(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047010
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】磁気記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 11/16 20060101AFI20220316BHJP
H01L 21/8239 20060101ALI20220316BHJP
H01L 29/82 20060101ALI20220316BHJP
H01L 43/08 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
G11C11/16 240
H01L27/105 447
H01L29/82 Z
H01L43/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020152702
(22)【出願日】2020-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】長田 佳晃
(72)【発明者】
【氏名】初田 幸輔
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA07
4M119BB01
4M119DD24
4M119DD37
4M119DD45
4M119EE22
4M119EE27
4M119HH02
4M119HH07
5F092AB07
5F092AC11
5F092BB23
5F092BB36
5F092BB43
5F092BC04
5F092DA04
(57)【要約】
【課題】 メモリセルの破壊とデータ書込みエラーの両方を抑制できる磁気記憶装置を提供する。
【解決手段】 一実施形態による磁気記憶装置は、第1端及び第2端を有する磁気抵抗効果素子と、第1端と第1配線との間の第1スイッチと、第2端と第2配線との間の第2スイッチと、第1端と第3配線との間の第3スイッチと、第2端と第4配線との間の第4スイッチと、ドライバと、を含む。ドライバは、第1配線及び第2配線と接続され、第1端の電圧及び第2端の電圧に基づく大きさの電流を第1配線に供給するように構成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端及び第2端を有する磁気抵抗効果素子と、
前記第1端と第1配線との間の第1スイッチと、
前記第2端と第2配線との間の第2スイッチと、
前記第1端と第3配線との間の第3スイッチと、
前記第2端と第4配線との間の第4スイッチと、
前記第1配線及び前記第2配線と接続され、前記第1端の電圧及び前記第2端の電圧に基づく大きさの電流を前記第1配線に供給するように構成されているドライバと、
を備える磁気記憶装置。
【請求項2】
前記第1端と接続され、前記第1スイッチと前記第3スイッチの間に接続された第5配線と、
前記第2端と接続され、前記第2スイッチと前記第4スイッチの間に接続された第6配線と、
をさらに備える、
請求項1に記載の磁気記憶装置。
【請求項3】
前記第5配線は、第3端において前記第1スイッチと接続され、第4端において前記第3スイッチと接続され、
前記第6配線は、第5端において前記第2スイッチと接続され、第6端において前記第4スイッチと接続されている、
請求項2に記載の磁気記憶装置。
【請求項4】
前記ドライバは、
前記第1スイッチと接続された第1ノードと、前記第2スイッチと接続された第2ノードとを含み、
前記電流を前記第1ノードから出力し、
前記電流を前記第2ノードで引く、
請求項1に記載の磁気記憶装置。
【請求項5】
前記ドライバは、前記第3スイッチと接続された第3ノードと、前記第4スイッチと接続された第4ノードとを含む、
請求項4に記載の磁気記憶装置。
【請求項6】
前記ドライバは、
参照電圧を受け取り、
前記第2端の前記電圧と前記参照電圧の和と、前記第1端の前記電圧とに基づく大きさを有する前記電流を出力する、
請求項4に記載の磁気記憶装置。
【請求項7】
前記ドライバは、オペアンプを含み、
前記オペアンプは、非反転入力端子において前記第1端の前記電圧を受け取り、反転入力端子において前記第2端の前記電圧と参照電圧との和の電圧を受け取る、
請求項4に記載の磁気記憶装置。
【請求項8】
前記ドライバは、第1トランジスタを含み、
前記第1トランジスタは、前記第1ノードと接続され、ゲートにおいて前記オペアンプの出力を受け取る、
請求項7に記載の磁気記憶装置。
【請求項9】
第1端及び第2端を有する磁気抵抗効果素子と、
非反転入力端子において前記第1端と接続され、反転入力端子において参照電圧と前記第2端の電圧の和の電圧を受け取るオペアンプと、
第1電位の第1ノードと前記第1端との間に接続され、ゲートにおいて前記オペアンプの出力を受け取る第1トランジスタと、
を備える磁気記憶装置。
【請求項10】
前記第2端と、前記第1電位よりも低い第2電位の第2ノードとの間に接続された第2トランジスタをさらに備える、
請求項9に記載の磁気記憶装置。
【請求項11】
前記第1端と接続された第1配線と
前記第1配線と前記第1トランジスタとの間に接続された第1スイッチと、
前記第2端と接続された第2配線と、
をさらに備え、
前記第2トランジスタは、前記第2配線と前記第2ノードとの間に接続される、
請求項10に記載の磁気記憶装置。
【請求項12】
前記第1配線と前記非反転入力端子との間に接続された第3スイッチと、
前記第2配線と前記反転入力端子との間に接続された容量と、
をさらに備える、
請求項11に記載の磁気記憶装置。
【請求項13】
第1端及び第2端を有する磁気抵抗効果素子と、
前記第1端と接続された第1ノード及び前記第2端と接続された第2ノードを有し、前記第1端の電圧及び前記第2端の電圧に基づく大きさの電流を前記第1ノードから供給し、前記電流を前記第2ノードで引くように構成されているドライバと、
を備える磁気記憶装置。
【請求項14】
前記ドライバは、前記第1端と接続された第3ノードと、前記第2端と接続された第4ノードとを含み、
前記第1ノードの電圧と前記第2ノードの電圧に基づく大きさの前記電流を前記第1ノードから供給するように構成されている、
請求項13に記載の磁気記憶装置。
【請求項15】
前記ドライバは、
参照電圧を受け取り、
前記第4ノードの前記電圧と前記参照電圧の和と、前記第3ノードの前記電圧とに基づく大きさの前記電流を前記第1ノードから供給するように構成されている、
請求項14に記載の磁気記憶装置。
【請求項16】
前記ドライバは、オペアンプを含み、
前記オペアンプは、非反転入力端子において前記第4ノードの前記電圧を受け取り、反転入力端子において前記第3ノードの前記電圧と前記参照電圧の和の電圧を受け取る、
請求項15に記載の磁気記憶装置。
【請求項17】
前記ドライバは、第1トランジスタを含み、
前記第1トランジスタは、前記第1ノードと接続され、ゲートにおいて前記オペアンプの出力を受け取る、
請求項16に記載の磁気記憶装置。
【請求項18】
前記第1端と第1配線との間の第1スイッチと、
前記第2端と第2配線との間の第2スイッチと、
前記第1端と第3配線との間の第3スイッチと、
前記第2端と第4配線との間の第4スイッチと、
をさらに備える、
請求項17に記載の磁気記憶装置。
【請求項19】
前記第1端と接続され、前記第1スイッチと前記第3スイッチの間に接続された第5配線と、
前記第2端と接続され、前記第2スイッチと前記第4スイッチの間に接続された第6配線と、
をさらに備える、
請求項18に記載の磁気記憶装置。
【請求項20】
前記第5配線は、第3端において前記第1スイッチと接続され、第4端において前記第3スイッチと接続され、
前記第6配線は、第7端において前記第2スイッチと接続され、第8端において前記第4スイッチと接続されている、
