(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046723
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】多発性嚢胞腎の処置のためのアンチセンスオリゴマー
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7088 20060101AFI20220315BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20220315BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220315BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20220315BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220315BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20220315BHJP
【FI】
A61K31/7088 ZNA
A61P13/12
A61K48/00
A61K38/17
A61P43/00 111
C12N15/113
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022000102
(22)【出願日】2022-01-04
(62)【分割の表示】P 2018529219の分割
【原出願日】2016-12-13
(31)【優先権主張番号】62/267,252
(32)【優先日】2015-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504278156
【氏名又は名称】コールド スプリング ハーバー ラボラトリー
(71)【出願人】
【識別番号】518195690
【氏名又は名称】ストーク セラピューティクス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】アズナレズ,イザベル
(72)【発明者】
【氏名】ナッシュ,ヒュー エム.
(72)【発明者】
【氏名】クライナー,エイドリアン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】PC-2タンパク質発現が不足している被験体、あるいは多発性嚢胞腎(PKD)を抱える被験体を処置するための方法と組成物を提供する。
【解決手段】被験体の細胞によって標的タンパク質または機能的RNAの発現を増加させることにより、被験体の多発性嚢胞腎を処置する方法であって、細胞は保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)を有し、RIC mRNA前駆体は標的タンパク質または機能的RNAをコードし、前記方法は、RIC mRNA前駆体の標的部分に相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)に被験体の細胞を接触させる工程を含み、これによって、保持されたイントロンはRIC mRNA前駆体から構成的にスプライシングされ、それにより、標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAのレベルを増加させ、被験体の細胞中の標的タンパク質あるいは機能的RNAの発現を増加させる、方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の細胞によって標的タンパク質または機能的RNAの発現を増加させることによ
り、被験体の多発性嚢胞腎を処置する方法であって、
細胞は、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)を有し
、RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、5’スプライス部位に隣接するエ
クソン、3’スプライス部位に隣接するエクソンを含み、および、RIC mRNA前駆
体は標的タンパク質または機能的RNAをコードし、
前記方法は、
標的タンパク質または機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆体の標的部分に
相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)に、被験体の細胞を接触させる工程を含み、
これによって、保持されたイントロンは、標的タンパク質または機能的RNAをコードす
るRIC mRNA前駆体から構成的にスプライシングされ、それにより、標的タンパク
質または機能的RNAをコードするmRNAのレベルを増加させ、被験体の細胞中の標的
タンパク質あるいは機能的RNAの発現を増加させる、方法。
【請求項2】
保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)を有する細胞に
より、PC-2である標的タンパク質の発現を増加させる方法であって、
RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、保持されたイントロンの5’スプ
ライス部位に隣接するエクソン、保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接する
エクソンを含み、および、RIC mRNA前駆体はPC-2タンパク質をコードし、
前記方法は、
PC-2タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の標的部分に相補的なアンチ
センスオリゴマー(ASO)に、被験体の細胞を接触させる工程を含み、これによって、
保持されたイントロンは、PC-2タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体から
構成的にスプライシングされ、それにより、PC-2タンパク質をコードするmRNAの
レベルを増加させ、細胞中のPC-2タンパク質の発現を増加させる、方法。
【請求項3】
標的タンパク質はPC-2である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
標的タンパク質または機能的RNAは、被験体において量あるいは活性が不足している
標的タンパク質あるいは機能的RNAを機能的に増大させるか、これに取って代わる、補
償タンパク質あるいは補償機能的RNAである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
細胞は、PC-2タンパク質の不足している量または活性によって引き起こされた疾病
を抱える被験体中のものであるか、該被検体からのものである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
標的タンパク質の不足している量は、標的タンパク質のハプロ不全によって引き起こさ
れ、ここで、被験体は機能的な標的タンパク質をコードする第1の対立遺伝子と、標的タ
ンパク質が生成されない第2の対立遺伝子、あるいは非機能的標的タンパク質をコードす
る第2の対立遺伝子とを有し、ここで、アンチセンスオリゴマーは、第1の対立遺伝子か
ら転写されたRIC mRNA前駆体の標的部分に結合する、請求項1-5のいずれか1
つに記載の方法。
【請求項7】
被験体は、標的タンパク質の量または機能の不足に起因する障害により引き起こされた
疾病を抱えており、ここで、被験体は、
(a)
(i)標的タンパク質が野生型対立遺伝子からの生成と比較して、減少したレベルで生
成され、
(ii)標的タンパク質が同等の野性型タンパク質と比較して機能が低下した形態で生
成され、あるいは、
(iii)標的タンパク質が生成されない、
第1の変異対立遺伝子と、
(b)
(i)標的タンパク質が野生型対立遺伝子からの生成と比較して、減少したレベルで生
成され、
(ii)標的タンパク質が同等の野性型タンパク質と比較して機能が低下した形態で生
成され、あるいは、
(iii)標的タンパク質が生成されない、
第2の変異対立遺伝子とを有し、
ここで、被験体が第1の変異対立遺伝子(a)(iii)を有するとき、第2の変異対
立遺伝子は(b)(i)あるいは(b)(ii)であり、ここで、被験体が第2の変異対
立遺伝子(b)(iii)を有するとき、第1の変異対立遺伝子は(a)(i)あるいは
(a)(ii)であり、ここで、RIC mRNA前駆体は、(a)(i)あるいは(a
)(ii)である第1の変異対立遺伝子、および/または、(b)(i)あるいは(b)
(ii)である第2の変異対立遺伝子のいずれかから転写される、請求項1-5のいずれ
か1つに記載の方法。
【請求項8】
標的タンパク質は、同等の野性型タンパク質と比較して、機能が低下した形態で生成さ
れる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
標的タンパク質は、同等の野性型タンパク質と比較して、十分に機能的な形態で生成さ
れる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に
対して+6~保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16までの領域内の
保持されたイントロンにある、請求項1-9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+497の領域、ある
いは、
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-496の領域、
の内部の保持されたイントロンにある、請求項1-9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4
eの領域、あるいは
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4
eの領域、
の内部にある、請求項1-9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して-4e~-1,054eの領
域、
(b)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+499の領域、
(c)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-496の領域、あ
るいは、
(d)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して+2e~+1,912eの領
域、
の内部の保持されたイントロンにある、請求項1-9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
標的タンパク質はPC-2である、請求項1-13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:2に少なくとも約80%、85%、
90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項1
4に記載の方法。
【請求項16】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:1に少なくとも約80%、85%、
90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた遺伝子配列によってコ
ードされる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:281の少なくとも8つ
の隣接する核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、ある
いは100%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
ASOは、SEQ ID NO:3-280のいずれか1つに少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、請求項14に記
載の方法。
【請求項19】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン5の5’スプライス部位
に対して-204e~+497までの領域内、あるいは保持されたイントロン5の3’ス
プライス部位に対して-496~+212eの領域内にある、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
ASOは、SEQ ID NO:3-280のいずれか1つに少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、請求項19に記
載の方法。
【請求項21】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン5の5’スプライス部位
に対して-204e~-4eの領域内のエクソン5にある、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
ASOは、SEQ ID NO:3-43のいずれか1つに少なくとも約80%、85
%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、請求項21に記載
の方法。
【請求項23】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に
対して+6~+497の領域内の保持されたイントロン5にある、請求項14に記載の方
法。
【請求項24】
ASOは、SEQ ID NO:44-140のいずれか1つに少なくとも約80%、
85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、請求項23に
記載の方法。
【請求項25】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの3’スプライス部位に
対して-16~-496の領域内の保持されたイントロン5にある、請求項14に記載の
方法。
【請求項26】
ASOは、SEQ ID NO:141-237のいずれか1つに少なくとも約80%
、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、請求項25
に記載の方法。
【請求項27】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン5の3’スプライス部位
に対して+2e~+212eの領域内のエクソン6にある、請求項14に記載の方法。
【請求項28】
ASOは、SEQ ID NO:238-280のいずれか1つに少なくとも約80%
、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、請求項27
に記載の方法。
【請求項29】
アンチセンスオリゴマーは、機能的RNAまたは標的タンパク質をコードする遺伝子か
ら転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシングを調節することにより、標的タンパ
ク質または機能的RNAの量を増加させない、請求項1-28のいずれか1つに記載の方
法。
【請求項30】
アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子の
突然変異に起因する異常なスプライシングを調節することにより、標的タンパク質または
機能的RNAの量を増加させない、請求項1-29のいずれか1つに記載の方法。
【請求項31】
RIC mRNA前駆体は、全長のmRNA前駆体の部分的なスプライシング、または
野生型のmRNA前駆体の部分的なスプライシングによって生成された、請求項1-30
のいずれか1つに記載の方法。
【請求項32】
標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAは、全長の成熟mRNA、あ
るいは野生型の成熟mRNAである、請求項1-31のいずれか1つに記載の方法。
【請求項33】
生成された標的タンパク質は、全長のタンパク質あるいは野生型のタンパク質である、
請求項1-32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項34】
アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞中で生成された標的タンパク質または機能的
RNAをコードするmRNAの総量は、対照細胞中で生成された標的タンパク質または機
能的RNAをコードするmRNAの総量と比較して、約1.1~約10倍、約1.5~約
10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍、約1.
1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~約5倍、
約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約3~約7
倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍、少なく
とも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少
なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、あるい
は少なくとも約10倍増加する、請求項1-33のいずれか1つに記載の方法。
【請求項35】
アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞によって生成された標的タンパク質の総量は
、対照細胞によって生成された標的タンパク質の総量として、約1.1~約10倍、約1
.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍
、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~
約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約
3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍
、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.
5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍
、あるいは少なくとも約10倍増加する、請求項1-34のいずれか1つに記載の方法。
【請求項36】
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結合
を含む骨格修飾を含む、請求項1-35のいずれか1つに記載の方法。
【請求項37】
アンチセンスオリゴマーはホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド
核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、あるいは2’-O-メトキシエチル部分を含
む、請求項1-36のいずれか1つに記載の方法。
【請求項38】
アンチセンスオリゴマーは少なくとも1つの修飾された糖部を含む、請求項1-37の
いずれか1つに記載の方法。
【請求項39】
それぞれの糖部は修飾された糖部である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、8~35の核
酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、8~15の核
酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、9~30の核
酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、10~50の
核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の核酸塩基、10
~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~50の核酸塩
基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基、11~25
の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の核酸塩基、1
2~40の核酸塩基、12~35の核酸塩基、12~30の核酸塩基、12~25の核酸
塩基、12~20の核酸塩基、あるいは12~15の核酸塩基からなる、請求項1-39
のいずれか1つに記載の方法。
【請求項41】
アンチセンスオリゴマーは、タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の標的部
分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少な
くとも98%、少なくとも99%、あるいは100%相補的である、請求項1-40のい
ずれか1つに記載の方法。
【請求項42】
細胞は、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子から転写されたRIC
mRNA前駆体の集団を含み、ここで、RIC mRNA前駆体の集団は少なくとも1
つの保持されたイントロンを含み、および、ここで、アンチセンスオリゴマーは、RIC
mRNA前駆体の集団で最も豊富な保持されたイントロンに結合する、請求項1-41
のいずれか1つに記載の方法。
【請求項43】
最も豊富な保持されたイントロンに対するアンチセンスオリゴマーの結合は、標的タン
パク質または機能的RNAをコードするmRNAを生成するRIC mRNA前駆体の集
団からの少なくとも1つの保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する、請
求項42に記載の方法。
【請求項44】
細胞は、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子から転写されたRIC
mRNA前駆体の集団を含み、ここで、RIC mRNA前駆体の集団は2つ以上の保
持されたイントロンを含み、および、ここで、アンチセンスオリゴマーは、RIC mR
NA前駆体の集団で2番目に豊富な保持されたイントロンに結合する、請求項1-43の
いずれか1つに記載の方法。
【請求項45】
2番目に豊富な保持されたイントロンに対するアンチセンスオリゴマーの結合は、標的
タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAを生成するRIC mRNA前駆体
の集団からの2つ以上の保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する、請求
項44に記載の方法。
【請求項46】
前記方法はPC-2タンパク質発現を評価する工程をさらに含む、請求項1-45のい
ずれか1つに記載の方法。
【請求項47】
アンチセンスオリゴマーはPKD2 RIC mRNA前駆体の標的部分に結合し、こ
こで、標的部分はSEQ ID NO:3-280から選択される配列である、請求項1
-46のいずれか1つに記載の方法。
【請求項48】
被験体はヒトである、請求項1-47のいずれか1つに記載の方法。
【請求項49】
被験体はヒト以外の動物である、請求項1-47のいずれか1つに記載の方法。
【請求項50】
被験体は胎児、胚、あるいは子供である、請求項1-48のいずれか1つに記載の方法
。
【請求項51】
細胞はエクスビボである、請求項1-47のいずれか1つに記載の方法。
【請求項52】
アンチセンスオリゴマーは、被験体の腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、あるいは静
脈内注射によって投与される、請求項1-51のいずれか1つに記載の方法。
【請求項53】
5’スプライス部位に隣接するエクソンの-3e~-1eと、保持されたイントロンの
+1~+6にある9つのヌクレオチドは、対応する野性型配列と同一である、請求項1-
52のいずれか1つに記載の方法。
【請求項54】
保持されたイントロンの-15~-1と3’スプライス部位に隣接するエクソンの+1
eにある16のヌクレオチドは、対応する野性型配列と同一である、請求項1-53のい
ずれか1つに記載の方法。
【請求項55】
請求項1-54のいずれか1つの方法で使用されるアンチセンスオリゴマー。
【請求項56】
SEQ ID NO:3-280のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%
、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、アンチ
センスオリゴマー。
【請求項57】
請求項55または56のアンチセンスオリゴマーと、薬学的に許容可能な賦形剤、希釈
剤、または担体とを含む医薬組成物。
【請求項58】
腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、あるいは静脈内注射によって、請求項57の医薬
組成物を投与することにより被験体を処置する方法。
【請求項59】
不足しているタンパク質または不足している機能的RNAに関連付けられる被験体の多
発性嚢胞腎を処置するために細胞によって標的タンパク質あるいは機能的RNAの発現を
増加させる方法で使用されるアンチセンスオリゴマーを含む組成物であって、
不足しているタンパク質または不足している機能的RNAは、被験体において量あるい
は活性が不足しており、ここで、アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能
的RNAをコードする、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前
駆体)の構成的なスプライシングを増強し、
ここで、
標的タンパク質は、
(a)不足しているタンパク質、あるいは
(b)被験体において不足しているタンパク質を機能的に増大させるか、これに取って代
わる、補償タンパク質であり、
ここで、
機能的RNAは、
(c)不足しているRNA、あるいは、
(d)被験体の不足している機能的RNAを機能的に増大させるか、これに取って代わる
、補償機能的RNAであり、
ここで、
RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、5’スプライス部位に隣接するエ
クソン、および3’スプライス部位に隣接するエクソンを含み、ここで、保持されたイン
トロンは、標的タンパク質または機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆体から
スプライシングされ、それによって、被験体の標的タンパク質あるいは機能的RNAの生
成あるいは活性を増加させる、組成物。
【請求項60】
被験体においてPC-2タンパク質に関連する疾病を処置する方法で使用されるアンチ
センスオリゴマーを含む組成物であって、
当該方法は、被験体の細胞によってPC-2タンパク質の発現を増加させる工程であっ
て、細胞が、保持されたイントロン、保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接
するエクソン、保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソンを含む、
保持されたイントロン含有mRNA前駆体を有し、および、RIC mRNA前駆体がP
C-2タンパク質をコードする、工程と、アンチセンスオリゴマーに細胞を接触させる工
程であって、これによって、保持されたイントロンは、PC-2タンパク質をコードする
RIC mRNA前駆体転写産物から構成的にスプライシングされ、それにより、被験体
の細胞においてPC-2タンパク質をコードするmRNAのレベルを増加させ、PC-2
タンパク質の発現を増加させる、工程を含む、組成物。
【請求項61】
疾病は疾患または障害である、請求項60に記載の組成物。
【請求項62】
疾患または障害は多発性嚢胞腎である、請求項61に記載の組成物。
【請求項63】
標的タンパク質とRIC mRNA前駆体はPKD2遺伝子によってコードされる、請
求項62に記載の組成物。
【請求項64】
アンチセンスオリゴマーは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6
から、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16までの領域内の保持さ
れたイントロンにあるRIC mRNA前駆体の一部を標的とする、請求項59-63の
いずれか1つに記載の組成物。
【請求項65】
アンチセンスオリゴマーはRIC mRNA前駆体の一部を標的とし、これは、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+497の領域、ある
いは、
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-496の領域、
の内部の保持されたイントロンにある、請求項59-64のいずれか1つに記載の組成物
。
【請求項66】
アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの保持されたイントロンの5’スプライス
部位の約100ヌクレオチド下流から、少なくとも1つの保持されたイントロンの3’ス
プライス部位の約100ヌクレオチド上流までの領域内にあるRIC mRNA前駆体の
一部を標的とする、請求項59-63のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項67】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4
eの領域、あるいは、
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4
eの領域、
の内部にある、請求項59-63のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項68】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して-4e~-1,054eの領
域、
(b)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+499の領域、
(c)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-496の領域、あ
るいは、
(d)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して+2e~+1,912eの領
域、
の内部にある、請求項59-63のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項69】
標的タンパク質はPC-2である、請求項59-68のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項70】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:2に少なくとも約80%、85%、
90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項6
9に記載の組成物。
【請求項71】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:1に少なくとも約80%、85%、
90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた遺伝子配列によってコ
ードされる、請求項69に記載の組成物。
【請求項72】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:281の少なくとも8つ
の隣接する核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、ある
いは100%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項69に記載の組成物。
【請求項73】
ASOは、SEQ ID NO:3-280のいずれか1つに少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、請求項69に記
載の組成物。
【請求項74】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン5の5’スプライス部位
に対して-204e~+497までの領域内、あるいは保持されたイントロン5の3’ス
プライス部位に対して-496~+212eの領域内にある、請求項69に記載の組成物
。
【請求項75】
ASOは、SEQ ID NO:3-280のいずれか1つに少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、請求項74に記
載の組成物。
【請求項76】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン5の5’スプライス部位
に対して-204e~-4eの領域内のエクソン5にある、請求項69に記載の組成物。
【請求項77】
ASOは、SEQ ID NO:3-43のいずれか1つに少なくとも約80%、85
%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、請求項76に記載
の組成物。
【請求項78】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に
対して+6~+497の領域内の保持されたイントロン5にある、請求項69に記載の組
成物。
【請求項79】
ASOは、SEQ ID NO:44-140のいずれか1つに少なくとも約80%、
85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、請求項78に
記載の組成物。
【請求項80】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの3’スプライス部位に
対して-16~-496の領域内の保持されたイントロン5にある、請求項69に記載の
組成物。
【請求項81】
ASOは、SEQ ID NO:141-237のいずれか1つに少なくとも約80%
、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、請求項80
に記載の組成物。
【請求項82】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン5の3’スプライス部位
に対して+2e~+212eの領域内のエクソン6にある、請求項69に記載の組成物。
【請求項83】
ASOは、SEQ ID NO:238-280のいずれか1つに少なくとも約80%
、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、請求項82
に記載の組成物。
【請求項84】
アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子か
ら転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシングを調節することにより、標的タンパ
ク質または機能的RNAの量を増加させない、請求項59-83のいずれか1つに記載の
組成物。
【請求項85】
アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子の
突然変異に起因する異常なスプライシングを調節することにより、機能的RNAまたは機
能的タンパク質の量を増加させない、請求項59-84のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項86】
RIC mRNA前駆体は、全長のmRNA前駆体、あるいは野生型のmRNA前駆体
の部分的なスプライシングによって生成された、請求項59-85のいずれか1つに記載
の組成物。
【請求項87】
標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAは、全長の成熟mRNA、あ
るいは野生型の成熟mRNAである、請求項59-86のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項88】
