(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047474
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】スルフェンアミド難燃剤
(51)【国際特許分類】
C09K 21/10 20060101AFI20220316BHJP
【FI】
C09K21/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021038049
(22)【出願日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】10 2020 106 689.9
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】516167059
【氏名又は名称】ソンウォン インダストリアル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Songwon Industrial Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】83, Jangsaengpo-ro, Nam-gu, Ulsan, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ,ル ギャル
【テーマコード(参考)】
4H028
【Fターム(参考)】
4H028AA30
4H028AA31
(57)【要約】 (修正有)
【課題】良好な特性を持つ新たな非ハロゲン化難燃剤を提供する。
【解決手段】構造(I)に従う少なくとも一つの部位を含む化合物を含む、難燃剤である。
式中、*は、結合原子を示し、Rは、1以上の任意のアルキル置換基であり、ここで1より多くの置換基が存在する場合、それらは互いに独立して選択される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造(I)に従う少なくとも一つの部位を含む化合物を含む、難燃剤:
【化1】
ここで、“*”は、前記部位が前記化合物のさらなる部分に結合している原子を示し、“R”は、1以上の任意のアルキル置換基であり、ここで1より多くの置換基が存在する場合、それらは互いに独立して選択される。
【請求項2】
前記“*”でマークされた炭素は、炭素-酸素結合、炭素-窒素結合、または炭素-炭素結合を介して、前記化合物のさらなる部分に結合し、1より多くの部位が存在する場合、部位ごとに独立して選択される、請求項1に記載の難燃剤。
【請求項3】
前記構造(I)に従う部位は、アルキル基、エーテル基、アミン基、またはカルボキシ基によって前記化合物のさらなる部位に結合し、1より多くの部位が存在する場合、部位ごとに独立して選択される、請求項1または2に記載の難燃剤。
【請求項4】
前記化合物は、1より多くの前記構造(I)の部位を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の難燃剤。
【請求項5】
構造(II)の化合物を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の難燃剤:
【化2】
ここで、Rは、上記のとおりであり、Lは、-O-、-O-CO-O-、O-R
1-O、-O-CO-R
2-O-および-O-CO-R
3-CO-O-から選択され、R
1~R
3は、互いに独立して、非置換またはアルキル置換のアルキルまたはフェニルである。
【請求項6】
Lは、-O-CO-O-または-O-CO-R3-CO-O-から選択される、請求項5に記載の難燃剤。
【請求項7】
Lは、-O-CO-(CmH2m)-CO-Oであり、mは、5、6または7である、請求項5に記載の難燃剤。
【請求項8】
(a)請求項1~7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物および(b)ポリマー基材を含む、組成物。
【請求項9】
ポリマー基材へ難燃性を付与するための請求項1~7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、請求項8に記載の組成物を含む、または請求項9に記載の使用で製造された、製品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
難燃剤は、ポリマーの難燃性を高めるために合成および天然のポリマー材料に添加される。無機化合物および有機化合物の両方がさまざまな種類のポリマーの難燃性を高めるために使用されている。難燃剤の主なタイプは、ハロゲン化炭化水素、リン含有化合物、金属の酸化物や水酸化物などの金属化合物、メラミン誘導体を含む。ハロゲン化難燃剤は、その効果の高さから一般に使用されている。それにもかかわらず、ハロゲン化合物の使用は、一般的に環境問題となっている。
【発明の概要】
【0002】
したがって、良好な特性を持つ新たな非ハロゲン化難燃剤を提供することを目的とする。
【0003】
この目的は、本発明の請求項1に係る難燃剤により解決される。したがって、構造(I)に従う少なくとも一つの部位を含む化合物を含む、難燃剤が提供される:
【0004】
【0005】
ここで、“*”は、前記部位が前記化合物のさらなる部分に結合している原子を示し、“R”は、1以上の任意のアルキル置換基であり、ここで1より多くの置換基が存在する場合、それらは互いに独立して選択される。
【0006】
驚くべきことに、このような難燃剤を多くの用途に使用することで、以下のような1つ以上の利点を観察できるが判明した:
