(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047268
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】降雪センサ
(51)【国際特許分類】
G01W 1/14 20060101AFI20220316BHJP
E01H 5/00 20060101ALI20220316BHJP
E01H 3/04 20060101ALI20220316BHJP
E01H 5/10 20060101ALN20220316BHJP
【FI】
G01W1/14 B
E01H5/00 Z
E01H3/04 Z
E01H5/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153082
(22)【出願日】2020-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
【テーマコード(参考)】
2D026
【Fターム(参考)】
2D026BB01
2D026BB04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】小型かつ安価に、長距離の検出が可能である降雪センサを提供する。
【解決手段】降雪センサは、光を照射する投光部23と、ターゲットで反射した前記光を検出する受光部24と、を有し、検出エリア内の前記ターゲットまでの距離を測定する測距センサ13と、前記測距センサの検出結果を取得し、前記測距センサの検出結果に基づき降雪情報を検出する制御部に送る処理部25と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射する投光部と、ターゲットで反射した前記光を検出する受光部と、を有し、検出エリア内の前記ターゲットまでの距離を測定する測距センサと、
前記測距センサの検出結果を取得し、前記測距センサの検出結果に基づき降雪情報を検出する制御部に送る処理部と、を備える降雪センサ。
【請求項2】
前記制御部は、前記測距センサにより測定された前記ターゲットまでの距離の変化に基づき降雪量をカウントする、請求項1に記載の降雪センサ。
【請求項3】
前記制御部は、検出された測定距離が、前回の測定距離より、近距離であった場合、もしくは、検出された測定距離が前回の測定距離より遠距離であり、かつ、検出された測定距離が所定の遠距離閾値以下であった場合、雪片検出したと判断して、雪片数にカウントする、請求項2に記載の降雪センサ。
【請求項4】
前記制御部と有線もしくは無線により接続されたホスト制御部の操作部にて、自動モードが選択された時点で、前記測距センサにより測定された測定距離が所定の遠距離閾値より近距離であった場合、所定の遠距離閾値を上記の測定距離に変更する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の降雪センサ。
【請求項5】
前記測距センサの前記投光部と前記受光部とが垂直に並べて配置される請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の降雪センサ。
【請求項6】
前記制御部は、作業者が、前記操作部の試運転ボタンを押した場合に、前記制御部と有線もしくは無線により接続された表示部にて、測定された距離を表示する請求項4に記載の降雪センサ。
【請求項7】
前記投光部から照射される前記光は、波長800~1200nmの近赤外線パルス光である、請求項1乃至6のいずれかに記載の降雪センサ。
【請求項8】
温度を検出する温度センサを備え、
前記温度センサによって検出される温度が一定温度以下である場合に、前記測距センサを作動させる、請求項1乃至7のいずれかに記載の降雪センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融雪装置に用いられる降雪センサに関する。
【背景技術】
【0002】
積雪が多く見られる地方では、散水式の融雪装置を用いて生活に必要な道路や歩道を雪害から守ることが行われている。こうした融雪装置において、降雪を検出する降雪センサを用いて積雪をもたらす降雪現象が生じた時に自動で融雪装置を運転させる技術が求められている。降雪センサにおいて、温度センサによる気温の検出に加えて、赤外線を照射して対象物による反射光を受光し、物体の有無を検出し、ON/OFF信号を出力する光電センサを用いる構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような光電センサにより、雪片による反射光を受光して一定時間当りの雪片数を検出する。
【0003】
