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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047032
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】自己融着テープ携行体
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/16 20060101AFI20220316BHJP
   F16L 55/17 20060101ALI20220316BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220316BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
F16L55/16
F16L55/17
C09J7/38
C09J183/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020152732
(22)【出願日】2020-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】張ヶ谷 竜一
【テーマコード(参考)】
3H025
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
3H025EB07
3H025EC06
3H025ED01
4J004AA18
4J004AB01
4J004BA08
4J004CA04
4J004CA06
4J004CB03
4J004DB02
4J004EA06
4J040EK031
4J040HB41
4J040HD39
4J040KA16
4J040KA17
(57)【要約】
【課題】携行する自己融着テープの長さや量を視覚的に容易に把握することが可能であり、刃物を持たずとも使用することが可能な、自己融着テープ携行体を提供する。
【解決手段】基台シート(2)と、自己融着性シリコーンゴムによって形成された自己融着テープ(10)と、を備え、前記基台シートの少なくとも一方の面に、前記自己融着テープの一方の面が貼付されており、前記自己融着テープの他方の面に剥離フィルム(3)が貼付されており、前記自己融着テープの長さ方向の少なくとも一方の端部が尖状である、自己融着テープ携行体(1)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台シートと、
自己融着性シリコーンゴムによって形成された自己融着テープと、を備え、
前記基台シートの少なくとも一方の面に、前記自己融着テープの一方の面が貼付されており、前記自己融着テープの他方の面に剥離フィルムが貼付されており、
前記自己融着テープの長さ方向の少なくとも一方の端部が尖状である、
自己融着テープ携行体。
【請求項2】
前記基台シートの前記一方の面に、複数の前記自己融着テープが貼付されており、
各自己融着テープの長さ方向が互いに略平行である、
請求項1に記載の自己融着テープ携行体。
【請求項3】
前記基台シートは二つ折りにされ得る形態であり、
二つ折りにされたときに内側になる互いに対向する2つの面のうち少なくとも一方の面に、前記自己融着テープが貼付されている、
請求項1又は2に記載の自己融着テープ携行体。
【請求項4】
前記基台シートが透光性を有し、
前記基台シートの一方の面に、第一の自己融着テープが貼付されており、
前記基台シートの他方の面に、第二の自己融着テープが貼付されており、
前記基台シートを透かして見たときに、
前記第一の自己融着テープの一方の端部の尖状と、
前記第二の自己融着テープの一方の端部の尖状が、互いに一致せず、ずれて見える、
請求項1又は2に記載の自己融着テープ携行体。
【請求項5】
前記基台シートの少なくとも一方の面に、複数の自己融着テープが貼付されており、
各自己融着テープの長さ方向が互いに略平行であり、
前記基台シートは前記自己融着テープの長さ方向と直交する方向に、前記自己融着テープを1枚ずつ含む幅で折り畳みながら巻回し得る形態である、
請求項1に記載の自己融着テープ携行体。
【請求項6】
