(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046955
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】横型水中電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/62 20060101AFI20220316BHJP
【FI】
F04D29/62 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020152619
(22)【出願日】2020-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】松原 央樹
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 義昭
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB12
3H130AB23
3H130AB47
3H130AC30
3H130BA95A
3H130CA21
3H130CA23
3H130DC02Z
3H130DD01Z
(57)【要約】
【課題】横置きの姿勢に容易に設置することが可能な横型水中電動ポンプを提供する。
【解決手段】この水中電動ポンプ100(横型水中電動ポンプ)は、回転軸2が水平方向(X方向)に延びるように配置されたモータ1と、水平方向に延びる回転軸2に接続された羽根車3が配置されたポンプ室4を形成するポンプケーシング41と、把持部6と、モータ1の外側に設けられ、把持部6が連結される取付部73と、設置位置に載置するための脚部72とを含む、把持部取付部材7と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸が水平方向に延びるように配置されたモータと、
水平方向に延びる前記回転軸に接続された羽根車が配置されたポンプ室を形成するポンプケーシングと、
把持部と、
前記モータの外側に設けられ、前記把持部が連結される取付部と、設置位置に載置するための脚部とを含む、把持部取付部材と、を備える、横型水中電動ポンプ。
【請求項2】
前記把持部取付部材は、前記モータを取り囲むように環状に形成されている、請求項1に記載の横型水中電動ポンプ。
【請求項3】
前記把持部取付部材は、上部に前記取付部が設けられ、下部に前記脚部が設けられている、請求項2に記載の横型水中電動ポンプ。
【請求項4】
前記把持部取付部材は、前記取付部に前記把持部を挟み込んだ状態で締結部材により共締めされて、前記モータの外側に固定されている、請求項2または3に記載の横型水中電動ポンプ。
【請求項5】
前記把持部取付部材の内周側に配置されて前記モータに当接する滑り止め部材をさらに備える、請求項2~4のいずれか1項に記載の横型水中電動ポンプ。
【請求項6】
前記把持部取付部材は、前記滑り止め部材の端部が配置される部分に、内側に突出する位置決部が設けられている、請求項5に記載の横型水中電動ポンプ。
【請求項7】
前記把持部取付部材は、前記取付部が設けられた部分の内周側、および、前記脚部が設けられた部分の内周側の各々に、内側に突出する突出部が設けられている、請求項2~6のいずれか1項に記載の横型水中電動ポンプ。
【請求項8】
摺動部を有するメカニカルシールが設けられ、前記モータと前記ポンプ室との間に配置されたオイル室を形成するオイルケーシングをさらに備え、
前記把持部は、一方の端部が前記把持部取付部材に連結され、他方の端部が前記オイルケーシングに連結されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の横型水中電動ポンプ。
【請求項9】
前記オイルケーシングは、外周部に、前記把持部が嵌め込まれて係合する係合部が設けられている、請求項8に記載の横型水中電動ポンプ。
【請求項10】
前記係合部は、前記把持部取付部材とは反対側の前記ポンプ室側から前記把持部が嵌め込まれて係合するように構成されている、請求項9に記載の横型水中電動ポンプ。
【請求項11】
前記把持部は、吊り下げ用部材を通すための貫通孔が設けられ、
