(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046699
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】光免疫療法のための組成物、組み合わせおよび関連方法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20220315BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220315BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220315BHJP
A61K 41/00 20200101ALI20220315BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/695 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/409 20060101ALI20220315BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220315BHJP
A61K 38/19 20060101ALI20220315BHJP
A61K 38/21 20060101ALI20220315BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/711 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/739 20060101ALI20220315BHJP
A61K 33/06 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/7032 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/716 20060101ALI20220315BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20220315BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/37 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/4025 20060101ALI20220315BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
A61K47/68
A61P35/00 ZNA
A61P43/00 121
A61K41/00
A61K39/395 C
A61K39/395 L
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K31/695
A61K31/409
A61K45/00
A61K38/19
A61K38/21
A61K38/16
A61K31/711
A61K31/713
A61K31/739
A61K33/06
A61K31/4745
A61K31/7032
A61K31/716
A61K38/08
A61K38/20
A61K31/37
A61K31/352
A61K31/404
A61K31/437
A61K31/4025
C07K16/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214211
(22)【出願日】2021-12-28
(62)【分割の表示】P 2018528209の分割
【原出願日】2016-08-18
(31)【優先権主張番号】62/206,776
(32)【優先日】2015-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/249,085
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518055877
【氏名又は名称】ラクテン・メディカル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ビール メリル
(72)【発明者】
【氏名】メーキングス ルイス アール.
(72)【発明者】
【氏名】ヘイム ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア‐グズマン ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】チン エイリーン サン
(72)【発明者】
【氏名】ヤーダヴ ディーパック
(72)【発明者】
【氏名】フォン ジェリー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光免疫療法に使用する標的化分子にコンジュゲートされたフタロシアニン色素及び前記色素を用いた治療法を提供する。
【解決手段】(a)疾患または病態を有する対象に、該疾患または病態と関連する病変の微小環境中に存在する細胞の表面のタンパク質に結合する標的化分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程であって、該疾患または病態を処置するためのそのようにコンジュゲートされていない抗体または抗原結合抗体断片の治療有効全身曝露の75%以下である全身曝露を達成するためにコンジュゲートを投与する、工程;および(b)コンジュゲートを投与した後、病変に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm
-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射し、それによって対象における疾患を処置する工程を含む、対象における疾患または病態を処置する方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)疾患または病態を有する対象に、該疾患または病態と関連する病変の微小環境中に存在する細胞の表面のタンパク質に結合する標的化分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程であって、該疾患または病態を処置するためのそのようにコンジュゲートされていない抗体または抗原結合抗体断片の治療有効全身曝露の75%以下である全身曝露を達成するためにコンジュゲートを投与する、工程;および
(b)コンジュゲートを投与した後、病変に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射し、それによって対象における疾患を処置する工程
を含む、対象における疾患または病態を処置する方法。
【請求項2】
波長が600nm~850nmである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
波長が660nm~740nmである、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項4】
コンジュゲートが、以下の投薬スケジュールで投与される:
コンジュゲートの投与が単回の注射または注入として1回だけ実施される;または
投薬スケジュールが該コンジュゲートの後続用量を含まない;または
投薬スケジュールがそのようにコンジュゲートされていない巨大分子の後続用量を含まない、
請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
コンジュゲートが全身投与される、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
コンジュゲートが静脈内投与される、請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
コンジュゲートが、前記疾患または病態を処置するためのそのようにコンジュゲートされていない抗体または抗原結合抗体断片の治療有効全身曝露の60%以下、50%以下、40%以下または30%以下である全身曝露(AUC)を達成するために投与される、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
疾患または病態が腫瘍であり、抗体または抗原結合抗体断片が腫瘍微小環境中に存在する細胞の表面の分子に結合し、かつ腫瘍が照射される、請求項1~7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
コンジュゲートの投与後の患者集団についての時点0から無限までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積によって測定された場合の全身曝露(AUC[0-inf])が、250μg/mL*h~100,000μg/mL*hの間もしくは約250μg/mL*h~100,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~50,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~50,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~18,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~18,000μg/mL*hの間; 500μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間であるか;または
コンジュゲートの投与後の患者集団についての時点0から無限までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積によって測定された場合の全身曝露(AUC[0-inf])が、100,000μg/mL*h以下、75,000μg/mL*h以下、50,000μg/mL*h以下、40,000μg/mL*h以下、30,000μg/mL*h以下、20,000μg/mL*h以下、10,000μg/mL*h以下、5,000μg/mL*h以下、2,500μg/mL*h以下である、
請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
コンジュゲートの投与後の患者集団についての時点0から24時間までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積によって測定された場合の全身曝露(AUC[0-24])が、100μg/mL*h~25,000μg/mL*hの間もしくは約100μg/mL*h~25,000μg/mL*hの間、200μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間もしくは約200μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間であるか;または
コンジュゲートの投与後の患者集団についての時点0から24時間までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積によって測定された場合の全身曝露(AUC[0-24])が、25,000μg/mL*h以下、15,000μg/mL*h以下、10,000μg/mL*h以下、5,000μg/mL*h以下、2,500μg/mL*h以下、1,000μg/mL*h以下、もしくは500μg/mL*h以下である、
請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
コンジュゲートが、少なくとも約10mg/m2(対象の体表面積)、少なくとも約50mg/m2または少なくとも約75mg/m2であり、かつ、5000mg/m2以下、2000mg/m2以下、1000mg/m2以下、500mg/m2以下、250mg/m2以下または200mg/m2以下である投与量範囲で投与される、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
コンジュゲートが、100mg/m2~1500mg/m2の間もしくは約100mg/m2~1500mg/m2の間、または150mg/m2~750mg/m2の間もしくは約150mg/m2~750mg/m2の間である投与量で投与される、請求項1~11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
コンジュゲートが、160mg/m2、320mg/m2、640mg/m2もしくは1280mg/m2、または約160mg/m2、320mg/m2、640mg/m2もしくは1280mg/m2である投与量で投与される、請求項1~12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
標的化分子が、抗体または抗原結合抗体断片である、請求項1~13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
抗体が、Fab、単一VHドメイン、単鎖可変断片(scFv)、多価scFv、二重特異的scFvまたはscFv-CH3二量体である抗原結合抗体断片である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
照射が、コンジュゲートを投与した後30分~96時間の間または約30分~96時間の間に行われる、請求項1~15のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
病変が、690±50nmの波長または690±20nmもしくは約690±20nmの波長で照射される、請求項1~16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
病変が、2J cm-2~約400J cm-2もしくは約2J cm-2~約400J cm-2、または2J/ファイバ長cm~約500J/ファイバ長cmもしくは約2J/ファイバ長cm~約500J/ファイバ長cmの線量で照射される、請求項1~17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
病変が、少なくともまたは少なくとも約2J cm-2、5J cm-2、10J cm-2、25J cm-2、50J cm-2、75J cm-2、100J cm-2、150J cm-2、200J cm-2、300J cm-2、400J cm-2、もしくは500J cm-2の線量で照射されるか;または
病変が、少なくともまたは少なくとも約2J/ファイバ長cm、5J/ファイバ長cm、10J/ファイバ長cm、25J/ファイバ長cm、50J/ファイバ長cm、75J/ファイバ長cm、100J/ファイバ長cm、150J/ファイバ長cm、200J/ファイバ長cm、250J/ファイバ長cm、300J/ファイバ長cm、400J/ファイバ長cmまたは500J/ファイバ長cmの線量で照射される、
請求項1~18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
フタロシアニン色素が、600nm~約850nmまたは約600nm~約850nmの最大吸収波長を有する、請求項1~19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
フタロシアニン色素が、標的化分子に直接的または間接的に連結されている、請求項1~20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
フタロシアニン色素が、下記式:
を含み、式中、
Lは、リンカーであり;
Qは、標的化分子への該色素の付着のための反応性基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22およびR
23は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択され;かつ
X
2およびX
3は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンである、
請求項1~21のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
フタロシアニン色素が、下記式:
を含み、式中、
X
1およびX
4は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンであり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;かつ
R
16、R
17、R
18およびR
19は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択される、
請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
フタロシアニン色素が、IRDye 700DX(IR700)を含む、請求項1~23のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
細胞表面タンパク質が、ACTHR、内皮細胞Anxa-1、アミノペプチダーゼN、抗IL-6R、アルファ-4-インテグリン、アルファ-5-ベータ-3 インテグリン、アルファ-5-ベータ-5 インテグリン、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ANPA、ANPB、APA、APN、APP、1AR、2AR、AT1、B1、B2、BAGE1、BAGE2、B細胞受容体BB1、BB2、BB4、カルシトニン受容体、癌抗原125(CA 125)、CCK1、CCK2、CD5、CD10、CD11a、CD13、CD14、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD38、CD45、CD52、CD56、CD68、CD90、CD133、CD7、CD15、CD34、CD44、CD206、CD271、CEA(癌胎児性抗原)、CGRP、ケモカイン受容体、細胞表面アネキシン-1、細胞表面プレクチン-1、クリプト-1、CRLR、CXCR2、CXCR4、DCC、DLL3、E2糖タンパク質、EGFR、EGFRvIII、EMR1、エンドシアリン、EP2、EP4、EpCAM、EphA2、ET受容体、フィブロネクチン、フィブロネクチンED-B、FGFR、frizzled受容体、GAGE1、GAGE2、GAGE3、GAGE4、GAGE5、GAGE6、GLP-1受容体、ファミリーAのGタンパク質共役受容体(ロドプシン様)、ファミリーBのGタンパク質共役受容体((セクレチン受容体様)様)、ファミリーCのGタンパク質共役受容体(代謝型グルタミン酸受容体様)、GD2、GP100、GP120、グリピカン-3、ヘマグルチニン、ヘパリン硫酸、HER1、HER2、HER3、HER4、HMFG、HPV 16/18およびE6/E7抗原、hTERT、IL11-R、IL-13R、ITGAM、カリクレイン-9、ルイスY、LH受容体、LHRH-R、LPA1、MAC-1、MAGE 1、MAGE 2、MAGE 3、MAGE 4、MART1、MC1R、メソテリン、MUC1、MUC16、Neu(細胞表面ヌクレオリン)、ネプリライシン、ニューロピリン-1、ニューロピリン-2、NG2、NK1、NK2、NK3、NMB-R、Notch-1、NY-ESO-1、OT-R、突然変異体p53、p97黒色腫抗原、NTR2、NTR3、p32(p32/gC1q-R/HABP1)、p75、PAC1、PAR1、Patched(PTCH)、PDGFR、PDFG受容体、PDT、プロテアーゼ切断コラーゲンIV、プロテイナーゼ3、プロヒビチン、タンパク質チロシンキナーゼ7、PSA、PSMA、プリン作動性P2Xファミリー(例えば、P2X1~5)、突然変異体Ras、RAMP1、RAMP2、RAMP3 patched、RET受容体、プレキシン、スムーズンド、sst1、sst2A、sst2B、sst3、sst4、sst5、サブスタンスP、TEM、T細胞CD3受容体、TAG72、TGFBR1、TGFBR2、Tie-1、Tie-2、Trk-A、Trk-B、Trk-C、TR1、TRPA、TRPC、TRPV、TRPM、TRPML、TRPP(例えば、TRPV1~6、TRPA1、TRPC1~7、TRPM1~8、TRPP1~5、TRPML1~3)、TSH受容体、VEGF受容体(VEGFR1またはFlt-1、VEGFR2またはFLK-1/KDR、およびVEGF-3またはFLT-4)、電位依存性イオンチャネル、VPAC1、VPAC2、ウィルムス腫瘍1、Y1、Y2、Y4、ならびにY5の中から選択される、請求項1~24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
細胞表面タンパク質が、HER1/EGFR、HER2/ERBB2、CD20、CD25(IL-2Rα受容体)、CD33、CD52、CD133、CD206、CEA、CEACAM1、CEACAM3、CEACAM5、CEACAM6、癌抗原125(CA125)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ルイスY、TAG72、カプリン-1、メソテリン、PDGF受容体、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IL-2受容体、血管内皮成長因子(VEGF)、CD30、EpCAM、EphA2、グリピカン-3、gpA33、ムチン、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(GD2、GD3、GM1およびGM2など)、VEGF受容体(VEGFR)、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、AFP、BCR複合体、CD3、CD18、CD44、CTLA-4、gp72、HLA-DR 10β、HLA-DR抗原、IgE、MUC-1、nuC242、PEM抗原、メタロプロテイナーゼ、エフリン受容体、エフリンリガンド、HGF受容体、CXCR4、CXCR4、ボンベシン受容体、およびSK-1抗原の中から選択される、請求項1~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
細胞表面タンパク質が、CD25、PD-1(CD279)、PD-L1(CD274、B7-H1)、PD-L2(CD273、B7-DC)、CTLA-4、LAG3(CD223)、TIM3(HAVCR2)、4-1BB(CD137、TNFRSF9)、CXCR2、CXCR4(CD184)、CD27、CEACAM1、ガレクチン9、BTLA、CD160、VISTA(PD1相同体)、B7-H4(VCTN1)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、CD28、HHLA2(B7-H7)、CD28H、CD155、CD226、TIGIT、CD96、ガレクチン3、CD40、CD40L、CD70、LIGHT(TNFSF14)、HVEM(TNFRSF14)、B7-H3(CD276)、Ox40L(TNFSF4)、CD137L(TNFSF9、GITRL)、B7RP1、ICOS(CD278)、ICOSL、KIR、GAL9、NKG2A(CD94)、GARP、TL1A、TNFRSF25、TMIGD2、BTNL2、ブチロフィリンファミリー、CD48、CD244、シグレックファミリー、CD30、CSF1R、MICA(MHCクラスIポリペプチド関連配列A)、MICB(MHCクラスIポリペプチド関連配列B)、NKG2D、KIRファミリー(キラー細胞免疫グロブリン様受容体)、LILRファミリー(白血球免疫グロブリン様受容体、CD85、ILT、LIR)、SIRPA(シグナル調節タンパク質アルファ)、CD47(IAP)、ニューロピリン1(NRP-1)、VEGFR、およびVEGFの中から選択される、請求項1~26のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
抗体または抗原結合抗体断片が、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan, Mabthera)、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin)、ダクリズマブ(Zenapax)、ゲムツズマブ(Mylotarg)、アレムツズマブ、CEA-scan Fab断片、OC125モノクローナル抗体、ab75705、B72.3、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、バシリキシマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEA-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI6383、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、PDR001、MSB0010718C、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015, IPH2101)、IPH2201、AGX-115、エマクツズマブ、CC-90002およびMNRP1685Aの中から選択されるか、またはその抗原結合抗体断片である、請求項1~27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
コンジュゲートが、セツキシマブ-IR700、パニツムマブ-IR700、ザルツムマブ-IR700、ニモツズマブ-IR700、トシツモマブ-IR700、リツキシマブ-IR700、イブリツモマブチウキセタン-IR700、ダクリズマブ-IR700、ゲムツズマブ-IR700、アレムツズマブ-IR700、CEA-scan Fab断片-IR700、OC125-IR700、ab75705-IR700、B72.3-IR700、ベバシズマブ-IR700、バシリキシマブ-IR700、ニボルマブ-IR700、ペムブロリズマブ-IR700、ピジリズマブ-IR700、MK-3475-IR700、BMS-936559-IR700、MPDL3280A-IR700、イピリムマブ-IR700、トレメリムマブ-IR700、IMP321-IR700、BMS-986016-IR700、LAG525-IR700、ウレルマブ-IR700、PF-05082566-IR700、TRX518-IR700、MK-4166-IR700、ダセツズマブ-IR700、ルカツムマブ-IR700、SEA-CD40-IR700、CP-870-IR700、CP-893-IR700、MED16469-IR700、MEDI6383-IR700、MEDI4736-IR700、MOXR0916-IR700、AMP-224-IR700、PDR001-IR700、MSB0010718C-IR700、rHIgM12B7-IR700、ウロクプルマブ-IR700、BKT140-IR700、バルリルマブ-IR700、ARGX-110-IR700、MGA271-IR700、リリルマブ-IR700、IPH2201-IR700、AGX-115-IR700、エマクツズマブ-IR700、CC-90002-IR700およびMNRP1685A-IR700の中から選択される、請求項1~28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
標的化分子が、セツキシマブである抗体もしくはその抗原結合抗体断片であるか、またはコンジュゲートが、セツキシマブ-IR700である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
コンジュゲートの投与後の患者集団についての時点0から無限までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積(AUC[0-inf])が、500μg/mL*h~18,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~18,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間、または500μg/mL*h~2,500μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~2,500μg/mL*hの間である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
コンジュゲートの投与後の患者集団についての時点0から24時間までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積(AUC[0-24])が、500μg/mL*h~8,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~8,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~2,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~2,000μg/mL*hの間、または1000μg/mL*h~4,000μg/mL*hの間もしくは約1000μg/mL*h~4,000μg/mL*hの間である、請求項30記載の方法。
【請求項33】
コンジュゲートが、75mg/m2(対象の体表面積)~1500mg/m2の間もしくは約75mg/m2(対象の体表面積)~1500mg/m2の間、75mg/m2~1000mg/m2の間もしくは約75mg/m2~1000mg/m2の間、75mg/m2~500mg/m2の間もしくは約75mg/m2~500mg/m2の間、または75mg/m2~225mg/m2の間もしくは約75mg/m2~225mg/m2の間であるか;または
少なくとも約160mg/m2、320mg/m2、640mg/m2もしくは1280mg/m2、または約160mg/m2、320mg/m2、640mg/m2もしくは1280mg/m2である、投与量範囲で投与される、
請求項30~32のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
(a)疾患または病態と関連する病変を有する対象に、セツキシマブ-IR700コンジュゲートを静脈内投与する工程であって、コンジュゲートが、640mg/m2または約640mg/m2である量で投与される、工程;および
(b)コンジュゲートを投与した後、病変に、690±20nmの波長で、少なくともまたは約少なくともまたは約50J cm-2または100J/ファイバ長cmの線量で照射し、それによって対象における疾患または病態を処置する工程
を含む、対象における疾患病変を処置する方法。
【請求項35】
コンジュゲートが、以下の投薬スケジュールで投与される:
コンジュゲートの投与が単回の注射もしくは注入として1回だけ実施される;または
投薬スケジュールがコンジュゲートの後続用量を含まない;または
投薬スケジュールがそのようにコンジュゲートされていない巨大分子の後続用量を含まない、
請求項34記載の方法。
【請求項36】
照射が、コンジュゲートを投与した24時間±3時間後に行われる、請求項1~35のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
病変が腫瘍であり、疾患または病態が腫瘍またはがんである、請求項34~36のいずれか一項記載の方法。
【請求項38】
病変が、表在性腫瘍である腫瘍である、請求項1~37のいずれか一項記載の方法。
【請求項39】
腫瘍が、10mm未満の厚さである、請求項38記載の方法。
【請求項40】
照射が、表面照明用のマイクロレンズが先端に付いたファイバを使用して行われる、請求項38または請求項39記載の方法。
【請求項41】
光照射線量が、5J/cm2~約200J/cm2または約5J/cm2~約200J/cm2である、請求項1~40のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
対象における表在性腫瘍に、表面照明用のマイクロレンズが先端に付いたファイバを用いて5J/cm2~約200J/cm2または約5J/cm2~約200J/cm2の光線量で照射する工程であって、該腫瘍が、該腫瘍の細胞表面分子に結合された標的化分子を含む光毒性剤と会合している、工程を含む、光免疫療法で表在性腫瘍を処置するための方法。
【請求項43】
光照射線量が、50J/cm2または約50J/cm2である、請求項41または請求項42記載の方法。
【請求項44】
病変が、間質性腫瘍である腫瘍である、請求項1~40のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
腫瘍が、10mm超の深さであるか、または皮下腫瘍である、請求項44記載の方法。
【請求項46】
ディフューザー長0.5cm~10cmを含みかつ1.8±0.2cm離れて置かれた円筒形拡散ファイバを使用して照射が行われる、請求項44または請求項45記載の方法。
【請求項47】
光照射線量が、20J/ファイバ長cm~約500J/ファイバ長cmまたは約20J/ファイバ長cm~約500J/ファイバ長cmである、請求項1~37および44~46のいずれか一項記載の方法。
【請求項48】
対象における間質性腫瘍に、ディフューザー長0.5cm~10cmを含みかつ1.8±0.2cm離れて置かれた円筒形拡散ファイバで、100J/cmもしくは約100J/ファイバ長cmの光線量または400mW/cmもしくは約400mW/cmのフルエンス率で、照射する工程であって、該腫瘍が、該腫瘍の細胞表面分子に結合された標的化分子を含む光毒性剤と会合している、工程を含む、光免疫療法で間質性腫瘍を処置するための方法。
【請求項49】
光照射線量が、50J/ファイバ長cm~約300J/ファイバ長cmまたは約50J/ファイバ長cm~約300J/ファイバ長cmである、請求項47または請求項48記載の方法。
【請求項50】
光照射線量が、100J/ファイバ長cmまたは約100J/ファイバ長cmである、請求項47~49のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
腫瘍が、10mm超の深さであるか、または皮下腫瘍である、請求項48~50のいずれか一項記載の方法。
【請求項52】
円筒形拡散ファイバが、腫瘍中に1.8±0.2cm離れて位置付けられたカテーテル内に置かれる、請求項47~51のいずれか一項記載の方法。
【請求項53】
カテーテルが光学的に透明である、請求項52記載の方法。
【請求項54】
腫瘍に照射する6時間超前に、標的化分子を含む光毒性剤が対象に投与されており、該光毒性剤が該腫瘍と会合する、請求項42、43および48~53のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
腫瘍に照射する12時間、24時間、26時間、48時間、72時間もしくは96時間超前、または約12時間、24時間、26時間、48時間、72時間もしくは96時間超前に、光毒性剤が対象に事前投与されている、請求項54記載の方法。
【請求項56】
光毒性剤が、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートである、請求項42、43および48~55のいずれか一項記載の方法。
【請求項57】
フタロシアニン色素がIR700である、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記投薬スケジュールを繰り返して、工程(a)および(b)を繰り返す、請求項1~41、44~47、49、50および52~54のいずれか一項記載の方法。
【請求項59】
コンジュゲートでの先行処置の後に残留病変が残っている場合に、投薬スケジュールを繰り返す、請求項58記載の方法。
【請求項60】
対象を残留病変の存在について評価する工程と、残留病変が残っている場合に投薬スケジュールを繰り返す工程とを含む、請求項58または請求項59記載の方法。
【請求項61】
コンジュゲートの先行投与開始の、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、6か月もしくは1年超後、または約1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、6か月もしくは1年後、または1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、6か月もしくは1年後である時点に残留病変が残っている場合に、投薬スケジュールを繰り返す、請求項58~60のいずれか一項記載の方法。
【請求項62】
コンジュゲートの先行投与開始の4週間後または約4週間後に残留病変が残っている場合に、投薬スケジュールを繰り返す、請求項58~61のいずれか一項記載の方法。
【請求項63】
コンジュゲートが、1巨大分子当たり1~100、1~10または2~5のフタロシアニン色素分子を含む、請求項1~62のいずれか一項記載の方法。
【請求項64】
追加の治療薬または抗がん処置を施すことを含まない、請求項1~63のいずれか一項記載の方法。
【請求項65】
追加の治療薬または抗がん処置を施すことを含む、請求項1~63のいずれか一項記載の方法。
【請求項66】
抗がん処置が放射線療法を含む、請求項65記載の方法。
【請求項67】
追加の治療薬が、抗がん剤または免疫調節剤である、請求項66記載の方法。
【請求項68】
追加の治療薬が、免疫チェックポイント阻害剤である免疫調節剤である、請求項67記載の方法。
【請求項69】
免疫チェックポイント阻害剤が、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAの中から選択される分子に特異的に結合する、請求項68記載の方法。
【請求項70】
免疫チェックポイント阻害剤が、抗体もしくは抗原結合断片、低分子またはポリペプチドである、請求項68または請求項69記載の方法。
【請求項71】
免疫チェックポイント阻害剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、またはその抗原結合断片である、請求項68~70のいずれか一項記載の方法。
【請求項72】
病変または腫瘍に照射する前に、免疫調節剤が投与される、請求項68~71のいずれか一項記載の方法。
【請求項73】
腫瘍に照射する30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1か月超前、または約30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1か月超前に、免疫調節剤が投与される、請求項72記載の方法。
【請求項74】
照射に続いて1週間に3回、1週間に2回、1週間毎に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回または1か月に1回の免疫調節剤の連続投与を含む、請求項67~73のいずれか一項記載の方法。
【請求項75】
(a)免疫調節剤を対象に投与する工程;
(b)腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面の分子に結合することが可能な標的化分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートの治療有効量を対象に投与する工程;および
(c)免疫調節剤を投与した12時間超後、コンジュゲートを細胞傷害性にする波長で腫瘍に照射する工程であって、それによって腫瘍を処置する、工程
を含む、対象における腫瘍を処置する方法。
【請求項76】
免疫調節剤が、腫瘍に照射する24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1か月超前、または約24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1か月超前に投与される、請求項75記載の方法。
【請求項77】
コンジュゲートが、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面のタンパク質に結合する、請求項75または請求項76記載の方法。
【請求項78】
腫瘍に照射する工程(c)が、(i)免疫調節剤の投与後およびコンジュゲートの投与後、または(ii)コンジュゲートの投与後のみのいずれかに行われる、請求項75~77のいずれか一項記載の方法。
【請求項79】
コンジュゲートが、免疫調節剤の投与の前に、それと同時に、またはそれに続いて、投与される、請求項68~78のいずれか一項記載の方法。
【請求項80】
コンジュゲートが、免疫調節剤を投与した後であるが腫瘍に照射する前に投与される、請求項68~79のいずれか一項記載の方法。
【請求項81】
コンジュゲートが、腫瘍に照射する12時間~48時間前または約12時間~48時間前に投与され、かつ免疫調節剤が、腫瘍に照射する12時間~約1か月前または約12時間~約1か月前に投与される、請求項68~80のいずれか一項記載の方法。
【請求項82】
免疫調節剤が免疫チェックポイント阻害剤である、請求項75~81のいずれか一項記載の方法。
【請求項83】
免疫チェックポイント阻害剤が、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAの中から選択される分子に特異的に結合する、請求項82記載の方法。
【請求項84】
免疫チェックポイント阻害剤が、抗体もしくは抗原結合断片、低分子またはポリペプチドである、請求項82または請求項83記載の方法。
【請求項85】
免疫チェックポイント阻害剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、またはそれらのいずれかの抗原結合断片である、請求項82~84のいずれか一項記載の方法。
【請求項86】
免疫調節剤が、腫瘍関連抗原(TAA)の発現をアップレギュレートする脱メチル化剤であるか、またはサイトカインである、請求項75~81のいずれか一項記載の方法。
【請求項87】
照射に続いて1週間に3回、1週間に2回、1週間毎に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回または1か月に1回の免疫調節剤の連続投与を含む、請求項75~86のいずれか一項記載の方法。
【請求項88】
(a)腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面の分子の発現を増強する免疫調節剤を対象に投与する工程;
(b)該細胞表面分子に結合することが可能な標的化分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートの治療有効量を対象に投与する工程;および
(c)コンジュゲートを投与した5分超後に、コンジュゲートを細胞傷害性にする波長で腫瘍に照射し、それによって腫瘍を処置する工程
を含む、対象における腫瘍を処置する方法。
【請求項89】
免疫調節剤が、サイトカインであるか、または腫瘍微小環境中のサイトカインの発現増加を誘導する薬剤である、請求項88記載の方法。
【請求項90】
サイトカインがインターフェロンガンマである、請求項88または請求項89記載の方法。
【請求項91】
細胞の表面の分子が、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAから選択される、請求項88~90のいずれか一項記載の方法。
【請求項92】
細胞の表面の分子がPD-L1である、請求項88~91のいずれか一項記載の方法。
【請求項93】
標的化分子が、免疫チェックポイント阻害剤である、請求項88~92のいずれか一項記載の方法。
【請求項94】
標的化分子が、抗体もしくは抗体断片、低分子またはポリペプチドである、請求項88~93のいずれか一項記載の方法。
【請求項95】
標的化分子が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MED14736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、またはそれらのいずれかの抗原結合断片である、請求項88~94のいずれか一項記載の方法。
【請求項96】
(a)腫瘍の微小環境中の細胞上の細胞表面分子に結合することが可能な標的化分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象に投与する工程;
(b)コンジュゲートを投与した5分超後に、コンジュゲートを細胞傷害性にする波長で腫瘍に照射する工程であって、コンジュゲートでの腫瘍の処置とそれに続く光照射が、腫瘍中の免疫抑制細胞の存在を増加させるか、または腫瘍における免疫抑制マーカーの発現を増加させる、工程;および
(c)腫瘍中の免疫抑制細胞の量もしくは活性を低減させることが可能な、または免疫抑制マーカーの活性を遮断することが可能な免疫調節剤の治療有効量を対象に投与する工程
を含む、対象における腫瘍を処置する方法。
【請求項97】
フタロシアニン色素が、第一の色素であり、免疫調節剤が、免疫抑制細胞に結合することが可能な免疫調節剤にコンジュゲートされた第二のフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを含む、請求項96記載の方法。
【請求項98】
第一および第二のフタロシアニン色素が同じかまたは異なる、請求項97記載の方法。
【請求項99】
免疫調節剤が免疫チェックポイント阻害剤である、請求項96~98のいずれか一項記載の方法。
【請求項100】
免疫調節剤が、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAの中から選択される分子に特異的に結合する、請求項96~99のいずれか一項記載の方法。
【請求項101】
免疫調節剤が、抗体もしくは抗体断片、低分子またはポリペプチドである、請求項96~100のいずれか一項記載の方法。
【請求項102】
免疫調節剤が抗CTLA4抗体ではない、請求項96~101のいずれか一項記載の方法。
【請求項103】
免疫調節剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MED14736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、またはそれらのいずれかの抗原結合断片である、請求項96~102のいずれか一項記載の方法。
【請求項104】
(a)腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面の分子に結合することが可能な標的化巨大分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象に投与する工程;
(b)コンジュゲートを投与した5分超後に、コンジュゲートを細胞傷害性にする波長で腫瘍に照射する工程であって、コンジュゲートでの腫瘍の処置とそれに続く光照射が免疫細胞の活性化をプライミングする、工程;および
(c)免疫細胞の活性を増加させることが可能な免疫調節剤の治療有効量を対象に投与する工程
を含む、対象における腫瘍を処置する方法。
【請求項105】
免疫細胞が抗原提示細胞である、請求項104記載の方法。
【請求項106】
免疫細胞が樹状細胞である、請求項105記載の方法。
【請求項107】
免疫調節剤が、GM-CSF、CpG-ODN(CpGオリゴデオキシヌクレオチド)、リポ多糖(LPS)、モノホスホリルリピドA(MPL)、ミョウバン、組換えリーシュマニア(Leishmania)ポリタンパク質、イミキモド、MF59、ポリI:C、ポリA:U、1型IFN、Pam3Cys、Pam2Cys、完全フロイントアジュバント(CFA)、アルファ-ガラクトシルセラミド、RC-529、MDF2β、ロキソリビン、抗CD40アゴニスト、SIRPaアンタゴニスト、AS04、AS03、フラジェリン、レシキモド、DAP(ジアミノピメリン酸)、MDP(ムラミルジペプチド)、CAF01(陽イオン性アジュバント製剤-01)、アントラサイクリン(ドキソルビシン、ミトキサントロン)、BKチャネルアゴニスト、ボルテゾミブ、ボルテゾミブ+マイトマイシンC+hTert-Ad、強心配糖体+非免疫原性細胞死誘導因子、シクロホスファミド、GADD34/PP1阻害剤+マイトマイシン、LV-tSMAC、およびオキサリプラチンの中から選択される、請求項104~106のいずれか一項記載の方法。
【請求項108】
免疫調節剤が、Toll様受容体(TLR)アゴニスト、アジュバントまたはサイトカインである、請求項104~107のいずれか一項記載の方法。
【請求項109】
免疫調節剤が、TLRアゴニストであり、該TLRアゴニストが、TLR4アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、またはTLR9アゴニストであるTLRアゴニストである、請求項108記載の方法。
【請求項110】
TLRアゴニストが、トリアシル化リポタンパク質、ジアシル化リポペプチド、リポテイコ酸、ペプチドグリカン、ザイモサン、Pam3CSK4、dsRNA、ポリI:C、ポリG10、ポリG3、CpG、3M003、フラジェリン、リポ多糖(LPS)、真核生物リボソーム伸長および開始因子4aのリーシュマニア相同体(LeIF)、MEDI9197、SD-101、ならびにイミダゾキノリンTLRアゴニストの中から選択される、請求項108または請求項109記載の方法。
【請求項111】
免疫調節剤が、サイトカインであり、該サイトカインが、IL-4、TNF-α、GM-CSFまたはIL-2である、請求項104~107のいずれか一項記載の方法。
【請求項112】
免疫調節剤が、照射の前に、照射と同時にまたは照射の後に投与される、請求項96~111のいずれか一項記載の方法。
【請求項113】
免疫調節剤が、照射後5分、30分、60分、2時間、6時間、12時間または24時間以内に投与される、請求項112記載の方法。
【請求項114】
標的化分子が、分子またはタンパク質に直接的または間接的に結合する、請求項75~113のいずれか一項記載の方法。
【請求項115】
標的化分子が、第一の結合分子に結合する第二の結合分子であり、該第一の結合分子が、前記分子またはタンパク質に結合することが可能である、請求項114記載の方法。
【請求項116】
標的化分子が二次抗体である、請求項114または請求項115記載の方法。
【請求項117】
フタロシアニン色素が、600nm~約850nmまたは約600nm~約850nmの最大吸収波長を有する、請求項75~116のいずれか一項記載の方法。
【請求項118】
フタロシアニン色素が、標的化分子に共有または非共有連結されている、請求項75~117のいずれか一項記載の方法。
【請求項119】
フタロシアニン色素が、標的化分子への色素の付着のための反応性基を含むリンカーを含む、請求項75~118のいずれか一項記載の方法。
【請求項120】
フタロシアニン色素が、下記式:
を含み、式中、
Lは、リンカーであり;
Qは、標的化分子への色素の付着のための反応性基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22およびR
23は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択され;かつ
X
2およびX
3は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンである、
請求項119記載の方法。
【請求項121】
フタロシアニン色素が、下記式:
を含み、式中、
X
1およびX
4は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンであり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;かつ
R
16、R
17、R
18およびR
19は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択される、
請求項119または請求項120記載の方法。
【請求項122】
フタロシアニン色素が、IRDye 700DX(IR700)を含む、請求項75~121のいずれか一項記載の方法。
【請求項123】
コンジュゲートが、50mg/m2~約5000mg/m2もしくは約50mg/m2~約5000mg/m2、約250mg/m2~約2500mg/m2、約750mg/m2~約1250mg/m2、または約100mg/m2~約1000mg/m2の用量で投与される、請求項75~122のいずれか一項記載の方法。
【請求項124】
腫瘍ががんである、請求項8~33および37~123のいずれか一項記載の方法。
【請求項125】
がんが、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置するがんである、請求項124記載の方法。
【請求項126】
腫瘍が、肉腫または癌腫である、請求項8~33および37~125のいずれか一項記載の方法。
【請求項127】
腫瘍が、扁平上皮癌、基底細胞癌または腺癌である癌腫である、請求項126記載の方法。
【請求項128】
腫瘍が、膀胱、膵臓、結腸、卵巣、肺、乳房、胃、前立腺、子宮頸部、食道または頭頸部の癌腫である癌である、請求項127記載の方法。
【請求項129】
腫瘍が、600nm~850nmの波長で、少なくとも1J cm-2または少なくとも1J/ファイバ長cmの線量で照射される、請求項75~128のいずれか一項記載の方法。
【請求項130】
腫瘍が、690nm±50nmの波長でまたは690±20nmもしくは約690±20nmの波長で照射される、請求項75~129のいずれか一項記載の方法。
【請求項131】
投与および照射の前の腫瘍のサイズまたは体積と比較して、照射の1か月以内に、腫瘍のサイズまたは体積を少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれ以上低減させる、請求項1~130のいずれか一項記載の方法。
【請求項132】
前記方法が、処置された対象の集団において、コンジュゲートされていない抗体または抗原結合抗体断片で処置された対象の類似状況の集団と比較して、障害もしくはがん関連パラメーターの改善を達成し、該パラメーターが、(a)奏効率(ORR);(b)無増悪生存期間(PFS);(c)全生存期間(OS);(d)毒性の低減;(e)腫瘍応答;または(f)クオリティ・オブ・ライフの1つまたは複数から選択される、請求項1~131のいずれか一項記載の方法。
【請求項133】
パラメーターが、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%またはそれ以上改善される、請求項132記載の方法。
【請求項134】
処置された対象の集団において、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれ以上の奏効率(ORR)を達成する、請求項1~133のいずれか一項記載の方法。
【請求項135】
フタロシアニン色素が、第一の色素であり、コンジュゲートが、該第一の色素とは異なる巨大分子に連結された第二の蛍光色素をさらに含む、請求項1~133のいずれか一項記載の方法。
【請求項136】
病変または腫瘍に照射する工程が、第二の蛍光色素から蛍光シグナルを放射して、対象における病変または腫瘍でのコンジュゲートの存在の検出を達成する、請求項135記載の方法。
【請求項137】
第二の色素が吸収することが可能な波長で腫瘍に照射または照明することによって、対象における病変または腫瘍をイメージングする工程をさらに含む、請求項135または請求項136記載の方法。
【請求項138】
第二の蛍光色素が、第一の色素の対応するスペクトル特性と比較してより高い、水中蛍光量子収率、吸光係数、ストークスシフト、長波長における吸収および放射ならびに光安定性の中から選択される1つまたは複数のスペクトル特性を示す、請求項135~137のいずれか一項記載の方法。
【請求項139】
第一の色素がIR700である、請求項135~138のいずれか一項記載の方法。
【請求項140】
第二の色素がIR700ではない、請求項135~139のいずれか一項記載の方法。
【請求項141】
第二の色素が、ヒドロキシクマリン、Cascade Blue、Dylight 405、Pacific Orange、Alexa Fluor 430、フルオレセイン、Oregon Green、Alexa Fluor 488、BODIPY 493、2.7-ジクロロフルオレセイン(Diochlorofluorescien)、ATTO 488、Chromeo 488、Dylight 488、HiLyte 488、Alexa Fluor 555、ATTO 550、BODIPY TMR-X、CF 555、Chromeo 546、Cy3、TMR、TRITC、Dy547、Dy548、Dy549、HiLyte 555、Dylight 550、BODIPY 564、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、ローダミン、Texas Red、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Dylight 633、Alexa Fluor 647、APC、ATTO 655、CF633、CF640R、Chromeo 642、Cy5、Dylight 650、Alexa Fluor 680、IRDye 680、Alexa Fluor 700、Cy 5.5、ICG、Alexa Fluor 750、Dylight 755、IRDye 750、Cy7.5、Alexa Fluor 790、Dylight 800、IRDye 800、Qdot(登録商標)525、Qdot(登録商標)565、Qdot(登録商標)605、Qdot(登録商標)655、Qdot(登録商標)705およびQdot(登録商標)800の中から選択される、請求項135~140のいずれか一項記載の方法。
【請求項142】
第一の色素がIR700であり、コンジュゲートが1巨大分子当たり1~10または1~5の第二の色素分子を含む、請求項135~141のいずれか一項記載の方法。
【請求項143】
第二の色素が、15nm超、20nm超、30nm超、40nm超、50nm超、60nm超、70nm超、80nm超、90nm超または100nm超であるストークスシフトを示す、請求項96~103のいずれか一項記載の方法。
【請求項144】
第二の色素が、10%超、15%超、20%超もしくは25%超、30%超、40%超、50%超またはより高い水中量子収率を有する、請求項135~143のいずれか一項記載の方法。
【請求項145】
第二の色素が、650nm~950nmの間もしくは約650nm~950nmの間、700nm~1000nmの間もしくは約700nm~1000nmの間、または1000nm~1700nmの間もしくは約1000nm~1700nmの間のスペクトル中に吸収および放射波長を有する、請求項135~144のいずれか一項記載の方法。
【請求項146】
第一の色素および第二の色素が、重複する放射および吸収スペクトルを示さない、請求項135~145のいずれか一項記載の方法。
【請求項147】
第二の色素が、ICG、IRDye 680、Alexa Fluor 750、Dylight 755、IRDye 750、Cy7.5、Alexa Fluor 790、Dylight 800およびIRDye 800の中から選択される、請求項135~146のいずれか一項記載の方法。
【請求項148】
第二の色素が、Alexa Fluor 488、IRDye 680、IRDye 800またはDylight 755である、請求項135~147のいずれか一項記載の方法。
【請求項149】
照射または照明が、ハンドヘルド紫外線ランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、レーザー、レーザーダイオードまたはLEDイメージングデバイスの中から選択されるデバイスを用いて実施される、請求項1~148のいずれか一項記載の方法。
【請求項150】
イメージングデバイスが、近赤外(NIR)ダイオードを含む、請求項149記載の方法。
【請求項151】
病変の微小環境中に存在する細胞の表面の分子に結合する抗体または抗原結合抗体断片に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを含み、100mg~2000mgの間または約100mg~2000mgの間である量でのコンジュゲートの単回投与量投与用に製剤化されている、組成物。
【請求項152】
100mg~500mgの間もしくは約100mg~500mgの間、200mg~400mgの間もしくは約200mg~400mgの間の量の単回投与量投与用に製剤化されている、請求項151記載の組成物。
【請求項153】
500mg~1500mgもしくは約500mg~1500mg、800mg~1200mgもしくは約800mg~1200mg、または1000mg~1500mgもしくは約1000mg~1500mgの間の量の単回投与量投与用に製剤化されている、請求項151記載または請求項152記載の組成物。
【請求項154】
前記組成物の容量が、10mL~1000mLの間もしくは約10mL~1000mLの間、または50mL~500mLの間もしくは約50mL~500mLの間であるか;または
前記組成物の容量が、少なくとも10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、75mL、100mL、150mL、200mL、250mL、300mL、400mL、500mLもしくは1000mLである、
請求項151~153のいずれか一項記載の組成物。
【請求項155】
病変の微小環境中に存在する細胞の表面の分子に結合する抗体または抗原結合抗体断片に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを含む組成物の単回投与用量の一部分を各々個別に含む複数の密閉容器であって、複数の密閉容器内のコンジュゲートの組み合わせ量が、100mg~1500mgの間または約100mg~1500mgの間である、複数の密閉容器と;
パッケージング材料と;
複数のバイアルの内容物を組み合わせて組成物の単回投与量製剤を調製するための説明書を含む、ラベルまたは添付文書と
を含む、製造品。
【請求項156】
複数の密閉容器内のコンジュゲートの組み合わせ量が、100mg~1200mgの間または約100mg~1200mgの間である、請求項155記載の製造品。
【請求項157】
複数の密閉容器内のコンジュゲートの組み合わせ量が、100mg~500mgの間もしくは約100mg~500mgの間、200mg~400mgの間もしくは約200mg~400mgの間、500mg~1500mgの間もしくは約500mg~1500mgの間、800mg~1200mgの間もしくは約800mg~1200mgの間、または1000mg~1500mgの間もしくは約1000mg~1500mgの間である、請求項155または請求項156記載の製造品。
【請求項158】
病変が腫瘍である、請求項151~154のいずれか一項記載の組成物、または請求項155~157のいずれか一項記載の製造品。
【請求項159】
免疫調節剤である抗体または抗原結合断片に連結されたフタロシアニン色素を含む、コンジュゲート。
【請求項160】
免疫調節剤が免疫チェックポイント阻害剤である、請求項159記載のコンジュゲート。
【請求項161】
免疫調節剤が、腫瘍、腫瘍細胞またはがん細胞の表面に結合する抗体または抗原結合断片である、請求項159または請求項160記載のコンジュゲート。
【請求項162】
免疫調節剤が、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAの中から選択される分子に特異的に結合する、請求項159~161のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項163】
免疫調節剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MED14736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、またはそれらのいずれかの抗原結合断片である、請求項159~162のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項164】
免疫調節剤が、PD-L1に結合する抗体または抗体断片である、請求項159~163のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項165】
免疫調節剤が、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280AおよびMSB0010718Cから選択される抗体、またはその抗原結合断片である、請求項164記載のコンジュゲート。
【請求項166】
少なくとも第一および第二の蛍光色素に連結された標的化分子を含むコンジュゲートであって、該第一の蛍光色素が、光毒性を示すことが可能なフタロシアニン色素である、コンジュゲート。
【請求項167】
下記式:
[D1-(L1)n]p-A-[(L2)n-D2]o
を含み、式中、
Aは、細胞の表面の分子に結合することができる標的化分子であり;
L1およびL2は、各々独立して選択されるリンカーであり、これらは、同じでもまたは異なっていることもでき;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
D1は、光毒性を示すことが可能なフタロシアニン色素である第一の色素であり;
D2は、蛍光色素である第二の色素であり、ここで、D2はD1とは異なり;
pは1~10であり;かつ
oは1~10である、
請求項166記載のコンジュゲート。
【請求項168】
標的化分子が、抗体または抗原結合抗体断片である、請求項166または請求項167記載のコンジュゲート。
【請求項169】
細胞表面分子が、抗原、ポリペプチド、脂質、もしくは炭水化物、またはこれらの分子の組み合わせを含む、請求項166~168のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項170】
細胞表面分子が、ACTHR、内皮細胞Anxa-1、アミノペプチダーゼN、抗IL-6R、アルファ-4-インテグリン、アルファ-5-ベータ-3 インテグリン、アルファ-5-ベータ-5 インテグリン、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ANPA、ANPB、APA、APN、APP、1AR、2AR、AT1、B1、B2、BAGE1、BAGE2、B細胞受容体BB1、BB2、BB4、カルシトニン受容体、癌抗原125(CA 125)、CCK1、CCK2、CD5、CD10、CD11a、CD13、CD14、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD38、CD45、CD52、CD56、CD68、CD90、CD133、CD7、CD15、CD34、CD44、CD206、CD271、CEA(癌胎児性抗原)、CGRP、ケモカイン受容体、細胞表面アネキシン-1、細胞表面プレクチン-1、クリプト-1、CRLR、CXCR2、CXCR4、DCC、DLL3、E2糖タンパク質、EGFR、EGFRvIII、EMR1、エンドシアリン、EP2、EP4、EpCAM、EphA2、ET受容体、フィブロネクチン、フィブロネクチンED-B、FGFR、frizzled受容体、GAGE1、GAGE2、GAGE3、GAGE4、GAGE5、GAGE6、GLP-1受容体、ファミリーAのGタンパク質共役受容体(ロドプシン様)、ファミリーBのGタンパク質共役受容体((セクレチン受容体様)様)、ファミリーCのGタンパク質共役受容体(代謝型グルタミン酸受容体様)、GD2、GP100、GP120、グリピカン-3、ヘマグルチニン、ヘパリン硫酸、HER1、HER2、HER3、HER4、HMFG、HPV 16/18およびE6/E7抗原、hTERT、IL11-R、IL-13R、ITGAM、カリクレイン-9、ルイスY、LH受容体、LHRH-R、LPA1、MAC-1、MAGE 1、MAGE 2、MAGE 3、MAGE 4、MART1、MC1R、メソテリン、MUC1、MUC16、Neu(細胞表面ヌクレオリン)、ネプリライシン、ニューロピリン-1、ニューロピリン-2、NG2、NK1、NK2、NK3、NMB-R、Notch-1、NY-ESO-1、OT-R、突然変異体p53、p97黒色腫抗原、NTR2、NTR3、p32(p32/gC1q-R/HABP1)、p75、PAC1、PAR1、Patched(PTCH)、PDGFR、PDFG受容体、PDT、プロテアーゼ切断コラーゲンIV、プロテイナーゼ3、プロヒビチン、タンパク質チロシンキナーゼ7、PSA、PSMA、プリン作動性P2Xファミリー(例えば、P2X1~5)、突然変異体Ras、RAMP1、RAMP2、RAMP3 patched、RET受容体、プレキシン、スムーズンド、sst1、sst2A、sst2B、sst3、sst4、sst5、サブスタンスP、TEM、T細胞CD3受容体、TAG72、TGFBR1、TGFBR2、Tie-1、Tie-2、Trk-A、Trk-B、Trk-C、TR1、TRPA、TRPC、TRPV、TRPM、TRPML、TRPP(例えば、TRPV1~6、TRPA1、TRPC1~7、TRPM1~8、TRPP1~5、TRPML1~3)、TSH受容体、VEGF受容体(VEGFR1またはFlt-1、VEGFR2またはFLK-1/KDR、およびVEGF-3またはFLT-4)、電位依存性イオンチャネル、VPAC1、VPAC2、ウィルムス腫瘍1、Y1、Y2、Y4、ならびにY5の中から選択される、請求項166~169のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項171】
細胞表面分子が、HER1/EGFR、HER2/ERBB2、CD20、CD25(IL-2Rα受容体)、CD33、CD52、CD133、CD206、CEA、CEACAM1、CEACAM3、CEACAM5、CEACAM6、癌抗原125(CA125)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ルイスY、TAG72、カプリン-1、メソテリン、PDGF受容体、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IL-2受容体、血管内皮成長因子(VEGF)、CD30、EpCAM、EphA2、グリピカン-3、gpA33、ムチン、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(GD2、GD3、GM1およびGM2など)、VEGF受容体(VEGFR)、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、AFP、BCR複合体、CD3、CD18、CD44、CTLA-4、gp72、HLA-DR 10β、HLA-DR抗原、IgE、MUC-1、nuC242、PEM抗原、メタロプロテイナーゼ、エフリン受容体、エフリンリガンド、HGF受容体、CXCR4、CXCR4、ボンベシン受容体、およびSK-1抗原の中から選択される、請求項166~170のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項172】
細胞表面分子が、CD25、PD-1(CD279)、PD-L1(CD274、B7-H1)、PD-L2(CD273、B7-DC)、CTLA-4、LAG3(CD223)、TIM3(HAVCR2)、4-1BB(CD137、TNFRSF9)、CXCR2、CXCR4(CD184)、CD27、CEACAM1、ガレクチン9、BTLA、CD160、VISTA(PD1相同体)、B7-H4(VCTN1)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、CD28、HHLA2(B7-H7)、CD28H、CD155、CD226、TIGIT、CD96、ガレクチン3、CD40、CD40L、CD70、LIGHT(TNFSF14)、HVEM(TNFRSF14)、B7-H3(CD276)、Ox40L(TNFSF4)、CD137L(TNFSF9、GITRL)、B7RP1、ICOS(CD278)、ICOSL、KIR、GAL9、NKG2A(CD94)、GARP、TL1A、TNFRSF25、TMIGD2、BTNL2、ブチロフィリンファミリー、CD48、CD244、シグレックファミリー、CD30、CSF1R、MICA(MHCクラスIポリペプチド関連配列A)、MICB(MHCクラスIポリペプチド関連配列B)、NKG2D、KIRファミリー(キラー細胞免疫グロブリン様受容体)、LILRファミリー(白血球免疫グロブリン様受容体、CD85、ILT、LIR)、SIRPA(シグナル調節タンパク質アルファ)、CD47(IAP)、ニューロピリン1(NRP-1)、VEGFR、およびVEGFの中から選択される、請求項166~171のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項173】
巨大分子が、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan, Mabthera)、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin)、ダクリズマブ(Zenapax)、ゲムツズマブ(Mylotarg)、アレムツズマブ、CEA-scan Fab断片、OC125モノクローナル抗体、ab75705、B72.3、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、バシリキシマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEA-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI6383、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、PDR001、MSB0010718C、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015, IPH2101)、IPH2201、AGX-115、エマクツズマブ、CC-90002およびMNRP1685Aの中から選択されるか、またはその抗原結合抗体断片である、抗体または抗原結合抗体断片である、請求項166~172のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項174】
標的化分子が、ナノ担体ではないかまたはそれを含まない、請求項166~173のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項175】
標的化分子が、ウイルス様粒子、ナノ粒子、リポソーム、量子ドット、もしくはそれらの組み合わせではないか、またはそれを含まない、請求項166~174のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項176】
第一の色素が、600nm~約850nmまたは約600nm~約850nmの最大吸収波長を有するフタロシアニン色素である、請求項166~175のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項177】
フタロシアニン色素である第一の色素が、下記式:
を含み、式中、
Lは、リンカーであり;
Qは、標的化分子への色素の付着のための反応性基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22およびR
23は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択され;かつ
X
2およびX
3は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンである、
請求項166~176のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項178】
フタロシアニン色素である第一の色素が、下記式:
を含み、式中、
X
1およびX
4は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンであり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;かつ
R
16、R
17、R
18およびR
19は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択される、
請求項166~177のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項179】
フタロシアニン色素である第一の色素が、IRDye 700DX(IR700)を含む、請求項166~178のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項180】
第二の蛍光色素が、第一の色素の対応するスペクトル特性と比較してより高い、水中蛍光量子収率、吸光係数、ストークスシフト、長波長における吸収および放射ならびに光安定性の中から選択される1つまたは複数のスペクトル特性を示す、請求項166~179のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項181】
第二の色素がIR700ではない、請求項166~180のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項182】
第二の色素が、ヒドロキシクマリン、Cascade Blue、Dylight 405、Pacific Orange、Alexa Fluor 430、フルオレセイン、Oregon Green、Alexa Fluor 488、BODIPY 493、2.7-ジクロロフルオレセイン、ATTO 488、Chromeo 488、Dylight 488、HiLyte 488、Alexa Fluor 555、ATTO 550、BODIPY TMR-X、CF 555、Chromeo 546、Cy3、TMR、TRITC、Dy547、Dy548、Dy549、HiLyte 555、Dylight 550、BODIPY 564、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、ローダミン、Texas Red、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Dylight 633、Alexa Fluor 647、APC、ATTO 655、CF633、CF640R、Chromeo 642、Cy5、Dylight 650、Alexa Fluor 680、IRDye 680、Alexa Fluor 700、Cy 5.5、ICG、Alexa Fluor 750、Dylight 755、IRDye 750、Cy7.5、Alexa Fluor 790、Dylight 800、IRDye 800、Qdot(登録商標)525、Qdot(登録商標)565、Qdot(登録商標)605、Qdot(登録商標)655、Qdot(登録商標)705およびQdot(登録商標)800の中から選択される、請求項166~181のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項183】
第一の色素がIR700であり、コンジュゲートが、1巨大分子当たり1~10または1~5の第二の色素分子を含む、請求項166~182のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項184】
第二の色素が、15nm超、20nm超、30nm超、40nm超、50nm超、60nm超、70nm超、80nm超、90nm超または100nm超であるストークスシフトを示す、請求項166~183のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項185】
第二の色素が、10%超、15%超、20%超もしくは25%超、30%超、40%超、50%超またはより高い水中量子収率を有する、請求項166~184のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項186】
第二の色素が、650nm~950nmの間もしくは約650nm~950nmの間、700nm~1000nmの間もしくは約700nm~1000nmの間、1000nm~1700nmの間もしくは約1000nm~1700nmの間のスペクトル中に吸収および放射波長を有する、請求項166~185のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項187】
第一の色素および第二の色素が、重複する放射および吸収スペクトルを示さない、請求項166~186のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項188】
第二の色素が、ICG、IRDye 680、Alexa Fluor 750、Dylight 755、IRDye 750、Cy7.5、Alexa Fluor 790、Dylight 800およびIRDye 800の中から選択される、請求項166~187のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項189】
第二の色素が、Alexa Fluor 488、IRDye 680、IRDye 800またはDylight 755である、請求項166~188のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項190】
請求項159~189のいずれか一項記載のコンジュゲートを含む、組成物。
【請求項191】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項190記載の組成物。
【請求項192】
(a)請求項159~165のいずれか一項記載のコンジュゲートまたは請求項190もしくは請求項191記載の組成物の治療有効量を対象に投与する工程であって、該コンジュゲートが、疾患または病態と関連する病変の微小環境中に存在する細胞に結合する、工程;および
(b)コンジュゲートを投与した後、コンジュゲートの光毒性活性を誘導するために1つまたは複数の波長で病変に照射し、それによって該疾患または病態を処置する工程
を含む、対象における疾患または病態を処置する方法。
【請求項193】
(a)請求項166~189のいずれか一項記載のコンジュゲートまたは請求項190もしくは請求項191記載の組成物の治療有効量を対象に投与する工程であって、該コンジュゲートが、疾患または病態と関連する病変の微小環境中に存在する細胞に結合する、工程;および
(b)コンジュゲートを投与した後、コンジュゲートの第一の色素の光毒性活性およびコンジュゲートの第二の色素の蛍光シグナルを誘導するために1つまたは複数の波長で病変に照射する工程
を含む、対象における疾患または病態を処置する方法。
【請求項194】
病変に、400~約900nmまたは約400~約900nmである波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を含む、請求項192または請求項193記載の方法。
【請求項195】
単一波長で病変に照射する工程を含む、請求項193または請求項194記載の方法。
【請求項196】
2つの異なる波長で同時または連続的に病変に照射する工程であって、一方の波長が光毒性活性を誘導し、もう一方の波長が蛍光シグナルを誘導する、工程を含む、請求項193または請求項195記載の方法。
【請求項197】
疾患または病態が腫瘍である、請求項192~196のいずれか一項記載の方法。
【請求項198】
660nm~740nmの波長でかつ少なくとも1J cm-2の線量で腫瘍に照射し、それによって対象における腫瘍を処置する工程を含む、請求項197記載の方法。
【請求項199】
腫瘍ががんである、請求項197または請求項198記載の方法。
【請求項200】
がんが、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置するがんである、請求項199記載の方法。
【請求項201】
腫瘍が肉腫または癌腫である、請求項197~200のいずれか一項記載の方法。
【請求項202】
腫瘍が、扁平上皮癌、基底細胞癌または腺癌である癌腫である、請求項201記載の方法。
【請求項203】
腫瘍が、膀胱、膵臓、結腸、卵巣、肺、乳房、胃、前立腺、子宮頸部、食道または頭頸部の癌腫である癌である、請求項202記載の方法。
【請求項204】
コンジュゲートの投与の前に、標的化分子が対象に投与される、請求項1~150および192~203のいずれか一項記載の方法。
【請求項205】
標的化分子が、コンジュゲートの投与の96時間前までに投与される、請求項1~150および192~204のいずれか一項記載の方法。
【請求項206】
標的化分子が、10mg/m2~約500mg/m2または約10mg/m2~約500mg/m2の範囲内の用量で投与される、請求項204または請求項205記載の方法。
【請求項207】
標的化分子が抗体または抗原結合断片である、請求項1~150および192~206のいずれか一項記載の方法。
【請求項208】
抗体がセツキシマブである、請求項207記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年8月18日に出願された「光免疫療法との併用療法および関連方法(Combination Therapy with Photoimmunotherapy and Related Methods)」という表題の米国仮特許出願第62/206,776号および2015年10月30日に出願された「光免疫療法のための組成物および方法(Compositions and Methods for Photoimmunotherapy)」という表題の米国仮特許出願第62/249,085号の優先権を主張するものであり、その各々の内容は、参照によってその全体として組み入れられる。
【0002】
配列表の参照による組み入れ
本出願は、電子フォーマットの配列表と共に出願される。配列表は、2016年8月18日に作成された751702000440seqlist.txtという表題の9,934バイトサイズのファイルとして提供される。配列表の電子フォーマットの情報は、参照によってその全体として組み入れられる。
【0003】
分野
本開示は、光免疫療法、例えば、細胞上のタンパク質に結合する標的化分子にコンジュゲートされたフタロシアニン色素、例えば、IR700-抗体コンジュゲートの活性化によって誘導される光免疫療法における使用のための、コンジュゲート、組成物および方法に関する。本開示はまた、光免疫療法、例えば、腫瘍細胞をターゲティングする標的化分子にコンジュゲートされたフタロシアニン色素、例えば、IR700-抗体コンジュゲートの活性化によって誘導される光免疫療法との組み合わせにおける使用のための併用療法に関する。いくつかの態様において、フタロシアニン-色素コンジュゲートは、近赤外光での照射によって活性化できる。コンジュゲート、組成物、組み合わせおよび方法の特徴(コンジュゲートの用量を含む)は、より低い毒性および/または改善された有効性のような種々の利点を提供する。いくつかの態様において、本開示はまた、標的化分子が追加の蛍光色素にコンジュゲートされている二重標識フタロシアニン-色素コンジュゲートに関し、それは、例えばイメージングまたは検出のための改善された性能を示しながらも光免疫療法に使用することができる。本開示はまた、腫瘍またはがんを含む疾患および病態の処置のための、コンジュゲート、組成物および組み合わせを使用する治療方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
背景
種々の治療法ががんのような疾患を処置するために利用可能である。例えば、光免疫療法(PIT)は、特定の細胞の標的化殺傷を可能にするために、細胞表面タンパク質をターゲティングする抗体または他の標的化分子にコンジュゲートされた光増感剤を使用する方法である。いくつかの場合では、PITは、腫瘍細胞のような疾患細胞を選択的にターゲティングすることができ、それによって、健常細胞を損傷することなくこのような細胞を選択的に殺傷することができる。光免疫療法の方法を改善する、例えば、処置の有効性を高める、改善された戦略が必要とされている。このような必要性を満たす組成物および方法が提供される。
【発明の概要】
【0005】
概要
いくつかの態様において、光免疫療法(PIT)を使用することを含む、対象における疾患または病態を処置する方法が提供される。いくつかの態様において、本方法は、疾患または病態を有する対象に、疾患または病態と関連する病変の微小環境中に存在する細胞の表面のタンパク質に結合する標的化分子、例えば抗体またはその抗原結合断片に連結されたフタロシアニン色素を含有するコンジュゲートを投与する工程を含む。いくつかの態様において、コンジュゲートは、規制機関(例えば、FDA、EMA、PDMA)による商業化のために承認されているラベルに記載されているものと同じ疾患または病態を処置するためにそのようにコンジュゲートされていない抗体または抗原結合断片の全治療有効全身曝露の75%以下である全身曝露を達成するために投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートを投与した後、病変は、500~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射され、それによって対象における腫瘍を処置する。いくつかの態様において、照射のための波長は、600nm~850nm、例えば660nm~740nmである。
【0006】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、以下の投薬スケジュールで投与される:コンジュゲートの投与は単回の注射または注入として1回だけ実施される;または、投薬スケジュールはコンジュゲートの後続用量を含まない;または、投薬スケジュールはそのようにコンジュゲートされていない標的化分子、例えば、巨大分子の後続用量を含まない。
【0007】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、全身投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、静脈内投与される。
【0008】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、同じ疾患または病態を処置するためにそのようにコンジュゲートされていない抗体または抗原結合断片の治療有効全身曝露の60%以下、50%以下、40%以下または30%以下である全身曝露(AUC)を達成するために投与される。
【0009】
いくつかの態様において、疾患または病態は、抗体または抗原結合断片が腫瘍微小環境中に存在する細胞の表面の分子に結合する腫瘍であり、この腫瘍が照射される。
【0010】
いくつかの態様において、光免疫療法(PIT)を使用する対象における疾患または病態を処置する方法であって、患者集団、例えばコンジュゲートの投与後の試料患者集団についての時点0から無限までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積によって測定される場合の全身曝露(AUC[0-inf]またはAUC0-∞)が250μg/mL*h~100,000μg/mL*hの間もしくは約250μg/mL*h~100,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~50,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~50,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~18,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~18,000μg/mL*hの間、または500μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間である、方法が提供される。いくつかの態様において、患者集団、例えばコンジュゲートの投与後の試料患者集団についての時点0から無限までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積によって測定された場合の全身曝露(AUC[0-inf]またはAUC0-∞)は、100,000μg/mL*h以下、75,000μg/mL*h以下、50,000μg/mL*h以下、40,000μg/mL*h以下、30,000μg/mL*h以下、20,000μg/mL*h以下、10,000μg/mL*h以下、5,000μg/mL*h以下、または2,500μg/mL*h以下である。
【0011】
いくつかの態様において、患者集団、例えばコンジュゲートの投与後の試料患者集団についての時点0から24時間までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積によって測定された場合の全身曝露(AUC[0-24]またはAUC0-24)は、100μg/mL*h~25,000μg/mL*hの間もしくは約100μg/mL*h~25,000μg/mL*hの間、200μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間もしくは約200μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間であるか;または、患者集団、例えばコンジュゲートの投与後の試料患者集団についての時点0から24時間までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積によって測定された場合の全身曝露(AUC[0-24]またはAUC0-24)は、25,000μg/mL*h以下、15,000μg/mL*h以下、10,000μg/mL*h以下、5,000μg/mL*h以下、2,500μg/mL*h以下、1,000μg/mL*h以下、もしくは500μg/mL*h以下である。
【0012】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、少なくとも約10mg/m2(対象の体表面積)、少なくとも約50mg/m2または少なくとも約75mg/m2であり、かつ、5000mg/m2以下、2000mg/m2以下、1000mg/m2以下である、投与量範囲で投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、500mg/m2以下、250mg/m2以下、または200mg/m2以下である投与量範囲で投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、100mg/m2~1500mg/m2の間もしくは約100mg/m2~1500mg/m2の間、または150mg/m2~750mg/m2の間もしくは約150mg/m2~750mg/m2の間である投与量で投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、160mg/m2、320mg/m2、640mg/m2もしくは1280mg/m2、または約160mg/m2、320mg/m2、640mg/m2もしくは1280mg/m2である投与量で投与される。
【0013】
いくつかの態様において、標的化分子は、抗体または抗原結合抗体断片である。いくつかの態様において、抗体は、Fab、単一VHドメイン、単鎖可変断片(scFv)、多価scFv、二重特異的scFvまたはscFv-CH3二量体である抗原結合抗体断片である。
【0014】
いくつかの態様において、病変は、690±50nmの波長または690±20nmもしくは約690±20nmの波長で照射される。いくつかの態様において、病変は、2J cm-2~約400J cm-2もしくは約2J cm-2~約400J cm-2、または2J/ファイバ長cm~約500J/ファイバ長cmもしくは約2J/ファイバ長cm~約500J/ファイバ長cmの線量で照射される。いくつかの態様において、病変は、少なくとも2J cm-2、5J cm-2、10J cm-2、25J cm-2、50J cm-2、75J cm-2、100J cm-2、150J cm-2、200J cm-2、300J cm-2、400J cm-2、もしくは500J cm-2、または少なくとも約2J cm-2、5J cm-2、10J cm-2、25J cm-2、50J cm-2、75J cm-2、100J cm-2、150J cm-2、200J cm-2、300J cm-2、400J cm-2、もしくは500J cm-2の線量で照射されるか;または、病変は、少なくとも2J/ファイバ長cm、5J/ファイバ長cm、10J/ファイバ長cm、25J/ファイバ長cm、50J/ファイバ長cm、75J/ファイバ長cm、100J/ファイバ長cm、150J/ファイバ長cm、200J/ファイバ長cm、250J/ファイバ長cm、300J/ファイバ長cm、400J/ファイバ長cmもしくは500J/ファイバ長cm、または少なくとも約2J/ファイバ長cm、5J/ファイバ長cm、10J/ファイバ長cm、25J/ファイバ長cm、50J/ファイバ長cm、75J/ファイバ長cm、100J/ファイバ長cm、150J/ファイバ長cm、200J/ファイバ長cm、250J/ファイバ長cm、300J/ファイバ長cm、400J/ファイバ長cmもしくは500J/ファイバ長cmの線量で照射される。
【0015】
