかった。さらに、より低温の乾燥は、従来の噴霧乾燥に比べて、環境内に放出される香気、臭気、及び揮発性成分が著しく低減し、乾燥粒子の外面がデンプンでより均一かつ完全に形成されたことをさらに示すことが分かった。香気及び臭気の放出の低減は、作業環境をさらに向上させ、操作要員をイライラさせる及び/又は操作要員に有害であることがあるこうした臭気をパージする必要性を排除する。低温の処理はまた、化合物への損傷又は悪影響なしに、温度感受性成分の噴霧乾燥を可能にする。
【0068】
[00115] 乾燥プロセスの間、あらゆる粒子がライナ100の表面にくっつくこと又は他の方法で蓄積することがある場合、あらゆる蓄積粉体を除去するのに十分な振動運動をライナ100に定期的に与えるために、ライナ振動装置が提供される。示される実施形態において、乾燥チャンバ12は、空気タンク181に接続された側部空気圧式ライナ振動バルブポート180を有し、この空気タンク181は、加圧空気を、空気圧式ライナ振動バルブポート180を通ってライナ100と乾燥チャンバ12の外壁との間の環状空隙に導くように定期的に作動させることができ、可撓性ライナ100を十分な力で前後に振動させ、あらゆる蓄積した粉体を取り除く。加圧空気は、好ましくは、こうした振動動作を強めるためにパルス方式で空気圧式ライナ振動バルブポート180に向けられる。代替的に、ライナ100を振動させるために、機械的手段も使用できることが理解されるであろう。
【0069】
[00116] 乾燥チャンバ12における異なる粉体の工程間のような、スプレードライヤシステムの連続する異なる選択的使用の間の交差汚染に対抗することを保証するために、クイックディスコネクトファスナ121の環状アレイ120、120aが、ライナ100の容易な交換のために乾燥チャンバ12からカバー14及び収集コーン18を分解することを可能にする。ライナ100が比較的安価な材料で作成されるので、ライナ100は、異なる粉体の工程間で使い捨て可能であり、必要以上の費用なしに、新しい新規の交換用ライナの交換がなされる。
【0070】
[00117] この実施形態の別の重要な特徴に従うと、乾燥チャンバ12は、異なる噴霧乾燥要件に関して容易に変更可能である。例えば、より小さい乾燥要件の場合、より小さい直径のライナ100aを用いて、有効乾燥ゾーンのサイズを低減させることができる。このため、上述したものに類似するが、より小さい直径の内部隔離リング105aを有する隔離リング組立体104a(図18)を、より大きい直径の隔離リング組立体104に容易に交換することができる。リング組立体の交換は、上部カバー14及び収集コーン18に関してラッチ121の周方向に離間されたアレイ120、120aをラッチ解除し、乾燥チャンバ12からより大きい直径のリング組立体104を除去し、それらをより小さい直径のリング組立体104a及びライナ100aと交換し、上部カバー14及び収集コーン18を乾燥チャンバ12の上に再組み立て及び再ラッチ止めすることによって、達成することができる。より小さい直径のライナ100aは、加熱した乾燥ガス及び霧化ガスが導入される乾燥ゾーンを有効に低減させ、より迅速かつよりエネルギー効率の良いより小さいロットの乾燥を可能にする。
【0071】
[00118] より小さいロット工程のより効率的な乾燥をさらに可能にする際、乾燥チャンバ12は、該乾燥チャンバ12の長さの低減を可能にするモジュール式構成を有する。示される実施形態において、乾燥チャンバ12は、複数の、この場合は2つの垂直方向に積み重ねられた円筒形乾燥チャンバモジュール又はセクション185、186を含む。下部チャンバセクション186の長さは、上部チャンバセクション185よりも短い。2つの円筒形乾燥チャンバセクション185、186は、この場合も、上述したものに類似した周方向に離間したクイックディスコネクトファスナ121のアレイ102bによって互いに解放可能に固定される。