降雪センサを設置する場所は様々であるが、例えば軒下などに設置した場合には上方に配される軒屋根等の遮蔽部材によって降雪が遮蔽され、近距離を検出する光電センサでは雪片を検出できなくなる場合がある。このため長距離検出が可能な降雪センサが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、拡散反射型の光電センサは、三角測量法によるため、測定距離を長くするためには投光部と受光部の間隔を広く設定して照射電力も大きくする必要があり、大型かつ高価となる。
【0006】
本発明は、小型かつ安価に、長距離の検出が可能な降雪センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態にかかる降雪センサは、光を照射する投光部と、ターゲットで反射した前記光を検出する受光部と、を有し、検出エリア内の前記ターゲットまでの距離を測定する測距センサと、前記測距センサの検出結果を取得し、前記測距センサの検出結果に基づき降雪情報を検出する制御部に送る処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば小型かつ安価に、長距離の検出が可能な降雪センサを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかる融雪装置の構成を示す説明図。
【
図2】同融雪装置の降雪センサの構成を示す断面図。
【
図5】同降雪センサの測距センサの出力値と検出距離との関係を示す説明図。
【
図6】同降雪センサの測距センサの雪片までの距離の測定結果の一例を示す説明図。
【
図7】同実施形態にかかる融雪装置の制御装置及び融雪機器の構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態にかかる融雪装置100及び降雪センサ1について、
図1乃至
図7を用いて説明する。
図1は第1実施形態にかかる融雪装置100の説明図である。
図1において降雪センサ1の構成を断面図で示す。
図2は降雪センサ1の内部構成を側方から見た断面図、
図3は降雪センサ1の内部構成を上方から見た断面図である。
図4は測距センサ13の説明図である。
図5は測距センサの対象物との出力値と検出距離との関係を示す説明図であり、
図6は測距センサの雪片までの距離の測定結果の一例を示す説明図である。
図7は融雪装置100の構成を示す説明図である。なお、説明のため、各図において適宜構成を省略して示している。
【0011】
図1に示すように、融雪装置100は、降雪センサ1と、融雪機器2と、制御装置3と、を備える。融雪装置100は、例えば融雪対象箇所の雪を溶かす装置である。
【0012】
降雪センサ1は、カバー部材18と、センサ基板11と、温度センサ12と、測距センサ13と、ヒータ14と、ポール15と、ケーブル16と、を備える。降雪センサ1は、例えば屋外に設けられ、検出対象エリア(検出エリア)の降雪現象を検出し、降雪情報を、融雪装置100の制御装置3のホスト制御部37に送る。本実施形態では降雪情報の一例として、降雪センサ1のセンサ処理部25から制御装置3のホスト制御部37に、測定距離を送信する例を示す。
【0013】
ポール15は円筒状に構成され、内部にセンサ等が配される収容空間を形成する。ポール15は、カバー部材18に勘合される。
【0014】
ポール15は、中央部に、ケーブル16が挿入される円形の貫通孔であるケーブル孔15cを有する。
【0015】
カバー部材18は、例えば合成樹脂材料で形成され、正面部18aと、ドーム状の本体部18bと、を一体に有し、下側に開口し、ポール15の周縁に接合される開口縁を有する。
正面部18aの中央には窓部18cが形成されている。窓部18cは測距センサ13の光を透過可能に構成される。具体的には光透過性の材料で周りの部分よりも薄く、例えば1mm程度の厚さの板状に構成されている。正面部18aの内面側に、測距センサ13が配される。
【0016】
カバー部材18の外面は上から降った雪が堆積せずに側方または後方に向けて移動し落下しやすい曲面形状を構成する。
【0017】
カバー材18の内部には複数の仕切プレート19a、19bが設けられている。複数の仕切プレート19a、19bは、例えば、断熱性及び弾性を有するゴム材料により形成され、ポール15の収容部を上下方向に区画する。本実施形態において2つの仕切プレート19a、19b、によって、収容部が上端の第1室20aと、中間の第2室20bと、外部と連通された下端の第3室20cと、に仕切られる。上端部の第1室20aには測距センサ13及びヒータ14が配され、中間の第2室20bに温度センサ12が収容される。第1室20aと第3室20cとは間に第2室20bを介して熱的に仕切られる。
【0018】
