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特開2022-46661ヒンジ付き前頸部ロックプレートシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046661
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】ヒンジ付き前頸部ロックプレートシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/80 20060101AFI20220315BHJP
【FI】
A61B17/80
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021211589
(22)【出願日】2021-12-24
(62)【分割の表示】P 2019545295の分割
【原出願日】2017-04-19
(31)【優先権主張番号】15/438,603
(32)【優先日】2017-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516358347
【氏名又は名称】ジャクソン アヴェリー エム ザ サード
【氏名又は名称原語表記】JACKSON, Avery, M. III
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン、アヴェリー、エム、ザ、サード
(57)【要約】      (修正有)
【課題】脊椎固定術で頸椎を安定させるための折り畳み式の前頸部ロックプレートシステムを提供する。
【解決手段】プレートシステム50は、プレート部分51,52,53を2つの方向のそれぞれで少なくとも90°にわたって互いに対して回動させるために隣接端部でヒンジ構造により互いにヒンジ結合される少なくとも2つのプレート部分を有する。各プレート部分の第1の穴は、下側にある移植片の可視化を可能にする。ロックプレートがプレート部分の隣接端部に跨り、また、システムを椎体に固定して頸椎を安定させるべくロックプレートの穴に挿通される椎弓根ネジがプレート部分の穴を通じて延びるようにロックプレートの穴が隣接するプレート部分の穴と位置合わせされる。1つの実施形態において、ロックプレートは、プレート部分の両側縁上のガイドチャネル46内でスライドする。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する頸部椎体が骨移植片とともに癒合される脊椎固定術において頸椎を安定させるための折り畳み式プレートシステムであって、前記プレートシステムは、
互いに対して2つの方向のそれぞれで少なくとも90°にわたって回動するために隣接端部でヒンジ構造により互いにヒンジ結合される少なくとも2つのプレート部分と、
下側にある移植片及び下側にある椎体の終板の視覚化を可能にするための前記プレート部分の各々の第1の穴と、
前記プレートシステムを所定の位置に保持して頸椎を安定させるために前記プレート部分を通じて下側にある椎体へと挿入される椎弓根ネジを受けるための各プレート部分を貫通する複数の穴と、
を備える、折り畳み式プレートシステム。
【請求項2】
前記システムは、前記隣接端部に跨るように寸法付けられるロックプレートを含み、該ロックプレートは、前記隣接するプレート部分の前記複数の穴の少なくとも一部と位置合わせするように離間される貫通する複数の穴を有し、それにより、前記ロックプレートの前記穴に挿通される椎弓根ネジが前記ロックプレート及び前記プレート部分を椎体上の所定位置に保持し、前記ロックプレートが前記隣接端部に跨るときに前記ロックプレートが前記プレート部分の回動動作に抵抗する、
請求項1に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項3】
ガイドチャネルが各プレート部分の両側縁のそれぞれに沿って縦方向に延び、前記ロックプレートは、前記ガイドチャネル内で前記プレート部分のうちの1つのプレート部分上のロック解除位置から前記隣接端部に跨るロック位置までスライド移動するために前記チャネル内でその両側縁が保持されて案内される
請求項2に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項4】
前記ヒンジ構造は、第1の前記プレート部分の一端から延びる一対の支持アームと、前記一端に対して離間されて前記支持アームにより支持される回動ピンと、第2のプレート部分の一端の横方向に延びる孔とを備え、前記ピンは、前記第1及び第2のプレート部分を互いに回動可能に接続するために前記孔内に回転可能に受けられる、
請求項3に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項5】
スロットが前記第2のプレート部分の平面の下側で角度的にオフセットされた関係を成して前記第2のプレート部分の前記一端に縦方向で延び、前記スロットは、前記孔に通じるとともに、前記回動ピンを前記孔内へ端部方向で挿入できるようにし、前記スロットは、前記回動ピンを前記孔内へ挿入できる距離を制限するストップを形成するために前記第2のプレート部分の隣接する側縁に対して離間されて終端し、
前記第2のプレート部分の前記一端には、前記第1のプレート部分の前記回動ピンが前記第2のプレート部分の孔内に完全に挿入されるときに前記第1のプレート部分上の前記支持アームの位置に対応する前記一端に沿う離間位置に、切り欠きが形成され、前記切り欠きは、前記スロットに対して横方向に延びるとともに、前記プレート部分を互いに対して上下に回動させることができるようにするべくそれらの上端及び下端が前記第2のプレート部分の上面及び下面でそれぞれ終端する、
請求項4に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項6】
2つのプレート部分が互いにヒンジ結合されて2レベルシステムを形成する