請求項19に記載の磁気記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、概して磁気記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗効果素子を用いた記憶装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メモリセルの破壊とデータ書込みエラーの両方を抑制できる磁気記憶装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態による磁気記憶装置は、第1端及び第2端を有する磁気抵抗効果素子と、上記第1端と第1配線との間の第1スイッチと、上記第2端と第2配線との間の第2スイッチと、上記第1端と第3配線との間の第3スイッチと、上記第2端と第4配線との間の第4スイッチと、ドライバと、を含む。ドライバは、上記第1配線及び上記第2配線と接続され、上記第1端の電圧及び上記第2端の電圧に基づく大きさの電流を第1配線に供給するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態の磁気記憶装置の機能ブロックを示す。
【
図2】
図2は、第1実施形態のメモリセルアレイの回路図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態のメモリセルアレイの一部の断面の構造を示す。
【
図4】
図4は、第1実施形態のメモリセルアレイの一部の断面の構造を示す。
【
図5】
図5は、第1実施形態のメモリセルの構造の例の断面を示す。
【
図6】
図6は、第1実施形態の磁気記憶装置のいくつかの機能ブロックの詳細を示す。
【
図7】
図7は、第1実施形態の書込みドライバの要素及び接続の例を示す。
【
図8】
図8は、第1実施形態の磁気記憶装置のデータ書込みの間のいくつかの信号の状態を時間に沿って示す。
【
図9】
図9は、第1実施形態の磁気記憶装置のデータ書込みの間の一状態を示す。
【
図10】
図10は、第1実施形態の選択メモリセルのP書込み前後の状態を示す。
【
図11】
図11は、第1実施形態の選択メモリセルのAP書込み前後の状態を示す。
【
図12】
図12は、第1実施形態の磁気記憶装置のデータ書込みの間の一状態を示す。
【
図13】
図13は、第1実施形態の磁気記憶装置のデータ書込みの間の一状態を示す。
【
図14】
図14は、第1の参考用の磁気記憶装置の一部の要素及び接続を示す。
【
図15】
図15は、第2の参考用の磁気記憶装置の一部の要素及び接続を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に実施形態が図面を参照して記述される。以下の記述において、略同一の機能及び構成を有する構成要素は同一の参照符号を付され、繰返しの説明は省略される場合がある。略同一の機能及び構成を有する複数の構成要素が相互に区別されるために、参照符号の末尾にさらなる数字又は文字が付される場合がある。
【0008】
図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。また、或る実施形態についての記述は全て、明示的に又は自明的に排除されない限り、別の実施形態の記述としても当てはまる。
【0009】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある第1要素が別の第2要素に「接続されている」とは、第1要素が直接的又は常時或いは選択的に導電性となる要素を介して第2要素に接続されていることを含む。
【0010】
以下、xyz直交座標系が用いられて、実施形態が記述される。以下の記述において、「下」との記述及びその派生語並びに関連語は、z軸上のより小さい座標の位置を指し、「上」との記述及びその派生語並びに関連語は、z軸上のより大きい座標の位置を指す。
【0011】
1.第1実施形態
1.1.構造(構成)
1.1.1.全体の構造
図1は、第1実施形態の磁気記憶装置の機能ブロックを示す。
図1に示されるように、磁気記憶装置1は、メモリセルアレイ11、入出力回路12、制御回路13、ロウ選択回路14、カラム選択回路15、書込み回路16、及び読出し回路17を含む。
【0012】
メモリセルアレイ11は、複数のメモリセルMC、複数のワード線WL、及び複数のビット線BLを含む。メモリセルMCは、データを不揮発に記憶することができる。各メモリセルMCは、1つのワード線WL及び1つのビット線BLと接続されている。ワード線WLは行(ロウ)と関連付けられている。ビット線BLは列(カラム)と関連付けられている。1つの行の選択及び1つ又は複数の列の選択により、1つ又は複数のメモリセルMCが特定される。
【0013】
入出力回路12は、例えばメモリコントローラ2から、種々の制御信号CNT、種々のコマンドCMD、アドレス信号ADD、データ(書込みデータ)DATを受け取り、例えばメモリコントローラ2にデータ(読出しデータ)DATを送信する。
【0014】
ロウ選択回路14は、入出力回路12からアドレス信号ADDを受け取り、受け取られたアドレス信号ADDにより特定される行と関連付けられた1つのワード線WLを選択された状態にする。
【0015】
カラム選択回路15は、入出力回路12からアドレス信号ADDを受け取り、受け取られたアドレス信号ADDにより特定される列と関連付けられた複数のビット線BLを選択された状態にする。
【0016】
制御回路13は、入出力回路12から制御信号CNT及びコマンドCMDを受け取る。制御回路13は、制御信号CNTによって指示される制御及びコマンドCMDに基づいて、書込み回路16及び読出し回路17を制御する。具体的には、制御回路13は、メモリセルアレイ11へのデータの書込みの間に、データ書込みに使用される電圧を書込み回路16に供給する。また、制御回路13は、メモリセルアレイ11からのデータの読出しの間に、データ読出しに使用される電圧を読出し回路17に供給する。
【0017】
書込み回路16は、入出力回路12から書込みデータDATを受け取り、制御回路13の制御及び書込みデータDATに基づいて、データ書込みに使用される電圧をカラム選択回路15に供給する。
【0018】
読出し回路17は、センスアンプを含み、制御回路13の制御に基づいて、データ読出しに使用される電圧を使用して、メモリセルMCに保持されているデータを割り出す。割り出されたデータは、読出しデータDATとして、入出力回路12に供給される。
【0019】
1.1.2.メモリセルアレイの回路構成
図2は、第1実施形態のメモリセルアレイ11の回路図である。
図2に示されるように、メモリセルアレイ11は、M+1(Mは自然数)本のワード線WLa(WLa<0>、WLa<1>、…、WLa<M>)及びM+1本のワード線WLb(WLb<0>、WLb<1>、…、WLb<M>)を含む。メモリセルアレイ11はまた、N+1(Nは自然数)本のビット線BL(BL<0>、BL<1>、…、BL<N>)を含む。
【0020】
各メモリセルMC(MCa及びMCb)は、2つのノードを有し、第1ノードN1において1本のワード線WLと接続され、第2ノードN2において1本のビット線BLと接続されている。より具体的には、メモリセルMCaは、αが0以上M以下の整数の全てのケース及びβが0以上N以下の整数の全てのケースの全ての組合せについて、メモリセルMCa<α、β>を含み、メモリセルMCa<α、β>は、ワード線WLa<α>とビット線BL<β>との間に接続される。同様に、メモリセルMCbは、αが0以上M以下の整数の全てのケース及びβが0以上N以下の整数の全てのケースの全ての組合せについて、メモリセルMCb<α、β>を含み、メモリセルMCb<α、β>は、ワード線WLb<α>とビット線BL<β>との間に接続される。
【0021】
各メモリセルMCは、1つの磁気抵抗効果素子VR(VRa又はVRb)及び1つのスイッチング素子SE(SEa又はSEb)を含む。より具体的には、αが0以上M以下の整数の全てのケース及びβが0以上N以下の整数の全てのケースの全ての組合せについて、メモリセルMCa<α、β>は、磁気抵抗効果素子VRa<α、β>及びスイッチング素子SEa<α、β>を含む。さらに、αが0以上M以下の全てのケース及びβが0以上N以下の整数の全てのケースの全ての組合せについて、メモリセルMCb<α、β>は、磁気抵抗効果素子VRb<α、β>及びスイッチング素子SEb<α、β>を含む。
【0022】
各メモリセルMCにおいて、磁気抵抗効果素子VRとスイッチング素子SEは直列に接続されている。磁気抵抗効果素子VRは1本のワード線WLと接続されており、スイッチング素子SEは1本のビット線BLと接続されている。
【0023】
磁気抵抗効果素子VRは、低抵抗Raを有する状態と高抵抗Rapを有する状態との間を切り替わることができる。磁気抵抗効果素子VRは、この2つの抵抗状態の違いを利用して、1ビットのデータを保持することができる。
