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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047266
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】ロボット教示装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20220316BHJP
   G05B 19/42 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
B25J9/22 A
G05B19/42 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153080
(22)【出願日】2020-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】北川 諒
【テーマコード(参考)】
3C269
3C707
【Fターム(参考)】
3C269AB33
3C269BB09
3C269MN40
3C269QC10
3C269SA17
3C707JS01
3C707JU14
3C707LS08
3C707LS20
3C707MT01
(57)【要約】
【課題】 実機環境又はシミュレータ環境に接続する際に、容易に、対応する適切なロボット制御装置又はシミュレータに接続することができるロボット教示装置を提供することである。
【解決手段】 本発明に係るロボット教示装置100は、ロボットを制御するロボット制御装置及びシミュレータ環境におけるシミュレータに接続可能であって、検出部110、対応表記憶部120、接続履歴記憶部130、判定部140、接続案内部150、接続決定部160及び接続部170を備える。検出部110は、通信可能なロボット制御装置又はシミュレータを検出し、判定部140は、接続履歴に基づいて他方環境における直前接続機器を特定し、対応表に基づいて直前接続機器に対応するロボット制御装置又はシミュレータを判定する。接続部170は、判定されたロボット制御装置又はシミュレータに接続する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットを制御するロボット制御装置及びシミュレータ環境におけるシミュレータに接続可能な接続部と、
前記ロボット制御装置及びシミュレータに接続した接続履歴を記憶する接続履歴記憶部と、
前記ロボットを制御するロボット制御装置と、当該ロボットの動作をシミュレーションするためのシミュレータとが対応付けられる対応表を予め記憶する対応表記憶部と、
実機環境又はシミュレータ環境のうち、接続しようとする接続環境において通信可能なロボット制御装置又はシミュレータを検出する検出部と、
前記接続履歴に基づいて前記接続環境の他方の環境において直前に接続されていたロボット制御装置又はシミュレータを直前接続機器として特定し、前記接続環境において検出されたロボット制御装置又はシミュレータのうち、前記対応表に基づいて前記直前接続機器に対応するロボット制御装置又はシミュレータを判定する判定部と、を備え、
前記接続部は、前記判定されたロボット制御装置又はシミュレータに接続する、
ロボット教示装置。
【請求項2】
前記判定部によって判定されたロボット制御装置又はシミュレータとの接続を案内する接続案内部を、さらに備える、
請求項1に記載のロボット教示装置。
【請求項3】
前記接続案内部は、
前記検出部によって検出されたロボット制御装置又はシミュレータとの接続を案内し、
前記判定部によって判定されたロボット制御装置又はシミュレータを他のロボット制御装置又はシミュレータとは異なる表示態様で案内する、
請求項2に記載のロボット教示装置。
【請求項4】
前記接続履歴に基づいて前記接続環境の他方の環境において直前に接続されていたロボット制御装置又はシミュレータが存在しない場合、又は前記対応表に基づいて前記直前接続機器に対応するロボット制御装置又はシミュレータが前記検出部によって検出されない場合、前記検出部によって検出されたロボット制御装置又はシミュレータとの接続を案内する接続案内部を、さらに備える、
請求項1に記載のロボット教示装置。
【請求項5】
前記接続部は、前記判定部によって判定されたロボット制御装置又はシミュレータに自動的に接続する、
請求項1に記載のロボット教示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット教示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業界において、多くのロボットが普及している。当該ロボットは、例えば、電子部品及び機械部品の組み立て、溶接及び搬送等に用いられ、工場の生産ラインの効率化及び自動化が図られている。このようなロボットは、所望の動作をさせるためのプログラムを作成して、所謂教示データとして予め記憶させておく必要がある。当該教示データは、操作者がティーチペンダントを用いて実際のロボットを操作することによって動作を記憶させて生成されたり、実際のロボットを動作させずに、シミュレータ環境におけるシミュレーションによって生成されたりする。
