IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社キーエンスの特許一覧

<>
  • 特開-印字装置 図1
  • 特開-印字装置 図2
  • 特開-印字装置 図3
  • 特開-印字装置 図4
  • 特開-印字装置 図5
  • 特開-印字装置 図6
  • 特開-印字装置 図7
  • 特開-印字装置 図8
  • 特開-印字装置 図9
  • 特開-印字装置 図10
  • 特開-印字装置 図11
  • 特開-印字装置 図12
  • 特開-印字装置 図13
  • 特開-印字装置 図14
  • 特開-印字装置 図15
  • 特開-印字装置 図16
  • 特開-印字装置 図17
  • 特開-印字装置 図18
  • 特開-印字装置 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047302
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】印字装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20220316BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20220316BHJP
   B41J 3/407 20060101ALI20220316BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20220316BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20220316BHJP
【FI】
B41J29/38 601
B41J29/38 202
B41J29/42 F
B41J3/407
B23K26/00 B
B23K26/082
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153128
(22)【出願日】2020-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井▲高▼ 護
【テーマコード(参考)】
2C061
4E168
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP10
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061CQ34
2C061HJ06
2C061HJ07
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
4E168AA00
4E168CB04
(57)【要約】
【課題】帳票の生成に要する作業負担を軽減する。
【解決手段】自動印字システムSは、印字設定を定めるとともに該印字設定における一部の設定項目について変更許可を規定する変更許可設定を定める印字設定部101bと、印字設定に従って順次印字可能な印字ヘッド1と、変更許可設定に基づいて、印字設定のうち変更許可が規定された設定項目について設定変更を受け付ける設定変更受付部101cと、設定変更に従った印字設定に基づいて、文字列が試し印字された被印字物Wの画像を取得する画像取得部101aと、試し印字された被印字物Wの画像が取得されかつ変更決定の入力を受け付けた場合に、設定変更を印字設定に反映させる設定変更反映部101dと、設定変更に従った印字設定における文字列の内容と、画像取得部101aによって取得された試し印字された被印字物Wの画像と、を組み込んだ帳票を生成する帳票生成部101fと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次搬送される各被印字物に対して印字を行う印字装置であって、
前記被印字物に印字される文字列の内容と、該文字列に関する印字条件とを含んだ印字設定を定めるとともに、該印字設定における一部の設定項目について変更許可を規定する変更許可設定を定める印字設定部と、
前記印字設定に従って、前記被印字物の各々に対して順次印字可能な印字実行部と、
前記変更許可設定に基づいて、前記印字設定のうち前記変更許可が規定された設定項目について設定変更を受け付ける設定変更受付部と、
前記設定変更に少なくとも一時的に従った前記印字設定に基づいて、前記印字実行部により文字列が試し印字された被印字物の画像を取得する画像取得部と、
前記試し印字された被印字物の画像が前記画像取得部によって取得され、かつ、前記設定変更を決定する変更決定の入力を受け付けた場合に、前記設定変更を前記印字設定に反映させる設定変更反映部と、
前記設定変更に従った前記印字設定における前記文字列の内容と、前記画像取得部によって取得された前記試し印字された被印字物の画像と、を組み込んだ帳票を生成する帳票生成部と、を備える
ことを特徴とする印字装置。
【請求項2】
請求項1に記載された印字装置において、
前記設定項目のうち少なくとも前記変更許可が規定された設定項目を表示するとともに、該設定項目に対する設定変更を受け付けるための設定変更受付画面を表示する表示部を備え、
前記設定変更受付部は、前記設定変更受付画面を介して行われる操作入力に基づいて、前記設定変更を受け付ける
ことを特徴とする印字装置。
【請求項3】
請求項2に記載された印字装置において、
前記表示部は、前記試し印字された被印字物の画像を取得するように誘導する画像取得誘導画面を表示し、
前記画像取得部は、前記画像取得誘導画面を介して行われる操作入力に基づいて、前記試し印字された被印字物の画像の取得を実行する
ことを特徴とする印字装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載された印字装置において、
前記表示部は、前記試し印字を前記印字実行部に行わせるように誘導する試し印字誘導画面を表示し、
前記印字実行部は、前記印字誘導画面を介して行われる操作入力に基づいて、前記試し印字を実行する
ことを特徴とする印字装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された印字装置において、
前記帳票のフォーマットを設定する帳票設定部を備え、
前記帳票生成部は、前記帳票設定部により設定されたフォーマットに従った前記帳票内に、前記試し印字された被印字物の画像を組み込んで出力する
ことを特徴とする印字装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載された印字装置において、
前記印字装置は、前記被印字物の各々にインク粒を着弾させることで印字を行うインクジェット記録装置によって構成される
ことを特徴とする印字装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載された印字装置において、
前記印字装置は、前記被印字物の各々の表面上でレーザ光を2次元走査することで印字を行うレーザマーカによって構成される
ことを特徴とする印字装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載された印字装置において、
前記印字装置は、さらに、前記被印字物を撮像して画像を生成する撮像部を備え、
前記画像取得部は、前記撮像部により生成された画像を取得する
ことを特徴とする印字装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワーク等に印字を行うための印字装置が広く知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、印字装置としてのインクジェット記録装置が開示されている。このインクジェット記録装置は、生産計画データ等をCSVファイルとして記憶するとともに、そのCSVファイルを読み込んで解析することで、規定個数の被印字物に対して順次印字を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-126063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に係る印字装置は、その用途次第では、公的機関等が定めた管理方法に基づいて、誤印字の有無、印字位置の良否等を事前に記録保存する必要がある。そうした記録保存は、印字されるべき文字列の内容、その文字列に関する印字条件等の設定変更(いわゆる「段取り替え」)がなされる度に行う必要がある。
【0006】
具体的に、例えば前記特許文献1に開示されているようなインクジェット記録装置の場合、段取り替えが行われたときには、管理者等が予め定めた書式にしたがって、現場作業者が帳票を生成することになる。通常、この帳票には、試し印字を施した食品包装等から印字部分を切り抜くことで、段取り替え後の設定に従った試し印字の結果が貼り付けられることになる。そして、その試し印字の結果について管理者の承認を得ることで、順次搬送される各被印字部に対し、取り替え後の設定を反映した印字を行うことができるようになる。
【0007】
現場作業者による帳票の生成は、周知の専用ソフトを用いて行うことができる。しかしながら、試し印字の結果の貼り付け等の作業は、現場作業者にとって大きな作業負担になる。従来知られた専用ソフトでは、作業負担の軽減が不十分であった。
【0008】
本開示は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、帳票の生成に要する作業負担を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様は、順次搬送される各被印字物に対して印字を行う印字装置に係る。この印字装置は、前記被印字物に印字される文字列の内容と、該文字列に関する印字条件とを含んだ印字設定を定めるとともに、該印字設定における一部の設定項目について変更許可を規定する変更許可設定を定める印字設定部と、前記印字設定に従って、前記被印字物の各々に対して順次印字可能な印字実行部と、前記変更許可設定に基づいて、前記印字設定のうち前記変更許可が規定された設定項目について設定変更を受け付ける設定変更受付部と、前記設定変更に少なくとも一時的に従った前記印字設定に基づいて、前記印字実行部により文字列が試し印字された被印字物の画像を取得する画像取得部と、前記試し印字された被印字物の画像が前記画像取得部によって取得され、かつ、前記設定変更を決定する変更決定の入力を受け付けた場合に、前記設定変更を前記印字設定に反映させる設定変更反映部と、前記設定変更に従った前記印字設定における前記文字列の内容と、前記画像取得部によって取得された前記試し印字された被印字物の画像と、を組み込んだ帳票を生成する帳票生成部と、を備える。