いくつかの態様において、照射は、コンジュゲートを投与した後30分~96時間の間または約30分~96時間の間に行われるかまたは達成される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、コンジュゲートの投与が単回の注射または注入として1回だけ実施される、投薬スケジュールで投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、投薬スケジュールがコンジュゲートの後続用量を含まない、投薬スケジュールで投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、投薬スケジュールがそのようにコンジュゲートされていない標的化分子の後続用量を含まない、投薬スケジュールで投与される。いくつかの態様において、投薬スケジュールは、繰り返される。
【0016】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、全身投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、静脈内投与される。
【0017】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、600nm~約850nmまたは約600nm~約850nmの最大吸収波長を有する。
【0018】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、標的化分子に直接的または間接的に連結される。いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、下記式を含む:
式中、
Lは、リンカーであり;
Qは、標的化分子への色素の付着のための反応性基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22およびR
23は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択され;かつ
X
2およびX
3は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンである。
【0019】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、下記式を含む:
式中、
X
1およびX
4は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンであり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;かつ
R
16、R
17、R
18 およびR
19は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択される。
【0020】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、IRDye 700DX(IR700)を含む。
【0021】
いくつかの態様において、細胞表面タンパク質は、ACTHR、内皮細胞Anxa-1、アミノペプチダーゼ(aminopetidase)N、抗IL-6R、アルファ-4-インテグリン、アルファ-5-ベータ-3 インテグリン、アルファ-5-ベータ-5 インテグリン、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ANPA、ANPB、APA、APN、APP、1AR、2AR、AT1、B1、B2、BAGE1、BAGE2、B細胞受容体BB1、BB2、BB4、カルシトニン受容体、癌抗原125(CA 125)、CCK1、CCK2、CD5、CD10、CD11a、CD13、CD14、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD38、CD45、CD52、CD56、CD68、CD90、CD133、CD7、CD15、CD34、CD44、CD206、CD271、CEA(癌胎児性抗原)、CGRP、ケモカイン受容体、細胞表面アネキシン-1、細胞表面プレクチン-1、クリプト-1、CRLR、CXCR2、CXCR4、DCC、DLL3、E2糖タンパク質、EGFR、EGFRvIII、EMR1、エンドシアリン、EP2、EP4、EpCAM、EphA2、ET受容体、フィブロネクチン、フィブロネクチンED-B、FGFR、frizzled受容体、GAGE1、GAGE2、GAGE3、GAGE4、GAGE5、GAGE6、GLP-1受容体、ファミリーAのGタンパク質共役受容体(ロドプシン様)、ファミリーBのGタンパク質共役受容体(セクレチン受容体様)様)、ファミリーCのGタンパク質共役受容体(代謝型グルタミン酸受容体様)、GD2、GP100、GP120、グリピカン-3、ヘマグルチニン、ヘパリン硫酸、HER1、HER2、HER3、HER4、HMFG、HPV 16/18およびE6/E7抗原、hTERT、IL11-R、IL-13R、ITGAM、カリクレイン-9、ルイスY、LH受容体、LHRH-R、LPA1、MAC-1、MAGE 1、MAGE 2、MAGE 3、MAGE 4、MART1、MC1R、メソテリン、MUC1、MUC16、Neu(細胞表面ヌクレオリン)、ネプリライシン、ニューロピリン-1、ニューロピリン-2、NG2、NK1、NK2、NK3、NMB-R、Notch-1、NY-ESO-1、OT-R、突然変異体p53、p97黒色腫抗原、NTR2、NTR3、p32(p32/gC1q-R/HABP1)、p75、PAC1、PAR1、Patched(PTCH)、PDGFR、PDFG受容体、PDT、プロテアーゼ切断コラーゲンIV、プロテイナーゼ3、プロヒビチン、タンパク質チロシンキナーゼ7、PSA、PSMA、プリン作動性P2Xファミリー(例えば、P2X1~5)、突然変異体Ras、RAMP1、RAMP2、RAMP3 patched、RET受容体、プレキシン、スムーズンド、sst1、sst2A、sst2B、sst3、sst4、sst5、サブスタンスP、TEM、T細胞CD3受容体、TAG72、TGFBR1、TGFBR2、Tie-1、Tie-2、Trk-A、Trk-B、Trk-C、TR1、TRPA、TRPC、TRPV、TRPM、TRPML、TRPP(例えば、TRPV1~6、TRPA1、TRPC1~7、TRPM1~8、TRPP1~5、TRPML1~3)、TSH受容体、VEGF受容体(VEGFR1またはFlt-1、VEGFR2またはFLK-1/KDR、およびVEGF-3またはFLT-4)、電位依存性イオンチャネル、VPAC1、VPAC2、ウィルムス腫瘍1、Y1、Y2、Y4、ならびにY5の中から選択される。
【0022】
いくつかの態様において、細胞表面タンパク質は、HER1/EGFR、HER2/ERBB2、CD20、CD25(IL-2Rα受容体)、CD33、CD52、CD133、CD206、CEA、CEACAM1、CEACAM3、CEACAM5、CEACAM6、癌抗原125(CA125)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ルイスY、TAG72、カプリン-1、メソテリン、PDGF受容体、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IL-2受容体、血管内皮成長因子(VEGF)、CD30、EpCAM、EphA2、グリピカン-3、gpA33、ムチン、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(例えばGD2、GD3、GM1およびGM2)、VEGF受容体(VEGFR)、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、AFP、BCR複合体、CD3、CD18、CD44、CTLA-4、gp72、HLA-DR 10β、HLA-DR抗原、IgE、MUC-1、nuC242、PEM抗原、メタロプロテイナーゼ、エフリン受容体、エフリンリガンド、HGF受容体、CXCR4、CXCR4、ボンベシン受容体、およびSK-1抗原の中から選択される。
【0023】
いくつかの態様において、細胞表面タンパク質は、CD25、PD-1(CD279)、PD-L1(CD274、B7-H1)、PD-L2(CD273、B7-DC)、CTLA-4、LAG3(CD223)、TIM3(HAVCR2)、4-1BB(CD137、TNFRSF9)、CXCR2、CXCR4(CD184)、CD27、CEACAM1、ガレクチン9、BTLA、CD160、VISTA(PD1相同体)、B7-H4(VCTN1)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、CD28、HHLA2(B7-H7)、CD28H、CD155、CD226、TIGIT、CD96、ガレクチン3、CD40、CD40L、CD70、LIGHT(TNFSF14)、HVEM(TNFRSF14)、B7-H3(CD276)、Ox40L(TNFSF4)、CD137L(TNFSF9、GITRL)、B7RP1、ICOS(CD278)、ICOSL、KIR、GAL9、NKG2A(CD94)、GARP、TL1A、TNFRSF25、TMIGD2、BTNL2、ブチロフィリンファミリー、CD48、CD244、シグレックファミリー、CD30、CSF1R、MICA(MHCクラスIポリペプチド関連配列A)、MICB(MHCクラスIポリペプチド関連配列B)、NKG2D、KIRファミリー(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、LILRファミリー(白血球免疫グロブリン様受容体、CD85、ILT、LIR)、SIRPA(シグナル調節タンパク質アルファ)、CD47(IAP)、ニューロピリン1(NRP-1)、VEGFR、およびVEGFの中から選択される。
【0024】
いくつかの態様において、抗体または抗原結合断片は、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan, Mabthera)、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin)、ダクリズマブ(Zenapax)、ゲムツズマブ(Mylotarg)、アレムツズマブ、CEA-scan Fab断片、OC125モノクローナル抗体、ab75705、B72.3、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、バシリキシマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEA-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI6383、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、PDR001、MSB0010718C、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015, IPH2101)、IPH2201、AGX-115、エマクツズマブ、CC-90002およびMNRP1685Aの中から選択されるか、またはその抗原結合断片である。
【0025】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、セツキシマブ-IR700、パニツムマブ-IR700、ザルツムマブ-IR700、ニモツズマブ-IR700、トシツモマブ-IR700、リツキシマブ-IR700、イブリツモマブチウキセタン-IR700、ダクリズマブ-IR700、ゲムツズマブ-IR700、アレムツズマブ-IR700、CEA-scan Fab断片-IR700、OC125-IR700、ab75705-IR700、B72.3-IR700、ベバシズマブ-IR700、バシリキシマブ-IR700、ニボルマブ-IR700、ペムブロリズマブ-IR700、ピジリズマブ-IR700、MK-3475-IR700、BMS-936559-IR700、MPDL3280A-IR700、イピリムマブ-IR700、トレメリムマブ-IR700、IMP321-IR700、BMS-986016-IR700、LAG525-IR700、ウレルマブ-IR700、PF-05082566-IR700、TRX518-IR700、MK-4166-IR700、ダセツズマブ-IR700、ルカツムマブ-IR700、SEA-CD40-IR700、CP-870-IR700、CP-893-IR700、MED16469-IR700、MEDI6383-IR700、MEDI4736-IR700、MOXR0916-IR700、AMP-224-IR700、PDR001-IR700、MSB0010718C-IR700、rHIgM12B7-IR700、ウロクプルマブ-IR700、BKT140-IR700、バルリルマブ-IR700、ARGX-110-IR700、MGA271-IR700、リリルマブ-IR700、IPH2201-IR700、AGX-115-IR700、エマクツズマブ-IR700、CC-90002-IR700およびMNRP1685A-IR700の中から選択される。
【0026】
いくつかの態様において、標的化分子は、セツキシマブである抗体であるかまたはその抗原結合断片であるか、あるいは、コンジュゲートは、セツキシマブ-IR700である。
【0027】
いくつかの態様において、患者集団、例えばコンジュゲートの投与後の試料患者集団についての時点0から無限までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積(AUC[0-inf]またはAUC0-∞)は、500μg/mL*h~18,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~18,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間、または500μg/mL*h~2,500μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~2,500μg/mL*hの間である。いくつかの態様において、患者集団、例えばコンジュゲートの投与後の試料患者集団についての時点0から24時間までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積(AUC[0-24]またはAUC0-24)は、500μg/mL*h~8,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~8,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~2,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~2,000μg/mL*hの間、または1000μg/mL*h~4,000μg/mL*hの間もしくは約1000μg/mL*h~4,000μg/mL*hの間である。
【0028】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、75mg/m2(対象の体表面積)~1500mg/m2の間もしくは約75mg/m2(対象の体表面積)~1500mg/m2の間、75mg/m2~1000mg/m2の間もしくは約75mg/m2~1000mg/m2の間、75mg/m2~500mg/m2の間もしくは約75mg/m2~500mg/m2の間、または75mg/m2~225mg/m2の間もしくは約75mg/m2~225mg/m2の間である投与量範囲で投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、少なくとも約160mg/m2、320mg/m2、640mg/m2もしくは1280mg/m2、または約160mg/m2、320mg/m2、640mg/m2もしくは1280mg/m2である投与量範囲で投与される。
【0029】
いくつかの態様において、対象における疾患病変を処置する方法であって、a)疾患または病態と関連する病変を有する対象に、セツキシマブ-IR700コンジュゲートを静脈内投与する工程であって、コンジュゲートが640mg/m2または約640mg/m2である量で投与される、工程;およびb)コンジュゲートを投与した後、病変に、690±20nmの波長で、少なくとも50J cm-2もしくは約少なくとも50J cm-2もしくは約50J cm-2、または少なくとも100J/ファイバ長cmもしくは約少なくとも100J/ファイバ長cmもしくは100J/ファイバ長cmの線量で照射し、それによって対象における疾患または病態を処置する工程を含む、方法が提供される。
【0030】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、以下の投薬スケジュールで投与される:コンジュゲートの投与が単回の注射または注入として1回だけ実施される;または、投薬スケジュールがコンジュゲートの後続用量を含まない;または、投薬スケジュールがそのようにコンジュゲートされていない標的化分子の後続用量を含まない。
【0031】
いくつかの態様において、照射は、コンジュゲートを投与した24時間±3時間後、例えば24時間±2時間後に行われる。
【0032】
いくつかの態様において、病変は、腫瘍であり、疾患または病態は、腫瘍またはがんである。
【0033】
いくつかの態様において、病変は、表在性腫瘍である腫瘍である。いくつかの態様において、腫瘍は、10mm未満の厚さである。いくつかの態様において、照射は、表面照明用のマイクロレンズが先端に付いたファイバを使用して行われる。いくつかの態様において、光照射線量は、5J/cm2~約200J/cm2または約5J/cm2~約200J/cm2である。
【0034】
いくつかの態様において、光免疫療法で表在性腫瘍を処置するための方法であって、対象における表在性腫瘍に、表面照明用のマイクロレンズが先端に付いたファイバを用いて5J/cm2~約200J/cm2または約5J/cm2~約200J/cm2の光線量で照射する工程であって、腫瘍の細胞表面分子に結合された標的化分子を含む光毒性剤と腫瘍が会合する工程を含む、方法が提供される。いくつかの態様において、光照射線量は、50J/cm2または約50J/cm2である。
【0035】
いくつかの態様において、病変は、間質性腫瘍である腫瘍である。いくつかの態様において、腫瘍は、10mm超の深さであるか、または皮下腫瘍である。いくつかの態様において、照射は、ディフューザー長0.5cm~10cmを含みかつ1.8±0.2cm離れて置かれた円筒形拡散ファイバを使用して行われる。いくつかの態様において、光照射線量は、20J/ファイバ長cm~約500J/ファイバ長cmまたは約20J/ファイバ長cm~約500J/ファイバ長cmである。
【0036】
いくつかの態様において、光免疫療法で間質性腫瘍を処置するための方法であって、対象における間質性腫瘍に、ディフューザー長0.5cm~10cmを含みかつ1.8±0.2cm離れて置かれた円筒形拡散ファイバを用いて100J/ファイバ長cmもしくは約100J/ファイバ長cmの光線量で、または400mW/cmもしくは約400mW/cmのフルエンス率で照射する工程であって、腫瘍が腫瘍の細胞表面分子に結合された標的化分子を含む光毒性剤と会合する工程を含む、方法が提供される。
【0037】
いくつかの態様において、光照射線量は、50J/ファイバ長cm~約300J/ファイバ長cmまたは約50J/ファイバ長cm~約300J/ファイバ長cmである。いくつかの態様において、光照射線量は、100J/ファイバ長cmまたは約100J/ファイバ長cmである。
【0038】
いくつかの態様において、腫瘍は、10mm超の深さであるか、または皮下腫瘍である。いくつかの態様において、円筒形拡散ファイバは、腫瘍中に1.8±0.2cm離れて位置付けられたカテーテル内に置かれる。いくつかの態様において、カテーテルは、光学的に透明である。
【0039】
いくつかの態様において、腫瘍に照射する6時間超前、対象に標的化分子を含む光毒性剤が投与されており、光毒性剤が腫瘍と会合する。いくつかの態様において、光毒性剤は、対象に、腫瘍に照射する12時間、24時間、26時間、48時間、72時間もしくは96時間超前、または約12時間、24時間、26時間、48時間、72時間もしくは96時間超前に事前投与されている。いくつかの態様において、光毒性剤は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートである。いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、IR700である。
【0040】
いくつかの態様において、本明細書に提供される処置方法のいずれかにおいて、投薬スケジュールを繰り返し、工程(a)および(b)を繰り返す。いくつかの態様において、投薬スケジュールは、コンジュゲートでの先行処置の後に残留病変が残っている場合、繰り返される。いくつかの態様において、本方法は、対象を残留病変の存在について評価する工程、および、残留病変が残っている場合、投薬スケジュールを繰り返す工程を追加的に含む。いくつかの態様において、投薬スケジュールは、コンジュゲートの事前投与開始の、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、6か月もしくは1年超後、または約1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、6か月もしくは1年後、または1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、6か月もしくは1年後である時点に残留病変が残っている場合、繰り返される。いくつかの態様において、投薬スケジュールは、コンジュゲートの事前投与開始の4週間後または約4週間後に残留病変が残っている場合、繰り返される。
【0041】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、1標的化分子当たり1~100、1~10または2~5のフタロシアニン色素分子を含有する。
【0042】
いくつかの態様において、本方法は、追加の治療薬または抗がん処置を施すことを含まない。いくつかの態様において、本方法は、追加の治療薬または抗がん処置を施すことを含む。いくつかの態様において、抗がん処置は、放射線療法を含む。
【0043】
いくつかの態様において、追加の治療薬は、抗がん剤または免疫調節剤である。いくつかの態様において、追加の治療薬は、免疫チェックポイント阻害剤である免疫調節剤である。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAの中から選択される分子に特異的に結合する。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体もしくは抗原結合断片、低分子またはポリペプチドである。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、またはその抗原結合断片である。
【0044】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、病変または腫瘍に照射する前に投与される。いくつかの態様において、免疫調節剤は、腫瘍に照射する30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1か月超前、または約30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1か月超前に投与される。
【0045】
いくつかの態様において、提供される方法は、照射に続いて免疫調節剤の連続投与工程を、1週間に3回、1週間に2回、1週間毎に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回または1か月に1回含む。
【0046】
いくつかの態様において、対象における腫瘍を処置する方法であって、a)対象に免疫調節剤を投与する工程;b)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面の分子に結合することが可能な標的化分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートの治療有効量を投与する工程;およびc)免疫調節剤を投与した12時間超後、コンジュゲートを細胞傷害性にする波長で腫瘍に照射し、それによって腫瘍を処置する工程を含む、方法が提供される。いくつかの態様において、免疫調節剤は、腫瘍に照射する24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1か月超前、または約24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1か月超前に投与される。
【0047】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面のタンパク質に結合する。提供される方法のいくつかの態様において、腫瘍に照射する工程c)は、i)免疫調節剤の投与後およびコンジュゲートの投与後、またはii)コンジュゲートの投与後のみのいずれかに行われる。
【0048】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、免疫調節剤の投与の前に、免疫調節剤と同時に、または免疫調節剤に続いて、投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、免疫調節剤を投与した後であるが腫瘍に照射する前に投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、腫瘍に照射する12時間~48時間前または約12時間~48時間前に投与され、免疫調節剤は、腫瘍に照射する12時間~約1か月前または約12時間~約1か月前に投与される。
【0049】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAの中から選択される分子に特異的に結合する。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体もしくは抗原結合断片、低分子またはポリペプチドである。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、または前述のいずれかのその抗原結合断片である。
【0050】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、腫瘍関連抗原(TAA)の発現をアップレギュレートする脱メチル化剤であるか、またはサイトカインである。
【0051】
いくつかの態様において、提供される方法は、照射に続いて1週間に3回、1週間に2回、1週間毎に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回または1か月に1回の免疫調節剤の連続投与工程を含む。
【0052】
いくつかの態様において、対象における腫瘍を処置する方法であって、a)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面の分子の発現を増強する免疫調節剤を投与する工程;b)対象に、細胞表面分子に結合することが可能な標的化分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートの治療有効量を投与する工程;およびc)コンジュゲートを投与した5分超後に、コンジュゲートを細胞傷害性にする波長で腫瘍に照射し、それによって腫瘍を処置する工程を含む、方法が提供される。
【0053】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、サイトカインであるか、または腫瘍微小環境中のサイトカインの増加した発現を誘導する薬剤である。いくつかの態様において、サイトカインは、インターフェロンガンマである。
【0054】
いくつかの態様において、細胞の表面の分子は、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAから選択される。いくつかの態様において、細胞の表面の分子は、PD-L1である。
【0055】
いくつかの態様において、標的化分子は、免疫チェックポイント阻害剤である。
【0056】
いくつかの態様において、標的化分子は、抗体もしくは抗体断片、低分子またはポリペプチドである。いくつかの態様において、標的化分子は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MED14736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、または前述のいずれかのその抗原結合断片である。
【0057】
いくつかの態様において、対象における腫瘍を処置する方法であって、a)対象に、腫瘍の微小環境中の細胞上の細胞表面分子に結合することが可能な標的化分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;b)コンジュゲートを投与した5分超後に、コンジュゲートを細胞傷害性にする波長で腫瘍に照射する工程であって、コンジュゲートでの腫瘍の処置とそれに続く光照射が腫瘍中の免疫抑制細胞の存在を増加させるかまたは腫瘍における免疫抑制マーカーの発現を増加させる、工程;およびc)対象に、腫瘍中の免疫抑制細胞の量もしくは活性を低減させることが可能な、または免疫抑制マーカーの活性を遮断することもしくは腫瘍中の腫瘍促進細胞の活性を低減させることが可能な、または腫瘍促進マーカーの活性を遮断することが可能な、治療有効量の免疫調節剤を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0058】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、第一の色素であり、免疫調節剤は、免疫抑制細胞または腫瘍促進細胞に結合することが可能な免疫調節剤にコンジュゲートされた第二のフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを含む。いくつかの態様において、第一および第二のフタロシアニン色素は、同じかまたは異なる。
【0059】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。いくつかの態様において、免疫調節剤は、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAの中から選択される分子に特異的に結合する。
【0060】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、抗体もしくは抗体断片、低分子またはポリペプチドである。
【0061】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、抗CTLA4抗体ではない。
【0062】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MED14736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、または前述のいずれかのその抗原結合断片である。
【0063】
いくつかの態様において、対象における腫瘍を処置する方法であって、a)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面の分子に結合することが可能な標的化分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;b)コンジュゲートを投与した5分超後に、コンジュゲートを細胞傷害性にする波長で腫瘍に照射する工程であって、コンジュゲートでの腫瘍の処置とそれに続く光照射が免疫細胞の活性化をプライミングする、工程;およびc)対象に、免疫細胞の活性を増加させることが可能な免疫調節剤の治療有効量を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0064】
いくつかの態様において、免疫細胞は、抗原提示細胞である。いくつかの態様において、免疫細胞は、樹状細胞である。いくつかの態様において、免疫調節剤は、GM-CSF、CpG-ODN(CpGオリゴデオキシヌクレオチド)、リポ多糖(LPS)、モノホスホリルリピドA(MPL)、ミョウバン、組換えリーシュマニア(Leishmania)ポリタンパク質、イミキモド、MF59、ポリI:C、ポリA:U、1型IFN、Pam3Cys、Pam2Cys、完全フロイントアジュバント(CFA)、アルファ-ガラクトシルセラミド、RC-529、MDF2β、ロキソリビン、抗CD40アゴニスト、SIRPaアンタゴニスト、AS04、AS03、フラジェリン、レシキモド、DAP(ジアミノピメリン酸)、MDP(ムラミルジペプチド)およびCAF01(陽イオン性アジュバント製剤-01)の中から選択される。いくつかの態様において、免疫調節剤は、Toll様受容体(TLR)アゴニスト、アジュバントまたはサイトカインである。いくつかの態様において、免疫調節剤は、TLRアゴニストであり、TLRアゴニストは、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、またはTLR9アゴニストである。いくつかの態様において、TLRアゴニストは、トリアシル化リポタンパク質、ジアシル化リポタンパク質、リポテイコ酸、ペプチドグリカン、ザイモサン、Pam3CSK4、dsRNA、ポリI:C、ポリG10、ポリG3、CpG、3M003、フラジェリン、リポ多糖(LPS)、真核生物リボソーム伸長および開始因子4aのリーシュマニア相同体(LeIF)、MEDI9197、SD-101、ならびにイミダゾキノリンTLRアゴニストの中から選択される。
【0065】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、サイトカインであり、サイトカインは、IL-4、TNF-α、GM-CSFまたはIL-2である。いくつかの態様において、免疫調節剤は、照射の前、照射と同時または照射の後に投与される。いくつかの態様において、免疫調節剤は、照射後5分、30分、60分、2時間、6時間、12時間または24時間以内に投与される。いくつかの態様において、免疫調節剤は、照射前5分、30分、60分、2時間、6時間、12時間または24時間以内に投与される。
【0066】
いくつかの態様において、標的化分子は、分子またはタンパク質に直接的または間接的に結合する。いくつかの態様において、標的化分子は、第一の結合分子に結合する第二の結合分子であり、第一の結合分子は、分子またはタンパク質に結合することが可能である。いくつかの態様において、標的化分子は、二次抗体である。
【0067】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、600nm~約850nmまたは約600nm~約850nmの最大吸収波長を有する。
【0068】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、標的化分子に共有または非共有連結される。いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、標的化分子への色素の付着のための反応性基を含むリンカーを含む。
【0069】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、下記式を含む:
式中、
Lは、リンカーであり;
Qは、標的化分子への色素の付着のための反応性基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22およびR
23は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択され;かつ
X
2およびX
3は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンである。
【0070】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、下記式を含む:
式中、
X
1およびX
4は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンであり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;かつ
R
16、R
17、R
18およびR
19は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択される。
【0071】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、IRDye 700DX(IR700)を含む。
【0072】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、50mg/m2~約5000mg/m2もしくは約50mg/m2~約5000mg/m2、約250mg/m2~約2500mg/m2、約750mg/m2~約1250mg/m2、または約100mg/m2~約1000mg/m2の用量で投与される。
【0073】
いくつかの態様において、腫瘍は、がんである。いくつかの態様において、がんは、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置するがんである。いくつかの態様において、腫瘍は、肉腫または癌腫である。いくつかの態様において、腫瘍は、扁平上皮癌、基底細胞癌または腺癌である癌腫である。いくつかの態様において、腫瘍は、膀胱、膵臓、結腸、卵巣、肺、乳房、胃、前立腺、子宮頸部、食道または頭頸部の癌腫である癌である。
【0074】
いくつかの態様において、腫瘍は、600nm~850nmの波長で、少なくとも1J cm-2または少なくとも1J/ファイバ長cmの線量で照射される。いくつかの態様において、腫瘍は、690nm±50nmの波長でまたは690±20nmもしくは約690±20nmの波長で照射される。
【0075】
いくつかの態様において、方法は、投与および照射の前の腫瘍のサイズまたは体積と比較して、照射の1か月以内に、腫瘍のサイズまたは体積を少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上低減する。
【0076】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素コンジュゲートを使用するPIT処置の方法(例えば、上記方法または本明細書に提供される方法のいずれかに従う)は、コンジュゲートされていない抗体または抗原結合抗体断片で処置された対象の同状況の集団と比較して、処置された対象の集団において障害もしくはがん関連パラメーターの改善をもたらす。いくつかの態様において、パラメーターは、以下の1つまたは複数から選択される:a)奏効率(ORR);b)無増悪生存期間(PFS);c)全生存期間(OS);d)毒性の低減;e)腫瘍応答;またはf)クオリティ・オブ・ライフ。
【0077】
いくつかの態様において、パラメーターは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%以上改善される。
【0078】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素コンジュゲートを使用するPIT処置の方法(例えば、上記方法または本明細書に提供される方法のいずれかに従う)は、処置された対象の集団において、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%以上である奏効率(ORR)をもたらす。
【0079】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、フタロシアニン色素を第一の色素として含有し、かつ、第一の色素とは異なる標的化分子に連結された第二の蛍光色素をさらに含有する。いくつかの態様において、第二の蛍光色素は、第一の色素の対応するスペクトル特性と比較してより高い、水中蛍光量子収率、吸光係数、ストークスシフト、長波長における吸収および放射ならびに光安定性の中から選択される1つまたは複数のスペクトル特性を示す。いくつかの態様において、病変または腫瘍は、第二の蛍光色素から蛍光シグナルを放射して、対象における病変または腫瘍でのコンジュゲートの存在の検出を達成する。いくつかの態様において、提供される方法は、第二の色素によって吸収されることが可能な波長で腫瘍に照射または照明することによって、対象における病変または腫瘍をイメージングする工程をさらに含む。
【0080】
いくつかの態様において、第一の色素は、IR700である。いくつかの態様において、第二の色素は、IR700ではない。いくつかの態様において、第二の色素は、ヒドロキシクマリン、Cascade Blue、Dylight 405、Pacific Orange、Alexa Fluor 430、フルオレセイン、Oregon Green、Alexa Fluor 488、BODIPY 493、2.7-ジクロロフルオレセイン(Diochlorofluorescien)、ATTO 488、Chromeo 488、Dylight 488、HiLyte 488、Alexa Fluor 555、ATTO 550、BODIPY TMR-X、CF 555、Chromeo 546、Cy3、TMR、TRITC、Dy547、Dy548、Dy549、HiLyte 555、Dylight 550、BODIPY 564、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、ローダミン、Texas Red、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Dylight 633、Alexa Fluor 647、APC、ATTO 655、CF633、CF640R、Chromeo 642、Cy5、Dylight 650、Alexa Fluor 680、IRDye 680、Alexa Fluor 700、Cy 5.5、ICG、Alexa Fluor 750、Dylight 755、IRDye 750、Cy7、Cy7.5、Alexa Fluor 790、Dylight 800、IRDye 800、Qdot(登録商標)525、Qdot(登録商標)565、Qdot(登録商標)605、Qdot(登録商標)655、Qdot(登録商標)705およびQdot(登録商標)800の中から選択される。
【0081】
いくつかの態様において、第一の色素は、IR700であり、コンジュゲートは、1標的化分子当たり1~10または1~5の第二の色素分子を含有する。
【0082】
いくつかの態様において、第二の色素は、15nm超、20nm超、30nm超、40nm超、50nm超、60nm超、70nm超、80nm超、90nm超または100nm超であるストークスシフトを示す。
【0083】
いくつかの態様において、第二の色素は、10%超、15%超、20%超もしくは25%超、30%超、40%超、50%超またはより高い水中量子収率を有する。
【0084】
いくつかの態様において、第二の色素は、650nm~950nmの間もしくは約650nm~950nmの間、700nm~1000nmの間もしくは約700nm~1000nmの間、または1000nm~1700nmの間もしくは約1000nm~1700nmの間のスペクトル中に吸収および放射波長を有する。
【0085】
いくつかの態様において、第一の色素および第二の色素は、重複する放射および吸収スペクトルを示さない。いくつかの態様において、第二の色素は、ICG、IRDye 680、Alexa Fluor 750、Dylight 755、IRDye 750、Cy7.5、Alexa Fluor 790、Dylight 800およびIRDye 800の中から選択される。いくつかの態様において、第二の色素は、Alexa Fluor 488、IRDye 680、IRDye 800またはDylight 755である。
【0086】
いくつかの態様において、本方法は、第二の色素が吸収することが可能な波長で腫瘍に照射または照明し、それによって対象をイメージングする工程をさらに含む。いくつかの態様において、腫瘍の照射または照明は、ハンドヘルド紫外線ランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、レーザー、レーザーダイオードまたはイメージングデバイスの中から選択されるデバイスを用いて実施される。いくつかの態様において、LEDイメージングデバイスは、近赤外(NIR)ダイオードを含む。
【0087】
いくつかの態様において、病変の微小環境、例えば腫瘍微小環境中に存在する細胞の表面の分子に結合する抗体または抗原結合抗体断片に連結されたフタロシアニン色素を含有するコンジュゲートを含有する組成物が提供される。いくつかの態様において、組成物は、100mg~1200mgの間または約100mg~1200mgの間である量でのコンジュゲートの単回投与量投与用に製剤化される。いくつかの態様において、組成物は、100mg~500mgの間もしくは約100mg~500mgの間、または200mg~400mgの間もしくは約200mg~400mgの間の量の単回投与量投与用に製剤化される。いくつかの態様において、組成物は、500mg~1500mgもしくは約500mg~1500mg、800mg~1200mgもしくは約800mg~1200mgの間、または1000mg~1500mgもしくは約1000mg~1500mgの間の量の単回投与量投与用に製剤化される。
【0088】
いくつかの態様において、組成物の容量は、10mL~500mLもしくは約10mL~500mL、または50mL~250mLもしくは約50mL~250mLである。いくつかの態様において、組成物の容量は、少なくとも10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、75mL、100mL、150mL、200mL、250mL、300mL、400mLまたは500mLである。いくつかの態様において、組成物の容量は、10mL~1000mLもしくは約10mL~1000mL、または50mL~500mLもしくは約50mL~500mLであるか;または、組成物の容量は、少なくとも10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、75mL、100mL、150mL、200mL、250mL、300mL、400mL、500mLもしくは1000mLである。
【0089】
いくつかの態様において、病変の微小環境、例えば腫瘍微小環境中に存在する細胞の表面の分子に結合する抗体または抗原結合抗体断片に連結されたフタロシアニン色素を含有するコンジュゲートを含有する組成物の単回投与用量の一部分を各々個別に含有する、複数の密閉容器を含む、製造品が提供される。いくつかの態様において、複数の密閉容器内のコンジュゲートの組み合わせ量は、100mg~1500mgもしくは約100mg~1500mg、または100mg~1200mgもしくは約100mg~1200mgである。いくつかの態様において、製造品は、パッケージング材料と、ラベルまたは添付文書(複数のバイアルの内容物を組み合わせて組成物の単回投与量製剤を調製するための説明書を含む)とを含有する。
【0090】
いくつかの態様において、複数の密閉容器内のコンジュゲートの組み合わせ量は、100mg~1200mgの間または約100mg~1200mgの間である。いくつかの態様において、複数の密閉容器内のコンジュゲートの組み合わせ量は、100mg~500mgの間もしくは約100mg~500mgの間、200mg~400mgの間もしくは約200mg~400mgの間、500mg~1500mgの間もしくは約500mg~1500mgの間、800mg~1200mgの間もしくは約800mg~1200mgの間、または1000mg~1500mgの間もしくは約1000mg~1500mgの間である。
【0091】
いくつかの態様において、病変は、腫瘍である。
【0092】
いくつかの態様において、免疫調節剤である抗体または抗原結合断片に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートが提供される。いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。
【0093】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、腫瘍、腫瘍細胞またはがん細胞の表面に結合する抗体または抗原結合断片である。いくつかの態様において、免疫調節剤は、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAの中から選択される分子に特異的に結合する。いくつかの態様において、免疫調節剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MED14736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、または前述のいずれかのその抗原結合断片である。いくつかの態様において、免疫調節剤は、PD-L1に結合する抗体または抗体断片である。
【0094】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280AおよびMSB0010718Cから選択される抗体、またはその抗原結合断片である。
【0095】
いくつかの態様において、少なくとも第一のおよび第二の蛍光色素に連結された標的化分子を含有するコンジュゲートが提供される。いくつかの態様において、第一の蛍光色素は、光毒性を示すことが可能なフタロシアニン色素である。
【0096】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、下記式を有する:
[D1-(L1)n]p-A-[(L2)m-D2]o
式中、
Aは、細胞の表面の分子に結合することができる標的化分子であり;
L1およびL2は、各々独立して選択されるリンカーであり、これらは、同じでもまたは異なっていることもでき;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
D1は、光毒性を示すことが可能なフタロシアニン色素である第一の色素であり;
D2は、蛍光色素である第二の色素であり、ここで、D2は、D1とは異なり;
pは、1~10であり;かつ
oは、1~10である。
【0097】
いくつかの態様において、標的化分子は、抗体または抗原結合抗体断片である。
【0098】
いくつかの態様において、細胞表面分子は、抗原、ポリペプチド、脂質、もしくは炭水化物、またはこれらの分子の組み合わせを含む。
【0099】
いくつかの態様において、細胞表面分子は、ACTHR、内皮細胞Anxa-1、アミノペプチダーゼN、抗IL-6R、アルファ-4-インテグリン、アルファ-5-ベータ-3 インテグリン、アルファ-5-ベータ-5 インテグリン、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ANPA、ANPB、APA、APN、APP、1AR、2AR、AT1、B1、B2、BAGE1、BAGE2、B細胞受容体BB1、BB2、BB4、カルシトニン受容体、癌抗原125(CA 125)、CCK1、CCK2、CD5、CD10、CD11a、CD13、CD14、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD38、CD45、CD52、CD56、CD68、CD90、CD133、CD7、CD15、CD34、CD44、CD206、CD271、CEA(癌胎児性抗原)、CGRP、ケモカイン受容体、細胞表面アネキシン-1、細胞表面プレクチン-1、クリプト-1、CRLR、CXCR2、CXCR4、DCC、DLL3、E2糖タンパク質、EGFR、EGFRvIII、EMR1、エンドシアリン、EP2、EP4、EpCAM、EphA2、ET受容体、フィブロネクチン、フィブロネクチンED-B、FGFR、frizzled受容体、GAGE1、GAGE2、GAGE3、GAGE4、GAGE5、GAGE6、GLP-1受容体、ファミリーAのGタンパク質共役受容体(ロドプシン様)、ファミリーBのGタンパク質共役受容体(セクレチン受容体様)様)、ファミリーCのGタンパク質共役受容体(代謝型グルタミン酸受容体様)、GD2、GP100、GP120、グリピカン-3、ヘマグルチニン、ヘパリン硫酸、HER1、HER2、HER3、HER4、HMFG、HPV 16/18およびE6/E7抗原、hTERT、IL11-R、IL-13R、ITGAM、カリクレイン-9、ルイスY、LH受容体、LHRH-R、LPA1、MAC-1、MAGE 1、MAGE 2、MAGE 3、MAGE 4、MART1、MC1R、メソテリン、MUC1、MUC16、Neu(細胞表面ヌクレオリン)、ネプリライシン、ニューロピリン-1、ニューロピリン-2、NG2、NK1、NK2、NK3、NMB-R、Notch-1、NY-ESO-1、OT-R、突然変異体p53、p97黒色腫抗原、NTR2、NTR3、p32(p32/gC1q-R/HABP1)、p75、PAC1、PAR1、Patched(PTCH)、PDGFR、PDFG受容体、PDT、プロテアーゼ切断コラーゲンIV、プロテイナーゼ3、プロヒビチン、タンパク質チロシンキナーゼ7、PSA、PSMA、プリン作動性P2Xファミリー(例えば、P2X1~5)、突然変異体Ras、RAMP1、RAMP2、RAMP3 patched、RET受容体、プレキシン、スムーズンド、sst1、sst2A、sst2B、sst3、sst4、sst5、サブスタンスP、TEM、T細胞CD3受容体、TAG72、TGFBR1、TGFBR2、Tie-1、Tie-2、Trk-A、Trk-B、Trk-C、TR1、TRPA、TRPC、TRPV、TRPM、TRPML、TRPP(例えば、TRPV1~6、TRPA1、TRPC1~7、TRPM1~8、TRPP1~5、TRPML1~3)、TSH受容体、VEGF受容体(VEGFR1またはFlt-1、VEGFR2またはFLK-1/KDR、およびVEGF-3またはFLT-4)、電位依存性イオンチャネル、VPAC1、VPAC2、ウィルムス腫瘍1、Y1、Y2、Y4、ならびにY5の中から選択される。
【0100】
いくつかの態様において、細胞表面分子は、HER1/EGFR、HER2/ERBB2、CD20、CD25(IL-2Rα受容体)、CD33、CD52、CD133、CD206、CEA、CEACAM1、CEACAM3、CEACAM5、CEACAM6、癌抗原125(CA125)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ルイスY、TAG72、カプリン-1、メソテリン、PDGF受容体、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IL-2受容体、血管内皮成長因子(VEGF)、CD30、EpCAM、EphA2、グリピカン-3、gpA33、ムチン、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(例えばGD2、GD3、GM1およびGM2)、VEGF受容体(VEGFR)、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、AFP、BCR複合体、CD3、CD18、CD44、CTLA-4、gp72、HLA-DR 10β、HLA-DR抗原、IgE、MUC-1、nuC242、PEM抗原、メタロプロテイナーゼ、エフリン受容体、エフリンリガンド、HGF受容体、CXCR4、CXCR4、ボンベシン受容体、およびSK-1抗原の中から選択される。
【0101】
いくつかの態様において、細胞表面分子は、CD25、PD-1(CD279)、PD-L1(CD274、B7-H1)、PD-L2(CD273、B7-DC)、CTLA-4、LAG3(CD223)、TIM3(HAVCR2)、4-1BB(CD137、TNFRSF9)、CXCR2、CXCR4(CD184)、CD27、CEACAM1、ガレクチン9、BTLA、CD160、VISTA(PD1相同体)、B7-H4(VCTN1)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、CD28、HHLA2(B7-H7)、CD28H、CD155、CD226、TIGIT、CD96、ガレクチン3、CD40、CD40L、CD70、LIGHT(TNFSF14)、HVEM(TNFRSF14)、B7-H3(CD276)、Ox40L(TNFSF4)、CD137L(TNFSF9、GITRL)、B7RP1、ICOS(CD278)、ICOSL、KIR、GAL9、NKG2A(CD94)、GARP、TL1A、TNFRSF25、TMIGD2、BTNL2、ブチロフィリンファミリー、CD48、CD244、シグレックファミリー、CD30、CSF1R、MICA(MHCクラスIポリペプチド関連配列A)、MICB(MHCクラスIポリペプチド関連配列B)、NKG2D、KIRファミリー(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、LILRファミリー(白血球免疫グロブリン様受容体、CD85、ILT、LIR)、SIRPA(シグナル調節タンパク質アルファ)、CD47(IAP)、ニューロピリン1(NRP-1)、VEGFR、およびVEGFの中から選択される。
【0102】
いくつかの態様において、標的化分子は、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan, Mabthera)、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin)、ダクリズマブ(Zenapax)、ゲムツズマブ(Mylotarg)、アレムツズマブ、CEA-scan Fab断片、OC125モノクローナル抗体、ab75705、B72.3、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、バシリキシマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEA-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI6383、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、PDR001、MSB0010718C、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015, IPH2101)、IPH2201、AGX-115、エマクツズマブ、CC-90002およびMNRP1685Aの中から選択される抗体または抗原結合断片であるか、またはその抗原結合断片である。
【0103】
いくつかの態様において、標的化分子は、ナノ担体ではないか、またはナノ担体を含まない。いくつかの態様において、標的化分子は、ウイルス様粒子、ナノ粒子、リポソーム、量子ドット、またはそれらの組み合わせではないか、またはそれらを含まない。
【0104】
いくつかの態様において、第一の色素は、600nm~850nmまたは約600nm~約850nmの最大吸収波長を有するフタロシアニン色素である。
【0105】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素である第一の色素は、下記式を含む:
式中、
Lは、リンカーであり;
Qは、標的化分子への色素の付着のための反応性基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含有し;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22およびR
23は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択され;かつ
X
2およびX
3は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンである。
【0106】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素である第一の色素は、下記式を含む:
式中、
X
1およびX
4は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンであり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含有し;そして
R
16、R
17、R
18およびR
19は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択される。
【0107】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素である第一の色素は、IRDye 700DX(IR700)を含む。
【0108】
いくつかの態様において、第二の蛍光色素は、第一の色素の対応するスペクトル特性と比較してより高い、水中蛍光量子収率、吸光係数、ストークスシフト、長波長における吸収および放射ならびに光安定性の中から選択される1つまたは複数のスペクトル特性を示す。
【0109】
いくつかの態様において、第二の色素は、IR700ではない。いくつかの態様において、第二の色素は、ヒドロキシクマリン、Cascade Blue、Dylight 405、Pacific Orange、Alexa Fluor 430、フルオレセイン、Oregon Green、Alexa Fluor 488、BODIPY 493、2.7-ジクロロフルオレセイン、ATTO 488、Chromeo 488、Dylight 488、HiLyte 488、Alexa Fluor 555、ATTO 550、BODIPY TMR-X、CF 555、Chromeo 546、Cy3、TMR、TRITC、Dy547、Dy548、Dy549、HiLyte 555、Dylight 550、BODIPY 564、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、ローダミン、Texas Red、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Dylight 633、Alexa Fluor 647、APC、ATTO 655、CF633、CF640R、Chromeo 642、Cy5、Dylight 650、Alexa Fluor 680、IRDye 680、Alexa Fluor 700、Cy 5.5、ICG、Alexa Fluor 750、Dylight 755、IRDye 750、Cy7、Cy7.5、Alexa Fluor 790、Dylight 800、IRDye 800、Qdot(登録商標)525、Qdot(登録商標)565、Qdot(登録商標)605、Qdot(登録商標)655、Qdot(登録商標)705およびQdot(登録商標)800の中から選択される。
【0110】
いくつかの態様において、第一の色素は、IR700であり、コンジュゲートは、1標的化分子当たり1~10または1~5の第二の色素分子を含有する。
【0111】
いくつかの態様において、第二の色素は、15nm超、20nm超、30nm超、40nm超、50nm超、60nm超、70nm超、80nm超、90nm超または100nm超であるストークスシフトを示す。
【0112】
いくつかの態様において、第二の色素は、10%超、15%超、20%超もしくは25%超、30%超、40%超、50%超またはより高い水中量子収率を有する。
【0113】
いくつかの態様において、第二の色素は、650nm~950nmの間もしくは約650nm~950nmの間、700nm~1000nmの間もしくは約700nm~1000nmの間、1000nm~1700nmの間もしくは約1000nm~1700nmの間のスペクトル中に吸収および放射波長を有する。
【0114】
いくつかの態様において、第一の色素および第二の色素は、重複する放射および吸収スペクトルを示さない。
【0115】
いくつかの態様において、第二の色素は、ICG、IRDye 680、Alexa Fluor 750、Dylight 755、IRDye 750、Cy7.5、Alexa Fluor 790、Dylight 800およびIRDye 800の中から選択される。いくつかの態様において、第二の色素は、Alexa Fluor 488、IRDye 680、IRDye 800またはDylight 755である。
【0116】
いくつかの態様において、本明細書に記載されるコンジュゲートのいずれかを含有する組成物が提供される。いくつかの態様において、組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含有する。
【0117】
いくつかの態様において、対象における疾患または病態を処置する方法であって、a)本明細書に記載されるコンジュゲートまたは組成物のいずれかの治療有効量を対象に投与する工程であって、コンジュゲートが、疾患または病態と関連する病変の微小環境中に存在する細胞に結合する、工程;およびb)コンジュゲートを投与した後、コンジュゲートの光毒性活性を誘導する1つまたは複数の波長で病変に照射し、それによって疾患または病態を処置する工程を含む、方法が提供される。
【0118】
いくつかの態様において、光免疫療法(PIT)を使用する対象における腫瘍のような疾患または病態を処置する方法であって、本明細書に記載されるコンジュゲートまたは組成物のいずれかの治療有効量を対象に投与する工程を含む、方法が提供される。いくつかの態様において、本方法は、腫瘍に、660nm~740nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射し、それによって対象における疾患または病態を処置する工程を含む。
【0119】
いくつかの態様において、対象における疾患または病態を処置する方法であって、a)本明細書に記載されるコンジュゲートまたは組成物のいずれかの治療有効量を対象に投与する工程であって、コンジュゲートが、疾患または病態と関連する病変の微小環境中に存在する細胞に結合する、工程;およびb)コンジュゲートを投与した後、コンジュゲートの第一の色素の光毒性活性およびコンジュゲートの第二の色素の蛍光シグナルを誘導する1つまたは複数の波長で病変に照射する工程を含む、方法が提供される。
【0120】
いくつかの態様において、提供される方法は、病変に、400~900nmまたは約400~約900nmである波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を含む。いくつかの態様において、提供される方法は、単一波長で病変に照射する工程を含む。いくつかの態様において、提供される方法は、2つの異なる波長で同時または連続的に病変に照射する工程であって、一方の波長が光毒性活性を誘導し、かつもう一方の波長が蛍光シグナルを誘導する、工程を含む。
【0121】
いくつかの態様において、疾患または病態は、腫瘍である。
【0122】
いくつかの態様において、提供される方法は、腫瘍に、660nm~740nmの波長で、少なくとも1J cm-2の線量で照射し、それによって対象における腫瘍を処置する工程を含む。
【0123】
いくつかの態様において、腫瘍は、がんである。いくつかの態様において、がんは、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置するがんである。いくつかの態様において、腫瘍は、肉腫または癌腫である。いくつかの態様において、腫瘍は、扁平上皮癌、基底細胞癌または腺癌である癌腫である。いくつかの態様において、腫瘍は、膀胱、膵臓、結腸、卵巣、肺、乳房、胃、前立腺、子宮頸部、食道または頭頸部の癌腫である癌である。
【0124】
いくつかの態様において、コンジュゲートの投与の前、標的化分子が対象に投与される。いくつかの態様において、標的化分子は、コンジュゲートの投与の96時間前までに投与される。いくつかの態様において、標的化分子は、10mg/m2~500mg/m2または約10mg/m2~約500mg/m2の範囲内の用量で投与される。いくつかの態様において、標的化分子は、抗体または抗原結合断片、例えばセツキシマブである。いくつかの例では、セツキシマブは、コンジュゲートの投与の前に対象に投与される。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【
図1】A431細胞におけるEGFRリン酸化の阻害についてのセツキシマブおよびセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの用量応答曲線を示す。
【
図2】A431細胞に対する、8J/cm
2の690nm光を使用する、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートを用いた光免疫療法(PIT)についての用量応答曲線を示す。
【
図3】BxPC3細胞に対する、16J/cm
2対32J/cm
2の690nm光を使用する、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートを用いた光免疫療法(PIT)についての用量応答曲線の比較を示す。
【
図4】二重標識パニツムマブ-IR700DX-Alexa-488コンジュゲートについての概略構造図を示す。
【
図5】BxPC3膵臓癌細胞に対する、種々の光線量(0~16J/cm
2)での、異なるコンジュゲートによって誘導される光免疫療法(PIT)後の細胞死の進行を示す。
図5Aは、単一標識パニツムマブ-IR700コンジュゲートを使用するPIT後の細胞死を示す。
図5Bは、二重標識パニツムマブ-IR700-Alexa-488コンジュゲートを使用するPIT後の細胞死を示す。
【
図6A】セツキシマブ-IRDye 700DXの500ルクスの白色蛍光または緑色LED光への曝露の期間および可溶性凝集体形成に対するその効果を示す。
【
図6B】セツキシマブ-IRDye 700DXの白色蛍光または緑色LED光への事前曝露のBxPC3 PIT活性に対する効果を示す。
【
図6C】セツキシマブ-IRDye 700DX可溶性凝集体形成のパーセントのPIT活性に対する効果を示す。
【
図7】セツキシマブおよびロバ抗ヒト-IRDye 700DX(DxHu IR700)二次抗体を使用した連続染色を用いたPIT殺傷活性を示す。
【
図8A】単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DX(mSA IR700)と予め複合体化されたビオチン化セツキシマブを用いたBxPC3細胞の光依存性殺傷を示す。
【
図8B】単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DX(mSA IR700)と予め複合体化されたビオチン化セツキシマブを用いたPITの特異性を示す。
【
図8C】BxPC3細胞における、ビオチン化セツキシマブを用いた、白色光に事前曝露された単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DXのPIT殺傷活性に対する効果を示す。
【
図9】Aは、直接コンジュゲートされた抗EpCAM-IRDye 700DXを用いた4T1細胞の抗体用量依存性殺傷を示す。Bは、抗EpCAM-IRDye 700DXのPIT殺傷活性の特異性を示す。
【
図10】セツキシマブ-IRDye 700DXによるTHP1細胞のFc受容体特異的殺傷を示す。
【
図11A】A431細胞におけるEGF-IRDye 700DXの光依存性殺傷の特異性を示す。
【
図11B】異なるタイプの光に事前曝露されたEGF-IRDye 700DXの、A431細胞における光依存性殺傷に対する効果を示す。
【
図12A】コレラトキシンB-IRDye 700DXを使用したBxPC3細胞の光依存性殺傷を示す。
【
図12B】コレラトキシンB-IRDye 700DXの光活性化殺傷の特異性を示す。
【
図12C】コレラトキシンB-IRDye 700DXの異なる波長の光への事前曝露の、BxPC3細胞における光活性化殺傷に対する効果を示す。
【
図13】Aは、インフルエンザウイルス(X-31)-IRDye 700DXを用いたベロ細胞の光依存性殺傷を示す。Bは、インフルエンザウイルス(X-31)-IRDye 700DXの白色光対緑色光への事前曝露の光活性化細胞殺傷に対する効果を示す。
【
図14】Aは、BxPC3細胞におけるSNA-IRDye 700DXの殺傷活性に対する光線量の効果を示す。Bは、細胞に結合するSNA-IRDye 700DXの特異性に対するシアリダーゼ処置の効果を示す。
【
図15】レーザー照射と組み合わせたセツキシマブ-IRDye 700DXによる黄色ブドウ球菌(S. aureus)のPIT殺傷を示す。
【
図16】GtxMs Fab-IRDye 700DXと予め複合体化されたマウス抗インフルエンザウイルス(H3N2)を使用したインフルエンザウイルス粒子のPITを示す。
【
図17】マウス抗インフルエンザウイルス(H3N2)およびヤギ抗マウスIRDye 700DX(GtxMs-IR700)を用いたインフルエンザウイルス感染細胞の光依存性殺傷を示す。
【
図18】コレラトキシンB-IRDye 700DXを使用したラット胚後根神経節(DRG)神経細胞のPIT殺傷を示す。
【
図19A】BxPC3細胞の死滅率に対するIFNガンマ処置の効果を示す。
【
図19B】BxPC3細胞におけるPD-L1発現に対するIFNガンマ処置の効果を示す。
【
図19C】BxPC3細胞における抗PD-L1 IRDye 700DXのPIT殺傷活性に対するIFNガンマ処置の効果を示す。
【
図20A】セツキシマブ-IRDye 700DXを使用するA431細胞およびFaDu細胞におけるPIT処置の、細胞外溶液中に検出されるHMGB1の量に対する効果を示す。
【
図20B】セツキシマブ-IRDye 700DXを介したPITに供された腫瘍と共培養された未成熟樹状細胞(iDC)上の樹状細胞(DC)成熟マーカーのアップレギュレーションを示す。
【
図20C】例示的な活性化マーカーCD86の発現によって評価された場合の、PITで処置されたA431細胞もしくはFaDu細胞(セツキシマブ-IRDye 700DXを使用してかつ光照射の存在下で処置)またはPITで処置されていないA431細胞もしくはFaDu細胞(セツキシマブ-IRDye 700DXを使用するが光照射なしで処置)による抗原提示細胞を活性化する効果を示す。
【
図21】例示的な活性化マーカーの発現によって評価された場合の、PITで処置された腫瘍細胞(セツキシマブ-IRDye 700DXを使用して処置)またはPITで処置されていない腫瘍細胞(セツキシマブ-IRDye 700DXを使用するが光照射なしで処置)で樹状細胞をプライミングし、続いて、それらを免疫調節剤(ポリI:C)で刺激することによる樹状細胞の活性化に対する効果を示す。
【
図22】Aは、セツキシマブ-IRDye 700DX-Alexa Flour 488(CTX700-ALX488)のUV-Visスペクトルを示す。Bは、CTX-700-IRDye 800CWのUV-Visスペクトルを示す。Cは、CTX700-Dylight 755のUV-Visスペクトルを示す。
【
図23】Aは、種々の濃度および光線量での、BxPC3細胞におけるDyLight 755ありまたはなしでのセツキシマブ-IRDye 700DXのPIT殺傷活性を示す。Bは、BxPC3細胞におけるセツキシマブ-IRDye 800CW、セツキシマブ-Alexafluor488、またはIRDye 800CWもしくはAlexafluor488とコンジュゲートされたもしくはコンジュゲートされていないセツキシマブ-IRDye 700DXのPIT殺傷活性を示す。その結果は、セツキシマブ-IRDye 700DX(対照)と比較したPIT活性のパーセントとして示される。
【
図24】Aは、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲート、セツキシマブ-IRDye 680RD コンジュゲート、およびセツキシマブ-IRDye 700+IRDye 680RD二重コンジュゲートの白色光または緑色光への事前曝露の、可溶性凝集体形成に対する効果を示す。Bは、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲート、セツキシマブ-IRDye 680RD コンジュゲート、およびセツキシマブ-IRDye 700+IRDye 680RD二重コンジュゲートの白色光または緑色光への事前曝露の、単量体含量に対して正規化された蛍光に対する効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0126】
詳細な説明
I. 光免疫療法の方法
光免疫療法(PIT)に関するコンジュゲート、組成物、組み合わせおよび方法が本明細書において提供される。光免疫療法は、分子標的療法であり、この分子標的療法は、腫瘍中の細胞のような疾患または病態における細胞上の、細胞表面タンパク質のようなタンパク質を標的とする標的化分子にコンジュゲートされた、近赤外(NIR)フタロシアニン色素(例えば、IR700)のようなフタロシアニン色素をベースとした、標的特異的光増感剤を利用する。例えば、いくつかの場合では、光免疫療法において使用されるフタロシアニン色素-コンジュゲートは、疾患病変の環境、例えば腫瘍微小環境中の細胞(腫瘍細胞および他の炎症性細胞を含むことができる)上の細胞表面タンパク質受容体またはその細胞上に発現される受容体をターゲティングするモノクローナル抗体(mAb)へのコンジュゲーションを含むことができる。いくつかの態様において、NIR光のような吸収光を照射することによる色素-コンジュゲートの活性化は、光増感剤を励起して細胞殺傷をもたらし、それによって病変(例えば、腫瘍)を低減または排除して疾患または病態を処置する。いくつかの場合では、NIR域の光の使用は、より深い組織透過を導き、結果として、単回線量の外部のNIR光の照射だけで腫瘍の根絶の成功をもたらす。
【0127】
一般に、標的指向された光毒性は、特異的標的化分子(例えば、抗体のような巨大分子)を介した細胞膜への色素-コンジュゲートの結合に主に依存しているようである。例えば、例示的な抗体-IR700分子を使用する研究は、活性であるためにコンジュゲートが細胞膜に結合しなければならないこと、および、効果的であるために細胞殺傷が細胞内局在化を必要としないことを示している(例えば、米国特許第8,524,239号および米国公開出願第US20140120119号を参照のこと)。コンジュゲートが結合した細胞の光活性化は、急速な細胞死および壊死をもたらす。
【0128】
典型的には、PITは、細胞にNIRを照射した後、IR700-抗体コンジュゲートのようなフタロシアニン色素コンジュゲートが結合する細胞で主に細胞死をもたらし、一方で、標的化分子(例えば、抗体)によって認識される細胞表面タンパク質を発現しない細胞はわずかな数しか殺傷されない。したがって、該療法は、腫瘍中の細胞のような疾患細胞へ特異的に標的指向されるので、その効果は、健常な組織または細胞と比べて疾患組織に高選択的である。例えば、標的指向された光増感剤は体全体に分布することができるが、光増感剤は強い光が適用される場合にのみ活性であり、オフターゲット効果の可能性を低減させる。これは、光増感剤(例えば、IR700)にコンジュゲートされていない同様の治療用標的化分子(例えば、治療用抗体)の活性が局在化できず、それによってオフターゲット副作用の重大なリスクをもたらす、非PITベースの方法とは対照的である。いくつかの態様において、光毒性剤は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートである。いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、IR700である。
【0129】
いくつかの態様において、提供される方法は、そうでなければフタロシアニン色素にコンジュゲートされていない標的化分子(例えば、抗体)の治療効果を達成するのに必要であろう曝露よりもはるかに低い曝露を達成する投与量で、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)を投与する工程を包含する。PITは、細胞殺傷を媒介するために、コンジュゲートされた標的化分子(例えば、抗体)の細胞表面タンパク質への結合を必要とするので、受容体占有がPIT活性の程度と相関する要因であろうと考えられた。したがって、そのようにコンジュゲートされていない(すなわち、光増感剤、例えばIR700にコンジュゲートされていない)標的化分子(例えば、抗体)の臨床的に許容し得る治療効果を達成するのに必要であるような十分な細胞殺傷を達成する病変(例えば、腫瘍)部位での曝露を確実にするためには、コンジュゲートの同様のまたはさらにより高い全身曝露が必要になるであろうと考えられた。例えば、頭頸部癌を処置するための米国食品医薬品局(FDA)によって承認されているErbitux(登録商標)(セツキシマブ)の用量は、400mg/m2の初期用量とそれに続く250mg/m2の週1回の投与である。Erbituxの400mg/m2の単回投与量投与から生じる試料患者集団における平均全身曝露(AUC、例えば、AUC0-infまたはAUC[0-inf])は、約24,620μg*h/mLであり、そして、1か月処置(400mg/m2の初期用量とそれに続く250mg/m2の週1回の投与)についての総全身曝露は、約60,056μg*h/mLであると推定される(1か月の4週用量の積算全身曝露、1×24,620+3×11,812μg*h/mL)(Fracasso et al. (2007) Clin. Cancer. Res., 13:986)。
【0130】
しかしながら、試料患者集団においてわずか約1810μg/mL*h(AUC0-inf)または770+/-47.5(AUC0-24)の平均全身曝露を達成した量のセツキシマブ-IR700コンジュゲートの単回投与量投与後に、PITによる細胞殺傷を観察できたことが、本明細書において見いだされる。この量は、上記の400mg/m2での臨床治療用量のErbitrux(登録商標)後に観察された全身曝露の最大13.6または約13.6倍少ない量である。さらに、実施例2に示されるとおり、その結果は、試料患者集団における平均全身曝露(AUC0-24)が、より高い用量の640mg/m2であっても、400mg/m2のErbitux(登録商標)についてのAUCのおよそ15%であったことを示した(それぞれ、3,690μg/mL*h対24,740μg/mL*h)。その結果は、頭頸部癌を有する患者(他の処置が失敗した患者を含む)では、単回投与量処置に対して100%の奏効率(ORR)があったことをさらに示し(全ての患者がその処置に対して完全なまたは部分的な応答を示した)、このことは、低い全身曝露を考慮すれば驚くべきことである急速でかつロバストな応答を実証していた。比較すると、Erbitux(登録商標)単剤療法で処置された対象のORRは、連続曝露に必要な複数回用量を用いても、通常約15%またはそれ未満である。
【0131】
さらに、Erbitux(登録商標)を用いた大部分の処置は、1つまたは複数の化学療法処置または他の抗がん処置との併用療法を包含する。一例として、1つの報告された研究では、化学療法単独と比較して、化学療法と組み合わせたセツキシマブによるORRの増加はわずか約16%であり、これは、セツキシマブ単剤療法によって提供されたORRと同様である(例えば、Specenier and Vermorken (2013) Biologics, 7:77-90を参照のこと)。
【0132】
したがって、提供される方法は、PITおよび細胞殺傷を媒介するためのフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)の効力が、コンジュゲートの全身曝露が低いときでさえ、十分に高いという観察に基づくものである。したがって、提供される方法は、フタロシアニン色素(例えば、IR700)にそのようにコンジュゲートされていない場合の対応する治療用標的化分子(例えば、治療用抗体)のヒトにおける臨床用量の曝露の一部分である全身曝露を達成する用量での、コンジュゲートの投与を含む。いくつかの態様において、治療用分子のヒトにおける臨床用量は、規制機関(例えば、FDA、EMA、PDMA)によって商業化に承認されているラベルに記載のとおりの用量である。いくつかの態様において、そのような用量のフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートによって達成される低い全身曝露とは、PITがコンジュゲートの光への曝露によって誘導されなければ、標的化分子の全身曝露が薬理活性を示すほど十分に高くないことを意味する。光線量の照射は、疾患病変(例えば、腫瘍)に限局できるので、提供される方法は、不要のまたは望ましくないオフターゲット活性を回避しながら、疾患病変(例えば、腫瘍)のみの選択的細胞殺傷を達成することができる。
【0133】
本明細書に提供されるPIT法によって提供される応答の効力に加えて、提供される方法はまた、現行の治療法、例えば現行の抗体治療が有害なオフターゲット副作用をもたらしやすい疾患または病態(例えば、腫瘍)を処置するために特に有利である。例えば、いくつかの場合では、免疫調節剤を包含する治療を使用して安全域で強い抗がん活性を達成することは困難である。なぜなら、いくつかの場合では、このような免疫調節剤は、身体が自己免疫に対抗するために使用する同じ機序である機序を阻害(または増強)するからである。結果として、多くの場合、免疫調節剤の投薬は、重大な治療副作用をもたらす可能性がある。多くの免疫調節剤(および他の治療用抗体)の安全性について、許容し得る用量は、治療有効性を損なうことなく、連続の全身曝露閾値を達成もしくは維持するための投与量サイクルで投与されなければならず、かつ/または、さらにより高い有害副作用のリスクを有する他の化学療法剤もしくは抗がん剤との組み合わせで投与されなければならない。提供される方法は、疾患または病変の部位での選択的細胞殺傷を可能にしながらも、治療用標的化分子(免疫調節剤および他の抗腫瘍抗体分子を含む)を含有するPITベースのコンジュゲートを、高い全身曝露を回避または最小限に抑える用量で投与することができるので、これらの問題を解決する。したがって、低い投薬および/または低い全身曝露という利点は、安全性を達成するのに非常に意味がある。
【0134】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素の蛍光特性はまた、蛍光シグナルを検出することが可能な多数のイメージングまたは他の方法のいずれかを使用して、PIT療法のモニタリングを可能にする。いくつかの態様において、イメージングによるような蛍光の評価を、PITの前の病変(例えば、腫瘍)でのコンジュゲートのアップロードまたは存在をモニタリングするために使用することができる。いくつかの態様において、イメージングによるような蛍光の評価を、PITが病変(例えば、腫瘍)の部位へ確実に指向されるよう病変(例えば、腫瘍)に照明するために使用することができる。いくつかの態様において、蛍光の評価を外科手術の状況において使用することができ、そこで、病変(例えば、腫瘍)の辺縁を蛍光で可視化することができ、次いで、その辺縁の残留がん細胞をPITで殺傷することができる。
【0135】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、フタロシアニン色素(例えば、IR700)に加えて追加の蛍光色素をさらに含有する。例えば、いくつかの場合では、IR700はイメージングのための最も理想的な色素の1つとはいえない。理由は、例えば、特異的かつ効率的な蛍光標識を確実にするのに好適ではない場合がある1つまたは複数のスペクトル特性を示すからである。いくつかの局面において、タンパク質を標識するのに通常使用される他のフルオロフォアは、より高い蛍光量子収率、より大きいストークスシフト、励起波長でのより大きい吸光係数および/またはより深い組織透過のためのより長い波長を示すことができる。したがって、いくつかの態様において、標的化分子(例えば、抗体または抗原結合抗体断片)が、フタロシアニン色素(例えば、IR700)である第一の色素にコンジュゲートされており、かつ、第一の色素と比較して改善されたまたはより良好な、より高い量子収率、より大きいストークスシフト、より大きい吸光係数および/またはより長い波長の中からの1つまたは複数の特性を示す別の第二の蛍光色素にもコンジュゲートされている、二重標識コンジュゲートが提供される。いくつかの態様において、二重標識コンジュゲートを使用して、上記のとおりPIT療法をモニタリングすることも、また、フタロシアニン色素を活性化する、例えばIR700を活性化することによってPITで処置することもできる。いくつかの態様において、第一および第二の色素は、それらの間のエネルギー移動を最小限するように選択され、例えば、第一および第二の色素は、重複する放射および吸収スペクトルを回避または最小限にするように選択される。
【0136】
いくつかの態様において、また、対象における疾患または病態を処置するための光免疫療法と共同で使用するための併用療法が本明細書において提供される。いくつかの態様において、併用療法を、腫瘍またはがんを処置するための方法において使用することができる。いくつかの態様において、光免疫療法と追加の治療薬、例えば免疫調節剤、抗がん剤または他の薬剤の投与との組み合わせは、腫瘍を処置する有効性を増加させることができ、これは、いくつかの場合では、処置された対象の治療結果または生存を増加させることができる。
【0137】
いくつかの局面において、提供される併用療法の方法は、PITによって誘導される細胞傷害性殺傷および/または溶解効果を利用して、腫瘍治療に関連する治療結果を増強する。特定の局面において、1つまたは複数の追加の治療薬を、PIT(光を照射してフタロシアニン色素-コンジュゲートを活性化することによって行われる)を完了する前に腫瘍を有する対象に投与することができる。いくつかの態様において、追加の治療薬の事前投与は、その後の腫瘍の照射後に、腫瘍微小環境がPITに対してまたは追加の治療薬に対してより感受性になるようにプライミングすることができる。
【0138】
例えば、一態様において、追加の治療薬は、免疫調節剤であることができ、これは、いくつかの局面において、溶解された細胞から放出されるPIT誘導性腫瘍関連作用物質に対する免疫応答を増強するために、照射の前に投与される。別の例では、追加の治療薬は、抗がん剤であることができ、これは、いくつかの局面において、照射の前に投与されて、抗がん剤の全身アベイラビリティを増加させ、PITによって誘導される腫瘍透過性の変化に応答して抗がん剤の腫瘍域への送達または取り込みを増強する。いくつかの態様において、併用療法に由来する増強された治療結果は、いずれかの治療のみを用いた処置を包含する方法と比較して、増加された腫瘍サイズ(例えば、腫瘍体積または重量)の低減、または対象の増加されたもしくはより長い生存をもたらすことができる。いくつかの態様において、併用療法の治療効果は、フタロシアニン色素-コンジュゲート/PIT単独を用いた処置を包含する処置方法、または追加の治療薬単独を包含する処置、例えば免疫調節剤のみもしくは抗がん剤のみを用いた処置と比較して、相乗的でありうる。
【0139】
A. フタロシアニン色素と標的化分子とを含有するコンジュゲート
本明細書に提供される方法、組成物および組み合わせは、光増感剤、例えばフタロシアニン色素、例えばIR700と、細胞表面タンパク質に結合する標的化分子(例えば、抗体または抗体の抗原結合断片)とを含有するコンジュゲートを含む。いくつかの態様において、光増感剤、例えばフタロシアニン色素(例えば、IR700)にコンジュゲートされた標的化分子の細胞表面タンパク質への結合は、疾患または病態、例えば腫瘍もしくはがん、感染症、炎症性の疾患もしくは病態、神経性の疾患もしくは病態または他の疾患もしくは病態に関与する細胞へのコンジュゲートの標的指向を可能にする。いくつかの態様において、標的とされる細胞(例えば、標的化分子が結合することが可能な細胞表面タンパク質を発現する細胞)は、疾患または病態と関連する病変の微小環境中に存在し、例えば、該細胞は、腫瘍微小環境中に存在する。いくつかの態様において、細胞殺傷は色素-標的化分子コンジュゲートが結合している細胞に選択的であるため、細胞標的指向は、フタロシアニン色素によって吸収される波長(例えば、近赤外(NIR)波長)での対象の病変(例えば、腫瘍)の局所照射によって誘導されるPITの有効性を増加させる。
【0140】
いくつかの態様において、本明細書に提供される併用療法における使用のためのフタロシアニン色素コンジュゲートは、リンカー基を介して標的化分子にコンジュゲートされた色素分子を含む。一局面において、コンジュゲートは、式Iで示されるコンジュゲートである:
A-[(L)n-D]p
(I)
式中、
Aは、細胞または組織に結合することができる標的化分子であり;
Lは、各pについて独立して選択されるリンカーであり;
nは、1または2であり;
Dは、各pについて独立して選択される親水性フタロシアニン色素であり;かつ
pは、独立して、1、2、3、4、5または5超、例えば最大1000である。例えば、pは、1~1000、例えば一般に1~10または2~5であることができる。
【0141】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素コンジュゲートは、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート、例えばIR700-標的化分子(例えば、IR700-抗体)コンジュゲートが光保護条件下で調製される、方法またはプロセスによって生産される。いくつかの態様において、該方法は、1)フタロシアニン色素および標的化分子を調製または提供する工程;2)標的化分子とフタロシアニン色素とを、色素の最小限の曝露でコンジュゲートを生成する条件下で接触させる工程;および3)コンジュゲートを製剤化、精製および/または単離して、原薬を含有する組成物を生産する工程を含み、ここで、工程の1つまたは複数、例えばいくつかの場合では工程の全てが、色素または色素を含有するコンジュゲートの環境光への最小限の曝露で実施される。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート、例えばIR700-標的化分子(例えば、IR700-抗体)コンジュゲートは、米国出願第62/206,774号(参照によって本明細書に組み入れられる)に記載のとおりの、コンジュゲートであるか、またはコンジュゲートを生産するための方法を使用して調製される。
【0142】
1. フタロシアニン色素
フタロシアニンは、フタロシアニン環系を有する光増感剤化合物の一群である。フタロシアニンは、炭素原子と窒素原子が交互に並んだ16員環中に窒素の橋によって接続された4つのベンゾインドール基を含有するアザポルフィリン(すなわち、C32H16N8)であり、これは、金属および非金属カチオンと安定なキレートを形成する。これらの化合物において、環中心は、イオンに依存して1または2つのリガンドを保有し得る金属イオン(反磁性または常磁性イオンのいずれか)によって占有されている。加えて、環周囲は、非置換であっても置換されていてもよい。多種多様なフタロシアニンの合成および光線力学療法における使用が国際公開WO 2005/099689号および米国特許第7,005,518号に記載されている。
【0143】
いくつかの態様において、フタロシアニンは、赤色または近赤外線を強く吸収し、吸収ピークは約600nm~810nmの間にあり、いくつかの場合では、光による組織の深い透過を可能にする。フタロシアニンは、一般に光安定性である。この光安定性は、典型的には、顔料および色素においてならびにフタロシアニンの他の適用の多くにおいて有利である。
【0144】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、水溶性であり、かつ、少なくとも1つの水系可溶化部分を有する発光性フルオロフォア部分を含有する。いくつかの態様において、水系可溶化部分は、ケイ素を含有する。いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、Si、Ge、Sn、またはAlのようなコア原子を有する。いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、他の異性体を本質的に含まない単一のコア異性体として存在する。いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、リンカーと標的化分子との間に結合を形成することができる反応性基または活性化可能な基を有するリンカーを含有する。いくつかの態様において、フタロシアニン色素を特定の波長で蛍光を発するよう調整することができる。
【0145】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、リンカーを含有し、すなわち、リンカー-フタロシアニン色素部分(L-D)である。いくつかの態様において、リンカーは、反応性基を含有する。いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、式Iaで示されるフタロシアニン色素である:
式中、
Lは、直接連結、または共有連結から選択され;
Qは、リンカーLの一部であることができ、かつ、反応することでLと標的化分子Aとの間に結合を形成することができる任意の基である、反応性基または活性化可能な基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、存在するならば、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、またはキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22およびR