【0003】
特許文献1では、作業員が実際の教示に近い操作方法や操作感覚でティーチペンダントを用いてシミュレータ環境の仮想ロボットを操作することによって、オフラインティーチングによるロボット教示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-236784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、シミュレータ環境で用いたロボット教示装置を実機環境に接続を切り替える方法は提案されていない。シミュレータ環境において得られた教示成果を実機環境に適用する際に、シミュレータ環境におけるシミュレータに対応する実機環境(ロボット)に接続しなければならないところ、仮に、誤って他のロボットに接続すると想定とは異なる動きをしてしまう可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、実機環境又はシミュレータ環境に接続する際に、容易に、対応する適切なロボット制御装置又はシミュレータに接続することができるロボット教示装置を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るロボット教示装置は、ロボットを制御するロボット制御装置及びシミュレータ環境におけるシミュレータに接続可能な接続部と、ロボット制御装置及びシミュレータに接続した接続履歴を記憶する接続履歴記憶部と、ロボットを制御するロボット制御装置と、当該ロボットの動作をシミュレーションするためのシミュレータとが対応付けられる対応表を予め記憶する対応表記憶部と、実機環境又はシミュレータ環境のうち、接続しようとする接続環境において通信可能なロボット制御装置又はシミュレータを検出する検出部と、接続履歴に基づいて接続環境の他方の環境において直前に接続されていたロボット制御装置又はシミュレータを直前接続機器として特定し、接続環境において検出されたロボット制御装置又はシミュレータのうち、対応表に基づいて直前接続機器に対応するロボット制御装置又はシミュレータを判定する判定部と、を備え、を備え、接続部は、判定されたロボット制御装置又はシミュレータに接続する。
【0008】
この態様によれば、検出部は、接続しようとする接続環境において通信可能なロボット制御装置又はシミュレータを検出する。判定部は、接続履歴記憶部に記憶されている接続履歴に基づいて、接続環境の他方の環境において直前に接続されていたロボット制御装置又はシミュレータを直前接続機器として特定する。そして、対応表記憶部に予め記憶されている対応表に基づいて当該特定された直前接続機器に対応するロボット制御装置又はシミュレータを判定する。これにより、実機環境に接続する際には、誤って他のロボット制御装置に接続して、ロボットが想定とは異なる動作をするという問題を回避することができるとともに、容易に、対応する適切なロボット制御装置に接続することができる。また、シミュレータ環境に接続する際には、誤って他のシミュレータに接続して仮想ロボットが想定とは異なる動作をしたとしても大きな問題とならないものの、複数のシミュレータの中から、容易に、対応する適切なシミュレータに接続することができる。
【0009】
上記態様において、判定部によって判定されたロボット制御装置又はシミュレータとの接続を案内する接続案内部を、さらに備えてもよい。
【0010】
この態様によれば、接続案内部は、判定部によって判定されたロボット制御装置又はシミュレータとの接続を案内するため、誤って他のロボット制御装置又はシミュレータに接続する可能性を低減することができるとともに、容易に、対応する適切なロボット制御装置又はシミュレータに接続することができる。
【0011】
上記態様において、接続案内部は、検出部によって検出されたロボット制御装置又はシミュレータとの接続を案内し、判定部によって判定されたロボット制御装置又はシミュレータを他のロボット制御装置又はシミュレータとは異なる表示態様で案内してもよい。
【0012】
この態様によれば、接続案内部は、判定部によって判定されたロボット制御装置又はシミュレータを他のロボット制御装置又はシミュレータとは異なる表示態様で案内するため、ユーザは、容易に、対応する適切なロボット制御装置又はシミュレータを認識することができる。また、対応する適切なロボット制御装置又はシミュレータに接続できる一方で、他のロボット制御装置又はシミュレータを選択して接続することもできる。
【0013】
