(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046814
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】ベッドサイドモニター及び表示方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220315BHJP
【FI】
A61B5/00 102E
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007108
(22)【出願日】2022-01-20
(62)【分割の表示】P 2017135023の分割
【原出願日】2017-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 泰典
(72)【発明者】
【氏名】林 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】本宮 宣明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真司
(57)【要約】
【課題】トランスポートモニターによって取得された移動中の生体情報を含む、患者の一連の生体情報を診断し易い形で表示できるベッドサイドモニター及び表示方法を提供すること。
【解決手段】ベッドサイドモニターは、トランスポートモニターが接続された状態で取得された心電波形と、トランスポートモニターが接続されていない状態でトランスポートモニターによって取得された心電波形とを、同一時間軸上に繋げて表示するとともに、トランスポートモニターが接続された状態で取得された心電波形と、トランスポートモニターが接続されていない状態でトランスポートモニターによって取得された心電波形とを繋げた位置を示す目印301、302を表示するようにした。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドサイドモニターと、前記ベッドサイドモニターに接続可能な移動可能な生体情報測定装置と、を有する生体情報モニタリングシステムに用いられる前記ベッドサイドモニターであって、
前記移動可能な生体情報測定装置が接続される接続部と、
前記移動可能な生体情報測定装置が前記接続部に接続された状態で取得された第1の生体情報と、前記移動可能な生体情報測定装置が前記接続部に接続されていない状態で前記移動可能な生体情報測定装置によって取得された第2の生体情報と、を表示する表示部と、
を備え、
前記表示部は、前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とを、同一時間軸上に繋げて表示するとともに、前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とを繋げた位置を示す目印を表示する、
ベッドサイドモニター。
【請求項2】
前記移動可能な生体情報測定装置は、テレメータである、
請求項1に記載のベッドサイドモニター。
【請求項3】
前記第2の生体情報は、前記テレメータの移動中にセントラルモニターに無線送信され、前記セントラルモニターを介して前記ベッドサイドモニターに送られる、
請求項2に記載のベッドサイドモニター。
【請求項4】
前記表示部は、前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とを繋げた位置近傍の、前記第1及び又は前記第2の生体情報をマスキングする、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のベッドサイドモニター。
【請求項5】
前記ベッドサイドモニターに設定された患者ID、及び、前記移動可能な生体情報測定装置に設定された患者IDを識別するID識別部を、さらに備え、
前記表示部は、前記ID識別部によって同一の患者IDであると識別された前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とを同一時間軸上に繋げる、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のベッドサイドモニター。
【請求項6】
第1の生体情報モニターと、前記第1の生体情報モニターに比して小型で移動性に優れておりかつ前記第1の生体情報モニターに接続可能な第2の生体情報モニターと、を有する生体情報モニタリングシステムであって、
前記第1の生体情報モニターは、
前記第2の生体情報モニターが接続される接続部と、
前記第2の生体情報モニターが前記接続部に接続された状態で取得された第1の生体情報と、前記第2の生体情報測定装置が前記接続部に接続されていない状態で前記第2の生体情報測定装置によって取得された第2の生体情報と、を表示する表示部と、
