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特開2022-47446植物抽出物由来の新型コロナウイルス感染症の予防又は治療用の食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物、及び雑貨
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  • 特開-植物抽出物由来の新型コロナウイルス感染症の予防又は治療用の食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物、及び雑貨 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047446
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】植物抽出物由来の新型コロナウイルス感染症の予防又は治療用の食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物、及び雑貨
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/906 20060101AFI20220316BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 36/48 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 36/73 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 36/23 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 36/8962 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20220316BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20220316BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20220316BHJP
   A61K 125/00 20060101ALN20220316BHJP
   A61K 131/00 20060101ALN20220316BHJP
   A61K 127/00 20060101ALN20220316BHJP
【FI】
A61K36/906
A61P31/14
A61K36/48
A61K36/73
A61K36/23
A61K36/8962
A61K36/185
A61K8/9789
A61K8/9794
A23L33/105
A61K125:00
A61K131:00
A61K127:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153378
(22)【出願日】2020-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】505155528
【氏名又は名称】公立大学法人横浜市立大学
(71)【出願人】
【識別番号】595132360
【氏名又は名称】株式会社常磐植物化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】梁 明秀
(72)【発明者】
【氏名】宮川 敬
(72)【発明者】
【氏名】森田 武志
(72)【発明者】
【氏名】國吉 智子
(72)【発明者】
【氏名】楊 金緯
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB08
4B018LE01
4B018LE02
4B018MD52
4B018MD57
4B018MD58
4B018MD61
4B018MD66
4B018ME09
4B018ME14
4B018MF01
4C083AA111
4C083AA112
4C083CC01
4C088AB12
4C088AB40
4C088AB51
4C088AB59
4C088AB61
4C088AB81
4C088AB87
4C088AC02
4C088AC04
4C088AC05
4C088AC11
4C088AC13
4C088CA08
4C088NA14
4C088ZB33
(57)【要約】
【課題】
新型コロナウイルスの感染症の予防又は治療用食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物、雑貨の提供。
【解決手段】
黒ウコン抽出物、大豆抽出物、ビワ抽出物、落花生抽出物、パラダイスシード抽出物、長命草抽出物、タマネギ抽出物、ホップ抽出物の少なくともいずれかを含有する新型コロナウイルスの感染症の予防又は治療用食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物、雑貨である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒ウコン(Kaempferia parviflora)抽出物を含有する新型コロナウイルス感染症の予防剤又は治療剤。
【請求項2】
大豆(Glycine max)抽出物を含有する新型コロナウイルス感染症の予防剤又は治療剤。
【請求項3】
ビワ(Eriobotrya japonica)抽出物を含有する新型コロナウイルス感染症の予防剤又は治療剤。
【請求項4】
落花生(Arachis hypogaea)抽出物を含有する新型コロナウイルス感染症の予防剤又は治療剤。
【請求項5】
パラダイスシード(Aframomum melegueta)抽出物を含有する新型コロナウイルス感染症の予防剤又は治療剤。
【請求項6】
長命草(Peucedanum japonicum)抽出物を含有する新型コロナウイルス感染症の予防剤又は治療剤。
【請求項7】
タマネギ(Allium cepa)抽出物を含有する新型コロナウイルス感染症の予防剤又は治療剤。
【請求項8】
ホップ(Humulus lupulus)抽出物を含有する新型コロナウイルス感染症の予防剤又は治療剤。
【請求項9】