センサ基板11は回路基板であり、第1室20aにおいて正面部18aの裏側に立設され、仕切プレート19aに固定される。センサ基板11の正面側であって窓部18cに対向する位置に測距センサ13が設けられる。またセンサ基板11にはケーブル16が接続される。
【0019】
温度センサ12は第2室20bに設けられる。温度センサ12は例えば温度検出素子とセンサケースと、を備える。温度センサ12は例えばセンサ処理部25に接続されている。温度センサ12は、温度を検出し、検出した温度に対応する信号をセンサ処理部25に送る。
【0020】
測距センサ13は、三角測量方式の光電センサであり、センサケース22と、投光部23と、受光部24と、センサ処理部25と、を備える。測距センサ13は、センサ基板11上に搭載され、窓部18cに対向する位置に配される。
【0021】
投光部23は、円錐状に不可視光を照射するエミッタとしての赤外線LED23aと、レンズ23bと、を備える。例えば投光部23は、不可視光としてのパルス光を一定時間毎に照射する。不可視光は例えば波長800-1200nm、具体的には波長約940nmの不可視光領域の近赤外線である。
【0022】
受光部24は、ターゲットで反射した反射光を受光する検出素子を備える位置センサPSD(position sensing device)であり、イメージセンサ24aと、レンズ23bと、を備える。例えばイメージセンサ24aにおいて複数の検出素子がアレイ状に配列される。また、測距センサ13を収納するカバー部材18の投影面積を低減して、上から降った雪が堆積しにくくなるようにするために、投光部23と受光部24とは垂直に並べて配置されている。
【0023】
例えば測距センサ13は、投光部23において赤外線LED23aより近赤外線を照射して、対象物Taから反射された赤外線光を受光部24のイメージセンサ24aで受光し、イメージセンサ24a上の受光したスポット位置から、対象物Taまでの距離を測定している。測距センサ13は、受光したイメージセンサ24a上の位置を検出し、三角測量方式により、対象物Taである雪片までの距離を算出する。
【0024】
図5は、測距センサの出力値と距離との関係について一例を示すグラフであり、
図6は測距センサの測定結果(検出結果)の一例を示すグラフである。例えば
図5及び
図6に示すように、測距センサ13の測定結果として、測定毎の出力電圧値が示される。
【0025】
処理部としてのセンサ処理部25は、マイコンを備え、受光部24からパルス信号を受け取り、検出対象エリアに存在するターゲットである対象物Taまでの距離を検出する。センサ処理部25は、測定の度に、測定結果としての距離情報を信号として、制御装置3のホスト制御部37に送る。例えばセンサ処理部25は、センサ基板11に搭載される。
【0026】
ヒータ14は、測距センサ13の周りに1個または複数個設けられる。例えばセンサ基板11の、測距センサ13の上方に、ヒータ14が配置される。ヒータ14は、センサ基板11に接続される。ヒータ14は、ホスト制御部37の制御によって運転制御され、発熱することで、窓部18cに雪が堆積することを防止する。
【0027】
ポール15は、中空の筒状に構成され、上端部がカバー部材18に固定される。例えばポール15の下端部が降雪センサ1の設置場所に差し込まれ、降雪センサ1が設置場所に支持される。
【0028】
ケーブル16は、例えば給電線や信号線を有する。ケーブル16はポール15のケーブル孔15cを通り一端側が収容部内においてセンサ基板11に接続される。ケーブル16の他端側は収容部外に導出され、制御装置3に接続される。なお、ケーブル16は例えばポール15内の空間を通って導出されていてもよい。
【0029】
図1及び
図7に示すように、融雪機器2は、例えば融雪対象となる場所、例えば道路上に設けられる。例えば地下水を揚水して融雪用水として用いる構造の散水式の場合、融雪機器2として融雪ポンプを備える。融雪機器2は、制御装置3から出力される信号により、融雪対象となる場所、例えば道路上の雪が融雪されるように散水動作を行う。信号は、例えば融雪ポンプを直接起動する信号(オン信号)である。融雪装置100は、信号により融雪機器2が運転され、融雪用水を配管に送り、道路上に散水することで、道路上の積雪を融かす。
制御装置3は、表示部としての表示装置33と、操作部34と、ホスト制御部37及び記憶部36を備える制御基板35と、を備える。制御基板35には、ケーブル16が接続されている。
【0030】
表示装置33は例えば温度情報や雪片数等の情報を表示する表示器である。
操作部34は、電源や各種操作ボタン等の入力装置を備える。
【0031】
制御基板35は、回路基板であり、記憶部36や制御部としてのホスト制御部37等の各種制御機器が搭載されている。
【0032】