生成された標的タンパク質は、全長のタンパク質あるいは野生型のタンパク質である、
請求項59-87のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項89】
保持されたイントロンは律速イントロンである、請求項59-88のいずれか1つに記
載の組成物。
【請求項90】
前記保持されたイントロンは前記RIC mRNA前駆体で最も豊富な保持されたイン
トロンである、請求項59-89のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項91】
保持されたイントロンは前記RIC mRNA前駆体で2番目に豊富な保持されたイン
トロンである、請求項59-89のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項92】
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結合
を含む骨格修飾を含む、請求項59-91のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項93】
前記アンチセンスオリゴマーはアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項59-
92のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項94】
アンチセンスオリゴマーはホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド
核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、あるいは2’-O-メトキシエチル部分を含
む、請求項59-93のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項95】
アンチセンスオリゴマーは少なくとも1つの修飾された糖部を含む、請求項59-94
のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項96】
それぞれの糖部は修飾された糖部である、請求項95に記載の組成物。
【請求項97】
アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、8~35の核
酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、8~15の核
酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、9~30の核
酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、10~50の
核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の核酸塩基、10
~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~50の核酸塩
基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基、11~25
の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の核酸塩基、1
2~40の核酸塩基、12~35の核酸塩基、12~30の核酸塩基、12~25の核酸
塩基、12~20の核酸塩基、あるいは12~15の核酸塩基からなる、請求項59-9
6のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項98】
請求項59-97の組成物のいずれか1つのアンチセンスオリゴマーと、薬学的に許容
可能な賦形剤、希釈剤、または担体とを含む医薬組成物。
【請求項99】
腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、あるいは静脈内注射によって請求項98の医薬組
成物を投与することにより被験体を処置する方法。
【請求項100】
不足しているPKD2 mRNA転写産物の標的配列にハイブリダイズされるアンチセ
ンスオリゴマーであって、不足しているPKD2 mRNA転写産物が保持されたイント
ロンを含み、アンチセンスオリゴマーが不足しているPKD2 mRNA転写産物からの
保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する、アンチセンスオリゴマーと、
薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、または担体とを含む、
医薬組成物。
【請求項101】
不足しているPKD2 mRNA転写産物はPKD2 RIC mRNA前駆体転写産
物である、請求項100に記載の医薬組成物。
【請求項102】
PKD2 RIC mRNA前駆体転写産物の標的部分は、保持されたイントロンの5
’スプライス部位に対して約+500~保持されたイントロンの3’スプライス部位に対
して約-500までの領域内の保持されたイントロンにある、請求項100または101
に記載の医薬組成物。
【請求項103】
PKD2 RIC mRNA前駆体転写産物は、SEQ ID NO:1に対して少な
くとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは
100%の配列同一性を備えた遺伝子配列によってコードされる、請求項100または1
01に記載の医薬組成物。
【請求項104】
PKD2 RIC mRNA前駆体転写産物は、SEQ ID NO:2に対して少な
くとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは
100%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項100または101に記載の医薬組成
物。
【請求項105】
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結合
を含む骨格修飾を含む、請求項100に記載の医薬組成物。
【請求項106】
アンチセンスオリゴマーはアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項100に記
載の医薬組成物。
【請求項107】
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチ
ド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、あるいは2’-O-メトキシエチル部分を
含む、請求項100に記載の医薬組成物。
【請求項108】
アンチセンスオリゴマーは少なくとも1つの修飾された糖部を含む、請求項100に記
載の医薬組成物。
【請求項109】
アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、8~35の核
酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、8~15の核
酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、9~30の核
酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、10~50の
核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の核酸塩基、10
~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~50の核酸塩
基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基、11~25
の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の核酸塩基、1
2~40の核酸塩基、12~35の核酸塩基、12~30の核酸塩基、12~25の核酸
塩基、12~20の核酸塩基、あるいは12~15の核酸塩基を含む、請求項100に記
載の医薬組成物。
【請求項110】
アンチセンスオリゴマーは、PKD2 RIC mRNA前駆体転写産物の標的部分に
少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくと
も98%、少なくとも99%、あるいは100%相補的である、請求項100または10
1に記載の医薬組成物。
【請求項111】
PKD2 RIC mRNA前駆体転写産物の標的部分は、SEQ ID NO:28
1内にある、請求項100または101に記載の医薬組成物。
【請求項112】
アンチセンスオリゴマーは、SEQ ID NO:3-280のいずれか1つに対して
少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96
%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性であるヌクレオチド配列を含む、請求
項100に記載の医薬組成物。
【請求項113】
アンチセンスオリゴマーは、SEQ ID NO:3-280から選択されたヌクレオ
チド配列を含む、請求項100に記載の医薬組成物。
【請求項114】
医薬組成物は、髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、あるい
は静脈内注射のために製剤される、請求項100-113のいずれか1つに記載の医薬組
成物。
【請求項115】
PC-2タンパク質の機能的な形態をコードする十分に処理されたPKD2 mRNA
転写産物を生成するべく、保持されたイントロンの除去を促すために不足しているPKD
2 mRNA転写産物の処理を誘発する方法であって、
前記方法は、
(a)被験体の標的細胞へアンチセンスオリゴマーを接触させる工程と、
(b)不足しているPKD2 mRNA転写産物へアンチセンスオリゴマーをハイブリダ
イズする工程であって、不足しているPKD2 mRNA転写産物が、PC-2タンパク
質の機能的な形態をコードすることができ、少なくとも1つの保持されたイントロンを含
む、工程と、
(c)PC-2タンパク質の機能的な形態をコードする十分に処理されたPKD2 mR
NA転写産物を生成するために不足しているPKD2 mRNA転写産物から少なくとも
1つの保持されたイントロンを除去する工程と、
(d)十分に処理されたPKD2 mRNA転写産物からPC-2タンパク質の機能的な
形態を翻訳する工程、
を含む、方法。
【請求項116】
保持されたイントロンは保持されたイントロン全体である、請求項115に記載の方法
。
【請求項117】
不足しているPKD2 mRNA転写産物はPKD2 mRNA前駆体転写産物である
、請求項115に記載の方法。
【請求項118】
PC2タンパク質の量と活性の不足によって引き起こされた疾病を抱える被験体を処置
する方法であって、
SEQ ID NO:3-280のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%
、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、あるい
は99%の配列同一性を備えたヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴマーを被験体
に投与する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<相互参照>
【0002】
本出願は、2015年12月14日に出願された米国仮出願第62/267,252号
の利益を主張するものであり、当該出願は参照により本明細書に組み込まれる。配列リス
トへの言及
【0003】
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、参照によって本明細書に組み
込まれる配列表を含んでいる。2016年12月9日に作成された上記のASCIIコピ
ーは、47991_707_601_SL.txtと命名され、253,332バイトの
サイズである。
【背景技術】
【0004】
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)は、腎嚢胞の進行と様々な腎外の徴候を特徴
とした疾病である、最も一般的な遺伝性の嚢胞性腎疾患の1つである(Torres a
nd Harris, 2009, Kidney International (2
009) 76, 149-168)。ADPKDに苛まれている患者は一般に、70歳
までに末期の腎疾患(ESRD)を進行させ、これは最終的には腎透析などの介入を必要
とする。生まれながらのADPKDの罹患率は1:400~1:1,000の間であり、
米国で約600,000人に影響を与えていると推測される。
【0005】
PKD1あるいはPKD2遺伝子のいずれかの突然変異は、ADPKDとして現れ、P
KD2の突然変異はADPKDの後期の発症形態の原因であることが分かっている。PK
D1とPKD2の遺伝子はPC-1とPC-2のタンパク質をそれぞれコードする。こう
したタンパク質は、尿細管上皮の分化した表現型を維持するのに必要不可欠であると考え
られている(Torres and Harris, 2009)。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態では、被験体の細胞によって標的タンパク質または機能的RNAの
発現を増加させることにより、被験体の多発性嚢胞腎を処置する方法が本明細書で開示さ
れ、ここで、細胞は、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆
体)を有し、RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、5’スプライス部位に
隣接するエクソン、3’スプライス部位に隣接するエクソンを含み、および、ここで、R
IC mRNA前駆体は標的タンパク質または機能的RNAをコードし、当該方法は、標
的タンパク質または機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆体の標的部分に相補
的なアンチセンスオリゴマー(ASO)に、被験体の細胞を接触させる工程を含み、これ
によって、保持されたイントロンは、標的タンパク質または機能的RNAをコードするR
IC mRNA前駆体から構成的にスプライシングされ、それにより、標的タンパク質ま
たは機能的RNAをコードするmRNAのレベルを増加させ、被験体の細胞中の標的タン
パク質あるいは機能的RNAの発現を増加させる。
【0007】
さらにいくつかの実施形態では、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC
mRNA前駆体)を有する細胞により、PC-2である標的タンパク質の発現を増加させ
る方法が本明細書に開示され、RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、保持
されたイントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン、保持されたイントロンの3
’スプライス部位に隣接するエクソンを含み、および、ここで、RIC mRNA前駆体
はPC-2タンパク質をコードし、当該方法は、PC-2タンパク質をコードするRIC
mRNA前駆体の標的部分に相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)に、細胞を接
触させる工程を含み、これによって、保持されたイントロンは、PC-2タンパク質をコ
ードするRIC mRNA前駆体から構成的にスプライシングされ、それにより、PC-
2タンパク質をコードするmRNAのレベルを増加させ、細胞中のPC-2タンパク質の
発現を増加させる。
【0008】
前述の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、標的タンパク質はPC-
2である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質または機能的RNAは、被験体
において量あるいは活性が不足している標的タンパク質あるいは機能的RNAを機能的に
増大させるか、これに取って代わる、補償タンパク質あるいは補償機能的RNAである。
いくつかの実施形態において、細胞は、PC-2タンパク質の不足している量または活性
によって引き起こされた疾病を抱える被験体中のものであるか、該被検体からのものであ
る。
【0009】
前述の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、標的タンパク質の不足し
ている量は、標的タンパク質のハプロ不全によって引き起こされ、ここで、被験体は機能
的な標的タンパク質をコードする第1の対立遺伝子と、標的タンパク質が生成されない第
2の対立遺伝子、あるいは非機能的標的タンパク質をコードする第2の対立遺伝子とを有
し、ここで、アンチセンスオリゴマーは、第1の対立遺伝子から転写されたRIC mR
NA前駆体の標的部分に結合する。いくつかの実施形態において、被験体は、標的タンパ
ク質の量または機能の不足に起因する障害により引き起こされた疾病を抱えており、ここ
で、被験体は、(a)(i)標的タンパク質が野生型対立遺伝子からの生成と比較して、
減少したレベルで生成され、(ii)標的タンパク質が同等の野性型タンパク質と比較し
て機能が低下した形態で生成され、あるいは、(iii)標的タンパク質が生成されない
、第1の変異対立遺伝子と、(b)(i)標的タンパク質が野生型対立遺伝子からの生成
と比較して、減少したレベルで生成され、(ii)標的タンパク質が同等の野性型タンパ
ク質と比較して機能が低下した形態で生成され、あるいは、(iii)標的タンパク質が
生成されない、第2の変異対立遺伝子とを有し、ここで、被験体が第1の変異対立遺伝子
(a)(iii)を有するとき、第2の変異対立遺伝子は(b)(i)あるいは(b)(
ii)であり、ここで、被験体が第2の変異対立遺伝子(b)(iii)を有するとき、
第1の変異対立遺伝子は(a)(i)あるいは(a)(ii)であり、ここで、RIC
mRNA前駆体は、(a)(i)あるいは(a)(ii)である第1の変異対立遺伝子、
および/または、(b)(i)あるいは(b)(ii)である第2の変異対立遺伝子から
転写される。いくつかの実施形態において、標的タンパク質は、同等の野性型タンパク質
と比較して、機能が低下した形態で生成される。いくつかの実施形態において、標的タン
パク質は、同等の野性型タンパク質と比較して、十分に機能的な形態で生成される。
【0010】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的
部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~保持されたイントロ
ンの3’スプライス部位に対して-16までの領域内の保持されたイントロンにある。い
くつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、以下の内部の保持さ
れたイントロンにある:(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6
~+497の領域;あるいは(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して
-16~-496の領域。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的
部分は、以下の内部にある:(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接す
るエクソン中の+2e~-4eの領域;あるいは(b)保持されたイントロンの3’スプ
ライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4eの領域。いくつかの実施形態において
、RIC mRNA前駆体の標的部分は、以下の内部の保持されたイントロンにある:(
a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して-4e~-1,054eの領域
;(b)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+499の領域;(
c)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-496の領域;ある
いは、(d)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して+2e~+1,912
eの領域。いくつかの実施形態において、標的タンパク質はPC-2である。
【0011】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体は、S
EQ ID NO:2に少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるい
は100%の配列同一性を備えた配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC m
RNA前駆体は、SEQ ID NO:1に少なくとも約80%、85%、90%、95
%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた遺伝子配列によってコードされる。
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID N
O:281の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、9
0%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。いくつかの
実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:3-280のいずれか1つに少なく
とも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む
。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイン
トロン5の5’スプライス部位に対して-204e~+497までの領域内、あるいは保
持されたイントロン5の3’スプライス部位に対して-496~+212eの領域内にあ
る。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:3-280のいずれ
か1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補
的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、
保持されたイントロン5の5’スプライス部位に対して-204e~-4eの領域内のエ
クソン5にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:3-4
3のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは1
00%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標
的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+497の領域内
の保持されたイントロン5にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ I
D NO:44-140のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%
、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC
mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-
16~-496の領域内の保持されたイントロン5にある。いくつかの実施形態において
、ASOは、SEQ ID NO:141-237のいずれか1つに少なくとも約80%
、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの
実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン5の3
’スプライス部位に対して+2e~+212eの領域内のエクソン6にある。いくつかの
実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:238-280のいずれか1つに少
なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を
含む。
【0012】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、機
能的RNAまたは標的タンパク質をコードする遺伝子から転写されたmRNA前駆体の選
択的スプライシングを調節することにより、標的タンパク質または機能的RNAの量を増
加させない。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質
または機能的RNAをコードする遺伝子の突然変異に起因する異常なスプライシングを調
節することにより、標的タンパク質または機能的RNAの量を増加させない。いくつかの
実施形態において、RIC mRNA前駆体は、全長のmRNA前駆体の部分的なスプラ
イシング、または野生型のmRNA前駆体の部分的なスプライシングによって生成された
。いくつかの実施形態において、標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRN
Aは、全長の成熟mRNA、あるいは野生型の成熟mRNAである。いくつかの実施形態
において、生成された標的タンパク質は全長のタンパク質あるいは野生型のタンパク質で
ある。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞中で生成
された標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAの総量は、対照細胞中で
生成された標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAの総量と比較して、
約1.1~約10倍、約1.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約
10倍、約1.1~約5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、
約1.1~約9倍、約2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~
約9倍、約3~約6倍、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約
4~約8倍、約4~約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも
約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも
約4倍、少なくとも約5倍、あるいは少なくとも約10倍増加する。いくつかの実施形態
において、アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞によって生成された標的タンパク質
の総量は、対照細胞によって生成された標的タンパク質の総量と比較して、約1.1~約
10倍、約1.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1
.1~約5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約
9倍、約2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3
~約6倍、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、
約4~約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少な
くとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少な
くとも約5倍、あるいは少なくとも約10倍増加する。
【0013】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、ホ
スホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結合を含む骨格修飾を含む。いくつか
の実施形態において、アンチセンスオリゴマーはホスホロジアミデートモルホリノ、ロッ
クド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、あるいは2’-O-メト
キシエチル部分を含む。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは少なく
とも1つの修飾された糖部分を含む。いくつかの実施形態において、それぞれの糖部分は
修飾された糖部分である。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、8
~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、8~35の核酸塩基、8~30の核酸塩基、8
~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、8~15の核酸塩基、9~50の核酸塩基、9
~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、9~30の核酸塩基、9~25の核酸塩基、9
~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、10~50の核酸塩基、10~40の核酸塩基
、10~35の核酸塩基、10~30の核酸塩基、10~25の核酸塩基、10~20の
核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~50の核酸塩基、11~40の核酸塩基、11
~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基、11~25の核酸塩基、11~20の核酸塩
基、11~15の核酸塩基、12~50の核酸塩基、12~40の核酸塩基、12~35
の核酸塩基、12~30の核酸塩基、12~25の核酸塩基、12~20の核酸塩基、あ
るいは12~15の核酸塩基からなる。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリ
ゴマーは、タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の標的部分に少なくとも80
%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少な
くとも99%、あるいは100%相補的である。
【0014】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、細胞は、標的タンパク質または
機能的RNAをコードする遺伝子から転写されたRIC mRNA前駆体の集団を含み、
ここで、RIC mRNA前駆体の集団は少なくとも1つの保持されたイントロンを含み
、および、ここで、アンチセンスオリゴマーは、RIC mRNA前駆体の集団で最も豊
富な保持されたイントロンに結合する。いくつかの実施形態において、最も豊富な保持さ
れたイントロンに対するアンチセンスオリゴマーの結合は、標的タンパク質または機能的
RNAをコードするmRNAを生成するRIC mRNA前駆体の集団からの少なくとも
1つの保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する。いくつかの実施形態に
おいて、細胞は、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子から転写された
RIC mRNA前駆体の集団を含み、ここで、RIC mRNA前駆体の集団は2つ以
上の保持されたイントロンを含み、および、ここで、アンチセンスオリゴマーは、RIC
mRNA前駆体の集団で2番目に豊富な保持されたイントロンに結合する。いくつかの
実施形態において、2番目に豊富な保持されたイントロンに対するアンチセンスオリゴマ
ーの結合は、標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAを生成するRIC
mRNA前駆体の集団からの2つ以上の保持されたイントロンのスプライシングアウト
を誘発する。いくつかの実施形態において、当該方法はPC-2タンパク質発現を評価す
る工程をさらに含む。
【0015】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーはPK
D2 RIC mRNA前駆体の標的部分に結合し、ここで、標的部分はSEQ ID
NO:3-280から選択される配列である。いくつかの実施形態では、被験体はヒトで
ある。いくつかの実施形態では、被験体はヒト以外の動物である。いくつかの実施形態に
おいて、被験体は胎児、胚、あるいは子供である。いくつかの実施形態では、細胞はエク
スビボである。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、被験体の腹腔
内注射、筋肉内注射、皮下注射、あるいは静脈内注射によって投与される。いくつかの実
施形態において、5’スプライス部位に隣接するエクソンの-3e~-1eと、保持され
たイントロンの+1~+6にある9つのヌクレオチドは、対応する野性型配列と同一であ
る。いくつかの実施形態において、保持されたイントロンの-15~-1と3’スプライ
ス部位に隣接するエクソンの+1eにある16のヌクレオチドは、対応する野性型配列と
同一である。いくつかの実施形態では、前述の方法のいずれかに記載されるようなアンチ
センスオリゴマーが本明細書に開示される。
【0016】
いくつかの実施形態では、SEQ ID NO:3-280のいずれか1つに対して少
なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を
備えた配列を含むアンチセンスオリゴマーが本明細書で開示される。
【0017】
さらにいくつかの実施形態では、前述のアンチセンスオリゴマーのいずれかと賦形剤を
含む医薬組成物が本明細書で開示される。
【0018】
いくつかの実施形態では、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、あるいは静脈内注射に
よって前述の医薬組成物のいずれかを投与することにより、必要としている被験体を処置
する方法が本明細書で開示される。
【0019】
いくつかの実施形態では、不足しているタンパク質または不足している機能的RNAに
関連付けられる被験体の多発性嚢胞腎を処置するために細胞によって標的タンパク質ある
いは機能的RNAの発現を増加させる方法で使用されるアンチセンスオリゴマーを含む組
成物が本明細書で開示される。ここで、不足しているタンパク質または不足している機能
的RNAは、被験体において量あるいは活性が不足しており、ここで、アンチセンスオリ
ゴマーは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする、保持されたイントロン含有
mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)の構成的なスプライシングを増強し、ここで
、標的タンパク質は:(a)不足しているタンパク質;あるいは(b)被験体において不
足しているタンパク質を機能的に増大させるか、これに取って代わる、補償タンパク質で
あり、ここで、機能的RNAは:(c)不足しているRNA;あるいは(d)被験体の不
足している機能的RNAを機能的に増大させるか、これに取って代わる、補償機能的RN
Aであり、ここで、RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、5’スプライス
部位に隣接するエクソン、および3’スプライス部位に隣接するエクソンを含み、ここで
、保持されたイントロンは、標的タンパク質または機能的RNAをコードするRIC m
RNA前駆体からスプライシングされ、それによって、被験体の標的タンパク質あるいは
