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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046651
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】4-1BB結合分子
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20220315BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220315BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20220315BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20220315BHJP
   A61P 35/04 20060101ALN20220315BHJP
   A61P 35/02 20060101ALN20220315BHJP
   A61P 37/02 20060101ALN20220315BHJP
   A61P 37/06 20060101ALN20220315BHJP
   A61P 29/00 20060101ALN20220315BHJP
   A61P 19/02 20060101ALN20220315BHJP
【FI】
C07K16/28
A61K39/395 N
C12N15/13 ZNA
A61P35/00
A61P35/04
A61P35/02
A61P37/02
A61P37/06
A61P29/00 101
A61P19/02
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021211037
(22)【出願日】2021-12-24
(62)【分割の表示】P 2018243918の分割
【原出願日】2011-08-26
(31)【優先権主張番号】61/381,210
(32)【優先日】2010-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】アーレンス,ビアンカ
(72)【発明者】
【氏名】バクシ,サンギタ・エム
(72)【発明者】
【氏名】バーグクヴィスト,サイモン・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ドヨンナ,レジス
(72)【発明者】
【氏名】ダフィールド,ロバート・リー
(72)【発明者】
【氏名】エリオット,マーク・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,ティモシー・スコット
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム,リチャード・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,ヘザー・ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】カンパーシュロアー,クリス
(72)【発明者】
【氏名】ラデツキ-バエー,キャスリン
(72)【発明者】
【氏名】ラブ,ヴィクトリア・アレクサンドリア
(72)【発明者】
【氏名】オリファント,シオドア・ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】オナダイプ,アデクンレ・オラトゥンボスン
(72)【発明者】
【氏名】チン,ウェニング
(72)【発明者】
【氏名】ラダクリシュナン,ヴィネイ
(72)【発明者】
【氏名】ローナー,アリソン・カーリン
(72)【発明者】
【氏名】シャープ,レスリー・リン
(72)【発明者】
【氏名】テサー,ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,クリスティン・エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】イェーツ,リビー・アン
(72)【発明者】
【氏名】ジーゲメアー,デイジー・マリー
(72)【発明者】
【氏名】ズリー,モリッツ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】特にヒト4-1BBに結合する抗体を提供する。
【解決手段】本開示は、ヒト4-1BBに結合する単離結合分子、該結合分子のアミノ酸配列をコードする核酸分子、該核酸分子を含むベクター、該ベクターを含有する宿主細胞、該結合分子を作製する方法、該結合分子を含有する薬学的組成物、および該結合分子または組成物を用いる方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離抗体またはその抗原結合部分であって:
(a)配列番号29に示すH-CDR1;
(b)配列番号30に示すH-CDR2;
(c)配列番号31に示すH-CDR3;
(d)配列番号34に示すL-CDR1;
(e)配列番号35に示すL-CDR2;および
(f)配列番号36に示すL-CDR3
を含む、前記抗体または抗原結合部分。
【請求項2】
配列番号43に示すV領域アミノ酸配列を含む、請求項1記載の抗体または抗原結合ドメイン。
【請求項3】
配列番号45に示すV領域アミノ酸配列を含む、請求項1記載の抗体または抗原結合ドメイン。
【請求項4】
配列番号43に示すV領域アミノ酸配列および配列番号45に示すV領域アミノ酸配列を含む、請求項1記載の抗体または抗原結合ドメイン。
【請求項5】
配列番号44に示す重鎖アミノ酸配列を含み、そして配列番号46に示す軽鎖アミノ酸配列をさらに含み、但し配列番号44のC末端リジン残基が場合によって存在しない、単離抗体。
【請求項6】
IgG2である、請求項1~5のいずれか記載の単離抗体。
【請求項7】
請求項1~6記載の抗体またはその抗原結合部分、および薬学的に許容されうるキャリアーを含む、薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体、および特にヒト4-1BBに結合する抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
4-1BB(CD137、TNFRSF9等とも称される)は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRS)の膜貫通タンパク質である。4-1BBの現在の理解によって、発現が一般的に活性化依存性であり、そして活性化されたNKおよびNKT細胞、制御性T細胞、樹状細胞(DC)、刺激されたマスト細胞、分化中の骨髄細胞、単球、好中球、および好酸球を含む免疫細胞の広いサブセットに存在することが示されている(Wang, 2009, Immunological Reviews 229:192-215)。4-1BB発現はまた、腫瘍血管系上に(Broll, 2001, Amer. J Clin. Pathol. 115(4):543-549; Seaman, 2007, Cancer Cell 11:539-554)、そして炎症または動脈硬化内皮の部位に(Drenkard, 2007 FASEB J. 21:456-463; Olofsson, 2008, Circulation 117:1292-1301)存在する。4-1BBを刺激するリガンド、すなわち4-1BBリガンド(4-1BBL)は、活性化された抗原提示細胞(APC)、骨髄前駆体細胞、および造血幹細胞上で発現される。
【0003】
ヒト4-1BBは、255アミノ酸タンパク質である(寄託番号NM_001561;
NP_001552)。完全ヒト4-1BBアミノ酸配列を、配列番号68に提供する。該タンパク質は、シグナル配列(アミノ酸残基1~17)の後に、細胞外ドメイン(169アミノ酸)、膜貫通領域(27アミノ酸)、および細胞内ドメイン(42アミノ酸)を含む(Cheuk ATCら 2004 Cancer Gene Therapy 11: 215-226)。受容体は、単量体および二量体型で、細胞表面上に発現され、そして4-1BBリガンドと三量体化して、シグナルを伝達するようである。
【0004】
ネズミおよびヒトT細胞の多くの研究によって、4-1BBが、細胞増殖、生存、およびサイトカイン産生増進を促進することが示されている(Croft, 2009, Nat Rev Immunol 9:271-285)。研究によって、いくつかの4-1BBアゴニストmAbが、共刺激分子発現を増加させ、そして細胞溶解性Tリンパ球反応を顕著に増進し、多様なモデルにおいて抗腫瘍有効性を生じることが示されてきている。4-1BBアゴニストmAbは、予防および療法的セッティングにおいて、有効性を立証されてきている。さらに、4-1BB単独療法および併用療法腫瘍モデルは、耐久性がある抗腫瘍防御T細胞メモリー反応を確立している(Lynch, 2008, Immunol Rev. 22:277-286)。4-1BBアゴニストはまた、当該技術分野に認められる多様な自己免疫モデルにおいて、自己免疫反応を阻害することも示されてきている(Vinay, 2006, J Mol Med 84:726-736)。4-1BBのこの二重活性によって、免疫寛容を破る免疫療法アプローチと関連しうる自己免疫副作用を弱める一方で、抗腫瘍活性を提供する潜在能力が提供される。
【0005】
ヒト4-1BBに結合し、4-1BBが仲介する反応を増加させ、そしてそれによって、癌を含む多様な疾患および状態の治療のための潜在的な療法剤を提供する抗体に関して、長く求められながら、いまだ対処されていない必要性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Wang, 2009, Immunological Reviews 229:192-215
【非特許文献2】Broll, 2001, Amer. J Clin. Pathol. 115(4):543-549
【非特許文献3】Seaman, 2007, Cancer Cell 11:539-554
【非特許文献4】Drenkard, 2007 FASEB J. 21:456-463
【非特許文献5】Olofsson, 2008, Circulation 117:1292-1301
【非特許文献6】Cheuk ATCら 2004 Cancer Gene Therapy 11:215-226
【非特許文献7】Croft, 2009, Nat Rev Immunol 9:271-285
【非特許文献8】Lynch, 2008, Immunol Rev. 22:277-286
【非特許文献9】Vinay, 2006, J Mol Med 84:726-736
【発明の概要】
【0007】
本開示の目的は、ヒト4-1BBに結合する単離結合分子、例えば抗体またはその結合断片、あるいはその誘導体を提供することである。4-1BBに結合する結合分子を含む組成物を提供することが本開示の別の目的である。本開示の1またはそれより多い結合分子を用いることによって、4-1BBシグナル伝達と関連するかまたは該シグナル伝達によって仲介される疾患および/または状態を治療するための方法を提供することもまた、本開示の目的である。本開示のこれらのおよび他の目的が、本明細書にさらに詳細に記載される。
【0008】
いくつかの側面において、本開示は、ヒト4-1BBに結合する単離抗体を提供する。
1つの特定の側面において、単離抗体は、配列番号68のアミノ酸残基115~156を含むエピトープで、ヒト4-1BBに結合する。いくつかの特定の態様において、該抗体は、配列番号29のH-CDR1アミノ酸配列、配列番号30のH-CDR2アミノ酸配列、および配列番号31のH-CDR3アミノ酸配列を含む。他の特定の態様において、該抗体は、配列番号34のL-CDR1アミノ酸配列、配列番号35のL-CDR2アミノ酸配列、および配列番号36のL-CDR3アミノ酸配列を含む。
【0009】
別の特定の側面において、単離抗体は、本開示に記載するBIACoreアッセイで測定した際、ヒト4-1BB細胞外ドメインに対して、600nMまたはそれ未満、100nMまたはそれ未満、50nMまたはそれ未満、10nMまたはそれ未満、5nMまたはそれ未満、あるいは1nMまたはそれ未満のKで、ヒト4-1BBに結合する。
【0010】
別の特定の側面において、単離抗体は:(a)配列番号1、配列番号15、または配列番号29に示すとおりのH-CDR1;(b)配列番号2、配列番号16、または配列番号30に示すとおりのH-CDR2;および(c)配列番号3、配列番号17、または配列番号31に示すとおりのH-CDR3を含む。
【0011】
別の特定の側面において、単離抗体は:(a)配列番号6、配列番号20、または配列番号34に示すとおりのL-CDR1;(b)配列番号7、配列番号21、または配列番号35に示すとおりのL-CDR2;および(c)配列番号8、配列番号22、配列番号36、または配列番号55に示すとおりのL-CDR3を含む。
【0012】
さらなる側面において、単離抗体は:(a)配列番号1、配列番号15、または配列番号29に示すとおりのH-CDR1;(b)配列番号2、配列番号16、または配列番号30に示すとおりのH-CDR2;および(c)配列番号3、配列番号17、または配列番号31に示すとおりのH-CDR3を含み;そして:(d)配列番号6、配列番号20、または配列番号34に示すとおりのL-CDR1;(e)配列番号7、配列番号21、または配列番号35に示すとおりのL-CDR2;および(f)配列番号8、配列番号22、配列番号36、または配列番号55に示すとおりのL-CDR3をさらに含む。
【0013】
いくつかのさらなる特定の側面において、単離抗体は:
(a)配列番号1に示すとおりのH-CDR1、配列番号2に示すとおりのH-CDR2、および配列番号3に示すとおりのH-CDR3を含む、抗体またはその抗原結合部分;
(b)配列番号15に示すとおりのH-CDR1、配列番号16に示すとおりのH-CDR2、および配列番号17に示すとおりのH-CDR3を含む、抗体またはその抗原結合部分;ならびに
(c)配列番号29に示すとおりのH-CDR1、配列番号30に示すとおりのH-CDR2、および配列番号31に示すとおりのH-CDR3を含む、抗体またはその抗原結合部分
からなる群より選択される。
【0014】
いくつかのさらなる側面において、本開示は、ヒト4-1BBに特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合部分であって:
(a)配列番号6に示すとおりのL-CDR1、配列番号7に示すとおりのL-CDR2、および配列番号8に示すとおりのL-CDR3を含む、抗体またはその抗原結合部分;
(b)配列番号20に示すとおりのL-CDR1、配列番号21に示すとおりのL-CDR2、および配列番号22に示すとおりのL-CDR3を含む、抗体またはその抗原結合部分;
(c)配列番号34に示すとおりのL-CDR1、配列番号35に示すとおりのL-CDR2、および配列番号36に示すとおりのL-CDR3を含む、抗体またはその抗原結合部分;ならびに
(d)配列番号34に示すとおりのL-CDR1、配列番号35に示すとおりのL-CDR2、および配列番号55に示すとおりのL-CDR3を含む、抗体またはその抗原結合部分
からなる群より選択される、前記抗体またはその抗原結合部分を提供する。
【0015】
いくつかのさらなる特定の側面において、単離抗体は:
(a)配列番号1に示すとおりのH-CDR1、配列番号2に示すとおりのH-CDR2、配列番号3に示すとおりのH-CDR3;配列番号6に示すとおりのL-CDR1、配列番号7に示すとおりのL-CDR2、および配列番号8に示すとおりのL-CDR3を含む、抗体またはその抗原結合部分;
(b)配列番号15に示すとおりのH-CDR1、配列番号16に示すとおりのH-CDR2、配列番号17に示すとおりのH-CDR3;配列番号20に示すとおりのL-CDR1、配列番号21に示すとおりのL-CDR2、および配列番号22に示すとおりのL-CDR3を含む、抗体またはその抗原結合部分;
(c)配列番号29に示すとおりのH-CDR1、配列番号30に示すとおりのH-CDR2、配列番号31に示すとおりのH-CDR3;配列番号34に示すとおりのL-CDR1、配列番号35に示すとおりのL-CDR2、および配列番号36に示すとおりのL-CDR3を含む、抗体またはその抗原結合部分;ならびに
(d)配列番号29に示すとおりのH-CDR1、配列番号30に示すとおりのH-CDR2、配列番号31に示すとおりのH-CDR3;配列番号34に示すとおりのL-CDR1、配列番号35に示すとおりのL-CDR2、および配列番号55に示すとおりのL-CDR3を含む、抗体またはその抗原結合部分
からなる群より選択される。
【0016】
さらなる特定の側面において、単離抗体は、配列番号4、配列番号18、配列番号32、および配列番号43に示すとおりのV鎖アミノ酸配列を含む。
さらなる特定の側面において、単離抗体は、配列番号9、配列番号23、配列番号37、配列番号45、配列番号51、配列番号56、配列番号60、または配列番号64に示すとおりのV鎖アミノ酸配列を含む。
【0017】
さらなる特定の側面において、単離抗体は、配列番号4、18、32、および43のいずれか1つに示すとおりのVドメインアミノ酸配列を含み、そしてさらに、配列番号9、配列番号23、配列番号37、配列番号45、配列番号51、配列番号56、配列番号60、および配列番号64のいずれか1つに示すとおりのVドメインアミノ酸配列を含む。
【0018】
さらなる特定の側面において、単離抗体は:
(a)配列番号4に示すとおりのV鎖アミノ酸配列および配列番号9に示すとおりのV鎖アミノ酸配列を含む抗体;
(b)配列番号18に示すとおりのV鎖アミノ酸配列および配列番号23に示すとおりのV鎖アミノ酸配列を含む抗体;
(c)配列番号32に示すとおりのV鎖アミノ酸配列および配列番号37または配列番号56に示すとおりのV鎖アミノ酸配列を含む抗体;ならびに
(d)配列番号43に示すとおりのV鎖アミノ酸配列および配列番号45、配列番号51、配列番号60、または配列番号64に示すとおりのV鎖アミノ酸配列を含む抗体からなる群より選択される。
【0019】
さらにさらなる特定の側面において、本開示が提供する単離抗体は、(i)配列番号11、配列番号25、配列番号39、配列番号47を含む核酸配列、あるいは(ii)配列番号11、配列番号25、配列番号39、または配列番号47の相補鎖に、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるV鎖を含む。
【0020】
さらにさらなる特定の側面において、単離抗体は、(i)配列番号12、配列番号26、配列番号40、配列番号48、配列番号53、配列番号58、配列番号62、または配列番号66を含む核酸配列、あるいは(ii)配列番号12、配列番号26、配列番号40、配列番号48、配列番号53、配列番号58、配列番号62、または配列番号66の相補鎖に、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるV鎖を含む。
【0021】
さらなる特定の側面において、MOR-6032、MOR-7361、MOR-7480、MOR-7480.1、MOR-7480.2、MOR 7483、MOR-7483.1、またはMOR-7483.2より選択される例示的抗体と、ヒト4-1BBへの結合に関して競合し、そして/または交差競合する、単離抗体を提供する。
【0022】
さらなる特定の側面において、ヒト4-1BB上の、本明細書に開示する抗体いずれかと同じエピトープに結合する、単離抗体を提供する。いくつかの態様において、本開示は、MOR-6032、MOR-7361、MOR-7480、MOR-7480.1、MOR-7480.2、MOR 7483、MOR-7483.1、またはMOR-748
3.2より選択される例示的抗体と、ヒト4-1BB上の同じエピトープに結合する、単離抗体を提供する。
【0023】
さらなる特定の側面において、本開示は、ヒト4-1BBに結合し、ヒトV 3-23遺伝子、V 1-69遺伝子、またはV 5の産物であるかまたはこれらに由来する、重鎖可変領域を含む、単離抗体を提供する。別の特定の側面において、本開示は、ヒト4-1BBに結合し、ヒトV λ3またはλ1-13遺伝子の産物であるかまたはこれらに由来する、軽鎖可変領域を含む、単離抗体を提供する。
【0024】
いくつかの態様において、本明細書記載の単離抗体は、以下の特性または特徴:
a)ヒト4-1BBに結合する;
b)ヒトおよびカニクイザル(cynomolgus)4-1BBに結合する;
c)ヒト4-1BBまたはカニクイザル4-1BBに結合するが、ラットまたはマウス4-1BBには結合しない;
d)IgG、例えばIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4である;および
e)ヒト抗体またはヒト化抗体である
の1またはそれより多くを有する。
【0025】
いくつかの他の側面において、本開示は、本開示が提供する任意の抗体の抗原結合部分を提供する。いくつかの態様において、抗原結合部分は、FabまたはscFv断片である。
【0026】
いくつかのさらなる側面において、本開示は、本開示が提供する任意の抗体の誘導体を提供する。
いくつかの他の側面において、本開示は、ヒト4-1BBに結合する抗体またはその抗原結合部分のV鎖をコードする単離核酸であって:
(i)配列番号4、配列番号18、配列番号32、または配列番号43に示すとおりのV鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列;
(ii)配列番号11、配列番号25、配列番号39、または配列番号47に示すとおりの核酸配列;あるいは
(iii)配列番号11、配列番号25、配列番号39、または配列番号47に示すとおりの核酸配列の相補鎖に、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸配列からなる群より選択される、前記核酸を提供する。
【0027】
いくつかの他の側面において、本開示は、ヒト4-1BBに結合する抗体またはその抗原結合部分のV鎖をコードする単離核酸であって:
(i)配列番号9、配列番号23、配列番号37、配列番号45、配列番号51、配列番号56、配列番号60、または配列番号64に示すとおりのV鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列;
(ii)配列番号12、配列番号26、配列番号40、配列番号48、配列番号53、配列番号58、配列番号62、または配列番号66に示すとおりの核酸配列;あるいは
(ii)配列番号12、配列番号26、配列番号40、配列番号48、配列番号53、配列番号58、配列番号62、または配列番号66に示すとおりの核酸配列の相補鎖に、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸配列
からなる群より選択される、前記核酸を提供する。
【0028】
いくつかのさらなる側面において、本開示は、本明細書記載の任意の核酸を含むベクターを提供する。さらにさらなる側面において、本開示は、本明細書記載の任意のベクターを含む宿主細胞を提供する。こうした宿主細胞は、細菌または哺乳動物であってもよい。
【0029】
いくつかのさらなる側面において、本開示は、任意の抗体、その抗原結合部分、またはその誘導体、および薬学的に許容されうるキャリアーを含む、薬学的組成物を提供する。
本開示はさらに、必要がある被験体において、異常な細胞増殖を治療するための方法であって、有効量の本開示の結合分子または本明細書記載の薬学的組成物を被験体に投与する工程を含む、前記方法を提供する。本開示は、被験体において、腫瘍細胞転移を減少させる方法であって、前記被験体に、有効量の本明細書記載の結合分子または薬学的組成物を投与する工程を含む、前記方法を提供する。
【0030】
さらなる側面において、本開示は、必要がある被験体における異常な細胞増殖治療用の薬剤製造のための、本明細書記載の任意の結合分子または薬学的組成物の使用を提供する。さらなる側面において、本開示は、必要がある被験体における異常な細胞増殖の治療において使用するための、本明細書記載の結合分子または薬学的組成物を提供する。さらにさらなる側面において、本開示は、必要がある被験体における腫瘍細胞転移の治療において使用するための、本明細書記載の結合分子または薬学的組成物を提供する。さらにさらなる側面において、本開示は、必要がある被験体における腫瘍細胞転移治療用の薬剤製造のための、本明細書記載の任意の結合分子または薬学的組成物の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、Alexafluor647にコンジュゲート化された示す4-1BB抗体または対照抗体とインキュベーションした、未刺激(黒)およびPHA刺激(薄い灰色)のヒト(上段左)、カニクイザル(上段右)、イヌ(下段左)、およびラット(下段右)由来初代PBMCの平均蛍光強度を示す4つの棒グラフである。パネルは、PHAで刺激したヒトおよびカニクイザルPBMCへの結合を立証する。
図2図2は、いくつかの濃度の4-1BB特異的mAbまたはアイソタイプ対照mAbで刺激しておいた、4-1BB発現293T細胞におけるルシフェラーゼレポーター活性を示す2つの線グラフである。左パネルは、カニクイザル4-1BBを発現する細胞におけるレポーター活性を立証する。右パネルは、ヒト4-1BBを発現する細胞における活性を立証する。アイソタイプ対照を超える倍刺激としてデータを表す。
図3図3(3Aおよび3B)は、抗CD3およびいくつかの濃度の4-1BB抗体でのヒトT細胞の刺激72時間後の、細胞培地に存在するヒトIL-2濃度を示す線グラフである。各パネル(AおよびB)は個々のドナーを示す。
図4図4は、4-1BB mAbまたはアイソタイプ対照mAbで治療されているマウスにおけるヒト末梢血単核細胞の拡大を示す散布図である。第0日に600万のヒト末梢血単核細胞を注射され、そして第9日に1mg/kgの4-1BB mAbまたはアイソタイプ対照mAbを注射された、研究日第24~28日の個々のNSGマウスの末梢血におけるヒトCD45を発現する細胞の割合として、データを表す。両側マン・ホイットニー検定を用いて、統計的有意性を決定した。p<0.05、**p<0.005。HBPTなしは、ヒト細胞を注射されなかった動物を指す。
図5図5は、カニクイザルにおける4-1BB mAb投与後のいくつかの時点で、増殖中のCD8セントラルメモリーT細胞における変化を示す2つの棒グラフである。(用量レベル-動物番号)として個々の動物に相当する棒としてデータを示し、そして研究前の数に対するKi-67+細胞数の動物内変化として表す{[(示す研究日のKi-67+細胞数-投薬前のKi-67+細胞数)/投薬前のKi-67+細胞数]100}。CD8セントラルメモリー細胞は、CD3+、CD8+、CD28+およびCD95+として同定された。
図6図6は、研究第0日に、腫瘍細胞(PC3、左パネル; LOVO、右パネル)およびヒト末梢血単核細胞を皮下注射した腫瘍の増殖を示す線グラフである。第0日に、マウスに10mg/kgの示す4-1BB mAbを注射した。
図7】左パネルは、4-1BB mAbまたはビヒクル対照での4-1BBノックインマウスの治療後に、T細胞表面マーカーCD8+に関して陽性であり、そしてまたBrdUヌクレオシド類似体を取り込んでいる、PBMCの割合を示す散布図である。右パネルは、4-1BBノックインマウス内に皮下注射され、そして示す濃度の4-1BB mAbで治療されたネズミ黒色腫腫瘍の増殖を示す線グラフである。
図8図8は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域(CDRを下線で示す)と、対応する生殖系列配列のアミノ酸配列の整列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
A.定義
本明細書に別に定義しない限り、本開示と関連して用いられる科学的および技術的用語は、一般の当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、背景によって別に必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、そして複数形の用語は単数形を含むものとする。一般的に、本明細書に記載する細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸化学およびハイブリダイゼーションと関連して用いられる用語、ならびにこれらの技術は、当該技術分野に周知であり、そして一般的に用いられるものである。
【0033】
本明細書において、以下の用語は各々、このセクションで関連づけられる意味を有する。
用語「4-1BB抗体」は、本明細書に定義するとおりの、ヒト4-1BB受容体に結合可能な抗体を指す。
【0034】
用語「4-1BB」および「4-1BB受容体」は、本出願において、交換可能に用いられ、そしてヒト4-1BB受容体、ならびにその変異体、アイソフォーム、および種相同体を含む。したがって、結合分子は、本明細書に定義し、そして開示するように、ヒト以外の種由来の4-1BBに結合してもよい。他の場合、結合分子は、ヒト4-1BBに完全に特異的であり、そして種または他のタイプの交差反応性を示してはならない。
【0035】
冠詞「a」および「an」は、該冠詞の文法的対象の1または1より多く(すなわち少なくとも1つ)を指す。例えば、「要素(an element)」は1つの要素または1より多い要素を意味する。
【0036】
用語「アゴニスト」は、本明細書に定義するように、4-1BBに結合した際、(1)4-1BBを刺激するかまたは活性化するか、(2)4-1BBの活性、機能、または存在を増進するか、増加させるか、促進するか、誘導するか、または延長させるか、あるいは(3)4-1BBの発現を増進するか、増加させるか、促進するか、または誘導する、結合分子を指す。
【0037】
用語「アミノ酸」は、天然存在および合成アミノ酸、ならびに天然存在アミノ酸と同様に機能する、アミノ酸類似体およびアミノ酸擬似体を指す。天然存在アミノ酸は、遺伝暗号によってコードされるもの、ならびに後に修飾されているアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、ガンマ-カルボキシグルタメート、およびO-ホスホセリンである。用語「アミノ酸類似体」は、天然存在アミノ酸と同じ基本的化学構造を有するが、C末端カルボキシ基、N末端アミノ基、または側鎖官能基が別の官能基に化学的に修飾されている、化合物を指す。用語「アミノ酸擬似体」は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然存在アミノ酸と同様に機能する化学的化合物を指す。
【0038】
用語「抗体」は、当該技術分野に認識される用語であり、そして2つの同一の重(H)鎖および2つの同一の軽(L)鎖からなる基本的な4ポリペプチド鎖構造を有する抗原結合タンパク質(すなわち免疫グロブリン)を指す。各L鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によってH鎖に連結され、一方、2つのH鎖は、H鎖のアイソタイプに応じて、1また
はそれより多いジスルフィド結合によって互いに連結される。各重鎖は、N末端に、可変領域(本明細書において、Vと略する)を、その後に定常領域を有する。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3で構成される。各軽鎖は、N末端に、可変領域(本明細書において、Vと略する)を、その後、もう一方の端に定常領域を有する。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、Cで構成される。Vは、Vと整列し、そしてCは、重鎖の最初の定常ドメイン(CH1)と整列する。VおよびVは一緒に対形成して、単一の抗原結合部位を形成する。IgM抗体は、5つの基本的ヘテロ四量体単位とともに、J鎖と呼ばれるさらなるポリペプチドからなり、そしてしたがって、10の抗原結合部位を含有する一方、分泌IgA抗体は、重合して、J鎖とともに2~5の基本的4鎖単位を含む、多価集合体を形成することも可能である。
【0039】