請求項5に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項7】
3つのプレート部分が互いにヒンジ結合されて3レベルシステムを形成する
請求項5に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項8】
前記ヒンジ構造は、第1の前記プレート部分の一端から延びる一対の支持アームと、前記一端に対して離間されて前記支持アームにより支持される回動ピンと、第2のプレート部分の一端の横方向に延びる孔とを備え、前記ピンは、前記第1及び第2のプレート部分を互いに回動可能に接続するために前記孔内に回転可能に受けられる、
請求項2に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項9】
スロットが前記第2のプレート部分の平面の下側で角度的にオフセットされた関係を成して前記第2のプレート部分の前記一端に縦方向で延び、前記スロットは、前記孔に通じるとともに、前記回動ピンを前記孔内へ端部方向で挿入できるようにし、前記スロットは、前記回動ピンを前記孔内へ挿入できる距離を制限するストップを形成するために前記第2のプレート部分の隣接する側縁に対して離間されて終端し、
前記第2のプレート部分の前記一端には、前記第1のプレート部分の前記回動ピンが前記第2のプレート部分の孔内に完全に挿入されるときに前記第1のプレート部分上の前記支持アームの位置に対応する前記一端に沿う離間位置に、切り欠きが形成され、前記切り欠きは、前記スロットに対して横方向に延びるとともに、前記プレート部分を互いに対して上下に回動させることができるようにするべくそれらの上端及び下端が前記第2のプレート部分の上面及び下面でそれぞれ終端する、
請求項8に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項10】
2つのプレート部分が互いにヒンジ結合されて2レベルシステムを形成する
請求項9に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項11】
3つのプレート部分が互いにヒンジ結合されて3レベルシステムを形成する
請求項9に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項12】
ガイドチャネルが各プレート部分の両側縁のそれぞれに沿って縦方向に延び、前記ロックプレートは、前記ガイドチャネル内で前記プレート部分のうちの1つのプレート部分上のロック解除位置から前記隣接端部及び前記ヒンジ構造に跨るロック位置までスライド移動するために前記チャネル内でその両側縁が保持されて案内される
請求項11に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項13】
前記プレート部分及び前記ロックプレートがチタンから形成され、各プレート部分は、厚さが2~3mm、幅が6~10mm、長さが20~30mmである、
請求項5に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項14】
前記プレート部分及び前記ロックプレートがチタンから形成され、各プレート部分は、厚さが2~3mm、幅が6~10mm、長さが20~30mmである、
請求項9に記載の折り畳み式プレートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脊椎障害の治療の補助として隣接する頸椎骨を安定させるために頸椎の椎体の前面に固定するための埋め込み可能なプレートシステムに関する。より具体的には、本発明のロックプレートシステムは、治療されるべき領域で配置を容易にするべく互いに対して折り畳まれるとともに所望のレベルに跨るように所定の場所で展開され得る互いにヒンジ結合される部分を有する。プレートシステムが跨るレベルの数を変えるために望ましい場合には異なる数のプレートを素早く容易に互いに接続する又は取り外すことができる。
【背景技術】
【0002】
頸椎は、頭蓋骨に隣接するC1から胸椎に隣接するC7まで順にそれらの位置によって名付けられる7つの頸椎骨を備える。C1椎骨は、頭蓋骨を支えており、環椎と名付けられる。C2脊椎は、軸椎と名付けられ、頭部が左右に動かされるときに頭蓋骨及び環椎が回転する中心軸をもたらす。椎間板は、最初の2つの頸椎骨C1,C2を除き、隣接する椎骨同士の間に位置される。隣接する椎骨間の動きは、椎間板と2つの椎間関節を介して起こる。
【0003】
人々が年をとるにつれて、椎間板は、それらの水分の一部を失い、その結果、それらの衝撃吸収能力の一部を失う。症状を伴わない裂傷が椎間板の外輪又は外環に生じる場合があり、これらの裂傷は瘢痕組織を形成することによって治癒する。瘢痕組織は通常の組織よりも弱く、そのため、椎間板が摩耗し続けると、瘢痕組織が崩壊し始めて、隣接する椎骨間の空間が小さくなり、それにより、脊椎の後ろの椎間関節のアライメントに影響が及ぶ。骨が互いに嵌合する態様の変化は、関節軟骨に異常な圧力を引き起こし、また、この異常な圧力は、椎間関節の摩耗及び裂傷関節炎(変形性関節症)を経時的に引き起こす。
【0004】
他の障害としては、椎間板ヘルニア、骨折又は脱臼した椎骨、脊椎狭窄、及び、頸椎症性脊髄症が挙げられる。殆どの首の痛みは、変性変化に起因する。おそらく、頸椎の脊椎分節の変性によって引き起こされる最も深刻な問題は脊椎狭窄状態であり、この脊椎狭窄は、一般に、脊椎変性の後段中に起こる。頸椎では、この状態が時として頸髄症と呼ばれる。
【0005】
頸椎狭窄において、脊柱管は、狭くなって、神経根が脊髄から離れる場所で神経根を圧迫して圧縮し、或いは、脊髄自体が圧縮される場合がある。脊椎狭窄は50歳を超える人において最もよく見られる。老化の過程は、椎間板の膨隆又は骨をつなぐ組織の厚肉化をもたらし得る。これらの障害は、神経の圧迫をもたらし、それにより、麻痺、しびれ、又は、痛みを引き起こし得る。
【0006】