機能的RNAの生成あるいは活性を増加させる。
【0020】
いくつかの実施形態では、被験体においてPC-2タンパク質に関連する疾病を処置す
る方法で使用されるアンチセンスオリゴマーを含む組成物が本明細書で開示され、当該方
法は、被験体の細胞によってPC-2タンパク質の発現を増加させる工程を含み、ここで
、細胞は、保持されたイントロン、保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接す
るエクソン、保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソンを含む、保
持されたイントロン含有mRNA前駆体を有し、および、ここで、RIC mRNA前駆
体はPC-2タンパク質をコードし、当該方法は、アンチセンスオリゴマーに細胞を接触
させる工程を含み、これによって、保持されたイントロンは、PC-2タンパク質をコー
ドするRIC mRNA前駆体転写産物から構成的にスプライシングされ、それにより、
被験体の細胞においてPC-2タンパク質をコードするmRNAのレベルを増加させ、P
C-2タンパク質の発現を増加させる。いくつかの実施形態では、疾病は疾患または障害
である。いくつかの実施形態において、疾患または障害は多発性嚢胞腎である。いくつか
の実施形態において、標的タンパク質とRIC mRNA前駆体はPKD2遺伝子によっ
てコードされる。
【0021】
前述の組成物のいずれかのいくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、
保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6から、保持されたイントロンの
3’スプライス部位に対して-16までの領域内の保持されたイントロンにあるRIC
mRNA前駆体の一部を標的とする。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴ
マーはRIC mRNA前駆体の一部を標的とし、これは、以下の内部の保持されたイン
トロンにある:(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+49
7の領域;あるいは(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~
-496の領域。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、少なくとも
1つの保持されたイントロンの5’スプライス部位の約100ヌクレオチド下流から、少
なくとも1つの保持されたイントロンの3’スプライス部位の約100ヌクレオチド上流
までの領域内にあるRIC mRNA前駆体の一部を標的とする。いくつかの実施形態に
おいて、RIC mRNA前駆体の標的部分は、以下の内部にある:(a)保持されたイ
ントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4eの領域;あるいは
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4
eの領域。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、以下の
内部にある:(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して-4e~-1,
054eの領域;(b)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+4
99の領域;(c)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-49
6の領域;あるいは、(d)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して+2e
~+1,912eの領域。いくつかの実施形態において、標的タンパク質はPC-2であ
る。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:2
に少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一
性を備えた配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体は、SE
Q ID NO:1に少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは
100%の配列同一性を備えた遺伝子配列によってコードされる。いくつかの実施形態に
おいて、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:281の少なくと
も8つの隣接する核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%
、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。いくつかの実施形態において、A
SOは、SEQ ID NO:3-280のいずれか1つに少なくとも約80%、85%
、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態
において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン5の5’スプラ
イス部位に対して-204e~+497までの領域内、あるいは保持されたイントロン5
の3’スプライス部位に対して-496~+212eの領域内にある。いくつかの実施形
態において、ASOは、SEQ ID NO:3-280のいずれか1つに少なくとも約
80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いく
つかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン
5の5’スプライス部位に対して-204e~-4eの領域内のエクソン5にある。いく
つかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:3-43のいずれか1つに少
なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を
含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持された
イントロンの5’スプライス部位に対して+6~+497の領域内の保持されたイントロ
ン5にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:44-14
0のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは1
00%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標
的部分は、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-496の領域
内の保持されたイントロン5にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ
ID NO:141-237のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、9
5%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、R
IC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン5の3’スプライス部位に対
して+2e~+212eの領域内のエクソン6にある。いくつかの実施形態において、A
SOは、SEQ ID NO:238-280のいずれか1つに少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。
【0022】
前述の組成物のいずれかのいくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、
標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子から転写されたmRNA前駆体の
選択的スプライシングを調節することにより、標的タンパク質または機能的RNAの量を
増加させない。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク
質または機能的RNAをコードする遺伝子の突然変異に起因する異常なスプライシングを
調節することにより、機能的RNAまたは機能的タンパク質の量を増加させない。いくつ
かの実施形態において、RIC mRNA前駆体は、全長のmRNA前駆体、あるいは野
生型のmRNA前駆体の部分的なスプライシングによって生成された。いくつかの実施形
態において、標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAは、全長の成熟m
RNA、あるいは野生型の成熟mRNAである。いくつかの実施形態において、生成され
た標的タンパク質は全長のタンパク質あるいは野生型のタンパク質である。いくつかの実
施形態において、保持されたイントロンは律速イントロンである。いくつかの実施形態に
おいて、保持されたイントロンは前記RIC mRNA前駆体で最も豊富な保持されたイ
ントロンである。いくつかの実施形態において、保持されたイントロンは前記RIC m
RNA前駆体で2番目に豊富な保持されたイントロンである。
【0023】
前述の組成物のいずれかのいくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、
ホスホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結合を含む骨格修飾を含む。いくつ
かの実施形態では、アンチセンスオリゴマーはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーはホスホロジアミデートモルホリ
ノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、あるいは2’-
O-メトキシエチル部分を含む。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマー
は少なくとも1つの修飾された糖部分を含む。いくつかの実施形態において、それぞれの
糖部分は修飾された糖部分である。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマ
ーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、8~35の核酸塩基、8~30の核酸
塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、8~15の核酸塩基、9~50の核酸
塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、9~30の核酸塩基、9~25の核酸
塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、10~50の核酸塩基、10~40の
核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の核酸塩基、10~25の核酸塩基、10
~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~50の核酸塩基、11~40の核酸塩
基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基、11~25の核酸塩基、11~20
の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の核酸塩基、12~40の核酸塩基、1
2~35の核酸塩基、12~30の核酸塩基、12~25の核酸塩基、12~20の核酸
塩基、あるいは12~15の核酸塩基からなる。
【0024】
いくつかの実施形態では、前述のアンチセンスオリゴマーのいずれかと賦形剤を含む医
薬組成物が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、腹腔内注射、筋肉内注射、
皮下注射、あるいは静脈内注射によって前述の医薬組成物を投与することにより、必要と
している被験体を処置する方法が本明細書で開示される。
【0025】
いくつかの実施形態において、医薬組成物が本明細書に開示され、該医薬組成物は、不
足しているPKD2 mRNA転写産物の標的配列にハイブリダイズされるアンチセンス
オリゴマーであって、不足しているPKD2 mRNA転写産物が保持されたイントロン
を含み、アンチセンスオリゴマーが不足しているPKD2 mRNA転写産物からの保持
されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する、アンチセンスオリゴマーと、薬学
的に許容可能な賦形剤とを含む。いくつかの実施形態において、不足しているPKD2
mRNA転写産物はPKD2 RIC mRNA前駆体転写産物である。いくつかの実施
形態において、PKD2 RIC mRNA前駆体転写産物の標的部分は、保持されたイ
ントロンの5’スプライス部位に対して+500~保持されたイントロンの3’スプライ
ス部位に対して-500までの領域内の保持されたイントロンにある。いくつかの実施形
態において、PKD2 RIC mRNA前駆体転写産物は、SEQ ID NO:1に
対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%
、あるいは100%の配列同一性を備えた遺伝子配列によってコードされる。いくつかの
実施形態において、PKD2 RIC mRNA前駆体転写産物は、SEQ ID NO
:2に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、
99%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。いくつかの実施形態におい
て、アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結
合を含む骨格修飾を含む。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーはアンチセ
ンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマー
は、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル
、2’-フルオロ、あるいは2’-O-メトキシエチル部分を含む。いくつかの実施形態
において、アンチセンスオリゴマーは少なくとも1つの修飾された糖部分を含む。いくつ
かの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核
酸塩基、8~35の核酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核
酸塩基、8~15の核酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核
酸塩基、9~30の核酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核
酸塩基、10~50の核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~
30の核酸塩基、10~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基
、11~50の核酸塩基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の
核酸塩基、11~25の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12
~50の核酸塩基、12~40の核酸塩基、12~35の核酸塩基、12~30の核酸塩
基、12~25の核酸塩基、12~20の核酸塩基、あるいは12~15の核酸塩基を含
む。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、PKD2 RIC mR
NA前駆体転写産物の標的部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90
%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、あるいは100%相補的
である。いくつかの実施形態において、PKD2 RIC mRNA前駆体転写産物の標
的部分は、SEQ ID NO:281内にある。いくつかの実施形態において、アンチ
センスオリゴマーは、SEQ ID NO:3-280のいずれか1つに対して少なくと
も約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97
%、98%、あるいは99%の配列同一性であるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実
施形態では、アンチセンスオリゴマーは、SEQ ID NO:3-280から選択され
たヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、髄腔内注射、
脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、あるいは静脈内注射のために製剤され
る。
【0026】
いくつかの実施形態では、PC-2タンパク質の機能的な形態をコードする十分に処理
されたPKD2 mRNA転写産物を生成するべく、保持されたイントロンの除去を促す
ために不足しているPKD2 mRNA転写産物の処理を誘発する方法が本明細書で開示
され、該方法は:(a)被験体の標的細胞へアンチセンスオリゴマーを接触させる工程と
、(b)不足しているPKD2 mRNA転写産物へアンチセンスオリゴマーをハイブリ
ダイズする工程であって、不足しているPKD2 mRNA転写産物が、PC-2タンパ
ク質の機能的な形態をコードすることができ、少なくとも1つの保持されたイントロンを
含む、工程と、(c)PC-2タンパク質の機能的な形態をコードする十分に処理された
PKD2 mRNA転写産物を生成するために不足しているPKD2 mRNA転写産物
から少なくとも1つの保持されたイントロンを除去する工程と、(d)十分に処理された
PKD2 mRNA転写産物からPC-2タンパク質の機能的な形態を翻訳する工程を含
む。いくつかの実施形態において、保持されたイントロンは保持されたイントロン全体で
ある。いくつかの実施形態において、不足しているPKD2 mRNA転写産物はPKD
2 mRNA前駆体転写産物である。
【0027】
いくつかの実施形態では、PC2タンパク質の量と活性の不足によって引き起こされた
疾病を抱える被験体を処置する方法が本明細書で開示され、該方法は、SEQ ID N
O:3-280のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、91%、
92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一
性を備えたヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴマーを被験体に投与する工程を含
む。
【0028】
<参照による組み込み>
本明細書で言及される出願公開、特許、および特許出願はすべて、あたかも個々の出願
公開、特許、あるいは特許出願がそれぞれ参照により組み込まれるように具体的かつ個々
に指示されるかのような同じ程度、参照により本明細書に組み込まれる。
本願は以下の発明を包含する。
[項目1] 被験体の細胞によって標的タンパク質又は機能的RNAの発現を増加させる
ことにより、被験体の多発性嚢胞腎を処置する方法であって、
細胞は、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)を有し
、RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、5’スプライス部位に隣接するエ
クソン、3’スプライス部位に隣接するエクソンを含み、及び、RIC mRNA前駆体
は標的タンパク質又は機能的RNAをコードし、
前記方法は、
標的タンパク質又は機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆体の標的部分に相
補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)に、被験体の細胞を接触させる工程を含み、こ
れによって、保持されたイントロンは、標的タンパク質又は機能的RNAをコードするR
IC mRNA前駆体から構成的にスプライシングされ、それにより、標的タンパク質又
は機能的RNAをコードするmRNAのレベルを増加させ、被験体の細胞中の標的タンパ
ク質あるいは機能的RNAの発現を増加させる、方法。
[項目2] 保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)を有
する細胞により、PC-2である標的タンパク質の発現を増加させる方法であって、
RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、保持されたイントロンの5’スプ
ライス部位に隣接するエクソン、保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接する
エクソンを含み、及び、RIC mRNA前駆体はPC-2タンパク質をコードし、
前記方法は、
PC-2タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の標的部分に相補的なアンチ
センスオリゴマー(ASO)に、被験体の細胞を接触させる工程を含み、これによって、
保持されたイントロンは、PC-2タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体から
構成的にスプライシングされ、それにより、PC-2タンパク質をコードするmRNAの
レベルを増加させ、細胞中のPC-2タンパク質の発現を増加させる、方法。
[項目3] 標的タンパク質はPC-2である、項目1に記載の方法。
[項目4] 標的タンパク質又は機能的RNAは、被験体において量あるいは活性が不足
している標的タンパク質あるいは機能的RNAを機能的に増大させるか、これに取って代
わる、補償タンパク質あるいは補償機能的RNAである、項目1に記載の方法。
[項目5] 細胞は、PC-2タンパク質の不足している量又は活性によって引き起こさ
れた疾病を抱える被験体中のものであるか、該被検体からのものである、項目2に記載の
方法。
[項目6] 標的タンパク質の不足している量は、標的タンパク質のハプロ不全によって
引き起こされ、ここで、被験体は機能的な標的タンパク質をコードする第1の対立遺伝子
と、標的タンパク質が生成されない第2の対立遺伝子、あるいは非機能的標的タンパク質
をコードする第2の対立遺伝子とを有し、ここで、アンチセンスオリゴマーは、第1の対
立遺伝子から転写されたRIC mRNA前駆体の標的部分に結合する、項目1~5のい
ずれか1つに記載の方法。
[項目7] 被験体は、標的タンパク質の量又は機能の不足に起因する障害により引き起
こされた疾病を抱えており、ここで、被験体は、
(a)
(i)標的タンパク質が野生型対立遺伝子からの生成と比較して、減少したレベルで生
成され、
(ii)標的タンパク質が同等の野性型タンパク質と比較して機能が低下した形態で生
成され、あるいは、
(iii)標的タンパク質が生成されない、
第1の変異対立遺伝子と、
(b)
(i)標的タンパク質が野生型対立遺伝子からの生成と比較して、減少したレベルで生
成され、
(ii)標的タンパク質が同等の野性型タンパク質と比較して機能が低下した形態で生
成され、あるいは、
(iii)標的タンパク質が生成されない、
第2の変異対立遺伝子とを有し、
ここで、被験体が第1の変異対立遺伝子(a)(iii)を有するとき、第2の変異対
立遺伝子は(b)(i)あるいは(b)(ii)であり、ここで、被験体が第2の変異対
立遺伝子(b)(iii)を有するとき、第1の変異対立遺伝子は(a)(i)あるいは
(a)(ii)であり、ここで、RIC mRNA前駆体は、(a)(i)あるいは(a
)(ii)である第1の変異対立遺伝子、及び/又は、(b)(i)あるいは(b)(i
i)である第2の変異対立遺伝子のいずれかから転写される、項目1~5のいずれか1つ
に記載の方法。
[項目8] 標的タンパク質は、同等の野性型タンパク質と比較して、機能が低下した形
態で生成される、項目7に記載の方法。
[項目9] 標的タンパク質は、同等の野性型タンパク質と比較して、十分に機能的な形
態で生成される、項目7に記載の方法。
[項目10] RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプ
ライス部位に対して+6~保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16ま
での領域内の保持されたイントロンにある、項目1~9のいずれか1つに記載の方法。
[項目11] RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+497の領域、ある
いは、
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-496の領域、
の内部の保持されたイントロンにある、項目1~9のいずれか1つに記載の方法。
[項目12] RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4
eの領域、あるいは
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4
eの領域、
の内部にある、項目1~9のいずれか1つに記載の方法。
[項目13] RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して-4e~-1,054eの領
域、
(b)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+499の領域、
(c)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-496の領域、あ
るいは、
(d)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して+2e~+1,912eの領
域、
の内部の保持されたイントロンにある、項目1~9のいずれか1つに記載の方法。
[項目14] 標的タンパク質はPC-2である、項目1~13のいずれか1つに記載の
方法。
[項目15] RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:2に少なくとも約80
%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含
む、項目14に記載の方法。
[項目16] RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:1に少なくとも約80
%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた遺伝子配
列によってコードされる、項目14に記載の方法。
[項目17] RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:281の少
なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、
97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、項目14に記載の方法。
[項目18] ASOは、SEQ ID NO:3~280のいずれか1つに少なくとも
約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、項
目14に記載の方法。
[項目19] RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン5の5’ス
プライス部位に対して-204e~+497までの領域内、あるいは保持されたイントロ
ン5の3’スプライス部位に対して-496~+212eの領域内にある、項目14に記
載の方法。
[項目20] ASOは、SEQ ID NO:3~280のいずれか1つに少なくとも
約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、項
目19に記載の方法。
[項目21] RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン5の5’ス
プライス部位に対して-204e~-4eの領域内のエクソン5にある、項目14に記載
の方法。
[項目22] ASOは、SEQ ID NO:3~43のいずれか1つに少なくとも約
80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、項目
21に記載の方法。
[項目23] RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプ
ライス部位に対して+6~+497の領域内の保持されたイントロン5にある、項目14
に記載の方法。
[項目24] ASOは、SEQ ID NO:44~140のいずれか1つに少なくと
も約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、
項目23に記載の方法。
[項目25] RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの3’スプ
ライス部位に対して-16~-496の領域内の保持されたイントロン5にある、項目1
4に記載の方法。
[項目26] ASOは、SEQ ID NO:141~237のいずれか1つに少なく
とも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む
、項目25に記載の方法。
[項目27] RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン5の3’ス
プライス部位に対して+2e~+212eの領域内のエクソン6にある、項目14に記載
の方法。
[項目28] ASOは、SEQ ID NO:238~280のいずれか1つに少なく
とも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む
、項目27に記載の方法。
[項目29] アンチセンスオリゴマーは、機能的RNA又は標的タンパク質をコードす
る遺伝子から転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシングを調節することにより、
標的タンパク質又は機能的RNAの量を増加させない、項目1~28のいずれか1つに記
載の方法。
[項目30] アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質又は機能的RNAをコードす
る遺伝子の突然変異に起因する異常なスプライシングを調節することにより、標的タンパ
ク質又は機能的RNAの量を増加させない、項目1~29のいずれか1つに記載の方法。
[項目31] RIC mRNA前駆体は、全長のmRNA前駆体の部分的なスプライシ
ング、又は野生型のmRNA前駆体の部分的なスプライシングによって生成された、項目
1~30のいずれか1つに記載の方法。
[項目32] 標的タンパク質又は機能的RNAをコードするmRNAは、全長の成熟m
RNA、あるいは野生型の成熟mRNAである、項目1~31のいずれか1つに記載の方
法。
[項目33] 生成された標的タンパク質は、全長のタンパク質あるいは野生型のタンパ
ク質である、項目1~32のいずれか1つに記載の方法。
[項目34] アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞中で生成された標的タンパク質
又は機能的RNAをコードするmRNAの総量は、対照細胞中で生成された標的タンパク
質又は機能的RNAをコードするmRNAの総量と比較して、約1.1~約10倍、約1
.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍
、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~
約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約
3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍
、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.
5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍
、あるいは少なくとも約10倍増加する、項目1~33のいずれか1つに記載の方法。
[項目35] アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞によって生成された標的タンパ
ク質の総量は、対照細胞によって生成された標的タンパク質の総量として、約1.1~約
10倍、約1.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1
.1~約5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約
9倍、約2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3
~約6倍、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、
約4~約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少な
くとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少な
くとも約5倍、あるいは少なくとも約10倍増加する、項目1~34のいずれか1つに記
載の方法。
[項目36] アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合又はホスホロジアミ
デート結合を含む骨格修飾を含む、項目1~35のいずれか1つに記載の方法。
[項目37] アンチセンスオリゴマーはホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核
酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、あるいは2’-O-メトキシエ
チル部分を含む、項目1~36のいずれか1つに記載の方法。
[項目38] アンチセンスオリゴマーは少なくとも1つの修飾された糖部を含む、項目
1~37のいずれか1つに記載の方法。
[項目39] それぞれの糖部は修飾された糖部である、項目38に記載の方法。
[項目40] アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、
8~35の核酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、
8~15の核酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、
9~30の核酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、
10~50の核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の核
酸塩基、10~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~
50の核酸塩基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基
、11~25の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の
核酸塩基、12~40の核酸塩基、12~35の核酸塩基、12~30の核酸塩基、12
~25の核酸塩基、12~20の核酸塩基、あるいは12~15の核酸塩基からなる、項