およびV領域は、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性領域にさらに分けられうる。どちらも当業者に周知であるKabatまたはChothia番号付け系を用いて、CDR領域を決定してもよい。例えば、Kabat, E.A.ら(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242; ChothiaおよびLesk, J. Mol. Biol. 196:901-917(1987)を参照されたい。VおよびVは各々、3つのCDRおよび4つのFRで構成され、アミノ末端からカルボキシ末端に、以下の順で配置される: FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。本開示全体で、重鎖の3つのCDRは、H-CDR1、H-CDR2、およびH-CDR3と称される。同様に、軽鎖の3つのCDRは、L-CDR1、L-CDR2、およびL-CDR3と称される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の多様な細胞(例えばエフェクター細胞)および古典的補体系の第一の構成要素(Clq)を含む宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を仲介しうる。軽鎖および重鎖内で、可変および定常領域は、約12またはそれより多いアミノ酸の「J」領域によって連結され、重鎖はまた、約10またはそれより多いアミノ酸の「D」領域も含む。一般的には、Fundamental Immunology 第7章(Paul,
W.監修, 第2版 Raven Press, ニューヨーク州(1989))を参照されたい。
【0040】
いかなる脊椎動物種由来のL鎖も、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパおよびラムダと称される、2つの明らかに別個のタイプの一方に割り当て可能である。その重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、抗体は、異なるクラスまたはアイソタイプに割り当て可能である。それぞれ、α(アルファ)、δ(デルタ)、ε(イプシロン)、γ(ガンマ)、およびμ(ミュー)と称される重鎖を有する、5つのクラスの抗体:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがある。抗体のIgGクラスは、それぞれ、ガンマ重鎖、Y1~Y4によって、4つのサブクラスIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4にさらに分類可能である。
【0041】
用語「抗体誘導体」または抗体の「誘導体」は、抗体が結合するのと同じ抗原(例えば4-1BB)に結合可能であり、そしてさらなる分子実体に連結された抗体のアミノ酸配列を含む、分子を指す。抗体誘導体中に含有される抗体のアミノ酸配列は、抗体の全長重鎖、全長軽鎖、全長重鎖の任意の単数または複数の部分、全長軽鎖の任意の単数または複数の部分、抗体の任意の他の断片(単数または複数)、あるいは完全抗体であってもよい。さらなる分子実体は、化学的または生物学的分子であってもよい。さらなる分子実体の例には、化学基、アミノ酸、ペプチド、タンパク質(例えば酵素、抗体)、および化学的化合物が含まれる。さらなる分子実体は、任意の有用性、例えば検出剤、標識、マーカー
、薬学的剤または療法剤として使用するための有用性を有してもよい。抗体のアミノ酸配列は、化学的カップリング、遺伝子融合、非共有結合、またはその他のものによってさらなる分子実体に付着しているかまたは連結されていてもよい。用語「抗体誘導体」はまた、キメラ抗体、ヒト化抗体、ならびに4-1BB抗体のアミノ酸配列の修飾、例えば保存的アミノ酸置換、付加、および挿入に由来する分子も含む。
【0042】
用語、抗体の「抗原結合断片」または「抗原結合部分」は、抗体が結合する抗原(例えば4-1BB)に結合する能力を保持する、抗体の1またはそれより多い部分を指す。抗体の「抗原結合断片」の例には、(i)V、V、CおよびCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結される2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)断片;(iii)VおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一のアームのVおよびVドメインからなるFv断片;(v)VドメインからなるdAb断片(Wardら, Nature
341:544-546(1989));ならびに(vi)単離相補性決定領域(CDR)が含まれる。
【0043】
用語「結合分子」は、各々、本明細書に定義するとおりの、(1)抗体、(2)抗体の抗原結合断片、および(3)抗体誘導体を含む。
用語「4-1BBに結合」、「4-1BBと結合する」、「4-1BBへの結合」、または「4-1BBに結合する」は、500nMまたはそれ未満のアフィニティ(K)での、in vitroアッセイ、例えば実施例6に記載するようなBIAcoreにおける、本明細書に定義するとおりの結合分子のヒト4-1BBへの結合を指す。
【0044】
用語「キメラ抗体」は、異なる動物種由来のアミノ酸配列を含む抗体、例えばヒト抗体由来の可変領域およびネズミ免疫グロブリン定常領域を有するものを指す。
用語「結合に関して競合する」は、結合ターゲットへの結合における2つの抗体の相互作用を指す。第一の抗体の同族(cognate)エピトープとの結合が、第二の抗体の非存在下での第一の抗体の結合に比較して、第二の抗体の存在下で検出可能に減少している場合、第一の抗体は、第二の抗体と、結合に関して競合する。反対に、エピトープへの第二の抗体の結合もまた、第一の抗体の存在下で検出可能に減少することもまたあってもよいが、そうである必要はない。すなわち、第二の抗体が第一の抗体のそれぞれのエピトープへの結合を阻害することなく、第一の抗体が、第二の抗体のそのエピトープへの結合を阻害してもよい。しかし、各抗体が、その同族エピトープと他の抗体の結合を、同じ度合いに、より高いまたは低い度合いでのいずれかで、検出可能に阻害する場合、抗体は、それぞれのエピトープ(単数または複数)の結合に関して、互いと「交差競合する」と言われる。
【0045】
用語「エピトープ」は、抗体(またはその抗原結合断片)が結合する抗原の部分を指す。エピトープは、隣接アミノ酸、またはタンパク質の三次フォールディングによって並置される非隣接アミノ酸の両方から形成可能である。隣接アミノ酸から形成されるエピトープは、典型的には、変性溶媒への曝露に際して保持される一方、三次フォールディングによって形成されるエピトープは、典型的には、変性溶媒での処理に際して失われる。エピトープには、ユニークな空間コンホメーションの多様な数のアミノ酸が含まれうる。エピトープの空間コンホメーションを決定する方法には、例えば、X線結晶学および二次元核磁気共鳴が含まれる。例えば、Methods in Molecular Biology, G.E. Morris監修, Vol. 66, Epitope Mapping Protocols(1996)を参照されたい。ひとたび、抗原上の望ましいエピトープが決定されたら、そのエピトープに対する抗体を、例えば本明細書記載の技術を用いて、生成してもよい。抗体の生成および性質決定はまた、望ましいエピトープに関する情報を解明しうる。この情報から、次いで、同じエピトープへの結合に関して、抗体
を競合的にスクリーニングすることが可能である。これを達成するためのアプローチは、互いに競合的に結合する抗体、すなわち抗原への結合に関して競合する抗体を発見する交差競合研究を実行することである。交差競合に基づいて、抗体を「ビニング」するためのハイスループットプロセスが、PCT公報第WO 03/48731号に記載される。
【0046】
用語「生殖系列」は、生殖細胞を通じて、親から子孫へ引き継がれるような抗体遺伝子および遺伝子セグメントのヌクレオチド配列を指す。生殖系列配列は、B細胞成熟経過中の組換えおよび高頻度変異事象によって改変されている、成熟B細胞中の抗体をコードするヌクレオチド配列とは区別される。
【0047】
用語「グリコシル化部位」は、糖残基の付着のための位置として、真核細胞によって認識されるアミノ酸残基を指す。炭水化物、例えばオリゴ糖が付着しているアミノ酸は、典型的にはアスパラギン(N連結)、セリン(O連結)、およびスレオニン(O連結)残基である。付着の特定の部位は、典型的には、「グリコシル化部位配列」と本明細書に称されるアミノ酸配列によって示される。N連結グリコシル化のためのグリコシル化部位配列は:-Asn-X-Ser-または-Asn-X-Thr-であり、式中、Xは、プロリン以外の任意の慣用的アミノ酸であってもよい。用語「N連結」および「O連結」は、糖分子およびアミノ酸残基間の付着部位として働く化学基を指す。N連結糖は、アミノ基を通じて付着し;O連結糖は、ヒドロキシル基を通じて付着する。用語「グリカン占有」は、グリコシル化部位に連結された炭水化物部分の存在を指す(すなわちグリカン部位が占有されている)。ポリペプチド上の少なくとも2つの潜在的なグリコシル化部位がある場合、部位のいずれも占有されないか(0グリカン部位占有)、1つ(1グリカン部位占有)または両方(2グリカン部位占有)の部位が炭水化物部分によって占有されてもよい。
【0048】
用語「宿主細胞」は、関心対象のタンパク質、タンパク質断片、またはペプチドを生成するよう操作可能な細胞系を指す。宿主細胞には、限定なしに、培養細胞、例えばげっ歯類(ラット、マウス、モルモット、またはハムスター)由来の哺乳動物培養細胞、例えばCHO、BHK、NSO、SP2/0、YB2/0;あるいはヒト組織またはハイブリドーマ細胞、酵母細胞、および昆虫細胞、ならびにトランスジェニック動物または培養組織内に含まれる細胞が含まれる。該用語は、特定の対象細胞だけでなく、こうした細胞の子孫もまた含む。突然変異または環境の影響のいずれかのために、続く世代で特定の修飾が起こりうるため、こうした子孫は親細胞と同一でない可能性もあるが、なお用語「宿主細胞」の範囲内に含まれる。
【0049】
用語「ヒト抗体」は、軽鎖および重鎖の全アミノ酸配列が、ヒト免疫グロブリン遺伝子由来である抗体を指す。ヒト抗体は、マウスにおいて、マウス細胞において、またはマウス細胞由来のハイブリドーマにおいて産生される場合、ネズミ炭水化物鎖を含有してもよい。ヒト抗体は、当該技術分野に知られる多様な方法で調製可能である。
【0050】
用語「ヒト化抗体」は、ヒト抗体配列由来のアミノ酸残基を含有するキメラ抗体を指す。ヒト化抗体は、非ヒト動物抗体由来のいくつかまたはすべてのCDRを含有してもよい一方、抗体のフレームワークおよび定常領域は、ヒト抗体配列由来のアミノ酸残基を含有する。
【0051】
用語「例示的抗体」は、本開示中に記載され、そしてMOR-6032、MOR-7361、MOR-7480、MOR-7480.1、MOR-7480.2、MOR 7483、MOR-7483.1、およびMOR-7483.2と称される抗体の任意の1つを指す。これらの抗体は、いかなるクラス(例えばIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM)であってもよい。したがって、上に同定する各抗体は、VおよびV領域に関して同じアミノ酸配列を有する、すべての5つのクラスの抗体を含む。さらに、Ig
Gクラスの抗体は、いかなるサブクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4)であってもよい。したがって、上で同定するIgGサブクラスの各抗体は、VおよびV領域に関して同じアミノ酸配列を有する、すべての4つのサブクラスの抗体を含む。5つのクラス、ならびに4つのIgGサブクラスのヒト抗体の重鎖定常領域のアミノ酸配列は、当該技術分野に知られる。例えば、ヒトIgG1およびIgG2定常領域のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号69および71に提供される。例示的抗体各々のIgG2サブクラスに関する全長重鎖のアミノ酸配列を本開示中に提供する。
【0052】
用語「単離抗体」または「単離結合分子」は:(1)天然状態で付随する天然会合構成要素と会合していないか;(2)同じ種由来の他のタンパク質を含まないか;(3)異なる種由来の細胞によって発現されるか;または(4)天然に存在しない、本明細書に定義するような抗体または結合分子を指す。単離抗体の例には、4-1BBを用いてアフィニティ精製されている4-1BB抗体、ハイブリドーマまたは他の細胞株によって、in vitroで生成されている4-1BB抗体、およびトランスジェニック動物由来の4-1BB抗体が含まれる。
【0053】
用語「単離核酸」は、核酸の天然供給源に存在する他の核酸分子から分離されている、ゲノム、cDNA、または合成起源の核酸分子、あるいはその組み合わせを指す。例えば、ゲノムDNAに関して、用語「単離」には、ゲノムDNAが天然に会合している染色体から分離されている核酸分子が含まれる。好ましくは、「単離」核酸は、核酸に天然に隣接している配列(すなわち、関心対象の核酸の5’および3’端に位置する配列)を含まない。
【0054】
用語「k」は、特定の抗体-抗原相互作用の会合速度定数を指し、一方、用語「k」は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度定数を指す。
用語「K」は、特定の抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指す。これは、k対kの比(すなわちk/k)から得られ、そしてモル濃度(M)で表される。Kは、結合パートナーへの抗体の結合のアフィニティに関する測定値として用いられる。Kがより小さければ、抗体がより緊密に結合しているか、または抗体および抗原の間のアフィニティがより高い。例えば、ナノモル濃度(nM)解離定数を持つ抗体は、マイクロモル濃度(μM)解離定数を持つ抗体よりも、特定の抗原により緊密に結合する。抗体に関するK値は、当該技術分野においてよく確立された方法を用いて決定可能である。抗体のKを決定するための1つの方法は、典型的には、Biacore(登録商標)系などのバイオセンサー系を用いて、表面プラズモン共鳴を用いることによる。BIACORETM系を用いたアッセイ法(BIAcore)を、本開示の実施例セクションに記載する。
【0055】
用語「哺乳動物」は、哺乳綱(Mammalia)の任意の動物種を指す。哺乳類の例には:ヒト;実験動物、例えばラット、マウス、サル(simian)およびモルモット;家畜、例えばネコ、イヌ、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、およびブタ;ならびに捕獲野生動物、例えばライオン、トラ、ゾウ等が含まれる。
【0056】
用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体、すなわち少量で存在しうるありうる天然存在突然変異以外は、集団を構成する個々の抗体が同一である抗体を指す。モノクローナル抗体は、非常に特異的であり、単一の抗原性部位に対して向けられる。さらに、異なる決定因子(エピトープ)に対して向けられる異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定因子に対して向けられる。この特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体が混入せずに合成可能である点で好適である。修飾語句「モノクローナル」は、いかなる特定の方法による抗体産生を必要とするとも見なされないものとする。例えば、ハイブリドーマ方法論によってモノクローナル抗体を調製してもよいし、あるいは、細菌、真核動
物または植物細胞において、組換えDNA法を用いて作製してもよい(例えば米国特許第4,816,567号を参照されたい)。また、例えば、Clacksonら, Nature, 352:624-628(1991)およびMarksら, J. Mol.
Biol., 222:581-597(1991)に記載される技術を用いて、ファージ抗体ライブラリーからモノクローナル抗体を単離してもよい。
【0057】
哺乳動物における特定の疾患状態に関して、用語「防止(予防)する」または「防止(予防)すること」は、疾患の開始を防止するかまたは遅延させ、あるいはその臨床的または無症候性症状の顕在化を防止することを指す。
【0058】
用語「組換え抗体」は、組換え手段によって調製されるか、発現されるか、生成されるか、または単離される抗体、例えば別の種の免疫グロブリン遺伝子に関してトランスジェニックである動物から単離される抗体、宿主細胞内にトランスフェクションされた組換え発現ベクターを用いて発現される抗体、組換えコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離される抗体、あるいは他のDNA配列への免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを伴う任意の他の手段によって調製されるか、発現されるか、生成されるか、または単離される抗体を指す。
【0059】
本明細書において、2つのポリペプチド配列間の「配列同一性」は、配列間で同一であるアミノ酸の割合を示す。既知のコンピュータプログラム、例えばBestfit、FASTA、またはBLASTを用いて、ポリペプチドのアミノ酸配列同一性を慣用的に決定することも可能である(例えば、Pearson, Methods Enzymol.
183:63-98(1990); Pearson, Methods Mol. Biol. 132:185-219(2000); Altschulら, J. Mol. Biol. 215:403-410(1990); Altschulら, Nucelic Acids Res. 25:3389-3402(1997)を参照されたい)。Bestfitまたは任意の他の配列整列プログラムを用いて、特定の配列が参照アミノ酸配列に、例えば95%同一であるかどうかを決定する場合、同一性パーセントが参照アミノ酸配列の全長に渡って計算され、そして参照配列中のアミノ酸残基の総数の最大5%までの相同性におけるギャップが許されるように、パラメータを設定する。ポリペプチド間で同一性パーセントを決定する際のこの前述の方法は、本明細書に開示するすべてのタンパク質、その断片、または変異体に適用可能である。
【0060】
本明細書に定義するとおりの結合分子(例えば抗体)とその結合パートナー(例えば抗原)の相互作用に関して、用語「と特異的に結合する」または「に特異的に結合する」は、結合分子が、所定の条件セット下で、動物種由来の関心対象の抗原および異なる動物種由来の抗原オルソログの間を区別する能力を指す。4-1BB結合分子は、in vitroアッセイにおいて決定される、ラットまたはマウスの4-1BBに結合するEC50の50パーセント未満であるEC50で、ヒト4-1BBに結合する場合、ヒト4-1BBに特異的に結合すると言われる。当該技術分野に知られる方法を用いて、抗体の結合特異性を決定することも可能である。こうした方法の例には、PHA刺激初代細胞を用いるFACS、ウェスタンブロット、ELISA、RIA、ECL、IRMA試験およびペプチドスキャンが含まれる。
【0061】
本明細書に定義するとおりの結合分子(例えば抗体)とその結合パートナー(例えば抗原)の相互作用に関して、用語「と選択的に結合する」または「に選択的に結合する」は、結合分子が、所定の条件セット下で、動物種由来の関心対象の抗原(例えばヒト4-1BB)および同じ動物種由来の異なる抗原(例えばヒトCD40)の間を区別する能力を指す。4-1BB結合分子は、in vitroアッセイにおいて決定されるような、ヒトCD40またはヒトCD134に結合するEC50の10パーセント未満であるEC5
0で、ヒト4-1BBに結合する場合、ヒト4-1BBに選択的に結合すると言われる。
【0062】
用語「治療する」、「治療すること」、または「治療」は、哺乳動物における特定の疾患状態に関して、疾患状態を有する哺乳動物における望ましいまたは有益な影響を引き起こすことを指す。望ましいまたは有益な影響には、疾患の1またはそれより多い症状(すなわち腫瘍増殖および/または転移、あるいは免疫細胞の数および/または活性によって仲介される他の影響等)の頻度または重症度の減少、あるいは疾患、状態、または障害のさらなる発展の抑止または阻害が含まれうる。哺乳動物において癌を治療する背景において、望ましいまたは有益な影響には、癌細胞のさらなる増殖または蔓延の阻害、癌細胞の死、癌の再発の阻害、癌と関連する疼痛の減少、または哺乳動物の生存改善が含まれうる。影響は、主観的であってもまたは客観的であってもいずれでもよい。例えば、哺乳動物がヒトである場合、ヒトは、改善または療法に対する反応の主観的な症状として、気力または活力の改善、あるいは疼痛の減少に気付きうる。あるいは、臨床医は、健康診断、臨床検査値、腫瘍マーカーまたはX線写真所見に基づいて、腫瘍サイズまたは腫瘍負荷の減少に気付きうる。治療への反応に関して、臨床医が観察しうるいくつかの実験室徴候には、試験の標準化、例えば白血球数、赤血球数、血小板数、赤血球沈降速度、および多様な酵素レベルが含まれる。さらに、臨床医は、検出可能な腫瘍マーカーの減少を観察しうる。あるいは、他の試験、例えば超音波画像、核磁気共鳴試験および陽電子放出試験を用いて、客観的な改善を評価してもよい。
【0063】
用語「ベクター」は、外来の(foreign)核酸分子を輸送可能な核酸分子を指す。外来の核酸分子は、組換え技術、例えば連結または組換えによって、ベクター核酸分子に連結される。これによって、外来核酸分子が、増加し、選択され、さらに操作され、あるいは宿主細胞または生物において発現されることが可能になる。ベクターは、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、ウイルス、またはビリオンであってもよい。1つのタイプのベクターは、宿主細胞内への導入に際して、宿主細胞ゲノム内に組み込まれ、そしてそれによって、宿主ゲノムと一緒に複製される(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)。別のタイプのベクターは、導入された宿主細胞において、自律的複製が可能である(例えば細菌複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。機能可能であるように連結されている、発現可能外来核酸の発現を指示可能なベクターの別の特定のタイプは、一般的に、「発現ベクター」と称される。発現ベクターは、一般的に、発現可能外来核酸の発現を駆動する対照配列を有する。「転写ベクター」として知られる、より単純なベクターは、転写のみが可能であり、翻訳は可能ではない:これらは、ターゲット細胞において複製可能であるが、発現はされない。用語「ベクター」は、その機能に関わらず、すべてのタイプのベクターを含む。機能可能であるように連結された発現可能核酸の発現を指示可能なベクターは、一般的に、「発現ベクター」と称される。
【0064】
本開示の方法および技術は、別に示さない限り、一般的に、当該技術分野に周知の方法にしたがって、そして多様な一般的な、およびより特異的な、本明細書全体で引用され、そして論じられる参考文献に記載されるように、実行される。こうした参考文献には、例えば、SambrookおよびRussell, Molecular Cloning, A Laboratory Approach, Cold Spring Harbor Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(2001)、Ausubelら, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, ニューヨーク(2002)、ならびにHarlowおよびLane Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory
Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1990)が含まれる。製造者の規格にしたがって、当該技術分野において一般的に達成されるように、または本
明細書に記載されるように、酵素反応および精製技術を行う。本明細書記載の分析化学、合成有機化学、ならびに医学的および薬学的化学と関連して用いられる専門用語、ならびにこうした化学の実験法および技術は、当該技術分野に周知であり、そして一般的に用いられるものである。化学合成、化学分析、薬学的調製、配合、および送達、ならびに患者の治療には、標準的技術を用いる。
【0065】
本明細書において、20の慣用的アミノ酸およびその略語は、慣用的な用法にしたがう。Immunology-A Synthesis(第2版, E.S. GolubおよびD.R. Gren監修, Sinauer Associates, マサチューセッツ州サンダーランド(1991))を参照されたい。
【0066】
B.ヒト4-1BBに結合する結合分子
本開示は、4-1BB抗体、4-1BB抗体の抗原結合断片、および4-1BB抗体の誘導体を含む、ヒト4-1BBに結合する単離結合分子を提供する。
【0067】
B-1. 4-1BB抗体
いくつかの側面において、本開示は、配列番号68のアミノ酸残基115~156内のエピトープで、ヒト4-1BBに結合する単離抗体を提供する。いくつかの態様において、単離抗体は、配列番号29のH-CDR1アミノ酸配列、配列番号30のH-CDR2アミノ酸配列、および配列番号31のH-CDR3アミノ酸配列を含む。いくつかの他の態様において、単離抗体は、配列番号34のL-CDR1アミノ酸配列、配列番号35のL-CDR2アミノ酸配列、および配列番号36のL-CDR3アミノ酸配列を含む。いくつかの他の態様において、上記の本明細書記載の抗体は、本明細書の以下に記載する1またはそれより多い生物学的特性を有する。
【0068】
他の側面において、本開示は、ヒト4-1BBに結合する単離抗体を提供し、前記抗体は:(a)配列番号1、配列番号15、または配列番号29に示すとおりのH-CDR1;(b)配列番号2、配列番号16、または配列番号30に示すとおりのH-CDR2;および(c)配列番号3、配列番号17、または配列番号31に示すとおりのH-CDR3を含む。
【0069】
別の側面において、本開示は、ヒト4-1BBに結合する単離抗体を提供し、前記抗体は:(a)配列番号6、配列番号20、または配列番号34に示すとおりのL-CDR1;(b)配列番号7、配列番号21、または配列番号35に示すとおりのL-CDR2;および(c)配列番号8、配列番号22、配列番号36、または配列番号55に示すとおりのL-CDR3を含む。
【0070】
さらなる側面において、本開示は、ヒト4-1BBに結合する単離抗体を提供し、前記抗体は:(a)配列番号1、配列番号15、または配列番号29に示すとおりのH-CDR1;(b)配列番号2、配列番号16、または配列番号30に示すとおりのH-CDR2;(c)配列番号3、配列番号17、または配列番号31に示すとおりのH-CDR3を含み;そして:(d)配列番号6、配列番号20、または配列番号34に示すとおりのL-CDR1;(e)配列番号7、配列番号21、または配列番号35に示すとおりのL-CDR2;および(f)配列番号8、配列番号22、配列番号36、または配列番号55に示すとおりのL-CDR3をさらに含む。
【0071】
いくつかのさらなる側面において、本開示は、ヒト4-1BBに結合する単離抗体を提供し、前記抗体は:
(a)配列番号1に示すとおりのH-CDR1、配列番号2に示すとおりのH-CDR2、および配列番号3に示すとおりのH-CDR3を含む抗体;
(b)配列番号15に示すとおりのH-CDR1、配列番号16に示すとおりのH-CDR2、および配列番号17に示すとおりのH-CDR3を含む抗体;ならびに
(c)配列番号29に示すとおりのH-CDR1、配列番号30に示すとおりのH-CDR2、および配列番号31に示すとおりのH-CDR3を含む抗体
からなる群より選択される。
【0072】
いくつかのさらなる側面において、本開示は、ヒト4-1BBに結合する単離抗体を提供し、前記抗体は:
(a)配列番号6に示すとおりのL-CDR1、配列番号7に示すとおりのL-CDR2、および配列番号8に示すとおりのL-CDR3を含む抗体;
(b)配列番号20に示すとおりのL-CDR1、配列番号21に示すとおりのL-CDR2、および配列番号22に示すとおりのL-CDR3を含む抗体;
(c)配列番号34に示すとおりのL-CDR1、配列番号35に示すとおりのL-CDR2、および配列番号36に示すとおりのL-CDR3を含む抗体;ならびに
(d)配列番号34に示すとおりのL-CDR1、配列番号35に示すとおりのL-CDR2、および配列番号55に示すとおりのL-CDR3を含む抗体
からなる群より選択される。
【0073】
いくつかのさらなる側面において、本開示は、ヒト4-1BBに結合する単離抗体を提供し、前記抗体は:
(a)配列番号1に示すとおりのH-CDR1、配列番号2に示すとおりのH-CDR2、配列番号3に示すとおりのH-CDR3;配列番号6に示すとおりのL-CDR1、配列番号7に示すとおりのL-CDR2、および配列番号8に示すとおりのL-CDR3を含む抗体;
(b)配列番号15に示すとおりのH-CDR1、配列番号16に示すとおりのH-CDR2、配列番号17に示すとおりのH-CDR3;配列番号20に示すとおりのL-CDR1、配列番号21に示すとおりのL-CDR2、および配列番号22に示すとおりのL-CDR3を含む抗体;
(c)配列番号29に示すとおりのH-CDR1、配列番号30に示すとおりのH-CDR2、配列番号31に示すとおりのH-CDR3;配列番号34に示すとおりのL-CDR1、配列番号35に示すとおりのL-CDR2、および配列番号36に示すとおりのL-CDR3を含む抗体;ならびに
(d)配列番号29に示すとおりのH-CDR1、配列番号30に示すとおりのH-CDR2、配列番号31に示すとおりのH-CDR3;配列番号34に示すとおりのL-CDR1、配列番号35に示すとおりのL-CDR2、および配列番号55に示すとおりのL-CDR3を含む抗体
からなる群より選択される。
【0074】
さらなる側面において、本開示は、ヒト4-1BBに結合する単離抗体を提供し、前記抗体は、配列番号4、配列番号18、配列番号32、または配列番号43に示すとおりのV鎖アミノ酸配列を含む。
【0075】
さらなる側面において、本開示は、ヒト4-1BBに結合する単離抗体を提供し、前記抗体は、配列番号9、配列番号23、配列番号37、配列番号45、配列番号51、配列番号56、配列番号60、または配列番号64に示すとおりのV領域アミノ酸配列を含む。
【0076】
さらなる側面において、本開示は、ヒト4-1BBに結合する単離抗体を提供し、前記抗体は、(1)配列番号4、配列番号18、配列番号32、または配列番号43に示すとおりのV鎖アミノ酸配列、ならびに(2)配列番号9、配列番号23、配列番号37、
配列番号45、配列番号51、配列番号56、配列番号60、または配列番号64に示すとおりのV鎖アミノ酸配列を含む。
【0077】
さらなる側面において、本開示は、ヒト4-1BBに結合する単離抗体を提供し、前記抗体は:
(a)配列番号4に示すとおりのV鎖アミノ酸配列および配列番号9に示すとおりのV鎖アミノ酸配列を含む抗体;
(b)配列番号18に示すとおりのV鎖アミノ酸配列および配列番号23に示すとおりのV鎖アミノ酸配列を含む抗体;
(c)配列番号32に示すとおりのV鎖アミノ酸配列および配列番号37または配列番号56に示すとおりのV鎖アミノ酸配列を含む抗体;ならびに
(d)配列番号43に示すとおりのV鎖アミノ酸配列および配列番号45、配列番号51、配列番号60、または配列番号64に示すとおりのV鎖アミノ酸配列を含む抗体からなる群より選択される。
【0078】
いくつかの態様において、本明細書において上に記載する抗体は、エピトープ結合に関連して記載する抗体およびCDRまたは可変領域の特定のアミノ酸配列に関連して記載する抗体を含めて、以下の機能特性の少なくとも1つを有する:(a)ヒト4-1BBに、500nMまたはそれ未満のKで結合する;(b)ヒト4-1BBに対してアゴニスト活性を有する;(c)ヒトCD40受容体に、1000nMまでの濃度で結合しない;(d)ヒトCD134受容体に、1000nMまでの濃度で結合しない;(e)ラットまたはマウス4-1BBに100nMまでの濃度で結合しない;(h)腫瘍細胞増殖を阻害可能である;および(i)癌に対して療法的効果を有する。いくつかのさらなる態様において、該抗体は、本開示に記載するBIACoreアッセイで測定した際、ヒト4-1BB細胞外ドメインに対して、500nMまたはそれ未満、100nMまたはそれ未満、50nMまたはそれ未満、10nMまたはそれ未満、5nMまたはそれ未満、あるいは1nMまたはそれ未満のKで、ヒト4-1BBに特異的に結合する。さらにさらなる態様において、該抗体は、本開示に記載するBIACoreアッセイで測定した際、ヒト4-1BB細胞外ドメインに対して、500nMまたはそれ未満、100nMまたはそれ未満、50nMまたはそれ未満、10nMまたはそれ未満、5nMまたはそれ未満、あるいは1nMまたはそれ未満のKで、ヒト4-1BBに特異的に結合する、ヒト抗体またはヒト化抗体である。いくつかのさらなる態様において、該抗体は、ヒト4-1BBに特異的にそして選択的に結合するヒト抗体である。