前記自己融着テープの前記一方の面が、平坦面とされ、他方の面が、自己融着テープの幅方向の中央が最も厚く、自己融着テープの幅方向の端に向うにつれて漸次薄くなるような凸状曲面とされている、請求項1~5の何れか一項に記載の自己融着テープ携行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己融着テープを使用し易い形態で携行するための自己融着テープ携行体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管漏洩補修の用途等に自己融着テープが使用されている。例えば、特許文献1には、ジオルガノポリシロキサンとホウ酸化合物とを含有するシリコーン組成物を硬化させた硬化物からなる自己融着テープが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6338284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自己融着テープはお互いに接触すると数秒の内に融着するので、使用前にはテープの両面に剥離フィルムが貼付されており、その状態でさらに自己融着テープは長さ方向に巻回された巻物として流通されている。ユーザーは巻物から自己融着テープを使用する長さだけ巻き出し、鋏で裁断したうえで、剥離フィルムを除去して使用する。
【0005】
ところが、テープが長さ方向に巻回された巻物の状態であると、巻物に残っている自己融着テープの具体的な長さが視覚的に把握し難い問題がある。このため、現場で巻物から自己融着テープを巻き出した際に必要な長さが得られず、補修作業中に新たな巻物を補充しに戻るという面倒が生じることがあった。また、巻物から巻き出した自己融着テープを必要な長さで裁断する際に、手でちぎることは非常に困難であり、鋏やカッターなどの刃物を携行する必要がある。ところが、現場で刃物が無いと、巻物から巻き出した自己融着テープを裁断することができず、刃物を取りに戻るという面倒が生じることがあった。
【0006】
本発明は、携行する自己融着テープの長さや量を視覚的に容易に把握することが可能であり、刃物を持たずとも使用することが可能な、自己融着テープ携行体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1] 基台シートと、自己融着性シリコーンゴムによって形成された自己融着テープと、を備え、前記基台シートの少なくとも一方の面に、前記自己融着テープの一方の面が貼付されており、前記自己融着テープの他方の面に剥離フィルムが貼付されており、前記自己融着テープの長さ方向の少なくとも一方の端部が尖状である、自己融着テープ携行体。
[2] 前記基台シートの前記一方の面に、複数の前記自己融着テープが貼付されており、各自己融着テープの長さ方向が互いに略平行である、[1]に記載の自己融着テープ携行体。
[3] 前記基台シートは二つ折りにされ得る形態であり、二つ折りにされたときに内側になる互いに対向する2つの面のうち少なくとも一方の面に、前記自己融着テープが貼付されている、[1]又は[2]に記載の自己融着テープ携行体。
[4] 前記基台シートが透光性を有し、前記基台シートの一方の面に、第一の自己融着テープが貼付されており、前記基台シートの他方の面に、第二の自己融着テープが貼付されており、前記基台シートを透かして見たときに、前記第一の自己融着テープの一方の端部の尖状と、前記第二の自己融着テープの一方の端部の尖状が、互いに一致せず、ずれて見える、[1]又は[2]に記載の自己融着テープ携行体。
[5] 前記基台シートの少なくとも一方の面に、複数の自己融着テープが貼付されており、各自己融着テープの長さ方向が互いに略平行であり、前記基台シートは前記自己融着テープの長さ方向と直交する方向に、前記自己融着テープを1枚ずつ含む幅で折り畳みながら巻回し得る形態である、[1]に記載の自己融着テープ携行体。
[6] 前記自己融着テープの前記一方の面が、平坦面とされ、他方の面が、自己融着テープの幅方向の中央が最も厚く、自己融着テープの幅方向の端に向うにつれて漸次薄くなるような凸状曲面とされている、[1]~[5]の何れか一項に記載の自己融着テープ携行体。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自己融着テープ携行体にあっては、現場へ携行した自己融着テープの長さや量を視覚的に容易に把握することが可能であり、刃物を持たずとも使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の自己融着テープ携行体の第一実施形態を示す斜視図である。
図2図1の自己融着テープ10の長さ方向に直交する部分断面図である。
図3】本発明の自己融着テープ携行体の第二実施形態を示す斜視図である。
図4】本発明の自己融着テープ携行体の第三実施形態を示す斜視図である。
図5】本発明の自己融着テープ携行体に貼付される自己融着テープの一例を示す斜視図である。
