(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047445
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】貼着シート状部保持体及び貼着シート状部剥離方法
(51)【国際特許分類】
B42D 11/00 20060101AFI20220316BHJP
【FI】
B42D11/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153377
(22)【出願日】2020-09-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】504288270
【氏名又は名称】大昌印刷販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095522
【弁理士】
【氏名又は名称】高良 尚志
(72)【発明者】
【氏名】太田 博之
(57)【要約】
【課題】 所定方向に連なる複数の領域を有する貼着シート状部の所要領域を効率良く分割して用いることができる貼着シート状部保持体及び貼着シート状部剥離方法の提供。
【解決手段】 表側に離型面12を有する基材10と、貼付対象に接着する接着剤層を裏側に有し、離型面12に仮着して保持され、離型面12から剥離させて貼付対象に接着するための貼着シート状部30を設ける。貼着シート状部30は、長手方向に直交する第1切離可能線状部30J及び第2切離可能線状部30Kを介して連なる第1分割可能領域30a、第2分割可能領域30b及び第3分割可能領域30cを有する。第1切離可能線状部30Jは、左端からその近傍部にわたり、第1分割可能領域30aと第2分割可能領域30bが切離された切離部32であり、それ以外の部分は両分割可能領域同士が易切離処理部34とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側に離型面を有する基材と、貼付対象に対し接着するための接着剤層を裏側に有し、その接着剤層において前記基材の表側の離型面に仮着して保持され、前記離型面から剥離させて前記接着剤層により貼付対象に対し接着するための貼着シート状部を有してなる貼着シート状部保持体であって、
前記貼着シート状部は、所定方向に対し交差する1以上の切離可能線状部を介して前記所定方向に連なる複数の分割可能領域を有し、
前記切離可能線状部の少なくとも1つは、一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり、分割可能領域同士が切離された切離部であり、それ以外の部分は分割可能領域同士が切離し易いように処理された易切離処理部であることを特徴とする貼着シート状部保持体。
【請求項2】
上記の、一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり、分割可能領域同士が切離された切離部であり、それ以外の部分は分割可能領域同士が切離し易いように処理された易切離処理部である切離可能線状部における前記切離部の一端と他端を結ぶ直線と、上記所定方向の一端側のうち上記所定方向に直交する方向における前記切離部の一端と同じ側の一端部と前記切離可能線状部における前記切離部の他端を結ぶ直線がなす所定角度が87度以下である請求項1記載の貼着シート状部保持体。
【請求項3】
上記の、一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり、分割可能領域同士が切離された切離部であり、それ以外の部分は分割可能領域同士が切離し易いように処理された易切離処理部である切離可能線状部における前記切離部の長さの、前記切離可能線状部の全長に対する所定比率が40%以下である請求項1又は2記載の貼着シート状部保持体。
【請求項4】
上記切離可能線状部の1以上又は全てが、上記所定方向に対し直交する直線状である請求項1乃至3の何れか1項に記載の貼着シート状部保持体。
【請求項5】
上記分割可能領域の1以上又は全てが、平面視において略方形状である請求項1乃至4の何れか1項に記載の貼着シート状部保持体。
【請求項6】
上記複数の分割可能領域が前記所定方向に連なった連続領域が、平面視において略方形状である請求項1乃至5の何れか1項に記載の貼着シート状部保持体。
【請求項7】
何れか1以上の分割可能領域の表側に、剥離シート状部が仮着して剥離可能に保持されている請求項1乃至6の何れか1項に記載の貼着シート状部保持体。
【請求項8】
何れか1以上の分割可能領域の表側に、固着シート状部が固着保持されている請求項1乃至7の何れか1項に記載の貼着シート状部保持体。
【請求項9】
上記貼着シート状部は、所定方向に対し交差する2以上の切離可能線状部を介して前記所定方向に連なる3以上の分割可能領域を有し、
前記2以上の切離可能線状部のうち少なくとも1つは、一端からその近傍部を含む一端寄りの位置にわたり切離部であり他の部分は易切離処理部である切離可能線状部であり、その他の切離可能線状部のうち少なくとも1つは、他端からその近傍部を含む前記他端寄りの位置にわたり切離部であり他の部分は易切離処理部である切離可能線状部である請求項1乃至8の何れか1項に記載の貼着シート状部保持体。
【請求項10】
表側に離型面を有する基材と、貼付対象に対し接着するための接着剤層を裏側に有し、その接着剤層において前記基材の表側の離型面に仮着して保持され、前記離型面から剥離させて前記接着剤層により貼付対象に対し接着するための貼着シート状部を有し、
前記貼着シート状部は、所定方向に対し交差する1以上の切離可能線状部を介して前記所定方向に連なる複数の分割可能領域を有する貼着シート状部保持体において、貼着シート状部を前記離型面から剥離させる方法であって、
前記切離可能線状部の少なくとも1つを、一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり、分割可能領域同士が切離された切離部であり、それ以外の部分は分割可能領域同士が切離し易いように処理された易切離処理部であるものとし、
前記所定方向の一端側のうち、所定方向に直交する方向における前記一端側寄り又は前記一端付近の箇所から、前記切離可能線状部の他端寄り又は他端付近に向かって引き剥がすことにより、
前記所定方向の一端側から前記切離可能線状部までの分割可能領域を前記離型面から剥離させると共に前記切離可能線状部の易切離処理部を、前記一端側から他端に向かって切離させ、その切離可能線状部を介して隣接する分割可能領域は前記離型面に仮着した状態を維持させることを特徴とする貼着シート状部剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材に仮着された所定方向に連なる複数の領域を有する貼着シート状部を、剥がして用いる、貼着シート状部保持体及び貼着シート状部剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2013-107238号公報には、配送控11と貼付票本体部12が、配送伝票10を分断する配送控切離しミシン3を介して連接され、貼付票本体部12は、前記配送控切離しミシン3側に配置された貼付票121と配達票122が前記配送控切離しミシン3と平行且つ同一長で形成された配達票切離し用切込み4を介して連接された配送用シールが開示されている。
