(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046933
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】薬剤供給装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20220316BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
A61J3/00 310F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020152582
(22)【出願日】2020-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 俊輔
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047JJ01
4C047JJ06
4C047JJ12
4C047JJ15
4C047JJ40
(57)【要約】
【課題】薬剤供給装置の内部を容易に清掃する。
【解決手段】薬剤収容部は、排出口を有し、薬剤を収容するとともに、排出口から薬剤を排出する。ロータ120は、薬剤収容部の内部に設けられ、回転することで、薬剤収容部に収容されている薬剤を排出口に搬送する。駆動軸150は、ロータ120と同軸上に位置しつつ薬剤収容部に回転可能に固定され、軸方向に着脱可能に装着されたロータ120を回転駆動する。着脱機構は、駆動軸150とロータ120とを上記軸方向に沿って互いに近づく方向に付勢して着脱可能に係合させる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出口を有し、薬剤を収容するとともに、前記排出口から薬剤を排出する薬剤収容部と、
前記薬剤収容部の内部に設けられ、回転することで、前記薬剤収容部に収容されている薬剤を前記排出口に搬送するロータと、
前記ロータと同軸上に位置しつつ前記薬剤収容部に回転可能に固定され、軸方向に着脱可能に装着された前記ロータを回転駆動する駆動軸と、
前記駆動軸と前記ロータとを前記軸方向に沿って互いに近づく方向に付勢して着脱可能に係合させる着脱機構とを備える、薬剤供給装置。
【請求項2】
前記着脱機構は、磁石および磁性体を含み、
前記磁石と前記磁性体との間に作用する磁力によって、前記駆動軸と前記ロータとが前記軸方向に沿って互いに近づく方向に付勢されている、請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項3】
前記駆動軸と前記ロータとが前記駆動軸の周方向に互いに係合していることにより、前記ロータの前記周方向における前記駆動軸に対する相対位置が固定されている、請求項1または請求項2に記載の薬剤供給装置。
【請求項4】
前記ロータは、上側に凸状に傾斜した天面、および、該天面の中央部から突出した中央突出部を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の薬剤供給装置。
【請求項5】
前記薬剤収容部を開閉するように回動可能に設けられた蓋部と、
前記中央突出部の上端に取り付けられたキャップ部とをさらに備え、
前記ロータが前記駆動軸に装着された状態の前記キャップ部と、前記薬剤収容部を閉じた状態の前記蓋部とは、隙間をあけて互いに対向しており、
前記隙間は、2mm以下である、請求項4に記載の薬剤供給装置。
【請求項6】
前記ロータは、前記ロータの周方向に互いに隙間をあけて位置する複数の突出部が形成された周面をさらに有し、
前記薬剤供給装置は、前記排出口の上方において前記薬剤収容部に対して着脱可能に設けられ、前記薬剤収容部の内面から前記周面における前記複数の突出部より上方の位置に向けて延設された仕切部をさらに備える、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の薬剤供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤供給装置の構成を開示した先行文献として、特開2020-69354号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された薬剤供給装置は、容器部と、整列盤と、回転軸とを備える。薬剤供給装置は、容器部内に多数の錠剤を収容しつつ容器部の中で整列盤が回転することにより錠剤を1つずつ供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された薬剤供給装置においては、整列盤を容易に着脱することができないため、容器部の内部にて発生した錠剤の粉などを清掃する際のメンテナンスが煩雑となる。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、内部を容易に清掃可能な薬剤供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく薬剤供給装置は、薬剤収容部と、ロータと、駆動軸と、着脱機構とを備える。薬剤収容部は、排出口を有し、薬剤を収容するとともに、排出口から薬剤を排出する。ロータは、薬剤収容部の内部に設けられ、回転することで、薬剤収容部に収容されている薬剤を排出口に搬送する。駆動軸は、ロータと同軸上に位置しつつ薬剤収容部に回転可能に固定され、軸方向に着脱可能に装着されたロータを回転駆動する。着脱機構は、駆動軸とロータとを上記軸方向に沿って互いに近づく方向に付勢して着脱可能に係合させる。