図6図5のI-I’断面図である。
図7】自己融着テープを用いた配管漏洩補修方法の一例を説明する側面図である。
図8】自己融着テープを用いた配管漏洩補修方法の一例を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪自己融着テープ携行体≫
本発明は、基台シートと、自己融着性シリコーンゴムによって形成された自己融着テープと、を備え、前記基台シートの少なくとも一方の面に、前記自己融着テープの一方の面が貼付されており、前記自己融着テープの他方の面に剥離フィルムが貼付されており、前記自己融着テープの長さ方向の少なくとも一方の端部が尖状(尖った形状)である、自己融着テープ携行体である。
【0011】
<第一実施形態>
図1に示す自己融着テープ携行体1は、基台シート2と、2枚の自己融着テープ10を備えている。図2は、図1の一方の自己融着テープ10の長さ方向に直交する部分断面図である。基台シート2の一方の面2aに、各自己融着テープ10の一方の面が貼付されている。各自己融着テープ10の他方の面には剥離フィルム3がそれぞれ貼付されている。各自己融着テープ10の長さ方向の両端部は長さ方向に尖った尖状とされている。
自己融着テープ携行体1の基台シート2の一方の面2aを平面視すると、各自己融着テープ10の外縁は、略平行四辺形の形態を有する。
【0012】
本実施形態では、自己融着テープ10の長さ方向の両端部をテープの幅方向で見たときに、一方の端から他方の端へ向けて漸次突出し、他方の端が長さ方向に最も突出した形状とされている。この形態に代えて、テープの幅方向で見たときに、一方の端及び他方の端から中央に向けて漸次突出する形態(テープ端部の幅方向の中央が長さ方向に最も突出した形態)であってもよい。また、自己融着テープ10の長さ方向の各端部は、先端と、テープ幅方向の一方の端と、テープ幅方向の他方の端を3つの頂点とする三角形として捉えることができる。テープ幅方向の一方の端と他方の端を結ぶ直線を三角形の底辺と捉え、一方の端と先端、又は他方の端と先端を結ぶ直線が、自己融着テープ10の短辺(端辺)と重なり、かつ先端と底辺を結ぶ一辺であると捉えたとき、その三角形は直角三角形でもよいし、二等辺三角形でもよいし、先端の内角が鋭角をなすその他の三角形であってもよい。
自己融着テープ10の長さ方向の端部が尖状であることにより、基台シート2から自己融着テープ10を剥離する際に、尖状の端部を摘んで剥離することが容易になる。また、自己融着テープ10を施工する際に、端部が尖状であると、端部の融着が容易になる。
【0013】
各自己融着テープ10の一方の端部の先端から他方の端部の先端への長さは、用途に応じて予め調整されていることが好ましく、例えば、10cm~40cmが好ましく、20cm~30cmがより好ましい。上記好適な長さであると、補修や錆止め等の用途で配管に巻回することが容易であり、また、携行する際に工具箱や鞄に収納することも容易になる。
自己融着テープ携行体1に備えられた複数の自己融着テープ10の長さは、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよいが、同じであると、基台シート2に貼付された自己融着テープ10の分量の把握が容易になり、現場で行い得る作業量を見積ることが容易になり、現場へ携行する準備が容易になるので好ましい。
【0014】
基台シート2は自己融着テープ携行体1の本体である。基台シート2の材質は、自己融着テープ10を貼付することができ、かつ任意に自己融着テープ10を剥離することができるものであればよい。例えば、合成樹脂、金属、紙等が適用でき、携行性と剥離性に優れることから、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂からなるシートであることが好ましい。
【0015】
基台シート2は透光性を有することが好ましい。透光性を有すると、基台シート2の他方の面2bから自己融着テープ10の有無を透かして視認することができる。自己融着テープ携行体1が工具箱やブリーフケース等に収納されている際に、基台シート2を透かして自己融着テープ10の有無や、本数、量等を視認できれば、現場で行い得る作業量を見積ることが容易になり、現場へ携行する準備が容易になるので好ましい。
【0016】
基台シート2の厚さは、自己融着テープ10の厚さと比べて、厚くてもよいし、薄くてもよいし、同じでもよい。
基台シート2の厚さが自己融着テープ10の厚さよりも厚い場合、自己融着テープ10が基台シート2に貼付されているか否かに関わらず、基台シート2が平面状に保たれ易くなる。
