(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046682
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】プロペラ
(51)【国際特許分類】
B63H 1/26 20060101AFI20220315BHJP
B64C 11/18 20060101ALI20220315BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
B63H1/26 A
B63H1/26 D
B64C11/18
B64C39/02
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212440
(22)【出願日】2021-12-27
(62)【分割の表示】P 2018520417の分割
【原出願日】2017-05-25
(31)【優先権主張番号】62/342,284
(32)【優先日】2016-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/508,139
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515157644
【氏名又は名称】シャロウ エンジニアリング リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー チャールズ シャロウ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】例えば、航空機、船舶、タービン、無人航空機及び空気循環装置に用いるプロペラの提供。
【解決手段】複数の羽根と、非軸方向揚力及び非軸方向流体流れを生成する手段と、非軸方向流体流れを軸方向流体流れに方向転換する手段と、ハブと一致する回転軸と、を具備し、前記複数の羽根は前記回転軸から半径方向外方に延び、前記回転軸周りに配置され、各羽根は、ループ型構造を形成し、吸入部と、排出部と、前記回転軸から半径方向外方に延びる先端部と、を有し、前記非軸方向揚力及び非軸方向流体流れを生成する手段が、前記複数の羽根のそれぞれの、前記先端部を通る前記回転軸から垂直に見た横断面外形にて、前記先端部の少なくとも一部では、前記回転軸から前記羽根の前縁までの距離が前記回転軸から前記羽根の後縁までの距離を上回るように構成される前記羽根を有するプロペラ。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体と共に使用するためのプロペラであって、前記プロペラは、物又は人を推進するか、前記流体を移動させるために提供され、前記プロペラは、
複数の羽根と、
非軸方向揚力及び非軸方向流体流れを生成する手段と、
非軸方向流体流れを軸方向流体流れに方向転換する手段と、
ハブと一致する回転軸と、を具備し、
前記複数の羽根は前記回転軸から半径方向外方に延び、前記回転軸周りに配置され、
各羽根は、ループ型構造を形成し、吸入部と、排出部と、前記回転軸から半径方向外方に延びる先端部と、を有し、
前記非軸方向揚力及び非軸方向流体流れを生成する手段が、前記複数の羽根のそれぞれの、前記先端部を通る前記回転軸から垂直に見た横断面外形にて、前記先端部の少なくとも一部では、前記回転軸から前記羽根の前縁までの距離が前記回転軸から前記羽根の後縁までの距離を上回るように構成される前記羽根であり、前記複数の羽根のそれぞれは、前記吸入部から前記先端部への移行点で40度から50度のロール値を有し、前記移行点は、所与のパラメータセクションによって生成される非軸方向揚力の量が、生成される軸方向揚力よりも大きい場合に発生し、かつ、
前記非軸方向流体流れを軸方向流体流れに方向転換する手段は、前記羽根の全体にわたって-45度から45度の間の頂角を含む、プロペラ。
【請求項2】
前記羽根の前記先端部は、90度のロール角を有する羽根セクションを含む、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項3】
前記羽根の前記先端部の全部分に対する頂角は正である、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項4】
前記羽根の前記先端部の全部分に対する頂角は負である、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項5】
前記羽根は不規則な螺旋状中央線を有する、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項6】
前記羽根の前記先端部は、前記吸入部又は前記排出部のいずれかより非軸方向揚力を多く生成する、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項7】
前記先端部での前記羽根のパラメータセクションの前記ロール値は、90度を下回る値から90度を上回る値に移行する、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項8】
前記羽根は、平均非軸方向揚力が前記吸入部又は前記排出部のいずれかと比較して前記先端部にて最大となり、前記吸入部が前記羽根の0~45%であり、前記先端部が前記羽根の30%~75%であり、前記排出部が前記羽根の50%~90%であるように構成される、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項9】
前記羽根の前記吸入部は前記羽根の中央線の長さの10パーセントから50パーセントの範囲の距離だけ延び、前記排出部は10パーセントから60パーセントの範囲の距離だけ延び、前記先端部は5パーセントから60パーセントの距離だけ延びる、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項10】
先端部からの前記移行点にて始まる前記羽根の前記排出部のロール値は、91度から135度の間であり、前記羽根の排出側根元にて180度のロール値に移行する、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項11】
前記羽根は、前記プロペラを上回る直径のエリアを包囲するジェット流及び自由流の混合流を発生させるように構成される、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項12】
前記羽根の前記吸入部は前記排出部より短い距離を占める、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項13】
前記羽根の吸入側根元から排出側根元に至るまでに、パラメータセクションのピッチ角が約70度から約35度に移行し、前記羽根の次の50パーセントにわたって、ピッチ角が約35度から約25度に移行し、前記羽根の最後の25パーセントにわたって、ピッチ角は約25度から約75度に移行する、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項14】
前記羽根の前記先端部の全体にわたって、ピッチ角がゼロではない、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項15】
前記羽根の頂角は全パラメータセクションに対してゼロである、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項16】
前記先端部の全部分に対する前記羽根の頂角は正である、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項17】
前記羽根のレーキが、前記羽根の吸入側根元から前記羽根の最初の30パーセントから40パーセントに至るまで次第に負になり、その後前記羽根の次の10パーセントから15パーセントでは正の値に到達するまで増大し、前記羽根のさらに次の20パーセントから40パーセントで増大し続け、その後前記羽根の残りの部分で横ばい状態になるか減少する、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項18】
