(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047099
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】部品内蔵配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20220316BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020152833
(22)【出願日】2020-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 崇広
(72)【発明者】
【氏名】井澤 清治
(72)【発明者】
【氏名】佐野 克幸
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA43
5E316BB11
5E316CC02
5E316CC04
5E316CC08
5E316CC09
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5E316CC32
5E316CC37
5E316DD12
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5E316FF07
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5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH11
5E316JJ12
5E316JJ13
(57)【要約】
【課題】部品内蔵配線基板の品質向上。
【解決手段】実施形態の部品内蔵配線基板は、ビア導体14vを含む第1樹脂絶縁層11Fと、第1樹脂絶縁層11F上に形成されている第1導体層12Fと、第1導体層12F上の樹脂絶縁層11を貫通して形成されている部品収容部CCと、第1導体層12Fに含まれ部品収容部CCの底部を構成する部品実装パッド120と、部品実装パッド120上に載置される電子部品ECと、第1樹脂絶縁層11Fの第1導体層12Fと反対側に形成されている第2導体層12Sと、を備えている。部品実装パッド120はビア導体14vを介して第2導体層12Sに接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビア導体を含む第1樹脂絶縁層と、前記第1樹脂絶縁層上に形成されている第1導体層と、前記第1導体層上の樹脂絶縁層を貫通して形成されている部品収容部と、前記第1導体層に含まれ前記部品収容部の底部を構成する部品実装パッドと、前記部品実装パッド上に載置される電子部品と、前記第1樹脂絶縁層の前記第1導体層と反対側に形成されている第2導体層と、を備える部品内蔵配線基板であって、
前記部品実装パッドは前記ビア導体を介して前記第2導体層に接続されている。
【請求項2】
請求項1記載の部品内蔵配線基板であって、前記電子部品が樹脂絶縁層によって前記部品収容部内に封止されている。
【請求項3】
請求項1記載の部品内蔵配線基板であって、前記第2導体層は平面視において前記部品実装パッドに重なる領域に亘って連続して拡がる第2導体パターンを有し、前記部品実装パッドは複数の前記ビア導体を介して前記第2導体パターンに接続されている。
【請求項4】
請求項3記載の部品内蔵配線基板であって、前記第2導体パターンに複数の貫通孔が形成されている。
【請求項5】
請求項4記載の部品内蔵配線基板であって、前記貫通孔の近傍に前記ビア導体が形成されている。
【請求項6】
請求項4記載の部品内蔵配線基板であって、前記ビア導体は前記第2導体パターンの平面視における周縁に沿って枠状に設けられており、前記貫通孔は前記ビア導体によって囲まれる領域内に形成されている。
【請求項7】
請求項4記載の部品内蔵配線基板であって、前記第2導体パターンの平面視において、前記ビア導体と前記貫通孔とが交互にグリッド状に配置されている。
【請求項8】
請求項4記載の部品内蔵配線基板であって、前記貫通孔は、前記第2導体パターンの平面視における中心から放射状に形成されている。
【請求項9】
請求項4記載の部品内蔵配線基板であって、前記第2導体パターンの前記部品実装パッドと反対側に、平面視において前記第2導体パターンと重なる領域に亘って連続して拡がる第3導体パターンをさらに有し、前記第3導体パターンに複数の貫通孔が形成されている。
【請求項10】
請求項4記載の部品内蔵配線基板であって、前記貫通孔の径は150μm以上、且つ、300μm以下である。
【請求項11】
請求項1記載の部品内蔵配線基板であって、前記第1樹脂絶縁層は芯材を含んでいる。
【請求項12】
