(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046588
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】治療用組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/20 20060101AFI20220315BHJP
A61K 35/644 20150101ALI20220315BHJP
A61K 36/76 20060101ALI20220315BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/23 20060101ALI20220315BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220315BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220315BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20220315BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20220315BHJP
A23L 21/20 20160101ALI20220315BHJP
C07C 69/675 20060101ALN20220315BHJP
C07C 59/105 20060101ALN20220315BHJP
【FI】
A61K31/20
A61K35/644
A61K36/76
A61P35/00
A61K31/23
A61P43/00 121
A61K45/00
A23L33/10
A23L33/105
A23L21/20
C07C69/675
C07C59/105
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205725
(22)【出願日】2021-12-20
(62)【分割の表示】P 2019501903の分割
【原出願日】2017-03-24
(31)【優先権主張番号】718379
(32)【優先日】2016-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(71)【出願人】
【識別番号】515274929
【氏名又は名称】マヌカ ヘルス ニュージーランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】キャッチポール オーウェン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ブルア スティーブン ジョン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】上皮癌を処置するもしくは予防するための薬学的組成物を提供する。
【解決手段】例えば、(a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、(b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、(c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、(d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、(e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール等を含む薬学的組成物。前記化合物は、ポプラ、プロポリスの抽出物もしくは滲出物から得ることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の上皮癌を処置するもしくは予防するための薬学的組成物であって、または対象の1種または複数種の腫瘍性上皮細胞のアポトーシスを誘発するための薬学的組成物であって、式(I)の1種もしくは複数種の化合物またはその1種もしくは複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の有効な量を含み、
式(I)中、
R
2、R
3、R
4およびR
5はそれぞれ独立してHまたはアセチル(CH
3CO-)であり、
R
6はHまたはCH
3であり、R
7はCH
3またはC2~C6の飽和のもしくは不飽和の炭化水素であり、
xおよびyはそれぞれ独立して3~14の整数であり、
但し、R
6がHである場合にはx+yは10超且つ18以下であり、R
6がCH
3である場合にはx+yは9超且つ17以下である、
薬学的組成物。
【請求項2】
式(I)の化合物の治療上有効な量を含み、
式(I)中、
R
2、R
3、R
4およびR
5はそれぞれ独立してHまたはアセチル(CH
3CO-)であり、
R
6はHまたはCH
3であり、R
7はCH
3またはC2~C6の飽和のもしくは不飽和の炭化水素であり、
xおよびyはそれぞれ独立して3~14の整数であり、
但し、R
6がHである場合にはx+yは10超且つ18以下であり、R
6がCH
3である場合にはx+yは9超且つ17以下である、
薬学的組成物。
【請求項3】
R6がHである、請求項1または2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
R6がCH3である、請求項1または2に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
(a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
(b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
(c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
(d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
(e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
(h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
(i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
(j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
(k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
(l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
(o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
(p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
(q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
(r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
(s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
(u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
(a)~(u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
のいずれか1つまたは複数から選択される少なくとも1種の式(I)の化合物
の治療上有効な量を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
式(I)の化合物の使用であって、
式(I)中、
R
2、R
3、R
4およびR
5はそれぞれ独立してHまたはアセチル(CH
3CO-)であり、
R
6はHまたはCH
3であり、R
7はCH
3またはC2~C6の飽和のもしくは不飽和の炭化水素であり、
xおよびyはそれぞれ独立して3~14の整数であり、
但し、R
6がHである場合にはx+yは10超且つ18以下であり、R
6がCH
3である場合にはx+yは9超且つ17以下であり、
対象の上皮腫瘍形成の阻害、上皮腫瘍成長の阻害、上皮腫瘍転移の阻害または上皮癌の処置もしくは予防での;対象の1種または複数種の腫瘍性上皮細胞のアポトーシスの誘発での;上皮癌治療に対する対象の応答性の増加での;対象の上皮腫瘍の、上皮癌治療に対する感度の増加での;処置に対して耐性を示す、対象の1種または複数種の上皮癌細胞の感受性を高めることでの;上皮癌に罹患している対象の腫瘍性細胞の、上皮癌治療に対する耐性の少なくとも部分的な反転での;上皮癌に苦しめられている患者の、上皮癌治療に対する耐性の完全なもしくは部分的な反転での;あるいは上皮癌治療による処置に対して耐性を示すか、または耐性を示すもしくは耐性を示すようになると予想される、上皮癌に苦しめられている患者の1種または複数種の腫瘍の、上皮癌治療による処置に対する感受性を高めることでの使用のための組成物の製造における、使用。
【請求項7】
前記対象がヒト対象である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記化合物が、請求項2、3または4のいずれか一項で定義された化合物である、請求項6または7に記載の使用。
【請求項9】
(a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
(b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
(c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
(d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
(e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
(h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
(i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
(j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
(k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
(l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
(o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
(p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
(q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
(r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
(s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
(u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
(a)~(u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
からなる群のいずれか1種または複数種から選択される少なくとも1種の化合物の使用であって、任意で少なくとも1種の追加の治療剤と併用され、
対象の上皮腫瘍形成の阻害、上皮腫瘍成長の阻害、上皮腫瘍転移の阻害または上皮癌の処置もしくは予防での;対象の1種または複数種の腫瘍性上皮細胞のアポトーシスの誘発での;上皮癌治療に対する対象の応答性の増加での;対象の上皮腫瘍の、上皮癌治療に対する感度の増加での;処置に対して耐性を示す、対象の1種または複数種の上皮癌細胞の感受性を高めることでの;上皮癌に罹患している対象の腫瘍性細胞の、上皮癌治療に対する耐性の少なくとも部分的な反転での;上皮癌に苦しめられている患者の、上皮癌治療に対する耐性の完全なもしくは部分的な反転での;あるいは上皮癌治療による処置に対して耐性を示すか、または耐性を示すもしくは耐性を示すようになると予想される、上皮癌に苦しめられている患者の1種または複数種の腫瘍の、上皮癌治療による処置に対する感受性を高めることでの使用のための組成物の製造における、使用。
【請求項10】
ヒト対象の上皮腫瘍形成の阻害、上皮腫瘍成長の阻害、上皮腫瘍転移の阻害または上皮癌の処置もしくは予防での;ヒト対象の1種または複数種の腫瘍性上皮細胞のアポトーシスの誘発での;上皮癌治療に対するヒト対象の応答性の増加での;ヒト対象の上皮腫瘍の、上皮癌治療に対する感度の増加での;処置に対して耐性を示す、ヒト対象の1種または複数種の上皮癌細胞の感受性を高めることでの;上皮癌に罹患しているヒト対象の腫瘍性細胞の、上皮癌治療に対する耐性の少なくとも部分的な反転での;上皮癌に苦しめられているヒト患者の、上皮癌治療に対する耐性の完全なもしくは部分的な反転での;あるいは上皮癌治療による処置に対して耐性を示すか、または耐性を示すもしくは耐性を示すようになると予想される、上皮癌に苦しめられているヒト患者の1種または複数種の腫瘍の、上皮癌治療による処置に対する感受性を高めることでの使用のための、請求項2~5のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項11】
上皮癌の処置または予防での使用のための、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
プロポリスもしくはポプラまたはその抽出物もしくは滲出物から式(I)の化合物または式(I)の化合物の混合物を単離するまたは精製する方法であって、
(a)ポプラ抽出物、ポプラ由来プロポリスまたはそれらの抽出物もしくは滲出物を準備する工程、および
(b)該ポプラ、プロポリスまたはそれらの抽出物もしくは滲出物から該化合物を単離するまたは精製する工程
を含む、方法。
【請求項13】
前記ポプラ抽出物、ポプラ由来プロポリスまたはそれらの抽出物もしくは滲出物が、ポプルス・デルトイデス(Populus deltoides)、その栽培品種、交雑種および雑種を含む、ポプルス・デルトイデスxニグラ(nigra)またはポプルス・エウラメリカナ・ギニエ(Populus euramericana Guinier)を含むポプルス・デルトイデスの雑種に由来する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポプルス・エウラメリカナ・ギニエが、セルウィン(Selwyn)、タスマン(Tasman)、ルイサ・アバンゾ(Luisa Avanzo)およびフレザー(Fraser)の群から選択される栽培品種である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(a)前記ポプラ、プロポリスまたはそれらの抽出物もしくは滲出物を、クロマトグラフィー、および/または溶媒分割、および/または超臨界抽出により分画して、式(I)の化合物のうちの1種または複数種を含む1つまたは複数の画分を得る工程、
(b)前記ポプラ、プロポリスまたはそれらの抽出物もしくは滲出物または1つまたは複数の画分を、分取HPLCおよび/またはポリマー樹脂分画により分画して、式(I)の化合物のうちの1種または複数種を含む1つまたは複数の画分を得る工程、ならびに任意で
(c)工程(a)の1つまたは複数の画分から式(I)の1種または複数種の化合物をさらに精製する工程、および/または工程(b)の1つまたは複数の画分から式(I)の1種または複数種の化合物をさらに精製する工程
のうちの1つまたは複数を含む、請求項12~14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
クロマトグラフィーが、カラムクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、または超臨界液体クロマトグラフィーである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
式(I)の1種または複数種の化合物を含む組成物または製品であって、
式(I)の1種または複数種の化合物の量および/または濃度が、該組成物または製品と関連する表示上に明記されており、
式(I)中、
R
2、R
3、R
4およびR
5はそれぞれ独立してHまたはアセチル(CH
3CO-)であり、
R
6はHまたはCH
3であり、R
7はCH
3またはC2~C6の飽和のもしくは不飽和の炭化水素であり、
xおよびyはそれぞれ独立して3~14の整数であり、
但し、R
6がHである場合にはx+yは10超且つ18以下であり、R
6がCH
3である場合にはx+yは9超且つ17以下である、
組成物または製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、皮膚および消化管のケアならびに上皮癌(例えば皮膚癌および消化管癌)の処置および予防において使用される組成物に関する。具体的には、本発明は、ジヒドロキシ脂肪酸を含む1種または複数種のグリセリドを含む抗上皮癌組成物に関する。具体的に企図されているのは、皮膚および消化管のケアと、1種または複数種のジヒドロキシ脂肪酸化合物を含む抗上皮癌組成物と、そのような組成物の、皮膚障害、消化管の障害、粘膜表面の障害ならびに上皮癌(例えば消化管癌、例えば結腸直腸癌、咽喉癌、頬癌および胃癌)ならびに皮膚癌(例えば基底細胞癌、扁平上皮細胞癌および黒色腫)の処置または予防での使用とである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
上皮癌には、世界中に最も蔓延している癌のいくつかが含まれる。結腸直腸癌は、先進国の女性および男性それぞれにおいて2番目および3番目に最も一般的な癌であると報告されている。結腸直腸癌は先進国でより蔓延しており(米国、オーストラリア、欧州およびニュージーランドの割合が最も高い)、発生率は発展途上国と比べて10倍高い。手術は効果的であり得るが、良好な手術成績には早期発見が不可欠である。原発性腫瘍の処置でのまたはリンパ節外での転移の処置での現在の化学療法および放射線療法の有効性が討論されていることから、他の治療は大部分が延命および緩和ケアに向けられている。
【0003】
咽喉癌(食道癌、咽頭癌または喉頭癌とも称される)は、咽頭、上咽頭、中咽頭、下咽頭、喉頭(発声器)または扁桃の組織中で発生する腫瘍を包含する。咽喉癌治療として、手術、放射線療法または化学療法が挙げられる。咽喉癌の処置は喉を傷つける可能性があり、患者が食べる、呼吸するおよび眠る方法に変化をもたらす場合がある。頬癌の既存の処置も同様の問題を抱えている。
【0004】
胃(gastric)癌または胃(stomach)癌は、世界中での癌関連死の2番目に多い原因である。この疾患の初期段階では症状が現れない場合があることから、診断が遅れることが多い。胃癌を治癒させ得る唯一の処置は、胃を切除する手術(胃切除術)である。手術後の化学療法および放射線療法により、治癒の可能性が改善される場合がある。
【0005】
皮膚癌も同様に非常に蔓延しており、米国だけで毎年300万件超の症例が診断されている。オーストラリアおよびニュージーランドでは皮膚癌の割合が特に高く、発生率は米国と比べて4倍である。手術は効果的であり得るが、良好な手術成績には早期発見が不可欠である。原発性腫瘍(具体的には悪性黒色腫)の処置でのまたはリンパ節外での転移の処置での現在の化学療法および放射線療法の有効性が討論されていることから、他の治療は大部分が低リスク疾患に向けられている。
【0006】
従って、皮膚癌および/または消化管癌の処置および予防での使用に適したものならびに抗上皮癌活性の維持を支援し得るまたは抗上皮癌活性を増強し得るもの等の抗上皮癌組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上皮癌、例えば皮膚癌、例えば基底細胞癌、扁平上皮細胞癌および黒色腫ならびに/もしくは消化管癌、例えば結腸直腸癌、咽喉癌、頬癌および胃癌の処置もしくは予防での使用のための抗上皮癌組成物を提供すること、または少なくとも公衆に有用な選択肢を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、第1の局面では、本発明は、対象の上皮癌を処置するまたは予防する方法であって、必要とする対象に、式(I):
(式(I)中、
R
2、R
3、R
4およびR
5はそれぞれ独立してHまたはアセチル(CH
3CO-)であり、
R
6はHまたはCH
3であり、R
7はCH
3またはC2~C6の飽和のもしくは不飽和の炭化水素であり、
xおよびyはそれぞれ独立して3~14の整数であり、
但し、R
6がHである場合にはx+yは10超且つ18以下であり、R
6がCH
3である場合にはx+yは9超且つ17以下である)
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の有効な量を投与することを含む方法に関する。一態様では、本発明は、対象の上皮癌を処置するまたは予防する方法であって、必要とする対象に、
a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
a)~u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
からなる群のいずれか1つまたは複数から選択される化合物の有効な量を投与することを含む方法に関する。
【0009】
一態様では、この方法は、必要とする対象に、式(I)の少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物または
a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
a)~u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
からなる群のいずれか1つまたは複数から選択される化合物の有効な量を含む、から本質的になるまたはからなる組成物を投与することを含む。
【0010】
一態様では、本発明は、対象の皮膚癌を処置するまたは予防する方法であって、必要とする対象に、式(I)の少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物または
a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
a)~u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
からなる群のいずれか1つまたは複数から選択される化合物を含む、から本質的になるまたはからなる組成物の有効な量を投与することを含む方法に関する。
【0011】
別の局面では、本発明は、対象の上皮腫瘍形成を阻害する、上皮腫瘍成長を阻害するまたは上皮腫瘍転移を阻害する方法であって、必要とする対象への、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物または
a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
a)~u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
からなる群のいずれか1つまたは複数から選択される化合物の有効な量の投与を含む方法に関する。
【0012】
一態様では、本発明は、対象の皮膚腫瘍形成を阻害する、皮膚腫瘍成長を阻害するまたは皮膚腫瘍転移を阻害する方法であって、必要とする対象への、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物または
a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
a)~u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
からなる群のいずれか1つまたは複数から選択される化合物の有効な量の投与を含む方法に関する。
【0013】
別の局面は、対象の1種または複数種の腫瘍性上皮細胞のアポトーシスを誘発する方法であって、必要とする対象への、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療上有効な量または
a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
a)~u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
からなる群のいずれか1つまたは複数から選択される少なくとも1種の化合物の治療上有効な量を含む組成物の有効な量の投与を含む方法に関する。
【0014】
一態様では、この方法は、対象の1種または複数種の腫瘍性皮膚細胞のアポトーシスを誘発する方法であって、必要とする対象への、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物または
a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
a)~u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
からなる群のいずれか1つまたは複数から選択される化合物の有効な量の投与を含む方法である。
【0015】
一態様では、このアポトーシスは基底癌細胞についてである。別の態様では、このアポトーシスは扁平上皮癌細胞についてである。さらなる態様では、このアポトーシスは黒色腫細胞についてである。
【0016】
別の態様では、この方法は、対象の1種または複数種の腫瘍性消化管癌細胞のアポトーシスを誘発する方法である。
【0017】
例えば、このアポトーシスは、結腸直腸癌細胞、咽喉癌細胞、頬癌細胞または胃癌細胞についてである。
【0018】
別の局面は、対象の1種または複数種の腫瘍性上皮細胞の増殖を調節する方法であって、必要とする対象への、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物または
a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
a)~u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
からなる群のいずれか1つまたは複数から選択される化合物の有効な量の投与を含む方法に関する。
【0019】
一態様では、本発明は、対象の1種または複数種の腫瘍性皮膚細胞の増殖を調節する方法に関する。
【0020】
例えば、一態様では、この調節は低減である。従って、本発明は、対象の1種または複数種の腫瘍性皮膚細胞の増殖を低減する方法であって、必要とする対象への、3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、3,8-ジヒドロキシドコサン酸、1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロールおよび3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステルからなる群から選択される化合物の有効な量の投与を含む方法に関する。
【0021】
一態様では、この増殖は基底癌細胞についてである。別の態様では、この増殖は扁平上皮癌細胞についてである。さらなる態様では、この増殖は黒色腫細胞についてである。
【0022】
一態様では、この方法は、対象の1種または複数種の腫瘍性消化管癌細胞の増殖を調節する方法である。例えば、この増殖は結腸直腸癌細胞、咽喉癌細胞、頬癌細胞または胃癌細胞についてである。
【0023】
従って、本発明は、対象の1種または複数種の腫瘍性消化管癌細胞の増殖を低減する方法であって、必要とする対象への、3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、3,8-ジヒドロキシドコサン酸、1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロールおよび3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステルからなる群から選択される化合物の有効な量の投与を含む方法に関する。
【0024】
別の局面は、1種または複数種の腫瘍性上皮細胞のアポトーシスを誘発する方法、または1種または複数種の腫瘍性上皮細胞の増殖を調節する方法(例えばインビトロもしくはエクスビボで1種または複数種の腫瘍性上皮細胞の増殖を調節する方法)であって、この1種または複数種の細胞と、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物または
a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
a)~u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
からなる群のいずれか1つまたは複数から選択される化合物の有効な量を接触させることを含む方法に関する。
【0025】
さらなる局面では、本発明は、対象の上皮癌の処置または予防での使用のための組成物であって、式(I):
(式(I)中、
R
2、R
3、R
4およびR
5はそれぞれ独立してHまたはアセチル(CH
3CO-)であり、
R
6はHまたはCH
3であり、R
7はCH
3またはC2~C6の飽和のもしくは不飽和の炭化水素であり、
xおよびyはそれぞれ独立して3~14の整数であり、
但し、R
6がHである場合にはx+yは10超且つ18以下であり、R
6がCH
3である場合にはx+yは9超且つ17以下である)
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療上有効な量を含み、から本質的になり、またはなる組成物に関する。
【0026】
一態様では、X=4、R6=H、およびy=9、10、11、12または13。
【0027】
例えば、x=4、R4、R5およびR6=H、ならびにy=10、11または12。
【0028】
従って、別の局面では、本発明は、本明細書において定義された少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物または
a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
a)~u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
からなる群のいずれか1つまたは複数から選択される化合物)を含む、から本質的になるまたはからなる抗上皮癌組成物に関する。
【0029】
別の局面では、本発明は、本明細書において定義された少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物または
a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
a)~u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
からなる群のいずれか1つまたは複数から選択される化合物)を含む、から本質的になるまたはからなる薬学的組成物に関する。
【0030】
一態様では、この組成物は上皮癌の処置または予防での使用のためである。
【0031】
一態様では、この組成物は皮膚の健康の維持または改善のためである。
【0032】
一態様では、この組成物は消化管の健康の維持または改善のためである。
【0033】
別の局面では、本発明は、対象の上皮腫瘍形成(好ましくは皮膚腫瘍形成)を阻害する、上皮腫瘍成長(好ましくは皮膚腫瘍成長)を阻害する、上皮腫瘍転移(好ましくは皮膚腫瘍転移)を阻害するまたは上皮癌(好ましくは皮膚癌)を処置するもしくは予防する方法であって、必要な対象への、本明細書において定義された少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物)の治療上有効な量または
a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
a)~u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
からなる群のいずれか1つまたは複数から選択される少なくとも1種の化合物の治療上有効な量を含む、から本質的になるまたはからなる組成物の有効な量の別々の、同時のまたは連続した投与を含む方法に関する。
【0034】
別の局面は、上皮癌治療に対する対象の応答性を増加させる方法であって、この対象への、式(I)の化合物の治療上有効な量または本明細書において説明されている化合物a)~u)のいずれか1つまたは複数から選択される少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療上有効な量を含む組成物または本明細書において説明されている組成物の有効な量の投与を含む方法に関する。
【0035】
一態様では、この上皮癌治療は消化管癌治療である。例えば、この消化管癌治療は結腸直腸癌治療、咽喉癌治療、頬癌治療または胃癌治療である。
【0036】
