(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046751
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】がん予防・改善アドバイス装置
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20220315BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000924
(22)【出願日】2022-01-06
(62)【分割の表示】P 2018241685の分割
【原出願日】2017-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2016024257
(32)【優先日】2016-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】512268837
【氏名又は名称】齋藤 糧三
(74)【代理人】
【識別番号】100123618
【弁理士】
【氏名又は名称】雨宮 康仁
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 糧三
(57)【要約】 (修正有)
【課題】日常生活の中で専門医などに頼ることなく,簡易にがんの予防,再発防止,改善を図るための生活指針のアドバイスをストレスなく受けられるようながん予防・改善アドバイス装置、その動作プログラム及びシステムを提供する。
【解決手段】がん予防・改善アドバイス装置0100は、ユーザの生理活動に影響を及ぼす情報,又は/及び健康度合いを示す情報である生活要素情報の履歴情報を用いて,がん予防・改善という目的に向けてアドバイスを選択するためのルールであるアドバイス選択ルール保持部0105と,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,を変数としてアドバイス選択ルールを用いてアドバイスを選択するアドバイス選択部0106と,アドバイス選択部0106で選択されたアドバイスを出力するアドバイス出力部0107と,を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの生理活動に影響を及ぼす情報又は/及びユーザの健康度合いを示す情報である生活要素情報をユーザから取得する生活要素情報取得部と,
取得した生活要素情報を履歴情報として蓄積する生活要素情報蓄積部と,
がん予防・改善という目的に向けての各生活要素の最適値である生活要素情報最適値を保持する生活要素情報最適値保持部と,
各生活要素情報の最適値により近づくためのアドバイスを複数保持するアドバイス保持部と,
生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,を変数として前記保持されているアドバイスを選択するためのルールであるアドバイス選択ルールを保持するアドバイス選択ルール保持部と,
生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,を変数として前記保持されているアドバイス選択ルールを用いてアドバイスを選択するアドバイス選択部と,
選択部で選択されたアドバイスを出力するアドバイス出力部と,
を備え,
アドバイス出力部は,所定の疾患が疑われる場合,アドバイス群の中から深刻度が低い順に選択肢を増やしてアドバイスとして出力するがん予防・改善アドバイス装置。
【請求項2】
ユーザの生理活動に影響を及ぼす情報又は/及びユーザの健康度合いを示す情報である生活要素情報をユーザから取得する生活要素情報取得部と,
取得した生活要素情報をその生活要素情報の取得時期に対応する後記出力されたアドバイス情報と関連付けて履歴情報として蓄積する生活要素情報蓄積部と,
生活要素情報を後記生活要素情報最適値を用いて評価し評価結果を得る生活要素情報評価部と,
評価結果と評価された生活要素情報に対応するアドバイス情報との関係を学習して学習結果を生成するアドバイス結果学習部と,
がん予防・改善という目的に向けての各生活要素の最適値である生活要素情報最適値を保持する生活要素情報最適値保持部と,
各生活要素情報の最適値により近づくためのアドバイスを複数保持するアドバイス保持部と,
生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,前記学習結果と,を用いて前記保持されているアドバイスを選択するためのルールであるアドバイス選択ルールを保持するアドバイス選択ルール保持部と,
生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,を変数として前記保持されているアドバイス選択ルールを用いてアドバイスを選択するアドバイス選択部と,
選択部で選択されたアドバイスを出力するアドバイス出力部と,
を備え,
アドバイス出力部は,所定の疾患が疑われる場合,アドバイス群の中から深刻度が低い順に選択肢を増やしてアドバイスとして出力するがん予防・改善アドバイス装置。
【請求項3】
生活要素情報蓄積部に蓄積された生活要素情報の履歴情報をネットワークを介して出力する履歴情報出力部をさらに有する請求項1又は2に記載のがん予防・改善アドバイス装置と,
履歴情報出力部から出力される履歴情報をネットワークを介して取得する履歴情報取得部と,
取得した履歴情報を統計処理して生活要素情報相互の相関係数を算出する中央サーバ相関係数算出部と,
算出した相関係数を出力する中央サーバ相関係数出力部と,
を有する中央サーバと,
からなるがん予防・改善アドバイスシステム。
【請求項4】
ユーザの生理活動に影響を及ぼす情報又は/及び健康度合いを示す情報である生活要素情報をユーザから取得する生活要素情報取得ステップと,
取得した生活要素情報を履歴情報として蓄積する生活要素情報蓄積ステップと,
がん予防・改善という目的に向けての各生活要素の最適値である生活要素情報最適値を保持する生活要素情報最適値保持ステップと,
保持されている各生活要素情報の最適値により近づくための複数のアドバイスから,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,を変数として選択するためのルールであるアドバイス選択ルールを用いてアドバイスを選択するアドバイス選択ステップと,
選択部で選択されたアドバイスを出力するアドバイス出力ステップと,
を備え,
アドバイス出力ステップは,所定の疾患が疑われる場合,アドバイス群の中から深刻度が低い順に選択肢を増やしてアドバイスとして出力するがん計算機である予防・改善アドバイス装置の動作プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は,各生活要素をがん予防・改善という目的に向けての各生活要素の最適値により近づけるためのアドバイスを出力するがん予防・改善アドバイス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近,がんの多くは,予防可能な生活習慣や環境要因を原因とする生活習慣病であり,年齢とともにリスクが高まることが明らかになってきている。例えば,国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」のウェブサイトでは,がんについて最新の正しい情報を一般に向けて,紹介している(非特許文献1参照)。ここでは,「これまでの研究から,がんの原因の多くはたばこや飲酒,食事などの日常の生活習慣にかかわるものだとわかっています」と紹介されている。この生活習慣病は,長期に渡る食生活や運動習慣を含む生活習慣が原因であるため,予防・改善するためには,長期間に渡って記録し,内容を検討する必要がある。また,これらの記録を医者等の医療関係者に報告し,助言や指導を受ける必要もある。しかし,毎日の食生活や運動の状況を記録することは非常に手間がかかり,医療関係者の指導を受ける頻度も1年に数回程度というのが現実である。近年,生活習慣の改善を支援する装置やシステムが提言されている。例えば,特許文献1には,使用者の生体データおよび生活データを採取して,迅速に専門家のアドバイスを受けることができるとともに,長期にわたるデータの蓄積および解析を可能とし,患者の生活習慣,生活の偏りを把握し,また,医療サービスを与えることのできることが記載されている(特許文献1参照)。
【0003】
ところで,最近,生活習慣の改善により,がんの進行が抑えられ,がんの腫瘍が小さくなるといった,いわゆるがんの改善に効果があるという症例がいくつか報告されている。例えば,非特許文献2には,「低リスクの前立腺癌患者に対し3ヶ月の運動,瞑想,健康的な食生活(地中海食)を実践させたところ,前立腺癌に関わる遺伝子のうち501の遺伝子発現が改善した」との記載があり,生活習慣の改善によって,がん関連の遺伝子発現を改善することが示されている。本結果は,専門家である医師の治療に限らず,生活習慣の改善によってもがんの改善が目指せることを示唆している。
【0004】
また,非特許文献3には,「10人の転移がんに対し,インスリンを抑制するために炭水化物を食事の全体のカロリーの5%に抑える糖質制限食下で,ケトーシス(糖質制限食により生理的な範囲で血液中のケトン体の増加した状態)することを試みたところ,10人の転移がんの症例中1人は寛解,他の3人も進行が抑制された。一方,インスリンが抑制できなかった症例はがんが進行した」との記載があり,ケトーシスすることにより転移リスク低減されることが示されている。従って,非特許文献3の結果からも摂取する糖質を制限するといった食事指導により転移リスク低減できることが示唆されている。一方で,ケトン体が過度に分泌されていることは,尿中のケトン体の定性分析若しくは定量により確認することが可能であり,摂取する糖質を制限した管理食とケトン体の尿中のケトン体の分析を合わせて行うことで,ケトーシスを評価することができることが知られている。このことは,専門家である医師の指導を直接受けなくとも,食事情報と生体データを把握し,改善策のアドバイスを受けることができれば,がんの改善が図られることを示唆している。
【0005】
このように,がん治療においても生活習慣の改善指導が注目されはじめている。がんは糖分で生きている(ワーグブルク効果)ことは50年前に発見されているが,糖は,がん細胞が優先的に使用するエネルギーであり,糖質を制限することでがんの発育が直接的に低下することが多いことが示されている。また,糖質制限により血中の糖とインスリンを低く抑えることで,がんを抑制する効果があることが分かってきている。さらに,食生活の改善で,がんの進行を抑制できた例として,塩分を制限し野菜を多く摂取とること,タンパク質を控えめにして野菜を多く取ることや乳製品を制限することも示されている。
【0006】
がんと炎症についても研究が進んでおり,がんの転移一部に炎症が関与することが分かってきている。肥満や動脈硬化は炎症の元凶ともいわれており,生活習慣の改善で肥満や動脈硬化を防ぐことは,がんの予防・改善につながると考えられる。食生活でみると,ドコサヘキサエン酸,エイコサペンタエン酸,ガンマーリノレン酸といったオメガー3脂肪酸は抗炎症性があるといわれているが,一般的の食事では摂取しにくいためオメガー3脂肪酸の含まれる食品を積極的に摂取することが提唱されている。オメガー3脂肪酸は,一定のがんの転移細胞の生長を遅くし,停止する効果が認められており,がん患者の寿命を延ばし,生命の質(QOL)を改善することが期待されている。
【0007】
このような知見に基づき,がん予防及び改善のためには,例えば飲食については,植物性の食品および未加工の食品を中心に摂取し,乳製品の摂取を少なめにし,低糖質,減塩とすることや減酒もしくは禁酒をすることが奨励されている。また,適度な運動をすること,ストレスを減らし安定した精神状態を維持することもがん予防及び改善に役立つとされている。そこで,がんの専門医においても,生活習慣の改善に着目しはじめてはいるものの,治療や診療に追われ,患者やその家族に生活習慣の改善の指導をするには至っていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」インターネット<ホームページ 予防検診欄 日本人のためのがん予防法 参照>
【非特許文献2】"Changes in prostate gene expression in men undergoing an intensive nutrition and lifestyle intervention""Ornish et al. PNAS June 17, 2008 vol. 105 no. 24 8369-8374
【非特許文献3】Fine EJ, Segal-Isaacson CJ, Feinman RD, Herszkopf S, Romano MC, Tomuta N, Bontempo AF, Negassa A, Sparano JA. Nutrition. 2012 Oct;28(10):1028-35. doi: 10.1016/j.nut.2012.05.001. Epub 2012 Jul 26.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
生活習慣の改善は,がん予防に限らず,がんの改善に効果を発揮するものとして期待されているが,生活習慣はそれほど簡単に改善できるというものではない。毎日の食事,運動,睡眠に偏りがないか,ストレスがないか点検し,さらに体重,血圧などの生体データの変化を検証し,少しずつ改善し,継続することが重要である。そのためには,食事,運動,睡眠,ストレス,生体データなどの状態を検知し,適宜,改善のためのアドバイスを受けることが重要である。しかし,特許文献1に記載のような従来の装置およびシステムは,あくまで専門家のアドバイスを受けやすくすることが目的であり,がんの予防・改善を目的にアドバイスを発する機能を実現したものではない。
【0011】
そこで,本件発明が解決すべき課題は,本件発明により食事や運動などの各生活要素をがん予防・改善という目的に向けての最適値により近づけるためのアドバイスを選択,出力することが可能な装置を提供することであり,ユーザが常時,身近にあるスマートフォン等の電子機器からアドバイスを受けることを可能とするがん予防・改善アドバイス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上の課題を解決するため,本件発明のうち,第一の発明は,ユーザの生理活動に影響を及ぼす情報又は/及びユーザの健康度合いを示す情報である生活要素情報をユーザから取得する生活要素情報取得部と,取得した生活要素情報を履歴情報として蓄積する生活要素情報蓄積部と,がん予防・改善という目的に向けての各生活要素の最適値である生活要素情報最適値を保持する生活要素情報最適値保持部と,各生活要素情報の最適値により近づくためのアドバイスを複数保持するアドバイス保持部と,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,を変数として前記保持されているアドバイスを選択するためのルールであるアドバイス選択ルールを保持するアドバイス選択ルール保持部と,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,を変数として前記保持されているアドバイス選択ルールを用いてアドバイスを選択するアドバイス選択部と,選択部で選択されたアドバイスを出力するアドバイス出力部と,を備え,アドバイス出力部は,所定の疾患が疑われる場合,アドバイス群の中から深刻度が低い順に選択肢を増やしてアドバイスとして出力するがん予防・改善アドバイス装置を提供する。また,アドバイス選択部は,アドバイス選択ルールを用いて,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値との乖離具合に応じてアドバイスを選択してもよい。
【0013】
また,第二の発明は,生活要素情報取得部は,食事の写真から生活要素情報である食事情報を取得する食事情報取得手段を有する請求項1に記載のがん予防・改善アドバイス装置を提供する。
【0014】
また,第三の発明は,生活要素情報取得部は,歩数計などの運動量測定器具から生活要素情報であるの運動データを取得する運動データ取得手段を有する請求項1又は2に記載のがん予防・改善アドバイス装置を提供する。