-本発明に係る多くの難燃剤は、かなり高い溶融温度を示し、これにより、多くの用途、特に建設分野で有用である
-本発明に係る多くの難燃剤は、プラスチック材料の従来の加工方法、例えば押出成形、射出成形、ブロー成形、および紡糸に対応する温度範囲で溶融加工が可能である
-本発明に係る多くの難燃剤は、多種多様な大容量ポリマー、例えばポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、スチレン...での使用を可能にする高温安定性を示す
-本発明に係る多くの難燃剤は、多くの用途で必要とされるかなりの高温安定性を示す
-多くの用途において、高い燃焼性基準と高いグローワイヤー性能との両方を同時に達成することができる。
【0007】
好ましい実施形態によれば、“*”でマークされた炭素は、炭素-酸素結合、炭素-窒素結合、または炭素-炭素結合を介して、前記化合物のさらなる部分に結合し、1より多くの部位が存在する場合、部位ごとに互いに独立して選択される。
【0008】
好ましい実施形態によれば、前記構造(I)に従う部位は、アルキル基、エーテル基、アミン基、またはカルボキシ基によって前記化合物のさらなる部位に結合し、1より多くの部位が存在する場合、部位ごとに互いに独立して選択される。
【0009】
好ましい実施形態によれば、前記化合物は、1より多くの前記構造(I)の部位を含み、好ましくは2~100、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、最も好ましくは8以下の部位を含む。
【0010】
好ましい実施形態によれば、前記化合物は、構造(I)に従う部位が連結している骨格構造を含む。
【0011】
好ましくは、前記骨格は、アルキル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネートまたはポリウレタン骨格を含む。
【0012】
好ましくは、前記構造(I)に従う部位は、リンカー分子またはスペーサー分子を介して前記骨格に結合されており、これらは、好ましくはアルキル基、フェニル基、エーテル基、エステル基またはアミド基を含む。
【0013】
好ましい実施形態によれば、前記化合物は、構造(II)の化合物を含む:
【0014】
【0015】
ここで、Rは、上記のとおりであり、Lは、-O-、-O-CO-O-、O-R1-O、-O-CO-R2-O-および-O-CO-R3-CO-O-から選択され、R1~R3は、互いに独立して、非置換またはアルキル置換のアルキルまたはフェニルである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の意味での用語「アルキル」は、特に直鎖状または分岐状のC1~C12アルキル、特に直鎖状のC1~C12アルキルを意味し、さらに特に直鎖状または分岐状のC2~C8アルキル、より好ましくは直鎖状のC2~C8アルキル、最も好ましくは直鎖状のC3~C7アルキルを意味する。
【0017】
本発明の意味での用語「アルキル置換」は、特にメチルまたはエチル置換、好ましくはメチル置換を意味する。本発明の意味での用語「アルキル置換基」は、類似的に理解される。
【0018】
好ましい実施形態によれば、Lは、-O-CO-O-または-O-CO-R3-CO-O-である。好ましい実施形態によれば、Lは、-O-CO-(CmH2m)-CO-Oであり、mは、4~12、より好ましくは5、6または7である。
【0019】
本発明は、さらに組成物に関し、前記組成物は、(a)本明細書で定義される式(I)の化合物および(b)ポリマー基材を含む。
【0020】
好ましくは、(b)に対する化合物(a)の重量比(wt/wt)は、≧0.1%から≦5%、好ましくは≧0.5%から≦1.5%である。
【0021】
適切なポリマー基材(b)は、天然および/または合成ポリマーで構成されていてもよく、例えば:
1.モノ-およびジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン-1、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレンまたはポリブタジエン、またシクロオレフィン(例えば、シクロペンテン、ノルボルネン)の重合物(polymerisates);また、ポリエチレン(任意に架橋されていてもよい)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高分子量の高密度ポリエチレン(HDPE-HMW)、超高分子量の高密度ポリエチレン(HDPE-UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)および(ULDPE)。
【0022】
2.1)で述べたポリマーの混合物、例えばポリプロピレンおよびポリイソブチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンの混合物(例えば、PP/HDPE、PP/LDPE)、ならびに異なる種類のポリエチレンの混合物(例えば、LDPE/HDPE)。
【0023】