【0010】
前記第1の態様によれば、前記印字設定部は、例えば管理者による操作入力にしたがって、作業者等が変更可能な設定項目を設定する。前記設定変更受付部は、変更許可が下りた設定項目について設定変更を受け付けることで、印字設定の段取り替えを開始する。その後、前記画像取得部は、設定変更受付部によって受け付けられた設定変更に基づいて試し印字された被印字物の画像を取得する。
【0011】
そして、前記帳票生成部は、設定変更に従った印字設定における文字列の内容と、試し印字された被印字物の画像と、を組み込んだ帳票を生成する。試し印字された被印字物の画像は、設定変更後の試し印字の結果を示す。そうした画像を組み込んで帳票を生成することで、試し印字の結果の貼り付け等の作業の手間が省けるため、帳票の生成に要する作業負担を軽減することができる。
【0012】
加えて、前記設定変更反映部は、少なくとも試し印字された被印字物の画像が取得されたことを条件に、設定変更を印字設定に反映させるように構成されている。このように構成することで、画像の取得漏れの発生を抑制することができ、作業負担を軽減しながらも、ミス無く帳票を生成することができるようになる。
【0013】
なお、帳票生成部が帳票を生成するタイミングは、設定変更部が設定変更を印字設定に反映させた後のタイミングとしてもよいし、設定変更部が設定変更を印字設定に反映させる前のタイミングとしてもよい。
【0014】
また、本開示の第2の態様によると、前記印字装置は、前記設定項目のうち少なくとも前記変更許可が規定された設定項目を表示するとともに、該設定項目に対する設定変更を受け付けるための設定変更受付画面を表示する表示部を備え、前記設定変更受付部は、前記設定変更受付画面を介して行われる操作入力に基づいて、前記設定変更を受け付ける、としてもよい。
【0015】
前記第2の態様によれば、表示部は、設定変更可能な設定項目を表示することができる。例えばユーザのアクセス権限に応じて表示内容を切り替えることで、帳票のフォーマット等、作業者毎に共通にすべき設定項目については変更させることなく保持することができるようになる。
【0016】
また、本開示の第3の態様によると、前記表示部は、前記試し印字された被印字物の画像を取得するように誘導する画像取得誘導画面を表示し、前記画像取得部は、前記画像取得誘導画面を介して行われる操作入力に基づいて、前記試し印字された被印字物の画像の取得を実行する、としてもよい。
【0017】
前記第3の態様によれば、表示部は、その表示内容を通じて、試し印字された被印字物の画像を取得するようにユーザを誘導する。これにより、画像の取得漏れの発生を抑制するとともに、帳票の生成をスムースに行うことができるようになる。
【0018】
また、本開示の第4の態様によると、前記表示部は、前記試し印字を前記印字実行部に行わせるように誘導する試し印字誘導画面を表示し、前記印字実行部は、前記印字誘導画面を介して行われる操作入力に基づいて、前記試し印字を実行する、としてもよい。
【0019】
前記第4の態様によれば、表示部は、その表示内容を通じて、試し印字を行うようにユーザを誘導する。これにより、設定変更の受付が完了した後のタイミング等、より適切なタイミングで試し印字を行わせることができ、帳票の生成をスムースに行うことができるようになる。
【0020】
また、本開示の第5の態様によると、前記印字装置は、前記帳票のフォーマットを設定する帳票設定部を備え、前記帳票生成部は、前記帳票設定部により設定されたフォーマットに従った前記帳票内に、前記試し印字された被印字物の画像を組み込んで出力する、としてもよい。
【0021】
前記第5の態様によれば、ユーザ毎に、帳票のフォーマットを統一させることができる。この構成は、特に複数のユーザが設定変更し得る場合に、ユーザ毎にバラバラのフォーマットで帳票が生成されるのを抑制することができるという点で有効である。
【0022】
また、本開示の第6の態様によると、前記印字装置は、前記被印字物の各々にインク粒を着弾させることで印字を行うインクジェット記録装置によって構成される、としてもよい。
【0023】
また、本開示の第7の態様によると、前記印字装置は、前記被印字物の各々の表面上でレーザ光を2次元走査することで印字を行うレーザマーカによって構成される、としてもよい。
【0024】
また、本開示の第8の態様によると、前記印字装置は、さらに、前記被印字物を撮像して画像を生成する撮像部を備え、前記画像取得部は、前記撮像部により生成された画像を取得する、としてもよい。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本開示によれば、帳票の生成に要する作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、自動印字システムの全体構成を例示する図である。
図2図2は、インクジェット記録装置の概略構成を例示するブロック図である。
図3図3は、印字ヘッドの概略構成を例示する図である。
図4図4は、段取り替えに係る工程を例示するフローチャートである。
図5図5は、管理者による事前設定を例示するフローチャートである。
図6図6は、作業者による段取り替えおよび帳票生成に係る処理を例示するフローチャートである。
図7図7は、ユーザの管理画面を例示する図である。
図8図8は、ユーザ毎にアクセス権限を設定するための画面を例示する図である。
図9図9は、帳票の基本設定を設定するための画面を例示する図である。
図10図10は、帳票のフォーマットを設定するための画面を例示する図である。
図11図11は、帳票のフォーマットを設定するための画面を例示する図である。
図12図12は、段取り替えの設定画面を例示する図である。
図13図13は、印字設定の変更許可設定を行う画面を例示する図である。
図14図14は、印字設定を事前に設定するための画面を例示する図である。
図15図15は、変更許可が下りた設定項目の選択画面を例示する図である。
図16図16は、印字設定の設定変更を行うとともに、試し印字を行うようにユーザを誘導するための画面を例示する図である。
図17図17は、試し印字の結果を撮像するようにユーザを誘導するための画面を例示する図である。
図18図18は、生成された帳票の表示画面を例示する図である。
図19図19は、自動印字システムの変形例を示す図1対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は例示である。
【0028】
すなわち、本明細書では、印字装置の一例として、インクジェット記録装置を備えた自動印字システムSについて主に説明するが、ここに開示する技術は、インクジェット記録装置への適用には限定されない。本開示は、順次搬送される各被印字物に対して印字可能な装置一般に適用することができる。レーザマーカ等、印字装置の主たる適用例については後述する。
【0029】
特に、本明細書では、インクジェット記録装置の一例として、産業用インクジェットプリンタについて説明するが、ここに開示する技術は、インクジェット記録装置および産業用インクジェットプリンタという名称に関わらず、粒子状のインクを飛翔させてワークに着弾させるインクジェットを用いた一般の機器に適用することができる。
【0030】
また、本明細書においては、インクジェット記録装置による印字について説明するが、ここでいう「印字」には、文字の印刷、図形のマーキング等、インクジェットを応用したあらゆる加工処理が含まれる。レーザマーカ等、本開示の他の適用例においても同様である。
【0031】
<全体構成>
図1は自動印字システムSの全体構成を例示する図である。また、図2はインクジェット記録装置Iの概略構成を例示する図であり、図3はインクジェット記録装置Iにおける印字ヘッド1の概略構成を例示する図である。図1に例示する自動印字システムSは、例えば工場等の搬送ラインL上に設置されており、その搬送ラインLによって順次搬送される各被印字物Wに対し、順番に印字を施すように構成されている。なお、本開示の適用対象は、自動印字システムSには限定されない。本開示は、自動以外の方法を用いた印字システムに適用することもできる。搬送ラインLは、例えばベルトコンベア等で構成することができる。
【0032】
具体的に、自動印字システムSは、粒子状のインク(インク粒)を被印字物Wに着弾させることで印字を行うインクジェット記録装置Iと、インクジェット記録装置Iに接続される操作用端末800および外部機器900と、カメラユニット400と、を備えている。なお、操作用端末800および外部機器900は、必須ではない。自動印字システムSは、本実施形態における「印字装置」の例示である。
【0033】
図1図3に例示するインクジェット記録装置Iは、インク粒をノズル12から吐出するとともに、そのインク粒を被印字物Wに着弾させる印字ヘッド1と、この印字ヘッド1に対し制御信号、インクおよび溶剤を供給するコントローラ100と、を備えている。コントローラ100が印字ヘッド1に制御信号を供給することで、インク粒の軌跡を制御する。これにより、被印字物W上でのインク粒の着弾位置が調整されて、所望の印字が実現されるようになっている。印字ヘッド1は、支持部材2等により所定の位置に固定される。
【0034】
特に、本実施形態に係るインクジェット記録装置Iは、いわゆるコンティニュアス方式のインクジェットプリンタ(Continuous Ink Jet printer:CIJ)として構成されている。すなわち、インクジェット記録装置Iは、インクの揮発に起因した目詰まり(特に、ノズル12の目詰まり)等を防止するために、印字を実行していないときであっても、インクジェット記録装置Iが稼働状態であれば、インクジェット記録装置Iの内部を常にインクが循環している。コンティニュアス方式を採用することで、インクによる目詰まりを招くことなく、速乾性のインクを用いることができるようになる。
【0035】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置Iは、溶剤を印字ヘッド1へ送り出すことで、ノズル12等、印字ヘッド1の各部を洗浄することができるようになっている。洗浄に用いられた溶剤は、必要に応じて回収されて、インクの濃度(粘度)を調整するために再利用することができる。
【0036】
操作用端末800は、例えば中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)および記憶装置を有しており、コントローラ100に接続されている。この操作用端末800は、印字設定を設定するとともに、印字に関連した情報をユーザに示すための端末として機能する。
【0037】