【0003】
前記配送伝票10は、配送情報が表示されたラベル基紙1、擬似接着層である第一の接着剤層6、中間基材7、粘着層である第二の接着剤層8、剥離基材9が順次積層された積層体からなり、前記配送控切離しミシン3は前記積層体の全層にわたり形成され、前記配達票切離し用切込み4は、ラベル基紙1及び第一の接着剤層6にわたり形成され、貼付票121の配送控切離しミシン3側下辺コーナー部には、下辺コーナー部を斜めに切断する貼付票本体部引き剥がし用切込み5が、ラベル基紙1、第一の接着剤層6、中間基材7、第二の接着剤層8にわたりで形成されている。
【0004】
この配送用シールを使用する場合、配送所において、配送控切離しミシン3で配送控11と、貼付票本体部12に切り離し、その際に、配送控え11の右下コーナー部に、貼付票本体部引き剥がし用切込み5により貼付票本体部12から切り取られて剥離基材9から剥がされたコーナー50が連接された状態となる。
【0005】
一方、コーナー50が剥がし取られた貼付票本体部12の対応部には、剥離基材9の剥離面がコーナー50の形状で露出するので、配送担当者は、貼付票本体部12引き剥がし用切込み5によって容易に貼付票本体部12を剥離基材9から剥がして配送物に貼付することができる。
【0006】
配送物が受取人に渡される際に、配送担当者は、配送物に貼付された配送伝票本体12における配達票122に受取人の印やサインをもらい、配達票切離し用切込み4で貼付票121と分離されている配達票122を配送伝票本体12から引き剥がして持ち帰る。
【0007】
しかしながら、配送物によっては、配達票122に受取印やサインをもらって持ち帰ることを要しない場合があり、その割合は少なくない。
【0008】
配達票122が不要である場合は、配送伝票本体12から不要の配達票122を予め切除して宛先を表記した貼付票121のみを配送物に貼ることが望ましいが、多数の配送物を効率よく処理することが求められる配送現場においては、その切除作業が存外手間を要し、作業効率低下を招いていた。
【0009】
一方、配達票122を有する配送伝票10と、配達票部分がない配送伝票を使い分けるようにすることもできるが、却って全体としての業務が非効率となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、所定方向に連なる複数の領域を有する貼着シート状部の所要領域を、効率良く分割して用いることができる、貼着シート状部保持体及び貼着シート状部剥離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の貼着シート状部保持体及び貼着シート状部剥離方法は、例えば次のように表すことができる。
【0013】
(1) 表側に離型面を有する基材と、貼付対象に対し接着するための接着剤層を裏側に有し、その接着剤層において前記基材の表側の離型面に仮着して保持され、前記離型面から剥離させて前記接着剤層により貼付対象に対し接着するための貼着シート状部を有してなる貼着シート状部保持体であって、
前記貼着シート状部は、所定方向に対し交差する1以上の切離可能線状部を介して前記所定方向に連なる複数の分割可能領域を有し、
前記切離可能線状部の少なくとも1つは、一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり、分割可能領域同士が切離された切離部であり、それ以外の部分は分割可能領域同士が切離し易いように処理された易切離処理部であることを特徴とする貼着シート状部保持体。
【0014】
所定方向に連なる複数の分割可能領域を有する貼着シート状部のうち、前記所定方向の一端側から、所定の切離可能線状部(一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり切離部であり他の部分は易切離処理部であるもの)までの部分を、基材の表側の離型面から剥離させる場合に、前記所定方向の一端側のうち、所定方向に直交する方向における前記一端付近又は前記一端寄りの箇所から、前記所定の切離可能線状部の他端寄りの箇所又は他端付近に向かって引き剥がすことにより、前記所定方向の一端側から前記所定の切離可能線状部までの分割可能領域を前記離型面から剥離させると共に前記所定の切離可能線状部の易切離処理部を、前記一端側から他端に向かって切離させ、その所定の切離可能線状部を介して隣接する分割可能領域は前記離型面に仮着した状態を維持させ得る。
【0015】
一方、前記所定方向の一端側のうち、所定方向に直交する方向における一端寄りの箇所よりも他端側の箇所から、前記所定方向に沿う向きに貼着シート状部を前記離型面から引き剥がすことにより、前記所定方向の一端側から前記所定の切離可能線状部までの分割可能領域及び前記所定の切離可能線状部を介して所定方向の他端側に隣接する分割可能領域を、前記所定の切離可能線状部の易切離処理部を切離せず、それらの分割可能領域が連なった状態で前記離型面から剥離させ得る。
【0016】
(2) 上記の、一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり、分割可能領域同士が切離された切離部であり、それ以外の部分は分割可能領域同士が切離し易いように処理された易切離処理部である切離可能線状部における前記切離部の一端と他端を結ぶ直線と、上記所定方向の一端側のうち上記所定方向に直交する方向における前記切離部の一端と同じ側の一端部と前記切離可能線状部における前記切離部の他端を結ぶ直線がなす所定角度が87度以下である上記(1)記載の貼着シート状部保持体。
【0017】
(3) 上記の、一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり、分割可能領域同士が切離された切離部であり、それ以外の部分は分割可能領域同士が切離し易いように処理された易切離処理部である切離可能線状部における前記切離部の長さの、前記切離可能線状部の全長に対する所定比率が40%以下である上記(1)又は(2)記載の貼着シート状部保持体。
【0018】
(4) 上記切離可能線状部の1以上又は全てが、上記所定方向に対し直交する直線状である上記(1)乃至(3)の何れか1項に記載の貼着シート状部保持体。
【0019】
(5) 上記分割可能領域の1以上又は全てが、平面視において略方形状である上記(1)乃至(4)の何れか1項に記載の貼着シート状部保持体。
【0020】
(6) 上記複数の分割可能領域が前記所定方向に連なった連続領域が、平面視において略方形状である上記(1)乃至(5)の何れか1項に記載の貼着シート状部保持体。
【0021】
(7) 何れか1以上の分割可能領域の表側に、剥離シート状部が仮着して剥離可能に保持されている上記(1)乃至(6)の何れか1項に記載の貼着シート状部保持体。
【0022】
(8) 何れか1以上の分割可能領域の表側に、固着シート状部が固着保持されている上記(1)乃至(7)の何れか1項に記載の貼着シート状部保持体。
【0023】
(9) 上記貼着シート状部は、所定方向に対し交差する2以上の切離可能線状部を介して前記所定方向に連なる3以上の分割可能領域を有し、