【0079】
他の態様において、本明細書において上に記載する抗体は、特定の生殖系列重鎖免疫グロブリン遺伝子由来の重鎖可変領域および/または特定の生殖系列軽鎖免疫グロブリン遺伝子由来の軽鎖可変領域を含み、例えば、ヒトV 1-69遺伝子、V 3-23遺伝子、またはV 5遺伝子の産物であるか、またはこれらに由来する重鎖可変領域を含む。例示的な抗体には、MOR-7480.1、MOR-7480.2、MOR-7483.1、およびMOR-7483.2が含まれ、各々は、ヒト生殖系列V5遺伝子由来のアミノ酸を含有する。
【0080】
さらに他の態様において、本明細書において上に記載する抗体は、ヒトV λ3遺伝子由来の軽鎖可変領域を含む。さらに他の態様において、本明細書において上に記載する抗体は、ヒトV 1-69遺伝子、V 3-23遺伝子、またはV 5遺伝子の産物であるか、またはこれらに由来する重鎖可変領域を含み、そしてさらに、ヒトV λ3遺伝子の産物であるか、またはこれに由来する軽鎖可変領域を含み、抗体またはその部分は、ヒト4-1BBに特異的に結合する。例示的な抗体には、MOR-7480.1、MOR-7480.2、MOR-7483.1、およびMOR-7483.2が含まれ、各々は、ヒト生殖系列V5遺伝子およびV λ3遺伝子由来のアミノ酸を含有する。
【0081】
本明細書において、ヒト抗体は、抗体の可変領域がヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子を用いる系から得られるならば、特定の生殖系列配列に「由来する」重鎖または軽鎖可変領域を含む。こうした系には、ヒト免疫グロブリン遺伝子を所持するトランスジェニックマウスを、関心対象の抗原で免疫するか、またはファージ上にディスプレイされたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリーを関心対象の抗原でスクリーニングする工程を含む。ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に「由来する」ヒト抗体は、ヒト抗体のアミノ酸配列を、ヒト生殖系列免疫グロブリンのアミノ酸配列に比較し、そして配列がヒト抗体の配列に最も近い(すなわち最大%同一性)ヒト生殖系列免疫グロブリン配列を選択することによって、こうしたものとして同定可能である。特定のヒト生殖系列免疫グロブリン配列に「由来する」ヒト抗体は、例えば天然存在体細胞突然変異または部位特異的突然変異の意図的な導入によって、生殖系列配列と比較した際、アミノ酸相違を含有してもよい。しかし、選択されるヒト抗体は、典型的には、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子にコードされるアミノ酸配列に対して、アミノ酸配列が少なくとも90%同一であり、そして他の種の生殖系列免疫グロブリンアミノ酸配列(例えばネズミ生殖系列配列)と比較した際に、ヒト抗体をヒトと同定するアミノ酸残基を含有する。特定の場合、ヒト抗体は、生殖系列免疫グロブリン遺伝子にコードされるアミノ酸配列に対して、アミノ酸配列が少なくとも95%、またはさらに少なくとも96%、97%、98%、または99%同一であってもよい。特定の場合、ヒト抗体は、生殖系列Ig遺伝子にコードされるアミノ酸配列に対して、アミノ酸配列が同一である。典型的には、特定のヒト生殖系列配列由来のヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子にコードされるアミノ酸配列と、10アミノ酸より多い相違を示さないであろう。特定の場合、ヒト抗体は、生殖系列免疫グロブリン遺伝子にコードされるアミノ酸配列と、5アミノ酸より多い相違、あるいはさらに4、3、2、または1アミノ酸より多い相違は示さないであろう。例示的抗体の可変領域のアミノ酸配列および相当する生殖系列の整列を、図6に提供する。
【0082】
別の側面において、本開示は、ヒト4-1BBへの結合に関して、本開示の任意の例示的抗体、例えばMOR-6032、MOR-7361、MOR-7480、MOR-7480.1、MOR-7480.2、MOR 7483、MOR-7483.1、またはMOR-7483.2と、競合するかまたは交差競合する単離抗体を提供する。特定の態様において、本開示は、本開示の任意の例示的抗体と、ヒト4-1BB上の同じエピトープへの結合に関して、競合するかまたは交差競合する単離抗体を提供する。抗体が、別の抗体との結合に関して競合するかまたは交差競合する能力は、当該技術分野に知られる標準的結合アッセイ、例えばBIAcore分析、ELISAアッセイ、またはフローサイトメトリーを用いて、決定可能である。例えば、本開示の例示的抗体が、飽和条件下でヒト4-1BBに結合することを可能にし、そして次いで、試験抗体が4-1BBに結合する能力を測定することも可能である。試験抗体が、例示的抗体と同時に4-1BBに結合可能であれば、試験抗体は、例示抗体と異なるエピトープに結合する。しかし、試験抗体が、同時に4-1BBに結合することが不可能であれば、試験抗体は、同じエピトープ、重複するエピトープ、または例示抗体が結合するエピトープに非常に近接したエピトープに結合する。この実験は、ELISA、RIA、FACSまたは表面プラズモン共鳴などの多様な方法を用いて実行可能である。
【0083】
本明細書記載の4-1BB抗体は、任意のクラス、例えばIgG、IgM、IgE、IgA、またはIgDであってもよい。4-1BB抗体が、IgGクラス、例えばIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブクラスであることが好ましく、より好ましくはIgG2サブクラスである。4-1BB抗体は、当該技術分野に知られる方法を用いて、1つのクラスまたはサブクラスから、別のクラスまたはサブクラスに変換可能である。望ましいクラスまたはサブクラスの抗体を産生するための例示的な方法は、4-1BB抗体の重鎖をコードする核酸および4-1BB抗体の軽鎖をコードする核酸を単離し、V
領域をコードする配列を単離し、V配列を、望ましいクラスまたはサブクラスの重鎖定常領域をコードする配列に連結し、軽鎖遺伝子および重鎖構築物を細胞において発現させ、そして4-1BB抗体を収集する工程を含む。
【0084】
さらに、本開示が提供する抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであることも可能であるが、好ましくはモノクローナルである。
本開示が提供する特定の単離抗体の例には、以下の例示的抗体が含まれる:MOR-6032、MOR-7361、MOR-7480、MOR-7480.1、MOR-7480.2、MOR-7483、MOR-7483.1、およびMOR-7483.2。重鎖可変領域、IgG2サブクラスの全長重鎖、軽鎖可変領域、およびこれらの抗体の全長軽鎖のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を本開示に提供する;これらの配列の配列番号のインデックスを表1に提供する。これらの例示的抗体のCDRのアミノ酸配列を表2に示す。
【0085】
表1.配列番号のインデックス
【0086】
【表1】
【0087】
表2.CDRのアミノ酸配列
【0088】
【表2】
【0089】
本開示の抗体は、慣用的なモノクローナル抗体方法論、例えば、本明細書に以下に詳細に記載する、標準的体細胞ハイブリダイゼーション技術(例えば、KohlerおよびMilstein, Nature 256:495(1975)を参照されたい)、Bリンパ球のウイルスまたは発癌性形質転換、あるいは組換え抗体技術を含む、当該技術分野に知られる技術によって産生可能である。
【0090】
ハイブリドーマ産生は、非常によく確立された方法である。ハイブリドーマを調製するための一般的な動物系は、ネズミ系である。免疫プロトコル、および融合のために免疫脾臓細胞を単離するための技術は、当該技術分野に知られる。融合パートナー(例えばネズミ骨髄腫細胞)および融合法もまた知られる。本開示が提供するヒト4-1BB抗体を作製するために使用可能な1つの周知の方法は、XenoMouseTM動物系の使用を伴
う。XenoMouseTMマウスは、ヒト免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子座の巨大断片を含み、そしてマウス抗体産生ができない、操作されたマウス株である。例えば、Greenら, Nature Genetics 7:13-21(1994)およびWO2003/040170を参照されたい。該動物を4-1BB抗原で免疫する。4-1BB抗原は単離され、そして/または精製された4-1BB、好ましくは4-1BBである。該抗原は、4-1BBの断片、例えば4-1BBの細胞外ドメイン、特に配列番号68のアミノ酸残基115~156を含む4-1BB細胞外ドメイン断片であってもよい。当該技術分野に知られる任意の方法によって、動物の免疫を行ってもよい。例えば、HarlowおよびLane, Antibodies: A Laboratory Manual, ニューヨーク: Cold Spring Harbor Press,
1990を参照されたい。マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、およびウマなどの非ヒト動物を免疫するための方法が、当該技術分野に周知である。例えば、HarlowおよびLane、上記、および米国特許第5,994,619号を参照されたい。4-1BB抗原をアジュバントとともに投与して、免疫反応を刺激してもよい。例示的なアジュバントには、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI(ムラミルジペプチド)またはISCOM(免疫刺激複合体)が含まれる。4-1BB抗原で動物を免疫した後、免疫動物から単離した細胞より、抗体を産生する不死化細胞株を調製する。免疫後、動物を屠殺し、そしてリンパ節および/または脾臓B細胞を不死化する。細胞を不死化する方法には、限定されるわけではないが、癌遺伝子でトランスフェクションする(transferring)方法、腫瘍ウイルスにこれらを感染させ(inflecting)、不死化細胞を選択する条件下で培養する方法、発癌性または突然変異誘発化合物にこれらを供する方法、不死化細胞、例えば骨髄腫細胞と融合させる方法、および腫瘍抑制遺伝子を不活性化する方法が含まれる。例えば、HarlowおよびLane、上記を参照されたい。骨髄腫細胞との融合を用いる場合、骨髄腫細胞は、好ましくは、免疫グロブリンポリペプチドを分泌しない(非分泌性細胞株)。4-1BB、その一部、または4-1BBを発現している細胞を用いて、不死化細胞をスクリーニングする。以下にさらに論じるように、4-1BB抗体産生細胞、例えばハイブリドーマを選択し、クローニングし、そして頑強な増殖、高い抗体産生および望ましい特性を含む、望ましい抗体特性に関してさらにスクリーニングする。ハイブリドーマは、in vivoで同系動物において、免疫系を欠く動物、例えばヌードマウスにおいて、あるいはin vitroで細胞培養において、拡大可能である。ハイブリドーマを選択し、クローニングし、そして拡大する方法は、一般の当業者に周知である。
【0091】
また、ファージディスプレイ法を用いて、本開示の抗体を調製してもよい。ヒト抗体を単離するためのこうしたファージディスプレイ法、例えば実施例1にさらに記載するようなHuCAL(登録商標)ライブラリーが、当該技術分野において確立されている。また、例えば:Achim Knappikら: Fully Synthetic Human Combinatorial Antibody Libraries(HuCAL) Based on Modular Consensus Frameworks
and CDRs Randomized with Trinucleotides. J. Mol. Biol. (2000)296, 57-86を参照されたい。
【0092】
B-2.抗原結合断片
いくつかの他の側面において、本開示は、本開示が提供する任意の4-1BB抗体の抗原結合断片を提供する。
【0093】
抗原結合断片は、抗体の任意の配列を含んでもよい。いくつかの態様において、抗原結合断片は:(1)4-1BB抗体の軽鎖;(2)4-1BB抗体の重鎖;(3)4-1BB抗体の軽鎖由来の可変領域;(4)4-1BB抗体の重鎖由来の可変領域;(5)4-1BB抗体の1またはそれより多いCDR(2、3、4、5、または6のCDR);ある
いは(6)4-1BB抗体の軽鎖由来の3つのCDRおよび重鎖由来の3つのCDRのアミノ酸配列を含む。
【0094】
いくつかの特定の態様において、本開示は:MOR-6032、MOR-7361、MOR-7480、MOR-7480.1、MOR-7480.2、MOR 7483、MOR-7483.1、またはMOR-7483.2より選択される抗体の抗原結合断片を提供する。
【0095】
いくつかの他の特定の態様において、4-1BB抗体の抗原結合断片には:(i)V、V、CおよびC1ドメインからなる一価断片である、Fab断片;(ii)ヒンジ領域でのジスルフィド架橋によって連結される2つのFab断片を含む二価断片である、F(ab’)断片、;(iii)VおよびC1ドメインからなる、Fd断片;(iv)抗体の単一のアームのVおよびVドメインからなる、Fv断片;(v)VドメインからなるdAb断片(Wardら, (1989)Nature 341:544-546);(vi)単離CDR;および(vii)抗体のV領域に連結された抗体のV領域を含むポリペプチドである、一本鎖抗体(scFv)が含まれる。Birdら,
(1988)Science 242:423-426およびHustonら, (1988)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883。
【0096】
いくつかの特定の態様において、抗原結合断片は、Fab-6032、Fab-7361、Fab-7480、およびFab-7483からなる群より選択されるFab断片である。
【0097】
B-3.抗体誘導体
いくつかのさらなる側面において、本開示は、本開示が提供する任意の4-1BB抗体の誘導体を提供する。
【0098】
1つの側面において、抗体誘導体は、親抗体アミノ酸配列の全体の分子構造を保存しつつ、本開示の例示的抗体(「親抗体」)のアミノ酸配列の修飾から得られる。親抗体鎖の任意の領域、例えばフレームワーク領域、CDR領域、または定常領域のアミノ酸配列を修飾してもよい。修飾のタイプには、親抗体の1またはそれより多いアミノ酸の置換、挿入、欠失、またはその組み合わせが含まれる。いくつかの態様において、抗体誘導体は、配列番号4、18、32、または43のいずれかに示すとおりのアミノ酸配列に、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるV領域を含む。いくつかの他の態様において、抗体誘導体は、配列番号9、23、37、45、51、56、60、または64のいずれかに示すとおりのアミノ酸配列に、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるV領域を含む。いくつかの特定の態様において、該誘導体は、配列番号4、18、32、43、9、23、37、45、51、56、60、または64のいずれかに示すとおりのアミノ酸配列に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15の保存的または非保存的置換、ならびに/あるいは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15の付加および/または欠失を含む。
【0099】
アミノ酸置換は、保存的置換および非保存的置換の両方を含む。用語「保存的アミノ酸置換」は、1つのアミノ酸の別のアミノ酸での置換を意味し、ここで、2つのアミノ酸は、関与する残基の特定の物理化学特性、例えば極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、お
よび/または両親媒性において、類似性を有する。例えば、置換は、典型的には、以下の群の各々の中で実行可能である:(a)非極性(疎水性)アミノ酸、例えばアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニン;(b)極性中性アミノ酸、例えばグリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミン;(c)陽性荷電(塩基性)アミノ酸、例えばアルギニン、リジン、およびヒスチジン;ならびに(d)陰性荷電(酸性)アミノ酸、例えばアスパラギン酸およびグルタミン酸。
【0100】
修飾は、CDR、フレームワーク領域、または定常領域を含む、抗体のアミノ酸配列の任意の位置で作製可能である。1つの態様において、本開示は、本開示の例示的抗体のVおよびV CDR配列を含有する抗体誘導体を提供するが、なお、例示的抗体のものとは異なるフレームワーク配列を含有する。こうしたフレームワーク配列は、生殖系列抗体遺伝子配列を含む、公的DNAデータベースまたは公表された参考文献から得られうる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖可変領域遺伝子の生殖系列DNA配列は、Genbankデータベース中に、または「VBase」ヒト生殖系列配列データベースに見出されうる(Kabat, E.A.ら, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242(1991); Tomlinson,
I.M.ら, J. Mol. Biol. 227:776-798(1992);およびCox, J.P.L.ら, Eur. J. Immunol. 24:827-836(1994))。抗体誘導体を構築する際に使用可能なフレームワーク配列には、本開示の例示的抗体によって用いられるフレームワーク配列と構造的に類似の、例えば本開示の例示的抗体によって用いられるV 3-23フレームワーク配列および/またはV λ3またはλ1-13フレームワーク配列に類似のものが含まれる。例えば、例示的抗体のH-CDR1、H-CDR2、およびH-CDR3配列、ならびにL-CDR1、L-CDR2、およびL-CDR3配列を、フレームワーク配列が由来する生殖系列免疫グロブリン遺伝子中で見られるものと同一の配列を有するフレームワーク領域内に移植してもよいし、あるいはCDR配列を、生殖系列配列と比較した際、1またはそれより多い突然変異を含有するフレームワーク領域上に移植してもよい。
【0101】
特定の態様において、抗体誘導体は、本開示の例示的抗体のアミノ酸配列を含む、キメラ抗体である。1つの例において、1またはそれより多い例示的ヒト抗体由来の1またはそれより多いCDRを、非ヒト動物、例えばマウスまたはラット由来の抗体由来のCDRと組み合わせる。別の例において、キメラ抗体のすべてのCDRは、1またはそれより多い例示的抗体に由来する。いくつかの特定の態様において、キメラ抗体は、例示的抗体の重鎖可変領域由来の、または軽鎖可変領域由来の、1、2、または3のCDRを含む。当該技術分野に知られる慣用法を用いて、キメラ抗体を生成してもよい。
【0102】
別のタイプの修飾は、Vおよび/またはV鎖のCDR1、CDR2、および/またはCDR3領域内のアミノ酸残基を突然変異させることである。部位特異的突然変異誘発またはPCR仲介性突然変異誘発を行って、突然変異(単数または複数)を導入し、そして抗体結合に対する影響、または関心対象の他の機能特性を、当該技術分野に知られるin vitroまたはin vivoアッセイで評価してもよい。典型的には、保存的置換を導入する。突然変異は、アミノ酸付加および/または欠失であってもよい。さらに、典型的には、CDR領域内の1、2、3、4または5残基を超えない残基が改変される。いくつかの態様において、抗体誘導体は、H-CDRおよび/または軽鎖CDR中の1、2、3、または4アミノ酸置換を含む。別の態様において、アミノ酸置換は、抗体において、1またはそれより多いシステインを、別の残基、例えば限定なしにアラニンまたはセリンに変化させる。システインは、標準的または非標準的システインであってもよい。1
つの態様において、抗体誘導体は、例示的抗体のアミノ酸配列に比較して、H-CDR領域において、1、2、3、または4つの保存的アミノ酸置換を有する。
【0103】
また、Vおよび/またはV領域内のフレームワーク残基に対して修飾を行ってもよい。典型的には、こうしたフレームワーク変異体を作製して、抗体の免疫原性を減少させる。1つのアプローチは、1またはそれより多いフレームワーク残基を、対応する生殖系列配列に「バック突然変異させる(backmutate)」ことである。体細胞突然変異を経ている抗体は、抗体が由来する生殖系列配列と異なるフレームワーク残基を含有しうる。抗体が由来する生殖系列配列に、抗体フレームワーク配列を比較することによって、こうした残基を同定してもよい。フレームワーク領域配列をその生殖系列立体配置に戻すため、例えば部位特異的突然変異誘発またはPCR仲介性突然変異誘発によって、体細胞突然変異を生殖系列配列に「バック突然変異させ」てもよい。本開示の例示的抗体のいくつかは、実施例6にさらに記載するように、特定の生殖系列配列へのこうした「バック突然変異」を経た。
【0104】
さらに、例示的抗体のFc領域内で、典型的には抗体の1またはそれより多い機能特性、例えば血清半減期、補体固定、Fc受容体結合、および/または抗原依存性細胞傷害性を改変する、修飾を行ってもよい。1つの例において、ヒンジ領域中のシステイン残基の数を改変する、例えば増加させるかまたは減少させるように、CH1のヒンジ領域を修飾する。このアプローチは、米国特許第5,677,425号にさらに記載される。CH1のヒンジ領域中のシステイン残基の数は、例えば、軽鎖および重鎖の組み立てを促進するか、あるいは抗体の安定性を増加させるかまたは減少させるように改変される。別の場合において、抗体のFcヒンジ領域を突然変異させて、抗体の生物学的半減期を減少させる。
【0105】
さらに、本開示の抗体を修飾して、潜在的なグリコシル化部位またはパターンを改変してもよい。例示的抗体MOR-7480およびMOR-7483の両方、ならびにその任意の生殖系列変異体、ならびにMOR-7480およびMOR-7483の重鎖可変領域のアミノ酸配列を含む抗体は、重鎖可変ドメインのアスパラギン59に、潜在的なN連結グリコシル化部位(NYS)を含む。これらの抗体のIgG型は、さらに、重鎖Fcドメインに第二のN連結グリコシル化部位を含む。より具体的には、これらの抗体のIgG2型に関して、Fc N連結グリコシル化部位(NST)は、重鎖CH2ドメインのアスパラギン292に存在する。したがって、各重鎖は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む抗体が0グリカン占有(すなわち4つの潜在的なグリコシル化部位のいずれでもグリコシル化されない)~4グリカン占有(すなわち各鎖のFabおよびFc部位両方でグリコシル化される)の範囲の任意の組み合わせを含むことが可能であるように、0、1(FabまたはFcのいずれか)または2つのグリカン占有を含んでもよい。別の側面において、本開示は、可変領域のグリコシル化パターンを変化させる軽鎖または重鎖の可変領域に、少なくとも1つの突然変異を含有する、本開示の4-1BB抗体の誘導体を提供する。こうした抗体誘導体は、抗原結合に関して、増加したアフィニティおよび/または修飾された特異性を有しうる。突然変異は、V領域に新規グリコシル化部位を付加してもよいし、1またはそれより多いV領域グリコシル化部位の位置を変化させてもよいし、またはあらかじめ存在するV領域グリコシル化部位を除去してもよい。1つの態様において、本開示は、重鎖可変領域におけるアスパラギン59に潜在的なN連結グリコシル化部位を有する4-1BB抗体の誘導体であって、1つの重鎖可変領域における潜在的なN連結グリコシル化部位が除去されている、前記誘導体を提供する。別の態様において、本開示は、重鎖可変領域におけるアスパラギン59に潜在的なN連結グリコシル化部位を有する4-1BB抗体の誘導体であって、両方の重鎖可変領域における潜在的なN連結グリコシル化部位が除去されている、前記誘導体を提供する。抗体のグリコシル化パターンを改変する方法は、当該技術分野に知られ、例えば、本明細書にその開示が援用される、米国特許第6,9
33,368号に記載されるものがある。
【0106】
別の側面において、本開示は、さらなる分子実体に連結された、本明細書に記載される4-1BB抗体またはその抗原結合断片を含む、抗体誘導体を提供する。さらなる分子実体の例には、薬学的剤、ペプチドまたはタンパク質、検出剤または標識、および抗体が含まれる。
【0107】
いくつかの態様において、抗体誘導体は、薬学的剤に連結された本開示の抗体を含む。薬学的剤の例には、細胞傷害性剤または他の癌療法剤、および放射性同位体が含まれる。細胞傷害性剤の特定の例には、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロミド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシン(anthracin)ジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにその類似体または相同体が含まれる。療法剤にはまた、例えば代謝拮抗剤(例えばメトトレキセート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えばメクロレタミン、チオエパ(thioepa)、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン類(例えばダウノルビシン(以前のダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えばダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、ならびに有糸分裂阻害剤(例えばビンクリスチンおよびビンブラスチン)が含まれる。診断的または療法的に使用するために、抗体にコンジュゲート化可能な放射性同位体の例には、限定されるわけではないが、ヨウ素131、インジウム111、イットリウム90およびルテチウム177が含まれる。薬学的剤に抗体を連結するための方法、例えば多様なリンカー技術を用いる方法が当該技術分野に知られる。リンカータイプの例には、ヒドラゾン、チオエーテル、エステル、ジスルフィドおよびペプチド含有リンカーが含まれる。リンカー、および抗体に療法剤を連結するための方法のさらなる議論に関しては、例えばSaitoら, Adv. Drug Deliv. Rev. 55:199-215(2003); Trailら, Cancer Immunol. Immunother.
52:328-337(2003); Payne, Cancer Cell 3:207-212(2003); Allen, Nat. Rev. Cancer 2:750-763(2002); Pastan, I.およびKreitman, Curr. Opin. Investig. Drugs 3:1089-1091(2002); Senter, P.D.およびSpringer, C.J.(2001)Adv. Drug Deliv. Rev. 53:247-264を参照されたい。
【0108】
特定の態様において、抗体誘導体は、4-1BB抗体の多量体型である、4-1BB抗体多量体であり、例えば抗体二量体、三量体、またはより単量体抗体のより高次の多量体である。抗体多量体内の個々の単量体は、同一であってもまたは異なっていてもよい。さらに、多量体内の個々の抗体は、同じまたは異なる結合特性を有してもよい。抗体の天然凝集を通じて、抗体の多量体化を達成してもよい。例えば、精製抗体調製物(例えば精製IgG1分子)のある程度の割合は、抗体ホモ二量体、および他のより高次の抗体多量体を含有するタンパク質凝集体を自発的に形成する。あるいは、抗体ホモ二量体は、当該技術分野に知られる化学的連結技術を通じて、例えば、架橋剤を用いることを通じて、形成可能である。適切な架橋剤には、適切なスペーサーによって分離される2つの別個に反応
性である基を有するヘテロ二官能性であるもの(例えば、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、スクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、およびN-スクシンイミジルS-アセチルチオ-アセテート)、またはホモ二官能性であるもの(例えばスベリン酸ジスクシンイミジル)が含まれる。こうしたリンカーは、例えば、Pierce Chemical社、イリノイ州ロックフォードから商業的に入手可能である。当該技術分野に知られる組換えDNA技術を通じて、抗体を多量体化することもまた可能である。
【0109】
本開示によって提供される他の抗体誘導体の例には、一本鎖抗体、ディアボディ、ドメイン抗体、ナノボディ、およびユニボディが含まれる。「一本鎖抗体」(scFv)は、Vドメインに連結されたVドメインを含む一本鎖ポリペプチドからなり、ここでVドメインおよびVドメインは対形成して、一価分子を形成する。当該技術分野に知られる方法にしたがって、一本鎖抗体を調製してもよい。(例えば、Birdら, (1988)Science 242:423-426およびHustonら, (1988)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照されたい)。「ディアボディ」は、2つの鎖からなり、各鎖は、同じポリペプチド鎖上に、短いペプチドリンカーによって連結された、軽鎖可変領域に連結された重鎖可変領域を含み、ここで、同じ鎖上の2つの領域は、互いには対形成せず、他の鎖上の相補ドメインと対形成して、二重特異性分子を形成する。ディアボディを調製する方法は、当該技術分野に知られる(例えば、Holliger P.ら, (1993)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448、およびPoljak R.J.ら, (1994)Structure 2:1121-1123を参照されたい)。ドメイン抗体(dAb)は、抗体の小さい機能結合単位であり、抗体の重鎖または軽鎖いずれかの可変領域に対応する。ドメイン抗体は、細菌、酵母、および哺乳動物細胞系においてよく発現される。ドメイン抗体およびその産生法のさらなる詳細が当該技術分野に知られる(例えば、米国特許第6,291,158号;第6,582,915号;第6,593,081号;第6,172,197号;第6,696,245号;欧州特許0368684および0616640; WO05/035572、WO04/101790、WO04/081026、WO04/058821、WO04/003019およびWO03/002609を参照されたい)。ナノボディは、抗体の重鎖に由来する。ナノボディは、典型的には、単一の可変ドメインおよび2つの定常ドメイン(CH2およびCH3)を含み、そして元来の抗体の抗原結合能を保持する。当該技術分野に知られる方法によって、ナノボディを調製してもよい(例えば、米国特許第6,765,087号、米国特許第6,838,254号、WO 06/079372を参照されたい)。ユニボディは、IgG4抗体の1つの軽鎖および1つの重鎖からなる。ユニボディをIgG4抗体のヒンジ領域の除去によって作製してもよい。ユニボディのさらなる詳細およびこれらを調製する方法が、WO2007/059782に見られうる。
【0110】
C.4-1BB抗体を産生する核酸、ベクター、宿主細胞、および組換え法
本開示の別の側面は、本開示が提供する結合分子のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、単離核酸分子を提供する。該ヌクレオチド配列がコードするアミノ酸配列は、抗体の任意の部分、例えばCDR、1、2または3のCDRを含む配列、重鎖の可変領域、軽鎖の可変領域であってもよいし、あるいは全長重鎖または全長軽鎖であってもよい。本開示の核酸は、例えば、DNAまたはRNAであってもよく、そしてイントロン配列を含有してもまたはしなくてもよい。典型的には、核酸はcDNA分子である。
【0111】