前記貫通孔は、前記把持部が延びる方向と直交する水平方向に貫通するように形成されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の横型水中電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横型水中電動ポンプに関し、特に、把持部を備える横型水中電動ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、把持部を備える横型水中電動ポンプが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、持ち手部(把持部)と、横置きにした際に設置位置に載置するための設置脚と、を備える水中ポンプ(横型水中電動ポンプ)が開示されている。この特許文献1の水中ポンプでは、持ち手部は、横置きにした際に、水平方向において、水中ポンプのヘッドカバー部側の端部に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の水中ポンプ(横型水中電動ポンプ)では、持ち手部(把持部)は、横置きにした際に、水平方向において、水中ポンプのヘッドカバー部側の端部に配置されている。このため、持ち手部を把持して水中ポンプを持ち上げた場合、水中ポンプはヘッドカバー部側を上にして立ち上がるため、水中ポンプの姿勢を横に維持しながら、水中ポンプを移動させることが困難である。このため、水中ポンプを横置きに設置する場合に、立ち上がった状態から横になる状態に姿勢を変更させる必要があるため、水中ポンプを設置する際の作業性が悪いという不都合がある。また、端部に位置する持ち手部を手で把持した状態で立ち上がった状態から横になる状態に水中ポンプの姿勢を変更させる際に、水平方向の端部の持ち手部を把持する手を容易に動かすことが可能なスペースがないような狭い設置場所では、水中ポンプを容易に設置することが困難であるという不都合がある。これらの結果、水中ポンプ(横型水中電動ポンプ)を横置きの姿勢に容易に設置することが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、横置きの姿勢に容易に設置することが可能な横型水中電動ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一の局面による横型水中電動ポンプは、回転軸が水平方向に延びるように配置されたモータと、水平方向に延びる回転軸に接続された羽根車が配置されたポンプ室を形成するポンプケーシングと、把持部と、モータの外側に設けられ、把持部が連結される取付部と、設置位置に載置するための脚部とを含む、把持部取付部材と、を備える。
【0008】
この発明の一の局面による横型水中電動ポンプでは、上記のように、モータの外側に設けられ、把持部が連結される取付部と、設置位置に載置するための脚部とを含む、把持部取付部材を備える。これにより、モータの外側にモータの軸方向に沿って把持部を設けることができるので、質量が大きいモータの外側にモータの軸方向に沿って把持部を配置することができる。これにより、把持部を把持して横型水中電動ポンプを持ち上げた場合に、横型水中電動ポンプの姿勢を横方向(水平方向)に維持することができる。その結果、横型水中電動ポンプを横置きに設置する場合に、姿勢を変更させる必要がないので、横型水中電動ポンプを設置する際の作業性を向上させることができる。また、横型水中電動ポンプの姿勢を変更させる必要がないので、姿勢変更のために手を容易に動かすことが可能な水平方向におけるスペースがないような狭い設置場所でも、横型水中電動ポンプを容易に設置することができる。これらの結果、横置きの姿勢に横型水中電動ポンプを容易に設置することができる。また、共通の把持部取付部材に取付部および脚部を設けることができるので、取付部および脚部を別個の部材に設ける場合に比べて、部品点数を減少させることができる。
【0009】
上記一の局面による横型水中電動ポンプにおいて、好ましくは、把持部取付部材は、モータを取り囲むように環状に形成されている。このように構成すれば、把持部取付部材をモータの周方向の一部に取り付ける場合に比べて、モータに対する把持部取付部材の取付面積を大きくすることができるので、取り付け状態の機械的強度を高めることができる。これにより、把持部取付部材に連結される把持部のモータに対する取り付け状態の機械的強度を高めることができる。
【0010】
上記把持部取付部材が環状に形成されている構成の横型水中電動ポンプにおいて、好ましくは、把持部取付部材は、上部に取付部が設けられ、下部に脚部が設けられている。このように構成すれば、共通の把持部取付部材の上部および下部のそれぞれに、取付部および脚部をバランスよく設けることができる。
【0011】
上記把持部取付部材が環状に形成されている構成の横型水中電動ポンプにおいて、好ましくは、把持部取付部材は、取付部に把持部を挟み込んだ状態で締結部材により共締めされて、モータの外側に固定されている。このように構成すれば、把持部取付部材のモータに対する固定と、把持部の取付部に対する固定とを共通の締結部材により行うことができる。
【0012】