操作用端末800により設定される印字設定は、コントローラ100に出力されて、その記憶部102に記憶される。コントローラ100の記憶部102に加えて、または、この記憶部102に代えて、操作用端末800が印字設定を記憶してもよい。
【0038】
なお、本実施形態に係る印字設定には、被印字物Wに印字される文字列の内容(以下、単に「印字内容」ともいう)と、該文字列に関する印字条件(例えば、印字位置)とが含まれる。印字設定の具体例は後述する。
【0039】
なお、操作用端末800は、例えばコントローラ100に組み込んで一体化することができる。この場合は「操作用端末」という呼称ではなく、コントロールユニット等の呼称が用いられることになる。
【0040】
外部機器900は、必要に応じてコントローラ100に接続される。図1および図2に示す例では、外部機器900として、ワーク検出センサ901、搬送速度センサ902およびプログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller:PLC)903が設けられている。
【0041】
具体的に、ワーク検出センサ901は、搬送ラインLにおける被印字物Wの有無を検出し、その検出結果を示す信号(検出信号)をコントローラ100へ出力する。ワーク検出センサ901から出力される検出信号は、印字を開始するためのトリガー(印字トリガ)として機能する。
【0042】
搬送速度センサ902は、例えばロータリエンコーダから構成されており、被印字物Wの搬送速度を検出することができる。搬送速度センサ902は、その検出結果を示す信号(検出信号)をコントローラ100へ出力する。コントローラ100は、搬送速度センサ902から入力された検出信号に基づいて、印字ヘッド1からインク粒を吐出するタイミング等を制御する。
【0043】
またPLC903は、図2に例示するように、コントローラ100と電気的に接続されている。PLC903は、予め定めたシーケンスに従ってインクジェット記録システムSを制御するために用いられる。
【0044】
インクジェット記録装置Iには、上述した機器や装置以外にも、操作および制御を行うための装置、その他の各種処理を行うためのコンピュータ、記憶装置、周辺機器等を接続することもできる。この場合の接続は、例えば、各種シリアル接続またはパラレル接続としてもよい。あるいは、種々のネットワークを介して電気的、磁気的または光学的な接続を採用することもできる。また、有線接続以外にも、電波、赤外線、光通信等を利用した無線接続でもよい。さらに、データの交換や各種設定の保存等を行うための記憶装置に用いる記憶媒体としては、例えば、各種メモリカード、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等を利用することができる。
【0045】
<コントローラ100>
コントローラ100は、印字ヘッド1を電気的に制御するとともに、印字用のインク、および、インクを希釈するための溶剤を印字ヘッド1へ供給することができるように構成されている。
【0046】
具体的に、本実施形態に係るコントローラ100は、電気的な制御に関連した構成要素として、前述の加工条件を記憶する記憶部102と、コントローラ100および印字ヘッド1の各部を制御する制御部101と、ユーザによる操作を受け付けるとともに、ユーザへ情報を表示する操作表示部103と、外部から供給される電力を制御部101へ導く電源供給部121と、を備えている。
【0047】
コントローラ100はまた、インク等の供給に関連した構成要素として、印字ヘッド1のノズル12にインクを供給するインク供給部104と、このノズル12およびインク供給部104に溶剤を供給する溶剤供給部105と、を備えている。
【0048】
制御部101と、インク供給部104及び溶剤供給部105とは、別ユニットで構成されていてもよい。記憶部102も、インク供給部104及び溶剤供給部105とは、別ユニットで構成されていてもよい。操作表示部103も、インク供給部104及び溶剤供給部105とは、別ユニットで構成されていてもよい。これらの場合も、構成要素を合わせてコントローラ100とすることができる。
【0049】
(記憶部102)
記憶部102は、後述の操作表示部103、または、操作用端末800を介して設定された印字設定を記憶するとともに、外部からの制御信号に基づいて、記憶された印字設定を制御部101へと出力するように構成されている。
【0050】
具体的に、記憶部102は、揮発性メモリ、ならびに、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)およびソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等の不揮発性メモリを用いて構成されており、印字設定を示す情報を一時的または継続的に記憶することができる。なお、操作用端末800をコントローラ100に組み込んだ場合には、操作用端末800が記憶部102を兼用してもよい。
【0051】
また、記憶部120には、一時記録部102aが設けられている。一時記録部102aは、例えばRAM(Random Access Memory)等で構成することができ、種々のデータを一時的に記録する部分である。
【0052】
(制御部101)
制御部101は、記憶部102に記憶された印字設定に基づいて、少なくとも、コントローラ100におけるインク供給部104および溶剤供給部105と、印字ヘッド1におけるノズル12、帯電電極13および偏向電極15と、を制御する。制御部101が各部を制御することにより、被印字物Wへの印字が所定のタイミングで実施される。
【0053】
具体的に、制御部101は、例えばCPU、メモリ、入出力バス等を有しており、操作表示部103または操作用端末800を介して入力された情報を示す信号と、記憶部102から読み込んだ印字設定を示す信号と、に基づいて制御信号を生成する。制御部101は、そうして生成した制御信号をコントローラ100およびインクジェット記録装置Iの各部へと出力することにより、各被印字物Wに対する印字を制御する。
【0054】
例えば制御部101は、被印字物Wに印字するときには、記憶部102に記憶された被印字物Wに対する印字内容を読み込んで、その印字内容に基づいた制御信号を生成する。そして、制御部101は、その制御信号を帯電電極13へと出力することで、印字内容に対応した着弾位置を実現するようにインク粒の飛翔方向を設定する。
【0055】
-制御部101における他の機能的要素-
図2に示すように、本実施形態に係る印字システムSは、印字設定の設定変更(いわゆる段取り替え)時、多数の被印字物Wに対する印字完了時等のタイミングで帳票を生成することができる。帳票の生成に関連した機能的要素として、本実施形態に係る制御部101は、画像取得部101aと、印字設定部101bと、設定変更受付部101cと、設定変更反映部101dと、帳票設定部101eと、帳票生成部101fと、を有する。これらの詳細は後述する。
【0056】
(操作表示部103)
図1に示すように、操作表示部103は、例えばコントローラ100を構成する筐体等に設けることができるが、筐体とは別に構成し、筐体とは異なる所に設置するようにしてもよい。この操作表示部103は、インクジェット記録装置Iに関連した種々の情報を表示する表示部103aと、例えば、タッチ式操作パネルやボタン、スイッチ等からなる操作部103bと、を備えている。表示部103aは、例えば液晶表示パネル、有機EL表示パネル等で構成されており、制御部101によって制御され、後述するようなユーザインターフェース等も表示可能に構成されている。
【0057】
ユーザが操作表示部103の操作部103bを操作すると、その操作入力に対応した情報(操作情報)が制御部101に入力され、制御部101はどのような操作が行われたか検知することができる。例えば、操作部103bを操作することで、インクジェット記録装置Iの電源ON/OFF等を切替えること、各種設定、情報の入力等を行うことができる。なお、操作用端末800をコントローラ100に組み込んだ場合には、操作用端末800が操作表示部103を兼用してもよい。操作表示部103の表示部103aは、ユーザに各種情報を通知する通知部であり、また、操作部103bは各種情報を入力可能な入力部である。
【0058】
この操作表示部103は、前述の操作用端末800と同様に、印字設定を設定することもできる。操作表示部103により設定される印字設定は、コントローラ100に出力されて、その記憶部102に記憶される。以下の記載では、ユーザが操作表示部103を操作するケースを前提に説明するが、操作表示部103の代わりに操作用端末800を用いることもできる。
【0059】
(インク供給部104)
インク供給部104は、主たる構成要素として、補充用のインクを収容したインクカートリッジ104aと、このインクカートリッジ104aからインクが供給されるメインタンク104bと、インク流通経路104cと、を有している。インクカートリッジ104a、メインタンク104bおよび印字ヘッド1は、インク流通経路104cを介して流体的に接続されている。
【0060】
このうち、インクカートリッジ104aは、コントローラ100に対して着脱自在に構成されており、これを付け替えることで、メインタンク104bにインクを補充することができる。
【0061】
このように、本実施形態に係るインクジェット記録装置Iは、いわゆる“カートリッジ”式のインクジェットプリンタとして構成されているが、この構成には限定されない。例えば、手動で開閉可能なタンクを設けるとともに、そのタンクに対してインクを補充するように構成してもよい。
【0062】
メインタンク104bは、ノズル12へ供給されるインクを蓄える容器であり、具体的には溶剤によって濃度(粘度)調整されたインクを収容するように構成されている。こうした構成を実現するために、インクカートリッジ104aからメインタンク104bへ至る経路には、溶剤供給用の経路が接続されている。
【0063】
また、インク流通経路104cは、印字ヘッド1にインクを供給するための経路であり、例えば、ノズル12にインクを送り込むための経路と、ガター16からインクを送り戻すための経路と、を有している。ノズル12にインクを送り込むための経路は、インクカートリッジ104aと、メインタンク104bと、ノズル12とを接続している。ガター16からインクを送り戻すための経路は、ガター16と、メインタンク104bとを接続している。これらの経路によって、印字ヘッド1とコントローラ100との間でインクを循環させることができる。
【0064】
詳細は省略するが、インク流通経路104cには、複数の電磁弁と、複数のポンプと、が設けられている。このうち、各電磁弁は、制御部101から出力された制御信号を受けて開閉し、インクの流れを制御することができる。一方、各ポンプは、制御部101から出力された制御信号を受けてインクを圧送し、電磁弁と同様に、インクの流れを制御することができる。
