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  • 特開-光反射基板の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047123
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】光反射基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/28 20060101AFI20220316BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20220316BHJP
【FI】
H05K3/28 F
H01L33/60
H05K3/28 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020152864
(22)【出願日】2020-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋介
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 真俊
【テーマコード(参考)】
5E314
5F142
【Fターム(参考)】
5E314AA25
5E314AA32
5E314AA42
5E314AA45
5E314BB02
5E314CC15
5E314FF01
5E314FF17
5E314FF19
5E314GG18
5E314GG26
5F142AA04
5F142AA58
5F142BA32
5F142CD02
5F142CD13
5F142CD17
5F142CD25
5F142CD44
5F142CE04
5F142CE06
5F142CE08
5F142CE16
5F142CE18
5F142CE32
5F142DB42
5F142FA03
5F142FA21
5F142GA11
5F142GA21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】良好な下地密着性を呈する光反射基板の製造方法を提供する。
【解決手段】光反射基板1の製造方法であって、表面の少なくとも一部に導体層を備える基板2に、支持体と該支持体上に設けられた白色無機顔料を含有する樹脂組成物層とを含む樹脂シート(反射シート)3を、該樹脂組成物層が基板の導体層と接合するように、積層する工程ろ、以下の(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たす条件にて樹脂組成物層を熱硬化する工程と、この順で含む。(i)温度Tにて保持する加熱処理の後、温度Tより高い温度Tにて保持する加熱処理に付す。(ii)昇温速度0.5~30℃/分にて温度Tまで昇温した後、温度Tにて保持する加熱処理に付す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程(A)及び(B)をこの順序で含む、光反射基板の製造方法。
(A)表面の少なくとも一部に導体層を備える基板(以下、「下地基板」という。)に、支持体と該支持体上に設けられた白色無機顔料を含有する樹脂組成物層とを含む樹脂シートを、該樹脂組成物層が下地基板の導体層と接合するように、積層する工程
(B)以下の(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たす条件にて樹脂組成物層を熱硬化する工程
(i)温度Tにて保持する加熱処理の後、温度Tより高い温度Tにて保持する加熱処理に付す
(ii)昇温速度0.5~30℃/分にて温度Tまで昇温した後、温度Tにて保持する加熱処理に付す
【請求項2】
工程(A)と工程(B)の間に、支持体を剥離する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
樹脂組成物層が熱硬化性樹脂をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、白色無機顔料の含有量が20~60質量%である、請求項1~3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、エポキシ樹脂の含有量が1~50質量%である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
白色無機顔料が、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、及び炭酸カルシウムから選ばれる1種以上である、請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
光反射基板が、波長460nmの光に対し85%以上の反射率を示す、請求項1~7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
光反射基板における樹脂組成物層の硬化体と下地基板の導体層との密着強度が、0.3kgf/cm以上である、請求項1~8の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光反射基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板においては、携帯端末、コンピューター、テレビ等の液晶ディスプレイのバックライト;照明器具の光源など、低電力で発光する発光ダイオード(LED)を直接実装して用いられる用途が増えてきている。LEDは、近年、小型化が進行し、ミニLEDやマイクロLEDと称されるLEDがある。
【0003】
このようなプリント配線板の最外層には、光源から発せられる光の取り出し効率を高めるため、光を反射させるための反射シートが形成されている。また、斯かる反射シートが設けられたプリント配線板を「光反射基板」ともいう。
【0004】
このような光反射基板の反射シートの材料として、例えば、特許文献1には、バインダーポリマー、白色無機顔料を含有する架橋ポリマー粒子を含有する樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5797279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本発明者らが検討したところ、白色無機顔料を含有する樹脂組成物を熱硬化して硬化体(反射シート)を形成すると、得られる光反射基板において、硬化体と下地基板の導体層との密着性(以下、単に「下地密着性」ともいう。)が劣る場合があることを見出した。
【0007】
本発明は、良好な下地密着性を呈する光反射基板の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、白色無機顔料を含有する樹脂組成物を下地基板に積層した後、特定の条件にて樹脂組成物を熱硬化させることにより、良好な下地密着性を呈する光反射基板を製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] 下記工程(A)及び(B)をこの順序で含む、光反射基板の製造方法。
(A)表面の少なくとも一部に導体層を備える基板(以下、「下地基板」という。)に、支持体と該支持体上に設けられた白色無機顔料を含有する樹脂組成物層とを含む樹脂シートを、該樹脂組成物層が下地基板の導体層と接合するように、積層する工程
(B)以下の(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たす条件にて樹脂組成物層を熱硬化する工程
(i)温度Tにて保持する加熱処理の後、温度Tより高い温度Tにて保持する加熱処理に付す
(ii)昇温速度0.5~30℃/分にて温度Tまで昇温した後、温度Tにて保持する加熱処理に付す
[2] 工程(A)と工程(B)の間に、支持体を剥離する、[1]に記載の方法。
[3] 樹脂組成物層が熱硬化性樹脂をさらに含む、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、白色無機顔料の含有量が20~60質量%である、[1]~[3]の何れかに記載の方法。
[5] 熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む、[3]又は[4]に記載の方法。
[6] 樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、エポキシ樹脂の含有量が1~50質量%である、[5]に記載の方法。
[7] 白色無機顔料が、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、及び炭酸カルシウムから選ばれる1種以上である、[1]~[6]の何れかに記載の方法。
[8] 光反射基板が、波長460nmの光に対し85%以上の反射率を示す、[1]~[7]の何れかに記載の方法。
[9] 光反射基板における樹脂組成物層の硬化体と下地基板の導体層との密着強度が、0.3kgf/cm以上である、[1]~[8]の何れかに記載の方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、良好な下地密着性を呈する光反射基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、光反射基板の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の光反射基板の製造方法(以下、単に「本発明の方法」ともいう。)について詳細に説明する前に、本発明の方法において使用する樹脂シートについて説明する。
【0013】
<樹脂シート>
本発明の方法において用いられる樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた、白色無機顔料を含有する樹脂組成物層とを含む。
【0014】
(樹脂組成物層)
樹脂組成層は、白色無機顔料を含有する。これにより、該樹脂組成物層を硬化させてなる硬化体は光反射特性を呈することができる。本発明において、「白色無機顔料」とは、一実施形態において、波長500nmの光に対する反射率が90%以上である無機化合物、無機充填材のことをいう。
【0015】
-白色無機顔料-
白色無機顔料の材料の例としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化スズ、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム等の白色金属酸化物;硫化亜鉛、硫化ストロンチウム等の白色金属硫化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の白色金属水酸化物;窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン等の白色金属窒化物;炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸鉛等の白色金属炭酸塩;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛等の白色金属硫酸塩;リン酸亜鉛、リン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム等の白色金属リン酸塩;ホウ酸アルミニウム等の白色金属ホウ酸塩;コーディエライト、タルク、クレー、雲母、ハイドロタルサイト、ベーマイト等の白色鉱物類等が挙げられる。