上記把持部取付部材が環状に形成されている構成の横型水中電動ポンプにおいて、好ましくは、把持部取付部材の内周側に配置されてモータに当接する滑り止め部材をさらに備える。このように構成すれば、把持部取付部材がモータに対して位置ズレするのを効果的に抑制することができる。
【0013】
この場合、好ましくは、把持部取付部材は、滑り止め部材の端部が配置される部分に、内側に突出する位置決部が設けられている。このように構成すれば、滑り止め部材を把持部取付部材の内側に突出した位置決部に対して当接させることにより、滑り止め部材を把持部取付部材に対して精度よく位置決めして配置することができる。
【0014】
上記把持部取付部材が環状に形成されている構成の横型水中電動ポンプにおいて、好ましくは、把持部取付部材は、取付部が設けられた部分の内周側、および、脚部が設けられた部分の内周側の各々に、内側に突出する突出部が設けられている。このように構成すれば、把持部取付部材の内周側の一部である突出部をモータに当接させることができるので、寸法公差や経年による変形により把持部取付部材の形状が一定でない場合でも、把持部取付部材をモータに対して確実に当接させて固定することができる。
【0015】
上記一の局面による横型水中電動ポンプにおいて、好ましくは、摺動部を有するメカニカルシールが設けられ、モータとポンプ室との間に配置されたオイル室を形成するオイルケーシングをさらに備え、把持部は、一方の端部が把持部取付部材に連結され、他方の端部がオイルケーシングに連結されている。このように構成すれば、把持部をモータの外側に設けられた把持部取付部材とオイルケーシングとの離間した2か所に連結することにより、把持部を把持して横型水中電動ポンプを持ち上げた場合に、安定して支持することができる。また、把持部をオイルケーシングに連結することにより、回転軸方向における把持部の位置を固定することができるので、把持部が連結された把持部取付部材の回転軸方向における位置を確実に固定することができる。これにより、把持部取付部材に設けられた脚部の回転軸方向における位置を確実に固定することができる。また、把持部の他方の端部を固定するための部材を別途設ける必要がない。
【0016】
この場合、好ましくは、オイルケーシングは、外周部に、把持部が嵌め込まれて係合する係合部が設けられている。このように構成すれば、オイルケーシングをモータに取り付けてオイル室のシール性を確保した上で、オイルケーシングの係合部に対して把持部を取り付けることができるので、オイルケーシングをモータに取り付ける際に、同時に把持部をオイルケーシングに連結する場合と比べて、組み立て時の作業性を向上させることができる。
【0017】
上記オイルケーシングに係合部が設けられている構成の横型水中電動ポンプにおいて、好ましくは、係合部は、把持部取付部材とは反対側のポンプ室側から把持部が嵌め込まれて係合するように構成されている。このように構成すれば、把持部が係合部から把持部取付部材側に移動するのを抑制することができるので、把持部に連結された把持部取付部材がオイル室から離れる方向に移動するのを抑制することができる。
【0018】
上記一の局面による横型水中電動ポンプにおいて、好ましくは、把持部は、吊り下げ用部材を通すための貫通孔が設けられ、貫通孔は、把持部が延びる方向と直交する水平方向に貫通するように形成されている。このように構成すれば、把持部とモータとの間に吊り下げ用部材を通し、把持部に吊り下げ用部材を掛ける場合と異なり、吊り下げ用部材が把持部の延びる方向に移動するのを抑制することができるので、横型水中電動ポンプを吊り下げ用部材により安定して吊り下げることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、横置きの姿勢に容易に設置することが可能な横型水中電動ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態による水中電動ポンプを示した概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による水中電動ポンプの内部を示した概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による水中電動ポンプを示した分解図である。
【
図4】本発明の一実施形態による水中電動ポンプの把持部の取り付けを説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施形態による水中電動ポンプの把持部取付部材を示した図である。
【
図6】本発明の一実施形態による水中電動ポンプの把持部取付部材を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(水中電動ポンプの構成)