【0065】
(溶剤供給部105)
溶剤供給部105は、主たる構成要素として、補充用の溶剤を収容した溶剤カートリッジ105aと、洗浄に用いられた溶剤を蓄えるコンディショニングタンク105bと、溶剤流通経路105cと、を有している。溶剤カートリッジ105a、コンディショニングタンク105bおよび印字ヘッド1は、溶剤流通経路105cを介して流体的に接続されている。溶剤が流通する溶剤流通経路105cは、複数の経路からなり、そのうちの一部は、ガター16からインクを送り戻す経路により兼用されている。
【0066】
溶剤カートリッジ105aは、コントローラ100に対して着脱自在に構成されている。この溶剤カートリッジ105aを付け替えることで、コントローラ100に溶剤を補充することができる。溶剤カートリッジ105aの代わりに溶剤タンクを設けてもよい。なお、溶剤供給部105は、溶剤カートリッジ105a内の溶剤が空になったか否か、又は、溶剤が残り少なくなったか否かを検知する機能を有する。溶剤カートリッジ105aに収容されている溶剤は、インクの濃度調整に用いられるとともに、インクが流通する経路等を洗浄する洗浄剤としても使用される。
【0067】
コンディショニングタンク105bは、洗浄に用いられた溶剤を収容するように構成されている。前述のように、ノズル12から吐出された溶剤は、インクと同様にガター16によって回収される。そのため、ガター16からインクを送り戻すための経路は、溶剤を送り戻すための経路を兼用している。
【0068】
また、溶剤流通経路105cは、印字ヘッド1およびメインタンク104b等に溶剤を供給するための経路を含み、例えば、ノズル12に溶剤を送り込むための経路と、ガター16から溶剤を送り戻すための経路と、を有している。ノズル12に溶剤を送り込むための経路は、溶剤カートリッジ105aとノズル12とを接続している。ガター16から溶剤を送り戻すための経路は、前述のように、インクを送り戻すための経路を兼ねている。
【0069】
詳細は省略するが、溶剤流通経路105cには、複数の電磁弁と、複数のポンプと、が設けられている。このうち、各電磁弁は、制御部101から出力された制御信号を受けて開閉し、溶剤の流れを制御することができる。一方、各ポンプは、制御部101から出力された制御信号を受けて溶剤を圧送し、電磁弁と同様に、溶剤の流れを制御することができる。
【0070】
なお、溶剤流通経路105c、および、前述のインク流通経路104cという分類は、説明を簡潔にするためになされた便宜上の分類に過ぎない。溶剤流通経路105cおよびインク流通経路104cは、相互に接続されていたり、一方が他方を兼ねていたりするため、実質的に不可分となっている。
【0071】
(電源供給部121)
電源供給部121は、商用電源700と制御部101の間に介在しており、商用電源700から供給される電力を中継し、これを制御部101へと供給することができる。
【0072】
(他の構成要素)
コントローラ100には、制御信号を送受するための電気配線と、インクを送受するためのチューブ(具体的には、インク流通経路104cを区画するチューブ)と、溶剤を送受するためのチューブ(具体的には、溶剤流通経路105cを区画するチューブ)と、が束になって被覆された接続ケーブル107が設けられている。この接続ケーブル107は可撓性を有しており、印字ヘッド1の上端部に接続されている(図1を参照)。コントローラ100と印字ヘッド1は、この接続ケーブル107を介して電気的にかつ流体的に接続されている。
【0073】
<印字ヘッド1>
印字ヘッド1は、コントローラ100から供給される制御信号、インクおよび溶剤に基づいて濃度調整されたインクを粒子状のインク粒として吐出する。印字ヘッド1は、そうして吐出されたインク粒の飛翔方向を偏向せしめるとともに、偏向されたインク粒を被印字物Wの表面に着弾させることで、その被印字物Wに対して印字を実行することができる。その際の印字の詳細は、前述の印字設定に従う。印字ヘッド1は、印字設定に従って被印字物Wの各々に対して順次印字可能であるという点で、本実施形態における「印字実行部」を例示している。
【0074】
具体的には、図3に示すように、本実施形態に係る印字ヘッド1は、インクを加振する加振器11と、加振器11により加振されたインクを吐出するノズル12と、ノズル12から吐出された粒子状のインクを帯電させる帯電電極13と、インクの帯電状態を監視する帯電検出センサ14と、帯電電極13により帯電されたインクの飛翔方向を偏向させる偏向電極15と、偏向電極15により非偏向とされたインク、または、ノズル12から吐出された溶剤を回収するガター16と、を備えている。
【0075】
印字ヘッド1は、加振器11、ノズル12、帯電電極13、帯電検出センサ14、偏向電極15およびガター16を内部に収容し、かつ、インク粒の飛翔空間S1を区画する筐体10を備えている。この印字ヘッド1は、偏向電極15によって偏向されたインク粒を、飛翔空間S1を介して筐体10の外部に吐出することができる。
【0076】
印字ヘッド1の外形状をなす筐体10の下面には、偏向電極15により偏向されたインク粒を外部に吐出するための吐出口Aが開口している(図2参照)。インク粒は、この吐出口Aから筐体10の下方へ向けて吐出されるようになっている。
【0077】
図1に示すように、印字時における印字ヘッド1は、例えば支持部材2によって支持されている。支持部材2によって支持された状態の印字ヘッド1は、その吐出口Aが被印字物Wの印字面に対して上方向から対向するように配置される。この場所が、インクジェット記録装置Iにより印字を行う際の印字ヘッド1の設置場所の一例である。
【0078】
以下、印字ヘッド1をなす各部について、順番に説明をする。なお、以下の記載において「上下方向」とは、鉛直方向に沿った方向を指す。例えば、図3の紙面上方が「上方向」に相当し、同図の紙面下方が「下方向」に相当する。
【0079】
(加振器11)
図3に例示するように、加振器11は、筐体10の飛翔空間S1における上端付近に配置されている。本実施形態に係る加振器11には、インクに上下振動を付与(加振)するためのデバイス(例えばピエゾ素子)が内蔵されている。この加振器11は、接続ケーブル107を介してインクが供給されるように構成されており、そうして供給されたインクを加振することができる。加振器11によって加振されたインクは、ノズル12へと供給される。
【0080】
なお、図示は省略したが、本実施形態に係る加振器11は接地されている。
【0081】
(ノズル12)
図3に例示するように、ノズル12は、加振器11の下端部に接続されており、その開口端(インクの噴射口)を下方に向けた姿勢で配置されている。ノズル12の開口端から、加振器11によって加振されたインクを吐出することができる。このノズル12には、例えば立下時に印字ヘッド1内部の圧力を抜くためのリターン経路として機能する吸引経路が接続されている(不図示)。また、吸引経路を通じて、ノズル12から溶剤を吸引させることもできる。
【0082】
ここで、加振器11によって加振されずにノズル12から吐出されたインクは、軸状のいわゆる“インク軸”となって流れる。一方、加振されたインクは、ノズル12から吐出された直後に粒子化されて、いわゆる“インク粒”となる。ノズル12から吐出されたインクは、ノズル12から吐出された直後は軸状であるが、ノズル12から離れるに従って粒子状になる。この粒子状になる位置をブレークポイントと呼ぶ。ノズル12から吐出されたインク(インク粒)は、後述する帯電電極13を通過する。
【0083】
なお、印字ヘッド1を洗浄すべく供給された溶剤は、加振器11とノズル12を順番に通過して、ノズル12の先端部から吐出される。そうして吐出される溶剤は、軸状に流れて、帯電電極13を通過する。
【0084】
(帯電電極13)
図3に例示するように、帯電電極13は、伝導性を有する一対の金属板によって構成されており、ノズル12の下方に配置されている。ここで、帯電電極13を構成する一対の金属板は、それぞれの長手方向を上下方向に沿わせた姿勢で、かつ互いに水平方向に向かい合うような姿勢で筐体10に固定されている。一対の金属板の間隔は、ノズル12から吐出されたインクの粒径よりも大きく設定されており、ノズル12から吐出されたインクが一対の金属板の間を通過することになる。なお、帯電電極13を構成する金属板は、一対である必要はない。
【0085】
本実施形態に係る帯電電極13には、少なくとも印字動作を実行するときに電位(正電位)が印加される。これにより、加振器11と帯電電極13との間に電位差を生じさせ、帯電電極13を通過するインク粒を帯電させることが可能となる。各インク粒を帯電させるために、本実施形態に係る帯電電極13は、ノズル12から吐出されたインクが粒子化するブレークポイント付近に配置される。
【0086】
帯電電極13には、コントローラ100によって制御可能なパルス電位が印加される。ここで、帯電電極13に対して相対的に高い電圧を印加した場合は、それよりも低い電圧を印加した場合に比して、各インク粒の帯電量(負の電荷の大きさ)が大きくなる。各インク粒は、その帯電量が大きい場合には、それが小さい場合に比して、偏向電極15によって大きく偏向される。コントローラ100がパルス電位の大きさを調整することで、インク粒の偏向量を制御することができる。帯電電極13によって帯電されたインク粒は、帯電検出センサ14の側方を通過した偏向電極15へ至る。
【0087】
また、ノズル12から吐出される溶剤は、帯電されることなく、帯電検出センサ14の側方を通過して偏向電極15へ至る。
【0088】
(帯電検出センサ14)
図3に例示するように、帯電検出センサ14は、帯電電極13の下方に配置されている。詳しくは、帯電検出センサ14は、帯電電極13を構成する金属板(図3に示す例では、紙面右側の金属板)の下方において、インク粒が飛翔する際の軌跡と交わらないように配置されている。帯電検出センサ14をこのように配置することで、インク粒と帯電検出センサ14との衝突を避けることが可能となる。
【0089】
また、本実施形態に係る帯電検出センサ14は、筐体10の内部に設けた回路基板に接続されている。帯電検出センサ14は、その側方を通過するインク粒の帯電状態を検出することができる。帯電検出センサ14による検出結果は、検出信号として制御部101に出力される。この検出信号に基づいて、制御部101は、各インク粒が適切に帯電しているか否かを判定することができる。
【0090】
(偏向電極15)