首の痛みがある患者の大多数は、いかなる種類の手術も必要としない。しかしながら、場合により、頸椎の変性変化が、脊髄に過度の圧力がかかる非常に深刻な状態を招く可能性がある。この状態が生じると、脊髄全体が危険に晒される。
【0007】
外科的選択肢の1つは、椎間板切除と呼ばれる問題のある1つ又は複数の椎間板を取り除くことによって脊髄に作用する圧力を除去し、椎間板を取り除いて残った空間内に骨移植片を配置することである。頸部分節を安定させるためには、殆どの場合、固定術が椎間板切除と同時に行われる。合わせて、組み合わせ手術は、一般に、Anterior Cervical Discectomy and Fusionを表すACDF手術と称される。この手術は頸椎の1レベル又は複数レベルに関して行われる場合がある。この手術は、症候性頸椎椎間板ヘルニアを治療するために最も一般的に行われるが、他の頸部変性疾患に関しても行われる場合もある。
【0008】
変性椎骨の場合には、1つ又は複数の変性椎骨が除去されて骨移植片に置き換えられ、それにより、変性椎骨の除去により残された空間が埋められる。この処置は、コーペクトミー・ストラットグラフトと呼ばれる。脊髄を押圧する任意の骨棘もコーペクトミー処置中に除去される。コーペクトミーは、しばしば、何らかの形態の椎間板切除と関連して行われる。いずれの場合も、椎間板又は椎体が除去された脊椎固定をもたらすように移植片が経時的に治癒する。
【0009】
頸椎は前方から接近され(前方アプローチ)又は後方から接近され(後方アプローチ)得るが、椎間板は首の前方からより直接的にアクセスでき、また、状況が許せば、殆どの外科医が前方アプローチを好む。前方アプローチにより、正常な筋肉組織の破壊が少なくなり、脊椎の正常なアライメントを維持することも容易になる。脊椎の多くの変性状態は、正常な脊柱前湾(脊椎の緩やかな湾曲)の損失を引き起こす。前方アプローチにおいて脊椎の前方を開放することにより、この脊柱前湾を再建することができる。
【0010】
前方アプローチは、頸椎のほぼ全体にアクセスできるため、脊椎へのより良好なアクセスをもたらす。前方アプローチは、比較的複雑でない経路を介して脊椎へのアクセスを与え、そのため、一般に術後の痛みが少ない。椎間板切除術では、脊髄、脊髄神経、及び、首の筋肉を乱すことなく椎間板に到達できる。全てのことが等しければ、患者は、後部手術からよりもこのアプローチからの方が切開痛を伴わない傾向がある。特定の症状に応じて、1つの椎間板(単一レベル)又は複数の椎間板(複数レベル)が除去される場合がある。
【0011】
頸椎に対して前方固定術を行う際、外科医の訓練と外科固定のレベルとに応じて、患者の首の正面に横方向又は縦方向で切り込みが入れられる。1レベル又は2レベルの固定を行うようになっている場合には、横方向切開を行うことができる。2レベルを超える固定が行われるようになっている場合には、一般に、縦方向切開が必要とされる。切開部の長さは、人のサイズと治療されるべきレベルの数によって決まる。
【0012】
頸椎への前方アクセスのための1つの手順にしたがって、患者のサイズとレベルの数とに応じて、長さ2~4センチの横方向切開部が首の正面の正中線から少しだけ外され、また、頸筋膜は、食道と頸動脈鞘との間の自然平面内で徐々に分割される。外科医が前方椎体及び椎間板を視覚化できるようにするべく小型開創器及び手術用顕微鏡が使用される。首の動脈及び神経が保護される一方で、筋肉及び他の組織が側方に移動される。
【0013】
脊髄及び神経根が適切なレベルに減圧された後、除去された部分は、各椎間板空間内に骨移植片を挿入する又は1つ以上の椎体を除去することにより残った空間に跨るようにストラットグラフトと称されるより長い移植片を挿入することによって頸椎の通常の負荷を支えるように再建されなければならない。その目的は、1つ以上の椎骨の除去により形成される空間の上下の椎骨間の骨の生きたブリッジの形成を促進することである。患者自身の骨又は人の死体の骨を使用して移植片を形成してもよく、又は、骨移植片が挿入される合成スキャフォールドが使用されてもよい。
【0014】
2つ以上の椎骨を互いに接続固定して固定が治癒する間に頸椎を安定させるためのプレーティングシステムが従来技術で開発されてきた。これらのプレーティングシステムは、一般に、チタンから形成されて固定部の上下の椎骨にネジで固定されるようになっているプレートを備える。プレートは、2つの隣接する椎骨間の隙間に及び、また、ネジはプレートの穴を通って椎骨中へと入る。各椎骨は、利用されるプレートのタイプに応じて1本のネジ又は2本以上のネジを受ける場合がある。
【0015】
プレートシステムは、特定の障害を治療するための要件に応じて、1つのレベルに、すなわち、2つの隣接する椎骨間の空間に、或いは、2つのレベルに、すなわち、3つの隣接する椎骨間の空間に、或いは、それ以上のレベルに跨ることができる。固定骨及び頸部プレートが所定の位置にある時点で、椎骨が安定化され、生物学的治癒原理にしたがって骨固定が起こる。
【0016】
従来のプレートは、製造業者によって複数レベルのオプションへと事前に組み立てられ、或いは、プレートは、外科医のスクラブ技術者によってバックテーブル上に組み付けられた後、挿入のために外科医に手渡される。プレートは、一般に、サイズにおける生物学的多様性、接合されるべき分節の数、接合されるべき骨の部分の長さなどの特徴を与えるように様々なサイズを有するセットで提供される。プレーティングシステムは、一般に、2~5個の椎骨を接合するように設計される。
【0017】
頸部プレートを配置するためには、椎骨を露出させるように椎骨の前方の組織が片側に移動されなければならない。これは、喉頭、咽頭、食道、頸動脈、幾つかの重要な神経を移動させて幾つかの筋肉を切開することを伴う。特に複数のレベルが関連する場合には、解剖学的構造を伴う小開口内に長い硬質プレートを近接して配置する際に引き起こされる外傷に起因して、手術後に嚥下の問題が生じ得る。複数レベルの固定のための大きなプレートをより小さい開口に押し込むと、食道運動の機能障害を引き起こし、それにより、嚥下メカニズム及び声に影響が及ぶ可能性がある。
