(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047151
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20220316BHJP
H01L 27/11582 20170101ALI20220316BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20220316BHJP
H01L 27/11556 20170101ALI20220316BHJP
【FI】
H01L29/78 371
H01L27/11582
H01L27/088 E
H01L27/088 C
H01L27/11556
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020152899
(22)【出願日】2020-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】津田 宗幸
【テーマコード(参考)】
5F048
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F048AA01
5F048AA07
5F048AB01
5F048AC01
5F048BA01
5F048BA19
5F048BA20
5F048BB01
5F048BB03
5F048BB11
5F048BC18
5F048BD07
5F048BD10
5F048BF15
5F048BF16
5F048BG13
5F048CB01
5F048CB03
5F048CB04
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
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5F083EP34
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER11
5F083ER22
5F083GA10
5F083GA11
5F083GA27
5F083JA02
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5F083JA35
5F083JA39
5F083JA40
5F083KA01
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5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083MA06
5F083MA19
5F083MA20
5F083NA01
5F083PR06
5F101BA02
5F101BA45
5F101BB02
5F101BC01
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE02
5F101BE05
5F101BE07
5F101BH13
(57)【要約】
【課題】良好な特性の半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、第1方向に配置された複数の導電層110と、複数の導電層110の間にそれぞれ設けられた複数の絶縁層101と、第1方向に延びて、複数の導電層110及び複数の絶縁層101と第1方向と交差する第2方向に対向する半導体層120と、複数の導電層110と半導体層120との間に、複数の導電層110とそれぞれ対向して設けられた複数の電荷蓄積層132とを備える。導電層110は、半導体層120と第2方向に対向する面S1を形成する第1位置P1で第1方向に第1幅Z11を有し、第1位置よりも第2方向に電荷蓄積層132から離れた第2位置P2で第1方向に第2幅Z12を有する。第1幅Z11は第2幅Z12よりも小さく、電荷蓄積層132における第1方向の最大幅である第3幅Z13は第1幅Z11と同じか、第1幅Z11よりも小さく、第1位置における半導体層120と対向する面S1は、第1方向の中央から両端に至るまで、電荷蓄積層132に近づかない。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に配置された複数の導電層と、
前記複数の導電層の間にそれぞれ設けられた複数の絶縁層と、
前記第1方向に延びて、前記複数の導電層及び前記複数の絶縁層と前記第1方向と交差する第2方向に対向する半導体層と、
前記複数の導電層と前記半導体層との間に、前記複数の導電層とそれぞれ対向して設けられた複数の電荷蓄積層と
を備え、
前記導電層は、前記半導体層と前記第2方向に対向する面を形成する第1位置で前記第1方向に第1幅を有し、前記第1位置よりも前記第2方向に前記電荷蓄積層から離れた第2位置で前記第1方向に第2幅を有し、
前記第1幅は前記第2幅よりも小さく、前記電荷蓄積層における前記第1方向の最大幅である第3幅は前記第1幅と同じか、前記第1幅よりも小さく、
前記第1位置における前記半導体層と対向する面は、前記第1方向の中央から両端に至るまで、前記電荷蓄積層に近づかない
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1位置における前記半導体層と対向する面と前記半導体層が対向して前記第2方向に離間する距離は、前記第1方向にわたって略一定である
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記導電層は、前記第1位置で前記第1方向の端部に前記電荷蓄積層を介さず前記半導体層と対向するオフセット部を有し、前記オフセット部の前記電荷蓄積層に対するオフセット量は、前記第2幅から前記第3幅を減じた値の半分より小さい
請求項1~2のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記導電層は、前記第1位置よりも前記第2方向に前記電荷蓄積層から離れつつ、前記第1方向の幅が単調増加する部分を含む
請求項1~3のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記導電層は、
前記第2方向にわたって略一定である前記第1幅を有し、前記第1位置よりも前記電荷蓄積層から離れて前記第2方向に延びる第1部分と、
前記第2方向にわたって略一定である前記第2幅を有し、前記第2位置を含んで前記第2方向に延びる第2部分と、を含み、
前記第1部分と前記第2部分との間に段差を有する