図3に例示するように、偏向電極15は、一対の伝導性を有する金属板(いわゆる「対向電極」)によって構成されており、帯電電極13および帯電検出センサ14の下方に配置されている。ここで、一対の金属板は、それぞれの長手方向を略上下方向に沿わせた姿勢で、かつ互いに水平方向に向い合うような姿勢で筐体10に固定されている。帯電電極13を構成する一対の金属板の間を通過したインク粒は、偏向電極15を構成する一対の金属板の間を通過することになる。
【0091】
偏向電極15には、コントローラ100によって制御可能な電圧が印加される。これにより、偏向電極15を構成する一対の金属板の間には電位差が生じることになる。この電位差によって、インク粒の帯電量に応じて、そのインク粒の飛翔方向を偏向させることができる。インク粒の飛翔方向は、偏向電極15を構成する一対の金属板の並び方向に沿って偏向され得る。
【0092】
すなわち、帯電電極13および偏向電極15のそれぞれに印加される電圧を介して、インク粒の飛翔方向を制御することができる。そうして飛翔方向が制御されるインク粒には、偏向電極15により偏向されたものと、偏向電極15により偏向されないもの(非偏向とされたもの)と、が含まれる。このうち、偏向電極15により偏向されたインク粒が被印字物Wの印字に関与する。偏向電極15により偏向されたインク粒は、筐体10の下面に設けた吐出口Aから吐出されて、被印字物Wに着弾する。
【0093】
一方、偏向電極15により非偏向とされたインク粒は、被印字物Wの印字に関与しない。こうしたインク粒、または、そもそも粒子化されていない軸状のインクは、図3において鎖線で例示したように、ガター16の中に到達する。同様に、印字ヘッド1におけるノズル12等の洗浄に用いられて偏向電極15を通過した溶剤もまた、ガター16の中に至る。
【0094】
(ガター16)
図3に例示するように、ガター16は、その開口16aを上方に向けた曲管によって構成されており、偏向電極15の下方に配置されている。本実施形態に係るガター16は、ワークWの印字に関与しないインクと、ノズル12を通過した溶剤(具体的には、ノズル12から吐出された溶剤)と、を回収することができる。
【0095】
詳しくは、本実施形態においては、ガター16の開口16aと、ノズル12の開口端とが互いに向い合うように配置されており、ガター16の開口16aの真上にノズル12の開口端が位置している。このように配置することで、ノズル12の開口端から鉛直方向に沿って流れた流体、飛翔した流体を、ガター16の開口16aから受け入れることが可能になる。
【0096】
ガター16には、電荷式やサーミスタ式のガターセンサ16bが設けられている(図2参照)。ガターセンサ16bは、インクがガター16に入っているか否かを検知し、インクがガター16に入っていればインク軸の調整が完了していると判定し、インクがガター16に入っていなければインク軸の調整が完了していないと判定することができるようになっている。ガターセンサ16bは、コントローラ100の制御部101に接続されており、制御部101に信号を出力するように構成されている。
【0097】
ガター16によって回収されたインクまたは溶剤は、インク流通経路104c、溶剤流通経路105c等を通じてコントローラ100に送り戻されて、メインタンク104bまたはコンディショニングタンク105bに蓄えられるようになっている。
【0098】
<カメラユニット400>
自動印字システムSは、前述の帳票生成部101f等を機能させることで帳票を生成することができる。帳票の生成に際しては、後述のように、被印字物Wに試験的な印字(試し印字)を行って、その印字結果を撮像することが考えられる。
【0099】
そこで、本実施形態に係る自動印字システムSは、印字ヘッド1によって文字列が試し印字された被印字物Wの画像を取得するための機器として、図1に示すカメラユニット400を備えている。
【0100】
カメラユニット400は、静止画および動画を撮像して制御部101に出力するためのユニットである。カメラユニット400は、ユニット本体401と、接続ケーブル402と、を備えている。ユニット本体401には、撮像素子及び光学系を備えた撮像部403が設けられている。撮像部403は、カラーで撮像可能な撮像素子を備えており、被印字物Wを撮像して、静止画像及び動画像を生成する。撮像部403は、コントローラ100の制御部101によって制御されて任意のタイミングで撮像を開始し、終了することができるとともに、ユーザが任意のタイミングで撮像することもできるようになっている。
【0101】
ユニット本体401は、接続ケーブル402を介してコントローラ100の制御部101に接続されている。撮像部403で撮像された動画データ及び静止画データは接続ケーブル402を介してコントローラ100の制御部101に送信可能になっている。なお、接続ケーブル402を省略して、カメラユニット400とコントローラ100の制御部101とを無線通信によって接続するようにしてもよい。
【0102】
カメラユニット400はブラケット等によって任意の場所に固定して使用することができるようになっている。この実施形態では、撮像部403がインクジェット記録装置Iの稼働中に、インクジェット記録装置Iの一部を含む周囲環境を撮像して動画データを生成することができるように、カメラユニット400の位置及び向き等が設定されている。インクジェット記録装置Iの一部とは、例えば印字ヘッド1である。図示は省略するが、撮像部403の撮像範囲は、被印字物Wが含まれるように設定されている。この場合、1つの被印字物Wの全体が含まれていてもよしい、その印字面のみが含まれていてもよい。また、カメラユニット400は、撮像部403で撮像された動画データ又は静止画データを記録(ロギング)する機能を有していてもよい。
【0103】
<帳票生成の基本概念>
前述のように、制御部101は、帳票の生成に関連した構成要素として、画像取得部101aと、印字設定部101bと、設定変更受付部101cと、設定変更反映部101dと、帳票設定部101eと、帳票生成部101fと、を有する。
【0104】
このうち、設定変更受付部101cと、設定変更反映部101dは、本実施形態に係る帳票のうち、商品の生産開始、生産再開時等における段取り替えに際して生成可能な帳票(以下、「第1帳票」または「生産開始レポート」ともいう)に特有の構成要素である。
【0105】
一方、画像取得部101aと、印字設定部101bと、帳票設定部101eと、帳票生成部101fは、前記第1帳票と、商品の生産終了、生産中断等に際して生成可能な帳票(以下、「第2帳票」または「生産終了レポート」ともいう)と、で共有される構成要素である。
【0106】
(印字設定部101b)
印字設定部101bは、被印字物Wに印字される文字列の内容(印字内容)と、該文字列に関する印字条件とを含んだ印字設定を定める。印字設定は、例えば大量生産を開始する前のタイミング等、複数の被印字物Wを順番に搬送する前に事前に設定される。
【0107】
印字内容には、段取り替えを行ったタイミング(より具体的には、被印字物Wの生産開始日時)等、各被印字物Wに共通の情報と、被印字物Wの印字回数およびロット番号等、各被印字物Wに固有の情報と、の双方が含まれる。2種類の情報のうちのいずれかが印字されるように設定したり、双方とも印字されるように設定したりすることができる。
【0108】
印字条件には、各被印字物W上での文字列の位置と、文字列の大きさと、が含まれる。印字条件に、文字列の方向を含めることもできる。また、本実施形態のような産業用のインクジェットプリンタを用いた場合、印字条件には、トリガディレイ、エンコーダ入力、各ワークWの搬送方向等、インクジェット記録装置Iに付随した装置、設備等に関する条件を含めることができる。
【0109】
すなわち、本開示における「印字条件」には、印字実行部としての印字ヘッド1の制御に関連した条件に加えて、搬送ラインL、搬送速度センサ902等、各被印字物Wの搬送に関連した条件を含めることができる。
【0110】
印字設定部101bはまた、印字設定における少なくとも一部の設定項目について変更許可を規定する変更許可設定を定める。変更許可の規定対象となる設定項目は、印字内容および印字条件の少なくとも一方とすることができる。また、印字内容のうちのさらに一部について、変更許可を設定することもできる。
【0111】
印字設定部101bによる変更許可設定は、ユーザが所定権限(例えば、管理者権限)を有している場合のみ、受付可能とされている。すなわち、印字設定部101bは、ユーザのログイン情報に基づいて、該ユーザが所定権限を有しているか否かを判定し、該所定権限を有している場合は変更許可設定を受け付ける一方、所定権限を有していない場合は変更許可設定を受け付けることができる。
【0112】
印字設定部101bによる変更許可設定は、ユーザの権限に応じて、異ならせることができる。換言すると、印字設定部101bは、第1のユーザと、第2のユーザと、の間で変更許可設定を異ならせることができる。例えば、経験の浅いユーザについては、設定項目のうちのごく少数に変更許可を設定する一方、経験豊富なユーザについては、相対的に多数の設定項目に変更許可を設定することが可能である。
【0113】
印字設定部101bによる印字設定および変更許可設定は、記憶部102に記憶される。この記憶内容は、設定変更受付部101cおよび設定変更反映部101dによって、適宜読み込まれる。
【0114】
また、印字設定部101bにより行われる印字設定は、その内訳が異なる複数の設定にグループ分けすることができる。本実施形態に係る印字設定部101bは、各設定に番号(設定番号)を付した状態で、各設定番号に対応した印字設定を記憶部120に記憶させるように構成されている。これにより、被印字物Wの種類等に応じて、予め複数の印字設定を用意しておくことができる。また、予め印字設定を用意しておくことで、段取り替えに際して設定変更が行われる設定項目を最小限に留めることができ、段取り替えに要する作業負担を抑制することができる。
【0115】
(設定変更受付部101c)
設定変更受付部101cは、印字設定部101bによって設定された変更許可設定に基づいて、印字設定のうち変更許可が規定された設定項目について設定変更を受け付ける。
【0116】
例えば、変更許可が設定された設定項目については、前述の管理者権限を有していないユーザ(例えば、現場での作業者)であっても、これを設定変更することができる。
【0117】
具体的に、本実施形態に係る設定変更受付部101cは、表示部103a上に、後述の設定変更受付画面Sc9,Sc10を表示する(図15図16を参照)。この設定変更受付画面Sc9,Sc10は、設定項目のうち、少なくとも変更許可が規定された設定項目を表示するための画面である。図15図16に示す例では、設定変更受付画面Sc9,Sc10は、設定項目の選択画面Sc9と、設定変更の入力画面Sc10とに大別されるが、これらを同一画面としてもよい(設定項目の選択と、設定変更の入力とを1つの画面上で行わせてもよい)。