を備え、
前記表示部は、前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とを、同一時間軸上に繋げて表示するとともに、前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とを繋げた位置を示す目印を表示する、
生体情報モニタリングシステム。
【請求項7】
第1の生体情報モニターと、前記第1の生体情報モニターに比して小型で移動性に優れておりかつ前記第1の生体情報モニターに接続可能な第2の生体情報モニターと、を有する生体情報モニタリングシステムに用いられる表示方法であって、
前記第1の生体情報モニターに前記第2の生体情報モニターが接続された状態で、前記第1の生体情報モニター及び前記第2の生体情報モニターによって第1の生体情報を取得する第1の生体情報取得ステップと、
前記第2の生体情報モニターが接続されていない状態で、前記第2の生体情報モニターによって第2の生体情報を取得する第2の生体情報取得ステップと、
前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とを同一時間軸上に繋げて表示するとともに、前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とを繋げた位置を示す目印を表示する表示ステップと、
を含む表示方法。
【請求項8】
前記第1の生体情報モニターはベッドサイドモニターであり、前記第2の生体情報モニターはテレメータである、
請求項7に記載の表示方法。
【請求項9】
前記ベッドサイドモニターに設定された患者ID、及び、前記テレメータに設定された患者IDを識別するステップを、さらに含み、
前記表示ステップでは、同一の患者IDの前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とを同一時間軸上に繋げる、
請求項8に記載の表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型のトランスポートモニターを接続可能なベッドサイドモニター、及び、ベッドサイドモニターとベッドサイドモニターに接続可能な可搬型のトランスポートモニターとを有する生体情報モニタリングシステムに用いられる表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院などの医療現場においては、一人一人の患者の生体情報(例えば、心電図、血圧、呼吸回数、脈拍など)を、随時、収集したり、分析したり、表示したりすることが必要となる。また、患者は、病室、検査室、手術室などを移送されることになるので、その患者の生体情報の収集も患者の移送と一緒に行う必要がある。小型の医療用ポータブルモニタシステム(例えば特許文献1、2参照)が広く用いられている。
【0003】
この種のシステムとして、据置型のベッドサイドモニターに可搬型のトランスポートモニターを接続可能(具体的にはドッキング及び取り外し可能)とされたものがある。なおこの種のベッドサイドモニターは、トランスポートモニターに対するホストモニターと言うこともできる。
【0004】
トランスポートモニターは、心電図測定用電極などが接続される端子部、小型ディスプレイ、データ記憶装置、及び、バッテリなどを有し、患者が移送中でも生体情報を途切れなく取得し、それを表示及び記録することができる。患者の移送中にトランスポートモニターに記録された生体情報は、トランスポートモニターがベッドサイドモニターにドッキングされた際にベッドサイドモニターに転送される。ベッドサイドモニターに転送された生体情報は、ベッドサイドモニターに接続されたセントラルモニターにも送られる。
【0005】
このようなトランスポートモニターを有するシステムを用いれば、移送中の患者の生体情報を容易に取得できる。また、ベッドサイドモニターにトランスポートモニターをドッキングするように構成したことにより、患者に装着された生体情報取得用の電極などをベッドサイドモニターとトランスポートモニターとの間で接続し直すことなく、トランスポートモニターをベッドサイドモニターに抜き差しするだけで生体情報の測定を継続できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平8-504345号公報
【特許文献2】特表平8-504531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、患者の移送中にトランスポートモニターで取得された生体情報は、一時的にトランスポートモニターの記憶部に記憶され、トランスポートモニターがベッドサイドモニターに接続されたときに、そのベッドサイドモニター及びセントラルモニターを介して、さらに上位のサーバ装置に送られる。サーバ装置は、ベッドサイドモニターによって取得された生体情報と、トランスポートモニターによって取得された生体情報と、の両方を表示部(ディスプレイ)上に表示できるようになっている。
