(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047385
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】プリント配線基板およびメモリシステム
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20220316BHJP
H01L 23/00 20060101ALI20220316BHJP
G11C 5/04 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
H05K1/02 R
H01L23/00 A
G11C5/04 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153272
(22)【出願日】2020-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】木村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】古牧 広昭
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB19
5E338CC01
5E338CD02
5E338DD12
5E338EE60
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製品完成後も認識マークを有効利用できるプリント配線基板及びこのプリント配線基板を有するメモリシステムを提供する。
【解決手段】プリント配線基板は、第1認識マーク32及び第1配線36を設けた第1配線層L1と、第1パッド44及び第2配線46を設けた第2配線層L2と、第3配線52、56を設けた第3配線層L3と、第1、第2配線層間に配置された第1絶縁層40と、第2、第3配線層間に配置された第2絶縁層50と、第1絶縁層を貫通し、第1認識マークと第1パッドとを電気的接続する第1ビア42と、第2絶縁層を貫通し、第1パッドと第3配線とを電気的に接続する第2ビア54と、を備える。第1配線は、間隔を空け第1認識マークを取り囲むように配置される。第2配線は、第1面視で第1認識マークの外形と第1配線との間の領域に位置する。第1パッド及び第1、第2ビアは、第1面視で第1認識マークの外形内側領域に位置する。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装される第1面を有し、前記第1面に第1認識マークおよび第1配線が設けられた第1配線層と、
第1パッドおよび第2配線が設けられた第2配線層と、
第3配線が設けられた第3配線層と、
前記第1配線層と前記第2配線層との間に配置された第1絶縁性部材と、
前記第2配線層と前記第3配線層との間に配置された第2絶縁性部材と、
前記第1絶縁性部材を貫通して前記第1認識マークと前記第1パッドとを電気的に接続する第1ビアと、
前記第2絶縁性部材を貫通して前記第1パッドと前記第3配線とを電気的に接続する第2ビアと、を備え、
前記第1配線は、間隔を空けて前記第1認識マークを取り囲むように配置され、
前記第2配線は、前記第1面側から見たときに少なくとも前記第1認識マークの外形と前記第1配線との間の領域に位置し、
前記第1パッド、前記第1ビア、および前記第2ビアは、前記第1面側から見たときに前記第1認識マークの外形の内側の領域に位置するプリント配線基板。
【請求項2】
前記第2配線は、間隔を空けて前記第1パッドを取り囲むように配置される請求項1記載のプリント配線基板。
【請求項3】
前記第3配線層は更に第4配線が設けられ、
前記第4配線は、間隔を空けて前記第2ビアおよび前記第3配線の一部を取り囲むように配置される請求項1または2記載のプリント配線基板。
【請求項4】
前記第1配線層は、グランド配線と、グランド端子と、を有し、
前記グランド配線は前記第1配線層の前記第1面に実装される前記電子部品のグランド電位に接続される配線であり、前記グランド配線の一部は前記第1配線を形成し、
前記グランド端子は、前記グランド配線の一部であり金メッキされている請求項1乃至3のいずれかに記載のプリント配線基板。
【請求項5】
前記第1認識マーク、前記第1パッド、前記第1配線、前記第2配線、前記第3配線はそれぞれ、銅箔部とこの銅箔部上に設けられた銅メッキ部とを備えている請求項1乃至4のいずれかに記載のプリント配線基板。
【請求項6】
前記第1ビアは銅のフィルドメッキを有する請求項1乃至5のいずれかに記載のプリント配線基板。
【請求項7】
前記第1配線層の前記第1面に第2認識マークが更に設けられた請求項1乃至6のいずれかに記載のプリント配線基板。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のプリント配線基板と、