【0118】
そして、設定変更受付部101cは、設定変更受付画面Sc9,Sc10を介して行われる操作入力に基づいて、変更許可が規定された設定項目に対する設定変更を受け付ける。
【0119】
ここで、設定変更受付部101cは、設定変更を受け付けた際、印字設定部101bによって設定された印字設定をコピーし、別データとして少なくとも一時的に記憶する。そして、設定変更受付部101cは、コピー元の印字設定、または、コピー先の印字設定に対して設定変更を実行する。
【0120】
つまり、設定変更が行われた印字設定を示すデータと、設定変更を行う前の印字設定を示すデータと、は双方とも同時に記憶される。両データは、例えば記憶部102に記憶される。こうすることで、設定変更がキャンセルされた場合であっても、設定変更を行う前の印字設定を復元することができる。
【0121】
したがって、設定変更受付部101cが受け付けた設定変更は、その設定変更が受け付けられた時点では、一時的な仮の変更に過ぎない。この設定変更に従う印字設定は、少なくとも、設定変更を確認するための印字(試し印字)において読み込まれる。
【0122】
この設定変更は、設定変更反映部101dが印字設定に反映させたことを条件として、搬送ラインLによって順次搬送される各被印字物Wに対して行われる印字(本番印字)において用いられるようになっている。
【0123】
なお、試し印字と本番印字とで相違する制御態様として、本実施形態に係る制御部101は、本番印字を行う場合、各被印字物Wに印字を施すたびに、印字内容における所定の第1パラメータを逐次変更するように構成されている。ここでいう第1パラメータには、ロット番号、累積印字回数等のカウンタが含まれる。
【0124】
そして、制御部101は、試し印字を行う場合にも、第1パラメータを逐次変更させるところ、試し印字が完了して本番印字を行う場合には、第1パラメータをリセットするように構成されている。
【0125】
例えば、第1パラメータとしてカウンタを用いた場合、試し印字を行う度に、累積印字回数はカウントアップされる。ところが、試し印字が完了して本番印字を行う場合には、そのカウントをリセットする。
【0126】
このように、本実施形態に係る制御部101は、試し印字と本番印字とを、被印字物Wに印字される印字内容の一部(第1パラメータに対応した印字内容)を非共有化することで区別するように構成されている。
【0127】
また、表示部103aは、設定変更受付部101cによる設定変更の入力画面Sc10と同時に、または、該入力画面Sc10から表示態様を切り替えることで、試し印字を印字ヘッド1に行わせるように誘導する試し印字誘導画面Sc10を表示する(図16参照)。
【0128】
例えば図16に示すように、印字誘導画面Sc10は、設定変更の入力画面Sc10と兼用してもよい。或いは、独立した別画面として設定してもよい。印字誘導画面Sc10は、少なくとも、ユーザに試し印字を促すメッセージ、および、図形等のイメージが表示された画面であればよい。この例では、印字ヘッド1は、設定変更の入力画面Sc10を兼ねる印字誘導画面Sc10を介して行われる操作入力(インターフェースBt4に対する操作)に基づいて、試し印字を実行する。
【0129】
(画像取得部101a)
画像取得部101aは、カメラユニット400と電気的に接続されている。画像取得部101aは、カメラユニット400を作動させることで、設定変更に少なくとも一時的に従った印字設定に基づいて、印字実行部としての印字ヘッド1によって文字列が試し印字された被印字物Wの画像を取得する。
【0130】
具体的に、本実施形態に係る画像取得部101aは、表示部103a上に、試し印字された被印字物Wの画像を取得するように誘導する画像取得誘導画面Sc11を表示する。画像取得誘導画面Sc11は、少なくとも、ユーザに撮像を促すメッセージ、および、図形等のイメージが表示された画面であればよい。具体的に、図17に示す例では、ユーザに撮像を促すメッセージと、カメラユニット400に撮像を実行させるためのインターフェースであるボタンBt5と、帳票の生成を行う際に操作されるインターフェースであるボタンBt6と、が表示されている。
【0131】
そして、画像取得部101aは、その画像取得誘導画面Sc11を介して行われる操作入力に基づいて、試し印字された被印字物Wの画像の取得を実行する。画像取得部101aが取得した画像は、表示部103aに表示されるとともに、この表示画像は、ユーザの目視確認のために用いられる画像であり、試し印字の良否を判定するために用いることができる。この表示画像に対応した画像データは、記憶部102に少なくとも一時的に保存される。
【0132】
画像取得部101aによって取得された画像は、帳票生成部101fに入力される。
【0133】
なお、画像取得部101aは、カメラユニット400以外の機器を用いて画像を取得することができる。例えば、民生品のデジタルカメラによって被印字物Wを撮像し、撮像された画像を有線、無線等の通信手段を用いて制御部101に入力したり、USBメモリ等の記憶媒体を介して制御部101に入力したりしてもよい。あるいは、搬送ラインLに沿って配置されるカメラ画像センサによって画像を取得し、それを有線または無線ネットワーク等を通じて制御部101に入力してもよい。また、自動印字システムSに有線又は無線ネットワークを介してサーバを接続し、画像取得部101aは、そのサーバから被印字物Wの画像を取得してもよい。
【0134】
(設定変更反映部101d)
設定変更反映部101dは、試し印字された被印字物Wの画像が画像取得部101aによって取得され、かつ、設定変更を決定する変更決定の入力を受け付けた場合に、設定変更を印字設定に反映させる。
【0135】
ここで、設定変更反映部101dは、試し印字された被印字物Wの画像が画像取得部101aによって取得されたことを条件として、変更決定の入力を受け付けることもできる。図17に示す例では、画像取得誘導画面Sc11上に、変更決定を入力するためのインターフェースであるボタンBt6が表示されている。このインターフェースBt6は、画像取得部101aによって画像が取得されない限りはアクティブ化されず、操作を受け付けないようになっている。本実施形態では、変更決定を入力するためのボタンBt6は、帳票の生成を指示するためのボタンBt6を兼用するようになっている。
【0136】
変更決定の入力を受け付けた場合、設定変更反映部101dは、前述のように退避させていた印字設定を、設定変更に従った(仮の)印字設定で上書きし、これを記憶部102に記憶させる。これにより、試し印字ばかりでなく、本番印字においても、設定変更に従った印字を行うことができるようになる。
【0137】
設定変更反映部101dはまた、印字設定に設定変更を非反映とする変更キャンセルの入力を受け付けることもできる。この入力は、例えば試し印字の結果が不良であり、印字調整を再度行う必要があると判定される場合に行われるものである。この入力は、例えば、画像取得誘導画面Sc11上に表示されるインターフェースBt3を操作することで行うことができる。
【0138】
ここで、本実施形態に係る制御部101は、変更キャンセルの入力を受け付けた場合、印字設定部101bによる印字設定、設定変更受付部101cによる設定変更、印字実行部としての印字ヘッド1による試し印字、および、画像取得部101aによる画像の取得のうちの任意の工程まで遡ることができる。
【0139】
図17に示す例では、インターフェースBt3、及び、他の図における同様のインターフェースBt3を繰り返し操作することで、工程を1つずつ遡るように構成されている。
【0140】
なお、設定変更反映部101dが設定変更の反映を行うタイミングは、帳票生成部101fが帳票を生成する前のタイミングとしてもよいし、帳票生成部101fが帳票を生成した後のタイミングとしてもよい。
【0141】
(帳票設定部101e)
帳票設定部101eは、操作表示部103を介して行われる操作入力に基づいて、帳票のフォーマットを設定する。帳票設定部101eは、2種類の帳票のうち、前述の第1帳票(生産開始レポート)と、第2帳票(生産終了レポート)と、のそれぞれについて個別にフォーマットを設定することができる。
【0142】
また、帳票設定部101eにより設定されるフォーマットには、そもそも2種類の帳票のうちの一方を生成するか、両方を生成するかといった帳票の要否を定める第1フォーマットと、各帳票の内容を定める第2フォーマットと、が含まれる。
【0143】
第1フォーマットには、帳票の生成タイミング(第1帳票と第2帳票の一方を生成するか、或いは、両方を生成するか)と、PDF、CSV等、帳票の保存形式と、帳票の保存先と、帳票の言語と、のうちの少なくとも1つが含まれる。本実施形態では、帳票の生成タイミングが必須となるが、他の項目については、適宜、追加または削除することが可能である。
【0144】
第2フォーマットには、帳票に表示されるべき各項目の名称を示す文字列と、各項目を帳票に記載するか否かの要否と、が含まれる。
【0145】
帳票に表示されるべき各項目の名称には、帳票のタイトルと、印字開始日時(産業用のインクジェット記録装置Iの場合、生産開始日時)と、印字終了日時(生産終了日時)と、段取り替え等、装置を操作した作業者のユーザ名と、印字設定のプレビュー画像と、試し印字等に際して画像取得部101aによって取得された画像と、前記設定番号を示す文字列と、印字を行った累積回数(印字回数)と、その他、ユーザによって任意に設定可能な文字列(任意文字列)と、想定される印字イメージ(印字の予想画像)と、が含まれる。例えば、帳票のタイトルは、任意文字列と同様に、ユーザによって適宜変更可能である。また、設定番号を示す文字列および任意文字列については、複数種類の文字列を表示させることができる。
【0146】
各項目を帳票に記載するか否かの選択肢は、第1帳票と、第2帳票と、で異ならせることができる。例えば、印字終了日時は、第2帳票においてのみ、含めることができるようになっている。
【0147】
このうち、段取り替えに際して生成される第1帳票では、印字設定のプレビュー画像と、試し印字結果を示す画像と、を記載することが求められる。また、第1帳票では、ユーザ名と、印字開始日時と、を記載することが好ましい。
【0148】
一方、印字終了時に生成される第2帳票では、印字設定のプレビュー画像と、画像取得部101aによって取得された画像と、を記載することが望ましい。また、第2帳票では、印字開始日時と、印字終了日時と、印字回数と、を記載することが好ましい。
【0149】
(帳票生成部101f)