請求項1~3のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と、基板の表面と交差する第1方向に配設され第1方向と交差する第2方向に延びる複数の導電層と、第1方向に延伸し、複数の導電層と対向する半導体層と、複数の導電層と半導体層との間に設けられたゲート絶縁層と、を備える半導体記憶装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0001247号明細書
【特許文献2】特開2017-163044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
良好な特性の半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、第1方向に配置された複数の導電層と、複数の導電層の間にそれぞれ設けられた複数の絶縁層と、第1方向に延びて、複数の導電層及び複数の絶縁層と第1方向と交差する第2方向に対向する半導体層と、複数の導電層と半導体層との間に、複数の導電層とそれぞれ対向して設けられた複数の電荷蓄積層とを備える。導電層は、半導体層と第2方向に対向する面を形成する第1位置で第1方向に第1幅を有し、第1位置よりも第2方向に電荷蓄積層から離れた第2位置で第1方向に第2幅を有する。第1幅は第2幅よりも小さく、電荷蓄積層における第1方向の最大幅である第3幅は第1幅と同じか、第1幅よりも小さく、第1位置における半導体層と対向する面は、第1方向の中央から両端に至るまで、電荷蓄積層に近づかない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的なブロック図である。
【
図5】
図4のAで示した部分の模式的な斜視図である。
【
図6】
図5のBで示した部分の模式的な断面図である。
【
図7】同半導体記憶装置の製造方法を示す模式的な断面図である。
【
図15】比較例に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的な断面図である。
【
図16】第1実施形態に係る半導体記憶装置の変形例に係る構成を示す模式的な断面図である。
【
図17】第2実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的な断面図である。
【
図18】同半導体記憶装置の製造方法を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0008】
また、本明細書において「半導体記憶装置」と言った場合には、メモリダイを意味する事もあるし、メモリチップ、メモリカード、SSD等の、コントロールダイを含むメモリシステムを意味する事もある。更に、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の、ホストコンピュータを含む構成を意味する事もある。
【0009】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0010】
また、本明細書において、回路等が2つの配線等を「導通させる」と言った場合には、例えば、この回路等がトランジスタ等を含んでおり、このトランジスタ等が2つの配線の間の電流経路に設けられており、このトランジスタ等がON状態となることを意味する事がある。
【0011】
また、本明細書においては、基板の上面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の上面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の上面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0012】
また、本明細書においては、所定の面に沿った方向を第1方向、この所定の面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の面と交差する方向を第3方向と呼ぶことがある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0013】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、基板を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0014】
また、本明細書において、構成、部材等について、所定方向の「幅」又は「厚み」と言った場合には、SEM(Scanning electron microscopy)やTEM(Transmission electron microscopy)等によって観察された断面等における幅又は厚みを意味することがある。
【0015】
[第1実施形態]
[メモリシステム10]
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を示す模式的なブロック図である。
【0016】
メモリシステム10は、ホストコンピュータ20から送信された信号に応じて、ユーザデータの読み出し、書き込み、消去等を行う。メモリシステム10は、例えば、メモリチップ、メモリカード、SSD又はその他のユーザデータを記憶可能なシステムである。メモリシステム10は、ユーザデータを記憶する複数のメモリダイMDと、これら複数のメモリダイMD及びホストコンピュータ20に接続されるコントロールダイCDと、を備える。コントロールダイCDは、例えば、プロセッサ、RAM等を備え、論理アドレスと物理アドレスの変換、ビット誤り検出/訂正、ガベージコレクション(コンパクション)、ウェアレベリング等の処理を行う。
【0017】
[メモリダイMDの構成]
図2及び
図3は、本実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を示す模式的なブロック図及び回路図である。
【0018】
図2に示す様に、メモリダイMDは、データを記憶するメモリセルアレイMCAと、メモリセルアレイMCAに接続された周辺回路PCと、を備える。周辺回路PCは、電圧生成回路VGと、ロウデコーダRDと、センスアンプモジュールSAMと、シーケンサSQCと、を備える。また、周辺回路PCは、キャッシュメモリCMと、アドレスレジスタADRと、コマンドレジスタCMRと、ステータスレジスタSTRと、を備える。また、周辺回路PCは、入出力制御回路I/Oと、論理回路CTRと、を備える。
【0019】