ファスナ121のこのアレイ102b用の取り付けリング110は、その下端部に隣接する上部円筒形乾燥チャンバセクション185に溶接され、そのアレイ120bのファスナ121は、下部円筒形乾燥チャンバセクション186の上部外側半径方向フランジ188(図1及び図2)の下面に係合しこれを保持するように下向きに配置されたドローフック122と共に向けられる。下部円筒形セクション186を上部円筒形セクション185及び収集コーン18に取り付けるファスナ121の2つのアレイ102a、102bの解放時、下部円筒形セクション186を除去し、下部隔離リング組立体104を上部チャンバセクション185の底部に隣接して再配置し、ライナ100をより短い長さのライナに交換することができる。次に、アレイ102bのファスナ121によりその間に下部隔離リング組立体104を有し、次にアレイ102bが収集コーン18の外側環状フランジ129に係合するように、上部円筒形ドライヤチャンバセクション185を粉体収集コーン18の上に直接固定する。この変更により、実質的により短い長さの有効乾燥ゾーンの使用が可能になり、より小さいロットの乾燥のための加熱要件がさらに低減する。
【0072】
[00119] 付加的な円筒形乾燥チャンバモジュール又はセクション186を付加して、乾燥チャンバ12の有効長さをさらに増大させ得ることが理解されるであろう。図19及び図20に示されるように、サイズの増大の有無に関係なく、乾燥チャンバ12内に噴霧される液体の量を増大させるために、上部カバー14内に複数の静電スプレーノズル組立体16を設けることができる。共通の液体及び窒素供給部から供給することができる複数のスプレーノズル組立体16は、上部カバー14(図4)内の以前には覆われていたそれぞれの取り付け穴190内に互いに周方向に離間して支持されることが好ましい。次に、未使用の中央取り付け穴192(図20)を適切に覆うこと又は他の方法で閉鎖することができる。
【0073】
[00120] 本実施形態のさらに別の特徴によると、乾燥タワー11のモジュール式クイックディスコネクト構成要素は、さらに、下向き噴霧のための乾燥チャンバ12の上部の位置から、乾燥チャンバ12内への静電帯電した液体の上向き方向の噴霧のための乾燥チャンバ12の底部に隣接した位置に、静電スプレーノズル組立体16を再配置することを可能にする。このため、スプレーノズル組立体16を上部カバー14から除去し、この場合乾燥チャンバ12の底部にすぐ隣接して粉体収集コーン18の上部円筒形壁セクション155内に取り付けられた底部スプレーノズル取り付け支持部155(図21図24)内に固定することができ、図21に示されるように、帯電した噴霧パターンを乾燥チャンバ12内に上向きに噴霧するように静電スプレーノズル組立体16を向けることができる。図22図24に示されるように、示される底部ノズル取り付け支持部195は、上流端部に隣接してスプレーノズル組立体16を支持するための中央環状取り付けハブ196を含み、この中央環状取り付けハブ196は、非導電性材料で作成された複数の半径方向取り付けロッド198により粉体収集コーン18の上部円筒形セクション155内に支持される。半径方向取り付けロッド198は各々、ゴム接続封止座金200がねじ199のヘッドと粉体収集コーン18の外壁表面との間にある状態で、それぞれのステンレス鋼製ねじ199(図24)により円筒形壁セクション155に固定され、封止Oリング201が、各々の取り付けロッド198の外端部と粉体収集コーンセクション18の内壁表面との間に挿置される。非導電性テフロン(登録商標)又は他のプラスチックの液体及び霧化ガス供給ライン205、206はそれぞれ、粉体収集コーン18により、絶縁取付具208、209に半径方向外方に接続し、粉体収集コーン18は、霧化空気及び液体供給ライン151、131に接続される。高圧電源ケーブル210はまた、絶縁取付具211を通してノズル組立体と半径方向に接続される。
【0074】
