(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047298
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】ドライブレコーダ
(51)【国際特許分類】
G07C 5/00 20060101AFI20220316BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20220316BHJP
B60R 25/40 20130101ALI20220316BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
H04N7/18 J
H04N7/18 U
B60R25/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153123
(22)【出願日】2020-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】391019681
【氏名又は名称】株式会社コムテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 崇人
【テーマコード(参考)】
3E138
5C054
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138MA10
3E138MB08
3E138MB09
3E138MC20
5C054GB01
5C054GB04
5C054GD00
5C054HA30
(57)【要約】
【課題】車両内の電装部品の動作によるバッテリ電圧の変動に起因する、意図しないドライブレコーダの停止動作を抑制する。
【解決手段】本開示の一側面に係るドライブレコーダでは、駐車開始を示す事象が検知されると、周囲を監視するための監視処理が開始される。監視処理の開始後、車両バッテリからの供給電圧であるバッテリ電圧が停止電圧以下となると(S230でYes)、監視処理が停止させられる(S290)。監視処理の開始後の第一の期間では、基準以上の電圧低下が検知されると(S240でYes)、停止判断(S230)が第二の期間禁止される(S250)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の常時電源に接続され、前記車両の駐車中には、車両バッテリからの電力供給を受けて動作する車載用のドライブレコーダであって、
駐車開始を示す所定事象を検知すると、周囲を監視するための監視処理を開始するように構成される監視処理部と、
前記監視処理の開始後、前記車両バッテリからの供給電圧であるバッテリ電圧が所定の停止電圧以下となったことを条件に、前記監視処理部による前記監視処理を停止させて、前記ドライブレコーダをオフに設定するように構成される停止制御部と、
前記監視処理の開始後の第一の期間において、前記バッテリ電圧の低下を検知するように構成される検知部と、
前記第一の期間において前記バッテリ電圧の低下が検知されると、前記停止制御部の動作を第二の期間禁止し、前記第二の期間が経過すると前記停止制御部の動作を再開させるように構成される禁止制御部と、
を備え、
前記停止制御部は、動作を再開すると、再開後のバッテリ電圧が前記停止電圧以下となったことを条件に、前記監視処理を停止させるドライブレコーダ。
【請求項2】
前記検知部は、時間当たりの低下量が基準以上である前記バッテリ電圧の低下を検知する請求項1記載のドライブレコーダ。
【請求項3】
前記禁止制御部は、前記停止制御部の動作が禁止されている期間に、更なる前記バッテリ電圧の低下が検知された場合に、前記停止制御部の動作禁止期間を前記第二の期間から延長するように構成される請求項1又は請求項2記載のドライブレコーダ。
【請求項4】
前記停止制御部は、前記第一の期間の経過後、前記禁止制御部により動作を禁止されることなく継続的に動作し、前記バッテリ電圧が前記停止電圧以下となったことを条件に、前記監視処理部による前記監視処理を停止させて、前記ドライブレコーダをオフに設定する請求項1~請求項3のいずれか一項記載のドライブレコーダ。
【請求項5】
前記第二の期間は、前記ドライブレコーダが搭載される前記車両の種類に応じた時間長に設定される請求項1~請求項4のいずれか一項記載のドライブレコーダ。