【0015】
また,第四の発明は,生活要素情報取得部は,睡眠測定器具から生活要素情報であるの睡眠データを取得する睡眠データ取得手段を有する請求項1から3のいずれか一に記載のがん予防・改善アドバイス装置を提供する。
【0016】
また,第五の発明は,生活要素情報取得部は,ストレス測定器具から生活要素情報であるのストレスデータを取得するストレスデータ取得手段を有する請求項1から4のいずれか一に記載のがん予防・改善アドバイス装置を提供する。
【0017】
また,第六の発明は,生活要素情報取得部は,体組成計から生活要素情報であるの生体データを取得する生体データ取得手段を有する請求項1から5のいずれか一に記載のがん予防・改善アドバイス装置を提供する。
【0018】
さらに第七の発明として,ユーザの生理活動に影響を及ぼす情報又は/及び健康度合いを示す情報である生活要素情報をユーザから取得する生活要素情報取得ステップと,取得した生活要素情報を履歴情報として蓄積する生活要素情報蓄積ステップと,がん予防・改善という目的に向けての各生活要素の最適値である生活要素情報最適値を保持する生活要素情報最適値保持ステップと,保持されている各生活要素情報の最適値により近づくための複数のアドバイスから,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,を変数として選択するためのルールであるアドバイス選択ルールを用いてアドバイスを選択するアドバイス選択ステップと,選択部で選択されたアドバイスを出力するアドバイス出力ステップと,を備え,アドバイス出力ステップは,所定の疾患が疑われる場合,アドバイス群の中から深刻度が低い順に選択肢を増やしてアドバイスとして出力するがん計算機である予防・改善アドバイス装置の動作プログラムを提供する。また,アドバイス選択ステップは,アドバイス選択ルールを用いて,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値との乖離具合に応じてアドバイスを選択してもよい。
【0019】
ビックデータ処理によりアドバイス精度を高めるためのシステムとして以下のシステムが考えられる。
【0020】
すなわち,第八の発明として,生活要素情報が数値で取得される場合に,生活要素情報蓄積部は,過去の数値に基づいて,平均値,分散,各回のデータの偏差値,t分布,F分布,カイ2乗分布を求める第一統計処理手段を有する請求項1から6に記載のがん予防・改善アドバイス装置を提案する。
【0021】
さらに第九の発明として,生活要素情報が数値で取得される場合に,生活要素情報蓄積部に蓄積された生活要素情報相互の相関係数である生活要素情報相互相関係数を取得する生活要素情報相互相関係数取得部をさらに有する第八の発明を基礎としたがん予防・改善アドバイス装置を提案する。
【0022】
さらに第十の発明として,アドバイス選択ルール保持部は,保持されているアドバイス選択ルールを前記生活要素情報蓄積部の第一統計処理手段によって求められる平均値,分散,各回のデータの偏差値,t分布,F分布,カイ2乗分布に基づいて変更するアドバイス第一選択ルール変更手段を有する第八ないし第九の発明を基礎としたがん予防・改善アドバイス装置を提案する。
【0023】
さらに第十一の発明として第八から第九の発明の各装置に生活要素情報蓄積部は,アドバイス出力部から出力されたアドバイスと関連付けて取得される生活要素情報を蓄積するアドバイス関連付生活要素情報蓄積手段と,関連付けられたアドバイスと生活要素情報との相関係数であるアドバイス生活要素情報相関係数を取得するアドバイス生活要素情報相関係数取得部をさらに有するがん予防・改善アドバイス装置を提案する。
【0024】
さらに第十二の発明として第十一の発明を基礎としてアドバイス選択ルール保持部は,保持されているアドバイス選択ルールを前記アドバイス生活要素情報相関係数取得部によって取得されるアドバイス生活要素情報相関係数に基づいて変更する第二アドバイス選択ルール変更手段を有するがん予防・改善アドバイス装置を提案する。
【0025】
第十三の発明としてさらに生活要素情報蓄積部に蓄積された生活要素情報の履歴情報をネットワークを介して出力する履歴情報出力部をさらに有する第一から六,第八から十二のいずれか一に記載のがん予防・改善アドバイス装置と,履歴情報出力部から出力される履歴情報をネットワークを介して取得する履歴情報取得部と,取得した履歴情報を統計処理して生活要素情報相互の相関係数を算出する中央サーバ相関係数算出部と,算出した相関係数を出力する中央サーバ相関係数出力部と,を有する中央サーバと,からなるがん予防・改善アドバイスシステムを提案する。
【0026】
さらに第十四の発明として,前記中央サーバは,取得した履歴情報に基づいて,各生活要素情報の平均値,分散,各回のデータの偏差値,t分布,F分布,カイ2乗分布を求める第二統計処理部を有する第十三の発明を基礎としたがん予防・改善アドバイスシステムを提案する。
【0027】
さらに第十五の発明として,前記中央サーバは,中央サーバ相関係数算出部にて算出された相関係数に基づいて各がん予防・改善アドバイス装置のアドバイス選択ルール保持部に保持されているアドバイス選択ルールを変更するための命令であるアドバイス選択ルール変更命令を取得するアドバイス選択命令取得部と,取得したアドバイス選択ルール変更命令を各各がん予防・改善アドバイス装置に出力するアドバイス選択ルール変更命令出力部と,を有し,各がん予防・改善アドバイス装置は,アドバイス選択ルール変更命令出力部から出力されるアドバイス選択ルール変更命令を取得するアドバイス選択ルール変更命令取得部と,取得されたアドバイス選択ルール変更命令に基づいてアドバイス選択ルール保持部に保持されているアドバイス選択ルールを変更するアドバイス選択ルール変更部と,をさらに有する第十三又は第十四のがん予防・改善アドバイスシステムを提案する。
【0028】
さらに,AI(人工知能)により,アドバイス結果を学習して,アドバイス選択の精度を高めたり,更新するための工夫が考えられる。
【0029】
すなわち,第十六の発明として,ユーザの生理活動に影響を及ぼす情報又は/及びユーザの健康度合いを示す情報である生活要素情報をユーザから取得する生活要素情報取得部と,取得した生活要素情報をその生活要素情報の取得時期に対応する後記出力されたアドバイス情報と関連付けて履歴情報として蓄積する生活要素情報蓄積部と,生活要素情報を後記生活要素情報最適値を用いて評価し評価結果を得る生活要素情報評価部と,評価結果と評価された生活要素情報に対応するアドバイス情報との関係を学習して学習結果を生成するアドバイス結果学習部と,がん予防・改善という目的に向けての各生活要素の最適値である生活要素情報最適値を保持する生活要素情報最適値保持部と,各生活要素情報の最適値により近づくためのアドバイスを複数保持するアドバイス保持部と,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,前記学習結果と,を用いて前記保持されているアドバイスを選択するためのルールであるアドバイス選択ルールを保持するアドバイス選択ルール保持部と,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,を変数として前記保持されているアドバイス選択ルールを用いてアドバイスを選択するアドバイス選択部と,選択部で選択されたアドバイスを出力するアドバイス出力部と,を備え,アドバイス出力部は,所定の疾患が疑われる場合,アドバイス群の中から深刻度が低い順に選択肢を増やしてアドバイスとして出力するがん予防・改善アドバイス装置を提供する。また,アドバイス選択部は,アドバイス選択ルールを用いて,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値との乖離具合に応じてアドバイスを選択してもよい。
【0030】
さらに,第十七の発明として,新規アドバイスをアドバイス保持部に記録するための新規アドバイス記録部をさらに有する請求項2に記載のガン予防・改善アドバイス装置を提供する。
【0031】
これらの生活要素情報は,例えば,身体診断結果の情報として,身体計測結果(BMI,腹囲,内臓脂肪,体脂肪率),身体状況検査結果(血圧,視力,眼圧,肺機能,聴力,毛髪状況),尿検査結果,便検査結果,便の回数,便の色,便の性状,血液生化学検査結果,血清学検査結果,腫瘍マーカー検査結果,糖尿病検査結果,細胞診検査結果,眼底カメラ検査結果,乳房検査結果,超音波検査結果,消化管検査結果,胸部エックス線検査結果,CT検査結果,MRI検査結果,PET検査結果,直腸診断検査結果,直腸温,心電図検査結果,平衡機能検査結果,動脈硬化評価結果,骨粗しょう症検査結果,女性ホルモン検査結果,リスクマーカー検査結果,遺伝子情報のいずれか一以上の情報であってもいい。また,日常生活情報として,住環境の光の質と明るさ,住環境の騒音量,住環境の室温,住環境の湿度,職場環境の光の質と明るさ,職場環境の騒音量,職場環境の室温,職場環境の湿度,食事の内容,食事の摂取カロリー,食事の摂取食品成分及び量,食事の回数,食事のタイミング,摂取サプリメントの内容,摂取サプリメントの摂取カロリー,摂取サプリメントの摂取サプリメント成分及び量,摂取サプリメントの摂取回数,摂取サプリメントの摂取タイミング,睡眠の質,睡眠の量,運動の種類及び運動量,仕事の質及び仕事の量,勤務時間,仕事での移動量,通勤の質及び量,仕事における会社からの評価結果(昇給,昇進,転勤,転属),失業・転職の有無,体力維持・増強のためのトレーニングの質及び量,街歩きの質及び量,買い物の質及び量,自然環境との接触の質及び量,娯楽の質及び量,友人関係の質及び量,夫婦関係の質及び量,事故の質及び量,引っ越しの有無,結婚・離婚の有無,高額物件・高額商品の購入履歴,資格取得のための学習の質及び量,資格取得の有無,会社経営・自営の場合の顧客との関係の変化,のいずれか一以上の情報であってもいい。また,病気・ケガ情報として,ケガ・病気の質及び量,ケガ・病気に応じて服薬している薬品の種類及び量,ケガ・病気に応じて通院する頻度と時間長,ケガ・病気に応じて行われる診断の質及び量,ケガ・病気に応じて行われる手術の質及び量,ケガ・病気に応じて身体に帯同する機器,補助具,包帯等の質及び量,のいずれか一以上の情報であってもいい。また,精神状態情報として,ユーザの声の質,ユーザの声の大きさ,ユーザの発声量,自律神経状態,ユーザの気持,性生活の満足度,ものに対して抱くイメージ,起床時の気分,入眠時の気分,睡眠中の気分,仕事中の気分,休日の気分,食事の際の気分,排便時の気分,体感温度,手足のひえ,呼吸のしやすさ,のいずれか一以上の情報であってもいい。
【発明の効果】
【0032】
本件発明により,生活要素情報をユーザから取得して,各生活要素をがん予防・改善という目的に向けての最適値により近づけるためのアドバイスを出力することが可能ながん予防・改善アドバイス装置を提供することが可能となる
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本件発明のがん予防・改善アドバイス装置の機能ブロックの一例を示す図
【
図2】本件発明のがん予防・改善アドバイス装置のハードウェア構成の一例を示す概略図
【
図3】本件発明のがん予防・改善アドバイス装置における処理の流れの一例を示す図
【
図4】実施例1における生活要素情報である食事情報を取得するための一例を示す図
【
図5】実施例1における生活要素情報取得の処置の流れの一例を示す図
【
図6】実施例1におけるカレーライスの成分表の一例を示す図
【
図7】実施例2における生活要素情報である運動データを取得するための一例を示す図
【
図8】実施例3における生活要素情報である睡眠データを取得するための一例を示す図
【
図9】実施例3におけるスマートフォンの画面に表示された生活要素情報の一例を示す図
【
図10】実施例4における生活要素情報であるストレスデータを出力した一例を示す図
【
図11】実施例4における瞳孔の変化をとらえるための目の模式図
【
図12】実施例4における生活要素情報取得の処置の流れの一例を示す図
【
図13】実施例5における生活要素情報である生体データを取得するための一例を示す図
【
図14】本件発明のがん予防・改善アドバイス装置の機能ブロックの他の一例を示す図
【
図15】実施例6におけるアドバイス取得のための仕組みを説明する図
【
図17】実施例7においてアドバイスを選択する具体的な処理を示す図
【発明を実施するための形態】
【0034】
<概要>
本件発明の「本件発明のがん予防・改善アドバイス装置」は,日常の生活の中から生理活動に影響を及ぼす情報を収集し,がんの発病,ないしは再発を防止し,一端発病した場合であってもこれを減縮,消滅するためのアドバイスを日常的に出力し,もってユーザの健康維持,がんの発病,再発を防止するものである。
【0035】
<構成>
本件発明の「がん予防・改善アドバイス装置」(以下,本装置,本件装置と略することがある。)は,生活要素情報取得部と,生活要素情報蓄積部と,生活要素情報最適値保持部と,アドバイス保持部と,アドバイス選択ルール保持部と,アドバイス選択部と,アドバイス出力部と,を備える。
【0036】
なお,以下に記載する本装置やシステムの機能ブロックは,ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実現され得る。具体的には,コンピュータを利用するものであれば,CPUや主メモリ,バス,あるいは二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ,CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど),情報入力に利用される入力デバイス,印刷機器や表示装置,その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部,またその外部周辺装置用のインターフェース,通信用インターフェース,それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム,ユーザインターフェース用アプリケーションなどが挙げられる。そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって,入力デバイスやその他インターフェースなどから入力され,メモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工,蓄積されたり,上記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。あるいは本システムの機能ブロックは専用ハードウェアによって実現されてもよい。
【0037】
また,本明細書に記載の各実施形態は装置として実現できるのみでなく,方法としても実現可能である。また,このような装置の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに,そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品,及び同製品を固定した記録媒体も,当然に本明細書に記載の各実施例の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0038】
本件発明の実施形態は,上記構成を有する装置であり,スマートフォン及びウェアラブル端末及びタブレット端末及びPC端末など各種端末装置及びネット上のサーバなどによって実現されうるが,これらの実施形態に何ら限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲において,種々の形態で実施しうる。スマートフォン及びウェアラブル端末及びタブレット端末及びPC端末など各種端末装置は,内蔵するコンピュータにより情報処理を行う装置の代表的な存在である。各種端末には,これらの代表的な装置のほかにも,携帯電話機やゲーム機やナビゲーション装置なども含まれる。また,「スマートフォン」は,タッチパネルを主たるユーザインターフェースデバイスとする高機能携帯電話機のことをいう。
【0039】
<構成の説明>
