(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047592
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20220317BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20220317BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/37
A61Q11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153453
(22)【出願日】2020-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高下 典浩
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AB032
4C083AB171
4C083AB242
4C083AB271
4C083AB272
4C083AB321
4C083AB331
4C083AB472
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC271
4C083AC301
4C083AC422
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC712
4C083AC791
4C083AC862
4C083AD042
4C083AD222
4C083AD271
4C083AD272
4C083AD531
4C083BB01
4C083CC41
4C083DD22
4C083EE38
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、カリウム塩の苦みが抑制された口腔用組成物、特にカリウム塩を多量に配合した場合でも、使用感が良好な口腔用組成物を提供することである。
【解決手段】本発明は、(A)カリウム塩、及び(B)脂肪酸グリセリドを含有し、(A)成分の含有量が、カリウムイオンの量として0.3~4質量%である、口腔用組成物を提供する。(A)成分は、硝酸カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム、ソルビン酸カリウム、及びグリチルリチン酸ジカリウムからなる群より選ばれるカリウム塩を少なくとも含むことが好ましい。(B)成分は、炭素原子数8~10の脂肪酸グリセリドを少なくとも含むことが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カリウム塩、及び
(B)脂肪酸グリセリド
を含有し、
(A)成分の含有量が、カリウムイオンの量として0.3~4質量%である、
口腔用組成物。
【請求項2】
(A)成分が、硝酸カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム、ソルビン酸カリウム、及びグリチルリチン酸ジカリウムからなる群より選ばれるカリウム塩を少なくとも含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
(B)成分が、炭素原子数8~10の脂肪酸グリセリドを少なくとも含む、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
(B)成分が、植物油脂を少なくとも含む、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項5】
(B)成分の含有量が0.05~0.5質量%である請求項1~4のいずれか1項に記載の口腔用組成物
【請求項6】
(B)成分の含有量の(A)成分のカリウムイオンとしての含有量に対する比率((B)/(A))が0.01~1.5である請求項1~5のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項7】
(C)両性界面活性剤を更に含有する請求項1~6のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項8】
(D)カルボキシメチルセルロースを更に含有する請求項1~7のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項9】
(E)無水ケイ酸及び炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1つを含む研磨剤を更に含有する請求項1~8のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項10】
アルキル硫酸塩の含有量が0.3質量%以下である請求項1~9のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項11】
歯磨剤である、請求項1~10に記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
象牙質知覚過敏は、歯根部の象牙質が歯肉の退縮により露出し、露出した象牙質の表面に存在する象牙細管に外来刺激(比較的強い甘味や酸味、温熱、低温、圧力)が加わると、刺激が象牙細管を介して歯髄神経に伝わり、痛みとして感じる症状である。象牙質知覚過敏を患っていると、その痛覚を避けようとして十分な歯のブラッシング行為が阻害されてプラーク除去が不十分となる。その結果、う蝕、歯周疾患、歯石沈着、口臭などの様々なトラブルが引き起こされる。また、熱い食品あるいは冷たい食品の摂取が制約され、食生活にも少なからず悪影響を及ぼす。従って、象牙質知覚過敏を日々のオーラルケアの中で改善・予防していくことは、口腔の保健を維持していく上で重要である。