【0008】
よって、従来は、移送中を含む一連の生体情報を上位のサーバ装置で見ることはできたが、実際に患者の処置を行う現場に配置されているベッドサイドモニターでは見ることができず不便であった。また、ベッドサイドモニター及びトランスポートモニターを含む複数の生体情報モニターで取得された一連の生体情報を、診断がし易い形で表示するための配慮も不十分であった。
【0009】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、トランスポートモニターによって取得された移送中の生体情報を含む、患者の一連の生体情報を診断し易い形で表示できるベッドサイドモニター及び表示方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のベッドサイドモニターの一つの態様は、
ベッドサイドモニターと、前記ベッドサイドモニターに接続可能な可搬型のトランスポートモニターと、を有する生体情報モニタリングシステムに用いられる前記ベッドサイドモニターであって、
前記トランスポートモニターが接続される接続部と、
前記トランスポートモニターが前記接続部に接続された状態で取得された第1の生体情報と、前記トランスポートモニターが前記接続部に接続されていない状態で前記トランスポートモニターによって取得された第2の生体情報と、を表示する表示部と、
を備え、
前記表示部は、前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とを、同一時間軸上に繋げて表示するとともに、前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とを繋げた位置を示す目印を表示する。
【0011】
本発明の表示方法の一つの態様は、
ベッドサイドモニターと、前記ベッドサイドモニターに接続可能な可搬型のトランスポートモニターと、を有する生体情報モニタリングシステムに用いられる表示方法であって、
前記ベッドサイドモニターに前記トランスポートモニターが接続された状態で、前記ベッドサイドモニター及び前記トランスポートモニターによって第1の生体情報を取得する第1の生体情報取得ステップと、
前記トランスポートモニターが接続されていない状態で、前記トランスポートモニターによって第2の生体情報を取得する第2の生体情報取得ステップと、
前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とを同一時間軸上に繋げて表示するとともに、前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とを繋げた位置を示す目印を表示する表示ステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、トランスポートモニターによって取得された移送中の生体情報を含む、患者の一連の生体情報を診断し易い形で表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態に係るベッドサイドモニター及びトランスポートモニターのドッキング(接続)の様子を示す図であり、
図1Aはベッドサイドモニターからトランスポートモニターを取り外す様子を示す図、
図1Bは患者と一緒にトランスポートモニターを移動させる様子を示す図、
図1Cはベッドサイドモニターにトランスポートモニターをドッキングさせる様子を示す図
【
図2】実施の形態のベッドサイドモニター及びトランスポートモニターが接続される院内システムの概略構成を示す図
【
図3】実施の形態のベッドサイドモニターの構成を示すブロック図
【
図4】トランスポートモニターがベッドサイドモニターから外されたときにタッチパネルに表示される画面を示す図
【
図5】トランスポートモニターがベッドサイドモニターに接続されたときにタッチパネルに表示される患者選択画面を示す図
【
図6】実施の形態のベッドサイドモニターによって行われる生体情報の表示方法の説明に供する図であり、
図6Aはベッドサイドモニターにトランスポートモニターがドッキング(接続)された状態で取得された心電波形を示す図、
図6Bはベッドサイドモニターからトランスポートモニターが取り外された状態でトランスポートモニターによって取得された心電波形を示す図、
図6Cはベッドサイドモニターにトランスポートモニターが再ドッキング(再接続)された後にベッドサイドモニターに表示される心電波形を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0015】
<1>全体構成
先ず、実施の形態の全体構成及び前提構成について説明する。
