(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047595
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/11582 20170101AFI20220317BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220317BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20220317BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20220317BHJP
H01L 27/11575 20170101ALN20220317BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L27/088 E
H01L27/088 D
H01L21/88 S
H01L27/11575
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153459
(22)【出願日】2020-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海野 航
(72)【発明者】
【氏名】西川 拓也
(72)【発明者】
【氏名】武木田 淳
(72)【発明者】
【氏名】中西 一浩
【テーマコード(参考)】
5F033
5F048
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F033HH19
5F033HH20
5F033JJ04
5F033JJ19
5F033KK04
5F033NN40
5F033QQ01
5F033RR04
5F033TT07
5F033VV01
5F033VV16
5F033XX32
5F048AA01
5F048AB01
5F048AC01
5F048BA01
5F048BD07
5F048BF15
5F048BF16
5F048CB01
5F048CB03
5F048CB04
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP76
5F083GA10
5F083GA13
5F083GA27
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA11
5F083LA21
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083MA20
5F083PR06
5F083ZA28
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
(57)【要約】
【課題】積層体の一部の領域に絶縁層を残しつつ、他の領域の絶縁層をより確実に導電層に置き換えること。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置1は、第1、第2の積層体LMa,LMbの各層の積層方向および積層方向と交差する第1の方向に延び、積層方向および第1の方向と交差する第2の方向における第2の積層体LMar,LMbrの両側で第2の積層体LMar,LMbrに接する1対の第1の板状部BRと、第1の方向に長手方向を有し、1対の第1の板状部BRを第2の方向の両側から挟む1対の第1の板状部BRから離れた位置で、第1の積層体LMa,LMb内を積層方向に延びる1対の第2の板状部LIと、1対の第1の板状部BRの一方と第2の方向に隣接する位置で第1の積層体LMa,LMb内を積層方向に延び、絶縁材料よりも紫外光の遮蔽効果が高い第1の材料を含む柱状部HRpと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の導電層が第1の絶縁層を介して積層される第1の積層体と、
複数の第2の絶縁層が前記第1の絶縁層を介して積層され、前記第1の積層体に周囲を囲まれた第2の積層体と、
前記第1、第2の積層体の各層の積層方向および前記積層方向と交差する第1の方向に延び、前記積層方向および前記第1の方向と交差する第2の方向における前記第2の積層体の両側で前記第2の積層体に接する1対の第1の板状部と、
前記第1の方向に長手方向を有し、前記1対の第1の板状部を前記第2の方向の両側から挟む前記1対の第1の板状部から離れた位置で、前記第1の積層体内を前記積層方向に延びる1対の第2の板状部と、
前記1対の第1の板状部とは前記第1の方向に離れた前記1対の第2の板状部の間の位置で、前記第1の積層体内を前記積層方向に延び、前記複数の第1の導電層の少なくとも一部との交差部にメモリセルがそれぞれ形成される第1の柱状部と、
前記1対の第1の板状部を前記第2の方向の両側から挟んだ前記1対の第2の板状部の間の位置で、前記第1の積層体内または前記第2の積層体内を前記積層方向に延び、絶縁材料を含む第2の柱状部と、
前記1対の第1の板状部の一方と前記第2の方向に隣接する位置で前記第1の積層体内を前記積層方向に延び、前記絶縁材料よりも紫外光の遮蔽効果が高い第1の材料を含む第3の柱状部と、を備える、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1の柱状部は、
前記積層方向に延びるチャネル層と、前記チャネル層の外周を前記積層方向に延びるメモリ層とを含み、
前記第3の柱状部は、
前記積層方向に延びる前記第1の材料と、前記第1の材料の外周を前記積層方向に延びる第2の材料とを含み、
前記第1の材料は前記チャネル層に含まれる材料と同じ材料であり、
前記第2の材料は前記メモリ層に含まれる材料と同じ材料である、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2の柱状部は前記1対の第2の板状部の一方と隣接して配置される、
請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
複数の第1の導電層が第1の絶縁層を介して積層される第1の積層体と、
複数の第2の絶縁層が前記第1の絶縁層を介して積層され、前記第1の積層体に周囲を囲まれた第2の積層体と、
前記第1、第2の積層体の各層の積層方向および前記積層方向と交差する第1の方向に延び、前記積層方向および前記第1の方向と交差する第2の方向における前記第2の積層体の両側で前記第2の積層体に接する1対の第1の板状部と、
前記第1の方向に長手方向を有し、前記1対の第1の板状部を前記第2の方向の両側から挟む前記1対の第1の板状部から離れた位置で、前記第1の積層体内を前記積層方向に延びる1対の第2の板状部と、
前記1対の第1の板状部とは前記第1の方向に離れた前記1対の第2の板状部の間の位置で、前記第1の積層体内を前記積層方向に延び、前記複数の第1の導電層の少なくとも一部との交差部にメモリセルがそれぞれ形成される第1の柱状部と、
前記1対の第1の板状部を前記第2の方向の両側から挟んだ前記1対の第2の板状部の間の位置で、前記第1の積層体内または前記第2の積層体内を前記積層方向に延び、前記第1の柱状部と構造が異なる第2の柱状部と、
前記1対の第1の板状部の一方と前記第2の方向に隣接する位置で前記第1の積層体内を前記積層方向に延び、前記第1の柱状部と同じ層構造を有する第3の柱状部と、を備える、
半導体記憶装置。
【請求項5】
複数の第1の導電層が第1の絶縁層を介して積層され、複数のメモリセルが配置される第1の領域を含む第1の積層体と、
前記第1の領域とは異なる第2の領域で、複数の第2の絶縁層が前記第1の絶縁層を介して積層され、前記第1の積層体に周囲を囲まれた第2の積層体と、
前記第1、第2の積層体の各層の積層方向および前記積層方向と交差する第1の方向に延び、前記積層方向および前記第1の方向と交差する第2の方向における前記第2の積層体の両側で前記第2の積層体に接する1対の第1の板状部と、
前記第1の方向を長手方向として前記第1の領域および前記第2の領域における前記第1の積層体内を前記積層方向に延び、前記第2の領域では前記1対の第1の板状部を前記第2の方向の両側から挟む前記1対の第1の板状部から離れた位置を前記第1の方向に延びる1対の第2の板状部と、
前記1対の第1の板状部の一方と前記1対の第2の板状部の一方とに挟まれた位置で、前記第1の積層体内を前記積層方向に延び、下層に絶縁材料を含み、上層に前記絶縁材料よりも紫外光の遮蔽効果が高い第1の材料を含む柱状部と、を備える、