【0018】
椎前空間にアクセスして椎間板切除及び固定を行った後、関連するレベルの数に跨るように寸法付けられた前プレート、例えば2つの動き、2つの椎骨、又は、1つの運動分節を接続する前プレートが選択される。その後、プレートが指又は鉗子により前椎体表面上に配置され、また、プレートを椎骨に固定するためにネジがプレートに挿通されて脊椎に挿入される。
【0019】
より長い複数レベルのプレートを切除床内へと安全に配置することは極めて困難となり得る。これは、マルチレベル構造物のためのより長いプレートを配置するのに邪魔にならないように移動されなければならない軟組織を安全に引き込むことが難しいからである。結果として食道裂傷又は伸展損傷が生じる可能性があり、また、特にプレートを配置する際に頭蓋咽頭組織の収縮を伴って、嚥下障害を引き起こすリスクがある。プレートは、通常、外科的切開よりも大きく、余分な収縮又は軟組織操作を必要とする。より長いプレートを配置する場合には、静脈又は動脈構造を横断するリスクもある。ある程度の嚥下障害も起こり得る。喉頭神経又は上甲状腺神経の損傷によるかすれた声が、プレートの配置及び操作中に生じる場合がある。
【0020】
従来のプレーティングシステムを用いた前頸部固定から生じる1つの既知の合併症は、食道の損傷である。リスクは、プレートの寸法が増大するにつれて高くなる。手術中に、大型の硬質な従来のプレーティングシステムが手術創傷を通じて所定位置に押し込まれる際に食道の損傷が生じる可能性があり、それにより、食道を通じた弱体化がもたらされる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、複数レベルの固定術において小さい手術開口を通じて大きなプレートを周囲組織に押し通す必要性を回避するプレートシステムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、複数レベルの前方固定が行われるときに大きなプレートを小さな軟組織空間に押し込む必要性を回避する折り畳み式プレートシステムである。本発明のプレーティングシステムは、外科医が嚥下障害又は血管損傷につながる軟組織損傷を回避できるようにする。プレートシステムは、その折り畳み形態まで折り畳まれ、この形態で切開部に挿通されて頸椎の前面に位置される。その後、プレートシステムは、プレートをその折り畳み位置からその展開された最終位置まで完全に平らにすることによって徐々に長くされる。この操作は、プレートシステムが頸椎骨の前面に位置している間に実行される。外科医は、プレートを配置するために軟組織を引き伸ばすことによって複数レベルのプレートと格闘する必要がない。プレートの穴は、椎間板空間が位置される下側の椎体の終板の視覚化をもたらす。
【0023】
本発明のマルチリンクプレートシステムは、プレートが手術創傷に押し込まれないため、食道損傷のリスクを排除する。代わりに、このプレートシステムは、モジュール方式で又はアコーディオン方式で分節に配置され、その後、食道及び他の軟組織の下側の脊椎の前面にそれが位置された後に拡張される。
【0024】
本発明のプレートシステムは、それぞれが単一レベルに跨る2つ以上のプレート部分を備える。1レベルに関しては単一のプレート部分を使用でき、また、複数レベルに関しては、複数のプレート部分が互いにヒンジ結合される。したがって、2レベルに関しては2つのプレート部分が互いにヒンジ結合され、3レベルに関しては3つのプレート部分が互いにヒンジ結合され、以下同様である。互いにヒンジ結合されるプレート部分は、システムの長さを短くして特に複数レベルの固定術において手術されるべき空間内への挿入を容易にするために、互いに対して折り畳むことができる。
【0025】
プレート部分が展開されて骨の解剖学的構造の所定位置に固定された後にプレート部分を動かないようにロックするために、ロックプレートが2つの隣接するプレート部分間のヒンジ接続部を横切って延びる。
【0026】
プレート部分を互いに対して十分に折り畳むことができ(特定の例では両方向に120°)、それにより、折り畳み時、互いにヒンジ結合されるプレート部分のシステムの長さが従来の一体型の複数レベルプレートよりも十分に短くされる。挿入後、折り畳まれたプレート部分を内側で展開して脊椎上の所定位置に配置できる。プレートシステムを何らかの理由で取り外す必要がある場合、例えば別のプレートシステムと交換する場合には、プレート部分を内側で再び折り畳むことができる。
【0027】
好ましい例において、各プレート部分は、厚さが2~3mm、幅が6~10mm、長さが20~30mmである。プレートシステムの全長は、関与するレベルの数によって決まる。ロックプレートは好ましくは厚さが1~2mmであり、各ロックプレートは、隣接するプレート部分間の接合部と重なり合うように寸法付けられる。好ましい実施形態では、プレート部分及びロックプレートがチタンから形成されるが、代わりの実施形態では、これらが3D印刷され得る。
【0028】
1つの実施形態では、ガイドチャネルがプレート部分上の両側縁にあり、また、ロックプレートは、それをロック解除位置から隣接するプレート部分間のヒンジを横切るように跨ぐ関係を成すロック位置まで移動させることができるようにその両側縁がこれらのチャネル内でスライド可能に案内される。ロックプレートの穴は、穴に挿通されるネジがロックプレート及びプレート部分を所定位置に固定するようにプレート部分の穴と位置合わせ可能である。
【0029】
他の実施形態では、ガイドチャネルが省かれ、プレート部分が適所に配置された後にロックプレートが付加される。スライド機構は不要である。この形態では、ヒンジを横切る位置にロックプレートを保持するネジが椎体に対するプレート部分の保持も行う。
【0030】
本発明の前述の並びに他の目的及び利点は、添付の図面と併せて考慮すると、以下の詳細な説明から明らかになり、図面において、同様の参照文字は、幾つかの図の全体にわたって同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】頸椎の概略正面図である。