【0016】
図1は、ベッドサイドモニター11、12及びトランスポートモニター20のドッキング(接続)の様子を示す図である。ここで、図示していないが、トランスポートモニター20には、心電図測定用電極などの患者の生体情報を取得するための生体情報検出部が接続されている。
【0017】
患者が、ベッドサイドモニター11が配置された場所からベッドサイドモニター12が配置された場所へと移送される場合、医師や看護師などの医療従事者はベッドサイドモニター11からトランスポートモニター20を取り外し(
図1A)、患者と一緒にトランスポートモニターを移動させた(
図1B)後、ベッドサイドモニター12にトランスポートモニター20をドッキングさせる(
図1C)。このようにすることで、患者の移送中でもトランスポートモニター20によってその患者の生体情報を取得することができる。
【0018】
ここで、トランスポートモニター20の底面や側面、及び、それに対応するベッドサイドモニター11、12の面には、ドッキングしたときに互いに電気的に接続するコネクタ部が設けられており、これにより、トランスポートモニター20とベッドサイドモニター11、12は、このコネクタ部を介して互いに生体情報及び設定情報などの情報を送受できるようになっている。
【0019】
ベッドサイドモニター11、12とトランスポートモニター20とを互いに比較した場合の各装置の特徴は以下の通りである。
【0020】
ベッドサイドモニター:
・ベッドサイドに据え置いて設置されることが想定されており、トランスポートモニターよりも重い。
・表示できる生体情報のパラメータの数がトランスポートモニターよりも多い。
・接続できる外部機器の数がトランスポートモニターよりも多い。
・ディスプレイがトランスポートモニターよりも大きく、拡張ディスプレイも接続できる。
・セントラルモニターにネットワーク接続されることが前提となっている。
【0021】
トランスポートモニター:
・持ち運びすることが想定されており、ベッドサイドモニターよりも小型で軽い。
・表示できる生体情報のパラメータの数がベッドサイドモニターよりも少ない。
・接続できる外部機器の数がベッドサイドモニターよりも少ない。
・ディスプレイがベッドサイドモニターよりも小さい。
・移動中に患者の生体情報を記録できるメモリを有する。このメモリは、例えば10日間分の生体情報を記録できる容量を有する。
【0022】
なお、ベッドサイドモニターとトランスポートモニターは必ずしも上述の特徴の全てを有する必要は無いが、少なくともトランスポートモニターはベッドサイドモニターよりも小型で軽く構成されており、持ち運び可能である。
【0023】
図2は、本実施の形態のベッドサイドモニター及びトランスポートモニターが接続される病院内システム(以下「院内システム」と呼ぶ)10の概略構成を示す図である。院内システム10では、手術室に1以上のベッドサイドモニター11A~11Xが設置され、ICU(Intensive Care Unit:集中治療室)に1以上のベッドサイドモニター12A~12Xが設置され、病棟に1以上のベッドサイドモニター13A~13Xが設置されている。なお、本明細書で述べる「病棟」とは、手術室やICUなどの特別な処置室を除くいわゆる「一般病棟」のことである。
【0024】
手術室のベッドサイドモニター11A~11Xはセントラルモニター31に接続されており、ICUのベッドサイドモニター12A~12Xはセントラルモニター32に接続されており、病棟のベッドサイドモニター13A~13Xはセントラルモニター33に接続されている。
【0025】
さらに、セントラルモニター31、32、33は、サーバ装置40に接続されている。これにより、ベッドサイドモニター11A~11Xにより取得された生体情報はセントラルモニター31に集約されて表示や記録が行われ、ベッドサイドモニター12A~12Xにより取得された生体情報はセントラルモニター32に集約されて表示や記録が行われ、ベッドサイドモニター13A~13Xにより取得された生体情報はセントラルモニター33に集約されて表示や記録が行われる。また、セントラルモニター31、32、33で取得された生体情報はサーバ装置40に集約されて記録される。サーバ装置40は、例えばセントラルモニター31、32、33やベッドサイドモニター11A~11X、12A~12X、13A~13Xの要求に応じて、記録した生体情報をセントラルモニター31、32、33やベッドサイドモニター11A~11X、12A~12X、13A~13Xに送ることができる。
【0026】
トランスポートモニター20は、各ベッドサイドモニター11A~11X、12A~12X、13A~13Xにドッキング(接続)可能であり、患者と一緒に移動し、患者が移送された先のベッドサイドモニター11A~11X、12A~12X、13A~13Xにドッキング(接続)される。
【0027】
