IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タカギ・パックスの特許一覧

特開2022-47177引出用部材及び引出用部材を有する書類保管部材
<>
  • 特開-引出用部材及び引出用部材を有する書類保管部材 図1
  • 特開-引出用部材及び引出用部材を有する書類保管部材 図2
  • 特開-引出用部材及び引出用部材を有する書類保管部材 図3
  • 特開-引出用部材及び引出用部材を有する書類保管部材 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047177
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】引出用部材及び引出用部材を有する書類保管部材
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20220316BHJP
【FI】
B42F7/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020152946
(22)【出願日】2020-09-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000132921
【氏名又は名称】株式会社タカギ・パックス
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 保夫
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017QA17
2C017QE00
2C017QE01
2C017QE05
(57)【要約】
【課題】市販されているファイルやバインダー等のファイルに取り付けてすぐに使用することができ、かつ、つまむことなく指を引っ掛けるのみで容易にファイルやバインダー等のファイルを取り出すことができる引出用部材及びこの引出用部材が貼着されたファイルを提供する。
【解決手段】
本発明にかかる引出用部材100は、平帯状の紐を180°折り返し、端部側が同じ方向を向くように並列させた状態で縫製された縫製部と、前記縫製部と反対側に指を引っ掛けるための輪部と、が形成されてなる紐部材と、前記縫製部の全部又は一部に取り付けられた両面テープと、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
函付き本の上端又は下端、若しくは、書類保管部材の背表紙の上端又は下端の内面に貼着して使用する引出用部材において、
平帯状の紐部材を180°折り返し、両側の端部の方向が同じ方向を向くように並列させた状態で端部を両面テープで固定されてなり、前記端部と反対側に指を引っ掛けるための輪部が形成されてなることを特徴とする引出用部材。
【請求項2】
前記端部は、同じ側の面が同じ方向を向くように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の引出用部材。
【請求項3】
前記両面テープは、前記輪部の内面側を形成する面の端部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の引出用部材。
【請求項4】
両方の前記端部は、縫製により互いに固定されてなる縫製部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の引出用部材。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の引出用部材が、両面テープによって背表紙の上端又は下端の内面に、輪部が背表紙の上端又は下端から延出するように貼着されていることを特徴とする書類保管部材。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引出用部材及び引出用部材を有する書類保管部材に関する。
【背景技術】
【0002】
書庫や本棚に、隙間なく本や、書類、名刺、CD又はDVD等の光学記録媒体その他の部材を保管するためにファイルやバインダー等に保管された場合に、収納棚の縦寸法が狭いと上の棚板とファイルやバインダーとの隙間に指を差し込むことができず、取り出しが非常に困難になるという問題があった。
【0003】
そのため、本、ファイルやバインダーを保管する棚の高さは、本、ファイルの縦寸法に対して、指が十分に入る程度の隙間を確保できる程度に高さに余裕がある棚を使用しなければならなかった。そのため、本来確保することができる棚数よりも少ない棚しか確保することができず、効率が悪くなるという問題があった。
【0004】
こうした問題点を解決するものとして、プラスチックケース・ファイルブックの綴じ側の外側部背面に各種形状のつまみ・取っ手、紐又は帯状の紐を適所に設けることにより、縦寸法の間隔の狭い書庫・本箱等の収納棚等 においてプラスチックケース・ファイルブック・書籍が取り出しやすくしたものが提案されている(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、かかるプラスチックケース・ファイルブックは、外側部背面に各種形状のつまみ等を設けるのみであるため、背面の表示部の機能を阻害し、背面の表示が見にくくなるという問題があった。また、各種つまみをつままなければならないため、多くの書類が綴じられており、重量があるプラスチックケース・ファイルブックの場合には、相当の力でつままないと引き出すことができず、非常に使いづらいという問題点があった。
【0006】
