(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046737
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】安定性及び溶出率が改善されたタダラフィル含有及びタムスロシン含有のカプセル複合製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4985 20060101AFI20220315BHJP
A61K 31/18 20060101ALI20220315BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220315BHJP
A61K 9/58 20060101ALI20220315BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220315BHJP
A61P 13/08 20060101ALN20220315BHJP
【FI】
A61K31/4985
A61K31/18
A61P43/00 121
A61K9/58
A61K47/32
A61P13/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000307
(22)【出願日】2022-01-04
(62)【分割の表示】P 2018551805の分割
【原出願日】2017-03-31
(31)【優先権主張番号】10-2016-0039687
(32)【優先日】2016-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】516132149
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】タク、ジン ウォク
(72)【発明者】
【氏名】チョ、 ジョン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジン チョル
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン イル
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ジェ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ウ、 ジョン ス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】活性成分の優秀な安定性及び溶出率を有するタダラフィル及びタムスロシンをいずれも含むカプセル複合製剤を提供する。
【解決手段】タダラフィル、またはその薬学的に許容可能な塩、及びタムスロシン、またはその薬学的に許容可能な塩を含むカプセル複合製剤であり、前記カプセル複合製剤は、表面に、コーティング基剤として、PVA(ポリビニルアルコール)またはPVA含有共重合体を含むフィルムコーティング層を含むカプセル複合製剤、及びその製造方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タダラフィルまたは薬学的に許容可能なその塩を含むタダラフィル独立部と、タムスロシンまたは薬学的に許容可能なその塩を含むタムスロシン独立部と、を分離された状態で含み、
前記タダラフィル独立部は、その表面に、コーティング基剤として、PVA(ポリビニルアルコール)またはPVA含有共重合体を含むフィルムコーティング層を含む、カプセル複合製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タダラフィル含有及びタムスロシン含有のカプセル複合製剤に係り、さらに詳細には、タダラフィル及びタムスロシンの安定性が改善されながら、十分な溶出率を示すことができるタダラフィル含有及びタムスロシン含有のカプセル複合製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
タダラフィル(tadalafil)は、シルデナフィル(sildenafil)及びバルデナフィル(vardenafil)のようなPDE5抑制剤に属する物質であり、シルデナフィルやバルデナフィルより半減期が3倍以上長いという特徴がある。タダラフィルは、ICOS社によって初めて開発され、現在イーライリリー・アンド・カンパニー(Eli Lilly and Company)社において、タダラフィルを含む勃起不全治療用のシアリス(CialisTM)と、肺動脈高血圧治療用のアドシルカ(AdcircaTM)とを市販している。前記シアリスの場合、2011年、FDAから陽性前立腺肥大症治療用としても承認を受けている。また、シルデナフィルは、必要な場合にだけ投与可能であり、前立腺肥大症治療のために毎日服用する患者が、毎日共に服用するには安全性が立証されていない一方、タダラフィル(シアリス)の場合、5mg用量で1日1回療法が可能であり、従って、前立腺肥大症治療のために毎日服用したり、他の毎日服用する前立腺肥大症治療剤と共に服用するのに適する。
【0003】
タムスロシン(tamsulosin)は、α1a遮断剤であり、陽性前立腺肥大症症状治療だけではなく、慢性前立腺炎と慢性腹痛症侯群症状との治療にも効果を有する。また、α1a遮断を介した筋弛緩メカニズムを介して、尿路結石治療にも効果を有する。タムスロシンは、1996年に山之内製薬(Yamanouchi pharmaceuticals)社によって開発され、現在タムスロシン塩酸塩を使用した多様な製品が公知されている。
【0004】
勃起不全及び陽性前立腺肥大症は、それぞれ単独で発病したりはするが、国内の勃起不全患者10人のうち8.5人が前立腺疾患を伴うという研究結果があるほど、2つの疾患は、同一患者群割合が高い。従って、前記2つの疾患を同時に治療することができ、安定性及び有効性にすぐれる治療法の開発が必要である。特に、タダラフィルは、タムスロシンと異なる作用メカニズムを有するにもかかわらず、勃起不全及び陽性前立腺肥大症治療にいずれも効果を示すので、タダラフィルとタムスロシンとを同時に、または時間間隔をあけて併用投与することにより、さらに優秀な勃起不全及び陽性前立腺肥大症の予防効果及び治療効果を図り、単一薬物の使用量を減らすことにより、長期間の薬物服用によって発生しうる副作用の低下を期待することができる。
【0005】
特許文献1は、タダラフィル及びタムスロシンを1つの製剤に含め、患者の順応度が改善された経口用複合製剤を開示している。前記複合製剤は、タダラフィル及びタムスロシンをそれぞれ別途に、顆粒、錠剤、またはそれらの組み合わせのような形態の独立部として製剤化し、1つのカプセルに含有させたカプセル複合製剤である。前記カプセル複合製剤は、カプセル内の2種活性成分が互いに分離されることにより、活性成分間の溶出率に影響を及ぼさず、反応性を最小化させ、安定性及び溶出率にすぐれると記載されている。