請求項1記載の部品内蔵配線基板であって、前記第1導体層は、前記部品内蔵基板を構成する前記複数の導体層のなかで最も大きい厚さを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は部品内蔵配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ビルドアップ配線板に形成されるキャビティ内に電子部品が収容されている電子部品内蔵基板が開示されている。電子部品はキャビティの底面全体を構成するベタ状のプレーン層上にマウントされ、電子部品上に積層される絶縁層によりキャビティ内に封止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている電子部品内蔵基板では、電子部品がマウントされるプレーン層と、プレーン層下の絶縁層との界面において剥離が発生しやすいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態による部品内蔵配線基板は、ビア導体を含む第1樹脂絶縁層と、前記第1樹脂絶縁層上に形成されている第1導体層と、前記第1導体層上の樹脂絶縁層を貫通して形成されている部品収容部と、前記第1導体層に含まれ前記部品収容部の底部を構成する部品実装パッドと、前記部品実装パッド上に載置される電子部品と、前記第1樹脂絶縁層の前記第1導体層と反対側に形成されている第2導体層と、を備えている。前記部品実装パッドは前記ビア導体を介して前記第2導体層に接続されている。
【0006】
本発明の実施形態によれば、部品実装パッドの樹脂絶縁層からの剥離や浮きなどの不具合が生じ難いと考えられる、高い品質の部品内蔵配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態の部品内蔵配線基板の一例を示す断面図。
【
図2A】
図1の部品内蔵配線基板における電子部品及びその下層部分の拡大図。
【
図2B】
図2Aに示される部品内蔵配線基板における第2導体パターンの平面図。
【
図3】本発明の一実施形態の部品内蔵配線基板の他の例の部分拡大図。
【
図4A】本発明の一実施形態の部品内蔵配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図4B】本発明の一実施形態の部品内蔵配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図4C】本発明の一実施形態の部品内蔵配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図4D】本発明の一実施形態の部品内蔵配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図4E】本発明の一実施形態の部品内蔵配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図4F】本発明の一実施形態の部品内蔵配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態の部品内蔵配線基板が図面を参照しながら説明される。
図1は一実施形態の部品内蔵配線基板の一例である部品内蔵配線基板100を示す断面図であり、
図2Aには、
図1のII部の拡大図が示されている。なお、本実施形態における部品内蔵配線基板は、単に「配線基板」とも称される。
【0009】
図1に示されるように、部品内蔵配線基板100は、その厚さ方向において対向する2つの主面(第1面3F及び第1面3Fの反対面である第2面3S)を有するコア基板3を有している。部品内蔵配線基板100は、コア基板3の第1面3F上に積層されている第1ビルドアップ部1と、コア基板3の第2面3S上に積層されている第2ビルドアップ部2とを含んでいる。コア基板3は、樹脂絶縁層31(コア基板絶縁層)と、樹脂絶縁層31の第1ビルドアップ部1側及び第2ビルドアップ部2側それぞれに積層されている導体層32(コア基板導体層)とを含んでいる。第1ビルドアップ部1側の導体層32の露出面と、樹脂絶縁層31の第1ビルドアップ部1側の表面の露出部分とによって第1面3Fが構成される。第2ビルドアップ部2側の導体層32の露出面と、樹脂絶縁層31の第2ビルドアップ部2側の表面の露出部分とによって第2面3Sが構成される。樹脂絶縁層31は、樹脂絶縁層31を貫通し、第1面3F側の導体層32と第2面3S側の導体層32とを接続するスルーホール導体3tを含んでいる。
【0010】
第1ビルドアップ部1及び第2ビルドアップ部2は、それぞれ、複数の樹脂絶縁層11及び複数の導体層12を含んでいる。第1及び第2のビルドアップ部1、2それぞれにおいて、複数の樹脂絶縁層11及び複数の導体層12が交互に積層されている。
図1の配線基板100では、第1ビルドアップ部1は6つの導体層12と7つの樹脂絶縁層11とを含んでいる。同様に、第2ビルドアップ部2は6つの導体層12と7つの樹脂絶縁層11とを含んでいる。第1ビルドアップ部1及び第2ビルドアップ部2は、各樹脂絶縁層11を貫通し、各樹脂絶縁層11を介して隣接する導体層12、32同士を接続するビア導体14を含んでいる。部品内蔵配線基板100は、第1ビルドアップ部1及び第2ビルドアップ部2の上側を覆う被覆層(ソルダーレジスト層)13を含んでいる。被覆層13は、第1及び第2ビルドアップ部1、2の最外の導体層12(コア基板3から最も遠い導体層12)が有する導体パッド12pを露出させる開口を有している。
【0011】