[00121] 静電スプレーノズル組立体16が乾燥チャンバ12の下面に隣接して取り付けられた状態で、カバー14内の中央スプレーノズル取り付け穴192、並びにガス入口ポート15を適切に覆うことができる。粉体収集コーン18はさらに、垂線方向に向けられた乾燥ガス入口215を有し、その覆いを外し、乾燥ガス再循環ライン165に接続することができ、カバー14は、この場合、一対の排出ポート216を有し、この排出ポート216も加熱ガス戻りラインへの接続のために覆いを外すことができる。
【0075】
[00122] スプレーノズル組立体16が乾燥チャンバ12の下面上に取り付けられた状態で、乾燥チャンバ12内に上向きに導かれた静電帯電した液体噴霧粒子が、乾燥ガスにより乾燥され、乾燥ガスは、この場合、同じくどちらも乾燥不活性ガスすなわち窒素である霧化ガスをスプレーノズル組立体16から加熱することにより、底部加熱ガス入口215を通して接線方向に導かれる。
【0076】
[00123] 本実施形態に従うと、上述のように、乾燥チャンバ12内の環状ライナ100は、乾燥ガスが、フィルタ媒体を通り、カバー14内の上部排出ポート216から、再循環、再加熱、底部ガス入口ポート215への向け直しのために再循環ライン165に移動することを可能にするためにフィルタ媒体100b(図3B)で作成されることが好ましい。上方に向けられた乾燥ガス及び霧化ガスにより乾燥された粉体は、上述のように、最終的に粉体収集コーン18を通って収集チャンバ19内に下方に流れ、最も微細な粒子のみが、フィルタ媒体ライナ100によりフィルタリングされる。さらに、空気圧式ライナ振動装置を定期的に動作させて、ライナ100上への粉体の蓄積を防止することができる。
【0077】
[00124] 上記のことから、図25の表220内に示されるように、特定の噴霧用途用の種々の処理モードで処理タワーを容易に構成し、作動させることができる。乾燥チャンバの長さは、円筒形ドライヤチャンバセクション186を付加すること又は除去することによって選択的に変えることができ、不透過性又は透過性といったライナの材料を選択的に決定することができ、静電スプレーノズルの向きは、下向きの上部噴霧又は上向きの底部噴霧の間で変えることができ、処理ガス流の方向は、所望の構成に基づいて下向きと上向きとの間で帰ることができる。
【0078】
[00125] 上記の実施形態において、窒素又は他の不活性乾燥ガスは、静電スプレーノズル組立体16へ霧化ガスとしてシステム内に導入されるが、代替的に、窒素ガスを再循環ガス内に導入することもできる。上述のものに類似した部品に、上述のものと同様の参照番号が与えられる図25Aに示されるような噴霧乾燥システムにおいては、既述のように、窒素又は他の不活性ガスは、窒素注入ライン169aからガスヒータ169内に導入され、ガス送給及び供給ライン165を介して乾燥チャンバ12に導かれ、コンデンサ170及びブロワ168を通って乾燥チャンバ100から再循環する。その実施形態において、窒素ガスは、上述のような霧化ガス、又は空気、又は不活性ガスと空気の組み合わせとして静電スプレーノズル組立体16に供給することもでき、それが乾燥チャンバ内で燃焼雰囲気を生成しない限り、霧化ガスとして静電スプレーノズル組立体16に供給され得る。図25Aに示される乾燥システムの動作は、他の点では既述のものと同じである。
【0079】
[00126] 図25Bを参照すると、粉体収集コーン18aが粉体を従来のサイクロン分離器/フィルタバッグハウジング19aに導く点を除いて、乾燥製品が下部出口19bから放出され、排出空気が上部排出ポートライン165から導かれ、コンデンサ170、ブロワ168、乾燥ガスヒータ169及び乾燥チャンバ11を通って再循環する、上述したものと類似した別の代替的な実施形態の乾燥システムが示される。図25Cにおいて、図25Bに示されるものに類似するが、サイクロン分離器及びフィルタバッグハウジング19aと乾燥チャンバ12の上端部との間の微細粉体再循環ライン19cを有する、乾燥システムの代替的な実施形態が示される。サイクロン分離器19a内で分離された乾燥微細粒子は、微細粉体再循環ライン19cを通って乾燥チャンバ12へ再循環され、微細粒子の凝集を有する粉体を生成する。同じく、システムは、他の点では、既述したものと同じに動作する。