電圧生成回路VGは、例えば、電源端子VCC,VSSに接続されたチャージポンプ回路等の昇圧回路、レギュレータ等の降圧回路、及び、図示しない複数の電圧供給線を備える。電圧生成回路VGは、シーケンサSQCからの内部制御信号に従い、メモリセルアレイMCAに対する読出動作、書込動作及び消去動作に際してビット線BL、ソース線SL、ワード線WL及び選択ゲート線(SGD、SGS)に印加される複数通りの動作電圧を生成し、複数の電圧供給線から同時に出力する。
【0020】
ロウデコーダRDは、例えば、デコード回路及びスイッチ回路を備える。デコード回路は、アドレスレジスタADRに保持されたロウアドレスRAをデコードする。スイッチ回路は、デコード回路の出力信号に応じて、ロウアドレスRAに対応するワード線WL及び選択ゲート線(SGD、SGS)を、対応する電圧供給線と導通させる。
【0021】
センスアンプモジュールSAMは複数のビット線BLに対応する複数のセンスアンプ回路と、複数の電圧調整回路と、複数のデータラッチと、を備える。センスアンプ回路は、ビット線BLの電流又は電圧に応じて、メモリセルMCのON/OFFを示す“H”又は“L”のデータをデータラッチにラッチさせる。電圧調整回路は、データラッチにラッチされたデータに応じて、ビット線BLを対応する電圧供給線と導通させる。
【0022】
また、センスアンプモジュールSAMは、図示しないデコード回路及びスイッチ回路を備える。デコード回路は、アドレスレジスタADRに保持されたカラムアドレスCADをデコードする。スイッチ回路は、デコード回路の出力信号に応じて、カラムアドレスCADに対応するデータラッチを、データバスDBUS及びキャッシュメモリCMを介してバスDBと導通させる。
【0023】
シーケンサSQCは、コマンドレジスタCMRに保持されたコマンドデータCMDを順次デコードし、ロウデコーダRD、センスアンプモジュールSAM、及び、電圧生成回路VGに内部制御信号を出力する。また、シーケンサSQCは、適宜自身の状態を示すステータスデータSTTをステータスレジスタSTRに出力する。
【0024】
入出力制御回路I/Oは、データ入出力端子I/O0~I/O7と、これらデータ入出力端子I/O0~I/O7に接続されたシフトレジスタと、このシフトレジスタに接続されたバッファメモリと、を備える。
【0025】
バッファメモリは、論理回路CTRからの内部制御信号に応じて、センスアンプモジュールSAM内のデータラッチ、アドレスレジスタADR又はコマンドレジスタCMRにデータを出力する。また、論理回路CTRからの内部制御信号に応じて、データラッチ又はステータスレジスタSTRからデータを入力する。尚、バッファメモリは、上記シフトレジスタの一部によって実現されても良いし、SRAM等の構成によって実現されても良い。
【0026】
論理回路CTRは、外部制御端子/CEn,CLE,ALE,/WE,/REを介してコントロールダイCDから外部制御信号を受信し、これに応じて入出力制御回路I/Oに内部制御信号を出力する。
【0027】
メモリセルアレイMCAは、
図3に示す様に、複数のメモリブロックBLKを備える。これら複数のメモリブロックBLKは、それぞれ、複数のストリングユニットSUを備える。これら複数のストリングユニットSUは、それぞれ、複数のメモリストリングMSを備える。これら複数のメモリストリングMSの一端は、それぞれ、ビット線BLを介して周辺回路PCに接続される。また、これら複数のメモリストリングMSの他端は、それぞれ、下部配線SC及び共通のソース線SLを介して周辺回路PCに接続される。
【0028】
メモリストリングMSは、ビット線BL及びソース線SLの間に直列に接続されたドレイン側選択トランジスタSTD、複数のメモリセルMC(メモリトランジスタ)、ソース側選択トランジスタSTSを備える。以下、ドレイン側選択トランジスタSTD、ソース側選択トランジスタSTSを、単に選択トランジスタ(STD、STS)と呼ぶ事がある。
【0029】
メモリセルMCは、チャネル領域として機能する半導体層、電荷蓄積層を含むゲート絶縁層、及び、ゲート電極を備える電界効果型のトランジスタである。メモリセルMCのしきい値電圧は、電荷蓄積層中の電荷量に応じて変化する。メモリセルMCは、1ビット又は複数ビットのデータを記憶する。尚、1のメモリストリングMSに対応する複数のメモリセルMCのゲート電極には、それぞれ、ワード線WLが接続される。これらワード線WLは、それぞれ、1のメモリブロックBLK中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。
【0030】
選択トランジスタ(STD、STS)は、チャネル領域として機能する半導体層、ゲート絶縁膜及びゲート電極を備える電界効果型のトランジスタである。選択トランジスタ(STD、STS)のゲート電極には、それぞれ、選択ゲート線(SGD、SGS)が接続される。ドレイン側選択ゲート線SGDは、ストリングユニットSUに対応して設けられ、1のストリングユニットSU中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。ソース側選択ゲート線SGSは、1のメモリブロックBLK内の複数のストリングユニットSU中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。
【0031】
[メモリダイMDの構造]
図4は、本実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を示す模式的な平面図であり、メモリダイMDの平面構造を示している。
【0032】
図4に示す通り、基板100上には、複数のメモリセルアレイMCAと、領域PERIと、が設けられる。図示の例では、基板100上に2つのメモリセルアレイMCAがX方向に並んで設けられ、Y方向の一端に領域PERIが設けられている。
【0033】
メモリセルアレイMCAは、Y方向に配設された複数のメモリブロックBLKを備える。また、メモリセルアレイMCAは、メモリセルMCが設けられる領域R1と、コンタクトCC等が階段状に設けられる領域R2と、を備える。領域PERIは、例えば、周辺回路PCの一部、パッド電極等を備える。
【0034】
[メモリセルアレイMCA]
図5は、
図4のAで示した部分の模式的な斜視図である。
【0035】
図5に示す通り、メモリセルアレイMCAは、メモリ層MLと、メモリ層MLの下方に設けられた回路層CLと、を備える。
【0036】
[メモリ層ML]
メモリ層MLにおいて、Y方向において隣り合う2つのメモリブロックBLKの間には、例えば