半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元不揮発性メモリの製造工程では、例えば複数の絶縁層を導電層に置き換えて、導電層の積層体を形成する。例えば積層体の上下構造を接続するコンタクトを通すため、積層体の一部が、導電層に置き換えられることなく絶縁層のまま維持されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0067314号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/0179154号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの実施形態は、積層体の一部の領域に絶縁層を残しつつ、他の領域の絶縁層をより確実に導電層に置き換えることができる半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、複数の第1の導電層が第1の絶縁層を介して積層される第1の積層体と、複数の第2の絶縁層が前記第1の絶縁層を介して積層され、前記第1の積層体に周囲を囲まれた第2の積層体と、前記第1、第2の積層体の各層の積層方向および前記積層方向と交差する第1の方向に延び、前記積層方向および前記第1の方向と交差する第2の方向における前記第2の積層体の両側で前記第2の積層体に接する1対の第1の板状部と、前記第1の方向に長手方向を有し、前記1対の第1の板状部を前記第2の方向の両側から挟む前記1対の第1の板状部から離れた位置で、前記第1の積層体内を前記積層方向に延びる1対の第2の板状部と、前記1対の第1の板状部とは前記第1の方向に離れた前記1対の第2の板状部の間の位置で、前記第1の積層体内を前記積層方向に延び、前記複数の第1の導電層の少なくとも一部との交差部にメモリセルがそれぞれ形成される第1の柱状部と、前記1対の第1の板状部を前記第2の方向の両側から挟んだ前記1対の第2の板状部の間の位置で、前記第1の積層体内または前記第2の積層体内を前記積層方向に延び、絶縁材料を含む第2の柱状部と、前記1対の第1の板状部の一方と前記第2の方向に隣接する位置で前記第1の積層体内を前記積層方向に延び、前記絶縁材料よりも紫外光の遮蔽効果が高い第1の材料を含む第3の柱状部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の概略の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態1にかかる半導体記憶装置のY方向に沿う断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の横断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図14】
図14は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図15】
図15は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図16】
図16は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図17】
図17は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図18】
図18は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図19】
図19は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図20】
図20は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す横断面図である。
【
図21】
図21は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図22】
図22は、実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す横断面図である。
【
図23】
図23は、実施形態2にかかる半導体記憶装置のY方向に沿う断面図である。
【
図24】
図24は、実施形態2にかかる半導体記憶装置の横断面図である。
【
図25】
図25は、実施形態2にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図26】
図26は、実施形態2にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図27】
図27は、実施形態2にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図28】
図28は、実施形態2にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図29】
図29は、実施形態2にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0008】
[実施形態1]
以下、図面を参照して実施形態1について詳細に説明する。
【0009】
(半導体記憶装置の構成例)
図1は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1の概略の構成例を示す図である。
図1(a)は半導体記憶装置1のX方向に沿う断面図であり、
図1(b)は半導体記憶装置1のレイアウトを示す模式的な平面図である。ただし、
図1においては一部の上層配線が省略されている。
【0010】
図1に示すように、半導体記憶装置1は、基板SB上に、周辺回路CUA、メモリ領域MR、貫通コンタクト領域TP、及び階段領域SRを備える。
【0011】
基板SBは、例えばシリコン基板等の半導体基板である。基板SB上にはトランジスタTR及び配線等を含む周辺回路CUAが配置されている。
【0012】
周辺回路CUAは、後述するメモリセルの動作に寄与する。周辺回路CUAは絶縁層50で覆われている。絶縁層50上にはソース線SLが配置されている。ソース線SL上には複数のワード線WLが積層されている。
【0013】
複数のワード線WLは、ワード線WLを積層方向に貫通し、かつ、X方向に延びる複数のコンタクトLIによってY方向に分割されている。
【0014】
複数のコンタクトLIの間には、複数のメモリ領域MR、並びに複数のメモリ領域MR間に位置する階段領域SR及び貫通コンタクト領域TPが、それぞれX方向に並んで配置されている。
【0015】
メモリ領域MRには、ワード線WLを積層方向に貫通する複数のピラーPLが配置されている。ピラーPLとワード線WLとの交差部には複数のメモリセルが形成される。これにより、半導体記憶装置1は、例えばメモリ領域MRにメモリセルが3次元に配置された3次元不揮発性メモリとして構成される。
【0016】
階段領域SRは、複数のワード線WLが積層方向に擂り鉢状に掘り下げられた形状を有する。より具体的には、階段領域SRは、X方向の両側およびY方向の一方側から底面に向かって階段状に下降していく擂り鉢状の形状を有する。ただし、Y方向のもう一方側は開放されている。階段状の各段は、各階層のワード線WLにより構成される。各階層のワード線WLは、Y方向片側の階段部分を介して、階段領域SRを挟んだX方向両側で電気的な導通を保っている。
【0017】
X方向両側の階段部分のうち、階段領域SRに隣接するメモリ領域MR側の階段の各段のテラス部には、各階層のワード線WLと上層配線WR等とを接続するコンタクトCCがそれぞれ配置される。
【0018】
これにより、多層に積層されるワード線WLを個々に引き出すことができる。すなわち、これらのコンタクトCCからは、X方向両側のメモリ領域MR内のメモリセルに対し、そのメモリセルと同じ高さ位置のワード線WLを介して書き込み電圧および読み出し電圧等が印加される。
【0019】
なお、本明細書においては、階段領域SRの各段のテラス面が向いた方向を上方向と規定する。
【0020】
階段領域SRのX方向のもう一方側には、ワード線WLを有さない貫通コンタクト領域TPが配置される。貫通コンタクト領域TPには、下方の基板SB上に配置された周辺回路CUAと、階段領域SRのコンタクトCCに接続される上層配線WR等とを接続するコンタクトC4が配置されている。コンタクトCCからメモリセルに印加される各種電圧は、コンタクトC4及び上層配線WR等を介して周辺回路CUAにより制御される。
【0021】
次に、
図2及び
図3を用いて、半導体記憶装置1の詳細の構成例について説明する。
【0022】
図2は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1のY方向に沿う断面図である。