いくつかの態様において、本開示は:(1)例示的抗体のH-CDR3またはL-CRD3のアミノ酸配列;(2)例示的抗体の重鎖可変領域または軽鎖可変領域;あるいは(3)例示的抗体の全長重鎖または全長軽鎖からなる群より選択される、アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むか、またはこうした配列からなる単離核酸分子を提供す
る。
【0112】
他の態様において、核酸分子は、配列番号1~10、15~24、29~38、43、44、45、46、51、52、55~57、60、61、64、および65のいずれか1つに示すとおりのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むか、またはこうした配列からなる。
【0113】
さらに他の態様において、核酸分子は、配列番号11~14、25~28、39~42、47~50、53、54、58、59、62、63、66、および67からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含むか、またはこうした配列からなる。
【0114】
任意の適切な分子生物学技術を用いて、本開示の核酸を得てもよい。ハイブリドーマによって発現される抗体に関しては、ハイブリドーマによって作製される抗体の軽鎖および重鎖をコードするcDNAをPCR増幅またはcDNAクローニング技術によって得ることも可能である。(例えばファージディスプレイ技術を用いて)免疫グロブリン遺伝子ライブラリーから得られる抗体に関しては、抗体をコードする核酸をライブラリーから回収することも可能である。
【0115】
コードDNAを、重鎖定常領域(CH1、CH2、およびCH3)をコードする別のDNA分子に機能可能であるように連結することによって、V領域をコードする単離DNAを全長重鎖遺伝子に変換することも可能である。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列が当該技術分野に知られ(例えばKabatら(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照されたい)、そしてこれらの領域を含むDNA断片を標準的PCR増幅によって得ることも可能である。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgD定常領域であることも可能であるが、最も好ましくは、IgG1またはIgG4定常領域である。IgG1定常領域配列は、異なる個体の間で存在することが知られる、多様なアレルまたはアロタイプのいずれであってもよく、例えばGm(1)、Gm(2)、Gm(3)、およびGm(17)であってもよい。これらのアロタイプは、IgG1定常領域における天然存在アミノ酸置換に相当する。Fab断片重鎖遺伝子に関して、VコードDNAを、重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子に機能可能であるように連結してもよい。
【0116】
コードDNAを、軽鎖定常領域CLをコードする別のDNA分子に、機能可能であるように連結することによって、V領域をコードする単離DNAを全長軽鎖遺伝子(ならびにFab軽鎖遺伝子)に変換することも可能である。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列が当該技術分野に知られ(例えばKabatら(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版,
U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照されたい)、そしてこれらの領域を含むDNA断片を標準的PCR増幅によって得ることも可能である。軽鎖定常領域は、カッパまたはラムダ定常領域であることも可能である。
【0117】
scFv遺伝子を生成するため、VおよびV配列が、VおよびV領域が柔軟なリンカーによって連結された連続一本鎖タンパク質として発現されうるように、VおよびVコードDNA断片を、柔軟なリンカーをコードする、例えばアミノ酸配列(Gly-Ser)をコードする、別の断片に、機能可能であるように連結してもよい(例えばBirdら, Science 242:423-426(1988); Husto
nら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883(1988);およびMcCaffertyら, Nature 348:552-554(1990)を参照されたい)。
【0118】
本開示は、本開示が提供する核酸分子を含むベクターをさらに提供する。核酸分子は、軽鎖または重鎖の一部(例えばCDRまたは可変領域)、全長軽鎖または重鎖、重鎖または軽鎖の一部または全長を含むポリペプチド、あるいは抗体誘導体または抗原結合断片のアミノ酸配列をコードすることも可能である。いくつかの態様において、ベクターは、結合分子の発現に有用な発現ベクター、例えば抗体またはその抗原結合断片である。
【0119】
本開示の結合分子を発現するため、DNA分子が転写および翻訳制御配列に機能可能であるように連結されるように、部分的または全長軽鎖および重鎖をコードするDNAを発現ベクター内に挿入する。これに関連して、用語「機能可能であるように連結される」は、ベクター内の転写および翻訳制御配列が、DNA分子の転写および翻訳を制御する意図される機能を果たすように、抗体遺伝子がベクター内に連結されていることを意味する。発現ベクターおよび発現制御配列は、用いる発現宿主細胞と適合するように選択される。抗体軽鎖遺伝子および抗体重鎖遺伝子は、別個のベクター内に挿入可能であり、またはより典型的には、どちらの遺伝子も同じ発現ベクター内に挿入される。抗体遺伝子は、任意の適切な方法(例えば、抗体遺伝子断片およびベクター上の相補性制限部位の連結、あるいは制限部位が存在しない場合、平滑端連結)によって発現ベクター内に挿入される。本明細書記載の抗体の軽鎖および重鎖可変領域を用いて、Vセグメントがベクター内のCセグメント(単数または複数)に機能可能であるように連結され、そしてVセグメントがベクター内のCセグメントに機能可能であるように連結されるように、所望のアイソタイプおよびサブクラスの重鎖定常および軽鎖定常領域をすでにコードしている発現ベクター内に挿入することによって、任意の抗体アイソタイプおよびサブクラスの全長抗体遺伝子を生成することも可能である。さらにまたはあるいは、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードしてもよい。シグナルペプチドがインフレームで抗体鎖遺伝子のアミノ末端に連結されるように、抗体鎖遺伝子をベクターにクローニングしてもよい。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチド(すなわち非免疫グロブリンタンパク質由来のシグナルペプチド)であってもよい。
【0120】
抗体鎖遺伝子に加えて、本開示の発現ベクターは、典型的には、宿主細胞において抗体鎖遺伝子の発現を制御する制御配列を所持する。用語「制御配列」には、プロモーター、エンハンサー、ならびに抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を調節する他の発現調節要素(例えばポリアデニル化シグナル)を含むと意図される。こうした制御配列は、例えば、Goeddel(Gene Expression Technology. Methods in Enzymology 185, Academic Press, カリフォルニア州サンディエゴ(1990))に記載される。当業者には、制御配列の選択を含む、発現ベクターの設計が、形質転換しようとする宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベル等の要因に応じてもよいことを認識するであろう。哺乳動物宿主細胞発現のための制御配列の例には、哺乳動物細胞の高レベルのタンパク質発現を指示するウイルス要素が含まれ、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))およびポリオーマ由来のプロモーターおよび/またはエンハンサーが含まれる。あるいは、ユビキチンプロモーターまたはβ-グロビンプロモーターなどの非ウイルス制御配列を用いてもよい。さらに、異なる供給源由来の配列で構成される制御要素、例えばSV40初期プロモーターおよびヒトT細胞白血病ウイルス1型の末端反復配列由来の配列を含有する、SRプロモーター系(Takebe, Y.ら(1988)Mol. Cell. Biol. :466-472)。
【0121】
抗体鎖遺伝子および制御配列に加えて、発現ベクターは、さらなる配列を所持してもよく、例えば宿主細胞におけるベクターの複製を制御する配列(例えば複製起点)および選択可能マーカーを所持してもよい。選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞の選択を容易にする(例えば、すべてAxelらによる、米国特許第4,399,216号、第4,634,665号および第5,179,017号を参照されたい)。。例えば典型的には選択可能マーカー遺伝子は、薬剤、例えばG418、ハイグロマイシンまたはメトトレキセートに対する耐性を、ベクターが導入された宿主細胞に対して与える。選択可能マーカー遺伝子には、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(メトトレキセート選択/増幅とともにdhfr-宿主細胞において用いるため)およびneo遺伝子(G418選択のため)が含まれる。
【0122】
軽鎖および重鎖の発現のため、重鎖および軽鎖をコードする発現ベクター(単数または複数)を任意の適切な技術によって、宿主細胞内にトランスフェクションする。用語「トランスフェクション」の多様な型が、原核または真核宿主細胞内に外因性DNAを導入するために一般的に用いられる非常に多様な技術、例えばエレクトロポレーション、カルシウムリン酸沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクション等を含むよう意図される。原核または真核宿主細胞いずれかにおいて、本開示の抗体を発現させることが可能であるが、真核細胞、および典型的には哺乳動物宿主細胞における抗体の発現が最も典型的である。
【0123】
本開示はさらに、本開示が提供する核酸分子を含有する宿主細胞を提供する。宿主細胞は、実質的に、発現ベクターが入手可能な任意の細胞であってもよい。例えば、より高次の真核宿主細胞、例えば哺乳動物細胞、より低次の真核宿主細胞、例えば酵母細胞であってもよいし、そして原核細胞、例えば細菌細胞であってもよい。組換え核酸構築物の宿主細胞内への導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE、デキストラン仲介トランスフェクション、エレクトロポレーションまたはファージ感染によって達成可能である。
【0124】
形質転換に適した原核宿主には、大腸菌(E. coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、ならびにシュードモナス属(Pseudomonas)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、およびスタフィロコッカス属(Staphylococcus)内の多様な種が含まれる。
【0125】
本開示の結合分子を発現するための哺乳動物宿主細胞には、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えばKaufmanおよびSharp, J. Mol.
Biol. 159:601-621(1982)に記載されるような、DHFR選択可能マーカーとともに用いる、UrlaubおよびChasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220(1980)に記載されるdhfr-CHO細胞を含む)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞およびSp2細胞が含まれる。特に、NS0骨髄腫またはCHO細胞で使用するための別の発現系は、WO 87/04462、WO 89/01036およびEP 338,841に開示されるようなGS(グルタミン・シンテターゼ)遺伝子発現系である。抗体遺伝子をコードする発現ベクターを哺乳動物宿主細胞内に導入する際、宿主細胞における抗体の発現、または宿主細胞を増殖させる培地内への抗体の分泌が可能になるのに十分な期間、宿主細胞を培養することによって、抗体が産生される。任意の適切なタンパク質精製法を用いて、培地から抗体を回収することも可能である。
【0126】
D.組成物
他の側面において、本開示は、本開示が提供する結合分子を含有する組成物を提供する。1つの側面において、組成物は、結合分子および薬学的に許容されうるキャリアーを含む薬学的組成物である。当該技術分野に知られる慣用法によって、組成物を調製してもよい。
【0127】
用語「薬学的組成物」および「薬学的配合物」は、本明細書に記載するような任意の結合分子、任意の抗体、その任意の抗原結合部分、またはその誘導体を、結合分子の有効な送達のために投薬型を調製するのに必要であるように、1またはそれより多い薬学的に許容されうる賦形剤、希釈剤、またはキャリアーと一緒に含む組成物を指す。
【0128】
いくつかの態様において、本開示は、本開示が提供する抗体またはその抗原結合部分、および薬学的に許容されうるキャリアーを含む組成物であって、前記抗体または抗原結合部分が、配列番号30に示すCDRアミノ酸配列を含む可変ドメインを含み、そして前記組成物が、前記組成物中に存在する抗体またはその抗原結合部分の総量と比較して、前記アミノ酸配列のアスパラギンがグリコシル化された前記抗体または抗原結合部分を、約11%、10%、8%、5%、3%、または2%より多く含まない、前記組成物を提供する。別の態様において、該組成物は、前記組成物中に存在する抗体またはその抗原結合部分の総量と比較して、配列番号30の前記アミノ酸配列のアスパラギンがグリコシル化された前記抗体または抗原結合部分を、少なくとも約2%含む。
【0129】
本明細書において、用語「賦形剤」は、薬学的配合物内に、活性薬学的成分を配合するために用いられる物質を意味し;好ましい態様において、賦形剤は、活性薬学的成分の主な療法効果を低下させないかまたはこれに干渉しない。好ましくは、賦形剤は、療法的に不活性である。用語「賦形剤」は、キャリアー、希釈剤、ビヒクル、可溶化剤、安定化剤、充填剤、酸性または塩基性pH調整剤、および結合剤を含む。賦形剤はまた、製造プロセスの間接的または意図されない結果として薬学的配合物中に存在する物質であってもよい。好ましくは、賦形剤は、ヒトおよび動物投与に安全であると認可されるかまたは見なされ、すなわちGRAS物質(一般的に安全と見なされる(generally regarded as safe))である。GRAS物質は、本明細書に援用される、連邦規制基準(CFR)の21 CFR 182および21 CFR 184に、食品医薬品局によって列挙される。
【0130】
用語「薬学的に許容されうるキャリアー」は、結合分子の送達のための配合物における使用に適した、任意の不活性物質を指す。キャリアーは、抗接着剤、結合剤、コーティング剤、崩壊剤、充填剤または希釈剤、保存剤(例えば酸化防止剤、抗細菌剤、または抗真菌剤)、甘味剤、吸収遅延剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤等であってもよい。適切な薬学的に許容されうるキャリアーの例には、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、デキストロース、植物油(例えばオリーブ油)、生理食塩水、緩衝剤、緩衝生理食塩水、ならびに等張剤、例えば糖、多価アルコール、ソルビトール、および塩化ナトリウムが含まれる。
【0131】
用語「緩衝剤」は、薬学的調製物のpHを安定化させる、薬学的に許容されうる賦形剤を指す。適切な緩衝剤は当該技術分野に周知であり、そして文献中に見出されうる。例えば、ヒスチジン緩衝剤、グリシン緩衝剤、trisまたは酢酸緩衝剤、ならびに/あるいはそれぞれの遊離酸または遊離塩基、ならびにその多様な塩および/または酸および塩基の混合物を使用してもよい。特定の態様において、緩衝液はヒスチジン緩衝液、すなわち緩衝剤としてヒスチジン、一般的にはL-ヒスチジンを有する緩衝液である。特定の緩衝液は、L-ヒスチジン、L-ヒスチジン一塩酸塩、またはL-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン一塩酸塩の混合物を含む、L-ヒスチジン/HCl緩衝液である。L-ヒスチジン緩衝剤は、一般的には、約0.05mg/ml~約10mg/ml、約0.1mg/ml
~約5mg/ml、または約0.5mg/ml~約1mg/mlの濃度で用いられる。L-ヒスチジン一塩酸塩緩衝剤は、一般的に、約0.1mg/ml~約10mg/ml、約1mg/ml~約5mg/ml、または約2mg/ml~約4mg/mlの濃度で用いられる。
【0132】
用いる緩衝液に関わらず、当該技術分野に知られる酸または塩基、例えば塩酸、酢酸、リン酸、硫酸およびクエン酸、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムで、pHを約4.0~約7.0、または約5.0~約6.0の範囲の値に調整してもよい。
【0133】
1つの側面において、本発明は:0.1~1mg/mlのL-ヒスチジン;1~5mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩;50~100mg/mlの無水トレハロース;0.01~0.1mg/mLの無水EDTA二ナトリウム;および0.05~1mg/mLのポリソルベート80を含み;4.0~7.0の範囲のpHである、薬学的組成物に関する。
【0134】
特定の態様において、本発明記載の組成物中に含まれる結合分子の濃度は、約10~約22mg/mlの範囲内である。
別の特定の態様において、本発明記載の組成物中に含まれる緩衝剤は、ヒスチジン緩衝剤、例えば、L-ヒスチジン/HCl緩衝剤、または酢酸緩衝剤または酢酸ナトリウム緩衝剤である。特定の態様において、緩衝剤は、L-ヒスチジン/HClである。
【0135】
特定の態様において、緩衝剤は、約0.1mM~約50mM、または1mM~約25mMの濃度である。
本発明の組成物のpHは、以下の範囲:3~10または4~9より選択可能である。特定の態様において、緩衝剤は、5.0~6.0または5.5±0.3のpHを提供する。これらの範囲の内部または外部のルーチンのpH調整は、ポリペプチドまたは組成物の他の構成要素の可溶性または安定性を改善するために必要でありうる。
【0136】
1つの態様において、組成物は、ポリソルベート、例えばポリソルベート20またはポリソルベート80を含む。特定の態様において、ポリソルベート80は、0.01~10mg/ml、0.5~5mg/mlまたは0.1~0.5mg/mlの濃度である。
【0137】
1つの態様において、本発明にしたがって組成物中に含まれる少なくとも1つの安定化剤は、塩、例えば塩化ナトリウム、糖、トレハロース二水和物またはスクロース、およびアミノ酸、例えば塩酸アルギニンの群より選択される。特定の態様において、少なくとも1つの安定化剤は、10~200mg/ml、20~150mg/ml、または50~100mg/mlの濃度である。
【0138】
本明細書において、用語「キレート剤」は、一般的に、金属イオンに対して少なくとも1つの結合(例えば共有、イオン性、またはその他)を形成可能な賦形剤を指す。キレート剤は、典型的には、不安定性を促進しうる種と複合体形成する安定化剤として、選択された液体組成物中で使用可能な多座リガンドである。しばしば、キレート剤として作用しうる化合物は、電子が豊富な官能基を有する。電子が豊富な適切な官能基には、カルボン酸基、ヒドロキシ基、およびアミノ基が含まれる。アミノポリカルボン酸、ヒドロキシポリカルボン酸、ヒドロキシアミノカルボン酸等におけるこれらの基の配置は、金属に結合する能力を有する部分を生じる。
【0139】
しかし、本発明は、主に、金属イオンとの結合を形成するキレート剤の能力によって、抗体安定性を増進させるキレート剤に限定されることを意図されない。したがって、本発明は、キレート剤が本発明の組成物を安定化する特定の機構によって限定されることを意図されず、そして本明細書においてキレート剤と称する賦形剤は、主に、金属イオンと結
合を形成するキレート剤の能力とまったく関連しない機構を通じて、抗体安定性増進特性を達成してもよい。
【0140】
本発明において使用するのに適したキレート剤には、限定されるわけではないが、アミノポリカルボン酸、ヒドロキシアミノカルボン酸、N置換グリシン、2-(2-アミノ-2-オキソエチル)アミノエタンスルホン酸(BES)、デフェロキサミン(DEF)、クエン酸、ナイアシンアミド、およびデスオキシコール酸塩(desoxycholates)が含まれる。適切なアミノポリカルボン酸の例には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸5(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、N-2-アセトアミド-2-イミノ二酢酸(ADA)、ビス(アミノエチル)グリコールエーテル、N,N,N’,N’-四酢酸(EGTA)、トランス-ジアミノシクロヘキサン四酢酸(DCTA)、グルタミン酸、およびアスパラギン酸が含まれる。適切なヒドロキシアミノカルボン酸の例には、N-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIMDA)、N,N-ビス-ヒドロキシエチルグリシン(ビシン)およびN-(trisヒドロキシメチルメチル)10グリシン(トリシン)が含まれる。適切なN置換グリシンの例は、グリシルグリシンである。適切なデスオキシコール酸塩の例はデスオキシコール酸ナトリウムである。
【0141】
本発明で用いるキレート剤は、可能な場合、化合物の遊離酸または遊離塩基型(例えば本明細書において交換可能に「EDTA」または「エデト酸塩」と称される)として、あるいは対応する塩型(例えば対応する酸付加塩または塩基付加塩、例えばエデト酸二ナトリウム)として存在してもよい。適切な酸付加塩には、例えば、アルカリ金属塩(例えばナトリウムまたはカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム)が含まれ、そして他の弱く結合した金属イオンを用いて、塩を調製することも可能である。当該技術分野に知られるように、塩の性質および中和されるべき電荷の数は、存在するカルボキシル基の数、および安定化キレート剤を供給するpHに応じるであろう。やはり当該技術分野に知られるように、キレート剤は、特定のターゲットイオンが結合する多様な強度を有する。さらに例示するため、EDTAの適切な塩には、エデト酸二カリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、およびエデト酸カリウムが含まれ;そしてデフェロキサミン(DEF)の適切な塩は、メシル酸デフェロキサミン(DFM)である。
【0142】
本発明で用いるキレート剤は、化合物または対応する塩の無水、溶媒和または水和型で存在することも可能である。キレート剤が溶媒和型または水和型で存在する場合、溶媒和または水和の多様な状態で存在可能である(例えば無水、水和、二水和、および三水和型を含む)。さらなる例示のため、EDTAの適切な水和物は、EDTA二ナトリウム二水和物である。1つの態様において、EDTA二ナトリウム二水和物は、0.001~5mg/ml、0.01~2mg/ml、および0.02~0.5mg/mlの濃度で存在する。別の態様において、キレート剤は、本明細書記載の組成物中の抗体の凝集を減少させるかまたは防止することも可能である。こうしたキレート剤は、キレート剤の保護を伴わずに配合された抗体の分解を減少させるかまたは防止することも可能である。
【0143】
薬学的組成物は、一般的に、特定の意図される投与経路に合わせることも可能である。当該技術分野には、限定されるわけではないが、経口、エアロゾル、非経口、および局所投与を含む、化合物を投与する多数の技術が存在する。組成物は、任意の適切な型、例えば液体、半固体、および固体投薬型であってもよい。液体投薬型の例には、溶液(例えば注射可能および注入可能溶液)、マイクロエマルジョン、リポソーム、分散、または懸濁剤が含まれる。固体投薬型の例には、錠剤、丸剤、カプセル、マイクロカプセル、および粉末が含まれる。結合分子を送達するのに適した組成物の特定の型は、注射または注入のための無菌液体、例えば溶液、懸濁物、または分散物である。無菌溶液は、必要な量の適
切なキャリアー中に抗体を取り込み、その後、滅菌マイクロろ過することによって、無菌溶液を調製することも可能である。一般的に、塩基性分散媒体および他のキャリアーを含有する無菌ビヒクル内に抗体を取り込むことによって、分散物を調製する。無菌液体の調製のための無菌粉末の場合、調製法には、活性成分に、先に滅菌ろ過した溶液からの任意のさらなる望ましい成分が加わった粉末を生じる、真空乾燥およびフリーズドライ(凍結乾燥)が含まれる。当該技術分野に知られる慣用技術によって、組成物の多様な投薬型を調製することも可能である。
【0144】
組成物中に含まれる結合分子の相対量は、いくつかの要因、例えば用いる特定の結合分子およびキャリアー、ならびに望ましい放出および薬理学的特性に応じて多様であろう。1つの態様において、組成物は、結合分子を含み、ここで前記結合分子濃度は、1~100mg/mlの間、5~50mg/mlの間、または10~22mg/mlの間である。単回投薬型での結合分子の量は、一般的に、療法効果を生じる量であろうが、それより少ない量であってもよい。一般的に、この量は、投薬型総量に比較して、約0.01パーセント~約99パーセントの範囲、約0.1パーセント~約70パーセント、または約1パーセントから約30パーセントの範囲であろう。
【0145】
結合分子に加えて、1またはそれより多いさらなる療法剤が組成物中に含まれていてもよい。さらなる療法剤の例を本明細書において以下に記載する。組成物中に含まれるべきさらなる療法剤の適切な量は、当業者によって容易に選択可能であり、そしていくつかの要因、例えば用いる特定の剤およびキャリアー、投薬型、ならびに望ましい放出および薬力学特性に応じて多様であろう。単回投薬型に含まれるさらなる療法剤の量は、一般的に、療法効果を生じる剤の量であろうが、また、より少ない量であってもよい。
【0146】
E.結合分子および薬学的組成物の使用
本開示が提供する結合分子および薬学的組成物は、療法、診断、または他の目的のために、例えば免疫反応の増進、癌の治療、他の癌療法の有効性の増進、ワクチン有効性の増進、または自己免疫疾患の治療に有用である。したがって、他の側面において、本開示は、結合分子または薬学的組成物を用いる方法を提供する。1つの側面において、本開示は、哺乳動物において障害を治療する方法であって、治療が必要な哺乳動物に、本開示が提供する結合分子の療法的有効量を投与する工程を含む、前記方法を提供する。結合分子は、4-1BBアゴニストまたはアンタゴニストであってもよい。いくつかの態様において、結合分子は4-1BBアゴニストである。いくつかの態様において、哺乳動物はヒトである。
【0147】
いくつかの態様において、障害は癌である。悪性であってもまたは良性であっても、そして原発性であってもまたは続発性であっても、4-1BBが関与する多様な癌を、本開示に提供する方法で治療するかまたは予防することも可能である。こうした癌の例には、肺癌、例えば気管支原性肺癌(例えば扁平上皮癌、小細胞癌、大細胞癌、および腺癌)、肺胞細胞癌、気管支腺腫、軟骨性過誤腫(非癌性)、および肉腫(癌性);心臓癌、例えば粘液腫、線維腫、および横紋筋腫;骨癌、例えば骨軟骨腫、軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨腫、巨細胞腫瘍、軟骨肉腫、多発性骨髄腫、骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、ユーイング腫瘍(ユーイング肉腫)、および細網肉腫;脳癌、例えば神経膠腫(例えば多形神経膠芽腫)、未分化星状細胞腫、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、髄芽腫、脊索腫、シュワン腫、上衣腫、髄膜腫、下垂体腺腫、松果体腫、骨腫、血管芽腫、頭蓋咽頭腫、軟骨腫、胚細胞腫、奇形腫、類皮嚢胞、および血管腫;消化系の癌、例えば平滑筋腫、類表皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、胃腺癌、腸脂肪腫、腸神経線維腫、腸線維腫、大腸ポリープ、および結腸直腸癌;肝臓癌、例えば肝細胞腺腫、血管腫、肝細胞癌、線維層板型癌、胆管細胞癌、肝芽腫、および血管肉腫:腎癌、例えば腎腺癌、腎細胞癌、副腎腫、および腎盂移行細胞癌;膀胱癌;血液癌、例えば急性リンパ球性(リンパ芽球性)白
血病、急性骨髄性(骨髄細胞性、骨髄性、骨髄芽球性、骨髄単球性)白血病、慢性リンパ球性白血病(例えばセザリー症候群および毛様細胞白血病)、慢性骨髄球性(骨髄性(myeloid、myelogenous)、顆粒球性)白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、菌状息肉腫、および骨髄増殖性障害(真性多血症、骨髄線維症、血小板血症、および慢性骨髄球性白血病などの骨髄増殖性障害を含む);皮膚癌、例えば基底細胞癌、扁平細胞癌、黒色腫、カポジ肉腫、およびパジェット病;頭部および頸部の癌;目に関連する癌、例えば網膜芽腫および眼内悪性黒色腫;男性生殖系癌、例えば良性前立腺肥大、前立腺癌、および精巣癌(例えばセミノーマ、奇形腫、胚性癌、および絨毛癌);乳癌;女性生殖系癌、例えば子宮癌(子宮内膜癌)、子宮頸癌(子宮系癌腫)、卵巣の癌(卵巣癌)、外陰癌、膣癌、卵管癌、および胞状奇胎;甲状腺癌(乳頭状、濾胞、未分化、または髄様癌);褐色細胞腫(副腎);副甲状腺の非癌性増殖;膵臓癌;ならびに血液学的癌、例えば白血病、骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、およびホジキンリンパ腫が含まれる。
【0148】
いくつかの他の態様において、障害は自己免疫疾患である。結合分子で治療してもよい自己免疫疾患の例には、自己免疫脳脊髄炎、エリテマトーデス、および関節リウマチが含まれる。結合分子はまた、炎症(例えばアレルギー性喘息)および慢性移植片対宿主病を治療するのにも使用可能である。
【0149】
別の側面において、本開示は、哺乳動物において免疫反応を増進する方法であって、哺乳動物に、本開示が提供する療法的有効量の結合分子を投与する工程を含む、前記方法を提供する。いくつかの態様において、結合分子は4-1BB抗体またはその抗原結合断片であり、そして哺乳動物はヒトである。さらなる態様において、結合分子は4-1BBアゴニスト抗体またはその抗原結合断片である。用語「免疫反応を増進する」またはその文法的変形は、哺乳動物の免疫系の反応いずれかを刺激するか、誘起するか、増加させるか、改善するか、または増大させることを意味する。免疫反応は、細胞性反応(すなわち細胞仲介性、例ば細胞傷害性Tリンパ球仲介性)または体液性反応(すなわち抗体仲介性反応)であってもよく、そして原発性または続発性免疫反応であってもよい。免疫反応の増進例には、CD4+ヘルパーT細胞活性増加および細胞溶解性T細胞の生成が含まれる。限定されるわけではないが、細胞傷害性Tリンパ球アッセイ、サイトカイン放出(例えばIL-2産生)、腫瘍退行、腫瘍所持動物の生存、抗体産生、免疫細胞増殖、細胞表面マーカーの発現、および細胞傷害性を含む、当業者に知られるいくつかのin vitroまたはin vivo測定を用いて、免疫反応増進を評価してもよい。典型的には、本開示の方法は、未治療哺乳動物または請求する方法を用いては治療されていない哺乳動物による免疫反応に比較した際、哺乳動物による免疫反応を増進させる。1つの態様において、結合分子を用いて、微生物病原体(例えばウイルス)に対するヒトの免疫反応を増進させる。別の態様において、結合分子を用いて、ワクチンに対するヒトの免疫反応を増進させる。結合分子は、4-1BBアゴニストまたはアンタゴニストであってもよい。いくつかの態様において、結合分子は4-1BBアゴニストである。1つの態様において、方法は、細胞性免疫反応、特に細胞傷害性T細胞反応を増進させる。別の態様において、細胞性免疫反応は、Tヘルパー細胞反応である。さらに別の態様において、免疫反応はサイトカイン産生、特にIL-2産生である。結合分子を用いて、微生物病原体(例えばウイルス)に対する、またはワクチンに対する、ヒトの免疫反応を増進させてもよい。結合分子は4-1BBアゴニストまたはアンタゴニストであってもよい。いくつかの態様において、結合分子は4-1BBアゴニストである。