図1は,本件発明であるがん予防・改善アドバイス装置における機能ブロックの一例を示す図である。この図を参照しながら各構成要件の説明をする。この図にあるように,まず,生活要素情報取得部(0101)が,ユーザの生理活動に影響を及ぼす情報又は/及び健康度合いを示す情報である生活要素情報をユーザや,外部装置から直接的又は間接的に取得する。取得された生活要素情報は,履歴情報として蓄積する生活要素情報蓄積部(0102)に送られる。また,これらの生活要素情報又は内部で合成された生活要素情報は,これに対応して,がん予防・改善という目的に向けての各生活要素の最適値である生活要素情報最適値が生活要素情報最適値保持部(0103)に保持されている。さらに,各生活要素情報の最適値により近づくためのアドバイスを複数保持するアドバイス保持部(0104)があり,取得された生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,を変数として前記保持されているアドバイスを選択するためのルールであるアドバイス選択ルールがアドバイス選択ルール保持部(0105)に保持されている。又は,取得された生活要素情報の履歴情報を変数として前記保持されているアドバイスを選択するためのルールであるアドバイス選択ルールがアドバイス選択ルール保持部に保持されていてもよい。そして,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,を変数として,又は,生活要素情報の履歴情報を変数として,前記保持されているアドバイス選択ルールを用いてアドバイスを選択するアドバイス選択部(0106)をそなえ,選択部で選択されたアドバイスはアドバイス出力部(0107)から出力される。以上のように,本件発明に係るがん予防・改善アドバイス装置は構成される。
【0040】
「生活要素情報取得部」は,ユーザの生理活動に影響を及ぼす情報又は/及び健康度合いを示す情報である生活要素情報をユーザから取得する機能を有する。一般的にカメラ機能,通信機能,録画機能,集音機能,モーションセンサ機能,測温機能,照度測定機能,湿度測定機能,等によって実現される。取得された生活要素情報は,生活要素情報蓄積部に送られて蓄積される。蓄積は日付,ユーザと関連付けて行われる。また本件装置がネットワーク上のサーバで構成される場合には生活要素情報取得部は,カメラ機能,録画機能,集音機能,モーションセンサ機能,測温機能,照度測定機能,湿度測定機能,等からの情報を取得するサーバ上のインターフェイスとなる。
【0041】
ここで「生活要素情報」とは,ユーザの生理活動に影響を及ぼす可能性のある情報又は/及びユーザの健康度合いを測るために利用可能な情報である。したがって,生活要素情報は健康度合いの原因となる情報と原因によって得られる結果としての健康度合いを示す情報の両者を含みうる。本件発明においては,例えば食事情報,運動データ,睡眠データ,ストレスデータ,生体データなどである。なお生活要素情報には,さらに,放射線量,放射線強度,紫外線量,紫外線強度,電磁波強度,などが含まれていてもよい。これらはネットワークを介して生活要素情報取得部から取得されてもよいし,放射線センサ,紫外線センサ,電磁波センサなどが本件装置に生活要素情報取得部として備えられていてもよい。
【0042】
「食事情報」は,例えば飲食を開始した時刻,飲食を終了した時刻,摂取した食品および飲料の種類と量,摂取したカロリー,食品中の食品成分の種類と量である。食品成分の種類としては,例えば糖質,食物繊維,ミネラル,ビタミン,その他タンパク質,脂質,脂質に含まれる脂肪酸の種類と比率などがある。ミネラルとしては,ナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム,リン,ケイ素,亜鉛,鉄,銅,マンガン,セレニウム,クロム,硫黄などがあり,ビタミンとしては,ビタミンB群,ビタミンD,ビタミンA,ビタミンKなどがある。また,例えばカフェイン,アルコール(日本酒,焼酎,ビール,ウイスキー,ワイン,ブランデー等),たばこ,葉巻,各種薬品(抗がん剤を含む)の摂取時刻とその量がある。さらに,有害物質として,例えば,有害重金属,トランス脂肪酸,PCB,環境ホルモン,農薬がある。
【0043】
これらの食事情報は生活要素情報取得部であるスマートフォン,タブレット端末等の撮影機能を用いて移された写真を画像認識技術によって分析し,割り出すことができる。例えば,写真がスパゲッティの写真であれば,スパゲッティに標準的に含まれている商品成分と量が生活要素情報である食事情報となる。また写真以外で生活要素情報取得部であるプルダウンメニューなどから該当する食事を選択して食事情報を取得してもよいし,さらに生活要素情報取得部であるマイクと音声認識機能に対して口頭で食事メニューを入力することで取得してもよい。
【0044】
さらに工業的に量産されている食品の場合(袋入りラーメン,うどん,そば,スパゲッティならびにこれらの補助材料,おかし,缶ビール,お寿司, 宅配寿司,チルド弁当,弁当・おにぎり,サラダ・煮物,揚げ物,焼き鳥,おつまみ・おかず,食パン,ロールパン・スティックパン,菓子パン,惣菜パン,ドーナツ,焼菓子・洋菓子,チルド軽食,ピザ・ピザソース,ジャム・はちみつ,トッピング,冷凍食品,アイスクリーム,デザート,スイーツ,乳製品,納豆,豆腐,こんにゃく,漬物,キムチ類,魚肉加工品,チルド食品,ドレッシング,スープ,レトルト食品,調味料,麺類,缶詰など)は,工業的に生産されているために,自然食品とは異なる食品成分が含まれている可能性があり,自然食品と識別することが好ましい。これらの場合には生活要素情報取得部は,商品コードであるバーコード,数字,QRコード(登録商標)など予めこれらの食品に付されている情報を取得し,あらかじめ保持されているこれらの成分をコード等をキーとして取得する構成が考えられる。
【0045】
「運動データ」は,例えば運動の種類および内容,運動時間,運動量(重量×移動距離など),運動の質,歩数,移動量,体動量,心拍変動,姿勢,加速度,運動を開始した時刻および終了した時刻,運動を行った場所,温度,湿度,指導者の有無,運動に使用した装置などがある。さらに,例えば運動を行った前後の発汗量,血圧,血糖値の変動がある。
【0046】
これらのデータは同じく生活要素情報取得部であるスマートフォンの動画撮影機能を用いて,動画を画像認識技術を利用して分析し取得してもよいし,同じく生活要素情報取得部であるマイクと音声認識機能によって分析し取得してもよいし,同じく生活要素情報取得部であるプルダウンメニューから選択して取得してもよい。その他運動器具とスマートフォン等とが通信してこれらの運動データを取得してもよい。ジムのトレーニングマシーンに通信機能を付けることで実現できる。その他歩数計や,心拍計(スマートフォンのライトとカメラを用いて測定する場合もある),GPSなどのスマートフォン等に備えられている機能を利用してもよい。
【0047】
「睡眠データ」は,例えば就寝時刻・入眠時刻・覚醒時刻・起床時刻・睡眠時間・睡眠深度・中途覚醒,睡眠量・睡眠負債・睡眠相変化・睡眠潜時,呼吸・体動・いびき,非睡眠時および睡眠中の照明の状況などがある。非睡眠時および睡眠中の照明の状況は,例えば環境照度の推移,ブルーライトなどの光スペクトラムおよび量,光をあびた時間がある。また,例えば睡眠中のトイレ利用の有無および時刻と内容,睡眠導入剤の摂取の有無,摂取した時刻および量,睡眠のリズムや質がある。
【0048】
これらのデータの取得は脳波測定装置によって測定された値をスマートフォン等の生活要素情報取得部として機能する通信部(例えばブルートゥース(登録商標))などを介して取得する。また,生活要素情報取得部として機能するスマートフォンのマイクなどを通じていびきの大きさ,持続時間などを取得してもよいし,また寝具と寝間着との接触音に基づいて寝返りの回数などを測定してもよい。また例えばオムロン社の販売している睡眠測定器などを利用して生活要素情報取得部として機能する通信部(例えばブルートゥース(登録商標))などを介して取得してもよい。
【0049】
「ストレスデータ」は,自律神経およびストレス関連生体情報として次のデータがあり,非侵襲データと侵襲データに分けられる。非侵襲データとしては,例えば心拍細変動,皮膚電気抵抗値とその変動,瞳孔径とその変動といったデータ,尿および唾液中の有機酸値,ホルモン値などとそれら代謝物およびその日内変動,生体基本情報としての血圧変動,体温変動などがある。侵襲データとしては,例えば血糖変動などがある。
ストレスデータは,例えば音声感情認識技術を用いて,携帯端末を通常に使用することで音声による病状の変化を記録することができる。音声感情認識技術は,音声に含まれる「怒」「喜」「悲」「平常」(4感情)の割合と「興奮」の程度を簡単に眼で確認できる技術であり,友人・家族が声で体調を理解するように声で患者の病状を判断,うつやストレス状態を評価することができるものである。さらに,光トポグラフィー検査で,うつやストレス状態を評価することができる。光トポグラフィー検査は,身体に外の少ない近赤外線光を使用して脳の血流を測定し,うつ病の状態を数値的に把握する検査である。さらに,生活要素情報取得部であるスマートフォン等のカメラの動画機能とスマートフォン等の照明を利用して瞳孔の開閉速度を測定することで取得することもできる。
【0050】
さらに,ストレスデータには,声紋とその変動,入浴の状況,気分,疲れやだるさといった自覚症状などがある。入浴の状況は例えば入浴時刻,湯船かシャワーなどの入浴環境(入浴姿勢も含む),湯温,入浴時刻,入浴に要した時間,体温,心拍,酸素飽和度の変化などがある。また,例えば気晴らし,趣味,旅行,SNS,瞑想,スピリチュアルなどのメンタルアクティビティ,及び,例えば家族,会社,友人,コミュニティなどのソーシャルステータスがある。
【0051】
これらは,生活要素情報取得部であるスマートフォン等のカメラの動画機能と銅が認識項を用いて取得することができるし,同じく生活要素情報取得部であるプルダウンメニューから選択させて取得することもできる。
【0052】
なお,ストレスデータにはこれらの他に,発汗量,ディスプレイ注視作業継続時間,自動車,トラック,飛行機,船舶,列車,構内運搬車,プラント等連続運転従事時間又は/及び所定時間内の総運転従事時間,肉体労働継続時間,工場内組み立て作業継続従事時間,などが含まれていてもよい。さらにはこれらに基づいて所定の演算を行い得られるものであってもよい。
【0053】
「生体データ」は,例えば体組成データと生体内栄養代謝情報がある。体組成データは,例えば体重,身長,体脂肪がある。生体内栄養代謝情報は,例えば排尿および排便の回数,量,性状,色調がある。さらに,例えば毛髪,爪,血液,尿,便といった生体物質や排出物中に含まれる栄養成分,ホルモン,ミネラル,ビタミン,有機酸,有害物質,細菌類の種類と量,phなどがある。また,皮膚のレーザー反射特性解析により組織中の食品成分予測する手法で取得した情報を生体データとして取得することができる。
【0054】
また,例えば血圧,心拍数,血液中の酸素濃度,血液の酸塩基平衡,各種炎症マーカーCRPやNF-κBなども生体データに含まれる。
【0055】
がんを評価する生体データとしては,例えばCT,MRIなどの画像検査のデータなどを生体データとして取得するがことができる。通常,がんは画像診断による検査で発見され,その後の進行も画像診断で評価されることが一般的であるが,例えば映像にうつらない初期がんで血液中に現れるがん細胞であるCTCs-循環血液中がん細胞の評価データを生体データとして取得することができる。さらに末しょう血液や唾液中の口腔内の細胞をサンプルとした遺伝子情報,及び末しょう血液をサンプルとしたがん関連遺伝子の発現の有無などの遺伝子発現情報も生体データである。腫瘍マーカー値,炎症マーカー値も生体データとして扱うことができる。
【0056】
生体データの取得は「体重計」「身長計」「肺活量測定装置」「体組成系」「CT装置」「MRI装置」「PET診断装置」「レントゲン撮影装置」「超音波診断装置」「骨密度測定装置」「心拍測定装置」「血液分析装置」「尿分析装置」「唾液分析装置」「便分析装置」「視力測定装置」「汗分析装置」「毛髪分析装置」「内視鏡装置」「体温測定装置」「聴力測定装置」「汗量測定装置」などから生活要素情報取得部であるスマートフォン等の通信機能を用いて取得することができるし,同じく生活要素情報取得部であるプルダウンメニューから選択させて取得することもできる。
【0057】
「生活要素情報蓄積部」は,取得した生活要素情報を履歴情報として蓄積する機能を有する。蓄積の期間は装置の性能などに応じて適宜設計すればよいが,年単位で蓄積できることが好ましい。前年の同じ季節と比較することは意味があるからである。また生活要素情報の蓄積間隔は,1秒,10秒,1分,5分,30分,60分,120分,240分,間隔などが考えられ,蓄積する生活要素情報に応じて蓄積間隔が異なっていてもよい。例えば脈拍は1秒単位で蓄積するが,飲食物は120分単位で蓄積し,睡眠時間は240分単位で蓄積するという具合である。
【0058】
「履歴情報」には,取得した生活要素情報と取得時刻が関連付けられて履歴情報として蓄積されることが望ましい。ここでは特定の1回のみの生活要素情報を履歴情報と呼ぶ場合もあるし,2回以上,-複数回の生活要素情報を履歴情報と呼ぶ場合もある。生活要素情報としては複数回の情報を平均化して利用したり,数値の傾向が上昇傾向なのか,下降傾向なのかを利用したりすることが考えられる。たった1回の生活要素情報のみでは判断がぶれる場合もあるからである。生活要素情報が数値で取得される場合,たとえば,心拍数,体温,血圧,BMI,腹囲,内臓脂肪,体脂肪率,視力,眼底内圧,肺活量,聴力,尿たんぱく,尿糖,尿ケトン体,尿潜血,ウロピリノーゲン,尿比重,尿細菌,血液総ビリルビン,血液ZTT,血液TTT,血液ALP,血液CK(CPK),血液LAP,血液LDH,血液γ-GTP,血液コリンエステラーゼ,血液AST,血液ALT,血液総コレステロール,血液中性脂肪,血液HDLコレステロール,血液LDLコレステロール,血清アミラーゼ,血液尿酸,血液尿素窒素,血液総たんぱく,血液血清アルブミン,血液タンパクA/G比,たんぱく分画,血液クレアチニン,血液eGFR,血液TSH,血液血清鉄,血液BNP,血液ナトリウム,血液カリウム,血液カルシウム,血液クロール,血液無機リン,血液総ホモシステイン,血清CRP,血清RF定量,血清ASO,血清LOX-index,バイ毒血清反応,血清HBs抗原,血清HCV抗体,血球数,ヘモグロビン/ヘマクトリット,好中球,リンパ球,好酸球,単球,好塩基球,腫瘍マーカーとして,CEA,α-FP,CA19-9,CA125(女性),CA15-3(女性),PSA(男性),ガストリン放出ペプチド前駆体,サイトケラチン19フラグメント,SCC,NSE,STN,血糖値,インスリン,ヘモグロビンA1c,ペプシノゲン1.2,重心動揺検査,血圧脈波,骨量測定,女性ホルモンFSH,女性ホルモンエステレジオール,顔面色,爪色,瞼の裏の色,などに関しては,過去の数値に基づいて,平均値,分散,各回のデータの偏差値,t分布,F分布,カイ2乗分布などを求め(統計処理手段),また過去にその値に基づいて出力したアドバイスを記録し,アドバイスの効果を統計的に求めるとよい(アドバイス評価手段)。したがって,アドバイスの効果が最もよくあらわれる可能性があるアドバイスを選択するようにアドバイス選択部が統計選択手段を有していてもよい。さらにこれらの各生活要素情報どうしの相関係数を求め(相関係数算出部)相関度合いが一定以上の物,たとえば0.7以上の場合にはそれらの生活要素情報を一括して一つのアドバイスを選択するようにアドバイス選択ルールを変更するアドバイス選択ルール変更部があってもよい。さらは相関係数が高いものが原因と結果の関係に立つものである場合も同様である。このようなきめ細かなデータ処理に基づいてアドバイスを選択するという処理は従来なされていなかったが,データ量やデータの種類(ここでは生活要素情報)が多種多様になるに従って単純なアドバイス選択では互いに矛盾したりすることがあり,これを本件発明は解消することもできる。なおあらかじめ相関が高いと考えられる生活要素情報に関しては前述のように複数の関連する生活要素情報と,それぞれに対応する生活要素情報最適値とを複数組変数とする評価関数(複数の生活要素情報を評価する関数)を用いて一つのアドバイスに落とし込む構成とするのがよい。従来のアドバイス装置ではこのような処理もなされていない。
【0059】