なお、実施形態の説明では、配線基板の厚さ方向においてコア基板絶縁層31から遠い側は「上側」、「上方」、「外側」、又は単に「上」もしくは「外」、とも称され、コア基板絶縁層31に近い側は「下側」、「下方」、「内側」、又は単に「下」もしくは「内」、とも称される。さらに、各導体層及び各樹脂絶縁層において、コア基板絶縁層31と反対側を向く表面は「上面」とも称され、コア基板絶縁層31側を向く表面は「下面」とも称される。従って、例えば第1ビルドアップ部1及び第2ビルドアップ部2の説明では、コア基板3から遠い側が「上側」、「上方」、「上層側」、「外側」、又は単に「上」もしくは「外」とも称され、コア基板3に近い側が「下側」、「下方」、「下層側」、「内側」、又は単に「下」もしくは「内」とも称される。
【0012】
樹脂絶縁層31及び樹脂絶縁層11は、任意の絶縁性樹脂によって形成される。絶縁性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)又はフェノール樹脂などが例示される。
図1の例では、樹脂絶縁層31は、ガラス繊維やアラミド繊維で形成される芯材(補強材)を含んでいる。
図1には示されていないが、任意の樹脂絶縁層11がガラス繊維などからなる芯材を含み得る。樹脂絶縁層31及び樹脂絶縁層11は、さらに、無機フィラーを含んでいてもよい。各樹脂絶縁層に含まれる無機フィラーとしては、シリカ(SiO
2)、アルミナ、又はムライトなどからなる微粒子が例示される。被覆層13は、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの任意の絶縁性材料を用いて形成される。
【0013】
導体層32及び導体層12、並びに、スルーホール導体3t及びビア導体14は、銅又はニッケルなどの任意の金属を用いて形成される。
図1の例において、導体層32は、金属箔32f、金属膜32n、及びめっき膜32eを含んでいる。スルーホール導体3tは、金属膜32n及びめっき膜32eによって構成されている。また、導体層12及びビア導体14は金属膜12n及びめっき膜12eを含んでいる。金属箔32fとしては、銅箔又はニッケル箔が例示される。めっき膜32e、12eは、例えば電解めっき膜である。金属膜32n、12nは、例えば無電解めっき膜又はスパッタリング膜であり、それぞれ、めっき膜32e、12eを電解めっきで形成する際の給電層として機能する。
【0014】
本実施形態の配線基板100は、電子部品ECを内蔵している。電子部品ECは、第1ビルドアップ部1内の任意の導体層12に含まれる、部品実装パッド120上に載置される。図示の例では、電子部品ECは、部品実装パッド120上に接する樹脂絶縁層11を貫通して底部が部品実装パッド120によって構成される部品収容部(凹部)CC内に収容されている。電子部品ECは、第1ビルドアップ部1を構成する最外の樹脂絶縁層11によって部品収容部CC内に封止されている。電子部品ECとしては、半導体装置などの能動部品や、抵抗体のような受動部品が例示される。電子部品ECは、半導体基板上に形成された微細配線を含む配線材であってもよい。
【0015】
電子部品ECは、接着剤ADを介して部品実装パッド120に接合されている。接着剤ADには、任意の材料が用いられ得る。接着剤ADとしては、はんだ、金、もしくは銅などの金属、銀などの任意の導電性粒子を含む導電性接着剤、並びに、単にエポキシ樹脂などで構成される絶縁性接着剤などが例示される。図示される例においては、電子部品ECは、電子部品ECと外部回路との接続に用いられる電極Eを含んでいる。
図1に示される例における、電子部品ECの直上に形成されている樹脂絶縁層11の電極Eに対応する位置にはビア導体14eが形成される。ビア導体14eは、第1ビルドアップ部1の最外の導体層12と一体的に形成され、電極Eと接続パッド12peとを接続している。
【0016】
図2Aは、
図1に示される部品内蔵配線基板100の一点鎖線で囲われる部分IIの拡大図である。
図2Bは、
図2Aにおいて符号12Sで示される導体層を上側から見た平面図である。また、
図3は、本実施形態の部品内蔵配線基板の他の例に対応した部分拡大図である。以下の、
図2A、
図2B及び
図3を参照した説明においては、部品実装パッド120を含む導体層12は第1導体層12Fと称される。第1導体層12Fの直下の樹脂絶縁層11は第1樹脂絶縁層11Fと称される。第1樹脂絶縁層11Fのコア基板3と反対側の表面に第1導体層12Fが形成されている。第1樹脂絶縁層11F直下の導体層12、すなわち、第1樹脂絶縁層11Fの第1導体層12Fが形成される面と反対側の面に形成されている導体層12は、第2導体層12Sと称される。第1導体層12Fは、第1樹脂絶縁層11Fを貫通するビア導体14vを介して第2導体層12Sと接続されている。具体的には、第1導体層12Fに含まれる部品実装パッド120が、部品実装パッド120と一体的に形成される複数のビア導体14vを介して第2導体層12Sと接続されている。
【0017】
第1導体層12Fに含まれる部品実装パッド120は、第1樹脂絶縁層11Fのコア基板3と反対側の表面に沿って全方位に延在する所謂ベタパターンである。部品実装パッド120によって第1樹脂絶縁層11Fのコア基板3と反対側の表面の所定の領域が占有される。部品実装パッド120は、電子部品ECが載置されるべき領域(部品搭載領域)Aの全体を含む範囲に形成されている。図示の例では、電子部品ECをその内部に収容する部品収容部(凹部)CCが、第1導体層12Fの上側の樹脂絶縁層11を貫通して形成されており、部品実装パッド120は凹部CCの底部を構成している。
