IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中天弘宇集成電路有限責任公司の特許一覧

特開2022-47460フラッシュメモリのプログラミング方法
<>
  • 特開-フラッシュメモリのプログラミング方法 図1
  • 特開-フラッシュメモリのプログラミング方法 図2
  • 特開-フラッシュメモリのプログラミング方法 図3
  • 特開-フラッシュメモリのプログラミング方法 図4
  • 特開-フラッシュメモリのプログラミング方法 図5
  • 特開-フラッシュメモリのプログラミング方法 図6
  • 特開-フラッシュメモリのプログラミング方法 図7
  • 特開-フラッシュメモリのプログラミング方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047460
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】フラッシュメモリのプログラミング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20220316BHJP
   G11C 16/10 20060101ALI20220316BHJP
   H01L 27/11521 20170101ALI20220316BHJP
【FI】
H01L29/78 371
G11C16/10 150
H01L27/11521
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020185439
(22)【出願日】2020-11-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-03-03
(31)【優先権主張番号】202010954474.5
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520377428
【氏名又は名称】中天弘宇集成電路有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】聶 虹
(72)【発明者】
【氏名】陳 精緯
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225BA02
5B225CA06
5B225DB01
5B225DB21
5B225DC11
5B225EB02
5B225EB04
5B225EB07
5B225EB08
5B225EC09
5B225FA01
5F083EP02
5F083EP22
5F083EP47
5F083EP48
5F083ER04
5F083ER09
5F083ER10
5F083ER19
5F083ER20
5F083ER22
5F083ER29
5F083ER30
5F083GA05
5F083GA09
5F083GA15
5F083JA02
5F083JA03
5F101BA01
5F101BB02
5F101BC04
5F101BD02
5F101BE07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フラッシュメモリのプログラミング方法を提供する。
【解決手段】方法は、浮遊ゲートを有するフラッシュメモリ構造を提供し、フラッシュメモリ構造のソースをフローティングとする。次に、ドレイン及び基板にそれぞれ電圧を印加して電界を形成し、電子正孔対を発生させて一次電子を形成し、基板に印加する電圧をドレインに印加する電圧よりも小さくする。そして、予め定められた時間内に、正孔は電界の作用下で下方に加速度運動し、フラッシュメモリ構造の基板に衝突することで二次電子を発生させる。続いて、ゲート及び基板にそれぞれ電圧を印加し、基板に印加する電圧をゲートに印加する電圧よりも小くする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮遊ゲートを有するフラッシュメモリ構造を提供し、前記フラッシュメモリ構造のソースをフローティングとするステップS1と、
前記フラッシュメモリ構造のドレイン及び基板にそれぞれ電圧を印加して電界を形成し、電子正孔対を発生させて一次電子を形成し、基板に印加する電圧をドレインに印加する電圧よりも小さくするステップS2と、