また本件装置は統計処理サーバと通信するように構成し,日本中,世界中の本件装置から各ユーザごとの生活要素情報の履歴を収集するように構成してもよい。さらには,生活要素情報の履歴と時間軸を同期させて出力したアドバイス情報をも収集するように構成してもよい。ユーザ単独で生活要素情報の相関を見るよりもいわゆるビックデータ処理によって相関係数を算出できるのでより信頼度の高い生活要素情報どうしの相関係数を得ることができる(相関係数算出部)。また生活要素情報と出力されるアドバイスとの関係も同じである。したがって,がんの予防,再発防止,改善により効果のあるアドバイスを統計処理によって求めることが可能となる。また,統計処理やAI(人工知能)処理を用いることで新たながんリスクパラメータを発見することも可能である。つまり,相関係数が高い場合にはそれらの生活要素情報が共通の原因に基づく結果である場合,それらが原因と結果の関係にある場合の両者の場合がある。データとしてはいずれの関係に立ちうる可能性があるのかについて各生活要素情報毎に識別情報を関連付けて処理することも考えられる。そうすれば新たながんリスクパラメータの発見が高い信頼度で可能となる。そして,生活要素情報どうしの相関係数や,原因と結果の関係の推定,共通原因に基づく結果であることの推定,効果のあるアドバイスは,サーバから各本件装置にフィードバックされ,あるいはデータとして利用可能に保持,蓄積され,より効果の高いアドバイスを出力できるように各本件装置を稼働可能となる。いわゆるビックデータ処理に基づく未知情報の創出である。なお,このような中央サーバから各本件装置に対して新規なアドバイス情報を出力してアドバイス情報保持部に追加したり,アドバイス情報保持部に保持されている無駄な,ないしは効果の少ないアドバイスを削除する処理や,これらの処理に伴ってアドバイス選択ルール保持部に保持されているアドバイス選択ルールを追加,変更,削除できるように中央サーバ並びに本件装置が構成されていると良い。また,本件装置は統計処理サーバと通信するように構成し,日本中,世界中の本件装置から各ユーザごとの生活要素情報の履歴を収集するように構成する場合に,ユーザの属性を合わせて送信するように構成することが好ましい。ここでのユーザの属性には,居住地域(国名,地域名),職種,労働形態,性別,年齢,人種,などを含む。がんは,地域特性があると言われており,また職種や労働形態,性別,年齢,人種,などにも依存性があると言われている。したがってビックデータをそのまま解析するよりもこれらの属性別に解析することでより効果の高いアドバイス情報の出力や,生活要素情報どうしの相関を発見できると考えられる。もちろん,送信されるデータは時刻情報と関連付けられており,国,地域,季節の依存性も考慮できることが好ましい。さらに福島第一原発事故など特異な事故があった場合にはその情報も属性データに含めるのが望ましい。特に放射線被ばくに関連する情報である,原発事故,原発故障,放射性廃棄物処理施設事故,故障,放射性廃棄物運搬の事故,故障などである。
【0060】
「生活要素情報最適値保持部」は,がん予防・改善という目的に向けての各生活要素情報の最適値である生活要素情報最適値を保持する機能を有する。なお,生活要素情報最適値は,複数の生活要素情報を組み合わされた生活要素情報に対して対応するおものであってもよい。また,生活要素情報最適値は所定の幅を持っており,その幅に生活要素情報が入る場合には最適状態と判断するように構成してもよい。
【0061】
「生活要素情報最適値」は,がん予防・改善という目的に向けての各生活要素の最適値である。「生活要素の最適値」は,例えば食事情報,運動データ,睡眠データ,ストレスデータ,生体データなどの各生活要素の最適値である。各生活要素毎の最適値は,個々のユーザの状態を登録することで,例えば血圧のように年齢,性別などにより異なる最適値とすることが望ましい。最適値の決め方は,健康な人の生活要素情報を統計的に処理してその平均値,平均値から所定の幅の値(例えばプラスマイナスシグマ)とすることが考えられる。なお,健康な人のみでなく,がんに罹患している人の値をも用いて最適値を決定するとより精度が高まる。つまり,最適値の信頼度が測定可能なので,信頼度付きの最適値として利用することができる。またがんに罹患している人に対する最適値は,がん患者特有の値とすることも考えられる。がん患者にとっては健康な人と比べて例えば尿のph値をアルカリ側により寄せた方がよい,というような場合である。
【0062】
「アドバイス保持部」は,各生活要素情報の最適値により近づくためのアドバイスを複数保持する機能を有する。アドバイスは複数保持される。複数の意味は,一つの生活要素情報に対して複数のアドバイスが保持されている場合,複数の生活要素情報に対して複数のアドバイスが保持されている場合,の両者を含む概念である。そして複数含まれるように設計する理由は生活要素情報最適値からの離間具合に応じて最適なアドバイスを選択できるようにするためである。従来の装置のアドバイスの出し方は,条件を満足したか,満足していないかの二者択一的なアドバイスの出し方になっているが,それではユーザの動機づけが十分になされない場合があるからである。つまり,生活要素情報最適値に対して離間距離が大きい場合であっても,その旨をストレートにユーザに伝えるよりは,オブラートに包んで励ました方がよい場合もあるからである。この点では専門家に口頭でアドバイスを受けるシーンにより近づけるという意図がある。専門家はそのユーザに対して顔色をうかがいながら励ましたり,叱咤激励したりすることで治療等の最大の効果を引き出そうとする。しかしながら,アプリケーションソフトや,専門装置などでは,単純に条件を充足した,しない,に基づく伝達メッセージしか発せられないので,専門家によるアドバイスに劣っていたという実情がある。したがって,本件発明の装置の場合には例えば性格診断テストを行って,遺伝子検査データなどを踏まえながら,ユーザの性格を把握し,その把握された性格に応じた複数種類のアドバイスを選択するというような構成も考えられる。さらには,その日のユーザの気分などを入力させて気分に適したアドバイス群の中から適切なアドバイスを選択できるように構成してもよい。また気分を直接的に入力させるのでなく,ユーザが発送した電子メールの内容を形態素分析して,出現したキーワードに応じて気分や,その日のユーザの雰囲気を把握して,その気分や雰囲気に適したアドバイス群の中から適切なアドバイスを選択できるように構成してもよい。その他,閲覧したウエブページの属性情報に基づいてその日の気分を推測したり,天気情報や,ニュース情報に基づいてその日の気分を推測してもよい。例えばその日のニュースが天災のニュースであれば暗めの気分であると推測し,阪神ファンがユーザの場合に,阪神タイガースが優勝したのであれば,晴れ晴れした気分であると推測してもよい。また,音声感情推測技術を利用してもよい。これは人の声のトーンでその人の気分,感情を推測するもので,たとえば声のトーンが高い場合には緊張していると推測する。アドバイスの内容は特に限定されず、食事、運動、睡眠、入浴などの生活習慣だけではなく、サプリメントなどもアドバイスしてもいい。
【0063】
図14に示すのは,アドバイスを選択するためにネットを通じて各種情報を取得する本件発明の機能ブロックを示すものである。アドバイス選択部では例えば天気予報,ニュース,地図情報(GPSデータ込),メール情報,気分情報,などを取得し,これらの外部情報を加味してアドバイスを選択するためにアドバイス選択ルール保持部に保持されているアドバイス選択ルールに従ってアドバイスが選択される。
【0064】
アドバイス選択ルールは,生活要素情報最適値と取得した生活要素情報との乖離度や,差分値,比率などに基づいて直接的に選択をする形式に限定されることはない。例えば,生活要素情報の値に応じて複数のアドバイスの中から一以上のアドバイスが選択されるテーブル利用形式のルールであってもかまわない。例えば,一の生活要素情報に対応して10の(複数の)アドバイスが選択可能である場合には乱数により選択したり,他の生活要素情報との関係や,外部から取得する情報(天気,ニュース,メールに含まれる文字,いいねマーク,気分の選択,GPSからの情報,地理的情報)で選択されるものが定まるようにルールを構成してもよい。
【0065】
<糖質制限に対するアドバイス>
例えば糖質制限に関するアドバイスであれば,「今日は久しぶりにラーメンというのはいかがでしょうか?」「今日はスパゲッティにしませんか?」「近くにサラダバーがついたレストランがありますよ」「今日はお昼ごはん食べすぎましたか?」「夕方に飲み会が設定されていますのでお昼ごはんは軽めにしましょう!」「体調がすぐれないようですが,お肉をがっつり食べましょう!」「今日はお酒を控えめにしましょう」「今日は晩御飯はお刺身でいいですね」「今日は焼き魚がお勧めです」などを挙げることができる。これらは,直接生活要素情報の数値に言及していないものの提案をするような形でさりげなく糖質制限を促すアドバイスとなっている。これらはもっと多数種類準備されていてよく,たとえば,「夕方に飲み会が設定されていますのでお昼ごはんは軽めにしましょう!」に代えて,「夕方の飲み会でたくさん食べられるようにお昼ごはんは刺身にしましょう!」を選択できるような構成でもよい。いつも同じアドバイスであるとユーザは飽きがきてしまい,やはりアプリケーションのそっけなさを感じてしまうので,たとえば,以前にブームがあったたまごっち(登録商標)のように状況に応じて各種のアドバイスを準備しておくことがより温かみを演出でき,ユーザの生活要素情報の最適化に向けた動機づけとなるからである。また,アドバイスはあらかじめ準備しておくことの他に,複数の部分を準備しておき,適宜それらを組み合わせることでアドバイスとすることができてもよい。例えば「刺身」「豆腐料理」「ヨーグルト」「チーズ」「卵料理」は同列に扱う単語群として登録しておき,先ほどの「夕方の飲み会でたくさん食べられるようにお昼ごはんは刺身にしましょう!」を場合によって「夕方の飲み会でたくさん食べられるようにお昼ごはんは豆腐料理にしましょう!」に変更できるように設計してもよい。場合によっての場合は,所定のルールであれば適宜設計すればよく,単に乱数で選択するように設計してもよいし,前回,前々回と重ならないように選択するアルゴリズムを採用してもよい。アドバイスの範囲は,メニュー内容にとどまらず,訪れるべきレストランや,購入すべき食材やサービスの推奨などもふくまれる。糖質制限時はカレーライスは推奨出来ないが,ユーザがカレーライスを希望する場合は,「抗がん作用のあるクルクミンを含むターメリックを使用し,吸収率が悪いクルクミンの吸収をUPさせるおからの入った,中鎖脂肪酸が豊富なココナッツミルクカレーにし,ご飯は糖質量の少ない"ダイエットライス"にしましょう。」などのアドバイスをおこなうってもよい。
【0066】
<運動に対するアドバイス>
運動に対するアドバイスの例をあげると,「今日の食事だとあと30分で眠くなるので軽く散歩しましょう」「今日は天気がいいのでひと駅歩きませんか?」「今日は雨ですね,地下道を歩いてみませんか?」「今日は自由時間がありますね,近所の観光案内をしますよ」「今日は葛西臨海公園がすいています。水族館と公園の散歩はいかがですか」「お子様に縄跳びの練習をしてあげませんか?」「今日はスポーツジムでウエイトトレーニング練習会があります。参加しましょう!」などであってもよい。なお,先ほどからの例にてわかるとおり,アドバイスには,現在地情報をGPSで取得して利用してもよいし,スマートフォン等に組み込まれているスケジューラ(スケジュールソフト)の情報を利用してもよいし,ネットに自動接続してその日のニュースや天気予報を利用してもよい。
【0067】
<睡眠に対するアドバイス>
睡眠に対するアドバイスの例をあげると,「睡眠は,7時間程度が理想的です。いいリズムですね」「睡眠のリズムはいいですよ。体内時計を正しく動かすには食事のリズムも大切ですよ。」「夜間は間接照明にするといいですよ」「寝る30分~1時間前は照明を暗くするといいですよ」「朝,起きたら日光をあびましょう!光は脳や神経の体内時計をリセットしてくれますよ」「寝る3時間前までに食事を済ませましょう」「夜間にブルーライトを見るのは避けましょう」「少し睡眠時間が長い傾向です。長すぎても肥満リスクが高まりますので気を付けましょう」「寝付けない時は半身浴もいいですよ」「遅寝,遅起きで生活のリズムが乱れると太りやすくなりますよ」「頻繁に寝返りしていましたよ。寝る前に糖質の多い食事をとりませんでしたか?」「枕をかえてみませんか?」「就寝中によくせきをしていましたよ。乾燥が原因かもしれません。加湿器を使ってみませんか?」などがあってもよい。
【0068】
<ストレスに対するアドバイス>
ストレスに対するアドバイスの例をあげると,「質の良い睡眠でリラックスしましょう」「半身浴は気持ちを落ち着かせる効果もありますよ。」「東北あたりに旅行してみませんかに今の季節は紅葉がきれいですよ。最近,お仕事忙しかったようなので,たまには旅行してみませんか?」「近くにお勧めのカラオケのお店があります。今なら予約が取れますよ」「ゴルフをするのにいい季節になりましたね。お手軽なショートコースで体を動かすことは?」「寝不足ではありませんか?睡眠は,7時間程度が理想的ですよ」「イライラしたら,一度,深呼吸してみましょう」「来週はゴルフの予定がありますね。クラブは2日前までに宅配便で送りましょう。」「SNSの評判がいいですね」「お勧めのスピリチュアルの本がありますよ。ご紹介しましょうか?」「お誕生日プレゼント,気に入ってもらえたみたいですね。お嬢さんがSNSで紹介していますよ」「今日は,会社のバーべキュー大会の幹事さんお疲れ様でした。盛り上がっていましたね。」「来週は,大学時代の同級生と飲み会ですね。おしゃれしないと。ワンピースのセールをしているサイトをご紹介しますよ。」「去年の母の日のプレゼントは大成功でしたね。お母さまから写メが届いていましたね。今年は,お花はいかがですか?」などがあってもよい。
【0069】
<生体データに対するアドバイス>
本件発明では,生体データのひとつとして,尿のphを取得することが望ましい。がんの予防・改善にとっては,体液はアルカリ性よりの方が望ましいと示されているからである。酸性環境はがん細胞の活動に有利な微小環境であり,その酸性環境を実現するためにがん細胞が乳酸を細胞外に運搬する。その運搬にナトリウムが必要で,ナトリウム制限はがん細胞に適した微小環境を阻害すると考えられている。そのため,尿のphを取得して,アドバイスを受けることができれば,がん予防・改善につながるからである。尿のpHに対するアドバイスは例えば,最適から悪化順にアドバイスを羅列すると,たとえば,「尿のphは低く酸性に体液が傾いています。タンパク質を減らし野菜やカリウムが含まれる食品を多く摂取し,飲酒を控えるようにしましょう」「尿のphはがん予防・改善に向けての適正値です。体液はアルカリ性に保たれており至適値です。がん予防・改善という目的に向けて食事・生活習慣の改善は順調です」があげられる。
【0070】
本件発明では,生体データのひとつとして,尿中の尿中のカリウムに対するナトリウムの比を取得することが望ましい。ナトリウム制限はがん細胞の住みよい微小環境を阻害するので,塩分制限と塩分を排出するカリウムの摂取が有効で,尿中のカリウムに対するナトリウムの比が高いことは望ましくない。カリウム量に対するナトリウム量が1以下であることががん予防・改善に効果があるからである。尿の中のカリウムに対するナトリウムの比に対するアドバイスは例えば,最適から悪化順にアドバイスを羅列すると,「ナトリウムの値が高いです。野菜とカリウムが含まれる食品を多く摂りましょう」「ナトリウムの値がやや高いです。塩分を控えましょう」「カリウムとナトリウムの値は良好です」があげられる。
【0071】
<複数種類のカテゴリーにわたった生活要素情報に基づくアドバイス>
がんの予防・改善において,糖代謝(血糖の変動)は,がん細胞が優先的に使用するエネルギーであり,糖質を制限することでがんの発育が直接的に低下する事が多く,また生活要素情報の代表的な要素である食事情報,運動データ,睡眠データ,ストレスデータ,生体データのすべて相互的に関与しており,がん予防・改善を進めるうえで重要な因子である。すなわち,外的要因としては,摂食した糖の量や種類,運動による糖の代謝があり,内的要因としては,自律神経,ホルモン(おもにインスリン)分泌,栄養状態が関与している。詳しくは後述する。
【0072】