基台シート2の厚さが自己融着テープ10の厚さよりも薄い場合、自己融着テープ10が基台シート2に貼付されていると、その重さの影響を受け易く、自己融着テープ10の長さ方向に沿う折れ目が入りやすくなる。例えば、図1の例では、2枚の自己融着テープ10同士の間に折れ目が入りやすくなる。谷折りになった場合には、基台シート2の一方の面2aが2つの領域に分かれて、互いに対向し、その間で、各自己融着テープ10の剥離フィルム3同士が接触するように重なる。山折りになった場合には、各自己融着テープ10同士は接触せず、基台シート2の他方の面2bが2つの領域に分かれて、互いに対向して接触する。
【0017】
剥離フィルム3は、自己融着テープ10同士が意図せずに接触して融着することを防止する部材である。剥離フィルム3の材質は、自己融着テープ10に貼付することができ、かつ任意に自己融着テープ10から剥離することができるものであればよい。例えば、合成樹脂、金属、紙等が適用でき、剥離性に優れることから、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂からなるフィルムであることが好ましい。
また、剥離性をより一層高める観点から、剥離フィルム3の厚さは、自己融着テープ10の厚さよりも薄いことが好ましい。
【0018】
図1の自己融着テープ携行体1において、2本備えらえた自己融着テープ10の各々に、自己融着テープ10の他方の面の全体を覆う1枚の剥離フィルム3が貼付されている。剥離フィルム3の貼付方法は、この実施形態に限られず、2本以上の自己融着テープ10を1枚の剥離フィルム3でまとめて覆う形態であってもよい。また、1本の自己融着テープ10を複数枚の剥離フィルム3で覆う形態であっても構わない。
【0019】
図1の自己融着テープ携行体1において、基台シート2の一方の面2aに2本備えらえた自己融着テープ10は、互いの長さ方向が略平行に揃えられている。ここで、略平行であるとは、概ね平行であるの意味であり、幾何学的に厳密な平行だけを意味しない。各自己融着テープ10の長さ方向を揃える際には、15°以下の交差角をなす2直線は互いに略平行であるみなしてよい。このように略平行であると、自己融着テープ10同士の隙間を少なくすることができ、基台シート2の一方の面2aに高い密度で自己融着テープ10を多数貼付(配置)できるので好ましい。
【0020】
略平行に貼付された自己融着テープ10同士の隙間の幅としては、例えば、2mm~10mm程度が挙げられる。2mm以上であれば、一つの自己融着テープ10を剥離するときに、それに隣接する別の自己融着テープ10を意図せずに同時に剥がすことを防止できる。10mm以下であれば、基台シート2の一方の面2aにより多くの自己融着テープ10を貼付することができる。
【0021】
図1の自己融着テープ携行体1において、基台シート2の一方の面2aに自己融着テープ10が2本備えられている。基台シート2の一方の面2aに配置する自己融着テープ10の本数は特に制限されず、1本でもよいし、例えば、2本~20本程度とすることもできる。
【0022】
図1の自己融着テープ携行体1のサイズの一例として、自己融着テープ10の長さが15cm~25cmであり、自己融着テープ10の幅が2cm~3cmであり、隣接する自己融着テープ10同士の間隙の幅が3mm~6mmであり、各自己融着テープ10の幅方向の中央の厚さが0.4mm~0.8mmであり、基台シート2の縦×横×厚さが5cm~8cm×20cm~30cm×0.5mm~1.5mmである、というサイズが挙げられる。
【0023】
<第二実施形態>
図3に示す自己融着テープ携行体4は、基台シート2と、10枚の自己融着テープ10とを備えている。各自己融着テープ10の一方の面が基台シート2の一方の面2aに貼付されている。各自己融着テープ10の他方の面には剥離フィルム3がそれぞれ貼付されている。各自己融着テープ10の長さ方向の両端部は尖状とされている。各自己融着テープ10の長さ方向は互いに略平行とされている。
基台シート2、剥離フィルム3及び自己融着テープ10の説明で第一実施形態と重複する説明は省略する。
【0024】
本実施形態の基台シート2は、折れ目Fで谷折り又は山折りされ得る形態であり、折れ目Fによって一方の面2aが2つの領域に分割されている。一方の面2aの第一の領域に5枚の自己融着テープ10が貼付され、一方の面2aの第二の領域に5枚の自己融着テープ10が貼付されている。折れ目Fで谷折りにされると、第一の領域と第二の領域は互いに対向する。
