(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046536
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】ビスホスホネートの骨格除去
(51)【国際特許分類】
A61K 31/663 20060101AFI20220315BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20220315BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20220315BHJP
A61K 49/00 20060101ALI20220315BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20220315BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20220315BHJP
C07F 9/58 20060101ALI20220315BHJP
C07F 9/6558 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
A61K31/663
A61K9/127
A61K9/51
A61K49/00
A61P1/02
A61P19/08
C07F9/58 Z
C07F9/6558
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021201780
(22)【出願日】2021-12-13
(62)【分割の表示】P 2018563565の分割
【原出願日】2017-05-31
(31)【優先権主張番号】62/344,245
(32)【優先日】2016-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(71)【出願人】
【識別番号】518423906
【氏名又は名称】ビオヴィンク エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】592048844
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ サザン カリフォルニア
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】エベテイノ,フランク ハロック
(72)【発明者】
【氏名】ニシムラ,イチロー
(72)【発明者】
【氏名】サン,シュティング
(72)【発明者】
【氏名】ランディ,マーク ウォールデン
(72)【発明者】
【氏名】ホクゴ,アキシゲ
(72)【発明者】
【氏名】マッケナ,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】サドレラフィ,ケイヴァン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】骨格組織中のビスホスホネート(BP)を除去又は排除する方法及び組成物を提供する。
【解決手段】骨組織などの骨格組織中の活性BPを除去又は排除する方法であって、骨格組織に1種以上の不活性BPを投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、骨組織などの骨格組織中の活性BPは、対象中でインビボで除去又は排除される。いくつかの実施形態において、本発明は、対象のBRONJ及び/又はビスホスホネート関連症状を治療、低減、予防、又は抑止する方法であって、対象に1種以上の不活性BPを投与することを含む方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨格組織中の活性ビスホスホネートを除去又は排除する方法であって、前記骨格組織に1種以上の不活性ビスホスホネートを投与することを含む方法。
【請求項2】
前記1種以上の不活性ビスホスホネートが、(a)α-ヒドロキシ基を欠く、(b)パラ置換されたピリジル側鎖を有する、又は(c)α-ヒドロキシ基を欠き、且つパラ置換されたピリジル側鎖を有する、分子スキャホールドを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不活性ビスホスホネートが、それに結合された検出可能な標識、例えば、蛍光性化合物を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記不活性ビスホスホネートが蛍光性化合物に連結されたビスホスホネートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記蛍光性化合物が、ROX、FAM、AF647、ICG、ICGアナログ、Cy5、スルホ-Cy5、Cy7、及びIRDye 800CWからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1種以上の不活性ビスホスホネートが、5-FAM-dRIS、5(6)-FAM-dRIS、5(6)-FAM-RIS、5(6)-FAM-RISPC、5(6)-RhR-RIS、5(6)-RhR-dRIS、5(6)-RhR-RISPC、5(6)-ROX-RIS、5(6)-ROX-RISPC、5-FAM-RIS、5-FAM-ZOL、6-FAM-RIS、800CW-ZOL、AF647-RIS、AF647-RISPC、AF647-ZOL、800CW-RIS、800CW-ZOL、800CW-RISPC、ICG-RIS、ICG-ZOL、ICG-RISPC、及びICG-p-pyrEBPからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記1種以上の不活性ビスホスホネートが、5(6)-ROX-RIS、5-FAM-ZOL、AF647-ZOL、ICG-A-p-PyrEBP、ICG-B-p-PyrEBP、ICG-C-p-PyrEBP、ICG-D-p-PyrEBP、ICG-A-p-RIS、ICG-B-p-RIS、ICG-C-p-RIS、又はICG-D-p-RISである、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記活性ビスホスホネートが活性窒素含有ビスホスホネートである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記活性窒素含有ビスホスホネートが、アレンドロネート、イバンドロネート、ミノドロネート、パミドロネート、リセドロネート、又はゾレドロネートである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1種以上の不活性ビスホスホネートがエチドロネートである場合、投与様式が局所(local)、好ましくは局所(topical)であることを条件として、前記骨格組織中の前記活性ビスホスホネートが、対象においてインビボで除去又は排除される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1種以上の不活性ビスホスホネートが、前記対象に局所投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記1種以上の不活性ビスホスホネートが、前記対象に経口投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記1種以上の不活性ビスホスホネートが、前記対象の歯肉組織及び/又は口蓋組織に投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記1種以上の不活性ビスホスホネートが、口腔内適用により歯牙歯槽の処置の部位に投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記1種以上の不活性ビスホスホネートが、前記歯牙歯槽の処置の前、その間、及び/又はその後に投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
有効量の前記1種以上の不活性ビスホスホネートが投与される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記1種以上の不活性ビスホスホネートが、リポソーム製剤又はナノベシクル製剤、好ましくは変形可能なナノベシクル製剤の形態で投与される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
対象におけるビスホスホネート系薬剤関連顎骨壊死(BRONJ)又はビスホスホネート関連症状を治療、低減、予防、又は抑止する方法であって、前記対象に治療上有効な量の1種以上の不活性ビスホスホネートを投与することを含む方法。
【請求項19】
前記対象が活性ビスホスホネートにより治療されたか、又は治療されている、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府支援の謝辞
本発明は、アメリカ国立衛生研究所(National Institute of Health)により授与された、R01DE022552、SBIR 1R43DE025524-01、及びSBIR 2R44DE025524-02で政府支援によりなされた。政府は本発明に特定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、ビスホスホネート系薬剤関連顎骨壊死(BRONJ)を含む骨壊死並びに他の骨格の障害及び症状を治療する方法に関する。
【0003】
2.関連技術の説明
顎骨壊死(ONJ)は珍しいが、重度の口腔合併症であり、数か月から数年にかけて消散しない、痛みのある骨露出又は瘻孔形成からなる症状を特徴とする。それは、強力な骨吸収抑制性ビスホスホネート(BP)薬、特に、ゾレドロネート(ZOL)、パミドロネート、及びアレンドロネートなどの窒素含有BP(N-BP)により治療された患者に特定されたとき、ビスホスホネート系薬剤関連ONJ(BRONJ)と最初に記載され、後に、デノスマブなど他の骨吸収抑制性医薬又は抗血管新生医薬を服用している一部の患者にも見いだされた。場合によっては、壊死性の口内及び顎顔面骨のアブレーション手術が必要となり、患者の生活の質に著しく影響を与えたが、現在の予防法及び治療法は限定されている。臨床報告及び患者の調査は、定型的な抜歯及び義歯装着などの歯科処置が、ONJになるリスクを顕著に増加させるので、近年、歯科医療専門職及び患者の間に不安及び懸念を起こしていることを示した。
【0004】
American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons(AAOMS)により発表された最新版のポジションペーパーは、ONJを薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)と再定義して、BRONJに関するその以前のポジションペーパーの範囲を拡大した。MRONJは、活性BPの他に、可能性のある関連薬剤として、例えば、核内因子κBリガンド(RANKL)活性化受容体阻害剤(例えば、デノスマブ)及び抗血管新生療法の医薬品の投与から生じるか、又は関連するONJの包含を反映している。
【0005】
活性BPの作用機序とデノスマブの作用機序は異なると当業者により考えられている。活性BPの薬理学的機構は、そのピロリン酸塩との類似に基づいている。骨中のカルシウムイオンへの高い親和性のために、活性BPは骨上に蓄積し、破骨細胞を標的とする。骨吸収の間、活性BPは破骨細胞により取り込まれ、メバロン酸経路中の重要な酵素、ファルネシルピロリン酸シンターゼを阻害する。結果として、破骨細胞の活性が減少し、骨喪失の低減をもたらす。対照的に、デノスマブは、前破骨細胞上のRANK受容体に結合するタンパク質であるRANKLを阻害する。デノスマブは、RANKLがRANK受容体に結合するのを妨げ、そのため破骨細胞の形成を低下させる。
【0006】
「休薬日」は、患者のための可能性のある予防措置としてAAOMSにより推奨されており、デノスマブ療法を受けている患者に多少の見込みある結果を示した。しかし、活性BPにより治療された患者にとってのその有効性は充分には確立されておらず、それは、部分的に、それらの異なる作用機序及び骨中の活性BPの長い半減期によることがある。投与後、約50%もの活性BPが骨内に組み込まれ、残りは腎臓により迅速に排泄される。活性BPの全身性代謝はなく、その長い半減期の一因であるが、半減期は、所与のBPによって数か月から10年以上に達しうる。実際に、US FDAは、「休薬日の開始又は期間に関する決定を導くのに利用可能な根拠のあるデータはない」と発表した。
