(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047035
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】電気コネクター及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 11/01 20060101AFI20220316BHJP
G01R 1/06 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
H01R11/01 501G
G01R1/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020152736
(22)【出願日】2020-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】土屋 昌俊
【テーマコード(参考)】
2G011
【Fターム(参考)】
2G011AA16
2G011AB08
2G011AF04
(57)【要約】
【課題】電気コネクターに接続するデバイスの接続端子が、電気コネクターの導電部材との接触によって傷つくことが低減されるとともに、導電部材の先端が電気コネクターの主面に埋没することが防止された電気コネクターと、これを安定に効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】第一デバイスの接続端子と第二デバイスの接続端子とを電気的に接続するための電気コネクターであり、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔(21)を有する弾性体(20)と、前記貫通孔の内壁に接合され、前記第一デバイスの接続端子と前記第二デバイスの接続端子とを電気的に接続するための導電部材(30)と、を有し、前記導電部材は、少なくとも一方の端部に中空部を有する管であり、前記中空部の少なくとも一部にはエラストマー(40)が充填されており、前記管の先端は、前記弾性体の表面に位置するか又は前記弾性体の表面から突出している、電気コネクター(10)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一デバイスの接続端子と、第二デバイスの接続端子との間に配置され、前記第一デバイスの接続端子と、前記第二デバイスの接続端子とを電気的に接続するための電気コネクターであって、
厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有する弾性体と、前記貫通孔の内壁に接合され、前記第一デバイスの接続端子と前記第二デバイスの接続端子とを電気的に接続するための導電部材と、を有し、
前記導電部材は、少なくとも一方の端部に中空部を有する管であり、
前記中空部の少なくとも一部にはエラストマーが充填されており、
前記管の先端は、前記弾性体の表面に位置するか又は前記弾性体の表面から突出している、電気コネクター。
【請求項2】
エラストマーからなる第一の樹脂層の第一の面側に、芯線と、前記芯線の外周を被覆する導電性の管とを有する導電線の複数を、向きを揃えて任意の間隔で配置すること、
前記第一の樹脂層の第一の面側にエラストマーからなる第二の樹脂層を形成し、導電線含有シートを形成すること、
複数の前記導電線含有シートを、前記複数の導電線の向きを揃えて積層し、前記導電線含有シートの積層体を形成すること、
前記積層体を、前記複数の導電線の延在する方向に対して垂直方向または斜め方向に切断し、前駆シートを得ること、
前記前駆シートが有する前記複数の導電線から、前記芯線の少なくとも一部をエッチングにより除去し、複数の前記導電性の管が残されたエッチング処理済シートを得ること、及び、
前記エッチング処理済シートの少なくとも一方の主面から、その主面に開口する前記複数の導電性の管のうち少なくとも一部の管の中へ流動性エラストマーを導入し、前記流動性エラストマーを硬化させることにより、前記管の中の少なくとも一部にエラストマーが充填された電気コネクターを得ること、を有する電気コネクターの製造方法。
【請求項3】
前記エッチング処理済シートの少なくとも一方の主面に前記流動性エラストマーからなる未硬化エラストマー層を形成した積層シートを得て、
前記積層シートを減圧雰囲気下に置くことにより、前記流動性エラストマーを前記管の中へ導入する、請求項2に記載の電気コネクターの製造方法。
【請求項4】
前記積層シートの前記流動性エラストマーを前記管の中へ導入した後、前記流動性エラストマーを硬化させることにより、前記管の中の少なくとも一部にエラストマーが充填され、かつ、前記管の中へ導入されずに前記積層シートの表面に残った未硬化層が硬化してなるエラストマー層を備えた積層硬化シートを得る、請求項3に記載の電気コネクターの製造方法。
【請求項5】
前記積層硬化シートの表面に形成された前記エラストマー層を除去して、電気コネクターを得る、請求項4に記載の電気コネクターの製造方法。
【請求項6】