【0003】
象牙質知覚過敏の緩和・予防手段として、歯髄に存在する神経を鈍麻して象牙質知覚過敏を緩和・予防する技術があり、例えば、硝酸カリウム、クエン酸カリウム等のカリウム塩を配合した口腔用製剤とすることが知られている。カリウムイオンには、歯髄神経を鈍麻する作用があり、カリウムイオンが歯髄まで達し象牙質知覚過敏が緩和される(例えば、特許文献1及び2)。
【0004】
また、脂肪酸トリグリセリドは、炭酸カルシウムとミョウバン併用により生じる歯磨剤の液分離を抑制しうることが、特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2013-500338号公報
【特許文献2】特開2019-182788号公報
【特許文献3】特開2017-39676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、カリウム塩は苦味を有するため、使用性の点で改善が望まれていた。特に、カリウム塩を多く配合すれば知覚過敏予防効果も向上するが、一方で苦味が強くなり耐えがたいレベルになるため、配合量は制限せざるを得ない現状である。
【0007】
本発明の目的は、カリウム塩の苦みが抑制された口腔用組成物、特にカリウム塩を多量に配合した場合でも使用感が良好な口腔用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、カリウム塩の含有量を所定の範囲内とし、かつ、脂肪酸グリセリドを配合すると、すすぎ時に歯がしみず、しかも歯の苦味が抑制されることを見出した。本発明は、斯かる知見に基づくものである。
【0009】
本発明者らは下記の〔1〕~〔11〕を提供する。
〔1〕(A)カリウム塩、及び
(B)脂肪酸グリセリド
を含有し、
(A)成分の含有量が、カリウムイオンの量として0.3~4質量%である、
口腔用組成物。
〔2〕(A)成分が、硝酸カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム、ソルビン酸カリウム、及びグリチルリチン酸ジカリウムからなる群より選ばれるカリウム塩を少なくとも含む、〔1〕に記載の口腔用組成物。
〔3〕(B)成分が、炭素原子数8~10の脂肪酸グリセリドを少なくとも含む、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
〔4〕(B)成分が、植物油脂を少なくとも含む、〔1〕又は〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔5〕(B)成分の含有量が0.05~0.5質量%である〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の口腔用組成物
〔6〕(B)成分の含有量の(A)成分のカリウムイオンとしての含有量に対する比率((B)/(A))が0.01~1である〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
〔7〕(C)両性界面活性剤を更に含有する〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
〔8〕(D)カルボキシメチルセルロースを更に含有する〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
〔9〕(E)無水ケイ酸及び炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1つを含む研磨剤を更に含有する請求項〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
〔10〕アルキル硫酸塩の含有量が0.3質量%以下である〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
〔11〕歯磨剤である、〔1〕~〔10〕に記載の口腔用組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明の口腔用組成物は、カリウム塩の苦味が抑制され、ブラッシング時、すすぎ時の不快感が抑制され得るので、カリウム塩の知覚過敏抑制作用を十分発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。なお、本明細書において、各成分の含有量は、組成物を製造する際の各成分の仕込み量を基準とするものである。
【0012】
〔組成〕
組成物は、(A)及び(B)成分を含み、(C)及び/又は(D)成分を更に含むことが好ましい。また、(E)成分を更に含んでもよい。
【0013】
〔(A):カリウム塩〕
(A)成分は、カリウム塩である。(A)成分を含有することにより、知覚過敏抑制効果を得ることができる。
【0014】
-カリウム塩の例-
カリウム塩としては、塩化カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、塩化カリウム、水酸化カリウム等の無機カリウム塩;ヒドロキシ酸のカリウム塩、グリチルリチン酸のカリウム塩、二塩基酸のカリウム塩(例えば、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム、ソルビン酸カリウム、酒石酸カリウム、コハク酸カリウム、リンゴ酸カリウム、グリコール酸カリウム)等の有機カリウム塩が挙げられる。これらのうち、硝酸カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム、ソルビン酸カリウム、及びグリチルリチン酸ジカリウムが好ましい。