【0007】
活性BPはおよそ15年間販売されてきたので、活性BPにより治療されてきて、活性BPをその骨格系の中に保持している可能性がある患者が大勢いる。したがって、BRONJは、活性BPにより治療されたか、又は現在治療されている多くの人々に対する医療上の脅威を提示し続ける。
【0008】
このように、BRONJ並びに活性BPによる治療により起こるか、又はそれと関連する他の骨及び骨格の問題を治療、予防、及び/又は抑止する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
いくつかの実施形態において、本発明は、骨組織などの骨格組織中の活性BPを除去又は排除する方法であって、骨格組織に1種以上の不活性BPを投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、骨組織などの骨格組織中の活性BPは、対象中でインビボで除去又は排除される。いくつかの実施形態において、本発明は、対象のBRONJ及び/又はビスホスホネート関連症状を治療、低減、予防、又は抑止する方法であって、対象に1種以上の不活性BPを投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、骨組織などの骨格組織中の活性BPを除去又は排除するための1種以上の不活性BPの使用を対象とする。いくつかの実施形態において、本発明は、BRONJ及び/又はビスホスホネート関連症状の治療のための、治療上有効な量の1種以上の不活性BPを含む医薬品を対象とする。
【0010】
本発明の種々の実施形態で使用するのに好適な不活性BPの例には、段落[0044]~[0050]に記載されるもの並びにその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、及びプロドラッグがあり、活性BPの例には、[0043]で記載されるものがある。いくつかの実施形態において、除去又は排除されている活性BPは、活性窒素含有ビスホスホネートである。いくつかの実施形態において、活性窒素含有ビスホスホネートは、アレンドロネート、イバンドロネート、ミノドロネート、パミドロネート、リセドロネート、又はゾレドロネートである。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは、低活性ビスホスホネートである。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPはα-ヒドロキシ基を欠き、パラ置換されたピリジル側鎖を有し、且つ/又は蛍光性化合物に共有結合したビスホスホネートを含む。いくつかの実施形態において、除去又は排除されている活性BPは活性窒素含有ビスホスホネートであり、1種以上の不活性BPは低活性ビスホスホネートである。いくつかの実施形態において、活性窒素含有ビスホスホネートは、アレンドロネート、イバンドロネート、ミノドロネート、パミドロネート、リセドロネート、又はゾレドロネートであり、1種以上の不活性BPは低活性ビスホスホネートである。いくつかの実施形態において、活性窒素含有ビスホスホネートは、アレンドロネート、イバンドロネート、ミノドロネート、パミドロネート、リセドロネート、又はゾレドロネートであり、1種以上の不活性BPはα-ヒドロキシ基を欠く。いくつかの実施形態において、活性窒素含有ビスホスホネートは、アレンドロネート、イバンドロネート、ミノドロネート、パミドロネート、リセドロネート、又はゾレドロネートであり、1種以上の不活性BPはパラ置換されたピリジル側鎖を有する。いくつかの実施形態において、活性窒素含有ビスホスホネートは、アレンドロネート、イバンドロネート、ミノドロネート、パミドロネート、リセドロネート、又はゾレドロネートであり、1種以上の不活性BPはα-ヒドロキシ基を欠き、且つ/又はパラ置換されたピリジル側鎖を有する。いくつかの実施形態において、活性窒素含有ビスホスホネートは、アレンドロネート、イバンドロネート、ミノドロネート、パミドロネート、リセドロネート、又はゾレドロネートであり、1種以上の不活性BPは、蛍光性化合物に共有結合したビスホスホネートを含む。投与様式が全身投与である実施形態において、1種以上の不活性BPはエチドロネートでない。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは以下の構造を有する:
【化1】
ここで、Xは、H、ヒドロキシル、アミノ、ハロ、アルキル、又はアリールであり;Yは、ヒドロキシル、アミノ、アルキル、アリール、又は複素環であり;Zは、フルオロフォアなど、存在しても存在しなくてもよい検出可能な標識である。いくつかの実施形態において、Xは、ヒドロキシル又はHであり、Yは、パラ置換されたピリジル基である。いくつかの実施形態において、Zは存在している。いくつかの実施形態において、Zは存在していない。
【0011】
本発明の方法のいくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは、1種以上の不活性BPがエチドロネートでないという条件で、対象に全身投与される。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは、活性BPが除去又は排除されるべき部位に局所(locally)投与される。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは対象に経口投与される。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは、対象の歯肉組織及び/又は口蓋組織に投与される。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは、活性BPが除去又は排除されるべき部位に注射により投与される。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは、活性BPが除去又は排除されるべき部位に局所(topically)投与される。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは、対象に実施された歯牙歯槽の処置の部位への口腔内適用により投与される。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは、歯牙歯槽の処置の前、その間、及び/又はその後に投与される。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは、歯牙歯槽の処置の部位の粘膜又はその近くの粘膜に直接注射により投与される。投与されている1種以上の不活性BPがエチドロネートである実施形態において、投与様式は局所(local)投与である。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは医薬組成物として投与される。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは、医薬組成物の形態で与えられる。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、段落[0064]から[0067]で記載される組成物又は製剤である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は変形可能なナノベシクル製剤である。いくつかの実施形態において、医薬組成物はリン脂質系変形可能なナノベシクル製剤である。いくつかの実施形態において、有効量の1種以上の不活性BPが投与される。いくつかの実施形態において、治療上有効な量の1種以上の不活性BPが対象に投与される。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPが投与される対象は、活性BPにより治療された。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPが投与される対象は、活性BPにより治療されている。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPが投与される対象は、活性BPにより治療されることになる。
【0012】
前記の全般的な説明と以下の詳細な説明はどちらも例示的且つ説明的にすぎず、請求項記載の本発明のさらなる説明を与えるものである。添付図面は、本発明のさらなる理解を与えるために含められ、本明細書に組み込まれその一部を構成し、本発明のいくつかの実施形態を説明し、記載と共に本発明の原理を説明する。
【0013】
図面の説明
本発明は、以下の図面を参照してさらに理解される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1、パネルA~Cは、骨を模したハイドロキシアパタイト表面からの、吸着された蛍光標識BP(FL-BP)の、異なる蛍光標識BPによる排除を表す。合成骨/象牙質(リン酸カルシウム、CaP)によりコートされた培養ウェルは、ROX-RISか5-FAM-RIS(50μΜ)のいずれかにより事前処理された。段階希釈された投与量の5-FAM-RIS又はROX-RIS(0~50μΜ)によりそれぞれ曝露された後、CaPによりコートされたウェルのカルボキシル-X-ローダミン(ROX)及びカルボキシフルオレセイン(FAM)蛍光強度が測定された。パネルA:CaP中のROX-RIS(各組の最初のバー)は、5μΜ以上の濃度の5-FAM-RISが曝露されるまで事前吸着された50μΜレベル近くのままであった。対照的に、5-FAM-RIS(各組の第2のバー)は、1μΜほどの低濃度のROX-RISにより迅速に排除された。パネルB:事前吸着されたFAM-RISは、10μΜ~50μΜのROX-RISにより置換された。パネルC:FAM及びROX蛍光シグナルの定量的測定は、標準化された蛍光性バイオフォトニクス及び独占プログラム(LAS3000、富士フイルム株式会社、東京、日本)により実施された。
【
図3】
図3は、象牙質表面に吸着された蛍光標識されたリセドロネート(RIS)(上段画像中の円内の緑の点並びに下段画像中の半円の下の緑の点及び線)の画像である。表面に付着している破骨細胞(上段画像中の青い円及び下段画像中の半円)が、局所的な吸収窩(白色破線)を形成しながら放出された薬物を摂取するのを見ることができる。上段画像:1μm xy画像 象牙質表面の8μm上;下段画像:同じ破骨細胞のzx画像。
【
図4】
図4は、RIS、2-(ピリジン-4-イル)エタン-1,1-ジイルビスホスホン酸(p-PyrEBP)、及び1-ヒドロキシ-2-(ピリジン-4-イル)エタン-1,1-ジイルビス(ホスホン酸)(p-RIS)の構造を示す。
【
図5A】
図5Aは、いくつかのFL-BPの合成を図式的に示す。
【
図5B】
図5Bは、いくつかのFL-BPの合成を図式的に示す。
【
図6】
図6は、いくつかのFL-BPの構造式を示す。
【
図7】
図7は、ゾレドロネート(ZOL)、ROX-RIS、5-FAM-ZOL、及びAF647-ZOLのハイドロキシアパタイト(HAP)結合親和性を示す棒グラフである。相対保持倍数はRISに対して標準化された。
【
図8A】
図8Aから
図8Dは、pH6.8での4種のFL-BPのハイドロキシアパタイト(HAP)への結合の吸着等温式(上段のグラフ)を、同じデータのスキャッチャードプロット(下段のグラフ)と共に示し、データは平均±SD(n=3)である。
図8Aは、5(6)-ROX-RISの吸着等温式を示す。
【
図8B】
図8Aから
図8Dは、pH6.8での4種のFL-BPのハイドロキシアパタイト(HAP)への結合の吸着等温式(上段のグラフ)を、同じデータのスキャッチャードプロット(下段のグラフ)と共に示し、データは平均±SD(n=3)である。
図8Bは、5(6)-ROX-RISPCの吸着等温式を示す。
【
図8C】
図8Aから
図8Dは、pH6.8での4種のFL-BPのハイドロキシアパタイト(HAP)への結合の吸着等温式(上段のグラフ)を、同じデータのスキャッチャードプロット(下段のグラフ)と共に示し、データは平均±SD(n=3)である。
図8Cは、AF647-RISの吸着等温式を示す。
【
図8D】
図8Aから
図8Dは、pH6.8での4種のFL-BPのハイドロキシアパタイト(HAP)への結合の吸着等温式(上段のグラフ)を、同じデータのスキャッチャードプロット(下段のグラフ)と共に示し、データは平均±SD(n=3)である。