虚血性心疾患の兆候が生活要素情報を総合的に判断して疑われる場合には,たとえば以下のアドバイス群の中から深刻度が低い順に選択肢を増やしてアドバイスとして出力するような構成が考えられる。例えば深刻度が最低の場合には単に「体重は増加しないようにしましょう」のみとし,次に低い順位の深刻度である場合には「体重は増加しないようにしましょう」「海藻類(ワカメ,ヒジキ,昆布など),野菜で食物繊維を摂りましょう」の二つのアドバイスを出力するように構成することが考えられる。アドバイスの例は下の通りである。
【0073】
「体重は増加しないようにしましょう」「海藻類(ワカメ,ヒジキ,昆布など),野菜で食物繊維を摂りましょう」「過度のアルコールは原則として禁止です。飲むなら,日本酒1/2合か焼酎1/2カップかウイスキーダブル1杯かビール250ml程度とし,連日の飲用は避けましょう」「食物繊維(野菜,ワカメ,きのこ類)を不足しないように摂りましょう」「食塩は摂り過ぎないようにしましょう。漬物は控えましょう。食塩はしょうゆ,ソース,みそなどにも含まれています。食塩1g=小さじ1/5杯」「タバコは病気を悪化させるため吸わないようにしましょう」「甘いものは控えましょう」「努めて歩くようにしましょう。ストレスは発散するようにしましょう」
【0074】
高脂血症の兆候が生活要素情報を総合的に判断して疑われる場合には,たとえば以下のアドバイス群の中から深刻度が低い順に選択肢を増やしてアドバイスとして出力するような構成が考えられる。
【0075】
「バランスのとれた食生活を心がけましょう」「高カロリー食の習慣,食べ過ぎに注意してください。特にご飯,もち,パン,麺類などの取り過ぎに注意してください。」「オメガー3脂肪酸を含む亜麻仁オイルを1日10g加えましょう」「乳製品(ミルク,バター,チーズ,生クリームなど)を減らしましょう」「食塩,砂糖,菓子類,乳製品は取り過ぎないようにしましょう。野菜,海藻,きのこは食物繊維が豊富で,コレステロールの吸収を抑制するので十分に摂りましょう」「酸化ストレスを軽減するため,タバコは控えましょう」「一日3kmの早歩き,ジョギングなどで運動不足を解消しましょう」
【0076】
高血圧の兆候が生活要素情報を総合的に判断して疑われる場合には,たとえば以下のアドバイス群の中から深刻度が低い順に選択肢を増やしてアドバイスとして出力するような構成が考えられる。
【0077】
「過労や睡眠不足を避け,規則正しい生活を送るように心がけましょう」「気温の急激な変化は避けましょう」「激しい運動は避け,脚を使った軽度の運動を続けましょう」「コーヒー,タバコは控えましょう」「お風呂の温度は40~41度ぐらいで,肩までつかり15分以上は入りましょう」「便通を整えましょう」「減塩のみで血圧のコントロールが可能な場合もあるので,食塩の摂取量を減らして1日5g以下にしましょう。加工食品,塩蔵品,漬物,調理に使用する味噌,醤油,塩を控えましょう」「肥満のある場合は糖質制限しましょう」「糖質・脂質を減らしましょう。大豆および大豆製品は積極的に摂りましょう」「カリウム(野菜,果物),カルシウム(牛乳,乳製品,小魚,豆腐,緑黄色野菜)を積極的に摂りましょう。降圧利尿剤を服用しているときはとくにカリウムをとるようにしましょう」「海藻類(ワカメ,ヒジキ,昆布など),野菜,果物で食物繊維を摂りましょう」「過度のアルコールは禁止。日本酒1合かビール中1本までかウイスキーシングル3杯程度にしましょう」
【0078】
減塩食をおいしく食べためのアドバイスとしてさらに高血圧の兆候が生活要素情報を総合的に判断して高いと考えられる場合には以下のアドバイス群の中から深刻度に応じて1から数を順に増やしてアドバイスを出力するように構成することが考えられる。
【0079】
「塩分と糖分を控えて,味のバランスを心がけましょう」「食塩を少しずつ分けるより1つの料理にアクセントをつけましょう」「新鮮な材料を用いて素材の持ち味を生かしましょう」「昆布,ワカメ,きのこ,かつお節などの自然のうま味を利用しましょう」「ゆず,だいだい,レモンなどの酸味,香辛料を使いましょう」「寿司にしょうゆは一部分だけつけるようにしましょう」「ぽん酢ややくみで食べる水炊き,寄せ鍋などがよいでしょう」
【0080】
肥満の兆候が生活要素情報を総合的に判断して疑われる場合には,たとえば以下のアドバイス群の中から深刻度が低い順に選択肢を増やしてアドバイスとして出力するような構成が考えられる。
【0081】
「タンパク質では,脂身の多い肉,チーズ,ハム,ベーコンなどの加工品は避け,豆腐,白身魚,ささみ,牛肉や豚肉のヒレ,モモなどを食べるようにしましょう」「牧草で育成された牛肉を食べましょう」「牧草で育成された羊肉を食べましょう」「脂料理(天ぷら,フライ,から揚げなど)はできるだけ避け,煮物,蒸し料理を中心にしましょう」「野菜類,きのこ類,海藻類など,低カロリーで,脂質や脂肪の吸収を遅らせる働きがあるものを積極的に摂りましょう」「ドレッシングやマヨネーズは避け,」ソースやぽん酢,しょうが醤油にしましょう」「不規則な食事の摂り方,どか食い,むら食い,多い間食,夜に多く食べるなどの食事パターンを是正しましょう」
【0082】
さらに深刻度が高いレベルであると判断される場合には,糖質をカットするアドバイスを段階的に出力することが考えられる。「ご飯の量を一日2杯にしましょう」「ご飯の量を一日1杯にしましょう」「ご飯の量を一日半杯にしましょう」「ご飯の摂取を控えましょう」「ご飯の摂取を控えるとともに根菜類の摂取も控えましょう」「ご飯と麺類の摂取を控えましょう」「ご飯と麺類と粉物の摂取を控えましょう」「ご飯と麺類と粉物の摂取を控えてんぷらは衣をとりましょう」「ご飯と麺類と粉物の摂取並びに糖類の摂取は控えましょう」などである。
【0083】
「肥満」の判定は以下のようにして行ってもよい。つまり生活要素情報として体重,身長を用いて生活要素情報であるBMIを算出する。以下の式となる。
BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))が25以上従って,この数値が大きいほど,先ほどのアドバイスは段階的に後ろに記載されているアドバイスが選択されるように構成する。「肥満」の判定は,体脂肪量や体脂肪率,除脂肪体重を判定の指標とすることもできる。
【0084】
「アドバイス選択ルール保持部」は,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,を変数として前記保持されているアドバイスを選択するためのルールであるアドバイス選択ルールを保持する機能を有する。
【0085】
「アドバイス選択ルール」は,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,を変数として前記保持されているアドバイスを選択するためのルールである。基本的には取得し蓄積されている生活要素情報とその生活要素の最適値である生活要素情報最適値との乖離具合に応じて適切なアドバイスを選択するためのルールである。乖離具合に応じてその乖離を埋めて目標達成が楽しくできるようなアドバイスを選択するためのルールである。したがって複数のアドバイスはそれぞれが,前記乖離具合と紐づけられている。乖離具合が大きい場合にはそれなりに強い動機づけを与えるようなアドバイスが紐づけられ,乖離具合が小さい場合には楽にその行動を起こせるようなアドバイスが紐づけられる。しかし,一般には,乖離具合が大きいからといって強硬なアドバイスをするのはかえって逆効果であり,それとわからないように動機づけを与えるアドバイスとすることが望ましい。
【0086】
先ほどの例に挙げたものに例えると,乖離が小さい場合には,「今日は久しぶりにラーメンというのはいかがでしょうか?」「今日はスパゲッティにしませんか?」としてかえって糖質制限の禁を破るようなアドバイスとし,ある程度の乖離が認められる場合には,「近くにサラダバーがついたレストランがありますよ」「今日はお昼ごはん食べすぎましたか?」「夕方に飲み会が設定されていますのでお昼ごはんは軽めにしましょう!」「体調がすぐれないようですが,お肉をがっつり食べましょう!」などとし,乖離が大きい場合には,「今日はお酒を控えめにしましょう」「今日は晩御飯はお刺身でいいですね」「今日は焼き魚がお勧めです」などとする。なお,「今日は晩御飯はお刺身でいいですね」のようなアドバイスを選択させる場合には,GPSのデータに基づいて近所の刺身の売り場を案内したり,その日のチラシ情報をさらに提供したりすることも考えられる。このようなサービスは人対人の場合にはあり得るが,従来装置がこのようなサービスを提供することはなかったのでよりぬくもり,温かみを装置に感じ,装置に共感することによりさらに装置の信頼性が高まり,目標達成に向けた動機づけが高まる。なお乖離は生活要素情報と生活要素情報最適値との差分でよいし,生活要素情報最適値との比でもよいし,これらに所定の重みづけをしたものであってもよい。重みづけは,日々変更するように設計してもよい。重みづけの変更は他の生活要素情報との関係で定めてもよいし,当日に推測されている気分,雰囲気に応じて変更してもよい。また既にがんに罹患しているのか,がんが治療されて完治したが再発防止中であるのか,などの事情によって変更してもよい。
【0087】
「アドバイス選択部」は,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,を変数として前記保持されているアドバイス選択ルールを用いてアドバイスを選択するように構成されている。アドバイス選択ルールは,生活要素の最適値と同様に変更することができる。例えば,CTCs-循環血液中がん細胞の発現が認められたという生体データを生活要素情報として取得した場合やがん関連遺伝子の発現が認められたという生体データを生活要素情報として取得した場合は,生活要素の最適値とアドバイス選択ルールをより厳しい条件に設定することが望ましい。生活改善の質とスピードを上げて,がんの改善を図ることが期待されるからである。
【0088】
本装置は生活要素情報蓄積部に蓄積した単数の生活要素情報の履歴情報と,単数の生活要素情報最適値と,を変数としてアドバイス選択ルールを用いてアドバイスを選択することができる。本装置は生活要素情報蓄積部に蓄積した複数の生活要素情報の履歴情報と,単数の生活要素情報最適値と,を変数としてアドバイス選択ルールを用いてアドバイスを選択することもできる。また,本装置は生活要素情報蓄積部に蓄積した複数の生活要素情報の履歴情報と,複数の生活要素情報最適値と,を変数としてアドバイス選択ルールを用いてアドバイスを選択することができる。
【0089】
「アドバイス出力部」は,選択部で選択されたアドバイスを出力するように構成されている。出力は例えばテレビやスマートフォンのディスプレイにテキスト,映像(動画,静止画いずれでもよい),グラフィックなどで行ってもよいし,スピーカーやイヤフォンから音声で行ってもよい。また,ネットワーク上のサーバなどにあるテキスト,映像(動画,静止画いずれでもよい),グラフィックなどの場所を指し示す,URL,URL情報が書き込まれたQRコード(登録商標)などで行ってもよい。また,画面でアニメなどのアイドルや動物などのアバターを用いてしゃべらせてもよいし、漫画形式でアドバイスをしても良いし、動画やゲーム形式によるアドバイスをしても良い。がんはストレスが悪影響を与えるためできるだけストレスの軽減を図るためである。さらに,出力メディアは単一である必要はなく,あるときはスマートフォンの画面で,あるときはスマートフォンに対する合成音声電話で,またあるときはスマートフォンからの,又はPCからのメールで,さらに,がん予防・改善アドバイス装置をネットワーク上のサーバとして配置し,LINE(登録商標)やFACEBOOK(登録商標)上などのソーシャルネットワークにユーザの分身としてのキャラクターを登録して,そのキャラクターから本人に対して話しかけるように構成することも考えられる。このようにすれば専門医が実際に話しかけてきているように感じるし,さらに親近感もわいてきてストレスが緩和され,良い効果が見込まれる。このように複数種類のメディアを用いてアドバイスを本人に対して伝達するためには複数のメディアとアドバイス出力部が通信可能に構成されている必要がある。またアドバイス出力部は,ユーザからの出力要求を受け付ける出力要求受け付け手段を備えていてもよい。これはユーザからもコミュニケーションを開始できるようにするためで,擬人化された本件装置があたかも話し相手となるように感じさせるためである。がんの患者は孤独なことも多く,孤独を紛らわせるためにこのような構成を採用することが好ましい。したがって,ユーザからコミュニケーションを要求された場合には必ずしも「がん」に関係する情報のみを出力する必要はなく,最新のニュースや,芸能界の話題,趣味の話(この場合には趣味などをあらかじめ本件装置に登録しておく必要がある),天気の話,ローカルな話題,SNS上から取得できる友達・家族の近況,買いもの情報などを出力できるように構成してもよい。このような情報は,第二アドバイス情報を出力機能手段としてアドバイス情報出力部に第二アドバイス情報出力手段として備えてもよい。このようにがんと直接関係のない情報をも出力できるように構成すると,がんに関連するアドバイスとの区別がつきにくくなるために自分ががんに罹患しているということを忘れさせたり,本件装置に対する心理的抵抗を少なくすることができる。またアドバイスの出力タイミングはできるだけ決まり切ったタイミングとしないことが好ましい。つまり,ユーザからの出力要求がある場合を除いては,アドバイスを選択して出力できる状態となったとしても,つまり生活要素情報が十分に取得できたとしても,直ちに出力しない方がよい。ユーザが身構えてしまうからである。例えば,出力できる状態になった後に出力するまでのタイミングを乱数データなどを利用して決定すると良い。このために出力タイミング決定手段をアドバイス出力部が有していることが好ましい。また同じく乱数データなどを用いて,複数回に1回はわざとアドバイスを出力しないという構成も考えられる。より人に近い感覚を与えられるからである。場合によっては,忘れていたふりをしてアドバイスを出力することも考えられる。つまり,「前には言わなかったけど・・・」というようなフレーズを使うのである。これは同じようなアドバイスが連続してしまうことを避けることにもなり,本件装置がユーザからしつこいと感じられる割合を減じることができる。
【0090】
さらには、アドバイスの一環として、認知行動療法のカウンセリング(有人、無人)をリコメンドなど、実際に改善に向けた取り組みを積極的に実施するように構成してもいい。
【0091】
以上にアドバイス出力部に関して種々述べたが,本件装置は「がん」に関連するアドバイス装置である点からして,特にユーザにストレスを与えない,親しみを感じさせる,孤独感を紛らわす,という観点から出力の形態は非常に重要であり,他の疾病予防,改善を目的とする装置とはこの点で大きな差異を有するものである。
【0092】
がんに関するアドバイス出力の目的はユーザにアドバイス情報を伝えて対応措置を採ることを可能にすることにあるから,アドバイス情報を取得したら直ちに出力することが望ましい。そこで,例えば出力先がスマートフォンのディスプレイである場合に,ユーザのスマートフォンの使用をできるだけ妨げないように出力することが望ましい。例えば,スマートフォンの画面の一部に出力することが望ましい。同様に,ウィジェット画面,ブラウザ画面,インフォメーション画面などと呼ばれるディスプレイの一部の領域に表示するものであってもよい。あるいは,ユーザのスマートフォンの使用を妨げないといった理由からユーザの入力操作を待ってアドバイス情報を表示するようにしてもよい。かかる構成は,例えば,スマートフォンやパソコンにアドバイス情報を表示するためのボタン,アイコン等を設けておき,ユーザによってかかるボタン等が操作された場合にその入力を受け付けてアドバイス情報を表示するようにしておくことで実現可能である。アドバイス出力部は例えば,アドバイス情報に基づいた,食材などの購入,アクティビティーのブッキングをおこなうことがある。
【0093】
<ハードウエア構成の説明>
図2にあるように,記憶装置((0201)例えばハードディスク,ROM装置)には生活要素情報取得プログラム,生活要素情報蓄積プログラム,生活要素情報最適値保持プログラム,アドバイス保持プログラム,アドバイス選択ルール保持プログラム,アドバイス選択プログラム,アドバイス出力プログラムが格納され,さらにデータとして,生活要素情報,生活要素情報最適値,アドバイス,アドバイス選択ルール,アドバイス選択結果が保持されている。そして本件装置を起動すると,記憶装置からメインメモリ(0202)に上記各プログラム及び必要なデータがロードされ,コンピュータとしての本件装置が稼働可能となる。