【0016】
これらの中でも、白色無機顔料は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、及び炭酸カルシウムから選ばれることが好ましく、酸化チタンが特に好適である。酸化チタンとしては、ルチル型、アナタース型、及びブルカイト型のいずれを用いてもよいが、反射率をより向上させる観点から、ルチル型が好ましい。酸化チタンは、硫酸法、塩素法などの方法により得られたものを用いることができる。白色無機顔料の材料は、1種類単独であってもよく、2種類以上の混合物であってもよい。白色無機顔料の形状は、例えば、不定形状、破砕状、鱗片状又は球状の何れであってもよい。
【0017】
白色無機顔料の市販品としては、例えば、堺化学工業社製の「PX3788」;石原産業社製のタイペーク「CR-50」、「CR-57」、「CR-80」、「CR-90」、「CR-93」、「CR-95」、「CR-97」、「CR-60」、「CR-63」、「CR-67」、「CR-58」、「CR-85」、「UT771」;デュポン社製のタイピュア「R-100」、「R-101」、「R-102」、「R-103」、「R-104」、「R-105」、「R-108」、「R-900」、「R-902」、「R-960」、「R-706」、「R-931」;日本軽金属社製「AHP300」;昭和電工社製アルナビーズ「CB-P05」、「CB-A30S」などが挙げられる。
【0018】
白色無機顔料の比表面積としては、好ましくは0.5m/g以上、より好ましくは1m/g以上、特に好ましくは2m/g以上である。上限に特段の制限は無いが、好ましくは80m/g以下、70m/g以下又は60m/g以下である。比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
【0019】
白色無機顔料の平均粒径は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2μm以下又は1μm以下である。
【0020】
白色無機顔料の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、白色無機顔料の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、白色無機顔料100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で白色無機顔料の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出できる。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
【0021】
白色無機顔料は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。表面処理剤としては、例えば、ビニル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、スチリル系シランカップリング剤、(メタ)アクリル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、イソシアヌレート系シランカップリング剤、ウレイド系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、イソシアネート系シランカップリング剤、酸無水物系シランカップリング剤、アルキルシランカップリング剤、フェニルシランカップリング剤等のシランカップリング剤が挙げられる。特定の硬化条件を採用する本発明の方法において、より高い反射率を呈すると共に、下地密着性によりいっそう優れる光反射基板を実現し易い観点から、表面処理剤は、窒素原子を含まない(窒素原子不含の)表面処理剤であることが好ましく、より好ましくは、窒素原子を含まない(窒素原子不含の)シランカップリング剤であることが好ましい。窒素原子を含まない(窒素原子不含の)シランカップリング剤としては、フェニルシランカップリング剤、アルキルシランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、(メタ)アクリル系シランカップリング剤及びスチリル系シランカップリング剤から選ばれるシランカップリング剤が挙げられる。
【0022】
フェニルシランカップリング剤としては、例えば、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。アルキルシランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン等が挙げられる。エポキシ系シランカップリング剤としては、例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0023】
ビニル系シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。(メタ)アクリル系シランカップリング剤としては、例えば、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。スチリル系シランカップリング剤としては、例えば、p-スチリルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0024】
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製の「KBM-103」、「KBE-103」(フェニルシランカップリング剤);「KBM-13」、「KBM-22」、「KBE-13」、「KBE-22」、「KBM-3033」、「KBE-3033」、「KBM-3063」、「KBE-3063」、「KBE-3083」、「KBM-3103C」、「KBM-3066」、「KBM-7103」(アルキルシランカップリング剤);「KBM-1003」、「KBE-1003」(ビニル系シランカップリング剤);「KBM-303」、「KBM-402」、「KBM-403」、「KBE-402」、「KBE-403」(エポキシ系シランカップリング剤);「KBM-1403」(スチリル系シランカップリング剤);「KBM-502」、「KBM-503」、「KBE-502」、「KBE-503」、「KBM-5103」((メタ)アクリル系シランカップリング剤)等が挙げられる。
【0025】
表面処理剤による表面処理の程度は、白色無機顔料の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、白色無機顔料100質量部は、0.2質量部~5質量部の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量部~3質量部で表面処理されていることが好ましく、0.3質量部~2質量部で表面処理されていることが好ましい。
【0026】
表面処理剤による表面処理の程度は、白色無機顔料の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。白色無機顔料の単位表面積当たりのカーボン量は、白色無機顔料の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上が更に好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度及びシート形態での溶融粘度の上昇を抑制する観点から、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。
【0027】
白色無機顔料の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の白色無機顔料を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された白色無機顔料に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて白色無機顔料の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
【0028】
高い光反射率を呈する光反射基板を実現する観点から、樹脂組成物層中の白色無機顔料の含有量は、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは20質量%以上、より好ましくは22質量%以上、さらに好ましくは24質量%以上又は25質量%以上である。
【0029】
従来技術において、白色無機顔料の含有量が高い樹脂組成物層を用いると、得られる光反射基板は下地密着性に劣る傾向にあるが、特定の硬化条件を採用する本発明の方法によれば、下地密着性を低下させることなく、白色無機顔料の含有量を更に高めることができる。例えば、樹脂組成物層中の白色無機顔料の含有量は、26質量%以上、28質量%以上、30質量%以上、32質量%以上、34質量%以上、36質量%以上、38質量%以上又は40質量%以上にまで高めてよい。
【0030】
樹脂組成物層中の白色無機顔料の含有量の上限は、良好な下地密着性を実現する観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下又は55質量%以下である。
【0031】
好適な一実施形態において、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、白色無機顔料の含有量は20~60質量%である。
【0032】
-他の無機充填材-
樹脂組成物層は、少なくとも白色無機顔料を含む限りにおいて、他の無機充填材を含有してもよい。斯かる他の無機充填材としては、白色無機顔料とは異なる無機充填材である限り特に限定されず、例えば、波長500nmの光に対する反射率が90%未満である無機充填材を用いてよい。
【0033】
中でも、特定の硬化条件を採用する本発明の方法において、より高い反射率を呈すると共に、下地密着性によりいっそう優れる光反射基板を実現し易い観点から、他の無機充填材としては、シリカが好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては、球状シリカが好ましい。シリカの比表面積及び平均粒径は、白色無機顔料と同様である。シリカは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
シリカの市販品としては、例えば、デンカ社製の「UFP-30」;日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;アドマテックス社製の「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;などが挙げられる。
【0035】
シリカ等の他の無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、白色無機顔料における表面処理剤と同様のものが挙げられる。他の無機充填材の表面処理剤による表面処理の程度は、白色無機顔料と同様である。