【0015】
(A)成分は、カリウム塩1種単独でも、2種以上の組み合わせでもよい。
【0016】
-(A)成分の含有量-
(A)成分の含有量は、組成物全量に対し、カリウムイオン量として0.3質量%以上が好ましく、0.6質量%以上がより好ましい。これにより、良好な知覚過敏予防効果を得ることができる。上限は、4質量%以下が好ましく、3.5質量%以下がより好ましい。これにより、苦みの発生を抑制できる。(A)成分の含有量は、組成物全量に対しカリウムイオン量として0.3~4質量%が好ましく、0.6~3.5質量%がより好ましい。
【0017】
〔(B)脂肪酸グリセリド〕
(B)成分は、脂肪酸グリセリドである。(B)成分を含むことにより、(A)成分による苦味の発生を抑制できる。
【0018】
-脂肪酸グリセリドの例-
脂肪酸グリセリドは、脂肪酸とグリセリドのエステルであり、脂肪酸は特に限定されない。脂肪酸は、直鎖、分岐鎖、環状のいずれでもよく、飽和及び不飽和のいずれでもよい。脂肪酸の炭素原子数は、通常4~22、好ましくは6~20、より好ましくは6~18、より好ましくは8~18である。脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸が挙げられる。エステルは、モノ、ジ、トリエステルのいずれでもよいが、好ましくはトリエステルである。ジエステル又はトリエステルの場合、それぞれを構成する脂肪酸は同一でも異なってもよい。脂肪酸グリセリドは、カプリル酸及び/又はカプリン酸のトリグリセリドがとりわけ好ましい。
【0019】
-油脂の例-
脂肪酸グリセリドは、油脂でもよい。油脂は、少なくとも一種の脂肪酸グリセリドを含めばよく、30℃で液状である植物油脂が好ましい。具体的には、脂肪酸残基の炭素数が6~20、好ましくは8~18である脂肪酸グリセリドを主成分(含有量70質量%以上)とする植物油脂、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、やし油、パーム核油、ごま油、米油、オリーブ油、しそ油、べにばな油等の植物油脂が挙げられる。
【0020】
(B)成分は、前記脂肪酸グリセリドの1種単独でも2種以上の組み合わせでもよい。
【0021】
-(B)成分の含有量-
(B)成分の含有量は、組成物全量に対し0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。これにより、良好な苦み抑制効果を得ることができる。上限は、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましい。これにより、さっぱり感の低下を抑制できる。(B)成分の含有量は、組成物全量に対し0.05~0.5質量%が好ましく、0.1~0.3質量%がより好ましい。
【0022】
-(B)/(A)-
(B)成分の含有量の、(A)成分のカリウムイオンの含有量に対する比率((B)/(A)のカリウムイオン、質量比)は、0.01以上が好ましく、0.015以上がより好ましく、0.02以上が更に好ましい。これにより、苦み抑制効果を得ることができる。上限は、1.5以下が好ましく、1以下がより好ましく、0.6以下が更に好ましい。これにより、親油性を適度な範囲に調整できるのでカリウムイオンの溶出が抑制され、知覚過敏抑制効果を良好に保持できる。(B)/(A)のカリウムイオンは、質量比で0.01~1.5が好ましく、0.015~1がより好ましく、0.02~0.6が特に好ましい。
【0023】
〔(C)両性界面活性剤〕
(C)成分は、両性界面活性剤である。(C)成分を含むことにより、泡立ちの向上効果を得ることができる。
【0024】
-両性界面活性剤の例-
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン(例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(例えば、コカミドプロピルベタイン)等の酢酸ベタイン型両性界面活性剤;N-脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩(例えば、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン)、ヤシ油脂肪酸イミダゾリウムベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタインが挙げられる。これらのうち、酢酸ベタイン型両性界面活性剤が好ましく、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインがより好ましく、コカミドプロピルベタインがより好ましい。
【0025】
(C)成分は、両性界面活性剤1種単独でも2種以上の組み合わせでもよい。
【0026】
-(C)成分の含有量-
(C)成分の含有量は、組成物全量に対し1.0質量%以上が好ましく、1.5質量%以上がより好ましい。これにより、良好な泡立ち効果を得ることができる。上限は、3.0質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましい。これにより、苦みを抑制できる。(B)成分の含有量は、組成物全量に対し1.0~3.0質量%が好ましく、1.5~2.5質量%がより好ましい。
【0027】
〔(D)カルボキシメチルセルロース〕