【0094】
<処理の流れ>
図3に示すのは本件装置の処理の流れである。まず生活要素情報を取得し(S0301),取得した生活よそ情報を蓄積し(S0302),さらに蓄積されている生活要素情報の履歴情報(単一の生活よそ情報である場合もあるし,復号化されている場合もある)に基づいてアドバイス選択ルールに従ってアドバイスの選択がされる(S0303)。そして,選択されたアドバイスが出力される(S0304)。
【0095】
<実施例1>
図4は,生活要素情報である食事の内容(食事情報)を取得するための具体例である。生活要素情報取得部は,たとえばスマートフォンのカメラと画像認識機能と,認識別食品データベースとなっており,
図4に示されるようにカレーライスの写真が生活要素情報取得部であるカメラによって取得されると,図中A~Fで示されるように特徴的な画像部分(特徴量)が抽出,認識され,認識別食品データベース上にてこれらの特徴量を有する食品が同定される。この場合にはこれら特徴量を備える食品としてカレーライスがヒットする。すると,次にカレーライスの食品成分データベースにアクセスし,カレーライスの100グラム当たりの食品成分が取得される。
【0096】
図6はこのようにして取得したカレーライスの食品成分である。また同じく画像認識技術を利用してカレーライスの総量グラムを取得し,たとえば430グラムと想定される場合には,これの値を4.3倍した値が生活要素情報取得部にて取得される。画像から不明な場合はユーザに「ご飯は何グラムでしたか?」とライスの量を選択入力させる事もできる。
【0097】
図5は,この処理の流れを示すものである。まず画像認識をし,次いで特徴点を抽出し(ST1),データベースの検索(ST2)を行って,食品名がヒットする(ST3)。この例ではカレーライスがヒットする。次にカレーライスの量を推定し(ST4),カレーライス100gの食品成分とその量を取得して(ST5),量と成分とを掛け合わせて食した食品成分と量を取得する(ST6)。つまり,このようにして生活要素情報取得部は生活要素情報を取得する。最後に終了か判断し,終了でない場合には次の食品について同じ処理を繰り返し,終了の場合には生活要素情報の取得処理を終了する。
【0098】
取得された生活要素情報は生活要素情報蓄積部に送られて蓄積され,予定されるタイミングにてアドバイスを選択するために利用される。例えばこのカレーライスが大盛りすぎて糖質の摂取量が過剰であると判断されるようなルールがアドバイス選択ルールとして保持されている場合には,たとえば「今日の夕食はご飯を控えめにして,オメガー3脂肪酸が豊富な牧草牛を楽しみましょう」のようなアドバイスがアドバイス選択部によって選択され,アドバイス出力部によって例えばスマートフォンの画面に出力される。カレーライスの食事が昼ごはんなら,ちょうど晩御飯のことを気にし始める午後4時くらいに出力されるようにスケジュールすることが考えられる。
【0099】
<実施例2>
図7は,生活要素情報として運動データを取得する例を示すものである。
図7はユーザが腕に運動量センサ(0701)を巻きつけてウォーキングしている様子を示すものである。運動量センサには加速度計,脈拍計,発汗量計,GPSシステムなどが組み込まれており,手を振る動作によってこれらのセンサ類が機能してユーザの運動データを取得し,通信機能を用いてスマートフォンの生活要素情報取得部に送信される。スマートフォンのガン予防・改善アドバイス装置(0702)の生活要素情報取得部は,取得した運動データを生活要素情報として生活要素情報蓄積部に送信するとともに,スマートフォンの画面に直近の運動データを表示するように構成されている。この例では,運動時間は138分,運動量は210Kカロリー,運動の質はスロー,歩数は12610歩となって示されている。この運動量が生活要素情報最適値と比較されて所定のタイミングでアドバイスがアドバイス選択部にて選択され,アドバイス出力部から出力されるように構成される。
【0100】
<実施例3>
図8は,生活要素情報として睡眠データを取得する例を示すものである。ユーザ(0802)の枕元においたスマートフォンであるガン予防・改善アドバイス装置には,生活要素情報取得部(0803)として,マイクでユーザの寝息の音,いびきの音,歯ぎしりの音,寝言の音声などを取得し,それらの情報と蓄積されている睡眠データベースとから睡眠の深さ,時間長などの生活要素情報を取得する。また,同装置のマイクは,ユーザの体動によって生じる布団(0801)との摩擦音,布団どうしの摩擦音などを収集し,やはり睡眠データベースから睡眠の深さ,時間長などを生活要素情報として取得する。
取得された生活要素情報は,生活要素情報蓄積部に渡され,履歴情報として蓄積される。
【0101】
図9は取得され,蓄積されて生活要素情報である睡眠データに基づいてスマートフォンの画面に表示された生活要素情報の一例である。ここでは,就寝時刻から覚醒時刻にわたって睡眠の深さと質が時間軸で表わされ,過去のユーザのデータと比較して睡眠効率が表示されている。これらのデータと生活要素情報最適値とを比較しアドバイス選択部がアドバイス選択ルールにのっとって適切なアドバイスを選択し,出力する。例えば睡眠が十分取れたと判断された日の朝には,「睡眠が十分取れました,今日は集中して運動に励みましょう」などのアドバイスが選択され,アドバイス出力部から出力される。
【0102】
<実施例4>
図10は,生活要素情報としてストレスデータを取得する例を示すものである。ユーザの瞳孔の光に対する反応速度をスマートフォンであるガン予防・改善アドバイス装置の生活要素情報取得部である動画カメラから取得して生活要素情報としてのストレスデータを取得する。
【0103】
図10は,取得した生活要素情報としてストレスを評価した結果がカレンダー形式に表示されている例を示すものである。これは生活要素情報蓄積部に蓄積されている生活要素情報に基づいて作成される。
【0104】
図11は,前記瞳孔の変化をとらえるための目の模式図である。目に急激に明るい光を浴びせると,図中Aで示した部分が徐々に小さくなるが,この小さくなる速度がストレスの量に応じて徐々に遅くなる。つまりストレスが多いと瞳孔の対光追随性が悪くなる。
【0105】
図12は,スマートフォンでこの生活要素情報である瞳孔の光追随性,すなわちストレスデータを取得するための処理の流れを示す図である。まず,動画ONステップ(S1201)によって,動画の撮影を開始する。この時点で瞳孔が撮影されている必要がある。瞳孔の撮影は,たとえば画像認識技術によってユーザに瞳孔が撮影されていることを音などで知らせる構成が考えられる。次にライトONステップ(S1202)である。これは光量を多くして瞳孔を細めさせるステップである。スマートフォンの照明機能などを利用する。次に瞳孔の計測をする瞳孔認識ステップである(S1203)そして,瞳孔変化演算ステップ(S1204)を行い,瞳孔が所定の収縮を見て安定するまでの時間,ないしは所定の割合まで収縮する時間,ないしは,所定の大きさまで収縮する時間を測定し,ストレス値(ストレスデータ)に変換する。これらがガン予防・改善アドバイス装置の生活要素情報取得部によって行われる。そして,生活要素情報蓄積部に蓄積され,たとえば
図10のように出力され,またアドバイスの選択に利用される。例えば最近1週間の中でストレスの度合いが高いとアドバイス選択ルールに基づいて判断されるような場合には,「今日はゆっくりお風呂でくつろぎましょう」のようアドバイスが選択されてアドバイス出力部から出力される。
【0106】
<実施例5>
図13は,生体データとして体組成データを取得する具体例を示す図である。この図にあるように体組成系(1301)で測定される,細胞内水分量,細胞外水分量,タンパク質量,ミネラル量,体脂肪量,体重,骨格筋量,BMI,体脂肪率,ウエスト・ヒップ比,筋肉バランス(右腕,左腕,体幹,右脚,左脚)ECW/TBW,Obesity,BCM,BMC,BMR,AC,AMCの値が,通信によってガン予防・改善アドバイス装置の生活要素情報取得部(1302)に取り込まれる。取り込まれた生活要素情報は生活要素情報蓄積部に蓄積され,生活要素情報最適値と比較されたり,複数のデータを合成して評価値を生活要素情報として生成し,その登録されている生活要素情報最適値との乖離度合いに基づいてアドバイス選択ルールにのっとったアドバイスの選択が行われる。例えば体脂肪量が前日より急激に増加したような場合には「今日はたっぷり運動をしましょう」などのアドバイスが選択され出力される。
【0107】
<実施例6>
図15は,食事情報,運動データ,睡眠データ,ストレスデータ,生体データを総合的に利用するとともに糖質制限という目的にそったアドバイスを選択するための仕組みを説明するための図である。例えば,
図15のように糖の摂取量が最適値100,取得値173,乖離度+73,運動量が最適値50,取得値18,乖離度-32,睡眠のリズム(睡眠取得量又は睡眠効率)が,最適値50,取得値48,乖離度-2,ストレス量(ストレス評価結果)が,最適値60,取得値71,乖離度+11,血糖値が,最適値120,取得値173,乖離度+53であるような場合で,評価式が図にあるような評価式である場合には評価式で表わされる生活要素情報最適値が0,評価式に基づく生活要素情報が-171であるので,図中下のアドバイス選択ルールに基づけば,アドバイスGが選択される。
【0108】
このように複数の,又は複数カテゴリーの生活要素情報を総合して評価式で評価し,これを生活要素情報としてアドバイスを選択するようなルールを用いることもできる。
【0109】
<ビックデータ処理によりアドバイス精度を高めるためのシステム>
ビックデータ処理によりアドバイス精度を高めるためのシステムとして以下のシステムが考えられる。
【0110】
すなわち,第八の発明として,生活要素情報が数値で取得される場合に,生活要素情報蓄積部は,過去の数値に基づいて,平均値,分散,各回のデータの偏差値,t分布,F分布,カイ2乗分布を求める第一統計処理手段を有する請求項1から6に記載のがん予防・改善アドバイス装置を提案する。
【0111】
さらに第九の発明として,生活要素情報が数値で取得される場合に,生活要素情報蓄積部に蓄積された生活要素情報相互の相関係数である生活要素情報相互相関係数を取得する生活要素情報相互相関係数取得部をさらに有する第八の発明を基礎としたがん予防・改善アドバイス装置を提案する。
【0112】
さらに第十の発明として,アドバイス選択ルール保持部は,保持されているアドバイス選択ルールを前記生活要素情報蓄積部の第一統計処理手段によって求められる平均値,分散,各回のデータの偏差値,t分布,F分布,カイ2乗分布に基づいて変更するアドバイス第一選択ルール変更手段を有する第八ないし第九の発明を基礎としたがん予防・改善アドバイス装置を提案する。
【0113】
さらに第十一の発明として第八から第九の発明の各装置に生活要素情報蓄積部は,アドバイス出力部から出力されたアドバイスと関連付けて取得される生活要素情報を蓄積するアドバイス関連付生活要素情報蓄積手段と, 関連付けられたアドバイスと生活要素情報との相関係数であるアドバイス生活要素情報相関係数を取得するアドバイス生活要素情報相関係数取得部をさらに有するがん予防・改善アドバイス装置を提案する。
【0114】
さらに第十二の発明として第十一の発明を基礎としてアドバイス選択ルール保持部は,保持されているアドバイス選択ルールを前記アドバイス生活要素情報相関係数取得部によって取得されるアドバイス生活要素情報相関係数に基づいて変更する第二アドバイス選択ルール変更手段を有するがん予防・改善アドバイス装置を提案する。
【0115】
第十三の発明としてさらに生活要素情報蓄積部に蓄積された生活要素情報の履歴情報をネットワークを介して出力する履歴情報出力部をさらに有する第一から六,第八から十二のいずれか一に記載のがん予防・改善アドバイス装置と,履歴情報出力部から出力される履歴情報をネットワークを介して取得する履歴情報取得部と,取得した履歴情報を統計処理して生活要素情報相互の相関係数を算出する中央サーバ相関係数算出部と,算出した相関係数を出力する中央サーバ相関係数出力部と,を有する中央サーバと,からなるがん予防・改善アドバイスシステムを提案する。
【0116】
さらに第十四の発明として,前記中央サーバは,取得した履歴情報に基づいて,各生活要素情報の平均値,分散,各回のデータの偏差値,t分布,F分布,カイ2乗分布を求める第二統計処理部を有する第十三の発明を基礎としたがん予防・改善アドバイスシステムを提案する。
【0117】
さらに第十五の発明として,前記中央サーバは,中央サーバ相関係数算出部にて算出された相関係数に基づいて各がん予防・改善アドバイス装置のアドバイス選択ルール保持部に保持されているアドバイス選択ルールを変更するための命令であるアドバイス選択ルール変更命令を取得するアドバイス選択命令取得部と,取得したアドバイス選択ルール変更命令を各各がん予防・改善アドバイス装置に出力するアドバイス選択ルール変更命令出力部と,を有し,各がん予防・改善アドバイス装置は,アドバイス選択ルール変更命令出力部から出力されるアドバイス選択ルール変更命令を取得するアドバイス選択ルール変更命令取得部と,取得されたアドバイス選択ルール変更命令に基づいてアドバイス選択ルール保持部に保持されているアドバイス選択ルールを変更するアドバイス選択ルール変更部と,をさらに有する第十三又は第十四のがん予防・改善アドバイスシステムを提案する。
【0118】
<実施例7>
本実施例におけるがん予防・改善アドバイス装置は,ユーザの生理活動や健康度合いを示す情報である生活要素情報をユーザから取得し,取得した生活要素情報を取得時期に対応するアドバイス情報と関連付けて履歴情報として蓄積し,生活要素情報をがん予防・改善という目的に向けての各生活要素の最適値である生活要素情報最適値を用いて評価して評価結果を得て,評価結果と評価された生活要素情報に対応するアドバイス情報との関係を学習し,最適値により近づくためのアドバイスを複数の中から選択するためのルールであるアドバイス選択ルールを用いて,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値とを変数としてアドバイスを選択し,選択されたアドバイスを出力する装置である。さらに,新規アドバイスを記録するように構成してもいい。
【0119】
以下では,機能的構成,ハードウェア構成,処理の流れに分けて説明する。
【0120】
≪機能的構成≫
本実施例におけるがん予防・改善アドバイス装置は,生活要素情報取得部(1601)と,生活要素情報蓄積部(1602)と,生活要素情報評価部(1603)と,アドバイス結果学習部(1604)と,生活要素情報最適値保持部(1605)と,アドバイス保持部(1606)と,アドバイス選択ルール保持部(1607)と,アドバイス選択部(1608)と,アドバイス出力部(1609)とから構成されている。このうち,生活要素情報取得部と生活要素情報最適値保持部とアドバイス保持部とアドバイス出力部は,前述のとおりである。
【0121】
生活要素情報蓄積部とは,取得した生活要素情報をその生活要素情報の取得時期に対応する後記出力されたアドバイス情報と関連付けて履歴情報として蓄積する機能である。前記実施例における生活要素情報蓄積部とは異なり,「その生活要素情報の取得時期に対応する後記出力されたアドバイス情報と関連付けて」履歴情報として蓄積する。履歴情報は、過去5年分、3年分、1年分という長期にわたっても良いし、1か月、2週間、1週間というように中期であっても良いし、直近1回のみという短期であってもいい。これにより,AI(人工知能)を用いた学習をすることができる。
【0122】
生活要素情報評価部とは,生活要素情報を後記生活要素情報最適値を用いて評価し評価結果を得る機能である。ここで得られた評価結果が,アドバイス情報との関係の学習に利用される。
【0123】
アドバイス結果学習部とは,評価結果と評価された生活要素情報に対応するアドバイス情報との関係を学習する機能である。例えば,アドバイス内容と蓄積された生活要素情報の変化から,生活要素情報最適値に近づくための効果という側面から相関関係を分析し,その分析結果から効果の大きいアドバイスを学習するという具合である。