【請求項6】
前記第二の期間を、ユーザインタフェースを通じて指定された時間長に設定するように構成される期間設定部を備える請求項1~請求項5のいずれか一項記載のドライブレコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドライブレコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
駐車監視モードを備えるドライブレコーダが既に知られている。このドライブレコーダは、駐車中、車両バッテリからの電力供給を受けて動作し、周囲を監視する監視処理を実行する。
【0003】
バッテリ電圧と閾値電圧との比較に基づいて、駐車中の動作を停止するドライブレコーダもまた知られている(例えば特許文献1参照)。この停止動作は、例えばバッテリ上がりを抑制するために行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バッテリ電圧に基づいて駐車中の動作を停止するドライブレコーダの従来技術には、次のような問題がある。例えば、ドライブレコーダは、車両のエンジン停止に伴って駐車を検知して、駐車監視モードに移行し、上述の監視処理や電圧比較に基づく停止処理を開始する。
【0006】
この駐車監視モードへの移行直後においては、駐車に付随する車両乗員の操作に基づくあるいは自動の車両動作として、電動ドアロック機構の動作、電動サイドミラーの動作、パワーウィンドウの動作、電動スライドドアの動作、電動ハッチバックドアの動作など、車両内の電装部品の動作が発生し、車両バッテリの電力が消費されることがある。
【0007】
この電力消費によっては、バッテリ電圧が一時的に低下する。バッテリ電圧は、上述したバッテリ上がり抑制のために設定された閾値電圧を下回るケースもある。こうしたケースでは、駐車監視モードへの移行直後に、ドライブレコーダが停止し、駐車監視モードが有効に機能しないケースが発生し得る。
【0008】
そこで、本開示の一側面によれば、バッテリ電圧に基づいた動作停止機能を有したドライブレコーダにおいて、駐車開始初期における車両内の電装部品の動作によるバッテリ電圧の低下に起因する意図しない駐車中のドライブレコーダの動作停止を抑制可能な技術を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一側面によれば、車両の常時電源に接続され、車両の駐車中には、車両バッテリからの電力供給を受けて動作する車載用のドライブレコーダが提供される。ドライブレコーダは、監視処理部と、停止制御部と、検知部と、禁止制御部と、を備える。
【0010】
監視処理部は、駐車開始を示す所定事象を検知すると、周囲を監視するための監視処理を開始するように構成される。停止制御部は、監視処理の開始後、車両バッテリからの供給電圧であるバッテリ電圧が所定の停止電圧以下となったことを条件に、監視処理部による監視処理を停止させ、ドライブレコーダをオフに設定するように構成される。
【0011】
検知部は、監視処理の開始後の第一の期間において、バッテリ電圧の低下を検知するように構成される。禁止制御部は、第一の期間においてバッテリ電圧の低下が検知されると、停止制御部の動作を第二の期間禁止し、第二の期間が経過すると停止制御部の動作を再開させるように構成される。
【0012】
停止制御部は、動作を再開すると、再開後のバッテリ電圧が停止電圧以下となったことを条件に、監視処理を停止させるように構成される。
【0013】
このドライブレコーダによれば、車両内電装部品の動作によるバッテリの電力消費によって、バッテリ電圧が停止電圧を一時的に下回る現象が生じても、その現象に関する停止制御部の動作を、禁止制御部によって禁止することができる。
【0014】
従って、本開示の一側面によれば、バッテリ電圧に基づいた動作停止機能を有したドライブレコーダにおいて、駐車開始初期における車両内の電装部品の動作によるバッテリ電圧の一時低下に起因する、意図しない駐車中のドライブレコーダの動作停止を抑制することができる。
【0015】
本開示の一側面によれば、検知部は、時間当たりの低下量が基準以上であるバッテリ電圧の低下を検知するように構成されてもよい。この検知により、電装部品の動作によるバッテリ電圧の一時低下を適切に検知して、バッテリ電圧の一時低下による意図しないドライブレコーダの動作停止を抑制することができる。