前記エラストマー層を除去する方法がレーザー照射である、請求項5に記載の電気コネクターの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクター及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装型の半導体パッケージ(デバイス)と回路基板の接続を検査する際に、圧接型のコネクターが用いられることがある。圧接型コネクターの一例として、中空化された導電線を有する電気コネクターが挙げられる(例えば、特許文献1)。この電気コネクターの導電線は中空化されて柔軟になっているので、その導電線の先端に向けて圧接するデバイスの電極(接続端子)が、電気コネクターの導電線との接触によって傷つくことが低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電気コネクターの中空化された導電部材の先端は、電気コネクターの主面に開口して露出している。この主面に対してデバイスの接続端子の圧接を繰り返すと、導電部材の先端が電気コネクターの内部に埋没し、接続が不安定になることがある。
【0005】
本発明は、電気コネクターに接続するデバイスの接続端子が、電気コネクターの導電部材との接触によって傷つくことが低減されるとともに、導電部材の先端が電気コネクターの主面に埋没することが防止された電気コネクターと、その電気コネクターを安定に効率よく製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1] 第一デバイスの接続端子と、第二デバイスの接続端子との間に配置され、前記第一デバイスの接続端子と、前記第二デバイスの接続端子とを電気的に接続するための電気コネクターであって、
厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有する弾性体と、前記貫通孔の内壁に接合され、前記第一デバイスの接続端子と前記第二デバイスの接続端子とを電気的に接続するための導電部材と、を有し、
前記導電部材は、少なくとも一方の端部に中空部を有する管であり、
前記中空部の少なくとも一部にはエラストマーが充填されており、
前記管の先端は、前記弾性体の表面に位置するか又は前記弾性体の表面から突出している、電気コネクター。
[2] エラストマーからなる第一の樹脂層の第一の面側に、芯線と、前記芯線の外周を被覆する導電性の管とを有する導電線の複数を、向きを揃えて任意の間隔で配置すること、
前記第一の樹脂層の第一の面側にエラストマーからなる第二の樹脂層を形成し、導電線含有シートを形成すること、
複数の前記導電線含有シートを、前記複数の導電線の向きを揃えて積層し、前記導電線含有シートの積層体を形成すること、
前記積層体を、前記複数の導電線の延在する方向に対して垂直方向または斜め方向に切断し、前駆シートを得ること、
前記前駆シートが有する前記複数の導電線から、前記芯線の少なくとも一部をエッチングにより除去し、複数の前記導電性の管が残されたエッチング処理済シートを得ること、及び、
前記エッチング処理済シートの少なくとも一方の主面から、その主面に開口する前記複数の導電性の管のうち少なくとも一部の管の中へ流動性エラストマーを導入し、前記流動性エラストマーを硬化させることにより、前記管の中の少なくとも一部にエラストマーが充填された電気コネクターを得ること、を有する電気コネクターの製造方法。
[3] 前記エッチング処理済シートの少なくとも一方の主面に前記流動性エラストマーからなる未硬化エラストマー層を形成した積層シートを得て、
前記積層シートを減圧雰囲気下に置くことにより、前記流動性エラストマーを前記管の中へ導入する、[2]に記載の電気コネクターの製造方法。
[4] 前記積層シートの前記流動性エラストマーを前記管の中へ導入した後、前記流動性エラストマーを硬化させることにより、前記管の中の少なくとも一部にエラストマーが充填され、かつ、前記管の中へ導入されずに前記積層シートの表面に残った未硬化層が硬化してなるエラストマー層を備えた積層硬化シートを得る、[3]に記載の電気コネクターの製造方法。
[5] 前記積層硬化シートの表面に形成された前記エラストマー層を除去して、電気コネクターを得る、[4]に記載の電気コネクターの製造方法。
[6] 前記エラストマー層を除去する方法がレーザー照射である、[5]に記載の電気コネクターの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気コネクターは、デバイスの接続端子を繰り返して圧接した後においても、導電部材の先端が弾性体の中に埋没し難いので、耐久性に優れる。
本発明の製造方法によれば、中空化された導電部材の端部の中空部にエラストマーが充填された電気コネクターを安定に効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第一実施形態の電気コネクター10の概略構成を示す平面図である。
【
図4】第二実施形態の電気コネクター50の概略構成を示す断面図である。
【
図5】電気コネクターの製造方法の概略を示す斜視図である。
【
図6】実施例1のエッチング処理済シート(比較例1の電気コネクター)の主面のSEM像である。