【0124】
アドバイス選択ルール保持部とは,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,前記学習結果と,を用いて前記保持されているアドバイスを選択するためのルールであるアドバイス選択ルールを保持する機能である。ここではアドバイス結果学習部にて学習した内容を踏まえて,アドバイス選択ルールが変更されていく。これにより,アドバイスの精度を向上させることができる。
【0125】
アドバイス選択部とは,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,を変数として前記保持されているアドバイス選択ルールを用いてアドバイスを選択する機能である。
【0126】
図17は,アドバイスを選択する具体的な処理を示す図である。一例として,生活要素情報をBMI値として説明する。BMI値の生活要素情報最適値は,18.5~25.0である。保持されているアドバイスとしては,「(1)野菜から先に食べて下さい」「(2)規則正しい食事をして下さい」「(3)総カロリー数を2000Kcal/日以下にして下さい」「(4)糖質の量を減らして下さい」「(5)日本酒の飲酒を1回/週以下にして下さい」「(6)糖質をカットして下さい」「(7)1週間に1日断食して下さい」「(8)肉類を多量に食べて下さい」という複数のアドバイス情報である。2015年1月1日から2016年12月31日までの期間において,BMI値が18.5未満の28651人に対して実施したアドバイスのうち「(2)規則正しい食事をしてください」については効果があり,「(8)肉類を多量に食べて下さい」については非常に効果があり,その他については効果が無いということを示している。次に,BMI値が18.5以上25.0未満の1030653人に対して実施したアドバイスのうち「(2)規則正しい食事をしてください」については効果があり,「(1)野菜から先に食べてください」については若干効果があり,その他については効果が無いということを示している。なお,BMI値が18.5以上25.0未満の場合には,BMI値がもともと最適値であるから,ここにおける効果とは,その状態を維持するという効果である。次に,BMI値が25.0以上30.0未満の1117648人に対して実施したアドバイスのうち「(1)野菜から先に食べて下さい」「(6)糖質をカットして下さい」については非常に効果があり,「(2)規則正しい食事をして下さい」「(4)糖質の量を減らして下さい」については効果があり,その他については若干効果があるということを示している。次に,BMI値が30.0以上35.0未満の957461人に対して実施したアドバイスのうち「(6)糖質をカットして下さい」については非常に効果があり,「(5)日本酒の飲酒を1回/週以下にして下さい」「(7)1週間に1日断食して下さい」については効果があり,「(2)規則正しい食事をして下さい」「(3)総カロリー数を2000Kcal/日以下にして下さい」「(4)糖質の量を減らして下さい」「(8)肉類を多量に食べて下さい」については若干効果があり,「(1)野菜から先に食べて下さい」については効果がないということを示している。これらのデータから,BMI値の各数値のユーザに対してする適切なアドバイスが分析・学習され,それに基づいてアドバイス選択ルールが更新されるのである。適切なアドバイス内容として,効果があるアドバイスが適切であることはいうまでもない。例えば,Aさんを例にとれば,2016年10月のBMI値は29.5であることから,Aさんに対するアドバイスとして選択されるのは,その数値において非常に効果があると学習されている「(1)野菜から先に食べて下さい」「(6)糖質をカットして下さい」というアドバイスということになる。
【0127】
以上の機能に加えて,新規アドバイスをアドバイス保持部に記録するための新規アドバイス記録部をさらに有していてもいい。そうすれば,学習した結果にて既存のアドバイス以外のアドバイスが適切であると考えられる場合にて,自動的に適切なアドバイスを記録することができる。そうすれば,アドバイス選択部で選択するアドバイスの中に,より最適なアドバイスが盛り込まれることとなり,出力するアドバイスの精度を一層向上させることができる。
【0128】
生活要素情報の測定方法や入力方法は特に限定せず、例えば本発明の装置の外部測定装置によってデータを得て、そのデータを本発明の装置が受信するという構成でもいい。さらには、例えば摂取しているサプリや薬品などの物については、カメラ認識にてサプリメントや薬品を特定できるように構成してもいい。
【0129】
≪生活要素情報≫
生活要素情報で取得する生活要素情報は,身体診断結果の情報として,身体計測結果(BMI,腹囲,内臓脂肪,体脂肪率),身体状況検査結果(血圧,視力,眼圧,肺機能,聴力,毛髪状況),尿検査結果,便検査結果,便の回数,便の色,便の性状,血液生化学検査結果,血清学検査結果,腫瘍マーカー検査結果,糖尿病検査結果,細胞診検査結果,眼底カメラ検査結果,乳房検査結果,超音波検査結果,消化管検査結果,胸部エックス線検査結果,CT検査結果,MRI検査結果,PET検査結果,直腸診断検査結果,直腸温,心電図検査結果,平衡機能検査結果,動脈硬化評価結果,骨粗しょう症検査結果,女性ホルモン検査結果,リスクマーカー検査結果,遺伝子情報のいずれか一以上の情報であってもいい。具体的に尿検査結果としては,尿タンパク,尿糖,尿潜血反応,尿ビリルビン,尿ウロビリノーゲンなどの有無,尿pHの値,尿沈渣の値などが挙げられ、これらのデータは、トイレの便器に測定装置を備えて、用を足す際に測定するように構成しても良い。また,便検査結果としては,潜血反応の有無,寄生虫の有無などが挙げられる。また、便の回数・色・性状については、カメラ装置にて撮影した画像を取得するという方法でもいい。また,血液生化学検査結果としては,総たんぱく質,アルブミン,コリンエステラーゼ,乳酸脱水素酵素,アスパラギン酸アミノ基転移酵素,アラニンアミノ基転移酵素,ガンマ・グルタミルトランスフェラーゼ,アルカリホスファターゼ,総ビリルビン,アミラーゼ,尿素窒素,クレアチニン,クレアチンキナーゼ,総コレステロール,中性脂肪,HDLコレステロール,LDLコレステロール,尿酸,ナトリウム,カリウム,クロール,カルシウム,無機リン,血清鉄,不飽和鉄結合能などの量ないし濃度が挙げられる。血清学検査結果としては,細菌や異物に抵抗する抗体の有無及び量,アレルゲンの内容,免疫異常の有無などが挙げられる。腫瘍マーカー検査結果としては,CA125,CA19-9,CEA,α‐フェトプロテイン(AFP),フェリチン,PSA(前立腺特異抗原),TPAなどの値などが挙げられる。糖尿病検査結果としては,空腹時血糖値,ブドウ糖負荷後2時間値,随時血糖値,HbA1c値などが挙げられる。細胞診検査結果としては,NILM,ASC-US,ASC-H,LSIL,HSIL,SCCなどの分類のいずれに属するか否かなどが挙げられる。眼底カメラ検査結果としては,乳頭陥凹拡大,豹紋状眼底,硬性白斑,ドルーゼン,緑内障の疑い,出血,緑内障,網脈絡膜萎縮,白内障の疑い,交叉現象,白内障,出血疑,白斑,網膜変性,蛇行,網膜前膜,黄斑変性の疑い,黄斑部所見,コーヌス,乳頭部所見などの異常所見の有無及び内容が挙げられる。乳房検査結果としては,石灰化,腫瘤,局所非対称陰影などの所見が挙げられる。乳房超音波検査結果としては,乳腺のう胞,乳腺線維腺腫,石灰化,腫瘤,乳管拡張症,乳腺炎,乳腺症などが挙げられる。消化管検査結果としては,アカラシア,食道静脈瘤,食道裂孔ヘルニア,胃下垂・ばく状胃,萎縮性胃炎,びらん性胃炎,隆起性病変・透亮像,陥没性病変・ニッシ,粘膜不整・ひだ集中・辺縁不整,圧排,憩室,潰瘍瘢痕などの所見の有無,ピロリ菌抗体の有無,ペプシノゲンの濃度が挙げられる。胸部エックス線検査結果としては,異常陰影の有無などが挙げられる。CT検査結果,MRI検査結果,PET検査結果,直腸診断検査結果,心電図検査結果,動脈硬化評価結果,リスクマーカー検査結果としては,異常所見の有無及び内容などが挙げられる。平衡機能検査結果としては,開眼および閉眼時の身体に現れる動揺の有無,程度,および転倒傾向,ならびに開眼と閉眼での差などを観察した結果などを挙げられる。骨粗しょう症検査結果としては,骨密度,骨の微細構造,骨代謝回転の速さ,微小骨折の有無,石灰化の密度などが挙げられる。女性ホルモン検査結果としては,エストラジオール値,性腺刺激ホルモンのLHとFSHの値,プロラクチン値などが挙げられる。
【0130】
次に,生活要素情報取得部で取得する生活要素情報は,日常生活情報として,住環境の光の質と明るさ,住環境の騒音量,住環境の室温,住環境の湿度,職場環境の光の質と明るさ,職場環境の騒音量,職場環境の室温,職場環境の湿度,食事の内容,食事の摂取カロリー,食事の摂取食品成分及び量,食事の回数,食事のタイミング,摂取サプリメントの内容,摂取サプリメントの摂取カロリー,摂取サプリメントの摂取サプリメント成分及び量,摂取サプリメントの摂取回数,摂取サプリメントの摂取タイミング,睡眠の質,睡眠の量,運動の種類及び運動量,仕事の質及び仕事の量,勤務時間,仕事での移動量,通勤の質及び量,仕事における会社からの評価結果(昇給,昇進,転勤,転属),失業・転職の有無,体力維持・増強のためのトレーニングの質及び量,街歩きの質及び量,買い物の質及び量,自然環境との接触の質及び量,娯楽の質及び量,友人関係の質及び量,夫婦関係の質及び量,事故の質及び量,引っ越しの有無,結婚・離婚の有無,高額物件・高額商品の購入履歴,資格取得のための学習の質及び量,資格取得の有無,会社経営・自営の場合の顧客との関係の変化,のいずれか一以上であってもいい。具体的に光の質と明るさとしては,光束 [lm:ルーメン],光度 [cd:カンデラ],輝度 [cd/m2:カンデラ/平方メートル],照度 [lx:ルクス]などの値が挙げられる。騒音量としては,音の大きさ(圧力)を表す物理量を示すパスカル(Pa),音圧レベルを示すデシベル(dB)の値などが挙げられる。食事の内容としては,コンビに食,インスタント,レトルト,自宅調理食品,ファミリーレストランなどの別が挙げられる。食事の摂取食品成分及び量としては,エネルギー,水分,たんぱく質,アミノ酸組成によるたんぱく質,脂質,トリアシルグリセロール当量,飽和脂肪酸,一価不飽和脂肪酸,多価不飽和脂肪酸,コレステロール,炭水化物,水溶性食物繊維,不溶性食物繊維,灰分,ナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム,リン,鉄,亜鉛,銅,マンガン,ヨウ素,セレン,クロム,モリブデン,ビタミンA(レチノール,α-カロテン,β-カロテン,β-クリプトキサンチン,β-カロテン当量,レチノール活性当量),ビタミンD,ビタミンE(α-トコフェロール,β-トコフェロール,γ-トコフェロール,δ-トコフェロール),ビタミンK,ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンナイアシン,ビタミンB6,ビタミンB12,ビタミン葉酸,ビタミンパントテン酸,ビタミンピオチン,ビタミンC,食塩相当量,アルコールなどの量が挙げられる。摂取サプリメントの内容としては,ビタミンA,ビタミンB,ビタミンC,ビタミンD,ビタミンE,ビタミンH,ビタミンK,ビタミンP,ビタミンU,コバラミン,亜鉛,鉄,銅,クロム,セレン,マグネシウム,カルシウム,カリウム,ナトリウム,コバルト,モリブデン,ヨウ素,リン,MSM,トリプトファン,スレオニン,ロイシン,イソロイシン,リジン,メチオニン,フェニルアラニン,ヒスチジン,アスパラギン,セリン,プロリン,グルタミン,チロシン,DNA,αリノレン酸,EPA,DHA,アラキドン酸,ガンマリノレン酸,DNJ,青汁,卵黄コリン,舞茸,麻黄,紅麹,発芽玄米,乳酸菌,納豆,納豆菌,田七人参,朝鮮人参,月見草,植物ステロール,紫蘇油,亜麻仁油,高麗人参,桑の葉,梅エキス,肝油エキス,赤ワインエキス,大豆イソフラボン,霊芝,緑茶,大麦若葉,食物繊維,黒豆,アガリクス,アセロラ,アラビノキシラン,アリシン,アルコキシグリコール,アロエ,アンデスニンジン,イソフラボン,イチョウ葉,インドニンジン,ウコン,春ウコン,秋ウコン,エキナセア,セイヨウオトギリ(セント・ジョーンズ・ワート),エゾウコギ,ニコエン,エノキタケ,エフェドラ,オイゲニン,オーブリーフ,オリゴ糖,カイアポイモ,カテキン,ガウクルア,ガラナ,ガルシニア,カルシウム,キチン,キトサン,キャッツクロー,キャベツ,ギムネマ,ギンコバ,クェルセチン,クエン酸,クランベリー,クルクミン,クロレラ,グルコサミン,ケール,ケフィア,コエンザイムQ10,ゴマ,コラーゲン,コンドロイチン,コンドロイチン硫酸,ゴーヤー,サメ軟骨,シベリア人参,スクワレン,ジンセノサイド,シリマリン,ゼアキサンチン,ソーパルメット,スィートクローバー,ターメリック,チアミン,チェストツリー,テアニン,トコトリエノール,トコフェノール,トマト,ドコサヘキサエン酸,とろみ剤,ナットウキナーゼ,ニガウリ,ニコエン,ニコチン酸,ニコチン酸アミド,ニンニク,ノコギリヤシ,ノニ,バイオブラン,バナバ,バラの花エキス,バレリアン,パパイア,パパイン,パントテン酸,ヒアルロン酸,ビール酵母,ピクノジェノール,ピコペン,ビフィズス菌,ヒメマツタケ,ピリドキシン,ピリドキサールリン酸,ピリドキサミン,ビルベリー,ピンクグレープフルーツ,フィロキノン,フコイダン,ブラックコホシュ,ブルーベリー,プエラリアミリフィカ,フォスファチジルコリン,プテロイルグルタミン酸,プロアントシアニジン,プロポリス,ベータグルカン,ボラージオイル,マカ,マリアアザミ,ムメフラール,メシマコブメチルサルフォニルメタン,メナキノン,メラトニン,メリロート,モナコリン,リコピン,リボフラビン,ルテイン,レイシ,レシチン,レチナール,レチノイン酸,レチノール,レッドクローバー,ローヤルゼリー,ローズヒップなどの量が挙げられる。睡眠の質としては,睡眠の深さであるレム睡眠とノンレム睡眠のバランスなどが上げられる。睡眠の量として,睡眠時間などが挙げられる。運動の種類としては,有酸素運動と無酸素運動の別,ストレッチ,筋トレなどの具体的な運動の内容などが挙げられる。運動量としては,運動時間,消費カロリー量などが挙げられる。仕事の質としては,事務職か営業職かなどの仕事内容の別,役割及び責任の重要性などに関わる役職の別などが挙げられる。仕事の量としては,仕事時間や成果物の量などが挙げられる。仕事での移動量としては,移動距離と移動の所要時間などが挙げられる。通勤の質としては,通勤手段の別,及び例えば電車の場合の混み具合などが挙げられる。体力維持・増強のためのトレーニングの質及び量としては,トレーニングの内容とトレーニング時間及び頻度などが挙げられる。街歩きの質及び量としては,街歩きの場所や速度,及び時間や頻度などが挙げられる。買い物の質及び量としては,買い物の場所や購入商品の内容,購入商品の量や代金額などが挙げられる。自然環境との接触の質及び量は,接触する動物や植物などの内容及び頻度や時間などが挙げられる。娯楽の質及び量としては,娯楽の内容や娯楽に勝ち負けがある場合には勝敗内容,及び娯楽頻度及び費やす時間・費用などが挙げられる。友人関係,夫婦関係の質及び量としては,連絡や接触の頻度,接触内容,会話内容,接触時間などが挙げられる。事故の質及び量としては,事故内容,事故による傷病の有無及び内容,事故の加害者・被害者の別,相手方の対応の内容,事故の頻度などが挙げられる。資格取得のための学習の質及び量としては,資格試験の難易度,資格取得が人生に与える影響の度合い,目標達成の有無,学習量などが挙げられる。
【0131】
次に,生活要素情報取得部で取得する生活要素情報は,病気・ケガ情報として,ケガ・病気の質及び量,ケガ・病気に応じて服薬している薬品の種類及び量,ケガ・病気に応じて通院する頻度と時間長,ケガ・病気に応じて行われる診断の質及び量,ケガ・病気に応じて行われる手術の質及び量,ケガ・病気に応じて身体に帯同する機器,補助具,包帯等の質及び量,のいずれか一以上の情報であってもいい。
【0132】