一態様では、本発明は、皮膚癌治療に対する対象の応答性を増加させる方法であって、この対象への本明細書において説明されている組成物の投与を含む方法に関する。
【0037】
一態様では、この皮膚癌治療は基底細胞癌治療である。別の態様では、この皮膚癌治療は扁平上皮細胞癌治療である。さらなる態様では、この皮膚癌治療は黒色腫治療である。
【0038】
別の局面は、上皮癌治療に対する対象の上皮腫瘍の感度を増加させる方法であって、この対象への、式(I)の化合物の治療上有効な量または本明細書において説明されている化合物a)~u)のいずれか1つまたは複数から選択される少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療上有効な量を含む組成物または本明細書において説明されている組成物の有効な量の投与を含む方法に関する。
【0039】
別の局面は、処置に対して耐性を示す1種または複数種の上皮癌細胞の感受性を高める方法であって、式(I)の化合物の治療上有効な量または本明細書において説明されている化合物a)~u)のいずれか1つまたは複数から選択される少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療上有効な量を含む組成物の有効な量を投与することを含む方法に関する。
【0040】
一態様では、この上皮腫瘍は消化管腫瘍である。例えば、この消化管腫瘍は結腸直腸腫瘍、咽喉腫瘍、頬腫瘍または胃腫瘍である。
【0041】
一態様では、本発明は、癌治療に対する対象の皮膚腫瘍の感度を増加させる方法であって、この対象への本明細書において説明されている組成物の投与を含む方法に関する。
【0042】
一態様では、この皮膚腫瘍は基底細胞癌である。別の態様では、この皮膚腫瘍は扁平上皮細胞癌である。さらなる態様では、この皮膚腫瘍は黒色腫である。
【0043】
さらなる局面では、本発明は、処置に対して耐性を示す1種または複数種の上皮癌細胞を処置するために感受性を高める方法であって、この1種または複数種の上皮癌細胞に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の有効な量または本明細書において説明されている組成物の有効な量を投与することを含む方法に関する。
【0044】
一態様では、この上皮癌細胞は、対象中に存在する腫瘍を含む。
【0045】
一態様では、本発明は、処置に対して耐性を示す1種または複数種の上皮癌細胞(好ましくは皮膚癌細胞)の感受性を高める方法であって、この1種または複数種の上皮癌細胞(好ましくは皮膚癌細胞)に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の有効な量または本明細書において説明されている組成物の有効な量を投与することを含む。
【0046】
一態様では、この皮膚癌細胞は、対象中に存在する腫瘍を含む。
【0047】
本発明はまた、上皮癌に罹患している対象の腫瘍細胞の、上皮癌治療に対する耐性を少なくとも部分的に反転させる方法であって、この対象への、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療上有効な量または本明細書において説明されている化合物a)~u)のいずれか1つまたは複数から選択される少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療上有効な量を含む組成物または本明細書において説明されている組成物の有効な量の投与を含む方法にも関する。
【0048】
一態様では、この方法は、皮膚癌に罹患している対象の腫瘍細胞の、癌治療に対する耐性を少なくとも部分的に反転させる方法であって、この対象への、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物または本明細書において説明されている組成物の有効な量の投与を含む方法である。
【0049】
本発明はさらに、上皮癌に苦しめられている(好ましくは皮膚癌に苦しめられている)患者の、上皮癌治療(好ましくは皮膚癌治療)に対する耐性を完全にまたは部分的に反転させる方法であって、前記患者に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療上有効な量または本明細書において説明されている化合物a)~u)のいずれか1つまたは複数から選択される少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療上有効な量を含む組成物または本明細書において説明されている組成物の有効な量を投与する工程を含む方法に関する。
【0050】
別の局面では、本発明は、上皮癌治療による処置に対する耐性を示すか、あるいは耐性を示すもしくは耐性を示すようになると予想される、上皮癌に苦しめられている患者の1種または複数種の腫瘍の、上皮癌治療による処置に対する感受性を高める方法であって、前記患者に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療上有効な量または本明細書において説明されている化合物a)~u)のいずれか1つまたは複数から選択される少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療上有効な量を含む組成物または本明細書において説明されている組成物の有効な量を投与する工程を含む方法を提供する。
【0051】
一態様では、この方法は、皮膚癌治療による処置に対する耐性を示すまたは耐性を示すともしくは耐性を示すようになると予測される、皮膚癌に苦しめられている患者の1種または複数種の腫瘍の、皮膚癌治療による処置に対する感受性を高める方法であって、前記患者に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物または本明細書において説明されている組成物の有効な量を投与する工程を含む方法である。
【0052】
一態様では、この腫瘍は化学療法薬による処置に対して耐性を示す。
【0053】
一態様では、この対象はヒトである。さらなる局面では、本発明は、皮膚の健康または消化管の健康を改善する方法であって、必要とする対象に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物または本明細書において説明されている組成物の有効な量を投与することを含む方法に関する。
【0054】
一態様では、この組成物は相乗治療用組成物である。一態様では、この組成物は相乗治療効果をもたらす。
【0055】
一態様では、この組成物は、本明細書において説明されている化合物と、いずれか一方のみの効果と比べてまたはいずれか一方のみの相加効果と比べて大きい相乗治療効果をもたらす少なくとも1種の追加の治療薬とを含む。例えば、アポトーシスの誘発、上皮癌細胞の生存もしくは増殖(例えば、皮膚癌細胞の生存もしくは増殖)、治療に対して感受性を高めること、上皮癌(例えば皮膚癌)の処置もしくは予防、または処置方法に対する対象もしくは腫瘍の応答性への効果がより大きい。理論に拘束されることを望まないが、本発明者らは、この増強された効果は、例えば水分散性の改善による、この組成物の生物学的利用能の改善に起因するかもしれないと考える。一態様では、この化合物または少なくとも1種の追加の治療薬により、共投与されるまたは連続投与される上皮癌治療(例えば皮膚癌治療)の投与は必要に応じて用量または投与の長さが低減したり増加したりする。
【0056】
一態様では、この組成物(例えば相乗治療用組成物)は、ポプラ由来プロポリスに由来する少なくとも1種の追加の化合物または抽出物を含む。例えば、この組成物は、ピノセムブリン、CAPE、クリシン、ピノストロビンカルコン、ガランギン、カフェ酸ベンジル、フェルラ酸ベンジルまたはカフェ酸を含む群から選択される少なくとも1種の化合物をさらに含む。
【0057】
別の局面は、本明細書において説明されている目的のための薬物または組成物の製造における、本明細書において定義された少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物または
a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
a)~u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
からなる群のいずれか1つまたは複数から選択される化合物)の使用に関する。
【0058】
一態様では、この使用は、本明細書において説明されている目的のための薬物または組成物の製造における少なくとも1種の追加の治療薬と一緒での使用である。
【0059】
別の局面は、本明細書において説明されている目的のための薬物または組成物の製造における、本明細書において定義された少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物または
a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
a)~u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
からなる群のいずれか1つまたは複数から選択される化合物)を含む組成物の少なくとも1種の追加の治療薬との使用であって、この薬物または組成物は、この少なくとも1種の化合物および少なくとも1種の追加の治療薬の別々の、同時のまたは連続した投与を行うために製剤化されている、使用に関する。
【0060】
一態様では、この薬物または組成物はシクロデキストリンを含む。一態様では、この薬物または組成物は、本明細書において説明されている1種または複数種のジヒドロキシ脂肪酸化合物(例えば、シクロデキストリンと複合体化した式(I)の化合物)を含む。
【0061】
別の態様では、この化合物は、溶媒または溶媒の混合物(例えば、エタノール、エタノール/水、プロパノール、プロパノール/水、イソプロパノール、イソプロパノール/水、酢酸エチル、炭化水素溶媒、食用油またはプロピレングリコール)に溶解して提供される。
【0062】
一態様では、この薬物または組成物は、
a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
a)~u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
からなる群のいずれか1つまたは複数から選択される少なくとも1種の化合物が添加されているものである。
【0063】
別の局面は、下記での使用のための組成物に関する:ヒト対象の上皮腫瘍形成の阻害、上皮腫瘍成長の阻害、上皮腫瘍転移の阻害または上皮癌の処置もしくは予防;ヒト対象の1種または複数種の腫瘍性上皮細胞のアポトーシスの誘発;上皮癌治療に対するヒト対象の応答性の増加;上皮癌治療に対するヒト対象の上皮腫瘍の感度の増加;処置に対して耐性を示すヒト対象の1種または複数種の上皮癌細胞の感受性を高めること;上皮癌に罹患しているヒト対象の腫瘍細胞の、上皮癌治療に対する耐性の少なくとも部分的な反転;上皮癌に苦しめられているヒト患者の、上皮癌治療に対する耐性の完全なもしくは部分的な反転;あるいは上皮癌治療による処置に対して耐性を示すか、または耐性を示すもしくは耐性を示すようになると予想される、上皮癌に苦しめられているヒト患者の1種または複数種の腫瘍の、上皮癌治療による処置に対する感受性を高めること。
【0064】
一態様では、この組成物は下記での使用のためである:ヒト対象の皮膚腫瘍形成の阻害、皮膚腫瘍成長の阻害、皮膚腫瘍転移の阻害または皮膚癌の処置もしくは予防;ヒト対象の1種または複数種の腫瘍性皮膚細胞のアポトーシスの誘発;皮膚癌治療に対するヒト対象の応答性の増加;皮膚癌治療に対するヒト対象の皮膚腫瘍の感度の増加;処置に対して耐性を示すヒト対象の1種または複数種の皮膚癌細胞の感受性を高めること;皮膚癌に罹患しているヒト対象の腫瘍細胞の、皮膚癌治療に対する耐性の少なくとも部分的な反転;皮膚癌に苦しめられているヒト患者の、皮膚癌治療に対する耐性の完全なもしくは部分的な反転;あるいは皮膚癌治療による処置に対して耐性を示すか、または耐性を示すもしくは耐性を示すようになると予想される、皮膚癌に苦しめられているヒト患者の1種または複数種の腫瘍の、皮膚癌治療による処置に対する感受性を高めること。
【0065】
一例では、本発明は、皮膚癌の処置または予防での使用のための組成物に関する。
【0066】
一態様では、この組成物はシクロデキストリンをさらに含む。
【0067】
一態様では、この組成物はプロポリス(例えば、ポプラ由来プロポリス)をさらに含む。
【0068】
一態様では、この組成物は、ポプラに由来する抽出物(例えば、本明細書の実施例で説明されているポプラの葉または芽の滲出物)をさらに含む。
【0069】
様々な態様では、この組成物は、プロポリス(例えば、ポプラ由来プロポリス、例えば、プロポリス抽出物もしくは画分、プロポリス樹脂、プロポリス樹脂抽出物および/またはポプラ由来の抽出物)を含み、このプロポリス、プロポリス樹脂、プロポリス樹脂抽出物および/またはポプラ由来の抽出物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富んでいる。
【0070】
一態様では、この組成物は、プロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、シクロデキストリンとをさらに含む。
【0071】
一態様では、このシクロデキストリンはアルファ-シクロデキストリンである。
【0072】
一態様では、このシクロデキストリンはベータ-シクロデキストリンである。
【0073】
一態様では、このシクロデキストリンはガンマ-シクロデキストリンである。
【0074】
一態様では、このシクロデキストリンはヒドロキシプロピルベータ-シクロデキストリンである。
【0075】
一態様では、このシクロデキストリンはヒドロキシプロピルガンマ-シクロデキストリンである。
【0076】
一態様では、このシクロデキストリンは、シクロデキストリンの混合物である。
【0077】
一態様では、この抗皮膚癌組成物は抗基底細胞癌組成物である。別の態様では、この抗皮膚癌組成物は抗扁平上皮細胞癌組成物である。さらなる態様では、この抗皮膚癌組成物は抗黒色腫組成物である。
【0078】
別の局面では、本発明は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物を含む、から本質的になるまたはからなる薬学的組成物に関する。
【0079】
一態様では、この組成物は、プロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物とを含み、例えば、この組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が添加されているプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物を含む。別の態様では、この組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリスおよび/またはポプラの芽もしくは葉の滲出物からの画分、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物を含む。
【0080】
一態様では、このプロポリスはポプラ由来プロポリスである。
【0081】
一態様では、この組成物はシクロデキストリンをさらに含む。
【0082】
一態様では、この組成物は、皮膚の健康の維持または改善のためである。従って、一態様では、本発明は、皮膚の健康の維持または改善のための薬学的組成物であって、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、シクロデキストリンとを含む、から本質的になるまたはからなる組成物に関する。
【0083】
一態様では、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリスはプロポリス樹脂であり、例えばポプラ由来プロポリス樹脂である。一態様では、この樹脂はプロポリス樹脂(例えばポプラ由来プロポリス樹脂)であり、このシクロデキストリンはアルファ、ベータまたはガンマ-シクロデキストリンである。
【0084】
別の局面では、本発明は、対象の皮膚癌を処置するまたは予防する方法、皮膚腫瘍形成を阻害する、皮膚腫瘍成長を阻害するまたは皮膚腫瘍転移を阻害する方法、対象の1種または複数種の腫瘍性皮膚細胞のアポトーシスを誘発する方法、対象の1種または複数種の腫瘍性皮膚細胞の増殖を調節する方法、皮膚癌治療に対する対象の応答性を増加させる方法、皮膚癌治療に対する対象の皮膚腫瘍の感度を増加させる方法、処置に対して耐性を示す1種または複数種の皮膚癌細胞の感受性を高める方法であって、必要な対象またはこの1種または複数種の細胞に、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とシクロデキストリンとを含む、から本質的になるまたはからなる組成物の有効な量を投与することを含む方法に関する。
【0085】
一態様では、このアポトーシスは、皮膚腫瘍細胞(例えば基底癌細胞、扁平上皮癌細胞または黒色腫細胞)についてである。
【0086】
一態様では、この調節は低減である。従って、本発明は、対象の1種または複数種の腫瘍性皮膚細胞の増殖を低減する方法であって、必要とする対象への、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とシクロデキストリンとを含む、から本質的になるまたはからなる組成物の有効な量の投与を含む方法に関する。
【0087】
一態様では、この増殖は、皮膚腫瘍細胞(例えば基底癌細胞、扁平上皮癌細胞または黒色腫細胞)についてである。
【0088】
一態様では、この皮膚癌細胞は、対象中に存在する腫瘍を含む。一態様では、この皮膚癌細胞は基底癌細胞である。別の態様では、この皮膚癌細胞は扁平上皮癌細胞である。さらなる態様では、この皮膚癌細胞は黒色腫細胞である。
【0089】
本発明はまた、皮膚癌に罹患している対象の腫瘍細胞の、皮膚癌治療に対する耐性を少なくとも部分的に反転させる方法であって、この対象への、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とシクロデキストリンとを含む、から本質的になるまたはからなる組成物の投与を含む方法にも関する。
【0090】
本発明はさらに、皮膚癌に苦しめられている患者の、皮膚癌治療に対する耐性を完全にまたは部分的に反転させる方法であって、前記患者に、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とシクロデキストリンとを含む、から本質的になるまたはからなる組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0091】
別の局面では、本発明は、皮膚癌治療による処置に対して耐性を示すか、または耐性を示すもしくは耐性を示すようになると予想される、皮膚癌に苦しめられている患者の1種または複数種の腫瘍の感受性を高める方法であって、前記患者に、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とシクロデキストリンとを含む、から本質的になるまたはからなる組成物を投与する工程を含む方法を提供する。
【0092】
一態様では、この1種または複数種の腫瘍は、1種または複数種の腫瘍内のまたは患者内の1種または複数種の前癌細胞生存シグナル伝達経路の活性化の増加(例えば、例えば患者からのサンプル(例えば組織サンプル、腫瘍生検、または血液もしくは血漿のサンプル)内のAKT、JNKまたはJAK/STATシグナル伝達経路のうちの1つまたは複数の活性化の増加)に起因して、皮膚癌治療に対して耐性を示すか、または耐性を示すもしくは耐性を示すようになると予想される。
【0093】
一態様では、本発明は、1種または複数種の腫瘍内のまたは患者内の1種または複数種の前癌細胞生存シグナル伝達経路を不活性化するまたは抑制する方法を提供する。例えば、本発明は、1種または複数種の腫瘍内のAKT、JNKまたはJAK/STATシグナル伝達経路のうちの1つまたは複数を不活性化するまたは抑制する方法に関する。
【0094】
一態様では、この1種または複数種の腫瘍は、この腫瘍内のAKT、JNKまたはJAK/STATシグナル伝達経路のうちの1つまたは複数の活性化の増加に起因して、皮膚癌治療に対して耐性を示すか、または耐性を示すもしくは耐性を示すようになると予想される。
【0095】
一態様では、本発明は、腫瘍が原発性皮膚癌治療に対して耐性を示すようになることを予防する方法であって、前記耐性は、例えばこの腫瘍内のAKT、JNKまたはJAK/STATシグナル伝達経路のうちの1つまたは複数の活性化の増加により少なくとも部分的に媒介される、方法を提供する。
【0096】
一態様では、この腫瘍は化学療法薬による処置に対して耐性を示す。
【0097】
一態様では、この皮膚癌は基底細胞癌である。別の態様では、この皮膚癌は扁平上皮細胞癌である。さらなる態様では、この皮膚癌は黒色腫である。
【0098】
一態様では、この組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、アルファ-シクロデキストリンと(例えば、ポプラ由来のプロポリスとアルファ-シクロデキストリンと等の、ポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、シクロデキストリンと)を含む、から本質的になる、またはからなる。
【0099】
一態様では、この組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とベータ-シクロデキストリンと(例えば、ポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とベータ-シクロデキストリンと等の、ポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、シクロデキストリンと)を含む、から本質的になる、またはからなる。
【0100】
一態様では、この組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とガンマ-シクロデキストリンと(例えば、ポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とガンマ-シクロデキストリンと等の、ポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、シクロデキストリンと)を含む、から本質的になる、またはからなる。
【0101】
さらなる局面では、本発明は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とシクロデキストリンとを含む相乗作用組成物を提供する。一態様では、この組成物は相乗治療用組成物である。一態様では、この組成物は相乗治療効果をもたらす。
【0102】
一態様では、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とシクロデキストリンとは、いずれか一方のみの効果と比べてまたはいずれか一方のみの相加効果と比べて大きい相乗治療効果をもたらす。例えば、アポトーシスの誘発、皮膚癌細胞の生存もしくは増殖、治療に対して感受性を高めること、皮膚癌の処置もしくは予防、または処置方法に対する対象もしくは腫瘍の応答性への効果がより大きい。一態様では、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とシクロデキストリンとにより、共投与されるまたは連続投与される皮膚癌治療の投与は必要に応じて用量または投与の長さが低減したり増加したりする。
【0103】
別の局面は、本明細書において説明されている目的のための組成物の製造における、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とシクロデキストリンとの使用に関する。
【0104】
別の局面は、本明細書において説明されている目的のための組成物の製造における、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とシクロデキストリンとの、少なくとも1種の追加の治療薬と一緒での使用に関する。一態様では、この使用は、富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とアルファ-シクロデキストリンとについてである。一態様では、この使用は、富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とベータ-シクロデキストリンとについてである。一態様では、この使用は、富むプロポリスとガンマ-シクロデキストリンとについてである。
【0105】
本発明の別の局面は、本明細書において説明されている目的のための組成物の製造における、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とシクロデキストリンとを含む複合体の、少なくとも1種の追加の治療薬と一緒での使用であって、この組成物は、プロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とシクロデキストリンとの複合体および少なくとも1種の治療薬の別々の、同時のまたは連続した投与を行うために製剤化されている、使用に関する。
【0106】
別の局面は、皮膚の健康の改善での使用のための、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とシクロデキストリンとを含む、から本質的になるまたはからなる組成物に関する。一態様では、この組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、アルファ-シクロデキストリンとを含む、から本質的になる、またはからなる。一態様では、この組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、ガンマ-シクロデキストリンとを含む、から本質的になる、またはからなる。
【0107】
別の局面では、本発明は、対象の皮膚癌の処置または予防での使用のための、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、シクロデキストリンとを含む、から本質的になるまたはからなる組成物に関する。一態様では、この組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、アルファ-シクロデキストリンとを含む、から本質的になる、またはからなる。一態様では、この組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、ガンマ-シクロデキストリンとを含む、から本質的になる、またはからなる。
【0108】
別の局面は、本明細書において説明されている目的のための同時の、別々のまたは連続した使用のための複合型調製物としての、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、シクロデキストリンと、任意で1種または複数種の、2種以上のまたは3種以上の追加の治療薬とを含む、から本質的になるまたはからなる製品に関する。
【0109】
別の局面は、皮膚癌の処置または予防での使用ための組成物に関する。
【0110】
一局面は、プロポリスもしくはポプラ、プロポリス樹脂またはそれらの抽出物もしくは滲出物からの式(I)の化合物または式(I)の化合物の混合物を単離するまたは精製する方法であって、
ポプラ、プロポリス、プロポリス樹脂またはそれらの抽出物もしくは滲出物を準備する工程、および
このポプラ、プロポリス、プロポリシ樹脂またはそれらの抽出物もしくは滲出物からこの化合物またはこの化合物の混合物を単離するまたは精製する工程
を含む方法に関する。
【0111】
様々な態様では、この方法は、下記の非限定的な工程のうちの1つまたは複数を含む:
a)このポプラ、プロポリス、プロポリス樹脂またはそれらの抽出物もしくは滲出物を、クロマトグラフィー(例えばカラムクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィーもしくは超臨界流体クロマトグラフィー)および/または溶媒分割(solvent partitioning)および/または超臨界抽出により分画して、式(I)の化合物のうちの1種または複数種を含む1つまたは複数の画分を得る工程、
b)このポプラ、プロポリス、プロポリス樹脂またはそれらの抽出物もしくは溶媒和物または1つまたは複数の画分を、分取HPLCおよび/またはポリマー樹脂分画により分画して、式(I)の化合物のうちの1種または複数種を含む1つまたは複数の画分を得る工程、ならびに任意で
c)工程b)の1つまたは複数の画分から式(I)の化合物をさらに精製する工程、および/または工程c)の1つまたは複数の画分から式(I)の化合物をさらに精製する工程。
【0112】
さらなる態様では、このポプラ、プロポリス、プロポリス樹脂または抽出物もしくは滲出物を、加水分解反応、メチル化反応またはアセチル化反応にかけ、次いで工程a)、b)またはc)のうちの1つまたは複数を実施して、式(I)の1種または複数種の化合物を単離精製することが可能である。
【0113】
さらなる局面は、式(I)の化合物を含む抗上皮癌効果のマーカーに関する。
【0114】
別の局面は、組成物または製品の抗上皮癌効果を評価する方法であって、
a)この組成物または製品の試料を準備すること、ならびに
b)下記のいずれか:
i)この試料中での式(I)の1種または複数種の化合物の存在を決定すること、
または
ii)この試料中の式(I)の1種または複数種の化合物の量および/もしくは濃度を測定し、この試料中のこの1種または複数種の化合物のうちの1種または複数種の量および/もしくは濃度が、抗上皮癌効果をもたらすことが既知である化合物の参照量以上であるかどうかを決定すること、ならびに任意で、
iii)インビトロまたはインビボのバイオアッセイを使用して、この化合物および/またはこの化合物を含む画分の生物活性を決定すること
を含む方法に関する。
【0115】
さらなる局面は、組成物または製品の抗上皮癌効果を評価する方法であって、
a)この組成物または製品の試料中での式(I)の1種または複数種の化合物の存在および/または量についての情報を受け取ること、ならびに
b)この試料中の各化合物の量が、抗上皮癌効果をもたらすことが既知である化合物の参照量以上であるかどうかを決定すること
を含む方法に関する。
【0116】
さらなる局面は、組成物または製品の抗上皮癌効果を評価する方法であって、
a)ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーまたは超臨界流体クロマトグラフィーを使用して、この組成物または製品の試料中での式(I)の1種または複数種の化合物の存在および/または量を確認すること、ならびに
b)この試料中の各化合物の量が、抗上皮癌効果をもたらすことが既知である化合物の参照量以上であるかどうかを決定すること
を含む方法に関する。
【0117】
様々な態様では、この組成物または製品の抗上皮癌効果を評価する方法は、下記の工程のいずれか1つまたは複数を含む:
a)溶媒分割および/または超臨界抽出および/またはクロマトグラフィー(例えば逆相クロマトグラフィー)により、この試料を分画して、式(I)の化合物のうちの1種または複数種に富む1つまたは複数の画分を得る工程、
b)溶媒抽出もしくは超臨界抽出またはクロマトグラフィーのうちの1つまたは複数により、この式(I)の化合物のうちの1種または複数種に富む1つまたは複数の画分をさらに分画して、式(I)の化合物のうちの1種または複数種に非常に富む1つまたは複数の画分を得る工程、
c)例えばガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーまたは超臨界クロマトグラフィーのうちの1つまたは複数により、この非常に富む画分を分析して、この試料中での式(I)の化合物のうちの1種または複数種の存在および/または量を決定する工程。
【0118】
様々な態様では、この組成物または製品の抗上皮癌効果を評価する方法は、下記の工程のいずれか1つまたは複数を含む:
a.クロマトグラフィー(例えば逆相クロマトグラフィー)により試料を分画して、1つまたは複数のクロマトグラフィー画分を得る工程、
b.分取HPLCにより、この試料もしくはクロマトグラフィー画分を分画して、1つまたは複数のHPLC画分を得る工程、
c.分取HPLCにより生じた痕跡を分析して、この試料中での化合物の存在および/もしくは量を決定する工程、ならびに/または
d.この試料、1つまたは複数の逆クロマトグラフィー画分または1つまたは複数のHPLC画分を質量分析にかけて、この試料中での式(I)の1種または複数種の化合物の存在および/もしくは量を決定する工程。
【0119】
一態様では、この試料中での式(I)の化合物のうちの1種または複数種の存在および/または量の決定は、質量分析(例えば液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS))による。
【0120】
一局面では、本発明は、式(I)の1種または複数種の化合物を含む組成物または製品であって、式(I)の1種または複数種の化合物の量および/または濃度が、この組成物または製品と関連する表示(例えば、限定されないが、製品ラベル、分析証明書、ウェブサイト、販促資料)上に明記されている、組成物または製品に関する。
【0121】
様々な態様では、式(I)の化合物は、
a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