【0036】
樹脂組成物層中の他の無機充填材の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、特に好ましくは15質量%以上である。他の無機充填材の含有量の上限は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、特に好ましくは35質量%以下である。
【0037】
白色無機顔料と他の無機充填材の合計の含有量、すなわち、無機充填材成分の合計の含有量は、高い光反射率を呈すると共に良好な下地密着性を呈する光反射基板を実現する観点から、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、特に好ましくは50質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下、特に好ましくは70質量%以下である。
【0038】
白色無機顔料に対するシリカ等の他の無機充填材の質量比(他の無機充填材の質量/白色無機顔料の質量)は、高い光反射率を呈すると共に良好な下地密着性を呈する光反射基板を実現する観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.5以上、特に好ましくは0.8以上であり、好ましくは4以下、より好ましくは4以下、さらに好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下である。
【0039】
樹脂組成物層は、樹脂として、熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂としては、プリント配線板の絶縁層を形成する際に使用される従来公知の熱硬化性樹脂を用いることができ、中でも、特定の硬化条件を採用する本発明の方法において、より高い反射率を呈すると共に、下地密着性によりいっそう優れる光反射基板を実現し易い観点から、エポキシ樹脂が好ましい。したがって、一実施形態において樹脂組成物は熱硬化性樹脂を含み、好適な一実施形態において熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂を含む。
【0040】
-エポキシ樹脂-
エポキシ樹脂とは、エポキシ基を有する硬化性樹脂を意味する。エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、イソシアヌラート型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂、フェノールフタレイン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0042】
樹脂組成物層は、エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
【0043】
エポキシ樹脂には、温度25℃で固体状のエポキシ樹脂(以下、「固体状エポキシ樹脂」ともいう。)と、温度25℃で液状のエポキシ樹脂(以下、「液状エポキシ樹脂」ともいう。)とがある。本発明の方法に用いられる樹脂シートにおいて、樹脂組成物層は、エポキシ樹脂として、固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは固体状エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂とを組み合わせて含んでいてもよい。
【0044】
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
【0045】
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂、フェノールフタレイン型エポキシ樹脂が好ましい。
【0046】
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「HP-7200L」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3000FH」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」(ナフタレン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトール型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN375」(ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YX4000HK」、「YL7890」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX7700」(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YX7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「WHR991S」(フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
【0048】
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。
【0049】
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「828EL」、「jER828EL」、「825」、(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」、「604」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「ED-523T」(グリシロール型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-3950L」、「EP-3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-4088S」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」、日本曹達社製の「JP-100」、「JP-200」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)、三菱ケミカル社製の「YX8000」(水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、信越化学社製「KF-101」(エポキシ変性シリコーン樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
エポキシ樹脂は、固体状エポキシ樹脂、液状エポキシ樹脂、又はそれらの組み合わせの何れであってもよいが、特定の硬化条件を採用する本発明の方法において、より高い反射率を呈すると共に、下地密着性によりいっそう優れる光反射基板を実現し易い観点から、固体状エポキシ樹脂を含むことが好ましく、固体状エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂との組み合わせであることが特に好ましい。
【0051】
エポキシ樹脂として、固体状エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの質量比(固体状エポキシ樹脂:液状エポキシ樹脂)は、好ましくは20:1~1:20、より好ましくは10:1~1:10、特に好ましくは3:1~1:3である。
【0052】
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5,000g/eq.、より好ましくは60g/eq.~1,000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~500g/eq.、さらにより好ましくは100g/eq.~300g/eq.である。エポキシ当量は、エポキシ基1当量あたりの樹脂の質量である。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
【0053】
エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100~5,000、より好ましくは250~3,000、さらに好ましくは400~1,500である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
【0054】
エポキシ樹脂の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、さらにより好ましくは10質量%以上又は15質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。したがって、好適な一実施形態において、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、エポキシ樹脂の含有量は1~50質量%である。
【0055】
本発明の方法において用いられる樹脂シートにおいて、樹脂組成物層は、さらに他の成分を含有してもよい。斯かる他の成分としては、例えば、硬化剤、熱可塑性樹脂、硬化促進剤、及びその他の添加剤等が挙げられる。以下、各成分について詳細に説明する。
【0056】
-硬化剤-
樹脂組成物層は、硬化剤を含有してよい。硬化剤は、エポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させる機能を有する。硬化剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェノール系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、チオール系硬化剤等が挙げられる。特定の硬化条件を採用する本発明の方法において、より高い反射率を呈すると共に、下地密着性によりいっそう優れる光反射基板を実現し易い観点から、硬化剤は、フェノール系硬化剤を含むことが好ましい。
【0058】
フェノール系硬化剤は、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する硬化剤であり、例えば、ビスフェノール系硬化剤、ビフェニル型フェノール系硬化剤、ナフタレン型フェノール系硬化剤、フェノールノボラック型フェノール系硬化剤、ナフチレンエーテル型フェノール系硬化剤、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤、ポリフェニレンエーテル型フェノール系硬化剤、フェノールアラルキル型フェノール系硬化剤、クレゾールノボラック型フェノール系硬化剤、ビスフェノール型フェノール系硬化剤等が挙げられる。より高い反射率を呈すると共に、下地密着性によりいっそう優れる光反射基板を実現し易い観点から、好ましくは、ビスフェノール系硬化剤であり、より好ましくは、フッ素原子を有するビスフェノール化合物、脂環構造を有するビスフェノール化合物、フルオレン骨格を有するビスフェノール化合物から選ばれるビスフェノール系硬化剤、さらに好ましくは、フッ素原子を有するビスフェノール化合物、特に好ましくは、ビスフェノールAFである。