予め定められた時間内に、正孔は電界の作用下で下方に加速度運動し、前記フラッシュメモリ構造の基板に衝突することで二次電子を発生させるステップS3と、
前記フラッシュメモリ構造のゲート及び基板にそれぞれ電圧を印加し、基板に印加する電圧をゲートに印加する電圧よりも小さくし、前記二次電子が垂直方向の電界の作用下で三次電子を形成し、前記三次電子を前記フラッシュメモリ構造の浮遊ゲートに注入させることでプログラミング操作が完了するステップS4と
を少なくとも含むことを特徴とするフラッシュメモリのプログラミング方法。
【請求項2】
前記フラッシュメモリ構造は、ETOX構造、1.5T構造、2T構造又はEEPROM構造を含むことを特徴とする請求項1に記載のフラッシュメモリのプログラミング方法。
【請求項3】
ステップS2において、ドレイン及び基板に印加する電圧の差は4V以上であることを特徴とする請求項1に記載のフラッシュメモリのプログラミング方法。
【請求項4】
ステップS3において、前記予め定められた時間は10~100nsであることを特徴とする請求項1に記載のフラッシュメモリのプログラミング方法。
【請求項5】
ステップS4において、ゲート及び基板に印加する電圧の差は7V以上であることを特徴とする請求項1に記載のフラッシュメモリのプログラミング方法。
【請求項6】
ステップS1に先立ち、更に、前記フラッシュメモリ構造について事前消去を実施することで、前記浮遊ゲートの残留電荷を除去することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のフラッシュメモリのプログラミング方法。
【請求項7】
事前消去の方法として、前記フラッシュメモリ構造のゲート及び基板にそれぞれ電圧を印加し、基板に印加する電圧はゲートに印加する電圧よりも大きいことを特徴とする請求項6に記載のフラッシュメモリのプログラミング方法。
【請求項8】
ゲート及び基板に印加する電圧の差は10V以上であることを特徴とする請求項7に記載のフラッシュメモリのプログラミング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメモリ分野に関し、特に、フラッシュメモリのプログラミング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスのうち、不揮発性メモリ(Non-volatile memory,NVMと略称する)は非常に幅広く応用されている。不揮発性メモリの特徴は、電源を切断したあとも記憶したデータを保持できる点にある。最も初期の不揮発性メモリはEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)である。EPROMのプログラミングにはホットキャリア注入が用いられ、消去にはUV(紫外線)が用いられる。しかし、このようなデバイスは石英ガラスを用いてUV(紫外線)消去を行う必要があるため、コストが高騰する。
【0003】
そこで、製造コストを下げるために、FNトンネル効果を利用して電気的消去を行うEEPROM(electrically erasable programmable read only memory)が発明された。電子が浮遊ゲートに注入されて蓄えられたときには情報が「0」と表され、電子が浮遊ゲートから消去されたときには情報が「1」と表される。EEPROMのコストはEPROMよりも抑えられるが、プログラミング及び消去を1バイト(byte)ずつ行う必要があり、速度が遅いことが欠点である。
【0004】
そこで、デバイスの読み取り速度を上昇させるために、EEPROMのデバイス構造において回路設計を改良し、複数のメモリセル(cell)が同時にプログラミング動作と消去動作を実行できるようにしたものが現在常用されているフラッシュメモリ(Flash EEPROM,フラッシュ又はフラッシュメモリと略称する)である。
【0005】
現在、フラッシュメモリ(Flash memory)は各種記憶媒体(例えば、ICカードやメモリカード等)に幅広く応用されており、非常に重要な半導体デバイスとなっている。最も代表的なフラッシュメモリ構造はETOX(EEPROM with Tunnel OXide)構造であり、ホットキャリア注入(HCI:Hot Carrier Injection)方式でプログラミングを実施する。
【0006】