帳票生成部101fは、設定変更に従った印字設定(つまり、試し印字に際して用いられた印字設定)における文字列の内容と、画像取得部101aによって取得された試し印字された被印字物Wの画像と、を組み込んだ帳票を生成する。
【0150】
詳しくは、本実施形態に係る帳票生成部101fは、帳票設定部101eにより設定されたフォーマットに従った帳票内に、試し印字された被印字物の画像と、設定変更に従った印字設定における文字列の内容と、を組み込んで出力する。
【0151】
<帳票生成に係る処理の具体例>
図4は、段取り替えに係る工程を例示するフローチャートである。また、図5は管理者による事前設定を例示するフローチャートであり、図6は作業者による段取り替えおよび帳票生成に係る処理を例示するフローチャートである。
【0152】
まず、図4のステップSA1において、自動印字システムSは、管理者による事前設定を受け付ける。具体的に、このステップSA1では、図5のステップSB1~ステップSB4が行われる。
【0153】
-事前設定-
図7は、ユーザの管理画面Sc1を例示する図である。図8は、ユーザ毎にアクセス権限を設定するための画面Sc2を例示する図である。図9は、帳票の基本設定を設定するための画面Sc3を例示する図である。図10および図11は、帳票のフォーマットを設定するための画面Sc4,Sc5を例示する図である。図12は、段取り替えの設定画面Sc6を例示する図である。図13は、印字設定の変更許可設定を行う画面Sc7を例示する図である。図14は、印字設定を事前に設定するための画面Sc8を例示する図である。
【0154】
まず、ステップSB1では、管理者によって、ユーザ毎にアクセス権が設定される。例えば図7に示す管理画面Sc1には、「ユーザー一覧」という項目から所定のユーザを選択し、そのユーザを管理者として取り扱うか、パスコードを要求するか(非管理者として取り扱う)か、等を設定したり、ユーザの追加、削除等を行ったりするためのインターフェースが表示される。管理画面Sc1においてボタンBt1が押下されると、例えばメニュー一覧画面に戻り、「ユーザーごとの設定」と付されたタブが操作されると、非管理者のアクセス権限を設定するための権限設定画面Sc2に遷移し、ボタンBt2が押下されると、制御部101が、設定されたアクセス権限を保存する。
【0155】
図8に示すように、権限設定画面Sc2には、ユーザ毎にアクセス権限を設定するためのインターフェースが表示される。図8は、「作業者2」の「メニュー」についてのアクセス権限を設定するためのインターフェースを例示している。この例では、チェックが付された「編集」と「運用」のみが操作可能となる。他の項目については、クリック操作等を施しても該当機能が実行されなかったり、そもそも、表示部103a等に非表示となったりする。
【0156】
続くステップSB2では、帳票設定部101eが帳票のフォーマットを設定する。この設定は、第1フォーマットを設定するための第1設定画面Sc3と、第2フォーマットを設定するための第2設定画面Sc4,Sc5等を通じて行うことができる。
【0157】
まず、図9に示すように、第1設定画面Sc3には、帳票の生成タイミング(保存タイミング)を選択するための表示項目、帳票の保存形式を選択するための表示項目等、前述した第1フォーマットを設定するためのインターフェースが表示される。生成タイミングに関しては、例えば「生産開始」を選択することで第1帳票のみが生成されるように設定され、「生産終了」を選択することで第2帳票のみが生成されるように設定され、「生産開始/生産終了」を選択することで第1帳票と第2帳票が両方とも生成されるように設定される。
【0158】
また、図9では「保存形式」なるタブが選択されているが、「生産開始レポート」なるタブを選択することで第1帳票のフォーマットを設定可能となり、「生産終了レポート」なるタブを選択することで第2帳票のフォーマットを設定可能となる。
【0159】
これらのタブのうち、「生産終了レポート」なるタブが選択された状態が、図10に示す第2設定画面Sc4に相当する。同図に示すように、第2設定画面Sc4には、帳票のタイトル「レポートタイトル」の入力欄、任意文字列A~Dそれぞれの内容等を編集することができる。なお、図10では、「項目編集」なる設定項目が選択されているが、「項目選択」なる設定項目を選択することで、図11に示す画面Sc5へと遷移する。
【0160】
図11では、図10の画面Sc4上で編集されたものとは別に、生産開始日時、生産終了日時など、第2帳票に記載すべき項目を選択することができる。図11においてボタンBt2が操作されると、図5に示す制御プロセスは、ステップSB2からステップSB3へ遷移する。
【0161】
ステップSB3では、印字設定部101bが、前述した変更許可設定を行う。この変更許可設定は、図12に示す第1の変更許可設定画面Sc6と、図13に示す第2の変更許可設定画面Sc7と、を介して行うことができる。
【0162】
具体的に、第1の変更許可設定画面Sc6は、段取り替えに際して変更可能な設定項目を定めるために用いることができる。図例では、設定項目として、印字設定をグループ化してなる設定番号を変更可能か否か(設定番号切り替え)と、各印字設定における文字列の内容を変更可能か否か(文字列変更)と、例えば管理者によって予め撮像された取付時の写真等に基づいて、搬送ラインLに対する印字ヘッド1の位置を(作業者が)調整可能か否か(ヘッド位置調整)と、各印字設定における文字列の位置を変更可能か否か(印字位置調整)と、段取り替えを行ったときに第1帳票(生産レポート)を生成するか否か(生産レポート生成)と、累積印字回数をリセットするか否か(累積印字回数のリセット)と、が表示されている。
【0163】
図例では、「する」が選択された場合は変更が許可され、「しない」が選択された場合は変更が制限される。また、設定番号切り替えについては、「手動選択」が選択された場合は、作業者が手動で設定番号を変更することができ、「しない」が選択された場合は、作業者による設定番号の変更が制限される。
【0164】
また、印字設定部101bは、文字列の内容変更が許可される場合にあって、その文字列が複数種類の文字列からなる場合、文字列の種類ごとに、変更許可設定を行うことができる。この設定は、第2の変更許可設定画面Sc7を通じて行うことができる。
【0165】
具体的に、図13に示す例では、設定番号N1に対応した印字内容Stの許可設定を行うためのインターフェースが表示されている。この例では、印字される文字列は、生産開始日時、生産終了日時等を示す文字列(カレンダー)と、ロット番号等、印字が行われる度にカウントアップされる文字列(カウンター)と、生産工場等、その他の情報を示す文字列(固定文字)と、から構成されている。
【0166】
ここで、3つの文字列の右方には、段取り替えに際して設定変更を許可するか(許可)、あるいは、設定変更を制限するか(禁止)するかを文字列の種類毎に選択可能なプルダウンリストが表示されており、これを操作することで、文字列の種類毎に変更許可設定を定めることができる。
【0167】
また、固定文字の右方に設けられた「編集」、「削除」等のインターフェースを操作することで、この文字列の印字条件を設定したり、文字列自体を削除したりすることができる。
【0168】
「編集」が操作されると、図5に示す制御プロセスは、ステップSB3からステップSB4へ遷移する。この場合、図14に示すように、印字設定部101bが印字設定を定めるための印字設定編集画面Sc8が表示される。印字設定編集画面Sc8は、設定番号N1に対応した印字設定の編集画面を例示している。図14に示すように、印字設定編集画面Sc8上に表示される各インターフェースを操作することで、印字内容の種別を変更したり、文字サイズを変更したり、文字列の位置および角度を変更したり、横方向(文字列の印字方向)における拡大倍率を変更したり、文字列を反転表示したり、文字列の行間隔および文字間隔を変更したり、することができる。
【0169】
印字設定部101bによる処理が完了すると、制御プロセスは、図4のステップSA1に示す処理を終了する。その後、制御プロセスは、ステップSA2を開始する。このステップSA2では、自動印字システムSは、作業者による段取り替えを受けて、第1帳票(生産開始レポート)を生成する。具体的に、このステップSA2では、図6のステップSC1~ステップSC11が行われる。
【0170】
-段取り替えおよび第1帳票の生成-
図15は、変更許可が下りた設定項目の選択画面Sc9を例示する図である。また、図16は、印字設定の設定変更を行うとともに、試し印字を行うようにユーザを誘導するための画面Sc10を例示する図である。図17は、試し印字の結果を撮像するようにユーザを誘導するための画面Sc11を例示する図である。図18は、生成された帳票の表示画面Sc12を例示する図である。
【0171】
まず、図6のステップSC1では、作業者のログイン操作を受け付ける。ログインに成功した場合はステップSC2へ進んでインクジェット記録装置Iの運転が開始される一方、ログインに失敗した場合は成功するまでステップSC1を繰り返す。
【0172】
ステップSC2から続くステップSC3においては、印字設定のうち、設定変更を受付可能な設定項目が選択される。具体的に、図15に例示する設定変更受付画面Sc9では、図13を用いて説明したように、設定番号N1に対応した印字設定を構成する複数種類の文字列のうち、「+TK」と表示された「固定文字」のみが設定変更可能とされており、「編集」ボタンを選択することで、この固定文字の編集画面Sc10に遷移することができる。
【0173】
具体的に、ステップSC4では、設定変更受付部101cが、印字設定を構成する各設定項目のうち、変更許可が下りている設定項目について設定変更を受け付ける。具体的に、図16に例示される設定変更受付画面Sc10では、文字列の印字方向(文字方向)、トリガーディレイ、オフセット微調節、文字サイズ調整、設定切り替え時間、エンコーダ等の設定変更を受け付ける。
【0174】
また、設定変更受付画面Sc10では、「+TK」と表示されている部分にクリック操作等を施すことで、不図示のキーボード等が画面Sc10上に表示される。そのキーボード等を操作することで、文字列「+TK」の内容を変更することができる。
【0175】
また、設定変更受付画面Sc10は、前述のように、ユーザに試し印字を行わせるための試し印字誘導画面Sc10を兼ねる。図例では、画面中央部に「試し印字を行い、トリガーディレイと文字サイズを調整して下さい」というメッセージが表示されており、このメッセージをユーザに視認させることで、作業者に試し印字を行わせるように誘導することができる(ステップSC5)。
【0176】