図5に示す様に、X方向及びZ方向に延伸するブロック間絶縁層STが設けられる。尚、ブロック間絶縁層STは、Y方向の両側のみ形成され、Y方向の中央部に、X方向及びZ方向に延伸する図示しないブロック間導電層が形成されていても良い。ブロック間導電層は、下部配線層150と電気的に接続され、下部配線層150に対するコンタクトとして機能しても良い。
【0037】
メモリブロックBLKは、
図5に示す通り、Z方向に延伸する複数のメモリホール構造MHと、Z方向に並びXY断面においてこれら複数のメモリホール構造MHの外周面を覆う複数の導電層110と、複数の導電層110の間に配置された複数の絶縁層101と、メモリホール構造MHの上端に接続された複数のビット線BLと、メモリホール構造MHの下端に接続された下部配線層150と、を備える。
【0038】
メモリホール構造MHは、X方向及びY方向に所定のパターンで配設されている。メモリホール構造MHは、Z方向に延伸する半導体層120と、半導体層120と導電層110との間に設けられたゲート絶縁層130と、半導体層120の上端に接続された半導体層121と、メモリホール構造MHの中心部分に設けられた絶縁層125と、を備える。
【0039】
半導体層120は、例えば、1つのメモリストリングMS(
図3)に含まれる複数のメモリセルMC、ドレイン側選択トランジスタSTD及びソース側選択トランジスタSTSのチャネル領域として機能する。半導体層120は下端から上端まで一体形成された略円筒状の形状を有し、中心部分には酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層125が埋め込まれている。半導体層120は、例えば、ノンドープの多結晶シリコン(Si)等の半導体を含む。
【0040】
ゲート絶縁層130は、半導体層120の外周面に沿ってZ方向に延伸し、下端から上端まで一体形成された略円筒状の形状を有する。
【0041】
半導体層121は、例えば、リン(P)等のN型の不純物がドープされた多結晶シリコン(Si)等の半導体を含む。
【0042】
導電層110は、絶縁層101を介してZ方向に複数配設され、X方向及びY方向に延伸する略板状の導電膜である。Z方向における中央部の導電層110は、ワード線WL(
図3)及びこのワード線WLに接続された複数のメモリセルMC(
図3)のゲート電極として機能する。
【0043】
複数の導電層110のうちの上方に設けられた導電層110の一部は、ドレイン側選択ゲート線SGD(
図3)及びこのドレイン側選択ゲート線SGDに接続された複数のドレイン側選択トランジスタSTD(
図3)のゲート電極として機能する。
【0044】
複数の導電層110のうちの下方に設けられた導電層110の一部は、ソース側選択ゲート線SGS(
図3)及びこれに接続された複数のソース側選択トランジスタSTS(
図3)のゲート電極として機能する。
【0045】
絶縁層101は、Z方向に並ぶ複数の導電層110の間にそれぞれ設けられる。絶縁層101は、例えば、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁膜である。
【0046】
ビット線BLは、X方向に複数配設され、Y方向に延伸する。ビット線BLは、コンタクトCb等、及び半導体層121を介して半導体層120に接続される。
【0047】
下部配線層150は、例えば
図5に示す通り、半導体層120に接続された半導体層151と、半導体層151の下面に設けられた導電層152と、を備える。下部配線層150は、下部配線SC(
図3)として機能する。
【0048】
導電層152は、基板100の上に絶縁層160を介して形成され、例えば、タングステン(W)等の金属、リン等(P)のN型の不純物がドープされた多結晶シリコン(Si)又はシリサイド等の導電膜を含む。半導体層151は、例えば、リン等(P)のN型の不純物がドープされた多結晶シリコン(Si)を含む。絶縁層160は、例えば、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁膜である。
【0049】
[回路層CL]
回路層CLは、例えば
図5に示す様に、基板100と、周辺回路PCを構成する複数のトランジスタTrと、これら複数のトランジスタTrに接続された複数の配線及びコンタクトと、を備える。
【0050】
基板100は、例えば、単結晶シリコン(Si)等からなる半導体基板である。基板100は、例えば、半導体基板の表面にリン(P)等のN型の不純物層を有し、更にこのN型の不純物層中にホウ素(B)等のP型の不純物層を有する2重ウェル構造を備える。
【0051】
[メモリセルMCの構造]
図6は、
図5のBで示した部分の模式的な断面図であり、導電層110及びゲート絶縁層130が対向する位置における構造の詳細を示している。
【0052】
なお、
図6は、メモリホール構造MHの一部のX方向及びZ方向に沿った断面(XZ断面)上の構成を示しているが、X方向以外の導電層110の延伸方向及びZ方向に沿った断面上においても、メモリホール構造MHは同様の構成を備える。以下、導電層110の延伸方向としてX方向を例にとり本実施形態の構成の説明を続けるが、導電層110の延伸方向に沿った他の方向の断面構成についても同様に理解される。
【0053】
図6に示す通り、ゲート絶縁層130は、半導体層120と導電層110との間に積層されたトンネル絶縁層131、電荷蓄積層132、及び、ブロック絶縁層133を備える。トンネル絶縁層131及びブロック絶縁層133はZ方向に一体的に連続して設けられるが、電荷蓄積層132は、Z方向に分断されている。複数の電荷蓄積層132は、複数の導電層110とX方向に対向する位置に、それぞれ設けられる。また、ブロック絶縁層133は、複数の電荷蓄積層132の導電層110側の面とZ方向の両端面をX方向及びZ方向に覆う様に形成されている。
【0054】
トンネル絶縁層131及びブロック絶縁層133は、例えば、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層である。電荷蓄積層132は、例えば、窒化シリコン(SiN)等の電荷を蓄積可能な層である。尚、電荷蓄積層132は、例えば、リン(P)等のN型の不純物又はホウ素(B)等のP型の不純物がドープされた多結晶シリコン(Si)、ノンドープの多結晶シリコン(Si)等からなるフローティングゲートであっても良い。
【0055】