からなる群から選択される。
【0122】
一態様では、この組成物または製品は、プロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス抽出物であり、または含み、例えば、式(I)の1種または複数種の化合物を含むまたは富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物である、または含む。
【0123】
一態様では、この組成物または製品と関連する表示は、ラベルまたは包装挿入物である。
【0124】
一態様では、この組成物または製品と関連する表示は、分析証明書(COA)である。
【0125】
一態様では、この組成物または製品と関連する表示は、この製品を販売促進するウェブサイトである。
【0126】
一態様では、この組成物または製品と関連する表示は、この製品を販売促進する小冊子またはパンフレットである。
【0127】
下記の態様は、上記の局面のいずれかに関連し得る。
【0128】
様々な態様では、上皮癌は表皮癌または類表皮癌である。
【0129】
様々な態様では、上皮癌は消化管癌であり、例えば結腸直腸癌、咽喉癌、食道癌、頬癌または胃癌である。例えば、一態様では、結腸直腸癌は結腸腺癌である。別の態様では、食道癌は食道扁平上皮癌である。別の態様では、胃癌(gastric cancer)は胃癌(gastric carcinoma)である。
【0130】
他の態様では、上皮癌は皮膚癌であり、例えば基底細胞癌、扁平上皮細胞癌または黒色腫である。
【0131】
様々な態様では、本組成物は、カフェ酸フェニルエーテルエステル(CAPE)、カフェ酸、ピノセムブリン、カフェ酸ベンジル、フェルラ酸ベンジル、イソフェルラ酸ベンジル、クリシン、カフェ酸シンナミル、ピノストロビンカルコン、ガランギンおよびピノバンクシンのうちの1つまたは複数をさらに含む。
【0132】
例示的な態様では、本組成物は、CAPE、カフェ酸、ピノセムブリン、カフェ酸ベンジル、フェルラ酸ベンジル、イソフェルラ酸ベンジル、カフェ酸シンナミル、ピノストロビンカルコン、クリシン、ガランギンおよびピノバンクシン-3-アセテートのうちの1つまたは複数が添加されているものである。
【0133】
一態様では、本組成物はCAPE濃度が約1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、75、80、90、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500または600mg/gよりも高く、有効範囲はこれらの値のいずれかの間で選択され得る(例えば約1~約5、約1~約10、約2~約20、約5~約20、約5~約25、約10~約25、約10~約40、約15~約100または約20~約600mg/g)。
【0134】
一態様では、本組成物はピノセムブリン濃度が約1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、75、80、90、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500または600mg/gよりも高く、有効範囲はこれらの値のいずれかの間で選択され得る(例えば約1~約5、約1~約10、約2~約20、約5~約20、約5~約25、約10~約25、約10~約40、約15~約100または約20~約600mg/g)。
【0135】
一態様では、本組成物はガランギン濃度が約1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、75、80、90、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500または600mg/gよりも高く、有効範囲はこれらの値のいずれかの間で選択され得る(例えば約1~約5、約1~約10、約2~約20、約5~約20、約5~約25、約10~約25、約10~約40、約15~約100または約20~約600mg/g)。
【0136】
一態様では、本組成物はクリシン濃度が約1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、75、80、90、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500または600mg/gよりも高く、有効範囲はこれらの値のいずれかの間で選択され得る(例えば約1~約5、約1~約10、約2~約20、約5~約20、約5~約25、約10~約25、約10~約40、約15~約100または約20~約600mg/g)。
【0137】
一態様では、本組成物はピノバンクシン濃度が約1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、75、80、90、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500または600mg/gよりも高く、有効範囲はこれらの値のいずれかの間で選択され得る(例えば約1~約5、約1~約10、約2~約20、約5~約20、約5~約25、約10~約25、約10~約40、約15~約100または約20~約600mg/g)。
【0138】
一態様では、本組成物はカフェ酸濃度が約1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、75、80、90、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500または600mg/gよりも高く、有効範囲はこれらの値のいずれかの間で選択され得る(例えば約1~約5、約1~約10、約2~約20、約5~約20、約5~約25、約10~約25、約10~約40、約15~約100または約20~約600mg/g)。
【0139】
一態様では、本組成物はカフェ酸ベンジル濃度が約1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、75、80、90、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500または600mg/gよりも高く、有効範囲はこれらの値のいずれかの間で選択され得る(例えば約1~約5、約1~約10、約2~約20、約5~約20、約5~約25、約10~約25、約10~約40、約15~約100または約20~約600mg/g)。
【0140】
一態様では、本組成物はフェルラ酸ベンジル濃度が約1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、75、80、90、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500または600mg/gよりも高く、有効範囲はこれらの値のいずれかの間で選択され得る(例えば約1~約5、約1~約10、約2~約20、約5~約20、約5~約25、約10~約25、約10~約40、約15~約100または約20~約600mg/g)。
【0141】
一態様では、本組成物はカフェ酸シンナミル濃度が約1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、75、80、90、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500または600mg/gよりも高く、有効範囲はこれらの値のいずれかの間で選択され得る(例えば約1~約5、約1~約10、約2~約20、約5~約20、約5~約25、約10~約25、約10~約40、約15~約100または約20~約600mg/g)。
【0142】
一態様では、本組成物はフェルラ酸シンナミル濃度が約1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、75、80、90、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500または600mg/gよりも高く、有効範囲はこれらの値のいずれかの間で選択され得る(例えば約1~約5、約1~約10、約2~約20、約5~約20、約5~約25、約10~約25、約10~約40、約15~約100または約20~約600mg/g)。
【0143】
様々な態様では、シクロデキストリンはアルファ-シクロデキストリンである、またはシクロデキストリンは、アルファ-シクロデキストリンを含むシクロデキストリンの組み合わせとして存在する。
【0144】
様々な態様では、シクロデキストリンはベータ-シクロデキストリンである、またはシクロデキストリンは、ベータ-シクロデキストリンを含むシクロデキストリンの組み合わせとして存在する。
【0145】
様々な態様では、シクロデキストリンはガンマ-シクロデキストリンである、またはシクロデキストリンは、ガンマ-シクロデキストリンを含むシクロデキストリンの組み合わせとして存在する。
【0146】
一態様では、シクロデキストリンは化学的に改変されたシクロデキストリンであり、この例はStella and He,Cyclodextrins,Toxicologic Pathology,36,2008,30-42で説明されている。
【0147】
一態様では、この化学的に改変されたシクロデキストリンは、ヒドロキシプロピルベータシクロデキストリンまたはヒドロキシプロピルガンマシクロデキストリンである。
【0148】
一態様では、プロポリスは、プロポリスの抽出物または画分として抗上皮癌組成物中に存在する。
【0149】
一態様では、抗上皮癌組成物中に存在するプロポリスはロウを含まない。例えば、このプロポリスは、当技術分野において既知の抽出プロセスを使用して脱ロウされている。脱ロウされたプロポリスは、「プロポリス樹脂」として知られるまたは称されることが多い。
【0150】
一態様では、プロポリスは「ポプラ由来」プロポリスまたは「ポプラ」プロポリスである。例えば、「ポプラ由来」プロポリスは、ポプラ、カバノキ、カラマツまたはヤナギのうちの1種または複数種の芽および葉の滲出物に少なくとも部分的に由来する。
【0151】
一態様では、本組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約1.0重量%~約99重量%のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物を含む。一態様では、この組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約1.0重量%~約99重量%のプロポリス樹脂を含む。
【0152】
様々な態様では、本組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約1重量%~約99重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約1重量%~約25重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約1重量%~約30重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約1重量%~約40重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約1重量%~約50重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約5重量%~約25重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約5重量%~約30重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約5重量%~約40重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約5重量%~約50重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約5重量%~約99重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約10重量%~約25重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約10重量%~約30重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約10重量%~約40重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約10重量%~約50重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約10重量%~約99重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約15重量%~約25重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約15重量%~約30重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約15重量%~約40重量%のプロポリス、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約15重量%~約50重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約15重量%~約99重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約20重量%~約25重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約20重量%~約30重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約20重量%~約40重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約20重量%~約50重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約20重量%~約99重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、または式(I)の1種または複数種の化合物に富む約25重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物、または式(I)の1種または複数種の化合物に富む約30重量%のプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物を含む。
【0153】
様々な態様では、本組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約1重量%~約99重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約1重量%~約25重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約1重量%~約30重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約1重量%~約40重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約1重量%~約50重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約5重量%~約25重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約5重量%~約30重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約5重量%~約40重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約5重量%~約50重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約5重量%~約99重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約10重量%~約25重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約10重量%~約30重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約10重量%~約40重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約10重量%~約50重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約10重量%~約99重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約15重量%~約25重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約15重量%~約30重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約15重量%~約40重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約15重量%~約50重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約15重量%~約99重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約20重量%~約25重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約20重量%~約30重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約20重量%~約40重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約20重量%~約50重量%のプロポリス樹脂、式(I)の1種または複数種の化合物に富む約20重量%~約99重量%のプロポリス樹脂、または式(I)の1種または複数種の化合物に富む約25重量%のプロポリス樹脂、または式(I)の1種または複数種の化合物に富む約30重量%のプロポリス樹脂を含む。
【0154】
一態様では、本組成物中のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、シクロデキストリン内で完全に封入されている。
【0155】
一態様では、本組成物中でのプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物のシクロデキストリンに対するモル比は約1.1以下である。
【0156】
一態様では、プロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、ポプラ由来のプロポリス、プロポリス抽出物またはプロポリス樹脂抽出物である。
【0157】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、3,8-ジヒドロキシエイコサン酸を含む、および/または3,8-ジヒドロキシエイコサン酸に富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロールを含む、および/または1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロールに富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロールを含む、および/または1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロールに富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロールを含む、および/または1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロールに富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロールを含む、および/または1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロールに富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロールを含む、および/または1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロールに富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステルを含む、および/または3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステルに富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸を含む、および/または3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸に富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロールを含む、および/または1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロールに富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロールを含む、および/または1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロールに富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロールを含む、および/または1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロールに富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロールを含む、および/または1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロールに富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロールを含む、および/または1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロールに富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステルを含む、および/または3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステルに富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、3,8-ジヒドロキシドコサン酸を含む、および/または3,8-ジヒドロキシドコサン酸に富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロールを含む、および/または1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロールに富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロールを含む、および/または1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロールに富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロールを含む、および/または1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロールに富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロールを含む、および/または1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロールに富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロールを含む、および/または1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロールに富む。一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステルを含む、および/または3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステルに富む。
【0158】
一態様では、このポプラ由来プロポリスは、本明細書において説明されている化合物a)~u)のいずれか1つまたは複数を、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、約2.5mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約5.5mg/kg、約6mg/kg、約7.5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約40mg/kg、約50mg/kg、約75mg/kg、約100mg/kg、約125mg/kg、約150mg/kg、約175mg/kg、約200mg/kg、250mg/kg、約300mg/kg、約350mg/kg、約400mg/kg、約450mg/kg、約500mg/kg、約550mg/kgまたは約600mg/kgを超える濃度で有する。
【0159】
一部の態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、少なくとも約0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、7.5、10、15、20、25、30、40、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または1000mg/gの、本明細書において説明されている化合物a)~u)のいずれか2つ以上、3つ以上または4つ以上を有し、有効範囲はこれらの値のいずれかから選択され得る(例えば約1~約400、約1~約100、約5~約1000、約5~約500、約5~約300または約5~約100)。例えば、一部の態様では、このポプラ由来プロポリスは、約1mg/g~1000mg/gの濃度で、1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロールおよび1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロ-ル、または1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロールおよび1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、または1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロールおよび1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロールおよび化合物a)~c)、e)~j)もしくはl)~u)のいずれか1つまたは複数を有する。
【0160】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、3,8-ジヒドロキシエイコサン酸濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0161】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0162】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0163】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0164】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0165】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0166】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0167】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0168】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0169】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0170】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0171】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0172】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0173】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0174】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、3,8-ジヒドロキシドコサン酸濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0175】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0176】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0177】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0178】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0179】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0180】
一態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、aおよび3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル濃度が少なくとも約0.1mg/g、約0.5mg/g、約1mg/g、約1.5mg/g、約2mg/g、約2.5mg/g、約3mg/g、約3.5mg/g、約4mg/g、約4.5mg/g、約5mg/g、約5.5mg/g、約6mg/g、約7.5mg/g、約10mg/g、約15mg/g、約20mg/g、約25mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約125mg/g、約150mg/g、約175mg/g、約200mg/g、250mg/g、約300mg/g、約350mg/g、約400mg/g、約450mg/g、約500mg/g、約550mg/gまたは約600mg/gである。
【0181】
様々な態様では、このポプラ由来のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、CAPE、クリシン、ガランギン、ピノセムブリン、ピノバンクシン、カフェ酸ベンジル、フェルラ酸ベンジル、イソフェルラ酸ベンジル、カフェ酸シンナミル、フェルラ酸シンナミル、ピノストロビンカルコンおよびカフェ酸のうちの2つ以上の任意の組み合わせをさらに含む。
【0182】
様々な態様では、本組成物は少なくとも1種の追加の治療薬を含み、またはこの治療薬と別々に、同時にもしくは連続して投与され、好ましくは、この少なくとも1種の追加の治療薬は抗腫瘍剤であり、好ましくは、この抗腫瘍剤は、抗腫瘍食品因子(anti-tumour food factor)、化学療法剤または免疫療法剤から選択される。
【0183】
様々な態様では、皮膚癌治療、治療剤または抗腫瘍剤はアポトーシスを誘発するのに有効であり、例えば1種または複数種の皮膚癌細胞または1種または複数種の腫瘍細胞でアポトーシスを誘発するのに有効である。
【0184】
一態様では、本組成物は消費財である。
【0185】
一態様では、本組成物は局所投与用の組成物である。
【0186】
一態様では、この局所用組成物は、1種または複数種の浸透剤、光保護剤、UV保護剤、ビタミン、保湿剤、オイル、親水性もしくは親油性のゲル化剤、親水性もしくは親油性の活性剤、保存剤、酸化防止剤、溶媒、芳香剤、賦形剤、顔料、臭気吸収剤または色素を含む。
【0187】
一態様では、本組成物は、食品、飲料、食品添加物、飲料添加物、栄養補助食品、栄養製品、医療食品、機能性食品、薬物または医薬品である。
【0188】
様々な態様では、本組成物は、経口投与用に、局所投与用にまたは非経口投与用に製剤化されている。
【0189】
一態様では、経口投与用に製剤化されている組成物はガンマ-シクロデキストリンを含む。
【0190】
一態様では、局所投与用に製剤化されている組成物はアルファ-シクロデキストリンを含む。
【0191】
一態様では、局所投与用に製剤化されている組成物はベータ-シクロデキストリンを含む。
