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特開2022-47512デプレッションモードMOSFETおよびバイメタル温度感知スイッチによる過電流保護
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  • 特開-デプレッションモードMOSFETおよびバイメタル温度感知スイッチによる過電流保護 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047512
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】デプレッションモードMOSFETおよびバイメタル温度感知スイッチによる過電流保護
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/087 20060101AFI20220316BHJP
   H02H 5/04 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
H02H3/087
H02H5/04 170
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021142482
(22)【出願日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】17/018,269
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519226506
【氏名又は名称】リテルフューズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チン、チュアン ファン
(72)【発明者】
【氏名】テディ ト
【テーマコード(参考)】
5G004
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004AB02
5G004BA03
5G004BA04
5G004DC12
5G004EA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】過電流及び過電圧保護を提供する回路及びデバイスを提供する。
【解決手段】保護回路100は、電流制限器としてのデプレッションモードMOSFET(D MOSFET)を特徴とし、D MOSFETはバイメタルスイッチに接続され、バイメタルスイッチは温度感知回路遮断器として作用する。D MOSFETおよびバイメタルスイッチを組み合わせて、下流の回路コンポーネントへの電流を制限し、それによってコンポーネントを損傷から保護することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過電流保護を提供するように動作可能な回路であって、
酸化金属半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と、
第1の端子および第2の端子を備えるバイメタルスイッチであって、前記第1の端子が第1のノードに結合され、前記第2の端子が第2のノードに結合され、前記第2のノードが前記MOSFETのドレインに結合された、バイメタルスイッチと
を備え、
前記バイメタルスイッチおよび前記MOSFETが、過電流イベントの間、前記回路を保護する、
回路。
【請求項2】
前記バイメタルスイッチが、第1の熱膨張係数を含む第1の金属と第2の熱膨張係数を含む第2の金属とを有し、前記第1の熱膨張係数が前記第2の熱膨張係数と異なる、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記MOSFETのソースと前記MOSFETのドレインとの間に結合された抵抗器を更に備える、請求項1に記載の回路。
【請求項4】
前記MOSFETがデプレッションモードMOSFETである、請求項1または2に記載の回路。
【請求項5】
前記MOSFETがNチャネルデプレッションモードMOSFETである、請求項4に記載の回路。
【請求項6】
前記MOSFETが電流制限効果を提供して、前記過電流イベントの間、追加の回路素子が損傷しないように保護する、請求項1から5のいずれか一項に記載の回路。
【請求項7】
前記MOSFETが、前記過電流イベントの間熱くなり、前記バイメタルスイッチを前記第1のノードまたは前記第2のノードのどちらかから切断する、請求項6に記載の回路。
【請求項8】
前記MOSFETが、前記過電流イベントの高速過渡エネルギーを吸収して、前記回路の他の素子を保護する、請求項1から7のいずれか一項に記載の回路。
【請求項9】
前記バイメタルスイッチが、前記第1のノードまたは前記第2のノードのどちらかから切断し、開回路を作成することによって、過電流イベントによる長期の過熱から前記MOSFETを保護する、請求項1から8のいずれか一項に記載の回路。
【請求項10】
前記MOSFETが存在することによって、前記バイメタルスイッチのトリップ温度が低下する、請求項1から9のいずれか一項に記載の回路。
【請求項11】
回路に結合される、前記回路に対して過電流保護を提供するように動作可能なデバイスであって、
酸化金属半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と、
第1の端子および第2の端子を備えるバイメタルスイッチであって、前記第1の端子が第1のノードに結合され、前記第2の端子が第2のノードに結合され、前記第2のノードが前記MOSFETのドレインに結合された、バイメタルスイッチと