図2】頸椎の概略側面図である。
図3】典型的な骨棘及び椎間板ヘルニアを示す頸椎の概略断面図である。
図4】前方固定術処置で行われる典型的な横方向切開を示す、患者の首の部分概略正面図である。
図5】開創器を使用して切開部を開き、隣接する組織を脇に移動して頸椎にアクセスした後の患者の首の部分拡大正面図である。
図6】単一レベル固定のための従来技術のプレートの斜視図である。
図7】2レベル固定のための従来技術のプレートの斜視図である。
図8】単一レベル固定のための従来技術のプレートの概略斜視図である。
図9】2レベル固定のための従来技術のプレートの概略斜視図である。
図10】3レベル固定のための従来技術のプレートの概略斜視図である。
図11】本発明に係るプレートシステムの第1の形態の斜視図であり、2つのプレート部分が2レベル固定で用いるために互いにヒンジ結合される。
図12】プレートシステムの第1の形態の斜視図であり、3つのプレート部分が3レベル固定で用いるために互いにヒンジ結合される。
図13】本発明の第1の形態におけるプレート部分のうちの1つの一端部の部分拡大上面斜視図ある。
図14図13に示される端部の部分拡大下面斜視図である。
図15図11図14に示されるプレート部分の反対側の端部の上面斜視図である。
図16図11図14のプレート部分のうちの1つの上面図である。
図17図16の線17-17に沿う部分拡大断面図である。
図18図16の線18-18に沿う部分拡大断面図である。
図19】2つのプレート部分がヒンジ結合端部で組み付けられるようにどのように方向付けられるかを示す部分分解上面斜視図である。
図20】ヒンジ結合端部で互いに組み付けられる2つのプレート部分を示す部分平面図である。
図21】互いにヒンジ結合される2つのプレート部分の立面の部分拡大正面図であり、プレート部分間の回動動作範囲を示す。
図22】ネジのうちの1つ、及び、互いにヒンジ結合される2つのプレート部分間のヒンジ接続部に跨るロックプレートの分解上面斜視図である。
図23】2つの互いにヒンジ結合されるプレート部分、及び、2つのプレート部分間のヒンジ接続部を横切ってロックプレートが移動する前にその両側縁がプレート部分の一方のチャネルにスライド可能に係合されるロックプレートの平面図である。
図24】2つのプレート部分間のヒンジ接続部を横切って作用位置に移動された図23のロックプレートを示す平面図である。
図25図24のプレート部分及びロックプレートの部分正側面図である。
図26】3つの互いにヒンジ結合されるプレート部分をどのように折り畳んで全長を短くできるかを示す概略斜視図である。
図27】開創器を用いて拡張された横方向切開と、頸椎の適所に実線で示される単一レベルプレート部分とを示し、2レベル固定のための破線で示される更なるプレートを伴う、患者の首の部分正面図である。
図28】2レベル固定のための本発明の代わりの形態の上面斜視図であり、ガイドチャネルが省かれている。
図29図28に示される本発明の形態の上面斜視図であるが、3レベル固定のために更なるプレート部分が付加される。
図30図28に示される本発明の形態における2つの互いにヒンジ結合されるプレート部分、及び、ヒンジ接続部に跨る関係でプレート部分に固定されるべき所定位置のロックプレートの分解上面斜視図である。
図31】2つのプレート部分、及び、2つの椎骨の面に固定されるロックプレートの部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
頸椎CSの代表的な正面図が図1に示され、また、前面A及び後面Pが図2の側面図に示される。
【0033】
頸椎CSの断面が図3に示される。この断面は、椎間板10及びその関連する環11を貫いて取られており、環が破断されて示され、椎間板のヘルニア12が脊髄14から通じる神経13を圧迫している。神経13を圧迫する骨棘15も示される。
【0034】
頸椎の一方側に僅かにオフセットされた横方向切開部16が、図4の患者の首17の前面に形成される。特定の処置の要件に応じて、図示のように横方向に又は縦方向に切開部を形成できることが理解されるべきである。
【0035】
図5では、切開部を広げて開放し、他の組織を側方に保持して、頸椎の前面で椎骨19及び椎間板20を露出させるために開創器18が使用されている。
【0036】
図6図10は従来技術のデバイスを描く。単一レベル固定のための従来技術のプレートが図6に21で示され、また、2レベル固定のための従来技術のプレートが図7に22で示される。2レベルプレート22は、例えば、隣接する椎間板上にわたって位置されるようになっている部分23、24を伴う単一の一体部品である。
【0037】
図8は、単一レベル固定のための従来技術のプレート25の概略図である。この特定の例において、プレートは、プレートを椎体に締結するためにネジを受けるための4つの穴26と、移植片部位及び終板の視覚化を可能にするための単一の大きな穴27とを有する。
【0038】
図9は、2レベル固定のための従来のプレート28の概略図である。このプレートは、一体部品構造を成し、それぞれの固定部位上にわたって位置するようになっている2つの部分29,30を備える。それぞれの部分は、プレートを椎体に締結するためにネジを受けるための穴31と、移植片部位及び終板の視覚化を可能にするための大きな中央に位置される穴32とを有する。
【0039】
3レベル固定のための従来技術のプレート33が図10に示される。このプレートも、一体部品構造を成し、それぞれの固定部位上にわたって位置するようになっている3つの部分34,35,36を有する。この特定の例において、それぞれの部分は、プレートを椎体に締結するために37でネジを受けるための4つの穴と、移植片部位及び終板の視覚化を可能にするための大きな中央に位置される穴38とを有する。
【0040】