23は、各々、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノまたは置換されてもよいアルコキシから独立して選択することができる官能基であるか;
または、代わりの態様において、i)R
13およびR
14とこれらが付着している炭素、またはii)R
17およびR
18とこれらが付着している炭素、またはiii)R
21およびR
22とこれらが付着している炭素の少なくとも1つが結びついて、縮合環を形成し;かつ
X
2およびX
3は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよいC
1-C
10アルキレンである。
【0146】
いくつかの態様において、Lは、共有連結である。いくつかの態様において、共有連結は、1~60の原子、例えば1~45の原子または1~25の原子を有する、直鎖または分岐、環式または複素環式、飽和または不飽和である。いくつかの場合では、このような原子は、C、N、P、O、およびSから選択されることができる。いくつかの態様において、Lは、原子価を満たす追加の水素原子(1~60の原子に加えて)を有することができる。一般に、連結は、エーテル、チオエーテル、アミン、エステル、カルバマート、尿素、チオ尿素、オキシもしくはアミド結合;または単結合、二重結合、三重結合もしくは芳香族炭素-炭素結合;またはリン-酸素、リン-硫黄、窒素-窒素、窒素-酸素もしくは窒素-白金結合;または芳香族もしくは複素芳香族結合の任意の組み合わせを含む。
【0147】
いくつかの態様において、Lは、式-R1-Y-X1-Y1-で示されるLであり、式中、R1は、二価ラジカルまたは直接連結であり;YおよびY1は、各々独立して、直接連結、酸素、置換されてもよい窒素、または硫黄から選択され;かつ、X1は、直接連結、およびある原子が介在していてもよいC1-C10アルキレンから選択される。二価ラジカルは、非限定的に、置換されてもよいアルキレン、置換されてもよいアルキレンオキシカルボニル、置換されてもよいアルキレンカルバモイル、置換されてもよいアルキレンスルホニル、および置換されてもよいアリーレンを含む。
【0148】
例示的なR1置換基は、非限定的に、置換されてもよいアルキレン、置換されてもよいアルキレンオキシカルボニル、置換されてもよいアルキレンカルバモイル、置換されてもよいアルキレンスルホニル、置換されてもよいアルキレンスルホニルカルバモイル、置換されてもよいアリーレン、置換されてもよいアリーレンスルホニル、置換されてもよいアリーレンオキシカルボニル、置換されてもよいアリーレンカルバモイル、置換されてもよいアリーレンスルホニルカルバモイル、置換されてもよいカルボキシアルキル、置換されてもよいカルバモイル、置換されてもよいカルボニル、置換されてもよいヘテロアリーレン、置換されてもよいヘテロアリーレンオキシカルボニル、置換されてもよいヘテロアリーレンカルバモイル、置換されてもよいヘテロアリーレンスルホニルカルバモイル、置換されてもよいスルホニルカルバモイル、置換されてもよいチオカルボニル、置換されてもよいスルホニル、および置換されてもよいスルフィニルを含む。
【0149】
いくつかの態様において、Qは、標的化分子のような材料への任意の付着のための反応性基を含む。本明細書において使用される場合、用語「反応性基」は、異なる材料(例えば、標的化分子)上の官能基と化学的に反応して共有連結のような連結を形成することが可能な化合物上の部分を意味する。典型的には、反応性基は、それぞれ求核剤または求電子剤である対応する官能基への曝露を通して共有連結を形成することができる求電子剤または求核剤である。あるいは、反応性基は、光活性化可能な基であり、かつ、適切な波長の光で照射した後に初めて化学的に反応性になる。典型的には、コンジュゲートされる反応性色素と標的化分子との間のコンジュゲーション反応によって、色素をコンジュゲートされた標的化分子に付着させる新たな連結に反応性基Qの1つまたは複数の原子が組み込まれる。
【0150】
いくつかの態様において、Qは、標的化分子上のカルボキシル基、アミン、またはチオール基と反応性である反応性基を含む。好適な反応性基は、非限定的に、標的化分子への任意の付着のための、活性化エステル、ハロゲン化アシル、ハロゲン化アルキル、無水物、カルボン酸、カルボジイミド、カルボナート、カルバマート、ハロアセトアミド(例えば、ヨードアセトアミド)、イソシアナート、イソチオシアナート、マレイミド、NHSエステル、ホスホロアミダイト、白金錯体、スルホン酸エステルおよびチオシアナートを含む。いくつかの態様において、反応性基は、標的化分子上のカルボキシル基、アミン、またはチオール基と反応性である。いくつかの態様において、反応性基は、スルフヒドリル反応性化学基、例えばマレイミド、ハロアセチル、およびピリジルジスルフィドである。いくつかの態様において、反応性基は、アミン反応性である。いくつかの態様において、反応性基は、NHSエステルである。
【0151】
いくつかの態様において、R2、R3、R7、およびR8は、各々、置換されてもよいアルキル、例えば置換されてもよいメチル、エチル、またはイソプロピル基である。
【0152】
いくつかの態様において、R4、R5、R6、R9、R10、およびR11の少なくとも1つは、水溶性基を含む。例えば、R4、R5、R6、R9、R10、およびR11のアルキル部分は、水溶性置換基で置換されている。本明細書において使用される場合、「水溶性基」は、水性媒体中の分子全体の溶解度を改善する、1つまたは複数の極性および/またはイオン性置換基を含む基を指す。いくつかの場合では、R4、R5、R6、R9、R10、およびR11の少なくとも2つは、水溶性基を含む。他の態様において、3つ以上が水溶性基を含む。水溶性基は、非限定的に、カルボキシラート(-CO2
-)基、スルホナート(-SO3
-)基、スルホニル(-SO2
-)基、スルファート(-SO4
-2)基、ヒドロキシル(-OH)基、ホスファート(-OPO3
-2)基、ホスホナート(-PO3
-2)基、アミン(-NH2)基および置換されてもよい第四級窒素(各々が任意の対イオンを有する)を含む。
【0153】
好適な対イオンは、非限定的に、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ塩、またはマグネシウム塩、または類似の塩を含む。好ましくは、対イオンは、生物学的に許容される対イオンである。
【0154】
いくつかの態様において、R4、R5、R6、R9、R10、およびR11が付着する窒素原子は、三価または四価であることができる。
【0155】
いくつかの態様において、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22およびR23は各々、水素である。
【0156】
いくつかの態様において、X2およびX3は、各々独立して、ある原子が介在していてもよいC1-C10アルキレンから選択される。いくつかの態様において、X2および/またはX3に付加された窒素は、場合により四級化されていることができる。
【0157】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、式Ibで示されるフタロシアニン色素である:
式中、
X
1およびX
4は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよいC
1-C
10アルキレンであり;かつ
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
16、R
17、R
18、R
19、X
2、およびX
3は、本明細書に定義されているとおりである。
【0158】
いくつかの態様において、反応性基は、NHSエステルである。いくつかの態様において、NHSエステルの反応性は、NHSエステルとカルバマート官能基の間のX4のアルキレン基の長さを変更することによって調節することができる。いくつかの態様において、NHSエステルとカルバマート官能基の間のX4のアルキレン基の長さは、NHSエステルの反応性に反比例する。いくつかの態様において、X4は、C5-アルキレンである。他の態様において、X4は、C3-アルキレンである。いくつかの態様において、X1は、C6-アルキレンである。他の態様において、X1は、C3-アルキレンである。
【0159】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、総電荷がゼロである。この中性の電荷は、特定の場合、1つまたは複数の任意の対イオン、または第四級化窒素と共に得ることができる。
【0160】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、可溶性標的化分子に付着すると、標的化分子がその溶解度を保持するので、水溶液中で十分な溶解度を有する。いくつかの態様において、色素はまた、有機媒体(例えば、DMSOまたはDMF)中で可溶性である。
【0161】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、近赤外(NIR域)において最大の光吸収を有する。いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、400nm~900nmの間、例えば600nm~850nmの間、例えば680nm~850nmの間、例えばおよそ690nm±50nmまたは690±20nmで最大の光吸収波長を有する。いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、これらの波長で光を放出する市販のレーザーダイオードによって効率的に励起されうる。
【0162】
いくつかの態様において、反応性基を含有するフタロシアニン色素は、IR700 NHSエステル、例えばIRDye 700DX NHSエステル(LiCcor 929-70010、929-70011)である。したがって、いくつかの態様において、色素は、以下の式を有する化合物である。
【0163】
本明細書における目的のために、用語「IR700」、「IRDye 700DX」またはそれらの変形型は、色素がその反応性基を介して標的化分子にコンジュゲートされたときの上記式を指す。一般に、IR700は、いくつかの好ましい化学特性を有する。アミノ反応性IR700は、比較的親水性の色素であり、IR700のNHSエステルを使用して抗体と共有的にコンジュゲートされうる。典型的には、IR700はまた、ヘマトポルフィリン誘導体Photofrin(登録商標)(630nmで1.2×103 M-1cm-1)、メタ-テトラヒドロキシフェニルクロリン;Foscan(登録商標)(652nmで2.2×104 M-1cm-1)、およびモノ-L-アスパルチルクロリンe6;NPe6/Laserphyrin(登録商標)(654nmで4.0×104 M-1cm-1)のような従来の光増感剤よりも5倍超高い吸光係数(689nmの吸収最大で2.1×105 M-1cm-1)を有する。
【0164】
本明細書に記載されるフタロシアニン色素は、市販の出発物質を用いて作製することができる。そのコア構造は、2つ以上の異なるジイミノイソインドリンの縮合によって合成される。異なるジニトリルまたはジイミノイソインドリンを使用した合成戦略は、種々の置換度のフタロシアニンおよび/または分布度の位置異性体を導くことができる。色素を生成するための例示的な合成スキームは、米国特許第7,005,518号に記載されている。
【0165】
いくつかの態様において、本明細書に提供される方法のいずれかにおいて、標的化分子(例えば、抗体)は、フタロシアニン色素(例えば、IR700)に直接的または間接的に連結されている。いくつかの態様において、標的化分子(例えば、抗体)は、共有結合または非共有相互作用を介して、フタロシアニン色素(例えば、IR700)に直接的または間接的に連結されている。いくつかの態様において、共有または非共有の相互作用または連結は、直接的または間接的である。いくつかの態様において、付着は、例えばリンカー(例えば、上記の例示的なリンカーのいずれか)、結合部分またはドメインまたは反応性基を通じた、間接的連結を含む。いくつかの態様において、連結は、標的化分子とフタロシアニン色素(例えば、IR700)との間の直接相互作用を含む。他の態様において、標的化分子およびフタロシアニン色素の一方または両方が1つまたは複数のリンカーに連結され、相互作用は、例えば、分子の一方に付着されたリンカーと別の分子の間で、または、各々標的化分子もしくはフタロシアニン色素に付着された2つのリンカー間で間接的である。
【0166】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、標的化分子に非共有連結されるかまたは会合される。例えば、フタロシアニン色素は、非共有相互作用を介して標的化分子との複合体を形成する。いくつかの態様において、フタロシアニン色素(例えば、IR700)は、標的化分子の付着基と非共有的に相互作用することが可能な部分またはドメインを含有する。いくつかの態様において、方法は、フタロシアニン色素(例えば、IR700)と標的化分子(例えば、抗体)とをインキュベートまたは結合させて、色素と標的化分子との間で非共有相互作用を形成する工程を含む。いくつかの例では、標的化分子とフタロシアニン色素との間の非共有相互作用は、例えば、静電相互作用、ファンデルワールス力、疎水的相互作用、π効果、イオン性相互作用、水素結合、ハロゲン結合および/もしくはそれらの組み合わせ、またはそれらの力の1つまたは複数に依存する任意の相互作用を含む。いくつかの態様において、標的化分子とフタロシアニン色素とは、例えば、リガンド-受容体相互作用、抗体-抗原相互作用、アビジン-ビオチン相互作用、ストレプトアビジン-ビオチン相互作用、ヒスチジン-二価金属イオン(例えば、Ni、Co、Cu、Fe)相互作用、多量体化(例えば、二量化)ドメイン間の相互作用、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)-グルタチオン相互作用および/またはそれらの任意の組み合わせのような、非共有分子相互作用を模倣する相互作用を使用して連結される。
【0167】
いくつかの態様において、非共有相互作用部分またはドメインは、標的化分子の一部に付着されるかまたは標的化分子の一部であり、かつ、フタロシアニン色素(例えば、IR700)と非共有相互作用、例えば、複合体を形成する。他の態様において、非共有相互作用分子またはドメインは、フタロシアニン色素分子の一部に付着されるかまたは標的化分子の一部であり、かつ、標的化分子と非共有相互作用、例えば、複合体を形成する。いくつかの態様において、方法は、ビオチンにコンジュゲートされた標的化分子(例えば、抗体-ビオチン、例えばセツキシマブ-ビオチン)と、アビジンもしくはその類似体またはストレプトアビジンもしくはその類似体にコンジュゲートされたフタロシアニン色素(その単量体形態(例えば、単量体アビジン-IR700または単量体ストレプトアビジン-IR700)を含む)とを、インキュベートまたは接触させる工程を含む。アビジン、ストレプトアビジンまたはその類似体とビオチンとの間の非共有相互作用のおかげで、いくつかの態様において、フタロシアニン色素(例えば、IR700)は、標的化分子と非共有複合体を形成する。
【0168】
2. 標的化分子
いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、色素分子の反応性基を介して標的化分子にコンジュゲートされる。いくつかの態様において、標的化分子は、例えば細胞または病原体上の細胞表面分子(例えば、細胞表面受容体)への結合によって、コンジュゲートを細胞または病原体へ標的指向させることができる分子である。いくつかの態様において、標的化分子、例えば、巨大分子は、所望の細胞タイプ、特定の表現型を有する細胞、または1つまたは複数の細胞表面マーカーもしくは抗原を提示する細胞に選択的に結合することができる。いくつかの場合では、標的化分子は、がん細胞、腫瘍細胞、炎症性細胞、免疫細胞、神経細胞、幹細胞、増殖性細胞、または過形成状態の細胞である細胞に結合する。いくつかの場合では、標的化分子は、病原体または病原体感染細胞に結合する。いくつかの態様において、細胞は、白血球、例えば、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、または単球のような炎症性細胞である。いくつかの態様において、細胞は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞、マクロファージまたは好中球のような免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は、侵害受容器(例えば、熱侵害受容器、機械侵害受容器、化学侵害受容器または多モード侵害受容器)のような末梢神経系神経細胞または中枢神経系神経細胞である神経細胞である。いくつかの場合では、標的化分子は、ウイルス、細菌、真菌、バイオフィルムまたは他の原核細胞系などの病原体または病原性細胞に結合する。いくつかの態様において、標的化分子は、グラム陰性細菌またはグラム陽性細菌である病原体に結合する。
【0169】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素コンジュゲートの標的化分子(例えば、抗体)は、疾患または病態と関連するかまたは疾患または病態の結果として存在する病変の微小環境中に存在する1つまたは複数の細胞の表面のタンパク質に結合する。例えば、いくつかの態様において、コンジュゲートは、腫瘍と関連するかまたは腫瘍の中に存在する腫瘍微小環境中に存在する1つまたは複数の細胞の表面のタンパク質に結合する。いくつかの態様において、コンジュゲートは、腫瘍の微小環境中の細胞外マトリクス中に存在するタンパク質に結合する。
【0170】
本明細書において使用される場合、「病変の微小環境中に存在する細胞」は、病変、疾患または障害と関連する細胞環境中に存在する任意の細胞、例えば腫瘍中に存在するまたはそれに直接隣接した任意の細胞、例えば腫瘍微小環境、または腫瘍微小環境中の細胞外マトリクス中に存在する細胞を指す。
【0171】
本明細書において使用される場合、「腫瘍微小環境中に存在する細胞」は、増殖腫瘍細胞(例えば、がん細胞)、腫瘍間質、血管、浸潤炎症性細胞(例えば、免疫細胞)および様々な関連する組織細胞(例えば、線維芽細胞)を含む、腫瘍が存在する細胞環境中に存在する任意の細胞、例えば腫瘍中に存在するまたはそれに直接隣接した任意の細胞を指す。したがって、腫瘍への言及は、悪性またはがん細胞を含みうる腫瘍細胞だけでなく、腫瘍の成長を調節する腫瘍微小環境中に存在する他の細胞(免疫細胞を含む)も指すことが理解される。いくつかの場合では、腫瘍微小環境中に存在する免疫細胞は、Tリンパ球(制御性Tリンパ球(Treg)を含む)、樹状細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、マクロファージおよび他の免疫細胞を含みうる(Whiteside (2008) Oncogene, 27:5904-5912)。いくつかの局面において、腫瘍中に存在するおよびその周辺の多くの非がん性細胞は、腫瘍細胞の増殖、血管新生、侵入および/または転移を調節し、それによって腫瘍の成長を促進しうることが認識される。したがって、いくつかの場合では、腫瘍中に存在するこのような非がん性細胞、例えば免疫細胞(例えば、制御性T細胞のようなT細胞)をターゲティングすることは、PITによって腫瘍を殺傷するための有効な治療でありうる。
【0172】
一般に、がん性細胞は、免疫系によって認識されるはずである腫瘍関連抗原を含有する。典型的には、活性免疫系では、細胞傷害性T細胞のような免疫細胞がこれらのがん性細胞を攻撃および根絶する。正常な生理学的状態下では、T細胞媒介性免疫応答は、T細胞受容体(TCR)による抗原認識によって開始され、共刺激および阻害シグナル(例えば、免疫チェックポイントタンパク質)のバランスによって調節される。特に、TCRを発現するCD4+およびCD8+T細胞は、それぞれ、主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはクラスII分子上の抗原提示細胞上に提示される抗原性ペプチドの認識によって活性化状態になることができる。いくつかの局面において、活性化CD8+細胞、または細胞傷害性T細胞は、抗原を発現する腫瘍細胞を殺傷することができ、これはCD4+T細胞の存在によって援助されうる。
【0173】
しかし、腫瘍の場合、腫瘍微小環境が、免疫系を抑制することによって免疫認識を回避し、腫瘍細胞の殺傷を防止または低減させる機序を有する。例えば、いくつかの場合では、免疫チェックポイントタンパク質が腫瘍において脱調節され、それによって免疫系を回避する機序としての腫瘍微小環境における免疫応答の抑制をもたらしうる。いくつかの場合では、腫瘍浸潤リンパ球は、微小環境における他のT細胞の増殖を抑制することが可能な細胞である、Treg(例えば、CD4+CD25+T細胞)を含みうる(Whiteside, TL (2008) Oncogene, 27:5904-5912)。いくつかの場合では、他の機序が免疫細胞の腫瘍抗原への接近を阻害するように作用し、それによって免疫系を回避する腫瘍の能力にも寄与しうる。
【0174】
いくつかの態様において、標的化分子は、腫瘍またはがん細胞上の細胞表面タンパク質に結合する標的化分子である。いくつかの態様において、標的化分子は、腫瘍微小環境中に存在する免疫細胞または他の非がん性細胞の細胞表面タンパク質に結合する。いくつかの態様において、標的化分子は、腫瘍微小環境中に存在するTリンパ球、例えばTreg、樹状細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、マクロファージまたは他の免疫細胞の表面の細胞表面タンパク質に結合する。場合によっては、腫瘍またはがんは、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置する。
【0175】
腫瘍またはがんを標的とする標的化分子などの例示的な標的化分子として、非限定的に、公開国際PCT出願WO2014120974号、WO2014176284号、WO2015042325号、米国特許第8,524,239号または米国特許公開第US20140120119号に記載されているとおりのいずれかが挙げられる。
【0176】
例示的な標的化分子は、非限定的に、タンパク質、糖タンパク質、抗体、抗体断片、抗原、抗原結合断片、ペプチド、ポリペプチド、低分子、合成高分子、高分子ナノ粒子、リポソーム、酵素基質、ホルモン、神経伝達物質、細胞代謝物質、ウイルス粒子、ウイルスカプシド、ウイルスナノ粒子、細菌粒子、マーカー、細胞、ハプテン、アビジン、ストレプトアビジン、単量体ストレプトアビジン、ビオチン、炭水化物、オリゴ糖、多糖、核酸、デオキシ核酸、DNAの断片、RNAの断片、ヌクレオチド三リン酸、アシクロターミネーター三リン酸、またはPNAを含む。
【0177】
いくつかの態様において、標的化分子は、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、チラミン、多糖、イオン錯体化部分、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、プソラレン、薬物、ホルモン、脂質、脂質集合体、高分子、高分子微粒子、生体細胞、またはウイルスである。いくつかの態様において、標的化分子は、抗原、ステロイド、ビタミン、薬物、代謝物、毒素、環境汚染物質、核酸高分子、炭水化物、脂質、またはガラス、プラスチックもしくは他の非生体高分子である。いくつかの態様において、標的化分子は、細胞、細胞系、細胞断片、または細胞より小さい粒子、例えばウイルス粒子、細菌粒子、ウイルス成分、生体細胞(例えば動物細胞、植物細胞、細菌、酵母、または原生生物)、または細胞成分である。いくつかの態様において、反応性色素は、細胞表面で、細胞膜、細胞小器官、または細胞質中で官能基を標識し得る。
【0178】
いくつかの態様において、標的化分子は、抗原(例えば、標的化分子によって結合されうる標的となる任意の構造物質など)をターゲティングするかまたはそれに結合する。いくつかの態様において、抗原は、細胞表面上に発現される細胞表面分子、例えばタンパク質(例えば、受容体)であるかまたはその一部として含まれる。いくつかの態様において、例えば、抗原は、腫瘍中に存在する細胞(腫瘍微小環境中に存在する任意の細胞を含む)の表面に発現される分子であるかまたはその一部として含まれる。細胞表面分子の例は、非限定的に、抗原決定基(免疫細胞によって認識されるものなど)を含む、抗原、ペプチド、脂質、多糖、炭水化物、または核酸を含む。いくつかの例では、抗原は、腫瘍特異的ペプチド(例えばがん細胞の表面に見いだされるもの)またはその免疫原性断片を含む。いくつかの態様において、標的化分子は、抗体またはその抗原結合抗体断片である。
【0179】
いくつかの態様において、細胞表面分子は、ACTHR、内皮細胞Anxa-1、アミノペプチダーゼN、抗IL-6R、アルファ-4-インテグリン、アルファ-5-ベータ-3 インテグリン、アルファ-5-ベータ-5 インテグリン、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ANPA、ANPB、APA、APN、APP、1AR、2AR、AT1、B1、B2、BAGE1、BAGE2、B細胞受容体BB1、BB2、BB4、カルシトニン受容体、癌抗原125(CA 125)、CCK1、CCK2、CD5、CD10、CD11a、CD13、CD14、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD38、CD45、CD52、CD56、CD68、CD90、CD133、CD7、CD15、CD34、CD44、CD206、CD271、CEA(癌胎児性抗原)、CGRP、ケモカイン受容体、細胞表面アネキシン-1、細胞表面プレクチン-1、クリプト-1、CRLR、CXCR2、CXCR4、DCC、DLL3、E2糖タンパク質、EGFR、EGFRvIII、EMR1、エンドシアリン、EP2、EP4、EpCAM、EphA2、ET受容体、フィブロネクチン、フィブロネクチンED-B、FGFR、frizzled受容体、GAGE1、GAGE2、GAGE3、GAGE4、GAGE5、GAGE6、GLP-1受容体、ファミリーAのGタンパク質共役受容体(ロドプシン様)、ファミリーBのGタンパク質共役受容体((セクレチン受容体様)様)、ファミリーCのGタンパク質共役受容体(代謝型グルタミン酸受容体様)、GD2、GP100、GP120、グリピカン-3、ヘマグルチニン、ヘパリン硫酸、HER1、HER2、HER3、HER4、HMFG、HPV 16/18およびE6/E7抗原、hTERT、IL11-R、IL-13R、ITGAM、カリクレイン-9、ルイスY、LH受容体、LHRH-R、LPA1、MAC-1、MAGE1、MAGE2、MAGE3、MAGE4、MART1、MC1R、メソテリン、MUC1、MUC16、Neu(細胞表面ヌクレオリン)、ネプリライシン、ニューロピリン-1、ニューロピリン-2、NG2、NK1、NK2、NK3、NMB-R、Notch-1、NY-ESO-1、OT-R、突然変異体p53、p97黒色腫抗原、NTR2、NTR3、p32(p32/gC1q-R/HABP1)、p75、PAC1、PAR1、Patched(PTCH)、PDGFR、PDFG受容体、PDT、プロテアーゼ切断コラーゲンIV、プロテイナーゼ3、プロヒビチン、タンパク質チロシンキナーゼ7、PSA、PSMA、プリン作動性P2Xファミリー(例えば、P2X1~5)、突然変異体Ras、RAMP1、RAMP2、RAMP3 patched、RET受容体、プレキシン、スムーズンド、sst1、sst2A、sst2B、sst3、sst4、sst5、サブスタンスP、TEM、T細胞CD3受容体、TAG72、TGFBR1、TGFBR2、Tie-1、Tie-2、Trk-A、Trk-B、Trk-C、TR1、TRPA、TRPC、TRPV、TRPM、TRPML、TRPP(例えば、TRPV1~6、TRPA1、TRPC1~7、TRPM1~8、TRPP1~5、TRPML1~3)、TSH受容体、VEGF受容体(VEGFR1またはFlt-1、VEGFR2またはFLK-1/KDR、およびVEGF-3またはFLT-4)、電位依存性イオンチャネル、VPAC1、VPAC2、ウィルムス腫瘍1、Y1、Y2、Y4、またはY5でありうる。
【0180】
いくつかの態様において、標的化分子は、細胞表面タンパク質(例えば、細胞表面受容体)のような細胞表面分子に結合可能なリガンドのような結合パートナーである。いくつかの態様において、標的化分子は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、アンジオテンシンII、心房性ナトリウム利尿因子(ANF)、ボンベシン、ブラジキニン、脳由来神経栄養因子(BDNF)、骨形成タンパク質2(BMP-2)、骨形成タンパク質6(BMP-6)、骨形成タンパク質7(BMP-7)、カルシトニン、カルジオトロフィン1(BMP-2)、CD22、CD40、コレシストキニン(CCK)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、CCL1~CCL28、CXCL1~CXCL17、XCL1、XCL2、CX3CL1、クリプト1結合ペプチド、血管内皮細胞成長因子(VEGF)、上皮細胞成長因子(EGF)、エンドセリン1、エンドセリン1/3、FAS-リガンド、線維芽細胞成長因子1(FGF-1)、線維芽細胞成長因子2(FGF-2)、線維芽細胞成長因子4(FGF-4)、線維芽細胞成長因子5(FGF-5)、線維芽細胞成長因子6(FGF-6)、線維芽細胞成長因子1(FGF-7)、線維芽細胞成長因子1(FGF-10)、Flt-3、ガストリン、ガストリン放出ペプチド(GRP)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージ刺激因子(GM-CSF)、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、肝細胞成長因子(HGF)、インターフェロンアルファ(IFN-a)、インターフェロンベータ(IFN-b)、インターフェロンガンマ(IFNg)、インスリン様成長因子1(IGF-1)、インスリン様成長因子2(IGF-2)、インターロイキン1(IL-1)、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン3(IL-3)、インターロイキン4(IL-4)、インターロイキン5(IL-5)、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン7(IL-7)、インターロイキン8(IL-8)、インターロイキン9(IL-9)、インターロイキン10(IL-10)、インターロイキン11(IL-11)、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン13(IL-13)、インターロイキン15(IL-15)、インターロイキン17(IL-17)、インターロイキン19(IL-19)、黄体形成ホルモン(LH)、黄体形成放出ホルモン(LHRH)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、単球走化性タンパク質1(MCP-1)、マクロファージ炎症性タンパク質3a(MIP-3a)、マクロファージ炎症性タンパク質3b(MIP-3b)、神経成長因子(NGF)、ニューロメジンB、ニューロトロフィン3(NT-3)、ニューロトロフィン4(NT-4)、ニューロテンシン、神経ペプチドY、オキシトシン、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド(PACAP)、血小板由来成長因子AA(PDGF-AA)、血小板由来成長因子AB(PDGF-AB)、血小板由来成長因子BB(PDGF-BB)、血小板由来成長因子CC(PDGF-CC)、血小板由来成長因子DD(PDGF-DD)、ネトリン-1(NTN1)、ネトリン-2(NTN2)、ネトリン-4(NTN4)、ネトリン-G1(NTNG1)およびネトリン-G2(NTNG2)、エフリンA1(EFNA1)、エフリンA2(EFNA2)、エフリンA3(EFNA3)、エフリンA4(EFNA4)、エフリンA5(EFNA5)、セマフォリン3A(SEMA3A)、セマフォリン3B(SEMA3B)、セマフォリン3C(SEMA3C)、セマフォリン3D(SEMA3D)、セマフォリン3F(SEMA3F)、セマフォリン3G(SEMA3G)、セマフォリン4A(SEMA4A)、セマフォリン4B(SEMA4B)、セマフォリン4C(SEMA4C)、セマフォリン4D(SEMA4D)、セマフォリン4F(SEMA4F)、セマフォリン4G(SEMA4G)、セマフォリン5A(SEMA5A)、セマフォリン5B(SEMA5B)、セマフォリン6A(SEMA6A)、セマフォリン6B(SEMA6B)、セマフォリン6D(SEMA6D)、セマフォリン7A(SEMA7A)、SLIT1、SLIT2、SLIT3、SLITおよびNTRK様ファミリーメンバー1(SLITRK1)、SLITおよびNTRK様ファミリーメンバー2(SLITRK2)、SLITおよびNTRK様ファミリーメンバー3(SLITRK3)、SLITおよびNTRK様ファミリーメンバー4(SLITRK4)、SLITおよびNTRK様ファミリーメンバー5(SLITRK5)、SLITおよびNTRK様ファミリーメンバー6(SLITRK6)、プロスタグランジンE2(PGE2)、RANTES、ソマトスタチン-14、ソマトスタチン-28、幹細胞因子(SCF)、ストロマ細胞由来因子1(SDF-1)、サブスタンスP、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、トランスフォーミング成長因子アルファ(TGF-α)、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF-b)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、トロンビン、血管作動性腸管ペプチド(VIP)、Wntl、Wnt2、Wnt2b/13、Wnt3、Wnt3a、Wnt4、Wnt5a、Wnt5b、Wnt6、Wnt7a、Wnt7b、Wnt7c、Wnt8、Wnt8a、Wnt8b、Wnt8c、Wntl0a、Wntl0b、Wnt11、Wnt14、Wnt15もしくはWnt16、ソニック・ヘッジホッグ、デザート・ヘッジホッグ、ならびにインディアン・ヘッジホッグから選択されるか、または細胞表面タンパク質(例えば、細胞表面受容体)のようなその同族細胞表面分子に結合可能なその結合断片である。
【0181】
いくつかの態様において、標的化分子は、免疫細胞上の細胞表面分子またはタンパク質に結合して身体の免疫応答を抑制するかまたは活性化させることができる、免疫調節剤でありうる。いくつかの態様において、免疫調節剤の細胞表面分子またはタンパク質への結合は、腫瘍および/または病原体に対する免疫応答を、例えば免疫抑制を阻害することによってまたは免疫刺激を増強することによって刺激しうる。いくつかの態様において、細胞表面分子またはタンパク質は、CD25、PD-1(CD279)、PD-L1(CD274、B7-H1)、PD-L2(CD273、B7-DC)、CTLA-4、LAG3(CD223)、TIM3(HAVCR2)、4-1BB(CD137、TNFRSF9)、CXCR2、CXCR4(CD184)、CD27、CEACAM1、ガレクチン9、BTLA、CD160、VISTA(PD1相同体)、B7-H4(VCTN1)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、CD28、HHLA2(B7-H7)、CD28H、CD155、CD226、TIGIT、CD96、ガレクチン3、CD40、CD40L、CD70、LIGHT(TNFSF14)、HVEM(TNFRSF14)、B7-H3(CD276)、Ox40L(TNFSF4)、CD137L(TNFSF9、GITRL)、B7RP1、ICOS(CD278)、ICOSL、KIR、GAL9、NKG2A(CD94)、GARP、TL1A、TNFRSF25、TMIGD2、BTNL2、ブチロフィリンファミリー、CD48、CD244、シグレックファミリー、CD30、CSF1R、MICA(MHCクラスIポリペプチド関連配列A)、MICB(MHCクラスIポリペプチド関連配列B)、NKG2D、KIRファミリー(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、LILRファミリー(白血球免疫グロブリン様受容体、CD85、ILT、LIR)、SIRPA(シグナル調節タンパク質アルファ)、CD47(IAP)、ニューロピリン1(NRP-1)、VEGFRまたはVEGFでありうる。例として、標的化分子は、免疫調節剤である抗体または抗原結合断片である。いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。
【0182】
いくつかの態様において、細胞表面分子は、HER1/EGFR、HER2/ERBB2、CD20、CD25(IL-2Rα受容体)、CD33、CD52、CD133、CD206、CEA、CEACAM1、CEACAM3、CEACAM5、CEACAM6、 癌抗原125(CA 125)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ルイスY、TAG72、カプリン-1、メソテリン、PDGF受容体、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IL-2受容体、血管内皮成長因子(VEGF)、CD30、EpCAM、EphA2、グリピカン-3、gpA33、ムチン、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(例えばGD2、GD3、GM1およびGM2)、VEGF受容体(VEGFR)、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、AFP、BCR複合体、CD3、CD18、CD44、CTLA-4、gp72、HLA-DR10β、HLA-DR抗原、IgE、MUC-1、nuC242、PEM抗原、メタロプロテイナーゼ、エフリン受容体、エフリンリガンド、HGF受容体、CXCR4、CXCR4、ボンベシン受容体、またはSK-1抗原でありうる。
【0183】
いくつかの態様において、標的化分子は、細胞の表面に発現されている細胞表面分子であるかまたはその一部である抗原に特異的に結合する抗体または抗原結合抗体断片である。そのような抗体の中には、本明細書に記載される細胞表面タンパク質(例えば、細胞表面受容体)のような細胞表面分子に結合可能な抗体または抗原結合抗体断片が含まれる。いくつかの場合では、抗体は、腫瘍特異的タンパク質を含む腫瘍中の細胞上に発現されるタンパク質の抗原に結合することができる。
【0184】
いくつかの態様において、標的化分子は、抗原またはタンパク質に直接的または間接的に結合する。例えば、いくつかの態様において、標的化分子は、抗原またはタンパク質に結合可能な第一の結合分子に結合する第二の結合分子である。例えば、標的化分子は、タンパク質または抗原、例えば細胞表面タンパク質または細胞表面受容体に結合可能な第一の結合分子、例えば一次抗体に結合する二次抗体である。したがって、いくつかの態様において、色素は、二次抗体にコンジュゲートされる。
【0185】
「抗体」は、抗原のエピトープを特異的に認識しそれに結合する少なくとも1つの軽鎖および/または重鎖免疫グロブリン可変領域を含む、ポリペプチドリガンドである。一般に、抗体は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域と称される可変領域を各々有する重鎖および軽鎖から構成される。VH領域およびVL領域は合わせて、抗体によって認識される抗原の結合に関与する。抗体という用語は、無傷の抗体、および抗原結合を示す抗原結合抗体断片、例えばFab断片、Fab’断片、F(ab)’2断片、単鎖Fvタンパク質(「scFv」)、およびジスルフィドで安定化されたFvタンパク質(「dsFv」)を含む。scFvタンパク質は、免疫グロブリンの軽鎖可変領域と免疫グロブリンの重鎖可変領域がリンカーによって結合された融合タンパク質であり、一方、dsFvでは、鎖は、鎖の会合を安定化させるジスルフィド結合を導入するよう突然変異されている。本用語はまた、遺伝子改変された形態、例えば、修飾型免疫グロブリン、キメラ抗体、例えば、ヒト化ネズミ抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、例えば二重特異性抗体を含む。また、Pierce Catalog and Handbook, 1994-1995 (Pierce Chemical Co., Rockford, Ill.); Kuby, J. Immunology, 3rd Ed., W.H. Freeman & Co., New York, 1997も参照されたい。
【0186】
典型的には、天然に存在する免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によって相互接続した重(H)鎖および軽(L)鎖を有する。軽鎖には、ラムダ(λ)およびカッパ(k)という2つの種類がある。抗体分子の機能的活性を決定する5つの主要な重鎖クラス、またはアイソタイプがある:IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgE。
【0187】
各重鎖および軽鎖は、「ドメイン」としても知られる定常領域および可変領域を含有する。組み合わせで、重鎖および軽鎖の可変領域は、一般に、抗原に特異的に結合する。軽鎖および重鎖の可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域が介在する「フレームワーク」領域を含有し得る。フレームワーク領域およびCDRの範囲は、定義されている(参照によって本明細書に組み入れられる、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, U.S. Department of Health and Human Services, 1991を参照のこと)。Kabatデータベースは、現在オンラインで保守されている。異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、ヒトのような種内で比較的保存されている。構成要素の軽鎖および重鎖の組み合わされたフレームワーク領域である抗体のフレームワーク領域は、CDRを3次元空間に位置付けおよび整列させるのに役立つ。
【0188】
CDRは、典型的には、抗原のエピトープへの結合に関与する。各鎖のCDRは、典型的には、N末端から開始して連続的に番号付けされたCDR1、CDR2、およびCDR3と称され、また、一般に、特定のCDRが位置する鎖によっても同定される。したがって、VH CDR3は、それが見いだされる抗体の重鎖の可変ドメインに位置するが、一方で、VL CDR1は、それが見いだされる抗体の軽鎖の可変ドメイン由来のCDR1である。異なる抗原のための異なる結合部位のような異なる特異性を有する抗体は、異なるCDRを有する。抗体によって変動するのはCDRであるが、CDR内の限られた数のアミノ酸位置だけが抗原結合に直接関与する。CDR内のこれらの位置は、特異性決定残基(SDR)と呼ばれる。
【0189】
「VH」または「VH」への言及は、Fv、scFv、dsFvまたはFabのものを含む、免疫グロブリン重鎖の可変領域を指す。「VL」または「VL」への言及は、Fv、scFv、dsFvまたはFabのものを含む、免疫グロブリン軽鎖の可変領域を指す。
【0190】
中でも、提供される抗体は、抗体断片である。「抗体断片」は、無傷の抗体が結合する抗原に結合する無傷の抗体の一部を含む、無傷の抗体以外の分子を指す。抗体断片の例は、非限定的に、Fv、Fab、Fab'、Fab’-SH、F(ab')2;ダイアボディ;直鎖抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);および抗体断片から形成される多重特異性抗体を含む。他の抗体断片または抗体断片から形成される多重特異性抗体は、多価scFv、二重特異性scFvまたはscFv-CH3二量体を含む。抗体断片は、無傷の抗体のタンパク質分解ならびに組換え宿主細胞による産生を非限定的に含む種々の技術によって作製することができる。
【0191】
「モノクローナル抗体」は、Bリンパ球の単一クローンによってまたは単一抗体の軽鎖および重鎖遺伝子がトランスフェクトされた細胞によって産生される抗体である。モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法によって、例えば、骨髄腫細胞と免疫脾臓細胞の融合体由来のハイブリッド抗体形成細胞を作製することによって産生される。モノクローナル抗体は、ヒト化モノクローナル抗体を含む。
【0192】
「キメラ抗体」は、ヒトのような1つの種由来のフレームワーク残基と、メソテリンに特異的に結合するネズミ抗体のような別の種由来のCDR(一般に抗原結合を付与する)とを有する。
【0193】
「ヒト化」免疫グロブリンは、ヒトフレームワーク領域とヒト以外の(例えば、マウス、ラット、または合成)免疫グロブリン由来の1つまたは複数のCDRとを含む、免疫グロブリンである。CDRを提供するヒト以外の免疫グロブリンは、「ドナー」と称され、そして、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンは、「アクセプター」と称される。いくつかの態様において、CDRは、ヒト化免疫グロブリンにおいてドナー免疫グロブリンに由来する。定常領域は存在する必要はないが、定常領域が存在する場合、これらは、ヒト免疫グロブリン定常領域と実質的に同一、例えば少なくとも約85~90%、例えば約95%またはそれより多く同一であり得る。それゆえ、ヒト化免疫グロブリンの一部(おそらくはCDRを除く)は、対応する天然ヒト免疫グロブリン配列の一部と実質的に同一である。「ヒト化抗体」は、ヒト化軽鎖およびヒト化重鎖の免疫グロブリンを含む抗体である。ヒト化抗体は、CDRを提供するドナー抗体と同じ抗原に結合する。ヒト化免疫グロブリンまたは抗体のアクセプターフレームワークは、ドナーフレームワークから得られるアミノ酸による限られた数の置換を有し得る。ヒト化または他のモノクローナル抗体は、抗原結合または他の免疫グロブリン機能に実質的に影響を及ぼさない追加の保存アミノ酸置換を有することができる。ヒト化免疫グロブリンは、遺伝子改変によって構築することができる(例えば、米国特許第5,585,089号を参照のこと)。
【0194】
「ヒト」抗体(「完全ヒト」抗体とも呼ばれる)は、ヒトフレームワーク領域とヒト免疫グロブリン由来のCDRとを含む抗体である。いくつかの態様において、フレームワークおよびCDRは、同じ起源のヒト重鎖および/または軽鎖アミノ酸配列に由来する。しかしながら、1つのヒト抗体由来のフレームワークは、異なるヒト抗体由来のCDRを含むように改変することができる。ヒト免疫グロブリンの一部は、対応する天然ヒト免疫グロブリン配列の一部と実質的に同一であり得る。
【0195】
「特異的に結合する」は、非腫瘍タンパク質(例えば、β-アクチン)のような無関係なタンパク質への結合と比較して、腫瘍特異的抗原のような抗原に特異的に結合する抗体または抗原結合断片のような分子の能力を指す。いくつかの態様において、抗体または断片のような分子(フタロシアニン色素分子に付着した抗体または断片のような分子を含む)は、細胞表面タンパク質のような標的に、試料または対象中の他の分子についての結合定数よりも少なくとも103M-1大きい、104M-1大きいまたは105M-1大きい結合定数で特異的に結合する。いくつかの態様において、抗体またはその断片のような分子は、約106M-1以上の、約107M-1以上の、約108M-1以上の、または約109M-1、1010M-1、1011M-1もしくは1012M-1以上の平衡会合定数(KA)を有する。抗体はまた、10-6M、10-7M、10-8M、10-10M、10-11Mもしくは10-12Mまたはそれより低い平衡解離定数(KD)によって特徴付けることができる。いくつかの態様において、平衡解離定数(KD)は、1nM以下でありうる。KDまたはKAのような親和定数は、経験的に推定することができるか、または、例えば特定の抗原に対する1つの抗体と別の抗体の親和性を比較することによって、親和性を比較して決定することができる。例えば、このような親和性は、例えば、競合的ELISA(酵素結合免疫吸着法)によるもしくはBiacore T100(Biacore, Inc., Piscataway, N.Jから入手可能)のような表面プラズモン共鳴装置を使用する、放射標識された標的抗原を使用した放射免疫測定法による、または当業者に公知の別の方法によるような、当技術分野において公知の技術を使用して容易に決定することができる。
【0196】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素(例えば、IR700)は、抗体または抗原結合抗体断片にコンジュゲートされる。例えば、いくつかの局面において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートは、IR700-抗体コンジュゲートである。フタロシアニン色素(例えば、IR700)をコンジュゲートすることができる例示的な抗体は、非限定的に、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、トラスツズマブ、Ado-トラスツズマブエムタンシン、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan, Mabthera)、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin)、ダクリズマブ(Zenapax)、ゲムツズマブ(Mylotarg)、アレムツズマブ、CEA-scan Fab断片、OC125モノクローナル抗体、ab75705、B72.3、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、アファチニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、セリチニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、エベロリムス、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ニロチニブ、オラパリブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ペルツズマブ、ラムシルマブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、トラメチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ビスモデギブ、バシリキシマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、MPDL3280A、ピジリズマブ(CT-011)、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MEDI6469、MEDI6383、MOXR0916、AMP-224、MSB0010718C、MEDI4736、PDR001、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015、IPH2101)、IPH2201、AGX-115、エマクツズマブ、CC-90002およびMNRP1685Aまたはその抗体結合断片を含む。
【0197】
いくつかの態様において、標的化分子は、組織特異的ホーミングペプチドである。例えば、いくつかの態様において、ホーミングペリペプチドは、SEQ ID NO:1~52のいずれかに示されるアミノ酸の配列を含みうる。いくつかの態様において、標的化分子は、RGDポリペプチド、例えばiRGDポリペプチド、Lyp-1ポリペプチド、クリプト-1結合ポリペプチド、ソマトスタチン受容体結合ポリペプチド、またはプロヒビチン結合ポリペプチド、NGRポリペプチド、またはiNGRポリペプチドである。
【0198】
いくつかの態様において、標的化分子は、ウイルス粒子、例えばウイルス様粒子、ウイルス様ナノ粒子、またはウイルスカプシドである。いくつかの態様において、標的化分子は、ウイルス様ナノ粒子である。いくつかの態様において、ウイルス様ナノ粒子は、L1カプシドタンパク質からアセンブルされる。いくつかの態様において、ウイルス様ナノ粒子は、L1カプシドタンパク質とL2カプシドタンパク質との組み合わせからアセンブルされる。いくつかの態様において、標的化分子は、細胞に結合して、それに感染する。いくつかの態様において、標的化分子は、WO2015042325に記載されている標的化分子である。
【0199】
いくつかの態様において、ウイルス様粒子(VLP)は、L1またはL1およびL2カプソマーの自己集合秩序アレイを含みかつウイルスゲノムを含まない、およそ球形または円筒形状のような組織化されたカプシド様構造を指す。いくつかの態様において、ウイルス様粒子は、真のビリオンと形態学的にかつ抗原性に関して類似しているが、これらは、ウイルス核酸のようなウイルス遺伝物質を欠いており、その粒子を非感染性にしている。VLPを使用して、レシピエント細胞に、予防薬、治療薬もしくは診断薬などの薬剤、または封入された環状もしくは線状のDNAもしくはRNA分子を送達し得る。
【0200】
いくつかの態様において、VLPは、野生型VLPに対して修飾された免疫原性および/または抗原性を有し得る。VLPは、例えば、免疫原性および/または抗原性が修飾された変異体カプシドタンパク質を有するカプソマーからアセンブルされ得る。いくつかの態様において、免疫原性および/または抗原性が修飾された変異体カプシドタンパク質は、アミノ酸が天然にまたは合成で修飾されて、例えば突然変異、置換、欠失、ペグ化または挿入されて、既存(例えば、内因性)のウイルス血清型特異的抗体によるカプシドタンパク質の認識が低減または防止されたものである。変異体カプシドタンパク質は、ヒトパピローマウイルス(HPV)L1変異体、ヒト以外のパピローマウイルスL1変異体、または異なるHPV血清型由来のアミノ酸の組み合わせに基づくパピローマウイルスL1変異体であり得る。
【0201】
いくつかの態様において、VLPは、パピローマウイルスVLPである。VLPは、ヒトに感染することができるウイルスに由来するようなヒトパピローマウイルスVLPであり得るが、一方、他の態様において、VLPは、ヒト以外のパピローマウイルスVLPであり得る。ヒト以外のVLPの例は、非限定的に、ウシパピローマウイルス、ネズミパピローマウイルス、コットンラビットパピローマウイルスおよびマカクまたはアカゲザルパピローマウイルス粒子に由来するものを含む。いくつかの態様において、VLPは、ウシパピローマウイルスウイルス様ナノ粒子、例えば1型ウイルス様ナノ粒子(例えば、BPV L1カプシドタンパク質またはBPV L1カプシドタンパク質とBPV L2カプシドタンパク質の組み合わせからアセンブルされる)である。
【0202】
いくつかの態様において、カプシドタンパク質は、タンパク質単量体を指し、そのいくつかは、カプソマーオリゴマーを形成する。いくつかの態様において、カプソマーは、ウイルスの遺伝物質を保護するタンパク質の外部被覆であるウイルスカプシドの基本オリゴマー構造単位を指す。カプシドタンパク質は、いくつかの態様において、パピローマウイルスL1メジャーカプシドタンパク質およびパピローマウイルスL2マイナーカプシドタンパク質を含み得る。いくつかの態様において、VLPは、L1カプシドタンパク質だけを含有するが、一方、他の態様において、VLPは、L1カプシドタンパク質とL2カプシドタンパク質の混合物、またはそれらの組み合わせを含有する。
【0203】
いくつかの態様において、ウイルス様粒子中のL1カプシドタンパク質のパーセンテージは、ウイルス様粒子中のL2カプシドタンパク質のパーセンテージより大きい。例えば、いくつかの態様において、ウイルス様粒子中のL1カプシドタンパク質のパーセンテージは、ウイルス様粒子中のカプシドタンパク質の総数の80%~100%である。いくつかの態様において、ウイルス様粒子中のL1カプシドタンパク質のパーセンテージは、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%、または約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%である。いくつかの態様において、ウイルス様粒子中のL2カプシドタンパク質のパーセンテージは、ウイルス様粒子中のカプシドタンパク質の総数の1%~25%である。例えば、いくつかの態様において、ウイルス様粒子中のL2カプシドタンパク質のパーセンテージは、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%もしくは20%、または約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%もしくは20%である。
【0204】
いくつかの態様において、ウイルス様粒子は、12~72個のL2タンパク質を含有する。いくつかの態様において、ウイルス様粒子は、360個のL1タンパク質および12~72個のL2タンパク質を含有する。いくつかの態様において、カプシドタンパク質は、20~60nmの直径を有するウイルス様ナノ粒子へとアセンブルする。例えば、カプシドタンパク質は、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55もしくは60nm、または約20、25、30、35、40、45、50、55もしくは60nmの直径を有するウイルス様ナノ粒子へとアセンブルし得る。
【0205】
いくつかの態様において、標的化分子は、ナノ担体ではないか、またはそれを含まない。いくつかの態様において、標的化分子は、ウイルス様粒子、ナノ粒子、リポソーム、量子ドット、もしくはそれらの組み合わせではないか、またはそれを含まない。
【0206】
いくつかの態様において、標的化分子は、DARPin(設計されたアンキリンリピートタンパク質)である。典型的には、DARPinは、天然のアンキリンリピートタンパク質に由来し、かつ、例えば、ヒト受容体、サイトカイン、キナーゼ、ヒトプロテアーゼ、ウイルスおよび膜タンパク質を含むタンパク質に結合する(Molecular Partners AG Zurich Switzerland; Chapter 5参照. “Designed Ankyrin Repeat Proteins (DARPins): From Research to Therapy”, Methods in Enzymology, vol 503: 101-134 (2012); および “Efficient Selection of DARPins with Sub-nanomolar Affinities using SRP Phage Display”, J. Mol. Biol. (2008) 382, 1211-1227、その開示全体は、参照によって本明細書に組み入れられる)。いくつかの態様において、DARPinは、遺伝子改変を介して調製される、標的タンパク質への高い特異性および高い結合親和性を有する抗体模倣タンパク質である。いくつかの態様において、DARPinは、少なくとも2つのアンキリンリピートモチーフを含む、例えば、少なくとも3、4または5つのアンキリンリピートモチーフを含む構造を有する。DARPinは、リピートモチーフの数に依存して任意の好適な分子量を有しうる。例えば、3、4または5つのアンキリンリピートモチーフを含むDARPinは、それぞれ、約10kDa、約14kDa、または約18kDaの分子量を有し得る。
【0207】
いくつかの態様において、DARPinは、構造を提供するコア部分と、コアの外にありかつ標的に結合する標的結合部分とを含む。いくつかの態様において、構造コアは、保存されたアミノ酸配列を含み、標的結合部分は、標的に応じて異なるアミノ酸配列を含む。
【0208】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、1標的化分子当たり1~約1000または約1~約1000、例えば1~約100または約1~約100、1~約50または約1~約50、1~約25または約1~約25、1~約10または約1~約10、1~約5または約1~約5である複数の色素残基を含有する。いくつかの態様において、色素分子:標的化分子の比は、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、50:1、75:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、400:1、450:1、500:1、550:1、600:1、650:1、700:1、750:1、800:1、850:1、900:1、950:1もしくは1000:1、または約2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、50:1、75:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、400:1、450:1、500:1、550:1、600:1、650:1、700:1、750:1、800:1、850:1、900:1、950:1もしくは1000:1であるか、またはこのような値のいずれか2つの間もしくはこのような値のおおよそいずれか2つの間である。いくつかの態様において、標的化分子は、最大2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または1000の色素分子を含有し得る。いくつかの態様において、標的化分子は、1000超の色素分子または10未満の色素分子を含有し得る。
【0209】
いくつかの態様において、例えば、標的化分子が抗体または抗原結合抗体断片のようなポリペプチドであるとき、1標的化分子当たりの色素分子の数は、2~約5または約2~約5、例えば2~約4または約2~約4、例えば約3または3であることができる。いくつかの態様において、例えば、標的化分子がウイルス様粒子(VLP)のようなナノ粒子である場合、色素分子と標的化分子の数は、10~約1000、10~約500、50~約500もしくは50~約1000、または約10~約1000、約10~約500、約50~約500もしくは約50~約1000であることができる。したがって、いくつかの態様において、標的化分子は、約10~約1000の色素分子を含有し得る。
【0210】
いくつかの態様において、例えば、標的化分子がVLPである場合、1つを超える色素分子が単一のカプシドタンパク質にコンジュゲートされ得る。例えば、LIまたはL2カプシドタンパク質のような単一のカプシドタンパク質が、1~5、例えば1、2、3、4または5つの色素分子にコンジュゲートされ得る。したがって、カプシドタンパク質の1つを超えるアミノ酸が色素分子にコンジュゲートされ得る。いくつかの態様において、単一のカプシドタンパク質が、1~2、1~3、または2~3つの色素分子にコンジュゲートされ得る。したがって、色素分子は、単一のカプシドタンパク質の1、2、3、4または5つの異なるアミノ酸、例えばリジン、アルギニンおよび/もしくはヒスチジン、または他のアミノ酸にコンジュゲートされ得る。
【0211】
3. イメージングのための追加の色素
いくつかの態様において、コンジュゲートは、標的化分子を2以上の異なる蛍光色素にコンジュゲートできるように、場合により追加の色素を含むことができる。例えば、フタロシアニン色素、例えば上記のいずれか(例えば、IR700)である第一の色素と、第一の色素とは異なる第二の蛍光色素とにコンジュゲートされた標的化分子を含有するコンジュゲートが提供される。一局面において、コンジュゲートは、式(II)で示されるコンジュゲートである:
[D1-(L1)n]p-A-[(L2)m-D2]o
(II)
式中、
Aは、細胞または組織に結合することができる標的化分子であり;
L1およびL2は各々、各oまたはpについて独立して選択されるリンカーであり、ここで、各L1およびL2は、Lについて上に定義されたとおりであり;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
D1は、各pについて独立して選択される親水性フタロシアニン色素であり、ここで、D1は、Dについて上に定義されたとおりであり;
D2は、各oについて独立して選択される蛍光色素であり;かつ
pおよびoは、独立して1、2、3、4、5または5超、例えば最大1000である。例えば、pおよびoは、各々独立して、1~1000、例えば一般に1~10または2~5であることができる。
【0212】
いくつかの態様において、第一の色素D1は、フタロシアニン色素、例えば近赤外(NIR)フタロシアニン色素、例えば上記の色素のいずれかである。いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、近赤外光での照射によって光毒性活性を示すことが可能であるような光増感剤化合物であるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、D1は、IR700である。
【0213】
いくつかの態様において、第一の色素D1(例えば、IR700)よりも可視化により良好な蛍光を提供する第二の色素D2が選択される。したがって、いくつかの局面において、式IIで示される化合物は、蛍光イメージングおよび光免疫療法の両方に使用される。例えば、病変または腫瘍に照射することは、第二の蛍光色素から蛍光シグナルを放射して、対象における病変または腫瘍でのコンジュゲートの存在の検出を達成する。いくつかの態様において、コンジュゲートを使用して、色素の標的部位(例えば、腫瘍)への結合をD2の蛍光イメージングでモニタリングすることも、また、疾患または病態と関連する細胞、例えば、腫瘍の細胞をD1(例えば、IR700)の活性化による光免疫療法を使用して根絶することのいずれもできる。いくつかの態様において、第二の色素D2は、対応するD1のスペクトル特性と比較して大きい、蛍光量子収率(例えば、水中)、吸光係数、ストークスシフト、長波長における吸収および放射、ならびに光安定性の中から選択される1つまたは複数のスペクトル特性を示す。いくつかの態様において、D2は、IR700ではない。
【0214】
いくつかの態様において、追加の色素D2は、蛍光色素である。いくつかの態様において、D2は、限定されることなく、ヒドロキシクマリン、Cascade Blue、Dylight 405 Pacific Orange、Alexa Fluor 430、フルオレセイン、Oregon Green、Alexa Fluor 488、BODIPY 493、2,7-ジクロロフルオレセイン、ATTO 488、Chromeo 488、Dylight 488、HiLyte 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 555、ATTO 550、BODIPY TMR-X、CF 555、Chromeo 546、Cy3、TMR、TRITC、Dy547、Dy548、Dy549、HiLyte 555、Dylight 550、BODIPY 564、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、ローダミン、Texas Red、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Dylight 633、Alexa Fluor 647、APC、ATTO 655、CF633、CF640R、Chromeo 642、Cy5、Dylight 650、Alexa Fluor 680、IRDye 680、Alexa Fluor 700、Cy5.5、ICG、Alexa Fluor 750、Dylight 755、IRDye 750、Cy7、Cy7.5、Alexa Fluor 790、Dylight 800、IRDye 800、Qdot(登録商標)525、Qdot(登録商標)565、Qdot(登録商標)605、Qdot(登録商標)655、Qdot(登録商標)705、またはQdot(登録商標)800であることができる。
【0215】
いくつかの態様において、D2は、組織自己蛍光が低いか、本質的に存在しないかもしくは排除されているかまたは存在しないかもしくは排除されている、より長い波長で、光を吸収して蛍光を放射する。したがって、いくつかの局面において、D2は、深い組織透過のイメージングを容易にする。いくつかの態様において、D2は、650~1450nmの間もしくは約650~1450nmの間、例えば650~900nmの間もしくは約650~900nmの間、700~1000nmの間もしくは約700~1000nmの間、または750~950nmの間もしくは約750~950nmの間のNIRスペクトル中に吸収および放射波長を有する近赤外(NIR)色素である。いくつかの態様において、D2は、1000~1700nmの間もしくは約1000~1700nmの間、例えば1000~1400nmの間もしくは約1000~1400nmの間のNIR-IIスペクトル中に吸収および放射波長を有する第二の近赤外(NIR-II)色素である。いくつかの態様において、D2は、300~750nmの間もしくは約300~750nmの間、例えば400~600nmの間もしくは約400~600nmの間、または400~700nmの間もしくは約400~700nmの間の可視スペクトル中に吸収および放射波長を有する色素である。いくつかの態様において、標的化分子コンジュゲートは、異なる放射および励起波長を有する2つの色素を含有する。いくつかの態様において、追加の色素は、長い波長の励起および放射特性を有する。いくつかの態様において、提供される方法のいずれかは、第二の色素が吸収することが可能な波長で腫瘍に照射または照明することによる、対象における病変または腫瘍をイメージングする工程をさらに含むことができる。
【0216】
いくつかの態様において、追加の色素は、励起波長において大きな吸光係数を有する。いくつかの態様において、D2は、約10,000Mol-1cm-1超、例えば約25,000Mol-1cm-1超、約50,000Mol-1cm-1超、約75,000Mol-1cm-1超、約100,000Mol-1cm-1超、約150,000Mol-1cm-1超、約200,000Mol-1cm-1超、約250,000Mol-1cm-1超、または約300,000Mol-1cm-1超の水中吸光係数を有する。
【0217】
いくつかの態様において、第二の色素D2は、タンパク質にコンジュゲートされたとき、第一の色素D1がそうされる場合よりも高い蛍光量子収率を有する。いくつかの態様において、追加の色素は、高い水中蛍光量子収率を有する。いくつかの態様において、第二の色素D2は、5%超、例えば10%超、15%超、20%超もしくは25%超、30%超、40%超、または50%超、またはより高い水中量子収率を有する。
【0218】
いくつかの態様において、第二の色素D2は、大きなストークスシフト(EXmax~EMmaxの間の差)を有する。いくつかの態様において、追加の色素D2は、15nm、20nm、25nm超、例えば30nm超、40nm超、50nm超、60nm超、70nm超、80nm超、90nm超または100nm超であるストークスシフトを示す。
【0219】
いくつかの態様において、追加の色素D2は、ICG、IRDye 680、Alexa Fluor 750、Dylight 755、IRDye 750、Cy7.5、Alexa Fluor 790、Dylight 800、またはIRDye 800であることができる。いくつかの態様において、追加の色素D2は、ICG、IRDye 680、Alexa Fluor 750、Dylight 755、IRDye 750、Cy7.5、Alexa Fluor 790、Dylight 800、またはIRDye 800であることができる。いくつかの態様において、追加の色素D2は、Alexa Fluor 488、IRDye 680、IRDye 800またはDylight 755であることができる。
【0220】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、1標的化分子当たり1~約1000もしくは約1~約1000、例えば1~約100もしくは約1~約100、1~約50もしくは約1~約50、1~約25もしくは約1~約25、1~約10もしくは約1~約10、または1~約5もしくは約1~約5である複数の第二の色素D2残基を含有する。いくつかの態様において、第二の色素分子:標的化分子の比は、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、50:1、75:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、400:1、450:1、500:1、550:1、600:1、650:1、700:1、750:1、800:1、850:1、900:1、950:1もしくは1000:1、または約2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、50:1、75:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、400:1、450:1、500:1、550:1、600:1、650:1、700:1、750:1、800:1、850:1、900:1、950:1もしくは1000:1であるか、またはこのような値のいずれか2つの間もしくはこのような値のおおよそいずれか2つの間である。いくつかの態様において、第二の色素分子と標的化分子の比は、1標的化分子当たり1~10または1~5の第二の色素分子である。
【0221】
II. 薬学的組成物および製造品
フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)を含有する薬学的組成物が本明細書において提供される。いくつかの態様において、本組成物を、本明細書に記載のとおりのPITの方法に使用することができる。フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート、例えば、IR700-抗体コンジュゲート。いくつかの態様において、本組成物は、別の治療薬(例えば、免疫調節剤または抗がん剤)との組み合わせで提供することができる。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートと他の治療薬、例えば免疫調節剤または抗がん剤の一方または両方とを、一緒に、逐次的にまたは断続的に投与するための別個の組成物としての製造品としてパッケージングすることができる。該組み合わせを、キットとしてパッケージングすることができる。
【0222】
1. 組成物、製剤および投与剤形
いくつかの態様において、上記化合物、例えばコンジュゲートを、薬学的に許容される緩衝液、例えば薬学的に許容される担体またはビヒクルを含む薬学的に許容される緩衝液中に製剤化することができる。一般に、薬学的に許容される担体またはビヒクル、例えば薬学的に許容される緩衝液中に存在する薬学的に許容される担体またはビヒクルは、当技術分野においていずれも公知である。Remington's Pharmaceutical Sciences, by E. W. Martin, Mack Publishing Co., Easton, Pa., 19th Edition (1995) は、1つまたは複数の治療用化合物の薬学的送達に好適な組成物および製剤を記載している。薬学的に許容される組成物は、一般に、動物およびヒトにおける使用に一般に認められている薬局方に準拠して作成された規制機関または他の機関の承認を考慮して調製される。
【0223】
薬学的組成物は、化合物と合わせて投与される、担体、例えば希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを含むことができる。好適な薬学的担体の例は、E. W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。このような組成物は、治療有効量の化合物(一般に精製形態の)を、患者への適切な投与のための形態を提供するように好適な量の担体と合わせて含有するだろう。このような薬学的担体は、滅菌液、例えば水および油(落花生油、大豆油、鉱油、およびゴマ油のような、石油、動物、植物または合成起源のものを含む)であることができる。水は、薬学的組成物が静脈内投与されるときの典型的な担体である。食塩水ならびに水性デキストロースおよびグリセロール溶液も液体担体(特に注射液剤用の)として採用することができる。組成物は、活性成分と合わせて、希釈剤、例えばラクトース、スクロース、リン酸二カルシウム、またはカルボキシメチルセルロース;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびタルク;ならびに結合剤、例えばデンプン、天然ゴム、例えばアカシアゴム、ゼラチン、グルコース、糖蜜、ポリビニルピロリジン、セルロースおよびそれらの誘導体、ポビドン、クロスポビドンならびに当業者に公知の他のこのような結合剤を含有することができる。好適な薬学的賦形剤は、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、およびエタノールを含む。組成物はまた、所望であれば、少量の湿潤もしくは乳化剤、またはpH緩衝化剤、例えば、酢酸塩、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン、および他のこのような薬剤を含有することができる。
【0224】
いくつかの態様において、薬学的調製物は、液体形態、例えば、溶液、シロップまたは懸濁液であることができる。このような液体調製物を、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または食用硬化脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、または分別植物油);および保存料(例えば、メチルまたはプロピル-p-ヒドロキシベンゾアートまたはソルビン酸)のような薬学的に許容される添加剤を用いて、従来の手段によって調製することができる。いくつかの場合では、薬学的調製物を、水または他の好適なビヒクルで使用前に再構成するための凍結乾燥形態で提示することができる。
【0225】
いくつかの態様において、薬学的に許容される緩衝液、または担体の性質は、採用される特定の投与様式に依存する。例えば、いくつかの態様において、非経口製剤は、薬学的にかつ生理学的に許容される流体、例えば水、生理食塩水、平衡塩溶液、水性デキストロース、またはグリセロールをビヒクルとして含む注射液を含み得る。いくつかの態様において、固体組成物、例えば粉剤、丸剤、錠剤、またはカプセル剤形態について、無毒の固体担体は、例えば、医薬品等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、またはステアリン酸マグネシウムを含むことができる。生物学的に中性の担体に加えて、投与される薬学的組成物は、いくつかの態様において、少量の無毒の補助物質、例えば、湿潤または乳化剤、保存料、およびpH緩衝化剤、例えば酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートを含有することができる。
【0226】
上記化合物を、好適な薬学的調製物、例えば、経口投与用の液剤、懸濁剤、錠剤、速崩性錠剤、丸剤、カプセル剤、粉剤、持続放出製剤またはエリキシル剤、ならびに経皮パッチ調製物および乾燥粉末吸入剤へと製剤化することができる。典型的には、化合物は、当技術分野において周知の技術および手順を使用して薬学的組成物へと製剤化される(例えば、Ansel Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, Fourth Edition, 1985, 126 を参照のこと)。一般に、製剤化の様式は、投与の経路と相関関係にある。
【0227】
組成物を、筋肉内、静脈内、皮内、病巣内、腹腔内注射、皮下、腫瘍内、硬膜外、鼻腔、経口、膣内、直腸、局部、局所、耳、吸入、口腔(例えば、舌下)、および経皮投与または任意の経路を含む、当業者に公知の任意の経路による投与用に製剤化することができる。他の投与様式もまた企図される。投与は、処置の場所に応じて、局所、局部または全身であることができる。処置を必要とする領域への局所投与を、例えば、限定されることなく、外科手術中の局所注入、局部適用(例えば、外科手術後の創傷包帯と共に)、注射によって、カテーテルによって、坐剤によって、またはインプラントによって達成することができる。
【0228】
皮下、筋肉内、腫瘍内、静脈内または皮内のいずれかの注射によって一般に特徴付けられる非経口投与が本明細書において企図される。注射剤を、液体の溶液もしくは懸濁液、注射前に液体中に溶解もしくは懸濁するのに好適な固体形態、またはエマルションのいずれかとして、従来の形態で調製することができる。好適な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロールまたはエタノールである。加えて、所望であれば、投与される薬学的組成物はまた、pH緩衝化剤、金属イオン塩、または他のこのような緩衝剤のような溶媒の形態の活性化剤を含有し得る。薬学的組成物はまた、他の少量の無毒の補助物質、例えば湿潤または乳化剤、pH緩衝化剤、安定剤、溶解性向上剤、ならびに他のこのような薬剤、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミンおよびシクロデキストリンを含有し得る。一定レベルの投与量が維持されるような遅延放出または持続放出系のインプランテーション(例えば、米国特許第3,710,795号を参照のこと)もまた本明細書において企図される。このような非経口組成物中に含有される活性化合物のパーセンテージは、その具体的な性質だけでなく、化合物の活性および対象の必要性にも強く依存する。
【0229】
注射剤は、局所および全身投与用に設計される。非経口投与用の調製物は、注射用に準備された滅菌液剤、使用直前に溶媒と組み合わせられるべく準備された滅菌乾燥可溶性製品、例えば凍結乾燥粉剤(皮下用錠剤を含む)、注射用に準備された滅菌懸濁液、使用直前にビヒクルと組み合わせられるべく準備された滅菌乾燥不溶性製品および滅菌エマルションを含む。液剤は、水性または非水性のいずれであってもよい。静脈内投与される場合、好適な担体は、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)、ならびに増粘および可溶化剤、例えばグルコース、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールおよびそれらの混合物を含有する溶液を含む。
【0230】
非経口調製物に使用される薬学的に許容される担体は、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張剤、緩衝剤、酸化防止剤、局所麻酔剤、懸濁化および分散剤、乳化剤、封鎖またはキレート剤、ならびに他の薬学的に許容される物質を含む。水性ビヒクルの例は、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、等張デキストロース注射、滅菌水注射、デキストロースおよび乳酸リンゲル注射を含む。非水性非経口ビヒクルは、植物起源の不揮発性油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油および落花生油を含む。静細菌または静真菌濃度の抗菌剤を、複数回用量容器内にパッケージングされた非経口調製物に加えることができ、これらは、フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピル p-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウムならびに塩化ベンゼトニウムを含む。等張剤は、塩化ナトリウムおよびデキストロースを含む。緩衝剤は、リン酸塩およびクエン酸塩を含む。
【0231】
静脈内投与される場合、好適な担体は、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)、ならびに増粘および可溶化剤、例えばグルコース、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールおよびそれらの混合物を含有する溶液を含む。
【0232】
組成物を、単回投与量投与用にまたは複数回投与量投与用に製剤化することができる。薬剤を、直接投与用に製剤化することができる。組成物を、液体または凍結乾燥製剤として提供できる。組成物が凍結乾燥形態で提供される場合、使用直前に、適切な緩衝液、例えば滅菌食塩水によって、組成物を再構成することができる。
【0233】
また、組成物を、他の生物学的に活性な薬剤と共に、逐次的に、断続的にまたは同じ組成物中のいずれかで投与することができる。投与はまた、制御放出製剤および制御放出デバイス(ポンプによるなどの)を含む制御放出系を含むことができる。
【0234】
任意の所与の事例における最も好適な経路は、疾患の性質、疾患の進行、疾患の重症度および使用される特定の組成物のような様々な要因に依存する。例えば、組成物は、例えば静脈内投与を介して、全身投与される。また、皮下的方法も採用できるが、静脈内法と比較して同等のバイオアベイラビリティを確保するために増加した吸収時間が必要となる可能性がある。
【0235】
薬学的組成物を、各投与経路に適する投与剤形で製剤化することができる。薬学的にかつ治療的に活性な化合物およびその誘導体は、典型的には、単位投与剤形または複数回投与剤形で製剤化されかつ投与される。各単位用量は、所望の治療効果を生み出すのに十分な所定の量の治療的に活性な化合物を、必要な薬学的担体、ビヒクルまたは希釈剤と共同して含有する。単位投与剤形は、限定されることなく、好適な量の化合物またはその薬学的に許容される誘導体を含有する、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉剤、顆粒剤、滅菌非経口液剤または懸濁剤、および経口液剤または懸濁剤、および油水エマルションを含む。単位用量形態は、含有されたアンプルおよびシリンジ、または個々にパッケージングされた錠剤もしくはカプセル剤であることができる。単位用量形態を、分割してまたはその倍数で投与することができる。複数回用量形態は、分離された単位用量形態で投与される単一容器内にパッケージングされた複数の同一の単位投与剤形である。複数回用量形態の例は、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤のボトルまたはパイントもしくはガロンのボトルを含む。よって、複数回用量形態は、パッケージングにおいて分離されていない複数の単位用量である。一般に、活性成分を0.005%~100%の範囲で含有しかつ無毒の担体によってバランスが整えられた投与剤形または組成物を調製することができる。薬学的組成物を各投与経路に適する投与剤形で製剤化することができる。
【0236】
薬学的に活性な化合物の濃度は、注射が所望の薬理効果を生み出す有効量を提供するように、調整される。正確な用量は、当技術分野において公知であるように、患者または動物の年齢、体重および状態に依存する。単位用量の非経口調製物は、アンプル、バイアルまたは針付きのシリンジにパッケージングされる。薬学的に活性な化合物を含有する液体溶液または再構成された粉末調製物の容量は、処置される疾患およびパッケージング用に選択された特定の製造品と相関関係にある。非経口投与用の全ての調製物は、当技術分野において公知でありかつ実践されるとおり、無菌でなければならない。いくつかの態様において、組成物を凍結乾燥粉末として提供することができ、これを、溶液、エマルションおよび他の混合物として投与用に再構成することができる。また、これらを固体またはゲルとして再構成および製剤化してもよい。凍結乾燥粉末を上記の溶液のいずれかから調製することができる。
【0237】
フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを緩衝溶液に溶解することによって無菌凍結乾燥粉末を調製することができる。緩衝溶液は、粉末またはその粉末から調製される再構成溶液の他の薬理学的成分の安定性を改善する、賦形剤を含有し得る。
【0238】
いくつかの態様において、当業者に公知の標準条件下でのその後の溶液の無菌濾過とそれに続く凍結乾燥は、所望の製剤を提供する。簡潔に述べると、凍結乾燥粉末は、賦形剤、例えばデキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロースまたは他の好適な薬剤を、好適な緩衝液、例えばクエン酸塩、リン酸ナトリウムもしくはリン酸カリウムまたは当業者に公知の他のこのような緩衝液に溶解することによって調製される。次いで、選択された酵素が、得られた混合物に加えられ、それが溶解するまで撹拌される。得られた混合物は、微粒子を除去しかつ無菌性を確保するために無菌的に濾過または処理されて、凍結乾燥用のバイアルに分注される。各バイアルは、単回投与量(1mg~1g、一般に1~100mg、例えば1~5mg)または複数回投与量の化合物を含有することができる。凍結乾燥粉末を、約4℃~室温のような適切な条件下で保存することができる。この凍結乾燥粉末の緩衝溶液での再構成は、非経口投与において使用するための製剤を提供する。その正確な量は、処置される適応症および選択される化合物に依存する。このような量を実験的に決定することができる。
【0239】
いくつかの態様において、組成物のpHは、6~10の間または約6~10の間、例えば6~8の間または約6~8の間、6.9~7.3の間または約6.9~7.3の間、例えば約pH7.1である。いくつかの態様において、薬学的に許容される緩衝液のpHは、少なくとも5もしくは約5、少なくとも6もしくは約6、少なくとも7もしくは約7、少なくとも8もしくは約8、少なくとも9もしくは約9、または少なくとも10もしくは約10であるか、または7.1である。
【0240】
組成物を、単回投与量投与用にまたは複数回投与量投与用に製剤化することができる。薬剤を、直接投与用に製剤化することができる。
【0241】
いくつかの態様において、本明細書において提供される組成物は、活性化合物、例えばフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの直接投与用の量で、0.01mg~約3000mgもしくは約0.01mg~約3000mg、または、約0.01mg~約1000mg、約0.01mg~約500mg、約0.01mg~約100mg、約0.01mg~約50mg、約0.01mg~約10mg、約0.01mg~約1mg、約0.01mg~約0.1mg、約0.1mg~約2000mg、約0.1mg~約1000mg、約0.1mg~約500mg、約0.1mg~約100mg、約0.1mg~約50mg、約0.1mg~約10mg、約0.1mg~約1mg、約1mg~約2000mg、約1mg~約1000mg、約1mg~約500mg、約1mg~約100mg、約1mg~約10mg、約10mg~約2000mg、約10mg~約1000mg、約10mg~約500mg、約10mg~約100mg、約100mg~約2000mg、約100mg~約1000mg、約100mg~約500mg、約500mg~約2000mg、約500mg~約1000mg、および約1000mg~約3000mgの範囲で製剤化される。いくつかの態様において、組成物の容量は、0.5mL~1000mL、例えば0.5mL~100mL、0.5mL~10mL、1mL~500mL、1mL~10mL、例えば少なくとも0.5mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、15mL、20mL、30mL、40mL、50mL以上、または約少なくとも0.5mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、15mL、20mL、30mL、40mL、50mL以上、または約0.5mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、15mL、20mL、30mL、40mL、50mL以上、または0.5mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、15mL、20mL、30mL、40mL、50mL以上であることができる。例えば、組成物は、100mg~500mgの間もしくは約100mg~500mgの間、または200mg~400mgの間もしくは約200mg~400mgの間の量の単回投与量投与用に製剤化される。いくつかの態様において、組成物は、500mg~1500mgもしくは約500mg~1500mg、800mg~1200mgもしくは約800mg~1200mg、または1000mg~1500mgもしくは約1000mg~1500mgの間の量の単回投与量投与用に製剤化される。いくつかの態様において、組成物の容量は、10mL~1000mLもしくは約10mL~1000mL、または50mL~500mLもしくは約50mL~500mLであるか;または、組成物の容量は、少なくとも10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、75mL、100mL、150mL、200mL、250mL、300mL、400mL、500mLもしくは1000mLである。
【0242】
いくつかの態様において、製剤のバイアル内容物全体を、投与用に取り出すことも、複数回投与用に複数の投与量に分割することもできる。投与用に薬物の量を取り出した後、製剤を所望であればさらに希釈する、例えば水、食塩水(例えば、0.9%)または他の生理学的溶液中で希釈することができる。
【0243】
いくつかの態様において、また、上記のような公知のまたは標準的な製剤化ガイドラインに従って調製することができる、免疫調節剤または抗がん剤を含有する組成物も提供される。いくつかの態様において、免疫調節剤、抗がん剤および/またはフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-標的化分子、例えばIR700-抗体コンジュゲート)は、別個の組成物として製剤化される。いくつかの態様において、免疫調節剤は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートとは別個の組成物として提供され、2つの組成物が別個に投与される。いくつかの態様において、抗がん剤は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートとは別個の組成物として提供され、2つの組成物が別個に投与される。組成物を非経口送達用(すなわち、全身送達用)に製剤化することができる。例えば、組成物または組成物の組み合わせは、皮下送達用にまたは静脈内送達用に製剤化される。薬剤、例えばフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート、免疫調節剤、および/または抗がん剤を異なる投与経路によって投与することができる。
【0244】
3. パッケージングおよび製造品
また、パッケージング材料と、本明細書に提供されるいずれかの薬学的組成物または組み合わせと、組成物および組み合わせががんの処置に使用されるものであることを示すラベルとを含む製造品が提供される。例示的な製造品は、単一チャンバー容器および二重チャンバー容器を含む容器である。容器は、限定されることなく、チューブ、ボトルおよびシリンジを含む。容器は、皮下投与用の針をさらに含むことができる。
【0245】
いくつかの態様において、薬剤を、製造品としてパッケージングするために別個に提供することができる。いくつかの態様において、製造品は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート、例えばIR700-抗体コンジュゲートと免疫調節剤とを含有する薬学的組成物を含む。いくつかの態様において、製造品は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)と抗がん剤とを含有する薬学的組成物を含む。いくつかの態様において、製造品は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)と、免疫調節剤とさらなる抗がん剤とを含有する薬学的組成物を含む。
【0246】
本明細書に提供される製造品は、パッケージング材料を含む。医薬品のパッケージングにおける使用のためのパッケージング材料は、当業者に周知である。例えば、米国特許第5,323,907号、第5,052,558号および第5,033,252号(その各々は、その全体が本明細書に組み入れられる)を参照されたい。薬学的パッケージング材料の例は、限定されることなく、ブリスターパック、ボトル、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、シリンジ、ボトル、ならびに、選択された製剤ならびに意図する投与および処置の様式に好適な任意のパッケージング材料を含む。パッケージの選択は、薬剤に依存する。一般に、パッケージングは、その中に含まれる組成物と非反応性である。
【0247】