【0059】
フェノール系硬化剤の市販品としては、具体的に、セントラル硝子社製の「BIS-AF」、「BIS-Z」、本州化学工業社製「BisE」、「BisP-TMC」;三井化学ファイン社製「BisA」、「BisF」、「BisP-M」;本州化学工業社製「BisP-AP」、「BisP-MIBK」、「BisP-B」、「Bis-Z」、「BisP-CP」、「o,o’-BPF」、「BisP-IOTD」、「BisP-IBTD」、「BisP-DED」、「BisP-BA」;本州化学工業社製「Bis-C」、「Bis26X-A」、「BisOPP-A」、「BisOTBP-A」、「BisOCHP―A」、「BisOFP-A」、「BisOC-Z」、「BisOC-FL」、「BisOFP-A」、「BisOC-CP」、「BisOCHP-Z」、「メチレンビスP-CR」、「TM-BPF」、「BisOC-F」、「Bis3M6B-IBTD」、「BisOC-IST」、「BisP-IST」、「BisP-PRM」、「BisP-LV」等が挙げられる。
【0060】
カルボジイミド系硬化剤は、1分子中に2個以上のカルボジイミド構造を有する硬化剤であり、例えば、テトラメチレン-ビス(t-ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサンビス(メチレン-t-ブチルカルボジイミド)等の脂肪族ビスカルボジイミド;フェニレン-ビス(キシリルカルボジイミド)等の芳香族ビスカルボジイミド等のビスカルボジイミド;ポリヘキサメチレンカルボジイミド、ポリトリメチルヘキサメチレンカルボジイミド、ポリシクロヘキシレンカルボジイミド、ポリ(メチレンビスシクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(イソホロンカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド;ポリ(フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(トリレンカルボジイミド)、ポリ(メチルジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(キシリレンカルボジイミド)、ポリ(テトラメチルキシリレンカルボジイミド)、ポリ(メチレンジフェニレンカルボジイミド)、ポリ[メチレンビス(メチルフェニレン)カルボジイミド]等の芳香族ポリカルボジイミド等のポリカルボジイミドが挙げられる。
【0061】
カルボジイミド系硬化剤の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製の「カルボジライトV-02B」、「カルボジライトV-03」、「カルボジライトV-04K」、「カルボジライトV-07」及び「カルボジライトV-09」;ラインケミー社製の「スタバクゾールP」、「スタバクゾールP400」、「ハイカジル510」等が挙げられる。
【0062】
酸無水物系硬化剤は、1分子中に1個以上のカルボン酸無水物基(-CO-O-CO-)を有する硬化剤であり、例えば、無水フタル酸、ピロメリット酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物等の芳香族酸無水物系硬化剤;テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族酸無水物系硬化剤;スチレン/無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸アルキル/スチレン/無水マレイン酸共重合体等の重合体無水物系硬化剤などが挙げられる。酸無水物系硬化剤の市販品としては、新日本理化社製の「HNA-100」、「MH-700」、「MTA-15」、「DDSA」、「OSA」、三菱ケミカル社製の「YH-306」、「YH-307」、日立化成社製の「HN-2200」、「HN-5500」等が挙げられる。
【0063】
アミン系硬化剤は、2個以上のアミノ基を有する硬化剤であり、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、本発明の所望の効果を奏する観点から、芳香族アミン類が好ましい。アミン系硬化剤は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン系硬化剤の具体例としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン系硬化剤は市販品を用いてもよく、例えば、セイカ社製「SEIKACURE-S」、日本化薬社製の「KAYABOND C-200S」、「KAYABOND C-100」、「カヤハードA-A」、「カヤハードA-B」、「カヤハードA-S」、三菱ケミカル社製の「エピキュアW」等が挙げられる。
【0064】
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、JFEケミカル社製の「JBZ-OP100D」、「ODA-BOZ」;昭和高分子社製の「HFB2006M」;四国化成工業社製の「P-d」、「F-a」などが挙げられる。
【0065】
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート))、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
【0066】
チオール系硬化剤は、2個以上のメルカプト基を有する硬化剤であり、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0067】
硬化剤の反応基当量は、好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、より好ましくは100g/eq.~1000g/eq.、さらに好ましくは100g/eq.~500g/eq.、特に好ましくは100g/eq.~300g/eq.である。反応基当量は、反応基1当量あたりの硬化剤の質量である。反応基は、例えば、フェノール系硬化剤であればフェノール性水酸基である。酸無水物系硬化剤の場合はカルボン酸無水物基(-CO-O-CO-)1当量で反応基2当量に相当する。
【0068】
硬化剤の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下であり、例えば0質量%以上、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、特に好ましくは3質量%以上である。
【0069】
-熱可塑性樹脂-
樹脂組成物層は、熱可塑性樹脂を含有してもよい。熱可塑性樹脂は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられ、中でも、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂及びポリフェニレンエーテル樹脂から選ばれる樹脂が好ましい。
【0071】
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「FX280」及び「FX293」、三菱ケミカル社製の「YX7200B35」、「YL7500BH30」、「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
【0072】
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、例えば、電気化学工業社製の「電化ブチラール4000-2」、「電化ブチラール5000-A」、「電化ブチラール6000-C」、「電化ブチラール6000-EP」、積水化学工業社製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX-5Z)、KSシリーズ(例えばKS-1)、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
【0073】
アクリル樹脂とは、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを含むモノマー成分を重合してなる重合体を意味する。アクリル樹脂を構成するモノマー成分には、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーに加えて、(メタ)アクリルアミド系モノマー、スチレン系モノマー、官能基含有モノマー等が共重合成分として含まれていてもよい。アクリル樹脂の具体例としては、東亜合成社製の「ARUFON UP-1000」、「ARUFON UP-1010」、「ARUFON UP-1020」、「ARUFON UP-1021」、「ARUFON UP-1061」、「ARUFON UP-1080」、「ARUFON UP-1110」、「ARUFON UP-1170」、「ARUFON UP-1190」、「ARUFON UP-1500」、「ARUFON UH-2000」、「ARUFON UH-2041」、「ARUFON UH-2190」、「ARUFON UHE-2012」、「ARUFON UC-3510」、「ARUFON UG-4010」、「ARUFON US-6100」、「ARUFON US-6170」などが挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0074】
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合樹脂;ポリプロピレン、エチレン-プロピレンブロック共重合体等のポリオレフィン系エラストマー等が挙げられる。
【0075】
ポリブタジエン樹脂としては、例えば、水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂、ヒドロキシ基含有ポリブタジエン樹脂、フェノール性水酸基含有ポリブタジエン樹脂、カルボキシ基含有ポリブタジエン樹脂、酸無水物基含有ポリブタジエン樹脂、エポキシ基含有ポリブタジエン樹脂、イソシアネート基含有ポリブタジエン樹脂、ウレタン基含有ポリブタジエン樹脂、ポリフェニレンエーテル-ポリブタジエン樹脂等が挙げられる。
【0076】
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化社製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006-37083号公報記載のポリイミド)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002-12667号公報及び特開2000-319386号公報等に記載のポリイミド)等の変性ポリイミドが挙げられる。
【0077】
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績社製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業社製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