【0024】
スイッチング素子SEは、例えば以下に記述されるようなスイッチング素子であることが可能である。スイッチング素子は、2つの端子を有し、2端子間に第1閾値未満の電圧が第1方向に印加されている場合、そのスイッチング素子は高抵抗状態、例えば電気的に非導通状態である(オフ状態である)。一方、2端子間に第1閾値以上の電圧が第1方向に印加されている場合、そのスイッチング素子は低抵抗状態、例えば電気的に導通状態である(オン状態である)。スイッチング素子は、さらに、このような第1方向に印加される電圧の大きさに基づく高抵抗状態及び低抵抗状態の間の切り替わりの機能と同じ機能を、第1方向と反対の第2方向についても有する。スイッチング素子のオン又はオフにより、当該スイッチング素子と接続された磁気抵抗効果素子VRへの電流の供給の有無、すなわち当該磁気抵抗効果素子VRの選択又は非選択が制御されることが可能である。
【0025】
1.1.3.メモリセルアレイの構造
図3及び
図4は、第1実施形態のメモリセルアレイ11の一部の断面の構造を示す。
図3は、xz面に沿った断面を示し、
図4は、yz面に沿った断面を示す。
【0026】
図3及び
図4に示されるように、半導体基板(図示せず)の上方に複数の導電体21が設けられている。導電体21は、y軸に沿って延び、x軸に沿って並ぶ。各導電体21は、1つのワード線WLとして機能する。
【0027】
各導電体21は、上面において、複数のメモリセルMCbのそれぞれの底面と接続されている。メモリセルMCbは、xy面において、例えば円の形状を有する。メモリセルMCbは各導電体21上でy軸に沿って並んでおり、このような配置によってメモリセルMCbはxy面において行列状に配置されている。各メモリセルMCbは、スイッチング素子SEbとして機能する構造と、磁気抵抗効果素子VRbとして機能する構造を含む。スイッチング素子SEbとして機能する構造及び磁気抵抗効果素子VRbとして機能する構造は、各々、後述のように1又は複数の層を含む。
【0028】
メモリセルMCbの上方に、複数の導電体22が設けられている。導電体22は、x軸に沿って延び、y軸に沿って並ぶ。各導電体22は、底面において、x軸に沿って並ぶ複数のメモリセルMCbのそれぞれの上面と接している。各導電体22は、1つのビット線BLとして機能する。
【0029】
各導電体22は、上面において、複数のメモリセルMCaのそれぞれの底面と接続されている。メモリセルMCaは、xy面において、例えば円の形状を有する。メモリセルMCaは各導電体22上でx軸に沿って並んでおり、このような配置によってメモリセルMCaはxy面において行列状に配置されている。各メモリセルMCaは、スイッチング素子SEaとして機能する構造と、磁気抵抗効果素子VRaとして機能する構造を含む。スイッチング素子SEaとして機能する構造及び磁気抵抗効果素子VRaとして機能する構造は、各々、後述のように1又は複数の層を含む。
【0030】
y軸に沿って並ぶ複数のメモリセルMCaのそれぞれの上面上に、さらなる導電体21が設けられている。
【0031】
図3及び
図4に示される最下の導電体21の層からメモリセルMCaの層までの構造がz軸に沿って繰返し設けられることによって、
図2に示されるようなメモリセルアレイ11が実現されることが可能である。
【0032】
メモリセルアレイ11は、さらに、導電体21、導電体22、及びメモリセルMCを設けられていない領域において層間絶縁体を含む。
【0033】
図5は、第1実施形態のメモリセルMCの構造の例の断面を示す。
図5に示されるように、スイッチング素子SEは、下部電極24、可変抵抗材料(層)25、及び上部電極26を含む。下部電極24は導電体21又は22(図示せず)の上面上に位置する。可変抵抗材料25は下部電極24の上面上に位置する。上部電極26は可変抵抗材料25の上面上に位置する。
【0034】
下部電極24及び上部電極26は、例えば、窒化チタン(TiN)を含むか、TiNからなる。
【0035】
可変抵抗材料25は、例えば2端子間スイッチ素子であり、2端子のうちの第1端子は可変抵抗材料25の上面及び底面の一方であり、2端子のうちの第2端子は可変抵抗材料25の上面及び底面の他方である。各上部電極26の上面上に、1つの磁気抵抗効果素子VRが位置する。本実施形態の磁気抵抗効果素子VRはトンネル磁気抵抗効果を示し、以下、例として、MTJ(magnetic tunnel junction)素子の場合について記述される。具体的には、磁気抵抗効果素子VRは、強磁性層31、絶縁層32、及び強磁性層33を含む。例として、
図5に示されるように、絶縁層32は強磁性層31の上面上に位置し、強磁性層33は絶縁層32の上面上に位置する。
【0036】
強磁性層31は、強磁性層31、絶縁層32、及び強磁性層33の界面を貫く方向に沿った磁化容易軸を有し、例えば界面に対して45°以上90°以下の角度の磁化容易軸を有し、例えば界面と直交する方向に沿った磁化容易軸を有する。強磁性層31の磁化の向きは磁気記憶装置1でのデータの読出し及び書込みによっても不変であることを意図されている。強磁性層31は、いわゆる参照層として機能することができる。強磁性層31は、積層された複数の強磁性層、及び(又は)導電層を含んでいてもよい。
【0037】
絶縁層32は、例えば、酸化マグネシウム(MgO)を含むか、MgOからなり、いわゆるトンネルバリアとして機能する。
【0038】
強磁性層33は、例えば、コバルト鉄ボロン(CoFeB)又はホウ化鉄(FeB)を含むか、CoFeB又はFeBからなる。強磁性層33は、強磁性層31、絶縁層32、及び強磁性層33の界面を貫く方向に沿った磁化容易軸を有し、例えば界面に対して45°以上90°以下の角度の磁化容易軸を有し、例えば界面と直交する方向に沿った磁化容易軸を有する。強磁性層33の磁化の向きはデータ書込みによって可変であり、強磁性層33は、いわゆる記憶層として機能することができる。
【0039】
強磁性層33の磁化の向きが強磁性層31の磁化の向きと平行であると、磁気抵抗効果素子VRは、或る低い抵抗を有する。強磁性層33の磁化の向きが強磁性層31の磁化の向きと反平行であると、磁気抵抗効果素子VRは、強磁性層31と33の磁化の向きが反平行である場合の抵抗よりも高い抵抗を有する。強磁性層31の磁化の向きと平行な強磁性層33の磁化の向きを有する状態のメモリセルMCは、P状態にあると称される。強磁性層31の磁化の向きと反平行な強磁性層33の磁化の向きを有する状態のメモリセルMCは、AP状態にあると称される。
【0040】
強磁性層33から強磁性層31に向かって或る大きさの書込み電流Iwpが流れると、強磁性層33の磁化の向きは強磁性層31の磁化の向きと平行になる。このような磁化の向きを反転させる操作はP書込みと称される場合がある。一方、強磁性層31から強磁性層33に向かって或る別の大きさの書込み電流Iwapが流れると、強磁性層33の磁化の向きは強磁性層31の磁化の向きと反平行になる。このような磁化の向きを反転させる操作はAP書込みと称される場合がある。以下、書込み電流IwpはP書込み電流と称される場合があり、書込み電流IwapはAP書込み電流と称される場合がる。AP書込み電流Iwapは、P書込み電流Iwpより大きい。以下、AP書込み電流Iwap及びP書込み電流Iwpは、単に書込み電流Iwと称される場合がある。したがって、書込み電流Iwは、データ書込み対象のメモリセル(選択メモリセル)MCへのP書込みの場合はP書込み電流を意味し、選択メモリセルMCへのAP書込みの場合はAP書込み電流Iwapを意味する。
【0041】
メモリセルMCは、さらなる導電体、絶縁体、及び(又は)強磁性体を含んでいてもよい。
【0042】
図6は、第1実施形態の磁気記憶装置1のいくつかの機能ブロックの詳細を示す。より具体的には、
図6は、メモリセルアレイ11、ロウ選択回路14、カラム選択回路15、書込み回路16の各々の一部の要素、接続、及びレイアウトを示す。
図6は、複数のメモリセルMCのうちの或る1つのメモリセルMCのみを代表として示す。
【0043】
図6に示されるとともに、
図2を参照して記述されるように、メモリセルMCは、第1ノードN1において1つのワード線WLと接続され、第2ノードN2において1つのビット線BLと接続されている。メモリセルMCがメモリセルMCaである場合、メモリセルMCと接続されているワード線WLはワード線WLaである。一方、メモリセルMCがメモリセルMCbである場合、メモリセルMCと接続されているワード線WLはワード線WLbである。