【
図7】実施例1で作製した電気コネクターの主面のSEM像である。
【
図8】実施例1で作製した電気コネクターの耐久性試験の結果を示すグラフである。
【
図9】比較例1で作製した電気コネクターの耐久性試験の結果を示すグラフである。
【
図10】実施例1の使用後の電気コネクターの主面のSEM像である。
【
図11】比較例1の使用後の電気コネクターの主面のSEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[電気コネクター]
本発明の第一態様は、第一デバイスの接続端子と、第二デバイスの接続端子との間に配置され、前記第一デバイスの接続端子と、前記第二デバイスの接続端子とを電気的に接続するための電気コネクターである。前記電気コネクターは、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有する弾性体と、前記貫通孔の内壁に接合され、前記第一デバイスの接続端子と前記第二デバイスの接続端子とを電気的に接続するための導電部材と、を有する。前記導電部材は、少なくとも一方の端部に中空の中空部を有する管である。前記中空部の少なくとも一部にはエラストマーが充填されている。また、前記管の先端は、前記弾性体の表面に位置するか又は前記弾性体の表面から突出した上方に位置する。
【0010】
図1~
図3に示す第一実施形態の電気コネクター10は、弾性体20と、導電部材30と、エラストマー(エラストマー部材)40を有する。
電気コネクター10は、図示略の第一デバイスの接続端子と、図示略の第二デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するために使用するためのものである。電気コネクター10において、導電部材30は、第一デバイスの接続端子と第二デバイスの接続端子の電気的接続を行う管状の部材である。シート状の弾性体20の両面に開口して露出している導電部材30の両端部は、各デバイスの接続端子に接触する。各デバイスとしては、例えば、半導体パッケージ、回路基板、シリコーンウエハー、受動部品、液晶モジュール及びセンサー等が挙げられる。
【0011】
弾性体20は、その厚さ方向に沿って貫通する複数の貫通孔21を有する。この貫通孔21の内壁に導電部材30が接合されている。「接合」とは、貫通孔21の内壁に導電部材30の少なくとも一部が接している状態を意味する。
【0012】
弾性体20における導電部材30を設ける位置、すなわち、弾性体20における貫通孔21の配置や数は、特に限定されず、電気コネクター10によって電気的に接続される2つのデバイスの接続端子の配置や数、圧接に必要とされる押圧力等に応じて適宜調整される。電気コネクター10が均一に変形する(撓む)ようにするためには、弾性体20において、導電部材30及び貫通孔21が等間隔に設けられていることが好ましい。
【0013】
貫通孔21は、弾性体20を、その厚さ方向に対して平行または斜めに貫通する。「弾性体20の厚さ方向」とは、主面に対して垂直な方向を意味する。「主面」とは、面積が最も広い面を意味する。
貫通孔21が、弾性体20を、その厚さ方向に対して斜めに貫通する場合、一方の主面20aの垂線に対する貫通孔21の弾性体20の厚さ方向に対する鋭角側の角度は、0°超60°以下であることが好ましく、1°以上60°以下であることがより好ましく、10°以上30°以下であることがさらに好ましい。上記角度の範囲であると、小さい荷重で安定した接続が得られやすく、接続するデバイスの端子を傷付けるおそれが少ない。貫通孔21の弾性体20の厚さ方向に対する角度は、電気コネクター10によって電気的に接続される2つのデバイスの接続端子の配置等に応じて適宜調整される。ここで貫通孔21の弾性体20の厚さ方向に対する角度は、導電部材30に設けられた5つ以上の貫通孔21について、弾性体20の厚さ方向に対する角度を測定顕微鏡等の拡大観察手段で観察して得た画像に基づいて測定し、平均した値である。
【0014】
貫通孔21の形状、すなわち、貫通孔21の長手方向と垂直な断面の形状は、特に限定されず、貫通孔21に接合する導電部材30の長手方向と垂直な断面の形状に応じて適宜設定される。貫通孔21の長手方向と垂直な断面の形状としては、例えば、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、五角形以上の多角形等が挙げられる。
【0015】
貫通孔21の孔径は、特に限定されず、貫通孔21に接合される導電部材30の直径(外径)に応じて適宜設定され、例えば、5μm~300μmであることが好ましい。貫通孔21の形状が円形以外である場合には、貫通孔21の孔径は、貫通孔21の外縁(開口部の縁部)の最も幅広い部分の長さとする。
ここで貫通孔21の孔径は、弾性体20の主面に開口する5つ以上の貫通孔21について、測定顕微鏡等の拡大観察手段で観察して得た画像に基づいて測定し、平均した値である。
【0016】