【0018】
部品実装パッド120とビア導体14vを介して接続される第2導体層12Sもベタパターンを有している。具体的には、第2導体層12Sは、第1ビルドアップ部1の上側から部品実装パッド120を見た平面視において、部品実装パッド120が形成されている領域と重なる領域に亘って拡がるベタパターンを有している。なお「平面視」とは、配線基板100をその厚さ方向に沿った視線で見ることを意味する。この第2導体層12Sに形成されるベタパターンは第2導体パターン12Spと称される。第2導体層12Sに含まれる第2導体パターン12Spが、ビア導体14vを介して、部品実装パッド120と接続されている。第2導体パターン12Spは、ビア導体14vと第2導体パターン12Spとの接続部近傍に、貫通孔12Shを有している。
【0019】
部品実装パッド120が、第1樹脂絶縁層11Fを介して反対側に形成される第2導体パターン12Spとビア導体14vにより接続される構成によって、部品実装パッド120と第1樹脂絶縁層11Fとの剥離などの不良が抑制され得る。例えば、部品実装パッド120への電子部品ECの載置時の接着剤ADの加熱を伴う工程においては、第1樹脂絶縁層11Fと第1導体層12Fとの熱膨張率の違いに起因する、第1樹脂絶縁層11Fと部品実装パッド120との剥離が生じ得る。しかし、部品実装パッド120と第2導体パターン12Spとがビア導体14vを介して接続されていることで、部品実装パッド120と第1樹脂絶縁層11Fとは比較的強固に密着する。従って、第1樹脂絶縁層11Fと部品実装パッド120との剥離の発生が抑制され得る。
【0020】
第2導体パターン12Spの、ビア導体14vとの接続部近傍には、貫通孔12Shが形成されている。貫通孔12Shが設けられていることで、第2導体パターン12Spと、第2導体パターン12Sp直下の樹脂絶縁層11との間の剥離や浮きなどの不良の発生が抑制され得る。以下その理由について詳述する。
【0021】
配線基板100の樹脂絶縁層11に用いられるエポキシ樹脂などの樹脂は吸湿性を有している。従って、樹脂絶縁層11は、樹脂絶縁層11の積層工程等における曝露雰囲気中の湿度や曝露時間に応じた量の水分を吸収する。このような、吸湿した樹脂が温度上昇を伴う環境におかれると、吸収された水分は気化し、配線基板100の外に放出される。しかしながら、導体層12において、比較的広い範囲に亘って連続的に導体パターンが形成されていると(例えば、部品実装パッド120、第2導体パターン12Sp)、気化した水分の、配線基板100外への放出経路が妨げられる。従って、導体層12の導体パターンとその直下の樹脂絶縁層11との界面に気化した水分が滞留しやすい。導体層12とその直下の樹脂絶縁層11との界面に滞留する水分の気化などに伴う膨張によって、導体層12が押し上げられ剥離や浮きが生じることがある。
【0022】
しかしながら、
図2に示されるように、配線基板100では、第2導体パターン12Spには貫通孔12Shが形成されている。従って、第2導体パターン12Spと、その直下の樹脂絶縁層11との界面に滞留する水分は、貫通孔12Shを経て第1樹脂絶縁層11F側へと分散される。従って、第2導体パターン12Spの樹脂絶縁層11からの剥離や浮きが防止され得る。
【0023】
第2導体パターン12Spに形成されている貫通孔12Shを通過して第1樹脂絶縁層11F側へと移動する水分は、部品実装パッド120と第1樹脂絶縁層11Fとの界面に滞留し得る。この水分は加熱を伴う工程などにおいて膨張し、部品実装パッド120を押し上げて、部品実装パッド120と第1樹脂絶縁層11Fとの剥離や浮きを生じさせることがある。このような部品実装パッド120の剥離や浮きを防止するために、複数の貫通孔12Shは、第2導体パターン12Spの、ビア導体14vとの接続部近傍に形成される。具体的には、複数の貫通孔12Shのそれぞれは、最も近いビア導体14vの中心14vcから500μm以内の領域H内に形成される。貫通孔12Shは、例えば第2導体層12Sのパターン形成と同時に形成され、その径は例えば150μm以上、300μm以下である。
【0024】
図2Bには、
図2Aにおける第2導体パターン12Spの平面図が示されている。すなわち、
図2Bは、
図2Aにおいて第1樹脂絶縁層11Fより上側の構成要素を除いた状態で、第2導体パターン12Spを上側から平面視したときの平面図である。
図2Aは、
図2Bに示されるa-a線に重なる切断線で部品内蔵配線基板100を切断した場合の断面図である。
図2Bに示されるように、樹脂絶縁層11表面に沿って延在するベタパターンである第2導体パターン12Spには、複数の貫通孔12Shが形成されている。複数の貫通孔12Shは、一点鎖線Hpで示される円形の内側に形成されている。一点鎖線Hpで示される円形の内側の領域は、2点鎖線で示される、ビア導体14vと第2導体パターン12Spとの接続部14vbの、中心14vcから500μm以内の領域Hである。第2導体パターン12Spに形成される貫通孔12Shの数、配置されるパターン、及び開口形状は図示のものに限定されない。貫通孔12Shの開口形状は円形に限定されず多角形などの任意の形状を有し得る。