図8Dは、AF647-RISPCの吸着等温式を示す。
【
図9】
図9は、3種の異なるFL-BP(ROX-RIS、AF647-ZOL、及び5-FAM-ZOL)の発光波長を示す。左から右に、曲線は、5-FAM-ZOL、ROX-RIS、及びAF647-ZOLである。5-FAMとAF647の重なりは極めて小さい。
【
図10】
図10は、マウス上顎骨の代表的な画像である。AF647-ZOLは、5-FAM-ZOLにより事前注射されたマウスの上顎骨に口腔内注射された。AF647-ZOLの用量依存的吸着が、注射部位及びその周辺(矢印)に観察された。FAM-ZOLシグナルの減少が定性的に観察された(点線)。大腿骨の蛍光画像化は、AF647-ZOLの口腔内注射が、静脈内投与とは違い、遠位の骨格系への全身分布をもたらさないことを示した。
【
図11】
図11は、5-FAM-ZOL IV注射(左のパネル)又はROX-RIS口腔内注射(中央及び右のパネル)後のマウス上顎骨の蛍光性バイオフォトニク画像を示す。
【
図12A】
図12Aから
図12Cは、AF647-ZOL及び5-FAM-ZOLの排除及び置換を示す。
図12Aは頭蓋骨の蛍光画像である。AF647-ZOL(50μΜ)は、IV注射により頭蓋骨に事前吸着された。示された投与量の5-FAM-ZOLは、骨膜下空間に直接注射された。
【
図12B】
図12Aから
図12Cは、AF647-ZOL及び5-FAM-ZOLの排除及び置換を示す。
図12Bは、5-FAM-ZOLシグナルが注射投与量の増加と共に増加する一方で、AF647-ZOLシグナルが減少したことを示すグラフである。各セットの最初のバーはAF647-ZOLのものであり、各セットの第2のバーは5-FAM-ZOLのものである。
*、ダネット検定によりビヒクルに対してP<0.05。
【
図12C】
図12Aから
図12Cは、AF647-ZOL及び5-FAM-ZOLの排除及び置換を示す。
図12Cは、頭蓋骨冷却断面の画像であり、AF647-ZOLの局所的な排除及び5-FAM-ZOLによる置換を明らかにした。
【
図13】
図13は、マウス大腿部骨梁構造のマイクロCT評価の結果を示す。5-FAM-ZOLの薬理学的機能が、ビタミンD欠乏(VitD(-))ラット(各群でn=3)で調査された。5-FAM-ZOLは、異化作用による骨リモデリングを効果的に妨げ、海綿骨構造を増加させた。バーは1.0mmである。
*:ステューデントのt検定によりp<0.05。
【
図14】
図14は、マウス大腿部骨梁構造のマイクロCT評価の結果を示す。AF647-ZOLではなくZOLのIV注射は、骨構造パラメーターを著しく増加させた。
【
図15】
図15は、マウスONJモデルが好適なBRONJモデルであることを示す画像である。抜歯創の治癒はZOL-注射マウスにおいて遅れた(矢じり)。口腔内の上皮過形成(矢印)は壊死性の歯槽骨の露出(下段右のパネル中、赤点線、実質的に水平)をもたらした。
【
図16A】
図16Aから
図16Cは、BRONJマウスモデルでのBRONJの予防又は抑止を表す。
図16Aは、ZOL IV注射とそれに続く抜歯を含むマウスモデル試験を図式的に示す。AF647-ZOLは、口腔内注射又はIV注射により抜歯の1日前に適用された。
【
図16B】
図16Aから
図16Cは、BRONJマウスモデルでのBRONJの予防又は抑止を表す。
図16Bは、ZOL-処置マウス(BRONJ対照:n-4)の抜歯部位での種々の程度の顎骨露出(矢印)を有するマウス上顎骨並びに口腔粘膜炎症及び腫脹(白い点線、左及び右のパネル)の画像である。AF647-ZOL口腔内注射群(n=4)(中央のパネル)では、全マウスが、慢性炎症も腫脹もなく優れた抜歯創傷治癒を示した。AF647-ZOL IV注射群(n=4)(右のパネル)は、BRONJ様病変の弱まりを示した。
【
図16C】
図16Aから
図16Cは、BRONJマウスモデルでのBRONJの予防又は抑止を表す。
図16Cは、AF647-ZOLシグナルがAF647-ZOL IV注射後に明らかに大腿骨に観察できることを示す、マウス大腿骨の標準化された蛍光性バイオフォトニクス画像を表す。対照的に、口腔内注射は大腿骨に検出可能な蛍光シグナルをもたらさなかった。
【
図17】
図17は、メチレンヒドロキシルビスホスホネート(MHDP)、エチレンヒドロキシルビスホスホネート(EHDP)、メチレンビスホスホネート(MBP)、クロドロネート、チルドロネート、2-(ピリジン-4-イル)エタン-1,1-ジイルビスホスホン酸(p-PyrEBP)、及び1-ヒドロキシ-2-(ピリジン-4-イル)エタン-1,1-ジイルビス(ホスホン酸)(p-RIS)を含む、いくつかのアルキリデンビスホスホネートの構造式を示す。
【
図18A1】
図18A1から
図18A4は、活性BPの排除に使用できる近赤外線FL-BP(ICG-BP)の合成のためのICGアナログの調製を図式的に表す。
図18A1は、全般的な図面及び合成経路Aを示す。
【
図19A】
図19Aから
図19Cは、特定のアルキリデンビスホスホネートがマウスモデルにおいてインビボで活性BPの排除に使用できる証拠を表す。
図19Aは、塩水(0.9%NaCl)ビヒクル群としてベースラインレベルのままであったMHDPの骨吸収抑制効果の欠如を示す、マウス大腿部骨梁構造のマイクロCT評価の結果を示す。ゾレドロネート(ZOL)は、海綿骨中の骨量を組織体積で割ったもの(BV/TV)の増加及び連結密度(ConnD)の減少により示される通り、著しい骨吸収抑制効果を示した。
【
図19B】
図19Aから
図19Cは、特定のアルキリデンビスホスホネートがマウスモデルにおいてインビボで活性BPの排除に使用できる証拠を表す。
図19Bは、MHDPを使用してC57Bl6マウスを処置する実験のプロトコルを略記する。マウスへのZOL IV注射によりONJ様病変を発生させ、それに続いて上顎第1大臼歯を抜歯した。抜歯の1日前に、1群のマウスは2μgMHDPの口腔内注射を受け、別の群は100μgMHDPのIV注射を受けた。
【
図19C】
図19Aから
図19Cは、特定のアルキリデンビスホスホネートがマウスモデルにおいてインビボで活性BPの排除に使用できる証拠を表す。
図19Cは、マウス上顎骨の画像を表す。左のパネルは、MHDP処置のないZOLを注射されたマウスが、ONJ様病変:口腔粘膜の大規模な炎症及び顎骨の露出を起こしたことを示す。MHDPの口腔内注射(中央のパネル)及びIV注射(右のパネル)は、ONJ様病変の発生を防いだ。
【
図20】
図20は、抜歯部位のマウス上顎骨の代表的な組織構造を示す。ZOLを注射されたマウスは、上顎大臼歯抜歯の2週間後に、両側に口腔内上皮過形成(矢印)がある創傷の露出(Exp)により強調されるONJ様病変の発生を表した。抜歯窩(黒色点線)は骨の創傷治癒を示さず、口蓋骨(赤色点線)の表面は生きておらず(骨壊死)、局所的な激しい炎症反応(矢じり)と接続していた。1回のAF647-ZOL又はMHDPの口腔内注射により処置されたZOL-マウスは、ONJ様病変を起こさなかった。抜歯窩(黒色点線)は再生骨で満たされ、口腔粘膜炎症ははるかに弱かった。上顎骨の骨壊死は全く観察されなかった。
【
図21】
図21、パネルA及びBは、不活性BPの口腔内注射によるマウスのONJ予防を示す。パネルAは、実験予定表の略図である。ZOL(500μg/kg)のIV注射により処置されたマウスは、上顎第1大臼歯抜歯の1日前に、AF647-ZOL、MHDP、又はETI(エチドロネート)の口腔内注射を受けた。ONJの発生が、抜歯後14日に評価された。パネルBは、疾患対照マウス(ZOL-NaCl)が抜歯部位でONJ様病変を起こしたことを示すが、これは、AF647-ZOL、MHDP、又はETIの口腔内注射により予防されるようであった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)は、口腔内の部分的に壊死した顎骨の消散しない露出又はそこへの瘻孔交通を臨床的に特徴とし、歯牙歯槽の処置と関連することが多い。骨吸収抑制薬剤及び抗血管新生薬剤のうち、骨吸収抑制性ビスホスホネートによる治療は、MRONJの報告される臨床例と顕著に関連する。骨吸収抑制性ビスホスホネートの反復投与は、顎骨壊死(ONJ)と関連することが多い、骨中の高蓄積レベルの骨吸収抑制性ビスホスホネートをもたらす。そのため、活性BPにより治療されたか、又は治療されている対象のONJは、一般的にビスホスホネート系薬剤関連顎骨壊死(BRONJ)と称される。
【0016】
本明細書では、「活性ビスホスホネート(活性BP)」は、強力な骨吸収抑制活性を示し、骨吸収抑制療法に使用されるビスホスホネートを指す。本明細書では、「ビスホスホネート」は、全般的に、炭素に共有結合している2つのホスホネート基を有する化合物を指す。活性ビスホスホネートは、「活性窒素含有ビスホスホネート(活性N-BP)」を含むが、これは、ヒトファルネシル二リン酸シンターゼ(FPPS)のThr201及びLys200のカルボニルと水素結合を形成する窒素を含む化学構造を有するビスホスホネートを指す。活性N-BPの例には、アレンドロネート、イバンドロネート、ミノドロネート、パミドロネート、リセドロネート、及びゾレドロネートがある。
【0017】
本明細書では、「不活性ビスホスホネート(不活性BP)」は、骨吸収抑制療法に使用されてきたか、且つ/又は使用されている活性BPと比べて、骨吸収抑制剤として完全に不活性であるか、又は骨吸収抑制剤として部分的に不活性であるビスホスホネートを指す。部分的に不活性なBPは、本明細書で「低活性ビスホスホネート(低活性BP)」と称される。言い換えると、不活性BPは低活性BPを含む。いくつかの実施形態において、不活性BPはα-ヒドロキシ基を欠く化学構造を有する。いくつかの実施形態において、不活性BPはパラ置換されたピリジル側鎖を有する化学構造を有する。いくつかの実施形態において、不活性BPは、α-ヒドロキシ基を欠き、パラ置換されたピリジル側鎖を有する。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは以下の構造を有する:
【化2】
式中、Xは、H、ヒドロキシル、アミノ、ハロ、アルキル、又はアリールであり;Yは、ヒドロキシル、アミノ、アルキル、アリール、又は複素環であり;Zは存在しても存在しなくてもよい、フルオロフォアなどの検出可能な標識である。いくつかの実施形態において、Xはヒドロキシル又はHであり、Yはパラ置換されたピリジル基である。いくつかの実施形態において、Zは存在する。いくつかの実施形態において、Zは存在しない。
【0018】
不活性BPは、本発明によると、ハイドロキシアパタイト(HAP)への結合親和性を示す。いくつかの実施形態において、不活性BPは、活性BPの結合親和性よりも高いハイドロキシアパタイトへの結合親和性を示す。いくつかの実施形態において、不活性BPは、活性BPのハイドロキシアパタイトへの結合を競合阻害する。いくつかの実施形態において、不活性BPは、ハイドロキシアパタイトに投与されると、ハイドロキシアパタイトに結合している活性BPを排除する。いくつかの実施形態において、不活性BPは、活性N-BPと同じか、又は実質的に類似の骨親和性を示し、抗破骨細胞活性をほとんど又は全く示さない。いくつかの実施形態において、不活性BPは、活性N-BPより高い骨親和性を示し、活性N-BPの抗破骨細胞活性をほとんど又は全く示さない。
【0019】