【0007】
本発明の一形態においては、着脱機構は、磁石および磁性体を含む。磁石と磁性体との間に作用する磁力によって、駆動軸とロータとが上記軸方向に沿って互いに近づく方向に付勢されている。
【0008】
本発明の一形態においては、駆動軸とロータとが駆動軸の周方向に互いに係合していることにより、ロータの上記周方向における駆動軸に対する相対位置が固定されている。
【0009】
本発明の一形態においては、ロータは、上側に凸状に傾斜した天面、および、天面の中央部から突出した中央突出部を有する。
【0010】
本発明の一形態においては、薬剤供給装置は、蓋部と、キャップ部とをさらに備える。蓋部は、薬剤収容部を開閉するように回動可能に設けられている。キャップ部は、中央突出部の上端に取り付けられている。ロータが駆動軸に装着された状態のキャップ部と、薬剤収容部を閉じた状態の蓋部とは、隙間をあけて互いに対向している。上記隙間は、2mm以下である。
【0011】
本発明の一形態においては、ロータは、ロータの周方向に互いに隙間をあけて位置する複数の突出部が形成された周面をさらに有する。薬剤供給装置は、排出口の上方において上記薬剤収容部に対して着脱可能に設けられ、上記薬剤収容部の内面から上記周面における上記複数の突出部より上方の位置に向けて延設された仕切部をさらに備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、薬剤供給装置の内部を容易に清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置において蓋部が開いた状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1の薬剤供給装置を矢印II方向から見た平面図である。
【
図3】
図1の薬剤供給装置を矢印III方向から見た底面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置における薬剤収容部の一部をカットして示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置におけるロータを透視して示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備えるロータおよび仕切部の位置関係を示す側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える仕切部の外観を示す斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える仕切部を部分周壁とともに薬剤収容部から取り外した状態を示す斜視図である。
【
図9】
図6のロータおよび駆動軸をIX-IX線矢印方向から見た断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備えるロータ、キャップ部および駆動軸の構成を示す分解斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備えるキャップ部の外観を示す斜視図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置において、ロータを駆動軸に対して着脱する状態を示す斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置を清掃開始時に、薬剤収容部から部分周壁とともに仕切部を取り外した後、駆動軸からロータを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置を清掃終了時に、駆動軸にロータを装着し、薬剤収容部に部分周壁とともに仕切部を取り付けた後、蓋部を閉めた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰返さない。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置において蓋部が開いた状態を示す斜視図である。
図2は、
図1の薬剤供給装置を矢印II方向から見た平面図である。
図3は、
図1の薬剤供給装置を矢印III方向から見た底面図である。
図4は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置における薬剤収容部の一部をカットして示す斜視図である。
図5は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置におけるロータを透視して示す斜視図である。
図4および
図5においては、薬剤供給装置において蓋部を取り外した状態を図示している。
図5においては、ロータを点線で示している。
【0016】
図1~
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置100は、薬剤収容部110と、ロータ120と、駆動軸150とを備えている。薬剤供給装置100は、蓋部130と、仕切部140とをさらに備える。
【0017】
薬剤収容部110は、周壁111および排出口112を有し、周壁111の内側に薬剤を収容するとともに、排出口112から薬剤を排出する。周壁111の内面は、円筒状である。排出口112は、薬剤収容部110の底面に形成されており、周壁111の径方向内側において周壁111の内面と隣接している。
【0018】
薬剤供給装置100は、