前記2以上の切離可能線状部のうち少なくとも1つは、一端からその近傍部を含む一端寄りの位置にわたり切離部であり他の部分は易切離処理部である切離可能線状部であり、その他の切離可能線状部のうち少なくとも1つは、他端からその近傍部を含む前記他端寄りの位置にわたり切離部であり他の部分は易切離処理部である切離可能線状部である上記(1)乃至(8)の何れか1項に記載の貼着シート状部保持体。
【0024】
(10) 表側に離型面を有する基材と、貼付対象に対し接着するための接着剤層を裏側に有し、その接着剤層において前記基材の表側の離型面に仮着して保持され、前記離型面から剥離させて前記接着剤層により貼付対象に対し接着するための貼着シート状部を有し、
前記貼着シート状部は、所定方向に対し交差する1以上の切離可能線状部を介して前記所定方向に連なる複数の分割可能領域を有する貼着シート状部保持体において、貼着シート状部を前記離型面から剥離させる方法であって、
前記切離可能線状部の少なくとも1つを、一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり、分割可能領域同士が切離された切離部であり、それ以外の部分は分割可能領域同士が切離し易いように処理された易切離処理部であるものとし、
前記所定方向の一端側のうち、所定方向に直交する方向における前記一端側寄り又は前記一端付近の箇所から、前記切離可能線状部の他端寄り又は他端付近に向かって引き剥がすことにより、
前記所定方向の一端側から前記切離可能線状部までの分割可能領域を前記離型面から剥離させると共に前記切離可能線状部の易切離処理部を、前記一端側から他端に向かって切離させ、その切離可能線状部を介して隣接する分割可能領域は前記離型面に仮着した状態を維持させることを特徴とする貼着シート状部剥離方法。
【0025】
この方法により、前記所定方向の一端側から所定の切離可能線状部(一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり切離部であり他の部分は易切離処理部であるもの)までの分割可能領域を前記離型面から剥離させると共に前記所定の切離可能線状部の易切離処理部を、前記一端側から他端に向かって切離させ、その所定の切離可能線状部を介して隣接する分割可能領域は前記離型面に仮着した状態を維持させ得る一方、前記所定方向の一端側のうち、所定方向に直交する方向における一端寄りの箇所よりも他端側の箇所から、前記所定方向に沿う向きに貼着シート状部を前記離型面から引き剥がすことにより、前記所定方向の一端側から前記所定の切離可能線状部までの分割可能領域及び前記所定の切離可能線状部を介して所定方向の他端側に隣接する分割可能領域を、前記所定の切離可能線状部の易切離処理部を切離せず、それらの分割可能領域が連なった状態で前記離型面から剥離させ得る。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、所定方向に連なる複数の分割可能領域を有する貼着シート状部を基材の離型面から引き剥がす位置及び向きに応じ、複数の分割可能領域の一部を剥離させることや複数の分割可能領域の全てを連なった状態で剥離させることができ、作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】貼着シート状部保持シート体の平面図である。
【
図2】貼着シート状部保持シート体の中央縦断面図並びにその第1切離可能線状部30J近傍部及び第2切離可能線状部30K近傍部の要部拡大断面図である。
【
図3】
図1におけるIII-IIIの第1切離可能線状部30J近傍部及び第2切離可能線状部30K近傍部の要部拡大断面図である。
【
図6】
図1において第1分割可能領域をVIの向きに引き剥がした貼着シート状部保持シート体及び貼着シート状部の縮小平面図である。
【
図7】
図1において第1乃至第3分割可能領域をVIIの向きに引き剥がした貼着シート状部保持シート体及び貼着シート状部の縮小平面図である。
【
図8】貼着シート状部保持シート体の平面図である。
【
図9】
図8におけるIX-IXの第1切離可能線状部30L近傍部及び第2切離可能線状部30M近傍部の要部拡大断面図である。
【
図10】
図8におけるX-Xの第1切離可能線状部30L近傍部及び第2切離可能線状部30M近傍部の要部拡大断面図である。
【
図11】
図8におけるXI-XI拡大断面図である。
【
図12】
図8におけるXII-XII拡大断面図である。
【
図13】
図8において第1及び第2分割可能領域をXIIIの向きに引き剥がした貼着シート状部保持シート体の縮小平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[1] 本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図面は全て模式的な図である。
【0029】
(1)
図1乃至7は、何れも本発明の実施の形態の第1の例としての貼着シート状部保持体及び貼着シート状部剥離方法についてのものである。
【0030】
この貼着シート状部保持体は、基材10と貼着シート状部30を有する。
【0031】
(2) 基材10は、帯状の紙製シート材の表側の全面に、目止め層を介してシリコーン樹脂含有層を設けることにより離型面12が形成されてなるものである。
【0032】
基材10には、長手方向の所定長さ毎に切り取りミシン部が設けられている。貼着シート状部保持体は、基材10において切り取りミシン部で切り取られて所定長さとなった長方形部分毎に又は切り取りミシン部で切り取らずに使用することができる。
【0033】
図示されているのは、長手方向の両端部において基材10の切り取りミシン部で切り取られて所定長さとなった貼着シート状部保持体である。
【0034】
(3) 貼着シート状部30は、各種の配送物等(貼付対象)の外側面等の所要箇所に接着するための接着剤層を裏側に有し、その接着剤層において基材10の表側の離型面12に仮着して保持され、離型面12から剥離させて接着剤層により貼付対象に対し貼着するものである。
【0035】
貼着シート状部30は、
図1に示すように、基材10における切り取りミシン部により区切られた所定長さの長方形部分の内側の一回り小さい所定長方形状の領域に仮着して基材10の表側の離型面12上に積層している。
【0036】
なお、製造時は、例えば、長手方向に連続した基材10の表側前面に形成された離型面12上に、基材10と同じ横幅のシート状部が、必要な接着剤層等を介して積層され、基材10を長手方向の所定長さ毎に切り取りミシン部が施された所定横幅とすると共に、前記シート状部のうち、前記一回り小さい所定長方形状の貼着シート状部30から食み出す部分を基材10の表側の離型面12から剥離させて除去するものとすることができる。
【0037】
(3-1) 貼着シート状部30は、前記所定長方形状の紙製の裏シート状材50と所定長方形状の紙製の表シート状材70が積層して構成されている。裏シート状材50の裏面全面に、基材10の表側の離型面12に仮着させるための粘着剤による接着剤層が形成され、裏シート状材50の表側に表シート状材70が積層している。
【0038】
(3-2) 表シート状材70は、前記所定長方形状の長手方向(縦方向)である所定方向に互いに離隔した2箇所においてそれぞれ短手方向(幅方向)の表シート状材切離線72により切離されることにより、所定方向に順に第1片70a、第2片70b及び第3片70cに分離されている。
【0039】