ホットキャリア注入(HCI)の物理メカニズムによって発生したホットエレクトロンは、ラッキーエレクトロンモデル(Lucky Electron)によって注入されるため、プログラミング効率がやや低い(一般的には50%程度である)。また、効率が低いことから、電圧を上げてプログラミング効率を向上させる必要があり、フラッシュメモリデバイスの消費電力が増大してしまう。更に、ホットキャリア効果自体にパンチスルー効果(Punch Through)が存在しており、フラッシュメモリのゲート長が110nmを下回るとパンチスルーが発生しやすくなるため、デバイスの更なる小型化には限界がある。
【0007】
これらの欠点を解消するために、NXP社(NXPセミコンダクターズ)は、FN(Fowler-Nordheim)トンネリングによるプログラミング方式に基づく2T構造フラッシュメモリを発明している。また、Hsuらは、バンド間トンネリング(BTBT:Band-to-Band)によるプログラミング方式に基づくP型チャネルフラッシュメモリを発明している。しかし、これらのデバイスは主に量子トンネルによる物理的方式を用いているため、プログラミング時に読み取る電流が小さいとの欠点がある。且つ、これらのプログラミング方式はトンネル酸化膜(Tunnel Oxide)の損傷が大きいことから、フラッシュメモリデバイスの信頼性についても大きな課題となっている。
【0008】
そこで、プログラミング効率が高く、消費電力が小さく、デバイスの更なる小型化に支障をきたさず、プログラミング時に読み取る電流が大きく、トンネル酸化膜の損傷が小さいフラッシュメモリのプログラミング方法を提供することが、当業者にとって早急に解決を要する課題の一つとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の従来技術の欠点に鑑みて、本発明の目的は、従来技術のプログラミング方法は、プログラミング効率が低く、消費電力が大きく、デバイスの更なる小型化に支障をきたし、プログラミング時に読み取る電流が小さく、トンネル酸化膜の損傷が大きい等の課題を解決するためのフラッシュメモリのプログラミング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的及びその他関連の目的を実現するために、本発明は、フラッシュメモリのプログラミング方法を提供する。前記フラッシュメモリのプログラミング方法は、浮遊ゲートを有するフラッシュメモリ構造を提供し、前記フラッシュメモリ構造のソースをフローティングとするステップS1と、前記フラッシュメモリ構造のドレイン及び基板にそれぞれ電圧を印加して電界を形成し、電子正孔対を発生させて一次電子を形成し、基板に印加する電圧をドレインに印加する電圧よりも小さくするステップS2と、予め定められた時間内に、正孔は電界の作用下で下方に加速度運動し、前記フラッシュメモリ構造の基板に衝突することで二次電子を発生させるステップS3と、前記フラッシュメモリ構造のゲート及び基板にそれぞれ電圧を印加し、基板に印加する電圧をゲートに印加する電圧よりも小さくし、前記二次電子が垂直方向の電界の作用下で三次電子を形成し、当該三次電子を前記フラッシュメモリ構造の浮遊ゲートに注入させることでプログラミング操作が完了するステップS4とを少なくとも含む。
【0011】
選択的に、前記フラッシュメモリ構造は、ETOX構造、1.5T構造、2T構造又はEEPROM構造を含む。
【0012】
選択的に、ステップS2において、ドレイン及び基板に印加する電圧の差は4V以上である。
【0013】
選択的に、ステップS3において、前記予め定められた時間は10~100nsである。
【0014】
選択的に、ステップS4において、ゲート及び基板に印加する電圧の差は7V以上である。
【0015】
より選択的に、ステップS1に先立ち、更に、前記フラッシュメモリ構造について事前消去を実施することで、前記浮遊ゲートの残留電荷を除去する。
【0016】
より選択的に、事前消去の方法として、前記フラッシュメモリ構造のゲート及び基板にそれぞれ電圧を印加し、基板に印加する電圧はゲートに印加する電圧よりも大きい。
より選択的に、ゲート及び基板に印加する電圧の差は10V以上である。
【発明の効果】
【0017】
上述したように、本発明におけるフラッシュメモリのプログラミング方法は、以下の有益な効果を有する。
【0018】