図3に示すように、薬剤収容部110の底面において、周壁111の中心軸上の位置に円形の開口部113が設けられている。開口部113は、ロータ120を回転駆動する図示しないモータと接続された駆動軸150に挿通される。駆動軸150は、ロータ120と同軸上に位置しつつ周壁111の内側に回転可能に固定されている。すなわち、駆動軸150は、薬剤収容部110に対して回転可能に固定されている。駆動軸150は、軸方向に着脱可能に装着されたロータ120を回転駆動する。ロータ120および駆動軸150の各々は、樹脂で構成されている。
【0019】
図1に示すように、蓋部130は、薬剤収容部110を開閉するように回動可能に設けられている。
【0020】
図1~
図5に示すように、ロータ120は、薬剤収容部110の内部に設けられ、回転することで、薬剤収容部110に収容されている薬剤を排出口112に搬送する。ロータ120は、周壁111の内側において薬剤収容部110の底面上に配置されている。本実施形態においては、ロータ120は、
図2の矢印Aで示すように、ロータ120の周方向の一方側に向かって回転する正転、および、
図2の矢印Bで示すように、ロータ120の周方向の他方側に向かって回転する逆転の両方可能に構成されている。なお、ロータ120は、必ずしも正転および逆転の両方可能である必要はなく、ロータ120の周方向の少なくとも一方に回転可能であればよい。
【0021】
図6は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備えるロータおよび仕切部の位置関係を示す側面図である。
図7は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える仕切部の外観を示す斜視図である。
図6においては、ロータ120が駆動軸150に装着された状態を図示している。
【0022】
図2および
図4~
図6に示すように、ロータ120は、上側に凸状に傾斜した天面126および天面126と隣接する周面121を有する。天面126には、放射状に複数の溝部127が設けられている。天面126の中央部から円柱状の中央突出部128が突出している。中央突出部128の上端に、キャップ部160が取り付けられている。
【0023】
ロータ120が駆動軸150に装着された状態のキャップ部160と、薬剤収容部110を閉じた状態の蓋部130とは、隙間をあけて互いに対向している。この隙間は、2mm以下であり、好ましくは、1mm以下である。
【0024】
図4および
図6に示すように、周面121の下部には、ロータ120の周方向に互いに隙間124をあけて位置する複数の突出部122が設けられている。複数の突出部122の各々は、ロータ120の径方向から見て、略長方形状の形状を有している。ロータ120の径方向における複数の突出部122の各々の先端は、周壁111の内面とわずかに間隔をあけて対向している。
【0025】
複数の突出部122の各々は、ロータ120が回転した際に、隙間124に収容された薬剤を押圧して排出口112に搬送可能に形成されている。具体的には、隙間124内に収容された薬剤は、ロータ120の回転に伴って、突出部122に押圧されながらロータ120の周方向に搬送されて排出口112に落下する。
【0026】
図2、
図5~
図7に示すように、仕切部140は、排出口112の上方において周壁111に対して着脱可能に設けられている。仕切部140は、周壁111の内面から周面121における複数の突出部122より上方の位置に向けて延設されている。排出口112と連通している隙間124は、仕切部140によって覆われており、上方から薬剤が進入することを防止されている。
【0027】
本実施の形態においては、仕切部140は、可撓性部材で構成されている。具体的には、
図5~
図7に示すように、仕切部140は、円弧状の基材141に対してこの円弧に沿って互いに間隔をあけて複数の可撓性部材が接合されて構成されている。可撓性部材は、たとえば、軟質合成樹脂からなる。本実施形態においては、仕切部140は、ブラシ状に構成されているが、ブラシ状に限られず、板状であってもよい。
【0028】
図8は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える仕切部を部分周壁とともに薬剤収容部から取り外した状態を示す斜視図である。
図8に示すように、基材141は、周壁111の一部を構成する部分周壁111aの孔部に取り付けられている。部分周壁111aは、周壁111の残部に対して着脱可能に接続される。具体的には、部分周壁111aは、スナップフィット構造によって、薬剤収容部110に対して着脱可能に装着されている。
【0029】
本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置100は、駆動軸150とロータ120とを着脱可能に係合させる着脱機構をさらに備えている。以下、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置100が備える着脱機構の構成について説明する。
【0030】
図9は、
図7のロータおよび駆動軸をVIII-VIII線矢印方向から見た断面図である。
図10は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備えるロータ、キャップ部および駆動軸の構成を示す分解斜視図である。
図11は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備えるキャップ部の外観を示す斜視図である。
図12は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置において、ロータを駆動軸に対して着脱する状態を示す斜視図である。