【0080】
[00127] ここで図25Dを参照すると、流動床粉体乾燥システムの形態の別の代替的な実施形態が示される。粉体乾燥システムは、この場合も、内部に同心状に配置された不透過性ライナ100を有する円筒形乾燥チャンバ12と、静電帯電した液体粒子を、上述のようなライナ100により形成される有効加熱ゾーン127に導くための静電スプレーノズル組立体16とを有する。この場合、円錐形に形成された収集容器セクション18bは、乾燥チャンバ12からの粉体を、従来のタイプの流動床スクリーン分離器19cを通って収集チャンバ19b内に伝える。この実施形態において、図11Aの実施形態と関連して説明されたものに類似した複数の流動床円筒形フィルタ要素160bは、乾燥チャンバ12の上部に隣接した排出プレナム164bを形成する上部横断プレート163bによって支持される。ブロワ168は、この場合、排出プレナム164bから空気を吸い込み、そこから、粉体及び粒子状物質をフィルタリングして除去し、コンデンサ170及びヒータ169を通ってライン165を介して導き、底部収集チャンバ19b内に再導入し、乾燥チャンバ12を通じて上向きに再循環させる。フィルタ16bもまた、フィルタ16bから蓄積した粉体を洗浄するために、加圧空気をフィルタ16bへこれを通って定期的に導くためのそれぞれの空気制御バルブ167cを有する、参照される米国特許第8,876,928号に開示されるようなタイプの逆流パルス空気フィルタ洗浄装置167bを有する。
【0081】
[00128] 上記の実施形態の不透過性ライナ100は、プラスチックなどの可撓性の非導電性材料で作成されることが好ましいが、代替的に、図3Dに示されるような硬質プラスチック材料で作成することもできる。その場合、ライナを乾燥チャンバ12内に同心状に固定するために、適切な非導電性取り付け隔離部100dを設けることができる。代替的に、図3Cに示されるように、透過性ライナは、一方の直径側などの一部分が、空気が排出のためにライナを通って流れるのを可能にする透過性フィルタ材料100bで作成され、反対側の直径側上などの一部分は、乾燥粒子がライナに引き込まれるのを防止する不透過性材料100aで作成することができる。
【0082】
[00129] さらに別の代替的な実施形態として、蝋、硬蝋、及びグリセリドなどの溶融した流れストリームを冷却ガスストリームに噴霧冷却して固化した粒子を形成するのに使用するように、示されるスプレードライヤシステムを、図15Aに示されるように容易に変更することができる。上述したものに対する類似の項目には、類似の参照番号が与えられる。噴霧冷却中、周囲条件より僅かに上の溶融点を有する供給原料を加熱し、この場合は絶縁部130a内に包まれている保持タンク130内に配置する。供給原料は、ポンプ132を用いて供給ライン131を通って霧化ノズル16に圧送される。溶融した供給原料は、再び、窒素150などの圧縮ガスを用いて霧化される。噴霧冷却中、溶融した液体供給原料は、静電帯電されることも又はされないこともある。後者の場合、静電スプレーノズル組立体の電極は非通電にされる。
【0083】
[00130] 噴霧冷却中、霧化ガスヒータ152はオフにされ、冷却霧化ガスは霧化ノズル16に送給される。噴霧冷却中、乾燥ガスヒータ169もオフにされ、除湿コイル170aにより冷却された乾燥ガスは、乾燥ガスライン165を通って乾燥チャンバ12に送給される。霧化した液滴が乾燥ガスゾーン127に入ると、霧化した液滴は固化して、収集コーン18に入る粒子を形成し、ガス流が再循環のために出ていくとき、収集チャンバ19内に収集される。取り外し可能ライナ100は、取り外し、廃棄することができるので、この場合もドライヤチャンバの洗浄に役立つ。絶縁空隙101は、乾燥チャンバ12が、冷たくなりすぎて外面上に凝縮を形成するのを防止する。