第1片70a、第2片70b及び第3片70cは、何れも縦方向よりも幅方向の方が長い横長長方形状をなし、それぞれの縦方向長さは、第1片70aよりも第2片70bがやや短く、第3片70cは第2片70bの半分よりやや短い。
【0040】
第1片70a(宛先を記載する宛先票等)は、その裏面に形成された接着剤層により、裏シート状材50の表側における所定方向一端側(
図1における上端側)の第1片対応部50aに固着(剥離可能であってもよい)され、第2片70b(配達先で受領印やサインを受けて配達員が持ち帰る配達証等)は、その裏面に形成された仮接着剤層により、裏シート状材50の表側における所定方向中間部の第2片対応部50bに剥離可能に仮着した剥離可能片であり、第3片70c(必要に応じたその他の記載等)も、その裏面に形成された仮接着剤層により、裏シート状材50の表側における所定方向他端側(
図1における下端側)の第3片対応部50cに剥離可能に仮着した剥離可能片である。
【0041】
(3-3) 所定方向に第1片対応部50a、第2片対応部50b及び第3片対応部50cが並んで構成される裏シート状材50のうち、第1片対応部50aと第2片対応部50bの間の所定方向に直交する直線部(表シート状材70における第1片70aと第2片70bを分離する表シート状材切離線72と重なる部分)は、
図1における左端からその近傍部を含む前記左端寄りの位置にわたり裏シート状材切離部52であり、他の部分(裏シート状材切離部52の右端から裏シート状材50の右端まで)は裏シート状材切り取りミシン部54である。
【0042】
従って、裏シート状材50の表側に表シート状材70が積層した貼着シート状部30のうち、第1片対応部50aと第2片対応部50bの間の所定方向に直交する直線部は、左端からその近傍部を含む前記左端寄りの位置にわたり、表シート状材切離線72と裏シート状材切離部52が重なった切離部32であり、他の部分(切離部32の右端から貼着シート状部30の右端まで)は、表シート状材切離線72と裏シート状材切り取りミシン部54が重なった易切離処理部34としての切り取りミシン部である第1切離可能線状部30Jである。
【0043】
また、裏シート状材50のうち、第2片対応部50bと第3片対応部50cの間の所定方向に直交する直線部(表シート状材70における第2片70bと第3片70cを分離する表シート状材切離線72と重なる部分)は、
図1における左端から右端の全幅にわたり裏シート状材切り取りミシン部54である。
【0044】
従って、裏シート状材50の表側に表シート状材70が積層した貼着シート状部30のうち、第2片対応部50bと第3片対応部50cの間の所定方向に直交する直線部は、左端から右端の全幅にわたり、表シート状材切離線72と裏シート状材切り取りミシン部54が重なった易切離処理部34としての切り取りミシン部である第2切離可能線状部30Kである。
【0045】
よってこの貼着シート状部30は、第1切離可能線状部30J及び第2切離可能線状部30Kを介して所定方向に連なる3つの分割可能領域、すなわち第1片70aに対応する第1分割可能領域30a、第2片70bに対応する第2分割可能領域30b及び第3片70cに対応する第3分割可能領域30cからなる。
【0046】
第1切離可能線状部30Jにおける切離部32の左端と右端を結ぶ直線と、所定方向の一端側(
図1における上端側)のうち所定方向に直交する方向における左端部(切離部32の左端と同じ側の端部)と第1切離可能線状部30Jにおける切離部32の右端(易切離処理部34の左端)を結ぶ直線がなす角度(所定角度)は、約78度である。また、第1切離可能線状部30Jの切離部32の長さの第1切離可能線状部30Jの全長に対する比率(所定比率)は約12%である。
【0047】
(3-4) 所定方向に連なる第1分割可能領域30a、第2分割可能領域30b及び第3分割可能領域30cを有する貼着シート状部30のうち、配送物等(貼付対象)に貼り付ける上で、第1片70a(宛先を記載する宛先票等)が表れる第1分割可能領域30aのみが必要である場合、所定方向の
図1における上端側から第1切離可能線状部30Jまでの部分を、基材10の表側の離型面12から剥離させる。
【0048】
その場合、貼着シート状部30の所定方向の上端側のうち左端付近又は左端寄りの箇所から、(例えば
図1におけるVIの向きに)第1切離可能線状部30Jの右端寄りの箇所又は右端付近に向かって引き剥がすことにより、
図6に示すように、所定方向の上端側から第1切離可能線状部30Jまでの第1分割可能領域30aを離型面12から剥離させると共に、第1切離可能線状部30Jの易切離処理部34を左端側から右端に向かって切離させ、その第1切離可能線状部30Jを介して隣接する第2分割可能領域30b及び第2切離可能線状部30Kを介して隣接する第3分割可能領域30cは離型面12に仮着した状態を維持させ得る。このように貼着シート状部30を基材10から引き剥がす際は、貼着シート状部30における引き剥がしを開始する部分を基材10からめくってその部分を把持した状態で行うことができる。以下の場合も同様である。
【0049】
引き剥がした貼着シート状部30(第1分割可能領域30a)は、第1片70a(宛先票等)を表示するために貼付対象に貼り付けることができる。
【0050】
一方、所定方向に連なる第1分割可能領域30a並びに第2分割可能領域30b及び第3分割可能領域30cを有する貼着シート状部30を、全て連なった状態で配送物等(貼付対象)に貼り付けることが必要な場合は、貼着シート状部30の前記所定方向の上端側のうち左端寄りの箇所よりも右端側の箇所(例えば左右方向中央部又はそれよりも右側の箇所)から、前記所定方向に沿う向きに
図1における下端側に向かって(例えば
図1におけるVIIの向きに)貼着シート状部30を前記離型面12から引き剥がすことにより、前記所定方向の上端側から第1分割可能領域30a、第1切離可能線状部30J、第2分割可能領域30b、第2切離可能線状部30Kを経て第3分割可能領域30cまで、第1切離可能線状部30J及び第2切離可能線状部30Kにおける各易切離処理部34の切離を防ぎつつ、
図7に示すようにそれらが連なった状態で引き剥がして離型面12から剥離させることができる。引き剥がした貼着シート状部30は貼付対象に貼り付けることができ、
図7に2点鎖線で示すように、その第2分割可能領域30bから更に第2片70b(配達員が持ち帰る配達証等)を剥離させることができる。また、第3分割可能領域30cからは第3片70c(必要に応じたその他の記載等)を剥離させることができる。
【0051】
(4)
図8乃至13は、本発明の実施の形態の第2の例としての貼着シート状部保持体及び貼着シート状部剥離方法についてのものである。
【0052】
(4-1) 第2の例が第1の例と相違する点は、
所定方向に第1片対応部50a、第2片対応部50b及び第3片対応部50cが並んで構成される裏シート状材50のうち、第2片対応部50bと第3片対応部50cの間の所定方向に直交する直線部(表シート状材70における第2片70bと第3片70cを分離する表シート状材切離線72と重なる部分)が、第1の例では左端から右端の全幅にわたり裏シート状材切り取りミシン部54であるのに対し、第2の例では、
図8における右端からその近傍部を含む前記右端寄りの位置にわたり裏シート状材切離部52であり、他の部分(裏シート状材切離部52の左端から裏シート状材50の左端まで)は裏シート状材切り取りミシン部54である点である。