請求項1から8に記載の抽出物の少なくともいずれかを含有する新型コロナウイルス感染症の予防及び治療用の食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物、又は、雑貨。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新型コロナウイルス感染症の予防又は治療用の食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物、及び雑貨に関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、中国湖北省武漢市で2019年12月に感染者が確認され、世界各地に感染が拡大している。原因となる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はコロナウイルスの一種で、コロナウイルス科のコロナウイルス亜科に属するプラス鎖RNAウイルスである。コロナウイルスは一般的な風邪の原因のほか、2003年にアジアを中心に流行した重症呼吸器症候群(SARS)や2012年以降中東地域で広がっている中東呼吸器症候群(MERS)のウイルスも含まれる。新型コロナウイルス感染症の主な症状は発熱や全身倦怠感、呼吸器症状で、約8割は軽症のまま治癒するが、約2割は肺炎症状が悪化し、約5%は人工呼吸管理などが必要な重症例となるとされ、容態が急激に悪化する例も報告されている。重症化の要因として、免疫細胞からの過剰なサイトカイン放出であるサイトカインストームによって過剰な免疫反応が起き、肺などの臓器が障害されることが考えられている。
【0003】
また、本件出願日現在、新型コロナウイルス感染症に対する特異的な治療薬は存在せず、既存薬の転用に留まっている。抗エボラウイルス薬レムデシビルが重症の新型コロナウイルス感染者の治療期間を短縮する効果などが確認され、日本国内で特例承認を受けている。しかしながら、投薬の対象は原則として重症患者であるほか、腎機能障害や肝機能障害の頻度が高いとされるなど安全性に懸念がある。さらに、レムデシビルは供給量が限定されているという課題もある。また、ステロイド薬であるデキサメタゾンも重症例の死亡を減少させたとの報告があり、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬として国内で2例目の承認となったが、米国NIHの治療ガイドラインでは重症患者への使用を推奨しており、軽症者に対する治療法は確立されていない。その他の治療薬は適応外使用となり、有効性や安全性については検証途中で不明瞭である。また、一般的にウイルスの感染予防手段として効果的なワクチン接種については、臨床試験が開始されているワクチンもあるものの、実用化には至っていない。こうした現状から、新型コロナウイルスに効果があり、なおかつ安全性が高く安定的に供給できる予防剤や治療剤の開発は喫緊の課題である。
【0004】
一方、天然由来成分と新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)タンパク質の相互作用について、分子ドッキング法を用いた報告があり、エピガロカテキンガレートやアントシアニジン、クルクミンなどが抗ウイルス作用を有する可能性があるとして示されている(非特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Preprint, DOI: 10.26434/chemrxiv.12051927.v2
【非特許文献2】Preprint, DOI:10.21203/rs.3.rs-19560/v
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらはコンピューターによるシミュレーションの結果であり、細胞や動物レベルで効果の実証はされていない。上記の通り、現時点で使用されている治療薬は安全性に懸念が残り、供給量も限られるため、こうした課題を解決できる安全性の高い、原料の入手が容易な天然物を利用した予防又は治療用食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物、及び雑貨等の提供が望まれている。
【0007】
本発明は、上記した従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、安全性が高く、原料の入手が容易な天然物を含有成分とする新型コロナウイルス感染症の予防又は治療用食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物、及び雑貨を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、安全性の高い天然物であって、食品、医薬品、医薬部外品、化粧品、雑貨に広く使用可能な新型コロナウイルス感染症の予防剤又は治療剤について、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、黒ウコン抽出物、大豆抽出物、ビワ抽出物、落花生抽出物、パラダイスシード抽出物、長命草抽出物、タマネギ抽出物、ホップ抽出物の少なくともいずれかを含む、好ましくは有効成分として含む新型コロナウイルスに対する予防又は治療の効果を有する食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物又は雑貨である。これまでに黒ウコン抽出物、大豆抽出物、ビワ抽出物、落花生抽出物、パラダイスシード抽出物、長命草抽出物、タマネギ抽出物、ホップ抽出物の新型コロナウイルスに対する効果は全く知られておらず、本発明者らの鋭意研究による新知見である。
【0010】
より具体的に、本発明は以下のとおりである。すなわち、本発明の一観点に係る新型コロナウイルス感染症の予防剤又は治療剤は、黒ウコン(Kaempferia parviflora)抽出物を含有するものであり、好ましくはこれを有効成分として配合するものである。ここで予防剤、治療剤における「剤」は、助数詞として用いる用語であって、薬理的な機能を有するものの意味として「剤」を用いているが、これは必ずしも医薬品組成物(薬剤)を意味するものではなく、この予防剤、治療剤は、その有効成分として、食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物、又は、雑貨中に利用されうるものである。
