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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047357
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20220316BHJP
【FI】
H01L21/88 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153229
(22)【出願日】2020-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】久米 一平
(72)【発明者】
【氏名】中村 一彦
(72)【発明者】
【氏名】奥田 真也
【テーマコード(参考)】
5F033
【Fターム(参考)】
5F033HH04
5F033HH28
5F033JJ07
5F033JJ08
5F033JJ11
5F033JJ18
5F033JJ19
5F033JJ33
5F033KK04
5F033KK28
5F033MM30
5F033NN06
5F033NN07
5F033RR04
5F033RR06
5F033RR08
5F033SS11
5F033TT02
5F033VV07
5F033VV16
5F033XX08
(57)【要約】
【課題】パッケージの厚みを薄くしつつ、半導体チップ間を充分に低い抵抗で接続することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】本実施形態による半導体装置は、半導体素子を有する第1面および該第1面とは反対側にある第2面を有する半導体基板を備える。金属電極は、第1面と第2面との間において半導体基板を貫通する貫通孔内に設けられている。第1絶縁膜は、半導体基板の第1面側に設けられ、該第1面の上方から見たときに、貫通孔の第2面側の開口端部から該貫通孔の中心へ向かう径方向へ突出している。第2絶縁膜は、第1面の上方から見たときに第1絶縁膜から径方向へ突出しており、第1絶縁膜の厚みよりも薄い。第3絶縁膜は、貫通孔の内壁と金属電極との間に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を有する第1面および該第1面とは反対側にある第2面を有する半導体基板と、
前記第1面と前記第2面との間において前記半導体基板を貫通する貫通孔内に設けられた金属電極と、
前記半導体基板の前記第1面側に設けられ、該第1面の上方から見たときに、前記貫通孔の前記第2面側の開口端部から該貫通孔の中心へ向かう径方向へ突出している第1絶縁膜と、
前記第1面の上方から見たときに前記第1絶縁膜から前記径方向へ突出しており、前記第1絶縁膜の厚みよりも薄い第2絶縁膜と、
前記貫通孔の内壁と前記金属電極との間に設けられた第3絶縁膜と、を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記第1面の上方から見たときに、前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜との境界部は、前記開口端部よりも前記貫通孔の内側にあり、前記貫通孔の前記第1面側の底面端部よりも外側にある、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3絶縁膜は、前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜との境界部を被覆している、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1絶縁膜は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により成膜された酸化膜であり、
前記第2絶縁膜は、前記半導体基板を酸化して形成された熱酸化膜であり、
前記第3絶縁膜は、TEOS(TetraEthOxySilane)、水素化ケイ素酸化膜、窒化シリコン、酸窒化シリコン、又は、それらのうち2種類以上の積層膜を用いて形成された酸化膜である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1面上に設けられ前記金属電極と電気的に接続される電極パッドと前記半導体基板との間には、前記第1絶縁膜が設けられている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体素子は、前記第2絶縁膜をゲート絶縁膜として有する第1トランジスタと、前記第2絶縁膜の厚みよりも薄いゲート絶縁膜を有する第2トランジスタとを含む、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
第1面および該第1面とは反対側にある第2面を有する半導体基板における前記第1面の素子分離領域の間にある素子形成領域、及び、前記第2面から前記第1面まで前記半導体基板を貫通する貫通孔の形成領域上に第1絶縁膜および該第1絶縁膜よりも厚みが薄い第2絶縁膜を形成し、
前記第2絶縁膜上にゲート電極を形成し、
前記第2面から前記貫通孔の形成領域における前記第2絶縁膜まで前記半導体基板を貫通する貫通孔を形成し、
前記半導体基板の前記第2面、前記貫通孔の内側面および底面に第3絶縁膜を形成し、
前記半導体基板の前記第2面および前記貫通孔の内側面上の前記第3絶縁膜をマスクとして用いて、前記貫通孔の底面にある前記第3絶縁膜および前記第2絶縁膜を除去し、
