(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046702
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】積層体の製造方法および積層体
(51)【国際特許分類】
D04H 3/16 20060101AFI20220315BHJP
B32B 5/26 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
D04H3/16
B32B5/26
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021214329
(22)【出願日】2021-12-28
(62)【分割の表示】P 2020077120の分割
【原出願日】2016-02-02
(31)【優先権主張番号】15153790.9
(32)【優先日】2015-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】505313830
【氏名又は名称】ライフェンホイザー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト・マシイネンファブリーク
(71)【出願人】
【識別番号】516034957
【氏名又は名称】ファイバーテクス・パーソナル・ケア・アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン・ゾンマー
(72)【発明者】
【氏名】モーデン・リーセ・ハンスン
(72)【発明者】
【氏名】ミケール・ストール・アクセルスン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数のスパンボンド不織布層から成る積層体の製造方法であって、高い柔軟性と優れた嵩高性とともに、剛性と強度の点でも優れた積層体が得られる製造方法を提供する。
【解決手段】連続フィラメントから成る少なくとも2層のスパンボンド不織布層2を有する積層体1の製造方法であって、まず非捲縮性の連続フィラメントおよび/または微捲縮性の連続フィラメントが堆積された少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層を製造する。第一のスパンボンド不織布層は、少なくとも1つの熱ロール4および/またはカレンダーロール7によって圧縮または予備固定される。その後、捲縮性の連続フィラメントまたはより捲縮性の強い連続フィラメントが、第一のスパンボンド不織布層上に堆積されて、少なくとも1層の第二のスパンボンド不織布層3が形成され、前記の積層されたスパンボンド不織布層から成る集合体を固定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続フィラメントから成る、少なくとも2層のスパンボンド不織布層(2,3)を有する積層体(1)の製造方法であって、
非捲縮性の連続フィラメントおよび/または微捲縮性の連続フィラメントを堆積させて、少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層(2)とし、少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層(2)を、少なくとも1つの熱ロール(4)および/または少なくとも1つのカレンダーロールによって圧縮または予備固定し、
それに引き続き、捲縮性の連続フィラメントまたは第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントと比較してより捲縮性の強い連続フィラメントを、第一のスパンボンド不織布層(2)上に堆積させて、少なくとも1層の第二のスパンボンド不織布層(3)とし、
その後に、少なくとも2層のスパンボンド不織布層(2,3)から成る集合体を固定することで、積層体の全厚さdを0.15~3mm、好ましくは0.2~2.5mm、有利には0.2~2mmとする、製造方法。
【請求項2】
積層体の全厚さdが、1.5mm未満、有利には1mm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第一のスパンボンド不織布層(2)のための連続フィラメントとして、単成分フィラメントおよび/または対称的または同芯的な構成を有する多成分フィラメントもしくは二成分フィラメントが使用され、とりわけ同芯的なコア-シェル型構成を有する多成分フィラメントまたは二成分フィラメントが使用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントが、少なくとも1種のポリオレフィンから成るか、または少なくとも1種のポリオレフィンから本質的に成り、とりわけポリプロピレンおよび/もしくはポリエチレンから成り、またはポリプロピレンおよび/もしくはポリエチレンから本質的に成る、請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
第二のスパンボンド不織布層(3)のための連続フィラメントとして、自然捲縮または潜在捲縮を有するフィラメントが使用される、請求項1から4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
第二のスパンボンド不織布層(3)のための連続フィラメントとして、サイドバイサイド構成を有する多成分フィラメントもしくは二成分フィラメント、および/または偏芯的もしくは非対称的な断面構成を有する多成分フィラメントもしくは二成分フィラメントが使用され、とりわけ偏芯的なコア-シェル型構成を有する多成分フィラメントもしくは二成分フィラメントが使用される、請求項1から5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
多成分フィラメントまたは二成分フィラメントの少なくとも1つの成分は、少なくとも1種のポリオレフィンから成るか、または少なくとも1種のポリオレフィンから本質的に成る、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第二のスパンボンド不織布層(3)は、少なくとも1つの熱ロール(5)によって圧縮または予備固定され、その際、有利には、第一のスパンボンド不織布層(2)の圧縮または予備固定のための第一の熱ロール(4)の温度は、第二のスパンボンド不織布層(3)の圧縮または予備固定のための第二の熱ロール(8)の温度よりも高い、請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
第一のスパンボンド不織布層(2)と第二のスパンボンド不織布層(3)とから成る集合体または積層体(1)のための層集合体を最終固定し、好ましくは少なくとも1つのカレンダー(6)および/または少なくとも1つの熱風炉によって最終固定する、請求項1から8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記方法、または1回以上の圧縮および/もしくは1回以上の予備固定および/もしくは1回以上の固定が、積層体(1)中の第一のスパンボンド不織布層(2)の厚さd1が、0.05~0.6mm、有利には0.1~0.3mmである、および/または積層体(1)中の第二のスパンボンド不織布層(3)の厚さd2が、0.15~2.8mm、有利には0.2~2.5mm、非常に有利には0.2~0.95mmであるという条件つきで実施される、請求項1から9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層(2)と少なくとも1層の第二のスパンボンド不織布層(3)とから成る(完成した)積層体の長手方向剛性sLは、少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層の材料から成る比較不織布または比較積層体の長手方向剛性sVの20~80%であり、有利には40~65%であり、比較不織布または比較積層体は、積層体と同じ目付を有し、かつ第一のスパンボンド不織布層と同じ条件下で処理および/または予備固定および/または固定したものである、請求項1から10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