なお、
図2では、院内システム10を示したが、トランスポートモニター20は、例えば救急車内に設けられたベッドサイドモニターにドッキング(接続)することもできる。
【0028】
<2>ベッドサイドモニターの構成
図3は、本実施の形態のベッドサイドモニター100の構成を示すブロック図である。ベッドサイドモニター100は、
図1及び
図2のベッドサイドモニター11A~11X、12A~12X、13A~13Xとして用いられるものである。
【0029】
ベッドサイドモニター100は、コネクタ部101、102、103を有する。
【0030】
コネクタ部101は、患者に装着された生体情報検出部をベッドサイドモニター100に接続するためのコネクタである。コネクタ部101には、心電図を検出するための心電図測定用電極201、血圧を検出するための血圧測定用カフ202、体温を検出するための体温センサ203、SpO2を検出するためのSpO2センサ204、及び心拍出量を検出するための心拍出量センサ205等の生体情報検出部が接続される。
【0031】
コネクタ部102には、トランスポートモニター20が接続される。コネクタ部103には、セントラルモニター30が接続される。
【0032】
計測処理部104は、所定の計測処理を実行することで、コネクタ部101に接続された生体情報検出部(心電電極201、血圧測定用カフ202、体温センサ203、SpO2センサ204及び心拍出量センサ205)を用いて患者の生体情報を計測する。なお、上記生体情報検出部を用いた各種生体情報の計測方法については従来周知のものを適用可能であるため、ここではその詳細な説明を省略する。計測処理部104によって得られた生体情報は、記憶部105に記憶されるとともにタッチパネル109に表示される。
【0033】
一方、トランスポートモニター20によって取得された生体情報は、コネクタ部102及び送受信処理部106を介して記憶部105に記憶される。因みに、トランスポートモニター20の移動中にトランスポートモニター20によって取得された生体情報は、一旦トランスポートモニターの記憶部(図示せず)に記憶され、ベッドサイドモニター100と接続されたときにコネクタ部102及び送受信処理部106を介してベッドサイドモニター100の記憶部105に転送記憶される。
【0034】
記憶部105に記憶された生体情報は、送受信処理部106及びコネクタ部103を介してセントラルモニター30に送られる。これにより、セントラルモニター30では、ベッドサイドモニター100及びトランスポートモニター20で取得された生体情報を表示及び記録することができる。
【0035】
制御部110は、計測処理部104、送受信処理部106、表示制御部107及びアラームインジケータ108を制御する。
【0036】
タッチパネル109は、表示制御部107によって制御され、生体情報を計測値又は波形の形式で表示する。また、タッチパネル109は、生体情報を表示する表示機能を有するだけでなく、操作者による入力操作を受け付ける操作入力部としての機能も有する。具体的には、タッチパネル109におけるユーザーのタッチ操作を示す情報がタッチパネル109から制御部110に送られ、制御部110はタッチ操作に従って、タッチパネル109上での表示変更やベッドサイドモニター100のモード変更、各種の登録処理などを行う。
【0037】
アラームインジケータ108は、ベッドサイドモニター100の筐体上部などに設けられており、制御部110によって生体情報に異常が生じたと判定されたときに例えば赤色に発光するようになっている。
【0038】
また、ベッドサイドモニター100は、接続検出部111及びID識別部112を有する。接続検出部111は、コネクタ部102にトランスポートモニター20が接続されているか否かを検出し、検出結果を制御部110に送出する。ID識別部112は、コネクタ部102に接続されたトランスポートモニター20に設定されている患者IDをコネクタ部102を介して入力し、この患者IDが以前に接続されたトランスポートモニター20の患者IDと同じか否かを識別し、識別結果を制御部110に送出する。
【0039】
トランスポートモニター20がベッドサイドモニター100から外された場合、接続検出部111によってこのことが検出され、タッチパネル109には、
図4に示す画面が表示される。ユーザー(医療従事者)によって「モニター中断」ボタンがタッチされると、ベッドサイドモニター100はモニタリングの中断モードとなり、生体情報のモニタリングを中断する。これに対して、ユーザーによって「退床」ボタンがタッチされると、ベッドサイドモニター100は退床処理を行う。
【0040】
トランスポートモニター20がベッドサイドモニター100に接続された場合、接続検出部111によってこのことが検出され、タッチパネル109には、