を備え、
前記バイメタルスイッチおよび前記MOSFETが、過電流イベントの間、前記回路を保護する、
デバイス。
【請求項12】
前記バイメタルスイッチが、第1の熱膨張係数を含む第1の金属と第2の熱膨張係数を含む第2の金属とを有し、前記第1の熱膨張係数が前記第2の熱膨張係数と異なる、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記MOSFETのソースと前記MOSFETのドレインとの間に結合された抵抗器を更に備える、請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記MOSFETがデプレッションモードMOSFETである、請求項11に記載のデバイス。
【請求項15】
前記MOSFETがNチャネルデプレッションモードMOSFETである、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記MOSFETが電流制限効果を提供して、前記過電流イベントの間、追加の回路素子が損傷しないように保護する、請求項11から15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記MOSFETが、前記過電流イベントの間熱くなり、前記バイメタルスイッチを前記第1のノードまたは前記第2のノードのどちらかから切断する、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記MOSFETが、前記過電流イベントの高速過渡エネルギーを吸収して、前記回路の他の素子を保護する、請求項11から17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記バイメタルスイッチが、前記第1のノードまたは前記第2のノードのどちらかから切断し、開回路を作成することによって、過電流イベントによる長期の過熱から前記MOSFETを保護する、請求項11から18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記MOSFETが存在することによって、前記バイメタルスイッチのトリップ温度が低下する、請求項11から19のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
過電流または過剰電流とは、意図されるよりも多い電流が回路を通って流れる状況である。過電流は一定または過渡的な性質であり得る。電圧過渡は、持続時間が短い電気エネルギーのサージであり、以前に保存された、または大きい誘電負荷もしくは雷などの他の手段によって誘導された、エネルギーが急激に解放された結果である。繰返し可能な過渡は、モータの動作、発電機、またはリアクタンス回路コンポーネントの切替えによって引き起こされる場合が多い。ランダムな過渡は、雷および静電放電(ESD)によって引き起こされることがある。
【0002】
コンポーネントの小型化により、電気応力に対する感度の増加がもたらされている。例えば、マイクロプロセッサは、ESD過渡による高電流を扱うことができない構造および導電経路を有する。かかるコンポーネントは非常に低い電圧で動作するので、デバイスの中断および潜在的または破局的障害を防ぐため、電圧外乱を制御することが優先される。
【0003】
これらおよび他の考慮点に関して、本発明の改善は有用であり得る。
【発明の概要】
【0004】
本概要は、詳細な説明において更に後述する、一連の概念を単純化した形で紹介するために提供される。本概要は、請求される主題の重要なまたは必須の特徴を特定しようとするものではなく、請求される主題の範囲の決定を助けようとするものでもない。
【0005】
過電流保護を提供するように動作可能な回路の例示的な一実施形態が開示される。回路は、バイメタルスイッチに接続された酸化金属半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含む。バイメタルスイッチは第1および第2の端子を有し、各端子はノードに接続され、ノードの1つはMOSFETのドレインに接続される。バイメタルスイッチおよびMOSFETはともに、過電流イベントの間、回路を保護する。
【0006】
回路に対して過電流保護を提供するように動作可能なデバイスの例示的な一実施形態が開示される。デバイスは、回路に接続され、バイメタルスイッチに接続されたMOSFETを含む。バイメタルスイッチは第1および第2の端子を有し、各端子はノードに接続され、ノードの1つはMOSFETのドレインに接続される。バイメタルスイッチおよびMOSFETはともに、過電流イベントの間、回路を保護する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】例示的実施形態による、バイメタルスイッチおよびD MOSFETを含む保護回路を示す図である。
【0008】
図2】例示的実施形態による、独立型バイメタルスイッチを含む保護回路を示す図である。
【0009】
図3】例示的実施形態による、回路に対して過電流保護を提供するデバイスを示す図である。
【0010】
図4】例示的実施形態による、D MOSFETにねじおよびボルトで固定されたバイメタルスイッチを示す図である。
【0011】
図5】例示的実施形態による、図2の独立型バイメタルスイッチを用いて実行された実験の応答波形の図である。
【0012】