図2(a)はメモリ領域MRの断面図であり、
図2(b)は貫通コンタクト領域TP近傍の断面図であり、
図2(c)は階段領域SRの断面図である。ただし、
図2においては、基板SB及び周辺回路CUA等の絶縁層50下方の構造および上層配線等が省略されている。
【0023】
図3は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1の横断面図である。具体的には、
図3は半導体記憶装置1が備える複数のワード線WLのうち、階段領域SRの
図2(c)の位置でコンタクトCCに接続されるワード線WLの高さ位置での横方向の断面図である。
図3(a)はメモリ領域MRの横断面図であり、
図3(b)は貫通コンタクト領域TP近傍の横断面図であり、
図3(c)は階段領域SRの横断面図である。
【0024】
図2(a)~(c)及び
図3(a)~(c)に示すように、半導体記憶装置1は、例えばソース線SL上に配置される積層体LMa,LMb、積層体LMa,LMbを覆う絶縁層53、及び絶縁層53を覆う絶縁層54を備える。ソース線SLは例えばポリシリコン層等である。
【0025】
第1の積層体としての積層体LMa,LMbは、第1の導電層としてのワード線WLと、第1の絶縁層としての絶縁層OLとが交互に複数積層された構成を有する。積層体LMaはソース線SL上に配置される。積層体LMbは、接合層JLを介して積層体LMa上に配置されている。ワード線WLは、例えばタングステン層またはモリブデン層等である。絶縁層OL及び接合層JLは、例えばSiO2層等である。
【0026】
なお、
図2(a)~(c)の例では、積層体LMa,LMbはそれぞれ7層のワード線WLを有するが、ワード線WLの層数は任意である。また、積層体LMaは最下層のワード線WLの下方に選択ゲート線(不図示)を配置して構成されてもよく、積層体LMbは最上層のワード線WLの上方に選択ゲート線(不図示)を配置して構成されてもよい。
【0027】
積層体LMa,LMbは、メモリセルMCが3次元に複数配置されたメモリ領域MRと、各層のワード線WLが階段状となった階段領域SRとを備える。また、積層体LMa,LMbは、周辺回路CUAに接続されるコンタクトC4が配置された貫通コンタクト領域TPを取り囲んでいる。
【0028】
積層体LMa,LMbは、X方向に延びるコンタクトLIによって、貫通コンタクト領域TPを含んだ状態で分割されている。Y方向に複数配置されたコンタクトLIにより、メモリ領域MR、貫通コンタクト領域TP、及び階段領域SRは、ブロックと呼ばれる複数の領域に区画される。
【0029】
第2の板状部としてのコンタクトLIは、絶縁層53、積層体LMa,LMb、及び接合層JLを、積層体LMa,LMbの積層方向に貫通してソース線SLに到達する。個々のコンタクトLIは、コンタクトLIの側壁を覆う絶縁層52を有する。絶縁層52の内側には導電層20が充填されている。絶縁層52は例えばSiO2層等である。導電層20は例えばポリシリコン層またはタングステン層等である。コンタクトLIの導電層20は、絶縁層54を貫通するプラグV0を介して上層配線と接続される。
【0030】
個々のコンタクトLIが、プラグV0に接続する導電層20を有し、ソース線SL上に配置されることで、コンタクトLIは例えばソース線コンタクトとして機能する。ただし、コンタクトLIの代わりにSiO2層等の絶縁層で充填された板状の構造物が、積層体LMa,LMbをY方向に分割していてもよい。
【0031】
また、積層体LMbのメモリ領域MRには、最上層のワード線WLよりも上方をX方向に延びる絶縁部材(不図示)が配置されている。絶縁部材は、コンタクトLIにより区画された各ブロック内をY方向に並ぶピラーPLのうち、例えば中央のピラーPLの上部に、それらのピラーPLと交差するように配置される。絶縁部材により、Y方向に隣接する選択ゲート線(不図示)が積層体LMbの上方に形成される。絶縁部材は、例えば最上層のワード線WLより上方の導電層を選択ゲート線のパターンに区画している。
【0032】
図2(a)及び
図3(a)に示すように、メモリ領域MRにおいては、2つのコンタクトLI間の積層体LMa,LMbに、複数のピラーPLがマトリクス状に配置されている。個々のピラーPLは、絶縁層53の下部から、積層体LMa,LMb及び接合層JLを積層体LMa,LMbの積層方向に貫通し、ソース線SLに到達している。
【0033】
第1の柱状部としてのピラーPLは、積層体LMaを貫通するピラーPLaと、積層体LMbを貫通するピラーPLbとが、接合層JLの高さ位置で接合された形状を有する。ピラーPLa,PLbは、例えば上面の径に比べて底面の径が狭いテーパ形状、または上面と底面との間の所定の高さ位置で径が広がったボーイング形状等を有することがある。
【0034】
個々のピラーPLは、接合層JL中の接合部分に台座PDを有する。台座PDは、積層体LMaに配置されるピラーPLaの上面よりも大きな径を有する。また、個々のピラーPLは、ピラーPLb上端部にキャップ層CPを有する。キャップ層CPは、後述するピラーPLのコア層CRの外径程度の径を有し、ピラーPLの少なくとも一部の上面を覆っている。
【0035】
ピラーPLa,PLb及び台座PDは、これらの外周側から順に、メモリ層ME、チャネル層CN、及びコア層CRを有する。チャネル層CNは、ピラーPLaの底部にも配置されてソース線SLに接続されるとともに、上記のキャップ層CPに接続される。メモリ層MEは、ピラーPLa,PLb及び台座PDの外周側から順に、ブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNが積層された層である。
【0036】
ブロック絶縁層BK、トンネル絶縁層TN、コア層CRは、例えばSiO2層等である。電荷蓄積層CTは例えばSiN層等である。チャネル層CN及びキャップ層CPは、例えばアモルファスシリコン層またはポリシリコン層等である。
【0037】
ピラーPLのキャップ層CPは、絶縁層53,54を貫通するプラグCHを介してビット線等の上層配線と接続される。個々のピラーPLが、メモリ層MEとチャネル層CNとを有することにより、ピラーPLとワード線WLとのそれぞれの交差部に複数のメモリセルMCが形成される。
【0038】
ただし、2つのコンタクトLI間に5つ並んだピラーPLのうち、例えば中央のピラーPLのように、上述の絶縁部材が上部に配置されたピラーPLはプラグCHを有さない。このようなピラーPLは、複数のピラーPLの規則的な配列を維持するために配置される。それらの側面にメモリセルは形成されないか、それらのメモリセルの機能は有効ではない。
【0039】
図2(b)及び
図3(b)に示すように、貫通コンタクト領域TPは、周囲を積層体LMa,LMbに囲まれ、積層体LMa,LMbが有するワード線WLの代わりに、絶縁層NLを有する積層体LMar,LMbrを備える。
【0040】
すなわち、第2の積層体としての積層体LMar,LMbrは、絶縁層OLと、第2の絶縁層としての絶縁層NLとが交互に複数積層された構成を有する。絶縁層NLは例えばSiN層等である。
【0041】
積層体LMar,LMbrをそれぞれ構成する絶縁層NLの層数および高さ位置は、例えば積層体LMa,LMbをそれぞれ構成するワード線WLの層数および高さ位置と等しい。積層体LMar,LMbrをそれぞれ構成する絶縁層OLの層数および高さ位置は、例えば積層体LMa,LMbをそれぞれ構成する絶縁層OLの層数および高さ位置と等しい。積層体LMar,LMbr間には、積層体LMa,LMb間の接合層JLと等しい高さ位置に接合層JLが介在される。
【0042】
貫通コンタクト領域TPには、絶縁層53、積層体LMar,LMbr、接合層JL、及びソース線SLを積層方向に貫通し、基板SB上の周辺回路CUAに含まれるトランジスタTR(
図1参照)等に電気的に接続されるコンタクトC4が配置される。
【0043】
コンタクトC4は、コンタクトC4の側壁を覆う絶縁層55と、絶縁層55の内側に充填される導電層30とを有する。絶縁層55は例えばSiO2層等である。導電層30は例えばタングステン層等である。コンタクトC4の導電層30は、絶縁層54を貫通するプラグV0を介して上層配線と接続される。
【0044】
積層体LMar,LMbrは主に絶縁層NL,OLで構成されるため、積層体LMar,LMbrを貫通させてコンタクトC4を配置しても、貫通コンタクト領域TPの周囲を囲む積層体LMa,LMbのワード線WLとの導通およびリーク電流の発生等を抑制することができる。
【0045】
また、
図2(b)及び
図3(b)では簡略化されているが、貫通コンタクト領域TP内には複数のコンタクトC4(