前記プリント配線基板に設けられ外部装置と接続するコネクタ端子と、
前記プリント配線基板に実装された不揮発性メモリおよび揮発性メモリと、
前記プリント配線基板に実装され前記不揮発性メモリおよび前記揮発性メモリを制御するコントローラと、
前記コネクタ端子を介して供給される外部電源から前記不揮発性メモリ、前記揮発性メモリ、および前記コントローラに供給する内部電源電圧を生成する電源回路と、
前記第1認識マーク及び前記コントローラに電気的に接続され、前記コントローラの動作モードを設定する切り換え信号が入力される設定回路と、
を備え、
前記第3配線は、前記コントローラに電気的に接続される、メモリシステム。
【請求項9】
前記電源回路は、前記外部電源の立ち上がりを検知し、パワーオンリセット信号を生成して前記コントローラに供給する請求項8記載のメモリシステム。
【請求項10】
前記設定回路は、2ビットの動作モードの切り換え信号を受ける請求項8または9記載のメモリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリント配線基板およびメモリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、メモリシステムは、不揮発性メモリおよびこの不揮発性メモリを制御するコントローラを含む。これらの不揮発性メモリおよびコントローラなどの電子部品は、プリント配線基板に実装される。プリント配線基板は、電子部品が実装される配線パターンが設けられる面を有する。
【0003】
配線基板の面には、配線パターンと共に認識マーク(fiducial mark)が設けられている。配線基板の回路パターンに対して電子部品が実装される際、この認識マークの位置が画像認識により読み取られる。読み取られた位置に基づいて、配線基板の回路パターンに対する電子部品の実装位置を決定することができる。この認識マークは、画像認識の精度を良くするために広い面積を専有するが、製品完成後は使用されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-76542号広報
【特許文献2】米国特許第9,888,565号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2019/0037693号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態は、製品完成後も認識マークを有効利用することができるプリント配線基板およびこのプリント配線基板を有するメモリシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態にかかるプリント配線基板は、電子部品が実装される第1面を有し、前記第1面に第1認識マークおよび第1配線が設けられた第1配線層と、第1パッドおよび第2配線が設けられた第2配線層と、第3配線が設けられた第3配線層と、前記第1配線層と前記第2配線層との間に配置された第1絶縁性部材と、前記第2配線層と前記第3配線層との間に配置された第2絶縁性部材と、前記第1絶縁性部材を貫通して前記第1認識マークと前記第1パッドとを電気的に接続する第1ビアと、前記第2絶縁性部材を貫通して前記第1パッドと前記第3配線とを電気的に接続する第2ビアと、を備え、前記第1配線は、間隔を空けて前記第1認識マークを取り囲むように配置され、前記第2配線は、前記第1面側から見たときに少なくとも前記第1認識マークの外形と前記第1配線との間の領域に位置し、前記第1パッド、前記第1ビア、および前記第2ビアは、前記第1面側から見たときに前記第1認識マークの外形の内側の領域に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態にかかるメモリシステムの回路構成を示すブロック図。
【
図2】実施形態にかかるメモリシステムの概略の構成を示す平面図。
【
図3】
図3Aは実施形態にかかるメモリシステムに設けられた認識マークを示す平面図、
図3Bは実施形態にかかるメモリシステムに設けられた認識マークを示す断面図、
【
図4】実施形態にかかるメモリシステムに用いられるプリント配線基板の第1配線層の認識マークの近傍を示す平面図。
【
図5】実施形態にかかるメモリシステムに用いられるプリント配線基板の第2配線層の認識マークの近傍を示す平面図。
【
図6】実施形態にかかるメモリシステムに用いられるプリント配線基板の第3配線層の認識マークの近傍を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、プリント配線基板およびメモリシステムの実施形態について説明する。以下では、プリント配線基板およびメモリシステムの構成部分を主に説明するが、プリント配線基板およびメモリシステムには、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0009】