【0192】
一態様では、本組成物は1種または複数種の追加の抗上皮癌剤を含む。
【0193】
一態様では、本組成物は薬学的組成物である。
【0194】
様々な態様では、化学療法剤は、下記を含む群から選択される:有糸分裂阻害剤、例えばビンカアルカロリド、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ビンフルニン、ポドフィロトキシン、タキサン、例えばドセタキセル、ラロタキセル、オルタタキセル、パクリタキセルおよびテセタキセル、ならびにエポチロン、例えばイキサベピロン;トポイソメラーゼI阻害剤、例えばトポテカン、イリノテカン、カンプトテシン、ルビテカンおよびベロテカン、トポイソメラーゼII型阻害剤、例えばアムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシドおよびテニポシド、アントラサイクリン、例えばアクラルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アムルビシン、ピラルビシン、バルルビシンおよびゾルビシン、ならびにアントラセンジオン、例えばミトキサントロンおよびピクサントロン;代謝拮抗薬、例えばジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害剤、例えばアミノプテリン、メトトレキサート、ペメトレキセド、チミジル酸シンターゼ阻害剤、例えばラルチトレキセドおよびペメトレキセド、アデノシンデアミナーゼ阻害剤、例えばペントスタチン、ハロゲン化またはリボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、例えばクラドリビン、クロファラビンおよびフルダラビン、チオプリン、例えばチオグアニンおよびメルカプトプリン、チミジル酸シンターゼ阻害剤、例えばフルオロウラシル、カペシタビン、テガフール、カルモフールおよびフロクスウリジン、DNAポリメラーゼ阻害剤、例えばシタラビン、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、例えばゲムシタビン、低メチル化剤(hypomethylating agent)、例えばアザシチジンおよびデシタビン、ならびにリボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、例えばヒドロキシ尿素;細胞周期に非特異的な抗悪性腫瘍剤、例えばアルキル化剤、例えばナイトロジェンマスタード、例えばメクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン、プレドニムスチン、ベンダムスチン、ウラムスチン(uramustine)、エストラムスチン、ニトロソ尿素、例えばカルムスチン、ロムスチン、セムスチン、フォテムスチン、ニムスチン、ラニムスチンおよびストレプトゾシン、スルホン酸アルキル、例えばブスルファン、マンノスルファンおよびトレオスルファン、アジリジン、例えばカルボコン、チオTEPA、トリアジコンおよびトリエチレンメラミン、アルキル化様剤、例えば白金剤、例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、サトラプラチン、ヒドラジン、例えばプロカルバジン、トリアゼン、例えばダカルバジン、テモゾロミド、アルトレタミンおよびミトブロニトール、ならびにストレプトマイシン、例えばアクチノマイシン、ブレオマイシン、ダウノマイシン、マイトマイシンおよびプリカマイシン;光増感剤、例えばアミノレブリン酸、アミノレブリン酸メチル、エファプロキシラル、ならびにポルフィリン誘導体、例えばポルフィマーナトリウム、タラポルフィン、テモポルフィンおよびベルテポルフィン;酵素阻害剤、例えばファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばチピファルニブ、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、例えばアルボシジブおよびセリシクリブ(seliciclib)、プロテアソーム阻害剤、例えばボルテゾミブ、ホスホジエステラーゼ阻害剤、例えばアナグレリド、IMPデヒドロゲナーゼ阻害剤、例えばチアゾフリン、リポキシゲナーゼ阻害剤、例えばマソプロコール、およびPARP阻害剤、例えばオラパリブ;レセプターアンタゴニスト、例えばエンドセリンレセプターアンタゴニスト、例えばアトラセンタン、レチノイドXレセプターアンタゴニスト、例えばベキサロテンおよびテストラクトン;ならびに他の化学療法剤、例えばアムサクリン、トラベクテジン、レチノイド、例えばアリトレチノインおよびトレチノイン、三酸化ヒ素、アスパラギンデプレター(asparagine depleter)、例えばアスパラギナーゼまたはペグアスパラガーゼ、セレコキシブ、デメコルチン、エレスクロモール(elesclomol)、エルサミトルシン、エトグルシドおよびロニダミン。
【0195】
本明細書において開示された数の範囲(例えば1~10)への言及はまた、この範囲内の全ての有理数(例えば1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9および10)ならびにこの範囲内の有理数のあらゆる範囲(例えば2~8、1.5~5.5および3.1~4.7)への言及も包含し、従って、これにより本明細書において明示的に開示された全ての範囲の全ての部分範囲が明示的に開示されていることが意図されている。これらは、具体的に意図されているものの単なる例であり、列挙された最低値と最高値との間の数値の全ての可能な組み合わせが同様な方法で本出願において明示的に述べられていると考えるべきである。
【0196】
特許明細書、他の外部文書または他の情報源に言及している本明細書においては、このことは一般的に、本発明の特徴を議論するための文脈を提供することを目的とする。別途明記しない限り、そのような外部文書への言及は、そのような文書またはそのような情報源が任意の権限で先行技術であるというまたは当技術分野における共通の一般知識の一部を形成するという承認として解釈されるべきではない。
【0197】
本発明を、本出願の明細書で言及されるまたは示される部分、要素および特徴のうちの2つ以上の任意のまたは全ての組み合わせにおいて、個々にまたは合わせて、前記部分、要素または特徴に存在すると広く言うこともでき、本発明が関連する分野で既知の等価物を有する特定の整数が本明細書において言及されている場合、そのような既知の等価物は、個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれていると見なされる。
[本発明1001]
対象の上皮癌を処置するもしくは予防する方法であって、または対象の1種または複数種の腫瘍性上皮細胞のアポトーシスを誘発する方法であって、必要とする対象に、式(I)の1種もしくは複数種の化合物またはその1種もしくは複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の有効な量を投与する工程を含み、
式(I)中、
R
2、R
3、R
4およびR
5はそれぞれ独立してHまたはアセチル(CH
3CO-)であり、
R
6はHまたはCH
3であり、R
7はCH
3またはC2~C6の飽和のもしくは不飽和の炭化水素であり、
xおよびyはそれぞれ独立して3~14の整数であり、
但し、R
6がHである場合にはx+yは10超且つ18以下であり、R
6がCH
3である場合にはx+yは9超且つ17以下である、
方法。
[本発明1002]
式(I)の化合物の治療上有効な量を含み、
式(I)中、
R
2、R
3、R
4およびR
5はそれぞれ独立してHまたはアセチル(CH
3CO-)であり、
R
6はHまたはCH
3であり、R
7はCH
3またはC2~C6の飽和のもしくは不飽和の炭化水素であり、
xおよびyはそれぞれ独立して3~14の整数であり、
但し、R
6がHである場合にはx+yは10超且つ18以下であり、R
6がCH
3である場合にはx+yは9超且つ17以下である、
薬学的組成物。
[本発明1003]
R
6がHである、本発明1002の組成物。
[本発明1004]
R
6がCH
3である、本発明1002の組成物。
[本発明1005]
上皮癌の処置または予防での使用のために、
(a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
(b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
(c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
(d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
(e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
(h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
(i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
(j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
(k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
(l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
(o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
(p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
(q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
(r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
(s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
(u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
(a)~(u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
のいずれか1つまたは複数から選択される少なくとも1種の化合物
の治療上有効な量を含む、本発明1002または1003の薬学的組成物。
[本発明1006]
式(I)の化合物の使用であって、
式(I)中、
R
2、R
3、R
4およびR
5はそれぞれ独立してHまたはアセチル(CH
3CO-)であり、
R
6はHまたはCH
3であり、R
7はCH
3またはC2~C6の飽和のもしくは不飽和の炭化水素であり、
xおよびyはそれぞれ独立して3~14の整数であり、
但し、R
6がHである場合にはx+yは10超且つ18以下であり、R
6がCH
3である場合にはx+yは9超且つ17以下であり、
対象の上皮腫瘍形成の阻害、上皮腫瘍成長の阻害、上皮腫瘍転移の阻害または上皮癌の処置もしくは予防での;対象の1種または複数種の腫瘍性上皮細胞のアポトーシスの誘発での;上皮癌治療に対する対象の応答性の増加での;対象の上皮腫瘍の、上皮癌治療に対する感度の増加での;処置に対して耐性を示す、対象の1種または複数種の上皮癌細胞の感受性を高めることでの;上皮癌に罹患している対象の腫瘍性細胞の、上皮癌治療に対する耐性の少なくとも部分的な反転での;上皮癌に苦しめられている患者の、上皮癌治療に対する耐性の完全なもしくは部分的な反転での;あるいは上皮癌治療による処置に対して耐性を示すか、または耐性を示すもしくは耐性を示すようになると予想される、上皮癌に苦しめられている患者の1種または複数種の腫瘍の、上皮癌治療による処置に対する感受性を高めることでの使用のための組成物の製造における、使用。
[本発明1007]
前記対象がヒト対象である、本発明1006の使用。
[本発明1008]
前記化合物が、本発明1002、1003または1004のいずれかで定義された化合物である、本発明1006または1007の使用。
[本発明1009]
(a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
(b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
(c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
(d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
(e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
(h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
(i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
(j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
(k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
(l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
(o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
(p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
(q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
(r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
(s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
(t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール
および
(u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル
または
(a)~(u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
からなる群のいずれか1種または複数種から選択される少なくとも1種の化合物の使用であって、任意で少なくとも1種の追加の治療剤と併用され、
対象の上皮腫瘍形成の阻害、上皮腫瘍成長の阻害、上皮腫瘍転移の阻害または上皮癌の処置もしくは予防での;対象の1種または複数種の腫瘍性上皮細胞のアポトーシスの誘発での;上皮癌治療に対する対象の応答性の増加での;対象の上皮腫瘍の、上皮癌治療に対する感度の増加での;処置に対して耐性を示す、対象の1種または複数種の上皮癌細胞の感受性を高めることでの;上皮癌に罹患している対象の腫瘍性細胞の、上皮癌治療に対する耐性の少なくとも部分的な反転での;上皮癌に苦しめられている患者の、上皮癌治療に対する耐性の完全なもしくは部分的な反転での;あるいは上皮癌治療による処置に対して耐性を示すか、または耐性を示すもしくは耐性を示すようになると予想される、上皮癌に苦しめられている患者の1種または複数種の腫瘍の、上皮癌治療による処置に対する感受性を高めることでの使用のための組成物の製造における、使用。
[本発明1010]
ヒト対象の上皮腫瘍形成の阻害、上皮腫瘍成長の阻害、上皮腫瘍転移の阻害または上皮癌の処置もしくは予防での;ヒト対象の1種または複数種の腫瘍性上皮細胞のアポトーシスの誘発での;上皮癌治療に対するヒト対象の応答性の増加での;ヒト対象の上皮腫瘍の、上皮癌治療に対する感度の増加での;処置に対して耐性を示す、ヒト対象の1種または複数種の上皮癌細胞の感受性を高めることでの;上皮癌に罹患しているヒト対象の腫瘍性細胞の、上皮癌治療に対する耐性の少なくとも部分的な反転での;上皮癌に苦しめられているヒト患者の、上皮癌治療に対する耐性の完全なもしくは部分的な反転での;あるいは上皮癌治療による処置に対して耐性を示すか、または耐性を示すもしくは耐性を示すようになると予想される、上皮癌に苦しめられているヒト患者の1種または複数種の腫瘍の、上皮癌治療による処置に対する感受性を高めることでの使用のための、本発明1002~1005のいずれかの組成物。
[本発明1011]
上皮癌の処置または予防での使用のための、本発明1010の組成物。
[本発明1012]
プロポリスもしくはポプラまたはその抽出物もしくは滲出物から式(I)の化合物または式(I)の化合物の混合物を単離するまたは精製する方法であって、
(a)ポプラ抽出物、ポプラ由来プロポリスまたはそれらの抽出物もしくは滲出物を準備する工程、および
(b)該ポプラ、プロポリスまたはそれらの抽出物もしくは滲出物から該化合物を単離するまたは精製する工程
を含む、方法。
[本発明1013]
前記ポプラ抽出物、ポプラ由来プロポリスまたはそれらの抽出物もしくは滲出物が、ポプルス・デルトイデス(Populus deltoides)、その栽培品種、交雑種および雑種を含む、ポプルス・デルトイデスxニグラ(nigra)またはポプルス・エウラメリカナ・ギニエ(Populus euramericana Guinier)を含むポプルス・デルトイデスの雑種に由来する、本発明1012の方法。
[本発明1014]
前記ポプルス・エウラメリカナ・ギニエが、セルウィン(Selwyn)、タスマン(Tasman)、ルイサ・アバンゾ(Luisa Avanzo)およびフレザー(Fraser)の群から選択される栽培品種である、本発明1013の方法。
[本発明1015]
(a)前記ポプラ、プロポリスまたはそれらの抽出物もしくは滲出物を、クロマトグラフィー、例えばカラムクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィーもしくは超臨界液体クロマトグラフィー、および/または溶媒分割、および/または超臨界抽出により分画して、式(I)の化合物のうちの1種または複数種を含む1つまたは複数の画分を得る工程、
(b)前記ポプラ、プロポリスまたはそれらの抽出物もしくは滲出物または1つまたは複数の画分を、分取HPLCおよび/またはポリマー樹脂分画により分画して、式(I)の化合物のうちの1種または複数種を含む1つまたは複数の画分を得る工程、ならびに任意で
(c)工程(b)の1つまたは複数の画分から式(I)の1種または複数種の化合物をさらに精製する工程、および/または工程(c)の1つまたは複数の画分から式(I)の1種または複数種の化合物をさらに精製する工程
のうちの1つまたは複数を含む、本発明1012~1014のいずれかの方法。
[本発明1016]
式(I)の1種または複数種の化合物を含む組成物または製品であって、式(I)の1種または複数種の化合物の量および/または濃度が、該組成物または製品と関連する表示上に明記されている、組成物または製品。
【発明を実施するための形態】
【0198】
詳細な説明
本発明は、抗上皮癌活性を有する脂肪酸化合物およびこのジヒドロキシ脂肪酸グリセリドを含む組成物に関する。薬学的組成物(例えば抗上皮癌組成物)は抗上皮癌効果をもたらし、および/または増強し、特定の態様では、この化合物を含む組成物(例えばプロポリスおよびプロポリス抽出物)の活性および物理化学的特性を増強する。機能性食品組成物(例えば皮膚および消化管の健康組成物)は健康上の利益をもたらす。特定の態様では、例えばプロポリスまたはプロポリスの抽出物もしくは画分またはポプラの抽出物もしくは画分が存在する場合、この組成物の活性および物理化学的特性は増強される。
【0199】
一局面では、本発明は、対象の上皮癌を処置するまたは予防する方法であって、必要とする対象に、式(I):
(式(I)中、
R
2、R
3、R
4およびR
5はそれぞれ独立ししてHまたはアセチル(CH
3CO-)であり、
R
6はHまたはCH
3であり、R
7はCH
3またはC2~C6の飽和のもしくは不飽和の炭化水素であり、
xおよびyはそれぞれ独立して3~14の整数であり、
但し、R
6がHである場合にはx+yは10超且つ18以下であり、R
6がCH
3である場合にはx+yは9超且つ17以下である)
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療上有効な量を含む組成物の有効な量を投与することを含む方法に関する。
【0200】
一態様では、xは4以上である。一態様では、本発明は、対象の上皮癌を処置するまたは予防する方法であって、必要とする対象に、
a)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸、
b)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)グリセロール、
c)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
d)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
e)1-(3,8-ジヒドロキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
f)1-(3,8-ジアセトキシエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
g)3,8-ジヒドロキシエイコサン酸メチルエステル、
h)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸、
i)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)グリセロール、
j)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
k)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
l)1-(3,8-ジヒドロキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
m)1-(3,8-ジアセトキシヘンエイコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
n)3,8-ジヒドロキシヘンエイコサン酸メチルエステル、
o)3,8-ジヒドロキシドコサン酸、
p)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)グリセロール、
q)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2-アセトキシグリセロール、
r)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)3-アセトキシグリセロール、
s)1-(3,8-ジヒドロキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
t)1-(3,8-ジアセトキシドコサノイル)2,3-ジアセトキシグリセロール、
u)3,8-ジヒドロキシドコサン酸メチルエステル、
または
a)~u)のいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
からなる群のいずれか1つまたは複数から選択される少なくとも1種の化合物の治療上有効な量を含む組成物の有効な量を投与することを含む方法に関する。
【0201】
本化合物および本薬学的組成物(例えば抗癌組成物)は、一部の態様では上皮癌を処置するためにもしくは予防するために使用される、または他の態様(例えばプロポリス、プロポリスの抽出物もしくは画分、プロポリス樹脂、またはプロポリス樹脂抽出物、またはポプラの抽出物もしくは画分が存在する態様)では、皮膚の健康を改善するために使用される、ならびに/またはプロポリス、プロポリスの抽出物もしくは画分、プロポリス樹脂、またはプロポリス樹脂抽出物、またはプロポリスが含まれる物質の活性および物理化学的特性を増強するために使用される。
【0202】
従って、抗上皮癌組成物が哺乳動物対象への投与に適しているように製剤化されている(例えば、この抗上皮癌組成物は人体に対して安全である物質からなる)という前提で、この抗上皮癌組成物は、抗上皮癌薬学的組成物および薬物、ならびに機能性食品組成物、消費財(例えば飲料、食品、ローション、スキンクリームおよび同類のもの)の製造に使用され得る。
【0203】
さらに、本明細書において説明されている組成物の態様の抗上皮癌活性が長期にわたり維持されることから、この組成物の投与量または投与頻度を低減し得る、もしくはより高い効力がもたらされる、または両方である。
【0204】
本発明の語句「抗上皮癌組成物」または「抗上皮癌活性を有する組成物」(本明細書においては互換的に使用される)は、あらゆる種類の組成物を企図する。例として、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とシクロデキストリンとを含む抗上皮癌組成物、またはプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物を含む物質とシクロデキストリンとを含む抗上皮癌組成物が挙げられる。相乗作用組成物(例えば、プロポリスまたはシクロデキストリンのいずれか単独で観測される任意の抗上皮癌活性を増強するもの)が特に企図される。特定の態様では、この抗上皮癌組成物は、抗基底細胞癌組成物、抗扁平上皮細胞癌組成物または抗黒色腫組成物であり得る。他の態様では、この抗上皮癌組成物は抗消化管癌組成物(例えば、抗結腸直腸癌組成物、抗胃癌組成物または抗咽喉癌組成物)である。
【0205】
用語「および/または(and/or)」は「および(and)」または「または(or)」を意味し得る。
【0206】
用語「癌」および「癌性」は、異常なもしくは無秩序な細胞増殖、細胞生存、細胞運動、腫瘍性(neoplasticity)および/または発癌性により概して特徴付けられる、哺乳動物の生理学的状態を指す。癌および癌の病理は、例えば転移、隣接細胞の正常な機能への干渉、異常なレベルでのサイトカインまたは他の分泌産物の放出、炎症応答または免疫応答の抑制または悪化、新生物、前悪性、悪性、周囲のまたは遠位の組織または器官(例えばリンパ節)の浸潤等と関連し得る。具体的に含まれるのは基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、黒色腫および前癌状態であり、これらには、真皮腫瘍、上皮腫瘍、頬側口腔の腫瘍、例えば頬側口腔の扁平上皮細胞癌、上皮内癌、および浸潤性の基底細胞癌、扁平上皮細胞癌または黒色腫癌、ならびにこれらに由来する二次性腫瘍が含まれ得る。また、特に含まれるのは消化管の癌(例えば結腸直腸癌)および前癌状態であり、これらには、上皮腫瘍、非上皮腫瘍、癌腫(例えば上皮内癌)および浸潤性の結腸直腸癌が含まれ得る。同様に含まれるのは胃癌および前癌状態であり、これらには、上皮腫瘍、腺癌、胃リンパ腫、カルチノイド腫瘍、間質腫瘍が含まれ得る。同様に含まれるのは、咽喉癌および前癌状態であり、これらには、上皮腫瘍、扁平上皮細癌、腺癌が含まれ得る。粘膜組織の癌も同様に具体的に企図される。癌は、例えば上皮内癌および浸潤性癌であり得る。
【0207】
用語「含む(comprising)」は本明細書において使用される場合、「から少なくとも部分的になる」を意味する。本明細書においてこの用語を含む記載を解釈する場合、各記載中でこの用語が先行する特徴は全て存在する必要があるが、他の特徴も存在し得る。「含む(comprise)」および「含まれる(comprised)」等の関連する用語も同様の方法で解釈されるべきである。
【0208】
「有効な量」とは、治療効果を付与するのに必要な量のことである。動物およびヒトへの投与量の相互関係(体表面の平方メートル当たりのミリグラムに基づく)はFreireich他(1966)により説明されている。体表面積は対象の身長および体重からほぼ決定され得る。例えばScientific Tables,Geigy Pharmaceuticals,Ardley,New York,1970,537を参照されたい。有効な用量はまた、当業者に認識されているように、投与経路、添加剤の使用量および同類のものによっても決まる。
【0209】
本明細書において使用される場合、ポプラの「抽出物」または「画分」は本発明での使用に適しており、但し、この「抽出物」または「画分」は、1種または複数種の抗上皮癌活性を少なくとも保持する、または式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む。本明細書においての使用のためのポプラの例示的な抽出物または画分は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むものである。そのような機能性抽出物の例として、本明細書の実施例で説明されている抗上皮癌調製物が挙げられる。式(I)の化合物のうちの1種または複数種に富むポプラの抽出物または画分は、相加的にまたは減法的に調製され得る(それにより、少なくとも部分的に単離されたもしくは精製された式(I)の化合物を組成物(例えばポプラまたはポプラの抽出物もしくは画分)に添加し得る)または式(I)の1種または複数種の化合物以外の化合物のポプラまたはポプラの抽出物もしくは画分からの除去により調製され得ることが認識されるだろう。
【0210】
本明細書において使用される場合、プロポリスの「抽出物」または「画分」は本発明での使用に適しており、但し、この「抽出物」または「画分」は、プロポリスにより示される1種または複数種の抗上皮癌活性もしくは効力を少なくとも保持する、および/または式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む。本明細書においての使用のためのプロポリスの例示的な抽出物または画分は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むものである。そのような機能性抽出物の例として、本明細書の実施例で説明されている抗上皮癌チンキが挙げられる。式(I)の化合物のうちの1種または複数種に富むプロポリスの抽出物または画分は、相加的にまたは減法的に調製され得る(それにより、少なくとも部分的に単離されたもしくは精製された式(I)の化合物を組成物(例えばプロポリスまたはプロポリスの抽出物もしくは画分)に添加し得る)または式(I)の1種または複数種の化合物以外の化合物のプロポリスまたはプロポリスの抽出物もしくは画分からの除去により調製され得ることが認識されるだろう。
【0211】
本明細書において使用される場合、クロマトグラフィーは、溶媒相中に溶解したまたは分散されたまたは別の方法で輸送された化合物を固相と接触させ、それによりこの固相が化合物のうちの1種または複数種を溶媒中に存在する他の化合物と比べて選択的に遅延させ、それにより分離が起こり得る分離プロセスを指す。クロマトグラフィープロセスのタイプの例として、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、超臨界クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、分取クロマトグラフィー、固相抽出が挙げられる。クロマトグラフィープロセスを使用して、混合物中の化合物の濃度を決定し得る、未知の化合物を同定し得る、ならびに/または例えば詳細な構造解析データを得るために、分析標準として使用するためにおよび/もしくはバイオアッセイのために1種または複数種の化合物を単離し得る。
【0212】
本明細書において説明されている化合物または組成物(例えば、任意でプロポリスまたはポプラ抽出物と一緒に式(I)の1種または複数種の化合物を含む組成物)のうちの1種または複数種により誘発される1種または複数種の生物学的効果を決定するための方法およびアッセイは当技術分野において周知であり且つ例が本明細書において説明されており、そのような方法およびアッセイを使用して、効力(例えば、本明細書において説明されている1種または複数種の化合物または組成物のうちの1種または複数種の効力)を同定し得、または確認し得、この化合物または組成物として、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリスの1種または複数種の機能性抽出物または機能性画分(例えばプロポリス、プロポリス抽出物、ポプラ抽出物、またはプロポリスもしくはポプラの画分)を含む組成物が挙げられる。例えば、本明細書において説明されている化合物または組成物のうちの1種または複数種の、細胞中の1種または複数種の発癌性形質(例えば、本明細書の実施例で説明されているもの)を増加させる能力のアッセイは、本明細書において説明されている化合物もしくは組成物のうちの1種または複数種の効力を確認するのにまたはプロポリスもしくはポプラの1種または複数種の機能性抽出物もしくは機能性画分を同定するのに適している。
【0213】