図1~
図6を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態による水中電動ポンプ100は、
図1および
図2に示すように、モータ1と、回転軸2と、羽根車3と、ポンプケーシング41と、オイルケーシング51と、把持部6と、把持部取付部材7と、脚キャップ8と、を備えている。また、水中電動ポンプ100は、モータ1の回転軸2が水平方向に延びる横型の水中電動ポンプである。なお、水中電動ポンプ100は、特許請求の範囲の「横型水中電動ポンプ」の一例である。
【0023】
モータ1は、回転軸2と、固定子11と、回転子12と、モータフレーム13と、ベアリング21と、ベアリング22とを含んでいる。モータ1は、外部からの水が浸入しないように、密閉されている。また、モータ1は、羽根車3(回転軸2)を回転駆動させるように構成されている。また、モータ1のX1方向側には、ヘッドカバー14が設けられている。
【0024】
固定子11は、コイルを有する。また、固定子11は、モータ1の外周部に配置されている。つまり、固定子11は、モータフレーム13の内周面に配置されている。また、ケーブル15より固定子11のコイルに電力が供給されることにより、磁界を発生させるように構成されている。回転子12は、固定子11と対向するようにモータ1の内側に配置されている。また、回転子12は、回転軸2に取り付けられている。また、回転子12は、固定子11からの磁界により回転するように構成されている。
【0025】
モータフレーム13は、円筒形状に形成されている。モータフレーム13は、固定子11を取り囲むように設けられている。また、モータフレーム13は、金属(たとえば、ステンレス)により形成されている。
【0026】
ヘッドカバー14は、モータ1を駆動するための電子部品14aを覆うように構成されている。電子部品14aは、たとえば、コンデンサを含んでいる。ヘッドカバー14には、モータ1に電力を供給するケーブル15が接続されている。
【0027】
ヘッドカバー14には、把持部6を取り付けるための取付部を設けていない。また、ヘッドカバー14には、設置位置に載置するため脚部を設けていない。これにより、ヘッドカバー14の構造をシンプルにすることができるので、ヘッドカバー14を容易に成形することが可能である。ここで、回転軸を上下方向に配置する縦型の水中電動ポンプでは、ヘッドカバー14に脚部を設ける必要がない。ヘッドカバー14に脚部を設けないことにより、縦型の水中電動ポンプと横型の水中電動ポンプ100のヘッドカバー14の成形を共通の金型を用いて成形することが可能である。なお、縦型の水中電動ポンプと横型の水中電動ポンプ100とにおいて、ヘッドカバー14のケーブル15の接続位置などが異なり、形状が異なる場合でも、形状的に大きな差異ではないので、差異部分について金型を入れ子構造とすることにより共通の金型を用いることが可能である。
【0028】
回転軸2は、モータ1の駆動により回転するように構成されている。回転軸2は、水平方向(X方向)に延びるように配置されている。また、回転軸2は、モータ1の駆動を羽根車3に伝達するように構成されている。また、回転軸2は、X2方向に見て、時計回り(右回り)に回転するように構成されている。また、回転軸2は、ベアリング21および22により回転可能に支持されている。ベアリング21は、モータ1の反負荷側(ヘッドカバー14側)に設けられている。ベアリング22は、モータ1の負荷側(ポンプ室4側)に設けられている。また、回転軸2は、モータ1からオイル室5を貫通してポンプ室4まで延びるように配置されている。また、回転軸2のポンプ室4側端部には、羽根車3が取り付けられている。
【0029】
羽根車3は、ポンプ室4内に配置されている。ポンプ室4は、ポンプケーシング41により形成されている。羽根車3は、回転駆動することにより、水に速度エネルギーを与える。そして、ポンプ室4内にて水の速度エネルギーが圧力エネルギーに変換されることによって、水に圧力が作用されて送られるように構成されている。つまり、羽根車3の回転駆動により、ポンプケーシング41に設けられた吸水口42から水が吸い上げられて、吐出口43から吸い上げられた水が吐出される。ポンプケーシング41の吸水口42は、ストレーナ44により覆われている。ストレーナ44は、ポンプ室4への異物の侵入を抑制するために設けられている。
【0030】
ポンプケーシング41には、下部に一対の脚部45が設けられている。脚部45は、水中電動ポンプ100を設置位置に載置するために設けられている。一対の脚部45は、Y方向に沿って所定の間隔を隔てて配置されている。一対の脚部45には、各々脚キャップ8が取り付けられている。