(実施形態)
実施形態にかかるメモリシステム100の回路構成を
図1に示す。この実施形態のメモリシステム100は、コントローラ10と、不揮発性メモリ12,14と、揮発性メモリ16と、コネクタ端子18と、電源回路20と、モード設定回路24と、を備えている。
【0010】
この実施形態のメモリシステム100は、コネクタ端子18を介して外部装置と接続される。この外部装置は、メモリシステム100のホスト等である。すなわち、メモリシステム100は、ホストの外部記憶装置として機能する。ホストは、例えば、パーソナルコンピュータやサーバなどの情報処理装置、撮像装置であってもよいし、タブレットコンピュータやスマートフォンなどの携帯端末であってもよいし、ゲーム機器であってもよいし、カーナビゲーションシステムなどの車載端末であってもよい。
【0011】
コントローラ10は、不図示のプロセッサを備える。コントローラ10は、このプロセッサが揮発性メモリ16に記憶されたプログラムを実行することで、不揮発性メモリ12,14の動作を制御する。コントローラ10は、例えば、SoC(System On a Chip)として構成される集積回路である。不揮発性メモリ12,14は、例えばNAND型フラッシュメモリ(NANDメモリとも云う)である。
図1には、2つの不揮発性メモリ12,14が示されるが、その数は2に限られない。揮発性メモリ16は、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)であるが、これに限られない。揮発性メモリ16は、コントローラ10の内部に配置されてもよい。
【0012】
例えば、メモリシステム100の起動時に、NANDメモリ12,14に記憶されたプログラムは、揮発性メモリ16に書き込まれる。このプログラムは、メモリシステム100が動作するために必要なプログラムである。例えば、このプログラムは、NANDメモリ12,14に対するデータの書き込みおよび読み出しの動作等を実行するためのプログラムを含む。
【0013】
コントローラ10は、ホストから送信されたコマンドを受信し、必要に応じて揮発性メモリ16をキャッシュとして使用し、NANDメモリ12,14に対する書き込みおよび読み出し等の動作を行い、ホストに対してデータを送信する。
【0014】
電源回路20は、外部装置内の電源回路からコネクタ端子18を介して外部電源を供給される。電源回路20は、供給される外部電源から、複数の内部電源電圧を生成し、これらの内部電源電圧をメモリシステム100内の各回路に供給する。また、電源回路20は、外部電源の供給の開始に応じた電源の立ち上がりを検知し、この検知に応じてパワーオンリセット(POR)信号を生成する。電源回路20は、生成したPOR信号をコントローラ10に供給する。電源回路20は、半導体集積回路として構成される電源IC21および周辺回路を含む。電源IC21は、例えば、電源の立ち上がりの検知、POR信号の生成を実行する。
【0015】
モード設定回路24は、4個のパッドを含む。4個のパッドの内の2個は、メモリシステム100内のGND電位となるGND配線(グランド配線)に接続され、他の2個は、コントローラ10に接続される。この他の2個の内の1個のパッドが、後述する認識マーク32に接続される。モード設定回路24は、コントローラの動作モードの切り換えに用いられる。ここで、コントローラ10の動作モードとしては、通常の動作モード、不具合解析用のデバッグ動作モード等が挙げられる。モード設定回路24は、コントローラ10に接続される2個のパッドを介して、2ビット(すなわち4値)のモード切り換え信号を生成することが可能である。モード切り換え信号は、通常の動作モード、不具合解析用のデバッグ動作モード等の動作の切り換えを指示する信号であって、製造者によってパッドを介してコントローラ10に送信される。
【0016】
実施形態のメモリシステム100の概略の構成を
図2に示す。
図2は、z方向からみた平面図である。
【0017】
メモリシステム100では、コントローラ10、NANDメモリ12,14、揮発性メモリ16、コネクタ端子18,および電源IC21は、配線パターンが形成されたプリント配線基板1上に実装される。コネクタ端子18は2つのコネクタ端子18a、18bを含む。更に、プリント配線基板1上には、GND配線(グランド配線)に接続されたGND端子(グランド端子)26および2つの認識マーク32,34が配置される。このGND端子26は金メッキされている。コネクタ端子18は、配線基板1の表面に形成された配線パターンを含んで構成される。