自己融着テープ携行体4は、本や冊子のように取り扱うことができ、ブリーフケースや鞄に収納することが容易である。この場合、基台シート2の厚さは自己融着テープ10の厚さよりも厚く、本や冊子としての形態を維持可能な剛性を有することが好ましい。
【0025】
基台シート2に設けられた折り目Fは、折る箇所が明確な直線であってもよいし、折る箇所が幅広い帯状であってもよい。
【0026】
本実施形態の変形例として、基台シート2の一方の面2aの第一領域には自己融着テープ10が貼付されておらず、一方の面2aの第二領域のみに自己融着テープ10が貼付されている形態が挙げられる。
【0027】
図3に示した実施形態では、折り目Fが、第一領域と第二領域を隔てる1箇所のみに設けられているが、本実施形態の変形例として、基台シート2の少なくとも一方の面2aに略平行に配置された複数の自己融着テープ10同士の間隙の各々に折り目Fが設けられた形態が挙げられる。この形態であると、基台シート2は各自己融着テープ10の長さ方向と直交する方向に、自己融着テープ10を1枚ずつ含む幅で、折り目F毎に折り畳みながら巻回することができる。
自己融着テープ携行体4が自己融着テープ10の長さ方向と直交する方向に巻回された状態にあっても、その厚みや嵩張りの具合から、自己融着テープ携行体4に備えられた自己融着テープ10の分量を比較的容易に把握することができる。
【0028】
上記の巻回し得る形態において、基台シート2の他方の面2bにも自己融着テープ10を貼付しておく場合、基台シート2の両面に貼付される各自己融着テープ10は、基台シート2の厚さ方向に見て、互いに重なることが好ましい。互いに重なると、自己融着テープ10の1枚毎の幅で(基台シート2を挟んで重なる2枚の自己融着テープ10を含む幅で)、自己融着テープ携行体4を、自己融着テープ10の長さ方向と直交する方向に、折り畳みながら巻回することができる。
【0029】
上記の巻回し得る形態において、各自己融着テープ10同士の長さは略同一であることが好ましい。ここで、略同一の長さとは、各自己融着テープ10の長さを任意の組み合わせで比較したときに、短い方の長さを1.0として長い方の長さが1.0超1.2以下であることをいう。各自己融着テープ10同士の長さが略同一であると、自己融着テープ携行体4が巻回された状態であっても、その厚さや嵩張りの具合から、自己融着テープ携行体4に備えられた自己融着テープ10の分量をより容易に把握することができる。
【0030】
図3に示す実施形態では、折り目Fが自己融着テープ10の長さ方向と平行に設けられているが、本実施形態の変形例として、折り目Fが自己融着テープ10の長さ方向と直交する方向に設けられていてもよい。例えば、第一の領域と第二の領域は折り目Fによって分割されており、第一の領域に貼付された複数枚の自己融着テープ10の各々の長さ方向の延長線上に、第二の領域に貼付された複数枚の自己融着テープ10が配置された形態が挙げられる。
【0031】
自己融着テープ携行体4が、上記のように券回されたり、折り目Fに沿って畳まれたりした状態において、自己融着テープ携行体4に備えられた自己融着テープ10自体はその長さ方向に巻回されていないことが好ましい。自己融着テープ携行体4に備えられた自己融着テープ10の分量や長さを見積ることが容易になるからである。
【0032】
<第三実施形態>
図4に示す自己融着テープ携行体5は、基台シート2と、4枚の自己融着テープ10とを備えている。
基台シート2が透光性を有し、基台シート2の一方の面2aに2枚の自己融着テープ10が貼付されており、基台シート2の他方の面2bにも2枚の自己融着テープ10が貼付されている。各自己融着テープ10の一方の面が基台シート2に貼付されている。各自己融着テープ10の他方の面には剥離フィルム3がそれぞれ貼付されている。各自己融着テープ10の長さ方向の両端部は尖状とされている。各自己融着テープ10の長さ方向は互いに略平行とされている。
基台シート2、剥離フィルム3及び自己融着テープ10の説明で、第一実施形態及び第二実施形態と重複する説明は省略する。
【0033】
本実施形態にあっては、基台シート2が透光性を有するので、基台シート2を透かして見たときに、基台シート2の一方の面2aに貼付された自己融着テープ10の一方の端部の尖状と、基台シート2の他方の面2bに貼付された自己融着テープ10の一方の端部の尖状とが、互いに一致せず、ずれて見える。このように、基台シート2の両面に貼付された自己融着テープ10が、基台シート2を透かして見たときに、互いに完全には重なり合わず、特に端部の形状がずれていることにより、基台シート2の各面に貼付された自己融着テープ10の有無や、本数、量等の視認が容易となる。
【0034】
(自己融着テープ)