本明細書において使用される場合、「プロポリス」は、任意の植物源からミツバチにより生成されるプロポリスを企図する。一態様では、このプロポリスは「ポプラ由来」プロポリスである。「ポプラ由来」プロポリスは、「ポプラ」プロポリス等の様々な名称でも公知である。例えば、このプロポリスは、1つまたは複数の種のポプラおよび程度は比較的低いがカバノキ、カラマツまたはヤナギの芽および葉の滲出物から主に由来する。プロポリスは、存在する特徴的な化合物を生じる植物源に基づいて7つの主要なクラスに分類されている(Sforcin and Bankova,2011.Propolis:is there a potential for the development of new drugs? J.Ethnopharmacology,133:253-260.)。これらのクラスは下記である:クリシンおよびガランギン等のアグリコンフラボノイドを高レベルで有する、欧州産の、北米産の、南米南部産の、ニュージーランド産の「ポプラ」;アルテピリンC等のプレニル化p-クマル酸を含む「ブラジリアングリーン(Brazilian green)」;アピゲニン、ラムノシトリンおよびケンフェリド等のアグリコンフラボノイドにも富む、ロシア産の「カバノキ」;ネモロソンおよびキサントキモール(xanthochymol)等のポリプレニル化ベンゾフェノンを含む、キューバ産の、ブラジル産の、メキシコ産の、ベネズエラ産のクルシア(Clusia)種起源の「赤プロポリス」;針葉樹から供給されるジテルペンに富む、ギリシャ産の、シチリア産の、クレタ産の、マルタ産の「地中海」;ならびに「プロポリン」を含む、沖縄産の、台湾産の、インドネシア産の「太平洋」。
【0214】
プロポリス樹脂中に存在する抗癌成分の同定および確認は、このプロポリス樹脂の複雑な且つ多成分性の性質に起因して困難である。「ポプラ」プロポリス樹脂はまた、多くの種類の化合物(例えば糖、グリセロール、単純脂肪酸、揮発性油、およびフェノール酸のグリセロールエステル)を含むことも分かっている。これまで未知の抗癌活性を有するプロポリス中のこれまで報告されていない化合物の一群が本明細書において説明されている。これらの化合物は、長鎖脂肪酸およびその等価なグリセリドである。さらに、これらのジヒドロキシ遊離脂肪酸およびグリセリドは部分的にまたは完全にアセチル化されている場合がある。これらの化合物は、式(I):
(式(I)中、
R
2、R
3、R
4およびR
5はそれぞれ独立ししてHまたはアセチル(CH
3CO-)であり、
R
6はHまたはCH
3であり、R
7はCH
3またはC2~C6の飽和のもしくは不飽和の炭化水素であり、
xおよびyはそれぞれ独立して3~14の整数であり、
但し、R
6がHである場合にはx+yは10超且つ18以下であり、R
6がCH
3である場合にはx+yは9超且つ17以下である)の構造を有する。
【0215】
当業者に認識されるように、プロポリスの同一性および場合によっては特定の使用(例えば本発明での使用)への適合性は、このプロポリスの組成の分析によって決定され得る。しばしば「マーカー化合物」と称される特定の化合物(例えば、本明細書において論じられた化合物)の存在および量は、特定の使用に関してブラジルのプロポリスと比較したプロポリスの特定の供給源(例えばポプラ由来プロポリス)の適合性の決定を可能にする。本発明の特定の態様では、1種または複数種のマーカー化合物の存在または量は、本組成物の製剤化の前に、例えば予備類別工程として決定される、またはアッセイされる。他の態様では、1種または複数種のマーカー化合物の存在または量は決定されて、例えば本明細書において説明されている組成物と関連する表示上に(例えば効力または活性の指標として)記録される。
【0216】
「表示」は任意の形態であり得、この形態として下記が挙げられるがこれらに限定されない:本製品に組み込まれたラベル、例えば本製品または本組成物の表面にエッチングされたまたは印刷されたラベル、例えば、カプセル剤または錠剤上に印刷されたまたはエッチングされた表示、本製品と関連するパッケージまたはラベル、例えば本製品または本組成物を含むパッケージに取り付けられたまたは組み込まれたラベル、本製品または本組成物と共に設けられるが別個の資料(例えば分析証明書);本製品または本組成物の販売またはマーケティングと関連するウェブサイト、小冊子、パンフレットまたはディスプレイ。
【0217】
当技術分野において既知の方法を使用して、式(I)の化合物をポプラ由来プロポリスから単離し得る、および/または精製し得る。例示的な方法を本明細書に示す。同様に、式(I)の化合物を、再び当技術分野において公知の方法を使用して植物源(例えば、ポプラおよびポプラの抽出物または滲出物)から単離し得る、および/または精製し得る。例示的な方法を同様に本明細書に示す。この方法はまた、例えば前記濃度または前記量を報告するという目的のための、本明細書において説明されている組成物中に存在する式(I)の1種または複数種の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の濃度または量の決定での使用にも適している。
【0218】
あるいは、式(I)の化合物を、当技術分野において周知の方法を使用して合成により調製し得る。例えば、既知の出発物質を使用するグリニャール反応(Smith,Michael B.;March,Jerry(2007),Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure(6th ed.),New York:Wiley-Interscience,ISBN 0-471-72091-7)による合成は、式(I)の化合物の合成に特に企図される。例えば、式(I)の化合物は、出発物質3,8-ジヒドロキシオクタン酸、およびドデシルマグネシウムブロミド、トリデシマグネシウムブロミドまたはテトラデシルマグネシウムブロミドから選択されるグリニャール試薬から調製される可能性があることが考えられる。これらのグリニャール試薬を、対応する長鎖脂肪アルコールであるドデカン-1-オール(ラウリルアルコール)、1-トリデカノールまたは1-テトラデカノール(ミリストルアルコール(myristol alcohol))から調製し得る。3,8-ジヒドロキシオクタン酸の第一級アルコールは、出発物質のグリニャールカップリングを可能にするためにアルデヒドへと選択的に酸化されるであろうことがさらに考えられる。次いで、得られた3,8-ジヒドロキシ脂肪酸を、適切なリパーゼを使用してエステル化して、またはグリセロール、グリセロール-2-アセテートもしくはグリセロール2,3-アセテートとの標準的な化学的エステル化によりエステル化して、式(I)の主化合物が得られ得る。
【0219】
本明細書において説明されている組成物またはそのような組成物の成分に関して使用される場合、語句「増強された活性」または「増強された抗上皮癌活性」およびそれらの文法上の等価物または派生物は、この組成物中に存在する場合に、同等の量もしくは濃度の抗上皮癌剤が、この組成物の非存在下でのこの薬剤(例えば単離された薬剤)の量もしくは濃度と比較して高い抗上皮癌活性を有すること、ならびに/またはこの組成物の安定性が単一成分と比較して改善されているおよび/もしくはこの組成物の生物学的利用能が単一成分と比較して改善されていることを意味するように意図されている。例えば、増強された活性は、元々の活性の少なくとも約105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200%またはより高く、有効範囲はこれらの値のいずれかの間から選択され得る(例えば約105~約200%、約120~約200%、約140~約200%、約150~約200%、約180~約200%および約190~約200%)。特定の態様では、組成物は増強された抗上皮癌活性を示し得、即ち、プロポリス単独またはシクロデキストリン単独の抗上皮癌活性の少なくとも約105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200%またはより高くを示し得る。同様に、好ましい組成物は、増強された抗上皮癌活性の維持を支持し得、理想的には本明細書において企図される方法を使用して利用されるまで、増強された抗上皮癌活性を保持すると言われ得る。この増強された活性(活性の増強された維持を含む)は、いかなる理論にも拘束されることを望まないが、例えば改善された水分散性に起因するこの組成物の様々な成分の間の相乗作用またはこの組成物の改善された安定性またはこの組成物の改善された生物学的利用能の結果であると考えられる。
【0220】
用語「経口投与」は、経口投与、頬側投与、腸内投与および胃内投与を含む。
【0221】
用語「非経口投与」は、局所投与(任意の真皮、上皮または粘膜表面への投与を含む)、皮下投与、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与および腫瘍内投与(腫瘍への任意の直接投与を含む)を含むがこれらに限定されない。
【0222】
用語「薬学的に許容される担体」は、組成物の成分として対象に投与され得る添加剤、希釈剤または補助剤が挙げられるこれらに限定さない担体を指すことが意図されている。好ましい担体は、有効な量のプロポリスまたはその抽出物を送達するのに十分な用量で投与された場合に、この組成物の活性を低下させず且つ毒性ではない、または投与された場合に別の抗上皮癌剤の活性を低下させない。
【0223】
名詞に続く用語「(s)」は、単数形もしくは複数形または両方を企図する。
【0224】
用語「対象」は、動物(好ましくは哺乳動物、より好ましくは哺乳動物のコンパニオン動物またはヒト)を指すことが意図されている。好ましいコンパニオン動物として、ネコ、イヌおよびウマが挙げられる。他の哺乳動物対象として、農業動物(例えばウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、シカもしくは家禽)または実験動物(例えばサル、ラットもしくはマウス)が挙げられる。
【0225】
用語「処置する」およびその派生語は可能な限り広い意味で解約されるべきである。この用語は、対象が全回復まで処置されることを暗示すると解されるべきではない。従って、「処置する」には、対象の疾患の進行もしくは症状を実質的に静的なレベルで維持すること、対象の回復率を上昇させること、特定の状態の症状の発症もしくは重症度の寛解および/もしくは予防、または患者の生活の質を高めることが広く含まれる。用語「処置する」にはまた、敏感な個体のための良好な健康の維持および疾患の予防のためのスタミナの構築も広く含まれる。
【0226】
本発明の例示的使用
本明細書において説明されている方法および組成物を、上皮癌、上皮細胞と関連する腫瘍性障害、ならびにそのような癌の症状(癌処置および関連する障害の症状を含む)の処置または予防で使用し得る。
【0227】
一例では、本明細書において説明されている方法および組成物を、皮膚癌(例えば黒色腫、黒色腫と関連する腫瘍性障害、ならびに黒色腫、黒色腫処置および関連する障害の症状)の処置または予防で使用し得る。黒色腫(悪性黒色腫とも称される)は、メラニン形成細胞に影響を及ぼす腫瘍状態である。
【0228】
黒色腫は一般的ではないが、最も攻撃的且つ脅威を感じる皮膚癌である。可能であれば、好ましい処置は、転移が起きていない場合には治癒的であり得る完全な外科的切除である。
【0229】
本明細書において説明されている方法および組成物を、基底細胞癌、基底癌細胞と関連する腫瘍性障害、ならびに基底細胞癌、基底細胞癌処置および関連する障害の症状の処置または予防で使用し得る。基底細胞癌は、真皮の基底細胞の影響を及ぼす腫瘍状態である。
【0230】
基底細胞癌は表皮の最下層に由来する。可能であれば、好ましい処置は、治癒的であり得る完全な外科的切除である。
【0231】
特定の態様では、本方法および本組成物を、扁平上皮細胞癌、扁平上皮癌細胞と関連する腫瘍性障害、ならびに扁平上皮細胞癌、扁平上皮細胞癌処置および関連する障害の症状の処置または予防で使用する。
【0232】
扁平上皮細胞癌は、表皮の中間層の細胞中で生じる腫瘍状態である。扁平上皮細胞癌は基底細胞癌と比べて一般的ではないが、転移がより起こりやすく且つ処置されなければ致命的であり得る。
【0233】
本発明は、必要とする対象の皮膚腫瘍形成を阻害するための、皮膚腫瘍成長を阻害するための、皮膚腫瘍転移を阻害するためのまたは皮膚癌を処置するもしくは予防するための方法および組成物を提供する。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、出願人は、例えばUVにより開始されるDNAへの損傷の予防によりまたは活性酸素種の形成の予防もしくは低減により、少なくとも部分的に阻害が起こると考える。
【0234】
特定の態様では、本発明はまた、皮膚癌に罹患している対象の腫瘍細胞の、皮膚癌治療に対する耐性を少なくとも部分的に反転させる方法であって、または皮膚癌に苦しめられている患者の、皮膚癌治療に対する耐性を完全にもしくは部分的に反転させる方法であって、または皮膚癌治療による処置に対して耐性を示すか、または耐性を示すもしくは耐性を示すようになると予想される、皮膚癌に苦しめられている患者の1種または複数種の腫瘍の感受性を高める方法であって、前記患者に、式(I)の1種または複数種の化合物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とシクロデキストリンとを含む、から本質的になるまたはからなる組成物を投与する工程を含む方法にも関する。
【0235】
一態様では、この1種または複数種の腫瘍は、この1種または複数種の腫瘍内のまたは患者内の1種または複数種の前癌細胞生存シグナル伝達経路の増加した活性化(例えば、例えば患者からのサンプル(例えば組織サンプル、腫瘍サンプルまたは血液もしくは血漿サンプル)内のAKT、JNKまたはJAK/STATシグナル伝達経路のうちの1つまたは複数の増加した活性化)に起因して、皮膚癌治療に対して耐性を示すか、または耐性を示すもしくは耐性を示すようになると予想される。
【0236】
皮膚癌の発症および発達に関与する前癌細胞生存シグナル伝達経路は当技術分野において既知である。
【0237】
本方法および本組成物を、黒色腫、黒色腫細胞と関連する腫瘍性障害、ならびに黒色腫、黒色腫処置および関連する障害の症状の処置または予防で使用し得る。
【0238】
最も一般的な治療は、腫瘍の外科的切除および放射線療法である。外科手術および/または放射線との併用で化学療法剤を使用し得る。
【0239】
本方法および本組成物を、皮膚の健康を維持するためにもまたは改善するためにも使用し得る。
【0240】
これには、不健康な皮膚、低い免疫および皮膚の炎症と関連する状態の処置または予防が含まれる。例えば、本方法および本組成物は、皮膚の老化、日焼け、皮膚炎、湿疹、乾癬、魚鱗癬および関連する炎症状態の処置もしくは予防にまたは処置もしくは予防で有用であり、且つ赤色の皮膚、炎症を起した皮膚、乾燥皮膚または敏感肌の処置または予防で有用である。
【0241】
プロポリスおよびプロポリスを含む物質
プロポリスは、一般には樹脂状の粘着性固体として、ニュージーランドおよび他の場所で入手可能である。プロポリスは蜂の巣から得られ得、得られたプロポリスは例えばプロポリス含有量を評価するために貯蔵される。典型的には、プロポリスまたはその抽出物は微粒子形態または濃縮チンキに加工される。活性プロポリスまたはその抽出物を微粒子形態または濃縮チンキへと調製する様々な方法が公知である。最も一般的には、エタノールまたはエタノール/水混合物を使用して粗プロポリスを抽出し、希薄なチンキを生成する。この粗プロポリスと会合したロウは溶媒にほとんど溶解せず、そのため大部分は抽出されない。抽出されたあらゆるロウを、希薄なチンキを冷却し、次いで沈殿、ろ過または遠心分離により除去し得る。次いで、このチンキを部分的に濃縮して溶媒の蒸発を完了させて濃縮チンキを得、続いて任意で凍結乾燥させて粉末を得る。あるいは、このチンキを噴霧乾燥させて粉末が得られ得る。当技術分野において既知の方法(例えば、例えばサイズ排除マトリックスもしくは逆相マトリックスを使用するクロマトグラフィー(例えばHPLC)、または超臨界分画)により画分を調製し得る。そのようなクロマトグラフィープロセスでの使用のための典型的な溶媒は、エタノールまたは別の水混和性アルコールである。
【0242】
一態様では、プロポリスまたは濃縮プロポリスチンキは、プロポリスの特性を増強する他の化合物(例えば、製剤化もしくは投与の容易さを増強する化合物、または抗上皮癌活性を増強する化合物、またはプロポリス中に存在する1種または複数種の抗上皮癌活性の安定性を増強する化合物)と組み合わされる。さらなる化合物の例は、プロポリスの治療上の利点を改善するものである。1種または複数種の化合物がプロポリス中におよびポプラ由来プロポリス中に存在する例示的組成物(具体的には、例えば生物学的に活性な化合物(例えばCAPE、カフェ酸、ピノセムブリン、カフェ酸ベンジル、カフェ酸シンナミル、フェルラ酸ベンジル、フェルラ酸シンナミル、クリシン、テクトクリシン(tectochrysin)、ガランギン、ピノバンクシン、ピノストロビンカルコンおよびピノバンクシン-3-アセテート)が添加されている)が特に企図される。他の例では、本組成物の生理学上の利益を改善するためにまたは維持するために追加の化合物が含まれ、例えば、得られる組成物の利尿特性を増強するためにマンニトールが添加され得る。あるいは、または加えて、添加剤および/または噴霧剤等の他の化合物を添加することにより、本組成物の投与特性、製造特性または送達特性が改善される可能性がある。
【0243】
具体的に企図された態様では、任意で1種または複数種の追加の化合物が添加された、脱ロウされたプロポリス樹脂をシクロデキストリンで封入し、この混合物を乾燥させる。例えば本組成物の他の成分との容易な混合、錠剤化のし易さ、または対象への投与のし易さを可能にする粒度分布を得るために、さらなる混合処理を行う。
【0244】
典型的な態様では、プロポリスまたはプロポリス樹脂を、例えば加熱してこのプロポリス中に天然に存在し得る細菌、原虫、酵母、真菌および他の生物を死滅させることより滅菌する。
【0245】
ポプラ抽出物
本明細書の実施例で説明されているように、式(I)の例示的化合物は、ポプラ(ポプラ種(Populus spp.))から調製された抽出物で同定さており、具体的には芽、葉材料および小枝から調製された滲出物から同定されている。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、出願人は、本明細書において説明されている化合物は、ポプラ由来のプロポリスおよびプロポリス樹脂の中に存在しているまたはこれらと関連していると考える。本発明での使用のために、ポプラまたはプロポリス抽出物を、さらなる加工および例えばシクロデキストリンによる封入に適した形態に加工し得ること、または生理活性成分を維持しつつ溶媒(例えばアルコール)で抽出し得ることを当業者は認識するだろう。典型的には、このプロポリスまたはポプラ抽出物を微粒子形態または濃縮チンキに加工する。
【0246】
シクロデキストリンおよびシクロデキストリンを含む物質
シクロデキストリンは、トロイダル構造を形成するグルコピラノース環単位で構成された環状分子である。シクロデキストリン分子の内部は疎水性であり且つ外部は親水であり、そのためシクロデキストリン分子は水溶性になる。シクロデキストリンの外部上のヒドロキシル基の置換により溶解度を変更させ得る。同様に、内部の疎水性を置換により変更し得るが、一般には、内部の疎水性はキャビティ内での比較的疎水性のゲストの収容を可能にする。ある分子の別のもの内での収容は複合体形成として公知であり、得られた生成物は包接複合体と称される。シクロデキストリンは典型的には、この分子を構成するモノマー単位の数を基準に同定され、アルファ-シクロデキストリン(α-シクロデキストリン)は6個のモノマー単位を含み、ベータ-シクロデキストリン(β-シクロデキストリン)は7個のモノマー単位を含み、ガンマ-シクロデキストリン(γ-シクロデキストリン)は8個のモノマー単位を含む。より大きなシクロデキストリン分子(例えば、32個の1,4-アンヒドログルコピラノシド単位を含む、特徴が十分に明らかなシクロデキストリン)が説明されている。
【0247】
シクロデキストリン分子を例えば化学修飾により都合よく誘導体化して、例えばこのシクロデキストリン分子の物理化学的特性のうちの1つまたは複数を変更し得る。シクロデキストリン誘導体の例として、メチル化シクロデキストリン、スルホブチルシクロデキストリン、マルトシルシクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、例えばベータ-ヒドロキシルプロピルシクロデキストリンおよびガンマ-ヒドロキシプロピルシクロデキストリンならびにそれらの塩が挙げられる。シクロデキストリンの様々な誘導体が特定の目的に適し得、例えば、シクロデキストリンの特定の誘導体はヒト対象への投与に許容可能ではないが工業用途には適していることを当業者は認識するだろう。
【0248】
本明細書において説明されている抗上皮癌組成物を構成するシクロデキストリンは市販され得る、または当業者に周知の方法により独立して調製され得る。対象への投与のために抗上皮癌組成物で使用されるシクロデキストリン(例えば、飲料、食品または医薬品の製造のためのシクロデキストリン)は人体に対して安全であるべきであり、好ましくは薬学的に許容されるシクロデキストリンであることが当業者に明らかであるだろう。
【0249】
具体的に企図される態様では、アルファ-シクロデキストリン、ガンマ-シクロデキストリン、またはアルファ-シクロデキストリン、ガンマ-シクロデキストリンもしくは両方を含む組み合わせが使用される。そのような態様では、本明細書の実施例で示されているように抗上皮癌活性が実質的に増強されている。アルファ-シクロデキストリンおよび/またはガンマ-シクロデキストリンを含むそのような組成物を製剤化して、例えば増強された食感または嗜好性をもたらし得、例えば、アルファ-シクロデキストリンおよび/またはガンマ-シクロデキストリンとプロポリスとを含む組成物は、このプロポリス中に存在するあらゆる不快な風味を隠す強い傾向を示す。
【0250】
本発明での使用に適したシクロデキストリンは商業的供給源から得られ得る、または当技術分野において周知の方法により(例えば酵素的変換によりデンプンから)独立して調製され得る。特定の態様では、Wacker AGから市販されるアルファ、ベータまたはガンマ-シクロデキストリンであるCAVAMAX W6、W7またはW8 FOODが使用される。
【0251】
特定の態様(例えば、組成物の局所適用を対象とするもの)では、非食品グレードのシクロデキストリンが使用され、例えば、CAVASOL範囲のシクロデキストリンからの置換シクロデキストリン等のシクロデキストリンが企図される。
【0252】
上皮癌
本明細書において説明されている組成物を使用する処置に適した上皮癌として癌腫が挙げられ、例えば、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、大細胞癌、小細胞癌および移行上皮癌が挙げられる。癌腫は悪性上皮腫瘍に一般に使用される用語であるであることが理解されるだろう。癌腫には、この癌腫が由来する上皮の型により分類される2つの主要な型が存在する。これら主要な型は、扁平上皮に由来する扁平上皮細胞癌と、腺上皮に由来する腺癌とである。
【0253】
様々な態様では、上皮癌は、下記を含む群から選択される:胃癌(腸型)、胃癌(びまん型/粘液性)、結腸の中分化型腺癌、結腸の低分化型腺癌(粘液性)、低分化型肝細胞癌等の肝細胞癌、腎細胞癌(グラヴィッツ腫瘍)、類内膜癌、乳房の浸潤癌等の乳房の癌腫、転移性癌(リンパ節)、結腸直腸癌、口腔癌(例えば食道癌、咽頭癌または喉頭癌)、皮膚癌(例えば基底細胞皮膚癌、扁平上皮細胞皮膚癌および黒色腫)、ならびに卵巣癌。
【0254】
本明細書において説明されている方法および組成物を使用する、口腔癌または咽喉癌(食道癌、咽頭癌または喉頭癌とも称される)、および咽頭、上咽頭、中咽頭、下咽頭、喉頭(発声器)または扁桃腺の組織中に発生する包括的な腫瘍の処置が特に企図される。同様に、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、基底細胞皮膚癌、扁平上皮細胞皮膚癌および黒色腫の処置が特に企図される。
【0255】
組成物
例示的な抗上皮癌組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、薬学的に許容される担体と一緒に含む。
【0256】
対象への投与に適した組成物は、食品、飲料、食品添加物、飲料添加物、栄養補助食品、栄養製品、機能性化粧品、医療食品、機能性食品、医療用品、医療機器、薬物または医薬品として製剤化され得る。本明細書の技術および教示に関する当技術分野の熟練労働者は適切な製剤を調製し得る。
【0257】
本明細書において有用な組成物を、任意の選択された経路による対象への投与(例えば、限定されないが経口または非経口(例えば局所、皮下、筋肉内および静脈内)投与)を可能にするように製剤化し得る。対象への投与経路は典型的には、本組成物が投与される目的(例えば、薬学的組成物を投与して皮膚の健康を改善するまたは皮膚癌を処置するもしくは予防する)を考慮し、この投与経路は典型的には、標的とされる健康面または皮膚癌の性質を考慮して選択されることが当業者に認識されるだろう。
【0258】
一般に、経口投与のために、本明細書において有用な規定食(例えば食品、食品添加物または食品栄養補助食品)、機能性食品または薬学的組成物は既知の製剤技術の熟練労働者により製剤化され得る。特定の態様では、経口投与用に製剤化された組成物はガンマ-シクロデキストリンを含む。特定の態様では、経口投与用に製剤化された組成物はアルファ-シクロデキストリンを含む。
【0259】
そのため、本発明に従って有用な薬学的組成物を、意図された投与経路および標準的な薬務に関して選択された適切な薬学的に許容される担体(例えば添加剤、希釈剤、助剤およびそれらの組み合わせ)と共に製剤化し得る。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences,16th edition,Osol,A.Ed.,Mack Publishing Co.,1980を参照されたい。
【0260】
特定の態様(例えば、式(I)の1種または複数種の化合物を含むもの)の1つの適切な投与経路は経口であるが、任意の組成物に任意の投与様式(例えば、異なる薬剤のための異なる経路等の複数の経路による投与)が適切であり得ることが理解されるべきである。従って、任意の組成物の吸入(鼻吸入または口腔吸入)ならびに膣投与および直腸投与も企図される。任意の組成物の髄内投与、硬膜外投与、関節内投与および胸膜内投与も企図される。第2の投与経路による1種または複数種の他の薬剤(例えば1種または複数種の他の抗上皮癌剤)の別々の、同時のまたは連続した投与を伴う第1の投与経路による、任意で少なくとも1種の追加の抗上皮癌因子との組成物の投与(例えば、少なくとも1種の追加の抗上皮癌剤の局所投与を伴う組成物の経口投与)も企図される。
【0261】
本組成物を剤形としても製剤化し得る。本明細書において有用な剤形を、散剤、液剤、錠剤またはカプセル剤として経口投与し得る。適切な剤形は、必要に応じて追加の薬剤(例えば乳化剤、酸化防止剤、着香剤または着色剤)を含み得る、または腸溶コーティングを有し得る。適切な腸溶コーティングは既知である。活性成分を囲む腸溶コーティングは、及びこの活性成分の胃中での放出を防止するが、この剤形が胃を離れた後に放出を可能にする。本明細書において有用な剤形は、活性成分の即時放出、遅延放出、修飾放出(modified release)、持続放出、パルス放出または制御放出に適合され得る。適切な製剤は、必要に応じて追加の薬剤(例えば乳化剤、酸化防止剤、着香剤または着色剤)を含み得る。
【0262】
カプセル剤は、ゼラチンまたはセルロース等の任意の標準的な薬学的に許容される物質を含み得る。活性成分の混合物を固体担体および潤滑剤と共に圧縮することにより、従来の手順に従って錠剤を製剤化し得る。固体担体の例として、デンプンおよび糖ベントナイト(sugar bentonite)が挙げられる。活性成分をハードシェル錠剤の形態でもまたは結合剤(例えばラクトースもしくはマンニトール)、従来の賦形剤および錠剤成形剤を含むカプセル剤の形態でも投与し得る。薬学的組成物を非経口経路でも投与し得る。非経口剤形の例は、水溶液、等張生理食塩水、または活性剤の5%グルコース、または他の公知の薬学的に許容される添加剤を含む。当業者に公知の可溶化剤は、抗上皮癌剤の送達のための医薬添加剤として利用され得る。
【0263】
注射用剤形を、液体溶液または懸濁液として製剤化し得る。注射前に液体の溶液または懸濁液に適した固体形態も調製し得る。この剤形を乳化してもよい。式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、担体(例えば水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、または同類のもの、およびそれらの組み合わせ)と混合し得る。
【0264】
持続放出調製物を調製し得る。持続放出調製物の適切な例として、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、任意でプロポリスおよび/またはポプラ抽出物、および/またはシクロデキストリン、ならびに存在する場合には少なくとも1種の追加の抗上皮癌剤と一緒に含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられる。このマトリックスは、成形品(例えばフィルムまたはマイクロカプセル)の形態であり得る。持続放出マトリックスの例として、ポリエステル、ヒドロゲル(例えばポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号明細書を参照されたい)、L-グルタミン酸およびエチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、ならびに分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドで構成された注射用マイクロスフェア)が挙げられる。
【0265】
組成物(例えば、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、または富むプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス抽出物、およびシクロデキストリン、および/または存在する場合には少なくとも1種の追加の抗上皮癌剤を含むもの)を含む局所用製剤が特に企図される。そのような用途のための既知の担体を使用して、局所用製剤をローション剤、クリーム剤、軟膏剤(ointment)、ペースト剤または軟膏剤(salve)として調製し得る。特定の態様では、局所投与用に製剤化された組成物は、アルファ、ベータまたはガンマ-シクロデキストリンを含む。
【0266】
特定の態様では、局所用製剤は、1種または複数種の浸透剤(例えば1種または複数種の乳酸アルキル)、1種または複数種の酸化防止剤(例えばビタミンE(アルファ-トコフェロール)または別の天然に存在する酸化防止剤、例えばポリフェノール系酸化防止剤、例えばプロアントシアニジンおよびクロロゲン酸、キナ酸およびフェルラ酸)、1種または複数種の光保護剤またはUV保護剤(例えばTiO2またはカルノシン酸)、1種または複数種の脂質、コラーゲン、ケラチンまたは他のタンパク質を含む。
【0267】
特定の態様では、局所用組成物は、化粧品で一般的である1種または複数種の担体(例えば、親水性または親油性のゲル化剤、親水性または脂乳性の活性剤、保存料、酸化防止剤、溶媒、香料、賦形剤、UV保護剤、顔料、臭気吸収剤または色素)を含む。典型的には、この組成物は当技術分野において慣習的に使用される量を含み、例えば、この組成物の総重量に対して0.01%~20%を含む。この担体の性質および具体的な態様に応じて、この担体は、脂質層、水相、または1つまたは複数の相、小胞、例えば1つまたは複数の脂質小胞、微粒子、またはこの局所用製剤の他の成分に導入される。
【0268】
特定の態様では、特に本組成物が乳濁液である場合には、脂質/脂肪相の割合は、この組成物の総重量に対して5重量%~80重量%の範囲であり得、例えば5重量%~50重量%の範囲であり得る。乳濁液の形態の本組成物での使用が企図される油、乳化剤および共乳化剤は、当技術分野において慣習的に使用されるものから選択される。存在する場合、乳化剤および共乳化剤は、本組成物の総重量に対して0.3重量%~30重量%(例えば0.5重量%~20重量%)の範囲の割合でこの組成物中に存在する。
【0269】
特定の態様では、本組成物は1種または複数種の油を含み、例えば、1種または複数種の鉱油、例えば液体石油ゼリー、植物起源の油、例えばアボカド油または大豆油、動物起源の油、例えばラノリン、合成油、例えばペルヒドロスクアレン、シリコーン油、例えばシクロメチコン、およびフルオロ油、例えばパーフルオロポリエーテルを含む。特定の態様では、脂肪アルコール(例えばセチルアルコール)、脂肪酸およびロウ(例えばカルナバロウまたはオゾケライト)も脂肪物質として使用される。
【0270】
特定の態様では、乳化剤および共乳化剤は、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル(例えばステアリン酸PEG)もしくはグリセロールの脂肪酸エステル(例えばステアリン酸グリセリル)またはそれらの混合物である。
【0271】
特定の製剤では親水性ゲル化剤の使用が企図され、そのような薬剤として、カルボキシビニルポリマー(例えばカルボマー)、アクリルコポリマー(例えばアクリレート/アルキルアクリレートコポリマー)、ポリアクリルアミド、多糖、天然ガムおよび天然粘土が挙げられ、親油性ゲル化剤として、改質粘土、例えばベントナイト、脂肪酸の金属塩、疎水性シリカおよびポリエチレンが挙げられる。
【0272】
特定の態様では、薬学的に許容される担体としての使用のための市販のベースクリーム剤の代表的な例はDermabaseクリーム、UnibaseクリームおよびVanicreamである。
【0273】