図1参照)を並べて配置することがある。そのような場合でも、複数のコンタクトC4間に絶縁層NL,OLで構成される積層体LMar,LMbrが配置されることで、複数のコンタクトC4同士における導通およびリーク電流の発生等を抑制することができる。
【0046】
コンタクトC4は導電層30の周囲に絶縁層55のライナを有するため、ワード線WL及び複数のコンタクトC4間での導通およびリーク電流の発生が更に抑えられる。
【0047】
貫通コンタクト領域TPのY方向両側には、X方向に延びる板状部BRが積層体LMar,LMbrに接して配置されている。つまり、貫通コンタクト領域TPの周囲を囲む積層体LMa,LMbは、少なくともY方向において、板状部BRによって積層体LMar,LMbrと隔てられている。
【0048】
第1の板状部としての板状部BRは、絶縁層53、積層体LMa,LMb及び積層体LMar,LMbrとの境界部分、並びに接合層JLを、積層体LMa,LMbの積層方向に貫通してソース線SLに到達する。板状部BRの内部は例えば絶縁層で充填されている。後述するように、板状部BRは、半導体記憶装置1の製造工程にて実施される絶縁層NLからワード線WLへの置き換えを、貫通コンタクト領域TP内において阻害する。
【0049】
貫通コンタクト領域TPを含む周辺の領域には、複数の柱状部HR,HRpがマトリクス状に配置されている。
【0050】
第2の柱状部としての柱状部HRは、少なくともコンタクトLIに隣接して配置される。つまり、コンタクトLIと板状部BRとに沿ってY方向に並ぶ複数の柱状部HR,HRpの配列のうち、最もコンタクトLI寄りの1列が柱状部HRとなっている。
【0051】
柱状部HRは、絶縁層53の下部から、積層体LMa,LMb及び接合層JLを積層体LMa,LMbの積層方向に貫通し、ソース線SLに到達する。
【0052】
より具体的には、柱状部HRは、積層体LMaを貫通する柱状部HRaと、積層体LMbを貫通する柱状部HRbとが、接合層JLの高さ位置で接合された形状を有する。柱状部HRbの上端は、絶縁層53の下部に突出している。柱状部HRa,HRbは、例えば上面の径に比べて底面の径が狭いテーパ形状、または上面と底面との間の所定の高さ位置で径が広がったボーイング形状等を有することがある。
【0053】
個々の柱状部HRは、接合層JL中の接合部分に台座PDrを有する。台座PDrは、積層体LMaに配置される柱状部HRaの上面よりも大きな径を有する。
【0054】
柱状部HRa,HRb及び台座PDrには絶縁材料としての絶縁層が充填されている。絶縁層は例えばSiO2層等である。
【0055】
第3の柱状部としての柱状部HRpは、少なくとも板状部BRに隣接して配置される。つまり、コンタクトLIと板状部BRとに沿ってY方向に並ぶ複数の柱状部HR,HRpの配列のうち、最も板状部BR寄りの1列が柱状部HRpとなっている。
【0056】
コンタクトLIと板状部BRとに沿ってY方向に並ぶ複数の柱状部HR,HRpの配列のうち、最もコンタクトLI寄りの1列を除く他の配列が柱状部HRpであってもよい。柱状部HRpが、2つの板状部BRに挟まれた領域に配置されていてもよい。
【0057】
柱状部HRpは、絶縁層53の下部から、積層体LMa,LMb及び接合層JLを積層体LMa,LMbの積層方向に貫通し、ソース線SLに到達する。2つの板状部BR間に配置された柱状部HRpが、積層体LMa,LMb及び積層体LMar,LMbrの境界部、または積層体LMar,LMbr内を、積層体LMar,LMbrの積層方向に延びていてもよい。
【0058】
より具体的には、柱状部HRpは、積層体LMa等を貫通する柱状部HRpaと、積層体LMb等を貫通する柱状部HRpbとが、接合層JLの高さ位置で接合された形状を有する。柱状部HRpbの上端は、絶縁層53の下部に突出している。柱状部HRpa,HRpbは、例えば上面の径に比べて底面の径が狭いテーパ形状、または上面と底面との間の所定の高さ位置で径が広がったボーイング形状等を有することがある。
【0059】
個々の柱状部HRpは、接合層JL中の接合部分に台座PDpを有する。台座PDpは、積層体LMa等に配置される柱状部HRpaの上面よりも大きな径を有する。
【0060】
柱状部HRpa,HRpb及び台座PDpは、これらの外周側から順に、ダミー層MEd,CNd,CRdを有する。ダミー層CNdは、柱状部HRpaの底部にも配置されていてもよい。ダミー層MEdは、柱状部HRpa,HRpb及び台座PDpの外周側から順に、ダミー層BKd,CTd,TNdが積層された層である。
【0061】
ダミー層MEに含まれるダミー層BKd,CTd,TNdは、例えばピラーPLのブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNにそれぞれ対応しており、ピラーPLのこれらの層と同様、例えば第2の材料としてのSiO2/SiN/SiO2等を主成分とする。
【0062】
ダミー層CRdは、ピラーPLのコア層CRと対応しており、コア層CRと同様、例えばSiO2等を主成分とする。
【0063】
ダミー層CNdは、ピラーPLのチャネル層CNと対応しており、チャネル層CNと同様、例えば第1の材料としてのアモルファスシリコン及び第1の材料としてのポリシリコン等の少なくともいずれかを主成分とする。つまり、ダミー層CNdは、例えばアモルファスシリコン層であってもよく、ポリシリコン層であってもよく、これらの材料が混在した層であってもよい。
【0064】
ダミー層CNdは、例えば柱状部HRに充填される絶縁層よりも紫外光の遮蔽効果が高い。より具体的には、例えばダミー層CNdの主成分であるアモルファスシリコン及びポリシリコン等は紫外光を吸収する特性を有する。これにより、ダミー層CNdが紫外光に対する遮蔽効果を有することとなる。
【0065】
本明細書において、遮蔽とは、紫外光を完全に遮る場合の他、紫外光を所定の光量まで減衰させることを指す。また、本明細書において、紫外光は、広義には、例えば100nm以上400nm以下の波長の光を指し、狭義には、例えば遠紫外光(DUV:Deep Ultra Violet)である200nm以上300nm以下の波長の光を指す。
【0066】
柱状部HR,HRpは、後述する半導体記憶装置1の製造工程で、板状部BRを挟む2つのコンタクトLI間において、製造途中の半導体記憶装置1が備える積層構造を支持する。
【0067】
次に、階段領域SRの詳細構成について説明する。
【0068】
上述のように、階段領域SRは、X方向においてメモリ領域MRと隣接し、メモリ領域MRへと向かって昇段していく階段部分を有する。このため、階段領域SRの断面構造はX方向位置によって異なる。メモリ領域MRから最も遠い位置では、ソース線SL上には積層体LMaの最下層のワード線WL及び絶縁層OLが配置される。メモリ領域MRに近付くにつれ、ソース線SL上の積層体LMaはより多くの層を有することとなり、更には、接合層JLを介して積層体LMbの各層が配置されていき、最もメモリ領域MRに近い位置では、積層体LMbの最上層のワード線WL及び絶縁層OLまでが配置されることとなる。
【0069】
図2(c)及び
図3(c)には、下から3段目の階段部分が示されている。3段目の階段部分は、最下層の絶縁層OLを除き、3組のワード線WL及び絶縁層OLで構成される。また、
図2(c)のY方向片側には、X方向の両側およびY方向の一方側において擂り鉢状に形成された階段領域SRのY方向側の階段部分の断面が示されている。これらの構成の上層には絶縁層51が配置されている。このように、階段領域SRの各段は、メモリ領域MRにおける積層体LMbの上面の高さと略同じ高さになるよう、絶縁層51で覆われている。絶縁層51上には絶縁層53が配置され、絶縁層53上には絶縁層54が配置される。
【0070】
3段目の階段部分において最上層となる下から3番目のワード線WLには、そのワード線WL上の絶縁層OL、絶縁層51,53を貫通するコンタクトCCが接続されている。コンタクトCCは、絶縁層54を貫通するプラグV0を介して上層配線と接続される。このように、階段領域SRには、高さ方向に並ぶメモリセルMCにそれぞれ接続されるワード線WLが階段状に引き出され、階段領域SRの各段に配置されるコンタクトCCに接続される。
【0071】
コンタクトCCの周囲には、絶縁層51及び積層体LMa,LMbを貫通する複数の柱状部HRが、マトリクス状に配置されている。
図2(c)の位置においては、個々の柱状部HRは、絶縁層53の下部から積層体LMaの3段目の階段部分を貫通し、ソース線SLに到達している。
【0072】
階段領域SRに配置される柱状部HRは、SiO2層等の絶縁材料としての絶縁層がそれぞれ充填された柱状部HRaと柱状部HRbと台座PDrとを備え、貫通コンタクト領域TPの周辺に配置される柱状部HRと同様の構成および形状等を有する。