【0006】
ところで、前記カプセル複合製剤において、カプセル内に、タダラフィル及びタムスロシンがそれぞれ別途に固体状の独立部として製剤化されて含有されるとしても、タダラフィルとタムスロシンとの相互作用が完全に遮断されるものではなく、活性成分の安定性及び溶出率にすぐれる複合製剤の開発が依然として必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一様相は、活性成分の優秀な安定性及び溶出率を有するタダラフィル及びタムスロシンをいずれも含むカプセル複合製剤を提供することである。
【0009】
本発明の他の一様相は、前記カプセル複合製剤の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一様相は、
タダラフィル、またはその薬学的に許容可能な塩を含むタダラフィル独立部と、タムスロシン、またはその薬学的に許容可能な塩を含むタムスロシン独立部とを、分離された状態で含み、
前記タダラフィル独立部は、表面に、コーティング基剤として、PVA(ポリビニルアルコール)またはPVA含有共重合体を含むフィルムコーティング層を含むカプセル複合製剤を提供する。
【0011】
本発明の他の一様相は、
タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩、及び薬剤学的に許容可能な添加剤を混合してタダラフィル顆粒を製造するか、あるいは前記顆粒でペレットまたは錠剤を製造するタダラフィル独立部製造段階と、
前記製造されたタダラフィル顆粒は、適する粒度サイズを有することを提供するために、シーブまたは整粒器を使用する段階と、
前記製造されたタダラフィルの顆粒、ペレットまたは錠剤を、PVAまたはPVA含有共重合体を含むコーティング基剤でコーティングするコーティング段階と、
タムスロシン、または薬剤学的に許容可能なその塩、及び薬剤学的に許容可能な添加剤を混合して顆粒を製造するか、あるいは顆粒でペレットまたは錠剤を製造するタムスロシン独立部の製造段階と、
前記製造されたコーティングされたタダラフィルの顆粒、ペレットまたは錠剤、及び前記製造されたタムスロシン顆粒、ペレットまたは錠剤を、分離された状態で硬質カプセル内に充填する段階と、を含む、前記本発明の一様相によるカプセル複合製剤の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一様相によるカプセル複合製剤は、タダラフィル及びタムスロシンを1つの単位剤形にいずれも含みながらも、タダラフィル独立部の表面に、コーティング基剤として、PVA(ポリビニルアルコール)またはPVA含有共重合体を含むフィルムコーティング層を含むことにより、タダラフィルとタムスロシンとの相互作用を効果的に遮断し、タダラフィル及びタムスロシンそれぞれの安定性を顕著に改善させることができ、同時に、タダラフィルの初期溶出率を基準溶出率以下に阻害せず、薬効に有意の影響を及ぼさないということが分かった。従って、本発明の一様相によれば、いずれの活性成分の優秀な安定性及び溶出率をも有するタダラフィル及びタムスロシンをいずれも含むカプセル複合製剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1~8のカプセル複合製剤を苛酷条件(60℃)で保管した後、初期(initial)、1週後、2週後及び4週後のタムスロシン塩酸塩の総類縁物質を測定した結果を示したグラフである。
【
図2】比較例1~10、及び実施例9,10のカプセル複合製剤を苛酷条件(60℃)で保管した後、初期(initial)、1週後、2週後及び4週後のタムスロシン塩酸塩の総類縁物質を測定した結果を示したグラフである。
【
図3】実施例1~8のカプセル複合製剤を加速条件(40℃/75%RH)で保管した後、初期(initial)、1週後、2週後及び4週後のタムスロシン塩酸塩の総類縁物質を測定した結果を示したグラフである。
【
図4】比較例1~10、及び実施例9,10のカプセル複合製剤を加速条件(40℃/75%RH)で保管した後、初期(initial)、1週後、2週後及び4週後のタムスロシン塩酸塩の総類縁物質を測定した結果を示したグラフである。
【
図5】実施例4,8及び比較例4,7,10のカプセル複合製剤を加速条件(40℃/75%RH)で保管した後、初期(initial)、1ヵ月後、3ヵ月後及び6ヵ月後のタダラフィルの10分溶出率を測定した結果を示したグラフである。
【
図6】実施例4,8及び比較例4,7,10のカプセル複合製剤を加速条件(40℃/75%RH)で保管した後、初期(initial)、1ヵ月後、3ヵ月後及び6ヵ月後のタダラフィルの30分溶出率を測定した結果を示したグラフである。
【
図7】実施例1~4、及び実施例9,10に対して初期のタダラフィルの溶出に係わるプロファイルを示したグラフである。
【
図8】実施例4,11及び12に係わるタダラフィル顆粒の粒度分布図を示したグラフである。
【
図9】実施例4,11及び12に係わるタダラフィル錠剤の打錠後性状に係わる写真である。
【
図10】実施例4,11及び12に係わるタダラフィル顆粒の粒度サイズによる溶出率測定した結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0015】
本発明者らは、タダラフィル及びタムスロシンの2薬剤を1つの単位剤形に含む複合製剤に製剤化し、タダラフィル及びタムスロシンの2薬剤投与が必要な患者の服薬順応度を高めると共に、個別活性成分の安定性及び溶出率を確保することができる複合製剤の開発を研究した。その結果、タダラフィル独立部及びタムスロシン独立部を含む複合カプセル剤を製造するとき、タダラフィル独立部に対して、ポリビニルアルコール(PVA)またはPVA含有共重合体を含むフィルムコーティング層を導入する場合、タダラフィル及びタムスロシンの保存安定性を確保することができながらも、タダラフィルの溶出に否定的な影響を及ぼさず、安定性及び有効性をいずれも有するタダラフィル含有及びタムスロシン含有のカプセル複合製剤を開発した。
【0016】
従って、本発明の一様相は、
タダラフィル、またはその薬学的に許容可能な塩を含むタダラフィル独立部と、タムスロシン、またはその薬学的に許容可能な塩を含むタムスロシン独立部とを、分離された状態で含み、
前記タダラフィル独立部は、表面に、コーティング基剤として、PVA(ポリビニルアルコール)またはPVA含有共重合体を含むフィルムコーティング層を含むカプセル複合製剤を提供する。
【0017】
前記PVAまたはPVA含有共重合体は、顆粒、ペレットまたは錠剤のような固形製剤のフィルムコーティングのために、コーティング剤としても使用されるものであり、公知された任意のPVA、またはPVA含有共重合体を含む。
【0018】