図6】例示的実施形態による、図3のバイメタルスイッチとD MOSFETとの間で実行された実験の応答波形の図である。
図7】例示的実施形態による、図3のバイメタルスイッチとD MOSFETとの間で実行された実験の応答波形の図である。
【0013】
図8】例示的実施形態による、図2および図3の回路で実行された過電流テスト電流動作の結果を提供する表である。
【0014】
図9】例示的実施形態による、独立型バイメタルスイッチを有する回路とD MOSFETを含むバイメタルスイッチを有する回路との間でトリップ応答時間を比較したグラフである。
【0015】
図10】例示的実施形態による、図2の独立型バイメタルスイッチ回路で実行された実験の応答波形の図である。
【0016】
図11】例示的実施形態による、図3のバイメタルスイッチおよびD MOSFETを含むデバイスで実行された実験の応答波形の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
過電流および過電圧保護を提供する回路が本明細書に開示される。回路は、電流制限器としてのデプレッションモードMOSFET(D MOSFET)を特徴とし、D MOSFETはバイメタルスイッチに接続され、バイメタルスイッチは温度感知回路遮断器として作用する。D MOSFETおよびバイメタルスイッチを組み合わせて、下流の回路コンポーネントへの電流を制限し、それによってコンポーネントを損傷から保護することができる。
【0018】
MOSFETとして知られる酸化金属半導体電界効果トランジスタデバイスは、電子デバイスにおける電子信号の切替えおよび増幅に使用される半導体素子である。電圧をそのゲートで調節することによって、MOSFETのソースとドレインとの間に配置されるチャネルの幅が変更される。MOSFETは、N型基板を用いて構築されたPチャネルデバイスであるか、P型基板を用いて構築されたNチャネルデバイスであるか、縦方向に配置された半導体であるか、横方向に配置された半導体であるか、デプレッションモードであるか、ならびにエンハンスメントモードであるかに基づいて、様々な構成で提供される。
【0019】
ゲートの両端間に電圧が印加されることによってオンになるエンハンスメントモードMOSFETとは対照的に、デプレッションモードMOSFETは、ゲート端子がゼロボルト(VGS=0V)のときに「常時オン」のデバイスとして知られている。ソース領域とドレイン領域との間に薄いゲート酸化膜を有することに加えて、ゲート酸化層の下方であってソース領域とドレイン領域との間に、イオン注入を使用して、導電チャネルが形成される。基板からチャネルまでの領域における活性ドーパントの濃度は、MOSFETの閾値電圧(VTh)を所望の値に調節するのに使用される。多くの現代のMOSFETは、その名称に反して、絶縁性ゲート酸化膜の上に、金属ではなくポリシリコンのゲートを用いて製造されることがある。
【0020】
バイメタルスイッチは、互いに(背中合わせで)接合された2つの金属ストリップから成るスイッチである。バイメタルスイッチは、回路の2つの接続点の間に配置されるものである。第1の金属ストリップは第1の熱膨張係数を有し、第2の金属ストリップは第2の異なる熱膨張係数を有する。バイメタルスイッチに熱を加えると、スイッチは、温度が「開放」閾値を上回るとそれら2つの異なる熱膨張係数に基づいて、一時的に変形、つまり屈曲する。バイメタルスイッチが既定の長さの2つの背中合わせにされた金属のストリップから成る場合、熱を加えることによって、スイッチが「短縮」されるかまたは一端が「持ち上がる」ので、スイッチが既定の長さを維持しなくなって、回路の両方の接続点に付着しなくなることにより、開回路状態がもたらされる。バイメタルスイッチが製造パッケージの一部である場合(更に後述する、KSD-01F温度スイッチサーモスタットなど)、パッケージは2つの延長脚部を含み、それらが加熱中に相対位置が変化して、回路の接続点から切断されることにより、開回路状態がもたらされる。どちらの構成においても、バイメタルスイッチが再び冷めると、スイッチは真っ直ぐになるか元の形状(ほぼ平ら)に戻って、スイッチが2つの接続点の間に再び付着され、回路が閉じる。
【0021】
図1は、例示的実施形態による、保護回路100の代表図である。保護回路100(本明細書では「回路」としても知られる)は、互いに直列に接続されたバイメタルスイッチ102およびデプレッションモードMOSFET 104(以下、「D MOSFET」または「MOSFET」)から成る。D MOSFET 104は、電流が流れるドレイン(D)およびソース(S)と、特定の電流条件下において、ドレインとソースとの間の電流フローに影響を及ぼすゲート(G)とを含む。デプレッションモードデバイスとして、D MOSFET 104は常時「オン」であり、ゲート(G)電圧が0Vであるのにかかわらずドレイン(D)とソース(S)との間を電流が流れる。バイメタルスイッチ102は、スイッチが閉鎖されているとき、ノード110および112の間に電流経路を提供し、スイッチが閉鎖されていないとき、開回路をもたらす。バイメタルスイッチ102の一端はまた、D MOSFET 104のドレイン(D)に接続する。
【0022】
保護回路100は更に、第1の端部でMOSFET 104のソース(S)に、第2の端部でMOSFETのゲート(G)に接続された、抵抗器106を含む。したがって、抵抗器106の両端間の電圧は、MOSFET 104のゲート・ソース間電圧と同じである。抵抗器106の第2の端部(ならびにMOSFET 104のゲート)は、上述した回路素子の下流にあって図1に全体が示される、保護されるべき追加の回路素子108に接続する。