いくつかの実施形態において、不活性BPが、排除又は置換されている活性N-BPより低い程度にヒトファルネシル二リン酸シンターゼ(FPPS)を阻害する限り、不活性BPはその化学構造内に窒素を含み得る。いくつかの実施形態において、窒素とヒトファルネシル二リン酸シンターゼ(FPPS)のThr201との間及びLys200のカルボニルとの間に形成される水素結合の強度が、排除又は置換されている活性N-BPとFPPSのThr201及びLys200のカルボニルとの間に形成される水素結合の強度より低い限り、不活性BPは、その化学構造内に窒素を含み得る。いくつかの実施形態において、不活性BPは、窒素が、ヒトファルネシル二リン酸シンターゼ(FPPS)のThr201及びLys200のカルボニルと水素結合を結合しない限り、その化学構造内に窒素を含み得る。当技術分野の酵素結合活性アッセイ及びタンパク質モデリング法を利用して、ヒトファルネシル二リン酸シンターゼ(FPPS)のThr201及びLys200のカルボニルと水素結合を形成する窒素を有さないビスホスホネートをスクリーニングできる。例えば、Ebetino, et al. (2011) Bone 49(1):20-33; 及びKavanagh, et al. (2006) PNAS, 103(20):7829-7834を参照されたい。いくつかの実施形態において、不活性BPは、Dunford, et al. (2008) J Medicinal Chemistry 51(7):2187-2195中の手順により測定されて、4.1nM超、好ましくは10nM以上、より好ましくは100nM以上、さらにより好ましくは500nM以上、最も好ましくは1000nM以上のヒトファルネシル二リン酸シンターゼ(FPPS)の阻害性IC50を有する。いくつかの実施形態において、不活性BPは、Sun, et al. (2016) Bioconjugate Chem 27(2):329-340中の手順により測定されて、100μΜ未満の濃度でタンパク質のプレニル化を阻害しない。いくつかの実施形態において、不活性BPは、Schenk又は成長過程ラットモデル(Seitsema, et al. (1989) Drugs Exptl. Clin. Res. XV(9):389-396)などの骨代謝のインビボモデルにおいて、活性BPの濃度未満の濃度で骨吸収を阻害しない。不活性BPの例には、2-(ピリジン-4-イル)エタン-1,1-ジイルビスホスホン酸(p-PyrEBP)、1-ヒドロキシ-2-(ピリジン-4-イル)エタン-1,1-ジイルビスホスホン酸(p-RIS)、メチレンビスホスホネート(MBP)、メチレンヒドロキシルビスホスホネート(MHDP)、エチドロネート(EHDP)、クロドロネート、イスクロドロネート(isclodronate)、チルドロネート、2-ヒドロキシ-2-ホスホノ-3-(ピリジン-3-イル)プロパン酸(3-PEHPC)、及び2-ヒドロキシ-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル)-2-ホスホノプロパン酸(3-IPEHPC)がある。
【0020】
いくつかの実施形態において、不活性BPは、それに結合している蛍光性化合物などの検出可能な標識を有する。いくつかの実施形態において、不活性BPは、ROX、FAM、AF647、ICG、Cy5、スルホ-Cy5、Cy7、及びIRDye 800CWなどの蛍光性化合物に共有結合しているビスホスホネート(活性BPでも不活性BPでもよい)を含む。蛍光性化合物が連結されている不活性BPの例には、
図2A~
図2Dの化合物7a1~7f2、
図5Aのものなどの蛍光性p-PyrEBPコンジュゲート、
図5Bのものなどの蛍光性p-RISコンジュゲート、
図18A1~
図18A4に従って合成されるIGC化合物、及び
図18Bに記載されるIGC化合物がある。いくつかの実施形態において、蛍光性化合物が連結されている不活性BPは、5-FAM-dRIS、5(6)-FAM-dRIS、5(6)-FAM-RIS、5(6)-FAM-RISPC、5(6)-RhR-RIS、5(6)-RhR-dRIS、5(6)-RhR-RISPC、5(6)-ROX-RIS、5(6)-ROX-RISPC、5-FAM-RIS、5-FAM-ZOL、6-FAM-RIS、800CW-ZOL、AF647-RIS、AF647-RISPC、AF647-ZOL、800CW-RIS、800CW-ZOL、800CW-RISPC、ICG-RIS、ICG-ZOL、ICG-RISPC、及びICG-p-pyrEBPである。
【0021】
不活性BPは、骨吸収抑制療法において使用されてきたか、且つ/又は使用されている活性BPと比べて、骨吸収抑制剤として完全に不活性であるか、又は骨吸収抑制剤として部分的に不活性であるビスホスホネートの薬学的に許容できる溶媒和物、塩、及びプロドラッグも含む。「薬学的に許容できる溶媒和物」は、所与の化合物の生物学的活性、例えば骨吸収抑制活性(又はその欠如)を保持している、明示された化合物の溶媒和物形態を指す。溶媒和物の例には、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸、エタノールアミン、又はアセトンと組み合わされた本発明の化合物がある。有機化学の当業者は、多くの有機化合物が、それらがその中で反応する溶媒又はそれらがそこから沈殿若しくは結晶化する溶媒と錯体を形成し得ることを認識するであろう。これらの錯体は、「溶媒和物」として知られている。例えば、水との錯体は「水和物」として知られている。多くの有機化合物が2つ以上の結晶形で存在し得る。例えば、結晶形は、溶媒和物によって様々になり得る。そのため、不活性BP及びその溶媒和物の全結晶形が本発明の範囲内にある。
【0022】
用語「薬学的に許容できる塩」は、薬理学的に許容でき、本発明の化合物により治療されている対象にとって実質的に非毒性である塩形態を指す。薬学的に許容できる塩には、好適な非毒性の有機若しくは無機酸又は無機塩基から形成される従来の酸付加塩又は塩基付加塩がある。例示的な酸付加塩には、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、及び硝酸などの無機酸から誘導されたもの並びにp-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタン-ジスルホン酸、イセチオン酸、シュウ酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、酢酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、グルタミン酸、サリチル酸、スルファニル酸、及びフマル酸などの有機酸から誘導されたものがある。例示的な塩基付加塩には、水酸化アンモニウム(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの四級アンモニウムヒドロキシド)から誘導されるもの、アルカリ又はアルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、又はマグネシウム)水酸化物などの無機塩基から誘導されるもの、及び塩基性のアミノ酸などの非毒性の有機塩基から誘導されるものがある。
【0023】
「薬学的に許容できるプロドラッグ」は、生理的条件下、又は加溶媒分解により、明示された化合物又はそのような化合物の薬学的に許容できる塩に転化し得る化合物である。「薬学的に活性な代謝物」は、明示された化合物又はその塩の体内での代謝により生じる薬理活性のある生成物を指す。ある化合物のプロドラッグ及び活性代謝物は、当技術分野に公知である技法を利用して特定できる。例えば、Bertolini, G. et al., (1997) J. Med. Chem. 40:2011-2016; Shan, D. et al., J. Pharm. Sci., 86(7):765-767; Bagshawe K., (1995) Drug Dev. Res. 34:220-230; Bodor, N., (1984) Advances in Drug Res. 13:224-331;Bundgaard, H., Design of Prodrugs (Elsevier Press, 1985) 及び Larsen, I. K., Design and Application of Prodrugs, Drug Design and Development (Krogsgaard-Larsen et al., eds., Harwood Academic Publishers, 1991)を参照されたい。
【0024】
本明細書に開示される通り、骨などの骨格組織中の以前に吸着された活性BPは、新たに投与された不活性BPにより排除又は除去され得る。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、1種以上の不活性BPを骨格組織に投与することによる、骨格組織中のビスホスホネートを除去又は排除する方法を対象とする。いくつかの実施形態において、本発明は、BRONJ及び/又はビスホスホネート関連症状を治療、抑止、又は減少させる方法であって、それを必要とする対象に1種以上の不活性BPを投与することによる方法を対象とする。本明細書では、「ビスホスホネート関連症状」は、痛みのある骨露出及び瘻孔形成、異常な骨折など、活性BPによる治療により起こるか、又はそれと関連する症状を含む。活性N-BPにより治療されてきた対象の異常な骨折の例には、非定型大腿骨骨折及び股関節骨折がある。例えば、 Paziana, et al. (2011) Bone 43:103-110を参照されたい。
【0025】
局所投与された不活性BPは、かなりの濃度で全身に分布することなく投与部位で骨に結合することが可能である。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは、局所投与され、例えば、活性BPが排除若しくは除去されるべき部位での骨組織への注射、例えば外科手術の間に露出される骨組織の部位での局所投与、又は1種以上の不活性BPの全身分布を減少させ、抑止し、若しくは防ぐ、例えば、リポソーム若しくはナノベシクルなどの薬物送達粒子上若しくはその中の医薬製剤の形態での治療すべき骨組織の部位に隣接する組織中の適用(例えば、注射)である。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは、ナノベシクルの形態で送達される。いくつかの実施形態において、ナノベシクルは変形可能でないナノベシクルである。いくつかの実施形態において、ナノベシクルは変形可能なナノベシクルである。例えば、国際公開第2017/087685号及びSubbiah, et al. (2017) J Drug Delivery, Article ID 4759839を参照されたい。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは、活性BPにより治療されてきたか、又は治療されている人のBRONJ及び/又はビスホスホネート関連症状が起こりそうな部位で、BRONJ及び/又はビスホスホネート関連症状の発生を防ぐための予防的措置として、対象に局所投与される。
【0026】
いくつかの実施形態において、治療すべき対象は、休薬日の候補でない対象である。いくつかの実施形態において、治療すべき対象は、骨粗鬆症又は骨に関連する癌若しくは転移(例えば、骨転移性の悪性腫瘍又は多発性骨髄腫)を患い、活性BPにより治療されている対象である。いくつかの実施形態において、対象が休薬日の候補でなく、活性N-BPにより治療されている結果としてBRONJ及び/又はビスホスホネート関連症状を起こす危険性がある場合、1種以上の不活性BPが、活性N-BPが除去又は排除されるべき部位に局所適用され得る。
【0027】
エチドロネートが不活性BPとして対象に投与されている実施形態において、エチドロネートは、活性N-BPが排除又は除去されるべき部位に局所投与される。いくつかの実施形態において、エチドロネートは、BRONJ及び/又はビスホスホネート関連症状の発生を防ぐための予防的措置として局所投与される。
【0028】
BRONJ予防/治療法:不活性BPによる活性BPの排除に基づく、BRONJの第1の予防処置及び/又は治療処置が本明細書に開示される。本明細書に開示される通り、1種以上の不活性BPの投与は「競合平衡」に基づく活性BPの排除をもたらしそうである。骨へのBP吸着の文脈において、「BP排除」は、以前に吸着されたBPのその後に投与されたBPによる排除を指す。BP排除は、インビトロ(
図1)及びインビボ(
図10、
図12A~
図12C)で示された。本明細書に開示される通り、BP排除はBRONJの予防法として使用できる。例えば、事前吸着された活性BPは、例えば、静脈内若しくは経口投与により全身投与されるか、又は所与の治療部位への局所投与による(例えば、顎への直接口腔内注射又は口腔粘膜への局所適用)1種以上の不活性BPにより効果的に排除され得る。
【0029】