本発明におけるフラッシュメモリのプログラミング方法では、プログラミング電圧の操作方式を改良及び適正化することで、三次電子を形成して励起させ、プログラミングを実施する。これにより、プログラミング効率を向上させることが可能となり、消費電力が低下するとともに、プログラミング時に読み取る電流が大きくなるほか、トンネル酸化膜の損傷が小さくなる。且つ、パンチスルー効果を回避可能となり、フラッシュメモリを更に小型化するための条件が構築される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明におけるフラッシュメモリのプログラミング方法のフローチャートである。
図2図2は、ETOX構造のフラッシュメモリを示す図である。
図3図3は、本発明のフラッシュメモリのプログラミング方法におけるソースをフローティングとする操作を示す図である。
図4図4は、本発明のフラッシュメモリのプログラミング方法における事前消去操作を示す図である。
図5図5は、本発明のフラッシュメモリのプログラミング方法における一次電子を形成する操作を示す図である。
図6図6は、本発明のフラッシュメモリのプログラミング方法における三次電子を浮遊ゲートに進入させる操作を示す図である。
図7図7は、従来のETOX構造のプログラミング原理を示す図である。
図8図8は、本発明におけるフラッシュメモリのプログラミング方法の原理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、特定の具体的実施例によって本発明の実施形態につき説明する。なお、当業者であれば、本明細書で開示する内容から本発明のその他の利点及び効果を容易に理解可能である。また、本発明は、その他の異なる具体的実施形態による実施又は応用も可能である。本明細書における各詳細については、異なる視点及び応用に基づき、本発明の精神を逸脱しないことを前提に各種の補足又は変形を行ってもよい。
【0021】
図1図8を参照する。説明すべき点として、本実施例で提供する図面は概略的に本発明の基本思想を説明するためのものにすぎない。図面には本発明に関連するアセンブリのみを示しているが、実際に実施する際のアセンブリの数、形状及びサイズに基づき記載しているわけではない。実際に実施する際の各アセンブリの形態、数量及び比率は任意に変更してもよく、且つ、アセンブリのレイアウトや形態がより複雑になることもある。
【0022】
図1に示すように、本発明はフラッシュメモリのプログラミング方法を提供する。前記フラッシュメモリのプログラミング方法は、以下を含む。
【0023】
ステップS1において、浮遊ゲートを有するフラッシュメモリ構造を提供し、前記フラッシュメモリ構造のソースをフローティングとする。
【0024】
具体的には、まずフラッシュメモリ構造を提供する。前記フラッシュメモリ構造は浮遊ゲートを有している。前記フラッシュメモリ構造には、ETOX構造(即ち、1T構造)、1.5T構造(Split Gate,スプリットゲート構造)、2T構造又はEEPROM構造が含まれる(ただし、これらに限らない)が、ここでは1つ1つ図示はしない。一例として、本実施例ではETOX構造の場合を例示する。図2に示すように、代表的なETOX構造は、基板領域1と、前記基板領域1内に形成されるソース領域2及びドレイン領域3と、前記基板領域1上に順に形成されるトンネル酸化膜4、浮遊ゲート5、誘電酸化膜6及び制御ゲート7を含む。本実施例において、前記基板領域1はP型基板であり、前記ソース領域2及び前記ドレイン領域3はN型ドーピング領域である。
【0025】
説明すべき点として、本実施例で例示するETOX構造に限らず、浮遊ゲートを有する任意のフラッシュメモリ構造であれば、いずれも本発明におけるフラッシュメモリのプログラミング方法に適用される。
【0026】
具体的には、図3に示すように、前記フラッシュメモリ構造のソースSourceにフローティング処理を施す(このとき、ソースSourceの電圧VSをフローティング(Floating)とみなす)。プログラミング時にソースSourceに電圧を印加しないため、電界は形成されず、パンチスルー効果の発生を回避可能となる。これにより、フラッシュメモリ構造のゲート長を110nmよりも低くすることができ、前記フラッシュメモリ構造のサイズを更に縮小可能となる。
【0027】