導電層110は、X方向に延伸する導電層112と、この導電層112の上面、下面及び側面を覆うバリア金属層113と、を備える。導電層112は、例えば、タングステン(W)又はモリブデン(Mo)等を含む金属膜である。バリア金属層113は、例えば、窒化チタン(TiN)等の金属膜である。導電層110の上面、下面及び側面は、絶縁層115によって覆われている。絶縁層115は、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)等を含む高誘電率膜(high-k膜)である。
【0056】
導電層110のZ方向の幅は、電荷蓄積層132側へX方向に近づくにつれ小さくなる。すなわち、導電層110は、半導体層120と対向する側が、いわゆる先細り形状として設けられる。
【0057】
導電層110は、半導体層120とX方向に対向する面S1を形成する第1位置P1で、Z方向における幅Z11を有する。また、導電層110は、第1位置P1よりも電荷蓄積層132からX方向に離れた第2位置P2で、Z方向における幅Z12を有する。幅Z11は幅Z12よりも小さい。また、幅Z11の部分から幅Z12の部分までは、連続的に導電層110の厚みが単調増加する。
【0058】
導電層110の面S1は、Z方向の中央から両端に至るまで、半導体層120に近づかない。一つの例として、導電層110の面S1と半導体層120とが、対向してX方向に離間する距離は、導電層110の面S1と半導体層120とが、対向するZ方向全域にわたって略一定である。また、面S1と電荷蓄積層132との離間距離X11は、面S1と電荷蓄積層132とが対向するZ方向の全域にわたって略一定である。尚、面S1は、Z方向の中央から両端に至るまでの間に半導体層120から多少離れるように形成されていても良い。
【0059】
電荷蓄積層132は、Z方向における最大幅として幅Z13を有する。幅Z13は、導電層110の面S1の幅Z11と同じか、幅Z11よりも小さい。
【0060】
導電層110の第1位置P1における面S1は、Z方向の上下端部に、それぞれオフセット部Soを有する。オフセット部Soは、電荷蓄積層132を介さず半導体層120と対向する。オフセット部SoのZ方向の長さであるオフセット量Δは、例えば、0以上で、かつ(Z12-Z13)/2よりも小さい。尚、オフセット量Δは、Z方向の両側のオフセット部Soにおいて互いに異なっていても良い。
【0061】
導電層110のZ方向の幅が、X方向にわたって単調増加していく部分においては、絶縁層101と絶縁層115との間を埋める様に、絶縁層114が設けられる。絶縁層114は、更に、絶縁層115とブロック絶縁層133との間に設けられる。
【0062】
[動作]
次に、このように構成された半導体記憶装置のメモリセルMCの書き込み動作、消去動作及び読み出し動作について説明する。
【0063】
本実施形態の半導体記憶装置において、メモリセルMCへの書き込み動作又は消去動作を行う際、電荷蓄積層132へ負電荷又は正電荷を蓄積する。電荷蓄積層132への電荷の蓄積は、導電層110と半導体層120の間に所定の第1電圧を印加し、半導体層120から負電荷又は正電荷を、トンネル絶縁層131を介して電荷蓄積層132に引き込むことにより行う。
【0064】
本実施形態の半導体記憶装置において、メモリセルMCの読み出し動作を行う際には、電荷蓄積層132へ蓄積された蓄積電荷量を判定するため、導電層110と半導体層120の間に読み出し用の所定の第2電圧を印加する。半導体層120のチャネルがオンになるしきい値電圧は、電荷蓄積層132に蓄積された電荷量によって変化するので、チャネルがオンになる第2電圧の大きさを判定することで、蓄積電荷量を判定する。
【0065】
[製造方法]
次に、
図7~
図14を参照して、本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明する。尚、
図7~14は、
図6に示した半導体記憶装置の製造方法を説明する部分断面図である。
【0066】
同製造方法においては、
図5に示したように、基板100上に、絶縁層160、導電層152、及び、半導体層151を形成する。また、これらの上方に、
図7に示す通り、複数の絶縁層101及び複数の犠牲層111を交互に形成する。絶縁層101は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等からなる。犠牲層111は、例えば、窒化シリコン(SiN)等からなる。この工程は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の方法によって行う。
【0067】
基板100は、例えば、
図5に示す様な回路層CLのトランジスタTr等が形成された基板、又は、Si等の半導体基板である。絶縁層160は、例えば、酸化シリコン等からなる。導電層152は、例えば、タングステンシリサイド(WSi)等を含む。半導体層(下部配線層)151は、例えば、リン(P)をドープしたポリシリコン(Si)等を含む導電層である。
【0068】
次に、
図7に示す通り、絶縁層101及び犠牲層111からなる積層体にメモリセルMCを形成するための開口MHaを形成する。この工程は、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)等の方法によって行う。
【0069】
次に、
図8に示す通り、絶縁層101及び犠牲層111からなる積層体のうち、開口MHaに面する犠牲層111の側壁部分を、絶縁層101の側壁部分に対して、選択的に後退させるエッチングを行う。この工程は、例えば、ウェットエッチング又はドライエッチング等の方法によって行う。
【0070】
次に、
図9に示す通り、犠牲層111のうち、後退して露出した側壁部分を酸化処理する。酸化は、犠牲層111のうち、開口MHaに面する側壁部分から始まり、更に、犠牲層111と絶縁層101がZ方向上下に接する部分に一部進行する。この酸化処理により、犠牲層111の側壁部分と、犠牲層111の側壁部分に隣接する上下面を覆う、絶縁層114が形成される。絶縁層114は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等からなる。この工程は、例えば、酸化剤を用いた熱酸化処理等の方法によって行う。
【0071】
次に、
図10に示す通り、開口MHaの側壁全体に、ブロック絶縁層133を、開口MHaの側壁段差が埋まらない程度の厚さで形成する。ブロック絶縁層133は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等からなる。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0072】
続いて、