【0011】
また、本発明の他の一観点に係る新型コロナウイルス感染症の予防剤又は治療剤は、大豆(Glycine max)抽出物を含有するものであり、好ましくはこれを有効成分として配合するものである。
【0012】
また、本発明の他の一観点に係る新型コロナウイルス感染症の予防剤又は治療剤は、ビワ(Eriobotrya japonica)抽出物を含有するものであり、好ましくはこれを有効成分として配合するものである。
【0013】
また、本発明の他の一観点に係る新型コロナウイルス感染症の予防剤又は治療剤は、落花生(Arachis hypogaea)抽出物を含有するものであり、好ましくはこれを有効成分として配合するものである。
【0014】
また、本発明の他の一観点に係る新型コロナウイルス感染症の予防剤又は治療剤は、パラダイスシード(Aframomum melegueta)抽出物を含有するものであり、好ましくはこれを有効成分として配合するものである。
【0015】
また、本発明の他の一観点に係る新型コロナウイルス感染症の予防剤又は治療剤は、長命草(Peucedanum japonicum)抽出物を含有するものであり、好ましくはこれを有効成分として配合するものである。
【0016】
また、本発明の他の一観点に係る新型コロナウイルス感染症の予防剤又は治療剤は、タマネギ(Allium cepa)抽出物を含有するものであり、好ましくはこれを有効成分として配合するものである。
【0017】
また、本発明の他の一観点に係る新型コロナウイルス感染症の予防剤又は治療剤は、ホップ(Humulus lupulus)抽出物を含有するものであり、好ましくはこれを有効成分として配合するものである。
【発明の効果】
【0018】
以上、本発明により、安全性が高く、原料の入手が容易な天然物を含有成分とする新型コロナウイルス感染症の予防又は治療用食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物、及び雑貨を提供することができる。本発明は天然由来抽出物であり、安全性に優れるため、食品、医薬品、医薬部外品、化粧品、雑貨に配合、又は添加して用いるのに好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例における製造例1~製造例8の新型コロナウイルスの感染抑制効果を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態や実施例の具体的例示にのみ限定されるわけではない。
【0021】
本発明の新型コロナウイルス感染症の予防剤又は治療剤は、黒ウコン抽出物、大豆抽出物、ビワ抽出物、落花生抽出物、パラダイスシード抽出物、キャッツクロー抽出物、ショウガ抽出物、長命草抽出物、タマネギ抽出物、ホップ抽出物の少なくともいずれかを含有するものであり、好ましくはこれらの少なくともいずれかを有効成分として含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0022】
前記黒ウコン抽出物、大豆抽出物、ビワ抽出物、落花生抽出物、パラダイスシード抽出物、長命草抽出物、タマネギ抽出物、ホップ抽出物は、植物の抽出に一般的に用いられている方法により容易に得ることができる。なお、各植物抽出物には、抽出原料の抽出液、該抽出液の希釈液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物もしくは精製物のいずれもが含まれる。また、抽出原料の使用部位は、上記効果を得ることができる限りにおいて限定されるものではないが、黒ウコン抽出物は根茎、大豆抽出物は胚軸、ビワ抽出物は葉、落花生抽出物は種皮、パラダイスシード抽出物はシード、長命草抽出物は地上部、タマネギ抽出物は外皮、ホップ抽出物は毬果を用いるのが好ましい。
【0023】
また、上記の植物抽出物の抽出方法は特に制限されず、当業者に周知の方法にしたがって行うことができる。抽出溶媒としては、水、アルコール系溶媒、およびアセトン、エステル類、多価アルコール類、エーテル類等の有機溶媒を用いることができる。これらの溶媒は単独で使用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。これらの中でもエタノールを用いることが好ましく、エタノール含量が10%~95%(v/v)の含水エタノールを用いることがより好ましい。抽出溶媒の量、抽出温度、抽出時間および抽出方法は、上記効果を発揮する本組成物を得ることができる限りにおいて限定されるものではない。抽出溶媒の量は原料の乾燥重量に対して、1~100重量部が好ましい。抽出温度は4~90℃が好ましい。抽出時間は30分~1週間が好ましい。抽出方法は攪拌抽出、浸漬抽出、向流抽出、超音波抽出、超臨界抽出などの任意の方法で行うことができる。
【0024】
また上記の抽出物は、得られた抽出液を濾過し得られた濾液そのもの、濾液を濃縮した濃縮液、濃縮液を乾燥して得られる乾燥物、これらの粗精製物又は精製物であってもよい。濃縮方法、乾燥方法は任意の方法で行うことができる。必要な場合にはデキストリンなどの賦形剤を入れてもよい。精製を行う場合は、合成吸着樹脂、活性炭、イオン交換樹脂、カラムクロマトグラフィー、再結晶など当業者に既知の手段に従って行うことができる。
【0025】
黒ウコン抽出物、大豆抽出物、ビワ抽出物、落花生抽出物、パラダイスシード抽出物、長命草抽出物、タマネギ抽出物、ホップ抽出物は、優れた新型コロナウイルス感染症の予防及び治療効果を有する。特に、以下に説明する本発明の食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物、雑貨に配合するのに好適である。
【0026】
食品組成物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料;飴、キャンディー、チュアブル、ゼリー、ガム、チョコレート等の菓子類;顆粒剤、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤など種々の形態の健康食品、機能性表示食品や栄養補助食品が挙げられる。
【0027】