スパンボンド不織布層(2,3)は、第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントが、機械方向(MD)において、第二のスパンボンド不織布層(3)の連続フィラメントよりも強く配向されているという条件つきで作製または堆積される、請求項1から11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
連続フィラメントから成る、少なくとも2層のスパンボンド不織布層(2,3)を有する積層体であって、
少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層(2)が、非捲縮性の連続フィラメントおよび/もしくは微捲縮性の連続フィラメントから成るか、または非捲縮性の連続フィラメントおよび/もしくは微捲縮性の連続フィラメントから本質的に成り、少なくとも1層の第二のスパンボンド不織布層(3)が、捲縮性の連続フィラメントまたは第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントと比較してより捲縮性の強い連続フィラメントから成るか、または捲縮性の連続フィラメントまたは第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントと比較してより捲縮性の強い連続フィラメントから本質的に成り、
積層体の全厚さdが0.15~3mm、好ましくは0.2~2.5mm、有利には0.2~2mmであるとともに、積層体(1)の目付が、8~80g/m2、好ましくは10~40g/m2、有利には12~30g/m2、非常に有利には20~25g/m2である、積層体。
【請求項14】
第一のスパンボンド不織布層(2)の厚さd1と、第二のスパンボンド不織布層(3)の厚さd2との厚さ比が、1:0.8~1:6であり、有利には1:2~1:4である、請求項13に記載の積層体。
【請求項15】
少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層(2)の質量が、積層体の全質量の30~70%である、請求項13または14に記載の積層体。
【請求項16】
第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントが、1.0から2.5デニールまでの、有利には1.2から2デニールまでの繊度を有する、および/または第二のスパンボンド不織布層(3)の連続フィラメントが、1.2から4デニールまでの、有利には1.8から2.5デニールまでの繊度を有する、請求項13から15のいずれか一つに記載の積層体。
【請求項17】
第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントのフィラメント直径が、第二のスパンボンド不織布層(3)の連続フィラメントのフィラメント直径よりも小さい、請求項13から16のいずれか一つに記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続フィラメントから成る、とりわけ熱可塑性プラスチック製の連続フィラメントから成る少なくとも2層のスパンボンド不織布層を有する積層体の製造方法に関する。本発明の対象は、更に、連続フィラメントから成る少なくとも2層のスパンボンド不織布層を有する積層体である。連続フィラメントは、公知のとおり、それらのいわばエンドレスな長さに基づいて、例えば10mmから60mmまでのずっと短い長さを有する短繊維とは区別される。本発明による積層体のスパンボンド不織布層のための連続フィラメントを、少なくとも1種の紡糸機または少なくとも1種の紡糸口金で作製することは本発明の範囲内にある。
【背景技術】
【0002】
スパンボンド不織布から成る積層体の製造方法は、実践から様々な実施形態で公知である。とりわけ衛生用途のためには、十分な柔軟性を有するスパンボンド不織布積層体またはスパンボンド不織布が望まれる。その場合に、潜在捲縮性の連続フィラメントを使用することによってスパンボンド不織布の柔軟性を高めることが公知である。その連続フィラメントは、例えば偏芯的なコア-シェル型構成を有する二成分フィラメントであってよい。スパンボンド不織布の柔軟性は、軟質な原材料の使用によって高めることができる。しかしその場合には、非常に柔軟なスパンボンド不織布が、同時に、機械的に柔軟であるか、または機械的にあまり安定でもなく、より大きな応力または引張応力に十分に耐えることができないので、目的と矛盾してしまう。スパンボンド不織布を、それらの強度を高めるために、例えばカレンダーを用いて熱固定すると、これはスパンボンド不織布の柔軟性と嵩高性には不利になり、やや平坦ではあるが機械的に安定なスパンボンド不織布が結果として得られる。その限りにおいて、そのような製造方法では、不織布の機械的強度または引張強さおよび寸法安定性と、スパンボンド不織布の柔軟性または嵩高性とは競合し合う。公知の方法において、ここでは一般的に満足のいく折り合いは達成されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の基礎をなす技術的課題は、冒頭で述べた種類の方法であって、それによりスパンボンド不織布層から成る積層体を製造可能であり、ここで積層体が、一方では高い柔軟性と嵩高性の点で優れているとともに、他方では十分な剛性と強度または引張強さの点で優れている方法を提示することである。更に、本発明の基礎をなす技術的課題は、対応するスパンボンド不織布層から成る積層体を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
技術的課題の解決のために、本発明は、連続フィラメントから成る、とりわけ熱可塑性プラスチック製の連続フィラメントから成る少なくとも2層のスパンボンド不織布層を有する積層体の製造方法であって、
非捲縮性の連続フィラメントおよび/または微捲縮性の連続フィラメントを堆積させて、少なくとも1層の第一の下側のスパンボンド不織布層とし、この少なくとも1層の第一の下側のスパンボンド不織布層を、少なくとも1つの熱ロールおよび/またはカレンダーロールによって圧縮または予備固定し、
それに引き続き、捲縮性の連続フィラメントまたは第一のスパンボンド不織布層の連続フィラメントと比較してより捲縮性の強い連続フィラメントを、第一のスパンボンド不織布層上に堆積させて、少なくとも1層の第二の上側のスパンボンド不織布層とし、
これらの少なくとも2層のスパンボンド不織布層から成る集合体を固定することで、積層体の全厚さdを0.15mm~3mm、好ましくは0.2mm~2.5mm、有利には0.2mm~2mmとする、製造方法を教示する。本発明の特に望ましい実施形態によれば、積層体の全厚さdは、1.5mm未満、有利には1mm未満である。本発明の特に有利な一実施形態は、積層体の全厚さdが0.2mm~1mmであり、望ましくは0.3mm~0.8mmであることを特徴とする。積層体の全厚さdは、その場合に、DIN EN ISO 9073-2(1997年2月)に従って、詳しくは通常の不織布のための測定法5.1に従って測定する。その場合に、2500mm2の円形の押し当て面が、0.5kPaの圧力で衝撃を与えずにレファレンスプレート上に載っている積層体試料に対して押しつけられる。押し当て面と積層体との最初の接触の10秒後に、両方のプレートの間隔が積層体の全厚さdとして測定される。