【0016】
本開示の一側面によれば、禁止制御部は、停止制御部の動作が禁止されている期間に、更なるバッテリ電圧の低下が検知された場合、停止制御部の動作禁止期間を第二の期間から延長するように構成されてもよい。
【0017】
更なるバッテリ電圧の低下は、追加の電装部品の動作に起因する可能性がある。従って、更なるバッテリ電圧の低下が検知された場合に停止制御部の動作禁止期間を延長することは、追加の電装部品の動作による一時的な電圧低下が解消されるまでの期間、停止制御部の動作を禁止することに役立つ。
【0018】
本開示の一側面によれば、停止制御部は、第一の期間の経過後、禁止制御部により動作を禁止されることなく継続的に動作し、バッテリ電圧が停止電圧以下となったことを条件に、監視処理部による監視処理を停止させ、ドライブレコーダをオフに設定するように構成されてもよい。
【0019】
車両乗員が駐車車両を離れた後では、車両内の電装部品の動作によりバッテリ電圧が大きく低下する事象の発生確率は小さくなる。一方で、駐車から時間が経過するほど、消費電力の累積により、バッテリ上がりが生じる確率は高くなる。第一の期間の経過後においては、停止制御部の動作を禁止しないことによっては、バッテリ上がりを効果的に抑制することができる。
【0020】
本開示の一側面によれば、第二の期間は、ドライブレコーダが搭載される車両の種類に応じた時間長に設定されてもよい。車両の種類によって、車両に搭載される電装部品の種類は、異なる。
【0021】
バッテリ上がり抑制のためには、第二の期間を短く設定することが好ましい。一方で、電装部品の動作によりバッテリ電圧が低下している期間には、停止制御部の動作禁止状態が解除されないように、第二の期間を設定するのが好ましい。すなわち、第二の期間の最適な長さは、車両の種類によって異なる。従って、第二の期間が車両の種類に応じた時間長に設定されることは非常に有意義である。
【0022】
本開示の一側面によれば、ドライブレコーダは、第二の期間を、ユーザインタフェースを通じて指定された時間長に設定するように構成される期間設定部を備えてもよい。期間設定部を備えることによって、ユーザは、第二の期間の時間長を、車両に応じた適切な時間長に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】ドライブレコーダの構成を表すブロック図である。
【
図2】プロセッサが実行するモード切替処理を表すフローチャートである。
【
図3】第一実施形態においてプロセッサが実行する電源監視処理を表すフローチャートである。
【
図4】第二実施形態においてプロセッサが実行する電源監視処理を表すフローチャートである。
【
図5】別の実施形態においてプロセッサが実行する設定処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
[第一実施形態]
図1に示す本実施形態のドライブレコーダ1は、車両の常時電源に接続されて、車両エンジンが停止した駐車中にも動作するように構成される車載用のドライブレコーダである。このドライブレコーダ1は、車室内において車両前方を撮影可能な位置に配置される。
【0025】
ドライブレコーダ1は、
図1に示すように、制御部10、カメラ21、マイクロフォン23、画像処理回路25、メディアリーダ/ライタ30、ディスプレイ40、スピーカ50、加速度センサ60、測位器70、入力インタフェース80、及び電源制御回路90を備える。
【0026】
制御部10は、プロセッサ11と、メモリ13とを備える。プロセッサ11は、メモリ13が記憶するコンピュータプログラムに従う処理を実行することにより、ドライブレコーダ1内の各部を制御する。
【0027】
メモリ13は、RAM、ROM、及びフラッシュメモリを備えることができる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶する。RAMは、コンピュータプログラムに従う処理実行時に作業領域として使用される。フラッシュメモリは、設定データや映像データ等の各種データを記憶するために使用される。
【0028】
カメラ21は、車両前方を撮影するように構成される。カメラ21は、複数のカメラを備えてもよく、それにより、車両前方に加えて、車両後方及び車室内の少なくとも一方を撮影するように構成されてもよい。