設定変更受付画面Sc10においてボタンBt3が操作されると、設定番号N1の別の番号への切替等、設定変更に係る処理を遡ることができる。一方、同画面Sc10においてボタンBt7が操作されると、設定変更に従った(仮の)印字設定に基づいて、印字ヘッド1が試し印字を実行する(ステップSC6)。
【0177】
ステップSC6から続くステップSC7では、印字調整に成功したか否かが判定される。この判定は、例えば、試し印字の印字結果を撮像する工程に進むためのボタンBt4が押下されたか否かに応じて行うことができる。例えば、作業者は、試し印字によって被印字物Wに施された印字内容を目視で判定し、印字調整を再度行う必要があるか否かを作業者自らが判定する。印字調整に成功した場合は、ボタンBt4が押下される。この場合、制御部101は、印字調整に成功したものと判定し、制御プロセスをステップSC7からステップSC8に進める。ステップSC8に進むと、表示部103a上の表示内容は、図16に例示する設定変更受付画面(試し印字誘導画面)Sc10から、図17に例示する画像取得誘導画面Sc11に切り替わる。
【0178】
ステップSC8では、画像取得部101aは、印字誘導画面Sc11を通じて、試し印字による印字結果を撮影するように作業者を誘導する。図例では、画面中央部に「帳票生成のため、試し印字結果をカメラで撮影して下さい」というメッセージが表示されており、このメッセージをユーザに視認させることで、ユーザに撮影を促す。
【0179】
図例の場合、カメラユニット400を試し印字が施された被印字物Wに向けた状態で、「撮影」と表示されたボタンBt5が押下されることで、カメラユニット400によって撮像された画像を画像取得部101aが取得する。ここで取得された画像は、プレビュー欄P1上に表示することができる。また、一旦、ボタンBt5が押下されると、画面の隅に配置されている「完了」と表示されたボタンBt6がアクティブ化され、押下可能な状態となる。
【0180】
ステップSC8から続くステップSC9では、撮像に成功したか否かが判定される。この判定は、例えば、帳票(特に第1帳票)を生成する工程に進むためのボタンBt6が押下されたか否かに応じて行うことができる。例えば、作業者は、試し印字によって被印字物Wに施された印字内容を撮像した画像を表示部103aを介して目視で判定し、撮像を再度行う必要があるか否かを作業者自らが判定する。撮像に成功した場合は、ボタンBt6が押下される。この場合、制御部101は、撮像に成功したものと判定し、制御プロセスをステップSC9からステップSC10に進める。前述のように、図17に例示するボタンBt6は、変更決定の入力機能と、帳票の生成を指示する機能と、を兼用するようになっている。
【0181】
そこで、ステップSC9からステップSC10では、設定変更反映部101dが、試し印字で用いた仮の印字設定を、本番印字用の印字設定に上書きして反映する。この処理が完了すると、表示部103a上の表示内容は、図17に例示する画像取得誘導画面Sc11から、図18に例示する画面(帳票表示画面)Sc12に切り替わる。また、画面の切り替えと並行して、図6に例示する制御プロセスは、ステップSC10からステップSC11へ移行する。
【0182】
ステップSC11では、帳票生成部101fが帳票(特に第1帳票)を生成する。具体的に、このステップSC11では、ステップSC4で行われた設定変更に従う文字列の内容(印字プレビュー)と、ステップSC9からステップSC10にかけて撮像および判定の対象となった画像(印字結果)と、を組み込んだ帳票を生成する。生成された帳票は、図18の画面Sc12に例示するように、表示部103aにプレビュー表示することができる(符号R1を参照)。
【0183】
こうして、段取り替えに伴う第1帳票の生成が完了すると、制御プロセスは、図4のステップSA2に示す処理を終了し、ステップSA3を開始する。このステップSA3では、自動印字システムSは、搬送ラインLによって順次搬送される各被印字物Wに対し、順次印字を実行する。続くステップSA4では、自動印字システムSは、累積印字個数または外部からの操作入力に基づいて、印字を継続するか否か(生産継続するか否か)を判定する。この判定がYESの場合、制御プロセスはステップSA5へ進み、自動印字システムSによる印字が終了または中断することになる。
【0184】
さらに続くステップSA6で、帳票生成部101fが、帳票設定部101eによって事前に設定されたフォーマットに従って、第2帳票の生成を実行する。第2帳票には、第1帳票と同様に文字列の印字内容(印字プレビュー)と、本番印字を撮像して得られる画像と、に加えて、好ましくは、被印字物Wの累積印字個数および印字終了日時(生産終了日時)が記載される。
【0185】
以上説明したように、本実施形態によれば、印字設定部101bは、図12および図13に例示したように、例えば管理者による操作入力にしたがって、作業者等が変更可能な設定項目を設定する。次いで、設定変更受付部101cは、変更許可が下りた設定項目について設定変更を受け付けることで、印字設定の段取り替えを開始する。その後、画像取得部101aは、設定変更受付部101cによって受け付けられた設定変更に基づいて試し印字された被印字物Wの画像を取得する。
【0186】
そして、帳票生成部101fは、図18に例示するように、設定変更に従った印字設定における文字列の内容と、試し印字された被印字物Wの画像と、を組み込んだ帳票を生成する。試し印字された被印字物Wの画像は、設定変更後の試し印字の結果を示す。そうした画像を組み込んで帳票を生成することで、試し印字の結果の貼り付け等の作業の手間が省けるため、帳票の生成に要する作業負担を軽減することができる。
【0187】
加えて、設定変更反映部101dは、少なくとも試し印字された被印字物Wの画像が取得されたことを条件に、設定変更を印字設定に反映させるように構成されている。このように構成することで、画像の取得漏れの発生を抑制することができ、作業負担を軽減しながらも、ミス無く帳票を生成することができるようになる。
【0188】
また、本実施形態に係る表示部103aは、図13に例示したように、設定変更可能な設定項目を表示することができる。例えばユーザのアクセス権限に応じて表示内容を切り替えることで、帳票のフォーマット等、作業者毎に共通にすべき設定項目については変更させることなく保持することができるようになる。
【0189】
また、図17に例示したように、表示部103aは、その表示内容を通じて、試し印字された被印字物Wの画像を取得するようにユーザを誘導する。これにより、画像の取得漏れの発生を抑制するとともに、帳票の生成をスムースに行うことができるようになる。
【0190】
また、図16に例示したように、表示部103aは、その表示内容を通じて、試し印字を行うようにユーザを誘導する。これにより、設定変更の受付が完了した後のタイミング等、より適切なタイミングで試し印字を行わせることができ、帳票の生成をスムースに行うことができるようになる。
【0191】
また、図9図10および図11に例示したように、帳票設定部101eを備えた構成とすることで、ユーザ毎に、帳票のフォーマットを統一させることができる。この構成は、特に複数のユーザが設定変更し得る場合に、ユーザ毎にバラバラのフォーマットで帳票が生成されるのを抑制することができるという点で有効である。
【0192】
《他の実施形態》
前記実施形態では、インクジェット記録装置Iを備えた自動印字システムSについて説明したが、本開示の適用例は、これに限定されない。本開示は、例えば図19に示すように、レーザマーカLを備えた印字システムS’に適用することができる。
【0193】
図19に例示するように、レーザマーカLは、印字実行部としてのマーカヘッド1’と、これを制御するコントローラ100’と、被印字物Wを撮影して得られる画像等を表示可能な表示部を有する操作用端末800’と、を備えてなる。この場合、印字実行部としてのマーカヘッド1’は、被印字物Wの各々の表面上でレーザ光を2次元走査することで印字を行うことができる。ここで、試し印字された被印字物Wを撮像するためには、前記実施形態と同様に、コントローラ100’に接続されたカメラユニット(不図示)、または、無線、有線もしくは記憶媒体を介して画像を送受可能なデジタルカメラを用いてもよいし、マーカヘッド1’に内蔵されたカメラ(例えば、レーザ光の光軸と同軸化されたカメラ)を用いてもよい。
【0194】
レーザマーカLに適用した場合に用いられる印字設定には、インクジェット記録装置Iと共通の印字設定と、レーザマーカLに固有の印字設定と、が含まれる。前者の印字設定には、少なくとも、印字されるべき文字列の内容、文字列の方向、文字列の大きさ、ロット番号および累積印字回数等が含まれる。一方、後者の印字設定には、少なくとも、レーザパワー、Qスイッチ周波数、スキャンスピード、スポット可変値が含まれる。
【0195】
さらに、本開示は、インクジェット記録装置IおよびレーザマーカLを備えたもの以外の印字装置に適用することもできる。具体的に、本開示は、サーマルプリンタに適用したり、ドットインパクトプリンタに適用したりすることもできる。
【0196】
また、前記実施形態では、生成された帳票を表示部103aに表示させる代わりに、は、表示部103aに表示させるのに加えて、該帳票をWebサーバ(不図示)にアップロードしてもよい。この場合、図1に例示する操作用端末800ばかりでなく、他の一般的なPC、携帯端末およびタブレット端末等にインストールされたWebブラウザを介して帳票を閲覧することができるようになる。
【0197】
また前記実施形態では、印字が終了および中断されたタイミングで第2帳票を生成するように構成されていたが、本開示は、そうした構成には限定されない。例えば、前述した段取り替え以外の方式(例えば、操作表示部103に対する操作入力ではなく、操作用端末800から無線通信で設定変更された場合)で、印字設定に係る設定番号が変更された場合に第2帳票を生成してもよい。
【0198】
また、トリガーディレイ等が設定変更されたとき、或いは、通信で設定内容が編集された場合には、第1帳票および第2帳票を意図的に生成しないように構成することもできる。
【符号の説明】
【0199】
S 印字装置(自動印字システム)
I インクジェット記録装置
W 被印字物
1 印字ヘッド(印字実行部)
100 コントローラ
101 制御部
101a 画像取得部
101b 印字設定部
101c 設定変更受付部
101d 設定変更反映部
101e 帳票設定部
101f 帳票生成部
103a 表示部
Sc9 設定変更受付画面
Sc10 設定変更受付画面、試し印字誘導画面
Sc11 画像取得誘導画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19