本局所用製剤は、特定の態様では保湿剤、脱色剤または着色剤、抗菌剤、またはフリーラジカル消去剤も含む。
【0274】
特定の態様では、局所用組成物は水性製剤として製剤化されており、例えば水性スキンクリーム剤(例えば油中水型または水中油型の乳濁液)として製剤化されている。
【0275】
そのような製剤を直接投与し得、例えば創傷に直接塗布し得る、手術部位に噴霧し得る、または包帯もしくは外傷用医薬材料への含浸により間接的に適用し得る、または手術機器、外傷用医薬材料および同類のものに噴霧し得る。
【0276】
式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を任意で少なくとも1種の追加の治療剤と共に含む非経口単位剤形も提供される。
【0277】
一例では、本抗上皮癌組成物は、プロポリスチンキ(例えば、式(I)の化合物のうちの1種または複数種またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリスチンキ)と、シクロデキストリンおよび式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物とを混合し、次いで、水を添加し、この組成物をホモジナイズし、次いで噴霧乾燥させた後にまたは凍結乾燥させた後に得られる粉末である。本発明の他の例示的な抗上皮癌組成物として溶液が挙げられ、例えば下記が挙げられる:プロポリスチンキまたはその画分とシクロデキストリンとを混合し、次いで水中に分散させたもの、プロポリスまたはプロポリスが含まれる物質とシクロデキストリンとを独立して水に溶解させ、または分散させ、次いで例えば混練により混合したもの、さらに、プロポリスの粉末または樹脂を、この粉末または樹脂が可溶性である別の有機溶媒または有機溶媒-水混合物(例えば、エタノール、プロピレングリコ-ル、酢酸エチル、イソプロピルアルコールおよびそれらと水との混合物)に最初に溶解させ、得られた溶液をシクロデキストリンと混合し、次いで水に添加し、さらに例えば混練により混合し、次いで当技術分野において既知の手段(例えば噴霧または凍結乾燥)により乾燥させたもの。あるいは、水を水中でのシクロデキストリンの溶解度以下でシクロデキストリンと混合し得、次いでプロポリスチンキを混合し、さらに水を添加して混合し、次いで得られた分散液を当技術分野において既知の手段(例えば噴霧または凍結乾燥)により乾燥させる。特定の態様では、上記で説明されている粉末として調製された抗上皮癌組成物は、例えば、この抗上皮癌組成物は上記で説明されているように調製された抗上皮癌組成物の溶液と比べて強力な抗上皮癌活性を維持し得るまたは長期にわたり抗上皮癌活性を維持し得ることから好ましい場合がある。
【0278】
本発明の式(I)の少なくとも1種の化合物およびシクロデキストリンに富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物の含有量は、予想される抗上皮癌活性が実現される限りにおいて任意のレベルであり得る。同様に、本発明の式(I)の化合物、プロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物およびシクロデキストリンの含有量は、予想される抗上皮癌活性が実現される限りおいて任意のレベルであり得る。
【0279】
いかなる理論にも拘束されることを望まないが、本出願人は、本組成物中における式(I)の少なくとも1種の化合物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物は、前記プロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物:シクロデキストリンのモル比が1:1以下である場合には完全に封入されるであろうと考える。
【0280】
いくつかの態様では、式(I)の少なくとも1種の化合物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物:シクロデキストリンのモル比は本組成物中において1:1を超え得る。そのような組成物では、過剰なプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物はシクロデキストリンにより封入されないだろう。
【0281】
本上皮癌組成物が適用される用途に応じて、一般に既知な他の抗上皮癌物質を本組成物と組み合わせ得る。
【0282】
いかなる理論にも拘束されることを望まないが、本出願人は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物とシクロデキストリンとを含む本発明の例示的組成物で観測される増強された抗上皮癌活性は、この式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(特にプロポリス樹脂またはプロポリス樹脂の濃縮画分として存在する場合)とシクロデキストリンとの間の相乗作用に少なくとも部分的に起因し得ると考える。特定の態様では、相乗作用を示す例示的組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(例えば、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリスの抽出物もしくは画分、プロポリス樹脂抽出物、またはポプラの抽出物もしくは滲出物)とアルファ-シクロデキストリンとを含む組成物である。別の企図される態様では、相乗作用を示す組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(例えば、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリスの抽出物もしくは画分、プロポリス樹脂抽出物、またはポプラの抽出物もしくは滲出物)とガンマ-シクロデキストリンとを含む組成物である。
【0283】
一態様では、本発明は、食品、飲料、食品添加物、飲料添加物、栄養補助食品、栄養製品、医療食品、機能性食品、機能性化粧品、医療機器、医療用品、薬物または医薬品の製造における、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物とシクロデキストリンと(例えば、プロポリスならびにアルファ-シクロデキストリンおよび/またはガンマ-シクロデキストリン)の任意で少なくとも1種の抗上皮癌剤との使用に関する。
【0284】
一態様では、プロポリス、プロポリス樹脂、プロポリス樹脂抽出物、ポプラ抽出物またはシクロデキストリンを含む例示的組成物は経口投与用に製剤化されている。別の態様では、この組成物は非経口(例えば局所)投与用に製剤化されている。特定の態様では、この組成物は、アポトーシスを誘発するため、皮膚癌を処置するもしくは予防するため、皮膚の健康を維持するもしくは改善するため、または上記で説明されている1種または複数種の他の用途のためである。
【0285】
一態様では、本組成物は、散剤、錠剤、カプレット剤、丸剤、硬質もしくは軟質のカプセル剤、またはロゼンジ剤の形態である。
【0286】
一態様では、本組成物は、サシェ剤、分配可能な散剤、顆粒剤、懸濁液、エリキシル剤、液剤、飲料の形態、または例えば水もしくは果汁等の食品もしくは飲料に添加され得る任意の他の形態である。一態様では、本組成物は経腸製品、固体経腸製品または液体経腸製品である。
【0287】
一態様では、本組成物は、クリーム剤、軟膏剤、ペースト剤、点滴薬溶液(例えば点眼剤もしくは点耳剤)、吸入剤もしくは吸入可能な組成物、外傷用医薬材料、パッドまたはスプレーの形態である。
【0288】
一態様では、本組成物は、貯蔵の最中のまたは投与後の組成物の分解を防止するまたは低減する1種または複数種の成分(例えば酸化防止剤)をさらに含む。
【0289】
一態様では、本明細書において有用な組成物として任意の食用消費者向け製品が挙げられ、特に1種または複数種のシクロデキストリンを担持し得るものが挙げられる。本組成物が少なくとも1種の追加の抗上皮癌剤としてタンパク質性因子を含む場合、この食用消費者向け製品はタンパク質を担持し得るものである。適切な食用消費者向け製品の例として、焼成食品、粉末、液体、菓子製品、再構成果物製品、スナックバー、食品バー、ミューズリーバー、スプレッド、ソース、ディップ、乳製品(例えばアイスクリーム、ヨーグルトおよびチーズ)、飲料(例えば乳製品ベースのおよび非乳製品ベースの飲料(例えば、ミルクセーキ等の乳飲料およびヨーグルト飲料)、粉乳、スポーツ補助食品または栄養補助食品(例えば、乳製品ベースのおよび非乳製品ベースのスポーツ補助食品または栄誉補助食品)、食品添加物(例えばタンパク質散布剤)、ならびに栄養補助食品製品(例えば栄養補助錠剤)が挙げられる。この態様内では、本明細書において有用な組成物はまた、粉末形態または液体形態の乳児用調製粉乳でもあり得る。本明細書において有用な適切な機能性食品組成物は同様の形態で提供され得る。具体的に企図されているのは、乳、または1種または複数種の乳製品、または乳の成分(例えば乳タンパク質、乳清タンパク質、初乳、乳脂肪)、または乳または1種または複数種の乳製品または乳の成分の任意の画分(例えば乳脂肪画分、乳タンパク質画分、乳清タンパク質画分、初乳画分または同類のもの)をさらに含む組成物である。
【0290】
本明細書において有用な組成物は、他の要素、例えば、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、セレン、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK2、複合炭水化物、食用油もしくは料理油、例えばヤシ、オリーブ、大豆、キャノーラ、コーン、ヒマワリ、ベニバナ、ピーナッツ、ブドウ種子、ゴマ、ナッツ、アーモンド、カシュー、ヘーゼルナッツ、マカダミア、ペカン、ピスタチオおよびクルミ、ならびに他の食用品、例えばアサイー油、アマランス油、アンズ油、アルガン油、チョウセンアザミ油、アボカド油、ババス油、マメ油、カシス種子油、ルリジサ種子油、ボルネオタローナッツ油、ユウガオ油、バッファローヒョウタン油、キャロブポッド(アルガロバ)油、コフネ油、コエンドロ種子油、マツヨイグサ油、アマナズナ油、アサ油、カポック種子油、ラレマンティア油、メドウフォーム種子油、カラシナ油、オクラ種子(ハイビスカス種子)油、シソ種子油、ペキー油、松の実油、芥子粒油、プルーンカーネル油、カボチャ種子油、キノア油、ラムチル(ramtil)油、米糠油、チャノキ(ツバキ)油、アザミ油、スイカ種子油もしくはコムギ胚芽油、またはそれらの組み合わせをさらに含み得る。
【0291】
様々な態様では、組成物は少なくとも1種の追加の治療薬を含み得、この少なくとも1種の追加の治療薬は下記である:抗生物質、例えばアミノグリコシド、例えばアミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシンもしくはパロモマイシン;アンサマイシン、例えばゲルダナマイシンもしくはハービマイシン;カルバセフェム、例えばロラカルベフ;カルバペネム、例えばエルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチンもしくはメロペネム;セファロスポリン(第1世代)、例えばセファドロキシル、セファゾリン、セファロチンもしくはセファロチン、またはセファレキシン;セファロスポリン(第2世代)、例えばセファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジルもしくはセフロキシム;セファロスポリン(第3世代)、例えばセフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシムもしくはセフトリアキソン;セファロスポリン(第4世代)、例えばセフェピム;セファロスポリン(第5世代)、例えばセフトビプロール;糖ペプチド、例えばテイコプラニンもしくはバンコマイシン;マクロライド、例えばアジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシンもしくはスペクチノマイシン;モノバクタム、例えばアズトレオナム;ペニシリン、例えばアモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、ピペラシリンもしくはチカルシリン;ポリペプチド、例えばバシトラシン、コリスチンもしくはポリミキシンb;キノロン、例えばシプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシンもしくはオフロキサシン;スルホンアミド、例えばマフェニド、スルホンアミドクリソイジン(使用されていない)、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファメチゾール、スルファニリミド(使用されていない)、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、トリメトプリムもしくはトリメトプリム-スルファメトキサゾール(コトリモキサゾール)(tmp-smx);テトラサイクリン、例えばデメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン;他のもの、例えばアルスフェナミン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン、エタンブトール、ホスホマイシン、フシジン酸、フラゾリドン、イソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、プラテンシマイシン、ピラジナミド、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、リファンピシン(米国ではリファンピン)、チアンフェニコール、チニダゾール、ダプソン、クロファジミン;または環状リポペプチド、例えばダプトマイシン、グリシルサイクリン、例えばチゲサイクリン、もしくはオキサゾリジノン、例えばリネゾリド。
【0292】
他の態様では、少なくとも1種の追加の治療薬は下記である:抗真菌薬、例えばポリエン抗真菌薬、例えばナタマイシン、リモシジン、フィリピン、ナイスタチン、アンホテリシンB、カンジシン;イミダゾール、例えばミコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ビホナゾール、ブトコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾールもしくはチオコナゾール;トリアゾール、例えばフルコナゾール、イトラコナゾール、イサブコナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾールもしくはテルコナゾール;チアゾール、例えばアバファンジン(abafungin);アリルアミン、例えばテルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィンもしくはブテナフィン;エキノキャンディン、例えばアニデュラファンギン、カスポファンギンもしくはミカファンギン;他のもの、例えば安息香酸、シクロピロクス、トルナフタート、ウンデシレン酸、フルシトシンもしくは5-フルオロシトシン、グリセオフルビン、ハロプロジンおよび重炭酸ナトリウム;または代替物、例えばアリシン、ティーツリー油、シトロネラソウ油、ヨウ素、レモングラス、オリーブ葉、オレンジ油、パルマローザ油、パチョリ、レモンマートル、ニーム種子油、ココナツ油、亜鉛もしくはセレン。あるいは、この薬剤は、本明細書において説明されているもののいずれかから選択される。
【0293】
本発明に従って有用な組成物の効力を、インビトロおよびインビボの両方で評価し得る。例えば下記の実施例を参照されたい。簡潔に言うと、一態様では、この組成物を、例えばこの組成物のインビトロでの腫瘍細胞増殖を阻害する能力に関して試験し得る。インビボでの研究の場合、この組成物を動物(例えばマウス)に給餌し、注射し、または局所的に適用し、次いで、この組成物の、皮膚癌細胞の生存、増殖、転移、または皮膚癌または関連する疾患もしくは障害の1種または複数種の症状への効果を評価する。この結果に基づいて、適切な用量範囲、頻度および投与経路を決定し得る。
【0294】
本明細書において有用な組成物を単独で使用してもよいし、1種または複数種の他の抗上皮癌剤または1種または複数種の追加の治療薬と組み合わせて使用してもよい。この抗上皮癌剤または追加の治療薬は、食品、飲料、食品添加物、飲料添加物、食品成分、飲料成分、栄養補助食品、栄養製品、医療食品、機能性食品、機能性化粧品、医療機器、医療用品、薬物または医薬品であり得る、または含み得る。この抗上皮癌剤または追加の治療薬は好ましくは、1種または複数種の腫瘍性の疾患もしくは障害または1種または複数種の腫瘍性の疾患もしくは障害の症状のうちの1種または複数種を減弱するのに効果的である、またはそのほかの方法で、この抗上皮癌剤もしくは追加の治療薬が投与される対象に利益を付与する。好ましい治療薬として、治療用食品因子、免疫原性剤または免疫刺激剤、創傷治癒剤および同類のものが挙げられる。
【0295】
上記に列挙した追加の抗上皮癌剤または治療薬(食品ベースの薬剤および医薬品の両方)を本発明に係る方法でも利用し得、この方法では、この追加の抗上皮癌剤または治療薬を本明細書において有用な組成物と別々に、同時にまたは連続して投与することを理解すべきである。
【0296】
認識されるように、投与される組成物の用量、投与期間および一般的な投与レジメは、対象の症状の重症度、処置される障害の種類、選択された投与様式、ならびに対象の年齢、性別および/または全体的な健康等の変数に応じて対象間で異なり得る。しかしながら、一般的な例として、1回の投与当たりまたは1日当たり、約1mg~約5000mg/体重1kgの本明細書において有用な組成物を投与し、1mg~約4000mg/体重1kgの本明細書において有用な組成物を投与し、1mg~約3000mg/体重1kgの本明細書において有用な組成物を投与し、1mg~約2000mg/体重1kgの本明細書において有用な組成物を投与し、1mg~約1000mg/体重1kgの本明細書において有用な組成物を投与し、好ましくは、好ましくは1日当たり約5~約100mg/kg。一態様では、投与は約0.05mg~約250mg/体重1kgの本明細書において有用な組成物である。
【0297】
様々な態様では、体重1kg当たり約0.001mg~約50mgの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を送達するのに十分な組成物を投与し、体重1kg当たり、1回の投与当たりまたは1日当たり、約0.001mg~約40mg/体重1kg、約0.001mg~約30mg/体重1kg、約0.001mg~約20mg/体重1kg、約0.001mg~約10mg/体重1kg、約0.001mg~約5mg/体重1kg、約0.001mg~約1mg/体重1kg、約0.001mg~約0.5mg/体重1kg、約0.001mg~約0.1mg/体重1kgまたは約0.001mg~約0.05mgの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を送達するのに十分な組成物を投与する。
【0298】
投与として、単回投与(例えば1日1回の投与)または適切であり得る場合には多くの別々の分割投与による投与が挙げられ得ることを認識すべきである。当業者は、本技術および本開示を考慮して、過度に実験することなく所与の状態に有効な投与レジメ(例えば投与の用量およびタイミング)を決定し得ることを理解すべきである。
【0299】
本発明はまた、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を任意でプロポリスまたはプロポリスを含む物質と一緒に、シクロデキストリンと組み合わせて含む、から本質的になるまたはからなる食事組成物、機能性食品組成物、機能性化粧品組成物または経口薬学的組成物にも関する。特定の態様では、この組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富む約1~99重量%のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、約1~80重量%のシクロデキストリンとから本質的になる。例えば、この組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富む約20~80重量%のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、約20~80重量%のシクロデキストリンとから本質的になる。別例では、この組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富む約20~40重量%のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、約60~80重量%のシクロデキストリンとから本質的になる。
【0300】
シクロデキストリンにより封入されている、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物、またはプロポリス、プロポリス樹脂もしくはプロポリス樹脂抽出物を含む物質を含む、から本質的になるまたはからなる食事組成物、機能性食品組成物、機能性化粧品組成物または経口薬学的組成物が提供される。特定の態様では、この組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富む約1~30重量%のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、約70~99重量%のシクロデキストリンとから本質的になる。例えば、この組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富む約10~25重量%のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、約75~90重量%のシクロデキストリンとから本質的になる。別例では、この組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富む約20~30重量%のプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物と、約70~80重量%のシクロデキストリンとから本質的になる。
【0301】
一態様では、組成物は、式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス、プロポリス樹脂またはプロポリス樹脂抽出物、または式(I)の1種または複数種の化合物またはその1種または複数種の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に富むプロポリス画分を含む。一態様では、この組成物は、少なくとも約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90または99重量%のプロポリス、プロポリス樹脂、プロポリス樹脂抽出物またはプロポリス画分を含み、有効範囲はこれらの値のいずれかから選択され得る(例えば約1~約25重量%、約1~約30重量%、約5~約30重量%、約15~約30重量%、約20~約30重量%、約25~約30重量%、約10~約50重量%、約15~約50重量%、約40~約99重量%、約45~約99重量%、約50~約99重量%、約55~約99重量%、約60~約99重量%、約65~約99重量%、約70~約99重量%、約75~約99重量%、約80~約99重量%、約85~約99重量%、約90~99重量%または約95~約99重量%)。
【0302】
一態様では、組成物は、シクロデキストリン(例えばアルファ-シクロデキストリンおよび/またはガンマ-シクロデキストリン)を含む。一態様では、この組成物は、少なくとも約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85または少なくとも約90重量%のシクロデキストリンを含み、有効範囲はこれらの値のいずれかから選択され得る(例えば約1~約99重量%、約5~約99重量%、約10~約99重量%、約15~約99重量%、約20~約99重量%、約25~約99重量%、約30~約99重量%、約35~約99重量%、約40~約99重量%、約45~約99重量%、約50~約99重量%、約55~約99重量%、約60~約99重量%、約65~約99重量%、約70~約99重量%、約75~約99重量%、約80~約99重量%、約85~約99重量%、約90~約99重量%または約95~約99重量%)。
【0303】
別の抗上皮癌剤または治療薬と組み合わせて使用される場合、本明細書において有用な組成物と他の抗上皮癌剤または治療薬とを、同時に投与してもよいし連続して投与してもよい。同時投与として、全ての成分を含む単一剤形の投与、または実質的に同時での別々の剤形の投与が挙げられる。連続投与として、好ましくは本明細書において有用な組成物と他の治療薬とが与えられる期間に重複が存在するような、異なるスケジュールに従う投与が挙げられる。
【0304】
加えて、本発明に従う組成物を、特定の場合には対象にとって有益であり得る追加の活性成分と共に製剤化し得ることが企図される。例えば、疾患プロセスの同一面またな異なる面を標的とする治療薬を使用し得る。
【0305】
従って、本発明の「抗上皮癌組成物を含む食品および飲料」を一般的な食品および健康食品に使用し得る。本発明の抗上皮癌組成物はプロポリスの味覚を隠すことから、この組成物をそのままでまたは粉末の形態で食べることができる。この組成物を、ケーキ、ビスケット、クッキー、チョコレート、菓子および他の菓子類(例えばドロップまたはチューインガム)の成分または原材料として使用し得る。この組成物を飲料として水に添加してもよく、飲料(例えばミルク、紅茶、コーヒー、ホットチョコレート等)の味覚調整剤としておよびフルーツジュース飲料、スポーツドリンク等の成分または原材料として使用し得る。
【0306】
例示的な抗上皮癌組成物およびそのような組成物を調製する方法を、これより下記の実施例を参照して説明する。
【実施例0307】
実施例1:プロポリスチンキの初期バイオアッセイ誘導分画
この実施例は、分取クロマトグラフィーにより生成されたプロポリスの画分の抗消化管癌活性の評価を説明する。この研究を、ヒト結腸癌腺癌細胞株DLD-1での増殖アッセイを使用して実施した。
【0308】
カラムクロマトグラフィーによるプロポリスチンキ画分の生成
分画を、メタノール(MeOH)(200ml)で洗浄した後に20%水性エタノール(EtOH)(500ml)で平衡化したMerck Lichroprep CI8逆相固定相(16×4cm)を充填したガラスカラムを使用して実行した。このカラムの上部に、EtOH(5ml)に溶解させたプロポリスチンキ乾燥固体(5.446g)を、ピストンポンプを使用してロードした。溶出を、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%および90%の水性EtOH、続いて2回の100%EtOH工程からなる段階的勾配(250ml)として実行し、次いで2-プロパノール(IPA)、酢酸エチル(EtOAc)、アセトンおよびクロロホルム(CHCl3)で溶出させた。真空下にてロータリーエバポレーターで様々な画分から溶媒を除去した後、一晩凍結乾燥させた。2つの100%EtOH画分をプールし、残りの4つの非極性画分(IPA、EtOAc、アセトンおよびCHCl3)を、それらの比較的低い質量に起因して生物学的アッセイ作業用に同様にプールした。これらの画分を、このカラムからの溶出工程で使用されるエタノールのパーセンテージ(例えば20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%および90%の水性EtOHならびに100%EtOH)に従って表1に示す。
【0309】
【0310】
DLD-1ヒト結腸腺癌細胞、KYSE-30ヒト食道扁平上皮細胞癌およびNCI-N87ヒト胃癌に関する抗消化管癌抗増殖アッセイのための材料および方法
プロポリスチンキ乾燥固体の分画により得られた、上記表1に示す試験試料を、MTTアッセイで評価されるようにヒト結腸直腸腺癌細胞(DLD-1)の生存率および増殖を調節する能力に関して評価した。このバイオアッセイには、プロポリスチンキ乾燥固体出発物質も含めた。この研究には、補充されていない細胞コントロール(陰性コントロール)に加えて陽性コントロール5-フルオロウラシル(5-FU)を含めた。後の実施例では、試験試料を、MTTアッセイで評価されるようにヒト食道細胞(KYSE-30)およびヒト胃癌細胞(NCI-N87)の生存率および増殖を調節する能力に関しても評価した。
【0311】
試験材料および試験方法の説明
ヒト消化管癌細胞株DLD-1、KYSE-30およびNCI-N87を低温保存から蘇生させ、試験試料および参照試料の存在下で培養した。これらの細胞の培養条件は、これらの細胞の供給者(ATCC)により説明されたものであった。次いで、細胞増殖への試料の効果を決定するために、この培養物にMTTアッセイを実施した。
【0312】
方法論は、下記により報告された手順に基づいた:
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【0313】
試料調製
試験画分を15%エタノール(ETOH)/HBSSに2mg/mlの固体の濃度まで溶解させることにより、ワーキング溶液を調製した。
【0314】
実験手順
試験系のキャラクタリゼーション
1. ヒト結腸直腸腺癌細胞をATCCから入手した(CCl-221、DLD-1)。
2. ヒト胃癌細胞をATCCから入手した(CRL-5822、NCI-N87)。
3. ヒト食道扁平上皮細胞癌細胞をSigma Aldrichから入手した(ECACC、KYSE-30)。
4. GIBCOから入手したDLD-1細胞培地は、10%ウシ胎児血清(FBS)、100U/mlペニシリンおよび100mg/mlストレプトマイシンが添加されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)であった。この培地を4℃で保存した。
5. Sigmaから入手したNCI-N87細胞培地は、2mM L-グルタミン、10mM HEPES、1mMピルビン酸ナトリウム、4500mg/L グルコースおよび1500mg/L重炭酸ナトリウムを含むように改変されたRPMI-1640培地であった。この培地を4℃で保存した。
6. Sigmaから入手したKYSE-30細胞培地は、2mM L-グルタミンを含むように改変されたHam’s F12:RPMI-1640(50:50)培地であった。この完全培地に、10%FBS、100U/mlペニシリンおよび2.5μg/mlゲンタマイシンを添加した。この培地を4℃で保存した。
7. 0.9%NaCl中の10000ユニット/mLペニシリン、10mg/mlストレプトマイシンからなるペニシリン-ストレプトマイシン溶液(-20℃で保存されている)をSigmaから入手した(#P-0781)。
8. 0.25%トリプシン/EDTAからなるトリプシン-EDTA溶液をInvitrogenから入手した(15400054)。
9. リン酸緩衝生理食塩水(PBS)をインハウスで調製した。
10. ハンクス平衡塩溶液(HBSS)(4℃で保存されている)をGIBCOから入手した(14185-052)。
11. ウシ胎児血清(-20℃で保存されている)をGIBCOから入手した(10091-148)。
12. SIGMAから入手したMTT試薬(100mg/バイアル)(M-2128)を10mg/mlでPBSに溶解させ、-20℃で保存した。5mg/ml MTT溶液をPBSで調製し、ワーキング溶液として4℃で保存した。
13. ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)20gを再蒸留水(DDW)100mLに溶解させ、ジメチルホルムアミド90mLを添加し、氷酢酸を使用してpHを4.7に調整し、次いで200mlの最終体積までDDWで希釈することにより、10%SDS/45%ジメチルホルムアミドからなるMTT溶解緩衝液を調製した。
14. 5-フルオロウラシル(5-FU)をSigmaから入手した(F-6627)。15%ETOH/HBSSでのワーキング溶液を必要に応じて調製し、次いでバイオアッセイ直前に必要な濃度まで希釈した。
【0315】
培地調製
細胞株のそれぞれの増殖用の培地を上記に示す。各培地を製造業者の指示に従って調製し、ペニシリン-ストレプトマイシン溶液(1リットル当たり10ml)を補充した。使用直前にFBS(10%)を添加した。
【0316】
細胞の培養
1. 細胞株のそれぞれを低温保存から蘇生させた。
2. 上記で説明されている培地(培地調製を参照されたい)を使用した最初の増殖後、培養物を、下記のようにトリプシン-EDTAを使用して継代培養した。培地を除去し、トリプシン-EDTA溶液5mlを添加し、5分にわたりまたは全ての細胞が剥離するまで37℃でインキュベートした。等体積のDMEM培地を添加してトリプシンを中和し、培養物を4℃にて5分にわたり300g(1200rpm)で遠心分離した。
3. 上清をデカントし、細胞ペレットを培地DMEM、FBS(10%)、ペニシリン(100ユニット/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)に再懸濁させた。細胞を5%CO2/95%空気中にて37℃で培養した。
4. コンフルエンスに達した後、トリプシン-EDTAを使用して細胞を剥離させ、上記2で説明されているように遠心分離した。