(D)成分は、カルボキシメチルセルロースである。(D)成分を含有することにより、液分離を抑制し製剤安定性を向上できる。カルボキシメチルセルロースは、塩の形態(例えば、ナトリウム塩)でもよい。
【0028】
-(D)成分の含有量-
(D)成分の含有量は、組成物全量に対し0.4質量%以上が好ましく、0.6質量%以上がより好ましい。これにより、良好な液分離抑制効果を得ることができる。上限は、1.6質量%以下が好ましく、1.4質量%以下がより好ましい。これにより、さっぱり感を保持できる。(D)成分の含有量は、組成物全量に対し0.4~1.6質量%が好ましく、0.6~1.4質量%がより好ましい。
【0029】
〔(E)研磨剤〕
(E)成分は、研磨剤である。(E)成分を含有することにより、汚れ落とし効果が発揮され、さっぱり感を付与できる。
【0030】
-研磨剤の例-
研磨剤としては、例えば、第2リン酸カルシウム・2水和塩又は無水和物、第1リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、不溶性メタリン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、第4リン酸カルシウム、第8リン酸カルシウム等のリン酸カルシウム系化合物;無水ケイ酸、ゼオライト、沈降性シリカ、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、チタン結合性シリカ、シリカゲル等のシリカ系研磨剤;炭酸カルシウム(軽質、重質)等の炭酸カルシウム系研磨剤;水酸化アルミニウム、アルミナ等のアルミニウム系研磨剤;炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム等のマグネシウム系研磨剤;ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、カルシウム欠損アパタイト等のアパタイト系研磨剤;水酸化カルシウム;硫酸カルシウム、ベントナイト;二酸化チタン;結晶性ジルコニウムシリケート;ポリメチルメタアクリレート;合成樹脂系研磨剤が挙げられる。これらのうち、シリカ系研磨剤、炭酸カルシウム系研磨剤が好ましく、無水ケイ酸、炭酸カルシウムがより好ましい。シリカ研磨剤は、RDA(Radioactive Dentin Abrasion、放射性象牙質研磨力)が50~250の範囲であるものを使用することが好ましい。RDAは、Hefferrenの方法(Hefferren(1976)Journal of Dental Research、July-August,563-573)に従って測定でき、実施例に示す数値もこの方法による測定値である。
【0031】
(E)成分は、研磨剤1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよいが、少なくともシリカ系研磨剤及び炭酸カルシウム系研磨剤から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、無水ケイ酸及び炭酸カルシウムから選ばれる1種以上を含むことがより好ましい。
【0032】
-(E)成分の含有量-
(E)成分の含有量は、組成物全量に対し通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上である。これにより、汚れ落とし効果によるさっぱり感が良好となる。上限は、通常70質量%以下、好ましくは60質量%以下である。これにより、添加量に見合った効果を得ることができる。従って、(E)成分の含有量は、通常5~70質量%、好ましくは10~60質量%である。
【0033】
〔任意成分〕
口腔用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)~(E)成分以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、粘結剤、界面活性剤、湿潤剤、甘味剤、香料、pH調整剤、防腐剤、薬効成分、発泡剤、着色剤(色素)、溶剤等の口腔用組成物に配合され得る成分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
-粘結剤-
粘結剤としては、例えば、(C)成分以外のセルロース系粘結剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カチオン化セルロース)、カラギーナン、キサンタンガム、グアガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム、モンモリロナイト、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール)、アルギン酸プロピレングリコール等の有機粘結剤;無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム等の無機粘結剤が挙げられる。粘結剤の含有量は、組成物全体の0.1~10質量%が好ましく、1.4~8質量%がより好ましい。
【0035】
-界面活性剤-
(C)成分以外の界面活性剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。
【0036】