図9においては、仕切部を図示していない。
【0031】
図9および
図10に示すように、本実施形態においては、着脱機構は、磁石161および磁性体151を含んでいる。磁性体151は、駆動軸150の先端部152に取り付けられている。具体的には、
図10に示すように、駆動軸150の先端部152に、駆動軸150の先端から駆動軸150の軸方向に沿って延在する切欠部152c、および、駆動軸150の軸方向と直交する方向に延在する貫通孔152hが形成されている。
【0032】
図9に示すように、磁性体151は、縦断面視にて、幅広部および幅狭部を含んで略T字状の形状を有しており、幅狭部に貫通孔が形成されている。駆動軸150の先端部152の切欠部152cに磁性体151の幅狭部が挿入され、駆動軸150の先端部152と磁性体151の幅広部とが駆動軸150の軸方向に接した状態において、
図10に示すスプリングピン153を駆動軸150の先端部152の貫通孔152hおよび磁性体151の幅狭部の貫通孔に挿通すことにより、
図9に示すように、磁性体151が駆動軸150の先端部152に取り付けられる。
【0033】
図10に示すように、互いに組み付けられた状態の駆動軸150の先端部152および磁性体151は、駆動軸150の軸方向から見て、6角形形状を有している。磁性体151は、SUS430などの磁性材料で構成されている。
【0034】
磁石161は、キャップ部160に内蔵されている。具体的には、キャップ部160は、磁石161、支持部162、キャップ163およびスペーサ164を含む。支持部162は、有底筒状の形状を有し、内部に磁石161を収容して支持する。キャップ163は、支持部162と着脱可能に係合する。本実施形態においては、キャップ163と支持部162とは、スナップフィット構造によって互いに係合しているが、ねじ構造によって互いに係合していてもよい。支持部162およびキャップ163の各々は、樹脂で構成されている。スペーサ164は、磁石161とキャップ163との間に挟まれている。スペーサ164は、円柱状の形状を有し、樹脂で形成されている。
【0035】
図9および
図11に示すように、キャップ163が支持部162と係合した状態において、磁石161は、キャップ163と支持部162とによって囲まれた空間内に、スペーサ164とともに固定されている。磁石161は、たとえば、ネオジム磁石で構成されている。
図10に示すように、キャップ部160は、ロータ120の中央突出部128の先端に形成された切欠部129と係合して、中央突出部128の先端に取り付けられる。
【0036】
図12に示すように、キャップ部160が中央突出部128の先端に取り付けられたロータ120は、駆動軸150に対して駆動軸150の軸方向に着脱可能に装着される。
図9に示すように、ロータ120が駆動軸150に対して駆動軸150の軸方向に装着された状態において、磁石161と磁性体151とが駆動軸150の軸方向に隣り合って位置している。本実施形態においては、磁石161と磁性体151との間に、支持部162の底部が位置している。
【0037】
この状態において、磁石161と磁性体151との間に作用する磁力によって、駆動軸150とロータ120とが駆動軸150の軸方向に沿って互いに近づく方向に付勢されている。このように、磁石161および磁性体151を含む着脱機構は、駆動軸150とロータ120とを駆動軸の軸方向に沿って互いに近づく方向に付勢して着脱可能に係合させる。
【0038】
図9に示すように、ロータ120の駆動軸150に挿通される軸孔面に、上記の磁性体151の六角形形状と係合する凹部128cが形成されている。磁性体151を介して駆動軸150の先端部152とロータ120の凹部128cとが駆動軸150の周方向に互いに係合していることにより、ロータ120の駆動軸150に対する駆動軸150の周方向における相対位置が固定されている。
【0039】
以下、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置100の動作について説明する。
【0040】
薬剤収容部110内に薬剤が投入された状態でロータ120が回転することにより、天面126上に位置する薬剤は、周壁111の内面とロータ120の周面121との間の空間に向かって移動する。複数の溝部127は、ロータ120の回転に伴って天面126上に位置する薬剤を攪拌することにより、上記空間に薬剤を移動させやすくする。
【0041】
上記空間に移動した薬剤のうちの一部の薬剤が、各隙間124に1つずつ収容される。隙間124内に収容された薬剤は、ロータ120の回転に伴って、突出部122に押圧されながらロータ120の周方向に搬送される。排出口112上に位置して排出口112と連通した隙間124に収容されている薬剤は、隙間124内から排出口112に落下して払い出される。
【0042】
このとき、排出口112と連通している隙間124は、仕切部140によって覆われており、上方から薬剤が進入することを防止されている。その結果、一度に1つの薬剤を排出口112から払い出すことができる。
【0043】
図13は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置を清掃開始時に、薬剤収容部から部分周壁とともに仕切部を取り外した後、駆動軸からロータを取り外した状態を示す斜視図である。
図12および
図13に示すように、薬剤収容部110内を清掃する際には、薬剤収容部110から部分周壁111aとともに仕切部140を取り外した後、着脱機構の付勢力に抗してロータ120を駆動軸150からスライド移動させて取り外す。