成分を同じまたは異なる容器内にパッケージングすることができる。例えば、いくつかの態様において、成分は、同じ容器内に別個にパッケージングされる。一般に、このような容器の例は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを含む画定された閉鎖空間と、その他の成分(1つまたは複数)を含む別個の画定された閉鎖空間とを有する容器であって、後続の領域が分離されて成分が別個に投与されることが可能となる、容器を含む。投与前に薬剤が他の成分から分離される限りは、あらゆる容器または他の製造品が企図される。好適な態様について、例えば、米国特許第3,539,794号および第5,171,081号に記載されている容器を参照されたい。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート、免疫調節剤または抗がん剤を各々別個に含む複数の容器が提供される。このような例では、その複数の容器を、キットとして合わせてパッケージングすることができる。
【0248】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを含む容器は、光保護容器内に含まれる。いくつかの態様において、容器は、バイアル、例えばパイロジェンが除去されたガラスバイアルである。いくつかの態様において、容器、例えばバイアルは、特定の波長の光、例えば色素または色素-標的化分子コンジュゲートによって吸収される波長の光を遮断する。いくつかの態様において、コンジュゲートは、光、または光のある波長もしくは強度から内容物を保護する容器を使用して、光から保護される。例えば、いくつかの態様において、容器は、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下の光透過率を有する。いくつかの態様において、容器は、500nm~725nmの間もしくは約500nm~725nmの間、例えば650nm~725nmの間もしくは約650nm~725nmの間の波長を有する光の透過から保護するか、または700ルクス、600ルクス、500ルクス、400ルクス、300ルクス、200ルクス、もしくは100ルクス超の強度の光を透過しない。いくつかの態様において、容器は、緑色、琥珀色、半透明、不透明であるか、または不透明な材料、例えば箔、例えばアルミ箔で被覆される。いくつかの態様において、容器は、滅菌されるかまたはパイロジェン除去される。
【0249】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、複数の密閉容器内に提供される。例えば、容器は、標的化分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを含有する組成物の単回投与用量の一部分を各々個別に含むことができる。いくつかの態様において、複数の密閉容器内のコンジュゲートの組み合わせ量は、100mg~1500mgもしくは約100mg~1500mg、または100mg~1200mgもしくは約100mg~1200mgである。いくつかの態様において、複数の密閉容器内のコンジュゲートの組み合わせ量は、100mg~500mgの間もしくは約100mg~500mgの間、200mg~400mgの間もしくは約200mg~400mgの間、500mg~1500mgの間もしくは約500mg~1500mgの間、800mg~1200mgの間もしくは約800mg~1200mgの間、または1000mg~1500mgの間もしくは約1000mg~1500mgの間である。
【0250】
いくつかの態様において、製造品は、パッケージング材料と、複数のバイアルの内容物を組み合わせて組成物の単回投与量製剤を調製するための説明書を含むラベルまたは添付文書とを含む。
【0251】
いくつかの態様において、容器は、光から内容物を保護するためにさらにパッケージングされる。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-標的化分子コンジュゲート、例えばIR700-抗体コンジュゲート)を含む容器と任意で免疫調節剤または抗がん剤を含む容器とを含む、内部パッケージング材料を含む、パッケージングシステムが提供される。いくつかの態様において、内部パッケージング材料は、20%未満、例えば15%未満、10%未満、5%未満、または1%未満の光透過率を有する。いくつかの態様において、パッケージングシステムは、内部パッケージング材料を含む外部パッケージング材料を含む。いくつかの態様において、外部パッケージング材料は、20%未満、例えば15%未満、10%未満、5%未満、または1%未満の光透過率を有する。いくつかの態様において、内部または外部パッケージング材料は、不透明な箔、例えばアルミ箔を含む。いくつかの態様において、二次パッケージング材料は、アルミパウチである。いくつかの態様において、外部パッケージング材料は、ボール紙を含む。
【0252】
いくつかの態様において、内部および/または外部パッケージング材料は、コンジュゲートの保存に好適である。いくつかの態様において、内部および/または外部パッケージング材料は、コンジュゲートの輸送に好適である。
【0253】
その製造品を含む選択された組成物はまた、キットとして提供することもできる。キットは、製造品として提供される本明細書に記載される薬学的組成物および投与用アイテムを含むことができる。キットは、場合により、投与量、投薬レジメンを含む適用のための説明書および投与様式の説明書を含むことができる。キットはまた、本明細書に記載される薬学的組成物および診断用アイテムを含むことができる。
【0254】
いくつかの態様において、薬剤、例えばフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与に使用される組成物は、有効量の各薬剤を、企図される投与のタイプに適する従来の薬学的担体および賦形剤と合わせて含有する。
【0255】
いくつかの態様において、単回投与量の薬剤、例えばフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートが、単一の容器、例えば薬剤が保存される容器内に含まれる。いくつかの態様において、単回投与量の薬剤が複数の容器内に含まれる、したがって、いくつかの態様において、複数の容器、例えばバイアルが、薬剤の投与に使用される容器、例えば静注(IV)バッグ内で組み合わせられる。いくつかの態様において、IVバッグのような投与に使用される容器は、薬剤を含む1つまたは複数の容器を開けて、内容物をそのバッグ内に、例えば投与(例えば、注入)のために所望の薬剤用量が達成されるまで入れることによって、準備される。IVバッグのような投与容器の準備の間、薬剤の光への曝露を回避するための光予防措置、例えば本明細書に記載される種々の光予防措置がなされた。
【0256】
III. 処置の方法
いくつかの態様において、PITのための、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-標的化分子コンジュゲート、例えばIR700-抗体コンジュゲート)を含有する組成物を使用するための方法および使用が提供される。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートは、疾患または病態と関連する細胞または病原体を、例えば細胞上に発現される細胞表面タンパク質または細胞表面受容体への結合を介して、ターゲティングする。このような方法および使用は、例えば、分子を疾患、病態または障害を有する対象に投与し、その後、光免疫療法(PIT)を達成するために照射し、それによってこのような細胞または病原体の光分解をもたらして疾患または障害の処置を達成する工程を包含する、治療方法および使用を含む。いくつかの態様において、方法を、投与されたフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(IR700-標的化分子コンジュゲート、例えばIR700-抗体コンジュゲート)が腫瘍と関連する細胞へ標的指向され、それによってこのような細胞の光分解をもたらし、いくつかの場合では、腫瘍の処置をもたらす、腫瘍またはがんの処置に使用することができる。使用は、このような方法および処置における組成物の使用、ならびに、このような治療方法を行うための医薬の調製におけるこのような組成物の使用を含む。いくつかの態様において、方法および使用は、それによって、対象における疾患または病態または障害、例えば腫瘍またはがんを処置する。
【0257】
いくつかの態様において、方法は、一般に殺傷のために標的とされる細胞がコンジュゲートと接触させられる条件下での、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR-700抗体コンジュゲート)の対象への投与を含む。いくつかの態様において、本方法は、コンジュゲートの標的化分子(例えば、抗体)部分の、腫瘍またはがんと関連する細胞表面タンパク質への結合をもたらす。コンジュゲートと接触した後またはコンジュゲートを投与した後、標的とされる細胞、例えば、腫瘍と関連する細胞(1つまたは複数)を含む対象の局所域は、色素によって吸収される光、一般にNIR光に曝露または照射され、それによってコンジュゲートが活性化されて特異的細胞殺傷が達成される。いくつかの態様において、照射は、600nm~850nmの波長で、少なくとも1J cm-2または少なくとも1J/ファイバ長cmの線量で実施される。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR-700抗体コンジュゲート)を投与する方法は、米国特許第8,524,239号または米国特許出願公開第US2014/0120119号に記載される方法を含む。
【0258】
A. 処置される腫瘍および対象
いくつかの態様において、病変は、腫瘍である。いくつかの態様において、腫瘍は、がんである。いくつかの態様において、がんは、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、肺、または血液のがんである。いくつかの態様において、がんは、異常なまたは無制御な細胞成長によって特徴付けられる悪性腫瘍を含み得る。がんと関連し得る他の特徴は、転移、隣接細胞の正常な機能の妨害、サイトカインまたは他の分泌生成物の異常なレベルでの放出および炎症性または免疫学的応答の抑制または悪化、リンパ節のような周囲または遠隔の組織または臓器の侵入などを含む。転移性疾患は、元々の腫瘍部位から離れ、例えば血流またはリンパ系を介して、身体の他の部位へ移動したがん細胞のことを指し得る。いくつかの態様において、開示の方法によって標的とされる細胞は、がん細胞または免疫細胞である。いくつかの態様において、がん細胞は、がん幹細胞である。いくつかの態様において、開示の方法によって標的とされる細胞は、がん細胞、腫瘍細胞、炎症性細胞、免疫細胞、神経細胞、幹細胞、増殖性細胞、または過形成状態の細胞である細胞である。
【0259】
標的細胞は、腫瘍またはがん細胞のような望ましくない細胞またはその成長が望ましくない細胞でありうる。いくつかの態様において、細胞は、培養下で成長できるか、または処置される哺乳動物、例えばがんを有する対象中に存在することができる。任意の標的細胞は、特許請求される方法で処置することができる。いくつかの態様において、標的細胞は、他の正常細胞の表面に実質的に見いだされない細胞表面タンパク質を発現する。いくつかの態様において、このようなタンパク質に特異的に結合する抗体を選択することができ、フタロシアニン色素-抗体コンジュゲートがそのタンパク質に対して生成され得る。いくつかの態様において、細胞表面タンパク質は、腫瘍特異的タンパク質である。いくつかの態様において、細胞表面タンパク質は、望ましくない移植拒絶と関連する細胞をターゲティングするために使用することができる、CD25である。
【0260】
いくつかの態様において、腫瘍細胞は、がん細胞、例えばがんを有する対象中の細胞である。開示の方法で標的とされうる例示的な細胞は、以下の腫瘍の細胞を含む:液性腫瘍、例えば、白血病であって、急性白血病(例えば急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、ならびに骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤白血病)、慢性白血病(例えば慢性骨髄性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ性白血病)を含む白血病、真性多血症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、重鎖病)。いくつかの態様において、細胞は、固形腫瘍細胞、例えば、肉腫または癌腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、および他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、肺癌、結腸直腸癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、例えば膵臓、結腸、卵巣、肺、乳房、胃、前立腺、子宮頸部、または食道の腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、膀胱癌、CNS腫瘍、例えば神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫ならびに網膜芽細胞腫である。いくつかの態様において、がんは、頭頸部の扁平上皮癌である。
【0261】
特許請求される方法で処置することができる例示的な腫瘍、例えばがんは、固形腫瘍、例えば、乳房癌腫、例えば小葉および腺管癌、肉腫、肺の癌腫、例えば非小細胞癌、大細胞癌、扁平上皮癌、および腺癌、肺の中皮腫、結腸直腸腺癌、胃癌、前立腺腺癌、卵巣癌、例えば漿液性嚢胞腺癌および粘液性嚢胞腺癌、卵巣胚細胞腫瘍、精巣癌および胚細胞腫瘍、膵臓腺癌、胆管腺癌、肝細胞癌、膀胱癌(例えば、移行上皮癌、腺癌、および扁平上皮癌を含む)、腎細胞腺癌、子宮内膜癌(例えば、腺癌および混合ミュラー管腫瘍(癌肉腫)を含む)、子宮頸内膜、子宮頸膣部、および膣の癌腫、例えばその各々の腺癌および扁平上皮癌、皮膚の腫瘍、例えば扁平上皮癌、基底細胞癌、悪性黒色腫、皮膚付属器(appendage)腫瘍、カポジ肉腫、皮膚リンパ腫、皮膚付属器(adnexal)腫瘍ならびに種々のタイプの肉腫およびメルケル細胞癌、食道癌、鼻咽頭および中咽頭の癌腫(その扁平上皮癌および腺癌を含む)、唾液腺癌、脳および中枢神経系の腫瘍(例えば、膠細胞、神経細胞、および髄膜起源の腫瘍を含む)、末梢神経の腫瘍、軟組織肉腫ならびに骨および軟骨の肉腫、ならびにリンパ系腫瘍(B細胞およびT細胞悪性リンパ腫を含む)を含む。いくつかの態様において、腫瘍は、腺癌である。
【0262】
また、本方法を使用して、液性腫瘍、例えばリンパ系の白血球、または他のタイプの白血病を処置することができる。いくつかの態様において、処置される腫瘍は、血液の腫瘍、例えば白血病、例えば急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病(HCL)、T細胞前リンパ球性白血病(T-PLL)、大顆粒リンパ球性白血病、および成人T細胞白血病、リンパ腫、例えばホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、ならびに骨髄腫である。
【0263】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、病変の表面にまたは病変の微小環境中に存在する細胞の表面に発現されるタンパク質へ標的指向される。例えば、いくつかの態様において、コンジュゲートは、腫瘍中の細胞の表面にまたは腫瘍の微小環境中の細胞の表面に発現されるタンパク質へ標的指向される。例示的なこのような細胞表面タンパク質は、上記のものを含む本明細書に記載のとおりのいずれかである。
【0264】
いくつかの態様において、標的とされる標的細胞の細胞表面上のタンパク質は、他の細胞上に有意な量で存在しない。例えば、細胞表面タンパク質は、標的細胞タイプ上にのみ見いだされる受容体でありうる。
【0265】
いくつかの態様において、腫瘍中に発現されるタンパク質、例えば、腫瘍特異的タンパク質は、HER1/EGFR、HER2/ERBB2、CD20、CD25(IL-2Rα受容体)、CD33、CD52、CD133、CD206、CEA、癌抗原125(CA 125)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ルイスY、TAG72、血管内皮成長因子(VEGF)、CD30、EpCAM、EphA2、グリピカン-3、gpA33、ムチン、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(例えばGD2、GD3、GM1およびGM2)、VEGF受容体(VEGFR)、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、AFP、BCR複合体、CD3、CD18、CD44、CTLA-4、gp72、HLA-DR10β、HLA-DR抗原、IgE、MUC-1、nuC242、PEM抗原、SK-1抗原またはPD-L1でありうる。いくつかの態様において、腫瘍特異性タンパク質は、PD-L1、HER1/EGFR、HER2、CD20、CD25、CD33、CD52、前立腺特異性膜抗原(PSMA)、EpCAM、EphA2、CD206、CD44、CD133、メソテリン、グリピカン-3、または癌胎児性抗原(CEA)である。他の細胞表面タンパク質は、上記したとおりのいずれかを含む。
【0266】
いくつかの態様において、細胞表面タンパク質は腫瘍に関連する、例えば、腫瘍特異的タンパク質または腫瘍特異的抗原、例えばEGF受容体ファミリーのメンバー(例えば、HER1、2、3、および4)およびサイトカイン受容体のメンバー(例えば、CD20、CD25、IL-13R、CD5、CD52など)である。いくつかの態様において、腫瘍特異的タンパク質は、正常細胞のような他の細胞と比較して、がん細胞に固有であるかまたはがん細胞上で非常に豊富なタンパク質である。例えば、HER2は、一般に乳癌において見いだされるが、一方、HER1は、典型的には腺癌において見いだされ、これは、膵臓、乳房、前立腺および結腸のような多くの臓器に見いだすことができる。
【0267】
標的細胞上に見いだすことができる例示的な腫瘍関連タンパク質であって、標的化分子、例えばそのタンパク質に特異的な抗体または抗体断片を使用してフタロシアニン色素-抗体コンジュゲートを製剤化することができる例示的な腫瘍関連タンパク質は、非限定的に、以下を含む:MAGE1、MAGE2、MAGE3、およびMAGE4を含む種々のMAGE(黒色腫関連抗原E)のいずれか、種々のチロシナーゼのいずれか、突然変異体Ras、突然変異体p53、p97黒色腫抗原、乳房腫瘍と関連し得るヒト乳脂肪球(HMFG)、BAGE1およびBAGE2を含む種々のBAGE(ヒトB黒色腫関連抗原E)のいずれか、GAGE1、GAGE2-6を含む種々の GAGE(G抗原)のいずれか、種々のガングリオシド、ならびにCD25。
【0268】
他の腫瘍関連タンパク質は、子宮頸癌と関連するHPV16/18およびE6/E7抗原、乳房癌腫と関連し得るムチン(MUC 1)-KLH抗原、結腸直腸癌と関連し得るCEA(癌胎児性抗原)、例えば黒色腫と関連し得るgp100、黒色腫と関連し得るMARTI抗原、卵巣および他のがんと関連し得る癌抗原125(CA125、ムチン16またはMUC16としても知られている)、肝臓癌と関連し得るアルファ-フェトプロテイン(AFP)、結腸直腸癌、胆管癌、乳癌、肺小細胞癌、および他のがんと関連し得るルイスY抗原、腺癌と関連し得る腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、ならびに前立腺癌と関連し得るPSA抗原を含む。
【0269】
他の例示的な腫瘍関連タンパク質は、非限定的に、前立腺癌と同様に固形腫瘍血管新生と関連し得るPMSA(前立腺膜特異性抗原)、乳癌、卵巣癌、胃癌および子宮癌と関連し得るHER-2(ヒト上皮細胞成長因子受容体2)、肺癌、肛門癌、および膠芽腫ならびに腺癌と関連し得るHER-1、黒色腫、肉腫、精巣癌、および他のがんと関連し得るNY-ESO-1、hTERT(テロメラーゼとしても知られる)、プロテイナーゼ3、ならびにウィルムス腫瘍1(WT-1)をさらに含む。
【0270】
いくつかの態様において、腫瘍関連タンパク質は、CD52でありかつ慢性リンパ性白血病と関連し得るか、CD33でありかつ急性骨髄性白血病と関連し得るか、またはCD20でありかつ非ホジキンリンパ腫と関連し得る。
【0271】
したがって、開示の方法を使用して、腫瘍特異的タンパク質を発現する任意のがんを処置することができる。いくつかの態様において、腫瘍治療薬は、抗体、抗原結合断片、タンパク質、糖タンパク質、ペプチド ポリペプチド、ウイルス、ウイルスカプシド、またはウイルス粒子である。いくつかの態様において、腫瘍治療薬は、抗体または抗原結合断片である。
【0272】
いくつかの態様において、対象は、ヒトまたはヒト以外の哺乳動物である。いくつかの態様において、対象は、ヒトまたは動物対象、例えばマウスである。いくつかの態様において、対象は、がんを有するかまたはがんが処置されている哺乳動物、例えばヒトである。いくつかの態様において 開示の方法を使用して、腫瘍、例えば本明細書に記載される腫瘍を有する対象を処置する。いくつかの態様において、腫瘍は、以前に処置され、例えば外科的にまたは化学的に除去されており、開示の方法をその後に使用して、対象内に残留し得る任意の残留している望ましくない腫瘍細胞を殺傷する。
【0273】
開示の方法を使用して、腫瘍、例えばがんを有するか、またはがんが以前に除去もしくは処置された、任意の哺乳動物対象、例えばヒトを処置することができる。本開示の治療を必要とする対象は、がんを有するヒト対象であって、がん細胞がフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートに特異的に結合することができる細胞表面上に腫瘍特異的タンパク質を発現する、ヒト対象を含みうる。例えば、開示の方法を、単独、または放射線もしくは他の化学療法との組み合わせのいずれかで、がんの初期処置として使用することができる。また、開示の方法を、以前の放射線または化学療法が失敗した患者に使用することができる。したがって、いくつかの態様において、対象は、他の治療を受けている対象であるが、その他の治療が所望の治療応答を提供していない対象である。また、開示の方法を、限局性および/または転移性のがんを有する患者に使用することができる。
【0274】
いくつかの態様において、方法は、本開示の治療から恩恵を受ける対象を選択する工程、例えば、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートに特異的に結合することができる細胞表面タンパク質、例えば腫瘍特異的タンパク質を発現する腫瘍を有する対象を選択する工程を含む。例えば、対象がHER1を発現する乳癌を有すると決定された場合、セツキシマブ-IR700のような抗HER1-IR700分子で処置される対象が選択され得る。
【0275】
B. 投与量および投与
フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)を含有する本明細書に提供される組成物は、治療上有用な効果を発揮するのに十分な量で投与される。典型的には、活性剤は、処置されている患者に望ましくない副作用をもたらさない量で、または、上記薬剤の1つでの単剤処置に必要な投与量および量と比較して、観察される副作用を最小限に抑えるまたは低減する量で投与される。
【0276】
フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)のそれを必要とする患者への最適な投与量(単独または1つまたは複数の他の薬剤との組み合わせのいずれかでの)を決定する方法は、当技術分野において周知である標準的な用量応答および毒性研究によって決定され得る。
【0277】
ヒトまたは獣医科対象へ投与される治療薬、例えばフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)の量は、対象と関連する多数の要因、例えば対象の総合的な健康に依存して変化するだろう。いくつかの態様において、生成物の投与量を変化させ、かつ腫瘍の退行などの生じた治療応答を測定することによって、薬剤の有効量を決定することができる。いくつかの態様において、種々のインビトロ、インビボまたはインサイチュー免疫測定法を通して有効量を決定することができる。いくつかの態様において、所望の応答を得るために必要に応じて、開示される薬剤を単回用量でまたは複数回用量で投与することができる。いくつかの態様において、有効量は、適用される供給源、処置されている対象、処置されている病態の重症度およびタイプ、ならびに投与の様式に依存する。
【0278】
いくつかの態様において、治療有効量は、単独でまたは化学療法薬のような追加の治療薬と合わせて、組成物で処置されている対象においてまたは細胞において所望の効果を達成するのに十分な、組成物の量である。治療薬、例えばフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)の有効量は、処置されている対象または細胞、特定の治療薬、および治療用組成物の投与の様式を非限定的に含む、いくつかの要因に依存することができる。いくつかの態様において、治療有効量または濃度は、疾患の転移のような進展を防止するか、疾患の進行を遅延させるか、もしくは疾患の退行を引き起こすのに十分なもの、またはがんのような疾患によって引き起こされる症状を低減することが可能なものである。いくつかの態様において、治療有効量または濃度は、腫瘍を有する患者の生存時間を増加させるのに十分なものである。
【0279】
いくつかの態様において、コンジュゲートの治療有効用量は、10mg/m2~5000mg/m2の間もしくは約10mg/m2~5000mg/m2の間、例えば10mg/m2~3000mg/m2、10mg/m2~1500mg/m2、10mg/m2~750mg/m2、10mg/m2~500mg/m2、10mg/m2~250mg/m2、10mg/m2~200mg/m2、10mg/m2~100mg/m2、10mg/m2~75mg/m2、10mg/m2~50mg/m2、10mg/m2~25mg/m2、25mg/m2~5000mg/m2、25mg/m2~3000mg/m2、25mg/m2~1500mg/m2、25mg/m2~750mg/m2、25mg/m2~500mg/m2、25mg/m2~250mg/m2、25mg/m2~200mg/m2、25mg/m2~100mg/m2、25mg/m2~75mg/m2、25mg/m2~50mg/m2、50mg/m2~5000mg/m2、50mg/m2~3000mg/m2、50mg/m2~1500mg/m2、50mg/m2~750mg/m2、50mg/m2~500mg/m2、50mg/m2~250mg/m2、50mg/m2~200mg/m2、50mg/m2~100mg/m2、50mg/m2~75mg/m2、75mg/m2~5000mg/m2、75mg/m2~3000mg/m2、75mg/m2~1500mg/m2、75mg/m2~1000mg/m2、75mg/m2~750mg/m2、75mg/m2~500mg/m2、75mg/m2~250mg/m2、75mg/m2~225mg/m2、75mg/m2~200mg/m2、75mg/m2~100mg/m2、100mg/m2~5000mg/m2、100mg/m2~3000mg/m2、100mg/m2~1500mg/m2、100mg/m2~750mg/m2、100mg/m2~500mg/m2、100mg/m2~250mg/m2、100mg/m2~200mg/m2、100mg/m2~150mg/m2、150mg/m2~5000mg/m2、150mg/m2~3000mg/m2、150mg/m2~1500mg/m2、150mg/m2~750mg/m2、150mg/m2~500mg/m2、150mg/m2~250mg/m2、150mg/m2~200mg/m2、200mg/m2~5000mg/m2、200mg/m2~3000mg/m2、200mg/m2~1500mg/m2、200mg/m2~750mg/m2、200mg/m2~500mg/m2、200mg/m2~250mg/m2、250mg/m2~5000mg/m2、250mg/m2~3000mg/m2、250mg/m2~1500mg/m2、250mg/m2~750mg/m2、250mg/m2~500mg/m2、500mg/m2~5000mg/m2、500mg/m2~3000mg/m2、500mg/m2~1500mg/m2、500mg/m2~750mg/m2、750mg/m2~5000mg/m2、750mg/m2~3000mg/m2、750mg/m2~1500mg/m2、1500mg/m2~5000mg/m2、1500mg/m2~3000mg/m2、および3000mg/m2~5000mg/m2の間、または約10mg/m2~3000mg/m2、10mg/m2~1500mg/m2、10mg/m2~750mg/m2、10mg/m2~500mg/m2、10mg/m2~250mg/m2、10mg/m2~200mg/m2、10mg/m2~100mg/m2、10mg/m2~75mg/m2、10mg/m2~50mg/m2、10mg/m2~25mg/m2、25mg/m2~5000mg/m2、25mg/m2~3000mg/m2、25mg/m2~1500mg/m2、25mg/m2~750mg/m2、25mg/m2~500mg/m2、25mg/m2~250mg/m2、25mg/m2~200mg/m2、25mg/m2~100mg/m2、25mg/m2~75mg/m2、25mg/m2~50mg/m2、50mg/m2~5000mg/m2、50mg/m2~3000mg/m2、50mg/m2~1500mg/m2、50mg/m2~750mg/m2、50mg/m2~500mg/m2、50mg/m2~250mg/m2、50mg/m2~200mg/m2、50mg/m2~100mg/m2、50mg/m2~75mg/m2、75mg/m2~5000mg/m2、75mg/m2~3000mg/m2、75mg/m2~1500mg/m2、75mg/m2~1000mg/m2、75mg/m2~750mg/m2、75mg/m2~500mg/m2、75mg/m2~250mg/m2、75mg/m2~225mg/m2、75mg/m2~200mg/m2、75mg/m2~100mg/m2、100mg/m2~5000mg/m2、100mg/m2~3000mg/m2、100mg/m2~1500mg/m2、100mg/m2~750mg/m2、100mg/m2~500mg/m2、100mg/m2~250mg/m2、100mg/m2~200mg/m2、100mg/m2~150mg/m2、150mg/m2~5000mg/m2、150mg/m2~3000mg/m2、150mg/m2~1500mg/m2、150mg/m2~750mg/m2、150mg/m2~500mg/m2、150mg/m2~250mg/m2、150mg/m2~200mg/m2、200mg/m2~5000mg/m2、200mg/m2~3000mg/m2、200mg/m2~1500mg/m2、200mg/m2~750mg/m2、200mg/m2~500mg/m2、200mg/m2~250mg/m2、250mg/m2~5000mg/m2、250mg/m2~3000mg/m2、250mg/m2~1500mg/m2、250mg/m2~750mg/m2、250mg/m2~500mg/m2、500mg/m2~5000mg/m2、500mg/m2~3000mg/m2、500mg/m2~1500mg/m2、500mg/m2~750mg/m2、750mg/m2~5000mg/m2、750mg/m2~3000mg/m2、750mg/m2~1500mg/m2、1500mg/m2~5000mg/m2、1500mg/m2~3000mg/m2、および3000mg/m2~5000mg/m2の間である。いくつかの態様において、コンジュゲートの治療有効用量は、10mg/m2、50mg/m2、75mg/m2、100mg/m2、150mg/m2、200mg/m2、225mg/m2、250mg/m2、300mg/m2、400mg/m2、500mg/m2、600mg/m2、700mg/m2、800mg/m2、900mg/m2、1000mg/m2、1250mg/m2、1500mg/m2、2000mg/m2、2500mg/m2、3000mg/m2、3500mg/m2、4000mg/m2、4500mg/m2、または5000mg/m2以下である。いくつかの態様において、該用量は、50mg/m2~約5000mg/m2もしくは約50mg/m2~約5000mg/m2、約250mg/m2~約2500mg/m2、約750mg/m2~約1250mg/m2、または約100mg/m2~約1000mg/m2である。いくつかの態様において、該用量は、160mg/m2、320mg/m2、640mg/m2もしくは1280mg/m2であるか、または約160mg/m2、320mg/m2、640mg/m2もしくは1280mg/m2である。
【0280】
いくつかの態様において、コンジュゲートの治療有効用量は、0.25mg/kg~150mg/kg、0.25mg/kg~100mg/kg、0.25mg/kg~75mg/kg、0.25mg/kg~60mg/kg、0.25mg/kg~50mg/kg、0.25mg/kg~25mg/kg、0.25mg/kg~10mg/kg、0.25mg/kg~7.5mg/kg、0.25mg/kg~5.0mg/kg、0.25mg/kg~2.5mg/kg、0.25mg/kg~1.0mg/kg、0.25mg/kg~0.5mg/kg、0.50mg/kg~150mg/kg、0.50mg/kg~100mg/kg、0.50mg/kg~75mg/kg、0.50mg/kg~60mg/kg、0.50mg/kg~50mg/kg、0.50mg/kg~25mg/kg、0.50mg/kg~10mg/kg、0.50mg/kg~7.5mg/kg、0.50mg/kg~5.0mg/kg、0.50mg/kg~2.5mg/kg、0.50mg/kg~1.0mg/kg、1.0mg/kg~150mg/kg、1.0mg/kg~100mg/kg、1.0mg/kg~75mg/kg、1.0mg/kg~60mg/kg、1.0mg/kg~50mg/kg、1.0mg/kg~25mg/kg、1.0mg/kg~10mg/kg、1.0mg/kg~7.5mg/kg、1.0mg/kg~5.0mg/kg、1.0mg/kg~2.5mg/kg、2.5mg/kg~150mg/kg、2.5mg/kg~100mg/kg、2.5mg/kg~75mg/kg、2.5mg/kg~60mg/kg、2.5mg/kg~50mg/kg、2.5mg/kg~25mg/kg、2.5mg/kg~10mg/kg、2.5mg/kg~7.5mg/kg、2.5mg/kg~5.0mg/kg、5.0mg/kg~150mg/kg、5.0mg/kg~100mg/kg、5.0mg/kg~75mg/kg、5.0mg/kg~60mg/kg、5.0mg/kg~50mg/kg、5.0mg/kg~25mg/kg、5.0mg/kg~10mg/kg、5.0mg/kg~7.5mg/kg、7.5mg/kg~150mg/kg、7.5mg/kg~100mg/kg、7.5mg/kg~75mg/kg、7.5mg/kg~60mg/kg、7.5mg/kg~50mg/kg、7.5mg/kg~25mg/kg、7.5mg/kg~10mg/kg、10mg/kg~150mg/kg、10mg/kg~100mg/kg、10mg/kg~75mg/kg、10mg/kg~60mg/kg、10mg/kg~50mg/kg、10mg/kg~25mg/kg、25mg/kg~150mg/kg、25mg/kg~100mg/kg、25mg/kg~75mg/kg、25mg/kg~60mg/kg、25mg/kg~50mg/kg、50mg/kg~150mg/kg、50mg/kg~100mg/kg、50mg/kg~75mg/kg、50mg/kg~60mg/kg、60mg/kg~150mg/kg、60mg/kg~100mg/kg、60mg/kg~75mg/kg、75mg/kg~150mg/kg、75mg/kg~100mg/kg、および100mg/kg~150mg/kgの間、または約0.25mg/kg~150mg/kg、0.25mg/kg~100mg/kg、0.25mg/kg~75mg/kg、0.25mg/kg~60mg/kg、0.25mg/kg~50mg/kg、0.25mg/kg~25mg/kg、0.25mg/kg~10mg/kg、0.25mg/kg~7.5mg/kg、0.25mg/kg~5.0mg/kg、0.25mg/kg~2.5mg/kg、0.25mg/kg~1.0mg/kg、0.25mg/kg~0.5mg/kg、0.50mg/kg~150mg/kg、0.50mg/kg~100mg/kg、0.50mg/kg~75mg/kg、0.50mg/kg~60mg/kg、0.50mg/kg~50mg/kg、0.50mg/kg~25mg/kg、0.50mg/kg~10mg/kg、0.50mg/kg~7.5mg/kg、0.50mg/kg~5.0mg/kg、0.50mg/kg~2.5mg/kg、0.50mg/kg~1.0mg/kg、1.0mg/kg~150mg/kg、1.0mg/kg~100mg/kg、1.0mg/kg~75mg/kg、1.0mg/kg~60mg/kg、1.0mg/kg~50mg/kg、1.0mg/kg~25mg/kg、1.0mg/kg~10mg/kg、1.0mg/kg~7.5mg/kg、1.0mg/kg~5.0mg/kg、1.0mg/kg~2.5mg/kg、2.5mg/kg~150mg/kg、2.5mg/kg~100mg/kg、2.5mg/kg~75mg/kg、2.5mg/kg~60mg/kg、2.5mg/kg~50mg/kg、2.5mg/kg~25mg/kg、2.5mg/kg~10mg/kg、2.5mg/kg~7.5mg/kg、2.5mg/kg~5.0mg/kg、5.0mg/kg~150mg/kg、5.0mg/kg~100mg/kg、5.0mg/kg~75mg/kg、5.0mg/kg~60mg/kg、5.0mg/kg~50mg/kg、5.0mg/kg~25mg/kg、5.0mg/kg~10mg/kg、5.0mg/kg~7.5mg/kg、7.5mg/kg~150mg/kg、7.5mg/kg~100mg/kg、7.5mg/kg~75mg/kg、7.5mg/kg~60mg/kg、7.5mg/kg~50mg/kg、7.5mg/kg~25mg/kg、7.5mg/kg~10mg/kg、10mg/kg~150mg/kg、10mg/kg~100mg/kg、10mg/kg~75mg/kg、10mg/kg~60mg/kg、10mg/kg~50mg/kg、10mg/kg~25mg/kg、25mg/kg~150mg/kg、25mg/kg~100mg/kg、25mg/kg~75mg/kg、25mg/kg~60mg/kg、25mg/kg~50mg/kg、50mg/kg~150mg/kg、50mg/kg~100mg/kg、50mg/kg~75mg/kg、50mg/kg~60mg/kg、60mg/kg~150mg/kg、60mg/kg~100mg/kg、60mg/kg~75mg/kg、75mg/kg~150mg/kg、75mg/kg~100mg/kg、および100mg/kg~150mg/kgの間である。いくつかの態様において、コンジュゲートの治療有効用量は、0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kg、4.0mg/kg、5.0mg/kg、6.0mg/kg、7.0mg/kg、8.0mg/kg、9.0mg/kg、10.0mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、50mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、90mg/kg、100mg/kg、125mg/kgまたは150mg/kg以下である。
【0281】
いくつかの態様において、治療有効量は、少なくとも0.01mg、0.1mg、0.5mg、1mg、5mg、10mg、50mg、100mg、200mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、2000mg、3000mgまたはそれ以上、または少なくとも約0.01mg、0.1mg、0.5mg、1mg、5mg、10mg、50mg、100mg、200mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、2000mg、3000mgまたはそれ以上である。
【0282】
いくつかの態様において、方法は、疾患または病態を有する対象に、治療有効量のフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート、例えば、IR700-抗体コンジュゲートを投与する工程を含む。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートは、腫瘍、病変または過形成の微小環境中に存在する細胞へ標的指向される。いくつかの態様において、治療有効用量のコンジュゲートが静脈内投与される。いくつかの態様において、治療有効用量のコンジュゲートが腫瘍内に投与される。
【0283】
いくつかの態様において、コンジュゲートの用量は、例えば腫瘍内にまたは腹腔内(IP)に投与されるとき、少なくとも10μg/kg、例えば少なくとも100μg/kg、少なくとも500μg/kg、または少なくとも500μg/kg、例えば10μg/kg~1000μg/kg、例えば約100μg/kg、約250μg/kg、約500μg/kg、約750μg/kg、または約1000μg/kgの用量である。いくつかの態様において、該用量は、少なくとも1μg/ml、例えば少なくとも500μg/ml、例えば20μg/ml~100μg/mlの間、例えば約10μg/ml、約20μg/ml、約30μg/ml、約40μg/ml、約50μg/ml、約60μg/ml、約70μg/ml、約80μg/ml、約90μg/mlまたは約100μg/mlである(例えば、局部液剤で投与される)。
【0284】
いくつかの態様において、治療有効用量は、ヒトに投与される用量である。いくつかの態様において、平均的なヒトの体重は、60~85kg、例えば約75kgまたはおよそ75kgである。
【0285】
いくつかの態様において、治療有効用量は、標的化分子(例えば、抗体または抗原結合抗体断片)にコンジュゲートされたフタロシアニン色素を含有する投与されたコンジュゲートが、そのようにコンジュゲートされていない標的化分子(例えば、抗体または抗原結合抗体断片)の治療有効全身曝露(例えば、臨床的に許容し得る用量の薬物標的化分子を薬物単独で投与したときに生じる)を超えない全身曝露を達成する、治療有効用量である。
【0286】
用語「全身曝露」は、薬物標的化分子の投与後の血漿(血液または血清)における薬物標的化分子の実際の身体曝露を指し、かつ、ある用量の薬物標的化分子の投与後の薬物動態分析によって決定された場合の血漿薬物濃度-時間曲線下面積(AUC)として示すことができる。いくつかの場合では、AUCは、mg*h/Lまたはその対応する単位(例えば、μg*h/L)で表される。いくつかの態様において、AUCは、試料患者集団のような患者集団における平均AUCとして、例えば、1つまたは複数の患者由来の平均AUCとして測定される。いくつかの態様において、全身曝露は、全ての測定されたデータおよび測定された薬物動態(PK)パラメーターから外挿されたデータを含む、0から無限(infまたは∞)までの曲線下面積(AUC)(AUC0-∞またはAUC[0-inf])、例えば、試料患者集団のような患者集団由来の平均AUCを指す。いくつかの態様において、AUC0-∞は、1か月間のPK情報に基づいて予測される。いくつかの態様において、全身曝露は、実験的に測定された0から最後の時点までのAUC(AUC0-last)を指す。いくつかの態様において、PITが照明または照射が行われる時点での腫瘍中のコンジュゲートの用量または量に依存するので、全身曝露は、光照射または照明の時点に生じる曝露(AUC)である。いくつかの態様において、光照射または照明は、コンジュゲートの投与後の、24時間±3時間以内もしくは約24時間±3時間以内または約24時間±3時間、例えば、24時間±2時間以内もしくは約24時間±2時間以内または約24時間±2時間に行われる。したがって、いくつかの態様において、全身曝露は、0から24時間までの曲線下面積(AUC)(AUC0-24またはAUC[0-24])を指す。いくつかの態様において、全身曝露は、試料患者集団のような患者集団由来の、0から24時間までの曲線下平均面積(AUC)(AUC0-24またはAUC[0-24])を指す。
【0287】
いくつかの態様において、治療有効用量は、標的化分子(例えば、抗体または抗原結合抗体断片)にコンジュゲートされたフタロシアニン色素を含有する投与されたコンジュゲートが、そのようにコンジュゲートされていない標的化分子の臨床的に許容し得る用量のAUC0-∞より実質的に低いAUC0-24に基づいて測定された場合の全身曝露を達成する、治療有効用量である。いくつかの場合では、なぜなら、PITの時点(光照射または照明の時点)に達成されるコンジュゲートの治療有効全身曝露は、上記のとおりPIT活性の当該期間であるからである。対照的に、いくつかの場合では、そのようにコンジュゲートされていない標的化分子(例えば、コンジュゲートされていないセツキシマブ)についての、例えば薬理活性を達成するための治療有効全身曝露のために、標的化分子(例えば、抗体)は、非常に高い曝露で存在しなければならない。例えば、Erbitux(セツキシマブ)のFDAガイドライン下で、抗体は、400mg/m2で投与され、週用量は250mg/m2である。いくつかの場合では、患者は、コンジュゲートされていない標的化分子(例えば、抗体)の連続処置を1か月超必要とし得る。
【0288】
用語「治療有効全身曝露」は、臨床的に許容し得ると見なされるおよび/または許容し得る安全性プロフィールを有しながら治療効果を達成する、薬理活性に関する薬物標的化分子(例えば、抗体)の用量によって達成される全身曝露を指す。臨床的に許容し得るおよび/または許容し得る安全性プロフィールを有しながら治療効果を達成する、薬物標的化分子(例えば、抗体)の用量を決定または同定することは、当業者が備えている技能の範囲内である。いくつかの態様において、薬物標的化分子の臨床的に許容し得る用量は、米国食品医薬品局(FDA)または他の規制機関(例えば、EMA、PDMA)によって実施されるような、動物、特定するとヒトにおける臨床試験の結果として決定される。いくつかの態様において、治療有効全身曝露は、薬物標的化分子(例えば、抗体)の単回投与量投与からか、または、毎日、毎週、各週もしくは毎月投薬のような投与サイクルでの薬物標的化分子(例えば、薬剤)の繰り返し投与によるかのいずれかから生じる全身曝露を含む。
【0289】
例示的な抗体薬についての例示的なFDAによって承認されている臨床的に許容し得る投薬スケジュールは、表1に示される。いくつかの態様において、フタロシアニン色素にコンジュゲートされていない薬物標的化分子を含む、薬物標的化分子の治療有効全身曝露は、臨床的に許容し得るまたは承認された用量で初期用量の単回投与として投与されるまたは投与量サイクルでの繰り返し投与によって投与される対象集団の薬物動態研究から決定できるかまたは公知である(例えば、FDAによって承認されている投薬範囲内でのセツキシマブの用量の単回投与量投与後の観察された全身曝露(AUC)については、Fracasso et al. (2007) Clin. Cancer. Res., 13:986を参照のこと)。
【0290】
(表1)例示的な薬物抗体標的化分子のFDAによって承認されている用量
www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/drugsatfda/index.cfmから得られる
【0291】
いくつかの態様において、コンジュゲートの治療有効用量は、標的化分子(例えば、抗体または抗原結合抗体断片)にコンジュゲートされたフタロシアニン色素(例えば、IR700)を含有する投与されたコンジュゲートが、そのようにコンジュゲートされていない対応する標的化分子(例えば、抗体または抗原結合抗体断片)の試料患者集団のような患者集団についての治療有効平均全身曝露の75%以下、70%以下、60%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、25%以下、20%以下である、試料患者集団のような患者集団についての平均全身曝露(例えば、AUC)を達成する、治療有効用量である。典型的には、コンジュゲートの全身曝露は、PITによって光毒性を示すことができるほど十分に高い。
【0292】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、患者集団、例えばコンジュゲートの投与後の試料患者集団についての時点0から無限までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下面積(AUC[0-inf]またはAUC0-∞)によって測定される場合、250μg/mL*h(μg*h/mLと互換的に使用される)~100,000μg/mL*hの間もしくは約250μg/mL*h~100,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~50,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~50,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~25,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~25,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~18,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~18,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間、または500μg/mL*h~2,500μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~2,500μg/mL*hの間である平均全身曝露を達成するために投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、患者集団、例えばコンジュゲートの投与後の試料患者集団についての時点0から無限までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積(AUC[0-inf]またはAUC0-∞)によって測定された場合、100,000μg/mL*h以下、75,000μg/mL*h以下、50,000μg/mL*h以下、40,000μg/mL*h以下、30,000μg/mL*h以下、20,000μg/mL*h以下、10,000μg/mL*h以下、5,000μg/mL*h以下、2,500μg/mL*h以下である全身曝露を達成するために投与される。
【0293】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、患者集団、例えばコンジュゲートの投与後の試料患者集団についての時点0から24時間までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下面積(AUC[0-24]またはAUC0-24)によって測定された場合、100μg/mL*h~25,000μg/mL*hの間もしくは約100μg/mL*h~25,000μg/mL*hの間、200μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間もしくは約200μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間の平均全身曝露;または、患者集団、例えばコンジュゲートの投与後の試料患者集団についてのAUC0-24によって測定された場合、25,000μg/mL*h以下、15,000μg/mL*h以下、10,000μg/mL*h以下、5,000μg/mL*h以下、2,500μg/mL*h以下、1,000μg/mL*h以下、もしくは500μg/mL*h以下である平均全身曝露を達成するために投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートの投与後の血漿コンジュゲートAUC0-24は、500μg/mL*h~8,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~8,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~2,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~2,000μg/mL*hの間、または1000μg/mL*h~4,000μg/mL*hの間もしくは約1000μg/mL*h~4,000μg/mL*hの間である。
【0294】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)の治療有効用量は、そのようにコンジュゲートされていない対応する標的化分子(例えば、抗体または抗原結合抗体断片)の単回投与の治療有効用量よりも少なく、例えば、そのようにコンジュゲートされていない対応する標的化分子の単回投与の治療有効用量の75%以下、70%以下、60%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、25%以下、20%以下である。
【0295】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)の治療有効用量は、そのようにコンジュゲートされていない対応する標的化分子(例えば、抗体または抗原結合抗体断片)の治療有効用量の繰り返し投与量スケジュールにおける初期用量よりも少なく、例えば、そのようにコンジュゲートされていない対応する標的化分子の治療有効用量の繰り返し投与量投与における初期用量の75%以下、70%以下、60%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、25%以下、20%以下である。
【0296】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)の治療有効用量は、そのようにコンジュゲートされていない対応する標的化分子(例えば、抗体または抗原結合抗体断片)の治療有効用量の繰り返し投与量スケジュールの平均用量より少なく、例えば、そのようにコンジュゲートされていない対応する標的化分子の治療有効用量の繰り返し投与量スケジュールにおける平均用量の75%以下、70%以下、60%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、25%以下、20%以下である。
【0297】
いくつかの態様において、コンジュゲートの治療有効用量は、400mg/m2未満、300mg/m2未満、250mg/m2未満、225mg/m2未満、200mg/m2未満、180mg/m2未満、100mg/m2未満または50mg/m2未満である。いくつかの態様において、コンジュゲートの治療有効用量は、50mg/m2~400mg/m2もしくは約50mg/m2~400mg/m2、100mg/m2~300mg/m2もしくは約100mg/m2~300mg/m2、100mg/m2~250mg/m2もしくは約100mg/m2~250mg/m2、または100mg/m2~160mg/m2もしくは約100mg/m2~160mg/m2の間である。いくつかの態様において、コンジュゲートの治療有効用量は、80mg/m2~240mg/m2、80mg/m2~220mg/m2、80mg/m2~200mg/m2、80mg/m2~180mg/m2、80mg/m2~160mg/m2、80mg/m2~140mg/m2、80mg/m2~120mg/m2、80mg/m2~100mg/m2、100mg/m2~240mg/m2、100mg/m2~220mg/m2、100mg/m2~200mg/m2、100mg/m2~180mg/m2、100mg/m2~160mg/m2、100mg/m2~140mg/m2、100mg/m2~120mg/m2、120mg/m2~240mg/m2、120mg/m2~220mg/m2、120mg/m2~200mg/m2、120mg/m2~180mg/m2、120mg/m2~160mg/m2,120mg/m2~140mg/m2、140mg/m2~240mg/m2、140mg/m2~220mg/m2、140mg/m2~200mg/m2、140mg/m2~180mg/m2、140mg/m2~160mg/m2、160mg/m2~240mg/m2、160mg/m2~220mg/m2、160mg/m2~200mg/m2、160mg/m2~180mg/m2、180mg/m2~240mg/m2、180mg/m2~220mg/m2、180mg/m2~200mg/m2、200mg/m2~220mg/m2もしくは200mg/m2~240mg/m2の間、または約80mg/m2~240mg/m2、80mg/m2~220mg/m2、80mg/m2~200mg/m2、80mg/m2~180mg/m2、80mg/m2~160mg/m2、80mg/m2~140mg/m2、80mg/m2~120mg/m2、80mg/m2~100mg/m2、100mg/m2~240mg/m2、100mg/m2~220mg/m2、100mg/m2~200mg/m2、100mg/m2~180mg/m2、100mg/m2~160mg/m2、100mg/m2~140mg/m2、100mg/m2~120mg/m2、120mg/m2~240mg/m2、120mg/m2~220mg/m2、120mg/m2~200mg/m2、120mg/m2~180mg/m2、120mg/m2~160mg/m2,120mg/m2~140mg/m2、140mg/m2~240mg/m2、140mg/m2~220mg/m2、140mg/m2~200mg/m2、140mg/m2~180mg/m2、140mg/m2~160mg/m2、160mg/m2~240mg/m2、160mg/m2~220mg/m2、160mg/m2~200mg/m2、160mg/m2~180mg/m2、180mg/m2~240mg/m2、180mg/m2~220mg/m2、180mg/m2~200mg/m2、200mg/m2~220mg/m2もしくは200mg/m2~240mg/m2の間である。
【0298】
いくつかの態様において、コンジュゲートの治療有効用量は、12mg/kg未満、10mg/kg未満、8mg/kg未満、6mg/kg未満、4mg/kg未満、2mg/kg未満または1mg/kg未満である。いくつかの態様において、コンジュゲートの治療有効用量は、1mg/kg~12mg/kg、2mg/kg~10mg/kg、2mg/kg~6mg/kgもしくは2mg/kg~4mg/kgの間、または約1mg/kg~12mg/kg、2mg/kg~10mg/kg、2mg/kg~6mg/kgもしくは2mg/kg~4mg/kgの間である。いくつかの態様において、コンジュゲートの治療有効用量は、2.0mg/kg~6.5mg/kg、2.0mg/kg~6.0mg/kg、2.0mg/kg~5.0mg/kg、2.0mg/kg~4.0mg/kg、2.0mg/kg~3.0mg/kg、3.0mg/kg~6.5mg/kg、3.0mg/kg~6.0mg/kg、3.0mg/kg~5.0mg.kg、3.0mg/kg~4.0mg/kg、4.0mg/kg~6.5mg/kg、4.0mg/kg~6.0mg/kg、4.0mg/kg~5.0mg/kg、5.0mg/kg~6.5mg/kg、5.0mg/kg~6.0mg/kgおよび6.0mg/kg~6.5mg/kgの間、または約2.0mg/kg~6.5mg/kg、2.0mg/kg~6.0mg/kg、2.0mg/kg~5.0mg/kg、2.0mg/kg~4.0mg/kg、2.0mg/kg~3.0mg/kg、3.0mg/kg~6.5mg/kg、3.0mg/kg~6.0mg/kg、3.0mg/kg~5.0mg.kg、3.0mg/kg~4.0mg/kg、4.0mg/kg~6.5mg/kg、4.0mg/kg~6.0mg/kg、4.0mg/kg~5.0mg/kg、5.0mg/kg~6.5mg/kg、5.0mg/kg~6.0mg/kgおよび6.0mg/kg~6.5mg/kgの間である。
【0299】
いくつかの態様において、治療有効量は、約75mg~500mg、75mg~400mg、75mg~400mg、75mg~300mg、75mg~200mg、75mg~150mg、150mg~500mg、150mg~400mg、150mg~300mg、150mg~200mg、200mg~500mg、200mg~400mg、200mg~300mg、300mg~500mg、300mg~400mgまたは400mg~500mgの間である。
【0300】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、IR700-セツキシマブである。いくつかの態様において、IR700-セツキシマブコンジュゲートの治療有効量は、少なくとも160mg/m2、320mg/m2もしくは640mg/m2、または約少なくとも160mg/m2、320mg/m2もしくは640mg/m2、または160mg/m2、320mg/m2もしくは640mg/m2、または約160mg/m2、320mg/m2もしくは640mg/m2である。いくつかの態様において、IR700-セツキシマブコンジュゲートの治療有効量は、少なくとも4.3mg/kg、8.6mg/kgもしくは17mg/kg、または約少なくとも4.3mg/kg、8.6mg/kgもしくは17mg/kg、または4.3mg/kg、8.6mg/kgもしくは17mg/kg、または約4.3mg/kg、8.6mg/kgもしくは17mg/kgである。
【0301】
いくつかの態様において、コンジュゲートの治療有効用量は、単回投与量投与のためである。いくつかの態様において、治療有効用量は、一回のみの注射または一回のみの注入として、投与量スケジュールまたはサイクルで投与され、例えば、投与量スケジュールまたはサイクル中に1回だけ投与される。例えば、投薬スケジュールまたはサイクルにおいて、コンジュゲートの後続用量が投与されることはない。いくつかの態様において、投薬スケジュールを繰り返すことができる。いくつかの態様において、繰り返しの用量、例えば繰り返しの単回用量は、第一の用量が対象からクリアランスされた時点(いくつかの場合では、コンジュゲートの全身曝露が検出不可能である時点である)に投与される。したがって、いくつかの態様において、コンジュゲートの投薬は、コンジュゲートの連続全身曝露を達成するために投与されることはなく、これは、連続全身曝露を維持するために投薬スケジュールまたはサイクルでの繰り返し投薬が必要である多くの現行の治療法(抗体治療を含む)とは異なる。いくつかの態様において、投薬スケジュールまたはサイクルは、1週間に1回、2週間毎に、1か月に1回、1年に2回、1年に1回、または必要に応じてより少ない頻度で繰り返される。
【0302】
いくつかの態様において、本明細書に提供される処置方法のいずれかにおいて、投薬スケジュールは、コンジュゲートでの先行処置の後に残留病変が残っている場合、繰り返される。いくつかの態様において、本方法は、対象を残留病変の存在について評価する工程、および、残留病変が残っている場合、投薬スケジュールを繰り返す工程を追加的に含む。いくつかの態様において、投薬スケジュールは、コンジュゲートの事前投与開始の、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、6か月もしくは1年超後、または約1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、6か月もしくは1年後、または1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、6か月もしくは1年後である時点に残留病変が残っている場合、繰り返される。いくつかの態様において、投薬スケジュールは、コンジュゲートの事前投与開始の4週間後または約4週間後に残留病変が残っている場合、繰り返される。
【0303】
いくつかの態様において、投薬スケジュールまたはサイクルにおいて、光増感剤(例えば、IR700)にそのようにコンジュゲートされていない標的化分子、例えば、治療用標的化分子(例えば、治療用抗体)の後続用量が投与されることはない。例えば、いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの用量の後に標的化分子単独の用量が続くことはない。
【0304】
当業者であれば、例えば特定の薬剤に依存して、より高いまたはより低い投与量のフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートも使用することができると認識されよう。いくつかの態様において、投与量、例えば一日投与量は、1または複数の分割用量、例えば2、3、もしくは4用量で、または単一製剤で投与される。フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを、単独で、薬学的に許容される担体の存在下で、または免疫調節剤、抗がん剤もしくは他の抗悪性腫瘍剤のような他の治療薬の存在下で投与することができる。
【0305】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートは、処置される臓器または組織に全身または局所のいずれかで投与され得る。例示的な投与経路は、限定されることなく、局部、注射(例えば、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、腫瘍内、および静脈内)、経口、舌下、直腸、経皮、鼻腔内、膣内および吸入経路を含む。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートは、静脈内投与される。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートは、非経口投与される。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートは、腸内投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、局所注射によって投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、局部適用として投与される。
【0306】
フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを含む組成物を、当技術分野において公知の任意の方法を使用して、例えば、腫瘍、例えばがんを有する対象、または腫瘍が例えば外科手術を介して以前に除去された対象に、局所または全身に投与することができる。具体例が提供されているが、当業者であれば、開示される薬剤の代替的な投与法を使用することができると理解されよう。このような方法は、例えば、処置を必要とする対象への数時間~数日間にわたる連続注入を提供するカテーテルまたは埋め込みポンプの使用を含み得る。
【0307】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートは、腫瘍への直接注射または注入、例えば腫瘍内を含む、非経口手段によって投与される。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートは、薬剤を腫瘍に適用することによって、例えば、薬剤、例えばフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを含有する溶液に腫瘍を浸すことによって、または薬剤を腫瘍に注ぐことによって、腫瘍に投与される。
【0308】
追加的に、または代替的に、開示される組成物を、腫瘍、例えばがんを有する対象に、全身に、例えば静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、皮下、または経口的に投与することができる。
【0309】
対象に投与されるフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与量は、絶対限界まで供されることはないが、組成物およびその活性成分の性質ならびにその不要な副作用、例えば薬剤に対する免疫応答、処置されている対象、ならびに処置されている病態のタイプおよび投与の様式に依存するだろう。一般に、用量は、治療有効量、例えば所望の生物学的効果を達成するのに十分な量、例えば、腫瘍のサイズ、例えば体積および/もしくは重量を減少させるのに、または腫瘍のさらなる成長を減弱させるのに、または腫瘍の望ましくない症状を減少させるのに有効な量であろう。
【0310】
いくつかの態様において、薬剤、例えばフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与に使用される組成物は、有効量の薬剤を、企図される投与のタイプに適する従来の薬学的担体および賦形剤と合わせて含有する。例えば、いくつかの態様において、非経口製剤は、コンジュゲートの滅菌水溶液または懸濁液を含みうる。いくつかの態様において、腸内投与用の組成物は、有効量のフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを、緩衝剤、界面活性剤、チキソトロープ剤、および香味剤を任意で含み得る水溶液または懸濁液中に含有し得る。
【0311】
C. 投与量レジメンおよび光免疫療法
PITは、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)を含有する組成物の投与とそれに続く照射を含む。いくつかの態様において、方法は、腫瘍に照射する工程を含む。
【0312】
いくつかの態様において、細胞をフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートと接触させた後、細胞が照射される。照射する方法は、当技術分野において公知である。典型的には細胞表面タンパク質を発現する細胞だけが標的化分子によって認識されるので、一般にそのような細胞だけが、該タンパク質に結合する十分な量のコンジュゲートを有するだろう。照射は、コンジュゲートが結合している細胞のみを殺傷し、一般に他の細胞は殺傷し得ないので、望ましくない副作用、例えば正常細胞の殺傷の可能性を減少させ得る。
【0313】
いくつかの態様において、細胞は、インビボで照射されるが、例えばフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートが以前に投与された対象に照射される。いくつかの態様において、対象に照射されるが、例えば対象における腫瘍に照射することができる。
【0314】
いくつかの態様において、照射は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与後に達成される。いくつかの態様において、照射または照明は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)を投与した後30分~96時間の間または約30分~96時間の間、例えば30分~48時間、30分~24時間または12時間~48時間の間、例えば一般にコンジュゲートを投与した少なくとも30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間後もしくはそれ以上後に行われるかまたは達成される。例えば、照射を、コンジュゲートを投与した約24時間後以内に実施することができる。いくつかの態様において、腫瘍に照射または照明する6時間超前に、標的化分子を含み腫瘍と会合するコンジュゲートが対象に投与されている。いくつかの態様において、コンジュゲートは、対象に、腫瘍に照射または照明する12時間、24時間、26時間、48時間、72時間もしくは96時間超前、または約12時間、24時間、26時間、48時間、72時間もしくは96時間超前に事前投与されている。
【0315】
いくつかの態様において、照射の時点または照射の後、対象は、本明細書に記載のとおりの1つまたは複数の他の治療(例えば、免疫調節剤または抗がん剤)を受けることができる。いくつかの場合では、したがって、1つまたは複数のその他の治療もフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)の投与後に投与される。いくつかの態様において、追加の治療は、照射の0~24時間以内または約0~24時間以内、例えば照射の5分、10分、30分、1時間、2時間、6時間、12時間もしくは24時間以内または約5分、10分、30分、1時間、2時間、6時間、12時間もしくは24時間以内に投与される。
【0316】
いくつかの態様において、照射前、対象は、本明細書に記載のとおりの1つまたは複数の他の治療を受けることができる。いくつかの場合では、1つまたは複数のその他の治療を、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)の投与の前、間、もしくは後に、かつ、一般に対象の照射前に投与することができる。いくつかの態様において、追加の治療薬(例えば、免疫調節剤または抗がん剤)を、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与の間またはそれと同時に投与することができる。いくつかの態様において、追加の治療薬(例えば、免疫調節剤または抗がん剤)を、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与の後またはそれに続いて投与することができる。例えば、いくつかの態様において、コンジュゲートが1つまたは複数のその他の治療の前に投与され、そして、コンジュゲートおよび1つまたは複数の他の治療が各々、腫瘍に照射する前に投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートが1つまたは複数のその他の治療に続いて投与され、そして、コンジュゲートおよび1つまたは複数の他の治療が各々、腫瘍に照射する前に投与される。いくつかの態様において、照射は、追加の治療薬(例えば、免疫調節剤または抗がん剤)およびフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与後に行われる。
【0317】
いくつかの態様において、追加の治療薬は免疫調節剤であり、免疫調節剤は、照射の6時間~4週間前、例えば一般に、照射の12時間、24時間、36時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは4週間超前、または約12時間、24時間、36時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは4週間超前に投与される。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子(例えば、IR700抗体コンジュゲート)は、照射の6時間~96時間前、例えば一般に、照射前の6時間、12時間、24時間、36時間、72時間もしくは96時間以内、または約6時間、12時間、24時間、36時間、72時間もしくは96時間以内、または約6時間、12時間、24時間、36時間、72時間もしくは96時間に投与される。
【0318】
いくつかの態様において、照射前、対象は、免疫調節剤、例えば免疫チェックポイント阻害剤を受けることができる。いくつかの態様において、免疫調節剤は、一般に、対象の照射の前に投与される。いくつかの態様において、免疫調節剤は、照射を達成する前の12時間~2か月の間、または約12時間~2か月の間、例えば、12時間~1か月、12時間~3週間、12時間~2週間、12時間~1週間、および1週間~1か月の間、例えば一般に、腫瘍に照射する少なくとも12時間、24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間、または1か月前に投与される。いくつかの態様において、免疫調節剤およびコンジュゲートの両方が照射前に投与される限り、免疫調節剤を、コンジュゲートの前、コンジュゲートに続いてまたはコンジュゲートと同時に投与することができる。いくつかの態様において、免疫調節剤を、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)の投与の前に投与することができる。いくつかの態様において、免疫調節剤を、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与の間またはフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与と同時に投与することができる。いくつかの態様において、免疫調節剤を、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与に続いてまたはフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与の後に投与することができる。例えば、照射に続く免疫調節剤は、1週間に3回、1週間に2回、1週間毎に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回または1か月に1回である。
【0319】
例えば、いくつかの場合では、コンジュゲートは、照射の少なくとも12時間前、例えば12時間~48時間前または約12時間~48時間前に投与され、かつ免疫調節剤は、照射の少なくとも12時間前、例えば12時間~1か月前または約12時間~約1か月前に投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、照射前の36時間、24時間、18時間もしくは12時間以内、または約36時間、24時間、18時間もしくは12時間以内に投与され、かつ免疫調節剤は、照射の12時間超前、例えば一般に照射の24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1か月超前に投与される。
【0320】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫調節剤である抗体または抗原結合断片に連結されたフタロシアニン色素のようなフタロシアニン色素を含有する、それ自体コンジュゲートである。いくつかの態様において、免疫調節剤は、腫瘍細胞上のチェックポイントタンパク質(例えば、PD-L1)に結合する免疫調節抗体(例えば、チェックポイント阻害剤)を含むIR700-抗体コンジュゲートである。いくつかの態様において、免疫調節コンジュゲート(例えば、免疫調節剤であるIR700-抗体コンジュゲート)は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与の前の、例えば12時間~2か月の間、例えば一般に、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与の少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも96時間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間または少なくとも1か月前に投与される。いくつかの態様において、免疫調節コンジュゲート(例えば、免疫調節剤であるIR700-抗体コンジュゲート)は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与の間またはフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与と同時に投与される。いくつかの態様において、免疫調節コンジュゲート(例えば、免疫調節剤であるIR700-抗体コンジュゲート)は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与後の、例えば12時間~2か月の間、例えば一般に、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与の少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも96時間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間または少なくとも1か月後に投与される。
【0321】
いくつかの態様において、照射は、免疫調節コンジュゲート(例えば、免疫調節剤であるIR700-抗体コンジュゲート)およびフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与後に行われるかまたは達成される。いくつかの態様において、照射は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与後に達成される。
【0322】
いくつかの態様において、併用療法の方法は、2回の照射または照明を含む。いくつかの態様において、併用療法の方法は、免疫調節コンジュゲート(例えば、免疫調節剤であるIR700-抗体コンジュゲート)を投与した後の腫瘍の第一の照射およびフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを投与した後の腫瘍の第二の照射を包含する。いくつかの態様において、各照射は、それぞれのコンジュゲートを投与した後6~48時間以内に、例えば一般に各コンジュゲートの投与の少なくとも約6時間、12時間、24時間または36時間後に実施される。
【0323】
いくつかの態様において、免疫調節コンジュゲート(例えば、免疫調節剤であるIR700-抗体コンジュゲート)およびフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを含む併用療法の方法は、ただ単回照射を含むだけである。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートは、免疫調節コンジュゲート(例えば、免疫調節剤であるIR700-抗体コンジュゲート)を投与した少なくとも12時間後にかつ腫瘍に照射する前6~48時間以内に投与される。
【0324】
いくつかの態様において、免疫調節コンジュゲート(例えば、免疫調節剤であるIR700-抗体コンジュゲート)およびフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートは、同じ投与経路によって投与される。いくつかの態様において、免疫調節コンジュゲート(例えば、免疫調節剤であるIR700-抗体コンジュゲート)およびフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの両方が全身投与される。他の態様において、両方のコンジュゲートが静脈内投与される。
【0325】
いくつかの態様において、照射前、対象は、抗がん剤を受けることができる。いくつかの態様において、抗がん剤は、一般に、対象の照射の前に投与される。いくつかの態様において、照射は、抗がん剤を投与した後5分~2週間の間、または約5分~2週間の間、例えば5分~1週間、5分~3日間、5分~48時間、5分~24時間、5分~12時間、5分~6時間、および5分~1時間の間、例えば一般に、腫瘍に照射する少なくとも約15分、30分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、または24時間前に行われるかまたは達成される。いくつかの態様において、抗がん剤およびコンジュゲートの両方が照射前に投与される限り、抗がん剤を、コンジュゲートの前、コンジュゲートに続いてまたはコンジュゲートと同時に投与することができる。いくつかの態様において、抗がん剤を、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与前に投与することができる。いくつかの態様において、抗がん剤を、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与の間またはフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与と同時に投与することができる。いくつかの態様において、抗がん剤は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与に続くことができる。
【0326】
例えば、いくつかの場合では、コンジュゲートは、照射の少なくとも12時間前、例えば12時間~48時間前または約12時間~48時間前に投与され、かつ抗がん剤は、照射の少なくとも5分前、例えば5分~24時間前または約5分~24時間前に投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、照射前の36時間、24時間、18時間もしくは12時間以内、または約36時間、24時間、18時間もしくは12時間以内に投与され、かつ抗がん剤は、照射の5分超前に、一般に照射前の30分、1時間、2時間、6時間、12時間または24時間以内に投与される。
【0327】
いくつかの態様において、細胞、例えば腫瘍は、400nm~約900nmもしくは約400nm~約900nm、例えば500nm~約900nmもしくは約500nm~約900nm、例えば600nm~約850nmもしくは約600nm~約850nm、例えば600nm~約740nmもしくは約600nm~約740nm、例えば約660nm~約740nm、約660nm~約710nm、約660nm~約700nm、約670nm~約690nm、約680nm~約740nm、または約690nm~約710nmの範囲内の波長の治療用量の放射線で照射される。いくつかの態様において、細胞、例えば腫瘍は、600nm~850nm、例えば660nm~740nmの波長の治療用量の放射線で照射される。いくつかの態様において、細胞、例えば腫瘍は、少なくとも600nm、620nm、640nm、660nm、680nm、700nm、720nmもしくは740nm、または約少なくとも600nm、620nm、640nm、660nm、680nm、700nm、720nmもしくは740nm、例えば690±50nm、例えば約680nmの波長で照射される。
【0328】
いくつかの態様において、細胞、例えば腫瘍は、少なくとも1J cm-2、例えば少なくとも10J cm-2、少なくとも30J cm-2、少なくとも50J cm-2、少なくとも100J cm-2、または少なくとも500J cm-2の線量で照射される。いくつかの態様において、照射の線量は、1~約1000もしくは約1~約1000J cm-2、約1~約500J cm-2、約5~約200J cm-2、約10~約100J cm-2、または約10~約50J cm-2である。いくつかの態様において、細胞、例えば腫瘍は、少なくとも2J cm-2、5J cm-2、10J cm-2、25J cm-2、50J cm-2、75J cm-2、100J cm-2、150J cm-2、200J cm-2、300J cm-2、400J cm-2、もしくは500J cm-2、または少なくとも約2J cm-2、5J cm-2、10J cm-2、25J cm-2、50J cm-2、75J cm-2、100J cm-2、150J cm-2、200J cm-2、300J cm-2、400J cm-2、もしくは500J cm-2の線量で照射される。
【0329】
いくつかの態様において、細胞、例えば腫瘍は、少なくとも1J/ファイバ長cm、例えば少なくとも10J/ファイバ長cm、少なくとも50J/ファイバ長cm、少なくとも100J/ファイバ長cm、少なくとも250J/ファイバ長cm、または少なくとも500J/ファイバ長cmの線量で照射また照明される。いくつかの態様において、照射の線量は、1~約1000もしくは約1~約1000J/ファイバ長cm、約1~約500J/ファイバ長cm、約2~約500J/ファイバ長cm、約50~約300J/ファイバ長cm、約10~約100J/ファイバ長cm、または約10~約50J/ファイバ長cmである。いくつかの態様において、細胞、例えば腫瘍は、少なくとも2J/ファイバ長cm、5J/ファイバ長cm、10J/ファイバ長cm、25J/ファイバ長cm、50J/ファイバ長cm、75J/ファイバ長cm、100J/ファイバ長cm、150J/ファイバ長cm、200J/ファイバ長cm、250J/ファイバ長cm、300J/ファイバ長cm、400J/ファイバ長cmもしくは500J/ファイバ長cm、または少なくとも約2J/ファイバ長cm、5J/ファイバ長cm、10J/ファイバ長cm、25J/ファイバ長cm、50J/ファイバ長cm、75J/ファイバ長cm、100J/ファイバ長cm、150J/ファイバ長cm、200J/ファイバ長cm、250J/ファイバ長cm、300J/ファイバ長cm、400J/ファイバ長cmもしくは500J/ファイバ長cmの線量で照射される。
【0330】
いくつかの態様において、ヒト対象における照射または照明の線量は、1~約400J cm-2もしくは約1~約400J cm-2、約2~約400J cm-2、約1~約300J cm-2、約10~約100J cm-2、または約10~約50J cm-2であり、例えば、少なくとも10J cm-2もしくは少なくとも約10J cm-2であるか、または10J cm-2または10J cm-2以内もしくは約10J cm-2以内であるか、または10J cm-2であるか、または約10J cm-2、少なくとも30J cm-2、少なくとも50J cm-2、少なくとも100J cm-2である。いくつかの態様において、ヒト対象における照射の線量は、1~300J/ファイバ長cmもしくは約1~300J/ファイバ長cm、10~100J/ファイバ長cmもしくは約10~100J/ファイバ長cm、または10~50J/ファイバ長cmもしくは約10~50J/ファイバ長cmであり、例えば、少なくとも10J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約10J/ファイバ長cmであるか、または10J/ファイバ長cmまたは10J/ファイバ長cm以内もしくは約10J/ファイバ長cm以内であるか、または10J/ファイバ長cmであるか、または約10J/ファイバ長cm、少なくとも30J/ファイバ長cm、少なくとも50J/ファイバ長cm、少なくとも100J/ファイバ長cmである。いくつかの場合では、PITを達成するヒト対象における照射の線量は、マウスにおけるPITに必要である線量未満であることができることが見いだされる。例えば、いくつかの場合では、インビボ腫瘍マウスモデルにおける光線量測定値50J/cm2(50J cm-2)はPITに有効ではなく、これは、本発明者らがヒト患者での臨床において観察できたものとは対照的である。
【0331】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを含む組成物の投与後の照射の線量は、660~740nmの波長で少なくとも1J cm-2もしくは1J/ファイバ長cm、例えば、660~740nmの波長で少なくとも10J cm-2もしくは10J/ファイバ長cm、660~740nmの波長で少なくとも50J cm-2もしくは50J/ファイバ長cm、または660~740nmの波長で少なくとも100J cm-2もしくは100J/ファイバ長cm、例えば660~740nmの波長で1.0~500J cm-2もしくは1.0~500J/ファイバ長cmである。いくつかの態様において、波長は、660~710nmである。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを含む組成物の投与後の照射の線量は、680nmの波長で少なくとも1.0J cm-2もしくは1J/ファイバ長cm、例えば、680nmの波長で少なくとも10J cm-2もしくは10J/ファイバ長cm、680nmの波長で少なくとも50J cm-2もしくは50J/ファイバ長cm、または680nmの波長で少なくとも100J cm-2もしくは100J/ファイバ長cm、例えば680nmの波長で1.0~500J cm-2もしくは1.0~500J/ファイバ長cmである。いくつかの態様において、複数回の照射、例えば少なくとも2、少なくとも3、または少なくとも4回の照射、例えば2、3、4、5、6、7、8、9または10回の別個の投与が実施される。本明細書に提供されるコンジュゲートまたは組成物の投与後の例示的な照射は、腫瘍に、660nm~740nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を含む。
【0332】
いくつかの態様において、光またはレーザーが、色素分子、例えばコンジュゲートを含む細胞に、約5秒間~約5分間適用され得る。例えば、いくつかの態様において、光またはレーザーは、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50もしくは55秒間、または約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50もしくは55秒間、または2つのこのような値の間の範囲内で適用されて、色素分子を活性化する。いくつかの態様において、光またはレーザーは、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5もしくは5分間、または約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5もしくは5分間、またはより長く、またはこのような値のいずれか2つの間の範囲内で適用される。いくつかの態様において、光またはレーザーが適用される時間の長さは、例えば、光またはレーザーのエネルギー、例えばワット数に依存して変化することができる。例えば、色素分子を活性化させるために、より低いワット数の光またはレーザーがより長時間適用され得る。
【0333】
いくつかの態様において、コンジュゲートを投与した約30分~約48時間後に光またはレーザーが適用され得る。例えば、いくつかの態様において、光またはレーザーは、コンジュゲートを投与した30、35、40、45、50もしくは55分後または約30、35、40、45、50もしくは55分後、またはこのような値のいずれか2つの間の範囲内で適用される。いくつかの態様において、光またはレーザーは、コンジュゲートを投与した1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24時間後、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24時間後に適用されるか、または、このような値のいずれか2つの間もしくはこのような値の約いずれか2つの間の範囲内で投与される。いくつかの態様において、光またはレーザーは、1~24時間の間もしくは約1~24時間の間、例えば1~12時間もしくは約1~12時間、12~24時間もしくは約12~24時間、6~12時間もしくは約6~12時間の間に適用されるか、または、コンジュゲートの投与の24時間超後に投与され得る。いくつかの態様において、光またはレーザーは、コンジュゲートを投与した36または48時間後に投与される。
【0334】
いくつかの態様において、細胞、または対象に、1回または複数回数、照射することができる。したがって、照射は、1日で完了しても、同じまたは異なる投与量で数日間繰り返し、例えば、少なくとも2回の別の、3回の別の、4回の別の、5回の別のまたは10回の別の、照射を行ってもよい。いくつかの態様において、繰り返し照射は、同日、連日、または1~3日毎、3~7日毎、1~2週間毎、2~4週間毎、1~2か月毎、またはさらに長い間隔で行いうる。
【0335】
いくつかの態様において、照射の線量または方法は、腫瘍のタイプまたは形態学に依存して異なる。
【0336】
いくつかの態様において、病変は、表在性腫瘍である腫瘍である。いくつかの態様において、腫瘍は、10mm未満の厚さである。いくつかの態様において、照射は、表面照明用のマイクロレンズが先端に付いたファイバを使用して行われる。いくつかの態様において、光照射線量は、5J/cm2~約200J/cm2または約5J/cm2~約200J/cm2である。
【0337】
いくつかの態様において、提供される方法は、対象における表在性腫瘍に、表面照明用のマイクロレンズが先端に付いたファイバを用いて5J/cm2~約200J/cm2または約5J/cm2~約200J/cm2の光線量で照射する工程であって、腫瘍の細胞表面分子に結合された標的化分子を含む光毒性剤と腫瘍が会合する、工程を含む。いくつかの態様において、光照射線量は、50J/cm2または約50J/cm2である。
【0338】
いくつかの態様において、病変は、間質性腫瘍である腫瘍である。いくつかの態様において、腫瘍は、10mm超の深さであるか、または皮下腫瘍である。いくつかの態様において、照射は、ディフューザー長0.5cm~10cmを含みかつ1.8±0.2cm離れて置かれた円筒形拡散ファイバを使用して行われる。いくつかの態様において、光照射線量は、20J/ファイバ長cm~約500J/ファイバ長cmまたは約20J/ファイバ長cm~約500J/ファイバ長cmである。
【0339】
いくつかの態様において、提供される方法は、対象における間質性腫瘍に、ディフューザー長0.5cm~10cmを含みかつ1.8±0.2cm離れて置かれた円筒形拡散ファイバを用いて100J/cmもしくは約100J/ファイバ長cmの光線量でまたは400mW/cmもしくは約400mW/cmのフルエンス率で照射する工程であって、腫瘍の細胞表面分子に結合された標的化分子を含む光毒性剤と腫瘍が会合する、工程を含む。いくつかの態様において、腫瘍は、10mm超の深さであるか、または皮下腫瘍である。いくつかの態様において、円筒形拡散ファイバは、腫瘍中に1.8±0.2cm離れて位置付けられたカテーテル内に置かれる。いくつかの態様において、カテーテルは、光学的に透明である。
【0340】