【0073】
(半導体記憶装置の製造方法)
次に、
図4~
図23を用いて、実施形態1の半導体記憶装置1の製造方法の例について説明する。
【0074】
図4~
図19及び
図21は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
図20及び
図22は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1の製造方法の手順の一例を示す横断面図である。
【0075】
【0076】
以下、基板SB上にトランジスタTRを含む周辺回路CUAを形成し、周辺回路CUAを絶縁層50で覆った後の状態から説明を開始する。
【0077】
図4(a)(b)に示すように、絶縁層50上にソース線SLを形成し、ソース線SL上に、絶縁層NLと絶縁層OLとが交互に複数積層された積層体LMasを形成する。犠牲層としての絶縁層NLは、例えばSiN層等であり、後に導電材料と置き換えられてワード線WLとなる。積層体LMas上には接合層JLを形成する。
【0078】
なお、このとき階段領域(不図示)では、階段状構造全体のうち、積層体LMasから構成される下方の階段部分が形成される。下方の階段部分の段差部分には、例えば接合層JLの上面の高さまで絶縁層51が形成される。
【0079】
図5(a)に示すように、積層体LMasに、接合層JL及び積層体LMasを貫通してソース線SLに到達し、上端が拡径されたメモリホールを形成し、メモリホール内にアモルファスシリコン層等の犠牲層を充填する。これにより、メモリホール上端の拡径された部分に台座PDsを有するピラーPLasが形成される。
【0080】
図5(b)に示すように、積層体LMasに、接合層JL及び積層体LMasを貫通してソース線SLに到達し、上端が拡径されたホールを形成し、ホール内にアモルファスシリコン層等の犠牲層を充填する。これにより、ホール上端の拡径された部分に台座PDsを有する柱状部HRasが形成される。このとき、図示しない階段領域においても、同様に柱状部HRasが形成される。
【0081】
図6(a)(b)に示すように、各部の上層に絶縁層NLと絶縁層OLとが交互に複数積層された積層体LMbsを形成する。つまり、
図6(a)(b)に示す部位では、接合層JLを介して積層体LMas上に積層体LMbsが形成される。
【0082】
また、図示しない階段領域においては、積層体LMbsを加工して、積層体LMasに形成された階段部分を含む階段領域の全体が形成される。階段領域の段差部分には、例えば積層体LMbsの上面の高さまで絶縁層51が形成される。
【0083】
その後、
図6(a)(b)、及び階段領域(不図示)の各部を覆う絶縁層53が形成される。つまり、
図6(a)(b)に示す部位では積層体LMbs上に絶縁層53が形成される。階段領域(不図示)では絶縁層51上に絶縁層53が形成される。
【0084】
図7(a)に示すように、絶縁層53及び積層体LMbを貫通して接合層JLの各々の台座PDsに接続されるメモリホールMHbを形成する。
【0085】
ピラーPLasの上面には、積層体LMas内のピラーPLasより径が大きい台座PDsが配されている。これにより、積層体LMbsにメモリホールMHbを形成する際、ピラーPLasの配置位置とメモリホールMHbの配置位置とが、合わせずれ等により上下で完全に一致しなくとも、メモリホールMHbとピラーPLasとを、台座PDsを介して接続することができる。
【0086】
図7(b)に示すように、絶縁層53及び積層体LMbを貫通して柱状部HRasの各々の台座PDsに接続されるホールHLbを形成する。このとき、図示しない階段領域においても同様にホールHLbが形成される。
【0087】
柱状部HRasの上面には、積層体LMas内の柱状部HRasより径が大きい台座PDsが配されている。これにより、積層体LMbsにホールHLbを形成する際、柱状部HRasの配置位置とホールHLbの配置位置とが、合わせずれ等により上下で完全に一致しなくとも、ホールHLbと柱状部HRasとを、台座PDsを介して接続することができる。
【0088】
図8(a)に示すように、メモリホールMHbを介してピラーPLasの犠牲層が除去されて、積層体LMbs、接合層JL、及び積層体LMasを貫通してソース線SLに到達するメモリホールMHが形成される。
【0089】
図8(b)に示すように、ホールHLbを介して柱状部HRasの犠牲層が除去される。これにより、積層体LMbs、接合層JL、及び積層体LMasを貫通してソース線SLに到達するホールHLが形成される。このとき、図示しない階段領域においても同様にホールHLが形成される。
【0090】
図9(a)(b)に示すように、メモリホールMH及び一部のホールHLをマスク膜61等で保護する。
【0091】
図9(b)において、マスク膜61で保護された一部のホールHLは後に柱状部HRpとなるホールHLである。すなわち、
図9(b)の部位では、例えば後にコンタクトLIと隣接することとなる位置に配置されたホールHLを除き、ホールHLがマスク膜61で覆われる。
【0092】
図9(b)に示すように、マスク膜61で保護されていないホールHL内に絶縁層を充填して中央部に台座PDrを有する柱状部HRを形成する。このとき、図示しない階段領域においても同様に柱状部HRが形成される。
【0093】
その後、マスク膜61が除去される。
【0094】
図10(a)に示すように、ピラーPLa,PLbを積層体LMas,LMbsに形成する。すなわち、メモリホールMHの外周側から順に、SiO
2層/SiN層/SiO
2層等のメモリ層ME、アモルファスシリコン層またはポリシリコン層等のチャネル層CN、及びSiO
2層等のコア層CRを形成する。チャネル層CNはメモリホールMHの底部にも形成する。これにより、中央部に台座PDを有するピラーPLa,PLbが形成される。
【0095】
図10(b)に示すように、柱状部HRpを積層体LMas,LMbs等に形成する。すなわち、絶縁層が充填されずに残ったホールHLの外周側から順に、SiO
2層/SiN層/SiO
2層等のダミー層MEd、アモルファスシリコン層またはポリシリコン層等のダミー層CNd、及びSiO
2層等のダミー層CRdを形成する。ダミー層CNdはホールHLの底部にも形成されてもよい。これにより、中央部に台座PDpを有する柱状部HRpが形成される。
【0096】
なお、ピラーPLa,PLb内に形成されるチャネル層CN、及び柱状部HRp内に形成されるダミー層CNdは、例えば形成当初はアモルファスシリコンを主成分とする層であってよい。また、その後の各種工程に含まれる熱処理等によって変性を受けることにより、完成品となった半導体記憶装置1においては、チャネル層CN及びダミー層CNdに含まれるアモルファスシリコンの一部または全部がポリシリコンとなっていてもよい。
【0097】
ここで、
図9に示した工程と
図10に示した工程とは実施順を入れ替え可能である。
【0098】
図11(a)に示すように、絶縁層53の上面に露出したピラーPLbの少なくともコア層CRの上端をエッチバックして、ピラーPLbの上端部にホールHLcを形成する。このとき、
図11(b)に示す部位では柱状部HR,HRpの上端が、図示しない階段領域では柱状部HRの上端が、それぞれエッチバックされないようにする。
【0099】
例えば、ピラーPLa,PLbの形成時にメモリホールMH内に充填したメモリ層ME、チャネル層CN、及びコア層CRは、柱状部HRの上面が露出した絶縁層53上にも形成される。このため、例えばコア層CRのみを選択的にエッチバックすることで、絶縁層53の上面はチャネル層CNがエッチストッパ層となって保護され、絶縁層53の上面に露出したピラーPLbのコア層CRが除去される。
【0100】
一方、柱状部HRでは、柱状部HRの上面もチャネル層CN等で覆われているため、柱状部HRの上端が除去されるのが抑制される。ピラーPLbと同様、絶縁層53の上面に上端部が露出した柱状部HRpは別途、マスク材等で保護してもよい。
【0101】
図12(a)に示すように、ピラーPLb上端部のメモリ層ME及びチャネルCN層で囲まれたホールHLc内に、アモルファスシリコン層またはポリシリコン層等を充填して、少なくともコア層CRの外径程度の径を有するキャップ層CPを形成する。キャップ層CPを囲むチャネルCN層とキャップ層CPとが実質的に一体化することで、キャップ層CPがチャネル層CNの外径程度を有するように見える状態となってもよい。これにより、上端部にキャップ層CPを有するピラーPLが形成される。
【0102】