【0005】
下側のスパンボンド不織布層とは、本発明の範囲内においては、最初に堆積されたか、またはより早い段階で堆積された、連続フィラメントから成るスパンボンド不織布層を指すのに対して、上側のスパンボンド不織布層とは、下側のスパンボンド不織布層上にその後に堆積されたか、またはより遅い段階で堆積された、連続フィラメントから成るスパンボンド不織布層を指す。少なくとも1層の第一の下側のスパンボンド不織布層および少なくとも1層の第二の上側のスパンボンド不織布層を、スパンボンド法によりまたはスパンボンド層として作製することは本発明の範囲内にある。そのために、連続フィラメントは、それぞれ最初に紡糸ヘッドまたは紡糸口金から紡糸される。紡糸された連続フィラメントは、適切にはその後に冷却チャンバ内で冷却され、延伸機内で延伸される。冷却および延伸は、その場合、とりわけ冷却ユニットと延伸ユニットとが組み合わされたものにおいて行われる。連続フィラメントの延伸は、空力による延伸として行われることが望ましい。冷却チャンバと延伸機との集成装置、または冷却ユニットと延伸ユニットとが組み合わされたものは、冷却チャンバまたは冷却ユニットでの給気を除いて、閉鎖系として構成されていることは本発明の範囲内にある。つまり、この集成装置内では、上述の冷却チャンバまたは冷却ユニットでの給気以外に更なる給気は行われない。この閉鎖系の実施形態は、本発明による積層体の製造のために特に有効であることが実証された。本発明の有利な一実施形態によれば、冷却および延伸された連続フィラメントは、両者のスパンボンド不織布層のために、少なくとも1つのディフューザを通って案内され、それに引き続き、堆積部の上に、とりわけ堆積スクリーンベルトの上に堆積される。適切には、最初に第一の下側のスパンボンド不織布層のための連続フィラメントを、そして引き続き第二の上側のスパンボンド不織布層のための連続フィラメントを、堆積部または堆積スクリーンベルトの上に堆積させる。原則的には、最初に第二の上側のスパンボンド不織布層のための連続フィラメントを、堆積部または堆積スクリーンベルトの上に堆積させ、その後に第一の下側のスパンボンド不織布ウェブの連続フィラメントを、堆積部または堆積スクリーンベルトの上に堆積させることも可能であろう。その他の点では、スパンボンド不織布層(またはスパンボンド層)間に、メルトブローン繊維製の少なくとも1層のメルトブローン層が配置されることは本発明の範囲内にある。更に、少なくとも1層のメルトブローン層が、非捲縮性のメルトブローン繊維を有することは本発明の範囲内にある。
【0006】
本発明によれば、少なくとも1層の第一の下側のスパンボンド不織布層は、少なくとも1つの熱ロールおよび/またはカレンダーロールによって圧縮または予備固定する。それによって、つまり第一の下側のスパンボンド不織布層の圧縮またはある程度の固定が行われる。その場合に、第一の下側のスパンボンド不織布層を、上側のスパンボンド不織布層と比較して、相対的に目の詰まった、剛性の、そして引張に強い層として形成することを意図している。第一の下側のスパンボンド不織布層は、適切には積層体全体の安定性をとりわけ決定づけることになる。本発明の一実施形態によれば、少なくとも1層の下側のスパンボンド不織布層の厚さは、その上側に配置される少なくとも1層の第二の上側のスパンボンド不織布層の厚さよりも薄い。少なくとも1層の下側のスパンボンド不織布層の密度が、その上側に配置される少なくとも1層の第二の上側のスパンボンド不織布層の密度よりも高いか、または明らかに高いことは本発明の範囲内にある。十分な全体安定性または十分な積層体の結束性を達成するために、少なくとも2層のスパンボンド不織布層が固定される。その場合に、予備固定と最終固定とを行うことができるか、または層集合体の最終固定だけを行うこともできる。
【0007】
本発明による方法により製造された積層体は、第一に、とりわけ機械方向において満足のいく安定性または寸法安定性を特徴としている。積層体は、全体的に十分に目が詰まっていて、十分な剛性を有している。そのうえ、積層体は、比較的高い柔軟性と嵩高性を特徴としている。その場合に、安定性と剛性は、まずは第一の下側のスパンボンド不織布層によって保証され、柔軟性または嵩高性は、第二の上側のスパンボンド不織布層によって保証される。更に、積層体は、良い触感と、比較的低い密度とを有する。
【0008】
第一の下側のスパンボンド不織布層のために、対称的または同芯的な構成(断面構成)を有する単成分フィラメントおよび/または多成分フィラメントまたは二成分フィラメントが使用されることは本発明の範囲内にある。特に有利には、その場合には、同芯的または対称的なコア-シェル型構成を有する多成分フィラメントまたは二成分フィラメントが使用される。しかし原則的に、その他の対称的な断面構成、例えば3葉形状等を使用することもできる。適切には、第一の下側のスパンボンド不織布層の連続フィラメントの少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも90重量%、有利には少なくとも95重量%、非常に有利には少なくとも98重量%は、対称的な断面構成を有する単成分フィラメントおよび/または上記の多成分フィラメントまたは二成分フィラメントから成る。
【0009】
第一の下側のスパンボンド不織布層の連続フィラメントが、少なくとも1種のポリオレフィンから成るか、または少なくとも1種のポリオレフィンから本質的に成ることが望ましい。好ましくは、第一の下側のスパンボンド不織布層の連続フィラメントは、ポリプロピレンおよび/もしくはポリエチレンから成るか、またはポリプロピレンおよび/もしくはポリエチレンから本質的に成る。第一の下側のスパンボンド不織布層のために単成分フィラメントを使用する場合に、これらのフィラメントは、適切にはポリプロピレンから成るか、またはポリプロピレンから本質的に成る。第一の下側のスパンボンド不織布層の連続フィラメントのために二成分フィラメントまたは多成分フィラメントが使用される場合に、これらの連続フィラメントの少なくとも1つの成分は、少なくとも1種のポリオレフィン、好ましくはポリプロピレンおよび/またはポリエチレンから成る。本発明による方法の有利な一実施形態は、第一の下側のスパンボンド不織布層のために同芯的なコア-シェル型構成を有する連続フィラメントまたは多成分フィラメント/二成分フィラメントを使用することを特徴としている。その場合に、コア部は、適切にはポリプロピレンから成り、かつシェル部は、有利にはポリエチレンから成る。コア部対シェル部の重量比またはポリプロピレン対ポリエチレンの重量比は、その場合に、望ましくは50:50~80:20、有利には70:30である。その他の点では、本発明は、コア部中のポリプロピレン分率がより高いことが本発明による積層体の安定性のためには非常に役立つものであるか、または本質的なことであるという認識に基づいている。
【0010】
本発明の特に望ましい一実施形態は、第二の上側のスパンボンド不織布層のための連続フィラメントとして、自然捲縮または潜在捲縮傾向を有する連続フィラメントを使用することを特徴としている。適切には、第二の上側のスパンボンド不織布層の少なくとも85重量%が、好ましくは少なくとも90重量%が、有利には少なくとも95重量%が、非常に有利には少なくとも98重量%が、自然捲縮または潜在捲縮を有する連続フィラメントから成る。原材料の選択と工程調節の選択によって、これらの連続フィラメント中に内在捲縮傾向を引き起こすことは本発明の範囲内にある。
【0011】