いくつかの態様において、提供される方法は、1つまたは複数の波長での照射を含む。いくつかの例では、コンジュゲートを投与した後、病変または腫瘍は、コンジュゲートの第一の色素の光毒性活性およびコンジュゲートの第二の色素の蛍光シグナルを誘導するために1つまたは複数の波長で照射される。例えば、異なる励起波長を有する標的化分子にコンジュゲートされた第一および第二の色素を採用する方法では、照射に2つの異なる波長を使用することができる。いくつかの態様において、提供される方法は、単一波長で病変に照射する工程を含む。いくつかの態様において、提供される方法は、2つの異なる波長で同時または連続的に病変に照射する工程であって、一方の波長が光毒性活性を誘導し、もう一方の波長が蛍光シグナルを誘導する、工程を含む。例えば、いくつかの態様において、提供される方法は、400~約900nmもしくは約400~約900nmである1つまたは複数の波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で病変に照射する工程を含む。
【0341】
D. 追加の治療薬
いくつかの態様において、別の治療薬、例えば免疫調節剤または抗がん剤が、光免疫療法剤、例えばフタロシアニン色素コンジュゲート、例えばIR700-抗体コンジュゲートと共に投与される。いくつかの態様において、併用療法は、米国仮特許出願第62/206,776号(参照によって本明細書に組み入れられる)に記載されているとおりの抗がん剤または免疫調節剤との組み合わせでのフタロシアニン色素コンジュゲート、例えばIR700-抗体コンジュゲートの投与を含むことができる。
【0342】
いくつかの態様において、その他のまたは追加の薬剤(1つまたは複数)を、腫瘍の処置に対する治療効果が増加するような照射を実施する前の十分な時間に投与することができる。いくつかの態様において、光免疫療法の方法における照射前、1つまたは複数の他の治療薬、例えば免疫調節剤(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)または抗がん剤(例えば、代謝拮抗剤)が対象に投与される。一態様において、光免疫療法後に腫瘍細胞の溶解によって放出される腫瘍関連作用物質に免疫系を応答性にするために、照射前の十分な時間、例えば一般に照射の少なくとも12時間前に免疫調節剤を投与することができる。別の態様において、光免疫療法後の血管透過性の変化によって腫瘍へ直ちに送達できるような抗がん剤の全身アベイラビリティを達成するために、照射前の十分な時間、例えば一般に照射の少なくとも5分前に抗がん剤を投与することができる。
【0343】
1つまたは複数の他の薬剤、例えば免疫調節剤または抗がん剤を、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの前に、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートと同時に、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートに続いてまたはフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートと断続的に投与することができる。いくつかの態様において、光での照射によるコンジュゲートのフタロシアニン色素光増感剤の活性化は、その他の治療薬、例えば本明細書に記載のとおりの治療薬の投与後の時点まで達成されない。いくつかの態様において、光での照射によるコンジュゲートのフタロシアニン色素光増感剤の活性化は、その他の治療薬、例えば本明細書に記載の治療薬の投与前に行われる。
【0344】
いくつかの態様において、1つまたは複数のその他の薬剤との組み合わせでの光免疫療法の複合効果は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを用いた光免疫療法のみを包含する処置、またはその他の治療薬を用いた単剤療法を包含する処置と比較して、相乗的であることができる。いくつかの態様において、本明細書に提供される方法は、光免疫療法または単剤療法単独よりも、所望の抗腫瘍治療効果において増加または改善、例えばがんと関連する1つまたは複数の症状の低減または阻害において増加または改善をもたらす。
【0345】
フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート、および任意で、追加の治療用免疫調節剤または抗がん剤での処置は、各々独立して、1日で完了しても、同じまたは異なる投与量で数日間繰り返し行ってもよい。繰り返し処置は、同日、連日、または1~3日毎、3~7日毎、1~2週間毎、2~4週間毎、1~2か月毎、またはさらに長い間隔で行ってよい。
【0346】
いくつかの態様において、併用療法は、対象に、治療有効量の免疫調節剤、例えば免疫チェックポイント阻害剤を投与する工程を含む。免疫調節剤は、0.01mg~1000mgまたは約0.01mg~1000mgである量で、例えば少なくとも0.01mg、0.1mg、1mg、10mg、1000mg、2000mg、3000mgまたはそれ以上の用量で投与される。例示的な態様において、免疫調節剤、例えば免疫チェックポイント阻害剤を、約0.3mg/kg~10mg/kg、または最大耐性用量、例えば少なくとも0.5mg/kg、または少なくとも1mg/kg、または少なくとも2mg/kg、または少なくとも3mg/kg、または少なくとも5mg/kg、または少なくとも8mg/kgで投与してよい。いくつかの場合では、用量を単回用量としてまたは複数回用量で投与することができる。あるいは、免疫調節剤、例えば免疫チェックポイント阻害剤を、第一の投与量を約3mg/kgで、第二の投与量を約5mg/kgで、および第三の投与量を約9mg/kgで投与することを含む、投与量レジメンを漸増することによって投与してよい。あるいは、漸増投与量レジメンは、免疫調節剤の第一の投与量を約5mg/kgでおよび第二の投与量を約9mg/kgで投与することを含む。別の段階的な漸増投与量レジメンの増大は、免疫調節剤の第一の投与量約3mg/kg、第二の投与量3mg/kg、第三の投与量約5mg/kg、第四の投与量約5mg/kg、および第五の投与量約9mg/kgを投与することを含んでよい。別の局面において、段階的な漸増投与量レジメンは、第一の投与量5mg/kg、第二の投与量5mg/kg、および第三の投与量9mg/kgを投与することを含んでよい。いくつかの態様において、特定の投与量を1週間に2回、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、または1か月に1回またはそれ以上投与することができる。いくつかの場合では、該投与量を、繰り返すことができる、例えば1か月間、2か月間、3か月間、6か月間、1年間またはそれ以上の間繰り返すことができる一連のサイクルで投与することができる。
【0347】
いくつかの態様において、併用療法は、対象に、治療有効量の抗がん剤、例えば本明細書に記載されるいずれかを投与する工程を含む。いくつかの態様において、治療有効用量は、0.01mg~1000mgまたは約0.01mg~1000mg、例えば少なくとも0.01mg、0.1mg、1mg、10mg、1000mg、2000mg、3000mgまたはそれ以上の用量であることができる。いくつかの態様において、抗がん剤の治療有効用量は、0.01mg/kg~約50mg/kgもしくは約0.01mg/kg~約50mg/kg、例えば約0.1mg/kg~約20mg/kg、約0.1~約10mg/kg、約0.3~約10mg/kg、約0.5mg/kg~約5mg/kg、または約0.5mg/kg~約1mg/kgである。
【0348】
いくつかの態様において、免疫調節剤(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)または抗がん剤の用量は、PIT処置後、その臨床的投薬スケジュールに従って継続されるかまたは繰り返される。したがって、いくつかの態様において、提供される方法に従う投与の用量スケジュールまたはサイクルにおいて、フタロシアニン色素コンジュゲート(例えば、IR700 抗体コンジュゲート)を、PITのために、例えば単回用量または注入で1回だけ投与することができるが、免疫調節剤の投与は、投与の投薬スケジュールまたはサイクルの間、1回より多く、例えば1週間に3回、1週間に2回、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回または1か月に1回継続されるかまたは繰り返される。いくつかの態様において、投与の投薬スケジュールまたはサイクルは、28日もしくは4週間または約28日もしくは約4週間である。
【0349】
いくつかの態様において、投与されるその他のもしくは追加の薬剤(1つまたは複数)、または併用療法における追加の薬剤は、コンジュゲートされていない標的化分子である。いくつかの態様において、コンジュゲートされていない標的化分子は、コンジュゲートの標的化分子と同じまたは実質的に同じ標的化分子である。例えば、いくつかの態様において、コンジュゲートの投与の前、タンパク質または抗原を標的とする標的化分子、例えば、コンジュゲートされていない抗体が対象に投与される。いくつかの態様において、標的化分子は、コンジュゲートの投与の96時間前までに投与される。いくつかの態様において、標的化分子は、10mg/m2~約500mg/m2または約10mg/m2~約500mg/m2の範囲内の用量で投与される。例えば、標的化分子は、セツキシマブであり、セツキシマブは、コンジュゲートの投与の96時間前までに対象に投与される。
【0350】
1. 免疫調節剤
本開示は、フタロシアニン色素コンジュゲートを採用するPIT法との組み合わせで投与することができる免疫調節剤を提供する。よって、本明細書に提供される併用療法(その組み合わせおよび使用法を含む)は、免疫調節剤を含む。免疫調節剤、または免疫調節因子は、身体の免疫応答を抑制するかまたは活性化させる物質である。例えば、腫瘍および/または病原体への免疫応答を刺激する免疫調節剤は、光免疫療法との組み合わせで使用してよい。
【0351】
一般に、がん性細胞は、免疫系によって認識されるはずである腫瘍特異的抗原を含む。典型的には、活性免疫系では、細胞傷害性T細胞のような免疫細胞がこれらのがん性細胞を攻撃および根絶する。正常な生理学的状態下では、T細胞媒介性免疫応答は、T細胞受容体(TCR)による抗原認識によって開始され、かつ、共刺激および阻害シグナル(例えば、免疫チェックポイントタンパク質)のバランスによって調節される。特に、TCRを発現するCD4+およびCD8+T細胞は、それぞれ、主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはクラスII分子上の抗原提示細胞上に提示される抗原性ペプチドの認識によって活性化状態になることができる。いくつかの局面において、活性化CD8+細胞、または細胞傷害性T細胞は、抗原を発現する腫瘍細胞を殺傷することができ、これはCD4+T細胞の存在によって援助されることができる。いくつかの態様において、免疫細胞は、抗原提示細胞である。いくつかの態様において、免疫細胞は、樹状細胞である。
【0352】
しかしながら、腫瘍の場合には、腫瘍微小環境は、免疫系を抑制することによって免疫認識を回避しかつ腫瘍細胞の殺傷を防止または低減させる機序を有する。例えば、いくつかの場合では、免疫チェックポイントタンパク質が、腫瘍において脱調節され、それによって免疫系を回避する機序として腫瘍微小環境における免疫応答の抑制をもたらすことができる。いくつかの場合では、他の機序が免疫細胞の腫瘍抗原への接近を阻害するように作用し、それによって免疫系を回避する腫瘍の能力にも寄与することができる。本明細書に提供される併用療法は、光分解機序によって腫瘍細胞を殺傷しながら腫瘍に対してよりロバストな免疫応答を提供するために、これらの回避機序の両方に対応する。
【0353】
本明細書に提供される併用療法の方法のいくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫抑制シグナル伝達を阻害または免疫刺激シグナル伝達を増強するために対象に投与される。例えば、共刺激受容体の阻害性チェックポイントタンパク質アンタゴニストおよび/またはアゴニストは、抗原特異的T細胞応答を増幅させることによって、宿主の内因性の抗腫瘍免疫応答を刺激することができる。提供される方法の局面において、腫瘍細胞の殺傷をもたらし、それによって腫瘍抗原を放出することができる、光免疫療法を実施することもできる。光免疫療法を免疫調節剤の投与との組み合わせで実施することによって、その後のPIT誘導性抗原の放出は、免疫調節剤によってその応答が増幅または刺激されているT細胞に抗原刺激源を提供することができる。したがって、いくつかの局面において、免疫調節剤での治療によって生成される増強された免疫応答は、プライミングされて、PIT後の細胞の溶解によって曝露される腫瘍抗原に応答する状態にある。したがって、いくつかの局面において、本明細書に提供される併用療法は、光分解機序によって腫瘍細胞を殺傷しながらも腫瘍に対してよりロバストな免疫応答を提供するために、腫瘍微小環境中に存在できる自然の回避機序に対応する。
【0354】
一般に、提供される方法では、免疫調節剤の投与後の免疫応答が刺激または増強された後の時点に、投与されたフタロシアニン色素-コンジュゲートの照射および活性化によるPIT媒介性細胞殺傷が実施される。いくつかの態様において、免疫調節剤は、投与されたフタロシアニン色素-コンジュゲートの照射前の十分な時間に投与され、それでT細胞応答の増幅がPIT誘導性細胞溶解の前に起こった。よって、一般に、免疫調節剤は、T細胞応答を増幅するのに治療的に有効である照射前の十分な時間に投与され、例えば、投与されたフタロシアニン色素-コンジュゲート(例えば、IR700-標的化分子コンジュゲート、例えばIR700-抗体色素コンジュゲート)の活性化を通してPIT媒介性細胞殺傷を誘導するために、照射を実施する少なくとも12時間前、例えば一般に少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも96時間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間または少なくとも1か月前に投与される。
【0355】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、免疫調節剤の投与の前に、免疫調節剤の投与と同時に、または免疫調節剤の投与に続いて、投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、免疫調節剤を投与した後であるが腫瘍に照射する前に投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、腫瘍に照射する12時間~48時間前または約12時間~48時間前に投与され、かつ免疫調節剤は、腫瘍に照射する12時間~1か月前または約12時間~約1か月前に投与される。いくつかの態様において、免疫調節剤は、腫瘍に照射する30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1か月超前、または約30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1か月超前に投与される。
【0356】
いくつかの態様において、腫瘍の照射は、i)免疫調節剤の投与後およびコンジュゲートの投与後、またはii)コンジュゲートの投与後のみのいずれかに行われる。
【0357】
免疫調節剤、フタロシアニン色素-コンジュゲート(例えば、IR700-標的化分子コンジュゲート、例えばIR700-抗体色素コンジュゲート)を投与するためのおよび照射を実施するための、例示的な投与量レジメンおよびスケジュールは、本明細書の他の箇所に記載される。
【0358】
いくつかの態様において、併用療法の方法は、例えば免疫抑制シグナル伝達を阻害するかまたは免疫刺激シグナル伝達を増強することによって、抗腫瘍免疫応答を刺激、増幅および/またはそうでなければ増強することができる任意の免疫調節剤を用いて、実施することができる。いくつかの態様において、免疫調節剤は、ペプチド、タンパク質であるかまたは低分子である。いくつかの態様において、タンパク質は、融合タンパク質または組換えタンパク質であることができる。いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫細胞、例えばT細胞、B細胞または抗原提示細胞上に発現される免疫学的標的、例えば細胞表面受容体に結合する。例えば、いくつかの態様において、免疫調節剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片、融合タンパク質、低分子またはポリペプチドである。
【0359】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫チェックポイント経路を阻害する。免疫系は、自己寛容の維持に関与するおよび免疫応答を調節するための複数の阻害経路を有する。腫瘍は、免疫耐性(特に、腫瘍抗原に特異的であるT細胞に対する)の主要機序として、ある免疫チェックポイント経路を使用できることが知られている(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。多くのこのような免疫チェックポイントはリガンド-受容体相互作用によって開始されるので、免疫チェックポイントはリガンドおよび/またはそれらの受容体に対する抗体によって容易に遮断されることができる。
【0360】
それゆえ、免疫チェックポイント経路を遮断するアンタゴニスト分子、例えば低分子、核酸阻害剤(例えば、RNAi)または抗体分子を用いた治療は、がんおよび他の疾患の免疫療法の有望な手段となりつつある。ほとんどの抗がん剤とは対照的に、チェックポイント阻害剤は、免疫系の内因性の抗腫瘍活性を増強するために、腫瘍細胞を直接標的とする必要はなく、むしろリンパ球受容体またはそれらのリガンドを標的とする(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。
【0361】
本明細書において使用される場合、用語「免疫チェックポイント阻害剤」は、1つまたは複数のチェックポイントタンパク質を完全にまたは部分的に低減、阻害、妨害または調節する分子を指す。チェックポイントタンパク質は、T細胞の活性化または機能を制御する。これらのタンパク質は、T細胞応答の共刺激性または阻害性相互作用の原因となる。免疫チェックポイントタンパク質は、自己寛容ならびに生理学的免疫応答の期間および大きさを制御および維持する。
【0362】
免疫チェックポイント阻害剤は、免疫系の阻害経路を統計学的に有意に遮断または阻害する任意の薬剤を含む。このような阻害剤は、低分子阻害剤を含み得るか、または免疫チェックポイント受容体リガンドに結合してそれを遮断または阻害する抗体、もしくはその抗原結合断片を含み得る。遮断または阻害のために標的とされ得る例となる免疫チェックポイント分子は、限定されることなく、PD1(CD279)、PDL1(CD274、B7-H1)、PDL2(CD273、B7-DC)、CTLA-4、LAG3(CD223)、TIM3、4-1BB(CD137)、4-1BBL(CD137L)、GITR(TNFRSF18、AITR)、CD40、Ox40(CD134、TNFRSF4)、CXCR2、腫瘍関連抗原(TAA)、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、GAL9、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4(CD2ファミリー分子に属し、かつ、全てのNK、γδ、およびメモリーCD8+(αβ)T細胞上に発現される)、CD160(BY55とも称される)およびCGEN-15049を含む。免疫チェックポイント阻害剤は、PD1、PDL1、PDL2、CTLA-4、LAG3、TIM3、4-1BB、4-1BBL、GITR、CD40、Ox40、CXCR2、TAA、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、GAL9、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4、CD160、およびCGEN-15049の1つまたは複数に結合しその活性を遮断または阻害する、抗体、もしくはその抗原結合断片、または他の結合タンパク質を含む。例となる免疫チェックポイント阻害剤は、トレメリムマブ(CTLA-4遮断抗体)、抗OX40、PD-L1モノクローナル抗体(抗B7-H1;MEDI4736)、MK-3475(PD-1遮断薬)、ニボルマブ(抗PD1抗体)、CT-011(抗PD1抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PDL1抗体)、BMS-936559(抗PDL1抗体)、MPLDL3280A(抗PDL1抗体)、MSB0010718C(抗PDL1抗体)およびヤーボイ/イピリムマブ(抗CTLA-4チェックポイント阻害剤)を含む。
【0363】
プログラム細胞死1(PD1)は、B細胞、NK細胞、およびT細胞において発現される免疫チェックポイントタンパク質である(Shinohara et al., 1995, Genomics 23:704-6; Blank et al., 2007, Cancer Immunol Immunother 56:739-45; Finger et al., 1997, Gene 197:177-87; Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。PD1の主な役割は、感染に応答した炎症の間、末梢組織においてT細胞の活性を制限すること、ならびに自己免疫を制限することである(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。PD1発現は、活性化T細胞において誘導され、PD1のその内因性リガンドの1つへの結合は、刺激性キナーゼを阻害することによって、T細胞活性化を阻害するように作用する(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。PD1はまた、TCR「停止シグナル」を阻害するように作用する(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。PD1は、Treg細胞上に強く発現され、かつ、リガンドの存在下でそれらの増殖を増加し得る(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。抗PD1抗体は、黒色腫、非小細胞肺癌、膀胱癌、前立腺癌、結腸直腸癌、頭頸部癌、トリプルネガティブ乳癌、白血病、リンパ腫および腎細胞癌の処置に使用されている(Topalian et al., 2012, N Engl J Med 366:2443-54; Lipson et al., 2013, Clin Cancer Res 19:462-8; Berger et al., 2008, Clin Cancer Res 14:3044-51; Gildener-Leapman et al., 2013, Oral Oncol 49:1089-96; Menzies & Long, 2013, Ther Adv Med Oncol 5:278-85)。例示的な抗PD1抗体は、ニボルマブ(BMSによるオプジーボ)、ペムブロリズマブ(MerckによるKeytruda)、ピジリズマブ(Cure TechによるCT-011)、ランブロリズマブ(MerckによるMK-3475)、およびAMP-224(Merck)を含む。
【0364】
PD-L1(CD274およびB7-H1としても知られている)およびPD-L2(CD273およびB7-DCとしても知られている)は、活性化T細胞、B細胞、骨髄細胞、マクロファージ、およびいくつかのタイプの腫瘍細胞上に見いだされるPD1のリガンドである。抗腫瘍治療は、抗PD-L1抗体に焦点を合わせている。PD1およびPD-L1の複合体は、CD8+T細胞の増殖を阻害し、かつ、免疫応答を低減する(Topalian et al., 2012, N Engl J Med 366:2443-54; Brahmer et al., 2012, N Eng J Med 366:2455-65)。抗PD-L1抗体は、非小細胞肺癌、黒色腫、結腸直腸癌、腎細胞癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、乳癌、および血液悪性腫瘍の処置に使用されている(Brahmer et al., N Eng J Med 366:2455-65; Ott et al., 2013, Clin Cancer Res 19:5300-9; Radvanyi et al., 2013, Clin Cancer Res 19:5541; Menzies & Long, 2013, Ther Adv Med Oncol 5:278-85; Berger et al., 2008, Clin Cancer Res 14:13044-51)。例示的な抗PD-L1抗体は、MDX-1105(Medarex)、MEDI4736(Medimmune)、MPDL3280A(Genentech)、BMS-935559(Bristol-Myers Squibb)およびMSB0010718Cを含む。
【0365】
CD152としても知られている細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(CTLA-4)は、T細胞活性化を制御するよう機能する共阻害性分子である。CTLA-4は、T細胞上にだけ発現される免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。CTLA-4は、T細胞活性化を阻害するように作用する、またヘルパーT細胞の活性を阻害して制御性T細胞の免疫抑制活性を増強すると報告されている(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。CTLA-4の正確な作用機序は調査中であるが、CTLA-4は、CD80およびCD86への結合においてCD28と競合して打ち勝つことによって、かつ阻害剤シグナルをT細胞に活発に送達することによって、T細胞活性化を阻害すると示唆されている(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。抗CTLA-4抗体は、黒色腫、前立腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌の処置のための臨床試験で使用されている(Robert & Ghiringhelli, 2009, Oncologist 14:848-61; Ott et al., 2013, Clin Cancer Res 19:5300; Weber, 2007, Oncologist 12:864-72; Wada et al., 2013, J Transl Med 11:89)。抗CTLA-4の顕著な特徴は、初期処置後、生理学的応答に最大で6か月の期間を要する、抗腫瘍効果の動態である(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。いくつかの場合では、腫瘍は、実際に処置開始後サイズが増加し得るが、その後低減が見られる(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。例示的な抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(Bristol-Myers Squibb)およびトレメリムマブ(Pfizer)を含む。イピリムマブは、転移性黒色腫の処置について最近になってFDAの承認を受けた(Wada et al., 2013, J Transl Med 11:89)。いくつかの態様において、免疫調節剤は、抗CTLA-4抗体ではない。
【0366】
CD223としても知られているリンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)は、別の免疫チェックポイントタンパク質である。LAG-3は、リンパ球活性の阻害、およびいくつかの場合ではリンパ球アネルギー(lymphocyte anergyh)の誘導と関連している。LAG-3は、B細胞、NK細胞、および樹状細胞を含む、免疫系における種々の細胞上に発現される。LAG-3は、黒色腫炎症性T細胞(強力な免疫抑制活性を備えているものを含む)上に実質的に発現される、MHCクラスII受容体の天然リガンドである。例示的な抗LAG-3抗体は、BMS-986016である。IMP321は、樹状細胞を活性化して抗原提示を増加させる、免疫チェックポイント分子LAG-3の可溶性バージョンである。
【0367】
活性化Th1細胞上で最初に同定された、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン-3(TIM-3)は、免疫応答の負の調節因子であることが示されている。TIM-3の遮断は、T細胞媒介性抗腫瘍免疫を促進し、かつ、広範なマウス腫瘍モデルにおいて抗腫瘍活性を有する。TIM-3遮断と他の免疫治療薬、例えばTSR-042、抗CD137抗体との組み合わせは、抗腫瘍効果の増加において付加的または相乗的であることができる。TIM-3発現は、黒色腫、NSCLCおよび腎臓癌を含む多数の異なる腫瘍タイプと関連しており、追加的に、腫瘍内TIM-3の発現は、NSCLC、子宮頸癌、および胃癌を含む広範な腫瘍タイプにわたって予後不良と相関関係にあることが示されている。TIM-3の遮断はまた、多数の慢性ウイルス性疾患への増加された免疫の促進において興味深い。TIM-3はまた、ガレクチン-9、ホスファチジルセリンおよびHMGB1を含む多数のリガンドと相互作用することが示されているが、もしあったとしてもこれらのうちどれが抗腫瘍応答の制御に関係しているか現在のところ明らかになっていない。
【0368】
CD137としても知られている4-1BBは、TNFRスーパーファミリーに属する膜貫通糖タンパク質である。4-1BB受容体は、活性化T細胞およびB細胞ならびに単球上に存在する。例示的な抗4-1BB抗体は、ウレルマブ(BMS-663513)であり、これは潜在的な免疫刺激性および抗悪性腫瘍活性を有する。
【0369】
糖質コルチコイド誘導性TNFRファミリー関連遺伝子(GITR)もまた、TNFRスーパーファミリーのメンバーである。GITRは、活性化T細胞上でアップレギュレートされ、これは免疫系を増強する。例示的な抗GITR抗体は、TRX518である。
【0370】
分化抗原群40(CD40)もまた、TNFRスーパーファミリーのメンバーである。CD40は、抗原提示細胞上に見いだされる共刺激性タンパク質であり、かつ、幅広い免疫および炎症応答を媒介する。CD40はまた、いくつかの悪性腫瘍上に発現され、そこで増殖を促進する。例示的な抗CD40抗体は、ダセツズマブ(SGN-40)、ルカツムマブ(Novartis、アンタゴニスト)、SEA-CD40(Seattle Genetics)、およびCP-870,893である。
【0371】
OX40およびCD134としても知られている腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー4(TNFRSF4)は、TNFRスーパーファミリーの別のメンバーである。OX40は、静止ナイーブT細胞上に構成的に発現されず、二次的な共刺激性免疫チェックポイント分子として作用する。例示的な抗OX40抗体は、MEDI6469およびMOXR0916(RG7888、Genentech)である。
【0372】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、抗体またはその抗原結合抗体断片である。例示的なこのような抗体は、限定されることなく、ダクリズマブ(Zenapax)、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、バシリキシマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、MPDL3280A、ピジリズマブ(CT-011)、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ(SGN-40)、ルカツムマブ(HCD122)、SEA-CD40、CP-870、CP-893、MEDI6469、MEDI6383、MOXR0916、AMP-224、MSB0010718C(Avelumab)、MEDI4736、PDR001、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015, IPH2101)、IPH2201、ARGX-115、エマクツズマブ、CC-90002およびMNRP1685Aまたはその抗体結合断片を含む。
【0373】
CXCR2は、骨髄由来抑制細胞(MDSC)上に発現されるケモカイン受容体である。CXCR2は、腫瘍免疫回避に寄与する。抗CXCR2モノクローナル抗体療法が抗PD1抗体誘導性の抗腫瘍免疫応答および抗腫瘍有効性を増強したことが示されている。
【0374】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、サイトカインである。いくつかの態様において、免疫調節剤は、サイトカインであるか、または腫瘍微小環境中のサイトカインの増加した発現を誘導する薬剤である。「サイトカイン」とは、別の細胞に対して細胞間メディエーターとして作用する、1つの細胞集団によって放出されるタンパク質の総称を意味する。このようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、および伝統的なポリペプチドホルモンである。サイトカインの中で、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;レラキシン;プロレラキシン;糖タンパク質ホルモン、例えば卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH);肝細胞成長因子;線維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子-アルファおよび-ベータ;ミュラー管抑制物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);神経成長因子、例えばNGF-ベータ;血小板成長因子;トランスフォーミング成長因子(TGF)、例えばTGF-アルファおよびTGF-ベータ;インスリン様成長因子-Iおよび-II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン、例えばインターフェロン-アルファ、ベータ、および-ガンマ;コロニー刺激因子(CSF)、例えばマクロファージ-CSF(M-CSF);顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF);ならびに顆粒球-CSF(G-CSF);インターロイキン(IL)、例えばIL-1、IL-1アルファ、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12;IL-15、腫瘍壊死因子、例えばTNF-アルファまたはTNF-ベータ;ならびに、LIFおよびキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。本明細書において使用される場合、サイトカインという用語は、天然源由来または組換え細胞培養物由来のタンパク質、および天然配列のサイトカインの生物学的に活性な同等物を含む。例えば、免疫調節剤は、サイトカインであり、そして、サイトカインは、IL-4、TNF-α、GM-CSFまたはIL-2である。
【0375】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、GM-CSF、CpG-ODN(CpGオリゴデオキシヌクレオチド)、リポ多糖(LPS)、モノホスホリルリピドA(MPL)、ミョウバン、組換えリーシュマニアポリタンパク質、イミキモド、MF59、ポリI:C、ポリA:U、1型IFN、Pam3Cys、Pam2Cys、完全フロイントアジュバント(CFA)、アルファ-ガラクトシルセラミド、RC-529、MDF2β、ロキソリビン、抗CD40アゴニスト、SIRPaアンタゴニスト、AS04、AS03、フラジェリン、レシキモド、DAP(ジアミノピメリン酸)、MDP(ムラミルジペプチド)およびCAF01(陽イオン性アジュバント製剤-01)の中から選択される。いくつかの態様において、免疫調節剤は、Toll様受容体(TLR)アゴニスト、アジュバントまたはサイトカインである。いくつかの態様において、免疫調節剤は、TLRアゴニストであり、そして、TLRアゴニストは、TLR4アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、またはTLR9アゴニストであるTLRアゴニストである。いくつかの態様において、TLRアゴニストは、トリアシル化リポタンパク質、ジアシル化リポタンパク質、リポテイコ酸、ペプチドグリカン、ザイモサン、Pam3CSK4、dsRNA、ポリI:C、ポリG10、ポリG3、CpG、3M003、フラジェリン、リポ多糖(LPS)、真核生物リボソーム伸長および開始因子4aのリーシュマニア相同体(LeIF)、MEDI9197、SD-101、ならびにイミダゾキノリンTLRアゴニストの中から選択される。
【0376】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、1つまたは複数のインターロイキンまたは他のサイトカインを含みうる。例えば、インターロイキンは、天然サイトカインの組み合わせである、白血球インターロイキン注射(Multikine)を含むことができる。
【0377】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、Toll様受容体(TLR)アゴニストである。いくつかの態様において、このようなアゴニストは、TLR4アゴニスト、TLR8アゴニスト、またはTLR9アゴニストを含むことができる。このようなアゴニストは、ペプチドグリカン、ポリI:C、CpG、3M003、フラジェリン、ならびに真核生物リボソーム伸長および開始因子4aのリーシュマニア相同体(LeIF)から選択され得る。
【0378】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、腫瘍細胞の免疫原性を増強するもの、例えば、パツピロン(エポチロンB)、上皮成長因子受容体(EGFR)標的化モノクローナル抗体7A7.27、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、ベリノスタット、およびエンチノスタット)、n3-多価不飽和脂肪酸ドコサヘキサエン酸、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、シコニン(ムラサキ(Lithospermum erythrorhizon)の根の主成分)および腫瘍溶解性ウイルス、例えばTVec(タリモジーン・ラハーパレプベック)であることができる。いくつかの態様において、アントラサイクリン(ドキソルビシン、ミトキサントロン)、BKチャネルアゴニスト、ボルテゾミブ、ボルテゾミブ(botrtezomib)+マイトマイシンC+hTert-Ad、強心配糖体+非ICD誘導因子、シクロホスファミド、GADD34/PP1阻害剤+マイトマイシン、LV-tSMAC、およびオキサリプラチンのような免疫調節剤は、がんまたは腫瘍の免疫原性細胞死を活性化する。いくつかの態様において、免疫調節剤は、エピジェネティック療法、例えばDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、デシタビン、5-アザ-2’-デオキシシチジン)であることができる。
【0379】
例えば、いくつかの態様において、免疫調節剤は、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤であることができ、これは腫瘍関連抗原(TAA)の発現を制御することができる。TAAは、免疫応答をトリガーする、腫瘍細胞において産生される抗原物質である。TAAは、多くの場合、腫瘍においてDNAメチル化によってダウンレギュレーションされて免疫系を回避する。DNAメチル化の反転は、TAA発現を回復し、腫瘍細胞の免疫原性を増加させる。例えば、デシタビン(5-アザ-2’-デオキシシチジン)のような脱メチル化剤は、腫瘍細胞においてTAAの発現をアップレギュレートすることができ、かつ、がん性細胞の免疫認識を増加させることができる。光免疫療法は、細胞を破壊することによってTAAを免疫系にさらに曝露するだろう。
【0380】
いくつかの態様において、免疫調節剤それ自体は、免疫チェックポイント阻害剤のような免疫調節剤である抗体または抗原結合抗体断片に連結されたフタロシアニン色素を含有する抗体コンジュゲートであることができる。いくつかの態様において、免疫調節剤は、腫瘍細胞の表面の免疫抑制分子、例えば免疫チェックポイント分子を標的とするかまたはそれに結合するものである。例えば、PD-L1は、多くの腫瘍細胞上で構成的に発現されるかまたは誘導される免疫抑制分子であり、かつ、免疫細胞上に発現されるその受容体PD-1との相互作用を通してT細胞活性化を防止することができる。いくつかの局面において、腫瘍細胞上の免疫抑制分子(例えば、PD-L1)に結合する免疫調節剤を含有するフタロシアニン-色素コンジュゲートを投与して、免疫応答を増強することも、また、免疫抑制分子を発現するがん細胞を特異的に殺傷するよう作用し、それによって腫瘍微小環境において免疫抑制を反転させることのいずれもできる。特に、コンジュゲートが結合する腫瘍細胞の照射は、その活性化をもたらして、PD-L1がん細胞のPIT誘導性細胞殺傷を媒介することができ、これはまた、腫瘍微小環境においてT細胞抑制を制御する腫瘍中のがん細胞を特異的に排除するよう作用するだろう。
【0381】
よって、腫瘍細胞上に発現される免疫抑制分子に結合する免疫調節剤に連結されたフタロシアニン色素(例えば、IR700)を含有するコンジュゲートが本明細書に提供される。例えば、いくつかの態様において、腫瘍細胞上に発現される免疫抑制分子は、免疫チェックポイント分子であることができる。いくつかの態様において、腫瘍細胞上に発現される免疫チェックポイント分子は、PD-L1である。いくつかの態様において、コンジュゲートの一部である免疫調節剤は、免疫チェックポイント阻害剤、例えばPD-L1に結合する抗体または抗原結合抗体断片である。例えば、PD-L1に結合する抗体または抗原結合抗体断片に連結されたフタロシアニン色素(例えば、IR700)を含有するコンジュゲートが本明細書に提供される。PD-L1に対する例示的な免疫チェックポイント阻害剤(抗体または抗原結合抗体断片を含む)は、上記であり、かつ、いずれも提供されるコンジュゲートに含めることができる。例示的な抗PD-L1抗体は、限定されることなく、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280AおよびMSB0010718C、またはその抗原結合抗体断片を含む。本明細書に提供される例示的なコンジュゲート分子は、例えば、IR700-BMS-935559、IR700-MEDI4736、IR700-MPDL3280AおよびIR700-MSB0010718Cを含むことができる。いくつかの態様において、このようなコンジュゲートを、例えば色素を活性化させるのに十分な波長での光での照射による、光免疫療法の方法において使用することができる。このようなコンジュゲートを、単剤療法ベースの光免疫療法において使用することも、または他のフタロシアニン色素コンジュゲートとの併用療法の方法において使用することもできる。
【0382】
例えば、いくつかの態様において、腫瘍の細胞上に発現される免疫抑制分子に結合する免疫調節剤に連結されたフタロシアニン色素(例えば、IR700)を含有する第一のコンジュゲート(例えば、抗PD-L1抗体、例えばIR700-抗PD-L1コンジュゲート)が対象に投与され、次いで、標的化分子に連結されたフタロシアニン色素を含有する第二のコンジュゲートが対象に投与される、併用療法の方法が提供される。一般に、第二のコンジュゲートは、腫瘍中の細胞、例えば腫瘍微小環境中に存在する細胞、例えば上記のいずれか上の細胞表面タンパク質に結合することができる任意の標的化分子を含むことができる。いくつかの態様において、第一のコンジュゲートおよび第二のコンジュゲートは、腫瘍中の細胞上に発現される異なるタンパク質に結合する。いくつかの態様において、第二のコンジュゲートは、腫瘍中の細胞上に発現される細胞表面タンパク質に結合する抗体または抗原結合抗体断片に連結されたフタロシアニン色素(例えば、IR700)を含むことができる。第二のコンジュゲートの例示的な抗体または抗原結合抗体断片は、限定されることなく、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan, Mabthera)、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin)、ダクリズマブ(Zenapax)、ゲムツズマブ(Mylotarg)、アレムツズマブ、CEA-scan Fab断片、OC125モノクローナル抗体、ab75705、B72.3、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、ならびにバシリキシマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEA-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI6383、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、PDR001、MSB0010718C、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015, IPH2101)、IPH2201、AGX-115、エマクツズマブ、CC-90002およびMNRP1685Aを含むことができるか、またはその抗体結合断片である。
【0383】
いくつかの態様において、例えば、コンジュゲートでの腫瘍の処置とそれに続く光照射が腫瘍中の免疫抑制細胞の存在を増加させるかまたは腫瘍における免疫抑制マーカーの発現を増加させる場合、腫瘍中の免疫抑制細胞の量もしくは活性を低減させることが可能な、または免疫抑制マーカーの活性を遮断もしくは腫瘍中の腫瘍促進細胞の活性を低減させることが可能な、または腫瘍促進マーカーの活性を遮断することが可能な、治療有効量の免疫調節剤を投与することができる。例えば、いくつかの態様において、免疫調節剤との組み合わせで投与される、フタロシアニン色素である第一の色素を有するコンジュゲートは、免疫調節剤にコンジュゲートされた第二のフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを含み、免疫調節剤は、免疫抑制細胞または腫瘍促進細胞に結合してこのような細胞の活性を調節することが可能である。いくつかの態様において、第一および第二のフタロシアニン色素は、同じかまたは異なる。
【0384】
したがって、いくつかの態様において、免疫調節剤はそれ自体、フタロシアニン色素、例えば免疫調節剤である抗体または抗原結合抗体断片に連結されたフタロシアニン色素を含有するコンジュゲートである。いくつかの態様において、免疫調節剤は、腫瘍細胞上のチェックポイントタンパク質(例えば、PD-L1)に結合する免疫調節抗体(例えば、チェックポイント阻害剤)を含むIR700-抗体コンジュゲートである。いくつかの態様において、免疫調節コンジュゲート(例えば、免疫調節剤であるIR700-抗体コンジュゲート)は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与の前の12時間~2か月の間、例えば一般に、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与の少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも96時間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間または少なくとも1か月前に投与される。いくつかの態様において、免疫調節コンジュゲート(例えば、免疫調節剤であるIR700-抗体コンジュゲート)は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与の間またはそれと同時に投与される。いくつかの態様において、免疫調節コンジュゲート(例えば、免疫調節剤であるIR700-抗体コンジュゲート)は、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与後の12時間~2か月の間、例えば一般に、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与の少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも96時間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間または少なくとも1か月後に、またはフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与後の照射の後に投与される。
【0385】
このような局面において、併用療法の方法は、一般に、第一および/または第二のコンジュゲートの色素を活性化するために十分な波長での光での1回または複数回の照射を含む。
【0386】
いくつかの態様において、少なくとも2回の照射が実施されるが、その際、少なくとも1回の第一の照射が第一のコンジュゲートを活性化するために提供され、第二の照射が第二のコンジュゲートを活性化するために提供される。いくつかの態様において、光での第一の照射は、第一のコンジュゲートの投与後に腫瘍に提供される。例えば、第一のコンジュゲートを投与した12時間~48時間または約12時間~48時間後、例えば約24時間またはおよそ24時間以内、腫瘍を光で処置して、免疫抑制分子を発現するがん細胞を殺傷する、例えばPD-L1を発現する腫瘍細胞を殺傷することができる。いくつかの態様において、このような細胞の殺傷は、腫瘍でのT細胞応答の再活性化または増幅を可能にし得る。いくつかの態様において、投与および照射による第一のコンジュゲートの光免疫療法に続いて、第二のフタロシアニン色素コンジュゲートを対象に投与し、続いて、第二のコンジュゲートを投与した12時間~48時間または約12時間~48時間後、例えば約24時間またはおよそ24時間以内に光での第二の照射を行うことができる。いくつかの態様において、第二の照射は、第二のコンジュゲートの活性化を達成し、これは、第二のコンジュゲートによって認識される腫瘍標的化分子を発現する腫瘍細胞の選択的細胞殺傷をもたらし、それによって腫瘍抗原を放出して強い免疫原性応答を誘導することができる。その理由は、腫瘍中のT細胞がもはや免疫抑制分子(例えば、PD-L1)によって抑制されないためである。いくつかの態様において、第一の照射は、第二のコンジュゲートの投与の前に、例えば第二のコンジュゲートの投与の少なくとも1分、5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間もしくは24時間前、または約少なくとも1分、5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間もしくは24時間前に実施される。
【0387】
いくつかの態様において、第一のコンジュゲートによって認識される免疫抑制分子(例えば、PD-L1)を発現する腫瘍細胞および第二のコンジュゲートによって認識される腫瘍標的化分子を発現する腫瘍細胞のPIT誘導性細胞殺傷を引き起こすために、単回照射を実施して、第一のコンジュゲートおよび第二のコンジュゲートの両方の活性化を達成することができる。よって、このような局面において、腫瘍の1回の光照射で、特異的腫瘍細胞を選択的に殺傷して、それによって腫瘍抗原を放出する効果と、PD-L1を発現する腫瘍細胞のような免疫抑制腫瘍細胞の殺傷に起因して強い免疫原性応答を誘導する効果の両方を誘導し得る。いくつかの態様において、照射前、第一のコンジュゲートを、第二のコンジュゲートの投与の前に、同時に、その後にまたは断続的に投与することができる。いくつかの態様において、第一のコンジュゲートは、第二のコンジュゲートの前に、例えば少なくとも5分前、一般に少なくとも12時間または少なくとも24時間前に投与される。いくつかの態様において、第一および第二のコンジュゲートは、同時に投与される。いくつかの態様において、第一および第二のコンジュゲートは、別個に製剤化される。いくつかの態様において、第一および第二のコンジュゲートは、同じ組成物中に合わせて製剤化される。
【0388】
2. 抗がん剤
また、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを採用する光免疫療法との組み合わせで投与することができる抗がん剤が本明細書において提供される。よって、本明細書に提供される併用療法(その組み合わせおよび使用法を含む)は、使用することで対象においてがんを低減、抑止または防止できる任意の薬剤を含むことができる、抗がん剤を含む。任意で、例えば種々のがんを処置するために、追加の抗がん剤を、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを免疫調節剤と合わせて使用する光免疫療法との併用療法において使用することができる。
【0389】
本明細書に記載のとおり、照射と組み合わせた、腫瘍を有する対象への1つまたは複数のフタロシアニン色素コンジュゲートの投与による腫瘍細胞のPIT誘導性細胞殺傷は、腫瘍透過性の増加、例えば腫瘍空間周辺の血管透過性の増加を導くことができる。透過性の増加は、全身に有効可能な分子の腫瘍空間への急速な漏出をもたらし、それによってこのような分子への腫瘍の曝露を最大限にすることができることが本明細書において考えられる。したがって、いくつかの態様において、本明細書に提供される併用療法の方法では、抗がん剤は、対象に、投与されたフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの照射前の、抗がん剤を全身に有効可能にするのに十分な時間に、例えば一般に、照射の少なくとも5分前、例えば照射の少なくとも10分間、15分、30分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間または24時間前に投与される。このような態様において、照射および腫瘍細胞のPIT誘導性殺傷に続いて、全身に有効可能な抗がん剤が腫瘍空間に直ちに取り込まれることができ、そこで、薬剤が治療効果を提供することができる。したがって、抗がん剤が照射後に、よってPIT誘導性細胞殺傷後に投与される方法とは対照的に、本方法では、抗がん剤が腫瘍空間への直接かつ即時の取り込みに利用可能であるので、治療効果を達成する上で遅延時間はない。これは、抗がん剤への治療応答を最大限にすることができる。
【0390】
抗がん剤の十分な全身アベイラビリティを確保するための、照射を実施する前の特定の抗がん剤の投与の適切なタイミングを決定することは、当業者が備えている技能の範囲内である。多くの場合、特定の抗がん剤の薬物動態は、当技術分野において周知である。いくつかの場合では、投与に続いて、このようなパラメーターを最大(ピーク)血漿濃度(Cmax)、ピーク時間(すなわち、最大血漿濃度が生じるとき;Tmax)、最小血漿濃度(すなわち、薬剤の用量間の最小血漿濃度;Cmin)、消失半減期(T1/2)および曲線下面積(すなわち、時間対薬剤の血漿濃度をプロットすることによって生成される曲線下面積;AUC)として測定することによって、薬物動態を評価することができる。血液の試料中の薬剤の濃度を評価するのに適する当技術分野において公知の任意の方法を使用して、皮下投与に続いて血漿中の特定の薬剤の濃度を測定することができる。例えば、免疫測定法、例えばELISA、またはクロマトグラフィー/質量分光分析法ベースアッセイを使用することができる。
【0391】
いくつかの態様において、本明細書に提供される併用療法において使用される抗がん剤は、抗がん処置において使用される、任意の薬剤、または化合物を指すことができる。これらは、単独でまたは他の化合物との組み合わせで使用されるとき、腫瘍およびがんと関連する臨床症状または診断マーカーを緩和、低減、改善、防止するかまたはその奏効状態に置くもしくは保つことができ、かつ、本明細書に提供される組み合わせおよび組成物において使用することができる、任意の薬剤を含む。いくつかの態様において、抗がん剤は、その治療効果が一般に抗がん剤の腫瘍微小環境または腫瘍空間への浸透または送達と関連するものである。いくつかの態様において、抗がん剤は、アルキル化剤、白金製剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、有糸分裂阻害剤、コルチコステロイド、プロテアソーム阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤または抗体もしくはその抗原結合抗体断片である。いくつかの態様において、抗がん剤は、ペプチド、タンパク質または低分子薬である。
【0392】
いくつかの態様において、抗がん剤は、5-フルオロウラシル/ロイコボリン、オキサリプラチン、イリノテカン、レゴラフェニブ、ziv-アフリベルセプト、カペシタビン、シスプラチン、パクリタキセル、トポテカン(toptecan)、カルボプラチン、ゲムシタビン、ドセタキセル、5-FU、イホスファミド、マイトマイシン、ペメトレキセド、ビノレルビン、カルムスチン・ウエファー(carmustine wager)、テモゾロミド、メトトレキサート、カパシタビン(capacitabine)、ラパチニブ、エトポシド、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、リポソーマルシタラビン、シタラビン、インターフェロンアルファ、エルロチニブ、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ロムシン(lomusine)、プロカルバジン、スニチニブ、ソマストスタチン(somastostatin)、ドキソルビシン、ペグ化リポソーム封入ドキソルビシン、エピルビシン、エリブリン、アルブミン結合パクリタキセル、イキサベピロン、コトリモキサゾール、タキサン、ビンブラスチン、テムシロリムス、テモゾロミド、ベンダムスチン、経口エトポシド、エベロリムス、オクトレオチド、ランレドチド(lanredtide)、ダカルバジン、メスナ、パゾパニブ、エリブリン、イマチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、ニロチニブ、ダサンチニブ(dasantinib)、セレコキシブ、タモキシフェン、トレミフェン、ダクチノマイシン、シロリムス、クリゾチニブ、セリチニブ(certinib)、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、ミトキサントロン、カバジタキセル、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、ロイコボリン、アファチニブ、セリチニブ、ゲフィチニブ、カボザンチニブ、オキソリプラチン(oxoliplatin)またはオウロロピリミジン(auroropyrimidine)である。
【0393】
いくつかの態様において、抗がん剤は、抗体または抗原結合抗体断片である。いくつかの態様において、抗がん剤は、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ラムシルマブ、イピリムマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、ado-トラスツズマブエムタンシン、ペルツズマブ、ニボルマブ、ラパチニブ、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、エルロチニブ、スニチニブ、パゾパニブ、イマチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、ニロチニブ、ダサンチニブ、セレコキシブ、クリゾチニブ、セリチニブ、アファチニブ、アキシチニブ、ベバシズマブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、アファチニブ、ゲフィチニブ、テムシロリムス、エベロリムス、シロリムス、イブルチニブ、イマチニブ、レンバチニブ、オラパリブ、パルボシクリブ、ルキソリチニブ、トラメチニブ、バンデタニブもしくはビスモデギブのいずれか1つまたは複数、またはその抗原結合抗体断片であることができる。
【0394】
いくつかの態様において、抗がん剤は、アルキル化剤である。アルキル化剤は、核酸と共有結合を形成してDNA合成を阻害することによってDNAを直接損傷する化合物である。例示的なアルキル化剤は、限定されることなく、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスアミド(ifosamide)、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、およびチオテパ、ならびにニトロソウレア(nitrosurea)アルキル化剤、例えばカルムスチンおよびロムスチンを含む。
【0395】
いくつかの態様において、抗がん剤は、白金製剤である。白金製剤は、DNAに結合してDNAの架橋を引き起こし、これが最終的にアポトーシスをトリガーする。例示的な白金製剤は、限定されることなく、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン、およびリポプラチンを含む。
【0396】
いくつかの態様において、抗がん剤は、代謝拮抗剤である。代謝拮抗剤は、RNAおよびDNAの正常な構成要素と置き換わることによって、DNAおよびRNAの成長を妨害する。これらの薬剤は、細胞の染色体がコピーされているときのS期の間、細胞を損傷する。いくつかの場合では、代謝拮抗剤を使用して、白血病、乳房、卵巣、および腸管のがん、ならびに他のタイプのがんを処置することができる。例示的な代謝拮抗剤は、限定されることなく、5-フルオロウラシル(5-FU)、6-メルカプトプリン(6-MP)、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、シタラビン(Ara-C(登録商標))、フロキシウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、およびペメトレキセド(Alimta(登録商標))を含む。
【0397】
いくつかの態様において、抗がん剤は、抗腫瘍抗生物質である。抗腫瘍抗生物質は、がん細胞内のDNAを変化させることによって作用し、それらが成長および増殖しないようにする。アントラサイクリンは、DNA複製に関与する酵素を妨害する抗腫瘍抗生物質である。これらの薬物は、一般に、細胞周期の全ての段階において作用する。これらを、様々ながんに対して広く使用することができる。例示的なアントラサイクリンは、限定されることなく、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、およびイダルビシンを含む。他の抗腫瘍抗生物質は、アクチノマイシン-D、ブレオマイシン、マイトマイシン-C、およびミトキサントロンを含む。
【0398】
いくつかの態様において、抗がん剤は、トポイソメラーゼ阻害剤である。これらの薬物は、トポイソメラーゼ(DNAの鎖の分離を助け、それでS期の間にこれらをコピーできる)と呼ばれる酵素を妨害する。トポイソメラーゼ阻害剤を使用して、ある種の白血病、ならびに肺癌、卵巣癌、消化管癌、および他のがんを処置することができる。例示的なトポイソメラーゼ阻害剤は、限定されることなく、ドキソルビシン、トポテカン、イリノテカン(CPT-11)、エトポシド(VP-16)、テニポシド、およびミトキサントロンを含む。
【0399】
いくつかの態様において、抗がん剤は、有糸分裂阻害剤である。有糸分裂阻害剤は、多くの場合、植物アルカロイドおよび天然の植物性産物に由来する他の化合物である。これらは、細胞周期のM期における有糸分裂を停止させることによって作用するが、いくつかの場合では、酵素が細胞再生に必要なタンパク質を製造するのを妨げることによって、全ての段階において細胞を損傷することができる。例示的な有糸分裂阻害剤は、限定されることなく、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、イキサベピロン(Ixempra(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、ビノレルビン(Navelbine(登録商標))、およびエストラムスチン(Emcyt(登録商標))を含む。
【0400】
いくつかの態様において、抗がん剤は、コルチコステロイドである。コルチコステロイドは、多くの場合、単にステロイドと呼ばれ、多くのタイプのがんの処置に有用である天然ホルモンおよびホルモン様薬物である。コルチコステロイドはまた、化学療法の前に使用してアレルギー反応を防止するのを助けることができ、また、化学療法の間および後に使用して吐き気および嘔吐を防止するのを助けることもできる。例示的なコルチコステロイドは、限定されることなく、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン(Solumedrol(登録商標))、およびデキサメタゾン(Decadron(登録商標))を含む。
【0401】
いくつかの態様において、抗がん剤は、別のタイプの化学療法薬、例えばプロテオソーム阻害剤、キナーゼ阻害剤、またはヒストンデアセチラーゼ阻害剤である。他の態様において、抗がん剤は、がん治療に使用される抗体のような生物製剤である。
【0402】
いくつかの態様において、抗がん剤は、種々のがんと関連する腫瘍を標的とする。がんは、対象の体内に位置する任意のがん、例えば、限定されることなく、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置するがんであることができる。例えば、抗がん剤を、結腸癌、子宮頸癌、中枢神経系の癌、乳癌、膀胱癌、肛門癌腫、頭頸部癌、卵巣癌、子宮内膜癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌腫、神経内分泌癌、軟組織癌腫、陰茎癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、胆嚢癌または食道癌の処置に使用することができる。いくつかの場合では、がんは、血液のがんであることができる。
【0403】
E. 例示的な特徴
いくつかの態様において、提供される方法による所望の処置応答は、腫瘍またはがんと関連する1つまたは複数の症状を低減または阻害することである。いくつかの態様において、組成物が有効であるために、1つまたは複数の症状が完全に排除されなければならないということはない。
【0404】
例えば、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを含有する組成物の投与とそれに続く照射は、腫瘍のサイズ、例えば腫瘍の体積もしくは重量、または腫瘍の転移を、コンジュゲートの非存在下での腫瘍のサイズ、体積、重量、または転移と比較して、例えば少なくとも20%、少なくとも305、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも100%減少させることができる。いくつかの態様において、腫瘍サイズ、体積、重量または転移の差は、処置の少なくとも7日、少なくとも10日、少なくとも14日、少なくとも30日、少なくとも60日、少なくとも90日、または少なくとも120日後に明らかとなる。いくつかの態様において、腫瘍サイズおよび体積を、ラジオグラフィー、超音波イメージング、ネクロプシーによって、キャリパーの使用によって、マイクロCTによってまたは18F-FDG-PETによってモニタリングできる。腫瘍サイズはまた、目視によって評価することもできる。特定の例では、キャリパーを使用して腫瘍サイズ(直径)を直接測定することができる。
【0405】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートおよびPIT(例えば、抗体-IR700分子/PIT)と追加の治療、例えば免疫調節剤または抗がん剤とを本明細書の方法に従って組み合わせることは、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート/PIT単独または追加の治療単独のいずれかで処置された場合にあるであろう腫瘍サイズ、体積、重量または転移よりも小さい、腫瘍サイズ、体積、重量または転移をもたらすことができ、すなわち、相乗効果がある。例えば、本明細書に提供される併用療法は、腫瘍のサイズ、例えば腫瘍の体積もしくは重量、または腫瘍の転移を、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを含有する組成物を用いた光免疫療法とそれに続く照射のみを包含する治療法、または免疫調節剤もしくは抗がん剤単独を用いた単剤療法を包含する治療法において達成される腫瘍サイズ、体積、重量、または転移と比較して、例えば少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍またはそれ以上減少させることができる。
【0406】
いくつかの態様において、提供される方法による所望の処置応答は、コンジュゲートおよび照射の非存在下での細胞殺傷と比較して、細胞の集団を所望の量だけ殺傷すること、例えば、細胞の少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも100%を殺傷することである。いくつかの態様において、腫瘍細胞殺傷の差は、処置の少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも10日、少なくとも14日または少なくとも30日後に明らかとなる。いくつかの態様において、処置に続いて細胞の壊死および/またはアポトーシス(例えば、生検試料由来)を測定するために採用できる細胞傷害性/細胞生存性アッセイ、例えばMTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイおよび他の関連テトラゾリウム塩系のアッセイ(例えば、XTT、MTSまたはWST)、ATPアッセイ、アポトーシスアッセイ(例えば、標識アネキシンVを使用する)、例えば感染細胞のTUNEL染色、DNA断片化アッセイ、DNAラダリングアッセイ、ならびにシトクロムC放出アッセイを非限定的に含む、当技術分野において公知の様々な技術によって、細胞殺傷活性を評価することができる。いくつかの場合では、ポジトロン断層法(PET)(FDG-PETを含む)、単一光子放射CT(SPECT)、拡散強調イメージング(DWI)、動的磁化率加重コントラスト強調(dynamic susceptibility-weighted contrast-enhanced)(DSC)MRイメージングまたは動的コントラスト強調(DCE)MRイメージング、CT灌流法、磁気共鳴分光法(MRS)のようなイメージング法を使用することができる。このようなアッセイおよび方法は、当業者に周知である。
【0407】
いくつかの態様において、本明細書に提供される併用療法は、腫瘍細胞の殺傷を、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを含有する組成物を用いた光免疫療法とそれに続く照射のみを包含する治療法、または免疫調節剤もしくは抗がん剤単独を用いた単剤療法を包含する治療法における細胞殺傷と比較して、例えば少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍またはそれ以上増加させることができる。
【0408】
いくつかの態様において、所望の応答は、腫瘍を有する患者、または最近腫瘍が除去された患者の生存時間を所望の量だけ増加させること、例えば、コンジュゲートおよび照射の非存在下での生存時間と比較して、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも100%生存を増加させることである。いくつかの態様において、増加した生存は、中央無増悪生存期間、応答期間、全生存中央値または他の生存関連臨床エンドポイントの中の1つまたは複数の生存指標の増加によって明らかとなる。いくつかの態様において、生存の差は、処置の少なくとも7日、少なくとも10日、少なくとも14日、少なくとも30日、少なくとも60日、少なくとも90日、少なくとも120日、少なくとも6か月、少なくとも12か月、少なくとも24か月、もしくは少なくとも5年またはそれ以上後に明らかとなる。いくつかの態様において、本明細書の方法に従う抗体-IR700分子/PIT単独は、中央無増悪生存期間、応答期間、全生存中央値または他の生存関連臨床エンドポイントを、もし対象がそのようにコンジュゲートされていない対応する標的化分子で処置されたという条件の場合と比較して、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも7か月、少なくとも8か月、少なくとも9か月、少なくとも10か月、少なくとも11か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、少なくとも24か月、もしくは少なくとも5年またはそれ以上増加させる。いくつかの態様において、本明細書の方法に従う抗体-IR700分子/PITと、免疫調節剤または抗がん剤のような追加の治療との組み合わせは、中央無増悪生存期間、応答期間、全生存中央値または他の生存関連臨床エンドポイントを、もし対象がフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート/PIT単独または追加の治療単独で処置されたという条件の場合と比較して、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも7か月、少なくとも8か月、少なくとも9か月、少なくとも10か月、少なくとも11か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、少なくとも24か月、もしくは少なくとも5年またはそれ以上増加させる。
【0409】
いくつかの態様において、本明細書に提供される併用療法は、処置された対象の生存期間を、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを含有する組成物を用いた光免疫療法とそれに続く照射のみを包含する治療、または免疫調節剤もしくは抗がん剤単独を用いた単剤療法を包含する治療法を受けた対象の生存期間と比較して、例えば少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍またはそれ以上増加させることができる。いくつかの態様において、抗体-IR700分子/PITと、免疫調節剤または抗がん剤のような追加の治療とを本明細書の方法に従って組み合わせることは、中央無増悪生存期間、応答期間、全生存中央値または他の生存関連臨床エンドポイントを、もしそれがフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲート/PIT単独、または追加の治療単独のいずれかで処置されたという条件の場合と比較して、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも7か月、少なくとも8か月、少なくとも9か月、少なくとも10か月、少なくとも11か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、少なくとも24か月、もしくは少なくとも5年またはそれ以上増加させる。
【0410】
一局面において、処置に対する応答は、国立がん研究所による腫瘍応答の評価の推奨されたガイドラインである、固形腫瘍効果判定基準(RECIST: Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)を利用して特徴付けられる(Therasse et al., J. Natl. Cancer Inst. 92:205-216, 2000を参照のこと)。いくつかの態様において、改訂版1.1ガイドラインに概説されるとおりのRECIST判定基準を使用して治療に対する応答について患者を評価することができる(RECIST 1.1、Eisenhauer et al.(2009) European Journal of Cancer, 45:228-247を参照のこと)。他覚状態の判定基準が固形腫瘍応答を評価するプロトコルに必要である。代表的な判定基準は、以下を含む:(1)全ての測定可能な疾患の完全な消失;新規病変なし;疾患関連症状なし;測定可能でない疾患の証拠なしとして定義される、完全奏効(CR);(2)標的病変(例えば、腫瘍)の最長直径の合計の30%減少として定義される部分奏効(PR);(3)標的病変の最長直径の合計の20%増加または任意の新規病変の出現として定義される、進行性疾患(PD);(4)CR、PRまたはPDを満たさないとして定義される、安定または応答なし(上記Therasse等を参照のこと)。いくつかの態様において、CRまたはPR奏効が観察される対象の割合である、奏効率(ORR)を決定することができる。ORRは、腫瘍学臨床試験における処置に対する腫瘍の応答を測定するために一般的に使用されている。
【0411】
いくつかの態様において、提供される方法に従うフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの、単剤療法としてまたは併用療法のいずれかでの投与は、投与および照射の前の腫瘍のサイズまたは体積と比較して、照射の2週間または1か月以内に少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、もしくは少なくとも90%またはそれ以上の腫瘍のサイズまたは体積の低減を達成する。
【0412】
いくつかの態様では、処置された対象の集団において、単剤療法または併用療法のいずれかとしての提供される方法に従うフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与は、コンジュゲートされていない標的化分子(例えば、抗体または抗原結合抗体断片)で処置された対象の同状況の集団と比較して、障害またはがん関連パラメーターの改善を達成し、ここで、パラメーターは、以下の1つまたは複数から選択される:a)奏効率(ORR);b)無増悪生存期間(PFS);c)全生存期間(OS);d)毒性の低減;e)腫瘍応答;またはf)クオリティ・オブ・ライフ。いくつかの態様において、パラメーターは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%またはそれ以上改善される。
【0413】
いくつかの態様において、処置された対象の集団では、単剤療法としてまたは併用療法いずれかでの提供される方法に従うフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与は、処置された対象の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%のPRをもたらす。いくつかの態様では、処置された対象の集団において、提供される方法に従うフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与は、処置された対象の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%のCRをもたらす。
【0414】
いくつかの態様において、処置された対象の集団では、単剤療法としてまたは併用療法のいずれかでの提供される方法に従うフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートの投与は、約13%超、例えば約15%超、約20%超、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約95%超、または約99%超であるORRをもたらす。
【0415】
いくつかの態様において、本明細書に提供される併用療法、例えば免疫調節剤を採用する治療を使用して、がん患者において免疫応答を刺激することができる。典型的には、免疫応答は、以下のインビボまたはインビトロ決定を非限定的に含む様々な周知のパラメーターのいずれかによって検出され得る:可溶性免疫グロブリンもしくは抗体;可溶性メディエーター、例えばサイトカイン、リンホカイン、ケモカイン、ホルモン、成長因子など、ならびに他の可溶性低分子ペプチド、炭水化物、ヌクレオチドおよび/または脂質メディエーター;免疫系の細胞の機能性もしくは構造特性の変化によって決定された場合の細胞の活性化状態の変化、例えば細胞増殖、運動性の変化、特別な活性(例えば特定の遺伝子発現もしくは細胞溶解性挙動)の誘導;表面抗原発現プロファイルの変化もしくはアポトーシス(プログラム細胞死)の発生を含む、免疫系の細胞による細胞分化;細胞傷害性T細胞、活性化マクロファージもしくはナチュラルキラー細胞の増加;または免疫応答の存在が検出され得る任意の他の基準。
【0416】
これらのおよび同様のアッセイを実施するための手順は、広く知られており、かつ、例えば、Lefkovits(Immunology Methods Manual: The Comprehensive Sourcebook of Techniques, 1998;また、Current Protocols in Immunologyも参照のこと;また、例えば、Weir, Handbook of Experimental Immunology, 1986 Blackwell Scientific, Boston, Mass.; Mishell and Shigii (eds.) Selected Methods in Cellular Immunology, 1979 Freeman Publishing, San Francisco, Calif.; Green and Reed, 1998 Science 281:1309およびそこに引用される参考文献も参照のこと)に見いだされ得る。
【0417】
腫瘍反応性T細胞の増殖の検出は、様々な公知の技術によって成し遂げられ得る。例えば、DNA合成の速度を測定することによってT細胞増殖を検出することができ、腫瘍反応性T細胞候補が曝露される刺激(例えば、特異的な所望の腫瘍-または制御抗原-パルス抗原提示細胞)を制御することによって腫瘍特異性を決定することができる。増幅するよう刺激されたT細胞は、DNA合成速度の増加を示す。DNA合成速度を測定する典型的な方法は、例えば、T細胞の培養物を三重水素チミジン(新規に合成されたDNAに組み込まれるヌクレオシド前駆体)でパルス標識することによる方法である。液体シンチレーション分光光度計を使用して組み込まれた三重水素チミジンの量を決定することができる。T細胞増殖を検出する他の方法は、インターロイキン-2(IL-2)産生、Ca2+フラックス、または3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニル-テトラゾリウムのような色素の取り込みの増加を測定することを含む。あるいは、リンホカイン(例えばインターフェロン-ガンマ)の合成を測定することもでき、特定の抗原に応答できるT細胞の相対数を定量化してもよい。
【0418】
抗体産生(例えば、腫瘍特異的抗体産生)の検出を、例えば、本発明に係る組成物で処置された宿主由来の試料(例えば、血清、血漿または血液などの免疫グロブリン含有試料)を放射線免疫測定法(RIA)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、平衡透析または固相免疫ブロット法(ウェスタンブロット法を含む)のようなインビトロ法を使用してアッセイすることによって達成してよい。好ましい態様において、ELISAアッセイは、例えばアッセイの感度を増強させるため、抗原に特異的な固相モノクローナル抗体での標的腫瘍抗原の腫瘍抗原捕捉固定化をさらに含み得る。また、可溶性メディエーター(例えば、サイトカイン、ケモカイン、リンホカイン、プロスタグランジンなど)の生成を、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって、例えば、商業的供給源から容易に入手可能な方法、装置および試薬を使用して容易に決定しうる(例えば、Sigma, St. Louis, Mo.; R & D Systems 2006 Catalog, R & D Systems, Minneapolis, Minnも参照のこと)。
【0419】
当技術分野において周知のルーチンアッセイを使用して任意の数の他の免疫学的パラメーターをモニタリングしてよい。これらは、例えば、抗体依存性の細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)アッセイ、二次インビトロ抗体応答、十分に確立されたマーカー抗原系を使用する種々の末梢血液またはリンパ系単核細胞の亜集団のフロー免疫細胞蛍光分析、免疫組織化学または他の関連アッセイを含み得る。これらのおよび他のアッセイは、例えば、Rose et al. (Eds.), Manual of Clinical Laboratory Immunology, 5th Ed., 1997 American Society of Microbiology, Washington, D.Cに見いだされ得る。
【0420】
IV. イメージング
いくつかの態様において、コンジュゲートの対象への投与はまた、蛍光シグナルについて対象のイメージングを容易にすることができる。いくつかの態様において、コンジュゲートを、種々の生体医学用途において、細胞、組織または臓器のインビトロまたはインビボ光学イメージング剤として使用することができる。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを、対象における腫瘍、組織、および臓器のインビボ光学イメージング剤として使用することができる。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートは、腫瘍および他の異常の検出に使用される。例えば、腫瘍の検出およびイメージングのためにフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを対象に投与することによって、がん細胞またはがん組織の存在を検証することができる。
【0421】
いくつかの態様において、蛍光シグナルの検出または評価を、PITの前の病変(例えば、腫瘍)でのコンジュゲートのアップローディングをモニタリングするために使用することができる。いくつかの態様において、蛍光シグナルの検出または評価を、投与によってコンジュゲートが選択的に局在化した病変の周辺または近傍の領域に照明することによって病変(例えば、腫瘍)の位置をモニタリングするために使用することができる。いくつかの態様において、蛍光シグナルの検出または評価を、外科手術の状況、例えば、腫瘍切除後に存在し得る任意の残留がん細胞を可視化するために使用することができ、いくつかの場合では、PITによるこのような細胞のターゲティングを容易にするためにこれを使用することができる。
【0422】
いくつかの態様において、PITに使用されるフタロシアニン色素(例えば、IR700)の蛍光シグナルを直接モニタリングすることができる。
【0423】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートは、上記のとおりの追加の色素を、いくつかの場合では、フタロシアニン色素(例えば、IR700)とは異なる放射および励起波長を有する、追加の色素を含有し得る。いくつかの態様において、式Iまたは式IIで示されるフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートが対象のイメージングに使用される。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートが対象に投与され、そして、照射または照明が実施されて、対象におけるコンジュゲートの動向が特定、検出、位置付け、および/または追跡される。いくつかの態様において、対象のイメージングは、コンジュゲートの第二のまたは追加の色素が吸収できるがフタロシアニン色素が吸収できない波長で照明することによって実施される。
【0424】
いくつかの態様において、色素によって吸収される波長に対応する波長の光がコンジュゲートに曝露される。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートが結合する標的とされる領域が、色素、例えばフタロシアニン色素(例えば、IR700)または追加のもしくは第二の色素によって吸収される波長の電磁放射線の光に曝露される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、適切な波長の光に曝露されると、光を吸収し、コンジュゲートが結合している対象内の標的細胞または組織を照明する物質が生産される。いくつかの態様において、照明は、対象におけるがん細胞または腫瘍を特定、検出、位置付け、および/または特徴付けるために実施される。
【0425】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、ハンドヘルド紫外線ランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、レーザー、レーザーダイオードまたはLEDイメージングデバイスの中から選択されるデバイスを使用して光に曝露される。いくつかの態様において、LEDイメージングデバイスは、近赤外(NIR)LEDを含む。
【0426】
いくつかの態様において、照射は、表面照明用のマイクロレンズが先端に付いたファイバを使用して行われる。いくつかの態様において、照射は、円筒形拡散ファイバを使用して行われる。いくつかの態様において、円筒形拡散ファイバは、ディフューザー長0.5cm~10cmを有し、かつ、1.8±0.2cm離れて置かれる。いくつかの態様において、円筒形拡散ファイバは、腫瘍中に1.8±0.2cm離れて位置付けられたカテーテル内に置かれる。いくつかの態様において、カテーテルは、光学的に透明である。
【0427】
いくつかの態様において、式Iまたは式IIで示されるフタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートは、外科手術における蛍光イメージングに使用される。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを使用して、外科手術の前に標的領域(例えば、腫瘍)をイメージングして、腫瘍位置についての情報を提供する。いくつかの態様において、腫瘍の辺縁を蛍光で可視化できるように、かつ、辺縁における残留がん細胞をPITで根絶することができるように、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートを使用して、腫瘍にあるおよび腫瘍の周辺の標的領域をイメージングする。いくつかの態様において、手術前のイメージング法は、限定されることなく、磁気共鳴イメージング(MRI)およびコンピュータ断層撮影(CT)を含む。
【0428】
いくつかの態様において、試料を同定または定量化することができるように、コンジュゲートを使用して、試料を直接染色または標識することができる。例えば、コンジュゲートを、生物学的標的分析物のアッセイの一部として、または生物学的もしくは非生物学的流体中の検出可能なトレーサー要素として加えることができる。典型的には、試料は、液体源から直接得られるか、または固体材料からの洗浄物として得られるか、または細胞が培養のために導入された成長培地、または細胞が評価のために入れられた緩衝溶液である。試料が細胞を含む場合、細胞は、任意で、単細胞(微生物を含む)、または、2もしくは3次元の層の他の細胞を伴う多細胞(多細胞生物、胚、組織、生検、フィラメント、バイオフィルムなどを含む)である。いくつかの態様において、細胞または組織のイメージングは、コンジュゲートの色素の1つまたは複数が吸収できる波長で照射または照明することによって実施される。いくつかの態様において、インビトロイメージング法は、限定されることなく、位相差顕微鏡法、蛍光顕微鏡法、多光子顕微鏡法、共焦点レーザー走査型顕微鏡法、共焦点ラマン顕微鏡法、磁気共鳴顕微鏡法、光干渉断層撮影法、および電子顕微鏡法を含む。
【0429】
V. 定義
別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての専門用語、注記、ならびに他の技術および科学用語または関連用語は、請求される主題が属する技術分野の当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有することを意図する。いくつかの場合では、通常理解されている意味を有する用語は、明確化のためおよび/またはすぐに参照できるように本明細書において定義され、本明細書におけるこのような定義の包含は、必ずしも当技術分野において一般に理解されているものと大きな差異をなすと解釈されるべきではない。
【0430】
本明細書において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、その文脈が他のことを明確に指示しない限り、複数形の指示対象を含む。例えば、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味する。本明細書に記載される局面および変形は、局面および変形「からなる」および/または「から本質的になる」ことを含むと理解される。
【0431】
本開示を通して、請求される主題の種々の局面は、範囲形式で提示される。範囲形式の記載は、単に簡便さおよび簡潔さのためのものであり、請求される主題の範囲に対する柔軟性のない限定と解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、ある範囲について記載は、その範囲内の可能な部分範囲ならびに個々の数値の具体的に開示された全てを有すると見なされるべきである。例えば、ある範囲の値が提供される場合、その範囲の上限と下限の間にある各中間値、ならびにその規定の範囲の任意の他の規定値または中間値が請求される主題の範囲内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、より小さい範囲に独立して含まれてよく、これもまた請求される主題の範囲内に包含され、規定の範囲内の任意の具体的に除外された限界に従う。規定の範囲がその限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界の一方または両方を除外する範囲もまた請求される主題に含まれる。これは、範囲の幅を問わず適用される。
【0432】
用語「約」は、本明細書において使用される場合、当技術分野の当業者に容易に公知のそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」の付いた値またはパラメーターへの言及は、その値またはパラメーター自体を対象とする態様を含む(かつ記載する)。例えば、「約X」に関する記載は、「X」の記載を含む。
【0433】
本明細書において使用される場合、「コンジュゲート」は、1つまたは複数の他のポリペプチドまたは化学部分に直接的または間接的に連結されたポリペプチドを指す。このようなコンジュゲートは、融合タンパク質、化学コンジュゲートによって生産されたもの、および任意の他の方法によって生産されたものを含む。例えば、コンジュゲートは、1つまたは複数の他のポリペプチドまたは化学部分に、例えば細胞表面タンパク質に結合するかまたはそれを標的とする標的化分子に直接的または間接的に連結されたフタロシアニン色素、例えばIR700分子を指しうる。
【0434】
本明細書において使用される場合、組成物は、2つ以上の生成物、物質、または化合物(細胞を含む)の任意の混合物を指す。組成物は、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0435】
本明細書において使用される場合、「薬学的組成物」または「薬学的製剤」は、その中に含有される活性成分の生物学的活性が有効となる形態の調製物であって、製剤が投与されるであろう対象に対して許容し難い毒性を示す追加の成分を含有しない調製物を指す。
【0436】
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、対象に無毒の、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体は、限定されないが、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または保存料を含む。
【0437】
本明細書において使用される場合、組み合わせは、2つ以上のアイテムの間またはその中の任意の会合を指す。組み合わせは、2つ以上の別個のアイテム、例えば2つの組成物または2つの収集物であることができ、その混合物、例えば2つ以上のアイテムの単一の混合物、またはその任意の変形であることができる。組み合わせの要素は、一般に、機能的に会合または関連している。
【0438】
本明細書において使用される場合、誘導体は、基準の薬物または薬剤からの変化または修飾を受けているが基準の薬物または薬剤と比較して活性を依然として保持している(例えば、増加または減少した活性を示す)、薬物の一形態を指す。典型的には、化合物の誘導体形態は、化合物の側鎖が修飾または変化されていることを意味する。