【0053】
従って、裏シート状材50の表側に表シート状材70が積層した貼着シート状部30のうち、第2片対応部50bと第3片対応部50cの間の所定方向に直交する直線部は、右端からその近傍部を含む前記右端寄りの位置にわたり、表シート状材切離線72と裏シート状材切離部52が重なった切離部32であり、他の部分(切離部32の左端から貼着シート状部30の左端まで)は、表シート状材切離線72と裏シート状材切り取りミシン部54が重なった切り取りミシン部である第2切離可能線状部30Mである。
【0054】
第2切離可能線状部30Mにおける切離部32の右端と左端を結ぶ直線と、貼着シート状部30の所定方向の一端側(
図8における上端側)のうち所定方向に直交する方向における右端部(第2切離可能線状部30Mの切離部32の右端と同じ側の端部)と第2切離可能線状部30Mにおける切離部32の左端(易切離処理部34の右端)を結ぶ直線がなす角度(所定角度)は約85度である。また、第2切離可能線状部30Mの前記切離部32の長さの第2切離可能線状部30Mの全長に対する比率(所定比率)は約14%である。
【0055】
(4-2) 所定方向に連なる第1分割可能領域30a乃至第3分割可能領域30cを有する貼着シート状部30のうち、配送物等(貼付対象)に貼り付ける上で第1分割可能領域30aのみが必要である場合、所定方向の
図8における上端側から第1切離可能線状部30Lまでの部分を、基材10の表側の離型面12から剥離させる。その場合、第1の例の場合と同様に、前記所定方向の上端側のうち左端付近又は左端寄りの箇所から、(例えば
図8におけるAの向きに)第1切離可能線状部30Lの右端寄りの箇所又は右端付近に向かって引き剥がすことにより、前記所定方向の上端側から第1切離可能線状部30Lまでの第1分割可能領域30aを離型面12から剥離させると共に、第1切離可能線状部30Lの易切離処理部34を、左端側から右端に向かって切離させ、その第1切離可能線状部30Lを介して隣接する第2分割可能領域30b及び更に第2切離可能線状部30Mを介して隣接する第3分割可能領域30cは離型面12に仮着した状態を維持させ得る。
【0056】
また、貼着シート状部30のうち、第1分割可能領域30a及び第2分割可能領域30bを連なった状態で配送物等(貼付対象)に貼り付けることが必要であり、第3分割可能領域30cは不要である場合、所定方向の
図8における上端側から第2切離可能線状部30Mまでの部分を、基材10の表側の離型面12から剥離させる。その場合、前記所定方向の上端側のうち右端付近又は右端寄りの箇所から、第2切離可能線状部30Mの左端寄りの箇所又は左端付近に向かって(例えば
図8におけるXIIIの向きに)引き剥がすことにより、
図13に示すように第1切離可能線状部30Lの易切離処理部34の切離を防ぎつつ前記所定方向の上端側から第2切離可能線状部30Mまでの第1分割可能領域30a及び第2分割可能領域30bを連なった状態で離型面12から剥離させると共に、第2切離可能線状部30Mの易切離処理部34を右端側から左端に向かって切離させ、その第2切離可能線状部30Mを介して隣接する第3分割可能領域30cは離型面12に仮着した状態を維持させ得る。
【0057】
更に、所定方向に連なる第1分割可能領域30a乃至第3分割可能領域30cを、連なった状態で配送物等(貼付対象)に貼り付けることが必要な場合は、第1の例の場合と同様に、前記所定方向の上端側のうち左右方向中央部付近から、前記所定方向に沿う向きに
図8における下端側に向かって(例えば
図8におけるBの向きに)貼着シート状部30を前記離型面12から引き剥がすことにより、前記所定方向の上端側から第1切離可能線状部30Lまでの第1分割可能領域30a、第1切離可能線状部30Lを介して
図8における下端側に隣接する第2分割可能領域30b、及び、第2切離可能線状部30Mを介して下端側に隣接する第3分割可能領域30cを、第1切離可能線状部30L及び第2切離可能線状部30Mの各易切離処理部34の切離を防ぎつつ、それら第1分割可能領域30a乃至第3分割可能領域30cが連なった状態で引き剥がして離型面12から剥離させることができる。引き剥がした貼着シート状部30は貼付対象に貼り付けることができ、その第2分割可能領域30bから更に第2片70b(配達員が持ち帰る配達証等)を剥離させることができ、第3分割可能領域30cからは第3片70c(必要に応じたその他の記載等)を剥離させることができる。
【0058】
[2] 本発明の実施の形態を、上記以外の形態を含めて更に説明する。
【0059】
本発明の貼着シート状部保持体は、基材と貼着シート状部を有するものである。また本発明の貼着シート状部剥離方法は、基材と貼着シート状部を有する貼着シート状部保持体において貼着シート状部を離型面から剥離させる方法である。
【0060】
(1) 基材は、表側に離型面を有する。離型面は、例えば、基材の表側の全部又は所要の箇所にシリコーン樹脂含有層を形成することにより設けることができる。
【0061】
基材は、一般には1枚のシート材からなるが、複数のシート材が積層したものであってもよく、また、必ずしもシート状に限らない。
【0062】
シート状材としては、紙や合成樹脂フィルム等のシート材の一方の面(表側)の全面又は所要箇所に、必要に応じ目止め層を介し、例えばシリコーン樹脂含有層を設けることにより離型面を形成したものを例示することができるが、これに限るものではない。
【0063】
また、基材は、裏側に例えば接着剤層又は離型面等を有するものでもよい。
【0064】
(2) 貼着シート状部は、貼付対象(例えば、各種の配送物)に対し接着するための接着剤層を裏側に有し、その接着剤層において前記基材の表側の離型面に仮着して保持され、前記離型面から剥離させて前記接着剤層により貼付対象に対し貼着するためのものである。
【0065】
基材の表側の面には、貼着シート状部以外のシート状部が固着又は仮着して保持されていてもよい。例えば、基材の表側の面の所定方向における一定範囲の部分、又は、基材の表側の面における一定の二次元的な範囲の部分(例えば一定の略方形状部分等の多角形状部分や円形部分等の閉曲線により囲まれた部分)に貼着シート状部が仮着保持され、その他の部分に貼着シート状部以外のシート状部が固着又は仮着して保持されているものすることができる。基材の表側の面に保持される貼着シート状部と貼着シート状部以外のシート状部は、例えば切離部(スリット部)等により実質上分離(例えば、両者が一部で連結しておりその部分を切断すれば分離するものであってもよい)されているものとすることができる。
【0066】
貼着シート状部としては、紙や合成樹脂フィルム等のシート状材の一方の面(裏側)に、粘着剤等による接着剤層を形成したものを例示することができる。
【0067】
貼着シート状部は、例えば、(剥離可能な又は不可能な)2層以上である積層シート状であるもの、単層シート状であるもの、又は、(剥離可能な又は不可能な)積層シート状部と単層シート状部を有するものとすることができる。
【0068】
(2-1) 貼着シート状部は、所定方向に対し交差する(好ましくは所定方向に対し直交する)1又は2以上の切離可能線状部を介して前記所定方向に連なる複数(2又は3以上)の分割可能領域を有する。各切離可能線状部は、直線状であることが好ましいが、必ずしも直線状に限るものではない。