【0078】
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「PES5003P」等が挙げられる。
【0079】
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
【0080】
ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例としては、三菱ガス化学社製のオリゴフェニレンエーテル・スチレン樹脂「OPE-2St1200」、「OPE-2St2200」、SABIC製「Noryl(登録商標)SA90」等が挙げられる。ポリエーテルイミド樹脂の具体例としては、GE社製の「ウルテム」等が挙げられる。
【0081】
ポリカーボネート樹脂としては、ヒドロキシ基含有カーボネート樹脂、フェノール性水酸基含有カーボネート樹脂、カルボキシ基含有カーボネート樹脂、酸無水物基含有カーボネート樹脂、イソシアネート基含有カーボネート樹脂、ウレタン基含有カーボネート樹脂等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂の具体例としては、三菱瓦斯化学社製の「FPC0220」、旭化成ケミカルズ社製の「T6002」、「T6001」(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の「C-1090」、「C-2090」、「C-3090」(ポリカーボネートジオール)等が挙げられる。ポリエーテルエーテルケトン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「スミプロイK」等が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
【0082】
熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは8,000以上、より好ましくは10,000以上、さらに好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは70,000以下、さらに好ましくは60,000以下である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
【0083】
熱可塑性樹脂は、厚さ20μmに製膜した場合の膜面に対して垂直方向から入射した波長450nmの光の透過率が80%以上となる熱可塑性樹脂であることが好ましい。
【0084】
熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、特に好ましくは25質量%以下であり、例えば、0質量%以上、0.1質量%以上であり、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。
【0085】
-硬化促進剤-
樹脂組成物層は、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤は、熱硬化性樹脂の硬化反応を促進させる機能を有する。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0086】
硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられる。中でも、硬化促進剤としては、より高い光反射率を達成する観点から、リン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤が好ましく、リン系硬化促進剤がより好ましい。
【0087】
リン系硬化促進剤としては、より高い光反射率を達成する観点から、ホスホニウム塩及びホスフィンからなる群より選ばれる1以上を含むことが好ましい。
【0088】
ホスホニウム塩としては、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムラウレート、ビス(テトラブチルホスホニウム)ピロメリテート、テトラブチルホスホニウムハイドロジェンヘキサヒドロフタレート、テトラブチルホスホニウム2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノラート、ジ-tert-ブチルメチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の脂肪族ホスホニウム塩;メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラp-トリルボレート、トリフェニルエチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(3-メチルフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(2-メトキシフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等の芳香族ホスホニウム塩等が挙げられる。
【0089】
ホスフィンとしては、例えば、トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(2-ブテニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル(3-メチル-2-ブテニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の脂肪族ホスフィン;ジブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)アセチレン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル等の芳香族ホスフィン;トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン等の芳香族ホスフィン・ボラン複合体;トリフェニルホスフィン・p-ベンゾキノン付加反応物等の芳香族ホスフィン・キノン付加反応物等が挙げられる。
【0090】
リン系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、北興化学工業社製の「TBP-DA」等が挙げられる。
【0091】
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールが好ましい。
【0092】
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱ケミカル社製の「P200-H50」、四国化成社製の「1B2PZ-10M」等が挙げられる。
【0093】
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられ、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセンが好ましい。
【0094】
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンが好ましい。
【0095】
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0096】
硬化促進剤の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.8質量%以下であり、例えば、0質量%以上、0.001質量%以上であり、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、特に好ましくは0.1質量%以上である。
【0097】
-その他の添加剤-
樹脂組成物層は、その他の添加剤をさらに含有してよい。その他の添加剤としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ラジカル重合性化合物等の光硬化性成分並びにその助剤としての希釈剤、光重合開始剤等;ゴム粒子等の有機充填材;シリコーン系レベリング剤、アクリルポリマー系レベリング剤等のレベリング剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤、フッ素系消泡剤、ビニル樹脂系消泡剤等の消泡剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;尿素シラン等の接着性向上剤;トリアゾール系密着性付与剤、テトラゾール系密着性付与剤、トリアジン系密着性付与剤等の密着性付与剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤;スチルベン誘導体等の蛍光増白剤;フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;リン系難燃剤(例えばリン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスフィン酸化合物、赤リン)、窒素系難燃剤(例えば硫酸メラミン)、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤(例えば三酸化アンチモン)等の難燃剤;リン酸エステル系分散剤、ポリオキシアルキレン系分散剤、アセチレン系分散剤、シリコーン系分散剤、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤等の分散剤;ボレート系安定剤、チタネート系安定剤、アルミネート系安定剤、ジルコネート系安定剤、イソシアネート系安定剤、カルボン酸系安定剤、カルボン酸無水物系安定剤等の安定剤等が挙げられる。その他の添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。その他の添加剤の含有量は当業者であれば適宜設定できる。
【0098】
樹脂組成物層の厚さは、光反射基板の薄型化の観点から、また、本発明の方法で製造される光反射基板は反射シート(樹脂組成物層の硬化体)が薄膜であっても光反射率に優れることから、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下又は100μm以下、さらに好ましくは80μm以下、60μm以下又は50μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、10μm以上、15μm以上、20μm以上等とし得る。
【0099】
特定の硬化条件を採用する本発明の方法において、より高い反射率を呈すると共に、下地密着性によりいっそう優れる光反射基板を実現し易い観点から、樹脂組成物層は、その最低溶融粘度が5000ポイズ以下であることが好ましく、より好ましくは2000ポイズ以下、さらに好ましくは1000ポイズ以下、特に好ましくは500ポイズ以下である。
【0100】
-支持体-
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
【0101】
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0102】