前記貫通孔内に金属材料を形成する、ことを具備する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の半導体チップを積層してパッケージ化した半導体装置が開発されている。このような半導体装置において、積層された複数の半導体チップを電気的に接続するために、TSV(Through-Silicon Via) と呼ばれる貫通電極が半導体チップに設けられている場合がある。
【0003】
一方、半導体装置の厚みを薄くするために、各半導体チップの基板の厚みを薄くすることが考えられる。しかし、半導体チップの基板の厚みを薄くすると、TSVのアスペクト比が低下する。これにより、TSVの開口時にマスクとして用いられる絶縁膜の厚みが、半導体チップの上面とTSVの底面とで差がつかなくなる。この場合、TSVの底面にある絶縁膜を選択的に除去することが困難となり、TSVの底部の開口が小さくなる。TSVの開口が小さくなることによって、半導体チップ間のTSVによる接続抵抗が高くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-158862号公報
【特許文献2】特開2012-099548号公報
【特許文献3】特開2018-157110号公報(米国特許第10468334号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パッケージの厚みを薄くしつつ、半導体チップ間を充分に低い抵抗で接続することができる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態による半導体装置は、半導体素子を有する第1面および該第1面とは反対側にある第2面を有する半導体基板を備える。金属電極は、第1面と第2面との間において半導体基板を貫通する貫通孔内に設けられている。第1絶縁膜は、半導体基板の第1面側に設けられ、該第1面の上方から見たときに、貫通孔の第2面側の開口端部から該貫通孔の中心へ向かう径方向へ突出している。第2絶縁膜は、第1面の上方から見たときに第1絶縁膜から径方向へ突出しており、第1絶縁膜の厚みよりも薄い。第3絶縁膜は、貫通孔の内壁と金属電極との間に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る半導体装置の構成例を示す断面図。
図2】貫通電極の構成例を示す断面図。
図3】貫通電極の構成例を示す平面図。
図4】貫通電極の構成例を示す断面図。
図5】半導体装置の製造方法の一例を示す断面図。
図6図5に続く、半導体装置の製造方法を示す断面図。
図7図6に続く、半導体装置の製造方法を示す断面図。
図8図7に続く、半導体装置の製造方法を示す断面図。
図9図8に続く、半導体装置の製造方法を示す断面図。
図10図9に続く、半導体装置の製造方法を示す断面図。
図11図10に続く、半導体装置の製造方法を示す断面図。
図12図11に続く、半導体装置の製造方法を示す断面図。
図13図12に続く、半導体装置の製造方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。以下の実施形態において、半導体基板の上下方向は、半導体素子が設けられる面を上または下とした場合の相対方向を示し、重力加速度に従った上下方向と異なる場合がある。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
図1は、本実施形態による半導体装置1の構成の一例を示す断面図である。半導体装置1は、特に限定しないが、例えば、NAND型フラッシュメモリ等の制御に用いられる論理回路(CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路)でよい。また、半導体装置1は、図示しないメモリセルアレイを搭載する半導体ウェハと貼合することによって、メモリセルアレイと電気的に接続されていてもよい。あるいは、半導体装置1は、図1に示す貫通電極TSV(Through-Silicon Via)を介してメモリセルアレイと電気的に接続されてもよい。半導体装置1は、図示しないメモリセルアレイの下方に設けられていてもよい。即ち、半導体装置1は、メモリウェハまたはメモリチップと別に形成された半導体ウェハまたは半導体チップでもよく、メモリウェハまたはメモリチップと一体に形成された半導体ウェハまたは半導体チップでもよい。
【0010】
このような半導体装置1は、論理回路として、超低電圧トランジスタVLV(Very low Voltage Transistor)、低電圧トランジスタLV(Low Voltage Transistor)、高電圧トランジスタHV(High Voltage Transistor)等を備える。図1では、左側から順に、超低電圧トランジスタVLV、低電圧トランジスタLV、高電圧トランジスタHV、貫通電極TSVが図示されている。尚、半導体装置1は、さらに多種類のトランジスタ等の半導体素子を備えていてもよい。
【0011】
以下、半導体装置1の構成をより詳細に説明する。
【0012】
半導体装置1は、半導体基板10と、ウェル拡散層15と、STI20と、ゲート絶縁膜30~32と、スペーサ層40と、ゲート電極60と、金属膜65と、キャップ膜70と、層間絶縁膜80と、ビアプラグ90、ストッパ膜77と、バリアメタル99と、金属電極100と、バンプ110とを備える。