【0018】
プリント配線基板(以下、配線基板ともいう)1は、x方向がy方向よりも長い略長方形の平面形状を有している。プリント配線基板1の対向する短辺(y方向に沿った辺)のうちの一方の側に、コネクタ端子18(18a、18b)が配置される。コネクタ端子18の近くには、認識マーク34が配置されるとともに電源IC21が実装される。また、他方の短辺側には、認識マーク32およびこの認識マーク32の近くに半円状の金メッキされたGND端子26が配置される。認識マーク32および認識マーク34は、これらの認識マーク32,34を結ぶ直線がプリント配線基板1の長辺(x方向に沿った辺)に平行ではなく交差するように配置される。
【0019】
配線基板1に形成された配線パターンを介して、配線基板1上に搭載されたコントローラ10、NANDメモリ12,14、揮発性メモリ16、および電源IC21同士が電気的に接続される。コントローラ10は複数の外部接続端子(不図示)を有している。複数の外部接続端子の内の一つの外部接続端子は、配線パターンを介して認識マーク32内の配線に電気的に接続されている。ここで、「AとBが電気的に接続される」とは、AとBが直接接続されても良いし、導電体を介して間接的に接続されても良いことを意味する。
【0020】
プリント配線基板1は、合成樹脂(例えばプリプレグ)と銅箔を重ねて形成された多層構造を有している。プリント配線基板1には、合成樹脂と銅箔で構成された各層の表面にあるいは層を貫通して様々な形状で配線パターンが形成されている、配線パターンは、銅箔とこの銅箔上に形成された銅メッキの積層構造を有している。なお、プリプレグは、ガラス布に樹脂(エポキシなど)を含侵させて半硬化まで硬化させた基材であり、層間の絶縁のため用いられる。このプリプレグは圧縮加熱する事で硬化する。また、配線基板の積層の工程は、以下の工程を含む。ベースの基材上に「プリプレグ」、「銅箔」を両面に載せて、圧縮加熱してプリプレグを硬化する工程。続いて、レーザー、ドリルなどを用いて穴開けを行う工程。続いて、穴開けした部分を銅メッキで接続する工程。続いて、不要部分の銅メッキと銅箔のパターンを削除する工程。配線基板の積層の工程は、これら以外の工程を含んでもよい。
【0021】
ここで
図3A、3Bを用いて、認識マーク32の構成および配線基板1の構成を説明する。
図3Aは、実施形態における認識マーク32の拡大図を示し、
図3Bは、
図3Aに示す切断線A-Aで切断した断面を示す。
図3Bに示すように、配線基板1は、第1配線層L1と、第2配線層L2と、第3配線層L3と、を少なくとも含む。
【0022】
認識マーク32は、一般に配線部分と絶縁部を含むが、以下の説明では、認識マーク32は配線部分と定義する。第1配線層L1は、z軸に交差する第1面を有する。第1配線層L1の第1面には、電子部品(例えば、
図1に示すコントローラ10、NANDメモリ12,14、揮発性メモリ16、電源回路20等)が実装される。また、
図3Bに示すように、この第1面に認識マーク32が設けられている。認識マーク32を形成する配線は、その周囲に配置された配線(例えば、GND配線)36と、第1配線層L1において電気的に絶縁されている。認識マーク32は、銅箔からなる第1部分32aと、この第1部分32a上に形成された銅メッキからなる第2部分32bと、を含む。認識マーク32は、
図3Aに示すように、直径が例えば1.0mmの円形の平面形状を有している。また、
図3Bに示すように、配線36は、銅箔からなる部分36aと、この部分36a上に形成された銅メッキからなる部分36bとを含む。そして、認識マーク32の周囲には銅箔および銅メッキの積層構造が形成されない未配線領域(絶縁部)35が設けられる。この未配線領域35によって認識マーク32と配線36とは第1配線層L1において分離して電気的に絶縁される。なお、認識マーク32および未配線領域35にはソルダー・レジスト38は形成されず、配線36上およびその側面にはソルダー・レジスト38が形成される。
【0023】
第1配線層L1と第2配線層L2との間には絶縁体である合成樹脂(例えばプリプレグ)による絶縁層40が設けられ、第1配線層L1と第2配線層L2とが電気的に絶縁される。すなわち、第2配線層L2は、第1配線層L1に対してz軸の負方向に設けられる。
図3Bに示すように、この第2配線層L2には、第1配線層L1の認識マーク32に電気的に接続するパッド44と、他の配線(例えにばGND配線)46とが設けられる。パッド44は、銅箔からなる部分44aと、この部分44a上に形成された銅メッキからなる部分44bと、を含む。また、他の配線46も同様に、銅箔からなる部分46aと、この部分46a上に形成された銅メッキからなる部分46bと、を含む。パッド44の部分44bは、銅のフィルドメッキによって形成されたレーザビアホール42を介して、認識マーク32の部分32bに電気的に接続される。このため、認識マーク32の部分32bの表面は平坦となり、画像認識に用いるのに非常に好都合となる。また、