【0439】
本明細書において使用される場合、薬物または薬剤の類似体またはアナログは、基準の薬物に関連しているがその化学的および生物学的活性が異なることができる、薬物または薬剤である。典型的には、類似体は、基準の薬物または薬剤と同様の活性を示すが、その活性は、増加もしくは減少できるか、そうでなければ改善されることができる。典型的には、化合物または薬物の類似体形態は、その構造の骨格コアが基準薬物と比較して修飾または変化されていることを意味する。
【0440】
本明細書において使用される場合、キットは、他の要素、例えば追加の試薬とその組み合わせまたは要素の使用説明書とを任意で含む、パッケージングされた組み合わせ物である。
【0441】
用語「添付文書」は、治療製品の使用に関する適応症、使用、投与量、投与、併用療法、禁忌および/または注意についての情報を含む、治療製品の市販のパッケージ内に慣例として含まれる説明書を指すために使用される。
【0442】
本明細書において使用される場合、「製造品」は、作製され、いくつかの場合では、販売することができる製品である。いくつかの態様において、この用語は、パッケージング品、例えば容器内に含まれる組成物を指しうる。
【0443】
本明細書において使用される場合、「併用療法」は、単一の疾患を処置するために対象が2つ以上の治療薬、例えば少なくとも2つまたは少なくとも3つの治療薬を受ける、処置を指す。いくつかの態様において、各治療は、独立した薬学的効果をもたらすことができ、かつ、合わせて付加的または相乗的な薬学的効果をもたらすことができる。
【0444】
本明細書において使用される場合、「疾患または障害」は、感染症、後天性の病態、遺伝性の病態を非限定的に含む原因または病態から生じ、かつ特定可能な症状によって特徴付けられる、生物の病理学的状態を指す。
【0445】
本明細書において使用される場合、疾患または病態を有する対象を「処置する」とは、対象の症状が部分的にもしくは全体的に緩和されるか、または処置後静止したままであることを意味する。それゆえ、処置することは、予防、治療および/または治癒を包含する。予防は、潜在的な疾患の防止および/または症状の悪化もしくは疾患の進行の防止を指す。
【0446】
本明細書において使用される場合、「処置」は、病態、障害もしくは疾患の症状または他の兆候が寛解するか、またはそうでなければ有益に変更される任意の手法を意味する。
【0447】
本明細書において使用される場合、「治療効果」は、疾患もしくは病態の症状を変更、典型的には改善もしくは寛解するか、または疾患もしくは病態を治癒する、対象の処置から生じる効果を意味する。
【0448】
本明細書において使用される場合、「治療有効量」または「治療有効用量」は、治療効果をもたらすのに少なくとも十分である化合物を含有する、薬剤、化合物、材料、または組成物の量を指す。それゆえ、それは、疾患または障害の症状を防止、治癒、寛解、停止または部分的に停止するのに必要な量である。
【0449】
本明細書において使用される場合、処置による、例えば薬学的組成物または他の治療薬の投与による、特定の疾患または障害の症状の寛解は、組成物または治療薬の投与に起因するまたは関連しうる症状の任意の減少(永久にもしくは一時的に続くかまたは一過性であるかに関わらず)を指す。
【0450】
本明細書において使用される場合、用語「対象」は、ヒトのような哺乳動物を含む動物を指す。
【0451】
本明細書において使用される場合、「任意の」または「任意で」は、その後に記載される事象または状況が起こることまたは起こらないこと、ならびに、その記載が前記の事象または状況が起こる場合と起こらない場合を含むことを意味する。例えば、置換されてもよい基は、その基が置換されていないことまたは置換されていることを意味する。
【0452】
本出願において言及される特許文書、科学論文およびデータベースを含む全ての刊行物は、それぞれ個々の刊行物が参照によって個々に組み入れられたかのように同程度に、参照によってその全体が全ての目的のために組み入れられる。本明細書に示される定義が参照によって本明細書に組み入れられる特許、出願、公開出願および他の刊行物に示される定義に反しているかまたは他に矛盾している場合、本明細書に示される定義が参照によって本明細書に組み入れられる定義より優先される。
【0453】
本明細書において使用される項目の見出しは、単に構成を目的としたものであって、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0454】
VI. 例示的な態様
中でも、本明細書に提供される態様は、以下のとおりである。
1. (a)疾患または病態を有する対象に、該疾患または病態と関連する病変の微小環境中に存在する細胞の表面のタンパク質に結合する標的化分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程であって、該疾患または病態を処置するためのそのようにコンジュゲートされていない抗体または抗原結合抗体断片の治療有効全身曝露の75%以下である全身曝露を達成するためにコンジュゲートを投与する、工程;および
(b)コンジュゲートを投与した後、病変に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm
-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射し、それによって対象における疾患を処置する工程
を含む、対象における疾患または病態を処置する方法。
2. 波長が600nm~850nmである、態様1の方法。
3. 波長が660nm~740nmである、態様1または態様2の方法。
4. コンジュゲートが、以下の投薬スケジュールで投与される:
コンジュゲートの投与が単回の注射または注入として1回だけ実施される;または
投薬スケジュールが該コンジュゲートの後続用量を含まない;または
投薬スケジュールがそのようにコンジュゲートされていない巨大分子の後続用量を含まない、
態様1~3のいずれかの方法。
5. コンジュゲートが全身投与される、態様1~4のいずれかの方法。
6. コンジュゲートが静脈内投与される、態様1~5のいずれかの方法。
7. コンジュゲートが、前記疾患または病態を処置するためのそのようにコンジュゲートされていない抗体または抗原結合抗体断片の治療有効全身曝露の60%以下、50%以下、40%以下または30%以下である全身曝露(AUC)を達成するために投与される、態様1~6のいずれかの方法。
8. 疾患または病態が腫瘍であり、抗体または抗原結合抗体断片が腫瘍微小環境中に存在する細胞の表面の分子に結合し、かつ腫瘍が照射される、態様1~7のいずれかの方法。
9. コンジュゲートの投与後の患者集団についての時点0から無限までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積によって測定された場合の全身曝露(AUC[0-inf])が、250μg/mL*h~100,000μg/mL*hの間もしくは約250μg/mL*h~100,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~50,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~50,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~18,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~18,000μg/mL*hの間; 500μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間であるか;または
コンジュゲートの投与後の患者集団についての時点0から無限までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積によって測定された場合の全身曝露(AUC[0-inf])が、100,000μg/mL*h以下、75,000μg/mL*h以下、50,000μg/mL*h以下、40,000μg/mL*h以下、30,000μg/mL*h以下、20,000μg/mL*h以下、10,000μg/mL*h以下、5,000μg/mL*h以下、2,500μg/mL*h以下である、
態様1~8のいずれかの方法。
10. コンジュゲートの投与後の患者集団についての時点0から24時間までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積によって測定された場合の全身曝露(AUC[0-24])が、100μg/mL*h~25,000μg/mL*hの間もしくは約100μg/mL*h~25,000μg/mL*hの間、200μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間もしくは約200μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間であるか;または
コンジュゲートの投与後の患者集団についての時点0から24時間までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積によって測定された場合の全身曝露(AUC[0-24])が、25,000μg/mL*h以下、15,000μg/mL*h以下、10,000μg/mL*h以下、5,000μg/mL*h以下、2,500μg/mL*h以下、1,000μg/mL*h以下、もしくは500μg/mL*h以下である、
態様1~9のいずれかの方法。
11. コンジュゲートが、少なくとも約10mg/m
2(対象の体表面積)、少なくとも約50mg/m
2または少なくとも約75mg/m
2であり、かつ、5000mg/m
2以下、2000mg/m
2以下、1000mg/m
2以下、500mg/m
2以下、250mg/m
2以下または200mg/m
2以下である投与量範囲で投与される、態様1~10のいずれかの方法。
12. コンジュゲートが、100mg/m
2~1500mg/m
2の間もしくは約100mg/m
2~1500mg/m
2の間、または150mg/m
2~750mg/m
2の間もしくは約150mg/m
2~750mg/m
2の間である投与量で投与される、態様1~11のいずれかの方法。
13. コンジュゲートが、160mg/m
2、320mg/m
2、640mg/m
2もしくは1280mg/m
2、または約160mg/m
2、320mg/m
2、640mg/m
2もしくは1280mg/m
2である投与量で投与される、態様1~12のいずれかの方法。
14. 標的化分子が、抗体または抗原結合抗体断片である、態様1~13のいずれかの方法。
15. 抗体が、Fab、単一V
Hドメイン、単鎖可変断片(scFv)、多価scFv、二重特異的scFvまたはscFv-CH3二量体である抗原結合抗体断片である、態様14の方法。
16. 照射が、コンジュゲートを投与した後30分~96時間の間または約30分~96時間の間に行われる、態様1~15のいずれかの方法。
17. 病変が、690±50nmの波長または690±20nmもしくは約690±20nmの波長で照射される、態様1~16のいずれかの方法。
18. 病変が、2J cm
-2~約400J cm
-2もしくは約2J cm
-2~約400J cm
-2、または2J/ファイバ長cm~約500J/ファイバ長cmもしくは約2J/ファイバ長cm~約500J/ファイバ長cmの線量で照射される、態様1~17のいずれかの方法。
19. 病変が、少なくともまたは少なくとも約2J cm
-2、5J cm
-2、10J cm
-2、25J cm
-2、50J cm
-2、75J cm
-2、100J cm
-2、150J cm
-2、200J cm
-2、300J cm
-2、400J cm
-2、もしくは500J cm
-2の線量で照射されるか;または
病変が、少なくともまたは少なくとも約2J/ファイバ長cm、5J/ファイバ長cm、10J/ファイバ長cm、25J/ファイバ長cm、50J/ファイバ長cm、75J/ファイバ長cm、100J/ファイバ長cm、150J/ファイバ長cm、200J/ファイバ長cm、250J/ファイバ長cm、300J/ファイバ長cm、400J/ファイバ長cmまたは500J/ファイバ長cmの線量で照射される、
態様1~18のいずれかの方法。
20. フタロシアニン色素が、600nm~約850nmまたは約600nm~約850nmの最大吸収波長を有する、態様1~19のいずれかの方法。
21. フタロシアニン色素が、標的化分子に直接的または間接的に連結されている、態様1~20のいずれかの方法。
22. フタロシアニン色素が、下記式:
を含み、式中、
Lは、リンカーであり;
Qは、標的化分子への該色素の付着のための反応性基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22およびR
23は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択され;かつ
X
2およびX
3は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンである、
態様1~21のいずれかの方法。
23. フタロシアニン色素が、下記式:
を含み、式中、
X
1およびX
4は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンであり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;かつ
R
16、R
17、R
18およびR
19は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択される、
態様1~22のいずれかの方法。
24. フタロシアニン色素が、IRDye 700DX(IR700)を含む、態様1~23のいずれかの方法。
25. 細胞表面タンパク質が、ACTHR、内皮細胞Anxa-1、アミノペプチダーゼN、抗IL-6R、アルファ-4-インテグリン、アルファ-5-ベータ-3 インテグリン、アルファ-5-ベータ-5 インテグリン、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ANPA、ANPB、APA、APN、APP、1AR、2AR、AT1、B1、B2、BAGE1、BAGE2、B細胞受容体BB1、BB2、BB4、カルシトニン受容体、癌抗原125(CA 125)、CCK1、CCK2、CD5、CD10、CD11a、CD13、CD14、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD38、CD45、CD52、CD56、CD68、CD90、CD133、CD7、CD15、CD34、CD44、CD206、CD271、CEA(癌胎児性抗原)、CGRP、ケモカイン受容体、細胞表面アネキシン-1、細胞表面プレクチン-1、クリプト-1、CRLR、CXCR2、CXCR4、DCC、DLL3、E2糖タンパク質、EGFR、EGFRvIII、EMR1、エンドシアリン、EP2、EP4、EpCAM、EphA2、ET受容体、フィブロネクチン、フィブロネクチンED-B、FGFR、frizzled受容体、GAGE1、GAGE2、GAGE3、GAGE4、GAGE5、GAGE6、GLP-1受容体、ファミリーAのGタンパク質共役受容体(ロドプシン様)、ファミリーBのGタンパク質共役受容体((セクレチン受容体様)様)、ファミリーCのGタンパク質共役受容体(代謝型グルタミン酸受容体様)、GD2、GP100、GP120、グリピカン-3、ヘマグルチニン、ヘパリン硫酸、HER1、HER2、HER3、HER4、HMFG、HPV 16/18およびE6/E7抗原、hTERT、IL11-R、IL-13R、ITGAM、カリクレイン-9、ルイスY、LH受容体、LHRH-R、LPA1、MAC-1、MAGE 1、MAGE 2、MAGE 3、MAGE 4、MART1、MC1R、メソテリン、MUC1、MUC16、Neu(細胞表面ヌクレオリン)、ネプリライシン、ニューロピリン-1、ニューロピリン-2、NG2、NK1、NK2、NK3、NMB-R、Notch-1、NY-ESO-1、OT-R、突然変異体p53、p97黒色腫抗原、NTR2、NTR3、p32(p32/gC1q-R/HABP1)、p75、PAC1、PAR1、Patched(PTCH)、PDGFR、PDFG受容体、PDT、プロテアーゼ切断コラーゲンIV、プロテイナーゼ3、プロヒビチン、タンパク質チロシンキナーゼ7、PSA、PSMA、プリン作動性P2Xファミリー(例えば、P2X1~5)、突然変異体Ras、RAMP1、RAMP2、RAMP3 patched、RET受容体、プレキシン、スムーズンド、sst1、sst2A、sst2B、sst3、sst4、sst5、サブスタンスP、TEM、T細胞CD3受容体、TAG72、TGFBR1、TGFBR2、Tie-1、Tie-2、Trk-A、Trk-B、Trk-C、TR1、TRPA、TRPC、TRPV、TRPM、TRPML、TRPP(例えば、TRPV1~6、TRPA1、TRPC1~7、TRPM1~8、TRPP1~5、TRPML1~3)、TSH受容体、VEGF受容体(VEGFR1またはFlt-1、VEGFR2またはFLK-1/KDR、およびVEGF-3またはFLT-4)、電位依存性イオンチャネル、VPAC1、VPAC2、ウィルムス腫瘍1、Y1、Y2、Y4、ならびにY5の中から選択される、態様1~24のいずれかの方法。
26. 細胞表面タンパク質が、HER1/EGFR、HER2/ERBB2、CD20、CD25(IL-2Rα受容体)、CD33、CD52、CD133、CD206、CEA、CEACAM1、CEACAM3、CEACAM5、CEACAM6、癌抗原125(CA125)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ルイスY、TAG72、カプリン-1、メソテリン、PDGF受容体、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IL-2受容体、血管内皮成長因子(VEGF)、CD30、EpCAM、EphA2、グリピカン-3、gpA33、ムチン、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(GD2、GD3、GM1およびGM2など)、VEGF受容体(VEGFR)、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、AFP、BCR複合体、CD3、CD18、CD44、CTLA-4、gp72、HLA-DR 10β、HLA-DR抗原、IgE、MUC-1、nuC242、PEM抗原、メタロプロテイナーゼ、エフリン受容体、エフリンリガンド、HGF受容体、CXCR4、CXCR4、ボンベシン受容体、およびSK-1抗原の中から選択される、態様1~25のいずれかの方法。
27. 細胞表面タンパク質が、CD25、PD-1(CD279)、PD-L1(CD274、B7-H1)、PD-L2(CD273、B7-DC)、CTLA-4、LAG3(CD223)、TIM3(HAVCR2)、4-1BB(CD137、TNFRSF9)、CXCR2、CXCR4(CD184)、CD27、CEACAM1、ガレクチン9、BTLA、CD160、VISTA(PD1相同体)、B7-H4(VCTN1)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、CD28、HHLA2(B7-H7)、CD28H、CD155、CD226、TIGIT、CD96、ガレクチン3、CD40、CD40L、CD70、LIGHT(TNFSF14)、HVEM(TNFRSF14)、B7-H3(CD276)、Ox40L(TNFSF4)、CD137L(TNFSF9、GITRL)、B7RP1、ICOS(CD278)、ICOSL、KIR、GAL9、NKG2A(CD94)、GARP、TL1A、TNFRSF25、TMIGD2、BTNL2、ブチロフィリンファミリー、CD48、CD244、シグレックファミリー、CD30、CSF1R、MICA(MHCクラスIポリペプチド関連配列A)、MICB(MHCクラスIポリペプチド関連配列B)、NKG2D、KIRファミリー(キラー細胞免疫グロブリン様受容体)、LILRファミリー(白血球免疫グロブリン様受容体、CD85、ILT、LIR)、SIRPA(シグナル調節タンパク質アルファ)、CD47(IAP)、ニューロピリン1(NRP-1)、VEGFR、およびVEGFの中から選択される、態様1~26のいずれかの方法。
28. 抗体または抗原結合抗体断片が、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan, Mabthera)、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin)、ダクリズマブ(Zenapax)、ゲムツズマブ(Mylotarg)、アレムツズマブ、CEA-scan Fab断片、OC125モノクローナル抗体、ab75705、B72.3、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、バシリキシマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEA-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI6383、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、PDR001、MSB0010718C、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015, IPH2101)、IPH2201、AGX-115、エマクツズマブ、CC-90002およびMNRP1685Aの中から選択されるか、またはその抗原結合抗体断片である、態様1~27のいずれかの方法。
29. コンジュゲートが、セツキシマブ-IR700、パニツムマブ-IR700、ザルツムマブ-IR700、ニモツズマブ-IR700、トシツモマブ-IR700、リツキシマブ-IR700、イブリツモマブチウキセタン-IR700、ダクリズマブ-IR700、ゲムツズマブ-IR700、アレムツズマブ-IR700、CEA-scan Fab断片-IR700、OC125-IR700、ab75705-IR700、B72.3-IR700、ベバシズマブ-IR700、バシリキシマブ-IR700、ニボルマブ-IR700、ペムブロリズマブ-IR700、ピジリズマブ-IR700、MK-3475-IR700、BMS-936559-IR700、MPDL3280A-IR700、イピリムマブ-IR700、トレメリムマブ-IR700、IMP321-IR700、BMS-986016-IR700、LAG525-IR700、ウレルマブ-IR700、PF-05082566-IR700、TRX518-IR700、MK-4166-IR700、ダセツズマブ-IR700、ルカツムマブ-IR700、SEA-CD40-IR700、CP-870-IR700、CP-893-IR700、MED16469-IR700、MEDI6383-IR700、MEDI4736-IR700、MOXR0916-IR700、AMP-224-IR700、PDR001-IR700、MSB0010718C-IR700、rHIgM12B7-IR700、ウロクプルマブ-IR700、BKT140-IR700、バルリルマブ-IR700、ARGX-110-IR700、MGA271-IR700、リリルマブ-IR700、IPH2201-IR700、AGX-115-IR700、エマクツズマブ-IR700、CC-90002-IR700およびMNRP1685A-IR700の中から選択される、態様1~28のいずれかの方法。
30. 標的化分子が、セツキシマブである抗体もしくはその抗原結合抗体断片であるか、またはコンジュゲートが、セツキシマブ-IR700である、態様29の方法。
31. コンジュゲートの投与後の患者集団についての時点0から無限までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積(AUC[0-inf])が、500μg/mL*h~18,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~18,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~10,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間、または500μg/mL*h~2,500μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~2,500μg/mL*hの間である、態様30の方法。
32. コンジュゲートの投与後の患者集団についての時点0から24時間までの血漿コンジュゲート濃度-時間曲線下平均面積(AUC[0-24])が、500μg/mL*h~8,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~8,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~5,000μg/mL*hの間、500μg/mL*h~2,000μg/mL*hの間もしくは約500μg/mL*h~2,000μg/mL*hの間、または1000μg/mL*h~4,000μg/mL*hの間もしくは約1000μg/mL*h~4,000μg/mL*hの間である、態様30の方法。
33. コンジュゲートが、75mg/m
2(対象の体表面積)~1500mg/m
2の間もしくは約75mg/m
2(対象の体表面積)~1500mg/m
2の間、75mg/m
2~1000mg/m
2の間もしくは約75mg/m
2~1000mg/m
2の間、75mg/m
2~500mg/m
2の間もしくは約75mg/m
2~500mg/m
2の間、または75mg/m
2~225mg/m
2の間もしくは約75mg/m
2~225mg/m
2の間であるか;または
少なくとも約160mg/m
2、320mg/m
2、640mg/m
2もしくは1280mg/m
2、または約160mg/m
2、320mg/m
2、640mg/m
2もしくは1280mg/m
2である、投与量範囲で投与される、
態様30~32のいずれかの方法。
34. (a)疾患または病態と関連する病変を有する対象に、セツキシマブ-IR700コンジュゲートを静脈内投与する工程であって、コンジュゲートが、640mg/m
2または約640mg/m
2である量で投与される、工程;および
(b)コンジュゲートを投与した後、病変に、690±20nmの波長で、少なくともまたは約少なくともまたは約50J cm
-2または100J/ファイバ長cmの線量で照射し、それによって対象における疾患または病態を処置する工程
を含む、対象における疾患病変を処置する方法。
35. コンジュゲートが、以下の投薬スケジュールで投与される:
コンジュゲートの投与が単回の注射もしくは注入として1回だけ実施される;または
投薬スケジュールがコンジュゲートの後続用量を含まない;または
投薬スケジュールがそのようにコンジュゲートされていない巨大分子の後続用量を含まない、
態様34の方法。
36. 照射が、コンジュゲートを投与した24時間±3時間後に行われる、態様1~35のいずれかの方法。
37. 病変が腫瘍であり、疾患または病態が腫瘍またはがんである、態様34~36のいずれかの方法。
38. 病変が、表在性腫瘍である腫瘍である、態様1~37のいずれかの方法。
39. 腫瘍が、10mm未満の厚さである、態様38の方法。
40. 照射が、表面照明用のマイクロレンズが先端に付いたファイバを使用して行われる、態様38または態様39の方法。
41. 光照射線量が、5J/cm
2~約200J/cm
2または約5J/cm
2~約200J/cm
2である、態様1~40のいずれかの方法。
42. 対象における表在性腫瘍に、表面照明用のマイクロレンズが先端に付いたファイバを用いて5J/cm
2~約200J/cm
2または約5J/cm
2~約200J/cm
2の光線量で照射する工程であって、該腫瘍が、該腫瘍の細胞表面分子に結合された標的化分子を含む光毒性剤と会合している、工程を含む、光免疫療法で表在性腫瘍を処置するための方法。
43. 光照射線量が、50J/cm
2または約50J/cm
2である、態様41または態様42の方法。
44. 病変が、間質性腫瘍である腫瘍である、態様1~40のいずれかの方法。
45. 腫瘍が、10mm超の深さであるか、または皮下腫瘍である、態様44の方法。
46. ディフューザー長0.5cm~10cmを含みかつ1.8±0.2cm離れて置かれた円筒形拡散ファイバを使用して照射が行われる、態様44または態様45の方法。
47. 光照射線量が、20J/ファイバ長cm~約500J/ファイバ長cmまたは約20J/ファイバ長cm~約500J/ファイバ長cmである、態様1~37および44~46のいずれかの方法。
48. 対象における間質性腫瘍に、ディフューザー長0.5cm~10cmを含みかつ1.8±0.2cm離れて置かれた円筒形拡散ファイバで、100J/cmもしくは約100J/ファイバ長cmの光線量または400mW/cmもしくは約400mW/cmのフルエンス率で、照射する工程であって、該腫瘍が、該腫瘍の細胞表面分子に結合された標的化分子を含む光毒性剤と会合している、工程を含む、光免疫療法で間質性腫瘍を処置するための方法。
49. 光照射線量が、50J/ファイバ長cm~約300J/ファイバ長cmまたは約50J/ファイバ長cm~約300J/ファイバ長cmである、態様47または態様48の方法。
50. 光照射線量が、100J/ファイバ長cmまたは約100J/ファイバ長cmである、態様47~49のいずれかの方法。
51. 腫瘍が、10mm超の深さであるか、または皮下腫瘍である、態様48~50のいずれかの方法。
52. 円筒形拡散ファイバが、腫瘍中に1.8±0.2cm離れて位置付けられたカテーテル内に置かれる、態様47~51のいずれかの方法。
53. カテーテルが光学的に透明である、態様52の方法。
54. 腫瘍に照射する6時間超前に、標的化分子を含む光毒性剤が対象に投与されており、該光毒性剤が該腫瘍と会合する、態様42、43および48~53のいずれかの方法。
55. 腫瘍に照射する12時間、24時間、26時間、48時間、72時間もしくは96時間超前、または約12時間、24時間、26時間、48時間、72時間もしくは96時間超前に、光毒性剤が対象に事前投与されている、態様54の方法。
56. 光毒性剤が、フタロシアニン色素-標的化分子コンジュゲートである、態様42、43および48~55のいずれかの方法。
57. フタロシアニン色素がIR700である、態様56の方法。
58. 前記投薬スケジュールを繰り返して、工程(a)および(b)を繰り返す、態様1~41、44~47、49、50および52~54のいずれかの方法。
59. コンジュゲートでの先行処置の後に残留病変が残っている場合に、投薬スケジュールを繰り返す、態様58の方法。
60. 対象を残留病変の存在について評価する工程と、残留病変が残っている場合に投薬スケジュールを繰り返す工程とを含む、態様58または態様59の方法。
61. コンジュゲートの先行投与開始の、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、6か月もしくは1年超後、または約1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、6か月もしくは1年後、または1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、6か月もしくは1年後である時点に残留病変が残っている場合に、投薬スケジュールを繰り返す、態様58~60のいずれかの方法。
62. コンジュゲートの先行投与開始の4週間後または約4週間後に残留病変が残っている場合に、投薬スケジュールを繰り返す、態様58~61のいずれかの方法。
63. コンジュゲートが、1巨大分子当たり1~100、1~10または2~5のフタロシアニン色素分子を含む、態様1~62のいずれかの方法。
64. 追加の治療薬または抗がん処置を施すことを含まない、態様1~63のいずれかの方法。
65. 追加の治療薬または抗がん処置を施すことを含む、態様1~63のいずれかの方法。
66. 抗がん処置が放射線療法を含む、態様65の方法。
67. 追加の治療薬が、抗がん剤または免疫調節剤である、態様66の方法。
68. 追加の治療薬が、免疫チェックポイント阻害剤である免疫調節剤である、態様67の方法。
69. 免疫チェックポイント阻害剤が、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAの中から選択される分子に特異的に結合する、態様68の方法。
70. 免疫チェックポイント阻害剤が、抗体もしくは抗原結合断片、低分子またはポリペプチドである、態様68または態様69の方法。
71. 免疫チェックポイント阻害剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、またはその抗原結合断片である、態様68~70のいずれかの方法。
72. 病変または腫瘍に照射する前に、免疫調節剤が投与される、態様68~71のいずれかの方法。
73. 腫瘍に照射する30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1か月超前、または約30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1か月超前に、免疫調節剤が投与される、態様72の方法。
74. 照射に続いて1週間に3回、1週間に2回、1週間毎に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回または1か月に1回の免疫調節剤の連続投与を含む、態様67~73のいずれかの方法。
75. (a)免疫調節剤を対象に投与する工程;
(b)腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面の分子に結合することが可能な標的化分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートの治療有効量を対象に投与する工程;および
(c)免疫調節剤を投与した12時間超後、コンジュゲートを細胞傷害性にする波長で腫瘍に照射する工程であって、それによって腫瘍を処置する、工程
を含む、対象における腫瘍を処置する方法。
76. 免疫調節剤が、腫瘍に照射する24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1か月超前、または約24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1か月超前に投与される、態様75の方法。
77. コンジュゲートが、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面のタンパク質に結合する、態様75または態様76の方法。
78. 腫瘍に照射する工程(c)が、(i)免疫調節剤の投与後およびコンジュゲートの投与後、または(ii)コンジュゲートの投与後のみのいずれかに行われる、態様75~77のいずれかの方法。
79. コンジュゲートが、免疫調節剤の投与の前に、それと同時に、またはそれに続いて、投与される、態様68~78のいずれかの方法。
80. コンジュゲートが、免疫調節剤を投与した後であるが腫瘍に照射する前に投与される、態様68~79のいずれかの方法。
81. コンジュゲートが、腫瘍に照射する12時間~48時間前または約12時間~48時間前に投与され、かつ免疫調節剤が、腫瘍に照射する12時間~約1か月前または約12時間~約1か月前に投与される、態様68~80のいずれかの方法。
82. 免疫調節剤が免疫チェックポイント阻害剤である、態様75~81のいずれかの方法。
83. 免疫チェックポイント阻害剤が、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAの中から選択される分子に特異的に結合する、態様82の方法。
84. 免疫チェックポイント阻害剤が、抗体もしくは抗原結合断片、低分子またはポリペプチドである、態様82または態様83の方法。
85. 免疫チェックポイント阻害剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、またはそれらのいずれかの抗原結合断片である、態様82~84のいずれかの方法。
86. 免疫調節剤が、腫瘍関連抗原(TAA)の発現をアップレギュレートする脱メチル化剤であるか、またはサイトカインである、態様75~81のいずれかの方法。
87. 照射に続いて1週間に3回、1週間に2回、1週間毎に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回または1か月に1回の免疫調節剤の連続投与を含む、態様75~86のいずれかの方法。
88. (a)腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面の分子の発現を増強する免疫調節剤を対象に投与する工程;
(b)該細胞表面分子に結合することが可能な標的化分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートの治療有効量を対象に投与する工程;および
(c)コンジュゲートを投与した5分超後に、コンジュゲートを細胞傷害性にする波長で腫瘍に照射し、それによって腫瘍を処置する工程
を含む、対象における腫瘍を処置する方法。
89. 免疫調節剤が、サイトカインであるか、または腫瘍微小環境中のサイトカインの発現増加を誘導する薬剤である、態様88の方法。
90. サイトカインがインターフェロンガンマである、態様88または態様89の方法。
91. 細胞の表面の分子が、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAから選択される、態様88~90のいずれかの方法。
92. 細胞の表面の分子がPD-L1である、態様88~91のいずれかの方法。
93. 標的化分子が、免疫チェックポイント阻害剤である、態様88~92のいずれかの方法。
94. 標的化分子が、抗体もしくは抗体断片、低分子またはポリペプチドである、態様88~93のいずれかの方法。
95. 標的化分子が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MED14736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、またはそれらのいずれかの抗原結合断片である、態様88~94のいずれかの方法。
96. (a)腫瘍の微小環境中の細胞上の細胞表面分子に結合することが可能な標的化分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象に投与する工程;
(b)コンジュゲートを投与した5分超後に、コンジュゲートを細胞傷害性にする波長で腫瘍に照射する工程であって、コンジュゲートでの腫瘍の処置とそれに続く光照射が、腫瘍中の免疫抑制細胞の存在を増加させるか、または腫瘍における免疫抑制マーカーの発現を増加させる、工程;および
(c)腫瘍中の免疫抑制細胞の量もしくは活性を低減させることが可能な、または免疫抑制マーカーの活性を遮断することが可能な免疫調節剤の治療有効量を対象に投与する工程
を含む、対象における腫瘍を処置する方法。
97. フタロシアニン色素が、第一の色素であり、免疫調節剤が、免疫抑制細胞に結合することが可能な免疫調節剤にコンジュゲートされた第二のフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを含む、態様96の方法。
98. 第一および第二のフタロシアニン色素が同じかまたは異なる、態様97の方法。
99. 免疫調節剤が免疫チェックポイント阻害剤である、態様96~98のいずれかの方法。
100. 免疫調節剤が、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAの中から選択される分子に特異的に結合する、態様96~99のいずれかの方法。
101. 免疫調節剤が、抗体もしくは抗体断片、低分子またはポリペプチドである、態様96~100のいずれかの方法。
102. 免疫調節剤が抗CTLA4抗体ではない、態様96~101のいずれかの方法。
103. 免疫調節剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MED14736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、またはそれらのいずれかの抗原結合断片である、態様96~102のいずれかの方法。
104. (a)腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面の分子に結合することが可能な標的化巨大分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを対象に投与する工程;
(b)コンジュゲートを投与した5分超後に、コンジュゲートを細胞傷害性にする波長で腫瘍に照射する工程であって、コンジュゲートでの腫瘍の処置とそれに続く光照射が免疫細胞の活性化をプライミングする、工程;および
(c)免疫細胞の活性を増加させることが可能な免疫調節剤の治療有効量を対象に投与する工程
を含む、対象における腫瘍を処置する方法。
105. 免疫細胞が抗原提示細胞である、態様104の方法。
106. 免疫細胞が樹状細胞である、態様105の方法。
107. 免疫調節剤が、GM-CSF、CpG-ODN(CpGオリゴデオキシヌクレオチド)、リポ多糖(LPS)、モノホスホリルリピドA(MPL)、ミョウバン、組換えリーシュマニア(Leishmania)ポリタンパク質、イミキモド、MF59、ポリI:C、ポリA:U、1型IFN、Pam3Cys、Pam2Cys、完全フロイントアジュバント(CFA)、アルファ-ガラクトシルセラミド、RC-529、MDF2β、ロキソリビン、抗CD40アゴニスト、SIRPaアンタゴニスト、AS04、AS03、フラジェリン、レシキモド、DAP(ジアミノピメリン酸)、MDP(ムラミルジペプチド)、CAF01(陽イオン性アジュバント製剤-01)、アントラサイクリン(ドキソルビシン、ミトキサントロン)、BKチャネルアゴニスト、ボルテゾミブ、ボルテゾミブ+マイトマイシンC+hTert-Ad、強心配糖体+非免疫原性細胞死誘導因子、シクロホスファミド、GADD34/PP1阻害剤+マイトマイシン、LV-tSMAC、およびオキサリプラチンの中から選択される、態様104~106のいずれかの方法。
108. 免疫調節剤が、Toll様受容体(TLR)アゴニスト、アジュバントまたはサイトカインである、態様104~107のいずれかの方法。
109. 免疫調節剤が、TLRアゴニストであり、該TLRアゴニストが、TLR4アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、またはTLR9アゴニストであるTLRアゴニストである、態様108の方法。
110. TLRアゴニストが、トリアシル化リポタンパク質、ジアシル化リポペプチド、リポテイコ酸、ペプチドグリカン、ザイモサン、Pam3CSK4、dsRNA、ポリI:C、ポリG10、ポリG3、CpG、3M003、フラジェリン、リポ多糖(LPS)、真核生物リボソーム伸長および開始因子4aのリーシュマニア相同体(LeIF)、MEDI9197、SD-101、ならびにイミダゾキノリンTLRアゴニストの中から選択される、態様108または態様109の方法。
111. 免疫調節剤が、サイトカインであり、該サイトカインが、IL-4、TNF-α、GM-CSFまたはIL-2である、態様104~107のいずれかの方法。
112. 免疫調節剤が、照射の前に、照射と同時にまたは照射の後に投与される、態様96~111のいずれかの方法。
113. 免疫調節剤が、照射後5分、30分、60分、2時間、6時間、12時間または24時間以内に投与される、態様112の方法。
114. 標的化分子が、分子またはタンパク質に直接的または間接的に結合する、態様75~113のいずれかの方法。
115. 標的化分子が、第一の結合分子に結合する第二の結合分子であり、該第一の結合分子が、前記分子またはタンパク質に結合することが可能である、態様114の方法。
116. 標的化分子が二次抗体である、態様114または態様115の方法。
117. フタロシアニン色素が、600nm~約850nmまたは約600nm~約850nmの最大吸収波長を有する、態様75~116のいずれかの方法。
118. フタロシアニン色素が、標的化分子に共有または非共有連結されている、態様75~117のいずれかの方法。
119. フタロシアニン色素が、標的化分子への色素の付着のための反応性基を含むリンカーを含む、態様75~118のいずれかの方法。
120. フタロシアニン色素が、下記式:
を含み、式中、
Lは、リンカーであり;
Qは、標的化分子への色素の付着のための反応性基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22およびR
23は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択され;かつ
X
2およびX
3は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンである、
態様119の方法。
121. フタロシアニン色素が、下記式:
を含み、式中、
X
1およびX
4は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンであり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;かつ
R
16、R
17、R
18およびR
19は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択される、
態様119または態様120の方法。
122. フタロシアニン色素が、IRDye 700DX(IR700)を含む、態様75~121のいずれかの方法。
123. コンジュゲートが、50mg/m
2~約5000mg/m
2もしくは約50mg/m
2~約5000mg/m
2、約250mg/m
2~約2500mg/m
2、約750mg/m
2~約1250mg/m
2、または約100mg/m
2~約1000mg/m
2の用量で投与される、態様75~122のいずれかの方法。
124. 腫瘍ががんである、態様8~33および37~123のいずれかの方法。
125. がんが、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置するがんである、態様124の方法。
126. 腫瘍が、肉腫または癌腫である、態様8~33および37~125のいずれかの方法。
127. 腫瘍が、扁平上皮癌、基底細胞癌または腺癌である癌腫である、態様126の方法。
128. 腫瘍が、膀胱、膵臓、結腸、卵巣、肺、乳房、胃、前立腺、子宮頸部、食道または頭頸部の癌腫である癌である、態様127の方法。
129. 腫瘍が、600nm~850nmの波長で、少なくとも1J cm
-2または少なくとも1J/ファイバ長cmの線量で照射される、態様75~128のいずれかの方法。
130. 腫瘍が、690nm±50nmの波長でまたは690±20nmもしくは約690±20nmの波長で照射される、態様75~129のいずれかの方法。
131. 投与および照射の前の腫瘍のサイズまたは体積と比較して、照射の1か月以内に、腫瘍のサイズまたは体積を少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれ以上低減させる、態様1~130のいずれかの方法。
132. 前記方法が、処置された対象の集団において、コンジュゲートされていない抗体または抗原結合抗体断片で処置された対象の類似状況の集団と比較して、障害もしくはがん関連パラメーターの改善を達成し、該パラメーターが、(a)奏効率(ORR);(b)無増悪生存期間(PFS);(c)全生存期間(OS);(d)毒性の低減;(e)腫瘍応答;または(f)クオリティ・オブ・ライフの1つまたは複数から選択される、態様1~131のいずれかの方法。
133. パラメーターが、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%またはそれ以上改善される、態様132の方法。
134. 処置された対象の集団において、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれ以上の奏効率(ORR)を達成する、態様1~133のいずれかの方法。
135. フタロシアニン色素が、第一の色素であり、コンジュゲートが、該第一の色素とは異なる巨大分子に連結された第二の蛍光色素をさらに含む、態様1~133のいずれかの方法。
136. 病変または腫瘍に照射する工程が、第二の蛍光色素から蛍光シグナルを放射して、対象における病変または腫瘍でのコンジュゲートの存在の検出を達成する、態様135の方法。
137. 第二の色素が吸収することが可能な波長で腫瘍に照射または照明することによって、対象における病変または腫瘍をイメージングする工程をさらに含む、態様135または態様136の方法。
138. 第二の蛍光色素が、第一の色素の対応するスペクトル特性と比較してより高い、水中蛍光量子収率、吸光係数、ストークスシフト、長波長における吸収および放射ならびに光安定性の中から選択される1つまたは複数のスペクトル特性を示す、態様135~137のいずれかの方法。
139. 第一の色素がIR700である、態様135~138のいずれかの方法。
140. 第二の色素がIR700ではない、態様135~139のいずれかの方法。
141. 第二の色素が、ヒドロキシクマリン、Cascade Blue、Dylight 405、Pacific Orange、Alexa Fluor 430、フルオレセイン、Oregon Green、Alexa Fluor 488、BODIPY 493、2.7-ジクロロフルオレセイン(Diochlorofluorescien)、ATTO 488、Chromeo 488、Dylight 488、HiLyte 488、Alexa Fluor 555、ATTO 550、BODIPY TMR-X、CF 555、Chromeo 546、Cy3、TMR、TRITC、Dy547、Dy548、Dy549、HiLyte 555、Dylight 550、BODIPY 564、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、ローダミン、Texas Red、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Dylight 633、Alexa Fluor 647、APC、ATTO 655、CF633、CF640R、Chromeo 642、Cy5、Dylight 650、Alexa Fluor 680、IRDye 680、Alexa Fluor 700、Cy 5.5、ICG、Alexa Fluor 750、Dylight 755、IRDye 750、Cy7.5、Alexa Fluor 790、Dylight 800、IRDye 800、Qdot(登録商標)525、Qdot(登録商標)565、Qdot(登録商標)605、Qdot(登録商標)655、Qdot(登録商標)705およびQdot(登録商標)800の中から選択される、態様135~140のいずれかの方法。
142. 第一の色素がIR700であり、コンジュゲートが1巨大分子当たり1~10または1~5の第二の色素分子を含む、態様135~141のいずれかの方法。
143. 第二の色素が、15nm超、20nm超、30nm超、40nm超、50nm超、60nm超、70nm超、80nm超、90nm超または100nm超であるストークスシフトを示す、態様96~103のいずれかの方法。
144. 第二の色素が、10%超、15%超、20%超もしくは25%超、30%超、40%超、50%超またはより高い水中量子収率を有する、態様135~143のいずれかの方法。
145. 第二の色素が、650nm~950nmの間もしくは約650nm~950nmの間、700nm~1000nmの間もしくは約700nm~1000nmの間、または1000nm~1700nmの間もしくは約1000nm~1700nmの間のスペクトル中に吸収および放射波長を有する、態様135~144のいずれかの方法。
146. 第一の色素および第二の色素が、重複する放射および吸収スペクトルを示さない、態様135~145のいずれかの方法。
147. 第二の色素が、ICG、IRDye 680、Alexa Fluor 750、Dylight 755、IRDye 750、Cy7.5、Alexa Fluor 790、Dylight 800およびIRDye 800の中から選択される、態様135~146のいずれかの方法。
148. 第二の色素が、Alexa Fluor 488、IRDye 680、IRDye 800またはDylight 755である、態様135~147のいずれかの方法。
149. 照射または照明が、ハンドヘルド紫外線ランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、レーザー、レーザーダイオードまたはLEDイメージングデバイスの中から選択されるデバイスを用いて実施される、態様1~148のいずれかの方法。
150. イメージングデバイスが、近赤外(NIR)ダイオードを含む、態様149の方法。
151. 病変の微小環境中に存在する細胞の表面の分子に結合する抗体または抗原結合抗体断片に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを含み、100mg~2000mgの間または約100mg~2000mgの間である量でのコンジュゲートの単回投与量投与用に製剤化されている、組成物。
152. 100mg~500mgの間もしくは約100mg~500mgの間、200mg~400mgの間もしくは約200mg~400mgの間の量の単回投与量投与用に製剤化されている、態様151の組成物。
153. 500mg~1500mgもしくは約500mg~1500mg、800mg~1200mgもしくは約800mg~1200mg、または1000mg~1500mgもしくは約1000mg~1500mgの間の量の単回投与量投与用に製剤化されている、態様151または態様152の組成物。
154. 前記組成物の容量が、10mL~1000mLの間もしくは約10mL~1000mLの間、または50mL~500mLの間もしくは約50mL~500mLの間であるか;または
前記組成物の容量が、少なくとも10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、75mL、100mL、150mL、200mL、250mL、300mL、400mL、500mLもしくは1000mLである、
態様151~153のいずれかの組成物。
155. 病変の微小環境中に存在する細胞の表面の分子に結合する抗体または抗原結合抗体断片に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを含む組成物の単回投与用量の一部分を各々個別に含む複数の密閉容器であって、複数の密閉容器内のコンジュゲートの組み合わせ量が、100mg~1500mgの間または約100mg~1500mgの間である、複数の密閉容器と;
パッケージング材料と;
複数のバイアルの内容物を組み合わせて組成物の単回投与量製剤を調製するための説明書を含む、ラベルまたは添付文書と
を含む、製造品。
156. 複数の密閉容器内のコンジュゲートの組み合わせ量が、100mg~1200mgの間または約100mg~1200mgの間である、態様155の製造品。
157. 複数の密閉容器内のコンジュゲートの組み合わせ量が、100mg~500mgの間もしくは約100mg~500mgの間、200mg~400mgの間もしくは約200mg~400mgの間、500mg~1500mgの間もしくは約500mg~1500mgの間、800mg~1200mgの間もしくは約800mg~1200mgの間、または1000mg~1500mgの間もしくは約1000mg~1500mgの間である、態様155または態様156の製造品。
158. 病変が腫瘍である、態様151~154のいずれかの組成物、または態様155~157のいずれかの製造品。
159. 免疫調節剤である抗体または抗原結合断片に連結されたフタロシアニン色素を含む、コンジュゲート。
160. 免疫調節剤が免疫チェックポイント阻害剤である、態様159のコンジュゲート。
161. 免疫調節剤が、腫瘍、腫瘍細胞またはがん細胞の表面に結合する抗体または抗原結合断片である、態様159または態様160のコンジュゲート。
162. 免疫調節剤が、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAの中から選択される分子に特異的に結合する、態様159~161のいずれかのコンジュゲート。
163. 免疫調節剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MED14736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、またはそれらのいずれかの抗原結合断片である、態様159~162のいずれかのコンジュゲート。
164. 免疫調節剤が、PD-L1に結合する抗体または抗体断片である、態様159~163のいずれかのコンジュゲート。
165. 免疫調節剤が、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280AおよびMSB0010718Cから選択される抗体、またはその抗原結合断片である、態様164のコンジュゲート。
166. 少なくとも第一および第二の蛍光色素に連結された標的化分子を含むコンジュゲートであって、該第一の蛍光色素が、光毒性を示すことが可能なフタロシアニン色素である、コンジュゲート。
167. 下記式:
[D
1-(L
1)
n]
p-A-[(L
2)
n-D
2]
o
を含み、式中、
Aは、細胞の表面の分子に結合することができる標的化分子であり;
L
1およびL
2は、各々独立して選択されるリンカーであり、これらは、同じでもまたは異なっていることもでき;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
D
1は、光毒性を示すことが可能なフタロシアニン色素である第一の色素であり;
D
2は、蛍光色素である第二の色素であり、ここで、D
2はD
1とは異なり;
pは1~10であり;かつ
oは1~10である、
態様166のコンジュゲート。
168. 標的化分子が、抗体または抗原結合抗体断片である、態様166または態様167のコンジュゲート。
169. 細胞表面分子が、抗原、ポリペプチド、脂質、もしくは炭水化物、またはこれらの分子の組み合わせを含む、態様166~168のいずれかのコンジュゲート。
170. 細胞表面分子が、ACTHR、内皮細胞Anxa-1、アミノペプチダーゼN、抗IL-6R、アルファ-4-インテグリン、アルファ-5-ベータ-3 インテグリン、アルファ-5-ベータ-5 インテグリン、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ANPA、ANPB、APA、APN、APP、1AR、2AR、AT1、B1、B2、BAGE1、BAGE2、B細胞受容体BB1、BB2、BB4、カルシトニン受容体、癌抗原125(CA 125)、CCK1、CCK2、CD5、CD10、CD11a、CD13、CD14、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD38、CD45、CD52、CD56、CD68、CD90、CD133、CD7、CD15、CD34、CD44、CD206、CD271、CEA(癌胎児性抗原)、CGRP、ケモカイン受容体、細胞表面アネキシン-1、細胞表面プレクチン-1、クリプト-1、CRLR、CXCR2、CXCR4、DCC、DLL3、E2糖タンパク質、EGFR、EGFRvIII、EMR1、エンドシアリン、EP2、EP4、EpCAM、EphA2、ET受容体、フィブロネクチン、フィブロネクチンED-B、FGFR、frizzled受容体、GAGE1、GAGE2、GAGE3、GAGE4、GAGE5、GAGE6、GLP-1受容体、ファミリーAのGタンパク質共役受容体(ロドプシン様)、ファミリーBのGタンパク質共役受容体((セクレチン受容体様)様)、ファミリーCのGタンパク質共役受容体(代謝型グルタミン酸受容体様)、GD2、GP100、GP120、グリピカン-3、ヘマグルチニン、ヘパリン硫酸、HER1、HER2、HER3、HER4、HMFG、HPV 16/18およびE6/E7抗原、hTERT、IL11-R、IL-13R、ITGAM、カリクレイン-9、ルイスY、LH受容体、LHRH-R、LPA1、MAC-1、MAGE 1、MAGE 2、MAGE 3、MAGE 4、MART1、MC1R、メソテリン、MUC1、MUC16、Neu(細胞表面ヌクレオリン)、ネプリライシン、ニューロピリン-1、ニューロピリン-2、NG2、NK1、NK2、NK3、NMB-R、Notch-1、NY-ESO-1、OT-R、突然変異体p53、p97黒色腫抗原、NTR2、NTR3、p32(p32/gC1q-R/HABP1)、p75、PAC1、PAR1、Patched(PTCH)、PDGFR、PDFG受容体、PDT、プロテアーゼ切断コラーゲンIV、プロテイナーゼ3、プロヒビチン、タンパク質チロシンキナーゼ7、PSA、PSMA、プリン作動性P2Xファミリー(例えば、P2X1~5)、突然変異体Ras、RAMP1、RAMP2、RAMP3 patched、RET受容体、プレキシン、スムーズンド、sst1、sst2A、sst2B、sst3、sst4、sst5、サブスタンスP、TEM、T細胞CD3受容体、TAG72、TGFBR1、TGFBR2、Tie-1、Tie-2、Trk-A、Trk-B、Trk-C、TR1、TRPA、TRPC、TRPV、TRPM、TRPML、TRPP(例えば、TRPV1~6、TRPA1、TRPC1~7、TRPM1~8、TRPP1~5、TRPML1~3)、TSH受容体、VEGF受容体(VEGFR1またはFlt-1、VEGFR2またはFLK-1/KDR、およびVEGF-3またはFLT-4)、電位依存性イオンチャネル、VPAC1、VPAC2、ウィルムス腫瘍1、Y1、Y2、Y4、ならびにY5の中から選択される、態様166~169のいずれかのコンジュゲート。
171. 細胞表面分子が、HER1/EGFR、HER2/ERBB2、CD20、CD25(IL-2Rα受容体)、CD33、CD52、CD133、CD206、CEA、CEACAM1、CEACAM3、CEACAM5、CEACAM6、癌抗原125(CA125)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ルイスY、TAG72、カプリン-1、メソテリン、PDGF受容体、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IL-2受容体、血管内皮成長因子(VEGF)、CD30、EpCAM、EphA2、グリピカン-3、gpA33、ムチン、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(GD2、GD3、GM1およびGM2など)、VEGF受容体(VEGFR)、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、AFP、BCR複合体、CD3、CD18、CD44、CTLA-4、gp72、HLA-DR 10β、HLA-DR抗原、IgE、MUC-1、nuC242、PEM抗原、メタロプロテイナーゼ、エフリン受容体、エフリンリガンド、HGF受容体、CXCR4、CXCR4、ボンベシン受容体、およびSK-1抗原の中から選択される、態様166~170のいずれかのコンジュゲート。
172. 細胞表面分子が、CD25、PD-1(CD279)、PD-L1(CD274、B7-H1)、PD-L2(CD273、B7-DC)、CTLA-4、LAG3(CD223)、TIM3(HAVCR2)、4-1BB(CD137、TNFRSF9)、CXCR2、CXCR4(CD184)、CD27、CEACAM1、ガレクチン9、BTLA、CD160、VISTA(PD1相同体)、B7-H4(VCTN1)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、CD28、HHLA2(B7-H7)、CD28H、CD155、CD226、TIGIT、CD96、ガレクチン3、CD40、CD40L、CD70、LIGHT(TNFSF14)、HVEM(TNFRSF14)、B7-H3(CD276)、Ox40L(TNFSF4)、CD137L(TNFSF9、GITRL)、B7RP1、ICOS(CD278)、ICOSL、KIR、GAL9、NKG2A(CD94)、GARP、TL1A、TNFRSF25、TMIGD2、BTNL2、ブチロフィリンファミリー、CD48、CD244、シグレックファミリー、CD30、CSF1R、MICA(MHCクラスIポリペプチド関連配列A)、MICB(MHCクラスIポリペプチド関連配列B)、NKG2D、KIRファミリー(キラー細胞免疫グロブリン様受容体)、LILRファミリー(白血球免疫グロブリン様受容体、CD85、ILT、LIR)、SIRPA(シグナル調節タンパク質アルファ)、CD47(IAP)、ニューロピリン1(NRP-1)、VEGFR、およびVEGFの中から選択される、態様166~171のいずれかのコンジュゲート。
173. 巨大分子が、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan, Mabthera)、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin)、ダクリズマブ(Zenapax)、ゲムツズマブ(Mylotarg)、アレムツズマブ、CEA-scan Fab断片、OC125モノクローナル抗体、ab75705、B72.3、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、バシリキシマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEA-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI6383、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、PDR001、MSB0010718C、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015, IPH2101)、IPH2201、AGX-115、エマクツズマブ、CC-90002およびMNRP1685Aの中から選択されるか、またはその抗原結合抗体断片である、抗体または抗原結合抗体断片である、態様166~172のいずれかのコンジュゲート。
174. 標的化分子が、ナノ担体ではないかまたはそれを含まない、態様166~173のいずれかのコンジュゲート。
175. 標的化分子が、ウイルス様粒子、ナノ粒子、リポソーム、量子ドット、もしくはそれらの組み合わせではないか、またはそれを含まない、態様166~174のいずれかのコンジュゲート。
176. 第一の色素が、600nm~約850nmまたは約600nm~約850nmの最大吸収波長を有するフタロシアニン色素である、態様166~175のいずれかのコンジュゲート。
177. フタロシアニン色素である第一の色素が、下記式:
を含み、式中、
Lは、リンカーであり;
Qは、標的化分子への色素の付着のための反応性基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22およびR
23は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択され;かつ
X
2およびX
3は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンである、
態様166~176のいずれかのコンジュゲート。
178. フタロシアニン色素である第一の色素が、下記式:
を含み、式中、
X
1およびX
4は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンであり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;かつ
R
16、R
17、R
18およびR
19は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択される、
態様166~177のいずれかのコンジュゲート。
179. フタロシアニン色素である第一の色素が、IRDye 700DX(IR700)を含む、態様166~178のいずれかのコンジュゲート。
180. 第二の蛍光色素が、第一の色素の対応するスペクトル特性と比較してより高い、水中蛍光量子収率、吸光係数、ストークスシフト、長波長における吸収および放射ならびに光安定性の中から選択される1つまたは複数のスペクトル特性を示す、態様166~179のいずれかのコンジュゲート。
181. 第二の色素がIR700ではない、態様166~180のいずれかのコンジュゲート。
182. 第二の色素が、ヒドロキシクマリン、Cascade Blue、Dylight 405、Pacific Orange、Alexa Fluor 430、フルオレセイン、Oregon Green、Alexa Fluor 488、BODIPY 493、2.7-ジクロロフルオレセイン、ATTO 488、Chromeo 488、Dylight 488、HiLyte 488、Alexa Fluor 555、ATTO 550、BODIPY TMR-X、CF 555、Chromeo 546、Cy3、TMR、TRITC、Dy547、Dy548、Dy549、HiLyte 555、Dylight 550、BODIPY 564、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、ローダミン、Texas Red、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Dylight 633、Alexa Fluor 647、APC、ATTO 655、CF633、CF640R、Chromeo 642、Cy5、Dylight 650、Alexa Fluor 680、IRDye 680、Alexa Fluor 700、Cy 5.5、ICG、Alexa Fluor 750、Dylight 755、IRDye 750、Cy7.5、Alexa Fluor 790、Dylight 800、IRDye 800、Qdot(登録商標)525、Qdot(登録商標)565、Qdot(登録商標)605、Qdot(登録商標)655、Qdot(登録商標)705およびQdot(登録商標)800の中から選択される、態様166~181のいずれかのコンジュゲート。
183. 第一の色素がIR700であり、コンジュゲートが、1巨大分子当たり1~10または1~5の第二の色素分子を含む、態様166~182のいずれかのコンジュゲート。
184. 第二の色素が、15nm超、20nm超、30nm超、40nm超、50nm超、60nm超、70nm超、80nm超、90nm超または100nm超であるストークスシフトを示す、態様166~183のいずれかのコンジュゲート。
185. 第二の色素が、10%超、15%超、20%超もしくは25%超、30%超、40%超、50%超またはより高い水中量子収率を有する、態様166~184のいずれかのコンジュゲート。
186. 第二の色素が、650nm~950nmの間もしくは約650nm~950nmの間、700nm~1000nmの間もしくは約700nm~1000nmの間、1000nm~1700nmの間もしくは約1000nm~1700nmの間のスペクトル中に吸収および放射波長を有する、態様166~185のいずれかのコンジュゲート。
187. 第一の色素および第二の色素が、重複する放射および吸収スペクトルを示さない、態様166~186のいずれかのコンジュゲート。
188. 第二の色素が、ICG、IRDye 680、Alexa Fluor 750、Dylight 755、IRDye 750、Cy7.5、Alexa Fluor 790、Dylight 800およびIRDye 800の中から選択される、態様166~187のいずれかのコンジュゲート。
189. 第二の色素が、Alexa Fluor 488、IRDye 680、IRDye 800またはDylight 755である、態様166~188のいずれかのコンジュゲート。
190. 態様159~189のいずれかのコンジュゲートを含む、組成物。
191. 薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、態様190の組成物。
192. (a)態様159~165のいずれかのコンジュゲートまたは態様190もしくは態様191の組成物の治療有効量を対象に投与する工程であって、該コンジュゲートが、疾患または病態と関連する病変の微小環境中に存在する細胞に結合する、工程;および
(b)コンジュゲートを投与した後、コンジュゲートの光毒性活性を誘導するために1つまたは複数の波長で病変に照射し、それによって該疾患または病態を処置する工程
を含む、対象における疾患または病態を処置する方法。
193. (a)態様166~189のいずれかのコンジュゲートまたは態様190もしくは態様191の組成物の治療有効量を対象に投与する工程であって、該コンジュゲートが、疾患または病態と関連する病変の微小環境中に存在する細胞に結合する、工程;および
(b)コンジュゲートを投与した後、コンジュゲートの第一の色素の光毒性活性およびコンジュゲートの第二の色素の蛍光シグナルを誘導するために1つまたは複数の波長で病変に照射する工程
を含む、対象における疾患または病態を処置する方法。
194. 病変に、400~約900nmまたは約400~約900nmである波長で、少なくとも1J cm
-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を含む、態様192または態様193の方法。
195. 単一波長で病変に照射する工程を含む、態様193または態様194の方法。
196. 2つの異なる波長で同時または連続的に病変に照射する工程であって、一方の波長が光毒性活性を誘導し、もう一方の波長が蛍光シグナルを誘導する、工程を含む、態様193または態様195の方法。
197. 疾患または病態が腫瘍である、態様192~196のいずれかの方法。
198. 660nm~740nmの波長でかつ少なくとも1J cm
-2の線量で腫瘍に照射し、それによって対象における腫瘍を処置する工程を含む、態様197の方法。
199. 腫瘍ががんである、態様197または態様198の方法。
200. がんが、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置するがんである、態様199の方法。
201. 腫瘍が肉腫または癌腫である、態様197~200のいずれかの方法。
202. 腫瘍が、扁平上皮癌、基底細胞癌または腺癌である癌腫である、態様201の方法。
203. 腫瘍が、膀胱、膵臓、結腸、卵巣、肺、乳房、胃、前立腺、子宮頸部、食道または頭頸部の癌腫である癌である、態様202の方法。
204. コンジュゲートの投与の前に、標的化分子が対象に投与される、態様1~150および192~203のいずれかの方法。
205. 標的化分子が、コンジュゲートの投与の96時間前までに投与される、態様1~150および192~204のいずれかの方法。
206. 標的化分子が、10mg/m
2~約500mg/m
2または約10mg/m
2~約500mg/m
2の範囲内の用量で投与される、態様204または態様205の方法。
207. 標的化分子が抗体または抗原結合断片である、態様1~150および192~206のいずれかの方法。
208. 抗体がセツキシマブである、態様207の方法。
209. 対象における腫瘍を処置する方法であって、
a)対象に、免疫調節剤である第一の薬剤を投与する工程;
b)対象に、腫瘍標的化巨大分子に連結されたフタロシアニン色素を含む、腫瘍に結合するコンジュゲートの治療有効量を投与する工程;および
c)第一の薬剤を投与した12時間超後、コンジュゲートを細胞傷害性にする波長で腫瘍に照射する工程であって、それによって腫瘍を処置する、工程
を含む、方法。
210. コンジュゲートが、腫瘍の細胞表面分子に結合する、態様209の方法。
211. コンジュゲートが、腫瘍細胞の細胞表面分子に結合する、態様209または態様210の方法。
212.第一の薬剤が、腫瘍に照射する少なくとも24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1か月前、または少なくとも約24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1か月前に投与される、態様209~211のいずれかの方法。
213. 第一の薬剤が、腫瘍関連抗原(TAA)の発現をアップレギュレートする脱メチル化剤であるかまたはサイトカインである、免疫調節剤である、態様209~212のいずれかの方法。
214. 免疫調節剤が、白血球インターロイキン注射(Multikine)であるサイトカインであるか;または
免疫調節剤が、5-アザ-2’-デオキシシチジンである脱メチル化剤である、
態様209~213のいずれかの方法。
215. 第一の薬剤が、免疫チェックポイント阻害剤である免疫調節剤である、態様209~212のいずれかの方法。
216. 免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAの中から選択される分子に特異的に結合する、態様215の方法。
217. 免疫調節剤が、低分子またはポリペプチドである、態様209~216のいずれかの方法。
218. 免疫調節剤が、抗体またはその抗原結合断片である、態様209~216のいずれかの方法。
219. 抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、またはその抗原結合断片である、態様218の方法。
220. 第一の薬剤が、免疫調節剤である抗体または抗原結合断片に連結されたフタロシアニン色素を含む抗体コンジュゲートである、態様209~216のいずれかの方法。
221. 免疫調節剤が免疫チェックポイント阻害剤である、態様220の方法。
222. 免疫調節剤が、がん細胞の表面に結合する抗体または抗体断片である、態様2218、態様220または態様221の方法。
223. 免疫調節剤が、PD-L1に結合する抗体または抗体断片である、態様222の方法。
224. 免疫調節剤が、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280AおよびMSB0010718Cから選択される抗体、またはその抗原結合断片である、態様223の方法。
225. 腫瘍に照射する工程c)が、i)第一の薬剤の投与後およびコンジュゲートの投与後、またはii)コンジュゲートの投与後のみのいずれかに達成される、態様220~224のいずれかの方法。
226. 第一の薬剤およびコンジュゲートのフタロシアニン色素が同じかまたは異なる、態様220~225のいずれかの方法。
227. 対象における腫瘍を処置する方法であって、
a)対象に、抗がん剤である第一の薬剤を投与する工程;
b)対象に、腫瘍標的化巨大分子に連結されたフタロシアニン色素を含む、腫瘍に結合するコンジュゲートの治療有効量を投与する工程;および
c)第一の薬剤を投与した5分超後、コンジュゲートを細胞傷害性にする波長で腫瘍に照射し、それによって腫瘍を処置する工程
を含む、方法。
228. コンジュゲートが、腫瘍の細胞表面分子に結合する、態様227の方法。
229. コンジュゲートが、腫瘍細胞の細胞表面分子に結合する、態様227または態様228の方法。
230. 第一の薬剤が、腫瘍に照射する少なくとも15分、30分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間もしくは24時間前、または少なくとも約15分、30分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間もしくは24時間前に投与される、態様227~229のいずれかの方法。
231. 抗がん剤が、アルキル化剤、白金製剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、有糸分裂阻害剤、コルチコステロイド、プロテアソーム阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤および抗体の中から選択される、態様227~230のいずれかの方法。
232. 抗がん剤が、5-フルオロウラシル/ロイコボリン、オキサリプラチン、イリノテカン、ziv-アフリベルセプト、カペシタビン、シスプラチン、パクリタキセル、トポテカン、カルボプラチン、ゲムシタビン、ドセタキセル、5-FU、イホスファミド、マイトマイシン、ペメトレキセド、ビノレルビン、カルムスチン・ウエファー、テモゾロミド、メトトレキサート、カパシタビン、エトポシド、リポソーマルシタラビン、シタラビン、インターフェロンアルファ、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ロムシン、プロカルバジン、ソマストスタチン、ドキソルビシン、ペグ化リポソーム封入ドキソルビシン、エピルビシン、エリブリン、アルブミン結合パクリタキセル、イキサベピロン、コトリモキサゾール、タキサン、ビンブラスチン、テモゾロミド、ベンダムスチン、経口エトポシド、オクトレオチド、ランレドチド、ダカルバジン、メスナ、エリブリン、タモキシフェン、トレミフェン、ダクチノマイシン、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、ミトキサントロン、カバジタキセル、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、ロイコボリン、オキソリプラチンおよびオウロロピリミジンの中から選択される、態様227~231のいずれかの方法。
233. 抗がん剤が、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ラムシルマブ、イピリムマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、ado-トラスツズマブエムタンシン、ペルツズマブ、ニボルマブ、ラパチニブ、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、エルロチニブ、スニチニブ、パゾパニブ、イマチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、ニロチニブ、ダサンチニブ、セレコキシブ、クリゾチニブ、セリチニブ、アファチニブ、アキシチニブ、ベバシズマブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、アファチニブ、ゲフィチニブ、テムシロリムス、エベロリムス、シロリムス、イブルチニブ、イマチニブ、レンバチニブ、オラパリブ、パルボシクリブ、ルキソリチニブ、トラメチニブ、バンデタニブおよびビスモデギブから選択される、態様227~231のいずれかの方法。
234. コンジュゲートが、50mg/m
2~5000mg/m
2、250mg/m
2~2500mg/m
2、750mg/m
2~1250mg/m
2もしくは100mg/m
2~1000mg/m
2、または約50mg/m
2~5000mg/m
2、250mg/m
2~2500mg/m
2、750mg/m
2~1250mg/m
2もしくは100mg/m
2~1000mg/m
2の用量で投与される、態様20209~233のいずれかの方法。
235. コンジュゲートが、少なくとも0.01mg、0.1mg、1mg、10mg、100mg、1000mg、2000mg、または3000mgの用量で投与される、態様209~234のいずれかの方法。
236. 第一の薬剤が、体重1kg当たり0.01mg(mg/kg BW)~約50mg/kg BWもしくは体重1kg当たり約0.01mg(mg/kg BW)~約50mg/kg BW、約0.1mg/kg~約20mg/kg BW、約0.1~約10mg/kg BW、約0.3~約10mg/kg、約0.5mg/kg~5mg/kg、または0.5mg/kg~1mg/kgである投与量範囲で投与される、態様209~235のいずれかの方法。
237. コンジュゲートが、第一の薬剤の投与の前、第一の薬剤の投与と同時、または第一の薬剤の投与の後に投与される、態様209~236のいずれかの方法。
238. コンジュゲートおよび第一の薬剤が、腫瘍に照射する前に投与される、態様209~237のいずれかの方法。
239. 第一の薬剤が免疫調節剤であり、かつ、コンジュゲートが腫瘍に照射する12時間~48時間前または約12時間~48時間前に投与され、かつ、該免疫調節剤が腫瘍に照射する12時間~1か月前または約12時間~1か月前に投与される、態様209~226および態様238のいずれかの方法。
240. 第一の薬剤が抗がん剤であり、かつ、コンジュゲートが腫瘍に照射する12時間~48時間前または約12時間~48時間前に投与され、かつ、該抗がん剤が腫瘍に照射する5分~24時間前または約5分~24時間前に投与される、態様227~239のいずれかの方法。
241. 第一の薬剤およびコンジュゲートが同じ投与経路によって投与される、態様209~240のいずれかの方法。
242. 第一の薬剤およびコンジュゲートが全身投与される、態様209~241のいずれかの方法。
243. 第一の薬剤およびコンジュゲートが静脈内投与される、態様209~242のいずれかの方法。
244. 対象における腫瘍を処置する方法であって、
a)対象に、免疫調節剤である抗体または抗原結合断片に連結されたフタロシアニン色素を含む第一のコンジュゲートを投与する工程;
b)対象に、腫瘍標的化巨大分子に連結されたフタロシアニン色素を含む、腫瘍に結合する第二のコンジュゲートの治療有効量を投与する工程;および
c)腫瘍に、i)第一のコンジュゲートの投与後および第二のコンジュゲートの投与後に、またはii)第二のコンジュゲートの投与後にのみのいずれかに照射する工程であって、照射が、第一および第二のコンジュゲートを細胞傷害性にする波長での照射であり、それによって腫瘍を処置する、工程
を含む、方法。
245. 第二のコンジュゲートが、腫瘍の細胞表面分子に結合する、態様244の方法。
246. 第二のコンジュゲートが、腫瘍細胞の細胞表面分子に結合する、態様244または245の方法。
247. 免疫調節剤が免疫チェックポイント阻害剤である、態様244~246のいずれかの方法。
248. 免疫調節剤が、がん細胞の表面に結合する抗体または抗原結合断片である、態様244~246のいずれかの方法。
249. 免疫調節剤が、PD-L1に結合する抗体または抗体断片である、態様244~248のいずれかの方法。
250. 免疫調節剤が、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280AおよびMSB0010718Cから選択される抗体、またはその抗原結合断片である、態様249の方法。
251. 第一のコンジュゲートおよび第二のコンジュゲートのフタロシアニン色素が同じかまたは異なる、態様244~250のいずれかの方法。
252. 第一のコンジュゲートが、第二のコンジュゲートの投与前に投与される、態様244~251のいずれかの方法。
253. 第一のコンジュゲートが、第二のコンジュゲートの投与の少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも96時間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間または少なくとも1か月前に投与される、態様252の方法。
254. 第一のコンジュゲートを投与した後の腫瘍の第一の照射および第二のコンジュゲートを投与した後の腫瘍の第二の照射を含み、各照射が、それぞれのコンジュゲートを投与した後6~48時間以内に実施される、態様244~253のいずれかの方法。
255. 第二のコンジュゲートを投与した後、単回照射のみを含み;かつ
第二のコンジュゲートが、腫瘍に照射する前6~48時間以内および第一のコンジュゲートを投与した少なくとも12時間後に投与される、
態様244~253のいずれかの方法。
256. 第一のコンジュゲートおよび第二のコンジュゲートが同じ投与経路によって投与される、態様244~255のいずれかの方法。
257. 第一のコンジュゲートおよび第二のコンジュゲートが全身投与される、態様244~256のいずれかの方法。
258. 第一のコンジュゲートおよび第二のコンジュゲートが静脈内投与される、態様244~257のいずれかの方法。
259. フタロシアニン色素が、600nm~850nmまたは約600nm~850nmの最大吸収波長を有する、態様209~258のいずれかの方法。
260. フタロシアニン色素が、該色素の腫瘍標的化巨大分子への付着のための反応性基を含むリンカーを含む、態様209~259のいずれかの方法。
261. フタロシアニン色素が、下記式を含む、態様260の方法:
式中、
Lは、リンカーであり;
Qは、色素の腫瘍標的化巨大分子への付着のための反応性基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22およびR
23は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択され;かつ
X
2およびX
3は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンである。
262. フタロシアニン色素が、下記式を含む、態様260または態様261の方法:
式中、
X
1およびX
4は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンであり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;かつ
R
16、R
17、R
18およびR
19は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択される。
263. フタロシアニン色素が、IRDye 700DX(IR700)を含む、態様209~262のいずれかの方法。
264. 第一の薬剤およびコンジュゲートのフタロシアニン色素が同じであり、かつ、各々がIR700である、態様220~226のいずれかの方法。
265. 第一のコンジュゲートおよび第二のコンジュゲートのフタロシアニン色素が同じであり、かつ、各々がIR700である、態様244~258のいずれかの方法。
266. 腫瘍標的化巨大分子が、タンパク質、糖タンパク質、抗体、抗体断片、抗原、抗原結合断片、ペプチド、ポリペプチド、低分子、合成高分子、高分子ナノ粒子、リポソーム、酵素基質、ホルモン、神経伝達物質、細胞代謝物質、ウイルス粒子、ウイルスカプシド、ウイルスナノ粒子、細菌粒子、マーカー、細胞、ハプテン、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、炭水化物、オリゴ糖、多糖、核酸、デオキシ核酸、DNAの断片、RNAの断片、ヌクレオチド三リン酸、アシクロターミネーター三リン酸、およびPNAから選択される分子または生体分子を含む、態様209~265のいずれかの方法。
267. 腫瘍標的化巨大分子が、腫瘍またはがん細胞において発現される細胞表面分子に結合する、態様266の方法。
268. 細胞表面分子が、抗原、ポリペプチド、脂質、もしくは炭水化物、またはこれらの分子の組み合わせを含む、態様267の方法。
269. 細胞表面分子が、ACTHR、内皮細胞Anxa-1、アミノペプチダーゼN、抗IL-6R、アルファ-4-インテグリン、アルファ-5-ベータ-3 インテグリン、アルファ-5-ベータ-5 インテグリン、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ANPA、ANPB、APA、APN、APP、1AR、2AR、AT1、B1、B2、BAGE1、BAGE2、B細胞受容体BB1、BB2、BB4、カルシトニン受容体、癌抗原125(CA 125)、CCK1、CCK2、CD5、CD10、CD11a、CD13、CD14、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD38、CD45、CD52、CD56、CD68、CD90、CEA(癌胎児性抗原)、CGRP、ケモカイン受容体、細胞表面アネキシン-1、細胞表面プレクチン-1、クリプト-1、CRLR、CXCR2、CXCR4、DCC、E2糖タンパク質、EGFR、EGFRvIII、EMR1、エンドシアリン、EP2、EP4、ET受容体、フィブロネクチン、フィブロネクチンED-B、FGFR、frizzled受容体、GAGE1、GAGE2、GAGE3、GAGE4、GAGE5、GAGE6、GLP-1受容体、ファミリーAのGタンパク質共役受容体(ロドプシン様)、ファミリーBのGタンパク質共役受容体(セクレチン受容体様)様)、ファミリーCのGタンパク質共役受容体(代謝型グルタミン酸受容体様)、GD2、GP100、GP120、ヘマグルチニン、ヘパリン硫酸、HER1、HER2、HER3、HER4、HMFG、HPV 16/18およびE6/E7抗原、hTERT、IL11-R、IL-13R、ITGAM、カリクレイン-9、ルイスY、LH受容体、LHRH-R、LPA1、MAC-1、MAGE 1、MAGE 2、MAGE 3、MAGE 4、MART1、MC1R、メソテリン、MUC1、MUC16、Neu(細胞表面ヌクレオリン)、ネプリライシン、ニューロピリン-1、ニューロピリン-2、NG2、NK1、NK2、NK3、NMB-R、Notch-1、NY-ESO-1、OT-R、突然変異体p53、p97黒色腫抗原、NTR2、NTR3、p32(p32/gC1q-R/HABP1)、p75、PAC1、PAR1、Patched(PTCH)、PDGFR、PDFG受容体、PDT、プロテアーゼ切断コラーゲンIV、プロテイナーゼ3、プロヒビチン、タンパク質チロシンキナーゼ7、PSA、PSMA、プリン作動性P2Xファミリー(例えば、P2X1~5)、突然変異体Ras、RAMP1、RAMP2、RAMP3 patched、RET受容体、プレキシン、スムーズンド、sst1、sst2A、sst2B、sst3、sst4、sst5、サブスタンスP、TEM、T細胞CD3受容体、TAG72、TGFBR1、TGFBR2、Tie-1、Tie-2、Trk-A、Trk-B、Trk-C、TR1、TRPA、TRPC、TRPV、TRPM、TRPML、TRPP(例えば、TRPV1~6、TRPA1、TRPC1~7、TRPM1~8、TRPP1~5、TRPML1~3)、TSH受容体、VEGF受容体(VEGFR1またはFlt-1、VEGFR2またはFLK-1/KDR、およびVEGF-3またはFLT-4)、電位依存性イオンチャネル、VPAC1、VPAC2、ウィルムス腫瘍1、Y1、Y2、Y4、ならびにY5の中から選択される、態様267または態様268の方法。
270. 細胞表面分子が、HER1/EGFR、HER2/ERBB2、CD20、CD25(IL-2Rα受容体)、CD33、CD52、CEA、CEACAM1、CEACAM3、CEACAM5、CEACAM6、癌抗原125(CA125)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ルイスY、TAG72、カプリン-1、メソテリン、PDGF受容体、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IL-2受容体、血管内皮成長因子(VEGF)、CD30、EpCAM、gpA33、ムチン、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(例えばGD2、GD3、およびGM2)、VEGF受容体(VEGFR)、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、AFP、BCR複合体、CD3、CD18、CD44、CTLA-4、gp72、HLA-DR 10β、HLA-DR抗原、IgE、MUC-1、nuC242、PEM抗原、メタロプロテイナーゼ、エフリン受容体、エフリンリガンド、HGF受容体、CXCR4、CXCR4、ボンベシン受容体、およびSK-1抗原の中から選択される、態様267~269のいずれかの方法。
271. 腫瘍標的化巨大分子が抗体または抗体断片である、態様209~270のいずれかの方法。
272. 抗体が、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan, Mabthera)、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin)、ダクリズマブ(Zenapax)、ゲムツズマブ(Mylotarg)、アレムツズマブ、CEA-scan Fab断片、OC125モノクローナル抗体、ab75705、B72.3、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、およびバシリキシマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cから選択されるか、またはその抗体結合断片である、態様271の方法。