【0025】
部品実装パッド120の第1絶縁層11Fからの剥離や浮きが生じると、部品実装パッドの120の部品搭載面(上面)の平坦性が損なわれ得る。しかしながら、部品内蔵配線基板100では、貫通孔12Shがビア導体14vの近傍の領域Hに形成されていることから、第1樹脂絶縁層11Fへと移動する水分は、比較的強固な構造である部品実装パッド120とビア導体14vとの接続部近傍に誘導される。従って、部品実装パッド120と第1樹脂絶縁層11Fとの界面での剥離や浮きは生じにくい。
【0026】
第2導体パターン12Spに形成される複数の貫通孔12Shとビア導体14vとの平面視における位置関係は、
図2Bに示されるものに限定されず、例えば、
図2C~
図2Eに示されるような配置を有し得る。
図2Cに示される例では、第2導体パターン12Spは、その平面視における周縁でビア導体14vと接続されている。具体的には、第2導体パターン12Spの外周に沿って枠状に、ビア導体14vとの接続部14vbが等間隔に設けられている。そして貫通孔12Shは、枠状に設けられるビア導体14vとの接続部14vbに囲まれる領域内に形成されている。このような構成により、貫通孔12Shによる水分を部品実装パッド120側に分散させる効果を得ながらも、部品実装パッド120が第2導体パターン12Spと比較的強固に接続される。従って、部品実装パッド120の第1樹脂絶縁層11Fからの剥離は、より効果的に抑制され得る。
【0027】
図2Dに示される例においては、第2導体パターン12Spの平面視において、貫通孔12Shとビア導体14vとが交互にグリッド状に配置されている。すなわち、貫通孔12Shと接続部14vbとが市松格子状に配置されている。このような貫通孔12Sh及び接続部14vbの配置によれば、第2導体パターン12Spにおいて全体的に、貫通孔12Shがビア導体14vに対して比較的近傍に配置され得る。従って、上述したように、貫通孔12Shを経て第1樹脂絶縁層11Fへと移動する水分は、部品実装パッド120とビア導体14vとの接続部近傍に誘導され、部品実装パッド120の浮きが効果的に抑制され得る。
【0028】
図2Eに示される例においては、第2導体パターン12Spの平面視において、貫通孔12Shが第2導体パターン12Spの対角線に沿って、その中心から隅部(矩形の4隅)に向けて放射状に形成されている。そして、ビア導体14vは、第2導体パターン12Spとの接続部14vbが第2導体パターン12Spの辺の中心付近に位置するように設けられている。このような構成によれば、第2導体パターン12Shの中央付近において貫通孔12Shが高い密度で配置される。従って、第2導体パターン12Spの、部品実装パッド120における電子部品ECが載置される位置に対応した領域の直下には水分が滞留しにくい。部品実装パッド120における電子部品ECの搭載面の平坦性を損なわせる原因となり得る第2導体パターン12Spの剥離や浮きが抑制され得る。
【0029】
なお、上述の
図2B~
図2Eでは、第2導体パターン12Spにおける接続部14vbと貫通孔12Shとは、その位置関係を説明するためにのみ模式的に示されており、その形状及び寸法の関係について限定することは意図されていない。例えば、接続部14vbと貫通孔12Shとは略同径の円形に形成されてもよく、貫通孔12Shが接続部14vbよりも大きい径に形成されてもよい。
【0030】
本実施形態における部品内蔵配線基板100は、部品実装パッド120が第2導体パターン12Spと接続され、部品実装パッド120と第1樹脂絶縁層11Fとの密着性の良い、比較的強固な構成を有している。加えて、配線基板内の水分に起因する不良が発生し難くされている。第2導体パターン12Sp直下に滞留しやすい水分を部品実装パッド120側に分散させることで、第2導体パターン12Spと樹脂絶縁層11との界面での剥離などの不良の発生を抑制しながらも、さらに、部品実装パッド120の剥離や浮きも抑制され得る構造とされている。電子部品ECが部品内蔵配線基板100内の所望の位置に精度よく配置された、良好な品質の部品内蔵配線基板100が提供され得る。
【0031】
図3には、第2導体パターン12Spのコア基板3側の導体層12に、さらにベタパターン(第3導体パターン)12Tpが形成されている例が示されている。図示の例では、第2導体パターン12Spは、第3導体パターン12Tpとビア導体14vを介して接続されている。第3導体パターン12Tpは、平面視において第2導体パターン12Spと重なる領域に亘って連続的に広がっている。第3導体パターン12Tpには、第2導体パターン12Spと同様に、複数の貫通孔12Thが形成されている。このような構成を有することで、第3導体パターン12Tpの下側で気化した水分は、第3導体パターン12Tpの下面近傍、第2導体パターン12Spの下面近傍、及び部品実装パッド120の下面近傍に分散され得る。部品実装パッド120、第2導体パターン12Sp付近に滞留する水分に起因する不良の発生をより一層抑制できることがある。
【0032】