【0013】
半導体基板10は、例えば、薄層化されたシリコン基板である。半導体基板10は、第1面F1と、第1面F1の反対側にある第2面F2とを有する。半導体基板10の第1面F1上には、超低電圧トランジスタVLV、低電圧トランジスタLV、高電圧トランジスタHVが設けられている。また、半導体基板10には、第1面F1と第2面F2との間を貫通する貫通孔が設けられており、その内部に金属電極100が設けられている。
【0014】
尚、本実施形態において、半導体基板10の第1または第2面F1、F2に対して垂直方向をZ方向とする。Z方向に対して垂直面内の一方向をX方向とし、該垂直面内においてX方向に対して垂直方向をY方向とする。図1は、Z方向のうち第2面F2から第1面F1へ向かう方向を上方として半導体装置1を表示している。しかし、貫通電極TSVの説明においては、第1面F1から第2面F2へ向かう方向を上として説明する場合がある。
【0015】
第1絶縁膜としてのSTI(Shallow Trench Isolation)20は、半導体基板10の第1面F1に設けられている。STI20は、素子を形成するアクティブエリアを第1面F1に規定し、隣接するアクティブエリア間を電気的に分離している。アクティブエリアには、例えば、メモリセルアレイ、トランジスタ、抵抗素子、キャパシタ素子等の半導体素子が形成される。STI20には、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により成膜されたシリコン酸化膜等が用いられる。
【0016】
アクティブエリアには、ウェル拡散層15が設けられている。ゲート絶縁膜30~32は、ウェル拡散層15上に設けられており、それぞれ超低電圧トランジスタVLV、定電圧トランジスタLV、高電圧トランジスタHVのゲート絶縁膜として機能する。ゲート絶縁膜30~32には、例えば、半導体基板10を酸化して形成された熱酸化膜が用いられる。
【0017】
ゲート絶縁膜30の厚みは最も薄く、次に、ゲート絶縁膜31の厚みが薄く、ゲート絶縁膜32が最も厚い。これにより、超低電圧トランジスタVLVの閾値電圧および耐圧が最も低い。次に、低電圧トランジスタLVの閾値電圧および耐圧が低い。高電圧トランジスタHVの閾値電圧および耐圧が最も高くなる。超低電圧トランジスタVLV、低電圧トランジスタLV、高電圧トランジスタHVは、ゲート絶縁膜30~32以外の構成において同じでよい。これにより、超低電圧トランジスタVLV、低電圧トランジスタLVおよび高電圧トランジスタHVは、ゲート絶縁膜30~32以外の構成について、共通の製造工程を用いて同時に形成可能である。
【0018】
ゲート電極60は、ゲート絶縁膜30~32の上にそれぞれ設けられており、ゲート絶縁膜30~32によって半導体基板10のウェル拡散層15から電気的に絶縁されている。ゲート電極60には、例えば、ドープトポリシリコン等の導電性材料が用いられる。金属膜65は、ゲート電極60上に設けられている。金属膜65には、例えば、タングステンシリサイド(WSi)等の低抵抗金属化合物が用いられている。キャップ膜70は、金属膜65上に設けられている。キャップ膜70には、シリコン窒化膜等の絶縁材料が用いられる。
【0019】
ゲート電極60、金属膜65およびキャップ膜70の側面には、側壁膜75が設けられている。側壁膜75には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁材料がもちいられる。さらに、ライナ層76が側壁膜75の外側を被覆するように設けられている。ライナ層76には、例えば、シリコン窒化膜等の絶縁材料が用いられる。
【0020】
層間絶縁膜80が超低電圧トランジスタVLV、低電圧トランジスタLV、高電圧トランジスタHVを被覆するように、半導体基板10の第1面F1上に設けられている。層間絶縁膜80には、例えば、TEOS(TetraEthOxySilane)を用いて形成されたシリコン酸化膜が用いられる。ストッパ膜77が、層間絶縁膜80内のキャップ膜70の上に設けられている。キャップ膜70には、例えば、シリコン窒化膜等の絶縁膜が用いられる。
【0021】
ビアプラグ90は、層間絶縁膜80およびストッパ膜77を貫通し、超低電圧トランジスタVLV、低電圧トランジスタLV、高電圧トランジスタHVに電気的に接続される。ビアプラグ90には、例えば、タングステン等の低抵抗金属が用いられる。
【0022】
このように、超低電圧トランジスタVLV、低電圧トランジスタLVおよび高電圧トランジスタHVは構成されている。超低電圧トランジスタVLV、低電圧トランジスタLV、高電圧トランジスタHVは、ゲート絶縁膜30~32の厚みにおいて異なるが、その他の構成において同一でよい。勿論、実際の使用においては、超低電圧トランジスタVLV、低電圧トランジスタLV、高電圧トランジスタHVは、サイズ(ゲート幅W/ゲート長L)、ウェル拡散層15のチャンネル領域の不純物濃度、ゲート電極の材質等を互いに相違させてもよい。
【0023】
メモリセルアレイが、データの書き込みまたは消去可能な複数のメモリセルを含む場合、高電圧トランジスタHVはデータの書込み電圧または消去電圧をメモリセルに印加するために用いられるトランジスタでよい。
【0024】
次に、貫通電極TSVの構成についてより詳細に説明する。
図2は、貫通電極TSVの構成例を示す断面図である。図2は、図1の貫通電極TSVの上下方向を反転させた状態を示している。
【0025】