【0023】
例示的実施形態では、D MOSFET 104は電流制限器であり、バイメタルスイッチ102は温度感知回路遮断器として作用する。保護回路100のバイメタルスイッチ102は、背中合わせで互いに付着された2つの異なる金属ストリップから成る。第1の金属ストリップは第1の熱膨張係数を有し、第2の金属ストリップは第2の異なる熱膨張係数を有する。この違いにより、バイメタルスイッチによって感知された温度が閾値温度を上回ると、スイッチ102が一時的な変形(屈曲など)を示す。一時的な変形により、バイメタルスイッチ102は両方のノード110および112に接続しなくなって、開回路がもたらされる。閾値温度によってバイメタルスイッチ102が保護回路100を開放するので、閾値温度は、本明細書では「開閾値温度」および「トリップ点」または「トリップまでの時間」温度としても知られる。
【0024】
例示的実施形態では、バイメタルスイッチ102およびD MOSFET 104の組み合わせが、過電流保護を回路100に対して提供する。過電流状態は、図1に示されるように、1)過渡過電流または2)定過電流として特徴付けられてもよい。過電流状態が存在すると、D MOSFET 104は熱を発生させ、それによってバイメタルスイッチ102の熱感知特性が活性化される。バイメタルスイッチ102の一時的な変形は、開閾値温度に達したことを意味するので、バイメタルスイッチ102は回路100のノード110および112の1つまたは複数に接続できず、開回路がもたらされる。
【0025】
誤過電流状態がおさまると、バイメタルスイッチ102の2つの金属ストリップが冷めて、スイッチが一時的に変形した状態から元の状態に戻る。これにより、バイメタルスイッチ102は、回路100の両方のノード110および112の間の接続を再び確立して、閉回路がもたらされる。このように、バイメタルスイッチ102は、回路内の他の電子部品システムまたはデバイス(図1に「追加の回路素子108」として示される)を守るフェールセーフ環境である、保護回路100の回路遮断状態をもたらす。
【0026】
保護回路100内で、D MOSFET 104は、過電流および過電圧イベントに対する高速応答および阻止能力を提供することができ、サージ電流イベントを迅速にクランプすることができる。D MOSFETの過電流クランプ能力は、高速の過渡サージエネルギーを吸収し、それによって、一部の有害な過渡サージが保護されるべき高感度の電子部品(追加の回路素子108)内に達しないように保護する。
【0027】
対照的に、バイメタルスイッチ102は高電流遮断能力を提供する。しかしながら、バイメタルスイッチ102は、高速の過渡イベントから保護するように、迅速に応答することができない。したがって、バイメタルスイッチ102およびD MOSFET 104の組み合わせは、例示的実施形態では、両方のデバイスの利点を利用して、過電流および過電圧保護を改善する助けとなる。
【0028】
例示的な一実施形態では、D MOSFET 104は、Littelfuse(登録商標)製のIXTH16N50D2デプレッションモードMOSFET(VDSX=500V、ID(on)=16A、RDS(on)=300mΩ)であり、バイメタルスイッチ102は、Dongguan Fukuanyuan Electronics Co.Ltd(fuyuanfuse.com)製のKSD-01F温度スイッチサーモスタットである。図1に示されるように、バイメタルスイッチ102はD MOSFET 104の入力端子ドレイン(D)ピンに接続される。抵抗器106は、D MOSFET 104のG-S端子間に接続される。バイメタルスイッチ102は導電スイッチとして作用する。正常動作中、電流が開閾値温度(これは、バイメタルスイッチ102の「トリガレベル」とも考えられてもよい)を上回らないという条件で、バイメタルスイッチ102を電流が通過する。
【0029】
として示されるMOSFET 104のドレイン電流は、ゲート・ソース間電圧VGSの電位差(I×R)が、より大きい負のVGSによって更なる電流がD MOSFET 104を通過するのが阻止されるレベルに達するまで、D MOSFET 104のD-S端子を通って流れ始める。一実施形態では、印加電圧が増加するにつれて、飽和状態が達成されるまで電流フローが線形モードで増加する。組み合わせ回路(バイメタルスイッチ102およびD MOSFET 104を含む)によって、D MOSFETの最大飽和電流Isatが回路100を通って流れるのが可能になるバランスが達成される。この状態では、エネルギーはまた、Isat×VDSで熱としてもD MOSFET 104内で放散されている。
【0030】
例示的実施形態では、飽和電流Isatは、D MOSFET 104を通過する最大定常電流である。これは、飽和電流を上回らない限り、D MOSFETが、チップ障害または過熱による障害なしに機能性を維持することを意味する。過負荷電流がIsat未満の場合、D MOSFET 104は、依然として問題なくエネルギーを熱として放散させる。しかしながら、D MOSFET内に達し、したがってそのIsat(飽和電流)値を上回る非常に大きい短絡回路が入力側に存在する場合、D MOSFETは迅速に反応し、過剰電流をより迅速に熱へと放散させる。これによって次いで、D MOSFET 104の外装のより高い温度上昇が引き起こされて、バイメタルスイッチ102を迅速にトリップさせ、それによって更なる電流がD MOSFETを遮断するのが停止される。それでもなお、MOSFETの飽和電流Isatを超える持続的な電流によって、D MOSFETがその最大接合温度を上回る過熱が引き起こされて、チップ障害およびMOSFET機能の損失がもたらされる。したがって、バイメタルスイッチは、D MOSFETを過熱による障害からも保護する助けとなる。