目1~39のいずれか1つに記載の方法。
[項目41] アンチセンスオリゴマーは、タンパク質をコードするRIC mRNA前
駆体の標的部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも
95%、少なくとも98%、少なくとも99%、あるいは100%相補的である、項目1
~40のいずれか1つに記載の方法。
[項目42] 細胞は、標的タンパク質又は機能的RNAをコードする遺伝子から転写さ
れたRIC mRNA前駆体の集団を含み、ここで、RIC mRNA前駆体の集団は少
なくとも1つの保持されたイントロンを含み、及び、ここで、アンチセンスオリゴマーは
、RIC mRNA前駆体の集団で最も豊富な保持されたイントロンに結合する、項目1
~41のいずれか1つに記載の方法。
[項目43] 最も豊富な保持されたイントロンに対するアンチセンスオリゴマーの結合
は、標的タンパク質又は機能的RNAをコードするmRNAを生成するRIC mRNA
前駆体の集団からの少なくとも1つの保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘
発する、請求項42に記載の方法。
[項目44] 細胞は、標的タンパク質又は機能的RNAをコードする遺伝子から転写さ
れたRIC mRNA前駆体の集団を含み、ここで、RIC mRNA前駆体の集団は2
つ以上の保持されたイントロンを含み、及び、ここで、アンチセンスオリゴマーは、RI
C mRNA前駆体の集団で2番目に豊富な保持されたイントロンに結合する、項目1~
43のいずれか1つに記載の方法。
[項目45] 2番目に豊富な保持されたイントロンに対するアンチセンスオリゴマーの
結合は、標的タンパク質又は機能的RNAをコードするmRNAを生成するRIC mR
NA前駆体の集団からの2つ以上の保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発
する、請求項44に記載の方法。
[項目46] 前記方法はPC-2タンパク質発現を評価する工程をさらに含む、項目1
~45のいずれか1つに記載の方法。
[項目47] アンチセンスオリゴマーはPKD2 RIC mRNA前駆体の標的部分
に結合し、ここで、標的部分はSEQ ID NO:3~280から選択される配列であ
る、項目1~46のいずれか1つに記載の方法。
[項目48] 被験体はヒトである、項目1~47のいずれか1つに記載の方法。
[項目49] 被験体はヒト以外の動物である、項目1~47のいずれか1つに記載の方
法。
[項目50] 被験体は胎児、胚、あるいは子供である、項目1~48のいずれか1つに
記載の方法。
[項目51] 細胞はエクスビボである、項目1~47のいずれか1つに記載の方法。
[項目52] アンチセンスオリゴマーは、被験体の腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射
、あるいは静脈内注射によって投与される、項目1~51のいずれか1つに記載の方法。
[項目53] 5’スプライス部位に隣接するエクソンの-3e~-1eと、保持された
イントロンの+1~+6にある9つのヌクレオチドは、対応する野性型配列と同一である
、項目1~52のいずれか1つに記載の方法。
[項目54] 保持されたイントロンの-15~-1と3’スプライス部位に隣接するエ
クソンの+1eにある16のヌクレオチドは、対応する野性型配列と同一である、項目1
~53のいずれか1つに記載の方法。
[項目55] 項目1~54のいずれか1つの方法で使用されるアンチセンスオリゴマー
。
[項目56] SEQ ID NO:3~280のいずれか1つに対して少なくとも約8
0%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を
含む、アンチセンスオリゴマー。
[項目57] 項目55又は56のアンチセンスオリゴマーと、薬学的に許容可能な賦形
剤、希釈剤、又は担体とを含む医薬組成物。
[項目58] 腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、あるいは静脈内注射によって、項目
57の医薬組成物を投与することにより被験体を処置する方法。
[項目59] 不足しているタンパク質又は不足している機能的RNAに関連付けられる
被験体の多発性嚢胞腎を処置するために細胞によって標的タンパク質あるいは機能的RN
Aの発現を増加させる方法で使用されるアンチセンスオリゴマーを含む組成物であって、
不足しているタンパク質又は不足している機能的RNAは、被験体において量あるいは
活性が不足しており、ここで、アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質又は機能的R
NAをコードする、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体
)の構成的なスプライシングを増強し、
ここで、
標的タンパク質は、
(a)不足しているタンパク質、あるいは
(b)被験体において不足しているタンパク質を機能的に増大させるか、これに取って代
わる、補償タンパク質であり、
ここで、
機能的RNAは、
(c)不足しているRNA、あるいは、
(d)被験体の不足している機能的RNAを機能的に増大させるか、これに取って代わる
、補償機能的RNAであり、
ここで、
RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、5’スプライス部位に隣接するエ
クソン、及び3’スプライス部位に隣接するエクソンを含み、ここで、保持されたイント
ロンは、標的タンパク質又は機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆体からスプ
ライシングされ、それによって、被験体の標的タンパク質あるいは機能的RNAの生成あ
るいは活性を増加させる、組成物。
[項目60] 被験体においてPC-2タンパク質に関連する疾病を処置する方法で使用
されるアンチセンスオリゴマーを含む組成物であって、
当該方法は、被験体の細胞によってPC-2タンパク質の発現を増加させる工程であっ
て、細胞が、保持されたイントロン、保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接
するエクソン、保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソンを含む、
保持されたイントロン含有mRNA前駆体を有し、及び、RIC mRNA前駆体がPC
-2タンパク質をコードする、工程と、アンチセンスオリゴマーに細胞を接触させる工程
であって、これによって、保持されたイントロンは、PC-2タンパク質をコードするR
IC mRNA前駆体転写産物から構成的にスプライシングされ、それにより、被験体の
細胞においてPC-2タンパク質をコードするmRNAのレベルを増加させ、PC-2タ
ンパク質の発現を増加させる、工程を含む、組成物。
[項目61] 疾病は疾患又は障害である、項目60に記載の組成物。
[項目62] 疾患又は障害は多発性嚢胞腎である、項目61に記載の組成物。
[項目63] 標的タンパク質とRIC mRNA前駆体はPKD2遺伝子によってコー
ドされる、請求項62に記載の組成物。
[項目64] アンチセンスオリゴマーは、保持されたイントロンの5’スプライス部位
に対して+6から、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16までの領
域内の保持されたイントロンにあるRIC mRNA前駆体の一部を標的とする、項目5
9~63のいずれか1つに記載の組成物。
[項目65] アンチセンスオリゴマーはRIC mRNA前駆体の一部を標的とし、こ
れは、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+497の領域、ある
いは、
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-496の領域、
の内部の保持されたイントロンにある、項目59~64のいずれか1つに記載の組成物。
[項目66] アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの保持されたイントロンの5
’スプライス部位の約100ヌクレオチド下流から、少なくとも1つの保持されたイント
ロンの3’スプライス部位の約100ヌクレオチド上流までの領域内にあるRIC mR
NA前駆体の一部を標的とする、項目59~63のいずれか1つに記載の組成物。
[項目67] RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4
eの領域、あるいは、
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4
eの領域、
の内部にある、項目59~63のいずれか1つに記載の組成物。
[項目68] RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して-4e~-1,054eの領
域、
(b)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+499の領域、
(c)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-496の領域、あ
るいは、
(d)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して+2e~+1,912eの領
域、
の内部にある、項目59~63のいずれか1つに記載の組成物。
[項目69] 標的タンパク質はPC-2である、項目59~68のいずれか1つに記載
の組成物。
[項目70] RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:2に少なくとも約80
%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含
む、項目69に記載の組成物。
[項目71] RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:1に少なくとも約80
%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた遺伝子配
列によってコードされる、項目69に記載の組成物。
[項目72] RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:281の少
なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、
97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、項目69に記載の組成物。
[項目73] ASOは、SEQ ID NO:3~280のいずれか1つに少なくとも
約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、項
目69に記載の組成物。
[項目74] RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン5の5’ス
プライス部位に対して-204e~+497までの領域内、あるいは保持されたイントロ
ン5の3’スプライス部位に対して-496~+212eの領域内にある、項目69に記
載の組成物。
[項目75] ASOは、SEQ ID NO:3~280のいずれか1つに少なくとも
約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、項
目74に記載の組成物。
[項目76] RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン5の5’ス
プライス部位に対して-204e~-4eの領域内のエクソン5にある、項目69に記載
の組成物。
[項目77] ASOは、SEQ ID NO:3~43のいずれか1つに少なくとも約
80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、項目
76に記載の組成物。
[項目78] RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプ
ライス部位に対して+6~+497の領域内の保持されたイントロン5にある、項目69
に記載の組成物。
[項目79] ASOは、SEQ ID NO:44~140のいずれか1つに少なくと
も約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、
項目78に記載の組成物。
[項目80] RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの3’スプ
ライス部位に対して-16~-496の領域内の保持されたイントロン5にある、項目6
9に記載の組成物。
[項目81] ASOは、SEQ ID NO:141~237のいずれか1つに少なく
とも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む
、項目80に記載の組成物。
[項目82] RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン5の3’ス
プライス部位に対して+2e~+212eの領域内のエクソン6にある、項目69に記載
の組成物。
[項目83] ASOは、SEQ ID NO:238~280のいずれか1つに少なく
とも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む
、項目82に記載の組成物。
[項目84] アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質又は機能的RNAをコードす
る遺伝子から転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシングを調節することにより、
標的タンパク質又は機能的RNAの量を増加させない、項目59~83のいずれか1つに
記載の組成物。
[項目85] アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質又は機能的RNAをコードす
る遺伝子の突然変異に起因する異常なスプライシングを調節することにより、機能的RN
A又は機能的タンパク質の量を増加させない、項目59~84のいずれか1つに記載の組
成物。
[項目86] RIC mRNA前駆体は、全長のmRNA前駆体、あるいは野生型のm
RNA前駆体の部分的なスプライシングによって生成された、項目59~85のいずれか
1つに記載の組成物。
[項目87] 標的タンパク質又は機能的RNAをコードするmRNAは、全長の成熟m
RNA、あるいは野生型の成熟mRNAである、項目59~86のいずれか1つに記載の
組成物。
[項目88] 生成された標的タンパク質は、全長のタンパク質あるいは野生型のタンパ
ク質である、項目59~87のいずれか1つに記載の組成物。
[項目89] 保持されたイントロンは律速イントロンである、項目59~88のいずれ
か1つに記載の組成物。
[項目90] 前記保持されたイントロンは前記RIC mRNA前駆体で最も豊富な保
持されたイントロンである、項目59~89のいずれか1つに記載の組成物。
[項目91] 保持されたイントロンは前記RIC mRNA前駆体で2番目に豊富な保
持されたイントロンである、項目59~89のいずれか1つに記載の組成物。
[項目92] アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合又はホスホロジアミ
デート結合を含む骨格修飾を含む、項目59~91のいずれか1つに記載の組成物。
[項目93] 前記アンチセンスオリゴマーはアンチセンスオリゴヌクレオチドである、
項目59~92のいずれか1つに記載の組成物。
[項目94] アンチセンスオリゴマーはホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核
酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、あるいは2’-O-メトキシエ
チル部分を含む、項目59~93のいずれか1つに記載の組成物。
[項目95] アンチセンスオリゴマーは少なくとも1つの修飾された糖部を含む、項目
59~94のいずれか1つに記載の組成物。
[項目96] それぞれの糖部は修飾された糖部である、項目95に記載の組成物。
[項目97] アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、
8~35の核酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、
8~15の核酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、
9~30の核酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、
10~50の核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の核
酸塩基、10~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~
50の核酸塩基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基
、11~25の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の
核酸塩基、12~40の核酸塩基、12~35の核酸塩基、12~30の核酸塩基、12
~25の核酸塩基、12~20の核酸塩基、あるいは12~15の核酸塩基からなる、項
目59~96のいずれか1つに記載の組成物。
[項目98] 項目59~97の組成物のいずれか1つのアンチセンスオリゴマーと、薬
学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、又は担体とを含む医薬組成物。
[項目99] 腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、あるいは静脈内注射によって項目9
8の医薬組成物を投与することにより被験体を処置する方法。
[項目100] 不足しているPKD2 mRNA転写産物の標的配列にハイブリダイズ
されるアンチセンスオリゴマーであって、不足しているPKD2 mRNA転写産物が保
持されたイントロンを含み、アンチセンスオリゴマーが不足しているPKD2 mRNA
転写産物からの保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する、アンチセンス
オリゴマーと、
薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、又は担体とを含む、
医薬組成物。
[項目101] 不足しているPKD2 mRNA転写産物はPKD2 RIC mRN
A前駆体転写産物である、項目100に記載の医薬組成物。
[項目102] PKD2 RIC mRNA前駆体転写産物の標的部分は、保持された
イントロンの5’スプライス部位に対して約+500~保持されたイントロンの3’スプ
ライス部位に対して約-500までの領域内の保持されたイントロンにある、項目100
又は101に記載の医薬組成物。
[項目103] PKD2 RIC mRNA前駆体転写産物は、SEQ ID NO:
1に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、9
9%、あるいは100%の配列同一性を備えた遺伝子配列によってコードされる、項目1
00又は101に記載の医薬組成物。
[項目104] PKD2 RIC mRNA前駆体転写産物は、SEQ ID NO:
2に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、9
9%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、項目100又は101に記載
の医薬組成物。
[項目105] アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合又はホスホロジア
ミデート結合を含む骨格修飾を含む、項目100に記載の医薬組成物。
[項目106] アンチセンスオリゴマーはアンチセンスオリゴヌクレオチドである、項
目100に記載の医薬組成物。
[項目107] アンチセンスオリゴマーは、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロック
ド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、あるいは2’-O-メトキ
シエチル部分を含む、項目100に記載の医薬組成物。
[項目108] アンチセンスオリゴマーは少なくとも1つの修飾された糖部を含む、項
目100に記載の医薬組成物。
[項目109] アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基
、8~35の核酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基
、8~15の核酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基
、9~30の核酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基
、10~50の核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の
核酸塩基、10~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11
~50の核酸塩基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩
基、11~25の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50
の核酸塩基、12~40の核酸塩基、12~35の核酸塩基、12~30の核酸塩基、1
2~25の核酸塩基、12~20の核酸塩基、あるいは12~15の核酸塩基を含む、項
目100に記載の医薬組成物。
[項目110] アンチセンスオリゴマーは、PKD2 RIC mRNA前駆体転写産
物の標的部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも9
5%、少なくとも98%、少なくとも99%、あるいは100%相補的である、項目10
0又は101に記載の医薬組成物。
[項目111] PKD2 RIC mRNA前駆体転写産物の標的部分は、SEQ I
D NO:281内にある、項目100又は101に記載の医薬組成物。
[項目112] アンチセンスオリゴマーは、SEQ ID NO:3~280のいずれ
か1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%
、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性であるヌクレオチド配
列を含む、請求項100に記載の医薬組成物。
[項目113] アンチセンスオリゴマーは、SEQ ID NO:3~280から選択
されたヌクレオチド配列を含む、項目100に記載の医薬組成物。
[項目114] 医薬組成物は、髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮
下注射、あるいは静脈内注射のために製剤される、項目100~113のいずれか1つに
記載の医薬組成物。
[項目115] PC-2タンパク質の機能的な形態をコードする十分に処理されたPK
D2 mRNA転写産物を生成するべく、保持されたイントロンの除去を促すために不足
しているPKD2 mRNA転写産物の処理を誘発する方法であって、
前記方法は、
(a)被験体の標的細胞へアンチセンスオリゴマーを接触させる工程と、
(b)不足しているPKD2 mRNA転写産物へアンチセンスオリゴマーをハイブリダ
イズする工程であって、不足しているPKD2 mRNA転写産物が、PC-2タンパク
質の機能的な形態をコードすることができ、少なくとも1つの保持されたイントロンを含
む、工程と、
(c)PC-2タンパク質の機能的な形態をコードする十分に処理されたPKD2 mR
NA転写産物を生成するために不足しているPKD2 mRNA転写産物から少なくとも
1つの保持されたイントロンを除去する工程と、
(d)十分に処理されたPKD2 mRNA転写産物からPC-2タンパク質の機能的な
形態を翻訳する工程、
を含む、方法。
[項目116] 保持されたイントロンは保持されたイントロン全体である、項目115
に記載の方法。
[項目117] 不足しているPKD2 mRNA転写産物はPKD2 mRNA前駆体
転写産物である、項目115に記載の方法。
[項目118] PC2タンパク質の量と活性の不足によって引き起こされた疾病を抱え
る被験体を処置する方法であって、
SEQ ID NO:3~280のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%
、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、あるい
は99%の配列同一性を備えたヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴマーを被験体
に投与する工程を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の新規な特徴は、とりわけ添付の特許請求の範囲において説明される。本発明の
諸原則が利用される例示の実施形態について説明する以下の詳細な記載と、添付の図面を
参照することで、本発明の特徴および利点についてのよりよい理解が得られるであろう。
【
図1】保持されたイントロン含有(RIC)mRNA前駆体の転写産物の例示的概略図を示す。
図1では、5’スプライス部位コンセンサス配列は、-3eから-1eおよび+1から+6(「e」と標識された数字はエクソンであり、標識されていない数字はイントロンである)の、下線部の文字(文字はヌクレオチド、大文字はエクソン部分、小文字はイントロン部分)で示される。3’スプライス部位コンセンサス配列は、-15から-1および+1e(「e」と標識された数字はエクソンであり、標識されていない数字はイントロンである)の、下線部の文字(文字はヌクレオチド、大文字はエクソン部分、小文字はイントロン部分)で示される。ASOスクリーニングの、イントロンの標的領域は、保持されたイントロンの5’スプライス部位(左の矢印)に対する+6から、保持されたイントロンの3’スプライス部位(右の矢印)に対する-16のヌクレオチドを含む。実施形態では、ASOスクリーニングの、イントロンの標的領域は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6から+100、および保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16から-100のヌクレオチドを含む。エクソンの標的領域は、イントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソンの+2eから-4e、および保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソンの+2eから-4eのヌクレオチドを含む。「n」あるいは「N」はヌクレオチドを表し、「y」はピリミジンを表す。図示された配列は、哺乳動物のスプライス部位のコンセンサス配列を表し、個々のイントロンおよびエクソンはすべての位置でコンセンサス配列を一致させる必要はない。
【
図2A】核内遺伝子出力の標的とされた増強(TANGO)アプローチの概略図を示す。
図2Aは、核と細胞質区画に分割された細胞を示す。核では、エクソン(長方形)およびイントロン(接続ライン)から成る標的遺伝子のmRNA前駆体の転写産物は、mRNAを産生するためにスプライシングを受け、このmRNAは細胞質に輸送され、標的タンパク質に翻訳される。この標的遺伝子については、イントロン1のスプライシングは非効率的であり、保持されたイントロン含有(RIC)mRNA前駆体は、主として核に蓄積し、細胞質に輸送された場合は標的タンパク質産生に至ることなく劣化する。
【
図2B】核内遺伝子出力の標的とされた増強(TANGO)アプローチの概略図を示す。
図2Bは、核と細胞質区画に分割された同じ細胞の例を示す。アンチセンスオリゴマー(ASO)による処置は、イントロン1のスプライシングを促進し、mRNAの増加をもたらし、これは順に、高位レベルの標的タンパク質に翻訳される。
【
図3】イントロン5をもつPKD2遺伝子におけるイントロン保持を詳細に示す。RNA配列決定(RNAseq)を用いた、PKD2遺伝子におけるイントロン保持事象の特定は、UCSCゲノムブラウザで視覚化されて示される。上パネルは、腎臓の上皮細胞内に発現し、細胞質(上部)あるいは核分画(底部)のいずれかに局在するPKD2転写産物に相当する読み取り密度を示す。このパネルの下部に、PKD2遺伝子を図示したものが、スケールに合わせて示される。読み取り密度は、ピークで示される。最も高い読み取り密度は、エクソン(ブラックボックス)に相当する。一方、いずれの細胞分画においてもイントロンの大半で読み取りは観察されない。細胞質分画と比較してより高い読み取り密度は、核分画のイントロン5(矢印が示す部分)に対して検知され、これはイントロン5のスプライシング効率が低く、結果としてイントロン保持をもたらすことを示している。保持されたイントロン含有mRNA前駆体の転写産物は、核内に保持され、細胞質には輸送されない。腎臓の上皮細胞内のイントロン5の読み取り密度は、下パネルに詳細に示される。
【
図4】例示的PKD2遺伝子イントロン5(IVS 5)ASOウォーク(walk)を示す。2’-O-Me ASO、PS骨格を使用して、5’スプライス部位のすぐ下流、あるいは3’スプライス部位の上流にある配列を標的とする、PKD2 IVS 5に対して行われたASOウォークが図示される。ASOは、一度に5つのヌクレオチドの位置を変えることによりこれらの領域をカバーするように設計された。PKD2エクソン-イントロン構造はスケールに合わせて示される。
【
図5】NM_000297に相応するPKD2のRefSeq Geneの概略を図示する。イントロン5のイントロン保持率(PIR)が詳述される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
1つを超えるイントロンを有するタンパク質コード遺伝子の一次転写産物に含まれる個
々のイントロンは、異なる効率性で一次転写産物からスプライシングされる。ほとんどの
場合、完全にスプライシングされたmRNAだけが、続く細胞質での翻訳のために核膜孔
を通って輸送される。スプライシングされていない、あるいは部分的にスプライシングさ
れた転写産物は、核内で検出可能である。完全にスプライシングされていない転写産物の
核内蓄積は、タンパク質に翻訳されることもある、細胞質中の有害な恐れのあるmRNA
の蓄積を防止するメカニズムであると一般的に考えられる。いくつかの遺伝子については
、最も効率性の低いイントロンのスプライシングは、細胞質での翻訳に先立ち、遺伝子発
現における律速的な転写後の工程である。
【0031】
遺伝病である多発性嚢胞腎で不足しているPC-2タンパク質をコードする、かなりの
レベルの部分的にスプライシングされたPKD2遺伝子の転写産物が、ヒト細胞の核内で
発見されている。これらのPKD2 mRNA前駆体種は少なくとも1つの保持されたイ
ントロンを含む。本発明は、完全にスプライシングされた成熟mRNAの定常状態の産生
と翻訳されたPC-2タンパク質レベルを増加させるための、遺伝子発現の核段階におい
て律速的である1つ以上の保持されたPKD2イントロンのスプライシングを増加させる
ための組成物と方法を提供する。これらの組成物および方法は、核に蓄積する保持された
イントロン含有PKD2 mRNA前駆体のイントロンスプライス部位における構成的ス
プライシングを促進するアンチセンスオリゴマー(ASO)を活用する。したがって、実
施形態では、PC-2欠損症に起因する疾病を処置するために、本発明の方法を用いてP
C-2タンパク質を増加させる。
【0032】
他の実施形態では、必要とする被験体の疾病を処置するために、本発明の方法を使用し
てPC-2産生を増加させる。実施形態では、被験体は、PC-2が野性型に対して必ず
しも不足していないが、それにも関わらずPC-2の増加が疾病を緩和する疾病を有する
。実施形態では、疾病はPC-2ハプロ不全によって引き起こされる。
多発性嚢胞腎
【0033】
多発性嚢胞腎(PKD)は、腎嚢胞の発達および様々な腎外の症状発現に特徴づけられ
る常染色体優性多系統障害である(Torres and Harris, 2009)
。主たる臨床的および病理的所見は、腎嚢胞の発達および腫脹に起因する腎疾患であり、
それは結果として嚢腫体積の増加と直接関連する腎臓体積の増加のような、腎臓の症状発
現をもたらす。他のPKD発現は、高血圧症、内皮の血管拡張、収縮性の一酸化窒素合成
酵素活性、多発性肝嚢胞症、頭蓋内動脈瘤、胸部大動脈解離、および冠動脈瘤を含む脈管
の症状発現、年齢70までに末期腎疾患(ESRD)へと至る進行性の腎不全を含む。胎
児の超音波検査を用いることで、子宮内で、あるいは出生時に、PKDを診断することが
できるが、PKDは一般的に腎臓の超音波によって判定される腎嚢胞の検出により老年期
に診断される。世界的なPKD有病率は、~1.2男女比率で、1:400から1:10
00の間にあると推測される(Torres and Harris, 2009)。
【0034】
PKD1あるいはPKD2遺伝子いずれかの突然変異は、PKDを引き起こすと報告さ
れている。PKD1の突然変異は典型的に、PKD2よりも若年期に発現し(ESRD時
の年齢はそれぞれ、PKD1は54.3、PKD2は74.0)、結果として、典型的に
より若年期の嚢腫発現に起因するより重篤な疾病状態をもたらす(Torres and
Harris, 2009)。病態生理学におけるこの違いゆえに、PKDの遅発性の
形態は、一般的にPKD2遺伝子中の突然変異から発生する。PKD2は、PC-2タン
パク質、繊毛モチーフのある短いN末端細胞質領域を含む968アミノ酸タンパク質、6
つの膜貫通領域、および短いC末端部分をコードする。PKD2遺伝子のヒトゲノム配列
は、NCBI Gene ID 5311に明らかにされており、タンパク質はUniP
rotKB/Swiss-Prot:Q13563-1に明らかにされており、例えば、
Motchizuki T,et al.,1996,“PKD2,a gene fo
r polycystic kidney disease that encodes
an integral membrance protein,”Science
272:1339-1342に記載され、参照により本明細書に組み込まれる。PKD2
mRNA配列は、NCBI Reference Sequence:NM_0002
97.3.2に明らかにされており、Yang Y,et al.,2015,“Oli
gomerization of the polycystin-2 C-termi
nal tail and effects on its Ca2+ binding
properties,”J.Bio Chem.290(16),10544-10
554に記載され、いずれの文献も参照により本明細書に組み込まれる。PKD2におけ
る突然変異は、最も蔓延している遺伝性の嚢胞性腎疾患である遅発性常染色体優性PKD
(ADPKD)をもたらす。
【0035】
PKD2遺伝子は、15のエクソンから成り、染色体4p22.1に位置する。PKD
におけるPKD2の突然変異はADPKD Mutation Database(PK
D Foundantion,8330 Ward Parkway,Suite 51
0,Kansas City,MO 64114により管理)で報告されたように、PK
D2の95の短縮型変異を伴い、全タンパク質に広がる。PKD2におけるホモ接合の不
足は、出生と適合しないと予測されるため、ハプロ不全はADPKD疾患の発現をもたら
すもっとも有力なメカニズムである(Torres and Harris, 2009
)。ナンセンスおよび挿入/欠失などの突然変異は、一般的なADPKD2表現型表示機
能ハプロ不全に関連する。結果としてPC-2-D511Vタンパク質発現をもたらすP
KDミスセンス変異は、安定性の観点から、野生型PC-2と判別不能であると予測され
た(Reynolds,et al.,1999,J.Am.Soc.Nephrol.