【0044】
ロウ選択回路14は、複数のローカルロウスイッチTLY1、複数のローカルロウスイッチTLY2、グローバルロウスイッチTGY1、及びグローバルロウスイッチTGY2を含む。各ワード線WLは、第1端(一端)において、1つのローカルロウスイッチTLY1の第1端(一端)と接続されている。ワード線WLは、同じ側で、それぞれのローカルロウスイッチTLY1のそれぞれの第1端と接続されており、例えば、
図4の構造でのy軸上でより小さい座標の側、すなわち左側の端において、それぞれのローカルロウスイッチTLY1のそれぞれの第1端と接続されている。
【0045】
各ローカルロウスイッチTLY1は、制御端子において、ロウ選択回路14中の図示せぬ別の要素から制御信号LYを受け取り、制御信号LYに基づいてオン又はオフする。各ローカルロウスイッチTLY1は、n型のMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)であることが可能であり、ゲート端子において制御信号LYを受け取る。ロウ選択回路14は、複数のローカルロウスイッチTLY1のうちのアドレス信号ADDによって指定される1つのローカルロウスイッチTLY1に供給される制御信号LYのみを選択を、指定するレベル(例えばハイレベル)にする。この結果、複数のローカルロウスイッチTLY1のうち、選択を指定するレベルの制御信号LYを受け取ったローカルロウスイッチTLY1のみがオンする。
【0046】
各ローカルロウスイッチTLY1の第2端(他端)は、ローカルワード線LWL1と接続されている。複数のローカルロウスイッチTLY1のうちの1つのオンによって、当該ローカルロウスイッチTLY1と接続されたワード線WLが、当該ローカルロウスイッチTLY1を介してローカルワード線LWL1と接続される。
【0047】
ローカルワード線LWL1は、グローバルロウスイッチTGY1を介して、グローバルワード線GWL1と接続されている。グローバルロウスイッチTGY1は、制御端子においてロウ選択回路14中の図示せぬ別の要素から制御信号GYを受け取り、制御信号GYに基づいてオン又はオフする。グローバルロウスイッチTGY1は、n型のMOSFETであることが可能であり、ゲート端子において制御信号GYを受け取る。
【0048】
各ワード線WLは、第2端(他端)において、1つのローカルロウスイッチTLY2の第1端(一端)と接続されている。ワード線WLは、同じ側で、それぞれのローカルロウスイッチTLY2のそれぞれの第1端と接続されており、例えば、
図4の構造でのy軸上でより大きい座標の側、すなわち右側の端において、それぞれのローカルロウスイッチTLY2のそれぞれの第1端と接続されている。
【0049】
各ローカルロウスイッチTLY2は、制御端子においてロウ選択回路14中の図示せぬ別の要素から制御信号LYを受け取り、制御信号LYに基づいてオン又はオフする。各ローカルロウスイッチTLY2は、n型のMOSFETであることが可能であり、ゲート端子において制御信号LYを受け取る。ロウ選択回路14は、複数のローカルロウスイッチTLY2のうちのアドレス信号ADDによって指定される1つのローカルロウスイッチTLY2に供給される制御信号LYのみを選択を指定するレベル(例えばハイレベル)にする。この結果、複数のローカルロウスイッチTLY2のうち、選択を指定するレベルの制御信号LYを受け取ったローカルロウスイッチTLY2のみがオンする。
【0050】
各ローカルロウスイッチTLY2の第2端(他端)は、ローカルワード線LWL2と接続されている。複数のローカルロウスイッチTLY2のうちの1つのオンによって、当該ローカルロウスイッチTLY2と接続されたワード線WLが、当該ローカルロウスイッチTLY2を介してローカルワード線LWL2と接続される。
【0051】
或る同じワード線WLと接続されている計2つのローカルロウスイッチTLY1及びTLY2は、それぞれのゲートにおいて、同じ制御信号LYを受け取る。よって、或るワード線WLと関連付けられた制御信号LYが選択を指定するレベルにされることにより、当該ワード線WLは、ローカルワード線LWL1及びLWL2の両方と接続される。
【0052】
ローカルワード線LWL2は、グローバルロウスイッチTGY2を介して、グローバルワード線GWL2と接続されている。グローバルロウスイッチTGY2は、制御端子においてロウ選択回路14中の図示せぬ別の要素から制御信号GYを受け取り、制御信号GYに基づいてオン又はオフする。グローバルロウスイッチTGY2は、n型のMOSFETであることが可能であり、ゲート端子において制御信号GYを受け取る。
【0053】
カラム選択回路15は、複数のローカルカラムスイッチTLX1、複数のローカルカラムスイッチTLX2、グローバルカラムスイッチTGX1、及びグローバルカラムスイッチTGX2を含む。各ビット線BLは、第1端(一端)において、1つのローカルカラムスイッチTLX1の第1端(一端)と接続されている。ビット線BLは、同じ側で、それぞれのローカルカラムスイッチTLX1のそれぞれの第1端と接続されており、例えば、
図3の構造でのy軸上でより小さい座標の側、すなわち左側の端において、それぞれのローカルカラムスイッチTLX1のそれぞれの第1端と接続されている。
【0054】
各ローカルカラムスイッチTLX1は、制御端子においてカラム選択回路15中の図示せぬ別の要素から制御信号LXを受け取り、制御信号LXに基づいてオン又はオフする。各ローカルカラムスイッチTLX1は、n型のMOSFETであることが可能であり、ゲート端子において制御信号LXを受け取る。カラム選択回路15は、複数のローカルカラムスイッチTLX1のうちのアドレス信号ADDによって指定される1つのローカルカラムスイッチTLX1に供給される制御信号LXのみを、選択を指定するレベル(例えばハイレベル)にする。この結果、複数のローカルカラムスイッチTLX1のうち、選択を指定するレベルの制御信号LXを受け取ったローカルカラムスイッチTLX1のみがオンする。
【0055】
各ローカルカラムスイッチTLX1の第2端(他端)は、ローカルビット線LBL1と接続されている。複数のローカルカラムスイッチTLX1のうちの1つのオンによって、当該ローカルカラムスイッチTLX1と接続されたビット線BLが、当該ローカルカラムスイッチTLX1を介してローカルビット線LBL1と接続される。
【0056】
ローカルビット線LBL1は、グローバルカラムスイッチTGX1を介して、グローバルビット線GBL1と接続されている。グローバルカラムスイッチTGX1は、制御端子においてカラム選択回路15中の図示せぬ別の要素から制御信号を受け取り、制御信号GXに基づいてオン又はオフする。グローバルカラムスイッチTGX1は、n型のMOSFETであることが可能であり、ゲート端子において制御信号GXを受け取る。
【0057】
各ビット線BLは、第2端(他端)において、1つのローカルカラムスイッチTLX2の第1端(一端)と接続されている。ビット線BLは、同じ側で、それぞれのローカルカラムスイッチTLX2のそれぞれの第1端と接続されており、例えば、
図3の構造でのy軸上でより大きい座標の側、すなわち右側の端において、それぞれのローカルカラムスイッチTLX2のそれぞれの第1端と接続されている。
【0058】
各ローカルカラムスイッチTLX2は、制御端子においてカラム選択回路15中の図示せぬ別の要素から制御信号LXを受け取り、制御信号LXに基づいてオン又はオフする。各ローカルカラムスイッチTLX2は、n型のMOSFETであることが可能であり、ゲート端子において制御信号LXを受け取る。カラム選択回路15は、複数のローカルカラムスイッチTLX2のうちのアドレス信号ADDによって指定される1つのローカルカラムスイッチTLX2に供給される制御信号LXのみを選択を指定するレベル(例えばハイレベル)にする。この結果、複数のローカルカラムスイッチTLX2のうち、選択を指定するレベルの制御信号LXを受け取ったローカルカラムスイッチTLX2のみがオンする。
【0059】