3.モノ-およびジ-オレフィンの互いのまたは他のビニルモノマーとのコポリマー、例えばエチレン/プロピレンコポリマー、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)および低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブテン-1コポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブテン-1コポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/-メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー、例えばエチレン/ノルボルネン(COC)、エチレン/1-オレフィンコポリマー、この際前記1-オレフィンがin situで調製される、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/アクリル酸コポリマーおよびその塩(アイオノマー)、さらにエチレンとプロピレンおよびジエン(ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなど)とのターポリマー;また、このようなコポリマーと互いに、あるいは1)で述べたポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン-エチレン/プロピレンコポリマー、LDPE-エチレン/酢酸ビニルコポリマー、LDPE-エチレン/アクリル酸コポリマー、LLDPE-エチレン/酢酸ビニルコポリマー、LLDPE-エチレン/アクリル酸コポリマー、交互にまたはランダムに構造化されたポリアルキレン-一酸化炭素コポリマー、およびこれらと他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物。
【0024】
4.ポリスチレン、ポリ(p-メチルスチレン)、ポリ(a-メチルスチレン)。
【0025】
5.ビニル-芳香族モノマー由来の芳香族ホモポリマーおよびコポリマー、例えばスチレン、a-メチルスチレン、ビニルトルエンのすべての異性体、例えばp-ビニルトルエン、エチルスチレンのすべての異性体、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンおよびこれらの混合物;ホモポリマーおよびコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチックまたはアタクチックなステレオ構造を持つことができ、アタクチックポリマーが好ましい。また、ステレオブロックポリマーも含まれる。
【0026】
6.ホモポリマーおよびコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチックまたはアタクチックなステレオ構造を持つことができ、アタクチックなポリマーが好ましい。また、ステレオブロックポリマーも含まれる。
【0027】
a)エチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、無水マレイン酸、マレイン酸アミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸誘導体およびそれらの混合物から選択される既述のビニル芳香族モノマーおよびコモノマーを含むコポリマー、例えばスチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/エチレン(インターポリマー)、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレートおよびメタクリレート、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート;スチレンコポリマーおよび他のポリマー(例えばポリアクリレート、ジエンポリマーまたはエチレン/プロピレン/ジエンターポリマー)からなる高衝撃強度混合物;また、スチレンのブロックコポリマー(例えばスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン-ブチレン/スチレンまたはスチレン/エチレン-プロピレン/スチレン)。
【0028】
b)項目6)に記載のポリマーの水素化によって調製された水素化芳香族ポリマー、特にポリシクロヘキシルエチレン(PCHE)、しばしばポリビニルシクロヘキサン(PVCH)とも呼ばれ、アタクチックポリスチレンの水素化によって調製される。
【0029】
c)項目6a)に記載のポリマーを水素化することによって調製された水素化芳香族ポリマー。
【0030】
7.ビニル芳香族モノマーのグラフコポリマー、例えば、ポリブタジエン上のスチレン、ポリブタジエン/スチレンまたはポリブタジエン/アクリロニトリルコポリマー上のスチレン、ポリブタジエン上のスチレンおよびアクリロニトリル(またはメタクリロニトリル);ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリルおよびメタクリレート;ポリブタジエン上のスチレンおよび無水マレイン酸;ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリルおよび無水マレイン酸またはマレイン酸イミド;ポリブタジエン上のスチレンおよびマレイン酸イミド、ポリブタジエン上のスチレンおよびアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート、エチレン/プロピレン/ジエンのターポリマー上のスチレンおよびアクリロニトリル、ポリアルキルアクリレートまたはポリアルキルメタクリレート上のスチレンおよびアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエンコポリマー上のスチレンおよびアクリロニトリル、ならびに例えばいわゆるABS、MBS、ASAまたはAESポリマーとして知られているような上記段落6に記載のコポリマーとこれらの混合物。
【0031】