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
【0103】
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
【0104】
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「PET501010」、「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」;東レ社製の「ルミラーT60」;帝人社製の「ピューレックス」;ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
【0105】
支持体の厚さは、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
【0106】
支持体としてはまた、薄い金属箔に剥離が可能な支持基材を張り合わせた支持基材付き金属箔を用いてよい。一実施形態において、支持基材付き金属箔は、支持基材と、該支持基材上に設けられた剥離層と、該剥離層上に設けられた金属箔とを含む。支持体として支持基材付き金属箔を用いる場合、樹脂組成物層は、金属箔上に設けられる。
【0107】
支持基材付き金属箔において、支持基材の材質は、特に限定されないが、例えば、銅箔、アルミニウム箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、銅合金箔等が挙げられる。支持基材として、銅箔を用いる場合、電解銅箔、圧延銅箔であってよい。また、剥離層は、支持基材から金属箔を剥離できれば特に限定されず、例えば、Cr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、Pからなる群から選択される元素の合金層;有機被膜等が挙げられる。
【0108】
支持基材付き金属箔において、金属箔の材質としては、例えば、銅箔、銅合金箔が好ましい。
【0109】
支持基材付き金属箔において、支持基材の厚さは、特に限定されないが、10μm~150μmの範囲が好ましく、10μm~100μmの範囲がより好ましい。また、金属箔の厚さは、例えば、0.1μm~10μmの範囲としてよい。
【0110】
一実施形態において、樹脂シートは、さらに必要に応じて、その他の層を含んでいてもよい。斯かるその他の層としては、例えば、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、支持体に準じた保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。
【0111】
樹脂シートは、例えば、液状の樹脂組成物をそのまま、或いは有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、これを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
【0112】
有機溶剤としては、公知のものを適宜用いることができ、その種類は特に限定されるものではない。有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶剤;テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル等のエーテル系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;酢酸2-エトキシエチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルジグリコールアセテート、γ-ブチロラクトン、メトキシプロピオン酸メチル等のエーテルエステル系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステルアルコール系溶剤;2-メトキシプロパノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等のエーテルアルコール系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶剤;ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤等を挙げることができる。有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0113】
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂組成物(樹脂ワニス)中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂組成物(樹脂ワニス)を用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
【0114】
樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
【0115】
以下、本発明の光反射基板の製造方法(以下、単に「本発明の方法」ともいう。)をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施され得る。
【0116】
[光反射基板の製造方法]
本発明の光反射基板の製造方法は、下記工程(A)及び(B)をこの順序で含むことを特徴とする。
(A)表面の少なくとも一部に導体層を備える基板に、支持体と該支持体上に設けられた白色無機顔料を含有する樹脂組成物層とを含む樹脂シートを、該樹脂組成物層が基板の導体層と接合するように、積層する工程
(B)以下の(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たす条件にて樹脂組成物層を熱硬化する工程
(i)温度Tにて保持する加熱処理の後、温度Tより高い温度Tにて保持する加熱処理に付す
(ii)昇温速度0.5~30℃/分にて温度Tまで昇温した後、温度Tにて保持する加熱処理に付す
【0117】
なお本発明において、工程(A)及び(B)についていう「この順序で含む」とは、工程(A)及び(B)の各工程を含み且つ工程(A)及び(B)の各工程がこの順序で実施される限り、他の工程を含むことを妨げるものではない。
以下、工程又は処理についていう「この順序で含む」に関しても、同様とする。
【0118】
-工程(A)-
工程(A)において、表面の少なくとも一部に導体層を備える基板に、支持体と該支持体上に設けられた白色無機顔料を含有する樹脂組成物層とを含む樹脂シートを、該樹脂組成物層が基板の導体層と接合するように、積層する。
【0119】
樹脂シートの構成は先述のとおりである。
【0120】
工程(A)で用いる基板は、表面の少なくとも一部に導体層を備える限り特に限定されず、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板の片面又は両面に導体層が形成されたものが挙げられる。また、導体層はパターン加工されていてもよい。基板の片面または両面に導体層(回路)が形成された基板は「内層回路基板」ということがある。またプリント配線板(光反射基板)を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も本発明でいう「基板」に含まれる。光反射基板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した回路基板を使用してもよい。
【0121】
なお、本発明において、工程(A)で樹脂シートを積層する対象である、表面の少なくとも一部に導体層を備える基板を、単に「下地基板」ともいう。
【0122】
基板と樹脂シートの積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
【0123】
基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施する。
【0124】
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
【0125】
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
【0126】
支持体は、工程(A)と工程(B)の間に剥離(除去)してもよく、工程(B)の後に剥離してもよい。特定の硬化条件を採用する本発明の方法において、より高い反射率を呈すると共に、下地密着性によりいっそう優れる光反射基板を実現し易い観点から、工程(A)と工程(B)の間に支持体を剥離することが好ましい。したがって好適な一実施形態において、工程(A)と工程(B)の間に、支持体を剥離する。
【0127】
なお、樹脂組成物層を硬化させて形成される反射シート(硬化体)を層間絶縁層として用いる場合であって、支持体として、金属箔を使用した場合には、支持体を剥離することなく、該金属箔を用いて導体層を形成してよい。また、支持体として、支持基材付き金属箔を使用した場合、支持基材(と剥離層)を剥離すればよい。そして、金属箔を用いて導体層を形成することができる。
【0128】
-工程(B)-
工程(B)において、樹脂組成物層を熱硬化する。これにより、下地基板上に反射シート(硬化体)を形成することができる。
【0129】
下地密着性の良好な光反射基板を実現するにあたって、以下の(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たす条件にて樹脂組成物層を熱硬化することが重要である。
(i)温度Tにて保持する加熱処理の後、温度Tより高い温度Tにて保持する加熱処理に付す
(ii)昇温速度0.5~30℃/分にて温度Tまで昇温した後、温度Tにて保持する加熱処理に付す
【0130】
斯かる特定の硬化条件を採用する本発明の方法によれば、高い反射率を呈すると共に、下地密着性の良好な光反射基板を実現することができる。本発明の方法により製造される光反射基板について、樹脂組成物層から形成された硬化体の組成を調べたところ、下地基板と接してない側の表面には無機充填材成分リッチな相が存在するが、該表面から厚さ方向に向かって一定の距離位置において、無機充填材成分の割合が減少することを本発明者らは確認している。ここで、「厚さ方向」とは、硬化体の厚さ方向をいい、硬化体の主面に垂直な方向を表す。
【0131】
下地基板と接していない側の表面近傍の限られた領域に存在する無機充填材成分リッチな相によって、バルクの無機充填材濃度から期待されるよりも顕著に高い光反射率を実現すると共に、下地基板と接している主面近傍の領域に樹脂成分リッチな相が存在することとなり、下地基板に対して優れた密着性を呈することができるものと推察される。
【0132】
-熱硬化条件(i)-
(i)を満たす条件にて樹脂組成物層を熱硬化することを「ステップキュア」と称する場合があり、温度Tにて保持する加熱処理を「プレキュア」、温度Tより高い温度Tにて保持する加熱処理を「ポストキュア」という場合がある。
【0133】
熱硬化条件(i)について、温度Tは、樹脂組成物層の組成にもよるが、通常、50℃≦T<150℃とし得、好ましくは60℃≦T≦140℃、より好ましくは70℃≦T≦130℃、さらに好ましくは80℃≦T≦120℃、特に好ましくは80℃≦T≦110℃を満たす。