各ローカルカラムスイッチTLX2の第2端(他端)は、ローカルビット線LBL2と接続されている。複数のローカルカラムスイッチTLX2のうちの1つのオンによって、当該ローカルカラムスイッチTLX2と接続されたビット線BLが、当該ローカルカラムスイッチTLX2を介してローカルビット線LBL2と接続される。
【0060】
或る同じビット線BLと接続されている計2つのローカルカラムスイッチTLX1及びTLX2は、ゲートにおいて、同じ制御信号LXを受け取る。よって、或るビット線BLと関連付けられた制御信号LXが選択を指定するレベルにされることにより、当該ビット線BLは、ローカルビット線LBL1及びLBL2の両方と接続される。
【0061】
ローカルビット線LBL2は、グローバルカラムスイッチTGX2を介して、グローバルビット線GBL2と接続されている。グローバルカラムスイッチTGX2は、制御端子においてカラム選択回路15中の図示せぬ別の要素から制御信号GXを受け取り、制御信号GXに基づいてオン又はオフする。グローバルカラムスイッチTGX2は、n型のMOSFETであることが可能であり、ゲート端子において制御信号GXを受け取る。
【0062】
書込み回路16は、書込みドライバ161を含む。書込みドライバ161は、メモリセルアレイ11の外側に位置する。例として、書込みドライバ161は、グローバルワード線GWL2の側、ワード線WLの第2端の側、又はメモリセルアレイ11の右側に位置することが可能である。また、例として、書込みドライバ161は、グローバルビット線GBL2の側、ビット線BLの第2端の側、又はメモリセルアレイ11の下側に位置することが可能である。
【0063】
書込みドライバ161は、第1ノードS+、第2ノードS-、第3ノードM+、及び第4ノードM-を有する。第1ノードS+は、グローバルワード線GWL1と接続されている。第2ノードS-は、グローバルビット線GBL1と接続されている。第3ノードM+は、グローバルワード線GWL2と接続されている。第4ノードM-は、グローバルビット線GBL2と接続されている。
【0064】
書込みドライバ161は、さらに複数の大きさから動的に選択される1つの固定の大きさの参照電圧Vrefを、例えば、制御回路13から受け取る。書込みドライバ161は、第1ノードS+から、可変の大きさの電流を出力することができる。書込みドライバ161は、第2ノードS-において、電流を引くことができる。書込みドライバ161は、第1ノードS+と第2ノードS-との間に導電性の要素が接続されることにより、第1ノードS+から出力される電流が当該導電性の要素を介して第2ノードS-へと流れることを可能にする。以下、書込みドライバ161の第1ノードS+から出力される電流は、書込みドライバ161の出力電流IOと称される場合がある。
【0065】
書込みドライバ161は、第3ノードM+に印加される電圧及び第4ノードM-に印加される電圧に基づいて、出力電流IOの大きさを変える。具体的には、書込みドライバ161は、第3ノードM+の電圧と第4ノードM-の電圧の差が大きいほど、より小さい出力電流IOを出力する負帰還回路として機能する。より具体的には、以下の通りである。第3ノードM+の電圧及び第4ノードM-の電圧は種々の大きさを有し得る。書込みドライバ161は、第3ノードM+の電圧の大きさ及び第4ノードM-の電圧の大きさに基づいて、第3ノードM+の電圧の大きさ及び第4ノードM-の電圧の大きさによらずに、参照電圧Vrefと実質的に同じ大きさの電圧がデータ書込み対象のメモリセルMCに印加されることを可能にする出力電流IOを第1ノードS+から出力する。以下、データ書込み対象のメモリセルMCは、選択メモリセルMCSと称される場合がある。本明細書及び請求の範囲において、「実質的に同じ」は、実質的に同じであると形容される2以上の要素が、原理上、及び(又は)理想的に同一であることを意味し、意図せぬ誤差を許容することを意味する。したがって、書込みドライバ161が参照電圧Vrefと実質的に同じ大きさの電圧が選択メモリセルMCSに印加されることを可能にする出力電流IOを出力するということは、書込みドライバ161に適用される回路の原理上、参照電圧Vrefと同一の大きさの電圧が選択メモリセルMCSに印加されることを可能にする出力電流IOを出力することを意味する。
【0066】
より具体的には、書込みドライバ161は、第4ノードM-の電圧と参照電圧Vrefの和と第3ノードM+の電圧が等しくなるように調整される大きさの出力電流IOを出力する。このような負帰還動作を可能にするために、後述のように、第3ノードM+及び第4ノードM-は、選択メモリセルMCSの第1ノードN1及び第2ノードN2にそれぞれ接続される。
【0067】
図7は、第1実施形態の書込みドライバ161の要素及び接続の例を示す。
図7に示されるように、書込みドライバ161は、オペアンプOP、容量C、及びp型のMOSFET TP1を含む。書込みドライバ161は、さらに、書込みドライバ161の動作と非動作を制御する目的で、n型のMOSFET TN1、TN2、TN3、及びTN4、並びにp型のMOSFET TP2を含むことが可能である。
【0068】
オペアンプOPの非反転入力端子は、書込みドライバ161の第3ノードM+として機能する。以下、ノードM+の電圧は、電圧VM+と称される。トランジスタTN1の第1端(ソース及びドレインの一方)は、ノードTrefとして機能し、参照電圧Vrefを受ける。トランジスタTN1の第2端(ソース及びドレインの他方)は、オペアンプOPの反転入力端子と接続されている。トランジスタTN1のゲートは、制御信号PCを、例えば制御回路13から受け取る。
【0069】
参照電圧Vrefは、選択メモリセルMCSへのAP書込みの場合と、P書込みの場合とで異なる大きさを有する。AP書込みの場合、参照電圧Vrefは、選択メモリセルMCSに参照電圧Vrefと同じ大きさの電圧が印加されるとともに当該選択メモリセルMCSにAP書込み電流Iwapが流れることを可能にする大きさを有する。AP書込みの場合の参照電圧Vrefの大きさは、例えば、磁気記憶装置1中のメモリセルMCの特性のばらつきを考慮して、例えば、メモリセルMCの平均の特性に基づくことができる。
【0070】
P書込みの場合、参照電圧Vrefは、選択メモリセルMCSへの参照電圧Vrefと同じ大きさの電圧が印加されるとともに当該選択メモリセルMCSにP書込み電流Iwpが流れることを可能にする大きさを有する。P書込みの場合の参照電圧Vrefの大きさは、例えば、磁気記憶装置1中のメモリセルMCの特性のばらつきを考慮して、例えば、メモリセルMCの平均の特性に基づくことができる。
【0071】
トランジスタTN2の第1端は、第4ノードM-として機能する。以下、ノードM-の電圧は、電圧VM-と称される。トランジスタTN2の第2端は、容量Cを介して、オペアンプOPの反転入力端子と接続されている。トランジスタTN2のゲートは、制御信号WTを、例えば制御回路13から受け取る。トランジスタTN2の第2端は、さらに、トランジスタTN3を介して、接地電位(共通電位)のノードと接続されている。トランジスタTN3のゲートは、制御信号PCを、例えば制御回路13から受け取る。
【0072】
トランジスタTP2の第1端は、電源電位Vddのノードと接続されている。トランジスタTP2のゲートは、制御信号 ̄WTを受け取る。符号「 ̄」は、「 ̄」を付された信号の論理の反転の論理を示す。トランジスタTP2の第2端は、トランジスタTP1の第1端と接続されている。トランジスタTP1のゲートは、オペアンプOPの出力端子と接続されている。トランジスタTP1の第2端は、書込みドライバ161の第1ノードS+として機能する。
【0073】
トランジスタTN4の第1端は、書込みドライバ161の第2ノードS-として機能する。トランジスタTN4の第2端は、接地電位のノードと接続されている。
【0074】
出力電流IOの大きさは、トランジスタTP1のゲートに印加される電圧の大きさに依存する。すなわち、オペアンプOPは、非反転入力端子の電圧と反転入力端子の電圧の差がより大きいと、より小さい電圧を出力し、すなわち、より小さい電圧をトランジスタTP1のゲートに印加する。トランジスタTP1のゲートに印加される電圧がより小さいと、出力電流IOの大きさはより大きい。一方、トランジスタTP1のゲートに印加される電圧がより大きいと、出力電流IOの大きさはより小さい。
【0075】
書込みドライバ161は、ハイレベルの制御信号WTを受け取っているとイネーブルにされ、動作することができる。
【0076】