図13(a)(b)に示すように、絶縁層53の全面をエッチバックして絶縁層53を薄膜化する。このとき、
図13(a)に示すように、ピラーPL上端部のキャップ層CPの上部もエッチバックされる。また、
図13(b)に示すように、柱状部HR,HRpの上部もエッチバックされる。図示しない階段領域の柱状部HR上部も同様にエッチバックされる。
【0103】
図14(a)(b)に示すように、再度、絶縁層53を成膜し、
図14(a)(b)の各部および図示しない階段領域の全体を絶縁層53で覆う。これにより、ピラーPLのキャップ層CPが絶縁層53の下部に配置され、柱状部HR,HRpの上端部が絶縁層53の下部に配置された状態となる。
【0104】
図14(a)(b)に示すように、絶縁層53、積層体LMbs、接合層JL、及び積層体LMasを貫通し、ソース線SLに到達するスリットSTを形成する。スリットSTは、例えば
図14(a)のメモリ領域MRに対応する領域、
図14(b)の貫通コンタクト領域TPが形成されることとなる領域近傍、及び階段領域に対応する領域(不図示)に亘り、X方向に延伸して形成される。
【0105】
図14(b)に示すように、スリットSTの形成と並行して、絶縁層53、積層体LMbs、接合層JL、及び積層体LMasを貫通し、ソース線SLに到達するスリットSTbを形成する。スリットSTbは、貫通コンタクト領域TPが形成されることとなる領域近傍に、局所的に形成される。
【0106】
スリットSTは、後に絶縁層NLのワード線WLへの置き換えに使用され、その後、積層体LMas,LMbsを分断するコンタクトLIとなる。スリットSLbは、後に貫通コンタクト領域TPの形成に使用され、その後、貫通コンタクト領域TPの近傍に配置される板状部BRとなる。
【0107】
図15(b)に示すように、スリットSTbを貫通コンタクト領域TPの形成に使用するため、スリットSTbの側壁にSiO
2層等の絶縁層56を形成する。
【0108】
図15(a)(b)に示すように、このとき、スリットSTの側壁にも絶縁層56が形成される。ただし、スリットSTを絶縁層NLのワード線WLへの置き換えに使用するために、スリットSTの側壁の絶縁層56は次のように除去される。
【0109】
図16(a)(b)に示すように、各部全体を覆うネガレジスト膜62を形成する。ネガレジスト膜62は、各部の上面を覆うとともに、スリットST,STb内にも充填される。ネガレジスト膜62の場合、DUV等の紫外光が当たって感光したところ以外が現像によって除去される。
【0110】
図16(b)に示すように、スリットSTb内のネガレジスト膜62を残すため、スリットSTbの上方からDUV等の紫外光を照射し、スリットSTb内およびスリットSTb上のネガレジスト膜62を感光させる。
【0111】
このとき、スリットSTbへ向けて照射した紫外光には、スリットSTb及び周囲の構造物等において回折および干渉等が発生する場合がある。このため、紫外光が例えばスリットST側へと回り込み、スリットST内に充填されたネガレジスト膜62も感光させる場合がある。このように、意図しない領域のネガレジスト膜62が感光されることを偽解像と呼ぶ。
【0112】
しかし、スリットSTbに隣接して配置される柱状部HRpは、紫外光を吸収する効果の高いダミー層CNdを有する。このため、例えばスリットST側へと向かう紫外光が、柱状部HRpによって遮蔽され、スリットST内に充填されたネガレジスト膜62に偽解像が発生するのが抑制される。
【0113】
図17(a)(b)に示すように、各部全体を覆うネガレジスト膜62を現像すると、スリットSTb内およびスリットSTb上のネガレジスト膜62が残り、スリットST内のネガレジスト膜62を含め、それ以外のネガレジスト膜62は除去される。
【0114】
図18(a)(b)に示すように、ネガレジスト膜62が除去されて露出したスリットST内の絶縁層56を除去した後、スリットSTbを覆うネガレジスト膜62を除去する。これにより、スリットSTbの側壁は絶縁層56に覆われたまま、スリットSTの側壁には積層体LMas,LMbsの端部が露出した状態となる。
【0115】
図19(a)(b)及び
図20(a)(b)に示すように、積層体LMas,LMbsを貫通するスリットSTを介して、積層体LMas,LMbs中の絶縁層NLを除去する。これにより、各絶縁層OL間にギャップが形成された積層体LMag,LMbgが形成される。
【0116】
図19(b)及び
図20(b)に示すように、このとき、これらの領域では、側壁に絶縁層56を有するスリットSTbによって、スリットSTから流入した絶縁層NLを除去する薬液等が、スリットSTbに挟まれた領域内に流入するのが阻害される。そして、この薬液等がスリットSTbの端部を迂回して(X方向側から)スリットSTbの端部から遠方の上記領域内まで流入する前に処理を停止することで、2つのスリットSTb間の領域では絶縁層NLが除去されずに残る。
【0117】
これにより、
図19(b)及び
図20(b)に示すスリットSTb間の領域の略中央付近に、積層体LMar,LMbrを有する貫通コンタクト領域TPが形成される。
【0118】
またこのとき、ギャップを有する脆弱な構造物である積層体LMag,LMbgを、
図19(a)に示す位置ではピラーPLが支持し、
図19(b)に示す位置では柱状部HR,HRpが支持し、図示しない階段領域では柱状部HRが支持する。
【0119】
図21(a)(b)及び
図22(a)(b)に示すように、積層体LMag,LMbgを貫通するスリットSTを介して、積層体LMag,LMbg中のギャップに、タングステンまたはモリブデン等の導電材料を充填する。これにより、各絶縁層OL間にワード線WLが形成された積層体LMa,LMbが形成される。
【0120】
図21(b)及び
図22(b)に示すように、このときにも、タングステン層等の導電層を堆積させるガスの貫通コンタクト領域TPへの流入が、スリットSTbにより阻害される。これにより、貫通コンタクト領域TP内の絶縁層NLを有する積層体LMar,LMbrの状態が保たれる。
【0121】
図19~
図22のように、絶縁層NLをワード線WLに置き換える処理をリプレースと呼ぶことがある。
【0122】
この後、積層体LMbに上述の絶縁部材(不図示)を形成する。絶縁部材は、例えば積層体LMb(の更に上層の導電層および絶縁層)を途中まで貫通する溝を形成し、その溝内に絶縁層を充填することで形成される。なお、絶縁部材を形成するための溝は、上述のスリットST,STbと並行して形成されてもよく、溝内には、スリットST,STbに関わる処理の前に絶縁層が充填されて、絶縁部材が形成されてもよい。
【0123】
また、スリットSTb内を絶縁層で充填して板状部BRを形成する。また、スリットSTの側壁に絶縁層52を形成し、その内側に導電層20を充填してコンタクトLIを形成する。
【0124】
また、絶縁層53,51を貫通し、階段領域SR各段の最上層のワード線WLに到達するコンタクトCCを形成する。また、絶縁層53、積層体LMar,LMbr、及びソース線SLを貫通し、周辺回路CUAのトランジスタTR等と電気的に接続されるコンタクトC4を形成する。
【0125】
また、絶縁層53を覆う絶縁層54を形成した後、絶縁層54,53を貫通してピラーPLのキャップ層CPに接続するプラグCHと、絶縁層54を貫通してそれぞれのコンタクトLI,CC,C4に接続するプラグV0と、を形成する。また、これらのプラグCH,V0に接続する上層配線等を形成する。
【0126】
以上により、実施形態1の半導体記憶装置1が製造される。
【0127】
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置の製造工程において、例えば基板上に配置された周辺回路と、積層体の上方に配置された上層配線等とを接続するコンタクトを通すため、積層体の一部の領域に絶縁層を残す場合がある。積層体の一部領域のリプレースを阻害して絶縁層を残すため、一部領域の近傍に、側壁を絶縁層で覆われたスリットを形成する場合がある。
【0128】
リプレース阻害用のスリットは、例えばリプレース用のスリットと並行して形成されることがあり、この場合、例えばリプレース阻害用のスリット内部をネガレジスト膜等で保護した状態で、リプレース用のスリットの側壁から絶縁層が除去される。
【0129】
しかしながら、これら2種類のスリットは、比較的狭い領域内に近接して形成されるため、リプレース阻害用のスリット内のネガレジスト膜を感光させる際、リプレース用のスリット内のネガレジスト膜までもが偽解像によって感光されてしまう場合がある。この場合、リプレース用のスリット内にもネガレジスト膜が一部残ってしまい、スリット側壁の一部の絶縁層が除去されないままとなって、残った絶縁層の近傍の積層体内におけるワード線へのリプレースが阻害されてしまう場合がある。