【0134】
温度Tにて保持する時間は、温度Tの値にもよるが、好ましくは10分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは20分間~120分間である。
【0135】
温度Tにて保持する加熱処理は、常圧下で実施しても減圧下で実施してもよいが、より高い反射率を呈すると共に、下地密着性によりいっそう優れる光反射基板を実現し易い観点から、好ましくは0.075mmHg~3751mmHg(0.1hPa~5000hPa)の範囲、より好ましくは1mmHg~1875mmHg(1.3hPa~2500hPa)の範囲の空気圧にて実施することが好ましい。
【0136】
温度Tは、樹脂組成物層の組成にもよるが、通常、150℃≦T≦250℃とし得、好ましくは155℃≦T≦230℃、より好ましくは160℃≦T≦220℃、さらに好ましくは170℃≦T≦210℃、特に好ましくは180℃≦T≦200℃を満たす。
【0137】
なお、温度Tと温度Tは、好ましくは20℃≦T-T≦150℃、より好ましくは30℃≦T-T≦140℃、さらに好ましくは40℃≦T-T≦130℃、特に好ましくは50℃≦T-T≦120℃の関係を満たす。
【0138】
温度Tにて保持する時間は、温度Tの値にもよるが、好ましくは10分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは20分間~120分間である。
【0139】
温度Tにて保持する加熱処理は、常圧下で実施しても減圧下で実施してもよい。好ましくは、温度Tにて保持する加熱処理と同様の空気圧にて実施することが好ましい。
【0140】
温度Tにおける加熱処理の後、樹脂組成物層を一旦冷まして、温度Tにおける加熱処理に付してもよい。あるいはまた、温度Tにおける加熱処理の後、樹脂組成物層を冷ますことなく、温度Tにおける加熱処理に付してもよい。温度Tにおける加熱処理と温度Tにおける加熱処理は、同一の加熱処理装置を用いて実施してもよく、温度Tにおける加熱処理を第1の加熱処理装置を用いて実施し、温度Tにおける加熱処理を第1の加熱処理装置とは異なる第2の加熱処理装置を用いて実施してもよい。加熱処理装置としては、下地基板上の樹脂組成物層を熱硬化させて硬化体を形成し得る限り特に限定されず、従来公知の装置を用いてよい。例えば、加熱処理装置としては、オーブン、ホットプレス等を用いてよい。例えば、温度Tに調節されたオーブンを用いて温度Tにおける加熱処理を実施した後、加熱対象物を、温度Tに調節されたオーブンに移して温度Tにおける加熱処理を実施してよい。あるいはまた、温度プログラムが可能な加熱処理装置を用いて、温度Tにおける加熱処理を実施した後、温度Tから温度Tへと昇温し、温度Tにおける加熱処理を実施してよい。この場合、温度Tから温度Tへの昇温速度は特に限定されず任意の値としてよく、後述する熱硬化条件(ii)における昇温速度と同じ範囲としてもよい。
【0141】
熱硬化条件(i)について、温度Tにて保持する加熱処理と、温度Tより高い温度Tにて保持する加熱処理とをこの順序で含む限りにおいて、さらに他の温度にて保持する加熱処理に付してもよい。すなわち、熱硬化条件(i)のステップキュアは、2ステップの加熱処理に限られず、3ステップ以上の加熱処理を含んでもよい。
【0142】
-熱硬化条件(ii)-
(ii)を満たす条件にて樹脂組成物層を熱硬化することを「(プログラム)昇温キュア」と称する場合がある。
【0143】
温度Tの値や温度Tにて保持する時間は、熱硬化条件(i)について説明したものと同じとしてよい。
【0144】
熱硬化条件(ii)について、温度Tに昇温する際の昇温速度は、高い反射率を呈すると共に、下地密着性の良好な光反射基板を実現する観点から、0.5~30℃/分の範囲にあり、好ましくは1℃/分以上、より好ましくは1.5℃/分以上、2℃/分以上又は2.5℃/分以上であり、好ましくは25℃/分以下、より好ましくは20℃/分以下、15℃/分以下、10℃/分以下、8℃/分以下又は6℃/分以下である。
【0145】
昇温速度は、昇温開始温度Tから温度Tに至るまで一定である必要はなく、上記好適範囲において変化させてよい。昇温開始温度Tは特に限定されず、本発明の方法を実施する際の環境温度(室温など)であってよい。
【0146】
昇温キュアは、常圧下で実施しても減圧下で実施してもよい。好ましくは、ステップキュアについて説明したものと同様の空気圧にて実施することが好ましい。
【0147】
また、昇温キュアに用いられる加熱処理装置としては、下地基板上の樹脂組成物層を所定の昇温速度にて昇温させることができ温度Tにて加熱し得る限り特に限定されず、従来公知の装置を用いてよい。例えば、加熱処理装置としては、オーブン、ホットプレス等を用いてよい。
【0148】
工程(B)により、下地基板上に樹脂組成物層の硬化体からなる反射シートが形成される。製造される光反射基板において、反射シートは、層間絶縁層又はソルダーレジストとして含まれてよい。反射シートが層間絶縁層として含まれる場合、本発明の方法はまた、反射シート上に導体層を形成する工程を含んでもよい。斯かる工程は、当業者に公知である、プリント配線板の製造に用いられている各種方法に従って行うことができる。
【0149】
本発明の方法はまた、(C)反射シート(樹脂組成物層の硬化体)に光源を配置する工程を含んでもよい。光源としては、発光ダイオード(LED)、ミニLED、マイクロLED等が挙げられる。
【0150】
図1に一例を示したように、光反射基板1は、基板2上に反射シート3が形成されており、反射シート3の面31上に発光ダイオード(LED)等の光源4が配置されている。なお、基板2は、上記の「下地基板」に該当し(図1において導体層は図示せず)、反射シート3の面31は、上記の「下地基板と接していない側の表面」に該当する。
【0151】
反射シートは、光源から発せられる光の取り出し効率を高めるため、反射シートの光源側の面は、図1のような平面状以外に凹部を有していてもよい。反射シートの面に凹部を有する場合は、凹部内に光源を配置することが好ましい。
【0152】
必要に応じて光源を電気的に接続した後、光源に封止処理等を行い、光源を固定してもよい。
【0153】
本発明の方法により製造した光反射基板は、その反射シート(樹脂組成物層の硬化体)の下地基板と接していない側の表面近傍の領域に無機充填材成分リッチな相を有するため高い光反射率を呈し、例えば、波長460nmの光に対し、好ましくは85%以上、より好ましくは86%以上又は88%以上、さらに好ましくは90%以上、92%以上、94%以上又は95%以上の反射率を呈する。斯かる光反射率の上限値は100%以下等とし得る。したがって好適な一実施形態において、光反射基板は、波長460nmの光に対し85%以上の反射率を示す。硬化体の光反射率は、例えば、マルチチャンネル分光器(大塚電子社製、MCPD-7700)を用いて測定することができる。
【0154】
本発明の方法により製造した光反射基板は、斯かる高い光反射率を、下地密着性の低下なしに達成し得る。例えば、本発明の方法により製造した光反射基板において、反射シート(樹脂組成物層の硬化体)は、下地基板の導体層に対し、好ましくは0.3kgf/cm以上、より好ましくは0.32kgf/cm以上、0.34kgf/cm以上、0.35kgf/cm以上、0.36kgf/cm以上、0.38kgf/cm以上又は0.4kgf/cm以上の密着強度を呈する。斯かる密着強度の上限値は、1kgf/cm以下、0.9kgf/cm以下等とし得る。したがって好適な一実施形態において、光反射基板における反射シートと下地基板の導体層との密着強度は0.3kgf/cm以上である。
【0155】
[半導体装置]
本発明の方法により製造した光反射基板を用いて半導体装置を製造することができる。半導体装置は、光反射基板の導通箇所に、部品(半導体チップ)を実装することにより製造することができる。例えば、携帯端末、コンピューター、テレビ等の液晶ディスプレイのバックライト;照明器具の光源など、低電力で発光する発光ダイオード(LED)を実装した半導体装置が挙げられる。
【実施例0156】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。特に温度の指定が無い場合の温度条件及び圧力条件は、室温(25℃)及び大気圧(1atm)である。
【0157】
<作製例1>樹脂シート1の作製
(1)樹脂組成物の調製
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「jER828EL」、エポキシ当量180g/eq.)5部、固体状フッ素原子含有エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7760」、エポキシ当量245g/eq.)5部、ビフェニル骨格及びシクロヘキサン骨格含有フェノキシ樹脂((三菱ケミカル社製「YX7200B35」、重量平均分子量30,000、20μm膜光透過率(450nm)88%、固形分35質量%のMEK溶液)20部を、MEK10部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、酸化チタン(堺化学工業社製「PX3788」、フェニルシランカップリング剤(信越化学工業社「KBM-103」)処理済み、平均粒径0.26μm、比表面積13.2m/g、波長500nmの光に対する反射率99%)10部、球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、メタクリル系シランカップリング剤(信越化学工業社「KBM-503」)処理済み、平均粒径0.5μm、波長500nmの光に対する反射率約80%)10部、ビスフェノールAF(セントラル硝子社製「BIS-AF」をMEKで不揮発成分50%に調整した溶液)4部、リン系硬化促進剤(北興化学工業社製「TBP-DA」)0.2部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂組成物(ワニス)を調製した。
【0158】
(2)樹脂シートの作製
支持体として、離型層付きPETフィルム(リンテック社製「PET501010」、厚さ38μm)を用意した。この支持体の離型層上に、上記(1)で調製した樹脂組成物を、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが50μmとなるように均一に塗布した。その後、樹脂組成物1を80℃で4分間加熱することで厚さが50μmの樹脂組成物層を含む樹脂シート1を得た。
【0159】
<作製例2>樹脂シート1-RCCの作製
支持体として、離型層付きPETフィルム(リンテック社製「PET501010」、厚さ38μm)に代えて、電解銅箔(三井金属鉱山社製「3EC-III」、厚さ35μm)を使用した以外は、作製例1と同様にして、樹脂シート1-RCCを作製した。なお、電解銅箔の光沢面上に、樹脂組成物を塗布した。
【0160】
<作製例3>樹脂シート2の作製