【0044】
図14は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置を清掃終了時に、駆動軸にロータを装着し、薬剤収容部に部分周壁とともに仕切部を取り付けた後、蓋部を閉めた状態を示す斜視図である。
図14に示すように、清掃完了後は、ロータ120の軸孔に駆動軸150を挿入し、着脱機構の付勢力によって駆動軸150にロータ120を装着する。
【0045】
ロータ120が駆動軸150に装着された状態のキャップ部160と、薬剤収容部110を閉じた状態の蓋部130とは、隙間Lをあけて互いに対向している。隙間Lは、2mm以下である。好ましくは、隙間Lは、0.5mm以上1mm以下である。
【0046】
なお、本実施形態においては、駆動軸150の先端部152に磁性体151を取り付け、キャップ部160に磁石161を取り付けたが、駆動軸150の先端部152に磁石161を取り付け、キャップ部160に磁性体151を取り付けてもよい。
【0047】
また、着脱機構は、磁力によって駆動軸150とロータ120とが互いに近づく方向に付勢するものに限られず、たとえば、ボールキャッチなどのように、ばねによって駆動軸150とロータ120とが互いに近づく方向に付勢するものでもよい。
【0048】
本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置100においては、薬剤収容部110は、排出口112を有し、薬剤を収容するとともに、排出口112から薬剤を排出する。ロータ120は、薬剤収容部110の内部に設けられ、回転することで、薬剤収容部110に収容されている薬剤を排出口112に搬送する。駆動軸150は、ロータ120と同軸上に位置しつつ薬剤収容部110に回転可能に固定され、軸方向に着脱可能に装着されたロータ120を回転駆動する。着脱機構は、駆動軸150とロータ120とを駆動軸150の軸方向に沿って互いに近づく方向に付勢して着脱可能に係合させる。
【0049】
これにより、ロータ120を駆動軸150の軸方向に移動させるのみで、駆動軸150に対してロータ120を着脱させることができるため、薬剤供給装置100の内部を容易に清掃することができる。
【0050】
また、着脱機構によって付勢することにより、ロータ120と駆動軸150とが中途半端に係合することを抑制することができる。さらに、ロータ120の周面121と周壁111との間に薬剤が詰まった際に、ロータ120が浮き上がることを抑制することができる。また、薬剤収容部110を上下逆さまにした状態においても、ロータ120が落下することを抑制することができる。
【0051】
本実施形態においては、着脱機構は、磁石161および磁性体151を含む。磁石161と磁性体151との間に作用する磁力によって、駆動軸150とロータ120とが駆動軸150の軸方向に沿って互いに近づく方向に付勢されている。これにより、着脱機構を簡易な構成にすることができる。
【0052】
本実施形態においては、駆動軸150とロータ120とが駆動軸150の周方向に互いに係合していることにより、ロータ120の駆動軸150に対する駆動軸150の周方向における相対位置が固定されている。これにより、駆動軸150の回転によってロータ120の回転を正確に制御することができる。
【0053】
本実施形態においては、ロータ120は、上側に凸状に傾斜した天面126、および、天面126の中央部から突出した中央突出部128を有する。これにより、中央突出部128を把持してロータ120を着脱することができる。
【0054】
本実施形態においては、周壁111の内面からロータ120の周面121における複数の突出部122より上方の位置に向けて延設された仕切部140が、薬剤収容部110に対して着脱可能に設けられている。これにより、ロータ120を着脱する前に、仕切部140を薬剤収容部110から取り外すことができるため、仕切部140と突出部122とが干渉することを防止することができる。これによって、ロータ120の着脱が容易になるため、薬剤供給装置100の内部を容易に清掃することができる。
【0055】
本実施形態においては、蓋部130は、薬剤収容部110を開閉するように回動可能に設けられている。キャップ部160は、中央突出部128の上端に取り付けられている。ロータ120が駆動軸150に装着された状態のキャップ部160と、薬剤収容部110を閉じた状態の蓋部130とは、隙間Lをあけて互いに対向している。隙間Lは、2mm以下である。これにより、駆動軸150に対してロータ120が完全に装着されていない場合、蓋部130とキャップ部160とが干渉して、蓋部130が閉まらなくなる。したがって、蓋部130が閉まっていることを確認することにより、駆動軸150に対してロータ120が完全に装着されていることを容易に判別することが可能である。
【0056】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0057】
100 薬剤供給装置、110 薬剤収容部、111 周壁、111a 部分周壁、112 排出口、113 開口部、120 ロータ、121 周面、122 突出部、124,L 隙間、126 天面、127 溝部、128 中央突出部、128c 凹部、129,152c 切欠部、130 蓋部、140 仕切部、141 基材、150 駆動軸、151 磁性体、152 先端部、152h 貫通孔、153 スプリングピン、160 キャップ部、161 磁石、162 支持部、163 キャップ、164 スペーサ。