【0031】
例示的な一実施形態では、保護回路100は、0Aから飽和電流Isatまでの範囲の印加電流で操作される。異常条件は入力電流Iの急激な上昇をもたらすことがある。異常条件は、例えば、負荷における短絡回路、負荷切替え、または急激な過負荷条件によって引き起こされることがある。これらにより、バイメタルスイッチ102およびD MOSFET 104を通過する電流の急増が引き起こされる。この電流が飽和電流Isat未満のままである場合、D MOSFETは、MOSFETへの電力放散によって徐々に加熱する。しかしながら、過電流が飽和電流Isatを上回った場合、D MOSFETへの熱放散(I×VDS)を伴って入力電流Iが劇的に増加して、D MOSFETを保護するためにバイメタルスイッチが更に高速でトリップする。これにより、バイメタルスイッチ102がその切断レベルに達するので、開閾値温度でノード110、112の1つまたは複数から切断される。したがって、バイメタルスイッチは、安全な動作域および熱限界内で、D MOSFETにカットオフ保護も提供する。
【0032】
一実施形態では、ノード110および/または112で切断が起こると、保護回路100を通って流れる電流全体がカットオフされ、それによってD MOSFET 104への電流フローが除去されて、MOSFETの熱放散が引き起こされ、最終的に、持続的な過電流を除去することによってD MOSFETが過熱から守られる。
【0033】
このように、保護回路100は、有利には、短絡回路電流イベントの重大度が増加するにつれて、D MOSFET 104に対してより迅速な保護を提供する傾向がある、フィードバックメカニズムを提供する。したがって、短絡回路電流のレベルが高いほど、バイメタルスイッチ102はより迅速にD MOSFET 104への電流をカットオフし、それによってD MOSFETを過熱による損傷から保護することができる。このフィードバックは、過電圧/過電流状態からD MOSFET 104によって発生する高熱が、バイメタルスイッチ102をより迅速に開放させることによって発生し、それによって、更なる電流がD MOSFETを通過するのを防止し、この自己発熱を除去し、最終的には下流の追加の回路素子108を保護する。
【0034】
図2図3、および図4はそれぞれ、例示的実施形態による、継続的な電流テストの結果を示すのに使用される、保護回路200、300、および400の例示である。例示的実施形態では、バイメタルスイッチは、KSD-01温度スイッチサーモスタット(60℃および2A 250Vの動作電流で始動)であり、D MOSFETは、IXTH16N50D2デプレッションモードMOSFET(VDSX=500V、ID(on)=16A、RDS(on)=300mΩ)であり、抵抗器206は0Ω抵抗器である。図2では、バイメタルスイッチ202は、MOSFETに結合されていない独立型デバイスである。図3では、バイメタルスイッチ302は、D MOSFET 304および抵抗器306に接続され、回路素子は図1の保護回路100の場合と同様に配置される。図4では、バイメタルスイッチ402(KSD-01F)は、ねじ412およびボルト(見えていない)を用いて、背中合わせの形でD MOSFET 404(TO247パッケージ)に固定される。一実施形態では、バイメタルスイッチ402およびD MOSFET 404は、熱伝導性エポキシ接着剤(図示なし)を使用して、互いに更に熱的に連結される。別の実施形態では、バイメタルスイッチ402およびD MOSFET 404は、伝導性エポキシゲルを使用して、互いに更に熱的に連結される。更に、バイメタルスイッチ402およびD MOSFET 404は、ワイヤ406、408、および410を介して、互いに、また回路の他の部分に対して電気的に接続される。KSD-01Fバイメタルスイッチは、バイメタルディスクと、デバイスの2つの脚部を接続する金属ブリッジと、金属ブリッジ接点と、ヒートシンクによって隔離されたプラスチックケースとから成る。バイメタルディスクは特定の温度で屈曲し、それによって金属ブリッジが脚部を接続または切断して、回路を閉鎖または開放する。
【0035】
図2および図3では、それぞれの矢印204および322が電流フローの方向を示している。独立型バイメタルスイッチ202を特徴とする回路200では、スイッチが閉鎖されている間、電流204はノード206からノード208へと流れる。バイメタルスイッチ202が開放されると、電流は流れない。バイメタルスイッチ302、D MOSFET 304、および抵抗器306を特徴とする回路300では、電流322は、ノード308から、閉鎖されたバイメタルスイッチ302を通り、D MOSFET 304のノード314からノード316(ドレインからソース)へ、抵抗器306のノード318からノード320へ、最終的にノード310まで流れる。抵抗器306がD MOSFET 304のソースとゲートとの間で接続されているので、電流322が流れる際の抵抗器306の両端間の電圧は、D MOSFETのゲート・ソース間電圧VGSと同じである。したがって、ノード314および316(グレー)の間の電圧は、D MOSFET 304のドレイン・ソース間電圧VDSであり、ノード318および320(白)の間の電圧は、ゲート・ソース間電圧VGSである。