口腔内アプローチ:抜歯などの歯牙歯槽の処置の部位への1種以上の不活性BPの局所投与は、骨中に存在する1種以上の活性BPを排除し、それによりBRONJを治療することも、BRONJを起こす危険性を低下させることもできる。重要なことは、抜歯などの歯牙歯槽の処置の部位への1種以上の不活性BPの口腔内適用は、その部位に存在する1種以上の活性BPを排除し、それにより、対象内の他の組織中及び/又は他の部位での活性BPの治療活性に著しく干渉せずに、対象がBRONJを起こす危険性を低下させることができる。そのため、いくつかの実施形態において、事前吸着された活性BPは、1種以上の不活性BPの顎への口腔内注射により効果的に排除又は除去され得る。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは、治療すべき部位に適用される液剤、ゲル剤、又はペースト剤の形態で投与され得る。本発明による治療方法の例として、対象は、例えば抜歯などの歯牙歯槽の処置の部位へ口腔内適用により有効量の1種以上の不活性BPを投与されて、BRONJ及び/又はビスホスホネート関連症状を治療又は抑止することも、対象がBRONJ及び/又はビスホスホネート関連症状を起こす危険性を低下させることもできる。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは、歯牙歯槽の処置の前、その間、及び/又はその後に、対象の歯肉/口蓋組織に適用される。
【0030】
蛍光標識されたビスホスホネート(FL-BP):不活性BPは、RIS又はZOL及び関連アナログなどの活性BPの、検出可能な標識、例えば、蛍光性化合物との連結により生成することができる。好適な蛍光性化合物の例には、フルオレセイン及びその誘導体(カルボキシフルオレセイン(FAM)、カルボキシル-X-ローダミン(ROX)、Alexa Fluor 647(AF647)、ローダミンRed-X(RhR-X)、IRDye 800CW(800CW)、スルホ-Cy5、インドシアニングリーン(ICG)、及びそのアナログを含む、
図18A1~
図18A4の合成方法に利用されたもの及び
図18Bに描かれているものを含む)がある。好適なFL-BPの例は、
図2A~
図2D、
図5A、
図5B、
図6、
図18A1~
図18A4、及び
図18Bに開示されている。FL-BPを使用して、骨塩表面上に吸着されたビスホスホネートの破骨細胞組み込みの直接的な可視化(
図3)を含む、ビスホスホネートの局在化及び相互作用をインビボでモニターできる。FL-BPは、不活性BPでありICG-BPを含むが、本明細書に開示される通り、骨格組織中の活性BPを除去又は排除するのに使用され得る。
【0031】
異なる骨塩結合親和性、骨吸収抑制活性(不活性から部分的に活性まで)、及び/又は機能を有する1種以上の不活性BPが利用され得る。例えば、一連の異なるFL-BPを使用して、対象、例えば、動物モデルにおいて吸着された程度及び量を特性化することも、そのような治療をモニターすることもできる。
【0032】
RIS又はZOLなどの現代のBPの特徴は、その骨吸収抑制効果が、主として2つのホスホネート基によるその貪欲な骨親和性とは異なり、その窒素含有置換基の構造に依存することである。いくつかの実施形態において、本発明による不活性BPは、N含有ビスホスホネートに基づくスキャホールド、例えば、リセドロネート(RIS)及びゾレドロネート(ZOL)を有し、N含有ビスホスホネートと同じ又は実質的に類似の骨親和性を示すが、抗破骨細胞活性はほとんど又は全く示さない。いくつかの実施形態において、本発明による不活性BPは、α-ヒドロキシ基、パラ置換されたピリジル基(
図4)、又は両方を欠くスキャホールドを有するが、それは、対応する活性BPと比べて骨親和性に対する著しい影響なしに、骨吸収抑制活性を劇的に減少させる。いくつかの実施形態において、本発明による不活性BPは蛍光性化合物に連結した活性BPを含み、蛍光性化合物への連結は、ビスホスホネートを骨吸収抑制剤として不活性にするか、又は活性を低減している。これらの蛍光標識されたビスホスホネート(FL-BP)は、ハイドロキシアパタイトの表面に強く吸着されることが可能であるが、対応する非連結のビスホスホネートの骨吸収抑制活性を実質的に又は完全に欠いている。
【0033】
いくつかの実施形態において、治療すべき対象は動物モデルである。いくつかの実施形態において、治療すべき対象はヒトである。いくつかの実施形態において、治療すべき対象はBRONJを起こす危険性がある。いくつかの実施形態において、治療すべき対象は1種以上の活性BPにより治療されてきた。
【0034】
いくつかの実施形態において、本発明は、1種以上の不活性BPを対象の骨に投与することを含む、対象の骨中の事前吸着された活性BP薬物を排除することを対象とする。
【0035】
いくつかの実施形態において、対象に投与される1種以上の不活性BPの量は、治療上有効な量又は有効量である。本明細書では、「有効量」は、プラセボと比べて観察可能な差異をもたらす投与量である。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPの有効量は、骨などの組織に投与されると、その組織中の活性BPの50%超を排除するものである。「治療上有効な量」は、対象に投与されると、対照と比べて、(i)特定の疾患、病態、若しくは障害を治療若しくは抑止する、(ii)特定の疾患、病態、若しくは障害の1種以上の症状を弱め、改善し、若しくは無くす、且つ/又は(iii)特定の疾患、病態、若しくは障害の1種以上の症状の発症を抑止若しくは遅延する、1種以上の本発明の化合物の量を指す。1種以上の本発明の化合物の治療上有効な量は、所与の化合物、医薬製剤、投与経路、疾患又は障害の種類、疾患又は障害の程度、及び治療されている対象の正体などの因子によって変わるであろうが、それにもかかわらず当業者により容易に決定され得る。例えば、1種以上の不活性BPの「治療上有効な量」は、陰性対照と比べて、BRONJの徴候又は症状を治療、抑止、予防、又は減少させるものである。治療上有効な量は動物モデルから決定され得る。例えば、ヒトの治療上有効な量は、動物モデルにおいて治療上有効であるとわかった量に基づいて公式化され得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、治療上有効な量の1種以上の不活性BPは、歯牙歯槽の処置、抜歯、インプラント処置、歯周病の確定などの事象の前、その間、又はその後に、対象のキログラム体重あたり約5~20、約10~15、又は約11~12ミリグラムの単回投与として投与される。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは、事象の間又はその直後に投与される。当業者は、疾患又は障害の重症度、以前の治療、対象の全般的な健康及び/又は年齢、並びに存在する他の疾患を含むがこれらに限定されない特定の因子が、対象を効果的に治療するために要する用量に影響し得ることを認識するであろう。
【0037】
いくつかの実施形態において、本発明は、1種以上の不活性BPを含む、1種以上の不活性BPから基本的になる、又は1種以上の不活性BPからなる組成物を対象とする。医薬組成物を含む本発明の組成物は、1種以上の不活性BP及び薬学的に許容できる担体を含む。本明細書では、用語「医薬組成物」と「医薬製剤」は互換的に使用されて、対象における薬学的使用に好適な組成物を指す。医薬組成物は、一般的に、活性薬剤、例えば、1種以上の不活性BP及び薬学的に許容できる担体、例えば、緩衝剤、補助剤、希釈剤などを含む。
【0038】
対象に投与すべき1種以上の不活性BPは、医薬製剤として提供され得る。医薬製剤は、所望の投与様式に適切な単位剤形で調製され得る。本発明の医薬製剤は、経口、直腸、鼻腔内、局所(頬側及び舌下を含む)、膣内、粘膜、及び非経口(皮下、筋肉内、静脈内、及び皮内を含む)を含むあらゆる好適な経路により投与され得る。投与経路が、受容者の状態及び年齢、治療すべき病態の性質、並びに本発明の所与の化合物により変わり得ることが認識されるであろう。いくつかの実施形態において、投与経路は経口である。いくつかの実施形態において、投与経路は粘膜である。いくつかの実施形態において、1種以上の不活性BPは、対象の口腔粘膜に送達される。いくつかの実施形態において、本発明による医薬製剤は1種以上の不活性BPの水溶液である。いくつかの実施形態において、本発明による医薬製剤は、1種以上の不活性BPを含む、例えば親油性ゲル中の懸濁液である。いくつかの実施形態において、本発明による医薬製剤は、リポソーム又はナノベシクル中にカプセル化された1種以上の不活性BPを含むリポソーム又はナノベシクル調製物である。いくつかの実施形態において、ナノベシクルは変形可能でないナノベシクルである。いくつかの実施形態において、ナノベシクルは変形可能なナノベシクルである。例えば、国際公開第2017/087685号及びSubbiah, et al. (2017) J Drug Delivery, Article ID 4759839を参照されたい。いくつかの実施形態において、本発明による医薬製剤は、1種以上の不活性BPを含む経口的粘膜ゲル製剤である。いくつかの実施形態において、本発明による医薬製剤は、1種以上の不活性BPを含む口腔歯粘膜接着プロニオソームゲル製剤である。
【0039】
医薬製剤に使用される不活性BPの実際の用量が、使用されている特定の化合物、処方される特定の組成物、投与様式、並びに治療されている特定の部位、対象、及び疾患によって、様々であることが認識されるであろう。所与の組の状態に対する最適な用量は、所与の化合物の実験データを考慮して用量決定試験を利用して当業者により確認され得る。プロドラッグの投与は、完全に活性のある形態の重量レベルと化学的に等しい重量レベルで投薬され得る。
【0040】
本発明による医薬組成物及び製剤は、治療上有効な量の1種以上の不活性BP及び薬学的に許容できる担体を含む。本明細書では、「薬学的に許容できるビヒクル」と「薬学的に許容できる担体」は互換的に使用され、薬務行政と適合し、薬務行政のための該当する規格と法規、例えば、米国薬局方(United States Pharmacopeia)及び国民医薬品集(National Formulary)(USP-NF)本に述べられている薬局方基準に合致するありとあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、賦形剤、希釈剤などを指し、それらを含む。そのため、例えば、滅菌されていない水は、少なくとも静脈内投与用には、薬学的に許容できる担体としては除外される。薬学的に許容できるビヒクルは当技術分野に公知であるものを含む。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Remington:The Science and Practice of Pharmacy. 20thed. (2000) Lippincott Williams & Wilkins. Baltimore, MDを参照されたい。利用される薬学的に許容できる担体は、固体でも液体でもよい。例示的な固体担体は、ラクトース、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などである。例示的な液体担体は、シロップ、落花生油、オリーブ油、医薬品グレードの水などである。同様に、担体又は希釈剤は、単独又は蝋、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルメタクリレートなどと組み合わせたステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなど、当技術分野に公知である時間遅延又は時間放出材料を含み得る。いくつかの実施形態において、薬学的に許容できる担体はリポソームである。いくつかの実施形態において、薬学的に許容できる担体は、変形可能でも、変形可能でなくてもよいナノベシクルである。いくつかの実施形態において、薬学的に許容できる担体はプロニオソームである。
【0041】
不活性BPの毒性及び治療効能は、例えばLD50(集団の50%に対して致死的である投与量)及びED50(集団の50%において治療上有効である投与量)を決定するための細胞培養又は実験動物における標準的な薬学手順により決定され得る。毒性効果と治療効果の間の投与量比は治療指数であり、比LD50/ED50により表され得る。大きい治療指数を示す化合物が好ましい。毒性の副作用を示す化合物が使用され得るものの、感染していない細胞に対する潜在的な損傷を最低限にして副作用を減少させるために、そのような化合物を罹患組織の部位に標的化する送達系を設計するように配慮すべきである。
【0042】