弾性体20の厚さH1は、20μm~5000μmが好ましく、40μm~1000μmがより好ましく、60μm~500μmがさらに好ましい。上記厚さの範囲の下限値以上であると、電気コネクターの機械的強度や剛性が向上し、取り扱いが容易になる。上記厚さの範囲の上限値以下であると、導電部材の長さが高周波特性の向上に適したものとなる。
【0017】
本明細書において、シート状部材の厚さは、無作為に選択される5箇所以上の厚さを、測定顕微鏡等の拡大観察手段で測定し、平均した値である。
【0018】
導電部材30は、貫通孔21の内壁に接合され、弾性体20の厚さ方向に対して垂直又は斜めに延在し、電気コネクター10の各主面に露出する導電部材30の各先端に接続されたデバイスの接続端子同士を電気的に接続する導電性の部材である。
導電部材30の一方の先端は弾性体20の一方の主面20aに位置し、導電部材30の他方の先端は弾性体20の他方の主面20bに位置する。本実施形態における導電部材30は中空の導電性の管である。この管の長手方向は貫通孔21の長手方向と平行である。
導電部材30は、長手方向に見て、全体が中空であってもよいし、端部のみが中空で、中央部が中実であってもよい。導電部材30の少なくとも一方の端部が中空であることにより、デバイスの接続端子が圧接されたときの押圧力を、中空の端部が有する柔軟性により緩和することができる。
ここで、導電部材30の「端部」とは、導電部材の先端から導電部材の全長の1/5の長さまでの範囲を意味する。「端部が中空である」とは端部の少なくとも先端側の一部が中空であることを意味し、先端から中央部側までの端部全体が中空である場合を含む。
【0019】
導電部材30を構成する前記導電性の管は、必ずしも完全な筒状の部材でなくてもよい。管の長手方向と垂直な断面の形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、多角形、矩形が挙げられる。また、前記形状はC形状や三日月形状のように、管の断面の一部が欠けている形状であってもよい。
【0020】
導電部材30を構成する前記導電性の管の壁の厚さは、0.05μm~25μmが好ましく、0.1~20μmがより好ましく、0.5~15μmがさらに好ましく、0.7μm~3μmが特に好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、接続の安定性が向上する。
上記範囲の上限値以下であると、隣接する導電部材同士のピッチや離間距離を狭くすることができる。
前記導電性の管の壁の厚さは、複数の導電部材30から無作為に選択される導電部材30について、測定顕微鏡等の拡大観察手段で5箇所以上の厚さを測定し、平均した値である。
【0021】
導電部材30を構成する前記導電性の管の直径(外径)は、特に限定されないが、5μm~300μmであることが好ましく、5μm~100μmがより好ましく、5μm~50μmがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると導電部材30の電気抵抗が過度に高くなることを防止できる。上記範囲の上限値以下であると導電部材30の剛性が適度となり、デバイスの接続端子の傷付きを防止できる。
導電部材30の形状が円形以外である場合には、導電部材30の直径は、導電部材30の長手方向と垂直な断面における、外縁の最も幅広い部分の長さとする。
本明細書において、前記直径(外径)は、複数の導電部材30から無作為に選択される5本以上の導電部材30について、測定顕微鏡等の拡大観察手段で5箇所以上の直径を測定し、平均した値である。
【0022】
弾性体20の何れかの主面を平面視して、隣接する2つの導電部材30同士の間隔、すなわち、隣接する2つの導電部材30の中心間距離(ピッチ;図におけるP1、P2)は、例えば、6μm~1000μmとすることができる。また、隣接する2つの導電部材30同士の離間距離、すなわち隣接する2つの導電部材30が互いに最も近接する箇所の距離は、絶縁性を保てる距離であればよく、例えば、1μm~995μmとすることができる。
ここで、前記中心間距離及び前記離間距離は、電気コネクター10における弾性体20の主面を平面視して、複数の導電部材30から無作為に選択される5組以上の導電部材30について、測定顕微鏡等の観察手段により測定し、平均した値である。
【0023】
エラストマー40は、導電部材30が有する中空部の少なくとも一部を充填している。
図1~3に示す電気コネクター10の各エラストマー40は、各導電部材30の中空部の殆ど全部を充填している。エラストマー40には気泡が含まれていてもよい。エラストマー40は多数の気泡を含む多孔質体であってもよい。
エラストマー40が中空部を充填していることにより、デバイスの接続端子が導電部材30の先端を圧接した際に、先端を構成する管壁が中空部側に潰れることを抑制することができる。仮に、圧接によって管壁が中空部の中へ潰れると、圧接が解除されて弾性体20が元に戻る際に、潰れた管壁が貫通孔21の中に埋没して、導電部材30の先端が弾性体20の表面に露出しなくなる懸念がある。この問題が発生すると、その導電部材30の先端は次の圧接においてデバイスの接続端子に接触できなくなるので、電気コネクターの性能や耐久性が低下する。
【0024】