また、各種つまみを圧着、粘着テープ、又は接着で外側部背面に取り付ける場合、実際には相当強力な粘着テープや接着剤を使用しないと引き出す際に外れてしまうという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-22048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、すでに市販されている函付き本や、既存のファイルやバインダー等に取り付けてすぐに使用することができ、かつ、つまむことなく指を引っ掛けるのみで容易に、函付き本、ファイルやバインダー等の書類保管部材を棚から引き出すことができる引出用部材及びこの引出用部材を有する書類保管部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0010】
本発明にかかる引出用部材は、
函付き本の上端又は下端、若しくは、書類保管部材の背表紙の上端又は下端の内面に貼着して使用する引出用部材において、
平帯状の紐部材を180°折り返し、両側の端部の方向が同じ方向を向くように並列させた状態で端部を両面テープで固定されてなり、前記端部と反対側に指を引っ掛けるための輪部が形成されてなることを特徴とする。
【0011】
本発明にかかる引出用部材によれば、平帯状の紐部材を180°折り返して端部が同じ方向を向くように並列させることで、大きな面積の接合領域を確保することができ、函付き本やファイルやバインダーといった書類保管部材に対して大きな面積を使用して両面テープで接合することができる。そのため、函付き本や書類保管部材に対して強力に取り付けることができる。また、平帯状の紐を使用することで、輪部の端部は平面部が内側となるようなリング状の輪部が形成され、指を入れることで指の腹で紐部材の平面を容易に引っ掛けることができる。このように、本発明にかかる引出用部材によれば、強い力でつまむ必要がなく、引っ掛けて引くという動作のみで容易に函付き本や書類保管部材を棚から引き出すことができる。
【0012】
また、本発明にかかる引出用部材において、前記端部は、同じ側の面が同じ方向を向くように形成されていることを特徴とするものであってもよい。
【0013】
かかる構成を採用することによって、輪部の端部は平面部が内側となるようなリング状の輪部が形成され、一方側が広く開口し、他方側が狭い開口に形成される。そのため、指を入れやすく、かつ指を入れることで指の腹で紐部材の平面を容易に引っ掛けることができる。また、より指を引っ掛けやすく、引き出す際にも指が外れる可能性を低減して、より効果的に函付き本や書類保管部材を本棚から引き出すことができる。
【0014】
さらに、本発明にかかる引出用部材において、前記両面テープは、前記輪部の内面側を形成する面の端部に設けられていることを特徴とするものであってもよい。
【0015】
かかる構成を採用することによって、引出用部材を函付き本の上端面又は書類保管部材の背表紙の上端の内面に、輪部が背表紙の上端から延出するように両面テープで貼着すると、函付き本や書類保管部材の上端部に、下側が開口した輪状となるように輪部が配置される。そのため、輪部に対して下方から上棚に向かって指を挿入することによって、容易に輪部に指を引っ掛けることができる。また、引出用部材を函付き本の下端面又は書類保管部材の背表紙の下端の内面に、輪部が背表紙の下端から延出するように両面テープを貼着すると、上側が開口した輪状となるように輪部が配置される。そのため、輪部に対して上方から下棚に向かって指を挿入することによって、容易に輪部に指を引っ掛けることができる。このため、指を引っ張ることによって容易に棚からファイルを取り出すことができる。
【0016】
さらに、本発明にかかる引出用部材において、両方の前記端部は、縫製により互いに固定されてなる縫製部を有することを特徴とするものであってもよい。
【0017】
かかる構成を採用することによって、両方の端部同士が離れる可能性を低減することができる。
【0018】
さらに、本発明は、上述した引出用部材が、両面テープによって背表紙の上端又は下端の内面に、輪部が背表紙の上端又は下端から延出するように貼着されていることを特徴とする書類保管部材を提供する。
【0019】
かかる構成を採用することによって、上述した効果を有する書類保管部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施形態にかかる引出用部材100の構成の概略を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態にかかる引出用部材100の構成の概略を示す正面図及び背面図である。
図3図3は、実施形態にかかる引出用部材100をファイル110に取り付けた状態を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態にかかる引出用部材100を函付き本120の函に取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明にかかる引出用部材100及びこの引出用部材100が貼着された書類保管部材としてファイル110を例として実施形態について、図を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0022】