【0069】
各分割可能領域は、例えば平面視において略方形状(長方形、正方形、角丸長方形を含む略長方形状又は角丸正方形を含む略正方形状)であるものとすることができるが、これに限るものではない。
【0070】
また、1又は2以上の切離可能線状部を介して複数の分割可能領域が前記所定方向に連なった連続領域は、例えば平面視において略方形状であるものとすることができるが、これに限るものではない。
【0071】
(2-2) 貼着シート状部は、何れか1以上の分割可能領域の表側に、剥離シート状部(例えば、配達先で受領印やサインを受けて配達員が持ち帰る配達証、宛先票であって受領者が剥離させて包装材とは別に廃棄し得るもの等)が仮着して剥離可能に保持されているものとすることができる。
【0072】
剥離シート状部としては、紙や合成樹脂フィルム等のシート状材からなるものを例示することができる。
【0073】
剥離シート状部は、例えば、貼着シート状部の分割可能領域の表側に保持された後に剥離した場合、分割可能領域の表側にそのまま再保持され得ないものとすることができる。このような剥離シート状部は、その一方の面(裏側)と貼着シート状部の表側のうち一方又は両方に仮接着剤層を形成することにより、剥離シート状部の裏側が貼着シート状部の表側に仮着し得るものとすることができるが、必ずしもこれに限るものではない。
【0074】
仮接着剤層を構成する仮接着剤は、その仮接着剤を介して保持体が剥離シートを剥離可能に保持し得るもの、例えば感圧接着性の擬似糊(例えば水分30重量%のアクリル樹脂エマルジョンを主成分とするもの)とすることができるが、必ずしもこれに限るものではない。
【0075】
また、剥離シート状部は、例えば、接着剤層を裏側に有し、その接着剤層において前記貼着シート状部の分割可能領域の表側に形成された離型面に仮着して保持され、その離型面から剥離させて前記接着剤層により貼付対象に対し貼着し得るものとすることができる。
【0076】
なお、剥離シート状部は、1枚のシート状材(単層)からなるものとすることができるが、これに限るものではない。
【0077】
(2-3) 貼着シート状部は、何れか1以上の分割可能領域の表側に、固着シート状部が固着保持されているものとすることができる。
【0078】
固着シート状部としては、紙や合成樹脂フィルム等のシート状材からなるものを例示することができ、例えば、固着シート状部の一方の面(裏側)と貼着シート状部の表側の一方に接着剤層を形成することにより、固着シート状部の裏側が貼着シート状部の表側に固着保持されたものとすることができる。
【0079】
なお、固着シート状部は、1枚のシート状材(単層)からなるものとすることができるが、これに限るものではない。
【0080】
(2-4) 前記1又は2以上の切離可能線状部(好ましくは前記所定方向に直交するもの)の少なくとも1つは、一端(例えば切離可能線状部の左端)からその近傍部を含む前記一端寄りの位置(例えば切離可能線状部の左右方向中央よりも左端寄りの位置)にわたり、分割可能領域同士が切離された切離部(例えばスリット部)であり、他の部分は分割可能領域同士が切離し易いように処理された易切離処理部(例えば、各種の切り取りミシン処理が施された部分、或いは、場合によっては、切取りミシン処理部に部分的にその切取りミシン処理部のカット部よりも長い切離箇所が組み合わされたもの)である。
【0081】
このような切離可能線状部としては、例えば貼着シート状部を所定方向に直交する左右方向に横切る直線状のものである場合、その左端からその近傍部を含む左端寄りの位置にわたり、所定方向に連なる分割可能領域のうち所定方向一端側の分割可能領域と所定方向他端側の分割可能領域が切離された切離部であり、他の部分、すなわち、その切離可能線状部における前記切離部の右端よりも右側は、前記所定方向一端側と他端側の分割可能領域同士が切離し易いように処理された易切離処理部であるもの、或いは、右端からその近傍部を含む前記右端寄りの位置にわたり切離部であり、他の部分、すなわち、その切離可能線状部における前記切離部の左端よりも左側は易切離処理部であるものを挙げることができる。
【0082】
貼着シート状部は、所定方向に対し交差する2以上の切離可能線状部を介して前記所定方向に連なる3以上の分割可能領域を有し、前記2以上の切離可能線状部のうち少なくとも1つは、一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり切離部であり他の部分は易切離処理部である切離可能線状部とすることができ、その他の切離可能線状部のうち少なくとも1つは、他端からその近傍部を含む前記他端寄りの位置にわたり切離部であり他の部分は易切離処理部である切離可能線状部であるものとすることができる。
【0083】
また、その他の切離可能線状部として、例えば、全長にわたり易切離処理部であるもの(特に、所定方向に直交する直線状のもの)を挙げることができるが、これに限るものではない。
【0084】
貼着シート状部の全体又は少なくとも切離可能線状部の箇所が2層以上のシート材からなる場合、切離可能線状部の易切離処理部は、全層のうち何れか1以上の層(例えば最も裏側の1以上の層)に切り取りミシン処理が施され、他の1以上の層には切離処理が施されることにより(例えば2層のうち裏側の層にはミシン処理、表側の層には切離処理が施されることにより)、全層として易切離処理部を構成するものとすることもできる。
【0085】
(2-5) (i) 貼着シート状部は、所定方向に対し交差する1以上の切離可能線状部を介して前記所定方向に連なる複数の分割可能領域を有し、前記切離可能線状部の少なくとも1つは、一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり、分割可能領域同士が切離された切離部であり、それ以外の部分は分割可能領域同士が切離し易いように処理された易切離処理部である所定の切離可能線状部である、貼着シート状部保持体において、
所定方向に連なる複数の分割可能領域を有する貼着シート状部のうち、所定方向の一端側から、前記所定の切離可能線状部までの部分を、基材の表側の離型面から剥離させる場合に、
前記所定方向の一端側のうち、所定方向に直交する方向における前記一端付近(例えば左端付近)又は前記一端寄り(例えば左端寄り)の箇所から、前記所定の切離可能線状部の他端寄り(例えば右端寄り)の箇所又は他端付近(例えば右端付近)に向かって引き剥がすことにより、
前記所定方向の一端側から前記所定の切離可能線状部までの分割可能領域を前記離型面から剥離させると共に前記所定の切離可能線状部の易切離処理部を前記一端側(例えば左端側)から他端(例えば右端)に向かって切離させ、その所定の切離可能線状部を介して前記所定方向の他端側に隣接する分割可能領域は前記離型面に仮着した状態を維持させ得る。
【0086】
その一方において、前記所定方向の一端側のうち、所定方向に直交する方向における一端寄り(例えば左端寄り)の箇所よりも他端側(例えば右端側)の箇所から、前記所定方向に沿う向きに前記所定方向の他端側に向かって貼着シート状部を前記離型面から引き剥がすことにより、前記所定方向の一端側から前記所定の切離可能線状部までの分割可能領域及び前記所定の切離可能線状部を介して所定方向の他端側に隣接する分割可能領域を、前記所定の切離可能線状部の易切離処理部を切離せず、それらの分割可能領域が連なった状態で前記離型面から剥離させ得る。