上記態様において、接続履歴に基づいて接続環境の他方の環境において直前に接続されていたロボット制御装置又はシミュレータが存在しない場合、又は対応表に基づいて直前接続機器に対応するロボット制御装置又はシミュレータが検出部によって検出されない場合、検出部によって検出されたロボット制御装置又はシミュレータとの接続を案内する接続案内部を、さらに備えてもよい。
【0014】
この態様によれば、接続案内部は、検出部によって検出されたロボット制御装置又はシミュレータとの接続を案内するため、対応する適切なロボット制御装置又はシミュレータが存在しない、又は検出されない場合であっても、通信可能なロボット制御装置又はシミュレータをユーザに案内する。そして、案内されたロボット制御装置又はシミュレータについて、接続するか否かを含めてユーザに判断させて、適切なロボット制御装置又はシミュレータであれば接続することができる。
【0015】
上記態様において、接続部は、判定部によって判定されたロボット制御装置又はシミュレータに自動的に接続してもよい。
【0016】
この態様によれば、接続部は、判定部によって判定されたロボット制御装置又はシミュレータに自動的に接続するため、ユーザとしても確認等の手間が掛からず、容易かつ早急に、対応する適切なロボット制御装置又はシミュレータに接続することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、実機環境又はシミュレータ環境に接続する際に、容易に、対応する適切なロボット制御装置又はシミュレータに接続することができるロボット教示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るロボットシステム10を示すシステム概要図である。
図2】本発明の一実施形態に係るロボット教示装置100における各機能を示す機能ブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係るロボット教示装置の接続方法300を示すフローチャートである。
図4】ロボット制御装置及びシミュレータの接続実績を示す接続履歴の一例を示す図である。
図5】ロボット制御装置とシミュレータとが対応付けられる対応表の一例を示す図である。
図6】対応するロボット制御装置への接続案内を示す表示画面の一例である。
図7】対応するロボット制御装置が存在しない場合又は対応するロボット制御装置に接続しない場合において、通信可能な他のロボット制御装置への接続案内を示す表示画面の一例である。
図8】対応するロボット制御装置及び他のロボット制御装置への接続案内を示す表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、あくまで、本発明を実施するための具体的な一例を挙げるものであって、本発明を限定的に解釈させるものではない。また、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0020】
[ロボットシステムの概要]
図1は、本発明の一実施形態に係るロボットシステム10を示すシステム概要図である。図1において、ロボットシステム10は、実機環境とシミュレータ環境とを備えており、ロボット教示装置100は、実機環境におけるロボット制御装置20及びシミュレータ環境におけるシミュレータ40に接続される。ロボット教示装置100、ロボット制御装置20及びシミュレータ40は、それぞれ通信部(図示せず)を備えており、例えば、無線LAN及びWiFi等を利用して無線通信を行うように構成されていてもよいし、各種の有線による通信を行うように構成されていてもよい。
【0021】
ロボット制御装置20は、記憶部21と制御部22とを備え、ロボット30を制御している。シミュレータ40は、記憶部41と制御部42と仮想ロボット43とを備え、ロボット30の動作をシミュレーションする仮想ロボット43を制御している。
【0022】
ロボット教示装置100は、典型的には、ティーチペンダントであり、ロボット30の動作及びシミュレータ環境における仮想ロボット43の動作を作業者が確認しながら最適な教示情報を入力できるように構成されている。
【0023】
より具体的には、実機環境においてロボット教示装置100を用いる場合には、作業者は、ロボット30の動作を確認しながら最適な教示情報を当該ロボット教示装置100に入力する。ロボット教示装置100に入力された教示情報は、ロボット制御装置20に送信され、記憶部21に記憶される。そして、制御部22は、記憶部21に記憶される教示情報に基づいてロボット30を制御する。
【0024】
一方、シミュレータ環境においてロボット教示装置100を用いる場合には、作業者は、仮想ロボット43の動作を確認しながら最適な教示情報を当該ロボット教示装置100に入力する。ロボット教示装置100に入力された教示情報は、シミュレータ40に送信され、記憶部41に記憶される。そして、制御部42は、記憶部41に記憶される教示情報に基づいて仮想ロボット43を制御する。ここで、仮想ロボット43とは、ロボット30の動作をシミュレーションするためにシミュレータ40に構成されたものであって、コンピュータ上で動作するものである。