図11に示す通り、ブロック絶縁層133の上に電荷蓄積層132’を、開口MHaの側壁段差を埋め込むように形成する。電荷蓄積層132’は、例えば、窒化シリコン(SiN)等の電荷を蓄積可能な膜、又はリン(P)等のN型の不純物若しくはホウ素(B)等のP型の不純物がドープされた多結晶シリコン(Si)、ノンドープの多結晶シリコン(Si)等からなるフローティングゲートであっても良い。この工程は、例えばCVD等の方法によって行う。
【0073】
次に、
図12に示す通り、電荷蓄積層132’を後退させるリセスエッチングを行う。これにより、絶縁層101と犠牲層111の積層体の積層方向に電荷蓄積層132’が分断され、犠牲層111の積層方向の中央部と対向する部分の電荷蓄積層132のみが残る。この工程は、例えば、ウェットエッチング又はドライエッチング等の方法によって行う。
【0074】
次に、
図13に示す通り、電荷蓄積層132の上にトンネル絶縁層131を形成する。トンネル絶縁層131は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等からなる。この工程は、例えば、熱酸化等の方法によって行う。
【0075】
次に、
図14に示す通り、半導体層120及び絶縁層125を順次形成する。これにより、略円柱状のメモリホール構造MHが形成される。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。また、この工程では、例えば、半導体層120の結晶構造を改質するための熱処理、少なくとも絶縁層125の上端部を後退させたうえで絶縁層125の上端部を覆うキャップ用の半導体層の形成処理等を行う。
【0076】
次に、図示しない開口を介して複数の犠牲層111を除去して、空洞を形成する。続いて、犠牲層111を除去して形成された空洞に、絶縁層115を形成した後、バリア金属層113、及び導電層112を順次形成し、導電層110を形成する。犠牲層111を除去する工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。絶縁層115、バリア金属層113、及び導電層112の形成は、例えば、CVD等の方法によって行う。以上の工程により、
図6を参照して説明した構成が形成される。
【0077】
[効果]
本実施形態の効果について、
図15に示す比較例を参照しながら説明する。
図15(a)及び(b)は、比較例に係る半導体記憶装置を示す模式的な断面図であり、
図6に示す本実施形態の断面構造に対応する部分を示す。
【0078】
図15(a)は、導電層110’の第1位置P1’におけるZ方向の幅Z11’と第2位置P2’におけるZ方向の幅Z12’とが等しい、つまり、導電層110’が先細り形状ではない比較例を示している。本実施形態と同様に、
図8~
図12に示した、犠牲層111を開口MHa側からリセスエッチングすることで電荷蓄積層132’を形成する製造方法を採用した場合、犠牲層111のリプレース時に電荷蓄積層132’がエッチングされないように、犠牲層111と電荷蓄積層132’とをブロック絶縁層133で分離する必要がある。このため、
図15(a)に示す通り、電荷蓄積層132’のZ方向の幅Z13’は、ブロック絶縁層133の膜厚分だけ、導電層110’の幅Z11’(=Z12’)よりも小さくなる。この場合、導電層110’の半導体層120と対向する面S1’のZ方向の両端が、電荷蓄積層132’のZ方向の両端からZ方向にはみ出すオフセット量Δは、それぞれ(Z12’-Z13’)/2に等しくなる。この比較例では、次のような問題がある。
【0079】
すなわち、この様な構造では、メモリセルMCの読み出し動作の際、導電層110’のZ方向両端のオフセット量Δに相当する部分と、それに対向する半導体層120の部分との間に電荷蓄積層132’が存在せず、導電層110’と半導体層120との間に発生した電界が、電荷蓄積層132’に蓄積された負電荷によってシールドされない。この場合、より高電界が発生する導電層110’のZ方向両端部分と対向する半導体層120の部分では、チャネルが設計上意図しない低電圧でONしてしまい、本来の読み出し動作の精確性を損ねる場合がある。よって、本比較例においては、メモリセルMCの良好な読み出し特性を実現することができない。
【0080】
そこで、例えば、
図15(b)に示す比較例の様に、電荷蓄積層132’’のZ方向の幅Z13’’を、導電層110’’の面S1’のZ方向の幅Z11’’と同等か、それ以上に形成することも考えられる。
【0081】
しかし、この場合の製造工程においては、導電層110’’を形成するための犠牲層111を除去した後に、犠牲層111を除去して生じた空隙へ電荷蓄積層132’’を選択的に成膜し、続いて、ブロック酸化膜133’’を成膜する工程が必要になるか、又は、2種類の犠牲層の積層構造体を生成し、これら2種類の犠牲層を、それぞれ絶縁層101及び導電層110に置換する必要があり、いずれも製造工程が複雑であるという問題がある。
【0082】
また、
図15(b)に示す比較例のように、電荷蓄積層132’’のZ方向の幅Z13’’が導電層110’’の面S1’’のZ方向の幅Z11’’よりも大きいと、消去動作時の消去電圧が高い領域での消去特性が劣化し、書き込み/消去電圧対しきい値特性のウィンドウ幅が低下してしまうという問題がある。
【0083】
また、
図15(b)に示す比較例は、電荷蓄積層132’’のZ方向両端部においては、Z方向中央部と比較して、蓄積される電荷の量が減少してしまい、書き込み/消去動作の信頼性を損ねる。よって、本比較例においては、良好な読み出し特性は得られるものの、良好な書き込み/消去特性を実現することができない。
【0084】
そこで、本実施形態においては、
図6に示す様に、導電層110及び電荷蓄積層132を、導電層110の半導体層120側の第1位置P1でのZ方向の幅Z11が半導体層120から離れた第2位置P2での幅Z12より小さく、電荷蓄積層132の幅Z13が導電層110の幅Z11と同じか、幅Z11より小さくなるよう設けている。また、導電層110の面S1の両端の電荷蓄積層132に対するZ方向のオフセット量Δが、0以上で、かつ(Z12-Z13)/2よりも小さくなるように設定されている。
【0085】
本実施形態の構造においては、電荷蓄積層132のZ方向両端部からZ方向中央部にわたる全域において、面S1と電荷蓄積層132との距離を略一定とすることができ、電荷蓄積層132へ均一に十分な電荷量を蓄積することができる。よって、本実施形態においては、良好な読み出し特性と、良好な書き込み/消去特性を両立することができる。それにより、メモリセルMCの信頼性が向上するという効果を奏する。