本発明の特に有利な実施形態によれば、第二の上側のスパンボンド不織布層のための連続フィラメントとして、サイドバイサイド構成(side-by-side-Konfiguration)を有する多成分フィラメントまたは二成分フィラメントが使用される。更なる一実施形態によれば、偏芯的または非対称的な断面構成を有する、とりわけ偏芯的または非対称的なコア-シェル型構成を有する多成分フィラメントまたは二成分フィラメントが使用される。好ましくは、第二の上側のスパンボンド不織布層のための連続フィラメントの少なくとも85重量%が、適切には少なくとも90重量%が、有利には少なくとも95重量%が、非常に有利には少なくとも98重量%が、そのようなサイドバイサイド構成および/または偏芯的な断面構成を有するフィラメントまたは多成分フィラメントから成る。
【0012】
本発明の有利な一実施形態は、第二のスパンボンド不織布層のための多成分フィラメントまたは二成分フィラメントの少なくとも1つの成分が、少なくとも1種のポリオレフィンから成るか、または少なくとも1種のポリオレフィンから本質的に成ることを特徴としている。適切には、多成分フィラメントまたは二成分フィラメントの全ての成分は、少なくとも1種のポリオレフィンから成るか、または少なくとも1種のポリオレフィンから本質的に成る。しかし原則的に、それらの成分のために、その他の原材料、とりわけポリアミドまたはポリエチレンテレフタレートも可能である。それらのポリオレフィンは、とりわけポリプロピレンおよび/またはポリエチレンである。本発明の一実施形態によれば、第二の上側のスパンボンド不織布層のためには、サイドバイサイド構成の二成分フィラメントが想定されており、その場合に一方の成分はポリプロピレンから成り、もう一方の成分はポリエチレンから成り、その際に、ポリプロピレン対ポリエチレンの比率は、40:60~60:40である。
【0013】
本発明のもう一つの有利な実施形態によれば、第二の上側のスパンボンド不織布層のための潜在捲縮傾向を有する連続フィラメントとしては、少なくとも2種の異なるポリプロピレン製の多成分フィラメントまたは二成分フィラメントが使用される。異なるポリプロピレンとは、これ以降において、とりわけ異なるモル質量分布および/または異なる粘度および/または異なるアイソタクチシティを有するポリプロピレンを指す。ポリプロピレンとして、有利にはポリプロピレン-ホモポリマーおよび/またはポリプロピレン-コポリマーが使用される。本発明の望ましい一実施形態によれば、第二のスパンボンド不織布層の連続フィラメントのためには、サイドバイサイド構成の二成分フィラメントが使用され、その場合にそれらの二成分フィラメントの両者の成分は、異なるポリプロピレンから成る。本発明の更なる有利な一実施形態によれば、第二の上側のスパンボンド不織布層の連続フィラメントのためには、非対称的な断面構成を有する多成分フィラメントまたは二成分フィラメントが使用され、これらの多成分フィラメントまたは二成分フィラメントは、個々の成分について異なるポリプロピレンを有する。
【0014】
本発明の一実施形態は、第二の上側のスパンボンド不織布層を、熱風を用いて圧縮または予備固定することを特徴としている。そのために、とりわけ第二の上側のスパンボンド不織布層に有利には上方から当たる少なくとも1つのホットエアーナイフを使用することができる。本発明による方法の別の一実施形態によれば、第二の上側のスパンボンド不織布層を、少なくとも1つの熱ロール(高温の搬出ロール)によって圧縮または予備固定する。本発明による方法の望ましい一変形形態によれば、第一の下側のスパンボンド不織布層の圧縮または予備固定のための第一の熱ロールの温度は、第二の上側のスパンボンド不織布層の圧縮または予備固定のための第二の熱ロールの温度よりも高い。適切には、熱ロールの温度差に代えて、かなり特に有利には上記説明の温度差に加えて、第一の下側のスパンボンド不織布層の圧縮または予備固定のための第一の熱ロールの押圧力は、第二の上側のスパンボンド不織布層の圧縮または予備固定のための第二の熱ロールの押圧力よりも高い。本発明による方法の一実施形態は、第一の下側のスパンボンド不織布層の圧縮または予備固定のための第一の熱ロールの温度が、100~130℃であり、かつ第二の上側のスパンボンド不織布層の圧縮または予備固定のための第二の熱ロールの温度が、70~100℃であることを特徴としている。その場合に、それらの温度を、堆積速度の増大にともなって上げることは本発明の範囲内にある。
【0015】
更に、第一の下側のスパンボンド不織布層と第二の上側のスパンボンド不織布層とから成る集合体または積層体のための層集合体を最終固定し、好ましくは少なくとも1つのカレンダーによって最終固定することは本発明の範囲内にある。原則的には、積層体の熱風による最終固定を行うこともできる。本発明による方法の一変形形態によれば、両者のスパンボンド不織布層中の成分として、低融点熱可塑性プラスチック、とりわけ低融点ポリエチレンが存在する。このようにして、積層体の非常に効果的な最終固定を達成することができる。
【0016】
本発明による方法、または1回以上の圧縮および/もしくは1回以上の予備固定および/もしくは1回以上の固定を、本発明による方法の範囲において、積層体中の第一の下側のスパンボンド不織布層の厚さd1が、0.05~0.6mm、有利には0.1~0.3mm、非常に有利には0.15~0.2mmである、および/または積層体中の第二の上側のスパンボンド不織布層の厚さd2が、0.15~2.8mm、有利には0.2~2.5mm、非常に有利には0.2~0.95mmであるという条件つきで実施することが望ましい。積層体中のスパンボンド不織布層の個々の厚さd1およびd2は、その場合に有利な実施形態によれば、以下に記載のように測定される。最初に、上記で説明のとおりに積層体の全厚さを、DIN EN ISO 9073-2(1997年2月)に従って測定する。引き続き、積層体を、位置決め可能な表面によって、こうして測定された積層体の全厚さにまで圧縮する。こうして生じた不織布容積を、適切には、好ましくは透明な注型用樹脂によって満たして、その後に樹脂を硬化させる。このようにして安定化された積層体に対して、次いで個々の層の厚さを測定することができる。このために、例えば積層体の表面に対して直交して切断した後に、それらの層の個々の厚さを光学的に測定することができる。また、積層体を上から見て、とりわけ走査型顕微鏡検査法によって積層体における個々の境界面とそれらの高さ位置の把握を行うこともできる。
【0017】
本発明の特に有利な一実施形態は、本発明による積層体のスパンボンド不織布層が、第一の下側のスパンボンド不織布層の連続フィラメントが、機械方向(MD)において、第二の上側のスパンボンド不織布層の連続フィラメントよりも強く配向されているという条件つきで作製または堆積されることを特徴としている。その限りにおいて、第一の下側のスパンボンド不織布層は、機械方向において、積層体の第二の上側のスパンボンド不織布層よりも高い剛性を有する。第一の下側のスパンボンド不織布層は、第二の上側のスパンボンド不織布層と比較して、より目が詰まった、より剛性であり、そしてより密なスパンボンド不織布層である。第一の下側のスパンボンド不織布層は、適切には製品全体の安定性を決定づける。
【0018】
本発明による方法の非常に望ましい一実施形態は、少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層と少なくとも1層の第二のスパンボンド不織布層とから成る完成された積層体の長手方向剛性sLが、比較不織布または比較積層体の長手方向剛性sVの20~80%、有利には40~65%であることを特徴としている。その場合に、比較不織布または比較積層体は、積層体の少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層と同じ材料から成るとともに、比較不織布または比較積層体は、積層体と同じ目付を有する。更に、比較不織布または比較積層体は、積層体と同じ装置を用いて、かつ積層体と同じ条件下で製造された。その場合に、比較不織布または比較積層体が、積層体と同じ層の数またはスパンボンド不織布層の数を有することと、比較不織布または比較積層体の全ての層またはスパンボンド不織布層が、積層体の第一のスパンボンド不織布層と同じ条件下で製造されることは本発明の範囲内にある。とりわけ、予備固定または固定は、積層体の第一のスパンボンド不織布層の予備固定または固定と同様にして行われる。こうして、例えば積層体の第一のスパンボンド不織布層を5~22%の溶着面を有するカレンダーによって予備固定する場合に、比較不織布/比較積層体の予備固定または固定もこの5~22%の溶着面を有するカレンダーによって行われる。