【0025】
例えば、作業者は、ロボット教示装置100をシミュレータ環境におけるシミュレータ40に接続し、ロボット教示装置100を用いて仮想ロボット43の動作を確認する。その後、作業者は、ロボット教示装置100を実機環境におけるロボット制御装置20に接続し、シミュレータ環境での仮想ロボット43の動作(シミュレーション)に基づいて、ロボット教示装置100を用いて、実際に、ロボット30を動作させる。さらに、作業者は、再び、ロボット教示装置100をシミュレータ環境におけるシミュレータ40に接続し、ロボット教示装置100を用いて仮想ロボット43の動作を確認する場合もある。
【0026】
ここで、工場等の生産ラインにおいて、実機環境には、多数のロボットが存在し、シミュレータ環境には、当該多数のロボットに対応する多数のシミュレータが存在する。このため、作業者は、実機環境及びシミュレータ環境において繰り返してロボット教示装置100を使用すると、多数のロボット又は多数のシミュレータの中から、適切なロボット又はシミュレータを探して、接続することになる。
【0027】
[ロボット教示装置の構成]
実機環境とシミュレータ環境とを切り替えて使用するロボット教示装置100について、詳細を説明する。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係るロボット教示装置100における各機能を示す機能ブロック図である。図2において、ロボット教示装置100は、検出部110と、対応表記憶部120と、接続履歴記憶部130と、判定部140と、接続案内部150と、接続決定部160と、接続部170とを備える。
【0029】
検出部110は、実機環境又はシミュレータ環境のうち、接続しようとする接続環境において通信可能なロボット制御装置20又はシミュレータ40を検出する。例えば、ロボット教示装置100を実機環境で用いる場合には、検出部110は、当該実機環境において、電源がONされており、通信可能なロボット制御装置20を検出する。通信可能な状態とは、例えば、有線を介して通信する場合には、有線で接続されており、無線で通信する場合には、無線LANやWifi等が設定されており、オンラインで利用可能な状態である。同様に、ロボット教示装置100をシミュレータ環境で用いる場合には、検出部110は、当該シミュレータ環境において、電源がONされており、通信可能なシミュレータ40を検出する。
【0030】
対応表記憶部120には、ロボット30を制御するロボット制御装置20と、当該ロボット30の動作をシミュレーションするためのシミュレータ40とが対応付けられる対応表を予め記憶されている。例えば、実機環境には、ロボット制御装置A~Eがそれぞれ制御するロボットが存在し、シミュレータ環境には、当該ロボットそれぞれの動作をシミュレーションするシミュレータa~e(仮想ロボットを含む)が存在している場合、対応表には、ロボット制御装置A~Eと、当該ロボット制御装置A~Eに対応するシミュレータa~eとが対応付けられている。
【0031】
なお、対応表では、マシン名、コンピュータ名及びIPアドレス等を用いて各ロボット制御装置20及びシミュレータ40が特定されても構わないし、各ロボット制御装置20及びシミュレータ40に付与されるその他の識別情報等を用いて特定されても構わない。
【0032】
接続履歴記憶部130には、ロボット制御装置20及びシミュレータ40に接続した接続履歴を記憶されている。例えば、接続日時、ロボット制御装置20及びシミュレータ40等の接続機器が記憶されていても構わないし、その他、接続機器のIPアドレス、接続時間及び作業者等の情報が記憶されていても構わない。
【0033】
なお、対応表記憶部120及び接続履歴記憶部130は、例えば、メモリ等の記憶媒体であって、ファイル形式又はデータベースとして、各種データ等を記憶しても構わない。
【0034】
判定部140は、接続履歴記憶部130に記憶されている接続履歴に基づいて、接続しようとする接続環境の他方の環境において、直前に接続されていたロボット制御装置20又はシミュレータ40を直前接続機器として特定する。そして、判定部140は、検出部110によって検出されたロボット制御装置20又はシミュレータ40のうち、対応表記憶部120に記憶されている対応表に基づいて、直前接続機器に対応するロボット制御装置20又はシミュレータ40を判定する。
【0035】
例えば、ロボット教示装置100を実機環境に接続しようとする場合(実機環境が接続環境である場合)、判定部140は、シミュレータ環境において直前に接続されていたシミュレータ40を直前接続機器として特定する。そして、判定部140は、検出部110によって検出されたロボット制御装置20のうち、対応表記憶部120に記憶されている対応表に基づいて、直前接続機器として特定されたシミュレータ40に対応するロボット制御装置20を判定する。
【0036】