【0130】
実施形態1の半導体記憶装置1によれば、板状部BRに隣接する位置で積層体LMa,LMbの積層方向に延び、柱状部HR内に充填される絶縁層よりも紫外光の遮蔽効果が高いアモルファスシリコン及びポリシリコンの少なくともいずれかを含む柱状部HRpを備える。
【0131】
これにより、スリットSTへ向かう紫外光を吸収し、または、減衰させて、スリットST内のネガレジスト膜62に偽解像が生じるのを抑制することができる。よって、積層体LMas,LMbsの一部の領域に絶縁層NLを残しつつ、他の領域の絶縁層NLをより確実にワード線WLに置き換えることができる。
【0132】
実施形態1の半導体記憶装置1によれば、柱状部HRpは、積層体LMa,LMbの積層方向に延び、アモルファスシリコン及びポリシリコンの少なくともいずれかを含むダミー層CNdを備える。
【0133】
これにより、例えば積層体LMa,LMbの積層方向の全体に亘って、柱状部HRpによる紫外光の遮蔽効果が高まって、より確実にスリットST内のネガレジスト膜62に偽解像が生じるのを抑制することができる。
【0134】
実施形態1の半導体記憶装置1によれば、板状部BRを両側から挟んだコンタクトLIの間の位置で、積層体LMa,LMb内を積層方向に延び、絶縁層を含む柱状部HRは、コンタクトLIに隣接して配置される。
【0135】
2つのコンタクトLI間にマトリクス状に密に配置される複数の柱状部HR,HRpは、最もコンタクトLI寄りの1列がコンタクトLIと接触してしまう場合がある。上記のように、少なくとも最もコンタクトLI寄りの1列を、絶縁層が充填された柱状部HRとすることで、コンタクトLIと柱状部HRとが接触しても、半導体記憶装置1の動作に電気的な影響を与えることを抑制できる。
【0136】
なお、上述の実施形態1では、柱状部HRは、例えばコンタクトLIに隣接して配置されることとした。しかし、例えば柱状部HRpが板状部BRに隣接して配置されていれば、スリットST内のネガレジスト膜62の偽解像を抑制する上述の効果が得られる。したがって、柱状部HRが、板状部BRに隣接する1列を除く他の領域に配置されていてもよい。
【0137】
つまり、最も板状部BR寄りの1列を除く、板状部BRとコンタクトLIとに挟まれた領域のY方向の複数配列が柱状部HRであってもよい。また、柱状部HRは、2つの板状部BRに挟まれた領域に配置されていてもよい。
【0138】
ただし、例えば2つの板状部BRに挟まれた領域に柱状部HRを配置するには、上述の
図9(b)に示すマスク膜61を配置するゾーン分けを、より細かく行うこととなる。この意味において、2つの板状部BRに挟まれた領域、及びその外側の板状部BRに隣接する列の位置には、一貫して柱状部HRpを配置することが好ましい。
【0139】
[実施形態2]
以下、図面を参照して実施形態2について詳細に説明する。実施形態2においては、紫外光の遮蔽効果を有する柱状部の構成が、上述の実施形態1とは異なる。
【0140】
(半導体記憶装置の構成例)
図23は、実施形態2にかかる半導体記憶装置2のY方向に沿う断面図である。
図23(a)はメモリ領域MRの断面図であり、
図23(b)は貫通コンタクト領域TP近傍の断面図であり、
図23(c)は階段領域SRの断面図である。
【0141】
なお、実施形態2の半導体記憶装置2も、基板SB上に配置された周辺回路CUA、及び積層体LMa,LMbの上方に配置された上層配線等を備える。ただし、
図23においては、基板SB及び周辺回路CUA等の絶縁層50下方の構造および上層配線等が省略されている。
【0142】
図24は、実施形態2にかかる半導体記憶装置2の横断面図である。具体的には、
図24は半導体記憶装置2が備える複数のワード線WLのうち、階段領域SRの
図23(c)の位置でコンタクトCCに接続されるワード線WLの高さ位置での横方向の断面図である。
図24(a)はメモリ領域MRの横断面図であり、
図24(b)は貫通コンタクト領域TP近傍の横断面図であり、
図24(c)は階段領域SRの横断面図である。
【0143】
図23(a)及び
図24(a)に示すように、半導体記憶装置2のメモリ領域MRは、上述の実施形態1の半導体記憶装置1のメモリ領域MRと同様の構成を備える。
【0144】
図23(c)及び
図24(c)に示すように、半導体記憶装置2の階段領域SRは、上述の実施形態1の半導体記憶装置1の階段領域SRと同様の構成を備える。
【0145】
図23(b)及び
図24(b)に示すように、半導体記憶装置2の貫通コンタクト領域TPを含む周辺の領域には、複数の柱状部HR,HRcがマトリクス状に配置されている。
【0146】
柱状部HRは、上述の実施形態1の半導体記憶装置1の柱状部HRと同様の構成を備え、例えば2つの板状部BRに挟まれた領域に配置される。つまり、柱状部HRは、例えば積層体LMaを貫通する柱状部HRaと、絶縁層53中に上端部が突出し、積層体LMbを貫通する柱状部HRbと、柱状部HRa及び柱状部HRbを接続する台座PDr(
図23(c)参照)とを備える。
【0147】
なお、柱状部HRa,HRbが、積層体LMa,LMb及び積層体LMar,LMbrの境界部、または積層体LMar,LMbr内を、それぞれ貫通していてもよい。
【0148】
第3の柱状部としての柱状部HRcは、コンタクトLIと板状部BRとに挟まれた領域に配置される。このとき、コンタクトLIと板状部BRとの間で、コンタクトLIと板状部BRとに沿ってY方向に並ぶ、例えば全ての配列が柱状部HRcとなっていることが好ましい。
【0149】
柱状部HRcは、絶縁層53の下部から、積層体LMa,LMb及び接合層JLを積層体LMa,LMbの積層方向に貫通し、ソース線SLに到達する。
【0150】
より具体的には、柱状部HRcは、積層体LMaを貫通する柱状部HRcaと、積層体LMbを貫通する柱状部HRcbとが、接合層JLの高さ位置で接合された形状を有する。柱状部HRca,HRcbは、例えば上面の径に比べて底面の径が狭いテーパ形状、または上面と底面との間の所定の高さ位置で径が広がったボーイング形状等を有することがある。
【0151】
個々の柱状部HRcは、接合層JL中の接合部分に台座PDcを有する。台座PDcは、積層体LMaに配置される柱状部HRcaの上面よりも大きな径を有する。また、個々の柱状部HRcは、柱状部HRc上端部に配置されるキャップ層CPcを有する。キャップ層CPcは、例えばピラーPLのキャップ層CPと同様、ピラーPLのコア層CRの外径程度の径を有する。
【0152】
柱状部HRca,HRcb及び台座PDcには、例えばSiO2等の絶縁材料としての絶縁層が充填されている。キャップ層CPcは、ピラーPLのキャップ層CPと対応しており、キャップ層CPと同様、例えば第1の材料としてのアモルファスシリコン及び第1の材料としてのポリシリコン等の少なくともいずれかを主成分とする。つまり、キャップ層CPcは、例えばアモルファスシリコン層であってもよく、ポリシリコン層であってもよく、これらの材料が混在した層であってもよい。
【0153】
柱状部HRcの上層にあたるキャップ層CPcは、例えば柱状部HRcの下層にあたる柱状部HRca,HRcb及び台座PDcに充填される絶縁層よりも紫外光の遮蔽効果が高い。例えばキャップ層CPcの主成分であるアモルファスシリコン及びポリシリコン等が有する紫外光を吸収する特性によって、紫外光に対する遮蔽効果が生じることは上述の通りである。
【0154】
(半導体記憶装置の製造方法)
次に、
図25~
図29を用いて、実施形態2の半導体記憶装置2の製造方法の例について説明する。
図25~
図29は、実施形態2にかかる半導体記憶装置2の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【0155】
【0156】
半導体記憶装置2においても、上述の実施形態1の半導体記憶装置1の製造方法と同様、
図4~
図10までの処理が実施される。ただし、
図9に示すマスク膜61は、メモリ領域MRのメモリホールMHのみを覆うように形成され、貫通コンタクト領域TPの周辺に形成されたホールHL内には、いずれも絶縁層が充填されて柱状部HRが形成される。
【0157】
以下、貫通コンタクト領域TPの周辺の柱状部HRから柱状部HRcが形成されるところから説明する。
【0158】
図25(a)(b)に示すように、各部を覆うマスク膜63を形成する。マスク膜63は、メモリ領域MRのピラーPLbの上方、及び貫通コンタクト領域TPにおけるコンタクトLIと板状部BRとに挟まれた領域の柱状部HRの上方に開口63cを有する。