前記羽根の非軸方向揚力が、前記羽根の10パーセントから75パーセントによって生成される、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項19】
前記羽根のレーキ値が、前記羽根の吸入側根元から前記羽根の前記吸入部にて減少し、前記羽根の前記排出部にて増大する、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項20】
前記排出部の前記羽根のパラメータセクションに対する平均頂角が前記吸入部のパラメータセクションに対する平均頂角を上回る、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項21】
前記羽根のスキューが前記羽根の吸入側根元から前記プロペラの全体にわたって増大する、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項22】
前記羽根の頂角は前記羽根の全体にわたってゼロである、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項23】
前記羽根のピッチ角は前記羽根の全体にわたって正である、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項24】
ロールが90度になる前の前記先端部の前記吸入部の端部に向かう前記羽根の前記先端部の少なくとも一部にわたって、前記回転軸から垂直に測定した断面の前端までの距離(N)は、前記回転軸から垂直に測定した断面の後端までの距離(T)を上回る、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項25】
前記羽根の前記先端部の80%が90度未満のロール値を有し、前記先端部の同80%にてN>Tである、請求項24に記載のプロペラ。
【請求項26】
前記羽根の前記排出部の平均ピッチ角は前記吸入部の平均ピッチ角を上回る、請求項24に記載のプロペラ。
【請求項27】
前記羽根の吸入側根元のレーキ位置が前記羽根の排出側根元のレーキ位置より低く、前記吸入側根元と前記排出側根元との間に隙間をもたらす、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項28】
前記羽根の吸入側根元は排出側根元の前方にあり、スキューがゼロで始まり、正の値で終わる、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項29】
前記羽根の前記排出部の基端部でのピッチ角は、前記羽根の前記吸入部の基端部でのピッチ角より大きい、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項30】
前記羽根の前記先端部は、前記吸入部より前記排出部の近くで90度のロール角を有する、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項31】
前記羽根は閉ループ構造を有する、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項32】
前記羽根は開ループ構造を有する、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項33】
前記プロペラは、
リムであって、該リムから半径方向内方に延びる羽根を備えるリムの形態である、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項34】
前記羽根の吸入側根元から排出側根元までの前記羽根の羽根セクションのロール角は0~180度である、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項35】
請求項1に記載の1つ以上のプロペラを有するターボ送風機。
【請求項36】
請求項1に記載の1つ以上のプロペラを有する無人航空装置。
【請求項37】
請求項1に記載の1つ以上のプロペラを有する船舶。
【請求項38】
請求項1に記載の1つ以上のプロペラを有するジェットエンジン。
【請求項39】
推進器、シュラウド付きプロペラ、ケース内プロペラ、羽根車、航空機、船舶、風力タービンをはじめとするタービン、冷却装置、加熱装置、自動車エンジン、無人航空機、ターボ送風機(ハイドロジェット)、空気循環装置、圧縮器、ポンプジェットからなるグループから選択された請求項1に記載のプロペラを有する装置。
【請求項40】
前記羽根の前記先端部の全体にわたる頂角はゼロである、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項41】
前記羽根の前記排出部の基端部でのピッチ角は、前記羽根の前記吸入部の基端部でのピッチ角より小さい、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項42】
平面状パラメータセクションによって規定される、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項43】
前記吸入部は、前記排出部の平均ピッチ値より高い平均ピッチ値を有する、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項44】
前記吸入部から前記先端部への移行は、前記羽根の所定のパラメータセクションによって生成される非軸方向揚力の量が、生成される軸方向揚力を上回る場合に、発生する、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項45】
前記吸入部から先端部への移行はロールが45度である場合に発生する、請求項44に記載のプロペラ。
【請求項46】
前記プロペラは、
ハブであって、該ハブから半径方向外方に延びる羽根を備えるハブを有する、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項47】
前記羽根のレーキ値が前記羽根の前記吸入部にて前記羽根の吸入側根元から減少し、前記羽根の前記排出部にて増大する、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項48】
前記羽根の排出側根元は吸入側根元の前方にあり、スキューがゼロで始まり、負の値で終わる、請求項15に記載のプロペラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、航空機、船舶、タービン、無人航空機及び空気循環装置に用いられることがあるプロペラに関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明の実施形態では、複数の羽根と、非軸方向流体流れを発生させる非軸方向揚力を生成する手段と、非軸方向流体流れを方向転換して軸方向流体移動又はスラストを発生させる手段と、を有するプロペラが提供される。プロペラは、ハブを備えるか、リム形態、即ち「ハブの無い」形態であってもよい。複数の羽根は、ハブから外方に延びるか、リムから内方に延びるかのいずれかである。各羽根は、吸入部(吸気部)と、排出部(排気部)と、ハブから半径方向外方に延びるか、リム形態、即ち「ハブの無い」形態から内方に延びる先端部とを有する開放式か閉鎖式のループ型構造を形成してもよい。非軸方向揚力及び非軸方向流体流れを生成して軸方向スラストを発生させる手段は、羽根の構成であってもよく、複数の羽根のそれぞれの横断面外形では、先端部の少なくとも一部にて、回転軸から羽根の前縁までの距離が回転軸から羽根の後縁までの距離を上回る。
【0003】