【0029】
画像処理回路25は、カメラ21から入力される映像信号及びマイクロフォン23から入力される車室内の音声信号に基づいて、音声を含む記録用の映像データを生成し、制御部10に入力する。この映像データは、制御部10を介してフラッシュメモリ(メモリ13)又はメモリカード等の記録メディアに記録される。
【0030】
記録メディアは、ユーザ操作により、メディアリーダ/ライタ30に挿入される。メディアリーダ/ライタ30は、挿入された記録メディアに対するデータ読込及びデータ書込が可能な構成にされる。メディアリーダ/ライタ30は、制御部10が、記録メディアに、画像処理回路25から入力される映像データを記録したり、再生対象の映像データを読み出したりするために使用される。
【0031】
ディスプレイ40は、制御部10に制御されて、設定画面や再生画面等のユーザ向けの各種画面を表示するように構成される。スピーカ50は、ユーザに向けて各種案内を音声出力するように、制御部10に制御される。
【0032】
加速度センサ60は、加速度を検出して、その検出信号を制御部10に入力する。制御部10は、加速度センサ60から入力される加速度の検出信号に基づき、車両の衝撃を検知し、対応する映像データを、重要データとしてメモリ13又は記録メディアに記録するように構成される。
【0033】
測位器70は、車両の現在位置を測定するように構成される。測位器70は、例えばGPS衛星からの衛星信号に基づき、車両の現在位置を測定するように構成される。測定された現在位置の情報は、測位器70から制御部10に入力される。制御部10は、この情報に基づき、映像に対応する車両位置情報を、映像データに関連付けるように動作し得る。
【0034】
入力インタフェース80は、ドライブレコーダ1を操作するユーザからの操作信号を制御部10に入力するように構成される。入力インタフェース80は、ドライブレコーダ1に設けられた各種操作スイッチを構成要素として備えることができる。
【0035】
電源制御回路90は、車両内のヒューズボックス100を通じて常時電源及びACC(アクセサリ)電源に接続され、電源からの供給電力に基づき、ドライブレコーダ1内の各部に適切な電力を供給するように構成される。
【0036】
ドライブレコーダ1は、常時電源に接続されることによって、車両の駐車中であっても、車両バッテリからの電力供給を受けて動作することができる。すなわち、電源制御回路90は、駐車中において、車両バッテリから供給される電力を、ドライブレコーダ1内の各部に供給する。
【0037】
本実施形態において、電源制御回路90は、ACC電源からの入力に基づき、アクセサリスイッチのオン/オフを検知し、これを通知する通知信号を制御部10に入力するように構成される。
【0038】
ACC電源のオン/オフは、アクセサリスイッチのオン/オフによって生じる。周知のように、アクセサリスイッチは、ユーザが車両の運転を開始しようとするとき、オンに切り替えられ、駐車するとき、オフに切り替えられる。従って、制御部10は、上記通知信号に基づいて、車両の運転開始及び駐車開始を知ることができる。
【0039】
本実施形態のドライブレコーダ1は、動作モードとして、通常モードと駐車監視モードとを有する。通常モードは、アクセサリスイッチがオンにされているとき、換言すれば、車両が非駐車中であるときに選択されるドライブレコーダ1の動作モードである。通常モードでは、ドライブレコーダ1の主たる処理として、車両運転中、衝撃発生に応じて映像データを記録する映像記録処理が実行される。
【0040】
一方、駐車監視モードは、アクセサリスイッチがオフにされているとき、換言すれば車両が駐車中であるときに選択されるドライブレコーダ1の動作モードである。駐車監視モードでは、例えば、車両周囲をカメラ21により撮影し、常時映像データを記録する、又は、衝撃を検知したときに、その事象前後の撮影映像を含む映像データを記録する駐車監視処理が実行される。
【0041】
プロセッサ11は、通常モードにおいて、
図2に示すモード切替処理を繰返し実行し、駐車開始を示すアクセサリスイッチのオフ事象を検知すると(S110でYes)、ドライブレコーダ1の動作モードを、通常モードから駐車監視モードに切り替える(S120)。
【0042】
具体的には、プロセッサ11は、上述の駐車監視モードに対応する処理として駐車監視処理を開始する。更に、プロセッサ11は、