【0084】
[00131] 本実施形態のさらに別の特徴を実行する際、噴霧システム10は、連続する絶縁破壊の場合に警告信号を提供しながら、乾燥チャンバ内の瞬時の荷電場破壊の場合にシステムの連続する動作を可能にする自動障害回復システムを用いて動作することができる。噴霧システム10で用いられる電圧発生装置障害回復方法を動作させる方法についてのフローチャートが、図26に示される。示される方法は、プログラム、又はコントローラ133(図15)内で実行されるコンピュータ実行可能命令のセットの形態で動作することができる。示される実施形態によれば、図26に示される方法は、300において、加圧した流体の供給を噴射器入口に提供するために、液体ポンプを作動させるか、又は他の方法で開始する。302において、電圧供給がアクティブであるかどうかの検証が行われる。302において電圧供給が非アクティブでないと判断された場合、304において、マシンインターフェースにおいてエラーメッセージが提供され、302で判断されたように、電圧供給を非アクティブにしたであろう、存在する障害が修正されるまで、306において電圧発生装置及び液体ポンプを作動停止する。
【0085】
[00132] 302において電圧供給がアクティブであると判断されたとき、308において、液体の圧送が開始される前に、例えば5秒などの所定の時間の遅延を使用し、遅延が満了した後、310において液体圧送を実行する。312において短絡又はアークが検出されると、例えば30秒などの所定の期間内に、例えば5回などの所定数より多い短絡又はアークが検出されたかどうかを判断するように、イベントカウンタ及び同じくタイマーを保持する。312において短絡又はアークが検出されるたびに、314においてこれらのチェックを判定する。所定の期間内に所定より少ない短絡又はアークが発生したとき、又は単一の短絡又はアークが検出されたとしても、316において液体圧送は停止され、電圧を生成する電圧発生装置は、例えば、318において停止すること及び再開することによってリセットされ、308における遅延の後、310において液体ポンプが再開されるので、システムは、スパーク又はアークを引き起こした障害を修正し、動作を続行することができる。しかしながら、314において所定の期間内に所定数より多いスパーク又はアークが生じた場合、320において、マシンインターフェースにおいてエラーメッセージが生成され、システムは、306において電圧発生装置及び液体ポンプを作動停止することによって待機モードに入る。
【0086】
[00133] 従って、1つの態様において、静電噴霧乾燥システムにおいて障害を修正する方法は、ポンプ始動シーケンスを開始することを含み、このシーケンスは、最初に電圧発生装置の状態を判断し、電圧発生装置がまだ作動されていない間、液体ポンプをオンにすることを許容しないことを伴う。これを達成するために、1つの実施形態において、液体ポンプがオンにされる前に時間遅延を使用して、電圧発生装置が作動するための十分な時間を許容する。次に、液体ポンプを開始し、システムは、例えば、ポンプが動作している間、電圧発生装置から引き出される電流を監視することにより、スパーク又はアークの存在を連続的に監視する。障害が検出されると、電圧発生装置がオフにされ、液体ポンプもオフにされ、障害の程度によって、システムは、自動的に再始動するか、又はシステムの再始動のために操作者の注意及びアクションを必要とする待機モードに入る。
【0087】