前記PVA含有共重合体は、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール共重合体(PVA・PEGコポリマー)があるが、それに限定されるものではない。
【0019】
前記PVAは、分子量が約13,000~50,000でもある。一具体例において、PVAの分子量は、約26,000~30,000でもある。
【0020】
一具体例において、前記PVAは、加水分解度(degree of hydrolysis)が約86.5~89.0%であり、約20℃の4w/w%水溶液で製造するとき、粘度(viscosity)が約4.8~5.8mpa.sであり、pHが約5.0~6.5であるPVAである。前記PVA条件を外れる場合、コーティング時、コーティング付着率低下、コーティング均一性低下、コーティング器故障などの問題点が出てくる恐れがある。
【0021】
一具体例において、タダラフィル、またはその薬学的に許容可能な塩を含むタダラフィル独立部と、タムスロシン、またはその薬学的に許容可能な塩を含むタムスロシン独立部とを、分離された状態で含み、
前記タダラフィル独立部は、表面に、コーティング基剤として、PVA(ポリビニルアルコール)またはPVA含有共重合体を含むフィルムコーティング層を含むカプセル複合製剤として、前記PVAは、分子量が13,000~50,000のPVAであり、加水分解度が86.5~89.0%であり、20℃の4w/w%水溶液で製造するとき、粘度が4.8~5.8mpa.sであり、pHが5.0~6.5であるPVAであるカプセル複合製剤でもある。
【0022】
一具体例において、前記カプセル複合製剤は、タダラフィル独立部に、PVAまたはPVA含有共重合体を含むフィルムコーティング層を導入することにより、フィルムコーティング層が導入しないまま、あるいは他種のコーティング基剤によってフィルムコーティングされたタダラフィル独立部がカプセル複合剤に充填される場合に比べ、タダラフィル及びタムスロシンの保管安定性が顕著に優秀であると分かった(試験例1参照)。また、前記カプセル複合製剤は、PVAまたはPVA含有共重合体を含むフィルムコーティング層の導入により、他種のコーティング剤で、タダラフィル独立部にフィルムコーティング層が形成されたカプセル複合製剤に比べ、活性成分の溶出率が顕著に優秀であると分かった(試験例2参照)。本発明の一様相によるカプセル複合製剤が、従来の単一製剤と同一の効能及び効果を示すためには、従来の単一製剤の溶出率(10分40(Q)%、30分80(Q)%以上の溶出率)と同等以上であるタダラフィル溶出率を示さなければならないが、前記カプセル複合製剤は、PVAまたはPVA含有共重合体を含むフィルムコーティング層の導入により、前記タダラフィルの溶出率基準を満足させると確認された。
【0023】
従って、前記カプセル複合製剤は、PVAまたはPVA含有共重合体を含むフィルムコーティング層の導入により、タダラフィル及びタムスロシンの保管安定性、及び優秀な溶出率を同時に確保することができると確認された。
【0024】
前記コーティング基剤であるPVAまたはPVA含有共重合体は、一般的なフィルムコーティング方法及びフィルムコーティング容量により、前記タダラフィル独立部の表面にコーティング層を形成することができる。一具体例において、前記PVAまたはPVA含有共重合体は、コーティング層を除いたタダラフィル独立部(例:裸錠)総重量に対して、約1~6重量%の量で存在することができる。前記の比率を超える場合には、活性成分の溶出率が低下する傾向を示し、薬効に影響を及ぼしうると分かった(試験例2参照)。
【0025】
前記フィルムコーティング層は、前記コーティング基剤以外に、フィルムコーティングを形成するのに必要であると公知された任意のフィルムコーティング用添加剤を含んでもよい。前記フィルムコーティング用添加剤は、着色剤、剤皮補助剤(可塑剤)着香剤(イチゴ香、ブルーベリー香、オレンジ香、ハッカ香など)、安定化剤(NH3、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、またはそれらの任意の組み合わせなどを含んでもよい。前記着色剤は、タルク(talc)、二酸化チタン(TiO2)、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、褐色酸化鉄または青色酸化鉄などがあるが、それらに限定されるものではない。前記剤皮補助剤は、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール(propylene glycol)、トリアセチン(triacetin)、エチルシトレートエステル(ethylcitrate ester)、ひまし油またはポリソルベート類(polysorbates)などがあるが、それらに限定されるものではない。
【0026】
一具体例において、前記フィルムコーティング層は、PVA、二酸化チタン、PEG3350、タルク及び黄色酸化鉄を含む。他の一具体例において、前記フィルムコーティング層は、PVA・PEGコポリマー、二酸化チタン、PEG3350、タルク及び黄色酸化鉄を含む。
【0027】
前記タムスロシン独立部は、薬学的に許容されるコーティング基剤によってもコーティングされる。前記コーティング基剤は、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニル酢酸、ポリビニルアルコール、ポリビニル酢酸、ポリビニルピロリドン、ポビドン、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、トリアセチン、プロピレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが使用されるが、それらに限定されるものではない。一具体例において、前記タムスロシン独立部は、表面が腸溶性コーティング基剤を含む腸溶性コーティング層を含む。
【0028】
一具体例において、前記タダラフィル独立部は、表面に、PVAまたはPVA含有共重合体を含むフィルムコーティング層を含み、前記タムスロシン独立部は、表面が腸溶性コーティング基剤を含む腸溶性コーティング層を含むカプセル複合製剤である。
【0029】
前記タダラフィル独立部とタムスロシン独立部は、それぞれ独立して、顆粒、ペレットまたは錠剤の形態でもある。それぞれの独立部が、顆粒、ペレットまたは錠剤として存在することにより、それぞれの独立層が互いに混入される現象が発生せず、カプセル内で互いに分離された状態で存在することができる。一具体例において、前記タダラフィル独立部及びタムスロシン独立部のうち1以上は、錠剤である。錠剤として存在する場合、タダラフィル独立層及びタムスロシン独立層が互いに混入されないで分離された状態で存在する程度がさらに完全にもなる。他の一具体例において、前記タダラフィル独立部は、錠剤であり、タムスロシン独立部は、ペレットである。