8.ハロゲン含有ポリマー、例えばポリクロロプレン、塩素化ゴム、塩素化および臭素化されたイソブチレン/イソプレンのコポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化またはクロロスルホン化されたポリエチレン、エチレンおよび塩素化エチレンのコポリマー、エピクロロヒドリンのホモおよびコポリマー、特にハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン;ならびにそれらのコポリマー、例えば、塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル、塩化ビニリデン/酢酸ビニル。
【0032】
9.α,β-不飽和酸に由来するポリマーおよびその誘導体、例えばポリアクリレートおよびポリメタクリレート、またはポリメチルメタクリレート、アクリル酸ブチルで耐衝撃性修飾されたポリアクリルアミドおよびポリアクリロニトリル。
【0033】
10.項目9に記載のモノマーの互いにまたは他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/アルコキシアルキル/アクリレートコポリマー、アクリロニトリル/ハロゲン化ビニルコポリマー、またはアクリロニトリル/アルキルメタクリレート/ブタジエンターポリマー。
【0034】
11.不飽和アルコールおよびアミンまたはそれらのアクリル誘導体もしくはアセタールに由来するポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ステアレート、ベンゾエートまたはマレエート、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート、ポリアリルメラミン;および項目1に記載のオレフィンとそれらとのコポリマー。
【0035】
12.環状エーテルのホモおよびコポリマー、例えばポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはそれらとビスグリシジルエーテルとのコポリマー。
【0036】
13.ポリオキシメチレンなどのポリアセタール、およびエチレンオキシドなどのコモノマーを含むポリオキシメチレン;熱可塑性ポリウレタン、アクリレートまたはMBSなどで修飾されたポリアセタール。
【0037】
14.ポリフェニレンオキシドおよびスルフィド、ならびにそれらとスチレンポリマーまたはポリアミドとの混合物。15.ジアミンおよびジカルボン酸に由来する、ならびに/またはアミノカルボン酸または対応するラクタムに由来するポリアミドならびにコポリアミド、例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m-キシレン、ジアミンおよびアジピン酸に由来する芳香族ポリアミド;ポリアミド6/I(ポリ-ヘキサメチレンイソフタルイミド、MXD(m-キシリレンジアミン);ヘキサメチレンジアミンとイソおよび/またはテレフタル酸と任意に修飾剤としてのエラストマーとから調製されたポリアミド、例えばポリ-2,4,4-トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミドまたはポリ-m-フェニレンイソフタルアミド。上述のポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマー、または化学的に結合したもしくはグラフトしたエラストマー;またはポリエーテル(例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコール)とのブロックコポリマー。また、EPDMもしくはABSで修飾したポリアミドまたはコポリアミド;加工中に縮合したポリアミド(「RIMポリアミドシステム」)。
【0038】
使用可能なポリアミドおよびコポリアミドの例は、特に、ε-カプロラクタム、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミンン、2-メチル-ペンタメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、m-キシリレンジアミン、またはビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン;また、ポリアミド66/61(例えば、70~95%のポリアミド6/6と5~30%のポリアミド6/Iとからなる)などの半芳香族ポリアミド;また、トリコポリマー(ポリアミド6/6の一部が置換されており、例えば60~89%のポリアミド6/6と5~30%のポリアミド6/Iと1~10%の他の脂肪族ポリアミドからなり、後者は、例えばポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12またはポリアミド6/12単位からなるものでもよい)から誘導される;このようなトリコポリマーは、ポリアミド66/6I/6、ポリアミド66/61/11、ポリアミド66/61/12、ポリアミド66/61/610、またはポリアミド66/61/612と呼ばれることがありうる。
【0039】
16.ポリウレア、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン、およびポリベンゾイミダゾール。
【0040】
17.ジカルボン酸およびジアルコホルに由来する、ならびに/またはヒドロキシカルボキシル酸もしくは対応するラクトンに由来するポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ-1,4-ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート(PAN)およびポリヒドロキシベンゾエート、また、ヒドロキシル末端基を持つポリエーテルに由来するブロックポリエーテルエステル;また、ポリカーボネートまたはMBSで修飾されたポリエステル。