図1には、実施形態にかかる引出用部材100の斜視図が示されている。本実施形態にかかる引出用部材100は、図1Aに示すように、平らな帯状の紐部材10と、両面テープ20と、を備えている。紐部材10は、プラスチック製のシート、編み紐等、種々のものを選択することができる。幅は、限定するものではないが、5.0mm~3.0cmのものを使用するとよい。かかる幅のものを使用することで、指を引っ掛けやすい輪部11とすることができる。紐部材10は、図1Bに示すように、180°折り返されて、端部12の方向Aが同じ方向に向くように並列に配置し、両面テープ20で固定する。これにより、端部12の反対側に輪部11が形成される。この際に、端部12は、同じ側の面が同じ側に配置されるように端部12同士を並列に配置することが好ましい。このように構成することによって、この際に、輪部11の端面11a(端部12と反対側の最も遠い紐部材10の部位)は、端部12の面に対して角度を有する面に形成され、輪部11において内側に配置される面15(以下、「内面」という。)の側が開いた開口側となり、反対側の面16(以下、「外面」という。)は、狭い開口に形成される。これにより、内面15側からは、指を挿入して輪部11に指を引っ掛けやすいものとなる。好ましくは、輪部11の端面11aは、内面15の開口側が端部12に近くなるように斜めに形成するとよい。このような面とすることで、指を引っ掛けやすく、引き出す際に指がすべって輪部11から指が外れることを低減することができる。さらに、図1Bに示すように、任意に互いの位置を固定することができるように縫製された縫製部13を設けても良い。縫製部13の縫い目の形態は特に限定するものではなく、互いに端部12が離れることがないように縫製されていればよい。このように端部12を縫製することによって、端部12同士が分離される可能性を低減することができる。
【0023】
両面テープ20は、図1Bに示すように、紐部材10の両側の端部12に跨がるようにして取り付けられる。本発明では、平たい帯状の紐部材10であることに加え、端部12が並列に配置されていることから、紐部材10の幅の2倍の接着面積とすることができるため、より強力に函付き本120やファイル110に取り付けることができる。なお、両面テープ20は、輪部11の内面側と同じ側の面の端部12に設けることが好ましい。理由は後述する。
【0024】
こうして作製された引出用部材100は、書類、名刺等の紙類を保管するファイルや、CD-ROMやDVD等の光学記録媒体等を保管するバインダー等の書類保管部材、又は函付き本120に貼着して使用される。以下、引出用部材100を書類保管部材としてファイル110に取り付けて使用する方法について説明する。引出用部材100は、図2に示すように、背表紙110aの上端110bの内面側(裏面側)に両面テープ20で貼着し、輪部11が上端110bから延出するようにして使用される。このように貼着することで、本棚にファイル110を収納した場合に、上方の棚によって、図3に示すように、正面側に折れるようにして配置され、開口が下面側となるように配置される。そのため指を輪部11の下側から上の棚の下面に押し付けるように指を配置することで、指を輪部11の中に配置でき、そのまま指を手前に引き出すことで、輪部11の端面11aに指が引っかかり、ファイル110を引き出すことができる。また引き出す際に、両面テープ20による貼着部は、背表紙110aの内面側であるので、引出用部材100を引っ張る際には、接着面に押し付けるように力が加わるので、引出用部材100がファイル110から外れる可能性を低減することができる。また、引出用部材100は、背表紙110aの下端の内面側に輪部11が下端から延出するように貼着して使用してもよい。この場合は、図3に対し上下が逆さまとなるように取り付けられる。このように貼着することで、棚にファイル110を収納した場合に、下方の棚によって、正面側に折れるようにして配置され、開口が上面側となるように配置される。そのため指を輪部11の上側から下の棚の上面に押し付けるように指を配置することで、指を輪部11の中に配置でき、そのまま指を手前に引き出すことで、輪部11の端面11aに指が引っかかり、引き出すことができる。
【0025】
次に、函付き本120に使用する方法について、図4に沿って説明する。引出用部材100は、図4に示すように、本を収容する函120dの上端120bの上面に両面テープ20で貼着し、輪部11が上端120bから前方に延出するようにして使用される。このように貼着することで、本棚に函120d付き本を収納した場合に、上方の棚によって、正面側に折れるようにして配置され、開口が下面側となるように配置される。そのため指を輪部11の下側から上の棚の下面に押し付けるように指を配置することで、指を輪部11の中に配置でき、そのまま指を手前に引き出すことで、輪部11の端面11aに指が引っかかり、函付き本120を引き出すことができる。また引き出す際に、両面テープ20による貼着部は、函120dの上面であるので、引出用部材100を引っ張る際には、接着面にスライドする方向に力が加わるので、引出用部材100がファイル110から外れる可能性を低減することができる。なお、引出用部材100は、本を収容する函120dの下端120cの下面に両面テープ20で貼着し、輪部11が上端120bから前方に延出するようにして使用してもよい。
【0026】
このように、本発明にかかる引出用部材100によれば、既存の函付き本120や、ファイル又はバインダー等の書類保管部材に貼着するだけで、正面側に開口を有し指の入れやすい輪部11が形成され、指を挿入し、引くという動作で容易に函付き本120や書類保管部材を棚から取り出すことができる。そのため、棚の縦寸法は、使用する函付き本120や書類保管部材に対して、わずかの隙間ですむため、本棚等を効率的に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
上述した実施の形態で示すように、ファイルを取り出すための部材として産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0028】
10…紐部材、11…輪部、11a…端面、12…端部、13…縫製部、15…内面、100…引出用部材、110…ファイル、110a…背表紙、110b…上端、120…函付き本、120b…上端、120c…下端、120d…函



図1
図2
図3
図4