【0019】
(完成された)積層体の長手方向剛性sLおよび比較不織布または比較積層体の長手方向剛性sVは、本発明の範囲内においては、とりわけ積層体または比較不織布/比較積層体の5%伸張時応力として応力-ひずみ曲線から測定され、その場合に、長手方向剛性は、好ましくは積層体または比較不織布/比較積層体の目付に対して正規化されるため、長手方向剛性の単位は、(N/5cm)/(g/m2)である。長手方向剛性または応力-ひずみ曲線の測定を、EDANA 20.2-89に従って行うことは本発明の範囲内にある。更に、その場合に50mmの幅を有する不織布試料または積層体試料が、100mmの間隔で2つの把持装置の間に張り付けられ、こうして試料の試験される/測定される長さが100mmであることは本発明の範囲内にある。引き続き、この不織布試料または積層体試料を、引張機によって0.5Nの予備応力になるまで100mm/分の送りで引っ張る。この状態で次に、測定値をゼロに戻し、本来の測定を開始する。引張機は、その場合に200mm/分の送りまたは引張速度で稼働させる。既に上記で説明したように、つまり長手方向剛性は、試料の5%伸張時応力として応力-ひずみ曲線から測定される。
【0020】
本発明による方法の一実施形態によれば、少なくとも2層のスパンボンド不織布層の製造は、インライン方式で行うことができる。別の一変形形態によれば、スパンボンド不織布層のオフライン方式の製造も可能である。こうして、例えばまずは少なくとも1層の第一の下側のスパンボンド不織布層のみを製造してよく、そして別の時点でおよび/または別の場所で、次に少なくとも1層の上側のスパンボンド不織布層が少なくとも1層の第一の下側のスパンボンド不織布層上に堆積される。少なくとも2層のスパンボンド不織布層から成る積層体は引き続き固定される。そこから、積層体のインライン方式の製造も、オフライン方式の製造も本発明の範囲内にある。
【0021】
技術的課題の解決のために、本発明は、更に、連続フィラメントから成る、とりわけ熱可塑性プラスチック製の連続フィラメントから成る少なくとも2層のスパンボンド不織布層を有する積層体であって、
少なくとも1層の第一の下側のスパンボンド不織布層が、非捲縮性の連続フィラメントおよび/もしくは微捲縮性の連続フィラメントから成るか、または非捲縮性の連続フィラメントおよび/もしくは微捲縮性の連続フィラメントから本質的に成るとともに、少なくとも1層の第二の上側のスパンボンド不織布層が、捲縮性の連続フィラメントまたは第一の下側のスパンボンド不織布層の連続フィラメントと比較してより捲縮性の強い連続フィラメントから成るか、または捲縮性の連続フィラメントまたは第一の下側のスパンボンド不織布層の連続フィラメントと比較してより捲縮性の強い連続フィラメントから本質的に成り、
積層体の全厚さdが0.15~3mm、好ましくは0.2~2.5mm、有利には0.2~2mmであるとともに、積層体全体の目付が、8~80g/m2、好ましくは10~40g/m2、有利には12~30g/m2である、積層体を教示する。積層体中のスパンボンド不織布層の捲縮は、下側から上側に向かって高まることは本発明の範囲内にある。その限りにおいて、また、積層体中のスパンボンド不織布層の捲縮は、下側から上側に向かって、非潜在捲縮性から潜在捲縮性へと高まることは本発明の範囲内にある。更に、積層体中のスパンボンド不織布層の密度は、下側から上側に向かって小さくなることは本発明の範囲内にある。本発明の一変形形態によれば、積層体中のスパンボンド不織布層の厚さは、下側から上側に向かって大きくなる。しかし原則的に、それらの厚さは同一であっても、もしくは類似であってもよく、または積層体においてスパンボンド不織布層の厚さは、下側から上側に向かって小さくなってもよい。非常に望ましい実施形態によれば、少なくとも積層体中のスパンボンド不織布層の密度は、下側から上側に向かって小さくなる。
【0022】
本発明の有利な一実施形態は、第一の下側のスパンボンド不織布層の厚さd1と、第二の上側のスパンボンド不織布層の厚さd2との厚さ比が、1:0.8~1:6であり、好ましくは1:2~1:4であることを特徴としている。従って、本発明の一実施形態によれば、少なくとも1層の第二の上側のスパンボンド不織布層の厚さd2は、少なくとも1層の第一の下側のスパンボンド不織布層の厚さd1よりも2倍~4倍厚い。
【0023】
第一の下側のスパンボンド不織布層の連続フィラメントは、1.0から2.5デニールまでの繊度、有利には1.2から2デニールまでの繊度を有することが望ましい。第二の上側のスパンボンド不織布層の連続フィラメントが、1.2から4デニールまでの繊度、有利には1.8から2.5デニールまでの繊度を有することが望ましい。特に望ましい一実施形態は、第二の上側のスパンボンド不織布層の繊度が2.2デニール未満であることを特徴としている。少なくとも1層の第一の下側のスパンボンド不織布層の連続フィラメントのフィラメント直径が、少なくとも1層の第二の上側のスパンボンド不織布層の連続フィラメントのフィラメント直径よりも小さいことは本発明の範囲内にある。それ故、積層体中のスパンボンド不織布層の繊度は、下側から上側に向かって高まる。
【0024】
本発明は、本発明による方法により、一方では、とりわけ機械方向における高い安定性または寸法安定性の点で優れており、他方では比較的高い柔軟性または嵩高性の点で優れている積層体を簡単に製造できるという認識を基礎としている。その限りにおいて、一方の安定性/強度と、他方の柔軟性/嵩高性との間で最適な折り合いが達成される。更に、本発明は、少なくとも1層の第一の下側のスパンボンド不織布層が、とりわけ積層体の機械方向における剛性を十分な程度で保証するという認識を基礎としている。本発明による積層体は、十分に目が詰まっており、良い触感を有し、そしてまた比較的低い全体密度を特徴としている。更に、本発明による積層体が、比較的簡単にあまり労力をかけずに製造でき、その限りにおいては、比較的低コストである点でも優れていることが強調されるべきである。本発明による積層体は、とりわけ衛生用途のために、例えばおむつ等のために使用することができる。しかしまた、原則的にその他の用途の可能性も考えられる。
【0025】
以下で、本発明を、一実施例に基づきより詳細に説明する。ポリプロピレン製の2層のスパンボンド不織布層から成る本発明による積層体は、二重ビーム装置(Doppelbalkenanlage)によって製造される。両者のスパンボンド不織布層は、スパンボンド法に従って作製される。適切には、両者のスパンボンド不織布層は、それぞれReicofil法に従って製造される。その場合に、スパンボンド不織布層のために紡糸されたフィラメントは、まずは冷却チャンバを通じて案内され、そこで冷却風で冷却され、それに引き続き延伸ユニット中に導入されて、空力による延伸が行われる。適切には、この実施例においては、どのスパンボンド不織布層の製造に際しても、冷却ユニットと延伸ユニットとが組み合わされた閉鎖系として構成されたものを用いて作業される。つまり、この冷却ユニットと延伸ユニットにおいては、冷却チャンバ中の給気を除き、他には外部からの給気は行われない。延伸ユニットを通過した後に、各層のフィラメントはディフューザを通じて案内され、それに引き続き、堆積スクリーンベルトの上に堆積されて、スパンボンド不織布層となる。