[00134] 最終的に、本実施形態のさらに別の態様の実行において、噴霧乾燥システム10は、特定の噴霧用途及び乾燥製品の最終的な使用のために、噴霧粒子の制御された選択的な凝集を引き起こし得る方法で、静電スプレーノズル組立体により噴霧される液体の帯電を定期的に変えることを可能にする制御を有する。1つの実施形態において、噴霧粒子の選択的な又は制御された凝集は、例えば、様々な程度の凝集をもたらし得る異なるサイズの噴霧粒子を生成するように、高アクティブ化周波数と低いアクティブ化周波数との間のパルス幅変調(PWM)噴射器コマンド信号を用いて、スプレーアクティブ化の時間及び周波数を変えることによって達成される。別の実施形態においては、噴霧粒子の選択的かつ制御された凝集は、噴霧流体を静電帯電させるために印加される電圧のレベルを変調することによって達成することができる。例えば、電圧を、0~30kVといった範囲で選択的に変えることができる。こうした電圧の変化において、流体を帯電させるのに印加される電圧がより高いと、一般に、液滴のサイズは低減し、従って、乾燥時間を減らすように作用し、さらに、担体が液滴の外面に向けて移動させられ、従って、カプセル封入を改善し得ると考えられる。同様に、印加される電圧の減少は、液滴のサイズを増大させる傾向があり、そのことは、特に小さい液滴又は粒子の存在下で、凝集を助けることがある。
【0088】
[00135] 噴霧粒子の凝集に選択的に影響し得る考えられる他の実施形態は、時間と共に選択的に変えること、又は高い所定値と低い所定値との間でパルス状にすること、システムの種々の他の動作パラメータを含む。1つの実施形態において、霧化ガス圧力、流体送給圧力、及び霧化ガス温度を変えて、粒子サイズ、同じく液滴の乾燥時間を制御すること、又は全体的に影響を与えることができる。付加的な実施形態は、それぞれの絶対含水率又は相対含水率、水分活性、液滴又は粒子サイズなどのような霧化ガス及び/又は乾燥空気の他のパラメータを変えることをさらに含むことができる。1つの特定の考えられる実施形態においては、霧化ガス及び乾燥ガスの露点温度がアクティブに制御され、別の実施形態においては、霧化ガス及び/又は乾燥空気の体積又は流入空気量もアクティブに制御される。
【0089】
[00136] 噴霧粒子の凝集を選択的に制御するために静電スプレーノズルにおけるパルス幅を変調する方法についてのフローチャートが、図27に示される。1つの実施形態によると、プロセスの開始時に、322において電圧発生装置がオンにされる。324において、凝集を選択的に制御するPWM制御がアクティブであるか又所望されるかの判断を行う。PWMが所望されない又はアクティブでない場合、プロセスは、326において、電圧発生装置を電圧設定値に制御することにより、システムを制御し、流体噴射器が正常に作動される。PWMが所望される又はアクティブである場合、システムは、所定の期間及びサイクル時間の間、低PWM設定値と高PWM設定値との間で交互する。示される実施形態において、このことは、330における低パルス期間、328における低いPWM設定点へ制御することによって達成される。低パルス期間が満了すると、システムは、334において高パルス期間が満了するまで、332における高いPWM設定点に切り換わり、324に戻って、さらに別のPWMサイクルが所望されるかどうかを判断する。図27に示されるフローチャートに関連して本明細書ではPWM設定点の変化を説明するが、スプレーPWMに加えて又はその代わりに、他のパラメータを変調させることもできる。上述のように、使用できる他のパラメータとして、液体を変更するために印加される電圧のレベル、霧化ガス圧力、液体送給速度及び/又は圧力、霧化ガス温度、霧化ガス及び/又は乾燥ガスの含水率、及び/又は霧化ガス及び/又は乾燥空気の体積又は流入空気量が挙げられる。
【0090】
[00137] 従って、1つの態様において、スプレーの噴射時間を変えることにより、噴霧粒子の凝集を制御する。高周波数すなわち高PWMにおいて、スプレーはより迅速に開閉してより小さい粒子を生成する。低周波数すなわち低PWMにおいて、スプレーはよりゆっくりと開閉してより大きい粒子を生成する。より大きい及びより小さい粒子は、交互する層においてドライヤを通り抜けるとき、それらの反発する電荷に関係なく、一部は物理的に相互作用し、互いに結合し、協働して凝集を生成する。より大きい及びより小さい粒子の特定のサイズ、及び同じく生成される単位時間あたりの各粒子サイズのそれぞれの数は、各々の特定の用途に適合させるように、それぞれの高及び低PWM設定点、同じく各々についての期間を設定することによって、システムにより制御することができる。