図3に示す電源監視処理を開始する(S130)。同時に通常モードに対応する処理を終了する。
【0043】
図3に示す電源監視処理は、駐車中のドライブレコーダ1の動作によるバッテリ上がりを抑制するために、駐車監視処理と並行して実行される。プロセッサ11は、電源監視処理を開始すると、計時処理を開始し(S210)、S220に移行する。計時処理によれば、駐車監視モード開始時からの経過時間が計測される。以下、駐車監視モードの開始時のことを基準時という。
【0044】
S220において、プロセッサ11は、基準時から第一時間が経過したか否かを、計時される経過時間に基づいて判断する。第一時間は、例えば、5分から10分程度の時間に定められる。第一時間は、固定値であり得る。固定値は、試験等により、車両乗員が駐車開始から車両を離れるまでの時間に対応した値に定められ得る。
【0045】
あるいは、プロセッサ11は、予め入力インタフェース80を通じてユーザから第一時間の指定値の入力操作を受け付けてメモリ13に記憶しておき、メモリ13に記憶された指定値を第一時間に設定して、S220の処理を実行してもよい。
【0046】
第一時間が経過していないと判断すると(S220でNo)、プロセッサ11は、バッテリ電圧が予め定められた停止電圧以下であるか否かを判断する(S230)。プロセッサ11は、バッテリ電圧が停止電圧以下であると判断すると(S230でYes)、S290に移行し、バッテリ電圧が停止電圧より大きいと判断すると(S230でNo)、S240に移行する。
【0047】
バッテリ電圧は、車両バッテリの電圧であり、電源制御回路90からプロセッサ11に提供される常時電源電圧の情報から特定される。停止電圧は、バッテリ上がりを抑制するために、例えば、12.2Vに設定され得る。
【0048】
但し、駐車監視モードの開始時におけるバッテリ電圧は、高くても、通常12.4-12.8V程度である。このように、バッテリ電圧は、車両内の電装部品が電力を大きく消費していない環境でも、停止電圧と比較的近い値を示す。
【0049】
従って、車両内の電装部品が電力を大きく消費すると、バッテリ電圧は、一時的に停止電圧以下になる可能性がある。車両内の電装部品の例には、駐車に付随して、ユーザの車両操作により動作する、あるいは自動で動作する、パワーウィンドウ、電動スライドドア、電動ハッチバックドア、電動サイドミラー、及び電動ドアロック機構が含まれる。
【0050】
このような電装部品による電力消費によれば、バッテリ電圧は、一時的に停止電圧以下に低下する可能性があるが、電装部品の動作終了後、バッテリ電圧は低下前の電圧近くに戻る。即ち、このような一時的な電圧低下は、基本的にバッテリ上がりの原因にならない。
【0051】
本実施形態では、このような一時的な電圧低下によって、S290の処理が実行されないように、S240及びS250の処理を実行する。すなわち、プロセッサ11は、バッテリ電圧が停止電圧以下ではないとき(S230でNo)、停止電圧より上の電圧範囲で、バッテリ電圧に基準以上の急低下が生じたか否かを判断する(S240)。
【0052】
「基準以上の急低下」は、電装部品が動作するとき、バッテリ電圧が停止電圧以下まで落ち込む前に、その前兆を捕捉可能な水準に定められる。例えば、プロセッサ11は、S240において、1秒以内に0.1V以上の電圧低下が生じたか否かを判断することができる。
【0053】
S240で否定判断すると、プロセッサ11は、S220に移行する。一方、プロセッサ11は、S240で基準以上の急低下が生じたと肯定判断すると、第二時間、待機する(S250)。S250での待機動作により、S230の処理は、待機動作が終了されるまで実行されなくなる。これにより、停止電圧に基づくS230の処理が一時的に禁止される。
【0054】
第二時間は、第一時間よりも充分短い。第二時間は、電装部品の動作による電圧低下が解消する時間を加味して、予め定められる。第二時間は、例えば、5秒から10秒程度に定められ得る。第二時間は、車種に応じた値に定められ得る。この場合、車種毎のドライブレコーダ1を販売することができる。車種毎のドライブレコーダ1には、第二時間として、対応する車種に最適な時間が予め定義され得る。
【0055】