記憶部36は、例えばRAM,ROM等の記憶装置を備え、各種の設定値や演算式を記憶する。例えば記憶部36は、降雪情報として、降雪センサ1から送られた距離や温度等の情報を記憶する。
【0033】
ホスト制御部37は、例えばCPUや各種の処理回路、及び変換回路等を備え、ケーブル16を介して降雪センサ1に接続される。ホスト制御部37は、降雪センサ1から送られる情報や予め記憶部36に記憶された各種プログラムに従って、降雪センサ1や融雪機器2の動作を制御する。
【0034】
また、ホスト制御部37は、例えば操作部34の設定入力に基づき自動モードと手動モードの切替え可能に構成されている。
【0035】
ホスト制御部37は、例えば温度センサ12から受信する信号に基づいて、測距センサ13の運転制御を行い、測距センサ13から受信する信号に基づいてヒータ14、及び融雪機器2の運転制御を行う。
【0036】
例えばホスト制御部37は、自動モードにおいて、温度センサ12によって検出される温度が一定温度以下である場合に、測距センサ13を作動させ、測距センサ13の投光部23より赤外線光を照射させる。一定値は例えば2.5℃である。また、気温が一定値まで上昇したら照射を停止する。例えば、3.0℃以上になった場合に停止する。
【0037】
また、ホスト制御部37は、測距センサ13から送られる信号に基づいて降雪情報を検出する。例えば
図5及び
図6に示すように、測距センサ13の測定結果は、雪片の距離及び回数と対応している。したがってホスト制御部37は、検出対象エリアAsにおいて測距センサ13によりターゲットまでの距離が検出された回数や距離の情報に基づき、降雪情報として降雪量を示す雪片数を算出する。一例として、対象エリアAs内においてターゲットまでの測定距離が変化した時点で、雪片を検出したと判断して、雪片を検出した検出回数、すなわち受光の回数を、雪片数としてカウントすることで、雪片数を算出する。
【0038】
また、ホスト制御部37は、検出された測定距離が、前回の測定距離より、近距離であった場合、もしくは、検出された測定距離が前回の測定距離より遠距離であり、かつ、検出された測定距離が所定の遠距離閾値以下であった場合、雪片検出したと判断して、雪片数にカウントするようにしている。具体的には、測定距離が無限遠で、雪片を検出していない状態より、近距離を検出した場合、雪片検出したと判断して、雪片数をカウントし、次の測定周期で、さらに近距離を検出すれば雪片検出したと判断して、雪片数をカウントしている。これにより、2個の雪片検出で2カウントとなる。
【0039】
すなわち、距離が変化した場合に、無条件に雪片をカウントする方式では、1個の雪片が落下してきた場合、定常の無限遠検出から、有限距離で1個の雪片に反射したのち、再び測定距離が無限遠となるため、1個の雪片検出で2カウントされてしまう。一方、2個の雪片が落下してきて、異なる測定距離を連続して検出した場合は、2個の雪片検出で2カウントするため、降雪量を精確に検出するには不都合である。
【0040】
そこで、ホスト制御部37は、検出された測定距離が、前回の測定距離より、近距離であった場合、雪片検出したと判断して、雪片数にカウントするようにしている。しかし、この近距離側への変化のみを、雪片のカウント条件とすると、近距離10cmを検出したあとに、遠距離30cmにある雪片を検出した場合、遠距離側への変化であるため、雪片カウントできなくなってしまう。そこで、検出された測定距離が、前回の測定距離より、遠距離であり、かつ、検出された測定距離が所定の遠距離閾値以下であった場合、雪片検出したと判断して、雪片数にカウントするようにしている。
【0041】
また、降雪センサ1を取り付けた際に、前面に、測距センサ13の遠距離閾値80cmより近く、例えば50cmの位置に壁面がある場合、1個の雪片が、単独で落下してきたとすると、50cm検出から、壁面との間の一定距離で1個の雪片に反射したのち、再び測定距離が50cmとなるため、1個の雪片検出で2カウントされてしまう。
【0042】
そこで、センサ処理部25と有線もしくは無線により接続されたホスト制御部37の操作部にて、自動モードが選択された時点で、前記測距センサ13により測定された距離が、所定の遠距離閾値より近距離であった場合、所定の遠距離閾値を上記の測定距離に変更するようにしている。
【0043】
そして、ホスト制御部37は算出した雪片数や温度情報に基づいて、融雪機器2の運転条件を満たす場合に、融雪機器2を運転させ、あるいは、融雪機器2の停止条件を満たした場合に融雪機器2を停止させる。例えば検出対象エリアにおいて一定時間当りの雪片数が所定値を超えた場合に、融雪機器2を運転し、検出対象エリアにおいて一定時間当りの雪片数が所定の停止基準数を下回ると、融雪機器2を停止させる。
【0044】