一方、ロボット教示装置100をシミュレータ環境に接続しようとする場合(シミュレータ環境が接続環境である場合)、判定部140は、実機環境において直前に接続されていたロボット制御装置20を直前接続機器として特定する。そして、判定部140は、検出部110によって検出されたシミュレータ40のうち、対応表記憶部120に記憶されている対応表に基づいて、直前接続機器として特定されたロボット制御装置20に対応するシミュレータ40を判定する。
【0037】
接続案内部150は、判定部140によって判定されたロボット制御装置20又はシミュレータ40との接続を案内する。例えば、接続案内部150は、当該ロボット制御装置20又はシミュレータ40を、ロボット教示装置100に備えられている画面に表示することにより案内しても構わないし、その際に、ダイアログボックスを用いて案内しても構わない。また、ロボット教示装置100とは別のモニタ等に表示することにより案内しても構わないし、その他音声等を用いて案内しても構わない。
【0038】
接続決定部160は、接続案内部150によって案内されたロボット制御装置20又はシミュレータ40との接続を、ユーザに決定させる。例えば、「接続する」及び「接続しない」のボタンをユーザに押下させることにより、接続案内部150によって案内されたロボット制御装置20又はシミュレータ40との接続について、最終的に、接続を実行するか否かをユーザに決定させても構わない。
【0039】
接続部170は、接続案内部150によって案内され、接続決定部160によってユーザに接続を決定させたロボット制御装置20又はシミュレータ40に接続する。
【0040】
なお、ここでは、判定部140によって判定されたロボット制御装置20又はシミュレータ40に接続することについて、接続案内部150及び接続決定部160によって最終的にはユーザに決定させる構成としているが、これに限定されるものではない。例えば、接続部170は、判定部140によって判定されたロボット制御装置20又はシミュレータ40に自動的に接続するように構成されていても構わない。
【0041】
[ロボット教示装置の接続方法]
図3は、本発明の一実施形態に係るロボット教示装置の接続方法300を示すフローチャートである。図3において、ロボット教示装置の接続方法300は、ステップS301~S310を含み、各ステップはロボット教示装置100によって実行される。また、ここでは、実機環境及びシミュレータ環境のうち、ロボット教示装置100を実機環境に接続しようとする場合を例に挙げて詳しく説明する。
【0042】
ステップS301では、使用環境選択部(図示せず)は、実機環境又はシミュレータ環境のいずれの環境において、当該ロボット教示装置100を使用するかを、ユーザに選択させる。ここでは、ユーザによって実機環境が選択され、使用環境選択部は、当該ロボット教示装置100が実機環境において使用されることを受け付けたものとする(ステップS301のYes)。
【0043】
このように、実機環境又はシミュレータ環境に接続しようとする際に、使用環境選択部は、ロボット教示装置100をいずれの環境で使用するかを、ユーザに選択させるため、ロボット教示装置100にとって通信可能な接続機器を容易に検出することができる。
【0044】
ステップS302では、検出部110は、実機環境において、通信可能なロボット制御装置20を検索する。典型的には、検出部110は、実機環境において、電源がONされており、通信可能なロボット制御装置20を検索する。検出部110によって通信可能なロボット制御装置20が検出されれば、ステップS304の処理に進み(ステップS303のYes)、通信可能なロボット制御装置20が検出されなければ、処理を終了する(ステップS303のNo)。
【0045】
ここでは、検出部110は、通信可能なロボット制御装置A、B及びCを検出したものとする(ステップS303のYes)。
【0046】
ステップS304では、判定部140は、接続履歴記憶部130に記憶されている接続履歴に基づいて、シミュレータ環境において直前に接続していたシミュレータ40を直前接続機器として特定する。そして、判定部140は、ステップS302及びS303で検出された通信可能なロボット制御装置20のうち、対応表記憶部120に記憶されている対応表に基づいて、直前接続機器として特定されたシミュレータ40に対応するロボット制御装置20を確認する。対応するロボット制御装置20があれば、ステップS305の処理に進み(ステップS304のYes)、対応するロボット制御装置20がなければ、ステップS308の処理に進む(ステップS304のNo)。
【0047】
図4は、ロボット制御装置及びシミュレータの接続実績を示す接続履歴の一例を示す図である。図4において、ロボット教示装置100が接続したロボット制御装置20及びシミュレータ40について、接続日時、接続機器及び当該接続機器のIPアドレスが順に記憶されている。ここでは、ロボット教示装置100は、シミュレータ環境において直前にシミュレータbと接続していたものとし、判定部140は、当該シミュレータbを直前接続機器として特定する。