【0030】
一具体例において、前記タダラフィル独立部は、表面に、PVAまたはPVA含有共重合体を含むフィルムコーティング層を含む錠剤であり、前記タムスロシン独立部は、表面が腸溶性コーティング基剤を含む腸溶性コーティング層を含むペレットであるカプセルである。前記腸溶性コーティング基剤は、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、トリアセチン、シェラック、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシメチルセルロース、ワックス、及びそれらの任意の組み合わせからなる群のうちから選択されてもよいが、それらに限定されるものではない。
【0031】
前記腸溶性コーティング基剤は、最適の製剤サイズを提供し、効果的な製造のために、最小限に維持されることが望ましい。一具体例において、前記腸溶性コーティング基剤は、タムスロシン独立部全体を基準に、0.1~20重量%、望ましくは、2~10重量%範囲の量でも使用される。
【0032】
一具体例において、前記タダラフィル独立部は、顆粒圧縮錠剤であり、前記顆粒は、顆粒粒度が250μm~500μm(35~60mesh)である粒子を10~60重量%、150μm(100mesh)以下である粒子を30重量%以上の比率で含むカプセル複合製剤である。さらに具体的には、前記顆粒は、顆粒粒度が250μm~500μm(35~60mesh)である粒子を30~50重量%、150μm(100mesh)以下である粒子を40重量%以上の比率で含むカプセル複合製剤である。ここで、タダラフィルの顆粒部の平均粒径の測定は、シーブを利用して測定することができる。測定方法は、850μm、500μm、250μm、150μm、75μmのシーブを順に垂直に重ねた後、10gほどに該当する顆粒を、一番上ののシーブに入れ、5分間均一な速度及び振動で揺らした後、各層の残量の質量を測定して比率を計算する。タダラフィルの顆粒部製造時、シーブまたは整粒器(oscillator)を使用し、顆粒の粒度を前記範囲に調節することができる。
【0033】
試験結果、平均粒度が前記範囲より低い場合、タダラフィル初期溶出率は、溶出基準に適すると分かったが、打錠時、キャッピング現象が示され、前記範囲より高い場合、キャッピング現象のような打錠障害はないが、タダラフィル初期溶出率が溶出基準に符合しない可能性が高いと分かった(試験例3参照)。従って、タダラフィル錠剤製造のための顆粒の製造時、顆粒の粒度を前記範囲で適切に調節することにより、生産性及び初期溶出率をいずれも確保することができる。前記カプセル複合製剤が、従来のタダラフィル単一製剤と同一の効能及び効果を示すためには、従来の単一製剤の溶出率(10分40(Q)%、30分80(Q)%以上の溶出率)と同等以上であるタダラフィル溶出率を示さなければならない。一具体例において、前記カプセル複合製剤は、米国薬典(USP)溶出試験項目のパドル法(paddle method)による溶出試験時、タダラフィルの10分溶出率が、40(Q)%以上、30分溶出率が80(Q)%以上を示すカプセル複合製剤である。
【0034】
本明細書において、用語「顆粒圧縮錠剤」とは、任意の方法により、乾式顆粒または湿式顆粒を製造した後、その顆粒を打錠して製造された錠剤を意味する。
【0035】
一具体例において、前記カプセル複合製剤は、米国薬典(USP)のtamsulosin hydrochloride capsules項目の含量(impurity)項目を基に試験した結果、ICH guidelineを参照して設定した基準である総類縁物質1.0%以下であり、
【0036】
米国薬典(USP)溶出試験項目のパドル法による溶出試験時、タダラフィルは、10分溶出率が40(Q)%以上、30分溶出率が80(Q)%以上を示すカプセル複合製剤である。
【0037】
一具体例において、タダラフィル、またはその薬学的に許容可能な塩を含むタダラフィル独立部と、タムスロシン、またはその薬学的に許容可能な塩を含むタムスロシン独立部とを、分離された状態で含み、
前記タダラフィル独立部は、表面に、コーティング基剤として、PVA(ポリビニルアルコール)またはPVA含有共重合体を含むフィルムコーティング層を含むカプセル複合製剤であり、前記PVAは、分子量が13,000~50,000のPVAであり、
前記タダラフィル独立部は、顆粒圧縮錠剤であり、前記顆粒は、顆粒粒度が250μm~500μm(35~60mesh)である粒子を10~60重量%、150μm(100mesh)以下である粒子を30重量%以上の比率で含むカプセル複合製剤でもある。
【0038】
前記カプセル複合製剤で、タダラフィル独立部及びタムスロシン独立部は、それぞれ希釈剤、崩壊剤、結合剤、安定化剤、滑沢剤、着色剤、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される1種以上の薬剤学的に許容可能な添加剤を含んでもよい。前記希釈剤、崩壊剤、結合剤、安定化剤、滑沢剤及び着色剤は、当該技術分野で一般的に使用されるものであり、公知されている任意の添加剤が使用されもする。前記希釈剤は、各独立部総重量を基準に、約1~95重量%、さらに具体的には、約5~95重量%の量でも使用される。前記結合剤は、各独立部の総重量を基準に、0.1~30重量%、さらに具体的には、2~20重量%範囲の量でも使用される。前記崩壊剤は、各独立部の総重量を基準に、0.1~30重量%、さらに具体的には、2~15重量%範囲の量でも使用される。前記滑沢剤は、各独立部の総重量を基準に、0.3~5重量%、さらに具体的には、0.5~3重量%範囲の量でも使用される。
【0039】
例えば、前記希釈剤は、微結晶セルロース、ラクトース、Ludipress、マンニトール、リン酸二水素カルシウム、澱粉、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよいが、それらに限定されるのではなく、前記結合剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニル酢酸、ポリビニルピロリドン、コポビドン、マクロゴ-ル、ラウリル硫酸ナトリウム、硬質無水ケイ酸・合成ケイ酸アルミニウム・ケイ酸カルシウムまたはマグネシウムメタシリケートアルミネートのようなケイ酸塩誘導体、リン酸水素カルシウムのようなリン酸塩、炭酸カルシウムのような炭酸塩、前糊化澱粉、アカシアゴムのようなゴム類、ゼラチン、エチルセルロースのようなセルロース誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよいが、それらに限定されるのではなく、前記崩壊剤は、クロスポビドン、澱粉グリコン酸ナトリウム、クロスカメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、澱粉、アルギン酸またはそのナトリウム塩、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよいが、それらに限定されるのではなく、前記滑沢剤は、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩類、タルク、コロイドシリカ、ショ糖脂肪酸エステル、水素化植物性オイル、ワックス、グリセリル脂肪酸エステル類、及びその組み合わせからなる群から選択されてもよいが、それらに限定されるものではない。