本発明の一部を構成する自己融着テープの一実施形態について説明する。
図5に示す本実施形態の自己融着テープ10は、自己融着性シリコーンゴムによって構成され、一方の面11が平坦面となっており、他方の面12が凸状の曲面になっている。
基台シート2に貼付する面は、平坦な一方の面11でもよいし、凸状曲面の他方の面12でもよい。
基台シート2に対する自己融着テープ10の密着力を高める観点から、平坦な一方の面11が基台シート2に貼付されていることが好ましい。
【0035】
自己融着テープ10を、例えば、配管に巻き付けることによって、配管に形成されたピンホールを塞いで漏洩を抑止したり、錆止めしたりすることができる。自己融着テープ10を配管に巻き付ける際には、平坦な一方の面11を配管側に配置してもよいし、他方の面12を配管側に配置してもよい。
【0036】
図6に示すように、他方の面12の凸状曲面は、自己融着テープ10の外側に向って膨らんだ曲面であり、自己融着テープ10の幅方向の中央が最も厚く、自己融着テープ10の幅方向の端に向うにつれて漸次薄くなるような曲面である。
他方の面12の幅方向の中央には、自己融着テープ10の長手方向に沿って線13が印刷されてもよい。他方の面12の幅方向の中央に線13が印刷されていると、巻き付ける自己融着テープ10の幅方向の一方の端が巻き付け済みの自己融着テープ10の線13に沿うように自己融着テープ10を巻き付けることで、一定間隔で自己融着テープ10を配置でき、均一な巻き付けが可能になる。
【0037】
他方の面12が凸状曲面となっている自己融着テープ10の幅方向中央の厚さTは0.5mm~1.5mmであることが好ましく、自己融着テープ10の幅方向の端の厚さTは0mm~0.5mmであることが好ましく、T-Tが0.5mm~1.5mmであることが好ましい。T,T,T-Tが前記範囲内であれば、施工性に優れる。
自己融着テープ10の幅は、施工性を高める観点から、15mm~50mmであることが好ましく、20mm~40mmであることがより好ましい。
【0038】
自己融着テープ10の引張最大荷重は30N以上であることが好ましく、50N以上であることがより好ましく、100N以上であることがさらに好ましい。
自己融着テープ10の引張伸び率は300%以上であることが好ましく、400%以上であることがより好ましく、500%以上であることがさらに好ましい。
自己融着テープ10の引張最大荷重及び引張伸び率が前記下限値以上であれば、自己融着テープ10が充分に高い自己融着性を発揮できる。
なお、上記の引張最大荷重及び引張伸び率は、引張試験機を用い、自己融着テープを、23℃、引張速度500mm/分の条件で測定した値である。
【0039】
以下、自己融着テープを用いた配管漏洩補修方法の一例について説明する。本例は、配管が送水用配管であり、自己融着テープを用いてピンホールから水が漏洩した配管を補修して止水する例である。
図7に示すように、配管Pに形成されたピンホールHを塞ぐように自己融着テープ10を配管Pに巻き付ける。次いで、図8に示すように、はじめに巻き付けた1層目の自己融着テープ10を覆うように、巻き付け位置を少しずつずらしながら2層目の自己融着テープ10を配管Pに螺旋状に巻き付ける。さらに、2層目の自己融着テープを覆うように、巻き付け位置を少しずつずらしながら3層目の自己融着テープ10を配管Pに螺旋状に巻き付ける。自己融着テープ10の巻き付けをさらに繰り返すことにより、ピンホールHを密封して、ピンホールHからの水の漏洩を抑止する。
自己融着テープ10を配管Pに巻き付ける際には、図7に示すように、自己融着テープ10を引き延ばしながら配管Pに巻き付ける。例えば、自己融着テープ10の幅が半分程度になるように引き延ばしながら配管Pに巻き付ける。自己融着テープ10を引き延ばしながら配管Pに巻き付けることにより、自己融着テープ10の自己融着性を充分に発現させることができる。自己融着テープ10の自己融着性が充分に高ければ、配管Pに巻き付けた自己融着テープ10が剥がれにくくなり、ピンホールHを充分に密封できるため、水の漏洩を充分に抑止することができる。
【0040】
自己融着テープ10は、上記のような配管からの水やガス等の流体の漏洩の補修だけでなく、配管の防さび等にも適用することができる。
【0041】
本実施形態の自己融着テープ10では、一方の面11が平坦面、他方の面12が凸状曲面となっているため、巻き付け位置を少しずつずらしながら自己融着テープ10を配管に巻いた際に、重なり合う自己融着テープ10,10同士の隙間の形成を抑制できる。そのため、密閉性をより高くできるため、配管の漏洩をより抑止できる。
【0042】