貫通電極TSVは、半導体基板10と、STI20と、ゲート絶縁膜32と、スペーサ層40と、バリアメタル99と、金属電極100と、バンプ110と、ゲート電極(電極パッド)60と、金属膜65と、キャップ膜70と、ストッパ膜77と、層間絶縁膜80と、ビアプラグ90とを備えている。
【0026】
半導体基板10には、第1面F1と第2面F2の間に設けられた貫通孔BVが設けられている。貫通孔BVは、第2面F2から第1面F1へ向かって形成され、底部にゲート電極60がある。第2面F2側から見た平面視において、貫通孔BVは、ゲート電極60の範囲内に設けられ、貫通孔BVの底部全体にゲート電極60または金属膜65が現れている。尚、貫通電極TSVのゲート電極60は、ゲート電極として機能するのではく、ビアプラグ90と金属電極100との間を電気的に接続する電極パッドとして機能する。
【0027】
貫通孔BVの内壁および半導体基板10の第2面F2の一部には、スペーサ層40が設けられている。スペーサ層40は、半導体基板10とバリアメタル99との間に介在しており、半導体基板10とバリアメタル99との間を電気的に絶縁している。スペーサ層40には、例えば、TEOS(TetraEthOxySilane)、水素化ケイ素酸化膜、窒化シリコン、酸窒化シリコン、又は、それらのうち2種類以上の積層膜を用いて形成されたシリコン酸化膜が用いられる。
【0028】
バリアメタル99は、スペーサ層40を介して貫通孔BVの内壁に設けられている。また、バリアメタル99は、貫通孔BVの底部においてゲート電極60または金属膜65に接触している。バリアメタル99には、例えば、チタン、窒化チタン等の導電性材料が用いられる。
【0029】
さらに、金属電極100が、貫通孔BV内に充填されている。即ち、金属電極100は、第1面F1と第2面F2との間において半導体基板10を貫通する貫通孔BV内に設けられる。金属電極100は、バリアメタル99を介してゲート電極60に電気的に接続されている。一方で、図1に示すように、貫通孔BVは、ゲート電極60を貫通し、金属膜65まで至ってもよく、その場合、金属電極100は、バリアメタル99を介して金属膜60に電気的に接続される。金属電極100には、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム等の低抵抗金属が用いられる。バンプ110が金属電極100の下に設けられている。バンプ110には、例えば、はんだ、錫等の低抵抗金属が用いられる。尚、バリアメタル99は、金属電極100に比べて無視できるほど薄く、金属電極100と一体としてみなしてもよい。従って、バリアメタル99と金属電極100とを併せて金属電極100とも呼ぶ場合がある。
【0030】
貫通孔BVの底部において、ゲート電極60が金属電極100およびバリアメタル99上に設けられている。ゲート電極60上に設けられている金属膜65、キャップ膜70、ストッパ膜77、層間絶縁膜80およびビアプラグ90の構成は、超低電圧トランジスタVLV、低電圧トランジスタLV、高電圧トランジスタHVにおけるそれらの構成と同じでよい。ただし、Z方向から見た平面視において、貫通電極TSVにおけるゲート電極60、金属膜65、キャップ膜70の平面レイアウトは、超低電圧トランジスタVLV、低電圧トランジスタLV、高電圧トランジスタHVにおけるそれらの平面レイウトと異なってよい。例えば、貫通電極TSVのゲート電極60等の面積は、超低電圧トランジスタVLV、低電圧トランジスタLV、高電圧トランジスタHVのゲート電極60等の面積よりも大きくてよい。この場合、図1に示すように、複数のビアプラグ90が、ゲート電極60の上方に設けられていてもよい。これにより、ビアプラグ90の上に設けられる配線(図示せず)がゲート電極60に低抵抗で電気的に接続され得る。また、ゲート電極60および金属膜65は、貫通電極TSVにおいてゲート電極として機能するのではなく、ビアプラグ90と金属電極100との間を電気的に接続する配線またはプラグとして機能する。
【0031】
図示しないが、貫通電極TSVにおいて、ゲート電極60、金属膜65およびキャップ膜70の側面に側壁膜75およびライナ層76が設けられていてもよい。貫通電極TSVの側壁膜75およびライナ層76の構成も、超低電圧トランジスタVLV、低電圧トランジスタLV、高電圧トランジスタHVにおけるそれらの構成と同じでよい。
【0032】
さらに、層間絶縁膜80が貫通電極TSVの第1面F1側の構造を被覆するように、半導体基板10の第1面F1上に設けられている。ストッパ膜77が、層間絶縁膜80内のキャップ膜70の上に設けられている。
【0033】
複数のビアプラグ90は、上述の通り、層間絶縁膜80およびストッパ膜77を貫通し、貫通電極TSVのゲート電極60に電気的に接続される。層間絶縁膜80およびビアプラグ90の構成も、超低電圧トランジスタVLV、低電圧トランジスタLV、高電圧トランジスタHVにおけるそれらの構成と同じでよい。
【0034】
ここで、貫通電極TSVにおけるSTI20、ゲート絶縁膜32、スペーサ層40および貫通孔BVの形状及び位置関係について説明する。
【0035】