10:2342-2351)。PC-2-D511V変異体は、その安定性にもかかわら
ず、イオンチャネルとして作用する能力の予測された崩壊が原因で、機能不全を示した。
したがって、初期活性が崩壊させられた場合、安定した変異体であっても表現型を引き起
こす場合がある。その疾患は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるOMIM#6
13095(Online Mendelian Inheritance in Ma
n,Johns Hopkins University,1966-2015)に記載
されている。
保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)
【0036】
実施形態では、本明細書に開示される方法は、細胞核内でPKD2遺伝子から転写され
、PC-2タンパク質をコードする、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC
mRNA前駆体)の存在を活用する。成熟し、完全にスプライシングされたPKD2
mRNAを産生するための、特定されたPKD2 RIC mRNA前駆体種のスプライ
シングは、保持されたイントロンのスプライシングアウトを刺激するASOを用いて誘発
される。結果としてもたらされる成熟PKD2 mRNAは、細胞質に輸送され翻訳され
うる。それによって被験体の細胞中のPC-2タンパク質量を増加させ、多発性嚢胞腎疾
患の症状を緩和する。この方法は以下でさらに詳述されるが、核内遺伝子出力の標的とさ
れた増強(TANGO)として知られる。
PKD2核の転写産物
【0037】
本明細書の実施例に記載されるように、PKD2遺伝子はイントロン保持事象に対して
分析を施され、イントロン5の保持が観察された。UCSCゲノムブラウザによって視覚
化されたRNA配列決定(RNAseq)は、腎臓の上皮細胞に発現したPKD2転写産
物を示し、細胞質あるいは核分画のいずれかに局在した。いずれの分画においても、読み
取りは大多数のイントロンにおいて観察されなかった。しかしながら、細胞質分画と比較
してより高い読み取り密度が、核分画のイントロン5に対して検知され、これはイントロ
ン5のスプライシング効率が低く、結果としてイントロン保持をもたらすことを示す。保
持されたイントロン含有mRNA前駆体の転写産物は、主として核内に蓄積し、PC-2
タンパク質に翻訳されない。イントロン5の読み取り密度は、18%のイントロン保持を
示した(
図5)。イントロン5のイントロン保持率(PIR)の値は、4つの値(23、
13、22および14)を平均化することにより得られた。それぞれの値は、4つの異な
るアルゴリズムのうちの1つを使用して、腎臓の上皮細胞において決定された。イントロ
ン保持事象を特定するための、ENCODEデータの分析(例えば、Tilgner,e
t al.,2012,“Deep sequencing of subcellul
ar RNA fractions shows splicing to be pr
edominantly co-transcriptional in the hu
man genome but inefficient for lncRNAs、”
Genome Research 22(9):1616-25に記載)は、イントロン
5を保持されたものとして判定しなかった。
【0038】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるASOは、PKD2ゲノム配列から転
写されたRIC mRNA前駆体を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保
持されたイントロン5を含むPKD2のゲノム配列からのRIC mRNA前駆体の転写
産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:1のRI
C mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持
されたイントロン5を含むSEQ ID NO:1のRIC mRNA前駆体の転写産物
を標的とする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるASOは、PKD2 R
IC mRNA前駆体配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持され
たイントロン5を含むPKD2 RIC mRNA前駆体配列を標的とする。いくつかの
実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:2で示されるPKD2 RIC mRN
A前駆体配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン
5を含むSEQ ID NO:2で示されるPKD2 RIC mRNA前駆体配列を標
的とする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるASOは、SEQ ID N
O:281を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:3
-280で示されるいずれか1つの配列を有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン5を含むPKD2 RIC
mRNA前駆体のエクソン5を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持
されたイントロン5を含むPKD2 RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位より
も上流(あるいは5’)のエクソン5配列を標的とする。いくつかの実施形態では、AS
Oは、保持されたイントロン5を含むPKD2 RIC mRNA前駆体の5’スプライ
ス部位よりも約4から約204のヌクレオチド上流(あるいは5’)のエクソン配列を標
的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:3-43で示され
るいずれか1つの配列を有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン5を含むPKD2 RIC
mRNA前駆体内のイントロン5を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、
保持されたイントロン5を含むPKD2 RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位
よりも下流(あるいは3’)のイントロン5配列を標的とする。いくつかの実施形態では
、ASOは、保持されたイントロン5を含むPKD2 RIC mRNA前駆体の5’ス
プライス部位よりも約6から約497のヌクレオチド下流(あるいは3’)の、イントロ
ン5配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:44
-140で示されるいずれか1つの配列を有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン5を含むPKD2 RIC
mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも上流(あるいは5’)のイントロン5配列
を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン5を含むPK
D2 RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも約16から約496のヌクレ
オチド上流(あるいは5’)のイントロン5配列を標的とする。いくつかの実施形態では
、ASOは、SEQ ID NO:141-237で示されるいずれか1つの配列を有す
る。
【0042】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン5を含むPKD2 RIC
mRNA前駆体内のエクソン6を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保
持されたイントロン5を含むPKD2 RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よ
りも下流(あるいは3’)のエクソン6配列を標的とする。いくつかの実施形態では、A
SOは、保持されたイントロン5を含むPKD2 RIC mRNA前駆体の3’スプラ
イス部位よりも約2から約212のヌクレオチド下流(あるいは3’)のエクソン6配列
を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:238-28
0で示されるいずれか1つの配列を有する。
【0043】
実施形態では、PKD2 RIC mRNA前駆体の標的部分はイントロン5にある。
本明細書で使用されるPKD2イントロンの番号付けは、NM_000297.3におけ
るmRNA配列に相当する。実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分へのAS
Oのハイブリダイゼーションは、結果として、保持されたイントロン5のスプライス部位
(5’スプライス部位あるいは3’スプライス部位)におけるスプライシングの増強と、
その後のPC-2タンパク質産生の増加をもたらす。異なるPKD2 mRNAアイソフ
ォーム配列を参照することで、イントロンの番号付けは変更しうると解される。当業者は
、本明細書で提供されるイントロン配列に基づき、あるいはNM_000297.3にお
けるmRNA配列を参照して得られるイントロン番号を使用することで、任意のPKD2
アイソフォームにおいて対応するイントロン番号を判定することができる。当業者はさら
に、本明細書で提供されるイントロン配列に基づき、あるいはNM_000297.3に
おけるmRNA配列を参照して得られるイントロン番号を使用することで、本発明の方法
を使用して標的とする任意のPKD2アイソフォームの隣接するエクソンの配列を判定す
ることができる。実施形態では、本発明の組成物および方法は、例えば参照により本明細
書に組み込まれた、Gene ID 5311でのNCBI Gene IDデータベー
ス(生体および科学の情報のNCBIリポジトリ、National Center f
or Biotechnology Information, National L
ibrary Medicine, 8600 Rockville Pike,Bet
hesda,MD USA 20894によって運営される)に記載される等の、任意の
既知のPKD2アイソフォームの発現を増加させるために使用される。
PC-2タンパク質発現
【0044】
上述したように、ADPKDにおけるPC-2突然変異はADPKD Mutatio
n Database(PKD Foundation)で報告されたように、95 P
C-2短縮型変異を伴い、全タンパク質に広がる。
【0045】
実施形態では、本明細書において記載される方法は、機能的PC-2タンパク質産生を
増加させるために使用される。本明細書において使用される用語「機能的」は、例えば多
発性嚢胞腎のような、処置される疾病の1つ以上の症状を除去するのに必要な活性または
量未満の、PC-2タンパク質の活性あるいは機能の量を指す。実施形態では、部分的機
能的PC-2タンパク質産生を増加させるために、前記方法は使用される。本明細書にお
いて使用される「部分的機能的」の用語は、疾患または疾病の1つ以上の症状を除去ある
いは予防するために必要なPC-2タンパク質の活性あるいは機能の量を指す。いくつか
の実施形態では、部分的機能的タンパク質あるいはRNAは、完全な機能的タンパク質あ
るいはRNAに比して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少な
くとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも7
5%、少なくとも80%、85%、少なくとも90%、あるいは少なくとも95%少ない
活性を持つだろう。
【0046】
実施形態では、該方法は、PC-2タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体を
有する被験体の細胞によって、PC-2タンパク質の発現を増加させる方法であり、該被
験体は、PC-2タンパク質活性の量の不足に起因する多発性嚢胞腎を有し、および該P
C-2タンパク質量の不足は、PC-2タンパク質のハプロ不全に起因する。そのような
実施形態では、被験体は、機能的PC-2タンパク質をコードする第1の対立遺伝子と、
PC-2タンパク質が産生されない第2の対立遺伝子を有する。別のそのような実施形態
では、被験体は、機能的PC-2タンパク質をコードする第1の対立遺伝子と、非機能的
PC-2タンパク質をコードする第2の対立遺伝子を有する。別のそのような実施形態で
は、被験体は、機能的PC-2タンパク質をコードする第1の対立遺伝子と、部分的機能
的PC-2タンパク質をコードする第2の対立遺伝子を有する。これらの実施形態のいず
れの場合でも、アンチセンスオリゴマーは、第1の対立遺伝子(機能的PC-2タンパク
質をコードする)から転写されたRIC mRNA前駆体の標的部分に結合し、それによ
って、RIC mRNA前駆体からの保持されたイントロンの構成的スプライシングを誘
発し、機能的PC-2タンパク質をコードする成熟mRNAレベルの増加と、被験体の細
胞中のPC-2タンパク質発現の増加をもたらす。
【0047】
実施形態では、被験体は、機能的PC-2タンパク質をコードする第1の対立遺伝子と
、部分的機能的PC-2タンパク質をコードする第2の対立遺伝子を有し、アンチセンス
オリゴマーは、第1の対立遺伝子(機能的PC-2タンパク質をコードする)から転写さ
れたRIC mRNA前駆体の標的部分、または第2の対立遺伝子(部分的機能的PC-
2タンパク質をコードする)から転写されたRIC mRNA前駆体の標的部分に結合し
、それによって、RIC mRNA前駆体からの保持されたイントロンの構成的スプライ
シングを誘発し、機能的PC-2タンパク質をコードする成熟mRNAレベルの増加と、
被験体の細胞中の機能的あるいは部分的機能的PC-2タンパク質発現の増加をもたらす
。
【0048】
関連する実施形態では、該方法は、タンパク質あるいは機能的RNAの発現を増加させ
るためにASOを用いる方法である。実施形態では、ASOは、PC-2タンパク質をコ
ードするRIC mRNA前駆体を有する被験体の細胞中のPC-2タンパク質発現を増
加させるために使用され、該被験体は、PC-2タンパク質の量または機能の不足、例え
ば多発性嚢胞腎を有する。
【0049】
実施形態では、疾患または疾病の原因となる、タンパク質をコードするRIC mRN
A前駆体の転写産物は、本明細書に記載されるASOによって標的化される。いくつかの
実施形態では、疾患の原因ではない、タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の
転写産物は、ASOによって標的化される。例えば、特定の経路における第1のタンパク
質の突然変異または不足の結果として生じる疾患は、第2のタンパク質をコードするRI
C mRNA前駆体を標的とすることによって改善され得、それによって第2のタンパク
質産生は増加する。いくつかの実施形態では、第2のタンパク質の機能は、第1のタンパ
ク質の突然変異または不足を補うことができる。
【0050】
実施形態では、被験体は:
(a)(i)PC-2タンパク質が、野生型対立遺伝子からの産生と比較して、減少した
レベルで産生され、
(ii)PC-2タンパク質が、同等の野性型タンパク質と比較して機能が低下した形態
で産生され、あるいは
(iii)PC-2タンパク質または機能的RNAが産生されない、第1の変異対立遺伝
子;および
(b)(i)PC-2タンパク質が、野生型対立遺伝子からの産生と比較して、減少した
レベルで産生され、
(ii)PC-2タンパク質が、同等の野性型タンパク質と比較して機能が低下した形態
で産生され、あるいは
(iii)PC-2タンパク質が産生されない、第2の変異対立遺伝子を有し、ここで、
RIC mRNA前駆体は、第1の対立遺伝子および/または第2の対立遺伝子から転写
される。これらの実施形態では、ASOは、第1の対立遺伝子または第2の対立遺伝子か
ら転写されたRIC mRNA前駆体の標的部分に結合することで、RIC mRNA前
駆体からの保持されたイントロンの構成的スプライシングを誘発し、PC-2タンパク質
をコードするmRNAレベルの増加を引き起こし、被験体の細胞中の標的タンパク質また
は機能的RNAの発現の増加をもたらす。
これらの実施形態では、RIC mRNA前駆体からの保持されたイントロンの構成的ス
プライシングの結果として生じる、発現レベルの増加を有する標的タンパク質あるいは機
能的RNAは、同等の野性型タンパク質と比較して機能性の低い形態(部分的機能的)、
あるいは同等の野性型タンパク質と比較して完全な機能性を有する形態(完全機能的)、
のいずれかであり得る。
【0051】
実施形態では、PC-2タンパク質をコードするmRNAのレベルは、例えば、アンチ
センスオリゴマーで処置されない、あるいはPKD2 RIC mRNA前駆体の標的部
分と結合しないアンチセンスオリゴマーで処置された、対照細胞内で産生されたPC-2
をコードするmRNAの量と比較した場合、1.1倍から10倍に増加する。
【0052】
実施形態では、PC-2タンパク質の量あるいは活性の不足に起因する疾病は、ASO
が標的とされる保持されたイントロンの選択的スプライシングあるいは異常スプライシン
グに起因する疾病ではない。実施形態では、PC-2タンパク質の量あるいは活性の不足
に起因する疾病は、PC-2タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体内の保持さ
れたイントロンの、選択的スプライシングあるいは異常スプライシングに起因する疾病で
はない。実施形態では、選択的スプライシングあるいは異常スプライシングが、遺伝子か
ら転写されたmRNA前駆体に生じうる。しかしながら、本発明の組成物および方法は、
mRNA前駆体内の選択的スプライシングあるいは異常スプライシングを予防しないし、
修正しない。
【0053】
実施形態では、本発明の方法を使用して処置された被験体は、1つの対立遺伝子から部
分的機能的PC-2タンパク質を発現し、その部分的機能的PC-2タンパク質は、フレ
ームシフト変異、ナンセンス変異、ミスセンス変異、あるいは部分的な遺伝子欠失に起因
する。実施形態では、本発明の方法を使用して処置された被験体は、1つの対立遺伝子か
ら非機能的PC-2タンパク質を発現し、その非機能的PC-2タンパク質は、1つの対
立遺伝子中の、フレームシフト変異、ナンセンス変異、ミスセンス変異、あるいは部分的
な遺伝子欠失に起因する。実施形態では、本発明の方法を用いて処置された被験体は、1
つの対立遺伝子にPKD2全遺伝子欠失を有する。
【0054】
実施形態では、被験体は、M1K、P24L、R28P、A35D、R60N、S80
L、Q107D、R119H、G121A、G135V、A147V、A190T、V2
62M、W292C、R306Q、L314V、R322W、R322Q、R325P、
R325Q、C331S、S332A、Y324C、S349P、A356P、A384
P、G390S、W414G、G418V、T419A、R420G、A421S、R4
40S、T448K、I452V、F482C、Y487H、D511V、V516L、
L517R、V519M、A552P、I556V、N578D、N580K、M583
I、A615T、F629S、C632R、R638C、L656W、L715I、I7
58V、R798C、M800L、S804N、R807Q、R848Q、D886G、
R893G、V909I、D919N、T931M、R945H、あるいはS949Fか
ら選択されたPC-2ミスセンス変異を有する。実施形態では、被験体は、EX1_EX
13del、IVS2_3’(ABCG2)del80kb*、IVS2_3’(ABC
G2)del98kb、IVS4+1452_IVS5-965del5722、S37
8del、F605del、IVS9_3’del28kb、2182_2183del
AG、L736_N737del2、またはR878delから選択されたPC-2欠失
突然変異を有する。実施形態では、被験体はPC-2重複突然変異Ex3dup*を有す
る。実施形態では、当技術分野において既知の、あるいは、例えばChang,et a
l.,2005,Ren Fail 27:95-100の文献に記載された任意のPC
-2突然変異を有する被験体が、本発明の方法および組成物を用いて処置される。
PC-2タンパク質発現を増加させるためのTANGOの使用
【0055】
前述したように、実施形態では、核内遺伝子出力の標的とされた増強(TANGO)は
、PC-2タンパク質の発現を増加させるために、本発明の方法において使用される。こ
れらの実施形態では、PC-2タンパク質をコードする保持されたイントロン含有mRN
A前駆体(RIC mRNA前駆体)は、細胞の核内にある。PC-2タンパク質をコー
ドする、保持されたイントロン、5’スプライス部位に隣接するエクソン、および3’ス
プライス部位に隣接するエクソンを含むPKD2 RIC mRNA前駆体を有する細胞
を、RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的な、アンチセンスオリゴマー(A
SO)と接触させる。RIC mRNA前駆体の標的部分へのASOのハイブリダイゼー
ションは、保持されたイントロンのスプライス部位(5’スプライス部位あるいは3’ス
プライス部位)のスプライシングを増強し、その後の標的タンパク質産生を増加させる。
【0056】
用語「mRNA前駆体」および「mRNA前駆体の転写産物」は、交換可能に使用され
、少なくとも1つのイントロンを含むmRNA前駆体種を指す。実施形態では、mRNA
前駆体またはmRNA前駆体の転写産物は、5’-7-メチルグアノシンキャップ、およ
び/またはポリA末端を含む。実施形態では、mRNA前駆体またはmRNA前駆体の転
写産物は、5’-7-メチルグアノシンキャップおよびポリA末端の両方を含む。いくつ
かの実施形態では、mRNA前駆体の転写産物は、5’-7-メチルグアノシンキャップ
、および/またはポリA末端を含まない。タンパク質に翻訳されない場合(あるいは核か
ら細胞質へと輸送された場合)、mRNA前駆体の転写産物は非生産的メッセンジャーR
NA(mRNA)分子である。
【0057】
本明細書において使用されるように、「保持されたイントロン含有mRNA前駆体」(
「RIC mRNA前駆体」)は、少なくとも1つの保持されたイントロンを含むmRN
A前駆体の転写産物である。RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、保持さ
れたイントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン、保持されたイントロンの3’
スプライス部位に隣接するエクソンを含み、標的タンパク質をコードする。「標的タンパ
ク質をコードするRIC mRNA前駆体」は、完全にスプライシングされた場合に、標
的タンパク質をコードすると解される。「保持されたイントロン」は、同じ遺伝子によっ
てコードされた、隣接するイントロン等の1つ以上の他のイントロンが、同じmRNA前
駆体の転写産物からスプライシングアウトされた場合に、mRNA前駆体の転写産物に存
在するイントロンである。いくつかの実施形態では、保持されたイントロンは、標的タン
パク質をコードするRIC mRNA前駆体において最も豊富なイントロンである。実施
形態では、保持されたイントロンは、細胞内の標的タンパク質をコードする遺伝子から転
写されたRIC mRNA前駆体の集団において最も豊富なイントロンであり、当該RI
C mRNA前駆体の集団は2つ以上の保持されたイントロンを含む。実施形態では、標
的タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の集団において最も豊富なイントロン
に標的とされたアンチセンスオリゴマーは、アンチセンスオリゴマーが標的とされた、あ
るいは結合する保持されたイントロンを含む集団内の、2つ以上の保持されたイントロン
のスプライシングアウトを誘発する。実施形態では、標的タンパク質をコードする成熟m
RNAは、それによって産生される。「成熟mRNA」および「完全にスプライシングさ
れたmRNA」の用語は、標的タンパク質をコードする完全に処理されたmRNA(例え
ば、核から細胞質へと輸送され、標的タンパク質に翻訳されたmRNA)、あるいは完全
に処理された機能的RNAを記載するように、本明細書において交換可能に使用される。
用語「生産的mRNA」もまた、標的タンパク質をコードする完全に処理されたmRNA
について記載するように使用することができる。実施形態では、標的領域は、PC-2タ
ンパク質をコードするRIC mRNA前駆体に最も豊富に存在するイントロンである、
保持されたイントロンにある。実施形態では、PC-2タンパク質をコードするRIC
mRNA前駆体に最も保持されたイントロンは、イントロン5である。
【0058】
実施形態では、保持されたイントロンは、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少
なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少
なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、あるいは少なくとも約5
0%の保定の保持率に基づき、保持されたイントロンとして特定されたイントロンである
。実施形態では、保持されたイントロンは、約5%から約100%、約5%から約95%
、約5%から約90%、約5%から約85%、約5%から約80%、約5%から約75%
、約5%から約70%、約5%から約65%、約5%から約60%、約5%から約55%
、約5%から約50%、約5%から約45%、約5%から約40%、約5%から約35%
、約5%から約30%、約5%から約25%、約5%から約20%、約5%から約15%
、約10%から約100%、約10%から約95%、約10%から約90%、約10%か
ら約85%、約10%から約80%、約10%から約75%、約10%から約70%、約
10%から約65%、約10%から約60%、約10%から約55%、約10%から約5
0%、約10%から約45%、約10%から約40%、約10%から約35%、約10%
から約30%、約10%から約25%、約10%から約20%、約15%から約100%
、約15%から約95%、約15%から約90%、約15%から約85%、約15%から
約80%、約15%から約75%、約15%から約70%、約15%から約65%、約1
5%から約60%、約15%から約55%、約15%から約50%、約15%から約45
%、約15%から約40%、約15%から約35%、約15%から約30%、約15%か
ら約25%、約20%から約100%、約20%から約95%、約20%から約90%、
約20%から約85%、約20%から約80%、約20%から約75%、約20%から約
70%、約20%から約65%、約20%から約60%、約20%から約55%、約20
%から約50%、約20%から約45%、約20%から約40%、約20%から約35%
、約20%から約30%、約25%から約100%、約25%から約95%、約25%か
ら約90%、約25%から約85%、約25%から約80%、約25%から約75%、約
25%から約70%、約25%から約65%、約25%から約60%、約25%から約5
5%、約25%から約50%、約25%から約45%、約25%から約40%、あるいは
約25%から約35%の、保定の保持率に基づき、保持されたイントロンとして特定され
たイントロンである。
【0059】
本明細書において使用されるように、用語「含む(comprise)」、あるいは「
含む(comprises)」または「含む(comprising)」等の変化形は、
列挙された特徴(例えば、アンチセンスオリゴマーの場合、定義された核酸塩基配列)を
含むが、他のいかなる特徴をも除外しないことを示すと解されるべきである。したがって
、本明細書において使用されるように、用語「含む(comprising)」は包含的
で、追加の列挙されていない特徴(例えば、アンチセンスオリゴマーの場合、追加の列挙
されていない核酸塩基の存在)を除外しない。
【0060】
本明細書において提供される組成物および方法のいずれかの実施形態において、「含む
(comprising)」は「から本質的に成る(consisting essen
tially)」または「から成る(consisting of)」と置換可能である
。「から本質的に成る(consisting essentially)」という句は
、特定された特徴(例えば核酸塩基配列)と共に、請求される本発明の性質または機能に
実質的に影響しない特徴も必要とするために本明細書で使用される。本明細書で使用され
るように、用語「成る(consisting)」は、列挙された特徴(例えば核酸塩基
配列)単独の存在を示すために使用される(その結果、特定された核酸塩基配列から成る
アンチセンスオリゴマーの場合には、追加の列挙されていない核酸塩基の存在は除外され