本実施形態の部品内蔵配線基板においては、部品実装パッド120の直下の第1樹脂絶縁層11Fは、芯材(補強材)を含んでもよい。第1樹脂絶縁層11Fの機械的強度が向上し、電子部品ECがマウントされる際に部品実装パッド120を介して第1樹脂絶縁層11Fに係り得る応力に起因するクラックなどの不良の発生が抑制され得ると考えられる。芯材としては、ガラス繊維やアラミド繊維などが例示される。芯材を構成するこれらの繊維は、織布又は不織布の形態を有し得る。樹脂絶縁層11内に滞留する蒸気が芯材の繊維表面に分散して付着し、導体層12と樹脂絶縁層11との界面での局所的な蒸気の集中が避けられ得ると考えられる。
図3に示される例のように、ベタパターンである第3導体パターン12Tpが形成され、第3導体パターン12Tpが第2導体パターン12Spと接続される場合には、第2導体パターン12Spと第3導体パターン12Tpとの間の樹脂絶縁層11も芯材を含んでいることが好ましい。
【0033】
部品実装パッド120を含む第1導体層12Fは、部品内蔵配線基板100を構成する他の導体層よりも厚く形成されてよい。第1導体層12Fが比較的大きい厚さを有することで、上述した水分に起因する部品実装パッド120の第1導体層12Fからの浮きがさらに効果的に抑制されることがある。部品実装パッド120の第1導体層12Fからの浮きが抑制されることで、電子部品ECの搭載面の平坦性が良好に確保され得る。電子部品ECが所望の位置に精度よく配置される良好な品質の部品内蔵配線基板が提供され得る。また、部品実装パッド120には、第1樹脂絶縁層11Fとの界面に滞留し得る水分をさらに上側に分散させるための貫通孔が設けられてもよい。
【0034】
つぎに、部品内蔵配線基板の製造方法が、
図1の部品内蔵配線基板100を例に用いて
図4A~
図4Fを参照して説明される。
【0035】
先ず、
図4Aに示されるように、コア基板3の絶縁層31となる樹脂層と、この樹脂層の両表面にそれぞれ積層された金属箔32fを含む出発基板(例えば両面銅張積層板)が用意され、コア基板3の導体層32及びスルーホール導体3tが形成される。例えばドリル加工又は炭酸ガスレーザー光の照射によってスルーホール導体3tの形成位置に貫通孔が穿孔され、その貫通孔内及び金属箔32f上に無電解めっき又はスパッタリングなどによって金属膜32nが形成される。そしてこの金属膜32nを給電層として用いる電解めっきによってめっき膜32eが形成される。その結果、金属箔32f、金属膜32n、及びめっき膜32eの3層構造の導体層32、及び、金属膜32n及びめっき膜32eの2層構造のスルーホール導体3tが形成される。その後、サブトラクティブ法によって導体層32をパターニングすることによって所定の導体パターンを備えるコア基板3が得られる。
【0036】
次に、
図4Bに示されるように、コア基板3の第1面3F上に樹脂絶縁層11及び導体層12が交互に形成される。コア基板3の第2面3S上にも樹脂絶縁層11及び導体層12が交互に形成される。
図4Bにおいて第1面3F及び第2面3Sの上にそれぞれ3組の樹脂絶縁層11、及び、3組の樹脂絶縁層11の間の2層の導体層12が形成された後、第1面3F側では第2導体パターン12Spを含む第2導体層12Sが形成され、第2面3S側では、第2導体層12Sに対応する階数の導体層12が形成される。なお「階数」は、第1面3F側及び第2面3S側のそれぞれに積層される複数の樹脂絶縁層11又は導体層12に、コア基板3側から1ずつ増加する数を1から順に付与したときに各樹脂絶縁層11又は導体層12に付与される数である。すなわち、図示の例では、第1面3F側では、階数が3の導体層12(第2導体層12S)が形成され、第2面3Sで側では、階数が3の導体層12が形成される。
【0037】
各樹脂絶縁層11の形成では、例えばフィルム状のエポキシ樹脂が、コア基板3の上、又は先に形成された樹脂絶縁層11及び導体層12の上に積層され、加熱及び加圧される。その結果、各樹脂絶縁層11が形成される。
【0038】
各樹脂絶縁層11には、ビア導体14を形成するための貫通孔が、例えば炭酸ガスレーザー光の照射などによって形成される。そして各絶縁層11の直上に積層される導体層12と一体的に、例えば金属膜及びめっき膜の2層からなるビア導体14が形成される。各導体層12、12Sの下地となる樹脂絶縁層11上の全面及びその樹脂絶縁層11に穿孔された貫通孔内に無電解めっきやスパッタリングによって金属膜が形成される。その金属膜を給電層として用いる電解めっきを含むパターンめっきによってめっき膜が形成される。各樹脂絶縁層11に穿孔された貫通孔内にはビア導体14が形成される。その後、金属膜の不要部分が例えばエッチングなどで除去される。その結果、所定の導体パターンを含む2層構造の各導体層12、12Sが形成される。各導体層12は、銅又はニッケルなどの任意の金属を用いて形成される。
【0039】