【0041】
18.ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート。
【0042】
19.前述のポリマーの混合物(ポリブレンド)、例えばPP/EPDM、ポリアミド/EPDMもしくはABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6およびコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABSまたはPBT/PET/PC。組成物が優先され、ここで前記熱可塑性ポリマーは、高衝撃性ポリスチレン(HIPS)、膨張性ポリスチレン(EPS)、押出ポリスチレン(XPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)、またはタイプABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)またはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)またはPPE/HIPS(ポリフェニレンエーテル/高衝撃性ポリスチレン)、のポリマーブレンド、特にポリアミド、ポリエステル、またはPPE/HIPSのブレンドである。フィラーまたは強化剤、特に充填剤または強化剤、特にガラス繊維強化ポリマー、例えばガラス繊維強化ポリアミド、を含む本発明に係るポリマー組成物が特に優先される。
【0043】
20.天然ポリマー、例えばセルロース、デンプン(アミロースおよび、アミロペクチン)、リグノセルロース、プロテインシルク、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリペプチド、多糖;キサンタンガム、B-グルカン、キトサンおよび天然ゴム。
【0044】
21.バイオポリマー、例えばポリカプロラクトン、ポリラクチド、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)コポリマー(PLGA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)およびポリジオキサノン(PDS)。
【0045】
好ましい実施形態は、難燃剤組成物に関し、ポリマー基材(b)が、ポリスチレン、ポリスチレンコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリプロピレンとポリオレフィンとのブレンドからなる。例えば、ポリプロピレンとポリエチレンとのブレンドは、高密度ポリエチレン(HDPE)、高分子量高密度ポリエチレン(HMW HDPE)、超高分子量高密度ポリエチレン(UHMW HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、分岐状低密度ポリエチレン(BLDPE)および少ない割合のジエンを含むエチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)からなる群から選択される。
【0046】
本発明はさらに、上で定義した成分(a)および(b)に加えて、(c)ポリマー安定剤および追加の非ハロゲン系難燃剤、例えばメラミン含有難燃剤、リン含有難燃剤、メラミン含有難燃剤以外のさらなる窒素含有難燃剤、および無機系難燃剤からなる群から選択される、さらなる添加剤を含む、難燃剤組成物に関する。
【0047】
安定剤は、好ましくはハロゲンフリーであり、ニトロキシル安定剤、ニトロン安定剤、アミンオキサイド安定剤、ベンゾフラノン安定剤、ホスファイトおよびホスホナイト安定剤、キノンメチド安定剤、および2,2’-アルキリデンビスフェノール安定剤のモノアクリレートエステルから選択される。
【0048】
本成分(c)の追加の難燃剤は、公知の成分、市販品であり、また公知の方法で得ることができる。
【0049】
代表的なメラミン含有難燃剤は、例えばメラニン含有化合物であり、メラニン構造:1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン(=シアヌル酸トリアミド)またはその縮合物が存在する。この定義は、メラミンのモノマー、オリゴマーもしくはポリマー化合物、メラミンの縮合物、またはメラミンとそのリン酸塩との縮合物に適用される。
【0050】
好ましいメラミン含有化合物は、メラミンシアヌレート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、メラミンフェニルホスホネート、メラミンボレート、メラミンアンモニウムホスフェート、メラミンアンモニウムポリホスフェート、メラミンアンモニウムピロホスフェート、メレム、メラムもしくはメロン、またはメレム、メラムもしくはメロンのポリホスフェートである。
【0051】