図1および図2に示すように、STI20は、素子分離するために、第1面F1から半導体基板10内の比較的深い位置まで設けられている。貫通電極TSVのSTI20は、貫通孔BVの形成領域の外縁に沿って貫通孔BVを囲むように設けられている。従って、第1面F1の上方から見た平面視において、貫通孔BVの外縁は、STI20上に重複している。従って、貫通孔BVの形成時に、貫通孔BVの一部はSTI20の外縁に従って自己整合的に形成される。よって、貫通孔BVの内壁の一部は、STI20で構成され、貫通孔BVの内壁の他部は半導体基板10で構成されている。これにより、第1面F1の上方から見た平面視において、STI20は、貫通孔BVの外縁または内壁から貫通孔BVの中心へ向かう径方向(図2のA方向)へ突出している。
【0036】
貫通電極TSVのSTI20で囲まれた領域内には、STI20は設けられておらず、ゲート絶縁膜32がSTI20の内周に沿って設けられている。従って、第1面F1の上方から見た平面視において、ゲート絶縁膜32は、STI20の内周から貫通孔BVの中心へ向かう径方向へ突出または延伸している。従って、ゲート絶縁膜32は、貫通孔BVおよびSTI20の内周に沿ってそれらの内側に設けられている(図3および図4参照)。また、このSTI20は、ゲート絶縁膜32よりも、第2面F2から第1面F1への方向へ突出または延伸している(図1および図2参照)。
【0037】
ゲート絶縁膜32は、高電圧トランジスタHVのゲート絶縁膜32と同じ厚みを有し、超低電圧トランジスタVLVおよび低電圧トランジスタLVのゲート絶縁膜30、31の厚みよりも厚い。しかし、ゲート絶縁膜32の厚みは、素子分離に用いられるSTI20の厚みよりもかなり薄い。例えば、ゲート絶縁膜30の厚みは、約2~7nmであり、ゲート絶縁膜31の厚みは、約5~15nmである。また、ゲート絶縁膜32の厚みは、約20nm~60nmであり、STI20の厚みが約300nm以上である。
【0038】
このように、ゲート絶縁膜32の厚みが、ゲート絶縁膜30、31よりも厚いことによって、ゲート絶縁膜32は、貫通孔BVの形成時にエッチングストッパとしての機能を果たすことができる。一方、ゲート絶縁膜32の厚みが、STI20よりも薄いことによって、貫通孔BVの形成時にマスクとして用いられるスペーサ層40の厚みをさほど厚くする必要がなくなる。これは、ゲート絶縁膜32の厚みが薄いと、マスクとして用いられるスペーサ層40の厚みを薄くしても、貫通孔BVの底部のゲート絶縁膜32をエッチバックで十分に除去可能であるからである。スペーサ層40の厚みを薄くすることによって、貫通孔BVの第1面F1側における開口径を大きくすることができる。これは、金属電極100またはバリアメタル99とゲート電極60との接触面積を大きくし、貫通電極TSVとゲート電極60との接触抵抗を低減することにつながる。尚、貫通孔BVの形成法については、後でより詳細に説明する。
【0039】
スペーサ層40は、貫通孔BVの内壁と金属電極100との間に設けられており、半導体基板10と貫通電極TSVとの間を電気的に分離している。また、スペーサ層40は、貫通孔BVの形成時において、貫通孔BVの底部のゲート絶縁膜32を除去する際にマスクとして機能する。
【0040】
STI20とゲート絶縁膜32との境界部BDは、第1面F1において貫通孔BVの端部(底面端部)E1よりも、貫通孔BVの中心から離れる方向にある。即ち、境界部BDは、貫通孔BVの端部E1よりも外側にある。スペーサ層40は、境界部BDを被覆しており、貫通孔BV内のゲート絶縁膜32上にまで設けられている。これは、Z方向から見た平面視において、ゲート絶縁膜32がSTI20の内周から貫通孔BVの径方向の内側へ突出(延伸)していることを意味する。端部E1は、貫通孔BVの第1面F1側における底面の端部である。
【0041】
このような構成により、金属電極100と半導体基板10との間には、STI20および/またはスペーサ層40が設けられる。貫通電極TSVのゲート電極(電極パッド)60と半導体基板10との間には、STI20およびゲート絶縁膜32が設けられる。これにより、貫通電極TSVと半導体基板10との間の耐圧、並びに、ゲート電極(電極パッド)60と半導体基板10との間の耐圧が高く維持される。
【0042】
例えば、STI20が貫通電極TSVに設けられていない場合、金属電極100と半導体基板10との間には、スペーサ層40のみが介在し、金属電極100と半導体基板10との間の耐圧が低下する。あるいは、第1面F1の上方から見た平面視において、貫通孔BVの開口径が小さく、貫通孔BVの端部E2がSTI20に重複しない場合、金属電極100とSTI20との間には、半導体基板10が残存することになる。この場合も、半導体基板10とゲート電極(電極パッド)60との間の耐圧が低下する。端部E2は、貫通孔BVの第2面F2側における開口の端部である。
【0043】
一方、STI20で囲まれた貫通孔BVの領域内にゲート絶縁膜32を設けず、貫通孔BVの領域全体に厚いSTI20を設けた場合、半導体基板10と金属電極100との間の耐圧および半導体基板10とゲート電極60との間の耐圧は高くなる。しかし、上述の通り、マスクとしてのスペーサ層40を第2面F2上に厚く形成する必要があり、スペーサ層40のオーバーハングにより、第1面F1における貫通孔BVの開口径が小さくなってしまう。この場合、金属電極100とゲート電極60との間の接触抵抗が上昇してしまう。
【0044】
これに対し、本実施形態によれば、STI20は、第1面F1の上方から見た平面視において、貫通孔BVの内壁から貫通孔BVの中心へ向かう径方向へ突出している。従って、STI20と金属電極100との間に半導体基板10は介在せず、貫通電極TSVと半導体基板10との間の耐圧が比較的高く維持され得る。
【0045】