【0040】
前記カプセル複合製剤のカプセルは、当該技術分野で一般的に使用される任意の硬質カプセルが使用されもする。例えば、カプセル基剤として、ヒプロメロース、プルラン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、またはそれらの任意の組み合わせを含む硬質カプセルが使用されもする。
【0041】
前記硬質カプセルの大きさは、医薬品の製造に使用される一般的なカプセルサイズであるならば、制限なしに可能である。硬質カプセルの大きさは、カプセルの号数により、多様な内部容量を有するが、例えば、0号カプセルは、約0.68mL、1号カプセルは、約0.47mL、2号カプセルは、約0.37mL、3号カプセルは、約0.27mL、4号カプセルは、約0.20mLの内部容量を有すると知られている。前記硬質カプセルの大きさは、前記カプセル複合製剤を服用する患者の服薬便宜性を考慮すれば、小さいものがさらに望ましいが、カプセル中に充填される内容物の質量限界のために、0号、1号、2号、3号または4号カプセルを使用することができ、望ましくは、1号、2号または3号カプセルを使用することができる。
【0042】
前記タダラフィルの薬学的に許容可能な塩の例としては、ブロム化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、マレート、フマレート、ラクテート、タルトレート、シトレート、ベシレート、カムシレート、グルコネートなどを挙げることができ、望ましくは、タダラフィル遊離型を有することができるが、それに制限されるものではない。
【0043】
前記カプセル複合製剤は、タダラフィル、または薬学的に許容可能な塩をタダラフィル独立部総重量を基準に、約3~7重量%で含んでもよい。前記カプセル複合製剤は、タダラフィル、または薬学的に許容可能なその塩を、公知された1日投与量を考慮するとき、単位剤形を基準に、タダラフィル遊離型として約5mg~約20mg、望ましくは、約5mg~約10mgの量で含んでもよい。
【0044】
前記タムスロシンの薬学的に許容可能な塩の例としては、ブロム化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、マレート、フマレート、ラクテート、タルトレート、シトレート、ベシレート、カムシレート、グルコネートなどを挙げることができ、望ましくは、タムスロシン塩酸塩を挙げることができるが、それに制限されるものではない。
【0045】
前記カプセル複合製剤は、タムスロシン、または薬学的に許容可能な塩をタムスロシン独立部総重量を基準に、約0.1~0.4重量%で含まれてもよい。前記カプセル複合製剤は、タムスロシン、または薬学的に許容可能なその塩を、公知された1日投与量を考慮するとき、単位剤形を基準に、タムスロシン遊離塩基を基準に、約0.2~0.4mgの量で含んでもよい。
【0046】
前記カプセル複合製剤は、1日1回投与することができ、毎日服用可能である。
【0047】
前記カプセル複合製剤は、経口、舌下などを含んだ投与方法によっても投与され、望ましくは、経口によって投与される。
【0048】
前記カプセル複合製剤は、タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩、及びタムスロシン、または薬剤学的に許容可能なその塩を活性成分として含むので、前記カプセル複合製剤は、勃起不全及び陽性前立腺肥大症の予防または治療のためにも使用される。
【0049】
特に、前記カプセル複合製剤は、1つの単位剤形に、タダラフィル及びタムスロシンの1日投与量をいずれも含み、1日1回の投与で、勃起不全及び陽性前立腺肥大症のいずれもの予防及び治療が可能であるので、2疾患いずれもの危険性があったり、治療が必要であったりする患者の服薬順応度を顕著に向上させることができる。
【0050】
また、前記カプセル複合製剤は、タダラフィル及びタムスロシンを1つのカプセルにいずれも含みながらも、タダラフィル独立部が、ポリビニルアルコール(PVA)またはPVA含有共重合体を含むフィルムコーティング層を含むことにより、タダラフィル及びタムスロシンの相互作用を遮断することができるので、活性成分の安定性を確保することができると共に、タダラフィル単一制の溶出基準に符合したものであると分かる。従って、前記カプセル複合製剤は、活性成分の安定性及び薬効をいずれも確保することができながら、1つの単一製剤に、タダラフィル及びタムスロシンをいずれも含むので、勃起不全及び陽性前立腺肥大症のいずれの予防及び治療が必要な患者の服薬順応度を顕著に向上させることができる。
【0051】
本発明の他の一様相は、
タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩、及び薬剤学的に許容可能な添加剤を混合してタダラフィル顆粒を製造するか、あるいは前記顆粒でペレットまたは錠剤を製造するタダラフィル独立部製造段階と、
前記製造されたタダラフィル独立部は、適する粒度サイズを有するものを提供し、
前記製造されたタダラフィルの顆粒、ペレットまたは錠剤を、PVAまたはPVA含有共重合体を含むコーティング基剤でコーティングするコーティング段階と、
タムスロシン、または薬剤学的に許容可能なその塩、及び薬剤学的に許容可能な添加剤を混合して顆粒を製造するか、あるいは顆粒でペレットまたは錠剤を製造するタムスロシン独立部の製造段階と、
前記製造されたコーティングされたタダラフィルの顆粒、ペレットまたは錠剤、及び前記製造されたタムスロシン顆粒、ペレットまたは錠剤を、分離された状態で硬質カプセル内に充填する段階と、を含む、
前記本発明の一様相によるカプセル複合製剤の製造方法を提供する。
【0052】
前記製造方法の詳細は、前記本発明の一様相によるカプセル複合製剤に係わる説明がそのまま適用される。
【0053】
前記顆粒、ペレット、及び錠剤の製造は、当該技術分野に公知された任意の顆粒、ペレット及び錠剤の製造方法によっても製造される。
【0054】
一具体例において、前記ペレットの製造は、顆粒を圧縮球形化することによっても製造される。
【0055】