アニオン界面活性剤としては、例えば、アシルアミノ酸塩、アシルタウリン塩、α-オレフィンスルホン酸塩、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸塩、ラウリルスルホ酢酸塩が挙げられる。アシル基を有する場合、アシル基は直鎖及び分岐鎖のいずれでもよく、飽和及び不飽和のいずれでもよく、その炭素原子数は通常10~20である。塩は、薬理学的に許容される塩から選択され得る。薬理学的に許容される塩としては、塩基付加塩及びアミノ酸塩が挙げられる。具体的には例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩;トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基塩;アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩が挙げられる。中でも、無機塩基塩が好ましく、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)又はアンモニウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
【0037】
アシルアミノ酸塩としては、例えば、ラウロイルサルコシン塩、ミリストイルサルコシン塩等のアシルサルコシン塩;ラウロイルグルタミン酸塩、ミリストイルグルタミン酸塩、パルミトイルグルタミン酸塩等のアシルグルタミン酸塩;、N-ラウロイル-N-メチルグリシン塩、ココイルグリシン塩等のアシルグリシン塩;N-ラウロイル-β-アラニン塩、N-ミリスチル-β-アラニン塩、N-ココイル-β-アラニン塩、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニン塩、N-ミリストイル-N-メチル-β-アラニン塩、N-メチル-N-アシルアラニン塩等のアシルアラニン塩;ラウロイルアスパラギン酸塩等のアシルアスパラギン酸塩が挙げられる。アシルタウリン塩としては、例えば、ラウロイルメチルタウリン塩、N-メチル-N-アシルタウリン塩、N-ココイルメチルタウリン塩が挙げられる。α-オレフィンスルホン酸塩としては、テトラデセンスルホン酸塩等の炭素原子数12~14のα-オレフィンスルホン酸塩が挙げられる。アニオン界面活性剤の他の例としては、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウムが挙げられる。
【0038】
-ノニオン界面活性剤-
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)、アルキロールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル(例、マルトース脂肪酸エステル)、糖アルコール脂肪酸エステル(例、マルチトール脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステル)、脂肪酸ジエタノールアミド(例、ラウリル酸モノ又はジエタノールアミド)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステルが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル鎖の炭素原子数は、通常、14~18であり、エチレンオキサイド平均付加モル数は、通常、15~30モルである。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド平均付加モル数は、通常20~100モル、好ましくは60~100モルである。ソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素原子数は、通常12~18である。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素原子数は、通常16~18であり、エチレンオキサイド平均付加モル数は、通常10~40モルである。アルキロールアミドのアルキル鎖の炭素原子数は、通常12~14である。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。
【0039】
-カチオン界面活性剤-
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウム塩が挙げられる。
【0040】
-界面活性剤の含有量-
(C)成分以外の界面活性剤の含有量は、通常、組成物全体の0.04~5質量%、好ましくは0.1~2.5質量%である。アニオン界面活性剤の上記以外の例としてアルキル硫酸塩(例えば、ラウリル硫酸塩、ミリストイル硫酸塩)が挙げられるが、組成物全体の0.3質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、含有しないことが更に好ましい。これにより、知覚過敏予防効果の向上、刺激性の低減効果が得やすくなる。
【0041】
-湿潤剤-
組成物が湿潤剤を含むことにより、使用感をより向上させることができる。湿潤剤としては、多価アルコールが好ましく、例えば、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール等の糖アルコール;グリセリン;プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール(例えば、分子量200~6000)等のグリコール;還元でんぷん糖化物が挙げられる。粘稠剤の含有量は、通常、5~50質量%、好ましくは20~45質量%である。
【0042】
-香料-