る)。
【0061】
実施形態では、ASOは、RIC mRNA前駆体において保持されていないイントロ
ン内にある標的領域に相補的である。実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分
は、保持されていないイントロンの5’スプライス部位に対して+6から+100の領域
;または保持されていないイントロンの3’スプライス部位に対して-16から-100
の領域内にある。実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されていな
いイントロンの5’スプライス部位に対して+100の領域から、保持されていないイン
トロンの3’スプライス部位に対して-100の領域内にある。領域または配列の場所を
特定するために使用されるように、「内(within)」は、列挙される位置で残基を
含むように理解される。例えば、+6から+100の領域は、位置+6および+100で
残基を含む。それによって、実施形態では、標的タンパク質をコードする完全にスプライ
シングされた(成熟)RNAが産生される。
【0062】
実施形態では、RIC mRNA前駆体の保持されたイントロンは、非効率的にスプラ
イシングされたイントロンである。本明細書で使用されるように、「非効率的にスプライ
シングされた」は、RIC mRNA前駆体における別のスプライス部位でのスプライシ
ングの頻度と比較した、保持されたイントロンに隣接しているスプライス部位(5’スプ
ライス部位または3’スプライス部位)でのスプライシングの比較的低い頻度を指し得る
。用語「非効率的にスプライシングされた」はまた、スプライス部位でのスプライシング
の相対速度または動態(kinetics)を指し得、ここで、「非効率的にスプライシ
ングされた」イントロンは、RIC mRNA前駆体における別のイントロンと比較して
、より遅い速度でスプライシングされ得るかまたは除去され得る。
【0063】
実施形態では、5’スプライス部位に隣接しているエクソンの-3eから-1eおよび
保持されたイントロンの+1から+6での9-ヌクレオチド配列は、対応する野生型配列
と同一である。実施形態では、保持されたイントロンの-15から-1および3’スプラ
イス部位に隣接しているエクソンの+1eでの16ヌクレオチド配列は、対応する野生型
配列と同一である。本明細書に使用されるように、「野生型配列」は、生体および科学の
情報のNCBIリポジトリに寄託された公開された参照ゲノムにおけるPKD2遺伝子に
対するヌクレオチド配列を指す。本明細書に使用されるように、「野生型配列」は、NC
BI Gene ID5311で見られるPKD2遺伝子に対する標準配列を指す。また本
明細書で使用されるように、「e」で示されたヌクレオチド位置は、ヌクレオチドがエク
ソン(例えば、5’スプライス部位に隣接しているエクソンまたは3’スプライス部位に
隣接しているエクソン)の配列中に存在することを示す。
【0064】
該方法は、細胞を、PC-2タンパク質をコードするmRNA前駆体の一部に相補的で
あるASOと接触させる工程であって、結果としてPC-2の発現が増加する工程を含む
。本明細書で使用されるように、「接触させる工程」または細胞に投与する工程は、AS
Oと細胞が相互作用するように、ASOを細胞に即座に近接させる方法を指す。ASOと
接触させられる細胞は、ASOを細胞へと取り込むまたは輸送する。該方法は、疾病また
は疾患に関係するまたは疾病または疾患に関連する細胞を、本明細書に記載されるASO
のいずれかと接触させる工程を含む。いくつかの実施形態では、ASOは、ASOを細胞
型に対して標的とする、ASOと疾病または疾患に関係するまたは疾病または疾患に関連
する細胞との間の接触を増強する、またはASOの取り込みを増強するために、さらに修
飾され得るかまたは別の分子に結合され得る(例えば、共有結合される)。
【0065】
本明細書で使用されるように、用語「タンパク質産生を増加させる」または「標的タン
パク質の発現を増加させる」は、細胞においてmRNAから翻訳されるタンパク質の量を
増加させることを意味する。「標的タンパク質」は、発現/産生の増加が望まれるタンパ
ク質であり得る。
【0066】
実施形態では、PKD2 RIC mRNA前駆体を発現する細胞をPKD2 RIC m
RNA前駆体の転写産物の標的部分に相補的であるASOと接触させる工程は、結果とし
て、mRNA前駆体によってコードされたPC-2タンパク質(例えば標的タンパク質)
の量の測定可能な増加をもたらす。タンパク質の産生を測定または検出する方法は、当業
者に明白となり、あらゆる既知の方法、例えば、ウェスタンブロッティング、フローサイ
トメトリー、免疫蛍光顕微鏡検査法、およびELISAを含む。
【0067】
実施形態では、細胞をPKD2 RIC mRNA前駆体の転写産物の標的部分に相補的
であるASOと接触させる工程は、結果として、ASOの欠如/処置の欠如下における細
胞によって産生されたタンパク質の量と比較して、少なくとも10、20、30、40、
50、60、80、100、150、200、250、300、350、400、450
、500、または1000%の産生されたPC-2タンパク質の量の増加をもたらす。実
施形態では、アンチセンスオリゴマーが接触させられた細胞によって産生されたPC-2
タンパク質の合計量は、約1.1倍から約10倍、約1.5倍から約10倍、約2倍から
約10倍、約3倍から約10倍、約4倍から約10倍、約1.1倍から約5倍、約1.1
倍から約6倍、約1.1倍から約7倍、約1.1倍から約8倍、約1.1倍から約9倍、
約2倍から約5倍、約2倍から約6倍、約2倍から約7倍、約2倍から約8倍、約2倍か
ら約9倍、約3倍から約6倍、約3倍から約7倍、約3倍から約8倍、約3倍から約9倍
、約4倍から約7倍、約4倍から約8倍、約4倍から約9倍、少なくとも約1.1倍、少
なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少
なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍
増加される。対照化合物は、例えば、RIC mRNA前駆体の標的部分に相補的でない
オリゴヌクレオチドであり得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、細胞をPKD2 RIC mRNA前駆体の転写産物の標的部
分に相補的であるASOと接触させる工程は、結果として、標的タンパク質をコードする
成熟mRNAを含む、PC-2をコードするmRNAの量の増加をもたらす。いくつかの
実施形態では、PC-2タンパク質をコードするmRNA、またはPC-2タンパク質を
コードする成熟mRNAの量は、ASOの欠如/処置の欠如下における細胞によって産生
されたタンパク質の量と比較して、少なくとも10、20、30、40、50、60、8
0、100、150、200、250、300、350、400、450、500、また
は1000%増加される。実施形態では、アンチセンスオリゴマーが接触させられた細胞
において産生されたPC-2タンパク質をコードするmRNA、またはPC-2タンパク
質をコードする成熟mRNAの合計量は、未処理の細胞、例えば、未処理の細胞または対
照化合物で処理された細胞において産生された成熟RNAの量と比較して、約1.1倍か
ら約10倍、約1.5倍から約10倍、約2倍から約10倍、約3倍から約10倍、約4
倍から約10倍、約1.1倍から約5倍、約1.1倍から約6倍、約1.1倍から約7倍
、約1.1倍から約8倍、 約1.1倍から約9倍、約2倍から約5倍、約2倍から約6
倍、約2倍から約7倍、約2倍から約8倍、約2倍から約9倍、約3倍から約6倍、約3
倍から約7倍、約3倍から約8倍、約3倍から約9倍、約4倍から約7倍、約4倍から約
8倍、 約4倍から約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも
約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも
約4倍、少なくとも約5倍、 または少なくとも約10倍増加される。対照化合物は、例
えば、PKD2 RIC mRNA前駆体の標的部分に相補的でないオリゴヌクレオチドで
あり得る。
【0069】
<RIC mRNA前駆体からの保持されたイントロンの構成的スプライシング>
本明細書に提供される方法およびアンチセンスオリゴヌクレオチド組成物は、PC-2
タンパク質をコードするmRNA、またはPC-2タンパク質をコードする成熟mRNA
のレベルを増加させることによって、例えば、PC-2タンパク質の量または活性の不足
によって引き起こされた多発性嚢胞腎を有している被験体において細胞におけるPC-2
タンパク質の発現を増加させることに有用である。特に、本明細書に記載されるような方
法および組成物は、PC-2タンパク質をコードするPKD2 RIC mRNA前駆体の
転写産物から保持されたイントロンの構成的スプライシングを誘発し、それによって、P
C-2タンパク質をコードするmRNA、またはPC-2タンパク質をコードする成熟m
RNAのレベルが増大し、PC-2タンパク質の発現が増大する。
【0070】
RIC mRNA前駆体からの保持されたイントロンの構成的スプライシングは、保持
されたイントロンをRIC mRNA前駆体から正しく除去し、ここで保持されたイント
ロンは、野生型スプライス配列を有する。構成的スプライシングは、本明細書で使用され
るように、遺伝子または対立遺伝子から転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシン
グまたは異常スプライシングを引き起こす突然変異を有する遺伝子または対立遺伝子から
転写されたRIC mRNA前駆体からの保持されたイントロンのスプライシングを包含
しない。例えば、本明細書で提供される方法およびアンチセンスオリゴヌクレオチドを使
用して誘発された、保持されたイントロンの構成的スプライシングは、mRNA前駆体に
おける異常スプライシングを訂正しないか、またはmRNA前駆体の選択的スプライシン
グに影響せず、結果的に標的タンパク質または機能性RNAの発現が増加される。
【0071】
実施形態では、構成的スプライシングは、保持されたイントロンをPKD2 RIC m
RNA前駆体から正しく除去し、ここでPKD2 RIC mRNA前駆体は、完全に機能
的な標的タンパク質または機能性RNAをコードする、野生型遺伝子または対立遺伝子あ
るいは多形性遺伝子または対立遺伝子から転写され、遺伝子または対立遺伝子は、保持さ
れたイントロンの選択的スプライシングまたは異常スプライシングを引き起こす突然変異
を有さない。
【0072】
いくつかの実施形態では、PC-2タンパク質をコードするPKD2 RIC mRNA
前駆体からの保持されたイントロンの構成的スプライシングは、PC-2タンパク質をコ
ードするPKD2 RIC mRNA前駆体から保持されたイントロンを正しく除去し、こ
こでPKD2 RIC mRNA前駆体は、遺伝子または対立遺伝子から転写され、そこか
ら、標的遺伝子または機能性RNAが野生型対立遺伝子からの産生と比較して低下したレ
ベルで産生され、および遺伝子または対立遺伝子は、保持されたイントロンの選択的スプ
ライシングまたは異常スプライシングを引き起こす突然変異を有さない。これらの実施形
態では、構成的にスプライシングした保持されたイントロンの正しい除去は、結果として
、等価な野生型タンパク質または機能性RNAと比較したときに機能的である標的タンパ
ク質または機能性RNAの産生をもたらす。
【0073】
他の実施形態では、構成的スプライシングは、保持されたイントロンをPKD2 RI
C mRNA前駆体から正しく除去し、ここでPKD2 RIC mRNA前駆体は、等価
な野生型タンパク質または機能性RNAと比較して低下した機能を有する形態で産生され
た標的タンパク質または機能性RNAをコードする遺伝子または対立遺伝子から転写され
、遺伝子または対立遺伝子は、保持されたイントロンの選択的スプライシングまたは異常
スプライシングを引き起こす突然変異を有さない。これらの実施形態では、構成的にスプ
ライシングした保持されたイントロンの正しい除去は、結果として、部分的に機能的な標
的タンパク質、または等価な野生型タンパク質または機能性RNAと比較したときに部分
的に機能的である機能性RNAの産生をもたらす。
【0074】
構成的スプライシングによる保持されたイントロンの「正しい除去」は、エクソンの部
分の除去がない、全イントロンの除去を指す。
【0075】
実施形態では、本明細書に記載されるようなまたは本明細書に記載される方法に使用さ
れるアンチセンスオリゴマーは、PC-2タンパク質をコードするmRNAの量またはP
KD2遺伝子から転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシングまたは異常スプライ
シングを調節することによるPC-2タンパク質の量を増加させない。選択的スプライシ
ングまたは異常スプライシングの調節は、RNA種の配列および長さを解析する既知の方
法を使用して、例えば、RT-PCRによって、および本明細書および文献中で別記され
る方法を使用して測定することができる。実施形態では、選択的スプライシングまたは異
常スプライシングの調節は、少なくとも10%または1.1倍の対象のスプライシングさ
れた種の量の増加または減少に基づいて判定される。実施形態では、調節は、本発明の方
法においてPC-2タンパク質をコードするmRNAの増加の判定に関して本明細書に記
載されるように、少なくとも10%から100%または1.1倍から10倍であるレベル
での増加または減少に基づいて判定される。
【0076】
実施形態では、本明細書に記載される方法は、PKD2 RIC mRNA前駆体が、野
生型PKD2 mRNA前駆体の部分的スプライシングによって産生された方法である。
実施形態では、該方法は、PKD2 RIC mRNA前駆体が、全長野生型PKD2 m
RNA前駆体の部分的スプライシングによって産生された方法である。実施形態では、P
KD2 RIC mRNA前駆体は、全長PKD2 mRNA前駆体の部分的スプライシン
グによって産生された。これらの実施形態では、全長PKD2 mRNA前駆体は、野生
型スプライス部位配列を有する保持されたイントロンのスプライシングと比較して、保持
されたイントロンの正しいスプライシングを損なわない保持されたイントロンのスプライ
ス部位に多型性を有し得る。
【0077】
実施形態では、PC-2タンパク質をコードするmRNAは、全長成熟mRNAまたは
野生型成熟mRNAである。これらの実施形態では、全長成熟mRNAは、野生型成熟m
RNAによってコードされたPC-2タンパク質の活性と比較して、成熟mRNAによっ
てコードされた標的タンパク質または機能性RNAの活性に影響しない多型性を有し得る
。
【0078】
<アンチセンスオリゴマー>
本開示の一態様は、PKD2 RIC mRNA前駆体の標的部分に結合することによっ
てスプライシングを増強するアンチセンスオリゴマーを含む組成物である。本明細書で使
用されるように、用語「ASO」および「アンチセンスオリゴマー」は、交換可能に使用
され、ワトソン・クリック塩基対またはゆらぎ塩基対(G-U)によって標的核酸(例え
ば、PKD2 RIC mRNA前駆体)の配列にハイブリダイズする、核酸塩基を含む、
ポリヌクレオチドなどのオリゴマーを指す。ASOは、標的配列に相補的なまたはほぼ相
補性的である(例えば、標的配列に結合し、スプライス部位でスプライシングを増強させ
るのに十分な相補性)正確な配列を有し得る。ASOは、標的核酸(例えば、mRNA前
駆体の転写産物の標的部分)に結合し(ハイブリダイズし)、生理学的条件下でハイブリ
ダイズされたままであるように設計されている。典型的に、ASOは、意図した(標的と
された)核酸配列以外の部位にハイブリダイズする場合、標的核酸でない限られた数の配
列に(標的核酸以外の少数の部位に)ハイブリダイズする。ASOの設計は、mRNA前
駆体の転写産物の標的部分の核酸配列、またはゲノムまたは細胞mRNA前駆体またはト
ランスクリプトームにおける他の場所での十分類似した核酸配列の発生を考慮に入れるこ
とができ、その結果、ASOが他の部位に結合し「オフターゲット」効果を引き起こす可
能性は限定される。例えば、発明の名称「Reducing Nonsense-Med
iated mRNA Decay」のWO2015/035091として公開されたPC
T国際出願番号PCT/US2014/054151におけるものなどの、当業者に既知
のアンチセンスオリゴマーは、本明細書に記載される方法を実施するために使用され得る
。
【0079】
いくつかの実施形態では、ASOは、標的核酸またはRIC mRNA前駆体の標的部
分に「特異的にハイブリダイズする」または「特異的である」。典型的に、そのようなハ
イブリダイゼーションは、37℃より実質的に高い融解温度(Tm)で、好ましくは少な
くとも50℃で、および典型的に60℃からおよそ90℃の間で生じる。そのようなハイ
ブリダイゼーションは、好ましくは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件に
対応している。与えられたイオン強度およびpHで、Tmは、標的配列の50%が相補的
オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする温度である。
【0080】
オリゴヌクレオチドなどのオリゴマーは、ハイブリダイゼーションが2つの一本鎖ポリ
ヌクレオチド間の逆平行構成で生じるときに、互いに「相補的」である。二本鎖ポリヌク
レオチドは、ハイブリダイゼーションが第1のポリヌクレオチドの鎖の1つと第2のポリ
ヌクレオチドの鎖の1つとの間に生じる場合に、別のポリヌクレオチドに「相補的」であ
り得る。相補性(1つのポリヌクレオチドが別のポリヌクレオチドと相補的である程度)
は、一般に容認された塩基対合則に従って、互いに水素結合を形成すると予期される対向
する鎖における塩基の割合(例えばパーセンテージ)の点から数量化できる。アンチセン
スオリゴマー(ASO)の配列は、ハイブリダイズするその標的核酸の配列に100%相
補的である必要はない。特定の実施形態では、ASOは、標的とされる標的核酸配列内の
標的部位に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくと
も85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%
、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列相補性を含むことができる。例えば
、オリゴマー化合物の20の核酸塩基のうちの18が標的部位に相補的であり、それ故、
特異的にハイブリダイズするASOは、90パーセントの相補性を表わす。この例におい
て、残りの相補的でない核酸塩基は、ともにクラスター化され得るか、または相補的な核
酸塩基と分散され(interspersed)、互いにまたは相補的な核酸塩基に隣接
している必要はない。ASOの標的核酸の領域とのパーセント相補性は、当該技術分野で
既知のBLASTプログラム(基礎的なローカルアライメント検索ツール)およびPow
erBLASTプログラム(Altschul et al., J. Mol. Bi
ol., 1990, 215, 403-410; Zhang and Madde
n, Genome Res., 1997, 7, 649-656)を慣例的に使用
して判定され得る。
【0081】
ASOは、標的配列におけるすべての核酸塩基にハイブリダイズする必要はなく、それ
がハイブリダイズする核酸塩基は、隣接しているかまたは隣接していないかもしれない。
ASOは、mRNA前駆体の転写産物の1つ以上のセグメントにわたってハイブリダイズ
し得、その結果、介在するまたは隣接するセグメントは、ハイブリダイゼーション事象に
関係しない(例えば、ループ構造またはヘアピン構造が形成され得る)。特定の実施形態
では、ASOは、標的mRNA前駆体の転写産物において隣接していない核酸塩基にハイ
ブリダイズする。例えば、ASOは、ASOがハイブリダイズしない1つ以上の核酸塩基
によって分離される、mRNA前駆体の転写産物における核酸塩基にハイブリダイズする
ことができる。
【0082】
本明細書に記載されるASOは、RIC mRNA前駆体の標的部分に存在する核酸塩
基に相補的である核酸塩基を含む。用語「ASO」は、オリゴヌクレオチド、および標的
mRNA上の相補的な核酸塩基にハイブリダイズすることができる核酸塩基を含むが、ペ
プチド核酸(PNA)などの糖部を含まない、他のオリゴマー分子を具体化する。ASO
は、自然発生のヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、修飾されたヌクレオチド、または
それらの2つまたは3つの任意の組み合わせを含み得る。用語「自然発生のヌクレオチド
」は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含む。用語「修飾されたヌク
レオチド」は、修飾されたまたは置換された糖類および/または修飾された骨格を有する
ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ASOのヌクレオチドのすべてが、修飾
されたヌクレオチドである。本明細書に記載される方法および組成物と適合性のあるAS
Oの化学修飾およびのASOの成分は、当業者に明白であり、例えば、米国特許第8,2
58,109号 B2、米国特許第5,656,612号、米国特許公開番号2012/
0190728、およびDias and Stein,Mol. Cancer Ther
.2002,347-355で見られ得、それら全体が引用によって本明細書に組み込ま
れる。
【0083】
ASOの核酸塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルなどの自
然発生の未修飾の核酸塩基、または標的mRNA前駆体上に存在する核酸塩基との水素結
合が可能であるように未修飾の核酸塩基に十分類似している合成または修飾された核酸塩
基であり得る。修飾された核酸塩基の例としては、限定されないが、ヒポキサンチン、キ
サンチン、7-メチルグアニン、5,6-ジヒドロウラシル、5-メチルシトシン、およ
び5-ヒドロキシメチルシトシンが挙げられる。
【0084】
本明細書に記載されるASOはまた、オリゴマーの成分に結合する骨格構造を含む。用
語「骨格構造」および「オリゴマー連鎖」は、交換可能に使用され、ASOの単量体間の
結合を指し得る。自然発生のオリゴヌクレオチドでは、骨格は、オリゴマーの糖部を結合
する3’-5’ホスホジエステル連鎖を含む。本明細書に記載されるASOの骨格構造ま
たはオリゴマー連鎖は、(限定されないが)ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート
、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホ
ラニラデート(phosphoraniladate)、ホスホラミデート(phosp
horamidate)などを含む。例えば、LaPlanche, et al., N
ucleic Acids Res. 14:9081 (1986); Stec, et
al., J. Am. Chem. Soc. 106:6077 (1984), Ste
in, et al., Nucleic Acids Res. 16:3209 (198
8), Zon, et al., Anti Cancer Drug Design 6:5
39 (1991); Zon, et al., Oligonucleotides an
d Analogues: A Practical Approach, pp. 87-1
08 (F. Eckstein, Ed., Oxford University Pre
ss, Oxford England (1991)); Stec, et al.,米国
特許第5,151,510号; Uhlmann and Peyman, Chemica
l Reviews 90:543 (1990)を参照。いくつかの実施形態では、AS
Oの骨格構造は、亜リン酸を含有していないが、例えば、ペプチド核酸(PNA)、また
はカルバミン酸塩、アミド、および直鎖および環式の炭化水素基を含む連結基において、
ペプチド結合を含有している。いくつかの実施形態では、骨格修飾は、ホスホロチオエー
ト連鎖である。いくつかの実施形態では、骨格修飾は、ホスホラミデート連鎖である。
【0085】
実施形態では、ASO骨格のリンヌクレオチド間の連鎖の各々での立体化学は、ランダ
ムである。実施形態では、ASO骨格のリンヌクレオチド間の連鎖の各々での立体化学は
、制御され、ランダムではない。例えば、引用によって本明細書に組み込まれた米国特許
公開番号2014/0194610、「Methods for the Synthes
is of Functionalized Nucleic Acids」は、核酸オリゴ
マーにおいて各リン原子でキラリティーの利き手(handedness)を独立して選
択する方法について記載している。実施形態では、限定されないが、本明細書で表1に明
記されるASOのいずれかを含む、本開示の方法に使用されるASOは、ランダムでない
リンヌクレオチド間の連鎖を有するASOを含む。実施形態では、本発明の方法に使用さ
れる組成物は、純粋なジアステレオマーASOを含む。実施形態では、本発明の方法に使
用される組成物は、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少
なくとも約93%ある、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%
、少なくとも約97%、少なくとも約98%含む、少なくとも約99%、約100%、約
90%~約100%、約91%~約100%、約92%~約100%、約93%~約10
0%、約94%~約100%、約95%~約100%、約96%~約100%、約97%
~約100%、約98%~約100%、または約99%~約100%のジアステレオマー
純度を有するASOを含む。
【0086】
実施形態では、ASOは、そのリンヌクレオチド間の連鎖でRpおよびSpの構成のラ
ンダムでない混合物を有している。例えば、RpとSpの混合物が、アンチセンスオリゴ
ヌクレオチドにおいて、優れた活性とヌクレアーゼ安定性との間のバランスを達成する必
要があることが示唆されてきた(Wan, et al., 2014,「Synthes
is, biophysical properties and biological
activity of second generation antisense ol
igonucleotides containing chiral phosphor
othioate linkages,」Nucleic Acids Research
42(22): 13456-13468、引用によって本明細書に組み込まれる)。実
施形態では、限定されないが、本明細書で表1に明記されるASOのいずれかを含む、本
発明の方法に使用されるASOは、約5-100%のRp、少なくとも約5%のRp、少
なくとも約10%のRp、少なくとも約15%のRp、少なくとも約20%のRp、少な
くとも約25%のRp、少なくとも約30%のRp、少なくとも約35%のRp、少なく
とも約40%のRp、少なくとも約45%のRp、少なくとも約50%のRp、少なくと
も約55%のRp、少なくとも約60%のRp、少なくとも約65%のRp、少なくとも
約70%のRp、少なくとも約75%のRp、少なくとも約80%のRp、少なくとも約
85%のRp、少なくとも約90%のRp、または少なくとも約95%のRpと、残りの
Sp、あるいは約100%のRpを含む。実施形態では、限定されないが、本明細書で表
1に明記されるASOのいずれかを含む、本発明の方法に使用されるASOは、約10%
から約100%のRp、約15%から約100%のRp、約20%から約100%のRp
、約25%から約100%のRp、約30%から約100%のRp、約35%から約10
0%のRp、約40%から約100%のRp、約45%から約100%のRp、約50%
から約100%のRp、約55%から約100%のRp、約60%から約100%のRp
、約65%から約100%のRp、約70%から約100%のRp、約75%から約10
0%のRp、約80%から約100%のRp、約85%から約100%のRp、約90%
約100%のRp、または約95%から約100%のRp、約20%から約80%のRp
、約25%から約75%のRp、約30%から約70%のRp、約40%から約60%の
Rp、または約45%から約55%のRpと、残りのSpを含む。
【0087】
実施形態では、限定されないが、本明細書で表1に明記されるASOのいずれかを含む
、本発明の方法に使用されるASOは、約5-100%のSp、少なくとも約5%のSp
、少なくとも約10%のSp、少なくとも約15%のSp、少なくとも約20%のSp、
少なくとも約25%のSp、少なくとも約30%のSp、少なくとも約35%のSp、少
なくとも約40%のSp、少なくとも約45%のSp、少なくとも約50%のSp、少な
くとも約55%のSp、少なくとも約60%のSp、少なくとも約65%のSp、少なく
とも約70%のSp、少なくとも約75%のSp、少なくとも約80%のSp、少なくと
も約85%のSp、少なくとも約90%のSp、または少なくとも約95%のSpと、残