本発明の別の実現方式として、ステップS1を実行する前に、更に、前記フラッシュメモリ構造について事前消去を実施することで、前記浮遊ゲート5の残留電荷を除去する。プロセスの製造工程又は環境内の静電気要素等の原因によって、前記浮遊ゲート5には電荷が蓄積される。そのため、ステップS1を実行する前に事前消去を実施することで、その後の操作に対する残留電荷の影響を除去しておけばよい。具体的には、図4に示すように、前記フラッシュメモリ構造のゲートGate及び基板Bulkにそれぞれ電圧を印加する。基板Bulkに印加する電圧VBはゲートGateに印加する電圧VGよりも大きい。一例として、ゲートGateと基板Bulkに印加する電圧の差は10V以上とする。選択的に、基板Bulkに印加する電圧VBを15Vとし、ゲートGateに印加する電圧VGを0Vとする。実際に使用する際には、必要に応じてVB及びVGの電圧値及びこれらの差圧を設定すればよいが(VB=10V,VG=-5V、或いは、VB=8V,VG=-1Vの場合を含むがこれらに限らない)、本実施例に限らず、その後の操作に支障をきたさないよう、前記浮遊ゲート5の残留電荷を除去できればよい。
【0028】
説明すべき点として、前記浮遊ゲート5の残留電荷がその後の操作に支障をきたさないことを保証可能な場合には、本実施例に限らず、事前消去ステップを省略してもよい。また、本実施例に限らず、事前消去を実現可能な任意の方法を本発明に適用可能である。
【0029】
ステップS2において、前記フラッシュメモリ構造のドレインDrain及び基板Bulkにそれぞれ電圧を印加して電界を形成し、電子正孔対を発生させて一次電子を形成する。基板Bulkに印加する電圧はドレインDrainに印加する電圧よりも小さく、ドレインDrainと基板Bulkに印加する電圧の差は10V以上とする。
【0030】
具体的には、図5に示すように、前記フラッシュメモリ構造のドレインDrainに電圧VDを印加し、前記フラッシュメモリ構造の基板Bulkに電圧VBを印加する。前記フラッシュメモリ構造のドレインDrainと基板Bulkの間には差圧が存在し、電界が形成される。一例として、ドレインDrain及び基板Bulkに印加する電圧の差は4V以上とする(4.3V、5V、6V、7V、8Vを含むがこれらに限らない)。選択的に、基板Bulkに印加する電圧VBを-2Vとし、ドレインDrainに印加する電圧VDを10Vとする。実際に使用する際には、実際の必要に応じてVB及びVDの電圧値及びこれらの差圧を設定すればよいが(VB=-2V,VG=4.5V、或いは、VB=0V,VG=6Vの場合を含むがこれらに限らない)、本実施例に限らず、強い電界を形成して電子正孔対を取得できればよい。
【0031】
ステップS3において、予め定められた時間内に、正孔は電界の作用下で下方に加速度運動し、前記フラッシュメモリ構造の基板に衝突することで二次電子を発生させる。
【0032】
具体的には、一例として、前記予め定められた時間は10~100nsとする。実際に使用する際には、電界強度等の要素に応じて前記予め定められた時間を調整すればよいが、本実施例に限らず、本発明で必要な二次電子を発生させられればよい。
【0033】
具体的には、前記予め定められた時間内に、加速運動する重い正孔が基板に衝突して軽い電子、即ち二次電子を発生させる。
【0034】
ステップS4において、前記フラッシュメモリ構造のゲートGate及び基板Bulkにそれぞれ電圧を印加する。基板Bulkに印加する電圧はゲートGateに印加する電圧よりも小さい。これにより、前記二次電子が垂直方向の電界の作用下で三次電子を形成し、当該三次電子が前記フラッシュメモリ構造の浮遊ゲート5に注入されることでプログラミング操作が完了する。
【0035】
具体的には、図6に示すように、前記フラッシュメモリ構造のゲートGateに電圧VGを印加し、前記フラッシュメモリ構造の基板Bulkに電圧VBを印加する。前記フラッシュメモリ構造のゲートGateと基板Bulkとの間には差圧が存在し、垂直方向の電界が形成される。一例として、ゲートGateと基板Bulkに印加する電圧の差は7V以上とする。選択的に、基板Bulkに印加する電圧VBを0Vとし、ゲートGateに印加する電圧VGを7Vとする。実際に使用する際には、実際の必要に応じてVB及びVGの電圧値及びこれらの差圧を設定すればよいが(VB=0V,VG=6Vの場合を含むがこれに限らない)、本実施例に限らず、電子が十分な運動エネルギーを得てSi-Oxideポテンシャル障壁を乗り越え、前記トンネル酸化膜4を通過して前記浮遊ゲート5に進入できるよう保証可能であればよい。