1.2.動作
図8は、第1実施形態の磁気記憶装置1のデータ書込みの間のいくつかの信号の状態を時間に沿って示す。
【0077】
図8に示されるように、データ書込みの開始の前、制御信号PCはハイレベルにあり、制御信号WTはローレベルにある。制御信号WTがローレベルにある間、書込みドライバ161がディセーブルにある。制御信号PCがハイレベルにあるため、
図7に示されるトランジスタTN1及びTN3はオンしており、容量Cの両端子のうちのトランジスタTN1と接続されている方(第1端)は、電圧Vrefを有している。トランジスタTN3と接続されている方(第2端)は、接地電位(=0[V])を有している。
【0078】
データ書込みに伴い、時刻t1において、制御信号PCはローレベルとされる。制御信号PCのローレベルは、時刻t4まで続く。制御信号PCのローレベルへの移行の結果、
図7に示されるトランジスタTN1及びTN3はオフし、容量Cは、電気的にフローティング状態になる。
【0079】
時刻t2において、制御信号WTがハイレベルとされる。制御信号WTは、書込みの期間を制御し、書込みの間、ハイレベルに維持される。制御信号WTのハイレベルは、時刻t3まで続く。時刻t2から時刻t3の間、書込みドライバ161は、イネーブルとなっている。制御信号WTのハイレベルへの移行の結果、トランジスタTN2はオンし、容量Cの第2端の電圧が、0からVM-に上昇する。容量Cはフローティングしているので、容量Cの第2端の電圧の上昇と同じ大きさだけ、第1端の電圧が上昇する。すなわち、容量Cの第1端の電圧がVref+VM-となる。このため、書込みドライバ161がイネーブルの間、オペアンプの反転入力端子には、Vref+VM-の大きさの電圧が印加されている。
【0080】
時刻t3において制御信号WTがローレベルに戻され、時刻t4において制御信号PCがハイレベルに戻される。
【0081】
図9は、第1実施形態の磁気記憶装置1のデータ書込みの間の一状態を示す。
図9は、
図7と同じ要素及び範囲を示し、
図7と同様にレイアウトも表現している。
図9は、或る選択メモリセルMCSへのデータ書込みの間の一状態を示す。以下、選択メモリセルMCSと接続されたワード線WLは、選択ワード線WLSと称される。選択メモリセルMCSと接続されたビット線BLは、選択ビット線BLSと称される。
図9は、スイッチTLY1、TGY1、TLY2、TGY2、TLX1、TGX1、TLX2、及びTGX2のうち、オンしているもののみを示す。
図9に示されていないスイッチは、選択メモリセルMCSへのデータ書込みの間、オフしている。
【0082】
図9の選択メモリセルMCは、選択メモリセルMCS1として引用され、例として、メモリセルアレイ11の中央付近に位置している。ロウ選択回路14及びカラム選択回路15は、データ書込みの間、選択メモリセルMCSのロウ及びカラムに基づいて、すなわち、選択ワード線WLS及び選択ビット線BLSに基づいて、以下に記述される動作が行われるように構成されている。
【0083】
データ書込みの間、選択ワード線WLSと接続されたローカルロウスイッチ(選択ローカルロウスイッチ)TLY1、及びグローバルロウスイッチTGY1はオンに維持される。このため、選択メモリセルMCS1の第1ノードN1は、選択ワード線WLS、選択ローカルロウスイッチTLY1、ローカルワード線LWL1、グローバルロウスイッチTGY1、及びグローバルワード線GWL1を介して、書込みドライバ161の第1ノードS+と接続されている。第1ノードS+と選択メモリセルMCS1の第1ノードN1の間の電流経路は、抵抗RX1を有する。
【0084】
データ書込みの間、選択ビット線BLSと接続されたローカルカラムスイッチ(選択ローカルカラムスイッチ)TLX1、及びグローバルカラムスイッチTGX1はオンに維持される。このため、選択メモリセルMCS1の第2ノードN2は、選択ビット線BLS、選択ローカルカラムスイッチTLX1、ローカルビット線LBL1、グローバルカラムスイッチTGX1、及びグローバルビット線GBL1を介して、書込みドライバ161の第2ノードS-と接続されている。選択メモリセルMCS1の第2ノードN2と第2ノードS-との間の電流経路は、抵抗RY1を有する
選択メモリセルMCS1が、書込みドライバ161の第1ノードS+と第2ノードS-の間に接続されることにより、第1ノードS+と第2ノードS-を繋ぐ電流経路が形成されている。電流経路が形成されている状態で、書込みドライバ161がイネーブルとされることより、電流経路を、太い実線で示されるような電流が流れることができる。当該電流により、選択メモリセルMCS1にデータが書き込まれることが可能である。電流の大きさは、まず、書き込まれるデータに依存し、すなわち、AP書込みかP書込みかに依存する。さらに、供給される電流の大きさは、以下に記述されるように、選択メモリセルMCS1のメモリセルアレイ11中の位置にも依存する。
【0085】
データ書込みの間、選択ワード線WLSと接続されたローカルロウスイッチ(選択ローカルロウスイッチ)TLY2、及びグローバルロウスイッチTGY2はオンに維持される。このため、選択メモリセルMCS1の第1ノードN1はまた、選択ワード線WLS、選択ローカルロウスイッチTLY2、ローカルワード線LWL2、グローバルロウスイッチTGY2、及びグローバルワード線GWL2を介して、書込みドライバ161の第3ノードM+と接続されている。この結果、第3ノードM+は、破線で示されるように、選択メモリセルMCSの第1ノードN1の電圧V11を受けている。
【0086】
データ書込みの間、さらに、選択ビット線BLSと接続されたローカルカラムスイッチ(選択ローカルカラムスイッチ)TLX2、及びグローバルロウスイッチTGY2はオンに維持される。このため、選択メモリセルMCS1の第2ノードN2はまた、選択ビット線BLS、選択ローカルカラムスイッチTLX2、ローカルビット線LBL2、グローバルカラムスイッチTGX2、及びグローバルビット線GBL2を介して、書込みドライバ161の第4ノードM-と接続されている。この結果、第4ノードM-は、破線で示されるように、選択メモリセルMCの第2ノードN2の電圧V12を受けている。
【0087】
ここまで記述されるような、選択メモリセルMCSが、書込みドライバ161の第1ノードS+、第2ノードS-、第3ノードM+、及び第4ノードM-に電気的に接続されている状態は、磁気記憶装置1が選択メモリセルMCSについて書込み選択状態にあると称される。
【0088】
図6を参照して記述されるように、書込みドライバ161は、第3ノードM+の電圧及び第4ノードM-の電圧の大きさによらずに、参照電圧Vrefと実質的に同じ大きさの電圧が選択メモリセルMCS1の両端に印加されることを可能にする大きさの出力電流IO(書込み電流IWとして使用される)を出力する。参照電圧Vrefは、
図7を参照して記述されるように、AP書込みの場合と、P書込みの場合とで異なる大きさを有する。書き込まれるデータに基づく大きさの参照電圧Vrefの使用により、AP書込みの場合は、AP書込み電流Iwapが選択メモリセルMCS1を流れ、P書込みの場合はP書込み電流Iwpが選択メモリセルMCS1を流れる。
【0089】
データ書込みの完了により、書込み後の選択メモリセルMCS1の抵抗の大きさは、書込み前の選択メモリセルMCS1の抵抗の大きさと異なる。このため、書込み完了直後、すなわち、抵抗の大きさの切り替わり直後の電圧V11及びV12は、書込み前の電圧V11及びV12とそれぞれ異なる大きさを有する。しかしながら、これらの電圧の大きさの変化に基づいて、出力電流IOの大きさも変わる。この結果、以下に記述されるように、書込み前後で、選択メモリセルMCS1に印加される電圧は、実質的に同じである。
【0090】
図10は、第1実施形態の選択メモリセルMCS1のP書込み前後の状態を示す。P書込みの前、選択メモリセルMCS1は、高抵抗状態での抵抗Rapを有している。P書込みのために、参照電圧Vrefは、P書込みのために選択メモリセルMCS1に印加されることを意図されている電圧Vp(以下、P書込み電圧Vpと称される場合がある)と等しい大きさを有するように設定されている。このことに基づいて、選択メモリセルMCS1の第1ノードN1の電圧V11及び第2ノードN2の電圧V12に基づいて、書込みドライバ161は、P書込み電圧Vpが選択メモリセルMCS1に印加されるように、P書込み電圧Vpが抵抗Rapで除された大きさのP書込み電流Iwp1を出力する。