以上で説明した第一実施形態の電気コネクター10において、導電部材30の一方の先端は、弾性体20の一方の主面20aに位置している。本発明において、
図4の第二実施形態の電気コネクター50に示すように、導電部材30の一方の先端は、弾性体20の一方の主面20aよりも高い位置、すなわち一方の主面20aから突出した上方に位置してもよい。導電部材30の突出した先端の側面は、弾性体20からなる被膜に覆われていてもよいし、覆われていなくてもよい。
導電部材30の一方の端部30aの弾性体20の一方の主面20aからの突出量は、特に限定されず、例えば、5μm~100μmとすることができる。具体的には、電気コネクター10によって電気的に接続する2つのデバイスの接続端子の形状、配置等に応じて適宜調整される。
【0025】
[各部材の材料]
弾性体20の材料としては、例えば、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、エチレン-クロロプレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴム等が挙げられる。これらの中でも、高弾性で耐熱性に優れる点から、シリコーンゴムが好ましい。
【0026】
導電部材30は、芯線と、前記芯線の外周を被覆する導電性の管とを有する導電線から、少なくとも一方の端部の芯線が除去されて、少なくとも一方の端部が中空の前記導電性の管とされたものである。
前記芯線の材料としては、例えば、硝酸を用いたウエットエッチングにより容易に除去され得る、鉄、銅、アルミニウム、鉛、亜鉛、すず、タングステン等の卑金属が挙げられる。また、水や有機溶媒を用いたウエットエッチングにより容易に除去され得る、ポリビニルアルコール等の樹脂を適用することもできる。
【0027】
前記芯線の形状、すなわち、芯線の長手方向と垂直な断面の形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、五角形以上の多角形等が挙げられる。
前記芯線の直径(外径)は特に限定されず、例えば、0.1μm~260μmとすることができる。なお、芯材の形状が円形以外である場合には、芯材の直径は、芯材の長手方向と垂直な断面における、外縁の最も幅広い部分の長さとする。
【0028】
導電部材30を構成する前記導電性の管は、前記芯線を被覆する金属層によって形成されている。前記金属層の材料としては、電解メッキまたは無電解メッキによって前記芯線の外周に金属層を形成することができるものが好ましい。また、硝酸によるウエットエッチングや、水、酸、アルカリおよび有機溶媒によって腐食しないものであることが好ましい。前記金属層の材料は、貴金属が好ましい。貴金属としては、例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、ロジウム、パラジウム、黒ルテニウム等の金属や、これらの金属の合金が挙げられる。なかでも、標準電極電位が高い金、白金、銀、銅がより好ましく、低硬度の金、銀がさらに好ましい。前記導電性の管を形成する前記金属層は、1層の金属層でもよいし、2層以上の金属層であってもよい。2層以上の金属層における各層の金属は、互いに同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0029】
エラストマー40を構成するエラストマー材料としては、未硬化前には流動性を有し、硬化後にはその流動性が低減して導電部材30の中空部に留まるものであればよく、例えば、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、エチレン-クロロプレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴム等が挙げられる。これらの中でも、硬化前の流動性に優れ、高弾性で耐熱性に優れる点から、シリコーンゴムが好ましい。
また、前記エラストマー材料として、硬化後にゲル化するシリコーンゲルや、ウレタンゲルを用いてもよい。
また、前記エラストマー材料として、完全に硬化する前に発泡し、硬化後のエラストマー40に気泡を含ませる材料(発泡性エラストマー材料)であってもよい。
弾性体20を構成する材料とエラストマー40を構成する材料とは、互いに同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0030】
<作用効果>
本発明にかかる電気コネクター10,50においては、デバイスの接続端子に接触する導電部材30の端部の少なくとも一部が中空になっており(ただし、エラストマー40は中空部に存在する)、柔軟性や弾力性に富むので、圧接されたデバイスの接続端子に対する傷付けを防止することができる。また、導電部材30の中空部の少なくとも一部にはエラストマー40が充填されており、エラストマー40は、導電部材30の中空の管を内側から支持している。このため、デバイスの接続端子による圧接を受けたときに、導電部材30の中空の端部や先端が潰れにくく、弾性体20の貫通孔21の中へその先端が埋没することを防止しており、圧接が解除されるとエラストマー40の反発力を利用して、導電部材30の先端を元の位置に戻すことができる。