本発明の自己融着テープは、上記実施形態だけに限定されない。例えば、自己融着テープの他方の面が、自己融着テープの幅方向の中央が最も厚く、自己融着テープの幅方向の端に向うにつれて漸次薄くなる凸状面であって、自己融着テープの幅方向の中央を頂点とし、自己融着テープの幅方向の端に向って傾斜した平面状の傾斜面が形成された面でもよい。また、自己融着テープの一方の面と他方の面の両方が平坦面であっても構わない。
【0043】
(自己融着性シリコーンゴム)
自己融着テープ10を構成する自己融着性シリコーンゴムは、下記の平均組成式(I)で示されるジオルガノポリシロキサンとホウ酸化合物とを含有するシリコーン組成物を硬化させた硬化物であることが好ましい。
SiO(4-n)/2 …(I)
(式(I)におけるRは、炭素数1~10の炭化水素基、nは、1.98~2.02である。)
【0044】
式(I)におけるRとしては、炭素数1~10、好ましくは1~8の炭化水素基である。炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基等が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、トリル基等が挙げられる。
また、Rとしては、前記炭化水素基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基等で置換された基でもよい。
シリコーン組成物を硬化させる際に、後述の有機過酸化物で硬化を促進させる場合には、Rがアルケニル基又はアルケニル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基で置換された基が好ましい。
式(I)におけるnは、1.98~2.02である。nがこの範囲から外れると、自己融着性が得られないことがある。
【0045】
ジオルガノポリシロキサンの25℃における動粘度は、100~100,000,000cStであることが好ましく、100,000~10,000,000cStであることがより好ましい。ジオルガノポリシロキサンの25℃における動粘度が前記範囲内であれば、硬化前の取り扱い性と硬化後の機械的物性に優れる。
【0046】
ホウ酸化合物としては、ホウ酸、無水ホウ酸の誘導体等が挙げられる。
ホウ酸としては、無水ホウ酸、ピロホウ酸、オルトホウ酸等が挙げられる。
無水ホウ酸の誘導体としては、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、トリメトキシボロキシン等が挙げられる。
また、ホウ酸化合物として、ジメチルジメトキシシラン又はジメチルジエトキシシラン等のオルガノアルコキシシランと無水ホウ酸とを縮合させて得たポリオルガノボロシロキサンを用いることもできる。
ホウ酸化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
シリコーン組成物におけるホウ酸化合物の含有割合は、ジオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.1~50質量部であることが好ましく、0.5~30質量部であることがより好ましく、1~5質量部であることがさらに好ましい。ホウ酸化合物の含有割合が前記下限値以上であれば、充分な自己融着性を確保でき、前記上限値以下であれば、機械的物性の低下を抑制することができる。
【0048】
シリコーン組成物は、シリコーン組成物の硬化を促進するために、有機過酸化物を含んでもよい。
有機過酸化物としては、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。これら有機過酸化物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0049】
シリコーン組成物における有機過酸化物の含有割合は、ジオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましく、0.5~3.0質量部であることがより好ましい。有機過酸化物の含有割合が前記下限値以上であれば、充分に硬化を促進できる。しかし、前記上限値を超えても、含有割合に応じた硬化促進は見られなくなる。
【符号の説明】
【0050】
1 自己融着テープ携行体
2 基台シート
3 剥離フィルム
4 自己融着テープ携行体
5 自己融着テープ携行体
10 自己融着テープ
11 一方の面
12 他方の面
H ピンホール
P 配管
F 折り目
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8