図5に示す患者選択画面が表示される。ユーザーは、この画面において、トランスポートモニター20に設定されている患者IDに紐付けられた患者情報を使うモード、本装置(ベッドサイドモニター100)に設定されている患者IDに紐付けられた患者情報を使うモード、又は、新規に患者情報を入力してモニタリングを開始するモードのうちのいずれかを選択できる。
【0041】
<3>実施の形態による生体情報の表示
図6は、本実施の形態のベッドサイドモニター100によって行われる生体情報の表示方法の説明に供する図である。なお、
図6では、図を簡単化するために、実際よりも時間方向を短く示してある。
【0042】
図6Aは、ベッドサイドモニター100にトランスポートモニター20がドッキング(接続)された状態で取得された心電波形である。この心電波形は、ベッドサイドモニター100の記憶部105に記憶される。
【0043】
図6Bは、ベッドサイドモニター100からトランスポートモニター20が取り外された状態で、トランスポートモニター20によって取得された心電波形である。この心電波形は、トランスポートモニター20の記憶部(図示せず)に記憶される。
【0044】
図6Cは、ベッドサイドモニター100にトランスポートモニター20が再ドッキング(再接続)された後に、ベッドサイドモニター100に表示される心電波形である。
図6Cからも分かるように、ベッドサイドモニター100は、トランスポートモニター20が接続された状態で取得された心電波形(
図6Aの心電波形)と、トランスポートモニター20が接続されていない状態でトランスポートモニター20によって取得された心電波形(
図6Bの心電波形)とを、同一時間軸上に繋げて表示する。
【0045】
加えて、ベッドサイドモニター100は、トランスポートモニター20が接続された状態で取得された心電波形(
図6Aの心電波形)と、トランスポートモニター20が接続されていない状態でトランスポートモニター20によって取得された心電波形(
図6Bの心電波形)とを繋げた位置を示す目印301、302を表示する。目印301が付された位置はベッドサイドモニター100からトランスポートモニター20が外された時点t1に対応する位置であり、目印302が付された位置はベッドサイドモニター100にトランスポートモニター20が再び取り付けられた(再接続された)時点t2に対応する位置である。目印301、302を表示したことにより、医療従事者は、どこからどこまでの心電波形が患者の移送中にトランスポートモニター20によって取得された波形なのかを容易に認識できるようになる。特に、本実施の形態では、目印301、302として三角形の図形を用い、その頂点が患者の移送中にトランスポートモニター20によって取得された波形区間の方向を向くようになっているので、一目で移動中に取得された波形区間を認識できる。
【0046】
さらに、本実施の形態では、
図6Cから分かるように、単に
図6Aの心電波形と
図6Bの心電波形を繋げるのではなく、繋ぎ目にマスク区間401、402を設けて
図6Aの心電波形と
図6Bの心電波形を繋げる。このようにすることで、ベッドサイドモニター100の機械時間とトランスポートモニター20の機械時間との間に差があり、繋げる対象である2つの心電波形が時間方向に相対的にシフトしていたとしても、2つの心電波形を繋げた心電波形において、この機械時間の差に起因する不都合を抑制できる。
【0047】
具体的には、マスク区間401、402を設けずに2つの心電波形を繋げると、繋ぎ目位置で機械時間の差に起因して波形が変動しているように表示されることとなってしまう。この波形変動は実際の心電波形の乱れではないが、医師は心電波形の乱れと勘違いして不整脈などの異常であると診断してしまうおそれがある。本実施の形態のようにマスク区間401、402を設けることにより、このような誤診断を未然に防ぐことができる。因みに、実際には、ベッドサイドモニター100の機械時間と、トランスポートモニター20の機械時間との間に数msec程度の差が生じることが想定される。これを考慮して、マスク区間401、402は、それぞれ、数msec程度以上とすることが好ましい。
【0048】
実際上、上述したような、2つの心電波形を同一時間軸上に繋げる処理、目印301、302を付加する処理、及び、マスク区間401、402を設ける処理は、表示制御部107によって行われる。
【0049】
因みに、本実施の形態では、2つの心電波形を繋げるにあたって、ID識別部112がベッドサイドモニター100に設定された患者ID、及び、トランスポートモニター20に設定された患者IDを識別し、表示制御部107はID識別部112によって同一の患者IDであると識別されたモニター同士の心電波形を繋げるようになっている。これにより、例えばベッドサイドモニター100に前回の患者と異なる患者のトランスポートモニター20が接続されても、それらの心電波形を繋げてしまうといった不都合を防止できる。