本発明の第1の形態に係る2レベルプレートシステムが図11に40で全体的に示される。このプレートシステムは、各方向に少なくとも90°にわたって、好ましくは120°にわたって回動動作するために隣接する端部の43で互いにヒンジ結合される2つのプレート部分41,42を備える。図示の特定の例において、各プレート部分は、プレートシステムを椎体に締結するためにネジを受けるための4つの穴44を有する。移植片部位及び終板の視覚化を可能にするために大きな中央穴45が設けられる。後述するようにロックプレートを受けて案内するために、各プレート部分の上面には各プレート部分の両側縁に沿ってガイドチャネル46が延びている。
【0041】
本発明の第1の形態に係る3レベルプレートシステムが図12に50で全体的に示される。このプレートシステムは、隣接する端部の43で互いにヒンジ結合される3つのプレート部分51,52,53を備える。各プレート部分は、図示の特定の例では、プレートシステムを椎体に締結するためにネジを受けるための4つの穴44と、移植片部位及び終板の視覚化を可能にするための大きな中央穴45とを有する。後述するようにロックプレートを受けて案内するために、各プレート部分の上面には各プレート部分の両側縁に沿ってガイドチャネル46が延びている。特定の処置の要件に応じて、更なるレベルを付加できる。頸部固定術は最大で7つのレベルを含むことができる。
【0042】
前述の本発明の形態では異なる数の穴44を設けることができるが、本明細書中に開示される特定の例では4つの穴が典型的であって図示されて説明されることが理解されるべきである。
【0043】
図11及び図12に示される本発明の形態において、製造業者は、互いにヒンジ結合される2つ、3つ、4つ、又は、それ以上のプレート部分のセットを供給することができ、また、外科医は、関与するレベルの数に応じて適切なセットを選択する。代わりの実施形態では、プレート部分の一部又は全部が両端にヒンジ形成構造を有し、また、外科医又は外科助手が特定の処置のために必要な数のプレート部分を組み付けることができる。
【0044】
ヒンジ結合端部の詳細が図13図19に示される。最初に図11図13図14図17、及び、図18を参照すると、プレート部分41,42の端部60,61は丸みを帯びており、また、円筒状の孔62(図13及び図14参照)が、プレート部分41の端部60を貫通してプレート部分の一方側から随意的に63で閉じられる(図14及び図16参照)反対側へ向けて横方向に延びる。開放端付近の孔の壁には環状溝64が形成される(図14及び図20参照)。
【0045】
孔62の縦方向中心線を通って描かれる垂直面から約30°の角度Aで反時計回りに離間される(図14及び図18参照)スロット65が丸みを帯びた端部60の下部に形成される。スロットは、スロットが孔の閉じられた端部の手前で終端する短い部分66を除き、プレート部分41の幅の大部分にわたって孔62に通じている。
【0046】
切り欠き67が、スロット65を横断して丸みを帯びた端部60に形成され、孔62の長さに沿う2つの離間した位置でスロットと交差する。切り欠きは、それらの上端68がプレート部分の上端で終端し、それらの下端69がプレート部分の下端で終端し、終端は、孔62の縦方向中心線を通って描かれる垂直面から約30°の角度Bで後方に離間されている(図17参照)。
【0047】
図15図16図19、及び、図20において最もよく見られるように、円筒形状のヒンジピン71を端部61に対して離間して支持する一対の支持アーム70がプレート部分42の丸みを帯びた端部61から延びている。ピンが孔内へ完全に挿入されるときにピン71を孔62内で軸方向に動かないように拘束するために、一端部付近のピン71の外面上の環状ビード72が溝64に係合する。孔の閉じられた端部63は、部品が作用位置へと組み付けられたときにビード72が溝64に係合するように孔内へのピンの挿入を制限する。
【0048】
プレート部分41,42又は51、52,53を互いに組み付けるため、又は、他の複数のプレート部分(図示せず)を組み付けるために、これらのプレート部分は、プレート部分42が例えばプレート部分41の平面の下側に60°の角度A’を成すように、図19に示されるように互いに対して傾けられる。ピンは、支持アーム70のうちの1つがスロット65の閉じられた端部66(図14を参照)と係合するまで、及び/又は、設けられる場合には、ピン71の端部が孔62の閉じられた端部63に当接するまで、孔62内へと端部方向に挿入される。これは、プレート41,42を両方向に120°回動させることができるように支持アーム70を切り欠き67と位置合わせする(図21を参照)。また、これはビード72を溝64と位置合わせし、それにより、係合時に戻り止めを形成してピン71と孔62との間の相対的な軸方向の動きを防ぐとともに、2つのプレート部分が意図せずに互いから外れることを防ぐが、十分な力が及ぼされるときに外れることができるようにする。
【0049】
前述のように、プレート部分は、接続されると、図21に示されるように互いに対して両方向に120°回動できる。これは、プレートシステムを周囲組織に押し込む必要なく頸椎上の位置へのプレートシステムの挿入を容易にする。プレートシステムが頸椎骨の前面上の所定位置にあるとき、プレートシステムは以下に説明されるように穴44に通されるネジを用いて所定位置に固定される。
【0050】
回動可能に接続されるプレート部分をそれらの展開された作用位置でロックしてプレート部分が取り付けられる脊椎を安定させるために、ロックプレート80が各ヒンジ領域43に跨る。ロックプレートは、ロックプレート80の開口82を貫通するとともにプレート部分41,42の開口44を貫通した後に下側の椎骨中へと延ばされるネジ81を用いて固定される。この点に関して、穴82は、ロックプレートが図23及び図24に示される位置にあるときに穴44と位置合わせするように位置される。
【0051】