【0031】
オイル室5は、モータ1およびポンプ室4の間に配置されており、オイル室5には、オイルが充填されている。オイル室5は、オイルケーシング51により形成されている。オイル室5内には、摺動部を有するメカニカルシール52が設けられており、オイル室5に充填されたオイルによって摺動部が潤滑されるとともに、摺動部が焼きつかないように冷却されるように構成されている。メカニカルシール52は、ポンプ室4の圧力水がモータ1に入らないように設けられている。
【0032】
オイルケーシング51は、
図4に示すように、把持部6が嵌め込まれて係合する係合部51aが外周部に設けられている。係合部51aは、把持部取付部材7とは反対側のポンプ室側(X2方向側)から把持部6が嵌め込まれて係合するように構成されている。具体的には、係合部51aは、把持部6の係合部61aが係合するようにT字状の凹部が形成されている。また、係合部51aは、把持部6の連結部61を通すように上方が開口しているとともに、把持部6の連結部61を嵌め込むためにX2方向側が開口している。一方、係合部51aは、X1方向側は、壁により覆われている。
【0033】
把持部6は、水中電動ポンプ100を運搬する際に把持される。把持部6は、
図3に示すように、連結部61および62と、貫通孔63とを含んでいる。把持部6は、水平方向(X方向)に延びるように形成されている。把持部6は、たとえば、樹脂により形成されている。把持部6は、一方の端部が把持部取付部材7に連結され、他方の端部がオイルケーシング51に連結されている。具体的には、把持部6の連結部61は、X2方向の端部の下方(Z2方向)に配置されている。把持部6の連結部62は、X1方向の端部の下方(Z2方向)に配置されている。連結部61は、把持部取付部材7に連結されている。また、連結部62は、オイルケーシング51に連結される。
【0034】
図1および
図2に示すように、把持部6は、モータ1の上方(Z1方向)に設けられている。つまり、把持部6は、水中電動ポンプ100の重心が存在するモータ1の真上に配置されている。また、把持部6は、上端が吐出口43よりも下方になるように形成されている。
【0035】
連結部61は、オイルケーシング51の係合部51aに係合する係合部61aを含んでいる。係合部61aは、
図4に示すように、把持部6が延びる方向(X方向)と直交する水平方向(Y方向)に突出するように形成されている。
【0036】
連結部62は、把持部取付部材7に連結するための貫通孔62aが設けられている。また、連結部62は、X方向およびZ方向に延びる板状に形成されている。また、貫通孔62aは、把持部6が延びる方向(X方向)と直交する水平方向(Y方向)に貫通するように形成されている。
【0037】
貫通孔63は、吊り下げ用部材を通すために設けられている。貫通孔63は、X方向に沿って、複数(2つ)設けられている。また、貫通孔63は、把持部6が延びる方向(X方向)と直交する水平方向(Y方向)に貫通するように形成されている。
【0038】
ここで、本実施形態では、
図1に示すように、把持部取付部材7は、モータ1の外側に設けられている。また、把持部取付部材7は、把持部6が連結される取付部73と、設置位置に載置するための脚部72とを含んでいる。また、把持部取付部材7は、環状部71を含んでいる。把持部取付部材7(環状部71)は、モータ1を取り囲むように環状に形成されている。具体的には、環状部71は、
図5に示すように、円周状に形成されている。把持部取付部材7は、上部に取付部73が設けられ、下部に脚部72が設けられている。また、把持部取付部材7は、たとえば、樹脂により形成されている。また、環状部71は、弾性変形可能に構成されている。
【0039】
把持部取付部材7は、取付部73が設けられた部分の内周側に、内側に突出する突出部71aが設けられている。また、把持部取付部材7は、脚部72が設けられた部分の内周側に、内側に突出する71bが設けられている。突出部71aおよび71bは、モータ1の外周面に当接するように構成されている。突出部71aは、一対の取付部73の各々に対応して、一対設けられている。また、突出部71aは、環状部71の上部から内側(Z2方向側)に延びるように形成されている。取付部73は、環状部71の上部から外側(Z1方向側)に延びるように形成されている。突出部71bは、環状部71の下部から内側(Z1方向側)に延びるように形成されている。
【0040】
脚部72は、設置位置に載置するために設けられている。脚部72には、脚キャップ8が取り付けられている。脚部72は、環状部71の下部から外側(Z2方向側)に延びるように形成されている。
【0041】