273. 抗体が、セツキシマブ、パニツムマブおよびトラスツズマブから選択される、態様272の方法。
274. コンジュゲートが、セツキシマブ-IR700、パニツムマブ-IR700およびトラスツズマブ-IR700から選択される、態様209~273のいずれかの方法。
275. 腫瘍標的化巨大分子が組織特異的ホーミングペプチドである、態様209~274のいずれかの方法。
276. ホーミングポリペプチドが、SEQ ID NO:1~52のいずれかに示されるアミノ酸の配列を含む、態様275の方法。
277. 腫瘍標的化巨大分子が、RGDポリペプチド、iRGDポリペプチド、Lyp-1ポリペプチド、クリプト-1結合ポリペプチド、ソマトスタチン受容体結合ポリペプチド、プロヒビチン結合ポリペプチド、NGRポリペプチド、またはiNGRポリペプチドである、態様209~276のいずれかの方法。
278. 腫瘍標的化巨大分子が、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、アンジオテンシンII、心房性ナトリウム利尿因子(ANF)、ボンベシン、ブラジキニン、脳由来神経栄養因子(BDNF)、骨形成タンパク質2(BMP-2)、骨形成タンパク質6(BMP-6)、骨形成タンパク質7(BMP-7)、カルシトニン、カルジオトロフィン1(BMP-2)、CD22、CD40、コレシストキニン(CCK)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、CCL1-CCL28、CXCL1-CXCL17、XCL1、XCL2、CX3CL1、クリプト1結合ペプチド、血管内皮細胞成長因子(VEGF)、上皮細胞成長因子(EGF)、エンドセリン1、エンドセリン1/3、FAS-リガンド、線維芽細胞成長因子1(FGF-1)、線維芽細胞成長因子2(FGF-2)、線維芽細胞成長因子4(FGF-4)、線維芽細胞成長因子5(FGF-5)、線維芽細胞成長因子6(FGF-6)、線維芽細胞成長因子1(FGF-7)、線維芽細胞成長因子1(FGF-10)、Flt-3、ガストリン、ガストリン放出ペプチド(GRP)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージ刺激因子(GM-CSF)、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、肝細胞成長因子(HGF)、インターフェロンアルファ(IFN-a)、インターフェロンベータ(IFN-b)、インターフェロンガンマ(IFNg)、インスリン様成長因子1(IGF-1)、インスリン様成長因子2(IGF-2)、インターロイキン1(IL-1)、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン3(IL-3)、インターロイキン4(IL-4)、インターロイキン5(IL-5)、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン7(IL-7)、インターロイキン8(IL-8)、インターロイキン9(IL-9)、インターロイキン10(IL-10)、インターロイキン11(IL-11)、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン13(IL-13)、インターロイキン15(IL-15)、インターロイキン17(IL-17)、インターロイキン19(IL-19)、黄体形成ホルモン(LH)、黄体形成放出ホルモン(LHRH)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、単球走化性タンパク質1(MCP-1)、マクロファージ炎症性タンパク質3a(MIP-3a)、マクロファージ炎症性タンパク質3b(MIP-3b)、神経成長因子(NGF)、ニューロメジンB、ニューロトロフィン3(NT-3)、ニューロトロフィン4(NT-4)、ニューロテンシン、神経ペプチドY、オキシトシン、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド(PACAP)、血小板由来成長因子AA(PDGF-AA)、血小板由来成長因子AB(PDGF-AB)、血小板由来成長因子BB(PDGF-BB)、血小板由来成長因子CC(PDGF-CC)、血小板由来成長因子DD(PDGF-DD)、ネトリン-1(NTN1)、ネトリン-2(NTN2)、ネトリン-4(NTN4)、ネトリン-G1(NTNG1)およびネトリン-G2(NTNG2)、エフリンA1(EFNA1)、エフリンA2(EFNA2)、エフリンA3(EFNA3)、エフリンA4(EFNA4)、エフリンA5(EFNA5)、セマフォリン3A(SEMA3A)、セマフォリン3B(SEMA3B)、セマフォリン3C(SEMA3C)、セマフォリン3D(SEMA3D)、セマフォリン3F(SEMA3F)、セマフォリン3G(SEMA3G)、セマフォリン4A(SEMA4A)、セマフォリン4B(SEMA4B)、セマフォリン4C(SEMA4C)、セマフォリン4D(SEMA4D)、セマフォリン4F(SEMA4F)、セマフォリン4G(SEMA4G)、セマフォリン5A(SEMA5A)、セマフォリン5B(SEMA5B)、セマフォリン6A(SEMA6A)、セマフォリン6B(SEMA6B)、セマフォリン6D(SEMA6D)、セマフォリン7A(SEMA7A)、SLIT1、SLIT2、SLIT3、SLITおよびNTRK様ファミリーメンバー1(SLITRK1)、SLITおよびNTRK様ファミリーメンバー2(SLITRK2)、SLITおよびNTRK様ファミリーメンバー3(SLITRK3)、SLITおよびNTRK様ファミリーメンバー4(SLITRK4)、SLITおよびNTRK様ファミリーメンバー5(SLITRK5)、SLITおよびNTRK様ファミリーメンバー6(SLITRK6)、プロスタグランジンE2(PGE2)、RANTES、ソマトスタチン-14、ソマトスタチン-28、幹細胞因子(SCF)、ストロマ細胞由来因子1(SDF-1)、サブスタンスP、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、トランスフォーミング成長因子アルファ(TGF-α)、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF-b)、腫瘍壊死因子 アルファ(TNF-α)、トロンビン、血管作動性腸管ペプチド(VIP)、Wntl、Wnt2、Wnt2b/13、Wnt3、Wnt3a、Wnt4、Wnt5a、Wnt5b、Wnt6、Wnt7a、Wnt7b、Wnt7c、Wnt8、Wnt8a、Wnt8b、Wnt8c、Wntl0a、Wntl0b、Wnt11、Wnt14、Wnt15、またはWnt16、ソニック・ヘッジホッグ、デザート・ヘッジホッグ、ならびにインディアン・ヘッジホッグの中から選択される、態様209~277のいずれかの方法。
279. コンジュゲートが、1巨大分子当たり1~1000または約1~1000のフタロシアニン色素分子を含む、態様209~278のいずれかの方法。
280. コンジュゲートが、1巨大分子当たり1~100、1~10または2~5のフタロシアニン色素分子を含む、態様209~279のいずれかの方法。
281. 巨大分子がナノ粒子であり、かつ、コンジュゲートが1巨大分子当たり100~1000のフタロシアニン色素分子を含む、態様209~279のいずれかの方法。
282. 腫瘍ががんである、態様209~281のいずれかの方法。
283. がんが、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置するがんである、態様209~282のいずれかの方法。
284. がんが血液のがんである、態様209~282のいずれかの方法。
285. 腫瘍が、600~850nmの波長で、少なくとも1J cm
-2の線量で照射される、態様209~284のいずれかの方法。
286. 腫瘍が、690nm±50nmの波長で照射される、態様209~285のいずれかの方法。
287. 腫瘍が、690±20nmまたは約690±20nmの波長で照射される、態様209~286のいずれかの方法。
288. 免疫調節剤である抗体または抗原結合断片に連結されたフタロシアニン色素を含む、コンジュゲート。
289. 免疫調節剤が免疫チェックポイント阻害剤である、態様288のコンジュゲート。
290. 免疫調節剤が、腫瘍、腫瘍細胞またはがん細胞の表面に結合する抗体または抗原結合断片である、態様288または態様289のコンジュゲート。
291. 免疫調節剤が、PD-L1に結合する抗体または抗体断片である、態様288~290のいずれかのコンジュゲート。
292. 免疫調節剤が、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280AおよびMSB0010718Cから選択される抗体、またはその抗原結合断片である、態様291のコンジュゲート。
293. 態様288~292のいずれかのコンジュゲートを含む、組成物。
294. 態様288~293のいずれかのコンジュゲートと薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
295. 免疫調節剤を含む第一の組成物であって、但し、免疫調節剤が5-アザ-2’-デオキシシチジンまたは抗CTLA4抗体ではないものとする、第一の組成物;および
腫瘍標的化巨大分子に連結されたフタロシアニン色素を含む、腫瘍に結合するコンジュゲートを含む第二の組成物
を含む、組み合わせ。
296. コンジュゲートが、腫瘍の細胞表面分子に結合する、態様295の組み合わせ。
297. コンジュゲートが、腫瘍細胞の細胞表面分子に結合する、態様295または態様296の組み合わせ。
298. 免疫調節剤が免疫チェックポイント阻害剤である、態様295~297のいずれかの組み合わせ。
299. 免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1、PD-L1、PD-L2、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAの中から選択される分子に特異的に結合する、態様298の組み合わせ。
300. 免疫調節剤が、低分子またはポリペプチドである、態様295~299のいずれかの組み合わせ。
301. 免疫調節剤が、抗体またはその抗原結合断片である、態様295~300のいずれかの組み合わせ。
302. 抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、またはその抗原結合断片である、態様296の組み合わせ。
303. フタロシアニン色素が、下記式を含む、態様288~292のいずれかのコンジュゲートまたは態様295~302のいずれかの組み合わせ:
式中、
Lは、リンカーであり;
Qは、標的化分子への色素の付着のための反応性基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22およびR
23は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択され;かつ
X
2およびX
3は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンである。
304. フタロシアニン色素が、下記式を含む、態様288~292または295~303のコンジュゲートまたは組み合わせ:
式中、
X
1およびX
4は、各々独立して、ヘテロ原子が介在していてもよい、C
1-C
10アルキレンであり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されてもよいアルキルおよび置換されてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルカノイル、置換されてもよいアルコキシカルボニル、置換されてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;かつ
R
16、R
17、R
18およびR
19は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルアミノおよび置換されてもよいアルコキシから選択される。
305. フタロシアニン色素が、IRDye 700DX(IR700)を含む、態様288~292または295~2304のいずれかのコンジュゲートまたは組み合わせ。
306. 態様288~305のいずれかのコンジュゲート、組成物または組み合わせと場合により使用説明書とを含む、キット。
307. 態様288~305のいずれかのコンジュゲート、組成物または組み合わせを含む、製造品。
308. 容器である、態様307の製造品。
309. 容器が、500~725もしくは約500~725、または650~725もしくは約650~725の波長を有する光の透過から保護する、態様308の製造品。
3010. 容器を通過する光の透過率が、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満または5%未満である、態様309の製造品。
311. 容器が、緑色、琥珀色、半透明、不透明であるか、または不透明な箔で被覆される、態様308~310のいずれかの製造品。
312. 対象における腫瘍を処置する方法であって、
a)対象に、態様288~292のいずれかのコンジュゲート、態様293または態様294の組成物または態様295~302のいずれかの組み合わせを投与する工程;および
c)コンジュゲートを細胞傷害性にする波長で腫瘍に照射し、それによって腫瘍を処置する工程
を含む、方法。
313. 腫瘍ががんである、態様312の方法。
314. がんが、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置するがんである、態様312または態様313の方法。
315. がんが血液のがんである、態様312~314のいずれかの方法。
316. 腫瘍が、600~850nmの波長で、少なくとも1J cm
-2の線量で照射される、態様312~315のいずれかの方法。
317. 腫瘍が、690nm±50nmの波長で照射される、態様312~316のいずれかの方法。
318. 腫瘍が、690±20nmまたは約690±20nmの波長で照射される、態様312~317のいずれかの方法。
【実施例0455】
VII. 実施例
以下の実施例は、単に例示を目的として含まれるものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0456】
実施例1:セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの生成
この実施例は、セツキシマブ-IRDye 700DX(セツキシマブ-IR700)を生産するためのセツキシマブに連結されたIRDye 700DX(IR700)を含有するコンジュゲートを調製するための方法を記載する。提供される方法は、例示的であり、同様の方法を採用して、別の標的化分子をIRDye 700Dxにコンジュゲートさせてよい。本方法は、色素が光感受性であるために、色素およびコンジュゲートの光への曝露を制限するように実施され、これには、製造施設における、425~575nmの波長および200ルクス未満の強度を有する低レベルの緑色光の使用を含めた。
【0457】
A. 緩衝液の調製
緩衝液を、高純度水(HPW)または注射用水(WFI)を使用して調製し、周囲温度で保存する前に0.22μmのフィルターに通して濾過した。表2~4は、調製した緩衝液:それぞれ、コンジュゲーション緩衝液(100mMリン酸ナトリウム、pH8.65)、クエンチング緩衝液(1.0Mグリシン、pH9)および最終リン酸緩衝生理食塩水(PBS)製剤緩衝液:(5.60mM Na2HPO4、1.058 KH2PO4、154mM NaCl、pH7.1)についての工程内管理および試験を示す。
【0458】
(表2)コンジュゲーション緩衝液(100mMリン酸ナトリウム、pH8.65)の調製
【0459】
(表3)クエンチング緩衝液(1.0Mグリシン、pH9)の調製
【0460】
【0461】
B. 色素およびセツキシマブの調製
1. セツキシマブ調製
コンジュゲーションの前に、セツキシマブバイアル(Myoderm USA, Norristown, PA)に滅菌イソプロピルアルコールを吹き付け、ラミナーフローフードに入れた。合計423個のバイアルを使用して原薬を調製した。電子デクリンパーを使用してバイアルを脱クリンプし、オートクレーブ済み鉗子で栓を取り除き、内容物を2Lの滅菌PETGボトルに注いだ。充填したらボトルに栓をした。次いで、セツキシマブを0.22μmのフィルターに通して濾過し、50LのHyQtainerに貯留した。貯留した濾過セツキシマブを2~8℃で保存した。
【0462】
次いで、濃縮および緩衝液交換工程を限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって実施した。使用前にUF/DFデバイスの洗浄を実施した。保存溶液を排水し、そして、膜を少なくとも20LのHPWで洗い流した。ユニットを0.1M NaOHで30~40分間洗い流し、次いで、HPWで洗い流した。すすぎ液のpHを確認した。この系を100mMリン酸ナトリウム(pH8.65)緩衝液で平衡化した。使用前に浸透液および保持液の流出物のpHおよび伝導度を確認した。エンドトキシン試験も実施した;この系をエンドトキシン試験の48時間以内に使用した。
【0463】
UF/DF操作の前に、インキュベーター内に25℃で120~150分間入れることによって、貯留した濾過セツキシマブを温めた。最初に、この材料を5mg/mLの目標まで濃縮し、次いで、100mMリン酸ナトリウム(pH8.65)緩衝液に透析濾過した。浸透液のpHおよび伝導度の目標が満たされるまで透析濾過を実施した。この系を緩衝液で洗い流し、そして、洗い流した液を透析濾過された保持液に加えた。UF/DFシステムの圧力をモニタリングし、表5に記載のとおり操作中に記録した。
【0464】
透析濾過されたセツキシマブ生成物の濃度を決定し、次いで、100mMリン酸ナトリウム(pH8.65)緩衝液を使用して2mg/mL(1.8~2.4mg/mL)の目標濃度に希釈した。生成物を0.22μmのフィルターに通して無菌的に濾過し、撹拌子を含む2つのオートクレーブ済み生成物専用の40Lのカーボイに分割し、コンジュゲーション操作へ向けてそのまま前処理した。各カーボイ内のセツキシマブの重量を決定した。
【0465】
(表5)セツキシマブ処理のための工程内管理および試験
【0466】
2. 色素調製
コンジュゲーションの前に、無水DMSO中に10mg/mLの濃度で溶解することによってIRDye 700DX NHSエステル(色素;カタログNo. 929-70011; Li-COR, Lincoln, NE)を調製した。その工程を緑色光(例えば、425~575nmの波長および200ルクス未満の強度)下で実施して、色素によって強く吸収される波長の光から色素を保護した。
【0467】
C. コンジュゲーション
コンジュゲーションおよびクエンチング工程を、透析濾過されたセツキシマブを含む2×40Lのカーボイ(光保護のためにアルミ箔で覆われている)内で実施した。その工程を室温で緑色光(例えば、425~575nmの波長および200ルクス未満の強度)下で実施して、コンジュゲートを光分解から保護した。
【0468】
コンジュゲーション反応のために、DMSO中のIRDye 700DX NHSエステルの適量を算出して(各カーボイ中のセツキシマブの重量に基づいて、典型的には80~120g)、最終モル比4:1(IRDye 700DX NHSエステル:セツキシマブ)を達成した。プロセス開発研究は、この比が、標的コンジュゲーションインキュベーション時間でのコンジュゲーションにおいて、セツキシマブ1分子当たり2~3個の色素残基を組み入れるはずであることを決定した。算出された量のIRDye 700DX NHSエステルを、セツキシマブを含むカーボイに加え、撹拌プレート上で10~15分間混合した。次いで、カーボイを25℃のインキュベーター内に入れることによって、コンジュゲーション反応を120分間進めた。
【0469】
1Mグリシンを終濃度4.2mMまで添加して、10~12分間混合することによって、コンジュゲーション反応をクエンチした。カーボイを、25℃のインキュベーター内で、追加で20~25分間インキュベートした。表6は、コンジュゲーションおよびクエンチング工程の工程内管理および試験を示す。
【0470】
(表6)コンジュゲーションおよびクエンチング工程の工程内管理および試験
【0471】
最終UF/DF工程を実施して、コンジュゲート生成物を最終PBS製剤緩衝液に交換した。使用の前にUF/DFシステムの洗浄を実施した。ユニットを洗浄し、そして、部品を1.0M NaOH中に浸漬し、次いでHPWですすいだ。浸透液が仕様の範囲内になるまで、この系をPBS(pH7.1)で平衡化した。浸透液および保持液をエンドトキシンについて試験した。
【0472】
生成物を最終製剤緩衝液に交換するために、クエンチしたコンジュゲートをUF/DFシステムに移し、まず8~10Lまで濃縮し、続いて、8~12透析容量のPBSで透析濾過した。pHおよび伝導度を確認した。この系を緩衝液で洗い流し、そして、洗い流した液を最終生成物に加えた。タンパク質濃度を決定し、必要であれば、PBSによるさらなる希釈を実施して、目標の最終生成物濃度2.0mg/mL(1.8~2.1mg/mL)に到達した。
【0473】
0.22μmのフィルターに通す最終濾過を実施し、そして、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートを、アルミ箔で被覆した50LのHyQtainer内、暗所にて2~8℃で保存し、内容物を光から保護した。この工程を緑色光下にて室温で実施して、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートを保護した。表7は、最終UF/DF、濾過、および保存の工程内管理および試験を示す。いくつかの場合では、希釈が必要であった。
【0474】
(表7)最終UF/DF、濾過、および保存の工程内管理および試験
【0475】
コンジュゲート材料を調製した後、試料をSEC-HPLCにかけて、濃度、抗体に対する色素の比(DAR)、同一性および純度を決定した。外観、pH、バイオバーデン、およびエンドトキシンレベルについての他の試験も実施した。表8は、原薬の一般的な受入基準に関する、例示的なバッチ生成物についてのこれらの試験結果を示す。
【0476】
【0477】
実施例2:セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの薬物動態および治療有効性
この実施例は、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの単回または複数回投与とそれに続く照射で処置して光免疫療法(PIT)を誘導する、頭頸部癌患者における安全性および有効性を評価する臨床研究(第1相および第2相)の中間結果を記載する。セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの単回用量投与後のヒト患者における薬物動態パラメーターおよび腫瘍応答を決定して、治療の安全性および有効性を評価した。
【0478】
1. 方法
頭頸部の扁平癌腫を有する9人の患者が用量漸増臨床試験に参加した。以下の表8Aに列挙されるとおり、患者を3つの用量コホートに分けた。各コホートに3人の患者を含めた。試験に登録された全ての患者は、商業的に利用可能な処置の複数のラウンドに失敗した再発性の進行癌を有しており、その幾人かは、抗体セツキシマブを用いた過去の処置に失敗していた。本研究は、HPV陽性および陰性の腫瘍を有する患者とP16陽性および陰性の腫瘍を有する患者の両方を含めた。
【0479】
実験治療法のヒト投与における最初のICH指針に基づいた安全な初期用量を確保するために、用量漸増研究において4.3mg/kg(160mg/m2)の開始用量を使用した。開始用量は、HNSTD(Highest Non-Severely Toxic Dose)の6倍未満の閾値未満であった。
【0480】
(表8A)セツキシマブ-IRDye 700DXの第I相臨床研究についての用量コホート
【0481】
コンジュゲートを含む静注(IV)バッグを、実施例1に記載されるとおり生産されたセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの2mg/mL溶液50mLを含むバイアルから作製した。実施例1に記載されるとおり、使用前に、バイアルを単一カートンに、次いで不透明なパウチにパッケージングした。セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの取り扱いおよび注入によるその投与を、暗い部屋にて400ルクス未満の蛍光灯で実施した。注入バッグの作製の間にタングステン照明を決して使用しなかった。セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートが太陽光に直接的にも間接的にも決して暴露されないように、部屋のあらゆる窓をシェードで覆った。
【0482】
コンジュゲートが200ルクス以下の強度の光(60ワットの電球または15ワットの蛍光室内灯に相当する)に曝露されるよう消灯されたバイオセーフティーキャビネットまたはフード中で、各バイアルを、不透明なパウチから、次いでカートンから取り出した。コンジュゲートを含む各バイアルのパッケージングを開けて、注入用の所望のコンジュゲート用量に達するまでそのバイアルの内容物を滅菌IVバッグに入れた。薬物製品の周囲室内灯への曝露を低減させるように、各バイアルを別々に開けて、IVバッグに入れた。このプロセスを15分未満で実施した。IVバッグを、常時、不透明なスリーブによって被覆して、コンジュゲートを光曝露から保護した。作製後、IVバッグを2~8℃で最大1時間保存した。
【0483】
コンジュゲート投与の前に、潜在的な注入反応を評価するためのスクリーニング工程として、対象を、30分間にわたりIV注入によって投与されたErbitux(登録商標)(コンジュゲートされていないセツキシマブ)100mgで事前処置した。注入の間、対象を、3等級以上のErbitux(登録商標)への潜在的な注入反応について評価し、これは、処置した患者のいずれにおいても生じなかった。Erbitux(登録商標)100mgの注入後であるがセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲート注入の直前に、対象を、IV投与によって抗ヒスタミン剤ベナドリル(ジフェンヒドラミン)50mgおよびステロイド剤デカドロン(デキサメタゾン)10mgで事前処置して、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲート注入への過感受性のリスクを制限した。
【0484】
患者に、上記表8Aに示される臨床用量で単回用量のセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートを静脈内投与した。コンジュゲートを、1日目に2時間かけてIV注入を介して投与した。投与の間、静脈内(IV)注入バッグを不透明なスリーブによって被覆して、コンジュゲートを光曝露から保護した。任意の光曝露を5分未満に制限した。注入の間のIV注入バッグからのセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの流出を5分超停止した場合、不透明なカバー、例えばアルミ箔を使用してチューブおよびフィルターを光曝露から保護した。
【0485】
光免疫療法(PIT)を誘導するために、コンジュゲート投与の24時間±3時間後に、690nmの波長を有する光の1回の光適用を実施した(2日目)。10mm未満の厚さであった腫瘍の表面照明用に400ミクロンガラス繊維マイクロレンズの前方発射ファイバを介して、または10mm超の厚さであった腫瘍用もしくは皮下腫瘍用に腫瘍内に置かれた円筒形ディフューザーファイバを介して、690nm光を腫瘍に投与した。光処置を、表層照明用に50J/cm2または介在層照明用に100J/ファイバ長cmの低フルエンス(表層照明用に150mW/cm2および介在層照明用に400mW/ファイバ長cmのフルエンス率)で固定した。
【0486】
マイクロレンズ表面光処置のために、腫瘍の辺縁の微細な浸潤性疾患に達する、腫瘍の外縁の周囲0.5~1.0cmに位置する正常組織も光処置野内に含めた。正常な皮膚組織において反射された690nm光がセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートを潜在的に活性化するのを防止するために、全ての他の正常組織を外科用タオル、湿った外科用スポンジまたはコットン(cottonoid)で覆って、正常組織の浮腫、潰瘍化または壊死のリスクを低減させた。口腔、咽頭および喉頭において、処置の目的ではない全ての組織を湿った外科用スポンジまたはコットンで覆って、反射された光が粘膜に存在し得るセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートを活性化するのを防止した。喉頭を処置した場合、湿った外科用スポンジを使用して喉頭気道全体を光曝露から保護した。マイクロレンズファイバを、製造業者の指示に従ってレーザーコンソールに接続した。処置室または手術室内での照明は、標準的な天井室内照明であり、室内では高強度の無影灯を付けなかった。常時、Class IV Medical Laser対策が順守された。
【0487】
腫瘍への直接的な円筒形ディフューザーインプランテーションのために、最も透明な17 Fr小線源治療カテーテルを腫瘍内に1.8+/-0.2cm離れて置いて、腫瘍体積全体+腫瘍周辺の正常組織の少なくとも0.5cm辺縁を均一に照明した。インターベンショナル放射線法に基づいた超音波(US)またはコンピュータ断層撮影(CT)指針を含む標準技術を使用して小線源治療カテーテルを留置した。ある場合に、小線源治療グリッドを採用して、処置野においてファイバを1.8cm離れてかつ互いに平行に設置した。カテーテルのポジショニングを側面X線、USまたはCTによって確認した。次いで、円筒形ディフューザーファイバを、製造業者の指示に従って690nmレーザーコンソールに接続した。各円筒形ディフューザーの適切な光出力を確保した後、腫瘍直径に応じて先に決定された長さ(1.0、2.0、3.0または4.0cm長)の円筒形ディフューザーファイバを、カテーテルに沿ってその先端まで設置し、外科用テープを用いて外部から所定の位置でカテーテルに固定した。処置室または手術室内での照明は、標準的な天井室内照明であり、室内では高強度の無影灯を付けなかった。常時、Class IV Medical Laser対策が順守された。
【0488】
いずれの患者も注入に対して有害効果を示さず、かつ、いかなる疼痛も報告しなかった。周囲光に対する皮膚の光感受性は、検出されなかった。
【0489】
2. 応答および薬物動態
セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの単回投与とそれに続く照射で処置して光免疫療法(PIT)を誘導した頭頸部癌患者の患者を腫瘍応答について評価した。腫瘍応答を、改訂版1.1ガイドラインに概説されるとおりRECIST(固形癌効果判定基準: Response Evaluation Criteria In Solid Tumors)基準に従って評価した(RECIST 1.1、Eisenhauer et al. (2009) European Journal of Cancer, 45:228-247を参照のこと)。全ての標的病変の消失があり、かつ任意の病的リンパ節(標的か非標的かにかかわらず)が短軸で<10mmまで低下した場合に、応答を「完全奏効」(CR)と判定した。処置の前の標的病変のベースライン合計直径を基準として考慮して、標的病変の直径の合計が少なくとも30%減少した(例えば、腫瘍成長の少なくとも30%の低下)場合に、応答を「部分奏効」(PR)と判定した。「奏効率」(ORR)は、CRまたはPR応答が観察された対象の割合である。
【0490】
腫瘍応答は、腫瘍壊死の証拠を伴って早くも4日目に観察された。全ての3つのコホートにおける全ての患者は、PIT処置に対して部分奏効または完全奏効を示した。
【0491】
投与されたより低い単回用量のセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲート由来の血液中のセツキシマブの曝露を調べるために、各患者由来の血液試料を収集し、薬物動態分析に供した。ヒト対象におけるセツキシマブ-IRDye 700DXの曝露を、ヒト血清中のセツキシマブ-IRDye 700DXを特異的に検出する優良試験所規範(Good Laboratory Practice)検証法を使用して生物分析研究によって決定した。血清濃度対時間を、線形消失を伴う非コンパートメントモデルによって分析した。24時間での曲線下面積(AUC)(AUC0-24)は、注入から薬物注入の24時間後の薬理活性の時間(薬物が腫瘍において活性化されて局所的に癌殺傷を誘導するとき)までの、ヒト血液中の薬物曝露の総量を記載した。
【0492】
コホート1(4mg/kg;160mg/m2用量)、コホート2(8mg/kg;320mg/m2用量)およびコホート3(16mg/kg;640mg/m2用量)におけるセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートについての薬物動態変数の要約が表9に提示される。薬理活性が光照射を通してだけ活性化され、これがセツキシマブ-IR700投薬の24時間後に生じるので、平均AUC0-24は、セツキシマブ-IR700についての関連性のある曝露である。
【0493】
(表9)セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの用量漸増についての薬物動態データ
【0494】
表9Aは、Fracasso et al. (2007) Clin Cancer Res, 13(3), 986-993に報告されているとおりの単回用量に基づいたErbitux(登録商標)の曝露をまとめる(その中の表3を参照のこと)。頭頸部癌の処置におけるFDAによって承認されているErbitux(登録商標)の投薬レジメンは、400mg/m2の初期注入とそれに続く週1回の250mg/m2の注入である。Fracassoらに報告された曝露に基づいて、頭頸部癌についてFDAによって承認されている投薬レジメンに基づいた1か月処置の曝露が外挿され、これも表9Aに列挙される。
【0495】
(表9A)単回用量およびFDAによって承認されている投薬レジメンに基づいたErbitux(登録商標)の曝露(Fracasso et al. (2007) Clin Cancer Res, 13(3), 986-993, 表3を参照のこと)
【0496】
表9Aに示されるとおり、400mg/m2および250mg/m2用量でのErbitux(登録商標)のAUC0-∞値は、それぞれ、およそ24,620μg/mL*hおよび11,812μg/mL*hであると報告され、かつ、FDAによって承認されている投与量レジメンに従って注入した後およそ60,056μg/mL*hであると予測される。対照的に、この実施例に記載される上記投与量レジメンに従う投与後のセツキシマブ-IRDye 700DXの曝露は、非常により低い。その結果は、平均AUC0-24は、現研究で使用された最高用量(640mg/m2)であったとしても、400mg/m2のErbitux(登録商標)のAUCのおよそ15%であったことを示す(それぞれ、3,690対24,740μg/mL*h)。したがって、これらの結果は、単回用量のセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートが、治療的により高い用量のErbitux(登録商標)での単回用量に対して観察された報告された曝露よりもはるかに低いセツキシマブの曝露をもたらしたことを実証している。
【0497】
さらに、この研究で投与された単回用量のセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートは、頭頸部癌の処置のためのFDAによって承認されているセツキシマブの用量よりもはるかに低かった。例えば、頭頸部癌を処置するための承認されているErbitux(登録商標)の用量は、400mg/m2の初期用量とそれに続く週1回の投与の250mg/m2であり、かつ、平均AUC0-24は、現研究で使用された最高用量(640mg/m2)であったとしても、FDAによって承認されている投与量レジメンに従うErbitux(登録商標)での1か月処置が外挿されたAUCのおよそ6%であった(それぞれ、3,690対60,056μg/mL*h)。
【0498】
その結果は、この低下された曝露であっても、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートは、研究の全ての患者において注入の24時間後の光活性化によって急速かつ有効な腫瘍応答を誘発したことを示した。したがって、より低い曝露にもかかわらず、その結果は、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートでの単回用量処置とそれに続く照射が急速かつロバストな腫瘍応答をもたらしたことを実証した。
【0499】
3. 繰り返しのセツキシマブ-IRDye 700DX投与を用いた光免疫療法(PIT)のトライアル
処置レジメンを、繰り返しのセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲート投与での処置とそれに続く光免疫療法(PIT)の安全性および有効性を決定するために試験する。外科手術、放射線または白金化学療法で十分に処置できない頭頸部の再発性の扁平癌腫が確認された最大20人の成人の男性および女性患者を研究に含める。含まれる患者は、事前の全身白金系化学療法を禁忌まで受けており、6か月超の平均余命を有し、かつ、0~2の米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)パフォーマンススコアを有する。
【0500】
選択された患者に、単回用量の640mg/m2のセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートが、IV注入を介して、処置開始1日目に2時間かけて投与される。光免疫療法(PIT)を誘導するために、コンジュゲート投与の24時間±3時間後に、690nmの波長を有する光の1回の光適用を表層照明用に50J/cm2または介在層照明用に100J/ファイバ長cmのフルエンスで実施した(2日目)。初期処置の1週間、2週間、および1か月後に経過観察を行う(処置1)。長期追跡について、処置1後2年間3か月毎に観察がなされる。処置1の4週間後に残留腫瘍が残っている患者は、同じ用量およびPITのレジメンで処置2を受ける。処置2の4週間後に残留腫瘍が残っている患者は、同じ用量およびPITのレジメンを維持するさらなる処置3を受ける。処置3の4週間後に残留腫瘍が残っている患者は、同じ用量およびPITのレジメンを維持する合計で最大4回の処置のさらなる処置4を受ける。
【0501】
研究の主要エンドポイントは、最大4回の繰り返し処置と関連する安全性である。二次エンドポイントは、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの薬物動態パラメーターの評価、コンピュータ断層撮影(CT)および/またはポジトロン断層法(PET)スキャンを介した最後の処置の1か月後のRECIST 1.1基準を使用する腫瘍応答評価、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)についての長期転帰の評価、ならびに抗薬物抗体および中和抗体の開発の評価を含む。
【0502】
実施例3:インビトロアッセイにおける細胞表面タンパク質の活性を変更するためのコンジュゲート濃度と光免疫療法によって細胞殺傷を媒介するためのコンジュゲート濃度との比較
インビトロアッセイを採用して、タンパク質活性の機能性アッセイおよび光免疫療法(PIT)アッセイにおける、細胞表面タンパク質抗原への結合によるIRDye 700DX-抗体コンジュゲートの効果を比較した。上皮細胞成長因子受容体(EGFR)の細胞表面タンパク質に抗EGFR抗体セツキシマブを介して特異的に結合する例示的なセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートを使用してアッセイを実施した。標的化分子(例えば、抗体)が結合するタンパク質を発現する細胞株および/またはこのような結合によって誘導される機能的活性を評価するアッセイを使用して、他のIRDye 700DX-標的化分子コンジュゲート、例えばIRDye 700DX-抗体コンジュゲートを評価するために実施する、同様のインビトロアッセイは、当業者が備えている技能の範囲内である。
【0503】
A. EGFRの結合による機能的活性を評価するインビトロリン酸化アッセイ
EGFRの機能的活性の制御に対するセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの効果を評価するために、リン酸化アッセイを実施した。EGFは、結合によってEGFRのリン酸化を誘導するEGFRの天然リガンドである。A431細胞(ATCC CRL 1555)を、96ウェルプレートのウェルにプレーティングし、次いで、増加量のセツキシマブまたはセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートと5分間プレインキュベートした。次いで、細胞を100ng/mLのEGFリガンドで10分間刺激して、EGFRのリン酸化を誘導した。アッセイプレート中、細胞をホルムアルデヒドで固定し、抗ホスホEGFR特異的抗体とインキュベートした。洗浄後、ELISAアッセイにおいてHRPにコンジュゲートされた抗ホスホEFGR抗体を添加した後に比色定量法によって、EGFRのリン酸化を測定した。停止溶液を加え、ウェルの光学濃度(OD)を450nmに設定されたマイクロプレートリーダー内で測定した。陽性対照として、セツキシマブまたはセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートを加えずに細胞をEGFで刺激し(「NT」と称される)、陽性対照において誘導されたリン酸化(ODによって示されるとおり)を100%と設定した。EGFRのリン酸化の相対パーセント(%)を陽性対照のリン酸化のパーセントとして決定した。
【0504】
図1に示されるとおり、セツキシマブおよびセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートは共に、EGF誘導性リン酸化を等しい効力で防止した。セツキシマブおよびセツキシマブ-IRDye 700DXの阻害効果は、それぞれ694ng/mLおよび570ng/mLのIC
50で用量依存的であった。したがって、In-Cell ELISAアッセイの結果は、セツキシマブと同様に、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートもまた、EGF結合部位でまたはその近傍でEGFRに結合して、EGFによる刺激およびEGFRのリン酸化を防止できることを示した。抗体結合が急速でほとんど不可逆的であるので、リン酸化の防止の効力曲線が抗体による受容体占有を厳密に反映する可能性が高い。
【0505】
B. インビトロ光免疫療法(PIT)アッセイ
EGFR誘導性リン酸化との比較として、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートについてインビトロPIT実験を実施した。A431細胞を、増加濃度のセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートと37℃で2時間インキュベートした。次いで、8J/cm2の690nm光を適用してPITを誘導した。光処置後の細胞死の進行をモニタリングするために、コンジュゲート含有培地をCellTox Green(Promega)(損なわれた細胞膜完全性に基づいて細胞死をレポートする色素)を含有する新鮮培地に置き換えた。細胞死の時間依存的増加が24時間にわたり観察された。対照として、細胞死はまた、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートを加えなかった細胞においても評価した(「NT」と称される)。
【0506】
図2に示されるとおり、細胞死の程度は、用量依存的であった。セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートを用いたPITから生じる半最大細胞死(EC
50)は、37.6ng/mLであった。したがって、この結果は、PITによって半最大細胞死を誘導するのに必要なセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの濃度が、上記のELISA実験におけるリン酸化の半分を遮断するのに必要な濃度より15倍超低かったことを示した(570ng/mL)。追加的に、90%の細胞死を導いたセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲート濃度(257ng/mL)は、約25%のリン酸化の低下をもたらしたにすぎなかった。
【0507】
BxPC3細胞を用いて同様の実験を実施し、その際、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの力価測定用量を増加させることによって誘導されるPITを2つのより高い光線量(16J/cm
2および32J/cm
2)で比較した。
図3に示されるとおり、その結果はまた、非常に低い濃度でさえもPITを誘導するセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの効力を示した。特に、その結果は、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートを用いたPITから生じるEC
50がさらにより低く、これが適用されたより高い光線量に起因する可能性が高いことを示した。例えば、光線量を16J/cm
2から32J/cm
2へ増加させると、半最大細胞死(EC
50)の22.6ng/mLから13.7ng/mLへの減少をもたらした。したがって、その結果は、より高い光線量が、同程度の細胞殺傷のために、さらにより低い濃度のセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲート(より低い受容体占有を意味する)を必要とし得ることを示した。
【0508】
実施例4:パニツムマブ-IRDye 700DX-Alexa-488二重標識コンジュゲートの合成および評価
例示的な抗体パニツムマブがIRDye 700DXおよびAlexa Fluor 488の両方にコンジュゲートされた二重標識コンジュゲートを調製した。
【0509】
A. 材料
水溶性のケイ素-フタロシアニン誘導体IRDye 700DX NHSエステル(IR-700; C74H96N12Na4O27S6Si3、分子量1954.22)をLI-COR Bioscience(Lincoln, NE)から得た。Alexa Fluor 488カルボン酸スクシンイミジルエステルAlexa Fluor 488-NHSをLife Technologies(Carlsbad, CA)から得た。パニツムマブ(ヒト上皮細胞成長因子受容体1(HER1)に対して指向される完全ヒト化IgG2 mAb)を、Amgen(Thousand Oaks, CA)から購入した。使用する全ての他の化学製品は、試薬等級のものであった。
【0510】
B. パニツムマブ-IRDye 700DX-Alexa-488(Pan-IRDye 700DX-Alexa-488)の合成
0.1mol/L Na2HPO4(pH8.5)中のパニツムマブ(2mg、13.6nmol)をAlexa Fluor 488-NHS(35nmol)の5mM DMSO溶液7μLと暗所にて室温で45分間インキュベートし、その後IR-700DX(66.8μg、35.0nmol、DMSO中5mmol/L)を加えた。室温で45分間の追加のインキュベーション時間後、100mMトリス塩15μLを加えてコンジュゲーション反応を停止した。無関係な色素および他の低分子不純物を、濾過および過剰な緩衝液の交換(Amicon(登録商標)Ultra 15 Centrifugal Filter Units(Merck Millipore Ltd, Billerica, MA)を使用してHyCLone PBS(pH=7.1)30反応容量)によって除去した。
【0511】
C. コンジュゲートの特性決定
コンジュゲートを、280、488および690nmの波長をモニタリングするAgilent G1315Aダイオードアレイ検出器(DAD)を備えたAgilent 1100 HPLCシステムを、488nmでの励起波長および505nmでの放射波長でモニタリングするAgilent G1321A 蛍光(FLS)検出器と合わせて使用する、TSKgel G2000 SWxl, 7.6×300mm SECカラム(TOSOH Biosciences, King of Prussia, PA)でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって評価した。
【0512】
抗体濃度および両方の色素についての平均の抗体に対する色素の比(DAR)を、それぞれの色素毎に必要に応じて適切な吸光係数値補正係数を適用した後に抗体単量体ピークについての280、488および690nmの吸光度単位積分面積を使用して決定した。Alexa-488色素およびIRDye 700DX色素についてのDARは、それぞれ1.0および2.1であると算出された。パニツムマブ-IRDye 700DXDX-Alexa-488コンジュゲートの概略構造図が
図4に示される。
【0513】
蛍光結果は、強いAgilent HPLCシグナルを示し、これは、Alexa Flour-488がコンジュゲートされた抗体について488nmの励起波長を使用して505nmで、150,000ダルトンのIgG1タンパク質に対して適切な保持時間で観察された。加えて、周囲光および365nmの励起光(ハンドヘルドランプ)の両方を使用して、Pan-IRDye 700DX-Alexa-488標識コンジュゲートからの特徴的な視認可能な緑色蛍光が目視で観察された。
【0514】
D. IRDye 700DXがコンジュゲートされた抗体を使用する光免疫療法(PIT)
IRDye 700DXがコンジュゲートされた抗体を用いた光免疫療法が同じ抗体にコンジュゲートされた追加の色素の存在に影響されるかどうかを評価するために、パニツムマブ-IRDye 700DX-Alexa-488二重標識コンジュゲート(Pan-IRDye 700DX-Alexa-488)のPIT活性を、IRDye 700DXとのみコンジュゲートされた抗ヒトEGFR抗体薬パニツムマブ(Pan-IRDye 700DX)と比較した。
【0515】
膵臓癌株BxPC3を使用するインビトロPITアッセイで、細胞殺傷の有効性について2つのコンジュゲートを試験した。実験の前日に、BxPC3を96ウェル白色壁プレートに播種した(4,000個の細胞/ウェル)。抗体コンジュゲートを10μg/mLの濃度で細胞に加え、37℃で2時間インキュベートした。ダイオードによって50mW/cm2の一定出力で690nmの光を適用した。照明時間は、4J/cm2、8J/cm2または16J/cm2のフルエンスを達成するために調整された。対照として、ある細胞群には、光照射しなかった(0J/cm2)。光処置後の細胞死の進行をモニタリングするために、コンジュゲート含有培地をCellTox Green(Promega)(損なわれた細胞膜完全性に基づいて細胞死をレポートする色素)を含有する新鮮培地に置き換えた。細胞死の時間依存的増加が24時間にわたり観察された。
【0516】
図5A(Pan-IRDye 700DX)または
図5B(Pan-IRDye 700DX-Alexa-488)に示されるとおり、両方のコンジュゲートは、690nmで16J/cm
2の光を用いて完全に近い細胞殺傷を導いた。さらに、殺傷を誘導する2つのコンジュゲートの光への感受性は、ほとんど同一であった。690nmでの8J/cm
2の光線量は、単一(Pan-IRDye 700DX)および二重標識(Pan-IRDye 700DX-Alexa-488)パニツムマブによるそれぞれ74%および73%の殺傷をもたらし、690nmでの4J/cm
2の光線量は、両方のコンジュゲートでごくわずかに効果的であった。したがって、その結果は、色素Alexa488の存在が、690nmの光依存性細胞殺傷を誘導するパニツムマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの能力を妨害しないことを示した。
【0517】
実施例5:細胞殺傷活性の評価および種々の抗体の組成物:IR700DXコンジュゲート
異なる波長の光に事前曝露された抗体-IRDye 700DXコンジュゲートが可溶性凝集体形成に別個に影響を及ぼすかどうかを評価するための研究を実施した。2つの異なる抗体-マウス抗-ヒト抗PD-L1(カタログNo: 329728, Biolegend, San Diego, CA)および抗EGFR(セツキシマブ; Myoderm USA, Norristown, PA)をIRDye 700DXで標識し、これを評価して異なる波長の光への事前曝露が可溶性凝集体形成に影響を及ぼすかを評価した。
【0518】
A. 抗体コンジュゲーション
両方の抗体を、同じアプローチを使用してIRDye 700DXとコンジュゲートした。下記の全てのコンジュゲートについて、抗体をコンジュゲートするために使用された一般プロトコルは、実施例1に記載されるセツキシマブ-IRDye 700DXを用いたより大スケールのコンジュゲーションのプロトコルと同様であった。3mg以下のタンパク質を使用したより小スケールの反応容量のためにそのプロトコルへの改変を行った。
【0519】
最初に、30,000ダルトン分子量カットオフ遠心分離フィルターを使用して、抗体溶液(抗PD-L1抗体または抗EGFR抗体のいずれか)をリン酸緩衝食塩水(pH7)で交換し、次いで、リン酸緩衝液(pH=9)の添加によって抗体溶液のpHをpH8.5に調整した。IRDye 700DX NHSエステル(カタログNo. 929-70011; Li-COR, Lincoln, NE)の凍結固体アリコートを室温で解凍し、次いで、DMSOで溶解して濃度10mg/mLを達成した。暗環境下、次いで、可溶化したIR700 NHSエステルを、抗体溶液に4(IR700 NHSエステル):1(抗体)のモル比で加えた。コンジュゲーション反応を光から保護して25℃で2時間進行させた。グリシン(pH8.2)を15分間終濃度10mMまで加え、反応をクエンチした。次いで、抗体コンジュゲート溶液を、30,000ダルトン分子量カットオフ遠心分離フィルターを用いてPBS(pH7)24mLで交換して、遊離色素、グリシン、およびグリシン-IR700を除去し、溶液のpHを調整してpH7に戻した。抗体コンジュゲートをサイズ排除クロマトグラフィーで分析して、抗体-IR700濃度、単量体純度、可溶性凝集体%、および抗体に対する色素の比(DAR)を評価した。
【0520】
B. IRDye 700DXコンジュゲートの組成物に対する光事前曝露の効果
抗体-IRDye 700DXコンジュゲートを、抗体コンジュゲート濃度850μg/mLのコンジュゲートの少なくとも30μLを用いた4つの異なる条件下での可溶性凝集体の形成について試験した。4つの処置条件は、以下のとおりであった:(1)光から保護して4℃で保存した抗体-IRDye 700DXコンジュゲート(「4℃」対照);(2)ハロゲンランプ(カタログNo: PL-800, Dolan-Jenner, Boxborough, MA)下にて2500ルクスで24時間、透明ガラスHPLCチューブに入れた抗体-IRDye 700DXコンジュゲート(「白色光」);(3)ハロゲンランプ下にて2500ルクスで24時間、光曝露から保護するアルミ箔で覆われた透明ガラスHPLCチューブに入れた抗体-IRDye 700DXコンジュゲート(「光なし」、凝集体の形成に対する加熱効果の対照のために使用);および(4)透明ガラスHPLCチューブに入れて緑色LEDランプ(カタログNo: Green-ECS GP19 EcoSmart)に2500ルクスで24時間曝露された抗体-IRDye 700DXコンジュゲート(「緑色光」)。各処置条件下で24時間後、単量体純度および可溶性凝集体形成をサイズ排除クロマトグラフィーによって評価した。
【0521】
抗PD-L1-IRDye 700DXコンジュゲートの結果を表10に示す。示されるとおり、4℃で保存した抗PD-L1-IRDye 700DXコンジュゲート(DAR約3)は、280nmの吸光度および690nmの吸光度によって測定したところ低い可溶性凝集体形成(<1.5%)および高い単量体純度(>96%)を示した。抗PD-L1-IRDye 700DXコンジュゲートのハロゲンランプからの2500ルクスの白色光への曝露は、280nmの吸光度および690nmの吸光度によって測定したところ可溶性凝集体形成の顕著な増加(約30%)および単量体純度の同時減少(約65%)をもたらした。ハロゲンランプからの2500ルクスの白色光の加熱効果に曝露されたがアルミ箔を使用して光照明から保護された抗PD-L1 IRDye 700DXは、4℃の対照試料の場合と比較したとき、いかなる可溶性凝集体形成の増加も誘導しなかった。緑色LEDランプからの光に曝露された抗PD-L1 IRDye 700DXコンジュゲートは、非常に小さな可溶性凝集体形成の増加(約5%)をもたらし、これは、白色光に曝露された抗PD-L1 IRDye 700DXの場合よりも顕著に低い量の可溶性凝集体形成であった。
【0522】
(表10)異なるタイプの光曝露を用いた抗PD-L1 IRDye 700DX凝集体形成
【0523】
セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの結果を表11に示す。4℃で保存したセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲート(DAR約3)は、280nmの吸光度および690nmの吸光度で測定したところいかなる検出可能な可溶性凝集体形成も示さず(約0%)、単量体純度が高かった(約100%)。セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートのハロゲンランプからの2500ルクスの白色光への曝露は、280nmの吸光度および690nmの吸光度によって測定したところ可溶性凝集体形成の顕著な増加(約40%)および単量体純度の同時減少(約55%)をもたらした。ハロゲンランプからの2500ルクスの白色光の加熱効果に曝露されたがアルミ箔を使用して光照明から保護されたセツキシマブ-IRDye 700DXは、4℃の対照試料の場合と比較して、いかなる可溶性凝集体形成の増加も誘導しなかった。緑色LEDランプからの光へのセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲート曝露は、可溶性凝集体形成の小さい増加(約4%)をもたらし、これは、白色光に曝露されたセツキシマブ-IRDye 700DXの場合よりも顕著に低い量の可溶性凝集体形成であった。
【0524】
(表11)異なるタイプの光曝露を用いたセツキシマブ-IRDye 700DX凝集体形成
【0525】
実施例6:白色蛍光対緑色LED照明の事前曝露の期間ならびにセツキシマブ-IRDye 700DX可溶性凝集体形成およびPIT効力に対するその効果
異なる波長の光に異なる曝露時間で事前曝露されたセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートが可溶性凝集体形成および薬理学的活性に別個に影響を及ぼすかどうかを評価するために以下の研究を実施した。
【0526】
セツキシマブ-IRDye 700DXを実施例1に記載のとおりコンジュゲートした。以下の14種類の異なる条件を評価した:試料を500ルクスの白色蛍光照明に25℃で24時間、12時間、6時間、3時間、1.5時間、および45分間の異なる光曝露期間曝露した;試料を500ルクスの緑色LED照明(カタログNo: Green-ECS GP19 EcoSmart)に25℃で24時間、12時間、6時間、3時間、1.5時間、および45分間の異なる光曝露期間曝露した;試料を25℃で光曝露なし;ならびに、試料を4℃で光曝露なし。24時間、12時間、6時間、3時間、1.5時間、45分間の光曝露の期間は、それぞれ、12,000ルクス時間、6,000ルクス時間、3,000ルクス時間、1,500ルクス時間、750ルクス時間、または375ルクス時間に相当する。条件毎に、1試料当たりコンジュゲート30μLを抗体コンジュゲート濃度2mg/mLで透明HPLCバイアルに入れ、試料を各光条件に曝露した。
【0527】
異なる期間の白色光または緑色光曝露後のセツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの組成物を、可溶性凝集体の形成およびPIT殺傷活性をモニタリングすることによって評価した。
【0528】
1. 凝集体形成
セツキシマブ-IRDye 700DXをHPLCサイズ排除クロマトグラフィーで分析して、単量体純度および可溶性凝集体形成を評価した。可溶性凝集体形成のパーセントを、白色光、緑色光、または光なしへのセツキシマブ-IRDye 700DXのルクス時間曝露の関数として測定した。
【0529】
図6Aに示されるとおり、セツキシマブ-IRDye 700DXの500ルクスの白色蛍光への曝露の期間は、可溶性凝集体の形成に対して直接的効果を有していた。白色蛍光へのセツキシマブ-IRDye 700DX曝露は、可溶性凝集体形成の急速な増加をもたらし、わずか375ルクス時間(500ルクスで45分間)の白色光への曝露後であっても5.0%超の可溶性凝集体形成の存在が観察され、これは、白色蛍光照明への曝露の期間の増加と共にさらに増加した。セツキシマブ-IRDye 700DXの緑色光曝露もまた、白色光の場合よりも非常に遅い速度ではあるが可溶性凝集体形成をわずかに増加させた;12,000ルクス時間(500ルクスで24時間)の緑色光への曝露後であっても形成された凝集体のパーセンテージは、5.0%以下であった。この結果は、緑色光の場合よりも白色光への曝露時間の増加に伴ってより大きなセツキシマブ-IRDye 700DX可溶性凝集体形成があったことを示した。あらゆる光曝露から保護されたときの4℃または25℃のいずれかでインキュベートした試料では1%未満の可溶性凝集体形成が観察された。
【0530】
2. PIT殺傷
種々の光条件に事前曝露されたセツキシマブ-IRDye 700DXによるPIT殺傷活性を評価するために、BxPC3細胞(#CRL-1687, ATCC, Manassas VA)を、1μg/mLのセツキシマブ-IRDye 700DXありまたはなしで、10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI-1640培地(完全培養培地)中4℃で1時間インキュベートし、次いで、完全培養培地で1回洗浄して、未結合のセツキシマブ-IRDye 700DXを除去した。次いで、細胞に690nmのレーザーを32J/cm2の光線量で照射するかまたは光から保護した(0J/cm2)。
【0531】
細胞死に対する異なる処置計画の効果を、蛍光染色CellTox Green(カタログNo: G8731, Promega, Madison, WI)を使用して測定した。CellTox Greenは、DNAに結合すると蛍光が増加する非浸透性の蛍光色素である。それゆえ、形質膜に障害のあった細胞だけが、強いCellTox Green染色を示す。光処置後、全ての細胞を、10%ウシ胎仔血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI-1640(完全培養培地)中で希釈した1×CellTox Green試薬とインキュベートした。いかなる細胞も含まないウェルもまた、完全培養培地中で希釈した1×CellTox Green試薬とインキュベートし、蛍光シグナル検出の間のバックグラウンド減算ウェルとした。光処置24時間後に蛍光プレートリーダーを使用して、CellTox Green蛍光シグナルを測定した。次いで、細胞を洗剤で溶解し、37℃で30分間インキュベートし、溶解後にCellTox Green蛍光シグナルを再度測定した。バックグラウンド(細胞なしの完全培養培地中の1×CellTox Green)が減算された溶解の前後の1ウェル当たりのCellTox Greenシグナルの比を取得し、その比に100を掛けることによって、死細胞のパーセントを算出した。
【0532】
図6Bに示されるとおり、PIT処置の間0J/cm
2に曝露された全ての試料について細胞死に対する効果は観察されることなく、このことは、白色光に事前曝露された後の可溶性凝集体の増加にもかかわらず、可溶性凝集体は光照射の非存在下では細胞傷害性ではなかったことを示している。対照的に、その後光線量32J/cm
2の690nmのレーザーで照射された試料では細胞殺傷が観察されたが、白色光へ増加した期間曝露されたセツキシマブ-IRDye 700DXによって細胞殺傷の程度は実質的に低減された。示されるとおり、3,000ルクス時間(500ルクスで6時間)以上の白色蛍光に事前曝露されたセツキシマブ-IRDye 700DXは、PIT活性に対して90%未満またはそれより少ない効果を示した。しかしながら、評価された全てのルクス時間線量の緑色光に曝露されたセツキシマブ-IRDye 700DXは、PIT効力において効果をもたらすことはなく、このことは、緑色光への事前曝露が光活性化殺傷活性に実質的に影響を与えなかったことを示している。
【0533】
PIT活性に対する凝集体形成の効果を
図6Cに示す。示されるとおり、白色光および緑色光曝露を評価するための全てのセツキシマブ-IR700処置計画についてのPIT効力(死細胞のパーセント)を、 それぞれの試料毎の測定された可溶性凝集体のパーセントの関数としてプロットした。その結果は、15%を超えるセツキシマブ-IRDye 700DXの可溶性凝集体形成がPIT効力の顕著な減少をもたらすことを示した。
【0534】
実施例7:PIT殺傷およびPITの特異性に対するフタロシアニン色素との直接コンジュゲーションの効果
細胞表面分子に直接結合する抗体が、PIT殺傷活性を媒介するのにIRDye 700DXのようなフタロシアニン光増感剤との直接コンジュゲーションを必要とするかどうかを評価するために、以下の研究を実施した。
【0535】
A. 細胞標的化抗体に対する二次抗体のIR700コンジュゲーション
細胞表面分子(例えば、がん細胞上の)を標的とする標的化抗体をIR700と直接コンジュゲートする代わりに、標的化抗体に結合した二次抗ヒトIgG抗体をIR700とコンジュゲートさせた。具体的には、AffiniPureロバ抗ヒトIgG, Fcγ断片特異的(DxHu)抗体(カタログ番号: 709-005-098, Jackson ImmunoResearch Laboratories, West Grove, PA)をIRDye 700DXで標識して、二次抗体-IRDye 700DXでの一次抗体の非共有標識をPIT媒介殺傷においても使用できるかを評価した。DxHu抗体をIRDye 700DXとコンジュゲートするのに使用したプロトコルは、実施例5で使用した抗体コンジュゲーションのプロトコルと実質的に同じであった。
【0536】
BxPC3細胞のPIT殺傷を、最初に細胞を10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI-1640培地(完全培養培地)中で抗EGFR抗体セツキシマブ(Myoderm USA, Norristown, PA)ありまたはなしにて4℃で1時間インキュベートした以外は、実施例6に記載される方法と同様に評価した。次いで、細胞を完全培養培地で1回洗浄し、完全培養培地で希釈したIRDye 700DXコンジュゲート(DxHu IRDye 700DX)二次抗体ありまたはなしにて4℃で30分間インキュベートし、次いで、完全培養培地で1回洗浄した。対照として、BxPC3細胞を、セツキシマブ-IRDye 700DX(セツキシマブは、IRDye 700DXに直接コンジュゲートされている)とインキュベートした。細胞殺傷を誘導するために、次いで、細胞に690nmのレーザーを16J/cm2の光線量で照射するかまたは光から保護した(「光なし」)。細胞死を実施例6に記載のとおりCellTox Greenを使用して評価した。
【0537】
図7に示されるとおり、セツキシマブおよびロバ抗ヒトIRDye 700DX二次抗体で連続的に標識して光で処置したBxPC3細胞は、約90%の細胞死を示した。細胞を690nmの光処置に曝露しなかったとき、一次抗体および二次抗体を用いた同じ処置は細胞死をもたらさなかった。細胞表面抗原を標的とするヒト由来一次抗体とのプレインキュベーションの非存在下ではDxHu IRDye 700DX二次抗体は細胞に直接結合しないので、二次抗体でのみ処置した細胞の光照明は細胞死を導かなかった。抗体への連続曝露によって誘導される細胞殺傷の程度は、IRDye 700DXで直接標識されたセツキシマブとインキュベートしたBxPC3細胞よりもなおわずかに大きかった。セツキシマブまたはDxHu IRDye 700DXのいずれともインキュベーションしない培地単独でのみ処置されたBxPC3細胞の光処置は、約10%の基礎細胞死レベルをもたらし、これは、光を照射しなかった(光処置なし)細胞におけるバックグラウンド細胞死と類似していた。したがって、その結果は、がん細胞に直接結合する抗体がPIT殺傷活性を媒介するのにIRDye 700DXのようなフタロシアニン光増感剤の直接コンジュゲーションを必要としないことを示した。また、二次抗体コンジュゲートIRDye 700DXによって媒介される抗がん抗体の直接標識も有効なPIT殺傷活性を誘導することができる。
【0538】
B. ビオチン化細胞標的化抗体に対する単量体ストレプトアビジンのIR700コンジュゲーション
別の研究で、ビオチン化抗EGFR抗体(ビオチン化セツキシマブ)および単量体ストレプトアビジンコンジュゲートIRDye 700DXと連続的にインキュベートした細胞のPIT殺傷活性を調べた。さらに、単量体ストレプトアビジン-IR700の白色光への事前曝露のPIT殺傷活性に対する効果も調べた。
【0539】
1. コンジュゲーション
a. ビオチンのセツキシマブへのコンジュゲーション
抗EGFR抗体セツキシマブをビオチンにコンジュゲートするために、PBS(pH7.2)中2mg/mLの濃度で供給された抗EGFR抗体(セツキシマブ; Myoderm USA, Norristown, PA)5mL容量を、30,000ダルトン分子量カットオフ遠心分離フィルター(カタログNo: UFC903024, Merck-Millipore, Cork, IRL.)を使用して2mLの容量(5mg/mL)まで濃縮した。その溶液を100mM Na2HPO4(pH8.9)で5mLに希釈して、終容量5mLおよびpH約8.5にした。
【0540】
EZ-Link Sulfo-NHS-LC-ビオチン(スルホスクシンイミジル(sulfocussinimidyl)-6-[ビオチン-アミド]ヘキサノアート)を使用して、製造業者の指示に従って抗体を標識した(カタログNo. 21327, ThermoScientific, Rockford, IL)。具体的には、Sulfo-NHS-ビオチン(S03-ビオチン-NHSエステル、カタログ#: 1854200, Thermo Scientific)試料2mgを室温で解凍し、次いで、脱イオン(DI)水で溶解して濃度10mg/mLを達成した。可溶化したS03-ビオチン-NHSエステル容量130μLをセツキシマブ抗体溶液に20(SO3-ビオチン-NHSエステル):1(セツキシマブ抗体)のモル比で加えた。コンジュゲーション反応を光から保護して25℃で2時間進行させ、その後、過剰なグリシンを加えて反応を15分間クエンチした。次いで、セツキシマブ-ビオチンコンジュゲート溶液を、30,000ダルトン分子量カットオフ遠心分離フィルターを使用してPBS(pH7.2)でコンジュゲーション当量の10倍で交換して、遊離色素、グリシン、およびグリシン-IRDye 700DXを除去し、pHを調整してpH7.2に戻した。
【0541】
セツキシマブ-ビオチンコンジュゲートをサイズ排除クロマトグラフィー(SE-HPLC)で分析して、単量体セツキシマブ-ビオチン純度、可溶性凝集体%および反応生成物残留不純物レベルを評価した。コンジュゲートのための抗体に対するビオチンの比(BAR)の平均モル濃度を、Pierce Colorimetric Biotin Quantification Assay(カタログNo: 128005, Thermo Scientific, Rockford, IL)を使用して供給会社の指示に従って決定した。その結果を表12に示す。
【0542】
【0543】
b. 単量体ストレプトアビジンのIR700へのコンジュゲーション
改変した単量体ストレプトアビジン2(mSA2)(カタログNo: EBU001/2, Kerafast, Boston, MA)をIR700とコンジュゲートするために使用する一般プロトコルは、コンジュゲーションの前に最初に3,000ダルトン分子量カットオフ遠心分離フィルターを使用してmSA2溶液をリン酸緩衝食塩水(pH7)で交換した以外は、実施例5に記載される抗体コンジュゲーションのプロトコルと実質的に同じであった。コンジュゲーションのために、次いで、可溶化したIR700 NHSエステルを、mSA2溶液に2(IR700 NHSエステル):1(単量体ストレプトアビジン)のモル比で加えた。コンジュゲーション反応を実質的に実施例5に記載のとおり実施した後、次いで、10,000ダルトン分子量カットオフ遠心分離フィルターを使用して単量体ストレプトアビジンコンジュゲート溶液をPBS(pH7)24mLで交換して、遊離色素、グリシン、およびグリシン-IR700を除去し、pHを調整してpH7に戻した。
【0544】
2. PIT殺傷
ビオチン化セツキシマブを、単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DXと20(単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DX):1(1μg/mLのビオチン化セツキシマブ)のモル比にて室温で1時間プレインキュベートした。BxPC3細胞を、単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DXと予め複合体化された1μg/mLのビオチン化セツキシマブを含有する10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI培地(完全培養培地)、または完全培養培地のみと37℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を完全培養培地で1回洗浄した。細胞を光から保護するか(光線量0J/cm2)または690nmのレーザーにて異なる光量測定値(2J/cm2、8J/cm2、32J/cm2または64J/cm2)で照射した。細胞死を実施例6に記載のとおりCellTox Greenを使用して評価した。
【0545】
図8Aに示されるとおり、単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DX(mSA IRDye 700DX)と予め複合体化されたビオチン化セツキシマブを用いたBxPC3細胞の光依存性のPIT殺傷活性は、光線量依存的であった。完全培養培地単独とインキュベートした細胞では光依存性殺傷活性は観察されなかった。
【0546】
その効果の特異性を確認するために、単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DXと予め複合体化されたビオチン化セツキシマブの効果を、非コンジュゲートセツキシマブまたは非コンジュゲート単量体ストレプトアビジンのいずれかの存在下で評価して、その効果が競合し得るかを評価した。1つの条件では、最初に、BxPC3細胞を100μg/mLの非コンジュゲートセツキシマブまたは完全培養培地単独と37℃で1時間プレインキュベートした。次いで、細胞を1回洗浄した。次いで、非コンジュゲートセツキシマブとプレインキュベートした細胞を、2μg/mLの単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DXと予め複合体化された1μg/mLのビオチン化セツキシマブを含有する完全培養培地とインキュベートした。別の条件では、完全培養培地単独とプレインキュベートした(しかし非コンジュゲートセツキシマブとはプレインキュベートしなかった)細胞を、10倍過剰の非コンジュゲート単量体ストレプトアビジンの存在下で予め複合体化された1μg/mLのビオチン化セツキシマブとインキュベートした(20μg/mLの非コンジュゲート単量体ストレプトアビジンおよび2μg/mLの単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DXで複合体化を実施した)。加えて、細胞培養培地とプレインキュベートした(しかし非コンジュゲートセツキシマブとはプレインキュベートしなかった)細胞を、2μg/mLの単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DX単独または完全培養培地のみのいずれかと37℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を完全培養培地で1回洗浄した。
【0547】
図8Bに示される結果は、単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DX(mSA IRDye 700DX)と予め複合体化されたビオチン化セツキシマブを用いたPIT媒介殺傷が、IR700と会合した結合セツキシマブを有する細胞に特異的であることを実証した。単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DXと予め複合体化されたビオチン化セツキシマブとのインキュベーションの前に、BxPC3細胞を100μg/mLの非コンジュゲートセツキシマブに事前曝露したとき、光依存性PIT殺傷は観察されなかった。その結果はまた、単量体ストレプトアビジン-IR700に対して10×モル濃度過剰の非コンジュゲート単量体ストレプトアビジンと予め複合体化されたビオチン化セツキシマブとインキュベートしたBxPC3細胞の光依存性PIT殺傷が観察されなかったので、PIT殺傷がIRDye 700DXコンジュゲート単量体ストレプトアビジンおよびビオチン化抗体の会合に依存的であることも示した。さらに、その結果は、BxPC3細胞の光依存性PIT殺傷が、ビオチン化セツキシマブの非存在下で単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DX単独とインキュベートした細胞、または培養培地単独中でインキュベートしたBxPC3細胞では観察されないことを実証した。
【0548】
3. 組成物および活性に対する光事前曝露の効果
異なるタイプの光に曝露された単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DXを使用した細胞の間接的殺傷の効果も評価した。1つの透明HPLCバイアル当たり単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DXコンジュゲート(DAR 1.35)30マイクロリットルを単量体ストレプトアビジンコンジュゲート濃度865μg/mLで加えた。以下の条件を試験した:(1)単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DXコンジュゲートを、ハロゲンランプ下にて2500ルクスで24時間、光曝露から保護するアルミ箔で覆われた透明ガラスHPLCチューブに入れた(「光なし」;加熱効果の対照);(2)単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DXコンジュゲートを、ハロゲンランプ下にて2500ルクスで24時間、透明ガラスHPLCチューブに入れた(「白色光」);(3)単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DXコンジュゲートを透明ガラスHPLCチューブに入れ、緑色LEDランプに2500ルクスで24時間曝露した(「緑色光」)。
【0549】
種々の条件下で事前曝露しかつビオチン化セツキシマブと複合体化された単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DXによって誘導される細胞殺傷を上記のとおりBxPC3細胞に対して評価した。したがって、全てのBxPC3細胞処置物を、完全培養培地か、または上記のとおりの異なる波長の光への事前曝露を受けていた単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DXと予め複合体化されたビオチン化セツキシマブを含有する完全培養培地のいずれかとインキュベートした。
【0550】
図8Cに示されるとおり、その結果は、白色光に事前曝露された単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DXがPIT殺傷活性の可能性を阻害することを明らかにした。細胞を、アルミ箔で光曝露から保護されていた単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DXと予め複合体化されたビオチン化セツキシマブとインキュベートしたとき、予想されるBxPC3細胞の光依存性殺傷が観察された。対照的に、細胞を、ハロゲンランプからの白色光に2500ルクスで24時間曝露されていた単量体ストレプトアビジンと予め複合体化されたビオチン化セツキシマブとインキュベートしたとき、BxPC3細胞の光依存性PIT殺傷は観察されなかった。
【0551】
その結果は、BxPC3細胞を、緑色LEDランプからの緑色光に2500ルクスで24時間曝露された単量体ストレプトアビジン-IRDye 700DXと予め複合体化されたビオチン化セツキシマブとインキュベートしたとき、この実験では、IR700コンジュゲートを緑色光に事前曝露したときであってもPIT殺傷のいくらかの減少があったものの、光曝露によるPIT殺傷の喪失が低減されたことを示した。完全培養培地単独とインキュベートしたBxPC3細胞の光依存性PIT殺傷はなかった。
【0552】
実施例8:PIT殺傷に対する抗EpCAM抗体-IR700コンジュゲートの効果
IRDye 700DXのようなフタロシアニン光増感剤にコンジュゲートされた抗マウスCD326(EpCAM)(カタログNo: 118202, BioLegend, San Diego, CA)の細胞殺傷に対する効果を評価するためにさらなる追加の研究を実施した。抗体は、さらなる代替の細胞表面分子EpCAMを標的とする。抗EpCAM-IRDye 700DXを調製するために、コンジュゲーションを実施例5に記載のとおり実施した。
【0553】
抗EpCAM-IRDye 700DXコンジュゲートによるPIT殺傷活性を評価するために、4T1細胞を、表示のとおりの漸増濃度の抗EpCAM-IRDye 700DXを含有する10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI培地(完全培養培地)または完全培養培地のみと37℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を完全培養培地で1回洗浄した。次いで、細胞に690nmのレーザーを0または32J/cm2の光量測定値で照射した。細胞死を実施例6に記載のとおりCellTox Greenを使用して評価した。
【0554】
図9Aに示されるとおり、その結果は、抗EpCAM-IRDye 700DXとインキュベートしかつ32J/cm
2で照射した4T1細胞が、抗体用量依存的に殺傷されたことを示した。光照射なしでは、いかなる抗体濃度でも顕著な細胞死は観察されなかった。
【0555】
細胞殺傷の特異性を確認するために、4T1細胞を過剰なモル濃度の非コンジュゲート抗EpCAM抗体とインキュベートして、抗EpCAM-IRDye 700DXコンジュゲートの細胞表面への結合を遮断した。具体的には、10、1、もしくは0.1μg/mLの非コンジュゲート抗EpCAM抗体または完全培養培地単独を37℃で1時間である。細胞を洗浄することなしに、抗EpCAM-IRDye 700DXを4T1細胞に加えて終濃度0.1μg/mLを達成し、37℃で1時間インキュベートした。32J/cm2の光線量の690nmのレーザーでの照射によって細胞殺傷を誘導し、細胞殺傷を上記のとおりCellTox Greenを使用して決定した。
【0556】
その結果を
図9Bに示し、これは抗EpCAM-IRDye 700DX PIT殺傷活性の特異性を示す。その結果は、抗EpCAM-IRDye 700DXとのインキュベーションの前に非コンジュゲート抗EpCAM抗体とプレインキュベートした4T1細胞が、遮断工程を受けなかった4T1細胞と比較して、32J/cm
2のレーザー照射への曝露後に顕著に少ない細胞死を提示したことを示し、このことは、抗EpCAMの細胞結合およびIRDye 700DXとのコンジュゲーションが光免疫療法ベースの殺傷に必要であることを実証している。
【0557】
実施例9:セツキシマブ-IRDye 700DXを用いたFc受容体発現標的細胞のPIT殺傷
抗体-IRDye 700DX薬物コンジュゲートが、Fc受容体(FcR)に結合することができるかどうか、および近赤外(約690nm)光での活性化がFcR+細胞殺傷をもたらすかどうかを評価するために以下の研究を実施した。FcRは、単球、マクロファージおよび骨髄由来抑制細胞(MDSC)のような多種多様な免疫細胞上に通常見いだされる。固形腫瘍におけるこれらの細胞の役割は、有害であり、腫瘍を促進することが見いだされている。ヒト単球系細胞株THP1は、表面Fc受容体を発現し、このアッセイの細胞系モデルとして使用された。
【0558】
完全RPMI 1640培地中で成長させたTHP1細胞(ATCC, TIB-202)を、96ウェル組織培養プレートに1ウェル当たり総容量100μL中5000の細胞でプレーティングして一晩接着させた。トリパンブルー排除法を介してプレーティング前の細胞の生存率を検査し、>95%の細胞が生存していた。細胞を以下のとおり3つの群に分けた(全て三つ組):(1)THP1細胞のみ(未処置);(2)500ng/mLの薬物セツキシマブ-IRDye 700DXで処置したTHP1細胞;および(3)最初に1μg/ウェルのFc受容体遮断液(カタログNo: 564220, BD, Franklin Lakes, NJ)と室温で20分間インキュベートし、続いて、薬物セツキシマブ-IRDye 700DXで処置した(500ng/mL、光から保護してインキュベーター内にて37℃で1時間)THP1細胞。
【0559】
殺傷を誘導するために、各群の細胞を32J/cm2の線量の690nmレーザー光に供した。対照は、上記のとおりであるが光で処置されない群に対応するウェルであった。細胞殺傷を、実質的に実施例6に記載のとおりCellTox Greenを使用して評価した。CellTox Green色素(1×)をウェルに加え、細胞をインキュベーター内にて37℃で24時間インキュベートした。また、色素を、後のバックグラウンド減算のために、培地100μLのみを含有するウェル2つに加えた。インキュベーション後、組織培養プレートをプレートリーダーで直ちに読み取った。次いで、培地だけを含有する対照ウェルも含め、希釈した溶解溶液(Promega、カタログ# G1821)5μLを加えることによって細胞を溶解に供した。培養培地を溶解溶液に40%(溶解溶液):60%(培養培地)の比で加えることによって希釈を実施した。次いで、プレートを再度読み取り、100%細胞死についての値を得た。読み取りごとに、2つのバックグラウンドウェルを平均化し、それらの値を全ての他のウェルから減算した。ウェル毎の細胞死%を算出するために、第一の読み取りからのバックグラウンド減算値を第二の読み取り(溶解後)からの値で割って100を掛けた。
【0560】
図10に示されるとおり、その結果は、セツキシマブ-IRDye 700DXによるTHP1細胞のFc受容体特異的殺傷を示した。32J/cm
2の光に供された薬物処置されたTHP1細胞によって表される群において最大殺傷が観察された。殺傷値のパーセントは、光および薬物処置されたTHP1細胞に対するものである。したがって、その結果は、抗体媒介殺傷が細胞表面の標的分子への特異的結合、およびいくつかの場合では、抗体のFcRへの結合によって媒介されうることを示した。
【0561】
実施例10:非抗体分子:IR700 DXコンジュゲートの細胞殺傷活性の評価および細胞殺傷活性に対する白色光曝露の効果
非抗体タンパク質、低分子タンパク質、およびウイルスをIR700のようなフタロシアニン色素とコンジュゲートして細胞殺傷をターゲティングできるかを評価するために以下の研究を実施した。以下に示されるとおり、その結果は、種々の他の非抗体分子が細胞殺傷を媒介し、この殺傷が、近赤外光(例えば、約690nmの光)での活性化、細胞への結合に依存し、かつ/または標的化分子コンジュゲートの白色光への事前曝露によって影響を受けることを示した。
【0562】
A. 非抗体タンパク質:IR700コンジュゲート
ヒト組換え上皮細胞成長因子(EGF)(カタログNo: 01-401, EMD Millipore, Billerica, MA)をIRDye 700DXにコンジュゲートし、これを評価して、その殺傷活性と、異なる波長の光への事前曝露が可溶性凝集体形成に影響を及ぼすかどうかとを評価した。
【0563】
1. EGFコンジュゲーション
IRDye 700DXを用いたヒト組換えEGFの標識に使用するプロトコルは、コンジュゲーションの前に、3,000ダルトン分子量カットオフ遠心分離フィルターを使用してEGF溶液を最初にリン酸緩衝食塩水(pH7)で交換した以外は、実施例5に記載される抗体コンジュゲーションのプロトコルと実質的に同じであった。コンジュゲーションのために、次いで、可溶化したIR700 NHSエステルをEGF溶液に4(IR700 NHSエステル):1(EGF)のモル比、または1.2(IR700 NHSエステル):1(EGF)のモル比で加えた。コンジュゲーション反応をパートAに記載のとおり実施した後、次いで、3,000ダルトン分子量カットオフ遠心分離フィルターを使用してEGFコンジュゲート溶液をPBS(pH7)でコンジュゲーション当量の6倍で交換して、遊離色素、グリシン、およびグリシン-IR700を除去し、pHを調整してpH7に戻した。
【0564】
2. EGF-IR700光依存性殺傷活性
A431細胞において光活性化EGF-IR700細胞殺傷を評価した。A431細胞を、実験の前日に96ウェル白色透明底ディッシュに5000細胞/ウェルで播種した。翌日、A431細胞を、1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したEMEM(無血清培地)で3回洗浄した。次いで、A431細胞を無血清培地で1回洗浄し、次いで、1μg/mLのEGF-IRDye 700DXを含有する無血清培地または無血清培地のみと4℃で1時間インキュベートした。活性の特異性を評価するための対照として、1つの条件で、1μg/mLのEGF-IRDye 700DXとのインキュベーションの前に、A431細胞を、無血清培地中で希釈した100μg/mLの非コンジュゲートセツキシマブと4℃で1時間プレインキュベートした。セツキシマブは、EGFRに結合するEGFの競合阻害剤である。次いで、細胞を無血清培地で1回洗浄した。
【0565】
IR700依存性殺傷を誘導するために、次いで、細胞に690nmのレーザーを32J/cm2の光で照射するかまたは光から保護した(「光なし」)。細胞死を実施例6に記載のとおりCellTox Greenを使用して評価した。全てのウェルから、光なしの無血清培地のみの対照からの死細胞のパーセンテージを引いて、((32J/cm2でのEGF-IRDye 700DX)-(光なしの無血清培地のみの対照))で割って、100を掛けることにより、正規化した死細胞のパーセンテージを算出した。
【0566】
図11Aに示されるとおり、その結果は、EGF-IRDye 700DX媒介細胞殺傷が光依存性殺傷であり、細胞を光で処置して細胞殺傷活性を活性化したときのみ殺傷が観察されたことを示した。1μg/mLのEGF-IRDye 700DXとのインキュベーションの前の100μg/mLの非コンジュゲートセツキシマブでのA431細胞の事前曝露は、光依存性細胞殺傷を遮断した。培地のみとインキュベートしたA431細胞は、いかなる光誘導殺傷も示さなかった。
【0567】
3. 光活性化活性に対する光事前曝露の効果
また、白色光対緑色光に事前曝露されたEGF-IRDye 700DXの光活性化細胞殺傷に対する効果をA431細胞において評価した。EGF-IRDye 700DXを異なるタイプの光に事前曝露し、光活性化殺傷活性に対する光処置の効果を評価した。1個の透明HPLCバイアル当たりEGF-IRDye 700DXコンジュゲート(DAR 2)5マイクロリットルを1.14mg/mLのEGF-IRDye 700DX濃度で加えた。以下の条件を試験した:(1)光から保護して4℃で保存した抗体-IRDye 700DXコンジュゲート(「4℃」、対照として使用);(2)ハロゲンランプ下にて2500ルクスで24時間、透明ガラスHPLCチューブに入れた抗体-IRDye 700DXコンジュゲート(「白色光」);(3)ハロゲンランプ下にて2500ルクスで24時間、光曝露から保護するアルミ箔で覆われた透明ガラスHPLCチューブに入れた抗体-IRDye 700DXコンジュゲート(「光なし」、凝集体の形成に対する加熱効果の対照として使用);および(4)透明ガラスHPLCチューブに入れて緑色LEDランプに2500ルクスで24時間曝露された抗体-IRDye 700DXコンジュゲート(「緑色光」)。
【0568】
細胞殺傷活性を評価するために、A431細胞を無血清培地で2回洗浄し、無血清培地単独で4℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を無血清培地で1回洗浄し、無血清培地単独と、または1μg/mLのEGF-IRDye 700DXを含有する無血清培地(「光なし」)、白色光に事前曝露された1μg/mLのEGF-IRDye 700DXを含有する無血清培地(「2500ルクス白色光」)もしくは緑色光に事前曝露された1μg/mLのEGF-IRDye 700DXを含有する無血清培地(「2500ルクス緑色光」)と4℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を無血清培地で1回洗浄した。
【0569】
細胞殺傷を誘導するために、細胞を光から保護するか(光線量0J/cm2)または690nmのレーザーにて異なる光量測定値(8 J/cm2、32J/cm2または64J/cm2)で照射するかのいずれかを行った。
【0570】
図11Bに示されるとおり、EGF-IRDye 700DX光依存性殺傷活性は、白色光への事前曝露に感受性であった。ハロゲンランプからの白色光下にて2500ルクスで24時間、光曝露から保護されたが熱的加熱からは保護されていないEGF-IRDye 700DXとインキュベートしたA431細胞は、光依存性殺傷を示した。ハロゲンランプからの白色光に2500ルクスで24時間曝露されたEGF-IRDye 700DXとインキュベートしたA431細胞は、もはや光依存性殺傷活性を示さなかった。緑色LEDランプからの緑色光に2500ルクスで24時間曝露されていたEGF-IRDye 700DXとインキュベートしたA431細胞は、「光なし」EGF-IRDye 700DXの場合に匹敵する光依存性殺傷活性を示した。無血清培地単独とインキュベートしたA431細胞は、光依存性殺傷活性を示さなかった。
【0571】
B. コレラトキシンB-IR700コンジュゲート
細胞殺傷が非タンパク質分子に結合する分子によって媒介されることができるかどうかを評価するために、コレラトキシンB(カタログNo: C9903-2MG, Sigma Aldrich, St. Louis, MO)をIRDye 700DXにコンジュゲートし、これを評価して、異なる波長の光への事前曝露によってその殺傷活性を評価した。コレラトキシンBは、非タンパク質表面標的化分子部分である糖脂質GM1に特異的に結合する。
【0572】
1. コレラトキシンBコンジュゲーション
IRDye 700DXを用いたコレラトキシンBの標識に使用するプロトコルは、コンジュゲーションの前に、3,000ダルトン分子量カットオフ遠心分離フィルターを使用してコレラトキシンB溶液を最初にリン酸緩衝食塩水(pH7)で交換した以外は、実施例5に記載される抗体コンジュゲーションのプロトコルと実質的に同じであった。コンジュゲーションのために、次いで、可溶化したIR700 NHSエステルをコレラトキシンB溶液に2(IR700 NHSエステル):1(コレラトキシンB)のモル比で加えた。実質的に実施例8に記載のとおり実施したコンジュゲーション反応後、次いで10,000ダルトン分子量カットオフフィルターを使用してコレラトキシンBコンジュゲート溶液をPBS(pH7)24mLで交換して、遊離色素、グリシン、およびグリシン-IR700を除去し、pHを調整してpH7に戻した。
【0573】
2. コレラトキシンB-IR700殺傷活性