医薬品組成物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチなどが挙げられる。
【0028】
医薬部外品組成物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、消毒液、マスク、ハンドジェル、薬用石けん、うがい薬、入浴剤、薬用歯みがき粉などが挙げられる。
【0029】
化粧品組成物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、化粧水、化粧液、クリーム、乳液、整髪料、洗髪料、仕上げ用化粧品などが挙げられる。
【0030】
また、雑貨としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、消毒液、マスク、手袋、フェイスシールド、ハンドジェル、スプレー、ウエットティッシュ、空気清浄器、アロマオイル、石けん、歯みがき粉などが挙げられる。
【0031】
なお、新型コロナウイルス感染症の予防又は治療用食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物、雑貨は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が得られる限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
【0032】
以上、本実施形態により、安全性が高く、原料の入手が容易な天然物を含有成分とする新型コロナウイルス感染症の予防又は治療用食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物、雑貨を提供することができる。
【実施例0033】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0034】
(製造例1)
―黒ウコン(Kaempferia parviflora)抽出物の製造―
黒ウコン(Kaempferia parviflora)根茎の乾燥チップをミキサーにより粉砕し、その粉砕物に80%エタノールを加え、加熱還流後、ろ過し抽出液を得た。抽出残渣を再度80%エタノールにて、加熱還流した後、ろ過し抽出液を得た。1回目の抽出液と2回目の抽出液をあわせ、減圧濃縮した後、賦形剤を入れて、減圧乾燥を行い、黒ウコン抽出物を得た。
【0035】
(製造例2)
―大豆(Glycine max)抽出物の製造―
大豆(Glycine max)の胚軸を70(v/v)%エタノールで加熱還流抽出し、ろ過し抽出液を得た。得られた抽出液を吸着樹脂に吸着させ、これを水洗した後、40(v/v)%エタノールで脱離したあと、その樹脂に80(v/v)%エタノールを加え、脱離した。80(v/v)%エタノールの脱離液を減圧濃縮したあとスプレー乾燥し、大豆抽出物を得た。
【0036】
(製造例3)
―ビワ(Eriobotrya japonica)抽出物の製造―
ビワ(Eriobotrya japonica)の葉の粉砕物を80%エタノールで加熱還流抽出し、ろ過し抽出液を得た。得られた抽出液に活性炭を入れて、脱色工程を行ったあと、脱色液を減圧濃縮、減圧乾燥し、ビワ葉抽出物を得た。
【0037】
(製造例4)
―落花生(Arachis hypogaea)抽出物の製造―
落花生(Arachis hypogaea)の種皮を50(v/v)%エタノールを用いて室温下で抽出し、ろ過して抽出液を得た。得られた抽出液を減圧濃縮したあとスプレー乾燥し、落花生種皮抽出物を得た。
【0038】
(製造例5)
―パラダイスシード(Aframomum melegueta)抽出物の製造―
パラダイスシード(Aframomum melegueta)のシードを粉砕後、85(v/v)%エタノールで抽出、固液分離後ろ過し抽出液を得た。得られた抽出液に賦形剤を添加し、減圧濃縮、凍結乾燥し、パラダイスシード抽出物を得た。
【0039】
(製造例6)
―長命草(Peucedanum japonicum)抽出物の製造―
長命草(Peucedanum japonicum)の地上部を50(v/v)%エタノールで抽出、固液分離後ろ過し抽出液を得た。得られた抽出液を吸着樹脂に吸着させ精製した後、賦形剤を添加して減圧濃縮・減圧乾燥し、長命草抽出物を得た。
【0040】
(製造例7)
―タマネギ(Allium cepa)抽出物の製造―
タマネギ(Allium cepa)の外皮を50(v/v)%エタノールで抽出、固液分離後ろ過し抽出液を得た。得られた抽出液を減圧濃縮、減圧乾燥し、タマネギ外皮抽出物を得た。
【0041】
(製造例8)
―ホップ(Humulus lupulus)抽出物の製造―
ホップ(Humulus lupulus)の毬果を50(v/v)%エタノールにて抽出し、固液分離後ろ過し抽出液を得た。得られた抽出液を減圧濃縮、減圧乾燥し、ホップ抽出物を得た。
【0042】
(実施例1)
―新型コロナウイルスの感染抑制効果―
製造例1~製造例8の植物抽出物を試料として用い、下記の試験法により、新型コロナウイルスの感染抑制効果を評価した。
【0043】
植物抽出物(10μg/mL)の最終濃度でVeroE6/TMPRSS2細胞培地に添加し、37℃、3時間培養した。その後、新型コロナウイルスSARS-CoV-2(MOI=0.05)を添加し、細胞に感染させた。さらに37℃、48時間培養し、CellTiter-GloTMを加えて細胞生存率を測定した。
ポジコンとしては、新型コロナウイルスの肺細胞への感染を抑制できると報告されているカモスタット(Camostat)とナファモスタット(Nafamostat)を用いた。
【0044】
図1の結果から、製造例1~製造例8の植物抽出物は、ポジコンのカモスタット(Camostat)とナファモスタット(Nafamostat)より、新型コロナウイルスに対する高い感染抑制作用を有することが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、黒ウコン抽出物、大豆抽出物、ビワ抽出物、落花生抽出物、パラダイスシード抽出物、長命草抽出物、タマネギ抽出物、ホップ抽出物の少なくともいずれかを有効成分として配合した食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物、雑貨として産業上の利用可能性がある。
図1