【0087】
これら何れの場合についても、貼着シート状部の剥がし方を示す表示を、文字、図形、その他の画像により貼着シート状部又はその他の箇所に設けることができる。
【0088】
このように、所定方向に連なる複数の分割可能領域を有する貼着シート状部について、分割可能領域を引き剥がす位置や向きに応じ、前記所定方向の一端側から、所定の切離可能線状部[所定方向に直交する方向における一端(例えば左端)からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり切離部であり他の部分は易切離処理部である](好ましくは直線状であるものであり、好ましくは所定方向に対し直交するもの)までの剥離対象分割可能領域(好ましくは平面視において略方形状であるもの)のみを基材の表側の離型面から剥離させたり、前記所定の切離可能線状部を介して隣接する分割可能領域が連なった状態で前記離型面から剥離させ得るものとする上で、前記所定の切離可能線状部における一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたる切離部の長さに関し、
例えば、前記所定の切離可能線状部における前記切離部の一端と他端を結ぶ直線と、前記所定方向の一端側のうち前記所定方向に直交する方向における前記切離部の一端と同じ側の一端部(例えば左端部。例えば前記剥離対象部が平面視において略方形状である場合における所定方向一端側の辺の一端[例えば左端]の角部。)と、前記切離可能線状部における前記切離部の他端(例えば右端。易切離処理部の一端、例えば左端。)を結ぶ直線がなす所定角度は、例えば87度以下、望ましくは85度以下であるものとすることができる。好ましくは80度以下、より好ましくは75度以下である。また、前記所定角度は、例えば45度以上とすることができる。好ましくは50度以上、より好ましくは55度又は60度以上である。
【0089】
また、前記所定の切離可能線状部の一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたる切離部の長さの、前記所定の切離可能線状部の全長に対する所定比率は、例えば50%未満、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下であるものとすることができる。また、前記所定比率は、例えば5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは12%以上であるものとすることができる。
【0090】
或いは、例えば、前記所定角度が87度以下、望ましくは85度以下、好ましくは80度以下、より好ましくは75度以下であり、前記所定比率が50%未満、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下であるものとすることができる。
【0091】
また例えば、前記所定比率が5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは12%以上であり、前記所定角度が45度以上、好ましくは50度以上、より好ましくは55度又は60度以上であるものとすることができる。
【0092】
(ii) 上記(2-5) (i)の貼着シート状部保持体において、上記所定の切離可能線状部である第1の所定切離可能線状部よりも所定方向の他端側又は一端側に、他端(例えば右端)からその近傍部を含む前記他端寄りの位置にわたり、分割可能領域同士が切離された切離部であり、それ以外の部分は分割可能領域同士が切離し易いように処理された易切離処理部である第2の所定切離可能線状部を有し、前記所定方向に連なる複数の分割可能領域を有する貼着シート状部のうち、前記所定方向の一端側から第2の所定切離可能線状部までの部分を、基材の表側の離型面から剥離させる場合に、前記所定方向の一端側のうち、所定方向に直交する方向における前記他端付近(例えば右端付近)又は前記他端寄り(例えば右端寄り)の箇所から、第2の所定切離可能線状部の一端寄り(例えば左端寄り)の箇所又は一端付近(例えば左端付近)に向かって引き剥がすことにより、前記所定方向の一端側から第2の所定切離可能線状部までの1又は複数の分割可能領域を前記離型面から剥離させると共に、第2の所定切離可能線状部の易切離処理部を前記他端側から一端に向かって切離させ、その第2の所定切離可能線状部を介して前記所定方向の他端側に隣接する分割可能領域は前記離型面に仮着した状態を維持させ得る。
【0093】
この場合において、第1の所定切離可能線状部が第2の所定切離可能線状部よりも所定方向の一端側に位置する場合は、第1の所定切離可能線状部の易切離処理部を切離せず、第1の所定切離可能線状部を介して隣接する分割可能領域が連なった状態で前記離型面から剥離させることができる。
【0094】
また、前記所定方向の一端側のうち、所定方向に直交する方向における前記一端付近(例えば左端付近)又は前記一端寄り(例えば左端寄り)の箇所から、第1の所定切離可能線状部の他端寄り(例えば右端寄り)の箇所又は他端付近(例えば右端付近)に向かって引き剥がすことにより、前記所定方向の一端側から第1の所定切離可能線状部までの1又は複数の分割可能領域を前記離型面から剥離させると共に第1の所定切離可能線状部の易切離処理部を前記一端側から他端に向かって切離させ、その第1の所定切離可能線状部を介して前記所定方向の他端側に隣接する分割可能領域は前記離型面に仮着した状態を維持させ得る。
【0095】
この場合において、第2の所定切離可能線状部が第1の所定切離可能線状部よりも所定方向の一端側に位置する場合は、第2の所定切離可能線状部の易切離処理部を切離せず、第2の所定切離可能線状部を介して隣接する分割可能領域が連なった状態で前記離型面から剥離させることができる。
【0096】
更に、前記所定方向の一端側のうち、所定方向に直交する方向における中間位置から、前記所定方向に沿う向きに前記所定方向の他端側に向かって貼着シート状部を前記離型面から引き剥がすことにより、前記所定方向の一端側から第1の所定切離可能線状部及び第2の所定切離可能線状部(順序不同)を介して隣接する各分割可能領域を、これらの第1の所定切離可能線状部及び第2の所定切離可能線状部の各易切離処理部を切離せず、それらの分割可能領域が連なった状態で前記離型面から剥離させ得る。
【0097】
これら何れの場合についても、貼着シート状部の剥がし方を示す表示を、文字、図形、その他の画像により貼着シート状部又はその他の箇所に設けることができる。
【符号の説明】
【0098】
10 基材
12 離型面
30 貼着シート状部
30a 第1分割可能領域
30b 第2分割可能領域
30c 第3分割可能領域
30J 第1切離可能線状部
30K 第2切離可能線状部
30L 第1切離可能線状部
30M 第2切離可能線状部
32 切離部
34 易切離処理部
50 裏シート状材
50a 第1片対応部
50b 第2片対応部
50c 第3片対応部
52 裏シート状材切離部
54 裏シート状材切り取りミシン部
70 表シート状材
70a 第1片
70b 第2片
70c 第3片
72 表シート状材切離線
【手続補正書】