【0086】
[変形例]
図6においては、電荷蓄積層132がZ方向の幅Z13を有し、Z方向にわたって厚み(X方向の幅)が略一定となる形状を例示した。一方、電荷蓄積層132は、必ずしもZ方向にわたって厚みが略一定となる形状で設けられていなくても良い。
図16(a)及び(b)は、変形例に係る半導体記憶装置の模式的な断面図である。
【0087】
図16(a)においては、電荷蓄積層132の代わりに、電荷蓄積層132aが設けられている。電荷蓄積層132aは、導電層110に近い面がZ方向の幅Z13aを備え、導電層110に遠い面が、幅Z13aよりも小さいZ方向の幅を備える。この場合において、電荷蓄積層132aは、幅Z13aが導電層110の幅Z11と同じか、幅Z11よりもZ方向上下にオフセット量Δaずつ小さくなるよう、設けられる。
【0088】
図16(b)においては、電荷蓄積層132の代わりに、電荷蓄積層132bが設けられている。電荷蓄積層132bは、導電層110に遠い面がZ方向の幅Z13bを備え、導電層110に近い面が、幅Z13bよりも小さいZ方向の幅を備える。この場合において、電荷蓄積層132bは、幅Z13bが幅Z11と同じか、幅Z11よりもZ方向上下にオフセット量Δbずつ小さくなるよう、設けられる。
【0089】
他に、電荷蓄積層132は、導電層110に近い面から遠い面までのいずれの位置においてZ方向の幅が最大幅を有するように設けても良い。この場合においても、電荷蓄積層132は、Z方向の最大幅が導電層110の面S1の幅Z11と同じか、幅Z11よりも小さくなるように設けられる。
【0090】
[変形例における効果]
図16(a)及び(b)で示したいずれの変形例においても、電荷蓄積層132a及び電荷蓄積層132bのZ方向の最大幅である幅Z13a及び幅Z13bが、導電層110の面S1のZ方向の幅Z11と同程度か、幅Z13a及び幅Z13bが幅Z11よりも小さくなるように、電荷蓄積層132a及び電荷蓄積層132bが設けられる。
【0091】
図16(a)及び(b)で示した構造では、前述したように電荷蓄積層132a及び電荷蓄積層132bにより電界をシールドする効果が、Z方向両端部では電荷蓄積層132a、132bの厚みが減ることによりやや弱まるものの、電荷蓄積層132a、132bが存在することにより、やはり有効なシールド効果を発揮することができる。よって、良好な読み出し特性を実現することができる。
【0092】
[第2実施形態]
[構成]
次に、
図17を参照して、第2実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明する。
図17は、第2実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を示す模式的な断面図である。
【0093】
なお、
図17は、メモリホール構造MH2の一部のX方向及びZ方向に沿った断面(XZ断面)上の構成を示しているが、X方向以外の導電層110_2の延伸方向及びZ方向に沿った断面上においても、メモリホール構造MH2は同様の構成を備える。以下、導電層110_2の延伸方向としてX方向を例にとり本実施形態の構成の説明を続けるが、導電層110_2の延伸方向に沿った他の方向の断面構成についても同様に理解される。
[メモリセルMCの構造]
【0094】
図17に示す通り、本実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。ただし、本実施形態に係る半導体記憶装置は、導電層110の代わりに導電層110_2を備えている。導電層110_2は、導電層112_2と、導電層112_2の上面、下面及び側面を覆うバリア金属層113_2と、を含む。導電層110_2の上面、下面及び側面は、高誘電率膜からなる絶縁層115_2で覆われている。
【0095】
また、本実施形態に係る半導体記憶装置は、ゲート絶縁層130の代わりにゲート絶縁層130_2を備える。ゲート絶縁層130_2は、電荷蓄積層132_2、ブロック絶縁層133_2、及びトンネル絶縁層131を備える。
【0096】
導電層110_2のZ方向の幅は、電荷蓄積層132_2側へX方向に近づくにつれ、段階的に小さくなるよう設けられる。すなわち、導電層110_2は、半導体層120と対向する側が、段階的に先細る形状として設けられる。
【0097】
導電層110_2は、半導体層120とX方向に対向する面S2を形成する第1位置P1_2で、Z方向における幅Z21を有する。また、導電層110_2は、第1位置P1_2よりも電荷蓄積層132からX方向に離れた第2位置P2_2で、Z方向における幅Z22を有する。幅Z21は幅Z22よりも小さい。
【0098】
導電層110_2の面S2は、Z方向の中央から両端に至るまで、半導体層120に近づかない。導電層110の面S2と半導体層120とが、対向してX方向に離間する距離は、導電層110_2の面S2と半導体層120とが、対向するZ方向全域にわたって略一定である。また、面S2と電荷蓄積層132_2との離間距離X21は、面S2と電荷蓄積層132_2とが対向するZ方向の全域にわたって略一定である。尚、面S2は、Z方向の中央から両端に至るまでの間に半導体層120から多少離れるように形成されていても良い。
【0099】
電荷蓄積層132_2は、Z方向における最大幅として幅Z23を有する。幅Z23は、導電層110_2の面S2の幅Z21と同じか、幅Z21よりも小さい。
【0100】
導電層110_2の第1位置P1_2における面S2は、Z方向の上下端部に、それぞれオフセット部S2oを有する。オフセット部S2oのZ方向の長さであるオフセット量Δ2は、例えば、0以上で、かつ(Z22-Z23)/2よりも小さい。尚、オフセット量Δ2は、Z方向の両側のオフセット部S2oにおいて互いに異なっていても良い。
【0101】
導電層110_2のZ方向の幅が、幅Z21である部分においては、絶縁層101と絶縁層115_2との間を埋める様に、ブロック絶縁層133_2の一部が設けられる。ブロック絶縁層133_2は、導電層110_2のZ方向の幅が幅Z21である部分の上下と、面S2とを連続的に覆うように設けられる。
【0102】
[製造方法]
次に、
図18~
図25を参照して、本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明する。尚、
図18~
図25は、
図17に示した半導体記憶装置の製造方法を説明する部分断面図である。
【0103】
同製造方法においては、