【0150】
療法的方法を実施する際、結合分子を単剤療法として単独で投与してもよいし、あるいは1またはそれより多いさらなる療法剤または療法と組み合わせて投与してもよい。したがって、別の側面において、本開示は、1またはそれより多いさらなる療法または療法剤を、別個の、連続したまたは同時投与のために、結合分子と組み合わせて含む、併用療法
を提供する。用語「さらなる療法」は、療法剤として、本開示が提供する結合分子を使用しない療法を指す。用語「さらなる療法剤」は、本開示が提供する結合分子以外の任意の療法剤を指す。1つの特定の側面において、本開示は、哺乳動物において癌を治療するための併用療法であって、哺乳動物に、本開示が提供する結合分子の療法的有効量を、1またはそれより多いさらなる療法剤と組み合わせて投与する工程を含む、前記方法を提供する。さらなる態様において、哺乳動物はヒトである。
【0151】
非常に多様な癌療法剤を、本開示が提供する結合分子と組み合わせて用いてもよい。一般の当業者は、本開示の方法および結合分子と組み合わせて使用可能であり、そして本明細書に示す療法のこれらの型に限定されない、他の癌療法の存在および発展を認識するであろう。癌を治療するための併用療法において使用可能である、さらなる療法剤のカテゴリーの例には、(1)化学療法剤、(2)免疫療法剤、および(3)ホルモン療法剤が含まれる。
【0152】
用語「化学療法剤」は、癌細胞の死を引き起こすか、あるいは癌細胞の増殖、分裂、修復、および/または機能に干渉しうる、化学的または生物学的物質を指す。化学療法剤の例には、本明細書に援用される、WO 2006/088639、WO 2006/129163、およびUS 20060153808に開示されるものが含まれる。特定の化学療法剤の例には:(1)アルキル化剤、例えばクロラムブシル(LEUKERAN)、シクロホスファミド(CYTOXAN)、イホスファミド(IFEX)、メクロレタミン塩酸塩(MUSTARGEN)、チオテパ(THIOPLEX)、ストレプトゾトシン(ZANOSAR)、カルムスチン(BICNU、GLIADEL WAFER)、ロムスチン(CEENU)、およびダカルバジン(DTIC-DOME);(2)細胞傷害性抗生物質を含む、アルカロイドまたは植物ビンカアルカロイド、例えばドキソルビシン(ADRIAMYCIN)、エピルビシン(ELLENCE、PHARMORUBICIN)、ダウノルビシン(CERUBIDINE、DAUNOXOME)、ネモルビシン、イダルビシン(IDAMYCIN PFS、ZAVEDOS)、ミトキサントロン(DHAD、NOVANTRONE)、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、COSMEGEN)、プリカマイシン(MITHRACIN)、マイトマイシン(MUTAMYCIN)、およびブレオマイシン(BLENOXANE)、酒石酸ビノレルビン(NAVELBINE))、ビンブラスチン(VELBAN)、ビンクリスチン(ONCOVIN)、およびビンデシン(ELDISINE);(3)代謝拮抗剤、例えばカペシタビン(XELODA)、シタラビン(CYTOSAR-U)、フルダラビン(FLUDARA)、ゲムシタビン(GEMZAR)、ヒドロキシ尿素(HYDRA)、メトトレキセート(FOLEX、MEXATE、TREXALL)、ネララビン(ARRANON)、トリメトレキセート(NEUTREXIN)、およびペメトレキセド(ALIMTA);(4)ピリミジンアンタゴニスト、例えば5-フルオロウラシル(5-FU);カペシタビン(XELODA)、ラルチトレキセド(TOMUDEX)、テガファー-ウラシル(UFTORAL)、およびゲムシタビン(GEMZAR);(5)タキサン、例えばドセタキセル(TAXOTERE)、パクリタキセル(TAXOL);(6)白金薬剤、例えばシスプラチン(PLATINOL)およびカルボプラチン(PARAPLATIN)、およびオキサリプラチン(ELOXATIN);(7)トポイソメラーゼ阻害剤、例えばイリノテカン(CAMPTOSAR)、トポテカン(HYCAMTIN)、エトポシド(ETOPOPHOS、VEPESSID、TOPOSAR)、およびテニポシド(VUMON);(8)エピポドフィロトキシン(ポドフィロトキシン誘導体)、例えばエトポシド(ETOPOPHOS、VEPESSID、TOPOSAR);(9)葉酸誘導体、例えばロイコボリン(WELLCOVORIN);(10)ニトロソ尿素、例えばカルムスチン(BiCNU)、ロムスチン(CeeNU);(11)上皮増殖因子(EGFR)、血管内皮増殖因子(VEGF)、インスリン受容体、インスリン様増殖因子受容体(IGFR)、肝細胞増殖因子受容体(HGFR)、および血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)を含む、受
容体チロシンキナーゼの阻害剤、例えばゲフィチニブ(IRESSA)、エルロチニブ(TARCEVA)、ボルテゾミブ(VELCADE)、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC)、ゲネフィチニブ、ラパチニブ、ソラフェニブ、サリドマイド、スニチニブ(SUTENT)、アキシチニブ、リツキシマブ(RITUXAN、MABTHERA)、トラスツズマブ(HERCEPTIN)、セツキシマブ(ERBITUX)、ベバシズマブ(AVASTIN)、およびラニビズマブ(LUCENTIS)、lym-1(ONCOLYM)、WO2002/053596に開示される、インスリン様増殖因子-1受容体(IGF-1R)に対する抗体;(12)血管形成阻害剤、例えばベバシズマブ(AVASTIN)、スラミン(GERMANIN)、アンジオスタチン、SU5416、サリドマイド、およびマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤(例えばバチマスタットおよびマリマスタット)、およびWO2002055106に開示されるもの;ならびに(13)プロテアソーム阻害剤、例えばボルテゾミブ(VELCADE)が含まれる。
【0153】
用語「免疫療法剤」は、哺乳動物の免疫反応を増進しうる化学的または生物学的物質を指す。免疫療法剤の例には:カルメット・ゲラン桿菌(BCG);インターフェロンのようなサイトカイン;ワクチン、例えばMyVax個別化免疫療法、Onyvax-P、Oncophage、GRNVAC1、FavId、Provenge、GVAX、Lovaxin C、BiovaxID、GMXX、およびNeuVax;ならびに抗体、例えばアレムツズマブ(CAMPATH)、ベバシズマブ(AVASTIN)、セツキシマブ(ERBITUX)、ゲムツズナブ(gemtuzunab)・オゾガマイシン(MYLOTARG)、イブリツモマブ・チウキセタン(ZEVALIN)、パニツムマブ(VECTIBIX)、リツキシマブ(RITUXAN、MABTHERA)、トラスツズマブ(HERCEPTIN)、トシツモマブ(BEXXAR)、イピリムマブ(YERVOY)トレメリムマブ、CAT-3888、OX40受容体に対するアゴニスト抗体(例えばWO2009/079335に開示されるもの)、CD40受容体に対するアゴニスト抗体(例えばWO2003/040170に開示されるもの)、およびTLR-9アゴニスト(例えば、WO2003/015711、WO2004/016805、およびWO2009/022215に開示されるもの)が含まれる。
【0154】
用語「ホルモン療法剤」は、ホルモン産生を阻害するかまたは排除し、あるいは癌性細胞の増殖および/または生存に対するホルモンの影響を阻害するかまたは弱める、化学的または生物学的物質を指す。本明細書の方法に適したこうした剤の例には、US20070117809に開示されるものが含まれる。特定のホルモン療法剤の例には、タモキシフェン(NOLVADEX)、トレミフェン(Fareston)、フルベストラント(FASLODEX)、アナストロゾール(ARIMIDEX)、エキセメスタン(AROMASIN)、レトロゾール(FEMARA)、酢酸メゲストロール(MEGACE)、ゴセレリン(ZOLADEX)、およびリュープロリド(LUPRON)が含まれる。本開示の結合分子をまた、非薬剤ホルモン療法、例えば(1)ホルモン産生に関与する臓器または腺、例えば卵巣、精巣、副腎、および脳下垂体のすべてまたは一部を除去する手術法、および(2)ターゲットとされるホルモンの産生を阻害するかまたは排除するのに十分な時間、患者の臓器または腺を放射線に供する放射線治療と組み合わせて用いてもよい。
【0155】
癌を治療するための併用療法はまた、腫瘍を除去するための手術と、結合分子の組み合わせも含む。結合分子を、手術の前に、手術中に、または手術後に哺乳動物に投与してもよい。
【0156】
癌を治療するための併用療法はまた、放射線療法、例えばイオン化(電磁)放射線療法(例えばX線またはガンマ線)および粒子ビーム放射線療法(例えば高線形エネルギー照射)と結合分子の組み合わせも含む。放射線源は、哺乳動物の外部であってもまたは内部
であってもよい。結合分子を、放射線療法の前に、放射線療法中に、または放射線療法後に投与してもよい。
【0157】
本開示が提供する結合分子および組成物を、任意の適切な経腸経路または非経口経路の投与を通じて、投与してもよい。投与の用語「経腸経路」は、胃腸管の任意の部分を通じた投与を指す。経腸経路の例には、経口、粘膜、頬側、および結腸経路、あるいは胃内経路が含まれる。投与の「非経口経路」は、経腸経路以外の投与経路を指す。投与の非経口経路の例には、静脈内、筋内、皮内、腹腔内、腫瘍内、膀胱内、動脈内、クモ膜下腔内、、嚢内、眼窩内、心内、経気管、関節内、嚢下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内、皮下、または局所投与が含まれる。任意の適切な方法を用いて、例えば経口摂取によって、経鼻管、胃瘻管、注射、注入、移植可能注入ポンプ、および浸透圧ポンプによって、本開示の抗体および組成物を投与してもよい。投与の適切な経路および方法は、用いる特定の抗体、望ましい吸収速度、用いる特定の配合物または投薬型、治療しようとする障害のタイプまたは重症度、作用の特異的部位、および患者の状態などの多くの要因に応じて多様である可能性もあり、そして当業者によって容易に選択されうる。
【0158】
用語、結合分子の「療法的有効量」は、意図される療法的目的のために有効である量を指す。例えば、免疫反応を増進する背景において、「療法的有効量」は、哺乳動物免疫系の反応いずれかを、刺激し、誘発し、増加させ、改善するか、または増大させるのに有効な量いずれかである。疾患を治療する背景において、「療法的有効量」は、治療しようとする哺乳動物において、任意の望ましいまたは有益な効果を引き起こすのに十分な任意の量である。特に、癌治療において、望ましいまたは有益な効果の例には、癌細胞のさらなる増殖または蔓延の阻害、癌細胞死、癌の再発の阻害、癌と関連する疼痛の減少、または哺乳動物生存の改善が含まれる。4-1BB抗体の療法的に有効な量は、通常、約0.001~約500mg/哺乳動物体重kg、そしてより一般的には、約0.01~約100mg/kgの範囲である。例えば、量は、約0.3mg/哺乳動物体重kg、1mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、50mg/kg、または100mg/kgであってもよい。いくつかの態様において、4-1BB抗体の療法的有効量は、約0.01~30mg/哺乳動物体重kgの範囲内である。いくつかの他の態様において、4-1BB抗体の療法的有効量は、約0.05~15mg/哺乳動物体重kgの範囲内である。投与すべき正確な投薬レベルは、当業者によって容易に決定可能であり、そしていくつかの要因、例えば治療しようとする障害のタイプ、および重症度、使用する特定の結合分子、投与経路、投与時間、治療期間、使用する特定のさらなる療法、治療しようとする患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康状態および以前の病歴、ならびに医学業に知られる同様の要因に応じるであろう。
【0159】
結合分子または組成物は、通常、何度も投与される。単一の用量の間の間隔は、例えば毎週、毎月、3ヶ月ごと、または毎年であってもよい。例示的な治療措置は、週1回、2週ごとに1回、3週ごとに1回、4週ごとに1回、1ヶ月に1回、3ヶ月に1回または3~6ヶ月に1回の投与を含む。4-1BB抗体のための典型的な投薬措置には、以下の投薬スケジュールの1つ:(i)4週ごとに6回の投薬、次いで3ヶ月ごと;(ii)3週ごと;(iii)3mg/体重kgを1回、その後、3週ごとに1mg/体重kgを用いて、静脈内投与を通じた、1mg/kg体重または3mg/kg体重が含まれる。
【0160】
本開示は、以下の実施例によってさらに例示され、これらはさらなる限定と見なされてはならない。本開示全体で引用される、すべての図およびすべての参考文献、特許および公表される特許出願の内容は、その全体が本明細書に完全に援用される。
【実施例0161】
実施例1:4-1BBに結合するFab断片の生成
本発明が提供する特定の抗体は、元来、ヒト4-1BBに結合するFabから生成された。Fabは、ファージディスプレイライブラリー、MorphoSys HuCAL GOLD(登録商標)ファージミドライブラリー、以下の4-1BB FCに対する交互パニング、およびヒト4-1BBを発現する細胞より選択された。これらのFabには、「Fab-6032」、「Fab-7361」、「Fab-7480」、および「Fab-7483」と称されるものが含まれる。本出願に開示する4-1BB抗体、MOR-6032、MOR-7361、MOR-7480、およびMOR-7483は、それぞれ「Fab-6032」、「Fab-7361」、「Fab-7480」、および「Fab-7483」から生成された。所定のFabの軽鎖可変領域および重鎖可変領域のアミノ酸配列は、Fabの名称と同じ数字を共有する名称の例示的抗体の、それぞれ軽鎖可変領域および重鎖可変領域のアミノ酸配列と同一である。例えば、Fab-7480および抗体MOR-7480は、それぞれ、軽鎖可変領域および重鎖可変領域に関して、同一のアミノ酸配列を有する。
【0162】
ファージミドライブラリーは、HuCAL(登録商標)コンセプト(Knappikら, 2000, J. Mol. Biol. 296(1):57-86)に基づき、そしてファージ表面上にFabをディスプレイするためのCysDisplayTM技術(Loehning、WO 01/05950)を使用する。HuCAL GOLD(登録商標)は、各々、7つのVLマスター遺伝子と組み合わせた1つのVH(VH1、VH2、VH3、VH4、VH5、VH6)マスター遺伝子を含む6つの単一のサブライブラリーで選択を行うか、または合わせたファージプールを用いて選択を行う、オプションを提供する。第一周期のパニングのためのファージは、Hyperphage(Progen、ドイツ・ハイデルベルグより得られる、M13KO7ΔpIII)によって調製された。HuCAL GOLD(登録商標)は、Christine Rotheら, J.
Mol. Biol.(2008) 376, 1182-1200に詳細に記載される。
【0163】
組換えヒト4-1BB-Fc(R&D Systems、カタログ番号838-4B;ミネソタ州ミネアポリス)を用いて、固相パニングを行った。
実施例2. Fabの性質決定
Flag/His-Tagを有するFabを含む一価Fab形式を用いて、以下に記載するアッセイにおいて、実施例1に記載する4つのFabの性質決定を行った。
【0164】
2A.溶液平衡力価決定(SET)法で決定したアフィニティ
Meso Scale Discovery(「MSD」)の装置を用い、SET法を用いて、4つのFabのアフィニティ(Kとして表す)を決定した。抗体タンパク質の単量体分画を用いた(少なくとも90%の単量体含量、分析SECによって分析;それぞれ、Fabに関して、Superdex75(Amersham Pharmacia)、またはIgGに関して、Tosoh G3000SWXL(Tosoh Bioscience))。
【0165】
溶液中のアフィニティ決定を、基本的に、文献に記載されるように行った(Friguetら、1985)。SET法の感度および正確さを改善するため、古典的ELISAからECLに基づく技術(Haenelら、2005)に移行した。
【0166】
製造者の指示にしたがって、1mg/mlのヤギ抗ヒト(Fab)断片特異的抗体(Dianova)を、MSD Sulfo-TAGTM NHS-エステル(Meso Scale Discovery、米国メリーランド州ガイザーズバーグ)で標識した。
【0167】
ポリプロピレン・マイクロタイタープレート、ならびにアッセイ緩衝液として、0.5
%BSAおよび0.02%Tween 20を含むPBS pH 7.4中で実験を行った。非標識ヒト4-1BBを、予期されるKより少なくとも10倍高い濃度で出発して、一連の2で希釈した。抗原を含まないウェルを用いて、Bmax値を決定した;アッセイ緩衝液を含むウェルを用いて、バックグラウンドを決定した。例えば、30pM Fab(60μL最終体積中の最終濃度)を添加した後、混合物を室温で一晩インキュベーションした。適用したFab濃度は、予期されるKと類似であるかまたはそれより低かった。
【0168】
標準的MSDプレートを、PBS中の0.05μg/mlのヒト4-1BB(30μL/ウェル)でコーティングし、一晩インキュベーションし、そしてPBS中の3%BSAで1時間ブロッキングした。プレートをアッセイ緩衝液で洗浄した後、平衡化した試料をこのプレートにトランスファーし(ウェルあたり30μL)、そして20分間インキュベーションした。洗浄後、1:1500の最終希釈中のMSD Sulfoタグ標識検出抗体(ヤギ抗ヒト(Fab))をMSDプレートに添加し、そしてエッペンドルフ振盪装置(700rpm)上で30分間インキュベーションした。
【0169】
プレートを洗浄し、そして界面活性剤を含む30μL/ウェルのMSD Read緩衝液Tを添加した後、Sector Imager 6000(Meso Scale Discovery、米国メリーランド州ガイザーズバーグ)を用いて、電気化学発光シグナルを検出した。
【0170】
XLfit(IDBS)ソフトウェアを適用するカスタマイズした適合モデルで、データを評価した。Fab分子のK決定のため、以下の適合モデルを用い(Haenelら、2005)、そしてAbrahamら(1996, J. Molec. Recog. 9(5-6):456-461)にしたがって修飾した:
【0171】
【化1】
【0172】
[Fab]:適用総Fab濃度
x:適用総可溶性抗原濃度(結合部位)
max:抗原を含まないFabの最大シグナル
:アフィニティ
結果を表3に示す。
【0173】
2B. 直接コーティングされた抗原に対するBiacore K 決定
決定のため、単量体Fab分画(少なくとも90%単量体含量、分析用SECによって分析;Superdex75、Amersham Pharmacia)を分析物として用いた。Biacore3000装置(Biacore、スウェーデン)を用いて、固定抗原への結合を分析した。
【0174】
Biacore3000装置(Biacore、スウェーデン・ウプサラ)を用い、共有固定抗原CD137/ヒト4-1BBへのそれぞれのFabの連続希釈の結合を用いて、動力学速度定数konおよびkoffを決定した。抗原共有固定のため、標準的EDC-NHSアミンカップリング化学反応を用いた。約16~500nMの範囲のFab濃度を用いて、20μl/分の流速で、HBS-EP(10mM HEPES; pH 7.4; 150mM NaCl; 3mM EDTA; Tween20 0.005%)中、動力学測定を行った。各濃度での注入時間は1分間、その後、少なくとも3分間の解
離期が続いた。再生のため、1回またはそれより多い5μlのグリシン/HCl pH2の注入を用いた。
【0175】
全IgG分子のK評価のため、16~500nMの範囲の濃度で、2連続希釈を用いて、共有固定ヒト4-1BB(およそ130RU)の低密度で、F1センサーチップ上、試料としてIgGを注入した。二価適合モデルを用いて、センサーグラムを評価して、そして定性的に比較して、対応するK値をランク付けした。
【0176】
BIA評価ソフトウェア3.1(Biacore)を用いて、すべてのセンサーグラムを適合させた。結果を表3に提示する。
2C. ELISAアッセイにおけるFabの結合
直接コーティングされたヒト4-1BB/Fcに対して、標準的ELISA技術を用いて、4つのFabの結合を決定した。結果を表3に示す。
【0177】
2D. FACSアッセイにおけるFabの結合
ヒト4-1BBを安定トランスフェクションされ、そして発現しているHEK293細胞ならびに300.19(ネズミB細胞株)陰性対照細胞に対して、標準的FACSアッセイ技術を用いて、4つのFabの結合を決定した。結果を表3に示す。
【0178】
表3.Fabの結合特性
【0179】
【表3】
【0180】
実施例3: IgGの性質決定
Fab-6032、Fab-7361、Fab-7480、およびFab-7483を含む、本明細書に記載するようなパニングから得たいくつかのFabを、本実施例に記載するようなさらなる性質決定のため、IgG1およびIgG4形式の全長抗体に変換するために選択した。本実施例に同定する4つの例示的抗体、すなわちMOR-6032、MOR-7361、MOR-7480、およびMOR-7483は、それぞれ、Fab-6032、Fab-7361、Fab-7480、およびFab-7483から変換された。IgG形式の抗体を発現し、そして精製し、そして次いで、ELISA、FACS、およびルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイにおいて性質決定した。
【0181】
3A. IgGへの変換
全長IgGを発現するため、重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変ドメイン断片をFab発現ベクターから、ヒトIgG1およびヒトIgG4用の適切なpMorph(登録商標)_hIgGベクター内にサブクローニングした。
【0182】
3B. ヒトIgGの一過性発現および精製
1:1の比のIgG重鎖および軽鎖発現ベクターでトランスフェクションしたHKB11細胞において、全長ヒトIgGの一過性発現を行った。トランスフェクション後、細胞培養上清を採取し、そしてそれぞれ3倍トランスフェクション体積にアップスケールした。遠心分離およびろ過によって上清を清澄にし、そして次いで、標準的プロテインAアフィニティクロマトグラフィ(MabSelect SURE、GE Healthcare)に供した。タンパク質を溶出させ、そして中和した。さらなる下流プロセシングは、緩衝液交換および無菌ろ過を伴った。UV分光光度計によって、タンパク質濃度を決定した。SDS-PAGEにおいて、変性、還元および変性、非変性条件下で、あるいはAgilent BioAnalyzerを用いることによって、IgGの純度を分析した。HP-SECを行って、天然状態でのIgG調製を分析した。
【0183】
3C. ELISAアッセイにおけるIgGの性質決定
直接コーティング設定で、ヒト4-1BB/Fcおよびマウス4-1BB/FcのELISA結合特性に関してIgGを用いた。以下の表4は、すべてIgG1形式の抗体MOR-6032、MOR-7361、MOR-7480、およびMOR-7483に関するELISA結合結果を示す。
【0184】
表4. ELISAアッセイにおけるIgG1の結合
【0185】
【表4】
【0186】
3D. 抗体の結合選択性(FACSアッセイ)
4-1BBに対する抗体の選択性を、4-1BBおよびTNFRスーパーファミリーの他のメンバーの細胞外ドメインタンパク質に対して評価した。これらの受容体には、CD40(TNFRSF5)およびOX-40(CD134、TNFRSF4)が含まれた。陰性対照HEK293細胞、ならびにヒト4-1BBを安定トランスフェクションされ、そして発現しているHEK293T-h4-1BB、およびOX-40を発現している300.19安定トランスフェクション細胞、およびCD40を安定トランスフェクションされそして発現している300.19に対するFACS結合性質決定のために、IgGを用いた。すべてIgG1形式である抗体MOR-6032、MOR-7361、MOR-7480、およびMOR-7483に対するFACS結合結果を表5に示す。最大1000nMの濃度で、OX-40またはCD40への有意な結合は観察されず、該抗体が、試験した他の関連ファミリーメンバーに対して、4-1BBに対して少なくとも100倍より選択的であることが立証された。
【0187】
表5. FACSアッセイにおける抗体(IgG1)の結合選択性
【0188】
【表5】
【0189】
3E. ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイにおけるIgGの性質決定
プレート結合アッセイ、可溶性結合アッセイ、および架橋結合アッセイにおいて、HEK293T-h4-1BB細胞を用いたルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイにおける結合に関してもまた、IgGを性質決定した。表6は、すべてIgG1形式である抗体MOR-6032、MOR-7361、MOR-7480、およびMOR-7483に関するルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイの結果を示す。
【0190】
表6. ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイにおけるIgG1の性質決定
【0191】
【表6】
【0192】
実施例4. 抗体MOR-6032、MOR-7361、MOR-7480、およびMOR-7483の構造的性質決定
実施例1~3に上述する方法を用いて、「MOR-6032」、「MOR-7361」、「MOR-7480」、および「MOR-7483」と称される抗体を含む、いくつかの全長ヒト抗4-1BB IgG2抗体を産生した。標準的PCR技術を用いて、MOR-6032、MOR-7361、MOR-7480、およびMOR-7483モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖可変領域をコードするcDNA配列を得て、そして標準的DNA配列決定技術を用いて配列決定した。
【0193】
抗体MOR-6032、MOR-7361、MOR-7480、MOR-7480.1、MOR-7480.2、MOR-7483、MOR-7483.1およびMOR-7483.2の重鎖可変領域、IgG2サブクラスの全長重鎖、軽鎖可変領域、および全長軽鎖のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を本開示に提供し;これらの配列の配列番号のインデックスを表1に提供する。
【0194】
MOR-6032重鎖免疫グロブリン配列を、既知のヒト生殖系列免疫グロブリン重鎖
配列に比較すると、MOR-6032重鎖が、ヒト生殖系列V 1-69由来のVセグメント、ヒト生殖系列4-23由来のDセグメント、およびヒト生殖系列JH4a由来のJHセグメントを利用していることが立証された。
【0195】
CDR領域決定にKabat系を用いた、MOR-6032 V配列のさらなる分析によって、それぞれ、配列番号1、2および3に示されるとおりの、H-CDR1、H-CDR2およびH-CDR3領域の描写が導かれた。
【0196】
MOR-7361重鎖免疫グロブリン配列を、既知のヒト生殖系列免疫グロブリン重鎖配列に比較すると、7361重鎖が、ヒト生殖系列V 3-23由来のVセグメント、ヒト生殖系列2-8由来のDセグメント、およびヒト生殖系列JH4a由来のJHセグメントを利用していることが立証された。
【0197】
CDR領域決定にKabat系を用いた、MOR-7361 V配列のさらなる分析によって、それぞれ、配列番号15、16および17に示されるとおりの、重鎖H-CDR1、H-CDR2およびH-CDR3領域の描写が導かれた。
【0198】
MOR-7480およびMOR-7483重鎖免疫グロブリン配列を、既知のヒト生殖系列免疫グロブリン重鎖配列に比較すると、7480および7483重鎖が、ヒト生殖系列V 5由来のVセグメント、ヒト生殖系列5-18由来のDセグメント、およびヒト生殖系列JH4a由来のJHセグメントを利用していることが立証された。
【0199】
CDR領域決定にKabat系を用いた、7480および7483 V配列のさらなる分析によって、それぞれ、配列番号29、30および31に示されるとおりの、H-CDR1、H-CDR2およびH-CDR3領域の描写が導かれた。
【0200】
MOR-6032、MOR-7361、MOR-7480およびMOR-7483軽鎖免疫グロブリン配列を、既知のヒト生殖系列免疫グロブリン軽鎖配列に比較すると、6032、7361、7480および7483軽鎖が、すべて、ヒト生殖系列λ3-r由来のVセグメント、およびヒト生殖系列JL3b由来のJLセグメントを利用していることが立証された。
【0201】
CDR領域決定にKabat系を用いた、MOR-6032 V配列のさらなる分析によって、それぞれ、配列番号6、7、および8に示されるとおりの、軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3領域の描写が導かれた。
【0202】
CDR領域決定にKabat系を用いた、MOR-7361 V配列のさらなる分析によって、それぞれ、配列番号20、21、および22に示されるとおりの、L-CDR1、L-CDR2およびL-CDR3領域の描写が導かれた。
【0203】
CDR領域決定にKabat系を用いた、MOR-7480 V配列のさらなる分析によって、それぞれ、配列番号34、35、および36に示されるとおりの、L-CDR1、L-CDR2およびL-CDR3領域の描写が導かれた。
【0204】
CDR領域決定にKabat系を用いた、MOR-7483 V配列のさらなる分析によって、それぞれ、配列番号34、35、および55に示されるとおりの、L-CDR1、L-CDR2およびL-CDR3領域の描写が導かれた。
【0205】
実施例5: 抗体MOR-7480およびMOR-7483の生殖系列化バージョン
MOR-7480およびMOR-7483抗体の免疫原性を最小限にするため、以下の
ように、いくつかのアミノ酸残基を生殖系列配列にバック突然変異させた。重鎖可変鎖のFR1領域における2つのアミノ酸を生殖系列配列に戻すことによって、MOR-7480.1と称されるMOR-7480の生殖系列化バージョンを調製した。より具体的には、アミノ酸残基番号1のQを生殖系列のEに、そしてアミノ酸残基番号19のKをRに戻した。重鎖可変領域において変化させた2つのアミノ酸残基は、MOR-7480.1(配列番号43)とMOR-7480(配列番号32)のアミノ酸配列を比較することによってわかる。MOR-7480の軽鎖可変領域において、FR1領域中の5つのアミノ酸(D1S、I2Y、A13S、R19S、S21T)、FR2領域中の2つのアミノ酸(A42S、V45L)、およびFR3領域中の1つのアミノ酸(E80M)を生殖系列配列に戻した。軽鎖可変領域において変化させた8つのアミノ酸は、MOR-7480.1のもの(配列番号45)とMOR-7480のアミノ酸配列(配列番号37)を比較することによってわかる。
【0206】
さらに、MOR-7480.1(配列番号45)の軽鎖可変領域配列から出発して、そしてL45をVに戻して、MOR-7480.2(配列番号51)を産生することによって、MOR-7480の第三のバージョンを調製した。
【0207】
重鎖可変鎖のFR1領域中の2つのアミノ酸を生殖系列配列にバック突然変異させることによって、MOR-7483.1と称されるMOR-7483の「生殖系列化」バージョンを調製した。抗体鎖の生殖系列バージョンから出発して、そして次いで、CDR中の所望のアミノ酸を変化させるか、または任意のバージョンから出発した突然変異の任意の組み合わせによって、生殖系列化バージョンを調製してもよい。MOR-7483.1を産生するため、アミノ酸残基番号1のQを生殖系列Eに戻し、そしてアミノ酸残基番号19のKをRに戻した。重鎖可変領域中で変化させた2つのアミノ酸残基は、MOR-7483.1(配列番号43)とMOR-7483(配列番号32)の配列を比較することによってわかる。MOR-7483の軽鎖可変領域において、FR1領域中の5つのアミノ酸(D1S、I2Y、A13S,R19S、S21T)、FR2領域中の2つのアミノ酸(A42S、V45L)、およびFR3領域中の1つのアミノ酸(E80M)を生殖系列配列に戻した。軽鎖可変領域において変化させた8つのアミノ酸は、MOR-7483.1のもの(配列番号60)とMOR-7483のアミノ酸配列(配列番号56)を比較することによってわかる。