組成物が香料を含むことにより、使用感を向上させることができる。香料としては、例えば、ペパーミント油、スペアミント油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、クローブ油、タイム油、セージ油、カルダモン油、ローズマリー油、マジョラム油、レモン油、オレンジ油、ナツメグ油、ラベンダー油、パラクレス油、桂皮油、ピメント油、桂葉油、シソ油、冬緑油等の天然精油;メントール、カルボン、シンナミックアルデヒド、アネトール、1,8-シネオール、メチルサリシレート、オイゲノール、チモール、リナロール、リモネン、メントン、メンチルアセテート、シトラール、カンファー、ボルネオール、ピネン、スピラントール、n-デシルアルコール、シトロネロール、α-テルピネオール、シトロネリルアセテート、シネオール、エチルリナロール、ワニリン等の上記天然精油中に含まれる香料成分;エチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルアセテート、ヘキサナール、ヘキセナール、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、ベンズアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フラネオール、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、メンチルラクテート、エチレングリコール-l-メンチルカーボネート等の香料成分;及びいくつかの香料成分や天然精油を組み合わせてなるミント系、フルーツ系、ハーブ系等の各種調合フレーバーが挙げられる。香料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。香料の含有量は、組成物全量に対し、通常、0.00001~3質量%である。
【0043】
-甘味剤-
組成物が甘味剤を含むことにより、使用感をより向上させることができる。甘味剤としては、例えば、キシリトール、マルチトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、アスパルテーム、スクラロース、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ペリラルチン、グリチルリチン、ソーマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステルが挙げられる。
【0044】
-pH調整剤((A)成分以外)-
組成物がpH調整剤を含むことにより、製剤のpH安定性を確保できる。(A)成分以外のpH調整剤としては、例えば、フタル酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、リンゴ酸及び乳酸等の有機酸又はそれらの塩、塩酸、リン酸(オルトリン酸)等の無機酸(例えば、カリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物が挙げられる。無機酸塩としては、例えば、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムが挙げられる。pH調整剤の含有量は、通常、添加後の組成物のpHが5~9、好ましくは6~8.5になる量である。本明細書において、pH値は、通常、測定開始から25℃、3分後の値であり、東亜電波工業社製のpHメーター(型番Hm-30S)を用いて測定できる。
【0045】
-防腐剤-
組成物が防腐剤を含むことにより、製剤の防腐力を確保できる。防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル(例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル)、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。防腐剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
-薬用成分-
薬用成分としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、トリクロサン、チモール、ヒノキチオール、塩化リゾチーム等の殺菌又は抗菌剤;デキストラナーゼ、ムタナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リテックエンザイム等の酵素;フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ等のフッ化物;ε-アミノカプロン酸、アラントイン、トラネキサム酸、(A)成分以外のグリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アズレン、ジヒドロコレステロール等の抗炎症剤;亜鉛、銅塩、スズ塩等の金属塩;縮合リン酸塩、エタンヒドロキシジホスフォネート等の歯石予防剤;ビタミンE(例えば、酢酸トコフェロール)等の血流促進剤;硝酸カリウム、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム等の知覚過敏抑制剤;ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド等のコーティング剤;ビタミンC(例えば、アスコルビン酸)、塩化リゾチーム、塩化ナトリウム等の収斂剤;銅クロロフィル、グルコン酸銅等の水溶性銅化合物;ゼオライト等の歯石予防剤、アラニン、グリシン、プロリン等のアミノ酸類、タイム、オウゴン、チョウジ、ハマメリス等の植物エキス;カロペプタイド、ポリビニルピロリドンを挙げることができる。薬用成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記他の有効成分の含有量は、有効量を適宜設定できる。
【0047】