羽根は、吸入部と、排出部と、吸入部と排出部を接続するが必ずしも個別部品である必要はない先端部とを有してもよい。プロペラは、例えば、リム又はハブのいずれかに吸入側根元及び排出側根元を有する。先端部は、90度のロール角を含んでもよく、吸入側根元ではロール角がゼロである。先端部の頂角及びピッチ角は、全体にわたって正であってもよい。例示的実施形態では、先端部は、吸入部又は排出部のいずれかよりも非軸方向揚力を多く発生させる。
【0004】
例示的な実施形態では、吸入部から先端部への移行は、羽根の所定のパラメータセクションが発生させる非軸方向揚力の量が、発生させる軸方向揚力より大きい場合に発生する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
開示されたプロペラの例示的な実施形態に関してさらに詳細に説明するために、以下に説明する詳細な説明を以下の図とともに参照する。全図面は、開示されたプロペラの例示的な実施形態である。
【
図2】プロペラ羽根を規定するパラメータセクションを示す図。
【
図3】羽根のパラメータセクションの形状を示す図。
【
図4A】プロペラ羽根の吸入部(吸気部)、先端部及び排出部(排気部)のパラメータセクションのレーキの測定値を示す図。
【
図4B】プロペラ羽根の吸入部、先端部及び排出部のパラメータセクションのレーキの測定値を示す図。
【
図4C】プロペラ羽根の吸入部、先端部及び排出部のパラメータセクションのレーキの測定値を示す図。
【
図4D】プロペラ羽根の吸入部、先端部及び排出部のパラメータセクションのレーキの測定値を示す図。
【
図4E】プロペラ羽根の吸入部、先端部及び排出部のパラメータセクションのレーキの測定値を示す図。
【
図4F】プロペラ羽根の吸入部、先端部及び排出部のパラメータセクションのレーキの測定値を示す図。
【
図5A】プロペラ羽根の吸入部、先端部及び排出部のパラメータセクションのスキュー角及び頂角の測定値を示す図。
【
図5B】プロペラ羽根の吸入部、先端部及び排出部のパラメータセクションのスキュー角及び頂角の測定値を示す図。
【
図5C】プロペラ羽根の吸入部、先端部及び排出部のパラメータセクションのスキュー角及び頂角の測定値を示す図。
【
図5D】プロペラ羽根の吸入部、先端部及び排出部のパラメータセクションのスキュー角及び頂角の測定値を示す図。
【
図5E】プロペラ羽根の吸入部、先端部及び排出部のパラメータセクションのスキュー角及び頂角の測定値を示す図。
【
図5F】プロペラ羽根の吸入部、先端部及び排出部のパラメータセクションのスキュー角及び頂角の測定値を示す図。
【
図7A】選択されたパラメータセクションのα値及び半径値の例を示す図。
【
図7B】選択されたパラメータセクションのα値及び半径値の例を示す図。
【
図7C】選択されたパラメータセクションのα値及び半径値の例を示す図。
【
図7D】選択されたパラメータセクションのα値及び半径値の例を示す図。
【
図8A】パラメータセクション又は羽根を定義するパラメータの例示的な値又は相対値を示す図。
【
図8B】パラメータセクション又は羽根を定義するパラメータの例示的な値又は相対値を示す図。
【
図8C】パラメータセクション又は羽根を定義するパラメータの例示的な値又は相対値を示す図。
【
図8D】パラメータセクション又は羽根を定義するパラメータの例示的な値又は相対値を示す図。
【
図8E】パラメータセクション又は羽根を定義するパラメータの例示的な値又は相対値を示す図。
【
図8F】パラメータセクション又は羽根を定義するパラメータの例示的な値又は相対値を示す図。
【
図8G】パラメータセクション又は羽根を定義するパラメータの例示的な値又は相対値を示す図。
【
図8H】パラメータセクション又は羽根を定義するパラメータの例示的な値又は相対値を示す図。
【
図9A】羽根の選択されたパラメータセクションのピッチ角を示す図。
【
図9B】羽根の選択されたパラメータセクションのピッチ角を示す図。
【
図9C】羽根の選択されたパラメータセクションのピッチ角を示す図。
【
図9D】羽根の選択されたパラメータセクションのピッチ角を示す図。
【
図9E】羽根の選択されたパラメータセクションのピッチ角を示す図。
【
図9F】羽根の選択されたパラメータセクションのピッチ角を示す図。
【
図12A】選択されたパラメータセクションのロール角を示す図。
【
図12B】選択されたパラメータセクションのロール角を示す図。
【
図12C】選択されたパラメータセクションのロール角を示す図。
【
図13A】ハブを備えず、プロペラ羽根が延びるリングを有するプロペラを示す図。
【
図13B】ハブを備えず、プロペラ羽根が延びるリングを有するプロペラを示す図。
【
図13C】ハブを備えず、プロペラ羽根が延びるリングを有するプロペラを示す図。
【
図13D】ハブを備えず、プロペラ羽根が延びるリングを有するプロペラを示す図。
【
図13E】ハブを備えず、プロペラ羽根が延びるリングを有するプロペラを示す図。
【
図13F】ハブを備えず、プロペラ羽根が延びるリングを有するプロペラを示す図。
【
図13G】ハブを備えず、プロペラ羽根が延びるリングを有するプロペラを示す図。
【
図18A-18G】高レーキプロペラの例示的な実施形態を示す図。
【
図19A-19G】吸入(吸気)及び排出(排気)のための高レーキプロペラの別の例示的な実施形態を示す図。
【
図21A-21F】貫通ハブ排出(排気)を有するプロペラを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1A~
図1Eは、例示的な実施形態によるプロペラ100を示す。
図1Aはプロペラ100の斜視図を示す。
図1Bはプロペラ100の側面図であり、
図1Cはプロペラ100のその反対側の側面図である。
図1D及び
図1Eはそれぞれ、プロペラ100の上面(前面)図及び底面(後面)図を示す。プロペラ100は、それぞれが先端部122、吸入部124及び排出部126を有する複数の羽根102、104、106を備える。この例示的な実施形態では、羽根102、104及び106はハブ128から延びる。羽根102、104、106のそれぞれは、中央線108、110、112をそれぞれ有する。羽根102、104、106はハブ軸103回りに回転する。簡略化のため、用語「ハブ」(hub)は、物理的なハブがない場合でも、任意の回転軸を含むように使用されることがある。
【0007】
羽根は、非軸方向揚力及び非軸方向流体流れを生成する手段と、非軸方向流体流れを軸方向流体流れに方向転換する手段とを有する。例示的な実施形態では、非軸方向揚力及び非軸方向流体流れを生成する手段は、以下でさらに説明する羽根の先端部の構成である。例示的な実施形態では、非軸方向流体流れを軸方向流体流れに方向転換する手段は、先端部及び吸入部の構成であり、以下でさらに詳細に説明する排出部をさらに備えてもよい。
【0008】
本明細書で用いられる用語「プロペラ」は、装置を推進させるために流体を移動させるのに用いることができるか、例えば、冷却ファンをはじめとする空気循環ファンのような固定式装置に採用されて、固定式装置を通して空気のような流体を移動させるか、同装置の周囲で同流体を移動させる回転羽根装置を含んでもよい。
【0009】
プロペラ100は、ハブ128周りに等しい増分で配置される3枚の羽根102、104、106を有する。開示された実施形態のプロペラは、同一平面内を回転する羽根、例えば、2枚、3枚、4枚、5枚、6枚、7枚又は8枚の羽根を有してもよい。羽根の数は、プロペラの適用例に概ね左右されることになる。例えば、羽根を追加すると、採用されたプロペラの羽根の面積が増大するため、羽根の負荷が減少し、船又は飛行機の重量の増加に対して有益である可能性がある。
【0010】
羽根102、104、106は、ハブ軸103に対応する軸回りに回転するように構成されてもよいが、ハブがない装置では、羽根が回転支持体から内方に延びる構成などであってもよい。支持体の回転は電磁場によって発生させられてもよい。ハブ128はこのほか、中空であってもよく、遠心ファンのハブのように、その表面に開口を有してもよい。
【0011】