【0048】
図5は、ロボット制御装置とシミュレータとが対応付けられる対応表の一例を示す図である。図5において、実機環境におけるロボット制御装置A~Eについて、それらに対応するシミュレータ環境におけるシミュレータa~eがそれぞれ対応付けられている。ここでは、シミュレータbに対応するロボット制御装置として、判定部140は、ロボット制御装置Bを判定する(ステップS304のYes)。
【0049】
ステップS305では、接続案内部150は、判定部140によって判定されたロボット制御装置20との接続を案内する。ここでは、ステップS304において判定部140によってロボット制御装置Bが判定されているため、接続案内部150は、ロボット制御装置Bとの接続を案内する。
【0050】
図6は、対応するロボット制御装置への接続案内を示す表示画面の一例である。図6において、ダイアログボックスを用いて、シミュレータ環境において直前に接続していた直前接続機器としてシミュレータb、及び当該シミュレータbに対応するロボット制御装置として、今回、ロボット制御装置Bへの接続が案内されている。
【0051】
ステップS306では、接続決定部160は、ステップS305において接続案内部150によって案内されたロボット制御装置20との接続を、ユーザに決定させる。図6に示されたダイアログボックスにおいて、ロボット制御装置Bへの接続が案内されるとともに、「接続する」及び「接続しない」のボタンが設けられている。「接続する」又は「接続しない」のボタンをユーザに押下させることにより、接続案内部150によって案内されたロボット制御装置Bへの接続を実行するか否かをユーザに決定させている。
【0052】
ロボット制御装置Bへの接続について、「接続する」が選択された場合、ステップS307の処理に進み(ステップS306のYes)、「接続しない」が選択された場合、ステップS308の処理に進む(ステップS306のNo)。
【0053】
ステップS307では、接続部170は、ステップS305において接続案内部150によって案内され、ステップS306において接続決定部160によってユーザに接続を決定させたロボット制御装置20に接続する。ここでは、ステップS306においてロボット制御装置Bへの接続が案内され、ステップS307において「接続する」が選択されて、接続部170は、ロボット制御装置Bに接続する。
【0054】
このように、ステップS301~S304において、検出部110は、当該ロボット教示装置100を実機環境に接続する際に、当該実機環境において通信可能なロボット制御装置A、B及びCを検出する。判定部140は、接続履歴に基づいて、シミュレータ環境において直前に接続されていたシミュレータbを直前接続機器として特定し、対応表に基づいてシミュレータbに対応するロボット制御装置Bを判定する。その結果、実機環境に接続する際には、誤って他のロボット制御装置A又はCに接続して、ロボット30が想定とは異なる動作をするという問題を回避することができるとともに、容易に、対応する適切なロボット制御装置Bに接続することができる。
【0055】
また、ステップS305において、接続案内部150は、判定部140によって判定されたロボット制御装置Bとの接続を案内するため、誤って、万が一、他のロボット制御装置A又はCに接続する可能性を低減することができるとともに、容易に、対応する適切なロボット制御装置Bに接続することができる。
【0056】
さらに、ステップS306において、接続決定部160は、接続案内部150によって案内されたロボット制御装置Bについて、接続するか否かをユーザに決定させる。このため、接続前にユーザが確認し、より確実に且つ慎重に、対応する適切なロボット制御装置Bに接続することができる。ユーザにとっては、ロボット制御装置Bに接続しない選択も可能となるため、例えば、他の作業者が使用、設定変更、スケジュール変更、他作業の割り込み又は通信環境の状況等、ロボット制御装置Bに接続しない(接続できない)場合にも対応することができる。
【0057】
次に、ステップS304の「No」の場合及びステップS306の「No」の場合であって、ステップS308の処理に進む場合について説明する。
【0058】
ステップS304の「No」の場合とは、例えば、ロボット教示装置100がシミュレータ環境に接続された実績がない場合であって、判定部140は、接続履歴記憶部130に記憶されている接続履歴に基づいて、直前接続機器を特定できない場合が想定される。また、判定部140は、直前接続機器としてシミュレータbを特定し、シミュレータbに対応するロボット制御装置Bを確認した場合であっても、例えば、ロボット制御装置Bの電源がONされていなかったり、ステップS302及びS303において検出部110によって検索される範囲内に存在しなかったりする場合が想定される。
【0059】