【提出日】2021-05-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側に離型面を有する基材と、貼付対象に対し接着するための接着剤層を裏側に有し、その接着剤層において前記基材の表側の離型面に仮着して保持され、前記離型面から剥離させて前記接着剤層により貼付対象に対し接着するための貼着シート状部を有してなる貼着シート状部保持体であって、
前記貼着シート状部は、所定方向に対し交差する1以上の切離可能線状部を介して前記所定方向に連なる複数の分割可能領域を有し、
前記貼着シート状部の全体又は少なくとも1つの切離可能線状部の箇所が2層以上のシート材からなり、
その2層以上のシート材からなる切離可能線状部の少なくとも1つは、最も裏側の1以上の層が、一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり、分割可能領域同士が切離され、それ以外の部分は易切離処理が施されており、他の層が、一端から他端にわたり切離処理が施されており、全層として、一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり、分割可能領域同士が切離された切離部であり、それ以外の部分は分割可能領域同士が切離し易いように処理された易切離処理部を構成するものであることを特徴とする貼着シート状部保持体。
【請求項2】
何れか1以上の分割可能領域の表側に、剥離シート状部が仮着して剥離可能に保持されている請求項1記載の貼着シート状部保持体。
【請求項3】
何れか1以上の分割可能領域の表側に、固着シート状部が固着保持されている請求項1又は2記載の貼着シート状部保持体。
【請求項4】
上記切離可能線状部の1以上又は全てが、上記所定方向に対し直交する直線状である請求項1乃至3の何れか1項に記載の貼着シート状部保持体。
【請求項5】
表側に離型面を有する基材と、貼付対象に対し接着するための接着剤層を裏側に有し、その接着剤層において前記基材の表側の離型面に仮着して保持され、前記離型面から剥離させて前記接着剤層により貼付対象に対し接着するための貼着シート状部を有してなる貼着シート状部保持体であって、
前記貼着シート状部は、所定方向に対し交差する2以上の切離可能線状部を介して前記所定方向に連なる3以上の分割可能領域を有し、
前記2以上の切離可能線状部のうち少なくとも1つは、一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり、分割可能領域同士が切離された切離部であり、他の部分は分割可能領域同士が切離し易いように処理された易切離処理部である切離可能線状部であり、
その他の切離可能線状部のうち少なくとも1つは、他端からその近傍部を含む前記他端寄りの位置にわたり切離部であり他の部分は易切離処理部である切離可能線状部であることを特徴とする貼着シート状部保持体。
【請求項6】
上記貼着シート状部の全体又は上記2以上の切離可能線状部のうち少なくとも1つの切離可能線状部の箇所が2層以上のシート材からなり、
その2層以上のシート材からなる切離可能線状部の少なくとも1つは、最も裏側の1以上の層が、一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり、分割可能領域同士が切離され、それ以外の部分は易切離処理が施されており、他の層が、一端から他端にわたり切離処理が施されており、全層として、一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり、分割可能領域同士が切離された切離部であり、それ以外の部分は分割可能領域同士が切離し易いように処理された易切離処理部を構成するものである請求項5記載の貼着シート状部保持体。
【請求項7】
何れか1以上の分割可能領域の表側に、剥離シート状部が仮着して剥離可能に保持されている請求項5又は6記載の貼着シート状部保持体。
【請求項8】
何れか1以上の分割可能領域の表側に、固着シート状部が固着保持されている請求項5乃至7の何れか1項に記載の貼着シート状部保持体。
【請求項9】
上記切離可能線状部の1以上又は全てが、上記所定方向に対し直交する直線状である請求項5乃至8の何れか1項に記載の貼着シート状部保持体。
【請求項10】
表側に離型面を有する基材と、貼付対象に対し接着するための接着剤層を裏側に有し、その接着剤層において前記基材の表側の離型面に仮着して保持され、前記離型面から剥離させて前記接着剤層により貼付対象に対し接着するための貼着シート状部を有し、
前記貼着シート状部は、所定方向に対し交差する1以上の切離可能線状部を介して前記所定方向に連なる複数の分割可能領域を有する貼着シート状部保持体において、貼着シート状部を前記離型面から剥離させる方法であって、
前記切離可能線状部の少なくとも1つを、一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり、分割可能領域同士が切離された切離部であり、それ以外の部分は分割可能領域同士が切離し易いように処理された易切離処理部であるものとし、
前記所定方向の一端側のうち、所定方向に直交する方向における前記一端側寄り又は前記一端付近の箇所から、前記切離可能線状部の他端寄り又は他端付近に向かって引き剥がすことにより、
前記所定方向の一端側から前記切離可能線状部までの分割可能領域を前記離型面から剥離させると共に前記切離可能線状部の易切離処理部を、前記一端側から他端に向かって切離させ、その切離可能線状部を介して隣接する分割可能領域は前記離型面に仮着した状態を維持させることを特徴とする貼着シート状部剥離方法。
【手続補正書】
【提出日】2021-07-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
表側に離型面を有する基材と、貼付対象に対し接着するための接着剤層を裏側に有し、その接着剤層において前記基材の表側の離型面に仮着して保持され、前記離型面から剥離させて前記接着剤層により貼付対象に対し接着するための貼着シート状部を有してなる貼着シート状部保持体であって、
前記貼着シート状部は、所定方向に対し交差する1以上の切離可能線状部を介して前記所定方向に連なる複数の分割可能領域を有し、
前記貼着シート状部の全体又は少なくとも1つの切離可能線状部の箇所が2層以上のシート材からなり、
その2層以上のシート材からなる切離可能線状部の少なくとも1つは、最も裏側の層を含む1以上の層が、一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり、分割可能領域同士が切離され、それ以外の部分は易切離処理が施されており、他の1以上の層が、一端から他端にわたり切離処理が施されていることを特徴とする貼着シート状部保持体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項6】
上記貼着シート状部の全体又は上記2以上の切離可能線状部のうち少なくとも1つの切離可能線状部の箇所が2層以上のシート材からなり、
その2層以上のシート材からなる切離可能線状部の少なくとも1つは、最も裏側の層を含む1以上の層が、一端からその近傍部を含む前記一端寄りの位置にわたり、分割可能領域同士が切離され、それ以外の部分は易切離処理が施されており、他の1以上の層が、一端から他端にわたり切離処理が施されている請求項5記載の貼着シート状部保持体。