また、ホスト制御部37は温度センサ12にて検出される温度情報に基づいて、ヒータ14の運転条件を満たす場合に、ヒータ14を駆動し、あるいは、ヒータ14の停止条件を満たした場合にヒータ14を停止させる。一例として、温度センサ12で検出される温度が所定値を下回る場合に、ヒータ14を運転し、他の所定値を上回る場合に、ヒータを停止する。
【0045】
またホスト制御部37は、操作部34の試運転ボタンが押された場合に、ボタンを押している間、測定された距離を、前記ホスト制御部37と有線もしくは無線により接続された表示装置33に表示する。
【0046】
上記実施形態にかかる降雪センサ1装置によれば、以下のような効果が得られる。測距センサ13を用いて降雪状態を検出することで、長距離検出を含む対象のエリアにおいて高精度に雪片を検出することが可能となり、拡散反射方式のON/OFF出力の光電センサを用いる場合と比べて小型かつ安価に、長距離の検出が可能である。
【0047】
また、測距センサ13の不可視光は波長800-1200nm、具体的には波長約940nmの不可視光領域の近赤外線を照射することで不要な吸収/散乱を防止できる。すなわち、大気中に伝播する光線は、気体分子による吸収や散乱により減衰されるが、気体分子による吸収の少ない波長は、可視~赤外領域の一部に存在し、「大気の窓」と呼ばれている。一方、気体分子による散乱は、波長が長い光ほど少ない。したがって、透過率の高い波長800-1400nmの「大気の窓」に、検出光の波長を合わせることで、不要な吸収/散乱を防止できる。
【0048】
また、測距センサ13の不可視光を、一定時間毎に照射するパルス赤外光としているため、細片も検出することができる。すなわち、パルス赤外光は略完全な平面波や球面波を作ることができ、長距離を拡散せずに伝播したり、非常に小さなスポットに収束させることができるため、雪片のような細片を検出するのに好適である。また、パルス赤外光は短い時間幅の中にエネルギーを集中させることができ、高いピーク出力を得られるため、長距離検出に対応可能である。
【0049】
また、気温が2.5℃以下にならなければ測距センサ13からパルス赤外光は照射されず、測距センサ13の寿命を延長することが可能となる。
【0050】
また、作業者が操作部34の試運転ボタンを押した場合に、測定された距離を表示装置にて表示する様にしている。このため、例えば降雪センサ1の全面に反射板を掲げて赤外光の有無を確認したり、測定距離の遠近により降雪センサ1の取付け方向を調整するのに利用可能となる。
【0051】
また、ヒータ14をセンサ基板11の最上部に配置することにより、ヒータ14の温度を窓部に伝達しやすく、高い保温効果が得られる。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば各種設定値や算出の基準値等は適宜変更可能である。また、センサ処理部25側で測定までを行い、雪片数の算出や投光部23におけるパルス赤外光照射の制御はホスト制御部37側で行う例を示したが、これに限られるものではない。例えばセンサ処理部25で投光部23の照射制御や雪片数の算出までを行ってもよい。さらに、センサ処理部25において融雪装置100の運転または停止を判断し、融雪信号をセンサ処理部25からホスト制御部37に送信することで融雪機器2を駆動してもよい。この場合、降雪センサ1と制御装置3とは給電と運転信号の送受信が可能に接続されていればよい。さらに、信号の送受信はケーブル16により行う例を示したが、無線により通信可能に構成してもよい。
【0053】
また、上記実施形態において、融雪装置100はポンプによって地下水を汲みあげる構成を例示したが、これに限られるものではない。例えば一般給水用配管から融雪揚水を給水するタイプの融雪機器や、ヒータ等の加熱装置を用いてもよい。例えば融雪機器2として一般給水用配管から分岐して給水を融雪用水として用いる構造の散水式の融雪機器を用いる場合、配管に設けられる電動弁や電磁弁を降雪情報に基づいて制御する。この場合、配管に配される電動弁や電磁弁を直接開閉作動させる信号(オン信号)が融雪信号となる。
【0054】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0055】
1…降雪センサ、2…融雪機器、11…センサ基板、12…温度センサ、13…測距センサ、14…ヒータ、15…ポール、16…ケーブル、15c…ケーブル孔、18…カバー部材、18a…正面部、18b…本体部、18c…窓部、19a…仕切プレート、19b…仕切プレート、20a…第1室、20b…第2室、20c…第3室、23…投光部、24…受光部、25…センサ処理部、26…センサ部、33…表示装置、34…操作部、35…制御基板、36…記憶部、37…ホスト制御部、100…融雪装置、As…検出対象エリア