プロセッサ11は、S250において第二時間待機した後、S220に移行し、基準時から第一時間が経過したか否かを判断する。第一時間が経過していない場合、プロセッサ11は、再びS230に移行し、現時点でのバッテリ電圧と停止電圧との比較に基づいて、バッテリ電圧が停止電圧以下であるか否かを判断する。
【0056】
プロセッサ11は、バッテリ電圧が停止電圧以下であると判断すると(S230でYes)、S290に移行し、駐車監視モードを終了する。具体的には、プロセッサ11は、電源監視処理と並列実行する駐車監視処理を終了し、更に、ドライブレコーダ1をオフに設定して、電源監視処理を終了することができる。
【0057】
ここで、ドライブレコーダ1をオフに設定することは、プロセッサ11を含むドライブレコーダ1の動作を完全に停止すること、あるいは、ドライブレコーダ1の主要機能をオフにし、消費電力を最小限に抑えるスリープモードに移行することを含む。
【0058】
プロセッサ11は、S230で肯定判断することなく、第一時間が経過すると(S220でYes)、S280に移行する。S280において、プロセッサ11は、S230の処理と同様に、バッテリ電圧が停止電圧以下であるか否かを判断する。プロセッサ11は、この判断をバッテリ電圧が停止電圧以下になるまで繰返し実行し、停止電圧以下になると(S280でYes)、S290に移行して、駐車監視モードを終了する。
【0059】
プロセッサ11は、S290の処理を実行することなく、アクセサリスイッチがオンに切り替わると、駐車監視処理及び電源監視処理を終了して、ドライブレコーダ1の動作モードを駐車監視モードから通常モードに切り替える。
【0060】
以上に説明した本実施形態のドライブレコーダ1によれば、車両内の電装部品による車両バッテリの電力消費によって、バッテリ電圧が停止電圧を一時的に下回る現象が生じても、その現象に関するS230での判断を、S250での待機動作によって一時的に禁止することができる。
【0061】
従って、駐車開始初期における電装部品の動作によるバッテリ電圧の変動に起因する、意図しない駐車監視モードの終了、ドライブレコーダ1の停止動作を抑制することができる。
【0062】
特に本実施形態では、基準以上の電圧低下が生じたときに(S240でYes)、待機動作によって、S230の処理の実行を一時禁止するので、電装部品の動作による電圧の一時低下を適切に検知して、意図しない駐車監視モードの終了動作を抑制することができる。
【0063】
更に本実施形態では、駐車監視モード開始からの一定期間経過後には、S250における待機動作を実行することなく、S280の処理を繰返し継続的に実行し、バッテリ電圧が停止電圧以下となったことを条件に、駐車監視モードの終了及びドライブレコーダ1の停止動作を行う。
【0064】
車両乗員が駐車車両を離れた後では、バッテリ電圧が車両内の電装部品の動作により大きく低下する可能性は小さくなる。一方、駐車から時間が経過するほどバッテリ上がりが生じる確率は高くなる。従って、第一期間の経過後において待機動作を行わないことによっては、バッテリ上がりを効果的に抑制することができる。
【0065】
[第二実施形態]
続いて、第二実施形態のドライブレコーダ1を説明する。第二実施形態のドライブレコーダ1は、プロセッサ11が、
図3に示す電源監視処理に代えて、
図4に示す電源監視処理を実行するように構成されている点で、第一実施形態とは異なる。一方、その他の点で、第二実施形態のドライブレコーダ1は、第一実施形態と同様に構成される。
【0066】
従って、以下では、第二実施形態のドライブレコーダ1の第一実施形態とは異なる構成を選択的に説明し、その他の説明を適宜省略する。第一実施形態と同一符号が付された第二実施形態の構成は、追加の説明がない限り第一実施形態と同様であると理解されてよい。
【0067】
本実施形態において、プロセッサ11は、
図4に示す電源監視処理を開始すると、
図3に示すS250の処理に代えて、S251~S257の処理を実行する。
図3と同一ステップ番号が付された
図4の電源監視処理の各手順は、
図3の同一ステップ番号が付された手順と同じである。
【0068】
プロセッサ11は、第一時間が経過する前に(S220でNo)、バッテリ電圧の基準以上の低下を検知すると(S240でYes)、S251に移行する。S251において、プロセッサ11は、待機時間を設定する。プロセッサ11は、第一実施形態と同じ第二時間を、待機時間に設定することができる。