【0050】
なお上述の実施の形態では、トランスポートモニター20が接続された状態で取得された心電波形(
図6Aの心電波形)と、トランスポートモニター20が接続されていない状態でトランスポートモニター20によって取得された心電波形(
図6Bの心電波形)とを繋げた位置を示す目印301、302として、三角形の図形を表示した場合について述べたが、目印はこれに限らない。例えば
図7に示したように、移動期間であることを明示して表示することを目印としてもよい。また
図8に示したように、マスク区間401、402を目印とすることで目印301、302を省略してもよい。
【0051】
<4>実施の形態の効果
以上説明したように、本実施の形態によれば、ベッドサイドモニター100は、トランスポートモニター20が接続された状態で取得された心電波形(
図6Aの心電波形)と、トランスポートモニター20が接続されていない状態でトランスポートモニター20によって取得された心電波形(
図6Bの心電波形)とを、同一時間軸上に繋げて表示するとともに、トランスポートモニターが接続された状態で取得された心電波形(
図6Aの心電波形)と、トランスポートモニター20が接続されていない状態でトランスポートモニター20によって取得された心電波形(
図6Bの心電波形)とを繋げた位置を示す目印301、302を表示するようにした。これにより、トランスポートモニター20によって取得された移動中の生体情報を含む、患者の一連の生体情報を診断し易い形で表示できるベッドサイドモニター100を実現できる。
【0052】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。
【0053】
上述の実施の形態の心電波形の表示は、ベッドサイドモニターに限らず、セントラルモニターで行うようにしてもよい。つまり、本発明の表示方法は、ベッドサイドモニターと、ベッドサイドモニターに接続可能な可搬型のトランスポートモニターと、を有する生体情報モニタリングシステムに用いられる表示方法であって、ベッドサイドモニターにトランスポートモニターが接続された状態で、ベッドサイドモニター及びトランスポートモニターによって第1の生体情報(
図6A)を取得するステップと、トランスポートモニターが接続されていない状態で、トランスポートモニターによって第2の生体情報(
図6B)を取得するステップと、前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とを同一時間軸上に繋げて表示する(
図6C)とともに、前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とを繋げた位置を示す目印を表示(
図6C)するステップと、を含むようにすればよい。
【0054】
また上述の実施の形態では、繋げて表示する生体情報として心電波形を例に挙げたが、繋げて表示する生体情報は心電波形に限らず、例えば酸素飽和度や血圧の波形でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、トランスポートモニターを接続可能なベッドサイドモニター、及び、ベッドサイドモニターとベッドサイドモニターに接続可能な可搬型のトランスポートモニターとを有する生体情報モニタリングシステムに用いられる表示方法に広く適用可能である。
【0056】
また、上述の実施の形態のトランスポートモニターは、テレメータと読み換えて実施することもできる。つまり、本発明のトランスポートモニターは、ベッドサイドモニターに接続可能である、移動可能な生体情報測定装置を意味する。
【0057】
本発明は、トランスポートモニターが接続部に接続された状態で取得された第1の生体情報と、トランスポートモニターが接続部に接続されていない状態でトランスポートモニターによって取得された第2の生体情報と、を繋げて表示する場合に広く有効である。上述の実施の形態における第2の生体情報は、移動中にはトランスポートモニターのメモリに記憶され、トランスポートモニターがベッドサイドモニターに接続されたときにベッドサイドモニターに転送されるものであった。しかし、第2の生体情報は、例えばトランスポートモニターがテレメータであった場合には、テレメータの移動中にセントラルモニターに無線送信されたものであってもよい。セントラルモニターに無線送信された第2の生体情報はベッドサイドモニターに送られて、ベッドサイドモニターによって、上述した方法によって第1の生体情報と同一時間軸上で繋ぎ合わされる。
【符号の説明】
【0058】
11、11A~11X、12、12A~12X、13A~13X、100 ベッドサイドモニター
20 トランスポートモニター
107 表示制御部
109 タッチパネル
110 制御部
111 接続検出部
112 ID識別部
301、302 目印
401、402 マスク区間