【0091】
P書込み電流Iwp1の供給によってP書込みが完了し、選択メモリセルMCS1が抵抗Rpを有するに至る。これと同時に、選択メモリセルMCS1の第1ノードN1の電圧V11及び第2ノードN2の電圧V12が変化する。これに基づいて、書込みドライバ161は、変化した電圧V11及び電圧V12に基づく大きさの出力電流IOを出力するようになる。すなわち、書込みドライバ161は、P書込み電圧Vpが抵抗Rpで除された大きさのP書込み電流Iwp2を出力する。P書込み電流Iwp2は、P書込み電流Iwp1より大きい。P書込みの完了に起因してP書込み電流Iwp2が流れることによって、P書込みの完了後も選択メモリセルMCS1には、P書込み電圧Vpが印加され続ける。
【0092】
AP書込みについても同じ現象が生じる。
図11は、第1実施形態の選択メモリセルMCS1のAP書込み前後の状態を示す。AP書込みの前、選択メモリセルMCS1は、抵低抵抗状態での抵抗Rpを有している。AP書込みのために、参照電圧Vrefは、AP書込みのために選択メモリセルMCS1に印加されることを意図されている電圧Vap(以下、AP書込み電圧Vapと称される場合がある)と等しい大きさを有するように設定されている。このことに基づいて、選択メモリセルMCS1の第1ノードN1の電圧V11及び第2ノードN2の電圧V12に基づいて、書込みドライバ161は、AP書込み電圧Vapが選択メモリセルMCS1に印加されるように、AP書込み電圧Vapが抵抗Rpで除された大きさのAP書込み電流Iwap1を出力する。
【0093】
AP書込み電流Iwap1の供給によってAP書込みが完了し、選択メモリセルMCS1が抵抗Rapを有するに至る。これと同時に、選択メモリセルMCS1の第1ノードN1の電圧V11及び第2ノードN2の電圧V12が変化する。これに基づいて、書込みドライバ161は、変化した電圧V11及び電圧V12に基づく大きさの出力電流IOを出力するようになる。すなわち、書込みドライバ161は、AP書込み電圧Vapが抵抗Rapで除された大きさのAP書込み電流Iwap2を出力する。AP書込み電流Iwap2は、AP書込み電流Iwap1より小さい。AP書込みの完了に起因してAP書込み電流Iwap2が流れることによって、AP書込みの完了後も選択メモリセルMCS1には、AP書込み電圧Vapが印加され続ける。
【0094】
このように、選択メモリセルMCSの抵抗の大きさの変化の前後で、選択メモリセルMCSは、実質的に同じ大きさの電圧を受ける。
【0095】
さらに、出力電流IO(すなわち、書込み電流Iw)は、書込みドライバ161の制御によって、選択メモリセルMCSのメモリセルアレイ11中の位置によらずに、実質的に同じ参照電圧Vrefが選択メモリセルMCSに印加されることを可能にする大きさを有する。以下、このことについて記述される。
【0096】
選択メモリセルMCSのメモリセルアレイ11中の位置は、書込み選択状態の磁気記憶装置1での書込みドライバ161の第1ノードS+と第2ノードS-を繋ぐ電流経路の抵抗を左右する。選択メモリセルMCSの位置が、電流経路のルート(パターン)に影響するからである。すなわち、第1ノードS+と選択メモリセルMCSの第1ノードN1とを繋ぐ電流経路の距離、及び選択メモリセルMCSの第2ノードN2と第2ノードS-とを繋ぐ電流経路の距離は、選択メモリセルMCSの位置に依存する。そして、電流経路の距離は、電流経路の抵抗に影響する。よって、書込みドライバ161の第1ノードS+と第2ノードS-を繋ぐ電流経路の抵抗の大きさは、選択メモリセルMCSの位置に依存する。このことは、選択メモリセルMCSの第1ノードN1の電圧及び第2ノードN2の電圧も、選択メモリセルMCSのメモリセルアレイ11中の位置に依存することを意味する。
【0097】
図9の書込み選択状態では、選択メモリセルMCS1の第1ノードN1の電圧V11及び第2ノードN2の電圧V12に基づいて、書込みドライバ161は、或る大きさの出力電流IO1を出力する。
【0098】
一方、上記のように、選択メモリセルMCSのメモリセルアレイ11中の位置は、選択メモリセルMCSの第1ノードN1及び第2ノードN2のそれぞれの電圧に影響する。
図12及び
図13は、
図9と同じく、第1実施形態の磁気記憶装置1のデータ書込みの間の一状態を示す。一方、
図12及び
図13は、
図9での選択メモリセルMCS1とは別の選択メモリセルMCS2及びMCS3についての書込み選択状態を示す。
【0099】
図12に示されるように、選択メモリセルMCS2は、メモリセルアレイ11中で選択メモリセルMCS1よりも書込みドライバ161に近い。すなわち、
図12での選択ワード線WLSは、
図9での選択ワード線WLSよりもローカルビット線LBL2に近い。また、
図12での選択ビット線BLSは、
図9での選択ビット線BLSよりもローカルワード線LWL2に近い。このような選択メモリセルMCS2の位置に基づいて、第1ノードS+と選択メモリセルMCS2の第1ノードN1の間の電流経路は、抵抗RX2を有し、選択メモリセルMCS2の第2ノードN2と第2ノードS-との間の電流経路は、抵抗RY2を有する。抵抗RX2は、
図9に示される選択状態での抵抗RX1より低く、抵抗RY2は、
図9に示される選択状態での抵抗RY1より低い。選択メモリセルMCS2の第1ノードN1の電圧V21は、選択メモリセルMCS1の第1ノードN1の電圧V11より低く、選択メモリセルMCS2の第2ノードN2の電圧V22は、選択メモリセルMCS1の第1ノードN1の電圧V12より低い。
【0100】
図6を参照して記述されるように書込みドライバ161は、第4ノードM-の電圧と参照電圧Vrefの和と第3ノードM+の電圧が等しくなるように調整される大きさの出力電流IOを出力する。
図12に示される書込み選択状態では、書込みドライバ161は、出力電流IO2を出力する。出力電流IO2は、
図9に示される書込み選択状態での出力電流IO1より小さい。
【0101】
一方で、
図12に示される書込み選択状態では、上記のように、抵抗RX2及び抵抗RY2は、それぞれ、
図9に示される書込み選択状態での抵抗RX1及び抵抗RY1より低い。このため、出力電流IO1、及び抵抗RX1並びに抵抗RY1によって定まる、選択メモリセルMCS2への印加電圧は、出力電流IO2、及び抵抗RX2並びに抵抗RY2によって定まる、選択メモリセルMCS2への印加電圧と実質的に等しい。すなわち、選択メモリセルMCS1及びMCS2のいずれにも、参照電圧Vrefと実質的に等しい電圧が印加される。
【0102】
図13に示されるように、選択メモリセルMCS3は、メモリセルアレイ11中で選択メモリセルMCS1よりも書込みドライバ161から遠い。すなわち、
図13での選択ワード線WLSは、
図9での選択ワード線WLSよりもローカルビット線LBL1に近い。また、
図13での選択ビット線BLSは、
図9での選択ビット線BLSよりもローカルワード線LWL1に近い。このような選択メモリセルMCS3の位置に基づいて、第1ノードS+と選択メモリセルMCS3の第1ノードN1の間の電流経路は、抵抗RX3を有し、選択メモリセルMCS3の第2ノードN2と第2ノードS-との間の電流経路は、抵抗RY3を有する。抵抗RX3は、
図9に示される選択状態での抵抗RX1より高く、抵抗RY3は、
図9に示される選択状態での抵抗RY1より高い。選択メモリセルMCS3の第1ノードN1の電圧V31は、選択メモリセルMCS1の第1ノードN1の電圧V11より高く、選択メモリセルMCS3の第2ノードN2の電圧V32は、選択メモリセルMCS1の第1ノードN1の電圧V12より高い。
【0103】
図13に示される書込み選択状態では、書込みドライバ161は、出力電流IO3を出力する。出力電流IO3は、
図9に示される書込み選択状態での出力電流IO1より大きい。一方、
図13に示される書込み選択状態では、上記のように、抵抗RX3及び抵抗RY3は、それぞれ、
図9に示される書込み選択状態での抵抗RX1及び抵抗RY1より高い。このため、出力電流IO1、及び抵抗RX1並びに抵抗RY1によって定まる、選択メモリセルMCS3への印加電圧は、出力電流IO3、及び抵抗RX3並びに抵抗RY3によって定まる、選択メモリセルMCS3への印加電圧と実質的に等しい。すなわち、選択メモリセルMCS1及びMCS3のいずれにも、参照電圧Vrefと実質的に等しい電圧が印加される。