前記タダラフィルの顆粒、ペレットまたは錠剤の表面に、コーティング基剤として、PVAまたはPVA含有共重合体を含むフィルムコーティング層を形成させる段階は、一般的なフィルムコーティング層形成方法によって遂行することができる。例えば、フィルムコーティング基剤を含んだフィルムコーティング用添加剤をいずれも組み合わせ、コーティング溶液を製造した後、そのコーティング溶液で、前記打錠された複合錠剤の表面をコーティングすることができる。前記コーティング溶液の製造のための溶媒は、コーティング基剤の種類、濃度などによって異なり、例えば、蒸溜水、エタノールなどが使用される。前記フィルムコーティング層の形成は、例えば、ファンコーティング器に打錠された錠剤を入れ、コーティング溶液を噴霧しながらコーティングを行うことができる。
【実施例0056】
以下、本発明について、下記実施例に基づいて詳細に説明する。ただし、下記実施例は、本発明を例示するためのものであるのみ、本発明の範囲は、それらに限定されるものではない。
【0057】
<実施例1~10>
下記表1のタダラフィル独立部に該当する成分を粉末状に混合し、湿式顆粒法で顆粒を製造した後、直径が5.5mmである円形パンチを使用して混合物を打錠した。その後、表2の実施例1~10に記載されたそれぞれのコーティング部の原料を精製水に溶かした液をコーティング液にし、タダラフィル錠剤をコーティングした。このとき、表2のコーティング液の値は、タダラフィル裸錠に対する比率で計算した。
【0058】
一方、表1のタムスロシン独立部に記載された、タムスロシン塩酸塩0.4mg、ポリビニル酢酸分散体21mg、微結晶セルロース123.5mg、ヒプロメロース5.5mgを粉末状に混合し、顆粒を製造した。次に、ポビドン0.36mg、プロピレングリコール0.27mg及びポリビニル酢酸1.84mgを精製水に溶かした液を内皮コーティング液にし、タムスロシン顆粒をコーティングした後、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体2.05mgとトリアセチン0.36mgとを水に溶かした液を外皮コーティング液にし、追加コーティングした。前記コーティングされた剤形に、ショ糖ステアリン酸塩0.2mg該当量を最終混合して製造した。
【0059】
前記コーティングされたタダラフィル錠剤及びタムスロシン顆粒を、ヒプロメロースをカプセル基剤にする硬質カプセル1号に充填し、タダラフィル5mgとタムスロシン塩酸塩0.4mgとを含むカプセル複合製剤を製造した。
【0060】
【0061】
【0062】
<比較例1~10、及び実施例11,12>
前記表1のタダラフィル独立部に該当する成分を粉末状で混合し、湿式顆粒法で顆粒を製造した後、直径が5.5mmである円形パンチを使用して混合物を打錠した。このとき、比較例1~10は、同一条件の整粒方法を使用してシーブし、実施例11,12の場合、他条件の整粒方法を使用し、粒度を異なるように調節した。比較例1~12は、400μmサイズのシーブを使用し、実施例11及び12は、それぞれ850μm、250μmのシーブを使用した。実施例11は、粒度が500μm~850μmである顆粒が40%以上であり、実施例12は、粒度が250μm以下の顆粒が60%以上含まれた。その後、表3の比較例1~10、及び実施例11,12に記載されたそれぞれのコーティング部の原料を精製水に溶かした液をコーティング液にし、タダラフィル錠剤をコーティングした。このとき、表3のコーティング液の値は、タダラフィル裸錠に対する比率で計算した。
【0063】
一方、表1のタムスロシン独立部に記載された、タムスロシン塩酸塩0.4mg、ポリビニル酢酸分散体21mg、微結晶セルロース123.5mg、ヒプロメロース5.5mgを粉末状で混合し、顆粒を製造した。次に、ポビドン0.36mg、プロピレングリコール0.27mg及びポリビニル酢酸1.84mgを精製水に溶かした液を内皮コーティング液にし、タムスロシン顆粒をコーティングした後、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体2.05mgとトリアセチン0.36mgとを水に溶かした液を外皮コーティング液にし、追加コーティングした。前記コーティングされた剤形に、ショ糖ステアリン酸塩0.2mg該当量を最終混合して製造した。
【0064】
前記コーティングされたタダラフィル錠剤及びタムスロシン顆粒を、ヒプロメロースをカプセル基剤にする硬質カプセル1号に充填し、タダラフィル5mgとタムスロシン塩酸塩0.4mgとを含むカプセル複合製剤を製造した。
【0065】
【0066】
試験例1:タムスロシンの安定性試験
実施例1~10、及び比較例1~10のカプセルを、それぞれ苛酷条件(60℃)、加速条件(40℃/75%RH)で保管した後、開始(initial)、苛酷1週後,2週後,4週後、加速1ヵ月後,3ヵ月後,6ヵ月後の類縁物質を測定した。
【0067】
タムスロシン塩酸塩4mg該当量を50mlフラスコに入れ、0.5N水酸化ナトリウム溶液20mlを加え、50℃で15分間の振盪混化後、アセトニトリル10mlを加えて10分間振盪混化した後、1N塩酸10mlを加えて10分間振盪混化した。そして、放冷してアセトニトリルで標線を合わせた後、3,500rpmで20分間遠心分離し、上澄み液を0.45μmメンブレンフィルタで濾過して製造されたサンプルを、以下のような条件で液体クロマトグラフィを実施し、タムスロシン類縁物質を測定した。
【0068】
標準液製造は、次の通りである。タムスロシン塩酸塩標準品約4mgを精密に取り、50mL容量フラスコに入れ、0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液20mLを加え、50℃でら15分間振盪混化し、アセトニトリル10mLを加え、10分間振盪混化した後、1mol/L塩酸10mLを加え、10分間振盪混化する。そして、放冷し、アセトニトリルで標線を合わせる。この液1mLを正確に取り、100mL容量フラスコに入れ、希釈液で標線を合わせた後、0.45μmのメンブレンフィルタで濾過した液を標準液にする。このとき、該希釈液は、100mL容量フラスコに0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液40mLを加え、アセトニトリル20mLを加え、10分間振盪混化した後、1mol/L塩酸20mLを加え、10分間振盪混化して放冷し、アセトニトリルで標線を合わせて使用する。
【0069】
<主ピーク以前>
-カラム:内径約4.6mm、長さ約15cmのステンレス管に、粒径が約5μmである液体クロマトグラフィ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填したカラム、またはそれと同等なカラム(例:Inertsil ODS-2)
-検出器:紫外部吸光光度計(測定波長225nm)
-流速:1.0ml/分
-注入量:50μl
-カラム温度:40℃