図2は、パラメータセクション1~29を有する羽根200を示す。パラメータセクション1は吸入側根元204の近傍にあり、パラメータセクション29は排出側根元206の近傍にある。各パラメータセクションは、一連の物理的特性又は測定値を表し、その値が羽根エリアの特徴を決定する。グループとしてのパラメータセクションは、羽根200の形状及びその挙動を決定する。パラメータセクションは、例示的実施形態では均等に離間しているが、不等間隔で選択されてもよい。
図2は、羽根の形状を規定するために羽根のパラメータセクションがどのようにレイアウトされているのかを単に図示するものである。パラメータセクションは、羽根に沿った特定の場所での羽根200の形状及び向きを表す。滑らかな移行がパラメータセクション間で形成され、羽根を作成する。本明細書で用いられる場合、「向き」(orientation)は位置を含むことがある。
図2の例示的な実施形態では、羽根のセクション1~29は、不規則な螺旋状中央線(irregular helical median line)202に沿って配置される平面セクションである。本明細書で用いられる「不規則な螺旋状」(irregular helical)は、数学的螺旋定義式からの変化又は3D空間の螺旋としての変化を意味し、螺旋上の任意の点での接線とプロペラ軸との間の角度が一定でない。
【0012】
29個の羽根のセクションが
図2に示されているが、さらに多くのセクション又はさらに少ないセクションを、羽根を規定するのに用いることができる。さらに、セクションを、全く示されないか完全には示されないハブ内に設けるか、同ハブ内に部分的に設けてもよい。平面又は筒状のパラメータセクションによって羽根を規定してもよい。
【0013】
パラメータセクション1~29は、例えば、ロール角及び頂角(vertical angle)(α)のような方向変数によって規定され、位置変数を含み、翼弦長(chord length)、厚さ及びキャンバーのような形状変数を含んでもよい。追加の例示的な方向変数又は位置変数には、レーキ(rake)、スキュー角及び半径が含まれる。変数のいくつか又はさらに多くの変数が羽根又は羽根部分を介して変化してもよく、いくつかは全体にわたって一定であってもよい。方向変数をX‐Y‐Z座標系を基準に測定してもよい。X‐Y‐Z座標系は、シャフト中心線に原点を有し、シャフト又はハブ軸103に垂直な母線を有する。X軸はハブ軸103に沿って、下流が正である。Y軸は母線に沿って上方に延び、Z軸は、右回りプロペラに対しては、左舷に向かって正である。Z軸を入れ替えて左手座標系を作成することによって左回りプロペラが作成される。
【0014】
パラメータセクションを、半径、レーキ及びスキューを用いるなど、翼弦(chord)(前端から後端まで)の中点によって位置づけてもよい。パラメータセクションを、以下でさらに説明するように、角度φ(ファイ)、ψ(プサイ)及びα(アルファ)を用いて方向付けてもよい。
【0015】
図3は、パラメータセクションであり得る羽根の横断面外径を参照して、羽根のパラメータセクション形状を示す。パラメータセクション300を例示する。パラメータセクション300は非対称翼形部(asymmetrical airfoil)の形態である。翼形部は、パラメータセクションの前縁310に丸みを帯びた前端306を設け、パラメータセクション300の後縁312に尖っているか丸みの少ない後端308を設けた状態で、湾曲羽根表面ライン302と略平坦羽根表面ライン304とによって境界付けられる。このほか、パラメータセクションを対称翼形部の形態としてもよい。パラメータセクションの形状にはこのほか、例えば、羽根表面ライン302、304が平行な形状が含まれる。このほか、羽根表面ライン302、304を、直線状にして、互いに対して角度づけてもよい。前端縁と後端縁の両方に丸みをつけても、両方を(羽根表面ライン302、304の一方又は両方に直交するように)平坦としても、前端又は後端のいずれか一方に丸みをつけ、他方を平坦としてもよい。シート材料で形成される羽根であれば、例えば、羽根表面ライン302、304が概ね平行になるであろう。シートで形成される羽根の説明例では、羽根の前縁は丸みを帯び、後縁は平坦であるか丸みが少ないが、吸入縁と後縁の両方が丸みを帯びていることもあり得る。
【0016】
パラメータセクションの例示的な形状変数は以下のように定義される。
【0017】
半径:用語「半径」は、パラメータセクションの形状と、X‐Y‐Z座標系に対するその向きとの両方を定義するのに用いられる。パラメータセクションの形状に関して、半径は、例えば、パラメータセクション300の前端306の曲率を表すことができるため、「前端半径」(nose radius)と呼ばれることになる。パラメータセクション300の他の特質を、半径を計算するのに用いることができる。例として、パラメータセクション前縁半径を、最大厚さ316及び翼弦314の長さに基づいて計算することができる。
【0018】
翼弦:翼弦は、パラメータセクションの前端から後端に至るライン314である。
【0019】
厚さ:種々の厚さの測定値が、例えば、最大厚さ316のようなパラメータセクションを規定することができる。別の説明例には、最大厚さ316の割合として計算され得る後縁厚さが挙げられる。例えば、後縁厚さは、パラメータセクション300の最大厚さ316の8%であり得る。
【0020】
キャンバー:キャンバー318は、パラメータセクションの曲率を規定する。
【0021】
例示的な方向変数は、以下を含む。
【0022】
レーキ:レーキは、パラメータセクション翼弦中点の軸方向位置である。
【0023】
「軸方向位置」(axial location)とは、この場合、プロペラ回転軸と一致するX軸に沿った方向を意味する。例示的なレーキ測定値を種々のパラメータセクションのための
図4A~
図4Fに示す。
図4A~
図4Fのそれぞれは、X軸がプロペラ回転軸と一致し、Y軸及びZ軸がX軸に直交し、この3軸が互いに直交している座標X、Y及びZを示す。パラメータは、座標系の原点から測定される。例示的な実施形態では、座標系のゼロ点はプロペラ回転軸に沿っており、排出側根元(排気側根元、exhaust root)よりも吸入側根元(吸気側根元、intake root)に近い。例示的に、X軸に沿って吸入側根元に向かう値は負の値であり、排出側根元に向かう値は正の値である。一般に、座標系が所望通りに配置され、選択された座標系の原点から全パラメータまたは幾何形状が測定される。
【0024】
図4A及び
図4Bは、羽根400の吸入部402上のパラメータセクション412、414に対するレーキを示す。
図4Aのパラメータセクション412は羽根400の先端部404に向かっている。パラメータセクション414は吸入側根元406に向かっている。レーキは、プロペラ回転軸に沿うか、回転軸に平行なラインに沿って測定される。
図4A、
図4Bの図示例では、レーキは、0に等しいXの点Aから点BのX座標値までの距離であり、点Bはパラメータセクション412、414の翼弦の中点410である。点BのX座標値は
図4A~
図4FにてB
xで表される。
【0025】
図4C及び
図4Dは、羽根400の先端部404上のパラメータセクション418、420に対するレーキを示す。
図4Cのパラメータセクション418は、羽根400の先端部404の第1の位置にあり、(以下にさらに説明する)ロール値はゼロより大きく90度未満である。
図4Dのパラメータセクション420は、ロール値が90度以上である先端部404の第2の位置にある。
図4C、
図4Dの図示例では、レーキは、ゼロに等しいXの点Aから点BのX座標値B
xまでの距離であり、点Bはパラメータセクション418、420の翼弦の中点410にある。
図4E及び
図4Fは、羽根400の排出部426上のパラメータセクション422、424のためのレーキを示す。
図4Eのパラメータセクション422は、羽根400の先端部404の側にある。パラメータセクション424は排出側根元428の側にある。
図4E、