ステップS306の「No」の場合とは、接続案内部150によって案内されたロボット制御装置Bとの接続について、ユーザが「接続しない」を選択した場合である。例えば、他の作業者が使用、設定変更、スケジュール変更、他作業の割り込み又は通信環境の状況等、ロボット制御装置Bに接続しない(接続できない)場合が想定される。さらに、ユーザがロボット制御装置B以外の他のロボット制御装置20に接続することを考えている場合も想定される。
【0060】
ステップS308では、接続案内部150は、ステップS302及びS303において検出部110によって検出されたロボット制御装置20との接続を案内する。
【0061】
ここでは、直前接続機器としてシミュレータbが特定され、当該シミュレータbに対応するロボット制御装置として、判定部140は、ロボット制御装置Bを判定したものとする。さらに、ロボット制御装置Bの電源がオンされていない(ステップS304のNo)、又はユーザがロボット制御装置Bとの接続について「接続しない」を選択したものとする(ステップS306のNo)。
【0062】
図7は、対応するロボット制御装置が存在しない場合又は対応するロボット制御装置に接続しない場合において、通信可能な他のロボット制御装置への接続案内を示す表示画面の一例である。図7において、ダイアログボックスを用いて、対応するロボット制御装置B以外であって、ステップS302及びS303において検出部110によって検出された通信可能なロボット制御装置A及びCへの接続が案内されている。
【0063】
ステップS309では、接続決定部160は、ステップS308において接続案内部150によって案内されたロボット制御装置20との接続を、ユーザに決定させる。図7に示されたダイアログボックスにおいて、ロボット制御装置A及びCへの接続が案内されるとともに、「接続する」及び「接続しない」のボタンが設けられている。「ロボット制御装置A」又は「ロボット制御装置C」のいずれかをユーザに選択させて、「接続する」のボタンを押下させることにより、接続案内部150によって案内されたロボット制御装置A又はCへの接続をユーザに決定させている(ステップS309のYes)。又は、「接続しない」のボタンをユーザに押下させることにより、接続案内部150によって案内されたロボット制御装置A及びCのいずれにも接続しないことをユーザに決定させている(ステップS309のNo)。
【0064】
「ロボット制御装置A」又は「ロボット制御装置C」のいずれかが選択された状態で、「接続する」が選択された場合、ステップS310の処理に進み(ステップS309のYes)、「接続しない」が選択された場合、処理を終了する(ステップS309のNo)。
【0065】
ステップS310では、接続部170は、ステップS308において接続案内部150によって案内され、ステップS309において接続決定部160によってユーザに接続を決定させたロボット制御装置20に接続する。ここでは、ステップS308においてロボット制御装置A及びCへの接続が案内され、ステップS309において「ロボット制御装置A」が選択された状態で、「接続する」が選択されて、接続部170は、ロボット制御装置Aに接続する。
【0066】
このように、対応する適切なロボット制御装置Bが存在しない、検出されない、又は接続しない(接続できない)場合等であっても、ステップS308~S310において、接続案内部150は、ステップS302及びS303において検出部110によって検出された通信可能なロボット制御装置A及びCへの接続をユーザに案内する。そして、案内されたロボット制御装置A及びCについて、接続するか否かを含めてユーザに判断させている。その結果、対応する適切なロボット制御装置Bに接続しない(接続できない)場合であっても、ロボット制御装置A及びCが適切な接続機器であると判断すれば接続することができ、適切でないと判断すれば接続しなければ良い。
【0067】
以上のように、本発明の一実施形態に係るロボット教示装置100及びロボット教示装置の接続方法300によれば、実機環境に接続する際に、容易に、対応する適切なロボット制御装置20に接続することができる。
【0068】
なお、本実施形態では、ステップS301において、ロボット教示装置100を実機環境で使用することをユーザに選択させていたが、ユーザに選択させなくても構わない。例えば、実機環境のエリアにおいて、検出部110は、通信可能なロボット制御装置20を検索する際に、シミュレータ環境に存在するシミュレータ40が検索の範囲外であれば、実機環境における通信可能なロボット制御装置20のみが検出されることになる。換言すれば、ロボット教示装置100に対して、シミュレータ40は、物理的に有線で接続されておらず、又は、無線の電波が届く範囲外であれば、当該シミュレータ40は検出されない。
【0069】
また、本実施形態では、接続案内部150は、ステップS305において、シミュレータbに対応するロボット制御装置Bへの接続を案内し、ステップS308において、ロボット制御装置B以外であって、他の通信可能なロボット制御装置A及びCへの接続を案内していたが、これらを一緒に、案内するようにしても構わない。