【0091】
[00138] 更に別の特徴によると、図28及び図29に示されるようなモジュール式設計において、粉体が共通のコンベヤシステム340等に放出される、上述のような乾燥チャンバ11及び静電スプレーノズル組立体16を有する複数の粉体処理タワー10を提供することができる。この場合、複数の処理タワー10が、階段342により上部にアクセス可能であり、その端部に配置された制御パネル及び操作者インターフェース344を有する共通の作業プラットフォーム341の周りに互いに対して隣接するように提供される。この場合の処理タワー10はそれぞれ、複数の静電スプレーノズル組立体16を含む。図28に示されるように、8つの実質的に同一の処理タワー10が提供され、この場合、粉体を、スクリュー供給、空気圧式のような共通の粉体コンベヤ340、又は他の粉体移送手段の上に収集容器へと放出する。
【0092】
[00139] こうしたモジュール式処理システムには、多数の重要な利点がることが分かっている。最初に、これは、共通の構成要素、すなわち実質的に同一の処理粉体処理タワー10を用いて、ユーザ要件に合わせることができる拡大縮小可能な処理システムである。図30に示されるように、システムは、付加的なモジュールを有するように容易に拡張することもできる。処理タワー10のモジュール式構成の使用により、高さが40フィート及びそれより高く、取り付けのために特別な建物レイアウトを必要とする標準的な大きい製造スプレードライヤシステムと比べて、より低い建物高さ要件(15~20フィート)でより大量の粉体を処理することも可能になる。モジュール式設計はさらに、処理の際、保守のために他のモジュールの動作を中断することなく、システムの個々の処理タワーの分離及びサービスを可能にする。モジュール式構成はまた、特定のユーザ製造要件におけるエネルギー使用に対してシステムを拡大縮小することもできる。例えば、1つの処理要件に対して5つのモジュールを使用することができ、また、別のバッチに対して3つだけを使用することもできる。
【0093】
[00140] 上記から、動作においてより効率的かつ汎用性のあるスプレードライヤシステムが提供されることが分かった。向上した乾燥効率のため、スプレードライヤシステムは、サイズがより小さくかつより経済的な使用が可能である。静電スプレーシステムはさらに、交差汚染なしに異なる製品ロットを乾燥するのに有効であり、特定の噴霧用途のためにサイズ及び処理技術の両方を容易に修正可能である。噴霧乾燥システムはさらに、電気的故障、及び乾燥チャンバの雰囲気内の微細粉体からの危険な爆発を被りにくい。システムはさらに、後の使用をより容易にする形態に凝集する粒子を形成するように選択的に動作することができる。システムはさらに、ドライヤを出る乾燥ガスから空中の粒子状物質をより有効及び効率的に除去するための排出ガスろ過システムを有し、このシステムは、動作を妨げ、費用のかかる保守を必要とし得る、フィルタ上の乾燥した粒子状物質の蓄積を除去するための自動手段を含む。さらに、システムは、構成が比較的簡単であり、経済的な製造に適している。

図1
図2
図3
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図8A
図9
図10
図10A
図11
図11A
図11B
図12
図12A
図12B
図12C
図13
図13A
図14
図15
図15A
図16
図16A
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図25A
図25B
図25C
図25D
図26
図27
図28
図29
図30
【外国語明細書】