【0026】
第一の下側のスパンボンド不織布層を作製するために、ポリプロピレン製の単成分フィラメントが紡糸される。このポリプロピレンは、25g/10分のメルトフローレート(ISO 1133に従って、230℃/2.16kpで測定)を有するホモポリプロピレン(Borealis HG455FB)である。紡糸されたフィラメントは、1.8デニールの繊度を有し、堆積スクリーンベルトの上に堆積された第一のスパンボンド不織布層は、予備固定ロールとしての熱ロールを用いて120℃のロール温度で圧縮または予備固定される。
【0027】
積層体のための第二の上側のスパンボンド不織布層は、第一のスパンボンド不織布層とは異なり、捲縮性または自己捲縮性のフィラメントから作製される。この第二の上側のスパンボンド不織布層のためのフィラメントは、サイドバイサイド構成を有する二成分フィラメントとして紡糸される。その場合に、第一のサイドは、この実施例においては、第一のスパンボンド不織布層のホモポリプロピレン(データは上記参照)から成る。二成分フィラメントの第二のサイドは、50:50の質量比で混合された2種のポリプロピレンからの混合物から成る。この混合物のための第一のポリプロピレンは、またしても第一のスパンボンド不織布層のホモポリプロピレン(データは上記参照)であり、そして二成分フィラメントの第二のサイドのための第二のポリプロピレンは、より広い分子量分布を有するホモポリプロピレン(Moplen HP552R)であり、このポリプロピレンは同様に25g/10分のメルトフローレート(ISO 1133に従って、230℃/2.16kpで測定)を有する。二成分フィラメントの、第一のサイド(第一のスパンボンド不織布層のホモポリプロピレン)対第二のサイド(上述のポリプロピレンの混合物)の質量比は、この実施例においては80:20である。第二の上側のスパンボンド不織布層のために、1.9デニールの繊度を有する二成分フィラメントが紡糸される。この二成分フィラメントは、第二の上側のスパンボンド不織布層として、堆積スクリーンベルトの上に載せられた第一の下側のスパンボンド不織布層の上に堆積される。引き続き、ロール温度90℃を有する熱ロールまたは予備固定ロールを用いて圧縮または予備固定が行われる。
【0028】
最後に、両者のスパンボンド不織布層から成る積層体を、加熱されたカレンダーを用いて固定する。カレンダーは、18%の彫刻面を有し、1cm2当たり50個の楕円形ドットの彫刻を有する。カレンダー温度(表面)は138℃であり、かつ押圧力(線荷重)は45N/mmである。その他の点では、235m/分の装置速度で作業される。完成した積層体の目付は22g/m2であるとともに、その完成した積層体における第一のスパンボンド不織布層の質量分率は52%(第一のスパンボンド不織布層:11.5g/m2、第二のスパンボンド不織布層:10.5g/m2)である。その完成した積層体は、0.38mmの厚さを有する。その完成した積層体の長手方向剛性sLに関しては、積層体の5%伸張時に6.8N/5cmの引張応力となる。
【0029】
比較不織布または比較積層体は、2つのスパンボンド不織布層から作製され、それらの層は両方とも、上記積層体の第一のスパンボンド不織布層のホモポリプロピレンから成る。この比較積層体は、上記の本発明による積層体と同じ条件(同じ装置速度、カレンダー温度、繊度、各層のその都度の目付等)下で製造される。比較積層体は0.27mmの厚さを有し、その比較積層体の5%伸張時に10.8N/5cmの引張応力が計測される。一方の本発明による積層体での引張応力の、他方の比較積層体での引張応力に対する比の値は、5%伸張時に0.63である。
【0030】
本発明の望ましい実施形態によれば、少なくとも1層の第一の下側のスパンボンド不織布層のために、比較的狭いモル質量分布を有するポリマーまたはポリプロピレン製の単成分(Monokomponent)が使用される。好ましくは、このポリマーまたはこのポリプロピレンのメルトフローレートは、19~40g/10分である。ここで示されたメルトフローレートは、その他の点では、全てがISO 1133に従って、230℃/2.16kpで測定される。
【0031】
少なくとも1層の第二の上側のスパンボンド不織布層のために、サイドバイサイド構成を有する二成分フィラメントを使用することは本発明の範囲内にある。これらの二成分フィラメントの一方のサイドのために、適切には、第一の下側のスパンボンド不織布層の上記説明による単成分フィラメントに相当するポリマーまたはポリプロピレンが使用される。二成分フィラメントの第二のサイドのために、有利にはより広いモル質量分布を有するポリマーまたはポリプロピレンが使用される。望ましい一実施形態によれば、第二のサイドのポリマーまたはポリプロピレンは、15gから40g/10分の間のメルトフローレートを有する。一変形形態によれば、第二のサイドのために、ポリマーもしくはポリプロピレンの混合物、または2種のポリプロピレンの混合物が使用される。このために有利に使用されるポリプロピレンは、単峰性もしくは二峰性のポリプロピレン、またはこれらのポリプロピレンのコポリマーであってよい。その混合比は、例えば50:50である。二成分フィラメントの第二のサイドのためのポリマー混合物またはポリプロピレン混合物の成分は、適切には3から60g/10分の間のメルトフローレートを有する。二成分フィラメントの両方のサイドの質量比は、好ましくは60:40~90:10、有利には65:35~80:20である。二成分フィラメントの両方のサイドのポリマーまたはポリプロピレンのメルトフローレートの比の値は、望ましくは0.65~1.5である。
【0032】
以下で、本発明を、単に一実施例を示しているにすぎない図面に基づきより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明による積層体の製造のための本発明による方法の実施のための装置の第一の実施形態の側面図の概略図である。
【
図2】
図1による対象物の第二の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図示された装置を用いるか、または本発明による方法によって、連続フィラメントから成る少なくとも2層のスパンボンド不織布層2,3を有する積層体1を製造することができる。好ましくは、この実施例において、積層体は、2つのスパンボンド不織布層2および3だけから成る。連続フィラメントは、適切には、この実施例においては、熱可塑性プラスチックから成る。
【0035】
好ましくは、
図1および
図2による実施例においては、非捲縮性の連続フィラメントまたは微捲縮性の連続フィラメントが堆積されて、第一のスパンボンド不織布層2となる。これらの連続フィラメントは、有利には、この実施例においては、同芯的または対称的なコア-シェル型構成またはコア-シェル型断面構成を有する。そのコア部は、適切には、この実施例においてはポリプロピレンから成り、かつシェル部はポリエチレンから成り、ここでそのポリプロピレン対ポリエチレンの重量比は、有利には、この実施例においては70:30である。コア部内のより高いプロピレン分率は、ここでは第一のスパンボンド不織布層2の安定性または強度に寄与する。望ましくは、
図1および
図2による実施例では、第一の下側のスパンボンド不織布層2は、次いで熱ロール4を用いて圧縮または予備固定される。この第一の熱ロール4は、この実施例においては、120℃の温度を有することが望ましい。
【0036】
この圧縮または予備固定の後に、捲縮性の連続フィラメントまたは第一の下側のスパンボンド不織布層2の連続フィラメントと比較してより捲縮性の強い連続フィラメントが第一のスパンボンド不織布層2の上に堆積されて、第二の上側のスパンボンド不織布層3となる。第二の上側のスパンボンド不織布層3のためのこれらの連続フィラメントは、適切には、自然捲縮または潜在捲縮を有するフィラメントである。そのために、この実施例においては、サイドバイサイド構成を有する二成分フィラメントの形の連続フィラメントが使用される。