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「jER828EL」、エポキシ当量180g/eq.)5部と固体状フッ素原子含有エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7760」、エポキシ当量245g/eq.)5部に代えて、水添液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX8000」、エポキシ当量205g/eq.)5部とビフェニル型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000H」、エポキシ当量195g/eq.)5部をそれぞれ使用した以外は、作製例1と同様にして、樹脂シート2を作製した。
【0161】
<作製例4>樹脂シート3の作製
(1)酸化チタン(堺化学工業社製「PX3788」、フェニルシランカップリング剤処理済み)の配合量を10部から20部に変更した点、及び(2)球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、メタクリル系シランカップリング剤処理済み)を配合しなかった点以外は、作製例1と同様にして、樹脂シート3を作製した。
【0162】
<作製例5>樹脂シート4の作製
(1)樹脂組成物の調製
ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000H」、エポキシ当量約272g/eq.)3部、テトラキスヒドロキシフェニルエタン型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「jER1031S」、エポキシ当量約200g/eq.)2部、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(日本化薬社製「ZAR-2000」、酸価99mgKOH/g、不揮発成分70%)10部、希釈剤(日本化薬社製「DPHA」、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アクリル当量約96g/eq.)1部を、MEK6部とエチルジグリコールアセテート10部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、酸化チタン(堺化学工業社製「PX3788」、フェニルシランカップリング剤(信越化学工業社「KBM-103」)処理済み、平均粒径0.26μm、比表面積13.2m/g、波長500nmの光に対する反射率99%)8部、球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、メタクリル系シランカップリング剤(信越化学工業社「KBM-503」)処理済み、平均粒径0.5μm、波長500nmの光に対する反射率約80%)8部、光重合開始剤(BASF社製「Irgacure819」、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド)0.04部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂組成物を調製した。
【0163】
(2)樹脂シートの作製
上記(1)で調製した樹脂組成物を使用して、作製例1と同様にして、樹脂シート4を作製した。該樹脂シート4は、支持体と、該支持体上に設けられた感光性樹脂組成物層を含む。
【0164】
作製した各樹脂シートについて、樹脂組成物層の組成と支持体をまとめて表1に示す。
【0165】
【表1】
【0166】
<実施例1>
(A)基板Aの製造
(A1)回路基板の下地処理
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.8mm、松下電工社製「R5715ES」)の両面に、エッチングにより回路パターンを形成し、面内銅面積が30%の内層回路基板を作製した。得られた内層回路基板の銅回路を、マイクロエッチング剤(メック社製「CZ8100」)で粗化処理した後、190℃にて30分間乾燥させた。
【0167】
(A2)樹脂シートのラミネート
上記作製例で得た樹脂シート1を、バッチ式真空加圧ラミネーター(名機製作所社製「MVLP-500」)を用いて、樹脂組成物層が内層回路基板と接合するように、下地処理した内層回路基板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後120℃、30秒間、圧力0.74MPaで圧着させることにより行った。
【0168】
(A3)樹脂シートの平滑化
次いで、ラミネートされた樹脂シートを、大気圧下、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間、熱プレスして平滑化した。こうして、支持体/樹脂組成物層/内層回路基板/樹脂組成物層/支持体の層構成を有する支持体付き積層体を得た。
【0169】
(A4)樹脂組成物層の熱硬化
上記(A3)で得た支持体付き積層体から支持体を剥離し、樹脂組成物層/内層回路基板/樹脂組成物層の層構成を有する積層体を得た。そして、該積層体を、100℃のオーブンで30分間加熱(プレキュア)した後、180℃のオーブンで90分間加熱(ポストキュア)し、樹脂組成物層を熱硬化させた。これにより、硬化体/内層回路基板/硬化体の層構成を有する基板Aを得た。
【0170】
(B)基板Bの製造
(B1)銅箔の下地処理
電解銅箔(三井金属鉱山社製「3EC-III」、厚さ35μm)の光沢面をマイクロエッチング剤(メック社製メックエッチボンド「CZ-8101」)に浸漬して、銅表面の粗化処理(Ra値=1μm)を行い、防錆処理(CL8300)を施した。次いで、130℃のオーブンで30分間加熱処理した。得られた銅箔を、以下、CZ銅箔という。
【0171】
(B2)樹脂シートのラミネート
上記作製例で得た樹脂シート1を、CZ銅箔の片面にラミネートし、支持体/樹脂組成物層/CZ銅箔の層構成を有する銅箔付き樹脂シートを作製した。ラミネート条件は、上記(A2)におけるラミネート条件と同じであった。
【0172】
(B3)樹脂組成物層の熱硬化
上記(B2)で作製した銅箔付き樹脂シートから支持体を剥離し、樹脂組成物層/CZ銅箔の層構成を有する積層体を得た。そして、該積層体を、上記(A4)と同じ硬化条件にて加熱し、樹脂組成物層を熱硬化させた。これにより、硬化体/CZ銅箔の層構成を有する銅箔付き硬化体を得た。
【0173】
(B4)回路基板への固定
上記(B3)で得た銅箔付き硬化体を、硬化体が回路基板と接するように、下地処理した回路基板の両面に接着剤(アロンアルファEX)を用いて接着した。下地処理した回路基板は、上記(A1)で準備したものと同じであった。
次いで、上記(A2)と同じ条件にて、銅箔付き硬化体と回路基板とをラミネートした。これにより、CZ銅箔/硬化体/回路基板/硬化体/CZ銅箔の層構成を有する基板Bを得た。
【0174】
<実施例2>
樹脂組成物層の熱硬化に際して、支持体を剥離することなく、支持体が付いた状態で樹脂組成物層を熱硬化させ、その後、支持体を剥離した以外は、実施例1と同様にして、基板A及びBを得た。
【0175】
<実施例3>
(1)樹脂組成物層の熱硬化に際して、支持体を剥離することなく、支持体が付いた状態で樹脂組成物層を熱硬化させ、その後、支持体を剥離した点、(2)オーブンにて25℃より昇温速度2.6℃/分にて180℃まで昇温した後、180℃にて90分間加熱して樹脂組成物層を熱硬化させた点以外は、実施例1と同様にして、基板A及びBを得た。
【0176】
<実施例4>
(1)樹脂組成物層の熱硬化に際して、支持体を剥離することなく、支持体が付いた状態で樹脂組成物層を熱硬化させ、その後、支持体を剥離した点、(2)ホットプレスにて25℃より昇温速度2.6℃/分にて180℃まで昇温した後、180℃にて90分間加熱して樹脂組成物層を熱硬化させた点以外は、実施例1と同様にして、基板A及びBを得た。
【0177】
<実施例5>
(1)樹脂シート1に代えて樹脂シート1-RCCを使用した点、(2)樹脂組成物層の熱硬化に際して、支持体を剥離することなく、支持体が付いた状態で樹脂組成物層を熱硬化させ、その後、支持体を剥離した点以外は、実施例1と同様にして、基板A及びBを得た。
【0178】
<実施例6>
樹脂シート1に代えて樹脂シート2を使用した以外は、実施例1と同様にして、基板A及びBを得た。
【0179】
<実施例7>
樹脂シート1に代えて樹脂シート3を使用した以外は、実施例1と同様にして、基板A及びBを得た。
【0180】
<比較例1>
(1)樹脂組成物層の熱硬化に際して、支持体を剥離することなく、支持体が付いた状態で樹脂組成物層を熱硬化させ、その後、支持体を剥離した点、(2)180℃に加熱したオーブンに加熱対象物を入れ、180℃にて90分間加熱して樹脂組成物層を熱硬化させた点以外は、実施例1と同様にして、基板A及びBを得た。
【0181】
<比較例2>
(1)樹脂シート1に代えて樹脂シート4(感光性樹脂組成物層を含む樹脂シート)を使用した点、(2)下記手順にて樹脂組成物層を光硬化させた以外は、実施例1と同様にして、基板A及びBを得た。
(光硬化手順):感光性樹脂組成物層に、100mJ/cmの紫外線で露光を行い光硬化させた。その後、感光性樹脂組成物層の全面に、現像液として30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.2MPaにて2分間のスプレー現像を行った。スプレー現像後、1J/cmの紫外線照射を行い、さらに190℃、90分間加熱して感光性樹脂組成物層を硬化させた。
【0182】
以下、各種測定方法・評価方法について説明する。
【0183】
<光反射率の測定>
実施例及び比較例で製造した基板Aを幅50mm、長さ50mmに切り出し、マルチチャンネル分光器(大塚電子社製、MCPD-7700)にて、波長460nmの光に対する反射率(%)を測定し、以下の基準で評価した。
【0184】
光反射率の評価基準:
◎:反射率が95%以上
○:反射率が90%以上95%未満
△:反射率が85%以上90%未満
×:反射率が85%未満
【0185】
<下地密着性の測定>
実施例及び比較例で得た基板Bを150×30mmの小片に切断した。小片の銅箔部分に、カッターを用いて幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれて、銅箔の一端を剥がしてつかみ具(ティー・エス・イー社製オートコム型試験機「AC-50C-SL」)で掴み、インストロン万能試験機を用いて、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重をJIS C6481に準拠して測定し、以下の基準で評価した。
【0186】
下地密着性の評価基準:
◎:密着強度が0.5kgf/cm以上
〇:密着強度が0.3kgf/cm以上、0.5kgf/cm未満
×:密着強度が0.3kgf/cm未満
【0187】
実施例及び比較例における樹脂組成物層の熱硬化条件と、製造された基板の評価結果を表2に示す。なお、実施例で製造した基板において、樹脂組成物層の硬化体(反射シート)の下地基板と接していない側の表面近傍の領域には無機充填材成分リッチな相が存在し、また、該反射シートの下地基板と接している主面近傍の領域には樹脂成分リッチな相が存在することを確認した。
【0188】
【表2】
【符号の説明】
【0189】
1 光反射基板
2 基板
3 反射シート
31 反射シートの面
4 光源
図1