図4Fの図示例では、レーキは、ゼロに等しいXの点Aから点BのX座標値までの距離であり、点Bはパラメータセクション422、424の翼弦の中点410にある。
【0026】
ピッチ角:ピッチ角は、パラメータセクションの翼弦線とX軸に直交する平面との間の角度である。ピッチ角は、ピッチ間隔及び羽根半径に基づいて計算することができる。パラメータセクションのピッチ角の例は、
図4A及び
図4Cに提供される。
図4A及び4Cはそれぞれ、パラメータセクション412及び418のピッチ角を示す。
【0027】
半径:方向半径は、ハブ中心208からパラメータセクションの翼弦314の中点320までの距離である。翼弦314はこのほか、前端-後端ライン(nose-to-tail line)と呼ばれる。この段落で説明される半径は、X‐Y‐Z座標系を基準にして測定されない前端半径(nose radius)をはじめとするパラメータセクション形状半径(parameter section shape radii)と区別するために、パラメータセクション方向半径(parameter section orientation radius)と呼ばれる。翼弦314の中点320は、中央線202が通過するであろうパラメータセクション翼弦線上の点である。これは、ハブ中心208からパラメータセクション5の翼弦の中点まで延びるラインRによって
図2に示される。なお、パラメータセクション5の翼弦とその中点は、
図2に具体的には示されていない。
【0028】
図5A~
図5Fは、羽根回転軸Xに沿って見た羽根400を示す。
図5A~
図5Fは、代表的なパラメータセクションの半径及びスキュー角を特定する。
図5Aは、羽根400の吸入部402でのパラメータセクション412の半径を示す。
図5Bは、パラメータセクション412よりも吸入側根元406から離れた羽根400の吸入部402のパラメータセクション、即ち、パラメータセクション414の半径を示す。
図5C及び
図5Dはそれぞれ、パラメータセクション418及び420の半径を示し、パラメータセクション418及び420は先端部404にある。
図5E及び
図5Fは、排出部426内の排出パラメータセクション422及び424のそれぞれの半径を示す。吸入部402、先端部404又は排出部426にある場合のパラメータセクション412、414、418、420、422及び424の位置は、考察を容易にするためにのみ提供される。これ以外に、実際のパラメータ値と、結果として生じる流体流れとにより、セクションの位置が規定される可能性がある。
【0029】
図5A~
図5Fは、パラメータセクション412、414、418、420、422、424のスキュー角をさらに示す。スキュー角は、翼弦314の中点410を通る線から母線、この例示的な実施形態では、ハブ軸103(X軸)に沿って見たY軸までの投影された角度である。
【0030】
図7A~
図7Dは、スキュー角及び半径を示すほか、
図7A~
図7Dのそれぞれに記されるパラメータセクションの頂角αを示す。頂角はこのほか、「揚力角」(lift angle)と呼ばれることがある。αは、パラメータセクションがスキュー線に直交する線に対して回転する角度であり、
図6A~
図6Dにて特定され、以下に記載される。このスキュー線とは、ゼロスキュー線と共にスキュー角を形成する線を指す。αの値に応じて、パラメータセクションの前端は、ゼロスキュー線に対してスキュー角を形成するスキュー線に直交する線から「持ち上げられる」か、「垂れ下がる」かのいずれかであることになり、ゼロスキュー線は、
図7A~
図7Dで特定される座標系のY軸と一致する。
【0031】
なお、
図5A~
図5Fでは、αはゼロであるため、特定されていない。αがゼロである場合、パラメータセクションの翼弦線はゼロスキュー線に直交している。この状態は、
図5A~
図5Fを
図7A~
図7Dと比較することによってわかる。
【0032】
ロール:ロールは、パラメータセクションがその翼弦線回りに回転する角度である。本明細書に記載されるように、ゼロロール値がハブ軸に平行な面にある。例示的な実施形態では、吸入側根元132でのロールがゼロであり、排出側根元134でのロールが180度であり、先端部122内の位置でのロールが90度である。
【0033】
種々の例示的な実施形態を特徴の組み合わせによって説明する。開示されたプロペラは、特徴のさまざまな組み合わせ、要素の均等物を含み、ほかにも、全特徴が含まれるわけではない実施形態を含んでもよい。
【0034】
プロペラの例示的な実施形態では、プロペラは、
図1A~
図1Eに概ね示されるように、ループ形状の複数の羽根を備える。
図1Aのプロペラは、プロペラ領域を特定するための一般的な参照としてのみ参照される。プロペラ羽根の実際の形態は、パラメータに応じて指定された範囲内で変化することになる。
【0035】
プロペラ100の各羽根102、104、106は、先端部122、吸入部124及び排出部126を備える。例示的な実施形態では、吸入部は羽根の0~45%を占め、先端部は羽根の30~75%を占め、排出部は羽根の50~90%を占める。
【0036】
プロペラ100はさまざまな数の羽根を有してもよい。羽根は実施形態の範囲内で変形し得るが、それぞれが同一の特徴及びパラメータを有するのが好ましい。2枚から12枚の羽根が例示されているが、さらに多くの羽根を1つのプロペラが備えてもよい。特定の実施形態では、プロペラが3枚、4枚、5枚、7枚又は11枚の羽根を有してもよい。ループ状の羽根を有するプロペラの実施形態では、羽根はハブ128に吸入側根元132を有し、ハブ128に排出側根元l34を有する。吸入部124、先端部122及び排出部126を合わせて閉ループを形成してもよく、あるいはこのループは、吸入側「根元」又は排出側「根元」で開放されてもよい。
【0037】
ロール:ロール角(ψ)は、例えば、翼弦314回りの配向角である。
図1A~
図1Fに戻ると、吸入部124は、ハブ128を備えるプロペラのために、ハブ128から概ね外側に延びる。吸入部124は、吸入側根元132ではロールがゼロであってもよい。吸入部124は、軸方向揚力のみを発生させるか、非軸方向揚力よりも大きな軸方向揚力を発生させるように構成される。吸入部124の全パラメータセクションに対するロール値はゼロであってもよい。吸入部124のパラメータセクションに対する例示的なロール値の範囲は、吸入側根元132ではゼロであり、吸入部124から先端部122に移行する部分では約1度から35度の間に増大する。吸入側根元132から先端部122に至る吸入部124に対するロール値の範囲はほかにも、ゼロから約5度~25度への増大と、ゼロから約10度~20度への増大を含む。
【0038】
先端部122はこのほか、第1の偏差にてロール値ゼロから始まり、90度のロール値又は90度をわずかに上回るロール値にて始まる先端部排出端部まで延びる先端部吸入端部によって規定されてもよい。
【0039】
先端部122は、非軸方向揚力のみを発生させるか、非軸方向揚力を軸方向揚力よりも大きく発生させるか、非軸方向揚力を吸入部124よりも大きく発生させるように構成される。先端部122のパラメータセクションのロール値は、90度未満から90度を上回るまで移行することになる。先端部122の例示的なロール値の範囲は、吸入部124からの移行部での1度~46度と、先端部が排出部126に移行する部分での91度~150度との間を含む。先端部122の例示的なロール値の範囲はこのほか、吸入部124からの移行部での5度~25度と、110度~135度のロールとの間を含む。
【0040】
例示的な実施形態では、吸入部124から先端部122への移行は、所定のパラメータセクションが発生させる非軸方向揚力の量が軸方向揚力を上回った場合に発生する。本発明の特定の実施形態では、この移行は、ロールが45度であるか、ロールが40度~50度の範囲にある場合に発生する。
【0041】