【0037】
図1による実施例においては、望ましくは、一方の成分(第一のサイド)はポリプロピレンから成り、かつ第二の成分(第二のサイド)はポリエチレンから成り、ここでそのポリプロピレン対ポリエチレンの重量比は、適切には40:60~60:40である。有利には、この実施例においては、第二のスパンボンド不織布層3が第一のスパンボンド不織布層2の上に堆積された後に、第二の上側のスパンボンド不織布層3は、ホットエアーナイフ5を用いて圧縮または予備固定される。それに引き続き、好ましくは、この実施例においては、第一の下側のスパンボンド不織布層2と第二の上側のスパンボンド不織布層3とから成る集合体は、カレンダー6を用いて最終固定される。その場合に、有利には、この実施例においては、上側のカレンダーロール7が加熱される。
【0038】
図2による実施例においては、第二の上側のスパンボンド不織布層3のために、同様にサイドバイサイド構成を有する二成分フィラメントが使用される。ここで、一方の成分(第一のサイド)は第一のポリプロピレンから成り、かつ第二の成分(第二のサイド)はそれとは異なるまたはそれとは区別される第二のポリプロピレンから成る。適切には、この実施例においては、この第二のスパンボンド不織布層3が第一のスパンボンド不織布層2の上に堆積された後に、第二の上側のスパンボンド不織布層3は、第二の熱ロール8を用いて圧縮または予備固定される。有利には、この実施例においては、第一のスパンボンド不織布層2の圧縮または予備固定のための第一の熱ロール4の温度は、第二のスパンボンド不織布層3の圧縮または予備固定のための第二の熱ロール8の温度よりも高い。その他の点では、望ましくは、この実施例においては、第一の熱ロール4の押圧力は、第二の熱ロール8の押圧力よりも高い。
図2による実施例においては、第二の熱ロール8による圧縮または予備固定に引き続き、第一の下側のスパンボンド不織布層2と第二の上側のスパンボンド不織布層3とから成る集合体は、改めてカレンダー6を用いて最終固定される。適切には、カレンダー6の上側のカレンダーロール7が加熱されて実施される。
【0039】
本方法または圧縮/予備固定は、有利には、この実施例においては、第一の下側のスパンボンド不織布層の厚さd1が0.10~0.18mmであり、かつ第二の上側のスパンボンド不織布層の厚さd2が0.25~1.5mmであるという措置でもって行われる。望ましくは、この実施例においては、スパンボンド不織布層2,3の厚さも捲縮性も、下方から上方に向かって、または下側のスパンボンド不織布層2から上側のスパンボンド不織布層3に向かって大きくなる。第一の下側のスパンボンド不織布層2の厚さd1と、第二の上側のスパンボンド不織布層3の厚さd2との厚さ比は、好ましくは、この実施例においては、1:1.2~1:3である。有利な実施形態によれば、その他の点では、第一の下側のスパンボンド不織布層2の連続フィラメントの繊度は、第二の上側のスパンボンド不織布層3の連続フィラメントの繊度よりも小さい。その他の点では、スパンボンド不織布層2,3が第一の下側のスパンボンド不織布層2の連続フィラメントが、機械方向(MD)において、第二の上側のスパンボンド不織布層3の連続フィラメントよりも強く配向されているという条件つきで作製または堆積されることは本発明の範囲内にある。下側のより目の詰まったスパンボンド不織布層2は、有利には、この実施例においては、機械方向において、第二の上側のスパンボンド不織布層3よりも剛性が高いか、引張強さが高い。第一の下側のスパンボンド不織布層2は、適切には、この実施例においては、積層体1全体の強度または引張強さおよび剛性を決定づける。それに対して、第二の上側のスパンボンド不織布層3は、いわば積層体1の柔軟性および嵩高性を保証する。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
本方法または圧縮/予備固定は、有利には、この実施例においては、第一の下側のスパンボンド不織布層の厚さd1が0.10~0.18mmであり、かつ第二の上側のスパンボンド不織布層の厚さd2が0.25~1.5mmであるという措置でもって行われる。望ましくは、この実施例においては、スパンボンド不織布層2,3の厚さも捲縮性も、下方から上方に向かって、または下側のスパンボンド不織布層2から上側のスパンボンド不織布層3に向かって大きくなる。第一の下側のスパンボンド不織布層2の厚さd1と、第二の上側のスパンボンド不織布層3の厚さd2との厚さ比は、好ましくは、この実施例においては、1:1.2~1:3である。有利な実施形態によれば、その他の点では、第一の下側のスパンボンド不織布層2の連続フィラメントの繊度は、第二の上側のスパンボンド不織布層3の連続フィラメントの繊度よりも小さい。その他の点では、スパンボンド不織布層2,3が第一の下側のスパンボンド不織布層2の連続フィラメントが、機械方向(MD)において、第二の上側のスパンボンド不織布層3の連続フィラメントよりも強く配向されているという条件つきで作製または堆積されることは本発明の範囲内にある。下側のより目の詰まったスパンボンド不織布層2は、有利には、この実施例においては、機械方向において、第二の上側のスパンボンド不織布層3よりも剛性が高いか、引張強さが高い。第一の下側のスパンボンド不織布層2は、適切には、この実施例においては、積層体1全体の強度または引張強さおよび剛性を決定づける。それに対して、第二の上側のスパンボンド不織布層3は、いわば積層体1の柔軟性および嵩高性を保証する。
本願は、特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1.
連続フィラメントから成る、少なくとも2層のスパンボンド不織布層(2,3)を有する積層体(1)の製造方法であって、
非捲縮性の連続フィラメントおよび/または微捲縮性の連続フィラメントを堆積させて、少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層(2)とし、少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層(2)を、少なくとも1つの熱ロール(4)および/または少なくとも1つのカレンダーロールによって圧縮または予備固定し、
それに引き続き、捲縮性の連続フィラメントまたは第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントと比較してより捲縮性の強い連続フィラメントを、第一のスパンボンド不織布層(2)上に堆積させて、少なくとも1層の第二のスパンボンド不織布層(3)とし、
その後に、少なくとも2層のスパンボンド不織布層(2,3)から成る集合体を固定することで、積層体の全厚さdを0.15~3mm、好ましくは0.2~2.5mm、有利には0.2~2mmとする、製造方法。
2.
積層体の全厚さdが、1.5mm未満、有利には1mm未満である、上記1に記載の方法。
3.
第一のスパンボンド不織布層(2)のための連続フィラメントとして、単成分フィラメントおよび/または対称的または同芯的な構成を有する多成分フィラメントもしくは二成分フィラメントが使用され、とりわけ同芯的なコア-シェル型構成を有する多成分フィラメントまたは二成分フィラメントが使用される、上記1または2に記載の方法。
4.
第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントが、少なくとも1種のポリオレフィンから成るか、または少なくとも1種のポリオレフィンから本質的に成り、とりわけポリプロピレンおよび/もしくはポリエチレンから成り、またはポリプロピレンおよび/もしくはポリエチレンから本質的に成る、上記1から3のいずれか一つに記載の方法。
5.