また、第1面F1の上方から見た平面視において、ゲート絶縁膜32は、STI20との境界部BDから貫通孔BVの中心へ向かう径方向へ突出している。よって、貫通孔BVの形成時に、ゲート絶縁膜32が貫通孔BVに設けられていることがわかる。上述の通り、ゲート絶縁膜32が貫通孔BVの領域に設けられることによって、貫通孔BVの開口径を大きく形成することができる。よって、金属電極100とゲート電極60との間の接触面積を大きくし、それらの接触抵抗を低くすることができる。また、ゲート絶縁膜32がゲート絶縁膜30~32の中でも比較的厚い高電圧トランジスタHVのゲート絶縁膜32である。従って、ゲート絶縁膜32は、貫通孔BVのエッチングストッパとしての機能を果たすことができる。
【0046】
次に、貫通電極TSVの平面形状について説明する。
【0047】
図3及び図4は、貫通電極TSVの構成例を示す平面図である。図3および図4は、図1または図2の2-2線に沿った第1面F1における貫通電極TSVの平面レイアウトを示す。
【0048】
図3および図4に示す貫通孔BVの端部E2は、第2面F2における開口端を示し、貫通孔BVの端部E1が第1面F1における貫通孔BVの開口端を示す。即ち、貫通孔BVは、第2面F2の端部E2の形状(例えば、略円形)と、第1面F1の端部E1の形状(例えば、略多角形)とで異なっている。端部E1の形状は、STI20の形状によって決定される。
【0049】
STI20は、貫通孔BVの端部E2に沿って設けられている。STI20の外側には、半導体基板10が設けられている。STI20は、貫通孔BVの端部E2の内側にまで突出(延伸)している。よって、第1面F1の上方から見た平面視において、STI20は、貫通孔BVの端部E2と重複していることがわかる。
【0050】
STI20の内側には、ゲート絶縁膜32が貫通孔BVの中心へ向かって突出(延伸)している。ゲート絶縁膜32は、STI20の内端に沿って該内端全体に設けられている。ゲート絶縁膜32で囲まれた領域の内側では、金属電極100とゲート電極60とが接触する。即ち、ゲート絶縁膜32で囲まれた領域の面積が、貫通電極TSVとゲート電極60との接触面積である。ゲート絶縁膜32の内端は、貫通孔BVの第1面F1における端部E1に対応する。
【0051】
図3および図4の破線は、ゲート絶縁膜32の外接円C1を示している。外接円C1は、貫通孔BVまで広げてもよい。しかし、貫通孔BVを形成する際のリソグラフィ工程のアライメントずれを考慮して、外接円C1は、例えば、約1μmほど貫通孔BVの端部E2の内側にあることが好ましい。これにより、アライメントずれがあっても、貫通孔BVの端部E2がゲート絶縁膜32に重複しない。
【0052】
もし、貫通孔BVの端部E2がゲート絶縁膜32に重複すると、上述の通り、金属電極100とSTI20との間に半導体基板10が残存することになり、金属電極100と半導体基板10との間の耐圧が低下する。よって、外接円C1と端部E2との間にマージンを取ることによって、金属電極100と半導体基板10との間の耐圧の低下を抑制することができる。
【0053】
図3では、第1面F1における貫通電極TSVとゲート電極60との接触領域の形状(端部E1の形状)が円C1に内接する階段状または凸形状となっている。図4では、第1面F1における貫通電極TSVとゲート電極60との接触領域の形状(端部E1の形状)が円C1に内接する多角形となっている。ただし、貫通電極TSVとゲート電極60との接触領域の形状は、これらに限定されない。例えば、接触領域の形状は、略円形、略楕円経、略多角形でよい。
【0054】
図2および図3に示すように、貫通孔BVの開口の端部E2は、Z方向から見た平面視において、STI20に重複している。貫通孔BVの端部E2は、STI20の外側または内側にははみ出しておらず、かつ、STI20の内側に貫通孔BVの側壁にSTI20が露出されている。貫通孔BVの端部E2がSTI20の外側にははみ出さないことによって、半導体基板10とSTI20との間にバリアメタル99または金属電極100の材料が入り込まない。よって、金属電極100と半導体基板10との間の耐圧の低下を抑制することができる。また、貫通孔BVの端部E2がSTI20の内側にははみ出さないことによって、半導体基板10が金属電極100とSTI20との間に残存しない。よって、金属電極100と半導体基板10との間の耐圧の低下を抑制することができる。
【0055】
次に、半導体装置1の製造方法について説明する。
【0056】
図5図13は、半導体装置1の製造方法の一例を示す断面図である。まず、半導体基板10の第1面F1上に、ゲート絶縁膜30~32を形成する。ゲート絶縁膜30は、超低電圧トランジスタVLVのゲート絶縁膜であり、ゲート絶縁膜31は、低電圧トランジスタLVのゲート絶縁膜であり、ゲート絶縁膜32は、高電圧トランジスタHVのゲート絶縁膜である。ゲート絶縁膜30~32は、例えば、半導体基板10を熱酸化して形成されたシリコン酸化膜でよい。
【0057】
次に、第1面F1上の素子分離領域にSTI20を形成する。STI20の形成により、アクティブエリアがSTI20間に規定される。アクティブエリアには、ウェル拡散層15が形成される。STI20は、貫通電極TSVの形成領域の外周を囲むように設けられており、その中心部には設けられていない。
【0058】