-溶剤-
溶剤としては、例えば、水、低級1価アルコール(例、エタノール)、これらの混合溶剤が挙げられる。溶剤の配合量は、組成物全量に対し、通常1~90質量%、好ましくは15~80質量%、より好ましくは20~60質量%である。混合溶剤の場合、低級一価アルコールの添加量は、通常組成物中1~30質量%、好ましくは1~20質量%である。
【0048】
-他の任意成分-
上記以外の任意成分の例としては、例えば、雲母チタン、酸化チタン、ベントナイト等の無機化合物;カルナバワックス、ロジン、ライスワックス、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、パラフィンワックス等のワックス類;セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ウレタン、シリコン、天然ゴムが挙げられる。これらの成分の含有量は、本発明の効果を妨げない範囲で適宜設定できる。
【0049】
〔組成物の形態・用途〕
組成物の剤形及び形状は特に制限されない。例えば、液体(溶液、乳液、懸濁液、シロップ等)、半固体(ゲル、クリーム、ペースト等)、固体(錠剤、粒子状剤、カプセル剤、フィルム剤、混練物、溶融固体、ロウ状固体、弾性固体、ソフトカプセル剤等)が挙げられる。好ましくは、液体、半固体である。
【0050】
組成物は、口腔用途で広く利用できる。固体の剤形の口腔用組成物としては、例えば、トローチ、グミ、ガム、歯磨粉が挙げられる。半固体の剤形の口腔用組成物としては、例えば、練歯磨剤、ジェル状歯磨剤が挙げられる。液体の剤形の口腔用組成物としては、例えば、洗口剤、液体歯磨剤、口中清涼剤(スプレー等)が挙げられる。これらのうち、有効性及び安定性の観点から、歯磨剤(練歯磨剤、ジェル状歯磨剤等)が好ましい。口腔用組成物の製造方法は特に限定されず、剤形に応じて、それぞれの通常の方法で調製され得る。
【実施例0051】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を好適に説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。なお、「%」は別途明示のない限り、「質量%」を意味する。
【0052】
実施例1~32、及び比較例1~3
表1~7に示す配合処方(表中の各成分の単位:質量%)に従って、下記調製方法により、歯磨剤組成物を調製した。用いた主な原料を以下に示す。表中のB/Aは、B成分量/A成分のカリウムイオン量の質量比である。
【0053】
〔原料〕
-(A)成分-
硝酸カリウム:大塚化学株式会社製「硝酸カリウム」
塩化カリウム:富田製薬株式会社製「塩化カリウム」
クエン酸三カリウム一水和物:サツマ化工株式会社製「クエン酸カリウム」
シュウ酸カリウム一水和物:米山化学工業株式会社製「シュウ酸カリウム」
炭酸カリウム:AGC株式会社製「炭酸カリウム(食品添加物)」
アルギン酸カリウム:株式会社キミカ製「キミカアルギンK-1」
ソルビン酸カリウム:株式会社内藤商店製「ソルビン酸カリウム」
【0054】
-(B)成分-
中鎖脂肪酸トリグリセリド:PT.Ecogreen Oleochemicals社製「Romulgin(登録商標) GTCC」
やし油:カネダ株式会社製「やし油」
パーム核油:カネダ株式会社製「パーム核油」
【0055】
-(C)成分-
コカミドプロピルベタイン:ソルベイ社製「MIRATAINE(登録商標) 50 OC」
【0056】
-(D)成分-
カルボキシメチルセルロース:Ashland社製「Blanose 9H4F」
【0057】
-任意成分-
カラギーナン:CP Kelco社製「GENUVISCO(登録商標) carrageenan type TPC-1」
増粘性シリカ:PQ Corporation社製「Sorbosil(登録商標) TC15」
研磨性シリカ:PQ Corporation社製「Sorbosil(登録商標) AC36」、RDA:100
【0058】
〔歯磨剤組成物の調製方法〕
精製水中に(A)成分、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、70%ソルビット液、グリセリン、サッカリンナトリウム、スクラロース、を常温で混合溶解させ、A相を調製した。一方、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール400の混合溶液中に(D)成分、カラギーナン、メチルパラベン、ブチルパラベンを常温で溶解又は分散させ、B相を調製した。次に、撹拌中のA相の中に無水ケイ酸(増粘性)、酸化チタンを分散させた後、B相を添加混合し、C相を調製した。最後に、C相中に、無水ケイ酸(研磨性)、イソプロピルメチルフェノールを溶解させた香料、中鎖脂肪酸トリグリセリド、(C)成分、ラウリル硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウムを、1.5Lニーダー(石山工作所製)を用い常温で混合し、4kPaまで減圧し脱泡を行い、歯磨剤組成物1000g(100質量部)を得た。各成分の含有量は、表1~5に示す通りとした。
【0059】
〔評価法〕
得られた歯磨剤組成物について、以下の評価を行った。
【0060】
〔評価方法-1:ブラッシング時の苦味の評価法〕
10名の被験者において、歯磨剤組成物を使用してブラッシング時の苦味についてアンケートを行い、下記評点基準に基づき評点(1~4点)をつけ平均値を算出した。算出した評点の平均値から下記評価基準に基づき、ブラッシング時の苦味について評価した。