排出部126は、非軸方向揚力を先端部122よりも小さく生成するように構成される。本発明の例示的な実施形態では、羽根は、非軸方向揚力の平均が、吸入部124か排出部126のいずれかと比較した場合に、先端部122にて最大であるように構成される。例示的な実施形態では、羽根は、非軸方向揚力の平均が、場合によっては、吸入部124よりも排出部126にて最大であるように構成される。排出部126の例示的なロール値の範囲には、先端部122から排出部126への移行部での91度~150度と、排出側根元134での180度との間が含まれる。例示的な範囲にはこのほか、先端部122からの移行部での91度~135度と、排出側根元134での180度のロールとの間が含まれる。
【0042】
図8A~
図8Hは、パラメータセクション又は羽根を規定する種々のパラメータの例示的な値又は相対値を示す。
図8Aは、羽根の吸入側根元から排出側根元に至るまでの例示的なロール値を示す。例示的な実施形態では、吸入側根元132から排出側根元134に至るまでに、パラメータセクションのロールが、羽根の最初の25パーセントの部分では約0度から5度に移行し、羽根の次の50パーセントの部分では約5度から約162度に移行し、羽根の最後の25パーセントの部分では約165度から約180度に移行する。
【0043】
例示的な実施形態では、羽根の10パーセントから90パーセントの部分で非軸方向揚力が発生する。例示的な範囲には、10パーセント~75パーセント及び25パーセント~50パーセントがさらに含まれる。
【0044】
図6は、羽根602、604周りの流体流れを示す、プロペラ600の図示例を示す。吸入部606、608はそれぞれ、羽根602、604の吸入部606、608での軸方向の流体流れを示す。流体流れは、プロペラが前方に移動するか、流体が羽根602、604を通って移動する場合に軸方向に維持される。流体流れは、羽根602、604の排出部610、612から流体流れが離れる場合に依然として軸方向である。
【0045】
羽根602、604の先端部内では、軸方向スラストが非軸方向揚力から発生する。非軸方向揚力は、ループの内部など、プロペラ羽根内に至る流体流れをもたらす。流体は、先端部610、612の前縁に非軸方向に突き当たる。流体が先端部610、612によって引き込まれると、羽根602、604のループ内で軸方向に方向転換される。非軸方向揚力は、先端部によって抗力を発生させる可能性がある。流体が羽根602、604の後縁を通過するとき、先端部610、612では、流体は軸方向にあるか、羽根602、604のループの内部に入った時点よりも軸方向に寄っている。
【0046】
例示的な実施形態では、プロペラ600は、プロペラの後方への流体流れの自由流とジェット流の混合を生み出すように構成される。ここで、混合エリアは、プロペラの直径よりも大きく、この場合のプロペラの直径は、ハブ軸全体にわたるプロペラの最大スパンの測定値である。
【0047】
図1A~
図1Fに戻ると、先端部122、吸入部124及び排出部126は、中央線108、110、112に沿うなどして、必ずしも等距離だけ延びる必要はない。例示的な実施形態では、吸入部124が占める距離は排出部126よりも短い。このため、羽根が軸方向揚力を非軸方向揚力に方向転換するように構成される地点までの中央線108、110、112に沿う距離は、吸入側根元132からよりも排出側根元134からの方が長い。例示的な実施形態では、吸入部124は中央線の長さの10パーセント~50パーセントの範囲の距離だけ延び、排出部126は中央線の長さの10パーセント~60パーセントの範囲の距離だけ延び、先端部122は中央線の長さの5パーセント~60パーセントの距離だけ延びる。
【0048】
図8Bは、羽根の吸入側根元から排出側根元に至るまでの例示的な相対ピッチ角の値を示す。例示的な実施形態では、吸入側根元132から排出側根元134に至るまでに、パラメータセクションのピッチ角は約70度から約35度に移行し、羽根の次の50パーセントではピッチ角は約35度から約25度に移行し、羽根の最後の25パーセントでは、ピッチ角は約25度から約75度に移行する。本発明の例示的な実施形態では、先端部122にてピッチ角は終始ゼロではない。本発明の例示的実施形態では、先端部122は、ピッチがゼロではなく、非軸方向揚力を方向転換して軸方向スラストを発生させるように規定され構成される。
【0049】
図8Cは、例示的な実施形態による羽根の吸入側根元から排出側根元に至るまでの頂角αを示す。頂角は、パラメータセクションをスキューに直交しないように方向付ける。例示的な実施形態では、頂角は全パラメータセクションに対してゼロである。別の実施形態では、吸入部及び先端部に対する頂角は全パラメータセクションに対して正であり、排出部に対する頂角は全パラメータセクションに対して負である。さらに別の実施形態では、先端部122は、頂角がゼロではない少なくとも1つのパラメータセクションを有してもよい。他の実施形態では、先端部及び吸入部に対する平均頂角は、排出部の平均頂角よりも大きい。
【0050】
例示的な実施形態では、排出部126のパラメータセクションに対する平均頂角は、吸入部124のパラメータセクションに対する平均頂角よりも大きい。
【0051】
先端部122の頂角の例示的な範囲には、0~1度、1度~10度、4度~6度、0~5度、1度~4度及び2度~3度が含まれる。頂角はこのほか、羽根の全体にわたってゼロであってもよい。頂点での頂角は、流体を羽根の「ループ」の内部に引き込ませるようにしてもよく、これにより、抗力を発生させてもよい。頂点での頂角はこのほか、ループ内の軸方向流体流れに方向転換される進行方向から軸が逸脱している流体流れを発生させてもよい。頂点領域の頂角が大きくなるほど、非軸方向揚力の量が増大し、その結果、プロペラに流れ込む非軸方向流体流れの量が増大する。先端部122のパラメータセクションの頂角は、近傍で非軸方向揚力及び抗力を発生させてもよい。例示的な実施形態では、頂角は、羽根全体にわたって、-45度と45度との間、-25度と25度との間又は-15度と15度との間である。
【0052】
図8Dは、羽根の吸入側根元から排出側根元に至るまでの例示的な相対半径値を示す。例示的な実施形態では、パラメータセクションの半径は、吸入側根元132から始まる羽根の最初の60パーセント~80パーセントにわたって増大し、次に排出側根元134を通るパラメータセクションを通じて減少する。この段落と他の段落で用いられているように、パラメータセクションにわたるパラメータの移行が羽根を通じた移行に対応する。
【0053】
図8Eは、羽根の吸入側根元から排出側根元に至るまでの例示的なレーキ値を示す。例示的実施形態のレーキは、羽根の吸入側根元132から最初の30パーセント~40パーセントにかけて次第に負の方向に振れてもよい。レーキはその後、羽根の次の10パーセント~15パーセントにかけて、正の値に達するまで増大してもよい。レーキは、羽根のさらに次の20パーセント~40パーセントにかけて引き続き増大し、その後羽根の残りの部分では横ばいになるか、減少してもよい。レーキはこのほか、ゼロの位置の吸入側根元から正の排出側根元値まで線形であってもよい。
【0054】
図8Fは、羽根の吸入側根元から排出側根元に至るまでの例示的な相対スキュー値を示す。例示的な実施形態では、スキュー値は、吸入側根元132から排出側根元134に至るまで増大し続ける。別の例示的な実施形態では、スキュー値は、排出部がその回転面上で吸入部及び先端部の前方にあるように、減少し続けてもよい。パラメータセクションの翼弦314は、羽根全体にわたって、又は羽根の一部にて、スキュー線に直交してもよい。ここで、翼弦314が直交するスキュー線は、ゼロスキュー線と協働してスキュー角を形成するスキュー線である。
【0055】
図8Gは、羽根の吸入側根元から排出側根元に至るまでの例示的な相対キャンバー値を示す。例示的な実施形態では、パラメータセクションのキャンバーは、吸入側根元132での正の値から排出側根元134での負の値に移行する。ここで、羽根の負圧側が、正のキャンバーと負のキャンバーとの界面での先端部から排出部への移行部の近傍で、羽根の正圧側に変化する。