【0069】
その後、プロセッサ11は、待機時間が経過したか否かを判断する(S253)。待機時間の始点は、S251の処理実行時である。プロセッサ11は、待機時間が経過したと判断すると(S253でYes)、S220に移行して、基準時から第一時間が経過したか否かを判断する。
【0070】
一方、プロセッサ11は、待機時間が経過していないと判断すると(S253でNo)、バッテリ電圧が更に低下したか否かを判断する(S255)。ここでは、例えばS240と同水準の急低下が再度生じたか否かを判断することができる。
【0071】
プロセッサ11は、電圧が更に低下したと判断すると(S255でYes)、待機時間を延長する(S257)。例えば、始点からの経過時間と同時間だけ、待機時間を延長することができる。その後、S253に移行する。プロセッサ11は、S255で否定判断すると、待機時間を延長せずに、S253に移行する。
【0072】
このようにして、プロセッサ11は、待機中に、バッテリ電圧の基準以上の低下が生じる度、その事象の発生時点から更に第二時間待機するように、待機時間を延長する。そして、待機時間が経過すると(S253でYes)、プロセッサ11は、S220に移行する。
【0073】
第二実施形態のドライブレコーダ1によれば、待機動作により停止電圧に基づく処理が禁止される期間に、更なるバッテリ電圧の低下が検知された場合に、待機動作の延長により、停止電圧に基づく処理の禁止期間が延長される。
【0074】
更なるバッテリ電圧の低下は、追加の電装部品の動作に起因する蓋然性が高い。従って、更なるバッテリ電圧の低下が検知された場合に待機動作を延長することは、追加の電装部品の動作による一時的な電圧低下が解消されるまでの期間、停止電圧に基づく処理を禁止することに繋がり、一時的な電圧低下による意図しないドライブレコーダ1の停止動作の発生を抑制することができる。
【0075】
[その他]
以上に本開示の例示的実施形態を説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
【0076】
第一実施形態における第二時間は、上述通り、車種に応じた値に設定されてもよい。このために、プロセッサ11は、
図5に示す設定処理を実行するように構成されてもよい。すなわち、プロセッサ11は、設定処理の実行指示が、入力インタフェース80を通じて入力されると、入力インタフェース80を通じてユーザから車種情報の入力操作を受け付けて(S310)、車種情報に対応した第二時間を、メモリ13に記憶する(S320)ように構成されてもよい。第二時間は、例えば、フラッシュメモリに記録することができる。
【0077】
この場合、プロセッサ11は、メモリ13に記憶された第二時間を用いることで、車種に対応する第二時間の待機動作を、S250で実行することができる。車種に応じた第二時間を設定するために、メモリ13のROMには、車種と最適な第二時間との対応関係を示すテーブルを格納しておくことができる。
【0078】
更なる別例として、車種情報に代えて、第二時間の指定値(例えば時間長)を、ユーザから受け付けるように、プロセッサ11は動作してもよい。すなわち、プロセッサ11は、S310では、入力インタフェース80を通じてユーザから第二時間の指定値の入力操作を受け付け、この指定値をメモリ13に記憶する(S320)ように構成されてもよい。この場合、プロセッサ11は、メモリ13に記憶された第二時間を用いることで、ユーザから指定された第二時間の待機動作を、S250で実行することができる。ユーザからの入力操作に基づく第二時間の設定に関する発明概念は、第二実施形態にも適用することができる。
【0079】
上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。上記実施形態の構成の少なくとも一部は、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0080】
1…ドライブレコーダ、10…制御部、11…プロセッサ、13…メモリ、21…カメラ、23…マイクロフォン、25…画像処理回路、30…メディアリーダ/ライタ、40…ディスプレイ、50…スピーカ、60…加速度センサ、70…測位器、80…入力インタフェース、90…電源制御回路、100…ヒューズボックス。