代表的なリン含有難燃剤は、例えば有機金属ホスフィネート(アルミニウムホスフィネート、Exolit OP、Clar-iant)、ペンタエリスリトールホスフェート、テトラフェニルレゾルシノールジホスファイト(FYROLFLEX<登録商標>RDP、Akzo Nobel)、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムスルフィド、トリフェニルホスフェート、ジエチル-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-アミノメチルホスホネート、リン酸のヒドロキシアルキルエステル、および環状ホスホネート(ADK STAB FP 600/800/2200,Adeka Corp),AFLAMMIT PCO 900/800/700,(Thor GmbH),アンモニウムポリホスフェート(APP).(EXOLIT AP 766,Clari-ant)または(HOSTAFLAM<登録商標>AP750,Clariant)、レゾルシノールジホスフェートオリゴマー(RDP)、ホスファゼン難燃剤、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェン-アントレン-10-オキシド)(DOPO)またはその誘導体、ジ(エチレンジアミン)ホスフェート(DEDAP)、エチレンジアミンジホスフェート(EDAP)またはそれらの混合物(例えばBUDIT 3167、Budenheim)である。さらに、メラミン含有難燃剤以外の窒素含有難燃剤は、例えばイソシアヌレート難燃剤(例えば、ポリイソシアヌレート、イソシアヌル酸のエステルまたはイソシアヌレート、メラミン金属ホスフェート(SAFIRE(登録商標) 200/400/600,Floridienne Chimie)である。代表的な例は,ヒドロキシアルキルイソシアヌレート、例えばトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート,トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート,トリス(3-ヒドロキシ-n-プロイル)イソシアヌレートまたはトリグリシジルイソシアヌレートである。さらなる例は、ベンゾグアナミン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、アラントイン、グリコウリル、メラミンシアヌレート、ウレアシアヌレート、ポリ-[2,4-(ピペラジン-1,4-イル)-6-(モルホリン-4-イル)-1,3,5-トリアジン]/ピペラジン(MCA(登録商標) PPM TRIAZINE HF、MCA Technologies)アゾアルカンおよび関連化合物(例えば、AZONOR、azine、azoxy、hydrazone、triazeny、INAZO)、NOR化合物(FLAMESTAB(登録商標) NOR 1 16,TINUVINTM NOR 371、BASF)、またはポリリン酸アンモニウムである。スルフェンアミドは、ジスルフィド、過酸化物などの他のラジカル発生剤をベースにした相乗剤と一緒に使用することもできる。
【0052】
代表的な有機ハロゲン難燃剤としては、例えば:
ポリ臭化ジフェニルオキシド(DE-60F、Great Lakes Corp.)、デカブロモジフェニルエタン(SAYTEXTM 8010、Albemarle)、ヘキサブロモシクロドデカン(SAYTEXTM HP 900P、Albemarle)、スチレン-ブタジエンブロック共重合体などの臭素化ポリマーおよびオリゴマー(EMERALD INNOVATIONTM 3000、Chemtura、GREEN ARMORTM、GREEN CRESTTM、Albemarle、FR-122PTM、ICL)、ポリフェニレンオキシドおよびその誘導体、臭素化ポリアクリレート(FR-1025 PTM、ICL)、デカブロモジフェニルオキシド(DBDPO;SAYTEX<登録商標>102E)、トリス[3-ブロモ-2,2-ビス(ブロモメチル)プロピル]フォスフェート(PB 370<登録商標>、FMC Corp.)、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(2,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、クロレンジン酸、テトラクロロフタル酸、テトラブロモフタル酸、ροiν-β-クロロエチルトリホスホネート混合物、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)(PE68)、臭素化エポキシ樹脂、エチレン-ビス(テトラブロモフタルイミド)(SAYTEX<登録商標>BT-93)、ビス(ヘキサクロロシクロペンタジエノ)シクロオクタン(DECHLORANE PLUS<登録商標>)、塩素化パラフィン、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサクロロシクロペンタジエン誘導体、1,2-ビス(トリブロモフェノキシ)エタン(FF680)、テトラブロモビスフェノールA(SAYTEX<登録商標>RB100)、エチレンビス(ジブロモノルボルナンジカルボキシイミド)(SAYTEX<登録商標>BN-451)、ビス(ヘキサクロロシクロエンタデノ)シクロオクタン、PTFE、トリス(2,3-ジブロモプロピル)-イソシアヌレート、エチレン-ビス-テトラブロモフタルイミド。
【0053】
上述の難燃剤は、日常的に無機(水和)酸化物の相乗剤と組み合わされる。この使用に最も一般的なものは、AI(OH)3またはAIOOHなどのアルミニウム(水和)酸化物、水酸化マグネシウム、亜鉛またはアンチモン酸化物、例えばSb2O3またはSb2O5である。また、ホウ素化合物も適している。
【0054】
上述の追加の難燃剤化合物は、有利には、有機ポリマー基材の重量に対して約0.25%~約45.0%;例えば約0.25%~約35.0%;例えばポリマーの重量に対して約0.25%~約30.0%の量(重量)で本発明の組成物に含まれる。
【0055】