【0056】
図8Hは、羽根の吸入側根元から排出側根元に至るまでの例示的な相対翼弦値を示す。例示的な実施形態では、翼弦は吸入側根元132から減少し、その後排出部126に向かって増大し始め、排出側根元134まで増大し続ける。他の例示的な実施形態では、翼弦は、吸入側根元132から増大し、その後排出部126に向かって減少し、排出側根元134まで減少し続ける。
【0057】
例示的な実施形態では、先端部吸入端部から先端部排出端部までの先端部122は、下記の特徴の1つ以上を示す。
・平均非軸方向揚力が平均軸方向揚力より大きい
・先端部吸入端部から先端部排出端部にかけて非軸方向揚力が発生。
・全体にわたってα値がゼロ。
・全体にわたってピッチ角が正である。
・全体にわたってピッチ間隔が正である。
・先端部122の70%から95%の間の部分全体にわたってピッチ角が正である。
・ロール値が80度であるパラメータセクションからロール値が95度であるパラメータセクションまで延びる先端部内で羽根半径値が最大になる。
【0058】
下記の表では、選択されたパラメータセクションの例示的な値が提供される。パラメータセクションは、30個のパラメータセクションによって構成される羽根から選択された2番、6番、11番、19番、25番及び29番である。パラメータセクション2は、選択されたパラメータセクションのうち最も吸入側根元132に近いセクションである。パラメータセクション29は、選択されたパラメータセクションのうち最も排出側根元134に近いセクションである。
【表1】
【0059】
図5A~
図5Fはそれぞれ、パラメータセクション2、6、11、19、25及び29の概略表示を提供する。上記のように、
図5A~
図5Fは、α値がゼロであるパラメータセクションを示す。例示的な実施形態では、このようなパラメータセクションは、いずれもα値がゼロであり、プロペラ羽根を形成するパラメータセクションのグループの一部であってもよい。
【0060】
図5A~
図5Fを参照すると、半径が、パラメータセクション2からパラメータセクション19まで増大し、その後パラメータセクション25からパラメータセクション29まで減少していることがわかる。ピッチ、スキュー及びロールは、パラメータセクション2、6、11、19、25及び29にわたって増大する。ピッチ角は、パラメータセクション2からパラメータセクション25まで減少し、その後パラメータセクション29にて増大に転ずる。
【0061】
図9A~
図9Fはそれぞれ、パラメータセクション2、6、11、19、25及び29に対するピッチ角の概略表示を提供する。ピッチ角は、羽根全体にわたって変化し、吸入側根元及び排出側根元で最大値になる。
【0062】
図7A~
図7Dは、羽根を構成する30個のパラメータセクションのうち、以下の表に示されるパラメータセクション6、11、19及び25の表示を示す。このようなパラメータには、変化するα値が含まれる。下記の表は、選択されたパラメータセクションに対する例示的な値を提供する。
【表2】
【0063】
半径、ピッチ、スキュー、ピッチ角及びロールには、αがゼロである図示例と同一の値が付与されている。
図7A~
図7Dが示す実施形態では、αがパラメータセクション6から19まで減少し、その後パラメータセクション19から25の間の羽根上の位置にて負になる。この変化は
図7A~
図7Dに図示される。
【0064】
なお、値がセクションパラメータと関連するところでは、値は、吸入部、先端部及び排出部のそれぞれが本明細書で定義されるように、羽根部分を定義することができる。
【0065】
プロペラの例示的な実施形態が、下記の特徴の1つ以上と、本明細書に記載の任意の特徴とを有してもよい。
・吸入側90度ロールの先端部122の少なくとも一部にわたって、ハブ軸103から垂直に測定されたパラメータセクションの前端までの距離(N)は、ハブ軸から垂直に測定されたパラメータセクションの後端までの距離(T)を上回る。
・先端部の80%では、ロール値が90度を下回り、N>Tである。
・排出部126の平均ピッチ角は、吸入部124の平均ピッチを上回る。
・ピッチ角がロールの変化に応じて変化する。
・ピッチ角が羽根全体にわたって正である。
・プロペラ羽根の前縁全体の長さは、プロペラ軸から垂直に測定した後縁全体の長さを上回る。
・最初のレーキ位置(吸入側根元)が最後のレーキ位置(排出側根元)より低いため、吸入側根元の後部に排出側根元がある状態で、吸入側根元と排出側根元との間に隙間がある。
・スキューが吸入側根元132から排出側根元134にかけて増大する。
・吸入側根元が排出側根元の前方にあり、スキューがゼロで始まり、正の値で終わる。
・吸入側根元が排出側根元の後方にあり、スキューがゼロで始まり、負の値で終わる。
・吸入部全体が、頂部領域を除いて、排出部の前方にある。
・羽根の断面の最大厚さが翼弦の中点と断面の前縁との間にある。
・加圧面は吸入部の頂点に向かって回転し続け、排出部の吸入面となる。吸入側根元132が排出側根元134と一直線に並び、スキューがゼロである。
・伝統的なプロペラと比較して、ジェット流と自由流を排出羽根の下流で実質的に混合する。
・羽根は、自由流とジェット流との混合を増大させることによってプロペラの直径を「効果的に増大させる」ように構成される。
・排出羽根のその基端部でのピッチ角は、吸入羽根のその基端部でのピッチ角より大きい。
・先端部は、吸入部よりも排出部の近くで90度のロール角を有する。
・吸入部根元と排出部根元との間に隙間がある。
・パラメータセクションの翼弦長が羽根全体にわたって変化する。
・羽根を構成するパラメータセクションが平面であり、中央線に直交する。
・羽根を構成するパラメータセクションの一部または全部が平面ではなく、中央線に対して円筒形である。
・排出部のレーキが負である。
・排出部のレーキが正である。
・さまざまな構成の羽根が単一のプロペラに組み込まれる。
【0066】
プロペラの変動は、中央線が同一であっても、他のパラメータでは変化することがあり得る。本発明の例示的な実施形態による一連のプロペラは、共通の中央線に基づくものであり、パラメータセクションピッチ、迎え角、角度、レーキ、表面積、面積比、スプライン形状、断面プロファイル、翼弦長、頂角、ロールをはじめとする羽根パラメータが変化し得る。
【0067】
図14A及び
図14B、
図15A及び
図15B、
図16A及び
図16B、
図17A及び
図17Bはそれぞれ、2枚羽根、3枚羽根、4枚羽根及び7枚羽根のプロペラの側面図及び断面図である。横断面は、プロペラの前部位置から回転軸に沿って見たものである。横断面は、概ね羽根の先端部122でのものである。各断面図に見られるように、羽根の各断面プロファイルに対して、先端部122のこのような特定の領域にて、回転軸から羽根断面の前縁までの距離Aは、回転軸から羽根断面の後縁までの距離Bを上回る。本発明の例示的な実施形態では、先端部122の全体に対してAはBより大きい。本発明の別の例示的な実施形態では、先端部122の50パーセント~100パーセントに対してAはBより大きい。別の実施形態では、先端部122にてAがBより大きい部分の割合は、85パーセント~90パーセントの範囲である。一般に、AとBとの間の長さの差が大きくなるほど、非軸方向から引き込まれる流体が増大することになる。同じように、羽根のAがBより大きい部分の割合が大きくなるほど、非軸方向から引き込まれる流体が増大することになる。
【0068】
例示的な実施形態を、ハブを有するプロペラとして図示又は説明してきた。本明細書に記載される羽根はこのほか、
図13A~
図13Gに示されるように、ハブの無いプロペラ装置に用いられてもよい。
図13Aは「ハブの無い」(hubless)プロペラ800の斜視図である。この実施形態では、羽根804が7枚あり、それぞれがリム802から延びる吸入側根元132及び排出側根元134を、先端部122がプロペラの中心を向いた状態で有する。
図13B~