【0036】
図7に示すように、従来のETOX構造では、ホットキャリア注入方式を用いてプログラミングを実行する。この方式では、電荷が浮遊ゲート内に蓄えられ、制御ゲートに電圧が印加される。プログラミング時には、ドレインに電圧を印加してホットエレクトロンeを発生させる。そして、ゲートに電圧を印加すると、誘電酸化膜を通じて電圧が浮遊ゲートに結合されて電位が発生する。これにより、電子がポテンシャル障壁(Energy Barrier)を乗り越えてトンネル酸化膜を通過し、浮遊ゲートに注入されることでプログラミングが完了する。しかし、この方式には、プログラミング効率が低く、フラッシュメモリデバイスの消費電力が大きく、パンチスルー効果が発生する等の課題が存在していた。
【0037】
図8に示すように、本発明におけるフラッシュメモリのプログラミング方法では、まず横方向の電界を形成して電子正孔対を発生させ、一次電子を形成してドレインに移動させる。次に、一次電子がドレイン領域の側壁に衝突することで、正孔が下方へと加速度運動し、基板に衝突することで二次電子を形成する。最後に、ゲートに電圧を印加することで、二次電子が縦方向の電界の作用下で三次電子を形成し、当該三次電子が浮遊ゲートに注入されることでプログラミング操作が完了する。
【0038】
本発明におけるフラッシュメモリのプログラミング方法では、三次電子衝突の原理に基づくとともに、横方向及び縦方向の電界を形成し、三次電子を励起させることでプログラミングを実施する。三次電子は、垂直方向の電界内で浮遊ゲートに垂直に進入するため、プログラミング効率が向上し、消費電力が低下する。且つ、プログラミング時に読み取る電流が大きくなり、トンネル酸化膜の損傷が小さくなる。更に、プログラミング過程においてソースは常にフローティング状態であるため、パンチスルー効果を回避可能であり、フラッシュメモリを更に小型化するための条件が構築される。
【0039】
以上述べたように、本発明は、フラッシュメモリのプログラミング方法を提供する。当該方法では、浮遊ゲートを有するフラッシュメモリ構造を提供し、前記フラッシュメモリ構造のソースをフローティングとし、前記フラッシュメモリ構造のドレイン及び基板にそれぞれ電圧を印加して電界を形成し、電子正孔対を発生させて一次電子を形成し、基板に印加する電圧をドレインに印加する電圧よりも小さくし、予め定められた時間内に、正孔は電界の作用下で下方に加速度運動し、前記フラッシュメモリ構造の基板に衝突することで二次電子を発生させ、前記フラッシュメモリ構造のゲート及び基板にそれぞれ電圧を印加し、基板に印加する電圧をゲートに印加する電圧よりも小さくし、前記二次電子が垂直方向の電界の作用下で三次電子を形成し、当該三次電子を前記フラッシュメモリ構造の浮遊ゲートに注入させることでプログラミング操作が完了する。
【0040】
本発明におけるフラッシュメモリのプログラミング方法では、プログラミング電圧の操作方式を改良及び適正化することで、三次電子を形成して励起させ、プログラミングを実施する。これにより、プログラミング効率を向上させることが可能となり、消費電力が低下するとともに、プログラミング時に読み取る電流が大きくなるほか、トンネル酸化膜の損傷が小さくなる。且つ、パンチスルー効果を回避可能となり、フラッシュメモリを更に小型化するための条件が構築される。従って、本発明によれば、従来技術における様々な欠点が効果的に解消されるため、産業上の利用価値を有する。
【0041】
上記の実施例は本発明の原理と効果を例示的に説明するものにすぎず、本発明を制限するものではない。本技術を熟知する者であれば、本発明の精神及び範疇を逸脱しないことを前提に、上記の実施例を補足又は変形することが可能である。従って、当業者が本発明で開示する精神及び技術思想を逸脱することなく完了するあらゆる等価の補足又は変形は、依然として本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1 基板領域
2 ソース領域
3 ドレイン領域
4 トンネル酸化膜
5 浮遊ゲート
6 誘電酸化膜
7 制御ゲート
S1~S4 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】