細胞培養アッセイ及び動物試験から得られたデータは、ヒトでの使用のためのある範囲の用量を公式化するために使用され得る。そのような化合物の用量は、好ましくは、毒性がほとんど又は全くない、ED50を含むある範囲の血中濃度内にある。用量は、利用される剤形及び利用される投与経路によって、この範囲内で変わり得る。本発明の方法で使用される化合物では、治療上有効な投与量は、最初は細胞培養アッセイから推定され得る。投与量は動物モデルにおいて公式化されて、細胞培養において決定されたIC50(すなわち、症状の半数阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲が達成され得る。そのような情報を利用して、ヒトにおける有用な投与量がより正確に決定され得る。血漿中の濃度は、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより測定され得る。
【実施例0043】
実施例
以下の実施例は、本発明を説明するが、本発明を限定しないものとする。
【0044】
動物
マウス顎骨壊死(ONJ)モデル
ONJのC57BL/6J(B6)マウスモデルを使用する。この試験での一貫した組織源は、抜歯のある又はないマウスの上顎骨、並びに大腿骨、下顎骨、及びL4/L5木材骨(lumber bones)である。マウスの創傷治癒を試験するための抜歯動物モデルは、発明者らの研究所及び他の研究所で充分に確立された。全身性ビスホスホネート治療はIV注射により達成され、提案されるFL-BPの局所適用は、マウス上顎の歯肉/口蓋組織への口腔内注射により達成される。マウスを上顎大臼歯抜歯に付す。麻酔及びバイタルサイン確認の後、動物を、口を開けたままにしながら、イソフルラン管類を支持するベッドに配置する。眼科用軟膏(刺激のない、例えば、ラクリューブ)を適用する。上顎大臼歯部分を0.12%クロルヘキシジングルコン酸塩溶液(ペリデックス、オーラルリンス)で拭く。抜歯後の不快を最低限にするために、頸管粘膜の注意深い熟考(reflection)の後、オートクレーブ処理された歯科用探針を抜歯用エレベーターとして使用する。オートクレーブ処理された綿棒を、初期の血液凝固が確立されるまで抜歯窩上に配置する。次いで、上顎第1大臼歯を、残りの未処置の側が咀嚼に使用できるように、一方だけ抜く。発明者らの以前の実験では、手順全体は約5~15分かかる。
【0045】
ONJは口腔内に起こる。歯科処置(通常抜歯)が、ビスホスホネート関連ONJの発症の引き金として指摘されてきた。口腔内創傷治癒の適切な代替モデルがないため、動物を使用して提案された研究を実施することが必要である。他のモデルを使用すれば、創傷治癒の生物学及び分子機構を研究することは不可能であろう。将来の創傷治癒治療のヒト患者への外挿は、動物の使用なしでは不可能であろう。マウスは、その創傷治癒過程がヒトに類似しているために、且つ発明者らの仮説に直接関連する遺伝子操作された血統をすぐに利用可能であるために使用される。この試験に必要とされる動物の推定数は、創傷治癒に対するビスホスホネート治療の総合的な試験が達成されるであろうという考慮に基づいている。
【0046】
獣医学的手当は、UCLA Medical CenterのDepartment of Laboratory Animal Medicineのおかげで提供される。動物対象を手術の後に診察する;獣医学的診察が、感染などの合併症のために得られる。呼吸器の疾患若しくは窮迫、又は腸の疾患の徴候を示す動物は使用しない。UCLAは、完全認証されたAmerican Association of Accreditation of Laboratory Animal Care(AAALAC)である。
【0047】
動物のいずれの苦痛、不快、又は疼痛も防ぐために、処置は、イソフルラン吸入(1~2%)を利用して全身麻酔下で実施する。生存手術後に、動物を水循環式ヒーティングパッド上に配置する。動物を、心血管機能及び呼吸器機能に関してモニターし、動物が伏臥位をとるまで連続的に付き添う。処置後の不快を防ぐために、鎮痛剤を投与する。これらの変異体マウスの飼畜に特別な処理は何も考えられていないが、起こりうるあらゆる感染をモニターする。
【0048】
動物を、実験完了時に安楽死させる。安楽死は100%二酸化炭素吸入により完了する。方法は、Panel of Euthanasia of the American Veterinary Medical Associationの勧告と一致している。
【0049】
実施例1
種々の骨塩結合親和性を有するFL-BPの合成及び特性化
低い又は検出不能な生物学的活性を有するが高い骨塩親和性を有する、蛍光性化合物が連結しているビスホスホネート(FL-BP)を合成した。異なるフルオロフォアを、「Magic linker」技術(例えば、米国特許第8,431,714号参照)を利用して、ビスホスホネートに連結した。結合親和性/薬理活性のインビトロ特性化を実施した。
【0050】
実験1-1:FL-BPの合成
FL-BPを、「Magic linker」技術(例えば、米国特許第8,431,714号参照)を利用して、
図5Aに図式的に示される通り、BP化合物、例えば、RIS、ZOL、及び他の関連アナログ(例えば、
図4)をフルオロフォアに連結した。コンジュゲート、FL-BPは、収率50~77%(>純度98%)で得られ、UV-VIS、蛍光発光、1H NMR、31P NMR、及びHRMSにより特性化した。
図6は、合成した3種のFL-BPの構造式を示す。いくつかの実施形態において、本発明により使用されるBPは、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第8,431,714号に記載されるものである。低活性BPの1例は、1-ヒドロキシ-2-(ピリジン-4-イル)エタン-1,1-ジイルビスホスホン酸(p-RIS)であり;不活性BPの別の例は、2-(ピリジン-4-イル)エタン-1,1-ジイルビスホスホン酸(p-PyrEBP)である。
【0051】
実験1-2:FL-BPのインビトロ特性化
A)骨塩結合親和性アッセイ
ハイドロキシアパタイトアッセイは、FL-BPが一般的に、BP成分の親和性及び程度は低いが連結したフルオロフォアの親和性を反映する、骨塩への著しい親和性を保持することを示す。ハイドロキシアパタイト(Macro-Prep(登録商標)セラミックハイドロキシアパタイトII型20μΜ)を、Bio-Rad Laboratories, Inc. Hercules, CAから得た。正確に秤量したハイドロキシアパタイト粉末(1.4~1.6mg)を、適切な体積のアッセイバッファー(0.05%(wt/vol)Tween20、10μΜ EDTA及び100mM HEPES pH=7.4)を含む4mL透明バイアル中で3時間懸濁させた。次いで、ハイドロキシアパタイトを、増加する量のFAM-BP及びROX-BP(0、25、50、100、200、及び300μM)と共にインキュベートした。試料を、37℃で3時間、適切な体積のアッセイバッファー(0.05%(wt/vol)Tween20、10μΜ EDTA及び100mM HEPES pH=7.4)中で穏やかに振盪した。平衡期間の後に、バイアルを10,000rpmで5分間遠心分離して、固体と上清を分けた。0.3mLの上清を回収し、平衡溶液濃度を、Shimadzu UV-VIS分光計を使用して測定する。較正系列のために、FL-BPプローブ標準を、ストック溶液から同じ等温緩衝液とともに段階希釈により調製して0~400μΜの範囲を与えた。較正曲線を、標的FL-BPの標準溶液を使用して作成した。蛍光発光を使用して、結合パラメーターを計算することもできる。対照として、非特異的結合を、ハイドロキシアパタイトのない状態で、類似の手順で測定した。結合パラメーター(Kd及びBmaxは、それぞれ、平衡解離定数及び最大結合部位数を表す)を、PRISMプログラム(Graphpad, USA)を使用して計算した。各化合物の結合パラメーターを5つの独立した実験で測定した。平衡解離定数(Kd)が約100μΜより高い(親BPのKdの約10倍)化合物をさらなる調査から除いた。2標本t検定を利用して、プローブの結合パラメーターを評価した。各群の試料サイズ(n=5)は、検出力80%及び片側第一種過誤0.05でこの仮説に対して効果量1.72を検出することができた。
【0052】
ハイドロキシアパタイトアッセイは、FL-BPが全般的に相当な骨塩親和性を保持していることを確認するものである。フルオロフォア成分は、親和性に対して多少の影響を及ぼす:5-FAM-ZOL及びAF647-ZOLはわずかな減少を示したが、ROX-RISは増大を示した(
図7)。このように、ビスホスホネートの骨親和性は、異なるフルオロフォアに連結した場合、実質的に保持されている。
【0053】
ラングミュア吸着等温式に基づく方法を利用して、代表的な蛍光性BPプローブの結合親和性測定を測定した;結果は、ハイドロキシアパタイトカラムアッセイから得た結果と良好に一致する(
図8A~
図8D)。
【0054】
B)生物学的活性インビトロアッセイ
インビトロ活性アッセイを、骨髄マクロファージを使用し、それをM-CSFと共にウシ骨スライス上で2日間培養して、破骨細胞前駆体(OCP)を富化し、次いでRANKLによりさらに3日間処理して、多核破骨細胞を発生させ単離することにより実施した。骨スライスにFL-BPを事前吸着させ、段階希釈された多数のOCPをそれらの上で培養した。吸収窩面積を測定した。それとは別に、破骨細胞を回収し、総タンパク試料を調製した。Rap1aのプレニル化を、ウェスタンブロットにより調査した。各実験群(n=5)を、プロトタイプ実験で対照(n=5)と比較する。実験1-2-Bは、実験1-2-Aと同じ検出力計算を有する。
【0055】
予備的な試験において、蛍光性ZOLアナログの細胞生存率に対する影響を決定するために、J774.2マウスマクロファージを2×105細胞/mlで96ウェルプレートに播種し、一晩接着させた。次いで、インキュベーション期間の最後に、細胞を、10、100、又は500μΜの蛍光性ZOLアナログ、ZOL、又はビヒクルにより48時間処理し、培地を除き、細胞をPBSで2回洗浄した。次いで、アラマーブルー試薬を含む培地を加え、細胞をさらに3時間インキュベートする。ウェスタンブロット及び細胞生存率アッセイは、FAMコンジュゲートの著しい生物学的効果を示した。これらの結果は、5-フルオレセイン-ZOLコンジュゲート(及び類似のRISコンジュゲート)が観察可能な抗プレニル化及び親BP薬物の骨吸収抑制性を保持していることを表す。
【0056】
代替手法
インビトロ系及びアッセイのほとんどが蛍光性BPプローブに関して充分に確立されているが、ハイドロキシアパタイトカラムアッセイを結合親和性アッセイに使用できる。象牙質ディスクも、ウシ骨スライスの代わりに使用できる。方法は、p-RISなどBP分子の構造に適切な修飾を含む他のFL-BPを生じさせて、所望の親和性を得るのに適用できる。
【0057】
実施例2
顎骨への局所吸着のためのFL-BPの口腔内適用及び事前吸着されたFL-BPのIV注射による競合的排除
この実験は、インビボのBP排除を実証するために実施した。尾静脈(tail vain)注射による全身投与から生じたマウス中の事前吸着されたFL-BPを、異なるフルオロフォアを有するFL-BPを使用する上顎の歯肉/口蓋組織への局所適用により曝露させる。局所適用は、a)歯肉/口蓋組織への注射;b)口内洗浄;及びc)経粘膜送達のための局所適用、を含み得る。FL-BPは顎骨の骨膜空間に適用できる。口腔内注射の投与量及び時点を、定量的な蛍光画像化分析により確立して、最大の排除効率が達成される。可能性のある遠位の毒性効果も考察した。大腿骨、下顎骨、及びL4/L5木材骨を調査した。
【0058】
実験2-1
この実験は、口腔内注射プロトコルを確立し、注射量と上顎骨吸着蛍光シグナルの間の関係を決定するものである。合計で30匹の雌性B6マウスを5群(n=6)に分ける。各群で、25μlの0.9%NaCl溶液中の0、1、5、10、又は50μΜのROX-BPの単回の口腔内注射を歯肉/口蓋組織に実施した。口腔内注射の1週間後に、頭蓋骨(上顎注射部位を含む)、下顎骨、大腿骨、及びL4/L5木材骨を収集し、軟部組織を除いた。PBS中に保存した骨検体を標準化された蛍光性バイオフォトニクスにより評価し、シグナルを独占プログラム(LAS3000、富士フイルム株式会社)を使用して定量化した。
【0059】
実験結果
図9に示される通り、ROXとFAMは、最適以下の蛍光シグナル分離が生じる重複する発光スペクトルを有する(データ示さず)。したがって、AF647-ZOLを、FAM-ZOLの排除を試験するための候補FL-BPとして選択したが、逆も同様である。元のBPと排除する標識されたBPからの相補的な蛍光シグナルを使用すると、元のBPローディング及び排除するBPローディングに対するその応答をモニターできた。
【0060】