図13Gはそれぞれ、上(上面)、下(底面)、「前」(正面)、「後」(背面)、「左」(左側面)及び「右」(右側面)から見た図である。用語「左」、「右」、「前」及び「後」は、プロペラ周りを90度ずつ間隔を開けて見た図を区別することのみを目的として用いられるのであり、円形の装置であるので文字通りの意味を有するものではない。羽根は、ハブ付きプロペラと同一又は類似する特徴を備えるが、一部がリムのために吸入流に変化をもたらす。
【0069】
本明細書に記載の実施形態のいずれかによるプロペラを作成する方法をさらに開示する。例示的実施形態では、プロペラ羽根を形成する複数のパラメータセクションの向き及び形状を定義するために、複数の独立して変更可能な方向及び形状変数が提供される。形状及び方向の変数は、本明細書で開示されるものの任意の組み合わせであり得る。パラメータセクションは、平面でも円筒形でもよい。例示的な実施形態では、変数は、本明細書に記載されているように、必要に応じて揚力を方向づけ、方向転換するように修正される。次に、構成されたパラメータセクションは、滑らかなラインを形成するためにパラメータセクション間を外挿することによって羽根を形成するために使用される。この方法は、本明細書に記載された任意の羽根を形成するために使用してもよい。
【0070】
本発明は、開示されたプロペラが組み込まれたいくつかの異なる装置を含む。例えば、本発明は、例示的な装置として、推進器、シュラウド付きプロペラ、ケース内プロペラ、羽根車、航空機、船舶、風力タービンをはじめとするタービン、冷却装置、加熱装置、自動車エンジン、無人航空機、ターボ送風機(ハイドロジェット)、空気循環装置、圧縮器、ポンプジェット、遠心ファン、ジェットエンジンなどを含む。本発明にはこのほか、本明細書にて記載されるか、図示されるか、請求される実施形態のいずれかによる上記に列挙された装置のいずれかを含むプロペラを製造し、設計する方法、上記のプロペラのいずれかを備える装置を製造する方法、製品を製造する方法であって、上記のプロペラのいずれかを内蔵する装置の設置を含む方法が含まれる。
【0071】
ロール対中央線に沿う距離の比率は、特定のプロペラが適用例に適しているかどうかの要因となることがある。例えば、所定の距離ごとのロールが大きくなるほど、羽根が、よりずんぐりした外形となるため(creates a more squat blade profile)、冷却装置又は換気装置用のファンとしての適用例に対する適正が増大する可能性がある。
【0072】
例示的な実施形態では、本明細書に記載されているようなプロペラが、例えば、
図10A及び
図10Bに示されるように、ターボ送風機に組み込まれる。ターボ送風機は、例えば、8枚又は12枚の羽根を有してもよい。なお、
図10A及び
図10Bに示される羽根は、必ずしも本明細書に記載される種類のものである必要はない。図面は装置の種類を示すために提供されるものであるにすぎない。
【0073】
本発明の別の例示的な実施形態では、本明細書に記載されているようなプロペラが、例えば、
図11に示されるような無人航空機又は装置に組み込まれる。なお、
図11に示される羽根は、必ずしも本明細書に記載される種類のものである必要はない。図面は装置の種類を示すために提供されるものであるにすぎない。
【0074】
例示的なプロペラの種々の実施形態及び図は、
図18A~
図18F、
図19A~
図19F、
図20A~
図20I及び
図21A~
図21Fに提供される。上(上面)、下(底面)、「前」(正面)、「後」(背面)、「左」(左側面)、「右」(右側面)から見た図及び斜視図が提供され、図面にラベルが付けられている。用語「左」、「右」、「前」及び「後」は、プロペラ周りを90度ずつ間隔を開けて見た図を区別することのみを目的として用いられるものであり、円形の装置であるので文字通りの意味はない。
図18A~
図18Fは、羽根の吸入部に対するレーキ値が高いプロペラの例示的な実施形態を示す。
図19A~
図19Fは、吸入及び排出のためのレーキ値が高いプロペラの別の例示的な実施形態を示す。
図20A~
図20Iは、船内プロペラを示す。
図21A~
図21Fは、船外機のための貫通ハブ排出を備えるプロペラを示す。
【0075】
本発明のさまざまな実施形態を説明してきたが、それぞれは異なる要素の組み合わせを有する。本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、開示された要素の異なる組合せ又はいくつかの要素の省略及びそのような構造の均等物を含む可能性がある。
【0076】
本発明を例示的な実施形態によって説明してきたが、当業者にはこのほかの利点及び変更が想起されるであろう。このため、本発明は、そのさらに広範な態様にて、本明細書に図示され説明される特定の詳細に限定されない。本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、例えば、羽根の数及び羽根の曲率の変更を行うことができる。このため、本発明は、特定の例示的な実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲及びその等価物の全範囲内で解釈されることが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体と共に使用するためのプロペラであって、前記プロペラは、物又は人を推進するか、前記流体を移動させるために提供され、前記プロペラは、
複数の羽根(400)と、
吸入側根元(406)と、
排出側根元(428)と、
非軸方向揚力及び非軸方向流体流れを生成する手段と、
非軸方向流体流れを軸方向流体流れに方向転換する手段と、
ハブ(128)と一致する回転軸(X)と、を具備し、
前記複数の羽根(400)は前記回転軸(X)から半径方向外方に延び、前記回転軸(X)周りに配置され、
各羽根(400)は、ループ型構造を形成し、吸入部(402)と、排出部(426)と、前記回転軸(X)から半径方向外方に延びる先端部(404)と、を有し、
前記非軸方向揚力及び非軸方向流体流れを生成する手段、及び非軸方向流体流れを軸方向流体流れに方向転換する手段は、前記先端部(404)において正であってゼロではないピッチ角を有するように構成された羽根(400)であり、前記吸入側根元(406)から前記排出側根元(428)までのスキュー角が連続的に増加または減少し、その結果、前記吸入側根元(406)と前記排出側根元(428)との間に隙間が生じ、前記羽根(400)の前記先端部(404)は、所定のパラメータセクション(418、420)によって生成される非軸方向揚力の量が生成される軸方向揚力よりも大きい、
プロペラ。
【請求項2】
前記羽根が、不規則な螺旋状中央線を有する、請求項1に記載のプロペラ。
【請求項3】
前記羽根のピッチ角は、羽根全体で正であるか、または、前記羽根が閉ループ構造を有する、請求項1または2に記載のプロペラ。
【請求項4】
前記羽根の前記吸入側根元は前記排出側根元の前方にあり、スキューはゼロで始まり、正の値で終わる、請求項1または2に記載のプロペラ。
【請求項5】
前記羽根のレーキ値が、前記吸入側根元から前記羽根の前記吸入部にて減少し、前記羽根の前記排出部にて増大する、請求項1または2に記載のプロペラ。
【請求項6】
前記羽根(400)を画定するパラメータセクションは平面であり、前記羽根(400)の前記中央線に垂直である、請求項1または2に記載のプロペラ。
【請求項7】
前記吸入部は、前記排出部の平均ピッチ値よりも高い平均ピッチ値を有する、請求項1または2に記載のプロペラ。
【請求項8】
前記吸入部から前記先端部への移行は、羽根の所定のパラメータセクションによって発生させる非軸方向揚力の量が、発生させる軸方向揚力よりも大きい場合に発生する、請求項1または2に記載のプロペラ。
【請求項9】
任意のパラメータセクションの頂角の値の範囲は、-45度と45度との間である、請求項1または2に記載のプロペラ。
【請求項10】
前記吸入側根元は前記排出側根元の後方にあり、スキューはゼロで始まり、負の値で終わる、請求項1または2に記載のプロペラ。