5. 上清を廃棄し、細胞をDMEMおよび上記3で説明されている補充物に1ml当たり1.0×104個の細胞で再懸濁させた。
6. 3つの96ウェルプレートの各ウェルに細胞180μl(1,800個の細胞/ウェル)または培地を添加した。このプレートを48時間にわたり37℃で5%CO2/95%空気中にてインキュベートし、この条件は細胞を付着させるのに十分であった。
7. 各ウェルに、試験試料のそれぞれまたは陽性コントロール20μlを添加した。「培地」または「細胞のみ」コントールの場合には、15%ETOH/HBSS 20μlを各ウェルに添加した。各サンプルを3~6回の反復で評価し、3つのマイクロタイタープレートのそれぞれでコントロールを3~9(3回の反復を組み合わせた)回の反復で評価した。各ウェル中の試料の最終濃度は、注記しない限り200μg/mlであった。
8. 各ウェル中の総体積は200μlであった。
9. プレートを、19時間にわたり5%CO2/95%空気中にて37℃でインキュベートした。
【0317】
細胞増殖アッセイ
1. インキュベーションの完了時に全てのウェルにMTTワーキング溶液(5mg/ml)20μlを添加し、5%CO2/95%空気中にて37℃で3~4時間にわたりインキュベートした。
2. このインキュベーション期間の間中、細胞および試料のウェルならびに試料および培地のブランクウェルの両方においていくつかの試料のウェルのいくつかで強い色が予期せずに現れることに気付いた。この期間の最後に各ウェルから上清を除去し、各ウェルをHBSSで緩やかに2回洗浄して紫色を除去した後、下記の工程3で説明するようにMTT溶解緩衝液を添加した。
3. 次いで、MTT溶解緩衝液100μlを添加し、プレートを5%CO2/95%空気中にて37℃で一晩インキュベートした。このプレートを10分にわたり1200rpmで遠心分離して、あらゆる残余の不溶性物質をペレット化した。各ウェルからアリコート200μlを新鮮な96ウェルプレートに移した。このプレートを570nmにてVersaMaxマイクロプレートリーダーで読み取った。
4.結果を、細胞のみのコントールと比較した、試料の存在下で培養した細胞の増殖率として表した。ブランク読み取り値をバックグラウンド読み取り値として全てのウェルから減算した。
【0318】
結果
プロポリス画分S#1~S#10および比較プロポリス乾燥固体S#11に関するDLD-1細胞の増殖へのコントロールおよび試験試料の効果の概要を下記の表2に示し、表2中、NC=陰性コントロール(細胞のみ)、PC=陽性コントロール(5-フルオロウラシル、7.50ng/mlで試験した)である。この表中、ODは、570nmで測定した光学密度であり;SEMは、測定した平均光学密度値と関連する測定値の標準誤差であり;pは、測定値がスチューデントt検定により統計学的に有意である確率値であり、ここで、<0.05(NS=有意ではない)であるとみなし;%阻害は、陰性コントールと比較した増殖のパーセンテージ減少であり、大きい数字は試験化合物が抗癌増殖能を有することを示す。
【0319】
(表2)DLD-1細胞の増殖へのプロポリス画分試料の効果
【0320】
最も活性なプロポリス画分は、画分S#1、S#2、S#5およびS#8であることが分かった。プロポリス画分S#1、S#2およびS#5は既知のプロポリスフェノールおよびフラボノイドを含有しており、そのため本研究ではこれ以上調べなかった。さらなる研究を行い、プロポリス画分S#8(HPLCにより、既に同定されたあらゆるフェノール性化合物を含まないことが分かった)中に存在する化合物を決定した。この研究を実施例2で説明する。
【0321】
実施例2:非フェノール画分のバイオアッセイ誘導分画
この実施例は、化合物の同定前のプロポリス画分S#8のさらなるバイオアッセイ誘導分画を説明する。S#28~S#31の番号を付した4つのさらなる細画分を生成した。この研究を、実施例1でしたMTTアッセイによる結腸癌腺癌細胞株DLD-1の増殖を使用して実施した。
【0322】
細画分S#28~S#31を生成するための分取HPLC
実施例1のために生成された90%水性EtOH溶出画分(プロポリス画分S#8)を分取HPLでさらに分画した。プロポリス画分S#8をニートEtOHに溶解させ、次いでGilson 321分取ポンプおよびAgilent 1100シリーズダイオードアレイ検出器を使用して、Phenomenex Synergi C-12カラム(4μ、-RP Max 80A 250×30mm)での分取HPLCによるクロマトグラフィーに供した。0.5~1.5mlの注入体積を用いた。20ml/分の流速を用いた。溶媒は80%水性MeOH(0.1%TFAを含む)およびEtOAc/MeOH(4:1体積/体積)であった。最初の溶出剤組成物は80%水性メタノールからなった。溶媒組成物を初期条件で5分にわたり保持した後、EtOAc/MeOH溶媒濃度を35分かけて100%まで直線的に増加させた。このクロマトグラフィーを室温(18~20℃)で実行した。画分を、210nm、268nmおよび327nmで実行したオンライン検出でおよび蒸発光散乱検出(ELSD)によっても手動で収集した。この画分の主成分は完全に非極性であり、クロマトグラムの後期に溶出し、フェノールを含む他のプロポリス画分の分析に概して使用される波長(即ち268および327nm)で最小のUV吸収を示した。しかしながら、ELSDにより成分の複雑な混合が明らかになった。ELSDの破壊的性質に起因して、分取HPLC画分を、210nmで実行したオンライン検出により手動で収集した。クロマトグラフィーでは明確な単独ピークが生じず、むしろベースラインで幅広く上下したことから、この実行の最中に4つの画分を収集し、全てを生物学的アッセイ用に調製した。
【0323】
DLD-1結腸癌抗増殖アッセイのための材料および方法
下記の表3に示す試験試料を、MTTアッセイで評価されるようにヒト結腸直腸腺癌細胞(DLD-1)の生存率および増殖を調節する能力に関して評価した。この研究には、補充されていない細胞コントロール(NC、陰性コントロール)に加えて陽性コントロール5-フルオロウラシル(5-FU)を含めた。5-FUの濃度を実施例1から増加させて、より強い抗増殖応答を誘発した。DLD-1抗増殖アッセイを実施例1で説明されているように実施した。
【0324】
【0325】
試料を、HBSS中の15%EtOHに2mg/mlでワーキング溶液として溶解させた。このアッセイでは、試料の最終濃度は200μg/mlであり、最終EtOH濃度は1.5%であった。
【0326】
結果および考察
24時間のインキュベーション後の細胞の増殖への陽性コントロールおよび試験試料の効果の概要を表4に示し、表4中、NC=陰性コントロール(細胞のみ)、PC=陽性コントロール(5-フルオロウラシル、0.65および1.95μg/mlで試験した)。この表中、ODは、570nmで測定した光学密度であり;SEMは、測定した平均光学密度値と関連する測定値の標準誤差であり;pは、測定値がスチューデントt検定により統計学的に有意である確率値であり、ここで、<0.05(NS=有意ではない)であるとみなし;%阻害は、陰性コントールと比較した増殖のパーセンテージ減少であり、大きい数字は試験化合物が抗癌増殖能を有することを示す。
【0327】
(表4)DLD-1細胞増殖へのプロポリス細画分試料の効果
【0328】
試験したプロポリス細画分試料の全てがDLD-1結腸癌細胞の増殖を阻害した。最も活性な画分はS#30 90%F3であり、この画分は、試験した濃度で増殖を完全に阻害し且つ細胞傷害性であった。さらなる研究を実施例3で実行し、実施例1(ポロポリス画分S#8)および2(プロポリス細画分S#30)で使用した試験試料中に存在する生物活性化合物の性質を同定した。
【0329】
実施例3:活性化合物としてのプロポリス中のグリセリドの同定
この実施例は、実施例1(プロポリス画分S#8)および2(プロポリス細画分S#30)に同等なNZプロポリス樹脂画分からの新規ジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの単離および同定を説明する。40%プロポリス樹脂(乾燥固体400mg)を含む40%プロポリスチンキ1グラムを、段階的溶媒勾配を使用するシリカゲルカラムを使用して分画し、表5に示す重量分布を有する14個の画分を生成した。各画分を、UV(フェノールの検出のための268nm)およびELSD検出器(全ての化合物の検出用)の両方を使用するUHPLCで分析した。プロポリス樹脂および選択された画分もLC-MSで分析して、構造の解明を可能にした。精製された細画分もNMRで分析した。このカラムをヘキサン、ヘキサン/ジエチルエーテルおよびジエチルエーテルで順次洗浄して、シリカ(それぞれ1~2;3~7;8~9)からフェノール物質の大部分(例えばフラボノイド、カフェレートおよびフェルラ酸エステル)が溶出した。このシリカ上に褐色の画分が残存した。この褐色の溶出は、酢酸エチルを用いた場合に始まった(画分11~12)。次いで、残存する暗色の大部分をアセトンおよびメタノールで溶出させた(画分13、14)。質量分布は、プロポリス質量の大部分が、淡黄色を有するジエチルエーテル画分中に存在するが、全質量の相当な割合が、酢酸エチルで溶出させた画分(画分11、12)に溶出したことを示す。水溶性物質は画分13、14に回収された、またはカラム上で保持された。
【0330】
(表5)プロポリスのシリカゲル分画に関する重量および溶媒勾配
【0331】
結果および考察
新規化合物は、画分12、13のELSDクロマトグラムの34~44分領域で鋭いピークとして現れた。ELSDで観測した後期ピーク(鋭かった且つ十分に分離されていた)を、粗プロポリスならびに富化画分12および13のLC-MS実行で見られる一組のピークに関連付け得た。UV吸収は、これらのピークと関連していなかった。質量分析(MS)は、M+1ピークおよびM+Naピークを観測した陽イオンモードで良好なピークを示す。この化合物のセットの主成分は分子量が460、474、488および502であり、成分がメチレン基で異なる同族列に等しい。このマススペクトルの全ては、159および117の原子質量単位(amu)で共通のピークを有した。陰イオンモードでは、この化合物はギ酸付加物に起因してM+45で準分子イオンを有した。高分解能MSは、分子量460の化合物に関してはC25H48O7の分子式を示し、この同族列の他のものに関しては余分なメチレンを示した。次いで、粗画分12、13の細画分を完全にアセチル化して、目的の化合物の分離を促進し且つより明確な分光データを得た。過アセチル化混合物のマススペクトルは、この化合物が、3×42の原子質量単位の分子量増加で示されるようにトリアセテートを形成していることを一般に示した。
【0332】
上記で説明されている最初のクロマトグラフィー分画を数回繰り返して、より多くの富化画分11~13を生成した。目的の化合物もシリカゲルクロマトグラフィーによりこれらの富化画分から容易に分離して、NMR分析のために十分な物質を得た。スペクトルは、4つのアセテート基(例えば、天然化合物のうちのいくつかに存在する単一のアセテート)の存在を示した。置換グリセロールが存在し、このグリセロールに付着した酸も3位でヒドロキシル化されていた。この分子の残りは、第2のヒドロキシル基も有する脂肪酸鎖で構成されていた。この脂肪酸は、主な化合物のジヒドロキシC20、C21、C22またはC23である。そのため、この化合物はグリセリドである。
【0333】
逆相カラムクロマトグラフィーにより生成されたTMS処理グリセリドリッチ画分のGC-MS分析は、プロポリス中に存在するヒドロキシル化脂肪酸脂質の天然混合物が相当に複雑であることを示した。この画分は、モノグリセリドと共にプロポリス中に存在することが既に既知である一般的な脂肪酸(パルミチン酸、オレイン酸およびステアリン酸)を有した。この複雑さは、グリセロール部分およびアセチル部分の両方を除去して4つの主要なおよびいくつかのマイナーなジヒドロキシ脂肪酸を得る塩基加水分解により減少した。このことは上記で説明されている構造型と一致したが、アセチル基が存在する場所は同定されなかった。このことを脂肪酸の範囲およびヒドロキシル基の位置/立体異性体と組み合わせると、多数の類似体が生じる。クロマトグラフィーによる単離、続いてMSおよびNMRを使用した構造の解明により同定された主要な化合物は、ジヒドロキシC20、C21、C22またはC23脂肪酸のモノアシルグリセリド(グリセロールのC1位でのエステル化)であった。このモノグリセリド中の脂肪酸は主に直鎖C20~C22であった。この脂肪酸はC3位でヒドロキシル化されており、第2のヒドロキシル基は少なくとも1つのメチレン基により第1から離れており、この脂肪酸の最終メチル基上には存在していなかった。グリセロール部分は、C2位およびC3位にてヒドロキシルの一方または両方でアセチル化されている場合がある。さらなる研究を実施例4で実行して、この脂肪酸上のアセチル基の位置および第2のヒドロキシル基の位置を決定した。
【0334】
実施例4:グリセリド濃縮物の生成およびグリセリドの単離精製
この実施例では、この脂肪酸上の第2のヒドロキシル基の位置を決定し、アセチル基の配置を同様に決定した。個々のグリセリド化合物も単離した。溶媒として酢酸エチルを使用して、脱ロウプロポリス樹脂1.1kgから大規模抽出物を調製した。このプロポリス樹脂を粗く細断し、2時間にわたり機械的に撹拌しつつ室温で酢酸エチルに浸した。溶解した抽出物を含む溶媒をろ過したが濃縮しなかった。この抽出物溶液の約20%を、シリカゲルを使用してクロマトグラフィーに供し、この抽出物をシリカゲルの一部に最初に吸収させた後、ロータリーエバポレーターを使用して酢酸エチルを蒸発させた。次いで、この予め吸収した固体を大きなシリカゲルカラムの上部にアプライし、このカラムを1:1ヘキサン/エーテルで溶出させ、8×150ml画分を収集し、次いでこのカラムをジエチルエーテルで4つのさらなる150ml画分に溶出させた後、酢酸エチルによる溶出を開始した。収集した4つの酢酸エチル画分(画分#13~#16)は、それらより前の画分と比べて色がはるかに濃かった。アセトンによる溶出後に最終画分(#17)を収集した。シリカTLC(エタノール中のリンモリブデン酸、続いて加熱を使用する可視化)およびLC-MSを使用して、この精製プロセスの進行を追跡した。次いで、シリカゲルクロマトグラフィーからのグリセリドリッチ画分をまとめ、酸を含まない水およびエタノールの混合物を使用して逆相C18カラムクロマトグラフィーにかけて、最終グリセリドリッチ画分(GLY-conc)を得た。このプロセスを、必要に応じてさらに多くの酢酸エチル抽出物で繰り返した。
【0335】
LC-MSによる全ての画分の分析は、酢酸エチル画分#13~#16およびアセトン画分#17が主要なグリセリド化合物を含むことを示した。これらの画分はまた、実施例3と一致して褐色の物質にも富んでいた。画分#13および#14をまとめ、#15および#16もまとめた。まとめた#13/#14画分を、下記のように構造同定に使用した。この#13/#14混合物約100mgを、THF:MeOH:H2O 4mlおよびLiOH 55mgと混合した。これを30分にわたり氷温度で撹拌し、次いで48時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を酢酸で酸性化し、クロロホルムで抽出した。次いで、乾燥抽出物をジアゾメタンでエステル化し、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に供した。1つの主要スポットを含む画分(1:1 EtOAc:ヘキサンによるRf約0.3、エタノール中のリンモリブデン酸および加熱による可視化)を収集した。次いで、この精製試料を、BSTFAによる処理後にGC-MSで分析した。MSスペクトル中のグリセリドの加水分解により生じた、4~12の番号を付した9個の遊離脂肪酸ピークは同族列であった。主要ピーク4は383(メチルおよびTMSOHの喪失に相当する)で特徴的なピークを有し、それに続く主要ピーク5(397)、7(411)、10(425)、11(439)および12(453)はC19~C24ジヒドロキシ脂肪酸(メチルエステルTMSエーテル)であった。別の特徴は、全てのピークで見られるm/z301および247でのフラグメントイオンであった。これらのフラグメント(特に301フラグメント)は、グリセロール上のC2位でエステル化された3-アセトキシ,8-ヒドロキシ脂肪酸グリセロールのけん化、メチル化およびシアル化により得られた3,8-ジヒドロキシ酸TMSエーテルの特徴である[Asai,T.,Hara,N.,Kobayashi,S.,Kohshima,S.,Fujimoto,Y.(2009).Acylglycerols(=glycerides) from the glandular trichome exudate on the leaves of Paulownia tomentosa.Helvetica Chimica Acta.92:1473-1494]。他の可能なジヒドロキ酸3,6;3,7および3,9は異なる断片化パターンを有する。そのため、グリセリド画分中のジヒドロキシ酸はC19~C24の3,8-ジヒドロキシ脂肪酸である。相対ピークサイズは、C20鎖長およびC22鎖長が主要な化合物であったことを示す。より大きなピークへのほとんど同一のMS断片化を伴うマイナーピーク6、8、9および13も見られた。ピーク9は10に非常に類似しており、ピーク12は13に非常に類似していた。これらのマイナーピークは、C22酸およびC24酸のイソ型、即ち脂肪酸の末端での分枝メチルであった。このことは、少量のメチル分枝を示唆したペルアセチル化化合物のNMRからの証拠と一致する。
【0336】
次いで、まとめた#15/16画分を分取HPLCに使用し、続いてSephadex LH20サイズ排除クロマトグラフィーに使用して、2種のモノアセテート化合物GLY-1Ac-1およびGLY-1Ac-2(それぞれC20およびC21ジヒドロキシ脂肪酸モノアセテート)を得た。画分#17を分取HPLCに使用して、続いてSephadex LH20サイズ排除クロマトグラフィーに使用して、3種の無アセテート(no-acetate)化合物GLY-0Ac-1、GLY-0Ac-2およびGLY-0Ac-3(それぞれC20、C21およびC22ジヒドロキシ脂肪酸モノグリセリド)を得た。ELSDによるHPLCを使用して分離の進行を追跡し、単離された個々の化合物の純度を、HPLC、LC-MSおよびNMRにより>95%であると評価した。
【0337】
実施例5:グリセリド濃縮物、遊離脂肪酸、メチルエステル、ジアセテート、ペルアセテートおよびシクロデキストリン複合体の生成
実施例4で得られたグリセリド濃縮物の試料の加水分解をReis他(Reis,M.G.,De Faria,A.D.,Do Amaral,M.D.C.E.,Marsaioli,A.J.(2003).Oncidinol-A novel diacylglycerol from Ornithophora radicans Barb.Rodr.(Orchidaceae) floral oil.Tetrahedron Letters 44:8519-8523)で説明されているように実施して、遊離脂肪酸(FFA-conc)を生成した。グリセリド濃縮物 約100mgを、THF:MeOH:H2O 4mlおよびLiOH 55mgと混合した。これを30分にわたり氷温度で撹拌し、次いで48時間にわたり室温(RT)で撹拌した。この反応混合物を酢酸で酸性化し、クロロホルムで抽出した。この遊離脂肪酸混合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)を使用して精製した。
【0338】
精製された遊離脂肪酸混合物の試料もメチル化して、ジヒドロキシ脂肪酸メチルエステル(ME-conc)を生成した。メチル化を、遊離脂肪酸混合物10mgへのジアゾメタン溶液(Aldrich、トリメチルシリルジアゾメタン、2.0Mヘキサン溶液)の添加により実施した。室温で1時間にわたり反応させた後、この反応を酢酸でクエンチし、この溶液をN2下で蒸発乾固させた。このメチルエステル混合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)を使用して精製した。1つの主要ポットを含む画分(1:1 EtOAc:HexによるRf約0.3、エタノール中のリンモリブデン酸、続いて加熱可視化)を収集した。
【0339】
グリセリド濃縮物(15mgをTHF中にて一晩、1当量の無水酢酸と共に室温で撹拌し、触媒量のジメチルアミノピリジンを含む)の部分的アセチル化により、ジヒドロキシ脂肪酸グリセリドジアセテート(GLY-2Ac-1ミックス)を調製した。この反応混合物を精製してTLCで1つのスポットを得た。
【0340】
このグリセリドリッチ画分(PerAc-conc)のペルアセチル化を、この部分的に精製されたグリセリド画分(約150mg)を無水酢酸(20mL)に溶解させ、少量のジメチルアミノピリジンを添加することにより実行した。一晩室温で撹拌した後、メタノールおよびトルエン(それぞれ約20mL)を添加し、ロータリーエバポレーターを使用して蒸発乾固させることにより、この反応を完了させた。残留物を、ヘキサン/酢酸エチル混合物を使用するシリカゲルでのクロマトグラフィーに供して、精製されたペルアセテート混合物(約80mg)を得た。
【0341】
実施例4で得られたグリセリド濃縮物のシクロデキストリン複合体を下記のように生成した。グリセリド濃縮物 約400mgをフラスコ中へと正確に秤量した。次いで、このバイアルにエタノール1.2gを添加し、内容物を撹拌して固体を溶解させ、グリセリドの25質量%エタノール溶液を作製した。このグリセリドはエタノールに迅速に溶解した。アルファ、ベータおよびガンマシクロデキストリン約300mgを別々に乳鉢中へと正確に秤量した。次いで、これらのシクロデキストリンのうちの1つが入った各乳鉢に、25%グリセリドチンキ約400mgを較正シリンジにより添加した。次いで、各乳鉢の内容物を乳棒により均一なペーストに混合した。次いで、各乳鉢に過剰な水を添加し、内容物を、水中の複合体の淡黄色の均一な分散物が得られるまで混合した。各乳鉢の内容物を、秤量した丸底フラスコに入れた。このフラスコの内容物を、このフラスコをドライアイス/アセトン混合物中で回転させることにより凍結させた。次いで、このフラスコの内容物を凍結乾燥させた。このフラスコから、ガンマ-シクロデキストリングリセリド複合体(g-CD GLY conc)370mg;ベータ-シクロデキストリングリセリド複合体(β-CD GLY conc)390mg;およびアルファ-シクロデキストリングリセリド複合体(α-CD GLY conc)360mgを回収した。
【0342】
実施例6:ヒト皮膚癌細胞株:黒色腫細胞株A-2058に対するジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの抗増殖活性
この実施例は、NZプロポリス中に存在するグリセリド化合物のいくつかがヒト黒色腫細胞株A-2508に対する新規の抗皮膚癌活性を有することを示す。この実施例はまた、ヒト皮膚癌細胞株に対する、精製された画分および高度に精製されたグリセリドの抗増殖活性ならびにヒト黒色腫細胞株A-2058に対するこれらの試験化合物の活性を測定する一般的なインビトロバイオアッセイ法も説明する。3種のヒト皮膚癌細胞株は下記であった:
1)ヒト黒色腫細胞株(A-2058)。
2)ヒト類表皮(扁平上皮)癌細胞株(A-431)。
3)ヒト基底細胞癌細胞株(TE 354.T)。
【0343】
これらの細胞株を低温保存から蘇生させ、試験試料および参照試料の存在下で培養した。次いで、この培養物に対してMTTアッセイを実施して、この細胞の生存率および増殖への試料の効果を測定した。平均の標準誤差パーセンテージを評価し、SEM%>15の場合には極端な異常値を取り除いた。予備の統計学的有意性を、α≦0.05(異常値ありまたはなし)で独立したスチューデントt検定により評価した。方法論は、下記により報告された手順に基づいた:
Ahn,NG,Campbell JS(1993).Metabolic labeling of mitogen-activated protein kinase in A431 cells demonstrates phosphorylation on serine and threonine residues.Proc Natl Acad Sci.90:5143-5147.
Galan-Cobo,A et al(2014).Functional inhibition of aquaporin-3 with a gold-based compound induces blockage of cell proliferation.J Cellul.Physiol.229:1787-1801.
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【0344】
試料調製
試験試料を15%エタノール(EtOH)/HBSSに溶解させてワーキング溶液を作製し、次いで、このワーキング溶液を10倍に希釈して、注記しない限り50μg/mlの細胞の最終濃度を得た。
【0345】
実験手順
試験系のキャラクタリゼーション
1. ヒト黒色腫細胞株(A-2058、ATCC CRL11147)をATCC,Bethesda,MD,USAから入手した。
2. ヒト扁平上皮(類表皮)癌細胞株(A-431、ATCC CRL1555)をATCC,Bethesda,MD,USAから入手した。
3. ヒト基底細胞癌細胞株(TE 354.T,ATCC CRL7762)をATCC,Bethesda,MD,USAから入手した。
4. ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)をGIBCOから入手した(12100-038)。使用前に、10%ウシ胎児血清(FBS)、100U/mlペニシリンおよび100mg/mlストレプトマイシンを添加した。
5. 0.9%NaCl中の10000ユニット/mlペニシリンおよび10mg/mlストレプトマイシンからなるペニシリン-ストレプトマイシン溶液(-20℃で保存されている)をSigmaから入手した(#P-0781)。
6. 0.25%トリプシン/EDTAからなるトリプシン-EDTA溶液をInvitrogenから入手した(#15400054)。
7. リン酸緩衝生理食塩水(PBS)をインハウスで調製した。
8. ハンクス平衡塩溶液(HBSS)(4℃で保存されている)をGIBCOから入手した(#14185-052)。
9. ウシ胎児血清(FBS)(-20℃で保存されている)をGIBCOから入手した(#10091-148)。
10. MTT試薬(100mg/バイアル)をSIGMAから入手し(M-2128)、次いで10mg/mlでPBSに溶解させて-20℃で保存した。5mg/ml MTT溶液をPBSで調製し、ワーキング溶液として4℃で保存した。
11. ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)20gを再蒸留水(DDW)100mlに溶解させ、次いでこの溶液にジメチルホルムアミド90mlを添加することにより、MTT溶解緩衝液:10%SDS/45%ジメチルホルムアミドを調製した。pHを氷酢酸で4.7に調整し、200mlの最終体積までDDWを添加した。
12. 5-フルオロウラシル(5-FU)はSigmaから供給された(F-6627)。3種のワーキング溶液を、15%エタノール/HBSSに溶解した19.5μg/ml、6.5μg/mlおよび1.95μg/mlで調製した。最終濃度は1.95μg/ml(15μM)、0.65μg/ml(5μM)および0.195μg/ml(1.5μM)であった。
【0346】
培地調製
細胞の培養条件は、細胞の供給者(ATCC)により示唆されたものであった。細胞株のそれぞれの増殖用の培地は、上記で示したDMEMであった。培地をATCCの指示に従って調製し、ペニシリン-ストレプトマイシン溶液(1リットル当たり10ml)を補充した。使用直前にFBS(10%)も添加した。
【0347】
細胞の培養:
1. American Type Culture Collection USAから入手した細胞株のそれぞれを低温保存から蘇生させた。
2. 上記で説明されているDMEM培地を使用した最初の増殖後、培養物を、トリプシン-EDTAを使用して継代培養した。培地を除去し、トリプシン-EDTA溶液5mlを添加し、5分にわたりまたは全ての細胞が剥離するまで37℃でインキュベートした。等体積のDMEMを添加してトリプシンを中和し、懸濁液を4℃にて5分にわたり300g(1200rpm)で遠心分離した。
3. 上清をデカントし、細胞ペレットをDMEM(FBS(10%)、ペニシリン(100ユニット/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)を含む)に再懸濁させた。
4. コンフルエンスに達した後、上記2で説明されているトリプシン-EDTAを使用して細胞を剥離させ、次いで遠心分離した。
5. 上清を廃棄し、細胞をDMEMおよび上記3で説明されている補充物に1ml当たりの細胞の様々な濃度で再懸濁させた。A-431培養物の細胞濃度を1×104個から5×104個の細胞/mlに増加させたが、他の2種の細胞株(A2058およびTE 354.T)の濃度を2×104個の細胞/mlに増加させた。
6. 3種の細胞株の場合、96ウェルプレートの各ウェルに細胞または培地180μlを添加した。このプレートを様々な期間にわたり37℃で5%CO2/95%空気を使用してインキュベートし、細胞を付着させた。A-431培養物の場合にはプレインキュベーション時間は3時間であり、他の2種の細胞株(A2058およびTE 354.T)のプレインキュベーション時間は24時間であった。
7. 各ウェルに、試験化合物のそれぞれまたは5-FU 20μlを添加した。「培地」または「細胞のみ」と標識されたウェルに、15%ETOH/HBSS 20μlを添加した。各試験試料またはコンロールを評価した回数をこの実施例の表に記載する。
8. 各ウェル中の総体積は200μlであった。
9. 各プレートを、24時間にわたり5%CO2/95%空気中にて37℃でさらにインキュベートした。
【0348】
細胞増殖アッセイ
1. インキュベーションの完了時に全てのウェルにMTTワーキング溶液(5mg/ml)20μlを添加し、プレートを5%CO2/95%空気中にて37℃で3~4時間にわたりインキュベートした。プレートを30~60分毎にモニタリングし、少数の細胞が結晶の存在を示した場合には、工程2のように溶解緩衝液を添加した。
2. 次いで、MTT溶解緩衝液100μlを添加し、プレートを5%CO2/95%空気中にて37℃で一晩インキュベートした。このプレートを10分にわたり300g(1200rpm)で遠心分離して、あらゆる残余の不溶性物質をペレット化した。各ウェルからアリコート200μlを新鮮な96ウェルプレートに移した。このプレートを550nmにてVersaMaxマイクロプレートリーダーで読み取った。
3. 結果を、細胞のみのコントールの場合と比較した、試料の存在下で培養した細胞の吸光率として表した。ブランク読み取り値をバックグラウンド読み取り値として全てのウェルから減算した。
【0349】
グリセリド試験試料GLY-1Ac-1およびGLY-1Ac-2(グリセロールのC3位でアセチル化されたジヒドロキシ脂肪酸グリセリド、それぞれC20およびC21脂肪酸)ならびにGLY-0Ac-1、GLY-0Ac-2およびGLY-0Ac-3(アセテートを含まないジヒドロキシ脂肪酸グリセリド、それぞれC20、C21およびC22脂肪酸)を50μg/mlの最終濃度で試験し、50μg/mlで試験した陰性コントロールNC-1(細胞のみ);それぞれ0.195、0.65および1.95μg/mlの試験濃度で5-FUからなる陽性コントールPC-1、PC-2、PC-3;ならびにモノパルミチン酸グリセロール(MGP)からなるPC-4と比較した。
【0350】
結果および考察
この実施例は、NZプロポリス中に存在するグリセリド化合物のいくつかがヒト黒色腫細胞株A-2508に対して新規の抗皮膚癌活性を有することを示す。このバイオアッセイの結果を表6に示す。この表中、ODは、570nmで測定した光学密度であり;SEMは、測定した平均光学密度値と関連する測定値の標準誤差であり;pは、測定値がスチューデントt検定により統計学的に有意である確率値であり、ここで、<0.05であるとみなし;%阻害は、陰性コントールと比較した増殖のパーセンテージ減少であり、大きい数字は試験化合物が抗癌増殖能を有することを示す。
【0351】
(表6)ヒト黒色腫細胞株A-2508に対するジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの抗増殖活性
【0352】
高度に精製された化合物の全てが、50μg/mlで試験した場合にヒト黒色腫皮膚癌細胞株の増殖を72~92%阻害した。これらの化合物のうちの最も強力なのは、22個の炭素の脂肪酸鎖長を有する非アセチル化ジヒドロキシ脂肪酸グリセリドGLY-0Ac-2であった。これらのジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの抗増殖活性は、同様に50μg/mlで試験した陽性コントロールパルミチン酸モノグリセロール(MGP)よりも優れていた。5-フルオロウラシルは、試験した3種の濃度0.195、0.65および1.95μg/mlで低い且つ有意ではない活性を有した。
【0353】
実施例7:ヒト類表皮癌A-431に対するジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの抗増殖活性