マウス口腔内注射プロトコルを、33ゲージニードルのついたハミルトンシリンジを使用して確立した。手術用顕微鏡下で、2μlの溶液を、マウス上顎の左第1大臼歯の口蓋歯肉に注射した。緩徐注射の後、ニードルを組織内に3分間残し、次いで静かに除いた。
【0061】
この方法を用いて、2μlの0μΜ、0.5μΜ、又は5.0μΜ AF647-ZOLを、100μlの50μΜ FAM-ZOLの後眼窩IV注射の6日後に、マウスの上顎口腔粘膜に、マウスに注射した。マウス組織を口腔内注射の1日後に収集し、上顎骨を、460nmの励起波長及び515nmフィルターを使用して得られた標準化された蛍光性バイオフォトニクス画像に付した(LAS3000、富士フイルム株式会社)。
【0062】
図10に示される通り、この方法は、一貫して首尾よくFL-BPをマウス上顎口腔粘膜組織に送達した。AF647-ZOL口腔内注射は、用量依存的AF647シグナルを、口蓋骨の注射部位及びその周囲に生じさせた。さらに、事前吸着されたFAM-ZOLがAF647-ZOLにより除去された徴候があった。しかし、この排除の定量的な評価は、大部分はマウス上顎の複雑な解剖学的構造による、いくらかの問題を提示した。
【0063】
実験2-2
この実験は、口腔内注射部位での仮定されたBP排除を調査するものである。合計で30匹の雌性マウスを5群(n=6)に分けた。全群は、200μlの350μΜ FAM-BPの単回IV注射を受けた。1週間後、各群のマウスは、25μlの0、1、5、10、又は50μΜ ROX-BPの歯肉/口蓋組織への口腔内注射を受けた。口腔内注射の1週間後にマウスを安楽死させ、頭蓋骨、下顎骨、大腿骨、及びL4/L5木材骨を収集した。骨検体を、2色蛍光性バイオフォトニクスに関して評価し、各シグナルを定量化した。
【0064】
予備的な試験において、雌性C57Bl6/J(B6)マウス(8週齢)は、200μlの350μΜ 5-FAM-ZOL(5-FAM-ZOL, #BV111001, BioVinc LLC, Culver City, CA)の尾静脈を経る単回のIV注射又は25μlの50μΜ ROX-RIS(5(6)-ROX-RIS, #BV150101, BioVinc LLC, CA)の、上顎左第1大臼歯の歯肉/口蓋組織への単回口腔内注射(
図11中白色矢印)を受けた。1週間後、5-FAM-ZOLのIV注射の3週間後又はROX-RISの口腔内注射の2日後、マウスを安楽死させた。頭蓋骨(上顎骨を含む)を収集し、標準化された蛍光性バイオフォトニクス画像を、460nmの励起波長及び515nmフィルターを使用して得た(LAS3000、富士フイルム株式会社)。比較的均一な強い緑色蛍光シグナルが、FAM-ZOLのIV注射後に、上顎骨及び頬骨弓全体に検出された。対照的に、ROX-RISの口腔内注射部位周辺の口蓋骨は、局所的な赤色蛍光シグナルを示した(
図11)。
【0065】
実験結果
マウスを、100μlの50μΜ AF647-ZOL後眼窩IV注射により事前処置した。6日後、マウスは、10μlの0μΜ、1μΜ、10μΜ、又は50μΜ FAM-ZOLによる骨膜下注射を頭蓋骨に受けた。頭蓋骨を収集し、軟部組織を除いた。AF647及びFAMの蛍光シグナルを、標準化された蛍光性バイオフォトニクスにより測定した。次いで、頭蓋骨を低温切片のために準備した。断面は、テープ法により作成し、共焦点レーザー走査型顕微鏡法により評価した。
【0066】
骨膜下に注射されたFAM-ZOLのFAMシグナルは、注射部位の頭蓋骨上で用量依存的増加を示した。
図12Aに示される通り、対応する部位でのAF647シグナルは、FAM-ZOLの投与量増加と共に段階的減少を示した。
図12Bに示される通り、10μΜ及び50μΜで統計的有意性に到達した。
【0067】
頭蓋骨冷却断面は、
図12Cに示される通り、外部及び内部骨表面並びに柱表面でのAF647-ZOL標識を明らかにした。FAM-ZOL骨膜下注射を受けた頭蓋骨検体において、FAM-ZOLシグナルが主として外部骨表面に観察され、時折骨髄空間に観察された。外部骨表面上のAF647-ZOLシグナルは、内部骨表面と比べて釣り合いがとれないほど減少した(
図12C)。
【0068】
代替手法
望まれる場合、上記試験のデータを使用して検出力分析を実施し、動物の数を調整できる。提案された蛍光性バイオフォトニクス画像化方法に加えて、脱灰されていない骨の低温切片を使用できるが、それは、骨中の吸着されたFL-BPの深さを与え得る。或いは、骨片をサンプリングし、インビトロで脱灰して、吸着されたFL-BPを放出させることができる。放出されたFL-BPは、2色プレートリーダー又はHPLCにより定量化され得る。
【0069】
実施例3
インビボのBRONJの予防のためのBP排除療法
この試験は、BRONJの発生の予防における提案されたBP排除の有効性を調査するものである。抜歯前の不活性及び/又は低活性FL-BPの口腔内投与を、確立されたZOL誘導性マウスBRONJモデルに適用した。仮定された疾患修飾は、BRONJの罹患率、並びに組織構造的口腔粘膜異常及び骨壊死発生により決定した。この試験は、提案されるBP排除療法の概念実証を確立するものである。
【0070】
実験3-1
この試験は、ZOLと比較したFL-BPのインビボの骨吸収抑制機能を決定するものである。雌性B6マウスに、50μΜ ZOL(n=6)、50μΜ FL-BP(n=6)、又は0.9%NaClビヒクル溶液(対照:n=6)を尾静脈を経て注射した。3週間後、マウスを安楽死させ、大腿骨及びL4/L5を収集した。10%緩衝ホルマリンに固定した後、骨試料をマイクロCT分析に付した。骨吸収抑制機能を、海綿骨三次元モルフォメトリー(例えば、BV/TV、Tb.N、Tb.Th、TbSp)により定量的に立証した。BioVincにより開発された5-FAM-ZOLは、
図13に示される通り薬理学的機能を示した。薬理学的BP機能が極めて低いか、又は全くないFL-BPを使用する。本明細書では、薬理学的BP機能が極めて低いか、又は全くない化合物は、タンパク質抗プレニル化アッセイにより測定される骨吸収抑制活性をほとんど又は全く示さない化合物を意味する(Kashemirov (2008) Bioconjugate Chem. 19(12):2308-2310; Sun (2016) Bioconjugate Chem. 27(2):329-340参照)。
【0071】
実験結果
マウスに、0.9%NaCl(ビヒクル溶液)、ZOL(184μΜ×100μl=5.0μg/動物)又はAF647-ZOL(184μΜ×100μl=22.0μg/動物)をIV注射し、注射の2週間後に大腿骨を収集した。マイクロCTデータを比較した。
【0072】
ZOL注射は、大腿部海綿骨の体積(BV/TV)及び連結密度をほぼ2倍にした。対照的に、
図14に示されている通り、AF647-ZOLは、骨構造パラメーターのいずれも変化させなかった。この試験は、AF647-ZOLが、ZOLの骨吸収抑制性薬理学的作用を有さないことを示唆した。
【0073】
実験3-2
雌性B6マウスを、尾静脈を経る200μlの350μΜ ZOL IV注射により処置した。マウスのZOL投与量は、癌患者のヒト投与量の代謝スケーリングにより計算した。1週間後、口腔内注射FL-BPを、歯肉/口蓋組織の上顎第1大臼歯部分に実施した。この実験に使用したFL-BPは、ZOLに等しい骨親和性を有するが、著しく低下したBP機能を有していた。口腔内注射の1週間後、上顎左第1大臼歯を抜歯した。各群のマウスを、2週目(各群でn=6)及び4週目(各群でn=6)で安楽死させた。抜歯部位を含む上顎骨組織、下顎骨、大腿骨、及びL4/L5木材骨を収集した。全骨試料を10%緩衝ホルマリンに固定化し、マイクロCTにより分析した。10%EDTAによる脱灰後、パラフィン切片を組織病理学的調査に使用した。サイトケラチン14免疫組織構造を有する切片を、上皮の異常及び破骨細胞のTRAPに関して調査した。
【0074】
予備試験において、雌性B6マウスに、500μg/Kg ZOL(200μlの350μΜ ZOLに等しい)を、尾静脈を経て注射し、1週間後、上顎左第1大臼歯を抜歯した。ビヒクル溶液を注射された対照マウスの抜歯創は2~4週で閉じたが、ZOLを注射されたマウスの100%及び50%は、それぞれ抜歯の2週及び4週で口腔内開放創を示した(
図15)。
【0075】
実験結果
マウスは、ZOL(440μg/Kg;294μΜ×100μL=8.0μg/動物)のボーラスIV注射を、後眼窩静脈叢から受けた。
図16Aに示される通り、11日後、マウスは、AF647-ZOL口腔内注射(250μΜ×2μL=0.59μg/動物)又はAF647-ZOL IV注射(500μΜ×100μL=59.2μg/動物)を受け、次いでAF647-ZOL注射の1日後、マウスを、左上顎第1大臼歯の抜歯に付し、口腔内創傷治癒を抜歯後2週で評価した。遠位の骨におけるAF647-ZOLシグナルを大腿骨で評価した。
【0076】
図16Bは、ZOLを注射された疾患対照マウスが、BRONJ様病変の発生と一致して、歯肉腫脹及び顎骨露出を伴う遅れた創傷治癒を示したことを示す。抜歯1日前のAF647-ZOLの口腔内注射は、口腔粘膜炎症/腫脹を起こさず、この群の全個体(n=4)にBRONJの完全な予防をもたらした。対照的に、AF647-ZOL IV注射を受けたマウスの一部は、口腔粘膜炎症/腫脹の徴候を示したが、顎骨露出ははるかに弱かった(
図16B)。大腿骨の評価は、
図16Cに示される通り、IV注射によりAF647-ZOLを受け取ったマウスでは明確なAF647-ZOLシグナルを表したが、口腔内注射によりAF647-ZOLを受け取ったマウスではそうでなかった。結果は、口腔内適用及び顎骨中の局所的BP排除が有利であることを示した。
【0077】
代替手法
ヒトONJ症例を、非治癒性の口腔内創傷の8週後に決定する。マウスはより速い代謝及び加速された創傷治癒を示すので、この試験は抜歯創を4週間観察できる。この時間までに、対照マウスは完全な創傷治癒を示す。しかし、FL-BP治療介入の効果は、より長期間モニターする必要があり得る。
【0078】
AF647-ZOLによる実験の結果は、1)平衡に基づくBP排除がインビボで起こり、BRONJを予防、抑止、及び/又は治療するための不活性BPの治療的使用を支持すること、2)AF647などの蛍光性化合物をBPに連結することができ、連結した場合、BPの骨吸収抑制活性は最低限まで減少するが、骨塩結合効率は保持されていること、並びに、3)不活性BPの口腔内適用が、BRONJの予防、抑止、又は治療に有効であることを示す。
【0079】
実施例4
アルキルビスホスホネート
メチレンヒドロキシルビスホスホネート(MHDP又はMHBP)、エチレンヒドロキシルビスホスホネート(EHDP)、メチレンビスホスホネート(MBP)、クロドロネートなどのアルキルビスホスホネート(
図17)は、顎及び他の骨格部位におけるN-BPの有害作用を予防、低減、又は抑止するのに充分な量でN-BPを排除し得る。アルキルBPは、それに連結された蛍光性化合物を有することができ、その一部を
図18に示す。
【0080】
図19Aに示される結果は、MHDPの骨吸収抑制活性の欠如を証明し、それによりそのようなアルキルBPが、BRONJ並びに活性BPにより起こされる他の骨及び骨格の問題を治療、抑止、低減、又は予防できることを示す。ウェスタンブロット分析はこれらの結果を確認し、MHDP及びETI(エチドロネート)ではなくZOLが、J774マクロファージ中で10μΜ及び100μΜ投与量で、Rap1 Aプレニル化を阻害した(非プレニル化Rap1 A(uRap1 A)を蓄積)ことを示した。したがって、
図19Bに図式的に示されている通り、マウス上顎をZOLにより処置し、次いで、2μgのMHDPを抜歯すべき大臼歯の部位に口腔内注射するか、又は100μgのMHDPをIV注射し、処置されたマウス上顎の大臼歯抜歯の部位を対照と比べた。
図19Cに示される通り、MHDPの口腔内注射及びIV注射は、未処置の対照と比べて、ONJ様病変の発生を予防した。
【0081】
実施例5
近赤外線FL-BP
近赤外線(NIR)FL-BPを、新規のセラノスティック剤(
図18):具体的には、インドシアニングリーン-BP(ICG-BP)コンジュゲート:p-PyrEBP又はp-RIS(
図4)に結合したフルオロフォアICGとして合成した。強力な骨吸収抑制性N-BPのRIS又はZOLとは異なり、p-PyrEBP及びp-RISのBPスキャホールドは、α-ヒドロキシ基を欠くか、且つ/又はそのピリジル側鎖がパラ置換されており、それが、骨親和性にはわずかな影響しか与えずに、骨吸収抑制活性を極めて低いレベルに減少させる。そのため、設計は、FL-BPコンジュゲートが、親N-BPの生物学的活性を示さないようにしながら、ハイドロキシアパタイトの表面に極めて強く吸着されることを可能にする。