-移動相:アセトニトリル/緩衝液=3:7(緩衝液は、過塩素酸(70%)8.7mLとNaOH約3.0gとを精製水1,900mLに入れて溶かした後、1N NaOHでpH2.0に合わせた後、精製水2,000mLで希釈して製造した)
【0070】
<主ピーク後>
-カラム:内径約4.6mm、長さ約15cmのステンレス管に、粒径が約5μmである液体クロマトグラフィ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填したカラム、またはそれと同等なカラム(例:Inertsil ODS-2)
-検出器:紫外部吸光光度計(測定波長225nm)
-流速:1.0mL/min
-注入量:50μl
-カラム温度:40℃
-移動相:アセトニトリル/緩衝液=1:1(緩衝液は、過塩素酸(70%)8.7mLとNaOH約3.0gをと精製水1,900mLに入れて溶かした後、1N NaOHでpH2.0に合わせた後、精製水2,000mLに希釈して製造した)
【0071】
類縁物質の許容範囲は、タムスロシン塩酸塩ピーク以前、ピーク以後の総類縁物質の量が1.0%以下であるとした。
【0072】
タムスロシン塩酸塩の類縁物質測定結果を、下記表4~表10、及び
図1~
図4に示した。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
前記表4~10の結果によれば、実施例1~10は、総類縁物質が許容範囲内で良好な結果を示した。一方、コーティングしていない比較例1は、不適であるということを示し、HPMCコーティング基剤を使用した比較例2~4では、苛酷条件4週において、総類縁物質基準にほぼ達する数値を示し、加速条件6ヵ月において、許容範囲を少量超える結果を示した。また、HPCコーティング基剤を使用した比較例5~7、及びエチルセルロースを使用した比較例8~10においては、苛酷条件4週において、6%濃度である比較例7及び10を除いた残りにおいて、許容範囲を超える結果を示し、加速条件6ヵ月において、いずれも不適であるということを示した。結果として、PVAコーティング基剤を使用した実施例1~10と異なるコーティング基剤を使用した比較例は、安定性において非常に大きい違いを示した。従って、PVAまたはPVA含有共重合体を含むコーティング層が他種のコーティング基剤を含むコーティング層に比べ、活性成分の安定性を顕著に改善させるということを示した。
【0081】
試験例2:コーティング基剤及び量によるタダラフィルの溶出評価
同濃度(6%)でのコーティング基剤種類による比較のために、実施例4,8、及び比較例4,7,10のカプセルを苛酷条件(60℃)で保管した後、初期(initial)、苛酷1週後、2週後及び4週後の溶出試験を行った。別途に、PVAコーティング基剤量による比較のために、初期時点での実施例9,10のカプセルに対して、タダラフィルの溶出試験を行って実施例1~4と比較した。
【0082】
大韓民国薬典溶出試験法第2法パドル法により、シンカを使用し、50rpmで0.5%SLS溶液1,000mLを使用して溶出試験を行った。初期及び試験開始後5分,10分,15分,30分,45分,60分のサンプルを取り、液体クロマトグラフィで分析を進めた。
【0083】
-カラム:内径約4.6mm、長さ約5cmのステンレス管に、粒径が約3.5μmである液体クロマトグラフィ用オクチルシリル化したシリカゲルを充填したカラム、またはそれと同等なカラム(例:ZORBAX SB C8 column)
-検出器:紫外部吸光光度計(測定波長225nm)
-流速:2mL/分
-注入量:50μl
-カラム温度:40℃
-移動相:50:50の比率のメタノールと精製水との混合液
-QC条件:0.5%SLS溶液1,000mL
【0084】
実施例4,8、及び比較例4,7,10のカプセルを苛酷条件(60℃)の初期(initial)、1週後、2週後、4週後の溶出試験時、タダラフィル10分、30分の溶出結果を下記表11、及び
図5,6に示した。また、実施例1~4、及び実施例9,10の初期時点の溶出結果を下記表12及び
図7に示した。タダラフィル10分溶出40(Q)%以上、30分溶出80%(Q)以上を基準にした。ここで、Qの意味は、次の通りである。Stage 1において、6個のサンプルを溶出したとき、それぞれがQ値+5%を超えてこそ適すると判断する。もしそれを超えられない場合、Stage 2に移り、追加して6個のサンプルをさらに実験し、総12個のサンプルとして判断するとき、12個の平均がQ値を超えなければならず、いずれか1つのサンプルもQ値-15%より低くてはならない。Stage 2でも不適になるならば、追加して12個のサンプルをさらに溶出し、24個のサンプルに対する判断を行うが、平均がQ値を超えなければならず、Q値-15%より低いサンプルが2個以下、Q値-25%より低いサンプルがあってはならない。
【0085】
【0086】
【0087】
コーティング基剤の種類による結果である前記表11、並びに
図5及び
図6によれば、実施例4,8のPVAコーティングと、比較例4,7,10の他のコーティング基剤とを比較すれば、加速条件において、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後の溶出実験を進めた結果、同濃度でも、30分溶出率で溶出が減少する傾向を示した。PVAコーティングカプセルは、1~2%前後溶出が減少する一方、HPMCコーティングカプセルは、3~4%前後、エチルセルロースコーティングカプセルは、5~7%前後溶出が減少すると分かった。従って、タムスロシンの類縁物質及びタダラフィル溶出試験のいずれの結果を総合したとき、他のコーティング基剤に比べ、PVAコーティングが活性成分の安定性を顕著に上昇させながらも、初期溶出率の低下を誘発せず、安定性上昇のためのコーティング剤としても使用されると明かかにされた。
【0088】
また、PVAコーティング基剤の量による初期タダラフィルの溶出率を確認した結果である表12及び
図7によれば、コーティング基剤が相対的に多い場合、溶出率が低下する傾向を示し、実施例9,10の場合、8~10%の高いコーティング剤の比率により、30分溶出率基準に適さない結果を示した。従って、約1~6%のPVAコーティングを使用する場合、溶出基準に符合するタダラフィル初期溶出パターンを得ることができると分かった。
【0089】
試験例3:顆粒サイズによるタダラフィルの溶出評価
実施例4,11及び12のタダラフィル精製過程で製造された湿式顆粒に係わる粒度を測定し、打錠時のキャッピング(capping)現象の発生頻度を測定し、最終カプセル剤に対してタダラフィル初期溶出率を測定した。
【0090】
実施例4,11及び12のタダラフィル精製過程で製造された湿式顆粒に係わる粒度を測定した結果を