第2導体層12Sには、部品実装パッド120が形成されるべき範囲と平面視において重なる領域に延在するベタパターン(第2導体パターン)12Spが形成される。第2導体パターン12Spには、第1樹脂絶縁層11Fの形成前に、貫通孔12Shが形成される。貫通孔12Shは、例えば、第2導体層12Sの形成時における、パターンめっき及びエッチングを用いて、セミアディティブ法により形成され得る。貫通孔12Shはレーザー光の照射によって形成されてもよい。その場合、貫通部12Shの形成に用いられるレーザー光としては、銅などの金属で形成される第2導体パターン12Spを貫通し、その一方で、主にエポキシ樹脂などで形成されている樹脂絶縁層11を損傷しないものが望ましい。貫通部12Shの形成に用いられるレーザー光は、例えば、500nm以上、560nm以下程度の波長を有し得る。この範囲の波長のレーザー光はエポキシ樹脂などに吸収され難いので、樹脂絶縁層11を損傷させずに貫通孔12Shを形成することができると考えられる。
【0040】
次いで、第2導体層12S上に第1樹脂絶縁層11Fが積層される。さらに、第1樹脂絶縁層11Fの上面(コア基板3と反対側の面)に、部品実装パッド120を有する導体層12(第1導体層12F)が形成され、同時に第1樹脂絶縁層11Fを貫通して部品実装パッド120と第2導体パターン12Spを接続するビア導体14vが形成される。第2面3S側では階数が3の導体層12上にさらに樹脂絶縁層11が積層され、その上にさらに階数が4の導体層12が形成される。
【0041】
第1導体層12Fは、第1樹脂絶縁層11Fの、コア基板3と反対側の表面に沿って所定の領域に亘って連続的に拡がる部品実装パッド120を含むように形成される。すなわち、第1導体層12Fを形成するパターンめっきの際に、部品実装パッド120が形成されるべき領域に対応する領域に開口を有するめっきレジストが用いられる。部品実装パッド120は、電子部品ECが載置されるべき部品搭載領域Aを含む領域に形成される。部品実装パッド120の形成と同時に、貫通孔12Shの近傍に第2導体パターン12Spと部品実装パッド120を接続するビア導体14vが形成される。第1導体層12Fが有するべき部品実装パッド120はビア導体14vと共通の金属膜及びめっき膜により一体的に形成され、第2導体パッド12Spと部品実装パッド120は接続された状態となる。
【0042】
次いで、
図4Cに示されるように、第1樹脂絶縁層11F及び第1導体層12Fの上に2層の樹脂絶縁層11が形成され、その2層の樹脂絶縁層11に挟まれる導体層12が形成される。コア基板3の第2面3S側でも同様に、
図4Bの状態から、さらに2層の樹脂絶縁層11と、その2層の樹脂絶縁層11に挟まれる導体層12が形成される。
【0043】
続いて、
図4Dに示されるように、
図4Cにおいて、第1面3F側に積層される2層の絶縁層11を貫通して第1導体層12Fの一部、具体的には部品実装パッド120、を露出させる部品収容部(凹部)CC、が形成される。
図4Dには、凹部CC及びその周辺部分だけが拡大して示されている。凹部CCは、例えば樹脂絶縁層11の露出面の外側から、レーザー光Bをピッチ送りしながら照射することによって形成される。レーザー光Bとしては、炭酸ガスレーザー光が例示される。第1導体層12Fが含む部品実装パッド120は、平面視で凹部CCの底面全体を含む領域全体に形成されている。従って、部品実装パッド120は凹部CCの形成時のレーザー光Bのストッパとして機能し得る。
【0044】
凹部CCを形成する方法は、レーザー光Bの照射に限定されず、例えば、ドリル加工によって凹部CCが形成されてもよい。また、凹部CCの底面となるべき部品実装パッド120への剥離膜(図示せず)の配置、及びこの剥離膜上に積層された樹脂絶縁層11並びに導体層12の除去などによって凹部CCが形成されてもよい。凹部CCの形成後、好ましくは、凹部CC内に残存する樹脂残渣(スミア)が、プラズマ処理、又は過マンガン酸塩などを含む薬液を用いた処理によって除去(デスミア処理)される。
【0045】
続いて、必要に応じて、凹部CCに露出する部品実装パッド120の表面がマイクロエッチング処理によって粗化される。この粗化処理によって、部品実装パッド120と、部品実装パッド120上に供給される接着剤ADとの密着強度が向上し得る。
【0046】
次いで、
図4Eに示されるように、部品収容部CC内に露出する部品実装パッド120内の部品搭載領域Aに電子部品ECが載置される。例えば、はんだ若しくは銅などの金属ペレット、又は、導電性若しくは絶縁性のペーストが、マウンタやディスペンサを用いて接着剤ADとして部品実装パッド120上に供給され、さらに、電子部品ECがダイボンダなどによって載置される。電子部品ECは、前述したように、例えば、半導体装置などの能動部品、抵抗体のような受動部品、又は、微細配線を含む配線材などである。電子部品EC及び接着剤ADは、例えば、部品実装パッド120上で加熱及び加圧され、それによって接着剤ADが硬化し、電子部品ECが部品実装パッド120に接合される。また、電子部品ECの実装後、電子部品ECと電子部品ECを覆う樹脂絶縁層11eとの密着性を高めるべく、電子部品ECの表面が、マイクロエッチング処理によって粗化されてもよい。
【0047】
電子部品EC上には、電子部品ECを覆う樹脂絶縁層(封止樹脂絶縁層)11eが形成され、樹脂絶縁層11eの材料で凹部(部品収容部)CCが充填される。封止樹脂絶縁層11eの形成時に積層される、例えばフィルム状のエポキシ樹脂などが、加熱及び加圧によって部品収容部CC内に流入する。そして、部品収容部CC内が、封止樹脂絶縁層11eを構成する材料、例えばエポキシ樹脂で充填される。その結果、凹部CC内に電子部品ECが封止される。コア基板3の第2面3S側の最外の樹脂絶縁層11上にも樹脂絶縁層11が形成される。