りのRp、あるいは約100%のSpを含む。実施形態では、限定されないが、本明細書
で表1に明記されるASOのいずれかを含む、本発明の方法に使用されるASOは、約1
0%から約100%のSp、約15%から約100%のSp、約20%から約100%の
Sp、約25%から約100%のSp、約30%から約100%のSp、約35%から約
100%のSp、約40%から約100%のSp、約45%から約100%のSp、約5
0%から約100%のSp、約55%から約100%のSp、約60%から約100%の
Sp、約65%から約100%のSp、約70%から約100%のSp、約75%から約
100%のSp、約80%から約100%のSp、約85%から約100%のSp、約9
0%から約100%のSp、または約95%から約100%のSp、約20%から約80
%のSp、約25%から約75%のSp、約30%から約70%のSp、約40%から約
60%のSp、または約45%から約55%のSpと、残りのRpを含む。
【0088】
本明細書に記載されるASOのいずれかは、自然発生のヌクレオチド中に存在する、リ
ボースまたはデオキシリボースを含む糖部、あるいはモルホリン環を含む、修飾された糖
部または糖アナログを含有し得る。修飾された糖部の限定しない例としては、2’-O-
メチル(2’-O-Me)、2’-O-メトキシエチル(2’MOE)、2’-O-アミ
ノエチル、2’F;N3’->P5’ホスホラミデート、2’ジメチルアミノオキシエト
キシ、2’ジメチルアミノエトキシエトキシ、2’-グアニジニウム(guanidin
idium)、2’-O-グアニジニウムエチル、カルバミン酸塩修飾した糖、および二
環式修飾した糖などの、2’置換基が挙げられる。いくつかの実施形態では、糖部修飾は
、2’-O-Me、2’F、および2’MOEから選択される。いくつかの実施形態では
、糖部修飾は、ロックド核酸(LNA)におけるような追加の架橋結合である。いくつか
の実施形態では、糖アナログは、ホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)などのモル
ホリン環を含有している。いくつかの実施形態では、糖部は、リボフラノシルまたは2’
デオキシリボフラノシルの修飾を含む。いくつかの実施形態では、糖部は、2’4’抑制
された(constrained)2’O-メチルオキシエチル(cMOE)修飾を含む
。いくつかの実施形態では、糖部は、cEt 2’,4抑制された2’-OエチルBNA
修飾を含む。いくつかの実施形態では、糖部は、トリシクロDNA(tcDNA)修飾を
含む。いくつかの実施形態では、糖部は、エチレン核酸(ENA)修飾を含む。いくつか
の実施形態では、糖部は、MCE修飾を含む。修飾は当該技術分野で既知であり、文献、
例えば、Jarver, et al., 2014,「A Chemical View o
f Oligonucleotides for Exon Skipping and Re
lated Drug Applications,」Nucleic Acid Ther
apeutics 24(1): 37-47に記載され、これは、この目的のための引用
によって本明細書に組み込まれる。
【0089】
いくつかの例では、ASOの各単量体は、同じ方法で修飾され、例えば、ASOの骨格
の各連鎖はホスホロチオエート連鎖を含む、または各リボース糖部は2’O-メチル修飾
を含む。ASOの単量体成分の各々の上に存在する、そのような修飾は、「均一な修飾」
と呼ばれる。いくつかの例では、異なる修飾の組み合わせが望まれ得、例えば、ASOは
、ホスホロジアミデート連鎖とモルホリン環を含む糖部(モルホリノ)との組み合わせを
含み得る。ASOへの異なる修飾の組み合わせは、「混合修飾」または「混合化学作用」
と呼ばれる。
【0090】
いくつかの実施形態では、ASOは、1つ以上の骨格修飾を含む。いくつかの実施形態
では、ASOは、1つ以上の糖部修飾を含む。いくつかの実施形態では、ASOは、1つ
以上の骨格修飾および1つ以上の糖部修飾を含む。いくつかの実施形態では、ASOは、
2’MOE修飾およびホスホロチオエート骨格を含む。いくつかの実施形態では、ASO
は、ホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)を含む。いくつかの実施形態では、AS
Oは、ペプチド核酸(PNA)を含む。本明細書に記載されるASOのいずれかまたはA
SOの成分(例えば、核酸塩基、糖部、骨格)は、ASOの望ましい特性または活性を達
成するためにまたはASOの望ましくない特性または活性を減少させるために修飾されて
もよい。例えば、ASOまたは任意のASOの1つ以上の成分は、mRNA前駆体の転写
産物上の標的配列への結合親和性を増強する;非標的配列への結合を減少させる;細胞の
ヌクレアーゼ(つまり、RNase H)による分解を減少させる;細胞および/または
細胞の核へのASOの取り込みを改善する;ASOの薬物動態(pharmacokin
etics)または薬力(pharmacodynamics)を変更する;およびAS
Oの半減期を調節するために修飾され得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、ASOは、2’-O-(2-メトキシエチル)(MOE)の
ホスホロチオエート修飾されたヌクレオチドで構成される。そのようなヌクレオチドで構
成されたASOは、特に、本明細書で開示される方法によく適しており、そのような修飾
を有しているオリゴマーは、ヌクレアーゼ分解に対する著しく増強された耐性および増加
したバイオアベイラビリティを有すると示されており、これによって、例えば、本明細書
に記載されるいくつかの実施形態における経口送達に適するようになる。例えば、Gea
ry, et al., J Pharmacol Exp Ther. 2001; 296(
3):890-7; Geary, et al., J Pharmacol Exp Th
er. 2001; 296(3):898-904を参照。
【0092】
ASOを合成する方法は当業者に既知である。代替的にまたは加えて、ASOは商用源
から得られ得る。
【0093】
他に明記されない限り、一本鎖核酸(例えば、mRNA前駆体の転写産物、オリゴヌク
レオチド、ASOなど)配列の左端は、5’末端であり、一本鎖または二本鎖の核酸配列
の左方向は、5’方向と呼ばれる。同様に、核酸配列(一本鎖または二本鎖)の右端また
は右方向は、3’末端または3’方向である。一般に、核酸中の基準点に対する5’にあ
る領域または配列は、「上流」として言及され、核酸中の基準点に対する3’にある領域
または配列は、「下流」として言及される。一般に、mRNAの5’方向または5’末端
は、開始コドン(initiation or start codon)が位置する場所
であり、一方で、3’末端または3’方向は、終止コドンが位置する場所である。いくつ
かの態様では、核酸中の基準点の上流にあるヌクレオチドは、負の数によって指定され、
基準点の下流にあるヌクレオチドは、正の数によって指定され得る。例えば、基準点(例
えば、mRNA中のエクソン-エクソン連結)は「ゼロ」部位として指定され得、基準点
に直接隣接しその上流にあるヌクレオチドは、「マイナス1」、例えば「-1」と指定さ
れ、一方で、基準点に直接隣接しその下流にあるヌクレオチドは、「プラス1」、例えば
「+1」と指定される。
【0094】
いくつかの実施形態において、ASOは、PKD2 RIC mRNA前駆体において保
持されたイントロンの5’スプライス部位の下流(3’の方向)であるPKD2 RIC
mRNA前駆体の標的部分(例えば5’スプライス部位に対して、正の数で示された方向
)に対して相補的であ(り、その部分に結合す)る(
図1)。いくつかの実施形態におい
て、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して、約+6から約+5
00の領域内にあるPKD2 RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的である。
いくつかの実施形態において、ASOは、5’スプライス部位に対して、+1から+5ま
でのヌクレオチド(5’スプライス部位の下流に位置付けられた最初の5つのヌクレオチ
ド)に対して相補的ではない。いくつかの実施形態において、ASOは、保持されたイン
トロンの5’スプライス部位に対して、約+6から約+497の間の領域内にあるPKD
2 RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的であることもある。いくつかの態様
では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対する、約+6から約+
500、約+6から約+490、約+6から約+480、約+6から約+470、約+6
から約+460、約+6から約+450、約+6から約+440、約+6から約+430
、約+6から約+420、約+6から約+410、約+6から約+400、約+6から約
+390、約+6から約+380、約+6から約+370、約+6から約+360、約+
6から約+350、約+6から約+340、約+6から約+330、約+6から約+32
0、約+6から約+310、約+6から約+300、約+6から約+290、約+6から
約+280、約+6から約+270、約+6から約+260、約+6から約+250、約
+6から約+240、約+6から約+230、約+6から約+220、約+6から約+2
10、約+6から約+200、約+6から約+190、約+6から約+180、約+6か
ら約+170、約+6から約+160、約+6から約+150、約+6から約+140、
約+6から約+130、約+6から約+120、約+6から約+110、約+6から約+
100、約+6から約+90、約+6から約+80、約+6から約+70、約+6から約
+60、約+6から約+50、約+6から約+40、約+6から約+30、または約+6
から約+20の領域内の標的部分に対して相補的である。
【0095】
いくつかの実施形態において、ASOは、PKD2 RIC mRNA前駆体において保
持されたイントロンの5’スプライス部位の上流(5’の方向)であるPKD2 RIC
mRNA前駆体の標的部分(例えば5’スプライス部位に対して、負の数で示された方向
)に対して相補的であ(り、その部分に結合す)る(
図1)。いくつかの実施形態におい
て、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して、約-4eから約-
210eの領域内にあるPKD2 RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的であ
る。いくつかの実施形態において、ASOは、5’スプライス部位に対して、-1eから
-3eまでのヌクレオチド(5’スプライス部位の上流に位置付けられた最初の5つのヌ
クレオチド)には相補的ではない。いくつかの実施形態において、ASOは、保持された
イントロンの5’スプライス部位に対して、-4eから約-204eの間の領域内にある
PKD2 RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的であることもある。いくつか
の態様では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対する、約-4e
から約-210e、約-4eから約-200e、約-4eから約-190e、約-4eか
ら約-180e、約-4eから約-170e、約-4eから約-160e、約-4eから
約-150e、約-4eから約-140e、約-4eから約-130e、約-4eから約
-120e、約-4eから約-110e、約-4eから約-120e、約-4eから約-
110e、約-4eから約-90e、約-4eから約-80e、約-4eから約-70e
、約-4eから約-50e、約-4eから約-40e、約-4eから約-30e、または
約-4eから約-20eの領域内にある標的部分に対して相補的である。
【0096】
いくつかの実施形態において、ASOは、PKD2 RIC mRNA前駆体において保
持されたイントロンの3’スプライス部位の上流(5’の方向)であるPKD2 RIC
mRNA前駆体の標的領域(例えば負の数で示された方向)に対して相補的である(
図1
)。いくつかの実施形態において、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部
位に対して、約-16から約-500の領域内にあるPKD2 RIC mRNA前駆体の
標的部分に対して相補的である。いくつかの実施形態において、ASOは、3’スプライ
ス部位に対して、-1から-15までのヌクレオチド(3’スプライス部位の上流に位置
付けられた最初の15のヌクレオチド)には相補的ではない。いくつかの実施形態におい
て、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して、-16から-49
6の領域内にあるPKD2 RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的である。い
くつかの態様では、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対する、約
-16から約-500、約-16から約-490、約-16から約-480、約-16か
ら約-470、約-16から約-460、約-16から約-450、約-16から約-4
40、約-16から約-430、約-16から約-420、約-16から約-410、約
-16から約-400、約-16から約-390、約-16から約-380、約-16か
ら約-370、約-16から約-360、約-16から約-350、約-16から約-3
40、約-16から約-330、約-16から約-320、約-16から約-310、約
-16から約-300、約-16から約-290、約-16から約-280、約-16か
ら約-270、約-16から約-260、約-16から約-250、約-16から約-2
40、約-16から約-230、約-16から約-220、約-16から約-210、約
-16から約-200、約-16から約-190、約-16から約-180、約-16か
ら約-170、約-16から約-160、約-16から約-150、約-16から約-1
40、約-16から約-130、約-16から約-120、約-16から約-110、約
-16から約-100、約-16から約-90、約-16から約-80、約-16から約
-70、約-16から約-60、約-16から約-50、約-16から約-40、または
約-16から約-30の領域内にある標的部分に対して相補的である。
【0097】
いくつかの実施形態において、ASOは、PKD2 RIC mRNA前駆体において保
持されたイントロンの3’スプライス部位の下流(3’の方向)であるPKD2 RIC
mRNA前駆体の標的領域(例えば正の数で示された方向)に対して相補的である(
図1
)。いくつかの実施形態において、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部
位に対して、約+2eから約+220eの領域内にあるPKD2 RIC mRNA前駆体
の標的部分に対して相補的である。いくつかの実施形態において、ASOは、3’スプラ
イス部位に対して、+1eのヌクレオチド(3’スプライス部位の下流に位置付けられた
最初の5つのヌクレオチド)には相補的ではない。いくつかの実施形態において、ASO
は、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して、約+2eから約+212eの
間の領域内にあるPKD2 RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的であること
もある。いくつかの態様では、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に
対する、約+2eから約+220e、約+2eから約+210e、約+2eから約+20
0e、約+2eから約+190e、約+2eから約+180e、約+2eから約+170
e、約+2eから約+160e、約+2eから約+150e、約+2eから約+140e
、約+2eから約+130e、約+2eから約+120e、約+2eから約+110e、
約+2eから約+100e、約+2eから約+90e、約+2eから約+80e、約+2
eから約+70e、約+2eから約+60e、約+2eから約+50e、約+2eから約
+40e、約+2eから約+30e、約+2eから約+20e、または約+2eから約+
10eの領域内にある標的部分に対して相補的である。
【0098】
実施形態において、PKD2 RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイント
ロンの5’スプライス部位に対する+100から、保持されたイントロンの3’スプライ
ス部位に対する-100までの領域内に存在する。
【0099】
ASOは、スプライシングの特異的結合および効果的な増強作用に適する任意の長さで
ありうる。いくつかの実施形態において、ASOは8から50の核酸塩基から成る。例え
ば、ASOは長さが、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18
、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、
32、33、34、35、45または50の核酸塩基であってもよい。いくつかの実施形
態において、ASOは50よりも多い核酸塩基から成る。いくつかの実施形態において、
ASOは長さが、8から50の核酸塩基、8から40の核酸塩基、8から35の核酸塩基
、8から30の核酸塩基、8から25の核酸塩基、8から20の核酸塩基、8から15の
核酸塩基、9から50の核酸塩基、9から40の核酸塩基、9から35の核酸塩基、9か
ら30の核酸塩基、9から25の核酸塩基、9から20の核酸塩基、9から15の核酸塩
基、10から50の核酸塩基、10から40の核酸塩基、10から35の核酸塩基、10
から30の核酸塩基、10から25の核酸塩基、10から20の核酸塩基、10から15
の核酸塩基、11から50の核酸塩基、11から40の核酸塩基、11から35の核酸塩
基、11から30の核酸塩基、11から25の核酸塩基、11から20の核酸塩基、11
から15の核酸塩基、12から50の核酸塩基、12から40の核酸塩基、12から35
の核酸塩基、12から30の核酸塩基、12から25の核酸塩基、12から20の核酸塩
基、12から15の核酸塩基、13から50の核酸塩基、13から40の核酸塩基、13
から35の核酸塩基、13から30の核酸塩基、13から25の核酸塩基、13から20
の核酸塩基、14から50の核酸塩基、14から40の核酸塩基、14から35の核酸塩
基、14から30の核酸塩基、14から25の核酸塩基、14から20の核酸塩基、15
から50の核酸塩基、15から40の核酸塩基、15から35の核酸塩基、15から30
の核酸塩基、15から25の核酸塩基、15から20の核酸塩基、20から50の核酸塩
基、20から40の核酸塩基、20から35の核酸塩基、20から30の核酸塩基、20
から25の核酸塩基、25から50の核酸塩基、25から40の核酸塩基、25から35
の核酸塩基、または25から30の核酸塩基である。いくつかの実施形態において、AS
Oは長さが18ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、ASOは長さが15
ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、ASOは長さが25ヌクレオチドで
ある。
【0100】
いくつかの実施形態において、異なる化学的性質を有するが、RIC mRNA前駆体
の同じ標的部分に対して相補的である2つ以上のASOが使用される。いくつかの実施形
態において、RIC mRNA前駆体の異なる標的部分に対して相補的である2つ以上の
ASOが使用される。
【0101】
実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上の部分または抱
合体、例えば、オリゴヌクレオチドの活性または細胞取り込みを増強する標的部分または
他の抱合体に化学的に連結される。そのような部分には、限定されないが、例えば、コレ
ステロール部分、コレステリル部分、例えばドデカンジオールまたはウンデシル残基など
の脂肪族鎖、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖、または、アダマンタン酢酸と
して、脂質部分が含まれる。親油性部分を含むオリゴヌクレオチドおよび調製方法は、公
開文献において述べられている。実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは
、限定されないが、脱塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプ
チド、例えばN-アセチルガラクトサミン(GluNAc)、N-Acグルコサミン(G
alNAc)などの炭水化物、もしくはマンノース(例えばマンノース-6-リン酸)、
脂質、またはポリ炭化水素化合物を含む部分で抱合される。抱合体は、当該技術分野で理
解され文献に記載されるように、例えばリンカーを用いて、糖、塩基またはリン酸基上の
いくつかの位置のうちのいずれかでアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む任意のヌクレ
オチドの1つ以上に連結されうる。リンカーは二価または三価の分岐したリンカーを含む
ことができる。実施形態において、抱合体はアンチセンスオリゴヌクレオチドの3’末端
に付いている。オリゴヌクレオチド抱合体を調製する方法は、例えば米国特許第8,45
0,467号の「Carbohydrate conjugates as delive
ry agents for oligonucleotides」に記載されており、引
用することで本明細書に組み込まれる。
【0102】
いくつかの実施形態において、ASOによって標的とされる核酸は、真核細胞などの細
胞内に発現したPKD2 RIC mRNA前駆体である。いくつかの実施形態において、
用語「細胞」は、細胞の集団を指すこともある。いくつかの実施形態において、細胞は被
験体内に存在する。いくつかの実施形態において、細胞は被験体から単離されている。い
くつかの実施形態において、細胞はエクスビボである。いくつかの実施形態において、細
胞は疾病もしくは疾患関連細胞、または細胞株である。いくつかの実施形態において、細
胞はインビトロである(例えば細胞培養液中)。
【0103】
<医薬組成物>
記載された組成物のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み、上記方法のいずれかにお
いて使用するための医薬組成物または製剤は、医薬品産業において周知の従来の技術に従
って調製することができ、かつ公開文献においても記載されている。実施形態において、
被験体を処置するための医薬組成物または製剤は、上記のような任意のアンチセンスオリ
ゴマーの有効量を含むか、または薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、それらの水和物もし
くはエステル、および薬学的に許容可能な希釈液を含む。医薬製剤のアンチセンスオリゴ
マーはさらに、薬学的に許容可能な賦形剤、希釈液または担体を含むこともある。
【0104】
薬学的に許容可能な塩は、過度の毒性反応、刺激反応、アレルギー反応等を持たないヒ
トおよび下等動物の組織に接する使用に適しており、かつ適切なベネフィット・リスク比
に見合う。(例えば、本発明の目的のために引用によって本明細書に組み込まれたS.M
.Berge,et al.,J.Pharmaceutical Sciences,6
6:1-19(1977)を参照)。その塩は、化合物の最終的な単離および精製中に、
または遊離塩基の官能基を適切な有機酸と個別に反応させることにより、インサイチュで
調製されうる。薬学的に許容可能で無毒な酸付加塩の例は、塩化水素、臭化水素酸、リン
酸、硫酸、および過塩素酸などの無機酸か、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエ
ン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸か、またはイオン交換などの他の文書で立
証された方法を用いることによって形成されたアミノ基の塩である。他の薬学的に許容可
能な塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼ
ンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸
塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エ
タンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グル
コン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ
-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リ
ンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸
塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペ
クチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル
酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸、チオシアン酸塩
、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などを含む。代表的なアルカリ
またはアルカリ土類金属の塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネ
シウムなどを含む。さらに薬学的に許容可能な塩は、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化
物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルのスルホン酸塩、およびア
リールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成された、無毒なアンモニウム、第四級
アンモニウム、およびアミンのカチオンを含む。
【0105】
実施形態において、組成物は、限定されないが、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、
液体シロップ剤、ソフトゲル剤、坐薬および浣腸剤などの多くの可能な剤形いずれかへと
製剤される。実施形態において、組成物は、水性媒体、非水性媒体、または混合媒体状の
懸濁液として製剤される。水性懸濁液は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム
、ソルビトール、および/またはデキストランを含む懸濁液の粘度を増加させる物質をさ
らに含むこともある。その懸濁液は、安定化剤も含むこともある。実施形態において、本
発明の医薬製剤または組成物は、限定されないが、溶液、エマルジョン、マイクロエマル
ジョン、発泡体またはリポソーム含有製剤(例えばカチオンリポソームまたは非カチオン
リポソーム)を含む。
【0106】
本発明の医薬組成物または製剤は、適切で当業者に周知なように、または公開文献にお
いて記載されているように、1つ以上の透過促進剤、担体、賦形剤、または他の活性成分
もしくは非活性成分を含むこともある。実施形態において、リポソームは立体的に安定し
たリポソーム、例えば1つ以上の特定の脂質を含むリポソームも含む。これらの特定の脂
質は、循環寿命が増強されたリポソームを結果としてもたらす。実施形態において、立体
的に安定したリポソームは、1つ以上の糖脂質を含むか、またはポリエチレングリコール
(PEG)部分などの1つ以上の親油性高分子を用いて誘導される。実施形態において、
界面活性剤は医薬製剤または組成物中に含まれる。薬物製品、製剤およびエマルジョンに
おける界面活性剤の使用は、当技術分野においてよく知られている。実施形態において、
本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの効率的な送達を成し遂げるために透過促進
剤を利用し、例えば、細胞膜を介する拡散を補助する、および/または親油性薬物の浸透
性を高める。実施形態において、透過促進剤は、界面活性剤、脂肪酸、胆汁塩、キレート
剤、または非キレート非界面活性剤である。
【0107】
実施形態において、医薬製剤は複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。実施形
態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは他の薬物または治療剤と組み合わせて投
与される。実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、当技術分野において
知られている任意の方法によって、血液脳関門を介する主題のアンチセンスオリゴヌクレ