【0070】
図8は、対応するロボット制御装置及び他のロボット制御装置への接続案内を示す表示画面の一例である。図8において、ダイアログボックスを用いて、ステップS302及びS303において検出部110によって検出された通信可能なロボット制御装置A、B及びCへの接続が案内されている。
【0071】
ここで、ロボット制御装置Bは、他のロボット制御装置A及びCとは異なる表示態様で案内されている。ロボット制御装置Bは、シミュレータ環境において直前に接続されていたシミュレータbに対応するロボット制御装置であり、他のロボット制御装置A及びCよりも接続される可能性が高いため、優先的に接続案内されることが好ましい。
【0072】
そして、接続案内部150によってロボット制御装置A、B及びCへの接続が案内され、接続決定部160によって「ロボット制御装置B」が選択された状態で「接続する」を、ユーザに選択させて、接続部170は、ロボット制御装置Bに接続する。
【0073】
なお、図8に示されるように、ロボット制御装置Bは、他のロボット制御装置A及びCに比べて、大きく太い文字を用いて表示されているが、優先的に接続案内する態様としては、これに限定されるものではない。例えば、文字の色を変える、点滅させる、ハイライトする、書体を変える、及び印を付す等、接続するロボット制御装置を選択させるユーザに対して、目立って注意を惹くような強調された表示態様であれば、何でも構わない。また、表示態様のみならず、警告音や音声を用いて案内するようにしても構わない。
【0074】
このように、ユーザは、容易に、対応する適切なロボット制御装置Bを認識することができ、当該ロボット制御装置Bに接続できるとともに、他の通信可能なロボット制御装置A及びCも認識することができ、これらを選択して接続することもできる。
【0075】
また、本実施形態では、接続案内部150は、ステップS305において、シミュレータbに対応するロボット制御装置Bへの接続を案内し、ステップS306において、ユーザに接続を決定させていたが、これらを省略するような構成であっても構わない。例えば、ステップS304においてシミュレータbに対応するロボット制御装置Bが判定されれば、自動的にロボット制御装置Bに接続するようにしても構わない。その結果、ユーザとしても確認等の手間が掛からず、容易かつ早急に、対応する適切なロボット制御装置Bに接続することができる。
【0076】
以上、図3図8において、実機環境及びシミュレータ環境のうち、ロボット教示装置100を実機環境に接続しようとする場合を例に挙げて詳しく説明したが、シミュレータ環境に接続しようとする場合(ステップS301のNo)も同様の処理の流れになる。
【0077】
ロボット教示装置100は、シミュレータ環境において通信可能なシミュレータを検出し(ステップS302及びS303)、直前接続機器として特定されたロボット制御装置20に対応するシミュレータ40を判定する(ステップS304)。そして、対応するシミュレータ40への接続を案内して(ステップS305)、ユーザに接続を決定させて(ステップS306)、接続する(ステップS307)。
【0078】
また、ロボット教示装置100が実機環境に接続された実績がない場合又は対応するシミュレータ40が検出されていない場合(ステップS304のNo)、及び案内されたシミュレータ40との接続について、ユーザが「接続しない」を選択した場合(ステップS306)には、接続案内部150は、他の通信可能なシミュレータ40との接続を案内する(ステップS308)。そして、他の通信可能なシミュレータ40との接続について、ユーザに選択及び決定させて(ステップS309)、接続する(ステップS310)。
【0079】
その他、シミュレータ環境に接続しようとする場合における処理については、実機環境に接続しようとする場合と同様であるため、詳細な説明は省略する。シミュレータ環境に接続する際には、誤って他のシミュレータ40に接続して仮想ロボット43が想定とは異なる動作をしたとしても大きな問題とならないものの、複数のシミュレータ40の中から、容易に、対応する適切なシミュレータ40に接続することができる。
【0080】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0081】
10…ロボットシステム、20…ロボット制御装置、21,41…記憶部、22,42…制御部、30…ロボット、40…シミュレータ、43…仮想ロボット、100…ロボット教示装置、110…検出部、120…対応表記憶部、130…接続履歴記憶部、140…判定部、150…接続案内部、160…接続決定部、170…接続部、300…ロボット教示装置の接続方法、S301~S310…ロボット教示装置の接続方法300の各ステップ、A~E…ロボット制御装置、a~e…シミュレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8