このため、貫通電極TSVにおいては、ゲート絶縁膜32は、STI20で囲まれたこの貫通電極TSVの中心部に形成される。ゲート絶縁膜32の厚みは、STI20よりも薄い。例えば、STI20が約300nm~500nmであるのに対して、ゲート絶縁膜32は、約20nm~60nmである。貫通電極TSVの形成領域に形成されたゲート絶縁膜32は、ゲート絶縁膜30、31よりも厚いので、貫通孔BVの形成時にエッチングストッパとして機能する。それとともに、ゲート絶縁膜32は、STI20より薄いので、貫通孔BVの底部の開口時においては容易に除去され得る。このように、ゲート絶縁膜32は、第1面F1上においてアクティブエリアの高電圧トランジスタHVの形成領域だけでなく、貫通孔BVの形成領域にも形成される。
【0059】
次に、ゲート絶縁膜30~32上にゲート電極60の材料(例えば、ドープトポリシリコン)を堆積する。ゲート電極60上に金属材料(例えば、タングステン)を堆積して、ゲート電極60の上部をシリサイド化する。これにより、ゲート電極60上に金属膜65(例えば、タングステンシリサイド)を形成する。金属膜65上にキャップ膜70の材料(例えば、シリコン窒化)を堆積する。
【0060】
次に、リソグラフィ技術およびRIE(Reactive Ion Etching)法等を用いて、キャップ膜70の材料を超低電圧トランジスタVLV、低電圧トランジスタLVおよび高電圧トランジスタHVのゲート電極のパターンに加工する。さらに、キャップ膜70をマスクとして用いて、金属膜65およびゲート電極60の材料を、低電圧トランジスタVLV、低電圧トランジスタLVおよび高電圧トランジスタHVのゲート電極のパターンに加工する。これにより、ゲート電極60、金属膜65およびキャップ膜70が形成される。
【0061】
このとき、貫通電極TSVの形成領域にも、ゲート電極60、金属膜65およびキャップ膜70が形成される。即ち、ゲート電極60、金属膜65およびキャップ膜70は、貫通孔BVのSTI20で囲まれた領域全体に、STI20に接触するように形成される。貫通電極TSVのゲート電極60および金属膜65は電極パッドとして機能する。
【0062】
次に、ゲート電極60、金属膜65およびキャップ膜70の側壁に側壁膜75が形成される。キャップ膜70および側壁膜75をマスクとして用いて、ゲート絶縁膜30~32をエッチングする。これにより、図5に示す構造が得られる。
【0063】
次に、側壁膜75の外側をライナ層76で被覆する。ライナ層76には、例えば、シリコン窒化膜が用いられる。次に、層間絶縁膜80を堆積し、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等を用いてキャップ膜70が露出されるまで層間絶縁膜80を研磨する。次に、ストッパ膜77をキャップ膜70および層間絶縁膜80上に形成し、さらに層間絶縁膜80をストッパ膜77上に堆積する。
【0064】
次に、リソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、層間絶縁膜80にコンタクトホールを形成する。このとき、ストッパ膜77およびキャップ膜70がエッチングストッパとして機能する。これにより、一部のコンタクトホールは、ゲート電極60上の金属膜65に達するように形成され、他のコンタクトホールは、半導体基板10の第1面F1上に達するように形成される。次に、コンタクトホール内に金属材料(例えば、タングステン、銅)が埋め込まれ、ビアプラグ90が形成される。これにより、図6に示す構造が得られる。
【0065】
次に、図7に示すように、半導体基板10を反転させる。次に、図8に示すように、リソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、貫通電極TSVの形成領域に貫通孔BVを形成する。貫通孔BVは、第2面F2から貫通孔BVの形成領域におけるゲート絶縁膜32まで半導体基板10を貫通するように形成される。貫通孔BVは、その形成領域におけるゲート絶縁膜32上およびゲート絶縁膜32の周囲のSTI20上に形成される。従って、Z方向から見た平面視において、貫通孔BVの端部E2は、ゲート絶縁膜32の周囲のSTI20上に重複するように形成される。よって、貫通孔BVの内壁の一部には、STI20が現れており、貫通孔BVの内壁は半導体基板10およびSTI20で構成される。上記平面視において、STI20は、貫通孔BVの内壁から貫通孔BVの中心へ向かう径方向へ突出している。STI20は、貫通孔BVの内周全体に亘って突出している。このとき、半導体基板(例えば、シリコン)10を選択的に除去し、ゲート絶縁膜32がエッチングストッパとして機能する。
【0066】
次に、図9に示すように、貫通孔BVの内側面、底面および半導体基板10の第2面F2上にスペーサ層40を堆積する。スペーサ層40には、例えば、シリコン酸化膜(例えば、TEOS膜)、水素化ケイ素酸化膜、窒化シリコン、酸窒化シリコン、又は、それらのうち2種類以上の積層膜が用いられる。スペーサ層40は、貫通孔BVの内壁全体を被覆しており、貫通孔BVの内壁の半導体基板10およびSTI20を被覆している。また、スペーサ層40は、貫通孔BVの底面端部において、ゲート絶縁膜32およびSTI20の両方を被覆し、その両方に接触している。
【0067】