図11図25に示される本発明の実施形態において、ロックプレートは、プレートシステムが跨るようになっているレベルの数に応じて、1つ以上のプレート部分上の対向する一対のチャネル46間で支持される。図12に示されるような3レベルシステムの場合、2つのロックプレートが必要とされる。図11図23、及び、図24に示される2レベルプレートシステムでは、1つのロックプレート80が必要とされ、また、このロックプレートは、通常、プレートシステムの向きに応じて、プレート部分41又はプレート部分42のいずれかの上に載置する。プレート部分が頸椎の前面の所定の位置に配置された後、ロックプレートがガイドチャネル46のヒンジ領域43を横切ってスライドし、ネジ81がロックプレートの開口82とプレート部分の開口44とを通じて椎骨中へと挿入されて、全ての構成要素が所定位置に固定される。好ましくは、ロックプレートは、プレートシステムの尾側端部に位置されて、プレートシステムをロック位置に移動するべく頭側に押される。
【0052】
図26は、3レベルシステム50をどのように折り畳んでその長さを短くして所定の位置に容易に挿入できるかを示す概略図であり、また、図27は、頸椎の前面の所定位置にあるシステムを示す。
【0053】
2レベル固定のための本発明の代わりの実施形態が図28に40’で全体的に示される。本発明のこの形態では、ガイドチャネル46が省かれ、また、図30及び図31に示されるように、ロックプレート80は、プレート部分が頸椎の前面上に位置された後にヒンジ領域43に対して跨る関係を成してプレート部分41’、42上に配置される。その後、ネジ81が、ロックプレートの穴82とプレート部分41’,42’の位置合わせされた穴44とを通じて椎体19中へと挿入される。他の全ての点で、本発明のこの形態は、図11図27に示される形態と同一である。
【0054】
図29は、図28及び図30に示されるシステム40’の3つのレベル変形50’を示す。このシステムは、更なるレベルが付加されることを除き、図28及び図30に示されるシステムと同一である。これに関して、実行される処置の要件に応じて、更なるレベルを同様に付加できることが理解されるべきである。
【0055】
本明細書中では本発明の特定の実施形態を詳細に図示して説明してきたが、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の思想及び意図から逸脱することなく本発明に対して様々な変更及び修正がなされてもよいことが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
【手続補正書】
【提出日】2022-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頸椎において隣接する椎体を安定させるための折り畳み式プレートシステムであって、前記プレートシステムは、
一軸回転ヒンジを介して互いに接続された少なくとも2つのプレート部分であって、前記一軸回転ヒンジは、前記少なくとも2つのプレート部分の隣接する端部に平行に延びる唯一の単一の回転軸を有し、これにより前記少なくとも2つのプレート部分は、前記単一の回転軸の周りで平面から外れて互いに回動可能である、少なくとも2つのプレート部分と、
下側にある移植片部位の視覚化のために構成及び配置された前記少なくとも2つのプレート部分の各々における周縁に囲まれた視覚化穴と、
内部に挿入されるネジを受けるための前記少なくとも2つのプレート部分の各々を貫通する複数のネジ穴であって、各々が前記視覚化穴よりも小さい横断面積を有する複数のネジ穴と、
を備えた、
折り畳み式プレートシステム。
【請求項2】
前記少なくとも2つのプレート部分がチタンから形成されている、
請求項1に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項3】
前記少なくとも2つのプレート部分の各々は、厚さが2~3mm、幅が6~10mm、長さが20~30mmである、
請求項1に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項4】
前記少なくとも2つのプレート部分の間で延びるように寸法付けられるロックプレートを更に備え、前記ロックプレートは、前記少なくとも2つのプレート部分における前記複数のネジ穴のうちの少なくともいくつかと位置合わせするように離間される貫通する複数の穴を有し、それにより、前記単一の回転軸の周りで互いに対して前記少なくとも2つのプレート部分の回動動作に抵抗するように、前記ロックプレートにおける前記複数の穴を通じて挿入されるネジと、前記少なくとも2つのプレート部分における前記複数のネジ穴の前記少なくともいくつかが前記少なくとも2つのプレート部分を固定する、
請求項1に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項5】
前記ロックプレートは、前記一軸回転ヒンジを横切って延びている、
請求項4に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項6】
前記少なくとも2つのプレート部分の各々の両側縁のそれぞれに沿って縦方向に延びるガイドチャネルを更に備え、前記ロックプレートは、前記ガイドチャネル内で前記少なくとも2つのプレート部分のうちの1つのプレート部分上のロック解除位置から、前記少なくとも2つのプレート部分を接続する前記一軸回転ヒンジを跨るロック位置までスライド移動するために前記ガイドチャネル内で両側縁で保持されて案内される、
請求項4に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項7】
前記ロックプレートは、チタンから形成されている、請求項1に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項8】
前記一軸回転ヒンジは、前記少なくとも2つのプレート部分のうちの第1のプレート部分から延びる一対の支持アームと、前記一対の支持アームにより支持される回動ピンと、前記少なくとも2つのプレート部分のうちの第2のプレート部分で横方向に延びる孔とを備え、前記ピンは、前記第1のプレート部分及び前記第2のプレート部分を互いに回動可能に接続するために前記孔内に回転可能に受けられる、