【0036】
回路300はまた、バイメタルスイッチ302、D MOSFET 304、および抵抗器306から成る独立型デバイス300であってもよい。このように、過電流保護デバイス300が、過電流保護を必要とする任意の回路に追加されてもよい。
【0037】
過電流テスト電流を実施して、3セットの条件下におけるバイメタルスイッチのトリップ時間を評価した。
・印加電流(飽和電流Isat未満)の100%(2A)、200%(4A)、300%(6A)、400%(8A)、500%(10A)、600%(12A)、700%(14A)、800%(16A)、1000%(20A)、および1200%(24A)のテスト電流と、独立型デバイスとしてのバイメタルスイッチ202(図2
・印加電流(飽和電流Isat未満)の100%(2A)、200%(4A)、300%(6A)、400%(8A)、500%(10A)、600%(12A)、700%(14A)、800%(16A)、1000%(20A)、および1200%(24A)のテスト電流と、D MOSFET 204に接続されたバイメタルスイッチ202(図3
・印加電流(飽和電流Isat未満)の100%(2A)、200%(4A)、300%(6A)、400%(8A)、500%(10A)、600%(12A)、700%(14A)、800%(16A)、1000%(20A)、および1200%(24A)のテスト電流と、ねじおよびボルトを使用してD MOSFET 204に熱的に連結されたバイメタルスイッチ202(図4
【0038】
これらのテストで使用したバイメタルスイッチ、KSD-01温度スイッチサーモスタットは、2A(250V時)の動作電流を有するので、2Aの入力がその動作電流の100%を表す。したがって、これらのテストは、様々な動作条件におけるバイメタルスイッチのトリップ時間を測定するために実施される。したがって、2Aでの最初のテストを例外として、デバイスはその正規化された電流定格の倍数でテストされ、最も極端なテストはデバイスの電流定格の12倍(24A)で行われる。
【0039】
図5は、例示的実施形態による、10Vのソースが8Aの電流(スイッチの電流定格の400%)を回路200に供給する、図2の独立型バイメタルスイッチ202の応答波形500である。バイメタルスイッチ202を通って流れる電流はデバイスの正規化された電流定格の4倍で定格化されているが、デバイスのトリップ点502に達するのに依然として48秒かかっている。4倍の正規化された電流下でバイメタルスイッチのトリップまでの時間が長いと、下流のコンポーネントに対して非常に高い応力がかかって、障害の確率が増加するので、これは理想的ではない。
【0040】
図6は、例示的実施形態による、10Vのソースが6A(スイッチの電流定格の300%)を回路300に供給する、図3のD MOSFET 304に接続されたバイメタルスイッチ302の応答波形600である。波形600に示されるように、10V 6Aの過電流条件を保護回路300(図3)に適用して、その応答を測定した。D MOSFET 304を通る電流(I)(C2)およびバイメタルスイッチ302とD MOSFET 304との間の電圧(VDS)(C3)をモニタし、時間プロットに対してキャプチャした。これらのスケールを波形600の下部にマークした。トリップ点602は、バイメタルスイッチ302が切断を開始した点である。
【0041】
図7は、例示的実施形態による、10Vのソースが12A(スイッチの電流定格の600%)を回路300に供給する、図3のD MOSFET 304に接続されたバイメタルスイッチ302の応答波形700である。この例では、抵抗306は0Ωである。波形700に示されるように、10V 12Aの過電流条件を保護回路300(図3)に適用して、その応答を測定した。トリップ点702で、D MOSFET 304から流れる電流Iが12Aから0Aに急速に降下し、一方でMOSFETの両端間の電圧VDSが10Vから0Vに降下している。トリップ点702の直前に、MOSFET 304は、約4.27V×12A=54.24Wの電力を放散している(以下の図7の表700を参照)。600%の12A定格電流がD MOSFET 304の熱放散をもたらし、それによってMOSFETパッケージングの温度が上昇し、60℃でバイメタルスイッチ202の切断レベルに達した。グラフ700(図7)に示される例では、バイメタルスイッチ202のトリップ点702に達するのに約3.7秒かかった。したがって、例示的実施形態では、これらの波形によって示されるように、過電流イベントをカットオフする応答時間は、過電流の大きさだけではなく、D MOSFET 304によって引き起こされる固有の熱放散にも依存する。
【0042】
図8は、いくつかの実施形態による、過電流テスト電流動作の結果を示す表800を含む。図示されるように、D MOSFET 304が存在する条件および存在しない条件で、異なる電流を用いて更なるテストを実施した。これらの例では、IXTH16N50D2 D MOSFETおよび60℃で始動するバイメタルスイッチを、飽和電流Isat未満の定格電流を用いてテストした。
【0043】