【0104】
1.3.利点(効果)
第1実施形態によれば、以下に記述されるように、メモリセルMCの破壊を抑制しつつ、データ書込みエラーを抑制できる磁気記憶装置1が提供される。
【0105】
第1実施形態のメモリセルアレイ11に書込み電流を供給する構成として、以下の2つが考えられる。
図14は、第1の参考用の磁気記憶装置100の一部の要素及び接続を示す。
図15は、第2の参考用の磁気記憶装置200の一部の要素及び接続を示す。
【0106】
図14に示されるように、磁気記憶装置100は、メモリセルアレイ11、ロウ選択回路14、カラム選択回路15、書込み回路を含む。書込み回路は、定電圧源CVを含み、定電圧源CVと接地電位のノードとの間に或る一定の大きさの電圧を供給する。
【0107】
データ書込みの間、定電圧源CVによる電圧の印加により、定電圧源CVから、カラム選択回路15、ワード線WL(選択ワード線WLS)、選択メモリセルMCS、ビット線BL(選択ビット線BLS)、ロウ選択回路14を介して、接地電位のノードへと書込み電流が流れる。磁気記憶装置100で選択メモリセルMCS101又はMCS102にデータが書き込まれるとき、以下の現象が生じ得る。選択メモリセルMCS101は、メモリセルMCの中で、カラム選択回路15及びロウ選択回路14の両方に最も近い。選択メモリセルMCS102は、メモリセルMCの中で、カラム選択回路15及びロウ選択回路14の両方から最も遠い。
【0108】
選択メモリセルMCS101へのデータ書込みの場合、定電圧源CVから選択メモリセルMCS101までの電流経路は短い。このため、電流経路の抵抗は小さい。よって、定電圧源CVによる電圧の大きさによっては、書込み電流の大きさが過大であり、書込み電流によって選択メモリセルMCS101が破壊され得る。このような過大な書込み電流によるメモリセルMCの破壊を抑制するために、定電圧源CVの大きさを抑制することが考えられる。
【0109】
しかしながら、この場合、選択メモリセルMCS102へのデータ書込みエラーが生じ得る。すなわち、定電圧源CVから選択メモリセルMCS102までの電流経路は長い。このため、電流経路の抵抗は大きい。よって、定電圧源CVによる電圧の大きさが小さいと、選択メモリセルMCS102に十分な大きさの電圧が印加されず、選択メモリセルMCS102を必要な大きさの書込み電流が流れない。書込み電流の大きさの不足によって、選択メモリセルMCS102のデータ書込みが失敗し得る。
【0110】
図15に示されるように、磁気記憶装置200は、メモリセルアレイ11、ロウ選択回路14(図示せず)、カラム選択回路15(図示せず)、書込み回路を含む。書込み回路は、定電流源CIを含み、定電流源CIから接地電位のノードまで或る一定の大きさの電流を流し、AP書込みの場合に同じ大きさのAP書込み電流Iwapを流す。定電流源CIの使用は、定電圧源の使用に基づくメモリセルMCの破壊とデータ書込みの失敗を両方とも抑制し得る。
【0111】
しかしながら、以下に記述されるように、AP書込みの場合に、同じ大きさのAP書込み電流Iwapが流れ続けることにより、選択メモリセルMCS103が破壊され得る。メモリセルMCの意図しない特性のばらつきは不可避であり、どのようなメモリセルMCであってもAP書込みが完了することを目指して、AP書込み電流Iwapが供給される時間は余裕を有している。このため、AP書込み電流Iwapの供給によりAP状態へと移った直後の選択メモリセルMCS103には、AP状態への移行の後も、AP書込み電流Iwapが流れる場合がある。AP書込み電流Iwapは大きく、AP状態のメモリセルMCの抵抗Rapは大きい。このため、AP状態の選択メモリセルMCS103にAP書込み電流Iwapが流れると、当該選択メモリセルMCS103の両端に、P状態の選択メモリセルMCS103に印加される電圧VLより高い電圧VHが印加される。特に、AP状態へ移行しやすい特性を有するメモリセルMCには、AP状態への完了後も比較的長い時間に亘ってAP書込み電流Iwapが流れ、よって、このようなメモリセルMCは、長時間に亘る高電圧VHの印加によって、破壊され得る。
【0112】
第1実施形態によれば、書込みドライバ161は、選択メモリセルMCの第1ノードN1の電圧を第3ノードM+で受け、第2ノードN2の電圧を第4ノードM-で受け、選択メモリセルMCSの第1ノードN1の電圧及び第2ノードN2の電圧に基づく大きさの電流を、第1ノードS+から選択メモリセルMCSに供給する。これを可能にするために、磁気記憶装置1は、書込みドライバ161の第3ノードM+及び第4ノードM-をそれぞれ選択メモリセルMCSの第1ノードN1及び第2ノードN2と接続するためのスイッチTLY1、TGY1、TLY2、TGY2、TLX1、TGX1、TLX2、及びTGX2並びに配線LWL2、GWL2、LBL2、及びGBL2を含む。
【0113】
以上の構成により、まず、選択メモリセルMCSの第1ノードN1と第2ノードN2の電圧に基づく大きさの書込み電流Iwが選択メモリセルMCSに供給されることによって、選択メモリセルMCSの抵抗の大きさに基づく大きさの書込み電流Iwが選択メモリセルMCSに供給される。このことは、選択メモリセルMCSへのデータの書込みによる選択メモリセルMCSの抵抗の大きさの変化の後も、変化前と同じ大きさの書込み電流Iwが選択メモリセルMCSを流れることを回避する。よって、選択メモリセルMCSの抵抗の大きさの変化前と同じ大きさの電流と大きさの変化した後の抵抗による大きな電圧が選択メモリセルMCSに印加されることが抑制される。このことは、選択メモリセルMCSの破壊を抑制する。
【0114】
また、同じ原理により、選択メモリセルMCSのメモリセルアレイ11中の位置によらずに、選択メモリセルMCSを実質的に同じ大きさの書込み電流Iwが流れることが可能である。選択メモリセルMCSの第1ノードN1と書込みドライバ161を接続する要素の抵抗、及び選択メモリセルMCSの第2ノードN2と書込みドライバ161を接続する要素の抵抗が選択メモリセルMCSの位置に依存し、書込み電流Iwが選択メモリセルMCSの第1ノードN1の電圧及び第2ノードN2の電圧に依存するからである。選択メモリセルMCSの位置によらずにAP書込みの場合は実質的に同じ大きさのAP書込み電流Iwapが選択メモリセルMCSを流れ、P書込みの場合は実質的に同じ大きさのP書込み電流Iwpが選択メモリセルMCSを流れる。このため、選択メモリセルMCSの位置に起因して書込み電流Iwが不足することが原因で書込みエラーが生じることが抑制される。
【0115】
よって、定電圧の供給により磁気記憶装置100で起こり得るメモリセルMCの破壊とデータ書込みの失敗と、定電流の供給により磁気記憶装置200で起こり得る選択メモリセルMCSの破壊は、いずれも抑制されることができる。すなわち、メモリセルMCの破壊とデータ書込みの失敗を両方とも抑制できる磁気記憶装置1が提供されることが可能である。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0117】
1…磁気記憶装置、2…メモリコントローラ、11…メモリセルアレイ、12…入出力回路、13…制御回路、14…ロウ選択回路、15…カラム選択回路、16…書込み回路、17…読出し回路、MC…メモリセル、WL…ワード線、BL…ビット線、VR…磁気抵抗効果素子、SE…スイッチング素子、21…導電体、22…導電体、24…下部電極、25…可変抵抗材料、26…上部電極、31…強磁性層、32…絶縁層、33…強磁性層、Iw…書込み電流、Iwap…AP書込み電流、Iwp…P書込み電流、LWL1…ローカルワード線、LWL2…ローカルワード線、GWL1…グローバルワード線、GWL2…グローバルワード線、LBL1…ローカルビット線、LBL2…ローカルビット線、GBL1…グローバルビット線、GBL2…グローバルビット線、TLY1…ローカルロウスイッチ、TGY1…グローバルロウスイッチ、TLY2…ローカルロウスイッチ、TGY2…グローバルロウスイッチ、TLX1…ローカルカラムスイッチ、TGX1…グローバルカラムスイッチ、TLX2…ローカルカラムスイッチ、TGX2…グローバルカラムスイッチ、S+…第1ノード、S-…第2ノード、M+…第3ノード、M-…第4ノード、161…書込みドライバ、IO…出力電流。