請求項1に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項9】
スロットが前記第2のプレート部分の平面の下側で角度的にオフセットされた関係を成して前記第2のプレート部分に縦方向で延び、前記スロットは、前記孔に通じるとともに、前記回動ピンを前記孔内へ端部方向で挿入できるようにし、前記スロットは、前記第2のプレート部分の隣接する側縁に対して離間されて終端し、前記スロットの一端が、前記回動ピンを前記孔内へ挿入できる距離を制限するストップを形成し、
前記第1のプレート部分の前記回動ピンが前記第2のプレート部分の前記孔内に完全に挿入されるときに前記第1のプレート部分上の前記支持アームの位置に対応する離間位置における前記第2のプレート部分に、切り欠きが形成され、前記切り欠きは、前記スロットに対して横方向に延びるとともに、前記第2のプレート部分の上面及び下面のそれぞれにおける上端及び下端で終端し、前記プレート部分が互いに対して上下に回動させることができる、
請求項8に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項10】
前記少なくとも2つのプレート部分が、第1のプレート部分及び第2のプレート部分で構成されて2レベルシステムを形成する、
請求項1に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項11】
前記少なくとも2つのプレート部分が、前記一軸回転ヒンジを介して互いに接続された第1のプレート部分及び第2のプレート部分と、第2の一軸回転ヒンジを介して前記第2のプレート部分に接続された第3のプレート部分と、を含み、3レベルシステムを形成する、
請求項1に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項12】
前記少なくとも2つのプレート部分は、互いに対して2つの方向に少なくとも90°にわたって前記一軸回転ヒンジを介して前記単一の回転軸の周りに平面から外れて互いに回動可能である、
請求項1に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項13】
前記少なくとも2つのプレート部分の少なくとも一つは、ヒンジ形成構造の自由端である前記一軸回転ヒンジの反対側の端部を含む、請求項1に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項14】
前記少なくとも2つのプレート部分の各々を貫通する前記複数のネジ穴は、前記少なくとも2つのプレート部分の各々を貫通する4つのネジ穴を含む、
請求項1に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項15】
前記4つのネジ穴は、前記少なくとも2つのプレート部分の各々の4つの角部に隣接して配置されている、請求項14に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項16】
前記視覚化穴は、前記少なくとも2つのプレート部分の各々の中央に配置されている、請求項1に記載の折り畳み式プレートシステム。
【請求項17】
頸椎において隣接する椎体を安定させるための方法であって、
折り畳み式プレートシステムを折り畳み形態にしながら切開部に挿通して頸椎の前面に隣接する位置に挿入するステップであって、前記折り畳み式プレートシステムは、
一軸回転ヒンジを介して互いに接続された少なくとも2つのプレート部分であって、前記一軸回転ヒンジは、前記少なくとも2つのプレート部分の隣接する端部に平行に延びる唯一の単一の回転軸を有し、これにより前記少なくとも2つのプレート部分は、前記単一の回転軸の周りで平面から外れて互いに回動可能である、少なくとも2つのプレート部分と、
下側にある移植片部位の視覚化のために構成及び配置された前記少なくとも2つのプレート部分の各々における周縁に囲まれた視覚化穴と、
内部に挿入されるネジを受けるための前記少なくとも2つのプレート部分の各々を貫通する複数のネジ穴であって、各々が前記視覚化穴よりも小さい横断面積を有する複数のネジ穴と、を備えている、
ステップと、
前記折り畳み式プレートシステムを、前記少なくとも2つのプレート部分を平坦な関係まで互いに対して回転することにより平らな形態に展開するステップと、
前記折り畳み式プレートシステムを、複数のネジで、前記隣接する椎体に取り付けるステップと、を備えた、方法。
【請求項18】
前記少なくとも2つのプレート部分の間で延びるロックプレートを位置づけるステップと、
前記単一の回転軸の周りで互いに対して前記少なくとも2つのプレート部分の回動動作に抵抗するように、前記少なくとも2つのプレート部分を前記ロックプレートに回転固定するステップと、を更に備えた、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ロックプレートは、前記少なくとも2つのプレート部分における前記複数のネジ穴のうちの少なくともいくつかと位置合わせするように離間される貫通する複数の穴を有し、 前記少なくとも2つのプレート部分を前記ロックプレートに回転固定するステップは、前記ロックプレート及び前記複数のネジ穴の前記少なくともいくつかにおいて前記複数の穴にネジを挿入するステップを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ロックプレートは、前記一軸回転ヒンジを横切って延びるように寸法づけられ、
前記少なくとも2つのロックプレートは、前記少なくとも2つのプレート部分の各々の両側縁のそれぞれに沿って縦方向に延びるガイドチャネルを含み、
前記ロックプレートを位置づけるステップは、前記ガイドチャネルを通じて前記ロックプレートをスライドし、これにより前記ロックプレートが前記一軸回転ヒンジを跨がるロック位置において前記ガイドチャネル内で両側縁で保持される、ステップを含む、
請求項19に記載の方法。
【外国語明細書】