なお、歯みがきは、各被験者において、歯磨剤組成物約1gを歯ブラシにとり、3分間ブラッシング後、口腔内を10℃の水ですすぐことにより実施した。
【0061】
-評点基準-
4点:苦味を感じなかった
3点:ほとんど苦味を感じなかった
2点:少し苦味を感じた
1点:かなり苦味を感じた
-評価基準-
◎:平均値3.5点以上
○:平均値3.0点以上3.5点未満
△:平均値2.0点以上3.0点未満
×:平均値2.0点未満
【0062】
〔評価方法-2:ブラッシング時の泡の量の評価法〕
10名の被験者において、歯磨剤組成物を使用してブラッシング時の泡の量についてアンケートを行い、下記評点基準に基づき評点(1~4点)をつけ平均値を算出した。算出した評点の平均値から下記評価基準に基づき、ブラッシング時の泡の量について評価した。
なお、歯みがきは、各被験者において、歯磨剤組成物約1gを歯ブラシにとり、3分間ブラッシング後、口腔内を10℃の水ですすぐことにより実施した。
【0063】
-評点基準-
4点:豊かな泡の量で満足できた
3点:十分な泡の量で満足できた
2点:泡の量がやや少なく、満足できなかった
1点:泡の量がかなり少なく、全く満足できなかった
-評価基準-
◎:平均値3.5点以上
○:平均値3.0点以上3.5点未満
△:平均値2.0点以上3.0点未満
×:平均値2.0点未満
【0064】
〔評価方法-3:ブラッシング後の刺激性の評価方法〕
10名の被験者において、歯磨剤組成物を使用してブラッシング後の刺激性についてアンケートを行い、下記評点基準に基づき評点(1~4点)をつけ平均値を算出した。算出した評点の平均値から下記評価基準に基づき、ブラッシング後の刺激性について評価した。
なお、歯みがきは、各被験者において、歯磨剤組成物約1gを歯ブラシにとり、3分間ブラッシング後、口腔内を10℃の水ですすぐことにより実施した。
【0065】
-評点基準-
4点:刺激を感じなかった
3点:ほとんど刺激を感じなかった
2点:少し刺激を感じた
1点:かなり刺激を感じた
-評価基準-
◎:平均値3.5点以上
○:平均値3.0点以上3.5点未満
△:平均値2.0点以上3.0点未満
×:平均値2.0点未満
【0066】
〔評価方法-4:すすぎ時の歯がしみる程度の評価法〕
10名の被験者において、歯磨剤組成物を使用してすすぎ時の歯がしみる程度についてアンケートを行い、下記評点基準に基づき評点(1~4点)をつけ平均値を算出した。算出した評点の平均値から下記評価基準に基づき、すすぎ時の歯がしみる程度について評価した。
なお、歯みがきは、各被験者において、歯磨剤組成物約1gを歯ブラシにとり、3分間ブラッシング後、口腔内を10℃の水ですすぐことにより実施した。
【0067】
-評点基準-
4点:歯がしみなかった
3点:ほとんど歯がしみなかった
2点:少し歯がしみた
1点:かなり歯がしみた
-評価基準-
◎:平均値3.5点以上
○:平均値3.0点以上3.5点未満
△:平均値2.0点以上3.0点未満
×:平均値2.0点未満
【0068】
〔評価方法-5:すすぎ後のさっぱり感の評価方法〕
10名の被験者において、歯磨剤組成物を使用してすすぎ後のさっぱり感についてアンケートを行い、下記評点基準に基づき評点(1~4点)をつけ平均値を算出した。算出した評点の平均値から下記評価基準に基づき、すすぎ後のさっぱり感について評価した。
なお、歯みがきは、各被験者において、歯磨剤組成物約1gを歯ブラシにとり、3分間ブラッシング後、口腔内を10℃の水ですすぐことにより実施した。
【0069】
-評点基準-
4点:とてもさっぱりした
3点:さっぱりした
2点:あまりさっぱりしなかった
1点:さっぱりしなかった
-評価基準-
◎:平均値3.5点以上
○:平均値3.0点以上3.5点未満
△:平均値2.0点以上3.0点未満
×:平均値2.0点未満
【0070】
〔評価方法-6:歯磨剤の液分離の評価方法〕
歯磨剤組成物を直径26mm、口部内径5mmのラミネートチューブに50g充填し、各歯磨剤3本を50℃で1ヶ月保存し、わら半紙上に歯磨剤組成物を10cm押出し、歯磨剤組成物からわら半紙に染み出た液の長さを測定し、下記評点基準に基づき評点(1~4点)をつけ平均値を算出した。算出した評点の平均値から下記評価基準に基づき、液分離の度合いについて評価した。
【0071】
-評点基準-
4点:液分離は全く観察されなかった
3点:押出した時、僅かに液分離が認められた
2点:押出した時、液分離が1~3cm認められた
1点:押出した時、液分離が3cmを超えて認められた
-評価基準-
◎:平均値3.5点以上
○:平均値3.0点以上3.5点未満
△:平均値2.0点以上3.0点未満
×:平均値2.0点未満
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
脂肪酸グリセリドを含むがカリウム塩を含まない比較例1では、歯磨き後のすすぎ時に歯のしみる感覚が生じ、また、脂肪酸グリセリドとカリウム塩を両方含むがカリウムイオン量が過剰である比較例2や、カリウム塩を含むが脂肪酸グリセリドを含まない比較例3では、ブラッシング時の苦味が強かった(表5)。これに対し、カリウム塩と、脂肪酸グリセリドを含む実施例1~32では、すすぎ時の歯のしみる感覚が解消し、ブラッシング時の苦味も抑制され、ブラッシング後の刺激性が低く、すすぎ後のさっぱり感も感じられた(表1~4、6)。中でも、コカミドプロピルベタインを含む実施例1~29及び31では、ブラッシング時の泡立ちが良好であり、カルボキシメチルセルロースを含む実施例26~29及び30では歯磨剤の液分離も解消されていた。
これらの結果は、本発明により、カリウム塩の苦味が抑制され、ブラッシング時、すすぎ時の不快感が抑制され得ることを示している。