この実施例は、NZプロポリス中に存在するグリセリド化合物のいくつかがヒト類表皮癌細胞株A-431に対して新規の抗皮膚癌活性を有することを示す。グリセリド試験試料GLY-1Ac-1(グリセロールのC3位でアセチル化されたC20ジヒドロキシ脂肪酸グリセリド)およびGLY-0Ac-1(グリセロール上でアセテートを含まないC20ジヒドロキシ脂肪酸グリセリド)を、これらの、50μg/mlの最終濃度でのヒト類表皮癌細胞株A-431に対する抗増殖活性に関して試験した。この細胞増殖アッセイを実施例6で説明されているように実施した。試験試料を、50μg/mlで試験した陰性コントロールNC-1(細胞のみ);それぞれ0.195、0.65および1.95μg/mlの試験濃度で5-FUからなる陽性コントロールPC-1、PC-2、PC-3;ならびにモノパルミチン酸グリセロール(MGP)からなるPC-4と比較した。
【0354】
このバイオアッセイの結果を表7に示す。この表中、ODは、570nmで測定した光学密度であり;SEMは、測定した平均光学密度値と関連する測定値の標準誤差であり;pは、測定値がスチューデントt検定により統計学的に有意である確率値であり、ここで、<0.05(NS=有意ではない)であるとみなし;%阻害は、陰性コントールと比較した増殖のパーセンテージ減少であり、大きい数字は試験化合物が抗癌増殖能を有することを示す。
【0355】
(表7)ヒト類表皮癌細胞株A-431に対するジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの抗増殖活性
【0356】
試験した2種のモノグリセリド化合物GLY-1Ac-1およびGLY-0Ac-1は、50μg/mlで試験した場合にそれぞれ80.6および81.5%でほぼ同一のレベルの増殖の阻害を有する。この実施例は、グリセロール上のアセテートの数が活性に関して有意ではないことを示す。これらのジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの抗増殖活性は、同様に50μg/mlで試験した陽性コントロールパルミチン酸モノグリセロール(MGP)と同様であった。5フルオロウラシルは、試験した3種の濃度0.195、0.65および1.95μg/mlで低い且つ有意ではない活性を有した。
【0357】
実施例8:ヒト基底細胞癌TE 354.Tに対するジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの抗増殖活性
グリセリド試験試料GLY-1Ac-1(グリセロールのC3位でアセチル化されたC20ジヒドロキシ脂肪酸グリセリド)およびGLY-0Ac-1(グリセロール上でアセテートを含まないC20ジヒドロキシ脂肪酸グリセリド)を、これらの、50μg/mlの最終濃度でのヒト基底細胞癌細胞株TE 345.Tに対する抗増殖活性に関して試験した。この細胞増殖アッセイを実施例6で説明されているように実施した。試験試料を、50μg/mlで試験した陰性コントロールNC-1(細胞のみ);それぞれ0.195、0.65および1.95μg/mlの試験濃度で5-FUからなる陽性コントロールPC-1、PC-2、PC-3;ならびにモノパルミチン酸グリセロールからなるPC-4と比較した。
【0358】
この実施例は、NZプロポリス中に存在するグリセリド化合物のいくつかがヒト基底癌細胞株TE 354.Tに対して新規の抗皮膚癌活性を有することを示す。このバイオアッセイの結果を表8に示す。この表中、ODは、570nmで測定した光学密度であり;SEMは、測定した平均光学密度値と関連する測定値の標準誤差であり;pは、測定値がスチューデントt検定により統計学的に有意である確率値であり、ここで、<0.05(NS=有意ではない)であるとみなし;%阻害は、陰性コントールと比較した増殖のパーセンテージ減少であり、大きい数字は試験化合物が抗癌増殖能を有することを示す。
【0359】
(表8)ヒト基底細胞癌細胞株TE354.Tに対するジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの抗増殖活性
【0360】
試験した2種のモノグリセリド化合物GLY-1Ac-1およびGLY-0Ac-1は、50μg/mlで試験した場合にそれぞれ27.3および38.0%で同様のレベルの増殖の阻害を有する。この実施例は、グリセロール上のアセテートが0個であることにより、この皮膚癌細胞株に対する生物活性が改善されることを示す。これらのジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの抗増殖活性は、同様に50μg/mlで試験した陽性コントロールパルミチン酸モノグリセロール(MGP)よりも優れていた。5フルオロウラシルは、試験した3種の濃度0.195、0.65および1.95μg/mlで低い且つ有意ではない活性を有した。
【0361】
実施例9:ヒト結腸腺癌細胞株DLD-1に対するジヒドロキシ脂肪酸グリセリドおよび誘導体の抗増殖活性
この実施例は、個々のグリセリドGLY-1Ac-1およびGLY-1Ac-2(グリセロールのC3位でアセチル化されたジヒドロキシ脂肪酸グリセリド、C20およびC21脂肪酸鎖長)ならびにGLY-0Ac-1およびGLY-0Ac-2(非アセチル化ジヒドロキシ脂肪酸グリセリド、C20およびC21脂肪酸鎖長)の抗増殖活性を、結腸腺癌細胞株DLD-1に対する50μg/mlの最終濃度での抗増殖活性に関して試験したことを示す。GLY-1Ac-1を50および25μg/mlでの第2のアッセイでも再試験して、用量反応を示した。この細胞増殖アッセイを実施例1および2で説明されているように実施した。試験試料を、50μg/mlで試験した陰性コントロールNC-1(細胞のみ);それぞれ0.65および1.95μg/mlの試験濃度で5-FUからなる陽性コントロールPC-1、PC-2;ならびにモノパルミチン酸グリセロール(MGP)からなるPC-3と比較した。第1のバイオアッセイ試行に関する細胞のみのデータNC-1および第2のバイオアッセイ試行に関する細胞のみのデータNC-2も表に含めた。
【0362】
この実施例は、NZプロポリス中に存在するグリセリド化合物のいくつかがヒト結腸腺癌細胞株DLD-1に対して新規の抗消化管癌活性を有することを示す。このバイオアッセイの結果を表9に示す。この表中、ODは、570nmで測定した光学密度であり;SEMは、測定した平均光学密度値と関連する測定値の標準誤差であり;pは、測定値がスチューデントt検定により統計学的に有意である確率値であり、ここで、<0.05(NS=有意ではない)であるとみなし;%阻害は、陰性コントールと比較した増殖のパーセンテージ減少であり、大きい数字は試験化合物が抗癌増殖能を有することを示す。
【0363】
(表9)ヒト腺癌細胞株DLD-1に対するジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの抗増殖活性
【0364】
0個または1個のアセテートがグリセロールに付着している全てのモノグリセリドの増殖の阻害は、50μg/mlで試験した場合に68~91%の範囲であった。第1のアッセイにおいてこれらの化合物のうちの最も強力なのは、モノアセチル化ジヒドロキシ脂肪酸グリセリドGLY-1Ac-2であった。これらのジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの抗増殖活性は、同様に50μg/mlで試験した陽性コントロールパルミチン酸モノグリセロール(MGP)と同等以上であった。GLY-1Ac-1を50および25μg/mlで再試験した。抗増殖活性は、50μg/mlでは94%であるが25μg/mlではわずか13%であったことから、この化合物のLD50はおよそ25~50μg/mlである。5-フルオロウラシルは、試験した2種の濃度0.65および1.95μg/mlで低い且つ有意ではない活性を有した。
【0365】
実施例10:ヒト腺癌細胞株DLD-1に対するジヒドロキシ脂肪酸グリセリド混合物、誘導体およびシクロデキストリン複合体の抗増殖活性
この実施例は、精製されたグリセリド画分GLY-conc;精製されたグリセリドの誘導体、例えば遊離脂肪酸(FFA-conc)、メチルエステル(ME-conc)およびペルアセチル化グリセリド(PerAc-conc);ならびにグリセリドg-CD GLY-concのシクロデキストリン複合体(ガンマ-シクロデキストリン封入グリセリド濃縮物)およびα-CD GLY-concのシクロデキストリン複合体(アルファ-シクロデキストリン封入グリセリド濃縮物)のヒト結腸癌細胞株DLD-1に対する抗増殖活性を示す。これらの画分および試料を実施例4および5で説明されているように調製し、結腸腺癌細胞株DLD-1に対する、50μg/mlグリセリド濃縮物の最終有効濃度での抗増殖活性に関して試験した。25質量%グリセリド濃縮物を含むシクロデキストリン封入グリセリド試料を200μg/mlの濃度で試験し、この濃度は50μg/mlグリセリドに相当する。試験試料を、50μg/mlで試験した陰性コントロールNC-1(細胞のみ);6.5、19.5および58.5μg/mlの試験濃度で5-FUからなる陽性コントロールPC-1、PC-2、PC-3;ならびにモノパルミチン酸グリセロールからなるPC-4と比較した。このバイオアッセイの結果を表10に示す。この表中、ODは、570nmで測定した光学密度であり;SEMは、測定した平均光学密度値と関連する測定値の標準誤差であり;pは、測定値がスチューデントt検定により統計学的に有意である確率値であり、ここで、<0.05(NS=有意ではない)であるとみなし;%阻害は、陰性コントールと比較した増殖のパーセンテージ減少であり、大きい数字は試験化合物が抗癌増殖能を有することを示す。
【0366】
(表10)ヒト結腸腺癌細胞株DLD-1に対するジヒドロキシ脂肪酸グリセリド濃縮物、誘導体および複合体の抗増殖活性
【0367】
この実施例は、NZプロポリスから単離されたグリセリド混合物;グリセリドの誘導体、例えば遊離脂肪酸、アルキルエステルおよびペルアセテート;ならびにシクロデキストリン封入グリセリドがヒト結腸腺癌細胞株DLD-1に対して新規の抗消化管癌活性を有することを示す。これらの試験物質のうちの最も強力(82%の増殖の阻害)なのはモノグリセリド濃縮物である。これらの誘導体および複合体のうちの最も強力なのは47%阻害のメチルエステルであり、続いてそれぞれ33および28%のアルファシクロデキストリン複合体およびガンマシクロデキストリン複合体であった。このペルアセテートおよび遊離脂肪酸は、それぞれ19および10%の最低の抗増殖活性を有した。これらの誘導体の試験濃度が低すぎた可能性がある。5-フルオロウラシルは、試験した濃度6.5、19.5および58.5μg/mlで低い且つ有意ではない活性を有した。
【0368】
実施例11:ヒト胃癌細胞株NCI-N87に対するジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの抗増殖活性
この実施例は、個々のグリセリドGLY-1Ac-1およびGLY-1Ac-2(グリセロールのC3位でアセチル化されたジヒドロキシ脂肪酸グリセリド、C20、C21、C22脂肪酸鎖長)、GLY-0Ac-1、GLY-0Ac-2、GLY-0Ac-3(非アセチル化ジヒドロキシ脂肪酸グリセリド、C20、C21、C22脂肪酸鎖長)ならびにGLY-2Ac-1ミックス(グリセロール上のC2位およびC3位でアセチル化されたジヒドロキシ脂肪酸グリセリド、複数のジヒドロキシ脂肪酸鎖長の混合物)の抗増殖活性を、ヒト胃癌細胞株NCI-N87に対する50μg/mlの最終濃度での抗増殖活性に関して試験したことを示す。GLY-1Ac-1を25および10μg/mlでも試験し、用量反応を示した。この細胞増殖アッセイを実施例1および2で説明されているように実施した。この試験試料を、50μg/mlで試験した陰性コントロールNC-1(細胞のみ);6.5、19.5および58.5μg/mlの試験濃度で5-FUからなる陽性コントロールPC-1、PC-2、PC-3;ならびにモノパルミチン酸グリセロール(MGP)からなるPC-4と比較した。このバイオアッセイの結果を表11に示す。この表中、ODは、570nmで測定した光学密度であり;SEMは、測定した平均光学密度値と関連する測定値の標準誤差であり;pは、測定値がスチューデントt検定により統計学的に有意である確率値であり、ここで、<0.05であるとみなし;%阻害は、陰性コントールと比較した増殖のパーセンテージ減少であり、大きい数字は試験化合物が抗癌増殖能を有することを示す。
【0369】
(表11)ヒト胃癌細胞株NCI-N87に対するジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの抗増殖活性
【0370】
この実施例は、NZプロポリス中に存在するグリセリド化合物のいくつかがヒト胃癌細胞株NCI-N87に対する新規の且つ非常に強力な抗消化管癌活性を有することを示す。全ての単離された無アセテート化合物およびモノアセテート化合物は、50μg/mlで試験した場合に細胞傷害性(増殖の100%阻害)であった。ジアセテートグリセリド化合物の混合物、即ちGLY-2Ac-1ミックスは強く抗増殖性であったが、52%阻害で細胞傷害性ではなかった。モノアセテート化合物GLY-1Ac-1の試験濃度の50μg/mlから25μg/mlへの減少により、抗増殖活性が86%(依然として非常に強い活性)まで減少した。試験濃度の25μg/mlから10μg/mlへのさらなる減少により、抗増殖活性は39%まで減少した。従って、LD50はおよそ25~10μg/mlである。5-フルオロウラシルは、試験した濃度6.5、19.5および58.5μg/mlで低い且つ有意ではない活性を有し、最も高い活性を6.5μg/mlで得た。モノパルミチン酸グリセロール(MGP)も50μg/mlの試験濃度で細胞傷害性であった。
【0371】
実施例12:ヒト胃癌細胞株NCI-N87に対するジヒドロキシ脂肪酸グリセリド混合物、誘導体およびシクロデキストリン複合体の抗増殖活性
この実施例は、精製されたグリセリド画分GLY-conc;精製されたグリセリドの誘導体、例えば遊離脂肪酸(FFA-conc)、メチルエステル(ME-conc)およびペルアセチル化グリセリド(PerAc-conc);ならびにグリセリドg-CD GLY-concのシクロデキストリン複合体(ガンマ-シクロデキストリン封入グリセリド濃縮物)およびα-CD GLY-concのシクロデキストリン複合体(アルファ-シクロデキストリン封入グリセリド濃縮物)のヒト胃癌細胞株NCI-N87に対する抗増殖活性を示す。これらの画分および試料を実施例4および5で説明されているように調製し、胃癌細胞株NCI-N87に対する、50μg/mlグリセリド濃縮物の最終有効濃度での抗増殖活性に関して試験した。25質量%グリセリド濃縮物を含むシクロデキストリン封入グリセリド試料を、50μg/mlグリセリドに相当する200μg/mlの濃度で試験した。試験試料を、50μg/mlで試験した陰性コントロールNC-1(細胞のみ);6.5、19.5および58.5μg/mlの試験濃度で5-FUからなる陽性コントロールPC-1、PC-2、PC-3;ならびにモノパルミチン酸グリセロール(MGP)からなるPC-4と比較した。このバイオアッセイの結果を表12に示す。この表中、ODは、570nmで測定した光学密度であり;SEMは、測定した平均光学密度値と関連する測定値の標準誤差であり;pは、測定値がスチューデントt検定により統計学的に有意である確率値であり、ここで、<0.05(NS=有意ではない)であるとみなし;%阻害は、陰性コントールと比較した増殖のパーセンテージ減少であり、大きい数字は試験化合物が抗癌増殖能を有することを示す。
【0372】
(表12)ヒト胃癌細胞株NCI-N87に対するジヒドロキシ脂肪酸グリセリド濃縮物、誘導体および複合体の抗増殖活性
【0373】
この実施例は、NZプロポリスから単離されたグリセリド混合物;誘導体、例えば遊離脂肪酸、アルキルエステルおよびペルアセテート;ならびにシクロデキストリン封入グリセリドがヒト胃癌細胞株NCI-N87に対して新規の抗消化管癌活性を有することを示す。これらの試験物質のうちの最も強力(82%の増殖の阻害)なのはモノグリセリド濃縮物である。これらの誘導体および複合体のうちの最も強力なのは、それぞれ70%阻害のメチルエステル、78%のベータ-シクロデキストリン複合体、68%のアルファシクロデキストリン複合体および65%のガンマシクロデキストリン複合体であった。このペルアセテートおよび遊離脂肪酸は、それぞれ60および55%のより低いが依然として強力な抗増殖活性を有した。5-フルオロウラシルは、試験した濃度6.5、19.5および58.5μg/mlで低い且つ有意ではない活性を有し、最も高い活性を6.5μg/mlで得た。モノパルミチン酸グリセロール(MGP)は50μg/mlの試験濃度で細胞傷害性であった。
【0374】
実施例13:ヒト食道癌細胞株KYSE-30に対するジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの抗増殖活性
この実施例は、個々のグリセリドGLY-1Ac-1およびGLY-1Ac-2(グリセロールのC3位でアセチル化されたジヒドロキシ脂肪酸グリセリド、それぞれC20、C21脂肪酸鎖長)、GLY-0Ac-1、GLY-0Ac-2、GLY-0Ac-3(非アセチル化ジヒドロキシ脂肪酸グリセリド、それぞれC20、C21、C22脂肪酸鎖長)ならびにGLY-2Ac-1ミックス(グリセロールのC2位およびC3位でアセチル化されたジヒドロキシ脂肪酸グリセリド、複数の脂肪酸鎖長の混合物)の抗増殖活性を、ヒト食道癌細胞株KYSE-30に対する50μg/mlの最終濃度での抗増殖活性に関して試験したことを示す。GLY-1Ac-1を25および10μg/mlでも試験して、用量反応を示した。この細胞増殖アッセイを実施例1および2で説明されているように実施した。試験試料を、50μg/mlで試験した陰性コントロールNC-1(細胞のみ);6.5、19.5および58.5μg/mlの試験濃度で5-FUからなる陽性コントロールPC-1、PC-2、PC-3;ならびにモノパルミチン酸グリセロール(MGP)からなるPC-4と比較した。このバイオアッセイの結果を表13に示す。この表中、ODは、570nmで測定した光学密度であり;SEMは、測定した平均光学密度値と関連する測定値の標準誤差であり(NS=有意ではない);pは、測定値がスチューデントt検定により統計学的に有意である確率値であり、ここで、<0.05であるとみなし;%阻害は、陰性コントールと比較した増殖のパーセンテージ減少であり、大きい数字は試験化合物が抗癌増殖能を有することを示す。
【0375】
(表13)ヒト食道癌細胞株KYSE-30に対するジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの抗増殖活性
【0376】
この実施例は、NZプロポリス中に存在するグリセリド化合物のいくつかがヒト食道癌細胞株KYSE-30に対して新規の且つ強力な抗消化管癌活性を有することを示す。全ての単離された無アセテート化合物およびモノアセテート化合物は、50μg/mlで試験した場合に中程度から強い抗増殖性(34~86%)であり、最も強力なのはGLY-1Ac-1であった。ジアセテートグリセリド化合物の混合物、即ちGLY-2Ac-1ミックスは、25%阻害で中程度の抗増殖性であった。モノアセテート化合物GLY-1Ac-1の試験濃度の50μg/mlから25μg/mlへの減少により、抗増殖活性が50%(依然として強い活性)まで減少した。試験濃度の25μg/mlから10μg/mlへのさらなる減少により、抗増殖活性は9%という統計学的に有意ではないレベルまで減少した。従って、LD50はおよそ25μg/mlである。5-フルオロウラシルは、58.5μg/mlで試験した場合には17%という低いが有意な活性を有したが、より低い濃度6.5および19.5μg/mlでは有意ではない活性を有した。モノパルミチン酸グリセロール(MGP)は、50μg/mlで試験した場合には75%という強い抗増殖活性を有した。
【0377】
実施例14:ヒト食道扁平上皮癌細胞株KYSE-30に対するジヒドロキシ脂肪酸グリセリド混合物および誘導体の抗増殖活性
この実施例は、精製されたグリセリド画分GLY-conc;精製されたグリセリドの誘導体、例えば遊離脂肪酸(FFA-conc)、メチルエステル(ME-conc)およびペルアセチル化グリセリド(PerAc-conc)のヒト食道扁平上皮癌細胞株KYSE-30に対する抗増殖活性を示す。これらの画分および試料を実施例4および5で説明されているように調製し、食道扁平上皮癌細胞株KYSE-30に対する50μg/mlグリセリド濃縮物の最終有効濃度での抗増殖活性に関して試験した。試験試料を、50μg/mlで試験した陰性コントロールNC-1(細胞のみ);6.5、19.5および58.5μg/mlの試験濃度で5-FUからなる陽性コントロールPC-1、PC-2、PC-3;ならびにモノパルミチン酸グリセロール(MGP)からなるPC-4と比較した。このバイオアッセイの結果を表14に示す。この表中、ODは、570nmで測定した光学密度であり;SEMは、測定した平均光学密度値と関連する測定値の標準誤差であり;pは、測定値がスチューデントt検定により統計学的に有意である確率値であり、ここで、<0.05(NS=有意ではない)であるとみなし;%阻害は、陰性コントールと比較した増殖のパーセンテージ減少であり、大きい数字は試験化合物が抗癌増殖能を有することを示す。
【0378】
(表14)ヒト食道扁平上皮癌細胞株KYSE-30に対するジヒドロキシ脂肪酸グリセリド濃縮物および誘導体の抗増殖活性
【0379】
この実施例は、NZプロポリスから単離されたグリセリド混合物;誘導体、例えば遊離脂肪酸、アルキルエステルおよびペルアセテートがヒト食道扁平上皮癌細胞株KYSE-30に対して新規の抗消化管癌活性を有することを示す。これらの試験物質のうちの最も強力(44%の増殖の阻害)なのはモノグリセリド濃縮物である。これらの誘導体のうちの最も強力なのは32%阻害のペルアセテートであった。メチルエステルおよび遊離脂肪酸は、それぞれ28および21%のわずかに低い抗増殖活性を有した。5-フルオロウラシルは、試験した濃度58.5μg/mlで16.8%阻害という低いが有意な活性を有したが、より低い濃度6.5および19.5μg/mlでは有意ではない活性を有した。モノパルミチン酸グリセロール(MGP)は、50μg/mlで試験した場合に75%という強い抗増殖活性を有した。
【0380】
実施例15:ポプラの樹木からのジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの単離
この実施例は、ポプラの特定の種または雑種がニュージーランドのプロポリス中に見出されるジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの供給源であり、そのため、プロポリスまたは化学合成へのこのグリセリドの代替的な植物供給源であることを示す。
【0381】
ポプラの芽、小枝および葉の材料の試料を、9月~2月にPlant and Food Research poplar collection at Aokautere(Manawatu,NewZealand)からおよびAkura Conservation Centre(Masterton,New Zealand)でWellington Regional Council苗床から採取した。ほとんどの試料は雑木林由来であり、そのため、これらの試料に容易にアクセスした。
【0382】
試料を秤量し、約2時間にわたり室温にて無水エタノールで抽出した。この試料を、浸軟またはスライシングを行うことなくそのまま抽出した。抽出物を乾燥させ、秤量し、5mg/mlでエタノール溶液を作ることにより、LC-MS分析用にそれぞれの試料を調製した。比較分析のために、Hutt Valleyにて、2種のパウロニア・トメントサ(Paulownia tomentosa)樹木から葉および花の材料の試料を採取し、成熟したヤナギの樹木の葉および芽から試料を採取した。この植物材料を酢酸エチルに浸漬することにより材料を抽出して、この材料のみのロウ状の外層を抽出した。
【0383】
実施例4で説明されているように、プロポリス中に存在するグリセリド用に開発したLC-MS法を使用して全ての試料を分析した。この分析方法は、他のグリセリド(存在する場合)と一緒に、非常に低いレベルで新規のジヒドロキシ脂肪酸グリセリドを検出し得た。
【0384】
結果
様々なポプラ種の小枝中の、葉中のまたは芽中のジヒドロキシ脂肪酸グリセリドの定性的レベルを表15に示す。
【0385】
(表15)ニュージーランドポプラ品種における定性的なグリセリド含有量
np= グリセリドは存在せず、++ 中レベルのグリセリド、+++ 高レベルのグリセリド、ND= 未測定
【0386】
この分析は、プロポリス中に見られるのと同一のジヒドロキシ脂肪酸グリセリドが、分析した、より一般的に植えられたニュージーランドのポプラの栽培品種の多くに存在することを示した。このグリセリドは多くのポプラの葉、小枝および芽で見出され、これらの部位で樹脂と概して関連していると思われた。
【0387】
このグリセリドの脂肪酸プロファイルはプロポリスで見られるものとほぼ同一であり、このことはポプラがプロポリスグリセリドの供給源であることを示唆する。個々のグリセリドを実施例4で使用したものと同様の方法でポプラ滲出物から単離し得たことが予想される。ポプラの栽培品種(例えば「タスマン(Tasman)」および「フレザー(Fraser)」)が、広く植えられたポプラxエウラメリカ(Populus x Euramerica)(カナディアンポプラおよびカロライナポプラとしても公知である)の代表例であるが、ニュージーランドではポプルス・デルトイデスxニグラ(Populus deltoides x nigra)雑種(例えばセルウィン(Selwyn))も一般的である。ジヒドロキシ脂肪酸グリセリドは通常、他の栽培品種(例えばP.マキシモウィッチxニグラ(P.maximowiczii x nigra)クローンおよびチャイニーズポプラ種「ユナン(Yunan)」)のうちのいくつかには存在しないことが分かった。グリセリドは、デルトイデスとの異種交配を含まない雑種中には存在しなかった。これらのタイプのグリセリドはまた、ヤナギの葉および芽の試料中にも存在しなかったが、パウロニア(Paulownia)では様々なタイプのグリセリドが低レベルで存在しており、このことは、これらの植物種はプロポリス中のグリセリドの供給源ではなく、本明細書において説明されているグリセリド化合物の単離に適した植物種ではないことを示す。
【0388】
実施例16:新規のグリセリドのキラリティの決定
この実施例は、天然に存在する新規のジヒドロキシ脂肪酸グリセリドが3R,8R立体化学を有することを示す。有機分子のアルコール基のキラル分析は一般に、キラル誘導体化試薬を使用して実施される。この試薬はR型およびS型で入手可能であり、アルコール基に付着した場合に、遮断することにより隣接基の1H NMR化学シフトに影響を及ぼし得る芳香族基を通常は含む。別々に調製されたR誘導体およびS誘導体に関する隣接基のシフトの変化は、元々のアルコールのキラリティを示す。この新規のグリセリドの場合、3,8-ジヒドロキシ脂肪酸のアルコール基の立体化学が最も興味深い。この脂肪酸鎖の長さはC-2、C-3およびC-8位でのプロトンの化学シフトの影響を受けないことから、この研究には粗グリセリド混合物を使用した。
【0389】
R,Sジエステルの調製および1H-NMR分析
この粗グリセリド混合物を、実施例4で説明されているようにLiOHを使用して加水分解した。次いで、遊離脂肪鎖メチルエステルを、ジアゾメタンを使用して、実施例4で説明されている加水分解グリセリド混合物から調製した。R-およびS-α-メトキシフェニル酢酸(MPA)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド(EDC)ならびに4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)をSigmaから購入した。使用したキラルエステル誘導体化法は、Freire他2005で説明されているものであった。ジヒドロキシ遊離脂肪酸メチルエステル混合物10mgを、5mLの反応バイアル中でCH2Cl2(乾燥)約0.8mLに溶解させた。この溶液を、マグネチックスターラーを使用して室温で撹拌し、R-α-メトキシフェニル酢酸23mg、EDC 10μLおよび触媒量のDMAPを添加した。この反応溶液を水、1M HCl、重炭酸ナトリウムおよび水で洗浄することにより、この反応を完了させた。有機層を真空下で乾燥させ、小さいシリカゲルカラムを使用して精製してジエステル生成物(約8mg)を得た。S-ジエステルも同様に得た。1H NMR試料をCDCl3に溶解させ、500MHzで実行した。次いで、生成物を1H NMRで調べた。
【0390】
結果および考察
H-2、H-3およびH-8に関するシグナルは、詳細な分析にとって十分良好に分離されていた。第1の観察は、2種の生成物がNMRにより単一種であることであった。このことは、元々のアルコールがキラルである(即ち、C-3およびC-8ヒドロキシルが立体特異的であり、それぞれRまたはSのいずれかである)場合でのみ当てはまるだろう。これらの誘導体のシフトの変化Δδ(S-R)を表16に示す。文献(表17および表18)中の類似の化合物との比較に基づいて、この結果は、全てのグリセリドに関して立体化学配置が3R,8Rであることを示す。
【0391】
(表16)3,8ジヒドロキシ脂肪酸メチルエステルに関するR MPAエステルとS MPAエステルとの間の1H NMRケミカルシフト差異
【0392】
文献との比較による立体化学の確認
次いで、Δδ(S-R)のシフトの変化を文献からの関連例と比較して、立体化化学を確認し得る。文献には、直接比較が有効であり且つ類似の誘導体化剤が使用されている2つの例が記載されており、これらの例は3,7-ジアセトキシドコサヘキサン酸(別名バイソン酸(byrsonic acid)(Reis他2007)として公知である)および1-アセチル-2-(3,7-ジアセトキシエイコンサオニル)-グリセロール(1-acetyl-2-(3,7-diacetoxyeiconsaonyl)-glycerol)(別名オンシジノール(oncidinol)(Reis他2003)としても公知である)である。バイソン酸を加水分解してアセトキシ基を除去し、3,7ジヒドロキシ脂肪酸を生成した。次いで、キラル誘導体化剤モッシャー酸(メトキシ{トリフルオロメチル}フェニル酢酸)を使用して3,7ジエステルを調製し、次いで1H NMRで調べた。Δδ(S-R)の変化を表17に示し、この表17は、Reis他2007がこの酸を(3R,7R)-3,7-ジヒドロキシドコサン酸と割り当てることを可能にした。
【0393】
(表17)バイソン酸に由来する3,7ジヒドロキシ脂肪酸メチルエステルに関するRモッシャーエステルとSモッシャーエステルとの間の1H NMRケミカルシフト差異
【0394】
同様に、Reis他2003はまた、オンシジノールを加水分解してグリセロール基およびアセトキシ基を除去し、3,7ジヒドロキシ脂肪酸を得、この酸を、モッシャー酸を使用してジエステルに誘導体化し、この3,7ジエステルを1H NMRで調べた。表18に示すΔδ(S-R)の変化は、この酸を3R,7Rジヒドロキシ酸に割り当てることを可能にした。
【0395】
(表18)オンシジノールに由来する3,7ジヒドロキシ脂肪酸メチルエステルに関するRモッシャーエステルとSモッシャーエステルとの間の1H NMRケミカルシフト差異
【0396】
バイソン酸およびオンシジノールの両方に関して、結果は、表16中の新規のグリセリドに関して見られるものと非常に類似している。Δδ(S-R)値は、H-2およびH-3に関してマイナスであり、離れたヒドロキシ位H8に関してプラスであり、これにより、全てのグリセリドに関して立体化学配置が3R,8Rであることを確認する。
Freire F,Seco JM,Quinoa E,Riguera R.The prediction of the absolute stereochemistry of primary and secondary 1,2-diols by 1H NMR spectroscopy:principles and applications.Chemistry 2005 19;11(19):5509-22).
Reis,M.G.,De Faria,A.D.,Dos Santos,I.A.,Amaral,M.D.C.E.,Marsaioli,A.J.Byrsonic acid-The clue to floral mimicry involving oil-producing flowers and oil-collecting bees.Journal of Chemical Ecology.2007,33(7),pp.1421-1429
Reis,M.G.,De Faria,A.D.,Do Amaral,M.D.C.E.,Marsaioli,A.J.Oncidinol-A novel diacylglycerol from Ornithophora radicans Barb.Rodr.(Orchidaceae)floral oil.2003.Tetrahedron Letters.44(46),pp.8519-8523
【0397】
産業上の利用可能性
本発明の抗上皮癌組成物(例えば、式(I)の化合物に富むプロポリスまたはその抽出物もしくは画分とシクロデキストリンとを含むもの、およびプロポリスまたはその画分に由来する単離されたまたは精製された化合物を含むもの)を、医薬分野および医療分野(例えば医療機器、医療用品および医薬品)ならびに消費財(例えば食品および飲料、組成物、機能性食品、機能性化粧品および機能食品)で使用し得る。例えば上皮癌(例えば皮膚癌)およびその症状の処置でそのような組成物を使用する方法は医療分野で適用される。