【0082】
ICGは、ヒトの使用のために臨床的に認可された唯一のNIR蛍光染料であり、800nm付近で吸収し、NIR領域で(600~1200nm)高い蛍光強度で蛍光を発し、心臓、肝臓、肺、血液循環、及びリンパ節を含む画像化試験に広く使用されてきた。画像化システム(Xiralite X4, Mivenion GmbH, Berlin, Germany)は米国内での使用に関して最近認可され、手持ち式の装置(例えば、KaVo DIAGNOcam)が、NIR波長光を使用して歯の中のカリエスを特定するために現在使用されつつあり、それはここでのICG-BPに容易に適用可能である。そのため、この新規組成物は、骨中の骨吸収抑制作用なしに、BPの容易な可視化を可能にする。
【0083】
しかし、ICGは、連結を可能にする独自の官能基を全く有さない。そのため、カルボキシル部分を、BPとの連結が3つの別な部位で可能であるように分子中に導入した。これらのスキャホールドは、フルオロフォアコアに対する最低限の作用を持つように設計されて、ICGフルオロフォアの光学的性質を保存する(
図18)。
【0084】
これらの新規ICG-BPを使用して、安全な歯科処置が、癌関連の骨疾患における高用量N-BPを含む、骨粗鬆症のBP療法を受けているあらゆる患者に実施できる。理想的には、製品は、歯科医が費用のかからない手持ち式のライトを使用して、顎骨部位で有効な投薬を目視で確認し、次いで歯科処置を開始することを可能にする一方で、FL-BPの全身性吸着を最低限にし得る。NIR蛍光性コンジュゲートの使用は、重なり合う筋膜及び組織を通して顎顔面骨の可視化を可能にし、年齢、性別、民族性などの個々の特許(patent)の特性によって異なる顎骨代謝回転レベルによることがあるなどのコンジュゲート取込みの患者変動をモニターできるので(個別化医療又は精密医療)、重要な発明である。これは、セラノスティック剤の充填量を直接観察する能力により、処置の結果における歯科医の自信を高めながら、使いやすさを改善し、費用対効果を増加させる。
【0085】
参照文献
参照により本明細書に全体として組み込まれる、全体にわたって引用された参照文献の他に、以下の参照文献も、参照により本明細書に全体として組み込まれる。
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【0086】
本明細書に使用される全科学技術用語は、特記されない限り、当技術分野で通常使用される意味を有する。
【0087】
本明細書では、用語「対象」と「患者」は互換的に使用され、ヒト及び非ヒト動物を含む。用語「非ヒト動物」は、全脊椎動物、例えば、哺乳動物及び非哺乳動物、非ヒト霊長類、ウマ、ヒツジ、イヌ、ウシ、ブタ、ニワトリ、並びに他の獣医学的対象及び試験動物などを含む。
【0088】
単数の使用は、具体的に他に記載されない限り、複数を含み得る。本明細書及び添付される特許請求の範囲において使用される通り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「前記(the)」は、文脈上そうでないとする明確な指示がない限り、複数の指示対象を含み得る。本明細書では、「及び/又は」は、「及び」又は「又は」を意味する。例えば、「A及び/又はB」は、「A、B、又はAとBの両方」を意味し、「A、B、C、及び/又はD」は、「A、B、C、D、又はこれらの組み合わせ」を意味し、前記「これらの組み合わせ」は、A、B、C、及びDのあらゆる部分集合、例えば、1メンバーの部分集合(例えば、A又はB又はC又はD)、2メンバーの部分集合(例えば、A及びB;A及びC;など)、又は3メンバーの部分集合(例えば、A、B、及びC;又はA、B、及びD;など)、又は全4メンバー(例えば、A、B、C、及びD)を意味する。
【0089】
句「~を含む、~から基本的になる、又は~からなる」は、過度なページ費用及び翻訳費用を避けるための手段であり、いくつかの実施形態において、問題となっている所与のものが何かを含み、いくつかの実施形態において、問題となっている所与のものが何かからなることを意味する。例えば、「いくつかの実施形態において、組成物はAを含み、Aから基本的になり、又はAからなる」という文は、以下の2つの別の文として書かれたかのように解釈されるものとする:「いくつかの実施形態において、組成物はAを含む。いくつかの実施形態において、組成物はAから基本的になる。いくつかの実施形態において、組成物はAからなる」。同様に、一連の代替物を列挙する文は、一連の文が、所与の各代替物が1つの文中で単独に与えられたように与えられるかのように解釈されるものとする。例えば、「いくつかの実施形態において、組成物は、A、B、又はCを含む」という文は、以下の3つの別の文として書かれているかのように解釈されるものとする:「いくつかの実施形態において、組成物はAを含む。いくつかの実施形態において、組成物はBを含む。いくつかの実施形態において、組成物はCを含む」。本明細書では、1種以上の不活性BPを含む組成物の文脈での句「から基本的になる」は、組成物が活性BPを全く含まないが、他の有効成分、例えば、鎮痛剤、抗菌剤などを含み得ることを意味する。
【0090】
本発明の開示を理解又は完成するのに必要である程度に、本明細書に言及される全刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれが個別にそのように組み込まれるのと同じ程度に、参照により明白に本明細書に組み込まれる。
【0091】
本発明の例示的な実施形態をこのように説明してきたが、本開示が例示なものに過ぎず、種々の他の変更、改変、及び改良が本発明の範囲内でなされ得ることを当業者は留意すべきである。したがって、本発明は、本明細書に説明される具体的な実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲にのみ限定される。
骨格組織中のアレンドロネート、イバンドロネート、ミノドロネート、パミドロネート、リセドロネート、及びゾレドロネートからなる群から選択される活性ビスホスホネートを除去又は排除するための局所(local)又は局所(topical)の使用のための医薬組成物であって、
前記組成物が、
・2-(ピリジン-3-イル)エタン-1,1-ジイル-ビスホスホン酸 (dRIS);
・1-ヒドロキシ-2-(ピリジン-4-イル)エタン-1,1-ジイル-ビスホスホン酸 (p-RIS);
・2-(ピリジン-4-イル)エタン-1,1-ジイル-ビスホスホン酸 (p-pyrEBP);
・ジクロロメチレン ジホスホネート (クロドロネート);
・(1-ヒドロキシエタン-1,1-ジイル)ビス(ホスホン酸) (エチドロネート又はEDHP));
・{[(4-クロロフェニル)チオ]メチレン}ビス(ホスホン酸) (チルドロネート);
・メチレン ビスホスホネート (MBP);
・(ヒドロキシメチレン)ビス(ホスホン酸) (MHDP);
・2-ヒドロキシ-2-ホスホノ-3-(ピリジン-3-イル)プロパン酸 (3-PEHPC又はRISPC);
・2-ヒドロキシ-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル)-2-ホスホノプロパン酸 (3-IPEHPC又はMINPC); 及び
・以下の構造を有するリンカーを介してカルボキシル基を有する蛍光性化合物と連結している窒素含有ビスホスホネート化合物 (N-BP)
【化1】
(前記リンカーは、前記蛍光性化合物の前記カルボキシル基のヒドロキシル基を置換し、
前記N-BPの窒素原子が前記リンカーの炭素原子と結合し、前記リンカーの窒素原子が前記カルボキシル基の炭素原子と結合し、
前記ビスホスホネート化合物が
・1-ヒドロキシ-2-(ピリジン-3-イル)エタン-1,1-ジイル-ビスホスホン酸 (RIS),
・2-(ピリジン-3-イル)エタン-1,1-ジイル-ビスホスホン酸 (dRIS),
・1-ヒドロキシ-2-(ピリジン-4-イル)エタン-1,1-ジイル-ビスホスホン酸 (p-RIS),
・2-(ピリジン-4-イル)エタン-1,1-ジイル-ビスホスホン酸 (p-pyrEBP),
・1-ヒドロキシ-2-(1H-イミダゾール-1-イル)エタン-1,1-ジイル-ビスホスホン酸 (ゾレドロネート),
・ジクロロメチレン ジホスホネート (クロドロネート),
・(1-ヒドロキシエタン-1,1-ジイル)ビス(ホスホン酸) (エチドロネート又はEDHP),
・{[(4-クロロフェニル)チオ]メチレン}ビス(ホスホン酸) (チルドロネート),
・メチレン ビスホスホネート (MBP),
・(ヒドロキシメチレン)ビス(ホスホン酸) (MHDP),
・2-ヒドロキシ-2-ホスホノ-3-(ピリジン-3-イル)プロパン酸 (3-PEHPC又はRISPC), 及び
・2-ヒドロキシ-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル)-2-ホスホノプロパン酸 (3-IPEHPC又はMINPC);
からなる群から選択され、
前記蛍光性化合物が、
・4-(6-ヒドロキシ-3-オキソ-3H-キサンテン-9-イル)イソフタル酸 (5-FAM),
・2-(6-ヒドロキシ-3-オキソ-3H-キサンテン-9-イル)テレフタル酸 (6-FAM),
・16‐(2‐カルボキシ‐4‐カルボキシラトフェニル)‐3‐オキサ‐9ラムダ5,23‐ジアザヘプタシクロ[17.7.1.1
5,9.0
2,17.0
4,15.0
23,27.0
13,28]オクタコサ‐1(27),2(17),4,9(28),13,15,18‐ヘプタエン‐9‐イリウム (5-ROX),
・16‐(2‐カルボキシ‐5‐カルボキシラトフェニル)‐3‐オキサ‐9ラムダ5,23‐ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ‐1(27),2(17),4,9(28),13,15,18‐ヘプタエン‐9‐イリウム (6-ROX),
・6-((4-(6-(ジエチルアミノ)-3-(ジエチルイミノ)-3H-キサンテン-9-イル)-3-スルホフェニル)スルホンアミド)ヘキサノエート(5-RhR),
・6-((3-(6-(ジエチルアミノ)-3-(ジエチルイミノ)-3H-キサンテン-9-イル)-4-スルホフェニル)スルホンアミド)ヘキサノエート(6-RhR),
・ソディウム (E)-2-((E)-2-(3-((E)-2-(1-(5-カルボキシペンチル)-3,3-ジメチル-5-スルホ-3H-インドール-1-イウム-2-イル)ビニル)-2-(4-スルホフェノキシ)シクロヘキサ-2-エン-1-イリデン)エチリデン)-3,3-ジメチル-1-(4-スルホナトブチル)インドリン-5-スルホネート(800CW),
・2-(5-(3-(5-カルボキシペンチル)-3-メチル-5-スルホ-1-(3-スルホプロピル)インドリン-2-イリデン)ペンタ-1,3-ジエン-1-イル)-3,3-ジメチル-5-スルホ-1-(3-スルホプロピル)-3H-インドール-1-イウム (AF647),
・2-[5-[1-[6-[(2,5-ジオキソ-1-ピロリジニル)オキシ]-6-オキソヘキシル]-1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-5-スルホ-2H-インドール-2-イリデン]-1,3-ペンタジエン-1-イル]-1-エチル-3,3-ジメチル-5-スルホ-3H-インドリウム, 分子内塩(Cy5),
・1-(5-カルボキシペンチル)-2-[7-(1-エチル-5-スルホ-1,3-ジヒドロ-2H-インドール-2-イリデン)ヘプタ-1,3,5-トリエン-1-イル]-3H-インドリウム-5-スルホネート (Cy7),
・(Z)-2-((2E,4E)-5-(1-(5-カルボキシペンチル)-3,3-ジメチル-5-スルホ-3H-インドール-1-イウム-2-イル)ペンタ-2,4-ジエン-1-イリデン)-1-エチル-3,3-ジメチルインドリン-5-スルホネート (Sulfo-Cy5),
・ソディウム 4-[2-[(1E,3E,5E,7Z)-7-[1,1-ジメチル-3-(4-スルホナトブチル)ベンゾ[e]インドール-2-イリデン]ヘプタ-1,3,5-トリエチル]-1,1-ジメチルベンゾ[e]インドール-3-イウム-3-イル]ブタン-1-スルホネート (ICG),
【化2】
からなる群から選択される)
からなる群から選択される1種以上の不活性ビスホスホネートを含み、
前記組成物が、前記骨格組織に投与される、医薬組成物。