コレラトキシンB-IR700を使用した光活性化細胞殺傷をBxPC3細胞において評価した。BxPC3細胞を1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI培地(無血清培地)で3回洗浄し、次いで、無血清培地のみまたは2μg/mLのコレラトキシンB-IRDye 700DX(五量体当たりDAR約2.9)を含有する無血清培地と4℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を無血清培地で2回洗浄した。
【0574】
IR700依存性殺傷を誘導するために、細胞を、光から保護するか(光線量0J/cm2)または690nmのレーザーにて異なる光量測定値(2J/cm2、8J/cm2または32J/cm2または96J/cm2)で照射するかのいずれかを行った。細胞死を実施例6に記載のとおりCellTox試薬を使用して評価した。全てのウェルから、光なしの完全培養培地のみの対照からの死細胞のパーセンテージを引いて、((96J/cm2でのコレラトキシンB-IRDye 700DX)-(光なしの完全培養培地のみ対照))で割って、100を掛けることによって、正規化した死細胞のパーセンテージを算出した。
【0575】
図12Aに示されるとおり、BxPC3細胞の光依存性殺傷に対する光線量の効果は、2μg/mLのコレラトキシンB-IRDye 700DXと4℃で1時間インキュベートし、続いて漸増光線量の存在下で照射したBxPC3死細胞の正規化されたパーセントの増加からも明らかなように、線量依存的であった。完全培養培地でのみ処置したBxPC3細胞の光線量依存性殺傷は観察されなかった。
【0576】
光活性化細胞殺傷活性の特異性を評価するために、BxPC3細胞を無血清培地で3回洗浄し、次いで、完全培養培地単独または100μg/mLの非コンジュゲートコレラトキシンBを含有する完全培養培地と4℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を無血清培地で1回洗浄し、無血清培地のみと、2μg/mLのコレラトキシンB-IRDye 700DXを含有する無血清培地と、または100μg/mLの非コンジュゲートコレラトキシンBと2μg/mLのコレラトキシンB-IRDye 700DXを含有する無血清培地と、4℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を無血清培地で2回洗浄した。IR700依存性殺傷を誘導するために、細胞を、光から保護するか(光線量0J/cm2)または690nmのレーザーにて96J/cm2で照射するかのいずれかを行い、細胞死を上記のとおり評価した。
【0577】
図12Bに示されるとおり、BxPC3細胞と100×過剰の非コンジュゲートコレラトキシンBのプレインキュベーションが、BxPC3細胞におけるコレラトキシンB-IRDye 700DX光依存性殺傷を遮断し、それによって殺傷活性がコレラトキシンBの細胞への結合に依存的であることを示すことを結果は表した。
【0578】
3. 細胞殺傷活性に対する光事前曝露の効果
白色光対緑色光に事前曝露されたコレラトキシンB-IRDye 700DXの光活性化殺傷活性に対する効果を評価した。1個の透明HPLCバイアル当たりコレラトキシンB-IRDye 700DXコンジュゲート(DAR 2.9)10マイクロリットルを1mg/mLのコレラトキシンB-IRDye 700DX濃度で加えた。以下の条件を試験した:(1)ハロゲンランプ下にて2500ルクスで24時間、光曝露から保護するアルミ箔で覆われた透明ガラスHPLCチューブに入れたコレラトキシンB-IRDye 700DXコンジュゲート(「光なし」、凝集体の形成に対する加熱効果の対照として使用);(2)コレラトキシンB-IRDye 700DXコンジュゲートを、ハロゲンランプ下にて2500ルクスで24時間、透明ガラスHPLCチューブに入れた(「白色光」);または(3)コレラトキシンB-IRDye 700DXコンジュゲートを透明ガラスHPLCチューブに入れ、緑色LEDランプに2500ルクスで24時間曝露した(「緑色光」)。
【0579】
種々の条件下で事前曝露したコレラトキシンB-IRDye 700DXによって誘導される細胞殺傷を上記のとおりBxPC3細胞に対して評価した。こうして、全てのBxPC3細胞処置物を、無血清培地単独または上記のとおりの異なる波長の光への事前曝露を受けたコレラトキシンB-IRDye 700DXを含有する無血清培地のいずれかとインキュベートした。
【0580】
図12Cに示されるとおり、コレラトキシンB-IRDye 700DXによって媒介される光依存性殺傷活性は、白色光への事前曝露に感受性であった。ハロゲンランプからの白色光下にて2500ルクスで24時間、光曝露から保護されたが熱的加熱からは保護されていないコレラトキシンB-IRDye 700DXとインキュベートしたBxPC3細胞は、光依存性殺傷を示した。ハロゲンランプからの白色光に2500ルクスで24時間曝露されていたコレラトキシンB-IRDye 700DXとインキュベートしたBxPC3細胞は、もはや光依存性殺傷活性を示さなかった。緑色LEDランプからの緑色光に2500ルクスで24時間曝露されていたコレラトキシンB-IRDye 700DXとインキュベートしたBxPC3細胞は、光依存性殺傷活性のわずかな減少を示したが、白色光曝露したコレラトキシンB-IRDye 700DXで処置した細胞の場合よりは大幅に少なかった。無血清培地単独とインキュベートしたBxPC3細胞は、光依存性殺傷活性を示さなかった。
【0581】
C. インフルエンザウイルス-IR700
光活性化細胞殺傷のためにウイルス粒子をIRDye 700DXのようなフタロシアニン色素とコンジュゲートすることができるかどうかを評価するために以下の研究を実施した。光活性化ウイルス-IR700コンジュゲート殺傷に対する白色光への事前曝露の効果も評価した。
【0582】
1. インフルエンザウイルス(X-31)コンジュゲーション
IRDye 700DX NHSエステル(カタログNo. 929-70011; Li-COR, Lincoln, NE)の凍結固体アリコートを室温で解凍し、次いで、DMSOで溶解して濃度10mg/mLを達成した。暗環境下、IRDye 700DX NHSエステル10μgを、65,536 HA力価単位のインフルエンザA X-31、A/Aichi/68(H3N2)ストック(カタログNo: 10100375, Charles River Laboratories, Wilmington, MA)に加え、テーブルトップボルテクサー上に可能な最低の設定で、25℃で2時間置いた。重力流カラムを使用して、事前にリン酸緩衝食塩水で平衡化したNap 5重力流カラム(カタログNo: 17-0853-02, GE Healthcare Life Sciences, Pittsburg, PA)にウイルス溶液100μLをロードすることによってウイルスコンジュゲートを遊離色素から分離した。リン酸緩衝食塩水650μLを加えた後、通過画分を廃棄した。追加のリン酸緩衝食塩水400μLをカラムにロードし、コンジュゲートウイルスを含有した通過画分を収集した。実験にウイルスを使用する前に、ウイルスコンジュゲート溶液を0.2μm孔径のPVDFフィルターで濾過して、あらゆる不溶性凝集体を除去した。
【0583】
2. インフルエンザウイルス(X-31)-IRDye 700DX殺傷活性
ベロ細胞をインフルエンザウイルス(X-31)-IR700とインキュベートして、インフルエンザウイルス(X-31)-IR700と会合する細胞が光照射後の殺傷に感受性であるかを評価した。ベロ細胞を、1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したEMEM培地(無血清培地)で4回洗浄した。無血清培地1200μLと精製インフルエンザウイルス(X-31)-IRDye 700DX(上記のとおりの調製)通過画分400μLとを混合することによって、ウイルス接種培地を作製し、次いで、これを0.2μm孔径のPVDFフィルターで濾過して、あらゆる凝集体を除去した。ウイルス接種培地100μLまたは無血清培養培地100μLを細胞に加え、4℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を無血清培地100μLで1回洗浄した。
【0584】
次いで、ウイルス会合細胞または対照ベロ細胞を、光から保護するか(光線量0J/cm2)または690nmのレーザーにて異なる光量測定値(2J/cm2、8J/cm2、32J/cm2または96J/cm2)で照射するかのいずれかを行った。細胞死を実施例6に記載のとおりCellTox Greenを使用して評価した。
【0585】
図13Aに示されるとおり、インフルエンザウイルス(X-31)-IRDye 700DXを接種したベロ細胞は、光線量依存的に殺傷された。ウイルスなしの完全培養培地中でインキュベートしたベロ細胞は、光依存性殺傷を示さなかった。
【0586】
3.コンジュゲート活性に対する光事前曝露の効果
インフルエンザウイルス(X-31)-IRDye 700DXを、光活性化光依存性殺傷活性に対する光への事前曝露の効果について3つの異なる光曝露条件下(異なる波長の白色光対緑色光を含む)で試験した。1個の透明HPLCバイアル当たりインフルエンザウイルス(X-31)-IRDye 700DX通過画分およそ130uLを加え、以下の条件への曝露後に試験した:(1)インフルエンザウイルス(X-31)-IRDye 700DXコンジュゲートを、ハロゲンランプ(カタログNo: PL-800, Dolan-Jenner, Boxborough, MA)下にて2500ルクスで18時間、光曝露から保護するアルミ箔で覆われた透明ガラスHPLCチューブに入れた(「光なし」、加熱効果の対照);(2)インフルエンザウイルス(X-31)-IRDye 700DXコンジュゲートを、ハロゲンランプ下にて2500ルクスで18時間、透明ガラスHPLCチューブに入れた(「白色光」);(3)インフルエンザウイルス(X-31)-IRDye 700DXコンジュゲートを透明ガラスHPLCチューブに入れ、緑色LEDランプ(カタログNo: Green-ECS GP19 EcoSmart)に2500ルクスで18時間曝露した(「緑色光」)。
【0587】
種々の条件下で事前曝露されたインフルエンザウイルス(X-31)-IRDye 700DXを用いたベロ細胞の接種によって誘導される細胞殺傷を、690nmのレーザーにて光線量96J/cm2で照射した後に上記のとおり評価した。したがって、全てのベロ細胞処置物を、無血清培地単独または異なる波長の光への事前曝露を受けたインフルエンザウイルス(X-31)-IRDye 700DXを含有する無血清培地のいずれかとインキュベートした。
【0588】
図13Bに示されるとおり、インフルエンザウイルス(X-31)-IRDye 700DXによって媒介される光依存性殺傷活性は、白色光への事前曝露に感受性である。アルミ箔で光曝露から保護されていたインフルエンザウイルス(X-31)-IRDye 700DXとインキュベートしたベロ細胞(「光なし」)は、光依存性殺傷を示した。しかしながら、細胞殺傷の程度は、光から保護されていた「光なし」のインフルエンザウイルス(X-31)-IRDye 700DXで処置した細胞と比較して、ハロゲンランプからの白色光に2500ルクスで18時間曝露されていたインフルエンザウイルス(X-31)-IRDye 700DXとインキュベートしたベロ細胞において減少した。対照的に、緑色LEDランプからの緑色光に2500ルクスで18時間曝露されていたインフルエンザウイルス(X-31)-IRDye 700DXとベロ細胞とのインキュベーションは、光から保護されていた「光なし」のインフルエンザウイルス(X-31)-IRDye 700DXの場合と同じ光活性化殺傷活性を示した。無血清培地単独とインキュベートしたベロ細胞は、光依存性殺傷活性を示さなかった。
【0589】
実施例11:追加の分子:IR700 DXコンジュゲートの細胞殺傷活性の評価
非タンパク質表面分子に結合することができる追加の非抗体IR700コンジュゲートの細胞殺傷活性を評価するための研究を実施した。例示的な追加の研究では、IRDye 700DXにコンジュゲートされたセイヨウニワトコ(Sambucus Nigra)レクチン(SNA;エルダーベリーレクチン、EBLとも呼ばれる)(カタログNo: L-1300, Vector Labs, Burlingame, CA)の効果を評価して、その殺傷活性を評価した。SNAは、細胞上の糖タンパク質上のアルファ(2,6)連結シアル酸に特異的に結合する。また、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して光誘導凝集についてSNA-IR700を評価したが、この例示的な実験では、白色光対緑色光に曝露されたSNA-IR700コンジュゲートのサイズ排除クロマトグラフィーに対する効果はなかった。
【0590】
1. エルダーベリーレクチン(SNA)コンジュゲーション
IRDye 700DXを用いたSNAの標識に使用するプロトコルは、実施例5に記載される抗体コンジュゲーションのプロトコルと実質的に同じである。
【0591】
2. SNA-IR700光依存性殺傷活性
SNA-IR700が光照射後に細胞殺傷を誘起できるかを評価するために、細胞殺傷をBxPC3細胞において評価した。BxPC3細胞を細胞培養プレートから解離させ、10%ウシ胎仔血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI培地を含有する細胞培養培地(完全培養培地)を、1% BSAおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI培地(結合培地)に交換した。BxPC3細胞を、結合培地のみか、または10μg/mLのSNA-IRDye 700DXを抗体に対する色素比(DAR)約2.5で含有する結合培地を含む別々のチューブに移し、4℃で1時間インキュベートした。次いで、200μg/mLの非コンジュゲートSNAで事前にコートしたプレート(37℃で1時間のコーティング処理をし、無血清培地で3回洗浄した)に細胞を移して、SNA-IRDye 700DXのプレートへの非特異的結合を遮断した。
【0592】
IR700依存性殺傷を誘導するために、細胞を、光から保護するか(光線量0J/cm2)または690nmのレーザーにて異なる光量測定値(8J/cm2、32J/cm2または96J/cm2)で照射するかのいずれかを行った。細胞死を実施例6に記載のとおりCellTox Greenを使用して評価した。
【0593】
図14Aに示されるとおり、SNA-IRDye 700DXとインキュベートしたBxPC3細胞は、光依存性殺傷を示した。IR700コンジュゲートの非存在下にて完全培養培地で処置したBxPC3細胞は、光依存性殺傷を示さなかった。
【0594】
細胞殺傷の特異性を評価するために、BxPC3細胞を、SNAの受容体であるアルファ(2,6)連結シアル酸を切断するシアリダーゼAで処置した。BxPC3細胞を組織培養フラスコから解離させ、10%ホルマリンで20分間固定した。次いで、細胞をPBSで3回洗浄し、1×反応緩衝液単独(5×グリコシアリダーゼA-51反応緩衝液から希釈、カタログ番号GK80045, Prozyme)、0.025UシアリダーゼAを含有する1×反応緩衝液、または0.075UシアリダーゼAを含有する1×反応緩衝液で37℃にて2時間処置した。次いで、細胞をPBSで3回洗浄し、次いで、PBS単独または10μg/mLのSNA-IRDye 700DXを含有するPBSと4℃で1時間インキュベートした。
【0595】
インキュベーション後、細胞をPBSで3回洗浄し、DAPI核染色で染色し、次いで、96ウェルディッシュ上にプレーティングして、落射照明蛍光顕微鏡で撮像した。少なくとも10の領域を選択して撮像し、DAPI核染色およびSNA-IRDye 700DX蛍光シグナルを検出した。試験群の蛍光強度を比較するために、同じ画像中で所与の画像の最小ピクセル強度を全ての他のピクセルから減算することによってバックグラウンド減算を実施した。DAPI核シグナルを閾値処理し、これを細胞毎の代表域として使用した。次いで、分割されたDAPI画像を使用して、SNA-IRDye 700DXを撮像するために使用するチャネル中の平均蛍光強度について定量化する個々の細胞毎の面積を決定した。SNA-IRDye 700DX染色は拡散性の膜染色であり、かつ、落射照明顕微鏡を使用したため、DAPI核染色によって画定されるマスクされた領域から測定された平均蛍光シグナルは、1細胞当たりのSNA-IRDye 700DX染色について代表的な平均蛍光強度として使用することができる。平均蛍光強度を、1処置条件当たり数百の細胞について収集し、箱髭図でプロットした。
【0596】
細胞をシアリダーゼAで処置した後の試験群の蛍光強度結果を
図14Bに示す。その結果は、シアリダーゼA処置の用量依存的増加が、試料におけるSNA-IRDye 700DX染色の同時減少をもたらしたことを示した。シアリダーゼA処置の用量依存的増加は、BxPC3細胞をSNA-IRDye 700DXで染色しなかったとき、SNA-IRDye 700DXを検出するために使用されるチャネルからの蛍光のいかなる変化ももたらさなかった。
【0597】
実施例12:細菌病原体のIR700-コンジュゲート媒介PIT殺傷
IRDye 700DXのようなフタロシアニン光増感剤に直接コンジュゲートされた抗体が細胞表面上に提示されるタンパク質に結合することによって細菌細胞を殺傷することができるかどうかを評価するために以下の研究を実施した。プロテインAは、抗体のFc領域に結合する、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus, S. aureus)の細胞表面上に提示されるタンパク質である。
【0598】
実質的に実施例1に記載のとおりコンジュゲートされたセツキシマブ-IR700をこれらの研究で使用した。黄色ブドウ球菌は、ATCC(American Type Culture Collection)ID 6538から取得した。黄色ブドウ球菌を、コロニー選択および計数用のBHI(Brain Heart Infusion)寒天プレート、または集団拡大用のBHI培養液(完全培養培地)のいずれかで成長させた。
【0599】
細菌細胞誘導PIT殺傷を評価するために、黄色ブドウ球菌を100μg/mLのセツキシマブ-IRDye 700DXと室温で1時間インキュベートした。次いで、細胞に690nmのレーザーを0または300J/cm2で照射した。以下の条件下でのBHI寒天プレート上のコロニー形成単位(CFU)を計数することによって残留生存細菌細胞の数を決定した。対照として、生存細菌細胞の数はまた、レーザー照射なしでセツキシマブ-IRDye 700DXとインキュベーション単独の処置、レーザー照射単独の処置、または未処置の細胞において評価した。生存CFUのパーセントを処置なしの細菌細胞に対して正規化した。
【0600】
その結果を
図15に示し、黄色ブドウ球菌のPIT媒介細胞殺傷がプロテインAに結合する抗体-IR700コンジュゲートの存在下で起こることができることを示す。セツキシマブ-IRDye 700DXとインキュベートしその後レーザー照射した細菌細胞だけが、その他の3群と比較して統計的に有意なCFU低下を有していた。
【0601】
実施例13:ウイルス病原体のIR700-コンジュゲート媒介PIT殺傷
フタロシアニン標識抗ウイルス抗体を用いてウイルス粒子に対してPITを実施することによってウイルスの感染能を阻害できるかどうかを評価するために以下の研究を実施した。インフルエンザウイルスを具体例として使用して例示的な研究を実施し、その中で、マウス抗インフルエンザウイルスA(H3N2)およびヤギ抗マウスFab-IRDye 700DX抗体でコートされたインフルエンザウイルス粒子に対して間接的PIT処置を実施した。二次抗体-IRDye 700DXコンジュゲートでの一次非コンジュゲート抗体の間接的標識が、直接コンジュゲート一次抗体の場合と同様にPIT殺傷を誘導することができるので、その知見を直接コンジュゲートされた抗ウイルス-IRDye 700DX抗体に一般化することができる。したがって、これらの結果は、PIT処置がウイルス感染の阻害を導くことができることを実証している。
【0602】
AffiniPure Fab断片ヤギ抗マウスIgG1特異的(GtxMs Fab)抗体(カタログ番号: 115-007-185, Jackson ImmunoResearch Laboratories, West Grove, PA)を、10,000ダルトン分子量カットオフ遠心分離フィルターを使用してGtxMs Fab抗体溶液を最初にリン酸緩衝食塩水(pH7)で交換した以外は、実質的に実施例5に記載のとおりIR700にコンジュゲートし、次いで、pH=9のリン酸緩衝液の添加によって抗体溶液pHをpH8.5に調整した。IRDye 700DX NHSエステル(カタログNo. 929-70011; Li-COR, Lincoln, NE)の凍結固体アリコートを室温で解凍し、次いで、DMSOで溶解して濃度10mg/mLを達成した。暗環境下、次いで可溶化したIR700 NHSエステルを、抗体溶液に2(IR700 NHSエステル):1(抗体)のモル比で加えた。コンジュゲーション反応を光から保護して25℃で2時間進行させた。グリシン(pH8.2)を15分間終濃度10mMまで加え、反応をクエンチした。次いで、10,000ダルトン分子量カットオフ遠心分離フィルターを使用して抗体コンジュゲート溶液をPBS(pH7)24mLで交換して、遊離色素、グリシン、およびグリシン-IR700を除去し、pHを調整してpH7に戻した。
【0603】
PITのために、マウス抗ヒトインフルエンザA(H3N2)(F49)(カタログNo: M146, TaKaRa, Katsushika Tokyo, Japan)1μgとGtxMs Fab-IRDye 700DX 1μgとを暗所にて25℃で5分間混合し、続いて、16,384 HA力価単位のインフルエンザA X-31, A/Aichi/68(H3N2)ストック(カタログNo: 10100375, Charles River Laboratories, Wilmington, MA)との30分間インキュベーションを暗所にて25℃で30分間行うことによって、インフルエンザAウイルスをIR700と間接的に会合させた。1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したEMEM(無血清培地)およそ875μLを加え、インキュベートしたウイルスを0.2μmの孔径のPVDFフィルターで濾過して、あらゆる不溶性凝集体(ウイルス接種培地)を除去した。インキュベーションを二つ組で実施した。二つ組の試料の一方について、抗体-ウイルス溶液を144J/cm2の690nmの光に曝露し、もう一方の試料を光から保護した。
【0604】
PITで処置したウイルスを、ベロ細胞を用いて感染力について評価した。インフルエンザウイルス(X-31)をマウス抗インフルエンザウイルスA(H3N2)およびGtxMs Fab-IRDye 700DXで標識する24時間前に、125,000のベロ細胞を6ウェルディッシュにプレーティングした。細胞を播種した翌日およびインフルエンザウイルス(X31)をマウス抗インフルエンザウイルス(H3N2)抗体とGtxMs Fab-IRDye 700DXとで標識した後、細胞を無血清培地で4回洗浄した。次いで、細胞を、100μLの光で処置したウイルス接種培地、光なしで処置したウイルス接種培地、または無血清培地と37℃で1時間インキュベートした。次いで、培地を、0.3%ウシ血清アルブミン(BSA)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したEMEMと交換した。ウイルス接種の14時間後、細胞をトリプシン処理し、10%ウシ胎仔血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したEMEMに再懸濁し、エッペンドルフチューブに入れた。次いで、細胞を10%ホルマリンで20分間固定し、その後、リン酸緩衝食塩水(PBS、pH7)で3回洗浄した。洗浄工程毎に、細胞を1500rpmで3分間スピンダウンし、上清を除去し、そして、細胞ペレットをPBS 1mLで再懸濁した。
【0605】
次いで、細胞を、3%ウシ血清アルブミン(IgGフリー、プロテアーゼフリー)(カタログNo: 001-000-162, Jackson ImmunoResearch Laboratories, Wilmington, MA)および0.08%サポニンを補充したPBSを含有する「遮断緩衝液」と25℃で30分間インキュベートした。次いで、細胞を、遮断緩衝液中で希釈した1:2000マウス(IgG2a)抗インフルエンザAウイルス核タンパク質抗体[AA5H](カタログno: ab20343, Abcam, Cambridge, United Kingdom)と25℃で1時間10分インキュベートした。その後、細胞を1500rpmで3分間スピンダウンし、上清を除去し、細胞ペレットを遮断緩衝液100μLで再懸濁し、細胞を25℃で少なくとも5分間インキュベートして次の洗浄を行うことによって、細胞を遮断緩衝液で3回洗浄した。一次抗体を洗い流した後、細胞を、遮断緩衝液中で希釈した1:250のAlexaFluor 488-コンジュゲートAffiniPureヤギ抗マウスIgG Fcガンマサブクラス2a特異的(カタログNo: 115-545-206, Jackson ImmunoResearch Laboratories, Wilmington, MA)と25℃で30分間インキュベートした。次いで、細胞を、1洗浄当たり遮断緩衝液100μLで1洗浄工程当たり少なくとも5分間3回洗浄し、続いて、PBSで3回の追加洗浄を行った。次いで、細胞を96ウェルプレート上にスポットし、蛍光顕微鏡(Evos, Life Technologies)で撮像した。関心対象の少なくとも12の無作為の領域を無作為に選択して、明視野像ならびにGFP励起および発光キューブで撮った対応する蛍光画像を得た。明視野像を使用して総細胞数を得て、蛍光画像を使用して核タンパク質発現の存在(細胞がインフルエンザウイルス感染で感染した読み取りである)を検出した。
【0606】
690nmの光に曝露された抗HAおよびヤギ抗マウスIRDye 700DX(GtxMs Fab-IRDye 700DX)でコートしたインフルエンザウイルス粒子のウイルス感染力に対する効果を評価した。
図16の結果は、GtxMs Fab-IRDye 700DXと予め複合体化されたマウス抗インフルエンザウイルス(H3N2)を使用したインフルエンザウイルス粒子に対するPITがインフルエンザウイルス感染を無効にすることを示す。690nmの光に曝露しなかった予め複合体化されたマウス抗インフルエンザウイルス(H3N2)およびGtxMs Fab-IRDye 700DXでコートしたウイルスとインキュベートしたベロ細胞は、ロバストなウイルス感染をもたらし、インフルエンザウイルス核タンパク質発現についてのベロ細胞染色は約97.4%であった。全く対照的に、マウス抗インフルエンザウイルス(H3N2)およびGtxMs Fab-IRDye 700DXでコートしたPITで処置したウイルスとインキュベートしたベロ細胞は、ウイルス感染の顕著な減少を示し、インフルエンザウイルス核タンパク質発現についての細胞染色はわずか1.8%であった。
【0607】
実施例14:病原体感染細胞のIR700-コンジュゲート媒介PIT殺傷
以下の研究は、直接コンジュゲーションまたは二次抗体コンジュゲートとの間接標識のいずれかによってフタロシアニン色素(例えばIRDye 700DX)で標識された抗ウイルス抗体を用いたPITで、ウイルス感染細胞を選択的に処置することができるかどうかを評価するために実施した。例示的なデータは、マウス抗インフルエンザウイルス(H3N2)抗体およびヤギ抗マウス-IRDye 700DX二次抗体を用いた間接的PITを使用したインフルエンザウイルス感染細胞に対してPITを実施する工程を含む。
【0608】
この研究では、AffiniPure Fab断片ヤギ抗マウスIgG1特異的(GtxMs Fab)抗体とIR700のコンジュゲーションを実施例5に記載のとおり実質的に実施した。
【0609】
ウイルスまたは細胞をPITで処置する前に、ベロ細胞にインフルエンザウイルスを感染させた。およそ5,000のベロ細胞を96ウェルの透明底黒色プレートにプレーティングした。細胞を播種した翌日、細胞を、1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したEMEM(無血清培地)100μLで4回洗浄し、次いで、1ウェル当たり327.68 HA力価単位のインフルエンザA X-31, A/Aichi/68(H3N2)(カタログNo: 10100375, Charles River Laboratories, Wilmington, MA)を含有する無血清培地とインキュベートした。次いで、細胞をウイルス接種培地または無血清培地と37℃で90分間インキュベートした後、次いで、ウイルス接種培地を0.3%ウシ血清アルブミン(BSA)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したEMEMと交換した。
【0610】
次いで、ウイルス感染細胞を、ウイルス接種の14時間後、IR700で標識した。簡潔に述べると、細胞を、10%ウシ胎仔血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したEMEM(完全培養培地)で希釈した1μg/mLのマウス抗ヒトインフルエンザA(H3N2)(F49)(カタログNo: M146, TaKaRa, Katsushika Tokyo, Japan)と4℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を完全培養培地で1回洗浄し、次いで、完全培養培地中で希釈した5μg/mLのGtxMs-IRDye 700DXと4℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を完全培養培地100μLで1回洗浄した。PITを誘導するために、細胞を64J/cm2の690nmのレーザーで照射するかまたは光から保護した(「光なし」)。
【0611】
CellTox Green試薬を使用して細胞死を評価した。光処置後、全ての細胞を、完全培養培地中で希釈した1×CellTox Green試薬と37℃で15分間インキュベートし、次いで蛍光顕微鏡(Evos, Life Technologies)で撮像した。少なくとも3つの異なるウェルについて、関心対象の1ウェル当たり少なくとも5つの無作為の領域を無作為に選択して、明視野像、Cy5励起および発光キューブを使用した抗インフルエンザウイルス蛍光画像、およびGFP励起および発光キューブを使用したCellTox Green蛍光画像を得た。次いで、細胞を、ウイルス感染した細胞の指標として抗インフルエンザウイルス染色についてスコア化した。ウイルス感染細胞の中で、次いで、CellTox Green染色があったかどうかについて細胞をスコア化した。
【0612】
図17に示されるとおり、その結果は、マウス抗インフルエンザウイルス(H3N2)およびヤギ抗マウスIRDye 700DX(GtxMs-IRDye 700DX)で連続的に標識し、続いて光照射したインフルエンザウイルス感染ベロ細胞において、PIT誘導細胞死が観察されたことを示した。光処置の非存在下ではわずかな細胞死だけが観察されたため、観察された細胞死の程度は光依存的であった。
【0613】
実施例15:神経細胞のIR700コンジュゲート媒介PIT殺傷
IRDye 700DXのコンジュゲートを使用したPITによって神経細胞が殺傷されることができるかどうかを評価するために以下の研究を実施した。後根神経節(DRG)神経細胞を、IRDye 700DXとコンジュゲートされたコレラトキシンのBサブセットを用いたPITに供した。690nmのレーザー光での照射は、発光ベースの細胞傷害性アッセイで測定したところ、完全な細胞死をもたらした。光投与なしでは、細胞死はほとんど観察されなかった。その知見は、PITが神経細胞を殺傷する、かつより広範には初代細胞を含む非がん細胞を殺傷する有効な処置でありうることを実証している。
【0614】
ラット胚性DRGをLonza(カタログ番号R-eDRG-515, Lonza Walkersville, Inc., Walkersville, MD)から冷凍保存された形で得て、使用するまで液体窒素中で保存した。Lonzaによるストック溶液の調製および手順に従って、黒色壁の96ウェルプレートを、1ウェル当たり、30μg/mLのポリ-D-リジン(Sigma-Aldrich, カタログP0899, St. Louis, MO)および2μg/mLのラミニン(Sigma-Aldrich, L2020, St. Louis, MO)を含有するPBS 50μLで室温にて1時間コートした。コーティング溶液を吸引し、そして、プレートを1時間乾燥させ(バイオセーフティーキャビネット内で蓋を開ける)、直ちに細胞播種に使用した。Lonzaによって提供される指示に厳密に従って、細胞を解凍およびプレーティングした。培養培地に、2mMのL-グルタミン、50μg/mLのゲンタマイシン、37ng/mLのアムホテリシンおよび2% NSF-1を常に補充したPNBMであったが、後者を使用前の各時点で新たに加えた。これらの成分は、キットの一部であった(カタログ番号CC-4461, Lonza, Basel, Switzerland)。追加的に、また、神経成長因子(NGF, カタログ番号N2513, Sigma, St. Louis, MO)も使用時に新たに加え100ng/mLにした。細胞をプレーティングするために、0.25mLのバイアルを解凍して培養培地3.75mLで滴下希釈し、懸濁液200μLをウェルに播種した。細胞を37℃および5% CO2で4時間インキュベートし、培地を、使用直前に加えた有糸分裂阻害剤5-フルオロ-2’-デオキシウリジン(終濃度7.5μg/mL、カタログ番号F-0503, Sigma, St. Louis, MO)およびウリジン(終濃度17.5μg/mL、カタログ番号U-3003, Sigma, St. Louis, MO)も含有する培地と交換した。再度、培地を3~4日毎に取り換えた。
【0615】
コレラトキシンBとIR700のコンジュゲーションを実施例10.Bに記載のとおり実施した。
【0616】
ラット胚性DRGを11日間培養した後、1μg/mLのコレラトキシンB-IR700のストック溶液 を培養培地で40μg/mLに希釈し、そして、希釈したコンジュゲート5μLを、培地200μL中DRG神経細胞を含有する96ウェルプレートのウェルに直接加えて、コンジュゲートの終濃度5μg/mLを達成した。細胞を37℃で1時間インキュベートした。培養培地を除去し、細胞を培養培地で1回洗浄し、そして、新たな培養培地100μLを加えた。次いで、染色した神経細胞を690nmのレーザーにて光線量64J/cm2(150mW/cm2)で照射するか、または対照として光から保護して放置した(「光なし」)。
【0617】
DRG神経細胞に対するPITの効果を発光ベースの毒性アッセイCytoTox Glo(カタログ番号G9291, Promega, Madison, WI)で測定した。このアッセイは、膜完全性をベースにしており、無傷細胞には侵入できないルシフェラーゼのプロ基質を採用している。細胞が死ぬと、形質膜の損傷によって酵素が細胞外に分散されてプロ基質を活性化し、ここで真のルシフェラーゼの基質になり、発光シグナルをもたらす。プレートを室温に15分間平衡化し、そして、アッセイ試薬50μLを加えた。室温で20分間インキュベートした後、発光をマルチモードリーダーで読み取った。完全な細胞死を決定するために、ジギトニン溶液50μLを加えて残留生存細胞を殺傷し、そして、20分間後に発光を再度読み取った。細胞なしのウェルからのバックグラウンド値を各読みとおり値から減算し、そして、ジギトニンでの溶解の前後の発光間の比として細胞死のパーセントを算出した(100を掛けた)。
【0618】
図18に示されるとおり、PITは、ラット胚性DRG神経細胞において細胞死を誘導した。64J/cm
2の690nmのレーザー光での照射は、3時間後に100パーセントの細胞死を導いたが(左のバー)、光保護された細胞(「光なし」)は無傷のままであった(6%の細胞死、右のバー)。
【0619】
実施例16:インターフェロンガンマおよび抗PD-L1-IR700 PITとの組み合わせ処置
PIT殺傷活性を増強するために、PITを免疫調節剤(がん細胞にも影響を及ぼすことができる)と組み合わせることができるかを評価するために以下の研究を実施した。
【0620】
A. 細胞死に対するインターフェロンガンマの効果
BxPC3細胞(#CRL-1687, ATCC, Manassas VA)を、96ウェル黒色透明平底ディッシュに1ウェル当たり5000個の細胞で播種し、37℃の5%CO2インキュベーターに入れた。翌日、細胞を、10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトミオシン(Streptomyocin)を補充したRPMI 1640(完全培養培地)で1回洗浄した。次いで、細胞を、0ng/mL~3.75μg/mLの範囲の異なる濃度の組換えヒトインターフェロンガンマ(IFNガンマ)(無担体)(カタログNo: 570202, BioLegend, San Diego, CA)を含有する完全培養培地と18時間インキュベートした。
【0621】
18時間後、異なる濃度のインターフェロンガンマを含有する培地を、1×CellTox Green(カタログNo: G8731, Promega, Madison, WI)を含有する完全培養培地と交換した。いかなる細胞も含まなかったウェルもまた、完全培養培地中で希釈した1×CellTox Green試薬とインキュベートし、蛍光シグナル検出の間のバックグラウンド減算ウェルとした。光処置の24.5時間後に蛍光プレートリーダーを使用して、CellTox Green蛍光シグナルを測定した。次いで、細胞を洗剤で溶解し、37℃で30分間インキュベートし、溶解後にCellTox Green蛍光シグナルを再度測定した。バックグラウンド(細胞なしの完全培養培地中の1×CellTox Green)が減算された溶解前後の1ウェル当たりのCellTox Greenシグナルの比を取得し、その比に100を掛けることによって、死細胞のパーセントを算出した。
【0622】
図19Aの結果は、IFNガンマ濃度の増加が、BxPC3細胞の細胞死の用量依存的増加をもたらすことを示す。
【0623】
B. PD-L1発現に対するインターフェロンガンマの効果
BxPC3細胞を、12ウェルディッシュ中に、1ウェル当たり145,000個の細胞で播種し、37℃の5%CO2インキュベーターに入れた。翌日、細胞を、10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトミオシンを補充したRPMI 1640(完全培養培地)で1回洗浄した。次いで、細胞を、完全培養培地単独、375pg/mLの組換えヒトインターフェロンガンマ(無担体)(カタログNo: 570202, BioLegend, San Diego, CA)を含有する完全培養培地、または37.5ng/mLの組換えヒトインターフェロンガンマ(無担体)を含有する完全培養培地と18時間インキュベートした。組換えインターフェロンガンマありまたはなしでの18時間のインキュベーション後、BxPC3細胞を完全培養培地で1回洗浄した。
【0624】
次いで、細胞を、完全培養培地単独、または実施例5に記載されるとおり調製された10μg/mLの抗PD-L1-IRDye 700DXを含有する完全培養培地と37℃で1時間インキュベートした。
【0625】
1時間のインキュベーション後、細胞をリン酸緩衝食塩水(pH7)で3回洗浄し、細胞が剥離するまで無酵素細胞解離緩衝液(カタログNo: S-014-C, EMD Millipore, Billerica, MA)とインキュベートした。細胞が剥離した後、0.5%ウシ血清アルブミンフラクションV(カタログNo: 15260-037, ThermoFisher Scientific, Waltham, MA)を含むリン酸緩衝食塩水を細胞に加え、そして、試料を、フローサイトメトリーによって、抗PD-L1-IRDye 700DXのIR700色素からの蛍光シグナルに基づいてPD-L1発現について直ちに分析した。まず処置毎の抗PD-L1-IRDye 700DX染色由来の蛍光強度を未染色細胞試料から減算し、次いで、インターフェロンガンマで処置しなかった抗PD-L1-IRDye 700DX染色試料の平均から決定された場合のバックグラウンド蛍光強度を減算することによって処置毎に正規化することによって、発現の増加倍率を算出した。
【0626】
図19Bに示されるとおり、その結果は、IFNガンマ濃度の増加が、BxPC3細胞中のPD-L1発現の用量依存的増加をもたらしたことを示した。
【0627】
C. PIT細胞殺傷に対するインターフェロンガンマおよび抗PD-L1-IR700コンジュゲートの組み合わせ
PD-L1の発現を増加させるインターフェロンガンマでの細胞の処置が抗PD-L1媒介性PIT殺傷を増強させることができるかどうかを評価するための研究を実施した。BxPC3細胞を、96ウェル白色透明平底ディッシュに1ウェル当たり5000個の細胞で播種し、37℃の5%CO2インキュベーターに入れた。翌日、細胞を、10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトミオシンを補充したRPMI 1640(完全培養培地)で1回洗浄した。次いで、細胞を、完全培養培地単独、375pg/mLの組換えヒトインターフェロンガンマ(無担体)(カタログNo: 570202, BioLegend, San Diego, CA)を含有する完全培養培地、または37.5ng/mLの組換えヒトインターフェロンガンマ(無担体)を含有する完全培養培地と18時間インキュベートした。
【0628】
組換えインターフェロンガンマありまたはなしでの18時間のインキュベーション後、BxPC3細胞を完全培養培地で1回洗浄した。次いで、細胞を、完全培養培地単独、または10μg/mLの抗PD-L1-IRDye 700DXを含有するもしくは10μg/mLの抗PD-L1-IRDye 700DXと100ug/mLのコンジュゲートされていない抗PD-L1を含有する完全培養培地と37℃で1時間インキュベートした。1時間のインキュベーション後、細胞を完全培養培地で1回洗浄した。
【0629】
次いで、細胞に、690nmレーザーで96J/cm2の光を照明するか、または光から保護した(「光なし」)。細胞死を、CellTox Green試薬を使用して実施例6に記載されるとおり評価した。
【0630】
図19Cに示されるとおり、抗PD-L1-IR700コンジュゲートでの処置の前のIFNガンマとの組み合わせ処置は、抗PD-L1-IR700 PIT処置単独の場合と比較して、抗PD-L1光活性化殺傷を増強した。抗PD-L1-IR700インキュベーションの前にインターフェロンガンマで処置しなかったBxPC3細胞は、光なし対照の場合と比較して、690nmの光照明によって適度な細胞死の増加を示した。インターフェロンガンマとインキュベートした後に抗PD-L1-IR700コンジュゲートとインキュベーションしたBxPC3細胞は、光なし処置細胞において基礎細胞死のIFNガンマ用量依存的増加を示し、これは、細胞死を媒介するIFNガンマの効果と一致する。IFNガンマとインキュベートし、抗PD-L1-IR700コンジュゲートとインキュベートし、かつ690nm光を照明したBxPC3細胞は、それぞれの処置群毎に、光なし対照に対して、細胞死のIFNガンマ用量依存的増加を示した。その結果は、抗PD-L1-IR700の結合が10×モル過剰のコンジュゲートされていない抗PD-L1と競合して打ち勝つことで、光処置および光なし処置で細胞死が同じ割合であることに実証されるとおり、抗PD-L1-IR700コンジュゲートの光活性化殺傷を無効にしたので、抗PD-L1-IR700 PIT殺傷活性が特異的であったことを示した。
【0631】
その結果は、インターフェロンガンマ、抗がん剤および免疫調節剤と抗PD-L1-IR700 PITとの組み合わせ処置が、抗PD-L1-IR700 PIT処置単独またはインターフェロンガンマ処置単独の場合よりも増強した抗がん活性を示したことを実証した。
【0632】
実施例17:抗体-IR700コンジュゲート媒介性PITによる免疫原性細胞死および免疫活性化
PITで処置された細胞において免疫刺激性変化が起こるかどうかならびにPITで処置された細胞が免疫細胞を活性化する潜在性を有するかどうかを評価するために以下の研究を実施した。PITで処置された細胞においてどんな免疫刺激性変化が起こるかを評価するために、PITで処置されたがん細胞およびPITで処置されていないがん細胞を、免疫原性細胞死(ICD)マーカーの発現について評価した。免疫原性細胞死は、壊死細胞によって示される特殊なタイプの細胞死であり、免疫刺激性マーカーの増加した提示および放出によって特徴付けられる。ICDを示す細胞は、膜変化、例えば、上昇した熱ショックタンパク質90の表面発現、ならびに損傷関連分子パターン(DAMP)として知られている可溶性の細胞内マーカー、例えばATPおよび高移動度群ボックスタンパク質(HMGB1)の分泌を提示する(Kromer et al. (2013) Annual Review of Immunology, 31:51-72)。以下に示されるとおり、PITで処置されたがん細胞は、PITで処置されていない細胞の場合と比較して、増加したHMGB1分泌を示す。
【0633】
PITで処置された細胞が上昇したHMGB1の放出を示したので、PITで処置された細胞が免疫細胞を活性化できるかどうかを評価するために追跡研究を実施した。PITで処置された腫瘍細胞が免疫細胞を活性化できるかどうかを決定するために、PITで処置されたがん細胞およびPITで処置されていないがん細胞を単球由来未成熟樹状細胞(iDC)と共培養した。PITを介した免疫原性細胞死などの炎症性刺激によってアップレギュレートを受けるDC成熟/活性化マーカーCD80、CD86、CD40およびMHCIIの表面発現について任意の変化が観察された。共刺激性分子CD80、CD86およびCD40の増強は、T細胞を活性化するDCの能力の増大を示し、そして、増加したMHCIIは、DCが成熟するにつれて増加した抗原提示能を表す。対照(PITで処置されていない腫瘍細胞)と比較して、PITを介して殺傷された腫瘍に曝露されたiDCで共刺激性分子およびMHCIIの両方の増加した発現が見られた。
【0634】
類似の腫瘍:THP1細胞(インビトロベースのAPC活性化および機能アッセイに広く使用されるヒト単球細胞株)を使用する別のモデル系を使用してAPC共培養を実施した。PITで処置されていない腫瘍細胞と共培養されたTHP1細胞とは対照的に、PITで殺傷された腫瘍細胞に曝露されたTHP1細胞で活性化マーカーCD86のアップレギュレーションが見られ、これはPITの免疫刺激の潜在性をさらに確認した。
【0635】
まとめると、データは、PITで処置された細胞がICDに特徴的なマーカーを示すこと、ならびにPITで処置された細胞が免疫細胞を活性化する潜在性を有することを示した。それゆえ、PITと免疫調節剤との組み合わせ処置は、PITの免疫活性化の潜在性をさらに増強し得る。
【0636】
A. セツキシマブ-IR700を介したPITに供された腫瘍細胞からのHMGB1レベルの推定
A431およびFaDu腫瘍細胞株を、それぞれ、完全RPMI 1640および完全EMEM培地中で成長させた。細胞を、96ウェル組織培養プレートに1ウェル当たり総容量100μL中15,000個の細胞でプレーティングして一晩接着させた。トリパンブルー排除法を介してプレーティングの前の細胞の生存率を検査し、>95%の細胞が生存していた。
【0637】
翌日、細胞を、CO2インキュベーター内で、セツキシマブ-IR700(実施例1に記載されるとおり調製した)で500ng/mLにて37℃で1時間処置し、次いで、690nmレーザーを用いて32J/cm2の光フルエンスで照射した。対照は、光で処置されていない群に対応するウェルを表した。
【0638】
PITを受けた後、培地を処置細胞から除去し、続いて、細胞をPBSで1回洗浄した。これに続いて、無血清バージョンの培地を添加し、CO2インキュベーター内37℃で1時間インキュベーションした。インキュベーション後に上清を収集し、使用するまで-20℃で保存した。
【0639】
種々の処置細胞からの培養上清を、HMGB1 ELISA(IBL International, カタログ# ST51011)に製造業者の説明書のとおりに供した。簡潔に述べると、凍結乾燥HMGB1対照および標準物を、キットの説明書に従って希釈剤緩衝液で溶媒和した。HMGB1標準ストックを希釈剤緩衝液中で1:4に希釈し、次いで合計6点(80ng/mL~2.5ng/mL)で1:2段階希釈することによって、検量標準曲線を作成した。100μL/ウェルの希釈剤緩衝液を、キット中に提供されるELISAプレートの各使用ウェルに加えた。10μL/ウェルの標準物、対照、または試料を各ウェルに加え、プレートを密閉し、37℃で一晩インキュベートした。20~24時間後、未結合の試料を提供された洗浄緩衝液(蒸留水で1×に希釈)で洗い流した。凍結乾燥酵素コンジュゲートを、酵素コンジュゲート希釈剤でキットの説明書に従って溶媒和し、洗浄したプレートに100μL/ウェルで加えた。プレートを穏やかにたたいて混合し、次いで、密閉して室温で2時間インキュベートした。次いで、過剰な酵素コンジュゲートを1×洗浄緩衝液で洗い落とし、colrea A溶液とcolrea B溶液の1:1混合物をプレートに100μL/ウェルで加え、室温で30分間インキュベートした。次いで、100μL/ウェルの停止溶液を加え、プレートを穏やかにたたいて混合することによって反応を停止した。黄色の生成物の量を、450nmでのその吸収によって定量化した。HMGB1標準曲線を4パラメーターロジスティクスでグラフ化し、そして、試験試料のデータを標準曲線に挿入して各試料中のHMGB1濃度を決定した。データは、それぞれの光なし対照に対する増加倍率として記述された。
【0640】
図20Aに示されるとおり、セツキシマブ-IR700を介したPITは、腫瘍細胞からのロバストなHMGB1分泌をもたらした。A431およびFaDuは共に、光なし対照と比較して、HMGB1の大量放出を示した。
【0641】
B. PITで処置された腫瘍細胞と共培養されたDCにおけるDC成熟マーカーCD80、CD86、CD40、およびMHCIIのアップレギュレーションの決定
FaDu細胞を、完全EMEM培地中で成長させた。細胞を、96ウェル組織培養プレートに1ウェル当たり総容量100μLでプレーティングし、一晩接着させた。トリパンブルー排除法を介してプレーティングの前の細胞の生存率を検査し、>95%の細胞が生存していた。
【0642】
翌日、細胞を、CO2インキュベーター内で、セツキシマブ-IRDye 700DXで500ng/mLにて37℃で1時間処置し、次いで、細胞を12J/cm2の光フルエンスの690nmレーザーに供することによって光で処置した。対照は、光で処置されていない群(PITで処置されていない腫瘍細胞)に対応するウェルを表した。
【0643】
共培養のために、健常ドナー由来のヒトiDC(Astarte Biologics)を、PITで処置された腫瘍細胞ウェルおよび対照ウェル(PITで処置されていない腫瘍細胞)1:1比で、ウェルに直接加えた。次いで、共培養物を、CO2インキュベーター内で、37℃で48時間インキュベートした。次いで、非酵素剥離溶液を使用して細胞を剥離した。次いで、種々の処置条件からの採取された細胞を、生/死判別色素Zombie Green(BioLegend、1:500)と室温で20分間インキュベートし、続いて、染色緩衝液で洗浄した。
【0644】
細胞を染色緩衝液に再懸濁し、次いで、ヒトFc遮断試薬(BD Biosciences)を加え、そして、細胞を室温で20分間インキュベートした。次いで、抗ヒトCD80(BioLegend, clone 2D10)、抗ヒトCD86(BioLegend, clone IT2.2)、抗ヒトCD40(BioLegend, clone 5C3)、抗ヒトCD11c(BD, clone B-ly6)および抗ヒトMHCII(BioLegend, clone L243)抗体を加え(1:20)、細胞を室温で30分間インキュベートした。また、バックグラウンドシグナルを評価するためにそれぞれのアイソタイプ対照染色も実施した。これに続いて、染色緩衝液で洗浄し、その中に細胞を再懸濁した。次いで、フローサイトメトリー(Attune(登録商標)Acoustic Focusing Cytometer)を介して高感度モード下でデータを取得した。フローサイトメトリーを、抗ヒトCD14(clone 63D3, BioLegend, San Diego, CA)および抗ヒトCD86(clone IT2.2, BioLegend, San Diego, CA)抗体を使用して細胞に1:40希釈で加えて実施し、次いで、細胞を室温で30分間インキュベートした。これに続いて、染色緩衝液で洗浄し、次いで、その中に細胞を再懸濁した。次いで、フローサイトメトリー(Attune(登録商標)Acoustic Focusing Cytometer, Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA)を介して高感度モード下でデータを取得した。データを分析しながら適切なゲーティングを行って細胞残屑を除き、データを生存事象(live event)に実施されたゲーティングで分析した。以下に記載される結果は、光なし対照に対する増加倍率としてプロットされた、各群からの平均蛍光強度(MFI)データに基づく。
【0645】
図20Bは、セツキシマブ-IRDye 700DXを介したPITに供されたFaDu腫瘍と共培養されたiDCにおける樹状細胞(DC)成熟マーカーのアップレギュレーションを示す。FaDuとの共培養は、光なし対照と比較して、iDCにおいて増加した表面CD80、CD86、CD40およびMHCII発現を引き起こした。Y軸は、それぞれの光なし対照に対する増加倍率を表す。
【0646】
C. PITで処置された腫瘍細胞およびPITで処置されていない腫瘍細胞との共培養によるTHP1細胞におけるCD86発現
A431細胞株を完全RPMI中で成長させ、T98G、FaDuおよびU87腫瘍細胞株を完全EMEM培地中で成長させた。細胞を、96ウェル組織培養プレートに1ウェル当たり総容量100μL中15,000個の細胞でプレーティングして一晩接着させた。トリパンブルー排除法を介してプレーティングの前の細胞の生存率を検査し、>95%の細胞が生存していた。
【0647】
翌日、細胞を、CO2インキュベーター内で、セツキシマブ-IR700で500ng/mLにて37℃で1時間処置し、次いで、細胞を12J/cm2の光フルエンスの690nmレーザーに供することによって光で処置した。対照は、光で処置されていない群(PITで処置されていない腫瘍細胞)に対応するウェルを表した。
【0648】
THP1細胞(ATCC(登録商標)TIB202(商標))を完全RPMI中で成長させた。共培養のために、15,000個のTHP1細胞を、PITで処置された腫瘍細胞を有するウェルおよび対照のPITで処置されていない腫瘍細胞ウェルに直接加えた。次いで、共培養物をCO2インキュベーター内37℃で24時間インキュベートした。翌日、次いで、非酵素剥離溶液を使用して細胞を剥離した。次いで、種々の処置条件からの採取された細胞をPBSのみに再懸濁し、そして、生/死判別色素Zombie Green(BioLegend)を加えた(1:500)。細胞を室温で20分間インキュベートし、続いて、染色緩衝液で洗浄した。
【0649】
細胞を染色緩衝液に再懸濁し、次いで、ヒトFc遮断試薬(BD Biosciences)を加え、そして、細胞を室温で20分間インキュベートした。フローサイトメトリーを、抗ヒトCD14(clone 63D3, BioLegend, San Diego, CA)および抗ヒトCD86(clone IT2.2, BioLegend, San Diego, CA)抗体を使用して細胞に1:40希釈で加えて実施し、次いで、細胞を室温で30分間インキュベートした。これに続いて、染色緩衝液で洗浄し、次いでその中に細胞を再懸濁した。次いで、フローサイトメトリー(Attune(登録商標)Acoustic Focusing Cytometer, Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA)を介して高感度モード下でデータを取得した。データを分析しながら適切なゲーティングを行って細胞残屑を除き、データを、生存事象に実施されたゲーティングで分析した。CD14マーカーを使用してTHP1細胞を同定した。その結果は、光なし対照に対する増加倍率としてプロットされた、各群からの平均蛍光強度(MFI)データに基づく。データは、それぞれの光なし対照に対するCD86表面発現の増加倍率として記述された。
【0650】
図20Cに示されるとおり、CD86は、セツキシマブ-IR700を介したPITに供された腫瘍と共培養されたTHP1細胞においてアップレギュレートされた。PITに供されたA431細胞およびFaDu細胞の両方との共培養は、光なし対照と比較して、THP1細胞において増加した表面CD86発現を引き起こした。
【0651】
実施例18:免疫調節剤を用いた処置と組み合わせたPITは免疫活性化を増強させる
免疫細胞がPITで殺傷された腫瘍でプライミングされ、かつまた免疫調節剤で処置されたときに、より高い免疫活性化があるかを評価するための研究を実施した。実施例17に示されるとおり、PITは、樹状細胞(DC)および単球などの免疫細胞の活性化を導く炎症環境を生み出す。これらのPITでプライミングされた細胞はまた、ポリI:C(合成二本鎖RNAアナログ)のような免疫調節剤を用いた処置と組み合わせたとき、さらなる活性化のためのより高い潜在的性を示し得る。これを試験するために、PITで処置された腫瘍細胞を単球由来未成熟樹状細胞(iDC)と共培養し、続いて、ポリI:Cで処置し、次いで、DC活性化マーカーCD80およびCD86の発現レベルの変化を評価した。iDCとPITで処置されていない腫瘍細胞との共培養を対照として使用した。腫瘍がPITで処置されなかった条件に対して、PITを介して腫瘍が殺傷される環境に事前に曝露されたDCにおいて増加したCD80およびCD86発現が見られた。
【0652】
完全EMEM培地中で成長させたFaDu細胞を、96ウェル組織培養プレートに1ウェル当たり総容量100μLでプレーティングして一晩接着させた。トリパンブルー排除法を介してプレーティングの前の細胞の生存率を検査し、>95%の細胞が生存していたことが見いだされた。翌日、細胞を、セツキシマブIRDye 700DXで処置した(500ng/mL、CO2インキュベーター内37℃で1時間)。690nmのレーザー光を用いて12J/cm2のフルエンスで照明することによってPIT細胞殺傷を誘導した。対照は、光で処置されていない群に対応するウェルを表した。
【0653】
共培養のために、健常ドナー由来のヒトiDC(Astarte Biologics)を、PITで殺傷された腫瘍細胞を有するウェルおよび対照ウェル(PITで処置されていない腫瘍細胞)に直接加えた。次いで、共培養物を、CO2インキュベーター内37℃で48時間インキュベートした。次いで、採取したDCをポリI:C処置(1μg/mL)に一晩供した。次いで、非酵素剥離溶液を使用して細胞を剥離した。
【0654】
種々の処置条件からの採取された細胞を、生/死判別色素Zombie Green(BioLegend、1:500)と室温で20分間インキュベートし、続いて、染色緩衝液で洗浄した。細胞を染色緩衝液に再懸濁し、次いで、ヒトFc遮断試薬(BD)を加え、細胞を室温で20分間インキュベートした。抗ヒトCD80(BioLegend, clone 2D10)、抗ヒトCD86(BioLegend, clone IT2.2)、抗ヒトCD40(BioLegend, clone 5C3)、抗ヒトCD11c(BD, clone B-ly6)および抗ヒトMHCII(BioLegend, clone L243)抗体を加え(1:20)、そして、細胞を室温で30分間インキュベートした。また、バックグラウンドシグナルを評価するためにそれぞれのアイソタイプ対照染色も実施した。細胞を染色緩衝液で洗浄し、その中に再懸濁した。次いで、フローサイトメトリー(Attune(登録商標)Acoustic Focusing Cytometer)を介して高感度モード下でデータを取得した。
【0655】
データを分析しながら適切なゲーティングを実施して細胞残屑を除き、そしてデータを、生存事象に実施されたゲーティングで分析した。以下に記載される結果は、光なし対照に対する増加倍率としてプロットされた、各群からの平均蛍光強度(MFI)データに基づく。
【0656】
図21の結果は、免疫調節剤(ポリI:C)と組み合わせたPITで処置された樹状細胞(DC)が、免疫調節剤と組み合わせたPIT処置に供されなかったDCと比較して、増強した免疫活性化を示したことを示した。免疫調節剤と組み合わせたPITでのDCの事前処置は、光なし(PITなし)対照と比較して、増加したCD80およびCD86発現レベルを導く。
【0657】
したがって、データは、PITによって生み出された環境に曝露されたDCが元来、免疫調節剤を介してより活性化されやすい傾向があることを示した。それゆえ、PITと免疫調節剤との組み合わせ処置は、PITの免疫活性化の潜在性をさらに増強し得る。
【0658】
実施例19:IRDye 700DXおよびAlexaFluor488、IRDye 700DXおよびDyLight755、IRDye 700DXおよびIRDye800 CWで二重標識されたセツキシマブ
実施例4に記載される研究と同様に、フタロシアニン光増感剤IRDye 700DXにコンジュゲートされた抗体が第二の蛍光色素分子にもコンジュゲートされ得るかどうかを評価するための追加の研究を実施した。いくつかの局面において、二重標識アプローチを使用して、がん細胞への結合およびその後のPIT殺傷活性を維持しながら腫瘍イメージング能を可能にすることができる。
【0659】
A. コンジュゲーション法
水溶性のケイ素-フタロシアニン誘導体IRDye 700DX NHSエステルおよびIRDye 800CW-NHS(本明細書においてIRDye 800とも呼ばれる)をLI-COR Bioscience(Lincoln, NE)から得た。Alexa Fluor 488-SDPをLife Technologies(Carlsbad, CA)から得た。Dylight 755-NHSをThermo Scientific(Waltham, MA)から得た。Erbitux(セツキシマブ)を(Myoderm USA, Norristown, PA)から購入した。Amicon(登録商標)Ultra Centrifugal Filter Units(Merck Millipore Ltd, Billerica, MA)。使用する全ての他の化学製品は、試薬等級のものであった。
【0660】
1. セツキシマブ-IR700(CTX700)
以下に記載される全ての二重コンジュゲートを生産するために使用されるセツキシマブ-IRDye 700DX(CTX700)コンジュゲートは、実質的に実施例1に記載されるとおり調製された。簡潔に述べると、セツキシマブを、4モル当量のIRDye 700DX NHSエステルとpH=8.5で、暗所にて、室温で2時間反応させ、全ての緩衝液交換工程およびUF/DF精製工程にAmicon(登録商標)Ultra Centrifugal Filter Units(カタログ#: UFC903024, Merck-Millipore, Billerica, MA)を使用して、コンジュゲートがあらゆる不要な光曝露から常時保護されるように気を付けた。
【0661】
コンジュゲートを、サイズ排除クロマトグラフィーによって、実質的に実施例4に記載されるとおり抗体濃度および抗体に対する色素の比(DAR)について評価した。その結果は、以下のコンジュゲートの特徴を示した:A690=96.7%の単量体;Conc=1.8mg/mL;DAR=2.4 IRDye700DX/Ab。
【0662】
2. CTX700-ALX488
100mMリン酸緩衝液(pH=8.5)中2mg/mLの濃度のCTX-700 10mgを、光保護容器内で、2モル当量のAlexa Flour 488-SDP(5mg/mL DMSO)と室温で2時間インキュベートした。1Mグリシン溶液(pH=8)100μLの添加によって反応をクエンチした。コンジュゲート生成物を、10反応容量の10mMリン酸緩衝食塩水(PBS)(pH=7.1)を使用してAmicon(登録商標)Ultra Centrifugal Filter Unitsに通して濾過して交換および精製した。コンジュゲートを、UV-VIS、SE-HPLC、PITおよび二重放射フローサイトメトリーによって特徴付けた。CTX700-ALX488のUV-Visスペクトルを
図22Aに描写する。
【0663】
3. CTX700-IRDye 800
100mMリン酸緩衝液(pH=8.5)中2mg/mLの濃度のCTX-700 10mgを、光保護容器内で、2モル当量のIRDye 800CW-NHS(5mg/mL DMSO)と室温で2時間インキュベートした。1Mグリシン溶液(pH=8)100μLの添加によって反応をクエンチした。コンジュゲート生成物を、10反応容量のPBS(pH=7.1)を使用してAmicon(登録商標)Ultra 15 Centrifugal Filter Unitsに通して濾過して交換および精製した。コンジュゲートを、UV-VIS、SE-HPLC、PITおよび二重放射フローサイトメトリーによって特徴付けた。CTX700-ALX488のUV-Visスペクトルを
図22Bに描写する。
【0664】
4, CTX700-Dylight 755
100mMリン酸緩衝液(pH=8.5)中2mg/mLの濃度のCTX-700 10mgを、光保護容器内で、4モル当量のDylight-NHS(10mg/mL DMSO)と室温で2時間インキュベートした。1Mグリシン溶液(pH=8)100μLの添加によって反応をクエンチした。コンジュゲート生成物を、10反応容量のPBS(pH=7.1)を使用してAmicon(登録商標)Ultra 15 Centrifugal Filter Unitsに通して濾過して交換および精製した。コンジュゲートを、UV-VIS、SE-HPLC、PITおよび二重放射フローサイトメトリーによって特徴付けた。CTX700-ALX488のUV-Visスペクトルを
図22Cに描写する。
【0665】
B. HPLC-SECによるコンジュゲートの特性決定
コンジュゲートを、280nm、488nm、690nm、755nmおよび778nmの波長をモニタリングするAgilent G1315Aダイオードアレイ検出器(DAD)を備えたAgilent 1100 HPLCシステムを使用する、Shodex KW-803, 8.0×300mm SECカラムでのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって評価した。ランニング緩衝液は、1mL/minの流速で流すPBSであった。イメージング色素についての平均の抗体に対する色素の比(DAR)を、それぞれの色素毎に必要に応じて適切な吸光係数値補正係数を適用した後に抗体単量体ピークについての280nm、488nm、690nm、755nmおよび778nmの吸光度積分面積を使用して決定した。全ての二重コンジュゲーション反応に使用するCTX-700を、この方法によってイメージング色素とのコンジュゲーションの前に分析したところコンジュゲーション前にDAR=2.4を有しており、IRDye 700DX/Ab比は、イメージング色素とのコンジュゲーション後、未変化であると想定された。その結果を表13に示す。
【0666】
全てのコンジュゲートが、適切なサイズ排除カラム保持時間(この方法について8.1~8.2分)およびこれらの保持時間での適切なイメージング色素の波長吸光度の両方を実証しており、このことによりイメージング色素が、表に与えられる色素2についての測定された抗体に対する色素の比(DAR)でCTX-700抗体コンジュゲートに組み込まれたことが確認された。
【0667】
(表13)HPLC-SECが決定した二重コンジュゲートの純度およびDARデータ
【0668】
C. フローサイトメトリーによる二重CTX-IRDye 700DXコンジュゲートでの細胞染色
BxPC3細胞(10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI中で成長させた)を、HyQTase細胞剥離試薬を使用して剥離させた。次いで、トリパンブルー排除色素法を介して細胞の生存率を検査し、>99%が生存していたことが見いだされた。ヘモサイトメーターを使用して細胞を計数し、染色緩衝液(1% BSAおよび0.01%アジ化ナトリウムを含有するPBS)に再懸濁した。1染色工程当たりおよそ45,000個の細胞を、細胞のみの対照と共に、個々の色素コンジュゲートで染色して、それぞれのチャネルのバックグラウンド蛍光を評価した。1染色工程当たりおよそ0.25μgの色素コンジュゲート/100μL染色容量(45,000個の細胞を含有する)を使用した。次いで、暗所にて細胞を色素と室温で1時間インキュベートした。細胞を、染色緩衝液で1回洗浄した(1800rpm、6分)。染色した細胞を最後に染色緩衝液300μLに再懸濁した。
【0669】
Applied Biosystems Attune Acoustic Focusing Cytometer(赤色および青色レーザー、6チャネル)を高感度モード(より遅い収集モード)で使用して細胞を読み取った。アッセイを実行する前の機械の全ての必要な品質管理パラメーターを一致させた。サイトメーターは、488nmの青色レーザー由来の4つの蛍光チャネル、すなわちBL1(青色レーザー1stチャネル)、BL2、BL3およびBL4を有していた。それらの対応するバンドパスフィルターは、上記表の括弧に記載されている。RL1(赤色レーザー1stチャネル)およびRL2と称される638nm赤色レーザー由来の2つの蛍光チャネルがある。
【0670】
分析について、残屑/死細胞が分析に入り込むのを回避するために一次Forward Scatter/Side Scatter(FSC/SSC)ゲートを作製した。分析された対応する色素コンジュゲートのそれぞれのチャネルの平均蛍光強度を決定した。その結果を表14に示す。その結果は、CTX700単一コンジュゲートに対して、二重コンジュゲートで標識された細胞の蛍光放射強度が増強したことを示した。したがって、これらの結果は、二重コンジュゲートが光免疫療法(PIT)に加えてイメージング用途にも好適であり得ることを実証している。
【0671】
【0672】
D. PIT殺傷活性の評価
BxPC3細胞(#CRL-1687, ATCC, Manassas VA, USA)を、96ウェルの白色壁透明底の組織培養(TC)処理ポリスチレンプレートに、5,000個の細胞/ウェルの濃度で、10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI-1640培地(完全培養培地)中に播種し、37℃で一晩インキュベートした。翌日、完全培養培地を、新鮮完全培養培地単独、または500ng/mlもしくは100ng/mLのいずれかの表示のとおりの試験薬剤を含有する培地と交換し、プレートを37℃で1時間インキュベートした。
【0673】
次いで、細胞に、690nmレーザーを16J/Cm2もしくは32J/cm2の光線量で照明するか、または光から保護した(「光なし」)。
【0674】
細胞死に対する異なる処置レジメンの効果を、蛍光染色液CellTox Green(カタログNo: G8731, Promega, Madison, WI, USA)を使用して、実質的に実施例6に記載されるとおり測定した。次いで、結果を正規化して、500ng/mLのセツキシマブ-IRDye 700DXとのインキュベーションおよび32J/cm2でのPIT処置後の細胞死を100%のPIT活性に、そして、完全培養培地単独とのインキュベーションおよび32J/cm2でのPIT処置後の細胞死を0%のPIT活性に設定した。
【0675】
図23Aに示されるとおり、100ng/mLまたは500ng/mLのセツキシマブ(IRDye 700DX単独にコンジュゲートされたまたはIRDye 700DX-DyLight-755に二重コンジュゲートされた)とインキュベートしたBxPC3細胞は、光依存性および濃度依存性の殺傷を示した。500ng/mLで投薬された二重コンジュゲートは、32J/cm
2でのPIT後、セツキシマブ-IRDye 700DX単独コンジュゲート対照の少なくとも90%の細胞殺傷を誘導した。コンジュゲートの濃度を100ng/mLまで低下させたとき、セツキシマブ-IRDye 700DXおよびDyLight-755二重コンジュゲートは、同等レベルのPIT細胞殺傷を達成した。セツキシマブ-IRDye 700DXおよびDyLight-755二重コンジュゲートは、16J/cm
2で顕著なレベルのPIT細胞殺傷を維持し、100ng/mLまたは500mg/mLのいずれかで少なくとも75%の細胞殺傷であった。500ng/mLのコンジュゲートとインキュベートしたが光に曝露しなかった細胞ではPIT細胞殺傷活性はまったく観察されなかった。培地単独とインキュベートして32J/cm
2に曝露した細胞で決定された場合のバックグラウンド細胞死(0%活性)は、細胞集団の15%未満であった。
【0676】
図23Bに示されるとおり、100ng/mLまたは500ng/mLのセツキシマブ-IRDYE 700DX(単独またはIRDye 700DXおよびAlexafluor488もしくはIRDye 800CWのいずれかに二重コンジュゲートされた)とインキュベートしたBxPC3細胞は、光依存性および濃度依存性の殺傷を示した。500ng/mLまたは100ng/mLで投薬された両方の二重コンジュゲートは、32J/cm
2でのPIT後、セツキシマブ-IRDye 700DX単独コンジュゲート対照の少なくとも90%の細胞殺傷を誘導した。光曝露を16J/cm
2まで低下させたとき、100ng/mLおよび500ng/mLの両方の濃度のセツキシマブ-IRDye 700DX-Alexafluor488で、PIT細胞殺傷が対照の60~70%にわずかに低下した。セツキシマブ-IRDye 700DX-IRDye 800については、PIT細胞殺傷は、両濃度で対照の50%未満まで低下した。セツキシマブ-IRDye 700DXは、16J/cm
2で顕著なレベルのPIT細胞殺傷を維持し、100ng/mLまたは500mg/mLのいずれかで少なくとも75%の細胞殺傷であった。その結果は、セツキシマブ-Alexafluor488およびセツキシマブ-IRDye 800単独コンジュゲートが、IRDye 700DXの存在なしではPIT細胞殺傷を誘導できなかったことを示した。500ng/mLのコンジュゲートとインキュベートしたが光に曝露しなかった細胞では細胞殺傷活性はまったく観察されなかった。培地単独とインキュベートして32J/cm
2に曝露した細胞で決定された場合のバックグラウンド細胞死(0%活性)は、細胞集団の10%未満であった。
【0677】
実施例20:セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲート、セツキシマブ-IRDye680RDコンジュゲート、およびセツキシマブ-IRDye 700+IRDye 680RD二重コンジュゲートの白色蛍光対緑色LED光に対する感受性
IRDye 700DXコンジュゲートの光からの保護が、光に曝露されたときに可溶性凝集体形成を形成するIRDye 700DXコンジュゲートのユニークな感受性に起因する特定の性質であるかどうかを評価するために研究を実施した。3つの異なるコンジュゲートを評価した:(1)セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲート、(2)セツキシマブ-IRDye 680RDコンジュゲート、および(3)セツキシマブ-IRDye 700+IRDye 680RD二重コンジュゲート。
【0678】
多くのフルオロフォアは、光への曝露がフルオロフォアの分解および蛍光特性の同時減少をもたらすようにこれらがそれほど光安定性でないため、光からの保護を必要とするが、IRDye 700DXは、比類のない光安定性色素である(例えば、Peng et al. Proceedings of SPIE 6097, 2006;www.licor.com/bio/products/reagents/irdye/700dx/photostability.htmlを参照のこと)。その色素の過度な光安定性に起因して、これは、IRDye 700DXが光から保護される必要がないことを示唆するだろう。しかしながら、IR700が標的化分子にコンジュゲートされたときに限り、可溶性凝集体形成を誘導するコンジュゲート分子の感受性が増加することに起因して、IR700は光保護を必要とすることが観察された。
【0679】
A. 抗体コンジュゲーション
全ての抗体を、同じアプローチを使用して色素(すなわち、IRDye 700DX、IRDye 600RD、または両方)にコンジュゲートさせた。
【0680】
セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートを実施例1に記載のとおり作製した。
【0681】
セツキシマブ-IRDye 680RDコンジュゲートを、実施例1に記載されるものと同じ一般プロトコルを使用して以下の改変を加えて作製した。セツキシマブの試料を、DMSO中に5mg/mLで溶解した4モル当量のIRDye 680RD(カタログNo. 929-70050; Li-COR, Lincoln, NE)とインキュベートした。コンジュゲーションにおける全ての他の工程、コンジュゲートの精製および特性決定プロセスは、セツキシマブ-IR700コンジュゲート調製について上記したものと同一であった。
【0682】
セツキシマブ-IRDye 700DX+IRDye 680RD二重コンジュゲートを、実施例1に記載されるものと同じ一般プロトコルを使用して以下の改変を加えて作製した。上記のプロトコルによって以前に調製されたセツキシマブ-IRDye 700DXの試料に、DMSO中に5mg/mLで溶解した4モル当量のIRDye 680RDを加えた。コンジュゲートの精製および特性決定プロセスを含むコンジュゲーションにおける全ての他の工程は、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲート調製について上記したものと同一であった。
【0683】
B. セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲート、セツキシマブ-IRDye 680RDコンジュゲート、およびセツキシマブ-IRDye 700+IRDye 680RD二重コンジュゲートの組成物に対する光事前曝露の効果
1試料当たり少なくとも30μLのコンジュゲートを抗体コンジュゲート濃度約1.8mg/mLで透明HPLCバイアルに入れた4つの異なる条件下で、可溶性凝集体の形成についてコンジュゲートを試験した。試料を、25℃で500ルクスの白色蛍光照明に、25℃で500ルクスの緑色LED照明(カタログNo: Green-ECS GP19 EcoSmart)に、25℃で光なし、または4℃で光なしで24時間曝露した。各処置条件下で24時間後、単量体純度、可溶性凝集体形成、および蛍光をサイズ排除クロマトグラフィーによって評価した。可溶性凝集体形成のパーセントを、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して280nmの吸光度で測定した。蛍光に対する処置の効果を評価するために、単量体について280nmの吸光度の領域で割った680nm(単量体ピークの領域)での蛍光を決定した。
【0684】
図24Aの結果は、IRDye 700DXとコンジュゲートされたセツキシマブが、白色光に曝露されたとき、IRDye 680RDとコンジュゲートされたセツキシマブと比較して可溶性凝集体形成に対する感受性の増加をもたらしたことを示した。白色蛍光へのセツキシマブ-IRDye 700DXの曝露は、可溶性凝集体形成の迅速な増加をもたらした。セツキシマブ-IRDye 700DXの緑色光曝露もまた、白色光の場合よりも非常に遅い速度であるが可溶性凝集体形成を増加させた。4℃または25℃のいずれかでインキュベートしたが光から保護された試料において、1%未満の可溶性凝集体形成が観察された。対照的に、白色蛍光へのセツキシマブ-IRDye 680RDの曝露は、可溶性凝集体形成の非常にわずかな増加をもたらし、これはセツキシマブ-IRDye 700DXの場合よりもはるかに少なかった。4℃または25℃でインキュベートしたが、光から保護されたかまたは緑色光に曝露されたセツキシマブ-IRDye 680RD試料は、可溶性凝集体形成のいかなる増加も示さなかった。示されるとおり、IRDye 700DXがセツキシマブ-IRDye 680RDにコンジュゲートされた二重コンジュゲートは、可溶性凝集体形成に対する白色光および緑色光曝露への感受性をもたらした。
【0685】
図24Bの結果は、セツキシマブ-IRDye 680RDコンジュゲートが、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートよりも白色光曝露により感受性であったことを示した。セツキシマブ-IRDye 700DXの全ての処置について、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートの蛍光は、500ルクスの24時間の白色蛍光曝露で可溶性凝集体形成が顕著に増加したにもかかわらず、安定なままであった。白色蛍光に24時間曝露されたセツキシマブ-IRDye 680RDは、試験した処置条件全てで最大の蛍光減少を示し、このことは、IRDye 680RDのいくつかが白色光曝露で退色された可能性が高いことを示唆している。また、IRDye 700DXがIRDye 680RDと二重コンジュゲートされたときに蛍光の減少が観察された。単一標識されたセツキシマブ-IRDye 700DXに基づいて、この蛍光の減少は、二重標識セツキシマブ-IRDye 700DX+IRDye680RDコンジュゲートについてのIRDye 680RD退色に起因した可能性が高い。
【0686】
したがって、その結果は、光に曝露されたときにIRDye 700DXコンジュゲートが可溶性凝集体形成を形成するユニークな感受性を有することを示した。光に曝露されたときにIRDye 700DXコンジュゲートにおいて可溶性凝集体形成が増加したにもかかわらず、IRDye 700DXコンジュゲートの蛍光特性は変化しなかったが、このことは、IRDye 700DXが光安定性色素である報告された公表された知見と一致している。全く対照的に、IRDye 680RDで標識された別のコンジュゲートの白色光曝露は、IRDye 700DXコンジュゲートの場合と比較して、可溶性凝集体形成の適度な増加をもたらしただけであった。IRDye 680RDコンジュゲートをIRDye 700DXおよびIRDye 680RDの両方で標識したときに限り、IRDye 680RDコンジュゲートで可溶性凝集体形成の増加が起こった。IRDye 680コンジュゲートは、光への曝露による光退色に感受性であった。
【0687】
データは、異なる波長の光に事前曝露されたセツキシマブ-IRDye 700DX、セツキシマブ-IRDye 680RD、およびセツキシマブ-IRDye 700DX+IRDye 680RDコンジュゲートが、可溶性凝集体形成および蛍光退色に異なる感受性を示すことを示す。提供されたデータは、製品製造の一貫性を確保するためにコンジュゲートの光保護が必要であることを裏付けている。具体的には、抗体-IRDye 700DXコンジュゲートのような標的化分子IRDye 700DXコンジュゲートについて、単量体純度および薬理学的活性の部分が必須であり、変化は光活性化殺傷活性に対して顕著な影響を与え得る。
【0688】
実施例21:コンジュゲートされていない、単一、または二重標識一次抗体の二次抗体-IRDye 700DXでの非共有標識を通したPIT
がん細胞に直接結合する抗体が、PIT殺傷活性を媒介するためにフタロシアニン光増感剤、例えばIRDye 700DXの直接コンジュゲーションを必要するかどうかを評価するための研究を実施した。二次抗体がコンジュゲートされたIRDye 700DXによって媒介される抗がん抗体の間接的標識もまた、有効なPIT殺傷活性を誘導することができる。
【0689】
さらに、二重コンジュゲートされた標的化分子のようなある状況では、色素-色素相互作用は減少した蛍光を、またIRDye 700DXコンジュゲートにとっては減少した光活性化殺傷活性を、もたらすことができる。コンジュゲートされていない、単一、または二重標識セツキシマブの二次IRDye700DXコンジュゲートでの間接的標識は、処置細胞からの蛍光シグナルおよび光活性化殺傷活性を顕著に増強させた。まとめると、これらの研究は、二重コンジュゲート間の、例えば二次抗体を通したまたはリンカーの付加による分離の増加は、IRDye 700DXコンジュゲートの蛍光および光活性化殺傷活性を増強し得ることを示す。
【0690】
A. 抗体コンジュゲーション
全ての抗体を、同じアプローチを使用して色素(すなわち、IRDye 700DX、IRDye 680RD、またはスルホCy7)にコンジュゲートさせた。
【0691】
セツキシマブ-IRDye 700DX、セツキシマブ-IRDye 680RD、およびセツキシマブ-IRDye 700DX+IRDye 680RDコンジュゲートを、実施例1および19に記載されたものと同じ一般プロトコルを使用して作製した。
【0692】
セツキシマブ-スルホCy7コンジュゲートを、セツキシマブ-IRDye 700DXについて記載されたものと同じ一般コンジュゲーションプロトコルを使用して、以下の変更を加えて作製した。セツキシマブの試料に、DMSO中に10mg/mLで溶解した2モル当量のスルホ-シアニン7-NHSエステル(カタログNo. 15320; Lumiprobe, Hallandale Beach, FL)を加えた。コンジュゲートの精製および特性決定プロセスを含むコンジュゲーションにおける全ての他の工程は、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲート調製について上記したものと同一であった。
【0693】
セツキシマブ-ロバ抗ヒトIRDye 700DXコンジュゲートについて、AffiniPureロバ抗ヒトIgG, Fcγ断片特異的(DxHu)抗体(カタログ番号: 709-005-098, Jackson ImmunoResearch Laboratories, West Grove, PA)をコンジュゲートするために使用される一般プロトコルを使用した。このプロトコルは、実施例1に記載されるセツキシマブ-IRDye 700DXとのより大スケールのコンジュゲーションに使用された工程と同様であった。3mg以下の抗体を使用するより小さいスケールの反応容量のためにプロトコルに対する変更がなされた。一次抗体の二次抗体-IRDye 700DXでの非共有標識をPITに関して使用することができるかどうかを評価するために、DxHu抗体をIRDye 700DX(IR700)で標識した。最初に、DxHu抗体溶液を、30,000ダルトン分子量カットオフ遠心分離フィルターを使用してリン酸緩衝食塩水(pH7)と交換し、次いで、リン酸緩衝液(pH=9)の添加によって抗体溶液のpHをpH8.5に調整した。IRDye 700DX NHSエステル(カタログNo. 929-70011; Li-COR, Lincoln, NE)の凍結された固体アリコートを室温で解凍し、次いで、DMSOで溶解して濃度10mg/mLを達成した。暗環境で、次いで、可溶化IRDye 700DX NHSエステルを抗体溶液に4(IRDye 700DX NHSエステル):1(抗体)のモル比で加えた。コンジュゲーション反応は、光から保護して25℃で2時間進行させた。グリシン(pH8.2)を終濃度10mMまで15分間かけて加え、反応をクエンチした。次いで、30,000ダルトン分子量カットオフ遠心分離フィルターを使用して、抗体コンジュゲート溶液をPBS(pH7)24mLと交換して、遊離色素、グリシン、およびグリシン-IRDye 700DXを除去し、pHを調整してpH7に戻した。抗体コンジュゲートをサイズ排除クロマトグラフィーで分析して、抗体-IRDye 700DX濃度、単量体純度、可溶性凝集体%、および抗体に対する色素の比を評価した。
【0694】
B.コンジュゲートされていない、単一、または二重コンジュゲートされた抗体と二次抗体ありまたはなしでの、BxPC3細胞から放射された蛍光の定量化
BxPC3細胞(#CRL-1687, ATCC, Manassas VA)を、250ng/mLの抗EGFR抗体、セツキシマブ(Myoderm USA, Norristown, PA)、セツキシマブ-IRDye 700DX(IRDye 700DXに直接コンジュゲートされたセツキシマブ)、セツキシマブ-IRDye 680RD(IRDye 680RDに直接コンジュゲートされたセツキシマブ)、セツキシマブ-Cy7-SO3(スルホン酸化Cy7と直接コンジュゲートされたセツキシマブ)、セツキシマブ-IRDye 700DX+IRDye 680RD(IRDye 700DXおよびIRDye 680RDと直接コンジュゲートされたセツキシマブ)、およびセツキシマブ-IR700+スルホCy7(IRDye 700DXおよびスルホン酸化Cy7と直接コンジュゲートされたセツキシマブ)の、ありまたはなしで、10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI-1640培地(完全培養培地)中、4℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を完全培養培地で1回洗浄し、完全培養培地で希釈された2μg/mLのロバ抗ヒトIRDye 700DXがコンジュゲートされた(DxHu IR700)二次抗体のありまたはなしで4℃にて30分間インキュベートし、次いで、完全培養培地で1回洗浄した。細胞をPBSで2回洗浄し、無酵素細胞解離緩衝液(カタログNo: S-014-C, Millipore, Billerica, MA)とインキュベートした。細胞懸濁液を新しいチューブに移し、1%ウシ血清アルブミンを含有するPBSで希釈した。
【0695】
蛍光抗体で染色された細胞からの蛍光シグナルをAttune Flow Cytometer(Thermo Scientific, Waltham, MA)で測定した。633nmレーザー、ならびに645nmダイクロイックロングパスフィルター、740nmダイクロイックロングパス、および690/50nmバンドパスフィルターを通過した蛍光。測定された蛍光を、培地のみの未染色対照に対して正規化して、蛍光シグナルの増加倍率を評価した。
【0696】
C. PIT殺傷活性の評価:PIT殺傷活性の特異性
BxPC3細胞(#CRL-1687, ATCC, Manassas VA)を、250ng/mLの抗EGFR抗体、セツキシマブ(Myoderm USA, Norristown, PA)、セツキシマブ-IR700(IRDye 700DXに直接コンジュゲートされたセツキシマブ)、セツキシマブ-IRDye 680RD(IRDye 680RDに直接コンジュゲートされたセツキシマブ)、セツキシマブ-Cy7-SO3(スルホン酸化Cy7と直接コンジュゲートされたセツキシマブ)、セツキシマブ-IRDye 700DX+IRDye 680RD(IRDye 700DXおよびIRDye 680RDと直接コンジュゲートされたセツキシマブ)、およびセツキシマブ-IRDye 700DX+スルホCy7(IR700およびスルホン酸化Cy7と直接コンジュゲートされたセツキシマブ)の、ありまたはなしで、10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI-1640培地(完全培養培地)中、4℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を完全培養培地で1回洗浄し、完全培養培地で希釈された2μg/mLのロバ抗ヒトIRDye 700DXがコンジュゲートされた(DxHu IR700)二次抗体のありまたはなしで4℃にて30分間インキュベートし、次いで、完全培養培地で1回洗浄した。次いで、細胞に、690nmレーザーを16J/cm2の光線量で照明するかまたは光から保護した(「光なし」)。
【0697】
細胞死に対する異なる処置レジメンの効果を、蛍光染色液CellTox Green(カタログNo: G8731, Promega, Madison, WI)を使用して測定した。CellTox Greenは、DNAに結合すると増加した蛍光を示す非浸透性の蛍光色素である。それゆえ、形質膜に障害のあった細胞だけが、強いCellTox Green染色を示す。光処置後、全ての細胞を、完全培養培地中で希釈した1×CellTox Green試薬とインキュベートした。いかなる細胞も含まなかったウェルもまた、完全培養培地中で希釈した1×CellTox Green試薬とインキュベートし、蛍光シグナル検出の間のバックグラウンド減算ウェルとした。光処置の24時間後に蛍光プレートリーダーを使用して、CellTox Green蛍光シグナルを測定した。次いで、細胞を洗剤で溶解し、37℃で30分間インキュベートし、溶解後にCellTox Green蛍光シグナルを再度測定した。バックグラウンド(細胞なしの完全培養培地中の1×CellTox Green)が減算された溶解の前後の1ウェル当たりのCellTox Greenシグナルの比を取得し、その比に100を掛けることによって、死細胞のパーセントを算出した。
【0698】
表15は、コンジュゲートされていない、単一、または二重標識セツキシマブと二次抗体-IRDye 700DXコンジュゲートとを用いて処置した後のBxPC3細胞の蛍光を示す。その結果は、コンジュゲートされていない、単一、または二重標識セツキシマブの二次抗体-IRDye 700DXコンジュゲートでの非共有標識が、BxPC3標識細胞の蛍光を増加させることを示す。BxPC3細胞を、250ng/mLのセツキシマブのみと、または一次抗体なしであるが2μg/mLのロバ抗ヒトIRDye 700DXありと、およびセツキシマブ-スルホCy7と、インキュベートした。細胞を一次および二次ロバ抗ヒトIRDye 700DXの両方で処置された全ての処置は、同じ一次抗体で処置されたがロバ抗ヒトIRDye 700DX二次抗体なしの場合と比較して相対的な蛍光シグナルの増強をもたらした。最高の蛍光増加を生成した処置は、BxPC3細胞をセツキシマブ-IRDye 680RDで、続いてロバ抗ヒトIRDye 700DXで標識した処置8であった。
【0699】
(表15)コンジュゲートされていない、単一、または二重標識セツキシマブと二次抗体IRDye 700DXコンジュゲートとを用いた処置後のBxPC3細胞の蛍光
【0700】
表16に示されるとおり、例示的な二重コンジュゲートを用いた結果は、いくつかの場合では、二重コンジュゲートされたセツキシマブ、例えばセツキシマブ-IRDye 700DX+IRDye 680RDおよびセツキシマブ-IRDye 700DX+スルホCy7が、単一標識セツキシマブ-IRDye 700DXの場合と比較して減少した光活性化殺傷を示したことを示しており、このことは、二重コンジュゲートが光活性化殺傷効力を妨害することができたことを示している。セツキシマブ-IRDye 700DX+IRDye 680RDについて、低減した殺傷活性は、IRDye 700DXとIRDye 680と間のスペクトルの重複に起因し、それによって光活性化殺傷を媒介するIRDye 700DXによって吸収される光子を低減し得る。セツキシマブ-IRDye 700DX+スルホCy7について、セツキシマブ-IRDye 700DX単独の場合と相対的な光活性化殺傷の顕著な低減は、IRDye 700DXクエンチングをもたらす色素-色素間相互作用に起因する可能性が高く、これは、セツキシマブ-IRDye 700DX+スルホCy7とインキュベートしたBxPC3細胞からの蛍光が、単一標識セツキシマブ-IRDye 700DXで染色された細胞の場合と比較して減少することと一致する。
【0701】
しかしながら、細胞殺傷の程度は、IRDye 700Dxにコンジュゲートされた二次抗体の存在下で増加し、このことは、二次抗体と組み合わせたときに二重コンジュゲートがPIT効力を妨害しなかったことを示している。表16のデータは、ロバ抗ヒトIRDye 700DX(DxHu IR700)二次抗体で標識されたセツキシマブコンジュゲートがBxPC3細胞の光活性化殺傷を増強したことを示した。増加した細胞死は、IRDye 700DXまたは二次抗ヒトIRDye 700DX抗体のいずれかと直接コンジュゲートされたセツキシマブで細胞を処置して、細胞を690nmレーザーで照明したときにのみ観察された。690nmレーザーに曝露しなかった全ての処置におけるバックグラウンド細胞死は類似していた。細胞を一次および二次ロバ抗ヒトIRDye 700DXの両方で処置された全ての処置は、同じ一次抗体で処置されたがロバ抗ヒトIRDye 700DX二次抗体なしの場合と比較して、相対的な光活性化細胞殺傷の増強をもたらした。
【0702】
(表16)BxPC3細胞のPITに対するセツキシマブおよびロバ抗ヒトIR700(DxHu IR700)二次抗体の効果
【0703】
本発明は、例えば本発明の種々の局面を例示するために提供される、特定の開示された態様に範囲が限定されることを意図していない。記載の組成物および方法に対する種々の改変は、本明細書の記載および教示から明らかとなるであろう。このような変形は、本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく実践してよく、これが本開示の範囲内にあることが意図される。
【0704】