表800は、異なる電流およびバイメタルスイッチのトリップ応答を用いたテストの概要を提供する。表800の上側は、8つの電流条件(6A、8A、10A、12A、14A、16A、20A、および24A)における、D MOSFET 304に接続されたバイメタルスイッチ302(図3)のトリップまでの時間情報を提供し、表800の下側は、同じ8つの電流条件における、D MOSFETに接続されていないバイメタルスイッチ202(図2)のトリップまでの時間情報を提供する。表800は、独立型バイメタルスイッチ202(図2)のトリップまでの時間が(12Aの電流で)8秒であることを示している。同じ12Aを、バイメタルスイッチ回路と組み合わされたD MOSFET(図3)に適用すると、トリップまでの時間はわずか3.7秒まで短くなる。したがって、例示的実施形態では、トリップまでの時間は、D MOSFET+バイメタルスイッチの場合、3倍から6倍の電流範囲で大幅に高速化/改善される。
【0044】
表800はまた、バイメタルスイッチが、2A(100%)または4A(200%)の印加電流ではトリップしないことを示している。代わりに、6Aの電流で、バイメタルスイッチを熱的に活性化させるのに十分なエネルギーがあるという事実により、バイメタルスイッチは6A(300%)でトリップし始める。
【0045】
これらの実験は、例示的実施形態では、D MOSFETの存在によってバイメタルスイッチのトリップが全ての電流比において加速することを示している。抵抗Rは、定常状態でD MOSFETを通過する最大許容電流を決定し、それは飽和電流Isatである。例示的な一実施形態では、0Ω抵抗器の使用によって、R=0.1Ωの抵抗器を使用した場合と比較して、高いIsat値が可能になる。抵抗器306がゼロのとき、MOSFET 304のVGSもゼロである。しかしながら、抵抗をわずかに増加させることによって(例えば、R=0.1Ω)、MOSFET 304のゲート・ソース間電圧VGSがわずかに負となり、D MOSFETを通って流れる電流をピンチオフし制限し始める。
【0046】
抵抗Rを増加させることによって、飽和電流Isatおよびゲート・ソース間電圧(VGS)の両方が変化するので、D MOSFETの両端間の電力が変動し、より多くの熱放散をD MOSFETに提供することができる。例示的実施形態では、これらの考慮点によって、異なる定格の回路遮断器と連携する異なるバイメタルスイッチの選択が容易になる。
【0047】
図9は、1)MOSFETを有さないバイメタルスイッチ(図2)、および2)MOSFETを有するバイメタルスイッチ(図3)の、両方のタイプの保護回路の改善されたトリップ応答時間を示す、グラフ900を示している。グラフ900は、バイメタルスイッチに関して、秒単位のトリップ時間(y軸)対アンペア単位の電流(x軸)を示している。濃い色の円は、独立型バイメタルスイッチ(例えば、図2)のトリップ時間を示し、薄い色の円は、D MOSFETを加えたバイメタルスイッチ(例えば、図3)のトリップ時間を示している。バイメタルスイッチがD MOSFETと組み合わされると、トリップ時間が、グラフ900の右側から左側に、また上側から下側により近くなるようにシフトする(トリップ時間が短くなることを意味する)が、これはバイメタルスイッチのトリップ時間の安全動作曲線内である。したがって、D MOSFETをバイメタルスイッチに追加することで、トリップまでの時間全体が向上し、下流の電子部品に対してはるかに高速の保護が提供される。
【0048】
D MOSFETによって提供される利益はグラフ900において明白である。例えば、濃い色の円902によって与えられる、8Aでの独立型バイメタルスイッチのトリップまでの時間は約57秒であるが、薄い色の円904によって与えられる、同じ電流でのD MOSFETを加えたバイメタルスイッチのトリップまでの時間は約8秒である。同様に、濃い色の円906によって与えられる、10Aでの独立型バイメタルスイッチのトリップまでの時間は約19秒であるが、組み合わせ回路(薄い色の円908)のトリップまでの時間は約6秒である。より高電流の場合のみ、独立型バイメタルスイッチは組み合わせ回路と比べて遜色なく、スイッチの電流定格をはるかに上回っているため、これは理にかなっている。したがって、グラフ900は、ともに働いて過電流状態から保護する、バイメタルスイッチおよびD MOSFETの両方から成る組み合わせ回路を有することの利益を示している。
【0049】
図2の保護回路200に戻ると、回路は、例示的実施形態による、サージテストが行われている独立型バイメタルスイッチ202を含む。テストは、1.2/50マイクロ秒のサージ電流、および2Ωで500Vのピーク電圧で実行される。図3は、対照的に、バイメタルスイッチ302がD MOSFET 304のドレインに接続され、抵抗器306がMOSFETのソースとゲートとの間に接続された、回路300を示している。この回路300の1つの変形例は抵抗器を含まないものであろう。やはり、テストは、1.2/50マイクロ秒のサージ電流、および2Ωで500Vのピーク電圧で実行される。両方の回路200および300において、バイメタルスイッチは、KSD-01温度スイッチサーモスタットであり、回路300では、D MOSFET 304は、IXTH16N50D2デプレッションモードMOSFET(VDSX=500V、ID(on)=16A、RDS(on)=300mΩ)である。
【0050】