取付部73は、把持部6(連結部62)が連結されるように構成されている。取付部73は、Y方向に対向するように一対設けられている。取付部73は、締結部材74を通すための貫通孔73aが設けられている。また、一対の取付部73は、Y方向において所定の間隔を隔てて配置されている。
図1に示すように、把持部取付部材7は、取付部73に把持部6を挟み込んだ状態で締結部材74により共締めされて、モータ1の外側に固定されている。具体的には、把持部取付部材7は、一対の取付部73の間に把持部6の連結部62を挟み込んだ状態で、取付部73の貫通孔73a、および、連結部62の貫通孔62aに締結部材74のボルトが挿入されて、ボルトとナットとが締結されることにより、モータ1の外側に密着して、モータ1に固定される。
【0042】
図6に示すように、滑り止め部材75は、把持部取付部材7の内周側に配置されてモータ1に当接するように構成されている。また、滑り止め部材75は、モータ1の外周に対して把持部取付部材7が滑るのを抑制するために設けられている。滑り止め部材75は、弾性変形可能な材料により形成されている。たとえば、滑り止め部材75は、ゴムにより形成されている。
図5に示すように、把持部取付部材7には、滑り止め部材75の端部が配置される部分に、内側に突出する位置決部71cが設けられている。滑り止め部材75は、位置決部71cに上端が合わせて配置される。
【0043】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0044】
本実施形態では、上記のように、モータ1の外側に設けられ、把持部6が連結される取付部73と、設置位置に載置するための脚部72とを含む、把持部取付部材7を備える。これにより、モータ1の外側にモータ1の軸方向に沿って把持部6を設けることができるので、質量が大きいモータ1の外側にモータ1の軸方向に沿って把持部6を配置することができる。これにより、把持部6を把持して水中電動ポンプ100を持ち上げた場合に、水中電動ポンプ100の姿勢を横方向(水平方向)に維持することができる。その結果、水中電動ポンプ100を横置きに設置する場合に、姿勢を変更させる必要がないので、水中電動ポンプ100を設置する際の作業性を向上させることができる。また、水中電動ポンプ100の姿勢を変更させる必要がないので、姿勢変更のために手を容易に動かすことが可能な水平方向におけるスペースがないような狭い設置場所でも、水中電動ポンプ100を容易に設置することができる。これらの結果、横置きの姿勢に水中電動ポンプを容易に設置することができる。また、共通の把持部取付部材7に取付部73および脚部72を設けることができるので、取付部73および脚部72を別個の部材に設ける場合に比べて、部品点数を減少させることができる。
【0045】
また、本実施形態では、上記のように、把持部取付部材7を、モータ1を取り囲むように環状に形成する。これにより、把持部取付部材7をモータ1の周方向の一部に取り付ける場合に比べて、モータ1に対する把持部取付部材7の取付面積を大きくすることができるので、取り付け状態の機械的強度を高めることができる。その結果、把持部取付部材7に連結される把持部6のモータ1に対する取り付け状態の機械的強度を高めることができる。
【0046】
また、本実施形態では、上記のように、把持部取付部材7は、上部に取付部73が設けられ、下部に脚部72が設けられている。これにより、共通の把持部取付部材7の上部および下部のそれぞれに、取付部73および脚部72をバランスよく設けることができる。
【0047】
また、本実施形態では、上記のように、把持部取付部材7は、取付部73に把持部6を挟み込んだ状態で締結部材74により共締めされて、モータ1の外側に固定されている。これにより、把持部取付部材7のモータ1に対する固定と、把持部6の取付部73に対する固定とを共通の締結部材74により行うことができる。
【0048】
また、本実施形態では、上記のように、把持部取付部材7の内周側に配置されてモータ1に当接する滑り止め部材75を設ける。これにより、把持部取付部材7がモータ1に対して位置ズレするのを効果的に抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記のように、把持部取付部材7に、滑り止め部材75の端部が配置される部分に、内側に突出する位置決部71cを設ける。これにより、滑り止め部材75を把持部取付部材7の内側に突出した位置決部71cに対して当接させることにより、滑り止め部材75を把持部取付部材7に対して精度よく位置決めして配置することができる。
【0050】