図3A、3Bに示すように、第2配線層L2に設けられたパッド44は、z軸の正方向(第1面側)から見たときに認識マーク32の外側にはみ出さず、認識マーク32の内側の領域に配置されている。
【0024】
第2配線層L2と第3配線層L3との間には絶縁体である合成樹脂(例えばプリプレグ)による絶縁層50が設けられ、第2配線層L2と第3配線層L3とは電気的に絶縁される。すなわち、第3配線層L3は、第2配線層L2に対してz軸の負方向に設けられる。
図3Bに示すように、第3配線層L3には、コントローラ10に接続する配線52と、他の配線(例えばGND配線)56が設けられる。他の配線56は、メモリシステム100内の何れかの電源電位となる電源配線に接続されてもよい。配線52は、銅箔からなる部分52aと、この部分52a上に形成された銅メッキからなる部分52bとを含む。部分52bは、レーザビアホール54を介して第2配線層L2のパッド44に電気的に接続される。他の配線56も同様に、銅箔からなる部分56aと、この部分56a上に形成された銅メッキからなる部分56bとを含む。また、
図3A、3Bに示すように、レーザビアホール54もz軸の正方向(第1面側)から見たときに、認識マーク32の外側にはみ出さず、認識マーク32の内側の領域に配置されている。なお、第3配線層L3に対してz軸の負の方向に、図示しない第4配線層が設けられ、第3配線層L3と第4配線層とは、その間に設けられた絶縁体である合成樹脂(例えばプリプレグ)による絶縁層60によって電気的に絶縁される。なお、第4配線層に絶縁層60を介して配線層と絶縁層とが交互に配された多層構造が更に形成されてもよい。
【0025】
第1配線層L1における認識マーク32を含む領域を第1面側(z軸の正方向)からみた平面図を
図4に示す。
図4に示すように、認識マーク32の周囲には未配線領域35を隔てて銅メッキ部分36bを含む配線36が設けられている。この配線36は、GND端子26と同一のパターン(例えばGND配線)の一部として形成され、ソルダー・レジストで覆われている。GND端子26は、配線36と同一のパターンの一部として形成されるが、ソルダー・レジストで覆われていない。GND端子26は、酸化防止のために銅メッキの上に更に金メッキされている。GND端子26の銅メッキには、第2配線層L2と接続するための例えば4個のパッド37が設けられている。
【0026】
また、第1配線層L1の配線36が設けられた以外の領域には、例えばNANDメモリ12,14に接続可能な複数(例えば4個)のパッド39aと、電子部品が実装可能な複数のパッド39bとが設けられている。第1配線層L1の他方の短辺側の端部には、配線パターンが形成されない未配線部28が設けられている。第1配線層L1には認識マーク32があるため、第1面側(z軸の正方向)から見たときにレーザビアホール42、54は認識できない。
【0027】
第2配線層L2における配線層のz軸の正方向からみた平面図を
図5に示す。
図5に示すように、z軸の正方向から見たときに、認識マーク32のz軸の負方向には、レーザビアホール42,54およびパッド44が配置される。パッド44はレーザビアホール42とレーザビアホール54を接続する。これらのレーザビアホール42,54は、他の配線(例えばGND配線)46が形成されない例えば楕円形状の領域48に配置される。この領域48は認識マーク32のz軸の負方向に配置される。すなわち領域48はz軸の正方向から見たときに、認識マーク32の外側にはみ出さず、認識マーク32の内側の領域に存在する。また、第1配線層L1上の認識マーク32の周囲に設けられGND配線36が形成されない未配線領域35のz軸の負方向には、第2配線層L2において他の配線46によって覆われている(
図3Aおよび
図3B参照)。更に、第2配線層L2には、第1配線層L1に設けられたパッド39aに、例えばスルーホールを介して電気的に接続するパッド49aが配置される。また、パッド49aに隣接してパッド49bが配置される。これらのパッド49aおよびパッド49bは、z軸の正方向からみたときに例えば楕円形状の領域49c内に配置される。この領域49c内には他の配線46が形成されない。また、第2配線層L2の配線46には、第1配線層L1の4個のパッド37にそれぞれ電気的に接続される4個のパッド47が設けられる。
【0028】
第3配線層L3における配線層のz軸の正方向からみた平面図を
図6に示す。