この結果、導電部材30の先端が弾性体20の主面の中に埋没したまま戻らなくなることを防止できるので、電気コネクター10,50の耐久性が向上している。
【0031】
[電気コネクターの製造方法]
本発明の第二態様は、第一態様の電気コネクターを製造する方法である。
<第一実施形態>
第一実施形態は、エラストマーからなる第一の樹脂層の第一の面側に、芯線と、前記芯線の外周を被覆する導電性の管とを有する導電線の複数を、向きを揃えて任意の間隔で配置する工程(配置工程)と、前記第一の樹脂層の第一の面側にエラストマーからなる第二の樹脂層を形成し、導電線含有シートを形成する工程(シート形成工程)と、複数の前記導電線含有シートを、前記複数の導電線の向きを揃えて積層し、前記導電線含有シートの積層体を形成する工程(積層体形成工程)と、前記積層体を、前記複数の導電線の延在する方向に対して垂直方向または斜め方向に切断し、前駆シートを得る工程(切断工程)と、前記前駆シートが有する前記複数の導電線から、前記芯線の少なくとも一部をエッチングにより除去し、複数の前記導電性の管が残されたエッチング処理済シートを得る工程(エッチング工程)と、前記エッチング処理済シートの少なくとも一方の主面から、その主面に開口する前記複数の導電性の管のうち少なくとも一部の管の中へ流動性エラストマーを導入し、前記流動性エラストマーを硬化させることにより、前記管の中の少なくとも一部にエラストマーが充填された電気コネクターを得ること、を有する電気コネクターの製造方法である。
以下、
図5(a)~
図5(d)を参照して、各工程の一例を説明する。
【0032】
[配置工程]
図5(a)に示すように、基材1000上に形成した第一の樹脂層1100の第一の面1100a上に、芯線及び導電性の管を有する導電線30’を、向きを揃えて任意の間隔で並列に配置する。
ここでは、複数の導電線30’は、基材1000の長手方向と垂直な方向に延在するように配置されている。隣接する2つの導電線30’の中心間距離は、例えば、6μm~1000μmであることが好ましい。
各導電線30’は第一態様で説明した導電線と同様である。
【0033】
基材1000としては、導電線含有シートを形成した後、導電線含有シートから容易に剥離できるものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂フィルムが挙げられる。
【0034】
第一の樹脂層1100の厚さは、例えば、2μm~500μmが好ましい。
第一の樹脂層1100の材料として、弾性体20の材料と同様のものが例示できる。
基材1000上に第一の樹脂層1100を形成する方法としては、例えば、上記の材料からなるシート又はフィルムを基材1000上に貼着するか、或いは、液状またはペースト状の上記材料を基材1000上に塗布し、加熱、加湿または光照射等により硬化して樹脂層を形成する方法が挙げられる。基材1000上にシート又はフィルムを貼着する方法としては、接着剤を用いてもよいし、表面処理によりシート又はフィルムの表面を活性化させて基材1000上に直接結合させてもよい。
【0035】
[シート形成工程]
次いで、
図5(b)に示すように、複数の導電線30’が配置された第一の樹脂層1100の第一の面1100a上に、第二の樹脂層1200を形成し、第二の樹脂層1200を第一の樹脂層1100と一体化するとともに、第一の樹脂層1100と第二の樹脂層1200の間に複数の導電線30’を固定し、導電線含有シート1300を形成する。
【0036】
第二の樹脂層1200の厚さは、例えば、2μm~500μmが好ましい。
第二の樹脂層1200の材料としては、第一の樹脂層1100の材料と同様のものが挙げられる。
第一の樹脂層1100の第一の面上に第二の樹脂層1200を形成する方法としては、基材1000上に第一の樹脂層1100を形成する方法と同様の方法が用いられる。
【0037】
[積層体形成工程]
次いで、
図5(c)に示すように、導電線含有シート1300の複数枚を、互いに導電線30’の向きを揃えて積層し、導電線含有シート1300の積層体1400を形成する。
本工程において、導電線30’の向きを揃えるだけでなく、積層体1400の厚さ方向に見て各導電線30’が重なるように配置を揃えることが好ましい。
図5(c)では、全ての導電線30’が、積層体1400の厚さ方向に重なり合っている場合を例示したが、導電線30’はその厚さ方向に重ならないでもよい。
【0038】
本工程において、導電線含有シート1300を積層する場合、最も下の層をなす導電線含有シート1300を除いて、導電線含有シート1300から基材1000を剥離する。
【0039】
複数の導電線含有シート1300を互いに積層するには、接着剤を用いてもよく、導電線含有シート1300の表面をコロナ処理等により活性化させて化学結合してもよい。
接着剤を用いる場合、接着剤としては、第一の樹脂層1100と同じエラストマーを用いてもよく、第一の樹脂層1100と異なるエラストマーを用いてもよい。
【0040】
[切断工程]