【0208】
さらに、MOR-7483.1(配列番号60)の軽鎖可変領域配列のL45を生殖系列V45にバック突然変異させて、MOR-7483.2(配列番号64)を産生することによって、MOR-7483の第三のバージョンを調製した。
【0209】
実施例6: 生殖系列化バージョンを含む抗体のin vitro特性
抗体の結合アフィニティ(BIAcoreアッセイ)
Biacore 3000装置(GE Healthcare)を用い、表面プラズモン共鳴(SPR)技術によって、ヒト4-1BBに結合する特定の抗体の結合動力学を測定した。配列番号68のアミノ酸24~186を含む組換えヒト4-1BB/Fcキメラタンパク質を、R&D Systems Inc.より購入した(#838-4B)。R&D Systemsによって提供される、予測された分子量(44.8kDa)に基づいて、80nMの最終濃度まで、150mM NaCl、25mM HEPES pH8.0、6mM MgCl、0.005%ポリソルベート20、および0.5mMアジ化ナトリウムを含有する緩衝液中に、凍結乾燥タンパク質を溶解した。3%因子Xa(100μg 4-1BBキメラあたり、3μgの因子Xa)との22℃で20時間のインキュベーションを用いて、150mM NaCl、25mM HEPES pH8.0、6mM MgCl、0.005%ポリソルベート20、0.5mMアジ化ナトリウム中、ウシ因子Xa(Pierce、#32521)で処理することによって、分子のFc部分を
切断した。分子の4-1BB部分は、ヒト4-1BBタンパク質のアミノ酸残基24から186を含む。150mM NaCl、25mM HEPES pH8.0、6mM MgCl、0.005%ポリソルベート20、および0.5mMアジ化ナトリウムを含む泳動緩衝液中、25℃で結合実験を行った。標準的アミンカップリングによって、10mM酢酸ナトリウムpH5.0中、抗体の0.1mg/mL溶液を用いて、抗体をCM5センサーチップ(GE Healthcare)に固定した。Biacore 3000装置のKinject機能を用いて、4-1BBを80nM~0.16nMの濃度範囲で、50μL/分の流速で3.6分間注入し、その後、26分間の解離期間が続いた。水中の10mMリン酸の1分間のパルスによって、結合した複合体を再生した。Scrubber2ソフトウェア(BioLogic Software)を用いて、データ分析を行った。センサーグラムを単純1:1ラングミュア結合モデルに適合させた。抗体は、可逆的に組換えヒト4-1BBに結合することが示された。結果(平均値)を表7に示す。
【0210】
4-1BBの細胞外ドメインへの結合(ELISAアッセイ)
0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有するダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)に、ヒト4-1BB IgG1Fcキメラ(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)を0.2mg/mlまで再懸濁し、そしてDPBSで0.03μg/mlの最終濃度まで希釈した。Nunc-Immuno Maxisorp 96ウェルプレートをウェルあたり0.1mlの組換え4-1BBキメラでコーティングし、非特異的結合対照のため、空のウェルを残して、そして4℃で一晩インキュベーションした。4-1BB溶液を取り除き、そしてプレートを0.2ml洗浄緩衝液(DPBS中の0.05%Tween-20)で3回洗浄した。0.2mlブロッキング緩衝液(DPBS中、5%BSA、0.05%Tween-20)をすべてのウェルに添加し、そして混合しながら4℃で1時間インキュベーションした。ブロッキング緩衝液を取り除き、そしてプレートを0.2ml洗浄緩衝液で3回洗浄した。4-1BB試験抗体の連続希釈をDPBS中で調製し、そしてウェルあたり0.1mlの希釈Abを添加した。プレートを室温で1.5時間インキュベーションした。抗体溶液を取り除き、そしてプレートをウェルあたり0.2mlの洗浄緩衝液で3回洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgG、F(ab’)2特異的F(ab’)2抗体(Jackson Immunoresearch #109-036-097、ペンシルバニア州ウェストグローブ)を、DPBSで1:5000に希釈し、そしてウェルあたり0.1ml添加した。プレートを室温で1時間インキュベーションし、そしてウェルあたり0.2mlの洗浄緩衝液で洗浄した。0.1mlのSureBlue TMBマイクロウェル・ペルオキシダーゼ基質(Kirkegaard & Perry Labs、メリーランド州ガイザーズバーグ)を添加し、そして室温で20分間インキュベーションした。等体積の2M HSOを添加することによって反応を停止し、そしてMolecular Devices Spectra Max 340(Molecular Devices、カリフォルニア州サニーベール)上、450nmで吸光度を読み取った。結果を表8に提示する。
【0211】
リガンド競合結合(ELISAアッセイ)
プレートに結合した組換え4-1BBリガンド(4-1BBL)へのヒト4-1BB_IgG1Fcキメラの結合を遮断する能力に関して、抗体を試験した。DPBS+0.1%ウシ血清アルブミン中、組換えヒト4-1BBリガンド(Biosource/Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)を0.2mg/mlまで再懸濁し、そして次いでDPBS中で1μg/mlまで希釈した。Nunc-Immuno Maxisorp表面96ウェルプレートを0.1ml/ウェルの4-1BBL溶液で、4℃で一晩コーティングした。翌日、4-1BBL溶液を取り除き、そして0.2mLブロッキング緩衝液(DPBS中、1%ウシ血清アルブミン、0.05%Tween-20)を添加し、そして室温で2時間インキュベーションした。ブロッキング工程中、抗体ストックを、DPBS中、8ng/mL~6μg/mLの範囲で希釈した。組換えヒト4-1BB
_IgG1Fc(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)を、DPBS+0.1%ウシ血清アルブミン中、0.2mg/mLに再懸濁し、そして次いで、DPBS中、0.02μg/mLに希釈した。ブロッキングした4-1BBLコーティングプレートを、0.2mL洗浄緩衝液(DPBS中の0.05%Tween20)で3回洗浄した。60μLの抗体希釈を60μL 4-1BB_IgG1Fcキメラと一緒に添加し、そして室温で1.5時間インキュベーションした。プレートを先に記載するように洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼ抗6xヒスチジンタグ抗体(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス #MAB050H)を、DPBS中、1:1000に希釈し、生じた溶液の50μLを洗浄したプレートのウェルに添加し、そして室温で1時間インキュベーションした。プレートを先に記載するように洗浄し、各ウェルに50μL TMB基質溶液を添加し、そして室温で20分間インキュベーションした。50μLの0.2N HSOで反応を停止し、そしてMolecular Devicesプレート読み取り装置を用いて、450nmの吸光度を読み取った。結果を表8に提示する。
【0212】
抗体の種交差反応性
植物性血球凝集素(PHA)で刺激したヒト、カニクイザル(cynomolgus monkey)(cyno)、イヌ、およびラットの初代末梢血単核細胞(PBMC)を用いて、例示的抗体の種交差反応性を測定した。以下に記載する方法にしたがって細胞を単離した。細胞(~5.0x10細胞/試験管)を冷たい洗浄緩衝液(PBS、2%FBSおよび0.02%アジ化ナトリウム)中で洗浄し、そして100μl/試験管のAlexa Fluor 647コンジュゲート化対照または4-1BB反応性抗体15.5μg/mL(100nM)を、標識種特異的T細胞マーカー抗体とともに各試料に添加した。利用したT細胞マーカー抗体は以下の通りである。FITC抗ヒトCD3e(BD Pharmingen、#555332)、FITC抗ラットCD3e(BD Pharmingen、#559975)、FITC抗ウサギCD4+FITC抗ウサギCD8(AbD Serotec、#MCA799Fおよび#MCA 1576F)、FITC抗イヌCD3e(AbD Serotec、#MCA1774F)、およびPerCP抗ヒト/cyno CD3e(BD Pharmingen、#552851)。細胞を暗所中、蛍光色素抗体とともに、氷上で30分間インキュベーションし、3回洗浄し、そして分析のため、0.3ml洗浄緩衝液中に再懸濁した。抗体染色を測定し、そしてBecton Dickinson FACS CaliburおよびFlowJo8.8.2ソフトウェアを用いて分析した。
【0213】
ヒトTリンパ球の単離。 ヒト全血を、1mL 0.5M EDTAを含有するシリンジ内に収集し、そして次いで、製造者に記載されるように、末梢血単核細胞(PBMC)の単離のため、Sigma Accuspin試験管(Sigma、ミズーリ州セントルイス)にトランスファーした。5mM EDTAを含有するDPBSでPBMCを2回洗浄し、そして製造者(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)に記載されるように、T細胞精製カラムを用いて、Tリンパ球を単離した。簡潔には、PBMCを2mLのカラム緩衝液中に再懸濁し、そしてあらかじめ洗浄したT細胞単離カラム内に装填した。PBMCを室温で10分間インキュベーションし、そしてT細胞をカラム緩衝液で溶出し、1回洗浄し、そして10%ウシ胎児血清(Sigma、ミズーリ州セントルイス)およびL-グルタミン(2mM)、Hepes(10mM)、ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)(Gibco、ニューヨーク州グランドアイランド)を補ったRPMI1640(Sigma、ミズーリ州セントルイス)からなるTCMに2x10細胞/mLで再懸濁した。
【0214】
カニクイザルPBMCの単離。 カニクイザル全血(Bioreclamation;ニューヨーク州ヒックスビル)をクエン酸ナトリウムCPTバキュテナー試験管(BD;ニュージャージー州フランクリンレークス)中に収集し、そして次いで、1500xg、
室温で20分間回転させた。試験管を4℃で一晩輸送した。PBMC分画をCPT試験管から収集し、そして5mM EDTAを含有するPBSで2回洗浄した。洗浄工程後、PBMCを計数し、そして組織培地(TCM)中、2x10細胞/mLに再調整した。TCMは、10%ウシ胎児血清(Sigma、ミズーリ州セントルイス)およびGibco(ニューヨーク州グランドアイランド)から購入したL-グルタミン(2mM)、HEPES(10mM)、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(50μg/mL)を補充したRPMI1640(Sigma、ミズーリ州セントルイス)からなった。細胞を10μg/mL PHAで2~3日間刺激して、4-1BBの発現を誘導した。
【0215】
イヌPBMCの単離。 イヌ全血をヘパリン処理バキュテナー試験管(BD;ニュージャージー州フランクリンレークス)中に抜き取り、そして5mM EDTAを含有するPBSで1:2に希釈した。混合後、4mLの希釈血液を3mL Lympholyte-哺乳動物(Cedarlane Laboratories、ニューヨーク州ウェストベリー)上に注意深く重層し、そして800xgで20分間、25℃で遠心分離した。PBMC界面を収集し、PBSで2回洗浄し、そしてPHAを10μg/mLで含有するTCM(Remel、カンザス州レネクサ)中、2x10細胞/mLに再懸濁した。フローサイトメトリーによって抗体結合に関して試験する前に、細胞を48~72時間培養した。
【0216】
ラットPBMCの単離。 ラット全血をヘパリン処理バキュテナー試験管(BD;ニュージャージー州フランクリンレークス)中に抜き取り、そして5mM EDTAを含有するPBSで1:3に希釈した。混合後、6mLの希釈血液を4.5mL Lympholyte-哺乳動物(Cedarlane Laboratories、ニューヨーク州ウェストベリー)上に注意深く重層し、そして800xgで20分間、25℃で遠心分離した。PBMC界面を収集し、PBSで2回洗浄し、そしてPHAを10μg/mLで含有するTCM(Remel、カンザス州レネクサ)中、2x10細胞/mLに再懸濁した。フローサイトメトリーによって抗体結合に関して試験する前に、細胞を48~72時間培養した。
【0217】
結合結果を図1に提供する。抗体は、ヒトおよびカニクイザル4-1BBに高アフィニティで結合することが見出された一方、イヌおよびラット4-1BBへの結合は、試験した最高濃度の100nMの濃度で観察されなかった。
【0218】
表7:IgG抗体の結合アフィニティ(Biacore)
【0219】
【表7】
【0220】
表8:ELISA結合およびリガンド競合値
【0221】
【表8】
【0222】
エピトープマッピング
4-1BBアゴニスト抗体のエピトープ結合領域を決定するため、ヒト4-1BB細胞外ドメインに対して、公表されたイヌ4-1BB配列(参照配列番号XM_845243)への一連の突然変異(表9)を作製した。
【0223】
表9. ヒト4-1BB細胞外ドメインの突然変異体
【0224】
【表9】
【0225】
すべてのヒトからイヌへの突然変異は、レトロウイルス発現ベクターpMSCVpuro(Clontech Laboratories、カリフォルニア州マウンテンビュー)中、Gene Dymanics LLC(オレゴン州ポートランド)によって調製された。さらに、全長イヌcDNA配列は、参照配列番号XM_845243に対応する遺伝子合成を通じて調製された。
【0226】
T-75フラスコ中、ほぼ40~50%集密293T細胞の一過性トランスフェクションによって、ウイルス調製を確立した。培養後、次いで、ウイルス上清を滅菌ろ過し、そして濃縮に供した。濃縮ウイルスを収集し、そして-80℃で保存した。
【0227】
完全DMEM中、8μg/mlポリブレンを加えた1:250希釈の濃縮ウイルスを用いて、対数的に増殖している300-19細胞にレトロウイルスを形質導入した。24時間インキュベーションした後、2μg/mlのピューロマイシンを培養に添加し、そして研究経過中、維持した。
【0228】
1:200希釈PE標識ロバ抗ヤギIgG(H+L)F(ab’)(Jackson
Immunoresearch)を加えた1μg/mlポリクローナルヤギ抗ヒト4-1BB抗体(R&D Systems Inc)で染色することによって、ピューロマイシン選択プールによる4-1BB受容体の陽性発現を確認した。試験抗体による突然変異体4-1BB受容体の認識を決定するため、ピューロマイシン選択プールを非標識一次抗体の100nM希釈で染色し、その後、FACS緩衝液で2回洗浄し、そして1:200希釈した種特異的PE標識ロバ抗IgG(H+L)F(ab’)を添加した。BD F
ACS CaliburおよびFlowJo8.8.6ソフトウェアを用いて細胞を分析した。
【0229】
各細胞プールの相対的染色を表10に要約する。
表10. 各細胞プールの相対的染色
【0230】
【表10】
【0231】
類似の配列を有する抗体(MOR-7480、MOR-7480.1、MOR-7480.2、MOR-7483、およびMOR-7483.1)間の結合の相違が、クローンN&E.5の突然変異内で発見され、これによって、抗体認識に関する決定要因は該突然変異領域内にあることが示唆された。
【0232】
ヒト4-1BB細胞外ドメインおよびヒト4-1BB細胞外ドメインの突然変異体、突然変異体N&E.5に対するこれらの抗体の相対的アフィニティを決定するため、各抗体に関して、用量反応FACS曲線を決定した。Alexa Fluor 647標識したMOR_7480、MOR_7480.1、およびMOR_7480.2を、FACS緩
衝液中、1μMから1:5希釈シリーズで8点、希釈し、そしてこれを用いて親300-19、hu4-1BB、hu4-1BB N&E.5、およびイヌ4-1BB細胞プールを染色した。BD FACS CaliburおよびFlowJo8.8.6ソフトウェアを用いて細胞を分析した。各受容体を発現しているプールの蛍光幾何平均を親細胞の染色に対して規準化し、そして倍染色として表し、そして用量反応に関するEC50を決定した。EC50要約を表11に示す。ヒト4-1BB突然変異体N&E.5に対するMOR_7480.2およびMOR_7480両方に対する結合の5倍より大きい減少が注目された。
【0233】
表11. 抗体の結合EC50(nM)
【0234】
【表11】
【0235】
抗体のアゴニスト活性(ルシフェラーゼ活性アッセイ)
安定に組み込まれたNFκBルシフェラーゼレポーターと一緒にヒト4-1BBを発現している293T細胞を調製した。細胞を採取し、洗浄し、そして0.6x10細胞/mLの密度で、フェノールレッド不含完全培地(10%ウシ胎児血清、HEPES緩衝液、非必須アミノ酸およびL-グルタミンを含有するDMEM)内に再懸濁した。50μlの細胞を、白色96ウェルプレート(PerkinElmer、マサチューセッツ州ウォルサム)の各アッセイウェル内にプレーティングした。2.5:1の比の架橋抗体Fab’ヤギ抗ヒトIgG Fc(Jackson ImmunoResearch、ペンシルバニア州ウェストグローブ)の存在下で、試験抗体を各ウェルに添加した。プレートを37℃で5時間インキュベーションした。75μlのBright-Gloルシフェラーゼ試薬(Promega、ウィスコンシン州マディソン)を添加し、そしてPackard
TopCount NXTシンチレーションカウンターを用いて、ルシフェラーゼ活性の量を測定した。
【0236】
ウイルス形質導入および2μg/mlピューロマイシンでの安定プールの選択によって、カニクイザル4-1BBを発現している293T細胞を調製した。cyno 4-1BBを発現している293T細胞を、ほぼ60~70%集密度まで、T-75フラスコ中にプレーティングし、次いで10μg pLuc_6xNFκBとトランスフェクション対照としての0.1μg pRL-CMVでトランスフェクションした。製造者の指示にしたがって、6μl Fugene対1μgプラスミドDNAの比で、Fugene 6トランスフェクション試薬(Roche Indhianapolis、インディアナ州)を用いて、トランスフェクションを行った。翌日、細胞を採取し、洗浄し、そして0.6x10細胞/mLの密度でフェノールレッド不含完全培地(10%ウシ胎児血清、非必須アミノ酸およびL-グルタミンを含有するDMEM)内に再懸濁した。50μlの細胞を、白色96ウェルプレート(PerkinElmer、マサチューセッツ州ウォルサム)の各アッセイウェル内にプレーティングした。2.5:1の比の架橋Fab’ヤギ抗ヒトIgG Fc抗体(Jackson ImmunoResearch、ペンシルバニア
州ウェストグローブ)の存在下で、試験抗体を各ウェルに添加した。プレートを37℃で5時間インキュベーションした。75μlのルシフェラーゼアッセイ試薬を添加し、そしてPackard TopCount NXTシンチレーションカウンターを用いて、ルシフェラーゼ活性の量を測定した。さらに、75μlのStop & Glo試薬を添加して、レニラ属(renilla)ルシフェラーゼ活性を評価した。Packard TopCount NXTシンチレーションカウンターを用いて、レニラ属ルシフェラーゼ活性を測定した。結果を図2に示す。
【0237】
抗体のアゴニスト活性(初代T細胞IL-2放出アッセイ)
Nunc Maxisorp 96ウェルプレートをプレートコーティングの前にUV滅菌した。試験抗体をPBS中で60μg/mlに希釈した。0.2mlの希釈Abをポリプロピレン96ウェルプレートの2つのウェルに分け、そして1:3で連続希釈した。50μlの希釈したAbを滅菌Maxisorp 96ウェルアッセイプレートに添加し、そして直ちに50μlの20μg/ml抗ヒトCD3εクローンUCHT1を添加した(Biolegend、カリフォルニア州サンディエゴ)。次いで、すべてのプレートを4℃で一晩インキュベーションした。翌日、Abコーティングしたプレートを、PBSで1回洗浄し、そして0.15ml RPMI完全培地をNunc Maxisorpプレートのウェルに添加した。先に本明細書の別の箇所に記載したようにヒトT細胞を単離し、そして50μlの精製T細胞を2x10細胞/ml(100,000細胞/ウェル)で各ウェルに添加した。細胞を37℃、5%COで3日間インキュベーションした。各ウェルからの上清を収集し、そして直接アッセイするかまたはアッセイ前に-20℃で保存した。IL-2 ELISAアッセイ(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)前に、完全培地で上清を希釈した。結果を図3に提示する。
【0238】
実施例7: 4-1BB抗体によってin vivoで誘導されるヒト白血球拡大
ネズミ4-1BBと4-1BB抗体の検出可能な交差反応性がなく、そしてヒト免疫細胞の存在が必要であったため、4-1BB抗体のin vivo機能評価のためのモデルを開発する必要があった。重症複合免疫不全(SCID)突然変異およびIL-2受容体共通ガンマ鎖(一般的にNSGと称される)不全を所持するNOD遺伝子バックグラウンドのマウスは、多数のヒト末梢血白血球(huPBL)の移植を支持し、そして少なくとも30日間移植を維持することが可能である(King, 2008, Clin. Immunol. 126:303-314)。huPBL-NSGモデルとしても知られるこのマウスモデルを用いて、ヒト免疫細胞に対する抗体のin vivo全身投与の機能的影響を評価した。具体的には、600万の新鮮に単離されたヒトPBMCを、静脈内注射を介して、NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtmlWjl/SzJ(NSG)宿主マウスに養子移入した。PBMC注射の9日後、動物に単回1mg/kg用量のMOR7480、MOR7480.1またはIgG2アイソタイプ対照抗体を、腹腔内注射によって投与した。PBMC移植の24~28日後、PBMCをヒトおよびネズミCD45に対する抗体で染色し、フローサイトメトリーを通じて評価した。前方および側方散乱プロファイルを用いて、リンパ球ゲートを決定した。図4に示すように、MOR7480およびMOR7480.1は、移植マウスの末梢血におけるヒトCD45+細胞の比率が増加していることによって明らかであるように、ヒト白血球の拡大を増進可能であった。各群に関して、n≧6マウスであった。
【0239】
さらに、カニクイザルをMOR7480.1で治療すると、PBMC試料中のセントラルメモリーT細胞(CD8 TCM)の増殖が増加した。カニクイザル(用量レベルあたり2匹の動物)に、示す用量で、MOR7480.1の単回静脈内注射を投与した。抗体投与の7日前(投与前)およびMOR7480.1投与(研究第1日)に対して示す研究日に、PBMCを採取した。CD3、CD4、CD8、CD28、CD95、およびKi-67に対する抗体でPBMCを染色し、そしてフローサイトメトリーを通じて分析した
。データをCanto II(Beckton Dickinson)上で収集し、そしてDIVAソフトウェア(Becton Dickinson)を用いて分析した。CD8セントラルメモリー細胞を、CD3+、CD8+、CD28+およびCD95+として同定した。(用量レベル-動物数)として指定された個々の動物に対してデータを示し、そして研究前の数に比較した、Ki-67+細胞数の動物内変化として表す{[(示す研究日のKi-67+細胞数-投与前のKi-67+細胞数)/投与前のKi-67+細胞数]*100}。図5に示すように、研究の最初の7~13日の間の増殖しているセントラルメモリーT細胞の1.5倍またはそれより多い増加が、0.3mg/kgまたはそれより多い用量で治療したすべての群の少なくとも1匹の動物で注目された。
【0240】
実施例8:4-1BB抗体の抗腫瘍活性(in vivoモデル)
PC3ヒト前立腺癌モデル
4-1BB抗体のげっ歯類交差反応性が欠けているため、抗体の抗ヒト腫瘍有効性の評価のために標準的ネズミ同系またはヒト異種移植片腫瘍モデルを使用することが出来なかった。したがって、ベージュ(Bg)突然変異を宿し、ネズミTおよびBリンパ球および機能するNK細胞を欠く、SCID-Bgマウス(CB.17/lcr.Cg PkrdcscidLystbg/Crl)を用いて、新規huPBL-SCID-Bg異種腫瘍マウスモデルを生成した。このモデルを用い、以下に記載するように、4-1BB抗体の抗ヒト腫瘍有効性を評価した。
【0241】
PC3ヒト前立腺またはLOVOヒト結腸細胞株をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションから得て、そして以下のInvitrogen補充物:L-グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、非必須アミノ酸、ペニシリン/ストレプトマイシン、Hepes、および10%熱不活化ウシ胎児血清(FBS;カタログ番号F2442、Sigma Aldrich)で強化したRPMI-1640(Invitrogen)中で培養した。細胞をT-225 Falconフラスコ中、集密まで増殖させた。続いて、細胞をトリプシン処理し(トリプシン0.25%-EDTA;カタログ番号2500-056、Invitrogen)、そしてHyperflasks(カタログ番号3319、Corning Life Sciences)で3日間スケールアップした。トリプシンを用いて、細胞株を採取し、10%FBSを補充した氷冷PRMI中で、これを3回洗浄した。300mlを超えない末梢血を、健康な志願者から収集した。製造者のプロトコルにしたがって、Accuspin試験管(カタログ番号A0561-100x 15 ml、Aldrich)を用いて、ヘパリン処理血から末梢血リンパ球(PBMC)を単離した。各マウスが、PBS中、0.2mLの単回ボーラス注射中で、1.5x10 PBMCおよび3x10腫瘍細胞の注射を受けるように、計数した細胞懸濁物を合わせた。合わせた細胞懸濁物を冷PBSで2回洗浄し、氷上に置き、そして準備したマウスに直ちに注射した。
【0242】
各マウスに関して、0.2mL体積の合わせた細胞懸濁物を動物の右脇腹に皮下注射し、そして左脇腹への皮下注射によって、4-1BB抗体または対照抗体の単回用量(0.2mL)を投与した。Pressierノギスで、実験期間中、週2回、腫瘍測定を行い、そして体重もまた記録した。以下の計算を用いて、腫瘍体積を計算した:長さx幅x0.44=体積(mm)。実験終了前に、腫瘍体積が2000mmに達するか、または動物が体重の20%を失った場合、マウスを研究から除いた。第23日、IACUCに概略される方法にしたがってすべての群のマウスを安楽死させた(図6)。研究最終日に腫瘍増殖阻害パーセントを測定し、そして100-{1-(治療最終日/対照最終日)}として計算した。注射6日後に腫瘍を測定した際、同様の結果が観察され、そして腫瘍体積にしたがって動物をランダム化し、そして移植7日後に単回の4-1BB mAb用量を投与した。大部分の研究に関して、各群は8匹のマウスを含有した。
【0243】
実施例9:ヒト4-1BBノックインマウスにおける、4-1BB抗体活性のin vivo評価
ヒト4-1BBノックインマウスの生成
ネズミ4-1BBと交差反応しない抗ヒト4-1BBモノクローナル抗体の免疫調節活性によりよく取り組むため、マウス4-1BB遺伝子をヒト4-1BB遺伝子で置換したマウスモデルを生成した。ヒトまたはネズミ4-1BBゲノム断片を所持する細菌人工染色体(BAC)クローンをInvitrogen(カリフォルニア州カールスバッド)から注文し、そしてRed/ET組換え技術(Zhang, 1998, Nat Genet 20:123-128)に基づいて、4-1BBターゲティングベクターを構築した。まず、Xba1消化によって開いた際、2つのネズミ/ヒトキメラ相同性アーム(各400bp)が、エクソン2に位置する翻訳開始コドンATGで始まり、そしてエクソン8の停止コドンTGAで終わるヒト4-1BBゲノム配列の19,994bpを、ヒト4-1BB BACクローンから回収するように、pBR322バックボーン上で回収ベクターを組立てた。次に、PGK/EM7プロモーター調節下にあるネオマイシン発現カセットを組立て、そしてヒト4-1BB遺伝子のイントロン2配列に相同な配列の100塩基対(bp)を隣接させた。次いで、このネオマイシン発現カセットを、工程1で得た回収ヒト4-1BBゲノム断片内にターゲティングした。最後に、ネオマイシン発現カセットを所持する、回収されたヒト4-1BBゲノム断片を、ネズミBACクローン内にターゲティングして、ネズミ4-1BB遺伝子を、ATG開始コドンからTGA停止コドンまでの修飾ヒト4-1BBゲノム断片で置き換えた。
【0244】
標準的プロトコルにしたがって、このBACターゲティングベクターをC57BL/6NTACバックグラウンドのマウス胚性幹細胞株(PRX-BL6N #1、Primogenix、ミズーリ州ローリー)にエレクトロポレーションし、そしてG418(ジェネティシンとしても知られる)選択を生き延びたクローンを、ネズミ4-1BB遺伝子のイントロン2およびエクソン8に対する2つのTaqmanアッセイによってスクリーニングして、相同組換え機構によってネズミ4-1BB遺伝子座で修飾されているクローンを同定した。スクリーニングした116のESクローンのうち、7つのクローンがネズミ4-1BB遺伝子座の1つのアレルを失っていることが見出された(ターゲティング効率6%)。核型分析およびin situハイブリダイゼーション(FISH)をCoriell Institute for Medical Research(ニュージャージー州カムデン)によって行った。クローンLH15に関しては、20のうち19が40 XYであり、そしてLH80に関しては、20細胞のうち20が40XYであった。どちらのクローンにおいても、プローブとして4-1BB遺伝子を所持するネズミBACクローンを用いたFISHによって、バンドE2領域において、第4染色体対の各々に対して、4-1BBハイブリダイゼーションの1つのシグナルが示された。他のいかなる位置にもシグナルは見られなかった。
【0245】
両クローンLH15およびLH80をBALB/c株の胚盤胞内に注入し、そして胚をCD1偽妊娠雌マウス内に移植して、出産させた。雄キメラをC57BL/6バックグラウンドのElla-creマウスに交配させて、ネオマイシン耐性カセットを除去し、そしてヒト4-1BB遺伝子に関してホモ接合性であるマウスを研究に用いた。
【0246】
4-1BBアゴニストmAbが仲介するリンパ球増殖
4-1BBアゴニストmAbがリンパ球増殖を誘導する能力を4-1BBノックインマウスで評価した。研究第0日、4-1BBノックインマウスに、腹腔内注射によって、30mg/kgのMOR7480.1を投与した(毎週の投薬に関しては、第0日および第7日に、動物に4-1BB mAbを注射した)。試料収集の24時間前、2mg BrdUを腹腔内注射した。投薬後の示す日に、心臓内穿刺によって末梢血試料を収集した。PBMCを、CD3、CD4、CD8、およびBrdUに対する抗体で染色し、そしてフ
ローサイトメトリーによって評価した。結果を図7パネルAに提示する。
【0247】
4-1BBアゴニストmAbが仲介する抗腫瘍有効性
オボアルブミン(OVA)モデル抗原およびルシフェラーゼ(luc)を発現するように操作されている黒色腫株B16-OVA/lucを用いて、4-1BBノックインマウスにおけるMOR7480.1の抗腫瘍有効性を評価した。100万の腫瘍細胞を4-1BBノックインマウスの脇腹に移植した。腫瘍が50~100mmに達した際(一般的に、腫瘍接種から7~10日後)、腫瘍サイズに基づいて動物をランダム化し、そして4-1BB mAbの示す用量の単回注射を投与した。研究終了まで、週3回、ノギス測定を用いて腫瘍サイズを評価した。結果を図7パネルBに提示する。
【0248】
配列表
配列番号1: MOR-6032抗体のH-CDR1
NSYAIS