【0048】
続いて、
図4Fに示されるように、封止樹脂絶縁層11eにビア導体14、14eが形成されると同時に、封止樹脂絶縁層11e上に最外の導体層となる導体層12が形成される。コア基板3の第2面3S側の最外の樹脂絶縁層11上にも、同様に、導体層12が形成されると同時に樹脂絶縁層11を貫通するビア導体14が形成される。コア基板3の第1面3F側の最外の導体層12には、外部回路との接続に用いられ得る接続パッド12p、12peが設けられる。接続パッド12peは、電子部品EC上の封止樹脂絶縁層11eを貫通するビア導体14eによって、電子部品ECの電極Eと接続される。コア基板3の第2面3S側の最外の導体層12にも接続パッド12pが設けられる。コア基板3の第1面3F側への第1ビルドアップ部1の形成、及び、コア基板3の第2面3S側への第2ビルドアップ部2の形成が完了する。
【0049】
封止樹脂絶縁層11e上に設けられる導体層12、及び、封止樹脂絶縁層11eを貫通するビア導体14、14eは、前述した、導体層12及びビア導体14の形成方法と同様の方法及び同様の材料を用いて形成され得る。ビア導体14eの形成に関して、電子部品ECの電極Eに向かって、樹脂絶縁層11eの表面から例えば紫外線(UV)レーザー光を照射することによって電極Eを露出させる貫通孔が形成される。その貫通孔内に、導体層12の形成と共にめっき膜を充填することによって、導体層12と、導体層12が有する接続パッド12peと電極Eとを接続するビア導体14eが形成される。
【0050】
その後、第1ビルドアップ部1及び第2ビルドアップ部2の最外の導体層12及び導体層12の導体パターンから露出する樹脂絶縁層11上に被覆層13(
図1参照)が形成される。被覆層13には接続パッド12p、12peを露出させる開口が設けられる。被覆層13及び被覆層13の開口は、感光性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを含む樹脂層の形成と、適切な開口パターンを有するマスクを用いた露光及び現像とによって形成される。
【0051】
被覆層13の開口に露出する接続パッド12p、12pe上には、無電解めっき、半田レベラ、又はスプレーコーティングなどによって、Au、Ni/Au、Ni/Pd/Au、はんだ、又は耐熱性プリフラックスなどからなる表面保護膜(図示せず)が形成されてもよい。以上の工程によって
図1に示される部品内蔵配線基板100が完成する。
【0052】
上述の、部品内蔵配線基板100の製造における加熱を伴う工程(例えば、樹脂絶縁層11となるフィルム状の樹脂の加熱、及び、接着剤ADの加熱、等)においては、特に樹脂絶縁層11が吸着している水分が揮発し、導体層12と樹脂絶縁層11との界面付近に滞留することがある。しかしながら、部品内蔵配線基板100の製造においては、樹脂絶縁層11の平面方向に拡がるベタパターンである第2導体パターン12Spに貫通孔12Shが形成される。従って、製造過程において第2導体パターン12Sp下での局所的な水分の滞留が発生し難い。部品内蔵配線基板100はその製造過程における第2導体パターン12Spの樹脂絶縁層11からの浮きや剥がれの発生が抑制されている。また、特に、部品収容部CC内への電子部品ECの搭載、すなわち、部品実装パッド120へ電子部品ECを載置する工程において、部品実装パッド120にかかり得る応力は、ビア導体14vを介した部品実装パッド120と第2導体パターン12Spとの接続構造により不良を発生させ難い。応力が部品実装パッド120に集中することなく効果的に分散され、製造工程における部品実装パッド120と第1樹脂絶縁層11Fとの間での剥離などの不良の発生は抑制されている。
【0053】
実施形態の部品内蔵配線基板は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。部品内蔵配線基板は、任意の層数の樹脂絶縁層及び導体層を含む第1及び第2ビルドアップ部を有し得る。実施形態の部品内蔵配線基板は、第1ビルドアップ部1における任意の階数の導体層12に部品実装パッド120を有し得る。コア基板3の両側に形成される第1ビルドアップ部1と第2ビルドアップ部2は非対称の層構造とされ、それぞれ異なる層数の樹脂絶縁層11及び導体層12を有してよい。部品内蔵配線基板に内蔵される電子部品ECを部品収容部CCに封止する樹脂絶縁層11e及び樹脂絶縁層11e上の導体層12の上側に、さらに樹脂絶縁層11及び導体層12が交互に積層されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 第1ビルドアップ部
2 第2ビルドアップ部
3 コア基板
11、31 樹脂絶縁層
11F 第1樹脂絶縁層
11e 封止樹脂絶縁層
12、32 導体層
12F 第1導体層
12S 第2導体層
12Sp 第2導体パターン
12Tp 第3導体パターン
12Sh、12Th 貫通孔
12p、12pe 接続パッド
13 被覆層
14、14v、14e ビア導体
100 部品内蔵配線基板
120 部品実装パッド
AD 接着剤
EC 電子部品
CC 部品収容部(凹部)