図5(d)に示すように、積層体1400を、所定の厚さとなるように、導電線30’の延在する方向に対して垂直方向に切断し、輪切りした導電線30’が接合された貫通孔21を備えたエラストマーからなる前駆シート1500を得る。前駆シート1500の一端にある基材1000は適宜剥離される。
【0041】
本工程において、積層体1400を切断する方法としては、例えば、レーザー加工、切削等の機械的加工等が用いられる。
【0042】
上記例では積層体1400を、導電線30’の延在する方向に対して垂直方向に切断する場合を例示したが、積層体1400を、導電線30’の延在する方向に対して斜め方向に切断してもよい。斜め方向に切断すると、前駆シート1500の主面に対して斜めに交わる導電線30’を備えた前駆シート1500が得られる。
【0043】
[エッチング工程]
次いで、前駆シート1500が有する複数の導電線30’の両端部のうち、少なくとも一方の端部における芯線をエッチングにより除去し、前記導電性の管によって形成された導電部材30の複数を備えたエッチング処理済シートを得る。導電部材30のエッチングされた端部は少なくとも先端近傍が中空の管になっている。
【0044】
本工程では、溶解液を用いて、導電線30’の芯線を溶解することにより、芯線を除去する。具体的には、芯線が鉄、銅、アルミニウム、鉛、亜鉛、すず、タングステン等の卑金属からなる場合、硝酸によるウエットエッチングにより芯線を除去することができる。
例えば、硝酸を含むエッチング液に前駆シート1500を浸漬して、エッチング液により芯線を溶解することにより、導電線30’から芯線を除去することができる。芯線がポリビニルアルコール等の樹脂からなる場合、水や有機溶媒に前駆シート1500を浸漬して、水や有機溶媒により芯線を溶解することにより、導電線30’から芯材を除去することができる。
【0045】
[充填工程]
エッチング処理済シートの一方の主面及び他方の主面のうち、少なくとも一方の主面に、流動性エラストマーを塗布することにより、その主面に開口している複数の導電部材30の端部の中空部(導電性の管)の中へ流動性エラストマーを導入する。この際、塗布した流動性エラストマーの粘度が比較的高い場合(例えば液状シリコーンゴム等)、塗布した主面に流動性エラストマーからなる未硬化エラストマー層が形成される。つまり、エッチング処理済シートの一方の主面に未硬化エラストマー層が積層された積層シートが得られる。
【0046】
塗布方法としては、例えば、各種のコーター法や吹付け法等の公知の樹脂類を塗布する方法が挙げられる。また、予め別に形成した未硬化エラストマー層をエッチング処理済シートの主面に貼付する方法も本工程の塗布方法に含められる。例えば、PETフィルムの表面に流動性エラストマーをコーター等により塗工し、その表面に未硬化エラストマー層を形成し、これをエッチング処理済シートの主面に貼付して転写すると、積層シートが得られる。このように貼付する方が、均一な厚さの未硬化エラストマー層を形成できるので好ましい。
【0047】
得られた積層シートを減圧雰囲気(真空雰囲気)に置くと、中空部の真上及びその近傍にある未硬化エラストマー層の流動性エラストマーを中空部の中に導入することができる。なお、塗布した流動性エラストマーの粘度が低ければ、自然に中空部の中へ流入する。
【0048】
積層シートの主面から導電部材30の中空部(前記管の中)へ流動性エラストマーを導入した後、その流動性エラストマーを硬化させることにより、中空部の少なくとも一部にエラストマーが充填され、かつ、中空部へ導入されずに前記積層シートの表面に残った未硬化エラストマー層が硬化してなるエラストマー層を備えた積層硬化シートが得られる。
【0049】
流動性エラストマーを硬化させる方法は特に制限されず、流動性エラストマーに含まれる溶剤を蒸発させて乾燥する方法、流動性エラストマーに含まれる化合物同士を架橋反応させて硬化する方法等の公知方法が適用できる。
【0050】
積層硬化シートの表面に形成されたエラストマー層を除去することにより、目的の電気コネクターが得られる。
【0051】
エラストマー層を積層硬化シートの表面から除去する方法としては、例えば、固体粒子や液体やガスを吹き付けるブラスト法、レーザー照射法、物理的に研磨する研磨法、物理的に切削する切削法等が挙げられる。
【0052】
以上の各工程を経て、例えば、
図1~3に示すような第一態様の電気コネクター10が得られる。
【0053】
[突出工程]
充填工程を経て得た電気コネクター10が有する導電部材30の端部を、弾性体20がなすシートの一方又は両方の主面から突出させる突出工程をさらに有していてもよい。
【0054】
この突出工程において、導電部材30を、シートの主面から突出させる方法としては、例えば、レーザーエッチング、ケミカルエッチング、切削等の機械的加工により、シートの主面からエラストマーの一部を削る方法が挙げられる。
【0055】
以上の各工程を経て、例えば、
図4に示すような第一態様の電気コネクター50が得られる。
【実施例0056】
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレート基材上に形成したシリコーンゴムからなる厚さ15μmの第一の樹脂層の一方の面上に、複数の導電線を、向きを揃えて50μmの間隔で並列に配置した。