配列番号2: MOR-6032抗体のH-CDR2
GIIPGFGTANYAQKFQG

配列番号3: MOR-6032抗体のH-CDR3
RKNEEDGGFDH

配列番号4: MOR-6032抗体のVHのアミノ酸配列
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFNSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPGFGTANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARKNEEDGGFDHWGQGTLVTVSS

配列番号5: MOR-6032抗体の全長重鎖(IgG2)のアミノ酸配列
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFNSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPGFGTANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARKNEEDGGFDHWGQGTLVTVSSastkgpsvfplapcsrstsestaalgclvkdyfpepvtvswnsgaltsgvhtfpavlqssglyslssvvtvpssnfgtqtytcnvdhkpsntkvdktverkccvecppcpappvagpsvflfppkpkdtlmisrtpevtcvvvdvshedpevqfnwyvdgvevhnaktkpreeqfnstfrvvsvltvvhqdwlngkeykckvsnkglpapiektisktkgqprepqvytlppsreemtknqvsltclvkgfypsdiavewesngqpennykttppmldsdgsfflyskltvdksrwqqgnvfscsvmhealhnhytqkslslspgk

配列番号6: MOR-6032抗体のL-CDR1
SGDNLGDYYAS

配列番号7: MOR-6032抗体のL-CDR2
DDSNRPS

配列番号8: MOR-6032抗体のL-CDR3
QTWDGTLHFV

配列番号9: MOR-6032抗体のVLのアミノ酸配列
DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNLGDYYASWYQQKPGQAPVLVIYDDSNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCQTWDGTLHFVFGGGTKLTVL

配列番号10: MOR-6032抗体の全長軽鎖のアミノ酸配列
DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNLGDYYASWYQQKPGQAPVLVIYDDSNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCQTWDGTLHFVFGGGTKLTVLgqpkaapsvtlfppsseelqankatlvclisdfypgavtvawkadsspvkagvetttpskqsnnkyaassylsltpeqwkshrsyscqvthegstvektvaptecs

配列番号11: MOR-6032抗体のVHの核酸配列
Caggtgcaattggttcagtctggcgcggaagtgaaaaaaccgggcagcagcgtgaaagtgagctgcaaagcctccggaggcacttttaattcttatgctatttcttgggtgcgccaagcccctgggcagggtctcgagtggatgggcggtatcattccgggttttggcactgcgaattacgcgcagaagtttcagggccgggtgaccattaccgcggatgaaagcaccagcaccgcgtatatggaactgagcagcctgcgtagcgaagatacggccgtgtattattgcgcgcgtaagaatgaggaggatggtggttttgatcattggggccaaggcaccctggtgacggttagctca

配列番号12: MOR-6032抗体のVLの核酸配列
Gatatcgaactgacccagccgccttcagtgagcgttgcaccaggtcagaccgcgcgtatctcgtgtagcggcgataatcttggtgattattatgcttcttggtaccagcagaaacccgggcaggcgccagttcttgtgatttatgatgattctaatcgtccctcaggcatcccggaacgctttagcggatccaacagcggcaacaccgcgaccctgaccattagcggcactcaggcggaagacgaagcggattattattgccagacttgggatggtactcttcattttgtgtttggcggcggcacgaagttaaccgttctt

配列番号13: MOR-6032抗体の全長重鎖の核酸配列
caggtgcaattggttcagtctggcgcggaagtgaaaaaaccgggcagcagcgtgaaagtgagctgcaaagcctccggaggcacttttaattcttatgctatttcttgggtgcgccaagcccctgggcagggtctcgagtggatgggcggtatcattccgggttttggcactgcgaattacgcgcagaagtttcagggccgggtgaccattaccgcggatgaaagcaccagcaccgcgtatatggaactgagcagcctgcgtagcgaagatacggccgtgtattattgcgcgcgtaagaatgaggaggatggtggttttgatcattggggccaaggcaccctggtgacggttagctcagcctccaccaagggcccatcggtcttccccctggcgccctgctccaggagcacctccgagagcacagcggccctgggctgcctggtcaaggactacttccccgaaccggtgacggtgtcgtggaactcaggcgctctgaccagcggcgtgcacaccttcccggctgtcctacagtcctcaggactctactccctcagcagcgtagtgaccgtgccctccagcaacttcggcacccagacctacacctgcaacgtagatcacaagcccagcaacaccaaggtggacaagacagttgagcgcaaatgttgtgtcgagtgcccaccgtgcccagcaccacctgtggcaggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacgtgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccccgaggtccagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccacgggaggagcagttcaacagcacgttccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcgtgcaccaggactggctgaacggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaaggcctcccagcccccatcgagaaaaccatctccaaaaccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtacaccctgcccccatcccgggaggagatgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctaccccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacacctcccatgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacacagaagagcctctccctgtctccgggtaaa

配列番号14: MOR-6032抗体の全長軽鎖の核酸配列
Gatatcgaactgacccagccgccttcagtgagcgttgcaccaggtcagaccgcgcgtatctcgtgtagcggcgataatcttggtgattattatgcttcttggtaccagcagaaacccgggcaggcgccagttcttgtgatttatgatgattctaatcgtccctcaggcatcccggaacgctttagcggatccaacagcggcaacaccgcgaccctgaccattagcggcactcaggcggaagacgaagcggattattattgccagacttgggatggtactcttcattttgtgtttggcggcggcacgaagttaaccgttcttggtcagcccaaggctgccccctcggtcactctgttcccaccctcctctgaggagcttcaagccaacaaggccacactggtgtgtctcataagtgacttctacccgggagccgtgacagtggcctggaaggcagatagcagccccgtcaaggcgggagtggagaccaccacaccctccaaacaaagcaacaacaagtacgcggccagcagctacctgagcctgacgcctgagcagtggaagtcccacagaagctacagctgccaggtcacgcatgaagggagcaccgtggagaagacagtggcccctacagaatgttca

配列番号15: MOR-7361抗体のH-CDR1
SDYYMH

配列番号16: MOR-7361抗体のH-CDR2
VISGSGSNTYYADSVKG

配列番号17: MOR-7361抗体のH-CDR3
RLYAQFEGDF

配列番号18: MOR-7361抗体のVHのアミノ酸配列
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDYYMHWVRQAPGKGLEWVSVISGSGSNTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARLYAQFEGDFWGQGTLVTVSS

配列番号19: MOR-7361抗体の全長重鎖 (IgG2)のアミノ酸配列
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDYYMHWVRQAPGKGLEWVSVISGSGSNTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARLYAQFEGDFWGQGTLVTVSSastkgpsvfplapcsrstsestaalgclvkdyfpepvtvswnsgaltsgvhtfpavlqssglyslssvvtvpssnfgtqtytcnvdhkpsntkvdktverkccvecppcpappvagpsvflfppkpkdtlmisrtpevtcvvvdvshedpevqfnwyvdgvevhnaktkpreeqfnstfrvvsvltvvhqdwlngkeykckvsnkglpapiektisktkgqprepqvytlppsreemtknqvsltclvkgfypsdiavewesngqpennykttppmldsdgsfflyskltvdksrwqqgnvfscsvmhealhnhytqkslslspgk

配列番号20: MOR-7361抗体のL-CDR1
SGDNIGSKYVS

配列番号21: MOR-7361抗体のL-CDR2
SDSERPS

配列番号22: MOR-7361抗体のL-CDR3
QSWDGSISRV

配列番号23: MOR-7361抗体のVLのアミノ酸配列
DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNIGSKYVSWYQQKPGQAPVLVIYSDSERPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCQSWDGSISRVFGGGTKLTVL

配列番号24: MOR-7361抗体の全長軽鎖のアミノ酸配列
DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNIGSKYVSWYQQKPGQAPVLVIYSDSERPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCQSWDGSISRVFGGGTKLTVLgqpkaapsvtlfppsseelqankatlvclisdfypgavtvawkadsspvkagvetttpskqsnnkyaassylsltpeqwkshrsyscqvthegstvektvaptecs

配列番号25: MOR-7361抗体のVHの核酸配列
caggtgcaattggtggaaagcggcggcggcctggtgcaaccgggcggcagcctgcgtctgagctgcgcggcctccggatttaccttttctgattattatatgcattgggtgcgccaagcccctgggaagggtctcgagtgggtgagcgttatctctggttctggtagcaatacctattatgcggatagcgtgaaaggccgttttaccatttcacgtgataattcgaaaaacaccctgtatctgcaaatgaacagcctgcgtgcggaagatacggccgtgtattattgcgcgcgtctttatgctcagtttgagggtgatttttggggccaaggcaccctggtgacggttagctca

配列番号26: MOR-7361抗体のVLの核酸配列
gatatcgaactgacccagccgccttcagtgagcgttgcaccaggtcagaccgcgcgtatctcgtgtagcggcgataatattggttctaagtatgtttcttggtaccagcagaaacccgggcaggcgccagttcttgtgatttattctgattctgagcgtccctcaggcatcccggaacgctttagcggatccaacagcggcaacaccgcgaccctgaccattagcggcactcaggcggaagacgaagcggattattattgccagtcttgggatggttctatttctcgtgtgtttggcggcggcacgaagttaaccgtcctaggtcag

配列番号27: MOR-7361抗体の全長重鎖の核酸配列
caggtgcaattggtggaaagcggcggcggcctggtgcaaccgggcggcagcctgcgtctgagctgcgcggcctccggatttaccttttctgattattatatgcattgggtgcgccaagcccctgggaagggtctcgagtgggtgagcgttatctctggtt
ctggtagcaatacctattatgcggatagcgtgaaaggccgttttaccatttcacgtgataattcgaaaaacaccctgtatctgcaaatgaacagcctgcgtgcggaagatacggccgtgtattattgcgcgcgtctttatgctcagtttgagggtgatttttggggccaaggcaccctggtgacggttagctcagcctccaccaagggcccatcggtcttccccctggcgccctgctccaggagcacctccgagagcacagcggccctgggctgcctggtcaaggactacttccccgaaccggtgacggtgtcgtggaactcaggcgctctgaccagcggcgtgcacaccttcccggctgtcctacagtcctcaggactctactccctcagcagcgtagtgaccgtgccctccagcaacttcggcacccagacctacacctgcaacgtagatcacaagcccagcaacaccaaggtggacaagacagttgagcgcaaatgttgtgtcgagtgcccaccgtgcccagcaccacctgtggcaggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacgtgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccccgaggtccagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccacgggaggagcagttcaacagcacgttccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcgtgcaccaggactggctgaacggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaaggcctcccagcccccatcgagaaaaccatctccaaaaccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtacaccctgcccccatcccgggaggagatgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctaccccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacacctcccatgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacacagaagagcctctccctgtctccgggtaaa

配列番号28: MOR-7361抗体の全長軽鎖の核酸配列
gatatcgaactgacccagccgccttcagtgagcgttgcaccaggtcagaccgcgcgtatctcgtgtagcggcgataatattggttctaagtatgtttcttggtaccagcagaaacccgggcaggcgccagttcttgtgatttattctgattctgagcgtccctcaggcatcccggaacgctttagcggatccaacagcggcaacaccgcgaccctgaccattagcggcactcaggcggaagacgaagcggattattattgccagtcttgggatggttctatttctcgtgtgtttggcggcggcacgaagttaaccgtcctaggtcag

配列番号29: MOR-7480; MOR-7480.1; MOR 7480.2; MOR-7483; MOR-7483.1; MOR-7483.2抗体のH-CDR1
STYWIS

配列番号30: MOR-7480; MOR-7480.1; MOR 7480.2; MOR-7483; MOR-7483.1; MOR-7483.2抗体のH-CDR2
KIYPGDSYTNYSPSFQG

配列番号31: MOR-7480; MOR-7480.1; MOR 7480.2; MOR-7483; MOR-7483.1; MOR-7483.2抗体のH-CDR3
RGYGIFDY

配列番号32: MOR-7480; MOR 7483抗体のVHのアミノ酸配列
QVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFSTYWISWVRQMPGKGLEWMGKIYPGDSYTNYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARGYGIFDYWGQGTLVTVSS

配列番号33: MOR-7480; MOR 7483抗体の全長重鎖 (IgG2)アミノ酸配列
QVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFSTYWISWVRQMPGKGLEWMGKIYPGDSYTNYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARGYGIFDYWGQGTLVTVSSastkgpsvfplapcsrstsestaalgclvkdyfpepvtvswnsgaltsgvhtfpavlqssglyslssvvtvpssnfgtqtytcnvdhkpsntkvdktverkccvecppcpappvagpsvflfppkpkdtlmisrtpevtcvvvdvshedpevqfnwyvdgvevhnaktkpreeqfnstfrvvsvltvvhqdwlngkeykckvsnkglpapiektisktkgqprepqvytlppsreemtknqvsltclvkgfypsdiavewesngqpennykttppmldsdgsfflyskltvdksrwqqgnvfscsvmhealhnhytqkslslspgk

配列番号34: MOR-7480; MOR-7480.1; MOR 7480.2; MOR-7483; MOR-7483.1; MOR-7483.2抗体のL-CDR1
SGDNIGDQYAH

配列番号35: MOR-7480; MOR-7480.1; MOR 7480.2; MOR-7483; MOR-7483.1; MOR-7483.2抗体のL-CDR2
QDKNRPS

配列番号36: MOR-7480; MOR-7480.1; MOR 7480.2抗体のL-CDR3
ATYTGFGSLAV

配列番号37: MOR-7480抗体のVLのアミノ酸配列
DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNIGDQYAHWYQQKPGQAPVVVIYQDKNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCATYTGFGSLAVFGGGTKLTVL

配列番号38: MOR-7480抗体の全長軽鎖のアミノ酸配列
DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNIGDQYAHWYQQKPGQAPVVVIYQDKNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCATYTGFGSLAVFGGGTKLTVLgqpkaapsvtlfppsseelqankatlvclisdfypgavtvawkadsspvkagvetttpskqsnnkyaassylsltpeqwkshrsyscqvthegstvektvaptecs

配列番号39: MOR-7480; MOR-7483抗体のVHの核酸配列
caggtgcaattggttcagagcggcgcggaagtgaaaaaaccgggcgaaagcctgaaaattagctgcaaaggttccggatattccttttctacttattggatttcttgggtgcgccagatgcctgggaagggtctcgagtggatgggcaagatctatccgggtgatagctataccaattattctccgagctttcagggccaggtgactattagcgcggataaaagcattagcaccgcgtatcttcaatggagcagcctgaaagcgagcgatacggccatgtattattgtgcgcgtggttatggtatttttgattattggggccaaggcaccctggtcaccgtctcctca

配列番号40: MOR-7480抗体のVLの核酸配列
Gatatcgaactgacccagccgccttcagtgagcgttgcaccaggtcagaccgcgcgtatctcgtgtagcggcgataatattggtgatcagtatgctcattggtaccagcagaaacccgggcaggcgccagttgttgtgatttatcaggataagaatcgtccctcaggcatcccggaacgctttagcggatccaacagcggcaacaccgcgaccctgaccattagcggcactcaggcggaagacgaagcggattattattgcgctacttatactggttttggttctcttgctgtgtttggcggcggcacgaagttaaccgtccta

配列番号41: MOR-7480; MOR-7483抗体の全長重鎖 (IgG2)の核酸配列
caggtgcaattggttcagagcggcgcggaagtgaaaaaaccgggcgaaagcctgaaaattagctgcaaaggttccggatattccttttctacttattggatttcttgggtgcgccagatgcctgggaagggtctcgagtggatgggcaagatctatccgggtgatagctataccaattattctccgagctttcagggccaggtgactattagcgcggataaaagcattagcaccgcgtatcttcaatggagcagcctgaaagcgagcgatacggccatgtattattgtgcgcgtggttatggtatttttgattattggggccaaggcaccctggtcaccgtctcctcagcctccaccaagggcccatcggtcttccccctggcgccctgctccaggagcacctccgagagcacagcggccctgggctgcctggtcaaggactacttccccgaaccggtgacggtgtcgtggaactcaggcgctctgaccagcggcgtgcacaccttcccggctgtcctacagtcctcaggactctactccctcagcagcgtagtgaccgtgccctccagcaacttcggcacccagacctacacctgcaacgtagatcacaagcccagcaacaccaaggtggacaagacagttgagcgcaaatgttgtgtcgagtgcccaccgtgcccagcaccacctgtggcaggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacgtgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccccgaggtccagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccacgggaggagcagttcaacagcacgttccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcgtgcaccaggactggctgaacggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaaggcctcccagcccccatcgagaaaaccatctccaaaaccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtacaccctgcccccatcccgggaggagatgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctaccccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacacctcccatgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacacagaagagcctctccctgtctccgggtaaa

配列番号42: MOR-7480抗体の全長軽鎖の核酸配列
gatatcgaactgacccagccgccttcagtgagcgttgcaccaggtcagaccgcgcgtatctcgtgtagcggcgataatattggtgatcagtatgctcattggtaccagcagaaacccgggcaggcgccagttgttgtgatttatcaggataagaatcgtccctcaggcatcccggaacgctttagcggatccaacagcggcaacaccgcgaccctgaccattagcggcactcaggcggaagacgaagcggattattattgcgctacttatactggttttggttctcttgctgtgtttggcggcggcacgaagttaaccgtccta

配列番号43: MOR-7480.1; MOR-7480.2; MOR-7483.1; MOR-7483.2抗体のVHのアミノ酸配列EVQLVQSGAEVKKPGESLRISCKGSGYSFSTYWISWVRQMPGKGLEWMGKIYPGDSYTNYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARGYGIFDYWGQGTLVTVSS

配列番号44: MOR-7480.1; MOR-7480.2; MOR-7483.1; MOR-7483.2抗体の全長重鎖 (IgG2)
のアミノ酸配列
evqlvqsgaevkkpgeslrisckgsgysfstywiswvrqmpgkglewmgkiypgdsytnyspsfqgqvtisadksistaylqwsslkasdtamyycargygifdywgqgtlvtvssastkgpsvfplapcsrstsestaalgclvkdyfpepvtvswnsgaltsgvhtfpavlqssglyslssvvtvpssnfgtqtytcnvdhkpsntkvdktverkccvecppcpappvagpsvflfppkpkdtlmisrtpevtcvvvdvshedpevqfnwyvdgvevhnaktkpreeqfnstfrvvsvltvvhqdwlngkeykckvsnkglpapiektisktkgqprepqvytlppsreemtknqvsltclvkgfypsdiavewesngqpennykttppmldsdgsfflyskltvdksrwqqgnvfscsvmhealhnhytqkslslspgk

配列番号45: MOR-7480.1抗体のVLのアミノ酸配列
SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDNIGDQYAHWYQQKPGQSPVLVIYQDKNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCATYTGFGSLAVFGGGTKLTVL

配列番号46: MOR-7480.1抗体の全長軽鎖のアミノ酸配列
SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDNIGDQYAHWYQQKPGQSPVLVIYQDKNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCATYTGFGSLAVFGGGTKLTVLgqpkaapsvtlfppsseelqankatlvclisdfypgavtvawkadsspvkagvetttpskqsnnkyaassylsltpeqwkshrsyscqvthegstvektvaptecs

配列番号47: MOR-7480.1; MOR-7480.2; MOR-7483.1; MOR-7483.2抗体のVHの核酸配列
gaggtgcaattggttcagagcggcgcggaagtgaaaaaaccgggcgaaagcctgaggattagctgcaaaggttccggatattccttttctacttattggatttcttgggtgcgccagatgcctgggaagggtctcgagtggatgggcaagatctatccgggtgatagctataccaattattctccgagctttcagggccaggtgactattagcgcggataaaagcattagcaccgcgtatcttcaatggagcagcctgaaagcgagcgatacggccatgtattattgtgcgcgtggttatggtatttttgattattggggccaaggcaccctggtcaccgtctcctca

配列番号48: MOR-7480.1抗体のVLの核酸配列
agctacgagctgacccagccccccagcgtgtccgtgagccctggccagaccgccagcatcacctgcagcggcgacaacatcggcgaccagtacgcccactggtatcagcagaagcccggccagagccccgtgctggtgatctaccaggacaagaaccggcccagcggcatccccgagcggttcagcggcagcaacagcggcaacaccgccaccctgaccatcagcggcacccaggccatggacgaggccgactactactgcgccacctacaccggcttcggcagcctggccgtgttcggcggagggaccaagctgaccgtccta

配列番号49: MOR-7480.1; MOR-7480.2; MOR-7483.1; MOR-7483.2抗体の全長重鎖 (IgG2)
の核酸配列
gaggtgcaattggttcagagcggcgcggaagtgaaaaaaccgggcgaaagcctgaggattagctgcaaaggttccggatattccttttctacttattggatttcttgggtgcgccagatgcctgggaagggtctcgagtggatgggcaagatctatccgggtgatagctataccaattattctccgagctttcagggccaggtgactattagcgcggataaaagcattagcaccgcgtatcttcaatggagcagcctgaaagcgagcgatacggccatgtattattgtgcgcgtggttatggtatttttgattattggggccaaggcaccctggtcaccgtctcctcagcctccaccaagggcccatcggtcttccccctggcgccctgctccaggagca
cctccgagagcacagcggccctgggctgcctggtcaaggactacttccccgaaccggtgacggtgtcgtggaactcaggcgctctgaccagcggcgtgcacaccttcccggctgtcctacagtcctcaggactctactccctcagcagcgtagtgaccgtgccctccagcaacttcggcacccagacctacacctgcaacgtagatcacaagcccagcaacaccaaggtggacaagacagttgagcgcaaatgttgtgtcgagtgcccaccgtgcccagcaccacctgtggcaggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacgtgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccccgaggtccagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccacgggaggagcagttcaacagcacgttccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcgtgcaccaggactggctgaacggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaaggcctcccagcccccatcgagaaaaccatctccaaaaccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtacaccctgcccccatcccgggaggagatgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctaccccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacacctcccatgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacacagaagagcctctccctgtctccgggtaaa

配列番号50: MOR-7480.1抗体の全長軽鎖の核酸配列
agctacgagctgacccagccccccagcgtgtccgtgagccctggccagaccgccagcatcacctgcagcggcgacaacatcggcgaccagtacgcccactggtatcagcagaagcccggccagagccccgtgctggtgatctaccaggacaagaaccggcccagcggcatccccgagcggttcagcggcagcaacagcggcaacaccgccaccctgaccatcagcggcacccaggccatggacgaggccgactactactgcgccacctacaccggcttcggcagcctggccgtgttcggcggagggaccaagctgaccgtcctaggtcagcccaaggctgccccctcggtcactctgttcccaccctcctctgaggagcttcaagccaacaaggccacactggtgtgtctcataagtgacttctacccgggagccgtgacagtggcctggaaggcagatagcagccccgtcaaggcgggagtggagaccaccacaccctccaaacaaagcaacaacaagtacgcggccagcagctacctgagcctgacgcctgagcagtggaagtcccacagaagctacagctgccaggtcacgcatgaagggagcaccgtggagaagacagtggcccctacagaatgttca

配列番号51: MOR-7480.2抗体のVLのアミノ酸配列
SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDNIGDQYAHWYQQKPGQSPVVVIYQDKNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCATYTGFGSLAVFGGGTKLTVL

配列番号52: MOR-7480.2抗体の全長軽鎖のアミノ酸配列
SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDNIGDQYAHWYQQKPGQSPVVVIYQDKNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCATYTGFGSLAVFGGGTKLTVLgqpkaapsvtlfppsseelqankatlvclisdfypgavtvawkadsspvkagvetttpskqsnnkyaassylsltpeqwkshrsyscqvthegstvektvaptecs

配列番号53: MOR-7480.2抗体のVLの核酸配列
agctacgagctgacccagccccccagcgtgtccgtgagccctggccagaccgccagcatcacctgcagcggcgacaacatcggcgaccagtacgcccactggtatcagcagaagcccggccagagccccgtggtggtgatctaccaggacaagaaccggcccagcggcatccccgagcggttcagcggcagcaacagcggcaacaccgccaccctgaccatcagcggcacccaggccatggacgaggccgactactactgcgccacctacaccggcttcggcagcctggccgtgttcggcggagggaccaagctgaccgtccta

配列番号54: MOR-7480.2抗体の全長軽鎖の核酸配列
agctacgagctgacccagccccccagcgtgtccgtgagccctggccagaccgccagcatcacctgcagcggcgacaacatcggcgaccagtacgcccactggtatcagcagaagcccggccagagccccgtggtggtgatctaccaggacaagaaccggcccagcggcatccccgagcggttcagcggcagcaacagcggcaacaccgccaccctgaccatcagcggcacccaggccatggacgaggccgactactactgcgccacctacaccggcttcggcagcctggccgtgttcggcggagggaccaagctgaccgtcctaggtcagcccaaggctgccccctcggtcactctgttcccaccctcctctgaggagcttcaagccaacaaggccacactggtgtgtctcataagtgacttctacccgggagccgtgacagtggcctggaaggcagatagcagccccgtcaaggcgggagtggagaccaccacaccctccaaacaaagcaacaacaagtacgcggccagcagctacctgagcctgacgcctgagcagtggaagtcccacagaagctacagctgccaggtcacgcatgaagggagcaccgtggagaagacagtggcccctacagaatgttca

配列番号55: MOR-7483; MOR-7483.1; MOR-7483.2抗体のL-CDR3
STYTFVGFTTV

配列番号56: MOR-7483抗体のVLのアミノ酸配列
DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNIGDQYAHWYQQKPGQAPVVVIYQDKNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCSTYTFVGFTTVFGGGTKLTVL

配列番号57: MOR-7483抗体の全長軽鎖のアミノ酸配列
DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNIGDQYAHWYQQKPGQAPVVVIYQDKNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCSTYTFVGFTTVFGGGTKLTVLgqpkaapsvtlfppsseelqankatlvclisdfypgavtvawkadsspvkagvetttpskqsnnkyaassylsltpeqwkshrsyscqvthegstvektvaptecs

配列番号58: MOR-7483抗体のVLの核酸配列
Gatatcgaactgacccagccgccttcagtgagcgttgcaccaggtcagaccgcgcgtatctcgtgtagcggcgataatattggtgatcagtatgctcattggtaccagcagaaacccgggcaggcgccagttgttgtgatttatcaggataagaatcgtccctcaggcatcccggaacgctttagcggatccaacagcggcaacaccgcgaccctgaccattagcggcactcaggcggaagacgaagcggattattattgctctacttatacttttgttggttttactactgtgtttggcggcggcacgaagttaaccgtccta

配列番号59: MOR-7483抗体の全長軽鎖の核酸配列
Gatatcgaactgacccagccgccttcagtgagcgttgcaccaggtcagaccgcgcgtatctcgtgtagcggcgataatattggtgatcagtatgctcattggtaccagcagaaacccgggcaggcgccagttgttgtgatttatcaggataagaatcgtccctcaggcatcccggaacgctttagcggatccaacagcggcaacaccgcgaccctgaccattagcggcactcaggcggaagacgaagcggattattattgctctacttatacttttgttggttttactactgtgtttggcggcggcacgaagttaaccgtcctaggtcagcccaaggctgccccctcggtcactctgttcccaccctcctctgaggagcttcaagccaacaaggccacactggtgtgtctcataagtgacttctacccgggagccgtgacagtggcctggaaggcagatagcagccccgtcaaggcgggagtggagaccaccacaccctccaaacaaagcaacaacaagtacgcggccagcagctacctgagcctgacgcctgagcagtggaagtcccacagaagctacagctgccaggtcacgcatgaagggagcaccgtggagaagacagtggcccctacagaatgttca

配列番号60: MOR-7483.1抗体のVLのアミノ酸配列
SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDNIGDQYAHWYQQKPGQSPVLVIYQDKNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCSTYTFVGFTTVFGGGTKLTVL

配列番号61: MOR-7483.1抗体の全長軽鎖のアミノ酸配列
SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDNIGDQYAHWYQQKPGQSPVLVIYQDKNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCSTYTFVGFTTVFGGGTKLTVLgqpkaapsvtlfppsseelqankatlvclisdfypgavtvawkadsspvkagvetttpskqsnnkyaassylsltpeqwkshrsyscqvthegstvektvaptecs

配列番号62: MOR-7483.1抗体のVLの核酸配列
Agctacgagctgacccagccccccagcgtgtccgtgagccctggccagaccgccagcatcacctgcagcggcgacaacatcggcgaccagtacgcccactggtatcagcagaagcccggccagagccccgtgctggtgatctaccaggacaagaaccggcccagcggcatccccgagcggttcagcggcagcaacagcggcaacaccgccaccctgaccatcagcggcacccaggccatggacgaggccgactactactgctctacttatacttttgttggttttactactgtgttcggcggagggaccaagctgaccgtccta

配列番号63: MOR-7483.1抗体の全長軽鎖の核酸配列
agctacgagctgacccagccccccagcgtgtccgtgagccctggccagaccgccagcatcacctgcagcggcgacaacatcggcgaccagtacgcccactggtatcagcagaagcccggccagagccccgtgctggtgatctaccaggacaagaaccggc
ccagcggcatccccgagcggttcagcggcagcaacagcggcaacaccgccaccctgaccatcagcggcacccaggccatggacgaggccgactactactgctctacttatacttttgttggttttactactgtgttcggcggagggaccaagctgaccgtcctaggtcagcccaaggctgccccctcggtcactctgttcccaccctcctctgaggagcttcaagccaacaaggccacactggtgtgtctcataagtgacttctacccgggagccgtgacagtggcctggaaggcagatagcagccccgtcaaggcgggagtggagaccaccacaccctccaaacaaagcaacaacaagtacgcggccagcagctacctgagcctgacgcctgagcagtggaagtcccacagaagctacagctgccaggtcacgcatgaagggagcaccgtggagaagacagtggcccctacagaatgttca

配列番号64: MOR-7483.2抗体のVLのアミノ酸配列
SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDNIGDQYAHWYQQKPGQSPVVVIYQDKNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCSTYTFVGFTTVFGGGTKLTVL

配列番号65: MOR-7483.2抗体の全長軽鎖のアミノ酸配列
SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDNIGDQYAHWYQQKPGQSPVVVIYQDKNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCSTYTFVGFTTVFGGGTKLTVLgqpkaapsvtlfppsseelqankatlvclisdfypgavtvawkadsspvkagvetttpskqsnnkyaassylsltpeqwkshrsyscqvthegstvektvaptecs

配列番号66: MOR-7483.2抗体のVの核酸配列
agctacgagctgacccagccccccagcgtgtccgtgagccctggccagaccgccagcatcacctgcagcggcgacaacatcggcgaccagtacgcccactggtatcagcagaagcccggccagagccccgtggtggtgatctaccaggacaagaaccggcccagcggcatccccgagcggttcagcggcagcaacagcggcaacaccgccaccctgaccatcagcggcacccaggccatggacgaggccgactactactgctctacttatacttttgttggttttactactgtgttcggcggagggaccaagctgaccgtccta

配列番号67: MOR-7483.2抗体の全長軽鎖の核酸配列
agctacgagctgacccagccccccagcgtgtccgtgagccctggccagaccgccagcatcacctgcagcggcgacaacatcggcgaccagtacgcccactggtatcagcagaagcccggccagagccccgtggtggtgatctaccaggacaagaaccggcccagcggcatccccgagcggttcagcggcagcaacagcggcaacaccgccaccctgaccatcagcggcacccaggccatggacgaggccgactactactgctctacttatacttttgttggttttactactgtgttcggcggagggaccaagctgaccgtcctaggtcagcccaaggctgccccctcggtcactctgttcccaccctcctctgaggagcttcaagccaacaaggccacactggtgtgtctcataagtgacttctacccgggagccgtgacagtggcctggaaggcagatagcagccccgtcaaggcgggagtggagaccaccacaccctccaaacaaagcaacaacaagtacgcggccagcagctacctgagcctgacgcctgagcagtggaagtcccacagaagctacagctgccaggtcacgcatgaagggagcaccgtggagaagacagtggcccctacagaatgttca

配列番号68: ヒト4-1BBのアミノ酸配列
mgnscynivatlllvlnfertrslqdpcsncpagtfcdnnrnqicspcppnsfssaggqrtcdicrqckgvfrtrkecsstsnaecdctpgfhclgagcsmceqdckqgqeltkkgckdccfgtfndqkrgicrpwtncsldgksvlvngtkerdvvcgpspadlspgassvtppaparepghspqiisfflaltstallfllffltlrfsvvkrgrkkllyifkqpfmrpvqttqeedgcscrfpeeeeggcel

配列番号69: ヒトIgG1定常領域のアミノ酸配列
astkgpsvfplapsskstsggtaalgclvkdyfpepvtvswnsgaltsgvhtfpavlqssglyslssvvtvpssslgtqtyicnvnhkpsntkvdkkvepkscdkthtcppcpapellggpsvflfppkpkdtlmisrtpevtcvvvdvshedpevkfnwyvdgvevhnaktkpreeqynstyrvvsvltvlhqdwlngkeykckvsnkalpapiektiskakgqprepqvytlppsreemtknqvsltclvkgfypsdiavewesngqpennykttppvldsdgsfflyskltvdksrwqqgnvfscsvmhealhnhytqkslslspgk

配列番号70: ヒトIgG1定常領域の核酸配列
GCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTG
CCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTAGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAA

配列番号71: ヒトIgG2定常領域のアミノ酸配列
astkgpsvfplapcsrstsestaalgclvkdyfpepvtvswnsgaltsgvhtfpavlqssglyslssvvtvpssnfgtqtytcnvdhkpsntkvdktverkccvecppcpappvagpsvflfppkpkdtlmisrtpevtcvvvdvshedpevqfnwyvdgvevhnaktkpreeqfnstfrvvsvltvvhqdwlngkeykckvsnkglpapiektisktkgqprepqvytlppsreemtknqvsltclvkgfypsdiavewesngqpennykttppmldsdgsfflyskltvdksrwqqgnvfscsvmhealhnhytqkslslspgk

配列番号72: ヒトIgG2定常領域の核酸配列
GCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCTCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTAGTGACCGTGCCCTCCAGCAACTTCGGCACCCAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGACAGTTGAGCGCAAATGTTGTGTCGAGTGCCCACCGTGCCCAGCACCACCTGTGGCAGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCACGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTTCCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCGTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAACCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACACCTCCCATGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAA

配列番号73: ヒトラムダ軽鎖定常領域のアミノ酸配列
gqpkaapsvtlfppsseelqankatlvclisdfypgavtvawkadsspvkagvetttpskqsnnkyaassylsltpeqwkshrsyscqvthegstvektvaptecs

配列番号74: ヒトラムダ軽鎖定常領域の核酸配列
GGTCAGCCCAAGGCTGCCCCCTCGGTCACTCTGTTCCCACCCTCCTCTGAGGAGCTTCAAGCCAACAAGGCCACACTGGTGTGTCTCATAAGTGACTTCTACCCGGGAGCCGTGACAGTGGCCTGGAAGGCAGATAGCAGCCCCGTCAAGGCGGGAGTGGAGACCACCACACCCTCCAAACAAAGCAACAACAAGTACGCGGCCAGCAGCTACCTGAGCCTGACGCCTGAGCAGTGGAAGTCCCACAGAAGCTACAGCTGCCAGGTCACGCATGAAGGGAGCACCGTGGAGAAGACAGTGGCCCCTACAGAATGTTCA
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
2022046651000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-01-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された抗体誘導体であって、ヒト4-1BB細胞外ドメインに結合する抗体のアミノ酸配列を含み、前記抗体は、
(1)配列番号29で示されるH-CDR1、配列番号30で示されるH-CDR2、配列番号31で示されるH-CDR3、配列番号34で示されるL-CDR1、配列番号35で示されるL-CDR2、および配列番号36で示されるL-CDR3;
(2)配列番号1で示されるH-CDR1、配列番号2で示されるH-CDR2、配列番号3で示されるH-CDR3、配列番号6で示されるL-CDR1、配列番号7で示されるL-CDR2、および配列番号8で示されるL-CDR3;
(3)配列番号15で示されるH-CDR1、配列番号16で示されるH-CDR2、配列番号17で示されるH-CDR3、配列番号20で示されるL-CDR1、配列番号21で示されるL-CDR2、および配列番号22で示されるL-CDR3;または
(4)配列番号29で示されるH-CDR1、配列番号30で示されるH-CDR2、配列番号31で示されるH-CDR3、配列番号34で示されるL-CDR1、配列番号35で示されるL-CDR2、および配列番号55で示されるL-CDR3;
を含む、
単離された抗体誘導体。
【請求項2】
前記抗体が、
(1)配列番号43で示されるV領域アミノ酸配列および配列番号45で示されるV領域アミノ酸配列;
(2)配列番号4で示されるV領域アミノ酸配列および配列番号9で示されるV領域アミノ酸配列;
(3)配列番号18で示されるV領域アミノ酸配列および配列番号23で示されるV領域アミノ酸配列;
(4)配列番号32で示されるV領域アミノ酸配列および配列番号56で示されるV領域アミノ酸配列;
(5)配列番号43で示されるV領域アミノ酸配列および配列番号60で示されるV領域アミノ酸配列;または
(6)配列番号43で示されるV領域アミノ酸配列および配列番号64で示されるV領域アミノ酸配列
を含む、請求項1に記載の単離された抗体誘導体。
【請求項3】
前記抗体が、
(1)配列番号44のC末端リジン残基が存在しない場合もあるという条件付きで、配列番号44に示す重鎖アミノ酸配列および配列番号46に示す軽鎖アミノ酸配列;
(2)配列番号5で示される重鎖アミノ酸配列および配列番号10で示される軽鎖アミノ酸配列;
(3)配列番号19で示される重鎖アミノ酸配列および配列番号24で示される軽鎖アミノ酸配列;
(4)配列番号33で示される重鎖アミノ酸配列および配列番号57で示される軽鎖アミノ酸配列;
(5)配列番号44で示される重鎖アミノ酸配列および配列番号61で示される軽鎖アミノ酸配列;または
(6)配列番号44で示される重鎖アミノ酸配列および配列番号65で示される軽鎖アミノ酸配列
を含む、請求項1または2に記載の単離された抗体誘導体。
【請求項4】
キメラ抗体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体誘導体。
【請求項5】
一本鎖抗体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体誘導体。
【請求項6】
ディアボディである、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体誘導体。
【請求項7】
ドメイン抗体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体誘導体。
【請求項8】
ユニボディである、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体誘導体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体誘導体、および薬学的に許容されうるキャリアーを含有する、医薬組成物。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体誘導体を含有する、腫瘍の増殖を低減させるための薬剤。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体誘導体を含有する、癌を治療するための薬剤。
【請求項12】
前記癌が、結腸直腸癌、非ホジキンリンパ腫、前立腺癌、および黒色腫からなる群から選択される、請求項11記載の薬剤。
【請求項13】
癌の治療に使用するために、免疫療法剤と組み合わせて、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体誘導体を含有する薬剤。
【請求項14】
前記免疫療法剤がリツキシマブである、請求項13の薬剤。
【外国語明細書】