図6に示すように、レーザビアホール54に電気的に接続しかつモード設定回路24を介してコントローラ10に電気的に接続する配線52が設けられている。この配線52は、他の配線(例えばGND配線または電源配線)56が設けられない領域58に配置される。また、配線52の一部は、第1配線層L1の未配線領域35のz軸の負方向に配置される。配線52の一部のz軸の正方向には、第2配線層L2の他の配線46が設けられている。また、第3配線層L3には、NANDメモリ12,14に電気的に接続する例えば4個のパッド59aが設けられている。これらのパッド59aは、第2配線層L2に設けられた2つのパッド49a,49bを介して第1配線層L1に設けられたパッド39aに電気的に接続する。第3配線層L3の配線52は第1配線層L1の認識マーク32と第2配線層L2の配線46により、第1配線層L1の第1面からの平面視で全く透過的に見えない。
【0029】
以上説明したように、本実施形態においては、認識マーク32は、モード設定回路24を介してコントローラ10に接続される配線52に電気的に接続される。配線52は、配線基板1の複数の配線層の何れかに設けられた、レーザビアホール54、パッド44、およびレーザビアホール42を介して、認識マーク32に電気的に接続される。すなわち、認識マーク32及び配線52を介して、コントローラ10の動作のモード切り換え信号を、モード設定回路24に生成させることが可能となる。具体的には、メモリシステム100の電源投入時に、認識マーク32およびGND端子26を用いて、配線52をGND配線にショートすることで、モード設定回路24が“L”レベルのモード切り換え信号を生成することができる。このようにして、認識マーク32およびGND端子26を用いて、メモリシステム100のテストなどのためにコントローラ10の動作モード切り換えを行うことができる。
【0030】
認識マーク32に電気的に接続するレーザビアホール42、パッド44、およびレーザビアホール54は、第1配線層L1の第1面側から見たときに、認識マーク32の外形の内側の領域に配置され、認識マーク32の外形の外周に設けられた未配線領域35にはみ出していない。また、認識マーク32に電気的に接続しかつコントローラ10に電気的に接続する配線52は、第1配線層L1の第1面側から見たときに、第3配線層L3に設けられ、絶縁層40,50および第2配線層L2の他の配線46によって覆われている。このため、認識マーク32は、配線52に電気的に接続しない場合と同様の画像認識の精度を確保することができる。
【0031】
また、本実施形態においては、認識マーク34には、コントローラ10の動作のモード切り換え信号が入力されることは説明していない。しかし、認識マーク32と同様の構成を用いて、認識マーク34をモード設定回路24に接続し、認識マーク34を介して、モード切り換え信号が生成できるように構成しても良い。この場合、認識マーク32,34にそれぞれ1ビットのモード切り換え信号を設定することが可能となり、合計4ビットのモード切り換え信号を生成することができる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によれば、製品完成後も認識マークを有効利用することの可能なプリント配線基板およびこのプリント配線基板を有するメモリシステムを提供することができる。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0034】
1・・・プリント配線基板、10・・・コントローラ、12,14・・・NAND型フラッシュメモリ(NANDメモリ)、16・・・揮発性メモリ、18,18a,18b・・・コネクタ端子、20・・・電源回路、21・・・電源IC、24・・・モード設定回路、26・・・GND端子、28・・・未配線部、32・・・認識マーク、32a・・・銅箔からなる部分、32b・・・銅メッキからなる部分、34・・・認識マーク、35・・・未配線領域(GND配線が設けられない領域)、36・・・他の配線(GND配線)、36a・・・銅箔からなる部分、36b・・・銅メッキからなる部分、37・・・パッド、38・・・ソルダー・レジスト、39a・・・パッド、39b・・・パッド、40・・・絶縁層、42・・・レーザビアホール、44・・・パッド、44a・・・銅箔からなる部分、44b・・・銅メッキからなる部分、46・・・GND配線、46a・・・銅箔からなる部分、46b・・・銅メッキからなる部分、47・・・パッド、48・・・領域(GND配線が設けられない領域)、49a・・・パッド、49b・・・パッド、49c・・・領域(GND配線が設けられない領域)、50・・・絶縁層、52・・・配線、52a・・・銅箔からなる部分、52b・・・銅メッキからなる部分、54・・・レーザビアホール、56・・・配線、56a・・・銅箔からなる部分、56b・・・銅メッキからなる部分、58・・・領域(GND配線が設けられない領域)、59a・・・パッド、60・・・絶縁層、100・・・メモリシステム