オチドの浸透を促進することができる1つ以上の薬剤と共に投与される。例えば、筋組織
内の運動ニューロンへアデノウイルスベクターを投与することによる薬剤の送達は、引用
によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,632,427号「Adenovira
l-vector-mediated gene transfer into medul
lary motor neurons」に記載されている。脳、例えば線条体、視床、海
馬、黒質へのベクターの直接的な送達は、例えば、引用によって本明細書に組み込まれる
米国特許第6,756,523号「Adenovirus vectors for th
e transfer of foreign genes into cells of th
e central nervous system particularly in br
ain」に記載されている。
【0108】
実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、望ましい薬理学的性質または
薬力学的性質を提供する薬剤に結合されるか抱合される。実施形態において、アンチセン
スオリゴヌクレオチドは、血液脳関門を介する浸透または輸送を促進するために当技術分
野において知られている物質、例えばトランスフェリン受容体に対する抗体に連結される
。実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、アンチセンス組成物
をより効果的にするために、または血液脳関門を介する輸送を増加させるためにウイルス
ベクターに結合される。実施形態において、浸透性の血液脳関門の破壊は、砂糖、例えば
メソエリスリトール、キシリトール、D(+)ガラクトース、D(+)ラクトース、D(
+)キシロース、ズルシトール、ミオ-イノシトール、L(-)フルクトース、D(-)
マンニトール、D(+)グルコース、D(+)アラビノース、D(-)アラビノース、セ
ロビオース、D(+)マルトース、D(+)ラフィノース、L(+)ラムノース、D(+
)メリビオース、D(-)リボース、アドニトール、D(+)アラビトール、L(-)ア
ラビトール、D(+)フコース、L(-)フコース、D(-)リキソース、L(+)リキ
ソース、およびL(-)リキソース、またはアミノ酸、例えばグルタミン、リジン、アル
ギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチ
ジン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、チロ
シン、バリン、およびタウリンを注入することにより促進される。血液脳関門の浸透性を
高める方法および材料は、例えば米国特許第4,866,042号「Method fo
r the delivery of genetic material across t
he blood brain barrier」、米国特許第6,294,520号「M
aterial for passage through the blood-brai
n barrier」、および米国特許第6,936,589号「Parenteral
delivery systems」に記載されており、各々は引用によって本明細書に
組み込まれる。
【0109】
実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上の部分または抱
合体、例えば、オリゴヌクレオチドの活性または細胞取り込みを増強する標的部分または
他の抱合体に化学的に結合される。そのような部分には、限定されないが、例えば、コレ
ステロール部分、コレステリル部分などの脂質部分、例えばドデカンジオールまたはウン
デシルの残基、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖などの脂肪族鎖、または、ア
ダマンタン酢酸が含まれる。親油性部分を含むオリゴヌクレオチドおよび調製方法は、公
開された文献に記載されている。実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、限
定されないが、脱塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド
、炭水化物、例えばN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、N-Ac-グルコサ
ミン(GluNAc)、またはマンノース(例えばマンノース6-リン酸)、脂質、ポリ
炭化水素化合物)を含む部分と結合する。当該技術分野で理解され文献に記載されるよう
に、例えばリンカーを用いて、抱合体は、糖、塩基またはリン酸基上のいくつかの位置の
うちのいずれかでアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む任意のヌクレオチドの1つ以上
に連結することができる。リンカーは二価または三価の分枝リンカーを含み得る。実施形
態では、抱合体はアンチセンスオリゴヌクレオチドの3’末端に付いている。オリゴヌク
レオチド抱合体を調製する方法は、例えば、米国特許第8,450,467号「Carb
ohydrate conjugates as delivery agents f
or oligonucleotides」に記載され、参照により本明細書に組み込ま
れる。
【0110】
被験体の処置
本明細書に提供される組成物のうちのいずれかが個体に投与されうる。「個体」は、「
被験体」または「患者」と交換可能に使用されてもよい。個体は哺乳動物でもよく、例え
ば人間、または、人類以外の霊長類、げっ歯類、ウサギ、ラット、マウス、馬、ロバ、ヤ
ギ、猫、犬、雌牛、ブタ、あるいは羊などの動物である。実施形態では、個体はヒトであ
る。実施形態では、個体は胎児、胚、または小児である。他の実施形態では、個体は植物
などの別の真核生物であってもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化
合物は細胞にエクスビボで投与される。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物は、疾患または障害を処置する
方法として個体に投与される。いくつかの実施形態では、個体は、本明細書に記述された
疾患のいずれかなどの遺伝病を有する。いくつかの実施形態では、個体は、本明細書に記
述された疾患のいずれかなどの疾患を有するリスクがある。いくつかの実施形態では、個
体は、不十分な量のタンパク質または不十分な活性のタンパク質により引き起こされる疾
患または障害を有するリスクが増大している。個体が、不十分な量のタンパク質または不
十分な活性のタンパク質により引き起こされる疾患または障害を有するリスクが増大して
いる場合、方法は防止的または予防的な処置を含む。例えば、個体は、その疾患の家族健
康歴のために、そのような疾患または障害を有するリスクが増大している場合がある。典
型的には、そのような疾患または障害を有するリスクが増大している個体は、予防的処置
(例えば、疾患または障害の発症または悪化を予防するかまたは遅らせることによる)か
ら利益を受ける。
【0112】
本発明のASOの投与に適切な経路は、ASOの送達が所望される細胞型に応じて変わ
りうる。多数の組織および器官は多発性嚢胞腎によって影響を受け、腎臓が最も著しく影
響を受ける組織である。本発明のASOは、例えば、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射
または静脈内注射によって、患者に非経口的に投与されてもよい。
【0113】
被験体は、任意の適切なマーカーを使用して、処置への反応について評価される。実施
形態では、腎臓病の被験者は、クレアチニン、クレアチニンクリアランス、血圧、24時
間の尿量、24時間の尿タンパク、vWAgおよびアラキドン酸による血小板凝集を含む
、腎臓病についての特定のマーカーを測定することにより、処置への反応について評価さ
れる。
【0114】
スプライシングを増強する追加のASOを特定する方法
本発明の範囲内にはまた、特に標的イントロンでのPKD2 RIC mRNA前駆体
のスプライシングを増強する追加のASOを特定する(判定する)方法がある。mRNA
前駆体の標的領域内で様々なヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするASOは、標的
イントロンのスプライシングの速度および/または程度を改善するASOを特定する(判
定する)ためにスクリーニングされてもよい。いくつかの実施形態では、ASOはスプラ
イシング抑制因子/サイレンサーの結合部位をブロックまたは妨害することがある。当該
技術分野において既知の任意の方法が、イントロンの標的領域にハイブリダイズされた時
に所望の効果(例えばスプライシング、タンパク質または機能的RNA産生の増強)をも
たらすASOを特定する(判定する)ために使用されてもよい。これらの方法はまた、保
持されたイントロンに隣接するエクソン中、または保持されていないイントロン中の標的
領域へ結合することにより、保持されたイントロンのスプライシングを増強するASOの
特定のために使用することができる。使用されうる方法の一例が下記に提供される。
【0115】
mRNA前駆体の標的領域にハイブリダイズするように設計されたASOを用いて、AS
O「ウォーク」(walk)と呼ばれる、一ラウンドのスクリーニングを行いうる。例え
ば、ASOウォークに使用されるASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位
のおよそ100ヌクレオチド上流(例えば、標的とされた/保持されたイントロンの上流
に位置するエクソンの配列の一部)から、標的とされた/保持されたイントロンの5’ス
プライス部位のおよそ100ヌクレオチド下流まで、および/または、保持されたイント
ロンの3’スプライス部位のおよそ100ヌクレオチド上流から、標的とされた/保持さ
れたイントロンの3’スプライス部位のおよそ100ヌクレオチド下流(例えば、標的と
された/保持されたイントロンの下流に位置するエクソンの配列の一部)まで、5つのヌ
クレオチドごとに敷き詰められ得る。例えば、15ヌクレオチドの長さの第1のASOは
、標的とされた/保持されたイントロンの5’スプライス部位に対しヌクレオチド+6か
ら+20に特異的にハイブリダイズするように設計され得る。第2のASOは、標的とさ
れた/保持されたイントロンの5’スプライス部位に対するヌクレオチド+11から+2
5に特異的にハイブリダイズするように設計されている。ASOは、mRNA前駆体の標
的領域に及ぶように設計されている。実施形態では、ASOは、より密に、例えば、1、
2、3、または4つのヌクレオチドごとに敷き詰められ得る。さらに、ASOは、5’ス
プライス部位の100ヌクレオチド下流から、3’スプライス部位の100ヌクレオチド
上流まで敷き詰められ得る。いくつかの実施形態では、ASOは、5’スプライス部位の
約210ヌクレオチド上流から、5’スプライス部位の約500ヌクレオチド下流まで敷
き詰められ得る。いくつかの実施形態では、ASOは、3’スプライス部位の約500ヌ
クレオチド上流から、3’スプライス部位の約220ヌクレオチド下流まで敷き詰められ
得る。
【0116】
1つ以上のASO、または1つの対照ASO(標的領域にハイブリダイズするとは予期
されていない配列である、スクランブル配列を有するASO)は、例えばトランスフェク
ションによって、標的mRNA前駆体(例えば、本明細書で別記されるRIC mRNA
前駆体)を発現する疾患関連の細胞株へと送達される。ASOの各々のスプライシングを
誘発する効果は、本明細書で記載されるように、当該技術分野で既知の方法、例えば、ス
プライスジャンクションに及ぶプライマーを使用する逆転写酵素(RT)-PCRによっ
て評価され得る(「イントロン保持事象の特定」を参照)。対照ASO処理された細胞と
比較して、ASO処理された細胞におけるスプライスジャンクションに及ぶプライマーを
使用して生成されたRT-PCR産物が減少または欠如していることは、標的イントロン
のスプライシングが増強されたことを示している。いくつかの実施形態では、スプライシ
ング効率、スプライシングされていないmRNA前駆体に対するスプライシングされたm
RNA前駆体の比率、スプライシングの速度、またはスプライシングの程度は、本明細書
に記載のASOを使用して改善され得る。標的mRNA前駆体によってコードされるタン
パク質または機能的RNAの量も、各ASOが所望の効果(例えば、タンパク質産生の増
強)を達成したかどうかを判定するために評価され得る。ウェスタンブロッティング、フ
ローサイトメトリー、免疫蛍光顕微鏡検査法、およびELISAなどの、タンパク質産生
を評価および/または定量するための当該技術分野で既知の方法も使用することができる
。
【0117】
ASO「ミクロウォーク」(micro-walk)と呼ばれる第2ラウンドのスクリ
ーニングは、mRNA前駆体の標的領域にハイブリダイズするように設計されたASOを
使用して実行され得る。ASOミクロウォークに使用されるASOは、ASOでハイブリ
ダイズされたときに結果的にスプライシングを増強させるmRNA前駆体のヌクレオチド
酸配列をさらに改良する(refine)ために、1つのヌクレオチドごとに敷き詰めら
れる。
【0118】
標的イントロンのスプライシングを促進するASOによって定義される領域は、1-n
t工程(1-nt steps)で配置されたASO、ならびに、典型的には18-25
ntである、より長いASOを含む、ASO「ミクロウォーク」によって、より詳細に調
査される。
【0119】
上記でASOウォークに関して記載されたように、1つ以上のASO、または対照AS
O(標的領域にハイブリダイズすると予期されていない配列である、スクランブル配列を
有するASO)を、例えばトランスフェクションによって、標的mRNA前駆体を発現す
る疾患関連細胞株へと送達することにより、ASOミクロウォークが実行される。ASO
の各々のスプライシングを誘発する効果は、本明細書で記載されるように、当該技術分野
で既知の方法、例えば、スプライスジャンクションに及ぶプライマーを使用する逆転写酵
素(RT)-PCRによって評価され得る(「イントロン保持事象の特定」を参照)。対
照ASO処理された細胞と比較して、ASO処理された細胞におけるスプライスジャンク
ションに及ぶプライマーを使用して生成されたRT-PCR産物が減少または欠如するこ
とは、標的イントロンのスプライシングが増強されたことを示している。いくつかの実施
形態では、スプライシング効率、スプライシングされていないmRNA前駆体に対するス
プライシングされたmRNA前駆体の割合、スプライシングの速度、またはスプライシン
グの程度は、本明細書に記載されるASOを使用して改善され得る。標的mRNA前駆体
によってコード化されるタンパク質または機能的RNAの量も、各ASOが所望の効果(
例えば、タンパク質産生の増強)を達成したかどうかを判定するために評価され得る。ウ
ェスタンブロッティング、フローサイトメトリー、免疫蛍光顕微鏡検査法、およびELI
SAなどの、タンパク質産生を評価しおよび/または定量するための、当該技術分野で既
知の方法も使用することができる。
【0120】
mRNA前駆体の領域にハイブリダイズされたときに、結果的にスプライシングを増強
させ、タンパク質産生を増加させるASOは、動物モデル、例えば、全長ヒト遺伝子がノ
ックインされたトランスジェニックマウスモデルまたは疾患のヒト化マウスモデルを使用
して、インビボで試験され得る。ASOの投与に適した経路は、ASOの送達が望まれる
疾患および/または細胞型に応じて変化し得る。ASOは、例えば、腹腔内注射、筋肉注
射、皮下注射、または静脈注射によって投与され得る。投与後に、モデル動物の細胞、組
織、および/または臓器は、当該技術分野に既知の方法および本明細書に記載される方法
によって、例えば、スプライシング(効率、速度、程度)およびタンパク質産生を評価す
ることにより、ASO処置の効果を判定するために評価され得る。動物モデルはまた、疾
患または疾患重症度の表現型の徴候または行動的な徴候であり得る。
【0121】
<実施例>
以下の実施例は本発明の例証的な実施形態を提供する。当業者であれば、本開示の精神
または範囲を変更することなく実行され得る多数の修正および変更を認識するであろう。
こうした修正と変更は本開示の範囲内に包含される。実施例はいかなる意味でも本明細書
中に記載される開示を限定するものではない。
【0122】
実施例1:次世代配列決定を用いたRNAseqによるPKD2転写産物のイントロン保
持事象の特定
イントロン保持事象を特定するためにPKD2遺伝子によって生成された転写産物のス
ナップショットを明らかにするために、次世代配列決定を使用して、全トランスクリプト
ームのショットガン配列決定を実行した。このために、腎上皮細胞の核および細胞質の分
画からのpolyA+ RNAを分離し、IlluminaのTruSeq Stran
ded mRNAライブラリPrepキットを用いてcDNAライブラリを構築した。
ライブラリを対末端配列決定(pair-end sequenced)し、結果として
、ヒトゲノムにマッピングされた100ヌクレオチドの読み取りをもたらした(2009
年2月、GRCh37/hg19アセンブリ)。PKD2についての配列決定の結果を、
図3に示す。簡潔に言うと、
図3は(UCSC Genome Informatics
Group (Center for Biomolecular Science
& Engineering, University of California,
Santa Cruz, 1156 High Street, Santa Cru
z, CA 95064)によって操作され、かつ、例えばRosenbloom, e
t al., 2015,”The UCSC Genome Browser dat
abase: 2015 update,”Nucleic Acids Resear
ch 43, Database Issue doi: 10.1093/nar/g
ku1177に記載された)UCSCのゲノムブラウザを使用して視覚化されたマッピン
グされた読み取りを示し、読み取りの範囲および数はピーク信号によって推論され得る。
ピークの高さは、特定の領域における読み取り密度によって与えられた発現のレベルを示
している。ピークをPKD2エクソン領域およびイントロン領域に一致させられるように
、(読み取りシグナルの下に)UCSCゲノムブラウザによってPKD2の模式図(縮尺
通りに描かれている)が提供される。このディスプレイに基づいて、HCNの核分画にお
いて高い読み取り密度を有するが、(
図3の下のダイアグラム中のイントロン5について
示されるように)これらの細胞の細胞質分画においては読み取りが非常に低いかまたは無
い、一つのイントロン(示されるように、イントロン5)を特定した。これは、イントロ
ン5が保持され、イントロン5含有転写産物が核内に残っていることを示し、この保持さ
れたPKD2 RIC mRNA前駆体が、細胞質に排出されないので、非生産的である
ことを示唆している。
【0123】
実施例2:PKD2のASOウォーク標的イントロン5の設計
ASOウォークは、本明細書中(
図4;表1、SEQ ID NOS:3~280)に
記載された方法を使用して、イントロン5を標的とするよう設計された。ヌクレオチド+
497から-204eにおよびントロン5の5’スプライス部位のすぐ上流および下流の
領域、および、およびヌクレオチド-496から212eに及ぶイントロン5の3’スプ
ライス部位のすぐ上流および下流の領域が、保持されたイントロン5 PKD2 RIC
mRNA前駆体を標的とするようにASOを設計するために利用される。表1は、設計
された例示的なASOおよびそれらの標的配列を列挙する。この設計から、5ヌクレオチ
ド間隔だけシフトした2’-O-MeRNA、PS骨格、18量体ASOを産生し、PC
-2タンパク質産生を増加させるために、PKD2 RIC mRNA前駆体を標的化す
るよう利用することができる。
【0124】
【0125】
実施例3:PKD2イントロン5のASO標的化による改善したスプライシング効率は転
写レベルを増加させる
ASOを使用してPKD2イントロン5のスプライシング効率を改善することにより、
PKD2発現における増加を達成しうるかどうかを判断するために、本明細書に記述され
た方法が使用されうる。対象の細胞株(例えばARPE-19細胞、すなわちヒトの網膜
の上皮細胞株(American Type Culture Collection
(ATCC),USA)、またはHuh-7、すなわちヒトの肝細胞腫細胞株(NIBI
OHN,Japan)、またはSK-N-AS、すなわちヒトの神経芽細胞腫細胞株(A
TCC))は、偽トランスフェクト(mock-transfect)されるか、または
表1に記載の標的ASOでトランスフェクトされる。細胞を、製造業者の仕様書に従って
、Lipofectamine RNAiMaxトランスフェクション試薬(Therm
o Fisher)を用いてトランスフェクトする。簡潔に述べると、ASOを96ウェ
ル組織培養プレートに播種し、Opti-MEMで希釈したRNAiMaxと組み合わせ
る。トリプシンを用いて細胞を剥離し、完全培地に再懸濁し、約25,000個の細胞を
ASO-トランスフェクション混合物に加える。トランスフェクション実験は三通りのプ
レート複製において実行される。最終的なASO濃度は80nMである。製造業者の仕様
書に従って、培地をトランスフェクションの6時間後に交換し、細胞をCells-to
-Ct溶解試薬を用い、DNAse(Thermo Fisher)で試薬を補充し、2
4時間で採取する。製造業者の仕様書に従い、cDNAをCells-to-Ct RT
試薬(Thermo Fisher)で生成する。対象のイントロンでのスプライシング
の量を定量化するために、表1に列挙した、対応するエクソン-エクソンジャンクション
に及ぶプローブでTaqmanアッセイ(Thermo Fisher)を用いて、定量
PCRが実行される。Taqmanアッセイは、QuantStudio 7Flex
Real-Time PCRシステム(Thermo Fisher)上で製造業者の仕
様書に従い実行される。標的遺伝子アッセイ値を、RPL32(deltaCt)および
プレート適合偽トランスフェクションサンプル(delta-delta Ct)に対し
て正規化し、モック定量(2^-(delta-delta Ct)に対して倍率変化を
生成する。3つのプレート複製のモック(mock)に対する平均倍率変化をプロットす
る。標的遺伝子発現を閾値量の分増加させるものと特定されたASOは、その標的イント
ロンでのスプライシングの増加を示唆する。標的イントロン(
図3)の保持を確認する全
トランスクリプトームデータと共に、これらの結果は、ASOが律速のイントロンのスプ
ライシング効率を改善し得ることを確認する。
【0126】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中に示され記述された一方、そのような実施形態
が一例としてしか提供されていないことは当業者にとって明白だろう。多くの変更、変化
および置換が、本発明から逸脱することなく、当業者の心に思い浮かぶであろう。本明細
書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用されるかも
しれないことを理解されたい。以下の請求項は本発明の範囲を定義するものであり、この
請求項とその均等物の範囲内の方法および構造体がそれによって包含されるものであると
いうことが意図されている。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-02-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PC-2タンパク質をコードする保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)の標的部分に相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)であって、RIC mRNA前駆体は保持されたイントロンを含み、RIC mRNA前駆体を発現する細胞においてASOがRIC mRNA前駆体の標的部分に結合することにより、保持されたイントロンはRIC mRNA前駆体から構成的にスプライシングされ、それにより、PC-2タンパク質をコードする成熟mRNAのレベルを細胞内で増加させ、RIC mRNA前駆体の標的部分は保持されたイントロン内にある、前記ASO。
【請求項2】
RIC mRNA前駆体の標的部分が、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6から、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16の領域内にある、請求項1に記載のASO。
【請求項3】
RIC mRNA前駆体が、SEQ ID NO:2に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項1又は2に記載のASO。
【請求項4】
RIC mRNA前駆体の標的部分が、SEQ ID NO:281の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のASO。
【請求項5】
ASOが、SEQ ID NO:3~280から選択される配列を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のASO。
【請求項6】
ASOが、SEQ ID NO:3~280から選択される配列から成る、請求項1~4のいずれか1項に記載のASO。
【請求項7】
PC-2タンパク質が、同等の野生型タンパク質と比較して:
i) 機能が低下した形態;又は
ii) 十分に機能的な形態、
で生成される、請求項1~6のいずれか1項に記載のASO。
【請求項8】
ASOが、ホスホロチオエート結合若しくはホスホロジアミデート結合を含む骨格修飾;又は修飾された糖部若しくは糖アナログを含み、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル部分、2’-フルオロ部分、又は2’-O-メトキシエチル部分を含んでいてもよい、請求項1~7のいずれか1項に記載のASO。
【請求項9】
ASOが8~50の核酸塩基から成る、請求項1~8のいずれか1項に記載のASO。
【請求項10】
ASOが、PC-2タンパク質をコードする遺伝子から転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシングを調節することによっては、細胞内のPC-2タンパク質をコードする成熟mRNAの量を増加させない、請求項1~9のいずれか1項に記載のASO。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のASOを含むポリヌクレオチドをコードするウイルスベクター。
【請求項12】
被験体においてPC-2タンパク質の量又は機能が不足していることを特徴とする疾患又は疾病を処置するための医薬組成物であって、請求項1~10のいずれか1項に記載のASO又は請求項11に記載のウイルスベクターを含む、前記医薬組成物。
【請求項13】
疾患又は疾病が多発性嚢胞腎である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
PC-2タンパク質の不足した量は、PC-2タンパク質のハプロ不全によって引き起こされ、被験体は、機能的なPC-2タンパク質をコードする第1の対立遺伝子、及びPC-2タンパク質が生成されない第2の対立遺伝子又は非機能的PC-2タンパク質をコードする第2の対立遺伝子を有し、ASOは、第1の対立遺伝子から転写されたRIC mRNA前駆体の標的部分に結合する、請求項12又は13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
被験体は、第1の変異対立遺伝子及び第2の変異対立遺伝子を有し、PC-2タンパク質は:
(a) 第1の変異対立遺伝子から:
(i) 野生型対立遺伝子からの生成と比較して減少したレベルで生成される;
(ii) 同等の野生型PC-2タンパク質と比較して機能が低下した形態で生成される;又は
(iii) 生成されない、及び
(b) 第2の変異対立遺伝子から:
(i) 野生型対立遺伝子からの生成と比較して減少したレベルで生成される;
(ii) 同等の野生型PC-2タンパク質と比較して機能が低下した形態で生成される;又は
(iii) 生成されない、
ここで、被験体が、第1の変異対立遺伝子(a)(iii)を有する場合、第2の変異対立遺伝子は(b)(i)又は(b)(ii)であり、被験体が第2の変異対立遺伝子(b)(iii)を有する場合、第1の変異対立遺伝子は(a)(i)又は(a)(ii)であり、RIC mRNA前駆体は、(a)(i)若しくは(a)(ii)である第1の変異対立遺伝子又は(b)(i)若しくは(b)(ii)である第2の変異対立遺伝子から転写される、請求項12~14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
髄空内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射による投与用である、請求項12~15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【外国語明細書】