図8に示し、タダラフィル錠剤の打錠時、キャッピング現象の発生頻度、すなわち、100個の錠剤打錠時、キャッピング現象の発生頻度数を肉眼で確認し、個数を測定した結果を表13に示し、実施例4,11及び12のタダラフィル打錠時、キャッピング現象の発生有無と係わり、実際打錠された錠剤の写真を
図9に示した。
【0091】
また、最終カプセル剤に対して、タダラフィル溶出率を測定した結果を
図10に示した。
【0092】
【0093】
図8~
図10、及び表13の結果によれば、平均粒度が低い実施例11の場合、タダラフィル初期溶出率は、適するが、打錠時、キャッピング現象が起こるということが分かり、平均粒度が高い実施例12の場合、打錠時には、問題がないが、タダラフィル初期溶出率基準不適の可能性が高いということが確認された。この2つの実施例11,12に比べ、実施例4は、適切な粒度範囲を有することにより、打錠時、キャッピング現象が低減しながらも、初期溶出率が基準に適するろいうことを示した。それは、望ましい粒度範囲を有することにより、含量均一性が高くなり、製剤の生産性及び品質が向上したということが分かる。
【0094】
以上、本発明について、その望ましい実施例を中心に説明した。本発明が属する技術分野で当業者であるならば、本発明が、本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態に具現されるということを理解することができるでしょう。従って、前記開示された実施例は、限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述の説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にある全ての差異は、本発明に含まれたものであると解釈されなければならないのである。
【0095】
<1>タダラフィルまたは薬学的に許容可能なその塩を含むタダラフィル独立部と、タムスロシンまたは薬学的に許容可能なその塩を含むタムスロシン独立部と、を分離された状態で含み、
前記タダラフィル独立部は、その表面に、コーティング基剤として、PVA(ポリビニルアルコール)またはPVA含有共重合体を含むフィルムコーティング層を含む、カプセル複合製剤。
<2>前記PVAは、分子量が13,000~50,000のPVAであることを特徴とする<1>に記載のカプセル複合製剤。
<3>前記PVAは、加水分解度が86.5%~89.0%であり、20℃の4w/w%水溶液としたときの粘度が4.8mpa.s~5.8mpa.sであり、pHが5.0~6.5であるPVAであることを特徴とする<2>に記載のカプセル複合製剤。
<4>前記PVAまたは前記PVA含有共重合体を、前記フィルムコーティング層を除いたタダラフィル独立部全体に対して、1重量%~6重量%含むことを特徴とする<1>に記載のカプセル複合製剤。
<5>前記タダラフィル独立部及び前記タムスロシン独立部は、顆粒、ペレット、錠剤、またはそれらの任意の組み合わせであることを特徴とする<1>に記載のカプセル複合製剤。
<6>前記タダラフィル独立部は、その表面に、PVAまたはPVA含有共重合体を含む前記フィルムコーティング層を含み、
前記タムスロシン独立部は、その表面に、腸溶性コーティング基剤を含む腸溶性コーティング層を含むことを特徴とする<1>に記載のカプセル複合製剤。
<7>前記タダラフィル独立部は、その表面に、PVAまたはPVA含有共重合体を含む前記フィルムコーティング層を含む錠剤であり、
前記タムスロシン独立部は、その表面に、腸溶性コーティング基剤を含む腸溶性コーティング層を含むペレットであることを特徴とする<1>に記載のカプセル複合製剤。
<8>前記タダラフィル独立部は、顆粒圧縮錠剤であり、顆粒は、顆粒粒度が250μm~500μmである粒子を10~60重量%、顆粒粒度が150μm以下である粒子を30重量%以上の比率で含むことを特徴とする<1>に記載のカプセル複合製剤。
<9>前記タダラフィル独立部は、顆粒圧縮錠剤であり、顆粒は、顆粒粒度が250μm~500μmである粒子を10~60重量%、顆粒粒度が150μm以下である粒子を30重量%以上の比率で含むことを特徴とする<3>に記載のカプセル複合製剤。
<10>前記カプセル複合製剤は、米国薬典(USP)のtamsulosin hydrochloride capsulesのimpurityつ目に基づいて試験される、ICH guidelineを参照して設定した基準である総類縁物質が1.0%以下であり、
米国薬典(USP)溶出試験つ目のパドル法による溶出試験に基づくタダラフィル溶出率は、10分で40(Q)%以上、30分で80(Q)%以上を示すことを特徴とする<1>に記載のカプセル複合製剤。
<11>前記腸溶性コーティング層に含有された腸溶性コーティング基剤は、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、トリアセチン、シェラック、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシメチルセルロース、ワックス、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする<6>に記載のカプセル複合製剤。
<12>前記腸溶性コーティング基剤が、タムスロシン独立部全体に対して、0.1重量%~20重量%含まれることを特徴とする<7>に記載のカプセル複合製剤。
<13>前記カプセル複合製剤が硬質カプセルに充填されていることを特徴とする<1>に記載のカプセル複合製剤。
<14>前記硬質カプセルの基剤が、ヒプロメロース、プルラン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする<13>に記載のカプセル複合製剤。
<15>前記タムスロシンの薬学的に許容可能な塩がタムスロシン塩酸塩であることを特徴とする<1>に記載のカプセル複合製剤。
<16>前記カプセル複合製剤は、勃起不全、陽性前立腺肥大症、またはそれらの組み合わせの予防用または治療用であることを特徴とする<1>に記載のカプセル複合製剤。
<17>タダラフィルまたは薬剤学的に許容可能なその塩、及び薬剤学的に許容可能な添加剤を混合して、タダラフィルの顆粒、または前記顆粒からなるペレット若しくは錠剤を製造するタダラフィル独立部製造工程と、
製造されたタダラフィルの顆粒、ペレットまたは錠剤を、PVA(ポリビニルアルコール)またはPVA含有共重合体を含むコーティング基剤でコーティングするコーティング工程と、
タムスロシンまたは薬剤学的に許容可能なその塩、及び薬剤学的に許容可能な添加剤を混合して、顆粒、又は顆粒からなるペレット若しくは錠剤を製造するタムスロシン独立部製造工程と、
製造されたコーティングされたタダラフィルの顆粒、ペレットまたは錠剤、及び製造されたタムスロシン顆粒、ペレットまたは錠剤を、分離された状態で、硬質カプセル内に充填する工程と、
を含む<1>~<16>のいずれか1つに記載のカプセル複合製剤の製造方法。