CVD法のカバッレッジを制御することによって、スペーサ層40は、貫通孔BVの外側において半導体基板10の第2面F2上に比較的厚く堆積する。一方、スペーサ層40は、貫通孔BVの底面には比較的薄くしか堆積しない。従って、リソグラフィ技術を用いることなく、スペーサ層40をRIE法でエッチバックすることによって、貫通孔BVの底面にあるスペーサ層40を自己整合的に除去することができる。即ち、RIE法のマイクロローディング効果を用いて、半導体基板10の第2面F2および貫通孔BVの内側面上にあるスペーサ層40を残置させつつ、貫通孔BVの底面にあるスペーサ層40を除去する。これにより、図10に示す構造が得られる。
【0068】
さらに、半導体基板10の第2面F2および貫通孔BVの内側面上にあるスペーサ層40をマスクとして用いて、貫通孔BVの底面にあるゲート絶縁膜32およびゲート電極60を除去する。これにより、図11に示す構造が得られる。あるいは、ゲート電極60を除去しなくてもゲート絶縁膜32が除去されていればよい。このとき、ゲート絶縁膜32は、STI20より薄いので、スペーサ層40の厚みが比較的薄くても、貫通孔BVの底部において容易に除去され得る。従って、スペーサ層40を厚く形成する必要はなく、貫通孔BVの開口の端部E2においてスペーサ層40のオーバーハングを抑制することができる。スペーサ層40のオーバーハングを抑制することによって、貫通孔BVの端部E2における開口が大きく維持される。その結果、貫通孔BVの底部の開口径(端部E1の開口径)を大きくすることができ、貫通電極TSVとゲート電極(電極パッド)60との接触抵抗を低減することができる。
【0069】
ここで、Z方向から見た平面視において、STI20とゲート絶縁膜32との境界部BDは、貫通孔BVの端部E2よりも内側にあり、端部E1よりも外側にある。即ち、STI20は、貫通孔BVの内壁から貫通孔BVの中心へ向かって突出している。よって、STI20は、端部E2よりも貫通孔BVの中心へ向かって突出している。ゲート絶縁膜32は、STI20から貫通孔BVの中心へ向かって突出している。よって、ゲート絶縁膜32は、境界部BDよりも貫通孔BVの中心へ向かって突出している。ゲート絶縁膜32の内側の端部E1が貫通電極TSVとゲート電極(電極パッド)60との接触領域の外縁となる。このような構成により、STI20が貫通孔BVの形成領域の周囲を囲むように設けられ、ゲート絶縁膜32がSTI20で囲まれた貫通孔BVの形成領域の内部に設けられていたことがわかる。
【0070】
次に、図12に示すように、貫通孔BVの内壁にバリアメタル99の材料(例えば、Ti、TiN)を形成する。さらに貫通孔BV内のバリアメタル99上に金属電極100の材料(例えば、銅、タングステン)を充填する。
【0071】
次に、リソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、半導体基板10の第2面F2上にある金属電極100およびバリアメタル99の材料を除去する。これにより図13に示す構造が得られる。
【0072】
その後、バンプ110を金属電極100上に形成することによって、図1および図2に示す半導体装置1が完成する。
【0073】
本実施形態によれば、貫通電極TSVの形成領域の外周にSTI20が設けられており、その中心部にゲート絶縁膜32が設けられている。ゲート絶縁膜32は、高電圧トランジスタHVのゲート絶縁膜32であり、他のトランジスタVLV、LVのゲート絶縁膜30、31よりも厚いが、STI20よりも薄い。よって、ゲート絶縁膜32は、貫通孔BVのエッチングストッパとして機能するとともに、スペーサ層40の厚みを抑えて貫通孔BVの開口径を大きくすることを可能にする。これにより、貫通電極TSVとゲート電極(電極パッド)60との間の接触抵抗を低減することができる。
【0074】
また、STI20よりも薄いゲート絶縁膜32を貫通孔BVの底面に設けることによって、貫通孔BVの底部と第2面F2とにおいてスペーサ層40の膜厚差が小さくても、貫通孔BVの底部のゲート絶縁膜32を容易に除去することができる。よって、貫通孔BVのアスペクト比が小さく、スペーサ層40の膜厚差が小さくても、貫通孔BVの底部においてゲート電極60を確実に露出させることができる。その結果、半導体装置1のパッケージの厚みを薄くしつつ、貫通電極TSVを低抵抗でゲート電極(金属パッド)に接続することができ、半導体チップ間の抵抗を低くすることができる。
【0075】
また、貫通孔BVの開口の端部E2は、Z方向から見た平面視において、STI20に重複しており、貫通孔BVの側壁にSTI20が露出されている。これにより、バリアメタル99あるいは金属電極100の材料が貫通孔BVとSTI20との間に入り込んだり、半導体基板10が、金属電極100とSTI20との間に残存することを抑制する。その結果、貫通電極TSVと半導体基板10との間の耐圧の低下を抑制することができる。
【0076】
また、STI20が貫通孔BVの側壁から貫通孔BVの中心へ向かって突出(延伸)している。これにより、ゲート電極60と半導体基板10との間の距離を離すことができ、ゲート電極60と半導体基板10との間の耐圧を高く維持することができる。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0078】
1 半導体装置、10 半導体基板、15 ウェル拡散層、20 STI、30~32 ゲート絶縁膜、40 スペーサ層、60 ゲート電極、65 金属膜、70 キャップ膜、80 層間絶縁膜、90 ビアプラグ、77 ストッパ膜、99 バリアメタル、100 金属電極、110 バンプ、TSV 貫通電極、BV 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
図13