次に,生活要素情報取得部で取得する生活要素情報は,精神状態情報として,ユーザの声の質,ユーザの声の大きさ,ユーザの発声量,自律神経状態,ユーザの気持,性生活の満足度,物に対して抱くイメージ,起床時の気分,入眠時の気分,睡眠中の気分,仕事中の気分,休日の気分,食事の際の気分,排便時の気分,体感温度,手足のひえ,呼吸のしやすさ,のいずれか一以上の情報であってもいい。具体的にユーザの声の質としては,声の高さ,ハリ,鼻声などが挙げられる。ユーザの声の大きさとしては,db(デシベル)を単位として測定することが考えられる。自律神経状態としては,交感神経優位,副交感神経優位ということなどが挙げられる。ユーザの気持としては,快・不快,ポジティブ・ネガティブなどが挙げられる。性生活の満足度としては,数値化しても良いし,「不満」「普通」「満足」「非常に満足」などのランク分けをしてもいい。物に対して抱くイメージとしては,喜,怒,哀,楽,愛,憎,悪,欲などの感情などが挙げられる。起床時の気分,入眠時の気分,睡眠中の気分,仕事中の気分,休日の気分,食事の際の気分,排便時の気分としては,快・不快などを数値化してもいい。手足のひえとしては,サーモグラフィ検査などで手足の末端の温度を測定してもいい。
【0133】
≪遺伝子情報≫
以上の生活要素情報に加えて,遺伝子情報を取得してもいい。遺伝子によっては,例えばガンになり易いなどの特定の傾向がある。そのため,アドバイスの選択においても,この遺伝子情報を加味した選択が望まれるのであり,保持されているアドバイス選択ルールにおいても,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値に加えて,遺伝子情報をも変数としてルール付けがなされていることが望ましい。
【0134】
図18は,遺伝子情報の一例を示す図である。例えば,「肥満」の分類にて説明すれば,「β3AR(Trp64Arg)」という遺伝子を有していると「脂肪の分解と熱産生が低下し、基礎代謝量が200Kcal(標準より150Kcal)少なく太りやすい。」という臨床症状を起こしやすいとされており,「β2AR(Arp16Gly)」という遺伝子を有していると「脂肪の分解が低下し、基礎代謝量が100Kcal(標準より50Kcal)少なく太りやすい」という臨床症状を起こしやすいとされており,「UCP1(A-3826G)」という遺伝子を有していると「肪から熱産生が低下し、基礎代謝量が100Kcal(標準より50Kcal)少なく、太りやすい」という臨床症状を起こしやすいとされている。また,「酸化ストレス・エイジング」の分類にて説明すれば,「eNOS(T-786C)」という遺伝子を有していると「酸化ストレスの影響を受けやすく、喫煙者では、狭心症が起こりやすい」という臨床症状を起こしやすいとされており,「eNOS(Glu298Asp)」という遺伝子を有していると「活性酸素が増えやすい」という臨床症状を起こしやすいとされており,「HUMPONA(Met55Leu)」という遺伝子を有していると「LDLコレストロールの酸化がすすみやすい」という臨床症状を起こしやすいとされており,「Pon1(Gln192Arg)」という遺伝子を有していると「LDLコレストロールの酸化がすすみやすい」という臨床症状を起こしやすいとされており,「Mn-SOD(Val16Ala)」という遺伝子を有していると「酸化ストレスの影響を受けやすい」という臨床症状を起こしやすいとされており,「GCLM(C-588T)」という遺伝子を有していると「細胞内グルタチオン(抗酸化物質)が低下し、酸化ストレスの影響を受けやすい」という臨床症状を起こしやすいとされており,「mitochondria(C5178A)」という遺伝子を有していると「活性酸素が増えやすい」という臨床症状を起こしやすいとされている。
【0135】
≪生活要素情報最適値≫
図19Aから
図19Dは,生活要素情報最適値の具体例の一例を示す図である。血圧については,高い値が,「120未満」であると不適,「120~130」であると標準範囲,「130超」であると不適であり,低い値が,「80未満」であると不適,「80~85」であると標準範囲,「85超」であると不適である。視力については,「0.7未満」であると不適,「0.7~2.0」であると標準範囲である。眼圧については,「10mmhg未満」であると不適,「10~20mmhg」であると標準範囲,「20mmhg超」であると不適である。肺活量については,「%肺活量80未満,1秒率70%未満」であると不適,「%肺活量80以上,1秒率70%以上」であると標準範囲である。尿アルブミンについては,「30mg/g未満」であると標準範囲,「30mg/g以上」であると不適である。総ビリルビンについては,「0.2mg/dl未満」であると不適,「0.2~1.2mg/dl」であると標準範囲,「1.2mg/dl超」であると不適である。クンケル試験については,「2.0未満」であると不適,「2.0~12.0」であると標準範囲,「12.0超」であると不適である。チモール混濁反応については,「0~4」であると標準範囲,「4超」であると不適である。アルカリフォスファターゼについては,「110IU/I未満」であると不適,「110~354IU/I」であると標準範囲,「354IU/I超」であると不適である。クレアチンキナーゼについては,男性の場合,「38IU/I未満」であると不適,「38~196IU/I」であると標準範囲,「196IU/I超」であると不適であり,女性の場合,「30IU/I未満」であると不適,「30~172IU/I」であると標準範囲,「172IU/I超」であると不適である。ロイシンアミノペプチダーゼについては,「30IU/I未満」であると不適,「30~70IU/I」であると標準範囲,「70IU/I超」であると不適である。乳酸脱水素酸素については,「121IU/I未満」であると不適,「121~245IU/I」であると標準範囲,「245IU/I超」であると不適である。γ-GTについては,「80IU/I以下」であると標準範囲,「80IU/I超」であると不適である。コリンエステラーゼについては,「213IU/I未満」であると不適,「213~501IU/I」であると標準範囲,「501IU/I超」であると不適である。細胞内水分量については,「24.6未満」であると不適,「24.6~30.0」であると標準範囲,「30.0超」であると不適である。細胞外水分量については,「15.1未満」であると不適,「15.1~18.5」であると標準範囲,「18.5超」であると不適である。タンパク質量については,「10.6未満」であると不適,「10.6~13.0」であると標準範囲,「13.0超」であると不適である。ミネラル量については,「3.67未満」であると不適,「3.67~4.49」であると標準範囲,「4.49超」であると不適である。体脂肪量については,「8.5未満」であると不適,「8.5~16.9」であると標準範囲,「16.9超」であると不適である。体重については,「60.0未満」であると不適,「60.0~81.2」であると標準範囲,「81.2超」であると不適である。骨格筋量については,「30.3未満」であると不適,「30.3~37.0」であると標準範囲,「37.0超」であると不適である。BMIについては,「18.5未満」であると不適,「18.5~25.0」であると標準範囲,「25.0超」であると不適である。体脂肪率については,「10.0未満」であると不適,「10.0~20.0」であると標準範囲,「20.0超」であると不適である。ウェスト・ヒップ差については,「0.75未満」であると不適,「0.75~0.85」であると標準範囲,「0.85超」であると不適である。ASTについては,「35IU/I以下」であると標準範囲,「35IU/I超」であると不適である。ALTについては,「40IU/I」であると標準範囲,「40IU/I超」であると不適である。総コレステロールについては,「140mg/dl未満」であると不適,「140~219mg/dl」であると標準範囲,「219mg/dl超」であると不適である。中性脂肪については,「30mg/dl未満」であると不適,「30~149mg/dl」であると標準範囲,「149mg/dl超」であると不適である。HDLコレステロールについては,「40mg/dl未満」であると不適,「40~119mg/dl」であると標準範囲,「119mg/dl超」であると不適である。LDLコレステロールについては,「60mg/dl未満」であると不適,「60~139mg/dl」であると標準範囲,「139mg/dl超」であると不適である。血清アミラーゼについては,「38IU/I未満」であると不適,「38IU/I~136IU/I」であると標準範囲,「136IU/I超」であると不適である。尿酸については,「0.7mg/dl未満」であると標準範囲,「0.7mg/dl超」であると不適である。尿素窒素については,「8mg/dl未満」であると不適,「8~22mg/dl」であると標準範囲,「22mg/dl超」であると不適である。総蛋白については,「6.5g/dl未満」であると不適,「6.5~9.0g/dl」であると標準範囲,「9.0g/dl超」であると不適である。血清アルブミンについては,「4.0g/dl未満」であると不適,「4.0g/dl以上」であると標準範囲である。クレアチニンについては,男性の場合、「1.0mg/dl未満」であると標準範囲,「1.0mg/dl以上」であると不適であり、女性の場合、「0.7mg/dl未満」であると標準範囲,「0.7mg/dl以上」であると不適である。eGFRについては,「60ml/分/1.73m
2未満」であると不適,「60ml/分/1.73m
2以上」であると標準範囲である。甲状腺刺激ホルモンについては,「0.54μU/ml未満」であると不適,「0.54~4.54μU/ml」であると標準範囲,「4.54μU/ml超」であると不適である。血清鉄については,「40μg/dl未満」であると不適,「40~199μg/dl」であると標準範囲,「199μg/dl超」であると不適である。ヒト脳性ナトリウム 利尿ペプチドについては,「18.4pg/ml以下」であると標準範囲,「18.4pg/ml超」であると不適である。ナトリウムについては,「135mEq/l未満」であると不適,「135~150mEq/l」であると標準範囲,「150mEq/l超」であると不適である。カリウムについては,「3.5mEq/l未満」であると不適,「3.5~5.3mEq/l」であると標準範囲,「5.3mEq/l超」であると不適である。カルシウムについては,「8.4mg/dl未満」であると不適,「8.4~10.2mg/dl」であると標準範囲,「10.2mg/dl超」であると不適である。クロールについては,「98mEq/l未満」であると不適,「98~110mEq/l」であると標準範囲,「110mEq/l超」であると不適である。無機リンについては,「2.5mg/dl未満」であると不適,「2.5~4.5mg/dl」であると標準範囲,「4.5mg/dl超」であると不適である。総ホモシステインについては,「3.7nmo/ml未満」であると不適,「3.7~13.5nmo/ml」であると標準範囲,「13.5nmo/ml超」であると不適である。RF定量については,「20U/ml以下」であると標準範囲,「20U/ml超」であると不適である。ASOについては,「239lU/ml以下」であると標準範囲,「239lU/ml超」であると不適である。ヘモグロビンについては,男性の場合、「13.1g/dl未満」であると不適,「13.1~17.9g/dl」であると標準範囲,「17.9g/dl超」であると不適であり、女性の場合、「12.1g/dl未満」であると不適,「12.1~15.9g/dl」であると標準範囲,「15.9g/dl超」であると不適である。ヘマトクリットについては,男性の場合、「38.5%未満」であると不適,「38.5~52.8%」であると標準範囲,「52.8%超」であると不適であり、女性の場合、「35.5%未満」であると不適,「35.5~46.9%」であると標準範囲,「46.9%超」であると不適である。CEAについては,「5.0ng/ml以下」であると標準範囲,「5.0ng/ml超」であると不適である。α-FPについては,「0~10ng/ml」であると標準範囲,「10ng/ml超」であると不適である。CA19-9については,「37U/ml以下」であると標準範囲,「37U/ml超」であると不適である。CA125(女性)については,「35U/ml以下」であると標準範囲,「35U/ml超」であると不適である。CA15-3(女性)については,「30U/ml以下」であると標準範囲,「30U/ml超」であると不適である。PSAについては,「0~4.0ng/ml」であると標準範囲,「4.0ng/ml超」であると不適である。ガストリン放出ペプチド前駆体については,「46.0pg/ml未満」であると標準範囲,「46.0pg/ml以上」であると不適である。サイトケラチン19フラグメントについては,「3.5ng/ml以下」であると標準範囲,「3.5ng/ml超」であると不適である。SCCについては,「2.0ng/ml以下」であると標準範囲,「2.0ng/ml超」であると不適である。NSEについては,「10.0ng/ml以下」であると標準範囲,「10.0ng/ml超」であると不適である。STNについては,「45.0U/m以下」であると標準範囲,「45.0U/m超」であると不適である。インスリンについては,「2.7μU/ml未満」であると不適,「2.7~10.4μU/ml以下」であると標準範囲,「10.4μU/ml超」であると不適である。これらはあくまで一例であり,同様の具合にて生活要素情報最適値が保持されている。
【0136】
<ハードウェア構成>
図20にあるように,記憶装置((2001)例えばハードディスク,ROM装置)には生活要素情報取得プログラム,生活要素情報蓄積プログラム,生活要素情報最適値保持プログラム,生活要素情報評価プログラム,アドバイス結果学習プログラム,アドバイス保持プログラム,アドバイス選択ルール保持プログラム,アドバイス選択プログラム,アドバイス出力プログラムが格納され,さらにデータとして,生活要素情報,生活要素情報最適値,評価結果,学習結果,履歴情報,アドバイス情報,アドバイス選択ルール,アドバイス選択結果が保持されている。そして本件装置を起動すると,記憶装置からメインメモリ(2002)に上記各プログラム及び必要なデータがロードされ,コンピュータとしての本件装置が稼働可能となる。さらに,新規アドバイスを記録するための新規アドバイス記録プログラムを格納していてもいい。
【0137】
<処理の流れ>
図21は,本実施例における処理の流れを示す図である。本実施例における処理の流れは,生活要素情報取得ステップ(S2101)と,アドバイス選択ステップ(S2102)と,アドバイス出力ステップ(S2103)と,生活要素情報評価結果取得ステップ(S2104)と,アドバイス結果学習ステップ(S2105)と,履歴情報蓄積ステップ(S2106)とからなる。
【0138】
生活要素情報取得ステップは,ユーザの生理活動に影響を及ぼす情報又は/及びユーザの健康度合いを示す情報である生活要素情報をユーザから取得する段階である。
【0139】
アドバイス選択ステップは,生活要素情報の履歴情報とその生活要素の保持されている生活要素情報最適値と,を変数として前記保持されているアドバイス選択ルールを用いてアドバイスを選択する段階である。
【0140】
アドバイス出力ステップとは,アドバイス選択ステップにて選択されたアドバイスを出力する段階である。
【0141】
生活要素情報評価結果取得ステップは,生活要素情報を生活要素情報最適値を用いて評価し評価結果を得る段階である。
【0142】
アドバイス結果学習ステップは,評価結果と評価された生活要素情報に対応するアドバイス情報との関係を学習する段階である。
【0143】
履歴情報蓄積ステップは,取得した生活要素情報をその生活要素情報の取得時期に対応する出力されたアドバイス情報と関連付けて履歴情報として蓄積する段階である。
【0144】
履歴情報蓄積ステップの後には,再度,学習結果と履歴情報を踏まえてアドバイス選択ステップまで戻り,これらの工程を繰り返すという具合である。
【0145】
<まとめ>
以上の構成により,AI(人工知能)により,アドバイス結果を学習して,アドバイス選択の精度を高めたり,更新することが可能となる。
【符号の説明】
【0146】
0100 がん予防・改善アドバイス装置
0101 生活要素情報取得部
0102 生活要素情報蓄積部
0103 生活要素情報最適値保持部
0104 アドバイス保持部
0105 アドバイス選択ルール保持部
0106 アドバイス選択部
0107 アドバイス出力部