【0159】
なお、ピラーPLa,PLbの形成時に、柱状部HRの上面が露出した絶縁層53上に形成されたメモリ層ME、チャネル層CN、及びコア層CRは、少なくともマスク膜63の形成前までに除去しておく。
【0160】
図26(a)(b)に示すように、マスク膜63の開口63cに露出したピラーPLb及び柱状部HRの上端部をエッチバックして、それらの上端部にホールHLcを形成する。
【0161】
その後、各部からマスク膜63を除去する。
【0162】
図27(a)に示すように、ピラーPLb上端部のメモリ層ME及びチャネルCN層で囲まれたホールHLc内に、アモルファスシリコン層またはポリシリコン層等を充填して、少なくともコア層CRの外径程度の径を有するキャップ層CPを形成する。これにより、上端部にキャップ層CPを有するピラーPLが形成される。
【0163】
図27(b)に示すように、柱状部HR上端部のホールHLc内に、アモルファスシリコン層またはポリシリコン層等を充填して、ピラーPLb上のキャップ層CPの外径程度の径を有するキャップ層CPcを形成する。これにより、上端部にキャップ層CPcを有する柱状部HRcが形成される。
【0164】
なお、ピラーPL上部のキャップ層CP、及び柱状部HRc上部のキャップ層CPcは、例えば形成当初はアモルファスシリコンを主成分とする層であってよい。また、その後の各種工程に含まれる熱処理等によって変性を受けることにより、完成品となった半導体記憶装置2においては、キャップ層CP,CPcに含まれるアモルファスシリコンの一部または全部がポリシリコンとなっていてもよい。
【0165】
図28(a)(b)に示すように、絶縁層53の全面をエッチバックして絶縁層53を薄膜化する。このとき、ピラーPL上部および柱状部HRc上部のキャップ層CP,CPcの上部もエッチバックされる。また、貫通コンタクト領域TP内や階段領域(不図示)内の柱状部HRの上部もエッチバックされる。
【0166】
その後、半導体記憶装置2においても、上述の実施形態1の半導体記憶装置1の製造方法と同様、
図14に示すようにスリットST,STbが形成され、
図15に示すようにスリットST,STbの側壁に絶縁層56が形成される。
【0167】
図29(a)(b)に示すように、各部全体を覆うとともに、スリットST,STb内に充填されるネガレジスト膜64を形成する。
【0168】
図29(b)に示すように、スリットSTb内のネガレジスト膜64を残すため、スリットSTbの上方からDUV等の紫外光を照射し、スリットSTb内およびスリットSTb上のネガレジスト膜64を感光させる。
【0169】
このとき、スリットSTbへ向けて照射した紫外光が、回折および干渉等により、例えばスリットST側へと回り込む場合がある。しかし、スリットST,STb間に配置される柱状部HRcは、紫外光を吸収する効果の高いキャップ層CPcを有する。このため、例えばスリットST側へと向かう紫外光が、柱状部HRcによって遮蔽され、スリットST内に充填されたネガレジスト膜64に偽解像が発生するのが抑制される。
【0170】
したがって、各部全体を覆うネガレジスト膜64を現像すると、スリットSTb内およびスリットSTb上のネガレジスト膜64が残り、スリットST内のネガレジスト膜64を含め、それ以外のネガレジスト膜64が除去される。
【0171】
これ以降、半導体記憶装置2においても、上述の実施形態1の半導体記憶装置1の製造方法と同様、
図18~
図22までの処理が実施される。また、例えば積層体LMb(の更に上層の導電層および絶縁層)を途中まで貫通する絶縁部材や、絶縁層53,51を貫通するコンタクトCC、絶縁層53、積層体LMar,LMbr、及びソース線SLを貫通するコンタクトC4、絶縁層54,53を貫通するプラグCH、及び絶縁層54を貫通するプラグV0、並びにこれらに接続する上層配線等が形成される。絶縁部材は、スリットST,STbと並行して形成されてもよい。
【0172】
以上により、実施形態2の半導体記憶装置2が製造される。
【0173】
実施形態2の半導体記憶装置2によれば、板状部BRに隣接する位置で積層体LMa,LMbの積層方向に延び、柱状部HR内に充填される絶縁層よりも紫外光の遮蔽効果が高いアモルファスシリコン及びポリシリコンの少なくともいずれかを含む柱状部HRcを備える。
【0174】
これにより、スリットST内のネガレジスト膜64の偽解像が抑制されて、積層体LMas,LMbsの一部の領域に絶縁層NLを残しつつ、他の領域の絶縁層NLをより確実にワード線WLに置き換えることができる。
【0175】
実施形態2の半導体記憶装置2によれば、柱状部HRcは、下層に絶縁層を含み、上層にアモルファスシリコン及びポリシリコンの少なくともいずれかを含み、コンタクトLIと板状部BRとの間の領域全体に亘って配置される。
【0176】
これにより、例えば積層体LMbの上面の略全面において、柱状部HRcのキャップ層CPcによって紫外光が遮蔽され、より確実にスリットST内のネガレジスト膜64に偽解像が生じるのを抑制することができる。
【0177】
一方で、柱状部HRcのキャップ層CPcは、柱状部HRcに充填される絶縁層上に配置されているので、ワード線WL等の他の構成と電気的な導通が無く、例えばコンタクトLIと接触しても、半導体記憶装置2の動作に電気的な影響を与えることを抑制できる。
【0178】
なお、上述の実施形態2では、例えば2つの板状部BRに挟まれた領域には、キャップ層CPcを有さない柱状部HRが配置されることとした。しかし、2つの板状部BRに挟まれた領域に、柱状部HRではなく柱状部HRcを配置することとしてもよい。
【0179】
このように、板状部BRを両側から挟んだコンタクトLIの間の位置で、一貫して柱状部HRcを形成することとすれば、製造工程が煩雑になるのを抑制し、より簡便に半導体記憶装置2の製造を実施することができる。なお、階段領域SRの少なくとも一部分においても、柱状部HRではなく柱状部HRcを配置するようにしてもよい。
【0180】
また、上述の実施形態2では、柱状部HRcの上層に、アモルファスシリコン及びポリシリコン等の少なくともいずれかを主成分とするキャップ層CPcを配置して、紫外光の遮蔽効果を得ることとした。
【0181】
しかし、柱状部上層のキャップ層は、第1の材料としての金属を含み、あるいは、金属を主成分としていてもよい。金属を含むキャップ層によれば、金属によって紫外光が反射されることにより、紫外光に対する遮蔽効果が得られる。金属を含むキャップ層は、ピラーPLのキャップ層の形成工程とは別工程で形成することとなるが、キャップ層が金属を含むことにより、例えば上述のキャップ層CPcよりも高い遮蔽効果が得られる。よって、例えばキャップ層を薄くすることができる。
【0182】
[他の実施形態]
上述の実施形態1では、柱状部HRp上にはキャップ層を形成しないこととした。しかし、ピラーPLのキャップ層CPを形成する際に、これと並行して実施形態1の柱状部HRp上にもキャップ層(アモルファスシリコンまたはポリシリコンを含むダミー層)を形成し、よりいっそう遮蔽効果を高めてもよい。
【0183】
上述の実施形態1,2では、階段領域SR及び貫通コンタクト領域TPは、複数のメモリ領域MR間に配置されることとした。しかし、階段領域が積層体LMa,LMbのX方向の端部に配置され、その階段領域に近接して、貫通コンタクト領域がメモリ領域の外側に配置されていてもよい。
【0184】
上述の実施形態1,2では、貫通コンタクト領域TPには、ワード線WLと周辺回路CUAとを電気的に接続するコンタクトC4が配置されることとした。しかし、貫通コンタクト領域が、例えばビット線と周辺回路とを電気的に接続するコンタクトを配置するための領域等であってもよい。
【0185】
以上、様々な目的を有する貫通コンタクト領域を含め、上述の実施形態1,2の柱状部HRp,HRcは、リプレース阻害用のスリットとリプレース用のスリットとが近接する領域に配置されることができる。
【0186】
上述の実施形態1,2では、半導体記憶装置1,2は、2つの積層体LMa,LMbを含む2Tier(2段)構造を備えることとした。しかし、半導体記憶装置は、1Tier、または3Tier以上の構造を備えていてもよい。
【0187】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0188】
1,2…半導体記憶装置、BR…板状部、CNd…ダミー層、CP,CPc…キャップ層、HR,HRc,HRp…柱状部、LI…コンタクト、LMa,LMar,LMb,LMbr…積層体、MC…メモリセル、MR…メモリ領域、NL,OL…絶縁層、PL…ピラー、SB…基板、SR…階段領域、TP…貫通コンタクト領域、WL…ワード線。