図5に示したように、基板100上に、絶縁層160、導電層152、及び、半導体層151を形成する。また、これらの上方に、
図18に示す通り、複数の絶縁層101、複数の第1犠牲層111_1、及び複数の第2犠牲層111_2を形成する。このとき、絶縁層101と第1犠牲層111_1との層間には、それぞれ第2犠牲層111_2が位置するよう形成する。
【0104】
絶縁層101は、例えば、酸化シリコン(SiO2)等からなる。第1犠牲層111_1は、例えば、酸窒化シリコン(SiON)等からなる。第2犠牲層111_2は、例えば、窒化シリコン(SiN)等からなる。この工程は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の方法によって行う。
【0105】
次に、
図18に示す通り、絶縁層101、第1犠牲層111_1、及び第2犠牲層111_2からなる積層体に、メモリセルMCを形成するための開口MHbを形成する。この工程は、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)等の方法によって行う。
【0106】
次に、
図19に示す通り、絶縁層101、第1犠牲層111_1、及び第2犠牲層111_2からなる積層体のうち、開口MHbに面する側壁の第1犠牲層111_1、及び第2犠牲層111_2を、絶縁層101に対して、選択的に後退させるエッチングを行う。このエッチング工程において、第2犠牲層111_2は、第1犠牲層111_1よりもエッチングレートが大きい層として形成されている。よって、第2犠牲層111_2は、第1犠牲層111_1よりも、絶縁層101に対して大きく後退する。この工程は、例えば、ウェットエッチング又はドライエッチング等の方法によって行う。
【0107】
次に、
図20に示す通り、開口MHbの側壁にブロック絶縁層133_2’を、開口MHbの側壁段差が埋まらない程度の厚さで形成する。また、第2犠牲層111_2が後退して形成された空隙部分にも、ブロック絶縁層133_2’が入り込んで形成される。ブロック絶縁層133_2’は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等からなる。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0108】
次に、
図21に示す通り、ブロック絶縁層133_2’を、開口MHbの側壁から後退させるリセスエッチングを行い、ブロック絶縁層133_2を形成する。この工程により、絶縁層101の側壁部と、第1犠牲層111_1の側壁部にそれぞれ形成されたブロック絶縁層133_2の膜厚は、適正な厚さとなる。
【0109】
続いて、
図22に示す通り、ブロック絶縁層133_2の上に電荷蓄積層132_2’’を、開口MHbの側壁段差を埋め込むように形成する。電荷蓄積層132_2’’は、例えば、窒化シリコン(SiN)等の電荷を蓄積可能な膜、又はリン(P)等のN型の不純物若しくはホウ素(B)等のP型の不純物がドープされた多結晶シリコン(Si)、ノンドープの多結晶シリコン(Si)からなるフローティングゲートであっても良い。この工程は、例えばCVD等の方法によって行う。
【0110】
次に、
図23に示す通り、電荷蓄積層132_2’’を後退させるリセスエッチングを行う。これにより、絶縁層101、第1犠牲層111_1及び第2犠牲層111_2からなる積層体の積層方向に電荷蓄積層132_2’’が分断され、第1犠牲層111_1の積層方向の中央部と対向する部分の電荷蓄積層132_2のみが残る。この工程は、例えば、ウェットエッチング又はドライエッチング等の方法によって行う。
【0111】
次に、
図24に示す通り、開口MHbに対する露出部分を酸化し、開口MHbの内壁にトンネル絶縁層131を形成する。トンネル絶縁層131は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等からなる。この工程は、例えば、酸化剤を用いた熱酸化処理等の方法によって行う。
【0112】
次に、
図25に示す通り、半導体層120及び絶縁層125を順次形成する。これにより、略円柱状のメモリホール構造MH2が形成される。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。また、この工程では、例えば、半導体層120の結晶構造を改質するための熱処理、少なくとも絶縁層125の上端部を後退させたうえで絶縁層125の上端部を覆うキャップ用の半導体層の形成処理等を行う。
【0113】
次に、図示しない開口を介して複数の第1犠牲層111_1及び第2犠牲層111_2を除去して、空洞を形成する。続いて、第1犠牲層111_1及び第2犠牲層111_2を除去して形成された空洞に、絶縁層115_2を形成した後、バリア金属層113_2、及び導電層112_2を順次形成し、導電層110_2を形成する。第1犠牲層111_1及び第2犠牲層111_2を除去する工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。絶縁層115_2、バリア金属層113_2、及び導電層112_2の形成は、例えば、CVD等の方法によって行う。以上の工程により、
図17を参照して説明した構成が形成される。
【0114】
[その他の実施形態]
本実施形態においては、略円筒状のメモリホール構造MH(MH2)と、メモリホール構造MHの外周面を覆う複数の導電層110(110_2)からなるメモリ層MLを例示した。しかしながら、メモリ層MLは、略円筒状のメモリホール構造MHが、Y方向の両側から異なる導電層110と対向する構造であっても良い。この場合、半導体層120及びゲート絶縁層130は、Y方向に分断されていても、連続して形成されていても良い。
【0115】
また、メモリ層MLは、X方向及びZ方向に延伸する略板状のメモリトレンチ構造MTと、メモリトレンチ構造MTの両外側にそれぞれ位置してZ方向に複数並んだ複数の導電層110と、からなる構造としても良い。メモリトレンチ構造MTは、略板状のトレンチ構造内部のY方向両側面に、X方向及びZ方向に延伸する複数の半導体層120と、それぞれの半導体層120と複数の導電層110との間に設けられたゲート絶縁層130と、を備える。
【0116】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0117】
MC…メモリセル、MCA…メモリセルアレイ、110…導電層、120…半導体層、130…ゲート絶縁層、131…トンネル絶縁層、132…電荷蓄積層、133…ブロック絶縁層。