上述したように、本発明に係る組成物は、1以上の従来の添加剤をさらに含んでもよく、例えば顔料、染料、可塑剤、フッ素化ポリマー(PTFE、Metablen A3800、三菱レイヨン)、ナノクレイ(Cloisite 30B)、ボレート(FIREBRAKE(登録商標)、Borax)などの滴下防止剤、酸化防止剤、チキソトロピー剤、レベリング助剤、塩基性補助安定剤(basic co-stabilizers)、金属不動態化剤、金属酸化物、有機リン化合物、さらなる光安定剤、およびそれらの混合物から選択され、特に顔料、フェノール系酸化防止剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールおよび/または2-(2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジングループの紫外線吸収剤である。
【0056】
上述の添加剤は、好ましくはポリマー基材b)の重量に対して、0.01~10.0%、特に0.05~5.0%の量(重量)で含まれる。
【0057】
本発明の好ましい実施形態によれば、組成物は、さらに1以上のフィラーを含んでもよい。本発明に係るフィラーの例は、ガラスビーズ、中空ガラス球、非晶質シリカ、チョーク、マイカ、焼成カオリン、ワラストナイト、タルク、炭酸マグネシウム、硫酸バリウムまたは同様の製品であり、これらは脂肪酸などで表面処理されていてもよく、脂肪酸などの存在下で粉砕されていてもよい。熱可塑性樹脂のフィラーとして市場で現在入手できる任意の粒子状物質も同様に、レーザー機器で測定した粉末の平均粒径が約2ミクロンから20ミクロンの範囲であれば、本発明に係る組成物に使用することができる。
【0058】
上述のフィラーは、好ましくはポリマー基材b)の重量に対して、1~40.0%、特に5~25.0%の量(重量)で含まれる。
【0059】
したがって、本発明は、ポリマー基材、例えば合成ポリマー、特に熱可塑性プラスチックに難燃性を付与するための、上記で定義された式(I)の化合物の使用にも関する。
【0060】
本発明はまた、合成ポリマーに難燃性を付与する方法に関し、少なくとも1つの本発明に係る式(I)の化合物をポリマー基材に組み込む、またはそれらの表面に塗布する。
【0061】
ポリマー基材への式(I)の化合物および上記で定義した任意の追加成分の組み込みは、粉末の形態での乾式混合、または溶液、分散液または懸濁液の形態、例えば例えば不活性溶媒、水または油中での湿式混合などの既知の方法によって行われる。式(I)の化合物および任意のさらなる添加剤は、例えば成形前もしくは成形後に、または、溶解もしくは分散した添加剤もしくは添加剤混合物をポリマー材料に適用することによって、その後の溶媒または懸濁/分散剤の蒸発の有無にかかわらず、組み込むことができる。それらは、例えば乾燥混合物もしくは粉末として、または溶液もしくは分散液もしくは懸濁液もしくは溶融物として、処理装置(押出機、内部混合機など)に直接添加してもよい。
【0062】
本発明はさらに、本発明の難燃剤を含む製品および/または本発明の使用を利用した製品に関する。
【0063】
前述の構成要素、ならびに請求項に記載された構成要素および記載された実施形態における本発明に従って使用される構成要素は、そのサイズ、形状、材料の選択および関連分野で知られている選択基準を制限なく適用することができるような技術的概念に関して、特殊な例外はない。
【0064】
本発明の目的の追加の詳細、特徴および利点は、従属請求項および各実施例の以下の説明に開示されている。しかし、これらの実施例は、必ずしも本発明の全範囲を示すものではなく、したがって、本発明の範囲を解釈するために、特許請求の範囲および本明細書を参照する。前述の一般的な説明と以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものに過ぎず、請求項に記載された本発明のさらなる説明を提供することを意図していることを理解されたい。
【実施例0065】
以下では、本発明を、例示のみを目的とし、拘束力のない2つの発明例に従って説明する。
【0066】
発明例I:L=O-CO-OおよびR=なしである構造(II)に係る化合物
発明例II:L=O-CO-(CH2)6-CO-O-およびR=なしである構造(II)に係る化合物
両方の例では、融点(DSCによる)および熱安定性(N2下でのTGAでの1%損失)を測定した。結果を表Iに示す。
【0067】
【0068】
データから分かるように、両方の化合物は、優れた特性を示しており、特に難燃剤として幅広い用途に使用することができる。
【0069】
上記の詳細な実施形態における要素と特徴の特定の組み合わせは、例示的なものである;これらの教示を、本明細書および参照により組み込まれた特許/出願の他の教示と入れ替えたり、置き換えたりすることもまた、明示的に予期される。当業者が認識するように、本明細書に記載されていることの変形、修正、およびその他の実施は、請求されている本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者に起こり得る。したがって、前述の説明は例示に過ぎず、限定を意図したものではない。特許請求の範囲において、「含む(comprising)」という言葉は、他の要素または工程を除外せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという事実だけで、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその均等物で定義される。さらに、明細書および特許請求の範囲で使用される参照符号は、請求されている本発明の範囲を限定しない。