導電線として、真鍮からなる直径25μmの円柱状の芯線と、その芯線の外周面を覆う導電性の管である金からなる厚さ1.5μmの金属層とを有するものを用いた。
次に、複数の導電線が配置された第一の樹脂層の一方の面上に、シリコーンゴムからなる厚さ15μmの第二の樹脂層を形成し、第二の樹脂層を第一の樹脂層と一体化するとともに、第一の樹脂層と第二の樹脂層の間に導電線を固定し、導電線含有シートを形成した。
次に、導電線含有シートの200枚を、互いに導電線の長手方向の向きを揃えて、かつ積層方向に見て各導電線が重なるように積層し、導電線含有シートの積層体を形成した。
次に、切削加工により、導電線の延在する方向に対して角度63°でスライスカットし、厚さ150μmの前駆シートを得た。前駆シートは、シリコーンゴムからなるシート状の弾性体と、前記弾性体を厚さ方向に貫通する導電線とを有する。前記導電線は、弾性体を厚さ方向に貫通する貫通孔に接合されている。前駆シートの主面の厚さ方向に対して交わる導電線の延在方向の角度は約63°であった。
【0057】
続いて、前駆シートを、硝酸を含むエッチング液に浸漬し、導電線を構成する芯線を溶解することにより、前駆シートの両主面に露出する導電線の端部を中空化し、エッチング処理済シートを得た。エッチング処理済シートの一方の主面のSEM像を
図6に示す。
SEM像から、エッチング処理済シートの主面に露出する導電部材の端部は中空化されていることが分かる。
図6の導電線及びその中空部は、画像では白色に見えている。
【0058】
次に、PETフィルムの表面に信越化学工業株式会社製の液状シリコーンゴム(KE-1935-A/B、流動性エラストマー)を厚さ30μmで塗布し、未硬化エラストマー層を形成した。この未硬化エラストマー層をエッチング処理済シートの一方の主面に貼付して転写し、積層シートを得た。この積層シートを減圧チャンバーにて40秒間減圧後取り出し、エッチング処理済シートの主面に開口する導電部材の管の中に上記流動性エラストマーが充填されたことを確認した。この積層シートを135℃にて2分間加熱し、中空部内の流動性エラストマー及び積層シートの表面に残った流動性エラストマーがそれぞれ硬化した積層硬化シートを得た。
【0059】
最後に、積層硬化シートの表面の硬化したエラストマー層をレーザー照射により除去して、目的の電気コネクターを得た。その一方の主面のSEM像を
図7に示す。
SEM像から、電気コネクターの導電部材の中空の端部は主面に露出しており、その中空部の中にシリコーンゴムが充填されていることが分かる。
図7の中空部内に充填された液状シリコーンゴムは、画像では黒色に見えている。
【0060】
[比較例1]
実施例1と同様にして得たエッチング処理済シートを得て、これを比較例の電気コネクターとして、以下の試験に用いた。
【0061】
[評価]
実施例1、比較例1の電気コネクターを、疑似被検査用パッケージ(ダミーパッケージ)の複数の半田ボールに対してデイジーチェーンとなるように、複数の電極及び回路が形成された基板の上に配置した。基板上の電気コネクターの上に、半田ボールと電気コネクターが接触するように、複数の半田ボールが形成されたダミーパッケージを配置した。
ダミーパッケージは、φ0.2の半田ボールが0.3mmピッチで8×8にマトリックス上に配置しており、基板とデイジーチェーン接続できる内部回路を有するものを使用した。
φ1mmの円柱状プローブにより、ダミーパッケージを圧縮し、デイジーチェーン接続における抵抗値を測定した。
デイジーチェーン接続の最初と最後の箇所の電極から、配線を引き出し、抵抗測定器(商品名:RM3545-01、日置電機株式会社製)と接続した。
基板における全ての電極と ダミーパッケージにおける全ての半田ボールを電気コネクターにより電気的に直列的に接続できた場合、抵抗値が測定できるようにした。
【0062】
ダミーパッケージの押し当てを繰り返し、以下の基準で評価した。
A:5000回の圧接を繰り返しても、抵抗値が2Ω/半田ボール未満
B:抵抗値が2Ω/半田ボール以上になる圧接の繰り返し回数が、3000回未満
【0063】
実施例1の電気コネクターの測定結果は、
図8に示す通り、5000回の圧接を繰り返しても抵抗値はほとんど変化せず、非常に優れた耐久性を示した。また、圧接に必要な荷重は小さく、デバイスの接続端子を傷付ける恐れは無かった。評価基準の判定はAであった。
【0064】
比較例1の電気コネクターの測定結果は、
図9に示す通り、実施例と比べて早い段階で抵抗値の上昇が観測された。評価基準の判定はBであった。
【0065】
実施例1の電気コネクターの5000回の圧接後の主面のSEM像を
図10に示す。圧接後においても導電部材の先端が主面に露出しており、デバイスの接続端子と充分に接続を取れる状態であった。
【0066】
比較例1の電気コネクターの5000回の圧接後の主面のSEM像を
図11に示す。導電部材の先端の一部が主面に露出しておらず、電気コネクターの内部に埋没しており、デバイスの接続端子との接続が不安定になり得る状態であった。