また、本実施形態では、上記のように、把持部取付部材7に、取付部73が設けられた部分の内周側、および、脚部72が設けられた部分の内周側の各々に、内側に突出する突出部71aおよび71bを設ける。これにより、把持部取付部材7の内周側の一部である突出部71aおよび71bをモータ1に当接させることができるので、寸法公差や経年による変形により把持部取付部材7の形状が一定でない場合でも、把持部取付部材7をモータ1に対して確実に当接させて固定することができる。
【0051】
また、本実施形態では、上記のように、把持部6を、一方の端部を把持部取付部材7に連結し、他方の端部をオイルケーシング51に連結する。これにより、把持部6をモータ1の外側に設けられた把持部取付部材7とオイルケーシング51との離間した2か所に連結することにより、把持部6を把持して水中電動ポンプ100を持ち上げた場合に、安定して支持することができる。また、把持部6をオイルケーシング51に連結することにより、回転軸方向(X方向)における把持部6の位置を固定することができるので、把持部6が連結された把持部取付部材7の回転軸方向(X方向)における位置を確実に固定することができる。これにより、把持部取付部材7に設けられた脚部72の回転軸方向(X方向)における位置を確実に固定することができる。また、把持部6の他方の端部を固定するための部材を別途設ける必要がない。
【0052】
また、本実施形態では、上記のように、オイルケーシング51は、外周部に、把持部6が嵌め込まれて係合する係合部51aが設けられている。これにより、オイルケーシング51をモータ1に取り付けてオイル室5のシール性を確保した上で、オイルケーシング51の係合部51aに対して把持部6を取り付けることができるので、オイルケーシング51をモータ1に取り付ける際に、同時に把持部6をオイルケーシング51に連結する場合と比べて、組み立て時の作業性を向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、係合部51aを、把持部取付部材7とは反対側のポンプ室側(X2方向側)から把持部6が嵌め込まれて係合するように構成する。これにより、把持部6が係合部51aから把持部取付部材7側に移動するのを抑制することができるので、把持部6に連結された把持部取付部材7がオイル室5から離れる方向(X1方向)に移動するのを抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、把持部6に、吊り下げ用部材を通すための貫通孔63を設け、貫通孔63を、把持部6が延びる方向と直交する水平方向(Y方向)に貫通するように形成する。これにより、把持部6とモータ1との間に吊り下げ用部材を通し、把持部6に吊り下げ用部材を掛ける場合と異なり、吊り下げ用部材が把持部6の延びる方向に移動するのを抑制することができるので、水中電動ポンプ100を吊り下げ用部材により安定して吊り下げることができる。
【0055】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0056】
たとえば、上記実施形態では、把持部を把持部取付部材およびオイルケーシングに連結させる構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、把持部を把持部取付部材のみに連結してもよいし、把持部連結部材およびポンプケーシングに連結してもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、把持部に吊り下げ用部材を通すための貫通孔を2つ設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、把持部に吊り下げ用部材を通すための貫通孔を1つまたは3つ以上設けてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、ポンプケーシングにストレーナを設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、ポンプケーシングにストレーナを設けなくてもよい。また、ストレーナの形状も適宜変更可能である。
【0059】
また、上記実施形態では、把持部取付部材に1つの脚部を設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、把持部取付部材に複数の脚部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 モータ
2 回転軸
4 ポンプ室
5 オイル室
6 把持部
7 把持部取付部材
41 ポンプケーシング
51 オイルケーシング
51a 係合部
52 メカニカルシール
63 貫通孔
71a、71b 突出部
71c 位置決部
72 脚部
73 取付部
74 締結部材
75 滑り止め部材
100 水中電動ポンプ(横型水中電動ポンプ)