第二のスパンボンド不織布層(3)のための連続フィラメントとして、自然捲縮または潜在捲縮を有するフィラメントが使用される、上記1から4のいずれか一つに記載の方法。
6.
第二のスパンボンド不織布層(3)のための連続フィラメントとして、サイドバイサイド構成を有する多成分フィラメントもしくは二成分フィラメント、および/または偏芯的もしくは非対称的な断面構成を有する多成分フィラメントもしくは二成分フィラメントが使用され、とりわけ偏芯的なコア-シェル型構成を有する多成分フィラメントもしくは二成分フィラメントが使用される、上記1から5のいずれか一つに記載の方法。
7.
多成分フィラメントまたは二成分フィラメントの少なくとも1つの成分は、少なくとも1種のポリオレフィンから成るか、または少なくとも1種のポリオレフィンから本質的に成る、上記6に記載の方法。
8.
第二のスパンボンド不織布層(3)は、少なくとも1つの熱ロール(5)によって圧縮または予備固定され、その際、有利には、第一のスパンボンド不織布層(2)の圧縮または予備固定のための第一の熱ロール(4)の温度は、第二のスパンボンド不織布層(3)の圧縮または予備固定のための第二の熱ロール(8)の温度よりも高い、上記1から7のいずれか一つに記載の方法。
9.
第一のスパンボンド不織布層(2)と第二のスパンボンド不織布層(3)とから成る集合体または積層体(1)のための層集合体を最終固定し、好ましくは少なくとも1つのカレンダー(6)および/または少なくとも1つの熱風炉によって最終固定する、上記1から8のいずれか一つに記載の方法。
10.
前記方法、または1回以上の圧縮および/もしくは1回以上の予備固定および/もしくは1回以上の固定が、積層体(1)中の第一のスパンボンド不織布層(2)の厚さd
1
が、0.05~0.6mm、有利には0.1~0.3mmである、および/または積層体(1)中の第二のスパンボンド不織布層(3)の厚さd
2
が、0.15~2.8mm、有利には0.2~2.5mm、非常に有利には0.2~0.95mmであるという条件つきで実施される、上記1から9のいずれか一つに記載の方法。
11.
少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層(2)と少なくとも1層の第二のスパンボンド不織布層(3)とから成る(完成した)積層体の長手方向剛性s
L
は、少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層の材料から成る比較不織布または比較積層体の長手方向剛性s
V
の20~80%であり、有利には40~65%であり、比較不織布または比較積層体は、積層体と同じ目付を有し、かつ第一のスパンボンド不織布層と同じ条件下で処理および/または予備固定および/または固定したものである、上記1から10のいずれか一つに記載の方法。
12.
スパンボンド不織布層(2,3)は、第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントが、機械方向(MD)において、第二のスパンボンド不織布層(3)の連続フィラメントよりも強く配向されているという条件つきで作製または堆積される、上記1から11のいずれか一つに記載の方法。
13.
連続フィラメントから成る、少なくとも2層のスパンボンド不織布層(2,3)を有する積層体であって、
少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層(2)が、非捲縮性の連続フィラメントおよび/もしくは微捲縮性の連続フィラメントから成るか、または非捲縮性の連続フィラメントおよび/もしくは微捲縮性の連続フィラメントから本質的に成り、少なくとも1層の第二のスパンボンド不織布層(3)が、捲縮性の連続フィラメントまたは第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントと比較してより捲縮性の強い連続フィラメントから成るか、または捲縮性の連続フィラメントまたは第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントと比較してより捲縮性の強い連続フィラメントから本質的に成り、
積層体の全厚さdが0.15~3mm、好ましくは0.2~2.5mm、有利には0.2~2mmであるとともに、積層体(1)の目付が、8~80g/m
2
、好ましくは10~40g/m
2
、有利には12~30g/m
2
、非常に有利には20~25g/m
2
である、積層体。
14.
第一のスパンボンド不織布層(2)の厚さd
1
と、第二のスパンボンド不織布層(3)の厚さd
2
との厚さ比が、1:0.8~1:6であり、有利には1:2~1:4である、上記13に記載の積層体。
15.
少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層(2)の質量が、積層体の全質量の30~70%である、上記13または14に記載の積層体。
16.
第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントが、1.0から2.5デニールまでの、有利には1.2から2デニールまでの繊度を有する、および/または第二のスパンボンド不織布層(3)の連続フィラメントが、1.2から4デニールまでの、有利には1.8から2.5デニールまでの繊度を有する、上記13から15のいずれか一つに記載の積層体。
17.
第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントのフィラメント直径が、第二のスパンボンド不織布層(3)の連続フィラメントのフィラメント直径よりも小さい、上記13から16のいずれか一つに記載の積層体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続フィラメントから成る、少なくとも2層のスパンボンド不織布層(2,3)を有する積層体であって、
少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層(2)が、非捲縮性の連続フィラメントおよび/もしくは微捲縮性の連続フィラメントから成るか、または非捲縮性の連続フィラメントおよび/もしくは微捲縮性の連続フィラメントから本質的に成り、
第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントが、対称的な構成を有する多成分フィラメントであり、
少なくとも1層の第二のスパンボンド不織布層(3)が、捲縮性の連続フィラメントまたは第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントと比較してより捲縮性の強い連続フィラメントから成るか、または捲縮性の連続フィラメントまたは第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントと比較してより捲縮性の強い連続フィラメントから本質的に成り、
第二のスパンボンド不織布層(3)のための連続フィラメントとして、サイドバイサイド構成を有する多成分フィラメントまたは二成分フィラメントおよび/または偏芯的または非対称的な断面構成を有する多成分フィラメントまたは二成分フィラメントが使用され、
積層体の全厚さdが0.15~3mmであるとともに、積層体(1)の目付が、8~80g/m2であり、
第一のスパンボンド不織布層(2)の厚さd1と、第二のスパンボンド不織布層(3)の厚さd2との厚さ比が、1:2~1:4であり、
第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントが、機械方向(MD)において、第二のスパンボンド不織布層(3)の連続フィラメントよりも強く配向され、
少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層(2)と少なくとも1層の第二のスパンボンド不織布層(3)とから成る完成した積層体の長手方向剛性sLが、比較不織布または比較積層体の長手方向剛性sVの20~80%であり、比較不織布または比較積層体は、積層体の少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層と同じ材料から成り、かつ比較不織布または比較積層体は積層体と同じ目付を有することを特徴とする、上記積層体。
【請求項2】
少なくとも1層の第一のスパンボンド不織布層(2)の質量が、積層体の全質量の30~70%である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントが、1.0から2.5デニールまでの繊度を有する、および/または第二のスパンボンド不織布層(3)の連続フィラメントが、1.2から4デニールまでの繊度を有する、請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
第一のスパンボンド不織布層(2)の連続フィラメントのフィラメント直径が、第二のスパンボンド不織布層(3)の連続フィラメントのフィラメント直径よりも小さい、請求項1または2に記載の積層体。
【外国語明細書】