図10は、いくつかの実施形態による、図2の回路200などの独立型回路における、バイメタルスイッチのサージ応答を示す応答波形1000を含む。ピーク電圧500Vおよび2Ωを仮想インピーダンスとして用いて、1.2/50マイクロ秒のサージ波形がある。波形1000に示されるように、バイメタルスイッチを通るサージ電流(C2)は230.7Aのピーク応答を有する。電圧波形を変換するため、ピーク電圧は230.7A×2Ω=461.4Vである。バイメタルスイッチの両端間の電圧(C1)は、入ってくるサージによって何らかのわずかな上昇があるが、10Vでほぼ一定のままである。しかしながら、サージはバイメタルスイッチを始動させて開放しない。したがって、いくつかの実施形態では、スイッチはこのサージ状態では始動しない。
【0051】
図11は、いくつかの実施形態による、図3の回路300など、組み合わされたD MOSFETおよびバイメタルスイッチを特徴とする回路のサージ応答を示す応答波形1100を含む。波形900に示されるように、入ってくるサージの条件が同じであれば、D MOSFETおよびバイメタルスイッチの組み合わせを通過する電流はクランプされて低下し(C2)、約40マイクロ秒で約21.8Aのピーク電流で「飽和」したままである。D MOSFETは、サージ時に非常に迅速にクランプし、結果として得られる出力を非常に低電流の出力とする。これは、独立型バイメタルスイッチを用いた上述のサージテスト(図10)とは対照的である。
【0052】
したがって、例示的実施形態では、バイメタル熱スイッチを有するD MOSFETを展開した場合、スイッチの始動時間は、同じ印加過電流で独立型を始動するよりもはるかに高速である。更に、結果として得られるサージ電流は、下流の回路素子を保護するように、はるかに低い安全レベルである。
【0053】
D MOSFETにバイメタルスイッチを加えたものは、例示的実施形態では、回路内で互いに緊密に働いて、相互の保護を提供することができる。持続的な過電流保護イベント下において、D MOSFETは熱くなり、指定の始動温度でスイッチを始動させ、開電流を生成し、それが、過電流が回路の下流のコンポーネントを通過するのを防止するとともに、D MOSFETを過熱から保護する。スイッチは、そのケースがリセットレベルまで冷めると、その一時的に変形した位置から正常の位置にリセットされて戻る。
【0054】
更に、いくつかの実施形態では、本明細書に記載する組み合わせ回路は、手動でリセットされる回路遮断器の一部になってもよい。これらのタイプの回路遮断器は、バイメタルストリップを有することが知られているが、ストリップがトリップされて開回路がもたらされると、回路遮断器は人間が介在しないとリセットすることができない。本明細書に開示するバイメタルストリップにD MOSFETを加えたものは、かかる回路遮断器の好適な代替物であってもよく、リセットするために人間が介在する必要性を排除してもよい。両方のデバイス(バイメタルスイッチおよびD MOSFET)は、この方式で接続した場合、自己保護および自己リセット可能な特徴をともに有する。
【0055】
上述のバイメタルスイッチの例に加えて、本明細書に記載する原理は、バイメタルスイッチを内部に有する、他のタイプの熱スイッチ、小型回路遮断器、およびリレータイプの回路遮断器に同様に適用されてもよく、これらのデバイスが自己リセットまたは手動リセットどちらかの機能を含むか否かは問わない。
【0056】
上述のテスト結果から、D MOSFETは、バイメタルスイッチのトリップを加速する追加の加熱効果を提供する。バイメタルスイッチは、いくつかの実施形態では、D MOSFETが存在する場合、100%、200%、および400%などの全ての過電流レベルで、より高速でトリップできることが示されている。したがって、バイメタルスイッチおよびD MOSFETは、互いに非常に緊密に働き、互いに対して相互の保護を提供する。
【0057】
例示的実施形態では、上述の波形は、バイメタルスイッチをD MOSFETの前に置くとともに、(図4に示されるように)スイッチをD MOSFETパッケージの上に置いて組み合わせることで、過電流イベントに対して保護する2つのデバイスの相互の利益がもたらされることを示している。D MOSFETは、MOSFETのゲート・ソース間端子にバイアス抵抗器(例えば、図3の抵抗器306)を有する(または有さない)、電流制限器として作用する。D MOSFETが長期間の電流制限イベントを有する場合、その本体(パッケージング)から発生した熱がバイメタルスイッチを加熱して、スイッチを開放させ、D MOSFETを過熱から保護する(長期電流I>Isat)。例示的実施形態では、回路は、温度がバイメタルスイッチの復旧レベルまで降下すると、リセットして正常に戻る。例示的実施形態では、D MOSFETはまた、外部サージを保護されるべき回路にクランプする、サージ電流制限器として作用する。
【0058】
本明細書で使用するとき、単数形で記述され、単語「a」もしくは「an」が前に付けられた要素または段階は、複数の要素または段階を除外することが明示的に記述されていない限り、そのような除外はしないものと理解されるべきである。更に、本開示の「一実施形態」の参照は、記述された特徴をやはり組み込む追加の実施形態が存在することを除外するものと解釈されることを意図しない。
【0059】
本開示は特定の実施形態を参照しているが、添付の特許請求の範囲において定義されるような、本開示の領域および範囲から逸脱することなく、記載した実施形態に対する多数の修正、改変、および変更が可能である。したがって、本開示は、記載した実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲およびその等価物の文言によって定義される全範囲を有するものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】